タイトル: | 公開特許公報(A)_パウダーファンデーション |
出願番号: | 2015074993 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | A61K 8/46,A61K 8/29,A61K 8/25,A61Q 1/12 |
中村 和浩 城内 美樹 JP 2015199727 公開特許公報(A) 20151112 2015074993 20150401 パウダーファンデーション 富士フイルム株式会社 306037311 中島 淳 100079049 加藤 和詳 100084995 福田 浩志 100099025 中村 和浩 城内 美樹 JP 2014077962 20140404 A61K 8/46 20060101AFI20151016BHJP A61K 8/29 20060101ALI20151016BHJP A61K 8/25 20060101ALI20151016BHJP A61Q 1/12 20060101ALI20151016BHJP JPA61K8/46A61K8/29A61K8/25A61Q1/12 5 1 OL 25 4C083 4C083AB172 4C083AB231 4C083AB232 4C083AB242 4C083AB431 4C083AB432 4C083AC392 4C083AC482 4C083AC791 4C083AC792 4C083AD152 4C083AD662 4C083BB25 4C083CC12 4C083DD17 4C083EE06 4C083EE07 本発明は、パウダーファンデーションに関する。 パウダーファンデーション等のファンデーションには、血行不良や加齢とともに感じられる色素の沈着による肌色のくすみ(明度が低下し黄色の彩度が上昇した状態)をカバーすること、仕上がりの色調が自然であり透明感が高いこと、などに対する要求がある。かかる要求に対する各種の光学的効果を得るべく、ファンデーションには、目的に応じた種々の粉体が配合されている。 例えば、特許文献1には、有機顔料を0.5質量%〜40質量%含有する金属酸化物フレーク状粉体を配合したパウダーファンデーションが開示されている。 特許文献2には、有機色素を、無機塩を用いて屈折率2未満の無機粉体に付着等させた複合粉体を配合したパウダーファンデーションが開示されている。 特許文献3には、有機染料又は有機顔料を、無機塩を用いて無機化合物に付着等させた複合有機顔料を配合したパウダーファンデーションが開示されている。 特許文献4には、赤色、黄色及び青色の有機顔料被覆板状粉体を含有する固形粉末状ファンデーションが開示されている。 特許文献5には、赤色顔料を無機物中にインターカレーションによって複合化した構造を有する赤色複合粉体を含有するパウダーファンデーションが開示されている。特開平8−239310号公報特開平11−12493号公報特開平11−35840号公報特開2002−265332号公報特開2012−184211号公報 しかしながら、特許文献1及び特許文献4に開示されたファンデーションは、色材である顔料がファンデーション基剤中で有機金属化合物等と単に混合されているだけなので、ファンデーションの成型に湿式成型法を適用した場合に、顔料が溶剤中に溶出(ブリードアウト)することがある。その結果、ファンデーションに色ムラが生じて外観が損なわれたり、ファンデーションを肌に付与した際に染着が生じることがある。 また、特許文献4に開示されたファンデーションは、色材として青色顔料を使用しているため、赤色透過光量の低下により、透明感が得られにくい。 特許文献5に開示されたパウダーファンデーションは、耐溶出性に優れるが、透明感及びカバー力には着目しておらず、十分な透明感及び十分なカバー力が得られるには至っていない。 特許文献2及び特許文献3に開示されたパウダーファンデーションは、無機粉体として酸化チタンを10質量%と多く使用しているため、赤色透過光量の低下により、透明感が得られにくいことがある。 本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、透明感及びカバー力に優れたパウダーファンデーションを提供することを課題とする。 上記課題を解決するための具体的な手段は、以下の通りである。<1> (A)リソールルビンBCAからなる赤色顔料を無機物中にインターカレーションによって複合化した構造を有する赤色複合粉体を0.01質量%以上5質量%以下、(B)平均粒子径が0.1μm以上0.5μm以下である酸化チタン粒子を2質量%以上8質量%以下、並びに(C)タルク、マイカ、及びセリサイトからなる群より選ばれる少なくとも1種の体質顔料を合計量で20質量%以上90質量%以下含有するパウダーファンデーション。<2> 下記の(1)及び(2)を満たす<1>に記載のパウダーファンデーション。(1)380nm〜730nmの波長領域における分光透過率から算出した透過光のRGBにおけるR値が13.8以上、(2)380nm〜730nmの波長領域における分光透過率及び分光反射率から式(A)によって算出される色ムラカバー力(F)が45%以上 式(A): 色ムラカバー力(F)=(ΔE0−ΔE1)/ΔE0×100[%] ΔE0: ファンデーションを適用する前の適用対象物が有する色ムラ部と色ムラ部の周囲の正常部との色差 ΔE1: ファンデーションを適用した後の適用対象物の適用面側における色ムラ部と色ムラ部の周囲の正常部との色差<3> (A)赤色複合粉体の含有量と、(B)平均粒子径が0.1μm以上0.5μm以下である酸化チタン粒子の含有量との比率が、質量基準で、1:5〜1:20である<1>又は<2>に記載のパウダーファンデーション。<4> 更に、赤色酸化鉄を含有する<1>〜<3>のいずれか1つに記載のパウダーファンデーション。<5> 標準の光D65光源を用いて測定した外観色の色相角∠hが、50°〜80°の範囲内である<1>〜<4>のいずれか1つに記載のパウダーファンデーション。 本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を意味する。 本明細書において、組成物中の各成分の量は、各成分に該当する物質が組成物中に複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する複数の物質の合計量を意味する。 本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。 本発明によれば、透明感及びカバー力に優れたパウダーファンデーションを提供することができる。実施例1〜3及び比較例1〜9のパウダーファンデーションにおける色ムラカバー力(F)値に対する透過光のR値の関係を示す図である。 以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。[パウダーファンデーション] 本発明のパウダーファンデーションは、(A)リソールルビンBCAからなる赤色顔料を無機物中にインターカレーションによって複合化した構造を有する赤色複合粉体(以下、「特定赤色複合粉体」とも称する。)を0.01質量%以上5質量%以下、(B)平均粒子径が0.1μm以上0.5μm以下である酸化チタン粒子を2質量%以上8質量%以下、並びに(C)タルク、マイカ、及びセリサイトからなる群より選ばれる少なくとも1種の体質顔料を合計量で20質量%以上90質量%以下、含有するパウダーファンデーションである。 本発明のパウダーファンデーションは、必要に応じて、上記(A)〜(C)以外の他の成分を含んでもよい。 