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タイトル:特許公報(B2)_ブロックイソシアネート化合物の製造方法
出願番号:2014528092
年次:2015
IPC分類:C07C 269/02,C07C 271/60


特許情報キャッシュ

大野 勝俊 加藤 智光 古川 哲弘 大澤 信夫 萬谷 慎一 JP 5815871 特許公報(B2) 20151002 2014528092 20130724 ブロックイソシアネート化合物の製造方法 昭和電工株式会社 000002004 志賀 正武 100064908 鈴木 三義 100094400 荒 則彦 100163496 三國 修 100146879 大野 勝俊 加藤 智光 古川 哲弘 大澤 信夫 萬谷 慎一 JP 2012168544 20120730 20151117 C07C 269/02 20060101AFI20151029BHJP C07C 271/60 20060101ALI20151029BHJP JPC07C269/02C07C271/60 C07C 269/02 C07C 271/60 CAplus/REGISTRY(STN) CASREACT(STN) 特開2000−095833(JP,A) 特開2004−285272(JP,A) 特開2006−151967(JP,A) 9 JP2013070042 20130724 WO2014021166 20140206 24 20140826 高橋 直子本発明は、各種コーティング剤、接着剤、成形材料等に、原料モノマーとして好適に用いられる(メタ)アクリロイル基含有イソシアネートのブロック体であるブロックイソシアネート化合物の製造方法に関する。更に詳しくは、工業的生産において重合反応や副反応などによる製品純度の低下を回避し、ブロックイソシアネート化合物を高純度で得ることができる製造方法に関するものである。本願は、2012年7月30日に、日本に出願された特願2012−168544号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。 ブロックイソシアネート化合物は、イソシアナト基を活性水素基含有化合物(ブロック剤)と反応させてイソシアナト基の反応性を不活化したものであり、これを加熱するとブロック剤が解離してイソシアナト基が再生されるという性質を持つものである。硬化剤のイソシアナト基をブロック化することにより、活性水素基を有する主剤とあらかじめ配合しておくことが可能となるため、ブロックイソシアネート化合物は、コーティング剤、接着剤、成形材料等に広く用いられている。 イソシアナト基をブロック化するブロック剤としては、アルコール類、フェノール類、ラクタム類、オキシム類、アセト酢酸アルキルエステル類、マロン酸アルキルエステル類、フタルイミド類、イミダゾール類、塩化水素、シアン化水素、亜硫酸水素ナトリウム等が知られている。ブロックイソシアネート化合物を製造する方法として、いくつかの方法が開示されている。例えば特許文献1には、テトラヒドロフラン溶媒中、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネートとメチルエチルケトンオキシムを反応させ、ブロックイソシアネート化合物を製造する方法が開示されている。また、特許文献2には、メチルエチルケトンを溶媒として用い、2−メタアクリロイルオキシエチルイソシアネートとメチルエチルケトンオキシムを反応させ、ブロックイソシアネート化合物の製造方法が開示されている。特許文献1及び2のように溶媒を用いる方法では、比較的低い温度で反応を円滑に進行させることができる。しかしながら、溶媒を使用することは環境への負荷の面で好ましくなく、また精製工程を必要とするため、製造工程が増えるとともにコストアップに繋がるという問題もあった。さらに、反応に用いた溶媒が不純物として生成物に含まれてしまった場合、生成物であるブロックイソシアネート化合物を各種コーティング剤、接着剤、成形材料等の原料モノマーとして幅広く使用することができない可能性があった。このような点から、溶媒を用いずに高純度のブロックイソシアネート化合物を得る製造方法が求められていた。 そこで、溶媒を使用しない方法として、特許文献3には、分散媒としてブロックイソシアネート化合物を用い、固体のピラゾールをあらかじめスラリー化したところへ、メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを供給することで精製工程を必要としない効率的なブロックイソシアネート化合物の製造方法が示されている。特開2007−270216号公報特開2004−285272号公報特開2006−151967号公報しかし、特許文献3に記載の方法は、原料が固体であるものに関する製造方法であり、原料が液体である場合についての最適な製造方法については言及がされていなかった。本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、液体の原料を用いた場合に環境への負荷を低減できるとともに、製造工程や製造設備を簡易なものとすることができる製造方法を提供することを目的とする。 上記の課題を解決するために、本発明は以下の構成を採用した。[1]下記一般式(I)で表される(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物と、下記一般式(II)で表されるオキシム系化合物とを反応させ、下記一般式(III)で表されるブロックイソシアネート化合物を製造する方法であって、製造工程において溶媒を用いないか、又は、前記一般式(III)で表されるブロックイソシアネート化合物を溶媒の代わりとして用いることを特徴とするブロックイソシアネート化合物の製造方法。[式中、R0は、メチル基又は水素原子であり、R1は、−CO−又は−COOR4−(R4は、エーテル結合及び/又はフェニレン基を含んでもよい炭素数1〜10のアルキレン基である。)][式中、R2及びR3はそれぞれ独立に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、及びn−ペンチル基からなる群から選択されるいずれか一つの基である。][式中、R0〜R3は、前記一般式(I)及び(II)におけるものと同じである。][2]前記一般式(III)で表されるブロックイソシアネート化合物を溶媒の代わりとして用い、前記一般式(I)で表される(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物と前記一般式(II)で表されるオキシム系化合物を反応させる[1]に記載のブロックイソシアネート化合物の製造方法。