タイトル: | 公表特許公報(A)_治療用キメラ型抗CD37抗体HH1 |
出願番号: | 2014546713 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | C12N 15/09,C07K 16/28,C12N 1/15,C12N 1/19,C12N 1/21,C12N 5/10,C12P 21/08,A61K 39/395,A61P 35/00,A61P 35/02,A61K 51/00,A61P 43/00 |
ラーセン,ロイ エイチ. ダーレ,ヨースタイン JP 2015501654 公表特許公報(A) 20150119 2014546713 20121212 治療用キメラ型抗CD37抗体HH1 ノルディック ナノベクター アーエス 514149381 岩谷 龍 100077012 ラーセン,ロイ エイチ. ダーレ,ヨースタイン US 61/569,981 20111213 C12N 15/09 20060101AFI20141216BHJP C07K 16/28 20060101ALI20141216BHJP C12N 1/15 20060101ALI20141216BHJP C12N 1/19 20060101ALI20141216BHJP C12N 1/21 20060101ALI20141216BHJP C12N 5/10 20060101ALI20141216BHJP C12P 21/08 20060101ALI20141216BHJP A61K 39/395 20060101ALI20141216BHJP A61P 35/00 20060101ALI20141216BHJP A61P 35/02 20060101ALI20141216BHJP A61K 51/00 20060101ALI20141216BHJP A61P 43/00 20060101ALI20141216BHJP JPC12N15/00 AC07K16/28C12N1/15C12N1/19C12N1/21C12N5/00 101C12P21/08A61K39/395 NA61P35/00A61P35/02A61K43/00A61P43/00 121 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC IB2012057230 20121212 WO2013088363 20130620 43 20140812 4B024 4B064 4B065 4C084 4C085 4H045 4B024AA01 4B024BA45 4B024BA61 4B024CA01 4B024EA04 4B064AG26 4B064AG27 4B064CA19 4B064CA20 4B064CC24 4B064DA01 4B065AA01X 4B065AA57X 4B065AA87X 4B065AA90Y 4B065AB01 4B065BA02 4B065CA24 4B065CA25 4B065CA44 4C084AA12 4C084MA02 4C084MA66 4C084NA14 4C084ZB261 4C084ZB271 4C084ZC751 4C085AA14 4C085AA21 4C085BB01 4C085EE01 4C085EE03 4C085GG01 4H045AA11 4H045AA30 4H045BA09 4H045BA41 4H045CA40 4H045DA75 4H045DA76 4H045EA20 4H045FA74 本発明は、予想以上に高い細胞毒性を有するキメラ抗体またはヒト化抗体を用いた血液がんの免疫療法および放射免疫療法、ならびに該抗体の様々な用途に関する。 本発明は、キメラ型抗CD37抗体およびヒト化抗CD37抗体、ならびにその製造および用途に関する。 さらに本発明は、B細胞除去に基づく免疫療法および放射免疫療法に関する。 特に本発明は、上記療法、例えば、B細胞悪性腫瘍および自己免疫疾患の治療に使用するための抗CD37抗体分子に関する。 モノクローナル抗体(mAb)を用いた免疫療法は、がんなどの疾患の治療における安全かつ選択的な方法として広まりつつある。 特に、B細胞除去に基づく治療法、例えば、B細胞悪性腫瘍の治療におけるモノクローナル抗体の役割は、リツキシマブ(B細胞表面のCD20抗原に対する抗体)の導入以降次第に大きくなっている。 CD37抗原は細胞表面抗原の1つであるが、B細胞抗原CD20と比べるとB細胞悪性腫瘍のターゲットとしての認知度は低い。 テトラスパニンスーパーファミリーに属するCD37は、4つの膜貫通ドメインおよび2つの細胞外ループを有する高度に糖化された細胞表面分子である。 CD37の発現は、正常B細胞や、マントル細胞リンパ腫(MCL)、バーキットリンパ腫(BL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、濾胞性リンパ腫(FL)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)、リンパ芽球性リンパ腫(LL)、慢性リンパ性白血病(CLL)などを含む非ホジキンリンパ腫(NHL)で見られる。 このような発現パターンを有するCD37は、抗体によるがん治療の魅力的なターゲットである。 CD37は1986年に初めて文献で報告され、マウスモノクローナル抗体MB−1によって性状が決定された(Linkら、1986)。 しかし、CD37の生理的役割は知られていない。 CD37特異的モノクローナル抗体は、がん細胞に結合して様々な作用を引き起こす可能性がある。第1に、該抗体はCD37抗原の細胞外ドメインに結合することにより、補体カスケードを活性化し、標的細胞を溶解させる可能性がある。 第2に、抗CD37抗体は、標的細胞に対する抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を媒介する可能性がある。ADCCは、細胞に結合した抗体のFc領域が免疫系の細胞傷害性細胞の表面にある適当な受容体に認識されることによって起こる。 第3に、該抗体は、抗原などの刺激に対するB細胞の応答能力を変える可能性がある。 最後に、抗CD37抗体は、プログラム細胞死(アポトーシス)の誘導開始に関わる可能性がある。 抗CD37モノクローナル抗体MB−1は、B−NHL(B細胞性非ホジキンリンパ腫)患者を対象とした2つの放射免疫療法試験(Pressら、1989;Kaminskiら、1992)において評価されている。 これら以外にも、抗CD37モノクローナル抗体の有用性は、例えば、Heiderらによる国際公開第2009/019312号および本発明者らによる国際公開第2011/092295号に開示されているが、CD37がB細胞悪性腫瘍の治療におけるCD20の理想的な代替であることが証明されるまでにはまだ長い道のりがある。 結論として、数種のヒトB細胞悪性腫瘍の腫瘍細胞や成熟した正常B細胞の表面でCD37抗原が高頻度に発現していること、および抗CD37に基づく治療法がB細胞悪性腫瘍の有望な治療法となる可能性があることがこれまでに明らかになっている。 上記した抗CD37抗体または抗CD37抗体様分子(例えばMB−1)は、B細胞悪性腫瘍における抗腫瘍効果およびCD37に対する標的化能を示すものの、B細胞除去に基づく治療法を改善するためには、これらに代わる抗CD37抗体が必要である。 したがって、抗CD37抗体を改善することができれば、B細胞悪性腫瘍の新規治療法を探索する上で有利であろう。 本発明の目的は、マウスモノクローナル抗体HH1由来のキメラ抗体またはヒト化抗体に関する。 特に、キメラ抗体またはヒト化抗体を提供することが本発明の目的の1つである。 本発明の一態様は、ヒトCD37に結合する抗体分子であって、a)i)配列番号1で示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、およびii)配列番号3で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域により定義されるマウスモノクローナル抗体、またはb)a)で定義される抗体と同じヒトCD37エピトープ、もしくは該エピトープと類似もしくは重複したエピトープを認識する非ヒト抗体に由来する、キメラ抗体またはヒト化抗体である抗体分子に関する。 本発明の別の態様は、本発明の抗体をコードするDNA分子に関する。 さらに、本発明の別の態様は、本発明の抗体をコードする1以上のDNA分子を含む宿主細胞に関する。 本発明のさらなる別の態様は、哺乳類の宿主細胞に本発明の抗体をコードする1以上のベクターをトランスフェクトすること、該宿主細胞を培養すること、ならびに得られた抗体分子を回収および精製することを含む、本発明の抗体の製造方法に関する。 本発明の別の態様は、有効成分である本発明の抗体を1以上と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物に関する。 本発明の別の態様は、B細胞悪性腫瘍の治療に使用するための医薬組成物に関する。 本発明のさらなる別の態様は、B細胞性非ホジキンリンパ腫、B細胞慢性リンパ球性白血病、毛様細胞性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫および多発性骨髄腫からなる群より選択されるB細胞悪性腫瘍を患う患者の治療方法であって、前記患者に本発明の医薬組成物を有効量投与することを含む治療方法に関する。 本発明のさらなる別の態様は、a)本発明の抗体、b)リンカー、およびc)211At、213Bi、212Bi、212Pb、225Ac、227Th、90Y、186Re、188Re、199Au、194Ir、166Ho、159Gd、153Sm、149Pm、142Pr、111Ag、109Pd、77As、67Cu、47Scおよび177Luからなる群より選択される放射性核種を含む、ヒトCD37に結合する放射性免疫複合体に関する。 本発明の別の態様は、前記放射性免疫複合体を含む医薬組成物に関する。 本発明の別の態様は、B細胞性非ホジキンリンパ腫、B細胞慢性リンパ球性白血病、毛様細胞性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫および多発性骨髄腫からなる群より選択されるB細胞悪性腫瘍の治療に使用するための前記医薬に関する。 本発明のさらなる別の態様は、B細胞性非ホジキンリンパ腫、B細胞慢性リンパ球性白血病、毛様細胞性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫および多発性骨髄腫からなる群より選択されるB細胞悪性腫瘍の治療方法であって、本発明の医薬組成物を有効量投与することを含む治療方法に関する。 本発明のさらなる別の態様は、2つ以上のバイアルを含む、本発明の放射性免疫複合体の製造用キットであって、1つのバイアルが本発明の抗体とこれに結合したキレート剤とを含む複合体を含有し、第2のバイアルが放射性核種を含有するキットに関する。 また、別の態様は、放射性標識したマウスHH1またはキメラ型HH1による治療の実施前に正常組織のCD37抗原をブロッキングするための前記キメラ抗体の使用である。Daudi細胞のゲーティングを行うためのフローサイトメトリードットプロットと、抗CD37 chHH1.1(IgG1アイソタイプ)は結合するが抗NIP抗体(ネガティブコントロール)は結合しないことを示すヒストグラムとを示した図である。