生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_神経心理学的検査バッテリースコアを向上させるための組成物
出願番号:2014532696
年次:2014
IPC分類:A61K 31/7068,A61P 25/28,A61K 31/202,A61P 25/00,A61K 31/519,A61K 31/4415,A61K 31/714,A61K 31/685


特許情報キャッシュ

グローエネンディーク、マルティン ボンゲルス、アンケ カンピュイス、パトリック・ジョセフ・ジェラルドゥス・アンドリクス JP 2014532696 公表特許公報(A) 20141208 2014539899 20121030 神経心理学的検査バッテリースコアを向上させるための組成物 エヌ.ブイ.・ヌートリシア 505296821 蔵田 昌俊 100108855 福原 淑弘 100109830 野河 信久 100103034 峰 隆司 100075672 河野 直樹 100153051 砂川 克 100140176 井関 守三 100158805 佐藤 立志 100124394 岡田 貴志 100112807 堀内 美保子 100111073 グローエネンディーク、マルティン ボンゲルス、アンケ カンピュイス、パトリック・ジョセフ・ジェラルドゥス・アンドリクス NL PCT/NL2011/050739 20111031 EP 11187958.1 20111104 A61K 31/7068 20060101AFI20141111BHJP A61P 25/28 20060101ALI20141111BHJP A61K 31/202 20060101ALI20141111BHJP A61P 25/00 20060101ALI20141111BHJP A61K 31/519 20060101ALI20141111BHJP A61K 31/4415 20060101ALI20141111BHJP A61K 31/714 20060101ALI20141111BHJP A61K 31/685 20060101ALI20141111BHJP JPA61K31/7068A61P25/28A61K31/202A61P25/00A61K31/519A61K31/4415A61K31/714A61K31/685 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC NL2012050754 20121030 WO2013066168 20130510 35 20140627 4C086 4C206 4C086AA01 4C086AA02 4C086BC18 4C086CB09 4C086DA39 4C086DA41 4C086EA17 4C086MA02 4C086MA03 4C086MA04 4C086NA05 4C086ZA02 4C086ZA15 4C086ZA16 4C206AA01 4C206AA02 4C206DA05 4C206MA02 4C206MA03 4C206MA04 4C206MA14 4C206MA17 4C206MA28 4C206NA05 4C206ZA02 4C206ZA15 4C206ZA16発明の分野 本発明は、神経心理学的障害の治療の分野にあり、より詳細には、記憶障害、記憶力の低下および認知機能障害を患う、またはそれらを示すようになる危険のある対象のための、神経心理学的検査バッテリーを向上させるために用いられる組成物に関する。一側面において、本発明は、特に、前記対象における認知機能の推移をモニターするための方法を提供することにある。背景の説明 加齢に伴う記憶障害(AAMI)、アルツハイマー病および認知症を含めて、神経心理学的障害は、我々の社会において重要な役割を演じている。これらの障害の臨床病期は、より遅い段階で診断されるのに対して、これらの障害の多くの側面は、記憶力の低下および実行機能の喪失に関して、生活において、より早く現れる。様々な病期の全体図が図1に示されている。治療を効果的にするためには、できるだけ早く、これらの症状をモニターすることが重要である。 その目的のために、神経心理学的検査が開発されており、これらの検査は、脳の特定の構造または経路に関連することが知られている心理学的機能を測定するために用いられる、特定の意図をもつ課題を含む。これらの検査は、通常、規定に従った環境における、明確に定められた手順の系統だった適用を含み、それらは、個人的、対人的および背景(contextual)因子と共に、神経心理学的評価を実施する過程の核心的要素をなす(出典:http://en.wikipedia.org/wiki/Neuropsychological_test)。 多様な神経生理学的検査が利用可能であり、これらは、これらの検査が主に評価する認知機能に基づいて、記憶、言語、実行機能および認知症に特に適する検査に、大きく分類できる。結局は、ほとんどの認知(障害)様式は、実際には、一体となって働く複数の認知機能に関連する。認知能力の全体像を与えるために、様々なこのような検査を組み合わせる、いくつかの検査バッテリーが存在する。これらの検査バッテリーにさらに付加されるのは、それが、これらの個々の測定値を、認知能力の変化についての1つの有効な測定値を生じるように考案された、総合的評価に結び付けるということである。 これらの検査バッテリーの中に、いわゆる神経心理学的検査バッテリー[NTB]がある。J. Harrison等、「10 Years of the Neuropsychological Test Battery (NTB)」、Patient Reported Outcomes Newsletter 46(Fall issue 2011) 21−24によれば、NTBは、臨床心理学の分野において、ある場合には60年を超えて、用いられている、標準化された検査からなる、複合的な認知能力の測定法である。選択された全ての測定法は、個々に、徹底的に、検証されてきた。AN1792−201に用いられた「NTB標準」の要素が、表1にまとめられている。NTBを、他の伝統的に用いられている測定法、例えば、ミニメンタルステート検査([MMSE])またはADAS−cogと区別するものは、i)エピソード記憶を評価するための連合学習およびパラダイム、ならびにii)実行機能[EF]、例えば、計画、戦略および作業記憶の評価、へのその重点化である。EFの測定法は、日常生活関連動作に強く関連付けられることが認められ、EF測定法を検査に含めることは、時間を費やす価値のあることとみなされた。この分野におけるNTBの検証は、前述のHarrison等の論文において、より詳細に、再検討されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれるとみなされる。 NTBは、今では、10年を超えて、認知症臨床薬剤試験における、認知能力アウトカム測定法として用いられている。この期間には、NTBの構成と適用の両方における変化、さらには、その計量心理学的特性に関する、多くのさらなる情報があった。 過去において、Prana Biotechnologyは、認知促進効果に重点を置くという予めの提案に基づいて、NTBの変形形態を開発した。結果として、Pranaの研究でのNTBの内容は、記憶の1つの検査、すなわち、ウェクスラー(Wechsler)記憶尺度([WMS])視覚性対連合検査(即時再生と遅延再生の両方)を除くように変更され、この検査は、実行機能のさらなる検査であるトレイルメイキングテスト([TMT])によって置き換えられた。詳細は、L. Lannfelt等、Lancet Neurology 2008;7(9):779−786に記載されている。 長年に渡って、NTBの他の改訂版が提案されてきた。最初のNTBを構成する6つの検査の中で、EFの要素は、めったに変更されない。それらは、前述のPrana検査において起こったように、頻繁に増やされている。 さらに、それを必要としている対象の記憶および実行機能を向上させること、特に、記憶または認知障害、記憶力の低下または認知機能障害を患う対象のNTBスコアを向上させる方法を見出すことが、常に求められている。 一側面において、前述のPranaの研究に関連して、本発明者等は、神経心理学的検査バッテリーを、特に、それを、(前駆症状もしくは軽度)アルツハイマーまたは認知症患者における、殊に、投与を受けていない(前駆症状もしくは軽度)アルツハイマーまたは認知症患者における、および/あるいは、ミニメンタルステート検査で20〜30点の対象における、変化を評価するのに、信頼できるようにするために、今や、なお一層、改善した。 その目的のために、Pranaの研究で修正されたNTBは、それぞれ記憶および注意ドメインを対象とする、ADAS−cog見当識(orientation)課題検査、および文字数字置換検査を含めるように修正された。 ADAS−cogは、AD患者のために開発され、検証された、アルツハイマー病評価尺度(ADAS)の認知能力下位尺度(cognitive subscale)である。本発明の方法および神経心理学的バッテリー検査は、ADおよび認知症の初期に、特に前駆症状もしくは軽度ADまたは認知症患者において高感度であることを主として想定しているので、義務的に適用されるのは、ADAS−cogの見当識課題だけである。この課題は、患者が、時間と場所に関して、どれだけよく把握しているかを特定するように考案されている。 NTBに含められる検査方法を注意深く選択することによって、それは、検査管理者が、ADおよび認知症の軽度および前駆症状の側面に重点を置くことを可能にすると同時に、好ましくは、認知能力(実行機能を含む)を評価するのに要する時間を30分未満に保つ。 別の側面において、本発明は、 i)ウリジンおよびシチジン、またはこれらの塩、ホスフェート、アシル誘導体もしくはエステルからの1種以上;および ii)ドコサヘキサエン酸(22:6;DHA)、エイコサペンタエン酸(20:5;EPA)およびドコサペンタエン酸(22:5;DPA)、またはこれらのエステルの少なくとも1種を含む脂質フラクション;を含む組成物を、それを必要としている対象に提供することによって、実行機能および記憶機能に関して、総合的達成度を向上させるための組成物を提供することにある。 本発明は、特に、実行機能および記憶機能、ならびに、好ましくは、ADAS−cog見当識課題および文字数字置換課題について得られる結果もまた考慮に入れた、NTBの全体的または複合スコアを向上させるのに用いられる組成物に関する。図1は、アルツハイマー病における認知能力低下の様々な病期を示す。出典:Sperling等、2011。図2は、コンピュータシステム10の態様の略ブロック図を示す。図3は、実行ドメインおよび記憶ドメインのスコア、ならびにADAS−cog見当識課題および文字数字置換検査を含む、NTB複合スコアを示す(p=0.370)。図4は、実行ドメインおよび記憶ドメインのスコアに基づく全体的NTBスコアを示す。モデルは、2次多項式である(p=0.117)。