タイトル: | 公開特許公報(A)_テトラヒドロフランの製造方法 |
出願番号: | 2015062883 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | C07D 307/08,C07D 307/06,C07B 61/00 |
鈴木 葉裕 井澤 雄輔 小西 範和 JP 2015193616 公開特許公報(A) 20151105 2015062883 20150325 テトラヒドロフランの製造方法 三菱化学株式会社 000005968 鈴木 葉裕 井澤 雄輔 小西 範和 JP 2014064543 20140326 C07D 307/08 20060101AFI20151009BHJP C07D 307/06 20060101ALI20151009BHJP C07B 61/00 20060101ALN20151009BHJP JPC07D307/08C07D307/06C07B61/00 300 7 OL 10 4C037 4H039 4C037BA04 4H039CA42 4H039CH20 本発明はテトラヒドロフランの製造法に関し、より詳しくは、1,4−ブタンジオールから異なる2つの反応形式を連続的に用いてテトラヒドロフランを製造する方法に関する。 テトラヒドロフラン(以下、「THF」と略することがある)は各種有機化合物の溶剤として用いられる他、ポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテルポリオールの原料モノマーとしても有用な化合物として知られている。 テトラヒドロフランの工業的な製造方法としては、従来より様々な製造法が知られており、例えば、特許文献1には、1,4−ブタンジオールの酢酸エステルと水とを、固体酸触媒の存在する固定床反応器内で反応させテトラヒドロフランを得る方法が記載されている。また、特許文献2や特許文献3には、1,4−ブタンジオール溶液を反応槽に供給し、スルホン酸を用いて1,4−ブタンジオールの脱水環化反応を行うことによりテトラヒドロフランを製造する際に、該反応器内の気相部から生成物であるテトラヒドロフランおよび副生物の水を含むガスを反応器外部の熱交換器に導入し、該熱交換器出口から得られる凝縮液の一部を該反応槽の気相部に供給しながら、残りの凝縮液を反応槽外に抜き出すことによりテトラヒドロフランを製造する方法が記載されている。 また、特許文献4ではテトラヒドロフランを製造する過程で生成する固形物の生成を抑え、安定的にテトラヒドロフランを製造する方法が記載されている。特開平7-53424号公報特開2012-219066号公報特開2012-250966号公報特開2013-116881号公報 前記特許文献1に記載のテトラヒドロフランの製造方法では、反応により生成する水がスルホン酸の反応阻害効果があるため、水存在下でテトラヒドロフラン生成速度が低下する問題があった。また、特許文献2や特許文献3に記載のテトラヒドロフランの製造方法では、反応器内に一定量の液を溜め込みながら脱水環化反応を行うことから、原料1,4−ブタンジオール中の不純物によって反応器内にポリマーが生成し、反応を長時間行うとそのポリマーの濃度が高くなり、固形の副生成物の析出が発生するという問題があった。特許文献4は、テトラヒドロフランの製造中の固形物の析出を抑えることを課題とした発明であり、1,4−ブタンジオールの不純物由来のポリマーの生成をある程度抑制出来るものの、長時間連続して反応を行うと反応器内のポリマー量が増加し続け、固形物の析出が生じるといった問題があり、本発明が目的とする長時間の連続運転を行うには未だ不十分であった。 本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであって、1,4−ブタンジオールからテトラヒドロフランを製造する方法において、1,4−ブタンジオールの不純物由来のポリマー生成量を抑えることにより、長時間の反応を可能とし、経済的かつ工業的に有利なテトラヒドロフランの製造方法を提供することを目的とする。 