生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_ヒドロキシピバルアルデヒドの製造方法
出願番号:1994011891
年次:2004
IPC分類:7,C07C45/75,C07C47/19,C07B61/00


特許情報キャッシュ

本田 幸宏 田中 慎哉 関口 将人 佐々木 万治 JP 3557237 特許公報(B2) 20040521 1994011891 19940203 ヒドロキシピバルアルデヒドの製造方法 住友化学工業株式会社 000002093 広栄化学工業株式会社 000167646 久保山 隆 100093285 本田 幸宏 田中 慎哉 関口 将人 佐々木 万治 20040825 7 C07C45/75 C07C47/19 C07B61/00 JP C07C45/75 C07C47/19 C07B61/00 300 7 C07C 45/75 C07C 47/19 C07B 61/00 300 特表平03−504235(JP,A) 米国特許第03808280(US,A) 4 1995215904 19950815 6 20010123 吉良 優子 【0001】【産業上の利用分野】本発明は、ヒドロキシピバルアルデヒドの製造方法に関するものである。ヒドロキシピバルアルデヒドは、ネオペンチルグリコール、スピログリコール、パントテン酸などの有機化合物の合成中間体として有用である。また、合成中間体であるという性格上、精製せずに反応混合液のままで次工程に用いられることが多い。【0002】【従来技術】ヒドロキシピバルアルデヒドは一般に、イソブチルアルデヒドとホルムアルデヒドとから、次式のアルドール反応によって製造されている。【0003】【0004】アルドール反応は、酸性、塩基性のいずれでも進行するが、ヒドロキシピバルアルデヒドが酸性下において二量体や四量体へと縮合を起こすことから、ヒドロキシピバルアルデヒドの合成は、一般に塩基性条件下で行われる。しかしながら、塩基性条件下でのヒドロキシピバルアルデヒドの合成反応は、激しい発熱を伴い、従来の方法では除熱しづらく、温度制御が困難となるため、副反応生成物が増加し、目的化合物の収量が低くなるという問題点があった。【0005】【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、イソブチルアルデヒドとホルムアルデヒドとの反応により、ヒドロキシピバルアルデヒドを製造するにあたって、反応熱が容易に除去でき、かつ収率および純度の改善が図れる方法を提供することにある。本発明者らは、ヒドロキシピバルアルデヒドの製法について種々研究した結果、予め反応温度まで昇温しておいたイソブチルアルデヒドと塩基性触媒との混合物中に、ホルムアルデヒドの水溶液を特定の滴下速度で滴下することにより、反応熱の除去が有効になされ、収率および純度が改善されることを見出し、本発明を完成するに至った。【0006】【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、イソブチルアルデヒドと塩基性触媒を含む混合物中へ、ホルムアルデヒドの35〜66重量%水溶液を3時間以上かけて滴下して反応させる方法であって、イソブチルアルデヒド/ホルムアルデヒドで両者のモル比が0.8〜1.2の範囲であることを特徴とするヒドロキシピバルアルデヒドの製造方法を提供するものである。【0007】本発明における滴下物は、ホルムアルデヒドの水溶液でなければならない。イソブチルアルデヒドを滴下する場合は、塩基性条件下にホルムアルデヒドを存在させることとなり、カニッツァロ反応などの副反応によりホルムアルデヒド量が低下するため、ヒドロキシピバルアルデヒドの収率が低下する。また、塩基性触媒を滴下する場合は、反応が急激に進行し、除熱が十分に行えないため、結果的にヒドロキシピバルアルデヒドの収率が低下する。【0008】本発明に用いるホルムアルデヒド水溶液は、35〜66重量%の濃度のものである。また、パラホルムアルデヒドのような容易にホルムアルデヒドを発生する化合物の水溶液も、もちろん使用することができる。反応にあたって、イソブチルアルデヒドとホルムアルデヒドのモル比を示せば、イソブチルアルデヒド/ホルムアルデヒドで0.8〜1.2程度、好ましくは0.9〜1.1程度の範囲が採用できる。【0009】本発明に用いる塩基性触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムのような無機塩基、およびトリエチルアミン、ピリジンのような有機塩基が挙げられるが、特に、炭酸カリウムまたはトリエチルアミンが好ましい。塩基性触媒の好ましい使用量は、その種類によっても当然変動するが、イソブチルアルデヒドに対して、一般的には1〜10モル%、好ましくは2〜6モル%の範囲から選択される。【0010】ホルムアルデヒド水溶液の滴下には、3時間以上かける必要があるが、好ましくは3〜5時間の範囲で滴下すればよい。3時間未満では除熱が十分に行えず、収率および純度ともに低下するため、好ましくない。また、5時間かければ除熱は十分に行えるので、それを越える時間をかける必要はない。【0011】反応温度は、一般的には50〜80℃、好ましくは55〜70℃の範囲にすればよい。50℃未満では反応速度が遅くなるため工業的でないとともに、生成したヒドロキシピバルアルデヒドが析出してスケーリングを起こすことから、収率および純度ともに低下する。反応温度が80℃を越えると、副反応生成物が増加するので、好ましくない。