タイトル: | 公表特許公報(A)_糖類の発酵によるアルコール生産方法 |
出願番号: | 2015523352 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | C12P 7/06 |
ホセ フランシスコ ロペス JP 2015528701 公表特許公報(A) 20151001 2015523352 20130724 糖類の発酵によるアルコール生産方法 アドヴェル テクノロジア エ コメルシア コンパニア リミターダ 515023408 特許業務法人前田特許事務所 110001427 ホセ フランシスコ ロペス BR BR102012018575-0 20120726 C12P 7/06 20060101AFI20150904BHJP JPC12P7/06 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC BR2013000267 20130724 WO2014015405 20140130 14 20150126 4B064 4B064AC03 4B064CA06 4B064CC06 4B064CC07 4B064CC30 4B064CD02 4B064CD09 4B064DA16 4B064DA20 本発明は、電界を用いて発酵液中に分極を生じさせる工程を含む、糖類の発酵を通してアルコールの生産量を向上させるための物理的及び化学的方法に関する。 アルコールは、少なくとも1つの水酸基(OH)を含み、広く工業的に用いられることを特徴とする化学物質の一分類である。この分類中で最もよく知られている化合物はエタノール又はエチルアルコールである。エタノールは、アルコール飲料や洗浄剤、医薬品中に見られ、化学的な溶媒として広く用いられる。エタノールにはまた、自動車の燃料としての用途もあり、現在のところ燃料としての用途が最も価値があり、最も強く使用される用途となっている。 エタノールを生産する方法は、一般的にサトウキビを用いて行われるが、トウモロコシ、キャッサバ、その他根菜、ソルガム、小麦、大麦や、糖蜜、シロップ、サトウキビの絞りかす、ジャガイモ、乳精等、様々な穀物及び糖源を用いて行ってもよい。 エタノールの生産工程は基本的に、製粉工程、液化工程、発酵工程及び蒸留工程に分けられる。製粉工程は、処理装置による糖源の移動を含む。この段階で、高濃度で水及び糖分を含むブロス(処理液)が得られる。 発酵工程は、液中の糖分をエタノールに変換させるある種の酵母の添加工程を含む。この変換は、発酵を実行する酵素の作用による。この工程の後、発酵された液が得られ、この液は、全量のうち一部が既にエタノールに変換されている。 その発酵液は続いて最後の段階である分留工程へと進み、エタノールと水からなる化合物を有する液体を生じる。この段階は、エタノールの最終的な生産量に最も直接影響する。そのため、最も研究されてきたのはアルコール発酵としても知られている発酵工程であり、それは主にサッカロース(砂糖)やグルコース(ブドウ糖)及びフルクトース(果糖)である糖類をエタノールに変換する化学的工程である。砂糖のエタノールへの変換を行う微生物学的薬剤がこの工程に用いられる。 技術水準において広く知られた工程として、上述の目的を達するための工程を記載した種々の文献が見られる。一般的に、エタノールを生産するための理想的な種の発見、又は種の組み合わせの発見に集中する工程では、用いられた工程が原料(糖類)の大きな損失をもたらし、結局工程の効率が減少することになる。 エタノールを生産するための異なる方法を扱う種々の文献は特許文献からも見いだされる。米国特許第4451566号(発明者:Donald B. Spencer)は、発酵可能な糖類から酵素を用いたエタノールを生産する方法及び装置を開示する。糖類をエタノールに変換する酵素の配列は、種々の反応領域において保存されている。発酵可能な糖液はこれらの領域を順に通り、最後の領域でアルコールが回収される。通常の工程よりも効率の良い反応を提供することは別として、当該文献は面倒且つ複雑で維持困難な解決法を提供する。 