好ましい態様のリスト 1.それを必要としている対象の神経心理学的検査バッテリー[NTB]複合スコアを向上させるための製品の製造のための組成物の使用であって、前記組成物が、 i)ウリジンおよびシチジン、またはこれらの塩、ホスフェート、アシル誘導体もしくはエステルの1種以上、および ii)ドコサヘキサエン酸(22:6;DHA)、エイコサペンタエン酸(20:5;EPA)およびドコサペンタエン酸(22:5;DPA)、またはこれらのエステルの少なくとも1種を含む脂質フラクションを含む、使用。 2.それを必要としている対象を治療するための製品の製造のための組成物の使用であって、前記組成物が、 i)ウリジンおよびシチジン、またはこれらの塩、ホスフェート、アシル誘導体もしくはエステルの1種以上、および ii)ドコサヘキサエン酸(22:6;DHA)、エイコサペンタエン酸(20:5;EPA)およびドコサペンタエン酸(22:5;DPA)、またはこれらのエステルの少なくとも1種を含む脂質フラクションを含み、 前記対象にNTBが適用される、使用。 3.NTBの個々の検査で引き出されたデータから複合スコアを計算することを含む、態様2に記載の使用。 4.前記対象が、記憶または認知障害、記憶力の低下または認知機能障害、例えば、加齢に伴う記憶障害(AAMI)、アルツハイマー病、多発性硬化症、血管性認知症、前頭側頭型認知症、意味性認知症、またはレビー小体型認知症を患う、先行する態様の何れか1つに記載の使用。 5.前記対象が、軽度もしくは前駆症状ADまたは認知症を含めて、アルツハイマー病または認知症症候群を患う、先行する態様の何れか1つに記載の使用。 6.前記対象が、20〜30点、好ましくは20〜26点、より好ましくは24〜26点のミニメンタルステート検査(MMSE)の得点を有する、先行する態様の何れか1つに記載の使用。 7.前記組成物が、コリンまたはその塩もしくはエステルを、好ましくは、1日用量当たり、または100mlの組成物当たり、200〜600mgのコリンを含む、先行する態様の何れか1つに記載の使用。 8.前記組成物が、ビタミンB6、ビタミンB12およびビタミンB9からなる群から選択される、少なくとも1種、好ましくは少なくとも2種、最も好ましくは全てのビタミンBを含む、先行する態様の何れか1つに記載の使用。 9.前記組成物が、1日用量当たり、または好ましくは100mlの組成物当たり、少なくとも500mgのDHA、好ましくは少なくとも600mgのDHA、および少なくとも50mgのウリジン、好ましくは少なくとも100mgのウリジンを含む、先行する態様の何れか1つに記載の使用。 10.前記組成物が、1日用量当たり、または好ましくは100mlの組成物当たり、 50〜1000mgのリン脂質、 0.5〜3mgのビタミンB6、 50〜500μgの葉酸、 1〜30μgのビタミンB12、を含む、先行する態様の何れか1つに記載の使用。 11.前記組成物が、1日用量当たり、または好ましくは100mlの組成物当たり、 100〜500mg、好ましくは200〜400mgのEPA、 1000〜1500mg、好ましくは1100〜1300mgのDHA、 50〜600mg、好ましくは60〜200mgのリン脂質、 200〜600mg、好ましくは300〜500mgのコリン、 400〜800mg、好ましくは500〜700mgのUMP(ウリジン一リン酸)、 20〜60mg、好ましくは30〜50mgのビタミンE(アルファ−TE)、 60〜100mg、好ましくは70〜90mgのビタミンC、 40〜80μg、好ましくは50〜70μgのセレン、 1〜5μg、好ましくは2〜4μgのビタミンB12、 0.5〜3mg、好ましくは0.5〜2mgのビタミンB6、および 200〜600μg、好ましくは300〜500μgの葉酸、を含む、先行する態様の何れか1つに記載の使用。 12.前記NTBが、 a.ウェクスラー記憶尺度[WMS]−言語性対連合検査; b.レイ聴覚性言語性学習検査での再生[RAVLT再生]; c.好ましくは以下からなる群から選択される、再認(recognition)検査: i.レイ聴覚性言語性学習検査[RAVLT再認]; ii.神経心理学的状態の評価のための反復バッテリー[RBANS]; iii.カルフォルニア言語性学習検査[CVLT];および iv.アルツハイマー病登録確立協会([CERAD]:Consortium to Establish a Registry for Alzheimer Disease)検査; d.WMS数唱検査; e.統制発語連合検査[COWAT]; f.カテゴリー流暢性検査; g.トレイルメイキングテスト[TMT]; h.見当識課題ADAS−cog検査;ならびに i.文字数字置換検査の少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8つまたは全てを含む、先行する態様の何れか1つに記載の使用。 13.前記RAVLT再生が、RAVLT即時および遅延再生検査の少なくとも1つ、好ましくは両方を含む、態様12に記載の使用。 14.前記NTBが、(b)RAVLT即時再生およびRAVLT遅延再生、ならびに(c)RAVLT再認を含む、態様12または13に記載の使用。 15.前記NTBが、 − WMS VPA即時検査; − WMS VPA遅延検査; − RAVLT即時再生検査; − RAVLT遅延再生検査; − RAVLT再認検査;および − WMS数唱検査; − COWAT検査; − カテゴリー流暢性検査; − TMT、好ましくは少なくともTMT B;ならびに、任意に: 見当識課題ADAS−cog検査;および文字数字置換検査;を含む、態様12から14までの何れか1つに記載の使用。 16.対象の認知能力を評価するための方法であって、前記対象に、 a.ウェクスラー記憶尺度[WMS]−言語性対連合検査; b.レイ聴覚性言語性学習検査での再生[RAVLT再生]; c.好ましくは以下からなる群から選択される、再認検査: i.レイ聴覚性言語性学習検査[RAVLT再認]; ii.神経心理学的状態の評価のための反復バッテリー[RBANS]; iii.カルフォルニア言語性学習検査[CVLT];および iv.アルツハイマー病登録確立協会検査[CERAD]; d.WMS数唱検査; e.統制発語連合検査[COWAT]; f.カテゴリー流暢性検査; g.トレイルメイキングテスト[TMT]; h.見当識課題ADAS−cog検査;ならびに i.文字数字置換検査を適用することを含み、 任意に、認知機能の向上を目指す組成物を前記対象に投与することを含む、方法。 17.前記RAVLT再生が、RAVLT即時および遅延再生検査の少なくとも1つ、好ましくは両方を含む、態様16に記載の方法。 18.前記NTBが、(b)RAVLT即時再生、RAVLT遅延再生、および(c)RAVLT再認検査を含む、態様16または17に記載の使用。 19.個々の検査(a)〜(i)で引き出されたデータから、記憶機能および実行機能ドメインスコアを計算すること、ならびに/または、複合スコアを計算すること、を含む、態様16から18までの何れか1つに記載の方法。 20.様々な時点で、個々の検査スコア(a)〜(i)に対して引き出されたデータ、計算された記憶機能および実行機能ドメインスコア、ならびに/または、計算された複合スコアを、比較することを含む、態様19に記載の方法。発明の詳細な説明 本発明者等は、(i)ウリジンおよびシチジン、またはこれらの塩、ホスフェート、アシル誘導体もしくはエステルからの1種以上、およびii)ドコサヘキサエン酸(22:6;DHA)、エイコサペンタエン酸(20:5;EPA)およびドコサペンタエン酸(22:5;DPA)、またはこれらのエステルの少なくとも1種を含む脂質フラクション、を含む製品の投与後に、記憶機能と実行機能の両方が、特にアルツハイマーまたは認知症患者において、向上され得ることを認めた。この結論は、実行機能および記憶機能に重点を置く多くの神経心理学的検査を含む臨床試験の結果であった。 一側面において、本発明は、対象に、 a.ウェクスラー記憶尺度[WMS]−言語性対連合検査; b.レイ聴覚性言語性学習検査での再生[RAVLT再生]; c.再認検査: d.WMS数唱検査; e.統制発語連合検査[COWAT]; f.カテゴリー流暢性検査; g.トレイルメイキングテスト[TMT]; h.見当識課題ADAS−cog検査;および i.文字数字置換検査を適用することを含む、前記対象の認知能力を評価するための方法に関する。 一態様において、前記方法は、前記対象に、認知機能(記憶および実行機能を含む)の向上を目指す組成物を、好ましくは少なくとも毎日の投与を含み、投与することを含む。前記組成物または「薬剤」は、医薬組成物、または栄養組成物であってよく、それは、新しいかまたは既存の組成物であってよい。組成物は、本明細書に下で記載される(i)および(ii)を含み、任意に、本出願において論じられるさらなる特徴の1つ以上を含むことが好ましい。 さらなる態様において、好ましくは、本発明の方法は、コンピュータシステムにより、前記検査において引き出されるデータを集めることを含む。用語「データを集めること」は、少なくとも個々の検査(a)〜(i)でのスコアを集めること、および/または、個々の検査(a)〜(i)でのスコアからドメインスコアを計算すること、および/または、個々の検査(a)〜(i)でのスコアから複合(全体的)スコアを計算すること、を包含すると理解される。本発明の方法は、検査(a)〜(i)が適用された対象の、評価または治療の間の様々な時点での、個々の検査スコア(a)〜(i)、ドメインスコアおよび/または複合(全体的)スコアを、比較することをさらに含んでもよい。 「認知能力の評価」は、記憶および実行機能における向上または低下を、探索することおよび見つけることを含む。 用語「評価すること」は、少なくとも12週間、より好ましくは少なくとも、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23週間、最も好ましくは少なくとも24週間の期間に渡る様々な時点で前記対象をモニターすることを包含すると解釈されている。評価は、前記のモニタリング期間の間に、好ましくは少なくとも2回、より好ましくは少なくとも3回、最も好ましくは少なくとも4回実施されてもよい。モニタリングのために、好ましくは、検査は、個々の検査で標準化された指示に従って、決まった時間間隔で、例えば、2または3週間毎に、実施される。評価は、治療の一部であってもよい。 さらなる側面において、本発明は、対象の個々の検査スコアを集めるための手段、および/または、対象の個々の検査スコアに基づいてドメインスコアを計算する手段、および/または、対象の複合(全体的)スコアを計算するための手段、を含むコンピュータシステム(キャリア)に関し、ここで、前記対象には、前記の個別の項目a〜iが適用されたものとする。 さらなる態様において、本発明は、 (i)前記の個別の項目a〜iについての指示、および (ii)認知機能の向上を目指す組成物、を含むパーツキットに関する。