生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_治療用抗体のための医薬処方物
出願番号:2015516595
年次:2015
IPC分類:A61K 47/12,A61K 47/22,A61K 47/10,A61K 9/08,A61K 39/395,A61K 47/26,A61P 35/00,A61P 37/06


特許情報キャッシュ

ミカエル フランク バサラブ シュテファン アイボフナー アンナ マリア ミューラウ シルケ ウォルフラム マルクス JP 2015519382 公表特許公報(A) 20150709 2015516595 20130612 治療用抗体のための医薬処方物 ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング 503385923 辻居 幸一 100092093 熊倉 禎男 100082005 箱田 篤 100084663 浅井 賢治 100093300 山崎 一夫 100119013 市川 さつき 100123777 滝澤 敏雄 100111501 ミカエル フランク バサラブ シュテファン アイボフナー アンナ マリア ミューラウ シルケ ウォルフラム マルクス EP 12171617.9 20120612 A61K 47/12 20060101AFI20150612BHJP A61K 47/22 20060101ALI20150612BHJP A61K 47/10 20060101ALI20150612BHJP A61K 9/08 20060101ALI20150612BHJP A61K 39/395 20060101ALI20150612BHJP A61K 47/26 20060101ALI20150612BHJP A61P 35/00 20060101ALI20150612BHJP A61P 37/06 20060101ALI20150612BHJP JPA61K47/12A61K47/22A61K47/10A61K9/08A61K39/395 DA61K39/395 NA61K47/26A61P35/00A61P37/06 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC EP2013062063 20130612 WO2013186230 20131219 42 20141210 4C076 4C085 4C076AA12 4C076CC07 4C076CC27 4C076DD38 4C076DD41 4C076DD42 4C076DD58 4C076DD67 4C076FF61 4C076FF63 4C085AA13 4C085AA14 4C085EE03 本発明は治療用抗体のための医薬処方物に関する。 治療用抗体は大きくかつ複雑な分子であり、したがって特に液体の状態で分解作用を受けやすい。抗体の製造及び精製は良好に制御される工程であるが、安定な処方物及びデリバリーは課題である。抗体の物理的及び化学的不安定性は、実際には溶液の状態及び温度の複雑な関数である。例えば、抗体は脱アミド化、異性化、酸化、タンパク分解、凝集及び他の共有結合性修飾を受けやすい。これらの現象は、有効性の低下或いは潜在的臨床副作用又は毒性すらもたらすと考えられる。なぜならば凝集は有効性を低下させ、当該タンパク質薬剤の免疫原性を増強し得るからである。抗体の凝集はまた一続きの抗体製造工程におけるバッチ間変動性の原因であり、その制御は、極めてコスト的に重大な調節管理及び品質管理の負担をもたらす。さらにまた、抗体の凝集は、いったん最適な貯蔵条件から取り出されると、貯蔵におけるそれらの安定性(保存期間を含む)及びそれらの使用可能な投与期間に影響を及ぼす。 抗体の水性処方物は通常、あるpHを維持するために少なくとも1つの緩衝剤及び生理学的な液体と類似する浸透圧を該処方物が有することを担保する張度調節剤を必要とする。典型的には、緩衝剤としてシトレート及びホスフェートが用いられ、一方、張度調節剤としてポリオール(例えばマンニトール)又は塩(例えば塩化ナトリウム)が用いられる。 治療用抗体の2つの主要な適応症は自己免疫疾患及び癌である。自己免疫疾患は本来慢性であるが、多くの癌タイプは、標的照準療法により慢性又は亜慢性に転換する。しかしながら、患者自身が投与(“自宅使用”)し得る形状の慢性疾患治療用抗体を提供することが所望される。なぜならば、多くの事例で該薬剤は生涯投与する必要があるからである。したがって、患者は薬剤注射を必要とするたびに医療従事者に接触する必要がないので、処方物の自己投与適切性は患者のコンプライアンスを高め、コストを軽減するであろう。 最適条件で貯蔵されない、例えば2−8℃の推奨範囲より高い温度の溶液では、望ましくない分解が生じる(前記は不溶性及び/又は可溶性凝集物の形成を含む)。これら不溶性及び可溶性凝集物はおそらく液体の状態で抗体分子の会合によって形成され得る。液体処方物が長期間貯蔵される事例では、抗体分子の生物活性は、アスパラギン残基の脱アミド化のために失われるか又は低下する可能性がある。凍結及び融解の繰返しもまた分解及び凝集抗体分子の形性をもたらし得る。 結果として該溶液は、活性の低下、毒性の増加及び/又は免疫原性の増加を示し得る。実際、ポリペプチド調製物は、血栓症、調剤の非均質性及び免疫反応をもたらし得る。したがって、いずれのポリペプチド医薬処方物の安全性及び有効性も当該処方物の安定性と直接関係する。 しかしながら、自己投与適切性は保存寿命に関する新たな問題を生じる。患者は相当量の薬剤を自宅で保管する必要があり、自宅での貯蔵条件は医療現場での条件より適切性はしばしば劣る。抗自己投与に適する、体治療薬を含む処方物はしたがって、たとえ最適に達しない条件下でも(例えば連続的低温における断続など)、貯蔵安定性に関して既存の処方物を凌駕する必要があるであろう。したがって、安定な抗体処方物が希求され、前記は、用量計量利点及び投与利点を、特に貯蔵(保存寿命を含む)における安定性の改善及びそれらの使用可能な投与に関して提供する。 上述の問題は、特許請求の範囲でその特徴を示し、さらに下記で説明する実施態様によって解決される。 本発明は医薬組成物に関し、該組成物は、治療的に活性な抗体又は前記の抗体フラグメントの投与のために設計された、本質的にシトレート及び/又はホスフェートを含まない緩衝溶液を含み、該抗体は自己免疫又は悪性疾患の治療のために用いられ、該緩衝液は5mg/mLを超える抗体を含むか及び/又は本質的に前記から成り、さらに少なくとも5.5、好ましくは6.25+/-0.5のpH値を有する。 本発明は、6.25+/-0.5のpH値を有し、かつNaClと同様にシトレート、ホスフェートを本質的に含まない医薬処方物は、抗体又は前記の抗体フラグメント若しくは抗原結合フラグメントの長期安定性をその結合活性を保護することによって改善するという驚くべき発見に基づく。 したがって、本発明は緩衝液に関し、該溶液は少なくとも、i)ヒスチジン及びマンニトールを医薬的に許容できる量で;又はii)スクシネート及びトレハロースを医薬的に許容できる量で;又はiii)アセテート又は酸性酸、アルギニン及びトレハロースを医薬的に許容できる量でかつ医薬的に許容できるpHで含む。 本発明の好ましい実施態様では、該治療用抗体は抗TNFアルファ抗体であり、該組成物は、i)50mg/mLの濃度の抗TNFアルファ抗体、25mmolL-1の濃度のヒスチジン、及び240mmolL-1の濃度のマンニトール;又はii)50mg/mLの濃度の抗TNFアルファ抗体、25mmolL-1の濃度のスクシネート、及び215mmolL-1の濃度のトレハロース;又はiii)50mg/mLの濃度の抗TNFアルファ抗体、15mmolL-1の濃度のアセテート及び/又は酸性酸、10mmolL-1の濃度のアルギニン、及び240mmolL-1の濃度のトレハロースを含み、ここでi)及びii)の組成物は6.25+/-0.5のpH値を有し、iii)の組成物は6.5+/-0.5のpH値を有する。 本発明のさらに好ましい実施態様では、該治療用抗体又は前記抗TNFアルファ抗体は、アダリムマブ、インフリキシマブ、セルトリズマブペゴール、ゴリムマブ、及びアダリムマブ、インフリキシマブ、セルトリズマブペゴール又はゴリムマブと生物的類似性を有するか若しくは相互交換が可能な抗体から成る群から選択される。さらに好ましいものは皮下投与に適するように調整された医薬組成物である。 該当実施例で示し得るように、本発明の組成物は、WO2004/016286に記載されているアボット社配給の参照医薬組成物よりも有利である。特に、医薬組成物(F3、F4及び/又はF8)は(始原物質(originator))F1より安定である。したがって、好ましい実施態様では、本発明は、40℃+/-3℃で少なくとも3カ月、好ましくは少なくとも6カ月安定である医薬組成物に関する。 さらにまた、本発明のある実施態様では、本発明の医薬組成物は、緩衝剤としてシトレート及びホスフェート並びに張度調節剤としてマンニトールを含む処方物と比較して、保存寿命の延長、より良好な温度安定性、及び/又は凝集物の形成の減少から成る群から選択される少なくとも1つの特徴を有する。 該当実施例で示しかつ該当図面に提示するように、医薬組成物i)及び/又はiii)は、12+/-1より低いZ-平均(nm)及び0.6+/-0.2より低いPDIを示すか、及び/又は前記組成物は、目視精査で決定したとき、約5℃で少なくとも6カ月貯蔵したとき実質的に微粒子を含まない。 本発明のさらに別の好ましい実施態様では、医薬組成物i)及び/又はii)はホルマジンネフェロメトリー単位(FNU)で10より低い濁度値を示すか、及び/又は組成物ii)は20FNUより低い濁度を示す。 さらにまた本発明のある実施態様では、当該組成物中の抗体又はそのフラグメントは、参照抗体調製物と比較して、TNFアルファ及び/又はCD16ポリペプチドとの結合能力の少なくとも90%を保持する。 本発明のさらに別の好ましい実施態様では、前記抗体又はそのフラグメントの5%+/-0.5%未満が、HP SECで決定したとき約40℃で少なくとも6カ月の貯蔵で凝集物を形成する。 本発明のさらに別の特徴では、該医薬組成物は、皮下投与のために及び/又は自己免疫疾患及び悪性疾患から成る群から選択される疾患の治療での使用のために設計される。 