生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_細胞成長、シナプスリモデリング及び長期記憶の固定を刺激する方法
出願番号:2015134683
年次:2015
IPC分類:A61K 31/335,A61K 31/395,A61K 31/4015,A61P 25/28,A61P 43/00


特許情報キャッシュ

ダニエル・エル.・アルコン ジャリン・ホンパイサン JP 2015231999 公開特許公報(A) 20151224 2015134683 20150703 細胞成長、シナプスリモデリング及び長期記憶の固定を刺激する方法 ブランシェット・ロックフェラー・ニューロサイエンスィズ・インスティテュート 503310224 蔵田 昌俊 100108855 峰 隆司 100075672 ダニエル・エル.・アルコン ジャリン・ホンパイサン US 60/833,785 20060728 A61K 31/335 20060101AFI20151201BHJP A61K 31/395 20060101ALI20151201BHJP A61K 31/4015 20060101ALI20151201BHJP A61P 25/28 20060101ALI20151201BHJP A61P 43/00 20060101ALI20151201BHJP JPA61K31/335A61K31/395A61K31/4015A61P25/28A61P43/00 111 1 1 2012266541 20070129 OL 64 4C086 4C086AA01 4C086AA02 4C086BA17 4C086BC08 4C086BC33 4C086MA02 4C086MA05 4C086NA14 4C086ZA15 4C086ZC19本発明は、細胞成長、シナプスリモデリングの刺激及び記憶の増強に有用であるタンパク質キナーゼCを上方制御及び下方制御する方法及び細胞増殖性疾患の治療に関する。 認知に影響する種々の疾患及び疾病が存在する。認知は、一般に、注意、学習、及び記憶の少なくとも3つの異なる要素を含むとして記載されることができる。それらの各要素及びそれらのそれぞれのレベルは、被検体の認知能力の全体的なレベルに影響する。例えば、アルツハイマー病の患者は、全体的な認知の損失を受けており、従ってそれらの各特徴の悪化を被るが、該疾病に最も頻繁に付随するのは記憶の喪失である。他の疾病において、患者は、認知の異なる特徴を付随するより支配力を有する認知障害を被る。例えば、注意欠陥多動性障害(ADHD)は、注意状態を維持する個体の能力に焦点を合わせている。他の状態は、一般に、他の神経性の疾病、加齢、及び、癌治療、脳卒中/虚血のような精神的な能力に有害な影響を及ぼし得る状態の治療、及び精神遅滞に付随する痴呆を含む。 長期記憶のためのタンパク質合成の要求は、多様な記憶パラダイムについて、数十年にわたって実証されている。Agranoffら、(1967) Science 158: 1600-1601;Bergoldら、(1990) Proc. Natl. Acad. Sci. 87:3788-3791;Cavallaroら、(2002) Proc. Natl. Acad. Sci. 99: 13279-16284;Crowら、(1990) Proc. Natl. Acad. Sci. 87: 4490-4494;Crowら、(1999) J. Neurophysiol. 82: 495-500;Epsteinら、(2003) Neurobiol. Learn. Mem. 79: 127-131;Ezzeddineら、(2003) J. Neurosci. 23: 9585-9594;Farleyら、(1991) Proc. Natl. Acad. Sci. 88: 2016-2020;Flexnerら、(1996) Proc. Natl. Acad. Sci. 55: 369-374;Hydenら、(1970) Proc. Natl. Acad. Sci. 65: 898-904;Nelsonら、(1990) Proc. Natl. Acad. Sci. 87: 269-273;Quattroneら、(2001) Proc. Natl. Acad. Sci. 98: 11668-11673;Zhaoら、(1999) J. Biol. Chem. 274: 34893-34902;Zhaoら、(2000) FASEB J. 14: 290-300。フレクスナー(Flexner)は、最初に、タンパク質合成の薬物誘導性の阻害(例えば、5-プロピルウラシル又はアニソマイシン)が、トレーニングパラダイムの後の重大な意味を持つ時間の間に生じた場合、長期記憶が遮断されることを示した。フレクスナーら、(1996) Proc. Natl. Acad. Sci. 55: 369-374。タンパク質合成が、この重大な時間ウィンドウの前に、又は、このウィンドウの後の任意の時間に阻害された場合、長期記憶には全く影響しない。記憶の固定に必須なタンパク質の同定、それらの制御のメカニズム、及び、長期記憶の固定におけるそれらの役割は、未だ謎のままである。 多くの種において、長期間の連合記憶の形成は、タンパク質キナーゼC(PKC)イソ酵素のニューロン膜へのトランスロケーションとそれによる活性化に依存することが示されている。最初に、それらのPKCイソ酵素は、カルシウム及びジアシルグリセロールのようなコファクターの組合せによって活性化されたとき、外部のニューロン膜の内側の面及び小胞体のような内部の細胞小器官の膜と安定な結合を達成する。PKC活性化は、軟体動物ウミウシの単一の同定されたB型細胞で(McPhie et al. (1993) J. Neurochem. 60: 646-651)、ウサギ瞬膜条件づけ(Bank et al. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. 85: 1988-1992; Olds et al. (1989) Science 245: 866-869)、ラット空間迷路学習(Olds et al. (1990) J. Neurosci. 10: 3707-3713)、及びパブロフ型条件づけの上での、ラット嗅覚識別学習を含む、種々の哺乳類の連合性学習プロトコールで生じることが示されている。さらにその上、PKCのアルファイソ酵素の高親和性基質であるカレキシチン(calexcitin)(Nelson et al. (1990) Science 247: 1479-1483)は、パブロフ型-条件づけに依存した様式で、単一の同定されたB型細胞内で量及びリン酸化を増加させる(Kuzirian et al. (2001) J. Neurocytol. 30: 993-1008)。 個々のPKCイソ酵素が、生物学的なプロセスにおいて、別々の、時には対立的な役割を果たし、薬理学的活用のために二つの方向を提供することの証拠が増加している。一つは、PKCの特異的(好ましくは、イソ酵素特異的)な阻害剤の設計である。このアプローチは、触媒のドメインが、PKCのイソタイプ特異性についての主要な原因であるドメインではないという事実によって複雑にされる。もう一つのアプローチは、イソ酵素選択的な、サイト直接型PKC活性化因子の制御を開発することである。それらは、反対の生物学的効果を有する他のシグナル伝達経路の影響を無効(override)にする方法を提供し得る。或いは、急性な活性化の後にPKCの下方制御を誘導することによって、PKC活性化因子は、長期間の拮抗作用を引き起こし得る。 連合記憶プロトコールに続いて、特定の脳領域における膜画分に結合した、増加されたPKCは、数日間持続することが可能である(Olds et al. (1989) Science 245: 866-869)。これらの発見では一貫して、潜在的(potent)PKC活性化因子のブリオスタチンの投与がラットの空間的迷路学習を増強した(Sun et al. (2005) Eur. J. Pharmacol. 512: 45-51)。さらに、PKC活性化因子、ブリオスタチンを用いた臨床試験は、PKC活性化効果が薬物送達の間欠的なスケジュールによって増強され得ることを示唆している(Marshall et al. (2002) Cancer Biology & Therapy 1: 409-416)。一つのPKC活性化因子、ブリオスタチン、マクロライドラクトンは、サブナノモル濃度でPKCを活性化する(Talk et al. (1999) Neurobiol. Learn. Mem. 72: 95-117)。ホルボールエステル及び内在性活性化因子DAGのように、ブリオスタチンは、PKC内のC1ドメインに結合し、その膜へのトランスロケーションを引き起こし、これは次いで、下方制御される。 非腫瘍原性PKC活性化因子、ブリオスタチンは、初期PKC活性化とその後の延長された下方制御を引き起こすことが知られている投与量(25μg/m2-120μg/m2)で、癌の治療についてヒトにおいて大規模な試験を受けている(Prevostel et al. (2000) Journal of Cell Science 113: 2575-2584; Lu et al. (1998) Mol. Biol. Cell 18: 839-845; Leontieva et al. (2004) J. Biol. Chem. 279:5788-5801)。PKCのブリオスタチン活性化もまた、近年、ヒト線維芽細胞から、アミロイド前駆体タンパク質(APP)を切断して非毒性断片可溶性タンパク質(sAPP)を生成する、アルファ分泌酵素を活性化することが示されている(Etcheberrigaray et al. (2004) Proc. Natl. Acad. Sci. 101: 11141-11146)。ブリオスタチンはまた、ラットの空間迷路タスクの学習及び記憶保持(Sun et al. (2005) Eur. J. Pharmacol. 512: 45-51)、ウサギの瞬膜パラダイムの学習(Schreurs and Alkon, unpublished)、及び先行する報告において、ウミウシ条件づけ(Scioletti et al. (2004) Biol. Bull. 207: 159)を増強する。従って、PKCの最適な活性化は、正常な状態及び疾病の状態における認知に影響する多くの分子的メカニズムにとって重要である。 PKCの上方制御を下方制御なしで達成することは困難であり、逆もまた同じであるため、下方制御を最小化しながらの上方制御の方法が、PKC活性化と付随して観察される認知の利点を増強するために必要である。本発明の方法及び組成物は、それらの要求を満たし、また、アルツハイマー病及び他の神経変性疾病のための臨床治療を大きく改善し、並びに、改善された認知の増強を予防的に提供する。また、この方法及び組成物は、α-分泌酵素の調節を介して認知状態の治療及び/又は増強を提供する。 本発明は、長期記憶を固定するのに十分なタンパク質の合成を刺激するために十分な方法で、PKC活性化因子をタンパク質キナーゼCと接触させる方法に関する。 本発明は、細胞成長を刺激するために、PKC活性化因子をタンパク質キナーゼC(PKC)と接触させる工程を含む方法に関する。 本発明は、ニューロン成長を刺激するために、PKC活性化因子をタンパク質キナーゼC(PKC)と接触させる工程を含む方法に関する。 本発明は、樹状突起の成長を刺激するために、PKC活性化因子をタンパク質キナーゼC(PKC)と接触させる工程を含む方法に関する。 本発明は、樹状突起棘形成を刺激するために、PKC活性化因子をタンパク質キナーゼC(PKC)と接触させる工程を含む方法に関する。 本発明は、樹状突起棘密度を刺激するために、PKC活性化因子をタンパク質キナーゼC(PKC)と接触させる工程を含む方法に関する。 本発明は、近位の樹状突起へのELAVトランスロケーションを刺激するために、PKC活性化因子をタンパク質キナーゼC(PKC)と接触させる工程を含む方法に関する。 本発明は、記憶損失の緩徐化又は逆転、記憶損失と同定された被検体において、有効量のPKC活性化因子をタンパク質キナーゼC(PKC)と接触させる工程を含む、記憶及び学習の損失を緩徐化または逆転する方法を提供する。一つの態様において、有効量のPKC活性化因子のah PKCとの接触は、細胞又はニューロンの成長を刺激する。他の態様において、有効量のPKC活性化因子のPKCとの接触は、樹状突起の成長を刺激する。さらに他の態様において、有効量のPKC活性化因子のah PKCとの接触は、樹状突起棘形成を刺激する。さらに他の態様において、有効量のPKC活性化因子のah PKCとの接触は、樹状突起棘密度を刺激する。 また、本発明は、被検体において、有効量のPKC活性化因子をタンパク質キナーゼC(PKC)と接触させ、これによって細胞又はニューロンの成長を刺激する工程を含む方法を提供する。一つの態様において、該被検体は、障害性の学習又は記憶を有すると確認されている。他の態様において、有効量のPKC活性化因子のPKCとの接触は、樹状突起の成長を刺激する。さらに他の態様において、有効量のPKC活性化因子のah PKCとの接触は、樹状突起棘形成を刺激する。さらに他の態様において、有効量のPKC活性化因子のah PKCとの接触は、樹状突起棘密度を刺激する。 一つの態様において、該PKC活性化因子は大環状ラクトンである。一つの態様において、該PKC活性化因子はベンゾラクタムである。