タイトル: | 公表特許公報(A)_細菌及びその使用 |
出願番号: | 2014548056 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | C12N 1/20,C12P 1/00,C12P 7/44,C12P 7/26,A23L 1/30,C12N 15/09,C12N 1/15,C12N 1/19,C12N 1/21,C12N 5/10,C12N 1/16 |
レオネッティ,ジャン−ポール ピットカネン,ユハ−ペッカ ヨーテン,ポーラ JP 2015502169 公表特許公報(A) 20150122 2014548056 20121221 細菌及びその使用 ディノベ 513111145 DEINOVE 井関 勝守 100121728 金子 修平 100165803 レオネッティ,ジャン−ポール ピットカネン,ユハ−ペッカ ヨーテン,ポーラ EP 11306768.0 20111223 US 61/579,821 20111223 C12N 1/20 20060101AFI20141219BHJP C12P 1/00 20060101ALI20141219BHJP C12P 7/44 20060101ALI20141219BHJP C12P 7/26 20060101ALI20141219BHJP A23L 1/30 20060101ALI20141219BHJP C12N 15/09 20060101ALI20141219BHJP C12N 1/15 20060101ALI20141219BHJP C12N 1/19 20060101ALI20141219BHJP C12N 1/21 20060101ALI20141219BHJP C12N 5/10 20060101ALI20141219BHJP C12N 1/16 20060101ALI20141219BHJP JPC12N1/20 AC12P1/00 ZC12P7/44C12P7/26A23L1/30 ZC12N15/00 AC12N1/15C12N1/19C12N1/21C12N5/00 101C12N1/16 G AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC EP2012076577 20121221 WO2013092967 20130627 32 20140728 4B018 4B024 4B064 4B065 4B018MD08 4B018MD20 4B018MD79 4B018ME06 4B024AA01 4B024AA05 4B024CA04 4B024CA20 4B024DA05 4B024EA04 4B024GA11 4B064AC03 4B064AC37 4B064AG01 4B064CA02 4B064CA06 4B064CA19 4B064CC24 4B064CD02 4B064CD09 4B064CD20 4B064CD21 4B065AA01X 4B065AB01 4B065AC14 4B065BA02 4B065BB02 4B065BB03 4B065BB15 4B065BB19 4B065BB29 4B065BC05 4B065BC09 4B065CA41 4B065CA44 本発明は、新規の細菌及びその使用に関する。特に、本発明は、特定の代謝プロファイルを有する細菌、及び化学産業、医薬産業又は農薬産業におけるそれらの使用、例えば産業的に関心のある代謝物又は薬物の生成のためのそれらの使用に関する。 グルコースは、細胞における主要なエネルギー源である。一般に、細菌は、グルコースを異化するために2つの代謝経路を用い、それらは解糖系と、これよりも程度は小さいペントースリン酸経路とである。解糖系では、グルコースをピルビン酸に変換し、放出された遊離エネルギーがATP(アデノシン三リン酸)及びNADH(還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)を生成するために用いられる。ペントースリン酸経路は、種々の物質を生成するためにグルコースを用い、NADPH(還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)及びペントースを生成する。特に、ペントースリン酸経路は、グルコース−6−リン酸からリブロース−5−リン酸への還元と共にNADPからNADPHを生成する。 細菌は、グルコースを異化するために解糖系を主に用いるが、ペントースリン酸経路にて生成されるNADPHは、産業的に有益な化合物を生成する生物学的反応において重要な役割を有する。実際に、細胞は、還元型グルタチオンを再生させるような、活性酸素(ROS)の毒性に対する防護に関わる多くの生合成及び酸化還元反応のための還元当量としてNADPHを用いる。また、NADPHは、アミノ酸合成(例えば、アルギニン、プロリン、イソロイシン、メチオニン、リジン)、ビタミン合成(例えば、パントテン酸、フィロキノン、トコフェロール)、ポリオール合成(例えば、キシリトール)、イソプレノイド合成、多価不飽和脂肪酸を含む脂肪酸合成等のいくつかの重要な同化経路、及び他の高い付加価値がある物質の合成に用いられる。さらに、NADPHは、芳香族化合物、ステロイド、アルコール及び薬物のシトクロムP450によるヒドロキシル化のための還元当量の源である。 重要な酵素反応を実行するための細胞の能力にはNADPHが関与するので、多くの細胞NADPHを有する微生物を得るために組換えアプローチが本技術分野において提案されてきた。 例えば、NADPHの酸化に関わる酵素の活性を制限する、及び/又はNADPの還元に関わる酵素の活性を増大するいくつかの試みがなされてきた。例えば、米国特許出願10/577084は、キニーネオキシドレダクターゼ又は可溶性トランスヒドロゲナーゼをコードする少なくとも1つの遺伝子の欠失により制限された1つ又はそれ以上のNADPH酸化活性を有する微生物の菌株に関する。 米国特許5830716は、ニコチンアミドジヌクレオチドトランスヒドロゲナーゼを発現する組換えエスケリキアコリ(Escherichia coli)に関する。この細菌において、増大されたNADPHレベルは、NADHから生成される。 このようなアプローチは、増大されたNADPH/NADP比を有する変異型微生物の生成を可能とする。しかしながら、特定の遺伝子の調節を解除することによる細胞の代謝の改変は、完全に満足されるものでない。実際に、そのような細胞における代謝フラックスは安定でなく、調節できない。さらに、代謝フラックスは、そのような組換えコファクター再生系の活性が細菌の生理機能の頑強性によって、またその頑強性に依存して厳密に調節されるため、容易に適合されないこともある。さらに、そのような組換え操作がなされた生物の生成は、時間及びコストがかかり、目的の化合物の生成に影響する。 NADPHの生成を増大するためのグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼの過剰発現も考えられてきた。しかしながら、その対応するコード遺伝子の過剰発現は、細胞にとって致命的である。 従って、産業的に有益な化合物を生成するために適切な微生物を常に必要とする。また、還元又は抗酸化活性の源を必要とする。還元型化合物又は抗酸化組成物を生成するための改善された方法が必要である。 本発明では、特定の代謝プロファイルを有する細菌の単離及び特徴付けを示し、それは生体内変化による価値が高い化合物の生成に特に便利で有利である。特に、本発明では、それらの代謝の自然な不均衡性を有する細菌の単離及び特徴付けを報告し、その代謝はペントースリン酸経路であることが好ましい。これらの細菌は、価値がある化合物を生成するのに用いることができ、また、強力な抗酸化性又は還元性材料となる。 本発明の対象は、特に、ペントースリン酸経路と解糖系との間の代謝経路比率が0.5よりも大きい細菌に関する。本発明の好ましい細菌は、ペントースリン酸経路と解糖系との代謝経路比率が1以上であり、より好ましくは1〜20である。 特定の実施形態において、本発明の細菌は、デイノコッカス(Deinococcus)種又はその関連細菌に属する。 本発明の他の対象は、以下のステップを含む細菌を選択又は最適化する方法に関する: a)細菌を含むサンプルを準備すること b)繰り返しの照射処理等の細胞破壊性DNAダメージ処理をサンプルに施すこと c)前記の処理が施されたサンプルから生存又は増殖している細菌を同定又は単離すること d)ステップc)のペントースリン酸経路と解糖系との間の代謝経路比率を測定すること e)ペントースリン酸経路と解糖系との間の代謝経路比率が0.5よりも大きい、好ましくは1以上である、より好ましくは1〜20であるステップd)の細菌を選択すること。 特定の実施形態において、ステップb)の処理は、繰り返しのUV照射、特に連続的なUV処理、例えば実質的に規則的な間隔での少なくとも2回、好ましくは3回又はそれ以上の繰り返しの照射を含む。 さらに、本発明は、少なくとも1つの組換え核酸配列をさらに含む上記の細菌に関する。好ましくは、少なくとも1つの組換え核酸配列は、NADPH依存性アルコールデヒドロゲナーゼ又はシトクロムP450酵素等の目的の反応を触媒できるNADPH依存性酵素をコードする。 本発明の更なる対象は、ペントースリン酸経路と解糖系との間の代謝経路比率が0.5よりも大きい組換え微生物を得るために微生物、特に細菌又は酵母を形質転換するための、NADPH依存性酵素をコードする上記の細菌の少なくとも1つの核酸配列の使用に関する。さらに、本発明はそのような微生物に関する。 本発明の更なる対象は、少なくとも2つの異なる微生物の共培養体に関し、その微生物の少なくとも1つは上記の細菌であり、その微生物の少なくとも1つは原核又は真核細胞であり、好ましくは酵母であり、前記少なくとも2つの微生物は互いに共生する。 本発明の更なる対象は、上記の細菌の無細胞抽出物に関し、好ましくは、細胞上清、細胞破片、細胞壁及びDNA抽出物に関する。 