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タイトル:特許公報(B2)_リン−バナジウム酸化物触媒の製造方法
出願番号:1994293298
年次:2004
IPC分類:7,B01J27/198,B01J37/00,C01B25/37,C07B61/00,C07D307/60


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釣田 寧 村山 正義 志摩 賢二 伊藤 ますみ JP 3603352 特許公報(B2) 20041008 1994293298 19941128 リン−バナジウム酸化物触媒の製造方法 三菱化学株式会社 000005968 長谷川 曉司 100103997 釣田 寧 村山 正義 志摩 賢二 伊藤 ますみ 20041222 7 B01J27/198 B01J37/00 C01B25/37 C07B61/00 C07D307/60 JP B01J27/198 Z B01J37/00 H B01J37/00 Z C01B25/37 M C07B61/00 300 C07D307/60 B 7 B01J 21/00-38/74 特開平01−133912(JP,A) 特開平04−271841(JP,A) 特開昭59−087049(JP,A) 特開平07−227544(JP,A) 6 1996141403 19960604 10 20010119 安齋 美佐子 【0001】【産業上の利用分野】本発明は、炭素数4のブタン、ブテン、ブタジエン等の炭化水素を気相酸化により無水マレイン酸を製造するのに適したリン−バナジウム酸化物からなる触媒の改良された製造方法に関する。【0002】【従来の技術】従来、ブタン、ブテン、ブタジエン等の炭素数4の炭化水素、特に飽和炭化水素のn−ブタンを、気相にて選択的に酸化して無水マレイン酸を製造するための触媒として、4価のバナジウムと5価のリンから成る触媒が用いられている。特に、触媒特性の優れた結晶性の複合酸化物触媒として知られるピロリン酸ジバナジル((VO)2 P2 O7 )については文献が多く知られている(例えば、Chem.Rev.88,P.55〜80(1988)及びその引用文献)。このピロリン酸ジバナジルの合成方法として、その前駆体(プレカーサー)であるリン−バナジウム酸化物、即ち、リン酸水素バナジル・1/2水塩(VOHPO4 ・1/2H2 O)を加熱焼成することにより、その構造を保持しながらピロリン酸ジバナジルに転移させることができることが報告されている。【0003】この前駆体のリン酸水素バナジル・1/2水塩の製造方法としては、いくつかの提案がある。中でも、有機溶媒中にて前駆体を製造する方法が数多く報告されており、すなわち、5価のバナジウム化合物の少なくとも一部を有機溶媒中で還元した後、5価のリン化合物と反応させて、5価のリンと4価のバナジウムの複合酸化物を得る方法である。【0004】例えば、特公昭57−8761号公報及びUSP4,132,670号明細書には、実質的に無水の有機溶媒中で五酸化バナジウムをバナジウムの価数を4.0〜4.6に還元させた後、オルトリン酸と反応させる方法が示されている。該公報の実施例で使用されているオルトリン酸は、具体的には85%及び100%オルトリン酸である。有機溶媒としては、2−メチルプロパノール単独あるいは2−メチルプロパノールとベンジルアルコールの混合溶媒が用いられている。【0005】特公平1−50,455号公報には、実質的に5価のバナジウム化合物及びリン含有化合物を飽和有機溶媒中で加熱することにより、触媒前駆体を製造する方法が開示されている。実施例で使用されているリン酸濃度は100%である。また、特公平2−97号公報、特公平2−98号公報、USP4,374,043号明細書及びUSP4,317,778号明細書には、混合リン酸を使用することを特徴としたリン−バナジウム酸化物触媒前駆体の製造方法が記載されている。【0006】ここで混合リン酸とは、オルトリン酸とピロリン酸及び少量のトリリン酸の混合物を指し具体的には75〜90重量%のオルトリン酸と10〜25重量%のピロリン酸の混合物を使用するものである。