なお、イソブチルアルデヒドの沸点が63℃であるため、大気圧下で反応させる場合、反応当初はこれより高い温度に昇温することはできない。通常は、イソブチルアルデヒドと塩基性触媒を含む混合物を所定の反応温度に加熱しておき、そこへホルムアルデヒドの水溶液を滴下していく方法が採用される。【0012】ホルムアルデヒド水溶液の滴下終了後、一般的には1時間以上、好ましくは2〜8時間の範囲で引き続き反応温度に保持して、反応を完結させる。滴下終了後の保持時間(反応時間)が1時間未満だと、反応が十分に完了しておらず、収率および純度ともに低下するので、好ましくない。【0013】反応終了後の反応液(水溶液)は、そのまま次の化合物の合成原料とすることができる。また必要により、公知の適当な手段で、ヒドロキシピバルアルデヒドを単離精製することもできる。【0014】【実施例】以下に実施例を示して、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。以下の例において、%および部は、特にことわらないかぎり、それぞれ重量%および重量部を意味する。【0015】実施例1イソブチルアルデヒド55部とトリエチルアミン3.1部との混合物を63℃に昇温した。これに、35%ホルマリン65部を4時間かけて滴下した。その後、70℃で4時間撹拌して、アルドール反応液122部を得た。この反応液中のヒドロキシピバルアルデヒド濃度は61.5%であった(収率96.3%)。【0016】実施例2ホルマリン滴下時の温度を60℃に、そして滴下後の攪拌保持温度を60℃に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行って、アルドール反応液122部を得た。この反応液中のヒドロキシピバルアルデヒド濃度は60.5%であった(収率94.7%)。【0017】実施例3イソブチルアルデヒド58部とトリエチルアミン3.3部との混合物を60℃に昇温した。これに、パラホルムアルデヒド25部と水13部との混合物を4時間かけて滴下した。その後、70℃で5時間撹拌して、アルドール反応液98部を得た。この反応液中のヒドロキシピバルアルデヒド濃度は79.7%であった(収率95.1%)。【0018】比較例1ホルマリンの滴下時間を1時間に変更した以外は、実施例2と同様の操作を行ったところ、滴下開始から0.5〜1時間経過した段階で反応が急激に進行し、系内の温度が80℃まで上昇した。反応終了後、アルドール反応液122部を得た。この反応液中のヒドロキシピバルアルデヒド濃度は57.3%であった(収率89.7%)。【0019】比較例235%ホルマリン65部とトリエチルアミン3.1部との混合物を60℃に昇温した。これに、イソブチルアルデヒド55部を4時間かけて滴下した。その後、70℃で4時間撹拌して、アルドール反応液122部を得た。この反応液中のヒドロキシピバルアルデヒド濃度は52.4%であった(収率82.1%)。【0020】比較例335%ホルマリン65部とイソブチルアルデヒド55部との混合物を60℃に昇温した。これに、トリエチルアミン3.1部を4時間かけて滴下したところ、滴下開始から1〜2時間経過した段階で反応が急激に進行し、系内の温度が80℃まで上昇した。その後、70℃で4時間撹拌して、アルドール反応液122部を得た。この反応液中のヒドロキシピバルアルデヒド濃度は56.8%であった(収率88.9%)。【0021】比較例435%ホルマリン65部、イソブチルアルデヒド55部およびトリエチルアミン3.1部を室温で混合し、この混合物を60℃に昇温したところ、反応が急激に進行し、系内の温度が80℃まで上昇した。その後60℃で6時間撹拌して、アルドール反応液122部を得た。この反応液中のヒドロキシピバルアルデヒド濃度は53.8%であった(収率84.3%)。【0022】以上の実施例および比較例における主な反応条件および結果は、表1にまとめて示した。【0023】【表1】【発明の効果】【0024】塩基性条件下でホルムアルデヒドとイソブチルアルデヒドとを反応させるにあたり、本発明に従ってイソブチルアルデヒドと塩基性触媒とを含む混合物中へ、ホルムアルデヒドの35〜66重量%水溶液を3時間以上かけて滴下し、イソブチルアルデヒド/ホルムアルデヒドで両者のモル比が08〜1.2の範囲であれば、反応熱が有効に除去され、未反応原料の残存や副反応生成物が少なくなることから、高収率でヒドロキシピバルアルデヒドを得ることができる。したがって、この反応により得られる混合物は、ヒドロキシピバルアルデヒドを高い濃度で含むので、ヒドロキシピバルアルデヒドから導かれる各種有機化合物の合成中間体として、有利に使用することができる。 イソブチルアルデヒドと塩基性触媒を含む混合物中へ、ホルムアルデヒドの35〜66重量%水溶液を3時間以上かけて滴下して反応させる方法であって、イソブチルアルデヒド/ホルムアルデヒドで両者のモル比が0.8〜1.2の範囲であることを特徴とするヒドロキシピバルアルデヒドの製造方法。 ホルムアルデヒドの35〜66重量%水溶液を、3〜5時間かけて滴下する請求項1記載の方法。 イソブチルアルデヒドと塩基性触媒を含む混合物を、予め50〜80℃の温度に加熱しておく請求項1または2記載の方法。 ホルムアルデヒドの35〜66重量%水溶液の滴下終了後、さらに50〜80℃の温度で1時間以上保持する請求項3記載の方法。


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