生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_生体関連組成物(BiorelevantCompositions)
出願番号:2015502383
年次:2015
IPC分類:G01N 33/15,G01N 33/50


特許情報キャッシュ

ライ,マテュ・ルイ・シュテフェン ライ,シュテーフェ ドレスマン,イェニフェル クレーファ,バスティアン アルント,マルセル フックス,アレクサンダー JP 2015524913 公表特許公報(A) 20150827 2015502383 20130402 生体関連組成物(BiorelevantCompositions) ファレス ファーマシューティカル リサーチ エヌ.ブイ. 504438358 山川 政樹 100064621 山川 茂樹 100098394 ライ,マテュ・ルイ・シュテフェン ライ,シュテーフェ ドレスマン,イェニフェル クレーファ,バスティアン アルント,マルセル フックス,アレクサンダー EP 12162548.7 20120330 G01N 33/15 20060101AFI20150731BHJP G01N 33/50 20060101ALI20150731BHJP JPG01N33/15 AG01N33/15 ZG01N33/50 Z AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC EP2013056945 20130402 WO2013144374 20131003 37 20140930 2G045 2G045BB53 本発明は、生体関連組成物(biorelevant compositions)及び当該組成物から生体関連媒体(biorelevant media)を再構成する方法に関する。本発明は特に、新規の組成物、並びに選択された生体関連成分並びに胃及び腸内の絶食状態の体液を模擬する物理化学的パラメータによって定義された再現可能かつ安定した絶食状態の体液を模擬した生体関連媒体を調製するための方法を開示する。絶食状態の生体関連媒体は、経口投与に関する水難溶性化合物及びその剤形の溶解性及び溶出評価に適している。 胃腸上部の生理機能及び溶出部位の重要性 消化管からの薬剤吸収が発生し得る段階の前に、薬剤は溶解状態とならなければならない。即時放出性の剤形にとって、放出及び溶出の最初の機会は胃の中である。ヒトの胃は、消化管に入る食物及び薬剤を処理する器官として機能する。絶食状態において、典型的にはヒトの胃内のpHは低い。低いpHでイオン化する塩基性薬剤は、このような条件下で容易に溶出でき、これによって薬剤は小腸に入るとすぐに吸収できるようになる。小腸で溶解しない塩基性薬剤の場合は、薬剤が小腸に入る前に胃で溶出することにより、薬剤を小腸から吸収できるようにするのを助ける。小腸において、難溶性の弱酸性薬剤の溶出は、より高いph(約5〜8)によって支援され、更に混合ミセルを含むコロイド状凝集体に難溶性薬剤を可溶化できる主に胆汁塩及びリン脂質である天然界面活性剤により強化される。 難溶性の化合物は、生物薬剤学分類システム(Biopharmaceutical Classification System:BCS)においてクラス2及びクラス4化合物に分類される。これらの薬剤に関して、胃及び小腸における溶解性及び溶出は、経口投与後のバイオアベイラビリティにとって極めて重要である場合が多い。従って経口吸収が不十分な溶解性/溶出によって制限される薬剤の経口吸収の程度を評価するために、このような領域を模擬する媒体においてBCBクラス2及び4の薬剤の溶解性及び溶出を試験することが望ましい。 医薬品業界において、絶食時模擬腸液(Fasted State Simulated Intestinal Fluid:FaSSIF)等の生体関連媒体において溶解性を試験することは、新規の薬剤候補の前臨床評価の手順の一部として一般的である(非特許文献1)。 生体関連媒体とは何か 生体関連媒体は、インビトロで消化(GI)管内の条件を再現することを目的としている。典型的には、生体関連媒体はインビトロでの溶解性及び溶出の研究のために使用されるが、GI条件下での分解の研究又は薬剤の浸透特性の決定にも応用できる。生体関連媒体は典型的には、GI管内で自然に生じ、模擬すべき局所的領域の典型的なpH値に調整された界面活性剤の溶液を含む。典型的には生体関連媒体は、絶食状態又は摂食状態における胃液及び腸液を反映するよう設計される。 新しい化合物の主成分及び公知の製剤のジェネリック版を、小腸に対応する生体関連媒体においてだけでなく、胃に対応する生体関連媒体においても試験することが推奨されている。 食物の有無にかかわらず投与できる製剤を開発することが好ましい。難溶性の薬剤の場合、不十分なバイオアベイラビリティは絶食状態での製剤の投与と関連していることが最も多いため、胃及び小腸の絶食状態に生物学的に関連した(biorelevant)条件下で、新しい薬剤候補及び処方を評価することが特に重要である。 未だ対処されていないニーズ 難溶性薬剤の溶解性及び溶出のインビトロ評価及びインビボでの放出の予測のための生体関連媒体を用いた様々な研究が報告されている(非特許文献2、非特許文献3等を参照)。しかしながらこれらの研究は、摂食状態の媒体又は絶食状態の媒体(一般に胆汁塩、リン脂質からなり、摂食状態の媒体においては食物の消化からの脂肪溶出産物に相当する脂肪酸及びモノグリセリドからなる)において行ったものである場合が多い。使用した成分は分析的に類似しておらず、従って物理化学的性質に関して、複数の研究に亘って組成を質的に比較できない。生体関連媒体を作製するための現在使用されている成分(例えば主要な性能パラメータ、表面張力に対して最適化されたもの)は、まだ選択されていない。更に、選択した媒体における最も近いインビトロ‐インビボ相関を提供するために、安定した特性を有し、薬剤及び処方の溶出及び溶解性の評価並びに比較のための試験現場となる異なる研究所において再現可能性を保証して実装できる媒体に関して、未だ対処されていないニーズが存在する。本媒体は、効率的な様式で容易かつ再現可能に調製できるという点で有利である。これというのは、これによって結果の信頼性がより高くなり、インビボ薬剤性能を良好に予測できるようになるからである。 別の制限は、今日に至るまで、ヒトの消化管を模擬するための生体関連媒体しか特定されていないことである。薬剤開発の前臨床段階における動物実験のための処方も開発しなければならないため、イヌ、サル、ミニブタ等の動物種における処方から、薬剤候補のインビボ放出及び溶出を予測できる生体関連媒体を利用できるようになることが特に望ましい。 定義 本明細書における「生体関連媒体」は、安定した生体関連媒体をインサイチュで再構成するための、選択した主要な界面活性剤及び任意に補助界面活性剤の特定の比率の混合物の「即席(instant)」バージョン、即ち前駆体である。例示的な組成物は、例えば粉末、顆粒、ペレット、錠剤である均質な固体組成物であってもよい。例示的な組成物はまた、例えば5重量%〜60重量%の界面活性剤混合物を含む水性濃縮液である均質な液体組成物であってもよい。均質な組成物とは特に、分子的に分散した成分を有する組成物である。 胃内の絶食状態条件下の生理液を模擬するための生体関連胃媒体は、一般に絶食状態模擬胃液(Fasted State Simulated Gastric Fluids(即ちFaSSGF))と記載される。小腸内の絶食状態条件下の生理液を模擬する生体関連腸媒体は、一般に絶食状態模擬腸液(Fasted State Simulated Intestinal Fluid(即ちFaSSIF))と記載される。 胃内の絶食状態条件下の生理液を模擬するための胆汁塩及びリン脂質(ジアシルリン脂質からなる)をモル比4:1で含む生体関連胃媒体は、具体的にオリジナルの絶食状態模擬胃液(original Fasted State Simulated Gastric Fluid(即ちFaSSGF−Original))と記載される。 小腸内の絶食状態条件下の生理液を模擬するための胆汁塩及びリン脂質(ジアシルリン脂質からなる)をモル比4:1で含む生体関連腸媒体は、具体的にオリジナルの絶食状態模擬腸液(original Fasted State Simulated Intestinal Fluid(即ちFaSSIF−Original))と記載される。 胃内の絶食状態条件下の生理液を模擬するための胆汁塩及びリン脂質(ジアシルリン脂質からなる)をモル比15:1で含む生体関連胃媒体は、具体的に第2バージョンの絶食状態模擬胃液(second version of Fasted State Simulated Gastric Fluid(即ちFaSSGF−V2))と記載される。 小腸内の絶食状態条件下の生理液を模擬するための胆汁塩及びリン脂質(ジアシルリン脂質からなる)をモル比15:1で含む生体関連腸媒体は、具体的に第2バージョンの絶食状態模擬腸液(second version of Fasted State Simulated Intestinal Fluid(即ちFaSSIF−V2))と記載される。 胃内の絶食状態条件下の生理液を模擬するための少なくとも1つの胆汁塩、少なくとも1つのジアシル又はモノアシルリン脂質並びに少なくとも1つの脂肪酸及び/又はモノアシルリン脂質、特にモノアシルPCを含む生体関連胃媒体は、具体的に第3バージョンの絶食状態模擬胃液(third version of Fasted State Simulated Gastric Fluid(即ちFaSSGF−V3 human))と記載される。 小腸内の絶食状態条件下の生理液を模擬するための少なくとも1つの胆汁塩、少なくとも1つのジアシル又はモノアシルリン脂質並びに少なくとも1つの脂肪酸及び/又はモノアシルリン脂質、特にモノアシルPCを含む生体関連腸媒体は、具体的に第3バージョンの絶食状態模擬腸液(third version of Fasted State Simulated Intestinal Fluid(即ちFaSSIF−V3 human))と記載される。 イヌに適合した生体関連胃媒体及び生体関連腸媒体は、具体的にFaSSGF−canine及びFaSSIF−canineとそれぞれ記載される。 本明細書における「生体関連媒体」は、胃及び小腸内の絶食状態条件を模擬する水性媒体を意味する。 本明細書における用語の単数及び複数は、互いに置換可能である。 従来技術 生体関連腸媒体の開発における従来技術は一般に、難溶性化合物に対する溶解性及び溶出評価を包含し、それらの剤形は、例えば本明細書においてインビトロ‐インビボ相関及びインビボでの薬剤放出の予測のためのFaSSIF−Original、FeSSIF−Originalとして既知であるオリジナルバージョンを用いる(非特許文献1)。 IVISIV(インビトロ‐インシリコ‐インビボ)モデリング及び模擬は、生体関連媒体から得られるインビトロでの溶解性及び溶出のデータに依存して、近年発達した(非特許文献4)。生理液のより精密な模擬のために、及び薬剤放出のより良好な予測を提供するために、主要な成分である胆汁塩及びリン脂質の異なる比率を採用するFaSSIF−V2、FeSSIF−V2が提案されてきた。 従来技術では、難溶性化合物の溶解性及び溶出特性に影響を及ぼし得るヒトの腸吸引液における界面活性剤のモル濃度及びモル比、pH、重量オスモル濃度、粘度、表面張力等の物理化学的要因を調査している(非特許文献3)。しかしながら、食物の効果及び界面活性剤のレベル以外のいずれの特定の要因も、インビトロでの溶解性及び溶出試験のための生体関連媒体の性質に有意に影響しないと考えられていた。従来技術の研究全体におけるFaSSIF−Original、FaSSIF−V2媒体等は、難溶性薬剤の溶解性の改善及びより良好なインビトロ‐インビトロ相関を主要な目的として、様々な組み合わせ及び様々な質の胆汁塩、リン脂質、及び場合によっては脂肪酸を用いて調製されていた。薬剤のタイプに応じて、FaSSIF−Original又はFaSSIF−V2は腸液により良好に適合し、これは薬剤によって媒体組成物が溶解性評価に適したものとなることを示唆している。 非特許文献6におけるレポートは、遊離脂肪酸‐モノグリセリドのレベル及びナノ構造組成物における比並びに摂食状態の腸液(fed state intestinal fluids(FeSSIF))を模擬する媒体の可溶化能力の影響を検討している。典型的な摂食状態及び絶食状態の媒体は、胆汁含有量が約60%の粗胆汁抽出物を使用して調製され、表面張力(ST)、動的光散乱、極低温透過型電子顕微鏡を利用して、媒体中のナノ構造のタイプを比較した。