タイトル: | 特許公報(B2)_細胞傷害作用からの防御のための組成物 |
出願番号: | 2014541669 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | A61K 31/122,A61K 31/198,A61K 31/194,A61K 31/525,A61K 31/455,A61K 31/375,A61P 1/00,A61P 7/06,A61P 9/10,A61P 29/00,A61P 37/02,A61P 7/04,A61P 7/00,A61P 1/04,A61P 37/06,A61P 19/02,A61P 3/10,A61P 27/12,A61P 27/02,A61P 11/00,A61P 35/00,A61P 25/28,A61P 25/16,A61P 27/16,A61P 25/18,A61P 43/00,A61P 39/06 |
犬房 春彦 JP 5777821 特許公報(B2) 20150717 2014541669 20121115 細胞傷害作用からの防御のための組成物 ティーマ ファウンデーション 508028313 清水 初志 100102978 春名 雅夫 100102118 山口 裕孝 100160923 刑部 俊 100119507 井上 隆一 100142929 佐藤 利光 100148699 新見 浩一 100128048 小林 智彦 100129506 渡邉 伸一 100130845 大関 雅人 100114340 五十嵐 義弘 100114889 川本 和弥 100121072 犬房 春彦 EP 11189191.7 20111115 EP 12158739.8 20120309 20150909 A61K 31/122 20060101AFI20150820BHJP A61K 31/198 20060101ALI20150820BHJP A61K 31/194 20060101ALI20150820BHJP A61K 31/525 20060101ALI20150820BHJP A61K 31/455 20060101ALI20150820BHJP A61K 31/375 20060101ALI20150820BHJP A61P 1/00 20060101ALI20150820BHJP A61P 7/06 20060101ALI20150820BHJP A61P 9/10 20060101ALI20150820BHJP A61P 29/00 20060101ALI20150820BHJP A61P 37/02 20060101ALI20150820BHJP A61P 7/04 20060101ALI20150820BHJP A61P 7/00 20060101ALI20150820BHJP A61P 1/04 20060101ALI20150820BHJP A61P 37/06 20060101ALI20150820BHJP A61P 19/02 20060101ALI20150820BHJP A61P 3/10 20060101ALI20150820BHJP A61P 27/12 20060101ALI20150820BHJP A61P 27/02 20060101ALI20150820BHJP A61P 11/00 20060101ALI20150820BHJP A61P 35/00 20060101ALI20150820BHJP A61P 25/28 20060101ALI20150820BHJP A61P 25/16 20060101ALI20150820BHJP A61P 27/16 20060101ALI20150820BHJP A61P 25/18 20060101ALI20150820BHJP A61P 43/00 20060101ALI20150820BHJP A61P 39/06 20060101ALI20150820BHJP JPA61K31/122A61K31/198A61K31/194A61K31/525A61K31/455A61K31/375A61P1/00A61P7/06A61P9/10A61P29/00A61P37/02A61P9/10 103A61P7/04A61P7/00A61P1/04A61P37/06A61P19/02A61P29/00 101A61P3/10A61P27/12A61P27/02A61P11/00A61P35/00A61P25/28A61P25/16A61P27/16A61P9/10 101A61P25/18A61P43/00 121A61P39/06 A61K 31/122 A61K 31/194 A61K 31/198 A61K 31/375 A61K 31/455 A61K 31/525 A61P 1/00 A61P 1/04 A61P 3/10 A61P 7/00 A61P 7/04 A61P 7/06 A61P 9/10 A61P 11/00 A61P 19/02 A61P 25/16 A61P 25/18 A61P 25/28 A61P 27/02 A61P 27/12 A61P 27/16 A61P 29/00 A61P 35/00 A61P 37/02 A61P 37/06 A61P 39/06 A61P 43/00 CAplus/REGISTRY(STN) 国際公開第2007/016950(WO,A1) 特表2009−516639(JP,A) 特表2010−513250(JP,A) 国際公開第2009/062910(WO,A1) 国際公開第2012/095509(WO,A1) 特表2007−522254(JP,A) 4 EP2012072790 20121115 WO2013072441 20130523 2014533295 20141211 30 20140701 磯部 洋一郎 本発明は、ビタミンC、L-グルタミン、L-シスチンまたはL-システイン、リボフラビン、コハク酸、フマル酸、コエンザイムQ10、およびナイアシンからなる組成物に関する。本発明はさらに、ラジカル、および酸素の有害な形態の細胞傷害作用、特に酸素ラジカルまたは活性酸素種の細胞傷害作用を最小限するための該組成物の使用に関する。本発明は、ビタミンC、L-グルタミン、L-シスチンまたはL-システイン、リボフラビン、コハク酸、フマル酸、コエンザイムQ10、およびナイアシンを含む組成物に関し、該組成物は10〜20mg/kg体重の範囲の濃度で投与される。本発明はさらに、ラジカルにおよび酸素の有害な形態に由来する疾患、特に酸素ラジカルにまたは活性酸素種に由来する疾患の治療および/または予防に使用するための該組成物に関する。本発明はさらに、栄養補助食品または健康補助食品としての該組成物に関する。 酸素は好気性生命体に絶対的に必要とされるが、それは、多くの生体分子に損傷を与える酸素フリーラジカルと遷移金属とを含むさまざまな毒性反応に関与し得る。これまでに、多数の低分子化合物および高分子化合物、ならびに生物学的および技術的な関心対象の流体の酸化的損傷が、いくつかのアプローチによって研究されてきた。その傷害作用は、例えばX線もしくはγ線などの電離放射線により引き起こされる水の放射線分解によって得られたかまたは過酸化水素(H2O2)の金属触媒による分解によって得られた活性酸素種(ROS)によって誘導された。物理化学的技術のうち、特に多くの生体分子の分光学的研究は、効率的かつ非常に速く、構成物質の局所的および全体的な構造の多くの変化をそれらの機能的能力の変化と共に、明らかにした。 フリーラジカルは、不対電子の存在のために非常に反応性である。ラジカルは短命である。しかし、ラジカルは、それらの近くに位置する他のすべての分子を、効率的にかつ非常に速く攻撃する。このようないわゆる一次作用は1秒未満で現れる。しかし、連鎖伝播プロセスのため、ラジカルはまた、それらの元の反応生成物をはるかに上回って、かつそれらの最初の形成場所から遠く離れて、損傷を与えることがある。制御不可能な反応のカスケードがそれらの攻撃の後に起こると考えられる。そうした二次作用は秒単位から年単位で生じる。 H2O2は、ROS群に属するが、それはラジカルではなく、すなわち、それは、それほど危険ではない。しかし、それは、より多くの反応時間を有し、かつ多くの付加的な二次作用に関与している。 ROS処理または照射された空気飽和水溶液の場合には、生体分子の一次損傷に関与する最も重要な有害種は、ヒドロキシルラジカル(・OH)、ならびにわずかな程度まではスーパーオキシドアニオンラジカル(O2・-)および過酸化水素(H2O2)である。ヒドロキシルラジカル(・OH)は、生体分子に対する最も有害な一次作用に関与し、体内の損傷の原因であると考えられている。その結果、強力な・OHスカベンジャーとして作用する物質は、特に高濃度で存在する場合、電離放射線の有害作用を回避するのに最も有効である。H2O2は、しばらくの間それが安定しているため、多くの二次作用に関与する。 処理/照射前に試料に特定の化合物を添加すること(a.r.(ante radiationemすなわち照射前)添加物)または処理/照射後に試料に特定の化合物を添加すること(p.r.