タイトル: | 特許公報(B2)_紫外線安定剤,酸化防止剤および着色剤である4´−ヒドロキシアセトフェノン,4−ヒドロキシスチレン,1,1,1−トリス(4´−ヒドロキシフェニル)エタン,および1,3,5−トリス(4´−ヒドロキシフェニル)ベンゼンの誘導体 |
出願番号: | 1993513541 |
年次: | 2004 |
IPC分類: | 7,C07C49/825,C07D211/22,C07D249/20,C08K5/07,C08K5/3435,C08K5/3475,C08L101/00,C09B69/10,C09K3/00,C09K15/08,C09K15/24,C09K15/30 |
マーフィ,マーク・エイ クヴァコヴスズキー,ジョージ フリッチ,ジョン・アール JP 3560243 特許公報(B2) 20040604 1993513541 19930202 紫外線安定剤,酸化防止剤および着色剤である4´−ヒドロキシアセトフェノン,4−ヒドロキシスチレン,1,1,1−トリス(4´−ヒドロキシフェニル)エタン,および1,3,5−トリス(4´−ヒドロキシフェニル)ベンゼンの誘導体 ヘキスト・セラニーズ・コーポレーション 社本 一夫 今井 庄亮 増井 忠弐 栗田 忠彦 小林 泰 村上 清 マーフィ,マーク・エイ クヴァコヴスズキー,ジョージ フリッチ,ジョン・アール US 829,123 19920203 US 921,450 19920728 20040902 7 C07C49/825 C07D211/22 C07D249/20 C08K5/07 C08K5/3435 C08K5/3475 C08L101/00 C09B69/10 C09K3/00 C09K15/08 C09K15/24 C09K15/30 JP C07C49/825 C07D211/22 C07D249/20 502 C08K5/07 C08K5/3435 C08K5/3475 C08L101/00 C09B69/10 B C09K3/00 104A C09K3/00 104C C09K3/00 104Z C09K15/08 C09K15/24 C09K15/30 7 C07C 49/825 C07D211/22 C07D249/20 502 C08K 5/07 C08K 5/3435 C08K 5/3475 C08L101/00 C09B 69/10 C09K 3/00 104 C09K 3/00 104 C09K 3/00 104 C09K 15/08 C09K 15/24 C09K 15/30 CAPLUS(STN) REGISTRY(STN) 特開昭62−074923(JP,A) 特開昭50−031194(JP,A) 米国特許第03458473(US,A) 米国特許第04812575(US,A) 2 US1993001267 19930202 WO1993015063 19930805 1995503717 19950420 13 20000202 近藤 政克 発明の分野本発明は、紫外線安定剤、酸化防止剤および着色剤として有用な新規組成物に関するものである。本組成物は4′−ヒドロキシアセトフェノン(4−HAP)、4−ヒドロキシスチレン(4−HS)、1,1,1−トリス(4′−ヒドロキシフェニル)エタン(THPE)、および1,3,5−トリス(4′−ヒドロキシフェニル)ベンゼン(THPB)の誘導体である。それらは保護すべき材料に対する添加物として使用し、また所望によりポリマー主鎖中へ化学的に取り込ませることができる。発明の背景ポリマーに紫外線安定性もしくは酸化防止性を付与し、または着色剤として作用する添加物は知られている。たとえば材料ユビヌル(Uvinul、商標)(BASFコーポレーション、ケミカルズ・ディビジョンから、ニュージャージー州パーシッパニー)、および添加物チヌビン(Tinuvin、商標)(チバ−ガイギー・コーポレーション、アディティブズ・デパートメントから、ニューヨーク州ホーソン)は、ポリマー用として市販されている紫外線安定剤である。これらの添加物は一般に低分子量種であり、ポリマー配合物との相溶性の乏しさ、ポリマー配合物中への分散性の乏しさ、ポリマー中での表面移動、加工または使用中におけるこれらの添加物の揮発性による損失、および液体(たとえば布の洗濯液)中への滲出を含めた幾つかの問題がある。従って上記の問題がない紫外線安定剤、酸化防止剤および着色剤として機能しうる、より良好な材料が求められている。これらの材料はポリマーに対する相溶性添加物として有用でなければならない。それらはポリマー主鎖中へ取り込ませることができる官能基をもつものであってもよい。主鎖中へ取り込まれると、保護分子部分は目的濃度で生成物と一体になった相溶性部分として溜まることができる。