媒体のSTは、主に界面活性剤の総濃度に応じて、胆汁塩の濃度又は脂肪酸とモノグリセリドとの比とは独立して、28mN/m〜41mN/mの間で変動した。更に、ナノ構造のタイプはFeSSIF中の脂肪酸及びモノグリセリドによるものであり、これはイオン化していない難溶性薬剤を可溶化するのに関与することがわかった。これに比べて、粗胆汁塩を含み、脂肪酸又はモノグリセリドを含まない従来技術のFaSSIFhのSTは、約40mN/mであることがわかった。 Luner P Eらは非特許文献7において、胆汁塩及びリン脂質溶液のぬれ挙動に対する脂質の影響を根本的に評価した。生理学的条件下の摂食状態及び絶食状態の腸液に対応する脂肪酸及びモノグリセリドが溶液に追加された。固体ポリメチルメタクリレート(PMMA)モデル基質の表面の性質に起因する溶液のぬれ挙動が、表面張力、接触角と付着張力との相関関係を導き出すために検討された。報告によると、胆汁塩溶液中に存在する脂質のタイプ及び濃度の両方に依存するミセル系がぬれ挙動に影響した。模擬媒体中のリン脂質は、90〜96%の純ホスファチジルコリン(PC)及び>99%の純リゾレシチンからなる(酵素はモノアシルPCを含むジアシルリン脂質を部分的に分解しなかった)。胆汁成分は、ナトリウム塩としての>97%の純タウロデオキシコール酸及び>99%のタウロコール酸からなる。脂肪酸は、ドデカン(C12)酸、ヘプタン(C7)酸、デカン(C10)酸からなる最大12及びそれ以下の炭素鎖長からなる。表面張力値は、純胆汁塩、純PC、純リゾレシチン並びに12及びそれ以下の炭素鎖長を有する脂肪酸を含む脂質溶液から得られた。摂食状態の媒体における低い表面張力は、モノグリセリドによるものである。しかしながら研究は分析的に定義された胆汁塩の特定の組み合わせを含んでおらず;酵素は最大90重量%のモノアシルPC(即ちリゾPC)を含むジアシルリン脂質を消化し;脂肪酸は少なくとも14の炭素鎖長を有するもの(モノグリセリドを有さない)を絶食状態の媒体において有していた。一般的な見解は、界面活性剤は表面張力に影響するものの、溶出媒体の表面張力及び可溶化能力を調整するにあたって、インビボ条件を模倣するために使用するべき1つ若しくは複数の界面活性剤の種類又は濃度に関しては一致した意見がない、というものである。 Sunesen V Hらは非特許文献8において、摂食状態及び絶食状態の両方の腸液を模擬するための粗成分から調製した典型的な生体関連溶出媒体を使用するフロースルー溶出法を用いた薬剤のインビトロ‐インビボ相関(IVIVC)の検討に重点を置いた研究を開示した。その目的は、難溶性薬剤であるダナゾールのFaSSIF中での溶出に影響を及ぼすことができる媒体の流体力学を評価することであった。結論は、FeSSIFにおいて、薬剤としてのIVIVCは、モノグリセリド及び脂肪酸を共に媒体中に含むことによってしか得られないというものであった。絶食状態において、最も関連の深い相関は、脂肪酸を有さず、かつ約53%の胆汁塩を含有する粗胆汁抽出物からの6.3mMの胆汁塩、及び粗レシチンからの43%のPCを含有する1.25mMリン酸塩からの1.25mMnのリン脂質を含有する媒体において達成された。概して、粗成分から調製したFeSSIF及びFaSSIF媒体の表面張力は、FeSSIF中のモノグリセリド含有量及び/又はFaSSIF生成用の原料中の不純物を考慮に入れて、25mN/m〜36mN/mの範囲であった。安定した表面張力を標的としたFaSSIF媒体を調製するための、特定の範囲の表面張力は提案されていない。 Kalantzi Lらは非特許文献9において、イヌ科の腸内容物及び例えばFaSSIF−Original等の模擬媒体の、絶食時及び接触時のヒトの腸吸引液における2つの塩基性薬剤の溶出の予測における相対的な有用性を評価した。模擬絶食状態媒体FaSSIFの表面張力値は49.8mN/mと報告されており;イヌ科の腸液は試料を採取する間隔に応じて28.3mN/m〜36.5mN/mの範囲であり;一方で絶食時のヒトの腸液の表面張力は33.6mN/mである。示した例におけるFaSSIFは、粗胆汁抽出物並びに97重量%のジアシルPC及び3重量%のリゾPCからなるリン脂質を使用して調製した。 特許文献1は、固体溶出組成物並びにFaSSIF及びFeSSIFの両方を含むヒト生体関連媒体を調製する方法を開示している。固体組成物は、モル比1:1〜20:1の胆汁塩及びリン脂質からなる、胆汁塩とリン脂質との複合体を意味する。このリン脂質は幅広い種類のリン脂質から選択でき、レシチン、酵素加水分解レシチン、ジアシルリン脂質、モノアシルリン脂質であってもよい。 特許文献2は、胆汁塩並びにリン脂質を1:1及び10:1の比で含み、また任意にモノグリセリド及び脂肪酸等のトリグリセリド消化の分解生成物を、胆汁塩に対して1:10〜6:1の比で含む、摂食状態模擬腸液(FeSSIF)のみを調製するための生体関連媒体の即席形態を記載している。 従来技術は、市販認可が得られる以前又は以後のリスクを排除する生物学的同等性研究を支援することによって薬剤製品の薬学的開発を効率化するために、ヒトの医薬のための様々な処方を評価するために使用する媒体、及び臨床試験において使用される最適な処方の選択のために使用される媒体から得られる医薬製品の前臨床評価において典型的に使用される複数の動物用の別個の生体関連媒体を教示できていない。国際公開第2007/054342号国際公開第2008/040799号Dressman et. al., Dissolution testing as a prognostic tool for oral drug absorption: immediate release dosage forms. Pharm. Res. 15:11−22 (1998)Shono et al. European Journal of Pharmaceutics and Biopharmaceutics 73 (2009) 107−114Kleberg review (Journal of Pharmacy and Pharmacology 2010; 62: 1656−1668)Shono et. al., Prediction of food effects on the absorption of celecoxib based on biorelevant dissolution testing coupled with physiologically based pharmacokinetic modelling. Europ. Journal Pharm. and Biopharm. 73 107−114 (2009)Jantratid et. al., Dissolution Media Simulating Conditions in the Proximal Human Gastrointestinal Tract: An Update. Pharmaceutical Research, Vol. 25, No. 7, (2008)Kleberg K et al, Journal of Pharmaceutical Sciences, vol.99, no.8. 17th May 2010, pages 3522−3532Luner P E et al, Journal of Pharmaceutical Sciences, vol.90, no.3, 1 January 2001 (2001−01−01) pages 348−359Sunesen V H et al, European Journal of Pharmaceutical Sciences, vol. 24, no. 4, 1st March 2005, (pages 305−313)Kalantzi L et al, Pharmaceutical Research, vol.23, no.6, 25th May 2006, pages 1373−1381 本発明の目的は、例えば絶食状態の消化管領域において分析的に定義され発見される生体関連成分の選択を含む、新規の組成物を提供することである。別の目的は、ヒト及び動物種において絶食状態条件を模擬する目的で、生体関連媒体を最適化することである。本発明の更なる目的は、哺乳類の胃及び上部腸管において絶食状態条件をより良好に模擬する目的で、再現可能な生体関連媒体を調製するために、分析的に定義された生体関連成分を選択する方法を提供することである。更なる目的は、水難溶性化合物及びその剤形のインビトロ溶解性、浸透性、過飽和、沈殿、放出及び溶出を試験するために使用できる、生体関連媒体を提供することである。 更に、生体関連媒体におけるインビトロ試験条件を改善することを目的とする。特に、複数の源からの界面活性剤に関連する変動を低減又は回避すること、薬剤処方を最適化するために必要な研究の数を最小化すること、インビボ生物学的同等性研究に大きく依存するリスクを低減することを目標とする。 上述の目的は、その成分だけでなくその一定の生理化学的特性、特に例えば一定の表面張力を特徴とする再現可能な媒体を得るための、分析的に定義された成分に基づくインビボ研究のために、生体関連媒体を構成することによって達成される。 本発明は、絶食状態生体関連媒体を調製するための、固体又は水性濃縮物であってよい新規の組成物について説明する。この絶食状態媒体はまず、胆汁塩と、胃及び小腸において絶食状態条件を模擬する界面活性剤との選択された組み合わせを含む。好ましい絶食状態生体関連媒体は、溶出及び溶解性試験に関して適切な範囲内の表面張力を標的とし、これにより、模擬絶食状態媒体において薬剤の溶解性及び溶出を生成及び比較する際に均一な基準を提供する。最適化されていない媒体と比較して、本発明において開示するような均一かつ標準化された、例えば最適化された生体関連媒体を使用して、新規の薬剤候補及びジェネリック処方の溶解性及び溶出を評価することにより、薬剤を吸収可能なものとすることに関する生物学的同等性試験において、薬剤化合物及び薬剤処方の不適切な溶解性及び溶出のより良好な識別を補助することができる。試験プログラム全体にわたって再現可能な物理的及び化学的特性を有する最適化された媒体における新規の薬剤候補の可能な処方の評価は、経口投与用の最適な処方を識別するために非常に効率的な、信頼性の高い方法である。従って本発明は特に、絶食状態生体関連媒体を調製するための固体又は水性濃縮物に関する。 生体関連媒体は有利には、生理化学的特性、特にインビトロ研究のための表面張力に関する標的範囲を特徴としてよい。 溶解性試験のために薬剤を絶食状態媒体に適合させると、上述の従来技術は続行できず、薬剤の溶解性評価に関してより再現可能で信頼性の高い媒体を作製するための特定の組み合わせ及び特定の成分を特定できない。分析的に特定された(1つ又は複数の)成分を利用して、絶食状態の胃液及び腸液を安定して再現可能に模擬する(1つ又は複数の)成分を定義するための方法は開示されていない。表面張力パラメータに関して組成物を最適化するための設備を提供する方法に関して、従来技術には説明されていない。驚くべきことに、本発明による最適化は、絶食状態生体関連媒体の再現性をより良好に制御できることが分かった。表面張力パラメータを標的とし、凝集状態、例えば模擬媒体中で混合されたミセルの構成に影響し得る成分は、溶解性及び溶出試験のための従来技術の絶食状態生体関連媒体においては重要な役割を有するものとして考慮されていなかった(Fotaki and Vertzoni, The Open Drug Delivery Journal, 2010, 4, 2−13)。 特に、絶食状態条件を模擬する再構成された生体関連媒体の表面張力の制御を標的とすることによって、難溶性化合物の溶解特性を事前に決定して最適化できることが分かった。驚くべきことに、表面張力を25mN/m〜50mN/mの範囲に制御することによって、溶解値は最適化され、安定して有利なレベルとなることが分かった。更に、絶食状態条件を模擬する再構成された生体関連媒体の表面張力の制御は、この媒体の前駆体組成を事前に定義することによって事前に定義できることが分かった。結果として得られる表面張力値は、前駆体組成に大きく依存することが分かった。生体関連媒体の成分及びパラメータが多いため、表面張力を効果的に操作して実際に所望の範囲を標的とするために使用できる主要な成分及びパラメータを発見することが、更なる課題となった。いずれの従来技術も、このような表面張力の操作について開示していない。更にいずれの従来技術も、表面張力の操作方法を識別していない。 分かっている限りでは、選択された成分及び安定した表面張力を標的とする一意の組み合わせで構成されたヒト及びイヌ(その他の哺乳類種も含む)用の生体関連媒体を考慮した明示的な開示は従来技術には存在しない。