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タイトル:特許公報(B1)_1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ポリイソシアネート組成物、ポリウレタン樹脂および成形品
出願番号:2014548221
年次:2015
IPC分類:C07C 265/14,C08G 18/75


特許情報キャッシュ

山崎 聡 森田 広一 桑村 五郎 西口 大介 中川 俊彦 長谷川 大輔 ▲浜▼田 哲也 清野 真二 福田 偉志 小角 和広 塚田 英孝 後藤 謙一 伊藤 伸介 柿沼 直志 JP 5675011 特許公報(B1) 20150109 2014548221 20140925 1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ポリイソシアネート組成物、ポリウレタン樹脂および成形品 三井化学株式会社 000005887 岡本 寛之 100103517 宇田 新一 100149607 山崎 聡 森田 広一 桑村 五郎 西口 大介 中川 俊彦 長谷川 大輔 ▲浜▼田 哲也 清野 真二 福田 偉志 小角 和広 塚田 英孝 後藤 謙一 伊藤 伸介 柿沼 直志 JP 2013200500 20130926 JP 2014126296 20140619 20150225 C07C 265/14 20060101AFI20150205BHJP C08G 18/75 20060101ALI20150205BHJP JPC07C265/14C08G18/75 C07C 265/14 C08G 18/75 CAplus/REGISTRY(STN) 特開2009−149848(JP,A) 国際公開第2009/051114(WO,A1) 特開2013−76076(JP,A) 特開2001−187765(JP,A) 英国特許出願公告第1042910(GB,A) 国際公開第2012/121291(WO,A1) 5 JP2014075511 20140925 123 20141002 品川 陽子 本発明は、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ポリイソシアネート組成物、ポリウレタン樹脂、成形品、アイウェア材料、アイウェアフレームおよびレンズに関する。 従来より、繊維、フィルムなどに用いられるポリアミドの原料として、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンが、よく知られている。 また、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンから誘導される1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンは、例えば、塗料、接着剤、アイウェア(矯正眼鏡、保護眼鏡、サングラス、ゴーグルなど)のアイウェアフレームおよびレンズなどに用いられるポリウレタンの原料や、例えば、塗料の硬化剤などに用いられるポリイソシアネート組成物の原料などとして、有用である。 このような1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンには、トランス−1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(以下、トランス体と略する場合がある。)と、シス−1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(以下、シス体と略する場合がある。)との2種類の立体異性体があり、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンにおけるシス体およびトランス体の比率が、それを用いて得られるポリアミドやポリウレタンの各種物性に影響を及ぼすことが、知られている。 具体的には、例えば、80モル%以上のトランス体を含む1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを含有するポリイソシアネート成分と、活性水素化合物成分との反応により、各種物性に優れるポリウレタン樹脂を得ることが、提案されている(例えば、特許文献1参照。)。国際公開パンフレットWO2009/051114 一方、ポリウレタン樹脂の製造においては、より一層、各種用途に応じた要求物性が向上するように、原料成分を選択することが望まれる。 本発明の目的は、各種用途において、要求物性を向上させることのできる1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、その1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを用いて得られるポリイソシアネート組成物およびポリウレタン樹脂、さらに、そのポリウレタン樹脂から得られる成形品、アイウェア材料、アイウェアフレームおよびレンズを提供することにある。 上記目的を達成するため、本発明の1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンは、シス体およびトランス体の総量に対して、トランス体を70モル%以上95モル%以下の割合で含み、かつ、下記式(1)で示される化合物の含有割合が、0.1ppm以上300ppm以下であることを特徴としている。 また、本発明の1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンは、シス体およびトランス体の総量に対して、トランス体を80モル%以上93モル%以下の割合で含むことが好適である。 また、本発明のポリイソシアネート組成物は、上記の1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを変性することにより得られ、下記(a)〜(e)の官能基を少なくとも1種含有することを特徴としている。(a)イソシアヌレート基(b)アロファネート基(c)ビウレット基(d)ウレタン基(e)ウレア基 また、本発明のポリウレタン樹脂は、上記の1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを含むポリイソシアネート成分と、活性水素基含有成分とを反応させることにより得られることを特徴としている。 また、本発明のポリウレタン樹脂は、上記のポリイソシアネート組成物を含むポリイソシアネート成分と、活性水素基含有成分とを反応させることにより得られることを特徴としている。 また、本発明の成形品は、上記のポリウレタン樹脂から得られることを特徴としている。 また、本発明のアイウェア材料は、シス体およびトランス体の総量に対して、トランス体を70モル%以上95モル%以下の割合で含み、かつ、下記式(1)で示される化合物の含有割合が、0.1ppm以上300ppm以下である1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを含むポリイソシアネート成分と、活性水素基含有成分とを反応させることにより得られるポリウレタン樹脂からなることを特徴としている。 また、本発明のアイウェア材料では、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンが、シス体およびトランス体の総量に対して、トランス体を80モル%以上93モル%以下の割合で含むことが好適である。 また、本発明のアイウェアフレームは、上記のアイウェア材料から得られることを特徴としている。 また、本発明のレンズは、上記のアイウェア材料から得られることを特徴としている。 本発明の1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンは、トランス体の含有割合、および、上記式(1)で示される化合物の含有割合が、上記の特定範囲であるため、各種物性に優れるポリウレタン樹脂を得ることができる。 また、本発明のポリイソシアネート組成物は、本発明の1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを用いて得られるため、そのポリイソシアネート組成物を用いることにより、各種物性に優れるポリウレタン樹脂を得ることができる。 また、本発明のポリウレタン樹脂、成形品、アイウェア材料、アイウェアフレームおよびレンズは、本発明の1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンまたは本発明のポリイソシアネート組成物を用いて得られるため、各種物性に優れる。図1に、式(1)で示される化合物のGC−MS分析のCIマススペクトルを示す。図2に、式(1)で示される化合物を含む1,4−BICのFDマススペクトルを示す。図3に、式(1)で示される化合物を含む1,4−BICの1H−NMR分析のスペクトルを示す。図4に、式(1)で示される化合物を含む1,4−BICのNMR二次元測定(Hetero−nuclear Multiple−Bond Connectivity:HMBC)測定結果を示す。図5に、調製例2で得られた式(1)で示される化合物の1H−NMR分析のスペクトルを示す。図6に、調製例2で得られた式(1)で示される化合物の13C−NMR分析のスペクトルを示す。図7に、調製例2で得られた式(1)で示される化合物のIRスペクトルを示す。図8に、調製例2で得られた式(1)で示される化合物のGC−MSスペクトルを示す。 本発明の1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンは、トランス−1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(以下、トランス体)と、シス−1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(以下、シス体)とを含有している。 1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンにおけるトランス体の含有割合は、70モル%以上、好ましくは、75モル%以上、より好ましくは、80モル%以上であり、95モル%以下、好ましくは、93モル%以下、より好ましくは、90モル%以下である。 なお、トランス体の含有割合は、後述する実施例に準拠して、ガスクロマトグラフで分析することにより、求めることができる(以下同様)。 また、本発明の1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンは、下記式(1)で示される化合物を含有している。 1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン中の上記式(1)で示される化合物の含有割合は、それらの総量に対して、0.1ppm以上、好ましくは、0.4ppm以上、より好ましくは、1ppm以上であり、300ppm以下、好ましくは、200ppm以下、より好ましくは、100ppm以下である。 なお、上記式(1)で示される化合物の含有割合は、後述する実施例に準拠して、ガスクロマトグラフで分析することにより、求めることができる(以下同様)。 1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン中のトランス体の含有割合、および、上記式(1)で示される化合物の含有割合が上記の特定範囲であれば、各種物性に優れるポリウレタン樹脂を得ることができる。 このような1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンは、例えば、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンをイソシアネート化することにより、得ることができる。 上記の1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンの製造に用いられる1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンは、例えば、トランス−1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(以下、トランス体)とシス−1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(以下、シス体)とを含有している。 1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンにおけるトランス体の含有割合は、例えば、70モル%以上、好ましくは、75モル%以上、より好ましくは、80モル%以上であり、例えば、95モル%以下、好ましくは、93モル%以下、より好ましくは、90モル%以下である。 なお、トランス体の含有割合は、後述する実施例に準拠して、ガスクロマトグラフで分析することにより、求めることができる(以下同様)。 また、この1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンは、下記式(2)で示される化合物(3−アザビシクロ[3,2,2]ノナン)を含有している。 1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン中の上記式(2)で示される化合物の含有割合は、それらの総量に対して、例えば、0.005質量%以上、好ましくは、0.01質量%以上、より好ましくは、0.1質量%以上であり、例えば、3質量%以下、好ましくは、1.5質量%以下である。 なお、上記式(2)で示される化合物の含有割合は、後述する実施例に準拠して、ガスクロマトグラフで分析することにより、求めることができる(以下同様)。 このように、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン中のトランス体の含有割合、および、上記式(2)で示される化合物の含有割合が上記の特定範囲であれば、本発明の1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを、効率よく得ることができる。 以下において、上記の1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンを製造する方法について、詳述する。 この方法では、例えば、まず、テレフタル酸、テレフタル酸エステルおよびテレフタル酸アミドからなる群から選択される少なくとも1種のテレフタル酸またはその誘導体を核水素化し、水添テレフタル酸またはその誘導体を得る(核水素化工程)。 具体的には、核水素化工程では、テレフタル酸、テレフタル酸エステルおよびテレフタル酸アミドからなる群から選択される少なくとも1種のテレフタル酸またはその誘導体を核水素化し、対応する水添テレフタル酸またはその誘導体(すなわち、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸エステル、および、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸アミドからなる群から選択される少なくとも1種の水添テレフタル酸またはその誘導体)を製造する。 核水素化工程においては、例えば、特開2001−181223号に記載の方法などを採用することができる。 本発明において原料として用いられるテレフタル酸またはその誘導体は、工業用として市販されている程度の品質で十分であり、また、テレフタル酸の製造において一般に行われる水素化精製工程を経た、未乾燥の(水を含んだ)テレフタル酸またはその誘導体を用いることもできる。 核水素化工程の反応は発熱反応であるため、反応熱による温度上昇を適度に抑制するために、また、反応率を高めるために、原料のテレフタル酸またはその誘導体に、この反応に不活性な溶媒を希釈剤として加え、反応液中のテレフタル酸またはその誘導体の濃度が、例えば、1〜50質量%、好ましくは、2〜30質量%となるように希釈することが好ましい。反応液中の濃度がこの範囲であると、反応速度が低下せず、また、反応器内の温度上昇が小さい点で有利である。 このような溶媒としては、例えば、水、メタノール、イソプロパノール、1,4−ジオキサンなどの水性溶媒が挙げられる。 溶媒が水性溶媒であれば、核水素化工程の反応生成液を必要に応じて冷却し、再循環して用いることができる点で、有利である。 この場合、その後の分離操作で回収できること、さらに反応系に余計な成分を混入させないこと、またテレフタル酸の精製工程を経た未乾燥のテレフタル酸を使用できることなどの理由により、好ましくは、水が挙げられる。 核水素化工程において、核水素化に用いられる水素の品質は、工業的に用いられる水素で十分であり、例えば、不活性ガス(例えば、窒素、メタンなど)を含んでいてもよいが、水素濃度は50%以上であることが好ましい。 水素の量は、原料のテレフタル酸またはその誘導体に対して、モル比で、3〜50倍程度が好ましい。 水素の量がこの範囲であると、未反応物質が少なく、反応速度も十分で、経済的にも有利である。 また、核水素化工程においては、公知の触媒を添加することができる。 核水素化工程に用いられる触媒は、一般に用いられる貴金属系核水素化触媒であり、具体的には、例えば、パラジウム、白金、ルテニウム、ロジウムなどが挙げられ、好ましくは、パラジウム、ルテニウムが挙げられる。 これらは担持触媒として用いるのが好ましく、このような担体としては、例えば、活性炭、アルミナ、シリカ、珪藻土などが使用され、好ましくは、活性炭、シリカが使用される。 金属(例えば、パラジウム、白金、ルテニウム、ロジウムなど)の担持量は、触媒の担体を含む総量の、例えば、0.1〜10質量%、好ましくは、0.5〜10質量%である。 金属の担持量がこの範囲にあると、触媒の重量当たりの活性が高いので、好ましい。 触媒の形態としては、例えば、粉末、粒状、ペレット担体に担持された触媒などを使用できる。好ましくは、粉末である。触媒が粉末であるなど、触媒が適度な大きさであると、触媒内部の有効に反応に寄与する部分が多く、反応速度が低下しにくい。 触媒量は、テレフタル酸またはその誘導体100質量部に対して、例えば、0.1〜50質量部、好ましくは、0.5〜20質量部である。 テレフタル酸またはその誘導体は、水などの汎用溶媒に対する溶解度が高くないため、分散液として調製される。反応方式は、液相懸濁反応が好ましい。 反応器は耐圧容器が好ましい。 テレフタル酸またはその誘導体の分散液および水素は、反応器の上部または下部から導入され、懸濁状態で触媒と接触する。反応後、生成物である水添テレフタル酸またはその誘導体は、高温で水などの汎用溶媒によく溶解するため、濾過で触媒との分離が可能となる。 濾過においては、上記生成物を、例えば、公知のアルカリ性溶液(例えば、水酸化ナトリウム水溶液など)に溶解させ、濾過した後、公知の酸性溶液(例えば、塩化水素水溶液など)により中和することもできる。 この後、生成物を乾固あるいは濃縮、または、降温などにより結晶化させることにより、水添テレフタル酸またはその誘導体を得ることができる。 反応温度は、通常、50〜200℃であり、好ましくは、100〜160℃である。 反応温度がこの範囲であると、未反応物や副生物が少なく、水素化分解が起こりにくくなり、その結果収率が高くなるので有利である。 また、反応圧力は、通常、0.5〜15MPa(ゲージ圧)であり、好ましくは、2〜15MPa(ゲージ圧)、より好ましくは、2〜8MPa(ゲージ圧)、さらに好ましくは、2〜5MPa(ゲージ圧)である。 反応圧力がこの範囲であると、反応速度が遅くならず、副生物も少なく有利である。 テレフタル酸またはその誘導体の転化率は、通常、90%以上、好ましくは、95%以上、より好ましくは98%以上である。 上記のように未反応のテレフタル酸またはその誘導体が少ないと、後処理の負荷が軽減され、有利である。 核水素化工程により得られる水添テレフタル酸またはその誘導体は、シス体(すなわち、シス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、シス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸エステル、および/または、シス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸アミド)と、トランス体(すなわち、トランス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、トランス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸エステル、および/または、トランス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸アミド)との混合物である。 次いで、この方法では、上記した核水素化工程により得られた水添テレフタル酸またはその誘導体をアンモニアと接触させて1,4−ジシアノシクロヘキサンを得る(シアノ化工程)。 シアノ化工程においては、例えば、特開昭63−10752号に記載の方法などを採用することができる。 より具体的には、シアノ化工程では、核水素化工程により得られた水添テレフタル酸またはその誘導体と、アンモニア供給源となり得る化合物(例えば、アンモニア、尿素、炭酸アンモニウムなど)(以下、アンモニア供給源化合物と略する場合がある。)とを、通常、200℃以上、350℃未満、好ましくは、230℃以上、320℃未満で加熱することにより、反応させる。 反応温度がこの範囲にあると、反応速度が低下せず、また過度の加熱による分解などが起こりにくいため、有利である。 この方法では、このシアノ化工程において、触媒として金属酸化物を用いることができる。 金属酸化物としては、例えば、シリカ、アルミナ、五酸化リン、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄,酸化ジルコニウム、酸化コバルトなどが挙げられる。 この中でも、反応後の分離のしやすさから、シリカ、アルミナ、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化コバルトなどを用いることが好ましい。 また、この工程では、さらに、金属酸化物と、その他の触媒とを併用することができ、そのような触媒としては、例えば、塩酸、リン酸、硫酸などの鉱酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、安息香酸などの有機酸などが挙げられる。 なお、金属酸化物と、その他の触媒とを併用する場合において、それらの配合割合は特に制限されず、目的および用途に応じて適宜設定される。 触媒形態としては、粉末、粒状、ペレット担体に担持された触媒を使用できる。好ましくは、粉末である。 触媒が粉末であるなど、触媒が適度な大きさであると、触媒内部の有効に反応に寄与する部分が多く、反応速度が低下しにくい。 触媒量は、水添テレフタル酸またはその誘導体100質量部に対して、例えば、0.1〜50質量部、好ましくは、0.5〜20質量部である。 また、本反応には、適宜溶媒を使用することが好ましい。 溶媒としては、本発明の方法の目的を阻害しなければいかなる溶媒でも構わないが、例えば、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、デカリンなどの脂肪族または脂環式炭化水素類、例えば、メシチレン、テトラリン、ブチルベンゼン、p−シメン、ジエチルベンゼン、ジイソプロピルベンゼン、トリエチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、ジペンチルベンゼン、ドデシルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、例えば、ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、オクタノール、デカノール、ドデカノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどのアルコール類、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、o−ジメトキシベンゼン、エチルフェニルエーテル、ブチルフェニルエーテル、o−ジエトキシベンゼンなどのエーテル類、例えば、ヨードベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、o−ジブロモベンゼン、ブロモクロロベンゼン、o−クロロトルエン、p−クロロトルエン、p−クロロエチルベンゼン、1−クロロナフタレンなどのハロゲン化芳香族炭化水素類、例えば、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、N−メチル−2−ピロリジノン、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、N,N’−ジエチルイミダゾリジノン、N,N’−ジプロピルイミダゾリジノン、N,N’,4−トリメチルイミダゾリジノン、N,N’−ジメチルプロピレン尿素などの非プロトン性極性溶媒、例えば、本工程での生成物である1,4−ジシアノシクロヘキサンなどが挙げられる。これらの溶媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。 溶媒として、反応器の排気ガス管や脱水装置など反応器下流装置への1,4−ジシアノシクロヘキサンの析出を抑制する観点から、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、o−ジメトキシベンゼン、エチルフェニルエーテル、ブチルフェニルエーテル、o−ジエトキシベンゼンなどのエーテル類、例えば、ヨードベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、o−ジブロモベンゼン、ブロモクロロベンゼン、o−クロロトルエン、p−クロロトルエン、p−クロロエチルベンゼン、1−クロロナフタレンなどのハロゲン化芳香族炭化水素類、例えば、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、N−メチル−2−ピロリジノン、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、N,N’−ジエチルイミダゾリジノン、N,N’−ジプロピルイミダゾリジノン、N,N’,4−トリメチルイミダゾリジノン、N,N’−ジメチルプロピレン尿素などの非プロトン性極性溶媒から選ばれることが好ましい。 上記の溶媒の中でも、その沸点が180℃〜350℃のものが好ましい。沸点が180℃より低い溶媒を使用すると、反応器にかかるエネルギー負荷が増大し好ましくない。また、沸点が350℃より高い溶媒を使用すると、反応器の排気ガス管や脱水装置など反応器下流装置への1,4−ジシアノシクロヘキサンの析出を抑制する効果が小さくなるため好ましくない。 これらの観点から、上記溶媒の中でもo−ジクロロベンゼン、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、N,N’−ジエチルイミダゾリジノン、N,N’−ジプロピルイミダゾリジノン、N,N’,4−トリメチルイミダゾリジノン、N,N’−ジメチルプロピレン尿素から選ばれることがより好ましい。 溶媒の使用量としては、特に制限されないが、通常、反応基質(上記した核水素化工程により得られた水添テレフタル酸またはその誘導体を含む。)の10質量倍以下であり、好ましくは反応基質の1質量倍以下であり、より好ましくは、水添テレフタル酸またはその誘導体100質量部に対して、3〜50質量部である。溶媒量が少ないまたは無溶媒の場合は、反応器の排気ガス管や脱水装置など反応器下流装置への1,4−ジシアノシクロヘキサンの析出抑制が困難になり、溶媒量が多い場合は、反応器にかかるエネルギー負荷が増大し好ましくない。 反応方式は、懸濁床による回分式、半回分式、連続式、固定床連続式など、特に限定されるものではないが、液相懸濁反応が好ましい。 反応器は耐圧容器が好ましい。 例えば、水添テレフタル酸またはその誘導体、および、触媒を、反応器の上部または下部から導入し、加熱により水添テレフタル酸またはその誘導体を溶解させ、懸濁状態にしたところで、アンモニアなどのアンモニア供給源化合物を、反応器に、間欠的あるいは連続的に供給し、所定温度で反応させる。 アンモニア供給源化合物の供給量としては、反応後のアンモニアの処理あるいは回収を容易にするという観点から、水添テレフタル酸またはその誘導体1モルに対して、例えば、1〜20モル、好ましくは、2〜20モルである。 アンモニア供給源化合物の供給速度は特に制限されないが、水添テレフタル酸またはその誘導体1モルに対して1時間当たり0.1モル〜2モルであることが好ましく、0.5モルより大きく2モル以下(すなわち、0.5モル当量/水添テレフタル酸またはその誘導体/hrより大きく、2モル当量/水添テレフタル酸またはその誘導体/hr以下)であることがより好ましい。 供給速度が水添テレフタル酸またはその誘導体1モルに対して1時間当たり0.5モルより小さい場合、反応に長時間を要するため好ましくない。また、供給速度が水添テレフタル酸またはその誘導体1モルに対して1時間当たり2モルより大きい場合、未反応のアンモニア供給源化合物が大量となるため、例えば、アンモニア回収再使用する場合にその負荷が大きくなり、経済的に不利である。 また、供給時間は供給速度により適宜選択されるが、例えば、1〜80時間、好ましくは、2〜50時間である。 本反応により水が生成するため、水を系外に除去することが、反応速度向上の観点からは好ましい。また、水を系外に除去するために、例えば、反応器に窒素などの不活性ガスを供給することができる。 反応圧力は、加圧、常圧および減圧のいずれでもよく、適宜選択される。 反応後、生成物である1,4−ジシアノシクロヘキサンは、シス−1,4−ジシアノシクロヘキサン(シス体)と、トランス−1,4−ジシアノシクロヘキサン(トランス体)との混合物(立体異性体混合物)として得られる。 反応後に得られる1,4−ジシアノシクロヘキサンは、水添テレフタル酸またはその誘導体の立体異性体比によらず、反応温度における1,4−ジシアノシクロヘキサンの平衡組成比、概ね、シス体/トランス体=40/60〜60/40程度に収束する。 なお、未反応のアンモニア供給源化合物は、必要により、回収および再利用される。 また、上記のシアノ化工程においては、1,4−ジシアノシクロヘキサンは、例えば、金属酸化物などの触媒や、さらには、シアノ化反応における反応中間体、副生成物などの高沸点成分を含む混合物として得られる。 そこで、この方法では、必要により、触媒および高沸点成分を分離および回収する。 具体的には、まず、上記シアノ化工程において得られる混合物(1,4−ジシアノシクロヘキサン、触媒および高沸点成分を含む混合物)から、例えば、蒸留、濾過、抽出などの公知の分別法によって、触媒が分離される。分離された触媒は、回収され、必要により再利用される。 一方、触媒が除去された混合物(1,4−ジシアノシクロヘキサンおよび高沸点成分を含む混合物)から、例えば、蒸留などによって、高沸点成分が分離される。 高沸点成分を蒸留により分離する場合の蒸留条件として、具体的には、蒸留塔の塔頂圧力が、例えば、2kPa以上、好ましくは、3kPa以上であり、例えば、10kPa以下、好ましくは、5kPa以下である。 また、蒸留塔の塔頂温度が、例えば、130℃以上、好ましくは、140℃以上であり、例えば、200℃以下、好ましくは、190℃以下である。また、塔底温度が、例えば、160℃以上、好ましくは、180℃以上であり、例えば、280℃以下、好ましくは、260℃以下である。 また、塔底滞留時間が、例えば、0.01時間以上、好ましくは、0.1時間以上であり、例えば、50時間以下、好ましくは、25時間以下である。 これにより、上記の混合物から高沸点成分が塔底成分として分離され、回収される。 また、必要により、高沸点成分が分離(除去)された混合物(1,4−ジシアノシクロヘキサンの立体異性体混合物)を、例えば、蒸留および精製することによって、トランス−1,4−ジシアノシクロヘキサン(トランス体)の含有割合を増加させることができる。 トランス体を蒸留により精製する場合の蒸留条件としては、蒸留塔の塔頂圧力が、例えば、3kPa以上、好ましくは、4kPa以上であり、例えば、30kPa以下、好ましくは、15kPa以下である。 また、蒸留塔の塔頂温度が、例えば、130℃以上、好ましくは、140℃以上であり、例えば、200℃以下、好ましくは、190℃以下である。また、塔底温度が、例えば、160℃以上、好ましくは、180℃以上であり、例えば、280℃以下、好ましくは、260℃以下である。 また、塔底滞留時間が、例えば、0.1時間以上、好ましくは、0.2時間以上であり、例えば、50時間以下、好ましくは、25時間以下である。 蒸留条件が上記範囲であれば、立体異性体混合物中のトランス−1,4−ジシアノシクロヘキサンを精製することができる。 得られるトランス−1,4−ジシアノシクロヘキサンの純度(トランス体比率)は、分離の条件により適宜制御できる。 また、このような蒸留では、シアノ化工程において用いられた有機溶剤を、塔頂成分として回収することができる。回収された有機溶剤は、必要に応じて再利用することができる。 次いで、この方法では、上記のシアノ化工程において得られた1,4−ジシアノシクロヘキサンを水素と接触させて、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンを得る(アミノメチル化工程)。 アミノメチル化工程においては、例えば、特開2001−187765号に記載の方法などを採用することができる。 アミノメチル化工程に用いられる水素の品質は、工業的に用いられる水素で十分であり、不活性ガス(例えば、窒素、メタンなど)を含んでいてもよいが、水素濃度は、50%以上であることが好ましい。 アミノメチル化工程に用いられる水素化触媒は、公知の水素化触媒、例えば、コバルト系触媒、ニッケル系触媒、銅系触媒、貴金属系触媒をいずれも使用することができる。 反応性、選択性の点から、ニッケル、コバルトおよび/またはルテニウムを主成分とする触媒を用いること好ましく、ラネー型触媒あるいはシリカ、アルミナ、シリカアルミナ、珪藻土、活性炭などの多孔性金属酸化物に担持した触媒を用いることがより好ましい。 また、さらにアルミニウム、亜鉛、珪素などの金属を含有していてもよい。 これらの水素化触媒は反応促進剤として、クロム、鉄、コバルト、マンガン、タングステン、モリブデンから選ばれる金属を含有できる。 また、水素化触媒は、完全固体触媒として使用できるが、担持固体触媒、例えば、ニッケル、コバルト、ルテニウムなどが酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、マグネシア/アルミナなどに担持されたものを使用することもできる。 触媒形態としては、粉末、粒状、ペレット担体に担持された触媒を使用できる。好ましくは、粉末である。触媒が粉末であるなど、触媒が適度な大きさであると、触媒内部の有効に反応に寄与する部分が多く、反応速度が低下しにくい。 触媒の使用量は、反応性、選択性の点から、1,4−ジシアノシクロヘキサン100質量部に対して、例えば、0.1〜20質量部、好ましくは、0.5〜15質量部である。 反応には適宜溶媒を使用することができる、このような溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノールなどのアルコール類、1,4−ジオキサンなどの水性溶媒が挙げられる。 反応液中の1,4−ジシアノシクロヘキサンの濃度は、例えば、1〜50質量%、好ましくは、2〜40質量%である。 反応液中の1,4−ジシアノシクロヘキサンの濃度がこの範囲であると、反応速度が低下せず、また、反応器内の温度上昇が小さい点で、有利である。 また、本反応はアンモニアの存在下で行うことが好ましい。 このアンモニアは目的とする1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン以外の2級アミンや3級アミン、ポリアミンのような副生物の生成を抑制する働き、すなわち、反応選択性を向上させる働きを持つ。 アンモニアの使用量は、上記副生物の生成を抑制し、水素化速度の低下を防止し、かつ反応後のアンモニアの処理あるいは回収を容易にするという観点から、1,4−ジシアノシクロヘキサン1モルに対して、例えば、0.05〜5モル、好ましくは、0.1〜2.5モルである。 反応方式は、懸濁床による回分式、半回分式、連続式、固定床連続式など、特に限定されるものではないが、液相懸濁反応が好ましい。 反応器は耐圧容器が好ましい。 例えば、1,4−ジシアノシクロヘキサン、触媒、水素および必要であれば溶媒やアンモニアを、反応器の上部または下部から導入し、所定温度で反応させる。 反応圧力は、通常、0.1〜20MPa(ゲージ圧)、好ましくは、0.5〜10MPa(ゲージ圧)、さらに好ましくは、0.5〜8MPa(ゲージ圧)、とりわけ好ましくは、0.5〜5MPa(ゲージ圧)である。 反応温度は、反応性、選択性の観点から、例えば、50〜250℃、好ましくは、50〜200℃、さらに好ましくは、70〜150℃であり、水素化反応中に連続的または段階的に、反応温度を上昇させることが好ましい。 反応後、反応液から1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンを分離する方法は、濾過、蒸留など、公知の方法が使用できる。 このようにして得られた1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンは、シス体とトランス体とを含有している。 1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンにおけるトランス体の含有割合は、例えば、20モル%以上、好ましくは、30モル%以上、より好ましくは、40モル%以上であり、例えば、90モル%以下、好ましくは、80モル%以下、より好ましくは、70モル%以下である。 次いで、この方法では、上記により得られた1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンを水素雰囲気下、触媒と共に加熱し、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン中のシス体を、トランス体に異性化させ、トランス体の含有割合を増加させる。 異性化工程に用いられる触媒としては、例えば、パラジウム、白金、ルテニウム、ロジウムなどが挙げられ、好ましくは、パラジウム、ルテニウムが挙げられる。 これらは担持触媒として用いるのが好ましく、このような担体としては、例えば、活性炭、アルミナ、チタニア、シリカ、珪藻土などが使用され、好ましくは、活性炭、アルミナ、チタニア、シリカが使用される。特に、工業的なハンドリングの観点からルテニウムのアルミナ担持触媒が好ましい。 金属(例えば、パラジウム、白金、ルテニウム、ロジウムなど)の担持量は、触媒の担体を含む総量の、例えば、0.05〜30質量%、好ましくは、0.1〜20質量%である。 異性化触媒の配合割合は、目的および用途に応じて、適宜設定される。 異性化工程に用いられる水素の品質は、工業的に用いられる水素で十分であり、不活性ガス(例えば、窒素、メタンなど)を含んでいてもよいが、水素濃度は、50%以上であることが好ましい。 異性化反応における加熱条件としては、加熱温度が、例えば、120℃以上、好ましくは、150℃以上であり、例えば、270℃以下、好ましくは、240℃以下である。また、圧力条件が、例えば、1MPa(ゲージ圧)以上、好ましくは、2MPa(ゲージ圧)以上であり、例えば、20MPa(ゲージ圧)以下、好ましくは、10MPa(ゲージ圧)以下である。 また、加熱時間が、例えば、0.5時間以上、好ましくは、1時間以上であり、例えば、20時間以下、好ましくは、10時間以下である。 また、必要に応じて、溶媒などを添加することもできる。 溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素類、例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環族炭化水素類、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、例えば、メタノール、エタノールなどのアルコール類などを用いることができる。 これらのうち、反応条件で安定なヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素類、例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環族炭化水素類、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類が好ましい。 溶媒の配合割合は、目的および用途に応じて、適宜設定される。 これにより、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンのシス体をトランス体に異性化させることができ、トランス体の含有割合を増加させることができる。 異性化反応後の1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンにおけるトランス体の含有割合は、例えば、70モル%以上、好ましくは、75モル%以上、より好ましくは、79モル%以上であり、例えば、95モル%以下、好ましくは、93モル%以下、より好ましくは、90モル%以下である。 また、上記の異性化反応によって、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンが環化し、上記式(2)で示される化合物が生じると推察される。 異性化反応後の1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン中の上記式(2)で示される化合物の含有割合は、それらの総量に対して、例えば、0.005質量%以上、好ましくは、0.01質量%以上、より好ましくは、0.1質量%以上であり、例えば、3質量%以下、好ましくは、1.5質量%以下である。 また、この方法では、必要により、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンを蒸留および精製することによって、トランス体の含有割合、および、上記式(2)で示される化合物の含有割合を、それぞれ調整することができる。 