従って本発明の目的は、紫外線安定性、酸化防止性および着色性を有する分子部分を保有し、それらの特性を付与する必要のある材料に対する添加物として使用しうる分子を提供することである。本発明の他の目的は、紫外線安定性、酸化防止性および着色性、ならびに反応性官能基を保有し、従って重合させてホモポリマーとなすか、または適切なコモノマーと共重合させてコポリマーを製造するか、または簡単にポリマー主鎖中へ共有結合により取り込ませることができる分子部分を提供することである。本発明のこれらおよび他の目的は、以下の記述および請求の範囲の記載を見ることにより当業者に明らかになるであろう。発明の概要本発明は、ポリマー系中における紫外線安定剤、酸化防止剤または着色剤として有用な官能性芳香族モノマー単位であって、4−ヒドロキシアセトフェノンから誘導され、以下よりなる群から選ばれる構造単位:(式中のRはそれぞれ独立して、水素、アルキル、アロイル、アルカノイル、ならびに3,3−ジアリール−2−シアノアクリロイルおよび2,2,6,6−テトラアルキルピペリジニルよりなる群から選ばれる構造単位よりなる群から選ばれ、R1は独立して、ベンゾトリアゾール類、ベンゾフェノン類、分枝鎖アルキル、アロイル、ジアゾアレンおよび2,2,6,6−テトラアルキルピペリジンよりなる群から選ばれる分子部分を示し、nは1−5の整数である)を含むモノマーを開示する。本発明は、上記の官能性芳香族モノマー単位から誘導されるポリマーをも開示する。好ましい形態の説明本発明は、着色剤であるか、または紫外線安定性および/または酸化防止性を有する組成物を包含する。1形態においては、本組成物は4−ヒドロキシアセトフェノン分子部分(4−HAP)(式1)を基礎とし、式中のRはベンゾトリアゾール類、3,3−ジフェニル−2−シアノアクリレート類、ヒンダードアミン系安定剤(HALS)2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ヒンダードフェノール類、適切なベンゾフェノン類およびジアゾベンゼン類よりなる群から独立して選ばれる1または2以上の官能基を意味する。上記の官能基は基礎となる構造単位に着色性、紫外線安定性または酸化防止性を付与する。たとえばベンゾトリアゾール類(BZT)、2−ヒドロキシベンゾフェノン類、HALS、および3,3−ジフェニル−2−シアノアクリレート類は紫外線安定性を付与し;ヒンダードフェノール類は酸化防止性を付与し;ジアゾアレン結合は着色性を付与する。同一化合物中に2種以上の上記分子部分が存在する場合、効果は相乗的になる。本発明は4−HAPから誘導される他の新規組成物をも包含する。それらの組成物は4−ヒドロキシスチレン(4−HS)構造単位(式2)、1,1,1−トリス(4′−ヒドロキシフェニル)エタン(THPE)単位(式3)、および1,3,5−トリス(4′−ヒドロキシフェニル)ベンゼン(THPB)単位(式4)を含み、それらの単位は4−HAPに関して上記に述べた官能基Rにより、同様な用途につき置換されている。式1−4で表される構造単位は、意図する用途に関する組成物の有用性を妨害しない限り、さらに他の置換基を含むことができる。本発明はこれらの新規組成物の製造方法をも包含する。式1−4で表される組成物の幾つかは、有利には適切な4−置換アセトフェノン、たとえば4−HAPから製造される。具体例として、4−HAPからのTHPE−BZT(式3、式中のRがベンゾトリアゾール分子部分である)の合成を模式的に反応経路1に示し、実施例の項の実施例1−4にさらに詳細に記載する。式1−4の本発明組成物の若干は、それらをポリマー主鎖に共有結合しうるものにする他の官能基、たとえばヒドロキシル基を含むことができる。ジフェノール系の置換された材料もモノマーとして有用である;それは単独重合させるか、または適切なコモノマーと共重合させて、着色性、紫外線安定性、および酸化防止性の分子部分をそれらの反復単位中に含むポリマーを得ることができる。本発明の官能基が結合しうる適切な若干のポリマーはビニルモノマー、たとえばスチレン、オレフィン、アクリレートなどから誘導される。適切なモノマーには下記のものが含まれる:スチレン、4−メチルスチレン、4−クロロスチレン、4−アセトキシスチレン、2−アセトキシスチレン、4−ヒドロキシスチレン、2−ヒドロキシスチレン、3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシスチレン、3−ブロモ−4−ヒドロキシ−5−メチルスチレン、3,5−ジメチル−4−ヒドロキシスチレン、3,5−ジブロモ−4−アセトキシスチレン、3−ブロモ−4−アセトキシ−5−メチルスチレン、3,5−ジメチル−4−アセトキシスチレン、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、無水マレイン酸、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリロニトリル、アクリルアミド、酢酸ビニル、塩化ビニル、フッ化ビニル、1,1−フルオロエチレン、テトラフルオロエチレンなど。