本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、最初に1、4−ブタンジオールを固体酸触媒の存在する反応器、例えば固定床反応器に供給して、1,4−ブタンジオールの一部をTHFに変換する。そして、そのテトラヒドロフランを含む1,4−ブタンジオールを別の反応器へ供給して、その反応器内で、酸触媒存在下、残りの1,4−ブタンジオールを脱水環化反応を行うことによりテトラヒドロフランに変換して、反応器内の気相部に存在するテトラヒドロフラン及び水を含むガスを反応器外へ抜き出し、そのガスからテトラヒドロフランを得る、という少なくとも2つの反応器を有する工程を含む方法で1,4−ブタンジオールからテトラヒドロフランを製造することにより、長時間の反応においても、固形物等の発生も抑制でき、かつ、工業的規模でテトラヒドロフランを製造するプロセスとして、それぞれの反応器の容量を小さくすることができ、経済性も高くなることを見出した。 即ち、本発明は以下の[1]〜[7]を要旨とする。[1]1,4−ブタンジオールの脱水環化反応を行うことにより生成物としてテトラヒドロフランを得る、テトラヒドロフランの製造方法において、以下の工程A及び工程Bを含むことを特徴とするテトラヒドロフランの製造方法。 工程A:固体酸を有する反応器Aに1,4−ブタンジオールを供給し、該1,4−ブタンジオールの一部を脱水環化反応によりテトラヒドロフランに変換し、テトラヒドロフランを含む1,4−ブタンジオールを得る工程 工程B:工程Aで得られるテトラヒドロフランを含む1,4−ブタンジオールを反応器Aとは異なる反応器Bに供給し、酸触媒存在下、反応器B内で1,4−ブタンジオールの脱水環化反応を行うことによりテトラヒドロフランを得て、該反応器B内の気相部に存在するテトラヒドロフラン及び水を含むガスを反応器B外へ抜き出し、該ガスからテトラヒドロフランを得る工程[2]前記反応器Bに供給されるテトラヒドロフランを含む1,4−ブタンジオール中のジブチレングリコールの濃度が0.01重量%以上5重量%以下である[1]に記載のテトラヒドロフランの製造方法。[3]前記反応器Bに供給されるテトラヒドロフランを含む1,4−ブタンジオール中の、トリブチレングリコール濃度が0.01重量%以上3重量%以下である[1]又は[2]に記載のテトラヒドロフラン製造方法。[4]前記反応器Bに供給される前記テトラヒドロフランを含む1,4−ブタンジオール中のテトラヒドロフランの濃度が1重量%以上50重量%以下である[1]〜[3]のいずれか1項に記載のテトラヒドロフラン製造方法。[5]前記反応器B内の温度が80℃から250℃である、[1]〜[4]のいずれか1項に記載のテトラヒドロフラン製造方法。[6]前記工程Bにおける前記酸触媒がパラトルエンスルホン酸である、[1]〜[5]のいずれかに記載のテトラヒドロフラン製造方法。[7]前記工程Aにおける前記固体酸が陽イオン交換樹脂である、[1]〜[6]のいずれか1項に記載のテトラヒドロフラン製造方法。 本発明によれば、1,4−ブタンジオールからテトラヒドロフランを製造する際に副生するポリマー量を低減でき、長時間の連続製造が可能となる。またテトラヒドロフラン単位製造量当たりの14BGに由来するオリゴマー生成量も低減することができる。 そして、テトラヒドロフランを製造する際、従来は反応器に耐食性、耐熱性に優れたハステロイ(登録商標)等の高価な材料を使用する必要があったが、本発明の製造方法を用いることで、反応器容量の削減や反応器材質に従来材よりも安価な材質を使用することができるようになり建設費を削減することができる。 