タイトル: | 公表特許公報(A)_光増感抗体−蛍光団コンジュゲート |
出願番号: | 2014520202 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | A61K 39/395,A61K 45/00,A61P 35/00,A61N 5/06 |
小林 久隆 チョイク, ピーター ベルナルド, マルセリノ JP 2014523907 公表特許公報(A) 20140918 2014520202 20120627 光増感抗体−蛍光団コンジュゲート ザ ユナイテッド ステイツ オブ アメリカ, アズ リプレゼンテッド バイ ザ セクレタリー, デパートメント オブ ヘルス アンド ヒューマン サービシーズ 508285606 山本 秀策 100078282 森下 夏樹 100113413 飯田 貴敏 100181674 石川 大輔 100181641 山本 健策 230113332 小林 久隆 チョイク, ピーター ベルナルド, マルセリノ US 13/180,111 20110711 A61K 39/395 20060101AFI20140822BHJP A61K 45/00 20060101ALI20140822BHJP A61P 35/00 20060101ALI20140822BHJP A61N 5/06 20060101ALI20140822BHJP JPA61K39/395 NA61K45/00A61P35/00A61N5/06A61K39/395 DA61K39/395 LA61K39/395 C AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA US2012044421 20120627 WO2013009475 20130117 91 20140218 4C082 4C084 4C085 4C082PA02 4C082PC10 4C082PL05 4C084AA19 4C084MA02 4C084NA05 4C084ZC372 4C085AA13 4C085AA14 4C085AA15 4C085AA21 4C085CC23 4C085EE03 関連出願の引用 本願は、2011年7月11日に出願された米国出願第13/180,111号の一部継続出願であり、米国出願第13/180,111号は、2010年7月9日に出願された米国仮出願第61/363,079号に対する優先権を主張する。いずれの出願も、本明細書に参考として援用される。 開示の分野 本出願は、抗体−IR700コンジュゲートと、赤外(NIR)光による照射後に、抗体に特異的に結合する細胞を死滅させるためのそれらの使用法とに関する。NIR発光ダイオード(LED)を組み込むデバイスであって、開示されるコンジュゲートおよび方法と共にも用いられうるデバイスも提供される。 背景 がんは、2007年における全てのヒト死亡者のうちの約13%を占めた。がんには複数の療法が存在するが、腫瘍細胞を有効に死滅させる一方で、非がん性細胞は傷つけない療法が依然として必要とされている。 手術、放射線療法、および化学療法を含めた従来のがん療法の副作用を最小化するために、分子標的化がん療法が開発されている。既存の標的化療法の中では、モノクローナル抗体(MAb)療法の歴史が最も長く、現在のところ、25を超える治療用MAbが、米国食品医薬品局(FDA)により承認されている(非特許文献1(Waldmann、Nat Med、9巻:269〜277頁、2003年);非特許文献2(Reichertら、Nat Biotechnol、23巻:1073〜1078頁、2005年))。有効なMAb療法は従来、3つの機構:抗体依存性細胞性細胞傷害作用(ADCC)、補体依存性細胞傷害作用(CDC)、および受容体の遮断に依存しており、複数の高用量のMAbを必要とする。MAbはまた、より低い用量で、放射性核種などの治療剤を送達するためのベクター(非特許文献3(Goldenbergら、J Clin Oncol 24巻、823〜834頁、2006年))として、または化学的毒素もしくは生物学的毒素(非特許文献4(Pastanら、Nat Rev Cancer、6巻:559〜565頁、2006年))としても用いられている。しかし、最終的に、用量制限毒性は、抗体コンジュゲートの生体分布および異化と関係している。 近赤外(NIR)域の励起光自体は無害であるが、現行の非標的化光増感剤はまた、正常組織にも取り込まれ、したがって、重大な副作用を引き起こすため、光増感剤を非イオン化光の物理的エネルギーと組み合わせて細胞を死滅させる従来の光力学療法(PDT)は、一般には、がん療法に使用されることが少ない(図9)。Waldmann、Nat Med、9巻:269〜277頁、2003年Reichertら、Nat Biotechnol、23巻:1073〜1078頁、2005年Goldenbergら、J Clin Oncol 24巻、823〜834頁、2006年Pastanら、Nat Rev Cancer、6巻:559〜565頁、2006年 開示の概要 本明細書では、抗体−IR700分子と、腫瘍細胞などの標的細胞を死滅させるためのそれらの使用法とが提供される。特定の例では、方法が、正常細胞などの非標的細胞を相当数死滅させるわけではなく(死滅させるのは、正常細胞のうちの1%未満であるなど)、かなりの数の標的細胞を死滅させる点で特異的である。特定の例では、方法が、細胞表面タンパク質を有する細胞を、治療有効量の抗体−IR700分子と接触させるステップであって、抗体(または他の特異的結合剤)が、細胞表面タンパク質に特異的に結合するステップを含む。抗体−IR700分子の特定の非限定的な例には、パニツムマブ−IR700、トラスツズマブ−IR700、およびHuJ591−IR700が挙げられる。細胞には、660〜710nm(例えば、680nm)など、660〜740nmの波長で少なくとも1Jcm−2(少なくとも50Jcm−2など)の線量で照射する。方法はまた、例えば、細胞に照射した後約8時間以内に、細胞を、1または複数の治療剤(抗がん剤など)と接触させ、これにより、細胞を死滅させるステップも含む。このような方法は、例えば、細胞に照射した約0〜48時間後に蛍光寿命(FLT)イメージングで細胞を検出し、これにより、細胞致死(cell killing)のリアルタイムでの検出を可能とするステップをさらに含みうる。 また、細胞致死をリアルタイムで検出する方法も提供される。このような方法は、上記の通りに、細胞表面タンパク質を含む細胞を、治療有効量の1または複数の抗体−IR700分子と接触させるステップと、細胞に、660〜740nmの波長で少なくとも30Jcm−2(IR700 FLTを少なくとも25%短縮するのに十分な線量、例えば、30〜50Jcm−2など)の線量で照射するステップと、約0〜48時間(細胞に照射した少なくとも6時間後など)に蛍光寿命イメージングで細胞を検出し、これにより、細胞致死をリアルタイムで検出するステップとを含みうる。 開示される抗体−IR700分子および方法により、例えば、標的細胞表面の1または複数のタンパク質(受容体など)に結合する1または複数の抗体を用いることにより、任意の標的細胞を死滅させる(そして、一部の例では、リアルタイムで検出する)ことができるが、ここで、標的細胞表面の(1または複数の)タンパク質は、非標的細胞(正常な健常細胞など)に著しくは見出されず、したがって、抗体は、非標的細胞に著しくは結合しない。一例では、細胞表面タンパク質が、HER1、HER2、またはPSMAなどの腫瘍特異的タンパク質である。 一部の例では、死滅させる細胞が、被験体に存在する。このような例では、方法が、治療有効量の抗体−IR700分子を、被験体へと投与するステップと、被験体に照射するステップ、例えば、被験体における腫瘍に照射するステップとを含みうる。一部の例では、方法が、抗体−IR700分子に特異的に結合できる細胞表面タンパク質を発現する腫瘍を有する被験体を選択するステップをさらに含みうる。 また、患者により装着されうるデバイスなどのデバイスも提供される。このようなデバイスには、衣料品、装身具、または被覆品、および衣料品、装身具、または被覆品へと組み込まれる近赤外(NIR)発光ダイオード(LED)が挙げられうる。このようなデバイスは、電源および/または冷却源をさらに含みうる。これは、患者がデバイスを、長期間にわたり装着する(またはデバイスにより被覆される)ことを可能とし、したがって、血液または循環系に存在する腫瘍細胞の処置を可能とする。また、デバイスを用いる方法も提供される。 本開示の上記の特色および他の特色は、複数の実施形態についての以下の詳細な記載であって、付属の図面に言及しながら進む記載からいっそう明らかとなる。図1aは、細胞の、トラスツズマブ−IR700コンジュゲート(Tra−IR700)による、4℃で1時間にわたる標識化または37℃で6時間にわたる標識化を示すデジタル画像である。また、光画像も示される。スケールバー、30μm。図1bは、インキュベーションの6時間後における、Tra−IR700のリソソームへの局在化を示すデジタル画像である。スケールバー、50μm。図1cは、Tra−IR700との、37℃で6時間にわたるインキュベーションに続き、光免疫療法(PIT)を行う前およびそれを行った後を示すデジタル画像である。スケールバー、50μm。図1dは、Tra−IR700媒介PITに応答した、照射線量依存的および標的特異的な細胞死を示す棒グラフである。データは、平均値±標準誤差(s.e.m.)(n=少なくとも4、***スチューデントのt検定により、非処理対照と対比してP<0.001)である。図1eは、Tra−IR700媒介PITに応答した、長期にわたる成長阻害を示す棒グラフである。データは、平均値±標準誤差(n=3、**スチューデントのt検定により、非処理対照と対比してP<0.01)である。図1fは、TraIR700媒介PITに応答した成長阻害についての顕微鏡検査による観察結果を示すデジタル画像である。スケールバー、100μm。図1gは、Tra−IR700の内部移行が、光毒性による細胞死に必要とされなかったことを示す棒グラフである。データは、平均値±標準誤差(n=3)である。図1hは、標的特異的なTra−IR700の膜結合だけが、光毒性による細胞死を誘導したことを示す棒グラフである。データは、平均値±標準誤差(n=3)である。図1iは、HER2発現が負であるA431細胞が、Tra−IR700媒介PITによる光毒性効果を示さなかったことを示すグラフである(n=3)。図1jは、Tra−IR700媒介PITにより誘導される光毒性による細胞死に対する、アジ化ナトリウム(NaN3)濃度依存的な阻害を示す棒グラフである。データは、平均値±標準誤差(n=3、スチューデントのt検定により、2.0Jcm−2での、NaN3を伴わないPIT処理である対照と対比して、***P<0.001、**P<0.01)である。DIC:微分干渉コントラスト法。PanIR:Pan−IR700。図2aは、Tra−IR700(TraIR)で処理されて光に曝露されたBalb/3T3(HER2陰性)細胞では、長期にわたる成長阻害が観察されなかったことを示すグラフである。データは、平均値±標準誤差(n=3)である。図2bは、遊離IR700色素が、3T3/HER2細胞へと取り込まれなかったことを示すデジタル画像である。蛍光画像は、細胞を洗浄せずに取得した。細胞は、遊離IR700色素を含有する培地より暗色であった。スケールバー、50μm。図2cは、TraIR700媒介光毒性が、過剰な非結合体化トラスツズマブ(Tra)により用量依存的に阻止されたことを示すグラフである。データは、平均値±標準誤差(n=3)である。図2dは、Tra−IR700の3T3/HER2細胞に対する結合が、非結合体化トラスツズマブにより、用量依存的な様式で阻止されたことを示すグラフである(n=3)。DIC:微分干渉コントラスト法。図3aは、標的特異的な光免疫療法(PIT)の誘導が、HER2発現細胞特異的な壊死性細胞死をもたらすことを示すデジタル画像である。スケールバー、50μm。図3bは、HER2特異的細胞死が、LIVE/DEAD Green染色を用いる蛍光顕微鏡検査により確認されたことを示すデジタル画像である。スケールバー、100μm。図3cは、Tra−IR700(TraIR)媒介PITにより誘導されるHER2特異的細胞死を検出するためのフローサイトメトリー解析を示すプロットである。左上の四分図:TraIR700陽性、生細胞;右上の四分図:Tra−IR700陽性、死細胞;左下の四分図:Tra−IR700陰性、生細胞;右下の四分図:Tra−IR700陰性、死細胞(n=3)。DIC:微分干渉コントラスト法。図4aは、Tra−IR700の生体分布を示すデジタル画像である。3T3/HER2腫瘍(背部の両側)を、早ければTra−IR700注射(300μg)の1日後に、IR700蛍光により視覚化した。1日目に、腫瘍の右側を、近赤外(NIR)光で照射したのに対し、腫瘍の左側は、黒色のテープで覆った。7日目に、腫瘍の縮小が確認された。破線:照射された腫瘍、実線:照射されていない腫瘍。結合しなかった色素の排出に起因する、1日目の膀胱における蓄積を除き、IR700の他の特異的な局在化は見出されなかった(n=5匹のマウス)。図4bは、in vivoにおけるTra−IR700またはキャリア単独の投与に続いて、PIT(50Jcm−2)を行った後の平均腫瘍体積を示すグラフである。データは、平均値±標準誤差(各群において少なくともn=12匹ずつのマウス、事後検定を伴うクルスカル−ワリス検定により、非処置対照と対比して、***P<0.001、”P<0.01)である。Tra:トラスツズマブ。図5aは、Pan−IR700媒介PITの前および後における顕微鏡検査による観察結果を示すデジタル画像である。スケールバー、50um。図5bは、Pan−IR700(PanIR)媒介PITに応答した線量依存的および標的特異的な細胞死を示すグラフである。データは、平均値±標準誤差(n=少なくとも4、***スチューデントのt検定により、非処理対照と対比して、P<0.001)である。図5dは、EGFR発現細胞特異的な壊死性細胞死が、Pan−IR700媒介PITにより誘導されたことを示すデジタル画像である。スケールバー、50μm。DIC:微分干渉コントラスト法。図6aは、A431細胞を先に投与されたマウスにおけるパニツムマブ−IR700コンジュゲート(Pan−IR700)の特異的な局在化を示すデジタル画像である。HER1陽性A431腫瘍(左側背部)は、早ければPan−IR700注射(50μg)の1日後に選択的に視覚化された。HER1陰性3T3/HER2腫瘍(右背部)は、検出可能な蛍光を示さなかった(n=5匹のマウス)。図6bは、2つの異なる用量(50μgおよび300μg)のPan−IR700を注射した後の経時的な、A431腫瘍におけるIR700シグナル強度を示すグラフである。データは、平均値±標準誤差(n=4匹ずつのマウス)である。図6cは、2つの異なる用量(50μgおよび300μg)のPan−IR700を注射した後の経時的な、A431腫瘍におけるIR700蛍光強度の、腫瘍対バックグラウンド比を示すグラフである。データは、平均値±標準誤差(n=4匹ずつのマウス)である。図6dは、Pan−IR700の生体分布を示すデジタル画像である。A431腫瘍(背部の両側)は、Pan−IR700注射(300μg)の早ければ1日後に、IR700蛍光により選択的に視覚化された。1日目に、腫瘍の右側を、近赤外(NIR)光で照射したのに対し、腫瘍の左側は、黒色のテープで覆った。7日目に、腫瘍の縮小が確認された。破線:照射された腫瘍、実線:照射されていない腫瘍。図6eは、in vivoにおけるPan−IR700またはキャリア単独の投与に続いて、PIT(30Jcm−2)を行った後の平均腫瘍体積を示すグラフである。Pan−IR700注射(腫瘍接種後5日目)後1日目に、PITを実施した。データは、平均値±標準誤差(各群において少なくともn=12匹のマウス、***事後検定を伴うクルスカル−ワリス検定により、他の対照群と対比して、P<0.001)である。図6fは、in vivoにおけるPan−IR700またはキャリア単独の投与に続いて、PIT(30Jcm−2)を行った後の生存期間を示すグラフである(各群において少なくともn=12匹のマウス、***多重性についてのボンフェローニによる補正を伴うログランク検定により、他の対照群と対比して、P<0.001)。図6gは、PIT処置した腫瘍(右)および処置していない腫瘍(左)の4日後の、ヘマトキシリンおよびエオシン染色組織画像(40倍および200倍)を示すデジタル画像である。n=5匹のマウス;スケールバー、100um。Pan:パニツムマブ。図6hは、高用量のPan−IR700投与が、in vivoにおけるPan−IR700媒介PITの、A431腫瘍に対するより高い抗腫瘍効力をもたらすことを示すグラフである。Pan−IR700媒介PITによる腫瘍成長の阻害は、Pan−IR700用量依存的に観察された。データは、平均値±標準誤差(各群において少なくともn=12匹のマウス)である。図7は、J591−IR700の生体分布を示すデジタル画像である。PC3−PIP腫瘍は、J591−IR700注射(100μg)の後、IR700蛍光により選択的に視覚化された。腫瘍の右側を、4、12、および13日目に、近赤外(NIR)光で照射したのに対し、腫瘍の左側は、黒色テープで覆った。5日目に腫瘍の縮小が確認された。図8は、様々な細胞についての、HER2+細胞ではTra−IR700存在下での、HER1+細胞ではPan−IR700存在下での、PSMA+細胞ではhuJ591−IR700存在下での、PIT前およびPIT後における顕微鏡検査による観察結果を示すデジタル画像である。スケールバー、50μm。DIC:微分干渉コントラスト法。図9aは、電磁波照射を使用する他の物理的がん療法との関連で、PITによる選択的ながん療法を説明するための図式を示す概略図である。他の物理的がん療法は、正常組織に異なる種類の損傷を誘導するが、PITは、正常細胞や正常組織を損傷することなく、もっぱらがん細胞を損傷する。図9bは、PITの光物理学的、化学的、および生物学的基盤を説明するための図式を示す概略図である。ヒト化抗体は、臨床的に適用可能な標的化試薬の中でのその最高度の結合特異性、in vivoで最大の標的への送達、低免疫原性のために、送達ビヒクルとして使用される。親水性のフタロシアニンは、その700nmの近赤外光の大きな吸収、および細胞膜と結合した場合に限り強力な細胞傷害作用が誘導されるために、活性化可能な細胞傷害性「ナノダイナマイト」試薬として使用される。700nmの近赤外光は、有害でない非イオン化フォトンの中でのその高エネルギーのため、およびin vivoにおける大きな組織透過のために、細胞傷害作用を活性化する誘発剤として使用される。図10A〜Dは、IR700と結合体化させたパニツムマブ(Pan−IR700)の試料を、PBSで希釈することにより、2.5、5、20、および40jag/mLの濃度で調製したことを示す図である。(A)Pan−IR700溶液の蛍光強度画像を示す図である:蛍光強度は、Pan−IR700濃度の低下に応じて低下した。