生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_二重特異性抗体の構築の改善
出願番号:2014534198
年次:2014
IPC分類:C07K 16/00,C12N 15/09,C07K 1/22,C12P 21/08,C07K 16/46,C07K 1/02


特許情報キャッシュ

ギース, グレン パーション, ヨセフィーン ウィリアムズ, アンブローズ リム, エイミー シーア, ジャスティン JP 2014534198 公表特許公報(A) 20141218 2014535885 20121011 二重特異性抗体の構築の改善 ジェネンテック, インコーポレイテッド 509012625 園田 吉隆 100109726 小林 義教 100101199 ギース, グレン パーション, ヨセフィーン ウィリアムズ, アンブローズ リム, エイミー シーア, ジャスティン US 61/545,863 20111011 US 61/546,503 20111012 US 61/560,704 20111116 US 61/676,837 20120727 C07K 16/00 20060101AFI20141121BHJP C12N 15/09 20060101ALI20141121BHJP C07K 1/22 20060101ALI20141121BHJP C12P 21/08 20060101ALI20141121BHJP C07K 16/46 20060101ALI20141121BHJP C07K 1/02 20060101ALI20141121BHJP JPC07K16/00C12N15/00 AC07K1/22C12P21/08C07K16/46C07K1/02 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC US2012059810 20121011 WO2013055958 20130418 81 20140606 4B024 4B064 4H045 4B024AA01 4B024BA43 4B024CA04 4B024CA09 4B024DA02 4B024EA04 4B024GA13 4B064AG26 4B064AG27 4B064CA10 4B064CA19 4B064CC24 4B064DA01 4H045AA20 4H045AA30 4H045BA10 4H045DA75 4H045DA76 4H045EA22 4H045EA34 4H045FA74 4H045GA26 本発明は、2011年10月11日に出願された米国仮出願番号第61/545863号、2011年10月12日に出願された米国仮出願番号第61/546503号、2011年11月16日に出願された米国仮出願番号第61/560704号及び2012年7月27日に出願された米国仮出願番号第61/676837号と関連しており、それらの優先権の利益を主張する。上記各仮出願の開示の全体が出典明示により本明細書に援用される。 本開示は、二重特異性抗体等のヘテロ多量体タンパク質の組成物及び改善された構築方法に関する。 IgG型モノクローナル抗体は、2本の同じ抗原結合アームと定常ドメイン(Fc)を含んでいる。その結合アーム中に異なる特異性を有する抗体は、通常は天然には存在せず、従って、化学工学(例えば化学的架橋等)、組換えDNA及び/又は細胞融合技術の助けを借りて、作製されなければならない。 二重特異性抗体は2種の異なる抗原に同時に結合することができる。この特性により、従来のモノクローナル抗体では不可能である治療戦略の開発が可能になる。開発された想像上の二重特異性抗体フォーマットの大型パネルは、これらの分子への強い関心を反映する。Berg J、Lotscher E、Steimer KS他、「Bispecific antibodies that mediate killing of cells infected with human immunodeficiency virus of any strain」、Proc Natl Acad Sci USA(1991)88(11):4723〜4727並びにFischer N及びLeger O.、「Biospecific Antibodies:Molecules That Enable Novel Therapeutic Strategies」、Pathobiology(2007)74:3〜14参照。 別の種類の多重特異性分子は組換え融合タンパク質である。免疫調節タンパク質の細胞外ドメインと免疫グロブリン(Ig)の定常(Fc)ドメインとからなる組換え融合タンパク質は、ヒトの治療法における成長分野である。イムノアドヘシンでは、タンパク質配列の結合領域と抗体のエフェクタードメインとが所望の特異性と共に組み合わされている。イムノアドヘシンは、治療薬としてのイムノアドヘシンの可能性にとって意義深い2つの重要な特性、即ち標的特異性及び薬物動態学的安定性(抗体の半減期と同程度であるインビボでの半減期)を有する。有害な相互作用を阻害するもしくは遮断するためのアンタゴニストとして、又は生理学的反応を模倣するもしくは増強するためのアゴニストとして、イムノアドヘシンを使用することができる。Chamow SM、Zhang DZ、Tan XY他、「A humanized,bispecific immunoadhesin−antibody that retargets CD3+ effectors to kill HIV−1−infected cells」、J Hematother 1995;4(5):439〜446参照。 他の多重特異性分子が他で議論されてきた。例として、Fisher他、Pathobiology(2007)74:3〜14(様々な二重特異性フォーマットの総説);Feige他が2003年12月9日に取得した米国特許第6,660,843号(ペプチボディ);2002年1月10日に公開された米国特許出願公開第2002−004587号(多重特異性抗体);Wu他が2009年11月3日に取得した米国特許第7612181号(二重可変ドメインフォーマット);米国特許第6,534,628号、Nord K他、Prot Eng(1995)8:601〜608、Nord K他、Nat Biotech(1997)15:772〜777及びGronwall他、Biotechnol Appl Biochem.(2008)Jun;50(Pt2):97〜112(アフィボディ);Martens他、Clin Cancer Res(2006)、12:6144〜6152及びJin他、Cancer Res(2008)68(11):4360〜4368(ワンアームド抗体(one armed antibody));Bostrom他、Science(2009)323:1610〜1614(二重作用Fab、別名は混合原子価抗体(mixed valency antibody))が挙げられるがこれらに限定されない。他のフォーマットが当業者に知られている。 臨床等級の材料の製造は、抗体に関して一般的に依然として困難であり、特に上記多重特異性分子に関しては依然として困難である。前述したように、混合結合アーム、即ち互いに同一ではない結合アームを有する分子の産生には多くの経路がある。しかし、これらの方法はそれぞれ欠点を有する。 適切な種をホモ二量体及び他の望ましくない副産物から精製する必要が更にあるかもしれないことから、化学的架橋は労働集約的である。加えて、化学修飾ステップはタンパク質の完全性を変えて安定性の低下をもたらす可能性がある。そのため、この方法は非効率であることが多く、抗体の活性の喪失をもたらす可能性がある。 細胞融合技術(例えばハイブリッドハイブリドーマ)は、ランダムに集合して10種の抗体の組合せの形成をもたらす2本の重鎖及び2本の軽鎖を発現させる。所望のヘテロ多量体抗体は、そのように産生される抗体のほんの一部でしかない。所望のヘテロ多量体タンパク質の精製は、産生収率が激減させ、製造コストを増加させる。 組換えDNA技術は、様々なヘテロ多量体フォーマット、例えばFcドメインを含まない単鎖Fv(ダイアボディ等)を生成するために使用されている。このタイプの抗体分子の主な欠点はFcドメインの欠如であり、そのためエフェクター機能をトリガーする抗体の能力(例えば補体活性化、Fc受容体結合等)の欠如である。そのため、機能的Fcドメインを含む二重特異性抗体が望まれている。 組換えDNA技術はまた、「ノブイントゥホール(knob into hole)」二重特異性抗体を生成するためにも使用されている。米国特許出願第20030078385号(Arathoon他−Genentech)参照。この戦略の1つの制約は、同じ細胞中での発現時に望ましくない及び/又は不活性な分子の誤対合及び形成を防止するために、2種の親抗体の軽鎖が同一でなければならないということである。 加えて、アニーリング及び精製中の制限事象のうちの1つが酸化還元効率である。酸化したヘテロ二量体は概して、このステップ後にタンパク質の70〜80%を占めるのみである(BioAnalyzer及びMS−TOF)。抗体の残り20〜30%は二量体であり、共有結合を欠いている(SEC−LLS)。これを除去することはできるが、全収率に大きな影響を及ぼす。そのため、抗体の産生、特にヘテロ二量体の産生における全収率を改善する必要性が残る。本明細書に記載されているのは、二重特異性抗体、ヘテロ二量体等の全収率を改善することができる方法である。本発明のこれらの及び他の態様及び利点は、本明細書に記載された本発明の説明から明らかになるだろう。 最新技術を使用する、2種以上のヒンジ含有ポリペプチドから構築されたヘテロ多量体タンパク質、例えば2種以上の半抗体に由来する多重特異性抗体の産生は、特に産物の混合物の産生、低下した収率及びエフェクター機能の低下/消失等の欠点を有する。加えて、各ヒンジ含有ポリペプチドの調製中及びヘテロ多量体の構築又はアニーリング中に、凝集及び沈殿が生じることが多い。凝集及び沈殿により、所望のヘテロ多量体の収率が大幅に低下する可能性がある。そのため、ヘテロ多量体タンパク質をより効率的に及びより高いレベルで産生することが望ましい。 本明細書に開示されているのは、以下のもの:安定化剤、可溶化剤、還元条件、選択的pH及び選択的温度等が挙げられるがこれらに限定されない1つ又は複数を使用することによる又は調整することによる、ヘテロ多量体タンパク質、例えば多重特異性抗体の効率的な産生プロセス/経済的な産生方法である。本明細書に記載された本発明の方法により、沈殿及び/又は凝集によるタンパク質の減少が低下し、二重特異性抗体の産生等のヘテロ多量体タンパク質産生の全収率が改善した。 一態様において、ヘテロ多量体タンパク質の形成又は産生方法であって、 a.第1の可溶化剤の存在下において4〜9、好ましくは5〜9のpHで第1のヒンジ含有ポリペプチドを準備することであって、第1のヒンジ含有ポリペプチドがヘテロ多量体化ドメインを含むこと、 b.第2の可溶化剤の存在下において4〜9、好ましくは5〜9のpHで第2のヒンジ含有ポリペプチドを準備することであって、第2のヒンジ含有ポリペプチドがヘテロ多量体化ドメインを含むこと、 c.還元条件下で第1のヒンジ含有ポリペプチドと第2のヒンジ含有ポリペプチドとを混合して構築用混合物を形成すること、並びに d.構築用混合物をインキュベートして、第1のヒンジ含有ポリペプチドと第2のヒンジ含有ポリペプチドを含むヘテロ多量体タンパク質を形成する又は産生することであって、ヘテロ多量体化ドメインで第1のヒンジ含有ポリペプチドと第2のヒンジ含有ポリペプチドとが相互作用することを含む方法が提供される。 この態様のある実施態様において、ステップa及び/又はステップbの前に第1のヒンジ含有ポリペプチド及び/又は第2のヒンジ含有ポリペプチドを精製するステップがある。ある特定の実施態様において、第1のヒンジ含有ポリペプチド及び/又は第2のヒンジ含有ポリペプチドをプロテインAにより精製する。 別の態様において、二重特異性抗体の形成又は産生方法であって、 a.第1の可溶化剤の存在下において4〜9、好ましくは5〜9のpHで第1の半抗体を準備することであって、第1の半抗体がヘテロ多量体化ドメインを含むこと、 b.第2の可溶化剤の存在下において4〜9、好ましくは5〜9のpHで第2の半抗体を準備することであって、第2の半抗体がヘテロ多量体化ドメインを含むこと、 c.還元条件下で第1の半抗体と第2の半抗体とを混合して構築用混合物を形成すること、並びに d.構築用混合物をインキュベートして、第1の半抗体及び第2の半抗体を含む二重特異性抗体を形成する又は産生することであって、ヘテロ多量体化ドメインで第1の半抗体と第2の半抗体とが相互作用することを含む方法が提供される。 この態様のある実施態様において、ステップa及び/又はステップbの前に第1の半抗体及び/又は第2の半抗体を精製するステップがある。ある特定の実施態様において、第1の半抗体及び/又は第2の半抗体をプロテインAにより精製する。 更なる態様において、ヘテロ多量体の産生方法であって、ヒンジ含有ポリペプチドの混合物を含有するアルギニンを準備することであって前記混合物が4〜9、好ましくは5〜9のpHを有すること、弱還元剤を添加すること、及びヘテロ多量体を産生するための条件下でインキュベートすることを含む方法が提供される。 更に別の態様において、ヘテロ多量体タンパク質の産生方法であって、 a.プロテインAで精製した第1のヒンジ含有ポリペプチドを得ること、 b.プロテインAで精製した第2のヒンジ含有ポリペプチドを得ること、 c.各ヒンジ含有ポリペプチドのpHを4〜9に調整すること、 d.第1のヒンジ含有ポリペプチドと第2のヒンジ含有ポリペプチドとを混合して構築用混合物を得ること、 e.モル過剰の弱還元剤を構築用混合物に添加すること、並びに f.構築用混合物をインキュベートして、第1のヒンジ含有ポリペプチドと第2のヒンジ含有ポリペプチドを含むヘテロ多量体タンパク質を形成することを含む方法が提供される。 別の態様において、ヘテロ多量体タンパク質の産生方法であって、 a.プロテインAで精製した第1のヒンジ含有ポリペプチドを得ること、 b.プロテインAで精製した第2のヒンジ含有ポリペプチドを得ること、 c.L−アルギニンの存在下において各ヒンジ含有ポリペプチドのpHを4〜9に調整すること、 d.第1のヒンジ含有ポリペプチドと第2のヒンジ含有ポリペプチドとを混合して混合ヒンジ含有ポリペプチドプールを得ること、並びに e.インキュベートして、第1のヒンジ含有ポリペプチドと第2のヒンジ含有ポリペプチドを含むヘテロ多量体タンパク質を形成することを含む方法が提供される。 この態様のある実施態様において、混合ヒンジ含有ポリペプチドプールを還元条件下でインキュベートする。ある実施態様において、ヒンジ含有ポリペプチドは、半抗体、イムノアドヘシン又はこれらの機能的断片を含む。ある他の実施態様において、アルギニンは、20mM〜1M、20mM〜200mM又は50mM〜200mMの濃度で存在する。ある他の実施態様において、PVPをステップd又はステップeに添加する。ある実施態様において、混合後にpHを調整する。 本出願人は、半抗体等のヒンジ含有ポリペプチドの中間pHの保持により、その後のヒンジ含有ポリペプチドの構築を増強するコンフォメーションシフトを促進することができることを予想外にも発見した。ある実施態様において、中間pHはpH4〜9であり、好ましくは5〜9であり、又はpH5以上であり、pH5.5以上であり、pH5.7以上であり、pH5より高く、pH5.5より高く、pH5.7より高く、5〜9であり、5〜8であり、5.5〜8であり、5.5〜9であり、5.7〜8であり、5.7〜9であり、6〜8であり、6〜9であり、7〜8であり、7.5〜8.5であり、又は7〜8.5である。可溶化剤を添加して、ヒンジ含有ポリペプチドのpHにより誘発される沈殿を防止する又は最小化することができる。ある特定の実施態様において、中間pHの保持前に可溶化剤を添加する。ある実施態様において、第1の可溶化剤及び第2の可溶化剤はそれぞれ、アルギニン、ヒスチジン及びスクロースからなる群から選択され、好ましくはアルギニン及び/又はヒスチジンである。ある他の実施態様において、アルギニンはアルギニン塩であり、及び/又はヒスチジンはヒスチジン塩である。ある他の実施態様において、アルギニンはアルギニン誘導体であり、及び/又はヒスチジンはヒスチジン誘導体である。ある他の実施態様において、アルギニン又はヒスチジンはL−アルギニン又はL−ヒスチジンである。ある他の実施態様において、アルギニン又はヒスチジンはアルギニンHCl又はヒスチジンHClである。ある他の実施態様において、アルギニン又はヒスチジンはアルギニンリン酸又はヒスチジンリン酸である。ある実施態様において、第1の可溶化剤及び第2の可溶化剤は異なるが、他の実施態様において、第1の可溶化剤及び第2の可溶化剤は同じである。ある好ましい実施態様において、第1の可溶化剤及び第2の可溶化剤の両方はアルギニンを含む。更に他の実施態様において、アルギニンは20mM〜1M、20mM〜1M未満、20mM〜100mM、20mM〜200mM、20mM〜300mM、20mM〜400mM、50mM〜100mM、50mM〜150mM、50mM〜200mM、50mM〜250mM又は50mM〜300mMの濃度で存在し、好ましくは20mM〜200mMの濃度で存在する。更に他の実施態様において、可溶化剤はアルギニン誘導体を含み、アルギニン誘導体としてアセチルアルギニンが挙げられるがこれに限定されない。他の実施態様において、第1の可溶化剤及び第2の可溶化剤の両方はヒスチジンを含み、ヒスチジンは20mM〜1M、20mM〜1M未満、20mM〜500mM未満、20mM〜100mM、20mM〜200mM、20mM〜300mM、20mM〜400mM、50mM〜100mM、50mM〜150mM、50mM〜200mM、50mM〜250mM、50mM〜300mM、50mM〜400mM、50mM〜500mM又は50mM〜600mMの濃度で存在する。ある好ましい実施態様において、可溶化剤を50mMの濃度で添加する。ある他の実施態様において、可溶化剤を200mMの濃度で添加する。ある特定の実施態様において、アルギニン又はヒスチジンを20mM、50mM、100mM又は200mMの濃度で添加する。ある他の特定の実施態様において、第1のヒンジ含有ポリペプチド及び/又は第2のヒンジ含有ポリペプチドを、アルギニン及びヒスチジンの両方の存在下で準備する。他の実施態様において、アルギニン及びヒスチジンはそれぞれ、20mM〜1M、20mM〜1M未満、20mM〜100mM、20mM〜200mM、20mM〜300mM、20mM〜400mM、50mM〜100mM、50mM〜150mM、50mM〜200mM、50mM〜250mM又は50mM〜300mMの濃度で存在し、好ましくは50mM〜200mMの濃度で存在する。 ある実施態様において、中間pHの保持(即ちpH調整)前に、第1のヒンジ含有ポリペプチドと第2のヒンジ含有ポリペプチドとを混合する。ある他の実施態様において、第1のヒンジ含有ポリペプチドのpH及び第2のヒンジ含有ポリペプチドのpHを別々に調整した後に、第1のヒンジ含有ポリペプチドと第2のヒンジ含有ポリペプチドとを混合する。ある実施態様において、pH調整前に可溶化剤を添加する。 ある実施態様において、第1のヒンジ含有ポリペプチド及び第2のヒンジ含有ポリペプチドを混合前に別々に精製するが、他の実施態様において、第1のヒンジ含有ポリペプチド及び第2のヒンジ含有ポリペプチドを混合後に共精製する。ある特定の実施態様において、ヒンジ含有ポリペプチドは半抗体を含む。ある実施態様において、構築したヘテロ多量体タンパク質を更なる精製にかけることができる。 任意の適切な方法を精製に使用することができ、任意の適切な方法として、プロテインAクロマトグラフィー、プロテインGクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)による精製、免疫親和性カラムによる分画、エタノール沈殿、シリカ又はDEAE等のイオン交換樹脂による逆相クロマトグラフィー、等電点電気泳動、SDS−PAGE、硫酸アンモニウム沈殿、及び例えばSephadex G−75を使用するゲルろ過、並びに他の類似の精製方法、並びにこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。 ある実施態様において、プロテインAクロマトグラフィー又はプロテインGクロマトグラフィーにより、半抗体等のヒンジ含有ポリペプチドを精製する。別の実施態様において、プロテインA精製前に第1のヒンジ含有ポリペプチドと第2のヒンジ含有ポリペプチドとを混合し、プロテインA上で共精製する。ある実施態様において、プロテインAで精製したポリペプチドの混合後にpHを調整する。他の実施態様において、プロテインAで精製したポリペプチドの混合前にpHを調整する。ある実施態様において、pH調整前に可溶化剤を添加する。 ある他の実施態様において、HIC又はイオン交換カラムによりヒンジ含有ポリペプチドを精製する。それは、当業者の好適な精製方法を選択する能力の範囲内である。例えば、プロテインAカラム、続いてイオン交換カラムによりヒンジ含有ポリペプチドを精製することができ、プロテインAカラム、続いてゲルろ過カラム及び/又はHICによりヒンジ含有ポリペプチドを精製することもできる。他の例において、プロテインAカラムによる精製前に、1種又は複数種のイオン交換カラムによりヒンジ含有ポリペプチドを精製することができる。ある実施態様において、ヒンジ含有ポリペプチドのいずれかの精製ステップ中に使用した洗浄緩衝液及び/又は溶出緩衝液は、アルギニン及び/又はヒスチジンを含有しない。 更に他の実施態様において、酸性pHでプロテインAマトリックス又は他のカラムマトリックスから溶出した半抗体を中間pHに調整する。このその後のpH調整(又は中間pHの保持とも称される)により、半抗体等のヒンジ含有ポリペプチドの沈殿が生じ、構築したヘテロ多量体タンパク質の収率の低下をもたらす可能性がある。そのため、ある実施態様において、pH調整前に、酸性pHでプロテインAカラム又はプロテインGカラムから溶出した半抗体を可溶化剤の存在下に準備する。pH調整ステップが必要ではない場合には、ある実施態様では精製したヒンジ含有ポリペプチドに可溶化剤を好ましくは添加して沈殿及び/又は凝集を防止する、又は低下させる。 中間pHの保持に加えて、本出願人は、加熱によりコンフォメーションシフト及び/又は半抗体等のヒンジ含有ポリペプチドの構築を増強することができることを予想外にも発見した。従って、ある実施態様において、本発明の方法のステップa〜dのうちの1つ、複数又は全てを15℃〜39℃、15℃〜42℃、18℃〜37℃、20℃〜42℃、20℃〜25℃、25℃〜42℃、25℃〜35℃、25℃〜39℃、30℃〜35℃、32℃〜35℃又は32℃〜37℃の温度で、好ましくは35℃〜37℃の温度で30分以上にわたって加熱する。ある実施態様において、インキュベーション時間は72時間以下であり、特に室温で72時間以下である。いくつかの実施態様において、インキュベーション時間は35℃で3時間である。ある他の実施態様において、温度は約30℃、35℃又は37℃である。 しかしながら、加熱により凝集及び/又は沈殿が増加する可能性もある。従って、ある特定の実施態様において、加熱前に、プロテインAカラム又はプロテインGカラムから溶出した半抗体に可溶化剤を添加する。 ある実施態様において、ヒンジ含有ポリペプチドは、半抗体、イムノアドヘシン又はこれらの機能的断片を含む。ある特定の実施態様において、ヒンジ含有ポリペプチドはFc成分を含む。 ある特定の実施態様において、第1のヒンジ含有ポリペプチド及び/又は第2のヒンジ含有ポリペプチドは半抗体を含む。ある実施態様において、半抗体はIgG半抗体である。ある特定の実施態様において、IgG半抗体は、IgG1アイソタイプ、IgG4アイソタイプ又はIgG2アイソタイプである。ある有利な実施態様において、特に哺乳動物細胞中で産生する場合に、免疫グロブリン分子のシグナルペプチドを保持して半抗体の分泌を促進する。ある実施態様において、本発明の方法は、約50mMの濃度でのアルギニン、及び代替としての又は追加としての約200mMの濃度でのヒスチジンの存在下においてpH5〜9で第1の半抗体及び第2の半抗体を準備することを含む。ある実施態様において、第1の半抗体及び/又は第2の半抗体はそれぞれ、異なる抗原又は同じ抗原上の異なるエピトープに特異的な抗原結合ドメインを含み、構築した完全抗体は二重特異性抗体である。ある他の実施態様において第1の半抗体及び第2の半抗体は同じアイソタイプであるが、他の実施態様において第1の半抗体及び第2の半抗体は異なるアイソタイプである。 半抗体は、VLドメイン、VHドメイン、ヒンジドメイン、CH2ドメイン、及び/又はCH3ドメインを含むことができる。半抗体は、テザーを更に含む単鎖ポリペプチドであることもでき、前記単鎖ポリペプチドは、以下のようにN末端からC末端の方向に向かって互いに位置決めされているドメインを含む:VL−テザー−VH−ヒンジ−CH2−CH3。ある他の実施態様において、半抗体はCLドメイン及びCH1ドメインを更に含み、更なる実施態様において、半抗体は、テザーを更に含む単鎖ポリペプチドであることができ、前記単鎖ポリペプチドは、以下のようにN末端からC末端の方向に向かって互いに位置決めされているドメインを含む:VL−CL−テザー−VH−CH1−ヒンジ−CH2−CH3。 テザーは、1個又は複数個のグリシン(G)残基及びセリン(S)残基を含むことができる。他の実施態様において、テザーはGGSの繰り返しを含む。例えば、テザーは15〜50個のアミノ酸長である。特定の実施態様において、テザーは20〜32個のアミノ酸長であり、例えば20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個又は32個のアミノ酸長である。ある実施態様において、テザーは切断可能である。他の実施態様において、テザーはタンパク質から切断可能であっても、なくてもよい。ある好ましい実施態様において、同じ酵素により、テザーのN末端及びC末端での、又はN末端及びC末端付近での2箇所の部位においてテザーは切断可能である。一実施態様において、テザーはフューリン等のプロテアーゼ用の切断部位を含む。更なる実施態様において、テザーは切断部位RXRXRR(配列番号1)でフューリンにより切断され、Xは任意のアミノ酸である。いくつかの実施態様において、第1のヒンジ含有ポリペプチドは半抗体であり、第2のヒンジ含有ポリペプチドは単鎖半抗体である。 別の実施態様において、本発明は、テザー及びFc成分複合体を含むタンパク質を提供し、テザーはタンパク質から切断可能であっても、なくてもよい。 更なる実施態様において、第1のヒンジ含有ポリペプチド及び第2のヒンジ含有ポリペプチドはヘテロ多量体化ドメインを含む。ヘテロ多量体化ドメインは、ノブイントゥホール変異、ロイシンジッパー、静電気的等であることができる。第1のヒンジ含有ポリペプチドはノブを含むことができ、第2のヒンジ含有ポリペプチドはホールを含むことができる。ある実施態様において、ヒンジ含有ポリペプチドは半抗体を含み、第1の半抗体はノブを含み、及び第2の半抗体はホールを含む。 いくつかの実施態様において、上記方法は、pHの調製前に20mM〜1Mの最終濃度までアルギニンを添加することを含む。いくつかの実施態様において、50mM〜600mMの最終濃度までアルギニンを添加する。いくつかの実施態様において、50mM〜100mMの最終濃度までアルギニンを添加する。 ある実施態様において、上記方法は、第1の半抗体と第2の半抗体との混合前に、各ヒンジ含有ポリペプチドプロテインAプールを5〜8のpHでインキュベートすることを含む。他の実施態様において、プロテインAプールを混合し、次いでpHを5〜8に調整する。 いくつかの実施態様において、本明細書に記載した方法は、混合半抗体又は混合ヒンジ含有ポリペプチドプールを15℃〜39℃の温度で、好ましくは18℃〜37℃の温度で、より好ましくは20℃〜25℃の温度で、より好ましくは32℃〜37℃の温度で30分以上にわたってインキュベートすることを含む。 ヒンジ含有ポリペプチドを例えば細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞中のバキュロウイルス、又は哺乳動物細胞により産生することができる。ある実施態様において、ヒンジ含有ポリペプチドを細菌細胞、特に大腸菌(E. coli)により産生する。ある他の特定の実施態様において、ヒンジ含有ポリペプチドを哺乳動物細胞により、特にCHO細胞により産生する。ある特定の実施態様において、ヒンジ含有ポリペプチドは半抗体を含む。 複数のヒンジ含有ポリペプチドは相互作用し、ヘテロ二量体化ドメインを介して二量体又は多量体を形成することができる。ある実施態様において、ヘテロ二量体化ドメインの界面での第1のヒンジ含有ポリペプチドと第2のヒンジ含有ポリペプチドとの間の相互作用は、突起イントゥ空洞相互作用(protuberance-into-cavity interaction)、疎水的相互作用及び/又は静電気的相互作用である。ある他の実施態様において、ヘテロ多量体化ドメインは、ノブ(例えば突起)、ホール(例えば空洞)、ロイシンジッパー、コイルドコイル、もしくは静電気的相互作用を生じさせる能力を有する極性アミノ酸残基、又はこれらの組合せを含む。ある実施態様において、第1のヒンジ含有ポリペプチドはノブを含み、第2のヒンジ含有ポリペプチドはホールを含む。ある他の実施態様において、相互作用は、疎水的相互作用と静電気的相互作用との両方を含む。ある例示的実施態様において、第1のヒンジ含有ポリペプチド及び第2のヒンジ含有ポリペプチドそれぞれのヘテロ多量体化ドメインは、ノブ又はホールのいずれかと、静電気的相互作用を生じさせる能力を有するアミノ酸残基とを含む。ヘテロ二量体化ドメインは複数の相互作用の様式、例えばノブ及びホール(K&H)並びに疎水的相互作用、K&H及びロイシンジッパー等を含むことができることを当業者は理解する。ある実施態様において、ヒンジ含有ポリペプチドはテザーを更に含む。ある特定の実施態様において、ヒンジ含有ポリペプチドは半抗体を含む。 ある特定の実施態様において、ヘテロ多量体タンパク質の構築を促進する条件下において、例えばpHが7〜9であり温度が15℃〜39℃である場合に、構築用混合物は、酸化電位が−50〜−600mV、−100〜−600mV、−200〜−600mV、−100〜−500mV、−150〜−300mVである、より好ましくは−300〜−500mVである、最も好ましくは−約400mVである還元条件下で、好ましくは弱還元条件下で存在する。