本発明のスチレン誘導体1種または2種以上と上記ビニルモノマー1種または2種以上とのコポリマーは、ビニルモノマーまたはモノマー類のホモポリマーまたはコポリマーを製造するための既知の方法におけるビニルモノマーまたはモノマー類の一部を本発明のスチレン誘導体で置き換えることにより、たとえば遊離基重合によって製造しうる。本発明の適切な2官能性誘導体は、重縮合によって単独重合または共重合させることもできる。重縮合法を採用することにより、ポリスルホン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエーテルなどを製造することができる。重縮合に適したコモノマーには下記のものが含まれる:1,4−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシベンゼン、2,6−ジヒドロキシナフタリン、1,5−ジヒドロキシナフタリン、4,4′−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ジ(4′−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−ジ(4′−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(ヘキサフルオロビスフェノールA)、1,1−ジ(4′−ヒドロキシフェニル)エタン、ジ(4′−ヒドロキシフェニル)メタンなど。他のコモノマー、たとえばエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオールなども使用しうる。重縮合に適したカルボキシコモノマーには下記のものが含まれる:ホスゲン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、チオニルクロリド、スルフリルクロリド、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、テレフタル酸、テレフタロイルジクロリド、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、イソフタル酸、イソフタロイルジクロリド、イソフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジエチル、4,4′−ビフェニルジカルボン酸、4,4′−ビフェニルジカルボン酸ジクロリド、4,4′−ビフェニルジカルボン酸ジメチル、4,4′−ビフェニルジカルボン酸ジエチル、1,3−ベンゼンジスルホニルジクロリド、1,3−ベンゼンジスルホン酸ジメチル、1,3−ベンゼンジスルホン酸ジエチル、4,4′−ビフェニルジスルホニルジクロリド、4,4′−ビフェニルジスルホン酸ジメチル、4,4′−ビフェニルジスルホン酸ジエチル、6,2−ナフタリンジカルボン酸、6,2−ナフタリンジカルボン酸ジクロリド、6,2−ナフタリンジカルボン酸ジメチル、6,2−ナフタリンジカルボン酸ジエチル、1,5−ナフタリンジカルボン酸、1,5−ナフタリンジカルボン酸ジクロリド、1,5−ナフタリンジカルボン酸ジメチル、1,5−ナフタリンジカルボン酸ジエチル、1,5−ナフタリンジスルホン酸ジクロリド、1,5−ナフタリンジスルホン酸ジメチル、1,5−ナフタリンジスルホン酸ジエチル、2,6−ナフタリンジスルホン酸ジクロリド、2,6−ナフタリンジスルホン酸ジメチル、2,6−ナフタリンジスルホン酸ジエチル、シュウ酸、オキサリルジクロリド、シュウ酸ジメチル、シュウ酸ジエチル、マロン酸、マロニルジクロリド、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、コハク酸、無水コハク酸、スクシニルジクロリド、コハク酸ジメチル、コハク酸ジエチル、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチルなど。以下の実施例は本発明の若干の代表的組成物を合成するのに適した方法を記載する。従ってたとえば若干の実施例は4−HAP誘導体の合成につき示すが、基礎となる単位として式2−4を含む同様な誘導体も同様な方法で適宜製造することができると解すべきである。実施例は本発明をさらに説明するために提示される;ただし本発明はこれらにより限定されない。実施例実施例1. 2−ニトロアニリンからの2−ニトロベンゼンジアゾニウムクロリドの製造:2−ニトロアニリンから窒素雰囲気下で下記に従って2−ニトロベンゼンジアゾニウムクロリドの水溶液を調整した。