タイトル: | 公表特許公報(A)_アルコキシル化天然ワックスを有する眼用組成物 |
出願番号: | 2014558739 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | A61K 36/00,A61K 35/36,A61K 36/18,A61K 31/728,A61K 31/736,A61P 27/04,G02C 13/00 |
シア,アルニン フリードマン,クリスタ JP 2015509495 公表特許公報(A) 20150330 2014558739 20130110 アルコキシル化天然ワックスを有する眼用組成物 ボシュ・アンド・ロム・インコーポレイテッド 391008847 BAUSCH & LOMB INCORPORATED 柳田 征史 100073184 佐久間 剛 100090468 シア,アルニン フリードマン,クリスタ US 61/602,764 20120224 A61K 36/00 20060101AFI20150303BHJP A61K 35/36 20150101ALI20150303BHJP A61K 36/18 20060101ALI20150303BHJP A61K 31/728 20060101ALI20150303BHJP A61K 31/736 20060101ALI20150303BHJP A61P 27/04 20060101ALI20150303BHJP G02C 13/00 20060101ALI20150303BHJP JPA61K35/78 XA61K35/36A61K35/78 CA61K31/728A61K31/736A61P27/04G02C13/00 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC US2013020998 20130110 WO2013126155 20130829 27 20141021 2H006 4C086 4C087 4C088 2H006DA06 4C086AA01 4C086AA02 4C086EA21 4C086EA25 4C086MA02 4C086MA03 4C086MA04 4C086MA17 4C086MA58 4C086NA14 4C086ZA33 4C087AA01 4C087AA02 4C087BB48 4C087CA19 4C087MA02 4C087MA17 4C087MA58 4C087NA14 4C087ZA33 4C088AB12 4C088AC04 4C088BA08 4C088BA18 4C088CA03 4C088MA02 4C088MA17 4C088MA58 4C088NA14 4C088ZA33 本発明は、アルコキシル化天然ワックスを含む眼用組成物に関する。本発明は、コンタクトレンズケア溶液としての、または眼疾患を治療するための点眼薬としての、その眼用組成物の使用にも関する。 ソフトタイプの使い捨てコンタクトレンズが、使い捨てパッケージで販売されているのがよく見かけられる。使い捨てレンズ(毎月、隔週および毎日)の従来のブリスター包装は、密封フイルムで蓋をされたレンズ用プラスチック製容器(以後、「ボート(boat)」と称する)からなる。このボートは、適切な保存溶液、好ましくは生理食塩水が満たされ、そのままで1つのレンズを収容する。次いで、ブリスター包装は、無菌状態を達成するために蒸気および圧力を使用してオートクレーブ処理される。ある場合には、保存溶液は、ポリビニルアルコールとその誘導体、多糖類とその誘導体、およびセルロース誘導体からなる群より選択されるポリマーを1種類以上含む。先に特定した1種類以上のポリマーに加え、その溶液は、カルシウム、カリウムおよび/またはマグネシウムの各イオンなどの、天然の涙の中に存在することが知られている他の成分を含んでも差し支えない。 通常の使用中、コンタクトレンズは、レンズの性能を低下させ得る多種多様な化合物で汚されるかまたは汚染される。例えば、コンタクトレンズは、涙液中に存在し、レンズ表面に付着する、タンパク質や脂質などの生物由来物質で汚される。また、コンタクトレンズを取り扱うことによって、皮脂(皮膚の脂)または化粧品もしくは他の物質がコンタクトレンズを汚し得る。これらの生物由来と外部の汚染物質は、使用中と一日の終わりに、視力と患者の快適さに影響し得る。したがって、快適に使用し続けるために、1種類以上の洗浄成分を含有するレンズケア用洗浄・殺菌溶液で、レンズ表面からどのようなデブリも除去することが重要である。レンズケア用洗浄・殺菌溶液が、コンタクトレンズの消費者、特に、ドライアイ症候群としばしば称される症状である、乾性角結膜炎と診断された消費者に、ある程度の眼の快適さまたは水和作用を与えることも重要であり得る。 ドライアイは、数百万人の人々に影響している一般的な眼科疾患である。ドライアイの患者は、焼けるような痛み、乾燥の感覚、および持続的な炎症を経験するであろう。深刻な場合には、ドライアイは、ヒトの視覚を酷く損なう。また、ヒトが老化するに連れて、眼の涙腺による涙が少なくなり、眼が乾燥し、炎症が起こり、痒くなり、ゴロゴロするかもしれない。眼科クリニックを訪れる全患者の50%超がドライアイ症候群を報告している。高齢者、特に、閉経後の女性の70〜80%が、ドライアイ症候群による眼の不快さを被っている。ドライアイは、関係のない様々な病因から生じるかもしれないように思われるが、病状の全ては共通の特徴、すなわち、曝露された外側の眼表面の脱水症および記載された症候群を引き起こす前涙液膜の衰弱を共有する。 ドライアイの治療のために、数多くの手法が存在する。一般的な手法の1つは、人工涙を一日中ずっと点眼して眼の涙液膜を補うことであった。代用涙液の手法の例には、緩衝された等張食塩水溶液およびその溶液をより粘性にし、それゆえ、涙液の洗浄作用によりそれほど容易に流されないようにする、水溶性ポリマーを含有する水溶液の使用が挙げられる。例えば、Gressel等の特許文献1;Glonek等の特許文献2;およびShivelyの特許文献3を参照のこと。 天然ワックスは、トリグリセリド油の微量成分としてよく見つかるか、または特定の植物源および動物源から抽出できる。ヒマワリ油およびトウモロコシ油は天然ワックスを含有するのに対し、ホホバ、カルナウバおよびキャンデリアは、より純粋な形態で天然に見つかるワックスの例である。蜜蝋およびラノリンは、昆虫および動物起源の天然ワックスの例である。これらの例示のワックスは、液体の不飽和のホホバ油から、ほとんど完全に飽和したヒマワリワックスまでに及ぶ。水溶性などの、天然油およびワックスの様々な性質を制御または変更するために、アルコキシル化形態を形成することができる。例えば、天然ワックスのヒドロキシル基に結合させるエチレンオキシド(ETO)および/またはプロピレンオキシド(PO)単位の数を制御することによって、可溶性および融点などの様々な性質を変更することができる。