更に、特公平62−61951号公報及びUSP4,365,069号明細書及びUSP4,448,893号明細書には、リン−バナジウム酸化物触媒前駆体の製造方法として、反応媒体として有機溶媒を用い、この反応中に有機溶媒の一部を、系外に蒸留除去する方法が開示されている。ここで使用されているリン酸としては、具体的には85%オルトリン酸又は上記のような組成の混合リン酸が挙げられている。【0007】特に炭化水素の気相酸化によって無水マレイン酸を製造する反応においては、工業的には固定床式触媒を用いた方法の他に、最近は流動床式触媒を用いた方法が注目されており、この流動床で用いる触媒の調製に適した方法に関しても、既にいくつかの提案がある。例えば、特開昭57−122944号公報及びUSP4,351,773号明細書には、有機溶媒中で製造した触媒前駆体を粉砕し、水に導入して水性スラリーを形成した後、噴霧乾燥する方法が記載されている。ここで使用する触媒としては、原料のリン酸として、100%オルトリン酸や上記と同様の混合リン酸を用い、有機溶媒を用いて合成した触媒前駆体を使用したものの他、該前駆体にシリカを混合して触媒としたものも示されている。また触媒前駆体の具体的な粉砕方法としては、ボールミルが記載されているのみである。【0008】また、特開昭59−55350号公報及びUSP4,647,673号明細書には、バナジウム−リン混合酸化物含有前駆体を緻密化、粉砕した後に流動性粒子を形成し、流動化型条件で、か焼することの提案がある。具体的には、粉砕をボールミルで実施し、水スラリーを形成、シリカゾルの添加あるいは無添加にて噴霧乾燥する方法が記載されている。なお、粉砕をエアミルにて行った場合は触媒強度が不良であるとしている。【0009】一方、特開昭60−64632号公報には、第1成分としての5価のバナジウム化合物を4価の原子価状態に還元できる有機溶媒中で、5価のバナジウム化合物及び5価のリン化合物を反応させて得られた4価のバナジウムと5価のリンを含有する結晶性複合酸化物、第2成分としての4価のバナジウム及びリンを含有する水溶液及び第3成分としてのシリカゾルを混合してスラリーを調製し、これを噴霧乾燥する方法が開示されている。本特許公開公報の実施例では、3成分の混合スラリーを湿式で粉砕混合した後、噴霧乾燥後、焼成して流動触媒化している。【0010】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の例を含めた公知の方法で製造したリン−バナジウム酸化物触媒では、1)無水マレイン酸が高収率であること、2)触媒が低い反応温度で良好に働きかつ長寿命であること、3)触媒の機械的強度が強いこと、4)製造方法の再現性が良好なこと、等の目的の一部は達成されているものの、その全てを兼ね備えた製造方法としてはなお不十分であった。【0011】【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記従来の実情に鑑み鋭意検討を進めた結果、上記の課題の全てを満足する、特に流動床式触媒を工業的に調製する方法として好適な特定の触媒製造方法を見出し、本発明に到達した。即ち、本発明は炭化水素の気相酸化反応に用いる触媒の製造において(1)5価のバナジウム化合物を、5価のバナジウム化合物の少なくとも一部を4価に還元できる有機溶媒中で、実質的にオルトリン酸種より成る88%以上、96%以下のリン酸である5価のリン化合物と反応させ触媒前駆体を製造し、(2)得られた触媒前駆体をジェットミルにて粉砕し、(3)リン及び4価のバナジウムを含有する水溶液と上記粉砕品を混合してスラリーを形成した後、乾燥、焼成する、ことを特徴とするリン−バナジウム酸化物触媒前駆体の製造方法に存する。【0012】以下、本発明を詳細に説明する。最初に本発明の第(1)の工程について説明する。本発明の触媒前駆体の原料として使用する5価のバナジウム化合物としては、五酸化バナジウム、またはメタバナジウム酸アンモニウム、オキシ三ハロゲン化バナジウムなどのバナジウム塩が例示されるが、最も一般的な原料は五酸化バナジウムである。この五酸化バナジウムは市販品をそのまま、あるいは、粉砕して用いる。【0013】また、本発明の触媒前駆体の原料として使用する5価のリン化合物としては、実質的にオルトリン酸種より成り、他のリン酸例えばピロリン酸やトリリン酸を実質的に含まず、すなわち、オルトリン酸換算で88%より大きく、96%以下の高濃度のリン酸を使用する(重量%表示、以下同じ)。