タイトル: | 特許公報(B2)_フルオロフェノール類の製造方法 |
出願番号: | 1994069367 |
年次: | 2004 |
IPC分類: | 7,C07C37/055,B01J23/72,C07C39/26,C07B61/00 |
武知 直人 深井 靖 岡 和吉 JP 3581391 特許公報(B2) 20040730 1994069367 19940407 フルオロフェノール類の製造方法 関東電化工業株式会社 000157119 社本 一夫 100089705 今井 庄亮 100071124 増井 忠弐 100076691 栗田 忠彦 100075236 小林 泰 100075270 狩野 剛志 100083747 武知 直人 深井 靖 岡 和吉 20041027 7 C07C37/055 B01J23/72 C07C39/26 C07B61/00 JP C07C37/055 B01J23/72 C07C39/26 C07B61/00 300 7 C07C 37/055 B01J 23/72 C07C 39/26 C07B 61/00 300 C07C 43/225 C07C 41/16 特開平05−286882(JP,A) 特開昭48−062729(JP,A) 特公平01−021137(JP,B2) 特開平04−208241(JP,A) 特開平02−076842(JP,A) 2 1995278034 19951024 7 20010207 吉良 優子 【0001】【産業上の利用分野】本発明は、医薬、農薬等の重要な中間体となりうるフルオロフェノール類、特にフルオロフェノール、ジフルオロフェノールを効率良く製造する方法に関するものである。【0002】【従来の技術】従来、フルオロフェノール類の製造方法として、1)フルオロアニリンのジアゾ化後、加水分解する方法〔J.Am.Chem.Soc.,61,165(1939)〕、2)アミノアニソールからシーマン反応によりフルオロアニソールを得た後、メトキシ基を加水分解する方法〔日化 79,1121(1979)〕、3)クロロフルオロベンゼンをアルカリで加水分解する方法〔J.Fluorine Chem.,50,377(1990)〕等が知られている。1)の方法は実験室的には手軽にできる利点があるが、収率が低く廃物が多量にできるなど工業的に実用化しうる方法とは言い難い。2)の方法は工程が長く全体の収率が50%以下と低い。また、シーマン反応における熱分解反応は工業的には制御が難しく、発生する三フッ化ホウ素の公害処理等厄介な問題を含んでいる。3)の方法は反応温度が200〜300℃と高く、アルカリを使用するため反応器の腐食等工業的には問題がある。【0003】【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、中間体化合物として有用なフルオロフェノール類を効率よく製造できる合成ルートを提供することである。【0004】かくして本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、従来法とは異なる新規合成反応を用いる製造方法を見い出した。【0005】【課題を解決するための手段】本発明によれば、式1のポリフルオロアニリンをジアゾ化して式2に示すジアゾニウム塩とし、ついでこのジアゾニウム塩を銅触媒の存在下メタノールと反応させ1個のフルオロ基をメトキシ基で置換するとともにジアゾニウム塩を還元して式3のフルオロアニソールとし、さらにこのフルオロアニソールを加水分解反応により式4のフルオロフェノールとなすことを特徴とするフルオロフェノール類の製造方法を提供する:【化5】【化6】【化7】【化8】(これらの式においてnは2,3,4または5の整数であり、XはHSO4 、Cl、BF4 またはPF6 を表わす)。【0006】すなわち、本発明の要旨は、ポリフルオロアニリンをジアゾ化した溶液に金属触媒の存在下メタノールを反応させることによりフッ素数が1個減少したフルオロアニソール類を得るという新規合成反応を用いることを基礎とするフルオロフェノール類の製造方法に存する。【0007】本発明の方法の具体的な実施に際しては、まず反応器に化5のポリフルオロアニリンを仕込んでジアゾ化し(この反応自体は周知である。)、かくして得られる化6の生成ジアゾニウム塩を含む溶液に、攪拌下にメタノールと金属触媒(好適には銅粉末)とを添加し、所定時間、所定温度で反応させるのが好ましい。この反応が本発明の中心となる反応である。反応後、ジクロロメタンおよび水を加え2層に分離し、水性層を除去する。有機層中の化7のフルオロアニソール類は、通常の方法、例えば蒸留などにより容易に分離精製できる。得られたフルオロアニソール類を常法により加水分解し、目的とする化8のフルオロフェノール類を製造することができる。【0008】ポリフルオロアニリンのジアゾニウム塩は、濃硫酸と亜硝酸ナトリウムとから調製した硫酸水素ニトロシルによりジアゾ化した溶液を用いるのが好ましい。塩酸や硫酸中で常法によりジアゾ化した溶液や、テトラフルオロホウ酸塩やヘキサフルオロリン酸塩として単離した固体を用いてもよい。【0009】本発明の主反応(化6→化7)の反応温度は、約0℃〜65℃、好ましくは約20〜50℃である。反応温度が低すぎると反応速度が減少し、高すぎると副反応が生じやすい。【0010】本発明の主反応に使用するメタノールの量はポリフルオロアニリンに対して2〜200倍モル量の範囲である。これよりもメタノールの量が少ないと収率が低下する。メタノール量が多いほど反応速度が増加するが、200倍モル以上用いても反応速度の増加は見られない。【0011】本発明の主反応に使用する金属触媒としては銅を用いるのが好ましい。