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タイトル:特許公報(B2)_エタノールの製造方法
出願番号:1993193506
年次:2005
IPC分類:7,C07C31/08,B01J31/20,C07B61/00,C07C29/157


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富永 健一 斉藤 昌弘 佐々木 義之 渡辺 大器 武内 正己 角本 輝充 金井 勇樹 守屋 圭子 萩原 康之輔 JP 3614449 特許公報(B2) 20041112 1993193506 19930804 エタノールの製造方法 独立行政法人産業技術総合研究所 301021533 植木 久一 100075409 財団法人地球環境産業技術研究機構 591178012 株式会社神戸製鋼所 000001199 大阪瓦斯株式会社 000000284 川崎重工業株式会社 000000974 関西熱化学株式会社 000156961 三井化学株式会社 000005887 住友金属鉱山株式会社 000183303 植木 久一 100075409 富永 健一 斉藤 昌弘 佐々木 義之 渡辺 大器 武内 正己 角本 輝充 金井 勇樹 守屋 圭子 萩原 康之輔 20050126 7 C07C31/08 B01J31/20 C07B61/00 C07C29/157 JP C07C31/08 B01J31/20 X C07B61/00 300 C07C29/157 7 C07C 31/08 B01J 31/20 C07C 29/157 特開平2−59532(JP,A) 特開昭61−277638(JP,A) 特開昭56−147730(JP,A) 特開昭54−41291(JP,A) 4 1995048299 19950221 8 19980617 2000010311 20000706 西川 和子 佐藤 修 井上 彌一 【0001】【産業上の利用分野】本発明は炭酸ガスの水素化によるエタノールの製造方法に関するものであり、詳細にはルテニウムカルボニル錯体、コバルトカルボニル錯体及びヨウ素またはヨウ素化合物の存在下、溶媒中で炭酸ガスを水素化することによりエタノールを製造する方法に関するものである。【0002】【従来の技術】炭酸ガスを水素化してメタノール、メタン、一酸化炭素等を製造する方法においては、各種金属及び金属酸化物等を触媒として使用することが有効である旨知られている(例えば、荒川裕則、触媒、31, 558, 1989 )。また、炭酸ガスの水素化によるエタノールや高級アルコールの製造に関しても、メタノール製造用触媒を各種の金属や金属酸化物等で修飾したものを触媒として使用することが有効である旨報告されている(例えば、T. Tatsumi et al., Chem. Lett., 593, 1985)。これらの金属触媒または金属酸化物触媒を用いた炭酸ガスの水素化反応は、反応物質(気体)と触媒(固体)とが相を異にする不均一系反応であり、かつ多量の発熱を伴う発熱反応である。この様に多量の発熱を伴う気固不均一系反応の場合には、反応器の温度制御が難しく、特に大型の反応器を用いて目的物質を大量に製造したい場合にはこの方法を用いることは困難であると考えられている。【0003】この様な問題を解決するために、炭酸ガスの水素化反応において、遷移金属錯体を溶媒に溶解したものを触媒として用い、液相で均一系の反応を行うことが考えられる。実際にこの様な反応によって、ギ酸、ギ酸アミド、ギ酸エステル(例えば、Darensbourg, Chemtech, 636, 1985) 、メタノール、メタン及び一酸化炭素(特願平5−52272号)が得られているが、エタノールについてはまだ得られていない。【0004】【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の状況に鑑みて行われたものであり、その目的は均一系反応によって効率よくエタノールを製造する方法を提供することにある。【0005】【課題を解決するための手段】本発明のエタノールの製造方法は、ルテニウムカルボニル錯体、コバルトカルボニル錯体、及びヨウ素またはヨウ素化合物の存在下、溶媒中で炭酸ガスを水素化することに要旨を有する。【0006】【作用】本発明では、触媒作用を有するものとしてルテニウムカルボニル錯体及びコバルトカルボニル錯体の遷移金属錯体、並びにヨウ素またはヨウ素化合物が用いられる。【0007】上記ルテニウムカルボニル錯体は特に限定されず、配位子としては一酸化炭素以外にハロゲン化物イオン、水素化物イオン、ホスフィン類等が用いられる。