本発明の更なる対象は、生物生成プロセスにおける上記の細菌又は抽出物の使用に関する。 本発明の更なる対象は、目的の化合物、特に代謝物及び/又は薬物の生成のための上記の細菌又は抽出物の使用に関する。 本発明の更なる対象は、基質から目的の物質への生物変換反応のための上記の細菌又は抽出物の使用に関する。 本発明の更なる対象は、還元型又は抗酸化分子又は組成物の生成のための上記の細菌又はその抽出物の使用に関する。 本発明の更なる対象は、目的の化合物の生物生成の方法に関し、その方法は、本発明の細菌又はその抽出物を用いて化合物を生成すること、及び任意に化合物を回収することを含む。特定の実施形態において、その方法は、前記細菌又は抽出物に基質を曝露することを含み、その基質は、前記細菌又は抽出物により目的の化合物に変換される。他の実施形態において、その方法は、炭素源にその細菌又は抽出物を曝露することを含み、その細菌又は抽出物は、前記炭素源の発酵により化合物を生成する。 目的の化合物は、タンパク質、ペプチド、脂質、核酸、有機酸、アルコール、アミノ酸等の有機化合物であってもよい。その化合物は、薬物、代謝物、又はバイオ燃料、バイオプラスチック、色素等のファインケミカル製品であってもよい。その化合物は、精製された形態又は混合製剤であってもよい。 これに関して、本発明の更なる対象は、目的の代謝物及び/又は薬物の生成のための方法に関し、その方法は、適切な培養培地において上記代謝物及び/又は薬物を生成する上記の細菌を培養することと、培養培地から目的の代謝物及び/又は薬物を回収することとを含む。 本発明の更なる対象は、基質を目的の物質に生物変換するための方法に関し、その方法は、生物変換可能な条件下における炭素源及び基質を含む適切な培養培地で生物変換活性を有する上記の細菌を培養することと、その培養培地から目的の物質を回収することとを含む。 本発明の更なる対象は、目的の還元型分子の生成のための方法に関し、その方法は、炭素源を含む適切な培養培地において前記還元型分子を生成する上記の細菌を培養することと、その培養培地から目的の還元型分子を回収することとを含む。そのような還元型分子は、抗酸化特性を有する栄養補助食品の調製及び/又は化粧品組成物の調製のための有効成分として用いられ得る。 本発明の更なる対象は、本発明の細菌又はその抽出物を含む栄養補助食品又は化粧品組成物である。 本発明の更なる対象は、抗酸化剤として使用するための、本発明の細菌又はその抽出物を含む組成物に関する。ペントースリン酸経路及び解糖系を示す概略図である。デイノコッカスの2つの菌株における主要な代謝フラックス比率を示す図であり、両方の菌株において酸化的なペントースリン酸経路を通るフラックスが実質的に高いことを示す(1を超える)。同様に、ピルビン酸からオキサロ酢酸へのアナプレロティックなフラックス、及びリンゴ酸からピルビン酸へのリンゴ酸酵素フラックスは、両方の菌株において高い。 本発明は、概して、酸化的なペントースリン酸経路を通る恒常的で且つ高い代謝フラックスを有する細菌、及びNADPHを消費する生合成経路により物質を生成するためのその細菌の使用に関する。本発明に係る細菌は、発酵及び生物変換プロセスを含む、NADPHを消費する生体内変化プロセスに用いられ得る。本発明は、本発明に係る細菌の適切な培地での増殖を通して、生体内変化によって物質を調製するための方法にも関する。さらに、本発明は、組換え細菌に関し、その細菌は前記の物質の調製に必要な遺伝的要素を含むように最適化されている。 定義 本発明において、「デイノコッカス(Deinococcus)」細菌は、デイノコッカスの野生型又は自然変異菌株を含み、例えば、DNAシャッフリング技術による促進的進化を介して得られた菌株、又は真核生物、原核生物及び/又は合成の核酸の挿入により得られた組換え菌株を含む。デイノコッカス細菌は、以下に限定されないが、D. geothermalis, D.cellulolysiticus, D. radiodurans, D. proteolyticus, D. radiopugnans, D.radiophilus, D. grandis, D. indicus, D. frigens, D. saxicola, D. maricopensis, D.marmoris, D. deserti, D. murrayi, D. aerius, D. aerolatus, D. aerophilus, D. aetherius, D. alpinitundrae, D. altitudinis, D.apachensis,D. aquaticus, D. aquatilis, D. aquiradiocola, D. aquivivus, D. caeni, D. claudionis, D. ficus, D. gobiensis, D. hohokamensis, D.hopiensis, D. misasensis, D. navajonensis, D. papagonensis, D. peraridilitoris, D. pimensis, D. piscis,D. radiomollis, D. roseus, D. sonorensis, D. wulumuqiensis, D. xibeiensis, D. xinjiangensis, D. yavapaiensis 又は D. yunweiensis細菌等のデイノコッカス(Deinococcus)属の細菌を意味する。好ましくは、デイノコッカス細菌はD. geothermalis, D. cellulolysiticus,D. deserti, D.murrayi及び D. radioduransである。 デイノコッカスの「関連」細菌とは、(i)GTTACCCGGAATCACTGGGCGTA (SEQ ID N°1)プライマー及びGGTATCTACGCATTCCACCGCTA(SEQ ID N°2)プライマーを用いた増幅で、約158塩基対の断片を生じる16S rDNAを含み、(ii)4mJ/cm2のUV処理に耐性を有する細菌を意味する。特定の実施形態において、デイノコッカス関連細菌は、デイノコッカスの16SrDNA配列に対して少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%の同一性を有する16s rDNAを有する細菌である。 本発明において、「生物生成」の用語は、微生物、又はその抽出物若しくはその単離された一部を用いる生成プロセスを意味する。 本発明において、「発酵」の用語は、炭素源から微生物により物質が生成されるプロセスを意味する。本発明の好ましい発酵プロセスは、少なくとも1つのNADPH依存性ステップに関わる。 本発明において、「生物変換」の用語は、目的の物質に所定の基質を変換するために細菌又はその抽出物によって媒介される作用である。基質は、通常、細菌により資化されず、炭素源とは異なる。本発明の好ましい生物変換プロセスは、少なくとも1つのNADPH依存性ステップを含む。 「NADPH依存性」の用語は、プロセス又は反応が、活性化又は活性にNADPHを必要とする又は消費する少なくとも1つの酵素を必要とすることを意味する。 「遺伝子」とは、タンパク質をコードする核酸を意味する。遺伝子の用語は、cDNA又はgDNA等のDNA、及びRNAを含む。遺伝子は、例えば組換え法、酵素的方法及び/又は化学的方法によってまず調製され、その後、宿主細胞又はインビトロ系で複製され得る。一般に、遺伝子は、所望のタンパク質をコードするオープンリーディングフレームを含む。遺伝子は、転写ターミネーター、シグナルペプチド、IRES、イントロン等の追加配列を含み得る。好ましくは、遺伝子はイントロンを含まない。 細菌における配列、核酸又はユニットに関して「再構成」又は「組換え」の用語は、その配列、核酸又はユニットが細菌内に自然に存在せず、その細菌又はその祖先に構築及び/又は挿入されたことを意味する。細菌に関して「再構成」又は「組換え」の用語は、自然に存在しない細菌を意味し、配列、核酸又はユニットがその細菌又はその祖先に構築及び/又は挿入されたことを意味する。 「細胞破壊性DNAダメージ処理」は、E.coli細菌の培養において、90%又はそれ以上の細胞死を引き起こすのに十分な処理を意味する。より好ましくは、細胞破壊性DNAダメージ処理は、E.coliの培養において、細菌のタイターを少なくとも2log減少させるのに十分な処理である。そのような処理の例は照射を含み、好ましくは繰り返し及び連続的なUV照射、並びに/又は遺伝毒性剤の使用を含む。好ましいストレス処理は、5秒〜5分の期間における0.5〜400mJ/cm2のUV処理であり、より好ましくは1〜200mJ/cm2であり、典型的には1〜100mJ/cm2である。好ましいUV処理は、4mJ/cm2で30秒間であり、それは1〜8時間、好ましくは3〜5時間、より好ましくは約4時間の間隔で繰り返され得る。本発明に係る特定の細胞ストレス処理は、特許出願EP2210935に記載されており、これは参照として本明細書に組み込まれる。 「細菌の抽出物」は、例えば細菌の溶解後に得られた物質を意味する。細菌の抽出物は、DNA、細胞壁破片、酵素及び/又は代謝物等の死細菌の少なくとも一部を含む。その抽出物は、さらに酵素、代謝物等を抽出された細菌が培養された培養培地を含み得る。その抽出物は、前記細菌により生成された目的の酵素のみを含み得る。その抽出物は、細菌を溶解するのに適する方法を用いて得られ得る。例えば、その抽出物は、塩基性条件下(例えば有機塩基又は無機塩基による)で細菌細胞を溶解することにより得られ得る。ボルテックス等の細菌細胞を溶解する機械的方法も用いられ得る。必要であれば、その抽出物は、使用前に、例えばその細菌抽出物から細胞壁破片を除去するために、1つ又はそれ以上のマイクロフィルタ又は限外濾過膜に通すことにより濾過され得る。その抽出物は、液体又は固体であってもよい。特定の実施形態において、抽出物は、凍結乾燥され、粉末状にされる。 