タイトル: | 特許公報(B2)_アイメークアップ化粧料 |
出願番号: | 1993350938 |
年次: | 2004 |
IPC分類: | 7,A61K7/032 |
役田 剛 JP 3552741 特許公報(B2) 20040514 1993350938 19931228 アイメークアップ化粧料 株式会社コーセー 000145862 小野 信夫 100086324 役田 剛 20040811 7 A61K7/032 JP A61K7/032 7 A61K 7/02-035 特開平02−250812(JP,A) 特開平02−025411(JP,A) 特開平04−018009(JP,A) 特開昭62−223107(JP,A) 特開昭62−205006(JP,A) 2 1995196449 19950801 8 20000718 大宅 郁治 【0001】【産業上の利用分野】本発明は、アイメークアップ化粧料に関し、更に詳しくは均一な皮膜ができ、伸びの良さ及びべたつきのなさ等の使用感の良さを持ち、また耐水性、耐皮脂性、付着性及び化粧持続性に優れるアイメークアップ化粧料に関する。【0002】【従来の技術】従来、アイライナー、マスカラ等のアイメークアップ化粧料には、汗、涙、皮脂などによる化粧膜のにじみやよれ、瞬きなどによるはがれ等を防止するために、合成樹脂エマルジョン、油溶性樹脂及びシリコーン樹脂等の各種皮膜形成剤が配合されている。これら皮膜形成剤のひとつであるシリコーン樹脂は、耐水性耐皮脂性を向上させるため配合されてきたが、シリコーン皮膜がべたつく、高温での安定性が悪い等充分なものではなかった。また、他のシリコーン樹脂は、皮膜が、硬くて脆いため経時でひび割れを生じ、また付着性も不足しているため化粧持ちが劣るという問題点を有していた。【0003】【発明が解決しようとする課題】上記の欠点を改良する方法として、シリコーン樹脂の化学構造を変える事がなされていたが、べたつき、安定性及びある程度の化粧持ちは改善されたものの、化粧料の中でも特にアイメークアップ化粧料に要求される皮膜の付着性や強度が充分なものは得られていなかった。また、皮膜の硬さや脆さをなくすために不揮発性のシリコーン油を使用する事も考えられるが、反面、べたつき等の使用感が悪くなった。そこで、皮膜の強度、付着性に優れ、べたつきもなく、耐水性、耐皮脂性も良好で使用感に優れたものが望まれていた。【0004】【課題を解決するための手段】本発明者は上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、皮膜形成剤としてトリメチルシロキシケイ酸と特定のアクリル−シリコーン系グラフト共重合体を併用すると、それぞれ単品で配合したときに比べ、皮膜の付着性と強度が著しく向上し、これを配合したアイメークアップ化粧料は、均一な皮膜を形成し、伸びが良くしかも付着力の向上によって瞬きなどの影響も受けにくく、また耐水性耐皮脂性も良好で化粧持続性に優れたものであることを見いだし、この知見にもとづいて本発明を完成するに至った。【0005】すなわち、本発明は、次の成分(a)、(b)及び(c):(a)トリメチルシロキシケイ酸(b)分子鎖の片末端にラジカル重合性基を有するジメチルポリシロキサン化合物とアクリレート及び/またはメタクリレートを主体とするラジカル重合性モノマーとをラジカル共重合して得たアクリル−シリコーン系グラフト共重合体(c)低沸点シリコーン油及び/または低沸点イソパラフィン系炭化水素油を含有することを特徴とするアイメークアップ化粧料を提供するものである。【0006】本発明に用いられるトリメチルシロキシケイ酸(a)としては、シロキサン構造を主骨格とした架橋構造を持つ化合物で[(CH3)3SiO1/2]X[SiO2]Y で表されXは1〜3、Yは0.5〜8のもので、例えば、KF−7312F(50%オクタメチルシクロテトラシロキサン溶液)(信越化学工業(株)製)、TSF4600(メチルポリシロキサン溶液)(東芝シリコーン(株)製)、BY11−018(30%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液)(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)として市販されているものを使用することができる。【0007】本発明に用いられるアクリル−シリコーン系グラフト共重合体(b)としては、特開平2−25411号公報等に記載されているものであり、例えば、一般式(1)で示される、分子鎖の片末端にラジカル重合性基を有するジメチルポリシロキサン化合物(A)と、アクリレート及び/またはメタクリレートを主体とするラジカル重合性モノマー(B)とをラジカル共重合させることにより合成されるものである。