国際特許出願WO2007/064545(発明者:Brian Burmaster)は、エタノールの収率を改善し、発酵時間を短縮するとともに、発酵槽の酸化還元電位のモニタリングと制御とを行うことによって副産物の生成を低減する方法を開示する。しかしながら、この方法は、非常に特殊なモニタリングを必要とし、維持が難しく、より効率的であるにもかかわらず、工程の費用が高くなる。 国際特許出願WO2008/024331(発明者:Vladimir Vlad)は、生物材料の発酵生産物への発酵に影響を与えるために生物材料を静的磁場の影響下に置く工程を含む磁気発酵方法を開示する。発酵反応は、アルカリ性又は酸性の培地中で生じさせることができ、磁場は正(positive)又は負(negative)のいずれでもよい。この文献の技術は、微生物の細胞が再生するのにより好都合な静電磁場を利用するものである。アルコール発酵中の微生物数の増加及びこれによる反応収率の増加は別として、この方法は、絶えずモニタリングを行って反応を全体的に制御する必要があり、費用が高くつく。 技術水準に鑑みて、発明者は、発酵中の連続的な電気的分極化を行うことにより、工程の効率を向上させる等の利益をもたらす糖類の発酵を用いたアルコール生産方法を開発した。 糖類の発酵を通したアルコールの生産方法は、既に当業者に知られている。しかしながら、アルコール発酵を通したアルコールの生産に用いられる全ての方法のいずれもが、発酵反応の収率や原料(糖類)のロス、設備の必要性、あるいは工程を実施又は維持する際の高いコスト等の実質的な短所を有している。従って、本発明の目的は、原料(糖類)及びそれらの副生成物を高いレベルで利用し、結果として発酵反応の収率を増加させる、糖類発酵を通した低コストな物理的、化学的なアルコール生産方法を改良することにある。 発酵工程は既によく確立されており、多大な原料のコストを伴う。従って、本発明の目的の1つは、既に導入された設備で容易に実施可能で、糖の発酵工程の効率をより良くする方法を提供することにある。 本発明は、糖を含む溶液の発酵段階における改変及び改良を通してアルコール生産の収率を増加及び改善するための物理的及び化学的方法を提供するものである。この改良は、直流電界を印加して、ほぼ完全に酸性化された発酵液中の水に由来する発酵液の電気分解と共に糖類の動的分極を生じさせる工程を備える。 処理されるブロス(糖含有溶液)への電界の印加は、処理されるブロス中に存在する糖の分子において分極をもたらすことになる。これらの電気的分極の形成は、糖分子の選択性を増加させ、工程における収率の増加につながる。 この選択性が所望の効率化とともに生じるように、発酵工程は処理されるブロスに電界が印加された後でのみ開始しなければならない。一旦全ての分子が電気的に配向すれば、発酵工程を開始できる。 本発明において記載された電極は、導電性の金属からなる装置である。 本発明において記載された方法は、下記のステップを備えている。1.少なくとも2つの電極を有し、処理されるブロスのための容器を準備するステップ。2.電極を直流電源に接続するステップ。3.発酵用のブロスを調製するステップ。4.バッチ法又は連続方式で容器を満たすステップ。5.糖類の分子を配向させるために電極を接続させるステップ。6.発酵工程を開始するステップ。 本発明の1つの態様では、器具が電圧及び電流等の発酵パラメータを制御及び維持するための手段を有している。 発酵用のブロスに電界を印加する工程の効果を評価するためにいくつかの試験が行われた。方法の一例を以下に記載するが、これは本発明の保護範囲の制限を意図するものではない。 −糖類の発酵を通したアルコールの生産方法の例− 以下に記載された方法は、準備されたブロスへの電界の印加を含むだけでなく、サトウキビからエタノールを生産するための全ての段階も含む。 我々は、それぞれが300,000Lの12個の槽(vat)を有する近代的な工場の例を考える。この300,000Lの容量は、トウモロコシのブロスと、浸漬用の水と、化学物質の総量とを足したものであり、これらの化学物質は平均して6×10−4kg/L又は300,000Lの槽あたり180kgの量で含まれている。 発酵及び蒸留を通して、この工場は各槽内の300,000Lの液から9〜10%のエタノール、すなわち槽ごとに27,000L〜30,000Lのエタノールを生産する。 