生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_免疫グロブリン結合ドメインを使った血清中半減期延長
出願番号:2014529997
年次:2014
IPC分類:C12N 15/09,C12N 1/15,C12N 1/19,C12N 1/21,C12N 5/10,C07K 14/315,C07K 16/00,C07K 19/00,A61K 38/00,A61K 48/00,A61K 38/27,A61K 38/43,A61K 38/46,A61K 51/00,A61P 5/06,A61P 37/04,A61P 37/06,A61P 43/00,A61K 47/48,A61K 39/395,A61K 49/00,A61K 35/76,A61K 35/12


特許情報キャッシュ

ローラント・コンテルマン フェリックス・ウンフェルドルベン マイケ・フット JP 2014529997 公表特許公報(A) 20141117 2014531267 20120924 免疫グロブリン結合ドメインを使った血清中半減期延長 ウニヴェルズィテート シュトゥットガルト 507054917 田中 光雄 100081422 山崎 宏 100084146 冨田 憲史 100122301 稲井 史生 100157956 笹倉 真奈美 100170520 ローラント・コンテルマン フェリックス・ウンフェルドルベン マイケ・フット US 61/538,310 20110923 EP 11007788.0 20110923 C12N 15/09 20060101AFI20141021BHJP C12N 1/15 20060101ALI20141021BHJP C12N 1/19 20060101ALI20141021BHJP C12N 1/21 20060101ALI20141021BHJP C12N 5/10 20060101ALI20141021BHJP C07K 14/315 20060101ALI20141021BHJP C07K 16/00 20060101ALI20141021BHJP C07K 19/00 20060101ALI20141021BHJP A61K 38/00 20060101ALI20141021BHJP A61K 48/00 20060101ALI20141021BHJP A61K 38/27 20060101ALI20141021BHJP A61K 38/43 20060101ALI20141021BHJP A61K 38/46 20060101ALI20141021BHJP A61K 51/00 20060101ALI20141021BHJP A61P 5/06 20060101ALI20141021BHJP A61P 37/04 20060101ALI20141021BHJP A61P 37/06 20060101ALI20141021BHJP A61P 43/00 20060101ALI20141021BHJP A61K 47/48 20060101ALI20141021BHJP A61K 39/395 20060101ALI20141021BHJP A61K 49/00 20060101ALI20141021BHJP A61K 35/76 20060101ALI20141021BHJP A61K 35/12 20060101ALI20141021BHJP JPC12N15/00 AC12N1/15C12N1/19C12N1/21C12N5/00 101C07K14/315C07K16/00C07K19/00A61K37/02A61K48/00A61K37/36A61K37/48A61K37/54A61K43/00A61P5/06A61P37/04A61P37/06A61P43/00 111A61K47/48A61K39/395 AA61K39/395 CA61K39/395 TA61K39/395 UA61K39/395 PA61K39/395 LA61K39/395 EA61K39/395 DA61K49/02 AA61K49/00 AA61K35/76A61K35/12 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC EP2012068802 20120924 WO2013041730 20130328 60 20140509 4B024 4B065 4C076 4C084 4C085 4C087 4H045 4B024AA01 4B024BA31 4B024BA61 4B024CA07 4B024DA03 4B024EA04 4B065AA49Y 4B065AA93X 4B065AB01 4B065AC14 4B065BA02 4B065CA24 4B065CA44 4C076AA95 4C076CC06 4C076CC07 4C076CC27 4C076CC30 4C076EE41A 4C076EE59A 4C076FF31 4C084AA01 4C084AA07 4C084AA13 4C084BA01 4C084BA20 4C084BA23 4C084BA31 4C084BA35 4C084BA41 4C084CA04 4C084DA01 4C084DA32 4C084DB52 4C084DC01 4C084DC22 4C084MA17 4C084MA22 4C084MA23 4C084MA34 4C084MA35 4C084MA37 4C084MA43 4C084MA52 4C084MA55 4C084MA56 4C084MA65 4C084MA66 4C084NA12 4C084NA13 4C084ZB081 4C084ZB091 4C084ZB261 4C084ZC021 4C084ZC041 4C084ZC201 4C085AA11 4C085AA25 4C085AA26 4C085AA27 4C085BB11 4C085BB31 4C085BB41 4C085BB43 4C085CC21 4C085CC32 4C085DD61 4C085EE01 4C085GG01 4C085GG02 4C085GG03 4C085GG04 4C085GG05 4C085HH01 4C085HH03 4C085HH11 4C085HH13 4C085JJ02 4C085JJ03 4C085JJ11 4C085KA27 4C085KA29 4C087AA01 4C087AA02 4C087BB63 4C087NA12 4C087NA13 4C087ZB08 4C087ZB09 4C087ZB26 4C087ZC02 4C087ZC04 4C087ZC20 4H045AA10 4H045AA11 4H045AA30 4H045BA10 4H045BA41 4H045BA50 4H045CA40 4H045DA86 4H045EA24 4H045FA74 本発明は(i)免疫グロブリン(Ig)結合部分と(ii)医薬活性部分とを含み、Ig結合部分がIg分子の重鎖の定常ドメイン1(CH1)に特異的に結合する複合体、ならびに治療および予防へのそれらの使用に関する。 医薬の治療的応用の大半にとって、長期間にわたって治療有効濃度を維持することは利益になるが、それには頻繁な投与もしくは注入が必要であったり、または有効濃度を長期間にわたって維持するために、血流への緩慢な吸収を利用する薬物の、局所的適用もしくは皮下投与が必要であったりする。薬物を血管系への急速静脈内注射によって投与した場合、血液からのその除去は、ほとんどの場合、二相性に起こる(Greenblatt(1985)Ann. Rev. Med. 36:421-427参照)。これは、身体を中心コンパートメントと末梢コンパートメントとに分割する2コンパートメントモデルによって、数学的に記述することができる(DhillonおよびGill「Basic Pharmacokinetics」参照)。これらのコンパートメントに明確な生理学的または解剖学的境界があるわけではないが、中心コンパートメントは灌流量の多い組織(例えば心臓、肺、腎臓、肝臓および脳)を含むと考えられ、一方、末梢コンパートメントはそれほど灌流量が多くない組織(例えば筋、脂肪および皮膚)を含む。2コンパートメントモデルでは、中心コンパートメントへの(例えば血流への)薬物投与後に、薬物は中心コンパートメントと末梢コンパートメントとに分布すると想定されている。しかし薬物は、2つのコンパートメントの間で即座に分布、すなわち平衡を達成するわけではない。薬物濃度-時間プロファイルは曲線を示し、log(薬物濃度)-時間プロットが二相性応答を示すので、これを使って、薬物が1コンパートメントモデルを示すか2コンパートメントモデルを示すかを区別することができる(DhillonおよびGill「Basic Pharmacokinetics」参照)。投薬直後は、血液から薬物が急速に消失する相があり、これは通常、数分〜1時間または2時間続いて、血液中の薬物濃度の極めて大きな減衰につながりうる。この初期の急速な薬物消失の相(初期または分布血漿中半減期t1/2αによって記述される)は、主として、血管系を一構成要素とする「中心」コンパートメントから末梢組織中の貯蔵部位への薬物の可逆的分布によって決まり;この初期の急速な降下のうち排出またはクリアランスによって決まる部分はほとんどない。分布が完了した後、血中濃度曲線は、排出相(終末または排出血漿中半減期t1/2βによって記述される)と呼ばれる、それほど急速ではない薬物消失の相に入り、この相における薬物消失は、主として、不可逆的なクリアランスによって決まる。この排出相における薬物降下のパターンは排出血漿中半減期を算出するために使用され、それは一般的には、薬物分布平衡に到達した後でないと決定されない(Greenblatt(1985)Ann. Rev. Med. 36:421-427)。ある物質、例えば医薬の初期血漿中半減期と終末血漿中半減期はどちらも、血液からのその急速なクリアランスを防止することによって体内での当該物質のバイオアベイラビリティを向上させる目的で、操作することができる。 小分子医薬、特に大半の小タンパク質治療薬には、代替組換え抗体フォーマット(Kontermann(2010)Curr. Opin. Mol. ther. 12:176-183)の多くや、新興の代替足場タンパク質クラス(NuttallおよびWalsh(2008)Curr. Opin. Pharmacol. 8:609-615;GebauerおよびSkerra(2009)Curr. Opin. Chem. Biol. 13:245-255)を含めて、主として循環からのそれらの急速なクリアランスゆえに、血清中半減期が短いという問題がある(Batraら(2002)Curr. Opin. Biotechnol. 13:603-608)。小サイズ薬物のこれらの制約が、血液におけるそれら組換え抗体の循環を延伸し、よって投与および薬物動態ならびに薬力学的性質を改良するための、半減期延長戦略の開発と実行につながった。 半減期の延長は、適用回数を減らし、用量を下げる助けになりうるので、治療上の理由からだけでなく、経済的理由からも有益である。それゆえに、医薬および治療用タンパク質の血漿中半減期を延長するための戦略は、ますます関心を集めつつある(Pisalら,(2010)J. Pharmaceut. Sci. 99:2557-2575;Kontermann(2009)BioDrugs 23:93-109;Kontermann(2011)Curr. Opin. Biotechnol. 印刷中)。 循環からの薬物のクリアランスには、タンパク質分解による末梢血を介した排出、腎および肝排出、受容体介在性エンドサイトーシスによる排出など、いくつかの機序が関与する(Tangら(2004)J. Pharmaceut. Sci. 93:2184-2204)。サイズが小さい分子、すなわち閾値が40〜50kDaの範囲である低分子量を有する分子は、腎濾過および分解によって、急速に浄化される。腎クリアランスを担っているのは、有窓内皮、糸球体基底膜および有足細胞足突起の間にあるスリット隔膜によって形成される糸球体濾過障壁(GBM)である(TryggvasonおよびWartiovaara(2005)Physiology 20:96-101)。糸球体内皮細胞間の窓はかなり大きく(50〜100nm)、分子の自由拡散が可能であるが、スリット隔膜は最終的な高分子障壁となり、数多くの小さな4〜5nm径の細孔と少数の8〜10nm径の細孔とを持つイソポーラス(isoporous)なジッパー様フィルタ構造を形成している(HaraldssonおよびSoerensson(2004)New Physiol. Sci. 19:7-10;Wartiovaaraら(2004)J. Clin. Invest. 114:1475-1483)。それゆえに、約4〜5nm未満の流体力学的半径を有する分子は、血液から急速に浄化される。加えて、タンパク質の電荷も腎濾過の一因になる。内皮細胞とGBMのプロテオグリカンは、負に荷電した血漿高分子の横断をある程度防止するアニオン性障壁を形成する(TryggvasonおよびWartiovaara(2005)Physiology 20:96-101)。その結果、半減期を改良するには、タンパク質治療薬のサイズ、すなわちその流体力学的半径だけでなく、その物理化学的性質も出発点になる。さらにまた、血清アルブミンやIgG分子など、一部の血漿タンパク質は、ヒトにおいて2〜4週間という並外れて長い半減期を有し、それが、これらの分子を、他のあらゆる血漿タンパク質とは明らかに異なるものにしている(Kontermann(2009)BioDrugs 23:93-109)。これを担っているのは、新生児型Fc受容体(FcRn、ブランベル(Brambell)受容体)によるリサイクリングである(RoopenianおよびAkilesh(2007)Nat. Rev. Immunol. 7:715-725)。マクロ飲作用によって細胞、例えば内皮細胞に取り込まれたアルブミンおよびIgGは、初期エンドソームの酸性環境下ではpH依存的にFcRnに結合する。この結合はアルブミンとIgGをリソソームコンパートメントにおける分解から逸脱させ、それらを形質膜へと転送し、そこでは、その中性pHにより、再び血漿中に放出される。これは、例えばアルブミンまたはIgGのFc領域への融合などによってタンパク質の半減期を延長または調整するためのさらなる機会を与える(Kontermann(2009)BioDrugs 23, 93-109)。最後に、細胞表面受容体に結合するタンパク質薬物は受容体介在性エンドサイトーシスによって内部に取り入れられ、タンパク質薬物が受容体に結合した状態のままであるなら、リソソーム分解に付されるであろう(Tangら(2004)J. Pharmaceut. Sci. 93:2184-2204;LaoおよびKamei(2008)Biotechnol. Prog. 24:2-7)。したがって、工学的に操作されたG-CSFおよび抗IL6受容体抗体について示されているように、酸性pHにおける治療用タンパク質とその受容体との相互作用の工学的操作も、結合を解かれた分子の血流へのリサイクリングを可能にすることによって、タンパク質の半減期を延伸することができる(Sarkarら(2002)Nat. Biotechnol. 20:908-913;Igawaら(2010)Nat. Biotechnol. 28:1203-1208)。 近年、タンパク質の流体力学的体積を増加させて腎クリアランスを低下させることを目的とするPEG化および高グリコシル化などの戦略、ならびに血清IgGや血清アルブミンの並外れて長い半減期の理由となっている新生児型Fc受容体(FcRn)によって達成されるリサイクリングプロセスを利用する戦略(Kimら(2006)Clin. Immunol. 122:146-155)を含めて、いくつかの半減期延長戦略が開発されている(Kontermann(2009)BioDrugs 23:93-109;Kontermann(2011)Curr. Opin. Biotechnol. 印刷中)。例えばアルブミンは、アルブミン融合タンパク質の生成による半減期延長に使用されている。例えばアルブインターフェロンα-2bや凝固因子IX-HSA融合タンパク質など、いくつかのアルブミン融合タンパク質は、既に臨床治験に入っている(Nelsonら(2010)Gastroenterology 139:1267-1276;Metznerら(2009)Thromb. Haemost. 102:634-644)。加えて、アルブミン結合活性を呈するさまざまな分子も半減期延長に使用されている。このアプローチでは、投与後の血清アルブミンへの可逆的結合につながるように、アルブミン結合部分が治療用タンパク質にカップリングまたは融合される。そのようなアルブミン結合分子には、脂肪酸、有機分子、ペプチド、単鎖Fv、ドメイン抗体、ナノボディの他、アルブミン結合能を有する天然タンパク質のドメインなどが含まれる(概要についてはKontermann(2009)BioDrugs 23:93-109を参照されたい)。例えば、連鎖球菌プロテインGのアルブミン結合ドメイン(ABD)が、組換え抗体およびアフィボディ(Affibody)分子の血漿中半減期を延伸するために使用された(Storkら(2007)Protein Eng. Des. Sel. 20:569-576;Andersenら(2010)J. Biol. Chem. 286:5234-5241)。ABDの融合は、アルブミン融合タンパク質に見られるものと類似する半減期と、二重特異性単鎖ダイアボディについて示された腫瘍蓄積の改良とをもたらした(Storkら(2007)Protein Eng. Des. Sel. 20:569-576;Storkら(2009)J. Biol. Chem. 284:25612-25619)。しかしこれらの研究では、アルブミン融合タンパク質とABD融合タンパク質では、IgG分子の長い半減期には達しないことも明らかになった。アルブミンに対するアフィニティが増加しているABDを応用することによって半減期をさらに延伸する試みは、ごくわずかな改良しかもたらさなかった(Hoppら, 2010, Protein Eng. Des. Sel. 23:827-834)。血清IgGとの非共有結合的相互作用も、血清アルブミンへの結合に代わる実行可能な選択肢である。このアプローチは既に、マウスFcγ1に対するアフィニティを有する二重特異性ダイアボディで試験されており、マウスにおいてダイアボディの終末血漿中半減期を1.7時間から10時間へと延伸した(Holligerら(1997)Nat. Biotechnol. 15:632-636)。 しかし、医薬の血漿中半減期を延長する上記の戦略には、多くの欠点が付随している。PEG、ポリシアル酸およびHESを使用するには、それらを医薬に化学的にコンジュゲートする必要があり、それが結果的に最終製品の生産と分析を複雑にする。PEGは生物分解性ではなく、患者の体内に蓄積しうるが、それは、さらなる合併症につながりうる。さらにまた、これらの修飾は医薬の血清中半減期を限られた範囲で延伸することができるに過ぎないことも示されている。同様に、血清アルブミンへの医薬のコンジュゲーション、融合または結合による血清中半減期延長、またはFc融合タンパク質による血清中半減期延長は、依然として、IgGの血清中半減期をかなり下回っている。したがって、これらの欠点を克服して、医薬(とりわけ治療用タンパク質)の血清中半減期の延長を可能にする新しい戦略の開発が、明らかに必要とされている。 本発明者らは、驚いたことに、免疫グロブリン結合ドメイン(IgBD)への医薬の融合が、この課題を解決することを見いだした。IgBDは、例えばブドウ球菌プロテインA(SpA)、連鎖球菌プロテインG(SpG)およびペプトストレプトコッカスのプロテインL(PpL)など、さまざまな細菌タンパク質のものが知られている(TashiroおよびMontelione(1995)Curr. Biol. 5:471-481;SidorinおよびSolov'eva(2011)Biochemistry (Mosc.) 76:363-378)。これらのIgBDは50〜60アミノ酸残基の長さを有し、3-α-ヘリックスバンドルまたは4本鎖βシートと1本のα-ヘリックスとから構成されるコンパクトな構造のいずれかを形成する(TashiroおよびMontelione(1995)Curr. Biol. 5:471-481)。したがって、IgBDは特に安定であり、そのことは、それらを含む融合タンパク質の生産と貯蔵性にとって有益である。 IgBDは血清免疫グロブリンに対して高いアフィニティを示し、それらの大半は、免疫グロブリンのFcドメイン上の、新生児型Fc受容体と同じ場所に結合する。例えば、IgGでは、主要結合部位は1本の重鎖のCH2-CH3界面にある(Deisenhofer(1981)Biochemistry 20:2361-2370)。したがってそれらはFcRn結合と競合しており、FcRnによる免疫グロブリン分子のリサイクリングに負の影響を及ぼしうる。これらの理由から、医薬の血清中半減期の延長に関して、今までにIgBDが考慮されたことはなかった。しかし、いくつかの細菌IgBDは、Fabフラグメントの異なる領域に結合する能力を有している(TashiroおよびMontelione(1995)Curr. Biol. 5:471-481)。本発明者らは、IgBDへの医薬の融合が、当該医薬の血清中半減期を有意に延伸し、それがおそらく、これらのIgBDがFc受容体結合と競合しないという事実によるものであることを示すことができた。 したがって、そのようなIgBDへの医薬の融合またはコンジュゲーションには、医薬の血清中半減期を延長する有利な可能性がある。というのも、免疫グロブリン分子への前記融合タンパク質の結合は、第1に、腎濾過および分解によるクリアランスが制限または防止され、第2に、FcRnによる融合タンパク質のリサイクリングが可能になるという、二重の効果を有するからである。 本発明の複合体は、なかんずく、次に挙げる有利な性質を与える。インビボでの各医薬活性部分の可溶性の増加、当該融合タンパク質の貯蔵寿命の延長をもたらす各医薬活性部分のインビトロ安定性の増加。医薬活性部分がタンパク質またはペプチドである場合、本発明のIgBDへの当該部分の融合のさらなる利点は、例えば哺乳動物発現系における、そのような融合タンパク質の発現の増加である。加えて、免疫グロブリン結合部分への医薬部分の複合体化は、特に医薬部分がタンパク質またはペプチドである場合には、当該医薬のより容易でかつ/または迅速な精製を可能にする。 第1の態様において、本発明は、(i)免疫グロブリン(Ig)結合部分と(ii)医薬活性部分とを含み、Ig結合部分がIg分子の重鎖の定常ドメイン1(CH1)に特異的に結合する複合体に関する。 第2の態様において、本発明は、第1態様の複合体をコードする配列を含む核酸分子を提供する。 第3の態様において、本発明は、第2態様の核酸を含むベクターを提供する。 第4の態様において、本発明は、第1態様の複合体および/または第2態様の核酸分子および/または第3態様のベクターを含有する単離された細胞を提供する。 第5の態様において、本発明は、第1態様の複合体、第2態様の核酸、第3態様のベクターおよび/または第4態様の細胞と、医薬上許容される担体および/または賦形剤とを含む、医薬組成物を提供する。 第6の態様において、本発明は、血清中半減期の延長に使用するための、第1態様の複合体、第2態様の核酸、第3態様のベクター、第4態様の細胞、第5態様の医薬組成物を提供する。 第7の態様において、本発明は、医薬品としての、第1態様の複合体、第2態様の核酸、第3態様のベクター、第4態様の細胞、第5態様の医薬組成物を提供する。ヒトIgG1に結合したIgBDの概要.IgGとの複合体を形成したプロテインA(SpAB、SpAD)、プロテインG(SpGC2、SpGC3)およびプロテインL(PpLC4*)のIgBDを、ヒトIgG1モデル上で視覚化した(Clark(1997)Chem. Immunol. 65:88-110)。加えて、Fc領域に結合したヒトFcRnの細胞外領域を含めた(Burmeisterら(1994)Nature 372:379-383)。各IgBDおよびFcRnについてPDBエントリーを示す。構造はPyMOL Molecular Graphics System(バージョン1.3、Schroedinger, LLC)で視覚化した。b)CH1への結合部位を1つとFc部分への結合部位を1つ有するSpGC3の、IgGへの結合の模式図。c)CH1への結合部位を1つと、変異不活性Fc結合部位とを有するSpGC3-Fabの、IgGのCH1ドメインだけへの結合の模式図。scDb-IgBDおよびscFv-IgBDの構築.a)scDb-IgBD融合タンパク質とscFv-IgBD融合タンパク質の組成。IgBDが二重特異性scDbまたはscFvのC末端に融合されている。b)還元条件下での精製scDb-CEACD3(1)、scDb-SpAB(2)、scDb-SpAD(3)、scDb-SpAEZ4(4)、scDb-SpGC3(5)、およびscDb-PpLC4*(6)のSDS-PAGE分析。c)還元条件下での精製抗CEA scFv(1)、scFv-SpAB(2)、scFv-SpAD(3)、scFv-SpAEZ4(4)、scFv-SpGC3(5)、およびscFv-PpLC4*(6)のSDS-PAGE分析。1レーンにつき2マイクログラムのタンパク質を分析し、ゲルをクマシーブリリアントブルーG-250で染色した(M、分子量標準)。d〜g)精製scDb、scFv、ならびにscDb-SpGC3およびscFv-SpGC3融合タンパク質を、SECによって分析した。ELISAにおけるCEAへのscDb-IgBD融合タンパク質およびscFv-IgBD融合タンパク質の結合. scDb-IgBD融合タンパク質(a)またはscFv-IgBD融合タンパク質(b)の濃度を増加させて、固定化CEAへの結合について分析した。ELISAによって分析したIgG、FabおよびFcへのscDb-IgBDの結合.scDb、scDb-SpAB、scDb-SpAD、scDb-SpAE4、scDb-SpGC3、およびscDb-PpLC4*を、固定化マウス(a)およびヒト(b)血清IgG、ならびにそのFabおよびFcフラグメントへの結合について分析した。さらにまた、ヒトIgMおよびヒトIgAを、これらの融合タンパク質の結合について分析した。水晶微量天秤測定によって分析したIgG、FabおよびFcへのscDb-IgBDの結合.ヒトおよびマウスIgGならびにそのFabおよびFcフラグメントをQCMチップ上に固定化し、scDb-IgBD融合タンパク質の結合を、1.5μM(Fabフラグメント)、500nM(IgG)、40nM(ヒトIgG)またはx nM(IgG-Fcフラグメント)、および1.28nM(マウスIgG-Fcフラグメント)で決定した。アフィニティ.Attana A100と、免疫グロブリンが化学的にコンジュゲートされているセンサーチップとを使って、中性pH(7.4)および酸性pH(6.0)において水晶微量天秤測定によって決定された、ヒトおよびマウスIgGならびにそのFabおよびFcフラグメントに対するscDb-IgBD融合タンパク質のアフィニティ。無修飾タンパク質(scDb、scFv)およびIgGと比較したscDb-IgBDおよびscFv-IgBD融合タンパク質の血漿中半減期.ScDb-IgBD融合タンパク質(a)およびscFv-IgBD融合タンパク質(b)をCD1マウスにi.v.注射し(25μg/匹)、抗体分子の血清中濃度を、ELISAにより、異なる時点で決定した。最初の時点(3分)における最大濃度を考慮してデータを標準化した。マウスにおけるscDb-IgBDおよびscFv-IgBD融合タンパク質の生化学的性質および薬物動態的性質.ScDb-IgBDおよびscFv-IgBD融合タンパク質をCD1マウスにi.v.注射し(25μg/匹)、抗体分子の血清中濃度を、ELISAにより、異なる時点で決定した。最初の時点(3分)における最大濃度を考慮してデータを標準化した。t1/2αは初期血漿中半減期を示し;t1/2βは終末血漿中半減期を示し;AUCは試験したscDb-IgBDおよびscFv-IgBD融合タンパク質のバイオアベイラビリティを示す。分子量はアミノ酸配列から算出した。ストークス半径(Sr)はサイズ排除クロマトグラフィーによって決定した。scDb-IgBD融合タンパク質の免疫刺激活性.二重特異性抗CEA×抗CD3 scDb-IgBD融合タンパク質を、ヒトIgG(100μg/ml)の非存在下または存在下で、ターゲット細胞依存的なヒトPBMCからのIL-2放出の惹起について、インビトロで分析した。CEA陽性ターゲット細胞(LS1S74T)をマイクロタイタープレートで成長させてから、PBMCと融合タンパク質とを加え、24時間インキュベートした。次に、活性化T細胞から放出されたIL-2をELISAによって決定した。無修飾scDbを対照として含めた。SpGC3ミュータント.a)scDb(1)、scDb-SpGC3(2)、scDb-SpGC3-Fab(3)、scDb-SpGC3-Fc(4)のSDS-PAGE分析。ゲルはクマシーブリリアントブルーG-250で染色した。b)ELISAによって分析したヒトIgG、FabおよびFcへのscDb-SpGC3、scDb-SpGC3-Fab、scDb-SpGC3-Fcの結合。scDb-SpGC3、scDb-SpGC3-Fab、scDb-SpGC3-Fcを、固定化ヒト血清IgGならびにそのFabおよびFcフラグメントへの結合について分析した。c)ELISAによって分析したCEAへのscDb、scDb-SpGC3、scDb-SpGC3-Fab、scDb-SpGC3-Fcの結合。d)scDb-SpGC3-Fabの血漿中半減期:scDb-SpGC3-FabをCD1マウスにi.v.注射し(25μg/匹)、抗体分子の血清中濃度を、ELISAにより、異なる時点で決定した。最初の時点(3分)における最大濃度を考慮してデータを標準化した。SpG-C3-ダイアボディ-scTRAIL融合タンパク質の生産およびIgG結合.a)N末端SpGC3ドメイン、抗EGFRダイアボディおよびTRAILの単鎖誘導体(scTRAIL)から構成される融合タンパク質の組成。b)抗TRAIL抗体または抗FLAGタグ抗体を用いたウェスタンブロットによる精製融合タンパク質の検出。約100kDaという予想サイズに対応するバンドが検出される。c)ELISAにおける固定化ヒト血清IgGへの融合タンパク質(10μg/ml)の結合。結合した融合タンパク質を抗FLAGタグ抗体およびHRPコンジュゲート抗マウス抗体で検出した。対照では融合タンパク質を省いた。KabatによるEUインデックスでのヒト、マウス、およびラットIgGのCH1ドメイ上のSpG-C3結合エピトープのアミノ酸配列.scFv-SpG-C3融合タンパク質(抗CEA)の核酸およびアミノ酸配列.SpGC3配列は灰色のボックスで示され、リーダー配列には下線が引かれている。scDb-SpG-C3融合タンパク質(抗CEA×抗CD3)の核酸およびアミノ酸配列.SpGC3配列は灰色のボックスで示され、リーダー配列には下線が引かれている。SpG-C3-Db-scTRAIL(抗ヒトEGFR)融合タンパク質の核酸およびアミノ酸配列.SpGC3配列は灰色のボックスで示され、リーダー配列には下線が引かれている。scDb-SpGC3およびscDb-ABDHの薬物動態的性質.a)ScDb、scDb-SpGC3およびscDb-ABDH融合タンパク質をCD1マウスにi.v.注射し(25μg/匹)、さまざまな時点における血清中濃度をELISAによって決定した。標準化のために3分値を100%に設定した。b)最初の1時間に示された血漿中濃度。c)最初の24時間にわたって決定されたAUC。d)最初の3時点(1時間まで)について決定された初期血漿中半減期。