以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、発明の実施の形態)について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。 尚、本発明において、「ポリマー」とは後述のガスクロマトグラフを用いた方法によって測定された分子量500以上の化合物を意味し、「オリゴマー」とは1,4−ブタンジオールの2〜5量体を意味する。 本発明のテトラヒドロフランの製造方法は、以下の工程Aと工程Bを含むことを特徴とする。 工程A:固体酸を有する反応器Aに1,4−ブタンジオール(以下、1,4BGと記載することがある。)を供給し、該1,4−ブタンジオールの一部を脱水環化反応によりテトラヒドロフランに変換し、テトラヒドロフランを含む1,4−ブタンジオールを得る工程。 工程B:工程Aで得られるテトラヒドロフランを含む1,4−ブタンジオールを反応器Bに供給し、酸触媒存在下、反応器B内で1,4−ブタンジオールの脱水環化反応を行うことによりテトラヒドロフランを得て、該反応器B内の気相部に存在するテトラヒドロフラン及び水を含むガスを反応器B外へ抜き出し、該ガスからテトラヒドロフランを得る工程。 本発明のテトラヒドロフランの製造方法において、上記工程Aと工程Bを含むことで、副生ポリマーの生成を抑制し、長時間連続的にTHFを製造することができる詳細な作用は不明であるが、以下の要因が考えられる。長時間の運転を可能とするには、1,4−ブタンジオール中の不純物に由来するポリマー濃度が高まり、反応器内に固形物が析出することを抑制する必要がある。 そして上記ポリマーは1,4BG中の2−(4−ヒドロキシブトキシ)テトラヒドロフラン(以下、BGTFと記載することがある。)又は1,4BGに由来しており、1,4BGの脱水環化反応中にポリマーとして副生すると推測されている。1,4BGとBGTFは沸点が近く、蒸留による分離が困難である。 また、1,4BG由来のオリゴマーの解重合反応は脱水を伴うため、反応器内のオリゴマー濃度は反応器内液相中の水分量に影響すると推測されている。 上記推測に基づき、固体酸触媒の存在下で、原料1,4−ブタンジオールの一部をテトラヒドロフランに変換する工程Aでは、反応器内液相中の水分濃度を高い水準に維持することで、BGTFに由来するポリマーが生成することを抑制することができると考えられるが、1,4BG由来のオリゴマーとポリマーの生成は抑制することが出来ない。 そこで、工程Aで得られたTHFを含む1,4BG反応液を酸触媒存在下で、脱水環化反応を行うことによりTHFを得て、反応器内の気相部に存在するTHFと水を含む気体を系外に抜き出すことで、反応器中の水濃度が低くなり、反応器中の1,4BG由来のポリマー及びオリゴマーの解重合反応が促進され、1,4BG由来のポリマー及びオリゴマーの濃度を軽減することが出来たと考えられる。即ち、工程Aの後に工程Bの処理を行うことで、BGTFに由来するポリマーと1,4BGに由来するポリマー及びオリゴマーの濃度を従来よりも低減することができる<原料> 本発明で使用する原料の1,4BGは、公知の方法により得ることができる。例えばブタジエンのジアセトキシ化により得た1,4−ジアセトキシ−2−ブテンを水素化、加水分解を行って得た1,4BGを使用することができる。或いは無水マレイン酸の水素化により得た1,4BG、レッペ法によりアセチレンから誘導した1,4BG、プロピレンの酸化を経由して得られる1,4BG、発酵法により得た1,4BGなどが使用可能である。これら公知技術で製造した1,4BGには製法由来の副生物として、2−(4−ヒドロキシブトキシ)テトラヒドロフラン、1−アセトキシ−4−ヒドロキシブタン、1,4BGの脱水二量体や三量体、ガンマブチロラクトン、2−メチル−1,3−プロパンジオールなどの不純物が含まれていることがあるが、本発明で使用する原料の1,4BGには、これらの不純物が含まれていてもよい。<製造方法> 本発明のテトラヒドロフランの製造方法においては、工程Aを行った後に、工程Bを行うことを必須とする。 