生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_ポリエチレンテレフタレートの製造のための新たな触媒錯体を合成するプロセス
出願番号:2014546356
年次:2015
IPC分類:C08G 63/84,C08G 63/183,C07C 31/20


特許情報キャッシュ

アル−ファーフッド,バンダー JP 2015505882 公表特許公報(A) 20150226 2014546356 20121213 ポリエチレンテレフタレートの製造のための新たな触媒錯体を合成するプロセス サウディ ベーシック インダストリーズ コーポレイション 502132128 柳田 征史 100073184 佐久間 剛 100090468 アル−ファーフッド,バンダー EP 11009910.8 20111216 C08G 63/84 20060101AFI20150130BHJP C08G 63/183 20060101ALI20150130BHJP C07C 31/20 20060101ALI20150130BHJP JPC08G63/84C08G63/183C07C31/20 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC EP2012005135 20121213 WO2013087199 20130620 19 20140813 4H006 4J029 4H006AA03 4H006AB80 4H006FE11 4H006FG24 4H006FG26 4H006FG28 4J029AA03 4J029AB01 4J029AB05 4J029AC01 4J029AE01 4J029AE02 4J029AE03 4J029BA03 4J029CB05A 4J029CB06A 4J029HA01 4J029HB01 4J029JA301 4J029JB121 4J029JB131 4J029JC731 4J029JF181 4J029KA02 4J029KC02 4J029KE05 4J029KE12 本発明は、ポリエチレンテレフタレート(PET)の重合のための新規の触媒の合成プロセスに関する。本発明はまた、そのプロセスにより得られる触媒にも関する。さらに、本発明は、その触媒を使用したポリエチレンテレフタレート(PET)の製造、特に、高分子量ポリエチレンテレフタレート(PET)の製造のためのプロセスに関する。 PETなどのポリエステルが、当該技術分野で周知であり、織物および工業用繊維、フイルムおよびシート、並びに容器などの用途に広く使用されている。ポリエステルは、1:1のモル比でのジカルボン酸とジオールとの間の反応と、その後の2工程から合成することができる。第1の工程は、「エステル化」と呼ばれ、高温で行われ、その後、それより高い温度と低圧での縮合反応が続く。この工程は一般に、「重縮合」工程として知られている。 PETは、典型的に150℃と200℃の間の高温での、テレフタル酸ジメチル(DMT)とエチレングリコール(EG)との間の反応により合成することができる。この反応を加速するために、酢酸亜鉛または酢酸マンガンなどの触媒が使用されてきた。PETを合成する別の方法は、テレフタル酸ジメチルの代わりの、精製テレフタル酸(PTA)のエチレングリコールとの反応である。その反応では、触媒は必要とされない。その反応は、テレフタル酸ビス(2−ヒドロキシエチル)(BHET)と呼ばれる中間体エステル材料の形成をもたらすエステル化を表す。BHETはその後、適切な触媒の存在下で、典型的に270℃と300℃の間の高温で、不活性雰囲気下または高真空下において、重合(重縮合)させて、PETを製造することができる。 PET合成に、副反応がないわけではない。PETの調製において、ジエチレングリコール(DEG)およびアセトアルデヒド(AA)の形成が重大な副反応である。DEGは、2つのEG分子の縮合により形成され、PET鎖に含まれることがある。PET分子中のDEGの量は、融点、ガラス転移温度、可染性および耐光性などの、PETの数多くの重要な性質に影響する。アセトアルデヒドは、微量の水、−OHまたはEG末端基とのビニル末端基の反応から生成される。アセトアルデヒドにより、ボトル入り飲料水に好ましくない味が生じる。重合触媒を選択する場合、そのような触媒が、所望の反応に向かう選択性を示し、副反応を最小にすることが望ましい。 