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タイトル:公開特許公報(A)_核酸の検出方法及びキット、デバイス
出願番号:2015113205
年次:2015
IPC分類:C12Q 1/68,C12M 1/34


特許情報キャッシュ

宮本 重彦 加藤 智久 高橋 孝治 友野 潤 JP 2015154791 公開特許公報(A) 20150827 2015113205 20150603 核酸の検出方法及びキット、デバイス 株式会社カネカ 000000941 特許業務法人 安富国際特許事務所 110000914 宮本 重彦 加藤 智久 高橋 孝治 友野 潤 US 61/248,921 20091006 JP 2009068181 20090319 JP 2009142468 20090615 JP 2009176784 20090729 JP 2009176785 20090729 C12Q 1/68 20060101AFI20150731BHJP C12M 1/34 20060101ALI20150731BHJP JPC12Q1/68 ZC12M1/34 Z 6 2011504835 20100315 OL 29 4B029 4B063 4B029AA07 4B029BB20 4B029CC01 4B029FA12 4B029GA08 4B029GB02 4B029GB06 4B063QA01 4B063QQ42 4B063QQ61 4B063QQ89 4B063QR32 4B063QR41 4B063QR50 4B063QR64 4B063QR66 4B063QS02 4B063QS32 4B063QS36 4B063QS39 4B063QX01本発明は、核酸増幅法により増幅した核酸を検出することを可能とする核酸検出方法、およびキット、デバイスに関する。分子生物学の研究分野、遺伝子検査等の臨床応用分野において、ターゲット核酸断片を特異的に増幅する方法は非常に重要な技術となっている。このような遺伝子増幅法には、最も汎用されているPCR法(Polymerase Chain Reaction)に加え、PCR法で不可欠とされる複雑な温度制御を必要としない、LAMP(Loop−Mediated Isothermal Amplification)法、ICAN(Isothermal and Chimeric primer−initiated Amplification of Nucleic acids)法などの等温増幅法も開発されている。PCR法やLAMP法、ICAN法などにより増幅された特定核酸領域の検出方法として、増幅産物であるDNAを検出する方法と、副産物であるピロリン酸(二リン酸)を検出する方法の2つに大別される。二本鎖核酸を検出する最も一般的な方法は、増幅反応後の溶液をアガロース電気泳動にかけ、Ethidium BromideやSYBR Greenなどの蛍光性インターカレーターを結合させ特異的な蛍光を観察する方法が知られている(非特許文献1)。しかし、電気泳動後にEthidium Bromideなどの蛍光性インターカレーターで染色する方法は、30分〜1時間程度の泳動時間を要する上、蛍光を検出するための紫外線照射装置や蛍光検出器等の高価な機械が必要である。また、電気泳動を行うことなくPCR生成物を検出および定量する方法として、PCR開始前の反応液に予め、蛍光性インターカレーターを添加し、蛍光分光光度計を使用して蛍光強度を測定することにより、増幅DNA量を測定する方法が知られている(特許文献1)。しかし、蛍光性インターカレーターはプライマー等の一本鎖核酸に結合するため、二本鎖核酸量に依存しないバックグラウンドシグナルが増強され、検出感度の低下を招く問題がある。これに対し、一本鎖核酸と結合したインターカレーターに優先的に反応する化合物で処理することで、バックグラウンドシグナルを低減する方法が知られている(特許文献2)。しかし、これらの方法を用いる場合、蛍光を検出するための装置や設備が必要となる。上記以外の方法としては、例えば、蛍光標識されたプライマーを用いて核酸増幅反応を行い、蛍光偏光により該核酸増幅産物を検出する方法が知られている(特許文献3)。しかし、増幅産物に取り込まれなかった蛍光標識プライマーの分離操作が必要となり煩雑であるだけでなく、プライマーの分離操作により、得られた核酸増幅断片の収量が減少し、結果的に検出感度の低下を招く恐れがある。また、一般に標識ヌクレオチドや標識プライマーは非常に高価でありコストの点でも問題がある。また、核酸増幅反応における反応液に偏光を通過させ、その偏光の旋光度または円偏光二色性を測定することによって、核酸増幅産物を検出する方法が知られている(特許文献4)。しかし、旋光度や円偏光二色性の測定には特殊な装置が必要である。特開平5−237000号公報国際公開第2002/103053号特開平9−187275号公報特開2002−186481号公報Molecular Cloning second edition,vol. 1, 6.15 (1989)核酸増幅法によって増幅された核酸を、特殊な装置を必要とすることなく、簡便かつ高精度に、目視にて検出する核酸検出方法、および核酸検出デバイスまたはキットを提供することを課題とする。本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、核酸との結合により色調が変化する色素を核酸増幅反応の前、あるいは後に添加することで、可視光下で観察することにより、核酸増幅の有無が検出できることを見出した。更に、二本鎖核酸と結合する色素に比べ、一本鎖核酸に結合した色素や核酸と結合していない色素と優先的に反応する化合物を添加することにより、二本鎖核酸に結合した色素以外に由来する色調を変化、あるいは消去し、上記核酸増幅断片を簡便かつ高精度に目視にて検出できることを独自に見出した。さらには、本手法を利用した目視核酸検出キット・デバイスを作製し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、(1)検体と色素とを接触させ、反応させる工程、(2)該反応により生じた物質を可視光下で観察し、核酸の存在を目視で判定する工程を含む、検体に含まれる核酸の検出方法に関する。前記工程(1)の前または後に、色素と反応する物質を検体に接触させる工程(3)を含むことが好ましい。前記色素は、酸化剤、還元剤、酸、塩基、又はpH緩衝剤の処理により色調が変化する色素であることが好ましい。また、本発明は、(a)核酸と結合し得る色素を保持した担体、(c)検体が担体(a)を通過する経路、および(d)検体と色素との反応により生じた物質を可視光下で観察し、核酸の存在を目視で判定する判定部位を有する検体に含まれる核酸の検出デバイス又はキットに関する。(b)色素と反応する物質を保持する担体を、前記担体(a)と判定部位(d)との間に有することが好ましい。前記色素は、酸化剤、還元剤、酸、塩基、又はpH緩衝剤の処理により色調が変化する色素であることが好ましい。前記色素は、トリフェニルメタン系色素、チアジン系色素、オキサジン系色素、アジン系色素、キサンテン系色素、およびフェナントリジニウム系色素からなる群から選ばれる1以上の色素であることが好ましい。また、前記色素は、クリスタルバイオレット、ゲンチアナバイオレットB、ビクトリアブルーB、メチルバイオレット、ナイトブルー、メチルグリーン、トルイジンブルーO、アズールB、メチレンブルー、ブリリアントクレシルブルー、メチルオレンジ、ピロニンY、エチジウムブロマイドおよびニュートラルレッドからなる群から選ばれる1以上の色素であることが好ましい。前記色素と反応する物質は、酸化剤、還元剤、酸、塩基、又はpH緩衝剤からなる群から選ばれる1以上の化合物であることが好ましい。前記酸は、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、ギ酸、シュウ酸、クエン酸および乳酸からなる群から選ばれる1以上の酸であることが好ましい。前記塩基は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、アンモニアおよびトリエチルアミンからなる群から選ばれる1以上の塩基であることが好ましい。前記酸化剤は、過酸化水素、過マンガン酸カリウム、塩素酸カリウム、二クロム酸カリウム、臭素酸ナトリウム、臭素酸カリウム、ハロゲン、濃硫酸、硝酸、次亜塩素酸ナトリウム、二酸化塩素、クロラミン、四酸化オスミウム、ジメチルスルホキシドおよびメタクロロ過安息香酸からなる群から選ばれる1以上の酸化剤であることが好ましい。前記還元剤は、水素化ホウ素ナトリウム、シアン化水素化ホウ素ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、次亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウム、チオ硫酸ナトリウム、グルタチオン、アスコルビン酸、2−メルカプトエタノール、DL−ジチオスレイトール、1−チオグリセロール、システイン、トリブチルホスフィン、アミノエタンチオールおよびトリス2−カルボキシエチルホスフィンからなる群から選ばれる1以上の還元剤であることが好ましい。