タイトル: | 特許公報(B2)_月経前症候群全症状のビタミンDまたはビタミンDおよびカルシウムによる治療方法 |
出願番号: | 1994508244 |
年次: | 2005 |
IPC分類: | 7,A61K31/59,A61P17/00,A61P25/00,A61P25/06 |
タイス−ジェイコブズ,スーザン JP 3676805 特許公報(B2) 20050513 1994508244 19930914 月経前症候群全症状のビタミンDまたはビタミンDおよびカルシウムによる治療方法 タイス−ジェイコブズ,スーザン 平木 祐輔 石井 貞次 早川 康 タイス−ジェイコブズ,スーザン US 945,319 19920915 US 059,682 19930510 20050727 7 A61K31/59 A61P17/00 A61P25/00 A61P25/06 JP A61K31/59 A61P17/00 A61P25/00 A61P25/06 7 A61K 31/59 CA(STN) MEDLINE(STN) WPI(DIALOG) PubMed BIOSIS(DIALOG) 英国特許第02169202(GB,B) 22 US1993008653 19930914 WO1994006435 19940331 1996505122 19960604 20 20000914 加藤 浩 発明の背景技術分野本発明は、治療を必要とする個人に有効量のビタミンDを投与することによる月経前症候群(PMS)の治療方法に向けられたものである。本発明はまた、PMSの総体的症状を示す個人に治療上有効な量のカルシウムとビタミンDの組合わせを投与することによる、月経前症候群(PMS)に伴なう症状を減じ、または緩和する方法に関する。技術の背景PMSは、月経の前に起こり月経開始とともにおさまる様々な情動的および身体的症状の周期的再発によって特徴付けられる。黄体期におけるこれらの症状の一時的な発現が、それらの特性よりも、この現象を明確にするように思われる。しかし、正確な病態生理学はいまだに推測的で曖昧である。PMSを持つ女性によって一般に経験される症状は、これらだけに限定されないが以下のものを含む。すなわち、(1)腹部痙攣、片頭痛などの血管性頭痛を含む頭痛、乳房腫大および圧痛、背中の痛みならびに膨満、等の身体的症状、および(2)抑うつ、苛立ちやすいこと、および不安、等の心理的症状である。上記の症状は、PMSをもつ女性にのみ起こるものではない。しかし、閉経前の全女性の90%もが、軽度から耐えられない程度まで、PMSに関連した上記のような症状をある程度示すと推定されている。約700万人の女性が重篤な、および耐え難いPMS関連症状で苦しんでいると推定されている。Thys-Jacobsの米国特許第4,946,679号(以下「Thys-Jacobs」と称する)は、治療を必要とする個人に有効量のカルシウムを投与することによる月経前症候群(PMS)の治療方法を開示した。Thys-Jacobsらは、J.Gen.Int.Med.,1989:4:183F中の「月経前症候群におけるカルシウム補充。ランダム化交差トライアル」(“Calcium Supplementation in Premenstrual Syndrome.A Randomized Crossover Trial")と題する記事において、3か月間元素カルシウム(elemental calcium)を1000mgの用量で毎日投与することによる、PMS全症状の50%減少を開示した。Chuongらは、1991年のAmerican Fertility Annual Meetingに提出した「月経前症候群におけるカルシウムレベル」(“Calcium Levels in Premenstrual Syndrome")と題するアブストラクトで、PMSをもつ女性は、無症状対照と比較して月経周期の黄体期に有意に低いカルシウムレベルを持つこと、また、PMSをもつ女性は、月経周期の小胞期と比較して月経周期の黄体期に有意に低いカルシウムレベルを持つことを示した。カルシウムは、神経伝達物質、内分泌および外分泌産物の放出、骨格筋および平滑筋の収縮、および代謝において役割を果たしていると思われる。月経は、卵巣および下垂体の分泌機能と関係がある。Thys-Jacobsは、卵巣結合ホルモンと結合したカルシウムは、生理的神経内分泌およびホルモンのメッセージを、挙動的および身体的変化に翻訳する固有のフィードバックメカニズムを調節(modulate)し得ると開示した。しかし、PMSに伴なう症状の一層の減少または緩和をもたらす治療の必要が、特にとりわけ頑固な症例においては、まだ存在する。発明の要旨本発明の目的は、PMS症状を示す個人、特にカルシウム単独による治療では改善を示さない患者において、PMSに伴なう症状を減じ、または緩和することである。本発明のさらなる目的は、PMS症状を示し、かつ低いビタミンDレベルを示す個人において、PMSに伴なう症状を減少または緩和させることである。本発明は、治療を必要とする個人にPMSの症状が有意に減少または緩和するように有効量のビタミンDを投与することを含む、PMSの治療方法に向けられたものである。本発明はまた、PMSに伴なう総体的症状を示す個人に治療上有効な量のカルシウムとビタミンDの組合わせを投与することを含む、PMSに伴なう症状を少なくとも減少させる方法に関する。【図面の簡単な説明】図1は、PMSに伴なう総体的症状を示す26人の女性および無症状対照20人におけるビタミンDレベルの比較を示す。