タイトル: | 特許公報(B2)_OVCAR−3腺癌細胞治療用医薬及び治療方法 |
出願番号: | 1994505307 |
年次: | 2005 |
IPC分類: | 7,A61K38/00,A61K31/195,A61K31/7135,A61K33/24 |
ミクルスキー,スタニスラヴ・エム アーデルト,ヴオイチエツク・ジエイ JP 3655628 特許公報(B2) 20050311 1994505307 19930702 OVCAR−3腺癌細胞治療用医薬及び治療方法 アルフアセル・コーポレイシヨン 高木 千嘉 佐藤 辰男 西村 公佑 ミクルスキー,スタニスラヴ・エム アーデルト,ヴオイチエツク・ジエイ US 921,180 19920730 20050602 7 A61K38/00 A61K31/195 A61K31/7135 A61K33/24 JP A61K37/02 A61K31/195 A61K31/7135 A61K33/24 7 A61K 38/00 - 38/58 A61K 31/195 A61K 31/7135 A61K 33/24 CAPLUS/MEDLINE/BIOSIS/EMBASE(STN) 国際公開第91/007435(WO,A1) 薬理学,廣川書店,1992年 2月25日,7刷,p.420-433 NAFTALOVICH,S. et al.,Antitumor effects of ketoconazole and trifluoperazine in murine T-cell lymphomas,Cancer Chemotherapy and Pharmacology,1991年,Vol.28,No.5,p.384-90 1 US1993006357 19930702 WO1994003197 19940217 1995509485 19951019 10 20000629 安川 聡 本発明は医薬に関し、より詳細にはヒトに癌腫瘍を惹き起す細胞を処置するために使用する医薬に関する。PCT特許出願WO 89/09606及びWO 91/07435は商標名オンコナーゼ(ONCONASE)と呼ばれる医薬を開示している。この医薬が3つの他の薬品と混合療法で試験管内で使用するとき、その混合療法の成績はある病例に於ては期待したよりも一層生物活性である。これらの他の薬品はシスプラチン(Cisplatin)、メルファラン(Melphalan)及びアドリアマイシン(Adriamycin)として知られている。好ましい実施態様の詳細な説明試験管内データーはオンコナーゼをシスプラチンの名称で販売されている薬品と併用するとオンコナーゼ及びシスプラチンの単独の活性から期待される活性よりもヒト卵巣OVCAR−3腺癌腫瘍に対し一層生物活性があることを示している。また、試験管内データーはオンコナーゼとメルファランの名称で販売されている薬品との併用はオンコナーゼとメルファランの単独の活性から期待される活性よりもヒトの卵巣OVCAR−3腺癌に対し、より一層生物活性があることを示している。試験管内データーはオンコナーゼとアドリアマイシンという名称で販売されている薬品と併用するとオンコナーゼ及びアドリアマイシンの単独の活性から期待される活性よりもヒト卵巣OVCAR−3腺癌に対し、一層生物活性があることを示している。本発明の好しい実施態様は細胞培養試験を用いて試験される。斯様な試験に於ては予め決定した期間に亘り既に知られた成長速度の細胞株が試験される物質で処置され、その処置された細胞の成長が未処置細胞から通常期待される成長と比較される。上述特許出願に記載され、またPCT特許出願WO 89/09606に記載されている方法論に従って製造されたオンコナーゼ(その方法論はこの中で充分に述べられたように参照により本明細書に組入れられる)を燐酸緩衝化食塩水(PBS)に溶解して1mg/mlのストック用溶液を作った。シス−ジアミンジクロロプラチナムとして知られているシスプラチンは2ケのクロライド原子により囲まれた白金を中央原子に2ケのアンモニア分子をシス位に含有する重金属錯体である。