精製の方法は、特に限定されるものではなく、工業的な分離技術、例えば、蒸留や晶析などで実施することができる。 蒸留にて精製する場合、蒸留塔は棚段塔でもよいし充填塔でもよい。精留塔の段数、還流比および留出率は、精製後の1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンに必要なトランス体含有割合によって適宜設定することができ、特に限定されるものではないが、蒸留条件として、具体的には、蒸留塔(充填塔)の理論段数が、例えば、2以上、好ましくは、5以上であり、例えば、60以下、好ましくは、40以下である。 蒸留塔の操作圧力は、特に限定されるものではないが、高温において1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンは、高沸成分への変質などの望ましくない変化を起こすことがあるため、蒸留塔の操作温度を低くするために減圧条件が好ましい。 また、蒸留塔の塔頂圧力が、例えば、2kPa以上、好ましくは、3kPa以上であり、例えば、10kPa以下、好ましくは、5kPa以下である。 また、塔頂側の還流比が、例えば、0.01以上、好ましくは、0.1以上であり、例えば、60以下、好ましくは、40以下である。 また、蒸留塔の塔頂温度が、例えば、130℃以上、好ましくは、140℃以上であり、例えば、200℃以下、好ましくは、190℃以下である。また、塔底温度が、例えば、130℃以上、好ましくは、180℃以上であり、例えば、280℃以下、好ましくは、260℃以下である。 これにより、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンにおけるトランス体の含有割合、および、上記式(2)で示される化合物の含有割合を、それぞれ調整することができる。 このような1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンにおけるトランス体の含有割合は、上記したように、例えば、70モル%以上、好ましくは、75モル%以上、より好ましくは、80モル%以上であり、例えば、95モル%以下、好ましくは、93モル%以下、より好ましくは、90モル%以下である。 また、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン中の上記式(2)で示される化合物の含有割合は、上記したように、それらの総量に対して、例えば、0.005質量%以上、好ましくは、0.01質量%以上、より好ましくは、0.1質量%以上であり、例えば、3質量%以下、好ましくは、1.5質量%以下である。 なお、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンの製造方法は、トランス体の含有割合、および、上記式(2)で示される化合物の含有割合を上記の割合に調整することができれば、特に限定されず、種々の方法を採用することができ、例えば、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンを、上記したように加熱して異性化反応させ、また、蒸留および精製して用いることもできる。さらには、市販のパラ−キシリレンジアミンを常法に従い、核水素添加反応させることにより、トランス体およびシス体が混合された1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンを得た後、上記したように加熱して異性化反応させ、また、蒸留および精製して用いることもできる。 そして、この方法では、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンを、ホスゲン化法によりイソシアネート化する。 ホスゲン化法として、より具体的には、例えば、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンを直接ホスゲンと反応させる方法(以下、冷熱二段ホスゲン化法と称する場合がある。)や、例えば、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンを塩酸と反応させた塩酸塩とホスゲンとを不活性溶媒(後述)中において反応させる方法(以下、アミン塩酸塩のホスゲン化法と称する場合がある。)などが挙げられる。 冷熱二段ホスゲン化法では、例えば、まず、撹拌可能とされ、かつ、ホスゲン導入管を備えた反応器に、不活性溶媒を装入し、反応系内の圧力を、例えば、常圧〜1MPa(ゲージ圧)、好ましくは、常圧〜0.5MPa(ゲージ圧)とし、また、温度を、例えば、0〜80℃、好ましくは、0〜60℃とする。 不活性溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミルなどの脂肪酸エステル類、例えば、サリチル酸メチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジブチル、安息香酸メチルなどの芳香族カルボン酸エステル類、例えば、モノクロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン、パラジクロロベンゼン、トリクロロベンゼンなどの塩素化芳香族炭化水素類、例えば、クロロホルム、四塩化炭素などの塩素化炭化水素類などが挙げられる。 これら不活性溶媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。さらに、これらの不活性溶媒は、ホスゲンとの反応後、回収、例えば、蒸留などにより、精製し、再利用することができる。 不活性溶媒の配合量(総量)は、原料である1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン100質量部に対して、例えば、400〜3000質量部、好ましくは、500〜2000質量部である。 次いで、この方法では、ホスゲンを、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンのアミノ基1つに対して、例えば、1〜10倍モル、好ましくは、1〜6倍モル導入し、上記の不活性溶媒に溶解した1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンを添加する。また、この間、反応液を、例えば、0〜80℃、好ましくは、0〜60℃に維持するとともに、発生する塩化水素を、還流冷却器を通じて反応系外に放出する(冷ホスゲン化反応)。これにより、反応器の内容物をスラリー状とする。 そして、この冷ホスゲン化反応では、カルバモイルクロリド化合物およびアミン塩酸塩が生成される。 次いで、この方法では、反応系内の圧力を、例えば、常圧〜1MPa(ゲージ圧)、好ましくは、0.05〜0.5MPa(ゲージ圧)とし、例えば、30分〜5時間で、例えば、80〜180℃の温度範囲に昇温する。昇温後、例えば、30分〜8時間反応を継続して、スラリー液を完全に溶解させる(熱ホスゲン化反応)。 なお、熱ホスゲン化反応において、昇温時および高温反応時には、溶解ホスゲンが気化して還流冷却器を通じて反応系外に逃げるため、還流冷却器からの還流量が確認できるまでホスゲンを適宜導入する。 なお、熱ホスゲン化反応終了後、反応系内を、例えば、80〜180℃、好ましくは、90〜160℃において、窒素ガスなどの不活性ガスを導入し、溶解している過剰のホスゲンおよび塩化水素をパージする。 この際、過剰に装入したホスゲンは回収、精製し、再利用することができる。また、塩化水素についても、回収し、それを、例えば、公知の方法により、空気中の酸素を反応し、塩酸を酸化することにより、塩素とする。この塩素を一酸化炭素と反応し、ホスゲンとして再利用することができる。 この熱ホスゲン化反応では、冷ホスゲン化反応で生成したカルバモイルクロリド化合物が熱分解され、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンが生成され、さらに、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンのアミン塩酸塩がホスゲン化され、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンが生成されるとともに、上記式(2)で示される化合物がホスゲン化され、上記式(1)で示される化合物が得られる。 一方、アミン塩酸塩のホスゲン化法では、まず、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンの塩酸塩を合成する。 具体的には、例えば、撹拌可能とされ、かつ、塩酸ガス導入管、ホスゲン導入管を備えた反応器に、不活性溶媒と1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンとを装入し、反応系内の圧力を、例えば、常圧〜1MPa(ゲージ圧)、好ましくは、常圧〜0.5MPa(ゲージ圧)とし、また、温度を、例えば、0〜120℃、好ましくは、0〜100℃とする。不活性溶媒の配合量(総量)は、原料である1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン100質量部に対して、例えば、400〜3000質量部、好ましくは、500〜2000質量部である。 次いで、塩酸ガスを、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンのアミノ基1モルに対して、例えば、1〜5倍モル、好ましくは、1〜3倍モル導入する。これにより、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンの塩酸塩が合成される。この時に使用された過剰の塩化水素は、必要に応じて精製し、塩酸塩の調製工程に再利用することができる。 次いで、この方法では、反応温度を、例えば、80〜180℃、好ましくは、90〜160℃、反応圧力を、例えば、常圧〜1.0MPa(ゲージ圧)、好ましくは、0.05〜0.5MPa(ゲージ圧)に維持し、ホスゲンを1〜10時間かけて、ホスゲン総量が化学量論の1〜10倍になるように導入する。 これにより、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンがイソシアネート化され、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンが得られるとともに、上記式(2)で示される化合物がホスゲン化され、上記式(1)で示される化合物が得られる。 なお、反応の進行は、発生する塩化水素ガスの量と、上記の不活性溶媒に不溶のスラリーが消失し、反応液が澄明均一になることより推測できる。また、発生する塩化水素は、例えば、還流冷却器を通じて反応系外に放出する。また、反応の終了時には、上記の方法で溶解している過剰のホスゲンおよび塩化水素をパージする。その後、冷却し、減圧下において、不活性溶媒を留去する。この方法においても、不活性反応溶媒、塩化水素、ホスゲンなどは回収、精製し、再利用することができる。 さらには、両方法で、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンをイソシアネート化し、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを製造した後、反応残渣であるタールから、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンを回収することができる。タールの回収方法としては、例えば、それらを公知の方法により、超臨界水、あるいは超臨界二酸化炭素、もしくは亜臨界状態の水、二酸化炭素などと反応させて、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンを得る方法が挙げられる。 このようにして得られる1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンにおけるトランス体の含有割合は、例えば、70モル%以上、好ましくは、75モル%以上、より好ましくは、80モル%以上であり、例えば、95モル%以下、好ましくは、93モル%以下、より好ましくは、90モル%以下である。 また、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン中の上記式(1)で示される化合物の含有割合は、例えば、0.1ppm以上、好ましくは、0.4ppm以上、より好ましくは、1ppm以上であり、例えば、1000ppm以下、好ましくは、500ppm以下、より好ましくは、300ppm以下である。 また、この方法では、必要により、上記により得られた1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを加熱処理することによって、上記式(1)で示される化合物の含有割合を調整することができる。 加熱条件としては、加熱温度が、例えば、160℃以上、好ましくは、180℃以上であり、例えば、220℃以下、好ましくは、200℃以下である。また、加熱時間が、例えば、1時間以上、好ましくは、2時間以上であり、例えば、24時間以下、好ましくは、12時間以下である。 また、この方法では、必要により、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを蒸留および精製することによって、上記式(1)で示される化合物の含有割合を調整することができる。精製の方法は、特に限定されるものではなく、工業的な分離技術、例えば蒸留や晶析などで実施することができる。 蒸留にて精製する場合、蒸留塔は棚段塔でもよいし充填塔でもよい。蒸留条件は、精製後の1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンに必要な、上記式(1)で示される化合物の含有割合によって適宜設定することができ、具体的には、蒸留塔(充填塔)の理論段数が、例えば、2以上、好ましくは、5以上であり、例えば、60以下、好ましくは、40以下である。 また、蒸留塔の塔頂圧力が、例えば、0.1kPa以上、好ましくは、0.15kPa以上であり、例えば、4kPa以下、好ましくは、2.5kPa以下である。 また、還流比が、例えば、0.01以上、好ましくは、0.1以上であり、例えば、60以下、好ましくは、40以下である。 また、蒸留塔の塔頂温度が、例えば、110℃以上、好ましくは、120℃以上であり、例えば、180℃以下、好ましくは、170℃以下である。また、塔底温度が、例えば、120℃以上、好ましくは、130℃以上であり、例えば、190℃以下、好ましくは、180℃以下である。 また、この方法では、留出率が、例えば、1質量%以上、好ましくは、5質量%以上、例えば、99質量%以下、好ましくは、95質量%以下の範囲の留分を回収する。 これにより、上記式(1)で示される化合物の含有割合を、調整することができる。 このような1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンにおけるトランス体の含有割合は、上記したように、例えば、70モル%以上、好ましくは、75モル%以上、より好ましくは、80モル%以上であり、例えば、95モル%以下、好ましくは、93モル%以下、より好ましくは、90モル%以下である。 また、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン中の上記式(1)で示される化合物の含有割合は、上記したように、例えば、0.1ppm以上、好ましくは、0.4ppm以上、より好ましくは、1ppm以上であり、例えば、300ppm以下、好ましくは、200ppm以下、より好ましくは、100ppm以下である。 これらの蒸留工程で生じるボトム部(タール部)および1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを含む高沸点成分は、回収後、薄膜蒸発器などを用いて、これらに含有される1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを回収することもできる。さらには、これらの一部を蒸留工程に戻して、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを精製し、回収することもできる。 1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンのトランス体の含有割合、および、上記式(1)で示される化合物の含有割合が、上記の特定範囲であれば、貯蔵安定性に優れる。また、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンのトランス体の含有割合、および、上記式(1)で示される化合物の含有割合が、上記の特定範囲であれば、各種物性に優れるポリウレタン樹脂を得ることができる。 また、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンには、例えば、安定剤などを添加することができる。 安定剤としては、例えば、酸化防止剤、酸性化合物、スルホンアミド基を含有する化合物、有機亜リン酸エステルなどが挙げられる。 酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤などが挙げられ、具体的には、例えば、2,6−ジ(t−ブチル)−4−メチルフェノール、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、2,2’−メチレンビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−チオ−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオ−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−メチリデン−ビス−(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−[4−メチル−6−(1−メチルシクロヘキシル)−フェノール]、テトラキス−[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオニル]−メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオニル−メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−ベンゼン、N,N’−ヘキサメチレン−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロ桂皮酸アミド、1,3,5−トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、1,1,3−トリス−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−ブタン、1,3,5−トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−メシチレン、エチレングリコール−ビス−[3,3−ビス−(3’−t−ブチルー4’−ヒドロキシフェニル)−ブチレート、2,2’−チオジエチル−ビス−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、ジ−(3−t−ブチル−4’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−ジシクロペンタジエン、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、1,6−ヘキサンジオール−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ジエチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベジルホスホネート、トリエチレングリコール−ビス−3−(t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオネート、3,9−ビス[2−〔3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニロキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、さらには、例えば、IRGANOX1010、IRGANOX1076、IRGANOX1098、IRGANOX1135、IRGANOX1726、IRGANOX245、IRGANOX3114、IRGANOX3790(以上、BASFジャパン社製、商品名)、SUMILAZER GA−80(住友化学社製)、Lowinox 1790(ケムチュラ社製)などが挙げられる。 これら酸化防止剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。 酸性化合物としては、例えば、有機酸性化合物が挙げられ、具体的には、例えば、リン酸、リン酸エステル、亜リン酸エステル、次亜リン酸エステル、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ヒドロキシ酢酸、シュウ酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、スルホン酸、スルホン酸エステル、フェノール、エノール、イミド、オキシムなどが挙げられる。 これら酸性化合物は、単独使用または2種類以上併用することができる。 スルホンアミド基を含有する化合物としては、例えば、芳香族スルホンアミド類、脂肪族スルホンアミド類などが挙げられる。 芳香族スルホンアミド類としては、例えば、ベンゼンスルホンアミド、ジメチルベンゼンスルホンアミド、スルファニルアミド、o−およびp−トルエンスルホンアミド、ヒドロキシナフタレンスルホンアミド、ナフタレン−1−スルホンアミド、ナフタレン−2−スルホンアミド、m−ニトロベンゼンスルホンアミド、p−クロロベンゼンスルホンアミドなどが挙げられる。 脂肪族スルホンアミド類としては、例えば、メタンスルホンアミド、N,N−ジメチルメタンスルホンアミド、N,N−ジメチルエタンスルホンアミド、N,N−ジエチルメタンスルホンアミド、N−メトキシメタンスルホンアミド、N−ドデシルメタンスルホンアミド、N−シクロヘキシル−1−ブタンスルホンアミド、2−アミノエタンスルホンアミドなどが挙げられる。 これらスルホンアミド基を含有する化合物は、単独使用または2種類以上併用することができる。 有機亜リン酸エステルとしては、例えば、有機亜リン酸ジエステル、有機亜リン酸トリエステルなどが挙げられ、より具体的には、例えば、トリエチルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリステアリルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、ジフェニル(トリデシル)ホスファイトなどのモノフォスファイト類、例えば、ジステアリル・ペンタエリスリチル・ジホスファイト、ジ・ドデシル・ペンタエリスリトール・ジホスファイト、ジ・トリデシル・ペンタエリスリトール・ジホスファイト、ジノニルフェニル・ペンタエリスリトール・ジホスファイト、テトラフェニル・テトラ・トリデシル・ペンタエリスリチル・テトラホスファイト、テトラフェニル・ジプロピレングリコール・ジホスファイト、トリペンタエリスリトール・トリホスファイトなどの多価アルコールから誘導されたジ、トリあるいはテトラホスファイト類、さらに、例えば、炭素数が1〜20のジ・アルキル・ビスフェノールA・ジホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ・トリデシル)ホスファイトなどのビスフェノール系化合物から誘導されたジホスファイト類、水添ビスフェノールAホスファイトポリマー(分子量2400〜3000)などのポリホスファイト類、トリス(2,3−ジクロロプロピル)ホスファイトなどが挙げられる。 これら有機亜リン酸エステルは、単独使用または2種類以上併用することができる。 安定剤として、好ましくは、酸化防止剤、酸性化合物、スルホンアミド基を含有する化合物が挙げられる。より好ましくは、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンに、酸化防止剤と、酸性化合物および/またはスルホンアミド基を含有する化合物とを配合し、含有させる。 これら安定剤を添加することにより、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、および、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを用いて得られるイソシアネート変性体(後述)の、貯蔵安定性の向上を図ることができる。 なお、安定剤の配合割合は、特に制限されず、必要および用途に応じて、適宜設定される。 具体的には、酸化防止剤の配合割合は、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン100質量部に対して、例えば、0.0005〜0.05質量部である。 また、酸性化合物および/またはスルホンアミド基を含有する化合物の配合割合(併用される場合には、それらの総量)は、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン100質量部に対して、例えば、0.0005〜0.05質量部である。 また、本発明は、さらに、上記の1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを用いて得られるポリイソシアネート組成物を含んでいる。 ポリイソシアネート組成物は、より具体的には、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを変性することにより得られ、下記(a)〜(e)の官能基を少なくとも1種含有している。(a)イソシアヌレート基(b)アロファネート基(c)ビウレット基(d)ウレタン基(e)ウレア基 上記(a)の官能基(イソシアヌレート基)を含有するポリイソシアネート組成物は、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンのトリマー(三量体)であって、例えば、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを公知のイソシアヌレート化触媒の存在下において反応させ、三量化することにより、得ることができる。 上記(b)の官能基(アロファネート基)を含有するポリイソシアネート組成物は、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンのアロファネート変性体であって、例えば、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンとモノアルコールとを反応させた後、公知のアロファネート化触媒の存在下でさらに反応させることにより、得ることができる。 上記(c)の官能基(ビウレット基)を含有するポリイソシアネート組成物は、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンのビウレット変性体であって、例えば、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンと、例えば、水、第三級アルコール(例えば、t−ブチルアルコールなど)、第二級アミン(例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミンなど)などとを反応させた後、公知のビウレット化触媒の存在下でさらに反応させることにより、得ることができる。 上記(d)の官能基(ウレタン基)を含有するポリイソシアネート組成物は、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンのポリオール変性体であって、例えば、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンとポリオール成分(例えば、後述する2価アルコール、3価アルコールなどであり、好ましくは、トリメチロールプロパン)との反応により、得ることができる。 上記(e)の官能基(ウレア基)を含有するポリイソシアネート組成物は、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンのポリアミン変性体であって、例えば、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンと水、ポリアミン成分(後述)などとの反応により、得ることができる。 なお、ポリイソシアネート組成物は、上記(a)〜(e)の官能基を少なくとも1種含有していればよく、2種以上含有することもできる。そのようなポリイソシアネート組成物は、上記の反応を適宜併用することにより、生成される。 ポリイソシアネート組成物として、好ましくは、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンのトリマー(イソシアヌレート基を含有するポリイソシアネート組成物)が挙げられる。 なお、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンのトリマーは、イソシアヌレート基の他、さらに、イミノオキサジアジンジオン基などを有するポリイソシアネートを、含んでいてもよい。 そして、上記の1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンは、トランス体の含有割合、および、上記式(1)で示される化合物の含有割合が、上記の特定範囲であるため、各種物性に優れるポリウレタン樹脂を得ることができる。 また、上記のポリイソシアネート組成物は、上記の1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを用いて得られるため、そのポリイソシアネート組成物を用いることにより、各種物性に優れるポリウレタン樹脂を得ることができる。 そして、本発明は、上記の1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンおよび/または上記のポリイソシアネート組成物を用いて得られるポリウレタン樹脂を含んでいる。 具体的には、本発明のポリウレタン樹脂は、上記の1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンおよび/または上記のポリイソシアネート組成物を含むポリイソシアネート成分と、活性水素基含有成分とを反応させることにより、得ることができる。 ポリイソシアネート成分は、必須成分として、上記の1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンおよび/または上記のポリイソシアネート組成物を含有する。 また、ポリイソシアネート成分は、任意成分として、本発明の優れた効果を損なわない範囲で、その他のポリイソシアネート、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート(1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを除く。)、芳香脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネートなどを含有することができる。 脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2,4,4−または2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエートなどの脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。 脂環族ポリイソシアネート(1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを除く。)としては、例えば、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(別名:イソホロンジイソシアネート)、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアナトエチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトエチル)シクロヘキサン、2,5−または2,6−ビス(イソシアナトメチル)ノルボルナン(NBDI)およびその混合物などの脂環族ジイソシアネートなどが挙げられる。 芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−または1,4−キシリレンジイソシアネートもしくはその混合物、1,3−または1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネートもしくはその混合物、ω,ω’−ジイソシアナト−1,4−ジエチルベンゼンなどの芳香脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。 芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネートおよび2,6−トリレンジイソシアネート、ならびにこれらトリレンジイソシアネートの異性体混合物、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよび2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ならびにこれらジフェニルメタンジイソシアネートの任意の異性体混合物、トルイレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネートなどが挙げられる。 また、これらポリイソシアネートの誘導体を併用することもできる。より具体的には、これらポリイソシアネートの多量体(ダイマー、トリマー(例えば、イソシアヌレート変性体など)、ビウレット変性体、アロファネート変性体、ポリオール変性体、オキサジアジントリオン変性体、カルボジイミド変性体、ウレトジオン変性体などが挙げられる。 上記の1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンおよび/または上記のポリイソシアネート組成物と、その他のポリイソシアネートとを併用する場合において、それらの配合割合は、ポリイソシアネート成分の総量に対して、上記の1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンおよび/または上記のポリイソシアネート組成物が、例えば、10モル%以上、好ましくは、30モル%以上であり、例えば、90モル%以下、好ましくは、70モル%以下である。また、その他のポリイソシアネートが、例えば、10モル%以上、好ましくは、30モル%以上であり、例えば、90モル%以下、好ましくは、70モル%以下である。 本発明において、活性水素基含有成分としては、例えば、ポリオール成分(水酸基を2つ以上有するポリオールを主として含有する成分)、ポリチオール成分(メルカプト基(チオール基)を2つ以上有するポリチオールを主として含有する成分)、ポリアミン成分(アミノ基を2つ以上有するポリアミンを主として含有する化合物)などが挙げられる。 本発明において、ポリオール成分としては、低分子量ポリオールおよび高分子量ポリオールが挙げられる。 低分子量ポリオールは、水酸基を2つ以上有する数平均分子量400未満の化合物であって、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、アルカン(7〜22)ジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、アルカン−1,2−ジオール(C17〜20)、イソソルビド、1,3−または1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびそれらの混合物、1,4−シクロヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、1,4−ジヒドロキシ−2−ブテン、2,6−ジメチル−1−オクテン−3,8−ジオール、ビスフェノールAなどの2価アルコール、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパンなどの3価アルコール、例えば、テトラメチロールメタン(ペンタエリスリトール)、ジグリセリンなどの4価アルコール、例えば、キシリトールなどの5価アルコール、例えば、ソルビトール、マンニトール、アリトール、イジトール、ダルシトール、アルトリトール、イノシトール、ジペンタエリスリトールなどの6価アルコール、例えば、ペルセイトールなどの7価アルコール、例えば、ショ糖などの8価アルコールなどが挙げられる。 また、これらを開始剤としてエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを付加させて得られる、数平均分子量400未満のポリアルキレンオキサイド(2種以上のアルキレンオキサイドのランダムおよび/またはブロック共重合体を含む。)も、低分子量ポリオールに含まれる。 高分子量ポリオールは、水酸基を2つ以上有する数平均分子量400以上の化合物であって、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール、エポキシポリオール、植物油ポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、および、ビニルモノマー変性ポリオールが挙げられる。 ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリアルキレンポリオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリトリメチレンエーテルグリコールなどが挙げられる。 ポリアルキレンポリオールとしては、例えば、上記した低分子量ポリオールまたは芳香族/脂肪族ポリアミン(後述)を開始剤とする、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドの付加重合物(2種以上のアルキレンオキサイドのランダムおよび/またはブロック共重合体を含む。)が挙げられる。また、ポリエチレングリコールも使用できる。ポリエチレングリコールを含むポリアルキレンポリオールのCPR(controlled polymerization rate)は、5以下が好ましく、さらに好ましくは3以下、最も好ましくは2以下である。CPRは、JIS K 1557−1記載の方法に基づき、測定される。このような範囲のCPRのポリオキシアルキレンポリオールを用いることにより、本発明の1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンとの反応において、イソシアネート基に基づく副反応を抑制することができる。 ポリテトラメチレンエーテルグリコールとしては、例えば、テトラヒドロフランのカチオン重合により得られる開環重合物や、テトラヒドロフランの重合単位に上記した2価アルコールを共重合した非晶性ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどが挙げられる。 また、フルフラールなどの植物由原料をもとに製造されたテトラヒドロフランを出発原料とした植物由来のポリテトラメチレンエーテルグリコールも使用することができる。 ポリトリメチレンエーテルグリコールとしては、例えば、植物由来の1,3−プロパンジオールの縮重合により製造されるポリオールが挙げられる。 ポリエステルポリオールとしては、例えば、上記した低分子量ポリオール(好ましくは、2価アルコール)と多塩基酸とを、公知の条件下、反応させて得られる重縮合物が挙げられる。 多塩基酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、グルタール酸、アジピン酸、1,1−ジメチル−1,3−ジカルボキシプロパン、3−メチル−3−エチルグルタール酸、アゼライン酸、セバシン酸、その他の飽和脂肪族ジカルボン酸(炭素数11〜13)、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、その他の不飽和脂肪族ジカルボン酸、例えば、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トルエンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、その他の芳香族ジカルボン酸、例えば、ヘキサヒドロフタル酸、その他の脂環族ジカルボン酸、例えば、ダイマー酸、水添ダイマー酸、ヘット酸などのその他のカルボン酸、および、それらカルボン酸から誘導される酸無水物、例えば、無水シュウ酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水2−アルキル(C12〜C18)コハク酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水トリメリット酸、さらには、これらのカルボン酸などから誘導される酸ハライド、例えば、シュウ酸ジクロライド、アジピン酸ジクロライド、セバシン酸ジクロライドなどが挙げられる。 また、ポリエステルポリオールとして、例えば、上記した低分子量ポリオールと、ヒドロキシル基含有植物油脂肪酸(例えば、リシノレイン酸を含有するひまし油脂肪酸、12−ヒドロキシステアリン酸を含有する水添ひまし油脂肪酸など)などのヒドロキシカルボン酸とを、公知の条件下、縮合反応させて得られる植物油系ポリエステルポリオールなどが挙げられる。 また、ポリエステルポリオールとして、例えば、上記した低分子量ポリオール(好ましくは、2価アルコール)を開始剤として、例えば、ε−カプロラクトン、γ−バレロラクトンなどのラクトン類を開環重合して得られる、ポリカプロラクトンポリオール、ポリバレロラクトンポリオール、さらには、それらに上記した2価アルコールを共重合したラクトン系ポリエステルポリオールなどが挙げられる。 ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、上記した低分子量ポリオール(好ましくは、2価アルコール)を開始剤とするエチレンカーボネートの開環重合物や、例えば、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオールや1,6−ヘキサンジオールなどの2価アルコールと、開環重合物とを共重合した非晶性ポリカーボネートポリオールなどが挙げられる。 また、ポリウレタンポリオールは、上記により得られたポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールおよび/またはポリカーボネートポリオールを、イソシアネート基に対する水酸基の当量比(OH/NCO)が1を超過する割合で、上記ポリイソシアネート(1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを含む。以下同様)と反応させることによって、ポリエステルポリウレタンポリオール、ポリエーテルポリウレタンポリオール、ポリカーボネートポリウレタンポリオール、あるいは、ポリエステルポリエーテルポリウレタンポリオールなどとして得ることができる。 エポキシポリオールとしては、例えば、上記した低分子量ポリオールと、例えば、エピクロルヒドリン、β−メチルエピクロルヒドリンなどの多官能ハロヒドリンとの反応により得られるエポキシポリオールが挙げられる。 植物油ポリオールとしては、例えば、ひまし油、やし油などのヒドロキシル基含有植物油などが挙げられる。例えば、ひまし油ポリオール、またはひまし油ポリオールとポリプロピレンポリオールとの反応により得られるエステル変性ひまし油ポリオールなどが挙げられる。 ポリオレフィンポリオールとしては、例えば、ポリブタジエンポリオール、部分ケン価エチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。 アクリルポリオールとしては、例えば、ヒドロキシル基含有アクリレートと、ヒドロキシル基含有アクリレートと共重合可能な共重合性ビニルモノマーとを、共重合させることによって得られる共重合体が挙げられる。 ヒドロキシル基含有アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2,2−ジヒドロキシメチルブチル(メタ)アクリレート、ポリヒドロキシアルキルマレエート、ポリヒドロキシアルキルフマレートなどが挙げられる。好ましくは、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。 共重合性ビニルモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート(炭素数1〜12)、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニルモノマー、例えば、(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニル、例えば、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸などのカルボキシル基を含むビニルモノマー、または、そのアルキルエステル、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、オリゴエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどのアルカンポリオールポリ(メタ)アクリレート、例えば、3−(2−イソシアネート−2−プロピル)−α−メチルスチレンなどのイソシアネート基を含むビニルモノマーなどが挙げられる。 そして、アクリルポリオールは、これらヒドロキシル基含有アクリレート、および、共重合性ビニルモノマーを、適当な溶剤および重合開始剤の存在下において共重合させることにより得ることができる。 また、アクリルポリオールには、例えば、シリコーンポリオールやフッ素ポリオールが含まれる。 シリコーンポリオールとしては、例えば、上記したアクリルポリオールの共重合において、共重合性ビニルモノマーとして、例えば、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのビニル基を含むシリコーン化合物が配合されたアクリルポリオールが挙げられる。 フッ素ポリオールとしては、例えば、上記したアクリルポリオールの共重合において、共重合性ビニルモノマーとして、例えば、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンなどのビニル基を含むフッ素化合物が配合されたアクリルポリオールが挙げられる。 ビニルモノマー変性ポリオールは、上記した高分子量ポリオールと、ビニルモノマーとの反応により得ることができる。 高分子量ポリオールとして、好ましくは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよびポリカーボネートポリオールから選択される高分子量ポリオールが挙げられる。 また、ビニルモノマーとしては、例えば、上記したアルキル(メタ)アクリレート、シアン化ビニルまたはシアン化ビニリデンなどが挙げられる。これらビニルモノマーは、単独使用または2種類以上併用することができる。また、これらのうち、好ましくは、アルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。 そして、ビニルモノマー変性ポリオールは、これら高分子量ポリオール、および、ビニルモノマーを、例えば、ラジカル重合開始剤(例えば、過硫酸塩、有機過酸化物、アゾ系化合物など)の存在下などにおいて反応させることにより得ることができる。 これらポリオール成分は、単独使用または2種類以上併用することができる。 ポリチオール成分としては、例えば、脂肪族ポリチオール、芳香族ポリチオール、複素環含有ポリチオール、メルカプト基以外に硫黄原子を含有する脂肪族ポリチオール、メルカプト基以外に硫黄原子を含有する芳香族ポリチオール、メルカプト基以外に硫黄原子を含有する複素環含有ポリチオールなどが挙げられる。 脂肪族ポリチオールとしては、例えば、メタンジチオール、1,2−エタンジチオール、1,1−プロパンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、2,2−プロパンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,2,3−プロパントリチオール、1,1−シクロヘキサンジチオール、1,2−シクロヘキサンジチオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジチオール、3,4−ジメトキシブタン−1,2−ジチオール、2−メチルシクロヘキサン−2,3−ジチオール、1−メチルシクロヘキサン−2,3−ジチオール、ビシクロ〔2,2,1〕ヘプタ−exo−cis−2,3−ジチオール、テトラキス(メルカプトメチル)メタン、1,1−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、チオリンゴ酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、2,3−ジメルカプトコハク酸(2−メルカプトエチルエステル)、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール(2−メルカプトアセテート)、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール(3−メルカプトプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,2−ジメルカプトプロピルメチルエーテル、2,3−ジメルカプトプロピルメチルエーテル、2,2−ビス(メルカプトメチル)−1,3−プロパンジチオール、ビス(2−メルカプトエチル)エーテル、エチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパンビス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパンビス(3−メルカプトプロピオネート)、3−メルカプト−1,2−プロパンジオールビス(2−メルカプトアセテート)、3−メルカプト−1,2−プロパンジオールジ(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパン(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールエタントリス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールエタントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、グリセリントリス(2−メルカプトアセテート)、グリセリントリス(3−メルカプトプロピオネート)、1,4−シクロヘキサンジオールビス(2−メルカプトアセテート)、1,4−シクロヘキサンジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)が挙げられる。 芳香族ポリチオールとしては、例えば、1,2−ジメルカプトベンゼン、1,3−ジメルカプトベンゼン、1,4−ジメルカプトベンゼン、1,2−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2−ビス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,2−ビス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリメルカプトベンゼン、1,2,4−トリメルカプトベンゼン、1,3,5−トリメルカプトベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,2,3,4−テトラメルカプトベンゼン、1,2,3,5−テトラメルカプトベンゼン、1,2,4,5−テトラメルカプトベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、2,2’−ジメルカプトビフェニル、4,4’−ジメルカプトビフェニル、4,4’−ジメルカプトビベンジル、2,5−トルエンジチオール、3,4−トルエンジチオール、1,4−ナフタレンジチオール、1,5−ナフタレンジチオール、2,6−ナフタレンジチオール、2,7−ナフタレンジチオール、2,4−ジメチルベンゼン−1,3−ジチオール、4,5−ジメチルベンゼン−1,3−ジチオール、9,10−アントラセンジメタンチオール、1,3−ジ(p−メトキシフェニル)プロパン−2,2−ジチオール、1,3−ジフェニルプロパン−2,2−ジチオール、フェニルメタン−1,1−ジチオール、2,4−ジ(p−メルカプトフェニル)ペンタンなどが挙げられる。 複素環含有ポリチオールとしては、例えば、2−メチルアミノ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、2−エチルアミノ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、2−アミノ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、2−モルホリノ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、2−シクロヘキシルアミノ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、2−メトキシ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、2−フェノキシ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、2−チオベンゼンオキシ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、2−チオブチルオキシ−4,6−ジチオール−sym−トリアジンなどが挙げられる。 メルカプト基以外に硫黄原子を含有する脂肪族ポリチオールとしては、例えば、ビス(メルカプトメチル)スルフィド、ビス(メルカプトエチル)スルフィド、ビス(メルカプトプロピル)スルフィド、ビス(メルカプトメチルチオ)メタン、ビス(2−メルカプトエチルチオ)メタン、ビス(3−メルカプトプロピルチオ)メタン、1,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エタン、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)エタン、1,2−ビス(3−メルカプトプロピル)エタン、1,3−ビス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,3−ビス(2−メルカプトエチルチオ)プロパン、1,3−ビス(3−メルカプトプロピルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(2−メルカプトエチルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(3−メルカプトプロピルチオ)プロパン、テトラキス(メルカプトメチルチオメチル)メタン、テトラキス(2−メルカプトエチルチオメチル)メタン、テトラキス(3−メルカプトプロピルチオメチル)メタン、ビス(2,3−ジメルカプトプロピル)スルフィド、2,5−ジメルカプト−1,4−ジチアン、2,5−ジメルカプトメチル−1,4−ジチアン、ビス(メルカプトメチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトエチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトプロピル)ジスルフィドなど、およびこれらのチオグリコール酸およびメルカプトプロピオン酸のエステル、ヒドロキシメチルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシプロピルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシプロピルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシプロピルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシプロピルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、2−メルカプトエチルエーテルビス(2−メルカプトアセテート)、2−メルカプトエチルエーテルビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,2−ビス〔(2−メルカプトエチル)チオ〕−3−メルカプトプロパン、1,4−ジチアン−2,5−ジオールビス(2−メルカプトアセテート)、1,4−ジチアン−2,5−ジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)、チオジグリコール酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、4,4−チオジブチル酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、ジチオジグリコール酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、ジチオジプロピオン酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、4,4−ジチオジブチル酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、チオグリコール酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、ジチオグリコール酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、ジチオジプロピオン酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)−3−プロパンチオール、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン、5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,8−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、4,6−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアン、2−(2,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エチル)−1,3−ジチエタンなどが挙げられる。 メルカプト基以外に硫黄原子を含有する芳香族ポリチオールとしては、例えば、1,2−ビス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2−ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトエチルチオ)ベンゼンなど、およびこれらの核アルキル化物などが挙げられる。 メルカプト基以外に硫黄原子を含有する複素環含有ポリチオールとしては、例えば、3,4−チオフェンジチオール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールなど、およびこれらのチオグリコール酸およびメルカプトプロピオン酸のエステルなどが挙げられる。 ポリチオール成分として、さらには、例えば、これらポリチオールの塩素置換体、臭素置換体などのハロゲン置換体が挙げられる。 これらポリチオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。 ポリアミン成分としては、例えば、芳香族ポリアミン、芳香脂肪族ポリアミン、脂環族ポリアミン、脂肪族ポリアミン、アミノアルコール、第1級アミノ基、または、第1級アミノ基および第2級アミノ基を有するアルコキシシリル化合物、ポリオキシエチレン基含有ポリアミンなどが挙げられる。 芳香族ポリアミンとしては、例えば、2,4−トリレンジアミン(2,4−ジアミノトルエン)、2,6−トリレンジアミン(2,6−ジアミノトルエン)、4,4’−ジフェニルメタンジアミン、2,4’−ジフェニルメタンジアミン、2,2’−ジフェニルメタンジアミン、4,4’−ジフェニルエーテルジアミン、2−ニトロジフェニル−4,4’−ジアミン、2,2’−ジフェニルプロパン−4,4’−ジアミン、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジアミン、4,4’−ジフェニルプロパンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、ナフチレン−1,4−ジアミン、ナフチレン−1,5−ジアミン、3,3’−ジメトキシジフェニル−4,4’−ジアミンなどの芳香族1級ポリアミン、例えば、N,N’−ジアルキル−2,4−トリレンジアミン(N,N’−ジアルキル−2,4−ジアミノトルエン)、N,N’−ジアルキル−2,6−トリレンジアミン(N,N’−ジアルキル−2,6−ジアミノトルエン)、N,N’−ジアルキル−4,4’−ジフェニルメタンジアミン、N,N’−ジアルキル−2,4’−ジフェニルメタンジアミン、N,N’−ジアルキル−2,2’−ジフェニルメタンジアミン、N,N’−ジアルキル−4,4’−ジフェニルエーテルジアミン、N,N’−ジアルキル−2−ニトロジフェニル−4,4’−ジアミン、N,N’−ジアルキル−2,2’−ジフェニルプロパン−4,4’−ジアミン、N,N’−ジアルキル−3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジアミン、N,N’−ジアルキル−4,4’−ジフェニルプロパンジアミン、N,N’−ジアルキル−m−フェニレンジアミン、N,N’−ジアルキル−p−フェニレンジアミン、ナフチレン−1,4−ジアミン、N,N’−ジアルキル−ナフチレン−1,5−ジアミン、N,N’−ジアルキル−3,3’−ジメトキシジフェニル−4,4’−ジアミンなどの芳香族2級ポリアミンなどが挙げられる。 芳香脂肪族ポリアミンとしては、例えば、1,3−または1,4−キシリレンジアミンもしくはその混合物、1,3−テトラメチルキシリレンジアミン(1,3−ジ(2−アミノ−2−メチルエチル)ベンゼン)、1,4−テトラメチルキシリレンジアミン(1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルエチル)ベンゼン)などの芳香脂肪族1級ポリアミン、例えば、N,N’−ジアルキル−1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼン、N,N’−ジアルキル−1,4−ビス(アミノメチル)ベンゼン、N,N’−ジアルキル−1,3−テトラメチルキシリレンジアミン(N,N’−ジアルキル−1,3−ジ(2−アミノ−2−メチルエチル)ベンゼン)、N,N’−ジアルキル−1,4−テトラメチルキシリレンジアミン(N,N’−ジアルキル−1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルエチル)ベンゼン)などの芳香脂肪族2級ポリアミンなどが挙げられる。 脂環族ポリアミンとしては、例えば、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン(別名:イソホロンジアミン)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン(別名:4,4’−メチレンビス(シクロへキシルアミン))、4,4’−メチレンビス(2−メチルシクロへキシルアミン)、2,5(2,6)−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1,2−、1,3−または1,4−シクロヘキサンジアミン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,3−および1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンおよびそれらの混合物、水添2,4−トリレンジアミン、水添2,6−トリレンジアミン、トリアミノシクロヘキサンなどの脂環族1級ポリアミン、例えば、N,N’−ジアルキル−ジアミノシクロブタン、N,N’−ジアルキル−イソホロンジアミン(N,N’−ジアルキル−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン)、N,N’−ジイソプロピル−イソホロンジアミン(商品名:JEFLINK754,Huntsman社製)、N,N’−ジアルキル−1,2−ジアミノシクロへキサン、N,N’−ジアルキル−1,3−ジアミノシクロヘキサン、N,N’−ジアルキル−1,4−ジアミノシクロヘキサン、N,N’−ジアルキル−1,3−ビス(アミノメチル)シクロへキサン、N,N’−ジアルキル−1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、N,N’−ジアルキル−4,4’−メチレンビス(シクロへキシルアミン)(別名4,4’−メチレンビス(N−アルキルシクロへキサンアミン))、4,4’−、メチレンビス[N−(1−メチルプロピル)シクロヘキサンアミン](商品名:CLEARLINK1000、Dorf Ketal Chemicals社製)、N,N’−ジアルキル−4,4’−メチレンビス(2−メチルシクロへキシルアミン)(別名4,4’−メチレンビス(2−メチル−N−アルキルシクロへキサンアミン))、4,4’−メチレンビス[2−メチル―N―(1-メチルプロピル)シクロヘキサンアミン](商品名:CLEARLINK3000、Dorf Ketal Chemicals社製)、N,N’−ジアルキル−2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、N,N’−ジアルキル−2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、N,N’−ジアルキル−水添2,4−トリレンジアミン、N,N’−ジアルキル−水添2,6−トリレンジアミン、N,N’,N’’−トリアルキル−トリアミノシクロヘキサンなどの脂環族2級ポリアミンなどが挙げられる。 脂肪族ポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,3−ペンタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,12−ジアミノドデカン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヒドラジン(水和物を含む。)、1,2,3−トリアミノプロパン、トリアミノヘキサン、トリアミノノナン、トリアミノドデカン、1,8−ジアミノ−4−アミノメチルオクタン、1,3,6−トリアミノヘキサン、1,6,11−トリアミノウンデカン、3−アミノメチル−1,6−ジアミノヘキサン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンなどの脂肪族1級ポリアミン、例えば、例えば、N,N’−ジアルキル−1,2−ジアミノエタン(N,N’−ジアルキル−エチレンジアミン)、N,N’−ジアルキル−1,3−ジアミノプロパン、N,N’−ジアルキル−1,4−ジアミノブタン(N,N’−ジアルキル−1,4−テトラメチレンジアミン)、N,N’−ジアルキル−1,5−ジアミノペンタン(N,N’−ジアルキル−1,5−ペンタメチレンジアミン)、N,N’−ジアルキル−1,6−ジアミノヘキサン(N,N’−ジアルキル−1,6−ヘキサメチレンジアミン)、N,N’−ビス(1,2,2−トリメチルプロピル)−1,6−ヘキサンジアミン(商品名:Ethacure90、Albemare社製)、N,N’−ジアルキル−1,7−ジアミノヘプタン、N,N’−ジアルキル−1,8−ジアミノオクタン、N,N’−ジアルキル−1,9−ジアミノノナン、N,N’−ジアルキル−1,10−ジアミノデカン、N,N’−ジアルキル−1,12−ジアミノドデカン、N,N’−ジアルキル−2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジアルキル−2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジアルキル−テトラメチレンジアミン、N,N’,N’’−トリアルキル−1,2,3−トリアミノプロパン、N,N’,N’’−トリアルキル−トリアミノヘキサン、N,N’,N’’−トリアルキル−トリアミノノナン、N,N’,N’’−トリアルキル−トリアミノドデカン、N,N’,N’’−トリアルキル−1,8−ジアミノ−4−アミノメチルオクタン、N,N’,N’’−トリアルキル−1,3,6−トリアミノヘキサン、N,N’,N’’−トリアルキル−1,6,11−トリアミノウンデカン、N,N’,N’’−トリアルキル−3−アミノメチル−1,6−ジアミノヘキサンなどの脂肪族2級ポリアミンなどが挙げられる。 アミノアルコールとしては、例えば、N−(2−アミノエチル)エタノールアミンなどが挙げられる。 第1級アミノ基、または、第1級アミノ基および第2級アミノ基を有するアルコキシシリル化合物としては、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアルコキシシリル基含有モノアミン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシランなどが挙げられる。 ポリオキシエチレン基含有ポリアミンとしては、例えば、ポリオキシエチレンエーテルジアミンなどのポリオキシアルキレンエーテルジアミンが挙げられる。より具体的には、例えば、日本油脂製のPEG#1000ジアミンや、ハンツマン社製のジェファーミンED―2003、EDR−148、XTJ−512などが挙げられる。 これらポリアミン成分は、単独使用または2種類以上併用することができる。 また、ポリウレタン樹脂の分子量を調整する場合には、活性水素基含有成分として、モノオールおよび/またはモノアミンを併用することができる。 モノオールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、2−エチルヘキシルアルコール、ステアリルアルコール、その他のアルカノール(C5〜38)および脂肪族不飽和アルコール(C9〜24)、アルケニルアルコール、2−プロペン−1−オール、アルカジエノール(C6〜8)、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン−3−オールなどが挙げられる。 モノアミンとしては、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−t−ブチルアミン、ジヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミン、3−メトキシプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−(2−エチルヘキシルオキシプロピルアミン)、3−(ドデシルオキシ)プロピルアミン、モルホリンなどが挙げられる。 なお、本発明では、必要に応じて、公知の添加剤を添加することができる。 また、本発明においては、上記式(1)で示される化合物がポリイソシアネート成分中に所定割合で含まれるため、上記式(1)で示される化合物に対応するアミン化合物、すなわち、上記式(2)で示される化合物に由来する構造が、対応する所定割合(すなわち、ポリウレタン樹脂に対する所定割合)で、ポリウレタン樹脂中に含有される。 そして、本発明のポリウレタン樹脂では、ポリイソシアネート成分として、上記の1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンおよび/または上記のポリイソシアネート組成物が用いられる。そのため、各種用途に応じた要求物性を向上させることができる。 そのため、本発明のポリウレタン樹脂は、例えば、エラストマー(ポリウレタン溶液、水系ポリウレタン、熱溶融成形(スラッシュ成形、回転成形)ウレタンパウダー、熱可塑性ウレタンエラストマー(TPU)、熱硬化性ウレタンエラストマー(TSU)、スプレー成形ウレタン、溶融紡糸法もしくは乾式紡糸法弾性繊維、)、塗料(主に溶液系、粉体系硬化剤:アダクト、アロファネート、ビュレット、ウレトジオン、ポリイソシアヌレート、イミノオキサジアンジオンおよびそれらの混合物)、工業用あるいはホットメルト用接着剤、シーリング材、ポリウレタンフォーム、ゲルなど、幅広い用途に用いることができる。あるいはポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、オキサゾリンなどの誘導体の製造も可能である。 本発明のポリウレタン樹脂を用いた成形品として、例えば、繊維、布帛、フィルム、シート、不織布、フィルム、シート、ゴルフボール、スイムウエア、コンプレッションウエア、アンダーウエア、靴、グリップなどのスポーツ用品、衣料、カテーテル、チューブ、ホース、内視鏡カバー材、スマートフォン、タブレットなどの筐体コーティング、インキバインダー、太陽電池部材のコーティング材料、光学レンズ(メガネレンズ、サングラス)、アイウェアのフレームなどのアイウェア材料、透明樹脂、人工または合成皮革、RIM成形品、自動車内外装部材、新幹線部材、輸送機部材、ロール、キャスター、タイヤ、ゲル、フォーム、パット、パフなどが挙げられる。 以下において、各用途に応じた本発明のポリウレタン樹脂の製造方法について説明する。 まず、本発明のポリウレタン樹脂として、エラストマー(TPU、TSU)を製造する場合について説明する。 本発明のポリウレタン樹脂をエラストマーとして製造する場合における、ポリイソシアネート成分は、上記の1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンおよび/または上記のポリイソシアネート組成物を含み、好ましくは、上記の1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを単独で使用する。 本発明のポリウレタン樹脂をエラストマーとして製造する場合における、上記活性水素基含有成分としては、例えば、上記ポリオール成分が挙げられる。 活性水素基含有成分として、好ましくは、上記高分子量ポリオールが挙げられる。 また、熱可塑性ウレタンエラストマー(TPU)を製造する場合、より好ましくは、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリエチレングリコールなどのポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオールが挙げられる。とりわけ、活性水素基含有成分としてポリエチレングリコールを用いれば、透湿性に優れる熱可塑性ウレタンエラストマー(TPU)を得ることができ、また、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリカーボネートポリオールを用いれば、機械物性に優れる熱可塑性ウレタンエラストマー(TPU)を得ることができる。 また、熱硬化性ウレタンエラストマー(TSU)を製造する場合、より好ましくは、ポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリエステルポリオールなどが挙げられ、さらに好ましくは、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリカプロラクトンポリオールなどが挙げられる。 本発明のポリウレタン樹脂をエラストマーとして製造する場合における、高分子量ポリオールの水酸基価は、例えば、10〜125mgKOH/gであり、その数平均分子量は、例えば、400〜5000、好ましくは、1000〜3000、さらに好ましくは、1000〜2500である。 水酸基価は、JIS K 1557−1のA法またはB法に準拠するアセチル化法やフタル化法などから求めることができる。また、水酸基価と水酸基当量とは、次式(1)の関係にある。 水酸基価=56100/水酸基当量 (1) 数平均分子量は、水酸基当量および平均官能基数から求めることができ、平均官能基数は、次式(2)から求めることができる。 平均官能基数=(各ポリオールの官能基数×当量数)の総和/各ポリオールの当量数の総和 (2) なお、活性水素基含有成分として、必要により、さらに、例えば、上記した低分子量ポリオール、ポリチオール成分、ポリアミン成分、モノオールおよび/またはモノアミンなどを、適宜の割合で配合することができる。好ましくは、低分子量ポリオールおよび/またはポリアミン成分を配合し、より好ましくは、熱可塑性ウレタンエラストマー(TPU)を製造する場合には2価アルコールを、熱硬化性ウレタンエラストマー(TSU)を製造する場合には2価アルコールおよび3価アルコールを、それぞれ配合する。 そして、本発明のポリウレタン樹脂は、例えば、バルク重合や溶液重合などの重合方法により、エラストマーとして製造することができる。 バルク重合では、例えば、窒素気流下において、ポリイソシアネート成分を撹拌しつつ、これに、活性水素基含有成分を加えて、反応温度50〜250℃、さらに好ましくは50〜200℃で、0.5〜15時間程度反応させる。 溶液重合では、有機溶媒に、ポリイソシアネート成分、活性水素基含有成分を加えて、反応温度50〜120℃、さらに好ましくは50〜100℃で、0.5〜15時間程度反応させる。 有機溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、例えば、アセトニトリルなどのニトリル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルなどのアルキルエステル類、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素類、例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環族炭化水素類、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、例えば、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、メチルカルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネートなどのグリコールエーテルエステル類、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、例えば、塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、臭化メチル、ヨウ化メチレン、ジクロロエタンなどのハロゲン化脂肪族炭化水素類、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホニルアミドなどの極性非プロトン類などが挙げられる。 さらに、上記重合反応においては、必要に応じて、例えば、アミン類や有機金属化合物などの公知のウレタン化触媒を添加してもよく、また、得られるイソシアネート基末端プレポリマーから遊離の(未反応の)ポリイソシアネートを、例えば、蒸留や抽出などの公知の除去手段により除去してもよい。 アミン類としては、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ビス−(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N−メチルモルホリンなどの3級アミン類、例えば、テトラエチルヒドロキシルアンモニウムなどの4級アンモニウム塩、例えば、イミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール類などが挙げられる。 有機金属化合物としては、例えば、酢酸錫、オクチル酸錫、オレイン酸錫、ラウリル酸錫、ジブチル錫ジアセテート、ジメチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジメルカプチド、ジブチル錫マレエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジネオデカノエート、ジオクチル錫ジメルカプチド、ジオクチル錫ジラウリレート、ジブチル錫ジクロライドなどの有機錫系化合物、例えば、オクタン酸鉛、ナフテン酸鉛などの有機鉛化合物、例えば、ナフテン酸ニッケルなどの有機ニッケル化合物、例えば、ナフテン酸コバルトなどの有機コバルト化合物、例えば、オクテン酸銅などの有機銅化合物、例えば、オクチル酸ビスマス、ネオデカン酸ビスマスなどの有機ビスマス化合物、ジルコニウムアセチルアセトンキレートなどの有機ジルコニウム化合物、チタンアセト酢酸キレート、ビス(2−エチルヘキサン酸)チタンなどの有機チタン化合物、鉄アセチルアセトンキレートなどの有機鉄化合物などが挙げられる。 さらに、ウレタン化触媒として、例えば、炭酸カリウム、酢酸カリウム、オクチル酸カリウムなどのカリウム塩が挙げられる。 これらウレタン化触媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。 バルク重合および溶液重合では、例えば、ポリイソシアネート成分と活性水素基含有成分とを、活性水素基含有成分中の活性水素基(水酸基、メルカプト基、アミノ基)に対するポリイソシアネート成分中のイソシアネート基の当量比(NCO/活性水素基)が、例えば、0.75〜1.3、好ましくは、0.9〜1.1となるように配合する。 また、上記重合反応をより工業的に実施する場合には、ポリウレタン樹脂は、例えば、ワンショット法およびプレポリマー法などの公知の方法により、得ることができる。 ワンショット法では、例えば、ポリイソシアネート成分と活性水素基含有成分とを、活性水素基含有成分中の活性水素基(水酸基、メルカプト基、アミノ基)に対するポリイソシアネート成分中のイソシアネート基の当量比(NCO/活性水素基)が、例えば、0.75〜1.3、好ましくは、0.9〜1.1となるように処方(混合)した後、例えば、室温〜250℃、好ましくは、室温〜200℃で、例えば、5分〜72時間、好ましくは、4〜24時間硬化反応させる。なお、硬化温度は、一定温度であってもよく、あるいは、段階的に昇温または冷却することもできる。 この硬化反応においては、ポリイソシアネート成分、および/または、活性水素基含有成分を、好ましくは、加温して、低粘度化させてから混合し、その後、必要に応じて脱泡した後、予備加熱した成形型に注入する。 そして、成形型に注入して反応させた後、脱型すれば、所望形状に成形されたポリウレタン樹脂を得ることができる。なお、脱型後、必要に応じて、室温にて、7日間以内程度で熱成させることもできる。 また、プレポリマー法では、例えば、まず、イソシアネート成分と活性水素基含有成分の一部(好ましくは、高分子量ポリオール)とを反応させて、分子末端にイソシアネート基を有するイソシアネート基末端プレポリマーを合成する。次いで、得られたイソシアネート基末端プレポリマーと、活性水素基含有成分の残部(好ましくは、低分子量ポリオールおよび/またはポリアミン成分)とを反応させて、硬化反応させる。なお、プレポリマー法において、活性水素基含有成分の残部は、鎖伸長剤として用いられる。 イソシアネート基末端プレポリマーを合成するには、ポリイソシアネート成分と活性水素基含有成分の一部とを、活性水素基含有成分の一部中の活性水素基に対するポリイソシアネート成分中のイソシアネート基の当量比(NCO/活性水素基)が、例えば、1.1〜20、好ましくは、1.3〜10、さらに好ましくは、1.3〜6となるように処方(混合)し、反応容器中にて、例えば、室温〜150℃、好ましくは、50〜120℃で、例えば、0.5〜18時間、好ましくは、2〜10時間反応させる。なお、この反応においては、必要に応じて、上記したウレタン化触媒を添加してもよく、また、反応終了後には、必要に応じて、未反応のポリイソシアネート成分を、例えば、蒸留や抽出などの公知の除去手段により、除去することもできる。 