生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_血管狭窄の治療における抗成長因子抗体
出願番号:1992505371
年次:2005
IPC分類:7,A61K39/395


特許情報キャッシュ

ロス,ラッセル レイディ,マイケル エー. レインズ,エレイン ダブリュ. リンドナー,ボルクハード ファーンズ,ゴードン エー.エー. ジャクソン,クリストファー JP 3667752 特許公報(B2) 20050415 1992505371 19920117 血管狭窄の治療における抗成長因子抗体 ザ ボード オブ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ ワシントン 宇井 正一 石田 敬 福本 積 西山 雅也 ロス,ラッセル レイディ,マイケル エー. レインズ,エレイン ダブリュ. リンドナー,ボルクハード ファーンズ,ゴードン エー.エー. ジャクソン,クリストファー US 641,758 19910117 20050706 7 A61K39/395 JP A61K39/395 D A61K39/395 N 7 A61K 39/395 CAPLUS/BIOSIS/MEDLINE/EMBASE(STN) 特開昭60−011424(JP,A) 特開平02−000484(JP,A) 特開昭63−054328(JP,A) 特開平02−005865(JP,A) 国際公開第91/003554(WO,A1) 特表平02−504579(JP,A) 国際公開第90/004979(WO,A1) REILLY,T.M. et al, Biochem. Biophys. Res. Commun., 1989年,Vol.164, No.2, p.736-743 米国特許出願07/365715号明細書(publised in NTIS Gazetta) HARKER,L.A., Am. J. Cardiol., 1987年,Vol.60, No.3, p.20B-28B HART,C.E. et al, Biochemistry, 1990年,Vol.29, No.1, p.166-172 6 US1992000438 19920117 WO1992012734 19920806 1994504551 19940526 15 19990107 安川 聡 本発明の開発は、ナショナル・インスチチューツ・オブ・ヘルスのグラント(National Institutes of Health Grants)1P50HL 42270−01,HL 03174-35,HL 41103およびHL 18645の一部分において支持された。政府は本発明においてある種の権利を有する。技術分野本発明は、哺乳動物における血管の損傷後の狭窄を阻止する方法およびそれらの方法において有用な組成物に関する。発明の背景血管壁の平滑筋細胞(SMC)の増殖は、アテローム性動脈硬化症における血管の病変の形成または血管の損傷に対する応答において重要な事象である。アテローム性動脈硬化症の処置は、血管形成、血管内膜切除およびバイパスの手術、アテローム性動脈硬化症のプラークをカテーテル挿入により圧縮または除去する(血管形成)か、あるいは動脈壁から切開によりストリッピング除去する(血管内膜切除)か、あるいは閉塞部位の近接または基部の静脈または動脈を吻合することによってバイパスする(バイパス)外科的手順によりブロックされた血管の清浄化を包含する。これらの手順は血管の内皮を除去し、下に横たわる内膜層を混乱させ、そして中間のSMCを死亡させる。この損傷に引き続いて中間のSMCが増殖しそして内膜の中に移動し、これは特徴的に損傷後の最初の数週内に起こりそして上に横たわる内皮層が再び確立されるとき停止する。血管形成、血管内膜切除またはバイパスの手術により処置される患者の30%〜40%またはそれ以上において、血栓症および/または内膜の中のSMCの増殖は血管の再閉塞およびその結果の血管形成、血管内膜切除またはバイパスの手順の失敗を引き起こす。手術後の血管のこの閉鎖は再狭窄として知られている。SMCの増殖の同様なプロセスは、また、血管の移植片が動脈壁に、ならびに器官の移植片とともに、外科的に接合される肛門周囲の口における血管の移植片において観察され、そして移植片の拒絶反応に寄与することがある。成長因子、例えば、血小板由来成長因子(PDGF)はアテローム性動脈硬化症の班の発生においてある役割を演ずることが仮定された(Rossら、Cell,46:155-169,1986に概観されている)。PDGFは、ヒトおよびヒト以外の霊長類のアテローム性動脈硬化症において発生する病変のすべての段階におけるマクロファージ内で検出された(Rossら、Science,248:1009−1012。1990)。プラークの形成について提案された1つのメカニズムは、SMCの成長を刺激する成長因子の、内皮の露出の部位における、血小板による解放である(RossおよびGlomset,N.Eng.J.Med.,295:369-377,420−425,1976;Ross,Arterosclerosis,1:293-311,1981)。Mooreら(Thrombos.Haemostas.(Stuttg.)35:70,1976)およびFriedmanら、J.Clin.Invest.,60:1191−1201,1977)は、身体に導入されたカテーテルの損傷のモデルを使用して、抗血小板血清の投与により誘発された延長された血小板減少症によるウサギの動脈中の実験的に誘発された内膜の病変の形成を報告した。