scDb、scDb-SpGC3およびscDb-ABDHの血漿中半減期およびAUC0-24hを、血清中濃度からExcelによって算出し、GraphPad Prismにより、T検定を使った統計を行った。scDb-SpGC3-FabおよびscDb-ABDH融合タンパク質を使ったIL-2放出の比較.LS174T細胞をさまざまな濃度のscDb(aおよびc)、scDb-ABDH(b)またはscDb-SpGC3-Fab(d)と共にインキュベートしてから、ヒトPBMCを加えた。scDb融合タンパク質を、正常血漿中濃度のおよそ1/50に相当する1mg/ml HSA(a、b)または100μg/mlヒトIgG(c、d)の非存在下(白い記号)または存在下(黒い記号)で、プレインキュベートした。24時間後に、上清へのIL-2放出をELISAによって決定した。 以下に本発明を詳述する前に、本発明は、本明細書に記載する特定の方法、プロトコールおよび試薬類に限定されないことを理解すべきである。なぜなら、それらは変更しうるからである。また、本明細書において使用する術語には、特定の実施形態を説明する目的しかなく、本願のクレームによってのみ限定されることになる本発明の範囲を限定しようとするものではないことも理解すべきである。別段の定義がある場合を除き、本明細書において使用する全ての技術用語および科学用語は、当業者が一般に理解している意味と同じ意味を有する。 好ましくは、本明細書において使用する用語は、「A multilingual glossary of biotechnological terms: (IUPAC Recommendations)」Leuenberger, H.G.W.、Nagel, B.およびKoelbl, H.編、Helvetica Chimica Acta、スイスCH-4010バーゼル(1995)に記載されているとおりに定義される。 この明細書の本文ではいくつかの文書に言及する。本明細書において言及する文書のそれぞれは(全ての特許、特許出願、科学的刊行物、製造者の仕様書、説明書、GenBankアクセッション番号配列提出物などを含めて)、上述のものであれ後述のものであれ、引用によりそのまま本明細書に組み込まれる。先行発明を理由として本発明がそれらの開示に先行する資格がないことの自認であると解釈すべきものは、本明細書にはない。 定義 本明細書とそれに続く特許請求の範囲の全体を通して、文脈上別段の必要がある場合を除き、用語「を含む」(comprise)とその異形(例えば「comprises」および「comprising」)は、明示された整数もしくはステップ、または整数もしくはステップの群の包含を含意するが、他の任意の整数もしくはステップまたは整数もしくはステップの群の排除を含意するわけではない。 本明細書において使用する用語「複合体」は、互いに極めて近接していて、共通のまたは相互に関係する機能を果たす個々の構成要素、パーツまたは部分をいくつか内包する全体を指す。そのような複合体の個々のパーツは、その複合体の共通の機能を達成するために、異なる機能を果たしうる。すなわち、共通の機能(例えば部位特異的活性という機能)を果たすために、複合体の1つのパーツは1つの機能(例えば複合体の結合)を媒介し、一方、複合体の他のパーツは異なる機能(例えば複合体の活性)を媒介しうる。複合体の個々の部分は、同じ性質または異なる性質を有しうる。すなわちそれらは、例えば限定するわけではないが、ヌクレオチド、アミノ酸、核酸、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、糖質、および脂質などといった、同じ化学的実体、類似する化学的実体または異なる化学的実体から構成されうる。例えば、複合体は、いくつかの会合したタンパク質、または1つ以上のタンパク質と1つ以上の核酸との混合物、または1つ以上のタンパク質と1つ以上の脂質および/または糖質との混合物を含みうる。同一の化学的実体、類似する化学的実体または異なる化学的実体の他の任意の組み合わせも包含されると理解される。複合体の個々の部分は、相互につながれていても、相互につながれていなくてもよい。典型的には、複合体の個々のパーツは、共有結合または非共有結合によってつながれている。 用語「ポリヌクレオチド」と「核酸」は本明細書では可換的に使用され、ヌクレオチドモノマーから作られるポリマー状またはオリゴマー状の高分子であると理解される。ヌクレオチドモノマーは、核酸塩基、五炭糖(例えば限定するわけではないがリボースまたは2'-デオキシリボース)および1〜3個のリン酸基から構成される。典型的にはポリヌクレオチドは、個々のヌクレオチドモノマー間のホスホジエステル結合によって形成される。本発明との関連において、核酸分子と呼ばれるものには、リボ核酸(RNA)、デオキシリボ核酸(DNA)、およびそれらの混合物、例えばRNA-DNAハイブリッドなどが含まれるが、これらに限るわけではない。核酸は、例えば、ホスホトリエステル法などに従って化学的に合成することができる(例えばUhlmannおよびPeyman(1990)Chemical Reviews 90:543-584を参照されたい)。「アプタマー」は高いアフィニティでポリペプチドに結合する核酸である。アプタマーは、SELEmir146-a (例えばJayasena(1999)Clin. Chem. 45:1628-50;KlugおよびFamulok(1994)M. Mol. Biol. Rep. 20:97-107;US5,582,981を参照されたい)などの選択方法によって、さまざまな一本鎖RNA分子の大きなプールから単離することができる。アプタマーは、その鏡像型、例えばL-リボヌクレオチドとして、合成し、選択することもできる(Nolteら(1996)Nat. Biotechnol. 14:1116-1119;Klussmannら(1996)Nat. Biotechnol. 14:1112-1115)。こうして単離された形態は、天然リボヌクレアーゼによって分解されず、それゆえに、より高い安定性を有するという利点を享受する。 用語「タンパク質」と「ポリペプチド」は本明細書では可換的に使用され、長さまたは翻訳後修飾とは無関係に、ペプチド結合で連結されたアミノ酸の任意の鎖を指す。本発明において使用することができるタンパク質(タンパク質誘導体、タンパク質変異体、タンパク質フラグメント、タンパク質セグメント、タンパク質エピトープ、およびタンパク質ドメインを含む)は、さらに化学修飾によって修飾することができる。これは、そのような化学修飾ポリペプチドが、20の天然アミノ酸以外の他の化学基を含むことを意味する。そのような他の化学基の例には、グリコシル化アミノ酸およびホスホリル化アミノ酸が含まれるが、これらに限るわけではない。ポリペプチドの化学修飾は親ポリペプチドと比較して有利な性質、例えば強化された安定性、増加した生物学的半減期、または増加した水溶性の1つ以上を与えうる。 本明細書において使用する用語「変異体」は、それが由来するポリヌクレオチドまたはタンパク質と比較して、その長さまたは配列の1つ以上の変化を相違点とするポリヌクレオチドまたはタンパク質と理解すべきである。あるタンパク質変異体または核酸変異体が由来するポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、親ポリペプチドまたは親ポリヌクレオチドとも呼ばれている。用語「変異体」は、親分子の「フラグメント」または「誘導体」を含む。典型的には「フラグメント」は、親分子と比較して長さまたはサイズが小さく、一方、「誘導体」は、親分子と比較してその配列に1つ以上の相違を呈する。また、修飾分子、例えば限定するわけではないが、翻訳後修飾されたタンパク質(例えばグリコシル化、ビオチン化、ホスホリル化、ユビキチン化、パルミトイル化、またはタンパク質分解によって切断されたタンパク質)およびメチル化DNAなどの修飾核酸も包含される。異なる分子の混合物、例えば限定するわけではないがRNA-DNAハイブリッドなども、用語「変異体」に包含される。典型的には、「変異体」は人工的に、好ましくは遺伝子工学的手段によって構築され、一方、親ポリペプチドまたは ポリヌクレオチドは野生型のタンパク質またはポリヌクレオチドである。しかし天然変異体も、本明細書において使用する用語「変異体」に包含されると理解すべきである。さらに、本発明において使用することができる変異体は、変異体が、親分子の少なくとも1つの生物学的活性を呈する、すなわち機能的に活性であるという条件の下で、親分子のホモログ、オルソログ、またはパラログに由来するか、人工的に構築された変異体に由来することもできる。 ヌクレオチド配列またはアミノ酸配列の変化は、1カ所または数カ所の部位で起こりうる、ヌクレオチドまたはアミノ酸の交換、挿入、欠失、5'切断もしくは3'切断、N末端切断もしくはC末端切断、またはこれらの変化の任意の組み合わせであることができる。好ましい実施形態では、本発明において使用することができる変異体が、ヌクレオチド配列中またはアミノ酸配列中に、合計200まで(1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、または200まで)の変化(すなわち、交換、挿入、欠失、および/または切断)を呈する。アミノ酸の交換は保存的および/または非保存的であることができる。これに代えて、またはこれに加えて、本明細書にいう「変異体」は、それが由来する親ポリペプチドまたは親ポリヌクレオチドに対する一定程度の配列同一性によって特徴づけることもできる。より正確にいうと、本発明との関連において、タンパク質変異体は、その親ポリペプチドに対して少なくとも70%の配列同一性を呈する。本発明との関連において、ポリヌクレオチド変異体は、その親ポリヌクレオチドに対して少なくとも70%の配列同一性を呈する。好ましくは、タンパク質変異体の配列同一性は、20、30、40、45、50、60、70、80、90、100個またはそれ以上のアミノ酸の連続するストレッチにわたる。好ましくは、ポリヌクレオチド変異体の配列同一性は、60、90、120、135、150、180、210、240、270、300個またはそれ以上のヌクレオチドの連続するストレッチにわたる。 本明細書の全体を通して、ポリペプチド配列およびポリヌクレオチド配列比較に関して、「少なくとも70%の配列同一性」という用語を使用する。この表現は、好ましくは、各参照ポリペプチドまたは各参照ポリヌクレオチドに対して、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を指す。 2つの配列が比較され、どちらの配列に対して配列同一性百分率を算出するのかが明示されていない場合は、別段の具体的表示がある場合を除き、比較する2つの配列のうち長い方の配列に対する配列同一性が算出されるものとする。参照配列が示されている場合、配列同一性は、別段の具体的表示がある場合を除き、配列番号によって示される参照配列の全長に基づいて決定される。例えば、IgG分子のアミノ酸配列と比較される358アミノ酸からなるペプチド配列は、80.09%(358/447)の最大配列同一性百分率を呈し、一方、長さが224アミノ酸である配列は、50.11%(224/447)の最大配列同一性百分率を呈しうる。ヌクレオチド配列およびアミノ酸配列の類似性、すなわち配列同一性の百分率は、配列アラインメントによって決定することができる。そのようなアラインメントは、当技術分野において知られているいくつかのアルゴリズムを使って、好ましくはKarlinとAltschulの数学的アルゴリズム(KarlinおよびAltschul(1993)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873-5877)、hmmalign(HMMERパッケージ、http://hmmer.wustl.edu/)、または例えばhttp://www.ebi.ac.uk/Tools/clustalw/もしくはhttp://www.ebi.ac.uk/Tools/clustalw2/index.htmlもしくはhttp://npsa-pbil.ibcp.fr/cgi-bin/npsa_automat.pl?page=/NPSA/npsa_clustalw.htmlで利用することができるCLUSTALアルゴリズム(Thompsonら(1994)Nucleic Acid Res. 22:4673-4680)を使って行うことができる。使用されるパラメータで好ましいのは、http://www.ebi.ac.uk/Tools/clustalw/または http://www.ebi.ac.uk/Tools/clustalw2/index.htmlで設定されているとおり、デフォルトパラメータである。配列同一性(配列合致)の程度は、例えばBLAST、BLATまたはBlastZ(またはBlastX)を使って算出することができる。類似するアルゴリズムが、Altschulら(1990)J. Mol. Biol. 215:403-410のBLASTNおよびBLASTPプログラムに組み込まれている。BLASTポリヌクレオチド検索は、BLASTNプログラム、スコア(score)=100、ワード長(word length)=12で行われる。BLASTタンパク質検索は、BLASTPプログラム、スコア=50、ワード長=3で行われる。比較のためのギャップ付きアラインメントを得るには、Altschulら(1997)Nucleic Acid Res. 25:3389-3402に記載されているように、Gapped BLASTが利用される。BLASTプログラムやGapped BLASTプログラムを利用する場合は、各プログラムのデフォルトパラメータを使用する。配列合致解析は、Shuffle-LAGAN(Brudno M. (2003b)Bioinfomatics 19 Suppl 1:I54-I62)またはマルコフランダム場のような確立されたホモロジーマッピング技法で補うこともできる。本願において配列同一性の百分率に言及する場合、それらの百分率は、別段の具体的表示がある場合を除き、長い方の配列の全長に対して算出される。「ハイブリダイゼーション」も、2つの核酸配列間の配列同一性または相同性の尺度として使用することができる。F、N、またはM2-1をコードする核酸配列またはそれらのいずれかの一部分は、標準的ハイブリダイゼーション技法に従って、ハイブリダイゼーションプローブとして使用することができる。ハイブリダイゼーション条件は当業者には知られており、例えば「Current Protocols in Molecular Biology」(John Wiley & Sons、ニューヨーク、6.3.1-6.3.6、1991)に見いだすことができる。「中等度のハイブリダイゼーション条件」は、2×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)における30℃でのハイブリダイゼーションおよびそれに続く1×SSC、0.1%SDSにおける50℃での洗浄と等価な条件と定義される。「高ストリンジェント条件」は、6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)における45℃でのハイブリダイゼーションおよびそれに続く0.2×SSC、0.1%SDSにおける65℃での洗浄と等価な条件と定義される。 本明細書において使用する用語「免疫グロブリン(Ig)」は、免疫を付与する免疫グロブリンスーパーファミリーの糖タンパク質を指す。「表面免疫グロブリン」は、その膜貫通領域によってエフェクター細胞の膜に付着しており、これには、B細胞受容体、T細胞受容体、クラスIおよびII主要組織適合遺伝子複合体(MHC)タンパク質、β2-マイクログロブリン(β2M)、CD3、CD4およびCD8などの分子が包含される。典型的には、本明細書において使用する用語「抗体」は、膜貫通領域を欠き、したがって血流中および体腔中に放出されうる、分泌型免疫グロブリンを指す。ヒト抗体は、それらが保持する重鎖に基づいて、異なるアイソタイプにグループ分けされる。ヒトIg重鎖には、ギリシャ文字α、δ、ε、γ、およびμで表される5つのタイプがある。存在する重鎖のタイプが抗体のクラスを規定する。すなわちこれらのクラスは、それぞれIgA、IgD、IgE、IgG、およびIgM抗体中に見いだされ、これらのそれぞれが、異なる役割を果たし、異なるタイプの抗原に対する適正な免疫応答を指図する。相異なる重鎖はサイズおよび組成が異なる。αおよびγは約450個のアミノ酸を含み、一方、μおよびεは約550個のアミノ酸を有する(Janewayら(2001)「Immunobiology」 Garland Science)。IgAは、腸、気道および尿生殖路などの粘膜領域ならびに唾液、涙および乳汁中に見いだされ、病原体の定着を防止する(UnderdownおよびSchiff(1986)Annu. Rev. Immunol. 4:389-417)。IgDは、主に、抗原に曝露されたことのないB細胞上の抗原受容体として機能し、抗微生物因子を生産するための好塩基球および肥満細胞の活性化に関与する(Geisbergerら(2006)Immunology 118:429-437;Chenら(2009)Nat. Immunol. 10:889-898)。IgEは、肥満細胞および好塩基球からのヒスタミンの放出を惹起するアレルゲンへのその結合によって、アレルギー反応に関与する。IgEは寄生生物への防御にも関与する(Pierら(2004)「Immunology, Infection, and Immunity」ASM Press)。IgGは、侵入する病原体に対する抗体に基づく免疫の大部分を提供し、胎盤を横切って胎児に受動免疫を与える能力を有する唯一の抗体アイソタイプである(Pierら(2004)「Immunology, Infection, and Immunity」ASM Press)。ヒトには4つの異なるIgGサブクラス(IgG1、2、3、および4)が存在する。これらは血清における存在量の順に名付けられており、IgG1が最も豊富で(約66%)、続いてIgG2(約23%)、IgG3(約7%)およびIgG(約4%)である。異なるIgGクラスの生物学的プロファイルは、それぞれのヒンジ領域の構造によって決まる。IgMはB細胞の表面に単量体型で発現すると共に、極めて高いアビディティを有する分泌五量体型で発現する。IgMは、十分なIgGが生産される前のB細胞媒介(体液性)免疫の初期段階において、病原体の排除に関与する(Geisbergerら(2006)Immunology 118:429-437)。 抗体は、単量体として見いだされるだけでなく、2つのIg単位の二量体(例えばIgA)、4つのIg単位の四量体(例えば硬骨魚のIgM)、5つのIg単位の五量体(例えば哺乳動物IgM)を形成することも知られている。抗体は典型的には、ジスルフィド結合を介してつながれた2本の同一重鎖と2本の同一軽鎖を含む4つのポリペプチド鎖でできていて、「Y」字状の高分子に似ている。各鎖はいくつかの免疫グロブリンドメインを含み、そのうちのいくつかは定常ドメイン、その他は可変ドメインである。免疫グロブリンドメインは、2つのβシートに配置された7〜9つの逆平行βストランドの2層サンドイッチからなる。典型的には、抗体の重鎖は4つのIgドメインを含み、そのうちの3つが定常ドメイン(CHドメイン:CH1、CH2、CH3)、1つが可変ドメイン(VH)である。軽鎖は、典型的には、1つの定常Igドメイン(CL)と1つの可変Igドメイン(VL)とを含む。例えば、ヒトIgG重鎖が、N末端からC末端に向かってVH-CH1-CH2-CH3(VH-Cγ1-Cγ2-Cγ3ともいう)という順序で連結された4つのIgドメインから構成されるのに対し、ヒトIgG軽鎖は、N末端からC末端に向かってVL-CLという順序で連結された2つの免疫グロブリンドメインから構成され、これは、κタイプまたはλタイプのいずれか(Vκ-CκまたはVλ-Cλ)である。 例えばヒトIgGの定常鎖は447個のアミノ酸を含む。本明細書および本願特許請求の範囲の全体を通して、免疫グロブリン中のアミノ酸位置のナンバリングは、Kabat, E.A., Wu, T.T., Perry, H.M., Gottesman, K.S.およびFoeller, C.,(1991)「Sequences of proteins of immunological interest」第5版、米国国立衛生研究所、保健福祉省、メリーランド州ベセスダ)による「EUインデックス」のナンバリングである。「KabatによるEUインデックス」とは、ヒトIgG1EU抗体の残基ナンバリングを指す。したがって、IgGとの関連においてCHドメインは次のとおりである:「CH1」は、KabatによるEUインデックスでアミノ酸位置118〜220を指し;「CH2」は、KabatによるEUインデックスでアミノ酸位置237〜340を指し;「CH3」は、KabatによるEUインデックスでアミノ酸位置341〜447を指す。 抗体のパパイン消化は、それぞれが単一の抗原結合部位を有する「Fabフラグメント」と呼ばれる(「Fab部分」または「Fab領域」ともいう)2つの同一な抗原結合性フラグメントと、残りの「Fc」フラグメント(この名称は容易に結晶化するその能力を反映している)(「Fc部分」または「Fc領域」ともいう)とを生成する。ヒトIgG Fc領域の結晶構造は決定されている(Deisenhofer(1981)Biochemistry 20:2361-2370)。IgG、IgAおよびIgDアイソタイプでは、Fc領域が、抗体の2本の重鎖のCH2ドメインとCH3ドメインに由来する2つの同一タンパク質フラグメントから構成され;IgMおよびIgEアイソタイプでは、Fc領域が、各ポリペプチド鎖中に3つの重鎖定常ドメイン(CH2〜4)を含有する。加えて、それより小さい免疫グロブリン分子も自然界に存在し、あるいは人工的に構築されている。用語「Fab'フラグメント」は、Ig分子のヒンジ領域をさらに含むFabフラグメントを指し、一方、「F(ab')2フラグメント」は、化学的に連結されるかジスルフィド結合によってつながれた、2つのFab'フラグメントを含むと理解される。「単一ドメイン抗体(sdAb)」(Desmyterら(1996)Nat. Structure Biol. 3:803-811)および「ナノボディ」は、VHドメインを一つ含むだけであり、一方、「単鎖Fv(scFv)」フラグメントは、短いリンカーペプチドを介して軽鎖可変ドメインに接合された重鎖可変ドメインを含む(Hustonら(1988)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85, 5879-5883)。二価単鎖可変フラグメント(ジ-scFv)は2つのscFvを連結することによって工学的に作り出すことができる(scFvA-scFvB)。これは、2つのVH領域と2つのVL領域とを有する単一のペプチド鎖を生産して「タンデムscFv」(VHA-VLA-VHB-VLB)を得ることによって行うことができる。もう一つの可能性は、短すぎて2つの可変領域が折り重なることはできず、scFvに二量体化を強制するようなリンカーを使った、scFvの創製である。通常、5残基の長さを持つリンカーを使って、これらの二量体を生成させる。このタイプは「ダイアボディ」と呼ばれている。VHドメインとVLドメインの間のさらに短いリンカー(1個または2個のアミノ酸)は、単一特異性三量体、いわゆる「トリアボディ」または「トリボディ」の形成につながる。二重特異性ダイアボディは、それぞれVHA-VLBおよびVHB-VLAまたはVLA-VHBおよびVLB-VHAという配置の鎖を発現させることによって形成される。単鎖ダイアボディ(scDb)は、12〜20アミノ酸、好ましくは14アミノ酸のリンカーペプチド(P)によって連結されたVHA-VLBフラグメントとVHB-VLAフラグメントとを含む(VHA-VLB-P-VHB-VLA)。「二重特異性T細胞エンゲイジャー(bi-specific T-cell engager)(BiTE)」は、異なる抗体の2つのscFvからなる融合タンパク質であって、一方のscFvはCD3受容体を介してT細胞に結合し、他方は腫瘍特異的分子を介して腫瘍細胞に結合するものである(Kuferら(2004)Trends Biotechnol. 22:238-244)。二重アフィニティ・リターゲティング(dual affinity retargeting)分子(「DART」分子)は、C末端ジスルフィド橋によってさらに安定化されたダイアボディである。 本明細書において使用する用語「免疫グロブリン(Ig)結合部分」は、複合体のうち、免疫グロブリンと相互作用する部分またはパーツを指す。典型的にはIg結合部分は、Igの(好ましくは抗体の)重鎖および/または軽鎖に結合するポリペプチドまたはタンパク質を含む。Ig結合部分は、「Ig結合ドメイン(IgBD)」の他、例えば限定するわけではないがIg結合部分を安定化することまたはIgBDのIg結合能を増進することなどといった追加機能を実現するさらなるドメインを含みうる。 本明細書において使用する用語「Ig結合ドメイン(IgBD)」は、Ig分子へのIg結合部分の実際の結合を媒介するドメインを指す。IgBDは、Ig分子の任意のドメインに、すなわちIg分子の可変ドメインVHもしくはVLおよび/または定常ドメインCH1、CH2、CH3および/もしくはCLに結合しうる。典型的には、IgBDは、中性pH(すなわちpH7)においてIg分子に結合するアフィニティを有するが、それより低いpH値または高いpH値、例えばpH値5、6、または8での結合も起こりうる。Ig分子に結合するIgBDのアフィニティは、10-6M未満、しばしば10-7M未満、さらには10-8M未満でありうる。典型的には、IgBDは、グラム陽性菌のIg結合タンパク質に由来する。これには、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)のプロテインA、連鎖球菌プロテインG、およびペプトストレプトコッカス・マグヌス(Peptostreptococcus magnus)(現在はフィネゴルディア・マグナ(Finegoldia magna))のプロテインLが含まれるが、これらに限るわけではない。 「プロテインA(SpA)」は、元々は黄色ブドウ球菌の細胞壁に見いだされた40〜60kDaの表面タンパク質である。これは、そのIgBD(A、B、C、D、E)の2つのαヘリックスとIg分子のFcフラグメント中のCH2およびCH3ドメインとの相互作用により、数多くの哺乳動物種に由来する免疫グロブリン、とりわけIgGに結合する。プロテインAは、ヒトIgG1およびIgG2ならびにマウスIgG2aおよびIgG2bには、高いアフィニティで結合するが、ヒトIgM、IgAおよびIgEならびにマウスIgG3およびIgG1には、あまり高くないアフィニティでしか結合しない。 「プロテインG(SpG)」は、プロテインAに似ているが、異なる特異性を呈する、C群およびG群連鎖球菌株において発現する免疫グロブリン結合タンパク質である。これは、IgG分子(特にIgG1、IgG2またはIgG4)のFc領域ならびに血清アルブミンに結合する約65kDaの細胞表面タンパク質である。連鎖球菌株G148、GX7805、およびGX7809の個々のIgBDのアミノ酸配列は同一である(Gussら(1986)EMBO J. 5:1567-1575)。プロテインGは、反復的に配置されたドメインからなり、C末端ドメイン(C1、C2、C3、ドメインB1〜B3ともいう)がIgG結合を担っていて、タンパク質のN末端側の半分にあるドメイン(ドメインA1、A2、A3)は血清アルブミンに結合する。プロテインGの単一のIgBDは、4本鎖逆平行-並行-逆平行βシートに対してパッキングされた中央αヘリックスからなる共通の二次構造を示す。ドメインC1およびC2のアミノ酸配列は、ドメインC3の配列に対して、それぞれ90%および93%同一である。連鎖球菌プロテインGのIg結合ドメインC1、C2、およびC3のアミノ酸配列は、以下のとおりである:SpG-C1:TYKLILNGKTLKGETTTEAVDAATAEKVFKQYANDNGVDGEWTYDDATKTFTVTE(配列番号16)SpG-C2:TYKLVINGKTLKGETTTEAVDAATAEKVFKQYANDNGVDGEWTYDDATKTFTVTE(配列番号17)SpG-C3:TYKLVINGKTLKGETTTKAVDAETAEKAFKQYANDNGVDGVWTYDDATKTFTVTE(配列番号1) 大半の連鎖球菌株では、プロテインGが3つ全てのIg結合ドメイン(C1〜C3)を含んでいるが、一部の株は、2つのIg結合ドメインしか含まないプロテインGを含有している。例えば、連鎖球菌株GX7809は、2つのIg結合ドメインしか有さないプロテインGを含有し、この場合、最初のドメインはG148およびGX7805のC1と同一であり、最後のドメインはG148およびGX7805のC3と同一である。 プロテインGのIgBD、特にSpGのC1およびC2ドメインと、免疫グロブリンのFcフラグメントとの間の相互作用は、IgBD内のαヘリックスと第3βストランドによって媒介される(GronenbornおよびClore(1993)J. Mol. Biol. 233:331-335)。C3ドメインは、Ig分子のCH1ドメインの表面露出領域に結合することによって、Ig分子のFabフラグメントと相互作用する。C3ドメインとFabフラグメントとのこの相互作用は、ドメインC3の第2βストランドとIg分子のCH1ドメインの第7βストランドとの逆平行アラインメント(これがCH1ドメイン中へのドメインC3の4本鎖βシートの延長に影響を及ぼす)によって媒介される(DerrickおよびWigley(1994)J. Mol. Biol. 243:906-918)。より具体的には、C3ドメインは、KabatによるEUインデックスで、CH1ドメインのアミノ酸位置122〜127および/または207〜214と相互作用する(図1参照)。 免疫グロブリンの重鎖に結合するプロテインAおよびプロテインGとは異なり、ペプトストレプトコッカス・マグヌスの「プロテインL(PpL)」は、κ軽鎖を含有するIg分子に軽鎖相互作用によって結合する。その過程において、PpLはIg分子の抗原結合部位と干渉しない。プロテインLは、IgG、IgM、IgA、IgEおよびIgDを含む全ての抗体クラスの代表例に結合し、scFvフラグメントやFabフラグメントにも結合する。 体内での物質(例えば代謝産物、薬物、シグナリング分子、放射性核種、または他の物質)の利用可能性は、例えば血漿におけるその濃度や、身体からのそのクリアランスの速度などといったいくつかの因子に依存する。体内での物質の総合的な持続性、すなわち物質が体内で費やす時間の長さは、「平均滞留時間(mean resistance time)(MRT)」として表される。MRTは、個体の身体サイズ、その物質が体内を移動し体内で反応する速度、また該当する場合は、投与された物質、例えば医薬の量などといった、さまざまな因子に依存する。MRTは、一定の物質、例えば薬物を血漿から排出する身体の総合的能力にも依存する。哺乳動物では、血漿クリアランスが、主要浄化器官、すなわち腎臓および肝臓によって達成される。本明細書において使用する用語「血漿クリアランス」は、所与の時間内に、ある一定の物質について浄化される血漿の体積を指し、容積流量率(容積/時間)の単位で測定される。 物質の血中濃度が半分まで降下するのに要する時間を、濃度の低下を引き起こす要因(例えば血漿クリアランス、組織による吸収)を問わず、物質の「血漿中半減期」または「血清中半減期」という。「血漿」という用語は血液の完全に可溶性な画分を指し、一方、「血清」という用語は凝固因子を欠く血漿、すなわち血液の凝固後に得られるものを指す。