なお、工程Aと工程Bの間の工程には、1,4BGやオリゴマーやポリマー等の副生物を処理する他の工程も存在してよいが、好ましくは、工程Aと工程Bの間に他の工程は存在せずに、工程Aで得られたTHFを含む1,4BGを特に何の処理も行うことなく、工程Bの反応器Bに直接供給することが好ましい。<工程A> 本発明のテトラヒドロフランの製造方法において、工程Aで用いる固体酸触媒は、1,4BGをTHFに変換できるものであれば、特に限定されるものではないが、具体的には陽イオン交換樹脂やヘテロポリ酸、カーボン系固体酸、ゼオライト系固体酸などが挙げられる。これらの中で脱水環化反応時にポリマーやオリゴマーが生成しにくいという観点から好ましくは陽イオン交換樹脂、ヘテロポリ酸、ゼオライト系固体酸、より好ましくは陽イオン交換樹脂、更に好ましくはスルホン酸型強酸性イオン交換樹脂である。 本発明のテトラヒドロフランの製造方法において、工程Aの反応器Aでは副反応で1,4BGのオリゴマーが生成するが、そのオリゴマーとしては、ジブチレングリコール(1,4BGの二量体)、トリブチレングリコール(1,4BGの三量体)などが挙げられる。 反応器Aから得られるTHFを含む1,4BG中のジブチレングリコールの濃度は、0.01重量%以上、5重量%以下が好ましく、より好ましくは0.1重量%以上、4重量%以下、更に好ましくは0.5重量%以上、3重量%以下である。またTHFを含む1,4BG中のトリブチレングリコールの濃度としては、好ましくは0.01重量%以上、3重量%以下であり、より好ましくは0.1重量%以上、2重量%以下の範囲であり、特に好ましくは0.2重量%以上、1.5重量%以下の範囲である。 工程Aで得られるTHFを含む1,4BG中のジブチレングリコール及び又はトリブチレングリコールの濃度が高すぎると、その後の工程で1,4BGのポリマーの生成量が多くなり連続反応が継続できない恐れがある。工程Aで得られるTHFを含む1,4BG中のジブチレングリコール及び又はトリブチレングリコールの濃度が低すぎることによる反応への影響は無いが、工程Aで得られるTHFを含む1,4BG中のジブチレングリコール及び又はトリブチレングリコールを低くするためには、反応速度を低下させたり除去工程を追加する必要があり、テトラヒドロフランの生産性が悪化する傾向にある。 本発明のテトラヒドロフランの製造方法において、工程Aでは、固体酸を有する反応器A内で、1,4−ブタンジオールの一部を脱水環化反応によりテトラヒドロフランに変換する。そして、テトラヒドロフランを含む1,4−ブタンジオールを得るが、工程Aで製造したテトラヒドロフランを含む1,4−ブタンジオール中のTHF濃度は1重量%以上、50重量%以下の範囲が好ましく、より好ましくは15重量%以上、50重量%以下の範囲であり、特に好ましくは30重量%以上、50重量%以下の範囲である。工程Aで製造した1,4BG中のTHF濃度が50重量%以上の場合、反応器A内で1、4BGのオリゴマーの生成量が増加し、工程Bでのポリマー副生量が増大する恐れがある。一方、THF濃度が低すぎると、工程Bにおいて反応温度を高温にしたり、反応時間を長くする必要があり、長時間連続的に反応してTHFを製造することが困難となり、本発明の十分な効果が得られない傾向にある。工程Aと工程Bの間にその他の工程が含まれたとしても、反応器BにTHFを含む1,4BGを供給する際は、上記のTHF濃度範囲であることが好ましい。 本発明のテトラヒドロフランの製造方法において、工程Aにおける反応温度は、特に限定されないが、好ましくは30℃から120℃の範囲であり、更に好ましくは45℃から105℃、特に好ましくは60℃から90℃である。反応温度が低すぎるとTHF製造量が低下する傾向にあり、反応温度が高すぎると1,4BGのオリゴマーやBGTF由来のポリマーの生成量が増加する傾向にある。 