また、SMCはそれら自体PDGFを生成することができ、PDGFはオートクリンのメカニズムを通して病変の発生を刺激することが仮定された(Rossら、前掲;Walkerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,83:7311−7315,1986)。Fingerleら(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,86:8412−8416,1989)は、血小板減少症のラットにおける内膜の病変の形成を研究し、そして血小板はバルーンの損傷後の初期のSMCの増殖においてある役割を演じないが、内膜の中へのSMCの移動を調節することがあると結論した。現在、血小板は、PDGF、形質転換性成長因子のアルファおよびベータ(TGFαおよびTGFβ)、インスリン様成長因子(IGF−I)および血小板誘導内皮細胞成長因子を包含する、ある数の成長因子を解放することが知られている。しかしながら、特定の1または2以上のミトゲンが動脈の病変の発生の原因となることを証明する直接の証拠は存在しなかった。血管形成、血管内膜切除またはバイパスの手術による処置によるアテローム性動脈硬化症のプラークの除去は制限された効能を有し、そして再狭窄のための有効な処置は開発されてきていない。したがって、この分野において、血管の損傷、例えば、バルーンカテーテル挿入、血管内膜切除またはバイパスの手術後に、ならびに血管の移植片および器官の移植片の中の血管の狭窄を減少または防止する方法が要求されている。本発明はこのような方法を提供し、そして他の関係する必要性を満足する。発明の開示本発明は、血管形成、血管内膜切除、バイパスの手術(動脈のバイパスの手術を包含する)またはアテローム性動脈硬化症のプラークを血管から除去する他の手順を包含する、血管の狭窄を阻止する方法を提供する。これらの方法は、一般に、有糸分裂誘発および/または平滑筋細胞の移動を阻止するために十分な量の抗成長因子抗体を哺乳動物に投与することを含んでなる。好ましい実施態様の範囲内において、抗体は抗線維芽成長因子抗体または抗血小板誘導成長因子抗体である。モノクローナル抗体は好ましい。関係する面において、本発明は、哺乳動物に再狭窄を阻止するために十分な量の抗成長因子抗体を投与することを含んでなる、哺乳動物における血管形成、血管内膜切除およびバイパスの手術後の再狭窄を阻止する方法を提供する。抗線維芽成長因子抗体および抗血小板誘導成長因子抗体を使用することができる。1つの態様において、抗体は血管形成、血管内膜切除およびバイパスの手術の前に投与する。他の態様において、抗体は血管形成、血管内膜切除およびバイパスの手術に引き続いて投与する。なおいずれの場合においても、抗成長因子抗体のパネル、例えば、血小板誘導成長因子のAA,ABおよびBBのイソ型を中和することができる抗体のパネルを使用する。本発明の他の面は、抗線維芽成長因子抗体を哺乳動物に血管形成、血管内膜切除およびバイパスの手術の前に再狭窄を阻止するために十分な量で投与し、そして抗血小板誘導成長因子抗体を哺乳動物に血管形成、血管内膜切除およびバイパスの手術に引き続いて再狭窄を阻止するために十分な量で投与する、血管形成、血管内膜切除およびバイパスの手術後の再狭窄を阻止する方法を提供する。本発明のこれらおよび他の面は、次の詳細な説明および添付図面を参照すると明らかとなるであろう。【図面の簡単な説明】第1図は、5ngの各bFGF,PDGF−BBおよびEGF、および仔ウシ血清(5%)に対して応答する3T3−D1細胞の増殖への抗bFGF抗体の作用を示す。第2図は、抗bFGF抗体または対照(非免疫)抗体で処置した動物においてバルーンカテーテルの露出後41時間における、中間の平滑筋細胞の複製を示す。データは平均+/−SEMを表す。第3図は、ラットの全血血清の中のPDGF活性へのヤギ抗PDGFの作用を示すグラフである。結果は三重反復実験の決定についての平均+/−SEMとして表されている。第4図は、ラットの血小板の解放物質の化学走性的応答の抗PDGFIgG阻止を示すグラフである。試料は次のように識別する:(1),PDGF−AA(5ng/ml);(2),PDGF−BB(10ng/ml);(3),TGF−β(300pg/ml);(4),bFGF(500pg/ml);(5)、ラットの血小板の解放物質(RPR);(6),RPR+500μgの抗PDGF/ml;(7),RPR+1mgの抗PDGF/ml;(8)、非免疫IgG(1mg/ml);および(9)、対照培地。結果は緩衝液の対照より上の細胞の移動における倍数増加(平均+/−SEM)として表す。第5図は、バルーンカテーテルの損傷後8日における内膜の平滑筋細胞の蓄積の阻止を比較して示す1対の写真である。パネルAは非免疫ヤギのIgGを使用する処置を表す;パネルBは抗PDGFIgGを使用する処置を表す。第6図は、バルーンカテーテルの損傷後の内膜の平滑筋細胞の蓄積への非免疫IgGおよび抗PDGFIgGの作用を示すグラフである。測定は内膜の断面積について実施し、そして結果を平均+/−SEMとして表す。第7図は、単一の腹腔内注射の投与(60mg/100g体重)後にヌードラットの血漿からの抗PDGFIgGのクリアランスを示す勾配である。第8A図、第8B図および第8C図は、ヌードラットの右頸動脈のフィラメントのループの損傷に対する内膜および中間の応答への抗PDGFの作用を示す。第8A図は内膜−培地の断面積への作用を描写する;第8B図は内膜の細胞性への作用を描写する;そして第8C図はH−チミジンの組み込みおよびオートラジオグラフィーにより測定した損傷後8日における内膜および中間の増殖への作用を描写する。