シトレート及び/又はホスフェート緩衝剤は皮下注射時に痛みを引き起こすことは周知であるので、ある実施態様では本発明は、好ましくは本質的にシトレートホスフェート緩衝剤、マンニトール、NaCl、ポリソルベート80から成るpH5.2の処方物の注射と比較したとき、対象動物で投与されるように設計した本発明の医薬組成物の注射が注射に付随する痛みを軽減する医薬組成物に関する。 別の特徴では、本発明は、水性緩衝溶液又は本発明の医薬組成物を含む、予め組み立てられた注射装置に関する。 別の特徴では本発明はまた複数の部分を含むキットを提供し、前記キットは、本発明の医薬組成物を含む少なくとも1つの容器及び注射装置を含む。濁度分析(40℃での安定性実験)。処方物サンプルの濁度を、0、4、8、12及び24週にホルマジンネフェロメトリー単位(FNU)で測定した。濁度は、濁度光度計(Co. Boehringer-IngelheimPharma GmbH & Co. KG(Co. Micropartsの協力を得た))を633nmの波長で用い、120μL体積の未稀釈サンプル(デュープリケート)の光散乱によって決定した。各処方物の濁度は当該デュープリケートの平均として算出した。与えられた実験条件下で(40℃の温度で0−24週間貯蔵)、処方物F3並びに特にF4及びF8の濁度値は始原処方物F1と比較して低い。モノマー分析(40℃での安定性実験)。抗体の安定性を高速液体クロマトグラフィー-サイズ排除クロマトグラフィー(HPLC-SEC)を用いてモニターし、このタンパク質が被検条件下で断片化されるか又は凝集するかを決定した。TSKgel G3000SWXL(300x7.8 mm)分析用HPLCカラムを、100mMリン酸+200mM L-アルギニン(pH6.8)から成る泳動緩衝液とともに用いた。モノマーの含有量は、検出された全ての種の総面積のパーセントとして示される。本データは、40℃で24週間経過中のモノマー含有量の減少は、F3、F4及びF8処方物でF1での減少よりも緩徐であることを示している。凝集物分析(40℃での安定性実験)。抗体の安定性を高速液体クロマトグラフィー-サイズ排除クロマトグラフィー(HPLC-SEC)を用いてモニターし、このタンパク質が被検条件下で断片化されるか又は凝集するかを決定した。TSKgel G3000SWXL(300x7.8 mm)分析用HPLCカラムを、100mMリン酸+200mM L-アルギニンから成る泳動緩衝液(pH6.8)とともに用いた。凝集物含有量は、検出された全ての種の総面積のパーセントとして示される。全ての処方物で凝集物の含有量は40℃の温度で24週間経過中に増加する。F8が最少の凝集物分画(40℃で24週間経過時にもっとも低い増加)を示し、F3、F4及びF1がこれに続く。断片分析(40℃での安定性実験)。抗体の安定性を高速液体クロマトグラフィー-サイズ排除クロマトグラフィー(HPLC-SEC)を用いてモニターし、このタンパク質が被検条件下で断片化されるか又は凝集するかを決定した。TSKgel G3000SWXL(300x7.8 mm)分析用HPLCカラムを、100mMリン酸+200mM L-アルギニンから成る泳動緩衝液(pH6.8)とともに用いた。断片含有量は、検出された全ての種の総面積のパーセントとして示される。全ての処方物で断片含有量は40℃の温度で24週間経過中に増加する。F3が40℃、24週間で最低の断片分画を示し、F8、F4及びF1がこれに続く。粒子サイズ分析(40℃での安定性実験)。処方物F1、F3、F4及びF8の平均粒子サイズ(Z-平均値)を、ゼーターサイザーナノZS(ZetasizerNanoZS ZEN3600;Malvern Instruments)を用いて動的光分散によって決定した。シングルユースキュベット中の未希釈サンプル(体積75μL)に20℃の温度でヘリウム-ネオンレーザーを633nmの波長で照射した。 全処方物の平均粒子サイズは、40℃の温度で貯蔵されたとき24週間経過中に変化しない。処方物F1及びF3の平均粒子サイズは、F4及びF8の平均粒子サイズと比較して大きい。PDIは、24週間で処方物F1でのみ増加した。活性分析(40℃での安定性実験)。サンプルをアッセイ緩衝液(0.01M HEPES、0.15M NaCl、3mM EDTA及び0.005%PS-20)中で0.6mg/mLの濃度に稀釈することによって、種々の保存条件におけるタンパク質の機能をモニターした。3つの異なるタイプの結合をモニターした:CD16(6a)結合を機能活性のために測定した。この試験はバイアコア(Biacore)装置(GE Healthcare)を用いて実施された。40℃の温度で、処方物F3、F4及びF8の結合特性は、24週間の経過中F1と比較して高かった。活性分析(40℃での安定性実験)。サンプルをアッセイ緩衝液(0.01M HEPES、0.15M NaCl、3mM EDTA及び0.005%PS-20)中で0.6mg/mLの濃度に稀釈することによって、種々の保存条件におけるタンパク質の機能をモニターした。3つの異なるタイプの結合をモニターした:タンパク質A結合(6b)を、当該タンパク質が正確に折り畳まれて機能性であるか否かを決定するために測定した。この試験はバイアコア(Biacore)装置(GE Healthcare)を用いて実施された。40℃の温度で、処方物F3、F4及びF8の結合特性は、24週間の経過中F1と比較して高かった。活性分析(40℃での安定性実験)。サンプルをアッセイ緩衝液(0.01M HEPES、0.15M NaCl、3mM EDTA及び0.005%PS-20)中で0.6mg/mLの濃度に稀釈することによって、種々の保存条件におけるタンパク質の機能をモニターした。3つの異なるタイプの結合をモニターした:TNFα(6C)結合を機能活性のために測定した。この試験はバイアコア(Biacore)装置(GE Healthcare)を用いて実施された。40℃の温度で、処方物F3、F4及びF8の結合特性は、24週間の経過中F1と比較して高かった。概括:2−8℃でt=12週における処方物(安定性)の比較。F1とは対照的に、処方物F3、F4及びF8は目視可能な粒子を示さず、F1と比較したとき全処方物がより低い濁度値を示す。概括:40℃でt=24週における処方物の比較(安定性)。F1と比較して全処方物がより低い濁度値及びより高いモノマー値を示す。さらにまた、CD16結合活性は、F1と比較して全処方物で高かった。 本発明は、6.25+/-0.5のpH値を有し、かつ本質的にシトレート及び/又はホスフェートで緩衝されない医薬処方物は、糖タンパク質(例えば抗体又は前記の抗体フラグメント若しくは抗原結合フラグメント)の長期安定性をその結合活性を保護することによって改善するという驚くべき発見に基づく。本発明の処方物は、該治療用抗体の周囲温度での高い安定性をもたらす、多数の驚くべき特徴を提供する。特に、本発明の全ての処方物は、40℃+/-3℃で6カ月まで貯蔵されたとしても、優れた濁度値、高含有量のモノマー抗体、より少ない凝集物及び断片を提示する。 さらにまた、本発明の医薬組成物中で処方された抗体は、WO2004/016286の比較処方物よりも、40℃で24週間貯蔵後にバイアコアで測定してはるかに良好な結合活性及び/又は安定性を示す。さらにまた、本発明の組成物の注射は、塩化ナトリウムを含むシトレート、ホスフェート緩衝液と比較して皮膚の刺激がより少ないことを示し得る。したがって、これらの効果は、本明細書に記載した医薬組成物の6.25又は6.5の特定のpH値によると考えざるを得ない。 換言すれば、本発明は、治療的に活性を有する抗体又は前記の抗体フラグメントの投与のための本質的にシトレート及び/又はホスフェートを含まない水性緩衝溶液に関し、ここで該抗体は自己免疫疾患又は悪性疾患の治療に用いられ、該緩衝液は5mg/mLを超える抗体を含み、さらに少なくとも5.5、好ましくは6.25+/-0.5のpH値を有する。 本明細書で用いられるように、“本質的に”という用語は、シトレート及び/又はホスフェート分子が能動的にすなわち意図的に添加されない組成物又は処方物又は緩衝液又は溶液を意味する。微量のシトレート及び/又はホスフェートが、3mM、2mM、1mMより低い、好ましくは0.5mMより低い、より好ましくは0.05mMより低い濃度で存在し得る。 本発明にしたがえば、治療用抗体又は抗体フラグメントのための医薬処方物が提供され、前記処方物は、少なくともi)ヒスチジン及びマンニトールを医薬的に許容できる量で;又はii)スクシネート及びトレハロースを医薬的に許容できる量で;又はiii)アセテート、又は酸性酸アルギニン、及びトレハロースを医薬的に許容できる量でかつ医薬的に許容できるpHで含む。 本発明の処方物は、下記に記載するように、当業界の既存の他の処方物と比較して改善された特性を有する。抗体は好ましくはモノクローナル抗体、より好ましくはIgG形式の抗体である。 本発明の組成物は抗体凝集物及び微粒子の形成を最小限にし、抗体が時間の経過中にその生物活性を保持することを担保する。特に、本発明の発明者らは、シトレート及びホスフェート緩衝剤を含む処方物と比較して、40℃で3週間又は3ヶ月保存された又は6カ月もの間保存された本発明の組成物中では、処方された抗体のモノマー含有量はより安定であり、断片の形成ははるかに多くはないという驚くべき発見を為し、前記は実施例1及び2とともに図2及び4で示されている。実施例1及び2に示すように、5.2のpH値を示すF1処方物は、処方物F3、F4及び/又はF8と比較して、おそらくタンパク質の凝集を反映する、高い初期濁度値及びわずかな増加を提示する。この凝集の除去には追加の工程、例えばポリソルベート80の新規な添加及びその後の滅菌ろ過が必要とされ、前記工程は初期抗体濃度の低下を含む。 