ある実施態様において、ステップc又はステップdに還元剤を添加し、構築中において所望の還元条件を調える。ある他の実施態様において、還元剤は、ジチオトレイトール(DTT)、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)、チオグリコール酸、アスコルビン酸、チオール酢酸、グルタチオン(GSH)、ベータ−メルカプトエチルアミン、システイン/シスチン、グルタチオン(GSH)、システアミン/シスタミン、グリシルシステイン及びベータ−メルカプトエタノールからなる群から選択され、好ましくはGSHである。ある好ましい実施態様において、還元剤は、好ましくは弱還元剤は、グルタチオン(GSH)、ベータ−メルカプトエチルアミン、システイン/シスチン、グルタチオン(GSH)/グルタチオンジスルフィド(GSSG)、システアミン/シスタミン、グリシルシステイン及びベータ−メルカプトエタノールからなる群から選択され、好ましくはGSHである。ある実施態様において、還元剤はDTTではない。 ある他の実施態様において、ヒンジ含有ポリペプチドの全量に対して2〜600倍、2〜200倍、2〜300倍、2〜400倍、2〜500倍、2〜20倍、2〜8倍、20〜50倍、50〜600倍、50〜200倍又は100〜300倍モル過剰で、好ましくは50〜400倍モル過剰で、より好ましくは100〜300倍モル過剰で、最も好ましくは200倍モル過剰で還元剤を構築用混合物に添加する。ある実施態様において、構築用混合物のpHは7〜9であり、好ましくは8.5である。ある実施態様において、ヒンジ含有ポリペプチドは半抗体である。 いくつかの実施態様において、混合前に還元剤を第1のヒンジ含有ポリペプチド及び第2のヒンジ含有ポリペプチドに添加する。好ましくは、添加は混合前1時間未満であり、より好ましくは15分未満であり、最も好ましくは5分未満である。 ある実施態様において、上記方法は、中間pHの保持ステップ及び加熱する又は加熱しない構築ステップを含むがこれらの限定されないステップのうちの1つ又は複数において、安定化剤を反応に添加することを更に含む。例えば、安定化剤をヒンジ含有ポリペプチドに添加して凝集を予防する又は低減することができる。他の例において、安定化剤を構築用混合物に添加してヘテロ多量体タンパク質の構築中に凝集を予防する又は低減することができる。ある特定の実施態様において、ヒンジ含有ポリペプチドは半抗体を含む。 ある特定の実施態様において、安定化剤は、アルギニン、ヒスチジン及びポリビニルピロリドン(PVP)からなる群から選択される。ある実施態様において、アルギニン又はヒスチジンはアルギニン塩又はヒスチジン塩である。ある他の実施態様において、アルギニン又はヒスチジンはアルギニン誘導体又はヒスチジン誘導体である。ある他の実施態様において、アルギニン又はヒスチジンはアルギニンHCl又はヒスチジンHClである。ある実施態様において、アルギニンはアルギニンリン酸ではない。 ある他の実施態様において、上記方法は、構築用混合物をPVPの存在下でインキュベートするステップを更に含む。関連する実施態様において、PVPを40%(重量/体積)以下添加する。ある他の実施態様において、PVPは、2%〜6%(重量/体積)、10%〜20%、2%〜10%、1%、1.3%、1.7%、2%、2.3%、2.7%、3%、3.3%、3.7%又は4%の濃度で、好ましくは0.1%〜10%の濃度で、より好ましくは2%〜6%の濃度で、最も好ましくは4%の濃度で構築用混合物中に存在する。ある実施態様において、PVPは100KD以下であり、30KD以下であり、好ましくは10KDである。ある他の実施態様において、PVPは10%(重量/体積)未満で存在し、又は5%(重量/体積)未満で存在する。 いくつかの実施態様において、安定化剤は、20mM〜1M、20mM〜1M未満、20mM〜100mM、20mM〜200mM、20mM〜300mM、20mM〜400mM、20mM〜50mM、50mM〜100mM、50mM〜150mM、50mM〜200mM、50mM〜250mM又は50mM〜300mMの濃度で存在するアルギニンである。他の実施態様において、安定化剤は、20mM〜1M、20mM〜1M未満、20mM〜100mM、20mM〜200mM、20mM〜300mM、20mM〜400mM、20mM〜50mM、50mM〜100mM、50mM〜150mM、50mM〜200mM、50mM〜250mM又は50mM〜300mMの濃度で存在するヒスチジンである。ある好ましい実施態様において、アルギニン又はヒスチジンを50mM又は200mMの濃度で添加する。ある他の実施態様において、アルギニン及び/又はヒスチジンを20mM〜200mM、20mM〜100mM、50mM〜200mM又は50mM〜100mMの濃度で添加する。ある他の実施態様において、ヒンジ含有ポリペプチドは半抗体を含む。 更に別の態様において、本発明は、ヒンジ含有ポリペプチドを発現する宿主細胞を提供する。ある実施態様において、ヒンジ含有ポリペプチドは半抗体を含む。 更なる態様において、本発明は、(a)第1の抗原又は抗原の第1のエピトープに特異的な第1の半抗体を発現するように操作した第1の宿主細胞を培養するステップ、(b)第2の抗原又は同じ抗原の第2のエピトープに特異的な第2の半抗体を発現するように操作した第2の宿主細胞を培養するステップ、(c)第1の可溶化剤の存在下において4〜9、好ましくは5〜9のpHでステップaの培養物から第1の半抗体を得るステップ、(d)第2の可溶化剤の存在下において4〜9、好ましくは5〜9のpHでステップbの培養物から第2の半抗体を得るステップ、(e)還元条件下で第1の半抗体と第2の半抗体とを混合して構築用混合物を形成するステップ、並びに(f)構築用混合物をインキュベートし、第1の半抗体及び第2の半抗体を含む二重特異性抗体を形成するステップを含む、二重特異性抗体の産生方法を提供する。 いくつかの実施態様において、第1の宿主細胞及び第2の宿主細胞を別々の培養液中で培養し、混合前に第1の半抗体及び第2の半抗体を第1の宿主細胞及び第2の宿主細胞の培養物から別々に精製する。ある実施態様において、第1の宿主細胞及び第2の宿主細胞を別々の培養液中で培養し、培養物を組み合わせ、細胞をペレット状にし、任意選択でホモジナイズし、及び/又は溶解させ、並びに任意の好適な方法により第1の半抗体及び第2の半抗体を共精製する。ある実施態様において、プロテインA精製により第1の半抗体及び第2の半抗体を共精製する。更なる実施態様において、混合培養液中で第1の宿主細胞及び第2の宿主細胞を共培養し、第1の半抗体及び第2の半抗体を共精製する。 宿主細胞は、例えば細菌細胞、酵母細胞、植物細胞、昆虫細胞又は哺乳動物細胞であることができる。ある特定の実施態様において、ヒンジ含有ポリペプチド又は半抗体をCHO細胞等の哺乳動物細胞により産生する。ある他の実施態様において、宿主細胞は細菌細胞であり、特に大腸菌である。 ある追加の実施態様において、本発明の方法は、ステップ(d)で形成したヘテロ多量体タンパク質又は二重特異性抗体を回収するステップを更に含む。構築したヘテロ多量体タンパク質を、本出願全体にわたって記載した方法により、又は当分野で既知の好適な方法により更に精製することができる。 更なる態様において、本発明は、ヒンジ含有ポリペプチド及び可溶化剤を含む組成物を提供し、組成物のpHはpH4〜pH9であり、好ましくはpH5〜9である。ある実施態様において、組成物のpHはpH5以上であり、pH5.5以上であり、pH5.7以上であり、pH5より高く、pH5.5より高く、pH5.7より高く、5〜9であり、5〜8であり、5.5〜8であり、5.5〜9であり、5.7〜8であり、5.7〜9であり、6〜8であり、6〜9であり、7〜8であり、7.5〜8.5であり、又は7〜8.5である。ある実施態様において、可溶化剤は、アルギニン、ヒスチジン及びスクロースからなる群から選択され、好ましくはアルギニン及び/又はヒスチジンである。ある他の実施態様において、アルギニンはアルギニン塩であり、及び/又はヒスチジンはヒスチジン塩である。ある他の実施態様において、アルギニンはアルギニン誘導体であり、及び/又はヒスチジンはヒスチジン誘導体である。ある他の実施態様において、アルギニン又はヒスチジンはL−アルギニン又はL−ヒスチジンである。ある他の実施態様において、アルギニン又はヒスチジンはアルギニンHCl又はヒスチジンHClである。 ある特定の実施態様において、可溶化剤はアルギニン又はヒスチジンである。ある他の実施態様において、アルギニン又はヒスチジンは、20mM、50mM、200mM、400mM、20mM〜1M、20mM〜1M未満、20mM〜200mM、20mM〜400mM、20mM〜100mM、50mM〜100mM、50mM〜200mM、50mM〜300mM又は50mM〜400mMの濃度で存在する。ある特定の実施態様において、組成物はアルギニン及びヒスチジンの両方を含み、それぞれ20mM、50mM、200mM、400mM、20mM〜1M、20mM〜1M未満、20mM〜200mM、20mM〜400mM、20mM〜100mM、50mM〜100mM、50mM〜200mM、50mM〜300mM又は50mM〜400mMの濃度で存在する。ある他の実施態様において、組成物はグアニジンHCl又は尿素を含まない。ある実施態様において、組成物は、安定化剤を代替として又は追加として含む。 ある特定の実施態様において、ヒンジ含有ポリペプチドは半抗体を含む。ある他の特定の実施態様において、組成物は1種のみのヒンジ含有ポリペプチド又は半抗体を含む。ある実施態様において、組成物は、ノブ半抗体である1種のみの半抗体を含む。ある他の実施態様において、組成物は、ホール半抗体である1種のみの半抗体を含む。 ある特定の実施態様において、組成物は第2のヒンジ含有ポリペプチドを更に含み、第1のヒンジ含有ポリペプチドはノブを含み、及び第2のヒンジ含有ポリペプチドはホールを含む。ある実施態様において、ヒンジ含有ポリペプチドは半抗体を含む。ある特定の実施態様において、ヒンジ含有ポリペプチドは半抗体である。ある他の実施態様において、半抗体はIgG1アイソタイプ、IgG2アイソタイプ又はIgG4アイソタイプである。 他に文脈が明確な指示をしていない限り、本明細書に開示した全実施態様を組み合わせることができる。加えて、上述した任意の及び全ての実施態様は、他に文脈が明確な指示をしていない限り、本発明の任意の及び全ての態様に適用される。 本発明の他の目的、特徴及び利点は、以下の詳細な説明から明らかになるだろう。しかしながら、詳細な説明及び具体的な例は本発明の好ましい実施態様を示しているが、本発明の範囲及び趣旨内の様々な変更及び修正がこの詳細な説明から当業者に明らかになるであろうことから、単に例として与えられていることを理解しなくてはならない。完全に酸化した半抗体を説明する図である。「ノブ」もしくは「ホール」又は他のヘテロ二量体化ドメインは示されていない。この図に描写する半抗体はIgG1アイソタイプである。他の免疫グロブリンのアイソタイプを、対応する鎖間結合及び鎖内結合を有する半抗体として予想することができることを当業者は認識しよう。インタクトな抗体では、ヒンジのシステインは鎖間ジスルフィド結合を形成することになる。ヘテロ多量体化ドメインを有する完全長の二重特異性抗体を説明する図である。ヒンジ領域における重鎖間ジスルフィド結合は描写されていない。示したヘテロ多量体化ドメインはノブイントゥホール方式である。ヘテロ多量体化ドメイン(ノブイントゥホール)、フューリンで切断可能なテザー及び任意選択で追加のジスルフィド結合を含む二重特異性抗体(S354)を表現する図である。ヒンジ領域における重鎖間ジスルフィド結合も示す。フューリン切断部位を三角形で示す。フューリンで切断可能なテザーを、ノブを含む半抗体上に示すが、ホール半抗体上で、又はノブ半抗体及びホール半抗体の両方上で利用することもできる。半抗体のコンフォメーションシフトへのpHの影響を実証する複合的なサイズ排除クロマトグラムを示すグラフである。上昇したpHによりホール半抗体コンフォメーションシフトが誘発され、より大きな流体力学的半径がもたらされることを示す。そのようなコンフォメーションシフトは、構築中にヘテロ二量体化を増強した。実施例2を参照。半抗体のコンフォメーションシフトへのpHの影響を実証する複合的なサイズ排除クロマトグラムを示すグラフである。上昇したpHにより非共有結合的なノブ半抗体ホモ二量体の形成が促進されたことを示す。そのようなコンフォメーションシフトは、構築中に二重特異性の形成を支持した。実施例2を参照。アルギニン等の可溶化剤が、中間pHにより誘発されるノブ半抗体の沈殿を低減したことを示す結果を示す図である。アルギニン又はヒスチジン塩酸塩等の可溶化剤が、中間pHにより誘発されるノブ半抗体の沈殿を低減したことを示す結果を示す図である。凝集及び二重特異性抗体の構築へのグルタチオン等の還元剤の影響を実証する複合的なクロマトグラムを示すグラフである。グルタチオンを2〜200倍モル過剰で添加する。実施例3を参照。凝集及び二重特異性抗体の構築へのグルタチオン等の還元剤の影響を実証する複合的なクロマトグラムを示すグラフである。グルタチオンを2〜200倍モル過剰で添加する。実施例3を参照。IgG1二重特異性抗体の形成(構築)速度への温度の影響を説明するグラフである。逆相クロマトグラフィーで分析した、温度の上昇により、pHの保持を含む又は含まない200倍モル過剰のグルタチオンの存在下でのノブイントゥホール二重特異性IgG1抗体の構築が促進されたことを示すグラフである。図5Bはまた、構築前にコンフォメーションシフトを駆動するための半抗体プールのpHの保持の最適化により構築の速度及び効率が改善されたことも説明する。実施例4を参照。形成された二重特異性抗体の安定化及び凝集体形成の低減へのPVP等の安定化剤の影響を説明するグラフである。逆相クロマトグラフィーで分析した、高温でPVP及びヒスチジンがノブイントゥホール二重特異性IgG4抗体の構築を促進したことを示すグラフである。下の曲線:300倍グルタチオン:抗体比(pH8.5)、約400mMのアルギニンによる室温構築;上の曲線:35℃での200倍グルタチオン:抗体比(pH8.0)、4%のPVP、50mMのアルギニン、100mMのヒスチジンによる加熱構築。37℃及びpH8で6時間にわたる加熱構築中でのIgG4ノブイントゥホール二重特異性抗体の凝集をPVPが低減したことを実証するグラフである。実施例5を参照。37℃及びpH8で3時間にわたり、IgG4ホール半抗体の加熱により誘発される凝集をヒスチジンが低減したことを説明するグラフである。 これより、本発明は以下の定義及び例を使用するのみの参照によって詳細に説明される。本明細書で言及した全ての特許及び刊行物(そのような特許及び刊行物に開示された全ての配列を含む)を、出典明示により明示的に本明細書に援用する。 本明細書において他に定義しない限り、本明細書で使用した全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。Singleton他、Dictionary Of Microbiology And Molecular Biology、第2版、John Wiley and Sons、New York(1994)及びHale&Marham、The Harper Collins Dictionary OF Biology、Harper Perennial、NY(1991)は、本発明で使用する多くの用語についての一般的な辞書を使うスキルの一種を提供する。本明細書に記載したものと類似の又は等価の任意の方法及び材料を本発明の実行又は試験で使用することができ、好ましい方法及び材料が記載されている。数値範囲は範囲を規定する数字を包含する。他に指示がない限りそれぞれ、核酸は5’から3’の方向へ左から右に記載されており、アミノ酸配列はアミノからカルボキシルの方向へ左から右に記載されている。実行者は、定義及び専門用語に関してSambrook他、1989及びAusubel FM他、1993を特に対象とする。特定の方法論、プロトコル及び記載した試薬を変更することができることから、本発明はこれらに限定されないことを理解すべきである。 数値範囲は範囲を規定する数字を包含する。 他に指示がない限りそれぞれ、核酸は5’から3’の方向へ左から右に記載されており、アミノ酸配列はアミノからカルボキシルの方向へ左から右に記載されている。 本明細書で使用する場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、他に文脈が明確な指示をしていない限り複数の指示対象を含む。例えば、「宿主細胞」への言及は1個又は複数個の宿主細胞を意味する。 本明細書に記載した表題は、本明細書を全体として参照することにより有することができる発明の様々な態様又は実施態様を限定するものではない。従って、すぐ下に定義する用語は、本明細書を全体として参照することにより、より完全に定義される。 他に文脈が明確な指示をしていない限り、本明細書に開示した全ての実施態様を組み合わせることができる。加えて、他に文脈が明確な指示をしていない限り、以下に記載した任意の及び全ての実施態様は、本発明の任意の及び全ての態様に適用される。I.定義 本発明は、第1のヒンジ含有ポリペプチドと第2のヒンジ含有ポリペプチドを含むヘテロ多量体タンパク質の産生方法を提供する。用語「ヒンジ含有ポリペプチド」は本明細書で使用する場合、少なくとも1個のヒンジ領域を含有するポリペプチドを指す。ある実施態様において、ヒンジ領域は複数のドメイン、例えば結合ドメインとエフェクタードメインとを接続し、二量体化又は多量体化のためにポリペプチドにある程度の構造的柔軟性を付与する。例として、結合ドメインは抗体の抗原結合ドメイン又は受容体のリガンド結合ドメインであることができ、エフェクタードメインは抗体のFc成分であることができる。ある実施態様において、第1のヒンジ含有ポリペプチドは第2のヒンジ含有ポリペプチドとは異なり、得られる二量体又は多量体はヘテロ二量体又はヘテロ多量体である。ある特定の実施態様において、第1のヒンジ含有ポリペプチド及び第2のヒンジ含有ポリペプチドは、同じ標的タンパク質上の2種の異なるエピトープに結合する。ある他の実施態様において、第1のヒンジ含有ポリペプチドは第2のヒンジ含有ポリペプチドの標的結合特異性とは異なる標的結合特異性を有し、得られるヘテロ二量体又はヘテロ多量体は2種以上の異なる標的タンパク質に結合する。ある実施態様において、ヒンジ含有ポリペプチドは、天然に生じるヘテロ二量体化ドメイン又は操作したヘテロ二量体化ドメインのいずれかを含む。ある特定の実施態様において、ヒンジ含有ポリペプチドはヒンジ領域中に、別のヒンジ含有ポリペプチドと1個又は複数個のジスルフィド結合を形成する能力を有する1個又は複数個のシステイン残基を含む。 ヒンジ含有ポリペプチドとして、半抗体、イムノアドヘシン及びこれらの機能的断片が挙げられるがこれらに限定されない。用語「機能的断片」は本明細書で使用する場合、ヒンジ含有ポリペプチドの断片、即ち完全長未満の断片を指し、該断片は所望の機能を依然として保持しており、例えば標的もしくは抗原結合活性、Fcエフェクター活性及び/又は二量体化/多量体化能力を保持する。ある特定の実施態様において、第1のヒンジ含有ポリペプチド及び第2のヒンジ含有ポリペプチドはそれぞれ、異なる抗原結合特異性を有する半抗体であり、得られる二量体又は多量体は二重特異性抗体又は多重特異性抗体である。ある実施態様において、得られるヘテロ多量体タンパク質は半抗体及びイムノアドヘシンを含む。 用語「多重特異性抗体」は最も広い意味で使用され、具体的にはポリエプトープ特異性を有する抗体を包含する。そのような多重特異性抗体として、重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖可変ドメイン(VL)を含みVHVLユニットがポリエピトープ特異性を有する抗体、2個以上のVLドメイン及びVHドメインを有し各VHVLユニットが異なるエピトープに結合する抗体、2個以上の単一可変ドメインを有し各単一可変ドメインが異なるエピトープに結合する抗体、完全長抗体、抗体断片、例えばFab、Fv、dsFv、scFv、ダイアボディ、二重特異性ダイアボディ及びトリアボディ、共有結合的に又は非共有結合的に連結されている抗体断片が挙げられるがこれらに限定されない。「ポリエピトープ特異性」は、同じ又は異なる標的(単数又は複数)上の2種以上の異なるエピトープに特異的に結合する能力を指す。「単一特異性」は、1種のエピトープのみに結合する能力を指す。一実施態様によれば、多重特異性抗体は、5μM〜0.001pM、3μM〜0.001pM、1μM〜0.001pM、0.5μM〜0.001pM又は0.1μM〜0.001pMの親和性で各エピトープに結合するIgG抗体である。 天然に生じる塩基性4鎖抗体ユニットは、2本の同一軽(L)鎖及び2本の同一重(H)鎖から構成されるヘテロ四量体糖タンパク質である(IgM抗体は、J鎖と呼ばれる追加のポリペプチドと共に5個の塩基性ヘテロ四量体ユニットから成り、従って10個の抗原結合部位を含有するが、分泌されたIgA抗体は、J鎖と共に2〜5個の塩基性4鎖ユニットを含む多価構築物を形成するように重合することができる)。IgGの場合には、4鎖ユニットは一般的に約150,000ダルトンである。各L鎖は1個の共有ジスルフィド結合によりH鎖に連結されるが、2本のH鎖はH鎖のアイソタイプに応じて1個又は複数個のジスルフィド結合により互いに連結される。各H鎖及びL鎖はまた、規則正しく間隔が開いた鎖内ジスルフィド架橋も有する。各H鎖は、N末端において、可変ドメイン(VH)、続いてα鎖及びγ鎖のそれぞれに関する3個の定常ドメイン(CH)並びにμアイソタイプ及びεアイソタイプに関する4個のCHドメインを有する。各L鎖は、N末端に可変ドメイン(VL)、続いてC末端に定常ドメイン(CL)を有する。VLはVHとアライメントされ、CLは重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)とアライメントされる。特定のアミノ酸残基は軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインとの間に界面を形成すると考えられている。VH及びVLの対合は、単一の抗原結合部位を共に形成する。様々なクラスの抗体の構造及び特性に関して、例えばBasic and Clinical Immunology、第8版、Daniel P.Stites、Abba I.Terr及びTristram G.Parslow(編)、Appleton&Lange、Norwalk、CT、1994、71頁及び第6章を参照。 任意の脊椎動物種に由来するL鎖を、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ及びラムダと呼ばれる2種の明確に異なるタイプのうちの一方に帰属させることができる。免疫グロブリンの重鎖(CH)の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンを様々なクラス又はアイソタイプに帰属させることができる。5つのクラスの免疫グロブリン:それぞれα、δ、ε、γ及びμと命名された重鎖を有するIgA、IgD、IgE、IgG及びIgMが存在する。γクラス及びαクラスは、CH配列及び機能における比較的小さな相違に基づいてサブクラスに更に分類されており、例えば、ヒトは以下のサブクラス:IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2を発現する。 用語「可変」は、可変ドメインのあるセグメントの配列が抗体間で広範囲にわたって異なる事実を指す。Vドメインは抗原結合を媒介し、その特定の抗原に対する特定の抗体の特異性を定義する。しかしながら、可変性は、可変ドメインの110個のアミノ酸の範囲にわたって均等に分布していない。その代わりに、V領域は、それぞれ9〜12個のアミノ酸長である「超可変領域」と呼ばれる極度に可変なより短い領域によって分けられている15〜30個のアミノ酸のフレームワーク領域(FR)と呼ばれる相対的に不変なストレッチからなる。天然の重鎖及び軽鎖の可変ドメインはそれぞれ4個のFRを含み、3個の超可変領域によって接続されたベータシート配置を主に採用しており、ベータシート構造を接続し場合によってはベータシート構造の一部を形成するループを形成する。各鎖における複数の超可変領域は、FRによって近接してまとめて保持されており、他の鎖に由来する超可変領域と共に抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabat他、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、MD(1991)参照)。定常ドメインは、抗体の抗原への結合に直接関与はしないが、抗体依存性細胞傷害(ADCC)における抗体の関与等の様々なエフェクター機能を示す。 用語「超可変領域」、「HVR]又は「HV」は本明細書で使用する場合、配列中において超可変である及び/又は構造的に定義されたループを形成する抗体可変ドメインの領域を指す。一般的に、抗体は6個のHVR、即ちVH中に3個(H1、H2、H3)及びVL中に3個(L1、L2、L3)を含む。天然の抗体において、H3及びL3は6個のHVRのうちで最も多くの多様性を示し、H3は特に、抗体に微細特異性をもたらす独特な役割を果たすと考えられる。例えばXu他、Immunity13:37〜45(2000);Johnson及びWu、in Methods in Molecular Biology248:1〜25(Lo編、Human Press、Totowa、NJ、2003)参照。実際には、重鎖のみからなる天然に生じるラクダ科の抗体は、軽鎖無しで機能的であり安定している。例えばHamers−Casterman他、Nature363:446〜448(1993);Sheriff他、Nature Struct.Biol.3:733〜736(1996)参照。 HVRの多くの描写が使用されており、本明細書に包含される。Kabatの相補性決定領域(CDR)は配列の可変性に基づいており、最も一般的使用される(Kabat他、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、MD.(1991))。Chothiaは、代わりに構造的ループの位置に言及している(Chothia及びLesk J.Mol.Biol.196:901〜917(1987))。AbM HVRはKabatのHVRとChothiaの構造的ループとの間の妥協を表しており、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェアにより使用される。「接触」HVRは、利用可能な複合体結晶構造の分析に基づく。これらのHVRのそれぞれに由来する残基を以下に記載する。 ループ Kabat AbM Chothia 接触 L1 L24〜L34 L24〜L34 L26〜L32 L30〜L36 L2 L50〜L56 L50〜L56 L50〜L52 L46〜L55 L3 L89〜L97 L89〜L97 L91〜L96 L89〜L96 H1 H31〜H35B H26〜H35B H26〜H32 H30〜H35B (Kabat番号付け) H1 H31〜H35 H26〜H35 H26〜H32 H30〜H35 (Chothia番号付け) H2 H50〜H65 H50〜H58 H53〜H55 H47〜H58 H3 H95〜H102 H95〜H102 H96〜H101 H93〜H101 HVRは、以下の「拡大HVR」を含むことができる:VLにおける24〜36位又は24〜34位(L1)、46〜56位又は50〜56位(L2)及び89〜97位又は89〜96位(L3)、並びにVHにおける26〜35位(H1)、50〜65位又は49〜65位(H2)及び93〜102位、94〜102位又は95〜102位(H3)。可変ドメイン残基は、これらの各々を定義するためにKabat他、上記に従って番号付けられる。 「フレームワーク領域」(FR)は、CDR残基以外の可変ドメイン残基である。各可変ドメインは概して、FR1、FR2、FR3及びFR4として特定される4個のFRを有する。CDRがKabatに従って定義される場合、軽鎖のFR残基は残基1〜23位(LCFR1)、35〜49位(LCFR2)、57〜88位(LCFR3)及び98〜107位(LCFR4)にほぼ位置しており、重鎖のFR残基は重鎖残基における残基1〜30位(HCFR1)、36〜49位(HCFR2)、66〜94位(HCFR3)及び103〜113位(HCFR4)にほぼ位置する。CDRが超可変ループに由来するアミノ酸残基を含む場合、軽鎖のFR残基は軽鎖における残基1〜25位(LCFR1)、33〜49位(LCFR2)、53〜90位(LCFR3)及び97〜107位(LCFR4)にほぼ位置しており、重鎖のFR残基は重鎖残基における残基1〜25位(HCFR1)、33〜52位(HCFR2)、56〜95位(HCFR3)及び102〜113位(HCFR4)にほぼ位置する。場合によっては、CDRがKabatにより定義されたCDRと超可変ループのCDRとの両方に由来するアミノ酸を含むとき、それに応じてFR残基を調整することになる。例えば、CDRH1がアミノ酸H26〜H35位を含む場合、重鎖のFR1残基は1〜25位に存在し、FR2残基は36〜49位に存在する。 「ヒトコンセンサスフレームワーク」は、ヒト免疫グロブリンのVLフレームワーク配列又はVHフレームワーク配列の選択において最も一般的に生じるアミノ酸残基を表すフレームワークである。一般的に、ヒト免疫グロブリンのVL配列又はVH配列の選択は、可変ドメイン配列のサブグループから行なわれる。一般的に、配列のサブグループはKabot等でのサブグループである。一実施態様において、VLに関してサブグループはKabat等でのサブグループカッパIである。一実施態様において、VHに関してサブグループはKabat等でのサブグループIIIである。 「インタクトな」抗体な一例として、抗原結合部位と、CL並びに少なくとも重鎖定常ドメイン、CH1、CH2及びCH3とを含む抗体が挙げられる。定常ドメインは、天然配列の定常ドメイン(例えばヒトの天然配列の定常ドメイン)又はそのアミノ酸配列多様体であることができる。 「抗体断片」はインタクトな抗体の一部を含み、好ましくはインタクトな抗体の抗原結合領域又は可変領域を含む。