発明の詳細な説明前述したように、血管の再狭窄は血管形成、血管内膜切除またはバイパスの手術を実施した患者において普通の問題である。再狭窄は外科的手順により損傷された領域における血管の平滑筋細胞の増殖(有糸分裂)および移動の両者を包含するプロセスを経て進行すると信じられる。本発明は、塩基性線維芽成長因子(塩基性FGFまたはbFGF)、酸性線維芽成長因子(酸性FGFまたはaFGF)および/または血小板誘導成長因子(PDGF)の使用により血管の狭窄を阻止する方法を提供する。ここにおいて使用するとき、「血管の狭窄」は、細胞の移動および/または有糸分裂のための内膜の厚さ増加による血管の部分的または完全な遮断を意味する。狭窄の阻止は、細胞の移動、細胞の有糸分裂、または両者を減少または防止することによって、狭窄のプロセスを妨害することを包含すると理解されるであろう。抗成長因子抗体の治療的使用が血管の平滑筋細胞(SMC)の移動および/または有糸分裂を減少することによって、血管の狭窄を阻止することができることを、本発明者らは発見した。本発明の範囲内の有用な抗体は、免疫化および精製の普通の手順により製造することができる。簡単に述べると、精製された成長因子は動物、例えば、マウス、ラット、ウサギまたはヤギに免疫反応を引き起こすために十分な量で投与される。成長因子をアジュバント、例えば、フロインドアジュバントと組み合わせて免疫応答を増強することが好ましい。成長因子の単一の投与は動物において抗原の生産を誘発するために十分であることがあるが、一般に、大量の初期の注射を投与し、次いで1または2以上の促進剤の注射を数週〜数カ月の期間にわたって行うことが好ましい。参照、例えば、Hurrell,J.G.R.編、モノクローナルハイブリドーマ抗体:技術および応用(Monoclonal Hydoma Antibodies:Techniquse and Applications),CRC Press Inc.、フロリダ州ボカレイトン、1982(これをここに引用によって加える)。次いで配合を動物から集め、そして凝固させ、そして抗体を普通の技術、例えば、塩の沈澱、イオン交換クロマトグラフィー、親和クロマトグラフィーまたは高性能液体クロマトグラフィーを使用して血清から単離する。免疫化において使用する成長因子は天然源から調製されるか、あるいは普通の方法、例えば、RainesおよびRoss(J.Biol.Chem.,257:5154−5160,1982),Antoniades(米国特許第4,479,896号),Murrayら(米国特許第4,801,542号、米国特許第4,845,075号および米国特許第4,889,919号)、Bohlenら(FEBS Lett,185:177-181,1985),Barr(WO 90/05184),Fiddesら(WO 87/01728)およびMascatelliら(欧州特許(EP)第226,181号)(それらをここに引用によって加える)により記載された方法に従い遺伝子操作された細胞から調製される。別法において、精製された成長因子は商業的供給会社から入手することができる(例えば、Genzyme Corp.、マサチュセッツ州ボストン;Collaborative Research、マサチュセッツ州ベッドフォード)。本発明の1つの態様において、モノクローナル抗体を使用する。モノクローナル抗体はポリクローナル抗血清に比較して生産が容易でありかつ治療的投与量が少ないという利点を提供する。なぜなら、所望の特異性をもつ抗体のみを使用するからである。モノクローナル抗体を生産する方法はこの分野においてよく知られておりそして、例えば、KohlerおよびMilstein(Nature,256:495,1975:Eur.J.Immunol.,6:511-519,1976)により開示されている。また、参照、Hurrel,J.G.R.編、モノクローナルハイブリドーマ抗体:技術および応用(Monoclonal Hydoma Antibodies:Techniquse and Applications),CRC Press Inc.、フロリダ州ボカレイトン、1982。当業者は理解するように、抗体断片、例えば、Fab断片をまた使用できる。一般に、患者と同系であるか、あるいは同系の一定領域を含有する抗体を使用することが好ましい。この理由で、遺伝子操作した抗体を一般にヒトの処置において使用する。組み換えヒト抗体またはヒト化されたヒト以外の(すなわち、キメラ)抗体を生産する方法は、Cabillyら(米国特許第4,816,567号)、Robinsonら(WO 87/02671)およびNeumaier(WO 90/00616)(これらをここに引用によって加える)により開示されている。簡単に述べると、ヒトの一定領域の遺伝子を適当なヒトまたはヒト意外の変動性の領域の遺伝子に接合する。次いで接合した遺伝子を宿主細胞の中にトランスフェクションし、これらの細胞を普通の手順に従い培養する。別法において、モノクローナル抗体を生産する細胞をクローニングしたヒトの一定領域の遺伝子でトランスフェクションし、そしてキメラの抗体遺伝子を相同性の組み換えにより発生させる。こうして、構造体の有意の部分がヒトであるモノクローナル抗体をアセンブリングし、これによりヒトの患者への多数回の投与にいっそう適当な抗体を得ることができる。本発明において、中和性抗体を使用することが好ましい。「中和性抗体」は、ここにおいて使用するとき、in vitro試験系において抗原の生物学的活性の本質的にすべてをブロックするために十分な抗体の量を表示する。適当なin vitro試験系は、なかでも、有糸分裂誘発アッセイおよびリセプター結合アッセイを包含する。