(post radiationemすなわち照射後)添加物)は、発生する損傷の多数の予想される軽減を明らかにした。こうした物質は、保護および修復性の程度を試験するために使用することができる。しかし、前記作用の軽減はまた、ROS生成のタイプまたは適用された放射線の波長など、他の環境条件の変化によっても達成することができる。 インビボでは、ROS作用および酸化的損傷は、主として効率的な抗酸化防御機構によって抑制されるが、しかし、こうした防御システムは、十分な量の生体防御物質、例えばスカベンジャー、抗酸化物質、および抗酸化酵素などが利用可能である場合に、機能することができるにすぎない。それ以外の場合には、深刻でしばしば不可逆的な、生体分子の損傷が起こり得る。 スカベンジングプロセスの結果として、スカベンジャー自体は、破壊されるか、またはスカベンジャーとしてそれ以上作用することができない化合物に少なくとも変換される。溶液中の推定上のスカベンジャーの同時存在は、まったく異なる作用、例えば、相乗作用、相加性、1つの有効なスカベンジャーの優勢、優勢なスカベンジャーの作用の弱体化、作用なし、または、任意のスカベンジャーの非存在下よりもさらに有害な作用をもたし得る。物質によっては、特定の設定条件、例えば濃度、酸素または遷移金属の存在に応じて、抗酸化物質または酸化促進物質のどちらかとして機能することができる(ある種の「根本的な逆転」(radical reversal))。一般的には、スカベンジャーの濃度が高いほど保護作用が増幅する。しかし、場合によっては、所定の条件が拮抗作用をもたらし、それによってプラスの作用を低下させることがある。酵素カタラーゼまたはペルオキシダーゼの存在は、H2O2を分解し、それによって、この作用物質の長期的な作用を妨げることができる。 生体の自然発生の防御システムは、特定量の、むしろ適度の量の、ROS(通常は体内で発生する)にしか対抗することができないので、過剰のROSは、選択された添加物、好ましくは抗酸化物質の供給によって対処するしかない。これは必然的に、高レベルの酸化ストレスに達する場合である。さもなければ、ROSの生成および発現と、その反応性中間体を解毒するまたはその結果として生じる損傷を修復する能力との不均衡が生じることになる。この不均衡は、老化のプロセスに寄与し、かつ心臓病および癌を含む多くのヒト疾患を引き起こす可能性がある。 したがって、ラジカルにおよび酸素の有害な形態に有効である新規な組成物が必要とされている。 この課題は、特許請求の範囲で定義される主題によって解決される。[本発明1001] 3〜5質量%のコエンザイムQ10、1〜2質量%のリボフラビン、15〜20質量%のL-シスチンまたはL-システイン、0.5〜1.0質量%のナイアシン、28〜43質量%のビタミンC、3〜5質量%のコハク酸、3〜5質量%のフマル酸、および27〜42質量%のL-グルタミンを含む、組成物。[本発明1002] 35.47質量%のビタミンC、32.08質量%のL-グルタミン、18.88質量%のL-シスチンまたはL-システイン、1.51質量%のリボフラビン、3.77質量%のコハク酸、3.77質量%のフマル酸、3.77質量%のコエンザイムQ10、および0.75質量%のナイアシンを含む、本発明1001の組成物。[本発明1003] 液体形態であるか、または、カプセル剤、糖衣錠、丸剤、粉剤、坐剤、もしくは任意の他の生薬製剤の形態である、本発明1001または1002の組成物。[本発明1004] 医薬、栄養補助食品、または健康補助食品として使用するための、本発明1001〜1003のいずれかの組成物。[本発明1005] ラジカルに由来する疾患の治療および/または予防に使用するための、本発明1001〜1003のいずれかの組成物。[本発明1006] ラジカルにおよび酸素の有害な形態に由来する疾患、特に酸素ラジカルにまたは活性酸素種に由来する疾患の治療および/または予防に使用するための、本発明1001〜1003のいずれかの組成物。[本発明1007] 放射線誘発胃腸症候群、貧血、特に鉄欠乏性貧血、虚血性再灌流障害、炎症性疾患、全身性エリテマトーデス、心筋梗塞、脳卒中、外傷性出血、脊髄外傷、クローン病、自己免疫疾患、例えば関節リウマチおよび糖尿病、白内障形成、ブドウ膜炎、気腫、胃潰瘍、酸素中毒、新生物、放射線宿酔、癌、アルツハイマー病、パーキンソン病、ヘモクロマトーシス、難聴、アテローム性動脈硬化症、精神病、骨髄機能不全、汎血球減少症、致死性免疫機能障害、運動障害、ならびに統合失調症の治療ならびに/または予防に使用するための、本発明1001〜1003のいずれかの組成物。[本発明1008] 10〜20mg/kg体重の範囲の濃度で、好ましくは15mg/kg体重の濃度で投与される、前記本発明のいずれかの組成物。 添付の図面は本発明を説明するものである。放射線に曝露する前の本発明の組成物の非存在下または存在下での非照射(U)リゾチーム(c=0.1mg/ml)および照射後段階におけるX線照射(X)リゾチームの残存活性(Ar)をグラフ表示で示す。リゾチームの照射は250GyのX線線量を用いて行った。単位J/kgを有するグレイ(Gy)は、吸収線量のSI単位であり、任意の種類の物質1キログラムに1ジュールのエネルギーを付与するために必要な放射線の量を表す。略語: a.r.:ante radiationemすなわち照射前、S:実施例1に記載の組成物。放射線に曝露した後の本発明の組成物の非存在下または存在下での非照射(U)リゾチーム(c=0.1mg/ml)および照射後段階におけるX線照射(X)リゾチームの残存活性(Ar)をグラフ表示で示す。リゾチームの照射は250GyのX線線量を用いて行った。単位J/kgを有するグレイ(Gy)は、吸収線量のSI単位であり、任意の種類の物質1キログラムに1ジュールのエネルギーを付与するために必要な放射線の量を表す。略語: p.r.:post radiationemすなわち照射後、S:実施例1に記載の組成物。マウスの血液中の過酸化水素の濃度を表す柱状図を示す。陰性対照は、処理しなかったマウスの血液中の過酸化水素の濃度を表す。陽性対照は、6Gyの放射線量を用いて照射したマウスの血液中の過酸化水素の濃度を表し、照射の72時間後に採血を行った。Vit.C 150mg/kgのデータ、Vit.C 15mg/kgのデータ、および組成物15mg/kgのデータは、それぞれ、150mg/kgのビタミンC、15mg/kgのビタミンC、および15mg/kgの実施例6の組成物を用いて24時間間隔で3回処理したマウスの血液中の過酸化水素の濃度を表す。投与の24時間後にマウスに6Gyの放射線量を照射し、照射の72時間後に採血を行った。過酸化水素の濃度は、Free Carpe Diem測光分析システム(Diacron社、グロッセート、イタリア)を用いて測定した。略語: Vit.C:ビタミンC、組成物:実施例6に記載の組成物。マウスの血液中の過酸化水素の濃度を表す柱状図を示す。陰性対照は、処理しなかったマウスの血液中の過酸化水素の濃度を表す。陽性対照は、6Gyの放射線量を用いて照射したマウスの血液中の過酸化水素の濃度を表し、照射の72時間後に採血を行った。単一のデータは、それぞれ、5、10、15、20、25、または30mg/kgの実施例8の組成物を用いて24時間間隔で3回処理したマウスの血液中の過酸化水素の濃度を表す。経口投与の24時間後にマウスに6Gyの放射線量を照射し、照射の72時間後に採血を行った。過酸化水素の濃度は、Free Carpe Diem測光分析システム(Diacron社、グロッセート、イタリア)を用いて測定した。マウスの血液中の過酸化水素の濃度を表す柱状図を示す。6Gy放射線のデータは、6Gyの放射線量を用いて照射したマウスの血液中の過酸化水素の濃度を表し、照射の72時間後に採血を行った。3日間前処理のデータは、最後の経口投与の24時間後に照射する前に、15mg/kgの実施例8の組成物を用いて24時間間隔で3回処理したマウスの血液中の過酸化水素の濃度を表し、照射の72時間後に採血を行った。4日間後処理のデータは、照射の24時間後に開始して、15mg/kgの実施例8の組成物を用いて24時間間隔で4回処理したマウスの血液中の過酸化水素の濃度を表し、最後の経口投与の24時間後に採血を行った。7日間(前3回+後4回)のデータは、照射前に15mg/kgの実施例8の組成物を用いて24時間間隔で3回、および照射の24時間後に開始して24時間間隔で4回処理したマウスの血液中の過酸化水素の濃度を表し、最後の経口投与の24時間後に採血を行った。3日間前処理、システイン置換型のデータは、最後の経口投与の24時間後に照射する前に、シスチンをシステインに置き換えた15mg/kgの実施例8の組成物を用いて24時間間隔で3回処理したマウスの血液中の過酸化水素の濃度を表し、照射の72時間後に採血を行った。3日間前処理、腹腔内のデータは、最後の投与の24時間後に照射する前に、腹腔内に投与した15mg/kgの実施例8の組成物を用いて24時間間隔で3回処理したマウスの血液中の過酸化水素の濃度を表し、照射の72時間後に採血を行った。