本発明のテトラヒドロフランの製造方法において、工程Aにおける滞留時間は、特に限定されないが、好ましくは0.5時間から10時間の範囲である。 より好ましくは1時間から7時間の範囲であり、更に好ましくは1時間から3時間の範囲である。滞留時間が短かすぎるとTHFの製造量が低下する傾向にあり、滞留時間が長すぎると必要な反応器の容量が大きくなりすぎ、設備建設のための経済性が悪化する傾向にある。 本発明のテトラヒドロフランの製造方法において、反応器Aの形式としては、特に限定されないが、固体酸を充填した固定床反応器が好ましく、更に、その固体酸を充填した固定床反応器に1,4BGを流通させながら反応させる流通式がより好ましい。<工程B> 本発明のテトラヒドロフランの製造方法において、工程Bにおける酸触媒は、1,4BGをTHFに脱水環化反応させることができるものであれば任意の酸触媒を用いることができるが、好ましくは、スルホン酸、陽イオン交換樹脂、ヘテロポリ酸、リン酸などである。さらに好ましくは金属を含有しない有機酸あるいはリン酸であり、特に好ましくは有機スルホン酸である。具体的には、パラトルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、オルトトルエンスルホン酸、メタトルエンスルホン酸などの芳香族スルホン酸誘導体、ブランスルホン酸、ヘキサンスルホン酸、オクタンスルホン酸、ノナンスルホン酸などの鎖状の有機スルホン酸誘導体である。この中でもパラトルエンスルホン酸が特に好ましい。 本発明のテトラヒドロフランの製造方法において、酸触媒の反応器B内に存在する量は、特に限定されないが、反応器内の液相部での触媒の濃度は、0.01重量%から20重量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.05重量%から10重量%の範囲である。特に好ましくは0.2重量%から5重量%の範囲である。 本発明のテトラヒドロフランの製造方法において、反応器B内の液相部の水分濃度は、特に限定されないが、好ましくは、0.1重量%から5重量%の範囲であり、より好ましくは、0.2重量%から4.0重量%の範囲、より好ましくは、0.3重量%から3.0重量%である。この濃度が高すぎると、反応器内の材質が腐食されやすい傾向にあり、低すぎると高沸点副生物(オリゴマーやポリマー)の量が増加する傾向にある。 本発明のテトラヒドロフランの製造方法において、反応器B内の液相部の内温である反応温度は、80℃〜250℃が好ましく、より好ましくは100℃〜200℃であり、特に好ましくは120℃〜180℃の範囲である。この温度が高すぎると、THFの生産量が低下する傾向にあり、高すぎると稼働時間の決定因子であるポリマーの生成量が増加して長時間の反応が困難となる。 本発明のテトラヒドロフランの製造方法において、反応器Bの気相部には、反応で生成されたTHFおよび水を含むガスが存在するが、このガスを反応器Bから抜き出し、熱交換器に導入し、熱交換器内で凝縮液化され、THFおよび水を含む凝縮液を得る。上記熱交換器は、反応器Bから生じる留出物を凝縮液化させる装置であり、該凝縮液化は、冷却液である外部流体と留出物とを熱交換させることにより行われる。尚、THF及び水を含むガスには、本発明の効果を阻害しない程度であれば、水溶液の形態で仕込まれる原料からの生成水、必要に応じて生成水と共沸させるために用いられる脱水溶剤なども含んでいてもよい。 本発明のテトラヒドロフランの製造方法において、反応器Bで生成したテトラヒドロフラン及び水を含むガスから1,4BGなどの沸点の高い成分を分離するための充填塔、棚段塔など蒸留塔を熱交換器に導入する前に有していてもよい。充填塔、棚段塔などの段数は任意であるが、通常理論段として1段以上、100段以下が好ましく、特に好ましくは3段以上、20段以下である。100段より大きい段数では塔が大きくなりすぎ、設備建設のための経済性が悪化する傾向がある。 