結果として、本発明のある特徴では医薬組成物が提供され、前記組成物は、i)5から200mg/mL、好ましくは10から150mg/mLの濃度の治療用抗体又は前記の抗体フラグメント;10から200mmolL-1、好ましくは10から50mmolL-1の濃度のヒスチジン;50から1000mmolL-1、好ましくは100から400mmolL-1の濃度のマンニトール;及び場合によって界面活性剤を5.5から8、6から7、好ましくは6.1から6.7の範囲のpH値で含むか、又はii)5から200mg/mL、好ましくは10から150mg/mLの濃度の治療用抗体又は前記の抗体フラグメント;10から200mmolL-1、好ましくは10から50mmolL-1の濃度のスクシネート;50から1000mmolL-1、好ましくは100から400mmolL-1の濃度のトレハロース;及び場合によって界面活性剤を5.5から8、6から7、好ましくは6.1から6.7の範囲のpH値で含むか、又はiii)5から200mg/mL、好ましくは10から150mg/mLの濃度の治療用抗体又は前記の抗体フラグメント;10から200mMolL-1、好ましくは10から50mMolL-1の濃度のアセテート及び/又は酸性酸;5から100mMolL-1、及び好ましくは5から40mMolL-1の濃度のアルギニン;50から1000mMolL-1、及び好ましくは100から400mMolL-1の濃度のトレハロース;及び場合によって界面活性剤を5.5から8、好ましくは6から7の範囲のpH値で含む。 本明細書で用いられる“治療用抗体”という用語はヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体及びネズミ抗体を含む。前記はさらに、人間、哺乳動物、脊椎動物又は脊索動物から単離された自然のままの抗体とともに変異導入された又は遺伝的に操作された抗体を含む。 “IgG形式”という用語に関しては、前記用語はとりわけ種々のIgGサブクラス(例えばIgG1、2、3及び4)をカバーすることは留意されるべきである。IgG抗体は、4つのペプチド鎖を含む約150kDaの分子である。前記は、約50kDaの2つの同一クラスのガンマ重鎖及び約25kDaの2つの同一の軽鎖を含み、したがって4要素をもつテトラマー構造を含む。該2つの重鎖は互いにかつ1つの軽鎖と各々ジスルフィド結合によって連結される。生じたテトラマーは2つの同一半分を有し、前記は一緒になってフォーク又はY字様形状を形成する。該フォークの各末端は同一の抗原結合部位を含む。IgGのFc領域は高度に保存されたN-グリコシル化部位を保有する。この部位に結合されるN-グリカンは、主に複合型の中心部フコシル化二アンテナ構造である。さらにまた、これらN-グリカンの少量はまた二分性GlcNAc及びアルファ-2,6-結合シアル酸残基を保有する。本発明の好ましい実施態様では、アセテート及びアルギニンは緩衝剤として機能し、トレハロースは張度調節剤として機能する。“治療用抗体”という用語は、さらに追加して非IgG形式抗体、例えばIgM抗体、一ドメイン抗体などを包含する。“(治療薬)抗体フラグメント”という用語は、Fabフラグメント、Fvフラグメント、単鎖Fv(scFv)フラグメントなど(場合によって(例えばその血中半減期を延長するために)改変された形態にあるもの)を含む。 酢酸はCH3COOHと略記される有機酸である。その脱プロトン化形であるアセテートはCH3COO-と略記される。酢酸は一プロトンの弱酸であり、前記は水溶液中で4.75のpKa値を有する。 アルギニン(Argと略記される)は、塩基性の化学的特性を有するタンパク原性アルファアミノ酸である。その側鎖は3炭素脂肪族直鎖から成り、その遠位端は複合グアニジニウム基によってキャップされている(前記グアニジニウム基は12.48のpKa値のために塩基性の化学的特性をアルギニンに付与する)。アルギニン及びアセテート(又は酢酸)は、本発明の処方物で非標準緩衝剤を形成する。そのような緩衝系は、該処方物が暴露される条件下で最適な抗体安定性を提供するために必要とされる。いくつかの処方物では、凍結はpHのシフトをもたらすことがあるが、他の事例では緩衝剤によってもたらされるモル濃度は抗体の凝集を生じ得る。さらにまた、処方物のpHは処方物の成分の分解のために変化し得る。しかしながら許容範囲を超えるpHシフトは有害である。なぜならば、pHシフトは抗体の不活化又は変性さえも招来し、又は処方物を生理学的に許容不能にし得るからである。 トレハロースは、2つのアルファグルコースユニット間におけるアルファ、アルファ-1,1-グリコシド結合によって形成されるアルファ結合二糖類である(アルファ-D-グルコピラノシル-(1−>1)-D-グルコピラノシド)。前記は、タンパク質及び核酸を例えばバイオチップ上で保護するためにバイオテクノロジーで有用である。本処方物では、トレハロースは張度調節剤(すなわち張度を調節する薬剤)として機能する(張度調節剤は水性処方物の張度又は浸透圧を調節するために供される)。ある実施態様では、本発明の処方物又は方法で用いられる張度調節剤はマンニトールである。 スクシネート(pKa 5.63)は皮下注射のために好ましい緩衝剤である。シトレート及びホスフェート緩衝剤は、皮下注射したときに痛みを伴う反応を引き起こすのではるかに好ましくない。 ヒスチジン(pKa 5.97)は皮下注射、筋肉内注射及び腹腔内注射のために好ましい緩衝剤である。ヒスチジン緩衝剤の利点は、ヒスチジン緩衝剤1mmoleは1mOsmを付与するだけであるが、コハク酸ナトリウム緩衝剤1mmoleは3mOsmを付与するということである。ヒスチジン緩衝剤は浸透圧への寄与がより小さいので、前記はより多くの安定化剤を処方物に添加することを可能にする。 本発明の好ましい実施態様では、処方物は水溶液である。これは処方物を市場に供する好ましい態様である。なぜならば、そのような処方物タイプは使用が容易で、使用者による調製工程を必要としないからである。 本発明の別の好ましい実施態様では、処方物は凍結乾燥される。そのような処方物タイプはより長期の保存寿命有することができる。この実施態様では、トレハロースは張度調節剤としてだけでなく凍結保護剤としてもまた機能する。 本発明のさらに別の好ましい実施態様では、処方物はさらに界面活性剤を含む。前記界面活性剤は、好ましくはポリソルベートであり、例えば前記は、脂肪酸でエステル化されたペジル化ソルビタン(ソルビトールの誘導体)から誘導された乳化剤である。このクラスの薬剤にはとりわけポリソルベート20、21、40、60、61、65、80、81、85及び120が含まれる。より好ましくは、ポリソルベート80(ポリオキシエチレン(20)-ソルビタン-モノオレエート)又はポリソルベート(ポリオキシエチレン(20)-ソルビタン-モノラウレート)が用いられる。 以下の表では、本発明の処方物の典型的な濃度範囲が提供される。 別の好ましい実施態様では、本発明の医薬処方物は10mg/mL以上で200mg/mL以下の治療用抗体を含む。より好ましくは、本発明の医薬処方物は20mg/mL以上で100mg/mL以下の治療用抗体を含む。さらに好ましくは、本発明の医薬処方物は30mg/mL以上で70mg/mL以下の治療用抗体を含む。 したがって、ある実施態様では、本発明はある医薬組成物に関し、前記組成物では該抗体は抗TNFアルファ抗体であり、該組成物は、i)50mg/mLの濃度の抗TNFアルファ抗体、25mmolL-1の濃度のヒスチジン、及び240mmolL-1の濃度のマンニトール;又はii)50mg/mLの濃度の抗TNFアルファ抗体、25mmolL-1の濃度のスクシネート、及び215mmolL-1の濃度のトレハロース;又はiii)50mg/mLの濃度の抗TNFアルファ抗体、15mMolL-1の濃度のアセテート及び/又は酸性酸、10mMolL-1の濃度のアルギニン、及び240mmolL-1の濃度のトレハロースを含み、ここでi)及びii)の組成物は6.25+/-0.5のpH値を有し、iii)の組成物は6.5+/-0.5のpH値を有する。 別の好ましい実施態様にしたがえば、上記に概略する医薬処方物は、自己免疫疾患の治療に使用される治療用抗体、例えば以下の標的(CD11a(例えばエファリズマブ)、IL1b(例えばカナキヌマブ)、IgE(例えばオマリズズマブ)、a4-インテグリン(例えばナタリズマブ)、IL12/23(例えばウステキヌマブ)、IL6R(例えばトシリズマブ)、又は腫瘍壊死因子アルファ(TNFアルファ;例えばアダリムマブ、インフリキシマブ、ゴリムマブ、セルトリズマブペゴール))と結合する抗体、又は悪性疾患の治療に使用される治療用抗体、例えば以下の標的(CD20、Her2、EGFR、CD33、CD52、CTLA-4又はCD30)と結合する抗体を含む。 特に好ましいものは、TNFアルファのエピトープ(TNF、カケキシン又はカケクチンとしても知られている)と結合する抗体を含む上記記載の医薬処方物である。腫瘍壊死因子は、自己免疫異常と関連する多くの臨床的な問題(例えば慢性関節リウマチ、強直性脊椎炎、炎症性腸疾患、乾癬、汗腺膿瘍及び難治性喘息)を次々と引き起こす炎症応答を促進する。本発明の意味する抗体による腫瘍壊死因子アルファの少なくとも1つのエピトープとの単なる結合は該レセプター結合反応を抑制し、したがって上述の異常を治療するメカニズムで障害を取り除く。 別の好ましい実施態様では、該治療用抗体の重鎖可変領域及び/又は軽鎖可変領域は、アダリムマブ及び/又はインフリキシマブ及び/又はゴリムマブ及び/又はセルトリズマブペゴールの対応する配列と少なくとも70%の配列同一性を有する。好ましくは、該重鎖可変領域及び/又は軽鎖可変領域のそれぞれ対応する配列との配列同一性は、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、863、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99%を超えるか、又は100%である。上述の抗体のタンパク質配列は公開されてあり、例えばWO2004/016286(adalimumab/D2E7)で参照できる。 有用な治療用抗体(例えばTNFアルファ抗体)処方物のための代替緩衝系がいくつか存在し、それらはまた生物利用性及び/又は患者のコンプライアンスに関して比較し得る特徴を有し、生物的類似物としてそれらを適切なものにする。しかしながら、それらの大半は、同じような成分を使用するため(例えばシトレート及び/又はホスフェート緩衝系)又は同じpH範囲を使用するために、上記に概略した始原緩衝剤と同じ欠点を有する。本発明にしたがって実施した実験過程で、本発明者らは、アミノ酸緩衝組成物を用いることによって、例えばヒスチジン及び/又はアルギニンは、TNFアルファ抗体処方物のために適切な医薬的に許容できる組成物を提供するという驚くべき発見を為した(前記アミノ酸組成物は、図8に示すようにFDA及び欧州局方が要求する安全性及び有効性に関して同等に用いることができよう)。