一つの態様において、該PKC活性化因子はピロリジノンである。好ましい態様において、該大環状ラクトンはブリオスタチンである。さらに好ましい態様において、該ブリオスタチンはブリオスタチン-1, -2, -3, -4, -5, -6, -7, -8, -9, -10, -11, -12, -13, -14, -15, -16, -17,又は-18である。最も好ましい態様において、該ブリオスタチンはブリオスタチン-1である。 一つの態様において、該大環状ラクトンはネリスタチン(neristatin)である。好ましい態様において、該ネリスタチンはネリスタチン-1である。 一つの態様において、該接触はPKCを活性化する。一つの態様において、該接触は、PKCの量を増加させる。一つの態様において、該接触は、PKCの合成を増大させる。一つの態様において、該接触は、カレキシチンの量を増大させる。一つの態様において、該接触は、PKCの実質的なその後の調節解除をもたらさない。 一つの態様において、該接触は繰り返される。他の態様において、該接触は定期的な間隔で繰り返される。他の態様において、該間隔は1週間から1ヶ月の間、1日から1週間の間、又は1時間未満から24時間の間である。他の態様において、該間隔は、1週間から1ヶ月の間である。他の態様において、該間隔は、1日から1週間の間である。他の態様において、該間隔は、1時間未満から24時間の間である。 一つの態様において、該接触は、固定された持続期間中維持される。他の態様において、該固定された期間は24時間未満である。他の態様において、該固定された期間は12時間未満である。他の態様において、該固定された期間は6時間未満である。他の態様において、該固定された期間は6時間未満である。他の態様において、該固定された期間は4時間未満である。他の態様において、該固定された期間は2時間未満である。好ましい態様において、該固定された期間は約1時間から12時間の間である。より好ましい態様において、該固定された期間は約2時間から6時間の間である。最も好ましい態様において、該固定された期間は約4時間である。 一つの態様において、該接触は、1日より長い期間繰り返される。他の態様において、該接触は、1日から1ヶ月の間の期間繰り返される。他の態様において、該接触は、1日から1週間の間の期間繰り返される。他の態様において、該接触は、1週間から1ヶ月の間の期間繰り返される。他の態様において、該接触は、1ヶ月から6ヶ月の間の期間繰り返される。他の態様において、該接触は、1ヶ月の期間繰り返される。他の態様において、該接触は、1ヶ月より長い期間繰り返される。 一つの態様において、PKC活性化因子は、脳又は中枢神経系への送達を増強し、及び末梢組織への送達を最小化する様式で投与される。他の態様において、該PKC活性化因子は、血液脳関門を通過するPKC活性化因子の輸送を増強する様式で投与される。一つの態様において、PKC活性化因子は、脳又は中枢神経系への輸送を増強し、末梢組織への輸送を最小化する、医薬組成物中に処方される。他の態様において、本発明のPKC活性化因子は、米国公開番号第20040204354号(その全てが参照によって本明細書に援用される)に記載されているような人工的なLDL粒子で投与される。他の態様において、該PKC活性化因子は、人工的なLDL粒子中に処方される。さらに他の態様において、該PKC活性化因子は、コレステロールに接合(conjugated)されて、人工的なLDL粒子中に処方される。 本発明は、PKCを下方制御するのに十分な様式でPKC活性化因子をタンパク質キナーゼCと接触させる方法に関する。 一つの態様において、該PKC活性化因子は大環状ラクトンである。一つの態様において、該PKC活性化因子はベンゾラクタムである。一つの態様において、該PKC活性化因子はピロリジノンである。好ましい態様において、該大環状ラクトンはブリオスタチンである。より好ましい態様において、該ブリオスタチンはブリオスタチン-1, -2, -3, -4, -5, -6, -7, -8, -9, -10, -11, -12, -13, -14, -15, -16, -17,又は-18である。最も好ましい態様において、該ブリオスタチンはブリオスタチン-1である。 一つの態様において、該大環状ラクトンはネリスタチンである。好ましい態様において、該ネリスタチンはネリスタチン-1である。 一つの態様において、該接触は、PKCの合成を刺激しない。他の態様において、該接触は、PKCの合成を実質的に刺激しない。他の態様において、該接触は、PKCの量を減少させる。他の態様において、該接触は、PKCの量を実質的に減少させる。他の態様において、該接触は、カレキシチンの合成を刺激しない。 一つの態様において、該接触は、持続的期間の間である。一つの態様において、該持続的期間は、1時間未満から24時間の間である。他の態様において、該持続的期間は、1日から1週間の間である。他の態様において、該持続的期間は、1週間から1ヶ月の間である。他の態様において、該持続的期間は1時間未満から12時間の間である。他の態様において、該持続的期間は、1時間未満から8時間の間である。他の態様において、該持続的期間は、1時間未満から4時間の間である。好ましい態様において、該持続的期間は、約4時間である。 一つの態様において、該接触は、PKCの持続性下方制御を生じる。一つの態様において、該持続期間は1時間未満から24時間の間である。他の態様において、該持続期間は1日から1週間の間である。他の態様において、該持続期間は1週間から1ヶ月の間である。他の態様において、該持続期間は1時間未満から12時間の間である。他の態様において、該持続期間は、1時間未満から8時間の間である。他の態様において、該持続期間は、1時間未満から4時間の間である。好ましい態様において、該持続期間は約4時間である。 本発明は、長期記憶を固定するのに十分なタンパク質の合成を刺激するのに十分な様式で、PKC活性化因子をタンパク質キナーゼCと接触させる方法に関し、これはさらに、PKCの分解を阻害する工程を含む。 一つの態様において、該分解は、ユビキチン結合を介する。他の態様において、該分解は、ラクタシステイン(lactacysteine)によって阻害される。他の態様において、該PKCはヒトである。 本発明は、長期記憶を固定するのに十分なタンパク質の合成を刺激するために十分な様式で、PKC活性化因子をタンパク質キナーゼCと接触させる方法に関し、ここにおいて、該PKC活性化因子は、PKC活性化因子及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物の形態で提供される。 一つの態様において、該医薬組成物は、さらにPKC阻害剤を含む。他の態様において、 該PKC阻害剤は、末梢組織においてPKCを阻害する化合物である。ここで用いられる場合、「末梢組織」とは、脳以外の組織を意味する。他の態様において、PKC阻害剤は、末梢組織においてPKCを優先的に阻害する化合物である。他の態様において、該PKC阻害は、PKC活性化因子の、それらを必要とする被検体への投与に付随する筋痛を減少する化合物である。他の態様において、PKC阻害剤は、PKC活性化因子を処置された被検体において生じる筋痛を減少する化合物である。他の態様において、該PKC阻害剤は、PKC活性化因子の耐容量を上昇させる化合物である。特に、PKC阻害剤は、例えば、これらに限定されないが、ビタミンE、ビタミンEアナログ、及びそれらの塩;カルフォスチンC;チアゾリジンジオン;ルボキシスタウリン(ruboxistaurin)、及びそれらの組合せを含む。ここで用いる場合、「ビタミンE」は、α-トコフェロール(5, 7,8-トリメチルトコール); β-トコフェロール(5,8-ジメチルトコール;δ-トコフェロール(8-メチルトカル(methyltocal));及びγ-トコフェロール(7,8-ジメチルトコール)、それらの塩及びアナログを意味する。図1は、長期記憶の獲得におけるブリオスタチンの影響を描写し、また、準至適にトレーニングされたがブリオスタチンを処置された動物が全て獲得した長期記憶を実証することを示している。図2は、長期記憶の獲得におけるブリオスタチンの影響を描写し、また、ブリオスタチンを伴うか又は伴わない、光及び回転のランダム化された提示(presentation)が、条件反応を生じないことを示す。図3は、長期記憶の獲得におけるブリオスタチンの影響を描写し、また、連続する二日間において、ブリオスタチンに4時間曝露され、続いて、続く第三日目に二つのトレーニングイベント(TE)を受けた動物が、少なくとも6日間の長期記憶の獲得を実証したことを示している。図4は、長期記憶の獲得におけるブリオスタチンの影響を描写し、また、連続する三日間において、ブリオスタチンに4時間曝露され、続いて、続く第四日目に二つのTEを受けた動物が、少なくとも96時間の長期記憶の獲得を実証したことを示している。図5は、長期記憶の獲得におけるブリオスタチンの影響を描写し、また、8〜20時間のブリオスタチンへの曝露、続いて二つのTEが、ブリオスタチンへの4時間の曝露の後に達成されるものと同等の記憶の獲得に十分ではないことを示している。図6は、長期記憶の獲得におけるブリオスタチンの影響を描写し、また、1. 0 ng/mlを超えるブリオスタチンへの曝露が、長期記憶の獲得を阻害することを示している。図7は、長期記憶の獲得におけるブリオスタチン及びアニソマイシンの影響を描写し、2TEと共に単一の4時間のブリオスタチンへの曝露が、アニソマイシンがブリオスタチン曝露の間に存在した場合は完全に除去された数時間持続する長期記憶を生じることを示している。図8は、ブリオスタチン及びラクタシステインの効果を描写しており、ラクタシステインは、単一のブリオスタチン曝露(続いて2TE)によって生じた短期記憶を多くの日数持続する長期記憶へ転換することが示されている。図9は、PKC活性化のカレキシチンに及ぼす影響を描写している。図10aは、カレキシチン免疫染色に及ぼすブリオスタチン及びトレーニングイベントの影響を描写している。この図は、カレキシチンが、トレーニングイベントの数と共に、B型細胞内で上昇することを示している。図10bは、免疫染色によって示されるように、カレキシチン単独ブリオスタチンの影響を描写している。図11aは、連続二日間の4時間のブリオスタチン曝露、続いて24時間後の二つのトレーニングイベントの、カレキシチンの強度に及ぼす影響を描写している。この図は、連続二日間の4時間のブリオスタチンへの曝露、続いて、24時間後の2TEが、カレキシチンレベルを、長期記憶の固定を付随する量にまで上昇するために必要であることを示している。図11bは、ブリオスタチン曝露後のアニソマイシンの添加がカレキシチンに及ぼす影響を描写している。この図は、2TEに加えて3日間の4時間のブリオスタチン曝露に続くアニソマイシンが、カレキシチン免疫染色を減少しないことを示している。図12は、繰り返される4時間のブリオスタチン曝露がPKC活性に及ぼす影響を、サイトゾルの画分におけるヒストンリン酸化によって測定して描写している。この図は、連続二日間のブリオスタチン曝露が、コントロールレベル又はベースラインレベルを著しく超えるPKC活性を生じることを示している。図13は、繰り返される4時間のブリオスタチン曝露がPKC活性に及ぼす影響を、膜画分におけるヒストンリン酸化によって測定して描写している。この図は、連続二日間のブリオスタチン曝露が、コントロールレベル又はベースラインレベルを著しく超えるPKC活性を生じることを示している。図14は、アニソマイシンがPKC活性に及ぼす影響を描写している。この図は、ブリオスタチン曝露の連続3日間のそれぞれの間のアニソマイシンの存在が、サイトゾル画分及び膜画分の両方でPKC活性を減少することを示している。図15は、海馬のニューロンにおける膜結合PKCにおけるブリオスタチンの影響を描写している。この図は、培養海馬ニューロンの、単一の活性化用量のブリオスタチン(0.28 nM)への30分間の曝露が、サイトゾルから粒子性画分へのPKCの短期のトランスロケーションを生じ(約60%)、続いて、下方制御が延長されたことを示している。第1の曝露後4時間までの第2の曝露は、単回のブリオスタチン曝露後4時間見られる下方制御を著しく減弱する。図16は、繰り返されるブリオスタチン曝露がPKC活性に及ぼす影響を描写している。この図は、2〜4時間後の第2の曝露が、単回の30分のブリオスタチン曝露が生じる著しい下方制御を排除し、また、第2の曝露が最初の後4時間まで遅れた場合、活性がベースラインを超えて、2時間以内に届けられた第2の曝露と比較して、著しく大きい程度まで上昇することを示している。図17は、タンパク質合成に及ぼすブリオスタチンの影響を描写している。ラットIGF-IR細胞は、1〜79時間の範囲のインキュベーション時間の間、0.28 nM ブリオスタチンと共に30分間インキュベートされた。[35S]メチオニン(9.1μCi)は、次いで、培地に添加され、続いて、放射標識が分析された。単一の30分の0.28 nM ブリオスタチンへの曝露は、ニューロンの収集の前最後の半時間における[35S]メチオニンの導入によって測定されたとき、全体的なタンパク質合成を上昇させ、ブリオスタチン曝露後、24時間以内で20%、79時間で60%の上昇であり、しかし、PKC阻害剤 Ro-32-0432の存在下では、著しく少ない上昇であった。図18は、ニューロン細胞の原形質膜へのPKCαトランスロケーションの誘導を描写している。図19は、CA1ニューロンにおけるPKCαの投与量及び時間依存性を描写している。