図2は、PMSに伴なう総体的症状を示す26人の女性および無症状対照20人における腰部脊椎L2−4での骨ミネラル濃度の比較を示す。発明の詳細な説明ビタミンDは多数の公知の機能を有する。例えば、腸においては、1,25ジヒドロキシビタミンD[1,25(OH)2D]は小腸および大腸にわたってカルシウム、リンおよびマグネシウムの吸収速度を増大させる。1,25(OH)2Dはまた、細胞外空間からのカルシウムの運搬を増大させ、そしてそれは細胞内カルシウムプールからの細胞内カルシウム濃度を固定することができる。さらに、ビタミンDは腸管の上皮刷子縁上皮細胞におけるタンパク質の合成を誘導する。1,25(OH)2Dの受容体は、多くの臓器および組織に存在する。この受容体は、腸、肝臓、骨、皮膚、胸、下垂体、上皮小体、膵臓ランゲルハンス島のベータ細胞、生殖腺、脳、骨格筋、循環する単球およびリンパ球に発見されている。ビタミンD欠乏は、インスリンの分泌およびグルコース耐性を損ない、また正常な細胞分化を損なうことが知られている。さらに、ビタミンD欠乏は慢性的な筋肉虚弱とミオパシー(myopathy)を伴なってきた。出願人は、ビタミンD欠乏とPMSの総体的症状を示す女性の関係を発見した。本発明の方法は、治療を必要とする個人に、PMS症状が有意に減少または緩和するように有効量のビタミンDを投与することにより、PMSを治療する。ビタミンDはビタミンD2[エルゴカルシフェロール(ergocalciferol)]、ビタミンD3[コレカルシフェロール(cholecalciferol)]、カルシフェジオール(calcifediol)[25OHD]、等の形で投与することができる。好ましくは、投与されるビタミンDの用量は、1日あたり200から2000IUの範囲で、最も好ましくはビタミンD2またはD3として投与される。例えば、ビタミンD2またはD3の推奨される日用量は400IUである。PMSの総体的症状ならびに顕著なビタミンD欠乏を示す個人については、推奨される用量は、1週間に50,000から200,000IUを2〜3カ月間である。治療がカルシフェジオールの投与を含む場合は、カルシフェジオールの好ましい用量は、毎日800から8000IU(20から200μg)の範囲で、好ましくは2から4週間の間である。再発性の症状を予防するために、これより低い用量を用いることもできる。好ましくは、上記の用量は経口投与され、最も好ましくは錠剤の形で投与される。このビタミンはまた油基剤(oil base)に入れて注射する等により、筋肉内に投与することもできる。例えば、ビタミンD2は好ましくは油基剤に入れ筋肉内に、2〜3ケ月ごとに500、000IUから12.5mg投与される。本発明の方法はまた、治療上有効な量のカルシウムとビタミンDの組合わせを投与することによって、PMSに伴なう症状を示す個人を治療する。好ましくは、投与される元素カルシウムの用量は1日あたり約1000mgから約2000mgの範囲である。好ましくは、投与されるビタミンDの用量は1日あたり、約400から約2000IUの範囲である。好ましくは、ビタミンDの投与は25ヒドロキシビタミンDレベルを30〜40ng/ml以上に高める。カルシウムとビタミンDは、例えば、所望の用量のカルシウムおよびビタミンDを含有する錠剤、カプセル、粉剤、液体、キャンディーまたはミント、クッキーまたは食品添加物の投与によって、同時に投与することができる。好ましくは、この組合わせは錠剤の形で経口投与される。カルシウムは炭酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、リン酸カルシウム、塩化カルシウム、ステアリン酸カルシウムまたは酢酸カルシウムの形で投与することが可能で、好ましくは炭酸カルシウムの形で投与される。ビタミンDは、少なくともビタミンD2[エルゴカルシフェロール(ergocalciferol)]、ビタミンD3[コレカルシフェロール(cholecalciferol)]、または25ヒドロキシビタミンD[カルシジオール(calcidiol)またはカルシフェジオール(calcifediol)]の形で投与することができる。投与は、1日1回の単一組合わせ投与とすることもできるし、またはPMS症状を予防するのに十分なレベルにおけるより低濃度の分割投与にすることもできる。単一投与のための組合わせの例を以下に示す。1日に少なくとも2から3回投与する低濃度態様のための例を以下に示す。ビタミンD、および上記のカルシウムとビタミンDとの組合わせは、PMSに伴なう症状を減じるまたは緩和するのに効果的である。その症状とは、これらだけに限定されないが、特に偏頭痛などの血管性頭痛を含む頭痛、乳房の圧痛および腫大、腹部膨満、腹部痙攣、全身的痛み、背中下部の痛み、疲労、食欲増進/減退、甘味/塩への渇望、四肢の膨脹または浮腫、および不眠などの身体的症状を含み、また気分の変動、抑うつ、緊張、不安、怒りおよび泣き叫ぶ発作などの心理的症状である。実施例本発明の上記および他の目的、特徴、側面および利点は、以下に述べる本発明の詳細な非制限的実施例によって一層明らかになるであろう。実施例1出願人の研究は、PMSが低いビタミンDレベルを伴なうことを示す。ここに記述する研究は、PMSの総体的症状をもつ女性におけるいくつかのパラメーターを測定し、その結果を閉経前の無症状対照と比較するものである。この研究は、Mount Sinai Medical Centerの臨床研究センターおよび外来部門で実施された。