銅の他に、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、鉄、錫、鉛などが使用できる。その使用量はポリフルオロアニリンに対して約0.005〜0.05倍モル量で十分である。【0012】本発明の化5に示すポリフルオロアニリンには、複数のフルオロ基を有し、内1個以上のフルオロ基がアミノ基のオルト位あるいはパラ位にあるもので、例えば、2,3,4,5,6−ペンタフルオロアニリン、2,3,4,5−テトラフルオロアニリン、2,3,4,6−テトラフルオロアニリン、2,3,5,6−テトラフルオロアニリン、2,3,4−トリフルオロアニリン、2,3,6−トリフルオロアニリン、2,4,5−トリフルオロアニリン、2,4,6−トリフルオロアニリン、2,3−ジフルオロアニリン、2,4−ジフルオロアニリン、2,5−ジフルオロアニリン、2,6−ジフルオロアニリン、3,4−ジフルオロアニリンなどが挙げられる。特に好ましくは、2,4−ジフルオロアニリン、2,6−ジフルオロアニリン、2,3,4−トリフルオロアニリン、2,4,6−トリフルオロアニリンである。また、上記以外にも置換基としてフルオロ基のみに限らず、例えば、クロロ基、ブロモ基、ニトロ基、シアノ基、メチル基等を含んでいてもよい。【0013】【実施例】3−フルオロフェノールの製造実施例15リットルのガラス製反応器に濃硫酸400g(4.08モル)を仕込み、攪拌下、亜硝酸ナトリウム58.8g(0.85モル)を少量ずつ添加した。添加終了後、70℃に加熱して完全に亜硝酸ナトリウムを溶解させた後、室温まで放冷し、硫酸水素ニトロシル溶液を調製した。そこに攪拌下、2,4−ジフルオロアリニン100g(0.77モル)と50%硫酸200gとを混合した溶液を液温が30℃以上にならないように冷却して少量ずつ添加した。【0014】そこに、メタノール2kg(62.4モル)と銅粉1g(0.016モル)とを仕込んだ。反応の進行にともない窒素ガスが発生した。2時間攪拌後、反応液を水3リットルとジクロロメタン3リットルとの混合液に加え攪拌し、ジクロロメタン層を分離し濃縮した。これを単蒸留して得た3−フルオロアニソール58.6gに47%臭化水素酸溶液500mlを加え攪拌下、6時間加熱還流した。放冷後、ジクロロメタン500mlで溶媒抽出し、ジクロロメタンを留去後、蒸留して3−フルオロフェノールを得た。収量46.9g、収率54%(アニリン基準)であった。【0015】比較例1触媒の銅粉を添加しない以外は実施例1と同様の手順でおこなった。主反応は進行せず、3−フルオロフェノールの収量0g、収率0%であった。【0016】実施例2原料の2,4−ジフルオロアニリンを2,6−ジフルオロアニリンに代えた以外は実施例1と同様の手順でおこなった。【0017】3−フルオロフェノールの収量44.2g、収率51%(アニリン基準)であった。【0018】比較例2触媒の銅粉を添加しない以外は実施例2と同様の手順でおこなった。主反応は進行せず、3−フルオロフェノールの収量0g、収率0%であった。【0019】2.3−ジフルオロフェノールの製造実施例35リットルのガラス製反応器に濃硫酸400g(4.08モル)を仕込み、攪拌下、亜硝酸ナトリウム58.8g(0.85モル)を少量ずつ添加した。添加終了後、70℃に加熱して完全に亜硝酸ナトリウムを溶解させた後、室温まで放冷し、硫酸水素ニトロシル溶液を調製した。そこに攪拌下、2,3,4−トリフルオロアリニン114g(0.77モル)と50%硫酸200gとを混合した溶液を液温が30℃以上にならないように冷却して少量ずつ添加した。【0020】そこに、メタノール2kg(62.4モル)と銅粉1g(0.016モル)とを仕込んだ。反応の進行にともない窒素ガスが発生した。30分攪拌後、反応液を水3リットルとジクロロメタン3リットルとの混合液に加え攪拌し、ジクロロメタン層を分離し濃縮した。これを単蒸留して得た2,3−ジフルオロアニソール87.1gに47%臭化水素酸溶液500mlを加え攪拌下、6時間加熱還流した。放冷後、ジクロロメタン500mlで溶媒抽出し、ジクロロメタンを留去後、蒸留して2,3−ジフルオロフェノールを得た。収量70.8g、収率70%(アニリン基準)であった。【0021】比較例3触媒の銅粉を添加しない以外は実施例3と同様の手順でおこなった。主反応は進行せず、2,3−ジフルオロフェノールの収量0g、収率0%であった。【0022】3,5−ジフルオロフェノールの製造実施例4原料の2,3,4−トリフルオロアニリンを2,4,6−トリフルオロアニリンに代えた以外は実施例3と同様の手順でおこなった。【0023】3,5−ジフルオロフェノールの収量63.7g、収率63%(アニリン基準)であった。【0024】比較例4触媒の銅粉を添加しない以外は実施例4と同様の手順でおこなった。主反応は進行せず、3,5−ジフルオロフェノールの収量0g、収率0%であった。【0025】【発明の効果】本発明の方法によれば、既存の方法よりも温和な反応条件下、50〜70%と良好な収率(アニリン基準)でフルオロフェノール類を製造することができる。 式1:のポリフルオロアニリンをジアゾ化して式2:に示すジアゾニウム塩とし、ついでこのジアゾニウム塩を銅触媒の存在下メタノールと反応させ1個のフルオロ基をメトキシ基で置換するとともにジアゾニウム塩を還元して式3:【化3】のフルオロアニソールとし、さらにこのフルオロアニソールを加水分解反応により式4:のフルオロフェノールとなすことを特徴とするフルオロフェノール類の製造方法:(これらの式においてnは2,3,4または5の整数であり、XはHSO4 、Cl、BF4 またはPF6 を表わす)。 目的フルオロフェノールが3−フルオロフェノール、2,3−ジフルオロフェノールまたは3,5−ジフルオロフェノールである請求項1の方法。