例えば、200μg/mlのここに記載するポリクローナル抗PDGFIgGは、2ng/mlのPDGFの二量体の形態の各々のミトゲンおよび化学走性の活性をブロックすることができる。当業者は理解するように、所定量の抗原を中和するために必要な抗体の量は、抗体の特異性および親和性のような因子に依存するであろう。PDGFはその成分の鎖(A鎖およびB鎖として知られている)の3つの可能な二量体の組み合わせ(イソ型)の混合物であるので、本発明において使用する抗PDGF抗体は好ましくはすべての3つのイソ型(AA,BBおよびAB)を中和することができる抗体のパネルである。モノクローナル抗体は好ましい。イソ型特異的抗PDGFモノクローナル抗体をつくる方法はHartら(米国特許出願第07/139,960号;Biochemistry,29:166-172,1990)により開示されている。イソ型特異的抗PDGFモノクローナル抗体を生産するハイブリドーマは、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection)米国マリイランド州ロックビレに、受け入れ番号HB9610,HB9611,HB9612およびHB9613で受託された。抗FGF抗体および抗PDGF抗体は、組み合わせであるか、あるいはオーバーラップするか、あるいは順次のスケジュールで投与することができる。組み合わせで使用するとき、抗体は一般に手術の前に投与しそして手術後数時間〜数日の間隔で1〜2週またはそれ以上の過程にわたって続ける。多くの場合において、病院にいるとき毎日添加し、次いで外来患者の処置の期間の間に頻度が低いボーラスの注射を行うことが好ましいであろう。別法において、抗FGF抗体を、手術の前に、単独であるいは抗PDGF抗体と組み合わせて投与し、そして患者を前述したように手術後抗PDGF抗体で処置する。抗体の投与量は、前述したように、中和の基準に基づいて選択する。投与量のレベルは、血液からの抗体のクリアランスの決定後、中和のデータから計算する。一般に、解放された成長因子を中和するために十分な抗体の循環するレベルを維持するという目標をもって、投与量は選択される。一般に、投与量は約20μg〜600mgまたはそれ以上の抗体/kgの患者の体重、好ましくは0.1mg〜20mg/kg、より好ましくは約1mg〜10mg/kgの範囲である。2またはそれ以上の抗体を組み合わせて投与する場合、多少より高い投与量を必要とすることがある。本発明において使用するために、抗成長因子抗体を普通の手順に従い注射可能な組成物に配合し、そして無菌の容器の中に包装する。抗体を適当な希釈剤、例えば、無菌の生理食塩水または無菌の水と組み合わせることができる。抗体の組成物は、さらに、担体、安定剤および賦形剤、例えば、糖(例えば、マンニトール)またはアルブミンを含有することができる。別法において、抗体は凍結乾燥した形態で提供し、そして使用前に適当な希釈剤の中で再構成することができる。これらの組成物は単一のまたは多数の投与形態で、例えば、密封したアンプルまたはバイアルの形態で包装することができる。パッケージは1つの抗体、抗体の混合物(例えば、抗PDGFおよび抗bFGF)または個々の抗体の組み合わせを別々の容器または隔室の中に含有することができる。血管の移植片における狭窄を阻止するために、抗成長因子抗体を移植片にそれらの一定領域を通して共有結合するか、あるいは遅く解放性の配合物で移植片の中に組み込むことができる。次の実施例によって、本発明をさらに説明する。これらの実施例は本発明を限定しない。実施例実施例1雄のニュージーランドウサギ(体重3kg)を組み換えヒトbFGF(医薬の等級;Synergen,Inc.、コロラド州ボウルダー、から入手した)で免疫化した。免疫化は120μgのbFGFをフロインドアジュバント(Sigma Chemical Co.、ミゾリー州セントルイス)と組み合わせて皮内注射することによって実施した。促進剤の免疫化(60μgのbFGF、皮内)を3週後に与え、そして内膜血清を最初の免疫化後5週に得た。内膜血清のIgG分画をプロテインGセファロース(Sepharose)(Pharmacia LKB、スウェーデン国ウップサラ)を使用するクロマトグラフィーにより得た。免疫前の血清は免疫化前のウサギから得た。抗bFGFIgGの特異性を有糸分裂誘発アッセイにおいて3T3−D1細胞(スイスマウス3T3の線維芽のサブクローン)について試験した。細胞を4×104細胞/ウェルの密度で24ウェルのトレーの中で10%の仔ウシ血清を補充したダルベッコ変性イーグル培地中でプレートした。3日後、細胞はコンフルエンスに到達し、そして追加の2日間0.5%の仔ウシ血清を含有する培地中のインキュベーションにより休止の状態にした。組み換えPDGF−BB(Murrayら、米国特許第4,845,075号、引用によってここに加える、に本質的に開示されているように酵母菌の中で調製した)、EGF(培養等級;Collaborative Research、マサチュセッツ州ベッドフォード)およびbFGFを37℃において100μg/mlの抗bFGFIgGまたは免疫前のIgGと10分間前インキュベーションした。次いで、休止の細胞を5ngの成長因子または5%の仔ウシ血清の存在下に20時間インキュベーションした。細胞のDNA(1μCi/ml、1×105細胞/ウェル)の中への〔3H〕−チミジン(6.7mCi/mmol,DuPont−New England Nuclear)の組み込みを、2時間のパルス後、液体シンチレーションカウンターの中で測定した。