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タイトル:公表特許公報(A)_ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS)の水性分散液
出願番号:2015509338
年次:2015
IPC分類:A61K 47/38,A61K 9/48,A61K 47/30,A61K 47/14,A61K 47/42,A61K 47/34,A61K 47/36,A61K 47/26,A61K 47/02,A61K 47/04,A61K 47/46,A61K 47/32,A61K 47/10,A61K 47/20


特許情報キャッシュ

ドミニク・ニコラ・カド ユーグ・ストローブ JP 2015518005 公表特許公報(A) 20150625 2015509338 20130314 ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS)の水性分散液 キャプシュゲル・ベルジウム・エヌ・ヴィ 512054458 結田 純次 100127926 竹林 則幸 100140132 ドミニク・ニコラ・カド ユーグ・ストローブ US 61/641,505 20120502 US 61/641,485 20120502 A61K 47/38 20060101AFI20150529BHJP A61K 9/48 20060101ALI20150529BHJP A61K 47/30 20060101ALI20150529BHJP A61K 47/14 20060101ALI20150529BHJP A61K 47/42 20060101ALI20150529BHJP A61K 47/34 20060101ALI20150529BHJP A61K 47/36 20060101ALI20150529BHJP A61K 47/26 20060101ALI20150529BHJP A61K 47/02 20060101ALI20150529BHJP A61K 47/04 20060101ALI20150529BHJP A61K 47/46 20060101ALI20150529BHJP A61K 47/32 20060101ALI20150529BHJP A61K 47/10 20060101ALI20150529BHJP A61K 47/20 20060101ALI20150529BHJP JPA61K47/38A61K9/48A61K47/30A61K47/14A61K47/42A61K47/34A61K47/36A61K47/26A61K47/02A61K47/04A61K47/46A61K47/32A61K47/10A61K47/20 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC EP2013055298 20130314 WO2013164121 20131107 30 20141212 4C076 4C076AA54 4C076AA58 4C076DD09F 4C076DD30 4C076DD31 4C076DD38L 4C076DD46F 4C076DD46L 4C076DD47L 4C076DD57L 4C076EE07L 4C076EE23L 4C076EE30L 4C076EE31L 4C076EE33J 4C076EE33P 4C076EE37P 4C076EE42P 4C076FF25 4C076GG16 4C076GG17(関連特許出願) 本出願は、2012年5月2日に出願した米国特許仮出願61/641505、及び2012年5月2日出願した米国特許仮出願61/641485に優先権を主張する。 本開示は、バルク腸溶性を付与されたカプセルシェルの製造に使用する水性組成物に関する。本開示は、また、部分的に、該製造プロセスの実施に適切な水性分散液中で部分的に中和されたHPMCAS、並びに、それを用いて得られた腸溶性カプセルシェル及びハードカプセルに関する。 カプセルは、通常は、一つ又はそれ以上の特定物質で充填されたシェルから成る公知の剤形である。シェルそれ自身は、ソフト又はハードの安定なシェルであり得る。ハードカプセルシェルは、一般的に、浸漬成形プロセスを用いて製造され、それは二つの代替手順に区別することができる。第一の手順において、カプセルは、場合により一つ又はそれ以上のゲル化剤(例えば、カラギーナン)及び共ゲル化剤(例えば、無機のカチオン)を含有するポリマー溶液内に、ステンレス鋼製の金型ピン(mould pin)を浸漬することにより作られる。その後、金型ピンを取り外し、反転し、そして乾燥して、表面にフィルムを形成させる。次いで、乾燥したカプセルフィルムを、型から取り外し、所望の長さに切断し、そして次いで、キャップと本体を組み立て、印刷し、包装する。例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3を参照されたい。 第二の手順においては、ゲル化剤又は共ゲル化剤は全く使用せず、そして成形ピン上でのフィルム形成ポリマー溶液のゲル化は、予熱された成形ピンをポリマー溶液に浸漬することにより、熱的に引き起こされる。この第二のプロセスは、一般的に、熱ゲル化、又は熱ゲル化浸漬成形と呼ばれる。例えば、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8及び特許文献9を参照されたい。前述のプロセスでは、両方とも、カプセルシェル壁を構成する異なった成分の溶液を利用する。 ソフトカプセルシェルの製造法は、当該分野で公知である。例えば、非特許文献1を参照されたい。 カプセルが形成されると、直ちに、異なった技術が、ハード又はソフトカプセルシェルに腸溶性(enteric)を付与するために用いられる。一つのそのような技術は、事前に製造されたカプセルの表面を、腸溶性を付与することが公知の物質又は組成物の一つ又はそれ以上の層で処理すること(例えば、既に製造されたカプセルにスプレーすること、又はフィルムコーティングすること)を含む。しかしながら、この技術は、時間がかかり、複雑であり、そして高価な多工程プロセスから成る。更に、このプロセスで作られたハードカプセルシェルは、一般的に、表面を処理する前に、プレフィルドし、シールし、又はバンド掛けしなければならない。結果として、事前にロックされた状態でハードカプセルシェルを作るか、又は商品化するために、この方法を使用することは可能ではない。それ故、適切な充填パラメータの決定は、最終使用者に託される。 この様な欠点を克服しようとして、ハード又はソフトカプセルシェルに対して腸溶性を付与するために使用される別の技術は、ハードシェル製造プロセスの脈絡内の腸溶性ポリマー(酸不溶性ポリマー)の直接使用を含む。このように、この技術において、腸溶性の付与は、既に予め形成されたカプセルを処理することとは対照的に、製造プロセス中に起こる。しかしながら、腸溶性ポリマーを大量に使用するとき、それは、そうでなければ、ハードカプセルシェル製造の商業化のためには理論的に必要ではあるが、腸溶性ポリマーは、水にほとんど溶解せず、又は全く溶解しない。このように、商業規模でのプロセスの使用は、従来の浸漬成形技術下で、このプロセスを使用できる効率性に関して重大な問題を引き起こす。また、コーティングのこの方法は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HMPC)カプセルのための小スケールではうまく機能するが、ゼラチンカプセルの場合には、滑らかなゼラチン表面へのコーティングの接着不良は、カプセルに脆性をもたらすかもしれない。例えば、非特許文献2、非特許文献3及び非特許文献4を参照されたい。 上記で議論した欠点を克服するための試みは: (i)大量の従来のフィルム形成ポリマーと組み合わせて、水溶性が低い量の酸不溶性ポリマーを使用すること; (ii)水溶性誘導体を得るために、水不溶性ポリマーの全ての酸基を塩化(salifying)すること; (iii)水ベースの溶液の代わりに溶媒ベースの浸漬溶液を用いること;及び (iv)射出成形など、ポリマーの可溶化を必要としない代替技術を用いること;に及ぶ。例えば、特許文献10、特許文献11、特許文献12、特許文献13、特許文献14、特許文献15、特許文献、特許文献17及び非特許文献5、非特許文献6を参照されたい。