前記pH緩衝剤は、グッド緩衝液、グリシン、リン酸、フタル酸、クエン酸、バルビツール酸、コハク酸、酢酸、および炭酸からなる群より選ばれる1以上のpH緩衝剤であることが好ましい。また、本発明は、(e)核酸と結合し得る色素を保持し、外力により開口し、色素を放出する開口部を備えた担体、(f)放出された色素を判定部位へ導く経路、および(d)導入された検体を保持し、担体(e)から経路(f)を経由して導入された色素と保持された検体との反応により生じた物質を可視光下で観察し、核酸の存在を目視で判定する判定部位を有する核酸の検出デバイス又はキットに関する。前記判定部位に存在する検体は、さらに色素と反応する物質を含むことが好ましい。前記色素は、酸化剤、還元剤、酸、塩基、又はpH緩衝剤の処理により色調が変化する色素であることが好ましい。本発明の方法によれば、特別な検出機器を使用することなく、核酸増幅後、色素の色調変化により、核酸増幅の有無を目視検出することができる。さらに、酸化剤、還元剤、酸、塩基、pH緩衝剤による色素の色調変化により、核酸増幅の有無を目視検出することができる。また、可視光にて検出できることにより、汎用性の高い装置の一種である可視領域の分光光度計等を用いた簡便な核酸の検出法を提供する。本発明のクロマト型核酸検出デバイスの一例を示す概略図である。本発明のフィルター型核酸検出デバイスの一例を示す概略図である。本発明の吸引型核酸検出デバイスの一例を示す概略図である。本発明の流路型核酸検出デバイスの一例を示す概略図である。本発明のチューブ型核酸検出デバイスの一例を示す概略図である。実施例5において、LAMP反応液にメチルグリーンを添加したときの吸光スペクトル図である。実施例5において、LAMP反応液にメチルグリーンを添加後、KOHを添加したときの吸光スペクトル図である。実施例6において、LAMP反応液にトルイジンブルーOを添加したときの吸光スペクトル図である。実施例6において、LAMP反応液にトルイジンブルーOを添加後、亜硫酸ナトリウムを添加したときの吸光スペクトル図である。以下、本発明を詳細に記載する。1.核酸の検出方法本発明の検体に含まれる核酸の検出方法は、(1)検体と色素とを接触させ、反応させる工程、(2)該反応により生じた物質を可視光下で観察し、核酸の存在を目視で判定する工程を含む。検体と色素とを接触させ、反応させる工程(1)では、検体が色素と接触して、両者に反応が生じれば、どのように接触させても良い。本発明において、検出対象は核酸であって、二本鎖核酸とは二本鎖DNA、二本鎖RNA、DNAとRNAのハイブリッド鎖、およびPNAなどの人工核酸の二本鎖が含まれる。さらには一本鎖核酸であっても複数混在し、色素による染色が可能である場合、本発明の検出方法で確認することができる。検体は核酸を含んでいれば特に限定されない。核酸増幅法の反応液だけでなく、微生物や動物細胞、或いは植物細胞からの抽出液でも構わないし、食品からの抽出液も好適に使用できる。核酸増幅法とはPCR法に代表される核酸配列を増幅させるものであればどのようなものでもかまわない。例えば、PCR法以外に、LCR(Ligase Chain Reaction)法、SDA(Strand Displacement Amplification)法、RCA(Rolling Circle Amplification)法、CPT(Cycling Probe Technology)法、Q−Beta Replicase Amplification Technology法、ICAN(Isothermal and Chimeric primer−initiated Amplification of Nucleic Acids)法、LAMP(Loop−Mediated Isothermal Amplificaton of DNA)法、NASBA(Nucleic acid Sequence−based Amplification method)法、及びTMA(Transcription mediated amplification method)法等の公知の方法が例示できるが、これらに限定されるものではない。Q−Beta Replicase Amplification Technology法、RCA法、NASBA法、SDA法、TMA法、LAMP法、ICAN法などは一定温度で増幅反応を行う方法であり、その他のPCR法やLCR法などは温度サイクリングで増幅反応を行うものである。また、RNAを逆転写酵素等によりDNAに逆転写し、このDNAを鋳型として上記の核酸増幅法を使用すれば間接的にRNAを検出することが可能である。本発明において、色素としては、トリフェニルメタン系色素、チアジン系色素、オキサジン系色素、アジン系色素、フェナジン系色素、キサンテン系色素、フェナントリジウム系色素、アゾ系色素、ラクトン系色素、サルトン系色素、インジゴイド系色素、シアニン系色素、オキソノール系色素、スチリル系色素、ポリフィリン系色素、チオキサンテン系色素、スクワリリウム系色素、クロコニウム系色素、アズレニウム系色素、ジチオール金属塩系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素、インドフェノール系色素、クマリン系色素、ケトクマリン系色素、ピリリウム塩系色素、チオピリリウム塩系、チアゾール系色素、キノリン系色素、ベンゾフェノン系色素、チオベンゾフェノン系色素およびこれらの混合物が挙げられる。好ましくはトリフェニルメタン系色素、チアジン系色素、オキサジン系色素、アジン系色素、フェナジン系色素、キサンテン系色素、フェナントリジウム系色素、アゾ系色素、インジゴイド系色素、ラクトン系色素、サルトン系色素およびこれらの混合物である。なお、本発明において、トリフェニルメタン系色素とは、下記式(1)又は式(2):又はで表される構造を有する色素である。ここで、R、R’及びR’’は、独立に、フェニル、ナフチル、アントラセニルなどのような置換及び非置換アリール基から選択される。アリール基は、たとえば、アミノ、ヒドロキシル、カルボニル、カルボキシル、スルホン酸、アルキルのような官能基、及び/又は他の官能基で置換することができる。核酸検出に使用可能な色素は核酸に結合できれば特に制限されない。具体例として、トリフェニルメタン系色素としては、例えば、メチルグリーン、マラカイトグリーン、クリスタルバイオレット、パラロザニリン、ゲンチアナバイオレットB、ゲンチアナバイオレットR、ナイトブルー、ビクトリアブルーB、ビクトリアブルーR、ビクトリアブルー4R、ビクトリアブルーBO、ロゾール酸、フクシン、酸性フクシン、塩基性フクシン、ニューフクシン、ブロモチモールブルー、ブロモクレゾールグリーンフェノールフタレイン、ブロモフェノールブルー、パテントブルーバイオレット、フェノールレッド、ピグメントブルー1、ピグメントバイオレット3、ベンジルバイオレット、ペンタメチルパラロザニリン、ファストグリーンFCF、エチルバイオレット、グリーンS、ローズアニリン、アシッドブルー7、アズールブルーG、ソロクロムシアニンR、アシッドブルー147、ライトグリーンSFイエロー、ライトグリーンSF、エチルグリーン、アニリンブルー、メチルバイオレット、クロムバイオレットCGが挙げられる。チアジン系色素としては、例えば、トルイジンブルーO、メチレンブルー、チオニン、アズールA、チオールCが挙げられる。オキサジン系色素として、例えば、ブリリアントクレシルブルー、ナイルブルー、ガロシアニン、ベーシックブルー3が挙げられる。アジン系色素として、例えば、アニリンブラック、アセチレンブラック等が挙げられる。フェナジン系色素として、例えば、ニュートラルレッド、ヤヌスグリーンB、ベーシックレッド2、サフラニンBが挙げられる。キサンテン系色素として、例えば、フルオレセイン、ローダミン、ピロニンYが挙げられる。フェナントリジウム系色素として、例えば、エチジウムブロマイドが挙げられる。アゾ色素として、例えば、ビスマルクブラウン、ニューコクシン、ベーシックレッド29が挙げられる。インジゴイド系色素として、例えば、インジゴカルミンなどが挙げられる。核酸を含む溶液への色素の添加量は、溶液の呈色が目視で確認できれば特に限定されるものではないが、好ましくは1%以下であり、より好ましくは0.1%以下である。これらの色素のなかでも、核酸との結合により色調が変化する性質を有し、かつ、酸塩基応答性或いは酸化還元応答性の両方の性質を有しているものが好ましいが、核酸との結合により色調が変化する性質か、酸塩基応答性或いは酸化還元応答性のどちらか一方のみを有していてもよい。またこれらの色素は一種でも、二種以上を組み合わせても使用することができる。溶液中のpHにより色調が変化する色素を「酸塩基応答性色素」と呼び、酸化還元状態によって色調が変化するような色素を「酸化還元応答性色素」と呼ぶ。