市販品としては、KP−504(信越化学工業(株)製)が挙げられる。【0008】【化1】R1 :メチル基または水素原子を示す。R2 :場合によりエーテル結合一個または二個で遮断されている直鎖状または分岐鎖状の炭素鎖を有する炭素原子1〜10個の二価の飽和炭化水素基を示す。n :3〜300【0009】一方、(B)のアクリレート及び/またはメタクリレートを主体とするラジカル重合性モノマーは、ラジカル重合性不飽和結合を分子中に一個有する化合物を意味し、使用されるアクリレート及び/またはメタクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、フルオロ炭素鎖1〜10のパーフロロアルキル(メタ)アクリレート等を例示することができる。【0010】本発明におけるラジカル重合性モノマーにおいて、上記したアクリレート及び/またはメタクリレート以外に必要に応じて種々の化合物を使用することができる。これらの重合性モノマーとしては、スチレン、置換スチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、マレイン酸エステル、フマル酸エステル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、エチレン、プロピレン、ブタジエン、アクリロニトリル、フッ化オレフィン等を例示することができる。【0011】成分(a)のトリメチルシロキシケイ酸と成分(b)のアクリル−シリコーン系グラフト共重合体は、それぞれ1種または2種以上を配合することができるが、特に、(a)と(b)の重量比は1:0.5〜1:3で、かつ、(a)と(b)の合計量が化粧料全量中の5〜60重量%(以下単に「%」で示す)の範囲内であれば、皮膜の付着力、強度が著しく高まり、化粧持続性も向上し、より好ましい。【0012】本発明に用いられる低沸点油(c)としては、沸点が常圧において260℃以下である低沸点イソパラフィン系炭化水素油や低沸点シリコーン油である。低沸点イソパラフィン系炭化水素油としては、例えば、IPソルベント(出光石油化学(株)製)、アイソパー(エッソ化学(株)製)、シェルソル(シェル化学(株)製)として市販されているものを使用することができる。低沸点シリコーン油としては、鎖状及び環状のシリコーン油、例えば、低重合度ジメチルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等が挙げられる。【0013】上記低沸点油は、単独でも適宜任意の二種以上を組み合わせても用いることができ、低沸点油全体の配合量は、化粧料全量中の5〜70%が好ましい。これら低沸点油は、前記のトリメチルシロキシケイ酸とアクリル−シリコーン系グラフト共重合体の溶解剤としての作用のみならず、両シリコーン樹脂の併用による化粧膜の付着性及び強度等の耐久性をより向上させるために、極めて重要である。【0014】本発明には化粧料用粉体を配合しても良いが、それらは通常アイメークアップ化粧料に使用可能なものであれば特に限定されず、例えば、体質顔料、無機白色顔料、無機有色顔料、有機顔料、有機粉末、パール剤などを用いることができる。更に目的に応じてシリコーン油などの油剤で、表面被覆処理した粉体を使用することも可能である。化粧料用粉体の配合量は、化粧料の用途、使用目的に応じて適宜決定すればよく、特に限定されるものではないが、通常55%くらいまでが好ましい。【0015】本発明の化粧料には、本発明の効果を妨げない範囲で通常のアイメークアップ化粧料に使用される固体、半固体、液状の油剤、水溶性高分子、有機変性粘土鉱物、紫外線吸収剤、防腐剤、合成樹脂エマルジョン、保湿剤、香料、界面活性剤、酸化防止剤、美肌用成分等を添加することができる。【0016】【実施例】以下に実施例を挙げて更に説明する。なお、これらは本発明を何ら限定するものではない。【0017】実施例1〜2および比較例1〜2表1に示す処方のマスカラを調製し、耐水性、耐皮脂性、付着性、化粧持続性及びべたつきのなさについて、下記の方法により試験及び官能評価を行った。その結果も併せて表1に示す。【0018】【表1】【0019】(製法)実施例1〜2、比較例1〜2A.成分(1)〜(5)を加温溶解する。B.Aに(6)、(7)を添加し、均一に分散する。C.Bを容器に充填しマスカラを得た。【0020】(試験方法1)a耐水性ガラスプレートに試料を適量取りドクターブレードで一定膜厚の塗膜を形成し、乾燥後精製水中に浸漬し振とうする。