上述したように、PETの重縮合は、触媒の存在下で起こる。この業界で使用される典型的な触媒はアンチモン系材料である。三酸化アンチモンおよび三酢酸アンチモンが、最も一般に使用されているアンチモン化合物である。アンチモン系触媒は、良好な触媒効率、低コストを示し、しばしば、安定剤としてのリン化合物の存在下で使用される。アンチモンは重金属であり、それゆえ、重合後にポリマー中に含まれる遊離金属の毒性が、特に食品包装用途にとって、重大な問題である。アンチモンに取って代わるために、代わりの金属化合物を試してきたが、ほとんどの場合、それらの触媒活性は、商業的開発にとっては不適切である。 酸化ゲルマニウムも、PETの製造のための触媒として広く使用されており、アンチモンよりもさらに高い活性を示す;これは、アンチモンの毒性により生じる制限のために、主に日本で使用されている。ゲルマニウムのコストがより高いために、世界規模の使用が制限されてきた。PET製造のためのゲルマニウム系触媒の使用が、例えば、特許文献1および2に記載されている。 PETの製造に使用されてきた代わりの商業的に適用された触媒群は、チタン化合物である。チタンは、アンチモンとゲルマニウムの両方よりも高い活性を示すことが多い。しかしながら、固相反応における重縮合を実施するためにチタン触媒を使用する場合、高分子量の生成物を製造することが非常に難しい。最終生成物の変色が、チタン化合物の使用によるさらに別の重大な欠点である。ポリマーの色を改善するために加えられる色隠蔽剤のために、PETの製造コストが増す。PET重合に適したチタン化合物を製造するために、数多くの改善が進行中であり、その例が特許文献3に見つかる。 亜鉛化合物も重縮合触媒として記載されている。亜鉛系触媒は、溶融重縮合において高い活性を示し、毒性は示さず、そのような化合物が低コストであるために、追加の利点が得られる。しかしながら、亜鉛化合物は、高いジエチレングリコール(DEG)形成[非特許文献1]などの副反応、生成物の高いアセトアルデヒド(AA)含有量[特許文献4および5]および低い熱安定性[非特許文献2]のために、現在ほとんど使用されていない。その上、亜鉛化合物は、チタン触媒の活性と同様に、固相重合中に低い活性を有する。亜鉛系触媒の例が、特許文献6および7に記載されている。 具体的に、異なる形態のホウ酸亜鉛が、重縮合触媒として特許文献に提案されている。有機ホウ酸エステルおよびそれらの金属塩も、PET触媒として機能を果たすと記載されている。例えば、ホウ酸亜鉛が、重縮合触媒として、特許文献8に使用されていた。標準的なホウ酸亜鉛は、例えば、特許文献9から13において、補助剤としてポリエステル製造のための主触媒として使用されている。ホウ酸系触媒の別の代替物が、非特許文献3に記載されており、それには、ホウ酸ナトリウムビス(エチレンジオキシ)を使用した脂肪族と芳香族のエステルの穏やかなエステル交換のための触媒系が記載されている。特開昭56−8431A号公報特公平7−81002B2号公報米国特許第5017680号明細書国際公開第2010/102795A1号パンフレット国際公開第2011/020619A1号パンフレット米国特許第6133404号明細書米国特許第6489433号明細書国際公開第01/42335A1号パンフレット英国特許第804495号明細書米国特許第2973339号明細書ベルギー国特許第527901号明細書米国特許第3133113A号明細書米国特許第3047536A号明細書Chen, L-W. and Chen, J-W. Journal of Applied Polymer Science, 2000, 75(10), 1229-1234Polymer, 1976, 17, 221-224Asian Journal of Chemistry, Vol 23, No. 8(2011), 3660-3662 しかしながら、そのような触媒は、遅い反応速度および/またはポリマーの変色を示している。 したがって、機械的性質と光学的性質の良好なバランスを示すPETを生成する新たな触媒系であって、そのような触媒により製造されたPETにおいて、金属残留物の量を減少させる、特に、重金属を少なくする触媒系を見つけることが本発明の課題である。それと同時に、そのような触媒は、速い反応速度および高い活性を示すべきである。 