とりわけ、先行技術文献はそれぞれ別個にも、又はそれらを組み合わせても、本発明の固体又は濃縮水性組成物を目標としてはいない。更に、胆汁塩並びにヒト及び他の哺乳類種の胃及び小腸の絶食状態条件を模擬する界面活性剤の組み合わせの的確な選択によって定義される、特に生理化学的特性を特徴とする最適化された(ただし表面張力が本発明による範囲内に限定されていない)生体関連媒体の便益は、従来技術には開示されていない。 分析的に特定された界面活性剤の特定の組み合わせを選択することによって定義される生体関連組成物を開示する。本発明による組成物は、絶食状態生体関連媒体を再構成するために特に有用な固体又は水性濃縮物であってよい。再構成された生体関連媒体は、分析的に定義された成分からなり、組成及び生理化学的特性に関してより安定して再現可能である。絶食状態媒体は有利には、分析的に定義された界面活性剤の総量(mmol)、表面張力(mN/m)、各界面活性剤の量及びモル比、pH、重量オスモル濃度(Osmol/kg)緩衝能力並びにイオン強度を選択することにより、限度内に制限される。最も好ましくは、薬剤溶解性及び溶出試験のために、及び同一の薬剤の処方間での生物学的同等性の比較のために、媒体は少なくとも、絶食状態の胃及び小腸内の体液、特に絶食状態のヒト及びイヌ科動物の体液を模擬するための成分の選択によって定義された範囲内の媒体の組成及び表面張力の観点から最適化される。 本発明による生体関連媒体(特にFaSSGF−V3 human及びFaSSIF−V3 human)は、本質的に胆汁塩及びジアシルリン脂質成分からなるFaSSGF−Original、FaSSGF−V2及びFaSSIF−Original、FaSSIF−V2として一般に知られている、絶食状態条件を模擬する従来技術の媒体とは区別される。特に本発明による生体関連媒体は、脂肪酸及び/又は部分的に酵素分解されたジアシルリン脂質の形態で提供されるモノアシルPCを含む界面活性剤の組み合わせ、並びに25mN/m〜50mN/m、好ましくは35mN/m〜45mN/m、より好ましくは28mN/m〜45mN/m、最も好ましくは30mN/m〜42mN/mの範囲の表面張力という生理化学的特性によって区別される。 従来技術のFaSSGF−Original、FaSSIF−Original、FaSSIF−V2は、開示された組成及びkey界面活性剤成分が、脂肪酸及び/又は部分的に酵素分解されたジアシルリン脂質の形態で提供されるモノアシルPCを含まず、品質及び効果的な組成がある程度可変であるという点で、最適化されていない生体関連媒体であることが分かった。また、従来技術の絶食状態媒体の表面張力パラメータは、例えば25mN/m〜50mN/m、特に28mN/m〜45mN/m又は30mN/m〜42mN/mの範囲外まで大幅に変化し得ることが分かった。最も驚くべきことに、上述のような組成の制御及び上述のような表面張力パラメータの調整は、薬剤の溶解性及び溶出試験条件を改善させることが分かった。 絶食状態生体関連媒体における表面張力の制御及び操作は、本発明において教示されるように、(1つ若しくは複数の)脂肪酸及び/又はモノアシルリン脂質、特にモノアシルPCを50%〜90%の範囲で含む部分的に酵素分解されたジアシルリン脂質の適切な量を選択することで達成される。 本発明による生体関連媒体は、その組成と、例えばpH、緩衝性能、重量オスモル濃度並びに特に胃及び小腸の絶食状態条件を模擬した胆汁塩及び界面活性剤の選択によって定義される範囲内の表面張力といった生理化学的特性とに関して最適化及び標準化される。生理化学的特性の標的値は、絶食状態生体関連媒体(例えばFaSSGF−V3 human等のヒトFaSSGF、及びFaSSIF−V3 human等のヒトFaSSIF)中の界面活性剤の組み合わせに対して特異的であり、媒体を調製する度に安定して再現されるものである。 例示的実施形態 第1の例示的実施形態では、以下の態様及び下位態様を開示する。 第1の態様では、以下: (a)少なくとも40モル%〜95モル%の1つの胆汁塩;並びに (b)残りのモル%を占める、少なくとも2つの界面活性剤、即ち: −ジアシルリン脂質、及びそれ自体の1価塩を含む脂肪酸;又は −モノアシルリン脂質、及びそれ自体の1価塩を含む脂肪酸;又は −ジアシルリン脂質、モノアシルリン脂質、及びそれ自体の1価塩を含む脂肪酸;又は −ジアシルリン脂質及びモノアシルリン脂質を含む、哺乳類の消化管内で発生する複数の界面活性剤からなり、更に25mN/m〜50mN/mの表面張力を特徴とする、哺乳類種の絶食状態の胃液及び絶食状態の上部小腸液を模擬した、標準化された水性生体関連媒体である。 第2の態様では、表面張力が35mN/m〜45mN/m、好ましくは28mN/m〜45mN/m、より好ましくは30mN/m〜42mN/mである、態様1による生体関連媒体である。 第3の態様では、上記2つの界面活性剤の混合物中のモル比が1:20〜20:1である、態様1又は態様2による生体関連媒体である。 第4の態様では、コレステロール又はそのエステル、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、脂肪酸以外のリン脂質の分解産物、及びこれらの混合物からなる群から選択される、哺乳類の消化管内で自然発生する補助界面活性剤を0.001モル%〜10モル%更に含む、態様1〜3のいずれか1つによる標準化された生体関連媒体である。 第5の態様では、胆汁塩と、少なくとも2つの界面活性剤の上記組み合わせ及び場合によっては補助界面活性剤からなる界面活性剤の合計とのモル比が、2:3〜19:1、好ましくは1:1〜15:1、より好ましくは2:1〜6:1、最も好ましくは3:1〜5:1である、態様1〜4のいずれか1つによる生体関連媒体である。 第6の態様では、それ自体の1価塩を含む上記脂肪酸に対する、上記少なくとも1つのモノアシルリン脂質及びジアシルリン脂質の混合物中のモル比が1:20〜20:1である態様1〜5のいずれか1つによる生体関連媒体である。 第7の態様では、それ自体の1価塩を含む上記脂肪酸に対するジアシルリン脂質の混合物中のモル比が1:20〜20:1である、態様1〜6のいずれか1つによる生体関連媒体である。 第8の態様では、水、緩衝剤、浸透圧関連成分、安定剤、抗酸化剤、pH調整剤、殺菌剤、例えばペプシン、膵酵素である酵素から選択される成分を更に含む、態様1〜7のいずれか1つによる生体関連媒体である。 第9の態様では、25mN/m〜50mN/mの表面張力を特徴とし、以下の界面活性剤: (a)少なくとも40モル%〜95モル%の1つの胆汁塩;並びに (b)残りのモル%を占める、少なくとも2つの界面活性剤、即ち: −ジアシルリン脂質、及びそれ自体の1価塩を含む脂肪酸;又は −モノアシルリン脂質、及びそれ自体の1価塩を含む脂肪酸;又は −ジアシルリン脂質、モノアシルリン脂質、及びそれ自体の1価塩を含む脂肪酸;又は −ジアシルリン脂質及びモノアシルリン脂質を含む、絶食状態生体関連媒体を調製するための均質な生体関連組成物である。 第10の態様では、平均粒径10μm〜1000μm、充填密度0.3g/cm3〜0.7g/cm3、含水率5重量%未満の粉末形態;又は顆粒、ペレット、錠剤若しくはカプセルの形態であり、顆粒若しくはペレットの場合の平均粒径が200μm〜2000μmである、態様9による均質な組成物である。 第11の態様では、水性媒体中に分散した10重量%〜60重量%;好ましくは20重量%〜60重量%の界面活性剤を含み、並びに好ましくは抗酸化剤及び殺菌剤を更に含む液体組成物の形態である、態様9又は10による均質な組成物である。 第12の態様では、揮発性溶媒、水又はこれらの混合物に界面活性剤を溶解させること、及び溶媒を除去し、含水率が5重量%未満の固体組成物を得ることを含む態様9〜11のいずれか1つによる均質な固体生体関連組成物を調製するための方法である。 第13の態様では、10重量%〜60重量%の界面活性剤が、緩衝剤、浸透圧関連成分、安定剤、抗酸化剤、pH調整剤、殺菌剤から選択される成分を更に含む15℃〜60℃の水性媒体中に溶解又は分散され、水を除去するための乾燥ステップが存在しない、態様9〜11のいずれか1つによる均質な固体生体関連組成物を調製するための方法である。 第14の態様では、2〜20mmol、好ましくは2〜6mmolの態様9〜13のいずれか1つの生体関連組成物を含むFaSSIF human媒体、及び2〜20mmol、好ましくは10〜15mmolの態様9〜13のいずれか1つの生体関連組成物を含むFaSSIF−canine媒体を調製するための方法を開示し、本方法は、水性媒体を均質な固体に添加する又は液体組成物を水性媒体で希釈するためのステップを含み、水性媒体は緩衝剤及び浸透圧調節剤を含む。 第15の態様では、0.01mmol〜5mmol、好ましくは0.01mmol〜1mmolの態様9〜13のいずれか1つの生体関連組成物を含むFaSSGF human媒体、及び0.1mmol〜5mmol、好ましくは0.1mmol〜2mmolの態様9〜13のいずれか1つの生体関連組成物を含むFaSSGF−canine媒体を調製するための方法を開示し、本方法は、水性媒体を均質な固体に添加する又は液体組成物を水性媒体で希釈するためのステップを含み、水性媒体は緩衝剤及び浸透圧調節剤を含む。 第16の態様では、複数の界面活性剤及び任意に補助界面活性剤を独立して計量して、水、緩衝剤、浸透圧関連成分、安定剤、抗酸化剤、pH調整剤、殺菌剤、例えばペプシン、膵酵素である酵素から選択される成分を含む水性媒体に、別個に、共に又は順次溶解させることを含む、態様1〜8のいずれか1つによる生体関連媒体を調製するための方法である。 第2の例示的実施形態では、以下の態様及び下位態様を開示する。 第1の態様では、哺乳類種の絶食状態の胃液及び絶食状態の上部小腸液を模擬するための、25mN/m〜50mN/mの表面張力を有する絶食状態生体関連媒体を調製するための、均質な生体関連組成物を開示し、この生体関連組成物は以下の界面活性剤: 少なくとも1つの胆汁塩、好ましくは以下の2つの胆汁塩、即ち: (i)以下を含むリン脂質の群: ・60重量%〜99重量%のホスファチジルコリン(PC); ・好ましくはPCとの逆混合によって得られる50重量%〜90重量%のモノアシルPCを含む、部分的に酵素分解されたジアシルリン脂質; ・PCと、部分的に酵素分解されたジアシルリン脂質との混合物(ここでモノアシルPCのレベルは5重量%〜80重量%である)から選択された、少なくとも1つのリン脂質;及び (ii)少なくとも1つの脂肪酸又はこの脂肪酸の1価塩を含む。 第2の態様では、上記界面活性剤の40モル%〜95モル%が少なくとも1つの胆汁塩(i)からなること、並びに上記界面活性剤の残りのモル%(即ち60モル%〜5モル%)が少なくとも1つのリン脂質(ii)及び少なくとも1つの脂肪酸又はこの脂肪酸の1価塩(iii)からなることを特徴とする、態様1による均質な組成物である。 第3の態様では、界面活性剤の上記残りのモル%が更にコレステロールを含むことを特徴とする、態様2による均質な組成物である。 第4の態様では、上記少なくとも1つの胆汁塩又は好ましくは2つの胆汁塩が、コール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、タウロデオキシコール酸ナトリウム、グリコデオキシコール酸ナトリウム、ウルソデオキシコール酸ナトリウム、ケノデオキシコール酸ナトリウム、タウロケノデオキシコール酸ナトリウム、グリコケノデオキシコール酸ナトリウム、コリルサルコシン酸ナトリウム、N−メチルタウロコール酸ナトリウム及びこれらの遊離酸からなる群から選択されることを特徴とする、態様1〜3のいずれか1つによる均質な組成物である。 第5の態様では、上記少なくとも1つの脂肪酸が、14〜22個の炭素原子を有する脂肪酸のうちの少なくとも1つであることを特徴とする、態様1〜4のいずれか1つによる均質な組成物である。 第6の態様では、モノグリセリドを有さない態様1〜5のいずれか1つによる均質な組成物である。 第7の態様では、例えば: −平均粒径10μm〜1000μm、充填密度0.3g/cm3〜0.7g/cm3、含水率5重量%未満の粉末; −粒径が200μm〜2000μmの顆粒若しくはペレット; −錠剤;又は −カプセル等の固体形態の、態様1〜6のいずれか1つによる均質な組成物である。 第8の態様では、水性媒体中に分散した10重量%〜60重量%、好ましくは20重量%〜60重量%、好ましくは20重量%〜50重量%、より好ましくは30重量%〜40重量%の界面活性剤を含み、並びに好ましくは抗酸化剤及び殺菌剤を更に含む、例えば水性濃縮物等の液体組成物の形態である、態様1〜6のいずれか1つによる均質な組成物である。 