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タイトル:特許公報(B2)_高級脂肪酸亜鉛塩の水分散体の製造方法
出願番号:1994059022
年次:2005
IPC分類:7,C07C51/41,B01J13/00,C07C53/126


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加藤 野巣生 JP 3657287 特許公報(B2) 20050318 1994059022 19940329 高級脂肪酸亜鉛塩の水分散体の製造方法 株式会社日新化学研究所 591041440 牧野 逸郎 100079120 加藤 野巣生 20050608 7 C07C51/41 B01J13/00 C07C53/126 JP C07C51/41 B01J13/00 B C07C53/126 7 C07C 51/41 C07C 53/126 C11D 13/00 特開平02−215743(JP,A) 特開昭51−34904(JP,A) 特開平1−319454(JP,A) 特開平2−191539(JP,A) 4 1995267894 19951017 6 20010316 山田 泰之 【0001】【産業上の利用分野】本発明は、高級脂肪酸亜鉛塩の水分散体の製造方法に関し、詳しくは、所謂湿式直接沈殿法によつて、低粘度で粒子径の小さい高級脂肪酸亜鉛塩の水分散体を高収率にて製造する方法に関する。【0002】【従来の技術】従来、金属石ケンの水分散体は、一旦、金属石ケンを製造した後、これを界面活性剤の存在下に水に分散させることによつて製造されている。金属石ケンは、工業的には、主として、湿式複分解法によつて製造されている。この湿式複分解法とは、高級脂肪酸ナトリウムの水溶液に所要の金属の塩類の水溶液を加え、目的とする金属石ケンを析出させる方法である。従つて、この方法によれば、水溶性の無機塩を多量に副生するので、反応後に、生成した金属石ケンを多量の水で洗浄しなければならない。そのうえ、従来は、このようにして得られた金属石ケンを界面活性剤の存在下に高速攪拌機、ホモミキサー、ピストン型高圧乳化機等を用いて水に分散させることによつて、金属石ケンの水分散体を得ている。従つて、従来、金属石ケンの水分散体の製造は、製造工程数が多いことから、製造費用が高いうえに、得られる水分散における金属石ケンの粒子径が大きく、分散性がよくない、また、粘度が高い等の種々の問題を有している。【0003】他方、金属石ケンの製造方法として、上記以外に、乾式直接溶融法や湿式直接沈殿法も知られている。乾式直接溶融法とは、高級脂肪酸と金属化合物とを高温下に直接に反応させる法であつて、生成した金属石ケンが熱変質する問題がある。湿式直接沈殿法は、高級脂肪酸を水中に分散させた後、これに金属酸化物又は水酸化物を加え、高級脂肪酸と金属酸化物との直接反応によつて金属石ケンを得る方法であつて、湿式複分解法におけるように、水溶性塩の副生せず、乾式直接溶融法におけるように、高温条件を必要としないので、得られた金属石ケンが熱変質しない等の利点を有する。【0004】しかしながら、従来、知られている湿式直接沈殿法によれば、上記高級脂肪酸と金属酸化物との直接反応を完結させることが困難であつて、通常、金属酸化物を過剰に用いて、反応後に未反応の遊離高級脂肪酸を残存させないように反応させている。従つて、このような方法によつて得られる金属石ケンの水分散体は、金属石ケンの純度が低い問題がある。【0005】【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の湿式直接沈殿法による金属石ケンの製造における上記したような問題を解決するためになされたものであつて、低粘度で粒子径の小さい高級脂肪酸亜鉛塩の水分散体を高収率にて製造する方法を提供することを目的とする。【0006】【課題を解決するための手段】本発明による高級脂肪酸亜鉛塩の水分散体の製造方法は、酸化亜鉛を分散させた水中に、溶融させた高級脂肪酸を加えて、界面活性剤の存在下、攪拌下に高級脂肪酸と酸化亜鉛とを反応させることを特徴とする。【0007】本発明において、高級脂肪酸としては、炭素数8〜30を有する飽和又は不飽和のモノカルボン酸であつて、従つて、このような高級脂肪酸として、例えば、カプリル酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸等の飽和脂肪酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の不飽和脂肪酸を挙げることができる。また、本発明において用いる高級脂肪酸は、分子中に水酸基、カルボニル基又はエポキシ基を有していてもよく、このような高級脂肪酸として、例えば、リシノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸等を挙げることができる。これらのなかでは、特に、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸又はこれらの混合物が好ましく用いられる。【0008】次に、本発明において、界面活性剤としては、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤及びアニオン界面活性剤のいずれをもを用いることができる。