照射は6Gyの放射線量を用いて行った。過酸化水素の濃度は、Free Carpe Diem測光分析システム(Diacron社、グロッセート、イタリア)を用いて測定した。マウスの血液中の過酸化水素の濃度を表す柱状図を示す。陰性対照は、処理しなかったマウスの血液中の過酸化水素の濃度を表す。陽性対照は、7g/kg体重のエタノールを24時間間隔で2回腹腔内投与したマウスの血液中の過酸化水素の濃度を表し、2回目の投与の24時間後に採血を行った。単一のデータは、それぞれ、10、15、20、25、または30mg/kgの実施例8の組成物を用いて24時間間隔で5回処理したマウスの血液中の過酸化水素の濃度を表す。7g/kg体重のエタノールを4日目と5日目に実施例8の組成物による処理の1時間後に腹腔内注射した。実施例8の組成物による最終処理の24時間後に採血を行った。過酸化水素の濃度は、Free Carpe Diem測光分析システム(Diacron社、グロッセート、イタリア)を用いて測定した。 本明細書中で用いる用語「組成物」は、それぞれの組成物の生理学的に適合しうる量が適用された対象において毒性の症状を引き起こすことなく任意の形態で対象に適用することができる、任意の種類の組成物を指す。 本明細書中で用いる「補給物」、「健康補助食品」、または「栄養補助食品」という用語は、毎日の食事に加えてまたはその合間に、消費される組成物を指す。 本明細書中で用いる「剤形」という用語は、任意で一定の間隔で、一度に摂取される薬剤の量を指す。 本明細書中で用いる「〜を最小限にする」という用語は、あらゆる程度での、すなわち細胞傷害作用の出現の全面的な回避から細胞傷害作用のほんのわずかな改善までの、ラジカルにより引き起こされる細胞傷害作用の低下を指す。 本明細書中で用いる「ラジカル」という用語は、少なくとも1個の不対電子を有する原子、分子、またはイオンを指す。フリーラジカルは正、負、またはゼロ電荷をもつことができる。一部の例外を除いて、不対電子はラジカルを非常に化学的に反応性にさせる。いくつかの不対電子を含むラジカルは、ジラジカル、またはビラジカル、トリラジカルなどと呼ばれる。特定の酸化プロセスにおいて、重合において、およびいくつかの置換反応において、ラジカルは重要な役割を果たす。ラジカルは、体内でフリーにさせた場合、変性疾患、老化(老化プロセス)、および癌に関与すると考えられている。ラジカルは、熱分解的切断を経て熱によって形成され得るか、酸化および還元によってそれぞれ電気化学的に形成され得るか、X線もしくは他の電離放射線、例えばα線、β線、およびγ線によっておよびアセトアルデヒドによって形成され得るか、またはアルコールの消費によって形成され得る。 本明細書中で用いる「細胞傷害作用」という用語は、生体分子、例えばDNAおよびRNAなどの核酸、タンパク質、酵素、アミノ酸、糖類、ホルモンおよび代謝産物の損傷、脂質中の多価不飽和脂肪酸の酸化(脂質過酸化)、タンパク質中のアミノ酸の酸化、ならびに補因子の酸化による特定の酵素の酸化的不活化を指す。 本明細書中で用いる「酸素ラジカル」または「活性酸素種」という用語は、例えば、天然に存在するフリーラジカルにより、または、熱分解的切断を経て熱によって発生する、酸化および還元によってそれぞれ電気化学的に発生する、ならびに、X線もしくは他の電離放射線、例えばα線、β線、およびγ線によって発生するフリーラジカルにより、細胞傷害作用を引き起こす物質を指す。「酸素ラジカル」または「活性酸素種」は両方とも酸素の有害な形態である。例としては、スーパーオキシドラジカル、ヒドロキシルラジカル、次亜塩素酸ラジカル、過酸化水素、種々の脂質過酸化物、ペルオキシラジカル、脂質のアルコキシラジカル、ヒドロペルオキシド、オゾンおよび次亜塩素酸アニオン、ならびに励起酸素分子(一重項酸素)が挙げられる。 本明細書中で用いる「ラジカルに由来する疾患」という用語は、インビボでのフリーラジカル、特に酸素ラジカルおよび他の活性酸素種の生成または曝露から少なくとも部分的に生じる個体の病的状態を指す。ほとんどの病的状態は、その疾患状態に寄与する複数の因子が存在するという点で多因子性であるということが当業者には明らかである。こうした疾患は、フリーラジカルに由来する、特に酸素ラジカルにまたは活性酸素種に由来する損傷が、症状を増加させることによって、生存率を低下させることによって、または病的状態の他の検出可能な臨床症状をもたらすことによってその疾患状態の病理に寄与すると考えられる状態であると当技術分野で認識されている、病的状態を包含する。 本発明は、ビタミンC、L-グルタミン、L-シスチンまたはL-システイン、リボフラビン、コハク酸、フマル酸、コエンザイムQ10、およびナイアシンを含む、組成物に関する。 好ましい態様では、本発明は、ビタミンC、L-グルタミン、L-シスチンまたはL-システイン、リボフラビン、コハク酸、フマル酸、コエンザイムQ10、およびナイアシンからなる組成物に関する。 標準用量は、約1.0gのビタミンC、1.0gのL-グルタミン、500mgのL-シスチンまたはL-システイン、40mgのリボフラビン、100mgのコハク酸またはその塩(例えばコハク酸塩)のうちの1つ、100mgのフマル酸またはその塩(例えばフマル酸塩)のうちの1つ、100mgのコエンザイムQ10、および20mgのナイアシン(ビタミンB3)を含む。前記組成物の成分の関係は、上に示した関係に合わせることが好ましい。総投与量は、消費者の体重に適合させることができる。 好ましい態様では、本発明の組成物の標準用量は、100mgのコエンザイムQ10、40mgのリボフラビン、500mgのL-シスチンまたはL-システイン、20mgのナイアシン、940mgのビタミンC、100mgのコハク酸、100mgのフマル酸、および950mgのL-グルタミンを含む。 別の好ましい態様では、本発明の組成物の標準用量は、10mgのコエンザイムQ10、4mgのリボフラビン、50mgのL-シスチンまたはL-システイン、2mgのナイアシン、94mgのビタミンC、10mgのコハク酸、10mgのフマル酸、および85mgのL-グルタミンを含む。より好ましくは、標準用量はさらに、20mgのセルロース、20mgのマルトース、28.3mgの乳糖、および6.2mgのステアリン酸カルシウムを含む。 別の好ましい態様では、本発明の組成物の標準用量は、10mgのコエンザイムQ10、4mgのリボフラビン、50mgのL-シスチンまたはL-システイン、2mgのナイアシン、94mgのビタミンC、10mgのコハク酸、10mgのフマル酸、85mgのL-グルタミン、20mgのセルロース、20mgのマルトース、28.3mgの乳糖、および6.2mgのステアリン酸カルシウムからなる。 好ましくは、前記組成物の関係は、それぞれ質量%で、約3〜5%のコエンザイムQ10、1〜2%のリボフラビン、15〜20%のL-シスチンまたはL-システイン、0.5〜1.0%のナイアシン、28〜43%のビタミンC、3〜5%のコハク酸、3〜5%のフマル酸、および27〜42%のL-グルタミンの範囲である。より好ましくは、該組成物の関係は、それぞれ質量%で、約3.77%のコエンザイムQ10、1.51%のリボフラビン、18.88%のL-シスチンまたはL-システイン、0.75%のナイアシン、35.47%のビタミンC、3.77%のコハク酸、3.77%のフマル酸、および32.08%のL-グルタミンの範囲である。 好ましい態様では、本発明による組成物のコエンザイムQ10は、40%のコエンザイムQ10を含有するCoQ10P40(日清ファルマ社、東京、日本)として提供される。 さらなる物質、例えば、果汁抽出物、ウコン、タンニン、サンシチニンジン(Panax notoginseng)粉末、およびビンカ・ロセア(Vinca rosea)などを適切な量で添加することが可能である。ウーロン茶、アロエベラ、およびらせん状淡水藻(spiral water algae)を添加することも可能である。 好ましくは、本発明による組成物は、ナイアシン画分を0.05〜2mg/kg体重、0.1〜1.5mg/kg体重、0.2〜0.75mg/kg体重、0.04〜0.23mg/kg体重、0.08〜0.15mg/kg体重、0.1〜0.2mg/kg体重、または0.11〜0.15mg/kg体重の範囲の量で、好ましくは0.25mg/kg体重、より好ましくは0.11mg/kg体重の量で含む。 好ましくは、本発明による組成物は、L-シスチンまたはL-システイン画分を1〜15mg/kg体重、2.5〜10mg/kg体重、5〜8mg/kg体重、0.94〜5.66mg/kg体重、0.19〜3.8mg/kg体重、2.8〜3.8mg/kg体重、または2.83〜3.77mg/kg体重の範囲の量で、好ましくは6.25mg/kg体重、より好ましくは2.83mg/kg体重の量で含む。 好ましくは、本発明による組成物は、L-グルタミン画分を1〜20mg/kg体重、5〜15mg/kg体重、7〜12mg/kg体重、1.6〜9.62mg/kg体重、3.2〜6.4mg/kg体重、4.8〜6.5mg/kg体重、または4.81〜6.42mg/kg体重の範囲の量で、好ましくは11.875mg/kg体重、より好ましくは4.81mg/kg体重の量で含む。 