生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_薬物−タンパク質コンジュゲート
出願番号:2015536329
年次:2015
IPC分類:C07K 16/00,A61K 31/537,A61P 43/00,A61P 33/00,A61P 31/00,A61P 31/04,A61K 47/48,C07D 498/18,A61K 45/00,A61K 39/395,A61K 38/00


特許情報キャッシュ

ジョン・バート アントニー・ゴドウィン マーク・フリゲリオ ジョージ・バデスク JP 2015536329 公表特許公報(A) 20151221 2015538561 20131011 薬物−タンパク質コンジュゲート ポリセリックス・リミテッド 514321622 村山 靖彦 100108453 実広 信哉 100110364 阿部 達彦 100133400 ジョン・バート アントニー・ゴドウィン マーク・フリゲリオ ジョージ・バデスク US 61/717,743 20121024 C07K 16/00 20060101AFI20151124BHJP A61K 31/537 20060101ALI20151124BHJP A61P 43/00 20060101ALI20151124BHJP A61P 33/00 20060101ALI20151124BHJP A61P 31/00 20060101ALI20151124BHJP A61P 31/04 20060101ALI20151124BHJP A61K 47/48 20060101ALI20151124BHJP C07D 498/18 20060101ALI20151124BHJP A61K 45/00 20060101ALI20151124BHJP A61K 39/395 20060101ALI20151124BHJP A61K 38/00 20060101ALI20151124BHJP JPC07K16/00A61K31/537A61P43/00 105A61P33/00A61P31/00A61P31/04A61K47/48C07D498/18 311A61K45/00A61K39/395 NA61K37/02 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US GB2013052662 20131011 WO2014064424 20140501 43 20150424 4C072 4C076 4C084 4C085 4C086 4H045 4C072AA03 4C072AA06 4C072BB03 4C072BB06 4C072CC02 4C072CC12 4C072DD09 4C072EE06 4C072FF15 4C072GG01 4C072HH06 4C072HH07 4C072UU01 4C076AA95 4C076CC27 4C076CC31 4C076EE41Q 4C076EE59Q 4C076FF65 4C084AA01 4C084AA07 4C084AA19 4C084BA32 4C084NA02 4C084NA03 4C084NA05 4C084ZB322 4C084ZB372 4C085AA14 4C085AA25 4C085BB41 4C085CC23 4C085DD62 4C085DD63 4C085EE03 4C086AA01 4C086AA02 4C086AA03 4C086CB22 4C086HA27 4C086MA02 4C086MA05 4C086NA02 4C086NA03 4C086NA13 4C086ZB26 4C086ZB32 4C086ZB37 4C086ZC41 4H045AA11 4H045AA30 4H045DA75 4H045DA76 4H045EA20 本発明は、新規薬物-タンパク質コンジュゲートに関する。 結合タンパク質は、標的細胞および分子の表面上の特定のマーカーに対する特異性により、様々な診断剤および治療剤のためのキャリアとして広範囲に使用されている。例えば、標識およびレポーター基、例えば、蛍光団、放射性同位元素および酵素にコンジュゲートしたそのようなタンパク質は、標識化およびイメージングの用途で使用されている。一方、細胞毒性剤および化学療法剤へのコンジュゲーションによって、特定の組織または構造、例えば特定の細胞種または増殖因子へのそのような薬剤の標的化送達が可能となり、正常で健常な組織への影響を最小限に抑え、化学療法の処置に伴う副作用を大幅に低減することが可能になっている。そのようなコンジュゲートは、いくつかの疾患分野、特にがんにおいて、多大な治療適用可能性を有している。 水溶性合成ポリマー、特にポリアルキレングリコールは、治療的に活性な分子、例えば、抗体などのペプチドまたはタンパク質リガンドをコンジュゲートするために広く使用されている。これらの治療コンジュゲートにより、薬物動態が好ましく変化し、循環時間が延長し、クリアランス率が減少し、全身毒性が減少し、いくつかの場合には臨床効果が増加することが示されている。タンパク質にポリエチレングリコール、すなわちPEGを共有結合的にコンジュゲートさせる方法は「PEG化」として一般に知られている。 有効性を最適化し、用量ごとの一貫性を確実にするために、結合タンパク質あたりのコンジュゲート化部分の数が同じであり、各部分が各結合タンパク質の同じアミノ酸残基に特異的にコンジュゲートしていることが重要である。したがって、いくつかの方法が、そのようなコンジュゲートの均質性を改善するために開発されてきた。Liberatoreら、Bioconj. Chem 1990、1、36〜50頁およびdel Rosarioら、Bioconj. Chem. 1990、1、51〜59頁には、抗体などのタンパク質におけるジスルフィド結合を交差結合するために使用可能な試薬の使用が記載されている。WO2005/007197には、ポリマーをタンパク質にコンジュゲートさせる方法が記載され、タンパク質のジスルフィド結合に由来する両方の硫黄原子をコンジュゲートさせて新規チオエテールコンジュゲートを生成する能力を有する新規コンジュゲーション試薬が使用されている。 メイタンシン類は、細胞毒性化合物の一クラスであり、東アフリカの低木メイテナス・セラタ(Maytenus serrata)から単離される天然産物のメイタンシン自体、およびメイタンシノイドとして知られる関連化合物(例えばDM1、アンサミトシンP-3)が含まれる。メイタンシンとその類似体は、有糸分裂において細胞の増殖を阻害する強力な微小管標的化合物である。しかしながら、その細胞毒性により、副作用/毒性の低減、薬物送達性の改善、または効能向上を目的としたメイタンシンを含むコンジュゲートの開発に向けた研究が行われている。例えば、WO2009/134976には、ポリエチレングリコールスペーサーを組込んだ親水性リンカーを含有する抗体-薬物コンジュゲートが開示されており、ここで薬物は、他の可能性のある薬物の一つとしてメイタンシノイドとなる場合がある。WO2011/039721には、メイタンシノイドと、それを使用した抗体とのコンジュゲートの調製が開示されている。メイタンシンを含む抗体-薬物コンジュゲート、例えばトラスツズマブエムタンシン(T-DM1)が、癌の処置を含む様々な疾患の処置のために現在開発中である。 2つの抗体薬物コンジュゲートが、規制当局の承認を受けており、1つは薬物としてオーリスタチンを含むブレンツキシマブベドチン、もう1つは薬物としてメイタンシンを含むトラスツズマブエムタンシンである。これら双方の市販コンジュゲートにおいて、薬物と抗体との連結にマレイミドをベースとするリンカーが使用されている。マレイミドは、コンジュゲート化試薬で広く使用されている。しかしながら、他の多くのコンジュゲート化試薬と同様に、マレイミドの使用には、コンジュゲート反応の制御が困難であったり、均質性の低い産物が得られたり、得られたコンジュゲートの安定性が問題となる場合があったりといういくつかの難点が存在する。WO2005/007197WO2009/134976WO2011/039721WO2010/100430Liberatoreら、Bioconj. Chem 1990、1、36〜50頁del Rosarioら、Bioconj. Chem. 1990、1、51〜59頁Carter P.