タイトル: | 特許公報(B2)_サリチル酸配合製剤 |
出願番号: | 1992073013 |
年次: | 2004 |
IPC分類: | 7,A61K31/60,A61K9/06,A61K47/16,A61K47/34 |
内野 泰秀 木村 重男 高橋 洋明 馬場 貴代子 深堀 勝博 JP 3571730 特許公報(B2) 20040702 1992073013 19920226 サリチル酸配合製剤 ゼリア新薬工業株式会社 000108339 内野 泰秀 木村 重男 高橋 洋明 馬場 貴代子 深堀 勝博 20040929 7 A61K31/60 A61K9/06 A61K47/16 A61K47/34 JP A61K31/60 A61K9/06 A61K47/16 A61K47/34 7 A61K 31/60 A61K 9/06 A61K 47/16 A61K 47/34 CAPLUS(STN) 特開平05−148148(JP,A) 2 1993229949 19930907 10 19990127 瀬下 浩一 【0001】【産業上の利用分野】本発明はサリチル酸を配合した製剤に関する。さらに詳しくは、高濃度のサリチル酸の配合をも可能としサリチル酸の皮膚浸透性を高め、かつ使用感を向上させた外用製剤に関する。【0002】【従来の技術】サリチル酸は微生物に対して抗菌性があり、また角質軟化作用を有することから乾せん、白せん(小水疱性白せん、汗疱状白せん、頭部浅在性白せん)、癜風、湿疹、角化症等の皮膚疾患の治療用外用剤として軟膏剤及び外用液剤として利用されている。【0003】サリチル酸を配合した軟膏剤には、ポリエチレンを重質流動パラフィン中にゲル化させた基剤であるプラスチベースを用いたもの、ワセリン中にサリチル酸を分散させたもの及びサリチル酸の溶解性が比較的高いマクロゴールを基剤として用いたものが市販されている。【0004】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、プラスチベースやワセリンを用いたサリチル酸配合軟膏剤は使用時にサリチル酸の結晶によるざらつき及び基剤自体のべたつきがあり使用感が著しく悪く、またサリチル酸の皮膚への移行は非常に少なく十分な角質軟化作用が得られない。また、マクロゴールを用いた軟膏ではマクロゴールのサリチル酸に対する親和性が強いため、サリチル酸は皮膚面にごく一部しか移行せず、マクロゴール自体べたつきがあり満足できる使用感は得られないなどの問題を有していた(今日の皮膚外用剤、1981年、第6号、軟膏剤、南山堂)。【0005】【課題を解決するための手段】本発明者らは、前述の問題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、溶解補助剤としてクロタミトンを配合し、非イオン性界面活性剤を用いることにより高濃度のサリチル酸の配合をも可能としサリチル酸の皮膚浸透性を高め、かつ使用感を向上させることを見いだし本発明を完成した。さらに、本発明のサリチル酸配合製剤は水溶性高分子物質を配合することにより、長期間の保存を可能とすることができた。【0006】即ちサリチル酸の溶解性をクロタミトンの添加により高め、耐酸性に優れた非イオン性界面活性剤を配合することによって、安定な外用製剤を提供することが可能であり、さらに必要に応じ水溶性高分子物質を配合することにより保存の安定性は著しく向上する。【0007】本発明に用いるクロタミトンは、N−エチル−O−クロトノトルイジンで、通常、鎮痒薬として用いられる。本発明に用いる非イオン性界面活性剤はポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル類が挙げられ、これらは単独または2種以上組み合わせて配合することができる。本発明に用いる水溶性高分子物質はキサンタンガム、ローカストビーンガム、トラガントガム、グアーガム、カラギーナン、ゼラチン、アラビアゴム、ペクチン、アルギン酸、寒天、カゼイン、アルブミン、タマリンドシードガムなどが挙げられ、これらは単独または2種以上組み合わせて配合することができる。