生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_ピチア・パストリスにおけるヒト血清アルブミンの発現
出願番号:1992055518
年次:2004
IPC分類:7,C12N15/09,C12P21/02


特許情報キャッシュ

ウィリアム・ダドリー・プリヴァット コティカニアド・スリークリシュナ JP 3579430 特許公報(B2) 20040723 1992055518 19920313 ピチア・パストリスにおけるヒト血清アルブミンの発現 リサーチ・コーポレーション・テクノロジーズ・インコーポレーテッド 594063315 社本 一夫 100089705 今井 庄亮 100071124 増井 忠弐 100076691 栗田 忠彦 100075236 小林 泰 100075270 富田 博行 100096013 ウィリアム・ダドリー・プリヴァット コティカニアド・スリークリシュナ US 691079 19910426 20041020 7 C12N15/09 C12P21/02 C12P21/02 C12R1:84 JP C12N15/00 A C12P21/02 C C12P21/02 C12R1:84 7 C12N 15/14 C12N 15/79 - 15/81 C12P 21/02 C12N 1/19 BIOSIS(DIALOG) JSTplus WPI(DIALOG) 特開平04−293495(JP,A) 13 1993115294 19930514 36 19980827 上條 肇 【0001】発明の分野本発明は組換えDNAバイオテクノロジーの分野に関するものである。1観点においては本発明はピチア・パストリス(Pichia pastoris)における分泌ヒト血清アルブミン(HSA)発現の改良法に関するものである。【0002】背景ヒト血清アルブミンは成人の最も豊富な血漿蛋白質である。アルブミンの濃度は40mg/ml、すなわち70Kgの成人男子につき人体を循環するアルブミンは160gである。この蛋白質は浸透圧を維持し、銅、ニッケル、カルシウム(弱く、結合部位2−3個)、ビリルビンおよびプロトポルフィリン、長鎖脂肪酸、プロスタグランジン、ステロイドホルモン(これらのホルモンと弱く結合して、膜を通るそれらの伝達を促進する)、チロキシン、トリヨードチロニン、クリスチンおよびグルタチオンの結合および輸送において機能する。ピーターおよびリード(Peter,T.,Reed,R.G.),Albumin:Structure,Biosynthesis and Function,(ピーターおよびショルム(Peter,T.,Sjoholm,J.)編)1977,p.11−20によれば、米国内だけで年間10,000kg以上の精製アルブミンが循環不全またはアルブミン欠乏を伴う患者に投与されている。【0003】現在唯一の商業的HSA源は分画血液からのものである。血液由来の汚染物質および病原体の危険性がありうることを考慮すると、HSA調製のための別法を開発することは商業的HSA製造に著しく寄与すると思われる。組換えDNA法の出現により現在ではHSAを別法により製造することができる。【0004】HSAはエッチェベリー(Etcheverry)ら,Bio/technology,1986年8月,p.726およびアージャム・シン(Arjum Singh)の欧州特許出願公開第123,544号明細書に示されるように、ビール酵母菌(Saccharomyces cerevisiae)においても発現される。エッチェベリーは濃度約6mg/lの細胞内HSA発現、および細胞会合状態にあるHSAの分泌につき示している。アージャム・シンもビール酵母菌においてα−因子およびシグナル配列と合わせたHSA発現につき示している。シンは細胞内産生水準約25mg/lおよび分泌産生水準3mg/lを達成し得たと思われる。欧州特許出願公開第344,459号明細書に示されるように、ピチア・パストリスもHSAの発現に用いられている。ピチア・パストリスにおいて産生されたHSAの濃度は、HSA約89ng/蛋白質mgであると思われる。組換え発現系においてHSAを製造するための方法はこれらの実験により確立されたが、可能な最大HSA製造を達成するためにはこれらの方法を最適なものにすることが望ましいと思われる。【0005】従ってピチア・パストリスなどの微生物におけるHSAの組換え発現によるHSAの収率を高める方法を提供することは、当技術分野に著しく寄与すると思われる。【0006】従って本発明の目的は、組換え発現系において産生されるHSAの収率を高める方法を提供することである。【0007】発明の要約従って本発明者らは、ピチア・パストリス細胞においてHSAの分泌発現を改良するための下記よりなる方法を見出した:(a)HSAを発現しうる形質転換したピチア・パストリス細胞を、発酵ブロス中において、該ピチア・パストリス細胞の生存を維持するのに適した条件下で、該ピチア・パストリス細胞によるHSAの発現に適した条件下に培養し、そして(b)HSAの発現と同時期に、該発酵ブロスのpHを約5.7−約6.4のpHに保持する。【0008】詳細な説明一般にピチア・パストリスはpH約4.8−約5.2において最適状態で増殖する。このpH範囲で適切な栄養培地を供給されたピチア・パストリスは旺盛な増殖を示す。このpH範囲は数種類の異種蛋白質、たとえば肝炎B表面抗原をも高度に発現すると思われる。このpH範囲はヒト血清アルブミン(HSA)についても高度に発現すると思われた。たとえば5′側調節領域(すなわちプロモーター)および3′側ターミネーション配列にオペラブル結合した(operably linked)HSA構造遺伝子を含むベクターにより形質転換された増殖中のピチア・パストリス細胞については、得られたHSA発現水準は発酵ブロス中のHSA約.71−.81g/lであった。しかし本発明者らは、発酵ブロスのpHを約5.2から約5.7−約6.4、好ましいpH範囲約5.7−約6.0、極めて好ましいpH範囲約5.75−約5.85に移行させるという前例のない工程を採用することにより、この収率をさらに少なくとも50%増大させることができた。このpH範囲の上限(すなわちpH6.0−6.4)において得られる増加した分泌水準が振盪試験管内での最適化試験において確認され、これは酵母エキスおよびペプトンの存在が通気と共に振盪試験管中で最適HSA分泌をもたらすことを示す。しかしpHを連続的に監視しうる大規模発酵においては酵母エキス、ペプトンおよび過度の通気は不必要であると考えられる。この比較的高いpH水準は、プロモーター、ならびにシグナル配列および成熟HSA蛋白質をコードする構造遺伝子を含む発現カセットにより形質転換されたいずれのピチア・パストリス株の収率をも増大させると思われる。さらにこの結果は、シグナル配列および成熟異種蛋白質をコードする種々の異種構造遺伝子に適用しうると思われる。この方法で比較的高い水準において発現しうる適切な異種蛋白質には、組織プラスミノーゲン活性化物質、アルブミン(たとえばヒト血清アルブミン)、リソチーム(たとえばウシリソチーム)、インターフェロン(たとえばガンマ−インターフェロンおよびベータ−インターフェロン)およびインベルターゼよりなる群から選ばれる異種蛋白質が含まれるが、これらに限定されない。本発明に用いられる異種構造遺伝子はそれぞれ、成熟蛋白質を分泌するためには成熟異種蛋白質をコードする配列の5′末端にオペラブル結合したシグナル配列を含まなければならない。たとえば組織プラスミノーゲン活性化物質、ヒト血清アルブミン、ウシリソチーム、ベータ−インターフェロンおよびガンマ−インターフェロンおよびインベルターゼ蛋白質はすべて、天然のシグナル配列を用いて分泌しうる。