組成物または「薬剤」は、医薬組成物、または栄養組成物であってよく、それは、新しいかまたは既存の組成物であってよい。 本発明者等は、驚くべきことに、対象の複合NTBスコアが、前記対象が、下で本明細書に記載される(i)および(ii)を含む組成物を投与された時、有意に向上することを見出した。この分野において、全体的または複合NTBスコアは、個別の検査の結果に基づく。NTB検査(a)、(b)および(c)の結果は、いわゆる「記憶機能ドメインスコア(z−スコア)」として集められ、NTB検査(d)〜(g)の結果は、いわゆる「実行機能ドメインスコア(z−スコア)」として集められてもよい。記憶機能ドメインおよび実行機能ドメインの定義は、Harrison J、Minassian SL、Jenkins L、Black RS、Koller M、Grundman M. 「A neuropsychological test battery for use in Alzheimer disease clinical trials」、Arch Neurol. 2007;64(9):1323−1329に開示されている、検証されたNTBから得られ、この文献の内容は参照によって本明細書に組み込まれるとみなされる。ドメインスコアへの個々のNTB検査からの寄与は、現在では、確立された作業となった因子分析を実施することによって研究された。この因子分析は、ここではドメインz−スコアの計算に適用されるべきである。NTB複合スコアは、記憶および実行機能の寄与に加えて、別個の検査(h)および(i)の結検査果もまた組み込んでよい。これは、例えば、ここで記載される臨床研究で示されており、複合NTBスコアに関する結果が、図3および4に示されている。 本出願の全体を通して、用語「全体的NTBスコア」、「複合NTBスコア」、「NTB全体スコア」、および「NTB複合スコア」は、交換可能に用いられる。記憶機能ドメインスコアは、好ましくは、WMS VPA即時検査;WMS VPA遅延検査;RAVLT即時再生検査;RAVLT遅延再生検査;およびRAVLT再認検査に基づく。 実行機能ドメインスコアは、好ましくは、WMS数唱検査;COWAT検査;カテゴリー流暢性検査;TMT、好ましくは、少なくともTMT Bに基づく。 全体的スコアは、好ましくは、上記の記憶機能ドメインスコアおよび実行機能ドメインスコアの複合に基づき、また、任意に、見当識課題ADAS−cog検査;および文字数字置換検査をさらに含む。 さらなる側面において、本発明は、それを必要としている対象を治療するための製品の製造における、上で定義された(i)〜(ii)、および任意に(iii)を含む組成物の使用に関し、前記対象には、好ましくは、前記検査(a)〜(i)の少なくとも2、3、4、5、6、7、8つ、または全てを含むNTBが適用される。組成物は、好ましくは、前記対象に、少なくとも毎日投与される。好ましくは、この方法は、前記対象を、治療の間、好ましくは、前記検査(a)〜(i)の少なくとも2、3、4、5、6、7、8つ、または全てを含むNTBによりモニターすることを含む。 本発明の方法または使用は、前述の成分を含む組成物を、下でさらに略述されるように、それを必要としている対象に投与することを含む。予防または防止の側面は、障害の起こる危険を減らすことを含む。 好ましくは、治療は、好ましくは少なくとも12週間、製品の毎日の投与を含む。製品は、好ましくは、少なくとも13週間、より好ましくは少なくとも14、15、16、17、18、19、20、21、22、23週間、最も好ましくは少なくとも24週間、(毎日)投与される。「向上」により、複合スコアが、同じ状態を患っているが、本発明の組成物を与えられない対象の対照群に比べて、増加することを意味するものとする。 複合NTBスコアは、好ましくは、前述のリスト(a)〜(i)からの少なくとも2つの別個の検査に基づき、これらの全ては、当技術分野において標準化されている。NTBは、好ましくは、実行機能ドメインを対象とする少なくとも1つの検査、および記憶機能ドメインを対象とする少なくとも1つの検査を含む。好ましくは、NTBは、EFドメインについての少なくとも2つ、より好ましくは少なくとも3つの検査と、記憶ドメインについての少なくとも2つ、より好ましくは3つの検査とを含む。最も好ましくは、NTBは、前述のリスト(a)〜(i)の検査の、少なくとも6つ、より好ましくは少なくとも7つを含み、最も好ましくは8つを含み、より一層好ましくは9つを含み、最も好ましくは、それらの全てからなる。一態様において、複合NTBスコアは、(a)〜(g)から計算される。別の態様において、複合NTBスコアは、(a)〜(g)ならびに(h)および(i)から計算される。実験の部において例示されるように、どちらの場合においても、本発明の組成物を投与した時、向上が認められた。 知られている個々の検査(a)〜(i)を修正することは、本発明の一部ではない。指針として、これらの検査が、本明細書において下に略述される。しかし、本明細書において下に記載される教示は、決して、本発明への限定であるとはみなされない。ウェクスラー記憶尺度−言語性対連合検査(即時および遅延再生) 対連合学習検査は、対象に、記憶で2つの項目を結び付けることを求める。このパラダイムを特徴付けるいくつかの課題は、対象に、色と形状を、または物体と空間的位置を結び付けることを求める。この分野において、ウェクスラー記憶尺度−視覚検査(即時および遅延再生)は、それぞれ、「WMS VPA即時」および「WMS VPA遅延」と略記される。VPAは、対象に、記憶で2つの語を結び付けることを求める。 VPA検査において、対象は、かなりの数の、好ましくは約8個の語の対を、大声で読んで聞かせられる。語の対は、意味上の関連のある、いくつか(例えば、4つ)の「容易な」対、例えば、「赤ん坊−泣き声」または「金属−鉄」、および意味上の関連のない語の対、例えば「粉砕−暗い」の間に連想がなされることを求める、いくつかの(例えば、4つ)の「難しい」対を含む。語の対は、聴覚に与えられ、次いで、検査管理者に、きっかけとして、それぞれの対の最初の語を言ってもらうことによって、即時再生が検査される。対象は、そのきっかけに答えて、対の語を言わなければならない。これは、患者の達成度に応じて、好ましくは3〜6グループの語の対について、何度も行われる。患者は、正しい答えの各々について1点を与えられる。 検査は、即時再生検査の後、遅延再生条件、例えば、1〜30分間を含み(WMS−VPA遅延)、高レベルの遅延再生を助長するための試みとして、即時再生の最高スコア(例えば、3回目の試験で8点)を得点することに失敗した研究参加者は、その場合、さらなる試験(例えば、4回目、5回目、また必要であれば、6回目の試験)を受ける。例えば、3回目の試験、またはそれに続く何れかの試験で、完全な達成度が実現された場合、即時再生の部分は終了する。そうでない場合は、(例えば、最大で6回の試験まで)さらなる試験が行われる。遅延再生では、きっかけとなる全ての語(例えば、8つ)が与えられ、対象は、正しい対の語を提供するように要求される。即時再生は、0と、対の数×試験回数(例えば、0と、8対×3回の試験=24点)との間に含まれるスコアを、また、遅延再生は、0と、対の数(例えば、0〜8点)との間に含まれるスコアを生じる。どちらの場合においても、より高いスコアが、より優れた達成度を示す。 Wechsler D. 「Wechsler Memory Scale Manual」、San Diego 1987;Psychological Corp.が参照され、その内容は参照により本明細書に組み込まれるとみなされる。 再認検査、RAVLT再生 再認検査は、好ましくは、 − レイ聴覚性言語性学習検査[RAVLT]; − 神経心理学的状態の評価のための反復バッテリー[RBANS]; − カルフォルニア言語性学習検査[CVLT];および − アルツハイマー病登録確立協会検査[CERAD];からなる群から選択される。 神経心理学的状態の評価のための反復バッテリー(RBANS)は、例えば、Randolf 1998によるRBANSマニュアルにあり、再認達成度(RBANS−再認)のスコアを与え、それにより、再認機能を評価またはモニターするために用いられ得る。カルフォルニア言語性学習検査(CVLT)は、Delis, D.C.、Kramer, J.H.、Kaplan, E.、& Ober, B.A. (2000)に詳細に記されており、再認達成度(CVLT−再認)のスコアを与え、それにより、再認機能を評価またはモニターするために用いられ得る。 RAVLTが好ましい。この分野において、レイ聴覚性言語性学習検査は、「RAVLT再生」および「RAVLT認知」に、さらに分割される。RAVLTは、即時と遅延の両方の言語性エピソード学習および記憶の測定法である。この検査は、語のリストの朗読が、対象の記憶におけるエピソードに相当するという点で、「エピソード的」である。RAVLTは、順向抑制、逆向抑制、保持、符号化vs.想起(retrieval)、および主観的体制化を含めて、言語性学習および記憶を評価するのに有用である。検査は、簡単で、直接的で、理解し易く、7〜89歳の、子供、青年、および成人にとって適切であり、それは、広く受け入れられている(出典:http://www.annarbor.co.uk/index.php?main_page=index&cPath=249_303)。 RAVLTの再生の部分では、対象は、好ましくは約15個の、語のリストを聞き、それらの即時再生を求められる。好ましくは、この試験は、何度も、好ましくは約5回、行われる。語のリストの遅延再生は、干渉期間の後で調べられる。RAVLTの再認の部分では、関連のない錯乱させる語が、RAVLT再生部分において用いられたリストの語に混ぜられ、対象は、これらの語のどれが、前に声に出して読まれたかを尋ねられる。 例えば、即時再生部分(RAVLT−即時)において、語は、対象に対して音読され、彼らは、検査管理者がリストを読むことを完了した後、できるだけ最もよく、それらを再生することを求められる。例えば15個の語の、この最初の語のリスト(リストA)は、数回、例えば、合計で3、または4、または5回、音読され、各回での語の再生が記録される。語のリストを繰返し聞かされて、再生の向上があるかどうかを観察することによって、学習の速さを求めることが可能である。リストAの試験の後、例えば15個の語の、第2リスト(リストB)が、対象に対して音読される。リストBに対する再生が記録され、次いで、対象は、再び、リストAからの語を再生するように求められる。リストBの実施は、再生を一層難しくするために、リストAの再生を邪魔するように考案されている。 遅延再生部分(RAVLT−遅延)では、検査のこの最後の段階の後、遅延時間間隔、例えば10〜30分置いて、対象は、リストAからの語を再生するように求められる。再認部分(RAVLT−再認)に対応する、検査の最終段階において、対象は、書かれた語のリストから、リストAの語を特定するように求められる。リストは、新しい「錯乱肢(distractor)」語に混ざった、元のリストAの語、例えば、15個の新しい「錯乱肢」語に混ざった、リストAの15個の語からなる。