ら、Endocr. Relat. Cancer. 2004年12月; 11(4):659〜87頁Liuら、Anal. Chem. 2010、82、5219〜5226頁Nat. Prot.、1巻、4号、2006Promega社、技術公報TB288;Lewis Phillips G.D, Cancer Res 2008;68:9280〜9290頁Culture of Animal Cells:A manual of Basic Technique、R. Ian Freshney著、第3版、Alan R. Liss発行、N.Y. 1994Culture of Animal Cells:A manual of Basic Technique、R. Ian Freshney著、第5版、Wiley-Liss発行、N.Y.2005Nature Protocols、2006、1(54)、2241〜2252頁Widdisonら、J Med. Chem.、2006、49(14)、4392〜4408頁 それゆえ良好な安定性および均質性を有し、効率的に調製でき、必要な効能を示すコンジュゲートを使用したメイタンシンを送達するための改善された手段が必要とされている。 したがって、本発明は、一般式: (((Dq-Lk1)m-P)p-Lk2-Lk3)n-Ab (I)[式中、Dは、メイタンシン部分を表し;qは、1〜10の整数を表し;Lk1は、リンカーを表し;mは、1〜10の整数を表し;Pは、結合またはz価の基-P1-NH(ここでzは2〜11であり、P1は少なくとも1つのエチレン単位-CH2-CH2またはエチレングリコール単位-O-CH2-CH2-を含む基である)を表し;pは、1〜10の整数を表し;Lk2は、結合またはy価のリンカー(ここでyは2〜11であり、1〜9のアスパルテートおよび/もしくはグルタメート残基からなる)を表し;Lk3は、一般式:-CO-Ph-X-Y- (II){式中、Phは場合により置換されたフェニル基であり;XはCO基またはCH.OH基を表し;Yは式:(式中、AおよびBはそれぞれC1〜4アルキレンまたはアルケニレン基を表す)の基を表す}のリンカーを表し;Abは、標的上の結合パートナーに結合することができる結合タンパク質またはペプチドを表し、前記結合タンパク質またはペプチドは、結合タンパク質またはペプチドにおけるジスルフィド結合由来の2つの硫黄原子を介してLk3に結合されており;nは、1〜sの整数(ここでsは、Lk3にコンジュゲートする前に結合タンパク質またはペプチドに存在しているジスルフィド結合の数である)を表し;m、n、p、q、yおよびzの値は、コンジュゲートに1〜10個のD基が含まれるように選択される]のメイタンシン含有コンジュゲートを提供する。 Dはメイタンシン部分を表す(すなわち、Lk1基はメイタンシンの残基に結合されている)。用語メイタンシンには、メイタンシン自体、メイタンシノイド類、例えば15-メトキシアンサミトシンP-3およびそれらの誘導体などの化合物が含まれる。 好ましくは、メイタンシンは部分構造(A)[式中、Xは、OまたはSを表し;Raは、水素またはC1〜4アルキルを表し;Rbは、水素、ヒドロキシ、C1〜4アルコキシまたはC1〜4アルキルC(O)O-を表し;Rcは、水素、ヒドロキシ、C1〜4アルコキシまたはC1〜4アルキルC(O)O-を表し;Rdは、水素またはC1〜4アルキルを表し;Reは、ハロゲンまたは水素を表し;Rfは、水素またはC1〜4アルキルを表す]を含む化合物である。 好ましくは、XはOを表す。好ましくは、RaはC1〜4アルキル、特にメチルを表す。好ましくは、Rbは水素を表す。好ましくは、Rcは水素またはメトキシを表し、より好ましくは水素を表す。好ましくは、RdはC1〜4アルキル、特にメチルを表す。好ましくは、Reは塩素または水素、特に塩素を表す。好ましくは、RfはC1〜4アルキル、特にメチルを表す。 より好ましくは、メイタンシンは部分構造(B)[式中、XおよびRa-Rfは上記で規定した意味を有する]を含む。 さらにより好ましくは、メイタンシンは部分構造(C)または(D)を含み、最も好ましくは(C)を含む。 いくつかの好ましい実施形態において、メイタンシンは、部分構造(A)、(B)、(C)または(D)のエステルカルボニル炭素原子に結合した以下の(E)基:を含む。 例えば、メイタンシンは、部分構造(F):を含み得る。 いくつかの好ましい実施形態において、メイタンシンは部分構造(A)、(B)、(C)または(D)のエステルカルボニル炭素原子に結合した以下の基:の1つを含む。 いくつかの好ましい実施形態において、メイタンシンは部分構造(A)、(B)、(C)または(D)のエステルカルボニル炭素原子に結合した(L)基:を含む。 特定の好ましいメイタンシンの例としては、以下:が挙げられる。 Lk1は、メイタンシン部分に、任意の適切な位置で結合することができる。メイタンシン部分が(E)基を含むメイタンシンに相当する場合、Lk1は、例えば(E)基の窒素原子、例えばに結合し得る。 Lk1はメイタンシン部分DをP基に接続するリンカー、結合または基であり、1〜10個のD基を保有できる。Lk1は好ましくは分解性基を含有しており、すなわち、Lk1は好ましくは生理学的条件下で切断されてDをAbから分離するリンカーである。その代わりに、Lk1は生理学的条件下で切断されないリンカーであってもよい。Lk1が生理学的条件下で切断されるリンカーである場合、細胞内条件下で切断可能であることが好ましい。標的が細胞内にある場合、Lk1は細胞外条件に実質的に影響を受けない(すなわち、十分な用量の治療薬剤を細胞内標的に送達することが妨げられない)ことが好ましい。 Lk1が分解性リンカーである場合、加水分解条件に感受性を有する基を含んでいてもよい。Lk1は特定のpH値(例えば、酸性条件)で分解する基を含んでいてもよい。加水分解/酸性条件は、例えば、エンドソーム内またはリソソーム内で見出すことができる。酸性条件下で加水分解を受けやすい基の例としては、ヒドラゾン、セミカルバゾン、チオセミカルバゾン、cis-アコニット酸アミド、オルトエステルおよびケタールが挙げられる。加水分解条件に感受性を有する基の例としては、が挙げられる。 好ましい実施形態において、Lk1は、であるか、またはこれを含む。 例えば、Lk1は、であってもよく、この場合、下記のようにDおよびP基に結合していることが好ましい。 この実施形態において、メイタンシン部分Dは、好ましくは(E)基の窒素原子を介して結合しており、例えばである。 Lk1は還元条件下で分解を受けやすい基であってもよい。例えば、Lk1は、生物学的還元剤、例えばチオールに接触して切断され得るジスルフィド基を含有し得る。ジスルフィド基の例としては、以下:[式中、R、R'、R''およびR'''は、それぞれ独立して、水素またはC1-4アルキルである]が挙げられる。好ましい実施形態において、Lk1は、であるか、またはこれを含む。 例えば、Lk1は、であってもよく、この場合、Lk1は、下記のようにDおよびP基に結合していることが好ましい: これらの実施形態において、メイタンシン部分Dは、(E)基の窒素原子を介して結合していること、例えばが好ましい。 Lk1は酵素分解の影響を受けやすい基、例えば、プロテアーゼ(例えば、リソソームまたはエンドソームプロテアーゼ)またはペプチダーゼによる切断を受けやすい基を含んでもよい。例えば、Lk1は少なくとも1つ、例えば少なくとも2つ、または少なくとも3つのアミノ酸残基(例えば、Phe-Leu、Gly-Phe-Leu-Gly、Val-Cit、Phe-Lys)を含むペプチジル基を含んでもよい。例えば、Lk1は1〜5個、例えば2〜4個のアミノ酸を有するアミノ酸鎖であってもよい。酵素分解を受けやすい基の別の例は、[式中、AAはプロテアーゼ特異的アミノ酸配列、例えばVal-Citを表す]である。 好ましい実施形態において、Lk1は、であるか、またはこれを含む。 例えば、Lk1は、であってもよく、この場合、下記のようにDおよびP基に結合していることが好ましい: この実施形態において、メイタンシン部分Dは(E)基の窒素原子を介して結合されていることが好ましい。 一実施形態において、Lk1は1個のメイタンシン部分Dを有する(すなわち、q=1)。上記に示す特定のリンカー(Va)、(Vd)および(Ve)はこの型のリンカーである。