US5264223US5756123US5756123EP0401832US3493407US4001211GB1310697US3617588WO2008/050209WO2004/030658WO2008/119943EP1447082US4138013US2718667JP347246WO2011/155686JP2006016372Aulton, M., Aulton's Pharmaceutics: The Design & Manufacture of Medicines, 527-533 (Kevin M G Taylor ed. 3rd ed. 2001)Huyghebaert et al., Eur J Pharm Sci 2004, 21, 617-623Felton et al., Pharm Sci 2002, 4, Abstract T3320Thoma et al., Capsugel Technical Bulletin 1986, 1-16Han et al., Journal of Pharmaceutical Sciences, Vol. 98, No. 8, August 2009Kirilmaz L., S.T.P. Pharma Sciences, November 10, 1993, 3/5 (374-378) この進歩にも関わらず、上記に記述の技術の多くは、依然として、腸溶性(酸不溶性ポリマー)及び従来の非腸溶性ポリマーの組み合わせ必要とし;生成するカプセルシェルの水感受性又は脆性に導く塩又はpH調節剤を必要とし;多くの処理工程、及び/又は、非水性媒体中で処理される必要がある。このように、最適な化学的、及び機械的性質を維持しつつ、(i)従来のフィルム形成ポリマー及び/又は非水性媒体が必要でなく、又は(ii)追加の処理工程、例えば、腸溶性ポリマーのコーティング、後処理又は二重浸漬も必要でない、腸溶性を示す工業的に実行可能なハードカプセルシェルを生成するための、迅速で、安全で、経済的な方法を開発する必要性が存在する。 従って、本開示の一つの態様は、カプセルシェルの製造における使用のための適切な固形分、室温での粘度、硬化性及びレオロジー挙動を示す、部分的に中和されたヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS)ポリマーを含む水性ベースの組成物を提供する。本開示で使用されるように、「室温」は、15℃〜25℃そして好ましくは20℃〜25℃の範囲の温度を言う。 別の態様において、本開示は、前述した水ベースの組成物から得られたフィルム及びカプセルシェルに関し、ここで、フィルム及び/又はカプセルシェルは、バルク腸溶性を表示し(display)、そして、最適な化学的及び機械的性質、例えば、崩壊プロフィール、溶解プロフィール、フィルム厚さ、引張り強度値を示す。別の態様において、本開示のプロセスに従って作られたカプセルシェル及びカプセルは、従来のカプセルシェル及びカプセルのそれらと類似の形状を示す。 別の態様において、本開示は、非水性媒体/溶媒がない、腸溶性を表示するフィルム及びカプセルシェルを提供する。 別の態様において、本開示は、バルク腸溶性を表示するハードカプセルシェル(これ以降、同様に、「腸溶性のハードカプセルシェル」と言う)を製造するために、迅速で、経済的で、安全で、及び実現するのが容易な浸漬成形プロセスを提供する。尚、別の態様において、本開示は、ハードカプセルシェルの製造のために、迅速で、経済的で、安全で、及び実現するのが容易な「一工程」の浸漬成形プロセスを提供し、ここで、従来のフィルム形成の非腸溶性ポリマーの共存は、最早必要ではない。 別の態様において、本開示は、カプセル及びカプセルシェルの製造のためのプロセスを提供し、ここで、分散層から、水の大量の蒸発が発生し、一方、ポリマー粒子は凝集し(flocculate)(圧密し(pack together))、次いで、継続する蒸発と粒子の圧密(compaction)により、水で満たされた隙間に最密充填し、ポリマーフィルムが、圧密した(変形した)粒子で形成し始め、等方性フィルムを生成させるポリマー分子の粒子間拡散(融合(coalescence))につながる。 本開示で使用するとき、次の言葉、句及び記号は、一般的に、それらが使用される文脈は、別の意味を指示する範囲(extent)を除き、下記の意味を有すると意図される。 本開示で使用するとき、「任意の(optional)」又は「場合により(optionally)」は、次いで記述する出来事(event)又は状況が発生するかもしれないか、又は発生しないかもしれないことを意味し、そして記述は、出来事又は状況が発生する例、及びそれが発生しない例を含むことを意味する。 本明細書で使用するとき、「w/w%」は、総質量のパーセンテージとしての質量%を意味する。 用語「約(about)」は、おおよそ(approximately)、の近くで(in the region of)、大まかに(roughly)、又は大体(around)を意味することを意図する。用語「約」が、数値範囲と関連して使用されるとき、それは、記述した数値の上下に境界を広げることによって、その範囲を修正する。特に指示のない限り、以下の明細書、及び添付の特許請求範囲に記述した数値パラメータは、近似値であることを理解すべきであろう。控えめに言っても、数値パラメータは、特許請求範囲に対して同等物の原理の適用を制限する試みとしてではなく、報告された有意差のある桁数及び通常の四捨五入技法の適用の観点より読み取るべきであろう。 本明細書で使用するとき、「アルカリ性物質」は、それに制限されないが、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)、などの塩基性水酸化化合物、又は他の塩基性化合物又は組成物、例えば、水酸化アンモニウム、EUDRAGIT(登録商標)E POなどのカチオン性ポリマー;及びその混合物を含む、HPMCAS上のコハク酸基を中和できる少なくとも一つの塩基性化合物又は塩基性組成物を言う。 特に指示のない限り、「ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート」ポリマーは、また、HPMCASと言い、そして、以下の代替命名法:CASレジストリNo.71138−97−1;ヒプロメロースアセテートスクシネート;HPMC−AS;セルロース2−ヒドロキシプロピルメチルエーテル、アセテート、ブタン二酸水素エステルなどの化学的共通同意語で、ポリマー分野で一般的に知られている。製品の例としては、また、信越化学工業社製のAQOAT(登録商標)として知られているHPMCASも含む。ポリマーは、平均粒径サイズ5ミクロン(μm)に長微粒子化したグレード(LF、MF、HF)、又は平均粒子径1mmの顆粒グレード(LG、MG、HG)も利用可能である。ある実施態様において、ポリマーは、約0.1ミクロン〜約10ミクロンの範囲の平均直径を有する微細固体粒子の形体である。HPMCASのこの例は、4%以上で18%以下のスクシノイル基を含有すると定義された製品であり、それは化合物中には遊離のカルボン酸基のみ存在し、及び化合物中に5%以上で、14%以下のアセチル基が存在する。スクシノイル及びアセチルの置換度により、グレード(L、M又はH)を定義し、アセチル含量が高ければ高いほど、 スクシノイル含量が低くなる。 用語「固形分」は、本明細書に記述した水性組成物、カプセルシェル及びカプセル中に存在する少なくとも全ての非水性の成分を含む。他の固形分は、本明細書に記述の水性組成物、カプセルシェル及びカプセルの任意の成分と関連して以下に議論する。 用語「半中和」又は「部分中和」は、HPMCASポリマー中に存在するコハク酸基の一部が、(塩基などの)アルカリ性物質で中和され、そして、コハク酸基の残りの部分が、酸形態で残存していることを示す。そのような部分中和は、非化学量論比の塩基を加えることにより得られ、酸基のモル量は、塩基のモル量に対して過剰である。水性組成物中に存在するアルカリ性物質の量は、「アルカリ値」として表現してもよい。ある実施態様において、そのような部分中和は、水性組成物の総質量に基づいてKOHの同等物の約1.5質量%より少ない量のKOHで達成し得る。ある実施態様において、KOHの適切な量は、水性組成物の総質量に基づいてKOHの同等物の約0.05質量%〜約1.0質量%の範囲である。