本発明のパウダーファンデーションは、特定構造を有する赤色複合粉体と、特定の粒子径を有する酸化チタンと、を特定量含有することで、優れた透明感とカバー力との両立を実現し得る。また、本発明のパウダーファンデーションは、化粧崩れし難いという予想外の効果をも奏し得る。 以下、本発明のパウダーファンデーションに含有される成分について詳細に説明する。<成分(A):リソールルビンBCAからなる赤色顔料を無機物中にインターカレーションによって複合化した構造を有する赤色複合粉体> 本発明のパウダーファンデーションは、リソールルビンBCAからなる赤色顔料を無機物中にインターカレーションによって複合化した構造を有する赤色複合粉体を含有する。 特定赤色複合粉体は、本発明のパウダーファンデーションにおいて、色材成分として機能し得る成分である。また、特定赤色複合粉体は、本明細書において、赤色顔料の概念に包含される。 特定赤色複合粉体の構成要素であるリソールルビンBCAは、赤色202号として知られるモノアゾ系赤色顔料である。特定赤色複合粉体は、リソールルビンBCAからなる赤色顔料をインターカレーションによって複合化した構造を有する。ここで、インターカレーションとは、層状構造を有する物質を構成する層間に、分子、原子又はイオンが挿入される現象をいう。 特定赤色複合粉体は、より詳細には、リソールルビンBCAからなる赤色顔料を、板状層状無機粉体及び二種以上の種類の無機水酸化物に複合化させることにより固着させて得ることができる。 特定赤色複合粉体は、リソールルビンBCAからなる赤色顔料を、一度水に完全に溶解させ、二種類の無機塩の存在下でpHを調整しながら二種類の無機水酸化物を析出させ、板状層状無機粉体を添加して、有機色素と二種類の無機水酸化物及び板状層状無機粉体とを複合化させ化学的に固着させることにより得ることができる。詳細には、特開2003−105225号公報に記載される製造方法に準じて製造することができる。 特定赤色複合粉体の製造に用いられる無機塩としては、例えば、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム等の金属塩化物などが挙げられる。 特定赤色複合粉体の製造に用いられる無機水酸化物としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。 特定赤色複合粉体の製造に用いられる板状層状無機粉体としては、例えばモンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、サポナイト、ノントロナイト、膨潤性フッ素系雲母類等が挙げられる。 特定赤色複合粉体中の純色素成分は、発色性及び成型時における溶剤中への色素成分の溶出(ブリードアウト)抑制の観点から、好ましくは5質量%以上50質量%未満であり、より好ましくは10質量%以上30質量%以下である。 特定赤色複合粉体の粒子径としては、平均粒子径が1μm以上10μm以下であることが好ましく、より好ましくは2μm以上8μm以下である。 特定赤色複合粉体の平均粒子径は、測定対象となる特定赤色複合粉体を含む所定の濃度の溶媒分散物を調製して、市販のレーザー光散乱の原理に基づく測定機器(例えば、レーザー回折散乱式粒度分布測定器LMS−30((株)セイシン企業製))により測定することができる。 特定赤色複合粉体は、成型時における溶剤中への色素成分の溶出(ブリードアウト)抑制の観点から、特定赤色複合粉体を用いた、下記に示す水に対する溶出試験(1)及びエタノールに対する溶出試験(2)において得られたろ液について、400nmから600nmまでの波長領域にて測定した吸光度の極大値が、いずれも0.10未満の赤色複合粉体であることが好ましい。 上記の吸光度の極大値としては、より好ましくは0.01未満であり、低いほど好ましい。−溶出試験(1)− 質量部換算で1質量部となる量の特定赤色複合粉体を、蒸留水(分散媒)99質量部中に、60秒間震盪分散し、40℃、400rpmにて、6時間スターラー攪拌した後に、孔径0.45μmのセルロースアセテートフィルター(商品名:Cellulose Acetate、ADVANTEC社製)にてろ過してろ液を得る。得られたろ液の吸光度を、蒸留水をブランクとして測定し、400nmから600nmまでの波長領域での吸光度の極大値を決定する。−溶出試験(2)− 質量部換算で1質量部となる量の特定赤色複合粉体を、無水エタノール(99.5v/v%)99質量部中に、60秒間震盪分散し、40℃、400rpmにて、6時間スターラー攪拌した後に、孔径0.45μmのセルロースアセテートフィルター(商品名:Cellulose Acetate、ADVANTEC社製)にてろ過してろ液を得る。得られたろ液の吸光度を、エタノールをブランクとして測定し、400nmから600nmまでの波長領域での吸光度の極大値を決定する。 なお、本明細書における溶出試験(1)及び溶出試験(2)の吸光度は、分光光度計(製品名:UV−2550、(株)島津製作所製)を用いて測定した値である。上記の溶出試験(1)及び溶出試験(2)における吸光度は、他の分析計を用いて測定することもできる。 特定赤色複合粉体としては、市販品を用いることもでき。例えば、HNB RED7(大東化成工業(株)製、商品名)等が挙げられる。 本発明のパウダーファンデーションにおける特定赤色複合粉体の含有量は、目的の色にパウダーファンデーションを調色するために必要な赤色顔料の全質量に対して、10質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、75質量%以上であることが更に好ましく、100質量%であることが特に好ましい。 本発明のパウダーファンデーションにおける特定赤色複合粉体の含有量は、その種類による発色効率の違いを考慮して、上記の範囲内において調整することができる。 また、本発明のパウダーファンデーションにおける特定赤色複合粉体の含有量は、パウダーファンデーションの全質量に対して、0.01質量%以上5質量%以下であり、好ましくは0.1質量%以上1質量%以下、より好ましくは0.2質量%以上0.5質量%以下である。 本発明のパウダーファンデーションにおける特定赤色複合粉体の含有量が、パウダーファンデーションの全質量に対して、0.01質量%未満であると、十分な透明感とカバー力を得ることができない。また、本発明のパウダーファンデーションにおける特定赤色複合粉体の含有量が、パウダーファンデーションの全質量に対して、5質量%を超えると、透明感が不十分となる傾向がある。<成分(B):平均粒子径が0.1μm以上0.5μm以下である酸化チタン粒子> 本発明のパウダーファンデーションは、平均粒子径が0.1μm以上0.5μm以下である酸化チタン粒子(以下、「顔料級酸化チタン粒子」とも称する。)を含有する。顔料級酸化チタン粒子を配合することで、可視光を効率良く散乱するため、カバー力を効率良く発現させることができる。 顔料級酸化チタン粒子は、本発明のパウダーファンデーションにおいて、色材成分として機能し得る色材顔料の一つとして含有されるが、後述する他の成分にて挙げる色材顔料には、顔料級酸化チタン粒子は包含されない。 顔料級酸化チタン粒子の平均粒子径は、0.1μm以上0.5μm以下であり、0.2μm以上0.3μm以下であることが好ましく、0.23μm以上0.27μm以下であることがより好ましく、0.24μm以上0.26μm以下であることがさらに好ましい。顔料級酸化チタン粒子の平均粒子径は、例えば0.1μm以上0.3μm未満でもよい。 顔料級酸化チタン粒子の平均粒子径が0.1μm以上であることで、可視光を強く散乱するため、十分なカバー力を発現することができる。 