第9の態様では: (iii)少なくとも1つの胆汁塩、好ましくは2つの胆汁塩; (iv)以下を含むリン脂質の群: ・60重量%〜99重量%のホスファチジルコリン(PC); ・好ましくはPCとの逆混合によって得られる50重量%〜90重量%のモノアシルPCを含む、部分的に酵素分解されたジアシルリン脂質; ・PCと、部分的に酵素分解されたジアシルリン脂質との混合物(ここでモノアシルPCのレベルは5重量%〜80重量%である)から選択された、少なくとも1つのリン脂質;及び (v)少なくとも1つの脂肪酸又はこの脂肪酸の1価塩を含み、表面張力が25mN/m〜50mN/mである、哺乳類の消化管内で発生する界面活性剤からなる、哺乳類種の絶食状態胃液及び絶食状態上部小腸液を模擬するための、水性生体関連媒体である。 この水性生体関連媒体は有利には、第1の態様による上述の均質な生体関連組成物から調製される。 第10の態様では、表面張力が35mN/m〜45mN/m、好ましくは28mN/m〜45mN/m、より好ましくは30mN/m〜42mN/mである、態様9による水性生体関連媒体である。 第11の態様では、上記界面活性剤の40モル%〜95モル%が少なくとも1つの胆汁塩(i)からなること、並びに上記界面活性剤の残りのモル%(即ち60モル%〜5モル%)が少なくとも1つのリン脂質(ii)及び少なくとも1つの脂肪酸又はこの脂肪酸の1価塩(iii)からなることを特徴とする、態様9又は10による水性生体関連媒体である。 第12の態様では、界面活性剤の上記残りのモル%が更にコレステロールを含むことを特徴とする、態様9〜11のいずれか1つによる水性生体関連媒体である。 第13の態様では、上記少なくとも1つの胆汁塩又は好ましくは2つの胆汁塩が、コール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、タウロデオキシコール酸ナトリウム、グリコデオキシコール酸ナトリウム、ウルソデオキシコール酸ナトリウム、ケノデオキシコール酸ナトリウム、タウロケノデオキシコール酸ナトリウム、グリコケノデオキシコール酸ナトリウム、コリルサルコシン酸ナトリウム、N−メチルタウロコール酸ナトリウム及びこれらの遊離酸からなる群から選択されることを特徴とする、態様9〜12のいずれか1つによる水性生体関連媒体である。 第14の態様では、上記少なくとも1つの脂肪酸が、14〜22個の炭素原子を有する脂肪酸のうちの少なくとも1つであることを特徴とする、態様9〜13のいずれか1つによる水性生体関連媒体である。 第15の態様では、モノグリセリドを有さない態様9〜14のいずれか1つによる水性生体関連媒体である。 第16の態様では、ヒトFaSSGFを模擬するための界面活性剤の総量が0.01mmol〜5mmol、好ましくは0.01mmol〜1mmolである態様9〜15のいずれか1つによる水性関連媒体である。 第17の態様では、ヒトFaSSIFを模擬するための界面活性剤の総量が2mmol〜20mmol、好ましくは2mmol〜6mmolである態様9〜15のいずれか1つによる水性関連媒体である。 第18の態様では、イヌ科動物FaSSGFを模擬するための界面活性剤の総量が0.1mmol〜5mmol、好ましくは0.1mmol〜2mmol、より好ましくは0.01mmol〜5mmolである態様9〜15のいずれか1つによる水性関連媒体である。 第19の態様では、イヌ科動物FaSSIFを模擬するための界面活性剤の総量が2mmol〜20mmol、好ましくは5mmol〜20mmol、より好ましくは10.0mmol〜15.0mmolである態様9〜15のいずれか1つによる水性関連媒体である。 第20の態様では、少なくとも1つの胆汁塩を少なくとも60モル%、より好ましくは少なくとも70モル%含む、態様16〜19のいずれか1つによる生体関連媒体である。 第21の態様では、それ自体の1価塩を含む上記脂肪酸に対する、上記少なくとも1つのモノアシルPC及びジアシルPCの合計モルのモル比が1:20〜20:1である態様9〜20のいずれか1つによる水性生体関連媒体である。 第22の態様では、モノアシルPCに対するジアシルPCのモル比が1:20〜20:1である態様9〜21のいずれか1つによる水性生体関連媒体である。 第23の態様では、それ自体の1価塩を含む上記脂肪酸に対するジアシルPCのモル比が1:20〜20:1である態様9〜22のいずれか1つによる水性生体関連媒体である。 第24の態様では、水、緩衝剤、浸透圧関連成分、安定剤、抗酸化剤、pH調整剤、殺菌剤、例えばペプシン、膵酵素である酵素から選択される成分を更に含む、態様9〜23のいずれか1つによる水性生体関連媒体である。 第25の態様では、態様1〜8のいずれか1つによる生体関連組成物を、所定の量だけ水又は水性媒体に添加することによって、生体関連媒体を再構成する方法である。 第26の態様では、溶媒、水又はこれらの混合物に界面活性剤を溶解させること、及び溶媒を除去し、含水率が5重量%未満の固体組成物を得ることを含む、態様7による固体生体関連組成物を調製するための方法である。 第27の態様では、10重量%〜60重量%の界面活性剤が、緩衝剤、浸透圧関連成分、安定剤、抗酸化剤、pH調整剤、殺菌剤から選択される成分を更に含む15℃〜60℃の水性媒体中に溶解又は分散され、水を除去するための乾燥ステップが存在しない、態様8による水性濃縮物を調製するための方法である。 第28の態様では、水性媒体を上記固体に添加する又は上記液体生体関連組成物を水性媒体で希釈するステップを含み、水性媒体は緩衝剤及び浸透圧調節剤を含む、態様9〜24のいずれか1つによる絶食状態媒体を模擬する水性生体関連媒体を調製するための方法である。 第29の態様では、複数の界面活性剤及び任意に補助界面活性剤を独立して計量して、水、緩衝剤、浸透圧関連成分、安定剤、抗酸化剤、pH調整剤、殺菌剤、例えばペプシン、膵酵素である酵素から選択される成分を含む水性媒体に、別個に、共に又は順次溶解させることを含む、態様9〜24のいずれか1つによる水性生体関連媒体を調製するための方法である。 第30の態様では、溶解性試験、溶出試験、生物学的同等性評価、薬剤放出評価、IVIVC、インシリコモデリング及び模擬、薬剤の過飽和、薬剤の沈殿、薬剤の安定性、亢進された処方の性能並びに薬剤浸透性研究のために、分析的に定義された界面活性剤を特定の比率で含む、態様9〜24のいずれか1つによる水性絶食状態生体関連媒体の使用である。 固体組成物及び水性濃縮物 本発明は、固体又は液体であってよい新規の生体関連組成物について説明する。 特に固体組成物及び液体組成物、例えば水性濃縮物を、再現可能な絶食状態生体関連媒体を再構成するために使用する。 例えば本組成物は、以下から選択される哺乳類の消化管で発生する分析的に定義された以下の界面活性剤の選択を含むか、又は上記選択からなる: (i)コール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、タウロデオキシコール酸ナトリウム、グリコデオキシコール酸ナトリウム、ウルソデオキシコール酸ナトリウム、ケノデオキシコール酸ナトリウム、タウロケノデオキシコール酸ナトリウム、グリコケノデオキシコール酸ナトリウム、コリルサルコシン酸ナトリウム、N−メチルタウロコール酸ナトリウム及びこれらの遊離酸からなる群から選択される、上記少なくとも1つの、好ましくは2つの胆汁塩; (ii)以下を含む実質的に純粋なリン脂質の群: ・60重量%〜99重量%のホスファチジルコリン(PC); ・好ましくはPCとの逆混合によって得られる50重量%〜90重量%のモノアシルPCを含む、部分的に酵素分解されたジアシルリン脂質; ・PC(i)と、部分的に酵素分解されたジアシルリン脂質(ii)との混合物(ここでモノアシルPCのレベルは5重量%〜80重量%である)から選択された、少なくとも1つのリン脂質;並びに (iii)少なくとも1つの脂肪酸又はこの脂肪酸の1価塩、好ましくは14〜22個の炭素原子を有する少なくとも1つの脂肪酸又は14〜22個の炭素原子を有する少なくとも1つの脂肪酸の1価塩。 特に絶食状態生体関連媒体を作製するための上記固体及び水性濃縮物中の界面活性剤の総量に対する百分率としての、各界面活性剤のモル濃度は: (a)少なくとも1つの胆汁塩:40〜95モル%、(少なくとも40モル%かつ40モル%〜50モル%)、(少なくとも50モル%かつ50モル%〜60モル%)、(少なくとも60モル%かつ60モル%〜70モル%)、好ましくは(少なくとも70モル%かつ70モル%〜80モル%)、より好ましくは(少なくとも80モル%かつ80モル%〜90モル%)、最も好ましくは(少なくとも90モル%かつ90モル%〜95モル%); (b)少なくとも1つのリン脂質:0.1モル%〜40モル%(好ましくは0.5モル%〜30モル%、1モル%〜20モル%、より好ましくは2モル%〜20モル%、より好ましくは1モル%〜15モル%) ここでリン脂質は: (i)60重量%〜99重量%のPCを含む実質的に純粋なジアシルリン脂質;又は (ii)PCとの逆混合によって得られる50重量%〜90重量%のモノアシルPCを含む、部分的に酵素分解されたジアシルリン脂質;又は (iii)PC(i)と、部分的に酵素分解されたジアシルリン脂質(ii)との混合物(ここでモノアシルPCのレベルは5重量%〜80重量%である) を含む; (c)少なくとも1つの(好ましくは14〜22個の炭素原子を有する)脂肪酸又は上記脂肪酸の1価塩:0.1モル%〜40モル%(好ましくは0.5モル%〜30モル%、1モル%〜20モル%、より好ましくは2モル%〜20モル%、より好ましくは1モル%〜15モル%);及び任意に (d)コレステロール:0モル%〜10モル%(好ましくは0.001モル%〜10モル%、好ましくは0.01モル%〜7.5モル%、より好ましくは0.01モル%〜5モル%、より好ましくは0.01モル%〜1モル%)である。 生体関連固体組成物、水性濃縮物及び結果として得られる絶食状態生体関連媒体中の、(a)、(b)、(c)の選択された生体関連界面活性剤間のモル比の範囲は、以下の通りである: ・リン脂質及び14〜22個の炭素原子を有する脂肪酸又は上記脂肪酸の1価塩に対する、胆汁塩のモル比は、1:2〜20:1である; ・リン脂質に対する胆汁塩のモル比は、1:1〜20:1、好ましくは4:1〜15:1、より好ましくは8:1〜15:1である; ・14〜22個の炭素原子を有する脂肪酸又は上記脂肪酸の1価塩に対する、PCのモル比は、1:20〜20:1、好ましくは約1:5〜5:1、より好ましくは1:2〜2:1である; ・14〜22個の炭素原子を有する脂肪酸又は上記脂肪酸の1価塩に対する、モノアシルPCのモル比は、1:20〜20:1、好ましくは約1:5〜5:1、より好ましくは1:2〜2:1である; ・14〜22個の炭素原子を有する脂肪酸又は上記脂肪酸の1価塩に対する、リン脂質(PC及びモノアシルPC)のモル比は、1:20〜20:1、好ましくは約1:5〜5:1、より好ましくは1:2〜2:1である; ・モノアシルPCに対するPCのモル比は、1:20〜20:1、好ましくは約1:20〜1:1、より好ましくは1:20〜1:2である。 ヒト生体関連媒体(FaSSGF−V3 human及びFaSSIF−V3 human) 最適化された生体関連媒体は例えば、哺乳類の消化管内で発生する表面張力を標的とする以下の界面活性剤の選択を含むか、又は上記選択からなる: (i)コール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、タウロデオキシコール酸ナトリウム、グリコデオキシコール酸ナトリウム、ウルソデオキシコール酸ナトリウム、ケノデオキシコール酸ナトリウム、タウロケノデオキシコール酸ナトリウム、グリコケノデオキシコール酸ナトリウム、コリルサルコシン酸ナトリウム、N−メチルタウロコール酸ナトリウム及びこれらの遊離酸からなる群から選択される、上記少なくとも1つの、好ましくは2つの胆汁塩; (ii)60重量%〜99重量%のホスファチジルコリン(PC)を含む実質的に純粋なジアシルリン脂質;逆混合プロセスによって得られる50重量%〜90重量%のモノアシルPCを含む、部分的に酵素分解されたジアシルリン脂質;5重量%〜80重量%のモノアシルPCを含むこれらの混合物から選択された少なくとも1つのリン脂質; (iii)少なくとも1つの脂肪酸又はこの脂肪酸の1価塩、好ましくは14〜22個の炭素原子を有する少なくとも1つの脂肪酸又は14〜22個の炭素原子を有する少なくとも1つの脂肪酸の1価塩。 