本発明のテトラヒドロフランの製造方法において、反応器Bは反応蒸留形式であれば、特に限定されるものでなく、反応容器、反応釜、反応塔等と同じ意味で用いられているものであり、脱水環化反応を行うことができる容器であれば特に限定されるものではない。反応器Bでは、反応器B中の反応液内で脱水環化反応が化学平衡となり、反応器Bから反応生成水を取り除くと反応が進行することから、反応器B内に、原料、触媒または生成物が液相で存在して反応を行う反応部、主に反応で生成する水からなる液相部及び揮発性の低い生成物からなる気相部を有する構造とすることが好ましい。反応器Bの液相部は反応の経過に従い、連続的または間欠的に反応槽外に抜き出すことで反応は進行する。工程Bのように、反応蒸留形式の反応器を用いて1,4BGを酸触媒存在下で脱水環化反応によりTHFを生成する反応では、反応部に酸触媒を存在させ1,4BGを反応部に供給し、反応により生成する揮発されたTHFと一部の水蒸気が反応部の気相部に含まれ、残りの水や副生物は反応部の液相部に含まれる。 本発明のテトラヒドロフランの製造方法において、工程A、Bのどちらの工程においても、反応器を加熱しながら反応を行うが、反応器の加熱方式は外部ジャケットにスチーム等の熱媒を接触させることによって加熱するものであってもよいし、反応器の内部にコイル等の電熱装置を備えていて加熱するものであってもよい。また、反応器外部に熱交換器を設置し、強制循環方式により加熱するものであってもよい。反応器内部の材質は特に限定されず、公知の材質が使用できるが、例えば、SUS製、ハステロイ(登録商標)、チタン、ガラス、中でも、反応に用いる酸による腐食が軽減されるという観点から、好ましくはSUS304、SUS316、SUS316L、ハステロイ(登録商標)等が挙げられる。工程Bにおける反応槽は、通常では脱水環化反応を均一に効率よく行うため攪拌機が備えられているが、攪拌機は特に限定されるものではない。攪拌機は通常、電動モーター、軸、撹拌翼から構成されるが、その撹拌翼も形状を問わない。 以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。 尚、ガスクロマトグラフ分析(以下GC分析と記載することがある)、水分分析、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィー(以下GPC分析と記載することがある)は以下装置、条件にて行った。[水分分析] 分析装置:微量水分測定装置CA−21型(三菱化学株式会社製)[GC分析] 分析装置:ガスクロマトグラフGC−2014(株式会社島津製作所製) カラム:DB−1(Agilent Technologies製) 30(m)×0.25(mm) ×1.00(μm) 分析条件:全流量:128.2ml/min、パージ量:3.0ml/min、カラム流量:1.29ml/min、線速度:29.9cm/sec、スプリット比:100、インジェクション温度:240℃、ディテクション温度:240℃、カラム温度:50℃(7min)→5 ℃/min→220℃(20min)、キャリアガス:ヘリウム[GPC分析] 分析装置:TOSOH HLC−8220GPC(株式会社東ソー社製) カラム:TSKgel SuperHZM−N(7.8mmID×30.0cmL) 分析条件:THF溶媒、溶媒流速:0.35mL/min、カラム温度:40℃、サンプル注入量:10μL、質量校正にはPolymer Laboratories製ポリテトラヒドロフランキャリブレーションキットを使用し、分子量500以上の化合物がGC分析で検出されないことを確認した。<実施例1> 工程A:2−(4−ヒドロキシブトキシ)テトラヒドロフランを3000重量ppm含む1,4−ブタンジオールを、反応温度85℃、フィード流量30cc/hr、滞留時間3時間の条件で強酸性イオン交換樹脂SK1BH(三菱化学社製)90gを充填した反応器(反応器A)へ流通させ、1,4−ブタンジオールが44.6重量%、40.5重量%のテトラヒドロフランを含む1,4−ブタンジオールを得た。