第1図に示すように、抗bFGFIgGはbFGFのミトゲン作用を中和したが、PDGF、EGFまたは仔ウシ血清に対するミトゲン応答を有意に減少しなかった。この抗体は、また、イムノブロットアッセイにおいて酸性線維芽成長因子と交差反応を示さず、そして露出された動脈への初期の血小板の付着に対する作用をもたなかった。雄のスプレイク−ダウレイ(Spraque-Dawley)ラット(月齢3.5、体重350〜400g)をタイラー・ラボラトリーズ(Tyler Laboratories)(ワシントン州ベレブエ)から入手した。動物を0.06mg/kgのフェンタニル(Innovar-Ver,Pitman-Moore、イリノイ州ムンデリエン)の初期の筋肉内注射で麻酔し、そして必要に応じて追加の注射を行った。末端の左の総および外部の頸動脈を首の中線の創傷を通して露出した。Fingerleら(Arteriosclerosis,10:1082,1990)およびLindnerら(Lab.Invest.,61:556,1989)により本質的に記載されているように、フィラメントのループを使用して、左総頸動脈から内皮を取り出した。モノフィラメントの縫合糸のループを、ポリエチレンのチューブから作られたトロカールを経て、左の外部の頸動脈の中に導入した。この装置をトロカールを通して総頸動脈の中に押し込み、次いで一定回転で頸動脈に沿って着実に引き戻した。抗bFGF抗体(10mg/動物)を尾静脈を経て投与した。フィラメントのループで露出後5分に、同一の動脈のバルーンカテーテルの露出を本質的にClowesら(Lab.Invest.,49:327,1983)記載されているように実施した。2つのフレンチバルーンカテーテルを外部の頸動脈を通して導入し、そして生理食塩水で十分に拡張したバルーンで総頸動脈を3回通過させて、わずかの抵抗を発生させそして頸動脈それ自体の拡張を生成した。外部の頸動脈をカテーテルの除去後結紮し、そして創傷を閉じた。手術後、抗bFGF抗体(2.5mg/動物)の5回の追加の静脈内注射を4時間の間隔で実施した。対照動物は、合致する濃度の非免疫IgGを同一回数注射する以外、同一の方法で処置した。バルーンカテーテルの損傷後24,32および40時間に、すべての動物をトリチウム化チミジン(50μCi/100g体重)を注射した。注射後41時間に、動物を灌流−固定した。簡単に述べると、動物を麻酔し、そしてナトリウムペントバルビタールの注射により殺した。カテーテルを頸動脈の中に入れ、そして動物をリンゲル乳酸塩溶液で灌流し、次いでカコジレート緩衝液中の2%のグルタルアルデヒド、1%のパラホルムアルデヒドで生理学的圧力で5分間固定した。露出した頸動脈を切除し、そしてさらに灌流に使用したのと同一の固定液の中の浸漬により固定した。組織の試料を断面切片標本作製のためにパラフィンの中に埋め込んだ。1μmの断面切片をコダックNTB乳剤の中に浸漬し、4℃で2週間貯蔵し、そしてコダックD19現像剤で現像した。これらの条件下に、バックグラウンドは無視できた。油浸漬下に細胞を計数することによってチミジンの指数を決定した。第2図に示すように、中間のSMCの増殖は抗bFGF抗体を与えた動物において有意に減少した(1.5%/対照における7.6%)。実施例2バルーンカテーテルの損傷を実施例1に記載するようにラットにおいて誘発した。動物の各々に10mgの抗bFGFIgGまたは非免疫IgGを手術前に1回注射した。手術後の抗体の投与を省略した。すべての他の手順は実施例1に記載するように実施した。第1図に示すように、中間のSMCの増殖は損傷前の抗bFGF抗体の1回の注射により減少した(1.4%/対照における16.8%)。実施例3ヤギの抗血清を精製したヒトPDGFに対してレイズさせた(RainesおよびRoss、前掲)。ほぼ75μgの6回の注射を2週の間隔で与えた。初期の注射は完全フロインドアジュバントを使用して実施し、そして引き続く注射は不完全フロインドアジュバントを使用して実施した。すべての注射は10〜15部位に皮下的に与えた。最初の陽性の出血は最初の注射後3月であった。抗体は動物の血漿瀉血により大量の抗体の頻繁な収集を可能とし、そして血小板からの内因性PDGFの解放を防止することによって得た。これらの研究において使用した抗体のすべては350μgのPDGFの追加の注射後に獲得し、これにより血清力価の5〜20倍の増加を生じた。動物の典型的な力価は、1:320の血漿の希釈で3T3細胞上の2ng/mlの精製したPDGFのミトゲン活性を除去した。血漿の18%の硫酸ナトリウムの沈澱および引き続くDEAE−セファロースのクロマトグラフィーにより、IgG分画を得た。同一手順により、正常のヤギIgGを調製した。両者の調製物のタンパク質濃度をLowryら(J.Biol.Chem.,193:265,1951)の方法により決定した。3つの異なる方法を使用して抗PDGF抗体の特異性を評価した;インスリン、EGF、血小板因子4、β−トロンボグロブリン、FGF、TGF−βおよびTGF−αを包含する、125I−試験物質の免疫沈澱;インスリン、EGF、FGFおよびIGF−1を使用する実施例1に記載するような3T3細胞上の試験試料のミトゲン活性の阻止;および種特異性を評価するPDGF競争活性の阻止、ここにおいてPDGFラジオリセプターのアッセイにおいてほぼ75%の競争を生じた血清濃度(Bowen-PopeおよびRoss,Methods Enzymol.,109:69-100,1985、に本質的に記載されているように実施した)を、3T3細胞への添加前に、400μg/mlの抗PDGFIgGと37℃において1時間前インキュベーションした。