1.1登録被験者(PMSグループ)および対照は広告によって募集するか、または個人的に紹介された。最初、138人の女性がトライアルのためにスクリーニングされた。PMSがあると報告する女性をPMSグループにふるい分け、PMS症状がないと報告する女性を対照グループにふるい分けた。PMSグループの参加者は、下記の場合に選択された。すなわち、1)彼女らが予想的(prospective)で連続的な2ケ月の日誌に基づいて、あらかじめ定められた基準を満たした:その基準とは、黄体期の最後の週に起こり小胞期の開始後2〜3日以内に弱まる、臨床的に有意義な情動的および身体的症状のパターンである、2)彼女らが月経間期に比べ黄体期には少なくとも50%の平均症状強度変化を示した、および3)彼女らが、骨に悪影響を及ぼすことが知られている代謝性骨疾患または状態の病歴を全くもたなかった。対照は、2ケ月の予想的な日誌に基づいて、彼女らが何らPMS症状を示さなかったならば選択された。2つの月経サイクル期間の毎日の症状を予想的評価を、16の症状を、なし、軽度、中等度、または重篤と等級づけ、0から3の点数を与えた質問表により得た。これらの16の症状とは、神経過敏、怒りやすい、泣く、気分の変動、抑うつ、睡眠の増加または減少、疲労、集中困難、激しい圧痛、腹部膨満、頭痛、胸部肥満、食欲の変化、腹部痙攣、背中の痛み、チョコレートまたは塩への渇望であった。両グループの除外基準は以下の通りである:(1)無月経病歴、(2)月経周期の異常、(3)神経性無食症、(4)レボチロキサンの1日0.05mg以上の投与量による副甲状腺機能亢進症、甲状腺機能亢進症または甲状腺機能低下症、(5)主要な精神的な病気または進行中の鬱病、(6)1日1パック以上の喫煙歴、(7)妊娠、(8)近閉経期または閉経期、子宮内膜症の病歴、精紳遅滞、(9)チアザイド利尿剤または抗痙攣薬の使用、(10)コルチコステロイド使用の経歴、または(11)代謝的な骨の病気。精神的な病気、激しい不安感および抑欝のある女性は除外したが、この除外は広範囲にわたる心理学的なスクリーニング(例えば、the Beck Inventory Depression Scale,the Spielberg State Trait Anxiety Inventoryおよびthe Premenstrual Assessment Form-past cycle version of Halbreich,Enicott and Schacht等)により決定した。臨床評価は、詳細な医学的、月経と婦人科学歴および肉体的な検査をもともなうものであった。PMS群および対照の最終的な選択は、各女性のPMS日誌、医学的病歴および心理学的評価を十分に調べる際に、内科医、精神科医および臨床ソーシャルワーカー間の一致した意見により行なった。全ての選択された参加者は白色人種で、これら参加者からはMount Sinai Medical CenterのInstitutional Review Boardにより確立された方針に従うインフォームド・コンセントを得た。PMS群として26人の女性、対照として20人の女性をそれぞれ選択した。92人の女性は、上記の包含基準か最初の採用評価に準じないことに基づいて除外した。大多数の女性は、法律、医学、看護、ソーシャルワークおよび教育などの職種で働く女性であった。大部分の者はそれぞれの分野でフルタイムの身分を持っていた。全員が白人で、ニューヨークの都市部かその郊外に居住する中流から上流の経済的に自立した女性であった。集団として、彼女らはPMSの臨床的発現に精通しており、PMSについて最近の利用できる処置に関して、メディア、ハウツー本、およびかかりつけの医者から十分に知らされていた。PMSを有する大多数の女性は少なくとも1つの形の推薦された治療を試みてはいたが、それらの症状の緩和には成功しなかった者であった。1.2 研究a.PMS群と対照群の女性の臨床的および生化学的特徴血清卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン、プロゲステロン、マグネシウム、カルシウム、アルブミン、アルカリホスファターゼ、完全な血液のカウントおよび24時間の尿カルシウム排出物を黄体段階中に全女性から得て、これらをMount Sinai Medical Centerの臨床実験室にて測定した。血清と尿の両方のカルシウムを熱量測定法によりベックマンCX3機器を用いて測定した。1,25ジヒドロキシビタミンD[1,25(OH)2D]、25ヒドロキシビタミンD[25OHD]、そのままの形の副甲状腺ホルモン(iPTH)のカルシオトロピック(向カルシウム性)ホルモンのサンプリングは、USCF Hormone Reference Laboratoryにより行なわれた。血清プロゲステロンは月経周期の最後の7日間にわたって測定して排卵を確認した。この試験結果を表1に示す。b.PMS群と対照群の女性の食物の特徴全参加者は、臨床研究センターの訓練された栄養士の先立つ指示と監督下に、3日間の食物摂取の詳細な記録をつけた。消費された食物の種類とすべての食事とスナックのそれぞれについて摂られた量が報告された。摂られた各量は、台所で通常利用される測定容器を使用して推定した。各被験者について1日3回の摂取量を平均してカルシウム摂取平均量を決定した。この試験結果を表2に示す。c.PMS群および対照群の毎日の症状毎日の症状の全評価スコアは、16のそれぞれの評価スコアを合計することによって得た。