一般に、天然油およびワックスは、アルコキシル化のレベルが上昇するに連れて、より水溶性になることが分かっている。エトキシル化された化合物、並びにプロポキシル化された化合物は、より水溶性かつよりアルコール可溶性になる。 羊毛脂(Adeps Lanae, wool waxまたはwool grease)とも称されるラノリンは、ヒツジの皮脂腺により分泌される黄色い蝋様物質である。ラノリンは、グリセリドを持っておらず、実際に、脂肪ではなく、ワックスであることがよく知られていても、ラノリンは、間違っているが、羊毛脂(Wool Fat)と称されることも多い。多くの天然生成物のように、ラノリンは、複雑かつ変化する組成を有する。例えば、典型的な高純度グレードのラノリンは、主に長鎖蝋様エステル(約97質量%)からなり、残りは、ラノリンアルコール、ラノリン酸およびラノリン炭化水素である。特定の品種のヒツジは大量のラノリンを生成し、その抽出は、ヒツジから収穫した羊毛をローラの間で圧搾することによって行うことができる。ラノリンの本来の役割は、環境と気候の脅威から羊毛と皮膚を保護することである−外皮の衛生状態においても役割を果たすように思える。したがって、ラノリンとその多くの誘導体が、ヒトの皮膚の保護、治療および美化のために設計された製品において広く使用されることは意外なことではない。 ホホバは、アリゾナ州、カリフォルニア州、およびメキシコ国のソノラ砂漠とモハーベ砂漠原産の低木である。ホホバは油のために栽培されており、その油は、種子から圧搾される液体ワックスエステルである。その油は、トリグリセリドではなく、極めて長い(C36〜C46)直鎖のワックスエステルであり、そのために、ホホバとその誘導体のホホバエステルが、従来の植物油よりも、ヒト皮脂および鯨油により類似したものとなるという点で、まれである。ホホバ油は、無臭、無色かつ酸化安定性であるように容易に精製され、保湿剤として、特殊香料のためのキャリアオイルとして、化粧品によく使用されている。米国特許第5209927号明細書米国特許第5294607号明細書米国特許第4409205号明細書 本発明は、アルコキシル化ラノリンおよびアルコキシル化ホホバからなる群より選択されるアルコキシル化天然ワックスを0.005質量%から2.0質量%含む眼用組成物に関する。いくつかの選択された実施の形態において、眼用組成物は、0.002質量%から0.2質量%のヒアルロン酸または0.05質量%から0.3質量%のヒドロキシプロピルグアーも含む。本発明は、ドライアイ症候群と診断された患者を治療する方法であって、前記眼用組成物の点眼薬を一滴以上自己投与するように患者に指示する工程を含む方法にも関する。 本発明は、アルコキシル化ラノリンおよびアルコキシル化ホホバからなる群より選択されるアルコキシル化天然ワックスを0.005質量%から2.0質量%含むコンタクトレンズケア溶液に関する。いくつかの選択された実施の形態において、コンタクトレンズケア溶液は、0.002質量%から0.04質量%のヒアルロン酸または0.005質量%から0.06質量%のヒドロキシプロピルグアー、および0.5ppmから1.5ppmの量で存在する、ポリ(ヘキサメチレンビグアニド);1ppmから10ppmの量で存在する、α−[4−トリス(2−ヒドロキシエチル)−アンモニウムクロライド−2−ブテニル]ポリ[1−ジメチルアンモニウムクロライド−2−ブテニル]−ω−トリス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムクロライド;および1ppmから4ppmの量で存在する、アレキシジンからなる群より選択される1種類以上の抗菌性成分も含む。 「コンタクトレンズケア溶液」という用語は、コンタクトレンズ、特に毎週、隔週または毎月の使用のために処方されたシリコーンハイドロゲルレンズと分類されるコンタクトレンズを洗浄し、殺菌するために使用できる水性の眼科的に許容される組成物、コンタクトレンズに使用するための再湿潤または快適溶液、およびレンズパッケージ用溶液である。「眼用組成物」という用語は、コンタクトレンズケア溶液を含む眼科的に許容される組成物、並びにアレルギー関連の症候群を軽減するために、ドライアイなどの眼に関連する症状を治療するために特に配合された組成物、および他の眼を快適にする配合物である。 ポリ(エトキシレート)ラノリンまたはPEGラノリンは、ラノリンのヒドロキシル官能基にエトキシレート結合を加える化学プロセスによってラノリンから誘導される。PEGラノリンは、室温でフレーク状のワックスであり、薄黄色から琥珀色をしている。例えば、PEG75ラノリンは、75のエチレンオキシド単位の平均長さを持つ高分子鎖を有し、結果として得られる化合物は、約4000ダルトンの重量平均分子量(MW)を有し、ラノリンエステルコアおよびポリエチレンオキシド鎖を有する。PEG75は、エトキシル化の結果として、ラノリンの水溶性誘導体である。周りのポリエーテル鎖のために、水分子が、非極性である、そうでなければ実質的に水不溶性のラノリンエステルコアの周りに集まることができる。結果として得られた水溶液は、濃度と共に強まるわずかに黄色がかった透明であり、非イオン性であり、ほとんどの生理学的電解質、例えば、塩化ナトリウムに適合する。PEG75は、比較的化学的に不活性であり、広いpH範囲に亘り安定である。PEG75ラノリンは、Kao Chemicals社から得られる。 天然ワックスであるラノリンのPEG誘導体の代替品として、ラノリンのポロキサマー誘導体を調製することもできる。ポロキサマーは、おそらく1000から5000の平均分子量を有し、BASF:性能化学品−界面活性剤:Pluronic & Tetronicにおいて接頭文字「L」または「P」が付いてBASF製品カタログに列挙されている。ポロキサマーの結合は、市販のPEGラノリンとほとんど同じ様式で、ラノリンにコンジュゲートされている。 PEGラノリンのように、ポリ(エトキシレート)ホホバまたはPEGホホバは、ホホバ油のヒドロキシル官能基にエトキシレート結合を加える化学プロセスによってホホバ油から誘導される。PEGホホバは、室温でフレーク状のオフホワイト色のワックスである。例えば、PEG150ホホバは、150のエチレンオキシド単位の平均長さを持つ高分子鎖を有する。PEG150ホホバは、エトキシル化の結果として、ホホバ油の完全に水溶性である誘導体である。PEG150ホホバは、比較的化学的に不活性であり、広いpH範囲に亘り安定である。PEG150ホホバは、Flratech(登録商標)Americasから得られる。 天然ワックスであるホホバのPEG誘導体の代替品として、ホホバのポロキサマー誘導体を調製することもできる。ポロキサマーは、おそらく1000から5000の平均分子量を有し、BASF:性能化学品−界面活性剤:Pluronic & Tetronicにおいて接頭文字「L」または「P」が付いてBASF製品カタログに列挙されている。