生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_車軸の斜角探傷方法
出願番号:1993343735
年次:2004
IPC分類:7,G01N29/04


特許情報キャッシュ

養祖 次郎 末吉 光男 JP 3558359 特許公報(B2) 20040528 1993343735 19931215 車軸の斜角探傷方法 財団法人鉄道総合技術研究所 000173784 日本クラウトクレーマー株式会社 391021385 鮫島 武信 100086346 養祖 次郎 末吉 光男 20040825 7 G01N29/04 JP G01N29/04 502 7 G01N 29/00 - 29/28 特開昭55−136952(JP,A) 特公昭44−007439(JP,B1) 特開平02−140661(JP,A) 4 1995167840 19950704 15 20001116 鈴木 俊光 【0001】【産業上の利用分野】本願発明は、鉄道車両に用いられる車軸の斜角探傷方法に関し、詳しくは、車軸表面或いは、中ぐり車軸の場合はその内面から、超音波斜角探傷法により、探触子を走査することによって探傷を行う場合において、車輪座などの車軸と車輪との嵌め合い部分における圧入エコーが発生し易い部位での欠陥エコーと圧入エコーとの分離方法に関する。【0002】【従来の技術】従来、鉄道車両に設けられる車輪を保持する車軸の交番試験等において、超音波探傷がなされていた。特に中ぐり車軸においては、軸表面上、軸周方向に走る傷が出来やすく、この傷のみを検出するには、車軸表面に近傍に探傷ゲートを設定する必要がある。【0003】【発明が解決しようとする課題】ところが、車軸の超音波探傷検査において、車軸の車輪との嵌め合い部分の内部探傷の際に、圧入エコーが発生し、実際の欠陥エコーの検出を困難なものとしていた。圧入エコーとは、車輪等が車軸に圧入されることに起因して発生する傷とは関係のないエコーである。この圧入エコーは、大部分の疲労傷の発生箇所である車輪圧入部位に発生するので、超音波探傷に際し、大きな障害となっていたのである。この圧入エコーの発生原因について、従来より幾つかの試験が行われたが、未だ解明されていないのが現状である。現時点では、幾つかの現象が重複して、発生原因となっていると考えられている。中ぐり車軸を内部から探傷する場合においても、この圧入エコーの存在が、欠陥エコーの検出を困難なものとしていたのである。例えば、最近の新幹線は、軽量化のために中ぐり車軸が採用されているのであるが、車軸表面の疲労傷を車軸内面より超音波を用いて探傷する場合、欠陥エコーとその他のエコーの判別には、S/N比が十分にあるものとし、欠陥が発生するビーム路程位置に測定域(ゲート)を設け、その中に入るエコーの高さ情報を得ることによって、対処してきたのであった。しかし、このような工夫によっても、小欠陥が存在する場合など、確実な探傷が遂行されるものではなく、中実、中ぐりの何れを問わず、実用的な判定が行える更なる改良が望まれていたのであった。本願発明は、上記課題の解決を目的とし、特に検査を行う者が、熟練を要することなく、簡単且つ高精度に欠陥の検出を行うことを可能とする。【0004】【課題を解決するための手段】本願第1の発明に係る車軸の斜角探傷方法は、被検材が中実車軸の場合車軸100の外周面にて、被検材が中ぐり車軸の場合車軸100の外周面或いは内周面にて、超音波探触子1を走査することにより、車軸100内部を探傷するものであり、下記の工程を採用する。即ち、車軸100のスラスト方向における探触子1の変位とこの探触子1の発する超音波の到達距離即ちビーム路程とを座標軸とする座標平面に、探触子1が検出した車軸のスラスト方向に沿った各位置でのビーム路程値をプロットすることによって座標点の分布状態を得るものとする。そして、他の車軸から予め知得した、欠陥の有無及び車輪の嵌めあいの有無によって異なる、夫々の座標点の分布状態の類型と、被検材である車軸100から得た上記座標点の分布状態とを、比較することによって欠陥の有無の判別を行うものである。