抗体断片の例として、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)2断片及びFv断片;ダイアボディ(Db);タンデムダイアボディ(taDb);線状抗体(例えば米国特許第5,641,870号、実施例2;Zapata他、Protein Eng.8(10):1057〜1062(1995));ワンアームド抗体;単一可変ドメイン抗体;ミニボディ;単鎖抗体分子;及び抗体断片から形成された多重特異性抗体(例えばDb−Fc、taDb−Fc、taDb−CH3及び(scFV)4−Fcが挙げられるがこれらに限定されない)が挙げられる。 用語「半抗体」は本明細書で使用する場合、1本の免疫グロブリン軽鎖を伴う1本の免疫グロブリン重鎖を指す。例示的な半抗体を図1Aに描写する。半抗体はその断片を包含することができ、単一の可変ドメインからなる抗原結合ドメイン、例えばラクダ科を起源とする単一の可変ドメインからなる抗原結合ドメインを有することもできることを当業者は容易に認識するだろう。 本発明者らは、低いpHでプロテインAカラム又は他のマトリックスから溶出した半抗体のpHの最適化又は調整により、半抗体等のヒンジ含有ポリペプチドのコンフォメーションシフトが誘発されることを予想外にも発見した。本開示全体にわたってpHの保持又は中間pHの保持と称されることがある中間pHへのpH最適化により、半抗体の沈殿又は凝集が生じる可能性がある。そのため、ある実施態様において、ヘテロ多量体タンパク質の産生方法は、第1のヒンジ含有ポリペプチド又は第2のヒンジ含有ポリペプチドをそれぞれ第1の可溶化剤又は第2の可溶化剤の存在下においてpH5〜9で提供するステップを含む。 可溶化剤は本明細書で使用する場合、半抗体等のヒンジ含有ポリペプチドの沈殿を予防する又は低減する試薬として定義される。好適な可溶化剤として、アルギニン及びヒスチジン又はこれらの塩もしくは誘導体、並びにスクロースが挙げられるがこれらに限定されない。ある実施態様において、可溶化剤はアルギニン及び/又はヒスチジンである。ある実施態様において、可溶化剤は、中間pHの保持及び/又は加熱により誘発される沈殿を予防する、又は低減する。ある特定の実施態様において、可溶化剤を中間pHの保持前(即ち中間pHへの調整前)及び/又は加熱前に添加する。ある実施態様において、アルギニン又はヒスチジンはアルギニン塩又はヒスチジン塩である。ある他の実施態様において、アルギニン又はヒスチジンはアルギニン誘導体又はヒスチジン誘導体である。沈殿の低減により、所望の構築最終産物の収率の増加をもたらすことができる。 一般的なタンパク質の調製及び精製のためにタンパク質を可溶化すべく、イミダゾール及びグアニジンが使用されている。しかしながら、イミダゾール及びグアニジンがヒスチジン又はアルギニンと関連してではなく単独ではそれぞれ、二重特異性抗体等の本明細書に記載した、構築したヘテロ多量体タンパク質の全収率を改善するには不十分であったことが予想外にも発見された。ある実施態様において、イミダゾール及びグアノシンはタンパク質を変性させる可能性がある。 同様に、グアニジンHCl等の界面活性剤及び尿素は通常、一般的な凝集/沈殿を低減するために使用されるが、それらはタンパク質を完全に変性させる可能性がある。そのため、ある実施態様において、可溶化剤は、目的のタンパク質を変性させることなく沈殿を予防する、又は低減する。そのため、ある特定の実施態様において、可溶化剤はグアニジンHCl、グアニジン、イミダゾール又は尿素ではない。及びある他の実施態様において、本発明の組成物はグアニジンHCl又は尿素を含まない。ある他の実施態様において、可溶化剤はTween又はPEGではない。 加えて、例えば各半抗体の中間pHの保持中に、又はヒンジ含有ポリペプチドもしくは半抗体の混合時のもしくは混合直後の構築中に安定化剤を添加することができる。安定化剤を、本発明の方法の複数のステップのうちの1つもしくは複数の又は全ての反応に添加し、構築前、構築中及び/又は構築後にヒンジ含有ポリペプチド又は半抗体の凝集を予防する又は低減することができる。 凝集体を、高分子量種として、及び半抗体と関連して150kDaを超える分子量を有する高分子量種として検出することができる。例えばサイズ排除クロマトグラフィー又は他の好適な方法により凝集体を検出して定量化することができる。ある他の実施態様において、サイズ排除クロマトグラフィーで検出した凝集体を0.2μmの無菌フィルタに通すことができる。一方、沈殿したタンパク質は、非常に大きな複合体を形成する可能性がある変性タンパク質又は凝集タンパク質から構成されている可能性がある。いくつかの試薬、例えばイミダゾール、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、シクロデキストリン、CuSO4及びNAOAcが試験されており、安定化剤としての使用に効果的でない又は適していないと判断された。そのため、ある実施態様において、安定化剤は無機塩又は遷移金属を含まない。好適な安定化剤としてPVP、ヒスチジン及びアルギニンが挙げられるがこれらに限定されない。凝集の低減により、所望の構築最終産物の収率の増加をもたらすことができる。 PVPは、ピロリドン基を有する水溶性の非荷電ポリマーである。ある実施態様において、他の非荷電極性ポリマー、他の試薬又は化合物、特に本明細書に記載した好適な安定化剤と類似の構造及び特性を有する化合物が本発明での使用に好適な安定化剤であることができる。それは、本明細書に記載した方法等の当分野で既知の方法により凝集のレベルへの化合物の影響を分析することで好適な安定化剤を決定する当業者の能力の範囲内である。 試薬を可溶化剤及び安定化剤の両方として特徴付けることができる。例えば、アルギニンを、中間pHの保持中及び/又は加熱中における半抗体の沈殿を低減するための可溶化剤として、並びに構築ステップ中における凝集を低減するための安定化剤として使用することができる。同様に、ヒスチジンを、中間pHの保持中及び/又は加熱中における沈殿を低減するための可溶化剤として、並びに半抗体の凝集を低減するための安定化剤として使用することができる。任意の特定のメカニズムに限定することなく、ある実施態様において、可溶化剤及び安定化剤の両方は、凝集をもたらす可能性があるタンパク質の界面上の疎水性パッチの相互作用を防止することによって作用することができる。他の実施態様において、可溶化剤及び安定化剤の両方は、タンパク質の望ましくない相互作用を防止するために包接体を形成することによって機能することができる。 用語「単鎖半抗体」は本明細書で使用する場合、VLドメイン、任意選択でCLドメイン、テザー、VHドメイン、任意選択でCH1ドメイン、ヒンジドメイン、CH2ドメイン及びCH3ドメインを含む単鎖ポリペプチドを指し、前記ドメインは、以下:VL−テザー−VH−ヒンジ−CH2−CH3又はVL−CL−テザー−VH−CH1−ヒンジ−CH2−CH3のようにN末端からC末端の方向に向かって互いに位置決めされている。 語句「単一ドメイン抗体」(sdAb)又は「単一可変ドメイン(SVD)抗体」は、単一可変ドメイン(VH又はVL)が抗原結合を付与することができる抗体を一般的に指す。換言すると、単一可変ドメインは、標的抗原を認識するために別の可変ドメインと相互作用する必要がない。単一ドメイン抗体の例として、ラクダ科(ラマ及びラクダ)及び軟骨魚類(例えばテンジクザメ)に由来するもの、並びにヒト及びマウスの抗体からの組換え法により得られるものが挙げられる(Nature(1989)341:544〜546;Dev Comp Immunol(2006)30:43〜56;Trend Biochem Sci(2001)26:230〜235;Trends Biotechnol(2003):21:484〜490;WO2005/035572;WO03/035694;Febs Lett(1994)339:285〜290;WO00/29004;WO02/051870)。 語句「線状抗体」は、Zapata他、Protein Eng.8(10):1057〜1062(1995)に記載されている抗体を一般的に指す。簡潔に言うと、これらの抗体は、相補的軽鎖ポリペプチドと共に一対の抗原結合領域を形成する一対のタンデムFdセグメント(VH−CH1−VH−CH1)を含む。線状抗体は、二重特異性又は単一特異性であることができる。 本明細書で述べる用語「ノブイントゥホール」又は「KnH」技術は、2個のポリペプチドが相互作用する界面において一方のポリペプチドに突起(ノブ)を導入し他方のポリペプチドに空洞(ホール)を導入することにより、インビトロ又はインビボで2個のポリペプチドを合わせて対合を導く技術を指す。例えば、KnHは、抗体のFc:Fc結合界面、CL:CH1界面又はVH/VL界面に導入されている(例えばUS2007/0178552、WO96/027011、WO98/050431及びZhu他(1997)Protein Science6:781〜788)。このことは、多重特異性抗体の製造中に2本の異なる重鎖を合わせて対合を駆動するのに特に有用である。例えば、Fc領域にKnHを有する多重特異性抗体は、各Fc領域に連結された単一可変ドメインを更に含むことができ、又は類似したもしくは異なる軽鎖可変ドメインと対合する様々な重鎖可変ドメインを更に含むことができる。KnH技術を使用して、2個の異なる受容体細胞外ドメインを合わせて対合させることができ、又は異なる標的認識配列を含む任意の他のポリペプチド配列(例えばアフィボディ、ペプチボディ及び他のFc融合体等)を対合させることもできる。 抗体のパパイン消化により、「Fab」断片と呼ばれる2個の同一の抗原結合断片及び残りの「Fc」断片(名称は容易に結晶化する能力を反映する)が産生される。Fab断片は、H鎖の可変領域ドメイン(VH)に加えてL鎖全体と、1本の重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)とからなる。抗体のペプシン処理により、二価抗原結合活性を有する2個のジスルフィド連結Fab断片にほぼ相当し、依然として抗原に架橋することができる単一の大きなF(ab’)2断片が得られる。Fab’断片は、抗体のヒンジ領域に由来する1個又は複数個のシステインを含むCH1ドメインのカルボキシル末端において追加の残基をほとんど有しないことにより、Fab断片と異なる。Fab’−SHは本明細書では、定常ドメインのシステイン残基(単数又は複数)が遊離チオール基を有するFab’に関する名称である。F(ab’)2抗体断片は、間にヒンジのシステインを有するFab’断片の対としてもともと産生された。抗体断片の他の化学的カップリングも知られている。 Fc断片は、ジスルフィドにより結合した両H鎖のカルボキシ末端部分を含む。抗体のエフェクター機能はFc領域の配列により決定され、この領域はまた、特定のタイプの細胞で見られるFc受容体(FcR)により認識される部分でもある。 「Fv」は、密接に及び非共有結合的に会合した1個の重鎖可変領域ドメイン及び1個の軽鎖可変領域ドメインの二量体からなる。これらの2個のドメインの折り畳みにより、抗原結合のためのアミノ酸残基に寄与する及び抗体に抗原結合特異性を付与する6個の超可変ループ(それぞれH鎖及びL鎖に由来する3個のループ)が生じる。しかしながら、単一可変ドメイン(又は抗原に特異的な3個のCDRのみを含む半分のFv)でさえ抗原を認識して結合する能力を有するが、結合部位全体よりも低い親和性であることが多い。 「sFv」又は「scFv」とも略される「単鎖Fv」は、単一のポリペプチド鎖中に接続されたVH抗体ドメイン及びVL抗体ドメインを含む抗体断片である。好ましくは、sFvポリペプチドは、VHドメインとVLドメインとの間にポリペプチドリンカーを更に含み、ポリペプチドリンカーによりsFvが抗原結合のための所望の構造を形成することが可能になる。sFvの総説に関して、Pluckthun、The Pharmacology of Monoclonal Antibodies、第113巻、Rosenburg及びMoore編、Springer−Verlag、New York、269〜315頁(1994);Malmborg他、J.Immunol.Methods183:7〜13、1995参照。 用語「ダイアボディ」は、sFv断片(前段落を参照)をVHドメインとVLドメインとの間の短いリンカー(約5〜10個の残基)と共に構築することにより調製され、その結果、Vドメインの鎖内対合ではなく鎖間対合が得られ、二価断片、即ち2個の抗原結合部位を有する断片が生じる小抗体断片を指す。二重特異性ダイアボディは、2個の抗体のVHドメイン及びVLドメインが異なるポリペプチド鎖上に存在する2個の「交差」sFv断片のヘテロ二量体である。ダイアボディは、例えばEP404,097;WO93/11161;及びHollinger他、Proc.Natl.Acad.Sci.USA90:6444〜6448(1993)により詳細に記載されている。 用語「ワンアームド抗体」又は「複数のワンアームド抗体」は、(1)CH2ドメイン、CH3ドメイン又はCH2−CH3ドメインを含むポリペプチドにペプチド結合により連結された可変ドメイン、及び(2)第2のCH2ドメイン、CH3ドメイン又はCH2−CH3ドメインを含む抗体を指し、可変ドメインは第2のCH2ドメイン、CH3ドメイン又はCH2−CH3ドメインを含むポリペプチドにペプチド結合により連結されていない。一実施態様において、ワンアームド抗体は3種のポリペプチド、即ち(1)可変ドメイン(例えばVH)、CH1、CH2及びCH3を含む第1のポリペプチド、(2)可変ドメイン(例えばVL)及びCLドメインを含む第2のポリペプチド、並びに(3)CH2ドメイン及びCH3ドメインを含む第3のポリペプチドを含む。ある実施態様において、第3のポリペプチドは可変ドメインを含まない。別の実施態様において、ワンアームド抗体は、複数の定常重鎖を連結するジスルフィド結合を形成する2個のシステイン残基を含有する部分的ヒンジ領域を有する。一実施態様において、ワンアームド抗体の可変ドメインは抗原結合領域を形成する。別の実施態様において、ワンアームド抗体の可変ドメインは単一可変ドメインであり、各単一可変ドメインは抗原結合領域である。 本発明の抗体は、重鎖及び/又は軽鎖の一部が特定の種に由来する又は特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一である又は相同であるが、鎖(単数又は複数)の残余が別の種に由来する又は別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一である又は相同である「キメラ」抗体、並びにそのような抗体の断片(但し、それらは所望の生物学的活性を示す)であることができる(米国特許第4,816,567号;及びMorrison他、Proc.Natl.Acad.Sci.USA81:6851〜6855(1984))。本明細書における目的のキメラ抗体として、非ヒト霊長類(例えば旧世界ザル、類人猿等)及びヒトの定常領域配列に由来する可変ドメイン抗原結合配列を含む霊長類化抗体が挙げられる。 非ヒト(例えば齧歯動物)抗体の「ヒト化」形は、非ヒト抗体に由来する最小配列を含有するキメラ抗体である。ほとんどの場合、ヒト化抗体は、レシピエントの超可変領域に由来する残基が、所望の抗体特異性、親和性及び能力を有する、マウス、ラット、ウサギ又は非ヒト霊長類等の非ヒト種(ドナー抗体)の超可変領域に由来する残基に置き換えられているヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。いくつかの例において、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基に置き換えられる。更に、ヒト化抗体は、レシピエント抗体中又はドナー抗体中には見られない残基を含むことができる。これらの修飾は、抗体の性能を更に改良するために行なわれる。一般的に、ヒト化抗体は、超可変ループの全て又は実質的に全てが非ヒト免疫グロブリンの超可変ループに対応するとともにFRの全て又は実質的に全てがヒト免疫グロブリン配列のFRである少なくとも1個の、典型的には2個の可変ドメインの実質的に全てを含む。ヒト化抗体は、免疫グロブリンの定常領域(Fc)の少なくとも一部、典型的にはヒト免疫グロブリンのものを任意選択で含む。更なる詳細に関して、Jones他、Nature321:522〜525(1986);Riechmann他、Nature332:323〜329(1988);及びPresta、Curr.Op.Struct.Biol.2:593〜596(1992)参照。 「複合体」又は「複合体化」は本明細書で使用する場合、ペプチド結合ではない結合及び/又は力(例えばファンデルワールス力、疎水性力、親水性力)により互いに相互作用する2個以上の分子の会合体を指す。一実施態様において、複合体はヘテロ多量体である。用語「タンパク質複合体」又は「ポリペプチド複合体」は本明細書で使用する場合、タンパク質複合体中のタンパク質にコンジュゲートした非タンパク質エンティティ(例えば毒素又は検出剤等の化学分子が挙げられるがこれらに限定されない)を有する複合体を含むことを理解しなければならない。 用語「ヘテロ多量体(heteromultimer)」又は「ヘテロ多量体(heteromultimeric)」は本明細書で使用する場合、非ペプチド性、共有結合(例えばジスルフィド結合)及び/又は非共有結合性相互作用(例えば水素結合、イオン結合、ファンデルワールス力及び疎水性相互作用)により互いに相互作用する2個以上のポリペプチドを表し、少なくとも2個の分子は互いに異なる配列を有する。 本明細書で使用する場合、「ヘテロ多量体化ドメイン」は、生体分子に対する、ヘテロ多量体形成を促進してホモ多量体形成を阻害するための改変又は追加を指す。ホモ二量体よりもヘテロ二量体の形成への強い優先度を有する任意のヘテロ二量体化ドメインは本発明の範囲内である。実例として、例えば米国特許出願第20030078385号(Arathoon他、Genentech;ノブイントゥホールを説明する);WO2007147901(Kjaergaard他、Novo Nordisk:イオン性相互作用を説明する);WO2009089004(Kannan他、Amgen:静電気的ステアリング効果を説明する);WO2010/034605(Christensen他、Genentech;コイルドコイルを説明する)が挙げられるがこれらに限定されない。また、例えば、ロイシンジッパーを説明するPack、P.&Plueckthun、A.、Biochemistry31、1579〜1584(1992)又はヘリックス−ターン−ヘリックスモチーフを説明するPack他、Bio/Technology11、1271〜1277(1993)も参照。語句「ヘテロ多量体化ドメイン」及び「ヘテロ二量体化ドメイン」は本明細書において同じ意味で使用される。ある実施態様において、ヒンジ含有ポリペプチドは、1個又は複数個のヘテロ二量体化ドメインを含む。 本明細書で使用する場合、用語「イムノアドヘシン」は、異種タンパク質(「アドヘシン」)の結合特異性と免疫グロブリン定常ドメインのエフェクター機能とを組み合わせる分子を指す。構造的には、イムノアドヘシンは、所望の結合特異性を有するアミノ酸配列と免疫グロブリン定常ドメイン配列(例えばIgGのCH2配列及び/又はCH3配列)との融合体を含み、アミノ酸配列は抗体の抗原認識結合部位以外である(即ち、抗体の定常領域と比べて「異種」である)。例示的アドヘシン配列として、目的のタンパク質に結合する受容体又はリガンドの一部を含む隣接アミノ酸配列が挙げられる。アドヘシン配列はまた、目的のタンパク質に結合するが受容体配列又はリガンド配列ではない配列(例えばペプチボディにおけるアドヘシン配列)であることもできる。そのようなポリペプチド配列を、ファージディスプレイ技術及びハイスループット選別法等の様々な方法により選択する又は同定することができる。イムノアドヘシンにおける免疫グロブリン定常ドメイン配列を、任意の免疫グロブリン、例えばIgG−1サブタイプ、IgG−2サブタイプ、IgG−3サブタイプもしくはIgG−4サブタイプ、IgA(IgA−1及びIgA−2等)、IgE、IgD又はIgMから得ることができる。 目的の抗原に「結合する」本発明の抗体は、十分な親和性で抗原に結合し、その結果タンパク質又は抗原を発現する細胞もしくは組織を標的とする診断及び/又は治療薬として有用であり、他のタンパク質と有意に交差反応しない抗体である。そのような実施態様において、「非標的」タンパク質への抗体の結合の程度は、蛍光活性化細胞選別(FACS)分析又は放射性免疫沈降法(RIA)もしくはELISAで測定した、その特定の標的タンパク質への抗体の結合の約10%未満となる。抗体の標的分子への結合に関して、特定のポリペプチド又は特定のポリペプチド標的上のエピトープ「への特異的結合」又は「に特異的に結合する」又は「に特異的である」という用語は、非特異的な相互作用とは適度に異なる結合を意味する(例えば非特異的な相互作用はウシ血清アルブミン又はカゼインへの結合であることができる)。例えば分子の結合を対照分子の結合と比較して測定することにより、特異的結合を測定することができる。例えば、標的、例えば過剰な非標識標的に類似する対照分子との競合により、特異的結合を測定することができる。この場合には、プローブへの標識標的の結合が過剰な非標識標的により競合的に阻害される場合に特異的結合が示される。本明細書で使用する場合、特定のポリペプチド又は特定のポリペプチド標的上のエピトープ「への特異的結合」又は「に特異的に結合する」又は「に特異的である」という用語を、例えば標的に対して約200nM以上、あるいは約150nM以上、あるいは約100nM以上、あるいは約60nM以上、あるいは約50nM以上、あるいは約40nM以上、あるいは約30nM以上、あるいは約20nM以上、あるいは約10nM以上、あるいは約8nM以上、あるいは約6nM以上、あるいは約4nM以上、あるいは約2nM以上、あるいは約1nM以上又はより高いKdを有する分子で示すことができる。一実施態様において、用語「特異的結合」は、分子がいかなる他のポリペプチド又はポリペプチドエピトープに実質的に結合することなく特定のポリペプチド又は特定のポリペプチド上のエピトープに結合する結合を指す。 「結合親和性」は一般的に、分子(例えば抗体)の単一結合部位とその結合パートナー(例えば抗原)との間の非共有結合的な相互作用の総計の強度を指す。他に指示がない限り本明細書で使用する場合、「結合親和性」は、結合対(例えば抗体及び抗原)のメンバー間の1:1の相互作用を反映する固有の結合親和性を指す。パートナーYに対する分子Xの親和性を解離定数(Kd)で一般的に表すことができる。例えば、Kdは約200nM、150nM、100nM、60nM、50nM、40nM、30nM、20nM、10nM、8nM、6nM、4nM、2nM、1nM又はより強力であることができる。本明細書に記載したもの等の当分野で既知の一般的な方法により親和性を測定することができる。低親和性抗体は一般的に、抗原に緩やかに結合して速やかに解離する傾向があるが、高親和性抗体は一般的に、抗原により早く結合してより長く結合し続ける傾向がある。結合親和性の様々な測定方法が当分野で知られており、それらのいずれかを本発明の目的のために使用することができる。 一実施態様において、本発明に係る「Kd」又は「Kd値」を、約10反応単位(RU)で固定した抗原CM5チップによる25℃でのBIAcore(商標)−2000又はBIAcore(商標)−3000(BIAcore,Inc.、Piscataway、NJ)を使用する表面プラズモン共鳴アッセイを使用することにより測定する。簡潔に言うと、提供業者の説明書に従って、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5、BIAcore Inc.)をN−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(EDC)及びN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)で活性化する。5μl/分の流速で注入して約10反応単位(RU)の結合タンパク質を得る前に、抗原を10mMの酢酸ナトリウム(pH4.8)で5μg/ml(約0.2μM)に希釈する。抗原の注入後、1Mのエタノールアミンを注入して未反応群を遮断する。動力学的測定のために、Fabの2倍段階希釈液(例えば0.78nM〜500nM)を、約25μl/分の流速にて25℃で0.05%Tween20を含むPBS(PBST)中に注入する。会合及び解離センサーグラムを同時に適合させることによる単純1対1Langmuir結合モデル(simple one-to-one Langmuir binding model)(BIAcore Evaluation Softwareバージョン3.2)を使用して、会合速度(kon)及び解離速度(koff)を算出する。平衡解離定数(Kd)をkoff/kon比として算出する。例えばChen他、J.Mol.Biol.293:865〜881(1999)参照。オン速度が上記表面プラズモン共鳴アッセイにより106M−1秒−1を超える場合、次に、分光計、例えば流動停止を備えた分光光度計(stop-flow equipped spectrophometer)(Aviv Instruments)又は撹拌キュベットを備えた8000シリーズSLM−Aminco分光光度計(ThermoSpectronic)で測定した抗原の濃度の上昇下でのPBS(pH7.2)中における20nMの抗抗原抗体(Fab型)の25℃での蛍光発光強度(励起=295nm、発光=340nm、16nm帯域通過)の増減を測定する蛍光消光技術を使用してオン速度を測定することができる。 本発明に係る「オン速度」又は「会合の速度」又は「会合速度」又は「kon」を、約10反応単位(RU)で固定した抗原CM5チップによる25℃でのBIAcore(商標)−2000又はBIAcore(商標)−3000(BIAcore,Inc.、Piscataway、NJ)を使用する上記と同じ表面プラズモン共鳴技術により測定することもできる。簡潔に言うと、提供業者の説明書に従って、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5、BIAcore Inc.)をN−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(EDC)及びN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)で活性化する。5μl/分の流速で注入して約10反応単位(RU)の結合タンパク質を得る前に、抗原を10mMの酢酸ナトリウム(pH4.8)で5μg/ml(約0.2μM)に希釈する。抗原の注入後、1Mのエタノールアミンを注入して未反応群を遮断する。動力学的測定のために、Fabの2倍段階希釈液(例えば0.78nM〜500nM)を、約25μl/分の流速にて25℃で0.05%Tween20を含むPBS(PBST)中に注入する。会合及び解離センサーグラムを同時に適合させることによる単純1対1Langmuir結合モデル(BIAcore Evaluation Softwareバージョン3.2)を使用して、会合速度(kon)及び解離速度(koff)を算出する。平衡解離定数(Kd)をkoff/kon比として算出する。例えばChen他、J.Mol.Biol.293:865〜881(1999)参照。しかしながら、オン速度が上記表面プラズモン共鳴アッセイにより106M−1秒−1を超える場合、次に、分光計、例えば流動停止を備えた分光光度計(Aviv Instruments)又は撹拌キュベットを備えた8000シリーズSLM−Aminco分光光度計(ThermoSpectronic)で測定した抗原の濃度の上昇下でのPBS(pH7.2)中における20nMの抗抗原抗体(Fab型)の25℃での蛍光発光強度(励起=295nm、発光=340nm、16nm帯域通過)の増減を測定する蛍光消光技術を使用してオン速度を好ましくは測定する。 本発明のポリペプチド、例えば抗体、断片又はこれらの誘導体に関する「生物学的に活性な」及び「生物学的活性」及び「生物学的特徴」は、他に規定さている場合を除き、生物学的分子に結合する能力を有することを意味する。 「ペプチボディ(単数)」又は「ペプチボディ(複数)」は、ランダムに生成されたペプチドとFcドメインとの融合体を指す。2003年12月9日にFeige他に付与された米国特許第6,660,843号参照(出典明示によりその全体が援用される)。ペプチボディは、N末端、C末端、アミノ酸側鎖又はこれらの部位のうちの複数に連結された1個又は複数個のペプチドを含む。ペプチボディ技術により、1個又は複数個のリガンド又は受容体を標的とするペプチド、腫瘍ホーミングペプチド、膜輸送ペプチド等を包含する治療薬の設計が可能になる。ペプチボディ技術は、線状の及びジスルフィドで拘束されたペプチド、「タンデムペプチド多量体」(即ち、Fcドメインの単鎖上の複数個のペプチド)等の多くのそのような分子の設計において有用であることが証明されている。例えば、米国特許第6,660,843号;2003年10月16日に公開された米国特許出願第2003/0195156号(2002年11月21日に公開されたWO02/092620に対応する);2003年9月18日に公開された米国特許出願第2003/0176352号(2003年4月17日に公開されたWO03/031589に対応する);1999年10月22日出願された米国特許出願第09/422,838号(2000年5月4日に公開されたWO00/24770に対応する);2003年12月11日に公開された米国特許出願第2003/0229023号;2003年7月17日に公開されたWO03/057134;2003年12月25日に公開された米国特許出願第2003/0236193号(2004年4月8日に出願されたPCT/US04/010989に対応する);2003年9月18日に出願された米国特許出願第10/666,480号(2004年4月1日に公開されたWO04/026329に対応する)を参照し、これらの各々は出典明示によりその全体が本明細書に援用される。 「アフィボディ(複数)」又は「アフィボディ(単数)」は、ペプチド結合によりFc領域に連結されたタンパク質の用途を指し、タンパク質は、標的分子用の結合表面を設けるために足場として使用される。タンパク質は、天然に生じるタンパク質、例えばブドウ球菌プロテインAもしくはIgG結合Bドメイン、又はこれらに由来するZタンパク質(Nilsson他(1987)、Prot Eng1、107〜133及び米国特許第5,143,844号参照)、又はこれらの断片もしくは誘導体であることが多い。例えば、標的分子(単数又は複数)に対する結合親和性が改変されているZタンパク質多様体からアフィボディを作成することができ、Zタンパク質のセグメントは、標的分子に結合することができる多様体のライブラリを作成するランダム変異誘発によって変異されている。