(B)Pan−IR700溶液の蛍光寿命(FLT)画像を示す図である:様々な濃度のPan−IR700溶液におけるFLTは、3.56±0.081ナノ秒(ns);3.62(2.5pg/mL)、3.58(5pg/mL)、3.44(20pg/mL)、3.60ナノ秒(40pg/mL)とほぼ同じ値であった。(C)A431細胞ペレットに対するLED光照射が、FLTを変化させることを示す図である。24時間にわたり、Pan−IR700と共にインキュベートしたA431細胞系を、0、8、15、および30J/cm2の線量のPITで処理した。FLTは、光への曝露前における3.28ナノ秒と比較して、3.09、2.94、および2.85ナノ秒へと短縮した。これらは、それぞれ、9.1、10.1、および13.1%の短縮を表した。(D)A431ペレットのFLTは、Pan−IR700とのインキュベーション時間に依存する。FLT値は、Pan−IR700とのインキュベーション時間と共に延長する。FLTは、2.98ナノ秒(1時間)から3.42ナノ秒(24時間)へと変化する。図11は、Pan−IR700(100jig/m0と共に37℃で24時間プレインキュベートし、NIR光へ曝露開始した5、15、60、および90秒後の、A431細胞の時系列蛍光(serial fluorescence)の顕微鏡検査による画像(下)および微分干渉コントラスト(DIC)の顕微鏡検査による画像(上)を示すデジタル画像である。Pan−IR700は、細胞膜へと結合した後、注入の最大24時間後まで、A431細胞の細胞質へと徐々に内部移行した。より高い線量のNIR光に曝露することにより、DICにおける形態的変化は、より重大なものとなる。スケールバー、50pm。図12A〜Dは、照射された腫瘍のFLT(暗灰色のバー)の、照射されなかった腫瘍(明灰色のバー)との比較を示す図である。(A)背部の両側にA431細胞を接種した同じマウスにおける、10、30、50J/cm2の線量でのPIT前およびPIT後のFLT画像を示す図である。右側の腫瘍がPITにより処置されたのに対し、左側の腫瘍は覆われた。50J/cm2(B)、30J/cm2(C)、および10J/cm2(D)でのPITで処置されたA431腫瘍のFLTをプロットした。30および50J/cm2のNIR光線量でのPITは、照射されていない腫瘍と比較して速やかに、有意な(P<0.05)FLTの短縮を実証した。しかし、10J/cm2の低線量では、FLTが有意に短縮しなかった。FLTの一過性の延長は、おそらくは反応性マクロファージによる取込みに起因して、PITの6時間後に観察された。統計学的解析には、マン−ホイットニーのU検定を用いた。図13A〜C。(A)50および30J/cm2でのPITで処置された腫瘍におけるFLTが、非処置対照(0J/cm2)(対照)と比較して、有意に(p<0.01)短縮したことを示す図である。FLTは、それぞれ、50および30J/cm2でのPITにより、69.1±10.9%および61.5+15.1%へと速やかに短縮した。10J/cm2だけで照射されたA431腫瘍は、FLTの有意な短縮が速やかに認められないことを示した。FLTは、PITの48時間後に、非処置対照と比較して7.7%だけ短縮した。(B)PITで処置されたマウスにおける、照射されなかった腫瘍のFLTは、時間経過と共に、処置されていないマウスにおける腫瘍のFLTよりわずかに短縮したが、これらの変化は、有意でなかったことを示す図である。統計学的解析には、スチューデントのt検定を用いた。(C)0、10、30、および50J/cm2のPITで処置されたA431腫瘍の組織学的検体を示す図である。全ての検体は、ヘマトキシリンおよびエオシンで染色する。処置された腫瘍の顕微鏡検査による評価は、PIT後に健常であるかまたは損傷した腫瘍細胞のクラスターを伴う様々な程度の壊死および微小出血を明らかにした。壊死性損傷はびまん性でかつ激しく、30および50J/cm2のNIR光を施したときに、生存する腫瘍細胞が少ないことが認められた。これに対し、わずか10J/cm2のNIR光を施したときに、壊死性細胞損傷が見出されたのは腫瘍における限られた領域だけであるのに対し、相当量の健常ながん病巣が維持された。スケールは、50μmを示す。図14A〜C。A.PIT後におけるPEG化Qdot800の動的画像を示す図である。A431マウスに、Pan−IR700を注射し、24時間後、NIR光(50J/cm2)を右側の腫瘍に照射した。Qdot800は、PIT処置の1時間後に投与した。10分以内に、右側の腫瘍だけが明瞭に示された。B.PITで処置された腫瘍(緑色;上)、対照腫瘍(青色;中)、および背部(黒色;下)における時間−シグナル強度曲線を示す図である。C.蛍光顕微鏡検査を示す図である。IR700シグナルは、生存A431細胞を示す。Qdot800は、PITで処置された腫瘍組織に広範に分布し、IR700とQdot800との共局在化が部分的に観察されたのに対し、対照腫瘍におけるQdot800のシグナルは、主血管の近傍に局在化した。図15A.PIT後におけるSPIO動的画像を示す図である。A431マウスに、Pan−IR700を注射し、24時間後、NIR光(50J/cm2)を右側の腫瘍に照射した。SPIOは、PIT処置の1時間後に投与した。5分以内に、右側の腫瘍だけが明瞭に示された。図15B.プルシアンブルー染色およびHE染色を示す図である。図16A〜16D。A.PIT後におけるPan−IR800の動的画像を示す図である。A431マウスに、Pan−IR700を注射し、24時間後、NIR光(50J/cm2)を右側の腫瘍に照射した。Pan−IR800は、PIT処置の1時間後に投与した。10分以内に、右側の腫瘍だけが明瞭に示された。B.Pan−IR800が、照射された光線量に依存して、PITで処置された腫瘍に速やかに蓄積し得ることを示す図である。対照腫瘍では、シグナルが、観察されなかった。CおよびD.PITの24時間後には、血管の基底部が修復された(間質圧(intrestitaial pressure)が回復した)か、または血流が停止した可能性があるため、Pan−IR800が腫瘍により取り込まれ得ないことを示す図である。図17A〜F。A〜C:PIT後におけるダウノルビシン含有リポソームの動的画像を示す図である。A431マウスに、Pan−IR700を注射し、24時間後、NIR光(50J/cm2)を右側の腫瘍に照射した。ダウノルビシン含有リポソームは、PIT処置の1時間後に投与した。30分以内に、右側の腫瘍だけが明瞭に示された。D.蛍光顕微鏡検査による研究:IR700シグナルが、生存A431細胞を示す図である。ダウノルビシン含有リポソームが、PITで処置された腫瘍組織に広範に分布し、IR700とQdot800との共局在化が部分的に観察されたのに対し、対照腫瘍におけるQdot800のシグナルは、主血管の近傍に局在化した。E.PITを、ダウノルビシン含有リポソームと組み合わせる組合せ療法により、腫瘍成長が有意に抑制されたことを示す図であり、(F)A431担持マウスの生存期間が延長されたことを示す図である。図18は、PITおよび化学療法剤を用いて腫瘍を処置するための例示的な方法を示す概略図を提示する。方法は、腫瘍のイメージングを含みうる。図19A〜19B。A.PIT後におけるTra−IR800の動的画像を示す図である。3T3/HER2マウスに、Tra−IR700を注射し、24時間後、NIR光(50J/cm2)を右側の腫瘍に照射した。Tra−IR800は、PIT処置の1時間後に投与した。10分以内に、右側の腫瘍だけが明瞭に示された。白色矢印は、3T3HER2腫瘍への光の照射が不十分な部位を示す。Tra−IR800は、腫瘍がNIR光に曝露された領域だけに蓄積し得る。B.PIT後におけるPan−IR800の動的画像を示す図である。MDA−MB−468担持マウスに、Pan−IR700を注射し、24時間後、NIR光(50J/cm2)を右側の腫瘍に照射した。Pan−IR800は、PIT処置の1時間後に投与した。10分以内に、右側の腫瘍だけが明瞭に示された。図20A.PIT後におけるUSPIOの動的画像を示す図である。A431マウスに、Pan−IR700を注射し、24時間後、NIR光(50J/cm2)を右側の腫瘍に照射した。USPIOは、PIT処置の1時間後に投与した。5分以内に、右側の腫瘍だけが明瞭に示された。図20B.プルシアンブルー染色およびHE染色を示す図である。図20C.PIT後におけるG6−Gdの動的画像を示す図である。A431マウスに、Pan−IR700を注射し、24時間後、NIR光(50J/cm2)を右側の腫瘍に照射した。G6−Gdは、PIT処置の1時間後に投与した。5分以内に、右側の腫瘍だけが明瞭に示された。図21A〜21B。A.腫瘍の辺縁領域およびコア領域における蛍光顕微鏡検査による研究を示す図である。IR700シグナルは、生存A431細胞を示す。ダウノルビシン含有リポソームが、PITで処置された腫瘍組織に広範に分布し、IR700とダウノルビシン含有リポソームとの共局在化が部分的に観察された。とりわけ、コア領域では、DXが、局所的な壊死性領域に取り込まれうる。B.療法後における体重の変化を示す図である。明白な群間差は認められなかった。 いくつかの実施形態の詳細な説明 別段に説明されない限り、本明細書で用いられる全ての技術用語および科学用語は、開示される発明が属する技術分野の当業者により一般に理解されるのと同じ意味を有する。文脈が明らかに別のことを示していない限り、単数形の用語である「ある(a)」、「ある(an)」、および「その(the)」は、複数形の言及を含む。同様に、「または」という語も、文脈が明らかに別のことを示していない限り、「および」を含むことを意図する。「〜を含む(complising)」は、「〜を含む(including)」を意味する。よって、「AまたはBを含む(complising A or B)」は、「Aを含む(including A)」もしくは「Bを含む(including B)」、または「AおよびBを含む(including A and B)」を意味する。 以下では、本開示の実施形態を実施および/または試行するのに適する方法および材料が記載される。このような方法および材料は、例示であるだけであって、限定することを意図するものではない。本明細書に記載される方法および材料と類似するかまたは同等な他の方法および材料も用いることができる。例えば、開示される発明が関係する、当技術分野で周知の従来の方法は、例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、1989年; Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第3版、Cold Spring Harbor Press、2001年; Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology、Greene Publishing Associates、1992年(および2000年版への増補版); Ausubelら、Short Protocols in Molecular Biology:A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology、第4版、Wiley & Sons、1999年; HarlowおよびLane、Antibodies:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、1990年;ならびにHarlowおよびLane、Using Antibodies:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、1999年を含めた、様々な、一般的で、かつ、より具体的な参考文献に記載されている。 本明細書で言及される全てのGenBank受託番号と関連する配列は、2010年7月9日現在で入手可能な配列を参照することにより組み込まれる。 本開示の様々な実施形態の精査を容易とするために、特定の用語についての以下の説明が提供される。 投与:被験体に、抗体−IR700分子などの作用物質(agent)を、任意の有効な経路により服用させるかまたは施すこと。例示的な投与経路には、局所経路、注射(皮下注射、筋肉内注射、皮内注射、腹腔内注射、腫瘍内注射、および静脈内注射など)、経口経路、眼経路、舌下経路、直腸経路、経皮経路、鼻腔内経路、膣経路、および吸入経路が挙げられるがこれらに限定されない。 抗体:少なくとも軽鎖免疫グロブリン可変領域または重鎖免疫グロブリン可変領域を含むポリペプチドリガンドであって、腫瘍特異的タンパク質など、抗原のエピトープを特異的に認識し、これに結合するポリペプチドリガンド。抗体は重鎖および軽鎖からなり、それらの各々が、重鎖可変(VH)領域および軽鎖可変(VL)領域と称する可変領域を有する。VH領域およびVL領域は併せて、抗体により認識される抗原の結合に関与する。 抗体には、無傷の(intact)免疫グロブリンおよびバリアント、ならびにFab断片、Fab’断片、F(ab)’2断片、単鎖Fvタンパク質(「scFv」)、およびジスルフィド安定化Fvタンパク質(「dsFv」)など、当技術分野で周知の抗体の部分が含まれる。scFvタンパク質が、免疫グロブリンの軽鎖可変領域および免疫グロブリンの重鎖可変領域をリンカーで結合させた融合タンパク質であるのに対し、dsFvでは、鎖の会合を安定化させるためのジスルフィド結合を導入するように、鎖を変異させている。この用語はまた、キメラ抗体(例えば、ヒト化マウス抗体)、ヘテロコンジュゲート抗体(二重特異性抗体など)など、遺伝子操作された形態も含む。また、Pierce Catalog and Handbook、1994〜1995年(Pierce Chemical Co.、Rockford、IL); Kuby, J.、Immunology、第3版、W. H. Freeman & Co.、New York、1997年も参照されたい。 典型的に、天然に存在する免疫グロブリンは、ジスルフィド結合により相互接続している重(H)鎖および軽(L)鎖を有する。軽鎖にはラムダ(λ)鎖およびカッパ(k)鎖という2つの種類がある。5つの主要な重鎖のクラス(またはアイソタイプ)が存在し、それは、抗体分子:IgM、IgD、IgG、IgA、およびIgEの機能的活性を決定する。 各重鎖および軽鎖は、定常領域および可変領域を含有する(領域はまた、「ドメイン」としても公知である)。重鎖可変領域と軽鎖可変領域が組み合わされて抗原に特異的に結合する。軽鎖可変領域および重鎖可変領域は、「相補性決定領域」または「CDR」ともまた呼ばれる3つの超可変領域を挟み込んだ、「フレームワーク」領域を含有する。フレームワーク領域およびCDRの広がりは規定されている(参照により本明細書に組み込まれる、Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、U.S. Department of Health and Human Services、1991年を参照されたい)。今日では、Kabatによるデータベースが、オンラインで維持されている。異なる軽鎖または重鎖のフレームワーク領域の配列は、ヒトなど、種内で比較的保存されている。構成要素の軽鎖および重鎖の組み合わされたフレームワーク領域である、抗体のフレームワーク領域は、CDRを三次元空間に配置し整列させるように働く。 CDRは主に、抗原のエピトープへの結合に関与する。各鎖のCDRは典型的に、N末端から始めて順次番号付けされてCDR1、CDR2、およびCDR3と称し、典型的には、特定のCDRが位置する鎖によっても同定される。したがって、VHのCDR3が、それが見出される抗体の重鎖の可変ドメインに位置する一方、VLのCDR1は、それが見出される抗体の軽鎖の可変ドメインに由来するCDR1である。異なる特異性(すなわち、異なる抗原に対する異なる結合部位(combining site))を有する抗体は、異なるCDRを有する。抗体によって変化するのはCDRであるが、CDR内の限られた数のアミノ酸位置だけが、抗原の結合に直接的に関与する。CDR内のこれらの位置を、特異性決定残基(SDR)と呼ぶ。 「VH」または「VH」に対する言及は、Fv、scFv、dsFv、またはFabの重鎖の可変領域を含めた、免疫グロブリン重鎖の可変領域を指す。「VL」または「VL」に対する言及は、Fv、scFv、dsFv、またはFabの軽鎖の可変領域を含めた、免疫グロブリン軽鎖の可変領域を指す。 「モノクローナル抗体」とは、Bリンパ球の単一クローンにより産生される抗体、または単一抗体の軽鎖遺伝子および重鎖遺伝子がトランスフェクトされた細胞により産生される抗体である。モノクローナル抗体は、当業者に公知の方法により、例えば、骨髄腫細胞の、脾臓の免疫細胞との融合体に由来する、ハイブリッド抗体形成細胞を作製することにより産生される。モノクローナル抗体には、ヒト化モノクローナル抗体が含まれる。 「キメラ抗体」は、ヒトなど、1つの種に由来するフレームワーク残基と、メソテリンに特異的に結合するマウス抗体など、別の種に由来するCDR(一般に、抗原の結合を付与する)とを有する。 「ヒト化」免疫グロブリンとは、ヒトフレームワーク領域と、非ヒト(例えば、マウス、ラット、または合成)免疫グロブリンに由来する1または複数のCDRとを含む免疫グロブリンである。CDRを提供する非ヒト免疫グロブリンを、「ドナー」と称し、フレームワークを提供するヒト免疫グロブリンを、「アクセプター」と称する。一実施形態では、全てのCDRが、ヒト化免疫グロブリンにおいてドナー免疫グロブリンに由来する。定常領域は、存在しなくともよいが、存在する場合は、ヒト免疫グロブリン定常領域と実質的に同一、すなわち、約95%以上など、少なくとも約85〜90%同一でなければならない。よって、おそらくCDRを除くヒト化免疫グロブリンの全ての部分は、天然のヒト免疫グロブリン配列の対応する部分と実質的に同一である。「ヒト化抗体」とは、ヒト化軽鎖免疫グロブリンとヒト化重鎖免疫グロブリンとを含む抗体である。ヒト化抗体は、CDRを提供するドナー抗体と同じ抗原に結合する。ヒト化免疫グロブリンまたはヒト化抗体のアクセプターフレームワークは、ドナーフレームワークから選択したアミノ酸による、限られた数の置換を有しうる。ヒト化モノクローナル抗体または他のモノクローナル抗体は、抗原の結合または他の免疫グロブリン機能に対して実質的に影響を及ぼさない、さらなる保存的アミノ酸置換を有しうる。ヒト化免疫グロブリンは、遺伝子操作によって構築することができる(例えば、米国特許第5,585,089号を参照されたい)。 「ヒト」抗体(また、「完全ヒト」抗体とも呼ばれる)とは、ヒト免疫グロブリンに由来するヒトフレームワーク領域と、CDRの全てとを含む抗体である。一例では、フレームワークとCDRとが、同じ起源のヒト重鎖アミノ酸配列および/または軽鎖アミノ酸配列に由来する。しかし、1つのヒト抗体に由来するフレームワークを、異なるヒト抗体に由来するCDRを含むように操作することもできる。ヒト免疫グロブリンの全ての部分は、天然のヒト免疫グロブリン配列の対応する部分と実質的に同一である。 「〜に特異的に結合する」とは、個別の抗体が、非腫瘍タンパク質、例えば、β−アクチンなどの非類縁タンパク質に対する結合と比べて、腫瘍特異的抗原などの抗原と特異的に免疫反応する能力を指す。