本発明における顔料級酸化チタン粒子の平均粒子径は、酸化チタン粒子を基板上(テープ、ガラス等)に薄く散布し、走査型電子顕微鏡によって観察された100個の孤立した粒子について、粒子が球形の場合には直径を測定して、また、不定形の場合には長辺と直行する短辺の平均値を測定して、平均した値である。 顔料級酸化チタン粒子としては、市販品を用いることもでき、例えば、SI06 TiO2 CR−50(大東化成工業(株)製、商品名)等が挙げられる。 本発明のパウダーファンデーションにおける顔料級酸化チタン粒子の含有量は、パウダーファンデーションの全質量に対して、2質量%以上8質量%以下であり、好ましくは2.5質量%以上7質量%以下であり、より好ましくは3質量%以上5質量%以下である。 本発明のパウダーファンデーションにおける顔料級酸化チタン粒子の含有量が、パウダーファンデーションの全質量に対して、2質量%未満であると、カバー力が低くなりすぎる傾向がある。また、本発明のパウダーファンデーションにおける顔料級酸化チタン粒子の含有量が、パウダーファンデーションの全質量に対して、8質量%を超えると、カバー力が高くなりすぎる傾向があるため、透明感が低下する傾向がある。 本発明のパウダーファンデーションにおける特定赤色複合粉体の含有量と、顔料級酸化チタン粒子の含有量との比率(特定赤色複合粉体の含有量:顔料級酸化チタン粒子の含有量)は、質量基準で、1:5〜1:20であることが好ましく、1:6〜1:15であることがより好ましく、1:7〜1:10であることが更に好ましい。 本発明のパウダーファンデーションにおける特定赤色複合粉体の含有量と、顔料級酸化チタン粒子の含有量との比率が、質量基準で、上記範囲内であると、透明感及びカバー力が顕著に優れたパウダーファンデーションとすることができる。 顔料級酸化チタン粒子は、1種のみであってもよく、2種以上であってもよい。<成分(C):タルク、マイカ、及びセリサイトからなる群より選ばれる少なくとも1種の体質顔料> 本発明のパウダーファンデーションは、タルク、マイカ、及びセリサイトからなる群より選ばれる少なくとも1種の体質顔料を含有する。 体質顔料は、本発明のパウダーファンデーションにおいて、色相の調整に実質的に寄与しない。 体質顔料の形状としては、特に限定されるものではないが、肌に適用した際の伸びの観点から、平板状であることが好ましい。ここで、平板状とは、体質顔料のアスペクト比(平均粒子径/平均粒子厚)が10:1よりも大きい形状を意味する。 マイカとしては、天然マイカ及び合成マイカのいずれも用いることができる。また、セリサイトとしては、天然セリサイト及び合成セリサイトのいずれも用いることができる。 特定粉体としては、市販品を用いることもでき、例えば、SERICITE FSE(三信鉱工(株)製)、TALK JA−46R(浅田製粉(株)製)、合成金雲母PDMシリーズ(トピー工業(株)製)等が挙げられる。 体質顔料の平均粒子径は、肌に適用した際の伸びと感触の観点から、1μm以上100μm以下であることが好ましく、5μm以上50μm以下であることがより好ましい。 体質顔料の平均粒子径は、測定対象となる体質顔料を含む所定の濃度の溶媒分散物を調製して、市販のレーザー光散乱の原理に基づく測定機器(例えば、レーザー回折散乱式粒度分布測定器LMS−30((株)セイシン企業製))により測定することができる。 本発明のパウダーファンデーションにおけるタルク、マイカ、及びセリサイトからなる群より選ばれる少なくとも1種の体質顔料の合計含有量は、パウダーファンデーションの全質量に対して、20質量%以上90質量%以下である。 本発明のパウダーファンデーションに含有されるタルク、マイカ、及びセリサイトからなる群より選ばれる体質顔料は、1種のみであってもよく、2種以上であってもよい。 本発明のパウダーファンデーションは、成形性とケーキのワレ耐性のバランスの観点から、体質顔料として、タルク、マイカ、及びセリサイトの全てを含有することが特に好ましい。<他の成分> 本発明のパウダーファンデーションは、特定赤色複合粉体、顔料級酸化チタン粒子、並びにタルク、マイカ、及びセリサイトからなる群より選ばれる体質顔料以外に、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて他の成分を含有してもよい。 他の成分としては、平均粒子径が0.7μm以上2.0μm以下である酸化チタン粒子、色材顔料、パール顔料等の顔料、油剤、その他の添加剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。以下、本発明のパウダーファンデーションにおいて好適に含有される他の成分について説明する。≪平均粒子径が0.7μm以上2.0μm以下である酸化チタン粒子≫ 本発明のパウダーファンデーションは、顔料級酸化チタンに加えて、補助的に平均粒子径が0.7μm以上2.0μm以下である酸化チタン粒子(以下、「大粒径酸化チタン粒子」とも称する。)を含有してもよい。大粒径酸化チタン粒子を顔料級酸化チタン粒子に加えて補助的に配合することで、カバー力を補助することができる。 大粒径酸化チタン粒子は、本発明のパウダーファンデーションにおいて、色材成分として機能し得る色材顔料の一つとして含有されるが、後述する他の成分にて挙げる色材顔料には、大粒径酸化チタン粒子は包含されない。 大粒径酸化チタン粒子の平均粒子径は、0.7μm以上2.0μm以下であり、0.7μm以上1.5μm以下であることが好ましく、0.7μm以上1.2μm以下であることがより好ましい。 本発明における大粒径酸化チタン粒子の平均粒子径は、上述の顔料級酸化チタンと同様の測定方法によって得られる値を採用する。 大粒径酸化チタン粒子としては、市販品を用いることもでき、例えば、MPY−70M(テイカ(株)製)、MPY−100M(テイカ(株)製)等が挙げられる。 パウダーファウンデーションが、顔料級酸化チタンに加えて大粒径酸化チタン粒子を含むとき、顔料級酸化チタン粒子及び大粒径酸化チタン粒子の合計含有量は、パウダーファンデーションの全質量に対して、例えば、2質量%以上8質量%以下であってもよく、好ましくは2.5質量%以上7質量%以下であり、より好ましくは3質量%以上5質量%以下である。また、パウダーファウンデーションが、顔料級酸化チタンに加えて大粒径酸化チタン粒子を含むとき、パウダーファンデーションにおける特定赤色複合粉体の含有量と、顔料級酸化チタン粒子及び大粒径酸化チタン粒子の合計含有量との比率(特定赤色複合粉体の含有量:顔料級酸化チタン粒子及び大粒径酸化チタン粒子の合計含有量)は、質量基準で、1:5〜1:20であることが好ましく、1:6〜1:15であることがより好ましく、1:7〜1:10であることが更に好ましい。 大粒径酸化チタン粒子は、1種のみであってもよく、2種以上であってもよい。≪顔料≫ 本発明のパウダーファンデーションは、色材顔料、パール顔料等の顔料を含有することが好ましい。(色材顔料) 本発明のパウダーファンデーションは、特定赤色複合粉体、及び顔料級酸化チタン粒子及び大粒径酸化チタン粒子からなる群より選ばれる酸化チタン粒子以外の色材成分として、更に、色材顔料を含有することが好ましい。色材顔料とは、色相の調整に寄与し、且つパール顔料以外の顔料を意味する。 色材顔料の例としては、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、黒色酸化鉄等の酸化鉄、酸化亜鉛等の白色顔料、赤色226号、黄色4号、黄色5号、黄色401号等の法定色素などが挙げられる。 これらの中でも、色材顔料としては、色調調製及び成型時における溶剤中への色素成分の溶出(ブリードアウト)抑制の観点からは、酸化鉄が好ましい。