【0005】本願第2の発明に係る車軸の斜角探傷方法は、上記第1の発明にあって、被検材となる車軸100から探触子1が検出したエコー高さの違いを区別することが可能なように、エコー高さの違いによって、異なる大きさの座標点或いは異なる色の座標点を上記座標上にプロットするものである。【0006】本願第3の発明に係る車軸の斜角探傷方法は、上記第1或いは第2の発明にあって、上記欠陥の有無の判別による欠陥検出後、別途調整された表示手段を用いて、探触子1の車軸100のスラスト方向に対する変位と車軸100のラジアル方向に対する変位とこの探触子1の検出したエコー高さとを座標軸とする座標空間へ、車軸100の内部欠陥の検出位置における探触子1のビームの広がり範囲内のエコー高さを表示するものである。【0007】本願第4の発明に係る中車軸の斜角探傷方法は、上記第3の発明にあって、上記座標図形を上記表示手段を用いて表示し、表示された上記座標上の上記座標空間にて表示されるエコー高さを、探触子1のビームの中心からの遠近によって、ビーム範囲の各部の色が異なるように表示するものである。【0008】【作用】本願第1の発明に係る車軸の斜角探傷方法は、車軸100のスラスト方向における探触子1の変位とこの探触子1の発する超音波の到達距離即ちビーム路程とを座標軸とする座標平面において、探触子1が検出した車軸のスラスト方向に沿った各位置でのビーム路程値をプロットすると、車輪の嵌めあいによる圧入エコー、透過性エコー、欠陥エコーは、夫々顕著に異なる一定の分布のパターンを示すことを利用するものである。このようなパターンを他の欠陥等の有無が分かっている車軸から得ておき、被検材である車軸100から得た分布をこのパターンと比較することによって、何れのエコーが生じているのか、簡単且つ正確に識別することが可能である。従って、上記方法を採用することにより、即ち車輪等の嵌め合い部位の探傷の際、車軸長手方向の探傷ゲートの手前においてエコーの検出を行うことにより、圧入エコーと欠陥エコーとの識別が可能となった。【0009】本願第2の発明に係る車軸の斜角探傷方法は、上記第1の発明にあって、上記平面座標上にプロットされた各座標点が、エコー高さについて異なる大きさ或いは異なる色を持つものであるため、データの識別性の一層の向上を図ることが可能となった。【0010】本願第3の発明に係る車軸の斜角探傷方法は、上記第1或いは第2の発明によって、欠陥を検出した後、更に、欠陥の特徴を具体的なイメージとして、表示することが可能であり、その高精度な認識が可能となった。【0011】本願第4の発明に係る車軸の斜角探傷方法は、上記第3の発明にあって、上記モニター等適宜表示手段の設定により、上記座標空間にて、表示されたエコー高さを、探触子1のビームの中心からの遠近によって、ビーム範囲の各部の色が異なるものとして、視覚化或いは画像情報化するものであるため、ビームのどの位置で捕らえた欠陥の表示か、容易に識別が可能であり、より正確な認識が行えるようになった。【0012】【実施例】以下、図面を基に本願発明の実施例を具体的に説明する。図1に、中ぐり車軸を探傷する場合を例に採り、本願発明を実施するに最適な装置の一例を示す。先ず車輪101が圧入された状態の中ぐりの車軸100の一端から、探触子保持体2が、車軸内部へ配される。この探触子保持体2は、フレキシブルチューブ4の一端に設けられている。このフレキシブルチューブ4は、探触子保持体2が、車軸100内のどの位置に入り込んでも、充分追従できる長さを有するものである。【0013】このフレキシブルチューブ4の他端側は、車軸の外部へ設けられたプーリー等の巻取り手段5へ繋がれている。40は、フレキシブルチューブ4の摺動方向を変えるためのプーリーを示している。この巻取り手段5により、フレキシブルチューブ4を巻き取ることによって、探触子保持体2は、図1の右側に移動し、フレキシブルチューブ4を巻き解くことによって、探触子保持体2は、図1の左側に移動する。