増大されたペントースリン酸経路を有する細菌 本発明は、非常に高く、恒常的なペントースリン酸経路フラックスを有する細菌の同定に由来する。 ペントースリン酸経路(「PP経路」と略する)は、グルコース分子を生物化学的に有益なより小さい分子に変換し、NADPHを生成する細胞プロセスをいう。PP経路は、2つの異なる段階を含む。第1に、グルコースからNADPH及びリブロース−5−Pが生成される酸化段階である。その酸化段階は、以下の化学反応により示され得る。グルコース−6−リン酸+2NADP++H2O → リブロース−5−リン酸+2NADPH+2H++CO2。 非酸化性の第2の段階は、リブロース−5−リン酸を種々の物質に変換させ、特にヌクレオチド及び核酸を構築する。 PP経路で生成されたNADPHは、細胞内での還元性生合成反応に重要なコファクターである。例えば、NADPHは、芳香族化合物、ステロイド又はアルコールのシトクロムP450によるヒドロキシル化、並びに脂肪酸鎖の延長、及び脂質又はイソプレノイドの合成といった種々の生合成反応のための還元当量を提供する。さらに、NADPHは、活性酸素の毒性に対する保護に関する酸化還元反応のための還元当量を提供する。 発明者らは、少なくとも対数期に非常高いPP経路フラックスを有する細菌のクラスを発見し、単離した。特に、これらの細菌において、グルコースの重要な部分は、PP経路を介して自然に異化され、重要な量のNADPHの恒常的(例えば連続的)生成を引き起こす。本発明者らにより、0.5を超えるペントースリン酸経路/解糖系のフラックス比率を有する細菌が選択され、その細菌の増殖能及び生成能が確認され、生物生成における顕著な有用性が確認された。 従って、本発明の対象は細菌であり、その細菌は、0.5を超えるペントースリン酸経路と解糖系との代謝経路比率(以後PP/G)を有する。 代謝経路のそのような不均衡は、特に驚くべきものであり、先例がないものである。実際に今まで、微生物がグルコースの分解に非常に好ましい解糖系を用いることが一般的に認められてきた。例えば、エスケリキアコリにおける生来の代謝経路比率ペントースリン酸経路/解糖系は、対数期において0.33よりも低い(Maciek R. Antoniewicz et al Metab Eng. 2007 May; 9(3): 277-292)。出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)において、この比率は約0.25であり(Paula Jouhten et al BMC Syst Biol. 2008; 2: 60 ; van Winden WAFEMS Yeast Res. 2005 Apr;5(6-7):559-68)、枯草菌(Bacillus subtillis)では0.2である(Dauner M Appl Environ Microbiol. 2002 Apr;68(4):1760-71)。本発明は、0.5を超えるPP/G比率を有する細菌のクラスを開示する。本発明は、1、2、3、5、10又は15を超えるPP/G比率を有する細菌の同定を開示する。そのような細菌において、PP経路は、支配的であり、多くのグルコースがペントースリン酸経路により消費され、解糖系は非常に制限されている。 さらに、本発明の細菌において、高いPP/G代謝比率は、対数期では恒常的であり、すなわち、(例えば高い酸化ストレス等の)特定の培養条件により制約されない。 従って、本発明は、それらの細菌、それらの細菌の単離及び培養方法、並びに、例えばNADPHを消費する生合成経路で生体内変化により物質を得るための、特に化学産業、医薬産業及び農薬産業におけるそれらの使用に関する。 本発明において、「0.5を超えるペントースリン酸経路と解糖系との代謝経路比率」を有する細菌は、3分の1を超えるグルコースがペントースリン酸経路で消費され、残りが解糖系により消費される細菌を意味する。その比率が1以上の場合、これは、少なくとも50%グルコースがPP経路で細菌により消費される。 本発明の細菌は、好ましくは、2、2.5、3、3.5、4又は5を超えるPP/G比率を有する。 特定の実施形態において、本発明の細菌は、1〜20、好ましくは2〜20のペントースリン酸経路と解糖系との代謝経路比率を有する。実施例において説明するように、本発明者らは、19程度のPP/G比率を有する細菌を同定及び培養でき、それは、その細菌では95%の消費されるグルコースがペントースリン酸経路を用いて分解されることを意味する。本発明者らは、これらの細菌が生存し、産業的に適合する培養条件で増殖可能であり、生物生成プロセスのための改善された特性を示すことを明らかにする。 他の特定の実施形態において、本発明の細菌は、2〜10のPP/G比率を有する。実施例において開示されるような本発明の細菌の特定の例は、1.2、2.3、5.6、9、19のPP/G比率を有する。特に、実施例において開示されるようにデイノコッカス菌株DGO1は、1.2のPP/G比率を有する。実施例において開示されるようにデイノコッカス菌株DGO2は、19のPP/G比率を有する。 増大されたペントースリン酸経路を有する本発明の細菌は、代謝フラックス分布の測定に適する方法を用いて同定及び選択され得る。これに関して、本発明の対象は、細菌を選択又は最適化する方法に関し、この方法は、 a)細菌を含むサンプル、好ましくは特徴付けられていない細菌を含むサンプルを準備するステップと、 d)サンプル中の細菌のペントースリン酸経路と解糖系との代謝経路比率を測定するステップと、 e)0.5を超えるペントースリン酸経路と解糖系との代謝経路比率を有するステップd)の細菌を選択することと、を含む。 代謝経路比率は、特定の代謝物、好ましくは微量代謝物の細胞内プール内への同位体の取り込みの測定により計測され得る。 例えば、PP/G比率は、PP又はG経路に特有な代謝物内への同位体の取り込みを測定することにより評価され得る。得られた取り込みの割合(%)は、対応する代謝経路の使用の割合(%)に直接に相関する。 適切な方法の特定の例は、グリセルアルデヒド−3−リン酸(G3P)、又はセリン等のその誘導体内への同位体の取り込みの測定に基づく(実施例、及び、例えばKromer et all. AustralianBiochemist, Vol 40 No 3 December 2009を参照)。実際に、グルコースのC1炭素原子は、解糖系でG3Pに移され、一方、PP経路の第1のステップでグルコース−6−リン酸のC1はCO2に取られる。従って、C1の位置にラベルされたグルコース−6−リン酸がPP経路で異化される場合、ラベルは残らず、一方、解糖系を介する場合はラベルは残り、1モルのラベルされたグルコース−6リン酸から1モルのラベルされたグリセルアルデヒド−3−リン酸が生成する。 従って、特定の実施形態において、前記方法のステップd)は、 −細菌が増殖可能な条件下で、炭素源としてC1位置にラベルされたグルコースを含む培養培地で細菌を培養することと、 −細菌を回収し、溶解することと、 −グリセルアルデヒド−3−リン酸またはその誘導体へのラベルの取り込みを測定し、PP/G比率を算出するためにその取り込みをもちいることと、を含む。 一般に、用いられるラベルは、例えば13C等の放射ラベルである。 さらに、PP/G比率を算出する方法は、特定の代謝物又はフラックスを測定するための質量分析、又はプロテオミクスを含む。 本発明の実施形態において、細菌は、以下のステップを含む方法により得られる又は選択される: a)細菌を含むサンプル、好ましくは特徴付けられていない細菌を含むサンプルを準備するステップと、 b)サンプルに対して、繰り返しの照射処理等の細胞破壊性DNAダメージ処理を行うことと、 c)前記処理されたサンプルから生存又は増殖する細菌を同定又は単離するステップと、 d)例えば上記のような13C代謝フラックス分析を用いることにより、前記細菌のペントースリン酸経路と解糖系との代謝経路比率を測定するステップと、 e)0.5、好ましくは1よりも大きいペントースリン酸経路と解糖系との代謝経路比率を有する細菌を選択するステップと、を含む方法。 最初のサンプルは、いずれかの属又は種の細菌、特に特徴付けられていない又は未知の細菌を含み得る。繰り返しの照射処理は、通常、5秒〜5分間の期間での、0.5〜400mJ/cm2、より好ましくは1〜200mJ/cm2、典型的には1〜100mJ/cm2のUV処理であり、それは、1〜8時間、好ましくは3〜5時間、より好ましくは約4時間の間隔で繰り返され得る。好ましいUV処理は、4mJ/cm2で30秒間の処理を4時間の間隔で繰り返すものである。 また、本発明は、上記の方法により同定される又は得られ得る細菌に関する。実施例に示すように、本発明の好ましい細菌は、デイノコッカス又はその関連細菌である。デイノコッカスは、1956年にAnderson及び共同研究者により単離されたグラム陽性菌である。この好極限性生物は、UV及び電離放射線、又は架橋剤(マイトマイシンC)によるDNAダメージに耐性を有し、乾燥に対して耐性を有する。WO2009/063079は、デイノコッカス細菌が溶媒に耐性を有し、エタノールを生成するためにバイオマスを変換できることを示す。さらに、WO2010/130806は、エタノール生合成遺伝子が導入された組換えデイノコッカス菌株を開示する。本発明は、少なくとも0.5の恒常的なPP/G比率を有するデイノコッカス又はその関連細菌が単離され得ることを示す。それらの細菌は、生物生成プロセス、及び抗酸化組成物の生成において、高い価値がある生体触媒である。 また、本発明は、生物生成プロセスを実行する方法に関し、その方法は、PP/G比率が0.5以上であることを確かめるために用いられる微生物のPP/G比率を試験することを含む。 本発明の細菌は、自然に高められたPP/G比率を有する先行技術における細菌よりも実質的に有利である。上記のように、細菌は、NADPH生成を増大するように操作されている。