ポロキサマーの結合は、市販のPEGホホバとほとんど同じ様式で、ラノリンにコンジュゲートされている。 ヒアルロン酸は、β(1−3)およびβ(1−4)グリコシド結合によって結合したD−グルクロン酸およびN−アセチル−D−グルコサミンからなる二糖単位を繰り返すことによって形成された直鎖多糖類(長鎖生体高分子)である。ヒアルロン酸は、タンパク質およびスルホン酸基への共有結合がないので、他のグルコサミノグリカンとは区別される。ヒアルロン酸は動物においてどこにでもあり、最高濃度が柔らかい結合組織に見つかる。ヒアルロン酸は、体の機械的目的と輸送目的の両方にとって重要な役割を果たす;例えば、関節に弾性を、脊椎動物の椎間板に剛性を与え、また眼の硝子体の重要な成分でもある。 ヒアルロン酸は、眼科団体によって、生体組織または細胞を圧縮力から保護できる化合物と認められている。したがって、ヒアルロン酸は、白内障手術のための粘弾性眼用組成物の一成分として提案されてきた。ヒアルロン酸の粘弾性特性、すなわち、静止状態では硬く弾性であるが、小さいせん断力下ではそれほど粘性ではない性質のために、ヒアルロン酸は、細胞および組織のための衝撃吸収材として基本的に機能することができる。ヒアルロン酸は、水を吸収し保持するための比較的大きい容量も有する。ヒアルロン酸の上述した性質は、分子量、溶液濃度、および生理的pHに依存する。低濃度では、個々の鎖は、もつれて、溶液中に連続した網目構造を形成し、これにより、低濃度の水溶性ポリマーに特有の顕著な粘弾性および偽塑性などの、興味深い性質をその系に与える。 典型的に、点眼薬によって眼に直接投薬されるように配合された眼用組成物において、ヒアルロン酸は、0.02質量%から0.2質量%の量で組成物中に存在する。典型的に、コンタクトレンズ用ケースに入れられるように配合されたコンタクトレンズ洗浄・殺菌溶液において、ヒアルロン酸は、0.002質量%から0.02質量%の量で組成物中に存在する。 グアーガムは、クラスタマメ(Cyamopsis tetragonolobus (L.) Taub)の基底胚乳である。その水溶性分画(85%)は、「ガラナ」(220,000の分子量)と呼ばれ、これは、(1−6)結合によってα−D−ガラクトピラノシル単位が結合した(1−4)−β−Dマンノピラノシル単位の直鎖からなる。ガラナにおけるD−ガラクトース対D−マンノースの比率は、約1:2である。このガムは、増粘性のために、食品およびパーソナルケア製品に主に使用され、デンプンの増粘力の5から8倍の増粘力を有する。グアーガムは、例えば、Rhone−Poulenc社(ニュージャージー州、クランバリー所在)から得られるであろう。グアーガムは、その性質を変更するために誘導体化することもでき、例えば、ヒドロキシプロピルまたはヒドロキシプロピルトリモニウムクロライド置換基を含有するものなどのグアー誘導体が、10年間に亘り市販されてきた。様々な程度で置換された誘導体化グアーも、Rhone−Poulenc社から市販されている。特に置換のモル比が低い(例えば、0.6未満)、ヒドロキシプロピルグアーが、ここに記載された眼用組成物において特に興味深い。 典型的に、点眼薬によって眼に直接投薬されるように配合された眼用組成物において、ヒドロキシプロピルグアーは、0.05質量%から0.3質量%の量で組成物中に存在する。典型的に、コンタクトレンズ用ケースに入れられるように配合されたコンタクトレンズ洗浄・殺菌溶液において、ヒドロキシプロピルグアーは、0.005質量%から0.06質量%の量で組成物中に存在する。 上述したように、ドライアイ症候群は、典型的に、患者が、焼けるような痛み、乾燥の感覚、および持続的な炎症を感じ得る眼の症状として定義される。多くの人々は、ドライアイは、涙の欠乏または過剰な涙の蒸発から生じ、これにより、眼瞼間の眼表面に損傷を与えると思っている。涙液膜は、水層を覆う脂質の薄層(健康な眼において約70nmの厚さ)を有する。この脂質層は、水副相を厚くし、蒸発を遅らせ、角膜の滑らかな光学表面を提供し、微生物を含む外来からの微粒子に対するバリアを提供し、長期間に亘り閉じられている最中に眼瞼縁を封止すると考えられる。脂質層を安定化するように配合された点眼薬は、ドライアイ症候群の症状を軽減するのに役立つであろう。 アルコキシル化天然ワックス、特にアルコキシル化ラノリンまたはアルコキシル化ホホバの、ヒアルロン酸またはヒドロキシプロピルグアーとの組合せを使用して、涙液膜の脂質の薄層を安定化させ、その結果、眼表面からの水分の蒸発損失を最小にすることができる。この点に関して、本発明の1つの実施の形態は、アルコキシル化ラノリンおよびアルコキシル化ホホバからなる群より選択されるアルコキシル化天然ワックス0.005質量%から2.0質量%を、0.002質量%から0.2質量%のヒアルロン酸または0.05質量%から0.3質量%のヒドロキシプロピルグアーと組み合わせて含む眼用組成物に関する。 Bausch & Lomb社での出願人などは、レンズケア溶液として使用するための数多くの眼用組成物を開発し、試験してきた。レンズケア溶液は、多数の機能的特徴を満たさなければならない。第一に、その溶液は、変性された涙のタンパク質および涙の脂質並びに他の外部汚染物質を除去する洗浄能力を持たなければならない。第二に、その溶液は、数多くの様々な細菌および菌類の菌株に対する著しい殺菌能力を持たなければならない。第三に、その溶液は、ヒリヒリする痛みを最小にして、コンタクトレンズを着用する患者にとって快適なままでなければならないと同時に、眼表面に追加の快適さまたは保護を提供するための基礎を提供しなければならない。最後に、その溶液は、多くの異なるコンタクトレンズ材料の著しい収縮や膨潤を生じてはならない。そのような収縮や膨潤は、視力の損失および望ましくないまたは著しいレンズの移動を生じ得る。 その上、涙液膜の安定化または維持は、ドライアイ症候群の治療にとって重要であるだけでなく、コンタクトレンズを着用している患者において快適さおよび水和の感覚を改善するためにも重要である。この点に関して、本発明の1つの実施の形態は、アルコキシル化ラノリンおよびアルコキシル化ホホバからなる群より選択されるアルコキシル化天然ワックス0.005質量%から2.0質量%を、0.002質量%から0.04質量%のヒアルロン酸または0.005質量%から0.06質量%のヒドロキシプロピルグアーと組み合わせて含むコンタクトレンズケア溶液に関する。 コンタクトレンズ洗浄・殺菌溶液は、ポリ(ヘキサメチレンビグアニド)(PHMBまたはPAPB)、α−[4−トリス(2−ヒドロキシエチル)−アンモニウムクロライド−2−ブテニル]ポリ[1−ジメチルアンモニウムクロライド−2−ブテニル]−ω−トリス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムクロライド(ポリクオタニウム−1)、および「アレキシジン」と従来技術で称される、1,1’−ヘキサメチレン−ビス[5−(2−エチルヘキシル)ビグアニド]から選択される抗菌性成分を1種類以上含む。