図20は、ブリオスタチンが媒介するELAVの樹状シャフトへの核外移行を描写している。図21は、ブリオスタチンが媒介するELAVの樹状シャフトへの核外移行の投与量及び時間依存性を描写している。図22は、棘特異的タンパク質、スピノフィリン(spinophilin)の標識化によって測定される、ブリオスタチンが媒介する樹状突起棘密度の増加を描写している。図23は、CA1及びCA3ニューロンのブリオスタチンへの30分間の曝露後、近位の樹状シャフトにおけるブリオスタチンが媒介する樹状突起棘密度の増加を描写している。図24は、CA1ニューロンにおけるブリオスタチンが媒介する棘の数の上昇の投与量及び時間依存性を描写している。図25は、インビボで、CA1及びCA3 海馬のニューロンにおけるブリオスタチンが媒介する棘の数の上昇を描写している。図26は、学習及び記憶の保持におけるブリオスタチンの影響を描写している。アステリスクは、水泳コントロールからの著しい相違である(**, p<.01; **, p<.001)。プローブテストにおいて、迷路+Bryoは、迷路及び迷路+Bryo+ROから著しく相違した(p<.05)。図27は、空間迷路タスクでトレーニングされたラットの樹状棘におけるブリオスタチンの影響を描写している。アステリスクは、未処置のコントロールからの著しい相違を示す(*, p<.05; **, p<.001)。図28は、マッシュルーム棘におけるブリオスタチンの影響を描写している。アステリスクは、未処置のコントロールからの著しい相違を示す(*, p<.05; **, p<. 001)。図29は、シナプス構造の前及び後におけるブリオスタチンの影響の相違を描写している。アステリスクは、未処置のコントロールからの著しい相違を示す(*, p<.05; **, p<.01; ***, p<.001)。図30は、PKC活性化による棘密度の上昇のメカニズムを描写している。黄色い矢印は原形質膜を示す。白い矢印はCA1ニューロンを示す。図31は、PKC活性化による棘密度の上昇のメカニズムを描写している。アステリスクは、未処置のコントロールからの著しい相違を示している(*, p<.05; **, p<.01; ***, p<.001)。 1.定義 ここで用いられる場合、「上方制御する(upregulating)」又は「上方制御(upregulation)」は、これに限定されないが、転写、翻訳の増大、及び/又は転写物又はタンパク質産物の安定性の増大を含む、任意のメカニズムを介して、ベースライン状態と比較して、PKCタンパク質又は転写物のような剤の量又は活性を上昇させることを意味する。 ここで用いられる場合、「下方制御する(down regulating)」又は「下方制御」は、これに限定されないが、転写、翻訳の減少、及び/又は転写物又はタンパク質産物の安定性の減少を含む、任意のメカニズムを介して、ベースライン状態と比較して、PKCタンパク質又は転写物のような剤の量又は活性を減少させることを意味する。 ここで用いられる場合、「薬学的に許容される担体」という用語は、活性成分が配合され得る化学的組成物、化合物、又は溶媒であり、該配合の後に該活性成分を被検体に投与するために用いられることができるものを意味する。ここで用いられる場合、「薬学的に許容される担体」は、これに限定されないが、以下の一以上を含む:賦形剤;表面活性薬;分散剤;不活性希釈剤;顆粒化剤(granulating agents)及び崩壊剤(disintegrating agents);結合剤;潤滑剤;保存剤;ゼラチンのような生理的分解性組成物;水性媒体及び溶媒;油性媒体及び溶媒;懸濁剤;分散剤又は湿潤剤;乳化剤、粘滑剤(demulcents);バッファー;塩;増粘剤;充填剤;抗酸化剤;安定化剤;及び薬学的に許容されるポリマー又は疎水性物質及び当該分野で既知であり、例えば、「Genaro, ed. (1985) Remington's Pharmaceutical Sciences Mack Publishing Co., Easton, Pa.」(参照によって本明細書に援用される)に開示された他の成分。 ここで開示された医薬組成物の製剤は、既知の任意の方法又は今後、薬理学の分野において開発される任意の方法で調製されることができる。一般に、そのような準備(preparatory)方法は、活性成分を担体又は一以上の他の付属の会合させる工程、及び、次いで、必要な場合又は望ましい場合、該産物を所望の単回又は複数回投与ユニットに整形するか又はパッケージングすることを含む。 ここで提供された医薬組成物の記述が、主にヒトへの倫理的な投与に適する医薬組成物に向けられているにも関わらず、そのような組成物が一般に全ての種類の動物へ投与するのに適していることは、当該分野の技術者には理解されるであろう。該組成物を種々の動物への投与に適するようにするための、ヒトへの投与に適する医薬組成物の改変は、よく理解され、及び、通常の技術を有する獣医学の薬理学者は、もし必要ならば、単なる通常の実験により、そのような改変を設計及び実行できる。本発明の医薬組成物が投与される被検体は、これに限定されないが、ヒト及び他の霊長類、及び他の哺乳類を含むことが考えられる。 2.アルツハイマー病 アルツハイマー病は、記憶の損失が最も普遍的な症状である、脳における特異的なニューロン亜集団の広範な損失と関連する(Katzman (1986) New England Journal of Medicine 314: 964)。アルツハイマー病は、神経病理学的変化に関してよく特徴づけられている。しかしながら、異常は末梢組織において報告されており、これは、アルツハイマー病が最も顕著な中枢神経系の病態を伴う系統的な障害であるという可能性を支持している(Connolly (1998) Review, TiPS Col. 19: 171-77)。アルツハイマー病の考察については、遺伝子起源及び染色体1, 14,及び21に関連している(St. George-Hyslop et al. (1987) Science 235: 885; Tanzi et al. Review, Neurobiology of Disease 3:159-168; Hardy (1996) Acta Neurol Scand: Supplement 165: 13-17を参照)。 アルツハイマー病の個体は、進行性の記憶障害、言語及び空間視覚に関するスキルの損失及び行動欠乏によって特徴付けられる(McKhann et al. (1986) Neurology 34: 939-944)。アルツハイマー病の個体の認知障害は、大脳皮質、海馬、基底前脳及び他の脳領域に位置するニューロン細胞の変性の結果である。死体解剖で得られたアルツハイマー病の脳の組織学分析は、変性したニューロンの核周部(perikarya)及び軸索における神経原線維変化(NFT)、細胞外の神経突起斑(老人斑)、及び冒された脳領域の幾つかの血管の内側及び周囲におけるアミロイド斑の存在を証明した。神経原線維変化は、らせん状の様式で対になった繊維(直径約10 nm)を含む異常な糸状構造であり、それ故、らせん状の対細糸とも呼ばれる。神経突起斑は、変性している神経末端(軸索の及び樹状突起の両方)に位置し、アミロイドタンパク質繊維の核化合物(core compound)を含む。要約すると、アルツハイマー病は、主に細胞骨格タンパク質から構成される細胞内の神経原線維変化、及び細胞外柔組織(parenchymal)及び脳血管(cerebrosvascular)アミロイドを含む、ある種の神経病理学的な特徴によって特徴付けられる。さらに、現在では、アルツハイマー患者、正常な老齢の人々、及び、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、ヴェルニッケ-コルサコフ又は精神分裂病、さらに例えば米国特許第5,580,748号及び米国特許第6,080, 582号にさらに開示されているような他の神経変性疾病にかかっている人々の間を識別する、当該分野の方法がある。 ニューロン損失をもたらす細胞変化及び疾病の根底にある原因が調査中のままである一方、APP代謝の重要性は良く証明されている。脳の生理機能又は病態生理に役割を果たす、アルツハイマー病の患者の脳において最も一貫して確認されている二つのタンパク質は、β-アミロイド及びタウ(tau)である(Selkoe (2001) Physiological Reviews. 81:2を参照)。β-アミロイドタンパク質代謝における欠陥及び異常なカルシウムホメオスタシス及び/又はカルシウム活性化キナーゼの検討(Etcheberrigaray et al. Alzheimer’s Reports Vol. Nos. 3, 5 & 6 pp 305-312; Webb et al. (2000) British Journal of Pharmacology 130: 1433-52)。 アルツハイマー病(AD)は、変質したタンパク質異化反応によって特徴付けられる脳障害である。変質したタンパク質リン酸化は、アルツハイマー病に見られる細胞内神経原線維変化の形成に結び付けられている。アミロイド前駆体タンパク質(APP)のプロセシングは、後で凝集して老人斑又はAD斑として知られるアルツハイマー病(AD)に特徴的なアミロイド沈着を形成する断片の産生を決定する。アルツハイマー病の病態の中心的な特徴は、斑内のアミロイドタンパク質の沈着である。従って、APPプロセシングは、ADにおいて早期の及び鍵となる病態生理学的イベントである。 3つの代替APPプロセシング経路が確認されている。以前に「正常な」と名づけられていたプロセシングは、残基Lys16(又はLys16とLeu17の間;APP770 命名法)のAβ配列内でAPPを切断する酵素の関与を含み、非アミロイド形成的断片:大N-終端外部ドメイン及び小9 kDa膜結合断片をもたらす。この酵素は、まだ完全には同定されていないが、α分泌酵素として知られている。二つのさらなる分泌酵素がAPPプロセシングに関与する。一つの代替経路は、Met671とAsp672の間のAβドメインの外側でのAPPの切断(β-分泌酵素による)、及びエンドソーム-リソーマル(lysomal)系の関与を含む。さらなる切断サイトは、原形質膜内の、Aβペプチドのアミノ酸39の後の、Aβ部分のカルボキシル末端で生じる。分泌酵素(γ)の作用は、全Aβ配列及び〜6kDaの細胞結合型(cell-associated)断片を含む、細胞外アミノ酸末端を生じる。よって、β及びγ分泌酵素によるプロセシングは、それらが完全なAβ配列を含むために、潜在的アミロイド形成的断片を産生する。幾つかの系統の証拠が、全ての代替経路が与えられた系で生じ、可溶性Aβが「正常な産物」で有り得ることを示している。しかしながら、CSF及び血漿で循環しているAβの量が「スウェーデン」突然変異を保有する患者において増加するという証拠もある。さらにその上、この突然変異又はAPP717突然変異を形質移入された培養細胞は、大量のAβを分泌する。より最近では、他のAPP突然変異及びPS1及びPS2突然変異のキャリアが、特定の形態の、長い(42-43アミノ酸)Aβを増加した量で分泌することが示されている。 それ故、代替の全ての経路が正常に生じるにも関わらず、アンバランスな順調な(favoring)アミロイド形成的プロセシングが、家族性且つ恐らく散発性ADで生じる。それらの増強されたアミロイド形成的経路は、最終的に、AD患者の脳において原繊維及び斑の形成をもたらす。このように、非-アミロイド形成的、α-分泌酵素経路を支持する介入は、APPプロセシングのバランスを、潜在的に有毒なAβペプチドと比較してsAPPの相対量を上昇させる、恐らく非病原性のプロセスに向けて効果的にシフトさせる。 PKCイソ酵素は、生化学的、生物物理学的、及び行動性効力の唯一の相関が実証可能であり、認知能力の改善のために被検体に適用されることができる、重大な意味を持つ特異的な及び律速の分子ターゲットを提供する。 さらに、正常な及び異常な記憶に関して、K+及びCa2+の両方のチャネルは、記憶の貯蔵と想起に鍵となる役割を果たすことが実証されている。例えば、カリウムチャネルは、記憶貯蔵の間に変化することが発見されている(Etcheberrigaray et al. (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. 89: 7184; Sanchez-Andres et al. (1991) Journal of Neurobiology 65: 796; Collin et al. (1988) Biophysics Journal 55: 955; Alkon et al. (1985) Behavioral and Neural Biology 44: 278; Alkon (1984) Science 226: 1037)。この観察は、アルツハイマー患者の記憶損失のほとんど普遍的な症状と結びつけられ、アルツハイマー病の病態及び認知におけるPKC調節の効果が起こり得るサイトとして、カリウムチャネルの機能の調査に導いた。 3.タンパク質キナーゼC及びアルツハイマー病 PKCは、非受容体セリン-スレオニンタンパク質キナーゼの最も大きな遺伝子ファミリーの一つとして確認された。Nishizuka及び共同研究者(Kikkawa et al. (1982) J. Biol. Chem. 257: 13341)による、80年代初頭におけるPKCの発見、及びホルボールエステルの主要な受容体としてのその同定(Ashendel et al. (1983) Cancer Res., 43: 4333)以来、多くの生理学的シグナル伝達のメカニズムがこの酵素に帰した。