再認記憶の課題での達成度は、通常、語の再生でのそれを上回り、そのため、記憶が損なわれているかもしれない個人の研究における、有益な付加である。 Rey A.、「L’examen clinique en psychologie」、Paris: Presses Universitaires de France 1964が参照され、その内容は参照によって本明細書に組み込まれるとみなされる。ウェクスラー記憶尺度数唱検査 この検査では、長さの増える数字の列が、患者に音読され、患者は、これらを、順方向(順唱)または逆方向(逆唱)の何れかで、繰り返すことを求められる。スコアは、正しく再生された列の数から導かれる。 Wechsler D.、「Wechsler Memory Scale Manual」、San Diego 1987;Psychological Corp.が参照され、その内容は参照によって本明細書に組み込まれるとみなされる。 統制発語連合検査 統制発語連合検査(COWAT)は、特定の文字(例えば、C、FおよびL)に対して言語連想する患者の能力を測定する。 カテゴリー流暢性検査 カテゴリー流暢性検査は、特定のカテゴリー、例えば、意味上のカテゴリー「動物」に属する多くの語を思い出す能力を測定する。スコアは、予め定められた時間に、好ましくは60秒間に挙げられた、そのカテゴリーに属する異なる項目の数である。 Lezak MD、Howieson DB、Loring DW.、「Neuropsychological Assessment」、New York: Oxford University Press、2004が参照され、その内容は参照によって本明細書に組み込まれるとみなされる。 トレイルメイキングテスト NTBは、好ましくは、少なくともトレイルメイキングテストB(または「TMT−B」)を含む。さらなる態様において、NTBは、トレイルメイキングテストA(「TMT−A」)をさらに含む。Delis Kaplan Executive Function System(商標)(DKEFS;著作権 2001 NCS Pearson, Inc.)、特にDKEFS条件2および4(それぞれ、TMT AおよびBに相当する)を用いることが特に好ましく、少なくともDKEFS条件4を用いることが最も好ましい。 TMTは、最初は、Army Individual Test Batteryの一部として開発されたものであり、実行機能を評価するために、広く用いられる神経心理学的検査の1つである。TMTは、視覚による探索、走査、処理速度、心的柔軟性および他の実行機能についての情報をもたらす。手短に言えば、TMTは2つの部分からなる:TMA−A(「数字順番付」)は、個人に、1枚の紙の上に散らばった、かなりの数、例えば16〜25個の丸で囲まれた数字を順番に結ぶ線を引くことを求める。課題の要求することは、個人が数字と文字の間を行きつ戻りつしなければならないことを除けば、TMT−B(「数字−文字交互変更」)でも同様である。各部分でのスコアは、課題を完了するための時間の長さに対応する。さらなる詳細は、T. Tombaugh、「Trail Making Test A and B: Normative data stratified by age and education」、Archives of Clinical Neuropsychology 19(2004) 203−214に記載されている。 TMT−B(より詳細には、DKEFS条件4)は、実行機能検査のための信依頼できる手段として認められている。トレイルメイキングテストの部分Bは、良好な一般的指標であるが、その理由は、認知能力に対するその要求が、行きつ戻りつする数字と文字のパターンを継続して理解するのに十分に適する、視覚走査、視覚−運動協応、および視覚−空間能力を含むためである。部分Bは、数字と文字を区別する過程、2つの独立した系列の統合、組織化原理を学び、それを系統的に適応する能力、順番の保持および統合、言語問題解決、および計画立案に関連する。 (i)Reitan RM.、「The relation of the trail making test to organic brain damage」、J Consult Psychol 1955;19(5):393−394;(ii)Reitan RM.、「Validity of the trail making test as an indicator of organic brain damage」、Perceptual and Motor Skills 1958;8:271−276;および(iii)Armitage SG.、「An analysis of certain psychological tests used for the evaluation of brain injury」、Psychological Monographs 1946;60(1): no. 277が参照され、それらの内容は参照によって本明細書に組み込まれるとみなされる。 見当識課題ADAS−cog検査 この課題は、患者が、時間と場所に関して、如何によく把握しているかを特定するように考案されている。前に記載されたように、本発明によるNTBおよび方法は、ADAS−cog検査の全てを含むとは限らないが、ADAS−cog見当識課題だけは含むことが好ましい。訓練および検査期間を、対象に受け入れられる期間と頻度に最適化することは、本発明者等の関心事である。このため、一態様において、見当識課題以外のADAS−cog検査の全ては、本発明の方法およびNTBから除外される。 文字数字置換検査[LDST] 文字数字置換検査は、情報処理速度についての測定法である。かなりの数の異なる文字、好ましくは約9個が、一覧表(key)に、他の(好ましくは、同じ総数の)数字と対になっている。この一覧表の下に、囲みの中の文字の無作為な連なりが与えられ、患者は、それらの文字に対応する数字を、できるだけ素早く書き込むように指示される。スコアは、予め定められた時間に、好ましくは約60秒間に、正しく置換された数字の数である。 Rosen WG、Mohs RC、Davis KL.、「A new rating scale for Alzheimer’s disease」、Am J Psychiatry 1984;141(11):1356−1364が参照され、その内容は参照によって本明細書に組み込まれるとみなされる。 対象 特に、対象は、神経心理学的障害、好ましくは、記憶または認知障害、記憶力の低下または認知機能障害、例えば、加齢に伴う記憶障害(AAMI)、多発性硬化症、血管性認知症、前頭側頭型認知症、意味性認知症またはレビー小体型認知症、およびアルツハイマー病を患う人間である。対象は、好ましくは、アルツハイマー病[AD]、ピック病、レビー小体病、ハンチントン病、または「認知症症候群」に伴う認知機能障害を患っている。認知症症候群は、血管性認知症、前頭側頭型認知症、意味性認知症を包含する。 対象は、好ましくは、ヒト、好ましくは初老の人間、好ましくは少なくとも50歳のヒトである。対象は、好ましくは、ADまたは認知症患者である。一側面において、本発明は、アルツハイマー病または認知症自体の治療には関係しないが、アルツハイマー病、認知症および/または初老の人の治療に関係する。 一態様において、対象は、好ましくは、投与を受けていない対象であり、好ましくは、この対象は、治療または評価の前、少なくとも4週間は、記憶の向上、またはADもしくは認知症のための如何なる薬剤も投与されていない。本発明で用いられる場合、好ましくは、用語「投与を受けていない」は、治療または評価の間、コリンエステラーゼ阻害剤、N−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)アンタゴニスト、およびイチョウ(ginkgo biloba)からの1種以上を摂取せず、好ましくは、治療または評価の前、4週間は、認知能力に影響を及ぼす如何なる薬剤も摂取していない対象をいう。本明細書に示されるNTBは、投与を受けていない対象に非常に有効であることが見出された。 本発明によるNTBは、軽度または前駆症状のアルツハイマー病の場合における、記憶および実行機能の低下をモニターするのに、特に有用である。こうして、一側面において、対象は、軽度認知障害(MCI)患者(または、「軽度AD患者」もしくは「軽度認知症患者」)あるいはAAMI患者である。患者グループは、また、神経障害の前駆症状患者、特に、投与を受けていない前駆症状AD患者、または投与を受けていない前駆症状認知症患者を包含してよい。「前駆症状認知症患者」は、上で定義された老年性認知症を患っていないが、老年性認知症に進展する見込みの高い人である。同様に、「前駆症状アルツハイマー患者」は、ADを患ってはいないが、ADに進展する見込みの高い人である。前駆症患者として患者を分類するために用いられる診断ツールは、当技術分野において利用可能であり、例えば、WO 2009/002164に要約されており、その内容は参照によって本明細書に組み込まれる。 特徴付けるさらなる方法において、対象は、20〜30個のミニメンタルステート検査[MMSE]を行うことによって特徴付けられてもよい。MMSEは、認知症の様々な(前)病期を区別するために、当技術分野において開発された、標準化された検査である。それは、認知能力を評価するために用いられる、簡単な30点の質問表を含む。約10分間に、記憶および見当識を含む様々な機能が試される。MMSE検査は、かなりの数の領域の簡単な質問および問題:検査の時間と場所、語のリストの反復、言語使用および理解、ならびに基本的運動スキルを含む。(30点の内の)27点以上のスコアは、事実上正常と解釈され;20〜26点は軽度の認知症;10〜19点は中程度の認知症、また10点未満は重度の認知症を示す。著作権のせいで、本発明者等は本明細書に質問表のコピーを含められないが、それは、インターネットで容易にアクセスでき、著作権所有者のPsychological Assessment Resources(PAR)を通して利用可能である。それは、最初、Folstein等(Psych Res 12:189、1975)によって導入され、僅かに修正されて、認知能力を評価するために広く用いられる。好ましくは、本発明において、対象は、20〜30点、より好ましくは20〜26点のミニメンタルステート検査(MMSE)、より一層好ましくは24、25または26点のMMSEの得点を有する。より好ましくは、前述のMMSEスコア範囲を有する対象は、アルツハイマー病、軽度認知障害(MIC)、加齢による記憶障害(AAMI)、多発性硬化症、血管性認知症、前頭側頭型認知症、意味性認知症、またはレビー小体型認知症を有する(または、患う)。 最も好ましくは、本発明において評価され、モニターされ、治療される対象は、投与されておらず、20〜26点、好ましくは24〜26点のMMSEによって特徴付けられる軽度アルツハイマー病を患う。 製品 本出願の全体を通して、用語「製品」および「組成物」は、交換可能に用いられており、それを必要としている対象に投与される成分の組合せから成る。 