図1により、chHH1は有意な抗原結合性を有することが示されている。chHH1.1のDaudiリンパ腫細胞に対する細胞結合性を示した図である。chHH1.1は標的に対して速やかかつ効率的に結合することが示されている。抗原数が少なくてもchHH1がリツキシマブと同等のADCCを有すること、および標的であるDaudiリンパ腫細胞においてCD37が有意に内在化することを示した図である。エフェクター細胞としてIL−2で刺激した末梢血単核球(PBMC)を用い、標的細胞としてRec−1細胞を用いた場合のADCCを示した図である。標的細胞とエフェクター細胞の比率を変えて、3つの異なる比率で実験を行った。数値は3名の平均値および標準偏差である。マウスHH1、リツキシマブ、chHH1.1をそれぞれ単独で、またはリツキシマブとchHH1.1とを併用して標識したRec−1細胞に対する10%血清存在下での補体依存性細胞傷害(CDC)を示した図であり、使用した血清は3名より採取したものである。注射から24時間後および48時間後の雌性ヌードマウスにおける125I−chHH1.3の体内分布(%I.D./g)を示した図である。NK細胞をエフェクター細胞として用いた場合の、ADCCによるDaudi細胞の特異的溶解率(%)を示した図である。使用した血液は2名から採取したものであり、1つの実験はNK細胞とDaudi細胞の比率を10:1として、もう一方の実験はNK細胞とDaudi細胞の比率を15:1として実施した。 以下、本発明について詳細に説明する。 本発明は、マウスモノクローナル抗体HH1由来のヒト化抗体またはキメラ抗体に関する。 ヒト化抗体またはキメラ抗体は、非ヒト種に由来する抗体のタンパク質配列を変えることにより、ヒトで天然に産生される抗体との類似性を高めた抗体である。 「ヒト化」の方法は、通常、ヒトへの投与用に開発されるモノクローナル抗体に適用される。 特異的抗体の開発方法において非ヒト(マウスなどの)免疫系で産生する工程が含まれる場合はヒト化が必要となる場合がある。 このような方法で産生された抗体は、タンパク質配列がヒトで天然に産生される相同抗体とは部分的に異なっているため、ヒト患者に投与すると免疫原となる可能性がある。 治療の多くは短期的処置であるため、ヒト投与用のモノクローナル抗体をすべてヒト化する必要はない。 ヒト化は、通常、マウス−ヒトキメラ抗体の作製とは別のものと見なされる。 したがって、キメラ抗体の作製は、通常、(抗体のマウスFc領域をヒト由来のFc領域で置換することにより)ヒト様抗体を得るために行われるが、このような単純な構造のキメラは、通常、ヒト化されているとは言わない。 むしろ、ヒト化抗体のタンパク質配列は、ヒト抗体のタンパク質配列と本質的に同一であり、標的抗原に対する結合能に関わる複数の相補性決定領域(CDR)セグメントの一部のみが非ヒト由来である。 しかし、本明細書においては、マウスモノクローナル抗体HH1由来の遺伝子組換え抗体を表す用語として、キメラ抗体とヒト化抗体とは同じ意味で用いられる。モノクローナル抗体HH1由来のキメラ抗体またはヒト化抗体 免疫グロブリン重鎖(IgH)は、抗体(免疫グロブリン)を構成する大きい方のポリペプチドサブユニットである。 一般的な抗体は、2つの免疫グロブリン(Ig)重鎖と2つのIg軽鎖から構成される。 重鎖には複数の異なる種類が存在し、それにより抗体のクラスまたはアイソタイプが決定される。 重鎖の種類は動物によって異なる。 免疫グロブリン軽鎖は、抗体(免疫グロブリン)を構成する小さい方のポリペプチドサブユニットである。 ヒトでは(その他の哺乳動物も同様であるが)、第2染色体の免疫グロブリンカッパ遺伝子座にコードされているカッパ(κ)鎖と、第22染色体の免疫グロブリンラムダ遺伝子座にコードされているラムダ(λ)鎖の2種類の軽鎖が存在する。 抗体はB細胞によって産生され、B細胞はそれぞれ1つの型の軽鎖のみを発現する。 B細胞で発現される軽鎖の型は、いったん設定されるとそのB細胞が死滅するまで変わらない。 健康な個体において、(インタクトな完全抗体を測定した場合の)血清中のカッパ/ラムダ総比率はおよそ2:1であり、遊離軽鎖を測定した場合は1:1.5であるが、この値から大幅に外れた比率を示す場合、腫瘍の存在が示唆される。 正確には、ラムダに対するカッパの正常比率は、0.26〜1.65の範囲である。 κ鎖とλ鎖が比例して増加すれば、正常比率は維持される。 マウスモノクローナル抗体HH1由来のキメラ抗体またはヒト化抗体の可変鎖および定常鎖は、公知の配列と異なっていてもよい。 このような変更の具体例は本発明の開示内容より明らかであるが、例えば、定常鎖の選択、可変鎖の遺伝子変異、およびエフェクター機能の調節のためのFcドメインの変更などが挙げられる。 本発明者らは、遺伝子組換えによりマウスモノクローナル抗体HH1由来のキメラ型ヒト化抗体を作製した。 B細胞が関与する悪性腫瘍に最も適した治療法を探索する過程で、この抗体が有望な効果が示すことが分かった。 その効果は、本発明で開示した実験において示されている。 したがって、本発明の一態様は、ヒトCD37に結合する抗体分子であって、a)i)配列番号1で示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、およびii)配列番号3で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域により定義されるマウスモノクローナル抗体、またはb)a)で定義される抗体と同じヒトCD37エピトープ、もしくは該エピトープと類似もしくは重複したエピトープを認識する非ヒト抗体に由来する、キメラ抗体またはヒト化抗体である抗体分子に関する。 本発明の一実施形態において、前記キメラ抗体は、i)配列番号1で示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、ii)配列番号3で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、ならびにiii)ヒト由来の重鎖定常領域および軽鎖定常領域で定義される。 本発明の別の実施形態において、前記キメラ抗体は、i)IgG1鎖、IgG2鎖、IgG3鎖およびIgG4鎖からなる群より選択される重鎖定常領域、およびii)κ鎖またはλ鎖である軽鎖定常領域で定義される。 本発明のさらなる実施形態において、前記重鎖定常領域は、i)配列番号5、配列番号6および/または配列番号7で示されるアミノ酸配列を含むものと定義され、かつ前記軽鎖定常領域は、ii)配列番号9で示されるアミノ酸配列を含む。 本発明のさらなる実施形態において、前記重鎖定常領域は、i)配列番号11および/または配列番号14で示されるアミノ酸配列を含むものと定義され、かつ前記軽鎖定常領域は、ii)配列番号13で示されるアミノ酸配列を含む。 変異重鎖の全長におけるchHH1.3 FcのDNA配列を配列番号10に示す。 変異軽鎖の全長におけるchHH1.3 Fcのアミノ酸配列を配列番号11に示す。 変異重鎖の全長におけるchHH1.3 FcのDNA配列を配列番号12に示す。 変異軽鎖の全長におけるchHH1.3 Fcのアミノ酸配列を配列番号13に示す。 変異を含まない場合のchHH1.3 Fc配列(定常領域)を配列番号14に示す。本発明の抗体をコードする核酸分子 ヒト化の方法は、組換えDNAを用いて哺乳類細胞培養系で発現可能なコンストラクト作製することによりモノクローナル抗体の産生が可能であることを利用したものである。 すなわち、抗体の産生が可能な遺伝子断片を単離して、培養槽で増殖可能な細胞にクローニングすることにより、クローニングした遺伝子のDNAから産生された抗体タンパク質をまとめて回収することができる。 このような組換えDNAを用いる工程によって、発現させる抗体のタンパク質配列を簡単に変更することができる。 したがって、ヒト化の方法において達成される抗体の構造変更はすべてDNAレベルの技術によってもたらされる。 したがって、本発明の一態様は、本発明のヒト化抗体またはキメラ抗体をコードするDNA分子に関する。 本発明の一実施形態において、前記DNA分子は、本発明のヒト化抗体またはキメラ抗体の重鎖可変領域をコードする領域を有する。 本発明の別の実施形態において、この重鎖可変領域をコードする領域は、ヒト由来の重鎖定常領域をコードする領域と融合している。 このようなヒト由来の重鎖定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4からなる群より選択することができる。 本発明の一実施形態において、IgG1は、配列番号5、配列番号6および/または配列番号7で示される配列によってコードされるものである。 本発明の一実施形態において、IgG3重鎖は、配列番号10で示される配列によってコードされるものである。 本発明の一実施形態において、IgG3軽鎖は、配列番号12で示される配列によってコードされるものである。 本発明の一実施形態において、置換によるH435変異を有するIgG3は、配列番号12で示される配列によってコードされるものである。 本発明のさらなる実施形態において、ヒト由来の重鎖定常領域は、Fc領域に1以上の置換を含む。 本発明の別の実施形態は、本発明のキメラ抗体またはヒト化抗体の軽鎖可変領域をコードする領域を含むDNA分子に関する。 このような軽鎖可変領域をコードする領域は、ヒト由来の軽鎖定常領域をコードする領域と融合していてもよい。 この軽鎖定常領域はκ鎖であってもよく、λ鎖であってもよい。 本発明の一実施形態において、κ軽鎖は、配列番号9で示される配列によってコードされるものである。 前記DNA分子は、所望の細胞での発現に適合するよう構築し最適化することができる。 発現ベクター(発現コンストラクトとしても知られている)は、通常、所望の細胞に特定の遺伝子(本発明においては、本発明のDNA分子)を導入するために使用されるプラスミドである。 このような発現ベクターが細胞内に導入されると、ベクター上の目的遺伝子によってコードされているタンパク質が、細胞内の転写・翻訳装置であるリボソーム複合体によって産生される。 前記プラスミドは、多くの場合、調節配列を含むように作製され、調節配列はエンハンサー領域およびプロモーター領域として機能して、発現ベクター上の目的遺伝子の効率的な転写を可能にする。 良く設計された発現ベクターの目標は、安定なメッセンジャーRNAを大量に産生すること、ひいてはタンパク質を大量に産生することである。 発現ベクターは、バイオテクノロジーにおける基本的なツールであり、糖尿病のような特定疾患の治療にとって重要なタンパク質(例えばインスリンなど)を産生するために用いられている。 遺伝子産物を発現させた後、得られたタンパク質を精製する必要があるが、発現ベクターは宿主細胞に導入されているため、宿主細胞のタンパク質から目的のタンパク質を精製しなければならない。 そこで、精製工程を簡便にするためには、クローニングする遺伝子にタグをつける必要がある。このタグは、ヒスチジン(His)タグなどのマーカーペプチドであってもよい。 したがって、本発明の一態様は、前記DNA分子を含む発現ベクターに関する。本発明の抗体を含有および発現する細胞 上述したDNA分子または発現ベクターは、宿主細胞に導入することができる。 そのような細胞をハイブリドーマ技術によって、本発明のキメラ抗体またはヒト化抗体を産生する不死化細胞とすることができる。 