別の実施形態において、qは1より大きく、例えば2、3または4であり、Lk1は2以上のメイタンシン部分を本発明のコンジュゲートに組み込む手段として使用される。一実施形態では、これは分岐リンカーLk1の使用によって達成することができ、例えばアスパルテートもしくはグルタメートまたは類似の残基が組み込まれていてもよい。これにより、式:[式中、bは1、2または3であり、b=1はアスパルテートであり、b=2はグルタメートであり、b=3は一つの好ましい実施形態を表す]の分岐要素が導入される。式VIにおけるアシル部分はそれぞれ適切なリンカーLk1aを介してD基に結合することができ、ここでLk1aは任意の適切なリンカーであり、例えば上記Lk1について述べた連結の一つが組み込まれた分解性リンカーである。好ましい実施形態において、Lk1aは上記に示す(Va)、(Vd)または(Ve)基を表す。アスパルテートもしくはグルタメートまたは類似の残基のアミノ基は、任意の適切な手段によってPに結合することができ、例えば連結はアミド結合を介することができ、例えば上記分岐基は、のように、-CO.CH2-基を介してPに結合してもよい。 必要に応じて、アスパルテートもしくはグルタメートまたは類似の残基を、さらなるアスパルテートおよび/もしくはグルタメートならびに/または類似の残基、例えば:に連結してもよく、以降同様にさらに最大9個のそのような残基に連結してもよく、それにより最大で10個のD基の組み込みが可能となる。上記のように、Dはそれぞれ任意の適切なリンカーLk1aを介してアスパルテート/グルタメートまたは類似の残基に接続されてもよい。 メイタンシンは、式(I)のコンジュゲートの構造に応じ、遊離の塩基もしくは遊離の酸の形態、または医薬的に許容される塩の形態、および/または溶媒和物として存在してもよい。 Pが-P1-NH-基を表す場合、P1は少なくとも1つのエチレンまたはエチレングリコール単位(-CH2-CH2-もしくは-O-CH2-CH2-)を含有する。多くのそのような単位が存在する場合、P1は、ポリエチレン、PEまたはポリエチレングリコール、PEGを表す。これらのポリマーは、1つの直鎖を含有しているものでもよく、または多くの小さいもしくは大きい鎖で構成される分岐形態を有しているものでもよく、その場合、ポリマーは分岐基、典型的には>CH-を、例えば-(CH2-CH2)2-CH-または-(O-CH2-)2CH-として含有する。それらは、場合により、任意の所望の方法で誘導体化または官能化されていてもよい。それらは例えばさらなる治療剤または標識化剤を保有するものでもよい。2分子以上の治療剤、例えば、2分子以上のメイタンシン、または1分子のメイタンシンに加えて1分子の治療剤を含有する多量体型コンジュゲートにより、相乗的および相加的利点がもたらされ得る。 P1がPEまたはPEGを表す場合、ポリマーの最適分子量は当然のことながら意図する用途に依存する。一般にP1がPEを表す場合、数平均分子量は、好ましくは最大2kDaであり、好ましくは最大1kDaである。P1がPEGを表す場合、より高分子量を使用することができ、例えば数平均分子量は最大75kDa、例えば最大60kDaであり得、最小数平均分子量は、例えば少なくとも0.5kDa、例えば少なくとも1kDa、例えば2kDaである。1つの好ましい実施形態において、数平均分子量が0.5から2kDaのPEGが使用され得る。しかしながら、いくつかの好ましい実施形態において、Pは結合であるか、またはPは-P1-NH-を表すものであり得、P1は少数の不連続性のエチレンまたはエチレングリコール単位を含有し、例えば2〜10個、例えば2もしくは3個のエチレンまたは好ましくはエチレングリコール単位を含有する。 式Iのコンジュゲートに2以上の-(CH2-CH2)a-または-(O-CH2-CH2)a-鎖[式中、aは任意の直鎖におけるエチレンまたはエチレングリコール単位の数である]を含有させること、例えば結果としてそのような鎖にそれぞれDq-Lk1基を保有させることが望ましい場合、2以上(すなわち2〜10)のそのような鎖をLk2に結合させるか、または分岐PEもしくはPEGを使用してLk2に接続させるP基を1つのみ使用するが2以上の分岐、例えば1〜9の分岐を含有(D-Lk1基に2〜10の結合点を提供)させることによって、これを達成することができる。 Pが-P1-NH-である場合、そのまたはそれぞれのP基は、アミド結合を介して隣接のLk1基および/またはLk2基に結合していることが理解される。例えば、PEG(通常、-OH基で終っている)を-NH2基で終止する対応PEGアミンに変換して、Lk2における-CO2基とアミド結合を形成させてもよく、またはOH基をLk1と上記のように連結-NH.CO.CH2.O-を形成するように反応させてもよい。 本発明の好ましい一実施形態において、P1はPEG水溶性合成ポリマーを表し、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、本明細書全体を通してP1についての任意の一般的な言及は、PEGについての具体的な言及を含むと理解されるべきである。 Lk2は、y価のリンカー[yは2〜11である]を表す。そのように1〜10個のPまたはLk1基を結合させることが可能である。その最も単純な形態において、Lk2は結合であり、この場合、Lk1は-P1-NH-基に直接結合するか、またはPが結合である場合はD-Lk1基に結合している。しかしながら、Lk2は、本発明のコンジュゲートに2以上のD基(メイタンシン部分)を組み込む手段として使用してもよい。これはアスパルテートまたはグルタメート残基をLk3の-CO-基にアミド連結を介して結合させること(例えば、アスパルテートまたはグルタメートアミン基をLk3に対応する適切なカルボン酸誘導体に反応させること)によって達成される。これにより上記に示す式VIの分岐要素が導入される。その場合、アシル部分のそれぞれがアミド連結を介して-P1-NH-基に結合してもよく、またはPが結合であるとき、D-Lk1基に結合してもよい。その代わりに、アスパルテートまたはグルタメート残基を上記に示す式VIIaおよびVIIbにおいて示されるようなさらなるアスパルテートおよび/またはグルタメート残基、最大9個のそのようなアスパルテートおよび/またはグルタメートなどの残基に結合させてもよく、複数のD-Lk1-P基の結合を介してLk2の様々な結合点に最大10個のD基を組み込むことができる。Lk2の価数は、存在するD-Lk1-P基の数と関連していることが理解される。例えば、D-Lk1-P基のそれぞれについてPが-P1-NH-であるとき、Lk2の価数は、存在する-P1-NH-基の数と関連し、すなわちpはy-1と等しくなる。D-Lk1-P基のそれぞれについてPが結合であるとき、Lk2の価数は、存在するD-Lk1基の数と関連し、すなわちmはy-1に等しくなる。 Lk3は結合タンパク質におけるジスルフィド結合に由来する2つの硫黄基を介して結合タンパク質に結合することができる特別なリンカーである。Lk3において、フェニル基Phは置換されていなくても置換されていてもよい。フェニル基Phに場合により存在し得る置換基は、例えば、アルキル(好ましくは、場合によりOHまたはCO2Hで置換されているC1〜4アルキル、特にメチル)、-CN、NO2、-CO2R4、-COH、-CH2OH、-COR4、-OR4、-OCOR4、-OCO2R4、-SR4、-SOR4、-SO2R4、-NHCOR4、-NR4COR4、NHCO2R4、-NR4.CO2R4、-NO、-NHOH、-NR4.OH、-C=N-NHCOR4、-C=N-NR4.COR4、-N+R43、-N+H3、-N+HR42、-N+H2R4、ハロゲン、例えばフッ素または塩素、-C≡CR4、-C=CR42および-C=CHR4(式中、R4はそれぞれ独立して水素原子またはアルキル(好ましくはC1〜6アルキル)、アリール(好ましくはフェニル)、またはアルキル-アリール(好ましくはC1〜6アルキル-フェニル)基から選択される1つまたは複数の同じまたは異なる置換基が挙げられる。電子求引性置換基の存在が特に好ましい。好ましい置換基としては、例えば、CN、-NO2、-OR4、-OCOR4、-SR4、-NHCOR4、-NR.COR4、-NHOHおよび-NR4.COR4が挙げられる。但し、フェニル基Phは置換されていないことが好ましい。 