本発明の一側面において、本発明による組成物は、1種以上の薬学的に許容される担体材料を含む医薬製品として用いられ得る。 本発明の別の側面において、本発明による組成物は、栄養製品として、例えば栄養サプリメントとして(例えば、普通食に添加するための、普通食への添加剤として、強化剤として)、または完全栄養物として、用いられてもよい。 好ましくは経腸適用のための、医薬製品は、固体または液体ガレヌス製剤であり得る。固体ガレヌス製剤の例は、錠剤、カプセル(例えば、ハードもしくはソフト殻ゼラチンカプセル)、丸剤、サシェ、粉末、顆粒などであり、これらは、活性成分を、通常のガレヌス製剤担体と一緒に含む。如何なる通常の担体材料も利用され得る。担体材料は、経口投与に適する、有機または無機の不活性担体材料であり得る。適切な担体には、水、ゼラチン、アラビアゴム、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、タルク、植物油などが含まれる。さらに、香味剤、保存剤、安定剤、乳化剤、緩衝剤などのような添加剤が、医薬品調合の受け入れられる操作に従って添加されてもよい。個々の活性成分は、単一の組成物として適切に投与されるが、それらは、また、個別の投与単位(dosage unit)としても投与されてよい。 それゆえに、本発明はさらに、i)ウリジンおよびシチジン、またはこれらの塩、ホスフェート、アシル誘導体もしくはエステルからの1種以上;およびii)ドコサヘキサエン酸(22:6;DHA)、エイコサペンタエン酸(20:5;EPA)およびドコサペンタエン酸(22:5;DPA)、またはこれらのエステルの少なくとも1種を含む脂質フラクション;を含む、パーツキットに関する。一態様において、iii)コリン、またはその塩もしくはエステルを含めることが好ましい。 組成物が医薬製品である場合、このような製品は、1つ以上の投与単位で、1日投与量を含んでよい。投与単位は、液体状または固体状であってよく、後者の場合、1日投与量は、例えば1つ以上のカプセルまたは錠剤として、1つ以上の固体投与単位によって提供されてもよい。 本発明の別の側面において、本発明による組成物は、脂肪、タンパク質、および炭水化物の群から選択される少なくとも1種の成分を含む栄養製品として使用されてもよい。栄養製品は、組成物が投与される対象に栄養を与える栄養素の存在、特に、タンパク質、脂肪、消化可能な炭水化物および食物繊維の存在によって、医薬製品とは異なると理解されている。それは、さらに、ミネラル、ビタミン、有機酸、および香味剤のような成分を含んでもよい。用語「栄養補助食品(nutraceutical product)」が、文献において、しばしば用いられるが、それは、医薬成分または薬学的目的を有する栄養製品を表す。このゆえに、本発明による栄養組成物もまた、栄養補助食品として使用されてもよい。 本発明の製品は、経口投与を意図する、経腸組成物である。それは、好ましくは、液体状で投与される。一態様において、製品は、脂質フラクション、ならびに炭水化物およびタンパク質の少なくとも1種を含み、ここで、脂質組成物は、食物製品の20〜50エネルギー%を提供する。一態様において、食物製品は、1mlあたり0.8〜1.4kcalの間を含む液体組成物である。 好ましくは、(i)および(ii)を含む組成物は、コリンをさらに含む。 好ましくは、(i)および(ii)を含む組成物は、リン脂質、ビタミンE、ビタミンC、セレン、ビタミンB12、ビタミンB6および葉酸の1種以上をさらに含む。 より好ましくは、組成物は、DHA,EPA、ウリジン源(好ましくは、UMP)、リン脂質、コリン、ビタミンE、ビタミンC、セレン、ビタミンB12、ビタミンB6および葉酸を含む。 DHA/EPA 本発明の組成物は、ドコサヘキサエン酸(22:6;DHA)、エイコサペンタエン酸(20:5;EPA)およびドコサペンタエン酸(22:5 ω−3;DPA)からなる群から選択される少なくとも1種のω−3ポリ不飽和脂肪酸(LC PUFA;18個以上の炭素原子の鎖長を有する)を、好ましくは、DHAおよびEPAの少なくとも1種を、含む。好ましくは、本発明の組成物は、少なくともDHAを、より好ましくはDHAおよびEPAを含む。EPAは、DPA(ω−3)に変換され、脳で続いて起こるDHAへのDPAの変換を増大させる。このように、本発明の組成物は、好ましくは、かなりの量のEPAを含み、インビボDHA生成をさらに刺激する。 DHA、EPAおよび/またはDPAは、好ましくは、トリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリド、遊離脂肪酸またはそれらの塩もしくはエステル、リン脂質、リゾリン脂質、グルセロールエーテル、リポタンパク質、セラミド、糖脂質またはこれらの組合せとして供給される。好ましくは、本発明の組成物は、少なくとも、トリグリセリド形態のDHAを含む。 1日投与量に関して、本発明の方法は、好ましくは、1日あたり400〜5000mgのDHA+EPA+DPA(好ましくは、DHA+EPA)、より好ましくは、1日あたり500〜3000mg(好ましくは、DHA+EPA)、最も好ましくは、1日当たり1000〜2500mg(好ましくは、DHA+EPA)の投与を含む。DHAは、好ましくは、1日当たり300〜4000mg、より好ましくは、1日当たり500〜2500mgの量で投与される。 好ましくは、本発明の組成物は、全脂肪酸に対して1〜40wt%のDHA、好ましくは全脂肪酸に対して3〜36wt%のDHA、より好ましくは全脂肪酸に対して10〜30wt%のDHAを含む。好ましくは、本発明の組成物は、全脂肪酸に対して0.5〜20wt%のEPA、好ましくは全脂肪酸に対して2〜10wt%のEPA、より好ましくは全脂肪酸に対して5〜10wt%のEPAを含む。前記の量は、味(例えば、余りに高いLCPレベルは味を低下させ、結果として、服薬遵守を低下させる)を含めて、いくつかの側面を考慮に入れ、それらを最適化する。 本発明の組成物は、好ましくは、魚油、藻類油、および卵の脂質から選択される少なくとも1種のオイルを含む。好ましくは、本発明の組成物は、DHAおよびEPAを含む魚油を含む。 DHAとEPAの重量比は、好ましくは、1を超え、より好ましくは、2:1から10:1、より好ましくは、3:1から8:1である。前記の比および量は、最高の効果を確保し、同時に低容積製剤であるために、味(余りに高いLCPレベルは味を低下させ、結果として、服薬遵守を低下させる)、DHAとその前駆体との間のバランスを含めて、いくつかの側面を考慮に入れ、それらを最適化する。 DHA源、可能なDHA源:マグロ油、(他の)魚油、DHAの豊富なアルキルエステル、藻類油、卵黄、またはn−3LCPUFAにより富化されたリン脂質、例えば、ホスファチジルセリン−DHA。 本発明の組成物は、好ましくは、非常に少量のアラキドン酸(AA)を含む。好ましくは、本発明の組成物におけるDHA/AAの重量比は、少なくとも5、好ましくは少なくとも10、より好ましくは少なくとも15で、好ましくは、例えば30まで、またはさらには60までである。本発明の方法は、好ましくは、全脂肪酸に対して5wt%未満、より好ましくは2.5wt%未満、例えば0.5wt%と少ない、アラキドン酸を含む組成物の投与を含む。 ALA/LA 組成物のアルファ−リノレン酸[ALA]含有量は、低いレベルに保たれることが好ましい。ALA濃度は、全脂肪酸重量に基づいて計算して、好ましくは、2.0重量%未満、より好ましくは、1.5重量%未満、特に1.0重量%未満のレベルに保たれ得る。 リノール酸[LA]濃度は、通常のレベル、すなわち20〜30重量%の間に保たれ得るが、一態様において、LA濃度もまた、15g/100g未満の脂肪酸、さらには10重量%未満の量まで、かなり減らされる。LA濃度は、好ましくは、脂肪酸の少なくとも1重量%である。 本発明の製品におけるオメガ−6/オメガ−3脂肪酸の重量比は、好ましくは、0.5未満、より好ましくは0.2未満、例えば、0.05または0.01である。本発明の製品におけるω−6/ω−3脂肪酸(C20以上)の比は、好ましくは、0.3未満、より好ましくは0.15未満、例えば、0.06または0.03である。 MCT 一態様において、組成物は、5重量%未満、好ましくは2重量%未満の、14個未満の炭素原子の脂肪酸を含む。 中鎖脂肪酸[MCT]は、6個(C6:0)、7個(C7:0)、8個(C8:0)、9個(C9:0)、または10個(C10:0)の炭素原子を有する直鎖状または分枝飽和カルボン酸であると定義される。MCTの量は、好ましくは、全脂肪酸の2重量%未満、より好ましくは1.5重量%未満、最も好ましくは1.0重量%未満である。一態様において、中鎖脂肪酸C6:0+C7:0+C8:0の合計と、C9:0およびC10:0の合計との比は、2:1未満、より好ましくは、1.8:1未満、最も好ましくは、1.6:1未満である。 飽和およびモノ不飽和脂肪酸 本発明の組成物は、好ましくは、飽和および/またはモノ−不飽和脂肪酸を含む。飽和脂肪酸の量は、好ましくは、全脂肪酸に対して6〜60wt%、好ましくは、全脂肪酸に対して、12〜40wt%、より好ましくは20〜40wt%である。特に、C14:0(ミリスチン酸)+C16:0(パルミチン酸)の量は、好ましくは、全脂肪酸に対して5〜50wt%、好ましくは8〜36wt%、より好ましくは15〜30wt%である。モノ不飽和脂肪酸、例えば、オレイン酸およびパルミトレイン酸の全量は、好ましくは5〜40wt%の間、より好ましくは15〜30wt%の間である。好ましいこれらの量を有する組成物は、非常に効果的であることが見出された。 ウリジン、UMP 本発明の組成物は、ウリジン、シチジン、ならびに/あるいは、塩、ホスフェート、アシル誘導体および/またはエステルを含めて、それらの等価物を含む。ウリジンに関して、好ましくは、組成物は、ウリジン(すなわち、リボシルウラシル)、デオキシウリジン(デオキシリボシルウラシル)、ウリジンリン酸(UMP、dUMP、UDP、UTP)、核酸塩基ウラシル、およびアシル化ウリジン誘導体からなる群から選択される、少なくとも1種のウリジンまたはその等価物を含む。一態様において、シチジン、CMP、シチコリン(CDP−コリン)もまた利用されてよい。好ましくは、本発明に従って投与される組成物は、ウリジン、デオキシウリジン、ウリジンリン酸、ウラシル、およびアシル化ウリジン、ならびにシチジンからなる群から選択され、より好ましくは、ウリジン、デオキシウリジン、ウリジンリン酸、ウラシル、およびアシル化ウリジンからなる群から選択される、ウリジン源を含む。 好ましくは、本発明の組成物は、ウリジン一リン酸(UMP)、ウリジン二リン酸(UDP)およびウリジン三リン酸(UTP)からなる群から選択されるウリジンリン酸;ならびに/またはシチジンリン酸(CMP、CDP、CTP、好ましくはCMP)を含む。最も好ましくは、本発明の組成物は、UMPが最も効率的に身体によって取り込まれるので、UMPを含む。