本品はPt Cl2H2N2の分子式を有し、300.1の分子量である。L−フェニルアラニンマスタード、フェニルアラニンマスタード、L−PAM又はL−サルコリシン(L−sarcolysin)として知られるメルファランは4−〔ビス−(2−クロロエチル)アミノ〕−L−フェニルアラニンである。アドリアマイシンは塩酸ドキソルビシン(Doxorubicin HCl)、USPの商標名である。ドキソルビシンはストレプトマイセスピューセチウスバールセシウス(Streptomyces peucetius var caesius)の培養物から分離されたアントラサイクリン抗生物質である。ドキソルビシンはアミノ糖、ダウノサミンに環原子7で配糖体結合により結合するナフタセンキノン核よりなる。この試験システムはアメリカンタイプカルチャーコレクション(American Type Culture Collection)(寄託番号ATCC HTB 161)から得られたOVCAR−3ヒト卵巣腺癌細胞株を使用した。その細胞株は20%加熱不活性化した牛胎児血清、200mM L−グルタミン、ペニシリン1ml当り10,000単位、ストレプトマイシン1ml当り10mg、ファンギゾン1ml当り25μg、10mM HEPES緩衝液及び牛インシュリン1ml当り10μgを補足したRPMI 1640培地で培養した。これは完全増殖培地である。その細胞は1穴当り6000個の生存細胞(50μl)の濃度で96穴組織培養板に接種された。細胞は24時間静置して沈降させ、そして穴当り50μlの適当なオンコナーゼ及び/又はシスプラチン、メルファラン又はアドリアマイシン溶液が加えられた。下記最終濃度が用いられた。a)オンコナーゼ、20ngから10μg/ml;b)シスプラチン、10から500nM;c)メルファラン、0.25から5μM;そしてd)アドリアマイシン、5から100nM平板は5%二酸化炭素の雰囲気下、37℃でさらに6日間培養された。その結果総試験時間は7日間であった(細胞を沈降させるのに1日、培養に6日間)。生存細胞のパーセントはBio−Rad EIAミクロタイタープレートリーダーを使用するMTT比色定量試験で定量された。細胞の数はノイバウエルの判定を使用するAO−Spencer“Brightline"血球計の直接計算により求めた。付着細胞はハンクスの平衡塩類溶液で3回洗浄し、緩衝化食塩水中0.25トリプシン−0.02%EDTAの溶液の2mlで約30秒間処置した。その溶液は除かれ、その細胞は37℃で10分間置かれ、次いで完全成長培地の10ml中に懸濁された。細胞懸濁液の0.25mlは完全成長培地の0.75mlで希釈され、そして0.5%トリパンブルー溶液の1mlが加えられ、そして生存細胞が計数された。表1、2及び3は上記実験の結果を表わす。ED50値以外はこれらの表はベレンバウムによって開発された相互作用指数(Interaction Index)で表わされている。この相互作用指数に於て、1.0の成績は2種の薬品が相互作用しないことを示し、すなわち特定の細胞株に対しての併用効果は夫々個別に使用した時予想されるそれと変らないことを意味している。1.0より大きい相互作用指数を示すことは2種の薬品が拮抗的であって、特定の細胞株に対する併用効果は夫々個別に使用した時予想される効果より小さい。一層高い相互作用指数は一層大きい拮抗作用を示す。1.0より小さい相互作用指数は2種の薬品が相乗的であることを示している即ち、特定の細胞株に対する併用効果は夫々個別に使用した時よりも大きい。相互作用指数が0(最高相乗作用)に近づくにつれ、これは一層相乗的であることを示す。斯くして低い数はこの実験に用いられた細胞株に対する一層高い生物活性を示している。ED50値は中間有効用量を表わし、それらは試験を受けている細胞の成長速度を半分にする用量を示すものである。斯くして、ED50値が低ければ低い程同じ生物活性を成就させるのに要する用量は少量になる。これらの結果は以下のことを実証している。