タイトル: | 公表特許公報(A)_平衡過酢酸の製造方法及び前記方法により得られた平衡過酢酸 |
出願番号: | 2015535297 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | C07C 407/00,C07C 409/26,B01J 31/02,C07B 61/00 |
アンドレアス ライノルト シュテファン ライニンガー アンゲラ ヘルヴィヒ JP 2015535297 公表特許公報(A) 20151210 2015541060 20131009 平衡過酢酸の製造方法及び前記方法により得られた平衡過酢酸 エボニック インダストリーズ アクチエンゲゼルシャフト 512266187 Evonik Industries AG アインゼル・フェリックス=ラインハルト 100114890 久野 琢也 100099483 アンドレアス ライノルト シュテファン ライニンガー アンゲラ ヘルヴィヒ EP 12191799.1 20121108 C07C 407/00 20060101AFI20151113BHJP C07C 409/26 20060101ALI20151113BHJP B01J 31/02 20060101ALI20151113BHJP C07B 61/00 20060101ALN20151113BHJP JPC07C407/00C07C409/26B01J31/02 103ZC07B61/00 300 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US EP2013071013 20131009 WO2014072143 20140515 17 20150508 4G169 4H006 4H039 4G169AA06 4G169BA21A 4G169BA21B 4G169BE01A 4G169BE01B 4G169BE22A 4G169BE22B 4G169CB07 4G169CB61 4H006AA02 4H006AC40 4H006BA66 4H006BE32 4H039CC60 本発明は、平衡過酢酸(Gleichgewichtsperessigsaeure)の製造方法及び前記方法により得られた低腐食性の平衡過酢酸に関する。 ペルオキシ酢酸は、既に低温で細菌及び他の微生物に対して並びにウィルスに対して広い作用を示し、かつ、細菌及びウィルスに対して耐性を形成しない消毒剤として使用される。ペルオキシ酢酸はこの場合に、消毒に使用される適用濃度では、数時間後に、酢酸及び過酸化水素への完全な加水分解が行われて、その結果、殺生物作用が失われ、殺生物剤の蓄積を生じ得ない、という利点を有する。 ペルオキシ酢酸は、通常は平衡過酢酸の形で市販され、これは水を用いた適用のために所望の適用濃度にされる。ここで、平衡過酢酸とは、ペルオキシ酢酸、過酸化水素、酢酸及び水を化学平衡において含む混合物を指す。この場合に、化学平衡は、この4つの成分の間で以下の反応式に応じて調節される: 平衡過酢酸は、通常は、酢酸及び過酸化水素水溶液から、この平衡の調節によって作られる。平衡の調節は、更なる成分の非存在下で、但し緩慢にのみ行われ、そして、20℃で複数の日数がかかる。したがって、平衡の調節を加速するために、通常は触媒として硫酸が添加される。多量の硫酸の添加は、さらに、消毒適用において、消毒溶液の導電性を介して、この計量供給されたペルオキシ酢酸量の制御を可能にする。 硫酸を含む平衡過酢酸は、金属原料に対して腐食性に作用し、そして、特殊鋼と接触して貯蔵安定でない、という欠点を有する。それというのも、この原料から溶解される鉄イオンは、ペルオキシ酢酸の分解を触媒するからである。 EP 0087343には、平衡過酢酸の製造に触媒として硝酸を使用することが提案される。それによって、確かに、特殊鋼での孔食腐食(Lochfrasskorrosion)は低減されるが、しかし、そのような平衡過酢酸はなお多くの鉄イオンを特殊鋼から溶解させるため、特殊鋼と接触する平衡過酢酸は貯蔵安定でない。 EP 0742206 A1には、触媒としてポリリン酸を平衡過酢酸の製造に使用することが提案される。