さらにまた、スクシネート系組成物は、2−8℃で実施した実験の間、始原処方物と比較したとき同等の結果を示した。 本明細書で用いられるように、(承認された参照製品/生物学的薬剤、例えばタンパク質治療薬、抗体などの)“生物学類似性”とは、データに基づいて参照製品と類似する生物学的製品を指し、前記データは、a)分析実験であって、臨床的に不活性な成分の小さな相違にもかかわらず該生物学的製品が該参照製品と極めて類似することを示すもの;b)動物実験(毒性の評価を含む);及びc)1つ又は複数の臨床試験(免疫原性及び薬物速度論及び薬力学の評価を含む)であって、それについて該参照製品が認可され、使用が意図され、さらにそれについて該生物学的製品の認可が求められる、当該1つ以上の適切な使用条件下における安全性、純度及び潜在能力を示すために十分であるものから得られる。ある実施態様では、該生物的類似性を有する生物学的製品及び参照製品は、提示の付箋において指示され、推奨され又は提唱される1つ又は複数の使用条件について同じ1つ又は複数の作用メカニズムを利用するが、ただし該参照製品について公知の該1つ又は複数の作用メカニズムの範囲に限られる。ある実施態様では、該生物学的製品のために提示される該付箋で指示され、推奨され又は提唱される1つ又は複数の使用条件は、該参照製品について以前に承認されている。ある実施態様では、該生物学的製品の投与ルート、調剤形、及び/又は強度は、該参照製品のそれと同じである。ある実施態様では、該生物学的製品が製造され、加工され、箱詰めされ、又は維持される施設は、該生物学的製品が安全で、純粋でかつ強力であり続けることを担保するように設計された規格に適合する。該参照製品は、米国、欧州又は日本の少なくとも1つで承認され得る。 したがって、ある特徴では、本発明にしたがって命名された組成物F3、F4及び/又はF8は2−8℃でほとんど同一の値を示す。しかしながら、本発明にしたがって実施した実験過程の間に、驚くべきことに本発明者らは該組成物がF1組成物と比較して優れた作用を示すことを発見した。 したがって、別の好ましい実施態様では、前記処方物は、緩衝剤としてシトレート及びホスフェート並びに張度調節剤としてマンニトール及び塩化ナトリウムを含む処方物と比較して、保存寿命の延長、より良好な温度安定性及び/又は患者のコンプライアンスの改善から成る群から選択される少なくとも1つの特徴を有する。更なる詳細については実験のセクションを参照されたい。 実施例1及び/又は2で示し得たように、本発明の組成物は、驚くべきことに長期間(例えば3ヶ月又は6カ月もの期間)の高温(すなわち40℃)で改善された安定性を示す。本発明の組成物(すなわちF3、F4及び/又はF8)が少なくとも2−8℃で、及び/又は約40℃で1年もの間ですら安定であろうと予想するのは賢明であろう。したがって、pHの増加のために、本発明の処方物/緩衝液の安定性が改善されるという考えは興味をそそる。したがって、好ましい実施態様では、該医薬組成物は、少なくとも3カ月、好ましくは少なくとも6カ月40℃+/-3℃で安定である。本発明にしたがえば、本明細書で用いられる“約”という用語はある温度の範囲を指し、与えられた温度値は1、2及び/又は3℃の間で変動し得る。本発明のある実施態様では、医薬組成物F3、F4及び/又はF8は、少なくとも3カ月、好ましくは少なくとも6カ月40℃+/-3℃でF1処方物よりも安定である。 市場で従来入手可能なシトレートで緩衝された薬剤処方物は皮下注射時の痛みを高めることは周知である(例えば以下を参照されたい:Kappelgaard A.-M.Horm Res. 2004;62 Suppl 3:98-103)。二重盲検による任意抽出プラセボ管理試験では、エリスロポイエチンの皮下注射後の痛みは該緩衝溶液のシトレート成分によって主として引き起こされた(Frenken et al 1993)。さらにまた、ホスフェート緩衝剤が用いられたインスリン様成長因子の処方物について緩衝剤濃度及びpHの影響が調べられた。前記試験では、高い緩衝剤濃度は注射の痛みに関する主要な応答性因子であることが判明した(Fransson&Espander-Jansson 1996)。自己免疫疾患の罹患患者はTNFアルファ処置を認知し得るので、これらの患者はいっそう痛みに対して鋭敏である。さらに、これらの患者は数年間続く定期的な処置を必要とする。さらにまた、凍結ホスフェート緩衝液はpHの不安定性をもたらし、凝集物を増加させ得る。結果として、従来入手可能なホスフェート緩衝薬剤処方物の使用もまた好ましくない。 したがって、ある特徴では、本発明は、注射時の局所の皮膚の刺激及び/又は痛みを回避して患者の生活の質の劇的な向上をもたらし、さらにまた患者のコンプライアンスの改善に役立つ、処方物、緩衝系組成物、及び/又は溶液の提供に関する。下記に記載する実施例の結果から分かるように、本発明にしたがえば、F1処方物(WO2004/016286で用いられた本質的にシトレートホスフェート緩衝処方物である)と比較して、凝集だけでなく断片化及び/又はダイマー化も減少し、しかもなお驚くべきことに周囲温度での長期保存を劇的に向上させ得る安定な処方物を入手できる。 上記にしたがえば、ある実施態様では、本発明の医薬組成物は以下から成る群から選択される少なくとも1つの特徴を有する:(a)高圧サイズ排除クロマトグラフィー(HP-SEC)によって測定される凝集物の量の減少;(b)HP-SECによって測定される、約40℃での貯蔵後におけるより大量のモノマー;(c)HP-SECによって測定される顕著により少ない断片;(d)40℃の貯蔵で24週時にZ-平均(nm)におけるより小さい流体力学直径及び/又は多分散性インデックス(PDI)におけるより小さい増加;(e)約40℃での貯蔵後にバイアコアによって測定される結合活性の増加;及び/又は(f)参照組成物と比較して、ホルマジンネフェロメトリー単位(FNU)におけるより低い濁度値。 本発明にしたがえば、“減少”、“より大きい”、“より少ない”、“より小さい”、“増加”、“より低い”又は“より少ない”など(前記用語は2つの状態における量的な相違を示す)は、2つの状態における少なくとも統計的に有意な相違を指す。 ある種の実施態様では、対象動物は人間又は人間以外の哺乳動物である。ある種の実施態様では、参照組成物又は別の状況での同一処方物は、商業的に入手可能なWO2004/016286のアダリムマブ処方物であり、前記は、アダリムマブ、塩化ナトリウム、一塩基性ホスフェートナトリウム二水和物、二塩基性リン酸ナトリウム二水和物、シトレートナトリウム、シトレート一水和物、マンニトール、ポリソルベート80、及び注射水を含む。 好ましい実施態様では、該参照組成物は、緩衝剤としてシトレート及びホスフェート、張度調節剤としてNaCl、マンニトール中にTNFアルファ抗体をpH5.2で含む医薬組成物である。 本発明のある実施態様では、該組成物は、組成物i)及び/又はiii)が、12+/-1より低いZ-平均(nm)及び0.6+/-0.2より低いPDIを示すか、及び/又は前記処方物が、約5℃で少なくとも6カ月貯蔵したとき目視精査による決定で実質的に微粒子を含まない、平均粒子サイズの量を示す。実施例1及び/又は2とともに図5で概略したように、緩衝組成物F3及びF8は驚くべきことに40℃、24週間で流体力学直径に変化を生じないことを示し、さらに処方物F4については単に非常に小さい増加が検出し得た。前記と対照的に、F1のPDIは時間の経過で、特に40℃、24週間で増加した。したがって、F1と比較して該緩衝剤は安定性の改善を示す。目視精査は当業者には周知であり、例えばmg/mLでのUVスキャンを測定することによって、又は他の公知の手段及び方法によって実施できる。 さらにまた、全ての組成物(F3、F4及びF8)が高温でF1よりも低い濁度値を示す(実施例1及び/又は2とともに図1を参照されたい)。したがって、本発明のさらに別の実施態様では、該医薬組成物i)及び/又はii)はホルマジンネフェロメトリー単位(FNU)で10より低い濁度値を示すか、及び/又は組成物ii)は20FNUより低い濁度を示す。 適切な医薬的に活性な組成物についてもっとも重要なことは、溶液中で処方されるモノマー抗体の量である。凝集物はいくつかのかつ重大な副作用の発生の原因であるので、モノマーの含有量は当該薬剤(すなわち抗体又は前記の抗体フラグメント)の実際の医薬的に活性な量を示す。上記を鑑みれば、自己投与に適した組成物は常に不適切な貯蔵条件(例えば高温)のリスク下にある。該実施例及び図2から明らかなように、本発明の組成物のモノマー含有量は、2−8℃、24週間で約99%+/-1%であるだけでなく、より高温での長期保存後でさえも91%を超えて92%に至る。 したがって、本発明の好ましい実施態様では、前記抗体又はそのフラグメントは、参照抗体調製物と比較して、形質転換増殖因子アルファ及び/又はCD16ポリペプチドとの結合能力の少なくとも90%を保持する。前記は、F3、F4及び/又はF8処方物のいずれか1つで貯蔵及び/又は処方されたTNFアルファ抗体の結合活性に関する実施例2とともに図6から8において、本発明にしたがって示すことができた。 本発明のさらに別の実施態様では、該医薬組成物は、HP SECによって決定したとき、約40℃で少なくとも6カ月の貯蔵に際して凝集物を形成した5%+/-0.5%未満の前記抗体又はそのフラグメントを含む。 当然、本発明は、HP SECによって決定したとき、約40℃で少なくとも6カ月の貯蔵に際して前記抗体又はそのフラグメントの3%+/-0.5%未満が断片化される医薬組成物に及ぶ。 上記と同様に、本発明のある実施態様では、該医薬組成物は、HP SECによって決定したとき、約40℃で少なくとも6カ月の貯蔵に際してモノマーである91.7%+/-0.5%未満の前記抗体又はそのフラグメントを含有するか、本質的にそれらから成るか、又はそれらを含む。 本発明にしたがえば、“適切な”処方物、組成物又は溶液は、その中の全タンパク質(すなわち抗体及び/又は前記の抗体フラグメント)が、意図される貯蔵温度(例えば2−8℃及び/又は40℃)での保存に際して、それらの物理的安定性及び/又は化学的安定性及び/又は生物学的活性を本質的に保持するものである。