そしてこのフレキシブルチューブ4は、車軸取付け部7に挿通された状態に配されている。車軸取付け部7は、車軸100の端部に固定され、フレキシブルチューブ4の摺動位置を検出して、探傷位置の情報を得る位置センサ70を備える。上記巻取り手段5において、フレキシブルチューブ4の最後端部は、回転用モーター等の探触子回転手段3に接続されている。正確には、後述するフレキシブルシャフト41の後端が、この回転手段3に接続されている。巻取り手段5は、移動が容易なようにキャスター50等の移動手段を備えたものであれば、装置の重量等に係わらず、作業環境に応じて迅速な設置位置の移動が行え、便利である。【0014】フレキシブルチューブ4自身は、内部に超音波探触子1a,1b及び探触子保持体2から送られてくる情報を伝達するための配線がなされており、巻取り手段5から、これら情報は、探傷器8やコンピューター9に転送される。データの処理に応じて、蓄積されたデータ或いはリアルタイムに得たデータを打ち出すためのプリンタ90を接続して実施することも可能である。【0015】図2を用いて上記探触子保持体2側の構成について、説明する。この探触子保持体2の後部は、フレキシブルチューブ4の先端側と接続され、前部には、斜角探傷用の超音波探触子1が、設けられた回転ヘッド部10が接続されている。この超音波探触子1は、二つの超音波探触子1a,1bによって構成されている。【0016】回転ヘッド部10は、軸13を介して探触子保持体2内部に設けられたロータリーコネクター12へ回転自在に軸止されている。ロータリーコネクター12自身は、回転ヘッド10からの信号の伝達を行うものである。軸13の外部は、直接回転ヘッド部10に固着された管状体14内に内包された状態に置かれている。管状体14は、内部に超音波探触子1a,1bの超音波の媒介となるオイルの給油管15が設けられ、探触子保持体2の給油管16と接続されている。この接続は、回転継ぎ手の組み込みによりなされる(図示しない)。そしてこの管状体14の後方外部にはギア44が設けられている。【0017】探触子保持体2の後方内部において、フレキシブルチューブ4が内包するフレキシブルシャフト41と接続するギア42が設けられている。このギア42は、前述の回転モーター3の回転によって回転するフレキシブルシャフト41の回転を受けて回転するものであり、探触子保持体2が備える回転位置検出器6に軸止されている。ギア42の回転は、両端にギア42とギア44に係合する歯車が設けられたシャフト43を介して、ギア44に伝達される。これにより、回転モーター3の回転を受けて回転ヘッド部10が回転するのである。【0018】回転ヘッド部10は、超音波探触子1即ち2つの超音波探触子1a,1bが背中合わせの状態で、固定されている。11は探触子1a,1bが得た検出信号をフレキシブルチューブ4を介して探傷器8へ送るための信号線を示している。【0019】2つの超音波探触子1a,1bは、その向きが、夫々車軸100の中ぐり部内周面を臨むように回転ヘッド部10に固定されている。探触子1a,1b間には、発条18が設けられており、両探触子1a,1bは、夫々車軸100の中ぐり部内周面へ付勢される。フレキシブルチューブ4の探触子保持体2への固定金具には、軸方向位置検出用ワイヤ17が設けられている。【0020】このような装置を用いて、例えば図2の矢印AZに示す方向へスパイラル状に探触子を走査する場合、回転モーター3の回転により、矢印AY方向へ回転ヘッド部10を回転させ、巻取り手段5のフレキシブルチューブ4の巻き解き動作により、フレキシブルチューブ4を摺動してAX方向へ探触子保持体2と共に回転ヘッド部10を移送する。これにより、中ぐり車軸100の内部を内側からスパイラル状に探傷することができるのである。又矢印AZと逆方向への探傷を行う場合は、巻取り手段5の巻取り動作により、AX方向と逆方向へ探触子保持体2と共に回転ヘッド部10を移送する。