ヒト及び哺乳類種における絶食状態条件を模擬する表面張力を標的とする最適化された生体関連媒体は、以下を含む: (a)少なくとも1つの胆汁塩:40〜95モル%、(少なくとも40モル%かつ40モル%〜50モル%)、(少なくとも50モル%かつ50モル%〜60モル%)、(少なくとも60モル%かつ60モル%〜70モル%)、好ましくは(少なくとも70モル%かつ70モル%〜80モル%)、より好ましくは(少なくとも80モル%かつ80モル%〜90モル%)、最も好ましくは(少なくとも90モル%かつ90モル%〜55モル%); (b)少なくとも1つのリン脂質:0.1モル%〜40モル%(好ましくは0.5モル%〜30モル%、1モル%〜20モル%、より好ましくは2モル%〜20モル%、より好ましくは1モル%〜15モル%) ここでリン脂質は: (i)60重量%〜99重量%のPCを含む実質的に純粋なジアシルリン脂質;又は (ii)PCとの逆混合によって得られる50重量%〜90重量%のモノアシルPCを含む、部分的に酵素分解されたジアシルリン脂質;又は (iii)PC(i)と、部分的に酵素分解されたジアシルリン脂質(ii)との混合物(ここでモノアシルPCのレベルは5重量%〜80重量%である) を含む; (c)少なくとも1つの(好ましくは14〜22個の炭素原子を有する)脂肪酸又は上記脂肪酸の1価塩:0.1モル%〜40モル%(好ましくは0.5モル%〜30モル%、1モル%〜20モル%、より好ましくは2モル%〜20モル%、より好ましくは1モル%〜15モル%);及び任意に (d)コレステロール:0モル%〜10モル%(好ましくは0.001モル%〜10モル%、好ましくは0.01モル%〜7.5モル%、より好ましくは0.01モル%〜5モル%、より好ましくは0.01モル%〜1モル%)。 ヒト及びイヌ科動物FaSSGF及びFaSSIF(例えばFaSSGF−V3 human及びFaSSIF−V3 human並びにFaSSGF−V3-canine及びFaSSIF−V3-canine)に関する、本発明による標的の表面張力は、安定して25mN/m〜50mN/m、好ましくは30mN/m〜45mN/m又は30mN/m〜42mN/mの範囲である。 媒体の組成及びこれに付随する表面張力値は、標的表面張力パラメータを考慮して(25〜50mN/mの範囲内で)、所定の哺乳類の胃、及び上部小腸の標的位置における体液に可能な限り適合するよう最適化される。 従来技術は、生体関連媒体を最適化することによって(成分中の未知の不純物による)バッチ間変動を回避するための表面張力を考慮すること、又は絶食状態媒体中の25mN/m〜50mN/mの表面張力を安定して標的とするための好ましい成分及び量をはっきりと示すことをしていない。対照的に、従来技術は本発明から離れた教示を含み、生体関連媒体中で使用できる様々なグレードの界面活性剤を示唆する。更に、再現可能な媒体を提供すること及びバッチ間変動を回避することが本発明の対象であるとすると、絶食状態条件を模擬する生体関連媒体を最適化する際にヒト及びイヌ科動物の胃液及び腸液の表面張力を模擬する成分を選択及び定義するのが合理的と考えられる。 従来技術は、25mN/m〜50mN/m、好ましくは28mN/m〜45mN/m、より好ましくは30mN/m〜45mN/m、より好ましくは30mN/m〜42mN/mの範囲の表面張力を標的とする分析的に定義された成分の一意の組み合わせを特徴とする、ヒトFaSSGF及びヒトFaSSIF、イヌ科動物FaSSGF及びイヌ科動物FaSSIFを提供するための均質な固体又は濃縮水性組成物を開示していない。 水性媒体中の混合ミセルを形成する胆汁塩及びジアシルリン脂質のみの2成分混合物からなる生体関連媒体は、安定したある範囲内にある表面張力を有する溶液又は分散液を提供できない。本発明の絶食状態生体関連媒体(例えばFaSSGF−V3 human及びFaSSIF−V3 human)は、mmolで表される選択された界面活性剤の組み合わせが25mN/m〜50mN/mの表面張力を標的とするよう定義される。摂食状態の腸の条件を模擬する従来技術の生体関連媒体(例えばFeSSIF)における表面張力は、ここで請求する範囲内の表面張力を有することができることが分かる。しかしながら、従来技術の摂食状態媒体は、本質的に分析的に定義された胆汁塩、リン脂質、脂肪酸を含みかつ安定して25mN/m〜50mN/mの表面張力を標的とする本発明のヒトFaSSGF及びFaSSIF等の絶食状態生体関連媒体(例えばFaSSGF−V3 human及びFaSSIF−V3 human)中に組み込まれていない脂肪分解産物である脂肪酸及びモノグリセリドを含み、これは従来技術の絶食状態媒体においては開示されていない。 従来技術のFaSSIF−Original及びFaSSIF−V2は、ジアシルリン脂質と組み合わされた胆汁塩を含み、例えば、ここに開示する50重量%〜90重量%のモノアシルリン脂質若しくはモノアシルPC及び/又は脂肪酸を含む部分的に酵素分解されたジアシルリン脂質の形態の界面活性剤、特にモノアシルPC、即ちリソPCの選択を教示していない。更に、従来技術のFaSSIF−Originalに関して示す比較例における表面張力は、約52mN/mであり(比較例10参照)、FaSSIF−V2に関しては約54mN/mであり(比較例9参照)、これらは本発明のヒトFaSSGF及びFaSSIF(FaSSGF−V3 human及びFaSSIF−V3 human)に関する範囲、特に25mN/m〜50mN/mの表面張力範囲、又は30mN/m〜45mN/m若しくは30mN/m〜42mN/mの好ましい範囲外である。 本発明によると、生体関連媒体(例えばFaSSGF−V3 human及びFaSSIF−V3 human等)は、例えば独立して計量した複数の界面活性剤及び任意に補助界面活性剤を初めから水性媒体中に溶解又は分散させることによって;あるいは、所定の量の固体前駆体組成物、例えば粉末を水性媒体中に溶解若しくは分散させることによって、又は液体前駆体組成物、例えば水性濃縮物を水性媒体で希釈することによって調製される。水性媒体は、緩衝剤、浸透圧関連成分、安定剤、抗酸化剤、pH調整剤、殺菌剤、酵素から選択されるがこれらに限定されない成分を含む。 (ここで言及するような)初めから生体関連媒体を調製する方法は、(a)水及び緩衝剤、並びに任意に他の水溶性成分を混合するステップ、並びに(b)独立して計量した胆汁塩、リン脂質及び脂肪酸等の界面活性剤及び補助界面活性剤を、ステップ(a)から得られた水性媒体に別個に、順に又は同時に添加するステップを含む。 例えば粉末である固体組成物又は例えば水性濃縮物である液体組成物から生体関連媒体を調製する方法は、非常にコストパフォーマンスが良く、使用のための最終形態に調製した後で限定された安定性しか有さない媒体を保存する必要がないという利点を有する。このような媒体は、バッチ間変動及び計量の不正確さを伴うことなく、所望の水性媒体中で必要に応じてインサイチュで即座に新しく作製できる。対照的に、独立して計量された成分を用いて毎回初めから媒体を作製する方法は、最もコストパフォーマンス及び時間的効率が良いものではない。更に、均質な固体又は液体組成物から緩衝剤及び浸透圧関連成分を分離することにより、媒体を選択して、消化管の様々な位置において望ましいpH及び浸透圧に適合させるための高い柔軟性が得られる。生体関連媒体の生体関連組成物(「即席」タイプ)は、界面活性剤、及び任意に補助界面活性剤で構成され、これらは、動物種及び模擬対象の消化管の部位に対して適切な緩衝剤及び浸透圧剤とこれらを組み合わせる可能性、並びに上記部位における生理学的条件の変動を考慮するためのものである。例示として、胃内のpHが通常の低い値であるヒトと比較して、胃酸ブロッカー(例えばプロトンポンプ阻害剤)を用いて治療中のヒトにおいて薬剤製品がどのように作用するかを知ることが望ましい場合がある。このような場合、生体関連媒体の再構成の開始点として同一の生体関連組成物を使用するものの、希釈剤又は水性媒体は2つの状況に対して異なる。同様に、いくつかの前臨床研究では、イヌに例えば静脈注射によってペンタガストリンを投与して胃酸産生を刺激するが、他の研究ではこれは行われず、イヌは比較的高い胃内pHを有することになる。インビボでの結果を予測するために、適切なpH、緩衝強度及び重量オスモル濃度を有する緩衝剤を使用して、生体関連組成物を再構成できるか、又は標準化された生体関連媒体を初めから作製できる。 ミセル並びに胆汁塩及びジアシルリン脂質を含む混合ミセルのみが、混合物内の界面活性剤のモル濃度及びモル比の選択に応じて25mN/m未満又は50mN/m超となり得る可変表面張力を有することができる。水のみの表面張力は、室温で測定すると72.8mN/mである。緩衝剤は水の表面張力に有意に影響しない。上部消化管液の表面張力がある帯域内にあることが観察されると、これは、絶食状態の生理学的流体の表面張力を安定して模擬するために、胆汁塩及びジアシルリン脂質のみ以外の生体関連界面活性剤並びに特にそれらのモル濃度を考慮する必要があることを示唆する。本発明は、絶食状態条件を模擬し再現可能性を提供する生体関連媒体を最適化する目的で、成分の分析的に定義された選択を含む生体関連組成物、及び絶食状態条件を模擬し、かつ安定して25mN/m〜50mN/mの表面張力を標的とする生体関連媒体(特にFaSSGF及びFaSSIF、例えばFaSSGF−V3 human及びFaSSIF−V3 human)を調製するための方法を説明する。本発明のヒト及びイヌ科動物に対して設計されたFaSSGF及びFaSSIFは、従来技術の絶食状態生体関連媒体では予期も発見もされなかったそれぞれ分析的に定義された胆汁塩、リン脂質、脂肪酸のうちの少なくとも1つの一意の組み合わせを含む。 本説明によって拘束されるものではないが、表面張力は、例えばミセル、混合ミセル、ベシクルの形態のバルク液体媒体中でコロイド凝集体を発生させる混合物中の界面活性剤の相互作用から発生し得る。更に、界面活性剤混合物は、コロイド凝集体に含まれないが臨界ミセル濃度(CMC)未満のモノマーとして存在するいくつかの表面活性種を発生させ得る。これは、粗胆汁塩及びリン脂質を使用する場合に特に関係し、それは不純物が存在するためである。表面張力は空気/液体境界面又は液体/固体境界面において発生し、これもまた(存在する場合は)不純物の存在に応じて、界面活性剤混合物の全体的な凝集状態を呈し得る。よって表面張力は界面活性剤混合物によって定義でき、FaSSGF及びFaSSIF(例えばFaSSGF−V3 human及びFaSSIF−V3 human)を最適化すること並びにその再現可能性を検査することを標的とするにあたって有用な生理化学的パラメータとなり得る。更に、表面張力を低下させると、絶食状態生体関連媒体と、難溶性薬剤粒子又は薬剤製品の表面との間の接触(「ぬれ」)が増大し、これによって溶出が促進されるため、表面張力は望ましい特性である。従来技術はこの特徴を、絶食状態生体関連媒体を設計すること、並びに絶食状態条件の模擬及び媒体の再現可能性のために表面張力を安定して25mN/m〜50mN/mに最適化することに関して考慮していなかった。 イヌ科動物及び他の種における絶食状態を模擬する生体関連媒体 経口投与剤形の前臨床研究はイヌにおいて一般的に実施される。前臨床研究が実施される他の動物種としては、これらに限定するものではないが、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、サル、ブタが挙げられる。インビトロ−インビボ相関及び予測のためのイヌ科動物モデルにおける初期薬剤開発研究で現在使用されている生体関連媒体、例えばFaSSGF−Original、FaSSIF−Original、FaSSIF−V2は、実際にはヒトにおける研究のために設計されていた。ヒト及びイヌ科動物種の胃液及び腸液の組成には、例えばpH、絶食状態の胆汁塩及びリン脂質の組成に関して差異がある。従って、医薬品有効成分(active pharmaceutical ingredient:API)及び処方性能のインビトロ試験のために、別個のイヌ科動物の生体関連媒体を提供することは理にかなっている。本発明は特に、インビトロ溶解性、溶出及び浸透性評価、並びに所定の哺乳類におけるインビボデータとの相関を具体的な目的とした界面活性剤の組成及び25mN/m〜50mN/mの範囲内の表面張力によって定義される異なる哺乳類種に亘って絶食状態の胃及び腸液を模擬するヒト及びイヌ科動物FaSSGF及びFaSSIF(例えばFaSSGF−V3 human及びFaSSIF−V3 human並びにFaSSGF−canine及びFaSSIF−canine)について説明するものであることを理解されたい。 まず、イヌ科動物の絶食状態の胃内条件(ここではFaSSGF−canineと呼ぶ)及びイヌ科動物の絶食状態を模擬した腸液(ここではFaSSIF−canineと呼ぶ)を模擬する分析的に定義された成分と生理化学的パラメータ、特に表面張力との一意の組み合わせを特徴とするイヌ科動物生体関連媒体を開示する。