2−ニトロアニリン、濃HCl水溶液(2.125mole/アニリンmole)、および水(0.219ml/濃HCl水溶液ml)の混合物を室温で一夜撹拌して、微細に分散したエマルジョンを調製した。氷(5.714g/濃HCl水溶液ml)および水(2.857ml/濃HCl水溶液ml)を添加したのち、得られたエマルジョンを5℃で撹拌しながら、水(1.429ml/濃HCl水溶液ml)中のNaNO2(1.098mole/アニリンmole)の溶液を30分間にわたって徐々に添加した。反応混合物の撹拌を5℃で30分間続けた。次いで、少量のスルファミン酸の添加によって過剰の亜硝酸塩を分解した。得られた黄金色の溶液を冷時濾過した。濾過が2−ニトロベンゼンジアゾニウムクロリドを含有しており、使用時まで0−5℃に保存された。実施例2. 3−(2′−ニトロフェニルアゾ)−4−ヒドロキシアセトフェノン(ジアゾアレン単位を含む4−HAP)の製造:2.5重量%の水酸化ナトリウムおよび4.7重量%の炭酸ナトリウムを含有する水溶液を調製した。目的とするフェニルアゾ官能基の取り込み量と化学量論的に当量の水酸化ナトリウムを含有するこの水溶液に、4−ヒドロキシアセトフェノン(4−HAP)を添加した。得られた混合物を室温で窒素下に、可能な限り多量のアセトフェノンがフェノキシド塩として溶解するまで撹拌した。得られたフェノキシド塩の水性混合物に、5−15℃で窒素下に撹拌しながら1時間にわたって、上記実施例1で水溶液として調製された2−ニトロベンゼンジアゾニウムクロリドの化学量論的必要量を添加した。ベンゼンジアゾニウムクロリドの水溶液は添加に際して5℃に保持された。添加が完了したのち、反応混合物を5−15℃で窒素下にさらに2.0時間撹拌した。反応混合物から沈殿したこのジアゾカップリングの生成物である3−(2′−ニトロフェニルアゾ)−4−ヒドロキシアセトフェノンを濾取し、0−5℃の水で洗浄した。この粗製固体を、ジエチルエーテルを添加した沸騰塩化メチレン溶液からの再結晶により精製した。上記実施例2では目的とするカップリングを行うために塩基性反応条件を採用している。このカップリングは当業者に知られているように酸性または中性の条件下で実施することもできる。実施例3. 実施例2のニトロフェニルアゾ化合物から3−(ベンゾトリアゾール−2′−イル))−4−ヒドロキシアセトフェノン(4−HAP−BZT)への還元環化:水酸化ナトリウムの5.50重量%メタノール溶液を調製した。上記実施例2からの3−(2−ニトロフェニルアゾ)−4−ヒドロキシアセトフェノンを、このアセトフェノンの2−ニトロフェニルアゾ基のモル量の14.9倍に等しいモル量の水酸化ナトリウムを含有する上記メタノール溶液に添加した。水(52.7重量%)、メタノール(41.7重量%)、亜二チオン酸ナトリウム(Na2S2O4,4.26重量%)、および水酸化ナトリウム(1.28重量%)の溶液を調製した。上記のニトロフェニルアゾ化合物の混合物に、窒素下に75℃で撹拌し続けながら15分間にわたって、出発アセトフェノンの2−ニトロフェニルアゾ基のモル量の2.00倍に等しいモル量の亜二チオン酸ナトリウムを含有する水性メタノール溶液を添加した。次いで反応混合物を75℃で窒素下に5時間撹拌したのち、濾過した。出発アセトフェノンを添加した水酸化ナトリウム溶液中のメタノールの容量に等しい容量の水で、濾液を希釈した。HCl水溶液でpH5に酸性化すると、濾液から固体生成物である4−HAP−BZTが沈殿した。この固体を濾取し、0−5℃の水で洗浄した。この粗製固体をジエチルエーテルからの再結晶により精製した。実施例3の還元環化には亜二チオン酸ナトリウムを用いている。この亜二チオン酸塩の代わりに他の適切な還元剤を用いることもできる。あるいは同一目的で接触水添法を採用することもできる。実施例4. 4−HAP−BZTとフェノールの縮合によるTHPE−BZTの製造:フェノール(7.38mole)、実施例3からの4−HAP−BZT(1.00mole)、3−メルカプトプロピオン酸(0.95mole)、およびメタンスルホン酸(1.01mole)の混合物を窒素下に48℃で24時間撹拌した。次いで粗製反応混合物をその重量の2.77倍のメタノールで希釈し、炭酸水素ナトリウム(6.31mole)を添加した。得られた混合物を濾過し、濾液をその重量の約0.75倍の水で希釈した。希釈した濾液を5℃で一夜冷蔵して固体THPE−BZTを沈殿させ、次いでこれを濾取した。この粗生成物を水性メタノールからの再結晶により精製した。精製は他の溶剤からの再結晶により、またはHPLCにより行うこともできる。収率は3′−(ベンゾトリアゾール−2″−イル)−4′−ヒドロキシアセトフェノン(4−HAP−BZT)を基準として59.5%であった。