かかるリン酸は、一般に、工業規模で生産され、入手が容易な市販の89%リン酸をそのまま使用するか、市販の85%、89%あるいは105%リン酸から調製できる。その調製方法としては、1)105%のリン酸に水を添加する方法、2)85%または89%リン酸と105%リン酸を適当な割合で混合する方法、3)85%または89%リン酸から水を除去する方法等を用いることができるが、1)、2)の方法が好ましい。【0014】105%リン酸とは、オルトリン酸換算のリン酸濃度で表示されているので、実際はオルトリン酸種の他、その縮合体であるピロリン酸種及びトリリン酸種からなる混合リン酸である。上記の1)の方法においては、混合リン酸を水と反応させて、実質的にオルトリン酸のみを含有するリン酸の形態として後で使用する。さらにリン酸の縮合が進行した116%リン酸などを原料として使用することも可能であるが、原料リン酸の調製に時間を要すし、好ましくない。【0015】一方、99%あるいは100%オルトリン酸として、白色固体の試薬が入手可能である。これに水を添加する方法でもよいが、このリン酸は高価であると共に、固体であるので取り扱いが煩雑である。また、この99%あるいは100%オルトリン酸を本発明で使用する88〜96%濃度のリン酸のかわりに用いると、濃度が高く縮合リン酸種を含まないので好ましいと思われたが、理由は不明であるが、調製した触媒を用いてn−ブタンから無水マレイン酸の製造反応に使用した場合、反応最適温度が本願よりも高く、しかもn−ブタン転換率や無水マレイン酸収率が本願よりも劣っていた。このように本発明は、かかる特定の濃度の実質的にオルトリン酸よりなるリン酸を使用し、該触媒前駆体を用いて、特定の方法で触媒を調製することにより、最終的に得られる触媒の性能が著しく改良されるというものである。原料の使用割合は、リンとバナジウムの原子比として、通常1.0〜1.3が適当である。【0016】次に、本発明で使用される有機溶媒はそれ自体が還元力を有するものである。還元性の有機溶媒としては、酸化を受けやすい官能基を有するものが挙げられ、典型的にはアルコール性水酸基を有する化合物が好適である。このような化合物の中では、ブタノール、2−プロパノールや2−メチルプロパノール、ヘキサノール等の炭素数3〜6の脂肪族アルコールや、ベンジルアルコールが代表的である。かかる有機溶媒としては、上記の溶媒の混合物を使用することもでき、例えば、炭素数3〜6の脂肪族アルコールと還元力の大きなベンジルアルコールを混合して用いることもできる。また、ヒドラジンやシュウ酸等の還元剤を有機溶媒中に存在させることも可能である。【0017】また、有機溶媒の使用量は、反応媒体として使用できる量であれば特に限定されないが還元力の大きなベンジルアルコールを混合して使用する場合は、ベンジルアルコール/5価のバナジウム化合物のモル比で通常0.02〜2、好ましくは0.5〜1.5である。以上の原料の使用割合の範囲において特に活性の高い触媒が得られる。【0018】本発明の方法により製造される触媒には上記のリン化合物及びバナジウム化合物の他に助触媒成分として他の金属成分を添加することができる。助触媒として反応系に添加し、酸化物触媒の前駆体に含有させる助触媒元素としては、鉄、コバルト、亜鉛等が挙げられ、これらの金属は併用してもよい。但し、本発明においては、特に鉄が良好である。この助触媒の金属は、前駆体を調製する際の反応媒体中に化合物で存在させるのが良い。この化合物の例としては、例えば鉄の化合物として、塩化鉄、酢酸鉄、シュウ酸鉄等が例示される。【0019】助触媒金属を使用する場合にはバナジウムと助触媒金属との合計に対する助触媒金属の原子比で、通常0.005〜0.3、好ましくは0.02〜0.2である。本発明では以上の原料を含むスラリー状態とし、これを、加熱攪拌下で反応させ、リンとバナジウムの複合酸化物粒子を製造する。【0020】本発明の方法においては、5価のバナジウム化合物、好ましくは五酸化バナジウムを還元性の有機溶媒中で、あらかじめ加熱、還流してバナジウムの一部を4価に還元した後でリン酸を添加する方法、あるいは5価のバナジウム化合物とリン酸を初めから混合して反応させる方法のいずれも採用することができるが、好ましくは前者の方法である。