血漿中半減期と血清中半減期はどちらも、血液中の濃度として測定される。 物質の初期血漿中または血清中半減期と終末血漿中または血清中半減期とは区別することができる。用語「初期血漿中半減期」(または「初期血清中半減期」)と用語「分布血漿中半減期」(または「分布血清中半減期」)は、本明細書では可換的に使用され、t1/2αと略記される。初期血漿中半減期は、血液から薬物が急速に消失する相を指し、これは投薬後直ちに起こり、血中薬物濃度の実質的な減衰つながりうる。この初期の急速な薬物消失の相は、主として、血管系を一構成要素とする「中心」コンパートメントから末梢組織中の貯蔵部位への薬物の可逆的分布によって決まり;この初期の急速な降下のうち排出またはクリアランスによって決まる部分はほとんどない。典型的には、初期相は数分(すなわち1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10分)から数時間(すなわち1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10時間)持続する。 用語「終末血漿中半減期」(または「終末血清中半減期」)と用語「排出血漿中半減期」(または「排出血清中半減期」)は、本明細書では可換的に使用され、t1/2βと略記される。排出血漿中半減期は一般に、薬物分布平衡に到達した後、すなわち、投与された物質のさまざまな体組織における分布が完了した後でないと決定されない。血中濃度曲線は、排出相と呼ばれる、それほど急速ではない薬物消失の相に入り、この相における薬物消失は、主として、不可逆的なクリアランスによって決まる。したがって終末血漿中半減期(t1/2β)は、クリアランス(CL)および分布容積(VD)によって決まり、その関係は次の等式によって記述される。 問題にしている物質によっては、組織におけるその蓄積や受容体相互作用を含む要因を考慮すると、当該物質の初期血漿中半減期と終末血漿中半減期との間の関係が複雑になりうる(ToutainおよびBousquet-Melou(2004)J. Vet. Pharmacol. Therap. 27:427-439)。体内での物質(例えば医薬)のバイオアベイラビリティを向上させるために、当該物質の初期血漿中半減期(または「初期血清中半減期」)および終末血漿中半減期(または「終末血清中半減期」)を操作することができる。物質のバイオアベイラビリティは、投与後に一定の時間感覚で、血液(血漿または血清)における該物質の濃度を測定し、濃度時間曲線下の面積を確定することによって決定することができる。「曲線下面積(AUC)」の値は、血流中の利用可能な物質の量に比例する。 例えば、腎クリアランスを低減するために当該物質の流体力学的体積を増加させること、またはFcRnによるリサイクリングプロセスを利用することなどによる血漿クリアランスの低減は、各物質の終末血漿中半減期を延伸し、それによって体内でのバイオアベイラビリティを増加させることにつながりうる。 本願との関連において、医薬活性部分の血清中半減期、好ましくは終末血清中半減期は、医薬活性部分をIgBD、好ましくは上に詳述した連鎖球菌プロテインGのC3 IgBDに複合体化することで、その血漿クリアランスを低減し、かつFcRnによるそのリサイクリングを可能にすることにより、延伸できることが好ましい。「延伸された」と「延長された」または「延伸」と「延長」は本明細書では可換的に使用され、時間の長さ、好ましくは血清中半減期の長さ、特に初期および/または終末血清中半減期の長さの増加を指す。本明細書において使用する用語「医薬活性部分」は、複合体のうち、医薬効果、例えば限定するわけではないが、予防効果、治療効果、および/または診断効果などを媒介するパーツまたは部分を指すと理解される。 本明細書において、疾患または障害について、「防止する」、「防止すること」、「防止」、または「予防」とは、そのような疾患または障害が患者において起こるのを防止することを意味する。したがって予防効果を有する部分は、患者における疾患または障害の発生を防止する。 本明細書において、疾患または障害について、「処置する」、「処置すること」、「処置」または「治療」とは、以下の1つ以上を遂行することを意味する:(a)障害の重症度を低減すること;(b)処置される障害に特有の症状の発達を制限しまたは防止すること;(c)処置される症状に特有の症状の悪化を阻止すること;(d)過去に障害を持っていた個体におけるその障害の再発を制限しまたは防止すること;および(e)過去に障害の症状を示していた個体における症状の再発を制限しまたは防止すること。したがって、治療効果を有する部分は、上に挙げた効果(a)〜(e)の1つ以上を遂行することによって、疾患または障害の症状を処置する。 疾患または症状について、「同定する」、「同定すること」、「同定」または「診断」という用語は、本明細書では、疾患または障害の性質および原因の決定を指すために使用される。したがって、診断効果を有する部分は、疾患または障害の性質および原因の決定を可能にする。 疾患または障害の「症状」は、当該疾患または障害を有する組織、器官または生物によって感知されうる疾患または障害の暗示であり、これには組織、器官または個体の疼痛、脱力、圧痛、緊張、こわばり、および痙直、ならびにバイオマーカーまたは分子マーカーなどといった特異的指標の存在、不在、増加、減少が含まれるが、これらに限るわけではない。本明細書において使用する用語「疾患」および「障害」は、組織、器官または個体がその機能をもはや効率よく果たすことができない異常な状態、とりわけ異常な医学的状態、例えば疾病または傷害を指す。典型的には、疾患または障害は、当該疾患または障害の存在を示す特異的症状または徴候と関連する。 医薬活性部分は、典型的には、生物学的および/または化学的医薬を含む。「化学的医薬」は、典型的には、障害または疾患の防止、処置または診断に有効な人工的に合成された化学化合物を指すと理解される。「生物学的医薬」は、典型的には、生物工学的手段を使って生産された医学用薬物を指すと理解され、予防的、治療的、および/またはインビボ診断的目的に使用される。生物学的医薬には、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質および核酸(例えばDNA、RNA、またはそのハイブリッド)などがあるが、これらに限るわけではない。承認された治療用の生物学的医薬には、ホルモン(例えばインスリン、hGH、FSH、グルカゴン様ペプチド1、副甲状腺ホルモン、カルシトニン、ルトロピン、グルカゴン)、成長因子(例えばエリスロポエチン、G-CSF/GM-CSF、IGF-1)、インターフェロン(例えばIFN-α、IFN-β、IFN-γ)、インターロイキン(例えばIL-2、IL-11、IL-1Ra)、凝固因子(例えば第VIII因子、第IX因子、第VIIa因子、トロンビン)、血栓溶解剤および抗凝固剤(例えばt-PA、ヒルジン、活性化プロテインC)、酵素(例えばα-グルコシダーゼ、グルコセレブロシダーゼ、イズロン酸-2-スルファターゼ、ガラクトシダーゼ、尿酸オキシダーゼ、DNase)、抗原結合分子、例えば抗体および抗体フラグメント(例えばIgG、Fab)、ならびにそれらの融合タンパク質(例えばTNFR2-Fc、TMP-Fc、CTLA-4-Fc、IL-1R-Fc、LFA-3-Fc、IL-2-DT)などがあるが、これらに限るわけではない。 本発明との関連において「ペプチドリンカー」(または短く「リンカー」)とは、複合体の2つのパーツまたは部分、例えば2つのペプチドまたはタンパク質を立体的に分離するアミノ酸配列を指す。典型的には、そのようなリンカーは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30アミノ酸の最小長および少なくとも100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、または15アミノ酸以下の最大長を有する、1〜100個のアミノ酸からなる。本発明のペプチドリンカーの上記好ましい最小長および最大長は、それが数学的に意味がある組み合わせであれば、組み合わせることができ、例えばそのようなリンカーは、1〜15、または12〜40、または25〜75、または1〜100個のアミノ酸からなりうる。ペプチドリンカーは互いに連結される2つの部分間の自由度も与えうる。そのような自由度は、一般に、アミノ酸が小さければ増大する。したがって、フレキシブルなペプチドリンカーは、小さなアミノ酸、特にグリシンおよび/またはアラニン、および/またはセリン、スレオニン、アスパラギンおよびグルタミンなどの親水性アミノ酸の含量が多い。好ましくは、ペプチドリンカーのアミノ酸の20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上が小さなアミノ酸である。 本明細書において使用する用語「切断部位」は、アミノ酸配列またはヌクレオチド配列であって、例えばそれが切断酵素によって認識され、かつ/または分割されうるなどの理由で、この配列が、複合体または高分子(例えば核酸またはタンパク質)の分割を指図するものを指す。典型的には、ポリペプチド鎖は、アミノ酸を連結する1つ以上のペプチド結合の加水分解によって切断され、ポリヌクレオチド鎖は、ヌクレオチド間のホスホジエステル結合の1つ以上の加水分解によって切断される。ペプチド結合またはホスホジエステル結合の切断は、化学的または酵素的切断に由来しうる。酵素的切断とは、タンパク質分解酵素、例えば限定するわけではないが、制限エンドヌクレアーゼ(例えばタイプI、タイプII、タイプII、タイプIV、または人工制限酵素)およびエンド-またはエキソ-ペプチダーゼまたはプロテアーゼ(例えばセリンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、メタロプロテアーゼ、スレオニンプロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ、グルタミン酸プロテアーゼ)などによって達成される切断を指す。典型的には、酵素的切断は、自己切断ゆえに起こるか、または独立したタンパク質分解酵素による影響を受ける。タンパク質またはポリペプチドの酵素的切断は、翻訳時または翻訳後に起こりうる。したがって、本明細書において使用する用語「エンドペプチダーゼ切断部位」は、アミノ酸またはヌクレオチド配列内の切断部位であって、この配列が、エンドペプチダーゼ(例えばトリプシン、ペプシン、エラスターゼ、トロンビン、コラゲナーゼ、フューリン、サーモライシン、エンドペプチダーゼV8、カテプシン)によって切断されるか、または切断されうる部位を指す。 本明細書において使用する用語「自己切断部位」は、アミノ酸配列内の切断部位であって、その切断に別の分子が関与することなく、この配列が切断されるか、または切断されうる部位を指す。切断部位は、典型的には、数個のアミノ酸を含むと理解される。したがって切断部位は、ペプチドリンカーの目的、すなわち2つのペプチドまたはタンパク質を立体的に分離する目的にも役立ちうる。 本明細書において使用する用語「ベクター」は、細胞中に導入されること、またはそこに含まれているタンパク質および/または核酸を細胞中に導入することが可能な、タンパク質もしくはポリヌクレオチドまたはそれらの混合物を指す。本発明との関連においては、1つまたは複数のベクターを導入した時に、導入されたポリヌクレオチドによってコードされる目的の遺伝子が、細胞内で発現することが好ましい。適切なベクターの例には、プラスミド、コスミド、ファージ、ウイルスまたは人工染色体などがあるが、これらに限るわけではない。 「医薬」、「医薬品」および「薬物」という用語は、本明細書では可換的に使用され、疾患または障害の同定、防止または処置に使用される物質および/または物質の組合せを指す。 「調製物」および「組成物」という用語は、活性化合物と担体としての封入材料との製剤であって、活性構成要素が、他の担体と共に、または他の担体を伴わずに、担体で囲まれていて、そうすることで担体が活性化合物と会合しているカプセル剤を与えるものを包含するものとする。 「医薬上許容される」とは、動物、特にヒトでの使用に関して、連邦政府または州政府の規制当局によって承認されていること、または米国薬局方もしくは他の広く認識されている薬局方に掲載されていることを意味する。 「活性成分」という用語は、医薬組成物または製剤中の物質であって、生物学的に活性であるもの、すなわち医薬的価値を与えるものを指す。医薬組成物は、互いに協同して作用するか、互いに独立して作用しうる、1つ以上の活性成分を含みうる。活性成分は、中性型または塩型として調剤することができる。医薬上許容される塩には、遊離のアミノ基で形成されるもの、例えば限定するわけではないが、塩酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸などから誘導されるもの、および遊離のカルボキシル基で形成されるもの、例えば限定するわけではないが、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、水酸化第二鉄、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2-エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなどから誘導されるものが含まれる。 本明細書において使用する用語「担体」は、薬学的に不活性な物質、例えば限定するわけではないが、治療活性成分と一緒に投与される希釈剤、賦形剤、界面活性剤、安定剤、生理緩衝溶液、または媒体を指す。そのような医薬担体は液状または固形であることができる。液状担体には、例えば滅菌液、例えば食塩水溶液、および油、例えば限定するわけではないが、石油、動物、植物または合成起源のもの、例えばラッカセイ油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油などがあるが、これらに限るわけではない。食塩溶液ならびにデキストロース水溶液およびグリセロール水溶液も、液状担体として、特に注射溶液用の液状担体として使用することができる。医薬組成物を静脈内投与する場合、食塩溶液は好ましい担体である。適切な医薬担体の例は、E.W.Martinにより、「Remington's Pharmaceutical Sciences」に記載されている。 適切な医薬「賦形剤」には、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、イネ、穀粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどがある。 「界面活性剤」には、アニオン、カチオン、およびノニオン界面活性剤、例えば限定するわけではないが、デオキシコール酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、トリトンX-100、およびポリソルベート、例えばポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート65およびポリソルベート80などがある。 「安定剤」には、マンニトール、スクロース、トレハロース、アルブミン、ならびにプロテアーゼおよび/またはヌクレアーゼ拮抗剤などがあるが、これらに限るわけではない。 「生理緩衝溶液」には、塩化ナトリウム溶液、脱塩水、ならびに適切な有機または無機緩衝溶液、例えば限定するわけではないが、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、トリス緩衝液(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)、HEPES緩衝液([4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジノ]エタンスルホン酸)またはMOPS緩衝液(3-モルホリノ-1-プロパンスルホン酸)などがあるが、これらに限るわけではない。各緩衝液の選択は、一般に、所望する緩衝液のモル濃度に依存する。例えば注射溶液および注入溶液には、リン酸緩衝液が適している。 「アジュバント」という用語は、組成物の活性成分に対する免疫応答を細胞レベルまたは体液レベルで増大させ、刺激し、活性化し、増強し、または調整する薬剤を指す。例えば免疫学的アジュバントは、実際の抗原に対する免疫系の応答を刺激するが、それ自体は免疫学的効果を持たない。そのようなアジュバントの例には、無機アジュバント(例えばリン酸アルミニウムまたは水酸化アルミニウムなどの無機金属塩)、有機アジュバント(例えばサポニンまたはスクアレン)、油ベースのアジュバント(例えばフロイント完全アジュバントおよびフロイント不完全アジュバント)、サイトカイン(例えばIL-1β、IL-2、IL-7、IL-12、IL-18、GM-CFS、およびINF-γ)、粒子状アジュバント(例えば免疫刺激性複合体(ISCOMS)、リポソーム、または生分解性マイクロスフェア)、ビロゾーム、細菌性アジュバント(例えばモノホスホリルリピドA、またはムラミル ペプチド)、合成アジュバント(例えばノニオンブロックコポリマー、ムラミルペプチドアナログ、または合成リピドA)、または合成ポリヌクレオチドアジュバント(例えばポリアルギニンまたはポリリジン)などがあるが、これらに限るわけではない。 「有効量」または「治療有効量」は、意図する目的を達成するのに十分な治療剤の量である。所与の治療剤の有効量は、薬剤の性質、投与経路、治療剤が投与される動物のサイズおよび種、投与の目的などといった因子と共に変動するであろう。当業者は当技術分野における確立された方法に従って、個々の例における有効量を、実験的に決定することができる。 実施形態 第1の態様において、本発明は、(i)免疫グロブリン(Ig)結合部分と(ii)医薬活性部分とを含み、Ig結合部分がIg分子の重鎖の定常ドメイン1(CH1)に特異的に結合する複合体に関する。 好ましい実施形態では、Ig結合部分が医薬活性部分の血清中半減期を延伸する。すなわち、本発明の第1態様の複合体のパーツである場合、医薬活性部分は延伸された血清中半減期を呈する。したがって好ましい実施形態において、本発明の第1態様の複合体は、血清中半減期を、好ましくは医薬活性部分の血清中半減期を、延長するために使用される。初期および/または終末血清中半減期が延長されることは特に好ましい。バイオアベイラビリティ、より好ましくは医薬活性部分のバイオアベイラビリティが増加することは、さらに好ましい。 本発明との関連において、Ig結合部分は、哺乳類、鳥類、魚類または爬虫類のIg、特に実験動物、例えば限定するわけではないが、マウス、ラットおよびウサギ、および/または家畜、例えば限定するわけではないが、モルモット、ウサギ、ウマ、ロバ、ラクダ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、オウム、カナリヤ、ネコ、イヌ、金魚、マス、パンガシウス、コイ、ニシキゴイ、スズキ、ナマズ、サケ、ウミガメ、カメ、ヘビ、およびトカゲ、および/または霊長類、例えば限定するわけではないが、テナガザル、キツネザル、チンパンジー、ボノボ、ゴリラ、およびヒトのIgに結合することが好ましい。Ig結合部分がヒトのIgに結合することは特に好ましい。好ましくは、Ig分子へのIg結合部分の結合は、インビボで、すなわち哺乳動物、鳥、魚、または爬虫類の体内で、特に上に明示した哺乳動物、鳥、魚、または爬虫類の体内で起こる。したがって好ましくは、Ig結合部分はインビボでIg分子に結合する。 本発明のさらなる実施形態では、Ig結合部分が、IgA、IgD、IgE、IgG、および/またはIgM、好ましくはサブクラスIgG1、IgG2、IgG3、および/またはIgG4のIgG、より好ましくはIgG1、IgG2、および/またはIgG4に結合する。 Ig結合部分は、好ましくは、免疫グロブリン分子のFabフラグメントおよび/またはFc部に結合する。Ig結合部分がIg分子のFab部に結合すること、そして場合によってはFcフラグメントにも結合することは、特に好ましい。したがって、好ましい実施形態では、Ig結合部分が、(例えば図1bに図解するように)免疫グロブリン分子のFc部とFab部の両方に結合することを可能にする構造を有する。さらなる好ましい実施形態では、Ig結合部分が、(例えばFab結合性Ig結合部分について図1cに図解するように)免疫グロブリン分子のFc部またはFab部のどちらか一方に結合することを可能にする構造を有する。好ましくは、免疫グロブリン分子のFc部またはFab部の一方だけに結合する能力が、遺伝子工学によるIg結合部分の各結合部位の機能的不活化(例えばFab結合部位またはFc結合部位の全部または一部の構造的欠失、あるいはアミノ酸の欠失、置き換え、付加、変異、または交換による機能的不活化)によるものである。好ましい実施形態では、Ig結合部分が、中性pH(すなわちpH7)においてIg分子に、好ましくは10-6M未満〜10-9M未満のアフィニティで、すなわち10-6M未満、10-7M未満、10-8M未満、または10-9M未満のアフィニティで結合するアフィニティを有する。Ig結合部分は、Ig分子のFabフラグメントに、10-7M〜10-6Mのアフィニティで(すなわち1×10-7M、1.1×10-7M、1.2×10-7M、1.3×10-7M、1.4×10-7M、1.5×10-7M、1.6×10-7M、1.7×10-7M、1.8×10-7M、1.9×10-7M、2×10-7M、2.1×10-7M、2.2×10-7M、2.3×10-7M、2.4×10-7M、2.5×10-7M、2.6×10-7M、2.7×10-7M、2.8×10-7M、2.9×10-7M、3×10-7M、3.1×10-7M、3.2×10-7M、3.3×10-7M、3.4×10-7M、3.5×10-7M、3.6×10-7M、3.7×10-7M、3.8×10-7M、3.9×10-7M、4×10-7M、4.1×10-7M、4.2×10-7M、4.3×10-7M、4.4×10-7M、4.5×10-7M、4.6×10-7M、4.7×10-7M、4.8×10-7M、4.9×10-7M、5×10-7M、5.1×10-7M、5.2×10-7M、5.3×10-7M、5.4×10-7M、5.5×10-7M、5.6×10-7M、5.7×10-7M、5.8×10-7M、5.9×10-7M、6×10-7M、6.1×10-7M、6.2×10-7M、6.3×10-7M、6.4×10-7M、6.5×10-7M、6.6×10-7M、6.7×10-7M、6.8×10-7M、6.9×10-7M、7×10-7M、7.1×10-7M、7.2×10-7M、7.3×10-7M、7.4×10-7M、7.5×10-7M、7.6×10-7M、7.7×10-7M、7.8×10-7M、7.9×10-7M、8×10-7M、8.1×10-7M、8.2×10-7M、8.3×10-7M、8.4×10-7M、8.5×10-7M、8.6×10-7M、8.7×10-7M、8.8×10-7M、8.9×10-7M、9×10-7M、9.1×10-7M、9.2×10-7M、9.3×10-7M、9.4×10-7M、9.5×10-7M、9.6×10-7M、9.7×10-7M、9.8×10-7M、9.9×10-7M、または1×10-6Mのアフィニティで)結合し、かつ/またはIg分子のFc部に、10-8M〜10-7Mのアフィニティで(すなわち1×10-8M、1.1×10-8M、1.2×10-8M、1.3×10-8M、1.4×10-8M、1.5×10-8M、1.6×10-8M、1.7×10-8M、1.8×10-8M、1.9×10-8M、2×10-8M、2.1×10-8M、2.2×10-8M、2.3×10-8M、2.4×10-8M、2.5×10-8M、2.6×10-8M、2.7×10-8M、2.8×10-8M、2.9×10-8M、3×10-8M、3.1×10-8M、3.2×10-8M、3.3×10-8M、3.4×10-8M、3.5×10-8M、3.6×10-8M、3.7×10-8M、3.8×10-8M、3.9×10-8M、4×10-8M、4.1×10-8M、4.2×10-8M、4.3×10-8M、4.4×10-8M、4.5×10-8M、4.6×10-8M、4.7×10-8M、4.8×10-8M、4.9×10-8M、5×10-8M、5.1×10-8M、5.2×10-8M、5.3×10-8M、5.4×10-8M、5.5×10-8M、5.6×10-8M、5.7×10-8M、5.8×10-8M、5.9×10-8M、6×10-8M、6.1×10-8M、6.2×10-8M、6.3×10-8M、6.4×10-8M、6.5×10-8M、6.6×10-8M、6.7×10-8M、6.8×10-8M、6.9×10-8M、7×10-8M、7.1×10-8M、7.2×10-8M、7.3×10-8M、7.4×10-8M、7.5×10-8M、7.6×10-8M、7.7×10-8M、7.8×10-8M、7.9×10-8M、8×10-8M、8.1×10-8M、8.2×10-8M、8.3×10-8M、8.4×10-8M、8.5×10-8M、8.6×10-8M、8.7×10-8M、8.8×10-8M、8.9×10-8M、9×10-8M、9.1×10-8M、9.2×10-8M、9.3×10-8M、9.4×10-8M、9.5×10-8M、9.6×10-8M、9.7×10-8M、9.8×10-8M、9.9×10-8M、または1×10-7Mのアフィニティで)結合することが、特に好ましい。 好ましい実施形態では、Ig結合部分が、Ig分子のCH1ドメインの表面露出領域に特異的に結合する。「Ig分子の表面露出領域」という用語は、好ましくは、結合部分とIg分子とが(好ましくは生理的溶液中に)溶解している場合に、結合部分と特異的に結合するのに制約がない、Ig分子のアミノ酸を指す。好ましくは、Ig分子の「表面露出領域」は、免疫応答、好ましくはB細胞特異的免疫応答を誘発することができるものである。好ましいのはIgG分子のCH1ドメインの表面露出領域である。好ましくは、Ig結合部分が、Ig分子のCH1ドメインの7番目のβストランドと相互作用する。Ig結合部分が、KabatによるEUインデックスでIg分子のアミノ酸位置122〜127および/または207〜214によって形成されるエピトープに特異的に結合することは特に好ましい(図12参照)。好ましくは、Ig結合部分が、配列番号4のヒトIgγ1、配列番号5のヒトIgγ2、配列番号6のヒトIgγ3、配列番号7のヒトIgγ4、配列番号8のマウスIgγ1、配列番号9のマウスIgγ2a、配列番号10のマウスIgγ2b、配列番号11のマウスIgγ3、および/または配列番号12のラットγ1、またはそれらの変異体の、KabatによるEUインデックスでアミノ酸位置122〜127および/または207〜214によって形成されるエピトープに、特異的に結合する。好ましくは、Ig結合部分は、Ig分子のCH1ドメインに対して、より好ましくはIgG分子のCH1ドメインの表面露出領域に対して、10-6M未満〜10-9M未満のアフィニティ、または上に詳述した好ましいアフィニティを有する。 本発明との関連において、Ig結合部分は、好ましくは、免疫グロブリン結合ドメイン(IgBD)を含む。好ましくは、IgBDは、グラム陽性菌のIg結合タンパク質に由来し、より好ましくは、IgBDが連鎖球菌由来のIgBDである。好ましい実施形態では、Ig結合部分がCH1結合性IgBD、好ましくは連鎖球菌株のもの、より好ましくは連鎖球菌プロテインGのCH1結合性IgBDである。Ig結合部分が、連鎖球菌プロテインGのC3 IgBD(本明細書では「SpG-C3」または「SpGC3」という略号が可換的に使用される)、より好ましくは配列番号1のアミノ酸配列またはその変異体を含むもの、を含むことは、さらに好ましい。好ましい実施形態では、変異体が、SpG-C3(好ましくは配列番号1のもの)のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。すなわち、配列番号1のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、 少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、または少なくとも98%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。特に好ましい実施形態では、変異体が、SpG-C3(好ましくは配列番号1のもの)のアミノ酸配列に対して、少なくとも94%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。すなわち、配列番号1のアミノ酸配列に対して、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、または少なくとも98%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。したがって、SpG-C3(好ましくは配列番号1のもの)の変異体は、1〜14個のアミノ酸の置換、欠失および/または挿入、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14個の置換、欠失および/または挿入を有することが好ましい。 変異体の血漿中半減期、好ましくは初期および/もしくは終末血漿中半減期、または血清中半減期、好ましくは初期および/もしくは終末血清中半減期は、その変異体の基礎となる天然CH1結合性IgBD、好ましくはグラム陽性菌のIg結合タンパク質と比較して、変化していないことが好ましい。さらなる好ましい実施形態では、変異体の血漿中半減期、好ましくは初期および/もしくは終末血漿中半減期、または血清中半減期、好ましくは初期および/もしくは終末血清中半減期が、その変異体の基礎となる天然CH1結合性IgBDと比較して増加している。好ましくは、血漿中半減期、より好ましくは初期および/もしくは終末血漿中半減期、または血清中半減期、より好ましくは初期および/もしくは終末血清中半減期が、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、増加している。 変異体のバイオアベイラビリティが、天然CH1結合性IgBDと比較して変化していないことも好ましい。変異体のバイオアベイラビリティが、天然CH1結合性IgBDと比較して増加していることはさらに好ましい。好ましくは、変異体のバイオアベイラビリティが、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%増加している。 好ましい実施形態では、そのような変異体が、アミノ酸の交換、挿入、欠失、またはN末端もしくはC末端切断、またはこれらの変化の任意の組み合わせを含み、それらは1ヶ所または数カ所の部位に存在しうる。場合によっては、そのような変異体は、IgBDの結合特性を(好ましくはIg分子へのIgBDの結合アフィニティを増加させることによって)変化させうる。Ig分子への結合アフィニティの増加は、例えばアミノ酸アラニンを含有するように1つ以上のアミノ酸位置を交換することなどにより、FcフラグメントまたはFabフラグメントへのIgBDの結合を防止することによって達成しうる(それぞれ「C3-Fc」または「C3-Fab」)。好ましくは、連鎖球菌プロテインGのC3 IgBDのFab結合は、配列番号2に示すように、アミノ酸交換Thr10Ala、Lys12Ala、およびGlu14Alaによって禁止される(C3-Fc)。連鎖球菌プロテインGのC3 IgBDのFc結合は、配列番号3に示すように、アミノ酸交換Glu26Ala、Lys27Ala、およびLys30Alaによって禁止される(C3-Fab)。 