YがIII基を表すときは、炭素1個の架橋がリンカーLk3と結合タンパク質Abのジスルフィド結合に由来する2つの硫黄原子との間に形成され、YがIV基を表すときは、A基とB基の性質により、リンカーLk3と結合タンパク質Abのジスルフィド結合に由来する2つの硫黄原子との間に形成される架橋の長さが決まる。好ましくは、炭素3個の架橋が形成されること、すなわちYが式:を有することが好ましい。 上述のように、2以上のメイタンシン部分を含むコンジュゲートが有利な可能性がある。2以上のメイタンシン部分を存在させることは、いくつかの異なる方法で達成することができ、例えば、上記のような分岐PEGの使用によって、多価の基Lk2の使用によって、または多価の基Lk1の使用によって達成することができる。しかしながら、2以上のリンカーLk3を結合タンパク質Abに接続させて達成してもよい。一般に、正常な完全長抗体は4つの鎖間ジスルフィド結合(全IgG1抗体について重鎖-重鎖または重鎖-軽鎖)を有しており、これらのいずれかまたは全てを本発明によるリンカーLk3により架橋することができる。抗体の1つまたは複数の鎖間ジスルフィド結合をリンカーLk3によって架橋する場合も包含される。2つ以上のコンジュゲート基が存在する場合、nは1より大きい。nは、例えば、2、3、または4であり得る。 その代わりに、またはそれに加えて、1個または複数個のさらなるメイタンシン部分を、リンカーLk1を介してPに連結させて、またはPが結合である場合は、Lk2に直接連結させて、存在させることができる。この場合、mは1より大きく、例えば2、3または4であり、最大10である。2以上のリンカーLk1が存在する場合、これらは互いに同じであっても異なっていてもよい。 その代わりに、またはそれに加えて、1つまたは複数のさらなるメイタンシン部分を多価のリンカーLk1に連結させて存在させることができる。この場合、qは1より大きく、例えば2、3または4であり、最大10である。 本発明のコンジュゲートは最大10個のD基(メイタンシン部分)を保有する場合が企図されている。式Iのコンジュゲートに2以上のD基(すなわち2以上のメイタンシン部分)を含むことが所望される場合、いくつかの方法のいずれか1つでこれを達成することができる。例えば複数の(((Dq-Lk1)m-P)p-Lk2-Lk3)-基が単一の抗体に結合していてもよい(すなわち、nは2〜s)。この接続様式は、2以上のD基を含むコンジュゲートを提供する1つの好ましい方法を形成する。2以上のD基を含むコンジュゲートを提供するための第2の好ましい方法は、多価のリンカーLk1を使用するものであり、例えば上記のように1つもしくは複数のアスパルテートおよび/もしくはグルタメートまたは類似の残基を含有するリンカーLk1(例えば、式VI、式VIIaおよび式VIIb)を使用して、複数のD基を存在させること(すなわち、qは2〜10)が可能になる。Lk1が多価のリンカーであるコンジュゲート、特に上記式VIを含み、p=1、q=2、m=1およびLk2が結合であるコンジュゲートが特に効果的であり、そのようなコンジュゲートは本発明の好ましい実施形態を形成すると考えられる。 その代わりに、またはそれに加えて、Lk2が1〜9個のアスパルテートおよび/またはグルタメート残基からなる基である場合、複数の(Dq-Lk1)m-P)-基は、Lk2基の様々な位置(すなわち、p=2〜10)に、Lk2基のアスパルテートまたはグルタメート残基のカルボキシ基と一緒になったアミン部分の各基のアミド結合によって結合させることができる。P1が少なくとも1つのエチレンまたはエチレングリコール単位を含有し、少なくとも1つの分岐単位も含有する場合、複数の(Dq-Lk1)-基が追加的にまたは代替的にP1基の異なる位置に結合することができる(すなわち、mは2〜10)。 上記の組合せを有するコンジュゲートも本発明に包含される。例として、コンジュゲートは、2つの((D-Lk1)m-P)p-Lk2-Lk3-基に結合しているAb基を含有してもよく、ここで、それら((D-Lk1)m-P)p-Lk2-Lk3-基のそれぞれに対して、Lk2は2つの(D-Lk1)m-P基に結合しているアスパルテートまたはグルタメート残基であり、それら(D-Lk1)m-P基のそれぞれに対してPは-P1-NH-であり、P1は少なくとも1つのエチレンまたはエチレングリコール単位を含有し、少なくとも1つの分岐単位も含有し、全部で8個のD-Lk1基がコンジュゲートに存在するようにする。さらなる例として、コンジュゲートは2つの((D-Lk1)m-P)p-Lk2-Lk3-基に結合しているAb基を含有してもよく、ここでそれら((D-Lk1)m-P)p-Lk2-Lk3-基のそれぞれに対して、Lk2は結合であり、Pは-P1-NH-であり、P1は少なくとも1つのエチレンまたはエチレングリコール単位を含有し、少なくとも1つの分岐単位も含有し、各Lk1は、2つのD基に結合しているアスパルテートもしくはグルタメート残基も含有し、全部で8個のD-Lk1基がコンジュゲートに存在するようにする。 異なるLk3、Lk2、P、Lk1およびD基が同じコンジュゲートに存在してもよく、例えば、コンジュゲートは、2つの((D-Lk1)m-P)p-Lk2-Lk3基に結合しているAb基を含有し、それらの((D-Lk1)m-P)p-Lk2-Lk3-基の一方において、Lk2は結合であり得、それら((D-Lk1)m-P)p-Lk2-Lk3-基の他方において、Lk2はアスパルテートまたはグルタメート残基であり得る。同様にコンジュゲートがLk2基に結合している複数の(D-Lk1)m-P基を含有している場合において、これらのP基のうち1つは結合であり得、これらのP基のもう1つは-P1-NH-であり得る。 最も単純な実施形態において、本発明は、1個のメイタンシン部分(n=m=q=p=1)を含有するコンジュゲートに関する。コンジュゲートは最大10個のメイタンシン部分、例えば8個までのメイタンシン部分を含有し得る。コンジュゲートは、例えば、最大4個、例えば、1、2、3または4個のメイタンシン部分を有し得る。2個のD基が存在する場合、これらは例えば、式:[式中、Lk1は、好ましくは、上記の式(Va)、(Vd)または(Ve)の基を含む]のコンジュゲートであり得る。 その代わりに、2個のD基が存在する場合、これらは例えば、式:のコンジュゲートであり得る。 上記式は、Abに存在する1つのジスルフィド結合をつなぐXの結合を示す。抗体は最大4個の鎖間ジスルフィド結合を有することができ、これらの結合それぞれが1個のメイタンシン分子を保有する試薬によって架橋された場合、得られるコンジュゲートの薬物:抗体比(DAR)は4になる。2個のメイタンシン分子を保有する試薬を使用して、4つ全てのジスルフィド結合を架橋する場合、例えば、2個のPEもしくはPEG鎖を保有する試薬または分岐PEもしくはPEG鎖を有するもしくは分岐リンカーLk1を有する試薬を使用する場合、DARは8になる。そのような高いDARを有するコンジュゲートは臨床的に極めて有利である可能性がある。Abが〜X-基の2、3または特に4コピーを保有する上記Ia〜Ieのコンジュゲートは、本発明の好ましい実施形態の一つを形成する。DAR変異体それぞれについての面積を測定し、棒グラフとしてプロットしたグラフである。精製されたFab-試薬1コンジュゲートをRP-HPLCにより分析した結果を示す図である。精製されたFab-試薬1コンジュゲートをSDS-PAGEにより分析した結果を示す図である。SKBR-3またはMCF-7細胞におけるFab-試薬1コンジュゲートまたは抗体-試薬1コンジュゲートのいずれかでの処理に対する細胞生存応答を示す図である。 便宜上、用語「結合タンパク質」は、結合タンパク質およびペプチドの両方を含むものとして本明細書を通して使用され、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、ペプチドもタンパク質も含まれると理解されるべきである。本発明のコンジュゲートにおいて使用し得る結合タンパク質としては、標的の結合パートナーに対する結合剤として作用し得る任意のタンパク質、ポリペプチドまたはペプチドが挙げられる。標的は、例えば微生物、ウイルスまたは細胞、例えばがん細胞もしくは免疫細胞であり得る。このように、結合タンパク質はメイタンシンを特定の標的に標的化させるように作用する。