例えば、HER2特異的結合剤は、in vitroまたはin vivoにおいて、実質的にHER−2タンパク質だけに結合する。本明細書で用いられる「腫瘍特異的結合剤」という用語は、腫瘍特異的抗体と、その調製物中の、実質的に腫瘍特異的タンパク質だけに結合する他の作用物質とを含む。 結合とは、抗体分子とT細胞表面分子の抗原決定基との間のランダムでない結合反応である。所望の結合特異性は、特に、2つの抗原が固有のエピトープを有する場合に、抗体がT細胞表面分子と非類縁抗原とに差次的に結合し、したがって、2つの異なる抗原間を識別する能力の基準点(reference point)から決定されることが典型的である。特定のエピトープに特異的に結合する抗体を「特異的抗体」と称する。 一部の例では、抗体(抗体−IR700分子など)が、標的(細胞表面タンパク質など)に特異的に、試料または被験体における他の分子に対する結合定数より少なくとも103M−1大きな、104M−1大きな、または105M−1大きな結合定数で結合する。一部の例では、抗体(例えば、モノクローナル抗体)またはその断片の平衡定数(Kd)が、1nM以下である。例えば、抗体は、腫瘍特異的タンパク質などの標的に、少なくとも約0.1×10−8M、少なくとも約0.3×10−8M、少なくとも約0.5×10−8M、少なくとも約0.75×10−8M、少なくとも約1.0×10−8M、少なくとも約1.3×10−8M、少なくとも約1.5×10−8M、または少なくとも約2.0×10−8Mの結合アフィニティーで結合する。Kd値は、例えば、競合ELISA(酵素結合免疫吸着測定法)により決定することもでき、Biacore,Inc.、Piscataway、NJから入手可能な、Biacore T100などの表面プラズモン共鳴デバイスを用いて決定することもできる。 抗体−IR700分子または抗体−IR700コンジュゲート:IR700に結合体化した腫瘍特異的抗体などの抗体を両方とも含む分子。一部の例では、抗体が、がん細胞の表面タンパク質に特異的に結合するヒト化抗体(ヒト化モノクローナル抗体など)である。 抗原(Ag):動物へと注射または吸収される組成物(腫瘍特異的タンパク質を含む組成物など)を含め、動物における抗体の産生またはT細胞応答を刺激しうる化合物、組成物、または物質。抗原は、開示される抗原などの異種抗原により誘導される産物を含め、特定の体液性免疫または細胞性免疫の産物と反応する。「エピトープ」または「抗原決定基」とは、それに対してB細胞および/またはT細胞が応答する抗原の領域を指す。一実施形態では、T細胞は、エピトープがMHC分子と共に提示される場合、そのエピトープに応答する。エピトープは、タンパク質の三次フォールディングにより近接する連続アミノ酸または非連続アミノ酸の両方から形成されうる。連続アミノ酸から形成されるエピトープが、典型的に、変性溶媒に曝露しても保持されるのに対し、三次フォールディングにより形成されるエピトープは、典型的に、変性溶媒で処理すると失われる。エピトープは、典型的には、少なくとも3、より通常には、少なくとも5、約9、または約8〜10アミノ酸を、固有の空間的立体構造中に含む。エピトープの空間的立体構造を決定する方法には、例えば、x線結晶構造解析および核磁気共鳴が挙げられる。 抗原の例には、免疫細胞により認識されるペプチド、脂質、多糖、および核酸など、抗原決定基を含有するペプチド、脂質、多糖、および核酸が挙げられるがこれらに限定されない。一部の例では、抗原に、腫瘍特異的ペプチド(がん細胞の表面に見出される腫瘍特異的ペプチドなど)またはその免疫原性断片が挙げられる。 がん:異常な細胞成長または制御不能の細胞成長を特徴とする悪性腫瘍。がんと関連することが多い他の特色には、転移、近傍細胞の正常な機能に対する妨害、サイトカインまたは他の分泌産物の異常なレベルでの放出および炎症性応答または免疫応答の抑制または激化、例えば、リンパ節などの周囲または遠隔の組織または器官の浸潤などが挙げられる。「転移性疾患」とは、元の腫瘍部位を離れ、例えば、血流またはリンパ系を介して、身体の他の部分へと移動するがん細胞を指す。一例では、開示される方法により死滅する細胞が、がん細胞である。 接触:固体形態および液体形態の両方を含め、直接的な物理的結合下に置くこと。接触は、in vitroにおいて、例えば、腫瘍細胞などの単離された細胞と生じる場合もあり、in vivoにおいて、被験体(腫瘍を有する被験体など)に投与することにより生じる場合もある。 低減:いくらかの質、量、または強度を減少させること。一例では、1または複数の抗体−IR700分子を含む治療組成物(therapeutic composition)が、NIRによる(例えば、約680nmの波長で)少なくとも1Jcm2−の線量での、抗体−IR700分子が特異的に結合する細胞への照射後、該細胞の生存率を、例えば、抗体−IR700分子の非存在下における応答と比較して低減する。一部の例では、このような低減が、細胞致死を証拠とする。一部の例では、細胞の生存率の低減が、抗体−IR700分子を含まない組成物により観察される生存率と比べて、少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも75%、なおまたは少なくとも90%である。他の例では、低減が、細胞生存率の、抗体−IR700分子を含まない組成物により観察される生存率と比べた、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも8倍、少なくとも10倍、なおまたは少なくとも15倍もしくは20倍の低減などの倍数変化として表現される。このような低減は、本明細書で開示される方法を用いて測定することができる。 IR700(IRDye(登録商標)700DX):以下の式:を有する色素。 現在LI−COR(Lincoln、NE)から市販されている。IR700は、複数の好適な化学的特性を有する。アミノ反応性のIR700は、比較的親水性の色素であり、IR700のNHSエステルを用いて抗体(antiboidy)と共有結合的に結合体化することができる。IR700はまた、吸光係数も、ヘマトポルフィリン誘導体(thehematoporphyrin derivative)であるPhotofrin(登録商標)(630nmで1.2×103M−1cm−1)、メタ−テトラヒドロキシフェニルクロリン;Foscan(登録商標)(652nmで2.2×104M−1cm−1)、およびモノ−L−アスパルチルクロリンe6;NPe6/Laserphyrin(登録商標)(654nmで4.0×104M−1cm−1)など、従来の光増感剤の5倍超高い(689nmの吸収極大で2.1×105M−1cm−1)。 薬学的組成物:被験体に適正に投与されると所望の治療効果または予防効果を誘導することが可能な化合物または組成物。薬学的組成物は、1または複数の抗体−IR700分子などの治療剤を含みうる。治療剤または薬学的作用物質(pharmaceutical agent)とは、単独で、またはさらなる化合物と併せて、所望の応答を誘導する(被験体に投与されると治療効果または予防効果を誘導するなど)治療剤または薬学的作用物質である。特定の例では、薬学的組成物が、治療有効量の、少なくとも1つの抗体−IR700分子が挙げられる。 薬学的に許容されるビヒクル:本開示において有用な薬学的に許容されるキャリア(ビヒクル)は、従来のキャリア(ビヒクル)である。E. W. Martinによる、Remington’s Pharmaceutical Sciences、 Mack Publishing Co.、Easton、PA、第19版(1995年)は、1または複数の抗体−IR700分子など、1または複数の治療化合物(therapeutic compound)を医薬として送達するのに適する組成物および製剤について記載している。 一般に、キャリアの性質は、使用される特定の投与方式に依存する。例えば、非経口製剤は通常、ビヒクルとしての水、生理食塩液、平衡塩類溶液、水性デキストロース、またはグリセロールなどのような、薬学的に許容される流体および生理学的に許容される流体が含まれる注射用流体を含む。固体組成物(例えば、粉末形態、丸薬形態、錠剤形態、またはカプセル形態)のための従来の非毒性の固体キャリアには、例えば、薬学的グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、またはステアリン酸マグネシウムを挙げることができる。生物学的に中性のキャリアに加えて、投与される薬学的組成物は、湿潤剤または乳化剤、防腐剤、およびpH緩衝剤など、例えば、酢酸ナトリウムまたはソルビタンモノラウレートなど、少量の非毒性補助物質を含有しうる。 光免疫療法(PIT):細胞表面受容体を標的化するモノクローナル抗体(MAb)へと結合体化した近赤外(NIR)フタロシアニン色素であるIR700に基づく標的特異的光増感剤を使用する分子標的化治療法。一例では、細胞表面受容体が、HER1、HER2、またはPSMAなど、とりわけ、がん細胞で見出される細胞表面受容体であり、したがって、PITは、このような細胞を死滅させるのに用いることができる。該細胞の細胞死は、抗体−IR700分子が該細胞に結合し、これらの細胞がNIRで照射される場合に生じるのに対し、抗体−IR700分子により認識される細胞表面受容体を発現しない細胞が相当数死滅することはない。 被験体または患者:ヒトおよび非ヒト哺乳動物を含む用語。一例では、被験体が、ヒト被験体またはマウスなどの獣医学的被験体である。一部の例では、被験体が、がんを有するかまたはがんを処置されている哺乳動物(ヒトなど)である。 治療有効量:単独で、または(1または複数の)さらなる治療剤(化学療法剤など)と共に、該治療剤で処置される被験体または細胞において所望の効果を達成するのに十分な組成物の量。該治療剤(抗体−IR700分子など)の有効量は、処置される被験体または細胞、特定の治療剤、および治療組成物の投与様式が挙げられるがこれらに限られない複数の因子に依存し得る。一例では、治療有効量または治療有効濃度が、がんなどの疾患の進展(転移など)を防止するか、疾患の進行を遅延させるか、もしくは疾患の退縮を引き起こすのに十分な量または濃度、またはがんなどの疾患により引き起こされる症状を軽減することが可能な量または濃度である。一例では、治療有効量または治療有効濃度が、腫瘍を有する患者の生存期間を延長するのに十分な量または濃度である。 一例では、所望の応答が、がんと関連する1または複数の症状を軽減または阻害することである。組成物が有効であるためには、1または複数の症状が完全に消失しなくともよい。例えば、抗体−IR700分子を含有する組成物の投与の後の照射により、腫瘍のサイズ(腫瘍の体積もしくは重量または腫瘍の転移など)を、抗体−IR700分子の非存在下における腫瘍サイズと比較して、例えば、少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、なおまたは少なくとも100%低減することができる。特定の一例では、所望の応答が、抗体−IR700分子および照射の非存在下における細胞致死と比較して、例えば、細胞のうちの少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、なおまたは少なくとも100%を死滅させることにより、細胞集団を所望の量だけ死滅させることである。特定の一例では、所望の応答が、腫瘍を有する患者(または腫瘍を最近除去された患者)の生存期間を所望の量だけ延長する、例えば、抗体−IR700分子および照射の非存在下における生存期間と比較して、少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、なおまたは少なくとも100%生存を延長することである。 開示される抗体−IR700分子のうちの1つを含む作用物質であって、ヒト被験体または獣医学的被験体へと投与される作用物質の有効量は、この被験体と関連するいくつかの因子、例えば、被験体の全体的な健康に応じて変化する。作用物質の有効量は、その生成物の投与量を変化させ、腫瘍の退縮など、結果として得られる治療応答を測定することにより決定することができる。有効量はまた、in vitro、in vivo、またはin situにおける様々なイムノアッセイを介して決定することもできる。開示される作用物質は、所望の応答を得るのに必要とされる通りの、単回投与で投与することもでき、複数回投与で投与することもできる。しかし、有効量(the effective amount of)は、適用される供給源、処置される被験体、処置される状態の重症度および種類、ならびに投与様式に依存しうる。 特定の例では、抗体−IR700分子の治療有効用量が、60キログラム当たり少なくとも0.5ミリグラム(mg/kg)、少なくとも5mg/60kg、少なくとも10mg/60kg、少なくとも20mg/60kg、少なくとも30mg/60kg、少なくとも50mg/60kg、例えば、静脈内投与される場合、1mg/60kg、2mg/60kg、5mg/60kg、20mg/60kg、または50mg/60kgの用量など、例えば、0.5〜50mg/60kgである。別の例では、抗体−IR700分子の治療有効用量が、少なくとも100μg/kg、少なくとも500μg/kgまたは少なくとも500μg/kgなど、少なくとも10μg/kg、例えば、腫瘍内投与または腹腔内投与される場合、100μg/kg、250μg/kg、約500μg/kg、750μg/kg、または1000μg/kgの用量など、例えば、10μg/kg〜1000μg/kgである。一例では、治療有効用量が、局所用溶液で投与される10μg/ml、20μg/ml、30μg/ml、40μg/ml、50μg/ml、60μg/ml、70μg/ml、80μg/ml、90μg/ml、または100μg/mlなど、20μg/ml〜100μg/mlの間など、少なくとも500μg/mlなど、少なくとも1μg/mlである。しかし、当業者は、また、例えば、特定の抗体−IR700分子に応じて、より高い投与量またはより低い投与量も用いうることを認識する。特定の例では、このような毎日の投与量を、1回もしくは複数回にわたる分割用量(2、3、または4回の用量など)または単一の製剤で投与する。開示される抗体−IR700分子は、単独で投与することもでき、薬学的に許容されるキャリアの存在下で投与することもでき、他の治療剤(他の抗新生物剤など)の存在下で投与することもできる。 一般に、抗体−IR700の投与後における適切な照射線量は、660〜740nmの波長で少なくとも1Jcm−2、例えば、660〜740nmの波長で少なくとも10Jcm−2、660〜740nmの波長で少なくとも50Jcm−2、または660〜740nmの波長で少なくとも100Jcm−2、例えば、660〜740nmの波長で1〜500Jcm−2である。一部の例では、波長が、660〜710nmである。特定の例では、抗体−IR700分子の投与後における適切な照射線量が、680nmの波長で少なくとも1.0Jcm−2、例えば、680nmの波長で少なくとも10Jcm−2、680nmの波長で少なくとも50Jcm−2、または680nmの波長で少なくとも100Jcm−2、例えば、680nmの波長で1〜5001.0Jcm−2である。特定の例では、抗体−IR700分子の投与後に、複数回にわたる照射を実施する(2、3、4、5、6、7、8、9、または10回にわたる個別の投与など、少なくとも2、少なくとも3、または少なくとも4回にわたる照射など)。 処置:細胞または組織の治療剤による処置を指すのに用いられる場合の用語は、作用物質(抗体−IR700分子など)を細胞もしくは組織と接触させるステップ、または作用物質を細胞もしくは組織と共にインキュベートするステップを含む。処置された細胞とは、所望の応答に十分な量で、かつ、所望の応答に十分な条件下で、所望の組成物と接触させた細胞である。一例では、処置された細胞とは、抗体−IR700分子に、該抗体が細胞の表面タンパク質に結合するのに十分な条件下で曝露された後、十分な細胞致死が達成されるまで照射される細胞である。 腫瘍、新生物、悪性腫瘍、またはがん:新生物とは、過剰な細胞分裂から生じる組織または細胞の異常な成長である。新生物の成長は、腫瘍をもたらしうる。個体における腫瘍の量とは、腫瘍の数、体積、または重量として測定されうる「腫瘍負荷」である。転移しない腫瘍は、「良性」と称する。周囲の組織に浸潤し、かつ/または転移しうる腫瘍を、「悪性」と称する。「非がん性組織」とは、悪性新生物が形成されているが、新生物に特徴的な病態を有さない同じ器官に由来する組織である。一般に、非がん性組織は、組織学的に正常な外見を呈する。「正常組織」とは、器官に由来する組織であって、該器官が、その器官のがんまたは別の疾患もしくは障害に冒されない組織である。「がんを有さない」被験体は、その器官のがんを有すると診断されておらず、検出可能ながんを有さない。 特許請求される方法で処置されうる、がんなどの例示的な腫瘍には、乳癌(例えば、小葉癌および腺管癌)、肉腫、肺癌(例えば、非小細胞癌、大細胞癌、扁平上皮癌、および腺癌)、肺中皮腫、結腸直腸腺癌、胃癌、前立腺癌、卵巣癌(漿液性嚢胞腺癌およびムチン性嚢胞腺癌など)、卵巣胚細胞腫瘍、精巣癌、および精巣胚細胞腫瘍、膵臓腺癌、胆管腺癌、肝細胞癌、膀胱癌(例えば、移行上皮癌、腺癌、および扁平上皮癌を含めた)、腎細胞腺癌、子宮内膜癌(例えば、腺癌および混合型ミュラー腫瘍(癌肉腫)を含めた)、子宮内頸部の癌、子宮外頸部の癌、および膣癌(これらの各々の腺癌および扁平上皮癌など)、皮膚の腫瘍(例えば、扁平上皮癌、基底細胞癌、悪性黒色腫、皮膚付属器腫瘍(skin appendage tumor)、カポジ肉腫、皮膚リンパ腫、皮膚付属器腫瘍(skin adnexal tumor)、ならびに様々な種類の肉腫およびメルケル細胞癌)、食道癌、鼻咽頭癌および口腔咽頭癌(これらの扁平上皮癌および腺癌を含めた)、唾液腺癌、脳腫瘍および中枢神経系腫瘍(例えば、神経膠、神経細胞、および髄膜を起源とする腫瘍を含めた)、末梢神経腫瘍、軟組織肉腫および骨肉腫および軟骨肉腫などの固形腫瘍、ならびにリンパ腫瘍(B細胞悪性リンパ腫およびT細胞悪性リンパ腫を含めた)が挙げられる。一例では、腫瘍が、腺癌である。 本方法はまた、リンパ型の、白血球型の、または他の型の白血病などの液性腫瘍を処置するのにも用いることができる。特定の例では、処置される腫瘍が、白血病(例えば、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、毛様細胞白血病(HCL)、T細胞前リンパ球性白血病(T−PLL)、大顆粒リンパ球性白血病、および成人T細胞白血病)、リンパ腫(ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫など)、および骨髄腫など、血液の腫瘍である。 〜に十分な条件下で:所望の活性を可能とする任意の環境について記載するのに用いられる語句。一例では、「〜に十分な条件下で」が、抗体−IR700分子が細胞表面タンパク質に結合することを可能とするのに十分な抗体−IR700分子を被験体に投与することを包含する。特定の例では、所望の活性が、細胞に対する治療照射の後に、抗体−IR700分子が結合している細胞を死滅させる。 