酸化還元応答性色素とは、例えば、酸塩基指示薬や酸化還元指示薬に用いられるような色素が挙げられる。核酸との結合により色調が変化する性質を有する色素の例としては、トルイジンブルーOやメチルグリーン、ブリリアントクレシルブルー、ゲンチアナバイオレットB、ビクトリアブルーB等が挙げられる。具体的にはトルイジンブルーOは二本鎖核酸が存在しない場合は濃紺であるが、核酸と結合することで水色へと変化し、メチルグリーンは核酸が存在しない場合は水色であるが、核酸と結合することで青緑色へと変化する。また、ブリリアントクレシルブルーは核酸が存在しない場合は濃青色であるが、核酸と結合することで青緑色へと変化する。酸塩基応答性色素とはpH指示薬等にみられるような、溶液中の水素イオン濃度(pH)に応じて色調を変える色素を意味する。これらの中には酸性からアルカリ性にすることで、フェノールフタレインのように無色から赤紫へと変化するものや、メチルオレンジのように赤色から橙色へと変化するものが含まれる。また、酸化還元応答性色素とは、酸化状態と還元状態で色調が変化する色素を意味する。例えばメチレンブルーやメチルグリーンは酸化型では青色を呈するが、還元型では無色となる。一方、トルイジンブルーOは酸化型では青色を呈するが、還元型では、赤紫色を呈する。核酸増幅法による核酸の増幅を検出する際は、核酸増幅反応後の反応液に色素を添加することが好ましいが、増幅反応の前の反応液に予め色素を添加しておいてもよい。さらには、増幅反応していない核酸の検出にも応用することができる。酸塩基応答性あるいは酸化還元応答性色素を用いた場合、二本鎖核酸に結合した色素と比較して、一本鎖核酸に結合した色素および核酸と結合していない色素と優先的に反応する物質を添加する工程を追加することで、核酸の有無による色調のコントラストを増強し可視光による検出を容易にすることが可能である。つまり、二本鎖核酸と結合した色素に由来する色調以外を変化させ、又は消して無色にすることで、二本鎖核酸の有無による色調のコントラストが増強される。上記工程により、二本鎖核酸と結合はするが、二本鎖核酸との結合による色調の変化が少ない、或いは結合はするが色調の変化が全くない色素を使用する場合でも、色素が酸塩基応答性あるいは酸化還元応答性を有していれば、二本鎖核酸増幅の目視判定が可能となる。例えば、メチルグリーンは二本鎖核酸と結合した際の色調の変化を目視で判別しにくい。しかし、一本鎖核酸と結合したメチルグリーンおよび核酸と結合していないメチルグリーンと優先的に反応する物質を添加することで、二本鎖核酸と結合していないメチルグリーン由来の水色を消すことができる。この方法により、着色されている場合は二本鎖核酸が存在し、無色の場合は二本鎖核酸が存在しないというように、核酸の有無を目視にて容易に判定することが可能となる。もう一つの例として、トルイジンブルーOは二本鎖核酸と結合すると、濃紺から水色へと変化する。さらに一本鎖核酸と結合したトルイジンブルーO、および核酸と結合していないトルイジンブルーOと優先的に反応する物質を添加することで、二本鎖核酸と結合していないトルイジンブルー由来の濃紺色を赤紫色へと変化させ、青色の場合は二本鎖核酸が存在し、赤紫色の場合は二本鎖核酸が存在しないというように、核酸の有無を目視にて容易に判定することが可能となる。さらにもう一つの例として、ゲンチアナバイオレットBは二本鎖核酸と結合した際の色調の変化を目視で判別しにくい。しかし、一本鎖核酸と結合したゲンチアナバイオレットB、および核酸と結合していないゲンチアナバイオレットBと優先的に反応する物質を添加することで、二本鎖核酸と結合していないゲンチアナバイオレットB由来の青紫色を消すことができ、青紫色の場合は二本鎖核酸が存在し、無色の場合は二本鎖核酸が存在しないというように、核酸の有無を目視にて容易に判定することが可能となる。さらにもう一つの例として、ビクトリアブルーBは中性溶液中では二本鎖核酸と結合した際の色調の変化を目視で判別しにくい。しかし、中性以上のアルカリ領域のpH環境下では二本鎖核酸と結合していないビクトリアブルーB由来の青色が淡赤色へと変化するので、青色の場合は二本鎖核酸が存在し、淡赤色の場合は二本鎖核酸が存在しないというように、核酸の有無を目視にて容易に判定することが可能となる。本工程により色調のコントラストの増強効果を得ようとする場合、使用する色素は特に限定されるものではないが、二本鎖核酸と結合しない場合に、pHや酸化還元状態に依存して呈色が有色から無色へ、又は無色から有色へと変化する色素であってもよい。また、例えば青色から赤色へというように、色調が変化する色素であってもよい。このうちでも、核酸の有無の判定が容易であるという理由から、pHや酸化還元状態に依存して呈色が有色から無色へ、又は無色から有色へと変化する色素であることが好ましい。酸化還元応答性の色素を用いる際は、一本鎖核酸に結合した色素および核酸と結合していない色素と優先的に反応して色調を変化させる物質として、酸化剤、及び還元剤等が挙げられる。上記酸化剤には、酸化作用を有するものであれば特に制限はないが、過酸化水素、過マンガン酸カリウム、塩素酸カリウム、二クロム酸カリウム、臭素酸ナトリウム、臭素酸カリウム、ハロゲン、濃硫酸、硝酸、次亜塩素酸ナトリウム、二酸化塩素、クロラミン、四酸化オスミウム、ジメチルスルホキシド、メタクロロ過安息香酸などが含まれる。同様に、還元剤には、還元作用を有するものであれば特に制限はないが、水素化ホウ素ナトリウム、シアン化水素化ホウ素ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、次亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウム、チオ硫酸ナトリウム、グルタチオン、アスコルビン酸、2−メルカプトエタノール、DL−ジチオスレイトール、1−チオグリセロール、システイン、トリブチルホスフィン、アミノエタンチオール、トリス2−カルボキシエチルホスフィン、およびその誘導体などが含まれる。また、酸塩基応答性色素を用いる際は、一本鎖核酸に結合した色素および核酸と結合していない色素と優先的に反応し、色調を変化させる物質として、酸、および塩基を使用することができる。酸として塩酸、硫酸、硝酸等の鉱酸や酢酸、ギ酸、シュウ酸、クエン酸、乳酸等の有機酸が好適に用いられるが、これに限定されるものではない。好ましくは塩酸、硫酸、酢酸、クエン酸であり、特に好ましくは塩酸、酢酸である。塩基としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、アンモニア、トリエチルアミン等が好適に用いられるが、これに限定されるものではない。好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウムであり、特に好ましくは水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウムである。また、一本鎖核酸に結合した色素および核酸と結合していない色素と優先的に反応して色調を変化させる物質として、pH緩衝剤を使用し、検体のpH変化により色調を変化させることもできる。このようなpH緩衝剤としては、検体のpHを変化させるものであれば特に限定されないが、MES、Bis−Tris、ADA、PIPES、ACES、MOPSO、BES、MOPS、TES、HEPES、DIPSO、TAPSO、POPSO、HEPPSO、EPPS、Tricine、Tris、Bicine、TAPS、CHES、CAPSO、CAPS等のグッド緩衝液、グリシン、リン酸、フタル酸、クエン酸、バルビツール酸、コハク酸、クエン酸、酢酸、炭酸が好適に用いられる。一本鎖核酸に結合した色素および核酸と結合していない色素と優先的に反応し、色調を変化させる物質の具体的な添加量は、色素及び前記物質の種類によって変わるので、一律に定めることはできないが、当業者が、目視での判定が最も容易となる添加量を実験的に決定することができる。一般に、色素と反応する物質の量は、色素量の1000モル当量以下が好ましく、100モル当量以下がより好ましい。この方法により、核酸増幅産物を検出する場合には、核酸増幅反応後の反応液に色素を添加し、さらに酸化剤、還元剤、酸、塩基、pH緩衝剤等の色調を変化させる物質を添加してコントラストを増強してもよい。また、該色素を予め添加した状態で増幅反応を行い、反応後に酸化剤、還元剤、酸、塩基等を添加しコントラストを増強することも可能である。またこれらの酸化剤、還元剤、酸、塩基、pH緩衝剤は1種のみでも、2種以上組み合わせても使用することができる。さらには、これらの酸化剤、還元剤、酸、塩基、pH緩衝剤が、核酸を含む検体に当初から含まれる場合には、色素との反応工程のみでも核酸検出が可能である。次に、工程(1)での反応により生じた物質を可視光下で観察し、核酸の存在を目視で判定する工程(2)において、紫外線のような可視光ではない光を照射することなく、一般的な実験室における照明のような可視光下で観察する。