カルシウム及びジアシルグリセロール(及びそのホルボールエステルミメティック)によりインビトロで活性化されるその独特の能力に由来するPKCにおける大きな興味が、その形成のエフェクターを成長及び分化要因の作用によるリン脂質の代謝回転と結びつけた。 PKC遺伝子ファミリーは、現在、4つのサブグループに分けられる11の遺伝子からなる:1) 古典的なPKCα、β1、β2、(β1及びβ2は、同じ遺伝子の選択的にスプライシングされた形態)及びγ、2) 新規のPKCδ、ε、η及びθ、3) 非定型的なPKCζ、λ、η及びι及び4) PKCμ。PKCμは、新規のPKCアイソフォームと似ているが、推定上の膜貫通ドメインを有することによって相違する(Blohe et al. (1994) Cancer Metast. Rev. 13: 411; Ilug et al. (1993) Biochem J. 291: 329; Kikkawa et al. (1989) Ann. Rev. Biochem. 58: 31によって概説される)。α、β1、β2、及びγアイソフォームは、Ca2、リン脂質及びジアシルグリセロール-依存性であり、及びPKCの古典的なアイソフォームを代表し、他方では、他のアイソフォームは、リン脂質及びジアシルグリセロールによって活性化されるが、CA2+に依存しない。全てのアイソフォームは、5可変(V1-V5)領域を包含し、α、β、γアイソフォームは高度に保存された4つの(C1-C4)構造的ドメインを含む。PKCα、β及びγを除く全てのアイソフォームは、C2ドメインを欠いており、λ、η及びアイソフォームもまた、ジアシルグリセロールが結合するC1において、二つのシステインリッチなジンクフィンガードメインの9つを欠いている。C1ドメインもまた、全てのアイソフォームで高度に保存されている偽基質配列を含み、これは酵素の不活性コンホメーションを生じる基質結合サイトを遮断することによる自己調節性機能に役立つ(House et al., (1987) Science 238: 1726)。 それらの構造的特徴のために、多様なPKCアイソフォームは、生理学的な刺激に対する反応におけるシグナル伝達において(Nishizuka (1989) Cancer 10: 1892)、並びに、腫瘍性の(neoplastic)形質転換及び分化において(Glazer (1994) Protein Kinase C. J.F. Kuo, ed., Oxford U. Press (1994) at pages 171-198)、高度に特定化された役割を有すると考えられている。既知のPKCモジュレーターの考察には、PCT/US97/08141, U.S. Patent Nos. 5,652,232; 6,043,270; 6,080,784; 5,891,906; 5,962,498; 5,955,501; 5,891,870及び5,962,504が参照される。 PKCがシグナル伝達において果たす中心的な役割を考慮すると、PKCは、APPプロセシングの調節のための刺激的なターゲットであることが示される。PKCがAPPプロセシングにおいて役割を果たすことはよく確証されている。ホルボールエステルは、例えば、PKC活性化を介して分泌された非-アミロイド形成的可溶性APP(sAPP)の相対的な量を著しく増大させることが示されている。ホルボールエステルによるPKCの活性化は、しかしながら、APP分子の直接的なリン酸化をもたらすようにはみえない。作用の正確なサイトにかかわりなく、ホルボールが誘導するPKCの活性化は、増強されたか又は恵まれた(favored)α-分泌酵素、非-アミロイド形成的経路をもたらす。それ故、PKC活性化は、非-有害なsAPPの生成に影響し、及び有益なsAPPをも生成し、及び、同時にAβペプチドの相対的な量を減少するために魅力的なアプローチである。ホルボールエステルは、しかしながら、それらの腫瘍促進活性のために、最終的な薬物開発のために適した化合物ではない(Ibarreta et al. (1999) NeuroReport Vol. 10, No. 5&6, pp 1034-40)。 本発明者らは、アルツハイマー病(AD)アミロイド前駆体タンパク質(APP)のα-分泌酵素プロセシングに都合よい、タンパク質キナーゼCの活性化が、非-アミロイド形成的可溶性APP(sAPP)の産生をもたらすことをも観察した。結果的に、アミロイド形成的A1-40及びA1-42(3)の相対的な分泌は減少する。線維芽細胞及びAPPを発現する他の細胞及びプレセニリンAD突然変異が、上昇した量の総Aβ及び/又は上昇した割合のA1-42(3)/A1-40を分泌するために、これは特に関係する。興味深いことに、PKC欠損は、AD脳(α及びβアイソフォーム)において及びAD患者の線維芽細胞(α-アイソフォーム)において見られた。 α、β及びγアイソフォームについての改善された選択性を有する他のPKC活性化因子(即ち、ベンゾラクタム)が、sAPP分泌を基底のレベルを超えて増強するということが研究により示されている。ベンゾラクタムで処理したAD細胞におけるsAPP分泌も、コントロールのベンゾラクタムで処理した線維芽細胞と比較してわずかに高かく、これは、単に10μM BLによる処理後、sAPP分泌の著しい上昇を示した。さらに、スタウロスポリン(PKC阻害剤)がコントロール及びAD線維芽細胞の両方でベンゾラクタムの効果を排除し、一方、関連する化合物はPC12細胞において〜3倍のsAPP分泌を引き起こすことが報告されている。本発明者らは、好ましい非アミロイド形成的APPプロセシングのために、PKC活性化因子としてブリオスタチンを使用することは、それが非腫瘍促進であり、及びすでにステージIIの臨床試験にあることから、特に治療上の価値があることを見出した。 PKCにおける改変は、カルシウム制御及びカリウム(K+)チャネルにおける改変と同様に、アルツハイマー病(AD)患者における線維芽細胞の改変の中に含まれる。PKC活性化は、TEA-誘導性[Ca2+]上昇により測定されて、正常なK+チャネル機能を回復することが示されている。さらに、パッチクランプデータは、113psK+チャネル活性の回復におけるPKC活性化因子の効果を実証する。このように、PKC活性化因子に基づくK+チャネルの回復は、AD病態の調査へのアプローチとして確立されており、及びAD治療のための有用なモデルを提供する(継続中の米国出願番号第09/652,656号を参照、参照によってその全てが本明細書に援用される。)。 特に興味深いのは、PKCを刺激するように作用する大環状ラクトン(即ち、ブリオスタチンクラス及びネリスタチンクラス)である。ブリオスタチンクラスの化合物、ブリオスタチン-1は、PKCを活性化することが示されており、腫瘍促進活性がないことが証明されている。PKC活性化因子としてブリオスタチン-1は、ブリオスタチン-1の用量応答曲線が二相性であるために特に有用である。さらに、ブリオスタチン-1は、PKCα、PKCδ、及びPKCεを含む、PKCイソ酵素の差動的な(differential)制御を示す。ブリオスタチン-1は、動物及びヒトにおいて毒性及び安全性の研究を受けており、抗癌剤として活発に調査されている。研究におけるブリオスタチン-1の使用は、ヒトにおける主な有害反応は筋痛であり、最大投与量を40 mg/m2に制限することが決定された。本発明は、0.1 nMの濃度のブリオスタチン-1を利用して、sAPP分泌の劇的な上昇を引き起こした。ブリオスタチン-1は、媒体単独及び他のPKC活性化因子、10,000倍高い濃度で用いられたベンゾラクタム(BL)と比較された。ブリオスタチンは、現在、抗癌剤として臨床試験中である。ブリオスタチンは、PKCの制御ドメインに結合し、該酵素を活性化することが知られている。ブリオスタチンは、PKCのイソ酵素選択的活性化因子の例である。ブリオスタチンに加えて化合物は、PKCを調節することが発見されている(例えば、WO 97/43268を参照、参照によってその全てが本明細書に援用される)。 大環状ラクトン、及び特にブリオスタチン-1は、米国特許第4,560,774号 (参照によってその全てが本明細書に援用される)に記載されている。大環状ラクトン及びその誘導体は、当該分野ではそのほかに、例えば、米国特許第6,187,568号、米国特許第6,043,270号、米国特許第5,393,897号、米国特許第5,072,004号、米国特許第5,196,447号、米国特許第4,833,257号、及び米国特許第4,611,066号(それぞれ参照によってその全てが本明細書に援用される)に記載されている。上記特許は、多様な化合物及び大環状ラクトンについての、抗炎症性剤又は抗腫瘍性剤としてのそれらの使用を含む、多様な使用を記載している。ブリオスタチンクラスの化合物に関する他の議論は、以下に見出すことができる:Szallasi et al. (1994) Differential Regulation of Protein Kinase C Isozymes by Bryostatin 1 and Phorbol 12-Myristate 13-Acetate in NIH 3T3 Fibroblasts, Journal of Biological Chemistry 269(3): 2118-24; Zhang et al. (1996) Preclinical Pharmacology of the Natural Product Anticancer Agent Bryostatin 1, an Activator of Protein Kinase C, Cancer Research 56: 802-808; Hennings et al. (1987) Bryostatin 1, an activator of Protein Kinase C, inhibits tumor promotion by phorbol esters SENCAR mouse skin, Carcinogenesis 8(9): 1343-46; Varterasian et al. (2000) Phase II Trial of Bryostatin 1 in Patients with Relapse Low-Grade Non-Hodgkin's Lymphoma and Chronic Lymphocytic Leukemia, Clinical Cancer Research 6: 825-28; and Mutter et al. (2000) Review Article: Chemistry and Clinical Biology of the Bryostatins, Bioorganic & Medicinal Chemistry 8: 1841-1860 (それぞれ、参照によってその全てが本明細書に援用される)。 筋痛は、PKC活性化因子の耐容量を制限する主要な副作用である。例えば、ブリオスタチン-1を使用するフェーズIIの臨床試験において、筋痛は、処置した全ての患者の10〜87%で報告された(Clamp et al. (2002) Anti-Cancer Drugs 13: 673-683)。3週間、週あたり20μg/m2 の投与量は、良好に容認され、筋痛又は他の副作用も伴わなかった(Weitman et al. (1999) Clinical Cancer Research 5: 2344-2348)。他の臨床研究において、8週間、週あたり25μg/m2のブリオスタチン-1の投与が最大耐容量であった(Jayson et al. (1995) British J. of Cancer 72(2): 461-468)。他の研究は、50μg/m2(6週間の期間、2週間に一度、1時間静脈内注入投与)が最大耐容量であると報告している(Prendville et al. (1993) British J. of Cancer 68(2): 418-424)。報告された筋痛は、ブリオスタチン-1の繰り返される処置で累積的であり、最初の注入後、数日間に発展した。Id. 患者の生活の質に及ぼす筋痛の有害な影響は、ブリオスタチン-1処置の中断のための理由に寄与した。Id. ブリオスタチン-誘導性の筋痛の原因は不明である。Id. 国立癌研究所は、筋痛を類別するための共通の毒性基準を確立している。具体的には、この基準は、5つの分類又は等級に分けられている。等級0は、筋痛なしである。等級1は、筋痛が穏やかなことによって特徴付けられ、鎮痛薬が要求されない短期間の痛みである。等級1の筋痛において、患者は、完全に外来である。等級2の筋痛は、中程度の痛みによって特徴付けられ、その痛み又は要求された鎮痛薬は、幾つかの機能を妨げるが、日々の生活の活動性は妨げない。等級3の筋痛は、激しい痛みを伴い、その痛み又は必要な鎮痛薬は、日々の生活の活動性を激しく妨げる。等級4の筋痛は不能(disabling)である。 本発明の組成物は、末梢組織におけるPKCの活性化を減弱することによって、患者へ投与されるPKC活性化因子の耐容量を上昇させる及び/又はPKC活性化に伴う副作用を寛解させる。具体的には、PKC阻害剤は、末梢組織においてPKCを阻害し、又は末梢組織においてPKCを優先的に阻害する。