しかしながら、それらの細菌は挿入された核酸を含み、それらは、規定されたガイドラインに対して不安定であり遵守しないかもしれない。本発明の細菌は、自然に、また恒常的に上昇されたPP/G比率を有し、そのような恒常的な比率は、組換え核酸の発現により引き起こされない。上昇された比率は、特定の培養又はストレス条件を受けずに恒常的である。その比率は、特定の条件に依存して本発明の細胞内で異なり得るが、基本の比率は0.5よりも大きいことを維持する。 本発明の細菌は、特定の及び/又は最適化された培養培地で増殖され得る。好ましくは、培養培地は、炭素源として、少なくともリグニン、セルロース、ヘミセルロース、デンプン、キシラン、多糖類、キシロース、スクロース、グルコース、ガラクトース、ラクトース、糖蜜又はそれらの誘導体を含む。デンプンは、1−4及び1−6グリコシド結合により互いに結合された多くのグルコースユニットからなる炭水化物を意味する。デンプンは、多くの植物及び細菌により蓄積されたエネルギー保存分子であり、デンプン分子は、半結晶性細粒状で植物内に存在する。特に好ましい単純な炭素源はグルコースである。 培養培地は、細菌の増殖及び/又は目的の物質の生成/生物変換に好ましい1つ又はそれ以上の物質(例えば、アミノ酸、ビタミン又はミネラル塩)をも含み得る。生物変換の場合において、そのプロセスは、変換される基質を適切な培養培地に添加することを含む。細菌の増殖を促進するのに最適な条件は、当業者により設定される。同様に、所望の物質を得るための培養培地に必要な物質及び/又は炭素源の特性は当業者に周知である。これらの要件は記載されており、当業者により容易に実施され得る。 例えば、マンガンは、糖タンパク質におけるキシロース及びガラクトースの取り込みを改善するために培養培地に添加され得る。さらに、マンガンは、脂肪酸及びコレステロールの合成に関わる多くの酵素性プロセスにおける触媒及びコファクターとして作用する。この他に、培養培地におけるマンガンの枯渇により、解糖系をさらに低減することが可能である。実際に、マンガンは、解糖系のいくつかのステップに関わるホスホトランスフェラーゼ酵素により高エネルギーリン酸基の移動に関わる。 本発明の特定の対象は、上記の細菌の培養物を含む組成物にある。好ましい実施形態において、その組成物は、0.5よりも小さいPP/G比率を有する細胞を含まない。 生物生成プロセス 本発明の細菌は、潜在的な代謝プロファイルのため、代謝物、薬物、還元型分子、又は抗酸化型分子若しくは組成物等の目的の物質を生成するための生物生成プロセスに有効に用いられ得る。 これに関して、本発明の対象は、分子の生成のための生物生成プロセスにあり、そのプロセスは、少なくとも0.5のPP/G比率を有する細菌又はその抽出物を用いる。 本発明の更なる対象は、化合物の生物生成のための方法に関し、その方法は、本発明の細菌又はその抽出物を用いて化合物を生成することと、任意にその化合物を回収することとを含む。特定の実施形態において、その方法は、そのような細菌又は抽出物に基質を曝露することを含み、その基質は前記細菌又は抽出物により目的の化合物に変換される。他の実施形態において、その方法は、炭素源に前記細菌又はその抽出物を曝露することを含み、その細菌又は抽出物は、前記炭素源の発酵により目的の化合物を生成する。 目的の化合物は、タンパク質、ペプチド、脂質、核酸、有機酸、アルコール、アミノ酸等の有機化合物であってもよい。その化合物は、薬物、代謝物又はファインケミカル製品であってもよい。その化合物は、精製された形態又は混合製剤であってもよい。 これに関して、本発明の更なる対象は、目的の代謝物及び/又は薬物の生成のための方法に関し、その方法は、適切な培養培地において前記代謝物及び/又は薬物を生成する上記細菌を培養することと、前記培養培地から目的の代謝物及び/又は薬物を回収することとを含む。その方法は、NADPH依存性プロセスであることが好ましい。 本発明の更なる対象は、基質を目的の物質に生物変換するための方法に関し、その方法は、生物変換をさせる条件下で炭素源及び基質を含む適切な培養培地において生物変換活性を有する上記細菌を培養することと、培養培地から目的の物質を回収することとを含む。その方法は、好ましくはNADPH依存性プロセスである。 本発明の更なる対象は、目的の還元型分子の生成のための方法に関し、その方法は、炭素源を含む適切な培養培地において前記還元型分子を生成する上記細菌を培養することと、培養培地から目的の還元型分子を回収することとを含む。そのような還元型分子は、抗酸化特性を有する栄養補助食品の調製及び/又は化粧品組成物の調製のための有効成分として用いられ得る。この方法は、好ましくはNADPH依存性プロセスである。 「代謝物」の用語は、以下のものに限られないが、ポリオール、アルコール、ジカルボン酸、アミノ酸、ビタミン、ステロール、イソプレノイド、フラボノイド、脂肪酸等を含む脂質、及び合成断片等を含む、発酵プロセスの際に生じる全ての考えられる中間分子を意味する。代謝物は、顔料、殺虫剤、農薬、化学的分解化合物等の化粧品又は農業において利点を有し得る。 「薬物」の用語は、一般に、生物活性を有する化合物を意味する。この用語は、ヒト又は獣医学の医薬産業に用いられ得る生物活性を有するタンパク質、ポリペプチド、ペプチド、化学物質、脂質、糖類等を含む。そのような薬物の例は、以下のものに限られないが、抗生物質、ホルモン、静菌性化合物、代謝拮抗剤、抗酸化剤、化学療法化合物、抗真菌剤、抗ウイルス化合物、サイトカイン活性化合物、細胞増殖因子、ワクチン及びアジュバントを含む。 「還元型分子」又は「還元剤」は、一般に、酸化的傷害に応じてそれら自体の酸化を促進する(すなわち、酸化還元反応において他の分子に電子を与える)ことにより他の分子の酸化を阻害する能力を有する分子を意味する。そのような還元型分子は、活性酸素(ROS)の生成を低減するのに適する抗酸化活性を有する。ROSは、他の無機低分子やDNA、タンパク質、脂質、炭水化物及び核酸を含む多くの分子と相互作用し得るため、化粧品組成物及び/又は栄養補助食品における本発明の還元型分子の使用は、細胞内ROSレベルを低減すること、及びROSにより介される細胞ダメージを低減することに寄与し得る。 「アルコール」又は「バイオアルコール」の用語は、1〜5の炭素原子、好ましくは1〜4の炭素原子を含む直鎖又は分枝アルコール、ジオール又はトリオールを特に意味する。「アルコール」の特定の好ましい例は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、プロパンジオール、ブタノール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、イソブタノール又はグリセロールから選択されるC1−4アルコールを含み、より好ましくはエタノールである。 ポリオールは、複数のヒドロキシル基を含むアルコールである。糖アルコールは、例えば食品又は飲料の嗜好性を増大するのに用いられ、食品産業において有益な化合物である。特に、本発明の方法は、マルチトール、ソルビトール、キシリトール及びイソマルトを生成させ得る。重合体ポリオールは、他のポリマーを生成するための反応物として高分子化学に用いられ得る。例えば重合体ポリオールは、ポリウレタンを生成するためにイソシアネートと反応され得る。 アミノ酸の例は、以下のものに限られないが、リジン、メチオニン、トレオニン、プロリン、グルタミン酸、ホモセリン、イソロイシン及びバリンを含む。 本発明の細菌又は方法を用いて生成され得るビタミンは、パントイン酸、トランスニューロスポレン、フィロキノン及びトコフェロールを含む。 本発明の細菌又は方法を用いて得られ得るステロールの例は、長い(8〜10炭素)脂肪族側鎖(通常は17位置(C17))、及び通常は3位置(C3)における少なくとも1つのアルコール性ヒドロキシル基を有するステロイド化合物を含む。特に、本発明の方法は、スクアレン、コレステロール、テストステロン、プロゲステロン及びコルチゾンを生成し得る。ステロール及びその関連化合物は、動物の生理機能において本質的な役割を果たす。例えば、コレステロールは、細胞膜の流動性に影響し、発生シグナルにおける二次メッセンジャーとなる。コルチゾール等のコルチコステロイドは、細胞のコミュニケーション及び一般代謝におけるシグナル化合物として作用する。 一般に、フラボノイドは、ケトン含有化合物を意味する。フラボノイドは、ビタミンCの抗酸化活性に類似する抗酸化活性を有する。フラボノイドは、抗アレルギー性、抗炎症性、抗癌性、及び止痢性活性を有し得る。特に、本発明の方法は、クエルセチン及びエピカテキンを生成し得る。そのようなフラボノイドは、本発明の組換え細菌を用いることにより得られ得る。 本発明の細菌及び方法は、一般式HOOC−(CH2)n−COOHを有するジカルボン酸、好ましくはC5−C30ジカルボン酸の生成に用いられ得る。それらは、飽和ジカルボン酸(例えば、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸)、芳香族ジカルボン酸(例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸)及び不飽和ジカルボン酸(例えば、グルタロニック酸(glutaronic acid)、トラウマチン酸、ムコン酸)を生成するのに特に適する。ジカルボン酸は、医薬及び食品産業における有機酸の調製に適する基質である。さらに、それらは、芳香、ポリアミド、接着剤、潤滑剤及びポリエステルの有益な材料である。特定の実施形態において、ジカルボン酸は、組換えシトクロムP450を含む本発明の組換え細菌を用いることにより得られ得る。 本発明において、脂肪酸は、長い脂肪族鎖(すなわち6炭素以上の脂肪族末端)を有する飽和及び不飽和の両方の脂肪酸を含む。特に、本発明の方法は、カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸及びリグノセリン酸(飽和脂肪酸)、並びにパルミトレイン酸、オレイン酸、リノレイン酸及びエルカ酸(不飽和脂肪酸)を生成し得る。 