イヌ科動物生体関連媒体において得られる溶出及び溶解性データは、ヒト生体関連媒体を使用する場合と比較して、イヌ科動物インビボ薬物動態(PK)データに対するより良好な相関をもたらす。 イヌ科動物生体関連媒体のインビトロ試験を実施すること、及びイヌ科動物におけるIVIV相関を確立することにより、イヌ科動物媒体におけるインビトロ放出データとヒト媒体を使用したインビトロデータとを比較するための獣医学用製品としての承認が容易になる。またこれにより、様々な種において多数のインビトロ試験を行う必要なく、最適な前臨床試験種を合理的に選択できるようになる。 従来技術によると、従来技術のFaSSIF−Original中の難溶性塩基性ケトコナゾール(Soederlind)の溶解性は26μg/mlである。イヌの小腸吸引液(Kalantzi)において、溶解性は30〜160μg/mlである。これと比較して、イヌ科動物FaSSIF(例えばFaSSIF−canine)の溶解性は84.2μg/mlであり、従って実際のイヌにおける吸引液にみられる範囲内である。 従来技術のFaSSIF−Original中の難溶性塩基性ジピリダモール(Soederlind)の溶解性は19μg/mlである。イヌ科動物の小腸吸引(Kalantzi)において、溶解性は25〜95μg/mlである。これと比較して、イヌ科動物FaSSIF(例えばFaSSIF−canine)の溶解性は75.0μg/mlであり、実際のイヌにおける吸引にみられる範囲内である。 界面活性剤混合物は、最大10モル%、例えば0.001モル%〜10モル%のコレステロールを含んでいてもよい。生理学的流体を模擬するためにヒトFaSSGF又はヒトFaSSIFにコレステロールを含めることにより、親油性薬剤及び処方の溶解性又は溶出を試験するためのより精密な模擬を提供できる。絶食状態の生理学的流体を模擬するための生体関連媒体がコレステロールを含むか否かは任意であり、評価対象の薬剤によって決まる。ヒトFaSSGF(例えばFaSSGF−V3 human)及びヒトFaSSIF(例えばFaSSIF−V3 human)並びにイヌ科動物FaSSGF(例えばFaSSGF−canine)及びイヌ科動物FaSSIF(例えばFaSSIF−canine)媒体は、表面張力が25mN/m〜50mN/mである限りは、0モル%〜10モル%、又は例えば0.001モル%〜10モル%の量の、例えばコレステロール及びそのエステルである補助界面活性剤を含んでもよい。 ヒトFaSSGF、ヒトFaSSIF、イヌ科動物FaSSGF、イヌ科動物FaSSIF(即ちFaSSGF−V3 human及びFaSSIF−V3 human、FaSSGF−canine及びFaSSIF−canine)を調製するための方法 絶食状態生体関連媒体は、例えば粉末である固体生体関連組成物から、この粉末を水、緩衝剤、pH調整剤、浸透圧関連成分、安定剤、抗酸化剤、殺菌剤、例えばペプシン、膵酵素である酵素から選択される成分を含む水性媒体に添加することによって得られる。 絶食状態生体関連媒体は、水、緩衝剤、pH調整剤、浸透圧関連成分、安定剤、抗酸化剤、殺菌剤、例えばペプシン、膵酵素である酵素から選択される成分を含む水性媒体で、例えば水性濃縮物である液体生体関連組成物を希釈することによって得られる。 FaSSGF−V3 humanは、0.01mmol〜5mmol、好ましくは0.01mmol〜1mmolの界面活性剤及び任意に補助界面活性剤を含む。 FaSSIF−V3 humanは、2mmol〜20mmol、好ましくは2mmol〜6mmol、より好ましくは3mmol〜5mmolの界面活性剤及び任意に補助界面活性剤を含む。 FaSSGF−canineは、0.01mmol〜5mmol、好ましくは0.01mmol〜1mmolの界面活性剤及び任意に補助界面活性剤を含み;又はFaSSIF−canineは、2mmol〜20mmol(好ましくは10mmol〜15mmol、より好ましくは12mmol〜14mmol)の界面活性剤及び任意に補助界面活性剤を含む。 FaSSIF−canineは、5mmol〜20mmol、好ましくは10mmol〜15mmolの界面活性剤及び任意に補助界面活性剤を含む。 FaSSIF−V3 human及びFaSSIF−canineに比べて、FaSSGF−V3 human及びFaSSGF−canineを調製するための界面活性剤濃度が低いことは、腸内容物の逆流により、胃において界面活性剤の量が少ないことを反映している。 FaSSIF−V3 human又はFaSSIF−canineは任意に、0.001モル%〜10モル%の補助界面活性剤、例えばコレステロールを含んでいてもよい。 ヒトFaSSGF及びヒトFaSSIF(即ちFaSSGF−V3 human及びFaSSIF−V3 human)のpH FaSSGF−V3 humanのpHはpH1〜3、例えば約pH1.6である。 FaSSIF−V3 humanのpHはpH5〜8、例えば約pH6.8である。 イヌ科動物FaSSGF及びイヌ科動物FaSSIF(即ちFaSSGF−canine及びFaSSIF−canine)のpH 更に別個の実施形態では、pH1〜3、例えばpH1.5のFaSSGF−canine及びpH5〜8、例えばpH6.5のFaSSGF−canineにより、ペンタガストリンを用いて又は用いずに処理されるイヌのインビトロ生理学的胃液を模擬する。 例えば酸中和物、胃内での酸の産生を抑制するH2拮抗剤及び阻害剤の効果を模擬するために、FaSSGF−canineを、pH1.5の胃液中での難溶性薬剤、特に酸性薬剤の溶解性及び溶出若しくは溶解性塩類形態の沈殿を試験するためには、例えばpH1.5とし、又はpH6.5の胃液中での難溶性薬剤、特に酸性薬剤の溶解性及び溶出若しくは溶解性塩類形態の沈殿を試験するためには、例えばpH6.5とする。 FaSSIF−canineのpHはpH6〜9、例えばpH7.5である。 任意に、0.1mg/mL〜1mg/mLのペプシンをFaSSGF−V3 human又はFaSSGF−canineに添加してもよい。 ヒトFaSSIF(即ちFaSSIF−V3 human)の重量オスモル濃度及び緩衝性能 FaSSIF−V3 humanの重量オスモル濃度は、175mOsm/kg〜280mOsm/kg、好ましくは130mOsm/kg〜225mOsm/kg、例えば約200mOsm/kgである。 FaSSIF−V3 humanの緩衝性能は、2.5mmol/l/ΔpH〜6.0mmol/l/ΔpH、好ましくは3mmol/l/ΔpH〜5.8mmol/l/ΔpH、例えば約5.6mmol/l/ΔpHである。 イヌ科動物FaSSIF(即ちFaSSIF−canine)の重量オスモル濃度及び緩衝性能 FaSSIF−canineの重量オスモル濃度は、25mOsm/kg〜600mOsm/kg、好ましくは50mOsm/kg〜300mOsm/kg、より好ましくは100mOsm/kg〜250mOsm/kg、例えば180mOsm/kgである。 FaSSIF−canineの緩衝性能は、1.0mmol/l/ΔpH〜50mmol/l/ΔpH、好ましくは2mmol/l/ΔpH〜30mmol/l/ΔpH、より好ましくは5mmol/l/ΔpH〜15mmol/l/ΔpH、例えば約10mmol/l/ΔpHである。 ヒトFaSSGF(即ちFaSSGF−V3 human)の重量オスモル濃度及び緩衝性能 FaSSGF−V3 humanの重量オスモル濃度は、10mOsm/kg〜400mOsm/kg、好ましくは25mOsm/kg〜300mOsm/kg、より好ましくは50mOsm/kg〜200mOsm/kg、例えば約120mOsm/kgである。 FaSSGF−V3 humanの緩衝性能は、0mmol/l/ΔpH〜50mmol/l/ΔpH、好ましくは0mmol/l/ΔpH〜30mmol/l/ΔpH、より好ましくは0mmol/l/ΔpH〜10mmol/l/ΔpHである。 イヌ科動物FaSSGF(即ちFaSSGF−canine)の重量オスモル濃度及び緩衝性能 FaSSGF−canineの重量オスモル濃度は、10mOsm/kg〜400mOsm/kg、好ましくは25mOsm/kg〜200mOsm/kg、より好ましくは50mOsm/kg〜150mOsm/kg、例えば約100mOsm/kgである。 FaSSGF−canineの緩衝性能は、1mmol/l/ΔpH〜50mmol/l/ΔpH、好ましくは2mmol/l/ΔpH〜30mmol/l/ΔpH、より好ましくは5mmol/l/ΔpH〜15mmol/l/ΔpH、例えば約10mmol/l/ΔpHである。 固体組成物及び水性濃縮物を調製するための方法 固体生体関連組成物を調製するための方法は、界面活性剤及び任意に補助界面活性剤を、溶媒、水又はこれらの混合物中に溶解させ、溶媒を除去し、これによって含水率が5重量%未満、好ましくは3重量%未満の均質な固体組成物を提供することからなるステップを含む。 乾燥させた固体組成物を粉砕し、スクリーニングするか又は篩にかけて、平均粒径10μm〜1000μm、好ましくは50μm〜500μm充填密度0.3g/cm3〜0.7g/cm3、含水率5重量%未満の粉末組成物;顆粒;平均粒径200μm〜2000μmのペレット;錠剤;又はカプセルを得る。 あるいは、5重量%〜60重量%、好ましくは10重量%〜40重量%、最も好ましくは10重量%〜30重量%の界面活性剤及び任意に補助界面活性剤を含む、均質な水性濃縮物を調製するための方法は、界面活性剤及び任意に補助界面活性剤を、15℃〜60℃の水性媒体中に均質に溶解又は分散することからなるステップを含み、水を除去するための乾燥ステップは存在しない。 絶食状態生体関連媒体は、また複数の界面活性剤及び任意に補助界面活性剤を独立して計量して、水、緩衝剤、浸透圧関連成分、安定剤、抗酸化剤、pH調整剤、殺菌剤から選択される成分を含む水性媒体に、別個に、共に又は順次溶解させることにより、直接得られる。 絶食状態生体関連媒体を作製するための典型的な分析的に定義された成分について、以下に詳細に説明する。 胆汁塩は、コール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、タウロデオキシコール酸ナトリウム、グリコデオキシコール酸ナトリウム、ウルソデオキシコール酸ナトリウム、ケノデオキシコール酸ナトリウム、タウロケノデオキシコール酸ナトリウム、グリコケノデオキシコール酸ナトリウム、コリルサルコシン酸ナトリウム、N−メチルタウロコール酸ナトリウム及びこれらの遊離酸からなる群から選択される。コール酸が天然由来のものである場合、これは、典型的には最小で約95%のコール酸を含むブタ又は非TSE/BSEウシ源由来のものであることが好ましい。 リン脂質は例えば、ホスファチジルコリン(PC);ホスファチジルエタノールアミン(PE);ホスファチジルセリン(PS);ホスファチジン酸(PA);ホスファチジルイノシトール(PI);ホスファチジルグリセロール(PG)を含む、卵黄;大豆;牛乳;ヒマワリ;燕麦から得られる。リン脂質はジアシルリン脂質及びモノアシルリン脂質を含む。 本明細書において明示されるジアシルリン脂質は、14〜24個の炭素原子を有する脂肪酸鎖を有する、60重量%から好ましくは<80重量%、より好ましくは90重量%〜99重量%のホスファチジルコリン(PC)を含む。 部分的に酵素分解されたジアシルリン脂質は、モノアシルPC(50重量%〜90重量%)、PC、及びPCとの逆混合プロセスによって得られた5重量%未満の付随成分を含む。部分的に酵素分解されたジアシルリン脂質は、本発明のモノアシルリン脂質、特にモノアシルPCを提供するために使用される。 酵素分解によってモノアシルPCを一定レベルに直接制御するのは困難である。逆混合は、好ましくは98重量%〜99重量%の(純粋な)PC、及び最終製品に必要な量を超える量のモノアシルPCを含む部分的に酵素分解されたジアシルリン脂質(好ましくは精製後)を用いて、分析的に定義された量のモノアシルPCを滴定によって得るための方法である。溶媒を除去した後、均質な固体混合物は、所定の量のモノアシルPCを含む。 脂肪酸は、例えばミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸といった、14〜22個の炭素原子を有する少なくとも1つの脂肪酸又は脂肪酸の1価塩を含む群から選択される。 脂肪酸の1価塩は、乾燥ナトリウム又はカリウム塩の形態を少なくとも97%含む上記リストの脂肪酸のナトリウム又はカリウム塩を含む。典型的には、オレイン酸ナトリウムは少なくとも85%のオレイン酸を含む。 コレステロール:少なくとも80重量%、好ましくは90重量%、最も好ましくは少なくとも95重量%のコレステロール又はコレステロールエステルを含む、コレステロール及びコレステロールエステル。 