PHMBの商業的供給源は、Cosmocil(商標)CQの商標名でコネチカット州ノーウォーク所在のArch Chemicals,Inc.社から得られる。PHMBは、0.2ppmから2ppmまたは0.5ppmから1.5ppmの量で組成物中に存在する。前記ポリクオタニウム−1は、1ppmから10ppmまたは1ppmから3ppmの量で存在する。アレキシジンは、0.5ppmから5ppmまたは0.5ppmから2ppmの量で組成物中に存在する。 前記組成物は、上述した抗菌性成分を1種類以上含んでも差し支えないことが当業者には理解されよう。例えば、1つの実施の形態において、コンタクトレンズケア溶液は、ポリ(ヘキサメチレンビグアニド)またはアレキシジンなどのビグアニド抗菌性成分と組み合わせて、ポリクオタニウム−1を含んでも差し支えない。ポリクオタニウム−1は、Opti−Free(登録商標)Expressおよび「Opti−Free」Replenishの両方においてポリクオタニウム−1の報告された濃度と比べて、比較的低濃度、すなわち、0.5ppmから3ppmの量で存在する。出願人は、ポリクオタニウム−1およびビグアニドは、組合せで、その溶液の殺菌プロファイルを向上させることができると考えている。 ポリクオタニウム−42は、別の公知の抗菌性成分であり、5ppmから50ppmの量で眼用組成物中に存在する。ポリクオタニウム−42は、しばしば、PHMB、ポリクオタニウム−1、またはアレキシジンとの組合せで、または金属亜塩素酸塩などの塩素酸化物の安定化形態との組合せで、使用される。 コンタクトレンズケア溶液または眼用組成物は、緩衝系も含むようである。「緩衝剤」または「緩衝系」という用語により、通常は少なくとも1種類の他の化合物との組合せで、緩衝能力、すなわち、元のpHを比較的ほとんどまたは全く変化させずに、ある範囲内で、酸または塩基(アルカリ)のいずれかを中和する能力を示す、溶液中の緩衝系を提供する化合物を意味する。一般に、緩衝剤成分は、0.05%から2.5%(w/v)または0.1%から1.5%(w/v)の量で存在する。 「緩衝能力」という用語は、1リットル(標準単位)の緩衝液に加えられたときに、一単位でpHを変化させるのに必要な強酸または強塩基(またはそれぞれ、水素イオンまたは水酸化物イオン)のミリモル(mM)を意味するように定義される。緩衝能力は、緩衝剤成分のタイプと濃度に依存する。緩衝能力は、6から8、好ましくは7.4から8.4の開始pHから測定される。 ホウ酸塩緩衝剤は、例えば、ホウ酸とその塩、例えば、ホウ酸ナトリウムまたはホウ酸カリウムを含む。ホウ酸塩緩衝剤は、溶液中のホウ酸またはその塩を生成する四ホウ酸カリウムまたはメタホウ酸カリウムなどの化合物も含む。ホウ酸塩緩衝剤は、特定の高分子ビグアニドの効能を向上させることが知られている。例えば、Ogunbiyi等の米国特許第4758595号明細書には、PHMBを含有するコンタクトレンズ溶液が、ホウ酸塩緩衝剤と組み合わされた場合、向上した効能を示すことができることが記載されている。 リン酸塩緩衝系は、一塩基性リン酸塩、二塩基性リン酸塩などを1種類以上含むことが好ましい。特に有用なリン酸塩緩衝剤は、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属のリン酸塩から選択されるものである。適切なリン酸塩緩衝剤の例としては、リン酸水素二ナトリウム(Na2HPO4)、リン酸二水素ナトリウム(NaH2PO4)およびリン酸二水素カリウム(KH2PO4)を1種類以上含む。リン酸塩緩衝剤成分は、大抵、リン酸塩イオンとして計算して、0.01%から0.5%(w/v)の量で使用される。 他の公知の緩衝剤化合物、例えば、クエン酸塩、クエン酸、重炭酸ナトリウム、トリスなどを、必要に応じて、レンズケア組成物に加えても差し支えない。溶液中の他の成分、例えば、ポリプロピレングリコールまたはグリセリンは、他の機能を有する一方で、緩衝能力にも影響を与えるかもしれない。 好ましい緩衝系は、ホウ酸/ホウ酸塩、一塩基性および/または二塩基性リン酸塩/リン酸、またはホウ酸/リン酸塩の混合緩衝系に基づく。例えば、ホウ酸/リン酸塩の混合緩衝系は、ホウ酸/ホウ酸ナトリウムと一塩基性/二塩基性リン酸塩の混合物から配合できる。ホウ酸/リン酸塩の混合緩衝系において、リン酸塩緩衝剤は、(合計で)0.004から0.2M(モル)、好ましくは0.04から0.1Mの濃度で使用される。ホウ酸塩緩衝剤は(合計で)、0.02から0.8M、好ましくは0.07から0.2Mの濃度で使用される。 前記レンズケア溶液は、界面活性剤成分、粘度誘導すなわち増粘成分、キレート剤または封鎖剤成分、または張性調節成分も、有効量で含んで差し支えない。その追加の成分は、コンタクトレンズにおいて有用であることが知られておりかつ所望の機能特徴を提供するのに有効な量で含まれる材料から選択することができる。 適切な界面活性剤は、陽イオン性または非イオン性であり得、典型的に、2%w/vまでの量で存在する(個別にまたは合計で)。好ましい界面活性剤の部類の1つは非イオン界面活性剤である。界面活性剤は、レンズケア溶液中に可溶性であり、眼の組織に対して非刺激性であるべきである。多くの非イオン界面活性剤は、Rが2から6の炭素原子を有する、オキシアルキレン(−O−R−)繰り返し単位を有する鎖または高分子成分を1つ以上含む。好ましい非イオン界面活性剤は、2つ以上の異なる種類のオキシアルキレン繰り返し単位のブロックポリマーを含み、その異なる繰り返し単位の比率により、界面活性剤のHLBが決まる。満足のいく非イオン界面活性剤としては、脂肪酸のポリエチレングリコールエステル、例えば、ココナッツ、ポリソルベート、高級アルカン(C12〜C18)のポリオキシエチレンまたはポリオキシプロピレンエーテルが挙げられる。この部類の例としては、ポリソルベート(商標名Tween(登録商標)20で市販されている)、ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル(Brij(登録商標)35)、ステアリン酸ポリオキシエチレン(40)(Myrj(登録商標)52)、ステアリン酸ポリオキシエチレン(25)プロピレングリコール(Atlas(登録商標)G2612)が挙げられる。さらに別の好ましい界面活性剤はチロキサポールである。 付加物の少なくとも40質量パーセントがポリ(オキシエチレン)である、約6,000から約24,000ダルトンの分子量を有するエチレンジアミンのポリ(オキシプロピレン)−ポリ(オキシエチレン)付加物からなる特定の非イオン界面活性剤が、ソフトとハード両方のコンタクトレンズの洗浄と保存に使用するのに特に都合よいことが分かった。この群の界面活性剤のCTFAの化粧品成分辞書に採用された名称は、ポロキサミンである。そのような界面活性剤が、Tetronic(登録商標)の名称で、ミシガン州ワイアンドット所在のBASF Wyandotte Corp.