酸化鉄としては、赤色酸化鉄、黒色酸化鉄、及び黄色酸化鉄からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、赤色酸化鉄、黒色酸化鉄、及び黄色酸化鉄であることがより好ましい。 色材顔料としては、市販品を用いることもでき、例えば、酸化鉄では、OTS−2 RED R−516L(赤色酸化鉄、大東化成工業(株)製、商品名)、OTS−2 BLACK BL−100(黒色酸化鉄、大東化成工業(株)製、商品名)、OTS−2 YELLOW LLXLO(黄色酸化鉄、大東化成工業(株)製、商品名)等が挙げられる。 白色顔料として含まれる酸化亜鉛等は、シミやそばかす等の隠蔽剤、紫外線防止剤としての機能を有していてもよい。 色材顔料の形状及び粒子径としては、例えば、白色顔料では、球形で数nm以上数百nm以下のものが好ましく用いられ、酸化鉄では、球状又は針状で数nm以上数百nm以下のものが好ましく用いられる。 色材顔料の平均粒子径は、測定対象となる色材顔料を含む所定の濃度の溶媒分散物を調製して、市販のレーザー光散乱の原理に基づく種々の測定機器(例えば、レーザー回折散乱式粒度分布測定器LMS−30((株)セイシン企業製)等)により測定することができる。 また、本発明においては、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じてリソールルビンBCA以外の顔料が無機物中にインターカレーションされた複合顔料を色材顔料として用いてもよい。 本発明のパウダーファンデーションにおける色材顔料の含有量は、特に限定されるものではなく、パウダーファンデーション全体の色調が目的のものとなるよう、適宜調整される。適切な彩度を得られる観点からは、色材顔料の含有量としては、パウダーファンデーションの全質量に対して、1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、2質量%以上5質量%以下であることがより好ましい。 本発明のパウダーファンデーションが含有する色材顔料は、1種のみであってもよく、2種以上であってもよい。(パール顔料) 本発明のパウダーファンデーションは、更に、パール顔料を含有することが好ましい。パール顔料とは、色相の調整に寄与し、且つ真珠光沢を有する顔料を意味する。 パール顔料の例としては、酸化チタン被覆雲母(雲母チタン)、酸化チタン被覆ガラスフレーク、酸化チタン被覆タルク等が挙げられる。また、酸化チタンの被覆層が複数積層されたもの、酸化チタンの被覆層に酸化シリコンの被覆層が積層されたもの等も好ましく用いることができる。 パール顔料としては、市販品を用いることもでき、例えば、ロナフレアバランス ゴールド、トランスプリズマーレッド、ティミロン スーパーシルク MP−1005(以上、MERCK社製、商品名)、フラメンコシリーズ(BASF社製、商品名)等が挙げられる。 パール顔料としては、肌色のつながり(観察角度によって肌色の濃度変化が大きくならないようにすること)の観点から、赤色パール顔料及び金色パール顔料から選択された少なくとも1種であることがより好ましく、2種以上の混合物とすることがより好ましい。 パール顔料の平均粒子径は、0.5μm以上100μm以下であることが好ましく、より好ましくは1μm以上80μm以下である。 パール顔料の平均粒子径は、測定対象となるパール顔料を含む所定の濃度の溶媒分散物を調製して、市販のレーザー光散乱の原理に基づく種々の測定機器(例えば、レーザー回折散乱式粒度分布測定器LMS−30((株)セイシン企業製)等)により測定することができる。 本発明のパウダーファンデーションにおけるパール顔料の含有量は、パウダーファンデーションの全質量に対して、0.5質量%以上10質量%以下であることが好ましく、1質量%以上7質量%以下であることがより好ましく、2質量%以上5質量%以下であることが更に好ましい。 本発明のパウダーファンデーションが含有するパール顔料は、1種のみであってもよく、2種以上であってもよく、パウダーファンデーションに含有されるパール顔料全体が示す反射色の色相角が40°〜80°の範囲になる比率で配合することが好ましい。 特定赤色複合粉体、顔料級酸化チタン粒子、並びにタルク、マイカ、及びセリサイトからなる群より選ばれる体質顔料と併用される顔料の好ましい組み合わせの例としては、例えば、色材顔料が、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、及び黒色酸化鉄からなる群より選ばれる少なくとも1種の顔料であり、パール顔料が、金色パール顔料及び赤色パール顔料からなる群より選ばれる少なくとも1種の顔料である組み合わせが挙げられる。さらに大粒径酸化チタン粒子を併用してもよい。≪油剤≫ 本発明のパウダーファンデーションは、更に、油剤を含有することが好ましい。 油剤としては、例えば、流動パラフィン、ワセリン、パラフィンワックス、スクワラン、ミツロウ、カルナウバロウ、オリーブ油、ラノリン、高級アルコール、脂肪酸、高級脂肪酸、エステル油、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、キャンデリラロウ、ジグリセライド、トリグリセライド、シリコーン油、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカリン、パーフルオロオクタン、ホホバ油、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール等の化粧料に汎用される油分が挙げられる。 本発明のパウダーファンデーションに含有される油剤は、1種のみであってもよく、2種以上であってもよい。≪紫外線防止剤≫ 本発明のパウダーファンデーションは、更に、紫外線防止剤を含有することが好ましい。紫外線防止剤の例としては、顔料級酸化チタン粒子よりも平均粒子径が小さい酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。これらは、シミ、そばかす等の隠蔽剤としての機能も有する。≪その他の添加剤≫ 本発明のパウダーファンデーションは、本発明の効果を損なわない範囲で、通常の化粧料に配合される成分を、その他の添加剤として、必要に応じて更に含有してもよい。その他の添加剤としては、例えば、界面活性剤、水溶性高分子、保湿剤、防腐剤、薬剤、紫外線吸収剤、色素、無機塩又は有機酸塩、香料、キレート剤、pH調整剤、水等を配合することができる。 界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤;ステアリン酸ナトリウム、パルミチン酸トリエタノールアミン等の脂肪酸石鹸で代表されるアニオン性界面活性剤;及びカチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等の化粧料に汎用される界面活性剤が挙げられる。 水溶性高分子としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、トラガントガム、カラギーナン、ローカストビーンガム、デキストリン、デキストリン脂肪酸エステル、カルボキシビニルポリマー、キサンタンガム、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム、水溶性コラーゲン等の化粧料に汎用される水溶性高分子が挙げられる。 保湿剤としては、例えば、ソルビトール、キシリトール、グリセリン、マルチトール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム、ポリエチレングリコール等の化粧料に汎用される保湿剤が挙げられる。 