好ましくは、本発明による組成物は、リボフラビン画分を0.05〜2mg/kg体重、0.1〜1.5mg/kg体重、0.2〜0.75mg/kg体重、0.08〜0.45mg/kg体重、0.15〜0.3mg/kg体重、0.2〜0.3mg/kg体重、または0.23〜0.3mg/kg体重の範囲の量で、好ましくは0.5mg/kg体重、より好ましくは0.23mg/kg体重の量で含む。 好ましくは、本発明による組成物は、コハク酸画分を0.1〜10mg/kg体重、0.5〜5mg/kg体重、0.75〜2mg/kg体重、0.19〜1.13mg/kg体重、0.38〜0.76mg/kg体重、0.5〜0.8mg/kg体重、または0.57〜0.76mg/kg体重の範囲の量で、好ましくは1.25mg/kg体重、より好ましくは0.57mg/kg体重の量で含む。 好ましくは、本発明による組成物は、フマル酸画分を0.1〜10mg/kg体重、0.5〜5mg/kg体重、0.75〜2mg/kg体重、0.19〜1.13mg/kg体重、0.38〜0.76mg/kg体重、0.5〜0.8mg/kg体重、または0.57〜0.76mg/kg体重の範囲の量で、好ましくは1.25mg/kg体重、より好ましくは0.57mg/kg体重の量で含む。 好ましくは、本発明による組成物は、コエンザイムQ10画分を0.1〜10mg/kg体重、0.5〜5mg/kg体重、0.75〜2mg/kg体重、0.19〜1.13mg/kg体重、0.38〜0.76mg/kg体重、0.5〜0.8mg/kg体重、または0.57〜0.76mg/kg体重の範囲の量で、好ましくは1.25mg/kg体重、より好ましくは0.57mg/kg体重の量で含む。 好ましくは、本発明による組成物は、ビタミンC画分を1〜20mg/kg体重、5〜15mg/kg体重、7〜12mg/kg体重、3.5〜7.1mg/kg体重、5.3〜7.1mg/kg体重、5.32〜7.09mg/kg体重の範囲の量で、好ましくは11.75mg/kg体重、より好ましくは5.32mg/kg体重の量で含む。 好ましい態様では、本発明による組成物は、5、10、15、20、25、または30mg/kg体重の濃度で、好ましくは5〜30mg/kg体重の範囲の濃度で、より好ましくは10〜20mg/kg体重または15〜20mg/kg体重の範囲の濃度で投与することができる。好ましい態様では、本発明の組成物の単一成分の量の関係は、10mgのコエンザイムQ10、4mgのリボフラビン、50mgのL-システインまたはL-システイン、2mgのナイアシン、94mgのビタミンC、10mgのコハク酸、10mgのフマル酸、および85mgのL-グルタミンを含み、すなわち、合計で265mgを含む。別の好ましい態様では、本発明の組成物の単一成分の量の関係は、10mgのコエンザイムQ10、4mgのリボフラビン、50mgのL-システインまたはL-システイン、2mgのナイアシン、94mgのビタミンC、10mgのコハク酸、10mgのフマル酸、および85mgのL-グルタミンからなる。 好ましくは、前記組成物は、その投与量が約35.47質量%のビタミンC画分を含むように、すなわち、約80kgの体重を有するヒトへの1回量2.75g内に0.78〜1.18gの範囲、好ましくは1.0g、より好ましくは940mgのビタミンCの量を含むように構成される。別の好ましい態様では、該組成物は、その投与量が約80kgの体重を有するヒトへの1回量内に約140〜851mgまたは284〜568mgの範囲、好ましくは425〜567mg、より好ましくは425mgのビタミンC画分を含むように構成される。 好ましくは、前記組成物は、その投与量が約32.08質量%のL-グルタミン画分を含むように、すなわち、約80kgの体重を有するヒトへの1回量2.75g内に0.78〜1.18gの範囲、好ましくは1.0g、より好ましくは950mgのL-グルタミン画分の量を含むように構成される。別の好ましい態様では、該組成物は、その投与量が約80kgの体重を有するヒトへの1回量内に約128〜770mgまたは257〜513mgの範囲、好ましくは385〜513mg、より好ましくは385mgのL-グルタミン画分を含むように構成される。 好ましくは、前記組成物は、その投与量が約18.88質量%のL-シスチンまたはL-システイン画分を含むように、すなわち、約80kgの体重を有するヒトへの1回量2.75g内に460〜540mgの範囲、好ましくは500mgのL-シスチンまたはL-システイン画分の量を含むように構成される。別の好ましい態様では、該組成物は、その投与量が約80kgの体重を有するヒトへの1回量内に約76〜453mgまたは151〜302mgの範囲、好ましくは226〜302mg、より好ましくは226mgのL-シスチンまたはL-システイン画分を含むように構成される。 好ましくは、前記組成物は、その投与量が約1.51質量%のリボフラビン画分を含むように、すなわち、約80kgの体重を有するヒトへの1回量2.75g内に32〜48mgの範囲、好ましくは40mgの該リボフラビンの量を含むように構成される。別の好ましい態様では、該組成物は、その投与量が約80kgの体重を有するヒトへの1回量内に約6〜36mgまたは12〜30mgの範囲、好ましくは18〜24mg、より好ましくは18.1mgのリボフラビン画分を含むように構成される。 好ましくは、前記組成物は、その投与量が約3.77質量%のコハク酸画分またはその塩(例えばコハク酸塩)のうちの1つを含むように、すなわち、約80kgの体重を有するヒトへの1回量2.75g内に90〜110mgの範囲、好ましくは100mgの該コハク酸の量を含むように構成される。別の好ましい態様では、該組成物は、その投与量が約80kgの体重を有するヒトへの1回量内に約15〜91mgまたは30〜60mgの範囲、好ましくは45〜60mg、より好ましくは30.2mgのコハク酸画分を含むように構成される。 好ましくは、前記組成物は、その投与量が約3.77質量%のフマル酸画分またはその塩(例えばフマル酸塩)のうちの1つを含むように、すなわち、約80kgの体重を有するヒトへの1回量2.75g内に90〜110mgの範囲、好ましくは100mgの該フマル酸の量を含むように構成される。別の好ましい態様では、該組成物は、その投与量が約80kgの体重を有するヒトへの1回量内に約15〜91mgまたは30〜60mgの範囲、好ましくは45〜60mg、より好ましくは30.2mgのフマル酸画分を含むように構成される。 好ましくは、前記組成物は、その投与量が約3.77質量%のコエンザイムQ10画分を含むように、すなわち、約80kgの体重を有するヒトへの1回量2.75g内に30〜300mgの範囲、好ましくは250mgの該コエンザイム画分の量を含むように構成される。別の好ましい態様では、該組成物は、その投与量が約80kgの体重を有するヒトへの1回量内に約15〜91mgまたは30〜60mgの範囲、好ましくは45〜60mg、より好ましくは30.2mgのコハク酸画分を含むように構成される。 好ましくは、前記組成物は、その投与量が約0.75質量%のナイアシン画分を含むように、すなわち、約80kgの体重を有するヒトへの1回量2.75g内に1〜40mgの範囲、好ましくは20mgの該ナイアシン画分の量を含むように構成される。別の好ましい態様では、該組成物は、その投与量が約80kgの体重を有するヒトへの1回量内に約3〜18mgまたは6〜12mgの範囲、好ましくは9〜12mg、より好ましくは9mgのナイアシン画分を含むように構成される。 より好ましくは、前記組成物の各成分は、約0.01〜約100グラム、好ましくは約0.05〜50グラムの範囲である。 好ましい態様では、本発明による組成物は液体の形態で提供される。液体形態の本発明による組成物は、溶解性の理由で緩衝系をさらに含むことができる。好ましくは、緩衝系は、重炭酸塩、リン酸塩、または他の任意の緩衝系である。別の好ましい態様では、本発明による組成物は、重炭酸塩が添加された液体の形態で提供され、好ましくは、本発明の組成物の標準用量は、0.2〜10mg/kg体重、0.5〜5mg/kg体重、0.2〜0.95mg/kg体重、0.5〜0.63mg/kg体重、または1〜4mg/kg体重の範囲、好ましくは0.95mg/kg体重、より好ましくは0.48mg/kg体重の重炭酸ナトリウム画分を含む。別の好ましい態様では、本発明による液体組成物は、その投与量が約2.96質量%の重炭酸ナトリウム画分を含むように、すなわち、約80kgの体重を有するヒトへの1回量2.834g内に1〜100mgの範囲、好ましくは84mgの重炭酸ナトリウム画分の量を含むように構成される。 別の好ましい態様では、本発明による液体組成物は、約80kgの体重を有するヒトに対して、その投与量が12〜76mgの範囲、好ましくは38〜50.7mg、より好ましくは38mgの重炭酸ナトリウム画分を含むように構成される。 