さらにこれらの蛋白質は、ピチア・パストリスからの分泌シグナル配列、たとえば米国特許出願第07/627,539号明細書(1990年12月14日出願、リチャード・バックホルツによる、フィリップス・ペトロリウム・カンパニーに譲渡)(ここに参考として引用する)に示されるアシドホスファターゼシグナル配列、またはビール酵母からのアルファ−交配因子シグナル配列を用いて分泌させることもできる。【0009】本発明によれば、発酵ブロスのリットル当たり真正HSA約1−3gのHSA分泌水準が得られた。従って本発明は高水準のHSA分泌手段を提供する。1−3g/lの水準では高純度のHSAを高収率で採取することができるので、このHSA産生水準が達成されたことは先行技術による産生水準より著しい前進である。【0010】HSA構造遺伝子を発現するためには遺伝子は5′側調節領域および3′側ターミネーション配列にオペラブル結合していなければならず、これが宿主(通常は微生物)内へベクター(たとえばプラスミドまたは線状の部位特異性インテグラティブベクター)により挿入される発現カセットを形成する。ここで用いるオペラブル結合とは、5′側調節領域、構造遺伝子、および3′側ターミネーション配列がそれらの正常な機能を果たしうる状態で結合および構成された並置状態を意味する。ここで用いる5′側調節領域またはプロモーターとは、種々の刺激に反応して、高い割合のmRNA転写をもたらすDNA配列を意味する。3′側ターミネーション配列は構造遺伝子の終止コドンに対して3′側の配列であり、これはこの配列がオペラブル結合している遺伝子のmRNA転写産物を安定化する機能をもつ(たとえばポリアデニル化の引き金となる配列)。本発明を実施するためには、構造遺伝子のATGが可能な限り少ない介在デオキシリボヌクレオチドにより、好ましくは約11以下のデオキシリボヌクレオチド、極めて好ましくは約8以下のデオキシリボヌクレオチドにより、5′側調節領域の3′末端に結合することが好ましい。介在デオキシリボヌクレオチドのアデニンおよびチミン含量が約55−約64%であることも好ましい。さらに、ある特定の位置についてはヌクレオチド優位性があると思われる。構造遺伝子のATGコドンから左へ数えて左側の最初の位置を−1位とすると、アデニンまたはシトシンが極めて好ましいデオキシリボヌクレオチドであり、−2位において極めて好ましいデオキシリボヌクレオチドはアデニンまたはチミンであり、−3位において極めて好ましいデオキシリボヌクレオチドはアデニンまたはチミンであり、−4位において極めて好ましいヌクレオチドはアデニン、チミンまたはシトシンである。現在では図3および4の制限地図をもつAOX1もしくはDAS1 5′側調節領域、またはそれぞれSEQ ID No;1およびSEQ ID No;2がそれらの配列の3′末端においてHSA構造遺伝子のATG開始コドンに結合していることが好ましい。AOX1 5′側調節領域の適切な結合の1例を下記に示す:【表1】数種類の5′側調節領域が解明され、これらをピチア・パストリスにおいてHSAの発現に関連して用いることができる。5′側調節領域の例は、ピチア・パストリス由来の第一アルコールオキシダーゼ(AOX1)、ジヒドロキシアセトンシンターゼ(DAS1)、グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ遺伝子(GAP)、アシドホスファターゼ遺伝子(PHO1)、およびp40調節領域などである。AOX1 5′側調節領域、DAS1 5′側調節領域、およびp40 5′側調節領域は米国特許第4,855,231号明細書に記載されており、ここに参考として引用する。GAP 5′側調節領域は欧州特許出願公開第374,913号明細書(1990年6月27日公開)に示されており、ここに参考として引用する。PHO1 5′側調節領域は米国特許出願第07/672,539号明細書(1990年12月14日出願、フィリップス・ペトロリウム・カンパニーに譲渡)に示されている。本発明の実施に際して用いられる現在好ましい5′側調節領域は、それらがメタノール含有培地に反応しうることを特色とするもの、たとえばAOX1およびDAS1よりなる群から選ばれる調節領域である。本発明の実施に際して用いられる極めて好ましい5′側調節領域はAOX1 5′側調節領域である。【0011】前記の発現カセット中に3′側ターミネーション配列を使用すべきである。3′側ターミネーション配列は遺伝子にオペラブル結合している場合、構造遺伝子によりコードされるメッセンジャーRNAを終結させ、ポリアデニル化し、および/または安定化する機能をもつが、特定の3′側ターミネーション配列が本発明の実施に際して重要であるとは思われない。本発明の実施に際して用いられる3′側ターミネーション配列の具体的供給源の数例にはハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)およびピチア・パストリスの3′側ターミネーション配列が含まれるが、これらに限定されない。好ましいものはピチア・パストリス由来のもの、たとえばAOX1遺伝子、DAS1遺伝子、p40遺伝子、GAP遺伝子、PHO1遺伝子およびHIS4遺伝子の3′側ターミネーション配列よりなる群から選ばれるものである。特に好ましいものはAOX1遺伝子の3′側ターミネーション配列である。【0012】ピチア・パストリスは種々のHSA構造遺伝子により形質転換することができる(ここで述べる本発明による形質転換体において、HSA構造遺伝子はシグナル配列および成熟HSA蛋白質の双方をコードする)。HSA構造遺伝子はローン(Lawn)ら,Nuc.Acids Res.9:6105(1981)およびドゥガイチク(Dugaiczyk)ら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 79:71(1982)により配列決定された。これらの遺伝子はローンらおよびドゥガイチクらの方法による遺伝子の再単離によっても得られ、またはインビトロで一般の遺伝子製造業者、たとえばブリティッシュ・バイオテクノロジー社により合成される。HSA遺伝子を得るための可能な1方法は、ヒト肝臓cDNAライブラリーをオリゴヌクレオチドプローブによりスクリーニングするか、またはヒト肝臓cDNA発現ライブラリーを抗−HSA抗血清によりスクリーニングして、HSAを発現するcDNAを同定することである。適切なHSA構造遺伝子の一例は、SEQ ID NO:3に提示される。HSAに対する構造遺伝子が採取されると、その遺伝子をさらに調整する必要がある。HSA構造遺伝子を単離したのち、その遺伝子を適切なピチア・パストリスベクター、たとえばプラスミドまたは線状の部位特異性インテグラティブベクターに挿入する。【0013】プラスミド型ベクターは長年、組換えDNA法に用いられる基本的要素の1つであった。プラスミドは微生物に見られる環状の染色体外2本鎖DNAである。プラスミドは細胞当たり単一または多重コピーで生じることが認められている。プラスミドDNAに含まれるものはプラスミド再生に必要な情報、すなわち自動複製配列、たとえばジェームス・M.クレグにより米国特許4,837,148第号明細書(1989年6月6日発行)に示されたものであり、これをここに参考として引用する。さらに、形質転換した細胞においてプラスミドの遺伝表現型を選択するための1または2以上の手段もプラスミドにおいてコードされる情報に含まれる。【0014】本発明の実施に際して用いられる適切なインテグラティブベクターは、ジェームス・M.クレグにより米国特許4,882,279第号明細書(1989年11月21日発行)に示された線状の部位特異性インテグラティブベクターであり、これをここに参考として引用する。