あるいは、HPMCASポリマーの中和は、例えば、水酸化アンモニウム水溶液の形態でアンモニアを、又は水酸化カリウム、水酸化カルシウム、又は水酸化ナトリウムなどの任意の他の強いミネラル塩基を、又は、カチオン性ポリマー及びコポリマー、例えば、ポリ(メタクリル酸2−ジメチルアミノエチル−co−メタクリル酸ブチル−co−メタクリル酸メチル)2:1:1(IUPCAC命名法:ポリ(メタクリル酸ブチル−co−メタクリル酸(2−ジメチルアミノエチルl)−co−メタクリル酸メチル=1:2:1)をベースとする、Evonik社から市販され、0.18gKOH/gポリマーのアルカリ値を有する、EUDRAGIT(登録商標)E POなどの任意の高分子アルカリ性物質を加えるにより得てもよい(適切な量は、8.6×0.18=1.55%のKOH当量と計算される、Eudragit E PO(Evonik社よると0.18のアルカリ値を有するカチオン性ポリマー)の8.6%であると計算される)。中性のpHは、HPMCASの2.6質量%の量のアンモニアを加えることにより得てもよい(比較例4を参照されたい、(水酸化アンモニウムとして加えられた)アンモニア(0.52g)を、HPMCAS(20g)に加える。即ち、全組成物の質量当たり0.47質量%のNH3、即ち、水性組成物の総質量に基づいてKOHの同等物の1.55質量%は、KOHの同等物の0.47/17×56=1.55%から計算され、ここで、NH3のモル質量=17g/mol、KOHのモル質量=56g/molである)。同様に、他の塩基の適切な量は、このモル比を介してKOHの同等物から計算し得る。 部分中和は、様々な方法で得てもよい。例えば、部分中和は、水性組成物中に存在する全HPMCASの約2.6質量%未満の量のアンモニアを加えることにより、又は水性組成物中に存在する全HPMCASの約2%未満の、又は約1.5%未満の量のアンモニアを加えることにより得てもよい。部分中和は、また、水性組成物の総質量の約1.55質量%未満の量の水酸化カリウム(KOH)、又は水性組成物の総質量の約1.0%未満、又は約0.8%未満の量のKOHを加えることにより得てもよい。部分中和は、更に、水性組成物の総質量の約8.6質量%未満の量のカチオン性ポリマーEUDRAGIT(登録商標)E PO、又は水性組成物の総質量の約5.5%未満、又は約4.4質量%未満の量のEUDRAGIT(登録商標)E POを加えることにより得てもよい。部分中和は、また、水性組成物の総質量に基づいて、KOH同等物の約1.55質量%未満の総量のアルカリ性物質の混合物、又は約1.0質量%未満のKOH同等物のアルカリ性物質、又は水性組成物の総質量に基づいて、約0.8質量%未満のKOH同等物のアルカリ性物質の混合物を加えることにより得てもよい。 用語「分散液」は、一つの相が、しばしば、コロイドサイズの範囲で、バルク物質を通して全体に分布した、微細粒子から成る二つの相システムを言う。粒子はバルク物質上で部分的にのみ可溶である。カプセル生成中に使用される型又はピン内への分散層の適用時に、コロイド粒子は、互いに直接接触し、そして水の蒸発並びに水とポリマー間の界面張力に起因して、最密配列(close-packed arrays)を形成する。 本明細書に記述のハードカプセルは、ヒト又は動物の対象(subjet)への経口投与を意図した、市販の、従来のハードカプセルと同一又は類似の形状を有する。本明細書に記述のハードカプセルは、以下に議論する浸漬成形プロセスなどの異なったプロセスを用いて、並びに従来の装置を用いて製造することができる。以下に詳細に記述する通り、ピンの金型は、水性ベースのフィルム形成組成物内に浸漬し、次いで、引き出される。次いで、金型ピンの表面上に形成されたフィルムを乾燥し、ピンから引き剥がし、そして所望の長さに切断でき、それにより、カプセルキャップ及び本体を得る。通常は、キャップ及び本体は、側壁、開放端及び閉鎖端を有する。前記部分のそれぞれの側壁の長さは、一般的にカプセルの直径より大きい。カプセルキャップ及び本体は、それらの側壁を部分的に重ね、そしてハードカプセルシェルを得るように、伸縮自在に接合してもよい。 本明細書で記述の通り、用語「部分的に重なる(partially overlap)」は、キャップ及び本体が伸縮自在に接合する(join)とき、前記キャップの側壁は、前記本体の全側壁を包む(encase)ように、同一又は類似の長さを有するキャップ及び本体の側壁を包含することを意図する。 特に指示のない限り、「カプセル」は、充填されたカプセルシェルを言い、一方「シェル」は、具体的には、空のカプセルを言う。本明細書に記述のハードカプセルシェルは、液体計上の物質で充填することができるので、ハードカプセルは、従来技術に従ってシールし、又はバンド掛けしてもよい。あるいは、ハードカプセルシェルは、従来技術より優れたある種の利点、例えば、空のキャップ及び本体を事前ロックし、又は異なった位置、若しくは特定の時間において充填工程を完結させる能力を提供する特定のカプセルシェルデザインを有するように製造することができる。そのようなデザインの例は、例えば、WO2009/138920及びWO2009/050646に見出し得る。 用語「活性成分(active ingredient)」又は「活性薬学的成分(active pharmaceutical ingredient)」(API)は、薬学的に、又は生理学的に活性な本明細書に記述の組成物、カプセルシェル及びカプセルの構成成分を表示するために使用される。このように、薬学的に、又は生理学的に活性な、又は遅延放出の利点を享受し得るいかなる化合物も、活性成分と考えられる。例えば、アセトアミノフェン、イブプロフェン又はカフェインは、活性成分と考えられるであろう。本開示内で使用する通り、用語「活性成分製剤(active ingredient formulation)」又は「API製剤(API formulation)」は、少なくとも一つの活性成分、及び、場合により、賦形剤、添加剤などのその他の不活性の構成成分を含む組成物又は製剤を言う。 特に指示のない限り、「バルク腸溶性」は、本明細書に記述のカプセルシェルが、アルカリ性の腸分泌物で溶解するか、又は崩壊するが、胃の酸性分泌物中では実質的に不溶性又は耐性であることを意味する。これらの腸溶性は製造されたようなカプセルシェル及びカプセルに本来備わっているものであり、即ち、更なるコーティング、又はその他の製造後処理も、これら腸溶性を付与するために必要ではない。崩壊性及び溶解性は、モノグラフ<701>、USP34NF29、ページ276;<711>、 USP34−NF29、ページ278;及び<2040>、USP34−NF29、ページ871に従って試験することができる。 一つの実施態様において、本開示は、ポリマーが、アルカリ性物質で一定のpHに部分的に中和される、HPMCASポリマーを含んで成る腸溶性カプセルシェル製造のための水性組成物を提供する。 一つの実施態様において、本開示は、ポリマーが、4〜5.5の範囲のpHに部分的に中和される、HPMCASポリマーを含んで成る腸溶性カプセルシェル製造のための水性組成物を提供する。例えば、4.8〜5.3又は5〜5.2のpH範囲。 一つの実施態様において、本開示は、ポリマーが、水溶液で製造された腸溶性カプセルシェルが、例えば、少なくとも15、20、25又は30分間など、少なくとも10分間、脱塩水中での崩壊に耐性がある程度に部分的に中和される、HPMCASポリマーを含んで成る腸溶性カプセルシェルの製造のための水性組成物を提供する。 一つの実施態様において、HPMCAS ポリマーは、水性組成物の総質量に基づいて、約15質量%〜約25質量%の範囲の量で、水性媒体中に、部分的に分散し、部分的に可溶化する。ポリマーは、少なくとも一つのアルカリ性物質の約0.5質量%未満で部分的に中和される。 一つの実施態様において、HPMCASは、水性組成物中、腸溶性を提示する唯一のポリマーである。それ故、一つの実施態様において、水性組成物は、HPMCASを除いて、例えば、ポリメタクリレートなどのポリマー(メタクリル酸及びメタクリル酸メチル又はアクリル酸エチルとのコポリマー−例えば、Eudragit(登録商標)Lなどの、Eudragit(登録商標)の腸溶性群材);CAP(セルロースアセテートフタレート);CAT(セルロースアセテートトリメリテート);HPMCP(ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート);CMEC(カルボキシメチルエチルセルロース);又はポリビニル誘導体、例えば、ポリビニルアセテートフタレート(Coateric(登録商標)ファミリーメンバー(family members))など、その他の腸溶性を示すポリマーを含有しない。 本明細書に記述の水性組成物の一つの可能性のある利点は、例えば、浸漬成形プロセスを用いて、ハードカプセルシェル用のベースフィルム形成ポリマーとして従来使用されているその他の一つ又は複数のフィルム形成ポリマーを組み入れる必要なく、記述された量のHPMCASが、ハードカプセルシェルの製造を可能にすることである。