ビタミンEは、例えば、糖尿病ラットの大動脈、及び、上昇したグルコースレベルに曝された培養ラット平滑筋細胞において、ジアシルグリセロール-タンパク質キナーゼC活性化を正常化することが示されている(Kunisaki et al. (1994) Diabetes 43(11): 1372-1377)。中程度に進行したアルツハイマー病にかかっている患者におけるビタミンE(2000 IU/day)処置の二重盲検において、ビタミンE処置は、死亡率及び罹患率を減少するが、しかし、認知能力は増強しないことが示された(Burke et al. (1999) Post Graduate Medicine 106(5): 85-96)。 ブリオスタチンクラスを含む大環状ラクトンは、元々、Bigula neritina L.に由来した。大環状ラクトン、特にブリオスタチンクラスの複数の使用が知られているとはいえ、大環状ラクトンと認知増強の間の関係はこれまで不明であった。 本発明で用いられ得る化合物の例は、大環状ラクトン(即ち、ブリオスタチンクラス及びネリスタチンクラスの化合物)を含む。それらの化合物の具体的な態様は実施例及び詳細な説明に開示されているが、参照文献に記載された化合物及びそれらの誘導体も本発明の組成物及び方法のために用いることができることは理解されるであろう。 当該分野の通常の技術者に認められるように、大環状ラクトン化合物及びそれらの誘導体、特に、ブリオスタチンクラスは、コンビナトリアル合成技術に受け入れられ、それ故、これに限定されないが、該組成物の効力及び安全性を含む、薬理学的パラメーターを最適化するために、該化合物のライブラリが作成されることができる。さらに、それらのライブラリは、好ましく調節されたα-分泌酵素及び/又はPKCのそれらのメンバーを決定するためにアッセイされることができる。 ブリオスタチンの合成的なアナログも、本発明によって予期される。特に、それらのアナログは、ブリオスタチンと比較して、NMR分光学的に決定されたようなC1-, C19-, C26-酸素認識ドメインの定位及びPKC-結合親和性の多様な程度を維持する。米国特許第6,624,189号(参照によってその全てが本明細書に援用される)に開示及び記載されたブリオスタチンアナログも、本発明の方法に用いられ得る。特に、米国特許第6,624,189号(カラム3、35-66行)の式Iの種類及び米国特許第6,624,189の式II-VII及び1998a及び1998b(カラム8、28-60行)の種に記載されたブリオスタチンアナログは、本発明の方法に用いるのに適したPKC活性化因子である。 認知能力の具体的特徴又は一般的認知の何れかによる、全体的な認知を改善するための治療のための方法の開発は、今なお必要とされている。また、特異的な疾病状態又は認知障害に関連するか否かに関わらず、認知の増強の改善のための方法の開発も必要とされている。本発明の方法及び組成物は、それらの要求を満たし、アルツハイマー病及び他の神経変性疾病のための臨床的な治療を大きく改善し、並びに、改善された認知増強を提供する。また、該方法及び組成物はα-分泌酵素の調節を介して、認知状態の治療及び/又は増強を提供する。 4.タンパク質キナーゼCの活性化及びシナプスの可塑性 タンパク質キナーゼCの活性化は、シナプスの可塑性を刺激する。シナプスの可塑性は、二つのニューロンの間の結合又はシナプスの強度を変化する能力を述べるために用いられる用語である。シナプスへ放出される神経伝達物質の量における変化及び細胞がそれらの神経伝達物質へどの程度反応するかの変化を含む、幾つかのメカニズムが、シナプスの可塑性を達成するために協同している(Gaiarsa et al., 2002)。記憶が脳におけるシナプスの相互接続したネットワークによって生じるために、シナプスの可塑性は、学習及び記憶の重要な神経化学的な根拠の一つである。 樹状突起棘密度の変化は、シナプスの可塑性の根拠を形成する。樹状突起棘密度における変化は、学習及び記憶を含む、多くの脳の機能における役割を果たす。長期記憶は、例えば、特定の神経の経路を強化する新しい樹状棘の成長によって部分的に媒介される。二つのニューロンの間の結合を強化することによって、シナプス後細胞を活性化するシナプス前細胞の能力が増強される。 樹状突起棘は、樹状突起から突出し、シナプスの一つの半分(one half)を形成する、小さい(サブマイクロメーター)膜性突出(membranous extrusion)である。典型的に、棘は、親の樹状突起に薄い棘の首(thin spine neck)を介して結合している球根状の頭部(bulbous head)(棘頭部)を有する。樹状棘は、脳の中で最も主要なニューロンの樹状突起において見出される。棘は、形状に従って、例えば、マッシュルーム棘(mushroom spines)、薄い棘(thin spines)及び短い棘(stubby spines)に分類される。電子顕微鏡は、それらの分類の間の形状の連続を示している。異なる形状の棘が、異なる発達段階及びシナプスの強度を反映することの幾つかの証拠がある。レーザースキャニング及び共焦点顕微鏡が、棘のサイズ及び密度を含む樹状突起棘の性質における変化を示すために用いられてきた。同じ技術を使用した、生きている動物の脳における微速度の研究は、棘が行ったりきたりし、より大きなマッシュルーム棘が時間経過に最も安定であることを示している。 幾つかのタンパク質は、樹状突起棘の形成のためのマーカーである。スピノフィリンは、例えば、樹状棘において極めて豊富であり、及び、樹状棘の形成及び機能を制御することを示している。ELAVタンパク質は、ニューロン分化の最も早いマーカーの一つである。ELAVタンパク質は、一般に、遺伝子発現の転写後の制御に関与する。 実施例1:行動薬理 実験を開始する前に、有孔の50-mlコニカル遠心チューブ中で、ウミウシ(Hermissenda Crassicornis)の検体を、15度の人工的な海水(ASW)中で3日間維持した。海のbryozoan Bugula neritinaから精製したブリオスタチンを、EtOH中に溶解し、ASW中にその最終濃度に希釈した。動物をASW中で、ブリオスタチンと共に4時間インキュベートし、次いで、通常のASWで濯いだ。選択された実験のために、ラクタシステイン (10μM)又はアニソマイシンをASWに加えた。 ウミウシの行動及び生化学におけるブリオスタチン効果を、個々の動物が入れられた(housing)、8 cmの長さ、1 cmの直径の試験チューブの中の海水培地(bathing medium)に薬物を添加することにより生じさせた。 実施例2:免疫染色方法 実験処置及び試験に続いて、速やかに動物を断頭し、中枢神経系(CNS)を取り出し、次いで、20 mM Trisで緩衝した(pH 8)天然の海水(NSW; 0.2μm ミクロポア濾過)中の4%パラホルムアルデヒドで固定した。次いで、該CNSを、ポリエステルワックス(20)で包埋し、切断し(6μm)、及び、アビジン結合マイクロペルオキシダーゼ(microperoxidase)(ABC方法、ベクター)と対のビオチン標識化第二抗体を用いて免疫染色した。アミノエチルカルバゾール(AEC)を色素原として用いた。第一ポリクローナル抗体(25U2と命名された)をイカ視葉(squid optic lobes)から抽出した完全長のカレキシチンタンパク質から、ウサギにおいて産生させた。グレースケールの強度測定を、B-光受容体の限局性の細胞質領域の顕微鏡写真マイナス同じバックグラウンド領域(非染色ニューロパイル)から行った。 実施例3:タンパク質キナーゼCアッセイ 細胞を、1 mM EGTA、1 mM PMSF、及び50 mM NaFを含む100μlの10 mM Tris-HCL pH 7.4バッファー中で超音波処理(5秒間、25W)することによりホモジナイズした。ホモジネートをポリアロマー遠心チューブに移し、100,000×gで10分間、4度で遠心分離した。上清を取り除き、直ちにドライアイス上で凍結した。粒子状の画分を、100μlの同じバッファー中で超音波処理して再懸濁し、-80度で貯蔵した。PKC測定のために、10μlのサイトゾル又は粒子状画分を、10μM ヒストン、4.89 mM CaCI2、1.2μg/μl ホスファチジル-L-セリン、0.18μg/μl 1.2-ジオクタノイル-sn-グリセロール、10 mM MgCl2、20 mM HEPES (pH 7.4)、0-8 mM EDTA、4 mM EGTA、4% グリセロール、8 μg/ml アプロチニン、8 μg/ml ロイペプチン、及び2 mM ベンズアミジンの存在下、15分間、37度でインキュベートした。0.5 μCi [γ32-P]ATPを加え、及び32P-リンタンパク質形成を、以前に記載したように(25)、ホスホセルロースへの吸着によって測定した。このアッセイを、ウミウシの神経系ホモジネート又は培養された哺乳類のニューロンホモジネートのためにわずかに調整して用いた。 実施例4:細胞培養 ラット海馬のH19-7/IGF-IR細胞(ATCC)を、ポリ-L-リシンでコーティングされたプレート上に蒔き、約50% 被覆が得られるまで、数日間、DMEM/10% FCS、35度で増殖させた。次いで、培地を、10 ng/ml 塩基性線維芽細胞成長因子を含む5 ml N2 培地に交換することにより、細胞をニューロン表現型に分化するように誘導し、T-25フラスコ中、39℃で増殖させた(26)。次いで、種々の濃度のブリオスタチン(0.01〜1.0 nM)を、10μlの水溶液に加えた。特定された間隔の後、培地を除去し、細胞をPBSで洗浄し、穏やかに削って(scraping)取り除き、1000 rpmで5分間、遠心分離して収集した。 実施例5;行動条件づけ ウミウシのパブロフ型条件づけは、無条件刺激、回転振盪と共に、中性刺激、光の繰り返しペアリングを含む(Lederhendler et al. (24)及びEpstein et al. (6)を参照)。回転/振盪刺激は、耳胞(statocyst)有毛細胞を興奮させ、それによって、無条件反応を誘発する:足部を支持する表面への粘着(adherence)又は「密着(clinging)」を伴う、足部(foot)と呼ばれる表面下の筋肉の活発な収縮。条件づけの前に、光は、足の伸びを伴う弱陽性の走行性を誘発する。十分な光-回転ペアリングの後、光はもはや、走行性を誘発しないが、その代わりに、新しい反応を誘発する(24):以前には無条件刺激によってのみ誘発された、「密着」及び足部短縮(図1)。従って、無条件刺激、回転又は環状振盪の手段は、条件付けられた刺激に移行され、光誘発性足部収縮−足部長のネガティブ変化によって現される。この光への条件反応は、数週間持続することができ、ランダム化された光及び回転によっては生ぜず、刺激特異的であり、そして、哺乳類のパブロフ型条件づけの他の定義された特徴を共有する。 実施例6:ブリオスタチン-誘導性の連合記憶の延長 ウミウシのパブロフ型条件づけは、学習性(learned)条件反応の漸進性のより長い-長く続く保持を生じる、良く定義されたトレーニングパラメーターを有する。対になった光と環状振盪の二つのトレーニングイベント(2 TE)(「方法」を参照)は、例えば、薬物処置なしで、約7分間持続する、学習性(learned)条件づけ反応(光-誘発性足部収縮又は短縮)を誘導する。4から6のトレーニングイベント(4-6 TE)は、数時間まで持続する条件づけ反応を誘導するが、トレーニング後約1日で消失する。9つのTEは、数日間持続し、しばしば2週間まで持続する、長期連合記憶を生じる。 動物は、トレーニングの前、暗順応の間(10分)に加えられたブリオスタチン (0.25 ng/ml)を有し、又はBryoなしで(NSWコントロール)、4-及び6-対にされたCS/USトレーニングイベント(TEs)の準至適措置(sub-optimal regimes)でトレーニングされて、4時間残された;9-対のTE及びNSWはポジティブコントロールとして役立った。全ての動物は、CS単独で、4時間、次いで、24時間の間隔で試験された。準至適(sub-optimally)にトレーニングされたがブリオスタチンを処置された動物は、全て、長期保持を実証した(n=8-16 動物/条件/実験;ANOVA, p<0.01)。 2つのTEにブリオスタチンをプラスしたものは、数時間持続する記憶保持を生じ、(vs.ブリオスタチンなしでは数分)、4 TEにブリオスタチンをプラスしたものは、24時間を越えて保持を伸長し(図1)、及び6 TEにブリオスタチンをプラスしたものは、1週間又はそれ以上持続する保持を生じた。 ブリオスタチンなし(NSW)、ランダム、及び対のCS/USトレーニングイベント(TEs)は、LTMを発生せず、又は4時間で試験したとき、CRを誘発した。6-TE条件づけの前(10分の暗順応の間)及びその4時間に適用されたブリオスタチン (0.25 ng/ml、NSW)は、ポジティブなCR (足の収縮;長さのネガティブな変化)を生じ、それ故、LTMが確立されたことを示した。アンタゴニスト、Ro-32は、トレーニング前(暗順応の間)に適用されたとき、6TEにブリオスタチンをプラスした効果を遮断した、即ち、動物は、正常な走光性により伸長した(ポジティブな長さ変化)(n=4-8 動物/条件/実験; ANOVA differences, p<0.01)。ブリオスタチンと共に或いはなしで、ランダム化された光及び回転の提示は、条件反応(図2)即ち、光誘導性足収縮を生じなかった。従って、トレーニングの間及びその直後、ブリオスタチンは、準至適トレーング試行による記憶保持を延長した。 