月経周期の異なる期間に関する平均症状スコアは毎日の症状の評価から以下のように導いた。黄体期平均:すべての周期の月経期間の開始前の7日間の全症状の平均スコア。月経期平均:すべての周期の月経期間での全症状の平均スコア。黄体期最大:単一周期での最大黄体期平均スコア。月経期最大:単一周期での最大月経期平均スコア。月経間平均:すべての周期の月経期間後7日間の全症状スコアの平均スコア。この試験結果を表3に示す。d.骨無機物密度全女性の腰部脊椎と基部大腿骨の骨無機物含量は、モデルDP3システム(Lunar社,Madison WI州)を用いる二光量子吸光光度法により決定した。透過走査(transmission scanning)は二種類の分離エネルギーウィンドー(44および100KeV)を有するガドリニウム-153源を利用したものである。この分離エネルギーにより、存在する軟組織の量とは関係なく骨無機物含量を決定することができた。骨無機物含量(BMC)はグラムで測定した。骨無機物密度("BMD")は、このBMCをスキャンされた骨の領域で割って得られた。腰部脊椎の興味をひく主要領域はL2〜L4であった。脊椎のBMD測定量もL1〜L2について決定した。腰部脊椎のL1〜L4の脊髄走査のために、体重と身長を測定した。被験者は、腰部前彎を最小とするために立方体の上に足を伸ばした脊椎位置を取った。腸骨稜は触診により同定し、プローブをL5の走査位置に配置した。直線的に進む走査(2.5mm/秒の速度を有する4.5mm離れたライン厚みの40本の走査線)を各検体について行なった。腰部位置決め立方体を外した後に、脊椎位置で結合恥骨から始まるように右の基部大腿骨を走査した。かどのある支柱を右足首に縛り、大腿骨が最もよく見えるようにできるだけ遠くまで右足を回転させた。骨無機物測定量は、大腿骨頚部、Wardのトライアングル(Ward's triangle)および大転子について決定した。全被験者は配置され、データは一人の訓練された技術者により分析された。本発明者等のセンターでのこれらの操作の変動係数と長期にわたる再現性は±2%である。この試験結果を表4に示す。e.平均的な症状スコアと選択BMDおよびカルシオトロピックホルモン量との相関副甲状腺ホルモン、1,25ジヒドロキシビタミンDおよび25ヒドロキシビタミンDの測定のために、血液試料を血清分離管に集め、室温で30分間凝固させ、すぐに遠心して血清を分離した。プラスチックのピペットを用いてこの血清をプラスチックの試料ビンに移し、すぐに-70℃で凍結した。PTHは、Nussbaumにより既に報告された検定法に若干の変更を加えて測定した。このアッセイは生物活性のあるPTH(1-84)の測定のために2種類の多クローン性抗体を用いる2-サイト免疫放射線測定アッセイである。完全な(intact)PTHフラグメントのみが、ヒトPTHに対する放射能標識抗体の測定に必要なサンドイッチ複合体を形成する。1つの抗体はPTH中央領域かC末端(39〜84)に対して特異的であり、8mm直径のポリスチレンビーズ上に吸着により固定化されたもので、他方の抗体はPTH1〜34のN末端領域のために放射能標識されている。血清試料は二重試験でアッセイした。イントラアッセイの変動係数は5.3%であり、インターアッセイの変動係数は8.5%であった。通常の範囲は10〜60pg/mlである。このアッセイは10pg/mlから1650pg/mlの範囲にわたって直線性を示した。1,25ジヒドロビタミンD試料はReinhardsにより記載されたアセトニトリル法で抽出して、タンパク質と脂質を除去した。試料はC-18カートリッジおよびシリカSep-pakカートリッジを連結して用いて精製した。回収試料は分注して各試料の抽出効率を測定した。こうして精製した抽出物は次にラジオ−リセプターアッセイで二重試験にて検定した。このアッセイは、1,25ジヒドロビタミンDに対して特異的なリセプターを有する子ウシ胸腺の結合タンパク質を利用するものであって、1チューブあたり1.5〜40ピコグラムの範囲で定量的測定が可能である。イントラアッセイの変動変数は6.6%であり、インターアッセイの変動変数は12.4%であった。25ヒドロキシビタミンD試料はメタノールを用いて抽出して、タンパク質と脂質を除去した。次に、抽出物をSep-pakカートリッジによるクロマトグラフィーにかけて、25ヒドロキシビタミンDフラクションを他のビタミン誘導体から分離した。各試料中の25ヒドロキシビタミンDの回収は抽出とクロマトグラフィーの両ステップにわたってモニターした。こうしてクロマトグラフィーにかけられた抽出物を競合タンパク質結合アッセイを用いて二重試験で検定した。二つの希釈物を用いてスタンダードとの比較を確実に行なった。このアッセイはラット血清に見られる天然のビタミンD結合タンパク質を利用したものであった。このアッセイでは、1チューブあたり1.5〜40ピコグラムの範囲で定量的測定が可能であった。このアッセイについては、イントラアッセイ変動変数は10%であり、インターアッセイ変動変数は15%であった。95%の信頼度を有するPearson生成物相関係数を算出して、黄体期と月経期の両方の全症候と多様な因子(例えば、年令、体重、BMDおよびカルシオトロピックホルモン等)との関係を算定した。この試験結果を表5に示す。1.3 結果の考察a.生化学的値とカルシオトロピックホルモン値表1に示されているように、生化学的値とカルシオトロピックホルモン値は、PMSを有する二人の女性と対照の一人で10ng/mlの正常範囲以下であった25OHDを除けば両グループで正常であった。