該処方物は、貯蔵に際してその物理的及び化学的安定性とともに生物学的活性を本質的に保持することが所望される。貯蔵期間は、一般的に該処方物の提供された保存寿命を基準にして選択される。 本発明にしたがえば、“より安定な”医薬組成物、処方物、緩衝液又は水溶液は、該タンパク質(すなわち抗体及び/又は前記の抗体フラグメント)が2つの状態で定量的な相違(当該2つの状態で少なくとも統計的に有意な相違をいう)を示すものであり、この文脈における状態は、該タンパク質(すなわち該抗体及び/又は前記の抗体フラグメント)の物理的安定性及び/又は化学的安定性及び/又は生物学的活性を意味する。 タンパク質の安定性を測定する多様な分析技術は当業界で利用可能であり、それらは例えば以下で概括される:Peptide and Protein Drug Delivery, 247-301, Vincent Lee Ed., Marcel Dekker, Inc., New York, New York, Pubs., 1991;及びJones, A. Adv. Drug Delivery Rev. 10: 29-90, 1993。安定性は選択した時間について選択した温度で測定できる。安定性は、凝集物の形成の判定(例えばサイズ排除クロマトグラフィーを用いるか、濁度の測定及び/又は目視精査による)を含む、多様な種々の方法で定性的に及び/又は定量的に判定できる。前記方法は以下による:陽イオン交換クロマトグラフィー又はキャピラリーゾーン電気泳動を用いる荷電の不均質性の評価;アミノ末端又はカルボキシ末端配列の分析;質量分光分析;還元された抗体又は完全な抗体を比較するSDS-PAGE分析;ペプチドマップ(例えばトリプシン又はLYS-C)分析;抗体の生物学的活性又は抗原結合機能の判定など。不安定性は以下のいずれかの1つ以上を含む:凝集、脱アミド化(例えばAsn脱アミド化)、酸化(例えばMet酸化)、異性化(例えばAsp異性化)、クリッピング/加水分解/断片化(例えばヒンジ領域の断片化)、スクシンイミド形成、不対システイン、N-末端伸長、C-末端プロセッシング、グリコシル化の変化など。本明細書の“脱アミド化”モノクローナル抗体は、その1つ以上のアスパラギン残基が例えばアスパラギン酸又はイソアスパラギン酸に翻訳後改変によって改変されてある抗体である。 本発明の別の好ましい実施態様では、前記処方物は皮下投与に適するように調整される。薬剤の皮下投与又は注射(SC又はSQと略記)では、該薬剤は皮下組織(皮膚と総称される真皮及び上皮の直ぐ下の皮膚組織)にボーラス配布される。皮下注射は大いに有効であり、さらに、例えばインスリンのような医薬の投与では、感染リスクの減少及び投与の容易さのお蔭で、対応するトレーニングを受けることを条件に医療技術の非習熟者が実施できるように十分に確立されている。したがって、皮下投与は、巡回投与(例えば医療技術の非習熟者が薬剤投与に責任をもつことができる、経済基盤が貧弱な地域における投与)又は自宅での使用に適切である。後者は、自己免疫疾患のような多くの慢性疾患(例えば慢性関節リウマチ、強直性脊椎炎、炎症性腸疾患、乾癬、汗腺膿瘍及び難治性喘息)又は標的照準治療のために慢性若しくは亜慢性に転換する多くの癌タイプでよくあるように、反復処置を必要とする治療レジメンで特に重要である。 しかしながら、上記の理由のために、皮下投与に適するように調整されてある処方物は、一般の人々によって最適に達しない貯蔵条件に曝露されるリスクがより高い。例えば冷蔵連鎖が中断されるか、又は処方物は光又は突然の温度変化に曝露される。さらにまた、1回の注射で投与される体積は相当に制限されるので(1.5から最大2.0mL)、SC処方物は比較的高い濃度の当該治療薬剤を必要とする。さらにまた、注射中の針の痛みを軽減するために、針は細いことが要求され、前記は注射溶液の低粘稠性を要求する。最後に、SC注射は注射部位に、針を取り除いた後でさえ痛みを生じることがある。前記はおそらくタンパク質溶液の成分(例えば緩衝剤分子の種類)及び浸透圧に影響され、さらに対応する治療法に対する患者のコンプライアンスに重大な影響を及ぼし得る。本発明の処方物(保存寿命の延長、より良好な温度安定性、粘稠度の改善及び患者のコンプライアンスの改善を示す)は、したがって皮下投与に特に適切である。 上記に一致して、ある実施態様では本発明は医薬組成物に関し、ここで該組成物の注射は、好ましくは本質的にシトレートホスフェート緩衝液、マンニトール、NaCl、ポリソルベート80から成るpH5.2の処方物の注射と比較したとき、対象動物で投与するように設計された注射に付随する痛みを軽減する。 痛みは当業界で公知の任意のタイプの痛み評価を用いて判定できる。前記評価には、例えば目視アナログスケール、痛みの定性的評価、又は針による痛みの評価が含まれる。例えば、対象動物が感知する注射部位痛は、痛みの目視アナログスケール(VAS)を用いて評価できる。VASは、痛みが連続値の中で(例えば無痛から激甚な痛みまで)上下するように痛みを測定する測定装置である。操作的には、VASは水平の線(長さは約100mm)であり、数字デスクリプター及び/又は文字デスクリプター(例えば0若しくは10、又は“無痛”若しくは“激痛”)が付けられ、場合によって両極端の間に追加の文字又は数字デスクリプター(例えば軽度、中等度及び重度又は1から9)を有する。例えば以下を参照されたい:Lee J S, et al. (2000) AcadEmerg Med 7:550;又はSinger and Thods (1998) Academic Emergency Medicine 5:1007。痛みは、本発明の処方物の投与に続いて1回又は種々の回数で評価できる(例えば注射直後、注射後約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40又は45分後)。 本発明のある種の実施態様では、対象動物への該処方物の注射は、0(無痛)から10(激痛)のスケールで、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、2.0、3.0、4.0又は5.0未満の痛みの目視アナログスケールスコアをもたらす。 痛み評価の他のツールも当業界で公知であり、例えば数字による等級スケール、言語による等級スケール、及び簡略痛み一覧が含まれる。そのようなツールもまた本発明の痛みの評価に用いることができる。 皮膚刺激に関する追加のインデックスも用いることができ、例えばドレーズ(Draize)スケール(出血、点状出血、紅斑、浮腫、そう痒)が含まれる。 本発明の別の特徴にしたがえば、本発明の処方物を含む予め組み立てられた注射装置が提供される。そのような予め組み立てられた注射装置は、本発明の処方物に追加の利点を、特に巡回投与(例えば医療技術の非習熟者が薬剤投与に責任をもつことができる、経済基盤が貧弱な地域における投与)又は自宅での使用に対して付加する。好ましくは、前記予め組み立てられた注射装置(例えば注射筒)は、0.1以上で2mL以下、好ましくは0.5から1.5mLの体積の液体を保持する。もっとも好ましいものは、約0.8又は約1.0mLの注射体積である。 本発明にしたがえば、該医薬組成物はまた筋肉内投与又は局所投与に適切であることは理解されよう。本発明の好ましい実施態様では、医薬組成物はまた筋肉内投与に適切である。 好ましい実施態様では、前記予め組み立てられた注射装置は、(予め充填された)注射筒又はオートインジェクターのどちらかである。オートインジェクターは、薬剤(特に注射可能薬剤)の1用量以上をデリバーするために設計された医療装置である。オートインジェクターはバイアルから注射装置へ薬剤を移す工程(煩雑でしばしば困難を伴い固有のリスク(例えば汚染又は投薬間違い)を被る工程)を必要としない。オートインジェクターは使用が容易で、患者による自己投与又は非習熟者による投与を意図する。オートインジェクターは、伸縮自在針又は特別なシールドによって保護された針を有する。注射筒と比較して、オートインジェクターは取り扱いが容易で、したがって損傷又は汚染のリスクが軽減される(前記はオートインジェクターの自宅使用の適切性に貢献する)。 オートインジェクターは、針を有する薬剤デリバリー装置による自己投与にしばしば付きものの躊躇の克服に役立ち、したがって患者のコンプライアンスの強化を提供し、前記は、順次、薬剤が指示された投薬レジメンにしたがって規則正しく服用されることを担保し、したがって治療の成功の蓋然性を高める。前記は、自己免疫疾患のような多くの慢性疾患又は標的照準治療のために慢性若しくは亜慢性に転換する多くの癌タイプでよくあるように、特に反復処置を必要とする治療レジメンで特に重要である。 さらにまた、そのような適応症では、オートインジェクターでよくあるように患者が自分自身を自宅で処置することができるならば特に有益である。自宅処置はさらに治療コストを軽減し、かつ、患者は投薬レジメンで薬剤のデリバリーが必要とされるたびに医療従事者に接触する必要がないので、患者のコンプライアンスを高める。本発明の好ましい実施態様では、前記オートインジェクターはスプリング付き注射筒タイプに由来する。そのようなタイプは注射筒に連結されたスプリング付き針を含む。別の好ましい実施態様では、前記オートインジェクターは、ガス噴射オートインジェクターに由来する。後者は加圧ガス円筒を含み、針を使用することなく皮膚を貫通する微細な液体噴射を推進させる。前記は、オートインジェクターを再充填し多様な種々の用量又は種々の薬剤を用いることができるという利点を有する。本発明の別の好ましい実施態様では、前記予め組み立てられた注射装置は、通常のオートインジェクター及び/又は湿潤/乾燥オートインジェクターから成る群から選択される。 通常のオートインジェクターは上記に概略した医薬処方物を含み、投与に直接用いることができる。湿潤/乾燥オートインジェクター(“リキッドドライオートインジェクター”又は“二重チャンバーオートインジェクター”とも称される)は二チャンバー保有オートインジェクターであり、前記は、乾燥した安定形(例えば凍結乾燥形)で乾燥チャンバーに配置された医薬処方物(又はその活性成分)を使用まで維持する。