換言すれば、HPMCASは、熱的性質(DSC及びMFT)、熱レオロジー的性質及び機械的性質(例えば、ヤング率及び脆性)などの充分なフィルム形成性を付与されたフィルムを提供する量の加工助剤と一緒に使用することができる。従って、一つの実施態様において、水性組成物は、シェルの質量当たり約5質量%未満、例えば、約1%未満の量のハードカプセルシェル用のベースフィルム形成ポリマーとして従来使用されている一つ又は複数のフィルム形成ポリマーを含み得る。あるいは、一つの実施態様において、水性組成物は、ハードカプセルシェル用のベースフィルム形成ポリマーとして従来から使用されている一つ又は複数のフィルム形成ポリマーを含有しない。 一つの実施態様において、ハードカプセルシェル用のベースフィルム形成用のポリマーとして従来使用されている一つ又は複数のフィルム形成ポリマーは、例えば、セルロース系の非腸溶性誘導体を含む。例としては、HPMC(例えば、米国薬局方(USP30−NF25)で定義されるような、HPMCタイプの2910、2906及び/又は2208)、MC、ゼラチン、プルラン、PVA、及びヒドロキシプロピルデンプンなどの非腸溶性デンプン誘導体が挙げられる。 一つの実施態様において、ポリマーは、水中に事前分散され、そして少なくとも一つの分散剤を含み得る。分散剤の量は、水性組成物の総質量に基づいて、約0.5質量%〜約2質量%の範囲であり得る。分散剤の非限定の例としては、グリセリルエステル(例えば、グリセリルモノオレエート及びモノリノレート、中鎖のトリグリセリド−即ち、グリセロールのC6〜C12脂肪酸エステル)などの非イオン系乳化剤又は界面活性剤;グリコールエステル(例えば、プロピレングリコールジカプリロカプレート及びモノラウレート);ソルビタンモノエステル(例えば、ソルビタンモノラウレート及びモノオレエート);ソルビタンポリオキシエチレンエステル(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、モノパルミテート、モノステアレート及びモノオレエート);又はその混合物が挙げられる。分散剤は、ポリソルベート(Tween(登録商標)80として市場で公知である)などのソルビタンポリオキシエチレンエステルを含み得る。 一つの実施態様において、水性組成物は、高温時に熱ゲル化を受ける(undergo)ゲル化剤又はゲル化構成成分(component)を含む。換言すれば、該水性組成物の粘度は、臨界ゲル化温度(CGT)と呼ばれる室温より高い温度で、組成物がゲル化する点までの温度に上昇する。CGTは、使用されるゲル化剤に依存し、約30℃〜約60℃の範囲である。 一つの実施態様において、ゲル化剤は、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレントリブロックコポリマー、セルロース誘導体、多糖類、及びその混合物から成る群から選択される。一つの実施態様において、熱ゲル化剤は、非イオン性のポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロックポリマーから成る。この成分は、また、次の同意語を持つポリマー:ポリオキシエチレン−プロピレングリコールコポリマー、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマーの分野で知られている;ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロックポリマー群の商品名は:LUTROL(登録商標)、MONOLAN(登録商標)、PLURONIC(登録商標)、SUPRONIC(登録商標)、SYNPERONIC(登録商標);CAS名称:α−ヒドロ−ω−ヒドロキシポリ(オキシエチレン)ポリ(オキシプロピレン)ポリ(オキシエチレン)ブロックコポリマー;CAS番号:9003−11−6である。ポロキサマーの例は、例えば、US3740421に見出しうる。 単数又は複数のポロキサマーの言葉は、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレン(POE)a−(POP)b−(POE)a トリブロックコポリマーを言う、ここでa及びbは整数であり、重合プロセスで使用されるPOE及びPOPの初期量並びに重合プロセス条件で決められる。約1000〜約20000の範囲の平均分子量内で、適切なa/b比は、最終ポリマーの所望の親水性/疎水性に基づいて選択することができる(POEブロックは親水性をもたらすが、一方POPブロックは疎水性をもたらすので)。本開示の文脈において適切なポロキサマーは、親水性及び親油性部分の親水性親油性バランス(HLB)は、7より高いか、及び12より高いなど、5より高いものを含む。 一つの実施態様において、ポロキサマーは、USP32−NF27「ポロキサマー」モノグラフで定義されるものから選択される。そのような製品の例としては、ポロキサマー124(BASF社から、KOLLISOLV(登録商標)P124として市販されている。);及びポロキサマー188(BASF社から、PLURONIC(登録商標)F68NFとして市販されている。)があり、それぞれ、約2090〜約2360、及び約7680〜約9510の範囲の平均分子量;及びそれぞれ約45%〜約80%のポリエチレンオキシド比を有する。USP32−NF27ポロキサマーなどのポロキサマーの混合物も、また、本開示の範囲内である。 一つの実施態様において、熱ゲル化剤は、約1000〜約20000の範囲の平均分子量を有するポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレントリブロックポリマーを含み、該熱ゲル化剤は、本開示の水性組成物の総質量の約0.1質量%〜約5質量%の範囲の量で存在する。 一つの実施態様において、熱ゲル化剤は、HPMC(例えば、USP30−NF25で定義されるようなHPMCタイプの2910、2906及び/又は2208)として知られているヒドロキシプロピルメチルセルロース;メチルセルロース(例えば、信越化学工業社製のMC Metlose Sm)などの非イオン製品から選択されるセルロース誘導体から成り;該熱ゲル化剤は、本開示の水性組成物の総質量当たり約0.1質量%〜約5質量%の範囲で存在する。 一つの実施態様において、熱ゲル化剤は、脱アセチル化レベル70%以上のキトサン(ポリ(1,4)−2−アミノ−2−デオキシ−D−グルカン)などのイオン性生成物から選択される多糖類から成り;該熱ゲル化剤は、本開示の水性組成物の総質量当たり約0.05質量%〜約2質量%の範囲で存在する。 別の実施態様において、水性組成物は、低温又は室温での冷ゲル化を受けるゲル化剤を含む。換言すれば、該水性組成物の粘度は、臨界ゲル化温度(CGT)と呼ばれている室温より低い温度で、又はほぼ室温で、組成物がゲル化するポイントまで上昇する。CGTは、使用するゲル化剤に依存し、約0℃〜25℃の範囲である。 一つの実施態様において、ゲル化剤としては、多糖類又はカラギーナン、ゲランガム、グアーガム、キサンタンガム、トラガントガム、寒天、ペクチン、カードラン、ゼラチン、ファーセルラン、タマリンド種子、ローカストビーンガム、又はその混合物などのガムが挙げられる。ゲル化剤は、カラギーナン−κ(Cargill社から市販されている。)又はゲランガム(CP Kelco社から市販されている。)を含み得る。 一つの実施態様において、ゲル化剤は、本開示の水性組成物の総質量当たり約0.1質量%〜約5質量%の範囲の量の多糖類から成る。 一つの実施態様において、本明細書に記述の水性組成物は、一つ又はそれ以上の薬学的に許容される試薬(agent)、食品に許容される着色剤、又はその混合物を含み得る。 前記試薬は、アゾ−、キノフタロン−、トリフェニルメタン−、キサンテン−、又はインジゴイド染料;酸化鉄又は水酸化鉄;二酸化チタン;又は天然染料及びその混合物から選択し得る。更なる例としては、パテントブルーV、アシッドブリリアントグリーンBS、レッド2G、アゾルビン、ポンソー4R、アマラント、D+Cレッド33、D+Cレッド22、D+Cレッド26、D+Cレッド28、D+Cイエロー10、イエロー2G、FD+Cイエロー5、FD+Cイエロー6、FD+Cレッド3、FD+Cレッド40、FD+Cブルー1、FD+Cブルー2、FD+Cグリーン3、ブリリアントブラックBN、カーボンブラック、酸化鉄ブラック、酸化鉄レッド、酸化鉄イエロー、二酸化チタン、リボフラビン、カロチン、アントシアニン、ウコン、コチニール抽出物、クロロフィリン、カンタキサンチン、カラメル、ベタニン、及びCandurin(登録商標)真珠箔顔料が挙げられる。