即ち、示された例に於てはOVCAR−3ヒト卵巣腺癌に及ぼすシスプラチン、メルファラン及びアドリアマイシンと組合せたオンコナーゼの生物活性は個々の薬品のみの生物活性から予想されたより一層大きいことを実証している。(実は、このOVCAR−3細胞株はシスプラチン、メルファラン及びアドリアマイシンに臨床的に耐性の患者の細胞株である)。これは表の右端に並んでいるED50数字からわかるものである。これらの数字は計算された中間有効用量を表わし、その示された数字は試験を受ける細胞の成長速度を半減させるために必要とする物質の量である。斯くして、ED50値が低ければ低い程同じ生物活性を成就せしめるに要する用量は一層少くなるのである。一方ではオンコナーゼ、そして他方ではシスプラチン、メルファラン又はアドリアマイシンを同時に又は同時期に患者に投与する必要がない(そして当然通常投与しないであろう)ことが理解されるであろう。むしろ、オンコナーゼは一つの用量スケジュールに従って投与し、シスプラチン、メルファラン又はアドリアマイシンはもう一つの用量スケジュールに従って投与してもよい。只必要なことは患者の身体の中でオンコナーゼとシスプラチン、メルファラン又はアドリアマイシンとが相互作用するように用量とスケジュールを選択することである。オンコナーゼの化学分析と組成オンコナーゼは化学的によく特徴が把握されている。オンコナーゼはトノサマガエル(Rana pipiens)から分離された蛋白質であるので、最終結果が以下の化学及び構造をもつ限りに於ては遺伝子工学技術を使用して生産することができる。オンコナーゼは純粋な蛋白質である。(即ち、蛋白質の同質性を試験するために用いられている標準試験によって確認される同質性である)。電気泳動法によると、オンコナーゼの分子量は約14,500ダルトンである。以下に表示したアミノ酸配列に基づいた分子量の計算は分子量が11,819ダルトンであることを示している。しかしながら、金属イオンを除くあらゆる努力をするにも拘らず金属イオンが蛋白質に結合している可能性があり、そして異なるアイソトープが含まれる可能性があるので、質量分析により決定されるオンコナーゼの分子量は12,430ダルトンである。この不一致を考慮すると、質量分析により決定されるオンコナーゼの分子量は約12,000ダルトンと考えられるであろう。オンコナーゼは等電点pIを有しそれは少くとも9.5であり10.5の高さかもしれない。オンコナーゼはブロックされたアミノ末端基を持ち、本質的に炭水化物はない(アンスロン及びオルシノール法により決定される)。オンコナーゼは下記アミノ酸組成を有する:オンコナーゼの配列は決定されている。以下に示されている通り、配列の総計の長さは104残基である。蛋白質のN−末端はピログルタミン酸(<Glu)である。これは直接配列に必要な遊離アミノ基を欠いたグルタミン酸の環化誘導体であり、そしてそれ故に該蛋白質のN−末端を“ブロック”している。PCT特許出願WO 89/09609に記載されている短かいフラグメントがピログルタミン酸アミノ−ペプチダーゼで開裂した時、ピログルタミン酸は短かいフラグメントから除去され、二番目の残基で始まる配列を与えた。斯新な開裂はピログルタミン酸アミノペプチダーゼのみがピログルタミン酸を開裂するのでN−末端がピログルタミン酸であるということを強く示しているものである。ピログルタミン酸の存在は参照の短かいフラグメントについての質量分析法で更に確認された。質量分析法で決定した短かいフラグメントの分子量はピログルタミン酸が存在すると仮定して計算した重量とよく一致し、グルタミン酸が存在すると仮定して計算した重量と一致していない。オンコナーゼは以下のアミノ酸配列を有する。好ましい実施態様は上述されているけれども、本発明の範囲は以下のクレームによってのみ限定される。 下記アミノ酸配列:を有する蛋白質、並びにa)シスプラチン、b)4−〔ビス(2−クロロエチル)アミノ〕−L−フェニルアラニン、及びc)塩酸ドキソルビシンUSPよりなる群から選択された薬物よりなる腫瘍治療剤。