このとき、必要に応じて、回転モーターを上記とは、逆回転させて、回転ヘッド部10を矢印AYと逆方向へ回転させれば、完全に逆方向へのスパイラル走査が行える。但し、走査の確実を期すため、通常の走査の場合上記AX方向とは逆の方向に、即ち巻取り手段5が巻き取る動作によって移動する方向に、探触子保持体2及び回転ヘッド部10を移送して、探傷を行うのが好ましい。【0021】尚斜角探触子1a,1bのビームの範囲は、図1の斜線部V,Wに示す通りである(後に、図3を用いて詳述する)。又探傷の際、既述のコンピューター9により、探触子の走査、探傷器8の操作、感度校正、探傷データの処理、探傷結果の出力(プリンター10の打ち出し或いはコンピューター9のモニターへの画像出力)等の制御を行えば、探傷の自動化に功を奏するものである。【0022】上述のような装置を使用することにより、中ぐり車軸の内部の検査を行う者が車軸の近傍において、嵩張る探傷装置を操作する必要がなくなり、車軸外部の操作環境に左右されることなく、自動的に超音波探触子を走査することができることとなる。【0023】次に、このような装置を用いて実施する本願発明に係る方法について説明する。先ず中ぐり車軸の超音波探傷におけるエコーについて述べる。【0024】図3の102は、前述の車輪101、101が圧入された部分を示している(以下圧入部102という)。又103は、中ぐり車軸100の中空部分を示している。超音波探触子1aが発するビームVは、車軸100の左側コーナー部A付近が探傷可能な方向性を有するものである。逆に超音波探触子1bが発するビームWは、車軸100の右側コーナー部B付近が探傷可能な方向性を有するものである。両超音波探触子1a,1bは、機能・構成は、同様のものを用いる。【0025】いまこの超音波探触子1bが、図3の右方の車輪101の圧入部102を探傷していく場合を例にとって説明する。この例において、超音波探触子1bは、スパイラル状に移動するのであるが、ここでは、超音波探触子1bの車軸長手方向への変位に従って、即ち超音波探触子1bの図4に示す矢印E方向への移動成分に従って、得られるエコーについて考察する。この図4に示すように超音波探触子1bが発するビームWは、中心ビームWaから、Wbに示す範囲を持って広がっている。【0026】図4の、圧入部102における位置Gaに、即ち上記中心ビームWaの圧入部102における反射位置に、探傷ゲートGを設定した際得られるエコーは、スコープ上図5に示す通りS/N比が悪く(低く)、この位置Gaに欠陥が存在する場合、その欠陥エコーHは、圧入エコーJによってその検出を阻害される。尚、上記図5及び図6の縦軸は、反射エコーの高さ(dB)を示しており、横軸は、車軸長手方向Eへの変位を示している。【0027】車軸長手方向即ち図4のE方向へ超音波探触子1bを移動した際の軌跡を観察すると、図6に示す通り、移動中欠陥エコーHは、1回転毎に現れ、ビームWの広がりWbにより、欠陥エコーHbとして検出される。図6中Hxは、上記欠陥エコーHの移動軌跡を示している。又位置Cにおいて欠陥エコーHは、中心ビームWaにより、欠陥の最大エコーHpとして現れる。ここで、後述する平面座標へ1回転中に得られるピークエコーの高さを丸(プロット)で表現すると、図9のようになる。車輪間に発生する圧入エコーJは、図7に示すような挙動を示す。即ち1回転のピークエコーのビーム路程の挙動変化は少く、ピークエコーは軸外面付近に表れる。この場合も、後述する平面座標へ1回転中に得られるピークエコーの高さを丸(プロット)で表現すると、図11のようになる。車輪表面外での嵌め合い物から反射してくるエコー(透過性エコー)Kの場合は、図8へ示すように、最大エコーの位置が軸表面位置までの距離より少し遠くなるため、1回転ごとの挙動分布が図中右方向へずれる。平面座標(E方向変位−ビーム路程座標)へ1回転中に得られるピークエコーの高さを丸(プロット)で表現すると、図10のようになる。【0028】本願発明は、特に、検査を行う者(判定者)が視認により上記欠陥エコーHと圧入エコーJを確実且つ迅速に判定可能なように、下記の工程を採る。