処置されていない細胞:抗体−IR700分子など、所望の作用物質と接触させていない細胞。ある例では、処置されていない細胞が、所望の作用物質を送達するビヒクルを施される細胞である。 ある特定の実施例の開示は、他の実施形態を除外することを意味するものではない。加えて、本明細書に記載される任意の処置は、他の処置に対して必ずしも除外的ではなく、他の生体活性作用物質または処置モダリティーと組み合わせることができる。技法の概観 がん療法のための従来の光力学療法(PDT)は、周囲の組織への損傷を最小限としながら光毒性をもたらすための、腫瘍における光増感剤の優先的な蓄積に基づく(Doughertyら、J Natl Cancer Inst、90巻:889〜905頁、1998年)。従来、PDTは、酸素の存在下におけるROS、とりわけ、一重項酸素の生成により媒介されると考えられている(Doughertyら、J Natl Cancer Inst、90巻:889〜905頁、1998年)。しかし、既存の光増感剤が腫瘍選択性を欠く範囲内において、用量制限毒性をもたらす相当の損傷を正常組織に認めることができる。したがって、光増感剤によるより選択的な標的化および吸収されるフォトン1個当たりのより効率的な光毒性が可能であれば、現行のPDT法が改善されることになる。 本明細書では、抗体−IR700分子と称する高度な標的化光増感剤が開示される。光増感剤であるIR700は、NIRの範囲で励起し、より深部の組織へと透過し、外部NIR光を単回線量のみ照射した後に、皮下に異種移植された腫瘍の上首尾の根絶を結果としてもたらす。標的化光毒性は、抗体−IR700分子の細胞膜への結合に主に依存し、内部移行およびROS形成に依存する程度は低いようである。コンジュゲートにより誘導される蛍光を用いて、PITおよび治療結果のモニタリングの両方を非侵襲的に導くことができる。 標的化光増感剤は、全身に分布しうるが、強い光が適用される場合に限り活性であり、これにより、オフターゲット作用の尤度が減少する。これに対し、既存の光増感剤は、がん細胞だけでなく、また、皮膚および他の上皮表面を含めた正常細胞にも結合して有害な光毒性を結果としてもたらす、選択性の低い低分子である。加えて、従来の光増感剤の標的特異的な送達は、該作用物質が、有効性を高めるために、細胞に到達した後、ミトコンドリアなどの細胞小器官へとさらに内部移行されなければならないため、理論的にも困難である。選択性を改善するために、従来の光増感剤とMAbとの様々な組合せが調べられている(Mewら、J Immunol、130巻:1473〜1477頁、1983年; Sobolevら、Prog Biophys Mol Biol、73巻:51〜90頁、2000年; Carcenacら、Br J Cancer、85巻:1787〜93頁、2001年; Vrouenraetsら、Cancer Res、59巻:1505〜13頁、1999年; Vrouenraetsら、Cancer Res、61巻:1970〜1975頁、2001年; Hamblinら、Cancer Res、56巻:5205〜10頁、1996年; Mewら、Cancer Res、45巻:4380〜6頁、1985年)。しかし、例えば、in vivoにおける治療効果により測定される場合、これらの成功はとりわけ限られたものである。なぜなら、従来の光増感剤は吸光係数が低く、このため、単一抗体分子への多数の光増感剤の結合体化を必要とし、したがって、結合アフィニティーを潜在的に低減するためであり;従来の光増感剤は、大部分が疎水性であって、免疫反応性およびin vivoにおける標的への蓄積を損なわずに光増感剤を抗体へと結合体化するのが困難であるためであり;かつ、従来の光増感剤は一般に、可視範囲の光を吸収して組織透過を減少させるためである。 本明細書では、抗体ベースの光増感剤(mAbベースの光増感剤など)が、がんの細胞膜の標的分子へと結合する場合に限り、標的化光免疫療法(PIT)に適したNIR光により活性化することが示される。フルオロフォアであるIR700(Licor Co. Lincoln、NE)は、細胞表面受容体に特異的な抗体へと結合体化すると光増感剤となることが可能であり、したがって、腫瘍細胞またはがん細胞などの望ましくない細胞に対する標的特異的な光力学療法に用いることができる。さらに、これらの作用物質はまた、診断的蛍光も発光するため、光の適用を方向付けるように使用して、関係のない組織への光の曝露を最小化し、治療効果を非侵襲的にモニタリングすることができる。様々な数の個々の標的分子を発現する複数の異なる細胞に対する3つの異なるMAbにより誘導される光毒性の類似性に基づき、免疫療法からの潜在的に付加的な利益を考慮すると、本方法は一般に、他のmAb(Nanusら、J. Urology、170巻:S84〜S88頁、2003年;およびvan Dongenら、Adv Drug Deliv Rev、56巻:31〜52頁、2004年に開示されたmAbなど)にも適用可能でありうる。 IR700を、抗EGFR抗体(HER1またはHER2)またはPSMA抗体とコンジュゲートしたところ、このコンジュゲートに選択的に結合した細胞は、680nmの近赤外(NIR)光に曝露されると死滅した。この新規の観察結果に基づき、患者に対する治療が提供される。この抗体依存的標的細胞特異的光力学療法は、NIR光(例えば、680nm)での励起により達成され、抗体が結合したときに限り、高度に選択的な細胞傷害効果を示したので、IR700を用いるこの新たな抗体依存的標的細胞特異的光力学療法を、がん患者において、副作用を最小限としながらがん療法を個別化する方途として用いることができる。 抗体−IR700コンジュゲートの選択性は、標的細胞の細胞膜への結合後におけるその活性化に由来し;結合しなかったコンジュゲートは、光毒性に寄与しない。短期間の生存度アッセイのほか、長期間の増殖アッセイも、このコンジュゲートが、特異的な細胞死を誘導しうることを実証した。受容体陽性細胞と受容体陰性細胞との共培養物を処理したところ、培養培地において結合しなかった抗体−IR700が存在したにもかかわらず、受容体陽性細胞だけが死滅した。この選択的な細胞致死は、正常細胞に対する損傷を最小化する。 抗体−IR700分子は、活性となるために、細胞膜へと結合しなければならない。例えば、エンドリソソームの破裂は、光への曝露後1秒以内に生じた。一重項酸素により誘導される細胞死は一般に、より緩徐なアポトーシス性細胞死を誘導する。本方法では、細胞膜損傷が、4℃であっても極めて速やかに誘導されたので、細胞死は、局所的に加熱された水の迅速な膨張により引き起こされるものであり、一重項酸素の作用に起因する作用は比較的小さいことが仮定される。 酸化還元剤であり、一重項酸素スカベンジャーであるアジ化ナトリウムによる処理は、光毒性を部分的に減少させたに過ぎず、コンジュゲートの有効性を完全に消失させたわけではなかった。これは、ROSの生成が、光毒性効果の重要部分ではないことを示す。光毒性が、4℃でわずか1時間後である、抗体−IR700とのインキュベーションの後に誘導されたという観察結果は、コンジュゲートの内部移行が、活性に必要とされないことを示す。これは、有効であるには細胞内への局在化を必要とする現行のPDT剤と異なる。ビデオによる顕微鏡検査は、抗体−コンジュゲートが内部移行する37℃で6時間超にわたるインキュベーション後の光への曝露後における、膜およびリソソームに対する迅速で明らかな損傷を実証した。 開示される抗体−IR700コンジュゲートは、標的化した組織の検出を可能とした。これは、領域全体に照射するのではなく、PITにより照射する特定の病変を同定することを可能としうる。診断に必要とされる用量(50μg)は、治療に必要とされる用量(300μg)より著しく低量であった。抗体の腫瘍における分布の改善は、治療用量で生じた。結合した作用物質の蛍光および結合しなかった作用物質の蛍光の両方のために、治療用量では比較的高いバックグラウンドシグナルが存在する。それにもかかわらず、PIT後では、処置した腫瘍の蛍光が減少し、最終的に消滅したことから、処置をモニタリングする手段が示された。 遊離IR700および異化IR700は、いずれの特定の器官への蓄積を伴わずに、1時間以内に尿中に容易に排出される。PITの他の構成要素である、NIRによる光照射(例えば、690nmにおける)は、加熱量(thermal dose)を除き、毒性ではなさそうである。x線またはガンマ線などのイオン化放射線と異なり、NIR光の累積照射線量には制限がないはずである(図9)。したがって、長期にわたるがん患者の管理のためにも、反復的PITを用いることができる。3つの異なるレジメンによる反復的PIT(抗体−IR700コンジュゲートの単回投与において3回または4回に分割されたNIR照射、および抗体の複数回投与の後で2週間ごとに4サイクルのPIT)は、腫瘍の再成長をコントロールし、4カ月間を超える無腫瘍生存を結果としてもたらすことが観察された。 本明細書ではまた、PITと抗体−IR700コンジュゲートとの使用が、例えば、PIT後約8時間にわたり、腫瘍へのナノサイズの作用物質の送達を増強することも示される。ナノサイズの作用物質は、血管内皮成長因子(VEGF)の枯渇を含めた体液性因子(humeral factor)による活性化によって血管内皮細胞を標的化することも可能であり、または、血管毒性剤を用いて血管内皮細胞を損傷することにより血管内皮細胞を標的化することも可能である。これらの観察結果に基づき、PIT後における他の抗新生物療法の腫瘍への送達を増強するための方法が提供される。一例では、抗新生物療法の腫瘍への送達(または抗新生物療法の有効性)が、例えば、抗体−IR700コンジュゲートの投与およびPITの非存在下における抗新生物療法の腫瘍への送達(または抗新生物療法の有効性)と比較して、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、なおまたは少なくとも95%増加する。細胞を死滅させて腫瘍を処置するための方法 本開示は、標的細胞などの細胞を死滅させるための方法を提供する。細胞は、その表面に、色素であるIR700に結合体化した抗体(本明細書では抗体−IR700分子と称する)に特異的に結合できる腫瘍特異的抗原などのタンパク質を発現する。細胞を、治療有効量の、1または複数の抗体−IR700分子(例えば、薬学的に許容される流体および生理学的に許容される流体など、薬学的に許容されるキャリアの存在下で)と、抗体が細胞表面タンパク質に特異的に結合することを可能とする条件下で接触させる。例えば、抗体−IR700分子は、ビヒクルとしての水、生理食塩液、平衡塩類溶液(PBS/EDTAなど)、水性デキストロース、ゴマ油、グリセロール、エタノール、またはこれらの組合せなど、薬学的に有効なキャリアに存在させることができる。キャリアおよび組成物は、無菌であり得、製剤は、投与方式に適する。 1または複数の抗体−IR700分子が、細胞表面におけるそれらの標的に結合することを可能とする条件下で、1または複数の抗体−IR700分子を接触させるかまたは投与した後、次いで、細胞致死を可能とする条件下で、細胞に照射する、例えば、660〜710nmの波長で少なくとも1Jcm−2の線量の照射を行う。一例では、細胞を抗体−IR700分子と接触させるステップと、照射との間では、少なくとも10分間、少なくとも30分間、少なくとも1時間、少なくとも4時間、少なくとも8時間、少なくとも12時間、または少なくとも24時間(1〜4時間、30分間〜1時間、10分間〜60分間、または30分間〜8時間など)を置く。NIRの励起光波長は、組織への少なくとも複数センチメートルの透過を可能とする。例えば、ディフューザーチップを有するファイバー結合型レーザーダイオードを用いることにより、NIR光を、身体表面に対して深部に位置する、他の方法では到達不能な腫瘍の数センチメートル以内に送達することができる。循環腫瘍細胞が表在性血管を越えるときにそれを刺激させうるので、固形腫瘍を処置するのに加えて、循環腫瘍細胞も標的化しうる(例えば、本明細書で開示されるNIR LED装着用デバイスを用いて)。開示される方法はまた、移植片拒絶に対する療法としても用いることができる。 方法はまた、細胞を1または複数のさらなる治療剤と接触させるステップも含む。本発明者らは、照射(例えば、660〜710nmの波長での、少なくとも10〜100Jcm−2など、少なくとも10Jcm−2、少なくとも20Jcm−2、少なくとも30Jcm−2、少なくとも40Jcm−2、少なくとも50Jcm−2、少なくとも70Jcm−2、少なくとも80Jcm−2、または少なくとも100Jcm−2の線量の照射)後約8時間のウインドウであって、その間に、PITで処置された細胞による、さらなる作用物質(例えば、直径が1〜500nmなど、直径が少なくとも約1nm、直径が少なくとも10nm、直径が少なくとも100nm、または直径が少なくとも200nmの作用物質など、ナノサイズの作用物質)の取込みが、予測外かつ上方へと増強されるウインドウが存在することを決定した。したがって、1または複数のさらなる治療剤を、PITと併せてまたは逐次的に細胞とを接触させることができる。一例では、さらなる治療剤を、照射後に、例えば、細胞に照射した後の約0〜8時間に(照射後の少なくとも10分間、少なくとも30分間、少なくとも60分間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、または少なくとも7時間など、例えば、照射後の1時間〜10時間、1時間〜9時間 1時間〜8時間、2時間〜8時間、または4時間〜8時間など、10時間を超えずに、9時間を超えずに、または8時間を超えずに)投与する。別の例では、さらなる治療剤を、照射の直前(照射前の10分間〜60分間、または10分間〜30分間など、照射前の約10分間〜120分間など)に投与する。 一部の例では、抗体−IR700分子/PITを、さらなる療法(抗新生物剤など)と組み合わせることにより、腫瘍の処置の有効性を増強する。例えば、抗体−IR700分子/PITを、さらなる療法(抗新生物剤など)と組み合わせる結果として、抗体−IR700分子/PIT単独またはさらなる療法単独のいずれかで処置された場合の腫瘍体積未満の腫瘍体積をもたらすことができる、すなわち、相乗作用的効果が存在する。一例では、組合せ療法で処置された腫瘍の体積(例えば、処置後の少なくとも7日間後、少なくとも10日間後、少なくとも14日間後、少なくとも30日間後、少なくとも60日間後、少なくとも90日間後、または少なくとも120日間後における)が、抗体−IR700分子/PIT単独またはさらなる療法単独のいずれかで処置された腫瘍の体積の少なくとも2分の1、少なくとも3分の1、少なくとも4分の1、なおまたは少なくとも5分の1である。一例では、組合せ療法で処置された腫瘍の体積(例えば、処置後の少なくとも7日間後、少なくとも10日間後、少なくとも14日間後、少なくとも30日間後、少なくとも60日間後、少なくとも90日間後、または少なくとも120日間後における)が、対照の処置されていない腫瘍の体積の少なくとも5分の1、少なくとも6分の1、少なくとも7分の1、なおまたは少なくとも10分の1である。別の例またはさらなる例では、抗体−IR700分子/PITを、さらなる療法(抗新生物剤など)と組み合わせることにより、腫瘍を有する被験体の生存期間を、腫瘍が抗体−IR700分子/PIT単独またはさらなる療法単独のいずれかで処置されたとした場合の被験体の生存期間と比べて延長させることができる、すなわち、相乗作用的効果が存在する。一例では、組合せ療法で処置された、腫瘍を有する被験体の生存期間が、抗体−IR700分子/PIT単独またはさらなる療法単独のいずれかで処置された、腫瘍を有する被験体の生存期間より少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、または少なくとも10倍長い(例えば、処置後の少なくとも14日間、少なくとも30日間、少なくとも60日間、少なくとも90日間、少なくとも120日間、少なくとも6カ月間、少なくとも12カ月間、少なくとも24カ月間、または少なくとも5年間など、指定された期間の後、組合せ療法で処置された被験体が、いずれかの療法単独のいずれかで処置された場合より多く存命する)。一例では、組合せ療法で処置された、腫瘍を有する被験体の生存期間が、腫瘍が処置されていない被験体の生存期間の少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、なおまたは少なくとも20倍となる(例えば、処置後の少なくとも7日間後、少なくとも10日間後、少なくとも14日間後、少なくとも30日間後、少なくとも60日間後、少なくとも90日間後、少なくとも120日間後、処置後の少なくとも6カ月間、少なくとも12カ月間、少なくとも24カ月間、または少なくとも5年間、組合せ療法で処置された被験体が、処置されていない場合より多く存命する)。 例示的なさらなる治療剤には、化学療法剤および抗脈管形成剤などの抗新生物剤、または放射線療法などの療法が挙げられる。一例では、上記剤が、化学療法免疫抑制剤(リツキシマブ、ステロイドなど)、またはサイトカイン(GM−CSFなど)である。当技術分野では、化学療法剤が公知である(例えば、SlapakおよびKufe、Principles of Cancer Therapy、Harrison’s Principles of Internal Medicine、第14版、86章; Perryら、Chemotherapy、Abeloff、Clinical Oncology、第2版、17章、2000年、Churchill Livingstone, Inc; BaltzerおよびBerkery(編)、Oncology Pocket Guide to Chemotherapy、第2版、St. Louis、Mosby-Year Book、1995年;Fischer Knobf、およびDurivage(編)、The Cancer Chemotherapy Handbook、第4版、St. Louis、Mosby-Year Book、1993年を参照されたい)。本明細書で提示される方法と共に用いられうる例示的な化学療法剤には、カルボプラチン、シスプラチン、パクリタキセル、ドセタキセル、ドキソルビシン、エピルビシン、トポテカン、イリノテカン、ゲムシタビン、チアゾフリン(iazofurine)、ゲムシタビン、エトポシド、ビノレルビン、タモキシフェン、バルスポダール、シクロホスファミド、メトトレキサート、フルオロウラシル、ミトキサントロン、ドキシル(リポソームに封入されたドキソルビシン(doxiorubicine))、およびビノレルビンが挙げられるがこれらに限定されない。一部の例では、さらなる治療剤を、直径が少なくとも1nm(例えば、直径が1nm〜500nm、1nm〜300nm、1nm〜100nm、10nm〜500nm、または10nm〜300nmなど、直径が少なくとも10nm、直径が少なくとも30nm、直径が少なくとも100nm、直径が少なくとも200nm、直径が少なくとも300nm、直径が少なくとも500nm、または直径が少なくとも750nm)のナノ粒子などのナノ粒子へと結合体化する(または他の方法でこれと会合させる)。 