防腐剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸アルキルエステル(例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン等)、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム等の化粧料に汎用される防腐剤が挙げられる。 薬剤としては、例えば、ビタミン類、生薬、消炎剤、抗酸化剤、殺菌剤、制菌剤等の化粧料に汎用される薬剤が用いられる。 紫外線吸収剤としては、例えば、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤等の化粧料に汎用される紫外線吸収剤が挙げられる。 色素としては、ヘマトコッカス藻色素、カルミン酸、ラッカイン酸、ブラジリン、クロシン等の天然色素などの化粧料に適用しうる色素が挙げられる。≪青色顔料≫ 本発明のパウダーファンデーションは、青色顔料を含有しないか、又は、青色顔料の含有量が0.001質量%以下であることが好ましく、青色顔料を含有しないことがより好ましい。<パウダーファンデーションの物性> 本発明のパウダーファンデーションは、透明感及びカバー力の観点から、下記の(1)及び(2)の両方の物性を満たすことがより好ましい。(1)380nm〜730nmの波長領域における分光透過率から算出した透過光のRGBにおけるR値が13.8以上(2)380nm〜730nmの波長領域における分光透過率及び分光反射率から式(A)によって算出される色ムラカバー力(F)が45%以上 式(A): 色ムラカバー力(F)=(ΔE0−ΔE1)/ΔE0×100[%] ΔE0:ファンデーションを適用する前の適用対象物が有する色ムラ部と色ムラ部の周囲の正常部との色差 ΔE1:ファンデーションを適用した後の適用対象物の適用面側における色ムラ部と色ムラ部の周囲の正常部との色差 ここで、(1)において透過光のRGBにおけるR値とは、所定の手順で測定された、ファンデーションを適用する前の適用対象物である所定の肌色シート上にファンデーションを塗布したときの明度L*が67.0となるときの塗布量におけるファンデーション塗布膜の分光透過率、光源(国際照明委員会(CIE)が定めるF10光源)の分光放射エネルギー、及び等色関数から算出される三刺激値RGBにおけるRで定義された、赤色透過光量を表す指標である。 また、(2)において色ムラカバー力(F)とは、より詳細には、所定の手順で測定された、ファンデーションを適用する前の適用対象物である所定の色ムラシート上に所定量のファンデーションを塗布したときの色ムラ部と色ムラ部の周囲の正常な肌色を有する正常部との色差ΔE1、及び、ファンデーションと塗布する前の上記色ムラシートの色ムラ部と色ムラ部の周囲の正常な肌色を有する正常部との色差ΔE0を用いて、上述の式(A)によって定義された、シミ、そばかす等の肌色の部分的な色ムラをカバーする力の程度を表す指標である。 ここで、ΔE0は下記式(A1)で定義され、ΔE1は下記式(A2)で定義される。 式(A1): ΔE0={(L0*[色ムラ部])−L0*[正常部])2+(a0*[色ムラ部])−a0*[正常部])2+(b0*[色ムラ部])−b0*[正常部])2}1/2 式(A2): ΔE1={(L1*[色ムラ部])−L1*[正常部])2+(a1*[色ムラ部])−a1*[正常部])2+(b1*[色ムラ部])−b1*[正常部])2}1/2≪パウダーファンデーションの透過光のR値≫ 本発明のパウダーファンデーションの透過光のR値は、13.8以上であることが好ましい。透過光のR値の上限値は、特に限定されるものではない。 パウダーファンデーションにおける赤色透過光量と、パウダーファンデーションの透明感とは相関性があることが知られている。したがって、パウダーファンデーションの透過光のR値が高いほど、そのパウダーファンデーションの透明感が高いことを示す。 本発明のパウダーファンデーションによれば、透過光のR値が13.8以上、好ましくは13.85以上という優れた透明感を実現することができる。 本発明のパウダーファンデーションの透過光のR値は、例えば、以下の方法により測定することができる。 パウダーファンデーションを肌色シートに塗布したときの明度L*が67.0となる塗布量におけるパウダーファンデーションの塗布膜の分光反射率(R1)を、積分球を付属した分光光度計を用いて拡散反射測定条件により測定された380nm〜730nmの波長領域における、パウダーファンデーションの塗布膜の積分反射率(R2)及び積分透過率(T)、並びにパウダーファンデーションを塗布する前のシートの積分反射率(R3)から、下記式(B)によって算出する。 式(B): R1=R2+R3×(T)2 得られたパウダーファンデーションの塗布膜の分光反射率(R1)、CIEが定めるF10光源における分光放射エネルギー、及び等色関数から、透過光のR値を算出する。 なお、CIEが定めるF10光源の分光放射エネルギー、等色関数、三刺激値RGBの算出式等、全ての光学的な数値データ及び数式は、成書(色再現工学の基礎、大田登 著、コロナ社)に記載されているものを用いることができる。 本発明におけるパウダーファンデーションの透過光のR値は、より具体的には、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。≪パウダーファンデーションの色ムラカバー力≫ 本発明のパウダーファンデーションの色ムラカバー力(F)は、パウダーファンデーションを0.150mg/cm2の塗布量で塗布した後の皮膚等のファンデーションの適用対象物において、45%以上であることが好ましい。 色ムラカバー力(F)とは、正常部及び色ムラ部を有する皮膚に対するパウダーファンデーションの隠蔽性能を示す指標である。色ムラカバー力(F)の値が高いほど、シミ、そばかす、くすみ等に起因する皮膚の色ムラに対するカバー力が高いことを示す。 本発明のパウダーファンデーションによれば、色ムラカバー力(F)が45%以上という優れたカバー力を実現することができる。 本発明のパウダーファンデーションの色ムラカバー力は、例えば、以下の方法により測定することができる。 パウダーファンデーションを塗布する前の正常部と色ムラ部との色差ΔE0を、380nm〜730nmの波長領域における分光反射率を測定して得られた、標準の光D65を光源として仮定したときの反射光のL0*、a0*、b0*の値から、下記式(A1)によって算出する。 式(A1): ΔE0={(L0*[色ムラ部])−L0*[正常部])2+(a0*[色ムラ部])−a0*[正常部])2+(b0*[色ムラ部])−b0*[正常部])2}1/2 次に、パウダーファンデーションを所定の塗布量で塗布した皮膚の色ムラ部と正常部との色差(ΔE1)を、380nm〜730nmの波長領域における分光反射率を測定して得られた、標準の光D65を光源として仮定したときの反射光のL1*、a1*、b1*の値から、下記式(A2)によって算出する。 式(A2): ΔE1={(L1*[色ムラ部])−L1*[正常部])2+(a1*[色ムラ部])−a1*[正常部])2+(b1*[色ムラ部])−b1*[正常部])2}1/2 得られた色差ΔE0及び色差ΔE1から、下記式(A)によって色ムラカバー力(F)を算出する。 式(A): 色ムラカバー力(F)=(ΔE0−ΔE1)/ΔE0×100[%] パウダーファンデーションの塗布量を変えて、上記と同様の方法により、色ムラカバー力を算出し、各塗布量に対して算出された色ムラカバー力(F)の値をプロットし、直線近似によって近似式を得、塗布量=0.150[mg/cm2]のときの色ムラカバー力(F)を算出する。 