即ち、探触子1が検出したデータは、判定者が視認できるように、探傷器8が検出したデータをモニター或いはプリンタ等の表示手段にて、表示する。この表示手段は、直接、探傷器8が有するモニター或いはプリンタにて外部に出力するものであっても、コンピューター9を介し、より視認し易いように適当な画像処理がなされたものを探傷器8が有するモニター或いはプリンタにて外部に出力するものであってもよい。更には、コンピューター9が備えるモニター或いはプリンターにて外部へ出力されるものであってもよい。又探傷結果をリアルタイムに表示するものであってもよいし、一旦コンピューター9等に記録された後、後に表示のための出力を行うものとしても実施可能である。【0029】コンピューター9のモニターへ出力する場合を例に採って説明すると、図9、図10及び図11に示すように、車軸100のスラスト方向における探触子1の変位を横軸Xで示し探触子1の発する超音波の欠陥への到達距離即ちビーム路程を縦軸Fで示す座標平面を表示し、探触子1が検出したデータをこの座標に表示可能に設定する。各図において、横軸Xのある高さが、車軸100の外周面位置と対応している。又、s1は第1象限、s2は第2象限、s3は第3象限、そしてs4が第4象限を示している。【0030】このような座標を用いて、事前に探触子1が検出したデータを分析したところ、上述の通り車軸に欠陥が存在する場合、その付近を走査して検出した各エコーは、図9に示すように、第1象限s1と第3象限s3へ斜めに分布する。欠陥が存在しない場合、その付近を走査して検出した各エコーは、図10に示すように、斜めに分布するも、第1象限s1にのみ現れている。車輪の嵌め合い位置にあっては、その付近を走査して検出した各圧入エコーは、図11へ示すように、横軸Xに沿って、水平に分布している。【0031】このように、欠陥の有無、圧入エコーによる場合、各エコーは、上記の通り、3つのパターンに類型化が可能である。従って、このように予め得た類型から、下記の判断が行えるのである。即ち図12へ示すように、探触子1の車軸100のスラスト方向についての変位を横軸Xで示し、当該欠陥に対するビーム路程を縦軸Fで示す座標平面において、第1象限s1と第3象限s3へ斜めに走るゾーンSSにエコーが分布する場合、車輪の嵌め合いによるものではないこと、そして、このゾーンSSにおいて、第1象限s1内にのみエコーが分布するときは、そのエコーは透過性エコーと考えられ、欠陥は存在しないと判定することができる。ゾーンSSにおいて、第1象限s1と第3象限s3へ斜めに分布する場合、即ち第3象限s3へ顕著な分布が確認された場合、欠陥エコーによるものと判定することができるのである。【0032】ここで、それではゾーンSSなどという領域の設定を行わず、単に第3象限s3に分布が確認されれば、欠陥エコーであると判定することが可能ではないかと考えることができる。これは、探傷装置の高精度化や座標のスケールの細分化によって可能かもしれないが、既存の前記探傷装置を用いる場合、任意のスケールで確実に判定を行おうとすれば正確な圧入エコーとの分別が必要となる。そこで、圧入エコーについては、図12へ示すように、上記座標上、横軸Xを含み水平方向に伸びるゾーンSTを設定し、この領域での分布が顕著な場合、それは、圧入エコーによるものと判断することが可能である。【0033】どのゾーンに分布するかというのは、見方を変えれば、どのような傾向即ちどのような相関関係を呈するかを、先ず判断するということである。従ってゾーンSSと、ゾーンSTのいずれの傾向を示すかの判断を行うことによって、圧入エコーか否かの判断を行う。そして、ゾーンSSに分布するものであれば、圧入エコーでないと判断して、欠陥の有無の判定を行えばよい。いずれのゾーンにも属しないものは、雑エコーである。【0034】尚、第1象限と第2象限とは区別せずに、まとめて上象限とし、同じく第3象限と第4象限とは区別せずにまとめて下象限とすることが可能である(図示しない)。