本方法は、in vitroにおいて、例えば、培養で、細胞を、抗体−IR700分子および1または複数の治療剤と共にインキュベートすることにより、細胞を死滅させるのに用いることもでき、または、in vivoにおいて、例えば、1または複数の抗体−IR700分子および1または複数の治療剤を被験体へと投与することにより、細胞を死滅させるのに用いることもできる。例えば、処置される被験体には、治療有効量の、1または複数の抗体−IR700分子を投与した後、被験体(または被験体における腫瘍または腫瘍細胞)を、治療線量で照射し、1または複数のさらなる治療剤を投与する(照射の約8時間以内など)ことができる。 一例では、標的細胞を1または複数の抗体−IR700分子と接触させた後に、照射および、該抗体に特異的に結合する細胞表面タンパク質を発現する標的細胞を死滅させるさらなる治療剤の投与を行う。例えば、開示される方法により、1または複数の抗体−IR700分子による処置とそれに続く照射および1または複数の治療剤の投与の非存在と比べて、処置された細胞のうちの少なくとも10%、例えば、少なくとも20%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも90%またはそれより多くを死滅させることができる。 一例では、腫瘍を有する被験体への、照射および1または複数の治療剤の投与と組み合わせた1または複数の抗体−IR700分子の投与により、該抗体に特異的に結合できる細胞表面タンパク質を発現する細胞を死滅させ、これにより、腫瘍を処置する。例えば、開示される方法により、腫瘍のサイズもしくは体積を低減することもでき、腫瘍の成長を遅延させることもでき、腫瘍の転移を低減または遅延させることもでき(例えば、転移の数を減少させるか、または転移の体積もしくはサイズを低減することにより)、または、これらの組合せを行うこともできる。例えば、開示される方法により、腫瘍細胞のサイズもしくは体積および/または転移性腫瘍細胞の体積(または転移性腫瘍の数)を、1または複数の抗体−IR700分子の投与とそれに続く照射の非存在と比べて、例えば、少なくとも10%まで、例えば、少なくとも20%まで、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも90%またはそれより大きく減少させることができる。加えて、開示される方法により、腫瘍と関連する症状および/または転移性腫瘍の低減が結果としてもたらされうる。一例では、開示される組成物の投与により、腫瘍の成長を、抗体−IR700分子の投与とそれに続く照射の非存在と比べて、例えば、少なくとも10%、例えば、少なくとも20%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも90%またはそれより大きく遅延させる。当技術分野では、腫瘍体積/サイズ/転移をモニタリングする方法が日常的である。一部の例では、開示される方法により、被験体(腫瘍を有する被験体または腫瘍を先に除去した被験体など)の生存期間を、例えば、1または複数の抗体−IR700分子の投与、照射、および1または複数の治療剤の投与の非存在と比べて、少なくとも20%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも90%またはそれより長い延長など、延長させることができる。例えば、開示される方法により、被験体の生存期間を、抗体−IR700分子の投与、照射、および1または複数の治療剤の投与が非存在の場合における平均生存期間と比べて、少なくとも3カ月間、少なくとも6カ月間、少なくとも12カ月間、少なくとも18カ月間、少なくとも24カ月間、少なくとも36カ月間またはそれより長く延長させることができる。 治療有効量の抗体−IR700分子を投与した後で、治療有効線量の照射および1または複数の治療剤の投与を行うことにより、in vivoにおける腫瘍細胞を選択的に死滅させることが可能であり、in vivoにおける腫瘍の重量または体積を低減させることが可能である。正常細胞と比べて腫瘍細胞の選択的な致死とは、その方法が、腫瘍細胞を、例えば、投与された抗体に特異的に結合する細胞表面タンパク質を発現してない細胞などの正常細胞より効果的に死滅させることが可能なことを意味する。 開示される方法を用いて、身体における固定腫瘍(fixed tumor)のほか、循環中の腫瘍(例えば、白血病細胞、転移、循環腫瘍細胞)を処置することができる。しかし、循環細胞は、それらの性質により、長期間にわたり光に曝露することができない。したがって、死滅させる細胞が、全身を循環する細胞である場合は、装着されうるデバイスまたは身体の部分を覆うするデバイスを用いることにより、本方法を達成することができる。例えば、このようなデバイスは、長期間にわたり装着することができる。NIR発光型発光ダイオード(LED)およびバッテリーパックを組み込む日常的装着用品(everyday wearable item)(例えば、腕時計、装身具(ネックレスまたはブレスレットなど)、ブランケット、衣料品(例えば、下着、靴下、および靴の中敷き)、および他の日常的装着用品)を用いることができる。このようなデバイスは、長期間にわたってデバイスの下の皮膚へと光をもたらし、長期間にわたる表在性血管への光の連続的な曝露をもたらす。循環腫瘍細胞は、デバイスの下の領域を通過するときに、光に曝露される。例として述べると、このデバイスの腕時計形またはブレスレット形には、一日の大半にわたり装着される、バッテリー電源パックを有する一連のNIR LEDが含まれうる。 1または複数の抗体−IR700分子の投与(例えば、静脈内投与)の後、循環細胞は、抗体−IR700コンジュゲートに結合し、PITによる致死に対して感受性となる。これらの細胞は、日常的装着用品(例えば、ブレスレットまたは腕時計)に存在するLEDと隣接する血管内を流れるので、それらはNIR光に曝露され、細胞致死に対して感受性となる。光線量は、診断および細胞型に応じて調整可能でありうる。 一部の例では、本方法が、腫瘍細胞致死などの治療をモニタリングするステップをさらに含む。このような例では、上記の通りに抗体−IR700コンジュゲートを細胞と接触させ、細胞に照射する。しかし、より低い用量の抗体−IR700コンジュゲートおよびより低い線量のNIR光も用いることができる(細胞致死は必要とされず、治療のモニタリングだけが必要とされうる場合)。一例では、モニタリングのために投与される抗体−IR700コンジュゲートの量が、少なくとも2分の1(治療用量の少なくとも3分の1、4分の1、5分の1、6分の1、7分の1、8分の1、9分の1、または10分の1など)である。一例では、モニタリングのために投与される抗体−IR700コンジュゲートの量が、治療用量より少なくとも20%、または少なくとも25%少ない。一例では、モニタリングのために用いられるNIR光の量が、治療線量の少なくとも1/1000、または少なくとも1/10,000である。これは、処置される細胞の検出を可能とする。例えば、このような方法を用いることにより、腫瘍のサイズおよび転移をモニタリングすることができる。 一部の例では、本方法が、内視鏡手順などの手術中に有用である。例えば、上記の通りに抗体−IR700コンジュゲートを細胞と接触させ、細胞に照射した後で、これは、細胞致死を結果としてもたらすだけでなく、外科医または他の医療ケア従事者が腫瘍の辺縁部を可視化することを可能とし、腫瘍(皮膚、乳房、肺、結腸、または前立腺の腫瘍など)の切除が完了すること、および辺縁部が無病変であることを確認する一助ともなる。一部の例では、少なくとも2分の1(治療線量の少なくとも3分の1、4分の1、5分の1、6分の1、7分の1、8分の1、9分の1、または10分の1など)など、低用量の抗体−IR700コンジュゲートを、可視化のために用いることができる。 リアルタイムでの細胞致死の検出またはモニタリングを可能とする方法が提供される。このような方法は、例えば、十分量の抗体−IR700分子および/あるいは1もしくは複数の治療剤または十分量の照射を細胞または腫瘍へと送達して、細胞致死を促進することを確実にするのに有用である。これらの方法は、形態的変化が明らかとなる前に細胞致死の検出を可能とする。一例では、本方法が、細胞表面タンパク質を有する細胞を、治療有効量の、1または複数の抗体−IR700分子(1nMの1または複数の抗体−IR700分子など、0.1〜2nM、0.5〜1.5nMなど、少なくとも0.01nM、少なくとも0.1nM、少なくとも1nM、または少なくとも10nMなど)と接触させるステップであって、該抗体が、細胞表面タンパク質に特異的に結合するステップと;細胞を660〜740nmの波長で少なくとも20Jcm−2の線量で照射するステップと;細胞に照射した後、約0〜48時間(細胞に照射した後少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも4時間、少なくとも6時間、少なくとも12時間、少なくとも18時間、少なくとも24時間、少なくとも36時間、少なくとも48時間、または少なくとも72時間、例えば、細胞に照射した後1分間〜30分間、10分間〜30分間、10分間〜1時間、1時間〜8時間、6時間〜24時間、または6時間〜48時間など)に、蛍光寿命イメージングで細胞を検出し、これにより、細胞致死をリアルタイムで検出するステップとを含む。FLTの短縮は、PITにより誘導される急性膜損傷の指標として働く。したがって、細胞に、IR700 FLTを少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、または少なくとも75%など、少なくとも25%短縮するのに十分な条件下で照射する。一例では、細胞に、660nm〜740nm(680nm〜700nmなど)の波長で30〜50Jcm−2など、少なくとも40Jcm−2、または少なくとも50−2Jcm−2、または少なくとも60Jcm−2など、少なくとも20Jcm−2、または少なくとも30Jcm−2の線量で照射する。 一部の例では、細胞致死をリアルタイムで検出する方法が、例えば、細胞に照射した後、約0〜8時間に、細胞を1または複数のさらなる治療剤と接触させるステップを含む。リアルタイムのイメージングは、細胞を1または複数のさらなる治療剤と接触させるステップの前または後に行うことができる。例えば、リアルタイムのイメージングにより決定される通り、1または複数の抗体−IR700分子を投与した後に不十分な細胞致死が生じる場合は、これらの細胞を1または複数のさらなる治療剤と接触させることができる。しかし、一部の例では、細胞致死をリアルタイムで検出する前に、細胞を抗体−IR700分子およびさらなる治療剤と接触させる。例示的な細胞 標的細胞は、腫瘍細胞など、所望でないかまたはその成長が所望でない細胞でありうる。細胞は、培養で成長する場合もあり、がんを有する患者など、処置される哺乳動物に存在する場合もある。任意の標的細胞を、特許請求される方法で処置することができる。一例では、標的細胞が、他の正常(所望の)細胞の表面では実質的に見出されない細胞表面タンパク質を発現し、このようなタンパク質に特異的に結合する抗体を選択し、かつ、このタンパク質に対する抗体−IR700分子を生成することができる。一例では、細胞表面タンパク質が、腫瘍特異的タンパク質である。一例では、細胞表面タンパク質が、望ましくない移植片拒絶と関連する細胞を標的とするのに用いうるCD25である。 一例では、腫瘍細胞が、がんを有する患者における細胞などのがん細胞である。開示される方法により死滅させうる例示的な細胞には、以下の腫瘍:急性白血病(急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、ならびに骨髄芽球性白血病、前骨髄球性白血病、骨髄単球性白血病、単球性白血病、および赤白血病など)、慢性白血病(慢性骨髄性(顆粒球性)白血病および慢性リンパ性白血病など)、真性赤血球増加症、リンパ腫、ホジキン疾患、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症、重鎖病)を含めた白血病などの液性腫瘍の細胞が挙げられる。別の例では、細胞が、肉腫および癌、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、および他の肉腫、滑膜性腫瘍、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵臓がん、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、肝細胞癌(hepatocellular carcinomna)、肺がん、結腸直腸がん、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌(例えば、膵臓、結腸、卵巣、肺、乳房、胃、前立腺、子宮頸部、または食道の腺癌)、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、髄様癌、気管支原性癌、腎細胞癌、ヘパトーム、胆管癌、絨毛癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸がん、精巣腫瘍、膀胱癌、CNS腫瘍(神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫(craniopharyogioma)、上衣腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、希突起膠腫、髄膜腫(menangioma)、黒色腫、神経芽細胞腫、および網膜芽細胞腫など)などの固形腫瘍細胞である。 例示的な被験体 一部の例では、開示される方法を用いて、本明細書に記載される腫瘍などの腫瘍を有する被験体を処置する。一部の例では、外科的または化学的に除去されるなど、腫瘍が先に処置されており、その後、開示される方法を用いて、患者に残存しうる任意の望ましくない残存腫瘍細胞を死滅させる。 開示される方法を用いて、がんなどの腫瘍を有するヒト、またはこのような腫瘍を先に除去または処置したことのあるヒトなど、任意の哺乳動物被験体を処置することができる。開示される療法を必要とする被験体には、がん細胞が、それらの表面で、抗体−IR700分子に特異的に結合できる腫瘍特異的タンパク質を発現するがんを有するヒト被験体が含まれうる。例えば、開示される方法を、がんに対する初期処置として、単独で、または放射線療法または他の化学療法と組み合わせるかのいずれかで用いることもできる。開示される方法はまた、以前の放射線療法または化学療法が失敗した患者においても用いることができる。したがって、一部の例では、被験体が、他の療法を施されたが、これらの他の療法が所望の治療応答をもたらさなかった被験体である。開示される方法はまた、限局性がんおよび/または転移性がんを有する患者においても用いることができる。 一部の例では、本方法が、抗体−IR700分子に特異的に結合できる細胞表面タンパク質(腫瘍特異的タンパク質など)を発現する腫瘍を有する被験体を選択するステップなど、開示される療法から利益を得る被験体を選択するステップを含む。例えば、被験体が、HER2を発現する乳癌を有すると決定された場合、この被験体を選択して、実施例1に記載されるTra−IR700など、抗HER2−IR700分子で処置し、その後、この被験体を、本明細書に記載される通りに照射することができる。例示的な細胞表面タンパク質 一例では、死滅させる標的細胞の細胞表面のタンパク質が、他の細胞に相当量は存在しない。例えば、細胞表面タンパク質は、標的細胞型だけに見出される受容体でありうる。 特定の例では、細胞表面タンパク質が、EGF受容体ファミリーのメンバー(例えば、HER1、2、3、および4)およびサイトカイン受容体のメンバー(例えば、CD20、CD25、IL−13R、CD5、CD52など)など、腫瘍特異的タンパク質(当技術分野ではまた、腫瘍特異的抗原としても公知)である。腫瘍特異的タンパク質とは、がん細胞に固有であるか、または、正常細胞など、他の細胞と比較して、がん細胞でより豊富なタンパク質である。例えば、HER2が、乳がんに主に見出されるのに対し、HER1は、膵臓、乳房、前立腺、および結腸など、多くの器官に見出されうる腺癌に主に見出される。 標的細胞(そして、この標的細胞に対する抗体−IR700分子を製剤化するのに、このタンパク質に特異的な抗体を用いることができる)に見出されうる例示的な腫瘍特異的タンパク質には、MAGE1(例えば、GenBank受託番号M77481およびAAA03229)、MAGE2(例えば、GenBank受託番号L18920およびAAA17729)、MAGE3(例えば、GenBank受託番号U03735およびAAA17446)、MAGE4(例えば、GenBank受託番号D32075およびA06841.1)などを含めた様々なMAGE(黒色腫関連抗原E)のうちのいずれか;様々なチロシナーゼ(例えば、GenBank受託番号U01873およびAAB60319)のうちのいずれか;変異体ras;変異体p53(例えば、GenBank受託番号X54156、CAA38095、およびAA494311);p97黒色腫抗原(例えば、GenBank受託番号M12154およびAAA59992);乳房腫瘍と関連するヒト乳脂肪球(HMFG)(例えば、GenBank受託番号S56151およびAAB19771);BAGE1(例えば、GenBank受託番号Q13072)およびBAGE2(例えば、GenBank受託番号NM_182482およびNP_872288)を含めた様々なBAGE(ヒトB型黒色腫関連抗原E)のうちのいずれか;GAGE1(例えば、GenBank受託番号Q13065)、またはGAGE2〜6うちのいずれかを含めた様々なGAGE(G抗原)のうちのいずれか;様々なガングリオシド;CD25(例えば、GenBank受託番号NP_000408.1およびNM_000417.2)が挙げられるがこれらに限定されない。 他の腫瘍特異的抗原には、子宮頸がんと関連するHPV 16/18およびE6/E7抗原(例えば、GenBank受託番号NC_001526、FJ952142.1、ADB94605、ADB94606、およびU89349)、乳癌と関連するムチン(MUC 1)−KLH抗原(例えば、GenBank受託番号J03651およびAAA35756)、結腸直腸がんと関連するCEA(がん胎児性抗原)(例えば、GenBank受託番号X98311およびCAA66955)、例えば、黒色腫と関連するgp100(例えば、GenBank受託番号S73003およびAAC60634)、黒色腫と関連するMART1抗原(例えば、GenBank受託番号NP_005502)、卵巣がんおよび他のがんと関連するがん抗原125(CA125、また、ムチン16またはMUC16としても公知)(例えば、GenBank受託番号NM_024690およびNP_078966);肝臓がんと関連するアルファ−フェトプロテイン(AFP)(例えば、GenBank受託番号NM_001134およびNP_001125);結腸直腸がん、胆道がん、乳がん、小細胞肺がん、および他のがんと関連するLewis Y抗原;腺癌と関連する腫瘍関連糖タンパク質72(TAG72);および前立腺がんと関連するPSA抗原(例えば、GenBank受託番号X14810およびCAA32915)が挙げられる。 