[3]前記R0は、水素原子である[1]又は[2]に記載のブロックイソシアネート化合物の製造方法。[4]製造の工程において、反応系内及び生成物における前記一般式(II)で表されるオキシム系化合物の含量が、常に1.0質量%以下である[1]〜[3]のいずれか一つに記載のブロックイソシアネート化合物の製造方法。[5]前記ブロックイソシアネート化合物(III)を仕込んだ反応器、又は空の反応器に、前記イソシアネート化合物(I)と前記オキシム系化合物(II)を、同時に供給する[1]に記載のブロックイソシアネート化合物の製造方法。[6]前記ブロックイソシアネート化合物(III)を仕込んだ反応器に、前記イソシアネート化合物(I)と前記オキシム系化合物(II)を、同時に供給する[1]〜[5]のいずれか一つに記載のブロックイソシアネート化合物の製造方法。[7]前記R1が−COOR4−であり、前記R4は炭素数1〜5のアルキレン基である[1]〜[6]のいずれか一つに記載のブロックイソシアネート化合物の製造方法。[8]重合禁止剤の存在下で前記一般式(I)で表される(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物と前記一般式(II)で表されるオキシム系化合物とを反応させる[1]〜[7]のいずれか一つに記載のブロックイソシアネート化合物の製造方法。[9]前記一般式(I)で表される(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物に対して、前記一般式(II)で表されるオキシム系化合物を0.5〜2.0倍モル量で反応させる[1]〜[8]のいずれか一つに記載のブロックイソシアネート化合物の製造方法。[10]反応温度が−10℃〜90℃である[1]〜[9]のいずれか一つに記載のブロックイソシアネート化合物の製造方法。本発明の製造方法によれば、従来のようにトルエンやキシレンなどの溶媒を用いる必要がないため、環境への負荷も少なく、製造工程や製造設備を簡易なものとすることができる。本発明により製造されたブロックイソシアネート化合物は、溶媒を使用しないため、該ブロックイソシアネート化合物を用いて製造した製品に溶媒が含まれることがない。従って、該ブロックイソシアネート化合物を各種コーティング剤、接着剤、成形材料等の広範な分野に、好適に使用することができる。 以下、本発明の好ましい例を説明するが、本発明はこれら例に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。本発明に係る下記一般式(III)で表されるブロックイソシアネート化合物(以下、ブロックイソシアネート化合物(III)という。)の製造方法は、下記一般式(I)で表される(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物(以下、(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物(I)という。)と、下記一般式(II)で表されるオキシム系化合物(以下、オキシム系化合物(II)という。)とを反応させ、前記ブロックイソシアネート化合物(III)を製造する方法であって、製造工程において溶媒を用いないか、又は、前記ブロックイソシアネート化合物(III)を溶媒の代わりとして用いる製造方法である。[式中、R0は、メチル基又は水素原子であり、R1は、−CO−又は−COOR4−(R4は、エーテル結合を含んでもよい炭素数1〜10のアルキレン基である。)であり、R2及びR3はそれぞれ独立に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、及びn−ペンチル基からなる群から選択されるいずれか一つの基である。][式中、R0及びR1は、前記一般式(III)におけるものと同じである。][式中、R2及びR3は、前記一般式(III)におけるものと同じである。]本発明における「溶媒を用いない」とは、(i)活性溶媒及び不活性溶媒のいずれの溶媒も、一切反応系に添加をしないこと、(ii)反応系に添加される溶媒が、反応生成物からの溶媒留去の工程を必要としない程度の量であること、(iii)反応系に添加される溶媒が、生成物に残存していても生成物の物性に影響を及ぼさない程度であること のいずれかのことを指す。具体的には(ii)及び(iii)は、生成物中に含まれる溶媒の量が1質量%未満程度であることを示す。 前記ブロックイソシアネート化合物(III)におけるR0は、メチル基又は水素原子である。中でも、水素原子が好ましい。前記ブロックイソシアネート化合物(III)におけるR1は、−CO−又は−COOR4−である。中でも、−COOR4−が好ましい。前記−COOR4−におけるR4は、エーテル結合及び/又はフェニレン基を含んでもよい炭素数1〜10のアルキレン基である。中でもR4は、エーテル結合を含んでもよい炭素数1〜5のアルキレン基が好ましい。 R4におけるアルキレン基としては、直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基が好ましい。 直鎖状のアルキレン基としては、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デカニレン基等が挙げられる。 分岐鎖状のアルキレン基としては、具体的には、−C(CH3)2−、−CH(CH3)−、−CH(CH2CH3)−、−C(CH3)(CH2CH3)−、−C(CH3)(CH2CH2CH3)−、−C(CH2CH3)2−等;−CH(CH3)CH2−、−CH(CH3)CH(CH3)−、−C(CH3)2CH2−、−CH(CH2CH3)CH2−、−C(CH2CH3)2−CH2−等が挙げられる。 中でも、R4におけるアルキレン基としては、直鎖状のアルキレン基がより好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基が特に好ましく、メチレン基、エチレン基が最も好ましい。 R4におけるエーテル結合を含んでもよい炭素数1〜10のアルキレン基とは、炭素数1〜10のアルキレン基中の炭素−炭素結合間に酸素原子が挿入されていてもよいことを意味し、−(CH2)a−(O)b−(CH2)c−(O)d−(CH2)e−を表す。 ここで、a+c+eは1〜10の整数を表し、a及びcは0又は1以上の整数を表し、b及びdは0又は1を表し、dが0のときeも0である。 