アフィボディの例として、米国特許第6,534,628号、Nord K他、Prot Eng8:601〜608(1995)及びNord K他、Nat Biotech15:772〜777(1997).Biotechnol Appl Biochem.2008 Jun;50(Pt2):97〜112が挙げられる。 「単離された」ヘテロ多量体また複合体は、その天然の細胞培養環境の成分から分離されている及び/又は回収されているヘテロ多量体又は複合体を意味する。その天然の環境の混入成分は、ヘテロ多量体に関する診断又は治療の用途に支障をきたすであろう物質であり、混入成分として酵素、ホルモン及び他のタンパク質性もしくは非タンパク質性の溶質を挙げることができる。好ましい実施態様において、(1)Lowry法で測定した場合にタンパク質の95重量%を超えるように、最も好ましくは99重量%を超えるように、(2)スピニングカップ配列決定装置の使用によりN末端もしくは内部のアミノ酸配列の少なくとも15残基を得るのに十分な程度に、又は(3)クーマシーブルーもしくは好ましくは銀染色を使用する還元条件下もしくは非還元条件下でのSDS−PAGEにより均一になるまで、ヘテロ多量体を精製する。 本発明のヘテロ多量体は一般的に、実質的に均一に精製される。語句「実質的に均一な」、「実質的に均一な形態」及び「実質的に均一」は、産物が望ましくないポリペプチドの組合せ(例えばホモ多量体)を起源とする副産物を実質的に含まないことを示すために使用される。 純度に関して表現される実質的に均一は、副産物の量が10重量%、9重量%、8重量%、7重量%、6重量%、4重量%、3重量%、2重量%もしくは1重量%を超えない又は1重量%未満であることを意味する。一実施態様において、副産物は5%未満である。 「生物学的分子」は、核酸、タンパク質、炭水化物、脂質及びこれらの組合せを指す。一実施態様において、生物学的分子は天然に存在する。 「単離された」は、本明細書に開示した様々な抗体を記載するために使用する場合、同定されている、並びにそれが発現した細胞又は細胞培養液から分離されている及び/又は回収されている抗体を意味する。その天然の環境の混入成分は、ポリペプチドに関する診断又は治療の用途に概して支障をきたすであろう物質であり、混入成分として酵素、ホルモン及び他のタンパク質性もしくは非タンパク質性の溶質を挙げることができる。好ましい実施態様において、(1)スピニングカップ配列決定装置の使用によりN末端もしくは内部のアミノ酸配列の少なくとも15残基を得るのに十分な程度まで、又は(2)クーマシーブルーもしくは好ましくは銀染色を使用する非還元条件下又は還元条件下でのSDS−PAGEにより均一になるまで、抗体を精製する。単離された抗体として組換え細胞内でのインサイチュの抗体が挙げられるが、これはポリペプチドの天然の環境の少なくとも1種の成分が存在しないからである。しかしながら通常は、単離されたポリペプチドは、少なくとも1つの精製ステップにより調製される。 「連結された」又は「連結する」は本明細書で使用する場合、第1のアミノ酸配列と第2のアミノ酸配列との間の直接的なペプチド結合連結、又は第1のアミノ酸配列と第2のアミノ酸配列とに結合する及びそれらの間にあるペプチドである第3のアミノ酸配列を含む連結のいずれかを意味する。例えば、一方のアミノ酸配列のC末端に結合し、他方のアミノ酸配列のN末端に結合するリンカーペプチド。 「リンカー」は本明細書で使用する場合、2個以上のアミノ酸長のアミノ酸配列を意味する。リンカーは、中性の極性アミノ酸又は非極性アミノ酸からなることができる。リンカーは、例えば2〜100個のアミノ酸長、例えば2〜50個のアミノ酸長、例えば3個、5個、10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、45個又は50個のアミノ酸長であることができる。リンカーは、例えば自己切断又は酵素的なもしくは化学的な切断により「切断可能」であることができる。アミノ酸配列中の切断部位並びにそのような部位で切断する酵素及び化学物質は当分野で公知であり、本明細書にも記載されている。 「テザー」は本明細書で使用する場合、2個の他のアミノ酸配列を連結するアミノ酸リンカーを意味する。本明細書に記載したテザーは、免疫グロブリン重鎖可変ドメインのN末端と免疫グロブリン軽鎖定常ドメインのC末端とを連結することができる。特定の実施態様において、テザーは約15〜50個のアミノ酸長であり、例えば20〜26個のアミノ酸長(例えば20個、21個、22個、23個、24個、25個又は26個のアミノ酸長)である。テザーは、例えば当分野で標準的な方法及び試薬を使用する自己切断又は酵素的なもしくは化学的な切断により「切断可能」であることができる。ある特定の実施態様において、テザーはGly−Gly−Serの繰り返しを含む。 「リンカー」又は「テザー」の酵素的切断として、例えばLys−C、Asp−N、Arg−C、V8、Glu−C、キモトリプシン、トリプシン、ペプシン、パパイン、トロンビン、ゲネナーゼ、第Xa因子、TEV(タバコエッチウイルスシステインプロテアーゼ)、エンテロキナーゼ、HRV C3(ヒトライノウイルスC3プロテアーゼ)、キニノゲナーゼ及びスブチリシン様プロタンパク質変換酵素(例えばフューリン(PC1)、PC2もしくはPC3)又はN−アルギニン二塩基性変換酵素等のエンドペプチダーゼの使用を挙げることができる。化学的切断として、例えばヒドロキシルアミン、N−クロロスクシンイミド、N−ブロモスクシンイミド又は臭化シアンの使用を挙げることができる。 「Lys−Cエンドペプチダーゼ切断部位」は本明細書で使用する場合、Lys−CエンドペプチダーゼによってC末端側で切断することができるアミノ酸配列におけるリシン残基である。Lys−Cエンドペプチダーゼはリシン残基のC末端側で切断する。ある実施態様において、半抗体は、Lys−Cエンドペプチダーゼによるテザーの切断時に半抗体又は構築した二重特異性抗体の構造を保持するために内因性のLys−Cエンドペプチダーゼ切断部位を除去すべく、ヒンジ領域にK222A変異を更に含む。 「ヒンジ領域」は一般的に、ヒトIgG1のGlu216からPro230までの伸長と定義される(Burton,Molec.Immunol.22:161〜206(1985))。重鎖間S−S結合を形成する最初の及び最後のシステイン残基を同じ位置に配置することにより、他のIgGアイソタイプのヒンジ領域をIgG1配列とアライメントさせることができる。 Fc領域の「下流ヒンジ領域」は通常、ヒンジ領域に近いC末端の残基の伸長、即ちFc領域の残基233〜239の伸長として定義される。本発明以前には、FcγR結合は一般的に、IgG Fc領域の下流ヒンジ領域中のアミノ酸残基に起因するものであった。 ヒトIgG Fc領域の「CH2ドメイン」は通常、IgGの約231残基から約340残基に伸長する。CH2ドメインは、別のドメインと密接に対形成しない点でユニークである。むしろ、インタクトな天然IgG分子の2個のCH2ドメインの間に2本のN連結型分岐炭水化物鎖が挿入されている。炭水化物がドメイン−ドメイン対合の代替を提供することができ、CH2ドメインの安定化を促進することができることが推測されている。Burton,Molec.Immunol.22:161〜206(1985)。 「CH3ドメイン」は、Fc領域中のC末端からCH2ドメインへの残基の伸長(即ち、IgGの約341アミノ酸残基から約447アミノ酸残基)を含む。 用語「Fc領域」は本明細書において免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用され、Fc領域として天然配列のFc領域及び多様体のFc領域が挙げられる。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は変化するかもしれないが、ヒトIgG重鎖のFc領域は通常、Fc領域のCys226の位置でのアミノ酸残基から又はPro230からカルボキシル末端への伸長と定義される。例えば、抗体の産生もしくは精製中に、又は抗体の重鎖をコードする核酸を組換え操作することにより、Fc領域のC末端リシン(EU番号付けシステムによる残基447)を除去することができる。従って、インタクトな抗体の組成物は、除去される全てのK447残基を有する抗体集団、除去されるK447残基がない抗体集団、及びK447残基を有する又は有さない抗体の混合物を有する抗体集団を含むことができる。 「機能的Fc領域」は天然配列Fc領域の「エフェクター機能」を持つ。例示的な「エフェクター機能」として、C1q結合;CDC;Fc受容体結合;ADCC;食作用;細胞表面受容体(例えばB細胞受容体;BCR)の下方制御等が挙げられる。そのようなエフェクター機能は一般的に、結合ドメイン(例えば抗体可変ドメイン)と組み合わせるためにFc領域を必要としており、例えば本明細書における定義に開示した様々なアッセイを使用してエフェクター機能を評価することができる。 「天然配列Fc領域」は、天然に見られるFc領域のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む。天然配列ヒトFc領域として、天然配列ヒトIgG1 Fc領域(非Aアロタイプ及びAアロタイプ);天然配列ヒトIgG2 Fc領域;天然配列ヒトIgG3 Fc領域;及び天然配列ヒトIgG4 Fc領域並びにこれらの天然に生じる多様体が挙げられる。 「多様体Fc領域」は、少なくとも1個のアミノ酸修飾によって、好ましくは1個又は複数個のアミノ酸置換(単数又は複数)によって、天然配列Fc領域のアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を含む。好ましくは、多様体Fc領域は、天然配列Fc領域又は親ポリペプチドのFc領域と比べて少なくとも1個のアミノ酸置換、例えば天然配列Fc領域中の又は親ポリペプチドのFc領域中の約1個〜約10個のアミノ酸置換、好ましくは約1個〜約5個のアミノ酸置換を有する。本明細書における多様体Fc領域は、天然配列Fc領域及び/又は親ポリペプチドのFc領域と約80%以上の相同性を好ましくは有し、最も好ましくはそれらとの約90%以上の相同性を有し、より好ましくはそれらと約95%以上の相同性を有する。 「Fc複合体」は本明細書で使用する場合、相互作用するFc領域の2個のCH2ドメイン及び/又は相互作用するFc領域の2個のCH3ドメインを指し、CH2ドメイン及び/又はCH3ドメインは、ペプチド結合ではない結合及び/又は力(例えばファンデルワールス力、疎水性力、親水性力)によって相互作用する。 「Fc成分」は本明細書で使用する場合、Fc領域のヒンジ領域、CH2ドメイン又はCH3ドメインを指す。 「Fc CH成分」又は「FcCH」は本明細書で使用する場合、Fc領域のCH2ドメイン、CH3ドメイン、又はCH2ドメイン及びCH3ドメインを含むポリペプチドを指す。 抗体の「エフェクター機能」は、抗体のFc領域(天然配列Fc領域又はアミノ酸配列多様体Fc領域)に起因する抗体の生物学的活性を指し、抗体のアイソタイプにより変化する。抗体のエフェクター機能の例として、C1q結合及び補体依存性細胞障害;Fc受容体結合;抗体依存性細胞介在細胞障害(ADCC);食作用;細胞表面受容体(例えばB細胞受容体)の下方制御;並びにB細胞活性化が挙げられる。 本発明において、「還元条件」は、反応における(例えば構築用混合物中の)酸化還元電位に基づいて、反応の酸化還元電位がマイナス(−)であることを意味すると定義される。還元条件下での反応の酸化還元電位は、好ましくは−約50〜−600mV、−100〜−600mV、−200〜−600mV、−100〜−500mV、−150〜−300mVであり、より好ましくは−約300〜−500mVであり、最も好ましくは−約400mVである。 所望の還元条件を調えるために任意の好適な方法を使用することができる。例えば、還元剤/還元薬を反応(本発明の構築用混合物等)に添加することにより、所望の還元条件を調えることができる。好適な還元剤として、ジチオトレイトール(DTT)、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)、チオグリコール酸、アスコルビン酸、チオール酢酸、グルタチオン(GSH)、ベータ−メルカプトエチルアミン、システイン/シスチン、GSH/グルタチオンジスルフィド(GSSG)、システアミン/シスタミン、グリシルシステイン及びベータ−メルカプトエタノールが挙げられるがこれらに限定されず、好ましくはGSHである。ある特定の実施態様において、還元剤は弱還元剤であり、弱還元剤としてGSH、ベータ−メルカプトエチルアミン、システイン/シスチン、GSH/GSSG、システアミン/シスタミン、グリシルシステイン及びベータ−メルカプトエタノールが挙げられるがこれらに限定されず、好ましくはGSHである。ある好ましい実施態様において、還元剤はGSHである。それは、反応中に所望の還元条件を得るように好適な濃度で及び好適な実験条件下で好適な還元剤を選択する当業者の能力の範囲内である。例えば、20℃で10g/Lの二重特異性抗体タンパク質濃度を有する溶液中における10mMのL−還元グルタチオンにより、−約400mVの開始酸化還元電位を得る。当業者は、所定の反応における酸化還元電位を測定するために任意の好適な方法を使用することができる。 当分野で既知である任意の好適な方法を使用して、反応の還元条件を推定する及び測定することができる。例えば、レサズリン指示薬(還元条件では青色から無色への脱色)を使用して還元条件を測定することができる。より正確に測定するために、酸化還元電位計(BROADLEY JAMES(登録商標)製のORP Electrode等)を使用することができる。 あるいは、約10mmHg以下の減圧下で、好ましくは約5mmHg以下の減圧下で、より好ましくは約3mmHg以下の減圧下で、約1〜60分にわたって、好ましくは約5〜40分にわたって溶存ガス、特に溶存酸素を除去することにより、還元条件を調えることができる。 本発明において、構築ステップ全体にわたって第1の及び第2のヒンジ含有ポリペプチド(半抗体等)の混合直後から還元条件が維持されることが好ましい。ある実施態様において、反応時間の好ましくは約50%以上にわたって、より好ましくは約70%以上にわたって、更により好ましくは約90%以上にわたって、反応又は構築用混合物は還元条件に維持される。反応時間の約50%以上にわたって、より好ましくは約70%以上にわたって、更により好ましくは約90%以上にわたって反応媒体の酸化還元電位が−約200〜−600mVに、より好ましくは−300〜−500mVに、最も好ましくは−約400mVに維持されることが特に好ましい。 ある特定の実施態様において、還元条件は弱還元条件である。用語「弱還元剤」又は「弱還元条件」は本明細書で使用する場合、還元薬、又は25℃でマイナスの酸化電位を有する還元薬で調えた還元条件を指す。pHが7〜9であり温度が15℃〜39℃である場合には、還元剤の酸化電位は、好ましくは−50〜−600mV、−100〜−600mV、−200〜−600mV、−100〜−500mV、−150〜−300mVであり、より好ましくは−約300〜−500mVであり、最も好ましくは−約400mVである。当業者は、所望の還元条件を調えるのに好適な還元剤を選択することができるだろう。熟練した研究者は、強還元剤、即ち同じ濃度、pH及び温度に関して前述した還元剤よりもマイナスの酸化電位を有する還元剤を低濃度で使用することができることを認識するだろう。好ましい実施態様において、上記に列挙した条件下でインキュベートする場合には、還元剤の存在下でタンパク質はジスルフィド結合を形成することができるだろう。弱還元剤の例として、グルタチオン、ベータ−メルカプトエチルアミン、シスチン/システイン、GSH/GSSG、システアミン/シスタミン、グリシルシステイン及びベータ−メルカプトエタノールが挙げられるがこれらに限定されない。ある実施態様において、予期され得る他の還元剤を使用して効率的に構築される弱還元条件に関する参照の観点として、200倍モル比のGSH:抗体の酸化電位と同様の酸化電位を使用することができる。 「構築用混合物」は、第1のヒンジ含有ポリペプチド、第2のヒンジ含有ポリペプチドを含む溶液である。ある実施態様において、構築用混合物は還元条件下で存在する。いくつかの実施態様において、構築用混合物は弱還元条件下で存在する。ある他の実施態様において、構築用混合物は弱還元剤を更に含む。pHが7〜9であり温度が15℃〜39℃である場合には、構築用混合物の酸化電位は−50〜−600mV、−100〜−600mV、−200〜−600mV、−100〜−500mV、−150〜−300mVであり、より好ましくは−約300〜−500mVであり、最も好ましくは−約400mVである。 他に指示がない限り、実施例で言及した市販の試薬を製造業者の説明書に従って使用した。以下の実施例及び明細書全体にわたってATCC受託番号によって識別される細胞の供給源は、American Type Culture Collection、Manassas、VAである。特に断りがない限り、本発明は、組換えDNA技術の標準的な手順、例えば前述したもの及び以下のテキストブックに記載されたもの:Sambrook他、上記;Ausubel他、Current Protocols in Molecular Biology(Green Publishing Associates and Wiley Interscience、NY、1989);Innis他、PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications(Academic Press,Inc.、NY、1990);Harlow他、Antibodies:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Press、Cold Spring Harbor、1988);Gait、Oligonucleotide Synthesis(IRL Press、Oxford、1984);Freshney, Animal Cell Culture、1987;Coligan他、Current Protocols in Immunology、1991を使用する。 本明細書及び特許請求の範囲全体にわたって、単語「含む(comprise)」又は「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」等の変形は、定めた完全体又は完全体の群を包含することを示唆するが、いかなる他の完全体又は完全体の群を排除するものではないことが理解されるだろう。II.ヘテロ多量体タンパク質の構築 典型的には、本明細書に記載したヘテロ多量体タンパク質は、抗体のFc領域の大部分を含む。しかしながら、他の態様において、重鎖は、CH1ドメイン、CH2ドメイン及び/又はCH3ドメインの一部のみを含む。ヘテロ多量体化ドメイン ヘテロ多量体タンパク質はヘテロ多量体化ドメインを含む。ヘテロ二量体分子の実質的に均一な集団を生成するために、ヘテロ二量体化ドメインは、ホモ二量体を超えるヘテロ二量体の形成に関する強い優先度を有する必要がある。本明細書に例示したヘテロ多量体タンパク質は、ヘテロ多量体化を促進するためにノブイントゥホール技術を使用するが、当業者は、本発明において有用な他のヘテロ多量体化ドメインを認識しよう。ノブイントゥホール 多重特異性抗体の産生方法としてのノブイントゥホールの使用は当分野で公知である。1998年3月24日に取得され、Genentechに譲渡された米国特許第5,731,168号、2009年7月16日に公開され、Amgenに譲渡されたPCT公開番号WO2009089004、及び2009年7月16日に公開され、Novo Nordisk A/Sに譲渡された米国特許出願公開第20090182127号参照。Marvin及びZhu、Acta Pharmacologica Sincia(2005)26(6):649〜658並びにKontermann(2005)Acta Pharacol.Sin.,26:1〜9も参照。簡潔な考察を本明細書に記載する。 「突起」は、ヘテロ多量体を安定化させ、それによって例えばホモ多量体の形成を超えるヘテロ多量体の形成を支持するように第1のポリペプチドの界面から突出し、それ故に隣接する界面(即ち、第二のポリペプチドの界面)における代償的な空洞中に配置可能である少なくとも1本のアミノ酸側鎖を指す。突起はオリジナルの界面に存在することができ、又は(例えば界面をコードする核酸を改変することにより)該突起を合成的に導入することができる。通常、第1のポリペプチドの界面をコードする核酸は、突起をコードするために改変される。このことを達成するために、第1のポリペプチドの界面において少なくとも1個の「オリジナルの」アミノ酸残基をコードする核酸は、オリジナルのアミノ酸残基よりも大きい側鎖量を有する少なくとも1個の「移入」アミノ酸残基をコードする核酸に置き換えられる。複数のオリジナルの残基及び対応する移入残基が存在することができることが認識されるだろう。置き換えられるオリジナルの残基の数の上限は、第1のポリペプチドの界面における残基の総数である。様々なアミノ残基の側鎖量を以下の表に示す。a水を引いたアミノ酸の分子量。Handbook of Chemistry and Physics、第43版、Cleveland Chemical Rubber Publishing Co.、1961からの値。bA.A.Zamyatnin、Prog.Biophys.Mol.Biol.24:107〜123,1972からの値。cC.Chothia、J Mol.Biol.105:1〜14、1975からの値。接触可能な表面積は、この参考文献の図6〜20に定義されている。 突起の形成に好ましい移入残基は一般的に、天然に生じるアミノ酸残基であり、好ましくはアルギニン(R)、フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)及びトリプトファン(W)から選択される。最も好ましいのはトリプトファン及びチロシンである。一実施態様において、突起の形成用のオリジナルの残基は、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グリシン、セリン、スレオニン又はバリン等の小さな側鎖量を有する。突起を形成するためのCH3ドメインにおける例示的アミノ酸置換としてT366W置換が挙げられるがこれに限定されない。 「空洞」は、第2のポリペプチドの界面から窪んでおり、それ故に第1のポリペプチドの隣接する界面上の対応する突起を収容する少なくとも1本のアミノ酸側鎖を指す。空洞はオリジナルの界面に存在することができ、又は(例えば界面をコードする核酸を改変することにより)該空洞を合成的に導入することができる。通常、第2のポリペプチドの界面をコードする核酸は、空洞をコードするために改変される。このことを達成するために、第2のポリペプチドの界面において少なくとも1個の「オリジナルの」アミノ酸残基をコードする核酸は、オリジナルのアミノ酸残基よりも小さい側鎖量を有する少なくとも1個の「移入」アミノ酸残基をコードするDNAに置き換えられる。複数のオリジナルの残基及び対応する移入残基が存在することができることが認識されるだろう。置き換えられるオリジナルの残基の数の上限は、第2のポリペプチドの界面における残基の総数である。様々なアミノ残基の側鎖量を上記表1に示す。空洞の形成に好ましい移入残基は通常、天然に生じるアミノ酸残基であり、好ましくはアラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T)及びバリン(V)から選択される。最も好ましいのはセリン、アラニン又はスレオニンである。一実施態様において、空洞の形成用のオリジナルの残基は、チロシン、アルギニン、フェニルアラニン又はトリプトファン等の大きな側鎖量を有する。空洞を生成するためのCH3ドメインにおける例示的アミノ酸置換として、T366S置換、L368A置換、Y407A置換、Y407T置換及びY407V置換が挙げられるがこれらに限定されない。ある実施態様において、ノブ半抗体はT366W置換を含み、ホール半抗体はT366S/L368A/Y407V置換を含む。 「オリジナルの」アミノ酸残基は、オリジナルの残基よりも小さい又は大きい側鎖量を有することができる「移入」残基に置き換えられているものである。移入アミノ酸残基は、天然に生じるアミノ酸残基又は天然には生じないアミノ酸残基であることができるが、好ましくは前者である。「天然に生じる」アミノ酸残基は、遺伝子コードによりコードされ、上記表1に列挙されている残基である。「天然には生じない」アミノ酸残基は、遺伝子コードによりコードされていないが、ポリペプチド鎖中において隣接するアミノ酸残基(単数又は複数)に共有結合することができる残基を意味する。天然には生じないアミノ酸残基の例として、ノルロイシン、オルニチン、ノルバリン、ホモセリン及び他のアミノ酸残基類似体、例えばEllman他、Meth.Enzym.202:301〜336(1991)に記載されたもの等が挙げられる。そのような天然には生じないアミノ酸残基を生成するために、Noren他、Science244:182(1989)及びEllman他、上記の手順を使用することができる。簡潔に言うと、これは、天然には生じないアミノ酸残基を含むサプレッサーtRNAの化学的活性化、続いてインビトロでのRNAの転写及び翻訳を含む。本発明の方法は、少なくとも1個のオリジナルのアミノ酸残基を置き換えることを含むが、複数個のオリジナルの残基を置き換えることができる。通常、第1のポリペプチド又は第2のポリペプチドの界面における全残基のみが、置き換えられるオリジナルのアミノ酸残基を含む。典型的には、置き換えられるオリジナルの残基は「埋没」されている。「埋没」は、残基が溶媒に本質的に接触不能であることを意味する。一般的に、移入残基は、酸化の可能性又はジスルフィド結合の誤対合を防止するために、システインではない。 突起は空洞内に「配置可能」であり、このことは、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドのそれぞれの界面上の突起及び空洞の空間的位置、並びに突起及び空洞の大きさが、界面での第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドの正常な会合を著しく乱すことなく突起が空洞中に位置することができるようなものであることを意味する。Tyr、Phe及びTrp等の突起は概して、界面の軸から垂直に延びておらず、好ましい高次構造を有していないことから、突起と対応する空洞とのアライメントは、X線結晶構造解析又は核磁気共鳴(NMR)により得られたもの等の三次元構造に基づく突起/空洞対のモデリングに依存する。このことを、当分野で広く受け入れられている技術を使用して達成することができる。 「オリジナルの又は鋳型の核酸」は、突起又は空洞をコードするために「改変」することができる(即ち、遺伝子操作すること又は変異させることができる)目的のポリペプチドをコードする核酸を意味する。オリジナルの又は出発の核酸は、天然に生じる核酸であることができ、又は事前に改変されている核酸(例えばヒト化抗体断片)を含むことができる。核酸の「改変」は、目的のアミノ酸残基をコードする少なくとも1個のコドンの挿入、欠失又は置き換えにより、オリジナルの核酸が変異されていることを意味する。通常、オリジナルの残基をコードするコドンは、移入残基をコードするコドンに置き換えられる。このようにDNAを遺伝子的に修飾するための技術がMutagenesis:a Practical Approach、M.J.McPherson編、(IRL Press、Oxford、UK.(1991)に概説されており、該技術として、例えば、部位特異的変異誘発、カセット変異誘発及びポリメラーゼ連鎖反応(PCR)変異誘発が挙げられる。そのため、オリジナルの/鋳型の核酸を変異させることにより、オリジナルの/鋳型の核酸によってコードされたオリジナルの/鋳型のポリペプチドが、それに応じて改変される。 合成手段により、例えば組換え技術、インビトロでのペプチド合成、前述した天然には生じないアミノ酸残基を導入するための技術、ペプチドの酵素的もしくは化学的カップリングにより、又はこれらの技術のいくつかの組合せにより、突起又は空洞を第1のポリペプチド又は第2のポリペプチドの界面に「導入する」ことができる。従って、「導入された」突起又は空洞は「天然には生じておらず」又は「非天然」であり、このことは、天然において、又はオリジナルのポリペプチドにおいて存在しないことを意味する(例えばヒト化モノクローナル抗体)。 一般的に、突起を形成するための移入アミノ酸残基は、比較的少数の「回転異性体」を有する(例えば約3〜6個)。「回転異性体」は、アミノ酸側鎖のエネルギー的に好都合な高次構造体である。様々なアミノ酸残基の回転異性体の数がPonders及びRichards、J.Mol.Biol.193:775〜791(1987)に概説されている。III.ベクター、宿主細胞及び組換え法 本発明のヘテロ多量体タンパク質(例えば二重特異性抗体)の組換え産生のために、本発明のヘテロ多量体タンパク質をコードする核酸が単離され、更なるクローニング(DNAの増幅)のために又は発現のために複製可能なベクターに挿入される。抗体をコードするDNAは、従来の手順を使用して(例えば、抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することにより)容易に単離されて配列決定される。多くのベクターが利用可能である。ベクターの選択は、使用される宿主細胞にある程度は依存する。一般的に、好ましい宿主細胞は、原核生物又は真核生物(一般的には哺乳動物であるが、真菌(例えば酵母)、昆虫、植物及び他の多細胞生物に由来する有核細胞も含む)のいずれかである。IgG定常領域、IgM定常領域、IgA定常領域、IgD定常領域及びIgE定常領域等の任意のアイソタイプの定常領域をこの目的のために使用することができ、そのような定常領域を任意のヒト又は動物種から得ることができることが認識されるだろう。ある実施態様において、定常領域はIgGに由来し、特にIgG1、IgG2又はIgG4に由来する。 宿主細胞はヘテロ二量体化ドメインを含むヒンジ含有ポリペプチドを発現するように操作されており、宿主細胞は第2のヘテロ二量体化ドメインを含むヒンジ含有ポリペプチドを発現しない。a.原核宿主細胞を使用するヘテロ多量体タンパク質の生成i.