【0021】また、助触媒金属化合物を使用する場合にも、反応の最初から添加する方法、リン酸を添加した後に加える方法等を選択可能である。原料を混合したスラリーの加熱温度としては、用いる有機溶媒の種類によるが、通常80〜200℃の範囲で実施し、溶媒の沸点付近の温度範囲で還流させる方法が特に好ましい。加熱時間は、反応条件により変動するが、反応系にリン酸を添加してから、通常1〜20時間が好適である。【0022】また、場合によっては、上記の加熱・還流中において、原料中の水あるいは反応により生成する水を除去することにより、優れた性能の触媒が得られやすい。この場合に、反応系における水分の実質的全量を除去する必要はないが、継続的に水を除去するようにした方が望ましい。水と共に加熱により蒸発した有機溶媒は、冷却して凝縮すると有機層と水層の2層に分離するので、この有機層は反応系に戻し、水層側を除去する。このような操作は、例えばディーン・スターク型の装置を付けることにより、容易に実施できる。【0023】得られる複合酸化物粒子は、必ずしも結晶性は良好ではないが、リン酸水素バナジル・1/2水塩を含有するものである。該粒子は、固液分離の一般的手法により分離され、必要に応じてアルコール等の溶媒で洗浄した後、乾燥する。本発明においては、第(1)の工程で得られた前駆体粒子を好適にはか焼せずに、乾燥した状態で第(2)の工程に使用する。【0024】本発明の第(2)の工程においては、第(1)工程にて得られた粒子を高速気流中で乾式粉砕する。粒子の粉砕は、高速の気流による粒子同志の衝突あるいは、粒子の粉砕装置壁での衝突により進行する。高速気流は、例えば気体をノズルより吹き出すことで容易に形成される。気体としては、空気や各種の不活性ガスを使用できるが、安価な空気で充分である。このような装置の例としては、粉体加工分野で知られたジェットミル粉砕機等がある。(粉体工学会編・粉体工学便覧・日刊工業新聞社・昭和61年2月28日初版第1版発行)。具体的な装置例としては、ジェットオーマイザーミルやシングルトラックジェットミルが挙げられる。特に、ジェットミルタイプの粉砕装置は工業的スケールで容易に連続した粉砕ができるので好ましい。通常、高速気流による乾式粉砕の方法では粒径3μm以下への微粉砕には限界があると言われているが、第(1)の工程で得られた粒子はこの方法でも比較的容易に3μm以下の重量平均粒子径になることが見いだされた。【0025】ジェットミル粉砕における気体の圧力としては、第(1)工程での前駆体の製造方法や粉砕速度(原料供給速度)に依存するが、一般的には3KG(kg/cm2 −G、ゲージ圧)から10KGが好ましい。3KGより低い場合には、得られた流動触媒の強度が良好でない場合があり、10KGより高い場合には、高圧設備が必要となるのでいずれも好ましくない。【0026】第(2)工程で得られた粒子の大きさとしては、第(1)工程で得られた粒子の性状と第(2)工程における粉砕条件によるが、重量平均粒子径で0.5〜2.0μmの範囲である。高速気流中での乾式粉砕は、ボールミル等による通常の乾式粉砕或いは湿式粉砕と異なり、粉砕媒体の摩耗による媒体材質の粉砕品への混入がなく、触媒性能において好ましいと考えられる。また、媒体と粉砕品の分離が不要であり、一般に処理時間がかなり短縮されるとともに、連続粉砕に適している。更に、高速気流下による粉砕であれば、同時に乾燥も達成される。【0027】また、高速気流中での乾式粉砕は、ボールミル等による通常の乾式粉砕と比較すると、粗粒の混入が避けられるため粒度分析がシャープとなり、第(1)の工程で製造された粒子の形状や第(2)の工程の粉砕条件にも依存するが、通常、再現性の良い粒度分布が得られやすい。また、本発明者らの検討によれば、触媒前駆体を高速気流中で乾式粉砕すると、触媒前駆体が凝集状態から解砕し、板状状態に形態が変化することが粉末X線回折により確認でき、かかる触媒前駆体の形態変化が、最終的に触媒の機械的強度向上に有効に働いていると推定される。【0028】本発明の第(3)の工程では、第(2)の工程にて得られた粉砕粒子と、リン及び4価のバナジウムを含有する水溶液と混合して水性スラリーを形成し、乾燥、焼成して触媒化する。水溶液としては、水性スラリーを形成して酸性となる溶液が好ましくリン酸バナジル水溶液等が好ましい。