好ましい態様では、液体形態で提供される本発明の組成物は、ビタミンC、L-グルタミン、L-シスチン、リボフラビン、コハク酸、フマル酸、コエンザイムQ10、およびナイアシンを含む。より好ましくは、液体形態で提供される本発明の組成物は、ビタミンC、L-グルタミン、L-シスチン、リボフラビン、コハク酸、フマル酸、コエンザイムQ10、ナイアシン、および溶解性の理由で緩衝系を含む。好ましくは、緩衝系は、重炭酸塩、リン酸塩または他の任意の緩衝系である。 さらなる物質、例えば、果汁抽出物、ウコン、タンニン、サンシチニンジン粉末、およびビンカ・ロセアなどを適切な量で添加することが可能である。ウーロン茶、アロエベラ、およびらせん状淡水藻を添加することも可能である。 本発明による組成物は、任意の投与経路で、例えば局所、経腸、および非経口などによって、好ましくは経口的に投与することができる。 本発明による組成物は、錠剤、カプセル剤、糖衣錠、丸剤、粉剤、坐剤、または他の任意の生薬製剤の形態で提供され得る。錠剤、カプセル剤、糖衣錠、丸剤、粉剤、坐剤、または任意の他の生薬製剤は、投与容器内に含まれていてもよい。好ましくは、その剤形は、適切な担体、安定剤、香料、緩衝剤、または他の適切な試薬、例えばセルロース、マルトース、乳糖、ステアリン酸カルシウムなどを含んでもよい。本発明の組成物の標準投与量は、1つまたはそれ以上の錠剤、カプセル剤、糖衣錠、丸剤、粉剤、坐剤、または任意の他の生薬製剤で提供され、好ましくは、5つの錠剤、カプセル剤、糖衣錠、丸剤、粉剤、坐剤、または任意の他の生薬製剤で提供され得る。好ましくは、本発明による組成物は溶液、乳濁液または懸濁液として提供される。別の好ましい態様では、本発明による組成物の化合物は、可溶化されたまたは微粒子状の活性物質である。 本発明による組成物は、ラジカルまたは反応性ラジカル基の種の発生前、発生中、または発生後、好ましくは酸素ラジカルまたは活性酸素種すなわち酸素の他の有害な形態の発生前、発生中、または発生後に投与または摂取することができる。本発明による組成物は、任意の対象に、好ましくは哺乳動物に、より好ましくはヒトまたはペットもしくは飼育動物に摂取または投与され得る。ペットは、例えば、イヌおよびネコ、齧歯類のペット、例えばスナネズミ、ハムスター、チンチラ、ファンシーラット、およびモルモットなど;鳥類のペット、例えばカナリア、インコ、およびオウムなど;爬虫類のペット、例えばカメ、トカゲ、およびヘビなど;ならびに水生ペット、例えば熱帯魚およびカエルなどであり得る。飼育動物は、例えば、ウシ、ヤギ、ウマ、ウサギ、ヒツジ、およびブタであり得る。 本発明の別の局面は、ラジカルによっておよび酸素の有害な形態によって引き起こされる細胞傷害作用を最小限にするための本発明による組成物の使用に関する。好ましい態様では、本発明による組成物は、酸素の有害な形態、特に酸素ラジカルまたは活性酸素種によって引き起こされる、より好ましくは、スーパーオキシドラジカル、ヒドロキシルラジカル、次亜塩素酸ラジカル、過酸化水素、種々の脂質過酸化物、ペルオキシラジカル、脂質のアルコキシラジカル、ヒドロペルオキシド、オゾンおよび次亜塩素酸アニオン、ならびに励起酸素分子(一重項酸素)によって引き起こされる、細胞傷害作用を最小限にするために使用される。このようなラジカルおよび物質は、とりわけ放射線によって、好ましくはX線または他の電離放射線、例えばα線、β線、およびγ線によって形成することができ、より好ましくは放射線は10nm〜10pmの波長を示すものであり得る。さらに、このようなラジカルおよび物質は、アセトアルデヒドによって、またはアルコールの消費によって形成することができる。 好ましい態様では、本発明による組成物は任意の医薬と組み合わされる。本発明による組成物は、その医薬の投与と同時に、投与の前に、または投与の後に投与または摂取することができる。 好ましい態様では、本発明による組成物は、腫瘍患者のための放射線療法という状況において使用される。好ましい態様では、本発明による組成物は、対象への照射の3日前に、照射の4日後に、または3日前と4日後とに投与することができる。好ましくは、該組成物は24時間間隔で投与され得る。 好ましい態様では、本発明による組成物は、腫瘍患者のための化学療法という状況において使用される。本発明の組成物は、化学療法に用いられる医薬と組み合わせて投与することができる。好ましい態様では、本発明の組成物は、化学療法に用いられる医薬と組み合わせて投与または摂取され、その際、本発明の組成物は、化学療法用の医薬と同時に、該医薬の前、または該医薬後に投与または摂取される。 本発明による組成物は、腫瘍患者のための放射線療法または化学療法の前、間、または後に投与または摂取することができる。 さらなる態様では、本発明の組成物はまた、医薬、栄養補助食品、および/または健康補助食品として使用することができる。 さらなる態様は、一般にラジカルにまたは酸素の有害な形態に由来する疾患の治療および/または予防に使用するための本発明の組成物に関する。好ましい態様は、酸素ラジカルにまたは活性酸素種に由来する疾患の治療および/または予防に使用するための本発明の組成物に関する。さらなる態様は、放射線誘発胃腸症候群の治療および/または予防に使用するための本発明の組成物に関する。放射線誘発症候群の症状は、出血、下痢、体温、痙攣、血液量減少、および腸粘膜の損失である。さらなる態様は、貧血、特に鉄欠乏性貧血、虚血性再灌流障害、炎症性疾患、全身性エリテマトーデス、心筋梗塞、脳卒中、外傷性出血、脊髄外傷、クローン病、自己免疫疾患、例えば関節リウマチおよび糖尿病、白内障形成、ブドウ膜炎、気腫、胃潰瘍、酸素中毒、新生物、放射線宿酔、癌、アルツハイマー病、パーキンソン病、ヘモクロマトーシス、難聴、アテローム性動脈硬化症、精神病、運動障害、骨髄機能不全、汎血球減少症、致死性免疫機能障害、ならびに統合失調症の治療ならびに/または予防に使用するための本発明の組成物に関する。 さらなる局面では、本発明は、治療および/または予防を必要とする対象において障害、疾患、または状態を治療する方法に関し、方法は、該対象に、有効量の本発明による組成物を投与する段階を含む。特に、該治療の方法は、一般にラジカルにまたは酸素の有害な形態に由来する疾患、特に酸素ラジカルにまたは活性酸素種に由来する疾患の治療および/または予防のためであり得る。好ましい態様では、該治療の方法は、先に挙げた疾患および障害の治療および/または予防のためであり得る。 本発明による治療または予防の方法において使用される投与量および投与経路は、治療される特定の疾患または障害に依存する。投与経路は、例えば、経口、局所、鼻咽頭、非経口、静脈内、直腸、または任意の他の投与経路であり得る。 フリーラジカルの、特に酸素ラジカルまたは活性酸素種の過剰量は、細胞の損傷および死を引き起こす場合があり、結果的に脳卒中、癌、糖尿病、および主要障害などの多くの疾患をもたらす。癌の多くの形態は、細胞周期に悪影響を及ぼして潜在的に悪性腫瘍を引き起こし得る突然変異をもたらす、フリーラジカルと、特に酸素ラジカルまたは活性酸素種とDNAとの間の反応の結果であると考えられている。 フリーラジカルの、特に酸素ラジカルまたは活性酸素種の量は、放射線診断時にまたは腫瘍疾患に関連した放射線療法の場合に、対象において増大される可能性がある。そのため、放射線科医、歯科医、X線管および原子力のプラントにおける放射線の利用者および作業者は、フリーラジカルの、特に酸素ラジカルまたは活性酸素種のより高い量を示すことがある。さらに、航空機および宇宙船内の人々もまた放射線に曝露され、それゆえ、フリーラジカルの、特に酸素ラジカルまたは活性酸素種のより高い量を示しうる。また同じことが登山家にも当てはまる。多くの慢性変性疾患、例えば気腫、肺癌、冠動脈疾患の発病の原因となる、喫煙により生成された酸素フリーラジカル(大量の酸化ストレス負荷)の働きがあるという確かな証拠もまた存在する。 例えば、X線、α線、β線、およびγ線などの放射線による水の放射線分解によって、生成されたラジカルは、例えばDNAに損傷を与えて、さまざまな疾患、例えば腫瘍の発症につながる可能性があるDNAの突然変異を引き起こす。さらに、ラジカルは、組織の変性、萎縮、線維症、または壊死といった損傷を引き起こすかまたは助長する。 さらなる態様では、本発明の組成物は老化の予防に使用される。生物は、細胞が長い時間をかけてフリーラジカルによる、特に酸素ラジカルまたは活性酸素種による損傷を蓄積するので老化する。細胞内のフリーラジカルによる、特に酸素ラジカルまたは活性酸素種による損傷は、貧血、特に鉄欠乏性貧血、癌、関節炎、アテローム性動脈硬化症、アルツハイマー病、および糖尿病を含む広範な疾患に関連している。フリーラジカル化学は食作用、炎症、およびアポトーシスの重要な一面である。細胞自殺、すなわちアポトーシスは、細胞死を制御する体内の手段であり、かつフリーラジカル、特に酸素ラジカルまたは活性酸素種を必要とする。加齢に伴うこのような変性疾患は、ラジカル、特に酸素ラジカルまたは活性酸素種が原因であり得る。 