実施例5. 4−HAPの環ベンゾイル化によるベンゾフェノンの製造:無水AlCl3(10.25mmole)を秤量し、機械的撹拌器、窒素導入口および出口噴出器を備えたフラスコに窒素下に移す。このAlCl3に30.5mmoleの1,2−ジクロロエタンおよび3.85mmoleのベンゾイルクロリドを添加する。得られた混合物を0℃の氷浴上で10分間撹拌したのち、4−HAP(3.32mmole)を0℃で少量ずつ添加すると、直ちにHClヒュームが発生する。反応混合物を0℃でさらに15分間撹拌したのち、その重量の約4.0倍の氷水に注ぐ。得られた水性混合物を70℃で30分間撹拌および加熱し、次いで1,2−ジクロロエタンで抽出する。1,2−ジクロロエタン抽出液の真空回転蒸発により、粗製3′−ベンゾイル−4′−ヒドロキシアセトフェノンを得る。これは蒸留、再結晶またHPLCにより精製することができる(収率60.1%)。実施例5は4−HAPの環のモノベンゾイル化を記載している。この反応を適宜変更して、環を2個以上のベンゾイル基で置換することもできる。あるいはニューマン(M.Newman)ら、J.Org.Chem.,Vol.19,992(1954)に記載の環ベンゾイル化反応を採用することもできる。ベンゾフェノンを製造するための別法は、実施例6および7に例示されるように、まず4−HAPから4−HAPのベンゾエートを製造し、次いでそれをフリーズ(Fries)転位させるものである。実施例6. 4−HAPのベンゾエートの製造:約6.0重量%の水酸化カリウムを含有する水溶液を調製する。塩基がフェノール性官能基に対して約15mole%過剰となるように、4−HAPを窒素下に添加する。反応物を23℃で4−HAPが完全に溶解するまで撹拌する。ベンゾイルクロリド(58%の化学量論的量過剰)を約20分間にわたって5℃で滴加装填する。反応物を少なくとも1時間、5℃で撹拌する。生成したベンゾエートを濾過し、水洗する。これをアセトンその他の適切な溶剤から再結晶することができる。同様にして、1,1,1−トリス(4′−ヒドロキシフェニル)エタンをアセトンからの再結晶後に55.7%の収率で(1,1,1−トリス(4′−ヒドロキシフェニル)エタンを基準として)、トリベンゾエート誘導体1,1,1−トリス(4′−ベンゾイルオキシフェニル)エタンに変換した。他の種類のエステル、たとえばアセテートエステルも同様な方法で製造することができる。実施例7. ベンゾエートエステルからベンゾフェノンへのフリーズ転位:ベンゾエートエステル(たとえば上記実施例6からのベンゾエートエステル)を撹拌されたオートクレーブに添加する。反応器を排気し、次いで約−30℃に冷却する。次いで無水HF(ベンゾエートの重量の約12倍)を吸引により反応器の約半分まで添加する。反応器の内容物を約55℃に約5時間加熱する。反応器内容物をその重量の約8倍の湿潤した氷上に空け(浸漬管により)、水酸化カリウムで約pH6.5に中和する。粗製固体状のベンゾフェノン生成物をブフナーろうと上で濾過する。これをアセトン、クロロホルムその他の適切な溶剤から再結晶することができる。こうして4−HAPのベンゾエートから3′−ベンゾイル−4′−ヒドロキシアセトフェノンを得ることができる。実施例8. 4−HAPからの2−t−ブチル−4−ヒドロキシアセトフェノンの製造(環アルキル化):イソブチレン(1mole)を、0℃で撹拌しながらオートクレーブ内において4−HAP(1mole)および硫酸(4m)の混合物に添加する。得られた混合物を65℃に45分間撹拌および加熱し、約25℃に冷却し、次いで冷却しながら5−25℃に保持したその重量の2倍の水に徐々に添加する。得られた水性混合物を撹拌し、25重量%NaOH溶液の添加によりpH8に中和し、次いでジエチルエーテルで抽出する。エーテル抽出液を蒸発させて残渣となし、これから再結晶、蒸留またはHPLCにより上記t−ブチル生成物を単離することができる。上記反応にオレフィンおよび硫酸を用いる代わりにt−ブチルクロリドおよびAlCl3を用いることにより、4−HAPから上記t−ブチル誘導体を製造することもできる。実施例9. 4−HAPの3,3−ジフェニル−2−シアノアクリレート誘導体の製造:1moleのエチル 2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレートおよび1moleの4−HAPを約1リットルのスルホランに溶解する。触媒量のトルエンスルホン酸(0.05mole)を添加し、生成物エタノールを蒸留により除去しながら混合物を80℃に加熱する。エタノールの発生が終了した時点で、反応混合物を冷却し、3リットルの水と混合し、炭酸水素ナトリウムで中和する。沈殿した4−HAPの3,3−ジフェニル−2−シアノアクリレート誘導体を濾過により単離する。