タイトル: | 公開特許公報(A)_窒素含有エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物、硬化物および電気・電子材料 |
出願番号: | 2015050945 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | C07D 303/36,C08G 59/20,C09J 163/00,C09D 163/00,C09D 7/12,C09J 11/02 |
中村 健史 住谷 直子 阿須間 夕紀 JP 2015193598 公開特許公報(A) 20151105 2015050945 20150313 窒素含有エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物、硬化物および電気・電子材料 三菱化学株式会社 000005968 中村 健史 住谷 直子 阿須間 夕紀 JP 2014055238 20140318 C07D 303/36 20060101AFI20151009BHJP C08G 59/20 20060101ALI20151009BHJP C09J 163/00 20060101ALI20151009BHJP C09D 163/00 20060101ALI20151009BHJP C09D 7/12 20060101ALI20151009BHJP C09J 11/02 20060101ALI20151009BHJP JPC07D303/36C08G59/20C09J163/00C09D163/00C09D7/12C09J11/02 10 OL 28 4C048 4J036 4J038 4J040 4C048AA01 4C048BB22 4C048CC03 4C048UU05 4C048XX01 4C048XX04 4J036AH13 4J036AH20 4J036AJ01 4J036AJ02 4J036AJ03 4J036AJ19 4J036DA01 4J036DA02 4J036DB06 4J036FA01 4J036JA05 4J036JA06 4J036JA08 4J038DA042 4J038DB151 4J038DF062 4J038DG302 4J038HA066 4J038HA166 4J038HA306 4J038HA446 4J038JA03 4J038JA16 4J038JA25 4J038JA32 4J038JA35 4J038JA55 4J038JA65 4J038JB01 4J038JB12 4J038JB28 4J038JB32 4J038JB39 4J038JC02 4J038JC29 4J038JC30 4J038JC35 4J038JC38 4J038KA03 4J038KA04 4J038KA06 4J038KA08 4J038KA09 4J038KA10 4J038KA12 4J038MA14 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高耐熱性のエポキシ樹脂としては、多官能型のエポキシ樹脂などが知られている。多官能型のエポキシ樹脂としては、具体的には、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、ビスフェノールAノボラック型などのノボラック型エポキシ樹脂や、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルアミノフェノールなどの低分子型の窒素含有エポキシ樹脂などが挙げられる(非特許文献1参照)。プラスチック機能性材料辞典(産業調査会)、448−465頁 しかしながら、本発明者等が詳細に検討した結果、ノボラック型エポキシ樹脂は溶融時の粘度が高く、窒素含有エポキシ樹脂であるアミノフェノールトリグリシジルエーテルは150℃で保存したときに増粘し、保存安定性を改善する必要のあることが明らかとなった。そこで、本発明は、上記のような本発明者らが得た知見と背景技術に鑑みてなされたもので、成型性、加工性および保存安定性に優れ、且つ硬化させた場合に耐熱性に優れ、電気・電子材料に好適な硬化物となるエポキシ樹脂組成物を提供することを課題とする。 本発明者等が鋭意検討を重ねた結果、特定の骨格を有する窒素含有エポキシ樹脂が上記課題を解決しうることを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明の第1の要旨は、下記一般式(1)で表される窒素含有エポキシ樹脂に存する。(式中、A1はn価の有機基を表し、nは2以上の整数を表し、各B1および各B2は、各々独立に炭素数1以上10以下の有機基を表し、全てのB1および全てのB2に含まれるエポキシ基の合計数が3個以上である。) 本発明の第2の要旨は、第1の要旨に記載された窒素含有エポキシ樹脂であって、前記B1および前記B2の少なくとも何れか一方が下記一般式(2)で表わされる構造である窒素含有エポキシ樹脂に存する。(式中、各R1〜R3は、各々独立に水素原子、置換基を有していても良い炭素数1以上4以下のアルキル基またはハロゲン原子を表す。) 本発明の第3の要旨は、第2の要旨に記載された窒素含有エポキシ樹脂であって、前記R1〜R3が何れも水素原子である窒素含有エポキシ樹脂に存する。本発明の第4の要旨は、第1乃至3の何れか1つの要旨に記載された窒素含有エポキシ樹脂であって、前記A1が炭素数3以上20以下の有機基である窒素含有エポキシ樹脂に存する。 また、本発明の第5の要旨は、第1乃至4の何れか1つの要旨に記載された窒素含有エポキシ樹脂を含む、エポキシ樹脂組成物に存する。本発明の第6の要旨は、第5の要旨に記載されたエポキシ樹脂組成物であって、第1乃至4の何れか1つの要旨に記載された窒素含有エポキシ樹脂を、前記エポキシ樹脂組成物中に含まれるエポキシ樹脂の総量に対して10重量%以上含むエポキシ樹脂組成物に存する。本発明の第7の要旨は、第5又は6の要旨に記載されたエポキシ樹脂組成物であって、硬化剤および充填剤を含有するエポキシ樹脂組成物に存する。本発明の第8の要旨は、第7の要旨に記載されたエポキシ樹脂組成物であって、前記充填剤をエポキシ樹脂組成物中の全固形分に対し10重量%以上95重量%以下含有するエポキシ樹脂組成物に存する。 そして、本発明の第9の要旨は、第5乃至8の何れか1つの要旨に記載されたエポキシ樹脂組成物を硬化反応させてなる硬化物に存する。本発明の第10の要旨は、第9の要旨に記載された硬化物を有する電気・電子材料に存する。 本発明によれば、低粘度で成型性、加工性および保存安定性に優れ、且つ硬化させた場合に耐熱性に優れ、電気・電子材料に好適な硬化物となるエポキシ樹脂組成物を提供することが可能となる。 以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する説明は、本発明の実施の形態の一例であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の記載内容に限定されるものではない。 [窒素含有エポキシ樹脂] 本発明の窒素含有エポキシ樹脂は、下記一般式(1)で表される。(式中、A1はn価の有機基を表し、nは2以上の整数を表し、各B1および各B2は、各々独立に炭素数1以上10以下の有機基を表し、全てのB1および全てのB2に含まれるエポキシ基の合計数が3個以上である。) 一般式(1)において、nは2以上の整数を表し、A1の有機基の遊離原子価を表す。nは、本発明の窒素含有エポキシ樹脂を合成しやすい点から3以下であることが好ましく、2であることが最も好ましい。なお、ここで、本発明において、遊離原子価とは、有機化学・生化学命名法(上)(改定第2版、南江堂、1992年発行)に記載のとおり、他の遊離原子価と結合を形成できるものを言う。 一般式(1)において、A1は、n価の有機基を表わす。A1が有する炭素数は、窒素含有エポキシ樹脂の耐熱性と加工性のバランスを制御しやすい点では多いことが好ましく、一方、窒素含有エポキシ樹脂の低粘度化により加工性に優れる点では少ないことが好ましい。そこで、A1が有する炭素数は、1以上であることが好ましく、2以上であることが更に好ましく、3以上であることが特に好ましい。一方、また、一方で30以下であることが好ましく、20以下であることが更に好ましい。 A1が有する部分構造としては、例えば、1価以上の遊離原子価を有する、メタン、エタン、プロパンなどの鎖状飽和炭化水素;1価以上の遊離原子価を有する、エーテル、アミン、チオエーテル、ケトン、スルホン、シラン、エステル、炭酸エステル、アミド、ウレア、ウレタン、スルホンエステル、スルホンアミド、イミンなどのヘテロ原子を含む官能基;1価の遊離原子価を有するハロゲン原子;1価以上の遊離原子価を有する、エテニル、エチニルなどの鎖状不飽和炭化水素;1価以上の遊離原子価を有する、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロオクチル、環状エーテル、環状アミン、環状チオエーテル、環状スルホン、環状エステル、環状アミド、環状スルホンアミドなどのヘテロ原子を含んでいても良い3〜8員環脂肪族炭化水素;1価以上の遊離原子価を有する、ベンゼン、ピリジン、ピラジン、トリアジン、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾールなどの5〜6員環芳香族炭化水素;テトラヒドロナフタレン、ナフタレン、アントラセン、ベンゾフラン、ジベンゾチオフェンなどの前述の環構造の縮合環などが挙げられる。 これらのA1が有する部分構造は、本発明の窒素含有エポキシ樹脂を含む組成物を硬化させてなる硬化物(以下、「本発明の硬化物」と言う場合がある。)