本発明のサリチル酸配合製剤は、サリチル酸を 0.1〜20.0 W/W%、クロタミトンを 1.0〜20.0 W/W%、非イオン性界面活性剤を 1.0〜20.0 W/W%、水溶性高分子物質を0〜5.0W/W%の割合で配合される。本発明のサリチル酸配合製剤は、一般的な軟膏剤などの製造法によって製することができる。本発明のサリチル酸配合製剤は、クリーム剤、歯磨き剤などの乳剤性軟膏とすることが好ましい。【0008】本発明のサリチル酸配合製剤は、目的に応じてクロトリマゾール等の抗菌剤、ソルビトール、グリセリン、尿素、プロピレングリコール等の保湿剤、アスコルビン酸ナトリウム、酢酸トコフェロール、トコフェロール、塩酸ピリドキシン等のビタミン類、抗炎症剤としてグリチルレチン酸等、局所麻酔剤としてリドカインや塩酸ジブカイン、抗ヒスタミン剤として塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェニルピラリン、ジフェンヒドラミン等の薬効成分や、歯磨き用リン酸水素カルシウム、沈降炭酸カルシウム、無水ケイ酸等の歯磨き用添加剤、エデト酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等の安定化剤、エタノール、メチルエチルケトン等の溶剤、パラフィン、セタノール、パルミチン酸イソプロピル、ステアリルアルコール、ミリスチン酸ミリスチル等の基剤、メントール、ボルネオール等の清涼化剤及び香料等の添加剤も加えることができる。このようにして得られたサリチル酸配合製剤は後述のごとく基剤のべたつきもなく良好な使用感を得ることができ、かつサリチル酸の皮膚への浸透性もマクロゴール、プラスチベース、ワセリンなどを用いた従来の軟膏剤に比較して著しく良好であった。【0009】【実施例】本発明を詳細に説明するために以下に実施例、比較例及び対照例を挙げるが、本発明はこれによって限定されるものではない。【0010】実施例1サリチル酸5g、尿素5g、グリチルレチン酸1g、クロタミトン10g、リドカイン 0.5g、ポリオキシエチレン(2)セチルエーテル2g、ポリオキシエチレン(23)セチルエーテル3g、セタノール10g、固形パラフィン8g及び軽質流動パラフィン3gを均一に加熱溶解し、熱水を加え 100gとし、攪拌、乳化した後冷却し均一なエマルジョンとし、アルミニウムチューブに充填しクリーム剤とした。【0011】実施例2サリチル酸1g、歯磨き用リン酸水素カルシウム40g、沈降炭酸カルシウム5g、クロタミトン2g、ポリオキシエチレン(2)ステアリルエーテル2g、ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル3g、カルボキシメチルセルロース1g、ソルビトール液(70%)25g及び流動パラフィン1gに熱水を加え 100gとし攪拌乳化した後、冷却し均一なエマルジョンとし、アルミニウムチューブに充填し歯磨き剤とした。【0012】実施例3サリチル酸 0.2g、酢酸d−αトコフェロール2g、塩酸ピリドキシン 1g、クロタミトン3g、ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル 3.9g、ポリオキシエチレン(25)ラウリルエーテル 3.1g、セタノ−ル9g、固形パラフィン8g、ラノリン 3.5g、エデト酸ナトリウム 0.5g及び軽質流動パラフィン 2.5gを均一に溶解し、キサンタンガム 0.3gを溶解した熱水を加え 100gとし、攪拌、乳化した後冷却し均一なエマルジョンとし、アルミニウムチューブに充填しクリーム剤とした。【0013】実施例4サリチル酸 0.2g、酢酸d−αトコフェロール2g、グリチルレチン酸1g、クロタミトン10g、塩酸ジブカイン 0.2g、ポリオキシエチレン(7)セチルエーテル 3.3g、ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル 2.7g、ステアリルアルコール9g、固形パラフィン3g及び流動パラフィン 2.5gを均一に溶解し、カラギーナン 0.2gを溶解した熱水を加え 100gとし、攪拌、乳化した後冷却し均一なエマルジョンとし、アルミニウムチューブに充填しクリーム剤とした。