可視光であれば、紫外線照射する場合のように特別な装置が必要ではなく、簡便に観察することができる。色素と核酸が結合した場合の呈色の変化、核酸と結合していない色素の呈色の変化を目視で観察することを、可視光下での観察による目視判定という。可視光下での色素の呈色の有無に基づき、核酸の存在の有無を確認できる。ここで、色調が変化するとは、可視光下で色の種類が変化すること(可視光波長)、又は、色の濃淡が変化すること(反射率)などが挙げられるが、目視で判定できるものであればこれらに限定されない。色の種類の変化としては、例えば、赤紫色から水色への変化、及び黄色から赤紫色への変化が挙げられる。また、試料溶液の可視光領域の吸光度を測定することによっても、核酸を検出することができる。なお、本発明において、可視光とは特に380nm〜800nmの光を指す。測定波長は使用する色素によって適宜設定すればよい。また、吸光度測定により、試料中の核酸濃度を定量することも可能である。その他、色素と核酸による不溶性の沈殿物を生じる場合、フィルターやメンブレンを用いて、又は遠心分離により沈殿物を回収し、沈殿物の量から核酸の量を判断することも可能である。本発明において、核酸検出後の着色した検体液を他の分子生物学的な操作にそのまま使用することも可能である。そのような分子生物学的な操作には、制限酵素反応、シーケンス反応、PCRの様な酵素反応や、電気泳動による確認操作等が含まれる。さらに、本発明の検出方法は、工程(1)の前または後に、酸化剤、還元剤、酸、塩基、又はpH緩衝剤などの、前述した色素と反応する物質を検体に接触させる工程(3)を含んでいてもよい。2.核酸検出デバイス又はキット本発明の第一の態様に係る核酸の検出デバイス又はキットは、(a)核酸と結合し得る色素を保持した担体、(c)検体が担体(a)を通過する経路、および(d)検体と色素との反応により生じた物質を可視光下で観察し、核酸の存在を目視で判定する判定部位を有する。核酸と結合し得る色素を保持した担体(a)の素材としては、色素を保持でき、核酸を含む検体が通過できるものであれば特に限定はない。好ましい具体例としては、不織布、濾紙、ガラスファイバー濾紙、ガラス繊維布、ガラスフィルター、ニトロセルロースフィルター、ポリエチレンやポリプロピレン等からなる多孔質材などが挙げられる。担体(a)への色素の固定は、物理的吸着または化学的結合の公知の方法で行うことができる。物理的吸着としては、一定量の色素溶液に担体を含浸した後に乾燥する乾燥吸着等が挙げられる。担体(a)に保持される色素の量は、目視による核酸の判別が可能であれば特に制限されないが、核酸を含む検体との混合後の色素濃度が、好ましくは1%以下であり、より好ましくは0.1%以下である。色素を保持する担体(a)を検体が通過する際に、色素と核酸が結合する。検体中に核酸が含まれる場合、検体と色素が接触することにより、核酸と色素とが結合する。また、担体に保持される色素の量が核酸に対して過剰量である場合には、遊離の色素が残ることになる。ここで、結合とは、ペプチド結合やジスルフィド結合のような共有結合、イオン結合、配位結合、ファンデルワールス結合、π−π相互作用のような非共有結合を含む。担体(a)における核酸と色素との結合は、核酸と担体との親和性や、担体の吸湿性によっても影響を受ける。したがって、これらの担体は、核酸の非特異的吸着や、吸湿性を調整するために、表面を親水性重合体や界面活性剤で被覆したり、含浸させたりしてもよい。検体が担体(a)を通過する経路(c)とは、本発明のデバイス又はキットにアプライされた検体が移動する経路のことをいう。経路とは、検体の移動が誘導されるようなものであれば特に限定されず、溝が形成されている必要はない。経路(c)は、担体(a)および判定部位(d)と連結しており、検体は、経路(c)に沿って、担体(a)及び判定部位(d)へ移動することができる。経路(c)の素材としては、核酸を含む検体が通過できるものであれば特に限定はない。検体と色素との反応により生じた物質を可視光下で観察し、核酸の存在を目視で判定する判定部位(d)とは、担体(a)を通過した検体が経路(c)を移動して到達する部位をいう。判定部位(d)における呈色の、色調の違いを可視光下の観察により目視で判定することにより、核酸の有無を、UV照射装置や蛍光検出器等の特別な機器を使用することなく判定することができる。判定部位(d)の素材としては、核酸を含む検体が通過又は吸収され得るものであれば特に限定はない。好ましい具体例としては、不織布、濾紙、ガラスファイバー濾紙、ガラス繊維布、ガラスフィルター、ニトロセルロースフィルター、ポリエチレンやポリプロピレン等からなる多孔質材などが挙げられる。これらの素材は、適度な吸湿速度を有するとともに、核酸が着色して発色した際の目視確認性に優れるなどの利点を有する。さらに、核酸の量に応じた呈色の度合いを示す対比表を作製すれば、検体中の核酸濃度を推定することも可能である。また、濃度を規定した標準核酸を用いて検量線を作製しておけば、分光光度計や色差計、反射計等の汎用的な分析機器を使用して、試料中の核酸量を定量することも可能である。本発明の核酸検出デバイスへの、検体のアプライ方法には特に制限はないが、検体は、例えば滴下や浸漬、または吸引や遠心でアプライされる。また、検体の添加後、別途溶媒で展開することも可能である。溶媒で展開する場合、使用する溶媒は色素の色調に影響を与えるものでなければ特に限定されるものではないが、水や緩衝液などが挙げられる。本発明の核酸検出デバイスには試料添加部位を別に設けてもよい。また、検体を、色素を保持した担体(a)に直接アプライすることも可能である。さらに、上記の検出デバイス又はキットは、さらに、色素と反応する物質を保持する担体(b)を有していてもよい。この場合、前記担体(b)は、色素を保持する担体(a)の下流側に位置することが好ましい。ここで、上流側および下流側とは、検体を添加する側を上流側、検体が流れる、又は展開する側を下流側とする相対的な方向を意味する。担体(a)において色素と反応した検体は、担体(b)において、色素と反応する物質と接触した後、経路(c)を通って判定部位(d)へ到達する。核酸と結合した色素と、遊離の色素とを含む検体は、色素と反応する物質を保持した担体(b)において、色素と反応する物質と接触して混合される。遊離の色素は、核酸と結合した色素と比較して、色素と反応する物質との反応性が高いため、優先的に反応して変色する。ここで言う変色とは、あらゆる色調の変化が含まれ、例えば、有色から無色透明への変化や、赤色から青色への変化が挙げられる。担体(b)に保持される、色素と反応する物質としては、酸化剤、還元剤、酸、塩基、pH緩衝剤が挙げられる。担体(b)の素材としては、色素と反応する物質を保持することができ、核酸を含む検体が通過できるものであれば特に限定されない。なお、上記の担体(a)と(b)とは、互いに接触していてもよいし、非接触であってもよい。また、両担体の中間および/またはその前後に別の担体を配置することもできる。さらに必要であれば検体をアプライする領域や呈色を判定する領域、検体と色素および色素と反応する物質との混合を促す領域を別に備えることも可能である。検体に色素と反応する物質が含まれている場合、本発明の核酸デバイス又はキットが、色素を保持した担体のみから構成される場合もある。また、色素と、色素と反応する酸化剤等の物質を同一の担体に保持させることにより、1つの担体で核酸検出デバイスを作製することも可能である。さらには色素の色調が核酸増幅反応液等の検体由来の化合物で変化され得る場合には、色素を保持する担体(a)のみを有する核酸検出デバイスを作製することがきる。本発明の検出デバイスにおいて、担体を配置するための基材となる部材は、担体を保持できるものであれば特に限定されず、例えばプラスチック、紙、ガラスなどの材質を用いることができる。また、表面に粘着性を有していてもよい。以上のように、本発明に係る核酸検出デバイスによれば、核酸と色素との結合工程と、核酸の有無による色調のコントラストを増強させる工程とを一度に行うことが可能であり、核酸を迅速かつ簡便に検出することが可能である。本態様における核酸検出デバイスの形態の具体例を、図1〜4に示す。図1には、クロマト型核酸検出デバイスを示す。図1に示した検出デバイスは、核酸と結合し得る色素を保持した担体1、色素と反応する物質を保持する担体2、試料添加部位3、判定部位4を基材となる部材5の上に、粘着剤等を用いて張り合わせたものである。図2aには、フィルター型核酸検出デバイスを示す。図2aに示した検出デバイスは、核酸と結合し得る色素を保持したフィルター型担体1、色素と反応する物質を保持するフィルター型担体2、および判定部位4から構成され、それぞれを垂直に重ね合わせたものである。本形態のデバイスは、試料添加部位を有しておらず、検体は直接、核酸と結合し得る色素を保持する担体1にアプライされ、担体1において検体と色素が混合される。その後、検体と色素の混合物は、垂直方向に浸透し、担体2において色素と反応する物質と接触する。