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タイトル:特許公報(B2)_電解反応によるアルカリアルコキシドの製造方法
出願番号:1994001378
年次:2005
IPC分類:7,C25B3/00,C07C29/00,C07C31/04,C07C209/68,C07C211/63


特許情報キャッシュ

長 連英 太田 好郎 長 俊連 吉村 直樹 JP 3622790 特許公報(B2) 20041203 1994001378 19940111 電解反応によるアルカリアルコキシドの製造方法 多摩化学工業株式会社 390034245 成瀬 勝夫 100082739 中村 智廣 100087343 小泉 雅裕 100085040 長 連英 太田 好郎 長 俊連 吉村 直樹 20050223 7 C25B3/00 C07C29/00 C07C31/04 C07C209/68 C07C211/63 JP C25B3/00 C07C29/00 C07C31/04 C07C209/68 C07C211/63 7 C25B 3/00 C07C 29/00- 29/94 C07C209/68 国際公開第91/015615(WO,A1) 西独国特許出願公開第03346131(DE,A) 3 1995196561 19950801 7 20001127 井上 千弥子 【0001】【産業上の利用分野】この発明は、新しいアルカリアルコキシドの製造方法に係り、特に、電解反応を利用して工業的に有利にアルカリアルコキシドを製造する方法に関する。【0002】【従来の技術】アルカリ金属アルコキシドや第四級アンモニウムアルコキシド等のアルカリアルコキシドは、医薬、農薬、染料、香料、油脂等の多くの分野でその製造原料や触媒等として利用されている。【0003】そして、このようなアルカリアルコキシドの製造には、目的とするアルカリアルコキシドの種類に応じて、アルカリ金属の塊とメチルアルコールやエチルアルコール等のアルコールとを直接接触させて反応させる方法や、アルカリ金属の塊を不活性溶媒中に分散させてアルカリ金属デイスパージョンを生成せしめ、このアルカリ金属デイスパージョンに定量のアルコールを反応させ、得られた反応生成物を乾燥する方法や、脱水剤の存在下に苛性アルカリとアルコールとを反応させ、必要により更に脱水のための精製を行う方法等が採用されている。【0004】しかしながら、アルカリ金属の塊をそのまま扱う方法においては、水酸化物の少ないアルカリアルコキシドを製造することはできても、アルカリ金属そのものの価格が高く、しかも、アルカリ金属がアルコールと激しく反応し、また、反応によって水素ガスも発生し、発火の危険がある等、その作業上の安全性に問題があり、また、苛性アルカリを用いる方法においては、ナトリウムエトキサイドやナトリウムプロポキサイド等のように、水酸化アルカリがアルコールに溶解した後に脱水し易いアルカリアルコキシドは脱水操作で製造することが可能であるが、特にアルカリ金属メトキシドについてはその良い脱水剤がなく、また、その脱水精製操作に多大な労力とコストとを要するという問題がある。更に、特に第四級アンモニウムアルコキシドについては、その水酸化物の少ないものを製造することは極めて困難であり、適当な方法がないのが実情であった。【0005】【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者らは、上述した従来の方法におけるような問題がなく、安全でしかも操作性よく、水酸化物の少ない高純度のアルカリアルコキシドを製造することができる方法について鋭意研究を重ねた結果、電解反応を利用することにより工業的に有利にアルカリアルコキシドを製造することができることを突き止め、本発明を完成した。【0006】従って、本発明の目的は、電解反応を利用して工業的に有利に種々のアルカリアルコキシドを製造する方法を提供することにある。また、本発明の目的は、水酸化物の少ない高純度のアルカリアルコキシドを経済的にかつ操作性良く工業的に有利に製造する方法を提供することにある。【0007】【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、第四級アンモニウム化合物をアルコールに溶解し、得られたアルコール溶液を、陽極室と陰極室とを仕切る隔壁を備えた電解槽で電解してアルカリアルコキシドを製造する電解反応によるアルカリアルコキシドの製造方法であって、上記第四級アンモニウム化合物が、下記一般式(1)【化2】〔但し、式中R1 、R2 、R3 及びR4 は炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルケニル基、−(CH2 CH2 O)m H基(但し、mは1〜10の整数である)及び−(CH2 CH2 CH2 O)n H基(但し、nは1〜10の整数である)から選ばれた何れかの置換基であり、互いに同じであっても異なっていてもよく、また、Xはモノメチル炭酸基、炭酸基、重炭酸基又は有機酸基である〕で表される化合物であることを特徴とする電解反応によるアルカリアルコキシドの製造方法である。