本発明の方法は、脂質、特にイソプレノイドを生成するのに用いられ得る。実際に、イソプレノイドの生合成は、イソペンテニル二リン酸(IPP)及びジメチルアリルピロリン酸塩(DMAPP)の両方から開始する。IPP及びDMAPPを合成するための1つの経路は、ピルビン酸からメバロン酸(MEP)を生成することを含む。この反応は、NADPH依存性酵素である1−デオキシ−D−キシルロース−5−リン酸レダクトイソメラーゼの使用を必要とする。イソプレノイドは、バイオ燃料、顔料、抗酸化剤、香料としての多様な適用、又は医薬分野における多様な適用に有利である。 特定の実施形態において、本発明の方法は、カロテノイドの生成に用いられる。カロテノイドは、多くの生理的機能を有し、そのほとんどは抗酸化活性を有する。さらに、カロテノイドの分解で得られる製品(例えば、イオノン、ダマスコン及びダマセノン)は、香料の調製のために有益な材料であり、芳香産業で非常に一般的である。 特定の実施形態において、本発明の方法は、バイオ燃料の生成に用いられる。本発明に係るバイオ燃料の用語は、「第1世代バイオ燃料」及び/又は「第2世代バイオ燃料」を含む。第1世代バイオ燃料は、植物性又は動物性有機材料から、好ましくは糖、デンプン、植物性油又は動物性油脂から得られる。第1世代バイオ燃料の生成のための主な原料は、食用植物又はその一部である。第1世代バイオ燃料は、植物性油、バイオディーゼル、バイオアルコール、バイオガス、合成ガス及び固形バイオ燃料を含む。バイオアルコールは、エタノール、プロパノール及びブタノールを含む。第2世代バイオ燃料は、好ましくは非食用植物、又は植物の非食用部分から生成される。それらは、非食用作物、バイオマス廃棄物、コムギ及びトウモロコシの茎、並びに木材を含む。 反応器(リアクタ) 特定の実施形態において、本発明の方法は、反応器において実施される。「反応器」とは、従来のタンク、又は発酵及び/若しくは生物変換のための装置若しくはシステムを意味し、一般的に、バイオリアクタ、バイオフィルタ、回転生物接触器、並びに他の気相及び/又は液相バイオリアクタから選択される。本発明に従って用いられる装置は、連続的に又はバッチ毎に用いられ得る。 本発明の方法の実施のために、反応器において、少なくとも1つの本発明の細菌又はその細菌抽出物が用いられ、その反応器は、細菌が操作可能となるようにその中の物理化学的条件が設定及び維持されるように、配置及び供給される。その方法は、使用される細菌に依存して、好気性、嫌気性又は微好気性条件下で行われ得る。本発明の方法は、約40℃以上、特に40℃〜70℃の温度、酸性pH条件、及び/又はエタノールの存在下で行われることが好ましい。 組換え細菌 それらの性能を改善する、又は新たな活性を付与するために、本発明の細菌は、1つ又は複数の組換え遺伝子を含むように変異され得る。それらは、NADPH依存性酵素をコードする組換え遺伝子を含む及び発現することに特に適応する。 特定の実施形態において、本発明の細菌は、NADPH依存性アルコールデヒドロゲナーゼをコードする組換え核酸配列を含む。そのような細菌は、例えば炭素源としてグルコースを含む培養培地においてこの細菌を増殖することによりエタノールを生成するために用いられ得る。 例えば、実施例において開示されるDG03菌株は、Moorella spHUC 22-1からのNADPH依存性アルコールデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子をそのクロモソーム(SEQID N°3)内に含めるために操作されている。この遺伝子の発現は、バイオエタノールの生成において、細菌に特別の利点を付与する。 他の特定の実施形態において、本発明の細菌は、組換えシトクロムP450を含む。そのような細菌は、脂肪酸をw−アルコール及び対応するジカルボン酸に生物変換するのに用いられ得る。より正確に、組換えシトクロムP450は、対応するジカルボン酸を得るのに必要な脂肪酸の酸化を触媒する。その組換え細菌は、例えば生物変換されるための炭素源及び脂肪酸を含む培養培地において培養される。 例えば、少なくとも0.5の自然で恒常的なPP/G比率を有する本発明のデイノコッカスは、Bacillus megaterium (P450BM-3(CYP102A1))からのNADPH依存性シトクロムP450をコードする遺伝子をそのクロモソーム内(SEQ ID N°4)に含めるために操作され得る。この遺伝子の発現は、脂肪酸の生物変換において細菌に特定の利点を付与する。 核酸の組換え遺伝子は、細菌のゲノム内に挿入され得る、又は例えば上記のようにプラスミド、エピソーム、人工クロモソーム等に(自己)複製分子として挿入され得る。好ましい実施形態において、組換え核酸は、内在性遺伝子を置換するように、前記細菌のゲノムに挿入される。発現組換え遺伝子の発現は、例えば本技術分野において周知の定量PCR、ウエスタンブロット又は酵素アッセイを用いて確かめられ得る。 本発明の実施形態において、NADPH依存性酵素をコードする本発明の細菌の少なくとも1つの核酸配列は、0.5よりも大きいペントースリン酸経路と解糖系との代謝経路比率を有する組換え微生物を得るために、細菌又は酵母等の微生物を形質転換するのに用いられる。 代替的に又は追加的に、本発明の細菌は、解糖系の遺伝子を欠失するためにさらに変異され得る。例えば、本発明の細菌は、ホスホグルコースイソメラーゼ、G6Pデヒドロゲナーゼ及び両方のピルビン酸キナーゼイソ酵素のうちの少なくとも1つの破壊された遺伝子を有する。得られた組換え細菌は、グルコースの異化の最初の経路としてPP経路をさらに用いる。例えば、両方の破壊されたピルビン酸キナーゼイソ酵素を有する組換え細菌は、ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼとリンゴ酸酵素との組み合わせの反応を介してその代謝フラックスを別経路に移す。 特定の実施形態において、選択された遺伝子は、その全部又は一部が欠失され、機能的タンパク質をコードしない。その標的遺伝子は、相同組換え、遺伝子置換、標的変異、又は本技術分野において周知の他の方法のいずれかにより、前記細菌又はその祖先において不活性化され得る。好ましい実施形態において、遺伝子は、前記遺伝子の少なくとも一部の欠失により不活性化され、それは非相同の核酸(例えば選択マーカー)により置換され得る。好ましい実施形態において、本発明の細菌は、前記遺伝子の一部、好ましくはその遺伝子の少なくとも100の連続するヌクレオチド、より好ましくはその遺伝子の少なくとも200、300、400又は500の連続するヌクレオチドが欠失している。 組成物 本発明の更なる態様は、抗酸化特性等の特定の特性を有する組成物を生成するために、本発明の細菌を使用することである。そのような組成物は、化粧品組成物、栄養補助食品及び機能性食品組成物を含む栄養成分であってもよい。 例えば、本発明の細菌若しくはその組成物、及び/又はそのような細菌により生成される化合物を含む栄養補助食品は、食事を補うために、及び失われ得る又はヒトの食事で十分な量が消費され得ないビタミン、脂肪酸又はアミノ酸等の栄養を提供するために調製され得る。 特定の実施形態において、本発明の栄養補助食品は、還元型分子を生成する細菌又はその抽出物を含む。そのような栄養補助食品は、還元型分子を生成する細菌の細菌抽出物粉末を単体で、又は他の成分と組み合わせて含む丸薬として提供され得る。他に、その丸薬は、精製された還元型分子を単体で、又は他の成分と組み合わせて含み得る。 本発明において、化粧品組成物又は美容製品は、化粧品効果のために少なくとも身体の一部に適用するのに適する組成物に関する。本発明の化粧品組成物は、ヘアローション及びアフターシェーブローション等のローション、デイクリーム、抗しわクリーム及び保湿クリーム等のスキンクリーム、又は口紅等の化粧品を含む。 例えば、還元型分子を生成する細菌(又はその抽出物)は、抗酸化剤として作用するのに有効な量で活性成分として用いられる。本発明の化粧品組成物は、細菌に追加して又はその代わりに精製された還元型分子を含み得る。 好ましくは、その組成物は、1つ又はそれ以上の化粧品に許容可能なキャリア又は希釈剤をさらに含む。 共培養体 本発明の更なる態様は、改善された特性を有する微生物の共培養体である。特に、本発明は、本発明のデイノコッカス細菌を用いた共培養体に関し、その共培養体は、改善されたNADPH依存性酵素活性を有する。 特定の実施形態において、本発明は、少なくとも2つの異なる微生物の共培養体に関し、前記微生物の少なくとも1つは、0.5よりも大きい、好ましくは1よりも大きいペントースリン酸経路と解糖系との代謝経路比率を有するデイノコッカス細菌であり、前記微生物の少なくとも1つは、原核又は真核生物細胞であり、前記少なくとも2つの微生物は互いに共生する。原核又は真核生物細胞は、例えば、細菌、酵母、植物細胞、真菌及び哺乳動物細胞から選択され得る。酵母の例は、以下のものに限られないが、サッカロミケス(Saccharomyces)、クリベロミセス(Kluyveromyces)、シゾサッカロミケス(Schizosaccharomyces)、ピチア(Pichia)等を含む。細菌の例は、デイノコッカス細菌、バチルスsp.(Bacillus sp.)、E. Coli、クロストリジウムsp.(Clostridium sp.)等を含む。 2つの微生物は、両方がそれらの他方をその生存及び増殖に必要とする場合、互いに共生とみなす。 本発明の共培養体は、2つを超える3つ又は4つの異なる微生物を含み得る。 また、共培養体は、同時又は連続的、好ましくは同時に培養される。 これに関して、本発明の特定の対象は、少なくとも2つの異なる微生物の培養体であり、前記微生物の少なくとも1つの微生物は、0.5よりも大きいペントースリン酸経路と解糖系との代謝経路比率を有するデイノコッカス細菌であり、前記微生物の少なくとも1つは酵母である。 