好ましくは、本発明の組成物における少なくとも50wt%、より好ましくは少なくとも75wt%、最も好ましくは少なくとも95wt%のウリジンは、UMPによって供給される。投与されなければならない投与量は、UMPとして与えられる。ウラシル源の量は、モル当量を考慮してUMP(分子量324ダルトン)量に換算される。 本発明の方法は、好ましくは、1日当たり0.08〜3g、好ましくは1日当たり0.1〜2g、より好ましくは1日当たり0.2〜1gの量のウリジン(ウリジン、デオキシウリジン、ウリジンリン酸、核塩基ウラシルおよびアシル化ウリジン誘導体の累積量)の投与を含む。本発明の方法は、好ましくは、100mlの液体製品当たり0.08〜3gのUMP、好ましくは、100mlの液体製品当たり0.1〜2gのUMP、より好ましくは、100mlの液体製品当たり0.2〜1gの量でウリジンを含む組成物の投与を含む。好ましくは、1キログラムの体重当たり1〜37.5mgのUMPが、1日当たりに投与される。上の量は、また、組成物または方法に組み入れられるシチジン、シチジンリン酸およびシチコリンの全量を明らかにする。 好ましくは、本発明の組成物は、ウリジンリン酸、好ましくはウリジン一リン酸(UMP)を含む。UMPは、身体によって非常に効率的に取り込まれる。このため、本発明の組成物にUMPを含めることは、最低投与量での高い効率、および/または、対象へ小容積の投与を可能にする。 コリン 好ましい態様において、本発明の組成物は、コリン、コリン塩および/またはコリンエステルを含む。この節の残りの部分では、用語「コリン」は、これら等価物の全てを包含するとみなされる。コリン塩は、好ましくは、塩化コリン、重酒石酸コリン、またはステアリン酸コリンから選択される。コリンエステルは、好ましくは、ホスファチジルコリン、およびリゾホスファチジルコリンから選択される。本発明の方法は、好ましくは、1日当たり50mgを超えるコリン、好ましくは、1日当たり80〜2000mgのコリン、より好ましくは、1日当たり120〜1000mgのコリン、最も好ましくは、1日当たり150〜600mgのコリンの投与を含む。好ましくは、本発明の組成物は、100mlの液体組成物あたり50mg〜3000mgのコリン、好ましくは、100mlあたり200mg〜1000mgのコリンを含む。上の数値はコリンに基づいており、コリン等価物またはコリン源の量は、モル当量を考慮してコリンに換算できる。 リン脂質 好ましくは、本発明の組成物は、リン脂質を、好ましくは、脂質の全重量に対して0.1〜50wt%、より好ましくは、0.5〜20wt%、より好ましくは、1〜10wt%の間、最も好ましくは、脂質の全重量に対して1〜5wt%の間のリン脂質を好ましくは含む。脂質の全量は、好ましくは、乾燥物に関しては10〜30wt%の間、および/または、液体組成物では100ml当たり2〜10gの脂質である。組成物は、好ましくは、100ml当たり0.01〜1グラムの間のレシチン、より好ましくは、100ml当たり0.05〜0.5グラムの間のレシチンを含む。これらの好ましい量を有する組成物は、非常に効果的であることが見出された。ビタミン 本発明の配合は、好ましくは、ビタミンB複合体の少なくとも1種を含む。ビタミンBは、ビタミンB1(チアミン)、ビタミンB2(リボフラビン)、ビタミンB3(ナイアシンまたはナイアシンアミド)、ビタミンB5(パントテン酸)、ビタミンB6(ピリドキシン、ピリドキサール、またはピリドキサミン、またはピリドキシン塩酸塩)、ビタミンB7(ビオチン)、ビタミンB9(葉酸またはフォレート)、およびビタミンB12(様々なコバラミン)の群から選択される。機能的等価物は、これらの用語内に包含される。 好ましくは、少なくとも1種のビタミンBは、ビタミンB6、ビタミンB12およびビタミンB9の群から選択される。好ましくは、本発明の組成物は、ビタミンB6、ビタミンB12およびビタミンB9からなる群から選択される少なくとも2種を含む。特に、良好な結果は、ビタミンB6、ビタミンB12およびビタミンB9を含む組合せにより達成された。やはり、機能的等価物はこれらの用語に包含される。 ビタミンBは、有効な投与量で投与されるべきであり、この投与量は、用いられるビタミンBの種類に依存する。大まかには、適切な最少および最大投与量は、例えば、米国科学アカデミーの医学研究所(IOM)によって、または食品科学委員会(Scientific Committee on Food)(EUの科学委員会)によって推奨される、知られている食事に関する推奨や、ここで開示されている情報、および任意に、限られた量の慣例的検査に基づいて、選択されてもよい。最少投与量は、推定平均要求量(EAR)に基づいてもよいが、より少ない投与量でもすでに有効であり得る。最大投与量は、好ましくは、IOMによって推奨される、許容上限摂取量(UL:tolerable upper intake level)を超えない。 栄養組成物または医薬中に存在する場合、ビタミンB6は、通常、0.1〜100mgの範囲、特に、0.5〜25mgの範囲、より特別には、0.5〜5mgの範囲の1日投与量を供給する量で存在する。本発明の組成物は、好ましくは、100gの(液体)製品当たり0.1〜100mgのビタミンB6、より好ましくは、100gの(液体)製品当たり0.5〜5mgのビタミンB6、より好ましくは、100gの(液体)製品当たり0.5〜5mgのビタミンB6を含む。 栄養組成物または医薬中に存在する場合、ビタミンB12は、通常、0.5〜15μgの範囲、特に、1〜10μgの範囲、より特別には、1.5〜5μgの範囲の1日投与量を供給する量で存在する。本発明の組成物は、好ましくは、100gの(液体)製品当たり0.5〜15μgのビタミンB12、より好ましくは、100gの(液体)製品当たり1〜10μgのビタミンB12、より好ましくは、100gの(液体)製品当たり1.5〜5μgのビタミンB12を含む。用語「ビタミンB12」は、当技術分野において知られている全てのコバラミン(cobalbumin)を包含する。 本出願の全体を通して、用語「葉酸」、「フォレート」および「B9」は、交換可能であるように用いられている。栄養組成物または医薬中に存在する場合、ビタミンB9は、通常、50〜1000μgの範囲、特に、150〜750μgの範囲、より特別には、200〜500μgの範囲の1日投与量を供給する量で存在する。本発明の組成物は、好ましくは、100gの(液体)製品当たり50〜1000μgの葉酸、より好ましくは、100gの(液体)製品当たり150〜750μgの葉酸、より好ましくは、100gの(液体)製品当たり200〜500μgの葉酸を含む。フォレートには、葉酸、フォリン酸、フォレートのメチル化、メテニル化およびホルミル化された形、それらの塩またはエステル、さらには、1つ以上のグルタミン酸によるそれらの誘導体、ならびに還元または酸化の何れかを受けた形の全てが含まれる。 ビタミンC、E ビタミンC、またはその機能的等価物は、20〜2000mgの範囲、特に、30〜500mgの範囲、より特別には、75〜150mgの範囲の1日投与量を供給する量で存在してもよい。一態様において、ビタミンC、またはその機能的等価物は、100mlの組成物当たり、20〜2000mgの範囲、特に、30〜500mgの範囲、より特別には、75〜150mgの範囲の量で存在する。 トコフェロールおよび/またはその等価物(すなわち、ビタミンE活性を有する化合物)は、食物のPUFAにより生じる酸化損傷を防ぐために、10〜300mgの範囲、特に、30〜200mgの範囲、より特別には、35〜100mgの範囲の1日投与量を供給する量で存在してもよい。一態様において、トコフェロールおよび/または等価物は、100mlの組成物当たり、10〜300mgの範囲、特に、30〜200mgの範囲、より特別には、35〜100mgの範囲の量で存在する。この説明に用いられる場合、用語「トコフェロールおよび/またはその等価物」、および「アルファ−TE」は、トコフェロール、トコトリエノール、薬学的および/または栄養学的に許容されるそれらの誘導体、ならびにこれらの任意の組合せを含む。上の数値は、当技術分野において認められている、トコフェロール当量に基づく。 セレン 本発明の組成物は、好ましくは、セレンを、その酸化防止活性のために、含む。好ましくは、本発明の方法は、100mlの液体製品当たり0.01〜5mg、好ましくは、100mlの液体製品当たり0.02〜0.1mgのセレンを含む組成物の投与を生じる。1日当たりに投与されるセレンの量は、好ましくは、0.01mgを超え、より好ましくは0.01〜0.5mgである。 タンパク質 組成物は、さらに、タンパク質様物質を含んでいてもよいが、このような成分は、必要であるとは思われないことが見出された。実際に、こうして、小さな容積の組成物に、活性成分を高濃度で含むことが可能である。タンパク質フラクションが含められるとしても、そのタンパク質フラクションは、インタクトタンパク質、インタクトタンパク質の加水分解によって、また合成によって得ることができるペプチド、80重量%を超えるアミノ酸を含むペプチド誘導体を含む。ヌクレオシド物質およびコリンからの窒素は、タンパク質であるとしては計算されない。 一態様において、タウリン(タウリン塩を含む)の量は、1日用量当たり0.1g未満、好ましくは0.05g未満であることが好ましい。さらに、または代わりに、タウリン(タウリン塩を含む)の量は、100gの組成物当たり5mg未満、より好ましくは2.5mg未満であることが好ましい。 一態様において、組成物は、100mlの(液体)組成物当たり、25mg未満、より好ましくは20mg未満、最も好ましくは15mg未満のシステインおよびタウリンを含む。一態様において、組成物は、100mlの(液体)組成物当たり、25mg未満、より好ましくは20mg未満、最も好ましくは15mg未満のシステインを含む。タンパク質フラクションは、カゼインが他のタンパク質源に比べて比較的少量のシステインを含むという理由で、70重量%を超え、より好ましくは80重量%以上のカゼインもしくはカゼイン塩、またはそれらの加水分解物を含むことが好ましい。タンパク質中に存在するシステイン分子を酸化するために、液体組成物を加熱することがさらに好ましい。これは、配合に存在する残留システインの生物学的利用能を減じる。好ましい熱処理は、滅菌を含む。システインが酸化されるのに十分な長い時間、すなわち、30秒を超え、好ましくは40秒を超える時間と組み合わせて、温度を、135℃未満、好ましくは132℃未満のままに保つことが好ましい。 一態様において、組成物は、組成物の全エネルギー含有量の15en%未満、より好ましくは10en%未満、最も好ましくは5en%未満のタンパク質含有量を有することが好ましい。成分のエネルギーパーセンテージは、1gの脂質当たり9kcal、1gのタンパク質または1gの消化可能な炭水化物当たり4kcal、1gの食物繊維当たり2kcal、および組成物の他の成分では0kcalの計算因子を用い計算される。