【0008】本発明方法において、製造原料として使用する苛性アルカリとしては、水酸化リチウムであってもよいが、好ましくは水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムである。【0009】また、製造原料として使用する第四級アンモニウム化合物としては、下記一般式(1)【0010】【化2】【0011】〔但し、式中R1 、R2 、R3 及びR4 は炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルケニル基、−(CH2 CH2 O)m H基(但し、mは1〜10の整数である)及び−(CH2 CH2 CH2 O)n H基(但し、nは1〜10の整数である)から選ばれた何れかの置換基であり、互いに同じであっても異なっていてもよく、また、Xは水酸基、ハロゲン基、モノメチル炭酸基、炭酸基、重炭酸基又は有機酸基である〕で表される化合物である。【0012】このような第四級アンモニウム化合物の具体例としては、例えば、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウムハイドロオキサイド(コリン)、メチルトリヒドロキシエチルアンモニウムハイドロオキサイド、ジメチルジヒドロキシエチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド、トリメチルエチルアンモニウムハイドロオキサイド等の水酸化第四アンモニウム化合物類や、テトラメチルアンモニウムクロライド等のハロゲン化第四級アンモニウム化合物類や、テトラメチルアンモニウムモノメチル炭酸塩(TMAC)、テトラエチルアンモニウムモノメチル炭酸塩、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウムモノメチル炭酸塩等の第四級アンモニウムモノメチル炭酸塩類や、テトラメチルアンモニウム炭酸塩、テトラエチルアンモニウム炭酸塩等の第四級アンモニウム炭酸塩類や、テトラメチルアンモニウム重炭酸塩、テトラエチルアンモニウム重炭酸塩等の第四級アンモニウム重炭酸塩類や、テトラメチルアンモニウム蟻酸塩等の有機酸第四アンモニウム塩類等を挙げることができる。これらのうち、TMAHやコリンあるいはTMACが副反応を伴わない点で特に好ましい。【0013】また、本発明方法で用いるアルコールについては、特に制限されるものではないが、好ましくは一般式ROH(但し、式中Rは炭素数1〜4のアルキル基である)で表されるものであるのがよい。具体的には、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、iso−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等が挙げられる。【0014】本発明方法においては、上記苛性アルカリ又は第四級アンモニウム化合物のアルコール溶液を、陽極室と陰極室とを仕切る隔壁を備えた電解槽で電解する。ここで、電解反応に供給されるアルコール溶液の濃度は、使用する苛性アルカリ又は第四級アンモニウム化合物やアルコールの種類によっても異なるが、通常1〜40%、好ましくは5〜30%あるのがよい。【0015】また、電解槽の陽極室と陰極室とを仕切る隔壁としては、陽イオン交換膜や、磁製の素焼きあるいは濾布等が挙げられるが、水酸化物の少ない高純度のアルカリアルコキシドを得るためには、好ましくは陽イオン交換膜を使用するのがよい。このような陽イオン交換膜としては、フルオロカーボン系、ポリスチレン系、ポリプロピレン系等の種々の交換膜を使用することができるが、好ましくは耐久性の優れたフルオロカーボン系の陽イオン交換膜である。このフルオロカーボン系の陽イオン交換膜として、具体的には、Nafion 324(デュポン社製商品名)がある。【0016】更に、電解槽中に装入される陽極としては、例えば、チタン板の表面にイリジウム、ルテニウム等の酸化膜を被覆したものや、チタン板の表面に銀とニッケルの合金膜を被覆したものや、銀とニッケルの合金板や、カーボン電極等が挙げられる。また、陰極としては、例えば、耐アルカリ性のステレス板や、ニッケル板、又は、鉄板にニッケル合金をメッキしたもの等が挙げられる。【0017】上記電解槽での電解反応は、電解槽の陽極室にはアルコール溶液を、また、陰極室には使用するアルコール溶液に対応するアルコール(すなわち、アルコール溶液がメチルアルコール溶液であればメチルアルコール)に少量の、例えば0.1〜0.5%のアルカリアルコキシド及び/又は水酸化アルカリを添加した溶液を、それぞれ循環式で供給し、電流密度が1〜25A/dm2 、好ましくは5〜10A/dm2 の範囲、陽極室及び陰極室内の各液の滞留時間が5〜60秒、好ましくは15〜45秒の範囲の条件で行い、陰極室でのアルカリアルコキシド濃度が5〜50%、好ましくは20〜40となるまで電解反応を行う。この電解反応の反応時間は、通常5〜50時間程度である。【0018】このようにして陰極室から得られたアルカリアルコキシドのアルコール溶液については、そのまま溶液として種々の用途に用いることもできるが、必要により溶媒のアルコールを留去して目的の用途に用いることもできる。