本発明によれば、ポリエチレンテレフタレートの製造のための触媒を調製する新たなプロセスであって、 a)エチレングリコール、プロピレングリコールおよびブチレングリコールからなる群より選択される1種類以上のグリコールを含む溶媒中でホウ酸と亜鉛塩を反応させ、それによって、沈殿物を形成する工程、および b)工程a)から得られた沈殿物を単離する工程、を有してなるプロセスを発見した。 新たな触媒を製造するための本発明によるプロセスにおいて、ホウ酸と亜鉛塩は、グリコールを含む溶媒の存在下で、互いに反応させられる。そのグリコール系溶媒は、エチレングリコール、プロピレングリコールまたはブチレングリコールなどの1種類のみのグリコールを含んでもよいが、それらの任意の組合せを使用しても差し支えない。溶媒がエチレングリコールを含むことが好ましい。1種類以上のグリコールを含む溶媒は、他の不活性有機溶媒または水をさらに含有しても差し支えない。特に、水が、溶媒の好ましいさらに別の成分である。何故ならば、亜鉛塩は通常、水中に容易に溶けることができ、それゆえ、1種類以上の上述したグリコールと水との混合物が、工程a)の反応のための溶媒として特に好ましいからである。 亜鉛塩に関して、前記プロセスは非常に融通が利く。グリコール系溶媒中に溶解させられるどのような亜鉛塩も、その反応に適切に適用することができる。好ましい亜鉛塩は、どのような毒性イオンまたは配位子も導入しないものである。有機酸の陰イオンなどの有機配位子を有する亜鉛塩は、グリコール系溶媒中に容易に溶けることができ、それゆえ、本発明のプロセスに好ましく適用される。有機配位子を有する亜鉛塩の例としては、酢酸亜鉛二水和物およびギ酸亜鉛が挙げられる。最も好ましい亜鉛塩は、酢酸亜鉛二水和物である。塩化亜鉛などの無機亜鉛塩を使用しても差し支えない。 反応成分を組み合わせる順序は重要ではない。例えば、ホウ酸を過剰なグリコール系溶媒中に最初に溶解させ、次いで、グリコール系溶媒中に予め溶解された酢酸亜鉛二水和物に加えても差し支えない。しかし、同様に、亜鉛溶液をホウ酸の溶液に加えることも可能である。固体形態にある亜鉛塩をグリコール系溶媒中のホウ酸溶液に加えることも可能である。懸濁液を撹拌する場合、ホウ酸との反応が生じることができるように、亜鉛塩は溶解する。特に、亜鉛塩が高濃度溶液に加えられる場合、水中に亜鉛塩を溶解させ、その水溶液をホウ酸溶液に加えることが好ましいであろう。 本発明によれば、1種類以上のグリコールを含む溶媒中にホウ酸を溶解させ、固体形態または1種類以上のグリコールを含む溶媒中または水中の溶液形態にある亜鉛塩をそのような溶液と組み合わせるプロセスが好ましい。 それぞれの溶媒中のホウ酸と亜鉛塩の濃度は、幅広く様々であって差し支えない。反応体の濃度の条件は、それぞれの溶媒中の飽和限界である。ホウ酸と亜鉛塩の溶液が、0.01モル/lと飽和限界との間の範囲にある場合、良好な結果が得られる。それらの濃度が、0.05モル/lと1モル/lとの間にあることが好ましく、0.1モル/lと0.5モル/lとの間がより好ましい。 前記反応は、反応混合物を収容でき、かつ反応を進行させることができるどのような容器内で生じても差し支えない。もちろん、撹拌でき、温度の制御が可能な容器内で反応を行うことが好ましい。化学工業で一般に使用されるどのような撹拌反応槽も、本発明のプロセスにとって適している。反応混合物が撹拌されることが好ましい。何故ならば、それにより、所望の触媒の収率が高くなり、反応速度が速くなるからである。反応生成物を回収するために、多種多様な従来の方法、例えば、未反応の溶媒を煮沸して除去すること、または反応中に形成された沈殿物から溶媒をデカンテーションすることを用いても差し支えない。結果として生じた沈殿物を、グリコール系溶媒をデカンテーションすることによって単離し、その後、乾燥させることが好ましい。乾燥前に、生成物を温水で数回洗浄し、その後、濾過することが好ましい。乾燥は、開放雰囲気内で、または不活性ガスを流しながら、または真空下で、80〜200℃に及ぶ温度で行って差し支えない。 この反応は、開放雰囲気内で行ってもよいが、本発明の好ましい実施の形態は、ホウ酸と亜鉛塩との間の反応が不活性雰囲気下で行われるプロセスである。不活性雰囲気下で反応を行う方法は、当業者によく知られている。窒素雰囲気下で反応を行うことが最も都合よいが、例えば、アルゴンのようなどのような他の不活性ガスを使用しても差し支えない。 反応の温度は、広い範囲で変えることができる。反応は周囲温度で行うことができる。