本発明におけるパウダーファンデーションの色ムラカバー力(F)は、より具体的には、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。≪パウダーファンデーションの外観色≫ 本発明のパウダーファンデーションが示す外観色は、パウダーファンデーションが適用される形態に応じた外観色であれば特に限定されない。 例えば、本発明のパウダーファンデーションは、肌色のつながり(観察角度によって肌色の濃度変化が大きくならないようにすること)の観点から、標準の光D65光源を用いて測定した外観色の色相角∠hが、50°〜80°の範囲内であることが好ましく、55°〜75°の範囲内であることがより好ましい。 本発明における外観色の色相角∠hは、分光光度計(製品名:Spectrolino、Gretag Macbeth社製)を用いて、波長380nm〜730nmまでの分光反射率を測定し、L*a*b*表色系(CIE 1976年度)の定義に従って、光源がD65であると仮定したときの反射光のa*、b*の値を、下記式(C)に代入して算出した値である。 式(C): 色相角∠h=tan−1(b*/a*) 本発明のパウダーファンデーションの色相角∠hを、所望とする範囲内とするには、例えば、パウダーファンデーションに含有される各成分の種類及び含有量を調整すればよい。[パウダーファンデーションの製造方法] 本発明のパウダーファンデーションの製造方法は、特に限定されるものではなく、パウダーファンデーションの製造に適用し得る方法を、パウダーファンデーションの形態に応じて、適宜選択することができる。 粉末状の形態を有するパウダーファンデーションであれば、化粧料に含有される各成分を、ヘンシェルミキサー等を用いて、混合物が示す色相が均一になるまで混合すればよい。 粉末を固形化した形態を有するパウダーファンデーションであれば、乾式成型法、湿式成型法等の公知の成形法を適用することができる。 乾式成型法としては、例えば、パウダーファンデーションに含有される各成分からなる混合物を、ハンマーミル等を用いて壊砕した後に、プレス機で皿に打型する方法を適用することができる。 湿式成型法としては、例えば、パウダーファンデーションに含有される各成分からなる混合物と溶剤とを混合し、得られたスラリーを容器に充填した後、溶剤を除去する方法を適用することができる。 本発明のパウダーファンデーションにおける特定赤色複合粉体は溶剤への溶出性が小さいことから、湿式成型法を好適に適用することができる。 本発明のパウダーファンデーションの好適な製造方法は、(A)リソールルビンBCAからなる赤色顔料を無機物中にインターカレーションによって複合化した構造を有する赤色複合粉体(特定赤色複合粉体)を0.01質量%以上5質量%以下、(B)平均粒子径が0.1μm以上0.5μm以下である酸化チタン粒子(顔料級酸化チタン粒子)を2質量%以上8質量%以下、及び(C)タルク、マイカ、及びセリサイトからなる群より選ばれる少なくとも1種の体質顔料を合計量で20質量%以上90質量%以下、含有する化粧料基剤と、溶剤と、を混合し、スラリーを得ること(以下、「スラリー調製工程」とも称する。)、及び得られたスラリーを容器に充填した後、溶剤を除去すること(以下、「成型工程」とも称する。)を含む製造方法である。 本発明のパウダーファンデーションを得るために好適に適用される製造方法は、湿式成型法であり、これにより優れた使用感を達成することができる。(スラリー調製工程) スラリー調製工程は、特定赤色複合粉体を0.01質量%以上5質量%以下、顔料級酸化チタン粒子を2質量%以上8質量%以下、タルク、マイカ、及びセリサイトからなる群より選ばれる少なくとも1種の体質顔料を合計量で20質量%以上90質量%以下、及び所望により用いられる大粒径酸化チタン粒子及び/または他の成分を含有する化粧料基剤と、溶剤と、を混合し、スラリーを得る工程である。 化粧料基剤に含まれる特定赤色複合粉体、顔料級酸化チタン粒子、並びにタルク、マイカ、及びセリサイトからなる群より選ばれる体質顔料、並びに大粒径酸化チタン粒子などの必要に応じて含有される他の成分の詳細は、既述の通りである。 スラリーは、化粧料基剤に含有される各成分を混合粉砕して混合物を得た後、得られた混合物を、溶剤中に攪拌しながら均一になるまで混合することにより調製することが好ましい。 化粧料基剤に含有される各成分の混合は、ヘンシェルミキサー等を用いて、混合物が示す色相が均一になるまで行えばよい。≪溶剤≫ スラリー調製工程に用いる溶剤としては、例えば、水、エタノール、ヘキサン、軽質流動イソパラフィン、イソドデカン、及びこれらの混合物が挙げられる。 これらの中でも、スラリー調製工程に用いる溶剤としては、使用感の向上の観点から、水、エタノール、又はこれらの混合物であることが好ましい。 スラリーにおける溶剤の含有量は、化粧料基剤の全質量に対して、好ましくは70質量%以上150質量%以下であり、より好ましくは90質量%以上120質量%以下である。(成型工程) 成型工程は、スラリー調製工程にて得られたスラリーを容器に充填した後、溶剤を除去する工程である。 スラリーを充填する容器としては、パウダーファンデーションにおいて通常用いられる各種の皿形容器が挙げられる。 溶剤を除去する方法としては、スラリーを容器に充填した後に、多孔質吸引ヘッドを用いて吸引しながら圧縮成型し、次いで、乾燥する方法等が挙げられる。 乾燥温度としては、化粧料中に配合される油剤等の揮発性などにより異なるが、好ましくは20℃〜80℃であり、より好ましくは30℃〜70℃である。乾燥時間としては、好ましくは12時間〜48時間であり、より好ましくは20時間〜30時間である。 以下、本発明を実施例にて詳細に説明する。しかしながら、本発明はそれらに何ら限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。[実施例1〜3、比較例1〜9]<パウダーファンデーションの調製> 下記表1に記載のA相及びB相の各成分を別個に秤量し、ヘンシェルミキサーにて混合粉砕し、混合物を得た。続いて、90質量部の水/エタノール混合溶媒(混合質量比=60対40)中に、攪拌しながら混合物を添加し、均一になるまで混合してスラリーを得た。続いて、金皿中に得られたスラリーを充填した後、多孔質吸引ヘッドを用いて吸引圧縮成型した。その後、温度37℃にて24時間乾燥して、実施例1〜3、及び比較例1〜9の各パウダーファンデーションを調製した。 表1に記載の各成分の詳細は、以下の通りである。※1:OTS−2 SERICITE FSE(形状:板状、大東化成工業(株)製)※2:OTS−2 TALK JA−46R(形状:板状、大東化成工業(株)製)※3:SI06 TiO2 TTO−55(B)(大東化成工業(株)製)(平均粒子径:0.03〜0.05μm)※4:SI06 TiO2 CR−50(大東化成工業(株)製)(平均粒子径0.25μm)※5:MPY−70M(テイカ(株)製)(平均粒子径0.7μm)※6:トランスプリズマーレッド(MERCK社製)(酸化チタン被覆雲母(雲母チタン)を含む赤色パール剤である。)※7:ロナフレアバランス ゴールド(MERCK社製)(酸化チタン被覆雲母(雲母チタン)を含む金色パール剤である。)