これらのベクターは少なくとも1)第1挿入性DNAフラグメント;2)選択性マーカー遺伝子;および3)第2挿入性DNAフラグメントの順次整列した配列からなる。異種構造遺伝子を含む発現カセットが、このベクターの第1挿入性DNAフラグメントと第2挿入性DNAフラグメントの間に、マーカー遺伝子の前または後において挿入される。あるいは構造遺伝子がオペラブル結合しうる挿入性フラグメントの1つに調節領域すなわちプロモーターが含まれる場合、発現カセットをインサイチューで形成することができる。【0015】第1および第2挿入性DNAフラグメントはそれぞれ少なくとも約200ヌクレオチドの長さであり、形質転換される種のゲノムDNAの部分と相同なヌクレオチド配列をもつ。インテグラティブベクターの種々の成分は、発現カセットおよび選択性マーカー遺伝子が第1挿入性DNAフラグメントの3′末端と第2挿入性DNAフラグメントの5′末端の間に配置された状態で、順次整列して線状のDNAフラグメントを形成する。第1および第2挿入性DNAフラグメントは順次整列した線状フラグメント中において、それらが母体ゲノム中で配向しているものに従って互いに配向する。【0016】第1および第2挿入性DNAフラグメントとして有用なヌクレオチド配列は、ゲノム修飾が起こるべき天然ゲノム部位の別個の部分と相同のヌクレオチド配列である。たとえばゲノム修飾がアルコールオキシダーゼ遺伝子の座で起こるべきである場合、用いられる第1および第2挿入性DNAフラグメントはアルコールオキシダーゼ遺伝子の座の別個の部分と相同である。第1および第2挿入性DNAフラグメントとして使用しうるヌクレオチド配列の例は、ピチア・パストリスアルコールオキシダーゼ(AOX1)遺伝子、ジヒドロキシアセトンシンターゼ(DAS1)遺伝子、p40遺伝子、グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ(GAP)遺伝子、アシドホスファターゼ(PHO1)遺伝子、およびHIS4遺伝子よりなる群から選ばれるデオキシリボヌクレオチド配列である。AOX1遺伝子、DAS1遺伝子、p40遺伝子およびHIS4遺伝子は米国特許第4,855,231および4,885,242号明細書に記載されており、両者をここに参考として引用する。DAS1という表示は米国特許第4,855,231および4,885,242号明細書において最初に用いられたDASという表示と等しい。GAP遺伝子は欧州特許出願公開第374,913号明細書(1990年6月27日公開)に示されており、ここに参考として引用する。PHO1遺伝子は米国特許出願第07/672,539号明細書(1990年12月14日出願、フィリップス・ペトロリウム・カンパニーに譲渡)に示されており、ここに参考として引用する。【0017】第1挿入性DNAフラグメントは発現カセットに用いられる調節領域からなるオペラブル調節領域を含むことができる。第1挿入性DNAフラグメントを発現カセットの調節領域として用いることは、本発明の好ましい形態である。図1は第1挿入性DNAフラグメントをカセットの調節領域として用いたベクターの図を提示する。図1に示すように、所望により挿入部位1または2以上、および3′側ターミネーション配列を第1挿入性DNAフラグメントの3′側に直接に配置することができる。この線状の部位特異性インテグラティブベクターの配置は、適合性3′側ターミネーション配列を別個に付加する必要なしに構造遺伝子を挿入するために用意された部位を提供するという付加的な利点をもつ。【0018】第1挿入性DNAフラグメントが調節領域を含まない場合、オペラブル発現カセットを提供するためには適切な調節領域を構造遺伝子に結合した状態で挿入する必要がある。また挿入部位に発現カセットを完成する3′側ターミネーション配列が供給されていない場合、3′側ターミネーション配列を構造遺伝子の3′末端にオペラブル結合させることができる。【0019】宿主株を形質転換するために用いられるDNA中に少なくとも1個の選択性マーカー遺伝子が含まれることも極めて望ましい。これにより、形質転換用DNAを取り込んだ微生物の選択および単離が容易になる。マーカー遺伝子は形質転換生物に宿主がもたなかった表現型上の特徴を与える。たとえば形質転換されていない宿主株が特定のアミノ酸生合成経路を欠如している場合、その特定のアミノ酸を産生する能力を回復させ、または抗生物質などに対する耐性を与える。選択性マーカー遺伝子の例は、ピチア・パストリスおよびビール酵母からのHIS4遺伝子(米国特許第4,885,242号明細書に記載)およびARG4遺伝子(米国特許第4,818,700号明細書に記載されており、ここに参考として引用する)、ビール酵母からのインベルターゼ遺伝子(SUC2)(米国特許第4,857,467号明細書に記載されており、ここに参考として引用する)、または大腸菌(E.coli)のトランスポジション可能な要素Tn601もしくはTn903からのG418R/カナマイシン耐性遺伝子よりなる群から選ばれる。【0020】本発明の実施に際して用いられるベクターに付加的なDNA配列、たとえば細菌性プラスミドDNA、バクテリオファージDNAなどをも取り込ませうることは当業者に自明である。これらの配列は細菌性宿主においてこれらのベクターを増幅および維持しうるものである。【0021】適切なベクター中へのHSA構造遺伝子の挿入は、選ばれたベクターを適切な1または2以上の部位で開裂し、そしてHSA構造遺伝子を含む少なくとも1個のオペラブル発現カセットをベクター中に存在させる適切な方法により行うことができる。HSA構造遺伝子のリゲーションはいずれか適切なリゲーション法により、たとえばT4 DNAリガーゼを用いて行うことができる。【0022】HSA構造遺伝子およびベクターのリゲーション混合物の初期選択、増殖、および所望により増幅は、好ましくは混合物を細菌性宿主、たとえば大腸菌中へ形質転換することにより行われる(リゲーション混合物を宿主酵母中へ直接に形質転換することもできるが、形質転換率が極めて低い)。大腸菌に関する適切な形質転換法は当技術分野で周知である。さらに、選択マーカー、および細菌性宿主におけるベクターの維持に必要な細菌性複製開始点も当技術分野で周知である。発現系内にHSA構造遺伝子を含む目的のプラスミドの単離および/または精製は、宿主DNAからプラスミドDNAを分離するためのいずれか適切な手段により行うことができる。同様に、リゲーションにより形成されたベクターを、好ましくは増殖後に試験して、HSA遺伝子の存在、ならびに調節領域および 3′側ターミネーション配列へのそれのオペラブル結合を立証することができる。これはエンドヌクレアーゼ消化、ゲル電気泳動またはサザーンハイブリダイゼーションを含めた種々の方法により行うことができるが、これらに限定されない。【0023】宿主酵母中へのプラスミドまたは線状ベクターの形質転換は下記により教示されるものを含めた適切な形質転換法により行うことができるが、これらに限定されない:クレグおよびバリンガー,米国特許第4,929,555号明細書;ヒネン(Hnnen)ら,Proc.Natl.Acad.Sci.75(1978)1929;イトー(Ito)ら,J.Bacteriol.153(1983)163;クレグ(Cregg)ら,Mol.Cell Biol.5(1985),p.3376;D.W.ストローマンら,米国特許第4,879,231号明細書(1989年11月7日発行);またはスリークリシュナ(Sreekrishna)ら,Gene,59(1987),p.115。本発明を実施するために好ましいものはクレグら(1985)の方法である。本発明を実施するためには、過剰の線状ベクターを用い、サザーンハイブリダイゼーションにより多数の挿入配列を選択することが望ましい。