この様な錯体の例として、例えばRu(CO)5 、Ru3 (CO)12等の様に一酸化炭素のみを含有する錯体;例えばRu2 I4 (CO)12等の様にヨウ素を含有する錯体;Ru4 H4 (CO)12等の様に水素を含有する錯体;例えばRu(CO)2 (PPh3 )3 等の様にホスフィン類を含有する錯体等が挙げられ、好ましくはRu3 (CO)12が挙げられる。【0008】上記コバルトカルボニル錯体についても特に限定されず、配位子としては一酸化炭素以外にハロゲン化物イオン、水素化物イオン、ホスフィン類等が用いられる。この様な錯体の例として、例えばCo2 (CO)8 、Co4 (CO)12等の様に一酸化炭素のみを含有する錯体;例えばHCo(CO)5 等の様に水素を含有する錯体;例えばCo2 (CO)6 (PPh3 )2 等の様にホスフィン類を含有する錯体等が挙げられ、好ましくはCo2 (CO)8 が挙げられる。ルテニウム錯体及びコバルト錯体は上述の様に夫々別のものを用いてもよいが、ルテニウムとコバルトとの混合錯体を用いる場合も本発明に包含される。この様な錯体の例として、例えばCo3 RuH(CO)12等の様に一酸化炭素と水素を含有する錯体等が挙げられる。【0009】エタノールの生成量を高めるためにはコバルト/ルテニウムの原子比は0.1〜10であることが好ましく、より好ましくは0.5〜3、最も好ましくは0.9〜1.1である。コバルト/ルテニウムの原子比が0.1未満の場合にはエタノールの収率が悪くなり、一方10を超えると炭酸ガスの水素化反応が進行しない。【0010】上記ヨウ素化合物は特に限定されず、例えばKI、NaI、LiI等のアルカリ金属ヨウ化物、例えばCaI2 、MgI2 等のアルカリ土類金属ヨウ化物、例えばZnI2 、CdI2 等の遷移金属ヨウ化物等の金属ヨウ化物;例えばHIO、HIO3 等の酸化物;例えばICl、IBr等のハロゲン間化合物等が用いられ、好ましくはKI、NaI、LiIが用いられ、より好ましくはNaIが用いられる。これらのヨウ素及びヨウ素化合物は、単独で用いてもよく、あるいは2種以上を混合して用いてもよい。【0011】ヨウ素またはヨウ素化合物/ルテニウムの原子比は1〜50であることが好ましく、5〜10であることがより好ましい。一方、ヨウ素またはヨウ素化合物/コバルトの原子比は1〜50であることが好ましく、5〜10であることがより好ましい。これらの比率が上記範囲未満の場合には、ルテニウムまたはコバルトが金属として析出するため反応率が低下し、一方上記範囲を超えるとエタノールの代わりにメタン等の副生物の量が増加するため好ましくない。【0012】これらの触媒は予め反応系外で上述した範囲内の比率となる様に溶媒に溶解し、その後反応系に加えてもよいが、反応容器に触媒と溶媒を直接供給して均一な液相反応触媒とした方が操作上便利である。【0013】本発明に用いられる溶媒としては、例えばNーメチルピロリドン(NMP)、N−エチルピロリドン(NEP)、1,3−ジメチルイミダゾリジノン(DMI)、テトラメチル尿素(TMU)等の極性の非プロトン性溶媒が挙げられ、好ましくはDMIが挙げられる。【0014】ルテニウムカルボニル錯体及びコバルトカルボニル錯体の濃度は、好ましくは溶媒1L当たり1〜100mmolであり、より好ましくは5〜25mmolである。1mmol/L未満では反応が進行しにくく、一方100mmol/Lを超えると溶媒に溶解しにくくなるため好ましくない。【0015】ヨウ素及びヨウ素化合物の濃度は、好ましくは溶媒1L当たり100〜2000mmolである。これらは、上記遷移金属錯体が分解してルテニウム及びコバルトが金属として析出するのを防ぐ作用を有する。これらの金属が析出すると、反応が不均一系触媒反応として進行することになり、副生成物としてメタンが多量に生成したり、発熱反応が進行して反応器の温度制御が困難になる等の問題が生じるため、好ましくない。【0016】本発明の方法によれば、上記ルテニウムカルボニル錯体、コバルトカルボニル錯体及びヨウ素またはヨウ素化合物の触媒をNーメチルピロリドン等の極性の非プロトン性溶媒に溶解し、炭酸ガス及び水素の加圧下で加熱することによってエタノールが製造される。【0017】炭酸ガスと水素の容積比(CO2 /H2 )は0.1〜1とすることが好ましく、容積比が0.1未満の場合は、ルテニウムカルボニル錯体及びコバルトカルボニル錯体が分解して金属ルテニウム及び金属コバルトが析出し易く、一方容積比が1を超えると反応率が低下するため、推奨できない。