しかし、正常な生化学的パラメーターの範囲内でさえ、対照とPMSを有する女性との間には差異があった。正常な対照と比較して、PMSを有する女性は有意に低い25OHD量を有していた(19.5±7.5対25.3±8.3ng/ml;t=2.46,df=44,P=0.018(図1))および高血清カルシウム量(2.4±0.1対2.3±0.1ミリモル/リットル;t=2.03,df=43,P=0.049)。血清コレステロール量では、PMS群は対照群よりも有意に低かった(183.8±27.2対215.3±19.0;t=2.19,df=20,P=0.04)。iPTH、1,25(OH)2D、カルシウム排出%、マグネシウムまたはアルブミンの平均値では両グループ間に差異はなかった。b.食物の比較表2は両グループ間の食物の比較を示している。リンの摂取では、PMS群はコントロール群よりも有意に低かった(841.5±257.5対1022.8±171.2mg;t=2.36,df=33,P=0.024)。24時間の食物カルシウムの平均摂取量は、PMS群で726.5mgであり、対照群で736.0mgであった。このことは有意な差異を証明するものではなかった。脂肪、炭水化物、タンパク質、コレステロールまたはカロリーの平均食物摂取量には差異はなかった。c.黄体、月経および月経間の期間の平均症状スコア表3は、月経周期の黄体、月経および月経間の期間の平均症状スコアを示している。予想されたように、PMS群は対照群(P=0.000)よりも有意に高い黄体症状評価スコア(黄体段階平均と黄体段階最大)を有していた。月経期症状評価スコア(月経期平均と月経期最大)は、対照群と比較して(P=0.000)、PMS群で同じく高かった。PMSを有する全参加者は、月経間期に比べて黄体期で、500%の範囲の平均的症状度の変化を示し、これは前記包含基準で必要とされる50%の最小変化よりも十分に高いものであった。d.骨質量の測定表4は、PMSを有する女性と対照群について腰部脊椎と基部大腿骨で行なわれた骨質量測定値の平均と標準偏差を示す。PMS群は対照群と比較してL2〜L4部位で減少した骨質量を有していた。PMS群の平均±SD BMDは、対照群の1.28±0.11と比較して1.18±0.11であった(Wilcoxonランク合計Z=3.09,P=0.0016)。PMS参加者間でのL2〜L4の骨質量測定値の範囲の著しい下方シフトを図2に示す。骨質量においても、PMS群は対照群と比較してL1〜L4部位(1.17±0.10対1.24±0.11;Wilcoxonランク合計Z=2.89,P=0.0032)およびL1〜L2部位(1.14±0.10対1.24±0.11;Wilcoxonランク合計Z=2.95,P=0.0027)のそれぞれで減少していた。大腿骨の骨質量測定値のうちで、Wardのトライアングル領域については、PMS群は対照群と比較して著しく減少していた(0.84±0.10対0.91±0.16;Wilcoxonランク合計Z=2.00,P=0.0458)。両グループは、大腿骨頚部または大転子のBMDでは差異はなかった。e.平均症状スコアとBMDおよびカルシオトロピックホルモン測定値との相関表5は、平均症状スコアとBMDおよび全試料中のカルシオトロピックホルモン測定値との相関性を示している。同じ相関性がPMS群で見られる。副甲状腺ホルモンは全群中で黄体全症候に対して負の相関性を有していた(r=-0.03;95%CI-0.54,-0.01)。食物中のカルシウムは月経期平均(r=-0.33;95%CI-0.60,-0.01)および月経期最大(r=-0.35;95%CI-0.61,-0.01)で負の相関を有していた。脊椎L2〜L4のBMDは、黄体症状スコアと-0.38(95%CI-0.60より-0.01)相関し、これも脊椎BMD測定値に関するグループ間の顕著な差異を知見と一致するものである。しかし、L2〜L4の月経症状スコアとの相関性は小さく、ゼロを含む95%CIを有していた(r=-0.25;95%CI-0.51より0.04)。同様なパターンがL1〜L4とL1〜L2の測定値について見られた。高い黄体全症状が低い骨質量と関連性があるものかどうかを調べるために、PMS群の脊椎の骨質量測定値と黄体症状スコアとの相関性を計算した。この分析をPMS群に限定した場合、その相関性は減少した。L2〜L4と黄体症状スコアとの相関は-0.18であった(95%CI-0.52,0.22)。したがって、脊椎BMD測定値と黄体症状の重篤度との間の負の相関は主にPMS群と対照群との骨質量の差異に帰せられるものであって、減少した骨質量による症候の重篤度の直線的な増加に帰せられるものではない。全試料の相関性と一致して、PMS群の食物中のカルシウムは、月経症状平均と負の相関があった。血清カルシウムは黄体と月経の症状の両方の平均と負の相関があった。全試料中に見られたiPTHに対する黄体症状の相関はPMS群では検出されなかった。多くの女性は、痛みに対する各個人の耐性により自分の症状を異なるように評価する可能性がある。この可能性を抑えるために、本発明では月経間症状平均を共変数として用いた。黄体期と月経期の症状平均は、月経間症状平均を抑えているBMDおよびカルシオトロピックホルモン測定値と相関していた。これらの分析において突出した結果は、1,25(OH)2Dと黄体症状の間で、PMS群(r=0.41;95%CI0.02,0.69;P=0.04)と全試料(r=0.29;95%CI0.00,0.53;P=0.05)の両方で正の相関があった。