しかしながら、より高い温度では、グリコール系溶媒中の反応体の溶解度と反応速度が増加するので、通常は、より高い反応温度が好ましい。ホウ酸と亜鉛塩との間の反応が100℃から溶液の沸点までの温度で行われるプロセスが好ましい。反応が、120℃から溶液の沸点までの温度で行われることがより好ましく、約140℃で行われることが最も好ましい。 ホウ酸と亜鉛塩との間のモル比も、広い範囲で変えることができる。亜鉛塩のモル過剰が約2倍である場合、新たな触媒が最も高い収率で得られる。本発明によれば、ホウ酸と亜鉛との間のモル比が0.3と0.7の間であるプロセスが好ましい。また、0.1と1.0の間のモル比により、妥当な収率で新たな触媒が得られる。本発明によるプロセスによって、新たな触媒が得られる。それゆえ、新たなプロセスに加え、上述したプロセスにより得られる、ポリエチレンテレフタレートの製造のための新たな触媒を発見した。本発明のプロセスにより形成された沈殿物は、必ずしも、均質な化合物ではなく、さらに精製せずとも、その沈殿物は、PETの製造のための触媒としてうまく適用できる。しかしながら、沈殿物中に存在するかもしれない組成物の中で、主成分は、式C4H8O9B2Zn4に一致する化学組成を表した。それゆえ、本発明の好ましい実施の形態によれば、ポリエチレンテレフタレートの製造のための新たな触媒は、化学組成C4H8O9B2Zn4を有している。 本発明は、ポリエチレンテレフタレートの製造のための上述した触媒の使用にも関する。この点に関して、本発明は、特定の製造プロセスに制限されないが、その代わりに、新たな触媒は、ポリエチレンテレフタレートの製造のための任意の工業プロセス、特に、エステル化工程と、それに続く重縮合工程を含むそのようなプロセスの全てに適用できる。 本発明の触媒は、特に、高分子量PETの製造に適している。それゆえ、本発明の好ましい実施の形態は、高分子量のポリエチレンテレフタレートを製造する方法であって、 a)本発明に記載された触媒の存在下で、溶融状態にあるテレフタル酸、エチレングリコールおよび随意的なイソフタル酸を重合する工程、および b)少なくとも0.66dL/gの固有粘度に到達した後、溶融ポリマーを固化し、少なくとも1.00の固有粘度に到達するまで、固体状態で重合を継続する工程、を有してなる方法である。 本発明に記載された触媒により製造されたポリエチレンテレフタレートは、どのような重金属汚染物質も実質的に含まず、有益な生成物の性質を表す。新たなホウ酸亜鉛錯体は、反応時間に関して、PET重合反応において高性能触媒として働くことが判明した。それにもかかわらず、新たな錯体構造は、最終生成物の性質が、従来のアンチモン触媒の性質と比べて最適範囲内にあったので、他の副反応に対して良好な選択性を有することが分かっている。 試験方法: 固有粘度: 固有粘度またはI.V.は、ポリマーの分子量の尺度であり、希釈溶液粘度測定法により測定される。全てのI.V.は、ここでは、25℃で、フェノール/1,2−ジクロロベンゼン溶液の3:2(w/w)の混合物中で測定した。この方法は、単一濃度での単一測定に基づく。典型的に、約8〜10片を溶解して、0.5%の濃度の溶液を製造する。I.V.は、下記に示されたBillmeyer式(F. W. Billmeyer, J. of Polymer Science, 1949, IV, 83を参照のこと)を使用することにより、単一ポリマー濃度(0.5%)に関する相対濃度ηrの測定から得た。 色: 色パラメータは、HunterLab ColorFlexモデル番号45/0、製造番号CX0969で測定した。非晶質PET片は、研削も結晶化もせずに、透明状態で使用した。「基本ポリマー」は、灰色の色調と黄色の色合いを有した。CIE三刺激値L*、a*およびb*を使用して、透明な非晶質片の色を分類した。L*はサンプルの輝度を表し、高い値が高輝度を示す。L*=100は完全な白を表し、L*=0は完全な黒である。a*値はサンプルの緑色さまたは赤みを示す(−値が緑色さを表し、+値が赤みを表す)。b*値は青さまたは黄色さを示す(−値が青色を表し、+値が黄色を表す)。 DEG: DEG含有量を決定するために、PETを220℃でオートクレーブ内においてメタノールでエステル交換した。この最中に、PETは解重合され、DEGがジオールとして遊離する。形成された液体を、ガスクロマトグラフィー(GC)により分析して、適切な校正後に、ポリマーのDEG含有量を決定した。 