ベクターの構築 標準的な組換え技術を使用して、本発明のヘテロ多量体タンパク質(例えば抗体)のポリペプチド成分をコードするポリヌクレオチド配列を得ることができる。所望のポリヌクレオチド配列を、例えばハイブリドーマ細胞等の抗体産生細胞から単離して配列決定することができる。あるいは、ヌクレオチド合成機又はPCR技術を使用してポリヌクレオチドを合成することができる。ポリペプチドをコードする配列を得ると、それを原核宿主中で異種ポリヌクレオチドを複製する及び発現することができる組換えベクターに挿入する。当分野で利用可能であるとともに既知である多くのベクターを本発明の目的のために使用することができる。適切なベクターの選択は、ベクターに挿入される核酸の大きさと、ベクターによって形質転換される特定の宿主細胞とに主に依存するだろう。各ベクターは、その機能(異種ポリヌクレオチドの増幅もしくは発現又はその両方)及びベクターが存在する特定の宿主細胞とのベクターの適合性に応じて、様々な成分を含有する。ベクター成分として一般的に、複製開始点、選択マーカー遺伝子、プロモーター、リボゾーム結合部位(RBS)、シグナル配列、異種核酸挿入及び転写終結配列が挙げられるがこれらに限定されない。 一般的に、宿主細胞に適合する種に由来するレプリコン配列及びコントロール配列を含有するプラスミドベクターがその宿主細胞と関連して使用される。ベクターは通常、複製部位と、形質転換細胞における表現型の選択を提供することができるマーキング配列とを保有する。例えば、大腸菌は概して、大腸菌種に由来するプラスミドであるpBR322を使用して形質転換される。pBR322は、アンピシリン(Amp)及びテトラサイクリン(Tet)耐性をコードする遺伝子を含有し、そのため形質転換細胞の同定方法を容易に提供する。pBR322、その誘導体、又は他の微生物プラスミドもしくはバクテリオファージはまた、内因性タンパク質の発現用の微生物で使用することができるプロモーターも含む、又は該プロモーターを含むように修飾することができる。特定の抗体の発現に使用されるpBR322誘導体の例がCarter他の米国特許第5,648,237号に詳細に記載されている。 加えて、宿主微生物に適合するレプリコン配列及びコントロール配列を含有するファージベクターを、この宿主と関連する形質転換ベクターとして使用することができる。例えば、λGEM.TM.−11等のバクテリオファージを、大腸菌LE392等の感受性宿主細胞を形質転換させるために使用することができる組換えベクターの作製に利用することができる。 本発明の発現ベクターは、各ポリペプチド成分をコードする2個以上のプロモーター−シストロン対を含むことができる。プロモーターは、その発現を調節するシストロンの上流(5’)に位置する非翻訳制御配列である。原核生物のプロモーターは概して、誘導性と構造性との2種のクラスに別れる。誘導性プロモーターは、栄養の有無又は温度の変化等の培養条件の変化に応答してその制御下でシストロンの転写レベルの増大を引き起こすプロモーターである。 様々な潜在的宿主細胞によって認識される多くのプロモーターが公知である。制限酵素消化によって供給源のDNAからプロモーターを取り出し、単離したプロモーター配列を本発明のベクター中に挿入することにより、選択したプロモーターを、例えば軽鎖又は重鎖をコードするシストロンDNAに作動可能に連結することができる。天然プロモーター配列及び多くの異種プロモーターの両方を、標的遺伝子の増幅及び/又は発現を誘導するのに使用することができる。いくつかの実施態様において、異種プロモーターは有用であり、それは、異種プロモーターにより一般的に、天然の標的ポリペプチドプロモーターと比べて発現した標的遺伝子がより多く転写される及び発現した標的遺伝子の収率がより高くなるからである。 原核宿主での使用に好適なプロモーターとして、PhoAプロモーター、β−ガラクタマーゼ及びラクトースプロモーター系、トリプトファン(trp)プロモーター系並びにハイブリッドプロモーター、例えばtacプロモーター又はtrcプロモーターが挙げられる。しかしながら、細菌中において機能的である他のプロモーター(例えば他の既知の細菌又はファージのプロモーター)も同様に好適である。それらのヌクレオチド配列は公開されており、従って当業者は、任意の必要な制限部位を供給するためにリンカー又はアダプターを使用して、ヘテロ多量体タンパク質、例えば標的の軽鎖及び重鎖(Siebenlist他、(1980)、Cell20:269)の遺伝子をコードするシストロンにそれらを作動可能にライゲーションさせることができる。 本発明の一態様において、組換えベクター内の各シストロンは、膜を貫通して発現したポリペプチドの転移を誘導する分泌シグナル配列成分を含む。一般的に、シグナル配列はベクターの成分であることができ、又はベクターに挿入される標的ポリペプチドDNAの一部であることができる。本発明の目的のために選択されるシグナル配列は、宿主細胞によって認識されてプロセシングされる(即ち、シグナルペプチダーゼにより切断される)ものでなければならない。異種ポリペプチドを起源とするシグナル配列を認識せず及びプロセシングしない原核宿主細胞に関して、シグナル配列は、例えばアルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ、lpp又は熱安定性エンテロトキシンII(STII)リーダー、LamB、PhoE、PelB、OmpA及びMBPからなる群から選択される原核生物のシグナル配列に置換される。本発明の一実施態様において、発現系の両方のシストロンに使用されるシグナル配列は、STIIシグナル配列又はその多様体である。 他の態様において、本発明に係る免疫グロブリンの産生は宿主細胞の細胞質中で生じることができ、それ故に各シストロン内に分泌シグナル配列が存在することを必要としない。この点に関して、免疫グロブリンの軽鎖及び重鎖が発現され、折り畳まれ、及び集合して細胞質内で機能的免疫グロブリンを形成する。ある宿主株(例えば大腸菌trxB−株)は、ジスルフィド結合の形成に有利な細胞質条件を備えており、従って、発現したタンパク質サブユニットを適切に折り畳んで集合させることができる。Proba及びPluckthun Gene、159:203(1995)参照。 本発明のヘテロ多量体タンパク質(例えば抗体)を発現するのに好適な原核宿主細胞として、古細菌及び真正細菌、例えばグラム陰性生物又はグラム陽性生物が挙げられる。有用な細菌の例として、大腸菌属(Escherichia)(例えば大腸菌)、桿菌(Bacilli)(例えば枯草菌(B. subtilis))、腸内細菌(Enterobacteria)、シュードモナス(Pseudomonas)種(例えば緑膿菌(P. aeruginosa))、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、霊菌(Serratia marcescans)、クレブシエラ(Klebsiella)、プロテウス(Proteus)、赤痢菌(Shigella)、根粒菌(Rhizobia)、ビトレオシラ(Vitreoscilla)又はパラカッコス(Paracoccus)が挙げられる。一実施態様において、グラム陰性細胞が使用される。一実施態様において、大腸菌細胞が本発明用の宿主として使用される。大腸菌株の例として、遺伝子型W3110 ΔfhuA(ΔtonA)ptr3 lac lq lacL8 ΔompTΔ(nmpc−fepE)degP41 kanR(米国特許第5,639,635号)を有する株33D3等の、株W3110(Bachmann、Cellular and Molecular Biology、第2巻(Washington,D.C.:American Society for Microbiology、1987)、1190〜1219頁;ATCC寄託番号27,325)及びその誘導体が挙げられる。大腸菌294(ATCC31,446)、大腸菌B、大腸菌λ1776(ATCC31,537)及び大腸菌RV308(ATCC31,608)等の他の株及びその誘導体も好適である。一実施態様において、大腸菌Δlppは特定の用途を見出している。これらの例は限定的なものではなく例示的なものである。定義された遺伝子型を有する上記細菌のいずれかの誘導体の構築方法は当分野で既知であり、例えばBass他、Proteins、8:309〜314(1990)に記載されている。一般的に、細菌の細胞中におけるレプリコンの複製能力を考慮して適切な細菌を選択することが必要である。pBR322、pBR325、pACYC177又はpKN410等の公知のプラスミドを使用してレプリコンを供給する場合、例えば、大腸菌種、セラチア(Serratia)種又はサルモネア(Salmonella)種を宿主として好適に使用することができる。典型的には、宿主細胞は、タンパク質分解酵素の分泌が最小量でなければならず、望ましくは、追加のプロテアーゼ阻害剤を細胞培養に組み入れることができる。ii.ポリペプチドの産生 前述した発現ベクターで宿主細胞を形質転換し、プロモーターを誘導するのに、形質転換体を選択するのに又は所望の配列をコードする遺伝子を増幅するのに適するように改変した通常の栄養培地中で培養する。 形質転換は、DNAが染色体外要素として又は染色体組み込み体により複製可能であるように、DNAを原核宿主中に導入することを意味する。使用される宿主細胞に応じて、形質転換はそのような細胞に適した標準的技術を使用して行なわれる。実質的な細胞壁障壁を含有する細菌細胞用に、塩化カルシウムを用いるカルシウム処理が一般的に使用される。別の形質転換方法はポリエチレングリコール/DMSOを用いる。一般に使用される更に別の技術は電気穿孔である。 本発明のポリペプチドの産生に使用される原核細胞を、当分野で既知であり選択された宿主細胞の培養に好適な培地中で増殖させる。好適な培地の例として、ルリアブロス(LB)プラス必須栄養素サプリメントが挙げられる。いくつかの実施態様において、培地はまた、発現ベクターを含有する原核細胞の増殖を選択的に可能にするために、発現ベクターの構築に基づいて選択される選択剤も含有する。例えば、アンピシリン耐性遺伝子を発現する細胞の増殖のために、培地にアンピシリンを添加する。 炭素源、窒素源及び無機リン酸塩源に加えて任意の必須サプリメントを適切な濃度で含むこともでき、及び単独で導入し又は複合窒素源等の別のサプリメント又は培地との混合物として導入することもできる。任意選択で、培地は、グルタチオン、システイン、シスタミン、チオグリコレート、ジチオエリトリトール及びジチオトレイトールからなる群から選択される1種又は複数種の還元剤を含有することができる。 原核宿主細胞を好適な温度で培養する。例えば、大腸菌の増殖に関して、好ましい温度は約20℃〜約39℃の範囲であり、より好ましくは約25℃〜約37℃の範囲であり、更により好ましくは約30℃である。培地のpHは、主に宿主生物に応じて約5〜約9の範囲の任意のpHであることができる。大腸菌に関して、pHは好ましくは約6.8〜約7.4であり、より好ましくは約7.0である。 本発明の発現ベクター中において誘導性プロモーターを使用する場合、プロモーターの活性化に好適な条件下でタンパク質発現を誘導する。本発明の一態様において、ポリペプチドの転写を制御するためにPhoAプロモーターを使用する。従って、形質転換した宿主細胞を、誘導用のリン酸塩制限培地で培養する。好ましくは、リン酸塩制限培地はC.R.A.P培地である(例えばSimmons他、J.Immunol.Methods(2002)、263:133〜147参照)。当分野で知られているように、用いるベクター構築物に従って様々な他の誘導物質を使用することができる。 一実施態様において、第1のヒンジ含有宿主細胞及び第2のヒンジ含有宿主細胞を別々に培養し、本発明の発現したポリペプチドが宿主細胞のペリプラズム中にそれぞれ分泌され、該ペリプラズムからポリペプチドをそれぞれ回収する。第2の実施態様において、第1のヒンジ含有宿主細胞及び第2のヒンジ含有宿主細胞を別々に培養し、ヒンジ含有ポリペプチドの単離前に2つの宿主細胞培養物を一緒に混合し、細胞をペレット化する。第3の実施態様において、第1のヒンジ含有宿主細胞及び第2のヒンジ含有宿主細胞を別々に培養し、遠心分離し、及び別々に再懸濁し、次いでヒンジ含有ポリペプチドの単離前に一緒に混合する。第4の実施態様において、第1のヒンジ含有宿主細胞及び第2のヒンジ含有宿主細胞を同じ培養容器中で一緒に培養する。タンパク質の回収は概して、一般的には浸透圧ショック、超音波処理又は溶解等の手段により微生物の細胞膜を破壊することを含む。細胞が破壊されると、細胞残屑又は細胞全体を遠心分離又はろ過により除去することができる。例えば親和性樹脂クロマトグラフィーによりタンパク質を更に精製することができる。あるいは、タンパク質を培地中に輸送し、又は培地中で分泌させ、該培地中で単離することができる。外因性配列タグ(又はエピトープタグ)により発現した組換えタンパク質は、精製ステップを促進することができる。外因性配列タグ(Hisタグ及びGSTタグが挙げられるがこれらに限定されない)を含有するタンパク質のクローニング及び精製の技術は当分野で公知である。細胞を培養物から除去することができ、培養上清をろ過し、産生したタンパク質の更なる精製のために濃縮する。ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)及びウェスタンブロットアッセイ等の一般に知られている方法を使用して、発現したポリペプチドを更に単離して同定することができる。単離したポリペプチドは、ヘテロ多量体タンパク質の産生に使用する。 本発明の一態様において、ヘテロ多量体タンパク質(例えば抗体)の産生は、発酵プロセスにより大量に行なわれる。様々な大規模流加発酵手順が組換えタンパク質の産生に利用可能である。大規模発酵は1000リットル以上の容量、好ましくは約1,000〜100,000リットルの容量を有する。この発酵槽は、酸素及び栄養素、特にグルコース(好ましくは炭素/エネルギー源)を分散させるためにアジテータインペラ(agitator impeller)を使用する。小規模発酵は、約100リットル以下の容積であり及び約1リットル〜約100リットルの範囲であることができる発酵槽における発酵を一般的に指す。 発酵プロセスにおいて、タンパク質発現の誘導は概して、好適な条件下で、細胞が初期の定常期にある段階で所望の密度まで、例えば約180〜220のOD500まで細胞が増殖した後に開始される。当分野で知られている及び前述されているように、用いられるベクター構築物に従って様々な誘導物質を使用することができる。誘導前のより短い時間にわたって細胞を増殖させることができる。通常、細胞を約12〜50時間にわたって誘導するが、より長い又はより短い誘導時間を使用することができる。 本発明のポリペプチドの産生収率及び品質を改善するために、様々な発酵条件を変更することができる。例えば、分泌されるヘテロ多量体タンパク質(例えば抗体)の適切な構築及び折り畳みを改善するために、Dsbタンパク質(DsbA、DsbB、DsbC、DsbD及び/もしくはDsbG)又はFkpA(シャペロン活性を有するペプチジルプロピルシス,トランス−イソメラーゼ)等のシャペロンタンパク質を過剰発現する追加のベクターを使用して、宿主原核細胞を共形質転換させることができる。細菌宿主細胞中で産生される異種タンパク質の適切な折り畳み及び溶解性をシャペロンタンパク質が促進することが実証されている。Chen他(1999)J Bio Chem274:19601〜19605;Georgiou他、米国特許第6,083,715号;Georgiou他、米国特許第6,027,888号;Bothmann及びPluckthun(2000)J.Biol.Chem.275:17100〜17105;Ramm及びPluckthun(2000)J.Biol.Chem.275:17106〜17113;Arie他(2001)Mol.Microbiol.39:199〜210。 発現した異種タンパク質(特にタンパク質分解に敏感なもの)のタンパク質分解を最小限に抑えるために、タンパク質分解酵素を欠損する特定の宿主株を本発明のために使用することができる。例えば、宿主細胞株を修飾して、プロテアーゼIII、OmpT、DegP、Tsp、プロテアーゼI、プロテアーゼMi、プロテアーゼV、プロテアーゼVI及びこれらの組合せ等の既知の細菌プロテアーゼをコードする遺伝子に遺伝子変異(単数又は複数)を生じさせることができる。いくつかの大腸菌プロテアーゼ欠損株が利用可能であり、例えばJoly他(1998)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA95:2773〜2777;Georgiou他、米国特許第5,264,365号;Georgiou他、米国特許第5,508,192号;Hara他、Microbial Drug Resistance、2:63〜72(1996)に記載されている。 一実施態様において、タンパク質分解酵素を欠損しており、及び1種又は複数種のシャペロンタンパク質を過剰発現するプラスミドで形質転換した大腸菌株を、本発明の発現系における宿主細胞として使用することができる。第2の実施態様において、大腸菌株は外膜のリポタンパク質を欠損している(Δlpp)。iii.ヘテロ多量体タンパク質の精製 一実施態様において、本明細書で産生したヘテロ多量体タンパク質を、更なるアッセイ及び用途のために実質的に均一である調製物を得るべく更に精製する。当分野で既知の標準的なタンパク質精製方法を用いることができる。以下の手順は好適な精製手順の例である:免疫親和性カラム又はイオン交換カラムによる分画、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカによる又はDEAE等のイオン交換樹脂によるクロマトグラフィー、等電点電気泳動、SDS−PAGE、硫酸アンモニウム沈殿、及び例えばSephadex G−75を使用するゲルろ過。 一態様において、固相上に固定したプロテインAを、例えば本発明の半抗体又は完全長抗体の産物の免疫親和性精製に使用する。プロテインAは、抗体のFc領域に高い親和性で結合する黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)に由来する41kDの細胞壁タンパク質である。Lindmark他(1983)J.Immunol.Meth.62:1〜13。プロテインAが固定された固相は、好ましくは、ガラス又はシリカ表面、より好ましくは孔が制御されたガラスカラム又はケイ酸カラムを含むカラムである。いくつかの用途において、カラムは、混入物の非特異的な付着を防止するためにグリセロール等の試薬でコーティングされている。 精製の最初のステップとして、前述した細胞培養に由来する調製物をプロテインAが固定された固相上にアプライし、プロテインAに目的の抗体を特異的に結合させる。次いで、固相を洗浄して固相に非特異的に結合した混入物を除去する。ヘテロ多量体タンパク質(例えば抗体)を、溶出により固相から回収する。b.真核宿主細胞を使用するヘテロ多量体タンパク質の生成: ベクター成分として一般的に以下のもののうちの1つ又は複数が挙げられるがこれらに限定されない:シグナル配列、複製開始点、一又は複数のマーカー遺伝子、エンハンサーエレメント、プロモーター及び転写終結配列。i.シグナル配列成分 真核宿主細胞において使用するベクターはまた、シグナル配列又は成熟タンパク質もしくは目的のポリペプチドのN末端で特定の切断部位を有する他のポリペプチドも含有することができる。好ましくは、選択された異種シグナル配列は、宿主細胞によって認識されてプロセシングされる(即ち、シグナルペプチダーゼにより切断される)ものである。哺乳動物細胞の発現において、哺乳動物のシグナル配列及びウイルス分泌リーダー、例えば単純ヘルペスgDシグナルが利用可能である。そのような前駆体領域に関するDNAは、リーディングフレームにおいて、所望のヘテロ多量体タンパク質(単数又は複数)(例えば抗体)をコードするDNAにライゲーションされる。ii.複製開始点 一般的に、哺乳動物の発現ベクターには複製開始点成分は不要である。例えば、SV40開始点を概して使用することできるが、これは該SV40開始点が初期プロモーターを含有しているという理由からだけである。iii.選択遺伝子成分 発現ベクター及びクローニングベクターは、選択可能マーカーとも称される選択遺伝子を含有することができる。典型的な選択遺伝子は、(a)抗生物質もしくは他の毒素、例えばアンピシリン、ネオマイシン、メトトレキサートもしくはテトラサイクリンに対する耐性を与える、(b)必要に応じて栄養要求性欠乏を補う又は(c)複合培地から得ることができない重要な栄養素を供給するタンパク質をコードする。 選択スキームの一例では、薬物を利用して宿主細胞の増殖が抑止される。異種遺伝子での形質転換に成功している細胞は、薬物耐性を付与するタンパク質を産生し、そのため選択レジメンを生き延びる。そのような優性選択の例では、薬物ネオマイシン、ミコフェノール酸及びハイグロマイシンが使用される。 哺乳動物細胞に好適な選択可能マーカーの別の例として、抗体核酸を取り込む能力がある細胞を同定することができるもの、例えばDHFR、チミジンキナーゼ、メタロチオネイン−I及びII、好ましくは霊長類メタロチオネイン遺伝子、アデノシンデアミナーゼ、オルニチンデカルボキシラーゼ等が挙げられる。 例えば、DHFR選択遺伝子で形質転換した細胞を最初に、DHFRの競合的アンタゴニストであるメトトレキサート(Mtx)を含有する培地において形質転換体の全てを培養することにより同定する。野生型DHFRを用いた場合の適切な宿主細胞は、DHFR活性が欠損しているチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株(例えばATCC CRL−9096)である。 あるいは、抗体、野生型DHFRタンパク質及び別の選択可能マーカー、例えばアミノグリコシド3’−ホスホトランスフェラーゼ(APH)をコードするDNA配列で形質転換した又は共形質転換した宿主細胞(特に、内因性DHFRを含有する野生型宿主)を、アミノグリコシド抗生物質、例えばカナマイシン、ネオマイシン又はG418等の選択可能マーカー用の選択剤を含有する培地における細胞増殖により選択することができる。例えば、米国特許第4,965,199号参照。iv.プロモーター成分 発現ベクター及びクローニングベクターは通常、宿主生物によって認識され、所望のヒンジ含有ポリペプチド(単数又は複数)(例えば抗体)核酸に作動可能に連結されるプロモーターを含有する。プロモーター配列は真核生物に関して知られている。実質的に全ての真核遺伝子は、転写が開始される部位から約25〜30塩基上流に位置するATリッチ領域を有する。多くの遺伝子の転写開始から70〜80塩基上流に見出される別の配列はCNCAAT領域であり、Nは任意のヌクレオチドであることができる。大部分の真核遺伝子の3’末端には、コード配列の3’末端へのポリA尾部の付加に関するシグナルであることができるAATAAA配列が存在する。これらの配列は全て、真核発現ベクターに適切に挿入される。 哺乳動物宿主細胞におけるベクターからの所望のヒンジ含有ポリペプチド(単数又は複数)(例えば半抗体)の転写は、例えばプロモーター、例えばポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス、アデノウイルス(アデノウイルス2等)、ウシ乳頭腫ウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス及びシミアンウイルス40(SV40)等のウイルスのゲノムから得られるプロモーターによって、異種哺乳動物のプロモーターから、例えばアクチンプロモーターもしくは免疫グロブリンプロモーターから、又は熱ショックプロモーターから、そのようなプロモーターが宿主細胞系と適合するという条件で制御される。 SV40ウイルスの初期及び後期のプロモーターは、SV40ウイルスの複製開始点も含有するSV40制限断片として好都合に得られる。ヒトサイトメガロウイルスの前初期のプロモーターは、HindIII E制限断片として好都合に得られる。ベクターとしてウシ乳頭腫ウイルスを使用して哺乳動物宿主中でDNAを発現させる系が米国特許第4,419,446号に開示されている。この系の改変が米国特許第4,601,978号に記載されている。単純ヘルペスウイルスに由来するチミジンキナーゼプロモーターの制御下でのマウス細胞におけるヒトβ−インターフェロンcDNAの発現に関してReyes他、Nature297:598〜601(1982)も参照。あるいは、ラウス肉腫ウイルスの長い末端反復をプロモーターとして使用することができる。v.エンハンサーエレメント成分 高等真核生物による所望のヒンジ含有ポリペプチド(単数又は複数)(例えば抗体)をコードするDNAの転写を、ベクター中にエンハンサー配列を挿入することによって増大させることができる。多くのエンハンサー配列が哺乳動物遺伝子(例えばグロビン、エラスターゼ、アルブミン、α−フェトプロテイン及びインスリンの遺伝子)から現在知られている。また、真核細胞ウイルスに由来するエンハンサーを使用することもできる。例として、複製開始点の後ろ側にあるSV40エンハンサー(100〜270塩基対)、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製開始点の後ろ側にあるポリオーマエンハンサー及びアデノウイルスエンハンサーが挙げられる。真核プロモーターの活性化を増強するためのエレメントの記載に関してYaniv、Nature297:17〜18(1982)も参照。抗体ポリペプチドをコードする配列に対して5’位又は3’位でベクター中にエンハンサーをスプライシングすることができるが、増強が達成されるという条件で一般的にプロモーターから5’位に位置している。vi.転写終結成分 真核宿主細胞で使用される発現ベクターは概して、転写の終結及びmRNAの安定化に必要な配列も含有するものとなる。そのような配列は、真核生物又はウイルスのDNA又はcDNAの5’非翻訳領域、及び場合により3’非翻訳領域から一般的に得ることができる。これらの領域は、抗体をコードするmRNAの非翻訳部分においてポリアデニル化断片として転写されるヌクレオチドセグメントを含有する。1つの有用な転写終結成分としてウシ成長ホルモンポリアデニル化領域が挙げられる。WO94/11026及びそれに開示された発現ベクターを参照。vii.宿主細胞の選択及び形質転換 本明細書におけるベクターでのDNAのクローニング又は発現に好適な宿主細胞として、脊椎動物宿主細胞を含む本明細書に記載した高等真核細胞が挙げられる。培養(組織培養)における脊椎動物細胞の増殖はルーチン的な手順となっている。有用な哺乳動物宿主細胞株の例として、SV40により形質転換したサル腎臓CV1株(COS−7、ATCC CRL 1651);ヒト胚腎臓株(293個、又は懸濁培養での増殖のためにサブクローニングした293個の細胞、Graham他、J.Gen Virol.36:59(1977));仔ハムスター腎臓細胞(BHK、ATCC CCL 10);チャイニーズハムスター卵巣細胞/−DHFR(CHO、Urlaub他、Proc.Natl.Acad.Sci.USA77:4216(1980));マウスセルトリ細胞(TM4、Mather、Biol.Reprod.23:243〜251(1980));サル腎臓細胞(CV1 ATCC CCL 70);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO−76、ATCC CRL−1587);ヒト子宮頸癌細胞(HELA、ATCC CCL 2);イヌ腎臓細胞(MDCK、ATCC CCL 34);バッファローラット肝臓細胞(BRL 3A、ATCC CRL 1442);ヒト肺細胞(W138、ATCC CCL 75);ヒト肝臓細胞(Hep G2、HB 8065);マウス乳腺腫瘍(MMT 060562、ATCC CCL51);TRI細胞(Mather他、Annals N.Y.Acad.Sci.383:44〜68(1982));MRC 5細胞;FS4細胞;及びヒト肝細胞癌株(Hep G2)が挙げられる。 宿主細胞を、所望のヒンジ含有ポリペプチド(単数又は複数)(例えば抗体)の産生用の上記発現ベクター又はクローニングベクターで形質転換し、プロモーターを誘導するのに、形質転換体を選択するのに又は所望の配列をコードする遺伝子を増幅するのに適するように改変した従来の栄養培地で培養する。viii.宿主細胞の培養 本発明の所望のヒンジ含有ポリペプチド(単数又は複数)(例えば抗体)の産生に使用する宿主細胞を様々な培地で培養することができる。ハムF10(Sigma)、最小必須培地((MEM)、Sigma)、RPMI−1640(Sigma)及びダルベッコ変法イーグル培地((DMEM)、Sigma)等の市販の培地が宿主細胞の培養に好適である。加えて、Ham他、Meth.Enz.58:44(1979)、Barnes他、Anal.Biochem.102:255(1980)、米国特許第4,767,704号;米国特許第4,657,866号;米国特許第4,927,762号;米国特許第4,560,655号;もしくは米国特許第5,122,469号;WO90/03430;WO87/00195;又は米国再発行特許第30,985号に記載された培地のいずれも宿主細胞用の培地として使用することができる。これらの培地のいずれにも、ホルモン及び/又は他の成長因子(例えばインスリン、トランスフェリン又は上皮成長因子)、塩類(例えば塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム及びリン酸塩)、緩衝液(例えばHEPES)、ヌクレオチド(例えばアデノシン及びチミジン)、抗生物質(例えばGENTAMYCIN(商標)薬)、微量元素(マイクロモル濃度範囲の最終濃度で通常は存在する無機化合物として定義される)及びグルコース又は等価のエネルギー源を必要に応じて補充することができる。任意の他の必要なサプリメントを当業者に既知である適切な濃度で含むこともできる。温度、pH等の培養条件は、発現用に選択した宿主で以前に使用されたものであり、当業者には明らかであるだろう。ix.ヘテロ多量体タンパク質の精製 組換え技術を使用する場合、ヒンジ含有ポリペプチドを細胞内で産生することができ、又は培地中に直接分泌させることができる。ヒンジ含有ポリペプチドが細胞内で産生される場合、第1のステップとして、粒子状の残屑、即ち宿主細胞又は溶解断片のいずれかを例えば遠心分離又は限外ろ過により除去する。ヒンジ含有ポリペプチドが培地中に分泌される場合、そのような発現系からの上清を一般的に、市販のタンパク質濃縮フィルタ、例えばAmicon又はMillipore Pellicon限外ろ過装置を使用して最初に濃縮する。