エーテル結合を含んでもよい炭素数1〜10のアルキレン基として、具体的には、−CH2−O−(CH2)3−、−(CH2)2−O−(CH2)2−、−(CH2)3−O−CH2−、−CH2−O−(CH2)2−、−(CH2)2−O−CH2−、−CH2−O−CH2−が好ましく、−CH2−O−(CH2)3−、−(CH2)2−O−(CH2)2−、−(CH2)3−O−CH2−、−CH2−O−(CH2)2−がより好ましく、−(CH2)2−O−(CH2)2−が特に好ましい。 R4におけるフェニレン基を含んでもよい炭素数1〜10のアルキレン基とは、炭素数1〜10のアルキレン基中の炭素−炭素結合間にフェニレン基が挿入されていてもよいことを意味し、−(CH2)n−(Ph)m−(CH2)l−(Ph)n−(CH2)o−を表す。 ここで、Phは非置換の1,2−フェニレン、1,3−フェニレン、又は1,4−フェニレン基を示し、n+l+oは1〜10の整数を表し、n及びlは0又は1以上の整数を表し、m及びnは0又は1を表し、nが0のときoも0である。 フェニレン基を含んでもよい炭素数1〜10のアルキレン基としては、総炭素数が10以下のものが好ましく、n+lは1〜4の整数を表し、且つ、oは0を表すものがより好ましい。具体的には、−CH2−Ph−(CH2)3−、−(CH2)2−Ph−(CH2)2−、−(CH2)3−Ph−CH2−、−CH2−Ph−(CH2)2−、−(CH2)2−Ph−CH2−、−CH2−Ph−CH2−が好ましく、−CH2−Ph−(CH2)3−、−(CH2)2−Ph−(CH2)2−、−(CH2)3−Ph−CH2−、−CH2−Ph−(CH2)2−がより好ましく、−(CH2)2−Ph−(CH2)2−が特に好ましい。 また、R4において、例えば、−Ph−O−、−(CH2)2−Ph−O−、−Ph−O−(CH2)2−、−(CH2)2−Ph−O−(CH2)2−のように、上記エーテル結合及びフェニレン結合の両方を含んでいてもよい。 前記ブロックイソシアネート化合物(III)におけるR2及びR3はそれぞれ独立に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、及びn−ペンチル基からなる群から選択されるいずれか一つの基であり、メチル基又はエチル基が好ましい。R0がメチル基の場合、前記ブロックイソシアネート化合物(III)として以下の式(III−1)〜(III−9)で表される化合物が挙げられる。R0が水素原子の場合、前記ブロックイソシアネート化合物(III)として以下の式(III−10)〜(III−18)で表される化合物が挙げられる。 これらの化合物の中でも、前記式(III−7)〜(III−9)で表される化合物、前記式(III−16)〜(III−18)で表される化合物が好ましく、後述する本発明の製造方法を好適に適用しうる観点から、前記式(III−16)〜(III−18)で表される化合物がより好ましく、前記式(III−16)で表される化合物が特に好ましい。本発明の反応においては、溶媒を用いないか、又は、前記ブロックイソシアネート化合物(III)を溶媒の代わりとして用いる。上記溶媒の具体例としては、例えば、トルエン・キシレン・酢酸エチル・酢酸ブチル・テトラヒドロフラン・ヘキサン・塩化メチレン・メチルエチルケトン・メチルイソブチルケトン・アルコール・アセトン・ヘキサン・ベンゼン・シクロヘキサノン・ジエチルエーテル・アセトニトリル・ジメチルホルムアミド・ジメチルスルホキシド・水などが挙げられる。 本発明の製造方法によれば、従来の溶媒を用いる必要がないため、環境への安全性に優れるとともに、製造工程や製造設備を簡易なものとすることができる。本発明に係るブロックイソシアネート化合物(III)の製造方法は、(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物(I)と、オキシム系化合物(II)とを反応させるものである。尚、本明細書および本特許請求の範囲において、「(メタ)アクリロイル基」とは、α位に水素原子が結合したアクリロイル基、又はα位にメチル基が結合したアクリロイル基を意味する。 前記(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物(I)におけるR0は、メチル基又は水素原子であり、後述する本発明の製造方法を好適に適用しうる観点から、水素原子が好ましい。 前記(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物(I)におけるR1は、−CO−又は−COOR4−である。R1の好ましい様態は、前記ブロックイソシアネート化合物(III)において前述したとおりである。 前記(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物(I)としては、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、3−イソシアナトプロピル(メタ)アクリレート、2−イソシアナト−1−メチルエチル(メタ)アクリレート、メタクリロイルオキシエトキシエチルイソシアネート等が挙げられ、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレートが好ましく、2−イソシアナトエチルアクリレートがより好ましい。尚、本明細書および本特許請求の範囲において、(メタ)アクリレートとは、α位に水素原子が結合したアクリレート、又はα位にメチル基が結合したメタクリレートを意味する。本発明において用いられる前記(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物(I)は、従来公知の方法により製造される。 前記オキシム系化合物(II)におけるR2及びR3はそれぞれ独立に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、及びn−ペンチル基からなる群から選択されるいずれか一つの基であり、メチル基又はエチル基が好ましい。 前記オキシム系化合物(II)としては、ジメチルケトンオキシム、ジエチルケトンオキシム、メチルエチルケトンオキシム等が挙げられ、メチルエチルケトンオキシムが好ましい。本発明において用いられるオキシム系化合物(II)は、従来公知の方法により製造される。前記(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物(I)と、前記オキシム系化合物(II)との反応温度は、化合物(I)及び(II)が液体である温度で行われるべきである。