【0024】形質転換に用いる宿主酵母はいずれか適切なメチロトロフィック(methylotrophic)酵母であってもよい。適切なメチロトロフィック酵母にはハンセヌラ属およびピチア属よりなる群から選ばれる、メタノール上で増殖しうる酵母が含まれるが、これらに限定されない。この群の酵母の例である特定の種のリストはアンソニー(C.Anthony),The Biochemistry of Methylotrophs,269(1982)に見られる。現在好ましいものは下記のピチア属メチロトロフィック酵母である:たとえば栄養要求性ピチア・パストリスGS115(NRRL Y−15851);ピチア・パストリスGS190(NRRL Y−18014)、米国特許第4,818,700号明細書に記載;ピチア・パストリスPPF1(NRRL Y−18017)、米国特許第4,812,405号明細書に記載。栄養要求性ピチア・パストリス株はそれらの選択の容易さにおいても本発明の実施に有利である。野生型ピチア・パストリス株(たとえばNRRL Y−11430およびNRRL Y−11431)も、適切な形質転換マーカー遺伝子を選ぶならば、たとえばSUC2を用いてピチア・パストリスを蔗糖上で増殖しうる株に形質転換するか、または抗生物質耐性マーカー、たとえばG418を用いる場合、同様に有効に採用しうる。上記の株はすべて米国農務省、ノーザーン・リージョナル・リサーチ・ラボラトリーから入手される。【0025】形質転換したピチア・パストリス細胞はそれ以前は栄養要求性であった細胞を形質転換後に、要求される(細胞の栄養要求性のため)生化学的物質の不在下で培養し、新たな表現型(″メタノールスロー″)を選択および検出する方法、または形質転換体に含まれる耐性遺伝子の不在下では酵母にとって有毒である抗生物質の存在下で培養する方法を含めた適宜な方法により選択することができるが、これらに限定されない。【0026】単離した形質転換ピチア・パストリス細胞は適宜な発酵法、たとえば振盪フラスコ発酵法、高密度発酵法、またはクレグ(Cregg)ら,メチロトロフィック酵母、ピチア・パストリスにおける肝炎B表面抗原の高水準発現および効果的アセンブリー 5 Bio/Technology 479(1987)に示される方法により培養される。単離体はHSA産生をアッセイして、最大HSA産生水準をもつ単離体を同定することによりスクリーニングすることができる。【0027】形質転換したピチア・パストリスの培養は水性連続式またはバッチ供給式で、種々の炭素エネルギー源および/または栄養源を用いて行うことができる。本発明の実施にはバッチ供給式発酵法が好ましい。ピチア・パストリスを増殖させるのに適した炭素エネルギー源にはメタノール、グリセリン、ソルビトール、グルコース、フルクトースおよびそれらのうち1または2以上の組み合わせよりなる群から選ばれる炭素エネルギー源が含まれるが、これらに限定されない。ピチア・パストリスを増殖させるための好ましい炭素エネルギー源はメタノール、グリセリンおよびそれらの組み合わせよりなる群から選ばれる炭素エネルギー源である。ピチア・パストリスに適した栄養源または培地には、少なくとも1種類の窒素源、少なくとも1種類のホスフェート源、少なくとも1種類の無機質源、たとえば鉄、銅、亜鉛、マグネシウム、マンガン、カルシウム、および他の微量元素、ならびにビタミン(たとえばビオチン、パントテン酸、および必要に応じてチアミン)が含まれる。【0028】少なくとも1種類の炭素エネルギー源および栄養素の適切な供給源は種々の供給源から得られるか、または単一供給源からなるものでもよい。しかし好ましいものは特性が定まった少なくとも1種類の炭素エネルギー源および/または栄養源である。効果が証明された炭素エネルギー源および/または栄養素の組成物の一例は下記のものである:【表2】1酵母エキスはアンベレックス(Amberex)(商標)1003であり、これはユニバーサル・フーズ・コーポレーション(ウィスコンシン州ミルウォーキー)から入手され、その商標である。2無機質および微量金属はFeSO4・7H2O 65.0g/l、CuSO4・5H2O 6.0g/l、ZnSO4・7H2O 20g/l、MnSO4 3.0g/l、およびH2SO4 5.Oml/lである。【0029】本発明に用いられる酵母エキスには、アンベレックス(商標)1003およびバクト(Bacto)(商標)酵母エキス(ディフコ・ラボラトリーズ・インコーポレーティッド)よりなる群から選ばれる酵母エキスが含まれるが、これらに限定されない。あるいは窒素源として酵母エキスの代わりにコーン・スチープ・リカーを用いることができる。【0030】本発明に用いられる微量金属は、酵母の増殖に一般に用いられる微量金属であり、ピチア・パストリスの増殖速度またはHSA産生を制限しない十分な量で供給され、これにはコバルト、モリブデン、鉄、銅、亜鉛およびマンガンよりなる群から選ばれる微量金属が含まれるが、これらに限定されない。【0031】発酵温度は一般に約20−約35℃、好ましくは約30℃である。【0032】発酵をバッチ供給式で行う発酵容器内の溶存酸素含量は、飽和の約20−約80%、好ましくは飽和の約30−約60%である。【0033】HSA構造遺伝子を含むベクターで形質転換したピチア・パストリス株を高密度になるまで培養したのち、形質転換した株を約5.7−約6.0のpHで誘導してHSAを発現させる。たとえばメタノール誘導性調節領域を含む線状発現カセットで形質転換された株につきこの方法を採用する場合、培養物をまず最少塩類、ビオチンおよび5重量%グリセリン上で目的密度になるまで増殖させる。約30℃の温度および飽和の約20%の溶存酸素濃度において、pHを約5.8に調整すべきである(アンモニアにより)。グリセリンが消費されたのち、メタノールを徐々に供給し始めることによりプロモーターが誘導される。この供給は、少なくとも培養物の生存を維持するのに十分に量であり、ただし培養物と接触するメタノールの最大濃度約5.0重量%を越えてはならない。メタノールの供給に際して無細胞ブロス中に存在するHSAをサンプリングすることによりHSA分泌を監視することができる。産生されたHSAの量を定量するのに適した試験法は当業者に既知のもの、たとえば流動ポリアクリルアミドゲルである。メタノールの供給はHSA濃度が受容しうる水準に達するまで継続すべきである。一般にHSAの産生はメタノール供給の約120時間後にピークとなるであろう。【0034】ピチア・パストリス細胞をpH制御式発酵槽の代わりに振盪試験管または振盪フラスコで増殖させる場合、分泌蛋白質、たとえばHSAの最大収率を保証するために追加工程を採用すべきである。詳細には、用いる培地を発酵槽で用いたものから複合培地に変更し、通気量を増加させることが推奨される。振盪フラスコおよび振盪試験管に用いる複合培地は、追加アミノ酸を含有すべきである。アミノ酸はグルタミン酸、メチオニン、リジン、ロイシン、イソロイシンおよび他のアミノ酸を含有する特定の培地に含まれていてもよく、または複合培地への補充物、たとえば酵母エキスもしくはカザミノ酸によるものであってもよい。添加アミノ酸の相対濃度は一般に約2.5−約10mg/lであり、好ましい範囲はグルタミン酸、メチオニン、リジン、ロイシンおよびイソロイシンについては約4−約6mg/l、他のアミノ酸については約0.5−約3mg/lである(ただし添加アミノ酸からヒスチジンは完全に排除しうる)。添加アミノ酸の代わりに酵母エキスを用いる場合、酵母エキスが約1−約15g/lの濃度で供給されるように使用することが好ましく、酵母エキスが約10g/lの濃度で供給されることが極めて好ましい。振盪試験管および振盪フラスコにおける分泌を改善するために、培地にペプトンを添加するのが望ましいことも認められた。