一態様において、組成物は、100ml当たり0.5未満〜10gのタンパク質、より好ましくは、100ml当たり1未満〜6gグラムのタンパク質、最も好ましくは、2〜6gのタンパク質/100mlを含むことが好ましい。 本発明による好ましい組成物は、1日用量当たり、または100mlの組成物当たり、 100〜500mg、好ましくは、200〜400mgのEPA、 900〜1500mg、好ましくは、950〜1300mgのDHA、 50〜600mg、好ましくは、60〜200mgのリン脂質、 200〜600mg、好ましくは、300〜500mgのコリン、 400〜800mg、好ましくは、500〜700mgのUMP(ウリジン一リン酸)、 20〜60mg、好ましくは、30〜50mgのビタミンE(アルファ−TE)、 60〜100mg、好ましくは、60〜90mgのビタミンC、 40〜80μg、好ましくは、45〜65μgのセレン、 1〜5μg、好ましくは、2〜4μgのビタミンB12、 0.5〜3mg、好ましくは、0.5〜2mgのビタミンB6、および 200〜600μg、好ましくは、300〜500μgの葉酸、を含む。 より好ましい、本発明による組成物は、100mlの組成物当たり、 100〜500mg、好ましくは、200〜400mgのEPA、 900〜1500mg、好ましくは、950〜1300mgのDHA、 50〜600mg、好ましくは、60〜200mgのリン脂質、 200〜600mg、好ましくは、300〜500mgのコリン、 400〜800mg、好ましくは、500〜700mgのUMP(ウリジン一リン酸)、 20〜60mg、好ましくは、30〜50mgのビタミンE(アルファ−TE)、 60〜100mg、好ましくは、60〜90mgのビタミンC、 40〜80μg、好ましくは、45〜65μgのセレン、 1〜5μg、好ましくは、2〜4μgのビタミンB12、 0.5〜3mg、好ましくは、0.5〜2mgのビタミンB6、および 200〜600μg、好ましくは、300〜500μgの葉酸、を含む。 前記の組成物は、栄養療法、栄養サポートとして、医療食(medical food)として、特別な医療目的の食物として、または栄養サプリメントとして、使用され得る。このような製品は、前述の用途において、1日当たり、または1単位当たり、75〜200mlの間、最も好ましくは90〜150ml/日の間、最も好ましくは、1日当たり約125mLが、1、2、または3回で消費され得る。 本発明の方法および組成物から利益を得ることができる対象は、多くの場合、食べることに伴う問題を経験する。彼らの感覚能力および/または筋肉の制御は、損なわれた状態になっていることがあり、さらに、ある場合には、彼らの、適切な食習慣を適用しようとする意欲も損なわれている。飲み込むことおよび/または咀嚼に問題があり得る。このため、本発明の組成物は、好ましくは、ストローを通して摂取できる飲料の状態で提供される。 それに関連して、好ましくは、本発明による組成物は、低い粘度、好ましくは、20℃で100sec-1の剪断速度で測定して1〜2000mPa.sの間の粘度、より好ましくは、20℃で100sec-1の剪断速度で測定して1〜100mPa.sの間の粘度を有する。好ましい態様において、本発明の組成物は、20℃で100/secの剪断速度で測定して1〜80mPa.s、より好ましくは、20℃で100/secの剪断速度で測定して1〜40mPa.sの粘度を有する。これらの粘度測定は、例えば、プレートおよびコーン形状を用い、実施されてもよい。 対象によって最もよく受け入れられるために、本発明の組成物は、好ましくは、300〜800mOsm/kgの重量オスモル濃度を有する。しかし、製品のエネルギー密度は、好ましくは、それが通常の食習慣を妨げるほど大きくはない。液状である場合、本発明の製品は、好ましくは、0.2〜3kcal/mlの間、より好ましくは0.5〜2の間、0.7〜1.5kcal/mlの間を含む。 コンピュータシステム 前記の方法ステップは、コンピュータシステム10によって、または2台以上の協働コンピュータシステム01によって、実施されてもよい。図2は、コンピュータシステム10の態様の略ブロック図を示す。 コンピュータシステム10は、算術演算を実施するためのプロセッサユニット12を含む。プロセッサユニット12は、命令およびデータを記憶するメモリユニット13、例えば、ハードディスク、読出し専用メモリ(ROM)、電気的に消去可能でプログラム可能な読出し専用メモリ(EEPROM)、およびランダムアクセスメモリ(RAM)に連結されている。 プロセッサユニット12は、プロセッサユニット12が記載された方法ステップの1つ以上を実施できるようにするために、メモリユニット13からの命令を読み、実行するように構成されている。 ステップは、1つ以上の入力デバイス、例えば、キーボード18およびマウス19、1つ以上の出力デバイス、例えば、ディスプレイ20およびプリンタ21を用いる、ユーザとの対話処理を含んでもよい。プロセッサユニット12は、また、保存のために、メモリユニット13にデータを書き込むように構成されている。これらのデータは、方法ステップの(中間的な)結果に関連してもよい。 本発明の一態様において、コンピュータシステム10は、個々の検査の1つ以上、好ましくは全てについての情報または命令、およびこれらの検査からスコアを計算する上での情報を含む、前記メモリユニット13に記憶されたデータベースを含む。 図2に示されるコンピュータシステム10は、また、通信ネットワーク27を介して別のコンピュータシステム(示されていない)と通信するように構成された入出力デバイス(I/O)26を含む。 しかし、さらに多くのおよび/または別の、当業者に知られているメモリユニット、入力デバイスおよび読取りデバイスが備えられてもよいことが理解されるべきである。さらに、それらの1つ以上は、必要であれば、プロセッサユニット12から物理的に離れた位置にあってもよい。プロセッサユニット12は、1つのボックスとして示されているが、当業者に知られているように、それは、並列で機能する、または1つのメインプロセッサユニットによって制御される、互いに離れた位置にあってもよい、いくつかの処理ユニットを含んでもよい。 図2における全ての接続は、物理的接続として示されているが、これらの接続の1つ以上は、ワイヤレスでなされ得ることが認められる。それらの接続は、「接続された」ユニットが、互いに、何らかの方法で通信するように構成されることを示そうとするものにすぎない。 一側面において、本発明は、前述の成分(i)〜(ii)を含み、本明細書において上でさらに特徴付けられた組成物を対象に投与することを含む、それを必要としている前記対象の全体的または複合NTBスコアを向上させるための方法に関する。NTBは、上の記述において特徴付けられている。 一側面において、本発明は、それを必要としている対象を治療するための方法に関し、この方法は、前述の成分(i)〜(ii)を含み、本明細書において上でさらに特徴付けられた組成物を、前記対象に、好ましくは少なくとも毎日、投与し;上で特徴付けられたNTB検査で前記対象をモニターし;NTBに含まれる個別の検査からの全体的または複合NTBスコアを計算する。 さらなる側面において、本発明は、それを必要としている対象の全体的または複合NTBスコアを向上させ;また、好ましくはここで定義されたNTB検査で、前記対象をモニターするために用いられる組成物に関し、ここで、この組成物は、(i)〜(ii)を含み、本明細書において上でさらに特徴付けられている。 一側面において、本発明は、本明細書において上で詳細に記されたNTBを用いる、対象の認知能力を評価するための方法に関する。この方法は、前記対象に、認知機能を向上させるために考案された、またはそれに適する組成物(前記組成物は好ましくは、ここで定義された(i)〜(ii)を含む)を投与することを含んでもよい。 さらなる側面において、本発明は、認知機能を向上させるための、それを必要としている対象の認知能力(cognitition)を評価するのに用いられるための、組成物に関し、ここで、認知能力は、本明細書において上で詳細に記されたNTBを用い、評価される、またはモニターされてもよい。 さらに別の側面において、本発明は、それを必要としている対象の認知機能を向上させるための製品の製造における組成物の使用に関し、ここで、前記対象の認知能力は、本明細書において上で詳細に記されたNTBを用い、評価される、またはモニターされ、前記組成物は、好ましくは、ここで定義された(i)〜(ii)を含む。 [実施例] 例1:125ml分を構成するパッケージ化組成物 エネルギー 125kcal;タンパク質 3.9g;炭水化物 16.5g;脂肪 4.9g。 脂肪は、1.5gのDHA+EPA、および106mgのリン脂質(大豆レシチン)を含む;コリン 400mg;UMP(ウリジン一リン酸) 625mg;ビタミンE 40mgのアルファ−TE;ビタミンC 80mg;セレン 60μg;ビタミンB12 3μg;ビタミンB6 1mg;葉酸 400μg。 ミネラルおよび微量元素:ナトリウム 125mg;カリウム 187.5mg;塩化物イオン 156.3mg;カルシウム 100mg;リン 87.5mg;マグネシウム 25mg;鉄 2mg;亜鉛 1.5mg;銅 225μg;マンガン 0.41mg;モリブデン 12.5μg;クロム 8.4μg;ヨウ素 16.3μg。ビタミン:ビタミンA 200μg−RE;ビタミンD3 0.9μg;ビタミンK 6.6μg;チアミン(B1) 0.19mg;リボフラビン(B2) 0.2mg;ナイアシン(B3) 2.25mg−NE;パントテン酸(B5) 0.66mg;ビオチン 5μg。 例2 臨床研究 投与を受けていない軽度AD(MMSE20〜26)患者での概念実証研究は、1日1回取られた本発明による組成物(表1参照;DHA、EPA、UMP、コリン、リン脂質、ビタミンB6、B9、B12、ビタミンCおよびE、セレンを含む。)が、安全であり、12週間後に、対象の遅延再生機能(研究の並立主要(co-primary)エンドポイント)を向上させることを示した。出典:Scheltens等、「Efficacy of a medical food in mild Alzheimer’s disease: A randomized controlled trial」、Alzheimer’s & Dementia 6 (2010)、1−10。 本研究は、投与を受けていない軽度AD患者の記憶への、本発明の組成物の効果を確認するために、さらには、より長い24週間の介入期間を通して、また神経心理学的検査バッテリー(NTB)の全記憶ドメインz−スコアの利用を通して、調査研究を拡大するために、考案された。第2の目的は、介入の安全性および忍容性を調べること、および実行機能(z−スコア)(TMT、CF、COWAT、数唱)、全複合NTBスコアおよびNTBの個々の項目への効果を評価することであった。 材料および方法 研究は、無作為化比較対照二重盲検研究であり、ヨーロッパの6か国(オランダ、ドイツ、フランス、ベルギー、イタリアおよびスペイン)における27の研究センターで実施された。