リン酸バナジル水溶液は、実質的に4価のバナジウム及びリンを含有する安定化した水溶液であり、例えば特開昭58−151,312号公報に示された水溶液を好適に使用することができる。この水溶液は、リン酸酸性水溶液中で五酸化バナジウム等の5価の原子価を有するバナジウム化合物と抱水ヒドラジン、亜リン酸、シュウ酸、乳酸等の還元剤と反応させて4価のバナジウムに還元し、さらにその安定化の為にシュウ酸を添加または残留させて得ることができる。この水溶液中のシュウ酸の量は、バナジウム元素に対するモル比で1.2以下であり、好ましくは0.2〜1である。またリン元素のモル比は、バナジウム元素に対してモル比で0.5〜10であるのが好ましい。このような水溶液は安定化されているので、工業的にも予め調製しておくことができ、好適にはこの水溶液に第(2)の工程で得た粉砕粒子を添加して、水性スラリーを形成する。水性スラリーの濃度としては、焼成後の触媒酸化物重量換算で、10〜50%の範囲が好ましい。濃度が10%より薄くなると乾燥の効率が悪く、また50%より高くなるとスラリー粘度が高くなり、乾燥法として噴霧乾燥を採用する場合には適さなくなる。このリン酸バナジル水溶液はその後の乾燥、焼成により触媒中では非晶質のバナジウム−リン酸化物となり、触媒強度を発現するバインダー成分として働くと考えられる。該非晶質のバナジウム−リン酸化合物をB成分、第(2)の工程で得た粉砕粒子を乾燥、焼成したものをA成分とした場合、焼成後の触媒中での重量パーセントで換算した場合、A成分が80〜50%で、B成分が20〜50%の範囲となるように、第(2)工程で得た粉砕粒子とリン酸バナジル水溶液を混合することが好ましい。【0029】また、このスラリー溶液にシリカゾルやヒュームドシリカ等のシリカを添加することもでき、その添加量としては焼成後の触媒中の重量として10%以下が好ましいが、本発明においては必ずしも添加する必要はない。上記水性スラリーは、所望の触媒形態に成型してから乾燥するか、乾燥後成型するか、あるいは噴霧乾燥のように成型しながら乾燥し、その後に焼成する。【0030】本発明における乾燥方法としては、噴霧乾燥又は加熱等、一般的な方法が行えるが、流動床触媒や輸送床反応用の触媒に適した微小球状の固体粒子とする場合には、回転ディスク型あるいはノズル吹き出し型の噴霧乾燥が使用でき、この方法では平均粒子径として20〜300μm程度の固体粒子を形成することができる。この場合の乾燥温度としては、100〜350℃の範囲が好ましく、100〜250℃の範囲がさらに好ましい。成型方法は、流動床触媒の場合は、使用できる300μm以下の粒径のものが得られる方法であれば限定されない。但し、噴霧乾燥後の固体粒子は、通常上記のような粒径であるので、特に成型工程は必要でなく、このまま焼成処理が可能である。固定床触媒の場合は、押し出し成型等、公知のペレット化やタブレット化等の方法が行える。この乾燥及び成型により得られた固体粒子は焼成することで触媒組成物粒子とする。通常の焼成条件としては、最終的に焼成温度350〜700℃にて、0.1〜20時間、窒素、希ガス、空気またはこれらの混合物、あるいはブタン、ブテン類等の有機物を含む空気の雰囲気下で実施される。焼成装置としては、流動焼成炉、キルン焼成炉、連続式箱型炉等を使用できる。【0031】以上のように本発明では第(1)工程で得られた前駆体は、その後の第(2)工程及び第(3)工程での焼成処理及び必要に応じてその後の活性化処理を行うことにより、前駆体中のリン酸水素バナジル・1/2水塩の少なくとも一部を触媒活性成分であるピロリン酸ジバナジルに転換させて触媒として使用する。以上の触媒は、炭化水素の気相酸化反応、特にn−ブタン、1−ブテン、2−ブテン、1,3−ブタジエン等の炭素数4の炭化水素の気相酸化による無水マレイン酸の製造に好適に利用される。炭化水素原料として特に経済的に有利なのはn−ブタン及びブテンであり、これらは天然ガスからの分離、或いはナフサクラッキング生成物からの分離などによって容易に得ることができる。酸化反応の形式は流動床でも固定床、輸送床でもよい。但し本発明の方法は、流動床触媒の製造に特に適している。本発明で得られる触媒を用いた無水マレイン酸の製造において用いられる酸化剤としては空気あるいは分子状酸素等の酸素含有ガスが用いられる。