カチオン界面活性剤としては、例えば、高級アルキルアミン塩(酢酸塩や塩酸塩等)、高級アルキルアミンへのエチレンオキサイド付加物、高級脂肪酸とポリアルキレンポリアミンとの縮合物(例えば、オレイン酸とペンタエチレンヘキサミンとの縮合物)、高級脂肪酸とアルカノールアミンとのエステルの塩(例えば、ステアリン酸トリエタノールアミンエステルギ酸塩(ソロミンA型))、高級脂肪酸アミドの塩(例えば、ステアラミドエチルジエチルアミンの酢酸塩(サパミンA型))、高級脂肪酸とアミノエチルエタノールアミンとを加熱縮合させ、これに更に尿素を結合させた後、酢酸で中和した塩(例えば、アーコベルA型、G型等のカチオン界面活性剤)、イミダゾリン型カチオン界面活性剤(例えば、2−ヘプタデセニルヒドロキシエチルイミダゾリン、チバ・ガイギー社製アミンO)、高級アルキルトリメチルアンモニウム塩(例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド)、高級アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩(例えば、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド)、高級脂肪酸アミドの第4級アンモニウム塩(例えば、N,N−ジエチルエチレンジアミンと高級脂肪酸からの第3級アミンをアルキル化剤にて第4級化したもの、チバ・ガイギー社製サパミンMS、サパミンBCH、ACC社製キヤタナツクSN等)、アルキルピリジニウム塩等を挙げることができる。【0009】ノニオン界面活性剤としては、例えば、ラウリルアルコールのような高級アルコールへのエチレンオキサイド付加物、ノニルフエノールのような高級アルキルフエノールへのエチレンオキサイド付加物、脂肪酸へのエチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルへのエチレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンへのエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドへのエチレンオキサイド付加物、油脂へのエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールへのエチレンオキサイド付加物、グリセリン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ソルビトール又はソルビタンの脂肪酸エステル、シヨ糖脂肪酸エステル、多価アルコールアルキルエーテル、アルカノールアミン類の脂肪酸アミド等を挙げることができる。【0010】また、アニオン界面活性剤としては、例えば、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩、硫酸化油、硫酸化脂肪酸エステル、硫酸化オレフイン、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、パラフインスルホン酸塩、イゲポンT、エアロゾルOT、高級アルコールリン酸エステル等を挙げることができる。【0011】本発明においては、上述した種々の界面活性剤のなかでは、得られる高級脂肪酸亜鉛塩が特に微細であり、且つ、その水分散体が低粘度を有するので、カチオン界面活性剤が好ましく用いられる。【0012】また、本発明によれば、上述した界面活性剤に代えて、水溶性のポリビニルアルコールを分散剤として用いることができる。【0013】本発明の方法によれば、酸化亜鉛を分散させた水中に、溶融させた高級脂肪酸を加えて、上記界面活性剤又はポリビニルアルコールの存在下、攪拌下に高級脂肪酸と酸化亜鉛とを反応させることによつて、直ちに高級脂肪酸亜鉛塩の水分散体を得ることができる。酸化亜鉛は、高級脂肪酸に対して、0.45〜0.65倍モルの範囲で用いられる。界面活性剤又はポリビニルアルコールは、高級脂肪酸に基づいて、通常、2〜15重量%、好ましくは、5〜10重量%の範囲で用いられる。反応媒体としての水の量は、特に、限定されるものではないが、通常、得られる高級脂肪酸亜鉛塩に対して、重量比で1〜3倍程度が適当である。【0014】このように、酸化亜鉛を水に分散させた後、好ましくは、この酸化亜鉛の分散液を用いる高級脂肪酸の融点以上の温度に加温し、これに予め溶融させた高級脂肪酸を徐々に加え、界面活性剤又はポリビニルアルコールの存在下に反応させ、高級脂肪酸を加え終わつた後も、好ましくは、反応混合物の温度を高級脂肪酸の融点以上の温度に保持しながら、通常、数時間、攪拌する。反応温度の上限は、特に、限定されるものではないが、通常、110℃程度である。また、反応は、必要に応じて、減圧下でも、加圧下でも行なうことができる。【0015】本発明によれば、このようにして、通常、目的とする高級脂肪酸亜鉛塩を95〜99%の高収率にて得ることができ、更に、このようにして、平均粒子径0.5〜5μm、好ましい態様によれば、1.0〜2.0μmの微細な高級脂肪酸亜鉛塩の濃度30〜50%の安定な水分散体を容易に得ることができる。【0016】【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。実施例1酸化亜鉛5.95gとカチオン界面活性剤としてオレイン酸とペンタエチレンヘキサミンの縮合物)2.4gとを蒸留水90gにそれぞれ分散又は溶解させ、十分に攪拌しながら、これに約70℃の温度に加熱して溶融させたステアリン酸(融点56℃)35gを徐々に加えた。