ハイブリドーマ技術とは、特定の抗体を産生するB細胞と、組織培養系での増殖能を有するが抗体鎖を産生しないことを基準に選択された骨髄腫(B細胞がん)細胞とを融合してハイブリッド細胞株(ハイブリドーマと呼ぶ)を作製する技術である。 このハイブリドーマによって産生された抗体はすべて単一の特異性を有しているため、得られる抗体はモノクローナル抗体(ポリクローナル抗体と対比される)である。 したがって、本発明の一態様は、本発明のベクターまたはDNA分子を1以上含む宿主細胞に関する。 本発明の一実施形態は、HH1の重鎖可変領域をコードするDNA分子を含有する発現ベクターと、本発明の軽鎖可変領域をコードするDNA分子を含有する第2の発現ベクターとを含む宿主細胞に関する。 本発明の一実施形態において、前記宿主細胞は哺乳類細胞である。 本発明の別の実施形態において、前記細胞はハイブリドーマ細胞である。本発明の抗体の産生方法 本発明のキメラ抗体またはヒト化抗体は、種々の方法により産生することができる。 上記抗体を産生する方法として、哺乳類の宿主細胞に1以上の本発明のベクターをトランスフェクトすること、該宿主細胞を培養すること、ならびに得られた抗体分子を回収および精製することを含む方法が挙げられる。 上記抗体を産生する別の方法として、本発明のキメラ抗体またはヒト化抗体を産生するハイブリドーマ細胞を作製することを含む方法も挙げられる。配列同一性 一般に定義されている通り、本明細書における「同一性」は、ヌクレオチドレベルにおける遺伝子間の配列同一性、またはアミノ酸レベルにおけるタンパク質間の配列同一性と定義される。 したがって、本発明において、「配列同一性」は、アミノ酸レベルにおけるタンパク質間の同一性の指標、およびヌクレオチドレベルにおける核酸間の同一性の指標である。タンパク質の配列同一性は、2つの配列を並置して、各配列の所与の位置におけるアミノ酸配列を比較することにより判定することができる。 同様に、核酸の配列同一性は、2つの配列を並置して、各配列の所与の位置におけるヌクレオチド配列を比較することにより判定することができる。 2つの核酸配列または2つのアミノ酸配列の一致率を求める際には、最適な比較ができるよう2つの配列を並置する(例えば、第1のアミノ酸配列または核酸配列の配列にギャップを挿入して、第2のアミノ酸配列または核酸配列との最適なアライメントを作成してもよい)。次いで、対応するアミノ酸位置またはヌクレオチド位置のアミノ酸残基またはヌクレオチドを比較する。 第1の配列の任意の位置と、第2の配列の対応する位置に同じアミノ酸残基またはヌクレオチドがある場合、2つの分子はその位置において一致しているといえる。2つの配列間の一致率は、これらの配列において一致している位置の数の関数である(すなわち、一致率(%)=一致している位置の数/位置(例えば重複している位置)の総数×100)。一実施形態において、前記2つの配列の長さは同じである。 2つの配列を手動で並置して、核酸またはアミノ酸が一致している数を数えてもよい。あるいは、数学的アルゴリズムを用いて2つの配列のアライメントを作成して、一致率を計算してもよい。このようなアルゴリズムは、NBLASTプログラムおよびXBLASTプログラムに組み込まれている。例えば、本発明の核酸分子に対して相同性を有するヌクレオチド配列を得るために、NBLASTプログラムでスコア100、ワード長さ12と設定してBLASTヌクレオチド検索を行ってもよい。例えば、本発明のタンパク質分子に対して相同性を有するアミノ酸配列を得るために、XBLASTプログラムでスコア50、ワード長さ3と設定してBLASTタンパク質検索を行ってもよい。 比較用のギャップアライメントの作成には、Gapped BLASTを利用することができる。また、PSI−Blastを用いて、分子間の離れた類縁関係を検出する反復検索を行ってもよい。NBLASTプログラム、XBLASTプログラムおよびGapped BLASTプログラムを利用する場合、それぞれのプログラムのデフォルトパラメータを用いてもよい。http://www.ncbi.nlm.nih.govを参照のこと。あるいは、例えばEMBLデータベースのBLASTプログラム(www.ncbi.nlm.gov/cgi−bin/BLAST)により、2つの配列を並置した後、配列同一性を計算してもよい。 一般に、例えば「スコア行列」や「ギャップペナルティ」に関するデフォルト設定をアライメントに適用してもよい。本発明において、BLASTNおよびPSI BLASTのデフォルト設定は有利かもしれない。 上記技術に類似した技術を用いて、2つの配列間の一致率を求めてもよく、また、ギャップの挿入を行ってもよく、行わなくてもよい。一致率を算出する際は、完全に一致したものだけを数える。 本発明の一実施形態は、HH1抗体のVH配列(配列番号2)および/またはVL配列(配列番号4)と80%の配列同一性を有する核酸配列を含む単離された核酸に関する。 本発明の一実施形態は、HH1抗体のVH配列(配列番号2)および/またはVL配列(配列番号4)を有する核酸配列を含む単離された核酸に関する。 本発明の別の実施形態において、前記単離された核酸は、HH1抗体のVH配列(配列番号2)および/またはVL配列(配列番号4)と少なくとも90%の配列同一性、例えば、90%の同一性、91%の同一性、92%の同一性、93%の同一性、94%の同一性、95%の同一性、96%の同一性、97%の同一性、98%の同一性または99%の同一性を有する核酸配列を含む。 本発明の別の実施形態は、HH1抗体のVH配列(配列番号1)および/またはVL配列(配列番号3)と80%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む抗体に関する。 本発明の別の実施形態は、HH1抗体のVH配列(配列番号1)および/またはVL配列(配列番号3)を有するポリペプチド配列を含む抗体に関する。 本発明の別の実施形態において、前記抗体は、HH1抗体のVH配列(配列番号1)および/またはVL配列(配列番号3)と少なくとも90%の配列同一性、例えば、90%の同一性、91%の同一性、92%の同一性、93%の同一性、94%の同一性、95%の同一性、96%の同一性、97%の同一性、98%の同一性または99%の同一性を有するポリペプチド配列を含む。 本発明の好ましい一実施形態において、これらの抗体は、モノクローナル抗体HH1由来のキメラ抗体またはヒト化抗体である。遺伝子変化 遺伝子変化は、遺伝子においてヌクレオチド塩基の順序が変化することで生じる。このような変化が起こると、遺伝子、ひいてはこの遺伝子がコードするタンパク質が変異する。 この変異は、センス変異またはセンス置換であってもよく、ミスセンス変異またはミスセンス置換であってもよい。 本発明の一実施形態は、少なくとも50、例えば20、10、5、4、3、2、1のセンス変異を含む、HH1モノクローナル抗体のVH鎖(配列番号2)および/またはVL鎖(配列番号4)で構成される単離された核酸配列に関する。 本発明の別の実施形態は、0〜50のセンス変異、例えば1〜50、0〜20、1〜20、0〜10、1〜10、0〜5、1〜5、3、1のセンス変異を含む、HH1モノクローナル抗体のVH鎖(配列番号2)および/またはVL鎖(配列番号4)で構成される単離された核酸配列に関する。 ミスセンス変異(非同義突然変異の1つ)は、1つのヌクレオチドが変化することにより、異なるアミノ酸をコードするコドンへと変化する点突然変異の1つである(アミノ酸をコードするコドンが終止コドンに変わる変異はミスセンス変異ではなく、ナンセンス変異にあたる)。ミスセンス変異により、機能を失ったタンパク質を産生することができる。 しかし、ミスセンス変異が生じても、必ずしもタンパク質の大きな変化につながるとは限らない。対象となるアミノ酸がよく似た化学的性質を有するアミノ酸に置換される場合もあり、この場合、タンパク質は本来と変わらず正常に機能する可能性がある。この変異は、中立的変異、「サイレント」変異または保存的変異と呼ばれる。 また、タンパク質の2次構造にも機能にも大きく影響しない部位でアミノ酸置換が生じる場合もある。1つのアミノ酸をコードするコドンが2つ以上存在する(いわゆる「縮重コード」)場合は、コドン内に変異が生じても、翻訳段階では変化が生じない場合がある。この変異は、同義突然変異(サイレント突然変異の1つ)であり、ミスセンス変異ではない。 本発明の一実施形態は、少なくとも50、例えば20、10、5、4、3、2、1のミスセンス変異を含む、HH1モノクローナル抗体のVH鎖(配列番号2)および/またはVL鎖(配列番号4)のポリペプチド配列を含む抗体に関する。 本発明の一実施形態は、0〜50のミスセンス変異、例えば1〜50、0〜20、1〜20、0〜10、1〜10、0〜5、1〜5、3、1のミスセンス変異を含む、HH1モノクローナル抗体のVH鎖(配列番号2)および/またはVL鎖(配列番号4)のポリペプチド配列を含む抗体に関する。 保存的置換とは、総じて性質が類似している別のアミノ酸へ置換されることを意味し、この置換により機能全体に大きな影響が出る可能性は低い。 本発明の別の実施形態において、前記ミスセンス変異は、保存的変異または保存的置換である。 本発明のさらなる実施形態は、HH1の重鎖可変領域配列(配列番号1)および/または軽鎖可変領域配列(配列番号3)と80%の配列同一性を有し、かつこの配列変化が保存的置換である、単離された核酸配列またはポリペプチド配列に関する。 本発明の別の実施形態において、前記配列同一性は80%の同一性、例えば、90%の同一性、91%の同一性、92%の同一性、93%の同一性、94%の同一性、95%の同一性、96%の同一性、97%の同一性、98%の同一性または99%の同一性であり、かつこの配列変化は保存的置換である。 放射性標識工程の改善を目的として、例えば本発明のキメラ抗体またはヒト化抗体のFc領域にさらにリジンを導入することは有用かもしれない。 この導入により、抗体の抗原結合部位にリジン結合キレート剤が付着する可能性を減らすことができるので、放射性標識工程において免疫活性を損なうというリスクは低くなる。 リジンの導入方法、例えばHH1のFc領域へのリジン導入方法は、例えばHemminkiら、1995により当該技術分野で公知である。 本発明の一実施形態は、HH1のFc領域を10個のリジン、例えば8個のリジン、6個のリジン、5個のリジン、4個のリジン、3個のリジン、2個のリジンまたは1個のリジンで修飾した、本発明の放射性免疫複合体に関する。 また、これ以外の方法で本発明の抗体のFc領域を変化させて1以上のエフェクター機能を最適化または調節することもできる。 このようなエフェクター機能の調節は、例えば、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性(ADCC)を高めるために行われる。 このようなFc領域の変更は当該技術分野で公知である。 したがって、本発明の一態様は、Fcドメインに、1以上のエフェクター機能を調節する1以上の変異を有する本発明の抗体に関する。免疫複合体 免疫複合体は、第2の分子と結合(融合)している抗体を示し、第2の分子は、通常、毒素、アイソトープまたは標識である。 キメラ型HH1およびヒト化HH1で構成されるこのような免疫複合体は、すべて本発明の態様に含まれる。 その1つとして、キレートリンカーに結合または接続した本発明のキメラ型HH1およびヒト化HH1が挙げられる。 