生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_ショ糖脂肪酸エステル粉末の製造方法
出願番号:1993308006
年次:2005
IPC分類:7,C07H13/06


特許情報キャッシュ

加曽利 行雄 山崎 徹郎 濱野 順司 JP 3610583 特許公報(B2) 20041029 1993308006 19931208 ショ糖脂肪酸エステル粉末の製造方法 三菱化学株式会社 000005968 長谷川 曉司 100103997 加曽利 行雄 山崎 徹郎 濱野 順司 20050112 7 C07H13/06 JP C07H13/06 7 C07H 13/06 CA(STN) MEDLINE(STN) WPI(DIALOG) PubMed BIOSIS(DIALOG) 特開昭64−075421(JP,A) 5 1995165783 19950627 5 20000710 加藤 浩 【0001】【産業上の利用分野】本発明はショ糖脂肪酸エステル粉末の製造に関する。詳しくは、ショ糖脂肪酸エステルの水溶液を凍結乾燥することにより、着色が少なく且つ取扱い性に優れたショ糖脂肪酸エステル粉末を得る方法に関する。特に本発明は、ショ糖脂肪酸エステル水溶液から、粉砕工程を経ることなく、ショ糖脂肪酸エステル粉末を得る方法に関する。【0002】【従来の技術】ショ糖脂肪酸エステル(以下、SEと略記する)はショ糖と脂肪酸がエステル結合してなるものであり、界面活性剤や乳化剤として各種用途に利用されている。SEは分子中のエステル置換度や構成脂肪酸の炭素数等により、様々な特性を有する。【0003】通常、SEは、ショ糖と脂肪酸低級アルキルエステルとのエステル交換反応を基礎とする各種の方法で製造される。この反応により得られる粗SEは、モノ、ジ、トリエステル或はそれ以上のポリエステルからなる混合物であり、かつ未反応ショ糖を含んでいる。よって、水と有機溶媒を用いた液液抽出より粗SEからショ糖や有機酸塩を除去することが行なわれている。液液抽出によりSEは有機溶媒溶液として得られるので、通常、薄膜蒸発器等で濃縮後、水添加による水蒸気蒸留を行ない残留有機溶媒を除去してSE水溶液として生成する。次いで、このSE水溶液を濃縮して固体のSEを取得する。しかし、構成脂肪酸の鎖長や2重結合の有無によってはSE水溶液が非常に発泡しやすくなり、濃縮が極めて困難となることがある。また、SE水溶液の最終濃縮工程から得られるSEはペースト状態であり、後工程として冷却・固化、粉砕工程などの付加工程が必要である。【0004】最近では、モノエステル純度の高いSEが商品化されている。このものは主として生化学用試薬の分野で使用されており、また、香料用の乳化剤や医薬品用にも使用されている(特開昭61−247352、特開昭60−126230参照)。これらの用途に使用するSEは高純度であることが必要であり、特に着色物質(フラン系や二重結合を有する化合物など)が増加すると使用できなくなる恐れがある。一般的な濃縮装置である薄膜蒸発器や蒸発缶などでSE水溶液を処理した場合、発泡の生成による操作性不良や着色物質の増加が激しくなることがあり、上記の様な高付加価値商品用途のSEの製造方法としては不適当である。【0005】【発明が解決しようとする課題】本発明はSEの水溶液を濃縮乾燥するに当り、発泡を回避し、且つ着色物質の増加を抑制し、取扱い性の良好なSE粉末を直接回収する方法を提供するものである。【0006】【課題を解決するための手段】本発明者らはSE水溶液中に有機溶媒を存在させて凍結乾燥することにより、着色物質の増加を抑制し、出来上りの粉末状態及び製品の取扱い性が良好なSE粉末が得られることを見いだし、本発明に到達した。以下、本発明を詳細に説明する。【0007】本発明に用いる原料SEの種類はいずれのものでもよく、構成脂肪酸やその製造方法は、任意である。構成脂肪酸はその炭素数が通常6〜24、好ましくは8〜22の飽和及び/又は不飽和脂肪酸の1種または2種以上であるものが好適である。例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エルカ酸などが挙げられる。【0008】原料に用いるSEの平均置換度等については任意であるが、好ましくは平均置換度が低く、構成脂肪酸の鎖長が短いもの、または2重結合を有するものからなるSEを用いる。SE水溶液中に存在させる有機溶媒の濃度としては0.1〜20重量%、特に2〜10重量%が好ましい。また、有機溶媒としてはSE存在下で水と均一溶液を形成するものであればよく、通常、メタノール、エタノール、イソブチルアルコールなどの低級アルコール類や酢酸メチルエステル、酢酸エチルエステルなどのエステル類、アセトンやメチルエチルケトンなどのケトン類が挙げられ、特に低級アルコールが好ましい。凍結乾燥に供するSE水溶液中に有機溶媒が全く存在しないと、出来上りの粉末状態があまり良くなく、ポーラスな状態になりにくいために製品の取扱い性が悪くなる。また有機溶媒の濃度が高すぎると、乾燥中の凍結状態が保持できないので発泡が起こり、十分に乾燥した粉末製品が得難い。【0009】また、SE水溶液中のSE濃度としては、通常0.1〜50重量%、特に1〜30重量%が好ましく、水の重量%が高いほど乾燥後の粉末製品中の残留有機溶媒濃度が低くなる利点がある。