軽度AD(MMSEスコア≧20)を有し、またNINCDS−ADRDA基準によりADの可能性が高いと診断された、投与を受けていない患者が、表1による成分を含む組成物、または等カロリーの対照製品に対して、無作為に割り当てられた(1:1)。介入の期間は24週間であった。 神経心理学的検査バッテリー(NTB)の記憶ドメインスコアが、主要アウトカムパラメータであった。この記憶複合スコアは、レイ聴覚性言語性学習検査(RAVLT:即時再生、遅延再生および再認達成度)およびウェクスラー記憶尺度(WMS)言語性対連合検査(即時および遅延再生)から導かれた。 NTBから得られる副次的アウトカムは、実行機能ドメインの、全複合スコアおよび個々の項目のスコアであった。他のNTBの項目は、WMS数唱、トレイルメイキングテストの部分AおよびB、カテゴリー流暢性、統制発語連合検査、ADAS−cog見当識課題、ならびに文字数字置換検査であった。他の副次的アウトカムパラメータは、認知症のための障害評価(DAD)尺度、EEG(基本周波数および機能結合分析)、製品のコンプライアンス、忍容性および安全性であった。主要な研究パラメータは、ベースライン、12週、および24週に評価された。データの統計分析のために、反復測定混合モデルが用いられた。試験は、ICMJE準拠www.trialregister.nl(NTR1975)に届け出て記録された。 結果 全部で259人の投与を受けていない対象が、無作為化された(2.6%のスクリーニング不適格症)。全研究母集団において、ベースライン特性における違いは、研究グループの間で認められなかった。平均年齢は73.8(±7.7)歳であり、平均のスクリーニングMMSEは、25(±2.8)であり、51%が男性であった。予め指定された盲検中間解析が、計算されるサンプルサイズが適切かどうか、および安全性に関する懸念が生じていないことを調べるために実施され、独立したデータモニタリング委員会は、修正なしに、試験の継続を勧告した。無作為化された259人の対象から、238人の対象(91.9%)が研究を終えた。5人の対象(組成物を与えられたグループ中の3人、および対照グループ中の2人)は、(重篤な)有害事象((S)AE)のせいで、研究を完了せず、(S)AEの発生において、研究グループ間の相違は認めらなかった。血液安全性パラメータにおける臨床的に問題とされる相違は認められなかった。24週間の間の平均服薬遵守率は、97%で、非常に高く、グループ間で違いはなかった。高い服薬遵守は、服薬遵守の(栄養学的)バイオマーカー、例えば、赤血球の膜におけるドコサヘキサエン塩、および血漿中ホモシステインにおける顕著で有意な変化によって確認された。 24週間の間、本発明の組成物は、対照製品に比べて、主要エンドポイントの記憶達成度(NTBから得られる複合記憶ドメインz−スコア)を、有意に向上させた(反復測定混合モデル、p=0.025)。記憶達成度への有意な効果は、NTM記憶ドメインの個々の課題によって確認された。 複合NTBスコアに関する結果は、図3および4に示されている。図3において、複合スコアは、また、ADAS−cog見当識課題、文字数字置換検査からの寄与も含む。 考察 結論として、この研究は、24週間の活性組成物による補足は、複合NTBスコアを向上させ、投与を受けていない軽度AD患者において、十分な忍容性があることを示した。 それを必要としている対象の神経心理学的検査バッテリー[NTB]複合スコアを向上させるための製品の製造のための組成物の使用であって、前記組成物が、 i)ウリジンおよびシチジン、またはこれらの塩、ホスフェート、アシル誘導体もしくはエステルの1種以上、および ii)ドコサヘキサエン酸(22:6;DHA)、エイコサペンタエン酸(20:5;EPA)およびドコサペンタエン酸(22:5;DPA)、またはこれらのエステルの少なくとも1種を含む脂質フラクションを含む、使用。 それを必要としている対象を治療するための製品の製造のための組成物の使用であって、前記組成物が、 i)ウリジンおよびシチジン、またはこれらの塩、ホスフェート、アシル誘導体もしくはエステルの1種以上、および ii)ドコサヘキサエン酸(22:6;DHA)、エイコサペンタエン酸(20:5;EPA)およびドコサペンタエン酸(22:5;DPA)、またはこれらのエステルの少なくとも1種を含む脂質フラクションを含み 前記対象にNTBが適用される、使用。 NTBの個々の検査で引き出されたデータから複合スコアを計算することを含む、請求項2に記載の使用。 前記対象が、記憶または認知障害、記憶力の低下または認知機能障害、例えば、加齢に伴う記憶障害(AAMI)、アルツハイマー病、多発性硬化症、血管性認知症、前頭側頭型認知症、意味性認知症、またはレビー小体型認知症を患う、先行する請求項の何れか1項に記載の使用。 前記対象が、軽度もしくは前駆症状ADまたは認知症を含めて、アルツハイマー病または認知症症候群を患う、先行する請求項の何れか1項に記載の使用。 前記対象が、20〜30点、好ましくは20〜26点、より好ましくは24〜26点のミニメンタルステート検査(MMSE)の得点を有する、先行する請求項の何れか1項に記載の使用。 前記組成物が、コリン、またはその塩もしくはエステルを、好ましくは、1日用量当たりまたは100mlの組成物当たり、200〜600mgのコリンを含む、先行する請求項の何れか1項に記載の使用。 前記組成物が、ビタミンB6、ビタミンB12およびビタミンB9からなる群から選択される、少なくとも1種、好ましくは少なくとも2種、最も好ましくは全てのビタミンBを含む、先行する請求項の何れか1項に記載の使用。 前記組成物が、1日用量当たりまたは好ましくは100mlの組成物当たり、少なくとも500mgのDHA、好ましくは少なくとも600mgのDHA、および少なくとも50mgのウリジン、好ましくは少なくとも100mgのウリジンを含む、先行する請求項の何れか1項に記載の使用。 前記組成物が、1日用量当たりまたは好ましくは100mlの組成物当たり、 50〜1000mgのリン脂質、 0.5〜3mgのビタミンB6、 50〜500μgの葉酸、 1〜30μgのビタミンB12、を含む、先行する請求項の何れか1項に記載の使用。 前記組成物が、1日用量当たりまたは好ましくは100mlの組成物当たり、 100〜500mg、好ましくは200〜400mgのEPA、 1000〜1500mg、好ましくは1100〜1300mgのDHA、 50〜600mg、好ましくは60〜200mgのリン脂質、 200〜600mg、好ましくは300〜500mgのコリン、 400〜800mg、好ましくは500〜700mgのUMP(ウリジン一リン酸)、 20〜60mg、好ましくは30〜50mgのビタミンE(アルファ−TE)、 60〜100mg、好ましくは70〜90mgのビタミンC、 40〜80μg、好ましくは50〜70μgのセレン、 1〜5μg、好ましくは2〜4μgのビタミンB12、 0.5〜3mg、好ましくは0.5〜2mgのビタミンB6、および 200〜600μg、好ましくは300〜500μgの葉酸、を含む、先行する請求項の何れか1項に記載の使用。 前記NTBが、 a.ウェクスラー記憶尺度[WMS]−言語性対連合検査; b.レイ聴覚性言語性学習検査での再生[RAVLT再生]; c.好ましくは以下からなる群から選択される、再認検査: i.レイ聴覚性言語性学習検査[RAVLT再認]; ii.神経心理学的状態の評価のための反復バッテリー[RBANS]; iii.カルフォルニア言語性学習検査[CVLT];および iv.アルツハイマー病登録確立協会検査[CERAD]; d.WMS数唱検査; e.統制発語連合検査[COWAT]; f.カテゴリー流暢性検査; g.トレイルメイキングテスト[TMT]; h.見当識課題ADAS−cog検査;ならびに i.文字数字置換検査の少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8つまたは全てを含む、先行する請求項の何れか1項に記載の使用。 前記RAVLT再生が、RAVLT即時および遅延再生検査の少なくとも1つ、好ましくは両方を含む、請求項12に記載の使用。 前記NTBが、(b)RAVLT即時再生およびRAVLT遅延再生、ならびに(c)RAVLT再認を含む、請求項12または13に記載の使用。 前記NTBが、 − WMS VPA即時検査; − WMS VPA遅延検査; − RAVLT即時再生検査; − RAVLT遅延再生検査; − RAVLT再認検査;および − WMS数唱検査; − COWAT検査; − カテゴリー流暢性検査; − TMT、好ましくは少なくともTMT B;ならびに、任意に 見当識課題ADAS−cog検査;および文字数字置換検査を含む、請求項12から14までの何れか1項に記載の使用。 対象の認知能力を評価するための方法であって、前記対象に、 a.ウェクスラー記憶尺度[WMS]−言語性対連合検査; b.レイ聴覚性言語性学習検査での再生[RAVLT再生]; c.好ましくは以下からなる群から選択される、再認検査: i.レイ聴覚性言語性学習検査[RAVLT再認]; ii.神経心理学的状態の評価のための反復バッテリー[RBANS]; iii.カルフォルニア言語性学習検査[CVLT];および iv.アルツハイマー病登録確立協会検査[CERAD]; d.WMS数唱検査; e.統制発語連合検査[COWAT]; f.カテゴリー流暢性検査; g.トレイルメイキングテスト[TMT]; h.見当識課題ADAS−cog検査;ならびに i.文字数字置換検査を適用することを含み、 任意に、認知機能の向上を目指す組成物を前記対象に投与することを含む、方法。 前記RAVLT再生が、RAVLT即時および遅延再生検査の少なくとも1つ、好ましくは両方を含む、請求項16に記載の方法。 前記NTBが、(b)RAVLT即時再生、RAVLT遅延再生、および(c)RAVLT再認検査を含む、請求項16または17に記載の使用。 個々の検査(a)〜(i)で引き出されたデータから、記憶機能および実行機能ドメインスコアを計算することならびに/または複合スコアを計算することを含む、請求項16〜18までの何れか1項に記載の方法。 様々な時点で、個々の検査スコア(a)〜(i)に対して引き出されたデータ、計算された記憶機能および実行機能ドメインスコアならびに/または計算された複合スコアを比較することを含む、請求項19に記載の方法。 本発明は、複合NTBスコアの向上における使用のための、(i)ウリジンおよびシチジン、またはこれらの塩、ホスフェート、アシル誘導体もしくはエステルの1種以上;および(ii)ドコサヘキサエン酸(22:6;DHA)、エイコサペンタエン酸(20:5;EPA)およびドコサペンタエン酸(22:5;DPA)、またはこれらのエステルの少なくとも1種を含む脂質フラクションを含む組成物に関する。本発明は、また、特に(前駆症状または軽度)アルツハイマーまたは認知症患者のための、個別の検査の最適化された1組を含む、改善されたNTB法も提供する。


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る