本発明の第1態様の実施形態では、医薬活性部分が、生物学的および/または化学的医薬を含む。好ましくは、医薬活性部分は、生物学的医薬、例えば限定するわけではないが、生物工学的手段によって生産された医薬的に、好ましくは治療的に、活性なペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質を含む。適切な生物学的医薬には、ホルモン(例えばインスリン、hGH、FSH、グルカゴン様ペプチド1、副甲状腺ホルモン、カルシトニン、ルトロピン、グルカゴン)、血液因子(例えば第VIII因子、第IX因子、第XI因子)、成長因子(例えばエリスロポエチン、G-CSF/GM-CSF、IGF-1)、インターフェロン(例えばIFN-α、IFN-β、IFN-γ)、インターロイキン(例えばIL-2、IL-11、IL-1Ra)、凝固因子(例えば第VIII因子、第IX因子、第VIIa因子、トロンビン)、血栓溶解剤および抗凝固剤(例えばt-PA、ヒルジン、活性化プロテインC)、酵素(例えばα-グルコシダーゼ、グルコセレブロシダーゼ、イズロン酸-2-スルファターゼ、ガラクトシダーゼ、尿酸オキシダーゼ、DNase)、ワクチン(例えば寄生生物抗原、真菌抗原、細菌抗原、またはウイルス抗原、例えばB型肝炎表面抗原など)、抗原結合分子、例えば抗体および抗体フラグメント(例えばIgG、Fab)、ならびにその融合タンパク質(例えばTNFR2-Fc、TMP-Fc、CTLA-4-Fc、IL-1R-Fc、LFA-3-Fc、IL-2-DT)、などがあるが、これらに限るわけではない。 好ましい実施形態では、医薬活性部分が、ジフテリア毒素のN末端ドメイン、セルロース結合ドメイン(CBD)、診断用タンパク質、特にホタルルシフェラーゼおよび/またはオワンクラゲ(Aequorea victoria)の緑色蛍光タンパク質(GFP)を含まない。診断用タンパク質は、蛍光を発する能力を有するものである。 本発明との関連において、医薬活性部分が免疫グロブリン分子などの抗原結合分子を含むことは、特に好ましい。好ましくは、抗原結合分子は、抗体フラグメント、Fabフラグメント、Fab'フラグメント、F(ab')2フラグメント、重鎖抗体、単一ドメイン抗体(sdAb)、単鎖可変フラグメント(scFv)、ジ-scFv、二重特異性T細胞エンゲイジャー(BITE)、ダイアボディ、単鎖ダイアボディ、DART分子、トリプルボディ(triple body)、代替足場タンパク質、およびそれらの融合タンパク質からなる群より選択される。特に好ましい実施形態では、抗原結合分子が、scFvもしくはダイアボディ、またはscFvもしくはダイアボディを含む融合タンパク質である。好ましくは、抗原結合分子は、セルロース結合ドメイン(CBD)を含まない。 上記に加えて、または上記に代えて、抗原結合分子はさらに、放射性部分、細胞毒性薬、キレート部分、光増感剤、またはイメージング試薬を含みうる。 好ましい実施形態では、抗原結合分子が放射性部分、すなわち放射性核種を含む。放射性部分は、F、Br、Mn、Co、Ga、As、Zr、P、C、S、H、I、In、Lu、Cu、Rh、Bi、At、Y、Re、Ac、Tc、またはHg原子の同位体でありうる。放射性部分は抗原結合分子を放射標識して、例えば人体におけるその検出を可能にすることで、それを、診断アプローチ(放射免疫検出:RAID)に役立つものにするばかりでなく、治療的応用(放射免疫療法:RAIT)に適したものにもする。 光増感剤は、特異的波長の光によって励起された後に発光するか、フリーラジカルおよび一重項酸素を形成させる能力を有する化学化合物である。光増感剤は、例えば光線力学的治療に使用される。好ましい実施形態において、光増感剤には、ポルフィリンファミリー、テキサフィリンファミリー、クロリンファミリーおよびフタロシアニンファミリーの化合物、特にHpD、ALA、M-ALA、ベルテポルフィン(Vertiporfin)、ルテキサフィリン(Lutexaphyrin)、テモポルフィン、タラポルフィン、HPPH、フタロシアニン、およびナフタロシアニン(Napthalocyanine)などが含まれるが、これらに限るわけではない。 イメージング試薬には、生物発光、化学発光および蛍光イメージング試薬、例えばウミシイタケ(Renilla reniformis)および/またはメトリディア・ロンガ(Metridia Longa)のルシフェラーゼ、パーオキサレート、ポリメチン(例えばCy3、Cy5、Cy5.5、Cy7などのシアニン色素)、スクアライン誘導体、フタロシアニン、ポルフィリン誘導体、およびBODIPYアナログ(BODIPY FL、BODIPY R6G、BODIPY TR、BODIPY TMR、BODIPY 581/591、BODIPY 630/650、BODIPY 650/665)、ならびに蛍光タンパク質、例えば限定するわけではないが、CFP、BFP、YFP、DsRED(Chudakovら(2010)Physiol. Rev. 90:1103-1163)が含まれる。好ましくは、蛍光タンパク質はGFPではない。 好ましい実施形態では、抗原結合分子が、細胞に対する毒性効果を持つ細胞毒性薬、例えば限定するわけではないが、抗有糸分裂薬、細胞成長を禁止する薬物および細胞死を引き起こす薬物などである。細胞毒性薬の非限定的な例は、アルキル化剤(例えばシスプラチン、カルボプラチン、オキサロプラチン、メクロルエタミン、シクロホスファミド、クロラムブシル)、代謝拮抗物質(5-フルオロウラシル(5-FU)、カペシタビン(ゼローダ(Xeloda(登録商標))、6-メルカプトプリン(6-MP)、メトトレキサート、ゲムシタビン)、植物アルカロイド(例えばアジュマリン、アトロピン、スコポラミン、ヒヨスチアミン、ビンカアルカロイド、コデイン、コカイン、コルヒチン、モルヒネ、レセルピン、ツボクラリン、フィソスチグミン、キニジン、キニーネ、エメチン、麦角アルカロイド)、抗腫瘍性抗生物質(例えばアクチノマイシン-D、ブレオマイシン、およびマイトマイシン-C、ミトキサントロン、およびアントラサイクリン、例えばダウノルビシン、ドキソルビシン)、トポイソメラーゼ阻害剤(例えばトポテカン、イリノテカンエトポシド(VP-16)およびテニポシド)、および有糸分裂阻害剤(エストラムスチン、タキサン、例えばパクリタキセルおよびドセタキセルなど、エポチロン、例えばイクサベピロン、およびビンカアルカロイド、例えばビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシンおよびビノレルビン)である。 抗原結合分子はさらに、少なくとも1つの金属イオン、例えば限定するわけではないが、カルシウム、マグネシウム、鉄、アルミニウム、亜鉛、銅、ヒ素、鉛、タリウム、および水銀イオンなどを、キレート形成によって結合する能力を有するキレート部分を含みうる。そのようなキレート部分は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレンジアミン四酢酸(エデト酸カルシウム二ナトリウム(calcium disodium versante)(CaNa2-EDTA))、ジメルカプロール(BAL)、ジメルカプトコハク酸(DMSA)、ジメルカプト-プロパンスルホネート(DMPS)、フェリチン、デフェロキサミンおよびデフェラシロクス、デフェリプロン(1,2-ジメチル-3-ヒドロキシル-4-ピリジノン)、DOTA、DTPA、DADT、DADS、DO3A、N2S2MAMA、トリアミドチオール、ホスホネート、有機ガドリニウム錯体、ペニシラミン、およびテトラサイクリンファミリーの抗生物薬を含みうる。キレート部分は、キレート治療において、例えばアテローム性動脈硬化、関節リウマチ、ならびに中毒、例えば水銀中毒、銅毒性、金毒性、ヒ素中毒、鉛中毒、急性鉄中毒、および鉄過剰症の処置において、特に興味深い。キレート部分は放射線療法にも重要である。 好ましくは、抗原結合分子は融合タンパク質であり、これは、上記に加えて、または上記に代えて、アポトーシス促進タンパク質、免疫(共)刺激タンパク質、免疫抑制タンパク質、サイトカイン(例えばインターロイキンおよび/またはインターフェロン)、ケモカイン(例えばα-、β-、またはγ-ケモカイン)、毒素、成長因子または酵素、好ましくはRNase、プロドラッグ変換酵素またはキナーゼ(例えばAGCキナーゼ、CaMキナーゼ、CK1キナーゼ、CMGCキナーゼ、STEキナーゼ、TKキナーゼ、およびTKLキナーゼ)をさらに含む。 好ましい実施形態において、アポトーシス促進タンパク質には、Bid、Bik、Puma、およびBim、ならびにアポトーシス促進サイトカイン(deathリガンド)、例えば限定するわけではないが、TNF、TRAIL、およびFasLなどがあるが、これらに限るわけではない。 好ましい実施形態において、免疫(共)刺激タンパク質には、B7.1、B7.2、4-1BBL、LIGHT、ICOSL、GITR、CD40、OX40L、およびCD70などがあるが、これらに限るわけではない。 免疫抑制タンパク質には、好ましくは、IL1-Raが含まれるが、これに限るわけではなく、毒素には、好ましくはシュードモナス外毒素Aおよびリシンが含まれるが、これらに限るわけではない。好ましくは、毒素はジフテリア毒素ではない。 好ましい実施形態では、サイトカインがインターロイキンおよび/またはインターフェロンである。インターロイキン(IL)には、インターロイキン-1、インターロイキン-2、インターロイキン-3、インターロイキン-4、インターロイキン-5、インターロイキン-6、インターロイキン-7、インターロイキン-8、インターロイキン-9、インターロイキン-10、インターロイキン-11、インターロイキン12、インターロイキン-13、インターロイキン-14、インターロイキン-15、インターロイキン-16、インターロイキン-17、インターロイキン-18、インターロイキン-19、インターロイキン-20、インターロイキン-21、インターロイキン-22、インターロイキン-23、インターロイキン-24、インターロイキン-25、インターロイキン-26、インターロイキン-27、インターロイキン-28、インターロイキン-29、インターロイキン-30、インターロイキン-31、インターロイキン-32、インターロイキン-33、インターロイキン-34およびインターロイキン-35などがあるが、これらに限るわけではない。インターフェロン(IFN)には、I型インターフェロン(例えばIFN-α、IFN-βおよびIFN-ω)、II型インターフェロン(例えばIFN-γ)、およびIII型インターフェロンなどがあるが、これらに限るわけではない。特に挙げられるのは、インターフェロンA1、インターフェロンA2、インターフェロンA4、インターフェロンA5、インターフェロンA6、インターフェロンA7、インターフェロンA8、インターフェロンA10、インターフェロンA13、インターフェロンA14、インターフェロンA16、インターフェロンA17、インターフェロンA21、インターフェロンB1、TNF、TRAIL、およびFasLである。 好ましい実施形態において、成長因子には、アドレノメデュリン(AM)、アンジオポエチン(Ang)、自己分泌型細胞運動刺激因子、骨形成タンパク質(BMP)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、上皮成長因子(EGF)、エリスロポエチン(EPO)、線維芽細胞成長因子(FGF)、膠細胞株由来神経栄養因子(GDNF)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、成長分化因子-9(GDF9)、肝細胞成長因子(HGF)、ヘパトーマ由来成長因子(HDGF)、インスリン様成長因子(IGF)、遊走刺激因子(GDF-8)、神経成長因子(NGF)および他のニューロトロフィン、血小板由来成長因子(PDGF)、トロンボポエチン(TPO)、トランスフォーミング成長因子アルファ(TGF-α)、トランスフォーミング成長因子ベータ(TGF-β)、血管内皮成長因子(VEGF)、Wntシグナリング経路、および胎盤成長因子(PlGF)などがあるが、これらに限るわけではない。 RNAseには、エンドリボヌクレアーゼ、例えば限定するわけではないが、RNase A、RNase H、RNase I、RNase III、RNase L、RNase P、RNase PhyM、RNase T1、RNase T2、RNase U2、RNase V1、およびRNase V、ならびにエキソリボヌクレアーゼ、例えば限定するわけではないが、ポリヌクレオチドホスホリラーゼ(PNPase)、RNase PH、RNase II、RNase R、RNase D、RNase T、オリゴリボヌクレアーゼ、エキソリボヌクレアーゼI、およびエキソリボヌクレアーゼIIが含まれる。 プロドラッグ変換酵素には、エステラーゼ、例えば限定するわけではないが、アセチルエステラーゼ、チオールエステルヒドロラーゼ、リン酸モノエステルヒドロラーゼ、リン酸ジエステルヒドロラーゼ、三リン酸モノエステルヒドロラーゼ、硫酸エステルヒドロラーゼ(スルファターゼ)、二リン酸モノエステルヒドロラーゼ、およびリン酸トリエステルヒドロラーゼ;ホスファターゼ、例えば限定するわけではないが、チロシン特異的ホスファターゼ、セリン/スレオニン特異的ホスファターゼ、二重特異性ホスファターゼ、ヒスチジンホスファターゼ、および脂質ホスファターゼ;ならびにレダクターゼ、例えば限定するわけではないが、5-αレダクターゼ、ジヒドロ葉酸レダクターゼ、HMG-CoA還元酵素、メトヘモグロビンレダクターゼ、リボヌクレオチドレダクターゼ、チオレドキシンレダクターゼ、大腸菌ニトロレダクターゼ、メチレンテトラヒドロ葉酸レダクターゼ、およびカルボキシペプチダーゼG2、シトシンデアミナーゼ、ニトロレダクターゼ、チミジンキナーゼなどがあるが、これらに限るわけではない。 キナーゼには、AGCキナーゼ、例えばPKA、PKCおよびPKG、CaMキナーゼ、例えばカルシウム/カルモジュリン依存的プロテインキナーゼ、ならびにセリン/スレオニンプロテインキナーゼ(例えばDAPK2)、CK1、例えばカゼインキナーゼ1グループ、CMGC、例えばCDK、MAPK、GSK3およびCLKキナーゼ、STE、例えば酵母Sterile 7、Sterile 11、およびSterile 20キナーゼのホモログ、チロシンキナーゼ(TK)、チロシンキナーゼ様キナーゼグループ(TKL)、受容体関連チロシンキナーゼ、MAPキナーゼ、およびヒスチジンキナーゼなどがあるが、これらに限るわけではない。 特に好ましい実施形態では、医薬活性部分が、ペプチド連結またはジスルフィド連結単鎖ダイアボディである。医薬活性部分が、ターゲット分子に向けられた第1特異性(A)と、エフェクター分子に向けられた第2特異性(B)とを有する単鎖ダイアボディであることは、特に好ましい。好ましくは、単鎖ダイアボディが、構造[VH(A)-VL(B)-P-VH(B)-VL(A)]または[VL(B)-VH(A)-P-VL(A)-VH(B)]を含む。好ましい実施形態では、第1特異性(A)が腫瘍関連抗原または病原体の抗原に向けられる。好ましくは、腫瘍関連抗原が、CEA、EGFR、HER2、HER3、HER4、VEGFR、インテグリン受容体ファミリー、線維芽細胞活性化タンパク質、ガレクチン、EpCAM、CEA、CD44、CD44v、CD2、CD5、CD7、CD19、CD20、CD21、CD22、CD24、CD25、CD30、CD33、CD38、CD40、CD52、CD56、CD71、CD72、CD73、CD105、CD117、CD123、c-Met、PDGFR、IGF1-R、HMW-MAA、TAG-72、GD2、GD3、GM2、葉酸受容体、Ley、MUC-1、MUC-2、PSMA、PSCAおよびuPARからなる群より選択される。さらなる好ましい実施形態では、第2特異性(B)が、細胞膜の分子、サイトカイン、ケモカイン、成長因子、補体系のタンパク質、凝固系のタンパク質、線維素溶解タンパク質、薬物の不活性前駆体をターゲット構造上で活性な薬物に変換することができる酵素、ペプチドホルモン、ステロイドホルモン、免疫グロブリンの定常パーツ、細胞毒性ペプチド、および医薬に向けられる。好ましくは、第2特異性(B)は、リンパ球、マクロファージ、単球または顆粒球の細胞膜上の分子に向けられ、より好ましくはT細胞の細胞膜上の分子に向けられる。第2特異性(B)がCD3に向けられること、より好ましくはCD3の細胞外領域に向けられることは、特に好ましい。 本発明のさらなる実施形態では、Ig結合部分と医薬活性部分とが、共有結合または非共有結合によってつながれる。Ig結合部分と医薬活性部分とが、直接的につながれるか、1つ以上のリンカーを介して間接的につながれることは、特に好ましい。好ましくは、1つ以上のリンカーが、ペプチドリンカー、より好ましくはフレキシブルなペプチドリンカーを含む。好ましい実施形態では、本発明のペプチドリンカーが、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30アミノ酸、好ましくは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15アミノ酸の最小長を有する。好ましくは、本発明のペプチドリンカーは、少なくとも100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、もしくは15アミノ酸またはそれ未満の最大長を有する。好ましくは、リンカーは1〜40、好ましくは5〜20、より好ましくは18〜12、最も好ましくは10アミノ酸の長さを有する。本発明の好ましい実施形態では、ペプチドリンカーは、小さなアミノ酸、特にグリシンおよび/もしくはアラニン、ならびに/または親水性アミノ酸、例えばセリン、スレオニン、アスパラギンおよびグルタミンの含有量が多い。好ましくは、ペプチドリンカーのアミノ酸のうち、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上が、小さいかつ/または親水性のアミノ酸である。好ましくは、リンカーのアミノ酸は、グリシンおよびセリンから選択される。さらなる好ましい実施形態では、本発明のペプチドリンカーが非免疫原性であり、特に好ましい実施形態では、ペプチドリンカーがヒトに対して非免疫原性である。配列GGSGGGGSGGを有するペプチドリンカーは特に好ましい。 好ましい実施形態では、Ig結合部分が、フレキシブルなリンカーを介して医薬活性部分、好ましくは抗体フラグメント、Fabフラグメント、Fab'フラグメント、F(ab')2フラグメント、重鎖抗体、単一ドメイン抗体(sdAb)、単鎖可変フラグメント(scFv)、ジ-scFv、二重特異性T細胞エンゲイジャー(BITE)、ダイアボディ、単鎖ダイアボディ、DART分子、トリプルボディ、代替足場タンパク質、およびそれらの融合タンパク質からなる群より選択される抗原結合分子につながれている、連鎖球菌IgBD、より好ましくは連鎖球菌プロテインGのC3 IgBD(SpG-C3)を含む。 本発明の第1態様の特に好ましい実施形態では、本発明の複合体が、配列番号13、配列番号14もしくは配列番号15のアミノ酸配列またはその変異体を含む。好ましくは、そのような変異体は、配列番号13、配列番号14または配列番号15のアミノ酸配列に対して、少なくとも94%の、すなわち少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の配列同一性を有する。 さらなる実施形態では、1つ以上のペプチドリンカーが、1つ以上の切断部位、好ましくは1つ以上のエンドペプチダーゼ切断部位を含む。切断部位は、意図した行き先に到達した時の医薬活性部分の放出を可能にするものであることが好ましい。好ましくは、エンドペプチダーゼ切断部位は、アミノ酸配列内の切断部位に関し、この配列は、エンドペプチダーゼ、例えば限定するわけではないが、トリプシン、ペプシン、エラスターゼ、トロンビン、コラゲナーゼ、フューリン、サーモライシン、エンドペプチダーゼV8、メタロプロテイナーゼおよびカテプシンによって切断されるか、または切断されうる。 第2の態様において、本発明は、第1態様の複合体をコードする配列を含む核酸分子を提供する。好ましくは、そのような核酸分子は、DNAおよび/またはRNA分子を含む。 第3の態様において、本発明は、第2態様の核酸を含むベクターを提供する。適切なベクターには、プラスミド、コスミド、ファージ、ウイルスおよび/または人工染色体などがあるが、これらに限るわけではないと理解される。 第4の態様において、本発明は、第1態様の複合体および/または第2態様の核酸分子および/または第3態様のベクターを含有する単離された細胞を提供する。そのような細胞には、原核細胞(例えば細菌細胞)または真核細胞(例えば真菌、植物または動物細胞)が含まれるが、これらに限るわけではないと理解される。 第5の態様において、本発明は、第1態様の複合体、第2態様の核酸、第3態様のベクターおよび/または第4態様の細胞と医薬上許容される担体および/または賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。好ましくは、そのような組成物は医薬組成物である。好ましい実施形態において、医薬組成物はさらに、医薬上許容される担体および/または賦形剤ならびに場合によっては1つ以上の追加活性物質を含む。好ましくは、第5態様の組成物は、治療有効量の化合物(好ましくは精製された形態にあるもの)を、患者への適正な投与のための形態が得られるように、適切な量の担体および/または賦形剤と共に含有する。製剤は投与様式に適合すべきである。 医薬組成物は、溶液、懸濁液、エマルション、錠剤、丸剤、カプセル剤、粉末剤、持続放出製剤などの形態をとることができる。医薬組成物は、伝統的な結合剤および担体、例えばトリグリセリドを使って、坐剤として調剤することができる。 本発明の医薬組成物を調製するために、医薬上許容される担体は固形または液状であることができる。固形の組成物には、粉末剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、口中錠、カシェ剤、坐剤、および分散顆粒などがある。固形賦形剤は、1つ以上の物質であることができ、それらは、希釈剤、矯味矯臭剤、結合剤、保存剤、錠剤崩壊剤、または封入材料でありうる。粉末剤の場合、賦形剤は、好ましくは、微粉化された本発明の阻害剤と混合された、微粉化固形物である。錠剤の場合は、活性成分が、必要な結合特性を有する担体と、適切な比率で混合され、所望の形状とサイズに圧縮される。適切な賦形剤は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、砂糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、カカオ脂などである。坐剤を調製するには、低融点ワックス、例えば脂肪酸グリセリドの混合物またはカカオ脂をまず溶融し、活性構成要素をその中に、撹拌することなどによって均一に分散させる。次に、溶融した均一混合物を都合のよいサイズの鋳型に注ぎ込み、冷ますことによって、固化させる。錠剤、粉末剤、カプセル剤、丸剤、カシェ剤、および口中錠は、経口投与に適した固形剤形として使用することができる。 液状組成物には、溶液、懸濁液、およびエマルション、例えば水、食塩溶液、デキストロース水溶液、グリセロール溶液または水/プロピレングリコール溶液が含まれる。非経口注射(例えば静脈内、動脈内、骨内注入、筋肉内、皮下、腹腔内、皮内、および髄腔内注射)用には、例えばポリエチレングリコール水溶液に溶解した液状調製物を調剤することができる。医薬組成物を静脈内に投与する場合、食塩溶液は好ましい担体である。 好ましくは、医薬組成物は単位剤形(unit dosage form)である。そのような形態では、組成物を、適当な量の活性構成要素を含有する単位用量(unit dose)に分割することができる。単位剤形は、包装された組成物であることができ、例えば包装された錠剤、カプセル剤、およびバイアルまたはアンプル中の粉末剤など、その包装は、不連続な量の組成物を含有する。また、単位剤形は、カプセル剤、注射剤バイアル、錠剤、カシェ剤、もしくは口中錠そのものであるか、または包装された形態にある適当な数のこれらのいずれかであることもできる。 組成物は、所望であれば、微量の湿潤剤もしくは乳化剤またはpH緩衝化剤を含有することができる。 さらにまた、そのような医薬組成物は、他の薬学的に活性な物質、例えば限定するわけではないが、アジュバントおよび/または追加活性成分も含みうる。本発明との関連において、アジュバントには、無機アジュバント、有機アジュバント、油ベースのアジュバント、サイトカイン、粒子状アジュバント、ビロゾーム、細菌性アジュバント、合成アジュバント、または合成ポリヌクレオチドアジュバントなどがあるが、これらに限るわけではない。 第6の態様において、本発明は、血清中半減期および/または血漿中半減期の延長に使用するための、上に詳述した本発明の第1態様の複合体を提供する。本発明の第1態様の複合体は、初期および/または終末血清中半減期の延長に使用するためのものであることが好ましい。好ましい実施形態では、医薬活性部分の血清中半減期、より好ましくは初期および/または終末血清中半減期が延伸される。好ましくは、医薬活性部分の血清中半減期、より好ましくは初期および/または終末血清中半減期が、免疫グロブリン結合部分への、好ましくはIgBDへの、より好ましくは連鎖球菌プロテインGのC3-IgBDへの、その複合体化により、延伸される。 本発明の第1態様の複合体が、初期および/または終末血漿中半減期の延長に使用するためのものであることは、さらに好ましい。好ましい実施形態では、医薬活性部分の血漿中半減期、より好ましくは初期および/または終末血漿中半減期が延伸される。好ましくは、医薬活性部分の血漿中半減期、より好ましくは初期および/または終末血漿中半減期が、免疫グロブリン結合部分への、好ましくはIgBDへの、より好ましくは連鎖球菌プロテインGのC3-IgBDへの、その複合体化により、延伸される。 第7の態様において、本発明は、医薬品としての、上に詳述した本発明の第1態様の複合体を提供する。好ましい実施形態では、複合体が、医学において使用するためのもの、すなわち、障害または疾患、例えば限定するわけではないが、自己免疫疾患、アレルギー性疾患、がんタイプの疾患、皮膚の状態、内分泌疾患、眼の疾患および障害、遺伝性障害、感染性疾患、腸疾患、神経障害、および精神病の予防、処置または診断に使用するためのものである。例えば、自己免疫疾患には、真性糖尿病1型、関節リウマチ、乾癬、クローン病、自己免疫性心筋症、自己免疫性肝炎、橋本甲状腺炎、シェーグレン(Sjogern's)症候群などがあるが、これらに限るわけではない。例えば、アレルギー性疾患には、アレルギー性鼻炎、喘息、アトピー性湿疹、アナフィラキシー、昆虫毒アレルギー、薬物アレルギー、および食品アレルギーなどがあるが、これらに限るわけではない。例えば、がんタイプの疾患には、基底細胞癌、膀胱がん、骨がん、脳腫瘍、乳がん、バーキットリンパ腫、子宮頸がん、大腸がん、皮膚T細胞性リンパ腫、食道がん、網膜芽細胞腫、胃部(胃)がん、消化管間質腫瘍、神経膠腫、ホジキンリンパ腫、カポジ肉腫、白血病、リンパ腫、黒色腫、中咽頭がん、卵巣がん、膵がん、胸膜肺芽腫、前立腺がん、咽喉がん、甲状腺がん、および尿道がんなどがあるが、これらに限るわけではない。例えば、皮膚の状態には、ざ瘡、皮膚炎、湿疹、皮膚付属器の状態、皮下脂肪の状態、色素沈着障害、表面母斑、表皮新生物、表皮嚢胞、紅斑、凍傷、遺伝性皮膚症、ムチン沈着症、神経皮膚状態(例えばウィスコット・アルドリッチ症候群)、および乾癬などがあるが、これらに限るわけではない。例えば、内分泌疾患には、真性糖尿病1型および2型、骨粗鬆症、およびクッシング病などがあるが、これらに限るわけではない。例えば、遺伝性障害には、色盲、嚢胞性線維症、ダウン症候群、鎌状赤血球症、およびターナー症候群などがあるが、これらに限るわけではない。例えば、感染性疾患には、ウイルス、細菌、寄生虫、プリオンまたは他の病原体もしくは寄生生物によって引き起こされる疾患、例えばアフリカ睡眠病、AIDS、HIV感染、炭疽、ボレリア症、カリシウイルス感染症(ノロウイルスおよびサポウイルス)、水痘、クラミジア感染症、コレラ、クロストリジウム感染症、コロラドダニ熱(CTF)、感冒、クロイツフェルト・ヤコブ病、デング熱(DEN-1、DEN-2、DEN-3およびDEN-4)、エボラ、エンテロウイルス感染症、ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)およびヒトヘルペスウイルス7(HHV-7)による感染、淋疾、連鎖球菌感染症(グループAおよびB)、手足口病(HFMD)、ヘリコバクター・ピロリ感染症、肝炎(A、B、C、およびD)、ヘルペス感染症、パピローマウイルス感染症、パラインフルエンザウイルス感染症、インフルエンザ、ラッサ熱、マールブルク熱、麻疹、髄膜炎、流行性耳下腺炎、パスツレラ症、ペスト、肺炎球菌感染症、呼吸器合胞体ウイルス感染症、ロタウイルス感染症、風疹ウイルス感染症、サルモネラ食中毒およびサルモネラ感染症、SARS、疥癬感染症、住血吸虫症、痘瘡、ブドウ球菌食中毒およびブドウ球菌感染症、梅毒、破傷風、白癬菌感染症、結核、チフス、ベネズエラウマ脳炎、および黄熱病などがあるが、これらに限るわけではない。例えば、腸疾患には、胃腸炎、イレウス、回腸炎、結腸炎、虫垂炎、セリアック病、過敏性腸症候群、憩室性疾患、下痢、ポリープ、および潰瘍性大腸炎などがあるが、これらに限るわけではない。例えば、神経障害には、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アルツハイマー病、脳損傷、クロイツフェルト・ヤコブ病、クッシング症候群、失読症、脳炎、てんかん、頭痛、ハンチントン病、片頭痛、多発性硬化症、パーキンソン病、ポリオ、狂犬病、統合失調症、および脳卒中などがあるが、これらに限るわけではない。例えば、精神病には、急性ストレス障害、注意欠陥多動障害(ADHD)、自閉症性障害、境界性人格障害、神経性大食症、燃え尽き、統合失調症、うつ病、認知障害、コミュニケーション障害、摂食障害、窃盗癖、学習障害、勃起障害、メランコリー、強迫性障害(OCD)、パラノイア、病的賭博、外傷後ストレス障害(PTSD)、精神障害、過眠、不眠、およびトゥーレット症候群などがあるが、これらに限るわけではない。 以下の実施例は、本発明の例示に過ぎず、決して、本願のクレームによって示される本発明の範囲を限定していると解釈してはならない。scDb-IgBD融合タンパク質の構築と生産 C末端にヘキサヒスチジンタグを含むIgBD(IgBD SpAB、SpAD、SpAEZ4、SpGC3、およびPpLC4*)をコードするDNAが、5'端にNotI部位、3'端にEcoRI部位とXbaI部位を付加して、GeneArt(ドイツ・レーゲンスブルク)によって合成された。IgBD SpABを、NotIおよびXbaIで切断された哺乳類発現ベクターpSecTagAHis scDb-CEACD3-ABD-L(Hoppら(2010)Protein Eng. Des. Sel. 23:827-834)中にクローニングした。次に、IgBD SpAD、SpAEZ4、SpGC3、およびPpLC4*をNotI-EcoRIフラグメントとしてscDb-CEACD3-SpAB中にクローニングすることで、SpAB IgBDを置換した。scDb-IgBD融合タンパク質の組成を図2aに掲載する。HEK293細胞を安定にトランスフェクトし、融合タンパク質scDb-SpAB、scDb-SpAD、scDb-SpAEZ4、scDb-SpGC3、およびscDb-PpLC4*を、本質的に既述のようにしてIMACによって、細胞培養上清から精製した(Muellerら(2007)J. Biol. Chem. 282:12650-12660)。