最適分泌のためにはこのペプトンは酵母エキスと共に約1−約50g/lの濃度で、極めて好ましくは約20g/lの濃度で用いられる。指針として、一般にペプトン濃度は酵母エキス濃度の2倍であることが推奨される。【0035】形質転換したピチア・パストリスの振盪フラスコおよび振盪試験管培養における通気は最適分泌を得るのに重要なパラメーターであると思われる。適切な分泌を保証するために、振盪試験管またはフラスコが通気性キュップで蓋をした大きな開口を備えていることが推奨される。適切な通気性キュップは粗い濾材、たとえばチーズークロスで作成しうる。本発明に適した振盪フラスコの一例はチューンエア(Tunair)振盪フラスコである。一般に過度の発泡を避けるために低バフル振盪フラスコも推奨される。通気のための振盪機速度は約250−約300rpmであることが推奨される。【0036】振盪フラスコまたは振盪試験管において適切な細胞密度に達したのち、細胞を採取し、次いで蛋白質の分泌を誘導するために、増殖に用いた炭素源の代わりにメタノールを含有する培地に再懸濁する。次いで目的水準の産生が達成された時点を判定するために、振盪フラスコまたは振盪試験管を常法により監視する。【0037】本発明を以下の実施例においてより詳細に説明するが、これらは限定ではない。【0038】【実施例】実施例に関する一般情報:菌株ピチア・パストリスGS115(his4)NRRL Y−15851大腸菌DG75′(hsd1、leu6、lacY、thr−1、supE44、tonA21、lambda−)緩衝液、溶液および培地以下の実施例で用いた緩衝液、溶液および培地は下記の組成をもつ:dH2O ミリ−Q(ミリポア)試薬用水システムで処理した脱イ オン水1Mトリス緩衝液 800mLのH2O中にトリスベース121.1g;濃(35%)HCl水溶液の添加によりpHを目的の値に 調整;最終pH調整前に溶液を室温に冷却し、最終容量 1Lに希釈。【0039】方法組換えDNA実験室作業に適した方法は多様な文献中に見られ、それらには以下のものが含まれるがこれらに限定されない:Methods in Enzymology(フロリダ州オルランドー:アカデミック・プレス社),特にVol.152、Guide to Molecular Cloning Techniques,バーガーおよびキンメル(Beger,Kimmel),(フロリダ州オルランドー:アカデミック・プレス社,1987),ならびにMolecular Cloning/A Laboratory Manual,サムブルック(Sambrook)ら,第2版(コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス社,1989);これらすべてをここに参考として引用する。【0040】例15′側イグザクトHSA発現ベクターpHSA313の構成天然AOX1 5′側調節領域(プロモーター)の3′末端とHSA構造遺伝子の開始コドンとの間のイグザクト結合(exact linkage)を含むベクターを備えたpHSA313ベクターを構成した。【0041】A.pHSA113△C1aの形成欧州特許出願第0 344 459号明細書(ここに参考として引用する)に示されるpHSA113(図7参照)約200ngを、REact1緩衝液20μl中のC1aI 1単位により37℃で1時間消化した。消化混合物を水で100μlとなし、等容量のフェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール(25:24:1 V/V)で1回抽出し、次いで水層を等容量のクロロホルム:イソアミルアルコール(24:1)で抽出した。NaCl濃度を0.2Mに調整し、3容量の冷エタノールを添加することにより、水相中のDNAを沈殿させた。混合物を氷上(4℃)に10分間放置し、ミクロ遠心機により4℃において10,000×gで30分間遠心分離することによりDNA沈殿を採取した。DNAペレットを70%冷エタノール水溶液で2回洗浄した。洗浄したペレットを真空乾燥し、10μlの水に溶解し、これに2μlの10×リゲーション緩衝液、2μlの1mg/ml BSA、6μlの水、および1単位のT4 DNAリガーゼを添加した。混合物を4℃で一夜インキュベートし、10μlアリコートを用いて大腸菌DG75′(マニアチス(Maniatis)ら)を形質転換し、pHSA113△C1aを得た。これはHIS4および3′側AOX1、ならびにこれらの配列を結合するのに用いた小範囲のpBR322配列の欠失を示す。HIS4、3′側AOX1およびpBR322配列の欠失により、pHSA113ベクター中に存在するCsp45I部位2カ所のうち1カ所が排除される。残りのCsp45I部位はAOX1 5′側調節領域(プロモーター)中にある。【0042】B.pXHSA113△C1aの形成5μgのpHSA113△C1aを、REact2緩衝液100μl中のBstEII 10単位により37℃で1時間消化した。消化混合物をフェノールで抽出し、工程Aの詳述に従って沈殿させた。DNA沈殿をCsp45I緩衝液100μlに溶解し、10単位のCsp45Iの存在下に37℃で2時間消化した。次いで消化したDNAをフェノール抽出し、工程Aの詳述に従って沈殿させた。DNA沈殿を20μlの水に溶解し、10μlアリコートを0.9%アガロースゲルの隣接ウェル2個に装填した。電気泳動ののち、レーンの1つに対応するゲル部分を染色し、これを用いて未染色レーン中のpHSA113△C1aのCsp45I−BstEIIフラグメントの位置を決定した。大きい方のCsp45I−BstEIIフラグメントを含むゲル部分を切り出し、ゲル中のDNAを500μlの5mM EDTA(pH8.0)中へ電気泳動により溶出した(electroeluted)。DNA溶液を工程Aの詳述に従ってフェノール抽出し、DNA沈殿を100μlの水に溶解した。次いで大きい方のCsp45I−BstEIIフラグメントを下記のBstEII−Csp45Iオリゴヌクレオチドリンカーとリゲートした。アリコート(10μl)を4℃で一夜、20ngのアニールしたリンカーオリゴヌクレオチド5′−CGAAACG ATG AAG TGG(SEQ ID NO:4)および5′−GTTACCCACTTCATCGTTT(SEQ ID NO:5)と、100μg/mlのBSAおよび1単位のT4DNAリガーゼを含有するリガーゼ緩衝液20μl中においてリゲートした。リゲーション混合物を用いて大腸菌DG75′を形質転換し、pXHSA113△C1aを得た。pXHSA113△C1aベクターは上記リンカーにより、外来DNA配列を含まない天然AOX1 5′側調節領域(プロモーター)の3′末端とHSAのATG開始コドンとの間のイグザクト結合を有する。【0043】C.pHSA313の形成1μgのpXHSA113△C1aをREact1緩衝液100μl中のC1aIにより37℃で4時間消化した。消化後に反応混合物をアルカリホスファターゼ緩衝液条件に調整し、10単位のウシ腸アルカリホスファターゼで200μlの反応容量において37℃で30分間処理した。ホスファターゼ処理をフェノール抽出により終結させ、工程Aの記載に従ってDNAを沈殿させ、約10ng/μlの濃度で水に溶解し、−20℃に保存した。【0044】1μgのpAO807N(図8、その構成は欧州特許出願第0 344 459号明細書に記載)をREact2緩衝液100μl中のPstIにより37℃で4時間消化した。消化したDNAをアルカリホスファターゼ緩衝液条件に調整し、10単位のウシ腸アルカリホスファターゼで200μlの反応容量において55℃で15分間処理した。15分間の終了時にさらに10単位のホスファターゼを添加し、15分間インキュベートした。