次いで、得られたイソシアネート基末端プレポリマーと、活性水素基含有成分の残部とを反応させるには、イソシアネート基末端プレポリマーと、活性水素基含有成分の残部とを、活性水素基含有成分の残部中の活性水素基に対するイソシアネート基末端プレポリマー中のイソシアネート基の当量比(NCO/活性水素基)が、例えば、0.75〜1.3、好ましくは、0.8〜1.2となるように処方(混合)し、例えば、室温〜250℃、好ましくは、室温〜200℃で、例えば、5分〜72時間、好ましくは、1〜24時間硬化反応させる。 この硬化反応においては、イソシアネート基末端プレポリマー、および/または、活性水素基含有成分の残部を、好ましくは、加温して、低粘度化させてから混合し、その後、必要に応じて脱泡した後、予備加熱した成形型に注入する。 そして、成形型に注入して反応させた後、脱型すれば、所望形状に成形されたポリウレタン樹脂を得ることができる。なお、脱型後、必要に応じて、室温にて、7日間以内程度で熱成させることもできる。 なお、本発明のポリウレタン樹脂をエラストマーとして製造する場合においては、必要に応じて、さらに、公知の添加剤、例えば、可塑剤、ブロッキング防止剤、耐熱安定剤、耐光安定剤、紫外線吸収剤、NOx黄変防止剤、酸化防止剤、離型剤、触媒、さらには、顔料、染料、滑剤、フィラー、加水分解防止剤などを、適宜の割合で配合することができる。これら添加剤は、各成分の合成時に添加してもよく、あるいは、各成分の混合・溶解時に添加してもよく、さらには、合成後に添加することもできる。 耐光安定剤としては、例えば、ヒンダードアミン化合物(具体的には、チヌビン765、チヌビン770、チヌビン622LD、いずれもBASF社製、具体的には、アデカスタブLA−52、アデカスタブLA−57、アデカスタブLA−63P、アデカスタブLA−68、アデカスタブLA−72、アデカスタブLA−82、アデカスタブLA−87、いずれもADEKA社製)などが挙げられる。これら耐光安定剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。 紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール化合物(具体的には、チヌビン571、チヌビン213、チヌビン234、チヌビンP(以上、BASF社製))、フォルムアミジン系化合物(具体的には、Zikasorb R、Zikasorb BS、ZIKA−FA02、ZIKA−FUA、ZIKA−FUV、ZIKA−UVS3、ZIKA−UVS4(以上、ZIKO社製))などが挙げられる。これら紫外線吸収剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。 NOx黄変防止剤としては、例えば、1,6−ヘキサメチレンビス(N,N−ジメチルジメチルセミカルバジド)、1,1,1’,1’−テトラメチル−4,4’−(メチレン−ジ−パラ−フェニレン)ジセミカルバジド、ビューレトリートリ−(ヘキサメチレン−N,N−ジメチルセミカルバジド)などが挙げられる。具体的にはHN−130、HN−150、HN−300(以上、日本ファインケム社製)が挙げられる。これらNOx黄変防止剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。 そして、このようにエラストマーとして得られるポリウレタン樹脂は、優れた外観、機械物性(伸び、強度)および耐久性を有する。そのため、エラストマーとして得られるポリウレタン樹脂は、種々の産業分野において用いることができる。 例えば、熱硬化性ウレタンエラストマー(TSU)は、各種産業機器の部材、具体的には、例えば、印刷機、複写機、プリンターなどの画像形成装置、抄紙機などに用いられるロール部材(例えば、加圧ロール、定着ロール、送紙ロールなど)やベルト部材(例えば、伝動ベルト、搬送用ベルト、コンベヤベルト、シュープレスベルトなど)、油、ガス、鉱山、ダンプなどの重機および海洋などに用いられるポンプ部品、クランプ、シール、ローラー、ホイール、ホイールトレッド、キャスター、シュート、バルブ、シェーカー、ショックアブソーバー、ブッシング、ダンパー、コイル、ジェットコースターのロール、トレッド、ホイール、さらには、油水破砕用泥水用途の部材などの用途も挙げられる。さらには、タイヤチェーン、二輪、四輪、オートバイ、自転車、モトクロス用タイヤ、スポーク、トレッド周辺の部材、ゴルフボールのカバー材やコア材、テニスボール、バスケットボール、バレーボールなどのスポーツ部材、スマートフォン、タブレットなどのカバーあるいは緩衝材料、ロボットなどの駆動部品、サポート部品、金属類との複合部品、介護部材などの医療部品、カバー材、工業部材、土木建材、ガラスもしくはポリカーボネートなどの透明性樹脂代替用途、メガネレンズ、ピックアップレンズ、ヘットランプなどの用途、柔軟なゲル、ロール、シート、フィルム、電材用部品、土木建築用途の部品、製紙あるいは工業用フェルト、静遮音部材、バウンドストッパー、センサー、スイッチ、導電性部材、防振部品、ホース、チューブ、コネクターシール、ブランケット、あるいは、製紙、鉄鋼、プリンター、コピー、液晶、PDP、有機ELなどの製造に関わるロール、化学あるいは物理発泡ウレタン製品、マイクロセルラー、光学用シート、フィルム、クリーニングブレード、スキージー、さらには、緩衝材、自己修復材料、トラック、床材、新幹線、船舶、リニアーモーターなどのパッキン、シール材、シューズのソール、インナー、アウター部材、ウレタンディスク、クッションボード、トルクリミッター、ピンチローラー、プレスロール、電気絶縁材、ワイピングクロス、コピークリーナー、ガスケットなど、種々の産業分野において好適に用いることができる。 また、熱可塑性ウレタンエラストマー(TPU)は、例えば、管(例えば、医療用チューブ、カテーテルなどの部品の他、エアーチューブ、油圧チューブ、電線チューブなどのチューブ、例えば、消防ホースなどのホース)、帯(例えば、時計バンドなどのバンド、例えば、自動車用伝動ベルト、各種産業用搬送ベルト(コンベアベルト)などのベルト)、さらには、パッキン、ケーブルシース、ワイヤーハーネス、電気通信ケーブル、自動車配線、コンピューター配線、カールコードなど工業用品、シート、フィルムなどの介護用品、スポーツ用品、レジャー用品、各種雑貨、防振・免振材料、衝撃吸収材、光学材料、導光フィルムなどのフィルム、コンソールボックス、インストルメントパネルやドアパネルなどの自動車部品、表面保護シート、化粧シート、転写シート、半導体保護テープなどのテープ部材、アウトソール、ゴルフボール部材、テニスラケット用ストリング、農業用フィルム、壁紙、防曇付与剤、糸、繊維、不織布、カバー材、透明フィルム、自動車チッピングフィルム、軽自動車のタイヤ部材、電子パスポート部材、時計部材、サングラス、メガネレンズ、それらのフレームなどを含む光学材料部材など、種々の産業分野において好適に用いることができる。 次に、本発明のポリウレタン樹脂として、レンズを製造する場合について説明する。 このような場合において、本発明のポリウレタン樹脂は、上記ポリイソシアネート成分と上記活性水素基含有成分との反応により、光学用ポリウレタン樹脂として製造される。 本発明のポリウレタン樹脂を光学用ポリウレタン樹脂として製造する場合における、ポリイソシアネート成分は、上記の1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンおよび/または上記のポリイソシアネート組成物を含み、好ましくは、上記の1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを単独で使用する。 本発明のポリウレタン樹脂を光学用ポリウレタン樹脂として製造する場合における、上記活性水素基含有成分としては、例えば、上記ポリオール成分および/またはポリチオール成分が挙げられる。 活性水素基含有成分として、好ましくは、上記脂肪族ポリチオール(メルカプト基以外に硫黄原子を含有しない脂肪族ポリチオール)、メルカプト基以外に硫黄原子を含有する脂肪族ポリチオールが挙げられ、より好ましくは、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)−3−プロパンチオールが挙げられる。 本発明のポリウレタン樹脂を光学用ポリウレタン樹脂として製造する場合における、ポリオール成分の水酸基価は、例えば、280〜1240mgKOH/g、好ましくは、400〜940mgKOH/gであり、その数平均分子量は、平均官能基数は、例えば、2を超過し、好ましくは、2.5を超過し、さらに好ましくは、2.8を超過し、通常、5未満、好ましくは、4.5未満である。 水酸基価および平均官能基数がこのような範囲であれば、光学用ポリウレタン樹脂として製造されるポリウレタン樹脂の、耐衝撃性および耐熱性を向上させることができる。 また、ポリオール成分の数平均分子量は、例えば、90〜1000、好ましくは、100〜800である。 なお、活性水素基含有成分として、必要により、さらに、例えば、上記低分子量ポリオール、ポリチオール成分(脂肪族ポリチオールを除く)、ポリアミン成分、モノオールおよび/またはモノアミンなどを、適宜の割合で配合することができる。 ポリイソシアネート成分と活性水素基含有成分とを反応させるには、例えば、上記したワンショット法(本発明のポリウレタン樹脂をエラストマーとして製造する場合におけるワンショット法)や、上記したプレポリマー法(本発明のポリウレタン樹脂をエラストマーとして製造する場合におけるプレポリマー法)などの、公知のポリウレタンの成形方法に準拠することができる。 ワンショット法を採用する場合には、ポリイソシアネート成分と活性水素基含有成分とを、活性水素基含有成分中の活性水素基(水酸基、メルカプト基、アミノ基)に対するポリイソシアネート成分中のイソシアネート基の当量比(NCO/活性水素基)が、例えば、0.5〜2.0、好ましくは、0.75〜1.25となるように処方(混合)した後、成形型に注入して、例えば、室温〜180℃、好ましくは、室温〜150℃で、例えば、10分〜72時間、好ましくは、4〜24時間硬化反応させる。 プレポリマー法を採用する場合には、まず、ポリイソシアネート成分と活性水素基含有成分の一部とを、活性水素基含有成分の一部中の活性水素基に対するポリイソシアネート成分中のイソシアネート基の当量比(NCO/活性水素基)が、例えば、1.1〜20、好ましくは、1.5〜10となるように処方(混合)し、反応容器中にて、例えば、室温〜150℃、好ましくは、50〜120℃で、例えば、0.5〜18時間、好ましくは、2〜10時間反応させ、イソシアネート基末端プレポリマーを製造する。 次いで、得られたイソシアネート基末端プレポリマーと、活性水素基含有成分の残部とを反応させるには、イソシアネート基末端プレポリマーと、活性水素基含有成分の残部とを、活性水素基含有成分の残部中の活性水素基に対するイソシアネート基末端プレポリマー中のイソシアネート基の当量比(NCO/活性水素基)が、例えば、0.5〜2.0、好ましくは、0.75〜1.25となるように処方(混合)し、成形型に注入して、例えば、室温〜180℃、好ましくは、室温〜150℃で、例えば、5分〜72時間、好ましくは、1〜24時間硬化反応させる。 なお、得られたポリウレタン樹脂(光学用ポリウレタン樹脂)を、偏光レンズなどに用いる場合には、上記の成形方法において、例えば、インサート成形、つまり、成形型に、偏光膜などを予めセットした上で、混合した原料(ポリイソシアネート成分および活性水素基含有成分)を注入することもできる。 なお、本発明のポリウレタン樹脂を光学用ポリウレタン樹脂として製造する場合においても、必要に応じて、さらに、公知の添加剤、例えば、内部離型剤、ブルーイング剤、可塑剤、消泡剤、レベリング剤、艶消し剤、難燃剤、揺変剤、粘着付与剤、増粘剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、反応遅延剤、脱水剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、加水分解防止剤、耐候安定剤などを、適宜の割合で配合することができる。 例えば、内部離型剤を配合する場合には、上記の成形方法において、例えば、混合した原料(ポリイソシアネート成分および活性水素基含有成分)に、または、混合した原料を成形型に注入するときに、好ましくは加温した内部離型剤を、ポリイソシアネート成分および活性水素基含有成分の総量100質量部に対して、例えば、0.01〜10質量部、好ましくは、0.1〜5質量部の割合で配合する。 内部離型剤としては、例えば、リン酸エステル系離型剤、アルキルリン酸塩系離型剤、脂肪酸エステル系離型剤が挙げられる。好ましくは、リン酸エステル系離型剤が挙げられる。このような内部離型剤を配合することよって、成形型から容易に離型することができるポリウレタン樹脂を得ることができる。 そして、このように光学用ポリウレタン樹脂として得られるポリウレタン樹脂は、優れた外観(透明性)を有しながら、屈折率、機械物性(引張強度)および耐久性に優れる。 そのため、このポリウレタン樹脂(光学用ポリウレタン樹脂)は、実用レベルの光学特性を満足し、しかも、耐熱性や耐衝撃性などの機械物性にすぐれるポリウレタン樹脂(光学用ポリウレタン樹脂)として、例えば、透明レンズ、サングラスレンズ、偏光レンズ、眼鏡レンズ、カメラレンズ、ピックアップレンズ、コンタクトレンズなどの光学レンズや、例えば、車載用の照明パネル、ヘッドライトレンズ、ヘッドライトおよびテールライトのランプカバー、光学素子、光ディスク、有機ELやLEDなどの光学材料、看板などの電飾、光ファイバ、ガラス代替品、合わせガラスの中間膜、航空機等の風防、大型水槽壁、透明屋根材、グレージング材料、日用品の透明部材、防護メガネ、フード、防御用盾、自動車保安部品、照明部品、スマートフォン、タブレットなどの光学部品に好適に用いることができる。 次に、本発明のポリウレタン樹脂として、フィルム、人工皮革、合成皮革などを製造する場合について説明する。 このような場合においては、本発明のポリウレタン樹脂は、例えば、上記ポリイソシアネート成分と上記活性水素基含有成分との反応により、水性ポリウレタン樹脂(ポリウレタン樹脂の水系ディスパージョン)として製造される。 本発明のポリウレタン樹脂を水性ポリウレタン樹脂として製造する方法としては、上記したプレポリマー法(本発明のポリウレタン樹脂をエラストマーとして製造する場合におけるプレポリマー法)が採用される。 より具体的には、ポリウレタン樹脂を水性ポリウレタン樹脂として製造するには、例えば、まず、上記したイソシアネート成分と、活性水素基含有成分とを、活性水素基含有成分中の活性水素基に対するイソシアネート成分中のイソシアネート基の当量比(NCO/活性水素基)が1を超過する割合で反応させ、イソシアネート基末端プレポリマーを得る。 本発明のポリウレタン樹脂を水性ポリウレタン樹脂として製造する場合におけるポリイソシアネート成分は、上記の1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンおよび/または上記のポリイソシアネート組成物を含み、好ましくは、上記の1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを単独で使用する。 本発明のポリウレタン樹脂を水性ポリウレタン樹脂として製造する場合における、活性水素基含有成分としては、例えば、上記ポリオール成分が挙げられる。 活性水素基含有成分として、好ましくは、高分子量ポリオール、より好ましくは、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールおよびポリカーボネートポリオールが挙げられる。 本発明のポリウレタン樹脂を水性ポリウレタン樹脂として製造する場合における、高分子量ポリオールの水酸基価は、例えば、10〜125mgKOH/gであり、その数平均分子量は、例えば、400〜5000、好ましくは、1000〜3000、さらに好ましくは、1000〜2500である。 また、ポリウレタン樹脂を水性ポリウレタン樹脂として製造する場合においては、活性水素基含有成分は、親水基を含有する活性水素基含有成分(以下、親水基含有活性水素化合物とする。)を含んでいる。 親水基含有活性水素化合物は、少なくとも1つの親水基と、2つ以上の活性水素基とを併有する化合物であって、親水基としては、例えば、アニオン性基、カチオン性基、ノニオン性基が挙げられる。活性水素基としては、イソシアネート基と反応する基であって、例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基などが挙げられる。親水基含有活性水素化合物として、より具体的には、カルボン酸基含有活性水素化合物、スルホン酸基含有活性水素化合物、水酸基含有活性水素化合物、親水基含有多塩基酸、ポリオキシエチレン基含有活性水素化合物などが挙げられる。 カルボン酸基含有活性水素化合物としては、例えば、2,2−ジメチロール酢酸、2,2−ジメチロール乳酸、2,2−ジメチロールプロピオン酸(以下、DMPAとする。)、2,2−ジメチロールブタン酸(以下、DMBAとする。)、2,2−ジメチロール酪酸、2,2−ジメチロール吉草酸などのジヒドロキシルカルボン酸、例えば、リジン、アルギニンなどのジアミノカルボン酸、または、それらの金属塩類やアンモニウム塩類などが挙げられる。好ましくは、2,2−ジメチロールプロピオン酸(DMPA),2,2−ジメチロールブタン酸(DMBA)が挙げられる。 スルホン酸基含有活性水素化合物としては、例えば、エポキシ基含有化合物と酸性亜硫酸塩との合成反応から得られる、ジヒドロキシブタンスルホン酸、ジヒドロキシプロパンスルホン酸が挙げられる。また、例えば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノブタンスルホン酸、1,3−フェニレンジアミン−4,6−ジスルホン酸、ジアミノブタンスルホン酸、ジアミノプロパンスルホン酸、3,6−ジアミノ−2−トルエンスルホン酸、2,4−ジアミノ−5−トルエンスルホン酸、N−(2−アミノエチル)−2−アミノエタンスルホン酸、2−アミノエタンスルホン酸、N−(2−アミノエチル)−2−アミノブタンスルホン酸、または、それらスルホン酸の金属塩類やアンモニウム塩類などが挙げられる。 水酸基含有活性水素化合物としては、例えば、N−(2−アミノエチル)エタノールアミンが挙げられる。 親水基含有多塩基酸としては、例えば、スルホン酸を含有する多塩基酸、より具体的には、5−スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸、4−スルホフタル酸、5−(p−スルホフェノキシ)イソフタル酸、5−(スルホプロポキシ)イソフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸、スルホプロピルマロン酸、スルホコハク酸、2−スルホ安息香酸、2,3−スルホ安息香酸、5−スルホサリチル酸、および、それらカルボン酸のアルキルエステル、さらには、それらスルホン酸の金属塩類やアンモニウム塩類などが挙げられる。好ましくは、5−スルホイソフタル酸のナトリウム塩、5−スルホイソフタル酸ジメチルのナトリウム塩が挙げられる。 ポリオキシエチレン基含有活性水素化合物は、主鎖または側鎖にポリオキシエチレン基を含み、2つ以上の活性水素基を有する化合物である。 ポリオキシエチレン基含有活性水素化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール(例えば、数平均分子量200〜6000、好ましくは300〜3000)、ポリオキシエチレン側鎖含有ポリオールが挙げられる。 ポリオキシエチレン側鎖含有ポリオールは、側鎖にポリオキシエチレン基を含み、2つ以上の活性水素基を有する化合物であって、次のように合成することができる。 すなわち、まず、公知のジイソシアネートと片末端封鎖ポリオキシエチレングリコール(例えば、炭素数1〜4のアルキル基で片末端封止したアルコキシエチレングリコールであって、数平均分子量200〜6000、好ましくは300〜3000)とを、片末端封鎖ポリオキシエチレングリコールの水酸基に対して、ジイソシアネートのイソシアネート基が過剰となる割合でウレタン化反応させ、必要により未反応のジイソシアネートを除去することにより、ポリオキシエチレン鎖含有モノイソシアネートを得る。 次いで、ポリオキシエチレン鎖含有モノイソシアネートと、ジアルカノールアミン(例えば、ジエタノールアミンなど)とを、ジアルカノールアミンの2級アミノ基に対して、ポリオキシエチレン基含有モノイソシアネートのイソシアネート基がほぼ等量となる割合でウレア化反応させる。 ポリオキシエチレン側鎖含有ポリオールを得るためのジイソシアネートとして、好ましくは、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)などの脂肪族ジイソシアネート、1,4−または1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(H6XDI)、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(別名:イソフォロンジイソシアネート(IPDI))、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(H12MDI)、2,5−/2,6−ビス(イソシアナトメチル)ノルボナン(NBDI)などの脂環族ジイソシアネートが挙げられる。さらに好ましくは、HDIが挙げられる。 なお、ポリオキシエチレン基含有活性水素化合物が配合される場合には、ポリオキシエチレン基は、そのポリウレタン樹脂(固形分)に対する含量が、例えば、0.9〜30質量%、好ましくは、2〜20質量%、さらに好ましくは、2〜10質量%である。 なお、ポリウレタン樹脂またはイソシアネート基末端プレポリマー中のポリオキシエチレン基の濃度は、例えば、内部標準物質を用いたNMR法などにより測定することができる。 これら親水基含有活性水素化合物は、単独使用または2種類以上併用することができる。また、これらのうち、好ましくは、カルボン酸基含有活性水素化合物およびポリオキシエチレン基含有活性水素化合物が挙げられる。 なお、活性水素基含有成分として、上記した低分子量ポリオール、ポリチオール成分、ポリアミン成分、モノオールおよび/またはモノアミンなどを、適宜の割合で配合することができる。 そして、イソシアネート基末端プレポリマーを得るには、例えば、上記ポリイソシアネート成分と、上記活性水素基含有成分(高分子量ポリオールおよび親水基含有活性水素化合物を含む)とを、上記したバルク重合(本発明のポリウレタン樹脂をエラストマーとして製造する場合におけるバルク重合)や、上記した溶液重合(本発明のポリウレタン樹脂をエラストマーとして製造する場合における溶液重合)などの公知の重合方法によって反応させる。 そして、上記各成分は、活性水素基含有成分(親水基含有活性水素化合物を含む)中の活性水素基に対する、ポリイソシアネート成分中のイソシアネート基の当量比(NCO/活性水素基)が、例えば、1.1〜2.5、好ましくは、1.2〜2.3、さらに好ましくは、1.2〜2.0の割合となるように処方(混合)する。イソシアネート基の当量比が、この範囲にあれば、ポリウレタン樹脂の分散安定性を向上させることができる。そのため、このポリウレタン樹脂を用いて、外観に優れるフィルム、人工皮革および合成皮革を得ることができる。 バルク重合を採用する場合には、例えば、窒素気流下において、ポリイソシアネート成分を撹拌しつつ、これに、高分子量ポリオールおよび親水基含有活性水素化合物を加えて、反応温度50〜130℃、好ましくは、50〜80℃で、3〜15時間程度反応させる。 溶液重合を採用する場合には、上記した有機溶媒に、ポリイソシアネート成分、高分子量ポリオール、および、親水基含有活性水素化合物を加えて、反応温度50〜120℃、好ましくは、50〜80℃で、3〜15時間程度反応させる。 なお、上記重合反応においては、親水基含有活性水素化合物を、高分子量ポリオールの分子鎖中に含有させれば、その高分子量ポリオールと上記ポリイソシアネート成分とを反応させて、イソシアネート基末端プレポリマーを得ることができる。 例えば、上記したポリエステルポリオールの合成において、低分子量ポリオールとして、上記した親水基含有活性水素化合物を配合することにより、高分子量ポリオールの分子鎖中に、親水基含有活性水素化合物を含有させることができる。 また、例えば、上記したポリエステルポリオールの合成において、多塩基酸として、親水基含有多塩基酸を配合することにより、高分子量ポリオールの分子鎖中に、親水基含有活性水素化合物を含有させることもできる。 また、例えば、開環重合により得られるポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、エポキシポリオールの合成において、開始剤または共重合成分として、上記した親水基含有活性水素化合物を配合することにより、高分子量ポリオールの分子鎖中に、親水基含有活性水素化合物を含有させることもできる。 さらには、親水基含有活性水素化合物と、例えば、ポリエーテルポリオール(好ましくは、ポリテトラメチレンエーテルグリコール)などの高分子量ポリオールとを、反応させることにより、高分子量ポリオールの分子鎖中に、親水基含有活性水素化合物を含有させることもできる。 そして、得られるイソシアネート基末端プレポリマーにおいて、親水基として、アニオン性基またはカチオン性基が含まれている場合には、好ましくは、中和剤を添加して、アニオン性基またはカチオン性基の塩を形成させる。 例えば、アニオン性基が含まれている場合には、中和剤としては、慣用の塩基、例えば、有機塩基[例えば、第3級アミン類(トリメチルアミン、トリエチルアミンなどのトリC1−4アルキルアミン、ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどのアルカノールアミン、モルホリンなどの複素環式アミンなど)]、無機塩基[アンモニア、アルカリ金属水酸化物(水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)、アルカリ土類金属水酸化物(水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなど)、アルカリ金属炭酸塩(炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなど)]が挙げられる。これらの塩基は、単独使用または2種類以上併用できる。 中和剤は、アニオン性基1当量あたり、0.4〜1.2当量、好ましくは、0.6〜1当量の割合で添加する。 このようにして得られるイソシアネート基末端プレポリマーは、その分子末端に、2つ以上の遊離のイソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーであって、そのイソシアネート基の含有量(イソシアネート基含量)が、例えば、0.3〜10質量%、好ましくは、0.5〜6質量%、さらに好ましくは、1.0〜5.0質量%である。また、イソシアネート基の平均官能基数は、例えば、1.5〜3.0、好ましくは、1.9〜2.5である。また、その数平均分子量(標準ポリスチレンを検量線とするGPC測定による数平均分子量)が、例えば、1000〜30000、好ましくは、1500〜20000である。また、イソシアネート基末端プレポリマーの親水基濃度は、例えば、0.1〜1.0mmol/g、好ましくは、0.2〜0.7mmol/g、さらに好ましくは、0.2〜0.6mmol/gである。 本発明のポリウレタン樹脂を水性ポリウレタン樹脂として製造するには、次いで、上記により得られたイソシアネート基末端プレポリマーと、鎖伸長剤とを、水中で反応させて分散させる。これによって、イソシアネート基末端プレポリマーが鎖伸長剤によって鎖伸長されたポリウレタン樹脂を、水性ポリウレタン樹脂として得ることができる。 鎖伸長剤としては、例えば、上記2価アルコール、上記3価アルコールなどの低分子量ポリオール、例えば、上記脂環族ポリアミン、上記脂肪族ポリアミンなどのポリアミン成分などが挙げられる。 また、鎖伸長剤として、例えば、アルコキシシリル基を含有する活性水素基含有成分が挙げられる。アルコキシシリル基を含有する活性水素基含有成分は、アルコキシシリル基と活性水素基とを併有する化合物である。 アルコキシシリル基において、Si原子に結合するアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、イソプロポキシ基、イソブトキシ基などの炭素数1〜4のアルコキシ基などが挙げられ、好ましくは、メトキシ基、エトキシ基が挙げられる。また、上記アルコキシ基のSi原子への結合数は、通常1〜3つ、好ましくは、1〜2つである。 活性水素基としては、例えば、水酸基、メルカプト基、アミノ基などが挙げられ、好ましくは、アミノ基が挙げられる。 アルコキシシリル基を含有する活性水素基含有成分として、より具体的には、例えば、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルジエトキシシラン、N,N’−ビス〔a−(トリメトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミンなどが挙げられる。 また、鎖伸長剤に含有される活性水素基の当量は、好ましくは、250〜800mgKOH/gであり、さらに好ましくは、350〜600mgKOH/gである。活性水素基の当量がこの範囲にあれば、耐久性に優れるポリウレタン樹脂(水性ポリウレタン樹脂)を得ることができる。 これら鎖伸長剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。 そして、本発明のポリウレタン樹脂を水性ポリウレタン樹脂として製造するには、上記により得られるイソシアネート基末端プレポリマーと鎖伸長剤とを水中で反応させて分散させる。これによって、イソシアネート基末端プレポリマーが鎖伸長剤によって鎖伸長されたポリウレタン樹脂を、水分散液(ポリウレタン樹脂の水系ディスパージョン)として得ることができる。 イソシアネート基末端プレポリマーと鎖伸長剤とを水中で反応させるには、例えば、まず、イソシアネート基末端プレポリマーを水に添加して、イソシアネート基末端プレポリマーを分散させる。次いで、これに鎖伸長剤を添加して、イソシアネート基末端プレポリマーを鎖伸長する。 イソシアネート基末端プレポリマーを分散させるには、撹拌下、イソシアネート基末端プレポリマーを水に徐々に添加する。水は、イソシアネート基末端プレポリマー100質量部に対して、好ましくは60〜1000質量部の割合となるように添加される。 そして、水中に分散したイソシアネート基末端プレポリマーに鎖伸長剤を、撹拌下、イソシアネート基末端プレポリマー中のイソシアネート基に対する、鎖伸長剤中の活性水素基の当量比(活性水素基/NCO)が、実質的に等量、例えば、0.5〜1.1、好ましくは、0.7〜1割合となるように、添加する。 また、鎖伸長剤としてポリアミン成分(ジアミン)を用いる場合には、そのアミノ基は、イソシアネート基末端プレポリマーのイソシアネート基との反応性が高く、また、反応により生成されるウレア結合は、分子間凝集力が非常に高いことから、鎖伸長剤とイソシアネートモノマーとの局所的な反応の低減が必要である。そのため、鎖伸長剤は、好ましくは、水溶液として配合する。水溶液中のジアミンの濃度は、少なくとも20質量%が好ましく、さらに好ましくは、少なくとも50質量%である。また、鎖伸長剤は、好ましくは、40℃以下の温度で添加し、添加終了後は、さらに撹拌しつつ、例えば、常温にて反応を完結させる。 なお、イソシアネート基末端プレポリマーが溶液重合により得られている場合には、イソシアネート基末端プレポリマーの反応終了後に、有機溶媒を、例えば、減圧下において、適宜の温度で加熱することにより除去する。 なお、活性水素基含有成分として、親水基含有活性水素化合物を使用しない場合、すなわち、水性ポリウレタン樹脂として製造において、ポリウレタン樹脂を内部乳化させない場合には、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどのノニオン型界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウムなどのアニオン型界面活性剤などの外部乳化剤を用いて、外部乳化(転相乳化、強制乳化)することにより、外部乳化型の水性ポリウレタン樹脂(ポリウレタン樹脂の水系ディスパージョン)を得ることができる。 このようにして得られる水性ポリウレタン樹脂(ポリウレタン樹脂の水系ディスパージョン)は、その固形分が、例えば、20〜50質量%となるように調製される。 また、このポリウレタン樹脂は、その数平均分子量(標準ポリスチレンを検量線とするGPC測定による数平均分子量)が、例えば、3000〜100000、好ましくは、5000〜80000である。また、ポリウレタン樹脂(固形分)は、そのウレア基に対するウレタン基の仕込み比が、例えば、0.05〜1.2が好ましく、さらに好ましくは、0.1〜0.8である。 なお、本発明のポリウレタン樹脂を水性ポリウレタン樹脂として製造する場合においても、必要に応じて、さらに、公知の添加剤、例えば、可塑剤、ブロッキング防止剤、耐熱安定剤、耐光安定剤、酸化防止剤、離型剤、触媒、さらには、顔料、染料、滑剤、フィラー、加水分解防止剤などを、適宜の割合で配合することができる。 そして、水性ポリウレタン樹脂として製造された本発明のポリウレタン樹脂を成膜すれば、外観、機械物性(伸び、強度)および耐久性に優れるフィルムを得ることができる。 そのため、上記特性を生かした人工皮革または合成皮革などに好適に用いることができる。 なお、成膜は、例えば、グラビアコート法、リバースコート法、ロールコート法、バーコート法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ディッピング法などの公知のコーティング方法により、水性ポリウレタン樹脂を基材に塗布し、その後、加熱乾燥する。 本発明のポリウレタン樹脂を人工皮革および合成皮革の製造に用いる場合には、例えば、湿式法、乾式法の原料として用いることができる。 なお、水性ポリウレタン樹脂は、上記したようなフィルム、人工皮革または合成皮革に限らず、例えば、自動車、電子機器、衣料、医療、建材、塗料、接着剤などの各種用途にも用いることができる。 また、フィルム、人工皮革、合成皮革などを製造する場合には、ポリウレタン樹脂を上記した水性ポリウレタン樹脂(ポリウレタン樹脂の水系ディスパージョン)として製造する他、例えば、ポリウレタン樹脂溶液(ポリウレタン樹脂の有機溶媒溶液)として製造することもできる。 本発明のポリウレタン樹脂をポリウレタン樹脂溶液として製造する場合におけるポリイソシアネート成分は、上記の1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンおよび/または上記のポリイソシアネート組成物を含み、好ましくは、上記の1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを単独で使用する。 本発明のポリウレタン樹脂をポリウレタン樹脂溶液として製造する場合における、活性水素基含有成分としては、例えば、上記ポリオール成分が挙げられる。 活性水素基含有成分として、好ましくは、高分子量ポリオール、より好ましくは、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールおよびポリカーボネートポリオールが挙げられる。 本発明のポリウレタン樹脂をポリウレタン樹脂溶液として製造する場合における、高分子量ポリオールの水酸基価は、例えば、10〜125mgKOH/gであり、その数平均分子量は、例えば、400〜5000、好ましくは、1000〜3000、さらに好ましくは、1000〜2500である。 本発明のポリウレタン樹脂をポリウレタン樹脂溶液として製造する方法としては、上記したプレポリマー法(本発明のポリウレタン樹脂をエラストマーとして製造する場合におけるプレポリマー法)やワンショット法が採用される。 より具体的には、ポリウレタン樹脂をプレポリマー法で、ポリウレタン樹脂溶液として製造するには、例えば、まず、上記したイソシアネート成分と、活性水素基含有成分とを、活性水素基含有成分中の活性水素基に対するイソシアネート成分中のイソシアネート基の当量比(NCO/活性水素基)が1を超過する割合で反応させ、イソシアネート基末端プレポリマーを得る。 そして、イソシアネート基末端プレポリマーを得るには、例えば、上記ポリイソシアネート成分と、上記活性水素基含有成分とを、上記したバルク重合(本発明のポリウレタン樹脂をエラストマーとして製造する場合におけるバルク重合)や、上記した溶液重合(本発明のポリウレタン樹脂をエラストマーとして製造する場合における溶液重合)などの公知の重合方法によって反応させる。 そして、上記各成分は、活性水素基含有成分中の活性水素基に対する、ポリイソシアネート成分中のイソシアネート基の当量比(NCO/活性水素基)が、例えば、1.1〜5、好ましくは、1.2〜3、さらに好ましくは、1.2〜2.5の割合となるように処方(混合)する。イソシアネート基の当量比が、この範囲にあれば、ポリウレタン樹脂の溶解安定性を向上させることができる。そのため、このポリウレタン樹脂を用いて、外観に優れるフィルム、人工皮革および合成皮革を得ることができる。 バルク重合を採用する場合には、例えば、窒素気流下において、ポリイソシアネート成分を撹拌しつつ、これに、高分子量ポリオールを加えて、反応温度50〜130℃、好ましくは、50〜80℃で、3〜15時間程度反応させる。 溶液重合を採用する場合には、上記した有機溶媒に、ポリイソシアネート成分および高分子量ポリオールを加えて、反応温度50〜120℃、好ましくは、50〜80℃で、3〜15時間程度反応させる。 そして、このようにして得られるイソシアネート基末端プレポリマーは、その分子末端に、2つ以上の遊離のイソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーであって、そのイソシアネート基の含有量(イソシアネート基含量)が、例えば、0.3〜10質量%である。また、イソシアネート基の平均官能基数は、例えば、1.5〜3、好ましくは、1.9〜2.5である。また、その数平均分子量(標準ポリスチレンを検量線とするGPC測定による数平均分子量)が、例えば、1000〜30000、好ましくは、1500〜20000である。 本発明のポリウレタン樹脂をポリウレタン樹脂溶液として製造するには、次いで、上記により得られたイソシアネート基末端プレポリマーと、鎖伸長剤とを、有機溶媒中で反応させる。 鎖伸長剤としては、例えば、上記2価アルコール、上記3価アルコールなどの低分子量ポリオール、上記ポリアミンなどが挙げられる。 イソシアネート基末端プレポリマーと鎖伸長剤とを有機溶媒中で反応させるには、例えば、イソシアネート基末端プレポリマーがバルク重合により得られる場合には、まず、イソシアネート基末端プレポリマーを上記した有機溶媒(溶液重合で用いられる有機溶媒)に添加して、イソシアネート基末端プレポリマーを溶解させる。 イソシアネート基末端プレポリマーを溶解させるには、撹拌下、イソシアネート基末端プレポリマーを有機溶媒に徐々に添加する。水は、イソシアネート基末端プレポリマー100質量部に対して、好ましくは60〜1000質量部の割合となるように添加される。 なお、イソシアネート基末端プレポリマーが溶液重合により得られる場合には、得られるイソシアネート基末端プレポリマーは、上記の有機溶媒中に溶解された状態で得られる。必要に応じて、有機溶媒をさらに配合してもよく、また、イソシアネート基末端プレポリマーから有機溶媒を除去した後、改めて有機溶媒に溶解させてもよい。 そして、得られたイソシアネート基末端プレポリマー溶液に鎖伸長剤を添加して、イソシアネート基末端プレポリマーを鎖伸長する。 具体的には、有機溶媒に溶解したイソシアネート基末端プレポリマーに鎖伸長剤を、撹拌下、イソシアネート基末端プレポリマー中のイソシアネート基に対する、鎖伸長剤中の活性水素基の当量比(活性水素基/NCO)が、実質的に等量、例えば、0.5〜1.1、好ましくは、0.7〜1となるように、添加する。 これによって、イソシアネート基末端プレポリマーが鎖伸長剤によって鎖伸長されたポリウレタン樹脂を、ポリウレタン樹脂溶液として得ることができる。 プレポリマー化反応や、鎖伸長反応では、上記したウレタン化触媒を使用することができる。この場合、ウレタン化触媒を上記有機溶媒に溶解して使用してもよい。 ワンショット法で製造するには、例えば、まず、上記したイソシアネート成分と、活性水素基含有成分とを、活性水素基含有成分中の活性水素基に対するイソシアネート成分中のイソシアネート基の当量比(NCO/活性水素基)が0.8〜1.2、好ましくは0.9〜1.1で反応させポリウレタン樹脂を得る。このポリウレタン樹脂を上記した有機溶媒に溶解してポリウレタン樹脂溶液を得ることができる。また、上記イソシアネート成分と活性水素基含有成分を上記当量比にて、上記有機溶媒内で直接反応させて、ポリウレタン樹脂溶液を得ることができる。 ワンショット法で製造する場合、上記ウレタン化触媒を使用することができる。この場合、ウレタン化触媒を上記有機溶媒に溶解して使用してもよい。 このようにして得られるポリウレタン樹脂溶液は、その固形分が、例えば、20〜50質量%となるように調製される。 また、このポリウレタン樹脂は、その数平均分子量(標準ポリスチレンを検量線とするGPC測定による数平均分子量)が、例えば、3000〜100000、好ましくは、5000〜80000である。また、ポリウレタン樹脂(固形分)は、そのウレア基に対するウレタン基の仕込み比が、例えば、0.05〜1.2が好ましく、さらに好ましくは、0.1〜0.8である。 なお、本発明のポリウレタン樹脂をポリウレタン樹脂溶液として製造する場合においても、必要に応じて、さらに、公知の添加剤、例えば、可塑剤、ブロッキング防止剤、耐熱安定剤、耐光安定剤、酸化防止剤、離型剤、触媒、さらには、顔料、染料、滑剤、フィラー、加水分解防止剤などを、適宜の割合で配合することができる。 そして、ポリウレタン樹脂溶液として製造された本発明のポリウレタン樹脂を、上記した水性ポリウレタン樹脂と同様にして成膜すれば、外観、機械物性(伸び、強度)および耐久性に優れるフィルムを得ることができる。 そのため、上記特性を生かした人工皮革または合成皮革などに好適に用いることができる。 