投与前に、該医薬処方物(又はその活性成分)は、溶媒を含む第二のチャンバー(“湿潤チャンバー”)に移すことによって再構成されるか、又は第二のチャンバーの溶媒が第一のチャンバーに移される。前記の目的のために、固体の医薬散剤を含む乾燥チャンバーはまたある体積の空気又は他のガスを含むことができ、前記は、該医薬組成(又はその活性成分)が再構成されるときに該溶媒によって置き換えられる。 好ましくは、オートインジェクターは、使い捨てオートインジェクターであり、ただ1回使用される。本発明の関係で使用できる適切なオートインジェクターはイプソムド(Ypsomed)によって製造されたオートインジェクターを含み、これらには一用量装置、例えば“LyoTwist”、“YpsoMate”、“YpsoJect”及び“VarioJect”の商標で販売されている製品が含まれる。 本発明の関係で使用できる他の適切なオートインジェクターはSHLによって製造されたオートインジェクターを含み、これらには“MollyTM”、“DAITM”、“DAITM-RNS”、“DAITM-R”、“SDI MIX+NITTM”、“VSDITM”、“PSDITM”、“NaisaTM”及び“DCOTM(OEM)”の商標で販売されている製品が含まれる。 さらに好ましいタイプのオートインジェクターは、ベクトンディキンソン(Becton Dickinson)が製造するフィジオジェクト(商標)ディスポーザブルオートインジェクター(PhysiojectTM Disposable AutoInjector)である。この通常タイプのオートインジェクターは、皮下針を有する1mLの予め充填された注射筒を保持し、組立てが容易で(2つの組立て成分)、丈夫で、目視チェック用の大きな窓を有し、不当に手を加えられないようになっている。 別の特に好ましいオートインジェクターのタイプは、ベクトンディキンソン製のBDTMリキッドドライインジェクターである。湿潤/乾燥タイプのこのオートインジェクターは、本発明の凍結乾燥医薬処方物を患者が再構成し注射することを可能にし、バイアル及び注射筒を操作する必要がない。 さらにまた適切な他のオートインジェクターは、ベスパックインジェクタブルズ(BespakInjectables)によって提供されるASITMautoインジェクター及びOTSTMディスポーザブルオートインジェクター、アケオヒューチャーインジェクションテクノロジーズ(Aqueo Future Injection technologies)によって提供されるセーフクリック(SafeClick)TMオートインジェクター、並びにヒューチャーインジェクションテクノロジーによって提供されるセーフクリックTM-ライオ(SafeClickTM-Lyo)及びセーフクリックTM-ビスコ(SafeClickTM-Visco)である。前記リストはしかしながら非限定的である。 本発明の別の好ましい実施態様では、予め組み立てられた注射装置は予め充填された注射筒又はシレットである。シレットは針から液体を注入する装置である。シレットは、堅いチューブ及びピストンの代わりに閉じられた可撓性チューブを有するという点を除いて注射筒と類似する。“予め充填された注射筒”という用語は説明を要しない。予め充填された注射筒はオートインジェクターと多くの利点を共有する。オートインジェクターと同様に、予め充填された注射筒は、通常の注射筒及び湿潤/乾燥注射筒(二重チャンバー注射筒とも称される)として利用可能である。予め充填された注射筒は、例えばベーリンガーインゲルハイム(BoehringerIngelheim)、ベッターファーマインターナショナル(Vetter Pharma International)、ベクトンディキンソン及び他の業者によって提供される。本発明の具体的な実施態様にしたがえば、抗TNFアルファ抗体(例えばアダリブマブ、又は前記と生物的類似性若しくは互換性を有する化合物)は、オートインジェクター(例えばBDフィジオジェクト(商標)ディスポーザブルオートインジェクター)によりSC投与に適切な処方物を用いて適用される。そのような処方物の例は、本発明の上記の特徴に一致する処方物、すなわちアセテート/酢酸、アルギニン及びトレハロースを好ましくは以前に説明した濃度で含む処方物である。したがって、本発明はまた、そのような装置によって投与されるように調製された抗TNFアルファ抗体を含む、そのようなオートインジェクター装置を含む。 本発明の別の特徴にしたがえば、複数の部分のキットが提供され、前記キットは、上記に記載の医薬処方物を含む少なくとも1つの容器及び注射装置を含む。複数の部分又は本発明に記載の予め組み立てられた注射装置のキットは、好ましくは皮下投与に適するように調整される。そのような事例では、該注射針は、好ましくは10mm以上から100mm以下の長さ及び0.2mmから1mmのゲージ(ゲージ33から19)を有する。 本発明のさらに別の特徴にしたがえば、本発明の処方物、本発明の予め組み立てられた注射装置、又は本発明の複数の部分のキットの皮下投与のための使用が提供される。 本発明のさらに別の特徴にしたがえば、自己免疫疾患及び/又は悪性疾患から成る群から選択される少なくとも1つの疾患の治療のために、本発明の処方物、本発明の予め組み立てられた注射装置、又は本発明の複数の部分のキットの使用が提供される。前記定義によってカバーされる自己免疫疾患の非限定的な例は、慢性関節リウマチ、強直性脊椎炎、炎症性腸疾患、乾癬、汗腺膿瘍及び難治性喘息を含む。悪性疾患の非限定的な例は、NHL、乳癌、CLL、転移性結腸直腸癌、非扁平上皮細胞性非小細胞性肺癌、グリオブラストーマ、及び転移性腎細胞癌を含む。さらに好ましい実施態様では、該キットは、該処方物の対象動物への皮下投与又は筋肉内投与のための指示を含む。 上記を鑑みれば当然、本発明はまた、本発明の組成物(すなわちF3、F4又はF8緩衝剤)の少なくとも1つを用いて治療薬モノクローナル抗体の凝集及び/又は断片化を軽減する方法に関する。F1処方物であるTNFアルファ抗体処方物と比較して、本発明の組成物及び/又は処方物及び/又は緩衝液の1つで、凝集に感受性を有する治療的に活性な抗体及び/又はそのフラグメントを処方することによって凝集量の減少がもたらされることは当業者には理解されるであろう。したがって、ある特徴では、本発明は治療薬モノクローナル抗体の凝集を軽減する方法に関し、前記方法は、アルギニン-アセテート緩衝液(pH6.3から6.6)、スクシネート緩衝液(pH6.1から6.4)及びヒスチジン緩衝液(pH6.1から6.4)から成る群から選択され、好ましくはさらにトレハロース又はマンニトールを含む緩衝液中で抗体を処方する工程、及び該抗体の処方の前後で一切の抗体凝集を判定する工程を含む。“凝集に感受性を有する”抗体は、特に凍結及び/又は攪拌に際して他の抗体分子と凝集物を形成することが見出されてある抗体である。“断片化に感受性を有する”抗体は、2つ以上の断片に、例えば抗体のヒンジ領域で切断されることが見出されてある抗体である。 “凝集又は断片化を軽減する”とは、異なるpHで又は異なる緩衝液中で処方されたモノクローナル抗体と比較して、凝集又は断片化を防止するか又は前記の量を減少させることを意味する。 本発明のこれらの特徴及び他の特徴は以下に記載する実施態様から明白となり、かつそれらを参照して明らかにされるであろう。 本発明にしたがって用いられるべき材料、方法、使用及び化合物のいずれかに関する更なる文献は、公開ライブラリー及びデータベースから例えば電子装置を用いて入手できる。例えば公開データベース“Medline”を利用でき、前記は、国立衛生研究所の国立生物工学情報センター及び/又は国立医学図書館によって主宰されている。さらに別のデータベース及びウェブアドレス(例えば欧州バイオインフォマティクス研究所(EBI)のもの、前記研究所は欧州分子生物学研究所の部分である)も当業者に公知であり、インターネット検索エンジンを用いても入手できる。バイオテクノロジーにおける特許情報の概括並びに遡及検索及び現時点における理解に有用な関連特許情報源の検索は、Berks(TIBTECH 12 (1994), 352-364)で提供される。 上述の開示は本発明を全般的に記載している。特段の記載がなければ、本明細書で用いられる用語には、オックスフォード生化学分子生物学辞典(Oxford Dictionary of Biochemistry and Molecular Biology;Oxford University Press, 1997(2000年改訂及び2003年再版、ISBN 0 19 850673 2))で提供される定義が与えられる。本明細書の本文中にいくつかの文書類が引用されている。全ての引用参考文書類(本出願中に引用された参考文献、交付済み特許、公開特許公報及び製造業者の仕様書、指示書などを含む)の内容は参照により本明細書に含まれるが、ただしいずれの引用文書類も本発明に関する先行技術とは容認されない。 本発明は、図面及び上述の記載で詳細に例示及び説明してきたが、そのような例示及び説明は例示的かつ説明的であり限定的なものとは考えられず、本発明は開示の実施態様に限定されない。 図面の実験、開示及び特許請求の範囲から、当業者は、特許請求された本発明の実施に際して、開示された実施態様に対する他の変型を理解しさらに実施することができる。特許請求の範囲では、“comprising”という語は他の成分又は工程を排除せず、さらに不定冠詞“a”又は“an”は複数を排除しない。ある種の測定量が相互に別個の従属請求項で列挙されてあるという単なる事実は、これら測定量の組合せが有利に用いられ得るということを意味しない。請求項におけるいずれの引用符号も範囲の限定と解されるべきではない。 実施例 特段の規定がなければ、ここで用いられる全ての技術用語及び学術用語は、当技術(例えば細胞培養、分子遺伝学、核酸化学、ハイブリダイゼーション技術、タンパク質化学及び生化学)で通常の技量を有する者が一般的に理解するものと同じ意味を有する。標準的な技術が、分子的、遺伝学的及び生化学的方法(例えば一般的には以下を参照されたい:Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd ed. (1989) Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. and Ausubel et al., Short Protocols in Molecular Biology (1999) 4th Ed, John Wiley & Sons, Inc. 