2〜22mg/L上清の収量が得られた。精製融合タンパク質のSDS-PAGEを行った。各レーン2マイクログラムのタンパク質を分析し、ゲルをクマシーブリリアントブルーG-250で染色した(M、分子量標準)。SDS-PAGE分析により、還元条件下および非還元条件下で単一バンドが明らかになった(図2b)。無修飾scDbと比較して、分子量は還元条件下で約5kDa増加していた。scFv-IgBD融合タンパク質の構築と生産 C末端にヘキサヒスチジンタグを含むIgBD(IgBD SpAB、SpAD、SpAEZ4、SpGC3、およびPpLC4*)をコードするDNAが、5'端にNotI部位、3'端にEcoRI部位とXbaI部位を付加して、GeneArt(ドイツ・レーゲンスブルク)によって合成された。そのDNAをNotIおよびEcoRIで消化し、ベクターpSecTagA-scFvCEA-4-1BBL(Muellerら(2008)J. Immunol. 31:714-722)中にクローニングした。scFv-IgBD融合タンパク質の組成を図2aに掲載する。HEK293細胞を安定にトランスフェクトし、融合タンパク質scFv-SpAB、scFv-SpAD、scFv-SpAEZ4、scFv-SpGC3、およびscFv-PpLC4*を、本質的に既述のようにしてIMACによって、細胞培養上清から精製した(Muellerら(2007)J. Biol. Chem. 282:12650-12660)。精製融合タンパク質のSDS-PAGEを行った。各レーン2マイクログラムのタンパク質を分析し、ゲルをクマシーブリリアントブルーG-250で染色した(M、分子量標準)。SDS-PAGE分析により、還元条件下および非還元条件下で単一バンドが明らかになった(図2c)。無修飾scFvと比較して、分子量は還元条件下で約5kDa増加していた。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC) scDb-IgBDおよびscFv-IgBD融合タンパク質の純度およびストークス半径を、BioSuite 250(Waters Corporation、米国ミルフォード)と0.5ml/分の流速とを使って、HPLCサイズ排除クロマトグラフィーによって分析した(図2d〜g)。以下の標準タンパク質を使用した:チログロブリン、β-アミラーゼ、ウシ血清アルブミン、炭酸脱水酵素、シトクロムc。融合タンパク質は全て、単量体分子に対応する単一ピークを示した。測定された融合タンパク質のストークス半径は、2.3〜2.7nmの範囲にあった。興味深いことに、scFv-IgBD融合タンパク質のストークス半径はscDb-IgBD融合タンパク質と類似していたが、無修飾scFvは1.2nmのストークス半径を持っていた(図8も参照されたい)。ELISAにおけるCEAへのscDb-IgBDおよびscFv-IgBD融合タンパク質の結合 scDb-IgBD融合タンパク質(a)またはscFv-IgBD融合タンパク質(b)の濃度を増加させて、ELISAにより、固定化CEAへの結合について分析した。がん胎児性抗原(CEA)(300ng/ウェル)を4℃で終夜コーティングし、残存結合部位を2%(w/v)粉乳/PBSでブロックした。精製組換えscDb、scFV、ならびにscDb-IgBDおよびscFv-IgBD融合タンパク質を、二つ一組にしてタイトレートし、室温で1時間インキュベートした。検出は、マウスHRPコンジュゲート抗Hisタグ抗体により、TMB基質(0.1mg/ml TMB、100mM酢酸ナトリウム緩衝液pH6.0、0.006%H2O2)を使って行った。50μlの1M H2SO4で反応を停止した。ELISAリーダーで450nmにおける吸光度を測定した。ヒトおよびマウスIgG、ヒトFab-およびFc-フラグメントへのscDb-IgBD融合タンパク質の結合 融合タンパク質scDb-SpGC3、scDb-SpAB、scDb-SpAD、scDb-SpAEZ4、およびscDb-PpLC4*を、ELISAにより、固定化ヒト血清IgGならびにそのFabおよびFcフラグメントへの結合について分析した。ヒトまたはマウスIgG、ヒトFabまたはヒトFcフラグメント(100ng/ウェル)を4℃で終夜コーティングし、残存結合部位を2%(w/v)粉乳/PBSでブロックした。精製組換え抗体および血清試料を、二つ一組にしてタイトレートし、室温で1時間インキュベートした。検出は、マウスHRPコンジュゲート抗Hisタグ抗体により、TMB基質(0.1mg/ml TMB、100mM酢酸ナトリウム緩衝液pH6.0、0.006%H2O2)を使って行った。50μlの1M H2SO4で反応を停止した。ELISAリーダーで450nmにおける吸光度を測定した。ヒト血清IgG(huIgG)ならびにヒトIg Fc(huIgFc)への最も強い結合はscDb-SpGC3で観察された(図4b)。scDb-SpAB、scDb-SpAD、scDb-SpAEZ4もhuIgGおよびhuIgFcに結合することができたが、それらの結合はscDb-SpGC3の結合より弱かった。scDb-PpLC4*については結合をほとんど観察できなかった。scDb-SpGC3についてはhuIgFabへの結合が観察されたが、 他の融合タンパク質はいずれもhuIgFabへの結合をほとんど示さなかった。融合タンパク質scDb-SpGC3、scDb-SpAB、scDb-SpAD、およびscDb-SpAEZ4はhuIgMに結合することもでき(図4b)、scDb-SpABが最も強い結合を呈した(図4b)。加えて、融合タンパク質scDb-SpAB、scDb-SpAD、およびscDb-SpAEZ4は、huIgAへの結合も示した。 マウス血清IgG(moIgG)ならびにマウスIg Fc(moIgFc)でも全ての融合タンパク質(scDb-PpLC4*を除く)の結合がみられたが、結合は、ヒトIgGでみられたものより一般に弱かった(図4a)。マウスIg Fab(moIgFab)フラグメントへの結合は、scDb-SpGC3にのみ観察された。アフィニティ測定 中性pHまたは酸性pHにおけるヒトおよびマウス血清IgGならびにFabおよびFcフラグメントに対するscDb-IgBD融合タンパク質のアフィニティを、水晶微量天秤測定(Attana A-100 C-Fastシステム)によって決定した。IgGならびにFabおよびFcフラグメントをLNB(低非特異的結合)カルボキシルセンサーチップに、製造者のプロトコールに従い、65〜95Hzのシグナル増加をもたらす密度で、化学的に固定化した。結合実験は、PBST(0.1%ツイーン20)pH7.4またはpH6.0中、25μl/分の流速で行った。25μlの10mMグリシン-HCl pH3.0でチップを再生した。各測定の前にベースラインを測定し、それを結合曲線から差し引いた。データをAttester 3.0(バージョン3.1.1.8、Attana、スウェーデン・ストックホルム)によって収集し、Attache Office Evaluationソフトウェア(バージョン3.3.4、Attana、スウェーデン・ストックホルム)により、質量輸送モデルをカーブフィッティングに使用して分析した(図、活性化合物5、図5参照)。ヒトおよびマウスIgGならびにIgG-Fcに対して、低ナノモル濃度域の強い結合が、異なるSpA-IgBDおよびSpGC3融合タンパク質について観察された。ヒトおよびマウスFabフラグメントへの結合はscDb-SpGC3についてのみ観察された。scDb-SpA-IgBD融合タンパク質の結合はpH依存的であることがわかり、pH6では強く低減する。例えばpHを7.4から6.0に低下させると、ヒト血清IgGに対するscDb-SpABのアフィニティに約45倍の低減が起こり、マウス血清IgGに対するアフィニティには43倍の低減が起こる。pH依存的結合は、初期エンドソーム(pH約6.3〜6.8)および管状リサイクリングエンドソーム(pH約6.5)の酸性環境下ではSpA融合タンパク質がIgG-FcRn複合体に結合した状態に留まる必要があるFcRnを介したリサイクリングに、直接的な影響を及ぼしうる。対照的に、pH値を7.4から6へと低下させることで観察されるヒトIgFc、ヒトIgFab、マウスIgGおよびマウスIgFabに対するscDb-SpGC3の結合アフィニティは、類似しているか、増加さえしていた(図5)。薬物動態 CD1マウスをElevage Janvier(フランス、ル・ジュネスト=サン=ティスル)から購入した。動物の飼育と全ての実験は連邦ガイドラインに従い、大学および州当局の承認を受けた。CD1マウス(8〜16週齢、体重30〜40g)に、25μgのscDb-IGBDまたはscFv-IGBD融合タンパク質を、総体積150μlで、i.v.注射した。3分、30分、1時間、2時間、6時間、1日、および3日の時間間隔で、血液試料(50μl)を尾から採取し、氷上でインキュベートした。血餅を、4℃、13,000gで10分間遠心分離し、血清試料を−20℃で保存した。CEA結合組換え抗体の活性化合物血清中濃度をELISAによって決定した。がん胎児性抗原(CEA)(300ng/ウェル)またはIgG(500ng/ウェル)を4℃で終夜コーティングし、残存結合部位を2%(w/v)粉乳/PBSでブロックした。精製組換え抗体および血清試料を、二つ一組にしてタイトレートし、室温で1時間インキュベートした。結合のpH依存性を決定するために、全てのインキュベーションおよび洗浄ステップを、表示したpHに調節したPBSで行った。検出は、マウスHRPコンジュゲート抗Hisタグ抗体により、TMB基質(0.1mg/ml TMB、100mM酢酸ナトリウム緩衝液pH6.0、0.006%H2O2)を使って行った。50μlの1M H2SO4で反応を停止した。ELISAリーダーで450nmにおける吸光度を測定した。比較のために、最初の値(3分)を100%に設定した。CD1マウスへの単回i.v.注射後に、scDb-IgBDおよびscFv-IgBD融合タンパク質の半減期を分析した。初期血漿中半減期(t1/2α)、終末血漿中半減期(t1/2β)およびバイオアベイラビリティ(AUC)を、Excelを使って、scDb-IgBDおよびscFv-IgBD融合タンパク質について算出した(図8)。統計には、スチューデントのt検定を適用した。全ての融合タンパク質のバイオアベイラビリティが、それぞれ非融合scDbまたは非融合scFvと比較して増加した。非融合scDbまたは非融合scFvとそれぞれ比較して、バイオアベイラビリティの最も高い増加は、scDb-SpGC3およびscFv-SpGC3によって得られ、scDb-SpGC3は36倍の増加、scFv-SpGC3は65倍の増加を、それぞれのバイオアベイラビリティに呈した(図8)。1.3時間の終末半減期を呈するscDbと比較して、scDb-IgBD融合タンパク質は、強く延伸された血中での循環を示した(図7a)。scDb-PpLC4*では2.4時間、scDb-SpAEZ4では4.2時間、scDb-SpADでは9時間、およびscDb-SpABでは11.8時間という終末半減期と比較して、scDb-SpGC3では23.3時間という終末半減期が決定された(図8)。scFv-IgBD融合タンパク質も、強く延伸された血中での循環を示した(図7b)。scDb-SpAB、scDb-SpAD、scDb-SpAEZ4、およびscDb-Pp活性化合物LC4*では1〜5時間である終末半減期と比較して、scFv-SpGC3では20.8時間という終末半減期が決定された。IL-2放出アッセイ scDb融合タンパク質を、IL-2放出を誘発するその能力について、インビトロで分析した(図9)。健常ドナーの末梢血単核球(PBMC)をバフィーコートから前述のように単離した(Muellerら(2007)J. Biol. Chem. 282:12650-12660)。1×105個のLS174T細胞/100μl/ウェルを96ウェルプレートに播種した。翌日、上清を取り除き、150μlの組換え抗体を加えた。37℃で1時間のプレインキュベーション後に、2×105個のPBMC/50μl/ウェルを加えた。PBMCは前日に溶解して、培養皿に播種しておいた。懸濁状態で残っている細胞だけをアッセイに使用した。PBMCの添加後に、96ウェルプレートを37℃、5%CO2で24時間インキュベートした。プレートを遠心分離し、無細胞上清を集めた。DuoSet IL-2 ELISAキット(R&D Systems)を製造者のプロトコールに従って使用することにより、上清中のヒトIL-2の濃度を決定した。無修飾scDbと比較して、scDb-SpAB、scDb-SpADおよびscDb-SpAEZ4融合タンパク質は、ヒトIgGの非存在下で強く増加したIL-2放出を示した。これは、SpABドメインがPBMCの活性化を誘発することを示している(図9)。対照的に、scDb-SpGC3は、scDbによって誘発されるIL-2放出を超えるIL-2放出を誘発しなかった。SpGC3ミュータント Ig Fcフラグメント(scDb-SpGC3-Fab)またはIg Fabフラグメント(scDb-SpGC3-Fc)に対する結合部位を欠くscDb-SpGC3の変異体を、安定トランスフェクトHEK293細胞中で生産し、IMACによって精製し、ヒトIgG、IgG-FabフラグメントおよびIgG-Fcフラグメントへの結合について分析した(図10a)。scDb-SpGC3およびscDb-SpGC3-FcについてはヒトFcフラグメントへの結合を観察することができたが、scDb-SpGC3-FabはhuIgFcに結合することができなかった。対照的に、scDb-SpGC3およびscDb-SpGC3-FabについてはヒトFabフラグメントへの結合を観察することができたが、scDb-SpGC3-FcはhuIgFabに結合することができなかった(図10b)。scDb-SpGC3-Fabを、実施例7で述べたように、CD1マウスにおける血漿中半減期について、さらに分析した。scDb-SpGC3-Fabについて21.2±5.6時間(n=3)という終末半減期が決定され(図10cおよびd)、野生型融合タンパク質の長い半減期(終末半減期23.3±5.9時間(n=6))を保つには、免疫グロブリンのFabフラグメントへの結合があれば十分であることが実証された。SpGC3-ダイアボディ-scTRAIL融合タンパク質 追加のリンカーによってヒトTRAILの単鎖誘導体に融合された抗EGFRダイアボディ(5残基GGGGSリンカーによってつながれたヒト化抗EGFR抗体huC225のVH-VLドメイン)に、SpGC3を融合することによって、SpGC3-ダイアボディ-scTRAIL融合タンパク質を生成させた(図11および図13)。精製と検出のために、このタンパク質はN末端にFLAGタグを含有する。融合タンパク質を安定トランスフェクトHEK293細胞に生産させ、抗FLAGアフィニティークロマトグラフィーによって細胞培養上清から精製した。抗TRAIL抗体または抗FLAG抗体によるウェスタンブロットは、予想される分子量に相当する約100kDaの単一バンドを示した。精製融合タンパク質は、ELISAにおいて、ヒトIgGへの強い結合を示し、タンパク質のN末端に融合した場合も、SpGC3ドメインは機能的であることが実証された。scDb-SpGC3とscDb-ABDHとの薬物動態特性の比較 IgBDと同様に、連鎖球菌プロテインG由来のアルブミン結合ドメイン(ABD)は、アルブミンに結合した時のFcRnによるリサイクリングによって、小さな組換えタンパク質の半減期を強く改善することが示されている(Storkら, 2007, Protein Eng. Des. Sel., 20, 569-576;Andersenら, 2010, J. Biol. Chem. 286, 5234-5241)。マウスおよびヒトアルブミンに対するアフィニティが改変されているABDのミュータントはいくつか記載されており、その半減期延長特性について試験されている(Jonssonら, 2008, Protein Eng. Des. Sel. 21, 515-527;Hoppら, 2010, Protein Eng. Des. Sel. 23, 827-834)。それらのなかでは、ABDH(高いアフィニティを有するアルブミン結合ドメイン)が、最も良い薬物動態特性を示すことが判明しており、それゆえにこれが、比較に適した融合タンパク質と思われる。さらにまた、アルブミンに対するABDHのアフィニティは、IgGに対するSpGC3のアフィニティに似ている(Hoppら, 2010, Protein Eng. Des. Sel. 23, 827-834)。そこで、本発明者らは、上記実施例7で述べたように、CD1マウスにおける単回投与i.v.注射(25μg/匹)後のscDb-ABDHとscDb-SpGC3の血漿中半減期を比較した(図16aおよびb)。最初の24時間で、scDb-SpGC3は、scDb-ABDHの836±81%時間および無修飾scDbの56±15%時間と比較して、997±79%時間というAUCによって示される、有意に(p<0.01)増加した血漿中濃度を示した(図16c)。加えて、初期血漿中半減期を(最初の3つの値を使って)算出したところ、scDb-ABDH(1.5±0.5時間)と比較してscDb-SpGC3(2.4±0.7時間)ではt1/2αに1.6倍の増加が明らかになり、これは有意な相違であった(p<0.05)(図16d)。融合タンパク質薬物動態の二相性プロファイルをさらに調べたところ、6時間〜24時間から算出して、scDb-ABDHでは20.6±11.5時間、scDb-SpGC3では21.0±4.8時間という、非常に似た終末血漿中半減期が得られた。この知見は、SpGC3融合タンパク質が、ABDH融合タンパク質と比較して、AUCによって測定されるバイオアベイラビリティの増加をもたらす改良された初期分布相を有することを示している。アルブミンまたはIgGの非存在下または存在下でのscDb-SpGC3-FabおよびscDb-ABDHによるIL-2放出の比較 IL-2放出アッセイを使って、T細胞を刺激する二重特異性抗CEA×抗CD3 scDb融合タンパク質の潜在能力を分析した。上記実施例8で述べたプロトコールに従って、scDb-SpGC3-FabおよびscDb-ABDHを、0.1nMから31.6nMまでの範囲の異なるタンパク質濃度で使用した(図17)。参照分子としての無修飾scDbは、IgGまたはヒト血清アルブミン(生理的濃度の1/50を使用)の存在下で、IL-2放出の低減を示さないか、わずかな低減しか示さなかったが、scDb-ABDHは、HSAと共にプレインキュベートすると、シグナルの強い低減を示した。対照的に、Ig Fcフラグメントに対する結合部位を欠くSpGC3変異体SpGC3-Fabは、IgGの存在下でさえ、無修飾scDbと同様に、強い活性化を示したことから、SpGC3-Fabは、エフェクターT細胞をリターゲティングする二重特異性分子の半減期延長には、とりわけ適していること、およびこのドメインが確立されているABDドメインより優れていることが実証された。配列番号1:SpGのC3ドメインのアミノ酸配列:TTYKLVINGKTLKGETTTKAVDAETAEKAFKQYANDNGVDGVWTYDDATKTFTVTE配列番号2:C3-Fcのアミノ酸配列:TTYKLVINGKALAGATTTKAVDAETAEKAFKQYANDNGVDGVWTYDDATKTFTVTE配列番号3:C3-Fabのアミノ酸配列:TTYKLVINGKTLKGETTTKAVDAETAAAAFAQYANDNGVDGVWTYDDATKTFTVTE配列番号4:KabatによるEUインデックスでヒトIgγ1分子のアミノ酸位置122〜127および207〜214:Gly Pro Ser Val Phe Pro ... Ser Asn Thr Lys Val Asp Lys Lys配列番号5:KabatによるEUインデックスでヒトIgγ2分子のアミノ酸位置122〜127および207〜214:Gly Pro Ser Val Phe Pro ... Ser Asn Thr Lys Val Asp Lys Thr配列番号6:KabatによるEUインデックスでヒトIgγ3分子のアミノ酸位置122〜127および207〜214:Gly Pro Ser Val Phe Pro ... Ser Asn Thr Lys Val Asp Lys Arg配列番号7:KabatによるEUインデックスでヒトIgγ4分子のアミノ酸位置122〜127および207〜214:Gly Pro Ser Val Phe Pro ... Ser Asn Thr Lys Val Asp Lys Arg配列番号8:KabatによるEUインデックスでマウスIgγ1分子のアミノ酸位置122〜127および207〜214:Pro Pro Ser Val Tyr Pro ... Ser Ser Thr Lys Val Asp Lys Lys配列番号9:KabatによるEUインデックスでマウスIgγ2a分子のアミノ酸位置122〜127および207〜214:Ala Pro Ser Val Tyr Pro ... Ser Ser Thr Lys Val Asp Lys Lys配列番号10:KabatによるEUインデックスでマウスIgγ2b分子のアミノ酸位置122〜127および207〜214:Ala Pro Ser Val Tyr Pro ... Ser Ser Thr Thr Val Asp Lys Lys配列番号11:KabatによるEUインデックスでマウスIgγ3分子のアミノ酸位置122〜127および207〜214:Ala Pro Ser Val Tyr Pro ... Ser Lys Thr Glu Leu Ile Lys Arg配列番号12:KabatによるEUインデックスでラットIg g1分子のアミノ酸位置122〜127および207〜214:Ala Pro Ser Val Tyr Pro ... Ser Ser Thr Lys Val Asp Lys Lys配列番号13:scFv-SpG-C3(抗CEA)のアミノ酸配列配列番号14:scDb-SpG-C3(抗CEA×抗CD3)のアミノ酸配列配列番号15:SpG-C3-Db-scTRAIL(抗ヒトEGFR)のアミノ酸配列配列番号16:SpGのC1ドメインのアミノ酸配列:配列番号17:SpGのC2ドメインのアミノ酸配列。 (i)免疫グロブリン(Ig)結合部分と (ii)医薬活性部分とを含み、Ig結合部分がIg分子の重鎖の定常ドメイン1(CH1)に特異的に結合する複合体。 Ig結合部分がIg分子のCH1ドメインの表面露出領域に特異的に結合する、請求項1に記載の複合体。 Ig結合部分がIg分子のFc部に特異的に結合する、請求項1または2に記載の複合体。 Ig分子がIgG分子、好ましくはIgG1、IgG2、またはIgG4分子である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の複合体。 Ig結合部分が、EUインデックスでIg分子のアミノ酸位置122〜127および/または207-214によって形成されるエピトープに特異的に結合する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の複合体。 Ig結合部分が、免疫グロブリン結合ドメイン(IgBD)、好ましくは連鎖球菌由来IgBDを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の複合体。 Ig結合部分が連鎖球菌プロテインGのCH1結合性IgBDを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の複合体。 Ig結合部分が配列番号1のアミノ酸配列またはその変異体を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の複合体。 医薬活性部分が生物学的および/または化学的医薬を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の複合体。 生物学的医薬が医薬活性ポリペプチド、好ましくは抗原結合分子である、請求項9に記載の複合体。 抗原結合分子が、抗体フラグメント、Fabフラグメント、Fab'フラグメント、F(ab')2フラグメント、重鎖抗体、単一ドメイン抗体(sdAb)、単鎖可変フラグメント(scFv)、ジ-scFv、二重特異性T細胞エンゲイジャー(BITE)、ダイアボディ、単鎖ダイアボディ、DART、トリプルボディ、代替足場タンパク質、およびその融合タンパク質からなる群より選択される、請求項10に記載の複合体。 該抗原結合分子が、放射性部分、細胞毒性薬、キレート部分、光増感剤、またはイメージング試薬をさらに含む、請求項10または11に記載の複合体。 該抗原結合分子が、アポトーシス促進タンパク質、免疫(共)刺激タンパク質、免疫抑制タンパク質、サイトカイン、ケモカイン、毒素、成長因子または酵素、好ましくはRNase、プロドラッグ変換酵素またはキナーゼをさらに含む融合タンパク質である、請求項11または12に記載の複合体。 Ig結合部分と医薬活性部分とが共有結合または非共有結合によってつながれている、請求項1〜13のいずれか一項に記載の複合体。 Ig結合部分と医薬活性部分とが直接的にまたは1つ以上のリンカーによって間接的につながれている、請求項1〜14のいずれか一項に記載の複合体。 1つ以上のリンカーがペプチドリンカー、好ましくはフレキシブルなペプチドリンカーを含む、請求項14または15に記載の複合体。 1つ以上のペプチドリンカーが1つ以上の切断部位、好ましくは1つ以上のエンドペプチダーゼ切断部位を含む、請求項16に記載の複合体。 請求項1〜17のいずれか一項に記載の複合体をコードする配列を含む核酸分子。 請求項18に記載の核酸を含むベクター。 請求項1〜17のいずれか一項に記載の複合体、請求項18に記載の核酸、および/または請求項19に記載のベクターを含む細胞。 請求項1〜17のいずれか一項に記載の複合体、請求項18に記載の核酸、請求項19に記載のベクターおよび/または請求項20に記載の細胞を含む医薬組成物。 医薬上許容される 担体および/または賦形剤ならびに場合によっては1つ以上の追加活性物質をさらに含む、請求項21に記載の医薬組成物。 血清中半減期、好ましくは終末血清中半減期の延長に使用するための、請求項1〜17のいずれか一項に記載の複合体、請求項18に記載の核酸、請求項19に記載のベクター、請求項20に記載の細胞、請求項21〜22のいずれか一項に記載の医薬組成物。 医薬品として使用するための、請求項1〜17のいずれか一項に記載の複合体、請求項18に記載の核酸、請求項19に記載のベクター、請求項20に記載の細胞、請求項21〜22のいずれか一項に記載の医薬組成物。 本発明は(i)免疫グロブリン(Ig)結合部分と(ii)医薬活性部分とを含み、Ig結合部分がIg分子の重鎖の定常ドメイン1(CH1)に特異的に結合する複合体、ならびに治療および予防へのそれらの使用に関する。 配列表


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る

公表特許公報(A)_カプセル剤

生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_カプセル剤
出願番号:2014529997
年次:2014
IPC分類:C11D 3/395,C11D 3/37,C11D 3/32,C11D 7/22,C11D 7/32,C11D 7/54,C11D 3/39,C11D 7/38,C11D 7/26,C11D 3/20,B01J 13/04,A61K 8/11,A61K 8/42,A61Q 5/08,A61Q 11/02


特許情報キャッシュ