PMSF等のプロテアーゼ阻害剤を以前のステップのいずれかに含ませてタンパク質分解を阻害することができ、抗生物質を含ませて外来性の汚染菌の増殖を防止することができる。 細胞から調製したヘテロ多量体組成物を、例えばイオン交換、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析及びアフィニティークロマトグラフィーを使用して精製することができ、アフィニティークロマトグラフィーが好ましい精製技術である。前述した技術の組合せも考慮される。アフィニティーリガンドとしてのプロテインAの適合性は、抗体中に存在する任意の免疫グロブリンFcドメインの種類及びアイソタイプに依存する。プロテインAをヒトγ1重鎖、γ2重鎖又はγ4重鎖に基づく抗体の精製に使用することができる(Lindmark他、J.Immunol.Meth.62:1〜13(1983))。プロテインGは、全てのマウスのアイソタイプ及びヒトγ3に推奨されている(Guss他、EMBO J.5:15671575(1986))。アフィニティーリガンドが付着するマトリックスはアガロースであることが最も多いが、他のマトリックスも使用することができる。孔が制御されたガラス又はポリ(スチレンジビニル)ベンゼン等の機械的に安定なマトリックスは、アガロースにより達成することができる場合よりも早い流速及び短い処理時間を可能にする。抗体がCH3ドメインを含む場合、Bakerbond ABX(商標)樹脂(J.T.Baker,Phillipsburg,NJ)が精製に有用である。タンパク質精製用の他の技術、例えばイオン交換カラムによる分画、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカによるクロマトグラフィー、ヘパリンSEPHAROSE(商標)によるクロマトグラフィー、アニオン交換樹脂又はカチオン交換樹脂によるクロマトグラフィー(例えばポリアスパラギン酸カラム)、等電点電気泳動、SDS−PAGE及び硫酸アンモニウム沈殿も、回収する抗体に応じて利用可能である。 任意の予備的精製ステップ(単数又は複数)に続いて、目的の抗体及び混入物を含む混合物を、好ましくは低塩濃度(例えば約0〜0.25Mの塩)で行なわれる約2.5〜4.5のpHで溶出緩衝液を使用する低pH疎水性相互作用クロマトグラフィーにかけることができる。ヘテロ多量体タンパク質の産生は、(上記特定の方法のいずれかの)代替として又は追加としてポリペプチドの混合物を含む溶液を透析すること含むことができる。x.バキュロウイルスを使用する抗体産生 例えばリポフェクチン(GIBCO−BRLから市販されている)を使用する、抗体又は抗体断片をコードするプラスミドとBaculoGold(商標)ウイルスDNA(Pharmingen)との昆虫細胞への、例えばスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)細胞(例えばSf9細胞;ATCC CRL 1711)又はキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)S2細胞への共遺伝子導入により、組換えバキュロウイルスを生成することができる。特定の例において、抗体配列は、バキュロウイルス発現ベクター内に含有されるエピトープタグの上流に融合する。そのようなエピトープタグとしてポリHisタグが挙げられる。市販のプラスミド、例えばpVL1393(Novagen)又はpAcGP67B(Pharmingen)に由来するプラスミド等の様々なプラスミドを用いることができる。簡潔に言うと、抗体又はその断片をコードする配列を、5’領域及び3’領域に相補的なプライマーによるPCRにより増幅することができる。5’プライマーは、隣接する(選択した)制限酵素部位を包含することができる。次いで、選択した制限酵素で産物を消化し、発現ベクターにサブクローニングすることができる。 発現ベクターによる遺伝子導入後、宿主細胞(例えばSf9細胞)を28℃で4〜5日にわたってインキュベートし、放出されたウイルスを収集して更なる増幅に使用する。ウイルス感染及びタンパク質発現を、例えばO’Reilley他(Baculovirus expression vectors:A Laboratory Manual.Oxford:Oxford University Press(1994))に記載されているように行なうことができる。 次いで、発現したポリHisタグ化抗体を、例えば以下のようにNi2+−キレートアフィニティークロマトグラフィーにより精製することができる。Rupert他(Nature362:175〜179(1993))に記載されているように、組換えウイルス感染Sf9細胞から抽出物を調製することができる。簡潔に言うと、Sf9細胞を洗浄し、超音波処理緩衝液(25mLのHEPES pH7.9;12.5mMのMgCl2;0.1mMのEDTA;10%グリセロール;0.1%NP−40;0.4MのKCl)中に再懸濁し、氷上で20秒にわたって2回超音波処理する。超音波処理物を遠心分離により清澄化し、上清をローディング緩衝液(50mMのリン酸塩;300mMのNaCl;10%グリセロールpH7.8)中に50倍に希釈し、0.45μmフィルタを通してろ過する。Ni2+−NTAアガロースカラム(Qiagenから市販されている)を5mLの総容積で調製し、25mLの水で洗浄し、25mLのローディング緩衝液で平衡化する。ろ過した細胞抽出物を毎分0.5mLでカラム上に負荷する。ローディング緩衝液でベースラインA280までカラムを洗浄し、その時点で画分収集を開始する。次に、二次洗浄緩衝液(50mMのリン酸塩;300mMのNaCl;10%グリセロールpH6.0)でカラムを洗浄し、非特異的に結合したタンパク質を溶出させる。A280ベースラインに再度達した後、二次洗浄緩衝液中の0〜500mMのイミダゾール勾配でカラムを展開する。1mL画分を収集し、SDS−PAGE及び銀染色又はアルカリホスファターゼ(Qiagen)にコンジュゲートしたNi2+−NTAによるウエスタンブロットにより分析する。溶出したHis10タグ化抗体を含有する画分をプールし、ローディング緩衝液に対して透析する。 あるいは、例えばプロテインA又はプロテインGのカラムクロマトグラフィー等の既知のクロマトグラフィー技術を使用して抗体の精製を行なうことができる。一実施態様において、カオトロピック剤又は中性界面活性剤を含有する溶液中への溶出により、目的の抗体をカラムの固相から回収することができる。例示的なカオトロピック剤及び中性界面活性剤として、グアニジン−HCl、尿素、過塩素酸リチウム(lithium perclorate)、アルギニン、ヒスチジン、SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)、Tween、Triton及びNP−40が挙げられるがこれらに限定されず、これら全ては市販されている。IV.標的分子 本発明のヘテロ多量体タンパク質により標的化することができる分子の例として、可溶性血清タンパク質及びその受容体並びに他の膜結合タンパク質(例えばアドヘシン)が挙げられるがこれらに限定されない。WO2011/133886を参照し、これは出典明示によりその全体が本明細書に援用される。 別の実施態様において、本発明のヘテロ多量体タンパク質は、BMPI、BMP2、BMP3B(GDFIO)、BMP4、BMP6、BMP8、CSFI(M−CSF)、CSF2(GM−CSF)、CSF3(G−CSF)、EPO、FGFI(aFGF)、FGF2(bFGF)、FGF3(int−2)、FGF4(HST)、FGF5、FGF6(HST−2)、FGF7(KGF)、FGF9、FGF10、FGF11、FGF12、FGF12B、FGF14、FGF16、FGF17、FGF19、FGF20、FGF21、FGF23、IGF1、IGF2、IFNAI、IFNA2、IFNA4、IFNA5、IFNA6、IFNA7、IFNBI、IFNG、IFNWI、FELI、FELI(EPSELON)、FELI(ZETA)、IL1A、IL1B、IL2、IL3、IL4、IL5、IL6、IL7、IL8、IL9、IL10、IL11、IL12A、IL12B、IL13、IL14、IL15、IL16、IL17、IL17B、IL18、IL19、IL20、IL22、IL23、IL24、IL25、IL26、IL27、IL28A、IL28B、IL29、IL30、PDGFA、PDGFB、TGFA、TGFB1、TGFB2、TGFB3、LTA(TNF−b)、LTB、TNF(TNF−a)、TNFSF4(OX40リガンド)、TNFSF5(CD40リガンド)、TNFSF6(FasL)、TNFSF7(CD27リガンド)、TNFSF8(CD30リガンド)、TNFSF9(4−1BBリガンド)、TNFSFIO(TRAIL)、TNFSF1I(TRANCE)、TNFSF12(APO3L)、TNFSF13(April)、TNFSF13B、TNFSF14(HVEM−L)、TNFSF15(VEGI)、TNFSF18、HGF(VEGFD)、VEGF、VEGFB、VEGFC、ILIR1、IL1R2、IL1RL1、IL1RL2、IL2RA、IL2RB、IL2RG、IL3RA、IL4R、IL5RA、IL6R、IL7R、IL8RA、IL8RB、IL9R、ILI0RA、ILI0RB、IL11RA、IL12RB1、IL12RB2、IL13RA1、IL13RA2、IL15RA、IL17R、IL18R1、IL20RA、IL21R、IL22R、IL1HY1、IL1RAP、IL1RAPL1、IL1RAPL2、IL1RN、IL6ST、IL18BP、IL18RAP、IL22RA2、AIFI、HGF、LEP(レプチン)、PTN及びTHPOからなる群から選択される1種、2種、又はそれ以上のサイトカイン、サイトカイン関連タンパク質及びサイトカイン受容体に結合することができる。 別の実施態様において、標的分子は、CCLI(I−309)、CCL2(MCP−1/MCAF)、CCL3(MIP−la)、CCL4(MIP−lb)、CCL5(RANTES)、CCL7(MCP−3)、CCL8(mcp−2)、CCLH(エオタキシン)、CCL13(MCP−4)、CCL15(MIP−ld)、CCL16(HCC−4)、CCL17(TARC)、CCL18(PARC)、CCL19(MDP−3b)、CCL20(MIP−3a)、CCL21(SLC/エクソダス−2)、CCL22(MDC/STC−I)、CCL23(MPIF−I)、CCL24(MPIF−2/エオタキシン−2)、CCL25(TECK)、CCL26(エオタキシン−3)、CCL27(CTACK/ILC)、CCL28、CXCLI(GROI)、CXCL2(GRO2)、CXCL3(GR03)、CXCL5(ENA−78)、CXCL6(GCP−2)、CXCL9(MIG)、CXCL10(IP10)、CXCL11(I−TAC)、CXCL12(SDFI)、CXCL13、CXCL14、CXCL16、PF4(CXCL4)、PPBP(CXCL7)、CX3CL1(SCYDI)、SCYEI、XCLI(リンホタクチン)、XCL2(SCM−lb)、BLRI(MDR15)、CCBP2(D6/JAB61)、CCR1(CKRI/HM145)、CCR2(mcp−IRB/RA)、CCR3(CKR3/CMKBR3)、CCR4、CCR5(CMKBR5/ChemR13)、CCR6(CMKBR6/CKR−L3/STRL22/DRY6)、CCR7(CKR7/EBII)、CCR8(CMKBR8/TERI/CKR−LI)、CCR9(GPR−9−6)、CCRLI(VSHKI)、CCRL2(L−CCR)、XCRI(GPR5/CCXCRI)、CMKLRI、CMKORI(RDCI)、CX3CR1(V28)、CXCR4、GPR2(CCRIO)、GPR31、GPR81(FKSG80)、CXCR3(GPR9/CKR−L2)、CXCR6(TYMSTR/STRL33/Bonzo)、HM74、IL8RA(IL8Ra)、IL8RB(IL8Rb)、LTB4R(GPR16)、TCPIO、CKLFSF2、CKLFSF3、CKLFSF4、CKLFSF5、CKLFSF6、CKLFSF7、CKLFSF8、BDNF、C5R1、CSF3、GRCCIO(CIO)、EPO、FY(DARC)、GDF5、HDFIA、DL8、PRL、RGS3、RGS13、SDF2、SLIT2、TLR2、TLR4、TREMI、TREM2及びVHLからなる群から選択されるケモカイン、ケモカイン受容体又はケモカイン関連タンパク質である。 別の実施態様において、本発明のヘテロ多量体タンパク質は、ABCFI;ACVRI;ACVRIB;ACVR2;ACVR2B;ACVRLI;AD0RA2A;アグリカン;AGR2;AICDA;AIFI;AIGI;AKAPI;AKAP2;AMH;AMHR2;ANGPTI;ANGPT2;ANGPTL3;ANGPTL4;ANPEP;APC;APOCI;AR;AZGPI(亜鉛−a−糖タンパク質);B7.1;B7.2;BAD;BAFF(BLys);BAGI;BAH;BCL2;BCL6;BDNF;BLNK;BLRI(MDR15);BMPI;BMP2;BMP3B(GDFIO);BMP4;BMP6;BMP8;BMPRIA;BMPRIB;BMPR2;BPAGI(プレクチン);BRCAI;C19orflO(IL27w);C3;C4A;C5;C5R1;CANTI;CASP1;CASP4;CAVI;CCBP2(D6/JAB61);CCLI(1−309);CCLII(エオタキシン);CCL13(MCP−4);CCL15(MIP−Id);CCL16(HCC−4);CCL17(TARC);CCL18(PARC);CCL19(MIP−3b);CCL2(MCP−1);MCAF;CCL20(MIP−3a);CCL21(MTP−2);SLC;エクソダス−2;CCL22(MDC/STC−I);CCL23(MPIF−1);CCL24(MPIF−2/エオタキシン−2);CCL25(TECK);CCL26(エオタキシン−3);CCL27(CTACK/ILC);CCL28;CCL3(MTP−la);CCL4(MDP−lb);CCL5(RANTES);CCL7(MCP−3);CCL8(mcp−2);CCNAI;CCNA2;CCNDI;CCNEI;CCNE2;CCRI(CKRI/HM145);CCR2(mcp−IRB/RA);CCR3(CKR3/CMKBR3);CCR4;CCR5(CMKBR5/ChemR13);CCR6(CMKBR6/CKR−L3/STRL22/DRY6);CCR7(CKR7/EBII);CCR8(CMKBR8/TERI/CKR−LI);CCR9(GPR−9−6);CCRLI(VSHKI);CCRL2(L−CCR);CD164;CD19;CDIC;CD20;CD200;CD22;CD24;CD28;CD3;CD37;CD38;CD3E;CD3G;CD3Z;CD4;CD40;CD40L;CD44;CD45RB;CD52;CD69;CD72;CD74;CD79A;CD79B;CD8;CD80;CD81;CD83;CD86;CDHI(E−カドヘリン);CDH10;CDH12;CDH13;CDH18;CDH19;CDH20;CDH5;CDH7;CDH8;CDH9;CDK2;CDK3;CDK4;CDK5;CDK6;CDK7;CDK9;CDKNIA(p21Wapl/Cipl);CDKNIB(p27Kipl);CDKNIC;CDKN2A(P16INK4a);CDKN2B;CDKN2C;CDKN3;CEBPB;CERI;CHGA;CHGB;キチナーゼ;CHST10;CKLFSF2;CKLFSF3;CKLFSF4;CKLFSF5;CKLFSF6;CKLFSF7;CKLFSF8;CLDN3;CLDN7(クローディン−7);CLN3;CLU(クラステリン);CMKLRI;CMKORI(RDCI);CNRI;COL18A1;COLIAI;COL4A3;COL6A1;CR2;CRP;CSFI(M−CSF);CSF2(GM−CSF);CSF3(GCSF);CTLA4;CTNNBI(b−カテニン);CTSB(カテプシンB);CX3CL1(SCYDI);CX3CR1(V28);CXCLI(GROI);CXCL10(IP−10);CXCLII(l−TAC/IP−9);CXCL12(SDFI);CXCL13;CXCL14;CXCL16;CXCL2(GRO2);CXCL3(GRO3);CXCL5(ENA−78/LIX);CXCL6(GCP−2);CXCL9(MIG);CXCR3(GPR9/CKR−L2);CXCR4;CXCR6(TYMSTR/STRL33/Bonzo);CYB5;CYCI;CYSLTRI;DAB2IP;DES;DKFZp451 J01 18;DNCLI;DPP4;E2F1;ECGFI;EDGI;EFNAI;EFNA3;EFNB2;EGF;EGFR;ELAC2;ENG;ENO1;ENO2;ENO3;EPHB4;EPO;ERBB2(Her−2);EREG;ERK8;ESRI;ESR2;F3(TF);FADD;FasL;FASN;FCERIA;FCER2;FCGR3A;FGF;FGFI(aFGF);FGF10;FGF11;FGF12;FGF12B;FGF13;FGF14;FGF16;FGF17;FGF18;FGF19;FGF2(bFGF);FGF20;FGF21;FGF22;FGF23;FGF3(int−2);FGF4(HST);FGF5;FGF6(HST−2);FGF7(KGF);FGF8;FGF9;FGFR3;FIGF(VEGFD);FELI(EPSILON);FILI(ZETA);FLJ12584;FLJ25530;FLRTI(フィブロネクチン);FLTI;FOS;FOSLI(FRA−I);FY(DARC);GABRP(GABAa);GAGEBI;GAGECI;GALNAC4S−6ST;GATA3;GDF5;GFI1;GGT1;GM−CSF;GNASI;GNRHI;GPR2(CCRIO);GPR31;GPR44;GPR81(FKSG80);GRCCIO(CIO);GRP;GSN(ゲルゾリン);GSTPI;HAVCR2;HDAC4;HDAC5;HDAC7A;HDAC9;HGF;HIFIA;HDPI;ヒスタミン及びヒスタミン受容体;HLA−A;HLA−DRA;HM74;HMOXI;HUMCYT2A;ICEBERG;ICOSL;ID2;IFN−a;IFNAI;IFNA2;IFNA4;IFNA5;IFNA6;IFNA7;IFNB1;IFNガンマ;DFNWI;IGBPI;IGFI;IGFIR;IGF2;IGFBP2;IGFBP3;IGFBP6;IL−I;IL10;IL10RA;IL10RB;IL11;IL11RA;IL−12;IL12A;IL12B;IL12RB1;IL12RB2;IL13;IL13RA1;IL13RA2;IL14;IL15;IL15RA;IL16;IL17;IL17B;IL17C;IL17R;IL18;IL18BP;IL18R1;IL18RAP;IL19;IL1A;IL1B;ILIF10;IL1F5;IL1F6;IL1F7;IL1F8;IL1F9;IL1HYI;IL1RI;IL1R2;IL1RAP;IL1RAPL1;IL1RAPL2;IL1RL1;IL1RL2,ILIRN;IL2;IL20;IL20RA;IL21R;IL22;IL22R;IL22RA2;IL23;IL24;IL25;IL26;IL27;IL28A;IL28B;IL29;IL2RA;IL2RB;IL2RG;IL3;IL30;IL3RA;IL4;IL4R;IL5;IL5RA;IL6;IL6R;IL6ST(糖タンパク質130);EL7;EL7R;EL8;IL8RA;DL8RB;IL8RB;DL9;DL9R;DLK;INHA;INHBA;INSL3;INSL4;IRAKI;ERAK2;ITGAI;ITGA2;ITGA3;ITGA6(a6インテグリン);ITGAV;ITGB3;ITGB4(b4インテグリン);JAGI;JAKI;JAK3;JUN;K6HF;KAII;KDR;KITLG;KLF5(GCボックスBP);KLF6;KLKIO;KLK12;KLK13;KLK14;KLK15;KLK3;KLK4;KLK5;KLK6;KLK9;KRT1;KRT19(ケラチン19);KRT2A;KHTHB6(毛特異的タイプHケラチン);LAMAS;LEP(レプチン);Lingo−p75;Lingo−Troy;LPS;LTA(TNF−b);LTB;LTB4R(GPR16);LTB4R2;LTBR;MACMARCKS;MAG又はOmgp;MAP2K7(c−Jun);MDK;MIBI;ミドカイン;MEF;MIP−2;MKI67;(Ki−67);MMP2;MMP9;MS4A1;MSMB;MT3(メタロチオネクチン−III);MTSSI;MUCI(ムチン);MYC;MYD88;NCK2;ニューロカン;NFKBI;NFKB2;NGFB(NGF);NGFR;NgR−Lingo;NgR−Nogo66(Nogo);NgR−p75;NgR−Troy;NMEI(NM23A);N0X5;NPPB;NROBI;NR0B2;NRIDI;NR1D2;NR1H2;NR1H3;NR1H4;NR1I2;NR1I3;NR2C1;NR2C2;NR2E1;NR2E3;NR2F1;NR2F2;NR2F6;NR3C1;NR3C2;NR4A1;NR4A2;NR4A3;NR5A1;NR5A2;NR6A1;NRPI;NRP2;NT5E;NTN4;ODZI;OPRDI;P2RX7;PAP;PARTI;PATE;PAWR;PCA3;PCNA;PDGFA;PDGFB;PECAMI;PF4(CXCL4);PGF;PGR;ホスファカン;PIAS2;PIK3CG;PLAU(uPA);PLG;PLXDCI;PPBP(CXCL7);PPID;PRI;PRKCQ;PRKDI;PRL;PROC;PROK2;PSAP;PSCA;PTAFR;PTEN;PTGS2(COX−2);PTN;RAC2(p21Rac2);RARB;RGSI;RGS13;RGS3;RNFIIO(ZNF144);ROBO2;S100A2;SCGB1D2(リポフィリンB);SCGB2A1(マンマグロビン2);SCGB2A2(マンマグロビン1);SCYEI(内皮性単球活性化サイトカイン);SDF2;SERPINAI;SERPINA3;SERP1NB5(マスピン);SERPINEI(PAI−I);SERPDMF1;SHBG;SLA2;SLC2A2;SLC33A1;SLC43A1;SLIT2;SPPI;SPRRIB(Sprl);ST6GAL1;STABI;STAT6;STEAP;STEAP2;TB4R2;TBX21;TCPIO;TDGFI;TEK;TGFA;TGFBI;TGFBIII;TGFB2;TGFB3;TGFBI;TGFBRI;TGFBR2;TGFBR3;THIL;THBSI(トロンボスポンジン−1);THBS2;THBS4;THPO;TIE(Tie−1);TMP3;組織因子;TLRIO;TLR2;TLR3;TLR4;TLR5;TLR6;TLR7;TLR8;TLR9;TNF;TNF−a;TNFAEP2(B94);TNFAIP3;TNFRSFIIA;TNFRSFIA;TNFRSFIB;TNFRSF21;TNFRSF5;TNFRSF6(Fas);TNFRSF7;TNFRSF8;TNFRSF9;TNFSFIO(TRAIL);TNFSFI1(TRANCE);TNFSF12(APO3L);TNFSF13(April);TNFSF13B;TNFSF14(HVEM−L);TNFSF15(VEGI);TNFSF18;TNFSF4(OX40リガンド);TNFSF5(CD40リガンド);TNFSF6(FasL);TNFSF7(CD27リガンド);TNFSF8(CD30リガンド);TNFSF9(4−1BBリガンド);TOLLIP;Toll様受容体;TOP2A(トポイソメラーゼEa);TP53;TPMI;TPM2;TRADD;TRAFI;TRAF2;TRAF3;TRAF4;TRAF5;TRAF6;TREMI;TREM2;TRPC6;TSLP;TWEAK;VEGF;VEGFB;VEGFC;バーシカン;VHLC5;VLA−4;XCLI(リンホタクチン);XCL2(SCM−lb);XCRI(GPR5/CCXCRI);YYI;及びZFPM2からなる群から選択される1個又は複数個の標的に結合することができる。 本発明に包含される抗体に関する好ましい分子標的分子として、CDタンパク質、例えばCD3、CD4、CD8、CD16、CD19、CD20、CD34;CD64、EGFレセプター、HER2、HER3又はHER4受容体等のErbB受容体ファミリーのCD200メンバー;細胞接着分子、例えばLFA−1、Mad、p150.95、VLA−4、ICAM−1、VCAM、アルファ4/ベータ7インテグリン、及びそのアルファサブユニット又はベータサブユニットのいずれかを含むアルファv/ベータ3インテグリン(例えば抗CD11a、抗CD18又は抗CD11b抗体);成長因子、例えばVEGF−A、VEGF−C;組織因子(TF);アルファインターフェロン(アルファIFN);TNFアルファ、インターロイキン、例えばIL−1ベータ、IL−3、IL−4、IL−5、IL−8、IL−9、IL−13、IL17A/F、IL−18、IL−13Rアルファ1、IL13Rアルファ2、IL−4R、IL−5R、IL−9R、IgE;血液群抗原;flk2/flt3受容体;肥満(OB)受容体;mpl受容体;CTLA−4;RANKL、RANK、RSV Fタンパク質、プロテインC等が挙げられる。 一実施態様において、本発明のヘテロ多量体タンパク質は、低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質(LRP)−1もしくはLRP−8又はトランスフェリン受容体と、1)ベータ−セクレターゼ(BACE1又はBACE2)、2)アルファ−セクレターゼ、3)ガンマ−セクレターゼ、4)タウ−セクレターゼ、5)アミロイド前駆体タンパク質(APP)、6)細胞死受容体6(DR6)、7)アミロイドベータペプチド、8)アルファ−シヌクレイン、9)パーキン、10)ハンチンチン、11)p75NTR及び12)カスパーゼ−6からなる群から選択される少なくとも1つの標的とに結合する。 一実施態様において、本発明のヘテロ多量体タンパク質は、IL−1アルファ及びIL−1ベータ、IL−12及びIL−18;IL−13及びIL−9;IL−13及びIL−4;IL−13及びIL−5;IL−5及びIL−4;IL−13及びIL−1ベータ;IL−13及びIL−25;IL−13及びTARC;IL−13及びMDC;IL−13及びMEF;IL−13及びTGF−β;IL−13及びLHRアゴニスト;IL−12及びTWEAK、IL−13及びCL25;IL−13及びSPRR2a;IL−13及びSPRR2b;IL−13及びADAM8、IL−13及びPED2、IL17A及びIL17F、CD3及びCD19、CD138及びCD20;CD138及びCD40;CD19及びCD20;CD20及びCD3;CD38及びCD138;CD38及びCD20;CD38及びCD40;CD40及びCD20;CD−8及びIL−6;CD20及びBR3、TNFアルファ及びTGF−ベータ、TNFアルファ及びIL−1ベータ;TNFアルファ及びIL−2、TNFアルファ及びIL−3、TNFアルファ及びIL−4、TNFアルファ及びIL−5、TNFアルファ及びIL6、TNFアルファ及びIL8、TNFアルファ及びIL−9、TNFアルファ及びIL−10、TNFアルファ及びIL−11、TNFアルファ及びIL−12、TNFアルファ及びIL−13、TNFアルファ及びIL−14、TNFアルファ及びIL−15、TNFアルファ及びIL−16、TNFアルファ及びIL−17、TNFアルファ及びIL−18、TNFアルファ及びIL−19、TNFアルファ及びIL−20、TNFアルファ及びIL−23、TNFアルファ及びIFNアルファ、TNFアルファ及びCD4、TNFアルファ及びVEGF、TNFアルファ及びMIF、TNFアルファ及びICAM−1、TNFアルファ及びPGE4、TNFアルファ及びPEG2、TNFアルファ及びRANKリガンド、TNFアルファ及びTe38;TNFアルファ及びBAFF;TNFアルファ及びCD22;TNFアルファ及びCTLA−4;TNFアルファ及びGP130;TNFアルファ及びIL−12p40;VEGF及びHER2、VEGF−A及びHER2、VEGF−A及びPDGF、HER1及びHER2、VEGF−A及びVEGF−C、VEGF−C及びVEGF−D、HER2及びDR5、VEGF及びIL−8、VEGF及びMET、VEGFR及びMET受容体、VEGFR及びEGFR、HER2及びCD64、HER2及びCD3、HER2及びCD16、HER2及びHER3;EGFR(HERI)及びHER2、EGFR及びHER3、EGFR及びHER4、IL−13及びCD40L、IL4及びCD40L、TNFR1及びIL−1R、TNFR1及びIL−6R及びTNFR1及びIL−18R、EpCAM及びCD3、MAPG及びCD28、EGFR及びCD64、CSPGs及びRGM A;CTLA−4及びBTNO2;IGF1及びIGF2;IGF1/2及びErb2B;MAG及びRGM A;NgR及びRGM A;NogoA及びRGM A;OMGp及びRGM A;PDL−I及びCTLA−4;並びにRGM A及びRGM Bからなる群から選択される少なくとも2つの標的分子に結合する。 任意選択で他の分子にコンジュゲートした可溶性抗原又はその断片を、抗体を生成するための免疫原として使用することができる。受容体等の膜貫通分子に関して、その断片(例えば受容体の細胞外ドメイン)を免疫原として使用することができる。あるいは、膜貫通分子を発現する細胞を免疫原として使用することができる。そのような細胞は天然の供給源(例えば癌細胞株)に由来することができ、又は膜貫通分子を発現するように組換え技術により形質転換されている細胞であることができる。抗体を調製するのに有用な他の抗原及びその形態は当業者に明らかだろう。V.実施態様 本発明は、以下に記載する追加の実施態様を提供する。第1の実施態様において、ヘテロ多量体タンパク質の産生方法が提供され、前記方法は、プロテインAで精製した第1のヒンジ含有ポリペプチドを得ること、プロテインAで精製した第2のヒンジ含有ポリペプチドを得ること、各ヒンジ含有ポリペプチドのpHを4〜9に調整すること、第1のヒンジ含有ポリペプチドと第2のヒンジ含有ポリペプチドとを混合して混合ヒンジ含有ポリペプチドプールを得ること、モル過剰の弱還元剤を混合ヒンジ含有ポリペプチドプールに添加すること、並びに混合ヒンジ含有ポリペプチドプールを弱還元剤と共にインキュベートし、第1のヒンジ含有ポリペプチドと第2のヒンジ含有ポリペプチドを含むヘテロ多量体タンパク質を形成することを含む。 