1.4 結果上記のデータは、対照と比較した、PMS群における25OHDのレベルが低い女性の2つの群の間のビタミンDの有意差を実証している。このビタミンDの生物学的利用性の減少は、前駆体7−デヒドロコレステロールからのビタミンDの不適切な生成または単なる不適切な食物摂取を反映するのかもしれない。PMSの参加者のうち2人は異常に低い25OHDレベルを有していたが、大多数は、対照と比較して、より低いが正常なレベルを有していた。PMSおよび対照の参加者の両方とも、白人で経閉期前の女性であり、年齢、体質および活動力が似通っていて、骨の疾病または月経障害の病歴を有していなかった。正常な対照におけるL2-4での平均椎骨無機物密度の値(1.28g/cm3±0.11)は、Mazessらが報告した米国の白人女性のそれ(1.26g/cm3±0.13)に匹敵するものであった。PMSの参加者の平均年齢は34才であったが、L2-4でのこれらの参加者の平均椎骨BMD(1.18g/cm3±0.11)は、脊椎密度を予測するMazessの年齢回帰方程式に基づく、16才の女性のそれに等しかった。対照群の椎骨BMDに対する0.11の標準偏差は、30〜39才に対する0.13の報告されている標準偏差に匹敵する。大腿については、対照の標準偏差は0.10〜0.16で、これはMazessの報告の0.12〜0.14に匹敵する。骨の喪失のパターンにおける最近の証拠により、体肢骨格および体軸骨格における有意な経閉期前の骨の喪失が明らかになった。そのデータは、PMSの女性における有意な経閉期前の椎骨および大腿骨の喪失を示している。他の臨床調査もこれらの2つの領域における経閉期前の骨の喪失を同様に実証している。1987年に、Mazessらは、明らかに経閉期前の脊椎および大腿BMDの20〜25%減少のうちの50%程度という、脊椎および大腿の横断面データにおける経閉期前の骨の喪失を示した。Riggsらによる縦方向の検討では、経閉期前には年当たり1.32%、経閉期後には年当たり0.97%の139人の女性における連続的で有意な椎骨の喪失が記録された。橈骨で測定されたように、皮質の骨の喪失は依然として有意でないが、体軸骨格からの有意な骨の喪失が経閉期前に確認された。高い食物カルシウム摂取は、血清カルシウムレベルの増加および上皮小体ホルモンの抑制に関係している。本検討においては、PMSの女性は、対照よりも、高い血清カルシウム濃度と低い25OHDレベルを有していた。これは予想外の発見であった。カルシウムの低い血清濃度が予想されていた。というのは、血清カルシウム、食物カルシウムおよびiPTHとの平均症状スコアの相関ははっきりしないが、1,25(OH)2Dの相関は明白だからである。低い25OHDレベルを伴うビタミンDの部分的な欠乏により、1,25(OH)2Dのレベルの増加を伴う二次上皮小体機能亢進症となることがある。このことは、1,25(OH)2Dレベルにおいて検出される、平均黄体スコアとの明白な相関を説明しうる。PMSの女性に予想される二次上皮小体機能亢進症は、最後には、カルシウムセットポイントをリセットして、より高い血清カルシウムレベルを低下させるかもしれない。本検討の結果は、PMSの女性が無症状の対照と比較して減少した骨質量を有することを示している。長期間の部分的なビタミンD欠乏が関与しているのかもしれないが、PMSの女性における骨無機物密度の減少の正確な機構はわかっていない。実施例2PMSの女性の多くはビタミンDが欠乏しており、PMSが関係する症状はビタミンDおよびカルシウムの組み合わせの治療により減少あるいは緩和できることを示す出願人の研究2.1 参加者の記載以下に記載する検討は、ニューヨーク市のMount Sinai病院にて行った。ニューヨークエリアに勤務および居住している、PMSと自己診断している女性を募集した。PMSの自己診断を報告しているそれらの女性から、月経前の症候群(月経周期の黄体相中に周期的に繰り返され、月経が始まるとおさまる症状)の厳密な定義を満たす女性をさらに選択した。症状の繰り返しの決定は、見込みのある連続した2か月の毎日の日誌に基づいた。各女性に、1月経周期にわたり、毎日17の症状を測定して記録する試験前自己評価質問表を毎日完了するように依頼した。17の症状の各々について症状の強さのレベルを記録することによって、前24時間の間にどのように感じたかを記載している、一つの質問表を毎晩完了するよう各々に指示した。評価される17の症状は、気分の変動、抑うつ、緊張、不安、怒り、泣き叫ぶ発作、乳房の圧痛および腫大、腹の鼓脹、腹の痙攣、全身的なうずきおよび痛み、背中下部の痛み、頭痛、疲労、食欲の増加/減少、甘いもの/塩に対する切望、四肢の膨張/浮腫および不眠であった。各症状を毎日4点スケール(無し、ややある、普通、かなりある)に記録させ、続いて0〜3に採点させた。黄体相の後半の7日の平均症状スコアが、月経の日に続く7日より少なくとも50%より高い女性をさらに選択した。臨床試験から除外するための規準は、(1)腎臓病の病歴、(2)一次上皮小体機能亢進症の病歴、(3)肝臓または胃腸病の病歴、(4)子宮内膜症の病歴、(5)精神病の病歴および(6)進行中の抑うつであった。最終的に、22人の女性がこの検討のために選択された。最終的に選択された女性の各々についての予備的な評価には、(1)詳細な婦人科学的病歴で標準化された医学的評価およびおきまりの身体検査および(2)完全な血球算定、電解質、アルカリ性ホスファターゼ、アルブミン、グルコースおよび尿検査の測定が含まれた。