検体と色素、および色素と反応する物質の混合物は、判定部位4まで浸透し、判定部位4における色調により核酸の有無を目視で判定できる。図2bにも、フィルター型核酸検出デバイスを示す。図2bのデバイスでは、検体は支持体6の内部にアプライされ、担体1に保持された色素、次いで担体2に保持された色素と反応する物質に、順に接触しながら、検体収容容器7に収容される。上記構成によれば、検体収容容器7に収容された検体溶液の色調により、検体に含まれる核酸の有無又は量を判定することができる。検体のフィルター型担体中の通過を、遠心や、加圧等によって行えば、非常に迅速にかつ簡便に核酸の有無又は量を判定できる。図3には、吸引型核酸検出デバイスを示す。図3に示した検出デバイスは、核酸と結合し得る色素を保持した担体1、色素と反応する物質を保持した担体2、および、吸引用具からなる支持体8により構成され、吸引用具の吸引口αと相対的に近い位置に核酸と結合し得る色素を保持した担体1が配置され、遠い位置に色素と反応する物質を保持した担体2が配置される。図3では、吸引用具からなる支持体としてマイクロピペット用のチップを例示しており、この場合には上部口βにマイクロピペッターを装着して吸引口αから検体を吸引する。本形態はマイクロピペット用のチップに限定されるものではなく、パスツールピペットや、駒込ピペットなどのピペット類、キャピラリー、注射器等が好適に使用できる。この構成によれば、それぞれの担体を備える吸引用具を使用して検体を吸引することにより、核酸の有無を、色素の色調によって、極めて迅速かつ簡便に目視検出することが可能である。図4には、流路型核酸検出デバイスを示す。図4に示した流路型デバイスは、核酸と結合し得る色素を保持した担体1、色素と反応する物質を保持した担体2が流路を切ったチップ9に配置されることを特徴とする。このチップには、核酸精製や核酸増幅などを目的とした仕組みが備わっていてもよい。本形態の検出デバイスにおいて、試料添加部位10にアプライされた検体は、流路13を移動して担体1及び2を順に通過し、最後に判定部位4に到達する。核酸の有無又は量は、判定部位4における呈色を可視光下で観察し、目視で判定することにより、判断できる。なお、流路13の形状は特に限定されず、例えば直線や曲線であってもよい。図4に示すように、チップ9の上に流路と担体の複数の組み合わせを保持し、流路の長さにより、検体が判定部位4に到達するまでの流路13の通過時間に差をつける工夫をすることも可能である。チップ9が核酸増幅を目的とする仕組みを有する場合、検体の通過時間の差により核酸の増幅量に差をつけ、段階的な核酸の増幅、及びその産物の検出を行うことができる。本発明の第二の態様に係る核酸の検出デバイス又はキットは、(e)核酸と結合し得る色素を保持し、外力により開口し、色素を放出する開口部を備えた担体、(f)放出された色素を判定部位へ導く経路、および(d)導入された検体を保持し、担体(e)から経路(f)を経由して導入された色素と保持された検体との反応により生じた物質を可視光下で観察し、核酸の存在を目視で判定する判定部位を有する。核酸と結合し得る色素を保持し、外力により開口し、色素を放出する開口部を備えた担体(e)の素材としては、色素を一定期間安定に保持できるものであれば特に限定されない。担体(e)には色素が充填されており、色素を放出する開口部は通常は閉じられている。外力により担体(e)が開口した場合にのみ色素が放出される。ここで、外力とは、担体の開口を可能とするものであれば特に限定されず、例えば指による押し下げや、機械による押し下げが挙げられる。外力による開口の態様は、色素を放出できれば特に限定されないが、例えば、色素を保持する膜の破壊が挙げられる。本態様のデバイス又はキットは、担体(e)の開口を容易にするために針状構造を備えていてもよい。放出された色素を判定部位へ導く経路(f)とは、上記担体(e)から放出された色素が通過する経路のことをいう。経路(f)の形状・材質は、色素が通過できるものであれば特に限定されない。例えば、放出された色素が、重力により落下して判定部位(d)に到達する場合には、経路(f)は色素の落下を阻害しないものであればよい。導入された検体を保持し、担体(e)から経路(f)を経由して導入された色素と保持された検体との反応により生じた物質を可視光下で観察し、核酸の存在を目視で判定する判定部位(d)は、本発明の第一の態様に係る核酸の検出デバイス又はキットで説明したとおりである。本態様における核酸検出デバイスの形態の具体例を、図5に示す。図5には、チューブ型核酸検出デバイスを示す。このチューブ型デバイスには、外部からの物理的作用により核酸溶液に色素を添加させる仕組みを持つものも含まれる。例えば、図5においてチューブ14の蓋部分に、膜によって色素11を保持し、蓋に仕込まれた針状構造12を介して、例えば指で押すなどの外部からの物理的作用により膜を破ることによって色素11をチューブ下部に滴下し、チューブ下部の検体に含まれる二本鎖核酸を染色することができる。なお、図5に示したチューブ型デバイスにおいて、チューブ14に含まれる検体に、色素と反応する物質が予め含まれている場合には、色素11を外力でチューブ14の下部に滴下することにより、極めて迅速かつ簡便に、二本鎖核酸の存在による呈色のコントラストを増強することができる。本発明において、核酸検出キットとは、核酸と結合する色素を含む溶液および/または色素と反応する物質を含む溶液からなる検出用ユニットに加え、各種試薬や器具等を備えた形態を指す。上述のデバイスをさらに加えたものもキットとみなす。前記各種試薬には目的核酸を増幅するためのプライマー、DNAポリメラーゼ、核酸増幅反応に用いられる緩衝液や制限酵素等が含まれる。これらのデバイスを使用して得られた、核酸を含む着色した検体を、他の分子生物学的な操作にそのまま使用することも可能である。そのような分子生物学的な操作には、制限酵素処理、シーケンス反応、PCRの様な酵素反応や、電気泳動による確認操作等が含まれる。また、検体を自動的に処理し、塩基配列等を解析する装置に本発明の核酸検出デバイスを組み込むことも可能である。例えば、核酸精製・増幅装置に本発明の核酸検出デバイスを組み込むことによって核酸の有無を判定したり、DNA自動解析装置に組み込むことによって、確実にPCRで増幅・ラベルされたサンプルのみを選別し、解析を行ったりすることも可能である。以下、実施例により本発明を具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施例にその技術的範囲が限定されるものではない。[実施例1]トルイジンブルーOおよびメチルグリーンを用いた核酸の検出サケ由来の核酸を1mg/mlの濃度で含むPBS緩衝液(ポジティブコントロール)、または、核酸を含まないPBS緩衝液(ネガティブコントロール)100μlに、5μlの0.1%トルイジンブルーO、または、0.2%メチルグリーンを添加し、色調の変化を目視により観察した。さらに、混合液を10倍希釈した後、分光光度計(spectrophotometer V630、日本分光社製)を用いて、可視光領域での極大吸収波長を測定した。結果を表1に示した。いずれの色素でも、核酸の有無による色調差は顕著であり、添加後直ちに目視判断可能であった。また、各色素の極大吸収波長は、トルイジンブルーOで630nmから645nmへ、メチルグリーンでは630nmから640nmへシフトした。[実施例2]トルイジンブルーOを用いたPCR反応産物の検出鋳型としてpUC19(タカラバイオ社製)を用い、PCR増幅により約330塩基対が増幅するように以下のプライマーF:5’−GGAAACAGCTATGACCATGA−3’およびプライマーR:5’−CTATGCGGCATCAGAGCAG−3’を設計した。プライマーFとプライマーRを各15pmolと、10ngのpUC19とを0.2mlのPCR用チューブに入れ、ExTaq PCRキット(タカラバイオ社製)の説明書に従い、100μlのPCR反応液を調製した。その後、チューブをサーマルサイクラー(GeneAmp PCR System(アプライドバイオシステム製))にセットし、95℃で5分間熱処理後、95℃で30秒、55℃で30秒、72℃で30秒のサイクルを35回行い、目的の約330bpの増幅を行い、ポジティブコントロールとした。また、ExTaq DNAポリメラーゼを添加しないで同様の反応を行い、ネガティブコントロールとした。PCR法により核酸増幅を行ったサンプル、および核酸増幅を行っていない反応液100μlに、それぞれ0.1%のトルイジンブルーOを5μl添加し、色調を目視観察した。さらに、混合液を10倍希釈した後、分光光度計を用いて、可視光領域での極大吸収波長を測定した。結果を表2に示した。PCR法による核酸増幅反応液を用いた場合でも、トルイジンブルーOの色調の変化が認められた。また、極大吸収スペクトルのシフトも観察された。