キレートリンカーについては、次の放射性免疫複合体に関する章で説明する。したがって、次章に記載される各種キレートリンカーはすべて、キレートリンカーに結合または接続した本発明のキメラ型HH1およびヒト化HH1を含む免疫複合体に有用であると見なされる。放射性免疫複合体 本発明の一態様は、本発明に係るモノクローナル抗体HH1由来のキメラ抗体またはヒト化抗体と、リンカーと、211At、213Bi、212Bi、212Pb、225Ac、227Th、90Y、186Re、188Re、199Au、194Ir、166Ho、159Gd、153Sm、149Pm、142Pr、111Ag、109Pd、77As、67Cu、47Scおよび177Luからなる群より選択される放射性核種とを含む、ヒトCD37に結合する放射性免疫複合体に関する。 本発明の一実施形態において、前記リンカーはキレートリンカーである。 本発明の別の実施形態において、前記放射性核種は、177Lu、225Ac、227Thおよび90Yからなる群より選択される。 本発明の別の実施形態において、前記放射性核種は177Luである。 本発明の別の実施形態において、前記放射性核種は212Pbである。 さらに別の実施形態において、前記放射性核種は上記以外のβ放射体またはα放射体である。 放射性核種を抗体に結合させる方法としては、まず、二官能性キレート剤(例えばp−SCN−bn−DOTA(Macrocyclics社、米国テキサス州))を抗体と反応させた後、精製により未結合のキレート剤を除去し、次いで、得られたキレート剤抗体複合体を放射性核種と反応させた後、精製により未結合の放射性核種を除去するという方法が挙げられる。 あるいは、まずキレート剤と放射性核種とを結合させて、これを抗体に結合させるという方法も可能である。 p−SCN−bn−DOTAのようなキレートリンカーを使用することにより、177Luの場合と同様に、177Lu以外の金属放射性核種をHH1由来の抗体に結合させることができる。 十分な錯体形成能を有し、タンパク質またはペプチドへの直接的結合または間接的結合を可能にする官能基を有するものであれば、どのようなリンカーを使用してもよい。このようなリンカーの具体例は、種々の文献(例えばBrechbiel、2008;Liu、2008)に記載されている。有用なリンカーの例としては、p−SCN−bn−DOTA、DOTA−NHSエステル、p−SCN−Bn−TCMCのような二官能性環状キレート剤、およびp−SCN−Bn−DTPA、CHX−A''−DTPAのような二官能性鎖状キレート剤が挙げられる。 本発明における放射性核種は、二官能性キレート剤を用いて目的の分子に結合させることが好ましい。 そのような二官能性キレート剤は、環状キレート剤、鎖状キレート剤、分岐鎖状キレート剤のいずれであってもよい。特に、鎖状、環状または分岐鎖状のポリアザアルカン骨格を含み、該骨格の窒素原子に酸性基(例えばカルボキシアルキル基)が結合しているポリアミノポリ酸キレート剤が例として挙げられる。 適当なキレート剤としては、環状キレート剤であるp−イソチオシアナトベンジル−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−テトラ酢酸(p−SCN−Bz−DOTA)またはS−2−(4−イソチオシアナトベンジル)−1,4,7,10−テトラ(2−カルバモイルメチル)シクロドデカンなどのDOTA誘導体、および鎖状キレート剤であるp−イソチオシアナトベンジル−ジエチレントリアミンペンタ酢酸(p−SCN−Bz−DTPA)などのDTPA誘導体が挙げられる。 錯体形成分子の金属化反応は、錯体形成分子を目的分子に結合させる前に行ってもよく、結合させた後に行ってもよい。 放射性標識の操作は、放射性標識を行う前にキレート剤を抗体に結合させる方が、一般に所要時間などの面からより簡便である。 抗体に結合させたキレート剤を用いて放射性標識複合体を調製する方法の原理については、例えばLiu、2008により一般的に記載されている。 このように、HH1由来のキメラ抗体またはヒト化抗体を用いて、放射線特性および実効半減期の異なる放射性免疫複合体を調製することができる。 例えば、本発明のモノクローナル抗体HH1由来のキメラ抗体またはヒト化抗体と、キレートリンカーと、177Lu、211At、213Bi、212Bi、212Pb、225Ac、227Th、90Y、186Re、188Re、199Au、194Ir、166Ho、159Gd、153Sm、149Pm、142Pr、111Ag、109Pd、77As、67Cuおよび47Scを含むがこれらに限定されないβ放射性核種またはα放射性核種とからなる抗CD37放射性免疫複合体を調製することが可能であり、これを医薬製剤の製造および治療用途に用いることが可能である。免疫毒素 免疫毒素は、標的化断片とこれに結合した毒素とからなる人工的に作製されたタンパク質である。このタンパク質が細胞に結合すると、エンドサイトーシスによって細胞内に取り込まれ、このタンパク質に結合した毒素が細胞を死滅させる。 このような免疫毒素は、通常、数種のがんや数種のウイルス感染症の治療に用いられる。 このようなタンパク質は、通常、修飾抗体または抗体断片と、これに結合した毒素の断片とで構成されている。 前記標的化断片は、特定の種類の細胞を標的とする抗体のFv断片で構成されている。 毒素は、通常、細菌タンパク質由来または植物タンパク質由来の細胞傷害性タンパク質であるが、上記のFvによって毒素が標的細胞表面の抗原へと導かれるよう天然の結合ドメインが取り除かれている。 本発明の別の実施形態において、前記毒素は化学療法に用いられる分子であり、例として、アルキル化剤(シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、メクロレタミン、シクロフォスファミド、クロラムブチル、イホスファミド)、代謝拮抗剤(アザチオプリン、メルカプトプリン、ピリミジン)、アルカロイド(ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン(cinorelbine)、ビンデシン、パクリタキセル、ドセタキセル、エトポシド、テニポシド)、トポイソメラーゼ阻害剤(イリノテカン、トポテカン、アマスクリン、エトポシド、テニポシド)、および細胞傷害性抗生物質(アクチノマイシン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、バルルビシン(calrubicin)、イダルビシン、エピルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン、マイトマイシン)が挙げられるが、これらに限定されない。 本発明の一実施形態において、架橋剤であるSMCC−ヒドラジド(4−[N−マレイミドメチル]シクロヘキサン−1 カルボキシルヒドラジド)を介してドキソルビシンを抗体に結合させる。 免疫毒素の作用は、抗体(またはそれ以外の標的化分子)が標的細胞表面の抗原に結合し、抗体に結合した毒素が細胞内に入って細胞を死滅させることによって発揮される。 したがって、本発明の一態様は、本発明の抗体またはその断片を含む免疫毒素に関する。医薬組成物 抗体は、一般に、種々の疾患の治療に適用されており、医薬組成物として製剤化されている。 このような組成物は、生理学的忍容性および品質保持期間などのパラメータの観点から最適化される。 したがって、本発明の一態様は、有効成分として、本発明の抗CD37抗体分子(すなわちHH1由来のキメラ抗体もしくはヒト化抗体またはその断片)を1以上と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物に関する。 本発明の一実施形態は、1以上の別の治療薬をさらに含む上記の医薬組成物に関する。 本発明の一実施形態において、前記1以上の別の治療薬は、CD37以外のB細胞抗原を標的とする薬剤から選択される。 このような抗原として、B細胞抗原であるCD20が挙げられる。 本発明の別の実施形態において、前記1以上の別の治療薬は、アポトーシスを誘発する薬剤から選択される。 キメラ型HH1またはヒト化HH1に基づく放射免疫療法用製剤は、通常、キレート剤を介してキメラ抗体HH1またはヒト化抗体HH1に結合した上記の放射性核種からなる医薬組成物が緩衝液に溶解された状態で提供される。この緩衝液は、放射性免疫複合体の化学的完全性を高く維持し、患者への点滴に適した生理学的に許容されるものである。 したがって、本発明の一態様は、本発明の放射性免疫複合体と、薬学的に許容される担体および/または賦形剤とを含む医薬組成物に関する。 許容される医薬担体としては、無毒な緩衝液、充填剤、等張液などが挙げられるが、これらに限定されない。より具体的な医薬担体としては、生理食塩水(0.9%)、1/2生理食塩水、乳酸加リンゲル液、5%ブドウ糖液、3.3%ブドウ糖/0.3%生理食塩水が挙げられるが、これらに限定されない。生理学的に許容される担体は、放射線分解安定化剤(例えばアスコルビン酸)を含んでいてもよく、放射線分解安定化剤は、保存時および輸送時の放射性医薬品の完全性を守る働きがある。 本発明の一実施形態は、本発明の医薬組成物、および1以上の別の抗体または放射性免疫複合体を含む。そのような抗体としては、リツキシマブ、エプラツズマブ、L19、F8、F16、ガリキシマブ、トラリズマブ、アレムツズマブ、オファツムマブ、ベルツズマブ、アフツズマブ、トシツモマブ、Reditux、イブリツモマブ、K7153A、37.1およびHH1が挙げられるが、これらに限定されない。 上記の放射性免疫複合体としては、Zevalin(ゼヴァリン)、Bexxar(ベキサール)およびBetalutin(ベタルチン)が挙げられるが、これらに限定されない。 本発明の別の実施形態において、前記1以上の別の抗体または放射性免疫複合体はCD20を標的とする。そのような抗体としては、リツキシマブ、ベルツズマブ、オファツムマブ、アフツズマブ、トシツモマブ、Redituxおよびイブリツモマブが挙げられるが、これらに限定されない。上記の放射性免疫複合体としては、ゼヴァリンおよびベキサールが挙げられるが、これらに限定されない。 本発明のさらなる実施形態は、CD37抗原を発現するB細胞悪性細胞を治療するための本発明の医薬組成物に関する。 本発明の一実施形態において、前記医薬組成物は、B細胞性非ホジキンリンパ腫、B細胞慢性リンパ球性白血病、毛様細胞性白血病、小リンパ芽球性リンパ腫および多発性骨髄腫からなる群より選択されるB細胞悪性腫瘍を治療するための医薬組成物である。治療 本発明の医薬液剤の治療用途としては、CD37抗原を発現する悪性細胞の治療が挙げられる。該悪性細胞としては、B細胞性非ホジキンリンパ腫、B細胞慢性リンパ球性白血病、毛様細胞性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫および多発性骨髄腫からなる群より選択されるB細胞悪性腫瘍が挙げられるが、これらに限定されない。 それ以外の用途としては、自己免疫疾患の治療または移植関連副作用の治療が挙げられる。 これらの治療は、β粒子照射、α粒子照射、β粒子照射とα粒子照射との組み合わせのいずれに基づくものであってもよいが、これらに限定されるものではない。 前記治療は、単独療法として、または、その他の治療法、好ましくは標準的な治療法と組み合わせて投与を行うものであってもよい。