そのような結合タンパク質の例としては、完全長抗体、抗体フラグメント、免疫グロブリン(Ig)、合理的もしくは組換えタンパク質工学技術により得られる非Igタンパク質骨格、およびレクチンが挙げられる。タンパク質-薬物コンジュゲートで使用される最も一般的な結合タンパク質は抗体であり、結合タンパク質またはAb基と述べられる場合はいつでも、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、抗体についての具体的な言及を含むと理解されるべきである。 この明細書を通じて、用語「抗体」は、標的抗原、例えば、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、またはそれらの組合せを、その免疫グロブリン分子の可変領域内の少なくとも1つの抗原認識部位を通じて認識し、特異的に結合する免疫グロブリン分子を意味すると解すべきである。用語「抗体」には、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、多重特異性抗体、例えば二重特異性抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、抗体の抗原決定部分を含む融合タンパク質、および抗体が所望の生物活性を示す限りあらゆる抗原識別部位を含む他の改変免疫グロブリン分子が包含される。抗体は、それぞれアルファ、デルタ、イプシロン、ガンマおよびミューと称される重鎖定常ドメインの同一性に基づいて、免疫グロブリンの5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM、またはその下位分類(アイソタイプ)(例えば、IgGl、IgG2、IgG3、IgG4、IgAlおよびIgA2)のいずれかに分類することが可能である。異なるクラスの免疫グロブリンは、異なる周知のサブユニット構造と3次元構造を有する。IgG1またはIgG4の使用が特に好ましい。 さらに、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、用語「抗体」は、完全長抗体、および完全長抗体の抗原結合領域を含む抗体フラグメントを包含すると理解されるべきである。抗体フラグメントは、例えば、Fab、Fab'、F(ab')2、scFv、Fv、ダイアボディ、ミニボディ、または抗体フラグメントから形成される多重特異的抗体であり、例えば、scFvフラグメントまたはダイアボディの異なる順列および場合によりscFv-Fc、scFv-Fc-scFv、Fab-scFv、(Fab'ScFv)2、scダイアボディ、scダイアボディ-Fc、scダイアボディ-CH3、scFv-CH3、scFv-CH2-CH3融合タンパク質などのFcフラグメントまたはCHドメインで構成されるミニボディなどであり得る。抗体フラグメントは、酵素的切断、合成または組換え技術によって生産し得る。 結合タンパク質は、標的、例えば、増殖性疾患、自己免疫疾患または感染性疾患に関連する細胞またはウイルスの表面上の受容体、抗原または他の部分に対する結合剤として作用し得る。例えば、結合タンパク質は、がん細胞上の細胞表面抗原に特異的に結合する抗体であり得る。がん細胞の抗体標的化のための細胞表面抗原の同定および確認方法は既知であって、例えばCarter P.ら、Endocr. Relat. Cancer. 2004年12月;11(4):659〜87頁で知られており、がんを処置するためのいくつかの抗体-薬物コンジュゲートが現在、臨床的に開発中である。がんの処置に利用可能な抗体の例および特定のがんの腫瘍マーカーも当該分野で周知であり、使用可能である。その代わりに、標的は免疫細胞、例えば自己免疫抗体の産生を担う細胞であってもよく、または自己免疫疾患に関与する活性化リンパ球であってもよい。他の実施形態において、標的は微生物またはウイルスの感染または疾患に関連する微生物またはウイルスであり得る。 本発明のコンジュゲートは、結合タンパク質における1つまたは複数のジスルフィド結合を還元し、続けて一般式:((Dq-Lk1)m-P)p-Lk2-Lk3a (VIII)[式中、D、Lk1、P、Lk2ならびにm、pおよびqは一般式Iで示した意味を有し;Lk3aは式:-CO-Ph-Xa-Ya (IX){式中、Phは上記で示された意味を有し;XaはCO基を表し;Yaは基:(式中、AおよびBは上記で規定した意味を有し;各Lは独立して脱離基を表し;xは1〜4の整数を表す)を表す}の基を表す]のコンジュゲート化試薬と反応させることによって調製することができる。 上記式X、XI、XIIおよびXIIIの基は互いに化学的に等価であり、式XおよびXIの基は抗体のジスルフィド結合をつなぐ炭素1個の架橋をもたらし、式XIIおよびXIIIの基は下記にn=1の場合:について示されるように、より長い炭素架橋をもたらす。 XまたはXII基を含有するコンジュゲート化試薬を抗体と反応させると、反応経路の迅速な工程として1つの脱離基Lの喪失が起こり、これによりXIまたはXIII基を含むコンジュゲート化試薬がそれぞれ生成される。したがって式XIまたはXIIIのコンジュゲート化試薬は、その場で調製されるか、または最初から使用される。X、XI、XIIまたはXIII基のいずれかを含有するコンジュゲーション試薬の使用における重要な特徴は、α-メチレン脱離基および二重結合が、マイケル活性化部分として作用する電子求引性官能部分と交差コンジュゲートすることである。脱離基が多官能性試薬における脱離を直接置換よりも受けやすく、電子求引性基がマイケル反応に適切な活性化部分である場合、一連の分子内ビスアルキル化を連続的マイケル反応および逆マイケル反応によって起こすことが可能である。脱離部分は、第一のアルキル化が起こるまで露出しない潜在的コンジュゲート二重結合をマスクする役割を果たし、二重アルキル化は、一連の相互マイケル反応および逆マイケル反応によって起こる。電子求引性基および脱離基は、一連のマイケル反応および逆マイケル反応によって二重アルキル化が起こるように最適に選択される。さらに、二重結合または脱離基と電子求引性基との間にコンジュゲートした付加的多重結合を有する多官能性アルキル化剤を調製することも可能である。 脱離基Lは、例えば、-SR4、-SO2R4、-OSO2R4、-N+R43、-N+HR42、-N+H2R4、ハロゲンまたは-Oφを表し、ここでR4は上記に規定した意味を有し、φは少なくとも1つの電子求引性置換基、例えば、-CN、-NO2、-CO2R4、-COH、-CH2OH、-COR4、-OR4、-OCOR4、-OCO2R4、-SR4,-SOR4、-SO2R4、-NHCOR4、-NR4COR4、-NHCO2R4、-NR4CO2R4、-NO、-NHOH、-NR4OH、-C=N-NHCOR4、-C=N-NR4COR4、-N+R43、-N+HR42、-N+H2R4、ハロゲン、特に塩素または特にフッ素、-C≡CR4、-C=CR42および-C=CHR4を含有する置換されたアリール基、特にフェニル基を表し、R4はそれぞれ独立して上記に規定した意味の一つを有する。特に好ましい脱離基Lは、-SR4または-SO2R4、特に-SO2R4であり、ここでR4は、フェニル、または特にトシル基を表す。したがって、特に好ましいYa基は、である。 好ましいコンジュゲート化試薬の例としては、[式中、Lk1は好ましくは上記の式(Va)、(Vd)または(Ve)の基を含み、Yaは好ましくは式(XII)の基であり、特にAおよびBはそれぞれ-CH2-である]が挙げられる。 さらなるコンジュゲート化剤の好適な例としては、[式中、Yaは好ましくは式(XII)の基であり、特にAおよびBはそれぞれ-CH2-である]が挙げられる。 上記試薬の1つを使用するコンジュゲーション方法の直接的な生成物は、XがケトCO基を表すメイタンシン-抗体コンジュゲートである。しかしながら、本発明の方法は適切な条件下で可逆的である。これは、いくつかの用途、例えば抗体からのメイタンシンの急速な分離が必要な用途で望ましい場合があるが、他の用途では急速な分離が望ましくない場合もある。したがってCO基Xを還元してCH.OH基Xとすることによってコンジュゲートを安定化することが望ましい場合がある。したがって、上記の方法は、最初に形成されたLk3のCO基Xを還元してLk3にCH.OH基Xを有するコンジュゲートを得る追加的な場合に応じた工程を含んでもよい。