[実施例3]メチルグリーンを用いたLAMP法反応産物の検出「Loopamp(R)サルモネラ検出試薬キット」(栄研化学社製)を使用し、LAMP法による核酸増幅反応液を調製した。10μlのControl DNA Salと40μlのマスターMix(Reaction Mix. SalとBst DNA Polymeraseを容量比で20:1の割合で別途混合したもの)を混合し、65℃で1時間反応後、さらに、80℃で20分反応することで、核酸が増幅された反応液(ポジティブコントロール)を調製した。また、10μlのControl DNA Salと40μlのReaction Mix. Salを混合し、65℃で1時間反応後、さらに、80℃で20分反応することで、核酸が増幅されていない反応液(ネガティブコントロール)を調製した。ポジティブコントロール、およびネガティブコントロール50μlに、それぞれ0.1%のメチルグリーンを5μl添加した。反応液の色調を目視にて観察後、極大吸収波長を分光光度計にて測定した。結果を表3に示した。LAMP法による核酸増幅反応液にメチルグリーンを添加した場合、反応液の色調変化が目視で可能であった。また、極大吸収スペクトルのシフトも観察された。[実施例4]メチルグリーンを用いたPCR反応産物の検出と亜硫酸ナトリウムによるコントラスト増強効果実施例2と同様の方法で、PCRによる核酸増幅反応液を調製した。ポジティブコントロール、およびネガティブコントロール50μlに、それぞれ0.1%のメチルグリーンを5μl添加した。更に、0.1%の亜硫酸ナトリウムを2μl添加後の色調変化の観察を行った。その後、反応液を10倍に希釈し、450nm〜750nmの吸光スペクトル、および極大吸収波長での吸光度を測定した。結果を表4に示した。PCRによる核酸増幅が無いネガティブコントロールの場合、色素の添加で水色を呈し、続く亜硫酸ナトリウムの添加で無色へと変化した。一方、PCRによる核酸増幅が有るポジティブコントロールの場合は、亜硫酸ナトリウムの添加後も青緑色を呈しており、亜硫酸ナトリウムの添加による色調の変化は無かった。亜硫酸ナトリウム添加前の640nmにおける吸光度は、ポジティブコントロールで0.695、ネガティブコントロールで0.193とその値の吸光度比(ポジティブ/ネガティブ)は3.60であるのに対し、亜硫酸ナトリウム添加後の吸光度比は64.7に達した。以上のように、色素添加後の亜硫酸ナトリウム添加により、核酸の有無による色調の差がより明確になり、目視判別が容易になった。また、色素による検出に要した時間は1分以内であった。また、メチルグリーンと亜硫酸ナトリウムで着色後の核酸を含むサンプルを用いて、電気泳動、PCR、制限酵素処理、シーケンス反応を行ったところ、全て良好に実施することが可能であった。[実施例5]メチルグリーンを用いたLAMP法反応産物の検出とKOHによるコントラスト増強効果実施例3と同様の方法で、LAMP法による核酸増幅反応液を調製した。ポジティブコントロール、およびネガティブコントロール50μlに、それぞれ0.1%のメチルグリーンを5μl添加した。更に、1NのKOHを2μl添加後の色調変化の観察を行った。その後、反応液を10倍に希釈し、450nm〜750nmの吸光スペクトル、および極大吸収波長での吸光度を測定した。結果を表5、および、図6、7に示した。LAMP法による核酸増幅が無いネガティブコントロールの場合、色素の添加で水色を呈し、続くKOHの添加で無色へと変化した。一方、LAMP法による核酸増幅が有るポジティブコントロールの場合は、KOHの添加後も青緑色を呈しており、KOHの添加による色調の変化は無かった。KOH添加前の640nmにおける吸光度は、ポジティブコントロールで0.679、ネガティブコントロールで0.176とその値の吸光度比(ポジティブ/ネガティブ)は3.86であるのに対し、KOH添加後の吸光度比は70.6に達した。以上のように、色素添加後のKOH添加により、核酸の有無による色調の差がより明確になり、目視判別が容易になった。また、色素による検出に要した時間は1分以内であった。[実施例6]トルイジンブルーOを用いたLAMP法反応産物の検出と亜硫酸ナトリウムによるコントラスト増強効果実施例3と同様の方法で、LAMP法による核酸増幅反応液を調製した。ポジティブコントロール、およびネガティブコントロール50μlに、それぞれ0.1%のトルイジンブルーOを2.5μl添加した。更に、0.1Mの亜硫酸ナトリウムを2μl添加後の色調変化の観察を行った。その後、反応液を10倍に希釈し、450nm〜750nmの吸光スペクトル、および極大吸収波長での吸光度を測定した。結果を表6、および図8、9に示した。ネガティブコントロールでは、色素の添加で濃紺を呈し、続く亜硫酸ナトリウムの添加で赤紫へと変化した。一方、ポジティブコントロールは、亜硫酸ナトリウムの添加による色調の変化はなく、水色を呈していた。亜硫酸ナトリウム添加前の645nmにおける吸光度は、ポジティブコントロールで0.505、ネガティブコントロールで0.586であり、その吸光度比は0.86であるのに対し、亜硫酸ナトリウム添加後の吸光度比は4.31に達した。以上のように、色素添加後の亜硫酸ナトリウム添加により、核酸の有無による色調の差がより明確になり、目視判別が容易になった。また、色素による検出に要した時間は1分以内であった。[実施例7]ピロニンYを用いたLAMP法反応産物の検出と亜硫酸ナトリウムによるコントラスト増強効果色素としてピロニンYを使用した以外は、実施例6と同様の実験を行った。目視による色調の観察と、極大吸収波長(560nm)における吸光度測定を行った。結果を表7に示した。その結果、ネガティブコントロールでは、色素の添加で赤紫を呈し、続く亜硫酸ナトリウムの添加で淡赤色へと変化した。一方、ポジティブコントロールは、亜硫酸ナトリウムの添加による色調の変化はほとんどなかった。亜硫酸ナトリウム添加前の560nmにおける吸光度は、ポジティブコントロールで0.212、ネガティブコントロールで0.288であり、吸光度比は0.74であった。これに対し、亜硫酸ナトリウム添加後の吸光度比は2.09に達し、色素添加後の亜硫酸ナトリウム添加により、核酸の有無による色調の差がより明確になり、目視判別が容易になった。また、色素による検出に要した時間は1分以内であった。[実施例8]ニュートラルレッドを用いたLAMP法反応産物の検出とKOHによるコントラスト増強効果色素としてニュートラルレッドを使用し、亜硫酸ナトリウムに替えてKOHを使用した以外は、実施例6と同様の実験を行った。目視による色調の観察と、極大吸収波長(525nm)における吸光度測定を行った。結果を表8に示した。その結果、ネガティブコントロールでは、色素の添加で赤色を呈し、続くKOHの添加で黄色へと変化した。一方、ポジティブコントロールは、KOHの添加による色調の変化はほとんどなかった。KOH添加前の525nmにおける吸光度は、ポジティブコントロールで0.496、ネガティブコントロールで0.729であり、その吸光度比は0.680であった。これに対し、KOH添加後の吸光度比は1.80に達し、色素添加後のKOH処理により、核酸の有無による色調の差がより明確になり、目視判別が容易になった。また、色素による検出に要した時間は1分以内であった。[実施例9]メチルグリーンによるLAMP法反応産物の検出におよぼす還元剤の効果亜硫酸ナトリウムの代わりに、還元剤として、アスコルビン酸ナトリウム、グルタチオン、DL−ジチオスレイトール、2−メルカプトエタノール、またはチオ硫酸ナトリウムを用いて、実施例5と同様の実験を行った。目視による色調の観察を行った。結果を表9に示した。なお、アルカリ添加による色調変化を見るため、水酸化ナトリウムを添加して同様の実験を行った。その結果、全ての還元剤の添加で、核酸増幅を行っていない反応液の色調を変化し、コントラストが増強された。[実施例10]色素によるPCR産物の検出実施例2と同様の方法で、PCRによる核酸増幅反応液を調製した。ポジティブコントロール、およびネガティブコントロール50μlに、終濃度で0.01〜0.1%となるように種々の色素を添加した。その後、還元剤(亜硫酸ナトリウム)、酸化剤(過酸化水素)、酸(塩酸)、塩基(水酸化ナトリウム)のいずれかを適量添加し、目視による増幅核酸検出試験を行った。その結果、色素としてパラロザニリン、ベーシックグリーン1、ベーシックブルー3、ナイトブルー、ゲンチアナバイオレットB、エリオクロムシアニンR、エチルバイオレット、メチルバイオレット、アストラゾンピンクFG、マラカイトグリーン、クリスタルバイオレット、ビクトリアブルーB、ビクトリアブルーR、ビクトリアブルー4R、塩基性フクシン、ニューフクシンを用いた場合、色素添加後の還元剤添加により核酸増幅の有無による色調の差がより明確になり、目視判別が可能であった。また、色素としてピナシアノール、パラロザニリンを用いた場合、色素添加後の酸化剤添加により核酸増幅の有無による色調の差がより明確になり、目視判別が可能であった。