他の例示的な腫瘍特異的タンパク質には、固形腫瘍による新生血管系のほか、前立腺がんと関連するPMSA(前立腺膜特異的抗原;例えば、GenBank受託番号AAA60209およびAAB81971.1);乳がん、卵巣がん、胃がん、および子宮がんと関連するHER−2(ヒト上皮成長因子受容体2、例えば、GenBank受託番号M16789.1、M16790.1、M16791.1、M16792.1およびAAA58637)、肺がん、肛門がん、および神経膠芽腫(gliobastoma)のほか、腺癌と関連するHER−1(例えば、GenBank受託番号NM_005228およびNP_005219);黒色腫、肉腫、精巣癌、および他のがんと関連するNY−ESO−1(例えば、GenBank受託番号U87459およびAAB49693)、hTERT(別名、テロメラーゼ)(例えば、GenBank受託番号NM_198253およびNP_937983(バリアント1)、NM_198255およびNP_937986(バリアント2));プロテイナーゼ3(例えば、GenBank受託番号M29142、M75154、M96839、X55668、NM00277、M96628、X56606、CAA39943およびAAA36342)、およびウィルムス腫瘍1(WT−1、例えば、GenBank受託番号NM_000378およびNP_000369(バリアントA)、NM_024424およびNP_077742(バリアントB)、NM_024425およびNP_077743(バリアントC)、ならびにNM_024426およびNP_077744(バリアントD))がさらに挙げられるがこれらに限定されない。 一例では、腫瘍特異的タンパク質が、慢性リンパ性白血病と関連するCD52(例えば、GenBank受託番号AAH27495.1およびCAI15846.1);急性骨髄性白血病と関連するCD33(例えば、GenBank受託番号NM_023068およびCAD36509.1);および非ホジキンリンパ腫と関連するCD20(例えば、GenBank受託番号NP_068769 NP_031667)である。 したがって、開示される方法を用いて、腫瘍特異的タンパク質を発現する任意のがんを処置することができる。例示的な抗体−IR700分子 細胞表面タンパク質配列は、公開されている(例えば、上記で示される通り)ため、このようなタンパク質に特異的な抗体(またはIR700へと結合体化しうる他の低分子)を作製または購入することは、日常的であることを、当業者は認識する。例えば、腫瘍特異的タンパク質HER2を標的として選択する場合は、HER2に特異的な抗体(トラスツズマブなど)を購入するかまたは生成させ、IR700色素へと接合させることができる。一例では、患者を、少なくとも2つの異なる抗体−IR700分子で処置する。一例では、2つの異なる抗体−IR700分子が、同じタンパク質(HER−2など)に特異的であるが、このタンパク質の異なるエピトープ(HER−2のエピトープ1およびエピトープ2など)に特異的である。別の例では、2つの異なる抗体−IR700分子が、例えば、T細胞白血病を処置するのに用いうる、CD4に特異的である1つの抗体およびCD25に特異的である別の抗体など、2つの異なるタンパク質または抗原に特異的である。例えば、抗HER1−IR700および抗HER2−IR700を、カクテルとして併せて注射すれば、HER1またはHER2のいずれかを担持する細胞の致死を容易としうる。以下の表では、他の特定の例が提示される。一例では、抗体が、ヒト化モノクローナル抗体である。抗体−IR700分子は、下記の実施例1に記載される方法など、日常的な方法を用いて生成させることができる。したがって、本開示はまた、抗体−IR700分子、このような分子を含む組成物、およびこのような分子を含むキットも提供する(例えば、1または複数の抗体−IR700分子、および化学療法剤、もしくは分子標的化剤、またはこれらの組合せを含むキット)。 また、IL−2Rα受容体(CD25)を標的とするバシリキシマブまたはダクリズマブを用いて、移植片拒絶を処置するための抗体−IR700分子も生成することができる。抗体−IR700分子およびさらなる治療剤の投与 抗体−IR700分子およびさらなる治療剤(抗新生物剤など)は、例えば、in vitroにおいて、抗体−IR700分子およびさらなる治療剤を、細胞が成長する(the cells or growing)成長培地に添加することにより、細胞と接触させることもでき、in vivoにおいて、例えば、抗体−IR700分子およびさらなる治療剤を、処置される被験体へと投与することにより、細胞と接触させることもできる。 抗体−IR700分子およびさらなる治療剤は、当技術分野で公知の任意の方法を用いて、例えば、がんなどの腫瘍を有する被験体、または腫瘍を先に除去した(例えば、手術を介して)被験体へと、局所投与することもでき、全身投与することもできる。特定の例が提示されるが、当業者は、開示される抗体−IR700分子およびさらなる治療剤の代替的投与法を用いうることを十分に理解する。このような方法には、例えば、数時間〜数日間の期間にわたり、処置を必要とする被験体への連続注入をもたらすためのカテーテルまたは植込み式ポンプの使用が含まれうる。 一例では、抗体−IR700分子およびさらなる治療剤を、腫瘍への直接の直接の注射または注入(腫瘍内注射または腫瘍内注入)を含めた非経口的手段により投与する。一部の例では、抗体−IR700分子およびさらなる治療剤を腫瘍へと適用することにより、例えば、腫瘍を、抗体−IR700分子およびさらなる治療剤を含有する溶液に浸すことにより、または抗体−IR700分子およびさらなる治療剤を腫瘍に注ぐことにより、抗体−IR700分子およびさらなる治療剤を腫瘍へと投与する。 加えて、または代替的に、開示される組成物は、腫瘍(がんなど)を有する被験体へと全身投与、例えば、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、皮内投与、腹腔内投与、皮下投与、または経口投与することができる。 被験体に投与される抗体−IR700分子(およびさらなる治療剤)の投与量は、絶対的な制限を受けるわけではなく、組成物およびその有効成分の性質、ならびにその有害な副作用(例えば、抗体に対する免疫応答)、処置される被験体および処置される状態の種類、ならびに投与様式に依存する。一般に用量とは、所望の生物学的効果を達成するのに十分な量、例えば、腫瘍のサイズ(例えば、体積および/または重量)を低減するか、またはさらなる腫瘍の成長を減弱させるか、または腫瘍の望ましくない症状を低減するのに有効な量などの治療有効量である。当技術分野では、さらなる治療剤の投与量が公知である。 抗体−IR700分子を静脈内投与する場合、単回の処置で被験体へと投与するための例示的な投与量は、体重60kg当たり0.5〜100mg、体重60kg当たり1〜100mg、体重60kg当たり1〜50mg、体重60kg当たり1〜20mgの範囲であることが可能であり、例えば、体重60kg当たり約1または2mgでありうる。さらに別の例では、腹腔内投与または腫瘍内投与される抗体−IR700分子の治療有効量は、10μg/kg〜1000μg/kg、10μg/kg〜500μg/kg、または100μg/kg〜1000μg/kgなど、体重1kgに対して10μg〜5000μgの抗体−IR700分子で変化しうる。 一例では、ヒト患者へと投与される抗体−IR700分子の用量が、少なくとも100mg、少なくとも300mg、少なくとも500mg、少なくとも750mg、なおまたは1gなど、少なくとも50mgである。 開示される抗体−IR700分子(およびさらなる治療剤)による処置は、1日で完了させることもでき、複数日に同じ投与量または異なる投与量で反復的に行うこともできる。処置の反復は、同日に行うこともでき、連日に行うこともでき、1〜3日間ごとに行うこともでき、3〜7日間ごとに行うこともでき、1〜2週間ごとに行うこともでき、2〜4週間ごとに行うこともでき、1〜2カ月間ごとに行うこともでき、なお長期の間隔で行うこともできる。細胞の照射 細胞を1または複数の抗体−IR700分子と接触させた後に、該細胞に照射する。当技術分野では、照射法が周知である。細胞表面タンパク質を発現する細胞だけが該抗体により認識されるので、これらの細胞だけに十分量の抗体−IR700分子が結合することになる。照射は、抗体−IR700分子が結合する細胞だけを死滅させ、他の細胞は死滅させないので、これは、正常細胞の致死など、望ましくない副作用の尤度を低減する。 一部の例では、組織培養ディッシュ内など、in vitroにおいて細胞に照射する。他の例では、例えば、抗体−IR700分子を先に投与された被験体に照射して、in vivoにおいて細胞に照射する。一部の例では、被験体に照射する。例えば、被験体における腫瘍に照射することができる。 細胞は、660〜700nm、680〜7000nm、670〜690nm、例えば、680nmなど、660〜710nmの波長の、治療線量の放射線で照射する。特定の例では、少なくとも10Jcm−2、少なくとも30Jcm−2、少なくとも50Jcm−2、少なくとも100Jcm−2、または少なくとも500Jcm−2、例えば、1〜1000Jcm−2、1〜500Jcm−2、30〜50Jcm−2、10〜100Jcm−2、または10〜50Jcm−2など、少なくとも1Jcm−2の線量で細胞に照射する。 細胞(または患者)には、1回または複数回にわたり照射することができる。したがって、照射は、1日で完了させることもでき、複数日(少なくとも2回の異なる時点、3回の異なる時点、4回の異なる時点、5回の異なる時点、または10回の異なる時点における照射など)に、同じ投与量または異なる投与量で、反復的に行うこともできる。照射の反復は、同じ日に行うこともでき、連日に行うこともでき、1〜3日間ごとに行うこともでき、3〜7日間ごとに行うこともでき、1〜2週間ごとに行うこともでき、2〜4週間ごとに行うこともでき、1〜2カ月間ごとに行うこともでき、なお長期の間隔で行うこともできる。NIR LEDを含有する例示的なデバイス 身体に装着または置くことができ、NIR LEDの組込みに適する任意の種類の品目を用いることができる。一例では、デバイスは、患者に挿入するチャンバーである。このようなデバイスを、白血病、リンパ腫など、血液またはリンパを循環する腫瘍細胞のほか、血液またはリンパに存在する転移性細胞を処置するのに用いることができる。一部の例では、このようなデバイスを、黒色腫など、皮膚に存在する腫瘍細胞を処置するのに用いることができる。 体内を循環する全ての細胞を死滅させるためには、数週間または数カ月間など、長期間にわたりデバイスを装着することが必要でありうる。したがって、これらのデバイスは、日常的衣料品、装身具、およびブランケットなどの寝具へと組み込むことができる。これらのデバイスは、処置が個人性を保持し、日常的活動に干渉しないように、携帯型の日常的衣料品および装身具を用いて、患者をNIR光に曝露することを可能とする。例えば、NIR LEDを組み込むネックレスは、昼間に、PIT療法(例えば、頸動脈および頸部における他の血管系を介して通過する腫瘍細胞を死滅させることにより)のために患者の趣味に合わせてカスタマイズ可能であり、目立たないように装着することが可能である。類似の「日常的」という特徴を有する複数のデバイス(ブランケット、ブレスレット、ネックレス、下着、靴下、および靴の中敷きなど)であれは、処置期間中、同じ患者により装着されうる。例えば、睡眠中に、患者は、NIRブランケットを用いうる。デバイスはまた、バッテリーなどの電源、ブランケットのようなデバイスなどの過剰加熱を防止する冷却用エレメントも含みうる。 一例では、デバイスが、指輪、時計、ブレスレット、またはネックレスなど、装身具である。別の例では、品目が、シャツ、ベルト、ズボン、下着、靴下、コート、靴の中敷き、スカーフ、帽子、リストサポーター、および手袋などのような衣料品またはアクセサリーである。別の例では、デバイスが、ブランケットまたはタオルなど、身体を覆うことができる品目である。別の例では、デバイスが、皮膚を直接曝露する全身用光チャンバーである(このようなデバイスにはまた、電源および/または冷却源も含まれ得る)。 1または複数のNIR LED(少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、または少なくとも50のNIR LEDなど)を組み込むデバイスを装着することにより、血液またはリンパに存在する、死滅させるべき腫瘍細胞または他の細胞は、NIR LED(670〜700nmまたは680〜720nmなど、660〜740nmで発光するNIR LEDなど)により生成する光に曝露される。NIR LEDから発光した光は、皮膚および血管(頸動脈または皮膚内の微小血管系など)を透過し、したがって、光が、標的細胞へと結合した抗体−IR700分子を活性化し、したがって、抗体−IR700分子が結合した細胞を死滅させることを可能としうる。NIR LEDは、皮膚または血管またはリンパ系を標的にすることを確実にするようにデバイスに配置することができる。 本明細書で提示される方法において用いうるNIR LEDデバイスは、市販されている。1つの製造元であるMarubeni America製の適用可能な製品を下記に列挙する。第1の製品であるmolded LEDは、低出力であるが、より長い曝露時間にわたり用いうる。他の選択肢は、出力がより大きく、したがって、さらなる冷却のための備品から利益を得る可能性がある。25mm×18mmの金属ケースに収納される最後の1品を除き、他の品は、ブレスレット、ネックレス、下着、靴下、手袋、帽子、および他の装着用品などの装着用デバイスに適用可能である。全ての品は、ブランケット、携帯用デバイス、またはチャンバーで用いることができる。 例えば、Marubeni America Corporation(tech-led.com/index.shtml)は、照射パターンを設定するためのレンズオプションを伴う以下のNIR LED:直径が5mmで、総放射出力が4mWであり、計算出力密度(calculated power density)が5mWcm−2であり、出力要件(power requirement)が1.8V 20mAであるMolded LED(www.tech-led.com/data/L680-AU.pdf);3.5mm×2.7mmで、総放射出力が3mWであり、計算出力密度が32mWcm−2であり、出力要件が1.9V 50mAであるSurface Mount LED;7.6mm×7.6mmで、総放射出力が20〜52mWであり、計算出力密度が34〜90mWcm−2であり、出力要件が1.65V 100mAであるSuper Beam(tech-led.com/Superbeam_LEDs.shtml);5mm×5mmまたは直径7mmで、総放射出力が90mWであり、計算出力密度が360mWcm−2であり、出力要件が2.4V 500mAであるHigh Power Surface Mount(tech-led.com/SMB_BL_LEDs.shtml);および25mm×18mmで、総放射出力が150mWであり、計算出力密度が33mWcm−2であり、出力要件が10V 120mAであるHigh Power Illuminators(tech-led.com/High_Power_Illuminators.shtml)を提供している。代替的に、690nmの、類似する出力で、短く強力な間欠パルスを伴う光を発光するデバイスも作製することができる。 in vitroの実験では、出力密度が2.2mWcm−2(または2.2mJ秒−1cm−2)であるNIR光により細胞死を誘導した。組織についての減衰係数を4cm−1と推定すると、光の強度は、5.8mmでは10%まで、12mmでは1%まで低下する。これは、in vivoの適用に必要とされる出力密度が、10〜100倍である必要があることを示す。すなわち、一部の例のNIR LEDデバイスにより発光される光線量は、少なくとも50mWcm−2、少なくとも100mWcm−2、少なくとも150mWcm−2、少なくとも200mWcm−2、または少なくとも300mWcm−2など、少なくとも20mWcm−2である。複数のNIR LEDを二次元アレイに配列して、大きな面積を適用範囲とすることができる。一例では、レーザーを、LEDに対する代替物としてのNIR光供給源として用いる。 NIR LEDには、電源(直接的または間接的にデバイスの一部でありうる)を用いることにより電力供給することができる。電源の要件は、デバイスにおけるLEDの数に依存する。例えば、1または複数のバッテリーを用いて、NIR LEDに電力供給することができる。一部のLEDでは、4つのAAバッテリーで、3つの直列LEDに電力供給することができる。アルカリAAバッテリーは、最大3000mAhの定格であるので、この構成により、20、50、および100mAで最長150、60、および30時間にわたる電力が供給される。 一部の例では、デバイスが、冷却用デバイス(直接的または間接的にデバイスの一部でありうる)をさらに含む。例えば、受動冷却または能動冷却のために熱だめを用いることができる。別の代替法は、熱電効果(ペルチエ効果)である。これならば、さらなる電力を消費するが、出力要件が差込み式のACアダプターを必要とする適用でも用いることができる。 開示される方法と共に用いられうる別の種類のデバイスは、NIR LEDを伴う閃光様デバイスである。このようなデバイスは、手術中における病変の限局的治療のために用いることもでき、PIT剤の投与後、NIR光を体表面へと適用するように内視鏡へと組み込むこともできる。このようなデバイスは、医師または有資格の保健従事者が用いることにより、身体の特異的な標的に対する処置に向けることができる。装着用NIR LEDを用いる処置 本明細書に記載される通り、開示される方法は、がん細胞に高度に特異的である。しかし、体内を循環するかまたは皮膚に存在する細胞を死滅させるために、患者は、NIR LEDを組み込むデバイスを装着することができる。一部の例では、患者が、少なくとも2つのデバイス、例えば、昼間における衣料品または装身具、および夜間におけるブランケットを用いる。一部の例では、患者が、少なくとも2つのデバイス、例えば、2つの衣料品を同時に用いる。これらのデバイスは、処置が個人性を維持し、日常的活動に干渉しないように、日常携帯型の衣料品および装身具を用いて、患者を、NIR光に曝露することを可能とする。一部の例では、デバイスを、PIT療法のために、昼間に目立たないように装着することができる。 一例では、本明細書に記載される方法を用いて、患者に、1または複数の抗体−IR700分子を投与する。次いで、患者は、NIR LEDを組み込むデバイスを装着し、血液もしくはリンパに存在するかまたは皮膚に存在する腫瘍細胞の、長期にわたる治療および処置を可能とする。一部の例では、線量が、少なくとも少なくとも1Jcm−2、少なくとも10Jcm−2、少なくとも20Jcm−2、または少なくとも30Jcm−2、例えば20Jcm−2もしくは30J/cm2である。