※8:OTS−2 YELLOW LLXLO(大東化成工業(株)製)※9:OTS−2 BLACK BL−100(大東化成工業(株)製)※10:OTS−2 RED R−516L(大東化成工業(株)製)※11:赤色202号−無機物複合粉体(インターカレーション)、HNB RED7(大東化成工業(株)製)※12:赤色202号−PMMA複合粉体(メカノケミカル)、3D−TECH PW(OTS LC3079−10)XP(大東化成工業(株)製)※13:青色1号−無機物複合粉体(インターカレーション)、HNB BLUE 1 AL(大東化成工業(株)製)※14:シリコーン油剤(東レ・ダウコーニング(株)製)※15:シリコーン油剤(東レ・ダウコーニング(株)製)<赤色色材成分についての溶出試験> 実施例1〜3、及び比較例1〜9に使用した下記に示す赤色色材成分と赤色202号とについて、水に対する溶出試験、及びエタノールに対する溶出試験を以下のようにして実施した。1.水に対する溶出試験 質量部換算で1質量部となる量の赤色色材成分を、蒸留水(分散媒)99質量部中に、60秒間震盪分散し、40℃、400rpmにて、6時間スターラー攪拌した後に、孔径0.45μmのセルロースアセテートフィルター(商品名:Cellulose Acetate、ADVANTEC社製)にてろ過してろ液を得る。得られたろ液の吸光度を、蒸留水をブランクとして測定し、400nmから600nmまでの波長領域での吸光度の極大値を決定する。2.エタノールに対する溶出試験 質量部換算で1質量部となる量の赤色色材成分を、無水エタノール(99.5v/v%)99質量部中に、60秒間震盪分散し、40℃、400rpmにて、6時間スターラー攪拌した後に、孔径0.45μmのセルロースアセテートフィルター(商品名:Cellulose Acetate、ADVANTEC社製)にてろ過してろ液を得る。得られたろ液の吸光度を、エタノールをブランクとして測定し、400nmから600nmまでの波長領域での吸光度の極大値を決定する。 上記各溶出試験における吸光度の測定には、分光光度計(製品名:UV−2550、(株)島津製作所製)を用いた。 本溶出試験の対象とした実施例1〜3、及び比較例1〜9に使用した赤色色材成分をまとめて以下に示す。なお、参考として、赤色顔料(赤色202号)についても本溶出試験を行った。 各赤色色材成分の詳細は、表1欄外の備考に示す通りである。 実施例1〜3 :特定赤色複合粉体/酸化鉄(赤色) 比較例1、5〜9:特定赤色複合粉体/酸化鉄(赤色) 比較例2、3 :酸化鉄(赤色) 比較例4 :赤色顔料(赤色202号)とポリメチルメタクリレート(PMMA)との複合粉体〔赤色顔料−PMMA複合粉体〕/酸化鉄(赤色) 各溶出試験の結果を下記表2示す。<パウダーファンデーションの評価>1.外観色 実施例1〜3、及び比較例1〜9にて得られたパウダーファンデーションの外観色について、分光光度計(製品名:Spectrolino、Gretag Macbeth社製)を用いて、波長380nm〜730nmまでの分光反射率を測定し、L*a*b*表色系(CIE 1976年度)の定義に従って、光源D65を仮定したときの反射光のa*、b*の値を、下記式(1)に代入して、色相角∠hを算出した。結果を表3に示す。 式(1): 色相角∠h=tan−1(b*/a*)2.色ムラカバー力の測定 実施例1〜3、及び比較例1〜9にて得られたパウダーファンデーションを用いて、以下に示す手順によって、平均塗布量が0.150[mg/cm2]のときの色ムラカバー力を算出した。結果を表3に示す。(2−1)幅26mm、長さ76mm、厚み1mmのスライドガラス(TOSHINRIKO CO.,LTD.製)の片面に、光学フィルムの貼り合わせに用いられる透明両面粘着シート(製品名:SK−2057、綜研化学(株)製)を、幅26mm、長さ50mmに切って貼り合わせて、粘着表面を有するガラス板を7枚作製した。7枚の各ガラス板の粘着表面に、パウダーファンデーションを、それぞれ0.210[mg/cm2]、0.192[mg/cm2]、0.173[mg/cm2]、0.155[mg/cm2]、0.137[mg/cm2]、0.118[mg/cm2]、0.100[mg/cm2]になるまでパフを用いて精密天秤で重量を量りながら塗り足していき、所望の重量になったところで塗布をやめて、塗布量の異なる7つのガラス板塗布試験片を作製した。(2−2)続いて、肌色ポリウレタンシートの上に濃度の異なる5つの円形のシミ(色ムラ部)を模したパターンが描かれたシミプレート(製品名:DS−50/20、ビューラックス(株)製)を用意した。シミプレート上の2番目に濃度の高い色ムラ部と、その周りの正常な肌色を有する正常部との色差ΔE0を、以下の手順にて測定した。 色ムラ部及び正常部の両方について、分光光度計Spectrolino(製品名:Gretag Macbeth社製)を用いて、波長380nm〜730nmまでの分光反射率を測定し、D65光源を仮定したときの反射光のL0*、a0*、b0*の値を下記式(A1)に代入して色差ΔE0を算出した。 式(A1): ΔE0={(L0*[色ムラ部])−L0*[正常部])2+(a0*[色ムラ部])−a0*[正常部])2+(b0*[色ムラ部])−b0*[正常部])2}1/2(2−3)肌色ポリウレタンシート上の色差ΔE0の測定対象とした部位と同じ色ムラ部及び正常部の上に、上記(2−1)で作製したガラス板塗布試験片のパウダーファンデーションが塗布された部分を、パウダーファンデーションの塗布面が肌色ポリウレタンシートの反対側になるようにして載せて密着させた。肌色ポリウレタンシートとガラス板塗布試験片とを密着させた状態で、パウダーファンデーションの塗布面側から、分光光度計(製品名:Spectrolino、Gretag Macbeth社製)を用いて、波長380nm〜730nmまでの分光反射率を測定し、D65光源を仮定したときの反射光のL1*、a1*、b1*の値を、下記式(A2)に代入して色差ΔE1を算出した。 式(A2): ΔE1={(L1*[色ムラ部])−L1*[正常部])2+(a1*[色ムラ部])−a1*[正常部])2+(b1*[色ムラ部])−b1*[正常部])2}1/2 塗布量の異なる7つのガラス板塗布試験片の各々についてE0及びΔE1を算出し、得られたE0及びΔE1を、下記式(A)に代入して、各塗布量における色ムラカバー力(F)を算出した。 式(A): 色ムラカバー力(F)=(ΔE0−ΔE1)/ΔE0×100[%] 色ムラカバー力は、色ムラ部及び正常部を有する皮膚において、パウダーファンデーション塗布前の色ムラ部と正常部との色差ΔE0、及びパウダーファンデーション塗布後の色ムラ部と正常部との色差ΔE1に変化が無ければ[0%]、パウダーファンデーション塗布後の色ムラ部と正常部との色差ΔE1が完全にゼロになれば[100%]となる指標である。色ムラカバー力(F)の値が大きいほど、パウダーファンデーションは、皮膚の色ムラに対するカバー力が高いことを意味する。 各塗布量に対して算出された色ムラカバー力(F)の値をプロットし、直線近似によって近似式を得、塗布量=0.150[mg/cm2]のときの色ムラカバー力(F)を算出して、各実施例及び各比較例のパウダーファンデーションが有する色ムラカバー力(F)とした。3.透過光のR値の測定 実施例1〜3、及び比較例1〜9にて得られたパウダーファンデーションを用いて、以下に示す手順によって、肌色シート上にパウダーファンデーションの塗布膜が形成されたときの反射率を近似的に算出し、明度L*が67.0になるときの塗布量におけるパウダーファンデーションの塗布膜が、F10光源で照明されたときに示す透過光のR値を算出した。結果を表3に示す。 また、各実施例及び各比較例のパウダーファンデーションについて、「2.色ムラカバー力」で測定した色ムラカバー力(F)値に対する透過光のR値の関係を図1に示す。