これらの共培養体は、酵素活性の改善された範囲を提供し、産業的プロセスのために価値ある製品である。 本発明の更なる態様及び利点は、以下の実施例に開示され、それは例としてみなされるべきであり、本発明の範囲を限定しないものとみなされるべきである。 A]0.5よりも大きいPP/G比率を有する細菌の同定及び特徴付け ストレス対抗細菌は、4mJ/cm2で30秒間のUV処理を4時間の間隔で5回繰り返して環境サンプルから単離される。 残った生存細菌が選択される。それらのうちで、2つのデイノコッカスジオサーマリス(Deinococcus geothermalis)菌株(DG01及びDG02)は、目的のPP/G比率を有するものとして同定される。特に、DG01菌株は、4.26のPP/G比率を有し、DG02菌株は1.27のPP/G比率を有する。 以下では、これらの2つの単離された菌株における代謝経路比率の測定の方法を示す。この方法は、Kromerらにより公表された13C代謝フラックス分析からなる。 フラックス分析のための並行バイオリアクターシステムでの培養 15個のリアクターシステムの容器内でデイノコッカスジオサーマリス菌株DG01及びDG02のケモスタット培養を行った。バッチ相及びケモスタット相の両方で10g/Lのグルコースを含むn°6培地を用いた。その培地に10倍ビタミン溶液(培地内のビタミン含量が10μg/L)を添加した。培養体積を200mLとした。攪拌速度を800rpmとし、pHの設定値を7.0とし、1M NaOHを用いてpHを制御した。全ての培養で循環空気を用いて通気した。3つのレベルの流量を用い、10mL/minの通気を用いて両方の菌株をトリプリケートで培養し、30mL/minの通気を用いて両方の菌株をデュプリケートで培養し、65mL/minの通気を用いて両方の菌株をデュプリケートで培養した。1つの容器には、播種せずにコントロールとした。 播種から24時間後にケモスタットの導入を開始した。送り量は、各容器において6.0mL/hとした。これは、0.03/hの希釈率に相当する。ケモスタットの導入を283時間後に13Cラベルの導入に変更した(1g/Lの13Cが普遍的にラベルされたグルコース、9g/Lの天然グルコース)。ラベル化グルコースの導入の開始から49時間後に150mLのサンプルを採取した。サンプルを遠心機にかけて、細胞ペレットを−20℃で凍結した。細胞の回収後、ケモスタット培養を天然グルコースを含む培地で継続した。 サンプル調製、及び13C代謝フラックス比率の分析のためのNMR分光分析 上記ケモスタット培養から回収されたラベル化細胞を6M HClを用いて110℃で20時間加水分解した。加水分解で細胞は破壊され、タンパク質が遊離アミノ酸に加水分解される。20種のタンパク質を構成するアミノ酸のうちの16種は、未変化のまま維持され、Asn、Gln、Cys及びTrpが破壊される。回転蒸発装置により酸を除去し、水で洗浄し、凍結乾燥した。NMR分析のために、蒸発されたサンプルを500μlのD2Oに溶解した。CPQCIクライオプローブを備える分光計を用い、残存するHClのためpHは1未満のままである。各サンプルからの2つのHSQCスペクトルにおいて、スペクトルの脂肪族及び芳香族領域に対応するものを記録した。 代謝モデルにおけるリトレース(Retrace)経路探索 中央炭素代謝の経路及びそれらの前駆体からのアミノ酸生合成経路の再構成をリトレースを用いて行った。リトレースは、近年のコンピュータによる経路分析方法である(Pitkanen E, Jouhten P, Rousu J: Inferring branching pathways ingenome-scale metabolic networks with ReTrace)。BMC Syst.Biol., 2009に公開され、それは、一般的な代謝データベースにおいて、枝分かれする代謝経路を発見するために問い合わせされ得る。具体的に、リトレースは、可能な限り、多くの原子を原料から標的代謝物に移す経路を発見することを目的とする。物質から代謝物を生成する反応においてどのような原子が移されるのかを示す原子マッピングは、RPAIRデータベースに規定され、それはKEGGのサブデータベースである。 blastp(AltschulSF, Madden TL, Schaffer AA, Zhang J, Zhang Z, Miller W, Lipman DJ : GappedBLAST and PSI-BLAST: a new generation of protein database search programs. NucleicAcids Res. 1997, 25:3389-3402)により、以下のオプションを用いて、スイスプロット(SwissProt)データベースにデイノコッカスorfの問い合わせをした。Blastp -outfmt 6 -query<input file name> -db swiss -out <output file name> スイスプロット配列が反応に対応するEC番号でアノテートされていた場合、KEGGデータベースにおける各反応は、全てのスイスプロット−デイノコッカス菌株の配列ペアの最大のBLASTスコアを取ることにより、スコアを割り当てられた。反応スコアは、デイノコッカスの菌株での反応を触媒する酵素が存在する配列の相同性の検出からのエビデンスの程度に反映した。 リトレースは、ゲノムエビデンスからの反応スコアを用いて設定したデフォルトで実行された。全ての反応は双方向的に考えられた。中央炭素代謝及びアミノ酸合成における経路の捕捉のために、リトレースは、いくつかの基質及び生成代謝物質において実行された。 代謝モデルの構築 中央炭素代謝の化学量論的代謝モデルを、経路探索の結果からデイノコッカス菌株DG01及びDG02において手動で設定した。ギャップモデルの生成のために、いくつかの反応は、ゲノムデータからのサポートが低い又は無く、含まれなかった。経路探索が探索をサポートしないので、エスケリキアコリ及び故草菌の原核生物ゲノム−広範代謝モデルを、電子伝達連鎖、酸化的リン酸化及び輸送反応のモデリングのために試験した。化学量論的モデルを、例えば情報のアノテーション及びスコアリングのための根拠とした。 代謝フラックス比率の分析 ソフトウェアFCAL(R.W.Glaser; FCAL 2.3.1. Szyperski T, Glaser RW, Hochuli M, Fiaux J, Sauer U, BaileyJE, Wuthrick K : Bioreaction network topology and metabolic flux ratioanalysis by biosynthetic fractional 13C labeling and two-dimensionalNMR spectroscopy. Metab. Eng. 1999, 1: 189-197.)を、DG01菌株を含むサンプル及びDG02菌株を含むサンプルの1H−13C−HSQCNMRスペクトルにおいて、タンパク新生の脂肪族及び芳香族アミノ酸炭素シグナルの13Cスカラーの微細構造の統合のために、並びにグルコースのシグナル源分子由来の相対的に多い未変化の炭素断片の算出のために用いた。 未変化の炭素断片のために用いられた命名法であるfragmentomersは、Szyperskiにより公表された(Biosynthetically directed fractional 13C-labelling ofproteinogenic amino acids. An efficient tool to investigateintermediary metabolism. Eur. J. Biochem. 1995,232: 433-448)。 タンパク新生アミノ酸から得られたfragmentomerは、炭素骨格がアミノ酸合成経路において保存されているため、中央炭素代謝において代謝中間体に遡られ得る。代謝中間体の特定の炭素断片の質量平衡等式は、中央炭素代謝における移行部における伝達されたfragmentomer情報から定式化された。 ペントースリン酸経路(PPP)からのホスホエノールピルビン酸の分画の上限を、Maaheimo等により公開された方法で算出した(Maaheimo H, Fiaux J,Gakar PZ, Bailey JE, Sauer U, Szyperski T: Central carbon metabolism ofSaccharomyces cerevisiae explored by biosynthetic fractional 13Clabeling of common amino acids. Eur. J. Biochem. 2001, 268: 2464-2479)。XPEPckと示されたホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ活性に由来するPepの分画を、未変化C1−C2断片を含みC2とC3との間の結合が分裂されたPep分子の分画と、同等の断片を含むオキサロ酢酸(Oaa)分子との比率から算出した。ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼは、そのような分子の原料のみと想定される。Phe-Cα, Tyr-Cα 及び Asp-Cα, Thr-Cαは、Pep及びOaaそれぞれのC2に遡られ得る。 また、TCAサイクルに関与するPepのOaaへのアナプレロティックな相互変換の寄与度を算出した。ピルビン酸キナーゼ及びピルビン酸カルボキシラーゼの協同作用を介したPepからOaaへの合成によるTCAサイクルのアナプレロティックな補充の算出において、AcCoA及びOaaの縮合は不可逆的と仮定されている。逆方向への反応を触媒するクエン酸リアーゼにヒットするものは、ゲノムエビデンス−経路探索において見つからなかった。