モル濃度及びモル比の算出に使用する分子量 タウロコール酸ナトリウム:538 モノアシルリン脂質:505 ジアシルリン脂質:787 オレイン酸ナトリウム:304 オレイン酸:282 コレステロール:387 緩衝剤及びpH:pHを1.5;6.5及び7.5に維持するための例示的な緩衝媒体を比較例11〜13に示すが、これらに限定されるものではない。 浸透圧関連成分 例示的な浸透圧関連成分は、塩化ナトリウムを含むがこれに限定されない。 固体生体関連組成物を調製するための方法 所望の量の胆汁塩、リン脂質、脂肪酸又はその1価塩、任意にコレステロールを、溶媒又は水及び溶媒の混合物中に溶解させる。好ましい溶媒は、メタノール、エタノール、第3級ブタノール、及び親水性溶媒の組み合わせ又はジクロロメタンそれ自体である。好ましくは同量の第3級ブタノール及び水の溶液が特に好ましい。 界面活性剤が完全に溶解したら、Christ Epsilon 2−4 LSC凍結乾燥機を用いて、無色、白色又は黄色溶液を凍結乾燥する。 あるいは上記溶液を噴霧乾燥する。 凍結乾燥語の固体の含水率は5重量%未満である。 粉砕又は磨砕によって、この固体を平均粒径が10μm〜1000μmの微粒子とする。 粉砕及びスクリーニングの後、この粉末は、以下の例に示すような浸透圧関連成分を含む緩衝溶液に所望のモル濃度を溶解させることによって、絶食状態生体関連媒体を調製するために使用できる状態となる。 粉末の物理的特徴 平均粒径は10μm〜1000μmである。 充填密度は0.3g/cm3〜0.7gcm3である。 含水率は5重量%未満、好ましくは3重量%未満である。 液体生体関連組成物(水性濃縮物)を調製する方法 所望の量の胆汁塩;リン脂質;5重量%〜60重量%、好ましくは10重量%〜40重量%、最も好ましくは10重量%〜30重量%の界面活性剤を含む脂肪酸又はその1価塩;任意にコレステロールを、15℃〜60℃の水中に溶解させる。例えばアジ化ナトリウム、チオメルサール、EDTA、トコフェロールといった安定剤をこの水性溶液に含めてよい。室温に冷却し、例えば0.22μmのフィルタを用いて濾過した後、この水性濃縮物を、浸透圧関連成分を含む緩衝溶液中の所望のモル濃度を用いて絶食状態生体関連媒体を調製するために使用できる。 水性濃縮物の物理的特徴 1重量%の液体生体関連組成物を希釈して生体関連媒体とした後にPCSを用いて測定したZ平均粒径:2nm〜1000nm。 光学特性:視覚的に透明。 表面張力を測定するための方法: 表面張力測定は、DuNouyの原理に基づいてKibron AquaPi張力計で実施される。 この機器は、20℃の温度に合わせて事前に較正される。いずれの偏差に対して補正係数が適用される。 表面張力測定を行う前にチタン製ロッドを加熱して、不純物を気化させる。 エタノール及び純水を用いて、試料用カップを洗浄する。 プローブを交換する度に、又は少なくとも毎日、再較正を実施する。 平均及び標準偏差を算出するために、測定を二重に行う。試料の温度が20℃からずれている場合、温度補正係数を考慮する。 実施例1 ヒトFaSSIF (即ちFaSSIF−V3 human)を作製するための典型的な生体関連粉末組成物の調製 マグネチックスターラを用いて、1.622gのタウロコール酸ナトリウムを10mlの精製水に室温で溶解させることにより、FaSSIF−V3 humanの調製のための約2gの固体生体関連粉末組成物を調製する。タウロコール酸ナトリウムが完全に溶解し、透明な溶液が得られたら、10mlのtert−ブタノールを溶液に添加する。次のステップにおいて、0.009gのジアシルリン脂質(特にPC)及び0.199gの(特に逆混合によって50%〜90%のモノアシルPCを含む部分的に酵素分解したジアシルリン脂質からの)モノアシルリン脂質を溶液に溶解させる(或いは、脂質を別個のステップにおいて添加する)。脂質成分が完全に溶解し、透明〜僅かに黄色がかった溶液が得られたら、0.128gのオレイン酸ナトリウムを溶液に添加する。無色〜僅かに黄色がかった溶液を凍結乾燥に適したコンテナに移す。 実施例2 実施例1で示した固体生体関連組成物からのヒトFassIF(即ちFaSSIF−V3 human)の作製タウロコール酸ナトリウム:1.4mmol、0.759g/lグリココール酸ナトリウム:1.4mmol、0.683g/lジアシルリン脂質(特にPC):0.035mmol、0.007g/lモノアシルリン脂質(特に*モノアシルPC):0.315mmol、0.186g/lオレイン酸ナトリウム:0.35mmol、0.120g/lpH:6.7(マレイン酸塩緩衝剤)表面張力:37.7mN/m *酵素は約80重量%のモノアシルPCを含むジアシルリン脂質を部分的に分解した 1.741gの実施例1からの均質な粉末組成物を、緩衝剤及び浸透圧剤を含むマイレン酸塩緩衝剤(比較例14)に溶解させる。生体関連媒体のpHをpH6.7に調整した。 あるいは、液体組成物中の重量による均等な量の界面活性剤、例えば10重量%〜60重量%の界面活性剤及び任意に補助界面活性剤を含む水性濃縮物を粉末組成物の代わりに用いてもよい。 あるいは、成分を別個に添加してもよい。 実施例3 実施例1で示した固体生体関連組成物からのFassIF(即ちFaSSIF−V3 human)の作製タウロコール酸ナトリウム:2.8mmol、1.518g/lジアシルリン脂質(特にPC):0.035mmol、0.007g/lモノアシルリン脂質(特に*モノアシルPC):0.315mmol、0.186g/lオレイン酸ナトリウム:0.35mmol、0.120g/lpH:6.5(マレイン酸塩緩衝剤)表面張力:34.7mN/m *酵素は約80重量%のモノアシルPCを含むジアシルリン脂質を部分的に分解した 1.87gの実施例1からの均質な粉末組成物を緩衝剤及び浸透圧剤を含むマイレン酸塩緩衝剤(比較例13)に溶解する。生体関連媒体のpHをpH6.5に調整した。 あるいは、10重量%〜60重量%の界面活性剤を含む水性濃縮物に含有される3.5mmolの界面活性剤を粉末組成物の代わりに用いてもよい。 あるいは、絶食状態媒体を調製するために成分を別個に添加してもよい。 実施例4 イヌ科動物FaSSGF及びイヌ科動物FaSSIF(即ちFASSGF−canine及びFaSSIF−canine)を作製するための生体関連粉末組成物の調製 マグネチックスターラを用いて、0.727gのタウロコール酸ナトリウム及び0.711gのタウロデキシコール酸ナトリウムを10mlの精製水に室温で溶解させることにより、2.00gの固体生体関連粉末組成物を調製する。あるいは、胆汁塩を別個のステップにおいて添加し、透明な溶液が得られるまで完全に溶解させる。10mlのtert−ブタノールを溶液に添加する。次のステップにおいて、0.249gのジアシルリン脂質(特にPC)及び0.198gの(好ましくは特に逆混合によって50%〜90%のモノアシルPCを含む部分的に酵素分解したモノアシルPCからの)モノアシルリン脂質を溶液に溶解させる。脂質成分が完全に溶解し、透明〜僅かに黄色がかった溶液が得られたら、0.115gのオレイン酸ナトリウムを溶液に添加する。透明〜僅かに黄色がかった溶液を凍結乾燥に適したコンテナに移す。 実施例5 イヌ科動物FaSSGF(即ちFASSGF−canine)の作製 (タウロコール酸ナトリウム、タウロデキシコール酸ナトリウム、ジアシルリン脂質(特にジアシルPC)、モノアシルリン脂質(特にモノアシルPC)、オレイン酸ナトリウムを含む)0.149gの実施例3からの均質な粉末組成物を、緩衝剤及び浸透圧剤を含む1リットルのリン酸緩衝剤(比較例11)又は浸透圧関連成分を含む1リットルのpH1.5の緩衝剤で処理されていないHCl溶液に溶解させる。生体関連媒体のpHをpH6.5又は1.5に調整した。タウロコール酸ナトリウム:0.1mmol、0.054g/lタウロデキシコール酸ナトリウム:0.1mmol、0.053g/lジアシルリン脂質(特にPC):0.025mmol、0.019g/lモノアシルリン脂質(特に*モノアシルPC):0.025mmol、0.015g/l脂肪酸又は1価塩:0.25mmol、0.009g/lpH:**1.5(±0.25)(ペンタガストリンで処理したイヌ)及び ***6.5(±0.25)(ペンタガストリンで処理していないイヌ)表面張力:35.0mN/m *酵素は約80重量%のモノアシルPCを含むジアシルリン脂質を部分的に分解した 実施例6 イヌ科動物FaSSIF(即ちFASSIF−canine)の作製 (タウロコール酸ナトリウム、タウロデキシコール酸ナトリウム、ジアシルリン脂質、モノアシルリン脂質、オレイン酸ナトリウムを含む)7.46gの実施例3からの均質な粉末組成物を、緩衝剤及び浸透圧剤を含む1リットルのリン酸緩衝剤(比較例12)に溶解させる。生体関連媒体のpHをpH7.5に調整した。タウロコール酸ナトリウム:5.00mmolタウロデキシコール酸ナトリウム:5.00mmolジアシルリン脂質(特にPC):1.25mmolモノアシルリン脂質(特に*モノアシルPC):1.25mmol脂肪酸又は1価塩:1.25mmolpH:7.5表面張力:40.6mN/m *酵素は約80重量%のモノアシルPCを含むジアシルリン脂質を部分的に分解した 実施例7 ジアシルリン脂質及び脂肪酸、特にPC及び脂肪酸を有するFaSSIF組成物(即ちFaSSIF−V3 human)タウロコール酸ナトリウム:3.00mmolジアシルリン脂質(特にPC):0.75mmolオレイン酸ナトリウム:0.75mmolpH:6.5(リン酸緩衝剤)表面張力:39.3mN/m 実施例8 モノアシルリン脂質及びジアシルリン脂質、特にPC及びモノアシルPCを有するFaSSIF組成物(即ちFaSSIF)タウロコール酸ナトリウム:3mmolジアシルリン脂質(特にPC):0.075mmolモノアシルリン脂質(特に*モノアシルPC):0.675mmolpH:6.5(リン酸緩衝剤)表面張力:42.3mN/m *酵素は約80重量%のモノアシルPCを含むジアシルリン脂質を部分的に分解した 比較例 比較例9 FaSSIF V2(Jantratid 2008)タウロコール酸ナトリウム:3mmolジアシルリン脂質:0.2mmolpH:6.5(マレイン酸塩緩衝剤)表面張力:54.3mN/m 比較例10 FaSSIF Original(国際公開第2007/054342号)タウロコール酸ナトリウム:3mmolジアシルリン脂質:0.75mmolpH:6.5(リン酸緩衝剤)表面張力:53.3mN/m 比較例11 FassIF−Originalを調製するための未加工のリン酸緩衝剤 pH6.5リン酸二水素ナトリウム:28.65mmol水酸化ナトリウム:10.5mmol塩化ナトリウム:105.85mmolpH:6.5表面張力:73.6mN/m 比較例12 イヌ科動物FaSSIF(即ちFASSIF−canine)を調製するための未加工のリン酸緩衝剤 pH7.5リン酸二水素ナトリウム:28.65mmol水酸化ナトリウム:21.66mmol塩化ナトリウム:39.14mmolpH:7.5表面張力:72.9mN/m 比較例13 FassIF(即ちFassIF−V3 human)を調製するための未加工のマイレン酸塩緩衝剤 pH6.5マイレン酸:21.68mmol水酸化ナトリウム:40.23mmol塩化ナトリウム:23.12mmolpH:6.5表面張力:73.4mN/m 比較例14 FassIF(即ちFassIF−V3 human)を調製するための未加工のマイレン酸塩緩衝剤 pH6.7マイレン酸:10.27mmol水酸化ナトリウム:16.55mmol塩化ナトリウム:93.3mmolpH:6.7 比較例15 イヌ科動物FaSSGF(即ちFASSGF−canine)を調製するためのHCl pH1.5塩酸:適量、pH1.5塩化ナトリウム:20.00mmolpH:1.5表面張力:72.8mN/m 本発明の寄与 本発明は、ヒト及びイヌ科動物モデルを含むがこれらに限定されない所定の哺乳類種の胃及び上部小腸の絶食状態条件を模擬する最適化された生体関連媒体を開示する。本発明による最適化されたFaSSGF及びFaSSIF(FaSSGF−V3 human及びFaSSIF−V3 humanタイプ等)は、所定の量の固体組成物若しくは液体濃縮物を用いて、又は例えばこれらの成分を別個に水性溶媒中に溶解若しくは分散させることによって初めから調製される絶食状態生体関連媒体の具体例である。 本発明による絶食状態生体関連媒体(FaSSGF−V3 human、FaSSIF−V3 human、FaSSGF−canine、FaSSIF−canineタイプ等)は更に、分析的に特定された成分によって定義され、また25mN/m〜50mN/mという幅広い表面張力を安定して標的とする。