COOH末端基: PETを還流条件下でo−クレゾールとクロロホルムの混合物中に溶解させた。室温まで冷却した後、窒素雰囲気下で、KOHエタノール溶液による電位差滴定法を使用して、COOH末端基を測定した。その結果が、COOHのmVal/PETのkgで表されている(PETのkg当たりのCOOHのミリ当量)。 非晶質PET片中のアセトアルデヒド(AA)および固相重合(SSP)片中の残留アセトアルデヒドの測定: ポリマー片の粉末への極低温研削後に、ヘッドスペース・ガスクロマトグラフィー(GC)によってAAを測定した。1gの粉末をGCバイアルに入れた。標準的なヘッドスペース方法が、樹脂中の残留AAに使用され、GCカラム中の注入前に、90分間に亘り150℃でのバイアルの加熱を含んだ。GCを、公知の濃度のアセトアルデヒド水溶液で校正した。 元素分析: ICP−Horiba Hobin YVON−Activaを使用して、金属分析を行った。触媒サンプルを硝酸中に溶解させ、所定の金属の標準溶液に相対的な金属含有量について分析した。CHN分析器Thermo Flash EA1112シリーズを使用して、C、HおよびNを決定した。触媒サンプルは、固体として使用し、装置中に入れ、次いで、極めて高い温度により燃焼させ、それらの元素の含有量について測定した。 実施例1:触媒の分析: 500mlの3口の丸底フラスコにホウ酸(10g、0.161モル)を入れ、その後、過剰のエチレングリコール(100ml)を加えた。温度を上昇させた際に、ホウ酸は容易に溶解した。窒素パージしながら、この混合物を1時間に亘り140℃に保持した。混合物を室温まで冷ませた。エチレングリコール(150ml)中に予め溶解させた酢酸亜鉛二水和物(70.8g、0.323モル)をフラスコに加えた。撹拌しながら、温度を徐々に上昇させた。140℃で還流しながら、混合物を撹拌し続けた。時間の経過とともに、白色固体物質が沈殿し始めた。反応を3時間に亘り一定条件下に維持した。その後、混合物を室温まで冷まし、生成物を放置して沈殿させた。過剰のエチレングリコールをデカンテーションした。固体沈殿物を水/エタノールの混合物(50:50v/v%)で繰り返し洗浄した。最後に、生成物をアセトニトリルで洗浄し、80℃で窒素を流しながらオーブン内で乾燥させた。生成物の質量は35.2gであり、収率は、亜鉛に基づいて、90.3%であった。得られた生成物の元素分析は、表1に列挙したデータを表し、これは、有機配位子とホウ酸部分とを架橋する4つの亜鉛原子を含む構造とC4H8O9B2Zn4の合計組成と一致する。 実施例2:新たな触媒を使用したPETの溶融重合: 高温シリコーン油により覆われ、加熱された25リットルのステンレス鋼製ベンチスケール反応器内で反応を行った。原材料の精製テレフタル酸(PTA)(6756g、40.7モル)、エチレングリコール(EG)(3358g、54.16モル)およびイソフタル酸(IPA)(160g、0.96モル)(表2参照)を、連続的に撹拌しながら、反応器に添加した。色隠蔽剤として、青色トナー(Clariant社により製造されるEstofil blue)(0.015g)および酢酸コバルト(0.5g)を反応の開始時に加えた。新たな触媒(0.25g)(表3参照)を同様に開始時に加えた。添加した材料を高速で撹拌し、5分間に亘り窒素ガスで換気した。次いで、反応器を閉じ、温度を250℃に上昇させた。撹拌速度を100rpmに上昇させた。反応器内の圧力は、EGの蒸気と水の形成のために、時間の経過と共に上昇した。圧力が7バール(700kPa)に一旦到達したら、過剰のEGの凝縮を支持するために、交換カラムの弁をわずかに開いて、エステル化反応から形成された水を除去した。理論量の水を収集した後、圧力を大気圧まで減少させ、リン酸(0.91g)を反応器に加え、この混合物を2分間に亘り撹拌した。次いで、交換カラムの弁を閉じ、真空ラインの弁を開けた。温度を275℃まで徐々に上昇させて、溶融重合を開始した。この段階で撹拌速度を60rpmに減少させた。反応器内の圧力は、0.8ミリバール(80Pa)の真空に到達するまで徐々に減少させて、形成されたEGと他の副生成物を除去した。反応の進行は、トルク測定によってモニタした。12N・mのトルクに相当する所望の固有粘度に到達した時点で、反応を停止させ、ポリマーをストランドに引っ張り、冷水中で急冷し、小さなペレットに切断した。 