ホスファターゼ処理をフェノール抽出により終結させ、工程Aの記載に従ってDNAを沈殿させた。100μg/mlのBSAを含有するREact1緩衝液100μl中のC1aI 5単位によりDNAを37℃で4時間消化し、工程Aの記載に従ってフェノール抽出し、DNAを沈殿させた。DNA沈殿を約20ng/μlの濃度で水に溶解した。【0045】約100ng(10μl)のC1aI開裂−ホスファターゼ処理pXHSA113△C1aを、約80ngのPstI消化−ホスファターゼ処理およびC1aI開裂−pAO807N(4μl)、4μlの5×リガーゼ緩衝液、2μlの1mg/ml BSAと混合し、1単位のT4DNAリガーゼをを用いて4℃で一夜リゲートした。リゲーション混合物を用いて大腸菌DG75′を形質転換し、pHSA313を得た。このリゲーションによるpHSA313プラスミドは、HIS4遺伝子およびAOX1 3′側第2挿入性配列(AO807N由来)に結合した完全pXHSA113△C1a配列を含む。pHSA313プラスミドのこれらの成分の相対配向は図7にpHSA113プラスミドにつき示したものと同じである。【0046】例2発現ベクターpPGP1の構成発現ベクターpPGP1を下記に従って構成した。pXHSA113△C1a(例1参照)をBsu36IおよびPvuII(部分)で消化し、ベクター主鎖を単離した。pHSA113(欧州特許出願第0 344 459号明細書に記載)に含まれる構造遺伝子に類似のPvuII−Bsu36I上のHSA構造遺伝子をこのベクター主鎖にリゲートしてpPGP1△C1aを得た。約100ngのpPGP1△C1aをC1aIにより37℃で1時間消化した。例1に従ってDNAを採取した。約100ngのpAO807N(本明細書の図8に示し、欧州特許出願第0 344 459号明細書に記載)をPstIで消化し、アルカリホスファターゼ処理し、次いで例1Cの詳述に従ってC1aIで消化した。次いでこのフラグメントをC1aI消化−アルカリホスファターゼ処理pPGP1△C1aにリゲートしてpPGP1を得た。(GS115 pPGP1−9−6はピチア・パストリスGS115をpPGP1で形質転換することにより得たクローンであり、このクローンを発酵に用いた。)例35′側および3′側イグザクトHSA発現プラスミドpHSA413の構成AOX1 5′側調節領域の3′末端とHSA構造遺伝子の開始コドンとの間のイグザクト結合、およびAOX1 3′側ターミネーション配列の5′末端とHSA構造遺伝子の3′末端との間のイグザクト結合を有するベクターを提供するpHSA413ベクターを構成した。【0047】A.pXXHSA113△C1aの形成1μgのpXHSA113△C1aを、REact3緩衝液100μl中のEcoRI 10単位により37℃で4時間消化した。消化混合物をフェノール抽出し、例1の詳述に従ってDNAを沈殿させた。DNA沈殿を20μlの水に溶解し、Bsu36I緩衝液100μl中のBsu36I 20単位により37℃で1時間消化した。消化混合物をフェノール抽出し、例1の詳述に従ってDNAを沈殿させ、100μlの水に溶解した。約100ngのEcoRIおよびBsu36I開裂DNAを、10ngのアニールしたオリゴヌクレオチド5′−TTAGGCTTATAAG(SEQ ID NO:6)および5′−AATTCTTATAAGCC(SEQ ID NO:7)と混合し、100μg/mlのBSAおよび10単位のT4DNAリガーゼを含有するT4DNAリガーゼ緩衝液20μl中において4℃で一夜リゲート(ligate)した。リゲーション混合物(ligation mixture)を用いて大腸菌を形質転換し、pXXHSA113△C1aを得た。このプラスミドにおいては、pXHSA113△C1a中に存在するBsu36IとEcoRIの間の下記配列(SEQ ID NO:8):が下記の配列(SEQ ID NO:9)により置換されている:B.pHSA413の形成1μgのpXXHSA113△C1aをREact1緩衝液100μl中のC1aIにより37℃で4時間消化した。消化後に反応混合物をアルカリホスファターゼ緩衝液条件に調整し、10単位のウシ腸アルカリホスファターゼで200μlの反応容量において37℃で30分間処理した。ホスファターゼ処理をフェノール抽出により終結させ、工程Aの記載に従ってDNAを沈殿させ、約10ng/μlの濃度で水に溶解し、−20℃に保存した。【0048】約100ng(10μl)のC1aI開裂−ホスファターゼ処理pXXHSA113△C1aを、約80ng(4μl)のPstI消化−ホスファターゼ処理およびC1aI開裂−pAO807N(例1の工程3、第2節を参照されたい)、4μlの5×リガーゼ緩衝液、2μlの1mg/ml BSAと混合し、1単位のT4DNAリガーゼを用いて4℃で一夜リゲートした。リゲーション混合物を用いて大腸菌DG75′を形質転換し、pHSA413を得た。このリゲーションによるpHSA413プラスミドは、HIS4遺伝子およびAOX1 3′側第2挿入性配列(AO807N由来)に結合した完全pXHSA113△C1a配列を含む。pHSA313プラスミドのこれらの成分の相対配向は図7にプラスミドpHSA113につき示したものと同じである。【0049】例4pHSA313、pHSA413およびpPGP1によるピチア・パストリスの形質転換A.ベクターの調製それぞれ約10μgのpHSA313、pHSA413、pPGP1およびpAO807N(陰性対照)をHS緩衝液200μl中において、50単位のNotIにより37℃で12時間消化した。消化したDNA試料をフェノール抽出し、例1の記載に従って沈殿させ、20μlのCaSに溶解し、次いでピチア・パストリスGS115の形質転換に用いた。同様にそれぞれ約10μgのpHSA313、pHSA413およびpAO807Nを、20単位のSstIにより、100μg/mlのBSAを含むREact2緩衝液200μl中において37℃で12時間消化した。消化したDNA試料をフェノール抽出し、例1の記載に従って沈殿させ、20μlのCaSに溶解した。【0050】B.細胞の増殖ピチア・パストリスGS115(NRRL Y−15851)を約10mlのYPD培地に接種し、30℃で12−20時間振盪培養した。100mlのYPD培地に種培養物を接種して、約0.001のOD600を得た。この培地を振盪フラスコ中において30℃で約12−20時間培養した。OD600が約0.2−0.3となった時点で、ソルバル(Sorvall)RB5Cを用いて1555gで5分間遠心分離することにより培養物を採取した。【0051】C.スフェロプラストの調製細胞を10mlの滅菌水で洗浄し、次いで1500gで5分間遠心分離した。(遠心分離は特に指示しない限り、各細胞洗浄ののち、ソルバルRT6000Bを用いて1500gで5分間行う。)細胞を10mlの新たに調製したSED中で1回、10mlの無菌1Mソルビトール中で1回洗浄し、最後に10mlのSCE緩衝液に再懸濁した。7.5μlの3mg/mlチモリアーゼ(Zymolyase)(100,000単位/g、マイルズ・ラボラトリーズより入手)を細胞懸濁液に添加した。細胞を30℃で約10分間インキュベートした。(5%SDS中におけるOD600の60%低下を正確な時間マーカーとして利用しうる。)スフェロプラストを10mlの無菌1Mソルビトール中において700gで5−10分間遠心分離することにより洗浄した。10mlの無菌CaSを細胞の最終洗浄液として用い、細胞を再度700gで5−10分間遠心分離し、次いで0.6mlのCaSに再懸濁した。【0052】D.形質転換ピチア・パストリスGS115細胞を10μgの線状DNA(工程A参照)により、スリークリシュナ(Sreekrishna)ら,Gene59,115−125(1987)のスフェロプラスト形質転換法によって形質転換した。