なお、ポリウレタン樹脂溶液は、上記したようなフィルム、人工皮革および合成皮革に限らず、例えば、ポリウレタン樹脂とポリエチレンテレフタレート(PET)クロスとの積層体、複合シート、不織布、自動車、電子機器、衣料、医療、建材、塗料、接着剤などの各種用途にも用いることができる。 次に、本発明のポリウレタン樹脂を、塗料(塗料組成物)および接着剤(接着剤組成物)として用いる場合について説明する。 本発明のポリウレタン樹脂を塗料および接着剤として用いる場合には、本発明のポリウレタン樹脂は、上記ポリイソシアネート成分と、上記活性水素基含有成分とを、それぞれ調製し、それらを使用時に配合する、二液硬化型ポリウレタン樹脂として調製される。 本発明のポリウレタン樹脂を二液硬化型ポリウレタン樹脂として製造する場合における、上記ポリイソシアネート成分としては、例えば、上記のポリイソシアネート組成物(1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンの誘導体)を、単独で使用する。 より具体的には、上記ポリイソシアネート成分は、上記の1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンのポリオール変性体を単独で使用する。 本発明のポリウレタン樹脂を二液硬化型ポリウレタン樹脂として製造する場合における、上記活性水素基含有成分としては、例えば、上記ポリオール成分などが挙げられ、好ましくは、高分子量ポリオール、塗料組成物として好ましくは、アクリルポリオールが挙げられる。 なお、活性水素基含有成分として、必要により、さらに、例えば、上記した低分子量ポリオール、ポリチオール成分、ポリアミン成分、モノオールおよび/またはモノアミンなどを、適宜の割合で配合することができる。 二液硬化型ポリウレタン樹脂は、好ましくは、二液硬化型塗料および/または二液硬化型接着剤として用いられ、具体的には、まず上記活性水素基含有成分を用意し、その活性水素基含有成分とは別途、ポリイソシアネート成分を調製して、使用直前に、活性水素基含有成分とポリイソシアネート成分とを混合して二液硬化型ポリウレタン樹脂を調製し、その二液硬化型ポリウレタン樹脂を、被塗物または被着物に塗布する。 また、二液硬化型ポリウレタン樹脂には、上記成分以外に、目的および用途により、他の機能性配合剤を含有することができる。 そのような機能性配合剤として、例えば、塗膜の乾燥性を改善するために、CAB(セルロースアセテートブトレート)、NC(ニトロセルロース)などを含有させてもよく、また、塗膜の光沢、硬度、塗料の施工性を改良するために、アクリル酸またはそのエステルからなる重合体やポリエステルなどを含有させることができる。 なお、本発明のポリウレタン樹脂を二液硬化型ポリウレタン樹脂として製造する場合においても、必要に応じて、さらに、公知の添加剤、例えば、塗料組成物としては、着色顔料、染料、紫外線吸収剤、硬化促進剤、光安定剤、つや消し剤など、接着剤組成物としては、塗膜の付着性向上のためのリンの酸素酸またはその誘導体やシランカップリング剤などを、適宜の割合で配合することができる。 着色顔料、染料としては、例えば、耐候性の良好なカーボンブラック、酸化チタンなどの無機顔料、例えば、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、キナクリドンレッド、インダンスレンオレンジ、イソインドリノン系イエローなどの有機顔料、染料などが挙げられる。 紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、シアノアクリレート系の紫外線吸収剤が挙げられる。 硬化促進剤としては、例えば、ジブチル錫ジラウレートなどが挙げられる。 光安定剤としては、例えば、ヒンダードアミン系光安定剤などが挙げられ、より具体的には、例えば、アデカスタブLA62、アデカスタブLA67(以上、アデカアーガス化学社製、商品名)、チヌビン292、チヌビン144、チヌビン123、チヌビン440(以上、BASF社製、商品名)などが挙げられる。 つや消し剤としては、例えば、超微粉合成シリカなどが挙げられる。つや消し剤を配合すれば、優雅な半光沢、つや消し仕上げの塗膜を形成することができる。 リンの酸素酸またはその誘導体において、リンの酸素酸としては、例えば、次亜リン酸、亜リン酸、オルトリン酸、次リン酸などのリン酸類、例えば、メタリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、ポリリン酸、ウルトラリン酸などの縮合リン酸類などが挙げられる。 また、リンの酸素酸の誘導体としては、例えば、ナトリウム、カリウムなどのリン酸塩または縮合リン酸塩、例えば、オルトリン酸モノメチル、オルトリン酸モノエチル、オルトリン酸モノプロピル、オルトリン酸モノブチル、オルトリン酸モノ−2−エチルヘキシル、オルトリン酸モノフェニル、亜リン酸モノメチル、亜リン酸モノエチル、亜リン酸モノプロピル、亜リン酸モノブチル、亜リン酸モノ−2−エチルヘキシル、亜リン酸モノフェニルなどのモノエステル類、例えば、オルトリン酸ジ−2−エチルヘキシル、オルトリン酸ジフェニル、オルトリン酸トリメチル、オルトリン酸トリエチル、オルトリン酸トリプロピル、オルトリン酸トリブチル、オルトリン酸トリ−2−エチルヘキシル、オルトリン酸トリフェニル、亜リン酸ジメチル、亜リン酸ジエチル、亜リン酸ジプロピル、亜リン酸ジブチル、亜リン酸ジ−2−エチルヘキシル、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリプロピル、亜リン酸トリブチル、亜リン酸トリ−2−エチルヘキシル、亜リン酸トリフェニルなどのジ、トリエステル類、または、縮合リン酸とアルコール類とから得られるモノ、ジ、トリエステル類などが挙げられる。 リンの酸素酸またはその誘導体は、上記した各種リンの酸素酸またはその誘導体を、単独使用または複数種類併用することができる。また、リンの酸素酸またはその誘導体は、ポリイソシアネート成分および活性水素基含有成分の合計100質量部に対して、0.001〜3質量部、好ましくは、0.01〜2.5質量部配合される。 シランカップリング剤は、例えば、構造式R−Si≡(X)3またはR−Si≡(R’)(X)2(式中、Rは、ビニル基、エポキシ基、アミノ基、イミノ基、イソシアネート基またはメルカプト基を有する有機基を示し、R’は炭素数1〜4の低級アルキル基を示し、Xはメトキシ基、エトキシ基またはクロル原子を示す。)で示される。 シランカップリング剤として、具体的には、例えば、ビニルトリクロルシランなどのクロロシラン、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ジ(γ−グリシドキシプロピル)ジメトキシシランなどのエポキシシラン、例えば、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−プロピルメチルジメトキシシラン、N−(ジメトキシメチルシリルプロピル)エチレンジアミン、n−(トリエトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノシラン、例えば、ビニルトリエトキシシランなどのビニルシラン、例えば、γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシランなどのイソシアナトシランなどが挙げられる。 シランカップリング剤は、上記した各種シランカップリング剤を、単独使用または複数種類併用することができる。また、シランカップリング剤は、ポリイソシアネート成分および活性水素基含有成分の合計100質量部に対して、0.001〜10質量部、好ましくは、0.01〜5質量部配合される。 これら機能性配合剤および添加剤は、予め、上記ポリイソシアネート成分および/または活性水素基含有成分に配合してもよく、あるいは、ポリイソシアネート成分および活性水素基含有成分の配合後の二液硬化型ポリウレタン樹脂に配合することもできる。 本発明のポリウレタン樹脂を二液硬化型ポリウレタン樹脂として製造する場合には、使用時において、ポリイソシアネート成分と活性水素基含有成分とを配合して、二液硬化型ポリウレタン樹脂を調製し、それを被塗物または被着物に塗布する。 ポリイソシアネート成分および活性水素基含有成分の配合割合は、例えば、活性水素基含有成分中の活性水素基に対する、ポリイソシアネート成分中のイソシアネート基の当量比(NCO/活性水素基)として、例えば、0.5〜3、好ましくは、0.5〜1.5、より好ましくは、0.8〜1.2となる割合である。 そして、このように二液硬化型ポリウレタン樹脂として製造された本発明のポリウレタン樹脂によれば、短い乾燥時間で乾燥および硬化し、塗膜硬度、引張強度などの塗膜物性、接着物性および耐久性に優れる。 なお、二液硬化型ポリウレタン樹脂は、被塗物または被着物に対して、特に制限されず、例えば、スプレー塗装、エアスプレー塗装、はけ塗り、浸漬法、ロールコーター、フローコーターなどの任意の塗装方法により、塗装することができる。 また、被塗物としては、特に制限されず、例えば、コンクリート、自然石、ガラスなどの無機物、例えば、鉄、ステンレス、アルミニウム、銅、真鍮、チタンなどの金属、例えば、ポリカーボネート、ポリアミド、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ乳酸樹脂などのプラスチック、ゴム、接着剤、木材などの有機物が挙げられる。とりわけ、既に形成された塗膜の表面に対する再塗装に適する。また、有機無機複合材であるFRP、樹脂強化コンクリート、繊維強化コンクリートなどの塗装にも適する。 また、被着物としては、特に制限されず、例えば、各種建材および各種積層フィルムが挙げられる。 より具体的には、自動車、電車、航空機などの輸送用機器、橋梁部材、鉄塔などの土木部材、防水材シート、タンク、パイプなどの産業機材、ビル外装、ドア、窓門部材、モニュメント、ポールなどの建築部材、道路の中央分離帯、ガードレール、防音壁などの道路部材、携帯電話、スマートフォン、タブレットなどの通信機材、太陽電池のバックシート、電気および電子部品などが挙げられる。 次に、本発明のポリウレタン樹脂を、ポリウレタンフォームとして製造する場合について説明する。 ポリウレタンフォームとして製造される本発明のポリウレタン樹脂は、上記ポリイソシアネート成分、上記活性水素基含有成分、発泡剤およびウレタン化触媒を含有する原料から製造される。 本発明のポリウレタン樹脂をポリウレタンフォームとして製造する場合におけるポリイソシアネート成分は、上記の1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンおよび/または上記のポリイソシアネート組成物を含み、好ましくは、上記の1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを単独で使用する。 本発明のポリウレタン樹脂をポリウレタンフォームとして製造する場合における、上記活性水素基含有成分としては、例えば、上記ポリオール成分が挙げられる。 活性水素基含有成分として、好ましくは、上記高分子量ポリオール、より好ましくは、ポリエーテルポリオールが挙げられる。 本発明のポリウレタン樹脂をポリウレタンフォームとして製造する場合における、高分子量ポリオールの水酸基価は、例えば、10〜120mgKOH/g、好ましくは、20〜10mgKOH/g、より好ましくは、20〜80mgKOH/gであり、その数平均分子量は、例えば、400〜20000である。 水酸基価が上記範囲であれば、ポリウレタンフォームの反発弾性の向上および圧縮永久歪みの低減を達成することができる。 また、高分子量ポリオールの平均官能基数は、機械物性の向上の観点から、好ましくは、2〜6程度である。 また、高分子量ポリオールは、ポリイソシアネート成分との混合性を向上させるべく、好ましくは、常温液状として調製される。 なお、活性水素基含有成分として、必要により、さらに、例えば、上記した低分子量ポリオール、ポリチオール成分、ポリアミン成分、モノオールおよび/またはモノアミンなどを、適宜の割合で配合することができる。活性水素基含有成分として、低分子量ポリオール、ポリアミン成分を併用する場合には、それら低分子量ポリオールおよび/またはポリアミン成分は、ポリウレタンフォームの反発弾性の向上を図るべく、架橋剤として配合される。 架橋剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。また、架橋剤の配合割合は、高分子量ポリオール100質量部に対して、例えば、0.5〜10質量部、好ましくは、1〜7質量部である。 発泡剤としては、例えば、化学発泡剤および物理発泡剤が挙げられる。化学発泡剤としては、ポリイソシアネート成分と反応して炭酸ガスを発生させる、例えば、水が挙げられる。化学発泡剤の配合割合は、高分子量ポリオール100質量部に対して、例えば、0.1〜6質量部、好ましくは、0.5〜5質量部、より好ましくは、0.5〜4質量部である。 物理発泡剤としては、例えば、メチレンクロライド類、クロロフルオロカーボン類、ヒドロキシクロロフルオロカーボン類(HCFC−134aなど)、炭化水素類(シクロペンタンなど)、炭酸ガス、液化炭酸ガス、超臨界(炭酸)ガス、HFC(ヒドロフルオロカーボン)類、有機発泡剤(分解温度が60〜130℃の有機発泡剤であって、例えば、ジアゾアミノベンゼン、ジアゾ酢酸エチル、ジアゾ酢酸アミド、アゾジカルボンアミドなどのアゾ化合物、例えば、ベンゼンスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルヒドラジドなどのスルホニルヒドラジド化合物など)、無機発泡剤(分解温度が60〜130℃の無機発泡剤であって、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、亜リン酸アンモニウムなど)が挙げられる。 物理発泡剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。また、物理発泡剤の配合割合は、高分子量ポリオール100質量部に対して、例えば、0.1〜4質量部、好ましくは、0.1〜3質量部である。 発泡剤の配合割合によって、ポリウレタンフォームの密度を制御することができる。 ウレタン化触媒としては、上記した公知のウレタン化触媒が挙げられる。好ましくは、アミン類とカリウム塩とを併用する。また、ウレタン化触媒の配合割合は、高分子量ポリオール100質量部に対して、例えば、0.01〜3質量部、好ましくは、0.02〜1.5質量部である。 なお、本発明のポリウレタン樹脂をポリウレタンフォームとして製造する場合においては、原料として、必要に応じて、さらに、整泡剤や、その他の添加剤を、適宜の割合で配合することができる。 整泡剤としては、例えば、シロキサンーオキシアルキレンブロック共重合体などのシリコーン系整泡剤が挙げられる。具体的には、MOMENTIVE社製の商品名:L−580、L−590、L−620、L−680、L−682、L−690、SC−154、SC−155、SC−240、L−598、L−2100、L−2171、SH−210、L−2114、SE−232、L−533、L−534、L−539、M−6682B、L−626、L−627、L−3001、L−3111、L−3415、L−3002、L−3010、L−3222、L−3416、L−3003、L−3333、L−3417、L−2171、L−3620、L−3630、L−3640、L−3170、L−3360、L−3350、L−3555、L−3167、L−3150、L−3151、L−5309、SH−209、L−3184などが挙げられる。 また、東レ・ダウ・コーニング社製の商品名:SF−2964、SF−2962、SF−2969、SF−2971、SF−2902L、SF−2904、SF−2908,SF−2909、SRX−274C、SZ−1328、SZ−1329,SZ−1330、SZ−1336、SZ−1346、SZ−3601、SRX−294A、SRX−280A、SRX−298、SH−190、SH−192、SH−194などが挙げられる。 また、信越化学工業社製の商品名:F−327、F−345,F−305、F−242Tなどや、BYK Chemie社製の商品名:Silbyk 9700、Silbyk 9705、Silbyk 9710などが挙げられる。 整泡剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。また、整泡剤の配合割合は、高分子量ポリオール100質量部に対して、例えば、0.1〜3質量部、好ましくは、0.2〜1.5質量部である。 その他の添加剤としては、例えば、耐熱安定剤(酸化防止剤)、耐光安定剤、多機能安定剤などが挙げられる。 耐熱安定剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系安定剤、アミン系安定剤、リン系安定剤、イオウ安定剤などの安定剤が挙げられる。 耐光安定剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、アクリロニトリル系紫外線吸収剤、ニッケルないしコバルト錯塩系紫外線吸収剤などが挙げられ、好ましくは、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が挙げられる。 多機能安定剤は、例えば、紫外線吸収機能と酸化防止機能の両機能を有する安定剤であって、そのような安定剤として、具体的には、ベンゾトリアゾリル−アルキルビスフェノール化合物などが挙げられる。 そして、本発明のポリウレタン樹脂をポリウレタンフォームとして製造する場合においては、ポリウレタンフォームの製造方法は、特に制限されず、公知の発泡方法を用いることができる。 例えば、原料として、ポリイソシアネート成分以外の成分(すなわち、必須成分として、活性水素基含有成分、発泡剤およびウレタン化触媒、任意成分として、架橋剤、整泡剤および添加剤)を、予め配合して、レジンプレミックスを調製する。次いで、ポリイソシアネート成分とレジンプレミックスとを配合して、発泡成形する。発泡成形には、例えば、スラブ発泡成形法やモールド発泡成形法などの公知の方法が用いられる。 なお、上記した各種成分(すなわち、必須成分として、活性水素基含有成分、発泡剤およびウレタン化触媒、任意成分として、架橋剤、整泡剤および添加剤)は、例えば、レジンプレミックスに、予め配合せずに、発泡直前に配合することもできる。 ポリイソシアネート成分とレジンプレミックスとの配合割合は、活性水素基含有成分中の活性水素基に対するポリイソシアネート成分中のイソシアネート基のモル比を百分率で表わしたインデックス(INDEX)として、例えば、70〜180、好ましくは、80〜150、より好ましくは、85〜130である。 また、上記の製造では、メカニカルフロス発泡成形法を用いることができる。メカニカルフロス発泡成形法では、まず、レジンプレミックスに空気を吹き込み、泡立てて、レジンプレミックスにおいて均一でミクロな泡を成形させ(エアーローディング)、次いで、ポリイソシアネートを混合して。60〜130℃で反応硬化させる。 例えば、衣料用成形品、サニタリー用成形品などは、スラブ発泡成形により製造する。具体的には、まず、フォームをスラブ発泡成形し、その後、所定の大きさに裁断する。そして、目的とする形状となるように、フォームを型に入れて熱成形することにより成形品を製造する。熱成形条件としては、例えば、180〜220℃で数十秒から数分間加熱する。 一方、靴用成形品、体圧分散用成形品などは、モールド発泡成形により製造する。具体的には、まず、例えば、予め40〜70℃に温度調整した所望形状の型に、レジンプレミックスおよびポリイソシアネート成分を混合した反応液を注入し、その後、モールド内で発泡成形して、フォームを製造する。その後、塗装、接着などの工程を経て、目的とする成形品を製造する。 上記により、本発明のポリウレタン樹脂を、例えば、軟質、半硬質、硬質または微発泡(密度が、例えば、10〜200kg/m3、好ましくは、20〜80kg/m3、さらに好ましくは、25〜70kg/m3。)のポリウレタンフォームとして得ることができる。 そして、このようにポリウレタンフォームとして製造される本発明のポリウレタン樹脂は、高密度であり、収縮性が低く、通気性にも優れる。また、機械物性(硬度、伸び、強度など)および耐久性にも優れる。 そのため、このようにしてポリウレタンフォームとして製造される本発明のポリウレタン樹脂は、マットレスやソファーなどの家具用品、椅子、ブラジャー、アンダーウエアや肩パッドなどの衣料用品、パフなどの化粧用品、靴底などの靴用品、さらには、スピーカー、緩衝材、車両用のパッドやクッションなどの体圧分散用品、電気冷蔵庫や建築物の耐熱材、充填材、車両のハンドルなどの車両用品、ロボット用部材など、幅広い分野において用いることができる。 次に、本発明のポリウレタン樹脂として、スラッシュパウダーを製造する場合について説明する。 このような場合において、本発明のポリウレタン樹脂は、上記ポリイソシアネート成分と上記活性水素基含有成分との反応により、粒子状ポリウレタン樹脂として製造される。 本発明のポリウレタン樹脂を粒子状ポリウレタン樹脂として製造する場合におけるポリイソシアネート成分は、上記の1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンおよび/または上記のポリイソシアネート組成物を含み、好ましくは、上記の1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを単独で使用する。 本発明のポリウレタン樹脂を粒子状ポリウレタン樹脂として製造する場合における、活性水素基含有成分としては、例えば、上記ポリオール成分などが挙げられる。 活性水素基含有成分として、好ましくは、高分子量ポリオール、より好ましくは、ポリエステルポリオールが挙げられる。 また、本発明のポリウレタン樹脂を粒子状ポリウレタン樹脂として製造する場合において、活性水素基含有成分は、鎖伸長剤を含んでいる。 鎖伸長剤としては、例えば、上記した本発明のポリウレタン樹脂を水性ポリウレタン樹脂として製造する場合における鎖伸長剤と同様の鎖伸長剤が挙げられ、具体的には、上記2価アルコール、上記3価アルコールなどの低分子量ポリオール、上記脂環族ジアミン、上記脂肪族ジアミンなどのポリアミン成分などが挙げられる。 鎖伸長剤として、好ましくは、2価アルコール、さらに好ましくは、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサメチレングリコールが挙げられる。 なお、活性水素基含有成分として、必要により、さらに、例えば、上記した低分子量ポリオール、ポリチオール成分、ポリアミン成分、モノオールおよび/またはモノアミンを併用することができる。 ポリイソシアネート成分と活性水素基含有成分とを反応させるには、例えば、上記したワンショット法(本発明のポリウレタン樹脂をエラストマーとして製造する場合におけるワンショット法)や、上記したプレポリマー法(本発明のポリウレタン樹脂をエラストマーとして製造する場合におけるプレポリマー法)などの、公知のポリウレタンの成形方法に準拠することができる。好ましくは、プレポリマー法により、ポリイソシアネート成分と活性水素基含有成分とを反応させる。 ワンショット法を採用する場合には、上記各成分を、上記ポリイソシアネート成分と上記活性水素基含有成分とを、活性水素基含有成分中の活性水素基に対する、ポリイソシアネート成分中のイソシアネート基の当量比(NCO/活性水素基)が、例えば、0.8〜1.1、好ましくは、0.9〜1.05となる割合で、同時に配合して反応させる。 この反応は、例えば、窒素雰囲気下、反応温度40〜260℃、好ましくは、80〜220℃で、反応時間0.5〜10時間、好ましくは、2〜8時間継続する。 また、反応には、必要により、上記したウレタン化触媒(本発明のポリウレタン樹脂をエラストマーとして製造する場合におけるウレタン化触媒)や、上記した有機溶媒(本発明のポリウレタン樹脂をエラストマーとして製造する場合における有機溶媒)を添加することができる。 ウレタン化触媒は、例えば、高分子量ポリオール100質量部に対して、例えば、0.001〜5質量部、好ましくは、0.01〜3質量部添加される。 そして、ワンショット法では、得られたポリウレタン樹脂を、必要により、公知の方法により粉砕後、冷凍粉砕法により、本発明のポリウレタン樹脂を粉体として得る。 プレポリマー法を採用する場合には、まず、鎖伸長剤を除く活性水素基含有成分(例えば、高分子量ポリオール、および、必要により配合される、低分子量ポリオール、ポリチオール成分、ポリアミン成分、モノオールおよびモノアミン)中の活性水素基に対する、上記ポリイソシアネート成分中のイソシアネート基の当量比(NCO/活性水素基)が、例えば、1.1〜4、好ましくは、1.4〜2.5となる割合で、それらを配合して反応させ、イソシアネート基末端プレポリマーを得る。 上記当量比が1.1未満であると、ポリウレタン樹脂が過度に高分子量となり、成形性を低下させる場合がある。一方、当量比が4を超過すると、スラッシュ成形品が硬くなり、その触感を損なう場合がある。 この反応は、例えば、窒素雰囲気下、反応温度40〜180℃、好ましくは、60〜140℃で、反応時間0.5〜10時間、好ましくは、2〜8時間継続し、反応系において、所望のイソシアネート基含量(例えば、1〜12質量%)となった時点で反応を終了する。また、反応には、必要により、上記したウレタン化触媒(本発明のポリウレタン樹脂をエラストマーとして製造する場合におけるウレタン化触媒)や、上記した有機溶媒(本発明のポリウレタン樹脂をエラストマーとして製造する場合における有機溶媒)を添加することができる。 次いで、得られたイソシアネート基末端プレポリマーと鎖伸長剤とを、イソシアネート基末端プレポリマー中のイソシアネート基に対する、鎖伸長剤中の活性水素基の当量比(活性水素基/NCO)が、例えば、0.8〜1.1、好ましくは、0.9〜1.05となる割合で配合して、鎖伸長反応させることにより、ポリウレタン樹脂を得る。 鎖伸長反応では、例えば、イソシアネート基末端プレポリマーを、非水性分散媒または水性分散媒に分散させて、イソシアネート基末端プレポリマーの分散液を調製し、その分散液に、鎖伸長剤を、一括または分割して添加する。 非水性分散媒としては、上記した有機溶媒が挙げられ、水性分散媒としては、例えば、水や、水およびアルコール類(例えば、メタノール、エタノールなど)の混合溶液などが挙げられる。 非水性分散媒または水性分散媒の配合割合は、例えば、イソシアネート基末端プレポリマー100質量部に対して、例えば、10〜200質量部、好ましくは、20〜150質量部である。 なお、水性分散媒にイソシアネート基末端プレポリマーを分散させる場合においては、例えば、イソシアネート基末端プレポリマーの調製における活性水素基含有成分に、上記した親水基含有活性水素化合物(本発明のポリウレタン樹脂を水性ポリウレタン樹脂として製造する場合における親水基含有活性水素化合物)を含有させることにより、イソシアネート基末端プレポリマーを内部乳化させることができる。 また、水性分散媒にイソシアネート基末端プレポリマーを分散させる場合においては、水性分散媒および/またはイソシアネート基末端プレポリマーに、上記した外部乳化剤(本発明のポリウレタン樹脂を水性ポリウレタン樹脂として製造する場合における外部乳化剤)と同様の外部乳化剤を添加し、イソシアネート基末端プレポリマーを外部乳化させることもできる。 さらに、分散液には、分散相の沈降を防止すべく、分散安定剤を添加することができる。分散安定剤としては、特開2004−169011号公報に記載される分散剤、例えば、アルケニル無水コハク酸とポリオールまたはポリエステルポリオールとを脱水縮合させてなる樹脂、例えば、ジカルボン酸とペンタエリスリトールとを脱水縮合させてなるポリエステルの残OH基の一部に脂肪酸を脱水縮合させてなるアルキッド樹脂、例えば、不飽和結合含有ジカルボン酸とポリオールまたはポリエステルポリオールとの脱水縮合により得られるポリオールにエチレン性不飽和単量体をグラフト重合させた後、OH基をマスキングした樹脂、例えば、不飽和結合含有ジカルボン酸とポリオールまたはポリエステルポリオールとの脱水縮合により得られるポリオールのOH基をマスキングした後、エチレン性不飽和単量体をグラフト重合させてなる樹脂などが挙げられる。 外部乳化剤または分散安定剤の配合割合は、イソシアネート基末端プレポリマー100質量部に対して、例えば、0.05〜5質量部、好ましくは、0.1〜3質量部、より好ましくは、0.15〜1.5質量部である。 鎖伸長反応では、例えば、反応温度10〜100℃、好ましくは、20〜90℃で、反応時間0.5〜8時間、好ましくは、2〜6時間反応させる。また、反応には、必要により、上記した公知のウレタン化触媒を添加することができる。 これによって、ポリウレタン樹脂を、分散液として得ることができる。 なお、鎖伸長反応では、イソシアネート基末端プレポリマーを、非水性分散媒または水性分散媒に分散させずに、イソシアネート基末端プレポリマーおよび鎖伸長剤を、直接反応させることもできる。 そして、本発明のポリウレタン樹脂は、分散液が非水性分散媒から調製されている場合には、例えば、ろ過などの分離手段によって固体分を分離して、ポリウレタン樹脂を粉体として得る。また、分散液が水性分散媒から調製されている場合には、例えば、噴霧乾燥により、固体分を分離し、ポリウレタン樹脂を粉体として得る。さらに、非水性分散媒または水性分散媒に分散させずに、イソシアネート基末端プレポリマーおよび鎖伸長剤を、直接反応させる場合には、例えば、冷凍粉砕法により、ポリウレタン樹脂を粉体として得る。 なお、本発明のポリウレタン樹脂を粒子状ポリウレタン樹脂として製造する場合においても、必要に応じて、さらに、公知の添加剤、例えば、可塑剤、ブロッキング防止剤、耐熱安定剤、耐光安定剤、酸化防止剤、離型剤、さらには、酸化防止剤、顔料、染料、滑剤、フィラー、加水分解防止剤、さらには、熱架橋性モノマー、重合防止剤などを、適宜の割合で配合することができる。これら添加剤は、各成分の合成時に添加してもよく、あるいは、各成分の混合・溶解時に添加してもよく、さらには、合成後に添加することもできる。 そして、このようにして粉体(粒子状ポリウレタン樹脂)として得られる本発明のポリウレタン樹脂によれば、スラッシュ成形時の成形後の金型からの脱型性、引張強度および熱的性質に優れ、さらには、耐久性、触感(風合)および意匠性にも優れるスラッシュ成形品を、生産効率よくスラッシュ成形することができる。 そのため、本発明のスラッシュ成形品は、引張強度および熱的性質に優れ、さらには、触感(風合)および意匠性にも優れる。 よって、粒子状ポリウレタン樹脂として得られる本発明のポリウレタン樹脂およびその成形品は、スラッシュ成形が実施される種々の分野、例えば、ソファーや寝具などの家具類、玩具、スポーツ用品、トナーバインダーなどにおいて有用であり、とりわけ、自動車内装品において、有用である。なお、本発明のポリウレタン樹脂(粒子状ポリウレタン樹脂)は、スラッシュ成形が実施される分野以外にも、例えば、トナーバインダーなどにおいて有用である。 次に、本発明のポリウレタン樹脂として、弾性成形品(スパンデックス)を製造する場合について説明する。 このような場合において、本発明のポリウレタン樹脂は、上記ポリイソシアネート成分と上記活性水素基含有成分との反応により、弾性成形用ポリウレタン樹脂として製造される。 本発明のポリウレタン樹脂を弾性成形用ポリウレタン樹脂として製造する場合におけるポリイソシアネート成分は、上記の1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンおよび/または上記のポリイソシアネート組成物を含み、好ましくは、上記の1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを単独で使用する。 本発明のポリウレタン樹脂を弾性成形用ポリウレタン樹脂として製造する場合における、活性水素基含有成分としては、例えば、上記ポリオール成分などが挙げられる。 活性水素基含有成分として、好ましくは、高分子量ポリオール、より好ましくは、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールが挙げられる。ポリエーテルポリオールとしては、上記したポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリトリメチレンエーテルグリコールなどが挙げられる。また、ポリエチレングリコールも使用できる。ポリエチレングリコールを含むポリアルキレンポリオールのCPR(controlled polymerization rate)は、5以下が好ましく、さらに好ましくは、3以下、最も好ましくは、2以下である。CPRは、JIS K 1557−1記載の方法に基づき、測定される。このような範囲のCPRのポリオキシアルキレンポリオールを用いることにより、本発明の1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンとの反応において、イソシアネート基に基づく副反応を抑制することができる。 鎖伸長剤としては、上記した本発明のポリウレタン樹脂を水性ポリウレタン樹脂として製造する場合における鎖伸長剤と同様の鎖伸長剤が挙げられ、具体的には、例えば、上記2価アルコール、上記3価アルコールなどの低分子量ポリオール、例えば、上記脂環族ジアミン、上記脂肪族ジアミンなどのポリアミン成分などが挙げられる。好ましくは、ポリアミン成分、さらに好ましくは、脂肪族ジアミンが挙げられる。 また、本発明のポリウレタン樹脂を弾性成形用ポリウレタン樹脂として製造する場合における鎖伸長剤としては、上記モノアミンを用いることができ、さらに、ポリウレタン樹脂の成形性や伸長性を損なわない範囲で、例えば、ビス−(4−アミノ−3−クロロフェニル)メタン、ジエチルトルエンジアミン、ジメチルチオトルエンジアミン、トリメチレン−ビス(4−アミノベンゼート)、4、4’−ジアミノ−3,3−ジエチル−5,5−ジメチルジフェニルメタンなどのアミン化合物を用いることもできる。 これら鎖伸長剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。とりわけ、ポリアミン成分とモノアミンとを併用することにより、本発明のポリウレタン樹脂を所望の分子量に調整することができる。これらのうち、ポリアミン成分として、好ましくは、エチレンジアミン、ヒドラジン(水和物を含む)、1,2−ジアミノプロパン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−シクロヘキサンジアミンが挙げられ、モノアミンとして、好ましくは、ジ−n―ブチルアミン、ジエチルアミンが挙げられる。より好ましくは、ジエチルアミンとエチレンジアミンとの併用(例えば、ジエチルアミン(DEA)およびエチレンジアミン(EDA)のモル比(DEA/EDA)が、0.5/99.5〜20/80)が挙げられる。 これらの鎖伸長剤を使用して鎖伸長すれば、ポリウレタン樹脂に含有されるハードセグメント(ポリイソシアネート成分と鎖伸長剤との反応により得られるセグメント)にウレア基(−NH2−CO−NH2−)を含ませることができる。そのため、伸縮性および伸長性に優れるポリウレタン樹脂を得ることができる。 なお、活性水素基含有成分として、必要により、さらに、例えば、上記した低分子量ポリオール、ポリチオール成分、ポリアミン成分、モノオールおよび/またはモノアミンを併用することができる。 ポリイソシアネート成分と活性水素基含有成分とを反応させるには、例えば、上記したワンショット法(本発明のポリウレタン樹脂をエラストマーとして製造する場合におけるワンショット法)や、上記したプレポリマー法(本発明のポリウレタン樹脂をエラストマーとして製造する場合におけるプレポリマー法)などの、公知のポリウレタンの成形方法に準拠することができる。 ワンショット法を採用する場合には、上記各成分を、上記ポリイソシアネート成分と上記活性水素基含有成分とを、活性水素基含有成分中の活性水素基に対する、上記ポリイソシアネート成分中のイソシアネート基の当量比(NCO/活性水素基)が、例えば、0.9〜1.1、好ましくは、0.98〜1.05となる割合で、同時に配合して反応させる。 この反応は、例えば、上記したバルク重合(本発明のポリウレタン樹脂をエラストマーとして製造する場合におけるバルク重合)や、上記した溶液重合(本発明のポリウレタン樹脂をエラストマーとして製造する場合における溶液重合)と同様の方法により実施することができる。 バルク重合を採用する場合には、例えば、上記各成分を、窒素雰囲気下、100〜250℃、好ましくは、130〜220℃で、0.5〜12時間、好ましくは、1〜10時間反応させる。 溶液重合を採用する場合には、例えば、上記各成分を、窒素雰囲気下、30〜100℃、好ましくは、40〜90℃で、2〜10時間、好ましくは、3〜8時間反応させる。 プレポリマー法を採用する場合には、まず、鎖伸長剤を除く活性水素基含有成分(例えば、高分子量ポリオール、および、必要により配合される、低分子量ポリオール、ポリチオール成分、ポリアミン成分、モノオール、モノアミン)中の活性水素基に対する、上記ポリイソシアネート成分中のイソシアネート基の当量比(NCO/活性水素基)が、例えば、例えば、1.1〜5、好ましくは、1.3〜3、さらに好ましくは、1.3〜2.5となる割合で、それらを配合して反応させ、イソシアネート基末端プレポリマーを得る。 この反応は、例えば、窒素雰囲気下、反応温度40〜130℃、好ましくは、50〜120℃で、反応時間1〜10時間、好ましくは、2〜6時間継続する。また、反応には、必要により、上記したウレタン化触媒(本発明のポリウレタン樹脂をエラストマーとして製造する場合におけるウレタン化触媒)や有機溶媒を添加することができる。 次いで、得られたイソシアネート基末端プレポリマーと鎖伸長剤とを、鎖伸長剤中の活性水素基に対するイソシアネート基末端プレポリマー中のイソシアネート基の当量比(NCO/活性水素基)が、例えば、0.9〜1.1、好ましくは、0.98〜1.05となる割合で配合して、鎖伸長反応させることにより、ポリウレタン樹脂を得る。 鎖伸長反応では、例えば、イソシアネート基末端プレポリマーと鎖伸長剤とを有機溶媒に溶解させて反応させる。これによって、イソシアネート基末端プレポリマーが鎖伸長剤によって鎖伸長されたポリウレタン樹脂を、溶液として得ることができる。 有機溶媒としては、上記した有機溶媒、好ましくは、N,N’−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドが挙げられる。 イソシアネート基末端プレポリマーと鎖伸長剤とを有機溶媒中で反応させるには、例えば、まず、イソシアネート基末端プレポリマーに溶媒を添加して、イソシアネート基末端プレポリマーを溶解させて、プレポリマー溶液を調製する。次いで、このプレポリマー溶液に鎖伸長剤を添加して、イソシアネート基末端プレポリマーを鎖伸長する。 イソシアネート基末端プレポリマーを溶媒に溶解させるには、例えば、撹拌下、イソシアネート基末端プレポリマーに有機溶媒を徐々に添加する。有機溶媒は、イソシアネート基末端プレポリマー100質量部に対して、好ましくは100〜900質量部の割合となるように添加される。より具体的には、イソシアネート基末端プレポリマーの濃度が、例えば、10〜50質量%、好ましくは、20〜40質量%、より好ましくは、25〜35質量%となるように添加する。 なお、溶解時には、イソシアネート基末端プレポリマーの温度を、例えば、50℃以下、好ましくは、40℃以下となるように、予め下げておく。 次いで、プレポリマー溶液に鎖伸長剤を、上記した割合となるように添加する。ポリアミン成分を鎖伸長剤として用いる場合、好ましくは、20℃以下の温度で添加し、添加終了後は、さらに撹拌しつつ、例えば、25〜80℃にて反応を完結させる。一方、低分子量ポリオールを鎖伸長剤として用いる場合、好ましくは、40〜90℃で鎖伸長剤を滴下し、該温度範囲で反応を完結させる。また、鎖伸長剤は、溶媒の鎖伸長剤溶液として添加することもできる。また、低分子量ポリオールを鎖伸長剤として用いる場合、上記したウレタン化触媒を使用することができる。この場合、ウレタン化触媒を溶媒に溶解して使用することもできる。 一方、溶融紡糸法により成形し、弾性繊維を得る方法においては、上記した熱可塑性ウレタンエラストマー(TPU)を用いることができる。高分子量ポリオールとして、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、メチル基などの側鎖を有した非晶性ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリトリメチレンエーテルグリコール、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。 その数平均分子量は、600〜5000が好ましく、さらに好ましくは、800〜4000、最も好ましくは、1000〜2500程度である。 本用途におけるTPUは、プレポリマー法により製造されることが好ましく、上記ポリイソシアネート成分中のイソシアネート基の当量比(NCO/活性水素基)が、例えば、1.1〜5、好ましくは、1.3〜4.5、さらに好ましくは、1.3〜4となる割合で、それらを配合して反応させ、イソシアネート基末端プレポリマーを得る。 その後、鎖伸長反応を行う。このときの低分子量グリコールとして、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオールなどが好ましい。 硬度(A)としては、70〜95程度が好ましく、さらに好ましくは、80〜93程度である。 例えば、本発明の1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、および、高分子量ポリオールとして数平均分子量が2000のポリエチレングリコールを、当量比(NCO/活性水素基)を4となるように反応させて得られたイソシアネート基末端プレポリマーと、鎖伸長剤としての1,4−ブタンジオールとを、当量比(NCO/活性水素基)が1.05となるように反応させて得られたTPUは、透湿性の他、一軸伸長方向に配向しやすいため、その方向の応力が著しく増加する。そのため、一軸伸長流動となる溶融紡糸、フィルム、ブロー成形など各種の成形材料に好適に用いることができる。 例えば、このようにして得られた繊維は、ポリエステル、ナイロン繊維などを混合され、伸縮性を有した、良好な触感の布帛を製造することができる。例えば、布帛中の本ポリウレタン繊維の割合は、1〜60%が好ましく、さらに好ましくは、2〜40%程度が挙げられる。 