各槽に加えられた直流電界は、ほぼ完全に酸性化された水に由来する発酵液の電気分解と共にサッカロースの動的分極を生じさせる。このタイプの発酵は、電気分解に伴って以下の2種類のガスが自然に生じる。 ・発酵ガスであり、二酸化炭素の泡である。 ・電気分解によるガスであり、そのガスは基本的に酸性の溶媒中で、非常に低濃度で発酵液中に存在する化学元素に関連する他のガスにあまり関係なくイオン化している。 このことは、発酵槽内のガスの体積は増加していくことを意味する。糖類の動的分極にガスの体積増加及びそれらの反応性を加えると、単純なアルコール発酵に比べて大量のエタノールと他の化合物も生じる。 本発明を説明する目的で、「TRS」という語は「還元糖の総量(総還元糖)」を意味するものとする。また同様に、「BRIX」という語は、特定の温度下で特定の溶液中の糖類濃度を測定するための、液体比重測定法での比率(scale)を意味するものとする。これらの用語は現状の技術において既によく確立されており、当業者にとって容易に理解できるものである。 発酵開始時の槽内pHは約4.5である。発酵の際の発酵液のBRIXはアルコール含有率が約8%である場合、18から22へと変化する。発酵の開始時の総還元糖(TRS)はBRIXと共に減少し、それらの濃度は落ちていく。そして、酸性になった発酵液のpHは、温度が上昇するにつれて3.5へと減少する。工程中にまだ残っているTRSのいくぶんかを消費する微生物の成長を引き起こすので、発酵液の温度は上がるべきではない。 −アノード及びカソード− アノード及びカソードは、同一の幾何学的形状を有している。アノード及びカソードはターンの間に1枚のシートを有するコイルを備えている。コイルのターンの径は管の直径にほぼ等しく、コイルは99.9%の純度の銅で構成されるべきである。アノード及びカソードは、存在する槽の寸法に合わせて作られる。槽の寸法は現状では既に直径が10mで、各槽は1000m3の発酵液が入る容量を有している。 管状のアノード及びカソードの機能は、 −カソード及びアノードに直流電流を流す、 −閉鎖回路内において、無機物(ミネラル)が除去され、且つ脱イオン化された水の流れにより発酵液の冷却をもたらし、カソードコイル及びアノードコイルを通過する上述の水を用いて発酵液の温度を35℃以下に保持する、である。 カソード及びアノードコイルのらせん形状は槽の形状に依存し、それらはペアで存在し、少なくとも1ペア以上設けられなければならない。アノードコイルとカソードコイルのらせんは、それらと槽の側面との間が電気的に接触するのを防ぐ絶縁材料支持体により支持される。これらのらせん内を循環する電流は、アノード上にスラッジが堆積するのを防ぐためにその極性が切り替えられてもよい。アノードとカソードとの間の距離は、pHの変化に従って自動的に変わる電流量及び電圧に依存する。 発酵液のpHが酸性側になるにつれ、石灰液又は他のアルカリ物質が注入されたブロスが自動的に注入される。 −プロセスガス− 発酵ガスは発酵工程を低下させるCO2(又は二酸化炭素ガス)である。もはやCO2が形成されなくなることは、ほぼ全ての糖類が変換され、全ての発酵液は蒸留工程へと進まなければならないことを意味する。反応性ガスはイオン性で、エタノール及び他の生産物の生成の際に反応することができる。それらの反応性ガスは異なる形態をとり、pH4.5付近、且つ35℃以下ではそれらが維持され、発酵の自然終了と共にCO2の生成が止んだ後でさえ、全ての発酵工程を通してほぼ一定量残る。このように、アルコールの一部もまた蒸気の状態で連続的に排出される。これらアルコールの蒸気は好ましくは濃縮されるべきであり、最終発酵液(final must)の蒸留を経ずに回収されるべきである。この方法はまた、現在は大気中に放出されている、ほとんど全てのCO2の捕集を可能にする。この方法で、1m3のエタノール当たり1m3のオーダーの排出規制があるCO2の放出は実質的に削減される。 −サッカロースの動的分極− サッカロース分子が動的に分極するにつれて、サッカロース分子は常に配向し、これがアルコールへの変換を促進する。 −工程の自動化− 工程の自動化では、pHは発酵の各段階で最も適したレベルになるよう制御されなければならない。この制御は、石灰液又はその均等物を計量するポンプによって実行される。これは、工程が進行する間、残っている発酵液は、より酸性化する傾向があるためである。発酵工程の間のpHの変化し、電流密度の変化が生じるので、主にバッチ方式でこのpHを測定及び制御するシステムもまた設けられる。 当業者は、本発明において記載された方法が、エタノール発酵方法の特定の構成に限定されず、アルコール生産において効率及び速度を向上させる、技術水準として公知の発酵方法の各々に拡張可能であることが理解できるであろう。 糖類の発酵によりアルコールを生産する方法であって、 発酵用のブロスに電界を印加することを特徴とする方法。 請求項1に記載の方法において、 少なくとも2つの電極を有し、処理される前記ブロスのための容器を準備するステップ(i)と、 前記電極を直流電源に接続するステップ(ii)と、 発酵用の前記ブロスを調製するステップ(iii)と、 バッチ方式又は連続方式で前記容器を満たすステップ(iv)と、 前記糖類の分子を配向させるために前記電極を接続させるステップ(v)とを備えていることを特徴とする方法。 請求項1に記載の方法において、 前記アルコールは、式R−OHで表される有機化合物を含む群から選ばれた1つであることを特徴とする方法。(上式中のRは、2以上の炭素原子を含む飽和又は不飽和の鎖を表わす) 請求項3に記載の方法において、 前記Rは、少なくとも2つの炭素原子を含む飽和鎖を表すことを特徴とする方法。 請求項1に記載の方法において、 前記糖類は、サッカロース、フルクトース及びグルコースからなる群から選ばれたものであることを特徴とする方法。 請求項1に記載の方法において、 電界の印加は、少なくとも2つの電極を通してもたらされることを特徴とする方法。 請求項6に記載の方法において、 前記電極は、前記直流電源により電流が供給される、少なくとも1つの正極及び少なくとも1つの負極を含んでいることを特徴とする方法。 請求項1〜7のうちいずれか1項に記載の方法において、 電界の制御及び維持をする手段が用いられており、前記手段は、電圧バリエータ又は電流バリエータであることを特徴とする方法。 請求項6に記載の方法において、 前記電極は、該電極間での電位差を一定に維持することを特徴とする方法。 請求項6に記載の方法において、 前記電極は、水を循環させるのに適した幾何学形状を有し、発酵液の処理温度の制御も行う管を有していることを特徴とする方法。 請求項11に記載の方法において、 前記処理温度は30℃以上35℃以下の範囲内にあることを特徴とする方法。 請求項1に記載の方法において、 前記pHは概して酸性度が低い、6以下4.5以上までで変動することを特徴とする方法。 請求項12に記載の方法において、 pHをほぼ4.5に連続的に制御することを特徴とする方法。 本発明は、糖類の発酵によってアルコールを生産するための改良された方法に関し、その方法の改良は、発酵開始前及び発酵工程の全期間中に、準備されたブロスへ電界を印加することにある。20141009A16333全文3 糖類の発酵によるアルコールの生産を増加させるための方法であって、 発酵ブロスに直流電界を印加し、その印加は酵母の植え付け前に行い、 前記方法を行う間、前記発酵ブロスのpHを特定の範囲内の値に維持するために制御することを特徴とする方法。 請求項1に記載の方法において、 前記発酵ブロスのpHは、直流電界が印加されている間6以下4.5以上までの範囲で維持され続けることを特徴とする方法。 請求項1に記載の方法において、 直流電界印加されている間の前記発酵ブロスの温度は、30℃以上35℃以下の範囲内に維持されていることを特徴とする方法。 請求項1に記載の方法において、 前記発酵ブロスのpHは4.5に維持されることを特徴とする方法。 請求項3に記載の方法において、 前記発酵ブロスのpHを4.5に、温度を30℃以上35℃以下の間にするよう連続的に制御することを特徴とする方法。 請求項1に記載の方法において、 前記pHの制御システムは、石灰水又は他の塩基性物質を注入するためのポンプと、バッチ方式での測定システムとを備えていることを特徴とする方法。