ポリリン酸 0.2〜10質量%の添加によって、特殊鋼の存在下で貯蔵安定である平衡過酢酸が得られる。但し、ポリリン酸は極めて粘性であり、したがって、平衡過酢酸の製造の際には計量供給することが困難であることが欠点である。さらに、ポリリン酸の含有量は、大容量の水を処理する際には、例えば航洋船の浄化装置排出口の消毒又はバラスト水処理の際には、不所望な排水富栄養化を生じ得る。 したがって、さらに、EP 0742206 A1から知られている方法の欠点を有さず、かつ、特殊鋼の存在下で貯蔵安定性であって富栄養化を引き起こさない平衡過酢酸を提供する、酢酸と過酸化水素との反応による平衡過酢酸の製造方法に関する要求が存在する。 JP 10−330357は、触媒としてのメタンスルホン酸の添加下で、酢酸ブチルと60質量%の過酸化水素溶液との反応によるペルオキシ酢酸の製造を記載する。カルボン酸の非存在下でのこの反応によって、腐食問題は回避されることが望ましい。 実用新案DE 20 2007 005 732 U1は、アミドスルホン酸1〜14質量%、メタンスルホン酸5〜10質量%、ホスホノブタントリカルボン酸0.075〜0.15質量%、2−プロパノール0.3質量%及び100%になるまで補った水を含む、飲料水導管中の固形堆積物を除去するための清浄化剤を記載する。清浄化剤は、1〜10質量%の消毒剤の添加によって消毒作用を有していてよく、ここで、消毒剤として過酸化水素含有物質、例えば過酢酸が使用されてよい。 WO 2012/001276は、オキサラート堆積物を溶解するための、メタンスルホン酸及び更にリン酸又は硝酸を含む組成物を記載する。この組成物は、1又は複数の添加剤を含んでよく、ここで、とりわけ消毒剤として、ブロモ酢酸、過酢酸、サリチル酸及び過酸化水素が挙げられる。 意外なことに、上述の課題が、酢酸及び過酸化水素からの平衡過酢酸の製造のために、触媒としてメタンスルホン酸が使用される場合に解決されることが見出された。 したがって、本発明の主題は、反応を触媒としてのメタンスルホン酸の存在下で実施する、水性反応混合物における酢酸と過酸化水素との反応による平衡過酢酸の製造方法である。 さらに、本発明の主題は、酢酸及び過酸化水素から平衡過酢酸を製造するための触媒としてのメタンスルホン酸の使用である。 更なる本発明の課題は、ペルオキシ酢酸、過酸化水素、酢酸及び水を含み、かつ、メタンスルホン酸を含む平衡過酢酸である。 本発明の方法では、酢酸及び過酸化水素は水性反応混合物においてメタンスルホン酸の存在下で平衡過酢酸へと反応される。メタンスルホン酸は、この場合に、酢酸と過酸化水素とをペルオキシ酢酸にする反応の速度を高める触媒として作用する。この反応は好ましくは、ペルオキシ酢酸の含有量が、化学平衡にある含有量の90%超、特に好ましくは95%超に達するまで実施される。 本発明の方法の好ましい実施態様において、反応混合物は、酢酸と過酸化水素との反応のために、メタンスルホン酸0.1〜2.0質量%、特に好ましくはメタンスルホン酸0.5〜2.0質量%を含む。この濃度範囲でのメタンスルホン酸の使用によって、一方では、平衡の十分な調節が十分に短期間で達成され、他方では、金属に対して少ない腐食作用及び金属との接触の際に少ない分解を示す平衡過酢酸が得られる。 本発明の方法の更なる好ましい実施態様において、反応混合物は、酢酸と過酸化水素との反応のために、メタンスルホン酸5〜30質量%を含む。この濃度範囲でのメタンスルホン酸の使用によって、希釈した溶液の導電性を介する消毒適用のためのその計量供給が制御でき、かつ、この同じ目的のために適した量の硫酸を含む平衡過酢酸に対して遙かにより少ない腐食作用を金属に対して有する平衡過酢酸が得られる。さらに、この実施態様において、この反応混合物中の熱発生は、相応する量の硫酸を使用する場合に比較して顕著により少ない。 本発明の方法にとっては、酢酸は純粋な形で又は水溶液の形で使用できる。好ましくは、酢酸は純粋な形で使用される。過酸化水素は好ましくは10〜85質量%、特に好ましくは25〜60質量%の含有量を有する水溶液の形で使用される。