及び以下の表題の完全版(Current Protocols in Molecular Biology))並びに化学的方法で用いられる。 材料: 25mMのリン酸緩衝液、212mMのNaCl(pH5.7)中の8.2mg/mLのNBT01(=BI695501)製品プール(バルク)#104601を用いた。24週間の試験分析のための実験は2−8℃、25℃及び40℃で実施した。ここに提供する結果は、t=0、12及び24週間の別個の時点における結果である。 分析評価: −外観、pH、浸透圧、濁度 −タンパク質濃度(UV) −粒子サイズ:PCS(光量子相関分光学) −タンパク質完全性:HP-SEC(高速サイズ排除クロマトグラフィー) −結合活性:結合アッセイ(Biacore)、タンパク質A及びC16結合TNFα結合活性アッセイ(Biacore;F1、F3、F8) 注射筒サイズ及び充填:1mLのガラス注射筒に0.84mL 処方物F1と比較した処方物F8の評価は安定性に関して優れた特徴を示す 本発明の処方物(以下では“F8”)を市場で入手可能な抗TNFアルファ(IgG、ヒト化)の処方物(以下では“F1”)と比較する処方物試験を実施した。表2:処方物試験に付された処方物 データサンプリング 処方物を種々の貯蔵条件下で貯蔵し、分析のためにサンプルを種々の時点で採取した。以下の表は安定性試験のサンプリングを示す。表3:データサンプリングプロトコール 時間経過における濃度変化 適切な緩衝処方物で該薬剤製品をデュープリケートで1:100に稀釈することによって処方物の濃度を決定した。サンプルをUV/VIS分光光度計で280nm及び320nmで該緩衝処方物に対して測定した(基準線修正)。両サンプルの平均を用いて前記測定値から濃度を算出した。結果は表4に示される。表4 表4に示すように、与えられた貯蔵条件下で(40℃で0−12週間)、処方物F8は処方物F1よりも時間の経過でより小さな濃度変化を示す。 時間経過における浸透圧の変化 浸透圧を凍結点浸透圧計で決定した。各処方物の浸透圧は、デュープリケートで測定して該測定値の平均を得ることによって算出された。結果は表5に示される。表5 表5に示すように、与えられた貯蔵条件下で(40℃で0−12週間の貯蔵)、処方物F8は、処方物F1に少なくとも匹敵し得る時間の経過における浸透圧安定性を示す。 濁度試験 処方物サンプルの濁度をデュープリケートで濁度分光光度計により633nmで決定した。2つのサンプルの平均は濁度末端値と等しかった。結果は表6に示される。表6 表6の結果は、与えられた貯蔵条件下で(40℃で0−12週間貯蔵)、処方物F8は処方物F1よりも低い濁度を示すことを表している。 バイアコア試験 種々の貯蔵条件の後で、タンパク質A結合活性、CD16V結合活性及びTNFα結合活性を測定した。結果は表7に示される。表7:バイアコア試験の結果 表7から分かるように、処方物F8は結合特性が変化せず、したがって、(例えば濃度、浸透圧及び粘稠度のようなパラメーターに関して)SC投与に適するように調整することによって、さらに緩衝剤成分としてシトレート(顕著な針による痛みを与えると考えられる)の使用を避けることによって、安定性及び保存寿命の向上並びに患者のコンプライアンスの改善を提供する代替処方物として適切である。 安定性に関する処方物F1と比較したF3、F4及びF8の評価 本発明の処方物(以下では“F3”、“F4”、“F8”)を市場で入手できる抗TNFアルファ抗体(ヒト化IgG)(以下では“F1”)と比較する処方物試験を実施した。前記抗体を、10kDaの分子量カットオフを有するスライド-A-ライザー(Slide-A-Lyzer)カセット(Thermo Scientific)を用いて透析することによって列記した緩衝液に移した。表8:処方物の組成 処方物のサンプリング 安定性試験のために、処方物を種々の温度で注射筒に貯蔵し、表9にしたがって種々の時点で分析のためにサンプルを取り出した。表9:安定性試験のためのサンプリングプロトコール 時間経過におけるタンパク質濃度のモニタリング 前記タンパク質製品をデュープリケートで適切な緩衝液処方物中に100倍稀釈することによってタンパク質濃度を決定した。タンパク質濃度はUV/VIS分光光度計(Lambda35, Co. Perkin Elmer)を用い280nmの波長で測定した。タンパク質濃度はデュープリケートの平均として算出した。表10は、40℃の温度で貯蔵したサンプルから取り出した処方物F1、F3、F4及びF8のタンパク質濃度を示す。表10:40℃の温度におけるタンパク質濃度のタイムコース 与えられた実験条件下(40℃の温度で0−24週間の貯蔵)で、処方物F1、F3、F4及びF8は対応する時点で類似するタンパク質濃度を示す。 時間経過における浸透圧のモニタリング 処方物F1、F3、F4及びF8の浸透圧を凍結点浸透圧計(Osmomat 030, Co. Gonotec)を用いてデュープリケートで決定した。各処方物の浸透圧は、各々50μLのサンプル体積で未希釈処方物を測定することによって、デュープリケートの平均値として算出した。凍結点温度は、-7℃の最終温度にサンプルを冷蔵することによって決定した。表11は、40℃の温度で貯蔵したサンプルから取り出した処方物F1、F3、F4及びF8の浸透圧を示す。表11:40℃の温度におけるタンパク質濃度のタイムコース 与えられた実験条件下(40℃の温度で0−24週間の貯蔵)で、処方物F1、F3、F4及びF8の浸透圧は等しく安定である。 時間経過における濁度のモニタリング 処方物F1、F3、F4及びF8の濁度を、デュープリケートの120μL体積の未希釈サンプル(タンパク質濃度150mg/mL)から、濁度分光光度計(Co. Boehringer-IngelheimPharma GmbH & Co. KG(Co. Microparts の協力を得た))を用い633nmの波長で光散乱によって決定した。各処方物の濁度はデュープリケートの平均として算出した。表12は、40℃の温度で貯蔵したサンプルから取り出した処方物F1、F3、F4及びF8の濁度を示す。表12:40℃の温度における濁度のタイムコース 与えられた実験条件下(40℃の温度で0−24週間の貯蔵)で、処方物F3並びに特にF4及びF8の濁度は、始原処方物F1と比較して低かった。 時間経過におけるタンパク質活性のモニタリング サンプルを0.6mg/mL(タンパク質濃度150mg/mL)の濃度にアッセイ緩衝液(0.01 M HEPES、0.15M NaCl、3mM EDTA及び0.005%PS-20)で稀釈することによって、種々の条件下でタンパク質機能をモニターした。3つの異なるタイプの結合をモニターした。タンパク質Aは、当該タンパク質が正確に折り畳まれ機能的であるか否かを決定するために測定し、CD16及びTNFα結合は機能活性について測定した。この試験はバイアコアインスツルメント(GE Healthcare)を用いて実施した。標準サンプルと比較したパーセント応答が表13に提供される。表13は、40℃、25℃又は2−8℃の温度で貯蔵したサンプルから抜き取った処方物F1、F3、F4及びF8の結合活性を示す。表13:タンパク質活性のタイムコース 2−8℃の温度では、処方物F1、F3、F4及びF8の結合特性は24週間の過程にわたって変化しない。25℃又は40℃の温度では、処方物F1、F3、F4及びF8の結合特性は、24週間の過程にわたってF1と比較したとき、類似するか又はより高く(表13の太字の数字)、F1処方物に類似する又はより良好な機能を示している。 時間経過における粒子サイズのモニタリング 処方物F1、F3、F4及びF8における平均粒子サイズ(Z-平均値)を、ZetasizerNanoZS ZEN3600(Malvern Instruments)を用いて動的光散乱によって決定した。シングルユースキュベット中の2つの未希釈サンプル(体積75μL)ATに20℃の温度でヘリウム-ネオンレーザーを633nmの波長で照射した(表14)。表14:40℃の温度における粒子サイズのタイムコース 40℃で貯蔵したとき、全ての処方物の平均粒子サイズが24週間の過程にわたって変化しない。処方物F1及びF3の平均粒子サイズは、処方物F4及びF8と比較して大きい。 要約すれば、全記載処方物が、s.c.投与に適するように処方物が調整されるならば、安定性、保存寿命の向上、患者のコンプライアンスの改善に関して始原処方物の代替物として適切と考えることができる。始原処方物F1と比較して、該代替処方物の追加される利点は緩衝成分としてのシトレートの回避であり、前記は注射部位における局所痛を回避することができる。 F1比較F3、F4及びF8処方物の皮下注射後の痛みの感知 Laursenら(Laursen et al 2006, Basic & Clinical Pharmacology & Toxicology, 98, 218-221)の実験では、エリスロポエチンを医薬活性物質として含むシトレート緩衝液は、ヒスチジン緩衝液よりも強い痛みをより多くの参加者(38/54)で注射直後に引き起こすことが見出された(PΩ0.002)。ヒスチジン緩衝液は食塩水(PΩ0.996)より強い痛みを生じなかった。したがって、類似の態様でヒスチジン緩衝TNFアルファ抗体が注射に際してより小さな痛みをもたらすであろうと期待するのは賢明である。ヒスチジン、アルギニン-アセテート及び/又はスクシネート緩衝組成物(例えば実施例1及び2のF3、F4及びF8)並びに市場で入手できる溶液(例えばTNFアルファ投与用F1)の皮下注射による痛みの感知を評価するために、健常な志願者(平均年齢(∫S.E.M.):35.5∫1.1歳)を二重盲検任意抽出試験のために募集した。 実験の設計 本試験は二重盲検任意抽出設計で実施できる。痛みの感知は、3つの異なる組成物(表8に示されている)の大腿部皮下注射後に評価できる。注射体積は全事例で0.3mLであり、30Gの8mm針を用い、さらに全ての注射を持ち上げた皮膚のしわに45度の角度で実施することができる。注射は、1ペアずつ(最初に右大腿に1つ直後に左大腿に1つ)、注射(4注射)について全て2ペアで提供される。好ましくは、2ペアの注射の間に5分の間隔が置かれるであろう。