その後、更に、反応混合物を温度60℃に保持しつつ、3時間攪拌した。反応終了後、反応混合物を常温まで自然冷却して、ステアリン酸亜鉛塩の水分散体を得た。ステアリン酸亜鉛塩の収率は95.7%であつた。この水分散体は、ステアリン酸亜鉛塩濃度41.2重量%、25℃における粘度150センチポイズであり、ステアリン酸亜鉛塩の平均粒子径は1.3μmであつた。【0017】実施例2実施例1において、カチオン界面活性剤としてパルミチン酸とアミノエチルエタノールアミンとの縮合物(アーコベルA型)2.8gを用いた以外は、実施例1と同様にして、ステアリン酸亜鉛塩の水分散体を得た。ステアリン酸亜鉛塩の収率は96.1%であつた。この水分散体は、ステアリン酸亜鉛塩濃度39.4重量%、25℃における粘度130センチポイズであり、ステアリン酸亜鉛塩の平均粒子径は1.0μmであつた。【0018】実施例3実施例1において、カチオン界面活性剤としてオレイン酸とペンタエチレンヘキサミンとの縮合物1.0gとパルミチン酸とアミノエチルエタノールアミンとの縮合物(アーコベルA型)1.6gの混合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、ステアリン酸亜鉛塩の水分散体を得た。ステアリン酸亜鉛塩の収率は95.8%であつた。この水分散体は、ステアリン酸亜鉛塩濃度40.5重量%、25℃における粘度110センチポイズであり、ステアリン酸亜鉛塩の平均粒子径は1.1μmであつた。【0019】実施例4実施例1において、カチオン界面活性剤として塩化ドデシルトリメチルアンモニウム3.0gを用いた以外は、実施例1と同様にして、ステアリン酸亜鉛塩の水分散体を得た。ステアリン酸亜鉛塩の収率は99.1%であつた。この水分散体は、ステアリン酸亜鉛塩濃度40.2重量%、25℃における粘度110センチポイズであり、ステアリン酸亜鉛塩の平均粒子径は1.2μmであつた。【0020】実施例5実施例1において、ノニオン界面活性剤としてラウリルアルコールエチレンオキサイド6モル付加物4.0gを用いた以外は、実施例1と同様にして、ステアリン酸亜鉛塩の水分散体を得た。ステアリン酸亜鉛塩の収率は99.0%であつた。この水分散体は、ステアリン酸亜鉛塩濃度40.1重量%、25℃における粘度350センチポイズであり、ステアリン酸亜鉛塩の平均粒子径は2.0μmであつた。【0021】実施例6実施例1において、ノニオン界面活性剤としてラウリルアルコールエチレンオキサイド6モル付加物2.0gとノニルフエノールエチレンオキサイド10モル付加物1.8gの混合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、ステアリン酸亜鉛塩の水分散体を得た。ステアリン酸亜鉛塩の収率は99.2%であつた。この水分散体は、ステアリン酸亜鉛塩濃度41.3重量%、25℃における粘度270センチポイズであり、ステアリン酸亜鉛塩の平均粒子径は2.8μmであつた。【0022】実施例7実施例1において、アニオン界面活性剤としてドデシル硫酸ナトリウム2.0gを用いた以外は、実施例1と同様にして、ステアリン酸亜鉛塩の水分散体を得た。ステアリン酸亜鉛塩の収率は97.3%であつた。この水分散体は、ステアリン酸亜鉛塩濃度40.9重量%、25℃における粘度410センチポイズであり、ステアリン酸亜鉛塩の平均粒子径は2.3μmであつた。【0023】実施例8実施例1において、ケン化度約88モル%、平均重合度800のポリビニルアルコール(信越ポバール製PA−05)2.35gを用いた以外は、実施例1と同様にして、ステアリン酸亜鉛塩の水分散体を得た。ステアリン酸亜鉛塩の収率は99.3%であつた。この水分散体は、ステアリン酸亜鉛塩濃度38.7重量%、25℃における粘度290センチポイズであり、ステアリン酸亜鉛塩の平均粒子径は1.3μmであつた。【0024】【発明の効果】以上のように、本発明の方法によれば、微細な高級脂肪酸亜鉛塩を高収率で得ることができ、しかも、低粘度で分散安定性にすぐれるその水分散体を容易に得ることができる。このような高級脂肪酸亜鉛塩の水分散体は、コート紙の製造におけるフラワリングやダステイングの防止や、カラーコート液の粘度安定等に好適に用いることができる。 用いる高級脂肪酸に対して0.45〜0.65倍モルの酸化亜鉛を水に分散させ、この分散液を高級脂肪酸の融点以上の温度に加熱し、この分散液に溶融させた高級脂肪酸を加えて、高級脂肪酸に基づいて2〜15重量%のカチオン界面活性剤の存在下、100℃未満の反応温度にて攪拌下に高級脂肪酸と酸化亜鉛とを反応させることを特徴とする、平均粒子径1.0〜2.0μmの高級脂肪酸亜鉛塩の濃度30〜50%の水分散体の製造方法。 高級脂肪酸がステアリン酸である請求項1に記載の高級脂肪酸亜鉛塩の水分散体の製造方法。 用いる高級脂肪酸に対して0.45〜0.65倍モルの酸化亜鉛を水に分散させ、この分散液を高級脂肪酸の融点以上の温度に加熱し、この分散液に溶融させた高級脂肪酸を加えて、高級脂肪酸に基づいて2〜15重量%のポリビニルアルコールの存在下、100℃未満の反応温度にて攪拌下に高級脂肪酸と酸化亜鉛とを反応させることを特徴とする、平均粒子径1.0〜2.0μmの高級脂肪酸亜鉛塩の濃度30〜50%の水分散体の製造方法。 高級脂肪酸がステアリン酸である請求項3に記載の高級脂肪酸亜鉛塩の水分散体の製造方法。


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