上記のすべての測定は、the laboratory performing the determinationsにより設定された正常な実験限界内であった。2.2 検討すべての女性について、向カルシウム性(calciotropic)ホルモン1,25ジヒドロキシビタミンD〔1,25(OH)2D〕、25ヒドロキシビタミンD〔25OHD〕および完全な(intact)上皮小体ホルモン(iPTH)のベースラインレベルを月経周期の中間点で測定した。さらに、ベースラインカルシウムレベルを月経周期の中間点で測定した。血清サンプルのすべての測定および評価は、カルフォルニアのニコル大学の単一の中心実験室により行われた。1,25(OH)2Dアッセイ用の血清サンプルをアセトニトリルで抽出し、Sep-pak C-18およびSep-Pakシリカカラムで精製した。子ウシ胸腺および3H-1,25(OH)2Dを用いる電磁波受容体アッセイにおいて、精製した1,25(OH)2Dを分析した。上記の1,25(OH)2Dサンプル同様、25OHDアッセイ用の血清サンプルをアセトニトリルで抽出し、C-18 Sep-Pakカラムに通して精製した。3H-25OHDおよびラット血清結合タンパクを用いるラジオバインディングアッセイにおいて、精製した25OHDサンプルを分析した。完全な上皮小体ホルモンアッセイは2サイト免疫放射線検定法(IRMA)である。このIRMAは2種類の抗血清を用い、ひとつはその分子のC末端部分に特異的で、他のひとつはN末端に特異的である。このアッセイは完全なホルモンのみを測定する。全カルシウム用の血清サンプルは原子吸光分光分析法により分析した。結果を以下の表6に示す。向カルシウム性ホルモン1,25(OH)2D、25OHDおよび完全な上皮小体ホルモン(iPTH)およびカルシウムの正常値を以下の表7に示す。2.3 実験結果の考察一人の患者だけが低カルシウム血症であると決定された。5人の女性が高iPTH傾向を有すると決定され、5人は異常な1,25(OH)2Dレベルを有する(4人は高く、1人は検出不能)と決定された。全員が正常な25OHDレベルを有すると決定された。従って、これらの測定が月経周期の中間点で得られたとき、10人の女性の全部が異常に高いiPTHまたは1,25(OH)2D傾向を有すると決定された。上昇したiPTHレベルがビタミンD欠乏を示すかもしれないことは、Clin.Endocrinal Metab.,1980;9;177-205における“骨粗しょう症および骨軟化症”という表題の記事中でNordinらにより言及されている。5人の女性が高いiPTHレベルを有すると決定され、ビタミンD欠乏であるとみなされるかもしれない。しかしながら、高いiPTHは、ビタミンD欠乏症と確実に診断するための必要条件であるが、十分条件ではない。2.4 治療各女性に、一日当たり600〜2000IUをビタミンD2またはビタミンD3で、一日当たり1200〜1500mgの元素カルシウムを毎日補充するように指示した。2.5 結果一日当たり600〜2000IUの投与量でビタミンDを、一日当たり1200〜1500mgの元素カルシウムを毎日補充することによって、PMSの総体的症状が有意に緩和する結果となった。数か月以内に、この治療により、30〜40ng/ml以上に25OHDレベルが上昇する結果となり、実験室により定義されたような異常な向カルシウム値を有するそれらの女性について、そのような値は正常傾向内に修正された。再発を防止するために、生涯ビタミンDおよびカルシウムの補充を続けるよう各々に指示した。実施例3出願人の調査見解を適用する症例研究3.1 患者X患者Xは、20年来PMSの病歴を有する47才の女性である。彼女の主な症状は激しい過敏性、気分変動、乳房腫大ないし圧痛、および月経性痙攣を含む。血管性頭痛、特によく起こる偏頭痛(または前兆なしの偏頭痛)はしばしば月経周期の前月経期と月経期の両方で彼女の機能上の安寧を損なった。彼女は1年間に少なくとも4〜5回たびたび典型的な偏頭痛(前兆なしの偏頭痛)に苦しんだ。彼女のよく起こる偏頭痛は、光恐怖、悪心、時折の吐き気を伴う、2〜3日間続く激しい拍動によって特徴づけられ、そして日常の身体的活動により悪化した。これらの偏頭痛は一時的に彼女の月経期の開始に関連し、いつもPMS総体的症状に伴う。彼女の過去の病歴で、軽度の高血圧、多発性嚢胞腎病、僧帽弁逆流を伴う僧帽弁脱出症、及び22年前の再発性膣炎が重要であった。彼女は、母親、叔母および姉妹の全てが乳癌と診断された非常に強い乳癌の家族歴を有していた。彼女はそのような強い乳癌の家族歴、周期性乳腺症の個人歴を持って乳癌の発病に対する重大な危険にさらされており、ニューイングランド領域に居住している。彼女は一年ごとの乳房造影と癌スクリーニングのための乳房試験を必要としている。本患者のカルシオトロピック(向カルシウム性)ホルモンレベル)彼女は、病歴、150%以上の濾胞状相に対する黄体率によりPMSと診断された。実験結果により二次上皮小体機能亢進症と正常な25OHDを有する低カルシウム症と確認された。4/92には、彼女は1200mg/日の元素カルシウムで治療し、毎日のマルチビタミン(低用量の元素カルシウムとビタミンのためのRDAを含む)を続けた。次の2カ月にわたって、低カルシウム症の完全な是正がなされたが、月経前の不安および月経性痙攣の軽減は一部であった。その後、1日当たり1500mgまで元素カルシウムを増やしつつ、コレカルシフェロール400IU追加量を彼女の処方した。