具体的には各化合物の種類によって異なるが、−10℃〜90℃が好ましく、−10℃〜60℃がより好ましく、−10℃〜30℃が最も好ましい。このような温度範囲の場合、効率良くブロックイソシアネート化合物が得られるとともに、副生物の生成がほとんどないため、該ブロックイソシアネート化合物を高純度で得ることができる。尚、この反応温度には、前記オキシム系化合物(II)及び/又は前記(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物(I)を滴下等により添加する際の反応温度も含まれる。反応温度が−10℃以上の場合、反応速度が遅くならず、生産性に影響を与えることがないため、効率良くブロックイソシアネート化合物が得ることができる。反応温度が90℃以下の場合、アクリロイル基の重合によりゲル化するおそれがないため、前記ブロックイソシアネート化合物(III)を高純度で得ることができる。生産性の観点から、反応は、前記オキシム系化合物(II)、又は前記アクリロイル基含有イソシアネート化合物(I)がほとんど消費されるまで行われることが好ましい。したがって、その反応時間は特に限定されないが、1時間以上が好ましく、3時間以上がより好ましい。反応の終了を判断する手段として、前記アクリロイル基含有イソシアネート化合物(I)の消失は、例えばIR測定の結果、NCO基に基づく吸収が検出限界以下となったことを確認することにより行うことができる。尚、この反応時間には、前記オキシム系化合物(II)及び/又は前記アクリロイル基含有イソシアネート化合物(I)を滴下等により添加する時間も含まれる。また、反応は、反応系内に、常に前記オキシム系化合物(II)の残存が最小あるいは無しの状態で行われることが好ましく、常に1.0質量%以下の状態で行われることがより好ましい。オキシム系化合物の系内の量は例えば高速液体クロマトグラフィーによって測定することができ、前記オキシム系化合物の系内への残存がないことは、例えば高速液体クロマトグラフィー分析の結果、前記オキシム系化合物が検出限界以下となったことを確認することにより行うことができる。本発明の製造方法においては、前記(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物(I)に対して、前記オキシム系化合物(II)を0.5〜2.0倍モル量で反応させることが好ましく、0.8〜1.2倍モル量で反応させることがより好ましく、0.95〜1.05倍モル量で反応させることが特に好ましい。これら化合物の反応比率は、理論的には1:1(モル比)であるが、上記範囲のモル比で反応させることにより、反応を円滑に進行させることができる。 また、反応系には、重合禁止剤を添加しておくことが好ましい。重合禁止剤は、遊離基重合反応において、単量体から生じた遊離基と、速やかに反応するため、遊離基による重合反応が進行しないように安定化させることができる。 重合禁止剤としては、フェノチアジン、p−メトキシフェノール、2,6−ジターシャリーブチル−4−メチルフェノール(BHT)など、一般的に使用されているものを用いることができる。重合禁止剤の投入方法は特に制限されるものではないが、例えば、前記オキシム系化合物とともに反応器内へ投入する方法;前記アクリロイル基含有イソシアネート化合物と混合させ、反応器内へ投入する方法;前記オキシム系化合物及び前記アクリロイル基含有イソシアネート化合物の両方に添加し、それぞれ反応器内へ投入する方法;さらに反応終了後、生成したブロックイソシアネート化合物へ投入する方法;等を挙げることができる。前記(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物(I)同士を重合させることなく、前記ブロックイソシアネート化合物(III)を製造するためには、重合禁止剤の存在下で、前記オキシム系化合物(II)と前記(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物(I)とを反応させることが好ましい。重合禁止剤の使用量は、前記オキシム系化合物(II)、及び前記(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物(I)の種類によって異なるが、前記(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物(I)と前記オキシム系化合物(II)との反応により得られる前記ブロックイソシアネート化合物(III)に対し、10〜20000ppmの割合で用いることが好ましく、50〜10000ppmの割合で用いることがより好ましく、100〜5000ppmの量となるように使用されることが特に好ましい。重合禁止剤を10ppm以上の割合で用いる場合、前記ブロックイソシアネート化合物(III)を製造する際に、前記(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物(I)の(メタ)アクリロイル基の重合が効率良く抑制される。重合禁止剤を20000ppm以内の割合で用いる場合、前記ブロックイソシアネート化合物(III)が有する前記(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物(I)由来の(メタ)アクリロイル基の反応性がよい。前記ブロックイソシアネート化合物(III)は、上述のように溶媒を用いない方法により製造されてもよいが、このブロックイソシアネート化合物(III)を従来の溶媒のかわりに使用し、化合物(III)中で化合物(I)及び化合物(II)を反応させることで、さらに前記ブロックイソシアネート化合物(III)を調製することが好ましい。前記ブロックイソシアネート化合物(III)を溶媒として使用することにより、精製工程を必要とせずに、ブロックイソシアネート化合物を得ることができる。ブロックイソシアネート化合物(III)を製造する際、原料を反応系内へ添加する順序は特に制限されないが、例えば以下のような方法が挙げられる。