この設定の場合、圧入エコーは、これら上象限と下象限の境界(横軸X)に沿って分布し、欠陥エコーは、斜めに上象限と下象限の境界(横軸X)を横切って分布するものとして判定を行えばよいのである。【0035】既述の通り、上記座標上のプロットが、その点の大きさ(丸の大きさ)或いは表示色によって探触子1が検出したエコー高さを表示するようにすれば、判別が更に行い易いものとなるため、効果的である(図9、図10)。以上の工程では、探傷器8或いはコンピューター9が、適宜表示手段に設定されたモニターへ自動的にプロットを行って表示するものが最も適当である。しかし、少量の被検材について判定を行う場合等、判定の精度のみを重要視し、処理効率を問題としない場合、探傷器8等は、探傷データの上記座標位置を示す数値のみを外部へ出力するものとし、判定者自身が、その出力を基に、紙等に描かれた上記座標にプロットを行い、その出来上がった分布を見て、類型化されたデータとの比較を行うものとしても十分に実施可能である(但し、次の精密探傷は、モニターやプリンターへの表示が前提となる)。【0036】上記の高速探傷による欠陥の有無の判別による欠陥検出後、下記の精密探傷を行うことによって、更に、高精度な探傷を行うことが可能である。詳述すると、別途調整されたモニター等適宜表示手段或いはコンピューター等の適宜演算手段を用いて(これは、装置として新たに別のものを用意する場合だけでなく、既述のコンピューター9及びそのモニターはそのまま使用するものとし、これら装置の手順(プログラム)を変更することによって、対応するものとしても可能である。)、新たな座標設定を行うものである。図13へ示すように、探触子1の車軸100のスラスト方向に対する変位をX−Y平面の横軸Xにて表示するものとし、車軸100のラジアル方向に対する変位をX−Y平面の縦軸Yにて表示するものとする。そして、X−Y平面へ垂直な軸Zは、探触子1の検出したエコー高さを表示する。このような座標空間へ、前述の高速探傷にて検出した欠陥エコーを表出することによって更に精密な検査を行うことが可能である。この図13へ示すように、モニター表示された座標上に、車軸100内周面の欠陥検出位置における探触子1のビームの広がり範囲内のエコー高さが表示される。これによって、欠陥等の状態の視覚化或いは画像情報への変換を行うものであり、より高精度な欠陥の探傷を行うことが可能である。【0037】図14へ示すように、実際に欠陥CKを検出探触子1が発する超音波は、ビームの広がりがあるため、ここで更に、視認が行い易いように、下記の構成を採るのが望ましい。これは、図15に示すようなカラーバーに従って、ビームの中心位置Ceからの広がりによるビームの中心位置からの遠近の色分けを行うのである。例えば、この図15に示すカラーバーの右側へ寄るに従ってビームの手前位置に寄る(ビームの中心からは遠ざかる)ものとし、左側に寄るに従ってビームの遠方側へ寄る(ビーム中心位置Ceから遠ざかる)ものとする。そして、ビーム中心位置Ce付近ccを黄色にて表示し、上記ビームの手前側付近crを赤色にて表示し、上記ビームの遠方側付近cfを白色にて表示するようにすれば(各色分けは、夫々の領域を示すものが異なるように表示されるのであれば、このような配色に限定するものではなく、適宜変更可能である。)、上記欠陥エコーの立体的表示に加えて、ビームとの位置関係を加味した判別が行え、更にその精度の向上が図れるものである(図16)。上記表示手段を採ることによって、例えば圧入エコーのような車軸表面に集まるエコーの場合は、図17へ示すように、ビームの挙動が中心位置Ce付近ccの黄色に集中し、圧入エコーの分布と判断し易い。又、図18へ示すように、形状面からは、欠陥エコーのような画像が得られても、表示される色が白色であれば、車軸表面外からの反射エコーと判断することができる。