その他の治療法としては、前処置、手術、化学療法(ドキソルビシン、ビンブラスチンおよびゲムシタビンを含む)、免疫療法、光線力学療法、プロテアソーム阻害剤(ボルテゾミブを含む)、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤(ボリノスタットおよびスベロイルアニリドヒドロキサム酸を含む)、ビタミンD3およびビタミンD3類縁体、細胞周期チェックポイント阻害剤(UCN−01および2−(4−(4−クロロフェノキシ)フェニル)−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボキサミドを含む)、低酸素細胞放射線感受性増強物質(メトロニダゾールおよびミソニダゾールを含む)、アポトーシス誘導物質(ウィザフェリンAを含む)、放射線感受性増強物質、放射免疫療法またはこれら2つ以上の組み合わせが挙げられる。 投与とは、静脈点滴または静脈注射を意味する。より具体的には、本発明の放射性免疫複合体は、空気塞栓を防止し患者に対する滴下速度の確認が可能な点滴筒に接続された末梢カニューレを用いて静脈に直接投与することができる。 一実施形態において、前記放射性免疫複合体を反復投与してもよい。 本発明の別の実施形態において、前記放射性免疫複合体を反復投与する際に、異なる放射性核種の放射性免疫複合体を投与してもよく、例えば、β放射免疫療法に続いてα放射免疫療法を実施してもよく、またその逆の順序で実施してもよい。 本発明の一態様は、B細胞悪性腫瘍を治療するための本発明の放射性免疫複合体の使用に関する。 本発明の一実施形態は、本発明の放射性免疫複合体の投与とその他の治療法とを組み合わせた、本発明の放射性免疫複合体の使用に関する。 本発明の一実施形態において、前記その他の治療法は、前処置、化学療法、モノクローナル抗体療法、手術、放射線療法および/または光線力学療法から選択される。 本発明の別の実施形態において、前記その他の治療法は、骨髄移植または幹細胞移植、および/または骨髄治療または幹細胞治療である。 本発明の別の実施形態は、本発明の放射性免疫複合体による治療を実施する前に、抗CD20モノクローナル抗体および/または抗CD37モノクローナル抗体による前処置治療を実施することを含む。 本発明の一実施形態において、前記前処置を本発明のキメラ抗体を投与することにより実施した後、HH1のキメラ抗体の放射性免疫複合体またはHH1抗体の放射性免疫複合体による治療を実施する。 本発明の一態様は、B細胞性非ホジキンリンパ腫、B細胞慢性リンパ球性白血病、毛様細胞性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫および多発性骨髄腫からなる群より選択されるB細胞悪性腫瘍の治療方法であって、本発明の医薬組成物を有効量投与することを含む治療方法に関する。 本発明の一実施形態において、本発明の使用および治療方法は、in vitroまたはex vivoで実施されるものである。 本発明の一実施形態において、前記抗体の投与量は患者1人あたり1〜1000mg、より好ましくは5〜50mgであり、177Luの使用量は体重1kgあたり1〜200MBq、より好ましくは10〜100MBqである。 本発明のキメラ抗体またはヒト化抗体を含む本発明の医薬組成物は、細胞表面にCD37を発現するB細胞の除去に使用することができる。 このような医薬組成物は、B細胞悪性腫瘍の治療に使用することができる。 前記B細胞悪性腫瘍は、B細胞性非ホジキンリンパ腫、B細胞慢性リンパ球性白血病、毛様細胞性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫および多発性骨髄腫からなる群より選択されてもよい。 本発明の一実施形態は、病態にB細胞が関与している自己免疫疾患または炎症性疾患の治療に使用するための、本発明のキメラ抗体またはヒト化抗体を含む医薬組成物に関する。 本発明の別の実施形態は、細胞集団からCD37発現B細胞を除去する方法であって、本発明の抗体分子または該抗体分子を含有する医薬組成物を前記細胞集団に対して投与することを含む除去方法に関する。 本発明のさらなる別の実施形態は、B細胞性非ホジキンリンパ腫、B細胞慢性リンパ球性白血病および多発性骨髄腫からなる群より選択されるB細胞悪性腫瘍を患う患者の治療方法であって、前記患者に本発明のキメラ抗体またはヒト化抗体を含む医薬組成物を有効量投与することを含む治療方法に関する。 特別な一実施形態において、正常組織細胞を保護し、かつ腫瘍による取り込みを増強させるために、放射性標識型または免疫毒素型のマウスキメラ抗体HH1またはヒト化マウス抗体HH1による治療を実施する前に、キメラ抗体HH1またはヒト化抗体HH1を患者に投与する。 その投与量は、正常組織による取り込みを阻止できる量でなくてはならないが、腫瘍による取り込みを抑制するほど過剰であってはならない。キメラ抗体HH1またはヒト化抗体HH1は、例えば、患者1人あたり0.5mg〜1gの用量で投与すべきである。 キメラ抗体HH1またはヒト化抗体HH1は、例えば、前記放射性免疫複合体の投与の1週間前および/または1〜5時間前に投与してもよい。キット 本発明の一態様は、2つ以上のバイアルを含む、本発明の放射性免疫複合体の製造用キットに関し、1つのバイアルは、マウスモノクローナル抗体HH1とこれに結合したキレート剤とを含む複合体を含有し、第2のバイアルは放射性核種を含有する。 キットは、いくつかの作業工程を必要とするものであってもよく、例えば、点滴前に放射性標識および/または精製といった作業を必要とするものであってもよい。 本発明の一実施形態は、1つ以上のバイアルの内容物が凍結乾燥物または溶液である本発明のキットに関する。 2つのバイアルの内容物を混合することで最終生成物である放射性免疫複合体が生成される。したがって、本発明の別の実施形態において、前記放射性免疫複合体は、2つのバイアルの内容物の混合により生成される。 この生成物は、使用前に精製を必要とするものであってもよい。 本発明の一態様において記載した実施形態および特徴は、本発明のその他の態様にも適用されるものとする。 本願に引用されているすべての特許文献および非特許文献は、それぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。 以下の実施例において、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。実施例1:キメラ抗体の作製 キメラ型HH1抗体は、V領域遺伝子の発現ベクターを用いて作製した。 このベクターには、RT−PCRで得られたVH鎖の遺伝子とVL鎖の遺伝子がそれぞれ導入されている。 次いでV遺伝子の配列解析を行い、V遺伝子に特異的なプライマーを新たに作製してV遺伝子を増幅した。次いで、増幅したV遺伝子を、ヒトIgG抗体の定常領域遺伝子(Cγ3、Cγ1およびCH1γ3)を含むpLNOH2ベクターにクローニングした。 IgG1CH1(配列番号5)、IgG1CH2(配列番号6)、IgG1CH3(配列番号7)の3つの定常領域を含むpLNOH2ベクターを配列番号8に示す。 pLNOH2ベクターの重鎖(配列番号5)とpLNOκベクターの軽鎖とを組み合わせて、combiベクターpLNOH2γ1/κ 抗CD37を作製した。すなわち、pLNOκ 抗CD37の完全長の軽鎖遺伝子(配列番号9)、CMVプロモーターおよびpolyAシグナルをpLNOH2 hIgG1 抗CD37にサブクローニングした。 このcombiベクターにおいて、重鎖と軽鎖はベクター内のそれぞれのCMVプロモーターから発現される。定常ドメインの同定 pLNOH2配列の定常ドメインは、IMGTデータベースのヒトIgG1の配列(登録番号:Z17370)から同定した。 chHH1抗CD37抗体の可変領域の遺伝子配列およびタンパク質配列は、以下の通りである。VH 抗CD37(アミノ酸配列:配列番号1、核酸配列:配列番号2)核酸配列(配列番号2):gagatccagctgcagcagtctggacctgagctggtgaagcctggggcttcagtgaaggtatcctgcaaggcttctggttactcattcactgactacaacatgtactgggtgaagcagagccatggaaagagccttgagtggattggatatattgatccttacaatggtgatactacctacaaccagaagttcaagggcaaggccacattgactgttgacaagtcctccagcacagccttcatccatctcaacagcctgacatctgaggactctgcagtctattactgtgcaagatccccttatggtcactatgctatggactactggggtcaaggaacctcagtcaccgtctcctcaアミノ酸配列(配列番号1):EIQLQQSGPELVKPGASVKVSCKASGYSFTDYNMYWVKQSHGKSLEWIGYIDPYNGDTTYNQKFKGKATLTVDKSSSTAFIHLNSLTSEDSAVYYCARSPYGHYAMDYWGQGTSVTVSSVL 抗CD37(アミノ酸配列:配列番号3、核酸配列:配列番号4)核酸配列(配列番号4):gacattgtgatgacccagtctcacaaactcttgtccacatcagtaggagacagggtcagcatcacctgcaaggccagtcaggatgtgagtactgctgtagactggtatcaacagaaaccaggacaatctcctaaactactgattaactgggcatccacccggcacactggagtccctgatcgcttcacaggcagtggatctgggacagattatactctcaccatcagcagtatgcaggctgaagacctggcactttattactgtcgacaacattatagcactccattcacgttcggctcggggacaaagttggaaataaaaアミノ酸配列(配列番号3):DIVMTQSHKLLSTSVGDRVSITCKASQDVSTAVDWYQQKPGQSPKLLINWASTRHTGVPDRFTGSGSGTDYTLTISSMQAEDLALYYCRQHYSTPFTFGSGTKLEIK実施例2:フローサイトメトリーによる抗原結合性評価CD37発現Daudi細胞に対するhchIgG1 抗CD37 b(chHH1)の結合性の解析 細胞は染色して固定した。 作製したchHH1の標的結合性をフローサイトメトリーにより解析した。Daudi細胞はCD37を発現しており、この細胞をchHH1またはhIgG1 抗NIPで染色した。左パネルでは、インタクトなDaudi細胞が選択されており、右パネルでは、染色したDaudi細胞の蛍光強度を示すヒストグラムが示されている。chHH1(実線)はCD37発現Daudi細胞に結合したが、キメラ型抗NIP IgG1(点線)はCD37発現Daudi細胞に結合しなかった。実施例3:キメラ型HH1の放射性標識ヨウ素化:125Iによる抗体の標識は、メーカーの仕様書に従って、IODOGENコーティングヨウ素化チューブ(Pierce社、イリノイ州ロックフォード)を用いた間接的ヨウ素化法により行った。111Inおよび177Luによる標識:まず抗体をキレート剤(p−SCN−Bn−DTPAまたはp−SCN−Bn−DOTA)と反応させた。 キレート剤であるDTPAまたはDOTAを0.05M HClに溶解し、この溶液を、炭酸塩緩衝液で洗浄することによりpHを約8.5とした抗体に5:1の比率で添加した。