(1)前記ブロックイソシアネート化合物(III)と、前記オキシム系化合物(II)とを反応器内へ仕込んで混合し、次いで、前記(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物(I)を反応器へ添加し、前記アクリロイル基含有イソシアネート化合物(I)及び前記オキシム系化合物(II)を反応させる方法; (2)前記オキシム系化合物(II)を反応器内へ仕込み、次いで、前記ブロックイソシアネート化合物(III)と前記(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物(I)の混合物を反応器へ添加し、前記(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物(I)及び前記オキシム系化合物(II)を反応させる方法; (3)前記ブロックイソシアネート化合物(III)と、前記オキシム系化合物(II)とを反応器内へ仕込んで混合し、次いで、前記ブロックイソシアネート化合物(III)と前記(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物(I)の混合物を反応器へ添加し、前記(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物(I)及び前記オキシム系化合物(II)を反応させる方法;(4)前記ブロックイソシアネート化合物(III)と、前記(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物(I)とを反応器内へ仕込んで混合し、次いで、前記オキシム系化合物(II)を反応器へ添加し前記(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物(I)及び前記オキシム系化合物(II)を反応させる方法;(5)前記(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物(I)を反応器内へ仕込み、次いで、前記ブロックイソシアネート化合物(III)と前記オキシム系化合物(II)の混合物を反応器へ添加し、前記(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物(I)及びオキシム系化合物(II)を反応させる方法; (6)前記ブロックイソシアネート化合物(III)と、前記(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物(I)とを反応器内へ仕込んで混合し、次いで、前記ブロックイソシアネート化合物(III)と前記オキシム系化合物(II)の混合物を反応器へ添加し、前記(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物(I)及びオキシム系化合物(II)を反応させる方法; (7)前記ブロックイソシアネート化合物(III)を仕込んだ反応器、又は空の反応器に、前記イソシアネート化合物(I)と前記オキシム系化合物(II)を、同時に添加する方法; 上記方法のうち、製造の際の攪拌効率や利便性の点からは、前記ブロックイソシアネート(III)を反応器に最初に仕込んでおく方法である(1)・(3)・(4)・(6)が好ましい。尚、上記「空の反応器」とは、原料となる化合物(I)(II)及び生成物となる(III)のいずれもが供給されていない反応器のことを指す。重合禁止剤や添加剤等の他成分は、予め反応器に仕込まれていても構わない。生成物の純度や不純物の低減の観点からは、前記(7)の方法が好ましい。理由としては、以下の点が考えられる。前記(1)〜前記(3)の方法のように、反応器中にオキシム系化合物を仕込んでおき、(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物を加える方法では、系内に過剰のオキシム系化合物が存在する状態となるため、オキシム系化合物が(メタ)アクリロイル基に対してマイケル付加反応し不純物を生成しやすい。また、前記(4)〜(6)のように、(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物を反応器中に仕込んでおき、オキシム系化合物を加える方法では、系内におけるオキシム系化合物の残存量は最小に抑えられるため、(1)〜(3)の方法における上記のような不純物生成の問題点を解決することができる。しかしながら、(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物は反応性官能基を2つ有しているため反応性が非常に高く、これを反応器中に予め大量に仕込んでおくことは暴走反応につながるリスクが高く、工業的な製造方法としては好ましくない。一方、前記(7)の方法のように、オキシム系化合物と(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物を同時に系内に供給する方法では、系内に残存するオキシム系化合物を最小量に抑えることができ、かつアクリロイル基含有イソシアネート化合物が自己重合するリスクも抑えることができる。上記(7)の、前記イソシアネート化合物(I)と前記オキシム系化合物(II)を反応器内に同時に添加する方法とは、具体的に以下のような方法が挙げられる。(7)-1 前記イソシアネート化合物(I)と前記オキシム系化合物(II)を、空の反応器内に同時に添加する方法;(7)-2 前記イソシアネート化合物(I)と前記ブロックイソシアネート化合物(III)の混合物と、前記オキシム系化合物(II)を、空の反応器内に同時に添加する方法;(7)-3 前記イソシアネート化合物(I)と前記ブロックイソシアネート化合物(III)の混合物と、前記オキシム系化合物(II)と前記ブロックイソシアネート化合物(III)の混合物を、空の反応器内に同時に添加する方法;(7)-4 前記イソシアネート化合物(I)と、前記オキシム系化合物(II)と前記ブロックイソシアネート化合物(III)の混合物を、空の反応器内に同時に添加する方法;(7)-5 前記ブロックイソシアネート化合物(III)を反応器内に仕込んでおき、前記イソシアネート化合物(I)と前記オキシム系化合物(II)を、反応器内に同時に添加する方法;(7)-6 前記ブロックイソシアネート化合物(III)を反応器内に仕込んでおき、前記イソシアネート化合物(I)と前記ブロックイソシアネート化合物(III)の混合物と、前記オキシム系化合物(II)を、反応器内に同時に添加する方法;(7)-7 前記ブロックイソシアネート化合物(III)を反応器内に仕込んでおき、前記イソシアネート化合物(I)と前記ブロックイソシアネート化合物(III)の混合物と、前記オキシム系化合物(II)と前記ブロックイソシアネート化合物(III)の混合物を、反応器内に同時に添加する方法;(7)-8 前記ブロックイソシアネート化合物(III)を反応器内に仕込んでおき、前記イソシアネート化合物(I)と、前記オキシム系化合物(II)と前記ブロックイソシアネート化合物(III)の混合物を、反応器内に同時に添加する方法;この際も前述と同様に、攪拌効率の面からは、反応器内にブロックイソシアネート化合物(III)をはじめに仕込んでおく、(7)-5〜(7)-8の方法が好ましい。