(3−1)「2.色ムラカバー力の測定」と同様の手順により、パウダーファンデーションの塗布量の異なる7つのガラス板塗布試験片を作製した。(3−2)分光光度計(製品名:UV−2550、(株)島津製作所製)に積分球(製品名:ISR−2200)を付属して、拡散反射測定条件にて波長380nm〜730nmまでの積分反射率(R表面)及び積分透過率(T)を測定した。積分反射率の測定時のガラス板サンプルの入射光面の反対側に暗箱を配置することで、パウダーファンデーションの塗布膜の表面反射率が見積もれるようにした。また、ウレタン樹脂製の肌色シート(バイオスキンプレート、品番P001−001、色番:R−512)の積分反射率(Rバイオスキン)を同様にして測定した。(3−3)下記式(B)によって、肌色シート上にパウダーファンデーションを塗布したときの塗布色の反射スペクトル(R塗布色)を近似的に算出し、各実施例及び各比較例のパウダーファンデーションについて、F10光源下における各塗布量での明度L*を算出した。 (R塗布色)=(R表面)+(Rバイオスキン)×(T)2 ・・・ 式(B)(3−4)塗布量の異なる7つのガラス板塗布試験片の各々について算出された明度L*をプロットし、直線近似によって近似式を得、明度L*=67.0になるときの塗布量を算出した。(3−5)上記(3−2)で得た各塗布量における各波長での透過率の値を7点の塗布量に対してプロットし、直線近似によって近似式を得、(3−4)で得た塗布量における分光透過率を算出した。(3−6)上記(3−5)で算出した分光透過率、等色関数、及びCIEが定めるF10光源における分光放射エネルギーから、各実施例及び各比較例のパウダーファンデーションについて、透過光のR値を算出した。なお、CIEが定めるF10光源の分光放射エネルギー、等色関数、三刺激値RGB値の算出式等、全ての光学的な数値データ及び数式は、成書(色再現工学の基礎、大田登 著、コロナ社)に記載されているものを用いた。4.透明感 実施例1〜3、及び比較例1〜9にて得られたパウダーファンデーションを、パフを用いて同一人物である被験者の女性の顔に化粧した後、いすに座った状態で、透明感を目視で観察した。評価基準は以下の通りである。結果を表3に示す。−評価基準− AA:極めて透明感が高い A :透明感が高い B :やや透明感が低い C :極めて透明感が低い5.化粧崩れ 実施例1〜3、及び比較例1〜9にて得られたパウダーファンデーションを、パフを用いて同一人物である被験者の女性の顔に化粧した後、相対湿度80%RH、室温25℃の恒温恒湿室にて6時間、いすに座っていた後の化粧崩れの様子を目視で観察した。評価基準は以下の通りである。結果を表3に示す。−評価基準− AA:ほとんど化粧崩れが気にならない A :若干、化粧崩れはみられるが、気にならない B :化粧崩れがみられ、やや気になる C :はっきり化粧崩れがみられ、非常に気になる6.ブリードアウト性 成型後の実施例1〜3及び比較例1〜9にて得られたパウダーファンデーションについて、ケーキ表面及び金皿の縁に、不均一な赤味が無いかを目視で確認した。評価基準は以下の通りである。結果を表3に示す。−評価基準− A:不均一な赤味がまったく認められなかった B:不均一な赤味が若干認められたが軽微であった C:顕著な赤味のムラが認められた 表3及び図1に示すように、実施例1及び実施例3のパウダーファンデーションは、透明感と相関する透過光のR値が極めて高く、官能評価でも透明感が極めて高いとの評価を得た。さらに、実施例1及び実施例3のパウダーファンデーションは、化粧崩れが非常に生じ難く、総合的に良好な特性を有することが分かる。 実施例2のパウダーファンデーションは、透過光のR値が高く、官能評価でも透明感が高いとの評価を得た。さらに、実施例2のパウダーファンデーションは、カバー力が非常に優れており、実施例1及び実施例3のパウダーファンデーションとは性能のバランスは異なるが、総合的に良好な特性を有することが分かる。 一方、顔料級酸化チタン粒子の配合量が多い比較例1のパウダーファンデーションは、実施例1〜3のパウダーファンデーションと比較してカバー力が高すぎるため、透過光のR値が低くなり、透明感が劣っていた。 樹脂ビーズ(PMMA:ポリメタクリル酸メチル)中に機械的に赤色202号微粒子を打ち込んで作製された赤色顔料−PMMA複合粉体を含有する比較例4のパウダーファンデーションでは、ブリードアウトによるケーキ表面の不均一な赤みが発生した。 特定赤色複合粉体を含有せず、赤色酸化鉄を含有する比較例2及び比較例3のパウダーファンデーションは、全体的に透明感が低く、実施例1〜3のパウダーファンデーションより性能が明らかに劣っていた。 顔料級酸化チタン粒子を含有しない比較例5のパウダーファンデーションは、カバー力が低すぎて、パウダーファンデーションとしては許容できないものであった。 比較例6のパウダーファンデーションは青色顔料を含有するので、青色顔料が赤色光を主に吸収するために赤色透過光量が大幅に低下し、透明感が悪化した。 比較例7〜9のパウダーファンデーションは、顔料級酸化チタン粒子に加えて大粒径酸化チタン粒子を配合したため、赤色透過光量、カバー力ともに悪化し、実施例1〜3のパウダーファンデーションより劣るものであった。 (A)リソールルビンBCAからなる赤色顔料を無機物中にインターカレーションによって複合化した構造を有する赤色複合粉体を0.01質量%以上5質量%以下、(B)平均粒子径が0.1μm以上0.5μm以下である酸化チタン粒子を2質量%以上8質量%以下、並びに(C)タルク、マイカ、及びセリサイトからなる群より選ばれる少なくとも1種の体質顔料を合計量で20質量%以上90質量%以下含有するパウダーファンデーション。 下記の(1)及び(2)を満たす請求項1に記載のパウダーファンデーション。(1)380nm〜730nmの波長領域における分光透過率から算出した透過光のRGBにおけるR値が13.8以上、(2)380nm〜730nmの波長領域における分光透過率及び分光反射率から式(A)によって算出される色ムラカバー力(F)が45%以上 式(A): 色ムラカバー力(F)=(ΔE0−ΔE1)/ΔE0×100[%] ΔE0: ファンデーションを適用する前の適用対象物が有する色ムラ部と色ムラ部の周囲の正常部との色差 ΔE1: ファンデーションを適用した後の適用対象物の適用面側における色ムラ部と色ムラ部の周囲の正常部との色差 (A)赤色複合粉体の含有量と、(B)平均粒子径が0.1μm以上0.5μm以下である酸化チタン粒子の含有量との比率が、質量基準で、1:5〜1:20である請求項1又は請求項2に記載のパウダーファンデーション。 更に、赤色酸化鉄を含有する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のパウダーファンデーション。 標準の光D65光源を用いて測定した外観色の色相角∠hが、50°〜80°の範囲内である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のパウダーファンデーション。 【課題】透明感及びカバー力に優れたパウダーファンデーションを提供すること。【解決手段】(A)リソールルビンBCAからなる赤色顔料を無機物中にインターカレーションによって複合化した構造を有する赤色複合粉体を0.01質量%以上5質量%以下、(B)平均粒子径が0.1μm以上0.5μm以下である酸化チタン粒子を2質量%以上8質量%以下、並びに(C)タルク、マイカ、及びセリサイトからなる群より選ばれる少なくとも1種の体質顔料を合計量で20質量%以上90質量%以下含有するパウダーファンデーション。【選択図】図1