この反応のために、反応混合物には任意にさらに水が添加されてよい。好ましくは、この水性反応混合物は水の他の追加の溶媒を含まない。反応混合物中の酢酸、過酸化水素及び水の量は、平衡の調節後に所望の含有量のペルオキシ酢酸及び過酸化水素が平衡過酢酸中で達成されるように選択される。酢酸及び過酸化水素は、そのために、好ましくは0.5〜10、特に好ましくは0.5〜5の範囲内のモル比において使用される。 本発明の方法のために、好ましくは、メタンスルホン酸は純粋な形で又は水溶液の形で使用され、特に好ましくは水1〜40質量%を含む水溶液の形で使用される。本発明の方法の好ましい実施態様において、反応混合物は、酢酸、過酸化水素含有量25〜60質量%を有する過酸化水素水溶液及びメタンスルホン酸の混合により製造され、ここで、メタンスルホン酸は1〜40質量%の水を含んでよい。 酢酸、過酸化水素及びメタンスルホン酸が反応混合物に添加される順序は、本発明の方法にとっては重要でない。しかし、好ましくは、自己加速性分解によって高い圧力増加速度を生じ得る混合物の形成を回避するために、酢酸が装入され、そして、過酸化水素が計量供給される。好ましくは、メタンスルホン酸は、酢酸及び過酸化水素の混合後に添加されるか、又は、使用物質である酢酸又は過酸化水素水溶液の1に添加される。特に好ましくは、メタンスルホン酸は過酸化水素溶液に添加される。 本発明の方法において、水性反応混合物の製造には、酢酸及び過酸化水素水溶液がバッチ式に相互に混合されてよい。或いは、酢酸及び過酸化水素水溶液は、例えばスタチックミキサーを介して、連続的にも混合できる。連続的な混合のためには、WO 02/26459に記載の方法を使用してよい。酢酸及び過酸化水素水溶液の混合後に、平衡過酢酸への反応が任意の容器中で行われてよい。反応の反応熱は少ないため、反応を冷却なしに断熱式ですら行うことができる。好ましい実施態様において、この反応を混合後に平衡過酢酸のための貯蔵容器又は輸送容器中で行う。 本発明の方法を用いて得られる本発明の平衡過酢酸は、ペルオキシ酢酸、過酸化水素、酢酸、水及びメタンスルホン酸を含む。ペルオキシ酢酸、過酸化水素、酢酸及び水は、この場合に、化学平衡にある。好ましくは、本発明の平衡過酢酸は、ペルオキシ酢酸2〜24質量%、特に好ましくは3〜17質量%、特に4〜15質量%を含む。 好ましい実施態様において、本発明の平衡過酢酸は、ペルオキシ酢酸2〜12質量%及びメタンスルホン酸5〜30質量%を含み、かつ、ペルオキシ酢酸に対するメタンスルホン酸の質量比は2〜5の範囲内にある。この実施態様において、消毒用途のための使用濃度への平衡過酢酸の希釈は、希釈した溶液の導電性によって制御されることができる。 更に好ましい実施態様において、本発明の平衡過酢酸は、ペルオキシ酢酸、過酸化水素、酢酸、水及びメタンスルホン酸の他に、さらに5質量%までの1又は複数の界面活性剤を含む。平衡過酢酸における使用のための適した界面活性剤は先行技術から知られており、例えばDE 2616049 A1、EP 147207、WO 93/10088、EP 873687及びWO 98/37762から知られている。好ましい界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、例えばアルキルスルホナート、アルキルスルファート及びアルキルベンゼンスルホナート、及び非イオン性界面活性剤、例えば脂肪アルコールアルコキシラート、脂肪酸アルコキシラート及び第三級アミンオキシドであって長鎖アルキル基を有するものである。界面活性剤の添加によって、消毒用途のための使用濃度への希釈後であっても、消毒されるべき表面へと広がり、かつこれを完全に湿潤する、平衡過酢酸が製造される。それによって、表面へと希釈された溶液を噴霧する際に、この表面が透き間無くペルオキシ酢酸で処理されることが確実にされる。 本発明の平衡過酢酸は、さらに、重金属イオンによる触媒作用分解に対してペルオキシ酢酸を安定化する1又は複数の安定剤を含んでよい。ペルオキシ酢酸のための適した安定剤は、先行技術から知られており、例えばEP 742206 B1の段落0016及び0017から知られている。