還元剤としてホウ素の水素化合物、例えば水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、またはトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムを使用することが特に好ましい。使用し得る他の還元剤としては、例えば、塩化スズ(II)、アルコキシド、例えばアルミニウムアルコキシド、および水素化アルミニウムリチウムが挙げられる。 上記の方法の適切な反応条件はWO2005/007197およびWO2010/100430に示されており、それらの内容は、参照により本明細書に組み込まれる。方法は、例えば、全ての反応物が溶解可能な溶媒または溶媒混合物中で実施してもよい。抗体は、水性反応媒体中で、コンジュゲーション試薬と直接反応させてもよい。この反応媒体は、求核剤のpH要件に応じて、緩衝液で処理してもよい。反応の最適pHは、一般的には少なくとも4.5、典型的には約5.0〜約8.5の間、好ましくは約6.0〜8.2である。最適反応条件は、当然のことながら、使用する特定の反応物に依存する。 反応温度3〜37℃の間が一般に適切である。有機媒体(例えばTHF、酢酸エチル、アセトン)中で行われる反応は、典型的に周囲温度までの温度で行われる。 結合タンパク質は、化学量論的に等量または過剰の試薬を使用して、所望の試薬と効果的にコンジュゲートすることができる。過剰の試薬と生成物は、通常の精製技術、例えば標準的クロマトグラフィー技法、例えばイオン交換クロマトグラフィーもしくはサイズ排除クロマトグラフィー、透析濾過によって、または、ポリヒスチジンタグが存在するときは例えばニッケルまたは亜鉛に基づく金属アフィニティークロマトグラフィーを使用した分離によって、容易に分離することができる。結合タンパク質における特定のジスルフィド結合の標的化は、既知の方法、例えば、タンパク質の部分還元、例えば、Liuら、Anal. Chem. 2010、82、5219〜5226頁により参照される方法によって実施し得る。 上記一般式VIIIのコンジュゲーション試薬は、メイタンシンと、一般式:((Lk1b)m-P)p-Lk2-Lk3a[式中、m、P、L、p、Lk2およびLk3aは一般式VIIIに示される意味を有し、Lk1bはメイタンシンに存在する基と反応する基を含むように式Lk1を改変させた基である]の化合物とを反応させることによって調製し得る。典型的な基および適切な反応は当業者にとって周知である。 一般式VIIIのコンジュゲーション試薬は新規であり、したがって本発明はこれらの試薬自体を提供する。これらの新規試薬において、Lk1、P、Lk2、m、pおよびqの値は、一般式Iについて上記に規定したものが好ましい。さらに本発明は、本発明によるメイタンシン-タンパク質コンジュゲートと、医薬的に許容される担体と、場合によりさらなる治療剤とを含む、治療で使用するための、特に増殖性疾患、自己免疫性疾患または感染性疾患、例えばがんを処置する医薬として使用するための医薬組成物を提供する。また本発明は、医薬的有効量のそのようなコンジュゲートまたは医薬組成物を患者に投与する工程を含む、患者の処置方法を提供する。本発明が有効である特定の状態としては、例えば、非ホジキンリンパ腫、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、リンパ球白血病および慢性骨髄性白血病を含む白血病、胃がん、乳がん、卵巣がん、肝臓がん、消化器がん、結腸がん、腎臓がん、例えば腎細胞癌、肺がん、例えば小細胞肺がん、黒色腫、膀胱がんおよび肉腫が挙げられる。 本発明のコンジュゲートはいくつかの重要な利点を実際に示すが、そのような利点の存在は予測し得なかったことである。本発明のコンジュゲートは、市販のコンジュゲートで現在使用されているマレイミド試薬を使用して調製された等価な薬物-抗体コンジュゲートと比較して、顕著な安定性の増加を実証する。さらにこれらの合成方法は、マレイミドを使用する方法と比較して、薬物-抗体比率に関する均質性が顕著に改善された生成物をもたらす。均質性は、製薬原料の生産規則性のための製薬原料の利点である。単一のDAR種をより高い収率で生じさせる方法は、効率性の増加を通して費用もより軽減する。不均質な混合物からDAR種を精製して製造された単一のDAR種の医薬品は、大量生産するには極めて高価であると予想される。 さらに、異なってもしくは異なる比率で代謝されるためにより不均質性の大きい分解生成物が生じる可能性がある混合DAR物質とは対照的に、全ての薬物が同じように代謝されて類似の産物を生じることから、単一のDAR種は、薬物動態、安全性、毒性および忍容性のより高い予測可能性を示すと予想される。 以下、実施例により本発明を説明する。 末端ビススルホン官能基を有し24反復単位PEGを有するバリン-アラニン-パラアミノベンジル-アミノヘキサン酸-メイタンシン(val-ala-PAB-AHX-DM1)試薬1の合成 工程1:1-オキソ-1-(4-(3-トシル-2-(トシルメチル)プロパノイル)フェニル)-PEG酸(ビス-スルホン-PEG(24単位)-CO2H)のコンジュゲーション O-(6-クロロベンゾトリアゾル-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HCTU)(29mg)を、ビス-スルホン-PEG(24)-CO2H(75mg、NH2-PEG(24)-CO2HからNat. Prot.、1巻、4号、2006に基づく方法を使用して調製)の無水ジメチルホルムアミド(5.8mL)の撹拌溶液に添加し、20分間撹拌した。val-ala-PAB-AHX-DM1(100mg、Concortis Biosystems社)を添加し、反応混合物を30℃で撹拌した。24時間後、さらなる量のHCTU(2mg)を添加し、反応混合物を30℃で撹拌した。さらに16時間後、揮発物を真空下で除去し、固体残留物をカラムクロマトグラフィーによりジクロロメタン-メタノール(97:3v/v+5滴のAcOH/50mL溶媒、次いで96:4v/v+5滴のAcOH/50mL溶媒)で溶出して精製し、溶媒を真空下で除去し、ビス-スルホン-PEG(24)-val-ala-PAB-AHX-DM11を薄黄色の油(55mg)として単離した。m/z M+Na+ 2716;診断シグナル: 末端ビス-スルホン官能基を有し5kDaの反復単位PEGを有するバリン-アラニン-パラアミノベンジル-アミノヘキサン酸-メイタンシン(val-ala-PAB-AHX-DM1)試薬2の合成 工程1:3-(2-(4-(3-トシル-2-(トシルメチル)プロパノイル)フェニルベンズアミド)エトキシ)PEG酸(ビス-スルホン-PEG(5kDa)-CO2H)のコンジュゲーション 1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェート(HATU)(10mg)を、既知のビス-スルホン-PEG(5kDa)-CO2H(56mg、NH2-PEG(5kDa)-CO2HからNat. Prot.、1巻、4号、2006に基づく方法を使用して調製)の無水ジメチルホルムアミド(0.5mL)の撹拌溶液に添加し、val-ala-PAB-AHX-DM1(15.8mg、Concortis Biosystems社)のジメチルホルアミド(0.5mL)溶液を添加した後、N-メチルモルホリン(4.4μL)を添加し、反応混合物を室温で撹拌した。24時間後、さらなる量のHATU(10mg)およびN-メチルモルホリン(4.4μL)を添加し、反応物を室温で撹拌した。さらに19時間後、揮発物を真空下で除去し、固体残留物を逆相C18-カラムクロマトグラフィーによりバッファーA(v/v):水:5%アセトニトリル:0.1% TFAおよびバッファーB(v/v):0.1% TFAのアセトニトリル(100:0v/vから0:100)で溶出して精製し、有機溶媒を真空下で除去し、水性溶媒を凍結乾燥によって除去し、ビス-スルホン-PEG(5kDa)-val-ala-PAB-AHX-DM12を無色の膜(10.6mg)として単離した。m/z M+Na+ 6380。 