その後、pHを再確認し、必要であればpHの調整を行った。得られた溶液を室温で60分間振盪させた後、(抗体1mgあたり)50μLの200mMグリシン溶液を添加して反応を終了させた。 未反応のキレート剤を除去するために、複合体を形成した抗体をPBS(PAA)で4〜5回洗浄し、次いで酢酸アンモニウムで洗浄することによりpHを5に調整した。次いで、111Inまたは177Lu(Perkin Elmer社、米国マサチューセッツ州ボストン)を0.5mgのDOTA−抗体に添加して、42℃で1時間振盪した。 最後に、得られた生成物をゲル濾過カラム(例えばセファデックスG−25 PD10(GE health社)またはこれと同等のカラム)から溶出させて精製した。全体的な標識率は17%〜63%の範囲であった。 得られた放射性免疫複合体の品質は、リンパ腫細胞を用いて、改変したLindmo法により調べた(実施例4)。実施例4:免疫活性背景:免疫活性分析により、抗原陽性の標的細胞に対する抗体の結合能を測定した。方法:1mLあたり500万個、1000万個、4000万個、1億個または3億個の細胞を含む約0.3mLの細胞液を2系列用意して使用した。 半数のチューブには、抗原をブロッキングするために0.5mg/mLの濃度の非標識抗体を添加して15分間インキュベーションを行った。 その後、すべてのチューブに5〜20ng/mLの放射性免疫複合体を添加し、振盪機を用いてこの懸濁液を4℃で約2時間インキュベートした。 その後、チューブを遠心分離機にかけて、上清を分離して計測用に保存した。得られたペレットを1mLのPBSに再懸濁して、遠心分離を行った。この洗浄操作を2回繰り返し、各操作で得られた上清をプールした。ペレットを含むチューブおよびプールした上清を含むチューブに対してガンマカウンターで計測を行った。 特異的な結合活性は下記の式により算出した。各サンプルにおいて、ブロッキングを行っていないペレットのカウントをPCN、合わせた上清のカウントをCSC、総放射能量をTAとすると、特異的結合(SB)は以下のように計算される。(PCN/TA)−(PCN/TA(ブロッキングあり))=SB 各細胞濃度におけるSB値を算出して二重逆数プロットに表示し、Lindmoら(J Immunol Methods.1984 Aug 3;72(1):77−89)に従って、抗原が無限に存在する場合の免疫活性を求めた。結果:2つのバッチの177Lu標識キメラ型HH1を測定したところ、免疫活性はそれぞれ48.1%および84.5%であった。125I標識キメラ型HH1の1つのバッチでは、免疫活性は67.6%であった。結論として、これらのデータは一般にマウスHH1で得られる結果とよく一致しており、キメラ型HH1が対応する抗原に対して標的化能を有することを示している。実施例5:in vitroにおける腫瘍細胞に対する結合性序論:chHH1の結合平衡定数(Kd)、Daudi細胞表面に存在する抗原の平均数(Bmax)、およびchHH1の会合速度定数(ka)を求めるために結合実験を実施した(Dahleら、2007)。材料および方法:chHH1を125Iで標識した(実施例3)。0.4mLの培地に500万個/mLの細胞を懸濁したチューブを用意した。1系列の細胞に対しては、125I標識chHH1を添加する前に、0.5mg/mLの非標識chHH1を添加して15分間ブロッキングを行ったが、もう一方の系列の細胞に対してはブロッキングを行わなかった。両系列の細胞を、100ng/mL、1000ng/mL、5000ng/mLおよび10000ng/mLの125I−HH1とともにインキュベートした。これらの細胞を、5分間、10分間、20分間、30分間、1時間、1.5時間および2時間インキュベートした。インキュベーション終了後、5%ウシ胎仔血清を含むPBSで細胞を洗浄した。細胞、上清および洗浄液のそれぞれに対してガンマカウンターで計測を行った。実験は3回繰り返し実施した。結果:代表的な結合曲線を図2に示す。chHH1のKdは3.0±0.3であり、Daudi細胞のBmaxは細胞1個あたり330000±4000個のCD37抗原が存在することを示しており、chHH1のkaは0.36±0.03nM/hであった。これらのデータは、マウスHH1のデータ(Kd=2.7±0.3、細胞1個あたりのCD37抗原数Bmax=340000±5000およびka=0.72±0.03nM/h)と類似していた。実施例6:マウスにおける体内分布および腫瘍標的化 177Lu標識キメラ型HH1の体内分布を雄性Balb/Cヌードマウスを用いて調べた。材料および方法:二官能性キレート剤であるp−SCN−Bn−DOTAを用いて放射性標識を行い、抗体と放射性核種との複合体を作製した(実施例3を参照のこと)。この調製物を尾静脈注射により動物に100μLずつ投与した。 体重21〜25gの雄性Balb/Cヌードマウスを用いた。 動物1匹あたりに注入された放射能は120kBqであった。所定の時点でそれぞれ5匹の動物を用いた。注射後、所定の複数の時点で頸椎脱臼を行い、剖検を実施した。各組織サンプルの重量を測定し、較正したガンマ線検出器(Cobra II自動ガンマ線検出器、Packard Instrument社、米国コネチカット州メリデン)を用いて111Inを測定した。注射液サンプルは、測定操作における参照として使用した。結果:注射から1時間後、20時間後および6日後の177Luキメラ型HH1の体内分布を表1に示す。これらのデータから、この抗体が適切な体内分布を示すことが分かる。また、この体内分布は、放射性標識リツキシマブを用いた場合に観察される分布(Dahleら、2006、Nucl Med Biol、33、271−279)と類似していた。結論として、放射性標識キメラ型HH1の体内分布から、当該抗体はin vivoでの使用に適した特性を有すると考えられる。実施例7:フローサイトメトリーによる生存率測定を用いたin vitro ADCCアッセイ背景:キメラ型HH1抗体のADCC特性をナチュラルキラー(NK)細胞およびDaudiリンパ腫細胞を用いて評価した。方法:有志者より採取したヒト血液をLymphoprepおよびDynabeadsで処理して、NK細胞を単離した。Daudi細胞はDiOC18で染色した。 標的となるDaudi細胞106個/mLに対して10μLのDiOC18を添加して37℃で30分間インキュベートすることにより標識を行った。次いで、細胞をPBSで2回洗浄し、1mLの細胞培地に再懸濁した。 DiOC18で処理したDaudi細胞にキメラ型HH1または比較対照としてのリツキシマブを10μg/mLの濃度で添加して抗体による標識を行い、次いで、氷上で15分間インキュベートした後、未結合の抗体を除去するために遠心分離および再懸濁を行った。 種々の量のNK細胞を細胞培地で希釈して、4×105個/mL(40:1)、2×105個/mL(20:1)、1×105個/mL(10:1)および5×104個/mL(5:1)の濃度の細胞液を調製した。ヨウ化プロピジウム(PI)による対比染色の準備として、培地1mLあたり40μLのPIを添加することにより対比染色液を調製した。 標識したDaudi細胞を培地で104個/mLに希釈した。反応チューブに50μLのエフェクター細胞と50μLのDaudi細胞を加えて混合することによりアッセイを開始した。 この反応チューブに50μLのPI溶液を添加した。37℃で2時間インキュベートした後、フローサイトメトリーを用いてDaudi細胞の生存率(%)を評価した。 chHH1では、ADCCにより11%のDaudi細胞が死滅したが、リツキシマブでは、ADCCにより15%の細胞が死滅した。これら2種の抗体には、ADCCの誘導率において有意な差は見られなかった(図3を参照のこと)。実施例8:インターロイキン刺激末梢血単核球(PBMC)を用いたin vitro ADCC細胞アッセイ背景:マウスモノクローナル抗体HH1およびキメラ型モノクローナル抗体HH1のADCC活性をCr51放出アッセイにより評価した。材料および方法:マウスHH1およびキメラ型HH1による抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性(ADCC)を、標的細胞としてDaudi細胞を用い、エフェクター細胞としてIL2刺激ヒトPBMCを用いて評価した。 Daudi細胞(ヒトバーキットリンパ腫細胞株)を、10%熱不活化ウシ胎仔血清、1mMピルビン酸ナトリウム、2mM L−グルタミンおよび1%ペニシリン/ストレプトマイシンを含むRPMI−1640を用いて組織培養フラスコ(175cm2)で増殖させた。新鮮な培地で週に2〜3回継代培養を行うことにより、この培養細胞を3×105〜1.5×106個/mLの濃度で維持した。0.5×106〜1.0×106個/mLの細胞密度になった細胞培養物の一部を5分間遠心分離した(1200rpm)。 次いで、細胞を洗浄緩衝液(2%FCSを含むDPBS)で1回洗浄し、ペレット状にした(1200rpm、5分間)。得られた細胞ペレットをアッセイ培地(HEPESおよび10%FCSを含むRPMI)に再懸濁し、細胞数を計数した。クロム51で標識を行うために、細胞濃度を1×106個/mLに調整した。 健康なドナーからEDTAガラス容器に採取した約30〜50mLの全血をPBMCの単離に用いた。50mLのチューブに全血を移し、DPBS(カルシウム非含有およびマグネシウム非含有ハンクス平衡塩溶液)で1:1に希釈した。 50mLのチューブに2:1の比率になるように、希釈した全血をLymphoprep(Medinor社)の上に層状に重ね、遠心分離を1000×gで20分間、ソフトブレーキで行った。境界面に位置する単核球を吸引して、DPBSで2回洗浄した(300×g、10分間)。 得られた細胞ペレットを培地(10%熱不活化ウシ胎仔血清および1%ペニシリン/ストレプトマイシンを含むRPMI−1640)中にピペットを用いてやさしく再懸濁し、細胞計数装置を用いて細胞数を計数した。 PBMCを、25ng/mLのIL−2(eBiosciences社)を含む培地に5×105個/mLの濃度になるように調整し、6ウェル培養ディッシュに移して37℃のCO2インキュベーターで3日間培養した。IL−2で刺激したPBMCを回収して計数し、1.5×106個/mLの濃度になるようにアッセイ培地(HEPESおよび10%FCSを含むRPMI)に再懸濁した。 1×106個のDaudi細胞を含む1mLの細胞液に3.7MBqのクロム51(Cr51)を添加し、37℃で1時間放置して細胞の標識を行った。 標識した細胞に対して、2%FCSを含むDPBSを用いて遠心分離(2000rpm、5分間)による洗浄を3回行った。 標識した細胞を等分して、抗体のない対照も含めて、マウスHH1およびキメラ型HH1との結合に使用した。すべてのサンプルを37℃で10分間インキュベートし、次いで、2%FCSを含むDPBSによる洗浄を2回、遠心分離(2000rpm、5分間)を3回行った。 エフェクター細胞と標的細胞との共培養は、96ウェル丸底マイクロプレートを用いて行い、最終容量を200μLとし、各サンプル3連とした。 まず、10000個の標的細胞を含む100μLのアッセイ培地をプレートに移し、細胞濃度の異なる100μLのエフェクター細胞液を添加することでエフェクター細胞:標的細胞の比率を変化させてアッセイを行った。 