好ましい安定剤は、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジピコリン酸及びそのアルカリ金属塩である。 本発明の平衡過酢酸は、さらに、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンを錯化できる、1又は複数の硬度安定化化合物を含んでよい。平衡過酢酸のための適した硬度安定化化合物は、先行技術から、例えばEP 945405 B1の段落0005から知られている。好ましくは、硬度安定化化合物として、カルボキシル基含有ポリマーが使用される。特に好ましくは、(i)アクロレインの又はアクロレイン及びアクリル酸の酸化重合により製造されたポリマー、(ii)ポリアクリル酸、(iii)アクリル酸及び他の不飽和カルボン酸、特にマレイン酸からのコポリマー、及び(iv)ポリマレイン酸、の系列からのポリマーであり、ここで、ポリマーの平均分子量Mwは500〜25000、特に1000〜15000の範囲内にある。平衡過酢酸においては、硬度安定化ポリマーのカルボキシル基は部分的にポリカルボキシル基に移行されていてよい。 好ましい実施態様において、本発明の平衡過酢酸は、ペルオキシ酢酸、過酸化水素、酢酸、水及びメタンスルホン酸の他に1質量未満の追加の化合物を、任意に5質量%までの界面活性剤を、そして任意に10質量%までのカルボキシル基含有ポリマーを含む。 以下の実施例は、本発明を説明するが、本発明の主題を限定するものでない。 実施例1−5: 15質量%の平衡過酢酸のための平衡調節の速度 過酸化水素28.2質量%、酢酸28.4質量%、表1に記載の質量割合の触媒及び残部が水からの混合物を、20℃に維持し、かつ、ペルオキシ酢酸含有量が一定のままである、すなわち、平衡に達するまで、時間に伴うペルオキシ酢酸含有量の増加をレドックス滴加によって追跡した。そのために、試料を取り出し、その中に含まれる過酸化水素を硫酸Ce(IV)及びフェロイン指示薬を用いた迅速な滴定により反応させ、その直後に過剰量のヨウ化カリウムと混合し、そして、ペルオキシ酢酸との反応によって放出されたヨウ素をチオ硫酸及びデンプン指示薬で滴定した。ペルオキシ酢酸濃度の増加を、擬似一次動力学に応じて評価した。そのために、最初の8時間の測定値についてIn[(cG−c)/cG]を反応時間tに対してプロットし、ここで、cGは、平衡にあるペルオキシ酢酸濃度であり、cは時間点tでのペルオキシ酢酸濃度である。このプロットによって直線が生じ、その勾配から、表1にまとめた平衡濃度の88%に達するまでの時間t88を計算した。擬似一次動力学に応じたこの評価は、平衡濃度の88%に達するまでの期間をおおよそ1.3倍過小評価する。 表1 平衡調節の速度 実施例6 特殊鋼と接触する際の貯蔵安定性 1275.5gの49.4質量%の過酸化水素PERSYNTH(R) 500LC、酢酸1171.2g、脱塩水530.2g、メタンスルホン酸21.0g、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸2.0g及びピリジン−2,6−ジカルボン酸0.3gからの混合物を、室温で放置することで平衡過酢酸へと反応させた。形成される平衡過酢酸は、ペルオキシ酢酸15.2質量%、過酸化水素14.3質量%及びメタンスルホン酸0.7質量%を含んだ。 この平衡過酢酸については、UNクラス5.2の危険物のためのUN H.2試験方法で断熱性の熱貯蔵試験において1lの球状デュワー容器において酸洗いした金属クーポンの添加下で断熱していない17.5m3の特殊鋼タンク中での貯蔵に関して自己加速性分解温度(SADT)50℃を決定した。 実施例7 高含有量のメタンスルホン酸での貯蔵安定性 平衡過酢酸(ペルオキシ酢酸5.3質量%、過酸化水素23.7質量%、酢酸4.8質量%、メタンスルホン酸15.0質量%、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸0.04質量%、ピリジン−2,6−ジカルボン酸0.01質量%及び水51.1質量%を含む)については、UNクラス5.2の危険物のための試験方法UN H.4を用いて等温壁型熱貯蔵試験において55℃で0.5lの円柱状デュワー容器において50kgの容器中での貯蔵に関して自己加速性分解温度(SADT)少なくとも60℃を決定した。 