原料炭化水素濃度は、酸素含有ガスとの合計に対する割合で、通常0.1〜10容量%、好ましくは1〜5容量%、酸素濃度は原料炭化水素及び酸素含有ガスの合計ガス中の割合が10〜30容量%で行われる。反応温度は通常300〜500℃、好ましくは350〜450℃であり、反応圧力は、通常、常圧もしくは0.05〜10kg/cm2 −Gの加圧下で行われる。【0032】【作用】本発明の第(1)工程で得られた結晶性複合酸化物粒子は、触媒活性や反応条件の点で利点のある触媒を製造するための前駆体であり、更にこの粒子を高速気流下で乾式粉砕して得られる粉砕粒子を4価のバナジウム及びリンを含有する水溶液と混合してスラリーを形成し、これを噴霧乾燥、焼成することにより、機械的強度及び粒子の流動性が格段に改善され、しかも反応成績が良好な酸化物触媒を工業的触媒製造条件によっても再現性良く安価に製造することができる。【0033】本発明によるこのような作用効果は、第(2)工程での高速気流中での乾式粉砕により、ボールミル等による通常の乾式粉砕と比較して、粒度分布がシャープとなり、機械的強度向上に有効に働いていると推定される。また、第(3)工程で得られる水性スラリーの4価のバナジウムと5価のリンが、その後の乾燥、焼成により得られた触媒中では、非晶質のバナジウム−リン酸化物となり、これが触媒強度を発現するバインダー成分として働くことによるためと考えられ、このようなバインダー効果により、著しく良好な改善効果が得られる。【0034】【実施例】以下に実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。なお、特に断りがない限り「%」は、「重量%」を示す。また「リン酸」とは、全量をオルトリン酸に換算した濃度で示す。【0035】実施例1(リン酸バナジル溶液の調製)脱塩水10kgに85%リン酸10.54kg、シュウ酸・2水塩10.743kgを添加し、80℃まで加熱、攪拌しながら溶解した。次いで五酸化バナジウム7.75kgを少量ずつ発泡に注意しながら添加し、95〜100℃で0.5〜2時間反応した。冷却した後、水を加えて全量を38.5kgとした。この溶液のP/V原子比は1.08であり、バナジウム1グラム原子当たり0.5グラムモルのシュウ酸を含んでいた。【0036】(第一の工程)10リットルの容器に2−メチルプロパノール2195g、ベンジルアルコール205.4g、五酸化バナジウム347.5g、シュウ酸鉄・2水物36.0gを入れてスラリー状態で3時間、加熱・還流した。このスラリーに89%リン酸528.5gを2−メチルプロパノール1.0リットルに溶解した溶液を添加後、2−メチルプロパノール2.4リットルを入れた。このスラリー溶液を更に7時間、加熱・還流した後、冷却した。2−メチルプロパノールにより、生成物を洗浄、濾過し、130℃で10時間乾燥した。本合成を5回繰り返し、約3.5kgの生成物を得た。【0037】(第二の工程)上記生成物をセイシン企業製のシングルトラック型のジェットミルにより、圧力3KGの空気を使用して粉砕を実施した。(第三の工程)上記リン酸バナジルシュウ酸溶液3288gと水7.32kg、ジェットミル粉砕した粒子3.39kgを添加してスラリーを形成した(A成分70%、B成分30%)。スラリー濃度は30%であった。このスラリーをディスク回転型の噴霧乾燥機に導入して、微小粒子を合成した。得られた粒子のなかの4.0kgを流動焼成炉にて550℃で2時間、窒素流通下で焼成した。【0038】比較例110リットルの容器に2−メチルプロパノール2400g、五酸化バナジウム347.5gを入れてスラリー状態で3時間、加熱・還流した。このスラリーに85%リン酸553.4gを2−メチルプロパノール1.0リットルに溶解した溶液を添加後、シュウ酸鉄・2水塩36.0gを2−メチルプロパノール2.4リットルに懸濁して入れた。このスラリー溶液を7時間、加熱・還流した後、冷却した。2−メチルプロパノールにより生成物を洗浄、濾過し、130℃で10時間乾燥した。この工程以外は、実施例1と同様にして触媒を製造した。【0039】実施例295%濃度のリン酸を85%リン酸と105%リン酸を248gずつ同重量で混合後、室温で24時間放置することにより調製した。この95%リン酸496gを2−メチルプロパノール1.0リットルに溶かした溶液をリン酸源として用いた以外は実施例1と同様にして触媒を製造した。