その後塗膜の剥離時間を比較評価した。【0021】(評価方法1)【0022】(試験方法2)10名の官能パネルにより、下記のb〜eについて試験をおこなった。b耐皮脂性ガラスプレートに試料を適量取りドクターブレードで一定膜厚の塗膜を形成し、乾燥後更に人工皮脂をドクターブレードで塗布し一定時間後に指で擦取してその状態を評価した。c付着性試料を手首部に塗布し、乾燥後30回屈曲動作を行い、その状態を観察し評価した。d化粧持続性試料について実際の使用テストを行い評価した。eべたつきのなさ試料について実際の使用テストを行い評価した。【0023】(評価方法2)b〜eについて、下記の7段階(0〜6)の絶対評価を行い、その平均点をさらに4段階に分けて評価した。(1)絶対評価6:非常に良い5:良い4:やや良い3:普通2:やや悪い1:悪い0:非常に悪い(2)4段階評価【0024】表1の結果から明らかなように、本発明である実施例1、2のマスカラは比較例1、2のマスカラに比較して、耐皮脂性、付着性が向上し、更に化粧持続性に優れ、べたつきのないものであることが分かる。特に、本発明のマスカラは、のびなどの使用性が良く、均一な皮膜ができ、その皮膜の強度及び付着性が高いため、カール力に優れ、化粧効果も持続するものが得られた。また、べたつきがないため、睫が束になりにくい等の使用感にも優れ、安定性面においても良好なものが得られた。【0025】一方、トリメチルシロキシケイ酸のみとジメチルポリシロキサンを配合した比較例1は、耐水性、耐皮脂性はあるものの、べたつき等の使用感が悪く、比較例1からジメチルポリシロキサンをのぞいた比較例2は、化粧膜が脆く化粧持続性の悪いものとなった。【0026】実施例3 マスカラ(処方) 重量%(1)トリメチルシロキシケイ酸(注1) 10(2)アクリル−シリコーン系グラフト共重合体(注2) 15(3)低沸点イソパラフィン系炭化水素(注3) 39.5(4)デキストリン脂肪酸エステル 15(5)疎水化無水ケイ酸 2(6)有機変性ベントナイト 1.5(7)黒酸化鉄 7(8)マイカ 10(注1)KF−7312F(50%オクタメチルシクロテトラシロキサン溶液)(信越化学工業(株)製)(注2)KP−504(信越化学工業(株)製)(注3)IPソルベント(出光石油化学(株)製)【0027】(製法)A.(1)〜(4)を加温溶解する。B.Aに(5)〜(8)を加え、均一に分散する。C.容器に充填してマスカラを得た。【0028】以上のごとく得られたマスカラは、伸びなどの使用性が良く、耐水性及び耐皮脂性が良好で、特に皮膜の強度及び付着性が高いため、カール力が強く優れた化粧持続性をもち、更に使用感や経時安定性も良好であった。【0029】実施例4 アイライナー(処方) 重量%(1)トリメチルシロキシケイ酸(注1) 8(2)アクリル−シリコーン系グラフト共重合体(注2) 6(3)低沸点環状シリコーン油(注3) 30(4)ポリエーテル変性シリコーン油 4(5)黒酸化鉄 10(6)マイカ 5(7)防腐剤 適量(8)精製水 残量(注1)KF−7312F(50%オクタメチルシクロテトラシロキサン溶液)(信越化学工業(株)製)(注2)KP−504(信越化学工業(株)製)(注3)KF−994(信越化学工業(株)製)【0030】(製法)A.(1)〜(6)を加温溶解混合する。B.Aに(7)〜(8)を加え、均一に分散する。C.容器に充填してアイライナーを得た。【0031】以上のごとく得られたアイライナーは、伸びなどの使用性が良く、耐水性及び耐皮脂性が良好でにじみもなく、特に皮膜の強度及び付着性が高いため、瞬きによってもはがれない等の優れた化粧持続性を持ち、更に使用感や経時安定性も良好であった。【0032】【発明の効果】本発明の化粧料は、均一な皮膜をつくり、伸びが良くしかも耐水性、耐皮脂性が良好で、特に皮膜の強度及び付着性の高い優れた化粧持続性を持ち、更に使用感や経時安定性が良好なアイメークアップ化粧料である。 次の成分(a)、(b)及び(c):(a)トリメチルシロキシケイ酸(b)分子鎖の片末端にラジカル重合性基を有するジメチルポリシロキサン化合物とアクリレート及び/またはメタクリレートを主体とするラジカル重合性モノマーとをラジカル共重合して得たアクリル−シリコーン系グラフト共重合体(c)低沸点シリコーン油及び/または低沸点イソパラフィン系炭化水素油を含有することを特徴とするアイメークアップ化粧料。 成分(a)と成分(b)の重量比が1:0.5〜1:3で、かつ、(a)と(b)の合計量が化粧料全量中5〜60重量%であることを特徴とする請求項1記載のアイメークアップ化粧料。