抗PDGFは二量体の形態のPDGFのみを免疫沈澱させ、そして二量体の形態のPDGFのミトゲン活性のみを中和した。ヒト、ブタ、イヌ、ウマ、マウス、ラット、ニワトリ、ウサギおよびヒト以外の霊長類からの血清中のPDGF競争活性は抗PDGFにより完全に中和された。抗PDGFはラットの全血の血清の中に存在するPDGF結合競争活性を50μg/mlにおいて完全に中和した(第3図)。ラットの全血の血清(WBS)の中のPDGF結合活性を、標的細胞としてヒト包皮線維芽(SK5細胞)および標準としてPDGF−ABを使用するラジオリセプターアッセイにより評価した(Bowen-PopeおよびRoss,Methods Enzymol.,109:69,1985)。一定量のラットWBS(25容量%、これは2.5ngのPDGF−BB/mlに等しい)を、ラジオリセプターアッセイによる評価前に、増加する濃度の抗PDGFとインキュベーションした。125I標識したPDGF−ABの特異的結合を各試料について決定し、そしてデータを抗PDGFIgGの不存在下にラットWBSの中のPDGF競争活性の中和%として表した。さらに、抗PDGFはラット平滑筋細胞によるPDGF誘発〔3H〕チミジンの組み込みを実質的に防止し、そしてラット血小板解放物質のミトゲン活性の50%を阻止した(Fernsら、Am.J.Pathol.,138:1045,1991)。抗PDGFは、また、精製したPDGFへのラット頸動脈平滑筋細胞の化学走性を阻止し、そしてラット血小板開放物質の中の化学走性活性の大部分を阻止した(第4図)。対照的に、対照の培地、非免疫IgGおよびPDGF−AAは化学走性活性を示さなかった(第4図)。抗体のin vivoの投与量のレベルを決定するために、抗PDGFのクリアランスを評価した。酵素結合免疫収着アッセイ(ELISA)により決定した抗PDGFで処置したラットにおける血漿抗体濃度は、30時間後に、50%だけ減少し、そして抗PDGFIgGの毎日の腹腔内投与(60mg/100g体重)は実験の9日の期間の間1000μg/mlの血漿濃度を維持した。これらの濃度において、血小板の計数および補体レベルへの有意な効果は存在せず、そしてラット血小板解放物質へのin vitro化学走性は完全に阻止された(第4図)。月齢4〜5のホモ接合体のヌードラット(ほぼ200gの体重)を、ナショナル・インスチチューツ・オブ・ヘルス(マリイランド州ベセスダ)から入手し、そして病原体不含の設備の中に収容した。ヤギ抗PDGFまたは非免疫ヤギIgGを、手術の前日に、腹腔内注射により投与した。600mg/100g体重の抗体投与量は、投与後24時間に1.5〜2mg/mlの抗体レベルを活性化するために十分であった。手術の日に、動物をケタミンおよびロンプン(Rompun)を使用して麻酔し、そして両者の総頸動脈に2フレンチ塞栓切除カテーテルを使用してバルーンカテーテルを挿入した。手術の手順の間および殺すとき血液試料を採って、各動物における抗体の循環する血液レベルを決定した。動物を手術後8日に殺した。殺す前の17,9および1時間に、動物に〔3H〕−チミジン(50μCi/100g)を注射して、増殖する内膜および中間の細胞を標識した。殺すとき、動物をケタミンおよびロンプンで麻酔した。血液を抗体レベルのために採り、そして動物にエバンスブルーを注射した。10〜15分後、頸静脈を灌流のために分離し、カニューレを腹大動脈の中に導入した。動物に致死的投与量のナトリウムペントバルビタールを注射し、次いでリンゲル乳酸塩溶液で灌流し、そして4%のパラホルムアルデヒドでin situ固定した。両者の頸動脈を3つのセグメントに分割し、病変の均一性を評価できるようにした。バルーンカテーテルの脱内皮前後の抗PDGFの投与は、新内膜の厚さおよび細胞含量を減少した(第5図)。各実験群における19匹の動物の新内膜の定量的映像分析は、抗PDGFの投与が新内膜の面積の40.9%の減少を生じたことを証明した(P<0.01、両側検定による)(第6図)。実施例4抗ヒトPDGFポリクローナル抗体を、実施例3に一般に記載するようにして得た。簡単に述べると、ヤギをフロインド不完全アジュバントの中に乳化した古くなったヒト血小板(RainesおよびRoss、前掲)から精製したPDGFで免疫化し、そして2週毎に3カ月間皮下投与した。いったん力価が確立されたとき、不完全フロインドアジュバント中のPDGFの周期的促進で毎週血漿瀉血により血漿を集めた。硫酸ナトリウムの沈澱およびDEAE−セファセル(Sephasel)(Pharmacia、ニュージャージー州ピスカタウェイ)のカラムクロマトグラフィーにより、濃縮されたIgG分画を調製した。0.01Mのリン酸塩緩衝液(pH6.8)で溶離して、精製されたIgGを得た。プールした空隙体積およびpH6.8の洗浄液を限外濾過(PM−10,Amicon Corp.、マサチュセッツ州デンバース)により濃縮しそしてLowryら(J.Biol.Chem.,193:265,1951)の方法により決定して、ほぼ60〜90mg/mlのタンパク質濃度にリン酸塩緩衝液に対して透析した。ウシ血清アルブミンを標準として使用し、そして補正係数を免疫グロブリンについて適用した(Klosseら、Clin.Chim.Acta,32:321,1971)。使用前、IgGを0.22μmのフィルター(Millipore、マサチュセッツ州ベドフォード)を通して滅菌濾過し、そして4℃で貯蔵した。非免疫ヤギIgGを同一方法に従い、商業的に入手可能なヤギ血漿を使用して調製した。抗体の特異性を実施例3に記載するのと同一方法で評価し、同一の結果が得られた。