ビス-スルホン-PEG(24)-val-ala-PAB-AHX-DM11の抗体(トラスツズマブ)へのコンジュゲーション 5mg/mLの抗体(2.25mg)(ハーセプチン(登録商標)の、pH7.5の20mMリン酸ナトリウム、150mM NaClおよび20mM EDTAの溶液に、5mM TCEP溶液(18μL)を添加し、得られた混合物を40℃で1時間インキュベートした。還元抗体溶液(0.468mL、4.8mg/mLにて)を、pH7.5の20mMリン酸ナトリウムバッファー、150mM NaClおよび20mM EDTAで3.33mg/mLに希釈した。還元抗体に、ビス-スルホン-PEG(24)-val-ala-PAB-AHX-DM1試薬1のDMF溶液(75μL、3.23mg/mLにて)を添加し、得られた溶液を混合し、22℃で22時間インキュベートした。反応物を50mMのN-アセチル-L-システイン(36μL)の添加によってクエンチし、22℃でさらに1時間インキュベートした。最終反応混合物(786μL)を、5mLのZeba(商標)スピンカラム(Pierce社)を使用して、PBS×1にバッファー交換した。反応混合物を、TOSOH TSK-ゲル ブチル-NPRカラムを使用して、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)により分析した。方法は、30分で100%バッファーA(pH7.0の50mMリン酸ナトリウム、1.5M硫酸アンモニウム)から100%バッファーB(pH7.0の50mMリン酸ナトリウム、20%イソプロパノール)への直線勾配で構成した。検出は248nmおよび280nmでのUV吸収に従って実施した。付加された薬物に従って化学種を分離し、248nmおよび280nmでの最大UV吸収度の比によって特徴づけした。DAR変異体それぞれについての面積を測定し、棒グラフとしてプロットした。結果を図1に示す。主生成物はDAR=4コンジュゲートであった(65%)。 ビス-スルホン-PEG(24)-val-ala-PAB-AHX-DM1試薬1のFabへのコンジュゲーション Fab(5mg、トラスツズマブのパパイン消化物由来)の2.59mg/mLでのPBS溶液に、19.3μLの1M DTTを添加した。還元混合物を、22℃で1時間インキュベートした。インキュベーション後、混合物を、5mL Zeba(商標)スピン脱塩カラムを使用して、pH7.4の20mMリン酸ナトリウム、150mM NaClおよび20mM EDTAへのバッファー交換を行った。還元Fab溶液(1.9mL、2.58mg/mLにて)を、pH7.4の20mMリン酸ナトリウムバッファー、150mM NaClおよび20mM EDTAで2.22mg/mLに希釈した。還元Fab(2.12mL、2.22mg/mLにて)に、ビス-スルホン-PEG(24)-val-ala- PAB-AHX-DM1試薬1の50% DMSOおよび50% 20mMリン酸ナトリウムバッファー(pH7.4)、150mM NaClならびに20mM EDTA(235μL、1.62mg/mLにて)を添加し、得られた溶液を混合し、22℃で18時間インキュベートした。次いで、反応混合物をSDS-PAGEによって分析した。その後、コンジュゲーション混合物を、5mLのHiTrap(商標)フェニルHP HICカラムを使用して分取HICによって精製した。精製されたFab-試薬1コンジュゲートをRP-HPLC(図2)およびSDS-PAGE(図3)により分析した。RP-HPLC分析をVariTide RPC 250×4.6mmカラム(Agilent Technologies社)で実施し、図2に示すようにFab-AHX-DM1コンジュゲート生成物を走らせると単一の主ピークとなり(面積で92%)、コンジュゲートが非常に均質であることが示された。SDS-PAGE分析に関しては、サンプルを4-12% Bis-TrisゲルでMESランニングバッファー中にて200Vで35分間走らせた。Novex(登録商標)Sharp Pre-stained Standardをタンパク質マーカーとして使用した。NuPAGE(登録商標)LDS Sample Buffer(4×)をサンプルバッファーとして使用し、ゲルをInstantBlue(商標)タンパク質ステインで染色した。各レーンについての純粋な読取値を得るためにデンシトメトリーをImageQuant LAS 4000で分析し、ゲルに対する百分率として図4に示している。1μgのサンプル(Fabに基づく)を各レーンに、すなわちサンプル毎に充填した。図4において、Mとラベルしたレーンはタンパク質標準であり、1とラベルしたレーンは初発のFabであり、2とラベルしたレーンはDTT処理後の初発のFabであり、3とラベルしたレーンは精製済みFab-AHX-DM1コンジュゲートであり、4とラベルしたレーンはDTT処理後の精製済みFab-AHX-DM1コンジュゲートである。Fabおよびコンジュゲートの両方を、DTTを用いて同様の方法により、すなわち最終濃度10mMのDTTで1時間、室温で処理した。抗体薬物コンジュゲート(ADC)のインビトロ細胞生存アッセイによる分析 実施例3および4において、それぞれ調製した抗体およびFabコンジュゲートのインビトロ効果をHER-2受容体過剰発現がん細胞株の細胞増殖に対する阻害効果を測定することによって求めた。 インビトロでの細胞毒性薬またはADCを用いた処置後の腫瘍細胞生存性の損失は、薬物またはADCの濃度を増加させながら細胞株を増殖させ、CellTiter Glo(登録商標)発光試薬を使用して増殖または代謝活性の損失を定量することによって測定することができる(Promega社、技術公報TB288; Lewis Phillips G.D、 Cancer Res 2008; 68:9280〜9290頁)。このプロトコルには、細胞播種、薬物処理、およびウェル中に存在する細胞数に直接関連するATP合成に基づいた未処理細胞に対する細胞生存性の決定が記載されている。 HER2-陽性SK-BR-3およびHER2-陰性MCF-7細胞を3mLのトリプシンEDTAで5〜15分間トリプシン処理した。トリプシン処理を10mLの完全培地を添加することによって停止し、細胞を50mLのFalconチューブに移した。細胞を、Neubauer血球計算器を使用して計数し、MCF-7に対して3×104/mL、SK-BR-3に対して5×104/mLの細胞密度にそれぞれ調節した。細胞を、ポリ-D-リジンで被覆した不透明ウェルを有する96ウェルプレートに播種し(100μL/ウェル)、37℃および5%CO2で24時間インキュベートした。腫瘍細胞株SK-BR-3(ATCC-HTB-30)およびMCF-7(ATCC-HTB-22)は、アメリカンタイプカルチャーコレクションから購入した。SK-BR-3細胞をマッコイ5A培地[Life Technologies(登録商標)]、10%ウシ胎児血清、100μ/mLペニシリンおよび100μg/mLストレプトマイシン中で増殖させた。MCF-7細胞をMinimal Essential Medium培地[Life Technologies(登録商標)]、10%ウシ胎児血清、100u/mLペニシリンおよび100μg/mLストレプトマイシン中で増殖させた。細胞培養のための方法は、ATCCの生成物情報シートおよびその引用文献、例えば、Culture of Animal Cells:A manual of Basic Technique、R. Ian Freshney著、第3版、Alan R. Liss発行、N.Y. 1994または第5版、Wiley-Liss発行、N.Y.2005から導いた。 ADCまたは遊離薬物(AHX-DM1)の系列希釈は、96ウェルプレートに渡ってピペッティングし、関連細胞培地を希釈液として使用してカラム3から10へとすることによって三連で作製した。HER2-陽性細胞株SK-BR-3を、薬物濃度40〜0.018nMで、2倍希釈液を用いて処置した。HER2-陰性細胞株MCF-7を、薬物濃度200〜0.1nM(遊離AHX-DM1)または400〜0.2nM(AHX-DM1コンジュゲート)で、それぞれ3倍希釈液を用いて処理した。次いで、細胞を薬物(総体積200μL/ウェル)と共に37℃、5%CO2でさらに96時間インキュベートした。 細胞生存アッセイは、Cell-Titer Glo(登録商標)発光試薬を使用して、製造業者の指示書(Promega社、技術公報TB288;Lewis Phillips G.D、Cancer Res 2008;68:9280〜9290頁)に記載されるように実施した。