さらなる態様は、栄養補助食品または健康補助食品として使用するための本発明による組成物に関する。栄養補助食品および健康補助食品は、その目的が通常の食事を補うことである、栄養素または栄養学的もしくは生理学的作用を有する他の物質の濃縮された供給源であり得る。 経口的に摂取された栄養補助食品または健康補助食品は、食事を補うことができる。健康補助食品または栄養補助食品は、錠剤、カプセル剤、糖衣錠、丸剤、粉剤、坐剤、または任意の他の生薬製剤として提供され得る。健康補助食品および栄養補助食品はまた、バー、飲料、シェイク、および他の食品で提供されてもよい。一般的に、健康補助食品は、食事または食物の唯一の品目であることを意図したものではない。健康補助食品および栄養補助食品は、食事の前、食事の後、または食事と同時に摂取することができる。健康補助食品および栄養補助食品は1日1回または数回摂取することができる。健康補助食品および栄養補助食品は1日中いつでも摂取することができる。以下の実施例は本発明を説明しているが限定するものとはみなされない。 本研究の主な目的は、本発明による組成物および種々の他の添加物の非存在下および存在下でのX線照射した生体分子の変化を調べて、以下の問題に対処することであった:照射時および照射後の添加物のいわゆる保護効率(一次および二次損傷の解明)、ならびにそれらの回復能力。実施例1:補給物溶液の調製 補給物は以下の成分からなる。コエンザイムQ10* 100mg (CoQ10P40 250mg)リボフラビン 40mg (リボフラビン40mg等量)L-シスチン 500mgナイアシン 20mgアスコルビン酸 940mgコハク酸 100mgフマル酸 100mg L-グルタミン 950mg コエンザイムQ10以外の補給物の成分は、シグマアルドリッチジャパン(Sigma Aldrich Japan)社(東京、日本)から購入した。*CoQ10P40(日清ファルマ社、東京、日本)をコエンザイムQ10として使用した。CoQ10P40は40重量%のコエンザイムQ10を含有する。実施例2:リゾチームの活性試験 リゾチームの活性試験は、効率的な試験システムと考えられた。 リゾチームが生化学的、物理化学的、結晶学的、および放射線生物学的な観点から十分に特性解析されたタンパク質であるという理由で酵素リゾチームは選択された。また、リゾチームは、生体における細菌感染に対する自己防御システムの一例である。未照射リゾチームおよび照射されたリゾチームの構造と機能は詳細に特性解析されている。以前に発表された論文から以下の通り、選択されたタンパク質の特性(例えば、アミノ酸組成、3D構造)によって徐々に違いが生じる、任意の他のタンパク質も同様に使用することができる。この挙動は、電離放射線と生体分子の相互作用の原理が、一方ではROSの酸化作用と、他方では抗酸化物質のスカベンジング能力とによって支配され、その近傍の生体分子に関係ないという事実に起因しうる。スカベンジャーがタンパク質を保護することができる場合には、それはまた、適用された抗酸化物質の溶解性の程度に応じてその他の分子、例えばDNA、脂質、膜などを保護することができると考えられる。 ニワトリの卵白リゾチームはServa社(ハイデルベルク、ドイツ)から購入し、添加物および他のすべての物質は入手可能な最高グレードのものであった。リゾチーム(0.1mg/ml)および添加物(他に明記しない場合は、10mM)を希薄な空気飽和1mMリン酸ナトリウム緩衝液pH6.5中に溶解し、25℃で添加物の非存在下または存在下でX線(0〜1kGy)を照射した。リゾチームの活性試験は、Shugar, 1952, The measurement of lysozyme activity and the ultra-violet inactivation of lysozyme. Biochim. Biophys. Acta 8, 302-309に記載される通りに実施し、Jasco UV/VIS分光光度計V-530で記録した。 リゾチームの活性試験は単純かつ簡単である。Shugarにより記載された方法は、希釈された未照射酵素または希釈され照射された酵素、および特別な活性緩衝液(17mM NaClを含む66mMリン酸ナトリウム緩衝液pH7.0)中のミクロコッカス・リゾデイクティカス(Micrococcus lysodeikticus)の細胞懸濁液を使用する。この細菌を三角フラスコ内で活性緩衝液中に0.2mg/mlの濃度で懸濁する。細菌懸濁液を試験に使用する前に、キュベットへの均質なピペッティングを確保するためにフラスコを旋回させる必要がある。素早く作業して、酵素試料をピペットで採取して細菌液に入れ、パラフィルムを用いてキュベットをしっかりと密封し、均一に手動混合した。典型的な試験混合物(合計3ml)は、試料の合理的な取り扱いを可能にするために、添加物の非存在下または存在下での0.02mlの未照射酵素試料を加えた2.98mlの細菌液、および添加物の非存在下での0.05mlの照射された酵素(250Gy)を加えた2.95mlの細菌液、および添加物の非存在下での0.4mlの照射された酵素(1000Gy)を加えた2.6mlの細菌液からなっていた。酵素による細菌の破壊に起因する吸光度の減少を、3mlキュベット中で450nmの波長にて分光光度計により25℃で3分間連続して測定する。 吸光度の異なる減少は異なる活性を反映している。この試験はまた、抗酸化物質の存在下でリゾチームに適用することもできる。というのは、この試験での試料(リゾチーム+抗酸化物質)の高希釈および使用する波長のために、抗酸化物質が活性測定の結果を妨害しないからである。さらなる分離技術は必要でない。 照射は小さな2mlプラスチックカップ内で25℃にて実施した。X線の線量測定は、フリッケ(Fricke)線量計(硫酸第一鉄線量計)により得られた。実施例3:試験添加物の適用後に照射されたリゾチームの活性 本実験では、リゾチームを次の添加物と混合した:実施例1の組成物、アスコルビン酸(10mM)、グルタチオン(10mM)、チオ尿素(10mM)、ギ酸ナトリウム(10mM)、またはマンニトール(10mM)。その後、リゾチーム-添加物混合物に、それぞれ500Gyおよび1000Gyのエネルギー量のX線を照射した。また、リゾチームには、添加物の存在なしに250、500、750、および1000Gyのエネルギー量のX線を照射した。 その後、照射されたリゾチームは、リゾチームの活性を測定するために、実施例2に記載した活性アッセイにおいて用いた。比較のために、活性はパーセントで表される。天然の未照射リゾチームが基準として使用され、100%の活性を有するとみなされる。 表1は、照射前に添加される異なる添加物の非存在下または存在下でかつ異なるX線量で照射されたリゾチーム(c=0.1mg/ml)を用いた実験の結果を示す。 添加物の非存在下でのX線照射は、適用された線量が十分に高い(1000Gy)場合、ほぼ完全な活性低下をもたらす。より低い線量での照射は、より顕著でない損傷をもたらす。実施例1に記載の組成物の存在は、X線照射に対して強力な保護を示す。より低い線量の適用では、保護がより顕著である。 リゾチームの活性の低下は、照射による放射線分解によって生成されるラジカルの発生と相関する。実施例1に記載の組成物の適用は、スカベンジャーとしての役割を果たし、そのため、リゾチームの高い活性によって示されるリゾチームの保護をもたらす。 (表1)照射されたリゾチームの活性に及ぼす添加物の影響S=実施例1に記載の組成物;a.r.=ante radiationem=照射前;グレイ(Gy)は、任意の種類の物質1キログラムに1ジュールのエネルギーを付与するために必要な放射線の量を表す。実施例4:可変濃度の組成物の適用後に照射されたリゾチームの活性 本実験では、リゾチームを種々の濃度の実施例1の組成物と混合した。その後、リゾチーム-添加物混合物に250Gyのエネルギー量のX線を照射した。また、リゾチームには、添加物の存在なしに250Gyのエネルギー量のX線を照射した。 その後、リゾチームの活性を測定するために、照射されたリゾチームを、実施例2に記載した活性アッセイ法において用い、リゾチーム活性の測定を照射の24時間後に繰り返した。比較のために、活性はパーセントで表される。天然の未照射リゾチームが基準として使用され、100%の活性を有するとみなされる。 表2は、実施例1に記載の組成物の可変濃度を用いてX線照射されたリゾチーム(c=0.1mg/ml)の結果をまとめたものである。このために、250Gyの線量を適用して、1000Gyでよりも正確な結果の登録を可能にした。組成物の非存在下では、不活性化が起こり、これは照射後の段階(照射の24時間後にモニタリング)でさらに強化される。 組成物のすべての濃度は(1:10000の希釈物でさえも)、照射時のリゾチームの保護と、24時間保存中のさらなる不活性化に対するリゾチームの保護とを提供する。最も顕著な作用は最高の組成物濃度を使用する場合に得られる。 リゾチームの活性の低下は、照射による放射線分解によって生成されるラジカルの発生と相関する。