【0038】このように、モニター等適宜表示手段或いはコンピューター等適宜演算手段の設定により、上記座標空間にて、表示されたエコー高さを、探触子1のビームの中心からの遠近によって、ビーム範囲の各部の色が異なるものとして、視覚化或いは画像情報化して、高精度な探傷を可能とするのである。【0039】上述した実施例においては、中ぐり車軸の探傷に適した装置構成を示したが、、中実車軸の探傷に適した装置の構成についても同様の探傷を行うことが可能である。以下に中実車軸の探傷に適した装置の例を掲げておく。図19へ示すように、車軸100は、車軸100に嵌められた車輪101を支持すると共に回転させるローラ51…に、乗せられている。この図19において、上記ローラ51は、2つしか見えないが、左右の車輪101の一つに対して、2つのローラ51が一組となって、左右二組のローラ対、即ち合計4つのローラ51…が車輪101,101を支持をするようにすれば、確実な車輪101の保持が行え適当である。【0040】このような車軸100の近傍には、門型フレーム52が設置される。このフレーム52は、探触子1を保持するものである。詳述すると、フレーム52には、車軸100の外周面107より、車軸100内部を探傷する探触子1xを備える。図19中、108は、車軸100に設けられたギアボックスを示している。【0041】探触子1xは、アクチュエータ20を備え、各位置にて、車軸100表面に押圧されている。アクチュエータ20は、エアーや油圧等の適宜流体圧或いはその他の機械的手段によって、探触子を車軸100表面に押しつけることが可能なものである。【0042】探触子1xは、車軸100の外周面107より車軸100内部を探傷するものであり、車軸100の少なくともスラスト方向eに沿って探触子1xを摺動することが可能な摺動手段53が備わっている。図示したものについて説明すると、この摺動手段53は、周面が螺刻されたシャフト54と、この一端に設けられたモーター55と、シャフト54に螺合する治具56とを有するものである。シャフト54は、車軸100のスラスト方向eに対し平行に配設されており、このシャフト54に治具56が螺合している。治具56には、探触子1xのアクチュエータ20が固定されている。上記モーター55の回転によって、シャフト54が回動し、シャフト54に螺合している治具56は、シャフト54の長手方向に摺動するのである。この結果探触子1xは、車軸100のスラスト方向eに沿って摺動するのである。【0043】摺動手段53は、どのような構成を採るものであっても実施可能であり、図示したものに限定するものではない。このような摺動と共に前述のローラ51からの回動を受けることによって、探触子1xは、少なくとも車軸100の外周面107をスパイラル状に走査することになる。【0044】上述してきた各実施例では、中ぐり車軸及び中実車軸のいずれの車軸に対しても、探触子1をスパイラル状に走査するものとしたが、このような走査方法に限定するものではなく、探触子1が車軸に対して他の軌道を描くように走査して実施することも可能である。例えば、探触子1が車軸のスラスト方向に沿って1ピッチを直線的に移動し、この移動後車軸が周方向に回転し、このような動作を1過程として、この過程を適宜回数繰り返すものとしても実施可能である。【0045】【発明の効果】本願第1の発明に係る車軸の斜角探傷方法によって、超音波斜角探傷法により、車軸の欠陥をスパイラル状に走査することによって探傷を行う際、車輪座などの車軸と車輪との嵌め合い部分における圧入エコーが発生し易い部位での比較的微小な欠陥エコーと圧入エコーとの識別が確実に行え、欠陥検出の精度の向上、判別の容易さの向上に功を奏するものである。又、迅速に欠陥検出を行うことが可能な点でも有利である。本願第2の発明に係る車軸の斜角探傷方法によって、上記第1の発明にあって、識別性の一層の向上を図ることが可能となった。更に、本願第3の発明に係る車軸の斜角探傷方法によって、上記第1或いは第2の発明の効果に加えて、迅速に検出された欠陥に対し、より具体的な視覚情報を得ることが可能であり、高精度の識別が可能となり、より万全な検査を実現した。