注射ペアはランダムな順番で提供できる。任意抽出及び盲検は該病院の調剤室によって実施できる。全ての参加者は、少なくとも1つの、A及びDを含む注射ペア、さらに、A及びE、及び場合によってA及びB及び/又はA及びCを含む1つの注射ペアを投与され得る。同じことが緩衝液B及びCについて適用され、すなわちB及びD、B及びE;C及びD、並びにC及びE場合によってA及びEが投与される。各対象者の全ての注射を1日で、かつ同じ熟練看護婦によって実施でき、例えば注射速度が一定に保たれることが担保される。各注射ペアの後で、参加者は、当該ペア注射の一方の後ではるかに強い若しくはより強い痛みを受けたか又は当該ペアの2つの注射間で差異は存在しなかったか否かを、5ポイントの言語等級スケール(VRS)(図の凡例を参照されたい)を用いて判定した。VRSは痛みの感知に関する多くの試験で用いられている(Frenken et al. 1993; Jorgensen 1994; Grond et al.1995)。痛みの判定は各ペアの注射の直後にかつ注射後2分で実施できる。 本文脈では、Aは処方物F3で、Bは処方物4で、Cは処方物F8で、Dは処方物1で、Eは食塩水処方物であり得る。 統計 5%の有意差レベルを有する片側二項検定を用いて、一方の緩衝液が他方よりも強い痛みを生じたか否かを評価できる。緩衝液間に相違はなく、分布はおよそ“スコア3”の対称性であると想定される。本統計結果をゼロ仮説にしたがって述べる:i)溶液BはAよりも強い痛みをもたらさず、さらにii)溶液AはCよりも強い痛みを生じない。もっとも穏健な試験として、該片側試験は、より強い又ははるかにより強い痛みの確率が_50%である代替物に対して実施できる。 治療的に活性な抗体又は前記の抗体フラグメントの投与のために設計された、本質的にシトレート及び/又はホスフェートを含まない水性緩衝溶液であって、該抗体が自己免疫又は悪性疾患の治療のために用いられ、該緩衝液が5mg/mLを超える抗体を含み、かつ少なくとも5.5、好ましくは6.25+/-0.5のpH値を有する、前記水性緩衝溶液。 少なくともi)ヒスチジン及びマンニトールを医薬的に許容できる量で;又はii)スクシネート及びトレハロースを医薬的に許容できる量で;又はiii)アセテート及び/又は酸性酸、アルギニン及びトレハロースを医薬的に許容できる量で、かつ医薬的に許容できるpHで含む、請求項1に記載の緩衝液。 i)5から200mg/mL、好ましくは10から150mg/mLの濃度の治療用抗体又は前記の抗体フラグメント;10から200mmolL-1、好ましくは10から50mmolL-1の濃度のヒスチジン;50から1000mmolL-1、好ましくは100から400mmolL-1の濃度のマンニトール;及び場合によって界面活性剤を、5.5から8、6から7、好ましくは6.1から6.7の範囲のpH値で含むか、又はii)5から200mg/mL、好ましくは10から150mg/mLの濃度の治療用抗体又は前記の抗体フラグメント;10から200mmolL-1、好ましくは10から50mmolL-1の濃度のスクシネート;50から1000mmolL-1、好ましくは100から400mmolL-1の濃度のトレハロース;及び場合によって界面活性剤を、5.5から8、6から7、好ましくは6.1から6.7の範囲のpH値で含むか、又はiii)5から200mg/mL、好ましくは10から150mg/mLの濃度の治療用抗体又は前記の抗体フラグメント;10から200mMolL-1、好ましくは10から50mMolL-1の濃度のアセテート及び/又は酸性酸;5から100mMolL-1、及び好ましくは5から40mMolL-1の濃度のアルギニン;50から1000mMolL-1、及び好ましくは100から400mMolL-1の濃度のトレハロース;及び場合によって界面活性剤を、5.5から8、好ましくは6から7の範囲のpH値で含む、医薬組成物。 治療用抗体が抗TNFアルファ抗体であり、組成物がi)50mg/mLの濃度の抗TNFアルファ抗体、25mmolL-1の濃度のヒスチジン、及び240mmolL-1の濃度のマンニトールを含む組成物;又は ii)50mg/mLの濃度の抗TNFアルファ抗体、25mmolL-1の濃度のスクシネート、及び215mmolL-1の濃度のトレハロースを含む組成物;又は iii)50mg/mLの濃度の抗TNFアルファ抗体、15mMolL-1の濃度のアセテート及び/又は酸性酸、10mMolL-1の濃度のアルギニン、及び240mMolL-1の濃度のトレハロースを含む組成物、であり、i)及びii)の組成物が6.25+/-0.5のpH値を有し、iii)の組成物が6.5+/-0.5のpH値を有する、請求項2に記載の医薬組成物。 さらに、ポリソルベート20及びポリソルベート80から成る群から場合によって選択される界面活性剤を、場合によって0.001%−10.0%m/v、及び好ましくは0.1%m/v(=0.76mMol-1)の濃度で含む、請求項3に記載の医薬組成物。 5.5から8、好ましくは6から7、もっとも好ましくは約6.5又は6.25のpH値を有する、請求項3又は4に記載の医薬組成物。 治療用抗体又は抗TNFアルファ抗体が、アダリムマブ、インフリキシマブ、セルトリズマブペゴール、ゴリムマブ、及びアダリムマブ、インフリキシマブ、セルトリズマブペゴール又はゴリムマブと生物的類似性を有するか若しくは相互交換が可能な抗体から成る群から選択される、請求項2から5のいずれか1項に記載の医薬組成物。 皮下投与に適するように調整される、請求項2から6のいずれか1項に記載の医薬組成物。 40℃+/-3℃で少なくとも3カ月、好ましくは少なくとも6カ月安定である、請求項2から7のいずれか1項に記載の医薬組成物。 緩衝剤としてシトレート及びホスフェート並びに張度調節剤としてマンニトールを含む処方物と比較して、 i)保存寿命の延長、 ii)より良好な温度安定性、及び/又は iii)凝集物の形成の減少、から成る群から選択される少なくとも1つの特徴を有する、請求項2から8のいずれか1項に記載の医薬組成物。 参照組成物と比較して以下から成る群から選択される少なくとも1つの特徴を有する、請求項9に記載の医薬組成物:(a)高圧サイズ排除クロマトグラフィー(HP-SEC)によって測定される凝集物の量の減少;(b)HP-SECによって測定される、約40℃での貯蔵後におけるより大量のモノマー;(c)HP-SECによって測定される顕著により少ない断片;(d)40℃の貯蔵で24週時にZ-平均(nm)におけるより小さい流体力学直径及び/又は多分散性インデックス(PDI)におけるより小さい増加;(e)約40℃での貯蔵後にバイアコアによって測定される結合活性の増加;及び/又は(f)参照組成物と比較して、ホルマジンネフェロメトリー単位(FNU)におけるより低い濁度値。 組成物i)及び/又はiii)が、12+/-1より低いZ-平均(nm)及び0.6+/-0.2より低いPDIを示すか、及び/又は前記処方物が、約5℃で少なくとも6カ月貯蔵したとき目視精査による決定で実質的に微粒子を含まない、請求項2から8のいずれか1項に記載の医薬組成物。 組成物i)及び/又はii)がホルマジンネフェロメトリー単位(FNU)で10より低い濁度値を示すか、及び/又は組成物ii)が20FNUより低い濁度を示す、請求項2から8のいずれか1項に記載の医薬組成物。 抗体又はそのフラグメントが、参照抗体調製物と比較して、形質転換増殖因子アルファ及び/又はCD16ポリペプチドとの結合能力の少なくとも90%を保持する、請求項2から8のいずれか1項に記載の医薬組成物。 HP SECによる決定で、前記抗体又はそのフラグメントの5%+/-0.5%未満が、約40℃で少なくとも6カ月貯蔵したとき凝集物を形成する、請求項2から8のいずれか1項に記載の医薬組成物。 HP SECによる決定で、前記抗体又はそのフラグメントの3%+/-0.5%未満が、約40℃で少なくとも6カ月貯蔵したとき断片化される、請求項2から8のいずれか1項に記載の医薬組成物。 HP SECによる決定で、前記抗体又はそのフラグメントの91.7%+/-0.5%未満が、約40℃で少なくとも6カ月貯蔵したときモノマーである、請求項2から8のいずれか1項に記載の医薬組成物。 皮下投与のために及び/又は自己免疫疾患及び悪性疾患から成る群から選択される疾患の治療での使用のために設計された、請求項2から16に記載の医薬組成物。 好ましくは、本質的にシトレートホスフェート緩衝剤、マンニトール、NaCl、ポリソルベート80から成るpH5.2の処方物の注射と比較したとき、該組成物の注射が、対象動物に投与するために設計された注射に付随する痛みを軽減する、請求項2から17のいずれか1項に記載の医薬組成物。 請求項1に記載の水性緩衝溶液又は請求項2から18のいずれか1項に記載の医薬組成物を含む、予め組み立てられた注射装置。 オートインジェクター又は予め充填された注射筒である、請求項19に記載の予め組み立てられた注射装置。 組成物が皮下投与又は筋肉内投与に適切である、請求項19又は20に記載の予め組み立てられた注射装置。 請求項2から18のいずれか1項に記載の医薬組成物を含む少なくとも1つの容器及び注射装置を含む、キット。 請求項1から19のいずれか1項に記載の処方物を収納する1つ以上のバイアル、及び該処方物の対象動物への皮下又は筋肉内投与のための指示書を含む、請求項22に記載のキット。 治療薬モノクローナル抗体の凝集及び/又は断片化を軽減する方法であって、アルギニン-アセテート緩衝液(pH6.3から6.6)、スクシネート緩衝液(pH6.1から6.4)及びヒスチジン緩衝液(pH6.1から6.4)から成る群から選択され、好ましくはさらにトレハロース又はマンニトールを含む緩衝液中で抗体を処方する工程、及び該抗体の処方の前後で一切の抗体凝集を判定する工程を含む、前記方法。 本発明は、治療用抗体(好ましくはIgG)のための医薬処方物に関し、前記処方物は、少なくともアセテート/酸性酸、アルギニン及びトレハロースを含む。さらにまた、本発明は、治療用抗体(好ましくはIgG)のための医薬処方物に関し、前記処方物は、少なくともヒスチジン、マンニトール及び/又はスクシネート及びトレハロースを含む。


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