Candurin(登録商標)は、Merck KGaA社、ダルムシュタット、ドイツ、で製造、販売されている、そして二酸化チタン及び/又は酸化鉄−多くの国で承認された食品及び医薬品用着色剤−、及びカラーキャリヤーとしてのケイ酸カリウムアルミニウムから成る。後者は天然物であり、また広く認可され、「マイカ」の名前で知られたシリケートである。 一つの実施態様において、薬学的に許容される試薬、食品に許容される着色剤、又はその混合物は、本開示の水性組成物の総質量当たり約0質量%〜約5質量%の量、例えば、約0質量%〜約2.5質量%、及び約0質量%〜約1.5質量%の量で存在する。 一つの実施態様において、本明細書に記述の水性組成物は、更に、少なくとも一つのフィルム形成助剤を含む。 一つの実施態様において、「フィルム形成助剤(film forming aid)」は、自己担持の粘着性フィルムの形成を確実にするために、及びカプセルの脆性を避けるために、カプセルシェル、特に、ハードカプセルシェルの製造に従来使用された一つ又はそれ以上の可塑剤、及び/又は、一つ又はそれ以上の粘度増強剤、即ち、ハードカプセルシェルの浸漬成形製造のための水性組成物の粘度を最適化するために従来使用された天然並びに合成物質を含む。可塑性を示す(display)フィルム形成助剤としては;フタル酸エステル(例えば、フタル酸ジメチル、ジエチル、ジブチル、ジイソプロピル、及びジオクチル);クエン酸エステル(例えば、クエン酸トリエチル、トリブチル、アセチルトリエチル、及びアセチルトリブチル);リン酸エステル(例えば、リン酸トリエチル、トリクレジル、トリフェニル);乳酸アルキル;グリセロール及びグリセロールエステル(例えば、トリアセチンとして知られているグリセロールトリアセテート);蔗糖エステル;油脂酸エステル;ステアリン酸ブチル;セバシン酸ジブチル;酒石酸ジブチル;アジピン酸ジイソブチル;トリブチリン;プロピレングリコール;ポリエチレングリコール(PEG)、ポリオキシエチレン(PEO);及びその混合物が挙げられる。 一つの実施態様において、フィルム形成助剤は、レオロジー調整剤(modifiers)、構造化剤、界面活性剤、可塑剤、及びミネラルチャージ(mineral charge)、例えば、ヒプロメロース;アルキルセルロース(例えば、カルボキシメチルセルロースCMC)、及びその他セルロース誘導体(例えば、HPC、EC,MC,CMEC,HPMCP);ポリ酢酸ビニル誘導体(PVAP);多糖類;グリセリルエステル;グリコールエステル;ソルビタンモノエステル;ソルビタンポリオキシエチレンエステル;ポリオキシエチレン(POE)エーテル;グリセロール;ポリエチレングリコール;ポリオール;脂肪酸エステル;グリセロールポリエチレン、グリコールリシノレート;マクロゴールグリセリド;ラウリル硫酸ナトリウム(SLS);トリエチルシトレート(TEC);アセチルトリアルキルシトレート;グリセロールトリアセテート(トリアセチン);アルキルフタレート:タルク;シリカ(Grace社製のSyloid244FP)、及びその混合物から選択される。 一つの実施態様において、可塑性と粘度増強性の両者を示すフィルム形成助剤は:グリセリルエステル(例えば、グリセリルモノオレエート及びモノリノレート、中鎖トリグリセリド−即ちグリセロールのC6〜C12脂肪酸エステル);グリコールエステル(例えば、プロピレングリコールジカプリロカプレート及びモノラウレート);ソルビタンモノエステル(例えば、ソルビタンモノラウレート及びモノオレエート);ソルビタンポリオキシエチレンエステル(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、モノパルミテート、モノステアレート及びモノオレエート);ポリオキシエチレン(POE)エーテル(例えば、ポリエチレングリコールドデシルエーテル);グリセロール;ポリエチレングリコール(例えば、PEG 4000、PEG 6000);グリセローポリエチレングリコールリシノレート;リノレオイルマクロゴールグリセリド;蔗糖エステル;シリカ及びその混合物から選択される。 一つの実施態様において、フィルム形成助剤は:ソルビタンモノエステル(例えば、ソルビタンモノラウレート及びモノオレエート);ソルビタンポリオキシエチレンエステル(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、モノパルミテート、モノステアレート及びモノオレエート);ポリオキシエチレン(POE)エーテル(例えば、ポリエチレングリコールドデシルエーテル);グリセロール;ポリビニルアセテート誘導体(PVAP)、セルロース誘導体(例えば、HPMC、HPC、EC、MC、CMEC、HPMCAS、HPMCP)、シリカ及びその混合物から選択される。 一つの実施態様において、フィルム形成助剤は、本開示の水性組成物の総質量当たり約0質量%〜約15質量%、約0質量%〜約10質量%などの約0質量%〜約20質量%の範囲の量の水性組成物中に存在する。 一つの実施態様において、水は、USP32及びUSP34−NF29におけるUSP精製水の下に定義される薬学用途に許容される方法で精製される。本明細書に記述の水性組成物は、痕跡量の非水溶媒を強要することは理解されるであろう。典型的な非水溶媒は、例えば、エタノール、又は溶媒として通常使用される他の低分子量のアルコール、塩素化溶媒、エーテルである。 一つの実施態様において、本開示は、また、例えば、バルク腸溶性ハードカプセルシェルとして本明細書に記述の水性組成物を含んで成るカプセルシェルを提供する。 一つの実施態様において、ハードカプセルシェルは、上記で開示した水性組成物及び下記で開示するプロセス、例えば、浸漬成形を用いて得ることができる。 一つの実施態様において、記述したハードカプセルシェルは、約250μmより薄い、例えば、約150μm、及び約70μm、のシェル厚さ(乾燥後、シェルの水分含量を、シェルの質量当たり6質量%未満にする)を有する。このように、一つの実施態様において、シェルの厚さは、約70μm〜約150μmの範囲であってもよい。 なお、浸漬成形に代替する成形法で得ることは、不可能でないにしても、前述のシェル厚さの値は困難である。例えば、射出成形技術は、一般的に、約300μm〜約500μmのシェル厚さを生成する。 一つの実施態様において、シェルは、追加の一つ又はそれ以上のポリマー層で外部をコーティングしてもよいし又はしなくてもよい。あるいは、シェルは、単層であり、即ち、外部の追加ポリマー層は存在しない。それ故、一つの実施態様において、追加の機能性ポリマー層は存在しない。 特に指示のない限り、機能性ポリマー層は、特別な機械的又は化学的性質を、コーティングされたシェルに付与する機能性ポリマーを含有する層を意味する。機能性ポリマーは、薬学的固体剤形をコーティングするために従来使用されている腸溶性ポリマー、及び/又は、結腸放出ポリマー(即ち、対象の結腸領域でコーティングされた剤形の崩壊を達成するために使用されるポリマー)である。ハードカプセルのコーティングに適用されるこれらのポリマーに関する概要は、例えば、WO2000/018377に見出すことができる。カプセルのバンド掛け又はシールは、追加の一つ又は複数の外部層に適用するものとしては現在考えられない、従って、バンド掛け又はシールしたカプセルシェル及びカプセルは、本開示の範囲内に充分入る。 一つの実施態様において、本開示は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS)ポリマー、少なくとも一つのゲル化剤、少なくとも一つの分散剤及び水を含むバルク腸溶性ハードカプセルシェルを提供し、ここで、ポリマーは、少なくとも一つのアルカリ性物質で部分的に中和される。 水の一般的な量は、シェルの総質量当たり10質量%未満、8質量%未満、及び6質量%未満などシェルの総質量当たり20質量%未満である。 一つの実施態様において、外気の相対湿度と平衡する、水の量は、カプセルシェルの総質量の約2質量%〜約20質量%の範囲である。 一つの実施態様において、ハードカプセルシェルは、更に、少なくとも一つのカプセル化された活性成分を含む。それ故、カプセルは、一つ又はそれ以上の酸に不安定な物質、及び/又は、ヒト及び/又は動物における胃への副作用に関連する一つ又はそれ以上の物質で充填されてもよい。 一つの実施態様において、酸に不安定な物質は、対象の胃内で存在する酸環境において、化学分解又は変化を受ける天然又は合成物質である。