このようにして得られるポリウレタン樹脂は、その数平均分子量(標準ポリスチレンを検量線とするGPC測定による数平均分子量)が、例えば、40,000〜300,000、好ましくは、50,000〜250,000である。 本発明のポリウレタン樹脂を弾性成形用ポリウレタン樹脂として製造する場合には、その目的および用途などにより、好ましくは、スルホンアミド基を有するスルホンアミド基含有化合物を含有させる。 スルホンアミド基含有化合物を含有させることにより、弾性成形用ポリウレタン樹脂として製造される本発明のポリウレタン樹脂の熱安定性を向上させることができる。 そのため、弾性成形用ポリウレタン樹脂を、例えば、加熱処理(例えば、乾燥処理など)される弾性成形品、例えば、洋服、靴下などの弾性繊維に用いる場合には、その弾性成形用ポリウレタン樹脂にスルホンアミド基含有化合物を含有させれば、熱安定性に優れる弾性繊維およびシートなどを得ることができる。 スルホンアミド基含有化合物としては、安定剤として上記したスルホンアミド基を含有する化合物、例えば、芳香族スルホンアミド類、脂肪族スルホンアミド類などが挙げられる。 これらスルホンアミド基含有化合物は、単独使用または2種類以上併用することができる。また、これらのうち、好ましくは、芳香族スルホンアミド類が挙げられ、さらに好ましくは、o−トルエンスルホンアミド、p−トルエンスルホンアミド、およびこれらの混合物が挙げられる。 また、本発明のポリウレタン樹脂を弾性成形用ポリウレタン樹脂として製造する場合ににおいて、本発明のポリウレタン樹脂がスルホンアミド基含有化合物を含有する場合には、ポリウレタン樹脂に対するスルホンアミド基含有化合物の含有量は、質量基準で、例えば、好ましくは、1〜10000ppmであり、さらに好ましくは、10〜8000ppmであり、とりわけ好ましくは、100〜3000ppmである。 スルホンアミド基含有化合物を、ポリウレタン樹脂に含有させるには、特に制限されず、例えば、ポリイソシアネート成分や活性水素基含有成分とともに配合してもよく、または、プレポリマー溶液に添加する。 なお、本発明のポリウレタン樹脂を弾性成形用ポリウレタン樹脂として製造する場合においても、さらに、公知の添加剤、例えば、可塑剤、ブロッキング防止剤、耐熱安定剤、耐光安定剤、NOx黄変防止剤、離型剤、さらには、顔料、染料、滑剤、フィラー、加水分解防止剤などを添加することができる。これら添加剤は、各成分の合成時に添加してもよく、あるいは、各成分の混合・溶解時に添加してもよく、さらには、ポリウレタン樹脂の分離・乾燥後に添加することもできる。 耐熱安定剤としては、上記した酸化防止剤や、t−ブチルジエタノールアミンとメチレン−ビス−(4−シクロヘキシルイソシアネ−ト)の反応によって生成せしめたポリウレタンと、p−クレゾ−ルおよびジビニルベンゼンの重合体との混合物などが挙げられる。 NOx黄変防止剤としては、上記したNOx黄変防止剤が挙げられる。 そして、このようにして弾性成形用ポリウレタン樹脂として製造される本発明のポリウレタン樹脂によれば、繰返し変形下における、機械的強度の低下および残留歪みを抑制することができ、また、熱的性質、破断強度、破断伸びおよび強度発現性を向上させることができ、さらには、耐黄変性を向上させることもできる。 そのため、本発明の成形品は、繰り返し変形下においても、機械的強度の低下および残留歪が生じにくく、また、熱的性質、破断強度、破断伸びおよび強度発現性に優れ、さらには、耐久性、耐黄変性にも優れる。 よって、本発明の成形品は、弾性性能が要求される各種弾性成形品(スパンデックス)、例えば、ソックス、ストッキング、丸編、トリコット、水着、スキーズボン、作業服、煙火服、洋服、ゴルフズボン、矯正下着、ウエットスーツ、ブラジャー、ガードル、手袋などの各種繊維製品に使用される弾性繊維、例えば、食品包装用ラップなどに使用される弾性フィルム、例えば、紙おむつなどのサニタリー製品の漏れ防止用締付け材料、防水資材の締付け材料、似せ餌、造花、電気絶縁材、ワイピングクロス、コピークリーナー、ガスケットなどに有用である。 本発明のポリウレタン樹脂を弾性繊維に用いる場合には、例えば、溶融紡糸、乾式紡糸、湿式紡糸などの公知の紡糸方法で作製することができる。 弾性繊維を溶融紡糸で作製する場合において、具体的な紡糸条件としては、例えば、紡糸温度160〜250℃であり、10〜100デニールの繊維が得られる紡糸速度に調整する。そして、紡糸される弾性繊維は、例えば、カバリング糸や裸糸の状態で使用される。 一方、本発明のポリウレタン樹脂を弾性フィルムに用いる場合には、溶媒キャスト法、あるいはTダイキャスト法、インフレーション法などの公知の方法で作成することができる。 弾性フィルムをTダイキャスト法およびインフレーション法で作成する場合において、具体的なフィルム成形条件としては、例えば、ダイ温度160〜230℃であり、20〜100μmのフィルム厚みが得られる巻取り速度に調整する。また、弾性シートを作成する場合においては、ダイのリップ幅や巻取り速度を調整する。これにより、100μmを超過する厚みの成形品(弾性シート)を得ることができる。 なお、本発明のポリウレタン樹脂は、上記した弾性成形品に限られず、例えば、スパンボンド法やメルトブローン成形法などの方法により得る不織布、塗料、ホットメルト法などの方法により得る接着剤の原料など各種用途に用いることもできる。 次に、本発明のポリウレタン樹脂を、反応射出(RIM)成形用ポリウレタン樹脂として製造する場合について説明する。 RIM成形用ポリウレタン樹脂として製造される本発明のポリウレタン樹脂は、上記ポリイソシアネート成分と、上記活性水素基含有成分とを反応させることにより、得ることができる。 本発明のポリウレタン樹脂をRIM成形用ポリウレタン樹脂として製造する場合におけるポリイソシアネート成分は、上記の1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンおよび/または上記のポリイソシアネート組成物を含み、好ましくは、上記の1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを単独で使用する。 本発明のポリウレタン樹脂をRIM成形用ポリウレタン樹脂として製造する場合における、活性水素基含有成分としては、例えば、上記ポリオール成分などが挙げられる。 活性水素基含有成分として、好ましくは、高分子量ポリオール、より好ましくは、ポリエーテルポリオールが挙げられる。 なお、活性水素基含有成分として、必要により、さらに、例えば、上記した低分子量ポリオール、ポリチオール成分、ポリアミン成分、モノオールおよび/またはモノアミンを併用することができる。 本発明のポリウレタン樹脂をRIM成形用ポリウレタン樹脂として製造する場合において、ポリウレタン樹脂は、公知の反応射出成形装置にて成形することができる。なお、公知の反応射出成形装置とは、例えば、ポリイソシアネート成分を供給するための第1供給タンク(1)と、活性水素基含有成分を供給するための第2供給タンク(2)と、ポリイソシアネート成分および活性水素基含有成分を混合し、その混合物を金型に射出するためのミキシングヘッド(3)と、金型(4)とを、少なくとも備えている装置である。 具体的には、まず、第1供給タンク(1)からポリイソシアネート成分を、第2供給タンク(2)から活性水素基含有成分を、ミキシングヘッド(3)にそれぞれ供給する。このとき、ポリイソシアネート成分の原料温度を、例えば、35〜55℃に調整しておく。一方、活性水素基含有成分の原料温度を、例えば、35〜55℃に調整しておく。また、混合時において、活性水素基含有成分中の活性水素基に対するポリイソシアネート成分中のイソシアネート基のモル比を百分率で表わしたインデックス(INDEX)は、例えば、80〜120であり、好ましくは、95〜105に設定される。 次いで、ミキシングヘッド(3)で、ポリイソシアネート成分と活性水素基含有成分とを撹拌混合し、金型(4)に、例えば、200〜2500g/secの射出速度で射出する。また、金型(4)は、予め、例えば、10〜30MPa(ゲージ圧)で加圧し、例えば、60〜80℃に加熱しておく。さらに、必要により、成形品の脱型性を向上すべく、金型(4)の成形面に、例えば、水系ワックスエマルジョンなどの離型剤を塗布しておく。 そして、ポリイソシアネート成分および活性水素基含有成分を金型(4)に射出後、例えば、1〜3分間、金型(4)内でポリイソシアネート成分と活性水素基含有成分とを重合させる。その後、金型(4)を常温常圧になるまで冷却減圧し、金型(4)から反応射出成形品を脱型させて、反応射出成形品を得る。 なお、本発明のポリウレタン樹脂をRIM成形用ポリウレタン樹脂として製造する場合においても、必要に応じて、さらに、公知の添加剤、例えば、上記したウレタン化触媒(本発明のポリウレタン樹脂をエラストマーとして製造する場合におけるウレタン化触媒)、耐光安定剤(紫外線吸収剤)、酸化防止剤(耐熱安定剤)、多機能安定剤などを、適宜の割合で配合することができる。これら添加剤は、ポリイソシアネート成分および/または活性水素基含有成分に予め添加する。好ましくは、活性水素基含有成分に添加する。 ウレタン化触媒としては、上記したウレタン化触媒が挙げられ、好ましくは、有機金属化合物、より好ましくは、ジブチル錫ジネオデカノエートが挙げられる。また、ウレタン化触媒の添加量は、例えば、活性水素基含有成分100質量部に対して、0.1〜1.5質量部であり、好ましくは、0.3〜1.0質量部である。 耐光安定剤(紫外線吸収剤)としては、上記した耐光安定剤(ポリウレタンフォームの製造における耐光安定剤)が挙げられる。好ましくは、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤が挙げられる。また、耐光安定剤の添加量は、例えば、活性水素基含有成分100質量部に対して、0.1〜1.0質量部であり、好ましくは、0.3〜0.7質量部である。 酸化防止剤(耐熱安定剤)としては、上記した耐熱安定剤(ポリウレタンフォームの製造における耐熱安定剤)が挙げられる。好ましくは、ヒンダードフェノール系安定剤が挙げられる。また、酸化防止剤の添加量は、例えば、活性水素基含有成分100質量部に対して、0.1〜1.0質量部であり、好ましくは、0.3〜0.7質量部である。 多機能安定剤としては、上記した多機能安定剤(ポリウレタンフォームの製造における多機能安定剤)が挙げられる。好ましくは、ベンゾトリアゾリル−アルキルビスフェノール化合物などが挙げられる。また、多機能安定剤の添加量は、例えば、活性水素基含有成分100質量部に対して、0.1〜1.0質量部であり、好ましくは、0.3〜0.7質量部である。 さらに、ポリイソシアネート成分と活性水素基含有成分との混合物には、その用途に応じて、公知の添加剤、例えば、鎖伸長剤、架橋剤、顔料、難燃剤、顔料分散剤(潤滑分散剤)、整泡剤、消泡剤などを、適宜の割合で配合することもできる。 そして、このように射出成形用ポリウレタン樹脂として得られた本発明のポリウレタン樹脂によれば、成形後の金型からの脱型性、硬度、熱的性質および引裂抵抗発現性に優れ、さらには、耐候性にも優れる反応射出成形品を、生産効率よく射出成形することができる。 そのため、本発明の反応射出成形品は、硬度、熱的性質および引裂抵抗発現性に優れ、さらには、耐久性、耐候性にも優れる。 よって、反応射出成形用ポリウレタン樹脂として得られる本発明のポリウレタン樹脂およびその反応射出成形品は、反応射出成形が実施される種々の分野、例えば、自動車のバンパー、ダッシュボード、ドアトリム、インストルメントパネルなどの輸送機器の部材、店舗、オフィスおよびその他の建築内装部品、一般および事務用家具、自動車のインストルメントパネル、ドアトリムなどの輸送機器の内装部材のスキン層、例えば、ゴルフボールのコアのカバー、サッカー、野球、バスケットあるいはバレーボールのカバー材、車両のギアノブのカバー、ドアシールカバー、テールランプカバー、バネカバー、コンソールボックスカバー、電線、光ファイバーのケーブルカバー、キーボードカバー、オーディオカバー、テニスラケット等スポーツ用品のグリッブカバー、ドアミラーカバー、チューブ、ホースなどの各種カバーが挙げられる。好ましくは、成形品は、ゴルフボールのコア層のカバー材、例えば、車載用の照明パネル、ヘッドライトレンズ、ヘッドライトおよびテールライトのランプカバー、光学素子、光ディスク、有機ELやLEDなどの光学材料、看板などの電飾、光ファイバ、ガラス代替品、合わせガラスの中間膜、航空機等の風防、大型水槽壁、透明屋根材、グレージング材料、日用品の透明部材、透明レンズ、眼鏡レンズ、カメラレンズ、ピックアップレンズ、コンタクトレンズ、サングラスレンズ、偏光レンズなどとして使用される光学レンズなど、光学用部品や電子部品、自動車部品、機械・産業部品、電線・ケーブル、ロール、ホース・チューブ、ベルト、フィルム・シート、ラミネート品、弾性舗装材、土木建築材料、海洋物品への各種基材へのコーティング、接着剤、シール材、シーラント、ゴルフボールのコア材、バスケットボール、ソフトボール、テント、スキー靴などのスポーツ・レジャー用品、靴関連部品、雑貨、介護用品、住宅用品、医療、建材、土木関連、防水材・舗装材、発泡体、スラッシュパウダー、ロボット部材、弾性衣料、弾性繊維、不織布、さらには、製紙、鉄鋼、プリンター、コピー、液晶、PDP、有機ELなどの製造に関わるロール、化学あるいは物理発泡ウレタン製品、マイクロセルラー、光学用シート、フィルム、クリーニングブレード、スキージー、さらには、緩衝材、自己修復材料、トラック、床材、新幹線、船舶、リニアーモーターなどのパッキン、シール材、シューズのソール、インナー、アウター部材、ウレタンディスク、クッションボード、トルクリミッター、ピンチローラー、プレスロール、スポーツ用品、ゴルフボール、バスケットボール、バレーボール、ロボット部材などの各種産業分野において、好適に用いることができる。 また、本発明は、上記のポリウレタン樹脂からなるアイウェア材料を含んでいる。 すなわち、従来より、矯正眼鏡、保護眼鏡、サングラス、ゴーグルなどのアイウェアは、レンズとフレームとを備えている。このようなアイウェアにおいて、フレームは、例えば、純チタン、ニッケルチタン合金、アルミニウム、マグネシウム、金などの金属材料や、例えば、セルロイド、アセテート、ポリアミド樹脂などの合成樹脂材料、さらには、べっ甲など天然材料などから、形成されている。 一方、アイウェアとしては、機械物性(機械強度など)や加工性などの向上が求められている。そこで、機械物性および加工性に優れるポリウレタンエラストマーを、アイウェア材料として用いることが、検討されている。 そのため、機械強度、加工性に優れるアイウェア材料、そのアイウェア材料を用いて得られるアイウェアフレームおよびレンズが求められている。 そこで、上記のポリウレタン樹脂(熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU))を、アイウェア材料として用いることができる。より具体的には、上記のポリウレタン樹脂(熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU))を用いて、アイウェアフレーム、より具体的には、アイウェアのノーズパッド(鼻あて部分)、モダン(耳あて部分)、テンプル(つる部分)、リム(レンズ周辺部分)、ブリッジ(リム接続部分)、ヨロイ(フロント両端部分)、ヒンジ(ヨロイとテンプルとの接続部分)などのアイウェアフレームの各パーツを製造することができる。また、上記各パーツを備えるアイウェアフレームを一体成形することもできる。 このようなアイウェアフレームは、アイウェア材料(上記の熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU))をペレット化し、押出成形、射出成形などの公知の成形方法により所望のフレーム形状に成形することにより、製造することができる。 また、アイウェアフレームの成形においては、必要により、上記のアイウェア材料とともに、その他の熱可塑性樹脂を用いることができる。 その他の熱可塑性樹脂としては、例えば、特表2010−534256号公報に記載される熱可塑性ポリアミド、例えば、特表2010−532815号公報に記載されるポリエーテルイミドとポリフェニレンエーテルスルホンとのブレンド樹脂など、さらに、市販品として入手可能なポリメチルペンテン樹脂(商品名TPXシリーズ(三井化学製)など)、環状オレフィンコポリマー(商品名アペルシリーズ(三井化学製)など)、熱可塑性ポリイミド(商品名オーラムシリーズ(三井化学製)など)などが挙げられる。 これらその他の熱可塑性樹脂が用いられる場合には、例えば、上記のポリウレタン樹脂を含むアイウェア材料と、その他の熱可塑性樹脂(例えば、熱可塑性ポリアミドなど)とが同時に射出成型され、アイウェアフレームが複合成形される。 上記のアイウェア材料と、その他の熱可塑性樹脂とが併用される場合、それらの配合割合は、アイウェア材料とその他の熱可塑性樹脂との総量に対して、上記のアイウェア材料が、例えば、20質量%以上、好ましくは、50質量%以上であり、例えば、90質量%以下、好ましくは、70質量%以下である。 また、例えば、特定のアイウェアパーツを上記のアイウェア材料を用いて形成し、その他のアイウェアパーツを、その他の熱可塑性樹脂を用いて形成することができる。 より具体的には、上記のアイウェア材料を、例えば、ノーズパッド(鼻あて部分)、モダン(耳あて部分)などに使用し、さらに、その他の熱可塑性樹脂(例えば、熱可塑性ポリアミドなど)を、テンプル(つる部分)、リム(レンズ周辺部分)などに使用して、複数の樹脂からアイウェアフレームを製造することができる。 また、アイウェアフレームは、意匠性、耐溶剤性およびデザイン性の向上を図る観点から、ポリウレタン系コーティング剤などのコーティング剤によって、コーティングすることができる。 さらに、本発明のポリウレタン樹脂からなるアイウェア材料は、アイウェアのレンズ(プラスチックレンズ)においても、好適に用いることができる。レンズに用いられるアイウェア材料として、より具体的には、上記した光学用ポリウレタン樹脂が挙げられる。 上記の光学用ポリウレタン樹脂から得られるレンズは、優れた外観(透明性)を有しながら、屈折率、機械物性(引張強度)および耐久性に優れる。 このようなレンズは、アイウェアフレームに装着(嵌合)され、アイウェアが形成される。 なお、アイウェアフレームは、上記した本発明のアイウェアフレームであってもよく、また、その他の公知のアイウェアフレームであってもよい。好ましくは、上記した本発明のアイウェアフレームに装着(嵌合)される。 また、上記のレンズは、必要に応じて、片面または両面にコーティング層が積層される。コーティング層としては、例えば、プライマー層、ハードコート層、反射防止膜層、防曇コート膜層、防汚染層、撥水層などが挙げられる。これらのコーティング層は、レンズに単層として積層することができ、また、多層化してレンズに積層することもできる。 また、コーティング層が多層化される場合や、レンズの両面にコーティング層が積層される場合、それらコーティング層は、それぞれ同一であってもよく、また、互いに異なっていてもよい。 そして、このようなアイウェア材料から得られるアイウェアフレーム、レンズおよびアイウェアは、上記したポリウレタン樹脂を含有するため、加工性および機械強度、さらには、光学特性、耐NOx性(耐光性、耐熱性)に優れる。 そのため、上記したアイウェアは、矯正眼鏡、保護眼鏡、サングラス、ゴーグルなど、より具体的には、スポーツ用アイウェアや、例えば、風呂、サウナなどの高温多湿場所において用いられる防曇機能を備えるアイウェア、例えば、音楽、画像などの配信機能を装着した電子機器装着アイウェア、例えば、液晶機能を付与した電子レンズ装着アイウェア、さらには、インターネット機能用アイウェア、花粉防止用アイウェア、近視、遠視、老眼のビジョンケア機能用アイウェア、白内障、緑内障の防止用アイウェア、精神的にリラックスできる香料を含有したアイウェアなどにおいて、好適に用いられる。 次に、本発明を実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は、下記の実施例によって限定されるものではない。また、以下の説明において特に言及がない限り、「部」および「%」は質量基準である。なお、以下に示す実施例の数値は、実施形態において記載される対応する数値(すなわち、上限値または下限値)に代替することができる。 <1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンの調製> 製造例1(1,4−BAC(A)の調製) [テレフタル酸の核水添工程] 撹拌器、温度計、ガス導入管を装備したステンレス製反応器に、テレフタル酸100質量部、触媒(NEケムキャット社製5%Pd/C)3.8質量部、水560質量部を仕込み、水素にて反応器内を置換後、常圧状態で400rpm撹拌下150℃に加熱した。 150℃に到達したところで圧力が4MPa(ゲージ圧)になるように、水素の供給を間欠的に開始し、5.5時間反応した。 反応終了後室温まで冷却し、反応生成スラリーを抜き出し、これに水3300質量部を加えて90℃に加熱して生成物を溶解させた後に、濾過をして触媒を除去した。 濾液を一部採取しガスクロマトグラフィーで分析したところ、テレフタル酸の転化率は99%以上、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の収率は92%、そのトランス体比率は36モル%であった。 [シアノ化工程] 撹拌器、温度計、ガス導入管、ガス排気管およびガス冷却装置を装備したフラスコに、上記核水添工程で得られた1,4−シクロヘキサンジカルボン酸100質量部、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン43質量部および、酸化スズ(II)1.26質量部を仕込み、170℃まで加熱した。その後、500rpmで撹拌しながらアンモニアガスを0.58mol/hr(対1,4−シクロヘキサンジカルボン酸)で流通し、280℃まで昇温して、この温度で一定にして14時間反応させた。反応終了後、150℃まで冷却し、熱時濾過して固形物を除去した。濾液を分析した結果、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の転化率は100%、1,4−ジシアノシクロヘキサンの収率は90.2%であり、そのトランス体比率は52モル%で、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン濃度は6.9質量%であった。 [高沸点成分分離工程] 撹拌器、温度計、ガス排気管およびガス冷却装置を装備したフラスコに、上記シアノ化工程で得られた1,4−ジシアノシクロヘキサンを含む濾液を仕込み、圧力4kPa、冷却器冷媒温度(塔頂温度)140℃、フラスコ内温度(塔底温度)190〜230℃の条件で加熱し、ガス冷却装置での凝縮液を留出させて、仕込み量に対して90質量%まで留出させ、留出液を得た。留出液を分析した結果、1,4−ジシアノシクロヘキサンの回収率は、仕込み量に対して94.9%で、そのトランス体比率は54モル%であった。釜残の1,4−ジシアノシクロヘキサン濃度は43.4質量%で、トランス体比率は38モル%であった。 [アミノメチル化工程] 撹拌器、温度計、圧力調整弁を備えたガス導入管を装備したステンレス製反応器に、上記高沸点成分分離工程で得られた1,4−ジシアノシクロヘキサン(トランス体比率54モル%)100質量部、触媒(川研ファインケミカル社製マンガン含有ラネーコバルト)1.0質量部、28質量%アンモニア水98質量部、1−ブタノール125質量部を仕込み、反応器内を水素で置換後、400rpm撹拌下、120℃に加熱した。120℃に到達したところで、圧力が3.5MPa(ゲージ圧)になるように水素の供給を連続的に開始して、水素吸収が無くなるまで反応した。 反応終了後、室温まで冷却して反応生成液を抜き出し、濾過をして触媒を除去し、1,4−BAC(A)を得た。1,4−BAC(A)の、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンの収率は93%、そのトランス体比率は54モル%であった。 製造例2(1,4−BAC(B)の調製) [異性化工程] 撹拌器、温度計、ガス導入管を装備したステンレス製反応器に、製造例1で得られた1,4−BAC(A)(トランス体比率54モル%)100質量部、触媒(N.E.Chemcat社製5質量%ルテニウム/アルミナ)1.6質量部、ヘプタン100質量部を仕込み、反応器内を水素で置換後、水素にて全圧を5MPa(ゲージ圧)とし、400rpm撹拌下、210℃に加熱、3時間反応させた。 反応終了後、室温まで冷却して反応生成液を抜き出し、濾過をして触媒を除去した。 濾液を分析したところ、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンの収率は92%、そのトランス体比率は79モル%であった。また、副生物として3−アザビシクロ[3.2.2]ノナンを、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンと3−アザビシクロ[3.2.2]ノナンとの総量に対して、0.53質量%(ガスクロマトグラフィーによる面積比)含有していた。なお、分析条件は後述する(以下同様)。 得られた濾液を真空単蒸発により溶媒であるヘプタンを除去した。続いて、充填塔(充填剤:ヘリパック、理論段数:5段)を設置した四つ口フラスコに溶媒を除去した反応生成液を加えて精留した。 精留条件は、塔頂圧力4kPa、塔底圧力5kPa、還流比4、塔頂温度135〜136℃、塔底温度(釜温度)145〜160℃とし、仕込み質量に対する留出率が0質量%から87質量%までの留分を回収し、1,4−BAC(B)を得た。ガスクロマトグラフを使用して下記条件で分析した結果、トランス体比率が82モル%の1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンであり、不純物として3−アザビシクロ[3.2.2]ノナンを、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンと3−アザビシクロ[3.2.2]ノナンとの総量に対して、0.61質量%含有していた。なお、分析条件は後述する(以下同様)。 製造例3(1,4−BAC(C)の調製) 撹拌器、温度計、ガス導入管を装備したステンレス製反応器に、製造例1で得られた1,4−BAC(A)(トランス体比率54モル%)100質量部、触媒(N.E.Chemcat社製5質量%ルテニウム/アルミナ)1.5質量部、シクロヘキサン100質量部を仕込み、反応器内を水素置換後、水素にて全圧を5MPa(ゲージ圧)とし、400rpm撹拌下、210℃に加熱、2時間反応させた。 反応終了後、室温まで冷却して反応生成液を抜き出し、濾過をして触媒を除去した。 濾液を分析したところ、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンの収率は93%、そのトランス体比率は81モル%であった。また、副生物として3−アザビシクロ[3.2.2]ノナンを、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンと3−アザビシクロ[3.2.2]ノナンとの総量に対して、0.43質量%含有していた。 得られた濾液を真空単蒸発により溶媒であるシクロヘキサンを除去した。続いて、充填塔(充填剤:ヘリパック、理論段数:5段)を設置した四つ口フラスコに溶媒を除去した反応生成液を加えて精留した。 精留条件は、塔頂圧力4kPa、塔底圧力5kPa、還流比1、塔頂温度135〜136℃、塔底温度(釜温度)145〜160℃とし、仕込み質量に対する留出率が0質量%から91質量%までの留分を回収し、1,4−BAC(C)を得た。ガスクロマトグラフを使用して分析した結果、トランス体比率が82モル%の1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンであり、不純物として3−アザビシクロ[3.2.2]ノナンを、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンと3−アザビシクロ[3.2.2]ノナンとの総量に対して、0.48質量%含有していた。 製造例4(1,4−BAC(D)の調製) 市販の1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(東京化成品、トランス体比率40モル%)を原料に、ヘプタンの代わりにシクロヘキサンを用いた以外は製造例2と同様に反応させた。 濾過後の反応生成液を分析したところ、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンの収率は90%、そのトランス体比率は80モル%であった。また、副生物として3−アザビシクロ[3.2.2]ノナンを、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンと3−アザビシクロ[3.2.2]ノナンとの総量に対して、1.06質量%含有していた。 得られた濾液を真空単蒸発により溶媒であるシクロヘキサンを除去した。続いて、充填塔(充填剤:ヘリパック、理論段数:5段)を設置した四つ口フラスコに溶媒を除去した反応生成液を加えて精留した。 精留条件は、塔頂圧力4kPa、塔底圧力5kPa、還流比4、塔頂温度135〜136℃、塔底温度(釜温度)145〜160℃とし、仕込み質量に対する留出率が0質量%から86質量%までの留分を回収し、1,4−BAC(D)を得た。ガスクロマトグラフを使用して分析した結果、トランス体比率が82モル%の1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンであり、不純物として3−アザビシクロ[3.2.2]ノナンを、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンと3−アザビシクロ[3.2.2]ノナンとの総量に対して、1.23質量%含有していた。 製造例5(1,4−BAC(E)の調製) N.E.Chemcat社製5質量%ルテニウム/アルミナの代わりに、Degussa社製5質量%ルテニウム/アルミナを用いた以外は、製造例3と同様に反応させた。 濾過後の反応生成液を分析したところ、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンの収率は98%、そのトランス体比率は71モル%であった。また、副生物として3−アザビシクロ[3.2.2]ノナンを、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンと3−アザビシクロ[3.2.2]ノナンとの総量に対して、0.47質量%含有していた。 得られた濾液を真空単蒸発により溶媒であるシクロヘキサンを除去した。続いて、充填塔(充填剤:ヘリパック、理論段数:5段)を設置した四つ口フラスコに溶媒を除去した反応生成液を加えて精留した。 精留条件は、塔頂圧力4kPa、塔底圧力5kPa、還流比1、塔頂温度135〜136℃、塔底温度(釜温度)145〜160℃とし、仕込み質量に対する留出率が0質量%から95質量%までの留分を回収し、1,4−BAC(E)を得た。ガスクロマトグラフを使用して分析した結果、トランス体比率が72モル%の1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンであり、不純物として3−アザビシクロ[3.2.2]ノナンを、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンと3−アザビシクロ[3.2.2]ノナンとの総量に対して、0.49質量%含有していた。 製造例6(1,4−BAC(F)の調製) 製造例1で得られた1,4−BAC(A)(トランス体比率54モル%)を原料に、5質量%ルテニウム/アルミナを0.8質量部用い、反応時間を3時間とした以外は、製造例3と同様に反応させた。 濾過後の反応生成液を分析したところ、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンの収率は89%、そのトランス体比率は71モル%であった。また、副生物として3−アザビシクロ[3.2.2]ノナンを、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンと3−アザビシクロ[3.2.2]ノナンとの総量に対して、1.10質量%含有していた。 得られた濾液を真空単蒸発により溶媒であるシクロヘキサンを除去した。続いて、充填塔(充填剤:ヘリパック、理論段数:5段)を設置した四つ口フラスコに溶媒を除去した反応生成液を加えて精留した。 精留条件は、塔頂圧力4kPa、塔底圧力5kPa、還流比1、塔頂温度135〜136℃、塔底温度(釜温度)145〜160℃とし、仕込み質量に対する留出率が0質量%から84質量%までの留分を回収し、1,4−BAC(F)を得た。ガスクロマトグラフを使用して分析した結果、トランス体比率が72モル%の1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンであり、不純物として3−アザビシクロ[3.2.2]ノナンを、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンと3−アザビシクロ[3.2.2]ノナンとの総量に対して、1.31質量%含有していた。 製造例7(1,4−BAC(G)の調製) 製造例2と同様の操作によって得られた濾液を、真空単蒸発により溶媒であるヘプタンを除去した。続いて、充填塔(充填剤:ヘリパック、理論段数:25段)を設置した四つ口フラスコに溶媒を除去した反応生成液を加えて精留した。 精留条件は、塔頂圧力4kPa、塔底圧力5kPa、還流比8、塔頂温度135〜136℃、塔底温度(釜温度)145〜160℃とし、仕込み質量に対する留出率が0質量%から77質量%までの留分を回収し、1,4−BAC(G)を得た。ガスクロマトグラフを使用して分析した結果、トランス体比率が93モル%の1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンであり、不純物として3−アザビシクロ[3.2.2]ノナンを、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンと3−アザビシクロ[3.2.2]ノナンとの総量に対して、0.69質量%含有していた。 製造例8(1,4−BAC(H)の調製) 製造例4と同様の操作によって得られた濾液を、真空単蒸発により溶媒であるシクロヘキサンを除去した。続いて、充填塔(充填剤:ヘリパック、理論段数:25段)を設置した四つ口フラスコに溶媒を除去した反応生成液を部加えて精留した。 精留条件は、塔頂圧力4kPa、塔底圧力5kPa、還流比8、塔頂温度135〜136℃、塔底温度(釜温度)145〜160℃とし、仕込み質量に対する留出率が0質量%から77質量%までの留分を回収し、1,4−BAC(H)を得た。ガスクロマトグラフを使用して分析した結果、トランス体比率が93モル%の1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンであり、不純物として3−アザビシクロ[3.2.2]ノナンを、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンと3−アザビシクロ[3.2.2]ノナンとの総量に対して、1.38質量%含有していた。 製造例9(1,4−BAC(I)の調製) 撹拌器、温度計、ガス導入管を装備したステンレス製反応器に、市販の1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(東京化成品、トランス体比率40モル%)100質量部、触媒(水酸化ルテニウム(含水品、ルテニウム含有率13質量%、塩化ルテニウムのアルカリ加水分解により調製))1.7質量部、シクロヘキサン100質量部を仕込み、反応器内を水素で置換後、水素にて全圧を5MPa(ゲージ圧)とし、400rpm撹拌下、190℃に加熱、5時間反応させた。 反応終了後、室温まで冷却して反応生成液を抜き出し、濾過をして触媒を除去した。 濾液を分析したところ、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンの収率は94%、そのトランス体比率は66モル%であった。また、副生物として3−アザビシクロ[3.2.2]ノナンを、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンと3−アザビシクロ[3.2.2]ノナンとの総量に対して、0.5質量%含有していた。 得られた濾液を真空単蒸発により溶媒であるシクロヘキサンを除去した。続いて、充填塔(充填剤:ヘリパック、理論段数:5段)を設置した四つ口フラスコに溶媒を除去した反応生成液を加えて精留した。 精留条件は、塔頂圧力4kPa、塔底圧力5kPa、還流比1、塔頂温度135〜136℃、塔底温度(釜温度)145〜160℃とし、仕込み質量に対する留出率が0質量%から88質量%までの留分を回収し、1,4−BAC(I)を得た。ガスクロマトグラフを使用して分析した結果、トランス体比率が67モル%の1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンであり、不純物として3−アザビシクロ[3.2.2]ノナンを、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンと3−アザビシクロ[3.2.2]ノナンとの総量に対して、0.57質量%含有していた。 製造例10(1,4−BAC(J)の調製) 製造例2と同様な操作によって得られた濾液を真空単蒸発により溶媒であるヘプタンを除去した。続いて、充填塔(充填剤:ヘリパック、理論段数:25段)を設置した四つ口フラスコに溶媒を除去した反応生成液を加えて精留した。 精留条件は、塔頂圧力4kPa、塔底圧力5kPa、還流比8、塔頂温度135〜136℃、塔底温度(釜温度)145〜160℃とし、仕込み質量に対する留出率が0質量%から67質量%までの留分を回収し、1,4−BAC(J)を得た。ガスクロマトグラフを使用して分析した結果、トランス体比率が97モル%の1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンであり、不純物として3−アザビシクロ[3.2.2]ノナンを、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンと3−アザビシクロ[3.2.2]ノナンとの総量に対して、0.80質量%含有していた。 <分析条件1(各製造例における分析)> 異性化反応において得られた濾液、1,4−BACにおけるトランス体比率、および、3−アザビシクロ[3.2.2]ノナン含有率の分析条件を、以下に示す。分析機器:島津製作所製 GC−2010カラム:VARIAN CP−SIL 8 CB FOR AMINES (長さ30m×内径0.25mm 膜厚0.25μm)試料導入部温度:300℃検出部温度:300℃カラム温度パターン:130℃で10分間保持、130℃から300℃まで10℃/minで昇温、300℃で6分間保持カラム圧力:140kPaスプリット比:50/1検出方法:FID試料:分析対象物0.2gをメタノール50mLに溶解したもの また、トランス体比率および3−アザビシクロ[3.2.2]ノナン含有率は、以下の式により求めた。 トランス体比率(モル%) =トランス体の収率/(トランス体の収率+シス体の収率)×100 3−アザビシクロ[3.2.2]ノナン含有率(質量%) =3−アザビシクロ[3.2.2]ノナンのGC面積/(1,4−BACのGC面積+3−アザビシクロ[3.2.2]ノナンのGC面積)×100 異性化条件、精留条件およびその結果を、表1に示す。 分析例 市販の1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(東京化成品)を上記の条件で分析した結果、トランス体比率は40モル%であり、3−アザビシクロ[3.2.2]ノナンは検出限界(0.03ppm)未満であった。 <1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンの調製> 実施例1(1,4−BIC(A)の合成) 撹拌機、温度計、窒素導入管、塩素ガス導入管、ホスゲン導入管、ガス排気管、ガス冷却装置、および、自動圧力調整弁を装備したステンレス製反応器に、製造例2で得られた1,4−BAC(B)を55質量部、オルトジクロロベンゼンを700質量部仕込み、300rpmで撹拌しながら60℃に加熱した。その後、塩酸ガスを1.0mol/hr(対1,4−BAC)の流量で、1,4−BACに対して3.0モル倍導入した。反応器のジャケットには冷水を通し、内温を60〜100℃に保った。 次に、ホスゲンを77質量部加え、反応液を150℃に昇温しながら0.2MPa(ゲージ圧)に加圧し、さらに圧力0.2MPa(ゲージ圧)、反応温度150℃でホスゲンを追加しながら6時間反応させた。反応の途中で追加したホスゲンは230質量部であった。 反応終了後、100〜150℃で窒素ガスを通気し脱ガスした。次いで、減圧下で溶媒のオルトジクロロベンゼンを留去した後、同じく減圧下で1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを留去させた。 次いで、留去させた1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを、撹拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた反応機に装入し、窒素を導入しながら、常圧下で、190℃、4時間加熱処理した。 次いで、充填塔(充填剤:ヘリパック、理論段数:10段)を設置したフラスコに、加熱処理後の1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを仕込み、精留した。 精留条件は、塔頂圧力0.3〜1.3kPa、還流比1、塔頂温度120〜145℃、塔底温度(釜温度)160〜170℃、塔底滞留時間4時間とし、仕込み質量に対する留出率が10質量%から95質量%までの留分を回収し、1,4−BIC(A)を得た。 得られた1,4−BIC(A)のガスクロマトグラフィー測定による純度は99.8%、トランス体比率は82モル%、上記式(1)で示される化合物の濃度は15ppmであった。なお、分析条件は後述する(以下同様)。 