不純物低減の観点からは、上記と同じ理由より(7)-1、(7)-2、(7)-5、(7)-6が好ましい。中でも最も好ましい方法は、(7)-5ある。後述する実施例において、本発明者は、アクリロイル基が、メタクリロイル基等と比較して、ブロック剤とのマイケル付加反応による副生物の生成が起こりやすいことを見出した。これに対して、本発明者は、アクリロリル基含有イソシアネートを用いた反応系において、原料を同時添加する前記(7)の方法が非常に有効であることを見出した。尚、ブロックイソシアネート化合物(III)を溶媒として用いる場合には、該化合物(III)を調製する際に用いられたものと同一のオキシム系化合物(II)と(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物(I)とを用いることが好ましい。ブロックイソシアネート化合物(III)を溶媒として使用する場合、該化合物(III)の使用量に特に制限はないが、オキシム系化合物(II)に対して、0.01〜50倍モル用いることが好ましく、0.01〜10倍モル用いることがより好ましく、0.01〜5倍モル用いることが特に好ましい。用いる量が0.01倍モル以上の場合、例えば反応速度が遅くなるおそれがなく、溶媒としての効果が発揮される。用いる量が50倍モル以下の場合、生成物の生産性が低下するおそれがない。 本発明によれば、未反応のオキシム系化合物(II)、未反応の(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物(I)、又は前記オキシム系化合物(II)由来の不純物をほとんど含まず、高純度のブロックイソシアネート化合物(III)を生成物として得ることができる。具体的には、本発明により得られる生成物が含有する未反応のオキシム系化合物(II)の割合は、常に1.0質量%以下であることが好ましく、未反応のアクリロイル基含有イソシアネート化合物(I)の割合は1000質量ppm以下であることが好ましい。上記の未反応原料、不純物、あるいは残存した重合禁止剤等は、通常の方法により除去し、精製する工程を有していてもよい。生成物にオキシム系化合物が残存していた場合、生成物とオキシム系化合物で反応が起こり不純物を生じる。つまり、純度が低い生成物中は純度が高いものに比べ、その後の経時変化において加速度的に純度が低下してしまうというという問題が生じることがある。この点からも、生成物の純度は極力高いものであることが好ましく、本発明の製造方法によれば、かかる問題点を解消することができる。このように、本発明の製造方法によれば、効率良くブロックイソシアネート化合物が得られるとともに、副生物の生成がほとんどないため、該化合物を高純度で得ることができる。上述した本発明の製造方法により、下記一般式(III)で表されるブロックイソシアネート化合物が得られる。 [式中、R0〜R3は、上記と同様である。]以上、説明した本発明の製造方法は、トルエンやキシレンなどの溶媒を使用しない方法であるため、得られる生成物に溶媒が残留していない。したがって、ブロックイソシアネート化合物(III)を各種コーティング剤、接着剤、成形材料の原料モノマーなどとして好適に使用することができる。 以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。<実施例1>攪拌器、コンデンサ、及び温度計を備えた2Lセパラブルフラスコに、アクリル酸2‐(O−[1’‐メチルプロピリデンアミノ] オキシカルボニルアミノ)エチル150.0g、2,6−ジターシャリーブチル−4−メチルフェノール(BHT)0.11gを入れ、10℃に温調した。続いて、2−(アクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工株式会社製;製品名カレンズAOI(登録商標))141.1g(1.00mol)、メチルエチルケトンオキシム(MEKO)87.1g(1.00mol)を、それぞれ滴下漏斗を用いて、5時間かけて同時に滴下した。滴下終了後、内温20℃に調整しながら1時間攪拌することで、アクリル酸2‐(O−[1’‐メチルプロピリデンアミノ] オキシカルボニルアミノ)エチルを得た。生成物の組成を、HPLCおよびGCによって分析した結果を、表1に示す。尚、GCにてBHT量のみ定量し、他組成物についてはHPLCを用いて定量した。GC分析条件及びHPLC分析条件を以下に示す。(GC分析条件)GC装置:Agilent GC 6850カラム:Agilent DB−1(PartNo.123−1033E)インジェクション温度:300℃カラム温度:50℃⇒(10℃/min)⇒320℃ディテクター温度:300℃キャリア-ガス:HeHe流速:1.2mL/minサンプリング条件:0.1g/1.5mLジクロロメタン内部標準物質:o−ジクロロベンゼン内部標準物質重量:0.1g/1.5mLジクロロメタン検出器:FID(HPLC分析条件)装置:Agilent Technologies(1200Sreies)カラム:KF−801×4溶媒:THF流速:0.8mL/minオーブン温度:40℃検出器:RI表1中、AOI−BMは、アクリル酸2‐(O−[1’‐メチルプロピリデンアミノ] オキシカルボニルアミノ)エチルを示し、AOIは、2−(アクリロイルオキシエチルイソシアネートを示し、MEKOは、メチルエチルケトンオキシムを示し、BHTは、2,6−ジターシャリーブチル−4−メチルフェノールを示し、AOI尿素Dは、AOIの二量体を示す。<実施例2> 攪拌器、コンデンサ、及び温度計を備えた2Lセパラブルフラスコに、アクリル酸2‐(O−[1’‐メチルプロピリデンアミノ] オキシカルボニルアミノ)エチル150.0g、2,6−ジターシャリーブチル−4−メチルフェノール(BHT)0.11gを入れ、10℃に温調した。続いて、2−(アクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工株式会社製;製品名カレンズAOI(登録商標))141.1g(1.00mol)、メチルエチルケトンオキシム(MEKO)87.1g(1.00mol)を、それぞれ滴下漏斗を用いて、同時に滴下した。