第2の実施態様において、及び第1の実施態様によれば、第1のヒンジ含有ポリペプチド及び第2のヒンジ含有ポリペプチドを、半抗体、イムノアドヘシン及びこれらの断片から選択することができる。第3の実施態様において、及び第1の実施態様によれば、第1のヒンジ含有ポリペプチドは半抗体である。第4の実施態様において、及び第1の実施態様によれば、第2のヒンジ含有ポリペプチドはFc成分である。第5の実施態様において、及び第3の実施態様によれば、半抗体は、VLドメイン、CLドメイン、VHドメイン、CH1ドメイン、ヒンジドメイン、CH2ドメイン及びCH3ドメインを含む。第6の実施態様において、及び第5の実施態様によれば、半抗体は、テザーを更に含む単一のポリペプチド鎖であり、前記ドメインは、以下:VL−CL−テザー−VH−CH1−ヒンジ−CH2−CH3のようにN末端からC末端の方向に向かって互いに位置決めされている。第7の実施態様において、及び第1の実施態様によれば、プロテインA精製前に第1のヒンジ含有ポリペプチドと第2のヒンジ含有ポリペプチドとを混合し、プロテインA上で共精製する。第8の実施態様において、及び第1の実施態様によれば、第1のヒンジ含有ポリペプチド及び第2のヒンジ含有ポリペプチドはヘテロ多量体化ドメインを含む。第9の実施態様において、及び第8の実施態様によれば、ヘテロ多量体化ドメインは、ノブイントゥホール変異、ロイシンジッパー、静電気的等から選択される。第10の実施態様において、及び第9の実施態様によれば、第1のヒンジ含有ポリペプチドがノブを含み、第2のヒンジ含有ポリペプチドがホールを含む。第11の実施態様において、及び第1の実施態様によれば、混合後にpHを調整する。第12の実施態様において、及び第1の又は第11の実施態様によれば、上記方法は、pHの調整前に、L−アルギニンを20mM〜1Mの最終濃度まで添加することを更に含む。第13の実施態様において、及び第1の実施態様によれば、上記方法は、混合プールを15℃〜39℃の温度で30分以上にわたってインキュベートすることを更に含む。第14の実施態様において、及び第1の実施態様によれば、構築用混合物の酸化電位は−200〜−600mVであり、より好ましくは−300〜−500mVであり、最も好ましくは−約400mVである。第15の実施態様において、及び第1の実施態様によれば、弱還元剤は、GSH、ベータ−メルカプトエチルアミン、システイン/システイン、GSH/GSSG、システアミン/シスタミン、グリシルシステイン及びベータ−メルカプトエタノールから選択される。第16の実施態様において、及び第1の実施態様によれば、弱還元剤を50〜600モル過剰で添加する。第17の実施態様において、及び第1の実施態様によれば、混合前に弱還元剤を添加する。第18の実施態様において、及び第17の実施態様によれば、混合の1時間未満前に添加を行なう。第19の実施態様において、及び第1の実施態様によれば、構築用混合物をインキュベートするステップをポリビニルピロリドン(PVP)の存在下において15℃〜39℃の温度で行なう。第20の実施態様において、及び第19の実施態様によれば、PVPの前に、PVPと同時に、又はPVPの後にヒスチジンを添加する。第21の実施態様において、及び第19の実施態様によれば、PVPを40%(重量/体積)以下で添加する。 第22の実施態様において、本発明は、二重特異性抗体の産生方法であって、a.プロテインAで精製した第1の半抗体を得ること、b.プロテインAで精製した第2の半抗体を得ること、c.各半抗体にL−アルギニン溶液を添加すること、d.各半抗体のpHを4〜9に調整すること、e.第1の半抗体プールと第2の半抗体プールとを混合して混合半抗体プールを得ること、f.モル過剰の弱還元剤を混合半抗体プールに添加すること、g.混合半抗体プールをPVPの存在下において15℃〜39℃の温度でインキュベートすることを含む方法を提供し、それにより、第1の半抗体及び第2の半抗体を含む二重特異性抗体が産生される。 第23の実施態様において、本発明は、ヘテロ多量体の産生方法であって、(a)少なくとも2種の異なるヒンジ含有ポリペプチドのL−アルギニン含有混合物を準備することであって前記混合物のpHが7〜9であること、(b)モル過剰の弱還元剤を添加すること、及び(c)ヘテロ多量体が産生される条件下で混合物をインキュベートすることを含む方法を提供する。 第24の実施態様において、及び第22の実施態様によれば、第1の半抗体は、(a)VLドメイン及びCLドメインを含む完全長の軽鎖と、(b)テザーと、(c)VHドメイン、CH1ドメイン、ヒンジ、CH2ドメイン及びCH3ドメインを含む完全長の重鎖とを含む単鎖ポリペプチドであり、前記ポリペプチドは、以下:VL−CL−CL/VHテザー−VH−CH1−ヒンジ−CH2−CH3のようにN末端からC末端の方向に向かって互いに位置決めされている軽鎖のドメイン及び重鎖のドメインを含む。第25の実施態様において、及び第24の実施態様によれば、単鎖ポリペプチドはヘテロ多量体化ドメインを更に含む。第26の実施態様において、及び第25の実施態様によれば、ヘテロ多量体化ドメインはホール(例えば空洞)又はノブ(例えば突起)のいずれかである。第27の実施態様において、及び第26の実施態様によれば、第1の半抗体がノブを含む場合には第2の半抗体がホールを含む。第28の実施態様において、及び第26の実施態様によれば、第1の半抗体がホールを含む場合には第2の半抗体がノブを含む。第29の実施態様において、及び第24の実施態様によれば、テザーはGGSの繰り返しを含む。第30の実施態様において、及び第24の実施態様によれば、テザーは15〜50個のアミノ酸である。 第31の実施態様において、本発明は、ヘテロ多量体タンパク質の産生方法であって、(a)プロテインAで精製した第1のヒンジ含有ポリペプチドを得ること、(b)プロテインAで精製した第2のヒンジ含有ポリペプチドを得ること、(c)L−アルギニンの存在下において各ヒンジ含有ポリペプチドのpHを4〜9に調整すること、(d)第1のヒンジ含有ポリペプチドと第2のヒンジ含有ポリペプチドとを混合して混合半抗体プールを得ること、並びにインキュベートして第1のヒンジ含有ポリペプチドと第2のヒンジ含有ポリペプチドを含むヘテロ多量体タンパク質を形成することを含む方法を提供する。 第32の実施態様において、及び第1の又は第31の実施態様によれば、少なくとも一方の半抗体は、(a)VLドメイン及びCLドメインを含む完全長の軽鎖と、(b)テザーと、(c)VHドメイン、CH1ドメイン、ヒンジ、CH2ドメイン及びCH3ドメインを含む完全長の重鎖とを含む単鎖ポリペプチドである。 第33の実施態様において、及び第1の実施態様によれば、第1のヒンジ含有ポリペプチドは、以下:VL−CL−VH−CH1−ヒンジ−CH2−CH3のようにN末端からC末端の方向に向かって互いに位置決めされている軽鎖のドメイン及び重鎖のドメインを含む単鎖ポリペプチドである。第34の実施態様において、及び第33の実施態様によれば、単一のポリペプチド鎖はテザーを更に含み、前記ドメインは、以下:VL−CL−テザー−VH−CH1−ヒンジ−CH2−CH3のようにN末端からC末端の方向に向かって互いに位置決めされている。 第35の実施態様において、本発明は、ヘテロ多量体の産生方法であって、ヒンジ含有ポリペプチドの混合物を含有するL−アルギニンを準備することであって前記混合物のpHが4〜9であること、弱還元剤を添加すること、及びヘテロ多量体を産生するための条件下でインキュベートすることを含む方法を提供する。 第36の実施態様において、本発明は、半抗体を発現するように操作した宿主細胞を提供し、前記半抗体がテザー、VLドメイン、CLドメイン、VHドメイン、CH1ドメイン、ヒンジドメイン、CH2ドメイン及びCH3ドメインを含む単鎖ポリペプチドであり、前記ドメインが以下のようにN末端からC末端の方向に向かって互いに位置決めされている:VL−CL−テザー−VH−CH1−ヒンジ−CH2−CH3。第37の実施態様において、及び第36の実施態様によれば、単一のポリペプチド鎖はヘテロ二量体化ドメインを更に含む。第38の実施態様において、及び第36の又は第37の実施態様によれば、宿主細胞は、原核細胞、真核細胞、哺乳動物細胞又は植物細胞から選択される。第39の実施態様において、及び第38の実施態様によれば、宿主細胞は原核細胞である。第40の実施態様において、及び第39の実施態様によれば、原核細胞は大腸菌細胞である。第41の実施態様において、及び第40の実施態様によれば、大腸菌細胞はlpp欠損である。第42の実施態様において、及び第38の実施態様によれば、宿主細胞は哺乳動物細胞である。第43の実施態様において、及び第41の実施態様によれば、哺乳動物細胞はCHO細胞である。第44の実施態様において、及び第36の又は第37の実施態様によれば、宿主細胞は、単鎖半抗体をコードするベクターを含む。第45の実施態様において、及び第36の又は第37の実施態様によれば、半抗体はヘテロ二量体化ドメインを更に含む。第46の実施態様において、及び第45の実施態様によれば、ヘテロ二量体化ドメインは、ノブ、ホール、ホモ二量体の形成に対して静電気的に有利ではないがヘテロ二量体の形成に対して静電気的に有利である界面内の1種又は複数種の荷電アミノ酸、分子内イオン相互作用を増強するために改変されている1種又は複数種のアミノ酸、コロイドコイル及びロイシンジッパーから選択される。 第47の実施態様において、本発明は、第1の単鎖半抗体を発現するように操作した第1の宿主細胞、及びFc成分を発現するように操作した第2の宿主細胞を含む宿主細胞の混合物を提供する。第48の実施態様において、及び第36の実施態様によれば、宿主細胞によって産生された半抗体はヘテロ二量体化ドメインを含む。 続く実験的開示においては以下の略語が適用される:eq(当量);M(モル濃度);μM(マイクロモル濃度);N(規定度);mol(モル);mmol(ミリモル);μmol(マイクロモル);nmol(ナノモル);g(グラム);mg(ミリグラム);kg(キログラム);μg(マイクログラム);L(リットル);ml(ミリリットル);μl(マイクロリットル);cm(センチメートル);mm(ミリメートル);μm(マイクロメートル);nm(ナノメートル);℃(摂氏温度);h(時間);min(分);sec(秒);msec(ミリ秒)。 本発明を、特許請求される本発明の範囲を限定することを決して意図しない以下の実施例に更に詳細に記載する。添付図面は、本発明の明細書及び説明の不可欠な部分と見なされることを意図されている。全ての参考文献を、その中に記載された全てのものについて、出典明示により本明細書に具体的に援用する。発現及び精製 この実施例は半抗体の発現及び精製を説明する。 大腸菌中における半抗体の構築及び発現の例示的方法を例えば同時係属出願のUS2011/0287009中に見出すことができ、US2011/0287009は、その全体を出典明示により本明細書に援用する。培養条件及び発現条件の変更及び調整は当業者の能力の範囲内である。大腸菌細胞中での半抗体の発現発現プラスミドの構築 重鎖DNAをコードする配列及び軽鎖DNAをコードする配列の両方を、各配列用の別々のプロモーター要素と、発現プラスミドを含有する細菌細胞を選択するための抗生物質耐性とを含有する発現プラスミド中にクローニングした。ベクター構築物はまた、細菌細胞のペリプラズム空間中に抗体ポリペプチドを搬出するために、熱安定性エンテロトキシンII(STII)分泌シグナルもコードする(Picken他、1983、Infect.Immun.42:269〜275及びLee他、1983、Infect.Immun.42:264〜268)。各鎖の転写はphoAプロモーターによって制御されており(Kikuchi他、1981、Nucleic Acids Res.、9:5671〜5678)、翻訳の制御は、相対的翻訳強度を測定した、既に記載したSTIIシグナル配列の多様体によってもたらされており、該多様体は、翻訳開始領域(TIR)におけるサイレントコドン変化を含む(Simmons及びYansura、1996、Nature Biotechnol.14:629〜634並びにSimmons他、2002、J.Immunol.Methods、263:133〜147)。 各半抗体は、米国特許第7,642,228号に記載されているように、重鎖に組み込まれたノブ(突起)又はホール(空洞)のいずれかを有した。簡潔に言うと、CH3ノブ変異体を最初に生成した。次いで、パートナーのCH3ドメイン上のノブに近接する残基366、368、及び407をランダム化することにより、CH3ホール変異体のライブラリを作成した。以下の実施例において、ノブ変異はT366Wであり、ホールは、IgG1バックボーン又はIgG4バックボーン中において変異T366S、L368A及びY407Vを有した。当業者は、他の免疫グロブリンのアイソタイプにおける等価の変異を行なうことができる。更に、当業者は、二重特異性のために使用する2種の半抗体が同じアイソタイプであることが好ましいことを容易に認識するだろう。発現及び精製 細菌宿主細胞中で、例えば大腸菌中で重鎖構築物及び軽鎖構築物を発現させることにより、ノブ変異又はホール変異のいずれかを含有する半抗体を別々の培養液中で生成した。発現プラスミドを大腸菌宿主株33D3(Ridgway他(1999)59(11):2718)中に又は64B4(W3110ΔfhuAΔphoA ilvG+Δprc spr43H1ΔdegPΔmanA lacIqΔompT)中に導入し、カルベニシリン含有LBプレート上で形質転換体を選択した。次いで、形質転換体を使用してカルベニシリンを含有するLB種培養液を播種し、これを30℃で振とうしつつ一晩増殖させた。カルベニシリンを含有するリン酸塩制限培地C.R.A.P.(Simmons他、2002、J.Immunol.Methods、263:133〜147)中に種培養液を100倍に希釈し、培養液を30℃で振とうしつつ24時間にわたって増殖させた。培養液を遠心分離し、細胞ペレットを抗体精製の開始まで凍結した。ペレットを解凍し、塩酸でpH7.5に調整した25mMのトリス塩基、125mMのNaCl及び5mMのEDTA(TEB又はトリス抽出緩衝液)を含有する並びに体積対重量比が100mLのTEB/5グラムの細胞ペレットである抽出緩衝液中に再懸濁させ、再懸濁した混合物をMicrofluidics Corporationモデル110Fマイクロフルイダイザー(Newton,Mass.)に3回通すことにより、マイクロ流体工学を使用して細胞を破壊することによって抽出した。次いで、細菌細胞抽出液を15,000×gで20分にわたって遠心分離することにより清澄化し、上清を回収して精製前に0.22ミクロンアセテートフィルタに通してろ過した。 プロテインAアフィニティークロマトグラフィーにより各半抗体を別々に精製した。ノブ半抗体に由来する清澄化細胞抽出液を、GE Healthcare(Pistcataway, N.J.)の1mL HiTrap MABSELECT SURE(商標)カラム上に2mL/分で負荷した。負荷後、カラムを、10カラム容積(CV)の40mMクエン酸ナトリウム(pH6.0)、125mMの塩化ナトリウム及び5mMのEDTAで洗浄し、続いてpH6.0において5カラム容積の20mMのクエン酸ナトリウムで洗浄し、カチオン交換カラムによる捕捉を容易にした。アフィニティー捕捉した半抗体を、10カラム容積(CV)の0.2mM酢酸(pH2〜3)で溶出させた。CHO細胞中での半抗体の発現発現プラスミドの構築 重鎖cDNA及び軽鎖cDNAの両方は、サイトメガロウイルス前初期遺伝子プロモーター及びエンハンサー(CMV)の制御下にあった。各CMV転写開始部位の後にスプライスドナー配列及びスプライスアクセプター配列が続いており、これらは、最終転写産物から除去されるイントロンを定義する(Lucas他、High−level production of recombinant proteins in CHO cells using a dicistronic DHFR intron expression vector.Nucl.Acid Res.(1996)24:1774〜9)。安定した細胞株を開発するための選択マーカーとしてグルタミンシンテターゼ(GS)酵素を使用し(Sanders他、Amplification and cloning of the Chinese hamster glutamine synthetase gene.The EMBO J(1984)3:65〜71)、グルタミンシンテターゼ(GS)酵素はSV40初期プロモーター及びエンハンサーの制御下にあった。細胞培養 37℃及び5%CO2での振とうフラスコ容器中において専用のDMEM/F12ベース培地中でCHO細胞を培養した。3日〜4日ごとに3×105個/mLの播種密度で細胞を継代させた。安定的遺伝子導入 製造業者の推奨(Invitrogen、Carlsbad、CA)に従いリポフェクタミン2000CDを使用してCHO細胞に遺伝子導入した。遺伝子導入した細胞を遠心分離し、様々な濃度のメチオニンスルホキシイミン(MSX)を含むDMEM/F−12ベース選択(グルタミンフリー)培地中に播種した。播種の約3週間後、個々のコロニーを96ウェルプレート中に採取した。ELISA分析用に上清を取ることにより、採取したコロニーを抗体産生に関して評価した。最上位のクローンをスケールアップし、抗体力価、好ましい代謝(主に乳酸塩消費)及び許容される産物の品質特性に基づいて評価した。発現 各半抗体をCHO細胞中で発現させた。2Lの培養液を増殖させて採取した。半抗体の精製 各半抗体をMABSELECT SURE(商標)カラム上に捕捉した。次いで、カラムを4カラム容積(CV)の以下の緩衝液で洗浄した:50mMのトリスpH8.0、150mMのNaClからなる平衡緩衝液、及び0.4Mのリン酸カリウムpH7.0からなる洗浄緩衝液。各群をpH2.9で0.15Mの酢酸ナトリウム中に溶出させた。 半抗体の発現及び精製の前記方法は一般的に、様々なアイソタイプのIgGに適用可能である。可溶化剤及びpHの保持 以下の実施例は、中間pHでの半抗体のインキュベーションにより、どのようにしてコンフォメーションシフトが駆動して構築効率が向上したか、並びにアルギニン及びヒスチジン等の可溶化剤の添加により、どのようにして中間pHにより誘発される半抗体の沈殿が減少したかを詳述する。 通常は抗体の溶媒に露出しない表面内にある疎水性パッチを含有することができるCH2ドメイン及びCH3ドメインの露出した内表面に起因して、半抗体プロテインAプールは本質的に不安定である。そのため、pHを4よりも高く調整した場合には半抗体プロテインAプールが沈殿する傾向がある。本発明者らは、最小濃度のL−アルギニンの存在(ある例において50mM以上)により半抗体がpH調整時に安定化されて溶液中に残存することを発見した。アルギニン等の可溶化剤のこの添加により、半抗体が溶液中に維持され、pH調整時の濁度が低下し、二重特異性の構築収率が増加した。図3参照。アルギニンはまた、二重特異性半抗体を保護し、精製した二重特異性半抗体を凍結中における凝集の形成から保護した。同様の沈殿減少効果はまた、ヒスチジンおいても見られた。 実施例1におけるプロテインAカラムから回収したタンパク質をこの実施例の出発物質として使用した。 プロテインAで精製したタンパク質にL−アルギニン(1M、pH9)を50〜600mMの最終濃度まで添加した。その後に必要に応じて、1.5Mのトリス塩基(pH11)を使用して溶液をより高いpHに滴定した。プロテインAカラムからの酸性溶出後に中間pHに上昇させるステップを中間pHの保持と称する。 CH3ドメインにおけるノブ変異及びホール変異に起因して、二重特異性抗体は、標準的な抗体と比べて異なる程度の柔軟性を有する。この独特な柔軟性とCH2ドメイン及びCH3ドメインの露出した内表面との結果、半抗体は、pHの調整時にコンフォメーションシフトを起こすように思われた。図2参照。この実験において、pHを4よりも高いpHに調整した場合、ノブはモノマーから非共有結合的に連結されたホモ二量体へのシフトを起こした。図2B参照。サイズ排除クロマトグラフィーの保持時間によると、ホールは、より小さい流体力学半径からより大きい流体力学半径へのコンフォメーションシフトを起こした。シフトはpH5で起こり始めており、7以上のpHでシフトが完了した。図2A参照。 抗体の凝集及びオリゴマー状態を測定するためのサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)をHPLCクロマトグラフィーにより行なった。簡潔に言うと、プロテインAで精製した抗体を、Agilent HPLC1200システム上のTosoh TSKgel SW2000カラムにアプライした。タンパク質(大腸菌中で産生したIgG1半抗体)を、0.2MのK3PO4 0.25MのKCl pH6.2により0.5mL/分の流速で溶出させた。溶出したタンパク質を、UV吸光度及びピーク面積の積分により定量化した。図2A及び図2B参照。このシフトは、半抗体、特にCH3ドメイン中に変異を有するノブ半抗体及びホール半抗体のより高い柔軟性に起因するpH変化によって誘発された折り畳み中間物を示すことができる。 しかしながら、中間pHの保持により半抗体の沈殿が生じる可能性がある。図3Aに示すように、アルギニンの存在により、プロテインAで精製したIgG1ノブ半抗体のpHにより誘発される濁度が低下した。この実験において、1Mのアルギニンを使用して、大腸菌で産生したIgG1半抗体プロテインAプールのpHを滴定した。pHを5.5に滴定した場合のアルギニンの最終濃度は約50mMであり、pH7.5で約200mMであり、pH8.5で約400mMであった(図3A参照)。アルギニンの存在により、ノブイントゥホール二重特異性抗体の構築収率も15%向上した(データは示さない)。 同様に、ヒスチジンは、沈殿に起因するpHにより誘発される濁度を低下させることができた。MABSELECT SURE(商標)カラムにより「ノブ」IgG1半抗体を大腸菌破砕物から精製し、12g/Lの濃度の半抗体を含むプロテインAプールを得た。4分の1の体積のアルギニン塩酸塩又はヒスチジン塩酸塩を200mMの最終添加濃度まで添加し、「未処理」対照用に等しい体積の精製水を添加した。濃縮水酸化ナトリウム(50重量/体積%NaOH溶液、又は19.1N)滴加を使用して試料のpHを上昇させ、データ点を記録した。Orion Ross81−03マイクロプローブを使用してpHを測定した。Hach 2100実験室濁度計を使用して溶液の濁度を測定した。 図3Bにおけるデータは、アルギニン(200mM)及びヒスチジン(200mM)の両方により、大腸菌から単離したIgG1においてpHにより誘発される沈殿が低減することを示した。要約すると、中間pHにより、二重特異性の構築に有利な半抗体のコンフォメーションシフトが誘発され、中間pHの保持ステップへの可溶化剤の添加により、pHにより誘発される沈殿が低減した。還元 以下の実施例は、還元条件の使用により、どのようにして凝集が低減して所望のヘテロ多量体、例えば二重特異性抗体のより多くの形成がもたらされるかを詳述する。例えば構築用混合物にグルタチオンを添加することにより、ノブイントゥホール二重特異性の構築に有利である弱還元条件が作られる。BMEA(ベータ−メルカプトエチルアミン)等の同様の種類における他の還元剤は同様の効果を有することができる。 凝集は、ノブ半抗体及びホール半抗体を構築して二重特異性を形成する最中に生じる可能性がある。グルタチオンレベルの増加により、構築中の凝集量が最小化される。これに対して、高濃度でのDTT等の強還元剤は、ときには凝集を増加させる可能性がある。特定のメカニズムに限定することなく、グルタチオンは、恒久的にジスルフィド結合を低減するのではなく、適切なジスルフィド形成の促進剤として作用するジスルフィドを組換えると考えられる。グルタチオンの構築により、目的の二重特異性産物におけるヒンジ領域のジスルフィドを形成するために緩衝液を交換する必要はないが、強還元剤を使用する場合には再酸化のために必要である。グルタチオン等の弱還元剤を使用する場合も化学的再酸化剤を添加する必要はない。 グルタチオン濃度をモル濃度で、又は構築用混合物中に存在するヒンジ含有ポリペプチドもしくは半抗体の量に対するモル比で表すことができる。構築用混合物中におけるタンパク質濃度に対する還元剤対照の標的モル比を使用することにより、タンパク質濃度の変化による過度の還元又は還元の不足を予防する。 この実施例において、グルタチオンを混合半抗体に2〜200倍モル過剰で添加した。試料を室温で46時間にわたってインキュベートした。RP−HPLC(逆相高速液体クロマトグラフィー)において、全ての試料を0.1%トリフルオロ酢酸で1.0mg/mlの最大濃度まで希釈した。280nmでの光度測定によりタンパク質濃度を測定した。0.1%トリフルオロ酢酸からなる4つの試料を試料分析前に注入した。このことにより、カラムが完全に平衡化されることが保証された。プロテインAで精製した大腸菌産生IgG1半抗体を、Agilent HPLC1200システム上のPoros R2/20 直径2.1mm×長さ20mmにアプライした。38〜49%緩衝液Aの直線勾配により、タンパク質を0.5mL/分の流速において20分で0.09%トリフルオロ酢酸80%アセトニトリル(緩衝液B)に溶出させた。溶出したタンパク質をUV吸光度及びピーク面積の積分により定量化した。図4Aに示すように、二重特異性形成のレベルはグルタチオン:Abのモル比の増加に伴い増加した。図4A参照。 抗体の凝集及びオリゴマー状態を測定するためにサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を行なった。簡潔に言うと、プロテインAで精製した大腸菌産生IgG1半抗体を、Agilent HPLC1200システム上のTosoh TSKゲル SW2000カラムにアプライした。タンパク質を、0.2MのK3PO4 0.25MのKCl pH6.2により0.5mL/分の流速で溶出させた。溶出したタンパク質を、UV吸光度及びピーク面積の積分により定量化した。観察した150kDのピークは二重特異性抗体の形成によるものであることを確認した。図4B参照。 図に示すように、不必要なモノマー(即ち、半抗体、ノブ又はホールのいずれか)及びホモ二量体からヘテロ多量体、即ち二重特異性抗体へのピークのシフトが存在する(図4A及び図4B)。要約すると、データは、半抗体に対するグルタチオンのモル比の増加により、凝集が低減して二重特異性の形成が向上したことを示す(図4B)。温度 この実施例は、半抗体の安定性及びヘテロ多量体の構築への温度の影響を説明する。 半抗体の溶液の温度は、構築速度への劇的な影響を及ぼした。高温における大腸菌産生IgG1半抗体の構築の増強の一例を図5Aに示す。 二重特異性の構築への温度の影響を示す別の例を図5Bに示す。この実験において、実施例1に記載したように、2種のIgG1半抗体を大腸菌中で産生してプロテインA上で精製した。半抗体を組み合わせ、並びに加熱及び/又は中間pHの保持を含む又は含まない様々な条件下で二重特異性の構築を試験するために4つのアリコートに分けた。 図5Bに示すように、200モル過剰のグルタチオンは、変動条件下で二重特異性IgG1抗体の形成速度を高めた。対照条件(室温、約20℃、半抗体をpH4に維持し、中間pHの保持がなかった)では、より遅い速度ではあるが二重特異性の構築が可能であった。プロテインAで精製した半抗体を中間pH(ノブ半抗体に関してはpH5;ホール半抗体に関してはpH7)で16時間にわたって室温において保持することにより、高温になることなく二重特異性抗体の形成速度が改善された(図5Bにおいて、構築用混合物はpH8.5で「pH最適化」された)。中間pHの保持ステップを行なうことなく温度を37℃まで高めることにより、二重特異性抗体の構築速度が対照よりも増加し、構築速度はpH保持ステップ及び室温で行なった構築と比べて速かった。しかしながら、最速の構築速度は、プロテインAで精製した半抗体を(前記のように)中間pHで保持し、次いで、pH8.5及び昇温(即ち37℃)で構築した場合に見られた。この条件下では、わずか約6時間で約80%の二重特異性の構築が達成された(図5B)。要約すると、加熱により全体的に構築速度が増加し、pHの保持及び加熱は構築への相乗効果を有していた。 加熱により増強された構築はまた、IgG4二重特異性抗体においても見られた。図6Bの結果は、PVP及びヒスチジンの存在下において、大腸菌培養により産生して加熱したIgG4半抗体が大腸菌産生IgG1半抗体の構築と同様の構築結果を達成したことを示す。上述した逆相HPLCを使用して二重特異性の量を分析した。まとめると、データは、加熱により二重特異性の形成が促進されたことを示す。安定化剤 以下の実施例は、構築中及び/又は中間pHの保持中での加熱及び/又はpHの上昇による凝集を安定化剤がどのようにして低減することができるかを詳述する。 ポリビニルピロリドン(PVP)は、ピロリドン基を有する水溶性の非荷電ポリマーである。PVPは加熱構築中に凝集を低減した。特定のメカニズムに限定することなく、PVPは、二重特異性の折り畳み中間体を安定化させるように作用することができ、又はおそらく二重特異性の疎水性パッチとの相互作用による凝集から半抗体を保護することができる。 実施例3に記載した条件下でSECを使用して凝集体形成へのPVPの影響を分析した。PVPの添加により、構築されたプール中に存在する高分子量種(HMWS)を、PVPを添加しない4%NMWSと比べて4%PVP(重量/体積)を有する12%HMWSまで最小化した。図6A参照。全ての試料は、200mMのアルギニンの存在下で加熱した大腸菌産生IgG1であった。 次に、IgG4二重特異性抗体の構築を試験した。図6Bに示すように、PVP及びヒスチジンの存在下での加熱構築により、大腸菌産生IgG4二重特異性の構築が図5Aに示す大腸菌により産生したIgG1の加熱構築と同様のレベルまで大きく改善された。アルギニンは、可溶化剤及びpH滴定剤として加熱試料及び室温試料の両方に存在した。PVPに加えて別の安定化剤であるヒスチジンを、加熱した中間pHの保持ステップ前に添加し、このステップ中に半抗体を安定化させた。結果は、PVP及びヒスチジンの両方がIgG4二重特異性の構築をIgG1二重特異性の構築と同様のレベルまで改善したことを示す(図6Bと図5Bとの比較)。 図6Cは、IgG4二重特異性抗体の加熱構築中においてPVPがHMWSの形成を最小化した別の実施例を示す。 半抗体プロテインAプールの加熱により、中間pHでのインキュベーション時に半抗体のコンフォメーションシフトが促進された。