又更に、本願第4の発明に係る車軸の斜角探傷方法によって、上記第3の発明にあって、ビーム範囲の各部の色が異なるものとして、視覚化或いは画像情報化するため、ビームのどの位置で捕らえた欠陥の表示か、容易に識別が可能であり、欠陥の状態について、極めて正確に把握することが可能となった。【図面の簡単な説明】【図1】本願発明の一実施例の装置の略全体正面図である。【図2】本願発明の上記実施例の装置の要部略断面図である。【図3】本願発明による探傷状態を示す説明図である。【図4】本願発明による探傷状態を示す要部説明図である。【図5】通常の探傷により得られた波形を示す説明図である。【図6】通常の探傷により得られた波形を示す説明図である。【図7】通常の探傷により得られた波形を示す説明図である。【図8】通常の探傷により得られた波形を示す説明図である。【図9】本願発明の探傷のため、事前に得られた波形を示す説明図である。【図10】本願発明の探傷のため、事前に得られた波形を示す説明図である。【図11】本願発明の探傷のため、事前に得られた波形を示す説明図である。【図12】本願発明の欠陥判別のパターンを示す説明図である。【図13】本願発明による表示状態を示す説明図である。【図14】車軸中の超音波の進行状態を示す説明図である。【図15】本願発明の一実施例の欠陥検出に用いるカラーバーを示す説明図である。【図16】上記カラーバーに従ってカラー表示を行った状態を示す本願発明の一実施例の説明図である。【図17】上記カラーバーに従ってカラー表示を行った状態を示す本願発明の一実施例の説明図である。【図18】上記カラーバーに従ってカラー表示を行った状態を示す本願発明の一実施例の説明図である。【図19】本願発明の実施に用いる装置の他の実施例の略全体正面図である。【符号の説明】1 超音波探触子2 探触子保持体3 探触子回転手段4 フレキシブルチューブ5 巻取り手段6 回転位置検出器100 車軸102 圧入部103 中空部 被検材が中実車軸の場合車軸(100) の外周面にて、被検材が中ぐり車軸の場合車軸(100) の外周面或いは内周面にて、超音波探触子(1) を走査することにより、車軸(100) 内部を探傷するものである車軸の斜角探傷方法において、車軸(100) のスラスト方向における探触子(1) の変位とこの探触子(1) の発する超音波の到達距離即ちビーム路程とを座標軸とする座標平面に、探触子(1) が検出した車軸のスラスト方向に沿った各位置でのビーム路程値をプロットすることによって座標点の分布状態を得るものとし、他の車軸から予め知得した、欠陥の有無及び車輪の嵌めあいの有無によって異なる、夫々の上記座標点の分布状態の類型と、被検材である車軸(100) から得た上記座標点の分布状態とを、比較することによって欠陥の有無の判別を行うものであることを特徴とする車軸の斜角探傷方法。 被検材となる車軸(100) から探触子(1) が検出したエコー高さの違いを区別することが可能なように、エコー高さの違いによって、異なる大きさの座標点或いは異なる色の座標点を上記座標上にプロットするものであることを特徴とする請求項1記載の車軸の斜角探傷方法。 上記欠陥の有無の判別による欠陥検出後、別途調整された表示手段を用いて、探触子(1) の車軸(100) のスラスト方向に対する変位と車軸(100) のラジアル方向に対する変位とこの探触子(1) の検出したエコー高さとを座標軸とする座標空間へ、車軸(100) の内部欠陥の検出位置における探触子(1) のビームの広がり範囲内のエコー高さを表示することを特徴とする請求項1又は2記載の車軸の斜角探傷方法。 上記座標図形を上記表示手段を用いて表示し、表示された上記座標上の上記座標空間にて表示されるエコー高さを、探触子(1) のビームの中心からの遠近によって、ビーム範囲の各部の色が異なるように表示することを特徴とする請求項3記載の車軸の斜角探傷方法。


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る