に必要な各種物性に応じて適宜選択すれば良い。具体的には、例えば、本発明の窒素含有エポキシ樹脂の低軟化点化による加工性向上および本発明の硬化物の柔軟性向上の点では、鎖状炭化水素構造を有することが好ましく、本発明の硬化物が耐熱性と柔軟性に優れる点からは、アルキル基であることが好ましい。一方、本発明の硬化物の耐熱性向上の点では環状構造を有することが好ましい。また、本発明の硬化物の金属などに対する接着性が強くなりやすい点では、ヘテロ原子を含む官能基を有することが好ましく、本発明の硬化物の吸水性が低くなりやすい点では、ヘテロ原子を含む官能基を有しないことが好ましい。本発明の窒素含有エポキシ樹脂の合成し易さの点では、アルキル基、アリールジアルキル基およびアリール基が好ましい。そこで、A1は、炭化水素基であることが好ましく、芳香族炭化水素基であることがより好ましく、5〜6員環の芳香族炭化水素基またはその縮合環であることが更に好ましく、6員環の芳香族炭化水素基が特に好ましく、フェニル基およびビフェニル基が最も好ましい。 一般式(1)において、nが2以上の整数であることから、本発明の窒素含有エポキシ樹脂は、B1およびB2をn個ずつ有する。各B1および各B2は、各々独立に、炭素数1以上10以下の有機基を表す。各B1および各B2は、容易に本発明の窒素含有エポキシ樹脂を合成しやすい点では同一であることが好ましい。一方、本発明の硬化物の物性を調整しやすい点では異なることが好ましい。 全てのB1および全てのB2に含まれるエポキシ基の合計数は3個以上である。エポキシ基の合計数は、耐熱性に優れる点では多いことが好ましい。一方、本発明の窒素含有エポキシ樹脂を合成しやすい点では少ないことが好ましい。そこで、エポキシ基の合計数は、3個以上であることが好ましく、4個以上であることが更に好ましく、また、一方で、8個以下であることが好ましく、6個以下であることが更に好ましく、4個であることが特に好ましい。 前記有機基は、アルキル基、アリール基およびエポキシ基などの上記一般式(1)における窒素原子と炭素原子とが結合している有機基であることが合成容易である点で好ましい。一方、スルホニル基などの一般式(1)における窒素原子とヘテロ原子とが結合した有機基であることが、本発明の窒素含有エポキシ樹脂が接着性に優れることから好ましい。ここで、このアルキル基、アリール基、アシル基、エポキシ基およびスルホニル基などは、置換基を有していても良い。また、各B1および各B2が有する炭素数は、本発明の窒素含有エポキシ樹脂が耐熱性と加工性のバランスを制御しやすい点では多いことが好ましく、一方、窒素含有エポキシ樹脂の低粘度化により加工性に優れる点では少ないことが好ましい。そこで、具体的には、各B1および各B2が有する炭素数は、1以上であることが好ましく、2以上であることが更に好ましい。また、一方で、9以下であることが好ましく、8以下であることが更に好ましい。 何れかのB1およびB2が置換基を有していても良いアルキル基である場合、該アルキル基は、飽和でも不飽和でも良く、鎖状でも環状でも良く、鎖状アルキル基は直鎖状でも分岐状でも良い。具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基などの無置換の飽和直鎖状アルキル基;イソプロピル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基などの無置換の飽和分岐状アルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの無置換の飽和環状アルキル基;アセチル基、エチルカルボニル基、n−プロピルカルボニル基、i−プロピルカルボニル基、n−ブチルカルボニル基、t−ブチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、フェニルカルボニル基などのアシル基;ヒドロキシメチル基、メトキシメチル基、アセチルオキシメチル基、メトキシエチル、トリフルオロメチル基などのヘテロ原子で置換されたアルキル基;ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、1−メチルエテニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、2−メチル−1−プロペニル基、1−ヘキセニル基、1−シクロヘキセニルなどの無置換のアルケニル基;2−ヒドロキシエテニル基、2−メトキシカルボニルエテニル基、2−シアノエテニル基などのヘテロ原子で置換されたアルケニル基;エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、1−ヘキジニル基などの無置換のアルキニル基;2−ヒドロキシエチニル基、2−メトキシエチニル基、2−トリメチルシリルエチニル基などのヘテロ原子で置換されたアルキニル基などが挙げられる。ここで、アシル基は、トリフルオロメチルカルボニル基、p−フルオロフェニルカルボニル基などのヘテロ原子で置換されたアシル基であっても良い。これらのうち、合成が容易であることからアルキル基、アルケニル基およびアシル基が好ましい。また、置換基を有していても良いアルキル基が有する炭素数は、8以下であることが好ましく、4以下であることが更に好ましく、3以下であることが特に好ましい。 何れかのB1およびB2が置換基を有していても良いアリール基である場合、該アリール基は、フェニル基などの無置換のフェニル基;1−メチルフェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基などのヘテロ原子を有さない置換アリール基;1−メトキシフェニル基、2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、1−フルオロフェニル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基などのヘテロ原子で置換されたアリール基などが挙げられる。これらのうち、合成が容易であることからフェニル基が好ましい。また、置換基を有していても良いアリール基が有する炭素数は、8以下であることが好ましく、6であることが特に好ましい。 何れかのB1およびB2が置換基を有していても良いエポキシ基である場合、該置換基を有するエポキシ基としては、グリシジル基、2−メチルグリシジル基、オキソシクロヘキシル基、エポキシカルボニルオキシ基などが挙げられる。また、置換基を有していても良いエポキシ基が有する炭素数は、合成が容易であることから8個以下であることが好ましく、4個以下であることが更に好ましく、3個であることが特に好ましい。そこで、これらのうち、グリシジル基が最も好ましい。 何れかのB1およびB2が置換基を有していても良いスルホニル基である場合、該置換基を有するスルホニル基としては、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、ブタンスルホニル基などのアルキルスルホニル基;ベンゼンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基などのアリールスルホニル基などが挙げられる。これらのうち、合成が容易であることからメタンスルホニル基及びp−トルエンスルホニル基が好ましい。 B1およびB2は、本発明に係る硬化物が耐熱性に優れる点では、置換基を有していても良いエポキシ基が好ましく、グリシジル基が特に好ましい。しかしながら、本発明の窒素含有エポキシ樹脂の合成が容易である点では、置換基を有していても良いアルキル基が更に好ましく、アルケニル基が特に好ましく、アリル基が最も好ましい。 本発明の窒素含有エポキシ樹脂は、エポキシ基を3個以上有する。本発明の窒素含有エポキシ樹脂が有するエポキシ基は、耐熱性に優れる点では多いことが好ましい。一方、本発明の窒素含有エポキシ樹脂を合成しやすい点では少ないことが好ましい。そこで、本発明の窒素含有エポキシ樹脂は、エポキシ基を3個以上有し、4個以上有することが好ましく、また、一方で、エポキシ基の数が8個以下であることが好ましく、6個以下であることが更に好ましく、4個であることが特に好ましい。 一般式(1)において、B1およびB2は、合成が容易であることから、少なくともその何れか一方が置換基を有していても良いエポキシ基であることが好ましく、下記一般式(2)で表わされる構造であることが更に好ましい。(式中、各R1〜R3は、各々独立に水素原子、置換基を有していても良い炭素数1以上4以下のアルキル基またはハロゲン原子を表す。) すなわち、本発明の窒素含有エポキシ樹脂は、下記一般式(3)〜(5)で表される樹脂であることが好ましい。なお、式(3)〜(5)におけるR1a〜R3aおよびR1b〜R3bは、式(2)のR1〜R3に相当する。(式中、A1はn価の有機基を表し、nは2以上の整数を表し、各B1は、各々独立に炭素数1以上10以下の有機基を表し、各R1a〜R3aは、各々独立に水素原子、置換基を有していても良い炭素数1以上4以下のアルキル基またはハロゲン原子を表す。)(式中、A1はn価の有機基を表し、nは2以上の整数を表し、各B2は、各々独立に炭素数1以上10以下の有機基を表し、各R1b〜R3bは、各々独立に水素原子、置換基を有していても良い炭素数1以上4以下のアルキル基またはハロゲン原子を表す。)(式中、A1はn価の有機基を表し、nは2以上の整数を表し、各B2は、各々独立に炭素数1以上10以下の有機基を表し、各R1a〜R3a及び各R1b〜R3bは、各々独立に水素原子、置換基を有していても良い炭素数1以上4以下のアルキル基またはハロゲン原子を表す。) また、本発明の窒素含有エポキシ樹脂が有する上記一般式(2)で表わされる構造の数は、本発明の硬化物が耐熱性に優れる点では多いことが好ましい。一方、硬化物中にエポキシ基が残存し難い点では少ないことが好ましい。そこで、3個以上であることが好ましく、4個以上であることが更に好ましく、また、一方で、6個以下であることが好ましく、4個であることが最も好ましい。 一般式(2)において、R1〜R3は、各々独立に水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基またはハロゲン原子を表す。 炭素数1以上4以下のアルキル基は、飽和でも不飽和でも良いが、合成が容易であることから鎖状であることが好ましい。鎖状アルキル基は直鎖状でも分岐状でも良い。また、炭素数1以上4以下のアルキル基は、置換基を有していても良い。置換基を有していても良いアルキル基が有する炭素数は、本発明の窒素含有エポキシ樹脂の低軟化点化による加工性向上の点では多いことが好ましく、一方、窒素含有エポキシ樹脂の保存安定性に優れる点では少ないことが好ましい。そこで、置換基が有する場合はその炭素数も含め、3個以下であることが好ましく、2個以下であることが更に好ましく、1個であることが特に好ましい。 炭素数1以上4以下の置換基を有していても良いアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基などの無置換の飽和直鎖状アルキル基;イソプロピル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基などの無置換の飽和分岐状アルキル基;ヒドロキシメチル基、メトキシメチル基、アセチルオキシメチル基、メトキシエチル、トリフルオロメチル基などのヘテロ原子で置換されたアルキル基;ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、1−メチルエテニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、2−メチル−1−プロペニル基などの無置換のアルケニル基;2−ヒドロキシエテニル基、2−メトキシカルボニルエテニル基、2−シアノエテニル基などのヘテロ原子で置換されたアルケニル基;エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基などの無置換のアルキニル基;2−ヒドロキシエチニル基、2−メトキシエチニル基、2−トリメチルシリルエチニル基などのヘテロ原子で置換されたアルキニル基などが挙げられる。これらのうち、合成が容易であることから無置換のアルキル基が好ましく、直鎖状アルキル基が更に好ましく、メチル基が特に好ましい。 R1〜R3がハロゲン原子である場合のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。これらのうち、本発明の窒素含有エポキシ樹脂が保存安定性に優れた樹脂となりやすいことから、フッ素原子および塩素原子が好ましい。 R1〜R3は、安定性の高い窒素含有エポキシ樹脂を容易に合成しやすいことから、水素原子またはメチル基が好ましく、水素原子が特に好ましい。なお、各グリシジルアミノ基におけるR1〜R3は、本発明の窒素含有エポキシ樹脂を合成しやすいことから、各々同一であることが好ましい。 本発明の窒素含有エポキシ樹脂の具体例を以下に示す。 これらのうち、特に以下の化合物が好ましい。 本発明の窒素含有エポキシ樹脂は、一般式(1)の窒素含有エポキシ樹脂B1またはB2が水素原子であるジヒドロキシ化合物とエピハロヒドリンとを混合し、塩基により縮合させることにより製造することができる。エピハロヒドリンは、別名2−ハロメチルオキシランとも言われる、分子式C3H5XOで表わされる有機化合物のことを言う。ここでXはハロゲン原子を表わす。エピハロヒドリンは、酸化プロピレンのメチル基の水素原子1つをハロゲン原子に置換した構造を有し、エポキシドとハロゲン化アルキルの両方の性質を示し、高い反応性を有することから、様々な化学物質の原料として用いられている。エピハロヒドリンは、エピクロヒドリンであることが好ましい。また、本発明の窒素含有エポキシ樹脂は、一般式(1)の窒素含有エポキシ樹脂におけるB1またはB2がアルケニル基となっているスルホンアミド化合物を酸化反応によりエポキシ化することによっても製造することができる。ここで、高純度の窒素含有エポキシ樹脂を得やすい点では、後者の方法が好ましい。 上記方法により本発明の窒素含有エポキシ樹脂を製造した場合、本発明の窒素含有エポキシ樹脂には未反応原料や反応副生成物などが含まれることがある。具体的には、前者の方法の場合、未反応エピハロヒドリン、本発明の窒素含有エポキシ樹脂と未反応原料とが反応して生成するオリゴマーなどがあり、後者の方法の場合、未反応アルケニル基を含むスルホンアミド化合物などがある。 本発明の窒素含有エポキシ樹脂の純度は、エポキシ当量によって見積もることができる。エポキシ当量は、JIS K7236:2001に記載の方法で測定することにより固形分換算値として得ることができる。なお、固形分は、全固形分とは、本発明の窒素含有エポキシ樹脂に含まれる溶剤などの揮発成分以外の成分のことを言う。 本発明の窒素含有エポキシ樹脂のエポキシ当量は、不純物が少なく、本発明の窒素含有エポキシ樹脂を含有する組成物の加工性や本発明の硬化物の耐熱性などに優れることから、以下の範囲とすることが好ましい。すなわち、エポキシ当量は、理論値の通常0.7倍以上、好ましくは0.8倍以上、更に好ましくは0.9倍以上であり、また、一方、通常3倍以下、好ましくは2倍以下、更に好ましくは1.5倍以下であることが良い。ここで理論値とは、上記一般式(1)における分子のモル質量を、該式(1)が有するエポキシ基の数で割った値(単位はg/当量である)を表す。 本発明の窒素含有エポキシ樹脂のせん断粘度は、揮発し難くなる点からは高いことが好ましく、成型性および加工性に優れる点では低いことが好ましい。具体的には、3mPa・s以上であることが好ましく、4mPa・s以上であることが更に好ましく、5mPa・s以上であることが特に好ましく、また、一方で、200mPa・s以下であることが好ましく、100mPa・s以下であることが更に好ましく、70mPa・s以下であることが特に好ましい。ここで、せん断粘度は、1.45gの窒素含有エポキシ樹脂を直径50mmのプレート中に厚み0.5mm、150℃、外周部を150回転/分となるようでパラレルプレートを回転させたときのせん断粘度を表す。 [エポキシ樹脂組成物] 本発明のエポキシ樹脂組成物は、本発明の窒素含有エポキシ樹脂を含有する。本発明のエポキシ樹脂組成物は、本発明の窒素含有エポキシ樹脂を含有することにより、低粘度でフィルム成形や塗布などのプロセスに適用するのに十分な加工性、成型性および保存安定性に優れる。また、硬化させた場合に耐熱性を発現しやすい。そこで、接着剤、塗料、土木建築用材料、電気・電子材料などに好適である。 本発明のエポキシ樹脂組成物は、本発明の窒素含有エポキシ樹脂を含有することにより発現される効果を大幅に妨げられなければ、本発明の窒素含有エポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂(以下、「他のエポキシ樹脂」と言う場合がある。)、硬化剤、充填剤、その他の添加剤および溶媒などを含んでいても良い。本発明のエポキシ樹脂組成物が本発明の窒素含有エポキシ樹脂以外の成分を含む場合、その含有量は、通常、本発明の窒素含有エポキシ樹脂を含有することにより発現される効果を大幅に妨げない範囲で、本発明の窒素含有エポキシ樹脂以外の成分を含むことによる効果を発現できる量とする。 本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれる全固形分に対する、本発明の窒素含有エポキシ樹脂の含有割合は、本発明の窒素含有エポキシ樹脂の有する特性を十分に発現させやすい点では多いことが好ましく、本発明の窒素含有エポキシ樹脂以外の成分の特性を十分に発現しやすい点では少ないことが好ましい。そこで、通常0.1重量%以上、好ましくは0.2重量%以上、特に好ましくは0.4重量%以上であることが良く、通常95重量%以下、好ましくは90重量%以下、特に好ましくは80重量%以下であることが良い。なお、本発明のエポキシ樹脂組成物に2種以上の本発明の窒素含有エポキシ樹脂が含まれている場合は、その合計量が上記範囲であることが好ましい。 [他のエポキシ樹脂] 本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれていても良い他のエポキシ樹脂としては、分子内に2個以上のエポキシ基を有するものが好ましい。具体的には、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等の各種エポキシ樹脂などを挙げることができる。また、「プラスチック機能性高分子材料辞典」(第1版、産業調査会、2004年)448−465頁、「総説エポキシ樹脂 第1巻〜第4巻」(第1版、エポキシ樹脂技術協会、2003年)および「総説エポキシ樹脂 最近の進捗I」(第1版、エポキシ樹脂技術協会、2009年)などに記載されているエポキシ樹脂を用いても良い。なお、これらは1種のみでも、2種以上を任意の組み合わせと比率で用いても良い。 本発明のエポキシ樹脂組成物に他のエポキシ樹脂が含有される場合、組成物中の本発明の窒素含有エポキシ樹脂も含めたエポキシ樹脂の総量に対する、本発明の窒素含有エポキシ樹脂の含有量は、多い方が本発明の窒素含有エポキシ樹脂が有する優れた成型性、加工性、保存安定性、これを含有する組成物を硬化させた場合の耐熱性の効果を発現しやすいが、少ない方が他のエポキシ樹脂が有する加工制御性やこれを含有する組成物を硬化させた場合の物性の制御性などの効果が発現しやすい。そこで、具体的には、組成物中のエポキシ樹脂の総量に対する、本発明の窒素含有エポキシ樹脂の含有量は、通常0.1重量%以上、好ましくは10重量%以上、更に好ましくは20重量%以上、特に好ましくは40重量%以上であり、また、一方、好ましくは95重量%以下、特に好ましくは90重量%以下である。 また、本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれる全固形分に対する、本発明の窒素含有エポキシ樹脂も含めたエポキシ樹脂の総含有量は、エポキシ樹脂の特性を十分に発現しやすい点では多いことが好ましく、エポキシ樹脂以外の成分の有する物性を十分に発現しやすい点では少ないことが好ましい。そこで、通常1重量%以上、好ましくは3重量%以上、特に好ましくは5重量%以上であることが良く、通常95重量%以下、好ましくは80重量%以下、特に好ましくは70重量%以下であることが良い。 [硬化剤] 本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれていても良い硬化剤は、本発明の窒素含有エポキシ樹脂が有するエポキシ基の架橋反応に寄与する物質であれば良く、一般的にエポキシ樹脂硬化剤と言われている硬化剤の他、一般的に硬化促進剤として知られているものなども含める。すなわち、本発明に係る硬化剤は、本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂のエポキシ基間の架橋反応に寄与する物質、または本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂同士の架橋反応やエポキシ樹脂と硬化剤との付加反応を促進させる機能を発現する物質である。 一般的にエポキシ樹脂の硬化剤と言われている硬化剤しては、例えば、フェノール系硬化剤、エステル系硬化剤、ベンゾオキサジン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、1級および2級アミン系硬化剤、メルカプタン系硬化剤、アミド系硬化剤、ブロックイソシアネート系硬化剤等が挙げられる。また、フェノキシ樹脂を硬化剤として用いることも可能である。フェノール系硬化剤は、公知の各種フェノール系硬化剤を用いることができる。具体例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールAD、ハイドロキノン、レゾルシン、メチルレゾルシン、ビフェノール、テトラメチルビフェノール、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシジフェニルエーテル、チオジフェノール類、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、テルペンフェノール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂、臭素化ビスフェノールA、臭素化フェノールノボラック樹脂などの多価フェノール類;フェノール類とベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、グリオキザールなどのアルデヒド類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂類;キシレン樹脂とフェノール類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂類;重質油やピッチ類とフェノール類とホルムアルデヒド類との共縮合樹脂等のフェノール樹脂類等などが挙げられる。これらのうち、フェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、トリスフェノールメタン樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、フェノール・ベンズアルデヒド・キシリレンジメトキサイド重縮合物、フェノール・ベンズアルデヒド・4,4’−ジメトキシビフェニル重縮合物等が好ましい。 エステル系硬化剤は、通常、活性エステル硬化剤とシアネートエステル樹脂に大別される。 活性エステル硬化剤は、フェノールエステル化合物、チオフェノールエステル化合物、N−ヒドロキシアミンエステル化合物、複素環ヒドロキシ基がエステル化された化合物等の反応活性の高いエステル基を有し、エポキシ樹脂の硬化作用を有する物質を言う。活性エステル硬化剤は、2個以上の活性エステル基を有する化合物が好ましい。特に、本発明のエポキシ基樹脂組成物を硬化させてなる硬化物の耐熱性向上という観点から、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物とから得られる活性エステル化合物がより好ましく、カルボン酸化合物と、フェノール化合物又はナフトール化合物とから得られる活性エステル化合物がより好ましい。また、カルボン酸化合物とフェノール性水酸基を有する芳香族化合物とから得られる2個以上の活性エステル基を持つ芳香族化合物が更に好ましく、少なくとも2個以上のカルボン酸を有する化合物とフェノール性水酸基を有する芳香族化合物とから得られる2個以上の活性エステル基を有する芳香族化合物が特に好ましい。活性エステル硬化剤は、直鎖状または多分岐状であっても良い。ここで、少なくとも2個以上のカルボン酸を有する化合物が脂肪族鎖を含む化合物であれば、エポキシ樹脂との相溶性を高くすることができ、芳香族環を有する化合物であれば、本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化させてなる硬化物の耐熱性を高くすることができる。カルボン酸化合物としては、具体的には、例えば、安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。これらのうち、本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化させてなる硬化物の耐熱性向上の観点からコハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸が好ましく、イソフタル酸、テレフタル酸がより好ましい。フェノール化合物又はナフトール化合物としては、具体的には、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、カテコール、α−ナフトール、β−ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラック等が挙げられる。これらのうち、溶解性向上および本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化させてなる硬化物の耐熱性向上の観点から、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、カテコール、α−ナフトール、β−ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラックが好ましく、カテコール、α−ナフトール、β−ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラックがより好ましく、α−ナフトール、β−ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラックが更に好ましく、α−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラックが特に好ましく、α−ナフトール、β−ナフトール、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラックが殊更好ましく、α−ナフトール、β−ナフトール、ジシクロペンタジエニルジフェノールが最も好ましい。また、活性エステル化合物としては、特開2004−277460号公開公報に開示されている活性エステル化合物を用いても良いし、各種市販品を用いても良い。市販品としては、例えば、ジシクロペンタジエニルジフェノール構造を含むものとして、DIC(株)製「EXB−9451」、「EXB−9460」が、フェノールノボラックのアセチル化物として、三菱化学(株)製「DC808」、フェノールノボラックのベンゾイル化物として、三菱化学(株)製「YLH1026」などが挙げられる。 シアネートエステル樹脂の具体例としては、例えば、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート(オリゴ(3−メチレン−1,5−フェニレンシアネート)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルフェニルシアネート)、4,4’−エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2−ビス(4−シアネート)フェニルプロパン、1,1−ビス(4−シアネートフェニルメタン)、ビス(4−シアネート−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,3−ビス(4−シアネートフェニル−1−(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4−シアネートフェニル)チオエーテル、ビス(4−シアネートフェニル)エーテル等の2官能シアネート樹脂;フェノールノボラック、クレゾールノボラック等から誘導される多官能シアネート樹脂;これらシアネート樹脂が一部トリアジン化したプレポリマーなどが挙げられる。市販のシアネートエステル樹脂としては、フェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂(ロンザジャパン(株)製「PT30」、シアネート当量124)やビスフェノールAジシアネートの一部または全部がトリアジン化され三量体となったプレポリマー(ロンザジャパン(株)製「BA230」、シアネート当量232)等が挙げられる。 ベンゾオキサジン系硬化剤の具体例としては、F−a、P−d(四国化成(株)製)、HFB2006M(昭和高分子(株)製)などが挙げられる。 酸無水物系硬化剤の具体例としては、ドデセニル無水コハク酸、ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、ポリセバシン酸無水物、ポリ(エチルオクタデカン二酸)無水物、ポリ(フェニルヘキサデカン二酸)無水物、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルハイミック酸、テトラヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビストリメリテート二無水物、無水ヘット酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物、1−メチル−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物等が挙げられる。1級および2級アミン系硬化剤の具体例としては、脂肪族アミン類、ポリエーテルアミン類、脂環式アミン類、芳香族アミン類などが挙げられる。脂肪族アミン類としては、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノプロパン、ヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、テトラ(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン等が挙げられる。ポリエーテルアミン類としては、トリエチレングリコールジアミン、テトラエチレングリコールジアミン、ジエチレングリコールビス(プロピルアミン)、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレントリアミン類等が挙げられる。脂環式アミン類としては、イソホロンジアミン、メタセンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、ノルボルネンジアミン等が挙げられる。芳香族アミン類としては、テトラクロロ−p−キシレンジアミン、m−キシレンジアミン、p−キシレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノアニソール、2,4−トルエンジアミン、2,4−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン、2,4−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、m−アミノフェノール、m−アミノベンジルアミン、ベンジルジメチルアミン、2−ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエタノールアミン、メチルベンジルアミン、α−(m−アミノフェニル)エチルアミン、α−(p−アミノフェニル)エチルアミン、ジアミノジエチルジメチルジフェニルメタン、α,α’−ビス(4−アミノフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン等が挙げられる。 フェノキシ樹脂は、公知のフェノキシ樹脂を用いることができる。フェノキシ樹脂は、重量平均分子量が5,000以上、200,000以下で、エポキシ当量が2,000g/当量以上、100,000g/当量以下であるエポキシ樹脂が好ましい。本発明のエポキシ樹脂組成物にフェノキシ樹脂が含まれることにより、本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化させてなる硬化物がフィルムである場合にその可撓性を向上させることもできる。フェノキシ樹脂の具体例としては、東都化成(株)製「FX280」、「FX293」、三菱化学(株)製「YX8100」、「YX6954(YL6954)」、「YL6974」等が挙げられる。 本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれているこれらの硬化剤の含有量は、本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ基が未反応のまま残留し難く、短時間で十分に硬化させやすい点では多い方が好ましい。一方、本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化させた硬化物に硬化剤のエポキシ基と反応する部位が未反応のまま残留し難い点では少ないことが好ましい。具体的には、本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ基と、硬化剤における反応部位(フェノール系硬化剤の水酸基、エステル系硬化剤のエステル基、ベンゾオキサジン系硬化剤のNO基、酸無水物系硬化剤の酸無水物基、アミン系硬化剤のアミノ基など)との当量比で、0.3以上となるように用いることが好ましく、0.8以上となるように用いることが更に好ましく、0.9以上となるように用いることが特に好ましい。また、一方で、1.5以下となるように用いることが好ましく、1.2以下となるように用いることが更に好ましい。なお、硬化剤は、1種のみ用いても、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で用いても良い。2種以上の硬化剤を用いた場合におけるその含有量は、合計量が上記の好ましい範囲であることが好ましい。 一般的に硬化促進剤と言われることが多い硬化剤しては、イミダゾール系硬化促進剤、3級アミン系硬化促進剤、有機ホスフィン系硬化促進剤、ホスホニウム塩系硬化促進剤、テトラフェニルボロン塩系硬化促進剤、金属系硬化促進剤、有機酸ジヒドラジド、ハロゲン化ホウ素アミン錯体などが挙げられる。 イミダゾール系硬化促進剤の具体例としては、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル−a]ベンズイミダゾール、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムク酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2ロライド、2−メチルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン等のイミダゾール化合物及びイミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体が挙げられる。 3級アミン系硬化促進剤の具体例としては、としては、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどのトリアルキルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6,−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセンなどの3級アミン化合物及びこれらの3級アミン化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体が挙げられる。 本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれる上記イミダゾール系硬化促進剤および上記アミン系硬化促進剤の含有量は、本発明のエポキシ樹脂組成物を短時間で十分に硬化させやすい点では多いことが好ましい。一方、本発明のエポキシ樹脂組成物の保存安定性、熱膨張率の低さ、硬化させた硬化物への硬化剤の影響が出難い点では少ないことが好ましい。具体的には、本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂100重量部に対して、0.1重量部以上となるように用いることが好ましく、0.2重量部以上となるように用いることが更に好ましく、また、一方で、20重量部以下となるように用いることが好ましく、10重量部以下となるように用いることが更に好ましい。 有機ホスフィン系硬化促進剤、ホスホニウム塩系硬化促進剤、テトラフェニルボロン塩系硬化促進剤としては、トリフェニルホスフィン、ジフェニル(p−トリル)ホスフィン、トリス(アルキルフェニル)ホスフィン、トリス(アルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(アルキル・アルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルコキシフェニル)ホスフィン、トリアルキルホスフィン、ジアルキルアリールホスフィン、アルキルジアリールホスフィン等の有機ホスフィン類;これらの有機ホスフィン類と有機ボロン類との錯体;これらの有機ホスフィン類に無水マレイン酸、1,4−ベンゾキノン、2,5−トルキノン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルベンゾキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−5−メチル−1,4−ベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン、フェニル−1,4−ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタンなどの化合物が付加された化合物等が挙げられる。本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれるこれらの硬化促進剤の含有量は、本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂100重量部に対して、0.001重量部以上となるように用いることが好ましく、0.005重量部以上となるように用いることが更に好ましく、また、一方で、20重量部以下となるように用いることが好ましく、10重量部以下となるように用いることが更に好ましく、5重量部以下となるように用いることが特に好ましい。 金属系硬化促進剤としては、コバルト 、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、マンガン、スズ等の金属の有機金属錯体又は有機金属塩などが挙げられる。有機金属錯体の具体例としては、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート等の有機コバルト錯体、銅(II)アセチルアセトナート等の有機銅錯体、亜鉛(II)アセチルアセトナート等の有機亜鉛錯体、鉄(III)アセチルアセトナート等の有機鉄錯体、ニッケル(II)アセチルアセトナート等の有機ニッケル錯体、マンガン(II)アセチルアセトナート等の有機マンガン錯体などが挙げられる。有機金属塩としては、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸スズ、ステアリン酸亜鉛などが挙げられる。これらのうち、溶剤溶解性、本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化性の観点から、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート、亜鉛(II)アセチルアセトナート、ナフテン酸亜鉛、鉄(III)アセチルアセトナートが好ましく、コバルト(III)アセチルアセトナート、ナフテン酸亜鉛が特に好ましい。本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれる金属系硬化促進剤の含有量は、低粗度の絶縁層表面にピール強度に優れる導体層を形成しやすい点では多いことが好ましい。一方、本発明のエポキシ樹脂組成物が保存安定性や絶縁性に優れる点では少ない。そこで、組成物中の不揮発分に対し、金属系硬化剤由来の金属が500ppm以下であることが好ましく、200ppm以下であることが更に好ましく、また、一方で、20ppm以上であることが好ましく、30ppm以上であることが更に好ましい。 これらのうち、特に、シアネートエステル樹脂を用いる場合は、シアネートエステル樹脂とエポキシ樹脂とを効率的に硬化させやすいことから、金属系硬化剤、イミダゾール系硬化剤、アミン系硬化剤等を併用することが好ましい。 また、「総説エポキシ樹脂 第1巻」(第1版、エポキシ樹脂技術協会、2003年)の119−209頁および「総説エポキシ樹脂 最近の進捗I」(第1版、エポキシ樹脂技術協会、2009年)の43−84頁に記載されている硬化剤や硬化促進剤を用いても良い。 硬化剤の種類や組み合わせおよびその量は、硬化条件、硬化物の形状、硬化物の接着性や曲げ強度などの物性などのバランスに応じて選択すれば良い。 [充填剤] 本発明のエポキシ樹脂組成物に充填剤が含まれていると、本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化させることにより、低線膨張率、高熱伝導性、難燃性、導電性などの充填剤が有する物性を硬化物に付与することができる。 充填剤の種類は、所望の物性などに応じて選択すれば良い。例えば、安価に絶縁性の組成物を得たい場合は、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、シリカなどの絶縁性充填剤を用いることが好ましく、これらの内、特に高熱伝導率な組成物を得たい場合は、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素などが好ましい。導電性の組成物を得たい場合は、アルミニウム、銀、銅、炭素、炭化ケイ素などの電気伝導性充填剤を用いることが好ましく、これらの内、特に加工性に優れる組成物を得たい場合は、銀が好ましい。 充填剤の形状及び粒径については、本発明のエポキシ樹脂組成物の優れた物性が大幅に妨げられることなく、充填剤含有による所望の効果が発現されれば特に限定されない。但し、充填剤の形状については、加工性に優れる組成物を得たい場合は球状などの表面積が小さい充填剤が、充填剤が有する熱伝導率などの機能が発現しやすい点では繊維状などの表面積が大きい充填剤が、両者のバランスを取りやすい点では扁平状などの表面積が両者の中間の充填剤が各々好ましい。 充填剤の粒径は、本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化させてなる硬化物中に空隙が生じ難い点では小さいことが好ましい。一方、充填剤が凝集せず分散しやすい点では大きいことが好ましい。そこで、具体的には、粒径が0.05μm以上であることが好ましく、0.1μm以上であることが更に好ましく、0.5μm以上であることが特に好ましく、また、一方、1000μm以下であることが好ましく、200μm以下であることが更に好ましく、100μm以下であることが特に好ましい。粒径は、レーザー回折散乱法や沈降法などの方法により測定することができる。 本発明のエポキシ樹脂組成物が充填剤を含む場合の充填剤の含有量は、充填剤を用いたことによる効果が発揮されやすい点では多いことが好ましい。一方、本発明のエポキシ樹脂組成物が加工性に優れたものとなりやすい点では少ないことが好ましい。そこで、具体的には、充填剤の含有量は、10重量%以上であることが好ましく、20重量%以上であることが好ましく、また、一方、95重量%以下であることが好ましく、90重量%以下であることが更に好ましい。充填剤は、1種のみで用いても、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で用いても良い。2種以上の充填剤を用いた場合におけるその含有量は、合計量が上記の好ましい範囲であることが好ましい。 [その他添加剤] 本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれていても良いその他の添加材としては、例えば、以下の添加剤などが挙げられる。本発明のエポキシ樹脂組成物及びこれを硬化させてなる硬化物と基材との接着性、および本発明のエポキシ樹脂組成物に無機充填剤が含まれる場合に本発明のグリシジルアミン化合物とこの無機充填剤との接着性を向上させるために用いるシランカップリング剤やチタネートカップリング剤等のカップリング剤;保存安定性向上のために用いる紫外線防止剤、酸化防止剤、可塑剤;はんだの酸化皮膜除去のためのフラックス;難燃剤;着色剤;分散剤;乳化剤;低弾性化剤;希釈剤;消泡剤;イオントラップ剤等が挙げられる。 シランカップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン;γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン;3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシラン;p−スチリルトリメトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(8−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のビニルシラン;エポキシ系、アミノ系、ビニル系の高分子タイプのシラン等が挙げられる。 チタネートカップリング剤としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル・アミノエチル)チタネート、ジイソプロピルビス(ジオクチルホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート等が挙げられる。 本発明のエポキシ樹脂組成物がカップリング剤を含む場合のカップリング剤の含有量は、カップリング剤配合による接着効果を得やすい点では多いことが好ましい。一方、カップリング剤がブリードアウトし難い点では少ないことが好ましい。そこで、具体的には、本発明のエポキシ樹脂組成物中の全固形分に対するカップリング剤の含有量は、0.1重量%以上、2.0重量%以下であることが好ましい。カップリング剤は、1種のみで用いても、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で用いても良い。2種以上のカップリング剤を用いた場合におけるその含有量は、合計量が上記の好ましい範囲であることが好ましい。 [溶媒] 本発明のエポキシ樹脂組成物は、加工時の粘度調整および硬化させるときの取り扱い性などのための溶媒を含有していても良い。溶媒は、本発明の窒素含有エポキシ樹脂を製造するときに用いた溶媒を利用しても良い。本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれる溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;ヘキサン、シクロヘキサン等のアルカン類;トルエン、キシレン等の芳香族類などが挙げられる。溶媒を用いる場合の量は、溶媒残留により硬化物中にボイドが形成され難い点では用いない又は少ないことが好ましい。一方、組成物の高粘度化に伴うクラックが発生し難い点では多いことが好ましい。これらの溶媒は、1種のみで用いても、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で用いても良い。 [硬化物] 本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化させることにより、本発明の硬化物を得ることができる。本発明の硬化物は、本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化させているため、耐熱性に優れる。硬化方法や条件については、本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化させることができれば特に規定されない。但し、成型が容易であることから熱硬化が好ましい。 本発明の硬化物は、本発明の窒素含有エポキシ樹脂を含有する組成物を硬化させているためにガラス転移温度が高く、耐熱性に優れている。本発明の硬化物の示差熱量測定により測定されるガラス転移温度は、例えば、硬化剤としてPSM6200(群栄化学社製)とトリフェニルホスフィンを併用し、175℃で硬化させた場合、通常50℃以上、好ましくは100℃以上、より好ましくは140℃以上である。なお、ガラス転移温度の上限は通常350℃である。 [用途] 本発明の窒素含有エポキシ樹脂およびこれを含む組成物は、塗布、混合、フィルム成形等のプロセスに適用するのに十分な加工性を有する。また、他の樹脂の改質剤や各種アダクトや熱可塑性樹脂などの化学品の原料などの用途にも好ましく用いることができる。 そして、この組成物を硬化させた硬化物は、耐熱性及び熱伝導率に優れる。そこで、接着剤、塗料、土木建築用材料、電気・電子分野における絶縁材料などの様々な分野の材料として適用可能である。特に、電気・電子分野における絶縁注型、積層材料、封止材料等として有用である。本発明の窒素含有エポキシ樹脂を含む組成物およびその硬化物の用途の一例としては、多層プリント配線基板、フィルム状接着剤、液状接着剤、半導体封止材料、アンダーフィル材料、3D−LSI用インターチップフィル、絶縁シート、プリプレグ、放熱基板等が挙げられる。 [特性が発現する理由] 本発明の窒素含有エポキシ樹脂を含有することにより、低粘度でフィルム成形や塗布などのプロセスに適用するのに十分な加工性、成型性および保存安定性に優れ、硬化させた場合に耐熱性を発現しやすい組成物が得られる理由については、以下のように推定される。通常、窒素含有エポキシ樹脂は、多官能な低分子のエポキシ樹脂としやすいため、低粘度でこれを硬化させてなる硬化物の耐熱性にも優れていることが知られている。しかしながら、従来公知の窒素含有エポキシ樹脂は、樹脂内に塩基性の窒素原子を有しており、これが自身の硬化触媒として働くことために保存安定性が不十分であった。これに対し、本発明の窒素含有エポキシ樹脂は、スルホニル基の存在によりアミノ基の塩基性を低下させている。一般的に、ベンゼンスルホンアミドの水中における酸解離定数が11の弱酸性であることもこの推定を裏付けている。そして、このように多官能な低分子でありながら、自己触媒性のない部分骨格を有することにより、上記物性を両立することができる。そして、本発明の窒素含有エポキシ樹脂を用いることにより発現されるこの優れた効果は、本発明の窒素含有エポキシ樹脂におけるA1、B1,B2、R1〜R3およびnが上記範囲であれば、多官能かつ低粘性のエポキシ樹脂としやすいことから発現されると考えられる。 以下に本発明の実施例および比較例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。 なお、実施例および比較例における各種分析は、以下の通り行った。 [エポキシ当量] JIS K7236:2001に記載の方法で測定することにより、固形分換算値として得た。 [軟化点測定] Stuart Scientific社製軟化点測定装置「SMP3」を用いて測定した。具体的には、1℃/分で昇温し、固体が全て融解した時点での温度を軟化点とした。 [核磁気共鳴スペクトル(NMR)解析] Bruker社製核磁気共鳴スペクトル装置「400 Ultrashield」(400MHz)を用いて、核磁気共鳴スペクトルを測定した。サンプルは、重クロロホルムに溶解させて測定に供した。 [粘度分析] アントン・パール社製粘弾性測定装置「MCR−301」を用いて粘度を測定した。具体的には、1.45gのサンプルを直径50mmのディスポーザルアルミ皿にいれ、以下の条件で150℃におけるせん断粘度を求めた。 プレート:直径50mmアルミ製パラレルプレート ギャップ:0.50mm せん断速度:150回/分(外周部) [ガラス転移点(Tg)] エスアイアイ・ナノテクノロジー社製示差熱量分析装置「DSC6220」を用いてガラス転移点を測定した。具体的には、5mgのサンプルを以下の条件で分析し、観測された吸熱挙動のピークトップをガラス転移点とした。 容器:AuメッキSUS製耐圧試料容器 雰囲気:窒素雰囲気下 昇温条件:5〜200℃ 昇温速度:10℃/分 [窒素含有エポキシ樹脂] <実施例1> 以下の式(6)の構造である窒素含有エポキシ樹脂を合成した。 フラスコに、m−ビス(ジアリルアミノスルホニル)ベンゼン6.7g(16.9mmol)をクロロホルム134cm3に溶解させた。70重量%のm−クロロ過安息香酸25g(101mmol)を加え、室温(15〜25℃)で3時間反応させた後、フラスコ内温を50℃に上げて更に2時間反応させた。得られた反応混合物を室温に冷却した後、5重量%チオ硫酸ナトリウム水溶液を加えて反応を停止させた後、油層を炭酸水素ナトリウム水溶液および水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムを加えた後にろ過することにより水を除去した後、減圧することにより溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、無色の液体を4.8g得た。 得られた液体を核磁気共鳴スペクトル測定により分析し、以下の結果が得られたことから、この液体が上記式(6)の構造である窒素含有エポキシ樹脂であることが確認された。収率は62%であった。 1H−NMR(δ:CDCl3):8.33(m、1H)、8.08(dq、J=10Hz、2.5Hz、2H)、7.72(tt、J=9.5Hz、2.5Hz、1H)、3.79(d、J=17.5Hz、2H)、3.72(d、J=18.5Hz、2H)、3.23〜3.12(m、8H)、2.80(m、4H)、2.58(m、4H) 13C−NMR(δ:CDCl3):141.6,131.4、130.7、126.3、51.8、51.1、50.8、50.4、45.5 この窒素含有エポキシ樹脂のエポキシ当量は115g/当量、150℃におけるせん断粘度は31mPa・sであった。また、この窒素含有エポキシ樹脂を150℃で1時間保持したが、性状に変化はなかった。 <実施例2> 以下の式(7)の構造である窒素含有エポキシ樹脂を合成した。 フラスコ内で、4,4‘−ビス(ジアリルアミノスルホニル)ビフェニル5.3g(11mmol)をクロロホルム90cm3に溶解させた。70重量%のm−クロロ過安息香酸22g(89mmol)を加え、室温(15〜25℃)で3時間反応させた後、フラスコ内温を50℃に上げて2時間反応させた。得られた反応混合物を室温に冷却した後、5重量%のチオ硫酸ナトリウム水溶液を加えて反応を停止させた後、油層を炭酸水素ナトリウム水溶液および水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムを加えた後にろ過することにより水を除去した後、減圧することにより溶媒を留去し、その残渣を更にメタノールで洗浄することにより白色の固体4.0gを得た。 得られた白色固体の核磁気共鳴スペクトルを測定し、以下の結果が得られたことから、この固体が上記式(7)の構造である窒素含有エポキシ樹脂であることが確認された。収率は66%であった。 1H−NMR(δ:CDCl3):7.96(dd、J=10.5Hz、3Hz、2H)、7.75(dd、J=11.0Hz、2Hz、2H)、3.76(d、J=14.0Hz、2H)、3.69(d、J=14.5Hz、2H)、3.15〜3.24(m、4H)、2.82(m、4H)、2.61(m、4H) 13C−NMR(δ:CDCl3):143.6、139.4、128.3、127.9、51.6、51.0、50.7、50.3、45.4 この窒素含有エポキシ樹脂のエポキシ当量は138g/当量)、軟化点は148℃、150℃におけるせん断粘度は84mPa・sであった。また、この窒素含有エポキシ樹脂を150℃で1時間保持したが、性状に変化はなかった。 <実施例3> 以下の式(8)の構造である窒素含有エポキシ樹脂を合成した。 フラスコ内で、1,5−ビス(ジアリルアミノスルホニル)ナフタレン16.5g(36.9mmol)をトルエン66cm3に溶解させた。そこに水4.0cm3 、N−ブチル−N,N−ジ[2−(4−t−ブチルベンゾイルオキシ)エチル]−N−メチルアンモニウムモノメチル硫酸塩1.72g(3.69mmol) 、8.1重量%リン酸水溶液12.5cm3(10.3mmol)、タングステン酸ナトリウム二水和物2.46g(7.38mmol)を加え、フラスコ内温70℃で撹拌した。ここに35重量%過酸化水素14.3cm3(166mmol)を10時間かけて加え、さらにフラスコ内温70 ℃で2時間撹拌した。 得られた反応混合物を40℃に冷却した後に静置して水層を抜き出し、残った油層に5重量%チオ硫酸ナトリウム水溶液を加えて反応を停止した後、分液して得られた水層を60℃に加熱し、トルエンを用いて再抽出した。この操作をさらに2回繰り返し、得られた油層は全て先の油層と混合した。この油層を40℃に加熱したところに、メタノール16.5cm3と炭酸カリウム2.05g(14.9mmol)を加えて40分撹拌した。得られた反応混合物を1mol/cm3の水酸化ナトリウム水溶液と飽和硫酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。油層に無水硫酸ナトリウムを加えた後にろ過することにより水を除去した後、減圧することにより溶媒を留去した。得られた残渣をトルエンから再結晶することで、白色の固体11.7gを得た。 得られた白色の固体の核磁気共鳴スペクトルを測定し、以下の結果が得られたことから、この固体が上記式(8)の構造である窒素含有エポキシ樹脂であることが確認された。収率は62%であった。 1H−NMR(δ:CDCl3):δ8.99(dd、J=8.5Hz、13.0Hz、1H),8.33(dd、J=7.5Hz、13.0Hz、1H)、7.76(dd、J=7.5Hz、8.5Hz、1H)、3.86(dd、J=3.0Hz、15.0Hz、1H),3.82(dd、J=4.0Hz、15.5Hz、1H)、3.30(dd、J=7.0Hz、15.5Hz、1H)、3.29(dd、J=7.5Hz、15.5Hz、1H)、3.12−3.07(m、2H),2.77(dd、J=4.0Hz、4.5Hz、1H)、2.76(dd、J=4.0Hz、4.5Hz、1H)、2.57(dd、J=2.5Hz、4.5Hz、1H)、2.55(dd、J=2.5Hz、4.5Hz、1H). 13C−NMR(δ:CDCl3):136.2、136.0、131.0、130.93、130.89、130.3、130.0、129.95、129.92、51.4、50.7、50.5、50.2、45.5、45.4. この窒素含有エポキシ樹脂のエポキシ当量は142g/当量)、軟化点は118℃、150℃におけるせん断粘度は83mPa・sであった。また、この窒素含有エポキシ樹脂を150℃で1時間保持したが、性状に変化はなかった。 <参考データ> 三菱化学(株)製ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂「157s70」(エポキシ当量212g/当量)の軟化点は70℃、150℃におけるせん断粘度は340mPa・sであった。 三菱化学(株)製トリグリシジルアミノフェノール「jER630」(エポキシ当量:98g/当量)は、室温で液状の樹脂であるが、100℃以上での加熱で増粘するため、150℃におけるせん断粘度は測定できなかった。 上記結果を表1に纏める。 実施例1乃至3の窒素含有エポキシ樹脂の150℃せん断粘度がビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂よりも低く、150℃加熱で変質しなかったことから、本発明の窒素含有エポキシ樹脂が低粘度で保存安定性に優れることが裏付けされた。 [エポキシ樹脂組成物およびその硬化物] <実施例4> 実施例1で得られた式(6)の窒素含有エポキシ樹脂500mg、群栄化学工業(株)製フェノール系硬化剤「PSM6200」(OH価:103g/当量)448mgおよび東京化成工業(株)製トリフェニルホスフィン1.25mgを120℃に加熱することにより溶融混合させ、組成物を得た。該組成物を175℃で6時間加熱することにより硬化させ、厚さ200μmの硬化物を得た。この硬化物のガラス転移点は、197℃であった。 <実施例5> 実施例3で得られた(8)式の窒素含有エポキシ樹脂500mg、群栄化学工業(株)製フェノール系硬化剤「PSM6200」(OH価:103g/当量)363mgおよび東京化成工業(株)製トリフェニルホスフィン1.25mgを120℃で加熱することにより溶融混合させ、組成物を得た。該組成物を175℃で6時間加熱することにより硬化させ、厚さ200μmの硬化物を得た。この硬化物のガラス転移点は、173℃であった。 <比較例1> 三菱化学(株)製ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂「157s70」(エポキシ当量212g/当量)500mg、群栄化学工業(株)製フェノール系硬化剤「PSM6200」(OH価:103g/当量)243mgおよび東京化成工業(株)製トリフェニルホスフィン1.25mgを120℃に加熱することにより溶融混合させ、組成物を得た。該組成物を175℃で6時間加熱することにより硬化させ、厚さ200μmの硬化物を得た。この硬化物のガラス転移点は、172℃であった。 <比較例2> 三菱化学(株)製トリグリシジルアミノフェノール「jER630」(エポキシ当量:98g/当量)500mg、群栄化学工業(株)製フェノール系硬化剤「PSM6200」(OH価:103g/当量)526mgおよび東京化成工業(株)製トリフェニルホスフィン1.25mgを120℃に加熱することにより溶融混合させ、組成物を得た。該組成物を175℃で6時間加熱することにより硬化させ、厚さ200μmの硬化物を得た。この硬化物のガラス転移点は、164℃であった。 上記結果を表2に纏める。 実施例4の窒素含有エポキシ樹脂を含む組成物のガラス転移点は、比較例1のビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂を含む組成物や比較例2のトリグリシジルアミノフェノールよりも高かった。また、実施例5の窒素含有エポキシ樹脂を含む組成物についても、ガラス転移点は、比較例1のビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂を含む組成物と同等以上であり、比較例2のトリグリシジルアミノフェノールよりも高かった。これらのことから、本発明のエポキシ樹脂組成物が高耐熱性を有することが裏付けされた。 以上の結果より、本発明の窒素含有エポキシ樹脂が低粘度で保存安定性に優れること、本発明のエポキシ樹脂組成物は本発明の窒素含有エポキシ樹脂を含有することにより、低粘度でフィルム成形や塗布などのプロセスに適用するのに十分な加工性、成型性、保存安定性に優れること、および、この組成物を硬化させた硬化物が高耐熱性であることが裏付けられた。 本発明のエポキシ樹脂組成物は、接着剤、塗料、土木建築用材料、電気・電子部品の絶縁材料等の様々な用途に適用可能である。また、電気・電子分野における絶縁材料、積層材料、封止材料などとして有用である。また、多層プリント配線基板、フィルム状接着剤、半導体封止材料、アンダーフィル材料、3D−LSI用インターチップフィル、絶縁シート、プリプレグ、放熱基板等の用途にも適用可能である。 下記一般式(1)で表される窒素含有エポキシ樹脂。(式中、A1はn価の有機基を表し、nは2以上の整数を表し、各B1および各B2は、各々独立に炭素数1以上10以下の有機基を表し、全てのB1および全てのB2に含まれるエポキシ基の合計数が3個以上である。) 請求項1に記載された窒素含有エポキシ樹脂であって、前記B1および前記B2の少なくとも何れか一方が下記一般式(2)で表わされる構造である窒素含有エポキシ樹脂。(式中、各R1〜R3は、各々独立に水素原子、置換基を有していても良い炭素数1以上4以下のアルキル基またはハロゲン原子を表す。) 請求項2に記載された窒素含有エポキシ樹脂であって、前記R1〜R3が何れも水素原子である窒素含有エポキシ樹脂。 請求項1乃至3の何れか1項に記載された窒素含有エポキシ樹脂であって、前記A1が炭素数3以上20以下の有機基である窒素含有エポキシ樹脂。 請求項1乃至4の何れか1項に記載された窒素含有エポキシ樹脂を含む、エポキシ樹脂組成物。 請求項5に記載されたエポキシ樹脂組成物であって、請求項1乃至4の何れか1項に記載された窒素含有エポキシ樹脂を、前記エポキシ樹脂組成物中に含まれるエポキシ樹脂の総量に対して10重量%以上含むエポキシ樹脂組成物。 請求項5又は6に記載されたエポキシ樹脂組成物であって、硬化剤および充填剤を含有するエポキシ樹脂組成物。 請求項7に記載されたエポキシ樹脂組成物であって、前記充填剤をエポキシ樹脂組成物中の全固形分に対し10重量%以上95重量%以下含有するエポキシ樹脂組成物。 請求項5乃至8の何れか1項に記載されたエポキシ樹脂組成物を硬化反応させてなる硬化物。 請求項9に記載された硬化物を有する電気・電子材料。 【課題】成型性、加工性および保存安定性に優れ、且つ硬化させた場合に耐熱性に優れ、電気・電子材料に好適な硬化物となるエポキシ樹脂組成物の提供。【解決手段】式(1)で表される窒素含有エポキシ樹脂、前記樹脂を含むエポキシ樹脂組成物、前記エポキシ樹脂組成物を硬化反応させてなる硬化物及び前記硬化物を有する電気・電子材料。(A1はフェニレン、ビフェニル−4,4’−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル等のn価の有機基;nは2以上の整数;B1及びB2は各々独立にオキシラン−2−イル等のエポキシ基で置換/非置換のC1−10の有機基;但し、全B1及び全B2に含まれるエポキシ基の合計数は3以上)【選択図】なし