しかし、加熱により、特に大腸菌中で産生したIgG4半抗体に由来するIgG4ノブ二重特異性抗体の構築及びIgG4ホール二重特異性抗体の構築に関して凝集が起こる可能性がある。そのため、構築中にIgG4半抗体を加熱した場合に追加的な可溶化剤及び/又は安定化剤を添加した。 室温でのインキュベーションの48時間後に、大腸菌IgG4ホール半抗体のコンフォメーションシフトを検出した。IgG4ホール半抗体を37℃でインキュベートした場合には、約3時間内にコンフォメーションシフトを検出した(データは示さない)。しかしながら、SECにより測定したように加熱により凝集の増加がもたらされた。図7の左側のパネルを参照。この実験では、加熱した中間pHの保持ステップ中にヒスチジンを添加し、半抗体の凝集の低減へのヒスチジンの影響を試験した。図7に示すように、加熱中におけるヒスチジンの存在により、半抗体のコンフォメーションシフトに影響を及ぼすことなく、凝集のレベルが11%高分子量種(HMWS、ヒスチジンなし)から6%HMWS(200mMのヒスチジン)へと最小化された。そのため、結果は、二重特異性抗体の構築及び半抗体の中間pHの保持の両方の最中で安定化剤が凝集体形成を低減したことを示す。構築 この実施例は、2種の例示的免疫グロブリンのアイソタイプ、即ちIgG1及びIgG4に関するプロトコルを提供する。半抗体を2種の異なる宿主細胞、即ち大腸菌又はCHOのうちのいずれか一方で産生した。本明細書に記載した方法を同じ又は他の供給源中で産生した他の抗体のアイソタイプに適用することができることが理解される。当分野における知識及び本出願で開示した教示に基づくルーチン的な実験によりプロトコルを変更することは当業者の能力の範囲内である。 更に、第1の宿主細胞(例えばCHO)中で産生した半抗体を含む抗体の形成を、第2の宿主細胞(例えば大腸菌)中で産生した相補的な半抗体と共に構築することができることが理解される(データは示さない)。そのため、例えばCHO中で産生したノブ半抗体を大腸菌中で産生したホール半抗体と共に構築することができ、その逆を行なうこともできる。 この実施例に記載した4種全ての構築手順により、4時間後に定常となり、生じる凝集体が10%未満であり、及び構築中に生じる凝集が最小である構築が得られた。A.大腸菌に由来するIgG1 半抗体のコンフォメーション変化:プロテインAプールのpHが7未満であった場合、1Mのアルギニン(pH9)を使用して両方の半抗体プールのpHをpH7に調整し、両方のプールを37℃で3時間にわたってインキュベートした。あるいは、プールを室温で48時間にわたってインキュベートした。プールが48時間以上にわたって既にpH7であった場合、このステップを省略する。溶液をpH7にするために添加したアルギニンの量を定量化した。 (まだ暖かい)プールを組み合わせ、1Mのアルギニン(pH9)を使用してpHをpH8.5に調整した。この段階で添加したアルギニンの量を定量化した。 アルギニンの最終濃度が0.5Mとなるまで2Mのアルギニン(pH8.5)を添加した。 0.5Mのアルギニン(最終pH8.5)中の200mMの還元グルタチオン(GSH)をGSH:抗体比が200倍になるまで添加した(例:各mgの半抗体に対して6.88μLのグルタチオン溶液を添加する)。 グルタチオン半抗体溶液を37℃で4時間にわたってインキュベートし、半抗体を二重特異性抗体に構築させた。B.CHOに由来するIgG1 大腸菌に関して上述したように構築した。中間pHの保持に関してpHをpH7以上に上昇させる必要はない可能性がある。グルタチオンの添加後の構築時間は2時間後に終了することができる。C.CHOに由来するIgG4 上記(CHOに由来するIgG1)と同じ条件下で構築した。ヒスチジン及びPVPは必要ない可能性がある。D.大腸菌に由来するIgG4 上記プロトコルを使用する大腸菌に由来するIgG4の構築は高い凝集レベル、即ち約35%の凝集レベルという結果となった。このことにより、構築条件の変更が必要であった。 0.2Mのヒスチジン及び50mMのアルギニンを含有するプロテインAプール組成物により、許容される結果が得られることを確認した(データは示さない)。そのため、最終結果を得るためのいくつかの方法を精査し、許容される結果が得られることを確認した。 第1の方法では、プロテインA精製中に、変更した溶出緩衝液(pH3)及び洗浄緩衝液(pH7)を使用し、0.2Mのヒスチジン及び50mMのアルギニンを含有させた。これにより、0.2Mのヒスチジン及び50mMのアルギニンを含有し、pH4である最終プロテインAプールが得られ、次いで、1.5Mのトリス塩基(pH11)を使用してpH4をpH8に滴定した。 第2の代替方法では、ヒスチジンHCl(溶解度は0.8Mである)の0.8M溶液を利用した。3分の1の体積のヒスチジンHClをプロテインAプール(単数又は複数)に添加し、0.2Mヒスチジンである最終濃度に達した。次いで、40分の1の体積の2Mアルギニンを添加した。 第3の代替方法では、(好ましくはpH8で)プロテインAプールを0.2Mのヒスチジン及び50mMのアルギニン緩衝液に緩衝液交換した。 最後の代替方法では、ヒスチジンをプロテインAプール(単数又は複数)(31.03g/L)に直接添加し、次いで40分の1の体積の2Mアルギニンを添加した。 4分の1の体積の、Spectrum PVP K−15の0.2Mヒスチジン及び50mMアルギニン溶液(20重量/体積%)をプロテインAプール(単数又は複数)に添加した。 低グルタチオン条件下でIgG1に関する構築中にPVPが凝集を最小化することも留意された。 半抗体のコンファメーション変化:0.2Mのヒスチジン及び50mMのアルギニンを含む1.5Mのトリス塩基と4%PVP K−15(pH11)とを使用してプロテインAプール(単数又は複数)のpHをpH8.0に調整し、37℃で3時間にわたってインキュベートした。あるいは、プール(単数又は複数)を室温で48時間にわたってインキュベートすることができた。 0.2Mのヒスチジン、4%PVP、50mMのアルギニン(最終pH8.0)中の200mMの還元グルタチオン(GSH)をGSH:抗体比が200倍になるまで添加した(例:各mgの半抗体に対して6.88μLのグルタチオン溶液を添加する)。半抗体プールを組み合わせなかった場合には、この時点で半抗体プールを組み合わせた。 プールした半抗体を37℃で4時間にわたってインキュベートし、二重特異性抗体の形成を可能にした。この時点で二重特異性抗体の割合は定常となっている。 二重特異性抗体の量が定常になると、溶液を低温で保存することができ、又はその後のクロマトグラフィーステップによる処理のためにより低いpHに調整することができる。 本明細書に開示した方法は、二重特異性抗体等の治療用タンパク質の製造における用途を見出す。 本明細書に記載した実施例及び実施態様は例示のみを目的としており、様々な変更又はそれを考慮した改変を当業者に示唆し、これらは本出願の趣旨及び範囲並びに添付した特許請求の範囲の範囲に含まれることが理解される。本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願を、全ての目的のために出典明示により全体として本明細書に援用する。 a.第1の可溶化剤の存在下においてpH5〜9で第1のヒンジ含有ポリペプチドを提供するステップであって、第1のヒンジ含有ポリペプチドがヘテロ多量体化ドメインを含むステップ、 b.第2の可溶化剤の存在下においてpH5〜9で第2のヒンジ含有ポリペプチドを提供するステップであって、第2のヒンジ含有ポリペプチドがヘテロ多量体化ドメインを含むステップ、 c.還元条件下で第1のヒンジ含有ポリペプチドと第2のヒンジ含有ポリペプチドとを混合して構築用混合物を形成するステップ、並びに d.構築用混合物をインキュベートして、第1のヒンジ含有ポリペプチドと第2のヒンジ含有ポリペプチドを含むヘテロ多量体タンパク質を産生するステップであって、ヘテロ多量体化ドメインで第1のヒンジ含有ポリペプチドと第2のヒンジ含有ポリペプチドとが相互作用するステップを含む、ヘテロ多量体タンパク質の産生方法。 第1の可溶化剤及び第2の可溶化剤が、アルギニン、ヒスチジン及びスクロースからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。 第1の可溶化剤と第2の可溶化剤とが同じである、請求項1又は2に記載の方法。 第1の可溶化剤及び第2の可溶化剤がアルギニン又はヒスチジンである、請求項1から3の何れか一項に記載の方法。 アルギニンがアルギニン塩であり、及び/又はヒスチジンがヒスチジン塩である、請求項2から4の何れか一項に記載の方法。 アルギニンがアルギニン誘導体であり、及び/又はヒスチジンがヒスチジン誘導体である、請求項2から4の何れか一項に記載の方法。 アルギニンがアルギニンHClであり、及び/又はヒスチジンがヒスチジンHClである、請求項2から4の何れか一項に記載の方法。 アルギニン又はヒスチジンが20mM〜1Mの濃度で存在する、請求項2から7の何れか一項に記載の方法。 アルギニン又はヒスチジンが20mM〜200mMの濃度で存在する、請求項2から8の何れか一項に記載の方法。 アルギニン又はヒスチジンが50mM〜200mMの濃度で存在する、請求項2から9の何れか一項に記載の方法。 ステップaの第1のヒンジ含有ポリペプチド及び/又はステップbの第2のヒンジ含有ポリペプチドがアルギニン及びヒスチジンの両方の存在下にある、請求項1から10の何れか一項に記載の方法。 アルギニン及びヒスチジンがそれぞれ50mM〜200mMの濃度で存在する、請求項11に記載の方法。 第1の可溶化剤及び第2の可溶化剤がアルギニンである、請求項1から10の何れか一項に記載の方法。 第1のヒンジ含有ポリペプチド及び第2のヒンジ含有ポリペプチドを混合前に精製する、請求項1から13の何れか一項に記載の方法。 第1のヒンジ含有ポリペプチド及び第2のヒンジ含有ポリペプチドを共精製する、請求項1から13の何れか一項に記載の方法。 ステップaの前に第1のヒンジ含有ポリペプチドを精製するステップがあり、及び/又はステップbの前に第2のヒンジ含有ポリペプチドを精製するステップがある、請求項1から13の何れか一項に記載の方法。 第1のヒンジ含有ポリペプチド及び第2のヒンジ含有ポリペプチドをプロテインAにより精製する、請求項14から16の何れか一項に記載の方法。 第1のヒンジ含有ポリペプチド及び第2のヒンジ含有ポリペプチドを細菌細胞、酵母細胞、バキュロウイルス又は哺乳動物細胞により産生する、請求項1から17の何れか一項に記載の方法。 第1のヒンジ含有ポリペプチド及び第2のヒンジ含有ポリペプチドを哺乳動物細胞により産生する、請求項1から18の何れか一項に記載の方法。 哺乳動物細胞がCHO細胞である、請求項19に記載の方法。 第1のヒンジ含有ポリペプチド及び/又は第2のヒンジ含有ポリペプチドが、半抗体、イムノアドヘシン又はこれらの機能的断片を含む、請求項1から20の何れか一項に記載の方法。 第1のヒンジ含有ポリペプチド及び/又は第2のヒンジ含有ポリペプチドが半抗体を含む、請求項21に記載の方法。 半抗体がIgG半抗体である、請求項22に記載の方法。 IgG半抗体がIgG1アイソタイプ、IgG2アイソタイプ又はIgG4アイソタイプである、請求項23に記載の方法。 第1のヒンジ含有ポリペプチド及び/又は第2のヒンジ含有ポリペプチドがFc成分を含む、請求項1から24の何れか一項に記載の方法。 半抗体がVLドメイン、VHドメイン、ヒンジドメイン、CH2ドメイン及びCH3ドメインを含む、請求項21から25の何れか一項に記載の方法。 半抗体が、テザーを更に含む単鎖ポリペプチドを含み、該単鎖ポリペプチドが、以下:VL−テザー−VH−ヒンジ−CH2−CH3の通りにN末端からC末端の方向に向かって互いに位置決めされているドメインを含む、請求項26に記載の方法。 半抗体がCLドメイン及びCH1ドメインを更に含む、請求項26に記載の方法。 半抗体が、テザーを更に含む単鎖ポリペプチドを含み、前記単鎖ポリペプチドが、以下:VL−CL−テザー−VH−CH1−ヒンジ−CH2−CH3の通りにN末端からC末端の方向に向かって互いに位置決めされているドメインを含む、請求項28に記載の方法。 a〜dのうちの一又は複数のステップを25℃〜42℃の温度で加熱する、請求項1から29の何れか一項に記載の方法。 a〜dのうちの一又は複数のステップを35℃〜37℃の温度で加熱する、請求項1から30の何れか一項に記載の方法。 ステップaの第1のヒンジ含有ポリペプチド及びステップbの第2のヒンジ含有ポリペプチドを加熱する、請求項30又は31に記載の方法。 ステップdの構築用混合物を加熱する、請求項30から32の何れか一項に記載の方法。 全ステップa〜dを加熱する、請求項30から33の何れか一項に記載の方法。 全ステップa〜dを35℃〜37℃の温度で加熱する、請求項30から34の何れか一項に記載の方法。 還元条件の酸化電位が−200〜−600mV、より好ましくは−300〜−500mV、最も好ましくは−約400mVである、請求項1から35の何れか一項に記載の方法。 ステップcにおける混合物に還元剤を添加する、請求項36に記載の方法。 還元剤が、グルタチオン(GSH)、ベータ−メルカプトエチルアミン、グルタチオン(GSH)/グルタチオンジスルフィド(GSSG)、システアミン/シスタミン、グリシルシステイン及びベータ−メルカプトエタノールからなる群から選択される、請求項37に記載の方法。 構築用混合物に還元剤を50〜600倍モル過剰で添加する、請求項37又は38に記載の方法。 構築用混合物に還元剤を200倍モル過剰で添加する、請求項37から39の何れか一項に記載の方法。 還元剤がGSHである、請求項37から40の何れか一項に記載の方法。 第1のヒンジ含有ポリペプチドと第2のヒンジ含有ポリペプチドとの間の相互作用が疎水的相互作用及び/又は静電気的相互作用である、請求項1から41の何れか一項に記載の方法。 ヘテロ多量体化ドメインが、ノブ(例えば突起)、ホール(例えば空洞)、ロイシンジッパー、コイルドコイル又は静電的相互作用を生じさせる能力を有する極性アミノ酸残基のうちの1つ又は複数含む、請求項1から42の何れか一項に記載の方法。 第1のヒンジ含有ポリペプチドがノブを含み、第2のヒンジ含有ポリペプチドがホールを含む、請求項43に記載の方法。 ステップa〜dのうちの1つ又は複数において安定化剤を添加することを更に含む、請求項1から44の何れか一項に記載の方法。 ステップc又はステップdに安定化剤を添加する、請求項45に記載の方法。 安定化剤がアルギニン及び/又はPVPである、請求項46に記載の方法。 ステップa及び/又はステップbに安定化剤を添加する、請求項44に記載の方法。 安定化剤がアルギニン及び/又はヒスチジンである、請求項48に記載の方法。 ステップdの後にヘテロ多量体タンパク質を回収するステップを更に含む、請求項1から49の何れか一項に記載の方法。 ヘテロ多量体タンパク質を回収するステップがヘテロ多量体タンパク質の精製を含む、請求項50に記載の方法。 a.第1の可溶化剤の存在下においてpH5〜9で第1の半抗体を提供するステップであって、第1の半抗体がヘテロ多量体化ドメインを含むステップ、 b.第2の可溶化剤の存在下においてpH5〜9で第2の半抗体を提供するステップであって、第2の半抗体がヘテロ多量体化ドメインを含むステップ、 c.還元条件下で第1の半抗体と第2の半抗体とを混合して構築用混合物を形成するステップ、並びに d.構築用混合物をインキュベートして、第1の半抗体及び第2の半抗体を含む二重特異性抗体を形成するステップであって、ヘテロ多量体化ドメインで第1の半抗体と第2の半抗体とが相互作用するステップを含む、二重特異性抗体の産生方法。 第1の可溶化剤及び第2の可溶化剤が、アルギニン、ヒスチジン及びスクロースからなる群から選択される、請求項52に記載の方法。 第1の可溶化剤と第2の可溶化剤とが同じである、請求項52又は53に記載の方法。 第1の可溶化剤及び第2の可溶化剤がアルギニン又はヒスチジンである、請求項52から54の何れか一項に記載の方法。 アルギニンがアルギニン塩であり、及び/又はヒスチジンがヒスチジン塩である、請求項52から54の何れか一項に記載の方法。 アルギニンがアルギニン誘導体であり、及び/又はヒスチジンがヒスチジン誘導体である、請求項52から54の何れか一項に記載の方法。 アルギニンがアルギニンHClであり、及び/又はヒスチジンがヒスチジンHClである、請求項52から54の何れか一項に記載の方法。 アルギニン又はヒスチジンが20mM〜1Mの濃度で存在する、請求項53から58の何れか一項に記載の方法。 アルギニン又はヒスチジンが20mM〜200mMの濃度で存在する、請求項53から59の何れか一項に記載の方法。 アルギニン又はヒスチジンが50mM〜200mMの濃度で存在する、請求項53から60の何れか一項に記載の方法。 可溶化剤がアルギニンである、請求項53から61の何れか一項に記載の方法。 ステップaの第1の半抗体及び/又はステップbの第2の半抗体がアルギニン及びヒスチジンの両方の存在下にある、請求項53から61の何れか一項に記載の方法。 アルギニン及びヒスチジンがそれぞれ50mM〜200mMの濃度で存在する、請求項63に記載の方法。 第1の半抗体及び第2の半抗体を混合前に精製する、請求項52から64の何れか一項に記載の方法。 第1の半抗体及び第2の半抗体を共精製する、請求項52から64の何れか一項に記載の方法。 ステップaの前に第1の半抗体を精製するステップがあり、及び/又はステップbの前に第2の半抗体を精製するステップがある、請求項52から66の何れか一項に記載の方法。 第1の半抗体及び第2の半抗体をプロテインAにより精製する、請求項65から67の何れか一項に記載の方法。 第1の半抗体及び第2の半抗体を細菌細胞、酵母細胞、バキュロウイルス又は哺乳動物細胞により産生する、請求項52から68の何れか一項に記載の方法。 第1の半抗体及び第2の半抗体を哺乳動物細胞により産生する、請求項52から69の何れか一項に記載の方法。 哺乳動物細胞がCHO細胞である、請求項70に記載の方法。 半抗体がIgG半抗体である、請求項52から71の何れか一項に記載の方法。 IgG半抗体がIgG1アイソタイプ、IgG2アイソタイプ又はIgG4アイソタイプである、請求項72に記載の方法。 第1の半抗体及び/又は第2の半抗体がFc成分を含む、請求項52から73の何れか一項に記載の方法。 半抗体がVLドメイン、VHドメイン、ヒンジドメイン、CH2ドメイン及びCH3ドメインを含む、請求項52から74の何れか一項に記載の方法。 半抗体が、テザーを更に含む単鎖ポリペプチドを含み、前記単鎖ポリペプチドが、以下:VL−テザー−VH−ヒンジ−CH2−CH3の通りにN末端からC末端の方向に向かって互いに位置決めされているドメインを含む、請求項75に記載の方法。 半抗体がCLドメイン及びCH1ドメインを更に含む、請求項75に記載の方法。 半抗体が、テザーを更に含む単鎖ポリペプチドを含み、前記単鎖ポリペプチドが、以下:VL−CL−テザー−VH−CH1−ヒンジ−CH2−CH3の通りにN末端からC末端の方向に向かって互いに位置決めされているドメインを含む、請求項77に記載の方法。 a〜dのうちの一又は複数のステップを25℃〜42℃の温度で加熱する、請求項52から78の何れか一項に記載の方法。 a〜dのうちの一又は複数のステップを35℃〜37℃の温度で加熱する、請求項52から79の何れか一項に記載の方法。 ステップaの第1の半抗体及びステップbの第2の半抗体を加熱する、請求項79又は80に記載の方法。 ステップdの構築用混合物を加熱する、請求項79から81の何れか一項に記載の方法。 全ステップa〜dを加熱する、請求項79から82の何れか一項に記載の方法。 全ステップa〜dを35℃〜37℃の温度で加熱する、請求項79から83の何れか一項に記載の方法。 還元条件の酸化電位が−200〜−600mV、より好ましくは−300〜−500mV、最も好ましくは−約400mVである、請求項52から84の何れか一項に記載の方法。 ステップcにおける混合物に還元剤を添加する、請求項52から85の何れか一項に記載の方法。 還元剤が、グルタチオン(GSH)、ベータ−メルカプトエチルアミン、グルタチオン(GSH)/グルタチオンジスルフィド(GSSG)、システアミン/シスタミン、グリシルシステイン及びベータ−メルカプトエタノールからなる群から選択される、請求項86に記載の方法。 構築用混合物に還元剤を50〜600倍モル過剰で添加する、請求項86又は87に記載の方法。 構築用混合物に還元剤を200倍モル過剰で添加する、請求項86から88の何れか一項に記載の方法。 還元剤がGSHである、請求項86から89の何れか一項に記載の方法。 第1の半抗体と第2の半抗体との間の相互作用が疎水的相互作用及び/又は静電気的相互作用である、請求項52から90の何れか一項に記載の方法。 ヘテロ多量体化ドメインが、ノブ(例えば突起)、ホール(例えば空洞)、ロイシンジッパー、コイルドコイル又は静電気的相互作用を生じさせる能力を有する極性アミノ酸残基のうちの1つ又は複数含む、請求項52から91の何れか一項に記載の方法。 第1の半抗体がノブを含み、第2の半抗体がホールを含む、請求項92に記載の方法。 ステップa〜dのうちの1つ又は複数において安定化剤を添加することを更に含む、請求項52から93の何れか一項に記載の方法。 ステップc又はステップdに安定化剤を添加する、請求項94に記載の方法。 安定化剤がアルギニン及び/又はPVPである、請求項95に記載の方法。 ステップa又はステップbに安定化剤を添加する、請求項94に記載の方法。 安定化剤がアルギニン及び/又はヒスチジンである、請求項97に記載の方法。 ステップdの後に二重特異性抗体を回収するステップを更に含む、請求項52から98の何れか一項に記載の方法。 二重特異性抗体を回収するステップが二重特異性抗体の精製を含む、請求項99に記載の方法。 ヒンジ含有ポリペプチド及び可溶化剤を含む組成物であって、組成物のpHがpH5〜pH9である組成物。 可溶化剤が、アルギニン、ヒスチジン及びスクロースからなる群から選択される、請求項101に記載の組成物。 可溶化剤がアルギニン又はヒスチジンである、請求項102に記載の組成物。 アルギニンがアルギニン塩であり、及び/又はヒスチジンがヒスチジン塩である、請求102又は103に記載の組成物。 アルギニンがアルギニン誘導体であり、及び/又はヒスチジンがヒスチジン誘導体である、請求項102又は103に記載の組成物。 アルギニンがアルギニンHClであり、及び/又はヒスチジンがヒスチジンHClである、請求項102又は103に記載の組成物。 アルギニン又はヒスチジンが20mM〜1Mの濃度で存在する、請求項102から106の何れか一項に記載の組成物。 アルギニン又はヒスチジンが20mM〜200mM又は50mM〜200mMの濃度で存在する、請求項102から107の何れか一項に記載の組成物。 アルギニン及びヒスチジンの両方を更に含む、請求項102から108の何れか一項に記載の組成物。 アルギニン及びヒスチジンがそれぞれ20mM〜200mM又は50mM〜200mMの濃度で存在する、請求項109に記載の組成物。 アルギニンが50mMの濃度で存在し、ヒスチジンが200mMの濃度で存在する、請求項109又は110に記載の組成物。 ヒンジ含有ポリペプチドが半抗体又はイムノアドヘシンを含む、請求項101から111の何れか一項に記載の組成物。 ヒンジ含有ポリペプチドが半抗体を含む、請求項112に記載の組成物。 半抗体がIgG半抗体である、請求項113に記載の組成物。 IgG半抗体がIgG1アイソタイプ又はIgG4アイソタイプである、請求項114に記載の組成物。 ヒンジ含有ポリペプチドがFc成分を含む、請求項101から115の何れか一項に記載の組成物。 半抗体がVLドメイン、VHドメイン、ヒンジドメイン、CH2ドメイン及びCH3ドメインを含む、請求項112から116の何れか一項に記載の組成物。 半抗体が、テザーを更に含む単鎖ポリペプチドを含み、前記単鎖ポリペプチドが、以下:VL−テザー−VH−ヒンジ−CH2−CH3の通りにN末端からC末端の方向に向かって互いに位置決めされているドメインを含む、請求項117に記載の組成物。 半抗体がCLドメイン及びCH1ドメインを更に含む、請求項117に記載の組成物。 半抗体が、テザーを更に含む単鎖ポリペプチドを含み、前記単鎖ポリペプチドが、以下:VL−CL−テザー−VH−CH1−ヒンジ−CH2−CH3の通りにN末端からC末端の方向に向かって互いに位置決めされているドメインを含む、請求項119に記載の組成物。 ヒンジ含有ポリペプチド又は半抗体がノブ又はホールを含む、請求項101から120の何れか一項に記載の組成物。 第2のヒンジ含有ポリペプチドを更に含む、請求項101から121の何れか一項に記載の組成物。 第1のヒンジ含有ポリペプチドがノブを含み、第2のヒンジ含有ポリペプチドがホールを含む、請求項122に記載の組成物。 a.プロテインAで精製した第1のヒンジ含有ポリペプチドを得ること、 b.プロテインAで精製した第2のヒンジ含有ポリペプチドを得ること、 c.各ヒンジ含有ポリペプチドのpHを4〜9に調整すること、 d.第1のヒンジ含有ポリペプチドと第2のヒンジ含有ポリペプチドとを混合して構築用混合物を得ること、 e.モル過剰の弱還元剤を構築用混合物に添加すること、並びに f.構築用混合物をインキュベートして、第1のヒンジ含有ポリペプチドと第2のヒンジ含有ポリペプチドを含むヘテロ多量体タンパク質を形成することを含む、ヘテロ多量体タンパク質の産生方法。 第1のヒンジ含有ポリペプチド及び第2のヒンジ含有ポリペプチドが、半抗体、イムノアドヘシン及びこれらの断片から選択される、請求項124に記載の方法。 第1のヒンジ含有ポリペプチドが半抗体である、請求項124又は125に記載の方法。 第2のヒンジ含有ポリペプチドがFc成分を含む、請求項124から126の何れか一項に記載の方法。 半抗体がVLドメイン、CLドメイン、VHドメイン、CH1ドメイン、ヒンジドメイン、CH2ドメイン及びCH3ドメインを含む、請求項125から127の何れか一項に記載の方法。 半抗体が、テザーを更に含む単一ポリペプチド鎖であり、前記複数のドメインは、以下:VL−CL−テザー−VH−CH1−ヒンジ−CH2−CH3の通りにN末端からC末端の方向に向かって互いに位置決めされている、請求項128に記載の方法。 プロテインA精製前に第1のヒンジ含有ポリペプチドと第2のヒンジ含有ポリペプチドとを混合し、プロテインA上で共精製する、請求項124から129の何れか一項に記載の方法。 第1のヒンジ含有ポリペプチド及び第2のヒンジ含有ポリペプチドがヘテロ多量体化ドメインを含む、請求項124から130の何れか一項に記載の方法。 ヘテロ多量体化ドメインが、ノブイントゥホール変異、ロイシンジッパー、静電気的等から選択される、請求項131に記載の方法。 第1のヒンジ含有ポリペプチドがノブを含み、第2のヒンジ含有ポリペプチドがホールを含む、請求項132に記載の方法。 混合後にpHを調整する、請求項124から133の何れか一項に記載の方法。 pHの調整前に、L−アルギニンを20mM〜1Mの最終濃度まで添加することを更に含む、請求項124から134の何れか一項に記載の方法。 混合プールを15℃〜39℃の温度で30分以上にわたってインキュベートすることを更に含む、請求項124から135の何れか一項に記載の方法。 ステップfにおける構築用混合物の酸化電位が−200〜−600mVであり、より好ましくは−300〜−500mVであり、最も好ましくは−約400mVである、請求項124から136の何れか一項に記載の方法。 弱還元剤が、GSH、ベータ−メルカプトエチルアミン、GSH/GSSG、システアミン/シスタミン、グリシルシステイン及びベータ−メルカプトエタノールから選択される、請求項124から137の何れか一項に記載の方法。 弱還元剤を50〜600倍モル過剰で添加する、請求項124から138の何れか一項に記載の方法。 弱還元剤がGSHである、請求項124から139の何れか一項に記載の方法。 構築用混合物のインキュベートをポリビニルピロリドン(PVP)の存在下において15℃〜39℃の温度で行なう、請求項124から140の何れか一項に記載の方法。 PVPの前に、PVPと同時に、又はPVPの後にヒスチジンを添加する、請求項141に記載の方法。 PVPを最大40%(重量/体積)まで添加する、請求項141又は142に記載の方法。 a.プロテインAで精製した第1のヒンジ含有ポリペプチドを得ること、 b.プロテインAで精製した第2のヒンジ含有ポリペプチドを得ること、 c.アルギニンの存在下において各ヒンジ含有ポリペプチドのpHを4〜9に調整すること、 d.第1のヒンジ含有ポリペプチドと第2のヒンジ含有ポリペプチドとを混合して混合ヒンジ含有ポリペプチドプールを得ること、並びに e.ヒンジ含有ポリペプチドプールをインキュベートして、第1のヒンジ含有ポリペプチドと第2のヒンジ含有ポリペプチドを含むヘテロ多量体タンパク質を形成することを含む、ヘテロ多量体タンパク質の産生方法。 ヒンジ含有ポリペプチドが、半抗体、イムノアドヘシン又はこれらの機能的断片を含む、請求項144に記載の方法。 ヒンジ含有ポリペプチドプールを還元条件下でインキュベートする請求項144又は145に記載の方法。 50〜600倍モル過剰の還元剤の存在下でヒンジ含有ポリペプチドプールをインキュベートする請求項144から146の何れか一項に記載の方法。 200倍モル過剰のGSHの存在下でヒンジ含有ポリペプチドプールをインキュベートする請求項144から147の何れか一項に記載の方法。 アルギニンが20mM〜200mMの濃度で存在する、請求項144から148の何れか一項に記載の方法。 ステップd又はステップeにPVPを添加する請求項144から149の何れか一項に記載の方法。 混合後にpHを調整する、請求項144から150の何れか一項に記載の方法。 ヒンジ含有ポリペプチドを細菌細胞、酵母細胞、バキュロウイルス又は哺乳動物細胞により産生する、請求項144から151の何れか一項に記載の方法。 ヒンジ含有ポリペプチドを哺乳動物細胞により、好ましくはCHO細胞により産生する、請求項152に記載の方法。 本明細書には、二重特異性抗体等のヘテロ多量体タンパク質の効率的な産生方法が記載されている。ヘテロ多量体タンパク質は、複数の標的分子又は単一の標的分子上の異なるエピトープに特異的に結合する能力を有することができる。これらの方法では、ヘテロ多量体タンパク質の構築を他に可能なものに比べて高収率及び高効率に改善するようにパラメータを調整する。また、半抗体等のヒンジ含有ポリペプチドを含む組成物が記載されている。 配列表


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