実施例7:記憶獲得を増大するトレーニングの前の日々におけるブリオスタチンへの前曝露 以前の測定(15, 17)は、ニューロン膜(即ち、トランスロケーション)を伴う学習が誘導するPKCが持続可能なことを示した。ウサギ瞬膜条件づけ、ラット空間的迷路学習、迷路学習、及びラット嗅覚識別学習は、全て、トレーニング後数日間持続する、PKCトランスロケーションを伴うことが発見された。ウミウシ条件づけは、単一の、同定可能なB型細胞に局在化され得るPKCトランスロケーションにより、トレーニング後、少なくとも1日間は続く(15)。 既に記載したように、トレーニング中及びトレーニング後のブリオスタチンへの4時間の曝露は、2TEによって生じた記憶保持を6-8分から数時間に増強する。しかしながら、トレーニングに先行する日におけるブリオスタチンへの4時間の曝露、並びに、2TEの日における曝露は、トレーニング後一日以上、記憶保持を延長した。二日連続の、2-対のCS/USトレーニングイベントと組合せた、動物の4時間のブリオスタチン曝露(0.25 ng/ml)は、CS単独で試験されたとき、CRによって証明された少なくとも6日間の長期保持を生じた(体長収縮)(n = 16 動物/条件; ANOVA, p<0.01) (図3)。 3日連続で4時間のブリオスタチン曝露(0.25 ng/ml)を受け、一日後に2-TEによりフォローされた動物は、トレーニング後96時間で測定された長期保持(LTR)を実証した。非曝露動物(図3と同様に)は、何らの行動変化を示さなかった(CRからCSの試験なし)。3日間のブリオスタチン処置を受けた動物への、トレーニング直後のアニソマイシン(ANI) (1μg/ml) 投与、及び4時間の維持は、長期間の保持を妨げなかった。従って、トレーニング後に加えられたとき、ANIによって通常は妨げられるLTRを産生するために必要なタンパク質合成についての要求は、3日間のブリオスタチン処置によって除去された(n=16動物/条件; ANOVA, p<0.01)。4時間の間隔のブリオスタチンへの曝露の3日目に、同様に増強されたパブロフ型条件反応の保持が引き起こされた(図4)。前述の結果は、2回の連続する間隔のブリオスタチンへの曝露が、最小の、同時発生的且つその後のPKC下方制御によって、PKC活性化及び恐らく長期記憶に重大な意味を持つタンパク質の合成を引き起こすという見解を支持する。この見解は、より延長された間隔のブリオスタチン曝露、即ち、8〜20時間、続いて、2 TE(図5)は、連続的な先行する日における、二回の4時間の曝露を伴うものと同等の記憶保持を生じるためにそれ自体では不十分であるという観察によってさらに支持される。それらの実験において、トレーニングにおける20時間のブリオスタチン (0.25 ng/ml)曝露の効果が観察された。準至適2対のTE条件づけ措置により、保持は48時間で消えた(gone)。20時間のブリオスタチンへの前曝露を伴う、4-対のTE 条件づけの保持は、持続した(n=8 動物/条件; ANOVA at 48-h, p<0.01)。十分に延長されたブリオスタチン曝露(例えば、8-12時間)は、他の細胞系において、PKC活性化を停止し、PKC合成を上昇し得る、PKC下方制御の延長を引き起こすことが知られている。 同様に、十分に上昇された濃度のブリオスタチンは、これもおそらくPKC下方制御のために、究極的に記憶保持を遮断する(図6)。ブリオスタチン濃度<.50 ng/mlは、準至適(4 TE)トレーニング条件と共に、獲得及び記憶保持を増大する。それらの濃度は、9-対のTEによる保持性能において実証できる効果を持たなかった。しかしながら、試験された全てのトレーニング条件によって、濃度≧1.0 ng/mlは、恐らくPKC下方制御を介して、獲得及び行動性保持を阻害した(n=16 動物/条件)。 実施例8:ブリオスタチンへの前曝露は、レーニング中のタンパク質合成の要求を除去する 動物は、2-対のトレーニングイベント(TE)を受け、次いで、4時間後に保持を試験された。トレーニング前の10分の間、暗順応期間及びその4時間後、NSWにおいて、動物に適用されたブリオスタチン(0.25 ng/ml)は、行動性の条件づけの保持を実証した(足収縮(CR)及び体長の短縮)。NSWコントロール動物及びトレーニング前にブリオスタチンで処理され、続いて、トレーニング直後にアニソマイシン(1.0μg/ml)で処理されたものは、正常なポジティブ走光性における足伸長を伴うCRを示さなかった(n=12 動物/条件/実験、二つの方法ANOVA統計量、p<0.01)。2 TEを伴う、単独の4時間のブリオスタチンへの曝露は、アニソマイシンがブリオスタチンと共に存在するとき完全に排除される、長期記憶保持持続時間を生じた(図7)。アニソマイシンの類似の遮断効果は、6 TEにブリオスタチンをプラスして観察された。繰り返された短期のブリオスタチンへの曝露は、しかしながら、PKC、カレキシチン、及び他の記憶タンパク質の合成の純量を増加させ、それ故、PKC下方制御が十分に最小化された場合、パブロフ型条件付けの間及び後に、新たな合成の要求を排除する。タンパク質合成は、連続する3日のそれぞれにおいて、ブリオスタチンの4時間の最初の曝露を受けた動物の、2 TEの直後のアニソマイシンによって、4時間遮断された。この場合、アニソマイシン-誘導性のタンパク質合成の遮断は、何日も持続した記憶保持を妨げなかった(図4)。対照的に、同じ4時間のアニソマイシン処置は、通常は1-2週間の記憶保持が続くトレーニング措置、9 TEによって生じる全ての記憶保持を排除した(27)。最後に、2 TEが毎回アニソマイシンを伴う連続3日の4時間のブリオスタチンへの曝露の1日後に与えられた場合、長期記憶は除去された。 実施例9:プロテアソーム阻害への事前曝露は、記憶におけるブリオスタチンの効果を増強する PKC及び他の記憶関連タンパク質のデノボ(de novo)における合成を増強し延長する他の手段は、タンパク質分解に関与するブロッキング経路によって提供される。それらの一つは、ユビキチン-プロテアソーム経路であり(28-30)、PKCのα-イソ酵素の分解のための主要なルートであることが知られている。PKC-αの分解は、20μM-5QμMのプロテアソーム阻害剤、ラクタシステインによって大きく阻害されることが以前より知られていた。 動物は、ブリオスタチン(0.25 ng/ml)及びラクタシステイン(10μ/M)と共に同時に4時間インキュベートされ、次いで、24時間後に、2-対のCS/US トレーニングイベント(TE)により条件付けされた。動物は、トレーニング後4時間、及び次いで24時間の間隔で、CS単独により同時に試験された。条件付けされた行動の保持は、組合せたブリオスタチン/ラクタシステイン処置により持続された;行動の保持は、24時間後にブリオスタチン単独で処置された動物で失われた。ラクタシステイン単独で処置された動物は、行動のトレーニングの獲得又は保持を示さなかった(データはグラフに示さず)(n=28 動物、組合せたブリオスタチン/ラクタシステイン;n=20、ブリオスタチン単独;n=16、ラクタシステイン単独)。ラクタシステインは、この場合、単独ブリオスタチン曝露(続いて2 TE)によって生じた短期間の記憶を数日間持続する長期記憶に変換した(図8)。 実施例10:PKC活性化のためのカレキシチン免疫染色 最近、我々は、カレキシチンの免疫染色ラベルが、ウミウシ条件づけの獲得及び保持の間、単一の同定されたB型細胞内で上昇したことを示した(20)。多くのこれまでの発見が、低分子量のカルシウム及びGTP-結合タンパク質、カレキシチンを、ウミウシ条件づけの間のPKCイソ酵素のための基質として関連付けている(19)。カレキシチンは、現在、幾つかの動物種で完全に配列決定されており、また、他の種の類似のタンパク質に著しい相同性を有していることが示されているが(31)、ウミウシパブロフ型条件付けの間及びその後、リン酸化の変化を受ける。それはまた、PKCのアルファ-イソ酵素の基質に高親和性であり、β及びガンマの基質に低親和性である(19)。 顕微鏡写真(A、B)は、カレキシチンポリクローナル抗体、25U2で免疫標識された、ウミウシの眼の代表的組織切片を示す。ポジティブなカレキシチン免疫染色は、先のブリオスタチン投与と共に又はなしで、対のCS/UCS関連条件づけを経験した動物のB-細胞光受容体 (*B-細胞)において生じた(B)。二つの刺激(トレーニングイベント、TEs)のランダムな提示は、行動の変化を生じず、また、通常のバックグラウンドレベルを超えるカレキシチンの上昇も生じなかった(A);基底膜及びレンズ染色は、脊椎動物ポリクローナル抗体を用いて結合させた人為的結果である。染色強度の相違は、グレースケール強度として測定し記録した(0-256; B-細胞の細胞質マイナス組織バックグラウンド)。グラフ(C)は、9-ランダムTEで条件付けされたウミウシ(左のバー)及びPKCアゴニスト、ブリオスタチン(0.25 ng/ml)に連日の2回の曝露で処理され、次いで、2対のTEで連合的に(associatively)条件付けされた動物について測定された強度を示す。2TEと組合されたブリオスタチンの2回の曝露からのPKC活性化は、カレキシチンを9-対のTEsと連合し、及び、強化された(長期間)記憶のレベルまで著しく上昇した(n=4-8 動物/条件/複製; t-試験比較、p<0.01)。 カレキシチン免疫染色は、光の前庭神経突起のシナプスフィールド内でのボタンの分解に十分に感受性である(D)。矢印は、介在ニューロン間の分枝フィールド(a)、対側性のニューロンからの軸索(b)、及び推定上の光受容体の神経突起の終末ボタン(c)を示す。スケールバー=10μm;CPG、脳体側神経節(図9、10)。 この条件付けが誘導するカレキシチン標識は、免疫染色抗体が、タンパク質のリン酸化された形態及び非リン酸化形態の両方と反応するために、タンパク質の実際の量を増加させる。以前に、同じ個体のB型細胞内で転位置することが示されているPKCは、学習及び学習特異的カレキシチンの両方を妨げる特異的PKCブロッカー、Ro-32が、B型細胞を上昇させるため、条件付けが誘導するカレキシチン標識における上昇を明らかに引き起こす(上記参照)。未処置及び/又はランダム化されたコントロールトレーニングプロトコールは、トレーニング-誘導性カレキシチン(CE)免疫染色の小画分を生じた(図9)。 ブリオスタチンなしでのランダムなトレーニング(4-TEs)は、バックグラウンドよりもわずかに高い強度測定を産した。ブリオスタチン投与は、両方のトレーニングパラダイムについてのカレキシチンレベルを上昇させた。ランダムトレーニングにより、ここでの場合のように、CS及びUSの偶然の重複(対合(pairing))があったとき、CEにおけるいくらかの上昇が生じることは予期されなかった(2.0の上昇)。しかしながら、カレキシチンレベルは、対のトレーニングによって4.3×以上上昇した(平均±SE、N=5 動物/処置、4RTE=ランダムコントロール、ランダムな光と回転により4試行;6PTE=対の試行、光及び回転の対で6試行。6PTE-0Bry vs. 6PTE-0.25Bry:p<0.001;4RTE-0.25Bry vs. 6PTE-0.25Bry;p<0.001 (t-試験)。準至適トレーニングイベント(4-6 TE)が使用されたとき、CE免疫染色(図10A)は、上昇の中間レベルに達した。それらの準至適措置は、24時間以上持続する記憶保持を生じるには不十分であった。早期に記載したように、6 TEでのトレーニングの間に投与されたブリオスタチンは、長期記憶保持(>1週間)を誘導した。さらにその上、ブリオスタチンにプラスした6 TEは、9 TEの後に観察されるものと比較できるCE免疫染色を誘導した。 低投与量のブリオスタチン(0.1-0.25ng/ml)は、2、4、又は6トレーニング試行後に、著しく記憶を増強した。6 TEによるパブロフ型条件づけは、ブリオスタチンと共に何日も持続する記憶を生じたが、ブリオスタチンなしでは数時間だけ持続する記憶を生じた。この記憶増強は、アニソマイシン又はPKC阻害剤、Ro-32によってブロックされた。記憶がその後1週間以上持続したにも関わらず、CE免疫染色が9 TEの24時間後に大きく減少したことに注目するのは重要である。より持続的なCE免疫染色は、しかしながら、最小のトレーニング(2 TE)に先行する日々における繰り返されたブリオスタチン曝露の結果起こった。 1、2、及び3日間、連続的に、それぞれ4時間の間投与されたブリオスタチン単独(連合する条件付けなし)は、ブリオスタチン曝露の各期間の24時間後に測定したとき、ウミウシのB-光受容体におけるカレキシチンのレベルを上昇させた。4時間の1ブリオスタチン曝露の24時間後、CE免疫染色は上昇しなかった(図10B)。2ブリオスタチン曝露の24時間後、それぞれの連続2日の1は、大きく残留するCE免疫染色を示した。3ブリオスタチン曝露、続いて、ちょうど2-対のトレーニング イベント(光と軌道振盪の対)の後のカレキシチンレベルは、条件付けが誘導した行動の変化に付随する、保持日数における著しい随伴性の長さを伴う高いレベルを生じた(n=16 動物/条件: ANOVA, p<0.01)。それらの3日間の曝露に続く日における2 TEにより、CE免疫染色は、24時間後に、以前に観察された9 TE直後のレベルに近づいた(図10B)。このように、それら3日間の4時間のブリオスタチン曝露、続いて最小のトレーニング (2 TE)に続くCE免疫染色は、トレーニング試行を単独で行うよりも大きい持続を示した。