TCAサイクルにおいてオキソグルタレート(Oga)に由来するOaa分子は、分離されるC2−C3結合を有し、アナプレロティックなカルボキシル化に由来するOaaの分画、及びOaaにおける完全なC2−C3結合性の分画の測定を可能とする。OaaのC2−C3−C4断片は、Ogaの合成においてTcaサイクルで保存されているため、Oaaのその完全な断片は、Ogaにおける完全断片から得られた。生合成前駆体Ogaにおける完全断片は、Gluから推定した。 それぞれX MAE_ub及びX MAE_lbと示されるリンゴ酸酵素反応に由来するピルビン酸(Pyr)における上限及び下限を、Pyrの完全C2−C3断片のマスバランスから算出した。その上限及び下限は、リンゴ酸酵素のための基質断片がOga及びOaaと同等の保存された結合性を有するという仮定から得られた。 当業者は、細菌を含むサンプルから0.5以上のPP/G経路比率を有する細菌をさらに同定及び特徴付けるために、上記方法を容易に実施し得る。 B]デイノキサンチン(deinoxanthine)の生成 デイノキサンチンは、アスタキサンチンに近い特有な橙赤色の顔料である。デイノキサンチンは、強力な抗酸化剤、免疫賦活剤及び光防護化合物であることが知られている。 以下では、単離されたデイノコッカスラディオデュランス(Deinococcus radiodurans)(DR04)を用いた本発明の生合成の方法によるデイノキサンチンの生成について説明する。細菌DR04は、上記の方法に従って同定及び単離される。この細菌は、0.5を超えるPP/G比率を有する。 材料及び方法 複合培地グルコースは、浸透水中に2g/Lのペプトン、5g/Lの酵母エキス(LotBCBD0078V; Ref: 70161 Fluka)及び10g/Lのグルコース(Lot080M0143V; Ref : 68270 SIGMA)を含み、オートクレーブ(120℃で15分)により無菌化される。この溶液に以下の溶液が加えられる:MOPSバッファー溶液(10×)pH7[酸性MOPS400mM , NH4Cl 200mM , NaOH 100mM , KOH 100mM ,CaCl2 5μM, Na2SO4 2.76mM, MgCl25.28 mM]、微量栄養素(10000×)[(NH4)6(Mo7)24 300mM, H3BO34mM, CoCl2 0.3mM, CuSO4 0.1mM, MnCl2 2.5 mM,ZnSO4 0.1mM]、ビタミン(10000×)[それぞれ10 mg/Lの D-ビオチン, ナイアシン (ニコチン酸), ピリドキシン (ピロキシダル塩酸塩) B6, チアミン (ビタミン B1 塩酸塩) - ストック pH4 - 濾過滅菌 (0.22 μm)]、濾過滅菌(0.22 μm)されたFeCl3(100×) 2mMを含むC6H5Na3O720mM溶液、及びオートクレーブされたK2HPO41g/L。 高速液体クロマトグラフィー(HPLC)のための全ての溶媒は、超高純度溶媒であり、Sigma Aldrichから購入した。purumquality の2,6-Di-r-ブチル-p-クレゾール(BHT)及びpurum p.a. quality のNaB&は、Sigma Aldrichから購入した。 細菌及び培養方法 デイノコッカス属の一種を複合培地グルコースで培養した。その細菌を好気条件下で45℃又は30℃で7日間連続的に攪拌して培養した。その培養が定常期に達した際に、細菌を遠心分離することにより回収した。ペレットの平均重量は、培養液1Lで5gであった。 抽出及び精製 細菌の細胞ペレット500mgを50mLの超純水を用いて2回洗浄した。その後、洗浄された細菌の細胞ペレットを、アルゴン雰囲気下で抗酸化剤として1mgのメタノールを含む1%BHTと混合し、10分間均質化し、その後に遠心分離した。ペレットを、完全に無色になるまで3回の再抽出を行った。 LCMS試験 粗材料を、移動相としてアセトニトリル/メタノール/イソプロパノール(40/50/10)(v/v)の混合液を用い、流速を0.8mm/minとし、検出器を480nmに設定し、Dionex HPLCシステムで Hypersil ODS (4.6x250mm,5μm)カラムにより精製した。 DR04の抽出物におけるデイノキサンチンのHPLCアッセイを、細菌により生成されたデイノキサンチンの量を評価するために用いた。それは、mg/g乾燥バイオマス(乾燥バイオマス1g当たりのmg)として示され得る。 結果 DR04の抽出物に含まれるデイノキサンチンの量は、0.1mg/g乾燥バイオマスであった。 そのような抽出物は、抗酸化特性を有する化粧品化合物及び/又は栄養補助食品の調製のために有利に用いられ得る。 C]カロテノイドの生成 カロテノイドは有機顔料であり、酸化攻撃から自身を保護するために細菌により生成される。周知の強力な抗酸化化合物であるカロテノイドは哺乳動物によっては生成されず、哺乳動物はカロテノイドを食物から得る。哺乳動物は、代謝において種々の方法でカロテノイドを利用する。 以下では、単離されたデイノコッカスジオサーマリス(MX6-1E_14)を用いた本発明の生物生成の方法によるカロテノイドの生成について説明する。より正確には、カロテノイドは、単一の炭素源としてグルコース又はキシロースのいずれかを含む培養培地で培養されたデイノコッカス細胞を用いて生成される。デイノコッカス細胞は、上記の方法に従って予め同定及び単離される。これらの細菌は、0.5を超えるPP/G比率を有する。 材料及び方法 n°6培地の組成: 還元糖(20 g/L); 酸性MOPS40 mM ; NH4Cl 30 mM ; NaOH 10 mM ; KOH 10 mM ;CaCl2.2H2O 2 μM ;Na2SO4.10H2O 0,1 mM ; MgCl2.6H2O0,1 mM ; (NH4)6(Mo7)O24.4H2O10 nM ; H3BO3 100 nM ; CoCl2.6H2O10 nM ; CuSO4.5H2O 200 nM ; MnCl2 1 μM ;ZnSO4.7H2O 100 nM ; D-ビオチン 10 μg/L ;ナイアシン(ニコチン酸)10 μg/L ;ピリドキシン (ピリドキサルHCl ou ビタミンB6) 10 μg/L ; チアミンHCl (ビタミンB1) 10 μg/L ; ビタミンB12 10 μg/L ; FeCl3200 μM ; クエン酸ナトリウム2H2O200 μM ; K2HPO4 0,5 g/L。 細菌及び培養方法: デイノコッカスMX6-1E_14菌株を、45℃で0.1L/minの通気がなされた1L発酵装置内で、20g/Lのグルコース又は20g/Lのキシロースを含む500mlのn°6培地を用いて培養した。 抽出及び精製 カロテノイド抽出を以下のように実施した:−細菌を定常期において回収し、400rpmで遠心分離し;−10mgのペレットを1mLのメタノール内に入れ、3分間ボルテックスを行い;−サンプルを4℃、10000rpmで1分間遠心分離し;−上清を回収し、カロテノイドの定量のために540nmの吸光度測定を行った(カロテノイドの量は540nmの吸光度に比例する)。 結果 試験で用いられたデイノコッカス菌株において、約50%のグルコースが解糖系により代謝され、50%がペントースリン酸経路で代謝される。この細菌は、NADH/NADPH比率が1であり、カロテノイドの生成に最適である。グルコース培養培地からの抽出物:OD540nm=0.042キシロース培養培地からの抽出物:OD540nm=0.012。 キシロース培養培地において、NADH/NADPH比率は、NADHが有利となるように変更され(すなわちキシロースはNADHのみを生成する)、カロテノイドの生成は、グルコース培養培地における同一の菌株を用いたカロテノイドの生成と比較して低減するが、NADH/NADPH比率は1以上のままである。 D]組換え細菌:NADP依存性ADHをコードする遺伝子の挿入 上記代謝フラックス比率の分析は、DG02において56%ものグルコースがペントースリン酸経路で消費されることを示し、NADPHの重要部分が酸化還元電位として生成されることを示す。エタノール生成のためのNADPHプールを使用するために、Moorella sp HUC 22-1からのNADP依存性ADHをコードする遺伝子(SEQ IDN°3)は、DG02菌株のクロモソームに導入される。 材料及び方法 細菌菌株及び増殖条件: エスケリキアコリ(E. coli)菌株SCS110は、プラスミドの増殖のために用いられる。その細菌を、ルリア-ベルターニ(LB)培地(1L中に10gトリプトン、5g酵母エキス、10g塩化ナトリウム)を用いて37℃、200rpmで培養される。固形培地は、1.5%アガーを加えることにより調製される。 デイノコッカス細菌DG02を、PGYを用いて45℃、200rpmで培養する。PGY培地の組成は、以下の通りであり、1L中にペプトン(10g)、酵母エキス(5g)、グルコース(1g)を含む。固形培地の組成として、1L中にペプトン(10g)、酵母エキス(5g)、グルコース(1g)及びアガー(15g)を含む。 形質転換: E.coliの形質転換は、Stratageneから得られるSCS110又はPromegaから得られるJM109といった購入できるコンピテントセルを用いて行われる。 デイノコッカス細胞において、50mLのPGYで定常期の新鮮培地を100倍希釈する。細胞を後期対数期まで増殖し(OD600nm=0.8)、ペレットを適切な量の氷冷された2xPGY/10%v/v Glycerol/30mM CaCl2で再懸濁する。形質転換のために、所望の量のプラスミドDNAを100μlの細胞に加える。その混合液を氷上で30分間インキュベートし、42℃で90秒間処理し、再び氷上で5分間インキュベートする。200μlの新鮮な2×PGY培地を加え、形質転換体を37℃、200rpmで2時間攪拌する。それらを段階希釈し、適切な選択PGYプレート上に播種する。 