一つの実施態様において、胃の副作用に関連する物質は、ヒト又は動物への経口投与を意図した医薬品又は組成物であり、ヒト又は動物への経口投与時に胃内へのその放出が、胃液の逆流、又は胃粘膜の生理的及び/又は構造的完全性の障害(例えば、胃潰瘍)などの、胃の副作用に関連する。 一つの実施態様において、少なくとも一つの活性成分は、固体、半固体、又は液体形体を含む。 一つの実施態様において、シェルは、更に、上記で定義した通り、一つ又はそれ以上の薬学的に、又は食品に許容される着色剤を含む。一つ又はそれ以上の薬学的に許容される試薬、又は食品に許容される着色剤は、シェルの総質量当たり0質量%〜約10質量%、及び0質量%〜約8質量%など、0質量%〜約15質量%の範囲の量で存在する。 一つの実施態様において、シェルは、上記で定義されたゲル化剤を含む。ゲル化剤は、シェルの総質量当たり0質量%〜約30質量%、及び0質量%〜約25質量%など、0質量%〜約40質量%の範囲の量で存在する。 一つの実施態様において、シェルは、上記で定義された分散剤を含む。分散剤は、シェルの総質量当たり0質量%〜約10質量%、及び0質量%〜約5質量%など、0質量%〜約20質量%の範囲の量で存在する。 一つの実施態様において、シェルは、更に、上記で定義したフィルム形成助剤を含む。フィルム形成助剤は、シェルの総質量当たり0質量%〜約30質量%及び0質量%〜約25質量%など、0質量%〜約40質量%の範囲の量で存在し得る。 一つの実施態様において、本開示は、また、機能性のヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート (HPMCAS)ポリマーの水性分散液、該ポリマーは、前記水性組成物の総質量の約15質量%〜約25質量%の範囲の量で存在し、ここで、ポリマーは、少なくとも一つのアルカリ性物質で部分的に中和され;前記水性組成物の総質量の約0.5質量%〜約2質量%の範囲の量で存在する少なくとも一つの分散剤;前記水性組成物の総質量の約0.1質量%〜約5質量%の範囲の量で存在する少なくとも一つのゲル化剤;前記水性組成物の総質量の約0%〜約40質量%の範囲の量で存在する少なくとも一つのフィルム形成助剤;及び水、を含んで成るカプセルシェルを提供する。 一つの実施態様において、本開示は、また、本明細書に記述のハードカプセルシェル及びハードカプセルシェルを作るためのプロセスを提供し、ここで、カプセルシェルは、約2時間後、pH約1.2になった後、全てカプセル化した少なくとも一つの活性成分の約10%未満の崩壊放出を含む。 別の実施態様において、本開示は、また、本明細書に記述のハードカプセルシェル及びハードカプセルシェルを作るためのプロセスを提供し、ここで、カプセルシェルは、約2時間後、pH約1.2になった後、全てカプセル化した少なくとも一つの活性成分の約10%未満の溶解放出を含む。 一つの実施態様において、ハードカプセルシェルは、約2時間後、及びpH約1.2になった後、全てカプセル化した少なくとも一つの活性成分の約10%未満の崩壊放出、並びに約2時間後、及びpH約1.2になった後、全てカプセル化した少なくとも一つの活性成分の約10%未満の溶解放出を含む。 一つの実施態様において、溶解放出は、約45分後、pH約6.8になった後、全てカプセル化した少なくとも一つの活性成分の約80%である。 一つの実施態様において、カプセルシェルは、それらが上記で報告した崩壊及び溶解プロフィールに少なくとも整合する溶解及び崩壊プロフィールを有するとき、バルク腸溶性を有する。腸溶性媒体におけるこれらの崩壊及び溶解プロフィールは、少量の腸溶性ポリマーを含有する水ベースの組成物を用いて得られるカプセルシェルで達成するのが、不可能でないにしても困難である。従来の使用が、記述した分散液でなく、溶液中の腸溶性ポリマーの使用であるので、極少量の腸溶性ポリマーの使用は、ここでは適用しないが強制的であると考慮された。 一つの実施態様において、本開示、また、本明細書に記述のハードカプセルシェル及びハードカプセルシェルを作るためのプロセスを提供し、ここで、カプセルシェルは、pH約5.5の脱塩水中で約2時間経過した後、全てカプセル化した少なくとも一つ活性成分の約10%未満の溶解放出を含む。溶液中の腸溶性ポリマーの使用によって可能であるが、脱塩水中でのこの耐溶解性(resistance to dissolution)は、塩水の感度のため、本明細書で記述した部分中和した分散液に適用しない、水ベースの組成物中で完全に中和した腸溶性ポリマーを用いて得られたカプセルシェルにより達成することは、不可能ではないにしても困難である。 記述した充填カプセルは、接合(joint)を恒久にする適切な技術を用いることによって、改ざん防止にし得る。一般的にシール又はバンド掛け技術が使用でき、ここで、これらの技術は、カプセル分野での当業者に公知である。これに関連しては、水/エタノール又は水/イソプロパノール溶液中のポリマー溶液を使用してバンド掛け及び/又はシーリングを実施することは従来の慣行である。そのような微量の非水溶媒は、シェル部分にある成分と、その後適用されるバンド又はシーリング部分にある成分間を区分けすることなく、元素分析が、シール又はバンド掛けされたカプセルに関して実施できる場合、見出すことができるであろう。 前述したカプセルシェル及び本明細書に記述の水性組成物を含んで成るカプセルを作るためのプロセスが、また、開示される。固形分含量が高いにも関わらず、本明細書に記述の水性組成物は、HPMCASが溶液ではなく、分散状態にあるとき、中程度の粘度を有する。 一つの実施態様において、本明細書に記述の水性組成物の粘度は、10RPMのスピードでスピンドル27を装備したブルックフィールド型粘度計で、21℃で測定したとき、約1cP〜約5000cPの範囲、例えば、約500cP〜約3000cP及び約1000cP〜約2500cPの範囲である。 一つの実施態様において、本明細書に記述の最低のフィルム形成温度(MFFT)は、従来からあるRhopoint社のMFFTバーを用いて測定したとき、約10℃〜80℃、例えば、約20℃〜70℃、又は約30℃〜70℃の範囲である。MFFTは、フィルムが融合し始める温度を記述した。いかなる理論に拘束されることなく、本明細書に記述の水性組成物は、ポリマー粒子の融合とゲル化剤のゲル化を組み合わせる混合乾燥プロセスを受けると信じられている。両方の物理的性質は、硬化温度として知られている、フィルムが浸漬後流下することなくピン上で接着する適切な温度を定義する。この硬化温度は、当業者に良く知られたハードカプセルの製造に使用される水性組成物のパラメータである。 一つの実施態様において、下記の浸漬成形プロセスの文脈で使用される水性組成物は、上記で議論した水性組成物である。従って、水性組成物に関連して議論されるいかなる考察及び実施態様も、それが技術的に可能である限り、本明細書に記述の浸漬成形プロセスに適用される。 従って、一つの実施態様において、本開示は、水性組成物が熱ゲル化剤を含むとき、バルク腸溶性ハードカプセルシェルの製造のための熱ゲル化浸漬成形プロセスを提供し、ここで、プロセスは: a)ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS)ポリマー、熱ゲル化剤、分散剤及び水を含んで成る水性組成物を提供し、ここで、水分散ポリマーは、アルカリ性物質で部分中和され; b)前記水性組成物を、約5℃〜約40℃の範囲の温度(T1)に調整し; c)上記温度T1より高い約15℃〜約70℃の範囲の浸漬温度(T2)に成形ピンを予熱し; d)温度T1で前記熟成水性組成物内に予熱した成形ピンを浸漬し; e)前記水性組成物から前記ピンを引き出すことにより前記成形ピン上にフィルムを形成し;及び f)前記成形ピン上でフィルムを乾燥してバルク腸溶性ハードカプセルシェルを形成する;ことを含む。 一つの実施態様において、水性組成物は、例えば、約15℃〜約35℃及び約20℃〜約30℃など、約5℃〜約40℃の範囲の温度で工程(b)に保持する。 一つの実施態様において、ピンは、工程(b)において水性組成物の温度より高い約15℃〜約70℃の範囲の温度で予熱され、浸漬される。例えば、温度は、工程(b)において水性組成物の温度より高い約15℃〜約50℃及び約25℃〜約50℃の範囲であってもよい。一つの実施態様において、ピンは、約45℃〜約90℃の範囲の温度に予熱される。 別の実施態様において、本開示は、水性組成物が少なくとも一つのゲル化剤を含むとき、バルク腸溶性ハードカプセルシェルの製造のための冷ゲル化浸漬成形プロセスを提供する。