また、色素としてピナシアノール、ヤヌスグリーンB、パラロザニリン、ベーシックブルー7、エチルバイオレット、ビクトリアブルーR、塩基性フクシン、ニューフクシン、メチルバイオレット、チアゾールオレンジを用いた場合、色素添加後の酸添加により核酸増幅の有無による色調の差がより明確になり、目視判別が可能であった。また、色素としてカルミン、硫酸プロフラビン、アズールA、チオニン、パラロザニリン、ベーシックレッド29、ベーシックグリーン1、アストラゾンピンクFG、マラカイトグリーン、クリスタルバイオレット、ビクトリアブルー4R、ビクトリアブルーR、塩基性フクシン、ニューフクシン、ゲンチアナバイオレットB、ナイトブルー、ベーシックブルー7、エチルバイオレット、メチルバイオレット、ビクトリアブルーBを用いた場合、色素添加後の塩基添加により核酸増幅の有無による色調の差がより明確になり、目視判別が可能であった。[実施例11]ビクトリアブルーBを用いた核酸の検出サケ由来の核酸を1mg/mlの濃度で含む種々のpHのTris−HCl緩衝液(ポジティブコントロール)、または、核酸を含まない種々のpHのTris−HCl緩衝液(ネガティブコントロール)100μlに、2μlの0.01%ビクトリアブルーBを添加し、色調の変化を目視により観察した。結果を表10に示した。pH8.0より高いpHの緩衝液を用いると、核酸の有無による色調差で添加後直ちに目視判断可能であった。pH8.5〜pH9.5の緩衝液を用いたときに核酸の有無による色調差がより顕著であった。なお、同様の実験をナイトブルーを用いて実施した場合も、核酸の有無による色調差で添加後直ちに目視判別が可能であった。[実施例12]ビクトリアブルーBを用いたPCR反応産物の検出実施例2と同様の方法で、ExTaqPCRによる核酸増幅反応液(pH8.8)を調製した。ポジティブコントロール、およびネガティブコントロール50μlに、それぞれ0.01%のビクトリアブルーBを1μl添加し、色調変化の観察を行った。その結果、PCRによる核酸増幅が無いネガティブコントロールの場合、色素の添加で薄い赤色を呈した。一方、PCRによる核酸増幅が有るポジティブコントロール場合は、色素の添加で青色を呈した。以上のように、色素添加で、核酸の有無による色調の差が明確であり、目視判別が容易であった。また、色素による検出に要した時間は1分以内であった。また、ビクトリアブルーBで着色後の核酸を含むサンプルを用いて、電気泳動、PCR、制限酵素処理、シーケンス反応を行ったところ、全て良好に実施することが可能であった。[実施例13]核酸検出用クロマト型デバイスの作製(1)核酸と結合し得る色素を保持した担体の作製幅5mm、長さ9mmの帯状のセルロース濾紙(SureWick C068、日本ミリポア社製)に、0.1%メチルグリーン水溶液50μlを含浸し、これを室温で乾燥させて、核酸と結合し得る色素を保持した担体とした。(2)色素と反応する物質を保持した担体の作製幅5mm、長さ9mmの帯状のセルロース濾紙(SureWick C048、日本ミリポア社製)に、0.1M亜硫酸ナトリウム水溶液50μlを含浸し、これを室温で乾燥させて、色素と反応する物質を保持した担体とした。(3)クロマト型デバイスの組み立て上記、両担体の他に、幅5mm、長さ15mmのグラスファイバーフィルター(SureWick G028、日本ミリポア社製)の試料添加部位、および幅5mm、長さ20mmのセルロース濾紙(CFSP22300、日本ミリポア社製)の判定部位を用意した。これらの部材を、粘着シートを貼ったPVC製の基材の上に、図1と同様に一方の端が1mm重なるように配置して核酸検出用のクロマト型デバイスを作製した。[実施例14]核酸検出用クロマト型デバイスによる核酸の検出実施例2と同様の方法で、PCRによる核酸増幅反応液を調製した。また、ExTaq DNAポリメラーゼを添加しないで同様の反応を行い、ネガティブコントロールとした。それぞれの検体100μlに400μlの20mM Tris−HCl(pH8.0)を添加後、その混合液を、実施例13で作製したデバイスの試料添加部位にマイクロピペットで滴下した。室温で10分放置後、判定部位の色調を目視観察した。その結果を表11に示す。PCR法による核酸増幅が有る場合は、判定部位は青緑色を呈し、一方、核酸増幅が無い場合は色素の色は消え、濾紙の色である白色であり、核酸の有無が判定部位の呈色により容易に判定可能であった。[比較例1]色素と反応する物質を保持する担体に亜硫酸ナトリウムを含浸させないこと以外は、実施例13と同様にしてデバイスを作製した。その結果を表11に示す。PCR法による核酸増幅の有無に関わらず、判定部位は青緑色を呈してしまい、核酸の有無を目視で判定することは困難であった。[実施例15]核酸検出用フィルター型デバイスの作製(1)核酸と結合し得る色素を保持した担体の作製グラスファイバー製の濾紙(GA100、ADVANTEC東洋社製)を6mmのポンチを用いて円形に打ち抜いた。これに、0.1%マラカイトグリーン水溶液50μlを含浸し、これを室温で乾燥させて、核酸と結合し得る色素を保持した担体とした。(2)色素と反応する物質を保持した担体の作製グラスファイバー製の濾紙(GA100、ADVANTEC東洋社製)を6mmのポンチを用いて円形に打ち抜いた。これに、0.01%亜硫酸ナトリウム溶液50μlを含浸し、これを室温で乾燥させて、色素と反応する物質を保持した担体とした。(3)フィルター型デバイスの組み立て上記、両担体を、図2bの6に示した形状のカートリッジに、下から色素と反応する物質を保持した担体、核酸と結合し得る色素を保持した担体の順に配置した。さらに、各担体を配置したカートリッジをマイクロチューブにセットして、フィルター型デバイスを作製した。[実施例16]核酸検出用フィルター型デバイスによる核酸の検出実施例2と同様の方法で、PCRによる核酸増幅反応液を調製した。また、ExTaq DNAポリメラーゼを添加しないで同様の反応を行い、ネガティブコントロールとした。それぞれの検体250μlを、実施例15で作製したデバイスのカートリッジ部位にマイクロピペットで滴下した。その後、遠心処理(10,000rpm、10秒)を行い、マイクロチューブに溜まった検体の色調を目視観察した。その結果を表12に示す。核酸増幅の有無によって検体溶液の色調は青または無色に変化し、目視による判定は容易に可能であった。[実施例17]核酸検出用吸引型デバイスの組み立て(1)核酸と結合し得る色素を保持した担体の作製円形に打ち抜いた多孔質ポリエチレンシート(気孔径50μm、厚さ1.5mm、直径1.5mm)に10%メチルグリーン2μlを含浸し、これを室温で乾燥させて、核酸と結合し得る色素を保持した担体とした。(2)色素と反応する物質を保持した担体の作製円形に打ち抜いた多孔質ポリエチレンシート(気孔径50μm、厚さ1.5mm、直径1.5mm)に、1%亜硫酸ナトリウム水溶液2μlを含浸し、これを室温で乾燥させて、色素と反応する物質を保持した担体とした。(3)吸引型デバイスの組み立て上記、両担体を、図3に示した様に、200μl用のピペットチップの先端に、先から核酸と結合し得る色素を保持した担体、色素と反応する物質を保持した担体、となるように充填した。[実施例18]核酸検出用吸引型デバイスを用いたPCR産物の検出実施例2と同様にPCR反応を行い、ポジティブコントロール、およびネガティブコントロールを準備した。実施例17で作製した吸引型デバイスをマイクロピペットに装着し、それぞれの検体100μlを吸引し、ピペットチップ内の検体溶液の色調を観察した。その結果を表13に示す。PCR反応による核酸増幅が有る場合、チップ内の検体液は青緑色を呈し、一方、増幅核酸が存在しない場合は、無色透明であった。吸引型デバイスを用いた増幅核酸の検出に要した時間は僅か数秒であり、迅速かつ簡便に目視による判定が可能であった。また、吸引型デバイスで核酸増幅を判定後の検体液を1μl使用して、再びPCR反応を行ったところ、着色後の核酸サンプルからも正常に目的核酸の増幅が可能であった。[実施例19]核酸検出用吸引型デバイスを用いた低濃度核酸の検出実施例2と同様にPCR反応を行い、160ng/μlの増幅核酸を含む反応液を得た。この反応液を2倍希釈(80ng/μl)、4倍希釈(40ng/μl)、8倍希釈(20ng/μl)、16倍希釈(10ng/μl)したサンプルを調製し、それぞれのサンプルを実施例17で作成したピペットチップで吸引した。その結果、全てのサンプルで増幅核酸の目視検出が可能であり、低濃度核酸の目視検出も可能であった。[実施例20]核酸検出用吸引型デバイスを用いたコロニーPCR産物の検出大腸菌用プラスミドベクターpUC19(タカラバイオ社製)を大腸菌JM109(タカラバイオ社製)に添付のプロトコルに従い導入を行い、ベクターが導入された大腸菌コロニーをアンピシリン100μg/ml濃度で含むLB寒天培地上で37℃、24時間生育させた。爪楊枝でこのコロニーを突き、10μlの滅菌水にコロニーを懸濁させた。この滅菌水1μlを用いて、実施例2と同様にしてPCRを実施し、PCR後の反応液を実施例17で作成したピペットチップで吸い上げたところ、青色に呈色することを確認した。