これを結晶化またはクロマトグラフィーにより精製することができる。実施例10. 4−HAPの2,2,6,6−テトラメチルピペリジン誘導体の製造:4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(1.0mole)および無水コハク酸(1.0mole)の混合物を100℃に1時間撹拌および加熱して、対応するコハク酸モノエステルを形成する。このモノエステルに塩化チオニルを徐々に添加し、次いで65℃に1時間加熱すると、カルボン酸官能基が酸クロリド官能基に変換される。得られたモノエステル酸クロリドを4−HAP(1.0mole)と反応させると、4−HAPの2,2,6,6−テトラメチルピペリジン誘導体が製造される。これをHPLCにより単離精製することができる。ヒンダードアミン系の光安定剤(HALS)の群に属する上記2,2,6,6−テトラメチルピペリジン誘導体は、他の方法により、たとえばAlCl3およびHClなどの触媒を用いて製造することもできる。実施例11. 4−HAPのケタール誘導体の製造:4−HAPをまずそのメチルエーテルである4−メトキシアセトフェノンに変換する。4−メトキシアセトフェノン(0.9mole)、トリメチルオルトホルメート(2.4mole)、メタノール(300ml)およびp−トルエンスルホン酸(0.009mole)を還流下に(57℃)1時間撹拌する。反応混合物は透明な液体から暗褐色に変化する。未反応のトリメチルオルトホルメートおよびメタノールを回転蒸発器により減圧下で除去する。粗製のジメチルケタール誘導体を減圧下での蒸留により精製して、透明な無色の液体を得る(収量:0.8mole)。同様にして、他のケタール、たとえばエチレングリコールとのケタールを製造することもできる。ケタール基は当業者に知られているように、希望する場合にはたとえばメタノール、水および酸の混合物を用いて容易に加水分解して出発アセトフェノンにすることができるという利点をもつ。実施例12. 4−HAPの縮合3量体化によるTHPBの製造:磁気撹拌器、ディーン−スタークトラップおよび冷却器を備えた250mlの丸底フラスコに、4−HAP(0.05m)、アニリン(0.2mole)、およびトルエン(100ml)を装填する。反応混合物を窒素雰囲気下に17時間、加熱還流する。次いで塩酸アニリン(0.0038mole)を添加し、トルエンを蒸留により除去する。190−200℃に3時間撹拌したのち、反応混合物を120℃に冷却する。この冷却された反応混合物にトルエン(100ml)を添加して油を分離させる。上清液をデカントしたのち、油状残渣にヘキサン(100ml)を添加して1,3,5−トリス(4′−ヒドロキシフェニル)ベンゼン(THPB)を沈殿させ、これを濾取する。これを再結晶またはHPLCにより単離精製することができる(収率:79%)。実施例12において4−HAPの一部を他のフェノール系化合物で置き換えると、置換されたTHPBを製造することができる。また実施例12の3量体化反応ではアニリンを縮合剤として用いている。その代わりにたとえばHClおよびトリエチルオルトホルメートを用いる酸触媒3量体化を採用することもできる。実施例13. 4−HAPから対応するベンジルアルコールへの還元:機械的攪拌器、N2およびH2の入口および出口、ならびに加熱および冷却のための適宜な手段を備えた500mlのオートクレーブに、約0.85moleの4−HAPを添加する。意図する反応温度で4−HAPが自然の状態で液体でない場合、これを溶解するために所望により他の補助溶剤(アルカン、アルコール類、エーテル類、または当業者が適当と考える他の溶剤)を添加してもよい。4−HAPから1−(4−ヒドロキシフェニル)エタノールへの水素添加に適したラネーニッケル触媒(一般に市販されているモリブデン促進型のもの、水/苛性アルカリ中で輸送)を下記の方法でこの反応用に調製する。苛性アルカリ/水をニッケル触媒からデカントまたは濾去し、次いで触媒をその重量の約10倍、少なくとも3倍のイソプロパノール洗浄する。イソプロパノールを触媒から除去するために、場合により触媒をさらに反応溶剤、反応体または生成物で洗浄する。約10重量%のラネーニッケル触媒(4−HAPに対して)を上記の水素添加反応器に添加し、反応器をシールし、N2でパージする。反応器を撹拌し、反応温度(約60℃)に加熱する。水素ガスを反応器に添加して全反応器圧力400psig(約28.1kg/cm2)となし、反応器圧力を400psig(約28.1kg/cm2)に維持するために必要に応じて補充する。H2ガスの取り込みが低下した時点で反応が完了したことが示され、撹拌を停止して反応器を急冷することにより反応を終結させる。反応生成物から触媒を濾過し、粗生成物を所望により蒸留、結晶化またはクロマトグラフィーなどの手段で精製することができる。