【0019】【作用】本発明方法によれば、陽極室側で生成したアルカリイオンが隔壁を通過して陰極室側に移動し、そこでアルカリアルコキシドを生成せしめることができる。またこの際に、これら陽極室と陰極室とを仕切る隔壁として陽イオン交換膜を用いると、陽極室側で生成した水酸イオン等の陰イオンが陰極室側に移動することがなく、陰極室側において水酸化物を実質的に含まない高純度のアルカリアルコキシドを効率良く得ることができる。【0020】【実施例】以下、実施例に基づいて、本発明方法を具体的に説明する。【0021】実施例1水酸化ナトリウムをメチルアルコールに溶解して10%(溶質重量/溶媒容量、w/v)の水酸化ナトリウムのメチルアルコール溶液を調製した。【0022】また、反応装置として、電解槽の隔壁としてフルオロカーボン系陽イオン交換膜(デュポン社製商品名:Nafion 324)を用い、陽極として酸化イリジウム被膜チタン板(有効電極面積55.4cm2 )を用い、更に、陰極としてSUS304板(有効電極面積55.4cm2 )を用い、容量5リットルの塩化ビニル製陽極液循環貯槽と容量3リットルのテフロン製陰極液循環貯槽を備えた電解槽を構成した。【0023】この電解槽の陽極液循環貯槽には陽極液として上記水酸化ナトリウムの10%(w/v)メチルアルコール溶液5000mlを入れ、また、陰極液循環貯槽には陰極液として別に調製したナトリウムメチラートの2%(w/v)メチルアルコール溶液500mlを入れ、陽極液循環貯槽側の陽極液循環速度を500ml/分とし、また、陰極液循環貯槽側の陰極液循環速度を250ml/分とし、直流電源装置から陽極−陰極間に6Aの定電流を供給して電解を行った。【0024】この電解反応における電解時間、電圧、電流、電流効率、陰極液中のナトリウムメチラート、水酸化ナトリウム及び炭酸ナトリウムの各濃度を経時的に調べた。結果を表1に示す。【0025】【表1】【0026】実施例2水酸化カリウムの5%(w/v)メチルアルコール溶液を陽極液とし、また、カリウムメチラートの0.2%(w/v)メチルアルコール溶液を陰極液として使用した以外は、上記実施例1と同様にして電解を行った。この電解反応における電解時間、電圧、電流、電流効率、陰極液中のカリウムメチラート、水酸化カリウム及び炭酸カリウムの各濃度を経時的に調べた。結果を表2に示す。【0027】【表2】【0028】実施例3テトラメチルアンモニウムモノメチル炭酸の10%(w/v)メチルアルコール溶液を陽極液とし、また、テトラメチルアンモニウムメチラートの0.5%(w/v)メチルアルコール溶液を陰極液として使用した以外は、上記実施例1と同様にして電解を行った。この電解反応における電解時間、電圧、電流、電流効率、陰極液中のテトラメチルアンモニウムメチラート、水酸化テトラメチルアンモニウム及び炭酸テトラメチルアンモニウムの各濃度を経時的に調べた。結果を表3に示す。【0029】【表3】【0030】【発明の効果】本発明方法によれば、電解反応を利用してアルカリアルコキシドを製造することにより、経済的にしかも操作性良くアルカリアルコキシドを工業的に有利に製造することができる。また、アルカリアルコキシドの製造におけるアルカリやアルコールの種類の選択に幅が広がり、多くの種類のアルカリアルコキシドをその任意の濃度で製造することができる。更に、電解槽の陽極室と陰極室とを仕切る隔壁として陽イオン交換膜を使用することにより、水酸化物の少ない高純度のアルカリアルコキシドを容易に製造することができる。 第四級アンモニウム化合物をアルコールに溶解し、得られたアルコール溶液を、陽極室と陰極室とを仕切る隔壁を備えた電解槽で電解してアルカリアルコキシドを製造する電解反応によるアルカリアルコキシドの製造方法であって、上記第四級アンモニウム化合物が、下記一般式(1)〔但し、式中R1 、R2 、R3 及びR4 は炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルケニル基、−(CH2 CH2 O)m H基(但し、mは1〜10の整数である)及び−(CH2 CH2 CH2 O)n H基(但し、nは1〜10の整数である)から選ばれた何れかの置換基であり、互いに同じであっても異なっていてもよく、また、Xはモノメチル炭酸基、炭酸基、重炭酸基又は有機酸基である〕で表される化合物であることを特徴とする電解反応によるアルカリアルコキシドの製造方法。 電解槽の陽極室には上記アルコール溶液を入れ、陰極室には使用するアルコール溶液に対応するアルコールに予めアルカリアルコキシド及び/又は水酸化アルカリを添加した溶液を入れ、上記陽極室と陰極室の溶液をそれぞれ循環式で供給して電解反応を行う請求項1に記載の電解反応によるアルカリアルコキシドの製造方法。 アルコールが、一般式ROH(但し、式中Rは炭素数1〜4のアルキル基である)で表されるものである請求項1〜3のいずれかに記載の電解反応によるアルカリアルコキシドの製造方法。


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