実施例2(1,4−BIC(B)の合成) 1,4−BAC(B)の代わりに、製造例3で調製した1,4−BAC(C)を用い、精留前の加熱処理を190℃、8時間とした以外は、実施例1と同様の方法により、1,4−BIC(B)を得た。得られた1,4−BIC(B)のガスクロマトグラフィー測定による純度は99.8%、トランス体比率は82モル%、上記式(1)で示される化合物の濃度は0.19ppmであった。 実施例3(1,4−BIC(C)の合成) 1,4−BAC(B)の代わりに、製造例4で調製した1,4−BAC(D)を用い、精留前の加熱処理を190℃、2時間とした以外は、実施例1と同様の方法により、1,4−BIC(C)を得た。得られた1,4−BIC(C)のガスクロマトグラフィー測定による純度は99.7%、トランス体比率は82モル%、上記式(1)で示される化合物の濃度は270ppmであった。 実施例4(1,4−BIC(D)の合成) 1、4−BAC(B)の代わりに、製造例5で調製した1,4−BAC(E)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、1,4−BIC(D)を得た。得られた1,4−BIC(D)のガスクロマトグラフィー測定による純度は99.8%、トランス体比率は72モル%、上記式(1)で示される化合物の濃度は12ppmであった。 実施例5(1,4−BIC(E)の合成) 精留前の加熱処理を190℃、8時間とした以外は、実施例4と同様の方法により、1,4−BIC(E)を得た。得られた1,4−BIC(E)のガスクロマトグラフィー測定による純度は99.8%、トランス体比率は72モル%、上記式(1)で示される化合物の濃度は0.15ppmであった。 実施例6(1,4−BIC(F)の合成) 1、4−BAC(E)の代わりに、製造例6で調製した1,4−BAC(F)を用い、精留前の加熱処理を190℃、2時間とした以外は、実施例4と同様の方法により、1,4−BIC(F)を得た。得られた1,4−BIC(F)のガスクロマトグラフィー測定による純度は99.7%、トランス体比率は72モル%、上記式(1)で示される化合物の濃度は250ppmであった。 実施例7(1,4−BIC(G)の合成) 1、4−BAC(B)の代わりに、製造例7で調製した1,4−BAC(G)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、1,4−BIC(G)を得た。得られた1,4−BIC(G)のガスクロマトグラフィー測定による純度は99.7%、トランス体比率は93モル%、上記式(1)で示される化合物の濃度は20ppmであった。 実施例8(1,4−BIC(H)の合成) 精留前の加熱処理を190℃、8時間とした以外は、実施例7と同様の方法により、1,4−BIC(H)を得た。得られた1,4−BIC(H)のガスクロマトグラフィー測定による純度は99.7%、トランス体比率は93モル%、上記式(1)で示される化合物の濃度は0.22ppmであった。 実施例9(1,4−BIC(I)の合成) 1、4−BAC(G)の代わりに、製造例8で調製した1,4−BAC(H)を用い、精留前の加熱処理を190℃、3時間とした以外は、実施例7と同様の方法により、1,4−BIC(I)を得た。得られた1,4−BIC(I)のガスクロマトグラフィー測定による純度は99.7%、トランス体比率は93モル%、上記式(1)で示される化合物の濃度は285ppmであった。 比較例1(1,4−BIC(J)の合成)1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンの精留留分を、仕込み質量に対する留出率が80質量%から90質量%までの留分を回収した以外は、実施例1と同様の方法により、1,4−BIC(J)を得た。得られた1,4−BIC(J)のガスクロマトグラフィー測定による純度は99.8%、トランス体比率は82モル%、上記式(1)で示される化合物は検出できなかった(検出限界0.03ppm未満(以下同様))。 比較例2(1,4−BIC(K)の合成) 精留前の加熱処理を190℃、12時間とした以外は、実施例1と同様の方法により、1,4−BIC(K)を得た。得られた1,4−BIC(K)のガスクロマトグラフィー測定による純度は99.8%、トランス体比率は82モル%、上記式(1)で示される化合物の濃度は0.07ppmであった。 比較例3(1,4−BIC(L)の合成) 精留前に加熱処理しなかった以外は、実施例3と同様の方法により、1,4−BIC(L)を得た。得られた1,4−BIC(L)のガスクロマトグラフィー測定による純度は99.8%、トランス体比率は82モル%、上記式(1)で示される化合物の濃度は340ppmであった。 比較例4(1,4−BIC(M)の合成) 1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンの精留留分を、仕込み質量に対する留出率が80質量%から90質量%までとして回収した以外は、実施例5と同様の方法により、1,4−BIC(M)を得た。得られた1,4−BIC(M)のガスクロマトグラフィー測定による純度は99.8%、トランス体比率は71モル%、上記式(1)で示される化合物は検出できなかった。 比較例5(1,4−BIC(N)の合成) 精留前の加熱処理を190℃、12時間とした以外は、実施例4と同様の方法により、1,4−BIC(N)を得た。得られた1,4−BIC(N)のガスクロマトグラフィー測定による純度は99.8%、トランス体比率は71モル%、上記式(1)で示される化合物の濃度は0.07ppmであった。 比較例6(1,4−BIC(O)の合成) 精留前に加熱処理しなかった以外は、実施例6と同様の方法により、1,4−BIC(O)を得た。得られた1,4−BIC(O)のガスクロマトグラフィー測定による純度は99.8%、トランス体比率は71モル%、上記式(1)で示される化合物の濃度は340ppmであった。 比較例7(1,4−BIC(P)の合成) 1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンの精留留分を仕込み質量に対する留出率が80質量%から90質量%までとして回収した以外は、実施例8と同様の方法により、1,4−BIC(P)を得た。得られた1,4−BIC(P)のガスクロマトグラフィー測定による純度は99.7%、トランス体比率は93モル%、上記式(1)で示される化合物は検出できなかった。 比較例8(1,4−BIC(Q)の合成) 精留前の加熱処理を190℃、12時間とした以外は、実施例7と同様の方法により、1,4−BIC(Q)を得た。得られた1,4−BIC(Q)のガスクロマトグラフィー測定による純度は99.7%、トランス体比率は93モル%、上記式(1)で示される化合物の濃度は0.07ppmであった。 比較例9(1,4−BIC(R)の合成9 精留前に加熱処理しなかった以外は、実施例7と同様の方法により、1,4−BIC(R)を得た。得られた1,4−BIC(R)のガスクロマトグラフィー測定による純度は99.8%、トランス体比率は93モル%、上記式(1)で示される化合物の濃度は380ppmであった。 比較例10(1,4−BIC(S)の合成) 1、4−BAC(B)の代わりに、製造例9で調製した1,4−BAC(I)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、1,4−BIC(S)を得た。得られた1,4−BIC(S)のガスクロマトグラフィー測定による純度は99.8%、トランス体比率は67モル%、上記式(1)で示される化合物の濃度は12ppmであった。 比較例11(1,4−BIC(T)の合成) 1、4−BAC(B)の代わりに、製造例10で調製した1,4−BAC(J)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、1,4−BIC(T)を得た。得られた1,4−BIC(T)のガスクロマトグラフィー測定による純度は99.5%、トランス体比率は97モル%、上記式(1)で示される化合物の濃度は18ppmであった。 参考比較例1(1,4−BIC(U)の合成) 1、4−BAC(B)の代わりに、市販の1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(東京化成品、トランス体比率40モル%)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、1,4−BIC(U)を得た。得られた1,4−BIC(T)のガスクロマトグラフィー測定による純度は99.7%、トランス体比率は40モル%、上記式(1)で示される化合物は検出限界(0.03ppm)未満であった。 <分析条件2(上記式(1)で示される化合物の同定)> 以下のGC−MS分析のCIマススペクトル、FDマススペクトル、NMRスペクトル、および、NMR二次元測定(Hetero−nuclear Multiple−Bond Connectivity:HMBC)から、1,4−BIC中に含有される物質が上記式(1)で示される化合物であることを同定した。 具体的には、まず、上記の製造例において得られた1,4−BIC中に含有される物質を、GC−MS分析のCIマススペクトル、FDマススペクトル、NMRスペクトル、および、NMR二次元測定により分析した。測定結果を、図1〜4に示す。 [CIマススペクトル測定条件] 装置:Q1000GC K9(日本電子製) カラム:DB−5MS+DG 30m*25mm*0.25μm(DG10m) オーブン温度:40℃(4分ホールド)→10℃/分で昇温→300℃(10分ホールド) インジェクション温度:300℃、インターフェース温度;280℃スプリットモード:200/1,20/1 He:1.0ml/分、イオン化モードCI(試薬ガス、イソブタン)Mass Range:60−800 [FDマススペクトル測定条件] 装置;JMS−T100GC(日本電子製) イオン化モード:FD法 測定範囲:m/z10〜2000 カソード:−10kV エミッタ電流:0mA→51.2mA/min→42mA スペクトル記録間隔:0.40s [NMR測定条件] NMR測定装置:ブルカー・バイオスピン製AVANCEIII500 型核磁気共鳴装置(CryoProbe Prodigy) 試料濃度:ca.50mg/0.6mL 測定溶媒:CDCl3 測定温度:25℃・1H−NMR 測定核:1H(500MHz) 測定モード:シングルパルス パルス幅:45°(6.0μ秒) ポイント数:32k 観測範囲:20ppm(−5〜15ppm) 繰り返し時間:7秒 積算回数:64回 ウインドウ関数:exponential(BF:0.15Hz) ケミカルシフト基準:CHCl3:7.26ppm・13C−NMR 測定核:13C(125MHz) 測定モード:シングルパルスプロトンブロードバンドデカップリング パルス幅:45℃(5.0μ秒) ポイント数:64k 観測範囲:250ppm(−25〜225ppm) 繰り返し時間:5.5秒 積算回数:256回 ウインドウ関数:exponential(BF:1.0Hz) ケミカルシフト基準:CDCl3:77.0ppm <二次元NMR>(HMBC法) 観測範囲:1H:10ppm(0〜10ppm) 13C:140ppm(20〜160ppm) 積算回数:32回 データサイズ:2K×1K(ゼロフィリング後) 図2から、化学式(1)に由来する質量187.1(35Cl:同位体35)のピークおよび質量189.1(37Cl:同位体37)が確認できた。 また、図3に示すように、1H-NMRにおけるケミカルシフト3.71ppmおよび3.81ppmは、ビシクロ環内でN原子に隣接するメチレン由来のプロトンのシグナル(二重線)と帰属した。 また、図4に示すように、二次元NMR(HMBC法)にて、上記1H-NMRの3.71ppm、3.81ppmのケミカルシフトと13C−NMRの149.9ppmのケミカルシフトに相関があることを確認した。この149.9ppmのシグナルは−N−(C=O)−Clのカーボンに由来すると帰属した。 また、以下の調製例1〜2により、式(1)で示される化合物を調製した。 調製例1(式(2)で示される化合物(3−アザビシクロ[3.2.2]ノナン)の塩酸塩の調製) 製造例6で調製した1,4−BAC(F)900質量部(3−アザビシクロ[3.2.2]ノナン含量1.31質量%)と、1−オクタノール2700質量部とを、充填塔(充填剤:ヘリパック、理論段数:2段)を設置した四つ口フラスコに装入後、精留した。 なお、精留条件は、塔頂圧力4〜5torr、塔頂温度75〜100℃、塔底温度(釜温度)95〜105℃とし、仕込み質量に対する留出率が0質量%から27質量%までの留分を回収した。 得られた留分800質量部に対して、1mol%塩酸水溶液550質量部を用いて、5回に分けて抽出操作を行った後、水相から水をジャケット温度90℃、減圧度80torrにて蒸発除去した。 その後、蒸発残分をトルエン100質量部で濾過(ろ紙:桐山ろ紙No4)後、窒素気流下にて乾燥させ、3−アザビシクロ[3.2.2]ノナン塩酸塩(式(2)の化合物の塩酸塩)6.5質量部を得た。 得られた3−アザビシクロ[3.2.2]ノナン塩酸塩の固体における純度は99.1%(GC面積%)であった。 調製例2(式(1)で示される化合物(3−アザビシクロ[3.2.2]ノナンのカルバモイルクロライド体)の調製) 調製例1で得られた3−アザビシクロ[3.2.2]ノナン塩酸塩(式(2)の化合物の塩酸塩)3.17質量部と、トルエン100質量部とを、撹拌機、温度計、ホスゲンガス導入管、窒素ガス導入管、ガス排気管を備えたフラスコに仕込んだ。 70℃に昇温後、ホスゲン10.5質量部を、7質量部/時間でフィードした。ホスゲンをフィード後、70℃で3.5時間、窒素ガスにて脱ホスゲン処理し、85質量部の反応マスを得た。反応マスを0.2μmPTFEメンブランフィルターにて減圧濾過し、不溶固形物を除去した。 ろ液から減圧下、トルエンを留去することにより、式(1)で示される化合物(3−アザビシクロ[3.2.2]ノナンのカルバモイルクロライド体)3.2質量部を得た。 得られた化合物の外観は白色固体であった。 上記の調製例2において得られた化合物の、1H−NMRスペクトル、13C−NMRスペクトル、IRスペクトルおよびGC−MSスペクトルを、以下の条件で測定した。測定結果を、図5〜8に示す。 [1H−NMR測定条件] NMR測定装置:日本電子社製 ECX−400P(400MHz) 試料濃度: 25mg/0.6mL 試料溶媒: CDCl3 Scan: 16回 [13C−NMR測定条件] NMR測定装置:日本電子社製 ECX−400P(400MHz) 試料溶媒: CDCl3 試料濃度: 25mg/0.6mL Scan: 5000回 測定モード: BCM [IR測定条件] IR測定装置:Perkin−Elmer Spectrum One FT−IR Spectrometer 測定法: ATR(反射法) 波数範囲: 4000〜400cm−1 分解能: 4cm−1 [GC−MS測定条件] 装置:Agilent6890N/5973N MSD カラム:J&W DB−5MS(0.25mmID×60m、Film=0.25μm) キャリアガス:He(コンスタントフローモード:1.5mL/min) オーブン温度:80℃(1min)→10℃/min→250℃(2min)[Total=20min] 注入方法:スプリット法(スプリット比50:1) 注入口温度:250℃ インターフェイス温度:280℃ イオン源温度:230℃ 四重極温度:150℃ イオン化法:EI法(イオン化電圧:70eV) 検出方法:Scan法(90〜500) 注入量:1.0μL そして、得られたスペクトルの各ピークを帰属した。その結果を、以下に示す。 [1H−NMR帰属] 図5に示す1H−NMRスペクトルの帰属は以下の通りである。a(8H):1.703〜1.603ppm 積分比8.0029b(2H):2.013ppm 積分比1.9222c(4H):3.833〜3.734ppm 積分比4(7.27ppmはCDCL3中のクロロホルム由来) [13C−NMR帰属] 図6に示す13C−NMRスペクトルの帰属は以下の通りである。(1):24.33〜24.38ppm(2):29.64〜29.87ppm(3):55.03ppm、57.53ppm(4):150.03ppm(なお、76.68〜77.31ppmはCDCl3由来のピークである。) [IRスペクトルの帰属] 図7に示すIRスペクトルにおいて、1718cm−1にνC=Oの吸収が観測された。また、2級アミン(NH)の吸収(3400cm−1付近)は観測されなかった。 [GC−MSスペクトルの帰属] 図8に示すGC−MSスペクトルにおいて、MS分子イオンピーク187m/zおよび189m/zが約3:1の強度比で観測され、これは塩素含有化合物に特有の強度比であった。また、クロル基が脱離した分子イオンピーク152m/zが観測された。 これらの結果から、1,4−BIC中に含有される物質が上記式(1)の構造を有する化合物と同定した。 <分析条件3(1,4−BICの純度および上記式(1)で示される化合物の分析)> 以下のガスクロマトグラフ分析条件において得られたガスクロマトグラムの面積値から、1,4−BICの純度(%)および上記式(1)で示される化合物の濃度(ppm)を算出した。装置;日本電子製 Q1000GCカラム;DB−5MS+DG 30m×0.25mm×0.25μm(DG10m)オーブン温度;40℃で4分間保持、40℃から300℃まで、10℃/minで昇温、300℃で10分間保持注入口温度;300℃検出器温度;280℃キャリアガス;ヘリウムガス(1.0ml/min)イオン化モード;Cl(試薬ガスイソブタン)検出法;FID <分析条件4(1,4−BICのトランス体比率の分析)> 以下のガスクロマトグラフ分析条件において得られたガスクロマトグラムの面積値から、1,4−BIC中のトランス体比率(モル%)を算出した。装置;Agilent Technologies社製 7890Aカラム;Agilent DB−17MSオーブン温度;40℃で4分間保持、40℃から250℃まで、10℃/minで昇温、250℃で5分間保持注入口温度;300℃検出器温度;300℃キャリアガス;ヘリウムトランス−1,4−BICの保持時間;20.18minシス−1,4−BICの保持時間;20.308min検出法;FID <物性評価> 貯蔵安定性試験 ガラス製サンプル瓶に1,4−BICを一定量計量後、窒素封入した。次いで、50℃恒温槽にて3ヶ月間保管した後、外観を目視で観察した。なお、評価の基準を下記する。 ○; 変化なし ○−; 微かに変化あり △; 僅かに変化あり ×; 変化あり なお、変化とは、黄変、白濁などを指す。 熱処理条件、精留条件およびその結果を、表2に示す。 <熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)の合成および評価> 実施例10 ・プレポリマーの合成 撹拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、1,4−BIC(A)を225.2質量部、予め減圧脱水処理した、ETERNACOLL UH−100(数平均分子量1000のポリカーボネートジオール、宇部興産社製)252.5質量部、および、ETERNACOLL UH−200(数平均分子量2000のポリカーボネートジオール、宇部興産社製)494.8質量部装入し、窒素雰囲気下、80℃にてイソシアネート基含量が5.70質量%になるまで反応させ、イソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマー(a1)(以下プレポリマー(a1)と略する。)を得た。 ・ポリウレタンエラストマー(A1)の合成 予め80℃に調整したプレポリマー(a1)900質量部、イルガノックス245(BASF社製 耐熱安定剤)2.66質量部、チヌビン234(BASF社製 紫外線吸収剤)2.22質量部、および、アデカスタブLA−72(ADEKA社製 HALS)1.33質量部、および、予めオクチル酸錫(触媒、商品名:スタノクト、エーピーアイコーポレーション社製)をジイソノニルアジペート(ジェイ・プラス社製)により4質量%に希釈した溶液0.112質量部をステンレス容器に入れ、高速ディスパーを使用して、1000rpmの撹拌下、約2分間撹拌混合した。次いで、鎖伸長剤として予め80℃に調整した1,4−ブタンジオール(1,4−BD)(和光純薬製)54.51質量部を添加し、高速ディスパーを使用して、1000rpmの撹拌下、約10分間撹拌混合した。 次いで、予め150℃に温調したSUS製バッドに反応混合液を流し込み、150℃にて1時間、次いで、100℃にて23時間反応させ、ポリウレタンエラストマー(A1)を得た。 その後、バットからポリウレタンエラストマー(A1)を取り外し、室温23℃、相対湿度55%の恒温恒湿条件下にて、7日間養生した。 得られたポリウレタンエラストマー(A1)を、ベールカッターによりサイコロ状に切断し、粉砕機にてサイコロ状の樹脂を粉砕した。この粉砕ペレットを窒素気流下、80℃にて一昼夜乾燥した。単軸押出機(型式:SZW40−28MG、テクノベル社製)を用いてシリンダー温度150〜245℃の範囲でストランドを押出し、それをカットすることによって、ポリウレタンエラストマー(A1)のペレットを得た。得られたペレットをさらに窒素気流下、80℃にて一昼夜乾燥した。 次いで、射出成型機(型式:NEX−140、日精樹脂工業社製)を使用して、スクリュー回転数80rpm、バレル温度150〜235℃の設定にて、金型温度20℃、射出時間10秒、射出速度60mm/sおよび冷却時間45秒の条件で、射出成形を実施した。得られた2mm厚みのシートを室温23℃、相対湿度55%の恒温恒湿条件下にて、7日間養生し、エラストマーシートを得た。 実施例11〜15および比較例12〜16 表3に示す配合処方に従って、実施例10と同様の方法により、プレポリマー(b1〜t1)を合成し、ポリウレタンエラストマー(B1〜T1)を得た。 参考比較例2 表3に示す配合処方に従って、参考比較例1で得た1,4-BIC(U)(市販の1,4-BACを用いた1,4−BIC)を用いて実施例10と同様の方法により、プレポリマー(U1)を合成し、ポリウレタンエラストマー(U1)を得た。 評価 <硬度:ShoreA> 「JIS K−7311 ポリウレタン系熱可塑性エラストマーの試験方法」(1995年)に準じてShoreA硬さを測定し、その結果を表3に数値として示した。 <引張物性> 「JIS K−7311 ポリウレタン系熱可塑性エラストマーの試験方法」(1995年)に記載の方法に準拠して得られたシートを用いた引張試験を実施した。試験片をJIS−3号ダンベルにて打ち抜き、引張試験機(東洋精器社製、商品名:全自動ゴム引張試験機 TYPE:AE−CT)にて、標線間20mm、引張速度300mm/分の条件で引張強度(単位:MPa)および伸び(単位:%)を測定した。その結果を表3に示す。 <ノッチ付引裂き強度> 「JIS K−7311 ポリウレタン系熱可塑性エラストマーの試験方法」(1995年)に記載の方法に準拠して得られた直角型引裂試験片の直角部に、長さ1mmの切れ込みを入れた。これを用いて、引張試験機(東洋精器社製、商品名:全自動ゴム引張試験機 TYPE:AE−CT)にて、引張速度300mm/分の条件でノッチ付引裂き強度(単位:N/cm)を測定した。その結果を表3に示す。 <耐熱NOx黄変試験> ポリウレタンエラストマーの試験片を90℃の熱風循環式のオーブンに1000時間静置した。その後、JIS L−0855(2005年)に準拠した試験方法により、NOx濃度2,000ppmにて2時間、暴露試験した。その後、試験片を、更に70℃、95%の恒温恒湿器内で24時間静置した。静置後の外観を目視にて確認した。 更に60℃で24時間減圧乾燥させた後、上記した引張試験の方法に従って、破断伸びを測定した。試験後の破断伸びを試験前の破断伸びで除し、100をかけることにより、伸び保持率(単位:%)を算出した。その結果を、表3に示す。 <外観> 試験後の試験片について、外観を目視で観察した。評価の基準を下記する。また、その結果を表3に示す。 ○; 変化なし ○−; 微かに変化あり △; 僅かに変化あり ×; 変化あり なお、変化とは、黄変、白濁、タック、変形などを指す。 なお、表中の略号の詳細を下記する。UH−100;ETERNACOLL UH−100、数平均分子量1000のポリカーボネートジオール(宇部興産社製)UH−200;ETERNACOLL UH−200、数平均分子量2000のポリカーボネートジオール(宇部興産社製)1,4−BD;1,4−ブタンジオール(和光純薬製)DINA;ジイソノニルアジペート(ジェイ・プラス社製) <熱硬化性ポリウレタンエラストマー(TSU)の合成および評価> 実施例16 ・プレポリマーの合成 撹拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、1,4−BIC(A)を101.9質量部、および、予め減圧脱水処理した、PTG2000SN(数平均分子量2000のポリテトラメチレンエーテルグリコール、保土ヶ谷化学社製)505.4質量部装入し、窒素雰囲気下、80℃にて1時間撹拌後、予めジブチル錫ジラウリレートをジイソノニルアジペート(ジェイ・プラス社製)により4質量%に希釈した溶液0.076質量部を装入した。引き続き80℃にてイソシアネート基含量が3.8質量%になるまで反応させ、イソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマー(a2)(以下プレポリマー(a2)と略する。)を得た。 ・ポリウレタンエラストマー(A2)の調製 予め80℃に調整したプレポリマー(a2) 200質量部、イルガノックス245(BASF社製 耐熱安定剤)1.24質量部、チヌビン234(BASF社製 紫外線吸収剤)1.03質量部、アデカスタブLA−72(ADEKA社製 HALS)0.62質量部、および、予めジブチル錫ジラウリレート(DBTDL)をジイソノニルアジペート(ジェイ・プラス社製)により4質量%に希釈した溶液0.050質量部をステンレス容器に入れ、スリーワンモータ(商品名:HEIDON FBL3000、新東科学社製)を使用して、600rpmの撹拌下、約1分間撹拌混合した。 次いで、予め減圧脱水処理した、トリメチロールプロパン(TMP)(和光純薬製)1.98質量部と1,4−ブタンジオール(1,4−BD)(和光純薬製)5.99質量部を60℃で溶解混合した鎖伸長剤混合物7.97質量部を添加した。さらに約2分間全体が均一になるまで充分に撹拌したのち、直ちに真空脱泡を行い、混合液中の泡を取り除いた。予め離型剤(商品名:ミラックスRS−102、ミヨシ油脂社製)を塗布し、100℃に温調したシート、ボタン金型に泡が入らないように注意しながら、混合液を流し込み、100℃にて22時間反応させた。その後金型からポリウレタンエラストマーを取り外し、室温23℃、相対湿度50%の恒温恒湿条件下にて、4時間後に硬度を測定し、さらに7日間養生した後、物性測定に使用した。 実施例17〜21および比較例17〜21 表4に示す配合処方に従って、実施例16と同様の方法により、プレポリマー(b2〜t2)を合成し、ポリウレタンエラストマー(B2〜T2)を得た。 評価 <硬度:ShoreA>「JIS K−7311 ポリウレタン系熱可塑性エラストマーの試験方法」(1995年)に準じてShoreA硬さを測定し、その結果を表4に数値として示した。 <引張物性> 「JIS K−7311 ポリウレタン系熱可塑性エラストマーの試験方法」(1995年)に記載の方法に準拠して得られたシートを用いた引張試験を実施した。試験片をJIS−3号ダンベルにて打ち抜き、引張試験機(東洋精器社製、商品名:全自動ゴム引張試験機 TYPE:AE−CT)にて、標線間20mm、引張速度300mm/分の条件で破断強度(単位:MPa)および伸び(単位:%)の測定を行った。その結果を、表4に示す。 <耐熱NOx黄変試験> ポリウレタンエラストマーの試験片を90℃の熱風循環式のオーブンに1000時間静置した。その後、JIS L−0855(2005年)に準拠した試験方法により、NOx濃度2,000ppmにて2時間、暴露試験した。その後、試験片を、更に70℃、95%の恒温恒湿器内で24時間静置した。静置後の外観を目視にて確認した。 更に60℃で24時間減圧乾燥させた後、上記した引張試験の方法に従って、破断伸びを測定した。試験後の破断伸びを試験前の破断伸びで除し、100をかけることにより、伸び保持率(単位:%)を算出した。その結果を、表4に示す。 <外観> 試験後の試験片について、外観を目視で観察した。評価の基準を下記する。また、その結果を表4に示す。 ○; 変化なし ○−; 微かに変化あり △; 僅かに変化あり ×; 変化あり なお、変化とは、黄変、白濁、タック、変形などを指す。 なお、表中の略号の詳細を下記する。PTG2000SN;数平均分子量2000のポリテトラメチレンエーテルグリコール、保土ヶ谷化学社製TMP;トリメチロールプロパン(和光純薬製)1,4−BD;1,4−ブタンジオール(和光純薬製)DBTDL;ジブチル錫ジラウリレート(和光純薬製)DINA;ジイソノニルアジペート(ジェイ・プラス社製) <光学用ポリウレタン樹脂の合成および評価> 実施例22 1,4−BAC(A)48.6質量部、触媒としてジメチル錫ジクロライド0.098質量部、酸性リン酸エステル(Stepan社製ゼレックUN)0.10質量部、および、紫外線吸収剤(バイオソーブ583、共同薬品社製)0.05質量部を、10〜15℃にて混合溶解させた。 その後、1,2−ビス(2−メルカプロエチルチオ)−3−プロパンチオール(GST)28.2質量部、ペンタエリスリトールテトラ(3−メルカプトプロピオナート)(PEMP、SC有機化学社製)21.4質量部からなるポリチオール成分を装入および混合し、混合均一液(重合性組成物)とした。 次いで、この混合均一液を1時間脱泡した後、1μmPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)フィルターにて濾過し、4Dのガラスモールドとテープからなる光学部材用モールド型へ注入した。 このモールド型をオーブンへ投入し、25℃から120℃まで20時間かけて徐々に昇温して重合させた。重合終了後、オーブンからモールド型を取り出し、離型した。更に120℃で3時間アニールをおこない、光学用ポリウレタン樹脂A3を得た。 実施例22〜27および比較例22〜26 表5に示す配合処方に従って、実施例22と同様の方法により、光学用ポリウレタン樹脂(B3〜T3)を得た。 評価 <光学特性> プルフリッヒ屈折計を用いて、20℃で屈折率(ne)およびアッベ数(νe)を測定した。その結果を、表5に示す。 <外観> 光学用ポリウレタン樹脂の外観を目視で観察した。 <穴開け引張試験> AUTOGRAPH AGS−J(島津製作所製)を用いて、径45mm、厚さ2.5mmに調整した樹脂平板に、ドリルにて2箇所に直径1.6mmの穴をあけ、1.6mmの金属製シャフトを穴に通し、サンプル両端を固定冶具に取り付けた後、5mm/minの速度で引っ張り、最大点の試験力を測定した。得られた最大点試験力を樹脂圧で除した値を、穴開け引張強度(単位:N/mm)とした。 <耐熱NOx黄変試験> 光学用ポリウレタン樹脂の試験片を90℃の熱風循環式のオーブンに1000時間静置した。その後、JIS L−0855(2005年)に準拠した試験方法により、NOx濃度2,000ppmにて2時間、暴露試験した。その後、試験片を、更に70℃、95%の恒温恒湿器内で24時間静置した。静置後の外観を目視にて確認した。 更に60℃で24時間減圧乾燥させた後、上記した引張試験の方法に従って、破断伸びを測定した。試験後の破断伸びを試験前の破断伸びで除し、100をかけることにより、伸び保持率(単位:%)を算出した。その結果を、表5に示す。 <外観> 試験後の試験片について、外観を目視で観察した。評価の基準を下記する。また、その結果を表5に示す。 ○; 変化なし ○−; 微かに変化あり △; 僅かに変化あり ×; 変化あり なお、変化とは、黄変、白濁、タック、変形などを指す。 なお、表中の略号の詳細を下記する。PEMP;ペンタエリスリトールテトラ(3−メルカプトプロピオナート)、SC有機化学社製GST;1,2−ビス(2−メルカプロエチルチオ)−3−プロパンチオール <水性ポリウレタン樹脂(PUD)の合成および評価> 合成例1(ポリオキシエチレン側鎖含有ジオールの合成) 撹拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、数平均分子量1000のメトキシポリエチレングリコール1000質量部(東邦化学工業株式会社製)と1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(商品名:タケネート−700、三井化学社製)1682質量部を仕込み、窒素雰囲気下90℃で9時間反応させた。得られた反応液を薄膜蒸留して、未反応の1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートを取り除き、ポリオキシエチレン基含有モノイソシアネートを得た。次いで、撹拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、ジエタノールアミン82.5質量部を仕込み、窒素雰囲気下、空冷しながら上記ポリオキシエチレン基含有モノイソシアネート917.5質量部を、反応温度が70℃を越えないように徐々に滴下した。滴下終了後、約1時間、窒素雰囲気下において70℃で撹拌し、イソシアネート基が消失したことを確認し、ポリオキシエチレン側鎖含有ジオールを得た。 実施例28 撹拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、合成例1で合成したポリオキシエチレン側鎖含有ジオール38.6質量部、予め減圧脱水処理した、ETERNACOLL UH−100(数平均分子量1000のポリカーボネートジオール、宇部興産社製)120.2質量部、および、ETERNACOLL UH−200(数平均分子量2000のポリカーボネートジオール、宇部興産社製)120.2質量部、メチルエチルケトン89.78、イルガノックス245(BASF社製 耐熱安定剤)3.4質量部を混合した。 次いで、1,4−BAC(A)57.6質量部を装入し、75℃で2時間反応させて、イソシアネート基末端プレポリマーを得た。 次いで、この反応液を50℃まで冷却し、アセトン134.7質量部を装入した。更に、30℃まで冷却後、イオン交換水742.63質量部を徐々に添加してイソシアネート基末端プレポリマーを水分散させた。引き続き、20質量%ヘキサメチレンジアミン水溶液31.87質量部により鎖伸長し、さらに、アセトンを留去することにより、固形分34.6質量%の水性ポリウレタン樹脂A4の水分散液を得た。 実施例29〜33および比較例27〜31 表6に示す配合処方に従って、実施例28と同様の方法により、水性ポリウレタン樹脂(B4〜T4)を得た。 評価 <水性ポリウレタンフィルムの製造> ポリプロピレン製基材上に、乾燥後の膜厚が200μmになるように、水性ポリウレタン樹脂を流し込み、室温下、24時間かけて水分を乾燥させた。引き続き、110℃で1時間加熱を行い、完全に水分を揮発させた。室温に冷却後、基材からフィルムを剥離し、水性ポリウレタンフィルムを得た。 <水性ポリウレタンフィルムの引張試験> 23℃、相対湿度55%の実験室内に設置した引張試験機(インテスコ社製、モデル:205型)を用いて、引張試験した。より具体的には、JIS4号ダンベルで打ち抜いた試験片を、チャック間距離20mm、引張速度300mm/minの条件で引張試験した。これにより、ポリウレタンフィルムの破断強度(単位:MPa)、伸び(単位:%)を測定した。 <耐熱NOx黄変試験> ポリウレタンフィルムの試験片を90℃の熱風循環式のオーブンに1000時間静置した。その後、JIS L−0855(2005年)に準拠した試験方法により、NOx濃度2,000ppmにて2時間、暴露試験した。その後、試験片を、更に70℃、95%の恒温恒湿器内で24時間静置した。静置後の外観を目視にて確認した。 更に60℃で24時間減圧乾燥させた後、上記した引張試験の方法に従って、破断伸びを測定した。試験後の破断伸びを試験前の破断伸びで除し、100をかけることにより、伸び保持率(単位:%)を算出した。その結果を、表6に示す。 <外観> 試験後の試験片について、外観を目視で観察した。評価の基準を下記する。また、その結果を表6に示す。 ○; 変化なし ○−; 微かに変化あり △; 僅かに変化あり ×; 変化あり なお、変化とは、黄変、白濁、タック、変形などを指す。 なお、表中の略号の詳細を下記する。UH−100;ETERNACOLL UH−100、数平均分子量1000のポリカーボネートジオール(宇部興産社製)UH−200;ETERNACOLL UH−200、数平均分子量2000のポリカーボネートジオール(宇部興産社製)HDA;ヘキサメチレンジアミン <ポリウレタン樹脂溶液の合成および評価> 実施例34 窒素雰囲気下、錨形アンカー翼、温度計および水冷式コンデンサーを備え、撹拌トルクを継続的に測定できる反応機に、予め減圧脱水処理した、ETERNACOLL UH−100(数平均分子量1000のポリカーボネートジオール、宇部興産社製)46.53質量部、ETERNACOLL UH−200(数平均分子量2000のポリカーボネートジオール、宇部興産社製)91.17質量部、および、1,4−BIC(A)53.68質量部を仕込み、撹拌速度200rpmにて、80℃まで昇温した。 次いで、80℃で1時間反応させた後、触媒として、予めジブチル錫ジラウリレート(DBTDL)をN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)により10質量%に希釈した溶液0.019質量部を添加した。 同温度にてさらに2時間反応させた後、イソシアネート基濃度が8.09質量%になるまで反応させることにより、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(a5)を得た。 次いで、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(a5)を50℃まで冷却した後、撹拌速度300rpmにて、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(a5)濃度が20質量%となるように、予めモレキュラーシーブス4Aを浸漬して脱水したDMF765.53質量部を徐々に添加して、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(a5)を溶解させた。 その後、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(a2)のDMF溶液を再び80℃以下まで加温した。DMFにて40質量%に希釈したエチレングリコール(EG)(和光純薬製 特級グレード)27.43質量部、DMFで10質量%に希釈したDBTDL溶液0.38質量%を装入した。80℃にて6時間反応させた後、DMFにて40質量%に希釈したEG1.44質量部を装入した。更に80℃にて1時間反応させた。 更に、それぞれDMFに10質量%に溶解した、イルガノックス245(BASF社製 耐熱安定剤)6.1質量部(固形分0.61質量部)、チヌビン234(BASF社製 HALS)5.1質量部(固形分0.51質量部)、および、アデカスタブLA−72(ADEKA社製 紫外線吸収剤)3.0質量部(固形分0.30質量部)を装入し、ポリウレタン樹脂溶液(A5)を得た。ポリウレタン樹脂の固形分濃度は20質量%であった。 実施例35〜39および比較例32〜36 表7に示す配合処方に従って、実施例34と同様の方法により、ポリウレタン樹脂溶液(B5〜T5)を合成した。 評価 <ポリウレタン樹脂溶液の粘度> E型粘度計(東機産業株式会社製、商品名:TOKIMEC TV−30 VISCOMETER)を用いて、1°34’×R24のサイズのローターを具備して、回転速度:0.1rpm、温度:25℃にて、ポリウレタン樹脂溶液の粘度(単位:Pa・s)を測定した。その際のサンプル量は、1〜1.2mL程度とした。 <ポリウレタンフィルムの製造> ガラス板上に、乾燥後のフィルム厚みが100μmとなるようにポリウレタン樹脂溶液を塗布した後、窒素雰囲気下、60℃で3時間減圧することにより、DMFを留去させ、ポリウレタンフィルムを得た。 <ポリウレタンフィルムの引張試験> 23℃、相対湿度55%の実験室内に設置した引張試験機(インテスコ社製、モデル:205型)を用いて、引張試験した。より具体的には、引張方向に60mm、幅10mmであるフィルム試験片を、チャック間距離30mm、引張速度300mm/minの条件で引張試験した。これにより、ポリウレタンフィルムの破断強度(単位:MPa)、伸び(単位:%)を測定した。 <耐熱NOx黄変試験> ポリウレタンフィルムの試験片を90℃の熱風循環式のオーブンに1000時間静置した。その後、JIS L−0855(2005年)に準拠した試験方法により、NOx濃度2,000ppmにて2時間、暴露試験した。その後、試験片を、更に70℃、95%の恒温恒湿器内で24時間静置した。静置後の外観を目視にて確認した。 更に60℃で24時間減圧乾燥を行った後、上記した引張試験の方法に従って、破断伸びを測定した。試験後の破断伸びを試験前の破断伸びで除し、100をかけることにより、伸び保持率(単位:%)を算出した。その結果を、表7に示す。 <外観> 試験後の試験片について、外観を目視で観察した。評価の基準を下記する。また、その結果を表7に示す。 ○; 変化なし ○−; 微かに変化あり △; 僅かに変化あり ×; 変化あり なお、変化とは、黄変、白濁、タック、変形などを指す。 なお、表中の略号の詳細を下記する。UH−100;ETERNACOLL UH−100、数平均分子量1000のポリカーボネートジオール(宇部興産社製)UH−200;ETERNACOLL UH−200、数平均分子量2000のポリカーボネートジオール(宇部興産社製)DBTDL;ジブチル錫ジラウリレート(和光純薬製)DMF;N,N−ジメチルホルムアミド(和光純薬製 有機合成グレード) <ポリイソシアネート組成物の合成> 実施例40 滴下ロート装入したTMP17.1質量部を、リボンヒーターにより加熱して溶解させた。次いで、撹拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、1,4−BIC(A)を200質量部装入し、窒素雰囲気下、撹拌しながら75℃まで昇温した。次いで、溶解したTMPを約60分間かけて滴下した。