上記方法を採用して、0.843moleの4′−アセトキシアセトフェノンを10.4%のデイビソン(Davison)R3100触媒により、補助溶剤の不在下に280分間にわたって還元し、1−(4′−アセトキシフェニル)エタノールを94%の収率で得た。接触水添の代わりに、水素化ホウ素ナトリウムを用いて上記のベンジルアルコールへの還元を実施することもできる。あるいはニル(Nir)ら,J.Polymer Science:Polymer Chemistry Ed.,Vol.20,2735−2754(1982)の記載に従い、グリニャール反応を採用して同じ結果を得ることができる。実施例14. 実施例13のベンジルアルコールから対応するスチレンへの脱水:この方法は上記ニル(Nir)らのものと類似する。実施例13からの粗製ベンジルアルコールおよび新たに溶融したKHSO4(上記ベンジルアルコール10g当たり1.0g)の混合物を撹拌しながら、短距離(short−path)蒸留装置内で真空下に(0.005mmHgA)165℃に加熱する。生じた蒸気を凝縮させて粗製の上記スチレンを得る。これを液体クロマトグラフィーにより精製することができる。上記の脱水は無水CuSO4により触媒することもできる。あるいは脱水反応は実施例15に示すようにリン酸の存在下で実施することもできる。実施例15. リン酸の存在下での上記ベンジルアルコールから上記スチレンへの脱水:250mlの三口丸底フラスコに磁気撹拌器、蒸留塔、温度計および真空ポンプを設置した。フラスコを油浴に浸漬することにより220−230℃に加熱し、80mmHgの真空に保持した。1−(4′−アセトキシフェニル)エタノール(1.16mole)を無水酢酸(1.28mole)、フェノチアジン(0.1重量%)および85重量%リン酸(0.32mole%)と混合した。反応混合物を2.0g/分の速度で連続的に高温のフラスコに供給し、留出物を上方で採取した。残渣を高温のフラスコ内に残し、180−190℃に保持した。すべての反応混合物を高温のフラスコに添加したのち、真空を10mmHgにまで高めた。合計338.7gの生成物を上方で採取した。生成物をガスクロマトグラフィーで分析することにより、0.96moleの4′−アセトキシスチレンが製造されたことが明らかになった(収率83%)。実施例16. 上記ベンジルアルコールのエステル化:還流冷却器、磁気撹拌器を備えた3リットルの丸底フラスコに、1−(4′−アセトキシフェニル)エタノール(実施例13から、2.8mole)、酢酸ナトリウム(0.15mole)および無水酢酸(3.6mole)を装填した。反応混合物を120℃に加熱し、6時間撹拌した。次いで反応混合物を室温に冷却し、16時間撹拌した。酢酸および未反応の無水酢酸を減圧下での蒸留により除去した。生成物である1−(4′−アセトキシフェニル)エチルアセテート(2.1mole)が0.05mmHg、沸点132℃で留出した。実施例17. エステルからカルボン酸の除去による上記スチレンの製造:250mlの三口丸底フラスコに磁気撹拌器、蒸留塔、温度計および真空ポンプを設置した。フラスコを油浴に浸漬することにより220−230℃に加熱し、80mmHgの真空に保持した。1−(4′−アセトキシフェニル)エチルアセテート(実施例16から、0.86mole)を無水酢酸(0.86mole)、フェノチアジン(0.1重量%)および硫酸水素アンモニウム(0.25mole%)と混合した。反応混合物を2.0g/分の速度で連続的に高温のフラスコに供給し、留出物を上方で採取した。残渣を高温のフラスコ内に残し、180−190℃に保持した。すべての反応混合物を高温のフラスコに添加したのち、真空を10mmHgにまで高めた。合計306.9gの生成物を上方で採取した。生成物をガスクロマトグラフィーで分析することにより、0.68moleの4′−アセトキシスチレンが製造されたことが明らかになった(収率79%)。実施例18. 4−HAPからウィティッヒ反応による上記スチレン誘導体の製造:メチレントリフェニルホスホニウムブロミド(35.7g,0.1mole)を窒素雰囲気化で、磁気撹拌器、冷却器および窒素噴出器を備えた500mlの乾燥三口丸底フラスコに装入する。無水t−ブチルアルコール(150ml)を添加し、反応混合物を室温で撹拌する。t−ブチルアルコール(100ml)中のカリウム t−ブチル−ブトキシド(12.3g,0.11mole)の溶液を撹拌しながらフラスコに滴加する。添加終了後、反応混合物を室温で0.5時間撹拌してウィティッヒ試薬CH2=P(フェニル)3の調製を完了させる。このウィティッヒ試薬に、t−ブチルアルコール(100ml)中の4−HAP(0.08mole)の溶液を1時間にわたって滴加し、反応混合物を40℃でさらに3時間撹拌する。