【0014】実施例5サリチル酸5g、トルナフテート1g、ジフェンヒドラミン 0.5g、クロタミトン12g、ポリオキシエチレン(2)オレイルエーテル 3.8g、ポリオキシエチレン(50)オレイルエーテル 6.2g、セタノール10g、固形パラフィン8g及び軽質流動パラフィン3gを均一に加熱溶解し、アラビアゴム 0.1gを溶解した熱水を加え 100gとし、攪拌、乳化した後冷却し均一なエマルジョンとし、アルミニウムチューブに充填しクリーム剤とした。【0015】比較例1サリチル酸5g、尿素5g、グリチルレチン酸1g、リドカイン 0.5g、ポリオキシエチレン(2)セチルエーテル2g、ポリオキシエチレン(23)セチルエーテル3g、セタノール10g、固形パラフィン8g及び軽質流動パラフィン3gを均一に加熱溶解し、熱水を加え 100gとし、攪拌、乳化した後冷却し均一なエマルジョンとし、アルミニウムチューブに充填しクリーム剤とした。【0016】比較例2サリチル酸1g、歯磨き用リン酸水素カルシウム40g、沈降炭酸カルシウム5g、クロタミトン2g、ポリオキシエチレン(4)モノステアレート 1.7g、ポリオキシエチレン(45)モノステアレート 3.3g、カルボキシメチルセルロース1g、ソルビトール液(70%)25g及び流動パラフィン1gに熱水を加え 100gとし攪拌乳化した後、冷却し均一なエマルジョンとし、アルミニウムチューブに充填し歯磨き剤とした。【0017】比較例3サリチル酸 0.2g、酢酸d−αトコフェロール2g、塩酸ピリドキシン1gにマクロゴール 400及びマクロゴール4000の等量混合物を加え 100gとし、均一に加熱溶解し冷却後、アルミニウムチューブに充填しクリーム剤とした。【0018】比較例4サリチル酸 0.2g、酢酸d−αトコフェロール2g、グリチルレチン酸1g、塩酸ジブカイン 0.2gにワセリンを加え 100gとし均一に分散するまで攪拌した後、アルミニウムチューブに充填しクリーム剤とした。【0019】比較例5サリチル酸5g、トルナフテート1g、ジフェンヒドラミン 0.5gにプラスチベースを加え 100gとし均一に分散するまで攪拌した後、アルミニウムチューブに充填しクリーム剤とした。【0020】【作用】経時試験各実施例及び比較例で得た製剤を50℃、40℃−75%RHの条件下に保存して、経時的に外観の変化を観察した。結果を表1及び表2に示す。【0021】【表1】【0022】【表2】【0023】使用感試験方法実施例3〜5及び比較例3〜5で得た製剤を手の甲に適量塗り、指で延ばし、そのときに感じた、ざらつき、べたつきを「感じない」〜「強く感じる」の4段階で評価した。試験は1種類の製剤について、30名の健康な成人を用いて行った。また試験の順序はすべてランダマイズし、各被験製剤には乱数を付け、ブラインドテストとした。結果を各評価の人数として表3及び表4に示す。【0024】【表3】【0025】【表4】【0026】皮膚透過試験方法実施例3〜5及び比較例3〜5で得た製剤に関して拡散セルを用いた方法(今日の皮膚外用剤、1981年、第6号、軟膏剤、南山堂)に準拠して、ヘアレスラットの腹部の皮膚を用いて真皮側に生理食塩水を入れ、角質側に調製した被験製剤を一定量塗布しサリチル酸の皮膚透過量を測定した。試験は1種類の製剤について3回行った。結果は透過量の平均値で表5に示す。【0027】【表5】【0028】以上のように比較例1〜2では経時的に分離し外観的に不安定であり、比較例3〜5では使用感が著しく悪く、サリチル酸の皮膚透過が好ましくないのに対し、本発明のサリチル酸配合製剤では外観安定性が良く、使用感が良好であり、かつ皮膚への浸透性も優れていた。【0029】【発明の効果】本発明のサリチル酸配合製剤は経時的に安定であり使用感が良く、さらにサリチル酸の皮膚浸透性が良く極めて有用である。 サリチル酸を配合した製剤において、クロタミトン及び非イオン性界面活性剤を配合してなる製剤(但し、トルナフテートを配合しない。)。 非イオン性界面活性剤がポリオキシエチレンアルキルエーテル類である請求項1記載の製剤。