DNA試料を12×75mmの無菌ポリプロピレン試験管に添加した(20μlの容量となるまで)。(DNAは適切な緩衝液、たとえばTE緩衝液、またはCaS中に含有すべきである。)100μlのスフェロプラストを各DNA試料に添加し、室温で約20分間インキュベートした。1mlのPEG溶液を各試料に添加し、室温で約15分間インキュベートし、700gで5−10分間遠心分離した。SOS(150μl)をペレットに添加し、室温で約30分間インキュベートした。最後に850μlの1Mソルビトールを添加した。【0053】E.スフェロプラストのリジェネレーション形質転換試料を用意する少なくとも30分前に、平板当たり20mlのリジェネレーション用寒天SDRの底部アガロース層を注入した。さらに、形質転換試料がSOS中にある期間中に、45℃の水浴中の15mlコニカルボトム型コーニング試験管に8mlアリコートのリジェネレーション用寒天を分配した。形質転換した試料50または250μlアリコートを45℃に保持された溶融リジェネレーション用寒天8mlアリコートに添加し、20ml固形底部寒天層を含む平板上に注入した。これらの平板を30℃で3−5日間インキュベートした。【0054】F.形質転換体の選択ヒスチジンを欠如する培地SDR上で培養することにより形質転換体を選択した。NotI線状ベクターを用いて得た形質転換体の場合は、ヒスチジンの不在下で増殖したコロニーを″メタノール−スロー″表現型(NotI DNAフラグメントによるAOX1構造遺伝子の置換を示す)についてもスクリーニングした。次いで″メタノール−ノーマル″(SstI線状DNAを用いて得たもの)およびメタノール−スローを示す数種類の形質転換GS115細胞を培養し、HSAの産生につきアッセイした。【0055】例5ピチア・パストリスのインテグラティブ形質転換体におけるメタノール誘導HSA分泌pHSA313、pHSA413およびpPGP1を用いて形質転換したピチア・パストリスGS115株を振盪試験管培養においてHSA分泌につき分析した。メタノール−スローおよびメタノール−ノーマル双方の株を用いた。それぞれの場合、36の独立コロニーを試験した。pAO807Nを用いて得た形質転換体を陰性対照とした。培地中へのHSAの効果的な分泌および安定な蓄積を保証するためのプロトコールを開発した。【0056】細胞を50mlの試験管に入れた10mlのBMGRまたはBMGY中で飽和に達するまで増殖させた(2−3日間)。細胞は10−20A600単位である。細胞を採取し、上澄液を廃棄し、次いでペレットを2mlのBMMRまたはBMMYに再懸濁した。試験管にキャップの代わりに無菌ガーゼ(チーズクロス)で蓋をした。次いで試験管を30℃の振盪機に戻した。2−3日間の終了時に細胞をペレット化し、上澄液を産生物につきアッセイした。ペレットを新鮮な培地で再懸濁し、新たな分泌のために振盪機へ戻すことができる。ピチア−HSA株については、SDS−PAGE、次いでクマシー染色による分析のために、10μlの培地上澄液で十分であった。これらの条件下でHSAに対応する67kDの単一バンドが認められた。形質転換体GS115/pHSA313とGS115/pHSA413の発現水準に有為差はなく、これはpHSA313中に存在するHSA遺伝子からの3′側非翻訳配列の欠失は発現水準に有為に影響を与えないことを示す。メタノール−スローとメタノール−ノーマルの形質転換体間にHSA発現水準の有為差は認められず、これはAOX1の分断が効果的HSA発現にとって本質的でないことを示す。予想どおりGS115/pAO807N形質転換体(陰性対照)の培地および細胞抽出液のいずれにもHSAは存在しなかった。HSA分泌水準の上昇を示した変異クローンを選択した。【0057】例6HSA産生のためのMut−ピチア・パストリスのバッチ供給式発酵ピチア・パストリスGS115:pHSA 413−6およびpPGP1−9−6を作業容量8.5リットルの20リットル容バイオラフィッテ(Biolafitte)発酵槽2個に接種した。接種物は下記の方法で調製された:培養物をYM平板上で増殖させ、次いで振盪フラスコ中のYMブロス100mlに移し、約24時間増殖させた。この培養物50mlを振盪フラスコ中のYMブロス1リットルに移し、同様に約24時間増殖させた。次いでこの1リットルをバイオラフィッテ発酵槽中の発酵培地8.5リットルに移した。発酵培地は最少塩類+ビオチン+5%グリセリンからなっていた。バッチ増殖条件には下記のものが含まれる:pH=5.8(NH3で調整)、温度=30℃、および空気飽和20%以上の溶存酸素。【0058】約24時間後にグリセリン消費が完了し、この時点で10−15ml/時の量で緩徐なメタノール供給を開始した。発酵槽中のメタノール濃度を監視し、ブロス中のメタノール濃度0.5−0.9%を維持すべく供給量を調整した。【0059】クマシーブルー染色したSDS含有ポリアクリルアミドゲル(SDS−PAGE)の濃度測定により、培地中に分泌されたHSAを定量した。領域は同じSDS−PAGEゲル上で実験した一連の既知重量の真正HSAを参考にした。これらのゲルから得たデータを表3および4に示す。【0060】次表はpH変化がHSA産生量に及ぼす影響を示す:【表3】次表は比較的高いpH水準において達成されるHSA産生水準を示す:【表4】例7ピチア・パストリスからの振盪試験管および振盪フラスコ内蛋白質分泌に関するプロトコール振盪試験管および振盪フラスコ内でのHSAの効果的な分泌および安定な蓄積のためには、発酵培地について5.0または5.2の代わりに5.7−6.4のpHを用い、発酵槽培地に少量の酵母エキス(0.5−0.1%)およびペプトン(0.1−0.2%)を添加し、低い細胞密度(乾燥細胞重量20−25g/l)において発現を誘発することが必要である。これらの方法を利用して、本発明者らは振盪試験管およびフラスコ内で増殖する細胞からHSAを効果的に分泌させうるプロトコールを開発した。このプロトコールはピチア・パストリスからの蛋白質の分泌一般に利用しうると考えられる。【0061】振盪試験管:細胞を50mlの試験管に入れた10mlのBMGRまたはBMGY中で飽和に達するまで増殖させた(2−3日間)。細胞のA600は10−20単位である。細胞を採取し、上澄液を廃棄し、ペレットを2mlのBMMRまたはBMMYに再懸濁した。試験管にキャップの代わりに無菌ガーゼ(チーズクロス)で蓋をした。試験管を振盪機に戻し、振盪機を約30℃に保持した。2−3日間の終了時に細胞をペレット化し、上澄液を産生物につき分析した。ペレットを新鮮な培地で再懸濁し、新たな分泌のために振盪機へ戻すことができる。ピチア−HSA株については、SDS−PAGE、次いでクマシー染色による分析のために、10μlの培地上澄液で十分であった。これらの条件下でHSAサイズ(67kD)に対応する単一バンドが認められた。【0062】振盪フラスコ:細胞を上記に従って2リットルのフラスコ中の1リットルの培地(BMGRまたはBMGY)中で増殖させた。細胞を採取し、発酵フラスコ(チューンエア(Tunair、商標)振盪フラスコ発酵システム、リサーチ・プロダクツ・インタナショナル・コーポレーション)またはチーズクロスで蓋をしたバフル付きフラスコ中のBMMRまたはBMMY50−75mlに懸濁した。30℃の振盪機に戻し、2−4日間誘導した。2−4日間の終了時に細胞をペレット化し、上澄液を産生物につき分析した。ペレット化した細胞を新鮮な培地に再懸濁することにより、振盪試験管分泌を再開することができる。