一部の例では、抗体−IR700分子の投与が、ある期間にわたり反復される(治療レベルが身体において存在することを確実にするために、隔週または毎月など)。 一部の例では、患者が、デバイスまたはデバイスの組合せを、少なくとも1週間、例えば少なくとも2週間、少なくとも4週間、少なくとも8週間、少なくとも12週間、少なくとも4カ月間、少なくとも6カ月間、なおまたは少なくとも1年間にわたり装着するかまたは用いる。一部の例では、患者が、デバイスまたはデバイスの組合せを、1日少なくとも4時間、例えば1日少なくとも12時間、1日少なくとも16時間、1日少なくとも18時間、または1日24時間にわたり装着するかまたは用いる。処置期間中には、同じ患者が、類似の「日常的」という特徴を有する複数のデバイス(ブランケット、ブレスレット、ネックレス、下着、靴下、靴の中敷き)を装着しうることが十分可能である。夜間には、患者が、NIR LEDブランケットまたは他の被覆品を用いうる。さらなる処置 上記で論じた通り、1または複数の抗体−IR700分子の投与前、投与中、または投与後に、被験体に対し、1または複数の他の療法を施すことができる。一例では、被験体に、1または複数の処置を施して腫瘍を除去または減らし、その後に抗体−IR700分子を投与する。 開示されるPIT法と組み合わせて用いうる療法であって、該PIT後約8時間にわたり、さらなる治療剤への腫瘍の接触可能性を増強する療法の例は、腫瘍を除去または減らすための外科的処置(外科的切除、寒冷療法、または化学塞栓術など)のほか、放射性治療剤、抗新生物化学療法剤、抗生物質、アルキル化剤および抗酸化剤、キナーゼ阻害剤、ならびに他の作用物質が含まれうる抗腫瘍の薬学的処置であるがこれらに限定されない。一部の例では、さらなる治療剤を、ナノ粒子へと結合体化する。用いうるさらなる治療剤の特定の例には、微小管結合剤、DNA挿入剤またはDNA架橋剤、DNA合成阻害剤、DNAおよび/またはRNA転写阻害剤、抗体、酵素、酵素阻害剤、および遺伝子調節剤が挙げられる。これらの作用物質(治療有効量で投与される)および処置は、単独で用いることもでき、組み合わせて用いることもできる。このような作用物質の方法および治療投与量は、当業者に公知であり、熟練した臨床家により決定されうる。 「微小管結合剤」とは、チューブリンと相互作用して、微小管形成を安定化させるか、または微小管形成の安定化を解除し、これにより、細胞分裂を阻害する作用物質を指す。開示される抗体−IR700分子療法と共に用いうる微小管結合剤の例には、パクリタキセル、ドセタキセル、ビンブラスチン、ビンデシン、ビノレルビン(ナベルビン)、エポチロン、コルヒチン、ドラスタチン15、ノコダゾール、ポドフィロトキシン、およびリゾキシンが挙げられるが、それらに限定されない。また、このような化合物の類似体および誘導体も用いることができ、当業者にはこれらが公知である。例えば、適切なエポチロンおよびエポチロン類似体は、国際公開第WO2004/018478号に記載されている。パクリタキセルおよびドセタキセルのほか、米国特許第6,610,860号;同第5,530,020号;および同第5,912,264号により教示されるパクリタキセルの類似体などのタキソイドを用いることができる。 以下のクラスの化合物は、本明細書で開示されるPIT法と共に用いることができる。アクチノマイシンD、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ならびにこれらの誘導体および類似体が挙げられるが、それらに限定されない適切なDNAおよび/またはRNA転写調節剤は、開示される療法と組み合わせた使用にもまた適する。被験体に投与しうるDNA挿入剤およびDNA架橋形成剤には、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、マイトマイシンCなどのマイトマイシン、ブレオマイシン、クロラムブシル、シクロホスファミド、ならびにこれらの誘導体および類似体が挙げられるが、それらに限定されない。治療剤としての使用に適するDNA合成阻害剤には、メトトレキサート、5−フルオロ−5’−デオキシウリジン、5−フルオロウラシル、およびこれらの類似体が挙げられるが、それらに限定されない。適切な酵素阻害剤の例には、カンプトテシン、エトポシド、ホルメスタン、トリコスタチン、ならびにこれらの誘導体および類似体が挙げられるが、それらに限定されない。遺伝子調節に影響を及ぼす適切な化合物には、ラロキシフェン、5−アザシチジン、5−アザ−2’−デオキシシチジン、タモキシフェン、4−ヒドロキシタモキシフェン、ミフェプリストン、ならびにこれらの誘導体および類似体など、1または複数の遺伝子の発現の増大または低減を結果としてもたらす作用物質が挙げられるが、それらに限定されない。キナーゼ阻害剤には、成長因子のリン酸化および活性化を防止するGleevac、Iressa、およびTarcevaが挙げられる。 また、他の治療剤、例えば、上記分類のうちの1または複数の下に収まる場合もあり、収まらない場合もある抗腫瘍作用物質も、開示されるPIT療法と組み合わせた投与に適する。例を目的として述べると、このような作用物質には、アドリアマイシン、アピゲニン、ラパマイシン、ゼブラリン、シメチジン、ならびにこれらの誘導体および類似体が挙げられる。 一部の例では、治療抗体−IR700分子の組成物を施される被験体に、例えば、静脈内投与を介して、インターロイキン2(IL−2)もまた投与する。特定の例では、IL−2(Chiron Corp.、Emeryville、CA)を、静脈内ボーラスとして、少なくとも500,000IU/kgの用量で、ペプチド投与の翌日から始めて8時間ごとに15分間にわたり投与し、最長5日間にわたり継続する。投与は、被験体の忍容性に応じて省略することができる。 一部の例では、開示される抗体−IR700分子を、細胞傷害性Tリンパ球抗原4に対する完全ヒト抗体(抗CTLA−4)と共に共投与する(または照射直前もしくは直後に投与する)ことができる。一部の例では、被験体に、少なくとも1mg/kgの抗CTLA−4(3週間ごとに3mg/kg、または初期用量として3mg/kg、その後3週間ごとに1mg/kgへと用量を減少させるなど)を施す。 一例では、開示される療法を施す(抗体−IR700分子の投与など)前に、腫瘍の少なくとも一部(転移性腫瘍など)を外科的に除去する(例えば、寒冷療法を介して)か、照射するか、化学的に処置する(例えば、化学塞栓術を介して)か、またはこれらの組合せを施す。例えば、転移性腫瘍を有する被験体は、開示される療法を施す前に、腫瘍の全部または一部を、外科的に切除することができる。ある例では、1または複数の化学療法剤を、抗体−IR700分子および照射による処置の後に投与する。別の特定の例では、被験体が転移性腫瘍を有し、放射線療法、化学塞栓療法、またはこれらの両方が、開示される療法の投与と併せて投与される。 (実施例1)IRDye 700と結合体化したトラスツズマブ(抗Her2)の合成 この実施例では、モノクローナル抗体トラスツズマブを、IRDye 700DX NHS Esterへと結合体化するのに用いられる方法について記載する。当業者は、標的細胞表面タンパク質に特異的な任意のモノクローナル抗体など、任意の抗体を、同様の方法を用いてIRDye 700DX NHS Esterへと結合体化しうることを認識する。 ヒト化抗HER2抗体であるトラスツズマブ(Tra;Genetech、San Francisco、CA)(1mg、6.8ナノモル(nmol))を、0.1モル/LのNa2HPO4(pH8.5)中のIRDye 700DX NHS Ester(IR700;LI−COR Bioscience、Lincoln、NE)(DMSO中66.8μg、34.2ナノモル、5ミリモル/L)と共に、室温で30〜120分間にわたりインキュベートした。トラスツズマブとは、ヒト上皮成長因子受容体(EGFR)2(HER2)チロシンキナーゼ受容体の細胞外ドメインに対して指向する組換えヒト化モノクローナル抗体(MAb)である。混合物は、Sephadex G50カラム(PD−10;GE Healthcare、Piscataway、NJ)で精製した。タンパク質濃度は、595nmにおける吸収を、紫外−可視システム(8453 Value System;Agilent Technologies、Palo Alto、CA)で測定することにより、Coomassie Plusタンパク質アッセイキット(Pierce Biotechnology、Rockford、IL)で決定した。IR700の濃度は、紫外−可視システムによる吸収によって測定して、各トラスツズマブ分子へと結合体化したフルオロフォア分子の数を確認した。トラスツズマブ1つ当たりのIR700の数は、約3であった。 Tra−IR700コンジュゲートの純度は、解析的サイズ除外HPLC(SE−HPLC)およびドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)により確認した。SE−HPLCは、32 Karatソフトウェアにより制御される、モデル126溶媒送達モジュール、モデル168UV検出器、およびJASCO蛍光検出器(励起:689nmおよび発光:700nm)を装備した、Beckman System Gold(Fullerton、CA)を用いて実施した。SEクロマトグラフィーは、0.5mL/分のリン酸緩衝食塩液(PBS)を用いて45分間にわたり溶出される、TSKgel G2000SWxl(Tosoh Bioscience LLC、Montgomeryville、PA)で実施した。SDS−PAGEは、勾配4%〜20%のポリアクリルアミドゲル(Invitrogen、Carlsbad、CA)により実施した。タンパク質を分離した直後、蛍光強度を、励起については670nmの内部レーザーおよび発光については705nmのロングパスフィルターを用いるFujifilm FLA−5100蛍光スキャナー(Valhalla、NY)で解析した。各バンドの蛍光強度は、Multigageソフトウェア(Fujifilm)で解析した。次いで、ゲルをColloidal Blue Staining Kit(Invitrogen)で染色し、デジタル走査した。各バンド内のタンパク質濃度は、ImageJソフトウェアで解析した。トラスツズマブ−IR700(Tra−IR700)調製物およびパニツムマブ−IR700(Pan−IR700;実施例8を参照されたい)調製物は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)およびドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動SDS−PAGEにより決定される通り、強力な会合を実証し、検出可能なMAb凝集物を含有しなかった。 IR700コンジュゲートのin vitroにおける結合特徴を決定するために、このコンジュゲートの、Indo−Genによる手順を用いる125I標識化を実施した。放射性標識された抗体の比活性は、トラスツズマブが8.52mCi/mgであり、パニツムマブが7.84mCi/mgであった(下記の実施例8を参照されたい)。各MAbコンジュゲートのそれぞれにより、73.38±0.39%(125I−Tra−IR700)および78.61±0.89%(125I−Pan−IR700)の結合が達成されることが観察され、結合の特異性も、過剰な天然の非結合体化MAbでブロッキングする(1.4%未満)ことにより確認した。同じ方法で測定された125I−Traおよび125I−Panの免疫反応性が、それぞれ、78±2%および82±3%であったので、IR700コンジュゲーションによるMAbの喪失が最小限であることが確認された。免疫反応性アッセイは、既に記載されている通りに実施した。略述すると、トリプシン処理の後、2×106個の3T3/HER2細胞またはA431細胞を、1%のウシ血清アルブミン(BSA)を含有するPBSに再懸濁させた。125I−Tra−IR700または125I−Pan−IR700(1mCi、0.2μg)を添加し、氷上で1時間にわたりインキュベートした。細胞を洗浄し、ペレット化し、上清をデカントし、2470 Wizard2γカウンター(Perkin Elmer、Shelton、CT)によりカウントした。細胞に対する非特異的結合を抗体過剰の条件下(200μgの標識されていないトラスツズマブまたはパニツムマブ)で調べた。 (実施例2)HER2+細胞の選択的致死 この実施例では、実施例1に記載されるトラスツズマブ−IR700化合物(本明細書ではTra−IR700と称する)を用いて、HER2を発現する(HER2+)細胞を選択的に死滅させるが、HER2陰性(HER2−)細胞に対する負の作用は最小限としうることを示すのに用いられる方法について記載する。 HER2遺伝子でトランスフェクトしたNIH3T3(3T3/HER2+)細胞を、光力学療法(PDT)の標的に用いた。対照としては、DsRed蛍光タンパク質は発現するが、HER2は発現しないBalb/3T3細胞(Balb/3T3/DsRed)を使用した。細胞は、95%の空気および5%の二酸化炭素の雰囲気下、37℃の加湿インキュベーター内の組織培養フラスコの中の10%ウシ胎仔血清および1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したRPMI 1640で成長させた。 蛍光顕微鏡検査は、BX51顕微鏡またはIX81顕微鏡(Olympus America、Melville、NY)で実施した。IR700を検出するためのフィルターを設置したが、これは、590〜650nmの励起フィルター、および665〜740nmの帯域発光フィルターからなった。DsRedタンパク質を検出するために、480〜550nmの励起フィルター、および590nmのロングパス発光フィルターからなるフィルターセットを使用した。 蛍光顕微鏡検査を実施して、3T3/HER2+細胞におけるIR700の細胞内局在化について調べた。細胞を底部がカバーガラスのディッシュ(cover glass−bottomed dish)上に播種し、24時間にわたりインキュベートした。Tra−IR700を、10μg/mLで培養培地に添加した。図1aに示される通り、Tra−IR700は、氷上で1時間にわたるインキュベーション後に細胞表面に検出され、37℃でのインキュベーションの6時間後に、主に、リソソームに局在化したことから、緩やかな内部移行が示された。420〜480nmの励起フィルター、および520nmのロングパス発光フィルターからなるフィルターセットにより検出される、LysoTracker Green(Invitrogen、Carlsbad、CA)による共染色は、IR700のエンドリソソーム区画との共局在化を明らかにした(図1b)。Tra−IR700とのインキュベーションの1時間後および6時間後に、励起光(蛍光顕微鏡;2.2mWcm−2の出力密度)は、蛍光のほか、壊死性細胞死を表す細胞の腫脹、ブレブ形成、および小胞の破裂を誘導した(図1c)。 光免疫療法(PIT)のために、細胞を、35mmの底部がカバーガラスのディッシュ上に播種し、24時間にわたりインキュベートした。培地を、Tra−IR700を10μg/mLで含有する新鮮な培養培地で置きかえ、37℃で6時間にわたりインキュベートした。リン酸緩衝食塩液(PBS)で洗浄した後、培養培地をフェノールレッド非含有培地で置きかえた。赤色発光ダイオード(LED;FluorVivo;INDEC Systems Inc.、Capitola、CA)を用いて、細胞を670nm〜690nmの、出力密度が光出力計(PM 100、Thorlabs、Newton、NJ)で測定される場合に2.6mWcm−2の光で照射した。細胞生存率は、LIVE/DEAD(登録商標)Fixable Green Dead Cell Stain Kit(Invitrogen)による処理の1時間後に評価した。処理の後、細胞をトリプシン処理し、PBSで洗浄した。緑色蛍光反応色素を細胞懸濁液に添加し、室温で30分間にわたりインキュベートした。次いで、フローサイトメーター(FACS Calibur、BD BioSciences、San Jose、CA)で細胞を解析した。 図1cに示される通り、3T3/HER2+細胞に対する1.0Jcm−2での照射は、細胞膜の突出(budding)および腫脹を表す、迅速な壊死性細胞死を結果としてもたらした。 (実施例3)照射線量の同定 異なる線量の光の照射に応答した光毒性を決定するために、LIVE/DEAD(登録商標)Fixable Green Dead Cell Stain Kitを用いて、PDTで処理した3T3/HER2+細胞を、フローサイトメトリーによりアッセイした。膜が損傷した細胞を検出しうるLIVE/DEADアッセイは、処理後1時間以内に実施した。図1dに示される通り、Tra−IR700媒介PDTに応答した細胞死は、PITの1時間後において光線量依存的であった。PITなしの細胞やTra−IR700なしの細胞は、顕著な光毒性を示さなかった。 (実施例4)経時的な細胞生存率の測定 細胞生存率を経時的にモニタリングするために、細胞を標識し、実施例2に記載される通りこれらに照射し、次いでその後、実施例2に記載される通りに顕微鏡検査を行なって、これらを経時的に(5日間にわたり)モニタリングした。 図1fに示される通り、光毒性による細胞死は、Tra−IR700で処理した3T3/HER2+細胞のみに観察されたが、非照射群(PITなし)や照射したがTra−IR700は施さなかった群(Tra−IR700なし)では観察されなかった。 (実施例5)Tra−IR700の標的特異的な光毒性 PITは、実施例2に記載される通りに実施した。図1gに示される通り、Tra−IR700との1時間のインキュベーションと6時間のインキュベーションとの間では、光毒性に有意差がなかったことから、Tra−IR700の膜結合は、細胞死を誘導するのに十分であったことが示された。Tra−IR700は、エンドリソソーム区画に局在して(図1b)、照射後における細胞の腫脹およびブレブ形成を伴う小胞の破裂もまた誘導した。しかし、これは、細胞死の主要な原因ではないようであった。なぜなら、細胞死は、4℃でのインキュベーションの1時間以内にTra−IR700のエンドリソソームへの局在化を伴わずに観察されたからであった。照射の前に細胞を洗浄しなくとも光毒性効果には影響が及ばなかったことから、コンジュゲートの存在だけでなく、細胞膜の結合性も、コンジュゲートの光毒性効果に重要であることが示された。さらに、IR700色素単独(200nM;Tra−IR700コンジュゲートと同等なIR700濃度)は、細胞へと取り込まれないし、細胞における光毒性も誘導しなかった(図1hおよび図2b)。加えて、光毒性は、過剰な非結合体化トラスツズマブにより用量依存的に阻止された(図2cおよび2d)。さらに、Tra−IR700は、A431細胞に対して治療効果を誘導しなかった。(図1i)。これらの結果により、細胞死は、Tra−IR700の特異的な膜結合に依存することが確認される。 反応性酸素種(ROS)は、従来のPDTと関連する細胞死に関与している。Tra−IR700による光毒性の生成における、フォトンに誘導される酸化還元反応(例えば、一重項酸素(1O2))の役割を明らかにするため、細胞に照射するときに、酸化還元クエンチャーであるアジ化ナトリウム(NaN3)を培地に添加した。