反応混合物を氷水(500ml)に注入し、200mlずつ3回のペンタンで抽出する。ペンタン抽出液を合わせて水洗し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させて上記スチレンを得る。これを適切な方法で精製することができる。ポリマーの製造:実施例19. THPE−BZTを含むポリスルホンの製造:ポリスルホンは一般にEncyclopedia of Polymer Science and Engineering,Vol.13,p.196−211(ワイリー,第2版,1988)に記載されるように、等モル量の2価フェノールおよび4,4′−ジクロロジフェニルスルホンから製造される。前記実施例4に従って製造したTHPE−BZTを化学量論的量の2価フェノールの一部の代わりに、好ましくは反応混合物の約0.05−約5mole%の量で用いて、下記により本発明の新規ポリスルホンポリマーを製造する:上記混合物の重合は、好ましくはその場での2価フェノールのナトリウム塩またはカリウム塩の調製、およびジクロロスルホンとの反応により実施される。同様にTHPR−BZTを縮合ポリマー、たとえばポリエステルおよびポリカーボネートにおいて、ジオールの代わりに同様なモル比で用いることができる。実施例20. THPE−BZTを含むポリエステルの製造:ジオールとしてのTHPE−BZT、および適切なジカルボン酸またはジカルボン酸誘導体、たとえばテレフタロイルクロリドを用い、実施例18と同様な方法に従って、ポリエステルを製造しうる。実施例21. THPE−BZTを含むポリカーボネートの製造:ジオールとしてのTHPE−BZT、および適切なカルボニル誘導体、たとえばホスゲンを用い、実施例18と同様な方法に従って、ポリカーボネートを製造しうる。実施例22. THPE−BZTを含むポリウレタンの製造:THPE−BZTを反応混合物中に存在する他のポリオールの代わりに含有させることによりポリウレタンを製造する。実例はEncyclopedia of Polymer Science and Engineering,Vol.13,p.243−303(第2版,1988,ワイリー)に記載されている。ここで用いるポリウレタンという語は、カルバメート官能基および他の官能基、たとえばエステル、エーテル、アミドおよび尿素を含む材料を意味する。ポリウレタンは通常は、多官能性イソシアネートとポリオールまたは他のヒドロキシル含有反応体との反応により製造される。。ヒドロキシル含有反応体またはイソシアネートの官能性は調節可能であるので、多様な分枝鎖または架橋ポリマーを製造することができる。ヒドロキシル含有成分は多様な分子量および種類のものであってよく、これにはポリエステルおよびポリエーテルポリマーが含まれる。多官能性イソシアネートは芳香族、脂肪族、脂環式または多環式の構造のものであってよく、製造されたまま直接に、または修飾して使用しうる。反応体の融通性によって得られる材料の物理的特性が広範にわたる。本発明のポリマーは、ヒドロキシル含有反応体の一部の代わりにTHPE−BZT(前記実施例4から)を、ポリウレタン反応混合物中のポリオールについてTHPE−BZT/ヒドロキシルのモル比約0.001:1−約0.1:1で、言い換えるとポリスルホンに関して上記に記載した全混合物の約0.05−約5mole%用いることにより製造される。実施例23. THPE−BZTを含むエポキシ樹脂の製造:エポキシ樹脂はエピクロルヒドリンとヒドロキシルモノマー、たとえばビスフェノールA[2,2−ジ(4′−ヒドロキシフェニル)プロパン]の反応により製造しうる。実例はEncyclopedia of Polymer Science and Engineering,Vol.13,p.322−382(第2版,ワイリー,1988)に記載されている。ヒドロキシルモノマーの一部をTHPE−BZT(前記実施例4から)で置き換えると、この方法により共有結合した非−表面移動性の紫外線安定化官能基を備えたエポキシ樹脂が得られる。THPE−BZTは、選ばれる反応系に応じて適切ないかなる量で添加することもでき、当業者にはエポキシ樹脂技術分野における重要な中間体の恐らく大部分が上記のように過剰のエピクロルヒドリンとビスフェノールAの液体反応生成物であることは認識される。 ポリマー系中における紫外線安定剤、酸化防止剤または着色剤として有用なトリス(ヒドロキシフェニル)エタン化合物であって:からなる群から選択される前記化合物。 ポリマー系中における紫外線安定剤、酸化防止剤または着色剤として有用な1−(3'−ベンゾトリアゾール−2"−イル)−4'−ヒドロキシフェニル)−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン。