タイトル: | 公開特許公報(A)_高純度ヘパリンおよびその製造方法 |
出願番号: | 2015046245 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | G01N 30/88,G01N 30/06 |
六車 三治男 村田 浩志 JP 2015111156 公開特許公報(A) 20150618 2015046245 20150309 高純度ヘパリンおよびその製造方法 国立大学法人 宮崎大学 504224153 扶桑薬品工業株式会社 000238201 山田 卓二 100101454 青山 葆 100062144 松谷 道子 100106518 落合 康 100156144 六車 三治男 村田 浩志 JP 2010205310 20100914 G01N 30/88 20060101AFI20150522BHJP G01N 30/06 20060101ALI20150522BHJP JPG01N30/88 NG01N30/06 E 1 1 2012534011 20110913 OL 18 本特許出願は、日本国特許出願第2010−205310号について優先権を主張するものであり、ここに参照することによって、その全体が本明細書中へ組み込まれるものとする。 本発明は、副作用の原因物質を実質的に含まない、安全性が高く、医薬品、化粧品、研究試薬等として有用な高純度ヘパリンおよびその製造方法に関する。 ヘパリンは、肝、小腸、肺、皮膚などに存在する、硫酸化されたD−グルコサミン、D−グルクロン酸、L−イズロン酸等を含む酸性ムコ多糖である。 ヘパリンは、強い血液抗凝固活性を有しており、汎発性血管内血液凝固症候群(DIC)の治療、種々の血栓塞栓症(静脈血栓症、心筋梗塞症、肺塞栓症、脳塞栓症、四肢動脈血栓塞栓症、術中・術後の血栓塞栓症など)の治療および予防のほか、血液透析・人工心肺などの体外循環装置使用時や血管カテーテル挿入時または輸血および血液検査の際などにおける血液凝固の防止に用いられている。 また、ヘパリンは、血液抗凝固活性の他に、リポ蛋白リパーゼ活性化作用、抗血小板凝集作用、血圧低下作用、抗補体作用、癌転移抑制作用、肥満細胞からの脱顆粒阻害作用、局部炎症抑制、鎮痛および筋組織の血行促進作用などの多くの生理活性を有することも知られている。 ヘパリンは、主に健康な食用獣の組織から抽出/分画して製造されるが、BSE(牛海綿状脳症)問題以降、医薬品としてのヘパリンの起源は、ほぼ豚小腸粘膜由来である。通常、水系溶媒に豚小腸粘膜を懸濁してタンパク質消化し、その後、吸着剤等を加えて(非特許文献1)、ヘパリンと他のムコ多糖(主にコンドロイチン硫酸ファミリー、ヘパラン硫酸等)を複合体として抽出して粗原料とする。次いで、これをバッチ混合/分画して、ヘパリン(いわゆる「未分画ヘパリン」)を得る。 上記方法で得られたヘパリン(未分画ヘパリン)は、ヘパリン以外のムコ多糖(主にヘパラン硫酸、コンドロイチン硫酸BおよびC)を含有し、その含量は、粗原料および製造方法によって異なることは既知である。しかしながら、その不純物のおおよその副作用が確認され、許容されており、その結果、未分画ヘパリンは、長きに渡って医薬品として使用されてきた。 しかしながら、2008年初頭、米国およびドイツにて、未分画ヘパリン製剤を患者にボーラス(急速静注)投与した際に従来とは異なる副作用例が多く報告され、最終的に80名強の死亡者が発生する事態となった。米国FDAがその未分画ヘパリン製剤およびその原薬を分析した結果、それらは従来品とは明らかに異なる事が確認され、さらに、その中に過硫酸化コンドロイチン硫酸(Over sulfated chondroitin sulfate:OSCS)が存在することが確認された(非特許文献2〜4)。これは、自然界には存在しない物質で、原薬製造時に混入した可能性が高いと言われている。 日本国内においては重度の副作用報告は無かったが、一部の未分画ヘパリン製剤および低分子量ヘパリン(Low molecular weight heparin:LMWH)製剤が回収となり、市場への安定供給問題が深刻化した。 多くの研究者によりOSCSの科学的合成法、構造解析あるいは動物実験等による有害事象の原因究明、特に1H−NMRや他の試験方法等による純度および安全性確認の検討(非特許文献5および6)が行われており、日本国内ではOSCSが有害事象の原因物質と特定され、確認/純度試験の検討が行政、製剤メーカーで実施されている(非特許文献7および8)。 一方、ヘパリンの製造または精製方法としては、1)非特許文献1、2)非特許文献9、3)非特許文献10、4)特許文献1等に記載の方法が知られている。 しかしながら、ヘパリンからOSCS、コンドロイチン硫酸等の不純物を簡便かつ効果的に除去することができる方法は、これまでに知られていない。さらに、このようなヘパリン中の不純物を、簡便に検出または測定する方法もこれまで知られていない。Roden, L., Dorfman, A., Acta Chemi. Scand. 13, 2121(1959)Nature Biotechnology, 2008, 26, 669-675The New England Journal of Medicine, 2008, 359, 2674-2684The New England Journal of Medicine, 2008, 358, 2457-2467Beyer, T. et al., Journal of Pharmaceutical and Biomedical Analysis, 48, 13-19 (2008)Guerrini, M. et al., Nature Biotechnology 26, 669-675 (2008)橋井則貴ら、医薬研究39 (10)651-659 (2008)Jia, H., Nature Biotechnology 26, 477-478 (2008)Schiller, S. et al.:J. Biol. Chem. 236, 983 (1961)Schmidt, M and Dmochowski, A:Biochim. Biophys. Acta 83, 137 (1964)特開2002−293804 本発明の課題は、OSCS、コンドロイチン硫酸等の不純物を実質的に含まず、安全性が高い高純度ヘパリン、その製造方法およびその製造過程でのヘパリンの純度の確認方法を提供することにある。 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、ヘパリンを所定の条件下でエタノール等の有機溶媒を用いて分画することで、OSCS、コンドロイチン硫酸等の不純物を簡便かつ効果的に除去することができること、さらに、これらの不純物は、所定の条件下での亜硝酸分解に対して抵抗性であるので、当該亜硝酸分解後にHPLCで分析することにより、その存在およびその量を確認および測定することができることを見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明には、以下のものが含まれる:〔1〕 亜硝酸分解抵抗性不純物を実質的に含有しないヘパリン。〔2〕 5〜30重量%のヘパリン水溶液に対して、0.2〜1倍量(体積)のエタノール、メタノール、イソプロパノール、アセトンおよびこれらの混合溶媒から選択される有機溶媒を混合し、ヘパリンのコロイド状沈殿物を得ることを含む方法により得られるヘパリン。〔3〕 ヘパリン水溶液中に、塩が50〜500mMの濃度で溶解している、上記〔2〕に記載のヘパリン。〔4〕 塩が、塩化ナトリウムおよび酢酸ナトリウムから選択される、上記〔3〕に記載のヘパリン。〔5〕 コロイド状である、上記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のヘパリン。〔6〕 分子量が、3000〜30000ダルトンの範囲内にある、上記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のヘパリン。〔7〕 5〜30重量%のヘパリン水溶液に対して、0.2〜1倍量(体積)のエタノール、メタノール、イソプロパノール、アセトンおよびこれらの混合溶媒から選択される有機溶媒を混合し、ヘパリンのコロイド状沈殿物を得ることを含む、ヘパリンの製造方法。〔8〕 5〜30重量%のヘパリン水溶液に対して、0.2〜1倍量(体積)のエタノール、メタノール、イソプロパノール、アセトンおよびこれらの混合溶媒から選択される有機溶媒を混合し、ヘパリンを含有する上澄み液を得ることを含む方法により得られるヘパリン。〔9〕 ヘパリン水溶液中に、塩が50〜500mMの濃度で溶解している、上記〔8〕に記載のヘパリン。〔10〕 塩が、塩化ナトリウムおよび酢酸ナトリウムから選択される、上記〔9〕に記載のヘパリン。〔11〕 分子量が、1500〜12000ダルトンの範囲内にある、上記〔8〕〜〔10〕のいずれかに記載のヘパリン。〔12〕 5〜30重量%のヘパリン水溶液に対して、0.2〜1倍量(体積)のエタノール、メタノール、イソプロパノール、アセトンおよびこれらの混合溶媒から選択される有機溶媒を混合し、ヘパリンを含有する上澄み液を得ることを含む、ヘパリンの製造方法。〔13〕 上記〔1〕〜〔6〕および〔8〕〜〔11〕のいずれかに記載のヘパリンを含んでなる医薬。〔14〕 医薬として使用するための、上記〔1〕〜〔6〕および〔8〕〜〔11〕のいずれかに記載のヘパリン。〔15〕 上記〔1〕〜〔6〕および〔8〕〜〔11〕のいずれかに記載のヘパリンを含有する医薬組成物。〔16〕 ムコ多糖を亜硝酸分解することを特徴とする、当該ムコ多糖中に含まれる亜硝酸分解抵抗性ムコ多糖または亜硝酸分解性ムコ多糖の検出または測定方法。 本発明の高純度ヘパリンは、副作用の原因物質であるOSCS等を含まないので、安全性が高く、医薬品、化粧品、研究試薬等として非常に好適に使用することができる。 本発明のヘパリンの製造方法によれば、亜硝酸分解抵抗性不純物を実質的に含まない高純度ヘパリンを簡便に得ることができる。また、当該方法は、工業的に利用可能である。 本発明のムコ多糖の検出または測定方法によれば、ムコ多糖製品中に、亜硝酸分解に対して異なる特性を示す他のムコ多糖の混入の有無を簡便に確認することができるので、製品の安全性等を確保することができる。また、目的のムコ多糖を製造する過程においても、亜硝酸分解に対して異なる特性を示す他のムコ多糖の混入を簡便に確認することができるので、目的のムコ多糖の製造工程を効果的に管理でき、中間材料や最終生成物中への他のムコ多糖の混入を回避することができる。図1は、他のムコ多糖(主にヘパラン硫酸(HS)/コンドロイチン硫酸B(CSB)/コンドロイチン硫酸C(CSC))を含有する未分画ヘパリン(Na塩、UFN−SP)について、エタノール分画前、エタノール分画後の上層(上澄み液)および下層(コロイド状沈殿物)に含まれる物質の分布を示すHPLCのチャートである。 図1中の各記号は次の通りである:A)エタノール分画前(実線)、B)エタノール分画後の下層(コロイド状沈殿物)(破線)、C)エタノール分画後の上層(上澄み液)(点線)、D)C)中の硫酸化度が低い高分子ムコ多糖(主にHS/CSB/CSC)(点線)、E)亜硝酸分解に抵抗性のあるムコ多糖(主にCSB/CSC/過硫酸化コンドロイチン硫酸(OSCS))(一点鎖線)、F)主にペプチドグリカン(一点鎖線)、G)ムコ多糖中の溶出塩(Na塩)(各線)、H)その他の低分子化合物(エタノールおよびその他の未確認物質)(主に実線)。図2は、亜硝酸分解によるOSCS対照物質、すなわち、OSCS含有未分画ヘパリン(Na塩、OSHP−SH、OSCS含量約12.5%)、OSCS標準品(OSCS−STD)、OSCSおよびコンドロイチン硫酸ファミリーの混合物である粗OSCS(CSMS−CE1および−CE2)の亜硝酸分解前後の分子量変化を示すHPLCのチャートである。 図2中の各記号は次の通りである:A)OSHP−SHおよびOSCS−STD a)亜硝酸分解前のOSHP−SH(実線) b)亜硝酸分解後のOSHP−SH(破線) c)亜硝酸分解前のOSCS−STD(点線) d)亜硝酸分解後のOSCS−STD(一点破線)B)CSMS−CE1および−CE2 a)亜硝酸分解後のCSMS−CE1(実線) b)亜硝酸分解後のCSMS−CE2(破線) c)CSB−STD(点線)図3は、亜硝酸分解によるムコ多糖対照物質、すなわち、コンドロイチン硫酸ファミリー(CSA、CSB、CSC、CSDおよびCSE)、ヘパラン硫酸(HS)およびケラタン硫酸(KS)の分子量変化を示すHPLCのチャートである。(亜硝酸分解前:実線、亜硝酸分解後:破線)図4は、エタノール分画前の各未分画ヘパリンのNa塩(UFN1〜5)およびCa塩(UFC)の亜硝酸分解前の分子量分布を示すHPLCのチャートである。 図4中の各記号は次の通りである:a)UFN1(実線)、b)UFN2(破線)、c)UFN3(点線)、d)UFN4(一点鎖線)、e)UFN5(二点鎖線)、f)UFC(▲実線)図5は、エタノール分画前の各未分画ヘパリンのNa塩(UFN1〜5)およびCa塩(UFC)の亜硝酸分解後の分子量分布を示すHPLCのチャートである。 図5中の各記号は次の通りである:a)UFN1(実線)、b)UFN2(破線)、c)UFN3(点線)、d)UFN4(一点鎖線)、e)UFN5(二点鎖線)、f)UFC(▲実線)図6は、エタノール分画後の各未分画ヘパリンのNa塩(UFN1〜5)およびCa塩(UFC)の亜硝酸分解前の分子量分布を示すHPLCのチャートである。 図6中の各記号は次の通りである:a)UFN1(実線)、b)UFN2(破線)、c)UFN3(点線)、d)UFN4(一点鎖線)、e)UFN5(二点鎖線)、f)UFC(▲実線)図7は、エタノール分画後の各未分画ヘパリンのNa塩(UFN1〜5)およびCa塩(UFC)の亜硝酸分解後の分子量分布を示すHPLCのチャートである。 図7中の各記号は次の通りである:a)UFN1(実線)、b)UFN2(破線)、c)UFN3(点線)、d)UFN4(一点鎖線)、e)UFN5(二点鎖線)、f)UFC(▲実線) 本発明の高純度ヘパリンは、亜硝酸分解抵抗性不純物を実質的に含有しないことを特徴とする。 本発明における「ヘパリン」は、特に限定されず、従来既知の原料および製造方法から得られたものでよいが、例えば、いわゆる「未分画ヘパリン」、「低分子量ヘパリン」、また「ヘパリン」と類似した構成糖組成と結合様式を有する「ヘパラン硫酸」の中で、特に高分子量あるいは高硫酸含量の「ヘパラン硫酸」等が挙げられる。 上記「未分画ヘパリン」は、解重合処理されていないヘパリンを意味し、通常、分子量が3000〜30000ダルトンの範囲内にあるものである。 上記「低分子量ヘパリン」は、未分画ヘパリンを解重合処理して低分子化したものであり、通常、分子量が1500〜12000ダルトンの範囲内にあるものである。 上記「ヘパラン硫酸」は、通常、分子量が3000〜30000ダルトンの範囲内にあるものである。 また、本発明におけるヘパリンには、一般に生体内において遊離形と実質的に同様の生理活性または薬理活性を発揮するもの、例えば、ヘパリンの誘導体および医薬的に許容される塩、付加塩、水和物などは本発明の技術的範囲に含まれる。 なお、ここでいう分子量は、水性溶媒によるサイズ排除ゲルクロマトグラフィーによるHPLC法で決定される重量平均分子量である。 本発明における「亜硝酸分解」とは、実質的に、ヘパリンを分解し、かつ、後述するOSCS、コンドロイチン硫酸等の不純物を分解しない条件下での亜硝酸分解処理であればよいが、例えば、pH1.0〜7.0(好ましくはpH2.0〜5.0)、反応温度−10〜40℃(好ましくは−5〜10℃)、反応時間0.5〜60分(好ましくは5〜15分)、対象物質(ヘパリン等)1gに対する亜硝酸(特に亜硝酸Na)の使用量10〜1000mg(好ましくは50〜100mg)等の比較的低pHかつ低温下で短時間での条件下での亜硝酸分解処理を意味する。 上記「亜硝酸分解抵抗性不純物」とは、上記亜硝酸分解に対して抵抗性を示すヘパリン中の不純物を意味し、例えば、ヘパリンを上記亜硝酸分解後にHPLC(例えば、後述する条件下)で分析した場合、亜硝酸分解前のヘパリンの溶出位置に対応する位置に溶出される物質を意味する。このような物質としては、例えば、過硫酸化コンドロイチン硫酸(OSCS)、コンドロイチン硫酸A(コンドロイチン−4−硫酸:CSA)、B(デルマタン硫酸:CSB)、C(コンドロイチン−6−硫酸:CSC)、D(コンドロイチン−2,6−硫酸:CSD)、E(コンドロイチン−4,6−硫酸:CSE)、等のムコ多糖で基本骨格にガラクトサミンとウロン酸(グルクロン酸あるいはイズロン酸)の2糖単位構造を有するもの、また基本骨格にグルコサミンとガラクトースの2糖単位構造を有するケラタン硫酸(KC)が挙げられる。 上記「亜硝酸分解抵抗性不純物」を「実質的に含有しない」とは、対象のヘパリンを、日本薬局方第15改正解説書に記載された「パルナパリンナトリウム」規格試験法の「分子量」の項を参考にした条件の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析した場合に得られるヘパリンの溶出位置(例えば、以下の具体例では溶出時間で10〜20分)に現れる屈折率(RI)で検出されたピークの総面積値に対して、当該ヘパリンを上記亜硝酸分解し、同様の条件のHPLCで分析した場合に、ヘパリンの溶出位置に現れるピークの総面積値が、5%以下、好ましくは1%以下、より好ましくは0.5%以下であることを意味する。 上記HPLCの条件の具体例としては、例えば、以下の条件が挙げられる:検出システム:SHIMADZU製管理システム(LC solution)、示差屈折計(RI:RID−10A)カラムおよびガードカラム:TOSO製TSK gel G−2000SWXLおよびTSK guard column SWXLカラム温度:40℃移動相:0.2mol/L 硫酸Na(pH 5.0)流量:0.5mL/分。 本発明の高純度ヘパリンは、例えば、亜硝酸分解抵抗性不純物等を含む原料ヘパリンを、所定の条件下でエタノール等の有機溶媒を用いて分画することを含む方法により、製造することができる。 上記分画に用いる有機溶媒としては、例えば、エタノール、メタノール、イソプロパノールもしくはアセトンまたはこれらの混合物が挙げられる。なかでも、最終生成物への残留を考慮した場合、エタノールが最も好ましい。 以下、本発明の一例として、有機溶媒としてエタノールを使用した場合(エタノール分画)を挙げて説明するが、エタノールの代わりに他の有機溶媒を用いた場合も同様に本発明を実施することができる。 本発明におけるエタノール分画は、5〜30重量%(好ましくは10〜20重量%)のヘパリン水溶液に対して、0.2〜1倍量(好ましくは0.4〜0.6倍量)(体積)のエタノールを混合し、ヘパリンのコロイド状沈殿物を得ることを特徴とする。当該方法は、簡便であり、工業的に利用可能である。 従来、ヘパリンを白色沈殿として得るために、エタノール沈殿法が利用されている。しかしながら、従来のエタノール沈殿法が適用されるヘパリン水溶液中のヘパリン濃度は、1〜5重量%であり、本発明におけるエタノール分画に比べて大幅に低い。また、ヘパリン水溶液に混合するエタノールの量は、2〜10倍量(体積)であり、本発明におけるエタノール分画に比べて顕著に大きい。すなわち、本発明におけるエタノール分画は、従来のエタノール沈殿法と明確に区別される。 上記エタノール分画における原料ヘパリンとしては、特に限定されず、未分画ヘパリンの原料、未分画ヘパリン、低分子量ヘパリン等の様々な精製段階および不純物濃度のヘパリンを使用することができる。ただし、所望のヘパリンをコロイド状沈殿物として回収する場合、原料ヘパリンの分子量は、好ましくは3000〜30000ダルトン、より好ましくは5000〜15000ダルトンである。 上記エタノール分画に際して、原料ヘパリンを、精製水、注射用水等の水に上記濃度範囲になるように溶解させてヘパリン水溶液を調製する。 上記ヘパリン水溶液は、ヘパリンの特性により水溶液のpHの上昇に伴い溶媒による沈殿生成がより鋭敏に、またpHの低下に伴い溶媒による沈殿生成がより緩慢になる点から、そのpHが酸性〜中性付近であることが好ましく、例えば、pH2.5〜7.5、好ましくはpH4.0〜7.0である。 また、上記ヘパリン水溶液は、ヘパリンの特性によりイオン強度の上昇に伴い溶媒による沈殿生成がより鋭敏に、またイオン強度の低下に伴い溶媒による沈殿生成がより緩慢になること、また塩濃度が低い場合はコロイド沈殿を形成しづらくなり遠心操作等が必要となることから、塩が溶解していることが好ましい。その塩濃度としては、例えば、50〜500mM、好ましくは100〜250mMである。塩としては、ヘパリンが主に医薬品として使用されることから、薬学的に許容される塩、例えば、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、等が挙げられる。 したがって、ヘパリン水溶液は、ヘパリンを生理食塩水に溶解させたものであってもよい。 上記エタノール分画における処理温度および処理時間は、ヘパリンのコロイド状沈殿物が得られる処理温度および処理時間であれば特に限定されないが、例えば、−10〜40℃(好ましくは5〜25℃)の温度で、例えば、0.5〜48時間(好ましくは4〜24時間)行うことができる。 上記エタノール分画によって、不純物である亜硝酸分解抵抗性不純物は上澄み液中に残るが、ヘパリンはコロイド状となり、沈殿する。したがって、コロイド状沈殿物を上澄み液と分離することにより、亜硝酸分解抵抗性不純物を実質的に含まない高純度ヘパリンを得ることができる。 本発明における「コロイド状」ヘパリンまたは「コロイド状」沈殿物は、ヘパリンがコロイドの分散相を形成しているものであって、本発明における分画で使用する水および有機溶媒の混合液中において、界面および層を形成して沈殿しているものであり、例えば、通常用いるマイクロオーダーの分子サイズふるいのものから限外濾過膜のような濾紙(例えば、分子量カットサイズが500〜50000MW)を使用して実質的に濾取することが困難な(濾紙を用いてその沈殿物と水/有機溶媒混液を分離することが困難である)状態にあるものを意味する。 一方、分子量が1500〜12000、好ましくは平均分子量が2500〜7500であるヘパリンを原料ヘパリンとした場合、上記エタノール等の有機溶媒による分画は、次のようにして行うことが好ましい。 当該分画に用いる有機溶媒としては、例えば、エタノール、メタノール、イソプロパノールもしくはアセトンまたはこれらの混合物が挙げられる。なかでも、最終生成物への残留を考慮した場合、エタノールが最も好ましい。 以下、上記分画の例として、有機溶媒としてエタノールを使用した場合(エタノール分画)を挙げて説明するが、エタノールの代わりに他の有機溶媒を用いた場合も同様に実施することができる。 上記原料ヘパリンを、精製水、注射用水等の水に上記濃度範囲になるように溶解させてヘパリン水溶液を調製する。水溶液のpHの上昇に伴い溶媒による沈殿生成がより鋭敏に、またpHの低下に伴い溶媒による沈殿生成がより緩慢になる点から、そのpHが酸性〜中性付近であることが好ましく、例えば、pH2.5〜7.5、好ましくはpH4.0〜7.0である。 また、イオン強度の上昇に伴い溶媒による沈殿生成がより鋭敏に、またイオン強度の低下に伴い溶媒による沈殿生成がより緩慢になること、また塩濃度が低い場合はコロイド沈殿を形成しづらくなり遠心操作等が必要となることからバッチ操作に適さないため、塩が溶解していることが好ましい。その塩濃度としては、例えば、50〜500mM、好ましくは100〜250mMである。塩としては、薬学的に許容される塩、例えば、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム等が挙げられる。 エタノール分画は、5〜30重量%(好ましくは10〜20重量%)のヘパリン水溶液に対して、0.2〜1倍量(好ましくは0.25〜0.6倍量)(体積)のエタノールを混合し、亜硝酸分解抵抗性不純物の沈殿物を得る。 この場合、不純物である亜硝酸分解抵抗性不純物は沈殿するが、ヘパリンは上澄み液中に残る。したがって、上澄み液を沈殿物と分離することにより、亜硝酸分解抵抗性不純物を実質的に含まない高純度ヘパリンを得ることができる。 上記エタノール分画後、従来の方法にしたがって、精製処理(エタノール沈殿法等)、乾燥処理(減圧乾燥等)等を行うことにより、亜硝酸分解抵抗性不純物を実質的に含まない高純度ヘパリンを白色粉末として得ることができる。 本発明にしたがって得られる高純度ヘパリンは、副作用の原因物質であるOSCS等の不純物を実質的に含有しないために安全性が高く、また従来のヘパリンと同様の生理活性を示すので、従来のヘパリンと同様の医薬用途に非常に好適に適用することができる。例えば、本発明の高純度ヘパリンは、強い血液抗凝固活性を有しており、汎発性血管内血液凝固症候群(DIC)の治療、種々の血栓塞栓症(静脈血栓症、心筋梗塞症、肺塞栓症、脳塞栓症、四肢動脈血栓塞栓症、術中・術後の血栓塞栓症など)の治療および予防のほか、血液透析・人工心肺などの体外循環装置使用時や血管カテーテル挿入時または輸血および血液検査の際などにおける血液凝固の防止に用いることができる。さらに、本発明の高純度ヘパリンは、リポ蛋白リパーゼ活性化作用、抗血小板凝集作用、血圧低下作用、抗補体作用、癌転移抑制作用、肥満細胞からの脱顆粒阻害作用、局部炎症抑制、鎮痛および筋組織の血行促進作用などの多くの生理活性を有することから、これらの作用に基づく各種疾患の予防または治療剤として使用することもできる。 本発明の高純度ヘパリンは、従来のヘパリンと同様に、通常の方法により製剤化し、注射剤や経口剤として投与することができる。例えば以下のような投与法によって投与されるが、その投与量あるいは投与速度は、通常本剤投与後、全血凝固時間または全血活性化部分トロンボプラスチン時間を測定しつつ、年齢、症例、適応領域あるいは目的によって決定される。 例えば、静脈内点滴投与法では、ヘパリンの5,000〜50,000ヘパリン単位に相当する量を5%ブドウ糖注射液、生理食塩液またはリンゲル液1,000mlで希釈し、1分間に20〜30滴前後の速度で静脈内に点滴投与する。また、静脈内間歇注射法では、ヘパリンの5,000〜50,000ヘパリン単位に相当する量を4〜8時間毎に静脈内に注射する。皮下注射・筋肉内注射法では、1回5,000〜10,000ヘパリン単位に相当する量のヘパリンを4時間毎に皮下注射または筋肉内注射する。 体外循環時(血液透析・人工心肺)における使用において、人工腎では各患者の適正使用量は透析前のヘパリン感受性試験の結果に基づいて算出されるが、全身ヘパリン化法の場合、通常透析開始に先だって、1,000〜3,000ヘパリン単位に相当する量のヘパリンを投与し、透析開始後は、1時間あたり500〜1,500ヘパリン単位に相当する量を持続的に、または1時間毎に500〜1,500ヘパリン単位に相当する量を間歇的に追加する。局所ヘパリン化法の場合は、1時間あたり1,500〜2,500ヘパリン単位に相当する量を持続注入する。また、人工心肺灌流時では、術式・方法によって異なるが、150〜300ヘパリン単位/kgに相当する量を投与し、更に体外循環時間の延長に応じて適宜追加投与する。 経口投与の場合は、500〜2,000ヘパリン単位/gに相当する量のヘパリンを1日1〜数回服用する。外用剤の場合は、100〜500ヘパリン単位/gに相当する量のヘパリンの軟膏として用いられ、適量を1日1〜数回塗擦またはガーゼなどに延ばして貼付する。 坐剤の場合は、1,000〜4,000ヘパリン単位/gに相当する量のヘパリンを1日1〜2回肛門または膣に適用する。 また、本発明の高純度ヘパリンは、従来のヘパリンと同様に、化粧品、研究試薬等として好適に使用することができる。 本発明はまた、ムコ多糖を亜硝酸分解することを特徴とする、当該ムコ多糖中に含まれる亜硝酸分解抵抗性ムコ多糖または亜硝酸分解性ムコ多糖の検出または測定方法を提供する。 上記方法における「亜硝酸分解抵抗性ムコ多糖」としては、上記亜硝酸分解抵抗性不純物として例示されたムコ多糖等が挙げられる。また、「亜硝酸分解性ムコ多糖」は、上記亜硝酸分解によって分解されるムコ多糖を意味し、例えば、ヘパリン、ヘパラン硫酸等が挙げられる。 また、上記方法における「亜硝酸分解」は、上記亜硝酸分解と同様である。 上記方法に使用されるムコ多糖としては、特に限定されないが、例えば、ヘパリン、ヘパラン硫酸、コンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸等が挙げられる。 ムコ多糖の亜硝酸分解後、例えば、上記HPLC法を用いて、当該ムコ多糖中に含まれる亜硝酸分解抵抗性ムコ多糖または亜硝酸分解性ムコ多糖を検出または測定することができる。すなわち、対象ムコ多糖を上記亜硝酸分解後、HPLCで分析した場合、対象ムコ多糖が亜硝酸分解性ムコ多糖(ヘパリン等)であり、かつ、対象中に亜硝酸分解抵抗性ムコ多糖(コンドロイチン硫酸等)が含まれている場合、亜硝酸分解前の亜硝酸分解性ムコ多糖に相当するピークが消滅すると共に、亜硝酸分解抵抗性ムコ多糖に相当するピークが検出されることになる。逆に、対象ムコ多糖が亜硝酸分解抵抗性ムコ多糖(コンドロイチン硫酸等)であり、かつ、対象中に亜硝酸分解性ムコ多糖(ヘパリン等)が含まれている場合、亜硝酸分解前の亜硝酸分解抵抗性ムコ多糖に相当するピークは、亜硝酸分解後、亜硝酸分解性ムコ多糖に相当する分だけピークが縮小することになる。 上記ムコ多糖の検出または測定方法によれば、ムコ多糖製品中に、亜硝酸分解に対して異なる特性を示す他のムコ多糖の混入の有無を簡便に確認することができるので、製品の安全性等を確保することができる。また、目的のムコ多糖を製造する過程においても、亜硝酸分解に対して異なる特性を示す他のムコ多糖の混入を簡便に確認することができるので、目的のムコ多糖の製造工程を効果的に管理でき、中間材料や最終生成物中への他のムコ多糖の混入を回避することができる。 以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。〔試験方法〕(1)亜硝酸分解 高温下における弱酸性域(pH4.0付近)での副反応を低減するため、本処理は全て氷冷下で行った。また、反応終了後の過剰の亜硝酸Naの蓄積を避けるため、各試料に対する亜硝酸Naの添加量は、試料1gあたり60mgとした。 予め注射用水(日本薬局方適合品)に溶かした各試料溶液に、所定量の亜硝酸Naを加えて攪拌した後、HClでpHを1.5前後に調整して反応を開始した。30分後、NaOHでpHを5.0に調整して反応を終了させ、エタノールを添加して固化、乾燥して白色粉末を得た。(2)HPLC法 各試料中に含まれる物質の分子量分布をHPLC法により確認した。HPLC法の条件は、日本薬局方第15改正解説書に記載された「パルナパリンナトリウム」規格試験法の「分子量」の項に準じた。使用したHPLCの条件を以下に示す。検出システム:SHIMADZU製管理システム(LC solution)、示差屈折計(RI:RID−10A)カラムおよびガードカラム:TOSO製TSK gel G−2000SWXLおよびTSK guard column SWXLカラム温度:40℃移動相:0.2mol/L 硫酸Na(pH 5.0)流量:0.5mL/分。〔参考例1〕 過硫酸化コンドロイチン硫酸(OSCS)標準品(OSCS−STD、日本公定書協会)、OSCS含有未分画ヘパリン(Na塩、OSHP−SH、OSCS含量約12.5%、C社製ロットNo.1060−07−0033)、OSCSおよびコンドロイチン硫酸ファミリーの混合物である粗OSCS(CSMS−CE1および−CE2、N社製OSCS含有未分画ヘパリン(Na塩:ロットNo.PH−64107およびpH−64507)からヘパリン/ヘパラン硫酸の含量を約95%以下に低減して調製)を、上記の方法で亜硝酸分解し、上記の方法でHPLCを行い、亜硝酸分解前後の分子量変化を確認した(図2)。その結果、OSCS−STD、CSMS−CE1および−CE2について、2糖単位のピークシフトを伴う分解および低分子化は確認されなかった。OSHP−SH(OSCS含量約12.5%)について、2糖単位のピークシフトを伴う分解および低分子化が確認され、RIで検出された亜硝酸分解未分解物のピークの面積値は、亜硝酸分解前のピークの面積値の約12.1%であった。また、OSHP−SHの未分解物のピークは、OSCS−STDのピークと近い分子量を示した(図2−A)。また、CSMS−CE1および−CE2のピークは、コンドロイチン硫酸B(CSB−STB、純度>95%、豚小腸粘膜抽出物から調製)と近い分子量を示した(図2−B)。〔参考例2〕 コンドロイチン硫酸ファミリー(試薬特級品)のA、B、C、DおよびE型(CSA、CSB、CSC、CSDおよびCSE)、ヘパラン硫酸(HS)およびケラタン硫酸(KS)を生化学工業(株)から購入し、上記の方法で亜硝酸分解し、上記の方法でHPLCを行い、亜硝酸分解前後の分子量変化を確認した(図3、点線より左側)。その結果、コンドロイチン硫酸ファミリーおよびKSについて、2糖単位のピークシフトを伴う分解および低分子化は確認されなかった。一方、HSは2糖単位のピークシフトを伴う分解および低分子化が確認された(図3、点線より右側)。 参考例1および2の結果から、過硫酸化コンドロイチン硫酸(OSCS)およびコンドロイチン硫酸ファミリー(CSA、CSB、CSC、CSDおよびCSE)は、亜硝酸分解抵抗性であり、一方、ヘパラン硫酸(HS)は、亜硝酸分解によって分解されることがわかった。〔実施例1〕 試料として、他のムコ多糖(主にヘパラン硫酸/コンドロイチン硫酸B/コンドロイチン硫酸C)を含有する未分画ヘパリン(Na塩、UFN−SP、C社製ロットNo.1035−0792)(500g)を10L化学ホーロータンクに量り取り、生理食塩液(日本薬局方適合品)を加えて5Lとした(pH6.0)。この溶液に、エタノール(2.5L;和光純薬(株)、試薬特級品)を加えて攪拌した後、室温(25℃)で24時間以上静置した(エタノール分画)。コロイド状沈殿物(下層)と上澄み液(上層)の二層に分配されたことを確認した後、上澄み液を30L化学ホーロータンクに移してエタノール(20L)を加えて激しく攪拌した。コロイド状沈殿物を30L化学ホーロータンクに移して生理食塩液(3L)を加えて攪拌した後、エタノール(20L)を加えて激しく攪拌した。各々の処理後、24時間静置した。両方のタンク底に沈殿した白色析出物をそれぞれブフナーロート上で回収した後、エタノールで洗浄し、五酸化リン存在下、室温で24時間減圧乾燥した。最終的にコロイド状沈殿物から418.2gの白色粉末を回収(回収率83.6%)した。 上記UFN−SPについて、エタノール分画前、エタノール分画後の上層(上澄み液)および下層(コロイド状沈殿物)に含まれる物質の分布を上記HPLC法で確認した。その結果を図1に示す。 また、得られた生成物を上記の方法で亜硝酸分解し、亜硝酸分解前後の生成物中に含まれる物質(ヘパリンおよび亜硝酸分解抵抗性不純物)の量を、上記の方法でHPLCを行い、溶出時間10〜20分の間に現れたピークの総面積として求めた。その結果を表1に示す。〔比較例1〕 上記UFN−SPを、上記の方法で亜硝酸分解した。亜硝酸分解の前後の試料中に含まれる物質の分布を上記HPLC法で確認した。また、亜硝酸分解前後の生成物中に含まれる物質(ヘパリンおよび亜硝酸分解抵抗性不純物)の量を、上記の方法でHPLCを行い、溶出時間10〜20分の間に現れたピークの総面積として求めた。その結果を表1に示す。〔比較例2〜7〕 1H−NMR法を用いた試験においてOSCS由来のシグナルが目視上未検出あるいはヘパリンの13C由来のサテライトシグナルでないことが確認済のNa塩5試料(UFN1〜5)およびCa塩1試料(UFC)を、上記の方法で亜硝酸分解した。亜硝酸分解の前後の試料中に含まれる物質の分布を上記HPLC法で確認した(図4および5)。また、亜硝酸分解前後の生成物中に含まれる物質(ヘパリンおよび亜硝酸分解抵抗性不純物)の量を、上記の方法でHPLCを行い、溶出時間10〜20分の間に現れたピークの総面積として求めた。その結果を表1に示す。〔実施例2〜7〕 上記比較例1〜6と同様の試料について、実施例1と同様に、エタノール分画を行った。次いで、得られた各生成物を、上記の方法で亜硝酸分解した。亜硝酸分解の前後の試料中に含まれる物質の分布を上記HPLC法で確認した(図6および7)。また、亜硝酸分解前後の生成物中に含まれる物質(ヘパリンおよび亜硝酸分解抵抗性不純物)の量を、上記の方法でHPLCを行い、溶出時間10〜20分の間に現れたピークの総面積として求めた。その結果を表1に示す。 ムコ多糖を亜硝酸分解し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析することを特徴とする、当該ムコ多糖中に含まれる亜硝酸分解抵抗性ムコ多糖または亜硝酸分解性ムコ多糖の検出または測定方法。 【課題】ムコ多糖製品中に、亜硝酸分解に対して異なる特性を示す他のムコ多糖の混入の有無を簡便に確認すること。【解決手段】ムコ多糖を亜硝酸分解し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析することを特徴とする、当該ムコ多糖中に含まれる亜硝酸分解抵抗性ムコ多糖または亜硝酸分解性ムコ多糖の検出または測定方法。【選択図】図1