本発明では上述のような有機溶媒を含むSE水溶液を凍結乾燥法により乾燥してSE粉末を回収するが、この凍結乾燥は公知法に従い実施することができる。【0010】SE水溶液の凍結温度としては通常、凝固点〜−180℃の範囲であり、好ましくは−10〜−90℃である。凍結方法及び凍結状態については特に限定はなく、例えば、冷凍機や冷媒(ドライアイス−アルコール系)による凍結や、バルク状または薄膜状態の凍結などがあるが、いずれにせよ、凍結乾燥中に凍結状態を保持することが望ましい。凍結状態を保持できないと、水溶液に戻り急激な発泡現象が見られる。発泡が起こると水の昇華、又は蒸発が不十分となり、十分に乾燥した粉末SEが得難い。凍結乾燥中の操作圧力は通常、0.01〜20Torr、特に0.1〜5Torrが適しており、試料の凍結状態を保持できる圧力より高真空でなければならない。また、凍結乾燥中に加熱をすることは、水の昇華速度を上げて生産性向上につながるが、その加熱温度が高すぎると凍結状態から溶融(水溶液に戻る)し、発泡が起こる可能性がある。凍結乾燥中の加熱温度は、0〜90℃、特に10〜50℃が適している。その加熱の仕方は任意であり、試料の凍結状態を見ながら、段階的にもしくは連続的に昇温もしくは一定温度にて加熱するのが好ましい。【0011】本発明の凍結乾燥により得られる粉末SEの含水量は通常、5重量%以下、好ましくは2重量%以下であり、また、この際のSE粉末中に含有される有機溶媒量は通常、100ppm以下である。すなわち、原料SE水溶液中に存在した有機溶媒の実質全量は水とともに除去されることとなり、製品中には殆んど残留することはない。本発明で回収されるSE粉末は流動性の良好な粉末であり、そのまま製品とすることができる。【0012】【実施例】次に本発明を実施例によりさらに具体的に詳細説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例によってその範囲を制約されるものではない。【0013】実施例1〜3耐圧用の250mlビーカーに、SE〔銘柄名;SM−1200(構成脂肪酸;ラウリン酸95重量%、モノエステル99%、三菱化成食品社製)〕の10重量%水−イソブチルアルコール溶液15gを入れ、ドライアイス−エタノールの溶媒で薄膜状に凍結を行った。冷媒温度は−71℃であった。凍結状態をより完全にする為、約30分間ドライアイス−エタノール内に保持した。凍結後、予め3.5Torrの高真空に保ったヤマト製ネオクール(凍結乾燥器)に上記ビーカーをセットし、真空下で約24時間乾燥を行った。乾燥温度は室温(23.5℃)で実施した。また凍結乾燥中は全く発泡現象が見られなかった。なお、この凍結乾燥条件下では、イソブチルアルコールが高濃度(例えば40重量%)になると凍結状態を維持できない。【0014】凍結乾燥後の粉末SEを10mlメスフラスコに一定量入れてテトラヒドロフランで溶解させた。この溶液をカールフィシャー法により水分濃度を測定した。また着色度の指標として、280nmにおける紫外線吸光度を1重量%水溶液で測定した。残留イソブチルアルコール濃度はガスクロマトグラフィーにて内部標準法により測定した。尚テストに用いた原料のSM−1200の吸光度は0.035である。結果を表−1に示す。【0015】比較例1実施例1〜3と同様な方法で、イソブチルアルコールを含まないショ糖脂肪酸エステル水溶液を用いて凍結乾燥を実施した。得られた製品は若干吸湿状態であまり乾燥状態は良くなかった。結果を表−1に示す。【0016】参考例1〜2IBA濃度が0又は10重量%で、SM−1200の固形分濃度が10重量%の水溶液を用いて、東京理化製の堅型薄膜蒸発器による濃縮を実施した。ジャケット温度は140℃、圧力は40〜45Torrで実施した。尚、IBA濃度が0重量%の場合は、発泡が激しいため濃縮は不可能であった。参考例1〜2の結果を表−1に示す。【0017】【表1】【0018】注) IBA:イソブチルアルコール粉体状態◎…サラサラで流動性改良○…やや流動性に欠ける×…流動性不良【0019】【発明の効果】本発明により、着色を抑え、出来上がりの粉末状態及び取扱い性の良い、粉砕工程等の後工程が不要であるSE粉末が得られる。 有機溶媒を含有するショ糖脂肪酸エステル水溶液を凍結乾燥することを特徴とするショ糖脂肪酸エステル粉末の製造方法。 構成脂肪酸の炭素数が6〜24であるショ糖脂肪酸エステルが有機溶媒を含有する水に溶解して水及び有機溶媒と共に均一溶液を形成しているものを凍結乾燥することを特徴とするショ糖脂肪酸エステル粉末の製造方法。 有機溶媒の濃度が0.1〜20重量%のものを凍結乾燥することを特徴とする請求項1又は2に記載のショ糖脂肪酸エステル粉末の製造方法。 ショ糖脂肪酸エステルの濃度が0.1〜50重量%のものを凍結乾燥することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のショ糖脂肪酸エステル粉末の製造方法。 有機溶媒が低級アルコール、エステル及びケトンより成る群から選ばれるものであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のショ糖脂肪酸エステル粉末の製造方法。


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