反応時における炭酸ガスと水素の全圧は1〜1000気圧であることが好ましく、より好ましくは50〜300気圧である。反応温度は150〜300℃であることが好ましく、より好ましくは170〜210℃である。150℃未満では反応が進行しにくく、一方300℃を超えるとルテニウムカルボニル錯体及びコバルトカルボニル錯体が分解して金属ルテニウム及び金属コバルトが析出するため好ましくない。【0018】好適な実施態様では、上記反応はメタノールの存在下で行われる。メタノールは本発明では反応中間体として作用し、エタノールへの転換反応に利用される結果、エタノールの生成量が増加することが期待される。本発明に用いられるメタノールの濃度は1mol/Lであることが好ましい。以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、これは代表的例示を示すためのものであり、本発明を制限する主旨ではない。【0019】【実施例】(実施例1〜7)実施例1〜6では、100mL容のオートクレーブ中に、溶媒(20mL)、表1に示す所定量のRu3 (CO)12、Co2 (CO)8 (これらはいずれもRu及びCoのmmol数として表わす)、ヨウ素(5mmol)またはヨウ素化合物(10mmol)を仕込み、炭酸ガス20気圧、水素ガス100気圧を室温で圧入した後、30℃で15時間反応を行った。溶媒としては、NMPまたはDMIを用いた。実施例7では、予めメタノール(20mmol)を加えた後、実施例2と同様の反応を行った。なお、実施例1〜7では、錯体中のルテニウムとコバルトの合計量は全て0.12mmolと一定にした。これらの反応により得られた生成物を、ガスクロマトグラフィーにより定量分析した。その結果を表1に示す。【0020】【表1】【0021】いずれの実施例においてもルテニウム錯体およびコバルト錯体は金属に分解しておらず、均一な液相で反応が進行していることが確認された。またエタノールの生成量を増加させるためには、下記の条件を満たすことが好ましいことがわかった。【0022】1)コバルト/ルテニウムの原子比について:実施例1、2及び3を比較すると、コバルト/ルテニウムの原子比が0.5から1へ増加するに従ってエタノールの生成量も増加する(実施例1から2)が、コバルト/ルテニウムの原子比が1から2に増加すると逆にエタノールの生成量は減少する(実施例2から3)。このことから、コバルト/ルテニウムの原子比を1近傍にすると、エタノールの生成量が最も多くなることがわかる。【0023】2)ヨウ素またはヨウ素化合物の種類について:コバルト/ルテニウムの原子比を1にした場合におけるヨウ素またはヨウ素化合物の効果は、実施例2、4及び5を対比することによって明らかになる通り、ヨウ化カリウムやヨウ素よりもヨウ化ナトリウムを用いた方がエタノールの生成量が増加している。【0024】3)溶媒について:コバルト/ルテニウムの原子比を1にした場合における使用溶媒の効果は実施例2と6を対比することによって明らかになる。即ち、溶媒としては、NMPよりもDMIを用いた方がエタノールの生成量が増加することがわかる。【0025】4)メタノールの共存について:実施例2と実施例7を比較すると、メタノールの存在下ではエタノールの生成量が約2倍になり、エタノールの生成量が増加することがわかる。【0026】【発明の効果】本発明では、ルテニウムカルボニル錯体、コバルトカルボニル錯体及びヨウ素またはヨウ素化合物を溶媒に溶解させて用いているため、炭酸ガスの水素化反応は全て均一に液相で行なわれる。従って、金属触媒または金属酸化物触媒を用いた従来の不均一系触媒反応の場合に比べて反応器の温度制御が容易となり、エタノールを効率よく製造することができる。さらに反応に用いられる溶媒やヨウ素若しくはヨウ素化合物を選択し、またメタノールを共存させることによってエタノールの生成量を一層高めることも可能である。 ルテニウムカルボニル錯体、コバルトカルボニル錯体、及びヨウ素またはヨウ素化合物の存在下、溶媒中で炭酸ガスを水素化することを特徴とするエタノールの製造方法。 メタノールの存在下で行われる請求項1に記載の方法。 前記ヨウ素化合物がアルカリ金属ヨウ化物、アルカリ土類金属ヨウ化物及び遷移金属ヨウ化物よりなる群から選択される少なくとも一種である請求項1または2に記載の方法。 前記溶媒がNーメチルピロリドン、N−エチルピロリドンまたは1,3−ジメチルイミダゾリジノンである請求項1に記載の方法。


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