ここで、プロセスは: a′)ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS)ポリマー、ゲル化剤、及び水を含む水性組成物を提供し、ここで、水分散ポリマーはアルカリ性物質で部分中和される; b′)前記水性組成物を約30℃〜約80℃の範囲の温度(T3)に調整し; c′)成形ピンを約5℃〜約30℃の範囲の浸漬温度(T4)に予熱し; d)予熱された成形ピンを前記熟成した水性組成物内に浸漬し; e)前記水性組成物から前記ピンを引き出すことにより前記成形ピン上にフィルムを形成し;及び f)バルク腸溶性ハードカプセルシェルを形成するために前記成形ピン上のフィルムを乾燥する;ことを含む。 一つの実施態様において、水性組成物は、工程(b′)において約30℃〜約80℃の範囲で、好ましくは、約40℃〜約60℃の範囲の温度T3で保持される。 一つの実施態様において、ピンは、約5℃〜約30℃の範囲で、好ましくは、約10℃〜約30℃の範囲で、より好ましくは、約15℃〜約25℃の範囲での温度T4で予熱され、そして浸漬される。 一つの実施態様において、工程(d)は、ピンのシングル浸漬を含む。換言すれば、ピンのマルチ浸漬は、必要とされる機械的性質を備えたフィルムを得るために充分なピン表面上での材料のピックアップを得るためには必要ではない。 一つの実施態様において、乾燥工程(f)は、ハードカプセル分野で一般的に適用される乾燥技術に基づき実施され、それはこの目的のために当業者に公知の装置を用いて達成することができる。一つの実施態様において、乾燥工程(f)は、例えば、ピンを炉内に置くことにより、この目的のために一般的に知られたいずれかの技術に従って行うことができる。一つの実施態様において、乾燥工程(f)は、約20℃〜約90℃の範囲の温度で行われる。 一つの実施態様において、成形プロセスは、更に、上記で開示する一つ又はそれ以上の物質でハードカプセルを充填する工程(g)を含む。 一つの実施態様において、成形法は、更に、工程(g)で得られた充填ハードカプセルをシールし及び/又はバンド掛けすることにより充填ハードカプセルを改ざん防止にする工程(h)を含む。 シェル(及びカプセル)の崩壊性を試験する適切な試験手順は以下の通りである: 米国薬局方(USP)装置のバスケット−ラックの組み合わせは、6個の開放端を有する透明チューブから成り、各々のチューブはディスクを備えている;崩壊媒体:NaClと一緒にpH1.2の疑似胃液中で2時間、次いで、KH2PO4+NaOHと一緒にpH6.8の疑似腸液中;試験条件:流体を37℃に保持;振動数を30回/min;崩壊媒体の容積を800mlとし;試験サンプル数を6個とする。試験用シェル#0に、アセトアミノフェン(450mg)をプレフィルドした。カプセルをチューブ内に置き、ディスクをその上に押し付けた(impose)。バスケットは、次いで、疑似胃液内に2時間放置し、そ次いで、疑似腸液内に移した。UV(λ=300nm)を使用して、疑似胃液及び腸液流体中に溶解したアセトアミノフェン(充填量の%として)を定量した。 シェル(及びカプセル)の溶解性評価する適切な試験手順は、以下の通りである: 米国薬局方(USP)の溶解装置2(パドル)、溶解媒体:pH1.2の疑似胃液中で、0.1NのHClと一緒に2時間、次いで、Na3PO4と一緒にpH6.8の疑似腸液に移した;試験条件:流体を37℃に保持し、球面端を備えた円筒形状のパドルベッセル(USP/NF)を使用;回転スピード:50rpm;溶解液体の容積:750ml;サンプル数6。試験シェル#0に、アセトアミノフェン(380mg)を充填した。次いで、カプセルをベッセル内に置き、それを疑似胃液内に2時間置いた。その後、0.02Mの三塩基性リン酸ナトリウム(250ml)をpH6.8の疑似腸液に加えた。UV(λ=300nm)を使用し、溶解媒体中の溶解アセトアミノフェンを(充填量の%として)定量した。測定は、疑似胃液内で15分毎、及び疑似腸液内で3分毎行った。 遅延放出剤形に対して、USP32−NF27モノグラフ<701>及び<711>従って、試験するとき、それぞれ、アセトアミノフェンを一回充填したカプセルシェルは、少なくとも以下のプロフィールを示す: −崩壊:pH1.2で2時間後、全てカプセル化したアセトアミノフェンの10%未満を放出する;及び −溶解:pH1.2で2時間後、全てカプセル化したアセトアミノフェンの10%未満を放出し、ここで、アセトアミノフェンの80%が、pH6.8で45分後、放出された。 シェル(及びカプセル)の脱塩水の耐溶解性(demineralised water resistance property)評価する適切な試験法は、以下の通りである:米国薬局方(USP)の溶解装置2(パドル)使用;溶解媒体:pH約5.5の脱塩水中2時間放置;試験条件:流体を37℃に保持し、球面端を有する円筒形状のパドルベッセル(USP/NF)を使用;回転スピード:50rpm;溶解液体の容積:750ml;サンプル数:6と設定。試験シェル#0に、アセトアミノフェン(380mg)を充填した。次いで、カプセルをベッセル内に置き、それを脱塩水中に1時間置いた。UV(λ=300nm)を使用し、溶解媒体中に溶解したアセトアミノフェンを定量した(充填量の%として)。測定は、15分毎行った。アセトアミノフェンを一回充填したカプセルシェルは、少なくとも次の溶解プロフィールを示した:脱塩水中2時間後、全てのカプセル化したアセトアミノフェンの10%未満を放出した。(試験手順の記述) a)連続フィルムを形成する水性分散液の能力の決定: 調整した水性分散液を、Capsugelフィルムキャスト装置(CAMAG社製の改良型の電動式薄層クロマトグラフィのプレートコータユニット)を用いて、又は乾燥厚さ(約100μm)を有する一様な薄層フィルムを作るために、その他従来からあるドローダウンコーティング装置を用いて、組成物の硬化温度に保持したガラスプレート上にキャスティングした。ガラスプレート上のキャストフィルムは、乾燥温度で1時間炉内に保持し、そしてその後、完全に乾燥させるために室温、50%RHで少なくとも2時間保存した。乾燥した後、直ちに、得られたフィルムをガラスプレートから取り除き、そして視覚的、物理的性質、及び熱的性質を評価した。調整した水性組成物のTg及びMFFTを、また、フィルム及びコーティング評価のための標準操作手順として、DSC装置及びMFFTバーでそれぞれ測定した。 b)水性分散液の硬化性の評価 カプセルの浸漬方法を再生するために、ピンラボジッパ(Pin Lab Dipper)と呼ばれている簡略化したラボスケールの装置を開発し、溶液内へのピンの浸漬を模倣した。このデバイスは、電子的に支援されたモジュールを備えていて、ピンの浸漬プロフィール及び引き出しプロフィールを制御した。 それは、また、直立位置に対してピンの回転を確実にし、そしてピン温度を制御した。浸漬工程に続いて、適切な温風による乾燥シーケンスを行った。この試験は、浸漬成形プロセスによりステンレス鋼ピン上に連続した均一なフィルムを形成することが可能か否かを、試験する溶液の潜在的な硬化性を評価した。〔実施例1〕 熱ゲル化剤を含んで成る水性分散液の調製: 組成物は表−1に従って作られた。〔実施例2〕ゲル化剤を含んで成る水性分散液の調製: 組成物は表−2に従って作られた。〔実施例3〕 アルカリ性物質の混合物を含んで成る水性分散液の調製: 組成物は、表−3に従って作られた。〔比較例4〕従来のフィルム形成ポリマーで完全に中和した水性分散液の調製: 組成物は、表−4に従って作られた。〔比較例5〕 従来のフィルム形成ポリマーで完全に中和した水性分散液の調製: 組成物は、表−5に従って作られた。 結果 表−6は、実施例1〜6に対する得られた粘度、耐水性及び可撓性の結果を提供する。 粘度:ブルックフィールド型粘度計、スピンドル27、10RPM、21℃で測定した。 脱塩水の抵抗性は、以前に記述した試験プロセスにより決定した。得られた応答は、以下のスケールに従って、範囲:不良(30分以内にフィルムの溶解);中間(30分〜1時間以内にフィルムの溶解);優秀(1時間〜2時間以内にフィルムの溶解);良好(試験合格:2時間後にフィルムの溶解)に格付けした。可撓性:フィルムの変形性評価。範囲:不良(=脆性フィルム)、中間(=破損しやすいフィルム)、優秀(=取扱い可能フィルム)、良好(=可撓性フィルム)。 更なる利点、改変は、当業者には容易に思い浮かぶであろう。従って、広い態様における本開示は、本明細書に示された及び記述された特定の細目及び代表的な実施態様に限定されない。従って、様々な改変は、添付の特許請求の範囲及びその同等物により定義される通り、一般的発明概念の精神又は範囲から離れることなくなし得る。 