対照として、標的細胞の培養をアッセイ培地のみ(自然溶解)または1%トリトンX−100を含むアッセイ培地(最大溶解)で行った。 上記の共培養は、37℃の加湿したCO2インキュベーター内で4時間行った。細胞傷害効果は、上清へのCr51放出量により測定した。インキュベーション終了後、室温で遠心分離を行い(1500rpm、5分間)、培地から細胞を取り除いた。細胞を取り除いた上清(100μL/ウェル)を、各ウェルに対応する96本の0.2mLのマイクロチューブに移した。これをPackard Cobra IIガンマカウンターで計測することによりCr51放出量を測定した。結果:実験結果を表2に示す。表に示す通り、キメラ型HH1で前処理したDaudi細胞の細胞溶解率は、3名の献血者すべてで有意に高かった。 マウスHH1による前処理では、抗体による前処理なしの場合との比較においてDaudi細胞の有意な溶解誘導は認められなかった。エフェクター細胞は3名の献血者に由来するものである。示したデータは、抗体非存在下で測定した細胞溶解率を100%として標準化したものである。結論:ヒトPBMCを用いたin vitro分析を実施したところ、キメラ型HH1はin vitroでリンパ腫細胞の溶解を引き起こし、有意にADCCを誘導するものであったが、マウスHH1では無処理の場合との比較において有意な細胞溶解効果は認められなかった。実施例9:キメラ型HH1とマウスHH1との結合性比較 キメラ型HH1が抗原/エピトープとの結合能を保持しているか否かを調べるために、キメラ型HH1およびマウスHH1で飽和状態にした細胞を用いて、放射性標識HH1の結合を阻止する能力を評価した。材料および方法:Daudi細胞の細胞懸濁液を分割して、それぞれ0.2mLのPBS中に170万個の細胞が含まれるチューブを6本用意した。チューブ1および2はブロッキングを行わず、チューブ3および4は、5μL中に3μgのHH1を含む液を添加してブロッキングを行い、チューブ5および6には、5μL中に3μgのキメラ型HH1を含む液を添加した。 すべてのチューブを10分間インキュベートした後、2ngの125I標識HH1を添加して、細胞振盪機を用いて室温でさらに40分間インキュベートした。 LKBガンマカウンターを用いて各チューブの全放射能を測定した後、細胞を0.5%BSAおよび1mM DTPAを含むPBS1mLで3回洗浄した。最終的に得られたペレットの放射能を測定し、細胞結合活性を求めた。結果:ブロッキングを行わなかった細胞では42.7%(42.7%〜42.7%の範囲)の放射能が保持されていることが分かった。HH1でブロッキングした細胞では1.6%の放射能(1.4%〜1.8%の範囲)が保持されていた。キメラ型HH1でブロッキングした細胞では1.3%の放射能(1.1%〜1.5%の範囲)が保持されていた。 結論として、放射性標識マウスHH1の結合がキメラ型HH1により極めて効果的に阻害され、その程度がマウスHH1による結合阻害と同等であることから、キメラ型HH1は抗原/エピトープ結合能を保持していると考えられる。 またこの結果は、放射性免疫複合体型または免疫毒素型のHH1を用いた治療を行う前に正常組織のCD37抗原をブロッキングするための前処置としてキメラ型HH1が有用である可能性を示している。実施例10:Rec−1細胞を標的細胞として用いた場合のchHH1.1によるADCC材料および方法:3名の健常人からEDTAガラス容器に採取した血液を末梢血単核球(PBMC)の単離に用いた。50mLのチューブに全血を移し、DPBS(DPBS、Hyclone、Thermo Scientific社、米国)で1:1に希釈した。50mLのチューブに2:1の比率になるように、希釈した全血をLymphoprep(Medinor社、ノルウェー)の上に層状に重ね、遠心分離を1000×gで20分間、ソフトブレーキで行った。 境界面に位置する単核球を吸引して、DPBSで2回洗浄した(300×g、10分間)。得られた細胞ペレットを培地(10%熱不活化ウシ胎仔血清含むRPMI−1640)中にピペットを用いてやさしく再懸濁し、細胞計数装置を用いて細胞数を計数した。 PBMCを25ng/mLのヒト組換えIL−2(eBiosciences社)で3日間刺激した。リンパ腫細胞であるRec−1マントル細胞(LG Standards社、スウェーデン、ボロース)を細胞傷害アッセイの標的細胞として用いた。この細胞を、10%熱不活化ウシ胎仔血清(PAA、Thermo Scientific社、米国)を含むRPMI−1640(Hyclone、Thermo Scientific社、米国)を用いて組織培養フラスコ(175cm2)で増殖させた。 細胞ペレットをアッセイ培地(10%FCSを含むRPMI)に再懸濁し、細胞数を計数した。クロム51で標識を行うために、細胞濃度を5×106個/mLに調整した。 5×106個の細胞を含む1mLの細胞液に3.7MBqのクロム51(51Cr)(PerkinElmer社、オランダ)を添加し、37℃で1時間放置して細胞の標識を行った。標識した細胞に対して、2%FCSを含むDPBSによる洗浄を3回、遠心分離(2000rpm、5分間)を3回行った。 標識した細胞を等分して、抗体のない対照も含めて、20μg/mLマウスHH1との結合、20μg/mLリツキシマブとの結合、20μg/mL chHH1.1(IgG1アイソタイプ)との結合、および20μg/mLリツキシマブと20μg/mL chHH1.1との組み合わせとの結合に使用した。すべてのサンプルを37℃で10分間インキュベートし、次いで、2%FCSを含むDPBSによる洗浄を2回、遠心分離(2000rpm、5分間)を3回行った。 準備したエフェクター細胞と標的細胞との培養は96ウェル丸底マイクロプレートを用いて行い、最終容量を200μLとし、これら2種の細胞の比率を40:1、20:1または10:1とした。まず、10000個の標的細胞を含む100μLのアッセイ培地をプレートに移し、100μLのヒトPBMC液を加えた。対照として、標的細胞の培養をアッセイ培地のみ(自然溶解)または1%トリトンX−100を含むアッセイ培地(最大溶解;総放出量)で行った。 各サンプル3連でアッセイを行った。上記の共培養は、37℃の加湿したCO2インキュベーター内で4時間行った。細胞傷害効果は、上清への51Cr放出量により測定した。インキュベーション終了後、室温で遠心分離を行い(1500rpm、5分間)、培地から細胞を取り除いた。細胞を取り除いた上清(150μL/ウェル)を、各ウェルに対応する96本の0.2mLのマイクロチューブに移した。ガンマカウンター(Cobra II、Packard社、land)を用いて51Cr放出量を測定した。 特異的溶解率(%)は以下の式により算出した。100×(試験における放出量−自然放出量)/(総放出量−自然放出量) 試験における放出量は、同じ処理を施したサンプルの平均値である。自然放出量および総放出量を求めるために、すべての抗体処理群において3連のサンプルでアッセイを行い、得られた平均値を各抗体処理の試験サンプルの評価に用いた。結果:図4より、ADCCによるRec−1細胞の特異的溶解を誘導する効果に関しては、chHH1.1はリツキシマブと同等の効果を有し、マウスHH1よりわずかに高い効果を有することが分かる。chHH1とリツキシマブとを併用した場合は、それぞれの抗体を単独で用いて処理した場合よりわずかに高い特異的溶解率が示された。結論:Rec−1細胞に対するchHH1.1の作用メカニズムにADCCが関与していることがわかる。リツキシマブとchHH1.1との併用処理により、それぞれの抗体による単独処理よりわずかに高いADCCが示された。実施例11:Rec−1細胞を標的細胞として用いた場合のchHH1.1による補体依存性細胞傷害(CDC)材料および方法:3名の健常人から採血し、遠心分離により血清を分離した。 リンパ腫細胞であるRec−1マントル細胞(LG Standards社、スウェーデン、ボロース)を細胞傷害アッセイの標的細胞として用いた。この細胞を、10%熱不活化ウシ胎仔血清(PAA、Thermo Scientific社、米国)を含むRPMI−1640(Hyclone、Thermo Scientific社、米国)を用いて組織培養フラスコ(175cm2)で増殖させた。 細胞ペレットをアッセイ培地(10%FCSを含むRPMI)に再懸濁し、細胞数を計数した。クロム51で標識を行うために、細胞濃度を5×106個/mLに調整した。 5×106個の細胞を含む1mLの細胞液に3.7MBqのクロム51(51Cr)(PerkinElmer社、オランダ)を添加し、37℃で1時間放置して細胞の標識を行った。標識した細胞に対して、2%FCSを含むDPBSによる洗浄を3回、遠心分離(2000rpm、5分間)を3回行った。標識した細胞を等分して、抗体のない対照も含めて、20μg/mLマウスHH1との結合、20μg/mLリツキシマブとの結合、20μg/mL chHH1.1(IgG1アイソタイプ)との結合、および20μg/mLリツキシマブと20μg/mL chHH1.1との組み合わせとの結合に使用した。すべてのサンプルを37℃で10分間インキュベートし、次いで、2%FCSを含むDPBSによる洗浄を2回、遠心分離(2000rpm、5分間)を3回行った。 標的細胞の培養は、10%血清の存在下、最終容量を200μLとして、96ウェル丸底マイクロプレートを用いて行った。対照として、標的細胞の培養をアッセイ培地のみ(自然溶解)または1%トリトンX−100を含むアッセイ培地(最大溶解;総放出量)で行った。 各サンプル3連でアッセイを行った。上記の培養は、37℃の加湿したCO2インキュベーター内で2時間行った。細胞傷害効果は、上清への51Cr放出量により測定した。インキュベーション終了後、室温で遠心分離を行い(1500rpm、5分間)、培地から細胞を取り除いた。細胞を取り除いた上清(150μL/ウェル)を、各ウェルに対応する96本の0.2mLのマイクロチューブに移した。ガンマカウンター(Cobra II、Packard社、land)を用いて51Cr放出量を測定した。 特異的溶解率(%)は以下の式により算出した。100×(試験における放出量−自然放出量)/(総放出量−自然放出量) 試験における放出量は、同じ処理を施したサンプルの平均値である。自然放出量および総放出量を求めるために、すべての抗体処理群において3連のサンプルでアッセイを行い、得られた平均値を各抗体処理の試験サンプルの評価に用いた。結果:図5より、chHH1.1単独ではCDCメカニズムを介した作用は見られないが、chHH1.1とリツキシマブを併用すると、リツキシマブとchHH1.1の相加効果よりも高い特異的溶解効果が得られることがわかる。結論:chHH1.1を単独で使用した場合の作用メカニズムにCDCが関与しているとは言えないが、chHH1.1とリツキシマブとの併用処理では相乗効果が見られた。実施例12:125I−chHH1.3のラモス細胞に対する結合性材料および方法:アイソタイプIgG3を有するキメラ型HH1(chHH1.3)およびマウスHH1(mHH1)の125Iによる放射性標識は、ヨウ素化チューブ(Pierce社、英国)のメーカーが提示する方法に従って間接的ヨウ素化法により行った。1つの実験においては、ラモス細胞を20mgのchHH1.3またはmHH1でブロッキングした後、125I−chHH1.3で放射性標識して非特異的結合量を測定した。 また、別の実験として、ラモス細胞を20mgのchHH1.3、mHH1またはchHH1.1でブロッキングした後、125I−mHH1で放射性標識して非特異的結合量を測定した。