このような生体関連媒体は、前臨床開発、処方最適化、リスク回避のための生物学的同等性ブリッジング研究、並びにモデリング及び模擬におけるインビトロ溶出試験のための、極めて再現可能性が高く有益な道具となる。 この組成物は(a)少なくとも1つの胆汁塩、及び(b)少なくとも1つのリン脂質によって定義され、上記少なくとも1つのリン脂質はPCであってよく;及び/又は50重量%〜99重量%のモノアシルPCを含む酵素分解されたジアシルリン脂質から得られるモノアシルPCであってもよい。従来技術の生体関連媒体は、開示されている組成物が脂肪酸及び/又は部分的に酵素分解されたジアシルリン脂質の形態で提供されるモノアシルPCを含んでいないという点で、最適化されていない。 従来技術は、インビトロ試験のための生体関連媒体における表面張力を積極的な標的としていなかった。表面張力を低下させると、絶食状態生体関連媒体と、難溶性薬剤粒子又は薬剤製品の表面との間の接触(「ぬれ」)が増大し、これによって溶出が促進されるため、表面張力は望ましい特性である。 従来技術に開示されている絶食状態生体関連媒体はいずれも、ここで請求するものと同様の、分析的に定義された界面活性剤(特にFaSSGF−V3 human、FaSSIF−V3 human、FaSSGF−canine、FaSSIF−canineタイプ)の選択又は比率を正確に含んではいない。従来技術は、このような媒体の表面張力を標的としていること、及びこのような媒体を、溶解性試験のための絶食状態の胃液及び上部腸液を模擬する再現可能な生体関連媒体を提供するために最適化することについて、明記していない。特に、バッチ間変動に関する剤形の評価、及びインビボ評価のための処方をスクリーニングする際の再現可能性の確認について明記していない。 また本媒体は効率的な様式で容易かつ再現可能に調製できるという点で有利である。これというのは、これによって結果の信頼性がより高くなり、インビボ薬剤性能を良好に予測できるようになるからである。更に、25mN/m〜50mN/mの表面張力パラメータを特徴とし、かつ実験室レベルでの再現可能性を包括的に保証して実装できる媒体を、分析的品質の界面活性剤を選択することによって最適化することに関して、未だ対処されていないニーズが存在する。 インビトロ−インビボ相関及び予測のためのイヌ科動物モデルにおける初期薬剤開発研究で現在使用されている生体関連媒体、例えばFaSSGF−Original、FaSSIF−Original、FaSSIF−V2は、実際にはヒトにおける研究のために設計されており、ここで提案した25mN/m〜50mN/mの表面張力という点において最適化されていない。本発明は、獣医学におけるインビボブリッジング評価のために使用できるイヌ科動物生体関連媒体を提供し、これによってイヌにおけるインビボ研究の数を最小化できる。 哺乳類種の絶食状態の胃液及び絶食状態の上部小腸液を模擬するための、25mN/m〜50mN/mの表面張力を有する絶食状態生体関連媒体を調製するための、均質な生体関連組成物であって、 前記生体関連組成物は以下の界面活性剤: (i)少なくとも1つの胆汁塩、好ましくは以下の2つの胆汁塩; (ii)以下を含むリン脂質の群: ・60重量%〜99重量%のホスファチジルコリン(PC); ・好ましくは前記PCとの逆混合によって得られる50重量%〜90重量%のモノアシルPCを含む、部分的に酵素分解されたジアシルリン脂質; ・前記PCと、前記部分的に酵素分解されたジアシルリン脂質との混合物(ここで前記モノアシルPCのレベルは5重量%〜80重量%である)から選択された、少なくとも1つのリン脂質;及び (iii)少なくとも1つの脂肪酸又は前記脂肪酸の1価塩を含む、均質な生体関連組成物。 前記界面活性剤の40モル%〜95モル%は、前記少なくとも1つの胆汁塩(i)からなること、並びに 前記界面活性剤の残りのモル%(即ち60モル%〜5モル%)は、前記少なくとも1つのリン脂質(ii)及び前記少なくとも1つの脂肪酸又は前記脂肪酸の1価塩(iii)からなることを特徴とする、請求項1に記載の均質な組成物。 前記界面活性剤の前記残りのモル%は、更にコレステロールを含むことを特徴とする、請求項2に記載の均質な組成物。 前記少なくとも1つの胆汁塩又は好ましくは2つの胆汁塩は、コール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、タウロデオキシコール酸ナトリウム、グリコデオキシコール酸ナトリウム、ウルソデオキシコール酸ナトリウム、ケノデオキシコール酸ナトリウム、タウロケノデオキシコール酸ナトリウム、グリコケノデオキシコール酸ナトリウム、コリルサルコシン酸ナトリウム、N−メチルタウロコール酸ナトリウム及びこれらの遊離酸からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の均質な組成物。 前記少なくとも1つの脂肪酸は、14〜22個の炭素原子を有する脂肪酸のうちの少なくとも1つであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の均質な組成物。 モノグリセリドを有さない、請求項1〜5のいずれか1項に記載の均質な組成物。 −平均粒径10μm〜1000μm、充填密度0.3g/cm3〜0.7g/cm3、含水率5重量%未満の粉末; −粒径が200μm〜2000μmの顆粒若しくはペレット; −錠剤;又は −カプセル等の固体形態の、請求項1〜6のいずれか1項に記載の均質な組成物。 水性媒体中に分散した10重量%〜60重量%、好ましくは20重量%〜60重量%、好ましくは20重量%〜50重量%、より好ましくは30重量%〜40重量%の界面活性剤を含み、並びに好ましくは抗酸化剤及び殺菌剤を更に含む、例えば水性濃縮物等の液体組成物の形態である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の均質な組成物。 (i)少なくとも1つの胆汁塩、好ましくは2つの胆汁塩; (ii)以下を含むリン脂質の群: ・60重量%〜99重量%のホスファチジルコリン(PC); ・好ましくは前記PCとの逆混合によって得られる50重量%〜90重量%のモノアシルPCを含む、部分的に酵素分解されたジアシルリン脂質; ・前記PCと、前記部分的に酵素分解されたジアシルリン脂質との混合物(ここで前記モノアシルPCのレベルは5重量%〜80重量%である)から選択された、少なくとも1つのリン脂質;及び (iii)少なくとも1つの脂肪酸又は前記脂肪酸の1価塩を含み、表面張力が25mN/m〜50mN/mである、哺乳類の消化管内で発生する界面活性剤からなる、哺乳類種の絶食状態胃液及び絶食状態上部小腸液を模擬するための、水性生体関連媒体。 前記表面張力は、35mN/m〜45mN/m、好ましくは28mN/m〜45mN/m、より好ましくは30mN/m〜42mN/mである、請求項9に記載の水性生体関連媒体。 前記界面活性剤の40モル%〜95モル%は、前記少なくとも1つの胆汁塩(i)からなること、並びに 前記界面活性剤の残りのモル%(即ち60モル%〜5モル%)は前記少なくとも1つのリン脂質(ii)及び前記少なくとも1つの脂肪酸又は前記脂肪酸の1価塩(iii)からなることを特徴とする、請求項9又は10に記載の水性生体関連媒体。 前記界面活性剤の前記残りのモル%は、更にコレステロールを含むことを特徴とする、請求項9〜11のいずれか1項に記載の水性生体関連媒体。 前記少なくとも1つの胆汁塩又は好ましくは2つの胆汁塩は、コール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、タウロデオキシコール酸ナトリウム、グリコデオキシコール酸ナトリウム、ウルソデオキシコール酸ナトリウム、ケノデオキシコール酸ナトリウム、タウロケノデオキシコール酸ナトリウム、グリコケノデオキシコール酸ナトリウム、コリルサルコシン酸ナトリウム、N−メチルタウロコール酸ナトリウム及びこれらの遊離酸からなる群から選択されることを特徴とする、請求項9〜12のいずれか1項に記載の水性生体関連媒体。 前記少なくとも1つの脂肪酸は、14〜22個の炭素原子を有する脂肪酸のうちの少なくとも1つであることを特徴とする、請求項9〜13のいずれか1項に記載の水性生体関連媒体。 モノグリセリドを有さない、請求項9〜14のいずれか1項に記載の水性生体関連媒体。 ヒトFaSSGFを模擬するための前記界面活性剤の総量は、0.01mmol〜5mmol、好ましくは0.01mmol〜1mmolである、請求項9〜15のいずれか1項に記載の水性関連媒体。 ヒトFaSSIFを模擬するための前記界面活性剤の総量は、2mmol〜20mmol、好ましくは2mmol〜6mmolである、請求項9〜15のいずれか1項に記載の水性関連媒体。 イヌ科動物FaSSGFを模擬するための前記界面活性剤の総量は、0.1mmol〜5mmol、好ましくは0.1mmol〜2mmol、より好ましくは0.01mmol〜5mmolである、請求項9〜15のいずれか1項に記載の水性関連媒体。 イヌ科動物FaSSIFを模擬するための界面活性剤の総量は、2mmol〜20mmol、好ましくは5mmol〜20mmol、より好ましくは10.0mmol〜15.0mmolである、請求項9〜15のいずれか1項に記載の水性関連媒体。 前記少なくとも1つの胆汁塩を少なくとも60モル%、より好ましくは少なくとも70モル%含む、請求項16〜19のいずれか1項に記載の生体関連媒体。 それ自体の1価塩を含む前記脂肪酸に対する、前記少なくとも1つのモノアシルPC及びジアシルPCの合計モルのモル比は、1:20〜20:1である、請求項9〜20のいずれか1項に記載の水性生体関連媒体。 前記モノアシルPCに対する前記ジアシルPCのモル比は1:20〜20:1である、請求項9〜21のいずれか1項に記載の水性生体関連媒体。 それ自体の1価塩を含む前記脂肪酸に対する前記ジアシルPCのモル比は、1:20〜20:1である、請求項9〜22のいずれか1項に記載の水性生体関連媒体。 水、緩衝剤、浸透圧関連成分、安定剤、抗酸化剤、pH調整剤、殺菌剤、例えばペプシン、膵酵素である酵素から選択される成分を更に含む、請求項9〜23のいずれか1項に記載の水性生体関連媒体。 請求項1〜8のいずれか1項に記載の生体関連組成物を、所定の量だけ水又は水性媒体に添加することによって、生体関連媒体を再構成する方法。 溶媒、水又はこれらの混合物に界面活性剤を溶解させること、及び 前記溶媒を除去し、含水率が5重量%未満の固体組成物を得ることを含む、請求項7に記載の固体生体関連組成物を調製するための方法。 10重量%〜60重量%の界面活性剤を、緩衝剤、浸透圧関連成分、安定剤、抗酸化剤、pH調整剤、殺菌剤から選択される成分を更に含む15℃〜60℃の水性媒体中に溶解又は分散し、水を除去するための乾燥ステップが存在しない、請求項8に記載の水性濃縮物を調製するための方法。 水性媒体を前記固体に添加する又は前記液体生体関連組成物を前記水性媒体で希釈するステップを含み、 前記水性媒体は緩衝剤及び浸透圧調節剤を含む、請求項9〜24のいずれか1項に記載の絶食状態媒体を模擬する水性生体関連媒体を調製するための方法。 複数の界面活性剤及び任意に補助界面活性剤を独立して計量して、水、緩衝剤、浸透圧関連成分、安定剤、抗酸化剤、pH調整剤、殺菌剤、例えばペプシン、膵酵素である酵素から選択される成分を含む水性媒体に、別個に、共に又は順次溶解させることを含む、請求項9〜24のいずれか1項に記載の水性生体関連媒体を調製するための方法。 溶解性試験、溶出試験、生物学的同等性評価、薬剤放出評価、IVIVC、インシリコモデリング及びシミュレーション、薬剤の過飽和、薬剤の沈殿、薬剤の安定性、亢進された処方の性能並びに薬剤浸透性研究のために、分析的に定義された界面活性剤を特定の比率で含む、請求項9〜24のいずれか1項に記載の水性絶食状態生体関連媒体の使用。 本出願は、哺乳類種、特にヒト、イヌ等の絶食状態の胃液及び絶食状態の上部小腸液を模擬するための、25mN/m〜50mN/mの表面張力を有する絶食状態生体関連媒体を調製するための、均質な生体関連組成物に関し、この生体関連組成物は:少なくとも1つの胆汁塩、例えばタウロコール酸ナトリウム又はタウロデオキシコール酸ナトリウム;少なくとも1つのリン脂質、特に、60重量%〜99重量%のホスファチジルコリン(PC)、50重量%〜90重量%のモノアシルPCを含む酵素分解されたジアシルリン脂質、又はこれらの混合物;及び少なくとも1つの脂肪酸又はこの脂肪酸の1価塩(オレイン酸ナトリウム等)を含む。本出願はまた、特に上述の均質な生体関連組成物から調製する場合に、哺乳類の消化管内で発生する界面活性剤からなる水性生体関連媒体にも関する。


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る