実施例3、4および5並びに比較例C1およびC2:固相重縮合(SSP): 水平バスケット型反応器内で固相重合を行った。金属バスケットに、上述した溶融重合により得られた100gの小片を充填し、反応器に入れた(実施例3)。並行して、標準的なアンチモン触媒(三酢酸アンチモン−例えば、米国特許出願公開第2008/033084A1号明細書参照)により製造された小片が充填された金属バスケットを反応器に入れた(比較例C1)。さらに並行の重縮合反応を、実施例2におけるように製造した原料PET、本発明の触媒が異なる量で使用されている(実施例4および5)、または触媒としてのホウ酸Zn(比較例C2)について行った。窒素流を3l/分で一定に維持し、回転速度を10rpmに固定した。温度を段階的に上昇させるように反応をプログラムした。生成物を乾燥させるために、温度を30分間に亘り100℃に保持した。次いで、予備結晶化(pre-crystallization)工程として、温度を30分間に亘り170℃で再び一定に維持した。最後に、反応を210℃で、12時間に亘り窒素を流しながら行った。 実施例6、7並びに比較例C3およびC4:高分子量PETを得るために新たな触媒を使用するPETの溶融重縮合: 表7に示された、触媒の量を使用し、条件下で、その表に示された非晶質樹脂のI.V.に到達するまで、実施例2を繰り返した。表8は、その段階で得られたPET樹脂の性質を示している。 実施例8、9並びに比較例C5およびC6:高分子量PETを得るための固相重縮合(SSP): 実施例6、7並びに比較例C3およびC4を使用して得られたPET片を使用して、実施例3を繰り返した。表7は、そのような実施例と比較例から得られた生成物の得られた固有粘度を示している。表9は、固相重縮合後に得られたPET樹脂の性質を示している。 ポリエチレンテレフタレートの製造のための触媒を調製するプロセスであって、 a)エチレングリコール、プロピレングリコールおよびブチレングリコールからなる群より選択される1種類以上のグリコールを含む溶媒中でホウ酸と亜鉛塩を反応させ、それによって、沈殿物を形成する工程、および b)工程a)から得られた沈殿物を単離する工程、を有してなるプロセス。 前記ホウ酸が前記1種類以上のグリコールを含む溶媒中に溶解され、前記1種類以上のグリコールを含む溶媒中または水中の溶液形態または固体形態のいずれかにある前記亜鉛塩が、そのような溶液と組み合わされる、請求項1記載のプロセス。 前記ホウ酸と前記塩酸塩との間の反応が不活性雰囲気下で行われる、請求項1または2記載のプロセス。 前記ホウ酸と前記塩酸塩との間の反応が、100℃から前記溶液の沸点までの温度で行われる、請求項1から3いずれか1項記載のプロセス。 ホウ酸と亜鉛との間のモル比が0.3と0.7の間である、請求項1から4いずれか1項記載のプロセス。 請求項1から5いずれか1項記載のプロセスにより得られる、ポリエチレンテレフタレートの製造のための触媒。 化学組成C4H8O9B2Zn4を有する、請求項6記載の触媒。 化学組成C4H8O9B2Zn4を有する、ポリエチレンテレフタレートの製造のための触媒。 ポリエチレンテレフタレートの製造のためのプロセスにおける請求項6から8いずれか1項記載の触媒の使用。 高分子量のポリエチレンテレフタレートを製造する方法であって、 a)請求項6記載の触媒の存在下で、溶融状態にあるテレフタル酸、エチレングリコールおよび随意的なイソフタル酸を重合する工程、および b)少なくとも0.66dL/gの固有粘度に到達した後、溶融ポリマーを固化し、少なくとも1.00の固有粘度に到達するまで、固体状態で重合を継続する工程、を有してなる方法。 請求項6から8いずれか1項記載の触媒により製造されたポリエチレンテレフタレート。 本発明は、ポリエチレンテレフタレートの製造のため、および高分子量PETの製造のための触媒を調製するプロセスであって、a)エチレングリコール、プロピレングリコールおよびブチレングリコールからなる群より選択される1種類以上のグリコールを含む溶媒中でホウ酸と亜鉛塩を反応させ、それによって、沈殿物を形成する工程、およびb)工程a)から得られた沈殿物を単離する工程を有してなるプロセスに関する。それに加え、本発明は、ポリエチレンテレフタレートの製造のため、および高分子量PETの製造のための前記触媒の使用にも関する。


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