また、そのテトラヒドロフランを含む1,4−ブタンジオール中のジブチレングリコール濃度は2.3重量%であり、トリブチレングリコールの濃度は0.14重量%であった。 工程B:工程Aにて得たテトラヒドロフランを含む1,4−ブタンジオール150gを、ガラス製の200cc反応器Bに仕込み、0.2重量%のパラトルエンスルホン酸存在下、140℃に加熱し、脱水環化反応により残りの1,4−ブタンジオールをテトラヒドロフランに変換してTHFを製造した。 その際、反応器にはパラトルエンスルホン酸12ppmを含む工程Aにて得たテトラヒドロフランを含む1,4−ブタンジオールを連続的に15.2cc/hrでフィードした。反応にて生成したTHFと水を含むガスを反応器Bの気相部から抜出し、抜き出したガスを冷却器で凝縮し得られる凝縮液は生成液として反応槽フラスコ外にある貯槽に抜き出した。11.7kgのTHFを製造した時点で、反応器Bの液相部をガスクロマトグラフ(GC)分析を行った結果、GCで検出されない分子量500以上のポリマー濃度は26.5重量%であり、生成したジブチレングリコールの重量は0.01kgであった。<実施例2> 工程A:実施例1と同様に実施した。 工程B:工程Aにて得たテトラヒドロフランを含む1,4−ブタンジオール150gを、ガラス製の200cc反応器Bに仕込み、0.2重量%のパラトルエンスルホン酸存在下、150℃に加熱し、脱水環化反応によりテトラヒドロフランを製造した。その際、反応器にはパラトルエンスルホン酸12ppmを含む前記テトラヒドロフランを含む1,4−ブタンジオールを連続的に37.9cc/hrでフィードした。反応にて生成したTHFと水を含むガスを反応器Bの気相部から抜き出し、冷却器で凝縮し得られる凝縮液は生成液として反応槽フラスコ外にある貯槽に抜き出した。12.2kgのTHFを製造した時点で、反応器Bの液相部をGC分析を行った結果、GCで検出されない分子量500以上のポリマー濃度は30.8重量%であり、生成したジブチレングリコールの重量は0.01kgであった。 尚、工程A、Bにおける温度、滞留時間、触媒量を前記条件と同様とした場合、単位時間あたり1kgのTHFを製造するために必要な工程Bの反応器容量を算出すると2.2Lであった。<比較例1> 工程B:2−(4−ヒドロキシブトキシ)テトラヒドロフランを3000重量ppm含む1,4−ブタンジオール50gを、ガラス製の200cc反応器Bに仕込み、0.2重量%のパラトルエンスルホン酸存在下、150℃に加熱し、脱水環化反応によりテトラヒドロフランを製造した。その際、反応器にはパラトルエンスルホン酸12ppmを含む前記1,4−ブタンジオールを連続的に14.0cc/hrでフィードした。 反応にて生成したTHFと水を含むガスを反応器Bから抜き出し、冷却器で凝縮し得られる凝縮液は生成液として反応槽フラスコ外にある貯槽に抜き出した。12.5kgのTHFを製造した時点で、反応器Bの液相部のGC分析を行った結果、GCで検出されない分子量500以上のポリマー濃度は32.9重量%であった。 尚、温度、触媒量を前記条件と同様とした場合、単位時間あたり1kgのTHFを製造するために必要な工程Bの反応器容量は3.5Lであった。<比較例2> 工程B:2−(4−ヒドロキシブトキシ)テトラヒドロフランを3000重量ppm含む1,4−ブタンジオール50gを、ガラス製の200cc反応器Bに仕込み、0.2重量%のパラトルエンスルホン酸存在下、150℃に加熱し、脱水環化反応によりテトラヒドロフランを製造した。その際、反応器にはパラトルエンスルホン酸12ppmを含む前記1,4−ブタンジオールを連続的に14.0cc/hrでフィードした。反応にて生成したTHFと水を含むガスを反応器Bから抜き出し、冷却器で凝縮し得られる凝縮液は生成液として反応槽フラスコ外にある貯槽に抜き出した。