社から市販されている。特に良好な結果が、ポロキサミン1107またはポロキサミン1304で得られる。前述のポリ(オキシエチレン)ポリ(オキシプロピレン)ブロックポリマー界面活性剤は、一般に、0.0から2%w/v、0.0から1%w/v、または0.2から0.8%w/vの合計量で存在する。 レンズケア組成物に使用するための一連の界面活性剤の類似物は、Pluronic(登録商標)(BASF社から市販されている)の名称で得られるポリ(オキシエチレン)ポリ(オキシプロピレン)ブロックポリマーである、一連のポロキサマーである。レンズケア組成物の1つの実施の形態によれば、ポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)ブロックコポリマーは、2500から13,000ダルトン、または6000から約12,000ダルトンの分子量を有する。満足のいく界面活性剤の特別な例としては:ポロキサマー108、ポロキサマー188、ポロキサマー237、ポロキサマー238、ポロキサマー288およびポロキサマー407が挙げられる。特に良好な結果が、ポロキサマー237またはポロキサマー407で得られる。前述のポリ(オキシエチレン)ポリ(オキシプロピレン)ブロックポリマー界面活性剤は、一般に、0.0から2%w/v、0.0から1%w/v、または0.2から0.8%w/vの合計量で存在する。 別の実施の形態において、前記界面活性剤は、一般式IIの両性界面活性剤であり、式中、 R1は、Rまたは−(CH2)n−NHC(O)Rであり、Rは、ヒドロキシルにより必要に応じて置換されたC8〜C16アルキルであり、nは、2、3または4であり;R2およびR3は、メチル、エチル、プロピルまたはイソプロピルから各々独立して選択され;R4は、ヒドロキシルにより必要に応じて置換されたC2〜C8アルキレンである。あるいは、一般式IIIのヒドロキシスルホベタインを使用しても差し支えなく、式中、 R1は、少なくとも1つのヒドロキシルにより置換されたC8〜C16アルキルであり;R2およびR3は、メチル、エチル、プロピルまたはイソプロピルから各々独立して選択され;R4は、少なくとも1つのヒドロキシルにより置換されたC2〜C8アルキレンである。 前記レンズケア溶液は、デクスパンテノールを含んで差し支えなく、これは、プロビタミンB5、D−パントテニルアルコールまたはD−パンテノールとも呼ばれる、パントテン酸のアルコールである。デクスパンテノールは、眼にコンタクトレンズを配置した後の眼表面で涙膜を安定化させることに関与するであろうと述べられている。デクスパンテノールは、0.2から5%w/v、0.5から3%w/v、または1から2%w/vの量で前記溶液中に存在することが好ましい。 前記コンタクトレンズケア溶液は、ソルビトールまたはキシリトールなどの糖アルコールも含んで差し支えない。典型的に、デクスパンテノールはその糖アルコールとの組合せで使用される。糖アルコールは、0.4から5%w/v、または0.8から3%w/vの量でレンズケア組成物中に存在する。 レンズケア溶液は、毎日の使用後にレンズ表面から脂質およびタンパク質の堆積物の除去に役立つキレート剤成分を1種類以上含んでも差し支えない。典型的に、前記眼用組成物は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)またはその二塩、Na2EDTAなどのその対応する金属塩を比較的少量、例えば、0.005%から0.05%(w/v)含む。 キレート剤Na2EDTAの1つの考えられる代替物またはNa2EDTAとの考えられる組合せは、以下の式IV:のジコハク酸塩またはその対応する塩であり、式中、 R1は、水素、アルキルまたは−C(O)アルキルから選択され、そのアルキルは、1から12の炭素および必要に応じて1つ以上の酸素原子を有し、Aは、メチレン基またはオキシアルキレン基であり、nは2から8までである。1つの実施の形態において、ジコハク酸塩は、S,S−エチレンジアミンジコハク酸塩(S,S−EDDS)またはその対応する塩である。S,S−EDDSの商業的供給源の1つは、Octaquest(登録商標)E30により示され、これは、Octel社から市販されている。S,S−EDDSの三ナトリウム塩の化学構造が下記に示されている。その塩は、カルシウムやマグネシウムなどのアルカリ土類金属も含んで差し支えない。このジコハク酸塩の亜鉛塩または銀塩も前記眼用組成物に使用して差し支えない。 さらに別の部類のキレート剤としては、エチレンジアミン三酢酸ノナイルなどのエチレンジアミン三酢酸アルキルが挙げられる。そのようなキレート剤のより完全な説明については、米国特許第6995123号明細書を参照のこと。 レンズケア溶液は、一般に、有効量の張性調節成分を含んでいる。使用できる適切な張性調節成分には、様々な無機塩などの、コンタクトレンズケア製品で従来用いられているものがある。塩化ナトリウムおよび/または塩化カリウムなどが、非常に有用な張性調節成分である。張性調節成分の量は、望ましい程度の張性をその溶液に与えるのに効果的である。 レンズケア溶液は、一般に、少なくとも約200mOsmol/kg、例えば、約300または約350から約400mOsmol/kgの範囲内の浸透圧モル濃度を有する。レンズケア溶液は、実質的に等張性または高張性(例えば、わずかに高張性)であり、眼科的に許容できる。 1つの例示のコンタクトレンズケア溶液を、表1に各々が列挙された成分と量により調製した。 別のコンタクトレンズケア溶液は、表2に列挙された以下の成分を含む。 他のコンタクトレンズケア溶液は、表3に列挙された以下の成分を含む。 上述したように、毎日のお手入れ法としてコンタクトレンズを洗浄・殺菌するために、前記眼用組成物を使用することができる。この手法は、眼からコンタクトレンズを取り外し、レンズの両面に数滴の溶液を加え、その後、約3から10秒に亘り指の間で表面を優しく擦り、レンズの両面を数ミリリットルの溶液で濯ぎ、レンズをレンズ保存用ケースに入れる各工程を含む。次いで、少なくとも2時間に亘り、新しい溶液中にレンズを浸す。次いで、レンズをケースから取出し、必要に応じてさらに溶液で濯ぎ、再び眼に着ける。 前記眼用組成物は、(1)ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)などのアクリル酸エステルの重合によって調製された材料から形成されたハードレンズ、(2)アクリル酸シリコーンとメタクリル酸フルオロシリコーンから形成された剛性のガス透過性(RGP)レンズ、(3)ソフトタイプのハイドロゲルレンズ、(4)非ハイドロゲルエラストマーレンズを含む多くの様々なタイプのコンタクトレンズに使用できる。 この眼用組成物は、コンタクトレンズを再び潤す点眼溶液として配合しても差し支えない。一例として、この再湿潤点眼薬は、先の表1から3の配合物のいずれか1つにしたがって調製してもよい。