新規に合成されたカレキシチンのこの持続性は、ブリオスタチンによって誘導される増強されたタンパク質合成を示す生化学的な知見に一致している。 24時間後に2-トレーニングイベント(2 TE)が続く、連続2日の、4時間のブリオスタチンへの曝露は、カレキシチンレベルを固定された長期記憶を付随する量まで上昇させることを必要とする。典型的には、2回のブリオスタチン曝露を伴う2-TEは、1週間以上持続する保持を生じる(n=16 動物/条件;t-試験、p<0.01)。連続3日の、4時間のブリオスタチンへの曝露による初回刺激は、固定された記憶のために必要なカレキシチンレベルを誘導する。2対のトレーニングイベントの直後に加えられたアニソマイシンは、このカレキシチンレベルを減少せず、固定された記憶を数日間持続した(N=8 動物/条件; t-test, p>0.05, ns)(図11A, B)。 ブリオスタチンにトレーニングをプラスした直後のPKCのRo-32阻害は、長期記憶誘導を妨げず、一方、ブリオスタチンを加えたトレーニングの間のこの阻害は、記憶固定を妨げたことは、注目される。対照的に、ブリオスタチンを伴うか伴わないトレーニングの間のアニソマイシンは、長期記憶を妨げず、一方、ブリオスタチンを伴うか伴わないトレーニングの後のアニソマイシンは、記憶の形成を完全に遮断した。それ故、トレーニングの間のPKC活性化は、長期記憶のために必要なタンパク質合成を伴う。従って、いったんPKC活性が十分なレベルまで誘導されると、要求されるタンパク質合成は回避不能な結果である。一貫して、トレーニングに先立つ日におけるブリオスタチンが誘導するPKC活性は、最小のトレーニング試行と共に、長期記憶を引き起こすために十分である。さらにその上、この後者の長期記憶は、トレーニング(及び先行する日におけるPKC活性化)に続くタンパク質合成を必要としない。再び、先立つPKC活性化は、後の長期記憶形成のために必要なタンパク質合成を生じるのに十分である。その合成がブリオスタチン-誘導PKC活性化、並びに、条件づけ試行によって誘導されるそれらの例えば何泊質の一つは、免疫染色標識化によって実証されたように、カレキシチンである、他のタンパク質はPKC自体である。 実施例11:PKC活性におけるブリオスタチンの効果 ブリオスタチンは、細胞膜画分に付随するPKCを増加することによって、過渡的にPKCを活性化することが知られている。また、多様な連合記憶パラダイムは、ニューロン膜に付随するPKCの上昇を引き起こすことが実証されている。それ故、我々は、ウミウシのブリオスタチンへの繰り返し曝露が(即ち、4時間の曝露、トレーニングプロトコールと正確に一緒に)が延長されたPKC活性化を誘導し得る可能性を試験した。 無処置のウミウシを、記載した条件(「行動薬理」)で、連日、4時間間隔でブリオスタチン(0.28nM)に曝露した。次いで、単離された食道周囲の(circumesophageal)神経系におけるヒストンリン酸化(「方法」を参照)を、サイトゾル画分で測定した。2回のブリオスタチン曝露の10分後及び24時間後の両方で測定したPKC活性は、ベースラインレベルを超えて著しく上昇した(N=6、各測定について)(図12、13)。このように、両方の画分におけるPKCの量は明らかに上昇したが、しかし、膜におけるPKCのサイトゾルの画分におけるものに対する割合は上昇しなかった。それらの結果は、ブリオスタチンの事前曝露は、学習自体とはいくらか異なるPKCにおける効果をもたらすことを示している。最初の活性化(トランスロケーションを介して)の後、このブリオスタチン効果はPKCの合成の上昇のために最もありそうであり、ブリオスタチンによって誘導されたカレキシチンのレベルの上昇と一致するが、繰り返しブリオスタチン曝露と直接的に相関しない。 図12、13におけるように、しかし、アニソマイシン(1.0 ng/ml)により、各ブリオスタチン(0.25 ng/ml)曝露と共に加えられた。アニソマイシンは、連続3日のブリオスタチンへの曝露の後、ウミウシ食道周辺神経系のサイトゾルの及び膜の画分の両方においてPKC活性を顕著に減少させたことは留意される(N=3、各測定について、p<.0l)(図14)。 ブリオスタチンへの繰り返し曝露の生化学的結果をさらに試験するため、ラット海馬のニューロンを、それらを温度感受性tsA5CSV40大T抗原のレトロウイルス形質導入によって不死化した後に研究した(25)。それらは、N2培地で基本的な線維芽細胞成長因子によって誘導したとき、ニューロン表現型を有するように分化し(26)、PKCを含むニューロンタンパク質の正常な補体を発現する。 培養海馬ニューロンの、単回活性化用量のブリオスタチン(0.28nM)への30分間の曝露は、PKCのサイトゾルから粒子性画分への短期間のトランスロケーション(約60%)を生じ、続いて、延長された下方制御を生じた(図15)。初期PKC活性化及びその後の下方制御は両方とも以前に記載されており、膜及びサイトゾルにおけるPKC活性の測定によって確認された。培養海馬ニューロンを一回、30分間、ブリオスタチンに曝露すること、続いて、30分から8時間の範囲の間隔での、第二回の30分の暴露は、膜結合PKCのよりすばやいリバウンドを起こした。このように、2〜4時間遅延した後の二回目の曝露は、単回ブリオスタチン曝露が生じる著しい下方制御を排除した(図16)。細胞質画分において、PKC活性の著しい変化はブリオスタチン曝露後最初の4時間以内に検出されなかった。対照的に、細胞が2時間以内にブリオスタチンに2回曝露された場合、第二の曝露に応答してPKC活性が著しく減少した。しかしながら、第二の曝露が最初から4時間まで遅延した場合、活性はベースラインを超えて、2時間未満の後に送達された第二の曝露と比較して著しく大きい程度まで上昇した(図16)。 それらの結果は、PKCの最初のブリオスタチン活性化、続いて下方制御(28-30)がPKCイソ酵素(同時に、最初に記載したようにカレキシチン)の合成の上昇(デノボでのタンパク質合成を介して)をもたらすという解釈に一致している。実際に、我々は、0.28 nM ブリオスタチンへの単回の30分の曝露が、全体的なタンパク質合成を上昇させることを見出し、ニューロンの収集の前最後の半時間における35S-メチオニンの取り込みによって測定して、ブリオスタチン曝露後24時間以内に20%、79時間で60%まで上昇した(図17)。このブリオスタチンによって誘導された、延長された深いタンパク質合成の上昇は、PKC阻害剤Ro-32も存在している場合、部分的に遮断された(図17)。 豊富な観察は、十分なブリオスタチン誘導性PKC活性化が、必然的に、進行性のPKC不活性化及びその後の下方制御を導くことを示している。十分な用量のブリオスタチン (1.0 ng/mlを超える)は、実際に、パブロフ型条件づけを阻害した。これは、高いブリオスタチン濃度による行動性の結果を特徴付ける、PKC下方制御のためである可能性が最も高かった。ブリオスタチンによって誘導されるPKC活性化は、二つの異なる経路によって下方制御されていることが示されている。一つは、ホルボールエステルによって誘導され、ユビキチン結合及びその後のプロテアソーム経路を介したタンパク分解性の分解を含む。下方制御の第二のメカニズムは、ホルボールエステルによって誘導されず、カベオラコンパートメントを介した移動及びホスファターゼPP1及びPP2Aによって媒介される分解を含む。PKC活性化因子の十分な濃度及び/又は期間により、PKC分解経路は、PKCのデノボでの合成を刺激するPKCの欠乏を創造し、PKC合成は、不活性化及び下方制御を補償できず、それによって、95%以上の利用可能なPKCの欠乏を引き起こす。 実施例12:学習及び記憶の保持におけるブリオスタチンの影響 学習及び記憶におけるブリオスタチンの影響は、ラット空間迷路モデルを用いて試験された。ブリオスタチン(NCI, 10μg/kg body wt.)を、1, 3,及び5日に、水迷路トレーニングの20分前に、腹腔内に注射した。RO-31-8220 (Sigma, 500μg/kg body wt.)を、ブリオスタチン注射の10分前に尾の静脈に注射した。結果を図26に示す。アステリスクは水泳との著しい相違である(**, p<.01; **, p<.001)。プローブ試験において、迷路+Bryoは、迷路及び迷路+Bryo+ROと著しく相違した(p<.05)。 図26のパネルAにおいて、ブリオスタチン処置された動物対コントロールにおいて、プラットフォームに到着したラットの刺激潜伏性(latency)は、大きく減少した(即ち、学習が促進された)が、PKC-α阻害剤、RO-31-8220の存在下では減少しなかった。パネルBにおいて、標的カドラントに到着した時間は、ブリオスタチン処置された動物対コントロールについて、保持1日、全てのトレーニング後24時間で、減少した(即ち、記憶保持が増強された)が、RO-31-8220の存在下では減少しなかった。パネルCにおいて、全てのトレーニングの1日後、ターゲットクロッシングの数は、ブリオスタチン処置マウスについて、保持1日で、同様に増強された(即ち、記憶保持が増強された)。 実施例13:空間迷路タスクにおいてトレーニングされたラットの樹状突起棘におけるブリオスタチンの影響 図27は、水迷路においてトレーニングされたラットにおける樹状突起棘形成におけるブリオスタチンの影響を示す。保持2日で、共焦点顕微鏡及びDiI染色が、糸状仮足及び樹状棘;マッシュルーム、薄い及び短い棘(パネルA)を調査するために用いられた。水迷路トレーニングは、マッシュルーム棘の数を増大した;この効果は、ブリオスタチン(パネルB)により増強された。ブリオスタチン単独は(トレーニングなし)、短い棘の数を増大した(p<.01) (パネルC)。全ての条件下で、糸状仮足又は薄い棘において変化が見られなかった(示さず)。ブリオスタチンのみで処理されたラット及びトレーニングのみを受けたものにおける、糸状仮足及び(全ての形状の)棘の総数は、同様に上昇した(パネルD)。この上昇は、水迷路ラットがブリオスタチンで処理された時に増強された(p<.05)。アステリスクは、未処理のコントロールとの著しい相違を示す(*, p<.05; **, p<.001)。 実施例14:マッシュルーム棘におけるブリオスタチンの影響 図28は、マッシュルーム棘(M)及びシナプス後密度(PSD;黄色い矢印)において観察された変化の電子顕微鏡写真を示す;赤い矢印=シナプス前膜;D=ブリオスタチン処置及びトレーニング後の樹状突起(パネルA)。迷路+bryoパネルは、有孔のPSD (中央の孔を伴う大PSD)であり、一方、他のパネルのものは、黄斑性タイプ(孔を伴わない小PSD)である。ブリオスタチンありで又はなしでの水迷路トレーニングは、有孔PSDを有する大マッシュルーム棘(パネルC)の数の増大のために、PSDの平均サイズを拡大した(パネルB)。アステリスクは、未処理のコントロールとの著しい相違を示す(*, p<.05; **, p<.001)。 実施例15:シナプス前及び後の構造におけるブリオスタチンの異なる影響 水迷路トレーニングは、定量的共焦点免疫組織化学によって測定したとき、樹状突起棘マーカースピノフィリン(図29; パネルB)、シナプス後膜マーカーニューログラニン(図29; パネルA及びD)、及びシナプス前マーカーGAP-43 (パネルA及びE)の数を増大させたが、軸索ボタンマーカーシナプトフィジン(図29; パネルA及びB)の数は増大させなかった。それらの結果は、新しい棘が、既存の棘によりすでにシナプスを作った既存の軸索ボタンによりシナプスを形成することを示す。シナプス前マーカーの数も、ブリオスタチンを単独で受けたラットにおいて上昇した。ブリオスタチン処置と一緒の又はなしの水迷路トレーニングは、シナプス前及び後の膜のサイズを上昇させ、水迷路トレーニングが大PSDを伴うマッシュルーム棘を選択的に増加させることが確認された。アステリスクは、未処理のコントロールとの著しい相違を示す(*, p<.05; **, p<.01; ***, p<.001)。 実施例16: PKC活性化による棘密度増大のメカニズム PKC活性化による棘密度増大のメカニズムは図30に示される。鋭い海馬の切片が、0. 1 nM ブリオスタチンとともに連続的にインキュベートされ、次いで、定量的共焦点免疫組織化学のために加工された。ブリオスタチンは、原形質膜へのトランスロケーション(黄色い矢印)、及び、PKCαの活性化、及びPKC-依存性ELAV、mRNA-安定化タンパク質の細胞体の細胞質への核外移行、及びCA1ニューロンの近位の樹状突起(白い矢印)を刺激する。また、ブリオスタチンは、棘マーカースピノフィリンによって測定される樹状棘の数を増大する。 実施例17:PKC活性化による棘密度の増大のメカニズム PKC活性化による棘密度の増大のメカニズムを図31に示す。海馬の切片において、ブリオスタチンは選択的にPKCαを活性化するが、PKCδ及びPKCεは活性化しない (パネルA)。ブリオスタチンと一緒の120分のインキュベーションにおいてELAVが著しく樹状突起に輸送されたとき(パネルB)、樹状棘の数は拡大した(パネルC)。それらの効果は、PKCブロッカーRO-31-8220又はケレリトリンによって抑制された(パネルD)。増大した棘密度は、タンパク質合成ブロッカーによって阻害された(示さず)。全体として、それらは、ブリオスタチンがPKCα-活性化ELAVタンパク質を刺激し、mRNA分解の阻害及び棘形成に重要なタンパク質合成の増強をもたらすことを示唆している。