【0040】実施例310リットルの容器に2−メチルプロパノール2195g、ベンジルアルコール205.4g、五酸化バナジウム347.5gシュウ酸鉄・2水物36.0gを入れてスラリー状態で3時間、加熱・還流した。このスラリーに89%リン酸528.5gを2−メチルプロパノール1.0リットルに溶解した溶液を添加後、2−メチルプロパノール2.4リットルを入れた。このスラリー溶液を更に7時間、加熱・還流したが、この間ディーン・スタック型の受器により留出液から水層部分のみを合計で約65ml除去した。スラリーを冷却、濾過した後、2−メチルプロパノールにより、生成物を洗浄、濾過し、130℃で10時間乾燥した。本合成を5回繰り返し、約3.5Kgの生成物を得た。第一工程以外は、実施例1と同じ方法により触媒を製造した。【0041】実施例4120リットルのガラスライニング容器に2−メチルプロパノール21.95kg、ベンジルアルコール2,054g、五酸化バナジウム3,475g、シュウ酸鉄・2水物360gを入れてスラリー状態で3時間、加熱・還流した。このスラリーに89%リン酸5,285gを2−メチルプロパノール10リットルに溶解した溶液を添加後、2−メチルプロパノール24リットルを入れた。このスラリー溶液を更に7時間、加熱・還流した後、冷却した。2−メチルプロパノールにより、生成物を洗浄、濾過し、80℃で15時間乾燥した。第一の工程以外は、実施例1と同じ方法により触媒を製造した。【0042】反応試験例1実施例1〜4、比較例1にて得られた触媒粒子をそれぞれ用いて、触媒活性を試験した。所定粒子径範囲の触媒650gを、内径42mmφ、長さ約1.5mのトレイ付き流動床反応器に入れ、ブタン濃度4.0%、圧力1.5kg/cm2 −G、GHSV720の条件で反応させた。ブタン転換率が85%以上となる条件で反応温度を調製して、ライフテストを継続した。反応成績は、反応出口ガスを水に吸収、マレイン酸生成量を滴定により測定、水に吸収されなかった反応ガスをサンプリング、ガスクロマトグラフにより生成物を測定することにより分析した。反応経過約800時間後に得られた結果を表−1に示す。実施例の触媒は、比較例と比べると無水マレイン酸収率が高く、かつ反応温度が同等以下で、反応成績が良好である。【0043】【表1】【0044】【発明の効果】本発明により製造したリン−バナジウム酸化物触媒は、炭素数4の炭化水素、特に飽和のブタンを選択的に酸化して無水マレイン酸を製造する反応において、比較的低い温度範囲においても収率が高く、長期に渡り反応成績が良好である。そのため、触媒当たりの無水マレイン酸の製造量が大きく、触媒原単位の低減が可能である。また、工業的な触媒製造条件にて再現性よく製造することができ、触媒の機械的強度も良好である。 炭化水素の気相酸化反応に用いる触媒を製造する方法において、(1)5価のバナジウム化合物を、5価のバナジウム化合物の少なくとも一部を4価に還元できる有機溶媒中で、実質的にオルトリン酸種より成る88%以上96%以下の濃度のリン酸である5価のリン化合物と反応させて触媒前駆体を製造する工程、(2)得られた触媒前駆体をジェットミルにて粉砕する工程、及び(3)リン及び4価のバナジウムを含有する水溶液と上記粉砕品を混合してスラリーを形成し、乾燥、焼成する工程を含むリン−バナジウム酸化物触媒の製造方法。 気相酸化反応が炭素数が4の炭化水素を気相酸化して無水マレイン酸を生成する反応である請求項1に記載の製造方法。 第(1)工程で用いる有機溶媒が炭素数3〜6の脂肪族アルコールとベンジルアルコールの混合液である請求項1又は2記載の製造方法。 助触媒成分として鉄、コバルト又は亜鉛のいずれかを使用する請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の製造方法。 リン酸が105%リン酸に水を添加することにより調整されたものである請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の製造方法。 第(1)工程の反応中に水を除去することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の製造方法。


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