DNA操作: E.coli細胞からのプラスミドのミニプレップは、QIAGENのミニプレップDNA精製システムを用いて行い、ミディプレップは、Macherey-Nagel社のNucleoBond Xtra Midi Plus EFプラスミドDNA精製キットを用いて行う。これらの調製は、定常期における3mL〜100mLのE.coli培養液を用いて行われる。 オリゴヌクレオチドは、Eurogentec社により合成される。PCR増幅に用いられるポリメラーゼは、Finzyme社のPHUSION Hi-Fidelityポリメラーゼであり、オーバーラップPCRにおいてはNovagen社のKOD Xtreme-hot start DNAポリメラーゼである。PCR断片は、Promega社のWizard SV Gel and PCR Clean-UpSystemキットを用いて精製される。 遺伝子材料は、アガロースゲル電気泳動により分離される。DNAは、Eppendorf社のバイオフォトメータを用いて定量される。 DNAインサートは、GenecustEurope社により合成され、適切なベクター内にクローニングされる。 デイノコッカスのクロモソーム内への遺伝子挿入方法 DG02のクロモソーム内へのDNA断片の挿入は、相同組換えメカニズムを用いて行われる。挿入カセットは、Z.Mobilisからのアルコールデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子(adhZm)を有するオペロンを含み、それはpgroESLプロモータの制御下にあり、pTufA-bleoブレオシン抵抗性カセットである。挿入される領域のDNA配列は、クロモソーム標的の上流又は下流の配列に相同な500bp領域により隣接させる。挿入カセットは、pMD66温度感受性シャトルベクターにより運ばれ、デイノコッカス内にトランスフォームされ、高温処理(52℃で4日間)がクロモソームへの挿入及びプラスミドの消失をさせるために用いられる。 クロモソーム内に目的の領域が組み込まれた形質転換体(DG03と呼ぶ)は、ブレオシンを含むPGY培地で選択される。 正しい挿入は、ゲノムDNAのPCR、及び目的の領域における変異クロモソームの配列決定により確認される。 アルコールデヒドロゲナーゼ活性試験: パラローザニリン(Sigma)を2.5g/mLで含む無水エタノール4mlは、50mgの亜硫酸水素ナトリウムを含む200mLのLBアガーに加えられた(Conway et al, 1987b)。TGYアガープレート(必要であればブレオシンが添加される)で増殖された2日齢のDG03細胞は、インジケータープレートに播種され、37℃で2〜3時間培養された。 エタノール生成: 後期条件において全粒粉を3%又は6%含む培地からエタノールを生成するためのDG03の能力を評価する。この試験を30℃で行う。 オートクレーブ(120℃で15分)により無菌化された複合培地グルコース[浸透水中に2g/Lのペプトン、5g/Lの酵母エキス及び10g/Lのグルコースを含む]で準備された(定常期における)前培養液から、(この溶液に以下の溶液が加えられる:MOPSバッファー溶液(10×)pH7[酸性MOPS400mM , NH4Cl 200mM , NaOH 100mM , KOH 100mM ,CaCl2 5μM, Na2SO4 2.76mM, MgCl25.28 mM]、微量栄養素(10000×)[(NH4)6(Mo7)24 300mM, H3BO34mM, CoCl2 0.3mM, CuSO4 0.1mM, MnCl2 2.5mM, ZnSO4 0.1mM]、FeCl3(100×) 2mMを含むC6H5Na3O720mM溶液、K2HPO4 1g/L:これらの溶液は、濾過(0.2μm)により無菌化される)6mlの栄養強化培地[浸透水中に10g/Lの炭素源を含み、オートクレーブ(120℃で15分)により無菌化される]に播種される(1%v/vで播種)。 ブレオシン(培養培地に3μg/mL含有)は、播種の前に培養培地に加えられる。 ガスクロマトグラフィFID分析(VarianCP-WAX 57 CB 25m×0.32mmカラム)は、エタノールの定量に用いられる。残存グルコースは、屈折率測定と組み合わせたHPLCにより定量される(Phenomenex LUNA 3μm NH2 100A 150×4.6mm カラム, アセトニトリル/H2O85:15 移動相)。 エタノールの生成は、好気条件において全粒粉を3%又は6%含む培地での7日間培養後に観察される(すなわち、培地はインキュベータにおいて、30℃で7日間攪拌する。その培地を4000rpmで10分間遠心分離する。上清を濾過(0.2μm)し、他のチューブに入れて−80℃に置く)。 NADP依存性ADHの発現(SEQID N°5)は、DG03細菌によりエタノール生成を最大化する。 ペントースリン酸経路と解糖系との代謝経路比率が0.5よりも大きい細菌。 前記ペントースリン酸経路と解糖系との代謝経路比率が1以上であり、好ましくは1〜20であり、より好ましくは2〜20である請求項1に記載の細菌。 デイノコッカス(Deinococcus)又はその関連細菌である請求項1又は2に記載の細菌。 a)細菌を含むサンプルを準備するステップと、 b)前記サンプルに細胞破壊性DNAダメージ処理をするステップと、 c)前記処理されたサンプルから生存している又は増殖している細菌を同定又は単離するステップと、 d)ステップc)の細菌のペントースリン酸経路と解糖系との代謝経路比率を測定するステップと、 e)ペントースリン酸経路/解糖系との代謝経路比率が0.5を超えるステップd)の細菌を選択するステップと、を含む方法により得られる請求項1〜3のいずれか1項に記載の細菌。 炭素源として、リグニン、セルロース、ヘミセルロース、デンプン、キシラン、多糖類、キシロース、ガラクトース、スクロース、ラクトース、グリセロール、糖蜜、グルコース、又はそれらの誘導体を利用できる請求項1〜4のいずれか1項に記載の細菌。 NADPH依存性酵素をコードする少なくとも1つの組換え核酸配列をさらに含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の細菌。 前記少なくとも1つの組換え核酸配列は、NADPH依存性アルコールデヒドロゲナーゼ及び/又はNADPH依存性シトクロムP450をコードする請求項6に記載の細菌。 細胞上清、細胞破片、細胞壁及びDNA抽出物から選択される請求項1〜7のいずれか1項に記載の細菌の無細胞抽出物。 ペントースリン酸経路と解糖系との代謝経路比率が0.5よりも大きい組換え微生物を得るために細菌又は酵母等の微生物を形質転換するための、NADPH依存性酵素をコードする請求項1〜7のいずれか1項に記載の細菌の少なくとも1つの核酸配列の使用。ゲノムにNADPH依存性酵素をコードする請求項1〜7のいずれか1項に記載の細菌の少なくとも1つの核酸配列を含み、ペントースリン酸経路と解糖系との代謝経路比率が0.5よりも大きい組換え微生物。 少なくとも2つの異なる微生物の共培養体であって、 少なくとも1つの前記微生物は請求項1〜7のいずれか1項に記載の細菌であり、少なくとも1つの前記微生物は原核生物又は真核生物、好ましくは酵母であり、前記少なくとも2つの異なる微生物は互いに共生する共培養体。 目的の化合物の生物生成のための請求項1〜8のいずれか1項に記載の細菌又は抽出物の使用。 前記化合物は、好ましくはアルコール、酸、アミノ酸、ビタミン、ステロール、フラボノイド、脂肪酸、イソプレノイド及びポリオールから選択される代謝物である請求項12に記載の使用。 前記化合物は、好ましくは生物活性を有するタンパク質、ポリペプチド、ペプチド、化学物質、脂質又は糖類から選択される医薬化合物又は栄養物である請求項12に記載の使用。 基質を目的の物質に生物変換するための請求項1〜8のいずれか1項に記載の細菌又は抽出物の使用。 脂肪族化合物をジカルボン酸に生物変換するための請求項15に記載の使用。 抗酸化分子又は還元型分子の生成のための請求項1〜8のいずれか1項に記載の細菌又は抽出物の使用。 前記抗酸化分子は、グルタチオン、デイノキサンチン(deinoxanthine)、ビタミンC又はE、カタラーゼ、ペルオキシダーゼ及びスーパーオキシドディスムターゼ等の抗酸化酵素、から選択される請求項17の使用。 栄養補助食品の調製及び/又は化粧品組成物の調製のための請求項1〜8のいずれか1項に記載の細菌又は抽出物の使用。 目的の化合物の生成のための方法であって、 前記化合物を生成する請求項1〜7のいずれか1項に記載の細菌を選択することと、 炭素源を含む適切な培養培地において前記細菌を培養することと、 前記細菌の抽出物又は培養培地から前記目的の化合物を回収することとを含む方法。 基質を目的の物質に生物変換するための方法であって、 前記生物変換活性を有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の細菌を選択することと、 炭素源及び前記基質を含む適切な培養培地において前記細菌を培養することと、 前記細菌の抽出物又は培養培地から前記目的の物質を回収することとを含む方法。 脂肪族化合物をジカルボン酸に生物変換するための請求項21に記載の方法。 還元型分子の生成のための方法であって、 炭素源を含む適切な培養培地において前記還元型分子を生成する請求項1〜7のいずれか1項に記載の細菌を選択することと、 前記細菌を培養することと、 前記細菌の抽出物又は培養培地から目的の前記還元型分子を回収することとを含む方法。 請求項1〜8のいずれか1項に記載の細菌又は抽出物を含む栄養補助食品。 請求項1〜8のいずれか1項に記載の細菌又は抽出物を含む化粧品組成物。 本発明は、新規の細菌及びその使用に関する。特に、本発明は、ペントースリン酸経路と解糖系との代謝経路比率が0.5よりも大きい細菌、及び化学産業、医薬産業又は農薬産業におけるそれらの使用、例えば産業的に関心のある化合物の生成のためのそれらの使用に関する。【選択図】なし 配列表