彼女の血管性頭痛は続き、夜間月経性痙攣は続いた。11/92には、彼女の全カルシウムは正常となり、iPTHは上昇し、25OHDは実験で定義される正常のままであった。彼女は毎日のマルチビタミンに加えて1日当たり100IUのコレカルシフェロールと1日当たり1500mgの元素カルシウム(よって全ビタミンD摂取量は1200IUに達する)を処方された。この処方で、彼女のiPTHは正常化し、25OHDは34.5mcg/Lまで増加し、症状および偏頭痛は解消された。さらに、彼女の血圧は正常化された。適当量のビタミンDならびにカルシウムを推奨し、半年毎の測定で250HDレベルを約35.0mcg/Lに維持することによって、総体症状は抑制された。3.2 患者YYはリュウマチ熱、軽度の高血圧症、および30年来のPMSの病歴を有する47才の女性である。彼女は月経期の開始10〜14日前に激しい月経前及び月経期総体的症状に見舞われた。彼女の症状は不安感、極度の神経質、乳房圧痛ないし充満、腹部誇張、体痛、エネルギー不足、血管性頭痛、および激しい月経性痙攣から成っていた。彼女の症状は非常に重篤であったので、仕事場の同僚は彼女を追放し、月毎の彼女の異常な行動を非難した。実施例1.1に記載される2回の月経周期に渡る日々の症状(不眠以外)の予想チャートでは、PMSが確認された。彼女の黄体平均スコアは48であった(最大達成スコア)。全カルシウムのベースラインは9.9ng/ml(8.8-10.4)であり、25OHDは24ng/ml(9-52)で、iPTHは54pg/ml(10-65)であった。実験測定によれば、彼女は実験で定義される正常の血清カルシウム、実験で定義される正常のビタミンD、実験で定義される正常のiPTHを示した。処方される1200mgの元素カルシウムおよび800IUのコレカルシフェロールでの毎日の治療により彼女の頭痛、腹痙攣、不安、傾眠、乳房圧痛/充満、および行動変化は完全に緩和された。本発明は、その局面の例示を意図する実施例に開示される態様によってその範囲は限定されない。機能的に同等である方法は本発明の範囲内である。ここに示され、記載される実施例に加えて本発明の種々の改良は、以上の記載から当業者に明らかとなるだろう。そのような改良は添付する請求の範囲内にあることを意図する。 月経前症候群の症状を有意に軽減させるのに有効な量のビタミンDを含有する、該治療を必要とする個人に投与するための月経前症候群の治療剤。 前記投与量のビタミンDをビタミンD2(エルゴカルシフェロール)、ビタミンD3(コレカルシフェロール)、およびカルシフェジオール[250HD]から成る群から選択されるビタミンDの形態で投与する、請求項1記載の治療剤。 ビタミンD2の経口投与量が1日当たり200から4000IUである請求項2記載の治療剤。 ビタミンD2の経口投与量が2〜3か月間にわたり1週当たり50,000から200,000IUである、請求項2記載の治療剤。 カルシフェジオールの経口投与量が毎日800から8000IU(20から200μg)である、請求項2記載の治療剤。 2〜3か月間にわたり有効量を投与する、請求項4記載の治療剤。 ビタミンDを、2〜3か月ごとに油基剤中500,000IUまたは12.5mgのビタミンD2として筋肉内に投与する、請求項1記載の治療剤。 月経前症候群の全症候に伴う症状を有する個人に投与するための、少なくとも該症状を軽減するのに有効なカルシウムとビタミンDの組み合わせの量を含有する、月経前症候群に伴う症状の治療剤。 カルシウムを炭酸カルシウムの形態で投与することを含む、請求項8記載の治療剤。 ビタミンDをエルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール、またはカルシフェジオールの形態で投与することをさらに含む、請求項8記載の治療剤。 前記組合せを錠剤の形態で1日1回経口投与することをさらに含む、請求項8記載の治療剤。 1日当たり約1000mgから約2000mgの範囲のカルシウムを投与することをさらに含む、請求項8記載の治療剤。 1日当たり約400IUから約2000IUの範囲のビタミンDを投与することをさらに含む、請求項12記載の治療剤。 前記組合せを錠剤の形態で1日1回経口投与し、かつ1日当たり約1000mgから約2000mgの範囲のカルシウムを投与することをさらに含む、請求項8記載の治療剤。 1日当たり約1200mgの量のカルシウムと、1日当たり約I000IUの量のビタミンDを投与することをさらに含む、請求項11記載の治療剤。 個人の25ヒドロキシビタミンDレベルを30〜40ng/ml以上のレベルにまで上昇させるのに有効な量のビタミンDを投与することをさらに含む、請求項8記載の治療剤。 個人の25ヒドロキシビタミンDレベルを30〜40ng/ml以上のレベルにまで上昇させるのに有効な量のビタミンDを投与することをさらに含む、請求項14記載の治療剤。 少なくとも血管性頭痛を軽減させるために前記組合せを投与することをさらに含む、請求項8記載の治療剤。 1:1の割合でカルシウムとビタミンDの組合せを投与することをさらに含む、請求項8記載の治療剤。 偏頭痛の症状を有意に軽減させるのに有効な量のビタミンDを含有する、該治療が必要な個人に投与するための偏頭痛の治療剤。 偏頭痛に伴う症状を有する個人に投与するための、該症状を少なくとも軽減させるのに有効なカルシウムとビタミンDの組合せを含有する、偏頭痛に伴う症状の治療剤。 偏頭痛が月経前症候群に伴うものである請求項20又は21記載の治療剤。