なお、この青色の反応液を1.0%アガロース電気泳動に供し、増幅核酸が確かに存在することを確認した。コントロールとして、使用したベクターを導入していない大腸菌を同様にPCRしたものでは、増幅核酸も確認されず、呈色も見られなかった。[実施例21]検出後のサンプルを用いて実施可能な処理の検討実施例2と同様にPCR反応を行って得られた反応溶液中の増幅核酸を、実施例17で作成したピペットチップを用いて検出した。この検出後の着色した核酸を含むサンプルを用いて、電気泳動、PCR、制限酵素処理、シーケンス反応を行った。電気泳動の結果、核酸検出用ピペットチップにより着色を行ったサンプルの移動度は、未処理サンプルの移動度と同じであり、検出後も電気泳動可能であることが確かめられた。また、検出後の反応溶液1μlをテンプレートに使用して、実施例2と同様のPCR反応を行った結果、目的配列の増幅が可能であった。さらに、検出後のサンプルに対して制限酵素処理を行ったところ、酵素反応は阻害されず切断が可能であった。同様に、検出後の反応溶液1μlをテンプレートに使用してシーケンス反応を試みたところ、塩基配列の決定も可能であった。[実施例22]増幅反応後、遠心により核酸検出可能なデバイス実施例3と同様の方法で、100μlのLAMP法反応液を調製し、Ultrafree−MC(PVDF膜、0.45μm、日本ミリポア社製)のマイクロチューブ部位に移した。さらに、Ultrafree−MCのフィルターカートリッジの上部に0.001%のビクトリアブルーB溶液を50μl添加した。その後、65℃で1時間反応することで、核酸が増幅された反応液(ポジティブコントロール)を調製した。増幅反応後、反応容器を遠心(10,000rpm、1分)することで、フィルターカートリッジ上部のビクトリアブルーBをマイクロチューブ部位に滴下させた。その結果、反応容器のフタを開閉することなく、核酸増幅が有る場合のみ反応溶液が着色し、核酸増幅の有無を判定することが可能であった。[実施例23]マイクロ流路型デバイスによる核酸の検出流路上の上流側からメチルグリーン含有ビーズ、還元剤含有ビーズを組み込んだ、図4に示す形態のマイクロ流路デバイスを作製した。このマイクロ流路型デバイス内で核酸増幅反応を行ったところ、サンプル溶液が両ビーズを通過後の反応液は青色を示した。これに対し、マイクロ流路型デバイス内で核酸増幅を行わない場合はビーズ通過後に透明になり、容易に核酸増幅の目視判定が可能であった。[実施例24]チューブ型デバイスによる核酸の検出PCRチューブ(エッペンドルフ社製)の蓋部分に針を固定し、そこに実施例12で使用した0.01%のビクトリアブルーB溶液を10μl添加し、市販フィルターで密閉して、図5に示す形態のチューブ型デバイスを作成した。このチューブを使用して、実施例3と同様にLAMP法による核酸増幅反応を行った。反応後に蓋を押し下げて針で膜に穴を開け、ビクトリアブルーB溶液を反応液に添加したところ、核酸増幅を確認することができた。[実施例25]ゲンチアナバイオレットBを用いたPCR反応産物の検出実施例2と同様の方法で、PCRによる核酸増幅反応液を調製した。ポジティブコントロール、およびネガティブコントロール50μlに、それぞれ0.1%のゲンチアナバイオレットBを1.5μl添加した。更に、1%の亜硫酸ナトリウムを1.5μl添加後の色調変化の観察を行った。また、590nmにおける吸光度を測定した。結果を表14に示した。PCRによる核酸増幅が無いネガティブコントロールの場合、色素の添加で青紫色を呈し、続く亜硫酸ナトリウムの添加で無色へと変化した。一方、PCRによる核酸増幅が有るポジティブコントロールの場合は、亜硫酸ナトリウムの添加後も青紫色を呈しており、亜硫酸ナトリウムの添加による色調の変化は無かった。亜硫酸ナトリウム添加前の590nmにおける吸光度は、ポジティブコントロールで0.959、ネガティブコントロールで1.255とその値の吸光度比(ポジティブ/ネガティブ)は0.76であるのに対し、亜硫酸ナトリウム添加後の吸光度比は6.04に達した。以上のように、色素添加後の亜硫酸ナトリウム添加により、核酸の有無による色調の差がより明確になり、目視判別が容易になった。また、色素による検出に要した時間は1分以内であった。また、ゲンチアナバイオレットBと亜硫酸ナトリウムで着色後の核酸を含むサンプルを用いて、電気泳動、PCR、制限酵素処理、シーケンス反応を行ったところ、全て良好に実施することが可能であった。[実施例26]ゲンチアナバイオレットBを用いたLAMP法反応産物の検出実施例3と同様の方法で、LAMP法による核酸増幅反応液を調製した。ポジティブコントロール、およびネガティブコントロール50μlに、それぞれ0.1%のゲンチアナバイオレットBを1.5μl添加した。更に、1%の亜硫酸ナトリウムを1.5μl添加後の色調変化の観察を行った。ネガティブコントロールでは、色素の添加で青紫を呈し、続く亜硫酸ナトリウムの添加で無色へと変化した。一方、ポジティブコントロールは、亜硫酸ナトリウムの添加による色調の変化はなく、青紫を呈していた。以上のように、ゲンチアナバイオレットB添加後の亜硫酸ナトリウム添加により、核酸の有無による色調の差がより明確になり、目視判別が容易になった。また、色素による検出に要した時間は1分以内であった。[実施例27]ゲンチアナバイオレットBおよび亜硫酸ナトリウムを使用した核酸検出用吸引型デバイスを用いたPCR産物の検出核酸と結合し得る色素を保持した担体にゲンチアナバイオレットBを用いた以外、実施例17と同様の方法で、吸引型デバイスを作製した。実施例2と同様にPCR反応を行い、ポジティブコントロール、およびネガティブコントロールを準備し、それぞれの検体100μlを吸引型デバイスで吸引し、ピペットチップ内の検体溶液の色調を観察した。その結果を表15に示す。PCR反応による核酸増幅が有る場合、チップ内の検体液は青紫色を呈し、一方、増幅核酸が存在しない場合は、無色であった。吸引型デバイスを用いた増幅核酸の検出に要した時間は僅か数秒であり、迅速かつ簡便に目視による判定が可能であった。また、吸引型デバイスで核酸増幅を判定後の検体液を1μl使用して、再びPCR反応を行ったところ、着色後の核酸サンプルからも正常に目的核酸の増幅が可能であった。 1.核酸と結合し得る色素を保持した担体 2.色素と反応する物質を保持した担体 3.試料添加部位(グラスファイバー濾紙) 4.判定部位(濾紙) 5.基材 6.担体を保持する支持体 7.検体収容容器 8.ピペットチップ 9.流路を有するチップ 10.試料添加部位 11.色素 12.針状構造 13.流路 14.チューブ(1)検体とトリフェニルメタン系色素とを接触させ、反応させる工程、(2)該反応により生じた物質を可視光下で観察し、核酸の存在を目視で判定する工程、及び工程(1)の前又は後に、(3)還元剤を検体に接触させる工程を含む、検体に含まれる核酸の検出方法。(a)核酸と結合し得るトリフェニルメタン系色素を保持した担体、(c)検体が担体(a)を通過する経路、(d)検体とトリフェニルメタン系色素との反応により生じた物質を可視光下で観察し、核酸の存在を目視で判定する判定部位、及び(b)担体(a)と判定部位(d)との間に配置される、還元剤を保持する担体を有する、検体に含まれる核酸の検出デバイス又はキット。トリフェニルメタン系色素が、クリスタルバイオレット、ゲンチアナバイオレットB、ビクトリアブルーB、メチルバイオレット、ナイトブルー、およびメチルグリーンからなる群から選ばれる1以上の色素である請求項2に記載の検出デバイス又はキット。還元剤が亜硫酸ナトリウムである請求項2に記載の検出デバイス又はキット。(e)核酸と結合し得るトリフェニルメタン系色素を保持し、外力により開口し、トリフェニルメタン系色素を放出する開口部を備えた担体、(f)放出されたトリフェニルメタン系色素を判定部位へ導く経路、および(d)導入された検体を保持し、担体(e)から経路(f)を経由して導入された色素と保持された検体との反応により生じた物質を可視光下で観察し、核酸の存在を目視で判定する判定部位を有する核酸の検出デバイス又はキット。判定部位に存在する検体が、さらに還元剤を含む請求項5に記載の検出デバイス又はキット。 【課題】核酸増幅法によって増幅された核酸を、特殊な装置を必要とすることなく、簡便かつ高精度に、目視にて検出する。【解決手段】(1)検体と色素とを接触させ、反応させる工程、(2)該反応により生じた物質を可視光下で観察し、核酸の存在を目視で判定する工程を含む、検体に含まれる核酸の検出方法に関する。また、(a)核酸と結合し得る色素を保持した担体、(c)検体が担体(a)を通過する経路、および(d)検体と色素との反応により生じた物質を可視光下で観察し、核酸の存在を目視で判定する判定部位を有する検体に含まれる核酸の検出デバイス又はキットに関する。【選択図】なし


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