あるいは、その配合物は、界面活性剤の量を増加させることにより;抗菌剤の量を防腐量に減少させることにより;および/または保湿剤および/または鎮痛薬を加えることにより;変更してもよい。 この眼用組成物は、ドライアイの患者を治療するための配合物における防腐剤として使用しても差し支えない。そのような方法において、眼用組成物は、患者の眼、瞼、または患者の眼を取り囲む皮膚に投与される。それらの組成物は、コンタクトレンズが患者の眼の中にあるか否かにかかわらず、眼に投与して差し支えない。例えば、多くの人々は、眼の涙システムが、埃、花粉などの刺激性の環境汚染物質を除去するのに必要な適切な涙体積または涙膜安定性を提供できない一過性または慢性の眼の症状を患っている。 多くの場合、眼用組成物は1種類以上の活性医薬品を含む。一般に、活性医薬品は、抗炎症薬、抗生物質、免疫抑制薬、抗ウイルス薬、抗真菌薬、麻酔薬と鎮痛薬、抗癌剤、抗緑内障薬、ペプチドとタンパク質、抗アレルギーを含む1つ以上の部類の眼用医薬品にある。 実施例番号1から4 以下のプロセス(成分は、ppmで示されていない限り、質量%で列挙されている)を使用して、表4の実施例番号1から5のコンタクトレンズケア溶液を調製する。ステンレス鋼製混合容器に、全バッチ質量の70〜90%に等しい体積の精製水を加える。以下のバッチ配合量の成分を、列挙された順序で撹拌しながら水に加える:塩化ナトリウム、エデト酸二ナトリウム、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、Dequest(登録商標)2016(要求されれば)、PEG−75ラノリンおよびTetronics(登録商標)1107。各成分を確実に完全に溶解させるために、その溶液は10分間以上に亘り混合(撹拌)する。ヒアルロン酸ナトリウムを加えるべき場合には、溶液は、70℃以上の温度まで温め、次いで、ヒアルロン酸ナトリウムを加える。暖められた溶液を、ヒアルロン酸ナトリウムが完全に溶解されたように見えるまで、少なくとも20分間に亘り撹拌する。得られた溶液のpHを室温で測定し、必要であれば、1NのNaOHまたは1NのHClでpHを調節する(標的pH=7.5)。第2のステンレス鋼製容器内で、バッチに必要な測定量のPHMBを所定の量の精製水に加え、その溶液を少なくとも10分間に亘り撹拌する。第3のステンレス鋼製容器内で、要求されれば、測定量のポリクオタニウム−1を所定の量の精製水に加え、その溶液を少なくとも10分間に亘り撹拌する。最終的な溶液を少なくとも15分間に亘り撹拌する。 出願人は、PEG75ラノリンおよび1種類以上の抗菌性成分を含有する眼用溶液を試験した。様々な量のPEG75ラノリンおよび1.3ppmのPHMBまたは3ppmのポリクオタニウム−1のいずれかを含有するコンタクトレンズ溶液を調製した。この溶液の配合は、表8の実施例4の成分も含んだ。PHMB/PEG−ラノリン溶液の場合、PEG75ラノリンは、試験した微生物に対するPHMB溶液の殺菌活性にわずかにマイナスの影響を有するように思われる、表5参照。PQ−1溶液において、抗菌活性には差異は観察されなかった、表6参照。 細菌独立型安定性 配合物の活性を評価するために、実施例番号4のサンプルを4オンス(約113g)のPET容器内にボトル詰めし、所定の期間に亘り、周囲温度、並びに高温で貯蔵した。サンプルの独立型殺菌効力を指定の間隔で試験して、消毒活性について、時間による配合物の安定性を決定する、表7参照。この「消毒製品に関する独立型手法」は、米国食品医薬品局、眼用器具課(Division of Ophthalmic Devices)により用意された1997年5月1日付けの製品に関する消毒効力試験に基づく。この性能要件は、摩擦手法を含んでいない。 この独立型試験は、代表範囲の微生物の標準的な接種材料で消毒製品に挑み、製品が使用されるであろう期間に匹敵する所定の期間での生存能力低下の程度を確立する。所定の消毒期間(潜在的な最小の推奨される消毒期間に相当する)に関する第1の判断基準は、ml当たりの回収された細菌数を、所定の消毒期間内に対数で3.0以上の平均値で減少させなければならないことである。ml当たりの回収されたカビおよび酵母の数は、最小の推奨される消毒期間の4倍では増加させずに、最小の推奨される消毒期間内で対数で1.0以上の平均値で減少されなければならない。 コンタクトレンズの化学的消毒および洗浄のための様々な組成物の各々の抗菌効力は、独立型手法を使用して10%の有機質土壌の存在下で評価される。微生物接種材料は、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(ATCC6538)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)(ATCC9027)、セラチア菌(Serratia marcescens)(ATCC13880)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)(ATCC10231)、およびフザリウム・ソラニ(Fusarium solani)(ATCC36031)を使用して調製する。試験微生物は適切な寒天上で培養し、培養物は、0.005パーセントw/vのポリソルベート80(DPBST)または適切な希釈剤を加えた無菌ダルベッコ・リン酸緩衝食塩水を使用して収穫し、適切な容器に移す。胞子懸濁液を無菌グラスウールに通して濾過して、菌糸断片を除去する。セラチア菌を必要に応じて1.2μmのフィルタに通して濾過して、懸濁液を澄ます。 収穫後、懸濁液を、20℃から25℃の温度で最大30分間に亘り5000×g以下で遠心分離する。その上清を他の容器に移し、残りをDPBSTまたは他の適切な希釈剤中に再度懸濁させる。この懸濁液を二回目に遠心分離し、DPBSTまたは他の適切な希釈剤中に再度懸濁させる。全ての接種用細菌および真菌細胞懸濁液は、DPBSTまたは他の適切な希釈剤で1×107から1×108cfu/mlに調節する。適切な細胞濃度は、例えば、事前に選択した波長、例えば、490nmで分光光度計を使用して、懸濁液の濁度を測定することによって推定してもよい。接種用微生物当たり最低で10mlの試験溶液を収容する1つの試験管を用意する。試験すべき溶液の各試験管に、1×105から1×106cfu/mlの最終総数を提供するのに十分な試験微生物の懸濁液を接種する。その接種材料の体積は、サンプル体積の1パーセントを超えない。接種材料の分散体は、少なくとも15秒間に亘りサンプルをボルテックスすることによって確実にする。接種された製品は、10℃から25℃で貯蔵する。1.0mlの量のアリコートを、特定の消毒期間後に生存総数の決定のために接種製品から採取する。 この懸濁液は、少なくとも5秒間に亘り激しくボルテックスすることによってよく混合する。特定の感覚で取り出された1.0mlのアリコートに、有効な中和媒質中で適切な一連の10進法希釈を行う。