フアン、フェリペ、ミラベト、セラデス ベアトリウ、エスクデル、ヒル ビンセント、ホセプ、ネボト、カルダ ヨハン、スメッツ スサナ、フェルナンデス、プリエト JP 2014534983 公表特許公報(A) 20141225 2014529997 20120913 カプセル剤 ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー 590005058 勝沼 宏仁 100117787 永井 浩之 100091982 中村 行孝 100091487 磯貝 克臣 100107537 出口 智也 100137523 フアン、フェリペ、ミラベト、セラデス ベアトリウ、エスクデル、ヒル ビンセント、ホセプ、ネボト、カルダ ヨハン、スメッツ スサナ、フェルナンデス、プリエト US 61/533,989 20110913 C11D 3/395 20060101AFI20141128BHJP C11D 3/37 20060101ALI20141128BHJP C11D 3/32 20060101ALI20141128BHJP C11D 7/22 20060101ALI20141128BHJP C11D 7/32 20060101ALI20141128BHJP C11D 7/54 20060101ALI20141128BHJP C11D 3/39 20060101ALI20141128BHJP C11D 7/38 20060101ALI20141128BHJP C11D 7/26 20060101ALI20141128BHJP C11D 3/20 20060101ALI20141128BHJP B01J 13/04 20060101ALI20141128BHJP A61K 8/11 20060101ALI20141128BHJP A61K 8/42 20060101ALI20141128BHJP A61Q 5/08 20060101ALI20141128BHJP A61Q 11/02 20060101ALI20141128BHJP JPC11D3/395C11D3/37C11D3/32C11D7/22C11D7/32C11D7/54C11D3/39C11D7/38C11D7/26C11D3/20B01J13/02 AA61K8/11A61K8/42A61Q5/08A61Q11/02 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC US2012054968 20120913 WO2013040114 20130321 38 20140307 1.WINDOWS 2.テフロン 4C083 4G005 4H003 4C083AC641 4C083AC642 4C083AC841 4C083AC842 4C083AC932 4C083AD111 4C083AD112 4C083AD211 4C083AD262 4C083AD352 4C083CC35 4C083CC42 4C083DD14 4C083EE01 4C083FF01 4G005AA01 4G005AB21 4G005BA20 4G005CA01 4G005DA08X 4G005DB01Z 4G005DB12X 4G005DB13Z 4G005DC11X 4G005DC15X 4G005DD12Z 4G005DD37X 4G005DD57Z 4G005DD67Z 4G005DE08X 4G005EA07 4H003AB03 4H003AB19 4H003AB27 4H003AB31 4H003AC08 4H003BA09 4H003BA12 4H003DA01 4H003DA05 4H003EA12 4H003EA16 4H003EA19 4H003EA28 4H003EB08 4H003EB14 4H003EB24 4H003EB26 4H003EB28 4H003EB33 4H003EB41 4H003EB42 4H003ED28 4H003EE05 4H003EE06 4H003FA28 4H003FA43 本発明は、カプセル化された予形成過酸及びこのようなカプセルを含む製品、並びにこのようなカプセル及びこのようなカプセルを含む製品の製造方法及び使用方法に関する。 製品、例えば、消費者製品には、このような製品に及び/又はこのような製品と接触した部位に所望の効果、例えば染み除去及び/又は漂白をもたらし得る一種以上の有益剤を含ませることができる。残念なことに、ある種の製品、例えば液体製品では、使用前に予形成過酸などの有益剤が分解される恐れがあり、あるいは有益剤によりこのような製品の成分が分解される恐れがあり、これは特に、製品のpHが約6超である場合に当てはまる。したがって、有益剤から成分を保護する保護系が所望される。この領域では様々な試みがなされてきたが、典型的には所望される程度の保護をもたらすことができないか、あるいは必要とされる時点で有益剤を放出させることができないか、のいずれかの欠点を有している。したがって、製品の使用時に利用可能であり、なおかつ、製品の保管時には製品を破損させることない封入された有益剤が必要とされている。出願者らは、予形成過酸などの有益剤を含む粒子を開示する。有益剤はヒドロゲルコア中に収容され、このコアは、有益剤が安定になるpHを有する。このようなコアは、次に、封入材により封入される。理論に束縛されるものではないが、出願者らは、コア環境は、有益剤にとって安定なものであり、かつ封入剤を粒子の外部環境、例えば、6超のpHから分離するものであると考える。驚くべきことに、コア環境と粒子の外部環境とは、これまでは組成物に混合することのできなかった材料を、現在では安定性にまつわる課題を最小限に抑えつつ組み合わせることができる程に劇的に異なり得る。但し、有益財は所望により使用時に放出される。 したがって、現在では、複数の有益剤を単一の組成物から得ることができ、例えば、現在では液体洗剤製品から漂白及び酵素洗浄を得ることができる。 本開示は、第一層により有益剤を封入され、なおかつ第一層が第二材料により封入された粒子、及びこのような粒子を含む製品、並びにこのような粒子及びこのような粒子を含む製品の製造及び使用方法に関する。 定義 本明細書で使用するとき、「消費者製品」は、販売される形態での使用を一般に意図する、ベビーケア、ビューティケア、衣類及びホームケア、ファミリーケア、フェミニンケア、ヘルスケア製品又はデバイスを意味する。このような製品としては、限定するものではないが、おむつ、よだれかけ、拭き取り用品;脱色、着色、染色、コンディショニング、シャンプー、スタイリングを含む毛髪(ヒト、イヌ、及び/又はネコ)の処理に関連する製品及び/又は方法;防臭剤及び制汗剤;パーソナルクレンジング;化粧品;上質な芳香剤を含む消費者使用のためのクリーム、ローション、及び他の局所塗布製品の塗布を含むスキンケア;並びにシェービング製品、エアフレッシュナー及び芳香送達系を含む空気ケア、車ケア、食器洗浄、布地コンディショニング(柔軟化及び/又はフレッシュニングを含む)、洗濯洗浄、洗濯及びすすぎ添加剤並びに/又はケア、床及び便器洗浄剤を含む硬質表面洗浄及び/又は処理、並びに消費者用又は業務用の他の洗浄などの、布地及びホームケア領域内の布地、硬質表面、及び任意の他の表面処理に関する製品及び/又は方法;トイレットペーパー、フェイシャルティッシュ、紙ハンカチ、及び/又は紙タオルに関連する製品及び/又は方法;タンポン、女性用ナプキン;練り歯磨き、歯用ジェル、歯用リンス、義歯接着剤、歯ホワイトニングを含む口腔ケアに関連する製品及び/又は方法;鎮咳薬及び感冒薬、鎮痛剤、処方薬などの市販のヘルスケア製品が挙げられる。 本明細書で使用するとき、用語「洗浄及び/又は処理組成物」は、特に断りのない限り、ビューティケア、布地及びホームケア製品を含む消費者製品の部分集合である。このような製品としては、脱色、着色、染色、コンディショニング、シャンプー、スタイリングなどの毛髪(ヒト、イヌ及び/若しくはネコ)処理用製品及び/又はその処理に関する方法;脱臭剤及び制汗剤;パーソナルクレンジング;化粧品;クリーム、ローション、及び高級芳香剤を含む消費者使用のための他の局所塗布製品などのスキンケア;シェービング製品;エアフレッシュナー及び香り送達系、自動車ケア、食器洗浄、布地コンディショニング(柔軟化及び/若しくはフレッシュニングを含む)、洗濯洗浄、洗濯及びすすぎ添加剤及び/又はケア、床及び便器クリーナーなどの硬質表面の洗浄及び/又は処理、粒状若しくは粉末形態の、汎用若しくは「強力」洗浄剤、特に洗濯洗剤などの布地、布地及びホームケアの領域のうちの布地、硬質表面及び任意の他の表面の処理用製品;液体、ゲル又はペースト形態の汎用洗浄剤、特にいわゆる強力液体タイプ;高級布地用液体洗剤;手洗い用食器洗剤又は低負荷用食器洗剤、特に高発泡型のもの;家庭用及び業務用の様々なタブレット、粒、液体及びすすぎ補助型などの機械用食器洗剤;抗菌手洗い型、洗浄バー、マウスウォッシュ、義歯洗浄剤、歯磨き、自動車若しくはカーペットシャンプー、便器クリーナーなどの浴室洗剤などの、液体の洗剤及び消毒剤;ヘアシャンプー及びヘアリンス;シャワーゲル、高級芳香剤及び発泡入浴剤及び金属洗浄剤;並びに、漂白添加剤、及び「ステインスティック」などのクリーニング補助剤、又はドライヤー付与シート、乾燥、及び湿潤型拭取り布、及びパッドなどの前処理型基材付与製品、不織基材、及びスポンジ;並びに、全ての家庭用及び/又は業務用のスプレー剤、及びミスト剤;並びに/あるいは、練り歯磨き、歯用ゲル、歯用リンス、義歯接着剤、歯のホワイトニングなどの口腔ケアに関する方法が挙げられるが、これらに限定されない。 本明細書で使用するとき、用語「布地及び/又は硬質表面の洗浄及び/又は処理組成物」は、特に断りのない限り、粒状若しくは粉末形態の、汎用若しくは「強力」洗浄剤、特に洗濯洗剤;液体、ゲル若しくはペースト形態の汎用洗浄剤、特にいわゆる強力液体タイプ;高級布地用液体洗剤;手洗い用食器洗剤又は低負荷用食器洗剤、特に高発泡型のもの;家庭用及び業務用の様々なタブレット、粒剤、液体及びすすぎ補助型などの機械用食器洗剤;抗菌手洗い型、洗浄バー、自動車若しくはカーペットシャンプー、便器クリーナーなどの浴室洗剤などの、液体の洗剤及び消毒剤;並びに、金属洗浄剤、液体、固体及び/若しくは乾燥シート形態であり得る柔軟剤及び/又はフレッシュニング剤を含む布地コンディショニング剤;並びに、漂白添加剤及び「ステインスティック」などのクリーニング補助剤、又は、ドライヤー付与シート、乾燥、及び湿潤型拭取り布、及びパッドなどの前処理型基材付与製品、不織基材、及びスポンジ;並びに、スプレー剤及びミスト剤が挙げられる洗浄及び処理組成物を包含する、これらの部分集合である。適用可能であるこのような製品の全ては、標準形態又は濃縮形態であり得、又は特定の態様では、このような製品は、更には非水性であり得る程度に高濃縮された形態であり得る。 本明細書で使用するとき、「a」及び「an」のような冠詞は、特許請求の範囲で使用されるときには、1つ以上の請求又は記載されるものを意味するものと理解される。 本明細書で使用するとき、用語「包含する(include)」、「包含する(includes)」及び「包含している(including)」は、非限定的であるように意味される。 本明細書で使用するとき、用語「固体」は、顆粒、粉末、塊、及び錠剤の製品形態を含む。 本明細書で使用するとき、用語「流体」は、液体、ゲル、ペースト及びガスの製品形態を含む。 本明細書で用いるとき、用語「部位(situs)」には、紙製品、繊維、衣服、硬質表面、毛髪、及び皮膚が含まれる。 別途記載のない限り、成分又は組成物の濃度は全て、当該成分又は組成物の活性部分に関するものであり、このような成分又は組成物の市販の供給源に存在し得る不純物、例えば残留溶媒又は副生成物は除外される。 割合(%)及び比率は全て、別途記載のない限り重量で計算される。全ての割合(%)及び比率は、別途記載のない限り組成物全体を基準にして計算される。 本明細書の全体を通じて与えられる全ての最大の数値限定は、それよりも小さい数値限定を、そうしたより小さい数値限定があたかも本明細書に明確に記載されているものと同様にして包含するものと理解すべきである。本明細書の全体を通じて与えられる全ての最小数値限定は、それよりも大きい全ての数値限定を、あたかもそれらの大きい数値限定が本明細書に明確に記載されているものと同様にして含むものである。本明細書の全体を通じて与えられる全ての数値範囲は、そのようなより広い数値範囲内に含まれるそれよりも狭い全ての数値範囲を、あたかもそれらのより狭い数値範囲が全て本明細書に明確に記載されているものと同様にして含むものである。 組成物 一態様では、組成物は、約6.5〜約14、約7〜約10、又は更には約7.5〜約9のpHを有し、組成物は、約10マイクロメートル〜約450マイクロメートル、約20マイクロメートル〜約350マイクロメートル、又は更には約35マイクロメートル〜約250マイクロメートルの直径を有するカプセル剤を含み、カプセル剤はシェル及びマトリックス組成物を含み、シェルは、マトリックス組成物を封入し、マトリックス組成物は約3.5〜約6、又は更には4.5〜約5.5のpHを有し、マトリックス組成物はマトリックスネットワーク材料とマトリックス有益剤コアを含み、マトリックス有益剤コアは、マトリックスネットワーク材料内に捕捉される、組成物が開示される。 組成物の一態様では、マトリックス組成物は、約150g/mol〜約1500g/mol、約250g/mol〜約1200g/mol、又は更には約500g/mol〜約850g/molの分子量を有する自己組織化マトリックスネットワーク材料を含み得る。 組成物の一態様では、自己組織化マトリックスネットワーク材料は、pH調整可能なジアミド系ゲル化剤を含み得る。pH調整可能なジアミド系ゲル化剤により、組成物のpHに応じた粘度分布を有する液体組成物が提供される。そのため、容易に混合するのに十分な程度粘度を低くするpH下で、pH調整可能なジアミド系ゲル化剤を液体組成物に添加することができる。pH調整可能なジアミド系ゲル化剤は、少なくとも1つのpH感受性基を含み得る。pH調整可能なジアミド系ゲル化剤を、水などの極性プロトン性溶媒を含む流体組成物に添加すると、非イオン種が粘度を上昇させるネットワーク組織を形成する一方で、イオン種は可溶性を保ち、粘度を上昇させるネットワーク組織を形成しない。(pH感受性基の選択に応じて)pHを増減させることにより、アミド系ゲル化剤は、プロトン化又は脱プロトン化され得る。つまり、溶液のpHを変化させることにより、ジアミド系ゲル化剤の溶解度、ひいては粘度上昇挙動を制御することができる。pH感受性基を注意深く選択することにより、アミドゲル化剤のpKaを調整することができる。したがって、pH感受性基を選択することで、ジアミド系ゲル化剤が粘度を上昇するpHを選択することができる。 組成物の一態様では、自己組織化マトリックスネットワーク材料は、約3〜約6のpH下で形成される中程度の粘度にある。 組成物の一態様では、マトリックスネットワーク材料は、約1〜約14、約2〜約9、約3〜約6、又は更には約4.5〜約5.5のpKaを有する。 組成物の一態様では、マトリックス組成物には、式: (式中、R1及びR2は、アミノ感応性末端基であり、Lは14〜500g/molの分子量を有する主鎖部分であり、L、R1又はR2のうち少なくとも1つはpH感受性基を含み得る)を有するマトリックスネットワーク材料を、マトリックス組成物の総重量に基づき0.01重量%〜10重量%含み得る。 マトリックスネットワーク材料の一態様では、R1及びR2末端基は、アミド官能性末端基を含み得る。 組成物の一態様では、マトリックスネットワーク材料は、少なくとも1つのアミド官能基を含み、かつ更には少なくとも1つのpH感受性基を含み得る。一態様では、マトリックスネットワーク材料は、約150〜約1500g/mol、約300g/mol〜約900g/mol、又は更には約400g/mol〜約700g/molの分子量を有し得る。 一態様では、Lは式: [III]L=Aa−Bb−Cc−Dd を有する(式中、(a+b+c+d)は1〜20であり、A、B、C、及、びDは、以下: からなる連結基から独立して選択される。(*矢印は、示された位置における最大4つの置換を示し、X−はアニオンである))。 一態様では、LはC2〜C20、C6〜C12、又は更にはC8〜C10のヒドロカルビル鎖から選択される。 一態様では、R1はR3又は であり、R2はR4又は であり、各AAは、以下: からなる群から独立して選択され、R3及びR4は、独立して、次式を有し、 [IV](L’)o−(L”)q−R, (式中、(o+q)は1〜10であり、L’及びL”は、式[III]のA、B、C、及びDと同じ基から独立して選択される連結基であり、R、R’、及びR”は、AAと同様の基のいずれか、以下: からなるpH感受性基のいずれかから独立して選択され(*矢印は、示された位置における最大4つの置換を示し、n及びmは、1〜20の整数である。))、 又は、以下: からなる非pH感受性基であり、L、R、R’並びにR”のうちの少なくとも1つが少なくとも1つのpH感受性基を含む。一態様では、RはpH感受性基を含み得る。 一態様では、構造[I]を有するマトリックスネットワーク材料は、Lが2〜20個の炭素原子からなる主鎖を有する脂肪族連結基であることを特徴とし、一態様では、Lは−(CH2)n−であってよく、式中、nは2〜20から選択され、かつR1及びR2は構造: を有する。 一態様では、AAは、 からなる群から選択され、Rは からなるpH感受性基から選択される。 他の態様では、L、L’及びL”のうちの2つ以上は同じ基である。 式[I]で記載されるマトリックスネットワーク材料は、L部位に対し対称であってよく、あるいは非対称であってもよい。理論に束縛されるものではないが、対称なマトリックスネットワーク材料は、より規則的な構造のネットワークの形成を可能にするが、1つ以上の非対称なマトリックスネットワーク材料を含む組成物は、不規則なネットワークを形成する可能性があると考えられている。 構造[I]を有する好適なマトリックスネットワーク材料は、表1から選択することができる。両方の種類のpH調整可能なジアミド系ゲル化剤構造の一態様では、AAは、アラニン、β−アラニン、及び置換アラニン、直鎖アミノアルキルカルボン酸、環状アミノアルキルカルボン酸、アミノ安息香酸誘導体、アミノ酪酸誘導体、アルギニン及び同族体、アスパラギン、アスパラギン酸、ρ−ベンゾイル−フェニルアラニン、ビフェニルアラニン、シトルリン、シクロプロピルアラニン、シクロペンチルアラニン、シクロヘキシルアラニン、シスチン、シスチン及び誘導体、ジアミノ酪酸誘導体、ジアミノプロピオン酸、グルタミン酸誘導体、グルタミン、グリシン、置換グリシン、ヒスチジン、ホモセリン、インドール誘導体、イソロイシン、ロイシン及び誘導体、リジン、メチオニン、ナフチルアラニン、ノルロイシン、ノルバリン、オルニチン、フェニルアラニン、環置換フェニルアラニン、フェニルグリシン、ピペコリン酸、ニペコチン酸及びイソニペコチン酸、プロリン、ヒドロキシプロリン、チアゾリジン、ピリジルアラニン、セリン、スタチン及び類似体、トレオニン、テトラヒドロノルハルマン−3−カルボン酸、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン、トリプトファン、チロシン、バリン、並びにこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含み得る。 一態様では、マトリックスネットワーク材料は、マトリックス組成物の対象とするpH下で、水に対し、MGC試験方法に準拠し0.1〜100mg/mL、0.1〜25mg/mL、又は更には0.5〜10mg/mLの最小ゲル化濃度(MGC)を有し得る。本明細書で用いられるMGCは、mg/mLとして、又は重量%として表わすことができ、その場合、重量%は、mg/mLのMGCを10で割ることによって計算される。 組成物の一態様では、マトリックス組成物は、緩衝剤及び/又は緩衝剤前駆体を含んでもよく、一態様では、緩衝剤はδ−グルコン酸含んでもよく、かつ緩衝剤前駆体はグルコ−δ−ラクトンを含んでもよい。 組成物の一態様では、シェルは、 a)ポリビニルピロリドンを含む材料(一態様では、このような材料は、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドンスチレンコポリマー、ポリビニルピロリドン酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルピロリドンイミダゾールコポリマー、及びこれらの混合物を含み得る); b)ジアミン、トリアミン、ジオール、及びこれらの混合物を含む親水性モノマーから誘導されるポリマー(一態様では、このようなジアミン及びトリアミンは、ジエチレントリアミン、ヘキサメチレンジアミン、エチレンジアミン、及びこれらの混合物を含む。一態様では、このようなジオールは、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1−プロペン−1,3−ジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタノジオール(butanodiol)、1,2−ブタンジオール、3−ブテン−1,2−ジオール、3−ブテン−1,4−ジオール、1,5−ペンタンジオール、1−ペンテン−1,5−ジオール、1,6−ヘキサンジオール、3,4−ジヒドロキシ−3−シクロブテン−1,2−ジオン、5−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−4H−ピラン−4−オン、(2E)−2,3−ジヒドロキシ−2−ブテン二酸水和物、2,3,5,6−テトラヒドロキシベンゾ−1,4−キノン、4,4−ジメチル−1,2−シクロペンタンジオール、3−メチル−1,3,5−ペンタントリオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、(1S,2S)−1,2−シクロペンタンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、及びこれらの混合物を含み得る; c)ジ及び/又はトリアシルクロリド、ジイソシアナート、ビスクロロホルマート、及びこれらの混合物を含む疎水性モノマーから誘導されるポリマー(一態様では、このようなジ及び/又はトリアシルクロリドには、トリメソイルクロリド、テラフタロイルクロリド(teraphthaloyl chloride)及びこれらの混合物を含有させてよい)(一態様では、このようなジイソシアナートには、1−イソシアナト−4−[(4−フェニルイソシアナト(fenilisocianato))メチル]ベンゼン、2,4−ジイイソシアナト−1−メチル−ベンゼン、1,6−ジイイソシアナトヘキサン、5−イソシアナト−1−(イソシアナトメチル)−1,3,3−トリメチル−シクロヘキサン及びこれらの混合物を含有させてよい。一態様では、このようなビスクロロホルマートは、ビスフェノールAビス(クロロホルマート)、ビスフェノールZビス(クロロホルマート)及びこれらの混合物を含み得る); d)ポリビニルアルコール誘導体を含む材料(一態様では、このような材料には、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネートコポリマー、一級及び二級アミンを含むモノマーから誘導されるポリビニルアルコールのコポリマー、ポリビニルアルコールイミダゾールコポリマー、及びこれらの混合物が含まれる。他の態様では、このような材料には、グルタルアルデヒドにより架橋された、ほう酸ソーダ、酢酸エチル及びこれらの混合物を含有させてよい。一態様では、ポリビニルアルコール誘導体と、架橋ポリビニルアルコール誘導体との混合物を含有させてよい); e)約0℃〜約120℃、又は更には約20℃〜約60℃の曇点を有するポリマーを含む材料(一態様では、このような材料には、ポリ−(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリ−(ビニルアルコール−co−酢酸ビニル)、ポリ−(アクリルアミド−co−ジアセトンアクリルアミド)又はエチルセルロースが含まれ得る); f)セルロースポリマーを含む材料(一態様では、このような材料には、澱粉、酢酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びこれらの混合物が含まれ、一態様では、このような澱粉には、オクテニルコハク酸デンプン、ヒドロキシエチルデンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、及びこれらの混合物が含まれ得る); g)ワックスを含む材料(一態様では、このようなワックスは、約35℃〜約75℃の融点を有する); h)非セルロース系天然ポリマーを含む材料(一態様では、このような材料には、シェラック、ゼイン、及びこれらの混合物が含まれ得る)、 からなる群から選択される材料を含むことができ、並びに、マトリックス有益剤コアは、予形成過酸、金属触媒、漂白活性剤、漂白増進剤及び過酸化ジアシルからなる群から選択される材料を含んでよい。 組成物の一態様では、 a)金属触媒は、ジクロロ−1,4−ジエチル−1,4,8,11−テトラアザビシクロ(tetraaazabicyclo)[6.6.2]ヘキサデカンマンガン(II);ジクロロ−1,4−ジメチル−1,4,8,11−テトラアザビシクロ(tetraaazabicyclo)[6.6.2]ヘキサデカンマンガン(II)、及びこれらの混合物からなる群から選択される材料を含んでもよく、 b)漂白増進剤は、2−[3−[(2−ヘキシルドデシル)オキシ]−2−(スルホオキシ)プロピル]−3,4−ジヒドロイソキノリニウム(分子内塩)、3,4−ジヒドロ−2−[3−[(2−ペンチルウンデシル)オキシ]−2−(スルホオキシ)プロピル]イソキノリニウム(分子内塩)、2−[3−[(2−ブチルデシル)オキシ]−2−(スルホオキシ)プロピル]−3,4−ジヒドロイソキノリニウム(分子内塩)、3,4−ジヒドロ−2−[3−(オクタデシルオキシ)−2−(スルホオキシ)プロピル]イソキノリニウム(分子内塩)、2−[3−(ヘキサデシルオキシ)−2−(スルホオキシ)プロピル]−3,4−ジヒドロイソキノリニウム(分子内塩)、3,4−ジヒドロ−2−[2−(スルホオキシ)−3−(テトラデシルオキシ)プロピル]イソキノリニウム(分子内塩)、2−[3−(ドデシルオキシ)−2−(スルホオキシ)プロピル]−3,4−ジヒドロイソキノリニウム(分子内塩)、2−[3−[(3−ヘキシルデシル)オキシ]−2−(スルホオキシ)プロピル]−3,4−ジヒドロイソキノリニウム(分子内塩)、3,4−ジヒドロ−2−[3−[(2−ペンチルノニル)オキシ]−2−(スルホオキシ)プロピル]イソキノリニウム(分子内塩)、3,4−ジヒドロ−2−[3−[(2−プロピルヘプチル)オキシ]−2−(スルホオキシ)プロピル]イソキノリニウム(分子内塩)、2−[3−[(2−ブチルオクチル)オキシ]−2−(スルホオキシ)プロピル]−3,4−ジヒドロイソキノリニウム(分子内塩)、2−[3−(デシルオキシ)−2−(スルホオキシ)プロピル]−3,4−ジヒドロイソキノリニウム(分子内塩)、3,4−ジヒドロ−2−[3−(オクチルオキシ)−2−(スルホオキシ)プロピル]イソキノリニウム(分子内塩)、2−[3−[(2−エチルヘキシル)オキシ]−2−(スルホオキシ)プロピル]−3,4−ジヒドロイソキノリニウム(分子内塩)及びこれらの混合物からなる群から選択される材料を含んでもよく、 c)漂白活性剤は、テトラアセチルエチレンジアミン(TAED);ベンゾイルカプロラクタム(BzCL);4−ニトロベンゾイルカプロラクタム;3−クロロベンゾイルカプロラクタム;ベンゾイルオキシベンゼンスルホネート(BOBS);ノナノイルオキシベンゼンスルホネート(NOBS);安息香酸フェニル(PhBz);デカノイルオキシ安息香酸(DOBA);(6−オクタンアミドカプロイル)オキシベンゼンスルホネート;(6−ノナンアミドカプロイル)オキシベンゼンスルホネート;6−デカンアミドカプロイル)オキシベンゼンスルホネート、及びこれらの混合物からなる群から選択される材料を含んでもよく、 d)予形成過酸は、過硫酸;過ヨウ素酸;過炭酸;過カルボン酸、及び該酸の塩からなる群から選択される材料を含んでもよく、一態様では、過カルボン酸及びその塩は、フタルイミドペルオキシヘキサン酸、1,12−ジペルオキシドデカン二酸;又はモノペルオキシフタル酸(マグネシウム六水和物);アミドペルオキシ酸であってもよく、一態様では、このアミドペルオキシ酸は、N,N’−テレフタロイル−ジ(6−アミノカプロン酸)、ペルオキシこはく酸(NAPSA)又はペルオキシアジピン酸(NAPAA)のいずれかのモノノニルアミド、N−ノナノイルアミノペルオキシカプロン酸(NAPCA)、及びこれらの混合物であってもよく、一態様では、この予形成過酸は、フタルイミドペルオキシヘキサン酸を含み、 e)ジアシルペルオキシドは、ジノナノイルペルオキシド、ジデカノイルペルオキシド、ジウンデカノイルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、ジ−(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)ペルオキシド及びこれらの混合物からなる群から選択される材料を含んでもよく、一態様では、ジアシルペルオキシドは包摂されている。 組成物の一態様では、 a)カプセル剤は2つ又はそれ以上のマトリックス組成物を含んでもよく、2つ又はそれ以上のマトリックス組成物は、カプセルのシェルにより封入され;及び/又は b)組成物は2つ又はそれ以上の異なる種類のカプセル剤を含んでもよい。 組成物の一態様では、カプセル剤は、約0.8〜約1、約0.9〜約1、又は更には約0.95〜約1の安定性指数を有し得る。 組成物の一態様では、カプセル剤は、約0.25〜約1、約0.5〜約1,又は更には約0.85〜約1の放出指数を有し得る。 組成物の一態様では、カプセル剤は、約15:85〜約95:5、約25:75〜約85:15、又は更には約35:65〜約75:25のシェル質量比を有し得る。 組成物の一態様では、組成物は、カプセル剤と補助剤成分とを含む消費者製品であり得る。 組成物の一態様では、組成物は、 a)アニオン性界面活性剤及び/又は非イオン性界面活性剤(一態様ではアニオン性界面活性剤である); b)溶媒(一態様では上記溶媒はブトキシプロポキシプロパノール及び/又はグリセロールを含み得る); c)水(一態様では、組成物の総重量に基づき約10%未満となる); d)外部構造系(一態様では、外部構造系は、多糖類、ジベンジリデンポリオールアセタール誘導体、バクテリアセルロース、細菌由来の被覆セルロース、非高分子結晶性ヒドロキシル官能性材料、ポリマー、アミド系ゲル化剤、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る); e)所望により以下からなる群から選択される1つ以上の材料から選択される材料を含み得る: (i)粘土洗浄ポリマーと適合性のある漂白剤(一態様では、上記粘土洗浄ポリマーと適合性のある漂白剤は、エトキシ化ヘキサメチレンジアミンジメチル第四級アンモニウム化合物、エトキシサルフェート化ヘキサメチレンジアミンジメチル第四級アンモニウム化合物、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る); (ii)増白剤(一態様では、上記増白剤は、4,4’−ビス(2−スルホスチリル)ビフェニル及び/又はビス(スルホベンゾフラニル)ビフェニル二ナトリウムから選択される蛍光増白剤を含み得る); (iii)ビルダー(一態様では、上記ビルダーはクエン酸ナトリウムを含み得る); (iv)キレート化剤(一態様では、上記キレート化剤は1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(HEDP)を含み得る)。 消費者製品の製造方法 カプセル剤を含むカプセル剤組成物を含む消費者製品の製造工程の一態様では、本方法は、約25℃〜約150℃の温度のチャンバ内で、流量フォーカシングノズル(flow focusing nozzle)を使用してマトリックス組成物及びカプセル剤溶液を噴霧してカプセル剤を製造する工程を含み得る。一態様では、流量フォーカシングノズルは、同心ノズルを含む。一態様では、同心ノズルは、約100マイクロメートル〜約500マイクロメートル、又は更には約250マイクロメートル〜約400マイクロメートルの内径を有する。一態様では、同心ノズルは、約200マイクロメートル〜約1,000マイクロメートル、約350マイクロメートル〜約850マイクロメートル、又は更には約500マイクロメートル〜約750マイクロメートルの外径を有し、マトリックス組成物は、溶液の総重量に基づき、 a)約0.01%〜約10%のマトリックスネットワーク材料であって、約150g/mol〜約1500g/mol、約250g/mol〜約1200g/mol、又は更には約500g/mol〜約850g/molの分子量を有する自己組織化マトリックスネットワーク材料からなり、かつ約3.5〜約6又は更には約4.5〜約5.5のpKaを有する、マトリックスネットワーク材料; b)約0.1%〜約35%の塩基(一態様では、このような塩基には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア、酢酸ナトリウム、モノエタノールアミン、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸カリウム、水酸化マグネシウム、及びこれらの混合物が含まれる); c)約0.2%〜約90%のマトリックス有益剤コアであって、予形成過酸、金属触媒、漂白活性剤、漂白増進剤、及び過酸化ジアシル、からなる群から選択される材料を含む有益剤コア; d)第一組成物に対し約0.1〜約35%の緩衝剤又は緩衝剤前駆体(一態様では、このような緩衝剤前駆体は、グルコ−δ−ラクトンを含む)、 を含み、カプセル剤溶液は、封入溶液に懸濁又は溶解させた、溶液の総重量に基づき約2重量〜約20重量%の材料と、1つ又はそれ以上の溶媒とを含む。一態様では、このような溶媒は水、エタノール、アセトン、ジクロロメタン、及びこれらの混合物を含み得る。一態様では、このような材料は、 a)ポリビニルピロリドン(一態様では、このような材料は、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドンスチレンコポリマー、ポリビニルピロリドン酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルピロリドンイミダゾールコポリマー、及びこれらの混合物を含み得る); b)ポリビニルアルコール誘導体(一態様では、このような材料は、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネートコポリマー、一級及び二級アミンを含むモノマーから誘導されるポリビニルアルコールのコポリマー、ポリビニルアルコールイミダゾールコポリマー、及びこれらの混合物を含み得る); c)約0℃〜約120℃、又は更には約20℃〜約60℃の曇点を有するポリマーを含む材料(一態様では、このような材料には、ポリ−(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリ−(ビニルアルコール−co−酢酸ビニル)、ポリ−(アクリルアミド−co−ジアセトンアクリルアミド)又はエチルセルロースが含まれ得る); e)セルロースポリマーを含む材料(一態様では、このような材料には、澱粉、酢酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びこれらの混合物が含まれ、一態様では、このような澱粉には、オクテニルコハク酸デンプン、ヒドロキシエチルデンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、及びこれらの混合物が含まれ得る); f)ワックス(一態様では、このようなワックスは、約35℃〜約75℃の融点を有する); g)非セルロース系天然ポリマー(一態様では、このような材料には、シェラック、ゼイン、及びこれらの混合物が含まれ得る)、 を含んでもよく、所望により、カプセル剤組成物中のカプセル剤数を濃縮させ、1つ以上の追加成分を混合する。 