5.8kgのTHFを製造した時点での反応器Bの液相部のGC分析の結果、1,4−ブタンジオール71.8重量%、テトラヒドロフラン3.9重量%、ジブチレングリコール3.9重量%、水4.5重量%であった。 工程A:工程Bの反応液を原料に用いて、実施例の工程Aと同様に実施した。反応液のGC分析を行った結果、組成は1,4−ブタンジオール47.3重量%、テトラヒドロフラン23.0重量%、ジブチレングリコール4.1重量%、水9.2重量%であった。工程Bと合わせてテトラヒドロフランを11.7kg製造した場合に生成したジブチレングリコールの重量は1.0kgであった。 実施例1と比較例1を対比すると、工程Aを行うことで、工程Bにおける反応機内のポリマー及びオリゴマーの生成量が少ないことから、比較例1に比べて実施例1の方が、副生ポリマーが抑制できていることがわかる。 また、実施例2と比較例1を対比すると反応器B液相中のポリマー成分が削減されている。 また、実施例1、2と比較例2を対比すると、実施例はテトラヒドロフラン製造量に対するジブチレングリコールの生成量が少なく、原料ロスが少なくテトラヒドロフランを製造することができた。 1,4−ブタンジオールの脱水環化反応を行うことにより生成物としてテトラヒドロフランを得る、テトラヒドロフランの製造方法において、以下の工程A及び工程Bを含むことを特徴とするテトラヒドロフランの製造方法。 工程A:固体酸を有する反応器Aに1,4−ブタンジオールを供給し、該1,4−ブタンジオールの一部を脱水環化反応によりテトラヒドロフランに変換し、テトラヒドロフランを含む1,4−ブタンジオールを得る工程 工程B:工程Aで得られるテトラヒドロフランを含む1,4−ブタンジオールを反応器Aとは異なる反応器Bに供給し、酸触媒存在下、反応器B内で1,4−ブタンジオールの脱水環化反応を行うことによりテトラヒドロフランを得て、該反応器B内の気相部に存在するテトラヒドロフラン及び水を含むガスを反応器B外へ抜き出し、該ガスからテトラヒドロフランを得る工程 前記反応器Bに供給されるテトラヒドロフランを含む1,4−ブタンジオール中のジブチレングリコールの濃度が0.01重量%以上5重量%以下である請求項1に記載のテトラヒドロフランの製造方法。 前記反応器Bに供給されるテトラヒドロフランを含む1,4−ブタンジオール中の、トリブチレングリコール濃度が0.01重量%以上3重量%以下である請求項1又は2に記載のテトラヒドロフラン製造方法。 前記反応器Bに供給される前記テトラヒドロフランを含む1,4−ブタンジオール中のテトラヒドロフランの濃度が1重量%以上50重量%以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のテトラヒドロフラン製造方法。 前記反応器B内の温度が80℃から250℃である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のテトラヒドロフラン製造方法。 前記工程Bにおける前記酸触媒がパラトルエンスルホン酸である、請求項1〜5のいずれかに記載のテトラヒドロフラン製造方法。 前記工程Aにおける前記固体酸が陽イオン交換樹脂である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のテトラヒドロフラン製造方法。 【課題】反応蒸留形式により1,4−ブタンジオールからテトラヒドロフランを製造する方法において、連続稼働時間の延長を可能にすることにより、工業的に有利なテトラヒドロフランの製造方法を提供する。【解決手段】1つ目の反応槽で固体酸を用いた脱水環化反応により、一部をテトラヒドロフランへと誘導した1,4−ブタンジオール溶液を調製し、次いで、上記1,4−ブタンジオール溶液を2つ目の反応槽へ供給して、反応蒸留形式によりテトラヒドロフランを製造する。【選択図】なし