プローブ試験後2日において、及び6日の水迷路トレーニングにおいて、ELAVは、なお樹状突起を上昇させ(パネルE)、水迷路が、PKC/ELAV/タンパク質合成カスケードによって、マッシュルーム棘密度を増大させることを示唆した。しかしながら、樹状突起のELAVにおける持続性の増大は、ブリオスタチンを伴う及び伴わない空間学習後に相違せず、PKC/ELAV/タンパク質合成がマッシュルーム棘形成のための唯一の経路ではないことを示唆した。アステリスクは、未処理のコントロールとの著しい相違を示す(*, p<.05; **, p<.01; ***, p<.001)。 細胞又はニューロンの成長を刺激するために、PKC活性化因子をタンパク質キナーゼC(PKC)と接触させる工程を含む方法。 前記PKC活性化因子とタンパク質キナーゼC(PKC)との接触が、樹状突起の成長を刺激する、請求項1に記載の方法。 前記PKC活性化因子とタンパク質キナーゼC(PKC)との接触が、樹状突起棘の形成を刺激する、請求項1に記載の方法。 前記PKC活性化因子とタンパク質キナーゼC(PKC)との接触が、樹状突起棘密度を刺激する、請求項1に記載の方法。 前記PKC活性化因子とタンパク質キナーゼC(PKC)との接触が、近位の樹状突起へのELAVトランスロケーションを刺激する、請求項1に記載の方法。 前記PKC活性化因子が大環状ラクトンである、請求項1に記載の方法。 前記PKC活性化因子がベンゾラクタムである、請求項1に記載の方法。 前記PKC活性化因子がピロリジノンである、請求項1に記載の方法。 前記大環状ラクトンがブリオスタチンである、請求項6に記載の方法。 前記ブリオスタチンがブリオスタチン-1, -2, -3, -4, -5, -6, -7, -8, -9, -10, -11, -12, -13, -14, -15, -16, -17,又は-18である、請求項9に記載の方法。 前記ブリオスタチンがブリオスタチン-1である、請求項9に記載の方法。 前記大環状ラクトンがネリスタチンである、請求項6に記載の方法。 前記ネリスタチンがネリスタチン-1である、請求項12に記載の方法。 前記接触がPKCを活性化する、請求項1に記載の方法。 前記接触がPKCの量を増大する、請求項1に記載の方法。 前記接触がPKCの合成を増大する、請求項1に記載の方法。 前記PKCがPKCαである、請求項14に記載の方法。 前記PKCがPKCαである、請求項15に記載の方法。 前記PKCがPKCαである、請求項16に記載の方法。 前記接触がカレキシチンの量を増大することを特徴とする、請求項1に記載の方法。 前記接触が、実質的なその後のPKC下方制御をもたらさない、請求項1に記載の方法。 前記PKC活性化因子と前記PKCとの接触が繰り返される、請求項1に記載の方法。 前記PKC活性化因子と前記PKCとの接触が定期的な間隔で繰り返される、請求項22に記載の方法。 前記間隔が、1週間から1ヶ月の間、1日間から1週間の間、又は1時間未満から24時間の間である、請求項23に記載の方法。 前記間隔が1週間から1ヶ月の間である、請求項24に記載の方法。 前記間隔が1日間から1週間の間である、請求項24に記載の方法。 前記間隔が1時間未満から24時間の間である、請求項24に記載の方法。 前記PKC活性化因子と前記PKCとの接触が、固定された期間の間維持される、請求項1に記載の方法。 前記固定された期間が24時間未満である、請求項28に記載の方法。 前記固定された期間が12時間未満である、請求項28に記載の方法。 前記固定された期間が6時間未満である、請求項28に記載の方法。 前記固定された期間が4時間未満である、請求項28に記載の方法。 前記固定された期間が2時間未満である、請求項28に記載の方法。 前記固定された期間が約2時間から約6時間の間である、請求項28に記載の方法。 前記固定された期間が約4時間である、請求項28に記載の方法。 前記接触の前記期間が、約1時間から約12時間の間である、請求項28に記載の方法。 前記接触が1日より長い期間繰り返される、請求項22に記載の方法。 前記接触が1日から1ヶ月の間の期間繰り返される、請求項22に記載の方法。 前記接触が1日から1週間の間の期間繰り返される、請求項22に記載の方法。 前記接触が1週間から1ヶ月の間の期間繰り返される、請求項22に記載の方法。 前記接触が1ヶ月から6ヶ月の間の期間繰り返される、請求項22に記載の方法。 前記接触が1ヶ月の期間繰り返される、請求項22に記載の方法。 前記接触が1ヶ月より長い期間繰り返される、請求項22に記載の方法。 長期記憶を固定するのに十分なタンパク質合成を刺激するために、PKC活性化因子をタンパク質キナーゼC(PKC)と接触させる工程を含む方法。 前記PKC活性化因子が大環状ラクトンである、請求項44に記載の方法。 前記PKC活性化因子がベンゾラクタムである、請求項44に記載の方法。 前記PKC活性化因子がピロリジノンである、請求項44に記載の方法。 前記大環状ラクトンがブリオスタチンである、請求項45に記載の方法。 前記ブリオスタチンが、ブリオスタチン-1, -2, -3, -4, -5, -6, -7, -8, -9, -10, -11, -12, -13, -14, -15, -16, -17,又は-18である、請求項48に記載の方法。 前記ブリオスタチンがブリオスタチン-1である、請求項48に記載の方法。 前記大環状ラクトンがネリスタチンである、請求項45に記載の方法。 前記ネリスタチンがネリスタチン-1である、請求項51に記載の組成物。 前記接触がPKCを活性化する、請求項44に記載の方法。 前記接触がPKCの量を増大させる、請求項44に記載の方法。 前記接触がPKCの合成を増大させる、請求項44に記載の方法。 前記接触がカレキシチンの量を増大させる、請求項44に記載の方法。 前記接触が、実質的なその後のPKC下方制御をもたらさない、請求項44に記載の方法。 前記PKC活性化因子と前記PKCとの接触が繰り返される、請求項44に記載の方法。 前記PKC活性化因子と前記PKCとの接触が、定期的な間隔で繰り返される、請求項58に記載の方法。 前記間隔が、1週間から1ヶ月の間、1日間から1週間の間、又は1時間未満から24時間の間である、請求項59に記載の方法。 前記間隔が1週間から1ヶ月の間である、請求項60に記載の方法。 前記間隔が1日から1週間の間である、請求項60に記載の方法。 前記間隔が1時間未満から24時間の間である、請求項60に記載の方法。 前記PKC活性化因子と前記PKCとの接触が、固定された期間の間維持される、請求項44に記載の方法。 前記固定された期間が24時間未満である、請求項64に記載の方法。 前記固定された期間が12時間未満である、請求項64に記載の方法。 前記固定された期間が6時間未満である、請求項64に記載の方法。 前記固定された期間が4時間未満である、請求項64に記載の方法。 前記固定された期間が2時間未満である、請求項64に記載の方法。 前記固定された期間が約2時間から約6時間の間である、請求項64に記載の方法。 前記固定された期間が約4時間である、請求項64に記載の方法。 前記接触の前記期間が、約1時間から約12時間の間である、請求項64に記載の方法。 前記接触が1日より長い期間繰り返される、請求項58に記載の方法。 前記接触が1日から1ヶ月の間の期間繰り返される、請求項58に記載の方法。 前記接触が1日から1週間の間の期間繰り返される、請求項58に記載の方法。 前記接触が1週間から1ヶ月の間の期間繰り返される、請求項58に記載の方法。 前記接触が1ヶ月から6ヶ月の間の期間繰り返される、請求項58に記載の方法。 前記接触が1ヶ月の期間繰り返される、請求項58に記載の方法。 前記接触が1ヶ月より長い期間繰り返される、請求項58に記載の方法。 PKCを下方制御するために、PKC活性化因子をタンパク質キナーゼC(PKC)と接触させる工程を含む方法。 前記PKC活性化因子が大環状ラクトンである請求項80に記載の方法。 前記PKC活性化因子がベンゾラクタムである請求項80に記載の方法。 前記PKC活性化因子がピロリジノンである請求項80に記載の方法。 前記大環状ラクトンがブリオスタチンである請求項81に記載の方法。 前記ブリオスタチンがブリオスタチン-1, -2, -3, -4, -5, -6, -7, -8, -9, -10, -11, -12, -13, -14, -15, -16, -17,又は-18である、請求項84に記載の方法。 前記ブリオスタチンがブリオスタチン-1である請求項85に記載の方法。 前記大環状ラクトンがネリスタチンである請求項81に記載の方法。 前記ネリスタチンがネリスタチン-1である請求項81に記載の方法。 前記接触がPKCの下方制御を生じる、請求項80に記載の方法。 前記接触がPKCの実質的な下方制御を生じる、請求項89に記載の方法。 前記接触がPKCの合成を刺激しない、請求項80に記載の方法。 前記接触がPKCの合成を実質的に刺激しない、請求項91に記載の方法。 前記接触がPKCの量を減少させる、請求項80に記載の方法。 前記接触がPKCの量を実質的に減少させる、請求項93に記載の方法。 前記接触がカレキシチンの合成を刺激しない、請求項80に記載の方法。 前記接触がカレキシチンの合成を刺激しない、請求項93に記載の方法。 前記PKC活性化因子と前記PKCとの接触が、持続的期間の間である、請求項80に記載の方法。 前記持続的期間が、1時間未満から24時間の間である、請求項97に記載の方法。 前記持続的期間が、1日から1週間の間である、請求項97に記載の方法。 前記持続的期間が、1週間から1ヶ月の間である、請求項97に記載の方法。 前記持続的期間が、1時間未満から12時間の間である、請求項97に記載の方法。 前記持続的期間が、1時間未満から8時間の間である、請求項97に記載の方法。 前記持続的期間が、1時間未満から4時間の間である、請求項97に記載の方法。 前記持続的期間が、約4時間である、請求項97に記載の方法。 前記接触が、PKCの持続性の下方制御を生じる、請求項80に記載の方法。 さらに、タンパク質キナーゼC(PKC)の分解を阻害する工程を含むことを特徴とする、請求項44に記載の方法。 前記分解が、ユビキチン結合を介する、請求項106に記載の方法。 前記分解がラクタシステインによって阻害される、請求項107に記載の方法。 前記PKCがヒトである、請求項44に記載の方法。 前記PKC活性化因子が、該PKC活性化因子及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物の形態で提供される、請求項44に記載の方法。 前記医薬組成物が、さらにPKC阻害剤を含む、請求項110に記載の方法。 前記PKC阻害剤が、末梢組織においてPKCを阻害する、請求項111に記載の方法。 前記PKC阻害剤が、末梢組織においてPKCを選択的に阻害する、請求項111に記載の方法。 前記PKC阻害剤が、PKCの被検体への投与に付随する筋痛を減少させる化合物である、請求項111に記載の方法。 前記PKC阻害剤が、PKC活性化因子の耐容量を増大させる化合物である、請求項111に記載の方法。 前記PKC阻害剤が、ビタミンE、ビタミンEアナログ、ビタミンE塩、カルフォスチンC、チアゾリジンジオン、ルボキシスタウリン(ruboxistaurin)又はそれらの組合せである、請求項111に記載の方法。 記憶損失の緩徐化又は逆転のために、記憶損失を有すると確認された被検体において、有効量のPKC活性化因子をタンパク質キナーゼC(PKC)と接触させる工程を含む、記憶及び学習の損失を緩徐化又は逆転する方法。 前記有効量のPKC活性化因子とah PKCとの接触が、細胞又はニューロンの成長を刺激する、請求項117に記載の方法。 前記有効量のPKC活性化因子とah PKCとの接触が、樹状突起の成長を刺激する、請求項117に記載の方法。 前記有効量のPKC活性化因子とah PKCとの接触が、樹状突起棘の形成を刺激する、請求項117に記載の方法。 前記有効量のPKC活性化因子とPKCとの接触が、樹状突起棘密度を刺激する、請求項117に記載の方法。 細胞又はニューロンの成長を刺激する方法であって、被検体において、有効量のPKC活性化因子をタンパク質キナーゼC(PKC)と接触させ、それによって、細胞又はニューロンの成長を刺激する工程を含む方法。 前記被検体が、障害性の学習又は記憶を有すると確認されている、請求項122に記載の方法。 前記有効量のPKC活性化因子とPKCとの接触が、樹状突起の成長を刺激する、請求項122に記載の方法。 前記有効量のPKC活性化因子とPKCとの接触が、樹状突起棘の形成を刺激する、請求項122に記載の方法。 前記有効量のPKC活性化因子とPKCとの接触が、樹状突起棘密度を刺激する、請求項122に記載の方法。 【課題】細胞成長、シナプスリモデリングの刺激及び記憶の増強に有用であるタンパク質キナーゼCを上方制御及び下方制御の方法、及び細胞増殖性疾患の治療のための組成物および方法の提供。【解決手段】ブリオスタチン又はネリスタチンである有効量のタンパク質キナーゼC(PKC)活性化因子及び薬学的に許容される担体を含み、被検体においてシナプスの可塑性を刺激する薬学的組成物。【選択図】図120150803A16333全文3 有効量のタンパク質キナーゼC(PKC)活性化因子及び薬学的に許容される担体を含み、被検体においてシナプスの可塑性を刺激する薬学的組成物であって、前記PKC活性化因子がブリオスタチン又はネリスタチンである薬学的組成物。


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