その際、2−(アクリロイルオキシエチルイソシアネートを5時間、メチルエチルケトンオキシムを4時間で滴下し終わるように、調製しながら滴下速度を一定にして滴下した。2−(アクリロイルオキシエチルイソシアネートの滴下終了後、内温を20℃に調整しながら1時間攪拌することで、アクリル酸2‐(O−[1’‐メチルプロピリデンアミノ] オキシカルボニルアミノ)エチルを得た。生成物の組成を、HPLCおよびGCによって分析した結果を、表1に示す。尚、GC分析にてBHT量のみ定量し、他組成物についてはHPLCを用いて定量した。GC分析条件及びHPLC分析条件は、実施例1と同様である。<実施例3> 200mLの3つ口フラスコに、アクリル酸2‐(O−[1’‐メチルプロピリデンアミノ] オキシカルボニルアミノ)エチル14.3gとメチルエチルケトンオキシム(MEKO)43.56g(0.50mol)を入れ、10℃に温調した。そこに、2−(アクリロイルオキシエチルイソシアネート71.0g(0.50mol)を、50mL滴下漏斗を用い5時間かけて滴下した。滴下終了後、内温を20℃に調整しながら1時間攪拌することで、アクリル酸2‐(O−[1’‐メチルプロピリデンアミノ] オキシカルボニルアミノ)エチルを得た。生成物の組成を、HPLCおよびGCによって分析した結果を、表1に示す。尚、GC分析にてBHT量のみ定量し、他組成物についてはHPLCを用いて定量した。GC分析条件及びHPLC分析条件は、実施例1と同様である。 実施例1〜3の製造方法によれば、溶媒を用いないため、生成物に溶媒は含まれず、該生成物を各種用途に好適に用いることができる。また、いずれの場合でも98%以上の高純度にてAOI−BMを得ることができた。 詳細には、アクリル酸2‐(O−[1’‐メチルプロピリデンアミノ] オキシカルボニルアミノ)エチル中に、2−(アクリロイルオキシエチルイソシアネートと、メチルエチルケトンオキシムを同じ滴下速度で、同時に供給する実施例1の製造方法によれば、2−(アクリロイルオキシエチルイソシアネートと、メチルエチルケトンオキシムを異なる滴下速度で、同時に供給する実施例2の製造方法よりも、高い純度でアクリル酸2‐(O−[1’‐メチルプロピリデンアミノ] オキシカルボニルアミノ)エチルを製造できることが確認された。 更に、実施例1の製造方法によれば、2−(アクリロイルオキシエチルイソシアネートと、メチルエチルケトンオキシムを同時に供給しない実施例3の製造方法よりも、高い純度でアクリル酸2‐(O−[1’‐メチルプロピリデンアミノ] オキシカルボニルアミノ)エチルを製造できることが確認された。<実施例4>実施例1と同様の方法でアクリル酸2‐(O−[1’‐メチルプロピリデンアミノ] オキシカルボニルアミノ)エチルの製造を行った。メチルエチルケトンオキシム及び2−アクリロイルオキシエチルイソシアネートを反応器に滴下開始した直後を0時間(0h)とし、0h,1h,2h,5h,6hの時点での反応系内の組成をHPLCおよびGCによって分析した。結果を、表2に示す。(滴下終了時を5時間(5h)、反応終了時を6時間(6h)とした)GC分析にてBHT量のみ定量し、他組成物についてはHPLCを用いて定量した。GC分析条件及びHPLC分析条件は、実施例1と同様である。表2中、AOI−BMは、アクリル酸2‐(O−[1’‐メチルプロピリデンアミノ] オキシカルボニルアミノ)エチルを示し、AOIは、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネートを示し、MEKOは、メチルエチルケトンオキシムを示し、BHTは、2,6−ジターシャリーブチル−4−メチルフェノールを示し、AOI尿素Dは、AOIの二量体を示す。<実施例5>実施例2と同様の方法でアクリル酸2‐(O−[1’‐メチルプロピリデンアミノ] オキシカルボニルアミノ)エチルの製造を行った。メチルエチルケトンオキシム及び2−アクリロイルオキシエチルイソシアネートを反応器に滴下開始した直後を0時間(0h)とし、0h,5h,6hの時点での反応系内の組成をHPLCおよびGCによって分析した。結果を、表2に示す。(2−アクリロイルオキシエチルイソシアネートの滴下終了時を5時間(5h)、反応終了時を6時間(6h)とした)GC分析にてBHT量のみ定量し、他組成物についてはHPLCを用いて定量した。GC分析条件及びHPLC分析条件は、実施例1と同様である。 表2に示されるように、反応系内のメチルエチルケトンオキシムの含有量が常に1質量%以下である実施例4〜5の製造方法によれば、高純度のアクリル酸2‐(O−[1’‐メチルプロピリデンアミノ] オキシカルボニルアミノ)エチルが製造できることが確認された。<実施例6>攪拌器、コンデンサ、及び温度計を備えた2Lセパラブルフラスコに、メチルエチルケトンオキシム(MEKO)148.2g、2,6−ジターシャリーブチル−4−メチルフェノール(BHT)0.19gを入れ、10℃に温調した。続いて、内温20℃に調整しながら、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工株式会社製;製品名カレンズAOI(登録商標))240.0gを、滴下漏斗を用いて、5時間かけて滴下した。滴下終了後、内温20℃に調整しながら1時間攪拌することで、アクリル酸2‐(O−[1’‐メチルプロピリデンアミノ] オキシカルボニルアミノ)エチルを得た。生成物の組成を、HPLCおよびGCによって分析した結果を、表3に示す。尚、GC分析にてBHT量のみ定量し、他組成物についてはHPLCを用いて定量した。GC分析条件及びHPLC分析条件は、実施例1と同様である。表3中、AOI−BMは、アクリル酸2‐(O−[1’‐メチルプロピリデンアミノ] オキシカルボニルアミノ)エチルを示し、AOIは、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネートを示し、MEKOは、メチルエチルケトンオキシムを示し、BHTは、2,6−ジターシャリーブチル−4−メチルフェノールを示し、AOI尿素Dは、AOIの二量体を示す。<実施例7>攪拌器、コンデンサ、及び温度計を備えた2Lセパラブルフラスコに、メチルエチルケトンオキシム(MEKO)616g、2,6−ジターシャリーブチル−4−メチルフェノール(BHT)1.0gを入れ、5℃に冷却した。続いて、内温20℃に調整しながら、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工株式会社製;製品名カレンズMOI(登録商標))1086gを、滴下漏斗を用いて、4時間かけて滴下した。