ホモ接合体のヌードラット(nu/nu)(Fernsら、Am.J.Paht.,138:1045,1991)をナショナル・インスチチューツ・オブ・ヘルス(マリイランド州ベセスダ)における育種コロニーから入手し、そして病原体不含の設備の中に収容した。動物が20〜24の週齢(250〜350g)になったとき、単一投与量の抗PDGF抗体(60mg/100g体重)を動物に腹腔内投与した。次いで、ほぼ0.38%のクエン酸ナトリウム(最終濃度)を含有する管の中に種々の時間に血液試料を抜き出した。血漿を分離し、そしてELISAにより分析するまで−20℃で貯蔵した。マイクロタイタープレート(96ウェル、Nunc)を10ngのPDGF−AB/ウェルで18時間の間コーティングした。PBS中の2%のウシ血清アルブミン(Sigma Chemical Co.、ミゾリー州セントルイス)/0.2%のツイーン20で37℃において1時間の間ブロッキングすることによって、非特異的タンパク質結合を減少した。標準および試料の希釈物を、ラット血漿誘導血清およびPTB(PBS中の0.05%のツイーン20/0.2%のウシ血清アルブミン)の1:16混合物の中で調製した。既知濃度の抗PDGFIgGの試料または標準の100μlのアリコートを、ウェルの中で37℃において90分間インキュベーションした。プレートを洗浄緩衝液(0.05%のツイーン20/0.9%のNaCl)の中で5回洗浄し、次いでPTB中の100μl/ウェルの1:1000ビオチニル化抗ヤギIgG(Tago Diagnsotics、カリフォルニア州バーリンゲイム)と37℃において60分間インキュベーションした。結合しない二次抗体を洗浄緩衝液の中ですすぎ、次いでアビジン/ビオチニル化ペルオキシダーゼとインキュベーションすることによって除去した。基質(o−フェニレンジアミン、Sigma Chemical Co.)を0.05Mのクエン酸塩/0.1MのNa2HPO4(pH5.0)中に溶解し、そして室温において15分間インキュベーションした。この反応を4N硫酸の添加により停止させ、そして反応生成物の吸収を490nmにおいて読んだ。腹腔内注射した抗PDGFIgGはほぼ24時間の半減期を有した(第7図);ピークのレベルは投与後10時間に得られた。この研究に含めたすべての動物は頸動脈の損傷および殺す時間に1000μg/mlを越える抗PDGFの血漿レベルを有した;大部分は2000μg/mlより大きいレベルを有した。手術および殺す時間における血小板の計数は抗PDGF抗体の処置により影響を受けなかった。クリアランスのデータに基づいて、抗体の毎日の腹腔内注射は、ラットの血清の中に含有されるPDGFの作用を実質的に防止するために必要なレベルよりほぼ10〜20倍高く抗体レベルを維持することが発見された。抗体のプライミング投与後のほぼ18時間に、ラットを腹腔内投与のキシラジン(Rompun,Miles Laboratory Inc.、シャウニー、KA;40mg/kg)およびケタミン(Vetalar、ニュージャージイ州パーク−デイビス;10mg/kg)で麻酔し、そして右頸動脈の分岐を近正中の切開で露出させた。内皮をナイロンのフィラメントで除去した(Fingerleら、Arteriosclerosis,10:1082,1989)。血液試料を手術中に採り、0.38%のクエン酸ナトリウムで凝固防止し、そして血漿を1000×gの遠心により分離するまで氷上に保持し、そして−20℃で貯蔵した。この試料をELISA法を使用する手術の時における血漿抗PDGFレベルの決定のために使用した。バルーンカテーテルの脱内皮後、皮膚および深い筋膜を金属のクリップで閉じた。次いで各動物にさらに抗PDGF(n=19)または非免疫IgG(n=16)を手術後に注射し、次いで殺すまでに毎日注射した。細胞を標識するために、殺す17、9および1時間前に、各動物に60μCi/100gの3H−チミジン(New England Nuclear、マサチュセッツ州ボストン)を注射した。手術後8日に、動物をキシラジンおよびケタミンで麻酔した。両者の頸静脈を露出させ、そして近正中の腹の切開を実施して、カニューレの挿入のための大動脈をアクセスした。血漿抗PDGF免疫グロブリンのレベルの決定および血小板の計数のために、カニューレから血漿試料を採った。次いでカニューレを灌流装置に接続した。動物に致死的投与量のナトリウムペントバルビタールを与え、頸静脈を切断し、そして動物を流出液が透明となるまで、120mgHgの圧力においてリンゲル乳酸塩溶液で灌流した。次いでこれを等張PBS(pH7.4)の中で4%のパラホルムアルデヒドと交換し、これを同一圧力において15分間灌流した。in situ固定後、頸動脈を分離し、そして付着脂肪および結合組織を切除した。中央の頸動脈セグメントをパラフィンの中に埋め込んだ。頸動脈の5ミクロンの切片をNTP-2写真乳剤(Kodak、ニューヨーク州ロチェスター)の中に浸漬した(Clowesら、Lab.Invest.、49:327,1983)。オートラジオグラフを14日間4℃において光を通さない箱の中で露出し、次いでコダックD−19現像液を使用して現像し、そしてコダックの急速定着液で定着した。細胞核をヘマトキシリンで染色した。核より上の5個より多い銀粒子をもつ細胞は陽性と考えた。各頸動脈の2レベルからの二重反覆実験の切片を油浸漬下にツアイス・アキソスコップ(Zeiss Axioskop)顕微鏡を使用して100×の倍率で検査した。ほぼ600個の細胞/壁の隔室が、標識した細胞の個体数の決定のために計数された。内膜および中間の断面積を、ライツ(Leitz)の顕微鏡(25×の対物レンズ、ディジタル化パッドおよびIBM PC,Vids−Vソフトウェア(Ai Cambridge、英国パプワース)をもつ、を装備した)から成る映像分析システムを使用して測定した。