いずれの実験においても、総結合量の測定には、ブロッキングを行わなかった細胞に対する結合を用いた。 変異重鎖の全長におけるchHH1.3 FcのDNA配列を配列番号10に示す。 変異軽鎖の全長におけるchHH1.3 Fcのアミノ酸配列を配列番号11に示す。 変異重鎖の全長におけるchHH1.3 FcのDNA配列を配列番号12に示す。 変異軽鎖の全長におけるchHH1.3 Fcのアミノ酸配列を配列番号13に示す。 変異を含まない場合のchHH1.3 Fc配列(定常領域)を配列番号14に示す。結果:ブロッキングを行わなかったラモス細胞を125I−chHH1.3で放射性標識した場合の総結合量は81%であり、ラモス細胞を125I−mHH1で放射性標識した場合の総結合量は77%であった。しかし、chHH1.3またはmHH1でブロッキングした細胞を125I−chHH1.3で放射性標識した場合の非特異的結合量はそれぞれ0.8%および44%であった。この結果より、chHH1.3はmHH1よりCD37抗原に対する親和性が高いと考えられる。さらに、chHH1.3、mHH1またはchHH1.1でブロッキングした細胞を125I−mHH1で放射性標識した場合の非特異的結合量はそれぞれ0.3%、0.5%および0.7%であった。この結果より、これら3つの抗体はCD37抗原の同じエピトープに結合すると考えられる。 結論:これらの結果から、mHH1、chHH1.1およびchHH1.3はCD37の同じエピトープに結合することが示唆された。mHH1の親和性よりchHH1.3の親和性が高いという結果は予想外であった。実施例13:ヌードマウスにおける125I−chHH1.3の体内分布材料および方法:アイソタイプIgG3を有するキメラ型HH1(chHH1.3)の125Iによる放射性標識は、ヨウ素化チューブ(Pierce社、英国)のメーカーが提示する方法に従って間接的ヨウ素化法により行った。 この調製物を尾静脈注射により動物に100μLずつ投与した。マウス1匹あたりに注入された放射能は600kBqであった。所定の時点でそれぞれ2匹の動物を用いた。注射後、24時間および48時間の時点で頸椎脱臼を行い、剖検を実施した。各組織サンプルの重量を測定し、較正したガンマ線検出器(Cobra II自動ガンマ線検出器、Packard Instrument社、米国コネチカット州メリデン)を用いて各臓器サンプルにおける125Iの放射能を測定した。注射液サンプルは、測定操作における参照として使用した。各時点において、注入量に対する補正崩壊率(組織1gあたり)(%ID/g)を算出した。結果および結論:chHH1.3抗体はヌードマウスにおいて適切な分布を示した(図6)。 図6:雌性ヌードマウスにおける注射から24時間後および48時間後の125I−chHH1.3の体内分布(%I.D./g)実施例14:Daudi細胞に対するchHH1.3のADCC活性およびCDC活性材料および方法:ADCCおよびCDCの実験は、CDCアッセイに市販の血清を用いた点、およびPBMCを25ng/mLのヒト組換えIL−2(eBiosciences社)で一晩刺激した後、実施例7と同じアッセイを用いてナチュラルキラー細胞を単離した点以外は、実施例10および11と同様の方法で行った。PBMCの単離は、2名からEDTAチューブに採取した血液を用いて行った。 Daudiリンパ腫細胞(LG Standards社、スウェーデン、ボロース)(標的細胞)を細胞傷害アッセイの標的細胞として用いた。この細胞を、10%熱不活化ウシ胎仔血清(PAA、Thermo Scientific社、米国)を含むRPMI−1640(Hyclone、Thermo Scientific社、米国)を用いて組織培養フラスコ(175cm2)で増殖させた。 細胞ペレットをアッセイ培地(10%FCSを含むRPMI)に再懸濁し、細胞数を計数した。クロム51で標識を行うために、細胞濃度を5×106個/mLに調整した。 5×106個のDaudi細胞を含む1mLの細胞液に4MBqのクロム51(51Cr)(PerkinElmer社、オランダ)を添加し、37℃で1時間放置して細胞の標識を行った。標識した細胞に対して、2%FCSを含むDPBSによる洗浄を3回、遠心分離(2000rpm、5分間)を3回行った。標識した細胞を等分して、20mg/mLのchHH1.3抗体との結合、chHH1.3とリツキシマブ(いずれも20mg/mL)との組み合わせとの結合、および抗体のない対照に使用した。すべてのサンプルを37℃で10分間インキュベートし、次いで、2%FCSを含むDPBSによる洗浄を2回、遠心分離(2000rpm、5分間)を3回行った。 CDCアッセイにおいては、標的細胞であるDaudi細胞の培養は、10%血清または30%血清の存在下、最終容量を200μLとして、96ウェル丸底マイクロプレートを用いて行った。ADCCにおいては、NKエフェクター細胞と標的細胞であるDaudi細胞との培養を96ウェル丸底マイクロプレートを用いて行い、最終容量を200μLとし、これら2種の細胞の比率を10:1(献血者1)または15:1(献血者2)とした。 対照として、標的細胞の培養をアッセイ培地のみ(自然溶解)または1%トリトンX−100を含むアッセイ培地(最大溶解;総放出量)で行った。 各サンプル3連でアッセイを行った。上記の培養は、37℃の加湿したCO2インキュベーター内で2時間行った。細胞傷害効果は、上清への51Cr放出量により測定した。インキュベーション終了後、室温で遠心分離を行い(1500rpm、5分間)、培地から細胞を取り除いた。細胞を取り除いた上清(150μL/ウェル)を、各ウェルに対応する96本の0.2mLのマイクロチューブに移した。ガンマカウンター(Cobra II、Packard社、land)を用いて51Cr放出量を測定した。 特異的溶解率(%)は以下の式により算出した。100×(試験における放出量−自然放出量)/(総放出量−自然放出量) 試験における放出量は、同じ処理を施したサンプルの平均値である。自然放出量および総放出量を求めるために、すべての抗体処理群において3連のサンプルでアッセイを行い、得られた平均値を各抗体処理の試験サンプルの評価に用いた。結果:chHH1.3抗体がCDCメカニズムを介してDaudi Bリンパ腫細胞を特異的に溶解させることはなかったが、ADCCメカニズムを介してDaudi細胞を特異的に溶解させる効果を有することは明らかであった(図7)。結論:標的であるDaudi細胞に対するchHH1.3の作用メカニズムにCDCは関与していないが、ADCCは関与している。 ヒトCD37に結合する抗体分子であって、a)i)配列番号1で示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、およびii)配列番号3で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域により定義されるマウスモノクローナル抗体、またはb)a)で定義される抗体と同じヒトCD37エピトープ、もしくは該エピトープと類似もしくは重複したエピトープを認識する非ヒト抗体に由来する、キメラ抗体またはヒト化抗体である抗体分子。i)配列番号1で示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、ii)配列番号3で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、ならびにiii)ヒト由来の重鎖定常領域および軽鎖定常領域で定義されるキメラ抗体である請求項1の抗体分子。 i)前記重鎖定常領域がIgG1鎖、IgG2鎖、IgG3鎖およびIgG4鎖からなる群より選択され、ii)前記軽鎖定常領域がκ鎖またはλ鎖である、請求項2の抗体。 前記重鎖定常領域がi)配列番号5、配列番号6、配列番号7および/または配列番号11で示されるアミノ酸配列を含み、前記軽鎖定常領域がii)配列番号9または配列番号13で示されるアミノ酸配列を含む、請求項3の抗体。 請求項1〜4のいずれか1項の抗体の重鎖可変領域をコードする領域を含むDNA分子。 前記重鎖可変領域をコードする領域が、ヒト由来の重鎖定常領域をコードする領域と融合しており、該ヒト由来の重鎖定常領域が、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4からなる群より選択される、請求項5のDNA分子。 前記IgG1が配列番号5、配列番号6および/または配列番号7で示される配列によりコードされているか、前記IgG3が配列番号10および/または配列番号12で示される配列によりコードされている、請求項6のDNA分子。 請求項1〜5のいずれか1項の抗体の軽鎖可変領域をコードする領域を含むDNA分子。 請求項7のDNA分子および/または請求項8のDNA分子を含む発現ベクター。 請求項9のベクターを1以上含む宿主細胞。 哺乳類の宿主細胞に1以上の請求項9のベクターをトランスフェクトすること、該宿主細胞を培養すること、ならびに得られた抗体分子を回収および精製することを含む、請求項1〜4のいずれか1項の抗体の製造方法。 有効成分である請求項1〜4のいずれか1項の抗CD37抗体分子を1以上と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。 細胞集団からCD37発現B細胞を除去する方法であって、請求項1〜4のいずれか1項の抗体分子または該抗体分子を含有する請求項12の医薬組成物を前記細胞集団に対して投与することを含む除去方法。a)請求項1〜4の抗体、b)リンカー、およびc)211At、213Bi、212Bi、212Pb、225Ac、227Th、90Y、186Re、188Re、199Au、194Ir、166Ho、159Gd、153Sm、149Pm、142Pr、111Ag、109Pd、77As、67Cu、47Scおよび177Luからなる群より選択される放射性核種を含む、ヒトCD37に結合する放射性免疫複合体。 請求項14の放射性免疫複合体および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。 B細胞悪性腫瘍を治療するための請求項11または15の医薬組成物。 B細胞性非ホジキンリンパ腫、B細胞慢性リンパ球性白血病、毛様細胞性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫および多発性骨髄腫からなる群より選択されるB細胞悪性腫瘍の治療方法であって、請求項11または15の医薬組成物を有効量投与することを含む治療方法。 2つ以上のバイアルを含む、請求項14の放射性免疫複合体の製造用キットであって、1つのバイアルが請求項1〜4のいずれか1項の抗体とこれに結合したキレート剤とを含む複合体を含有し、第2のバイアルが放射性核種を含有するキット。 放射性標識型または免疫毒素型のHH1による放射免疫療法の実施前に正常組織のCD37をブロッキングする目的でB細胞悪性腫瘍の前処置に使用される、キメラ抗体HH1またはヒト化抗体HH1の注射剤。 前記HH1抗体の量が0.5mg以上1g以下である請求項19の剤。 本発明は、マウスモノクローナル抗体HH1由来のキメラ抗体またはヒト化抗体に関する。本発明の用途は、本発明の抗体またはその放射性免疫複合体を含む医薬組成物をB細胞悪性腫瘍の治療に使用する治療用途を含む。 配列表