滴下終了後、内温25℃に調整しながら2時間攪拌することで、メタクリル酸2‐(O−[1’‐メチルプロピリデンアミノ] オキシカルボニルアミノ)エチルを得た。生成物の組成を、HPLCおよびGCによって分析した結果を、表4に示す。尚、GC分析にてBHT量のみ定量し、他組成物についてはHPLCを用いて定量した。GC分析条件及びHPLC分析条件は、実施例1と同様である。表4中、MOI−BMは、メタクリル酸2‐(O−[1’‐メチルプロピリデンアミノ] オキシカルボニルアミノ)エチルを示し、MOIは、2−メタアクリロイルオキシエチルイソシアネートを示し、MEKOは、メチルエチルケトンオキシムを示し、BHTは、2,6−ジターシャリーブチル−4−メチルフェノールを示し、MOI尿素Dは、MOIの二量体を示す。 実施例6の製造方法によれば溶媒を用いないため、生成物に溶媒は含まれず、各種用途に好適に用いることができる。しかしながら、表3に示されるように、実施例6の製造方法では、アクリル酸2‐(O−[1’‐メチルプロピリデンアミノ] オキシカルボニルアミノ)エチル中に、2−(アクリロイルオキシエチルイソシアネートと、メチルエチルケトンオキシムを、同時に供給する実施例1、2の製造方法と比較して、メチルエチルケトンオキシム由来の不純物が発生することが確認された。一方、2−メタアクリロイルオキシエチルイソシアネートを用いた実施例7の製造方法においては、このような不純物の発生は確認されなかった。 以上の結果から、本発明の製造方法によれば、溶媒を用いないため、生成物に溶媒は含まれず、該生成物を各種用途に好適に用いることができることが明らかである。更に、本発明の製造方法は、アクリロイル基を含有するブロックイソシアネート化合物の製造に好適に用いられ、アクリロイル基を含有するブロックイソシアネート化合物中に、アクリロイル基含有イソシアネート化合物と、オキシム系化合物を、同時に供給することにより、不純物の発生を抑制することができる。本発明は、人体や環境への安全性に優れるとともに、製造工程や製造設備を簡易化できる製造方法を提供することができる。 下記一般式(I)で表される(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物と、下記一般式(II)で表されるオキシム系化合物とを反応させ、下記一般式(III)で表されるブロックイソシアネート化合物を製造する方法であって、前記一般式(III)で表されるブロックイソシアネート化合物を溶媒の代わりとして用いることを特徴とするブロックイソシアネート化合物の製造方法。[式中、R0は、メチル基又は水素原子であり、R1は、−CO−又は−COOR4−(R4は、エーテル結合及び/又はフェニレン基を含んでもよい炭素数1〜10のアルキレン基である。)][式中、R2及びR3はそれぞれ独立に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、及びn−ペンチル基からなる群から選択されるいずれか一つの基である。][式中、R0〜R3は、前記一般式(I)及び(II)におけるものと同じである。] 下記一般式(I)で表される(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物と、下記一般式(II)で表されるオキシム系化合物とを反応させ、下記一般式(III)で表されるブロックイソシアネート化合物を製造する方法であって、 製造工程において溶媒を用いないか、又は、前記一般式(III)で表されるブロックイソシアネート化合物を溶媒の代わりとして用い、かつ、前記ブロックイソシアネート化合物(III)を仕込んだ反応器、又は空の反応器に、前記イソシアネート化合物(I)と前記オキシム系化合物(II)を、同時に供給することを特徴とするブロックイソシアネート化合物の製造方法。[式中、R0は、メチル基又は水素原子であり、R1は、−CO−又は−COOR4−(R4は、エーテル結合及び/又はフェニレン基を含んでもよい炭素数1〜10のアルキレン基である。)][式中、R2及びR3はそれぞれ独立に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、及びn−ペンチル基からなる群から選択されるいずれか一つの基である。][式中、R0〜R3は、前記一般式(I)及び(II)におけるものと同じである。] 前記R0は、水素原子である請求項1または請求項2に記載のブロックイソシアネート化合物の製造方法。 製造の工程において、反応系内及び生成物における前記一般式(II)で表されるオキシム系化合物の含量が、常に1.0質量%以下である請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のブロックイソシアネート化合物の製造方法。 前記ブロックイソシアネート化合物(III)を仕込んだ反応器に、前記イソシアネート化合物(I)と前記オキシム系化合物(II)を、同時に供給する請求項1に記載のブロックイソシアネート化合物の製造方法。 前記R1が−COOR4−であり、前記R4は炭素数1〜5のアルキレン基である請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のブロックイソシアネート化合物の製造方法。 重合禁止剤の存在下で前記一般式(I)で表される(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物と前記一般式(II)で表されるオキシム系化合物とを反応させる請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載のブロックイソシアネート化合物の製造方法。 前記一般式(I)で表される(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物に対して、前記一般式(II)で表されるオキシム系化合物を0.5〜2.0倍モル量で反応させる請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載のブロックイソシアネート化合物の製造方法。 反応温度が−10℃〜90℃である請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載のブロックイソシアネート化合物の製造方法。


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