カプセル剤を含むカプセル剤組成物を含む消費者製品の製造方法の一態様では、方法は、エレクトロスピニング針を使用してマトリックス組成物及びカプセル剤溶液を噴霧しカプセル剤を製造する工程を含む。一態様では、エレクトロスピニング針は、同心針を含み得る。一態様では、同心針は、約100マイクロメートル〜約2,000マイクロメートル、又は更には約250マイクロメートル〜約1,000マイクロメートルの内径を有する。一態様では、同心針は、約200マイクロメートル〜約4,000マイクロメートル、約350マイクロメートル〜約1,500マイクロメートル、又は更には約500マイクロメートル〜約1,000マイクロメートルの外径を有し、マトリックス組成物は、溶液の総重量に基づき、 a)約0.01%〜約10%のマトリックスネットワーク材料であって、約150g/mol〜約1500g/mol、約250g/mol〜約1200g/mol、又は更には約500g/mol〜約850g/molの分子量を有する自己組織化マトリックスネットワーク材料からなり、かつ約3.5〜約6又は更には約4.5〜約5.5のpKaを有する、マトリックスネットワーク材料; b)約0.1%〜約35%の塩基(一態様では、このような塩基には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア、酢酸ナトリウム、モノエタノールアミン、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸カリウム、水酸化マグネシウム、及びこれらの混合物が含まれる); c)約0.2%〜約90%のマトリックス有益剤コアであって、予形成過酸、金属触媒、漂白活性剤、漂白増進剤、及び過酸化ジアシル、からなる群から選択される材料を含む有益剤コア; d)第一組成物に対し約0.1〜約35%の緩衝剤又は緩衝剤前駆体、を含む。一態様では、このような緩衝剤前駆体は、グルコ−δ−ラクトンを含む。 カプセル剤溶液は、封入溶液に懸濁又は溶解させた、溶液の総重量に基づき約2重量〜約20重量%の材料と、1つ又はそれ以上の溶媒とを含む。一態様では、このような溶媒は水、エタノール、アセトン、ジクロロメタン、及びこれらの混合物を含み得る。一態様では、このような材料には、 a)ポリビニルピロリドン(一態様では、このような材料は、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドンスチレンコポリマー、ポリビニルピロリドン酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルピロリドンイミダゾールコポリマー、及びこれらの混合物を含み得る); b)ポリビニルアルコール誘導体(一態様では、このような材料は、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネートコポリマー、一級及び二級アミンを含むモノマーから誘導されるポリビニルアルコールのコポリマー、ポリビニルアルコールイミダゾールコポリマー、及びこれらの混合物を含み得る); c)約0℃〜約120℃、又は更には約20℃〜約60℃の曇点を有するポリマーを含む材料(一態様では、このような材料には、ポリ−(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリ−(ビニルアルコール−co−酢酸ビニル)、ポリ−(アクリルアミド−co−ジアセトンアクリルアミド)又はエチルセルロースが含まれ得る); e)セルロースポリマーを含む材料(一態様では、このような材料には、澱粉、酢酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びこれらの混合物が含まれ、一態様では、このような澱粉には、オクテニルコハク酸デンプン、ヒドロキシエチルデンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、及びこれらの混合物が含まれ得る); f)ワックス(一態様では、このようなワックスは、約35℃〜約75℃の融点を有する); g)非セルロース系天然ポリマー(一態様では、このような材料には、シェラック、ゼイン、及びこれらの混合物が含まれ得る)、 所望により、カプセル剤組成物中のカプセル剤数を濃縮させ、1つ以上の追加成分を混合する。 カプセル剤組成物を含む消費者製品の製造方法の一態様では、本方法は、所望によりマイクロデバイスを選択してエマルションを生成する工程を含んでよく、一態様では、マイクロデバイスは、クロスフローメンブレン(cross flow membrane)、及び/又はフローフォーカシング法(flow focusing technology)からなる群から選択され、エマルションは次の成分: a)マトリックス材料及び第一壁材料を含む組成物;及び b)疎水性の液体(一態様では、疎水性の液体は、疎水性溶媒、油、及びこれらの混合物を含む);を含む。一態様では、このような疎水性溶媒は、トルエン、ヘプタン、ヘキサン、クロロホルム、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド、及びこれらの混合物を含む。一態様では、このような油は、鉱油、菜種油、シダー油、コーン油、ホホバ油、ピーナッツ油、オリーブ油、サフラワー油、ヒマワリ種子油、ヒマワリ油、ゴマ油、大豆油、灯油、シリコーン油、及びこれらの混合物を、総壁材料溶液の重量に基づいて含み、 エマルションは、約0℃〜約30℃の温度下で形成され、エマルションの形成は、成分を混合する工程、成分を約2分〜約15分間、約600rpm〜約1500rpmの速度で撹拌する工程、第2の壁材料を添加する工程、成分を乳化させる工程、並びにエマルション及び第2の壁材料を、約150rpm〜約500rpmの速度、約0℃〜約30℃の温度で約15分〜約24時間にわたって撹拌しながら第2の壁材料を反応させる工程、を含み、マトリックス材料と第1壁材料を含む組成物は、マトリックス材料と第1壁材料とを含む総組成物の重量に基づき、 a)約0.01%〜約10%のマトリックスネットワーク材料であって、約150g/mol〜約1,500g/mol、約250g/mol〜約1200g/mol、又は更には約500g/mol〜約850g/molの分子量を有する自己組織化マトリックスネットワーク材料を含み、かつ約3.5〜約6又は更には約4.5〜約5.5のpKaを有する、マトリックスネットワーク材料; b)約0.1%〜約70%の塩基及び/又は親水性モノマー(一態様では、このような親水性モノマーには、ジアミン、トリアミン、ジオール、及びこれらの混合物を含む。一態様では、このようなジアミン及びトリアミンは、ジエチレントリアミン、ヘキサメチレンジアミン、エチレンジアミン、及びこれらの混合物を含み得る。一態様では、このようなジオールは、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1−プロペン−1,3−ジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタノジオール(butanodiol)、1,2−ブタンジオール、3−ブテン−1,2−ジオール、3−ブテン−1,4−ジオール、1,5−ペンタンジオール、1−ペンテン−1,5−ジオール、1,6−ヘキサンジオール、3,4−ジヒドロキシ−3−シクロブテン−1,2−ジオン、5−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−4H−ピラン−4−オン、(2E)−2,3−ジヒドロキシ−2−ブテン二酸水和物、2,3,5,6−テトラヒドロキシベンゾ−1,4−キノン、4,4−ジメチル−1,2−シクロペンタンジオール、3−メチル−1,3,5−ペンタントリオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、(1S,2S)−1,2−シクロペンタンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、及びこれらの混合物を含み得る。一態様では、このような塩基は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア、酢酸ナトリウム、モノエチレンアミン、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸カリウム、水酸化マグネシウム、及びこれらの混合物を含む); a.約0.2%〜約90%のマトリックス有益剤コアであって、予形成過酸、金属触媒、漂白活性剤、漂白増進剤、及び過酸化ジアシル、からなる群から選択される材料を含む有益剤コア; c)約0.1〜約35%の緩衝剤又は緩衝剤前駆体、を含む。一態様では、このような緩衝剤前駆体は、グルコ−δ−ラクトンを含む。 第2の壁材料は、疎水性の液体に懸濁及び/又は溶解させた約2〜約70%の疎水性モノマーを含む。一態様では、このような疎水性モノマーには、ジ及び/又はトリアシルクロリド、ジイソシアナート、ビスクロロホルマート、及びこれらの混合物を含む。一態様では、このようなジ及び/又はトリアシルクロリドには、トリメソイルクロリド、テラフタロイルクロリド(teraphthaloyl chloride)及びこれらの混合物が含まれる。一態様では、このようなジイソシアナートには、1−イソシアナト−4−[(4−フェニルイソシアナト)メチル]ベンゼン、2,4−ジイイソシアナト−1−メチル−ベンゼン、1,6−ジイイソシアナトヘキサン、5−イソシアナト−1−(イソシアナトメチル)−1,3,3−トリメチル−シクロヘキサン、及びこれらの混合物が含まれる。一態様では、このようなビスクロロホルマートは、ビスフェノールAビス(クロロホルマート)、ビスフェノールZビス(クロロホルマート)、及びこれらの混合物を含む。 a.所望により、約0.2%〜約5%の乳化剤であって、約0〜約8、又は更には約2〜約7のHLB(親水性−疎水性バランス/Griffing値)を有する、乳化剤。一態様では、このような乳化剤には、ポリエチレン−ブロック−ポリ(エチレングリコール)、ポリエチレングリコールオレイルエーテル、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、ポリエチレングリコールヘキサデシルエーテル、ポリオキシエチレン(2)ノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(2)イソオクチルフェニルエーテル、ソルビタンモノオレアート、ソルビタンセスキオレアート及びこれらの混合物を含む。 所望により、任意のスカベンジャー剤、中和剤、構造剤、塩及び/又は抗凝集剤を、工程g.)の間、又はその後に第3の組成物と混合し、所望により、一態様では、カプセル剤組成物を噴霧乾燥又は凝集させることにより、カプセル剤組成物中のカプセル剤数を濃縮し、及びカプセル剤組成物を1つ以上の補助剤成分と混合する。 補助剤成分 本発明の目的のために以下に例示される補助剤の非限定的な一覧は、本発明の組成物での使用に好適であり、例えば、性能を補助若しくは向上させるために、洗浄される基材の処理のために、又は香料、着色剤、染料などを用いる場合のように組成物の審美性を変化させるために、望ましくは本発明の特定の実施形態に組み込むことができる。列挙された粒子により、成分に加えこのような補助剤が供給されることが理解される。このような追加成分の正確な性質、及びそれを組み込む濃度は、組成物の物理的形態及び使用されるべき作業の性質に依存する。好適な補助剤物質としては、界面活性剤、ビルダー、キレート化剤、移染抑制剤、分散剤、酵素、及び酵素安定剤、触媒物質、漂白活性化剤、ポリマー系分散剤、粘土及び汚れ除去/再付着防止剤、増白剤、泡抑制剤、染料、追加の香料及び香料送達系、構造弾性化剤、柔軟剤、キャリア、ヒドロトロープ、加工助剤、及び/又は色素が挙げられるが、これらに限定されない。下記開示に加えて、このような他の補助の好適な例、及び使用濃度は、米国特許第5,576,282号、同第6,306,812(B1)号及び同第6,326,348(B1)号に見られ、これらは参照により組み込まれる。 各補助成分は、本出願人らの組成物にとって不可欠なものではない。したがって、本出願人らの組成物の特定の実施形態は、以下の補助材料:漂白活性化剤、界面活性剤、ビルダー、キレート化剤、移染防止剤、分散剤、酵素及び酵素安定剤、触媒金属錯体、ポリマー系分散剤、粘土及び汚れ除去/再付着防止剤、増白剤、泡抑制剤、染料、追加の香料及び香料送達系、構造弾性化剤、柔軟剤、キャリア、向水性物質、加工助剤、並びに/又は顔料の1種以上を含有しない。このような補助剤が、消費者製品を完成させるために、本明細書に開示されるカプセルと組み合わせられる製品マトリクスを形成することができるということが理解される。一般的に、1種以上の補助剤が存在する場合、このような1種以上の補助剤は、以下に詳細に記載されるように存在してもよい。 界面活性剤−本発明による組成物は、界面活性剤又は界面活性剤系を含むことができ、界面活性剤は、非イオン性及び/若しくはアニオン性及び/若しくはカチオン性界面活性剤並びに/又は両性及び/若しくは双極性及び/若しくは半極性非イオン性界面活性剤から選択できる。界面活性剤は、典型的には洗浄組成物の約0.1重量%から、約1重量%から、又は更には約5重量%から、洗浄組成物の約99.9重量%まで、約80重量%まで、約35重量%まで、又は更には約30重量%までの濃度で存在する。 構造剤−好適な構造剤の非限定例としては次のものが挙げられる: i.ジベンジリデンポリオールアセタール誘導体 液体洗剤組成物は、約0.01重量%〜約1重量%、又は約0.05%〜約0.8%、又は0.1%〜約0.6%、又は更には約0.3%〜約0.5%のジベンジリデンポリオールアセタール誘導体(DBPA)を含み得る。好適なDBPA分子の非限定例としては、米国特許出願第61/167604号に開示のものが挙げられる。一態様では、DBPA誘導体は、ジベンジリデンソルビトールアセタール誘導体(DBS)を含んでもよい。DBS誘導体は、1,3:2,4−ジベンジリデンソルビトール;1,3:2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトール;1,3:2,4−ジ(p−クロロベンジリデン)ソルビトール;1,3:2,4−ジ(2,4−ジメチルジベンジリデン)ソルビトール;1,3:2,4−ジ(p−エチルベンジリデン)ソルビトール;及び1,3:2,4−ジ(3,4−ジメチルジベンジリデン)ソルビトール、又はこれらの混合物からなる群から選択され得る。これらの、及びその他の好適なDBS誘導体は、米国特許第6,102,999号、第2段第43行〜第3段第65行に開示される。 ii.細菌セルロース 流体洗剤組成物はまた、約0.005重量%〜約1.0重量%のバクテリアセルロースネットワーク構造を含んでもよい。用語「バクテリアセルロース」は、CPKelco U.S.によるCELLULON(登録商標)などのアセトバクター属のバクテリアの発酵により生産された任意の種類のセルロースを包含し、かつ、ミクロフィブリル化セルロース、ネットワーク状バクテリアセルロース等と一般に称される材料を含む。好適なバクテリアセルロースの一部の例は、米国特許第6,967,027号;同第5,207,826号;同第4,487,634号;同第4,373,702号;同第4,863,565号及び米国特許出願公開第2007/0027108号に見ることができる。一態様では、繊維は1.6nm〜3.2nm×5.8nm〜133nmの断面積を有する。加えて、バクテリアセルロース繊維は、少なくとも約100nm、又は約100〜約1,500nmの平均微小繊維長を有する。一態様では、バクテリアセルロース微小繊維は、約100:1〜約400:1、又は更には約200:1〜約300:1の縦横比、すなわち平均微小繊維長を微小繊維の最長断面幅で除したものを有する。 iii.被覆バクテリアセルロース 一態様では、バクテリアセルロースは少なくとも部分的に高分子系増粘剤で被覆される。少なくとも部分的に被覆されたバクテリアセルロースは、米国特許出願公開第2007/0027108号の第8〜19段落に開示される方法に従って調製することができる。一態様では、少なくとも部分的に被覆されたバクテリアセルロースは、約0.1重量%〜約5重量%、又は更には約0.5重量%〜約3.0重量%のバクテリアセルロースと、約10重量%〜約90重量%の高分子系増粘剤とからなる。好適なバクテリアセルロースとしては、前述のバクテリアセルロースが挙げられ、好適な高分子増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース、カチオン性ヒドロキシメチルセルロース、及びこれらの混合物が挙げられる。 iv.非高分子結晶質ヒドロキシル官能性物質 一態様では、組成物には、組成物の約0.01〜約1重量%の非高分子結晶性ヒドロキシル官能性構造剤を更に含ませることもできる。このような非ポリマー結晶性ヒドロキシル官能性構造化剤は、一般に、最終流体洗剤組成物中への分散を補助するために、予め乳化が可能な結晶化可能グリセリドを含む。一態様では、好適な結晶化可能なグリセリドとしては、液体洗剤組成物内で結晶化させることができるという条件で、硬化ヒマシ油つまり「HCO」又はその誘導体が挙げられる。 v.高分子構造剤 本発明の流体洗剤組成物には、約0.01重量%〜約5重量%の天然由来及び/又は合成ポリマー構造化剤を含有させることができる。本発明で使用する、天然由来のポリマー構造化剤の例としては:ヒドロキシエチルセルロース、疎水変性ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、多糖誘導体、及びこれらの混合物が挙げられる。好適な多糖誘導体としては:ペクチン、アルギン酸塩、アラビノガラクタン(アラビアゴム)、カラギーナン、ジェランガム、キサンタンガム、グアーガム及びこれらの混合物が挙げられる。本発明で使用する合成高分子系構造剤の例としては:ポリカルボキシレート、ポリアクリレート、疎水変性エトキシル化ウレタン、疎水変性非イオン性ポリオール、及びこれらの混合物が挙げられる。一態様では、ポリカルボキシレートポリマーは、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、又はこれらの混合物である。別の態様では、ポリアクリレートは、不飽和モノ−又はジ−カルボン酸と(メタ)アクリル酸のC1〜C30アルキルエステルとのコポリマーであってよい。コポリマーは、Noveon incから商品名カーボポールAqua 30として入手可能である。 vi.ジアミド系ゲル化剤 一態様では、外部構造化系は、150g/モル〜1,500g/モル、又は500g/モル〜900g/モルの分子量を有するジアミド系ゲル化剤を含んでもよい。このようなジアミドゲル化剤は、少なくとも2個の窒素原子を含み、その場合、この少なくとも2個の窒素原子は、アミド官能性置換基を形成する。一態様では、アミド基は異なっている。別の態様では、アミド官能基は同じである。ジアミドゲル化剤は、以下の式を有する: (式中、 R1及びR2はアミノ官能性末端基、又は更にはアミド官能性末端基であり、一態様では、R1及びR2には、pH調整可能な基を含ませることもでき、pH調整可能なアミド系ゲル化剤は、約1〜約30、又は更には約2〜約10のpKaを有し得る)。一態様では、pH調整可能な基にはピリジンが含まれ得る。一態様では、R1及びR2は異なる場合がある。別の態様では、同じである場合がある。 Lは、14〜500g/モルの分子量の、連結部である。一態様では、Lは、2〜20炭素原子を含む炭素鎖を含み得る。別の態様では、Lは、pH調整可能な基を含み得る。一態様では、pH調整可能な基は二級アミンである。 一態様では、R1、R2又はLのうち少なくとも1つは、pH調整可能な基を含み得る。 ジアミドゲル化剤の非限定的な例は以下のとおり: N,N’−(2S,2’S)−1,1’−(ドデカン−1,12−ジイルビス(アザンジイル))ビス(3−メチル−1−オキソブタン−2,1−ジイル)ジイソニコチンアミド ジベンジル(2S,2’S)−1,1’−(プロパン−1,3−ジイルビス(アザンジイル))ビス(3−メチル−1−オキソブタン−2,1−ジイル)ジカルバマート ジベンジル(2S,2’S)−1,1’−(ドデカン−1,12−ジイルビス(アザンジイル))ビス(1−オキソ−3−フェニルプロパン−2,1−ジイル)ジカルバマート ビルダー−本発明の組成物は、1つ以上の洗剤ビルダー又はビルダー系を含むことができる。存在する場合、本組成物は典型的には、少なくとも約1重量%のビルダー、又は約5重量%又は10重量%から約80重量%まで、50重量%まで、又は更には30重量%までのこのようなビルダーを含む。ビルダーとしては、ポリホスフェートのアルカリ金属、アンモニウム及びアルカノールアンモニウム塩、アルカリ金属ケイ酸塩、アルカリ土類及びアルカリ金属炭酸塩、アルミノシリケートビルダー、ポリカルボキシレート化合物、エーテルヒドロキシポリカルボキシレート、無水マレイン酸とエチレン又はビニルメチルエーテルとのコポリマー、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン−2,4,6−トリスルホン酸、及びカルボキシメチルオキシコハク酸、エチレンジアミン四酢酸及びニトリロ三酢酸のようなポリ酢酸の種々のアルカリ金属、アンモニウム及び置換アンモニウム塩、並びにメリット酸、コハク酸、オキシジコハク酸、ポリマレイン酸、ベンゼン1,3,5−トリカルボン酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、及びそれらの可溶性塩のようなポリカルボン酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。 キレート化剤−本明細書の組成物はまた、所望により1つ以上の銅、鉄、及び/又はマンガンキレート化剤を含有してもよい。使用される場合、キレート化剤は、一般に、本明細書の組成物の約0.1重量%〜約15重量%、又は更には本明細書の組成物の約3.0重量%〜約15重量%を構成する。 移染防止剤−本発明の組成物はまた、1つ以上の移染防止剤を含んでもよい。好適な高分子移染防止剤としては、ポリビニルピロリドンポリマー、ポリアミンN−オキシドポリマー、N−ビニルピロリドンとN−ビニルイミダゾールのコポリマー、ポリビニルオキサゾリドン及びポリビニルイミダゾール又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書の組成物中に存在する場合、移染防止剤は、洗浄組成物の約0.0001重量%から、約0.01重量%から、約0.05重量%から、洗浄組成物の約10重量%まで、約2重量%まで、又は更には約1重量%までの濃度で存在する。 分散剤−本発明の組成物はまた、分散剤を含むことができる。好適な水溶性有機材料は、ホモポリマー又はコポリマーの酸又はそれらの塩であり、それらのうちのポリカルボン酸は、互いに炭素原子2個を超えない程度に離れている少なくとも2個のカルボキシル基を含み得る。 酵素−組成物は、洗浄性能効果、及び/又は布地ケア効果をもたらす1つ以上の洗浄性酵素を含むことができる。好適な酵素の例としては、ヘミセルラーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、ケラタナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、β−グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、及びアミラーゼ、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。典型的な組み合わせは、プロテアーゼ、リパーゼ、クチナーゼ、及び/又はセルラーゼのような従来の適用可能な酵素をアミラーゼと組み合わせた混液である。 酵素安定剤−組成物において、例えば洗剤において使用するための酵素は、様々な技術によって安定化可能である本明細書に用いられる酵素は、カルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンを酵素に供給する、最終組成物中のカルシウム及び/又はマグネシウムイオンの水溶性供給源の存在によって安定化させることができる。 触媒金属錯体−本出願人らの組成物は、触媒金属錯体を包含してもよい。金属含有漂白触媒の1つの種類は、銅、鉄、チタン、ルテニウム、タングステン、モリブデン、又はマンガンのカチオンのような、限定された漂白触媒活性の遷移金属カチオン、亜鉛又はアルミニウムのカチオンのような、漂白触媒活性をほとんど又は全く有さない補助金属カチオン、並びに触媒金属及び補助金属のカチオンに対して規定された安定度定数を有する金属イオン封鎖剤(sequestrate)、特にエチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)及びこれらの水溶性塩を含む触媒系である。このような触媒は、米国特許第4,430,243号に開示される。 所望する場合、本明細書の組成物はマンガン化合物を用いて触媒可能である。このような化合物及び使用濃度は当該技術分野で周知であり、例えば、米国特許第5,576,282号に開示されるマンガン系触媒が挙げられる。 本明細書において有用なコバルト漂白触媒は既知であり、例えば、米国特許第5,597,936号及び同第5,595,967号に記載されている。このようなコバルト触媒は、既知の手順、例えば、米国特許第5,597,936号及び第5,595,967号において教示されているような手順によって容易に製造される。 本明細書における組成物は、「MRL」と略される大多環状の剛性配位子の遷移金属錯体も好適に含み得る。実際には、限定目的ではないが、本明細書における組成物及び洗浄方法は、水性の洗浄媒質内において少なくともおよそ1憶分の1部の有益剤MRL種を提供するように調整することができ、約0.005ppm〜約25ppm、約0.05ppm〜約10pm、更には約0.1ppm〜約5ppmのMRLを洗浄溶液中に提供するよう調整できる。 本遷移金属漂白剤触媒中の好適な遷移金属としては、マンガン、鉄、及びクロムが挙げられる。本明細書における好適なMRLは、架橋した特定の種類の超剛性配位子、例えば、5,12−ジエチル−1,5,8,12−テトラアザビシクロ[6.6.2]ヘキサデカンである。 好適な遷移金属MRLは、既知の手順、例えば、国際特許第WO 00/32601号及び米国特許第6,225,464号で教示されているような手順によって容易に製造される。 使用方法 本明細書に開示されている特定の消費者製品は、部位を、とりわけ、表面又は布地を、洗浄又は処理するために使用することができる。典型的には、未希釈形態の又は液体(例えば洗浄液)に希釈した本願の消費者製品の実施形態と、このような部位の少なくとも一部を接触させ、そして所望によりその部位を洗浄し及び/又はすすぐことができる。一態様では、所望により部位を洗浄し及び/又はすすぎ、消費者製品の態様と接触させた後に、所望により洗浄し及び/又はすすぐ。本発明の目的に関して、洗浄としては、限定するものではないが、こすり洗い及び機械的撹拌が挙げられる。布地は、標準的な消費者の使用条件で洗濯又は処理することが可能な大部分の任意の布地を含んでよい。開示される組成物を含み得る液体は、約3〜約11.5のpHを有してよい。こうした組成物は、典型的には溶液中で約500ppm〜約15,000ppmの濃度で使用される。洗浄溶媒が水であるとき、水温は、典型的には、約5℃〜約90℃であり、部位が布地を含むとき、水と布地との割合は、典型的には、約1:1〜約30:1である。 前述の方法の1種以上を採用することで、部位処理が得られる。 試験方法 本出願の「試験方法」の項で開示される試験方法は、本出願人らの発明が本明細書に記載され、特許請求されているように、本出願人らの発明のパラメータの各値を求めるために使用されるべきであると理解される。 (1)1〜500マイクロメートルの範囲の粒子を含有しているスラリー/液体の平均粒径。 粒子の平均粒径は、Mettler−Toledo,Inc.(1900 Polaris Parkway,Columbus,OH,43240,US)により供給されているLasentec M500L−316−Kを用いて測定する。この設備は、2000年2月発行のLasentecマニュアルに記載されている通りに設定する(Lasentec,FBRM Control Interface,version 6.0)。ソフトウェアのセットアップ及びサンプルの解析は、Windowsのソフトウェア(Windows XP,version 2002)を用い、WINDOWSのマニュアルに従って実施した。粒子が固形粒子として回収された場合、粒子は脱イオン水に不均一に分散しているため、試験を実施することができる。 (2)有益剤放出試験 必要とされる材料及び装置: 1.launder−o−meter(launder−o−meterの手順は、AATCCの技術マニュアルに記載されている) 2.JAOCS,Vol.66,n.1(1989年1月)に記載のような、汚れた布地、10×10cm試験片 3.直径6mmのスチールボール50個のキャニスター 4.工業用水(硬度2.5mmol/L) 5.有益剤を含むコアを有する粒子を含有している洗剤組成物 手順: ステンレス製のlaunder−o−meter容器を用意し、30℃の水250mLと、有益剤を含有している粒子を含有している液体洗剤組成物2.5グラムと、汚れた10×10cm布地試験片3枚と、50個のスチールボールとを入れる。容器をlaunder−o−meter内に配置し、42rpmで40分間回転させた。有益剤の分析測定のために5分毎に試験片を回収する。下記に列挙される適用可能なプロトコルにより分析が実施される: A.予形成過酸及び漂白活性化剤の分析試験:液体漂白剤中の過酸化水素は、酸性化させたヨウ化カリウム溶液からヨウ素を遊離させる。チオ硫酸標準液を用い、遊離ヨウ素を電位差滴定する。 漂白成分+2I−+2H+→I2+2H2O [1] I2+I−⇔I3− [2] I3−+2S2O32−→3I−+s4O6 [3] 漂白成分は、漂白活性化剤から生じた、予形成された過酸又は過酸であり得る。この方法は漂白剤の総量を測定する。過酸化水素と反応することで漂白活性化剤から漂白剤が生じる場合、過酸が生じた後にカタラーゼを添加する必要がある。カタラーゼは過酸には影響せずに過酸化水素のみを破壊する。更なる分析に際して、過酸のみが存在することになる。 機器: ・PCに接続した自動滴定装置(fe Metrohm 809) ・酸化還元電極(fe Metrohm 6.0431.100) 化学物質: ・氷酢酸(VWR 1.00063) ・KI 3 M(Sigma Aldrich 35175) ・Na2S2O3 0.01N(38243,Sigma Aldrich) ・ウシ肝臓由来のカタラーゼ(Fluka Biochemica 60640±260000U/mL) ・10%過炭酸ナトリウム水溶液この溶液の調製のために、連続的に撹拌しながら100グラムの炭酸ナトリウム(VWR ALFAA16045)を900mLの脱イオン水に加えた。 