滴下終了後80℃まで昇温し、イソシアネート基濃度が計算値に達するまで、反応を継続した。得られた反応液を薄膜蒸留装置(真空度50Pa、温度150℃)に通液して未反応の1,4−BIC(A)を除去し、さらに、固形分濃度が75質量%となるよう酢酸エチルを加え、ポリイソシアネート組成物(A6)を得た。 得られたポリイソシアネート組成物(A6)は、イソシアネート基濃度11.2%、粘度2300mPa・s(25℃)、固形分濃度75.2%であった。 実施例41〜45および比較例37〜41 表8に示す配合処方に従って、実施例40と同様の方法により、ポリイソシアネート組成物(B6〜T6)を得た。 <二液硬化型ポリウレタン樹脂の合成および評価> 主剤としてのアクリルポリオール(オレスターQ666 三井化学社製 水酸基価:60mgKOH/g)341.3質量部に、イルガノックス245(BASF社製 耐熱安定剤)1.47質量部、チヌビン234(BASF社製 紫外線吸収剤)1.23質量部、および、アデカスタブLA−72(ADEKA社製 HALS)0.74質量部を混合溶解した。 その後、実施例40で得られたポリイソシアネート組成物(A6)150質量部を配合し、さらに触媒としてポリイソシアネート組成物(A6)の固形分に対し300ppmのジブチル錫ジラウレートを添加した。さらに、アクリルポリオールとポリイソシアネート組成物(A6)の固形分が50質量%となるように酢酸ブチルを添加し、23℃で180秒間撹拌した。 次いで、この混合液を、硬度測定用ガラス基材、密着性測定用ポリカーボネート基材および引張物性測定用ポリプロピレン基板に塗布し、その後、120℃で3分間加熱硬化させた。更に、40℃で48時間加温し、被覆層の厚みが約40μmのポリウレタン樹脂の塗膜(A7)を得た。 実施例47〜51および比較例42〜46 表8に示す配合処方に従って、実施例46と同様の方法により、ポリウレタン樹脂の塗膜(B7〜T7)を得た。 実施例52 1,5−ジアミノペンタンを原料として、冷熱2段ホスゲン化法を加圧下で実施した。 すなわち、電磁誘導撹拌機、自動圧力調整弁、温度計、窒素導入ライン、ホスゲン導入ライン、凝縮器、原料フィードポンプを備え付けたジャケット付き加圧反応器に、オルトジクロロベンゼン2000質量部を仕込んだ。次いで、ホスゲン2300質量部をホスゲン導入ラインより加え、撹拌を開始した。反応器のジャケットには冷水を通し、内温を約10℃に保った。そこへ、1,5−ジアミノペンタン400質量部をオルトジクロロベンゼン2600質量部に溶解した溶液を、フィードポンプにて60分かけてフィードし、30℃以下、常圧下で冷ホスゲン化を開始した。フィード終了後、加圧反応器内は淡褐白色スラリー状液となった。 次いで、反応器の内液を60分かけて160℃に昇温しながら0.25MPaに加圧し、さらに圧力0.25MPa、反応温度160℃で90分間熱ホスゲン化した。また、熱ホスゲン化の途中で、ホスゲンを1100質量部追加した。熱ホスゲン化の過程で加圧反応器内液は淡褐色澄明溶液となった。熱ホスゲン化終了後、100〜140℃で窒素ガスを100L/時で通気し、脱ガスした。 次いで、減圧下で溶媒のオルトジクロルベンゼンを留去した後、同じく減圧下で1,5−ペンタメチレンジイソシアネート(以下、1,5−PDIと略する。)を留去させた。次いで、留去させた1,5−PDIを、撹拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに装入し、窒素を導入しながら、常圧下で、190℃、3時間加熱処理した。 次いで、加熱処理後の1,5−PDIを、ガラス製フラスコに装入し、充填物(住友重機械工業社製、商品名:住友/スルザーラボパッキングEX型)を4エレメント充填した蒸留管、還流比調節タイマーを装着した蒸留塔(柴田科学社製、商品名:蒸留頭K型)、および、冷却器を装備する精留装置を用いて、127〜132℃、2.7KPaの条件下、さらに還流しながら精留し、1,5−PDIを480質量部得た。 得られた1,5−PDIのガスクロマトグラフィー測定による純度は99.9%であった。 撹拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、上記の1,5−PDI 500質量部、および、低分子量ポリオールとしてトリメチロールプロパン(略号:TMP)50.0質量部を装入した(当量比(NCO/OH)=5.8)。窒素雰囲気下、75℃まで昇温し、トリメチロールプロパンが溶解したことを確認した後、イソシアネート基濃度が計算値(未反応のイソシアネート基の理論量。表1参照。)に達するまで、83℃で反応させた。 次いで、この反応溶液を55℃まで降温した後、混合抽出溶剤(n−ヘキサン/酢酸エチル=90/10(質量比))を350質量部加え、10分間撹拌し、10分間静置した後、抽出溶剤層を除去した。同抽出操作を4回繰り返した。その後、得られた反応液から、減圧下、80℃に加熱して、反応液中に残留する抽出溶剤を除去し、ポリイソシアネート組成物を得た。 その後、得られたポリイソシアネート組成物(1,5−PDI/TMPアダクト)と、上記の実施例40により得たポリイソシアネート組成物(A6)とを用いて、表8に示す配合処方に従って、実施例46と同様の方法により、ポリウレタン樹脂の塗膜(U8)を得た。 評価 <塗膜硬度> JIS K 5600−5−6(1995年)に準拠して、ガラス基材に塗布した塗膜表面に傷がついた時点での鉛筆硬度を、塗膜硬度として評価した。その結果を、表8に示す。 <密着性> 塗膜とポリカーボネート基材との密着性を、ASTM D3359(2007年)に準拠して評価した。その結果を、表8に示す。 なお、表中、5Bとは塗膜が剥がれた割合が0%であることを示し、3Bとは塗膜が剥がれた割合が5〜15%であることを示し、1Bとは塗膜が剥がれた割合が35〜65%であることを示す。 <引張物性> ポリプロピレン基板から塗膜を剥離し、得られた塗膜を幅1cm、長さ10cmのサイズにダンベルで打ち抜き、試験サンプルを得た。次いで、この試験サンプルに対して、引張圧縮試験機(インテスコ社製、Model205N)を用いて、23℃、引張速度5mm/min、チャック間距離50mmの条件で引張試験した。これにより、塗膜の破断強度(単位:MPa)および伸び(単位:%)を測定した。 <耐熱NOx黄変試験> ポリプロピレン基板から剥離させた塗膜の試験片を、90℃の熱風循環式のオーブンに1000時間静置した。その後、JIS L−0855(2005年)に準拠した試験方法により、NOx濃度2,000ppmにて2時間、暴露試験した。その後、試験片を、更に70℃、95%の恒温恒湿器内で24時間静置した。静置後の外観を目視にて確認した。 更に60℃で24時間減圧乾燥を行った後、上記した引張試験の方法に従って、破断伸びを測定した。試験後の破断伸びを試験前の破断伸びで除し、100をかけることにより、伸び保持率(単位:%)を算出した。その結果を、表8に示す。 <外観> 試験後の試験片について、外観を目視で観察した。評価の基準を下記する。また、その結果を表8に示す。 ○; 変化なし ○−; 微かに変化あり △; 僅かに変化あり ×; 変化あり なお、変化とは、黄変、白濁、タック、変形などを指す。 なお、表中の略号の詳細を下記する。TMP;トリメチロールプロパン(和光純薬製) <ポリウレタンフォームの調製および評価> 実施例53 表9の配合処方に従って、EP−950P(ポリエーテルポリオール、三井化学社製)、トリエタノールアミン(TEOA)(三井化学社製)、ジエタノールアミン(DEOA)(三井化学社製)、イオン交換水、33LV(アミン触媒、エアープロダクツ社製)、Niax A1(アミン触媒、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)、UL−28(アミン触媒、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)スタノクト(オクチル酸錫、エーピーアイコーポレーション社製)、Y10366(シリコーン製泡剤、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)チヌビン765(BASF社製 HALS)、および、JP−308;トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト(城北化学社製)を秤量し、それらを均一になるまで撹拌混合することにより、レジンプレミックスを調製した。次いで、得られたレジンプレミックスを23℃に調整した。 その後、レジンプレミックスに、1,4−BAC(A)151.9質量部を加えて、それらをハンドミキサー(回転数5000rpm)によって15秒間撹拌してポリウレタンフォーム組成物を調製し、その調製直後に、手早く、ポリウレタンフォーム組成物を木製のボックスに投入し、発泡形成した。これによって、ポリウレタンフォーム(A8)を得た。 実施例54〜58および比較例47〜51 表9に示す配合処方に従って、実施例53と同様の方法により、ポリウレタンフォーム(B8〜T8)を調製した。実施例54〜58および比較例47〜50はフォームを得ることができた。一方、比較例51は発泡途中にセルが崩壊し、フォームを得ることができなかった。 評価 <収縮> ポリウレタンフォームを、温度23℃、相対湿度55%の室内で2日間静置し、静置後におけるポリウレタンフォームの収縮の有無を目視により観察した。なお、収縮無しを○、収縮有りを×として評価した。その結果を、表9に示す。 <見かけ密度> 収縮の評価後のポリウレタンフォームの中心部(コア)より10×10×5cmのサイズの直方体を切り出して、測定試料を作製し、その後、測定試料の見かけ密度(単位:kg/m3)をJIS K7222(2005年)に準拠して測定した。その結果を、表9に示す。 <フォームの硬度 25%CLD> JIS K−6400−2(2012年)記載のD法に準拠してフォーム硬度(単位:N/314cm2)測定した。その結果を、表9に示す。 <通気量> 収縮の評価後のポリウレタンフォームを厚み10mmのシート状に裁断した後、クラッシング(クラッシング条件:ポリウレタンフォームが、2本ローラの間(間隔0.2mm)を通過)して、通気量測定用試料を作製し、その後、通気量測定用試料の通気量(単位:cc/cm2/s)JIS K6400−7(2004年)に記載のA法に準拠して測定した。その結果を、表9に示す。 <引張物性> JIS K−6400(2004年)記載の方法により引張強度(単位:kPa)および伸度(単位:%)を測定した。その結果を、表9に示す。 <耐熱NOx黄変試験> ポリウレタンフォームの試験片を80℃の熱風循環式のオーブンに1000時間静置した。その後、JIS L−0855(2005年)に準拠した試験方法により、NOx濃度2,000ppmにて2時間、暴露試験した。その後、試験片を、更に70℃、95%の恒温恒湿器内で24時間静置した。静置後の外観を目視にて確認した。 更に60℃で24時間減圧乾燥を行った後、上記した引張試験の方法に従って、破断伸びを測定した。試験後の破断伸びを試験前の破断伸びで除し、100をかけることにより、伸び保持率(単位:%)を算出した。その結果を、表9に示す。 <外観> 試験後の試験片について、外観を目視で観察した。評価の基準を下記する。また、その結果を表9に示す。 ○; 変化なし ○−; 微かに変化あり △; 僅かに変化あり ×; 変化あり なお、変化とは、黄変、白濁、タック、変形などを指す。 なお、表中の略号の詳細を下記する。EP−950P;ポリエーテルポリオール(三井化学社製)TEOA;トリエタノールアミン(三井化学社製)DEOA;ジエタノールアミン(三井化学社製)33LV;アミン触媒(エアープロダクツ社製)Niax A1;アミン触媒(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)UL−28;アミン触媒(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)スタノクト;オクチル酸錫(エーピーアイコーポレーション社製)Y10366;シリコーン製泡剤(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)チヌビン765;ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)(BASF社製)JP−308;トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト(城北化学社製) <ポリウレタン繊維の調製および評価> プレポリマー(a9)の合成 撹拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、1,4−BIC(A)を24.9質量部、減圧脱水処理した、PEG2000U(数平均分子量2000のポリエチレングリコール、日油製)を100.0質量部装入し、窒素雰囲気下、80℃にて1時間撹拌した。さらにオクチル酸ビスマス(触媒、商品名:ネオスタンU−600、日東化成社製)をDINA(ジェイ・プラス社製)により4質量%に希釈した溶液0.015質量部を添加し、イソシアネート基含量が5.23質量%になるまで反応させ、イソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマー(a9)(以下プレポリマー(a9)と略する。)を得た。 ポリウレタンエラストマー(A9)の合成 予め80℃に調整したプレポリマー(a9)100質量部、GA−80(住友化学社製 耐熱安定剤)1.06質量部、チヌビン234(BASF社製 紫外線吸収剤)0.32質量部、アデカスタブLA−72(株式会社ADEKA社製 HALS)0.32質量部をステンレス容器に入れ、高速ディスパーを使用して、1000rpmの撹拌下、約2分間撹拌混合した。次いで、鎖伸長剤として予め80℃に調整した1,4−BD 5.34質量部、オクチル酸ビスマス(触媒、商品名:ネオスタンU−600、日東化成社製)をDINA(ジェイ・プラス社製)により4質量%に希釈した溶液0.013質量部を添加し、高速ディスパーを使用して、1000rpmの撹拌下、約10分間撹拌混合した。 次いで、予め150℃に温調したSUS製バッドに反応混合液を流し込み、150℃にて1時間、次いで、100℃にて23時間反応させ、ポリウレタンエラストマー(A9)を得た。 その後、バットからポリウレタンエラストマー(A9)を取り外し、室温23℃、相対湿度55%の恒温恒湿条件下にて、7日間養生した。 得られたポリウレタンエラストマー(A9)を、ベールカッターによりサイコロ状に切断し、粉砕機にてサイコロ状の樹脂を粉砕した。この粉砕ペレットを窒素気流下、80℃にて一昼夜乾燥した。単軸押出機(型式:SZW40−28MG、テクノベル社製)を用いてシリンダー温度150〜245℃の範囲でストランドを押出し、それをカットすることによって、ポリウレタンエラストマー(A9)のペレットを得た。得られたペレットをさらに窒素気流下、80℃にて一昼夜乾燥した。 JIS K 7199(1999年)に従ってせん断粘度を測定する要領で押出した溶融樹脂を、機械的に巻取り、ポリウレタン繊維(A9)を得た。 具体的には、ポリウレタンエラストマー(A9)のペレットを減圧下において、80℃で15時間の乾燥処理した。キャピラリーレオメーター(東洋精機製 CAPIROGRAPH 1C)を使用して、乾燥後のペレットをバレル(内径:9.55mm)に充填し、220℃で3分間の予備加熱で溶融させた後、5mm/分のピストン速度で押し出した。バレルの先端のノズル(直径1mm、長さ10mm)から押出された溶融樹脂を、フィラメント巻取り装置(井元製作所製)を使用して、直径90mmのロールを700rpmで回転させて巻き取った。 実施例60〜64および比較例52〜56 表10に示す配合処方に従って、実施例59と同様の方法により、ポリウレタン繊維(B9〜T9)を得た。 <紡糸性> フィラメントの平均径、10分間の有効紡糸時間(フィラメントの破断等により巻取りを停止している時間を除く正味の紡糸時間)におけるフィラメントの破断回数の他、巻き取った後のフィラメントの膠着の程度を以下の基準で評価した。・巻取りロールから、フィラメントを速やかに取出すことができる。・・・○・僅かな膠着が認められるが、フィラメントを取出すことができる。 ・・・△・フィラメント同士が膠着し、フィラメントを取出すことができない。・・・× <耐熱NOx黄変試験> 得られたポリウレタン繊維をJIS L−0855(2005年)に記載の試料ホルダに約3gまきつけ、90℃の熱風循環式のオーブンに1000時間静置した。その後、JIS L−0855(2005年)に準拠した試験方法により、NOx濃度2,000ppmにて2時間、暴露試験した。その後、試験片を、更に80℃、95%の恒温恒湿器内で24時間静置した。静置後の外観を目視にて確認した。 <外観> 試験後の試験片について、外観を目視で観察した。評価の基準を下記する。また、その結果を表10に示す。 ○; 変化なし ○−; 微かに変化あり △; 僅かに変化あり ×; 変化あり なお、変化とは、黄変、白濁、タック、変形などを指す。 <熱硬化性ポリウレタンウレアの調製> 実施例65 窒素導入管、温度計、バキュームラインおよび撹拌装置を備えた反応容器に、1,4−BIC(A)を280.2質量部、数平均分子量1000のポリテトラメチレンエーテルグリコール(商品名:PolyTHF1000S、BASFジャパン社製)を331.3質量部、数平均分子量2000のポリテトラメチレンエーテルグリコール(商品名:PolyTHF2000S、BASFジャパン社製)を244.8質量部、イルガノックス245(BASF社製 耐熱安定剤)を2.57質量部、チヌビン234(BASF社製 紫外線吸収剤)1.71質量部、チヌビン765(BASF社製HALS)を1.28質量部装入し、窒素雰囲気下、80〜85℃で1時間撹拌した。更に、予めジブチル錫ジラウリレートをジイソノニルアジペート(ジェイ・プラス社製)により4質量%に希釈した溶液0.011質量部を装入した。引き続き、80℃で撹拌を行い、イソシアネート基含量が15.14質量%になるまで反応させた後、BYK088(ビックケミー・ジャパン株式会社製消泡剤)を加え、10分間撹拌を継続した。この後、真空下で脱泡操作を行い、イソシアネート基末端プレポリマーを得た。 続いて、窒素導入管、温度計、バキュームラインおよび撹拌装置を備えた反応容器に、4,4’−メチレンビス[N−(1−メチルプロピル)シクロヘキサンアミン](商品名:CLEARLINK1000、Dorf Ketal Chemicals社製)を123.75質量部、4,4’−メチレンビス(シクロへキシルアミン)(商品名:ワンダミン HM、新日本理化社製)を14.27質量部装入し、容器内の気層部分を窒素で十分に置換した後、20〜35℃で約15分間撹拌した。この後、真空下で脱泡処理し、低分子量活性水素基含有成分(アミン硬化剤)を得た。 そして、60℃に加温したイソシアネート基末端プレポリマーと、室温の低分子量活性水素基含有成分(アミン硬化剤)を、2台の小型精密ギアポンプを使用して、各々個別に1本のスタティクミキサー(SM632型:エレメント数=32、内径=7mm、全長=241mm)に送り、これを通過させることで、全体が均質になるように混合した。 なお2液の流量は、表11に示す配合処方に従った。そして、スタティックミキサーの先端部より吐出された混合液を、60℃に加温した2mm厚みの金型に流し込み、60℃にて5分間反応させた。その後、金型から硬化物を取り外し、引き続き60℃にて24時間反応させた後、23℃、50%相対湿度の恒温恒湿条件下にて7日間養生し、熱硬化性ポリウレタンウレア樹脂のシート(A10)(成形品)を得た。 実施例66〜70および比較例57〜61 表11に示す配合処方に従って、実施例65と同様の方法により、熱硬化性ポリウレタンウレア樹脂のシート(B10〜T10)を得た。 <硬度:ShoreA> 「JIS K−7311 ポリウレタン系熱可塑性エラストマーの試験方法」(1995年)に準じてShoreD硬さを測定し、その結果を表11に数値として示した。 <引張物性> 「JIS K−7311 ポリウレタン系熱可塑性エラストマーの試験方法」(1995年)に記載の方法に準拠して得られたシートを用いた引張試験を実施した。試験片をJIS−3号ダンベルにて打ち抜き、引張試験機(東洋精機社製、商品名:全自動ゴム引張試験機 TYPE:AE−CT)にて、標線間20mm、引張速度300mm/分の条件で引張強度(単位:MPa)および伸び(単位:%)を測定した。その結果を表11に示す。 <耐熱NOx黄変試験> 熱硬化性ポリウレタンウレアの試験片を80℃の熱風循環式のオーブンに1000時間SUS製の鏡面プレート上に試験片をのせて静置した。試験終了後、23℃50%RHの恒温室にて2日間養生した後、鏡面プレートから試験片を外した。その後、JIS L−0855(2005年)に準拠した試験方法により、NOx濃度2,000ppmにて2時間、暴露試験した。その後、試験片を、更に70℃、95%の恒温恒湿器内で24時間静置した。静置後の外観を目視にて確認した。 更に60℃で24時間減圧乾燥させた後、上記した引張試験の方法に従って、破断伸びを測定した。試験後の破断伸びを試験前の破断伸びで除し、100をかけることにより、伸び保持率(単位:%)を算出した。その結果を、表11に示す。 <外観> 試験後の試験片について、外観を目視で観察した。評価の基準を下記する。また、その結果を表11に示す。 ○; 変化なし ○−; 微かに変化あり △; 僅かに変化あり ×; 変化あり なお、変化とは、黄変、白濁、タック、変形などを指す。 <透湿性ポリウレタンエラストマー(TPU)の合成および評価> 実施例71 ・プレポリマーの合成 撹拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、1,4−BIC(A)を228.7質量部、および、予め減圧脱水処理した、PEG2000U(数平均分子量2000のポリエチレングリコール、日油社製)683.5質量部装入し、窒素雰囲気下、80℃にて1時間撹拌後、予めオクチル酸ビスマス(触媒、商品名:ネオスタンU−600、日東化成社製)をDINA(ジェイ・プラス社製)により4質量%に希釈した溶液0.110質量部を添加した。引き続き80℃にてイソシアネート基含量が7.7質量%になるまで反応させ、イソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマー(a11)(以下プレポリマー(a11)と略する。)を得た。 ・ポリウレタンエラストマー(A11)の調製 予め80℃に調整したプレポリマー(a11) 900質量部、イルガノックス245(BASF社製 耐熱安定剤)9.92質量部、チヌビン234(BASF社製 紫外線吸収剤)2.95質量部、およびアデカスタブLA−72(ADEKA社製 HALS)2.95質量部、をステンレス容器に入れ、高速ディスパーを使用して、1000rpmの撹拌下、約2分間撹拌混合した。次いで、鎖伸長剤として予め80℃に調整した1,4−BD 71.72質量部を添加し、高速ディスパーを使用して、1000rpmの撹拌下、約10分間撹拌混合した。 次いで、予め150℃に温調したSUS製バッドに反応混合液を流し込み、150℃にて1時間、次いで、100℃にて23時間反応させ、ポリウレタンエラストマー(A11)を得た。 その後、バットからポリウレタンエラストマー(A11)を取り外し、室温23℃、相対湿度55%の恒温恒湿条件下にて、7日間養生した。 得られたポリウレタンエラストマー(A11)を、ベールカッターによりサイコロ状に切断し、粉砕機にてサイコロ状の樹脂を粉砕した。この粉砕ペレットを窒素気流下、80℃にて一昼夜乾燥した。単軸押出機(型式:SZW40−28MG、テクノベル社製)を用いてシリンダー温度150〜245℃の範囲でストランドを押出し、それをカットすることによって、ポリウレタンエラストマー(A11)のペレットを得た。得られたペレットをさらに窒素気流下、80℃にて一昼夜乾燥した。 次いで、射出成型機(型式:NEX−140、日精樹脂工業社製)を使用して、スクリュー回転数80rpm、バレル温度150〜235℃の設定にて、金型温度20℃、射出時間10秒、射出速度60mm/sおよび冷却時間45秒の条件で、射出成形を実施した。得られた2mm厚みのシートを室温23℃、相対湿度55%の恒温恒湿条件下にて、7日間養生し、エラストマーシートを得た。 一方、得られたペレットを、Tダイスを装着した単軸押出機により、スクリュー回転数20rpm、シリンダー温度200〜250℃の範囲で、厚みが20μmのフィルムを成形した。 得られたフィルム(厚み20μm)を室温23℃、相対湿度50%の恒温恒湿条件下にて、7日間養生した。 評価 <硬度:ShoreA> エラストマーシートを用い、「JIS K−7311 ポリウレタン系熱可塑性エラストマーの試験方法」(1995年)に準じてShoreA硬さを測定し、その結果を表12に示す。 <引張物性> エラストマーシートを用い、「JIS K−7311 ポリウレタン系熱可塑性エラストマーの試験方法」(1995年)に記載の方法に準拠して得られたシートを用いた引張試験を実施した。試験片をJIS−3号ダンベルにて打ち抜き、引張試験機(東洋精器社製、商品名:全自動ゴム引張試験機 TYPE:AE−CT)にて、標線間20mm、引張速度300mm/分の条件で破断強度(単位:MPa)および伸び(単位:%)の測定を行った。その結果を、表12に示す。 <フィルムの透湿度(単位:(g/m2・24h))> 「JIS L−1099 繊維製品の透湿度試験方法」(2012年)A−1法(塩化カルシウム法)、B−2法(酢酸カリウム法の別法1)記載の方法に準拠し、測定した。その後、24時間の値に換算した。結果を表12に示す。 <フィルムの軟化温度(単位:℃)> 熱機械分析計(Seiko Instruments社製、モデル:TMA/6600)を用いて、20μm厚のポリウレタンエラストマーフィルムの軟化温度をJIS K7196記載の方法で測定した。結果を表12に示す。 <アイウェアフレームのためのポリウレタンエラストマー(TPU)の合成および評価> 実施例72 ・プレポリマーの合成 撹拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、1,4−BIC(A)を324.2質量部、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(タケネート600、三井化学社製)81.0質量部、予め減圧脱水処理した、PTG1000(数平均分子量1000のポリテトラメチレンエーテルグリコール、保土ヶ谷化学工業社製)215.3質量部、および、PTG2000SN(数平均分子量2000のポリテトラメチレンエーテルグリコール、保土ヶ谷化学工業社製)215.1質量部を装入し、窒素雰囲気下、80℃にて1時間撹拌後、予めオクチル酸スズ(触媒、商品名:スタノクト、エーピーアイコーポレーション社製)をDINA(ジェイ・プラス社製)により4質量%に希釈した溶液0.124質量部を添加した。引き続き80℃にてイソシアネート基含量が17.7質量%になるまで反応させ、イソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマー(a12)(以下プレポリマー(a12)と略する。)を得た。 ・ポリウレタンエラストマー(A12)の調製 予め80℃に調整したプレポリマー(a12) 835.7質量部、イルガノックス245(BASF社製 耐熱安定剤)2.98質量部、チヌビン234(BASF社製 紫外線吸収剤)2.48質量部およびアデカスタブLA−72(ADEKA社製 HALS)1.49質量部、をステンレス容器に入れ、高速ディスパーを使用して、1000rpmの撹拌下、約2分間撹拌混合した。次いで、鎖伸長剤として予め80℃に調整した1,4−BD 157.3質量部を添加し、高速ディスパーを使用して、1000rpmの撹拌下、約10分間撹拌混合した。 次いで、予め120℃に温調したSUS製バッドに反応混合液を流し込み、120℃にて24時間反応させ、ポリウレタンエラストマー(A12)を得た。 その後、バットからポリウレタンエラストマー(A12)を取り外し、室温23℃、相対湿度55%の恒温恒湿条件下にて、7日間養生した。 得られたポリウレタンエラストマー(A12)を、ベールカッターによりサイコロ状に切断し、粉砕機にてサイコロ状の樹脂を粉砕した。この粉砕ペレットを窒素気流下、80℃にて一昼夜乾燥した。単軸押出機(型式:SZW40−28MG、テクノベル社製)を用いてシリンダー温度150〜245℃の範囲でストランドを押出し、それをカットすることによって、ポリウレタンエラストマー(A12)のペレットを得た。得られたペレットをさらに窒素気流下、80℃にて一昼夜乾燥した。 次いで、射出成型機(型式:NEX−140、日精樹脂工業社製)を使用して、スクリュー回転数80rpm、バレル温度150〜235℃の設定にて、金型温度20℃、射出時間10秒、射出速度60mm/sおよび冷却時間30秒の条件で、射出成形を実施した。得られた2mm厚みのシートを室温23℃、相対湿度55%の恒温恒湿条件下にて、7日間養生し、エラストマーシートを得た。 実施例73〜75および比較例62〜63 表13に示す配合処方に従って、実施例72と同様の方法により、プレポリマー(a13〜l12)を合成し、ポリウレタンエラストマー(A13〜L12)を得た。 評価 <硬度:ShoreA>「JIS K−7311 ポリウレタン系熱可塑性エラストマーの試験方法」(1995年)に準じてShoreA硬さを測定し、その結果を表13に数値として示した。 <引張物性> 「JIS K−7311 ポリウレタン系熱可塑性エラストマーの試験方法」(1995年)に記載の方法に準拠して得られたシートを用いた引張試験を実施した。試験片をJIS−3号ダンベルにて打ち抜き、引張試験機(東洋精器社製、商品名:全自動ゴム引張試験機 TYPE:AE−CT)にて、標線間20mm、引張速度300mm/分の条件で破断強度(単位:MPa)および伸び(単位:%)の測定を行った。その結果を、表13に示す。 <アイゾット衝撃> 「JIS K−7110 プラスチックーアイゾット衝撃強さの試験方法」(1999年)に記載の方法に準拠して、ノッチなしおよびノッチ付き(Aタイプ)にて−30℃での測定を実施した。結果を表13に示す。 <荷重たわみ温度> 「JIS K7191−2 プラスチックー荷重たわみ温度の求め方― 第2部:プラスチック及びエボナイト」(2007年)に準拠して、B法にて測定した。結果を表13に示す。 <平行光線透過率(単位:%)、ヘイズ> Haze Meter(日本電色工業製、モデル:NDH 2000)を用いて、2mm厚のポリウレタンエラストマーシートの全光線透過率、およびヘイズ(JIS K7105(光源:D65)に準拠)を測定した。結果を表13に示す。 <耐溶剤性> 射出シートを3×7cmの大きさにダンベルにて打ち抜き、エタノール(和光純薬製)に浸漬し、23℃×50%RH下に72時間静置した。浸漬前後の重量変化率を膨潤度として、表13に示す。 <耐熱NOx黄変試験> ポリウレタンエラストマーの試験片を90℃の熱風循環式のオーブンに1000時間静置した。その後、JIS L−0855(2005年)に準拠した試験方法により、NOx濃度2,000ppmにて2時間、暴露試験した。その後、試験片を、更に70℃、95%の恒温恒湿器内で24時間静置した。静置後の外観を目視にて確認した。 更に60℃で24時間減圧乾燥させた後、上記した引張試験の方法に従って、破断伸びを測定した。試験後の破断伸びを試験前の破断伸びで除し、100をかけることにより、伸び保持率(単位:%)を算出した。その結果を、表13に示す。 <外観> 試験後の試験片について、外観を目視で観察した。評価の基準を下記する。また、その結果を表13に示す。 〇; 変化なし ○−; 微かに変化あり △; 僅かに変化あり ×; 変化あり なお、変化とは、黄変、白濁、タック、変形などを指す。 なお、表中の略号の詳細を下記する。NBDI;ノルボルナンジイソシアネート 商品名:コスモネートNBDI(三井化学社製)PTG1000;数平均分子量1000のポリテトラメチレンエーテルグリコール(保土ヶ谷化学社製)PTG2000SN;数平均分子量2000のポリテトラメチレンエーテルグリコール(保土ヶ谷化学社製)PCL210;数平均分子量1000ポリカプロラクトンジオール、商品名:プラクセル210(ダイセル社製)UH−200D;数平均分子量2000のポリカーボネートジオール、商品名:ETERNACOLL UH−200D(宇部興産社製)1,4−BD;1,4−ブタンジオール(和光純薬製)1,3−PD;1,3−プロパンジオール(和光純薬製) <アイウェアレンズのための光学用ポリウレタン樹脂の合成および評価> 実施例76 ・プレポリマーの合成 撹拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、1,4−BIC(A)を450.5質量部、予め減圧脱水処理した、UH−50(数平均分子量500のポリカーボネートジオール、宇部興産社製)114.8質量部、および、BPX−11(ビスフェノールAにプロピレンオキサイドを2モル付加したポリオール、ADEKA社製)141.7質量部を装入し、窒素雰囲気下、80℃にて5時間、イソシアネート基含量が20.1質量%になるまで反応させ、イソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマー(a16)(以下プレポリマー(a16)と略する。)を得た。 ・ポリウレタン(A16)の調製 予め80℃に調整したプレポリマー(a16) 707.1質量部、イルガノックス245(BASF社製 耐熱安定剤)4.97質量部、チヌビン234(BASF社製 紫外線吸収剤)0.99質量部、アデカスタブLA−72(ADEKA社製 HALS)0.99質量部、および、アントラキノン系ブルーイング剤溶液(ブルーイング剤(商品名:Plast Blue 8514、有本化学工業社製)をDINAにより0.1質量%に希釈)をPlast Blue 8514基準で0.6ppm添加した混合液をステンレス容器に入れ、高速ディスパーを使用して、1000rpmの撹拌下、約2分間撹拌混合した。次いで、鎖伸長剤として予め80℃に調整した1,4−BD 103.5質量部およびBPX−11 182.4質量部の混合溶液を添加し、高速ディスパーを使用して、1000rpmの撹拌下、約10分間撹拌混合した。 次いで、予め120℃に温調したSUS製バッドに反応混合液を流し込み、120℃にて24時間反応させ、ポリウレタン(A16)を得た。 その後、バットからポリウレタン(A16)を取り外し、室温23℃、相対湿度55%の恒温恒湿条件下にて、7日間養生した。 得られたポリウレタン(A16)を、ベールカッターによりサイコロ状に切断し、粉砕機にてサイコロ状の樹脂を粉砕した。この粉砕ペレットを窒素気流下、80℃にて一昼夜乾燥した。単軸押出機(型式:SZW40−28MG、テクノベル社製)を用いてシリンダー温度150〜245℃の範囲でストランドを押出し、それをカットすることによって、ポリウレタン(A16)のペレットを得た。得られたペレットをさらに窒素気流下、80℃にて一昼夜乾燥した。 次いで、射出成型機(型式:NEX−140、日精樹脂工業社製)を使用して、スクリュー回転数80rpm、バレル温度150〜235℃の設定にて、金型温度20℃、射出時間10秒、射出速度60mm/sおよび冷却時間30秒の条件で、射出成形を実施した。得られた2mm厚みのシートを室温23℃、相対湿度55%の恒温恒湿条件下にて、7日間養生し、ポリウレタンシートを得た。 実施例77、78および比較例64、65 表14に示す配合処方に従って、実施例76と同様の方法により、プレポリマー(a17〜l13)を合成し、ポリウレタン(A14〜L13)を得た。 評価 <硬度:ShoreA>「JIS K−7311 ポリウレタン系熱可塑性エラストマーの試験方法」(1995年)に準じてShoreA硬さを測定し、その結果を表14に数値として示した。 <アイゾット衝撃> 「JIS K−7110 プラスチックーアイゾット衝撃強さの試験方法」(1999年)に記載の方法に準拠して、ノッチなしおよびノッチ付き(Aタイプ)にて、−30℃での測定を実施した。結果を表14に示す。 <荷重たわみ温度> 「JIS K7191−2 プラスチックー荷重たわみ温度の求め方― 第2部:プラスチック及びエボナイト」(2007年)に準拠して、B法にて測定した。結果を表14に示す。 <光学特性> プルフリッヒ屈折計を用いて、20℃で屈折率(ne)およびアッベ数(νe)を測定した。その結果を、表14に示す。 <平行光線透過率(単位:%)、ヘイズ> Haze Meter(日本電色工業製、モデル:NDH 2000)を用いて、2mm厚のポリウレタンシートの全光線透過率、およびヘイズ(JIS K7105(光源:D65)に準拠)を測定した。結果を表14に示す。 <耐溶剤性>射出シートを3×7cmの大きさにダンベルにて打ち抜き、エタノール(和光純薬製)に浸漬し、23℃×50%RH下に72時間静置した。浸漬前後の重量変化率を膨潤度として、表14に示す。 <耐熱NOx黄変試験> ポリウレタンエラストマーの試験片を90℃の熱風循環式のオーブンに1000時間静置した。その後、JIS L−0855(2005年)に準拠した試験方法により、NOx濃度2,000ppmにて2時間、暴露試験した。その後、試験片を、更に70℃、95%の恒温恒湿器内で24時間静置した。静置後の外観を目視にて確認した。その結果を、表14に示す。 <外観> 試験後の試験片について、外観を目視で観察した。評価の基準を下記する。また、その結果を表14に示す。 〇; 変化なし ○−; 微かに変化あり △; 僅かに変化あり ×; 変化あり なお、変化とは、黄変、白濁、タック、変形などを指す。 なお、表中の略号の詳細を下記する。1,3−BIC;1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン 商品名:タケネート600(三井化学社製)NBDI;ノルボルナンジイソシアネート 商品名:コスモネートNBDI(三井化学社製)1,4−BD;1,4−ブタンジオール(和光純薬製) なお、上記発明は、本発明の例示の実施形態として提供したが、これは単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。当該技術分野の当業者によって明らかな本発明の変形例は、後記特許請求の範囲に含まれる。 本発明の1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ポリイソシアネート組成物、ポリウレタン樹脂および成形品は、エラストマー(ポリウレタン溶液、水系ポリウレタン、熱溶融成形(スラッシュ成形、回転成形)ウレタンパウダー、熱可塑性ウレタンエラストマー(TPU)、熱硬化性ウレタンエラストマー(TSU)、スプレー成形ウレタン、溶融紡糸法もしくは乾式紡糸法弾性繊維、)、塗料(主に溶液系、粉体系硬化剤:アダクト、アロファネート、ビュレット、ウレトジオン、ポリイソシアヌレート、イミノオキサジアンジオンおよびそれらの混合物)、工業用あるいはホットメルト用接着剤、シーリング材、ポリウレタンフォーム、ゲルなど、幅広い用途に用いることができ、さらには、本発明のアイウェア材料、アイウェアフレームおよびレンズにおいて、用いることができる。 シス体およびトランス体の総量に対して、トランス体を70モル%以上95モル%以下の割合で含み、かつ、 下記式(1)で示される化合物の含有割合が、0.1ppm以上300ppm以下であることを特徴とする、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン。 シス体およびトランス体の総量に対して、トランス体を80モル%以上93モル%以下の割合で含むことを特徴とする、請求項1に記載の1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン。 シス体およびトランス体の総量に対して、トランス体を70モル%以上95モル%以下の割合で含み、かつ、下記式(1)で示される化合物の含有割合が、0.1ppm以上300ppm以下である1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを変性することにより得られ、 下記(a)〜(e)の官能基を少なくとも1種含有することを特徴とする、ポリイソシアネート組成物。(a)イソシアヌレート基(b)アロファネート基(c)ビウレット基(d)ウレタン基(e)ウレア基 シス体およびトランス体の総量に対して、トランス体を70モル%以上95モル%以下の割合で含み、かつ、下記式(1)で示される化合物の含有割合が、0.1ppm以上300ppm以下である1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、および/または、前記1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを変性することにより得られ、下記(a)〜(e)の官能基を少なくとも1種含有するポリイソシアネート組成物を含むポリイソシアネート成分と、活性水素基含有成分とを反応させることにより得られることを特徴とする、ポリウレタン樹脂。(a)イソシアヌレート基(b)アロファネート基(c)ビウレット基(d)ウレタン基(e)ウレア基 シス体およびトランス体の総量に対して、トランス体を70モル%以上95モル%以下の割合で含み、かつ、下記式(1)で示される化合物の含有割合が、0.1ppm以上300ppm以下である1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、および/または、前記1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを変性することにより得られ、下記(a)〜(e)の官能基を少なくとも1種含有するポリイソシアネート組成物を含むポリイソシアネート成分と、活性水素基含有成分とを反応させることにより得られるポリウレタン樹脂から得られることを特徴とする、成形品。(a)イソシアヌレート基(b)アロファネート基(c)ビウレット基(d)ウレタン基(e)ウレア基 1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンは、シス体およびトランス体の総量に対してトランス体を70モル%以上95モル%以下の割合で含み、かつ、下記式(1)で示される化合物の含有割合が0.1ppm以上300ppm以下である。【化1】


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