実施例1に記載の組成物の適用は、スカベンジャーとしての役割を果たし、そのため、リゾチームの高い活性によって示されるリゾチームの保護につながる。 (表2)照射リゾチームの活性に及ぼす組成物の影響S=実施例1に記載の組成物;a.r.=ante radiationem=照射前;グレイ(Gy)は、任意の種類の物質1キログラムに1ジュールのエネルギーを付与するために必要な放射線の量を表す。実施例5:可変濃度の組成物の適用前に照射されたリゾチームの活性 本実験では、リゾチームに250Gyのエネルギー量のX線を最初に照射した。その後、リゾチームを1:2または1:10の希釈の実施例1の組成物と混合した。また、リゾチームには、添加物の存在なしに250Gyのエネルギー量のX線を照射した。 その後、リゾチームの活性を測定するために、照射されたリゾチームを実施例2に記載した活性アッセイにおいて用い、リゾチーム活性の測定を照射の24時間後に繰り返した。比較のために、活性はパーセントで表される。天然の未照射リゾチームが基準として使用され、100%の活性を有するとみなされる。 表3は、実施例1の組成物の非存在下でX線照射されたが、照射後にこの組成物を供給されたリゾチーム(c=0.1mg/ml)の結果を示す。活性の測定は、照射および組成物の添加の24時間後に実施した。結果は、保存(24時間)中の不活性化に対する組成物による保護、および著しい回復挙動を示している。 リゾチームの活性の低下は、照射による放射線分解によって生成されるラジカルの発生と相関する。実施例1に記載の組成物の適用は、スカベンジャーとしての役割を果たし、リゾチームの高い活性によって示されるリゾチームの回復につながる。 (表3)組成物の適用によるリゾチーム活性の回復S=実施例1に記載の組成物;p.r.=post radiationem=照射後;グレイ(Gy)は、任意の種類の物質1キログラムに1ジュールのエネルギーを付与するために必要な放射線の量を表す。実施例6:補給物溶液の調製 補給物は以下の成分からなる。コエンザイムQ10* 100mg (CoQ10P40 250mg)リボフラビン 40mg (リボフラビン40mg等量)L-シスチン 500mgナイアシン 20mgアスコルビン酸 940mgコハク酸 100mgフマル酸 100mg L-グルタミン 950mg コエンザイムQ10以外の補給物の成分は、シグマアルドリッチジャパン社(東京、日本)から購入した。*CoQ10P40(日清ファルマ社、東京、日本)をコエンザイムQ10として使用した。CoQ10P40は40重量%のコエンザイムQ10を含有する。 上記のそれぞれの成分を50mlの水と混合し、その後pHを調整するために、かつシスチンの溶解性の理由で84mgの重炭酸ナトリウムを添加した。この溶液をその後0.6mg/μlおよび0.3mg/μlに希釈した。実施例7:本発明の組成物またはビタミンCで前処理したマウスの照射後の血液中過酸化水素レベルマウス: 以下の実験のために、C57BL/6マウス(体重21グラム)を日本SLC社(静岡、日本)から購入した。マウスは8週齢で実験に使用した。 本実験では、6群が構成された。各群は6匹のマウスを含む。 (a)第1群のマウスは未処理であり、陰性対照を構成し、 (b)第2群のマウスは陽性対照を構成し、それゆえ、マウスを6Gyの放射線で処理して、照射の72時間後に採血を行い、 (c)第3群のマウスは体重1kgあたり150mgのビタミンCで処理し、 (d)第4群のマウスは体重1kgあたり15mgのビタミンCで処理し、かつ (e)第5群のマウスは体重1kgあたり15mgの実施例6の組成物で処理した。 以下の実験では、第1群、第2群、および第5群については3回の独立した実験、第3群については2回の独立した実験、第4群については1回の実験を行った。 十分に換気されたアクリル容器に各マウスを入れた。実施例6の組成物およびビタミンCを、それぞれ0.5mlの水に懸濁させて、第3群〜第5群のマウスに24時間間隔で3回経口投与した。3回目の投与の24時間後、150kVおよび5mAで0.45Gy/分の線量率にて与えた(日立MBR-1505R2、東京、日本)、6Gyの全身照射(WBI)にマウスを曝した。ビームは2mmアルミ板を通してフィルタリングした。照射の72時間後、採血を行った。血液試料中のフリーラジカルの測定: Free Carpe Diem測光分析システム(Diacron社、グロッセート、イタリア)を用いることによるd-ROM(活性酸素代謝物)試験を、マウスの血液試料中のフリーラジカル代謝物の測定に使用した。これは、ヒドロペルオキシドが脂質、ペプチド、およびアミノ酸の中間酸化生成物であることから、総ヒドロペルオキシドレベルを測定することによって全体的な酸化ストレスを評価する分光光度法である。簡単に説明すると、0.02mlの血漿を1mlの酢酸緩衝液で希釈した。ヒドロペルオキシド基は、酸性媒体中でタンパク質から遊離された遷移金属イオンと反応して、フェントン反応(Fenton reaction)に従ってアルコキシルおよびペルオキシルラジカルに変換される。量が過酸化物の量に正比例する、これらの新しく形成されたラジカルは、0.02mlの色原体(N,N-ジエチル-パラフェニレンジアミン)により化学的に捕捉され、この色原体のラジカルカチオンの形成をもたらす。この反応から経時的に生じる紫色を、505nmで分光光度計(Wismarll FRAS4、東京、日本)でモニタリングした。この方法の結果は、1リットルあたりのμmolで表した。 (表4)前処理および照射の後のマウスの血液中の過酸化水素濃度 未処理マウスの血液中の過酸化水素濃度で表される陰性対照と比較して、6Gyでの照射に起因するマウスの血液試料中の過酸化水素濃度の増加は、19.7μmol/lであった。マウスを体重1kgあたり150mgのビタミンCで、照射前に24時間間隔で3回、前処理した場合、過酸化水素の濃度は3.8μmol/l減少し、したがって、減少率は19.29%であり、体重1kgあたり15mgの実施例6の組成物で前処理した場合には、過酸化水素の濃度が9.7μmol/l減少し、したがって、減少率は49.24%である。対照的に、体重1kgあたり15mgのビタミンCでの前処理は、過酸化水素の濃度を5.1μmol/l増加させ、したがって、増加率は25.89%である。 したがって、本実験は、照射前に本発明による組成物を投与すると、フリーラジカルのレベル、すなわち細胞損傷およびラジカルに由来する疾患を引き起こす過酸化水素のレベルが低下することを示している。実施例8:本発明による組成物の調製 以下の混合物を水に入れて、全成分が完全に溶解するまでよく振とうさせた。 次いで、リン酸リボフラビンナトリウム(注射用)2ml(40mg)を混合した。最終溶液は以下の成分を含有する。実施例9:さまざまな濃度の実施例8の組成物を用いたマウスにおける過酸化水素血中レベルに及ぼす該組成物の作用マウス: 以下の実験のために、C57BL/6マウス(体重21グラム)を日本SLC社(静岡、日本)から購入した。マウスは8週齢で実験に使用した。 本実験では、8群が構成された。 (a)第1群のマウスは、5匹のマウスを含む陽性対照を構成し、それゆえ、マウスを6Gyの放射線で処理して、照射の72時間後に採血を行った。 (b)第2群のマウスは、5匹のマウスを含む陰性対照を構成し、それゆえ、マウスは未処理であった。 (b)第3群〜第8群のマウスは、体重1kgあたり5、10、15、20、25、または30mgの実施例8の組成物で処理した。第3群〜第6群はそれぞれ10匹のマウスを含み、第7群は8匹のマウスを含み、かつ第8群は6匹のマウスを含む。 十分に換気されたアクリル容器に各マウスを入れた。実施例8の組成物を第3群〜第8群のマウスに、それぞれの濃度で、すなわち体重1kgあたり5、10、15、20、25、または30mgの組成物を、24時間間隔で3回経口投与した。3回目の投与の24時間後、150kVおよび5mAで0.45Gy/分の線量率にて与えた(日立MBR-1505R2、東京、日本)、6Gyの全身照射(WBI)にマウスを曝した。ビームは2mmアルミ板を通してフィルタリングした。照射の72時間後、採血を行った。血液試料中のフリーラジカルの測定: Free Carpe Diem測光分析システム(Diacron社、グロッセート、イタリア)を用いることによるd-ROM(活性酸素代謝物)試験を、上記の実施例7に記載した通りにマウスの血液試料中のフリーラジカル代謝物の測定に使用した。 (表5)実施例8に記載の組成物のさまざまな濃度による前処理および照射の後のマウスの血液中の過酸化水素濃度 未処理マウスの血液中の過酸化水素濃度で表される陰性対照と比較して、6Gyでの照射に起因するマウスの血液試料中の過酸化水素濃度の増加は、31.8μmol/lであった。 マウスを体重1kgあたり5mgの実施例8の組成物で、照射前に24時間間隔で3回、前処理した場合、過酸化水素の濃度は18.9μmol/l減少し、したがって、減少率は59.43%であり、体重1kgあたり10mgの実施例8の組成物で前処理した場合には、過酸化水素の濃度は20.5μmol/l減少し、したがって、減少率は64.47%である。