その懸濁液を激しく撹拌し、微生物因子を中和するのに適切な期間に亘りインキュベーションする。微生物の生存総数は、細菌についてはトリプチケースソイ寒天培地の、カビおよび酵母についてはサブロー寒天培地(SDA)の三重プレートの調製によって、適切な希釈で決定する。細菌回収プレートは、2日間から4日間に亘り30℃から35℃でインキュベーションする。酵母回収プレートは、2日間から4日間に亘り20℃から30℃でインキュベーションする。カビ回収プレートは、3日間から7日間に亘り20℃から25℃でインキュベーションする。コロニー形成単位の平均数は、計数可能なプレートで決定する。計数可能なプレートとは、100または10-1希釈プレートについてコロニーのみが観察される場合を除いて、細菌と酵母については30から300cfu/プレートを、カビについては8から80cfu/プレートを称する。次いで、微生物の減少を、特定の時間点で計算する。 殺菌独立型安定性データが、実施例番号4に得られ、表7に報告されている。1ヶ月での40℃のデータの6ヶ月での40℃のデータとの比較は、カンジダ・アルビカンスに対しては殺菌減少において対数1の減少を、フザリウム・ソラニに対しては殺菌減少においてほぼ対数2の減少を示す。しかしながら、6ヶ月並びに9ヶ月での40℃のデータでさえ、FDAの独立型手法の下では、菌類の対数1の減少要件を合格する。興味深いことに、主要なコンタクトレンズケア溶液であるOptiFree(登録商標)Replenishは、同一の試験条件下において25℃でt0でのカンジダ・アルビカンスに関する対数1の減少のFDA要件に不合格のようである。 実施例番号6から10 以下の基礎配合(質量%)に基づいて、実施例組成物を調製した:0.65のホウ酸;0.09のホウ酸ナトリウム;0.4の塩化ナトリウム;0.05のNa2EDTA;0.1のDequest(登録商標)2016;0.5のポロキサミン1107;0.02のPEG75ラノリン;および特定の濃度のPHMBおよびポリクオタニウム−1。適量から100%の水としての組成物が表8に列挙されている。 実施例番号11から15 様々な濃度のPEG−75を含むコンタクトレンズケア溶液について、用量研究を行い、それらの溶液が表9に列挙されている。以下の基礎配合(質量%)に基づいて、実施例組成物を調製した:0.65のホウ酸;0.09のホウ酸ナトリウム;0.4の塩化ナトリウム;0.05のNa2EDTA;0.1のDequest(登録商標)2016;0.5のポロキサミン1107;1.3ppmのPHMBおよび適量から100%の水。 実施例番号4の予備臨床評価 21人の被験者が、Bausch & Lomb, Inc.社のPureVision(登録商標)レンズを使用し、実施例番号4の配合物を対照溶液(10ppmのポリクオタニウム−1およびAldox(登録商標)を含む市販のレンズケア溶液)と比較する、2時間の分配試験を終えた。レンズケースの各ウェルを試験溶液か対照溶液いずれかで前処理した(1回の最低4時間の浸漬)。各場合について、試験溶液で処理するウェルを無作為に決定し、他のウェルは対照溶液を受け入れた。レンズケースのウェルに使用したのと同じ無作為化にしたがって、全てのレンズを、前処理したレンズケース内で、試験溶液か対照溶液いずれかで前処理(最低4時間の浸漬)した。 研究を終えた21人の被験者の内、レンズの挿入時に、3人が試験溶液を好み、5人が対照溶液を好んだ。13人は差異を述べなかった。また、試験の2時間の期間に亘り、試験溶液の眼と対照溶液の眼との間に、平均のチクチクした痛み/焼けるような痛みに関する統計的に有意な差はなかった。 PHMB取込み摂取研究 2つのホウ酸緩衝食塩水(BBS)溶液において、PHMB取込み研究を行った:一方は、合計で5.0ppmのPHMBを含み(対照)、もう一方は、合計で5.0ppmのPHMBに加え、0.02質量%のPET−75ラノリンを含んだ(試験)。PHMBの濃度は、235nmでの試験溶液と対照溶液の吸光度に基づいて決定した。対照溶液中に一晩浸漬した後に、PureVision(登録商標)レンズは約3.055ppmのPHMBを吸収し、これは、約62%のPHMBの取込みに相当する。反対に、試験溶液中に一晩浸漬した後に、PureVision(登録商標)レンズは約1.907ppmのPHMBを吸収し、これは、約38%のPHMBの取込みに相当する。一晩の浸漬後のPureVision(登録商標)レンズによるPHMBの取込みパーセントの差は、約39%、すなわち、[62−38]/62×100%である。観察された吸光度値は、PEG−75ラノリンも235nmで吸収することを示した。それゆえ、これらの値は、PHMB取込み研究をPEG−75ラノリンの存在下で行った場合、予測されることの指標として使用すべきである。 レンズ適合性試験 アルコキシル化ラノリンおよびアルコキシル化ホホバからなる群より選択されるアルコキシル化天然ワックスを0.005質量%から2.0質量%含む眼用組成物。 0.002質量%から0.2質量%のヒアルロン酸または0.05質量%から0.3質量%のヒドロキシプロピルグアーをさらに含む、請求項1記載の組成物。 前記アルコキシル化天然ワックスがアルコキシル化ラノリンである、請求項1または2記載の組成物。 前記アルコキシル化ラノリンがPEG75ラノリンである、請求項3記載の組成物。 前記アルコキシル化天然ワックスがラノリンのポロキサマー誘導体である、請求項1または2記載の組成物。 前記アルコキシル化天然ワックスがアルコキシル化ホホバである、請求項1または2記載の組成物。 前記アルコキシル化ホホバがPEG150ホホバである、請求項6記載の組成物。 前記アルコキシル化天然ワックスがホホバのポロキサマー誘導体である、請求項1または2記載の組成物。 医薬品をさらに含む、請求項1から8いずれか1項記載の組成物。 ドライアイ症候群と診断された患者を治療する方法であって、アルコキシル化ラノリンおよびアルコキシル化ホホバからなる群より選択される、0.005質量%から2.0質量%のアルコキシル化天然ワックス、および0.002質量%から0.2質量%のヒアルロン酸または0.05質量%から0.3質量%のヒドロキシプロピルグアーを含む眼用組成物の点眼薬を一滴以上自己投与するように患者に指示する工程を含む方法。 アルコキシル化ラノリンおよびアルコキシル化ホホバからなる群より選択されるアルコキシル化天然ワックスを0.005質量%から2.0質量%含むコンタクトレンズケア溶液。 0.002質量%から0.04質量%のヒアルロン酸または0.005質量%から0.06質量%のヒドロキシプロピルグアー、および 0.5ppmから1.5ppmの量で存在する、ポリ(ヘキサメチレンビグアニド);1ppmから10ppmの量で存在する、α−[4−トリス(2−ヒドロキシエチル)−アンモニウムクロライド−2−ブテニル]ポリ[1−ジメチルアンモニウムクロライド−2−ブテニル]−ω−トリス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムクロライド;および1ppmから4ppmの量で存在する、アレキシジンからなる群より選択される1種類以上の抗菌性成分、をさらに含む、請求項11記載のコンタクトレンズケア溶液。 