この同じ平衡過酢酸については、UNクラス5.2の危険物のためのUN H.2試験方法で1lの球状デュワー容器において1lの試料及び寸法20×60×2mmのHDPEプレート2個を用いる超断熱貯蔵試験において1m3のHDPE−IBC中での貯蔵に関して自己加速性分解温度(SADT)70℃を決定した。 同じ組成を有する平衡ペルオキシ酢酸については、試験をUN Recommendations on the Transport of Dangerous Goods, Manual of Tests and Criteriaのセクション20、図20.1のフローチャートに相応して実施し、そして、有機過酸化物タイプFとして評価分類を獲得し、すなわち、平衡過酢酸についてはIBC又はタンク容器における輸送が考慮される。 実施例8〜11 希釈した溶液の腐食作用及び長期間貯蔵安定性 実施例8では、1141.0gの49.4質量%の過酸化水素PERSYNTH(R) 500LC 、酢酸567.6g、脱塩水269.9g、19.8gの98質量%の硫酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸1.6g及びピリジン−2,6−ジカルボン酸0.24gを混合し、室温で放置することで平衡過酢酸へと反応させた。形成される平衡過酢酸は、ペルオキシ酢酸14.5質量%、過酸化水素21.4質量%及び硫酸1.0質量%を含んだ。3部の平衡過酢酸を、997部の脱塩水で希釈して消毒溶液にした。得られた消毒溶液を材料クーポン(鋼原料番号1.0038、寸法60×20×3mmを有する)と接触させ、これは事前に1時間20℃で抑制塩酸で酸洗いされ、室温で貯蔵されている。24時間後に、材料クーポンは著しく錆びており、そしてこの溶液は黄変し、ペルオキシ酢酸含有量は2ppm(Merck Reflectoquant(R)テストロッドで測定)に減少した。材料クーポンの質量減少から0.4mm/aの材料除去が算出された。材料クーポンなしにペルオキシ酢酸含有量は24時間後に380ppmで、72時間後に370ppmであった(ABTS着色試薬で比色法によって決定)。 実施例9では、実施例8を繰り返し、但し、硫酸の代わりに28.6gの70質量%のメタンスルホン酸Lutropur MSA(BASF社)を使用し、そして、脱塩水の量を261.2gに減少させた。形成される平衡過酢酸は、ペルオキシ酢酸14.6質量%、過酸化水素21.6質量%及びメタンスルホン酸1.0質量%を含んだ。希釈により製造した消毒溶液は、材料クーポンと接触した貯蔵の際に変色を示さず、また材料クーポンでも72時間後に変化は可視可能でなかった。材料クーポンの質量減少からは、0.01mm/a未満の材料除去が算出された。ペルオキシ酢酸含有量は材料クーポンとの接触の際に24時間後に380ppmであり、72時間後に350ppmであり、材料クーポンなしに24時間後に380ppmであり、72時間後に360ppmであった。 実施例10では、1052.7gの49.4質量%の過酸化水素PERSYNTH(R) 500LC 、酢酸160.1g、脱塩水479.7g、306.2gの98質量%の硫酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸1.4g及びピリジン−2,6−ジカルボン酸0.18gを混合し、室温で放置することで平衡過酢酸へと反応させた。形成される平衡過酢酸は、ペルオキシ酢酸5.0質量%、過酸化水素23.7質量%及び硫酸15.0質量%を含んだ。1部の平衡過酢酸を、99部の脱塩水で希釈して消毒溶液にした。得られた消毒溶液を、実施例8と同様に、材料クーポンと接触させて貯蔵した。既に15分後に材料クーポンは著しく錆びており、24時間後にこの溶液は黄変しかつ濁り、ペルオキシ酢酸含有量は7ppm(Merck Reflectoquant(R)テストロッドで測定)に減少した。