最大の減少が達成され、マウスを体重1kgあたり15mgの実施例8の組成物で照射前に24時間間隔で3回前処理した場合に過酸化水素の濃度は24.9μmol/l減少し、したがって、減少率は78.3%であり、かつ、マウスを体重1kgあたり20mgの実施例8の組成物で照射前に24時間間隔で3回前処理した場合に過酸化水素の濃度は22.5μmol/l減少したが、したがって、減少率は70.75%である。実施例8の組成物の増加する濃度、すなわち25および30mg/kg体重を用いると、過酸化水素の減少が低下し、その結果、減少率はそれぞれ63.21%および16.98%に下がる。 したがって、本実験は、照射前に本発明による組成物を投与すると、フリーラジカルのレベル、すなわち細胞損傷およびラジカルに由来する疾患を引き起こす過酸化水素のレベルが低下することを示している。実施例10:異なる投与形態および持続時間を用いたマウスの過酸化水素血中レベルに及ぼす実施例8の組成物の作用マウス: 以下の実験のために、C57BL/6マウス(体重21グラム)を日本SLC社(静岡、日本)から購入した。マウスは8週齢で実験に使用した。 本実験では、6群が構成された。 (a)27匹のマウスを含む第1群のマウスは、陽性対照を構成し、それゆえ、マウスを6Gyの放射線で処理して、照射の72時間後に採血を行い、 (b)28匹のマウスを含む第2群のマウス、12匹のマウスを含む第3群のマウス、および11匹のマウスを含む第4群のマウスは、体重1kgあたり15mgの実施例8の組成物で経口投与により処理し、 (c)12匹のマウスを含む第5群のマウスは、シスチンの代わりにシステインを体重1kgあたり15mg含有する、実施例8と同様の組成物で経口投与により処理し、かつ (d)12匹のマウスを含む第6群のマウスは、体重1kgあたり15mgの実施例8の組成物で腹腔内投与により処理した。 十分に換気されたアクリル容器に各マウスを入れた。陽性対照に相当するマウスは、150kVおよび5mAで0.45Gy/分の線量率にて与えた(日立MBR-1505R2、東京、日本)、6Gyの全身照射(WBI)に曝した。ビームは2mmアルミ板を通してフィルタリングした。照射の72時間後、採血を行った。 実施例8の組成物は、第2群のマウスに体重1kgあたり15mgの組成物の濃度にて24時間間隔で3回経口投与した。すなわち、マウスは照射前に実施例8の組成物で3日間前処理された。3回目の投与の24時間後、陽性対照と同じ条件を用いてマウスに照射した。照射の72時間後、採血を行った。 実施例8の組成物は、第3群のマウスに、陽性対照と同じ条件を用いて照射してから24時間後に開始して、24時間間隔で4回経口投与し、最後の経口投与の24時間後に採血を行った。第3群のマウスは、照射後に実施例8の組成物で4日間後処理された。 第4群のマウスは、陽性対照と同じ条件を用いて照射する前に15mg/kgの実施例8の組成物を用いて24時間間隔で3回処理し、かつ照射の24時間後に開始して24時間間隔で4回処理し、最後の経口投与の24時間後に採血を行った。第4群のマウスは、照射前に実施例8の組成物で3日間前処理され、照射後に該組成物で4日間後処理された。 第5群のマウスは、L-シスチンをL-システインに置き換えた、実施例8と同様の組成物で処理した。15mg/kg体重の濃度のこの組成物を、第5群のマウスに24時間間隔で3回経口投与した。3回目の投与の24時間後に、陽性対照と同じ条件を用いてマウスに照射し、照射の72時間後に採血を行った。 第5群のマウスは、組成物を腹腔内に投与したことを除いて、第2群のマウスと同様に処理した。血液試料中のフリーラジカルの測定: Free Carpe Diem測光分析システム(Diacron社、グロッセート、イタリア)を用いることによるd-ROM(活性酸素代謝物)試験を、上記の実施例に記載した通りにマウスの血液試料中のフリーラジカル代謝物の測定に使用した。 (表6)マウスの血液中の過酸化水素濃度 未処理マウスの血液中の過酸化水素濃度で表される陰性対照と比較して、6Gyでの照射に起因するマウスの血液試料中の過酸化水素濃度の増加は、19.62μmol/lであった。マウスを体重1kgあたり15mgの実施例8の組成物で照射前に24時間間隔で3回前処理した場合、過酸化水素の濃度は12.97μmol/l減少し、したがって、減少率は66.11%であり、体重1kgあたり15mgの実施例8の組成物による後処理の場合には、過酸化水素の濃度は16.01μmol/l減少し、したがって、減少率は82.08%である。15mg/kgの実施例8の組成物による3日間の前処理と4日間の後処理は、22.5μmol/lの過酸化水素濃度の減少、したがって、114.86%の減少率をもたらす。シスチンをシステインに置き換えたことを除いて実施例8に従う組成物による前処理は、21.4μmol/lの過酸化水素濃度の減少、したがって、109.07%の減少率をもたらす。さらに、実施例8の組成物の腹腔内投与は、経口投与と比べて(第2群参照)、23.7μmol/lの過酸化水素濃度のより大きい減少をもたらし、したがって、減少率は120.8%である。実施例11:エタノールで処理したマウスにおける過酸化水素血中レベルに及ぼす実施例8の組成物の作用マウス: 以下の実験のために、C57BL/6マウス(体重21グラム)を日本SLC社(静岡、日本)から購入した。マウスは8週齢で実験に使用した。 本実験では、7群が構成された。 (a)第1群のマウスは、14匹のマウスを含む陽性対照を構成し、それゆえ、マウスに7g/kg体重のエタノールを24時間間隔で2回腹腔内投与し、2回目の投与の24時間後に採血を行った。 (b)第2群のマウスは、4匹のマウスを含む陰性対照を構成し、それゆえ、マウスは未処理であった。 (c)第3群〜第7群のマウスは、体重1kgあたり10、15、20、25、または30mgの実施例8の組成物で処理した。第3群は9匹のマウスを含み、第4群は15匹を含み、第5群と第6群は8匹を含み、かつ第7群は10匹のマウスを含む。 十分に換気されたアクリル容器に各マウスを入れた。実施例8の組成物は、それぞれの濃度で、すなわち、体重1kgあたり組成物10、15、20、25、または30mgで、第3群〜第6群のマウスに24時間間隔で5回経口投与した。7g/kg体重のエタノールを、4日目と5日目に、実施例8の組成物で処理してから1時間後に腹腔内注射した。実施例8の組成物による最終処理の24時間後に、採血を行った。血液試料中のフリーラジカルの測定: Free Carpe Diem測光分析システム(Diacron社、グロッセート、イタリア)を用いることによるd-ROM(活性酸素代謝物)試験を、上記の実施例7に記載した通りにマウスの血液試料中のフリーラジカル代謝物の測定に使用した。 (表7)マウスの血液中の過酸化水素濃度 未処理マウスの血液中の過酸化水素濃度で表される陰性対照と比較して、エタノールの注射に起因するマウスの血液試料中の過酸化水素濃度の増加は、21.6μmol/lであった。 マウスを体重1kgあたり10mgの実施例8の組成物で前処理した場合、過酸化水素の濃度は16.3μmol/l減少し、したがって、減少率は75.46%である。最高の減少が達成され、マウスを体重1kgあたり15mgの実施例8の組成物で24時間間隔にて5回前処理した場合に過酸化水素の濃度は17.5μmol/l減少し、したがって、減少率は81.02%であり、かつマウスを体重1kgあたり20mgの実施例8の組成物で24時間間隔にて3回前処理した場合に過酸化水素の濃度は17.35μmol/l減少したが、したがって、減少率は80.32%である。実施例8の組成物の濃度を増加させると、すなわち25および30mg/kg体重を用いると、過酸化水素の減少が低下し、その結果、減少率はそれぞれ78.01%および74.54%に下がる。 3〜5質量%のコエンザイムQ10、1〜2質量%のリボフラビン、15〜20質量%のL-シスチンまたはL-システイン、0.5〜1.0質量%のナイアシン、28〜43質量%のビタミンC、3〜5質量%のコハク酸、3〜5質量%のフマル酸、および27〜42質量%のL-グルタミンを含む組成物であって、 該組成物が10〜20mg/kg体重の範囲の量で投与され、 ラジカルおよび酸素の有害な形態の細胞傷害作用を最小限にするための、前記組成物。 15mg/kg体重の量で投与される、請求項1に記載の組成物。 35.47質量%のビタミンC、32.08質量%のL-グルタミン、18.88質量%のL-シスチンまたはL-システイン、1.51質量%のリボフラビン、3.77質量%のコハク酸、3.77質量%のフマル酸、3.77質量%のコエンザイムQ10、および0.75質量%のナイアシンを含む、請求項1または2に記載の組成物。 液体形態であるか、または、カプセル剤、糖衣錠、丸剤、粉剤、坐剤、もしくは任意の他の生薬製剤の形態である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。