手順: 1.追加の過酸化水素の非存在下での予形成過酸: a.試料の重量xグラムは0.05〜1.グラムの予形成過酸を得ることを目的とする重量である。 b.水50mLを加える。 c.酢酸10mLを加える。 d.1分間にわたって撹拌する。 e.KI溶液4mLを加える。 f.酸化還元電極を用いて、第一当量点までNa2S2O3について滴定する。 g.過酸化物/過酸の放出指数を算出する: 式中、VはmLで測定された容量であり、Nはチオ硫酸ナトリウム溶液の規定度であり、Mwは予形成過酸の分子量であり、Gは純度100%の、予形成過酸の重量に基づくグラムである。 2.その場で形成された過酸(過酸化水素と漂白活性化剤のその場での反応) a.0.05〜1グラムの漂白活性剤を有するようにxグラムの試料を計量する。 b.過炭酸塩溶液50mLを加える。 c.10分にわたって撹拌する(過酸を形成させる)。 d.カタラーゼ0.5mLを加える。 e.少なくとも1分にわたって撹拌する(最大5分) f.酢酸10mLを加える。 g.KI溶液4mLを加える。 h.酸化還元電極を用いて、第一当量点までNa2S2O3について滴定する。 i.過酸の放出指数を算出する: 式中、VはmLで測定された容量であり、Nはチオ硫酸ナトリウム溶液の規定度であり、Mwは漂白活性剤の分子量であり、Gは純度100%の、漂白活性剤の重量に基づくグラムである。 B.金属触媒に関する分析試験:光分析法 特定の色素を用いる比色分析反応により、漂白触媒の活性を測定する。 a.較正曲線の作成:脱イオン水中の、金属触媒をXppm含有している粒子は加えずに、実施例4、5、及び6に記載のような10,000ppmの洗剤溶液40μLをChicago sky blue試薬150μLに加え、37℃で3分にわたってインキュベートした(下表を参照のこと)。インキュベート後に、600nmにて、溶液の洗剤及び色素を吸光度測定する(Abs 1)。過酸化水素試薬60μLを溶液に加え、37℃にて30分にわたってインキュベートする。インキュベート後に、この溶液の吸光度を600nmにて測定する(Abs 2)。下表のように、異なる濃度の金属触媒について、この操作を繰り返す: 最終的な吸光度(Abs 2)から開始測定吸光度(Abs 1)を減算し、較正曲線(多項式フィット)をプロットした。 b.サンプリングした洗浄溶液40μLを測定し、較正曲線を用いることにより、洗浄時の金属触媒濃度を決定する。 c.放出指数の決定: 式中、C洗浄は洗浄液中で測定される濃度(ppm)であり、C全量は洗浄液中の金属触媒の総量(全封入量)(ppm)である。 C.漂白増進剤に関する分析試験:イソキノリニウム類材料及び活性中間体は、質量分析法により測定できる。個々の分子の応答に基づき陽イオン又は陰イオンで行うエレクトロスプレー質量分析を使用して、イソキノリニウム及び酸化中間体を測定する。直接導入するか又は希釈試料を別個に導入するか(フローインジェクション分析)のいずれかにより、MS分析を実施する。HPLCによる分離は必要とされない。 a.溶離剤:アセトニトリル:水(1/1)+1mmol酢酸アンモニウム。 b.最高感度を得るために、装置の設定は個々の分子について最適化する。 c.続いて選択的なイオンモード(selective ion mode)又は複数の反応モニタリング(multiple reaction monitoring)のいずれかで、測定を実施する。 d.1/1のアセトニトリル/水+1mmol酢酸アンモニウムで試料を希釈する。希釈係数はイソキノリニウム濃度に依存して決まる。 e.MS設定:陽イオンモード又は陰イオンモードのいずれかでのエレクトロスプレー。フルスキャンの収集が所望される場合、両方のスキャンモードを交替する。 金属触媒について上記されるものと同様の式を用い、放出指数を算出する。 D.ジアシル過酸化物に関する分析試験:HPLC分離後に電気化学的な検出を行うことにより、ジアシル過酸化物を測定する。分離には短鎖用RPカラム(5μm、250mm×4.6mm)を用いる。代表的な溶離液は、0.0025Mのリン酸二水素アンモニウムを添加した水/アセトニトリル(250mL/850mL)である。流速は1.0mL/分に設定し、DC電流測定又は熱量測定により検出を行う。分析に先立ち、90%アセトニトリル及び10%氷酢酸比の、アセトニトリルと氷酢酸との混合物に試料を希釈する。金属触媒について上記されるものと同様の式を用い、放出指数を算出する。 (3)保管に対する有益剤の安定度指数の決定 洗濯洗剤組成物中のこれらの有益剤を含有している粒子の保管時に残存する有益剤の量は、粒子を液体洗剤組成物から濾別し、この粒子を破断させて有益剤を放出させ、以下に記載のような標準的な分析法を用い、保管時に残存する有益剤の量を分析することで決定できる。 条件安定性試験:1%の有益剤を粒子形態で含有する試料を、洗濯洗剤組成物中で30℃で7日間保管する。 濾過:30℃にて7日間経過後、8マイクロメートルのフィルタ(Whatman Int.LTD,VWRにより供給)を用い試料を濾過する。粒子を3mLの水で2度すすぎ洗いする。 有益剤を放出させるための粒子の破断:粒子を含有させた濾紙を250mLのガラス製ポットに入れ、100mLの脱イオン水を加える。直径4cm(Imes,Belgium)の金属製のボールをガラス製ポットに入れ、ガラス製ポットに蓋をする。粒子を含有させた混合物を、恒温振盪機内で、45℃にて1時間にわたって135rpm(Thermo shaker THO 5,Gerhardt)で保持し、有益剤を完全に放出させる。 安定性指数の決定:以下に記載の分析法に従い、有益剤を分析する。 A.予形成過酸及び漂白活性化剤の分析試験:液体漂白剤中の過酸化水素は、酸性化させたヨウ化カリウム溶液からヨウ素を遊離させる。チオ硫酸標準液を用い、遊離ヨウ素を電位差滴定する。 漂白成分+2I−+2H+→I2+2H2O [1] I2+I−⇔I3− [2] I3−+2S2O32−→3I−+s4O6 [3] 漂白成分は、漂白活性化剤から生じた、予形成された過酸又は過酸であり得る。この方法は漂白剤の総量を測定する。過酸化水素と反応することで漂白活性化剤から過酸が生じる場合、過酸が生じた後にカタラーゼを添加する必要がある。カタラーゼは過酸には影響せずに過酸化水素のみを破壊する。更なる分析に際して、過酸のみが存在することになる。 機器: ・PCに接続した自動滴定装置(fe Metrohm 809) ・酸化還元電極(fe Metrohm 6.0431.100) 化学物質: ・氷酢酸(VWR 1.00063) ・KI 3 M(Sigma Aldrich 35175) ・0.1NのNa2S2O3(VWR 1.09147) ・ウシ肝臓由来のカタラーゼ(Fluka Biochemica 60640±260000U/mL) ・10%過炭酸ナトリウム水溶液この溶液の調製のために、連続的に撹拌しながら100グラムの炭酸ナトリウム(VWR ALFAA16045)を900mLの脱イオン水に加えた。 手順: 3.追加の過酸化水素の非存在下での予形成過酸: a.予形成過酸が0.5〜1グラム含まれるように、xグラムの試料(経時処理した後に破断させた粒子)を量り取る。 b.水50mLを加える。 c.酢酸10mLを加える。 d.1分間にわたって撹拌する。 e.KI溶液4mLを加える。 f.酸化還元電極を用いて、第一当量点までNa2S2O3について滴定する。 g.過酸化物/過酸の安定性指数を算出する: 式中、VはmLで測定された容量であり、Nはチオ硫酸ナトリウム溶液の規定度であり、Mwは予形成過酸の分子量であり、Gは純度100%の、予形成過酸の重量に基づくグラムである。 4.その場で形成された過酸(過酸化水素と漂白活性化剤のその場での反応) a.漂白活性剤が0.5〜1グラム含まれるように、xグラムの試料(経時処理した後に破断させた粒子)を量り取る。 b.過炭酸塩溶液50mLを加える。 c.10分にわたって撹拌する(過酸を形成させる)。 d.カタラーゼ0.5mLを加える。 e.少なくとも1分にわたって撹拌する(最大5分) f.酢酸10mLを加える。 g.KI溶液4mLを加える。 h.酸化還元電極を用いて、第一当量点までNa2S2O3について滴定する。 i.過酸の安定性指数の算出: 式中、VはmLで測定された容量であり、Nはチオ硫酸ナトリウム溶液の規定度であり、Mwは漂白活性剤の分子量であり、Gは純度100%の、漂白活性剤の重量に基づくグラムである。 B.金属触媒に関する分析試験:光分析法 特定の色素を用いる比色分析反応により、漂白触媒の活性を測定する。 a.較正曲線の作成:脱イオン水中の、金属触媒をXppm含有している粒子は加えずに、実施例4、5、及び6に記載の様な10,000ppmの洗剤溶液40μLをChicago sky blue試薬150μLに加え、37℃で3分にわたってインキュベートした(下表を参照のこと)。インキュベート後に、600nmにて、洗剤及び色素の溶液を吸光度測定する(Abs 1)。過酸化水素試薬60μLを溶液に加え、37℃にて30分にわたってインキュベートする。インキュベート後に、この溶液の吸光度を600nmにて測定する(Abs 2)。下表のように、異なる濃度の金属触媒について、この操作を繰り返す: 最終的な吸光度(Abs 2)から開始測定吸光度(Abs 1)を減算し、較正曲線(多項式フィット)をプロットした。 b.経時処理した後に破断させた粒子40μLを測定し、較正曲線を用いることにより、洗浄時の金属触媒濃度を決定する。 c.安定性指数の決定: C経時処理した粒子は、液体洗剤組成物中にppm濃度で保管した後に粒子内部に存在していることが確認された金属触媒の濃度であり、かつC全量は、液体洗剤組成物中のppmでの金属触媒の総量(総封入量)である。 C.漂白増進剤に関する分析試験:イソキノリニウム類材料及び活性中間体は、質量分析法により測定できる。個々の分子の応答に基づき陽イオン又は陰イオンで行うエレクトロスプレー質量分析を使用して、イソキノリニウム及び酸化中間体を測定する。直接導入するか又は希釈試料を別個に導入するか(フローインジェクション分析)のいずれかにより、MS分析を実施する。HPLCによる分離は必要とされない。 f.溶離剤:アセトニトリル:水(1/1)+1mmol酢酸アンモニウム。 g.最高感度を得るために、装置の設定は個々の分子について最適化する。 h.続いて選択的なイオンモード(selective ion mode)又は複数の反応モニタリング(multiple reaction monitoring)のいずれかで、測定を実施する。 i.1/1のアセトニトリル/水+1mmol酢酸アンモニウムで試料を希釈する。希釈係数はイソキノリニウム濃度に依存して決まる。 j.MS設定:陽イオンモード又は陰イオンモードのいずれかでのエレクトロスプレー。フルスキャンの収集が所望される場合、両方のスキャンモードを交替する。 金属触媒について上記されるものと同様の式を用い、安定性指数を算出する。 D.ジアシル過酸化物に関する分析試験:HPLC分離後に電気化学的な検出を行うことにより、ジアシル過酸化物を測定する。分離には短鎖用RPカラム(5μm、250mm×4.6mm)を用いる。代表的な溶離液は、0.0025Mのリン酸二水素アンモニウムを添加した水/アセトニトリル(250mL/850mL)である。流速は1.0mL/minに設定し、DC電流測定又は熱量測定により検出を行う。分析に先立ち、90%アセトニトリル及び10%氷酢酸比の、アセトニトリルと氷酢酸との混合物に試料を希釈する。金属触媒について上記されるものと同様の式を用い、安定性指数を算出する。 (4)液体洗剤組成物のpH測定 液体洗剤組成物のpH測定は、試験方法EN 1262を用いて測定され得る。 (5)最小ゲル化濃度(MGC) R.G.Weiss,P.Terech;「Molecular Gels:Materials with self−assembled fibrillar structures」2006 springer,p 243に基づいた管反転法(tube inversion method)によって、MGCを計算する。MGCを判定するために、スクリーニングを3回行う。 a)1回目のスクリーニング:pH調整可能なアミドゲル化剤濃度を、目標のpHにおいて、0.5重量%から5.0重量%まで0.5重量%ずつ段階的に増加させて、数個のバイアルを準備する。 b)どの区間でゲルが形成されるか判定する(ある転化したサンプルは依然として流動しており、次のサンプルは既に堅いゲルである)。5%でゲルが形成されない場合は、より高濃度を用いる。 c)2回目のスクリーニング:1回目のスクリーニングで判定された間隔内でpH調整可能なアミドゲル化剤濃度を0.1重量%ずつ段階的に増加させて、数個のバイアルを準備する。 d)どの区間でゲルが形成されるか判定する(ある転化したサンプルは依然として流動しており、次のサンプルは既に堅いゲルである)。 e)3回目のスクリーニング:非常に正確なパーセンテージのMGCを得るために、2回目のスクリーニングで判定された間隔内で0.025重量%ずつ段階的に増加させて、目標pHで3回目のスクリーニングを実施する。 f)最小ゲル化濃度(MGC)は、3回目のスクリーニングでゲルを形成する(転化サンプルの流動がない)最も低い濃度である。 各スクリーニングの際、サンプルは次の通りに調製し及び処理する:8mLバイアル瓶(テフロン製の蓋を取り付けたBorosilacateガラスバイアル瓶、製品番号B7857D,Fisher Scientific Bioblock)に、MGCの測定が望まれ、対象とするpHを有する2.0000±0.0005g(KERN ALJ 120−4:±0.1mgの精度の化学天秤)の水を充填する。バイアルをスクリューキャップで密封し、固形分を液体に分散させるために超音波槽(Elma Transsonic T 710 DH、40kHz、9.5L、25℃、100%の出力で動作される)の中に10分間置く。次に、バイアルをヒートガン(Bosch PHG−2)を使用して加熱し、ゆっくりと機械的に撹拌することによって、完全溶解を達成する。完全に透明な溶液を観察すること重要である。バイアルを注意深く取り扱う。バイアルは高温に耐えるように製造されているが、高圧溶媒はバイアルを破裂させる可能性がある。バイアルを恒温槽(コントローラCC2を備えた適合性のある制御用サーモスタット、D77656、Huber)の中で10分間、25℃まで冷却する。バイアルを反転させ、1分間反転させたまま放置した後、どのサンプルが流動していないかを観察する。3回目のスクリーニング後、この時間の後に流動していないサンプルの濃度がMGCである。当業者にとって、加熱中に溶媒蒸気が形成され、サンプルを冷却する際にこれらの蒸気がゲルの上部に凝縮する可能性があることは明白である。バイアルを反転させるとき、この凝縮した蒸気が流れることになる。観察期間中、これを考慮に入れない。濃度間隔の間にゲルが得られない場合は、より高い濃度を評価する必要がある。 本発明の特定の実施形態が例示され記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を添付の特許請求の範囲で扱うものとする。 実施例1:噴霧乾燥粒子の製造 マトリックス組成物:1.25グラムの(6S,19S)−6,19−ジイソプロピル−4,7,18,21−テトラオキソ−5,8,17,20−テトラアザテトラコサン−1,24−二酸を0.5mLの50%水酸化ナトリウム溶液(Reference 415413,Sigma−Aldrich)に加え、第一組成物を調製する。次に、meso−5,5,7,12,12,14−ヘキサメチル−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン、及びラセミ−5,5,7,12,12,14−ヘキサメチル−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカンリガンドなどの1.83グラムのマンガン錯体を、43.92グラムの脱塩水に溶解させ、第2の溶液を製造する。45℃に加熱しながら第一組成物に第二溶液を加え、(6S,19S)−6,19−ジイソプロピル−4,7,18,21−テトラオキソ−5,8,17,20−テトラアザテトラコサン−1,24−二酸が完全に溶解するまで混合する。次に、2.5グラムのD−(+)−グルコン酸δ−ラクトン(Reference G4750,Sigma Aldrich)を加え、完全に溶解するまで混合したら、約30分間でゲル化が生じることから直ちに噴霧した。 シェル組成物:30:70のメチルセルロース:ポリビニルアルコール2.5%水性溶液を次の通りに調製する:0.75グラムのメチルセルロース(Reference M7140,Sigma−Aldrich)と1.75グラムのポリビニルアルコール(Reference 360627,Sigma−Aldrich)を97.5グラムの脱塩水に溶解させる。 内径500μmかつ外径800μmの同心の流量フォーカシングノズルによる噴霧乾燥:流量10mL/時間で内側ノズルを通してマトリックス組成物を噴霧し、流量40mL/時間で外側ノズルを通してシェル組成物を噴霧して、コア−シェルカプセル剤を得る。150℃かつ空気流量0.3m3/分で粒子を乾燥させた。 実施例2:噴霧乾燥粒子の製造 マトリックス組成物:1.25グラムの(6S,19S)−6,19−ジイソプロピル−4,7,18,21−テトラオキソ−5,8,17,20−テトラアザテトラコサン−1,24−二酸を0.5mLの50%水酸化ナトリウム溶液(Reference 415413,Sigma−Aldrich)に加え、第一組成物を調製する。次に、43.92グラムの0.1%キサンタンガム水溶液(CP Kelcoの0.1グラムのキサンタンガムKelzan ASX−Tを99.9グラムの脱塩水に加え、完全に溶解するまで混合する)を加え、組成物が45℃になるまで加熱し、(6S,19S)−6,19−ジイソプロピル−4,7,18,21−テトラオキソ−5,8,17,20−テトラアザテトラコサン−1,24−二酸が完全に溶解するまで混合する。次に、1.83グラムの微粉化N,N,N’,N’−テトラアセチルエチレンジアミン−TAED−(製品番号L04353,Alfa Aesar,99%の粒子が5マイクロメートル未満の粒径を有するよう微粉化する)を第一組成物に分散する。最後に、2.5グラムのD−(+)−グルコン酸δ−ラクトン(Reference G4750,Sigma Aldrich)を加え、完全に溶解するまで混合したら、約30分間でゲル化が生じることから直ちに噴霧した。 シェル組成物:30:70のメチルセルロース:ポリビニルアルコール2.5%水性溶液を次の通りに調製する:0.75グラムのメチルセルロース(Reference M7140,Sigma−Aldrich)と1.75グラムのポリビニルアルコール(Reference 360627,Sigma−Aldrich)を97.5グラムの脱塩水に溶解させる。 内径500μmかつ外径800μmの同心の流量フォーカシングノズルによる噴霧乾燥:流量5.6mL/時間で内側ノズルを通してマトリックス組成物を噴霧し、流量24.4mL/時間で外側ノズルを通してシェル組成物を噴霧して、コア−シェルカプセル剤を得る。100℃かつ空気流量0.3m3/分で粒子を乾燥させた。 カプセル剤を含む生成物処方の非限定例を次表に要約する。 実施例3、4及び5:液体単位投与 以下のものは、液体組成物がPVAフィルム内に封入される単位容量の実施例である。本実施例で使用されるフィルムは、厚さ76μmのMonosol M8630である。 1 −NHあたり20個のエトキシル基を有するポリエチレンイミン(MW=600)。 2 RA=アルカリ保存性(NaOHのg/投与量) 1 −NHあたり20個のエトキシル基を有するポリエチレンイミン(MW=600)。 2 PG617又はPG640(BASF,Germany) 3 実施例2に記載のコーティング粒子 4 香料マイクロカプセルは次の通りに調整され得る。25gのブチルアクリレート−アクリル酸コポリマー乳化剤(Colloid C351、25%固形分、pKa4.5〜4.7、Kemira Chemicals,Inc.(Kennesaw,Georgia U.S.A.))を溶解して200gの脱イオン水中に混入する。溶液のpHを、水酸化ナトリウム溶液でpH 4.0に調整する。部分メチル化メチロールメラミン樹脂(Cymel 385、80%固形分(Cytec Industries(West Paterson,New Jersey,U.S.A.))8グラムを乳化剤溶液に添加する。機械的撹拌下での混合前に200gの香油を添加し、温度を50℃へと上昇させる。安定なエマルションが得られるまで高速で混合した後に、第2の溶液及び4グラムの硫酸ナトリウム塩をこのエマルションに添加する。この第2の溶液は、ブチルアクリレート−アクリル酸コポリマー乳化剤(Colloid C351、25%固形分、pKa4.5〜4.7、Kemira)10グラム、蒸留水120グラム、pHを4.8に調整するための水酸化ナトリウム溶液、部分メチル化メチロールメラミン樹脂(Cymel 385、80%固形分、Cytec)25グラムを含有する。この混合物を70℃まで加熱し、連続的に攪拌しながら1晩にわたって維持して、カプセル封入プロセスを完了させる。アセトアセトアミド(Sigma−Aldrich(Saint Louis,Missouri,U.S.A.))23グラムをこの懸濁液に添加する。 本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に断らないかぎり、そのような寸法のそれぞれは、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。 本発明の「発明を実施するための形態」で引用した全ての文献は、関連部分において本明細書に援用するが、いずれの文献の引用もそうした文献が本発明に対する先行技術であることを容認するものとして解釈されるべきではない。本書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文献における同一の用語の任意の意味又は定義と相反する限りにおいては、本書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。 本発明の特定の実施形態が例示され記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を添付の特許請求の範囲で扱うものとする。 6.5〜14のpHを有する組成物であって、10マイクロメートル〜450マイクロメートルの直径を有するカプセル剤を含み、該カプセル剤はシェル及びマトリックス組成物を含み、前記シェルは、前記マトリックス組成物を封入し、前記マトリックス組成物は3.5〜6のpHを有し、前記マトリックス組成物はマトリックスネットワーク材料とマトリックス有益剤コアを含み、前記マトリックス有益剤コアは、前記マトリックスネットワーク材料内に捕捉される、組成物。 前記マトリックス組成物が、150g/mol〜1,500g/molの分子量を有する自己組織化マトリックスネットワーク材料を含む、請求項1に記載の組成物。 前記マトリックスネットワーク材料が、pH 3.5〜6下で形成される中程度の粘度にある、請求項1に記載の組成物。 前記マトリックスネットワーク材料が、1〜14、2〜9、3.5〜6、又は更には4.5〜5.5のpKaを有する、請求項1に記載の組成物。 前記マトリックス組成物が、式: (式中、R1及びR2はアミノ官能性末端基であり、Lは、14〜500g/molの分子量を有する主鎖部分であり、L、R1、又はR2のうちの少なくとも1つは、pH感受性基を含む。)を有するマトリックスネットワーク材料を、総マトリックス組成物の重量に基づき0.01重量%〜10重量%含む、請求項1に記載の組成物。 R1及びR2がアミド官能性末端基である、請求項5に記載のマトリックスネットワーク材料。 前記マトリックスネットワーク材料が、0.1〜100mg/mLの最小ゲル化濃度(MGC)を有する、請求項1に記載の組成物。 前記マトリックス組成物が、緩衝剤及び/又は緩衝剤前駆体を含み、一態様では、前記緩衝剤がδ−グルコン酸を含み、かつ前記緩衝剤前駆体がグルコ−δ−ラクトンを含む、請求項1に記載の組成物。 前記マトリックス組成物が多糖類を含む、請求項1に記載の組成物。 前記シェルが、 a)ポリビニルピロリドンを含む材料; b)ジアミン、トリアミン、ジオール、及びこれらの混合物を含む親水性モノマーから誘導されるポリマー; c)ジ及び/又はトリアシルクロリド、ジイソシアナート、ビスクロロホルマート、及びこれらの混合物を含む疎水性モノマーから誘導されるポリマー、 d)ポリビニルアルコール誘導体を含む材料; e)0°〜120℃、又は更には20°〜60℃の曇点を有するポリマーを含む材料; f)セルロースポリマーを含む材料; g)ワックスを含む材料、このワックスは35℃〜75℃の融点を有する; h)非セルロース系天然ポリマーを含む材料、からなる群から選択される材料を含み、 かつ前記マトリックス有益剤コアが、予形成過酸、金属触媒、漂白活性剤、漂白増進剤及び過酸化ジアシルからなる群から選択される材料を含む、請求項1に記載の組成物。 a)前記金属触媒が、ジクロロ−1,4−ジエチル−1,4,8,11−テトラアザビシクロ(tetraaazabicyclo)[6.6.2]ヘキサデカンマンガン(II);ジクロロ−1,4−ジメチル−1,4,8,11−テトラアザビシクロ(tetraaazabicyclo)[6.6.2]ヘキサデカンマンガン(II)、及びこれらの混合物からなる群から選択される材料を含み、 b)前記漂白増進剤が、2−[3−[(2−ヘキシルドデシル)オキシ]−2−(スルホオキシ)プロピル]−3,4−ジヒドロイソキノリニウム(分子内塩)、3,4−ジヒドロ−2−[3−[(2−ペンチルウンデシル)オキシ]−2−(スルホオキシ)プロピル]イソキノリニウム(分子内塩)、2−[3−[(2−ブチルデシル)オキシ]−2−(スルホオキシ)プロピル]−3,4−ジヒドロイソキノリニウム(分子内塩)、3,4−ジヒドロ−2−[3−(オクタデシルオキシ)−2−(スルホオキシ)プロピル]イソキノリニウム(分子内塩)、2−[3−(ヘキサデシルオキシ)−2−(スルホオキシ)プロピル]−3,4−ジヒドロイソキノリニウム(分子内塩)、3,4−ジヒドロ−2−[2−(スルホオキシ)−3−(テトラデシルオキシ)プロピル]イソキノリニウム(分子内塩)、2−[3−(ドデシルオキシ)−2−(スルホオキシ)プロピル]−3,4−ジヒドロイソキノリニウム(分子内塩)、2−[3−[(3−ヘキシルデシル)オキシ]−2−(スルホオキシ)プロピル]−3,4−ジヒドロイソキノリニウム(分子内塩)、3,4−ジヒドロ−2−[3−[(2−ペンチルノニル)オキシ]−2−(スルホオキシ)プロピル]イソキノリニウム(分子内塩)、3,4−ジヒドロ−2−[3−[(2−プロピルヘプチル)オキシ]−2−(スルホオキシ)プロピル]イソキノリニウム(分子内塩)、2−[3−[(2−ブチルオクチル)オキシ]−2−(スルホオキシ)プロピル]−3,4−ジヒドロイソキノリニウム(分子内塩)、2−[3−(デシルオキシ)−2−(スルホオキシ)プロピル]−3,4−ジヒドロイソキノリニウム(分子内塩)、3,4−ジヒドロ−2−[3−(オクチルオキシ)−2−(スルホオキシ)プロピル]イソキノリニウム(分子内塩)、2−[3−[(2−エチルヘキシル)オキシ]−2−(スルホオキシ)プロピル]−3,4−ジヒドロイソキノリニウム(分子内塩)、及びこれらの混合物からなる群から選択される材料を含み、 c)前記漂白活性剤が、テトラアセチルエチレンジアミン(TAED);ベンゾイルカプロラクタム(BzCL);4−ニトロベンゾイルカプロラクタム;3−クロロベンゾイルカプロラクタム;ベンゾイルオキシベンゼンスルホネート(BOBS);ノナノイルオキシベンゼンスルホネート(NOBS);安息香酸フェニル(PhBz);デカノイルオキシ安息香酸(DOBA);(6−オクタンアミドカプロイル)オキシベンゼンスルホネート;(6−ノナンアミドカプロイル)オキシベンゼンスルホネート;(6−デカンアミドカプロイル)オキシベンゼンスルホネート、及びこれらの混合物からなる群から選択される材料を含み; d)前記予形成過酸が、過硫酸;過ヨウ素酸;過炭酸;過カルボン酸、及び該酸の塩からなる群から選択される材料を含み;一態様では、前記過カルボン酸及びその塩は、フタルイミドペルオキシヘキサン酸、1,12−ジペルオキシドデカン二酸;又はモノペルオキシフタル酸(マグネシウム六水和物);アミドペルオキシ酸であってもよく、一態様では、前記アミドペルオキシ酸は、N,N’−テレフタロイル−ジ(6−アミノカプロン酸)、ペルオキシこはく酸(NAPSA)又はペルオキシアジピン酸(NAPAA)のいずれかのモノノニルアミド、N−ノナノイルアミノペルオキシカプロン酸(NAPCA)、及びこれらの混合物であってもよく;一態様では、前記予形成過酸は、フタルイミドペルオキシヘキサン酸を含み; e)前記ジアシルペルオキシドが、ジノナノイルペルオキシド、ジデカノイルペルオキシド、ジウンデカノイルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、ジ−(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)ペルオキシド及びこれらの混合物からなる群から選択される材料を含み、一態様では、前記ジアシルペルオキシドは包摂されている、請求項7に記載の組成物。 前記カプセル剤が、0.8〜1、0.9〜1、又は更には0.95〜1の安定性指数を有する、請求項1に記載の組成物。 前記カプセル剤が、0.25〜1、0.5〜1、又は更には0.85〜1の放出指数を有する、請求項1に記載の組成物。 前記カプセル剤が、1:99〜90:10、3:97〜75:25、10:90〜60:40又は更には35:65〜50:50のマトリックス組成物対シェル質量比を有する、請求項1に記載の組成物。 カプセル剤を含むカプセル剤組成物の製造方法であって、前記方法は、流量フォーカシングノズル又はエレクトロスピニングを使用してマトリックス組成物およびカプセル剤溶液を噴霧してカプセル剤を製造する工程を含み、前記マトリックス組成物が、溶液の総重量に基づき、 a)0.01%〜10%のマトリックスネットワーク材料; b)0.1%〜35%の塩基; c)0.2%〜90%のマトリックス有益剤コアであって、予形成過酸、金属触媒、漂白活性剤、漂白増進剤、及び過酸化ジアシル、からなる群から選択される材料を含む有益剤コア; h)前記第一組成物に対し0.1〜35重量%の緩衝剤又は緩衝剤前駆体、このような緩衝剤前駆体はグルコ−δ−ラクトンを含む;を含み、 前記カプセル剤溶液は、前記封入溶液に懸濁又は溶解させた、溶液の総重量に基づき2重量〜20重量%の材料と、1つ又はそれ以上の溶媒とを含み、前記材料は、 a)ポリビニルピロリドン b)ポリビニルアルコール誘導体; c)0℃〜120℃、又は更には20℃〜60℃の曇点を有するポリマーを含む材料; d)セルロースポリマーを含む材料; e)ワックス、このワックスは35℃〜75℃の融点を有する; f)非セルロース系天然ポリマー;を含み、 所望により、前記カプセル剤組成物中のカプセル剤数は濃縮させる、方法。 本発明は、カプセル化された予形成過酸及びこのようなカプセルを含む製品、並びにこのようなカプセル及びこのようなカプセルを含む製品の製造方法及び使用方法に関する。このような製品は、特定の漂白剤系に通常関係付けられる安定性にまつわる問題を生じさせずに、優れた白さ及びシミ除去性を提供する漂白剤を送達する。


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る