インキュベーション時間、例えば細胞溶解および発光試薬とのインキュベーションは、最適発光シグナルのために、それぞれ3分および20分延長した。 発光はプレートリーダー(例えば、MD Spectramax M3プレートリーダー)を使用して記録し、データは4パラメーターの非線形回帰モデルを使用して連続的に分析した。 図4。SKBR-3またはMCF-7細胞におけるFab-試薬1コンジュゲートまたは抗体-試薬1コンジュゲートのいずれかでの処理に対する細胞生存応答 生存性は、処置していない細胞に対する%として表す。生存性%(Y軸)を薬物濃度(nM)の対数(x軸)に対してプロットして全てのコンジュゲートと遊離薬物についてのIC50値を決定する。 図4およびTable 1(表1)に示されるように、抗体-val-ala-PAB-AHX-DM1およびFab-val-ala-PAB-AHX-DM1コンジュゲートはいずれもHER2-陽性SK-BR-3細胞の増殖を効率的に阻害する。HER2-陰性MCF-7細胞では、試験濃度のFab-val-ala-PAB-AHX-DM1または抗体-val-ala-PAB-AHX-DM1処理後に増殖阻害は観察されず、コンジュゲートの特異性が確認される。 試薬3の合成 工程1:4-[2,2-ビス[(p-トリルスルホニル)-メチル]アセチル]安息香酸-N-ヒドロキシスクシンイミジルエステル(ビス-スルホン)のO-(2-アミノエチル)-O'-[2-(Boc-アミノ)エチル]デカエチレングリコールのコンジュゲーション O-(2-アミノエチル)-O'-[2-(Boc-アミノ)エチル]デカエチレングリコール(Sigma Aldrich社)をジクロロメタンに溶解する。撹拌下、4-[2,2-ビス[(p-トリルスルホニル)-メチル]アセチル]安息香酸-N-ヒドロキシスクシンイミジルエステル(Nature Protocols、2006、1(54)、2241〜2252頁)を添加し、混合物を反応が完了するまでアルゴン雰囲気下で撹拌する。揮発物を真空下で除去し、残留物を精製して4を得る。 工程2:Boc-保護基の脱保護 工程1の生成物のジクロロメタンの撹拌溶液に、トリフルオロ酢酸を添加し、得られた溶液をBoc脱保護が完了するまで撹拌する。揮発物を真空下で除去し、残留物を精製して5を得る。 工程3:DM1の6-マレイミドヘキサン酸へのコンジュゲーション DM1(Widdisonら、J Med. Chem.、2006、49(14)、4392〜4408頁)、WO2009/134976)と6-マレイミドヘキサン酸(Sigma Aldrich社)とリン酸カリウムバッファーのTHF/水との混合物を、反応が進行して完了するまで撹拌する。揮発成分を真空下で除去し、残留物を精製して4を得る。 工程4:5と6との反応 4とDMAPとEDCIとの混合物を室温でDMF中にて30分間撹拌する。5を添加し、反応が進行して完了するまで混合物を撹拌する。揮発成分を真空下で除去し、残留物を精製して3を得る。 一般式:(((Dq-Lk1)m-P)p-Lk2-Lk3)n-Ab (I)[式中、Dは、メイタンシン部分を表し;qは、1〜10の整数を表し;Lk1は、リンカーを表し;mは、1〜10の整数を表し;Pは、結合またはz価の基-P1-NH(ここでzは2〜11であり、P1は少なくとも1つのエチレン単位-CH2-CH2-またはエチレングリコール単位-O-CH2-CH2-を含む基である)を表し;pは、1〜10の整数を表し;Lk2は、結合またはy価のリンカー(ここでyは2〜11であり、1〜9のアスパルテートおよび/もしくはグルタメート残基からなる)を表し;Lk3は、一般式:-CO-Ph-X-Y- (II){式中、Phは場合により置換されたフェニル基であり;XはCO基またはCH.OH基を表し;Yは式:(式中、AおよびBはそれぞれC1〜4アルキレンまたはアルケニレン基を表す)の基を表す}のリンカーを表し;Abは、標的上の結合パートナーに結合することができる結合タンパク質またはペプチドを表し、前記結合タンパク質またはペプチドは、結合タンパク質またはペプチドにおけるジスルフィド結合由来の2つの硫黄原子を介してLk3に結合されており;nは、1〜sの整数(ここでsは、Lk3にコンジュゲートする前に結合タンパク質またはペプチドに存在しているジスルフィド結合の数である)を表し;m、n、p、q、yおよびzの値は、コンジュゲートに1〜10個のD基が含まれるように選択される]のメイタンシン含有コンジュゲート。 メイタンシン部分は、を含む、請求項1に記載のコンジュゲート。 Lk1は、分解性リンカーである、請求項1または2に記載のコンジュゲート。 Lk1は、以下の基:[式中、R、R'、R''およびR'''はそれぞれ水素原子またはアルキル基を表し、AAはプロテアーゼ特異的アミノ酸配列を表す]の1つを含む、請求項3に記載のコンジュゲート。 Lk1は、を含む、請求項4に記載のコンジュゲート。 qは、2〜10の整数であり、Lk1は、1つもしくは複数のアスパルテートまたはグルタメート残基が組み込まれた多価のリンカーである、請求項1または請求項2のいずれか一項に記載のコンジュゲート。 Pは結合を表すか、またはPは-P1-NH-(ここでP1は2〜10のエチレングリコール単位を含む)を表す、請求項1から6のいずれか一項に記載のコンジュゲート。 Pは、ポリエチレングリコールを表す、請求項1から6のいずれか一項に記載のコンジュゲート。 Lk3のフェニル基Phは置換されていない、請求項1から8のいずれか一項に記載のコンジュゲート。 Yは、式:を有する、請求項1から9のいずれか一項に記載のコンジュゲート。 Abは、完全長抗体または完全長抗体の抗原結合領域を含む抗体フラグメントを表す、請求項1から10のいずれか一項に記載のコンジュゲート。 Abは、IgG1もしくはIgG4またはIgG1もしくはIgG4のフラグメントを表す、請求項11に記載のコンジュゲート。 請求項1から12のいずれか一項に記載のコンジュゲートの調製方法であって、結合タンパク質における1つまたは複数のジスルフィド結合を還元する工程と、続けて一般式:((Dq-Lk1)m-P)p-Lk2-Lk3a (VIII)[式中、D、Lk1、P、Lk2ならびにm、pおよびqは請求項1に規定の意味を有し;Lk3aは式:-CO-Ph-Xa-Ya (IX){式中、Phは請求項1に規定の意味を有し、XaはCO基を表し、Yaは基:(式中、AおよびBは請求項1に規定の意味を有し、Lはそれぞれ独立して脱離基を表し、xは1〜4の整数を表す)を表す}の基を表す]のコンジュゲート化試薬と反応させて、XがCOを表す式Iのコンジュゲートを生成する工程と、場合により前記最初に形成されたCO基Xを還元してCH.OH基Xを有するコンジュゲートを得る工程とを含む、方法。 Yaは、を表す、請求項13に記載の方法。 一般式:((Dq-Lk1)m-P)p-Lk2-Lk3a (VIII)[式中、Dは、請求項1から3のいずれか一項に規定の意味を有し;Lk1は、請求項1および4から7のいずれか一項に規定の意味を有し;Pは、請求項1、8および9のいずれか一項に規定の意味を有し;Lk2、m、pおよびqは請求項1に規定の意味を有し、Lk3aは、式:-CO-Ph-Xa-Ya (IX){式中、Phは請求項1または請求項10に規定の意味を有し、XaはCO基を表し、Yaは基:(式中、AおよびBは請求項1に規定の意味を有し、各Lは独立して脱離基を表し、xは1〜4の整数を表す)を表す}の基を表す]の化合物。 Yaは、を表す、請求項15に記載の化合物。 請求項1から12のいずれか一項に記載のコンジュゲートと、医薬的に許容される担体と、場合によりさらなる治療剤とを含む、医薬組成物。 治療において使用するための、請求項1から12のいずれか一項に記載のコンジュゲートまたは請求項17に記載の組成物。 医薬的有効量の請求項1から12のいずれか一項に記載のコンジュゲートまたは請求項17に記載の医薬組成物を患者に投与する工程を含む、患者の処置方法。 メイタンシンと結合タンパク質またはペプチドとを含む特定のコンジュゲートおよびそれらの製造方法を記載する。本コンジュゲートで使用されている特定のリンカー技術は、既知の抗体-薬物コンジュゲートを上回る利点をもたらす。


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