水中に分散したヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS)ポリマーを含んでなる腸溶性のハードのカプセルシェルを作るための水性組成物であって、ここで、分散したポリマーは、少なくとも一つのアルカリ性物質で部分的に中和される、上記水性組成物。 ポリマーが、約0.1〜約10ミクロンの範囲の平均直径を有する微細固体粒子である、請求項1に記載の組成物。 ポリマー量が、水性組成物の総質量に基づいて約15質量%〜約25質量%の範囲である、請求項1又は2に記載の組成物。 少なくとも一つのアルカリ性物質の量が、水性組成物の総質量に基づいてKOH同等物の約1.5質量%未満である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。 少なくとも一つのアルカリ性物質が、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、カチオン性ポリマー、及びその混合物から成る群から選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。 更に、少なくとも一つの分散剤を、水性組成物の総質量に基づいて約0.5質量%〜約2質量%の範囲の量で含んでなる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。 少なくとも一つの分散剤が、非イオン性乳化剤又は界面活性剤を含んでなる、請求項6に記載の組成物。 分散剤が、ソルビタンポリオキシエチレンエステル、ソルビタンモノエステル、グリセリルエステル、及びその混合物から成る群から選択される、請求項6に記載の組成物。 更に、低温又は室温での冷ゲル化を受けるゲル化剤を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。 ゲル化剤が、多糖類又はガムを含む、請求項9に記載の組成物。 ゲル化剤が、カラギーナン、ゲランガム、グアーガム、キサンタンガム、トラガントガム、寒天、ペクチン、カードラン、ゼラチン、ファーセレラン、タマリンド種子、ローカストビーンガム、及びその混合物から成る群から選択される、請求項9に記載の組成物。 更に、高温で熱ゲル化を受ける熱ゲル化剤を含んで成る、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。 ゲル化剤が、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレントリブロックコポリマー、セルロース誘導体、多糖類、及びその混合物から成る群から選択される、請求項12に記載の組成物。 ゲル化剤が、ポロキサマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、キトサン、及びその混合物から成る群から選択される、請求項12に記載の組成物。 更に、少なくとも一つのフィルム形成助剤を含んで成る、請求項1〜14のいずれか1項に記載の組成物。 少なくとも一つのフィルム形成助剤が、可塑剤、界面活性剤、構造化剤、レオロジー調整剤、ミネラルチャージ、及びその混合物から成る群から選択される、請求項15に記載の組成物。 少なくとも一つのフィルム形成助剤が、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリアルキル、トリアセチン、フタル酸アルキル、セルロース誘導体、ポリビニルアセテート誘導体、多糖類、グリセリルエステル、グリコールエステル、ソルビタンモノエステル、ソルビタンポリオキシエチレンエステル、蔗糖エステル、ポリオキシエチレンエーテル、グリセロール、ポリエチレングリコール、ポリオール、脂肪酸エステル、グリセロールポリエチレン、グリコールリシノレート、マクロゴールグリセリド、ラウリル硫酸ナトリウム、シリカ、及びその混合物から成る群から選択される、請求項15に記載の組成物。 更に、少なくとも一つの薬学的に許容される、又は食品に許容される着色剤を含んでなる、請求項1〜17のいずれか1項に記載の組成物。 水中に分散したヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS)ポリマーを含む水性組成物、ここで、ポリマーは、水性組成物の総質量の約15質量%〜約25質量%の範囲の量で存在する; 前記水性組成物の総質量の約0.5質量%〜約2質量%の範囲の量の、少なくとも一つの分散剤; 前記水性組成物の総質量の約0.1質量%〜約5質量%の範囲の量で存在する少なくとも一つのゲル化剤;及び 水;を含んでなる組成物から作られるカプセルシェルであって、そして ここで、分散されたポリマーが、少なくとも一つのアルカリ性物質で部分的に中和される、上記カプセルシェル。 更に、水性組成物の総質量の約0質量%〜約40質量%の範囲の量である少なくとも一つのフィルム形成助剤を含んで成る、請求項19に記載のカプセルシェル。カプセルシェルが、ハードカプセルシェルである、請求項19に記載のカプセルシェル。 外気の相対湿度と平衡する水の量が、カプセルシェルの総質量の約2質量%〜約20質量%の範囲である、請求項19に記載のカプセルシェル。 更に、少なくとも一つのカプセル化された活性成分を含んでなる、請求項1〜22のいずれか1項に記載のカプセルシェル。 少なくとも一つの活性成分が、固体、半固体、又は液体形体を含む、請求項19に記載のカプセルシェル。 カプセルが、pH約1.2で約2時間後、全てカプセル化された少なくとも一つの活性成分の約10%未満の崩壊放出、又はpH約1.2で約2時間後、全てカプセル化された少なくとも一つの活性成分の約10%未満の溶解放出を示す、請求項19に記載のカプセルシェル。 カプセルが、脱塩水中、約45分後、全てカプセル化された少なくとも一つの活性成分の約10%未満の溶解放出を示す、請求項19に記載のカプセルシェル。 カプセルが、pH約6.8で約45分後、全てカプセル化された少なくとも一つの活性成分約80%の溶解放出を示す、請求項19に記載のカプセルシェル。 バルク腸溶性ハードカプセルシェルの製造のための浸漬成形法であって: ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS)の分散液、熱ゲル化剤、少なくとも一つの分散剤及び水を含んでなる水性組成物を提供する、ここで、分散されたポリマーは、少なくとも一つのアルカリ性物質で部分的に中和され; 水性組成物を約5℃〜約40℃の範囲の温度(T1)に調整する; カプセル成形ピンを該温度T1より高い約15℃〜約70℃の範囲の浸漬温度(T2)に予熱する; 予熱された成形ピンを水性組成物内に浸漬する; 該ピンを該水性組成物から引き出すことにより、該成形ピン上にフィルムを形成する;及び 成形ピン上でフィルムを乾燥する;ことを含んでなる、上記浸漬成形法。 バルク腸溶性ハードカプセルシェルの製造用の浸漬成形法であって: ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS)ポリマーの分散液、ゲル化剤、分散剤及び水を含んでなる水性組成物を提供する、ここで、分散ポリマーは、アルカリ性物質で部分的に中和され; 水性組成物を、約30℃〜約80℃の範囲の温度(T3)に調整する; カプセル成形ピンを約5℃〜約30℃の範囲の浸漬温度(T4)に予熱する; 予熱した成形ピンを水性組成物内に浸漬する; 該ピンを該水性組成物から引き出すことにより、該成形ピン上にフィルムを形成する;及び フィルムを成形ピン上で乾燥してバルク腸溶性ハードカプセルシェルを形成する;ことを含んでなる、上記成形法。 成形ピンを、水性組成物に一回のみ浸漬する、請求項28又は29に記載の方法。 更に、ハードカプセルシェルを少なくとも一つの活性成分で充填することを含んでなる、請求項28又は29に記載の方法。 更に、少なくとも一つのカプセル化された活性成分製剤を含んでなる、請求項23〜27のいずれか1項に記載のカプセルシェル。 更に、前記ハードカプセルシェルを少なくとも一つの活性成分製剤で充填することを含んでなる、請求項29〜31のいずれか1項に記載の方法。 本開示は、水中に分散されたヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS)ポリマーを含む水性組成物に関し、ここで、分散されたポリマーは、少なくとも一つのアルカリ性物質で部分的に中和される。本開示は、また、バルク腸溶性を付与されたカプセルシェルを作る方法で使用する組成物に関する。本開示は、また、本開示の組成物及び方法に基づいて作られるカプセルに関する。


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