前記アルコキシル化天然ワックスがアルコキシル化ラノリンである、請求項11または12記載のコンタクトレンズケア溶液。 前記アルコキシル化天然ワックスがラノリンのポロキサマー誘導体である、請求項11または12記載のコンタクトレンズケア溶液。 前記アルコキシル化天然ワックスがアルコキシル化ホホバである、請求項11または12記載のコンタクトレンズケア溶液。 前記アルコキシル化天然ワックスがホホバのポロキサマー誘導体である、請求項11または12記載のレンズケア溶液。 デクスパンテノール、ソルビトール、グリコール酸、プロピレングリコール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオールまたはそれらの任意の混合物をさらに含む、請求項11から16いずれか1項記載のレンズケア溶液。 敏感な眼のためのコンタクトレンズケア溶液であって、 0.5ppmから1.5ppmのポリ(ヘキサメチレンビグアナイド)、および0.005質量%から2.0質量%の、アルコキシル化ラノリンおよびアルコキシル化ホホバからなる群より選択されるアルコキシル化天然ワックスを含んで、バラフィルコンAシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを前記溶液中に少なくとも6時間浸漬した後、該コンタクトレンズ中に吸収される前記ポリ(ヘキサメチレンビグアナイド)の量を、前記アルコキシル化天然ワックスを含まない同等の溶液の場合と比べて少なくとも25%の差だけ減少させるようにしたコンタクトレンズケア溶液。 1ppmから10ppmの量で存在する、α−[4−トリス(2−ヒドロキシエチル)−アンモニウムクロライド−2−ブテニル]ポリ[1−ジメチルアンモニウムクロライド−2−ブテニル]−ω−トリス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムクロライド、または1ppmから4ppmの量で存在する、アレキシジンをさらに含む、請求項18記載のレンズケア溶液。 前記アルコキシル化天然ワックスがホホバのポロキサマー誘導体またはラノリンのポロキサマー誘導体である、請求項18または19記載のレンズケア溶液。 アルコキシル化ラノリンおよびアルコキシル化ホホバからなる群より選択されるアルコキシル化天然ワックスを0.005質量%から2.0質量%含む眼用組成物、およびその眼用組成物で、ドライアイ症候群と診断された患者を治療する方法、またはコンタクトレンズを洗浄し、殺菌する方法が開示されている。20141021A16333全文3 0.005質量%から2.0質量%の、アルコキシル化ラノリンおよびアルコキシル化ホホバからなる群より選択されるアルコキシル化天然ワックス、および0.002質量%から0.2質量%のヒアルロン酸または0.05質量%から0.3質量%のヒドロキシプロピルグアーを含む眼用組成物。 前記アルコキシル化天然ワックスがアルコキシル化ラノリンである、請求項1記載の組成物。 前記アルコキシル化ラノリンがPEG75ラノリンである、請求項2記載の組成物。 前記アルコキシル化天然ワックスがラノリンのポロキサマー誘導体である、請求項1記載の組成物。 前記アルコキシル化天然ワックスがアルコキシル化ホホバである、請求項1記載の組成物。 前記アルコキシル化ホホバがPEG150ホホバである、請求項5記載の組成物。 前記アルコキシル化天然ワックスがホホバのポロキサマー誘導体である、請求項1記載の組成物。 医薬品をさらに含む、請求項1から7いずれか1項記載の組成物。 ドライアイ症候群と診断された患者を治療するために使用され、該組成物が患者に点眼される、請求項1から8いずれか1項記載の組成物。 0.005質量%から2.0質量%の、アルコキシル化ラノリンおよびアルコキシル化ホホバからなる群より選択されるアルコキシル化天然ワックス、 0.002質量%から0.04質量%のヒアルロン酸または0.005質量%から0.06質量%のヒドロキシプロピルグアー、および 0.5ppmから1.5ppmの量で存在するポリ(ヘキサメチレンビグアニド);1ppmから10ppmの量で存在するα−[4−トリス(2−ヒドロキシエチル)−アンモニウムクロライド−2−ブテニル]ポリ[1−ジメチルアンモニウムクロライド−2−ブテニル]−ω−トリス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムクロライド;および1ppmから4ppmの量で存在するアレキシジンからなる群より選択される1種類以上の抗菌性成分、含むコンタクトレンズケア溶液。 前記アルコキシル化天然ワックスがアルコキシル化ラノリンである、請求項10記載のコンタクトレンズケア溶液。 前記アルコキシル化天然ワックスがラノリンのポロキサマー誘導体である、請求項10記載のコンタクトレンズケア溶液。 前記アルコキシル化天然ワックスがアルコキシル化ホホバである、請求項10記載のコンタクトレンズケア溶液。 前記アルコキシル化天然ワックスがホホバのポロキサマー誘導体である、請求項10記載のレンズケア溶液。 デクスパンテノール、ソルビトール、グリコール酸、プロピレングリコール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオールまたはそれらの任意の混合物をさらに含む、請求項10から14いずれか1項記載のレンズケア溶液。 敏感な眼のためのコンタクトレンズケア溶液であって、0.5ppmから1.5ppmのポリ(ヘキサメチレンビグアナイド)を含むことを特徴とする、請求項10から15いずれか1項記載のコンタクトレンズケア溶液。 1ppmから10ppmの量で存在するα−[4−トリス(2−ヒドロキシエチル)−アンモニウムクロライド−2−ブテニル]ポリ[1−ジメチルアンモニウムクロライド−2−ブテニル]−ω−トリス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムクロライド、または1ppmから4ppmの量で存在するアレキシジンをさらに含む、請求項16記載のレンズケア溶液。20141106A1633000663 出願人は、PEG75ラノリンおよび1種類以上の抗菌性成分を含有する眼用溶液を試験した。様々な量のPEG75ラノリンおよび1.3ppmのPHMBまたは3ppmのポリクオタニウム−1のいずれかを含有するコンタクトレンズ溶液を調製した。この溶液の配合は、表4の実施例4の成分も含んだ。PHMB/PEG−ラノリン溶液の場合、PEG75ラノリンは、試験した微生物に対するPHMB溶液の殺菌活性にわずかにマイナスの影響を有するように思われる、表5参照。PQ−1溶液において、抗菌活性には差異は観察されなかった、表6参照。