材料クーポンの質量減少からは、8mm/a未満の材料除去が算出された。材料クーポンなしにペルオキシ酢酸含有量は24時間後に370ppmであった(ABTS着色試薬で比色法によって決定)。 実施例11では、実施例10を繰り返し、但し、硫酸の代わりに428.7gの70質量%のメタンスルホン酸Lutropur MSA(BASF社)を使用し、そして、脱塩水の量を357.3gに減少させた。形成される平衡過酢酸は、ペルオキシ酢酸4.7質量%、過酸化水素23.9質量%及びメタンスルホン酸15.0質量%を含んだ。希釈により製造した消毒溶液は、材料クーポンと接触した48時間の貯蔵の際に変色又は濁りを示さず、また材料クーポンでも48時間後に変化は可視可能でなかった。材料クーポンの質量減少からは、2.7mm/a未満の材料除去が算出された。ペルオキシ酢酸含有量は材料クーポンとの接触の際に24時間後に270ppmであり、48時間後に80ppmであり、材料クーポンなしに24時間後に360ppmであり、48時間後に300ppmであった。 未希釈の平衡過酢酸については、さらに、それぞれの試料を取り出し、かつ、過酢酸(PES)及び過酸化水素の含有量を実施例1〜5と同様に測定することで、室温での貯蔵の際の貯蔵安定性を86週間の期間にわたり決定した。そうして測定した過酢酸(PES)及び過酸化水素の含有量から活性酸素の全含有量(AO含有量)を算出した。この結果は表2にまとめられている。 表2 長期貯蔵安定性 この実施例は、本発明の平衡過酢酸が、メタンスルホン酸の代わりに硫酸を含む比較可能な平衡過酢酸よりも、より少ない腐食性及びより良好な貯蔵安定性を示すことを示している。 実施例10及び11において得られた平衡過酢酸については、さらに、25℃で未希釈及び脱塩水での10、100及び1000倍希釈後に、導電性を、電極Tetracon 325を有する電導度測定器WTW 340iを用いて測定した。この結果は表3にまとめられている。 表3 導電性 酢酸と過酸化水素とを水性反応混合物中で反応させることによる平衡過酢酸の製造方法において、前記反応を触媒としてのメタンスルホン酸の存在下で実施することを特徴とする前記製造方法。 反応混合物がメタンスルホン酸0.1〜2.0質量%を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。 反応混合物が追加の溶媒を含まないことを特徴とする請求項1又は2記載の方法。 反応混合物が、酢酸、過酸化水素含有量25〜60質量%を有する過酸化水素水溶液及びメタンスルホン酸の混合により製造され、ここでメタンスルホン酸は水1〜40質量%を含んでよいことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の方法。 酢酸及び過酸化水素を0.5〜10の範囲内のモル比で使用することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の方法。 反応を、ペルオキシ酢酸含有量が、化学平衡にある含有量の90%超に達するまで実施することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の方法。 酢酸及び過酸化水素から平衡過酢酸を製造するための触媒としてのメタンスルホン酸の使用。 ペルオキシ酢酸、過酸化水素、酢酸及び水を含む平衡過酢酸において、メタンスルホン酸を含むことを特徴とする前記平衡過酢酸。 界面活性剤0〜5質量%、カルボキシル基含有ポリマー0〜10質量%及び追加の化合物1質量%未満を含むことを特徴とする請求項8記載の平衡過酢酸。 ペルオキシ酢酸3〜17質量%を含むことを特徴とする請求項8又は9記載の平衡過酢酸。 ペルオキシ酢酸2〜12質量%及びメタンスルホン酸5〜30質量%を含み、かつ、ペルオキシ酢酸に対するメタンスルホン酸の質量比が2〜5の範囲内にあることを特徴とする請求項8又は9記載の平衡過酢酸。 本発明は、触媒としてのメタンスルホン酸の存在下で酢酸と過酸化水素を水性反応混合物中で反応させることによる平衡過酢酸の製造方法並びに前記方法により得られた平衡過酢酸に関する。