群の平均の比較をマン−ウィトネイ(Mann-Whitney)U検定により実施した。損傷後8日に、ナイロンフィラメントのループによる頸動脈の損傷は厚くなった内膜を生じ、これは(対照動物において)頸動脈の合計の断面積のほぼ1/5を構成した。新内膜の細胞性および内膜:中間の断面積は、対照動物に比較して抗PDGF抗体処置した動物(第8A図および第8B図)において、それぞれ、33.2%o(p<0.025)および33.8%(p<0.025)だけ減少した。ループの損傷は新内膜細胞において顕著な増殖の応答を誘発した。損傷後8日に、内膜細胞のほぼ30%はチミジンで標識された。この時までに、中間の細胞の増殖はほぼ2%に低下した。内膜の厚さ増加および細胞性へのその作用と対照的に、抗PDGF抗体は内膜および中間の細胞の増殖に有意の作用をもたなかった(第8C図)。実施例5正常の雄のスプレイク−ダウレイ(Spraque-Dawley)ラットをエーテルで麻酔しそして、正常のヤギIgGまたはヤギ抗PDGFIgGを有するリン酸塩緩衝液(PBS)で腹腔内注射した。投与の体積は9ml/kgであり、そしてIgGの投与量は600mg/kgであった。抗PDGFおよび正常のIgGの両者は実施例3および4に記載するように調製した。最初の注射後24時間に、動物をケタミン/キシラジンで麻酔し、そして両者総頸動脈を生理食塩水充填した、サイズ2のフレンチバルーンカテーテルの3回通過により損傷した。PBSおよびIgGの他の注射をカテーテル挿入直後に与えた。それ以上の注射をカテーテル挿入後1,2および3日にエーテル麻酔下に与えた。カテーテル挿入第4日に、動物をナトリウムペントバルビタールの注射により殺し、次いでリンゲル緩衝液で灌流して放血した。左総頸動脈を生化学的分析のために取り出した。右総頸動脈を120mmHgにおいてカイ(Chi)固定液(リン酸塩緩衝液中の2%のグルタルアルデヒド、1%のパラホルムアルデヒド)で灌流した。この血管は前向きの走査型電子顕微鏡検査のために調製した。別の手順において、正常のスプレイク−ダウレイ(Spraque-Dawley)ラットをケタミン/キシラジンで麻酔し、そして両者総頸動脈をフィラメントのループのカテーテルを使用して内皮露出した。PBS、ウサギ抗塩基性FGF IgG、または正常のウサギIgGを1.34ml/ラットの投与体積で静脈内注射した;IgGの投与量は10mg/ラットであった。抗塩基性IgGおよび正常のウサギIgGの両者は実施例1に記載するようにして調製した。注射後5分に、両者の総頸動脈を生理食塩水充填した。サイズ2のフレンチバルーンカテーテルの3回通過により再び損傷した。さらにPBS、抗塩基性FGFおよび正常のIgG(0.67ml/ラット;5mgのIgG/ラット)をカテーテル挿入後1,2および3日にエーテル麻酔下に注射した。カテーテル挿入第4日に、動物をナトリウムペントバルビタールの注射により殺し、次いでリンゲル緩衝液で灌流して放血した。左総頸動脈を生化学的分析のために取り出した。右総頸動脈を120mmHgにおいてカイ(Chi)固定液(リン酸塩緩衝液中の2%のグルタルアルデヒド、1%のパラホルムアルデヒド)で灌流した。この血管は前向きの走査型電子顕微鏡検査のために調製した。上の手順からの血管を縦方向に開き、そしてテフロンのカード上のピンで取り出した。それらをエタノール系列を通して脱水し、次いで臨界点ドライヤーの中で二酸化炭素の臨界点において乾燥した。乾燥した標本をアルミニウムのスタブにコロイド状銀ペーストで取り付けた。金/パラジウムでスパッターコーティングした後、標本をJEOL35C走査型電子顕微鏡の中で15kVの加速電圧および86倍の倍率で検査した。目盛り付きのグリッドを有するアセテートのシートを顕微鏡のスクリーン上に配置した。グリッドの各正方形は、標本上の4133μm2に相当する、81mm2の面積を有した。標本の合計の面積および内膜の平滑筋細胞で占有された面積を正方形を計数することによって決定した。平滑筋細胞の移動の程度を、平滑筋細胞により占有された合計の内膜面積の百分率として表す。結果を表1および表2に示す。表1に示すように、PBSと正常のIgGの群の間に有意差は存在しないが、抗PDGFIgGを使用する処置は移動の程度を79.0%(p<0.01)だけ減少した。表2に示すように、PBSと正常のIgG処置群の間に有意差は存在しないが、抗PDGFIgGを使用する処置は平滑筋細胞の移動の程度を80.3%(p<0.01)だけ減少した。以上から理解されるように、本発明の特定の実施態様を例示の目的で記載したが、種々の変更を本発明の精神および範囲から逸脱しないでなすことができる。したがって、本発明は添付する請求の範囲による以外は限定されない。 抗−酸性線維芽細胞成長因子抗体(抗aFGF抗体)又は抗−塩基性線維芽細胞成長因子抗体(抗bFGF抗体)を含んで成る、哺乳動物における血管形成、血管内膜切除又はバイパスの手術後の再狭窄を阻止するための組成物。 前記抗体がモノクローナル抗体である、請求項1に記載の組成物。 前記抗体が抗bFGF抗体である、請求項1に記載の組成物。 前記抗体が抗aFGF抗体である、請求項1に記載の組成物。 前記組成物が前記抗成長因子抗体のパネルからなる、請求項1〜4の何れか1項に記載の組成物。 前記抗成長因子抗体のパネルが、抗bFGF抗体又は抗aFGF抗体と、抗−血小板由来成長因子抗体(抗PDGF抗体)とのパネルから成る、請求項5に記載の組成物。


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