【0063】【配列表】(1)SEQ ID NO:1に関する情報:(i)配列特性:(A)長さ:940bp(B)種類:DNA(C)鎖形成状態:1本(D)位相幾何学的状態:線状(ii)分子の種類:ゲノムDNA(ix)配列の記載:SEQ ID NO:1:(2)SEQ ID NO:2に関する情報:(i)配列特性:(A)長さ:600bp(B)種類:DNA(C)鎖形成状態:1本(D)位相幾何学的状態:線状(ii)分子の種類:ゲノムDNA(ix)配列の記載:SEQ ID NO:2:(3)SEQ ID NO:3に関する情報:(i)配列特性:(A)長さ:1830bp(B)種類:DNA(C)鎖形成状態:1本(D)位相幾何学的状態:線状(ii)分子の種類:ゲノムDNA(ix)配列の記載:SEQ ID NO:3:(4)SEQ ID NO:4に関する情報:(i)配列特性:(A)長さ:16bp(B)種類:DNA(C)鎖形成状態:1本(D)位相幾何学的状態:線状(ii)分子の種類:オリゴヌクレオチド(ix)配列の記載:SEQ ID NO:4:(5)SEQ ID NO:5に関する情報:(i)配列特性:(A)長さ:19bp(B)種類:DNA(C)鎖形成状態:1本(D)位相幾何学的状態:線状(ii)分子の種類:オリゴヌクレオチド(ix)配列の記載:SEQ ID NO:5:(6)SEQ ID NO:6に関する情報:(i)配列特性:(A)長さ:13bp(B)種類:DNA(C)鎖形成状態:1本(D)位相幾何学的状態:線状(ii)分子の種類:オリゴヌクレオチド(ix)配列の記載:SEQ ID NO:6:(7)SEQ ID NO:7に関する情報:(i)配列特性:(A)長さ:14bp(B)種類:DNA(C)鎖形成状態:1本(D)位相幾何学的状態:線状(ii)分子の種類:オリゴヌクレオチド(ix)配列の記載:SEQ ID NO:7:(8)SEQ ID NO:8に関する情報:(i)配列特性:(A)長さ:231bp(B)種類:DNA(C)鎖形成状態:1本(D)位相幾何学的状態:線状(ii)分子の種類:リンカーオリゴヌクレオチド(ix)配列の記載:SEQ ID NO:8:(9)SEQ ID NO:9に関する情報:(i)配列特性:(A)長さ:20bp(B)種類:DNA(C)鎖形成状態:1本(D)位相幾何学的状態:線状(ii)分子の種類:オリゴヌクレオチド(ix)配列の記載:SEQ ID NO:9:【図面の簡単な説明】【図1】Bg1IIからBg1IIへ時計回りにフラグメント中に線状部位特異性インテグラティブベクターを含むプラスミドpAO804を示す図である。構造遺伝子をこのプラスミドのユニークEcoRI部位に挿入することができる。このプラスミドはNRRL B−18114のプラスミドDNAから、EcoRI消化およびゲル電気泳動を行い、図1に対応する線状の〜7.4kb EcoRIフラグメントを採取することにより得られる。【図2】環状のpHSA13を示す図である。【図3】ピチア・パストリスから単離されたAOX1 5′側調節領域を示す制限地図である。【図4】ピチア・パストリスから単離されたDAS1 5′側調節領域を示す制限地図である。【図5】ピチア・パストリスから単離されたAOX1 3′側ターミネーション配列を示す制限地図である。【図6】ピチア・パストリスから単離されたDAS1 3′側ターミネーション配列を示す制限地図である。【図7】線状pHSA113を示す図である。【図8】NotIからNotIへ時計回りにフラグメント中に線状部位特異性インテグラティブベクターを含むプラスミドpAO807Nを示す図である。構造遺伝子をこのプラスミドのユニークEcoRI部位に挿入することができる。 形質転換したピチア・パストリス(Pichiapastoris)細胞において異種蛋白質を分泌させるための、下記よりなる改良法:(a)分泌シグナル配列および成熟HSA蛋白質をコードし、該シグナル配列が成熟HSA蛋白質をコードする配列にオペラブル結合しているHSA構造遺伝子を発現しうる形質転換したピチア・パストリス細胞を、発酵機中の発酵ブロス中において、形質転換したピチア・パストリス細胞の生存を維持するのに適した条件下で、該ピチア・パストリス細胞による成熟HSA蛋白質の発現に適した条件下に培養し、そして(b)異種蛋白質の発現と同時期に、該発酵ブロスのpHを5.7−5.97のpHに保持する。 ピチア・パストリスが環状プラスミドおよび線状プラスミドよりなる群から選ばれるベクターにより形質転換される、請求項1に記載の方法。 ベクターが線状インテグラティブ部位特異性ベクターである、請求項2に記載の方法。 線状インテグラティブ部位特異性ベクターが下記の順次配置を含み:(a)第1挿入性DNAフラグメント、(b)マーカー遺伝子少なくとも1個、ならびにシグナル配列および成熟HSA蛋白質をコードし、ピチア・パストリスAOX1調節領域およびターミネーション配列にオペラブル結合しているHSA構造遺伝子を含む発現カセット少なくとも1個、ならびに(c)第2挿入性DNAフラグメント;その際成分(b)のマーカー遺伝子とカセットの順序は互いに交換することができ、用いられる第1および第2挿入性DNAフラグメントはピチア・パストリスゲノムの別個の部分と相同であり、これらの挿入性フラグメントはピチア・パストリスゲノム中に存在するものと同一の相対配向である、請求項3に記載の方法。 第1挿入性DNAフラグメントおよび第2挿入性DNAフラグメントが、AOX1遺伝子、p40遺伝子、DAS遺伝子、GAP遺伝子、PHO1遺伝子およびHIS4遺伝子よりなる群から選ばれるピチア・パストリスからの遺伝子のDNA配列より得られる、請求項4に記載の方法。 マーカー遺伝子が、ピチア・パストリスから単離されたHIS4、ピチア・パストリスから単離されたARG4、ビール酵母菌(Saccharomycescerevisiae)から単離されたSUC2、Tn903のG418R遺伝子、およびTn601のG418R遺伝子よりなる群から選ばれる、請求項4または5に記載の方法。 異種蛋白質発現に際して発酵ブロスのpHが5.75−5.85に保持される、請求項4、5または6に記載の方法。 プラスミドが自己複製DNA配列およびマーカー遺伝子からなる、請求項4、5、6または7に記載の方法。 プラスミドが下記よりなる、請求項2−8のいずれかに記載の方法:(a)ピチア・パストリスから単離されたAOX1調節領域;下記にオペラブル結合:(b)HSAに対する天然シグナル配列および成熟HSA蛋白質をコードし、該HSAシグナル配列が成熟HSA蛋白質をコードする配列にオペラブル結合しているHSA構造遺伝子;下記にオペラブル結合:(c)ピチア・パストリスから単離されたAOX1のターミネーション配列;下記にオペラブル結合:(d)少なくとも1個のマーカー遺伝子、ならびに(e)約0.19キロベース配列の自己複製DNA配列である第2DNAフラグメント。 形質転換したピチア・パストリス細胞をHSAの発現に際してバッチ供給式で増殖させ、異種蛋白質発現に際して発酵ブロスのpHがpH5.7−pH5.97に保持される、請求項1−9のいずれかに記載の方法。 形質転換したピチア・パストリス細胞の生存を維持するために、発酵ブロスが有効量の適切な最少塩類混合物、増殖因子、ならびにメタノール、グリセリン、ソルビトール、グルコース、フルクトースおよびそれらのうち1または2以上の組み合わせよりなる群から選ばれる少なくとも1種類の適切な炭素源を含有する、請求項10に記載の方法。 発酵ブロスの炭素源が消費されたのち、形質転換したピチア・パストリス細胞をメタノールと接触させ、その際メタノールがそれと接触するピチア・パストリス細胞の生存を維持するのに十分な量で供給され、かつメタノール濃度が約5.0重量%を越えない、請求項11に記載の方法。 ピチア・パストリス細胞のバッチ供給式増殖に際してのpHがpH5.8である、請求項10に記載の方法。


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