細胞死の百分率は、アジ化ナトリウムの存在下で、用量依存的な様式で、部分的に低減した(図1j)。 光毒性が標的特異的であることを確認するために、3T3/HER2+細胞およびBalb/3T3/DsRed細胞(DsRed蛍光タンパク質でトランスフェクトしたHER2陰性Balb/3T3親細胞)を共培養し、37℃でTra−IR700とともに1または6時間にわたるインキュベーションの後、1.0Jcm−2で照射した。Tra−IR700がHER2特異的な様式で分布したのに対し、DsRedを発現するBalb/3T3細胞は、照射しても光毒性を示さなかった(図3a)。加えて、多色蛍光顕微鏡検査(図3b)およびフローサイトメトリー解析(図3c)により決定される通り、LIVE/DEAD Green染色は、細胞死のHER2特異的誘導を実証した。 (実施例6)Tra−IR700は、HER2+細胞の増殖を低減する 3T3/HER2細胞を、35mm細胞培養ディッシュへと、1×104個の密度で播種した。翌日、細胞を、Tra−IR700有りまたは無しでインキュベートし、実施例2に記載される通りにこれらに照射した。細胞生存率は、細胞播種後1、3、および5日目にトリパンブルー色素排除アッセイにより決定した。処理した対照または処理していない対照の生存細胞は、トリプシン処理の後に血球計でカウントした。細胞成長はまた、各時点において顕微鏡下でも写真撮影した。 図1eに示される通り、Tra−IR700で処理し、次いで、2.0Jcm−2のPDTにかけられた細胞の生存率は、Tra−IR700だけで処理した細胞、PDTだけで処理した細胞、または処理していない細胞と比較して著しく減少した。 (実施例7)Tra−IR700はin vivoにおいてHER2+細胞を選択的に死滅させる この実施例では、Tra−IR700が、in vivoにおいて、HER2+腫瘍を処置しうることを示すのに用いられる方法について記載する。当業者は、同様の方法を、他の腫瘍/抗体−IR700の組合せと共に用いうることを十分に理解する。 6〜8週齢の雌性ホモ接合無胸腺ヌードマウス(Charles River、NCI−Frederick、Frederick、MD)にイソフルランで麻酔をかけた。3T3/HER2+細胞またはBalb/3T3細胞(200万個)を、マウスの左側背部に皮下注射した。細胞注射の4日後、50または300μgのTra−IR700のいずれかを静脈内投与した。腫瘍異種移植片におけるHER2特異的Tra−IR700の蓄積は、in vivoにおける蛍光イメージングシステム(Pearl Imager、LI−COR Biosciences、Lincoln、NE)で確認した。3T3/HER2+腫瘍特異的IR700−Traの局在化が観察された。これに対し、Balb/3T3腫瘍は、HER2特異的IR700蛍光を示さなかった。 IR700−Traによる標的化PITのin vivoにおける効力を評価するために、100万個の3T3/HER2+細胞またはBalb/3T3細胞を、雌性ヌードマウスの両側の背部へと皮下注射した。両方の腫瘍の体積が、約70mm3に達したとき(約4日間)、動物を、以下の処置:(1)処置なし;(2)300μgトラスツズマブの静脈内注射、PITなし;(3)300μg Tra−IR700の静脈内注射、PITなし;(4)3T3/HER2腫瘍に対する、Tra−IR700なしの、50J/cm2のPIT;(5)300μg Tra−IR700の静脈内注射、50J/cm2でPDTを実施した、について1群当たり少なくとも12匹の動物からなる5つの群へと無作為化した。 Tra−IR700投与の24時間後、PITを施すマウスにおいて、腫瘍を含む右背部を包含する直径1cmの領域に照射した(線量レベル:50Jcm−2)。腫瘍の左側背部は、黒色テープで覆い、光への曝露を防止した。PITに応答した効果を毎日モニタリングし、腫瘍体積を、それが500〜1000mm3に達する(この時点で、マウスを二酸化炭素ガスで安楽死させた)まで、ノギスで週に2回測定した。腫瘍体積を決定するために、最大の縦径(長さ)および最大の横径(幅)を、外側ノギス(external caliper)で決定した。ノギス測定に基づく腫瘍体積は、以下の式:腫瘍体積=長さ×幅2×0.5により計算した。別段に示されない限り、データは、3つの実験の最小値に由来する平均値±標準誤差(sem)として表される。統計学的解析は、統計学プログラム(GraphPad Prism;GraphPad Software、La Jolla、CA)を用いて実行した。多重比較のために、事後検定を伴う一元分散分析(ANOVA)(事後検定を伴うクルスカル−ワリス検定)を用いた。本明細書において腫瘍体積が500mm3に達しなかったとして決定する、生存の累積確率は、各群において、カプラン−マイヤー生存曲線解析を用いて推定し、結果を、多重性についてのボンフェローニによる補正を伴うログランク検定を用いて比較した。P<0.05を、統計学的な有意差を示すと考えた。 図4aおよび4bに示される通り、50Jcm−2の照射が、処置の4、7、10、および14日後の3T3/HER2+腫瘍において有意な腫瘍成長の阻害を結果としてもたらしたのに対し、処置されていない腫瘍は、腫瘍成長に対するいかなる検出可能な効果も示さなかった。加えて、Balb/3T3腫瘍に対する照射は、有意な治療効果を示さなかった。さらに、処置中または処置後に、致死的な副作用は見出されなかった。 (実施例8)IRDye 700を結合体化したVectibix(登録商標)(抗HER1)の合成 ヒトEGFRに対して指向する完全ヒト化IgG2MAbであるパニツムマブ(Vectibix(登録商標))は、Amgen(Thousand Oaks、CA)から購入し、実施例1に記載される方法を用いてIR700に結合体化させた。この化合物を、パニツムマブ−IR700またはPan−IR700と称する。パニツムマブ1当たりのIR700の数は、約3であった。 (実施例9)Pan−IR700はHER1+細胞を選択的に死滅させる この実施例では、実施例8に記載されるPan−IR700化合物を用いて、HER1を発現する細胞(HER1+)を選択的に死滅させうるが、HER1陰性(HER1−)細胞に対する負の作用は最小限であることを示すのに用いられる方法について記載する。 EGFRを発現するA431細胞を、標的のHER1+細胞として用いた。対照としては、DsRed蛍光タンパク質は発現するが、HER1/EGFRは発現しないBalb/3T3細胞(Balb/3T3/DsRed)を用いた。細胞は、95%の空気および5%の二酸化炭素の雰囲気下、37℃の加湿インキュベーター内の組織培養フラスコの中の10%ウシ胎仔血清および1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したRPMI 1640で成長させた。A431細胞またはBalb/3T3/DsRed細胞を、底部がカバーガラスのディッシュ上に播種し、24時間にわたりインキュベートした。Pan−IR700を、10μg/mLで、培養培地に添加し、氷上で1時間または37℃で6時間にわたりインキュベートし、次いで、細胞をPBSで洗浄した。リン酸緩衝食塩液(PBS)で洗浄した後、培養培地を、フェノールレッド非含有培地で置きかえた。 実施例に記載される通りに蛍光顕微鏡検査を実施して、IR700の抗原特異的局在化を検出した。Pan−IR700は、氷上で1時間にわたるインキュベーション後に、A431細胞の細胞表面に検出され、37℃でのインキュベーションの6時間後に、リソソームへと主に局在化した。Balb/3T3/DsRed細胞については、有意なIR700シグナルが観察されなかった。 実施例2および3に記載される通りにPITを実施した。図5aに示される通り、A431細胞への0.5〜2Jcm−2での照射は、線量依存的な様式で、細胞膜の突出および腫脹を表す、迅速な細胞死を結果としてもたらした。図5bに示される通り、処理していない対照細胞と対比した標的細胞における細胞死の百分率は、励起光線量に著明に影響された。加えて、励起光を伴わないPan−IR700への曝露またはTra−IR700なしでの光への曝露と関連する有意な細胞傷害は存在しなかった。しかし、パニツムマブはそれ自体、HER1の下方調節およびシグナル阻害に起因して、A431細胞に対する注目すべき処理効果を有した(Yangら、Cancer Res、59巻:1236〜43頁、1999年)。 標的特異的光毒性はまた、A431細胞およびBalb/3T3/DsRed(HER1陰性)共培養細胞における、Pan−IR700媒介PITによっても確認された(図5c)。まとめると、Tra−IR700およびPan−IR700は、それぞれ、HER2陽性(3T3/HER2)細胞およびHER1陽性(A431)細胞に対して、用いられた用量で、非結合体化パニツムマブは注目すべき成長阻害を示したが、非結合体化トラスツズマブは成長を減少させなかった点を除き、同様の治療効果を示した。 (実施例10)Pan−IR700はin vivoにおいてHER1+細胞を選択的に死滅させる この実施例では、Pan−IR700が、in vivoにおいてHER1+腫瘍を処置しうることを示すのに用いられる方法について記載する。当業者は、同様の方法を、他の腫瘍/抗体−IR700の組合せと共に用いうることを十分に理解する。 6〜8週齢の雌性ホモ接合無胸腺ヌードマウス(Charles River、NCI−Frederick、Frederick、MD)にイソフルランで麻酔をかけた。100万個のA431細胞を、マウスの左側背部に皮下注射した。細胞注射の4日後、50または300μgのPan−IR700のいずれかを静脈内投与した。 抗原特異的なPan−IR700の局在化を確認するために、1×106個の3T3/HER2細胞(HER1陰性)を、A431細胞の注射と同時に右背部に皮下注射した。700nmの蛍光チャネルを用いるPearl Imager(LI−COR Biosciences)により、表示される時点で、蛍光画像を得た。腫瘍およびバックグラウンドの両方の対象の領域(ROI)を、同数のピクセルを含有する同等サイズの領域について設定した。腫瘍対バックグラウンド比(TBR)は、以下の式:TBR=((平均腫瘍強度)−(平均バックグラウンド強度))/((平均非腫瘍強度)−(平均バックグラウンド強度))を用いて計算した。 図6aに示される通り、Pan−IR700は、A431腫瘍に局在した。A431腫瘍におけるPan−IR700の蛍光強度が日数の経過と共に徐々に低減したのに対し、腫瘍対バックグラウンド比(TBR)は増大した(図6bおよび6c)。3T3/HER2腫瘍の蛍光強度は、バックグラウンド(非腫瘍病変)の蛍光強度と同じであった。300μgのPan−IR700を静脈内投与したところ、A431腫瘍の蛍光強度は、注射の1日後に、50μgの注射の場合の3倍超高かったが、TBRはバックグラウンドシグナルが高いためにより低かった(図6bおよび6c)。50μgのPan−IR700注射を施されたマウスでは、照射後に抗腫瘍活性がより低いこと(300μgと対比した)がわかったので、より高量の注射用量を用いた(図6h)。二重標識により放射性標識したPan−IR70015を用いる場合、組織における放射性活性レベルおよび蛍光レベルは、それらの排出経路および異化が異なることに起因して異なりうるため、Tra−IR700の生体分布は、IR700蛍光により決定した。おそらくは異化されて結合しなかった色素の排出に起因する1日目の膀胱における蓄積を除き、IR700の他の特異的な局在化は認められなかった(図6d)。 図6dに示される通り、PITで処置しなかった腫瘍であって、縮小しなかった腫瘍とは異なり、Pan−IR700の投与後におけるPIT処置は、2日目に腫瘍を縮小させ始めた。 PIT後におけるPan−IR700またはキャリア単独の効果を決定するために、以下の方法を用いた。腫瘍体積を決定するために、最大の縦径(長さ)および最大の横径(幅)を、外側ノギスで決定した。ノギス測定に基づく腫瘍体積は、以下の式:腫瘍体積=長さ×幅2×0.528により計算した。上記の通りのA431細胞注射の4日後に、約40mm3に達した腫瘍体積を研究のために選択した。動物を、以下の処置:(1)処置なし;(2)300μgパニツムマブの静脈内注射、PITなし;(3)300μg Pan−IR700の静脈内注射、PITなし;(4)Pan−IR700なしで、PITを30J/cm2で実施した;(5)300μgのPan−IR700と同等用量の遊離IR700色素を静脈内注射し、かつPITを30Jcm−2で実施した;(6)50μgのPan−IR700を静脈内注射し、PITを30Jcm−2で実施した;(7)50μgのPan−IR700および250μgのパニツムマブを静脈内注射し、PITを30Jcm−2で実施した;および(8)300μgのPan−IR700を静脈内注射し、PITを30Jcm−2で実施した、について、1群当たり少なくとも12匹の動物からなる8つの群へと無作為化した。処置後、マウスを毎日モニタリングし、腫瘍体積を、それが500mm3に達する(この時点で、マウスを二酸化炭素ガスで安楽死させた)まで週2回測定した。非腫瘍担持マウスについて短期的な毒性について調べるため、300μgのPan−IR700を、週2回、4週間にわたり反復的に静脈内投与した。 図6eに示される通り、Pan−IR700および30Jcm−2の照射による処置が、処置の3、7、10、14、および17日後に、A431(HER1+)腫瘍における有意な腫瘍成長の阻害を結果としてもたらしたのに対し、処置されていない腫瘍は、腫瘍成長に対する検出可能な効果を示さなかった。加えて、図6fに示される通り、Pan−IR700および30Jcm−2の照射による処置は、A431(HER1+)腫瘍を有するマウスの生存期間の有意な延長も結果としてもたらした。さらに、処置中または処置後に、致死的な副作用は見出されなかった。図6gは、Pan−IR700による処置に続き、PIT療法を行わないかまたはPIT療法を行った4日後における細胞の顕微鏡画像を示す。病理学的解析は、Pan−IR700媒介PITの後に存在する生存A431腫瘍細胞はわずかであるに過ぎず、腫瘍小結節に炎症性変化を伴う塊状の肉芽形成が観察されることを明らかにした。また、組織浮腫が表在性に発生していることも観察された。Pan−IR700の急性相の毒性を評価するために、本発明者らは、300μgのPan−IR700を、週2回、4週間にわたり反復的に静脈内投与したが、対照群と比較した有害作用は8週間後まで(n=4)観察されなかった。 (実施例11)HuJ591−IR700はin vivoにおいてPSMA+細胞を選択的に死滅させる この実施例では、HuJ591−IR700が、前立腺特異的膜抗原(PSMA)+腫瘍(前立腺がんに見出されるものなど)を、in vivoにおいて処置しうることを示すのに用いられる方法について記載する。当業者は、同様の方法を、他の腫瘍/抗体−IR700の組合せと共に用いうることを十分に理解する。 ヒトPSMAに対して指向する完全ヒト化IgG2MAbであるJ591は、コーネル大学のNeil Bander教授から恵与され、実施例1に記載される方法を用いてIR700に結合体化した。この化合物を、J591−IR700と称する。J591 1つ当たりのIR700の数は、約2であった。 6〜8週齢の雌性ホモ接合無胸腺ヌードマウス(Charles River、NCI−Frederick、Frederick、MD)にイソフルランで麻酔をかけた。0日目に、200万個のPC3−PIP細胞(PSMA+)を、マウスの下側背部に皮下注射し、PC3−FLU細胞(PSMA−)を、マウスの上側背部に皮下注射した。3日目、100μgのPSMA−IR700を腹腔内投与した。 抗原特異的なJ591−IR700の局在化を確認するために、2×106個のPC3−FLU細胞(PSMA−)を、PC3−PIP細胞の注射と同時に異なる領域に皮下注射した。実施例7および10に記載される通り、700nmの蛍光チャネルを用いるPearl Imager(LI−COR Biosciences)により、表示される時点で、蛍光画像を得た。 図7に示される通り、J591−IR700は、PC3−PIP腫瘍に局在した。非特異的な血液プールおよび透過性増強および保持効果(enhanced permeability and retention effects)(EPR効果)により、PC3−FLU(PSMA−)腫瘍がかろうじて示される。 HuJ591−IR700の効果を、PITの存在下または非存在下で決定するために、実施例7および10に記載される通り、マウスの右側には照射したが、左側には照射しなかった。とりわけ、4日目には、マウスの右側腫瘍に50J/cm2のPITを施し、5日目には、右側腫瘍に100J/cm2のPITを施し(そして、画像を得)、11日目には、J591−IR700を投与(100μgの腹腔内投与)して、画像を得、12日目には、右側腫瘍に50J/cm2のPITを施し、13日目には、右側腫瘍に100J/cm2のPITを施し、19日目には、J591−IR700を投与(100μgの腹腔内投与)した。20日目には、画像を得、腫瘍を切除し、イメージングした。図7に示される通り、PITで処置しなかった腫瘍であって、縮小しなかった腫瘍とは異なり、J591−IR700の投与後におけるPIT処置は、5日目に腫瘍を縮小させ始めた。 (実施例12)in vitroにおける抗体−IR700分子による選択的な致死 この実施例では、開示される抗体−IR700化合物が、特有のタンパク質を発現する細胞を選択的に死滅させることを示すさらなる結果について記載する。光免疫療法(PIT)の方法は、実施例2に記載されている。 図8に示される通り、Tra−IR700は、HER2を発現する3T3/1−IER2細胞、SHAW細胞、SKOV3細胞、およびMDA−MB−453細胞を特異的に死滅させ、Pan−IR700は、HER1を発現するA431細胞およびMDA−MB−468細胞を特異的に死滅させ、huJ591−IR700は、前立腺特異的膜抗原(PSMA)を発現するLNCaP細胞を特異的に死滅させた。 (実施例13)トラスツズマブ−IR700による転移の処置 この実施例では、Tra−IR700が、肺転移を処置しうることを示すのに用いられる方法について記載する。 HER2を発現する3T3/HER2細胞(0.5〜200万個の細胞)を、雌性ヌードマウスの尾静脈へと静脈内注射した。トラスツズマブ−IR700(100μg)を、腫瘍細胞注射の5日後に静脈内注射した。ex vivoイメージングにおいて、Tra−IR700の局在を有する複数の微小な肺転移が確認されたので、トラスツズマブ−IR700注射の2日後、肺を、身体の外側から30J/cm2のNIR光で処置した。肺転移は除去されたことが観察され、マウスの全体的な生存期間の、Tra−IR700を施さなかったマウスの生存期間と比較した延長が観察された。 (実施例14)in vivoにおける急性壊死性がん細胞死のリアルタイムでのモニタリング この実施例では、近赤外線光免疫療法により誘導されるin vivoにおける急性壊死性がん細胞死を、蛍光寿命イメージングを用いてリアルタイムでモニタリングするのに用いられる方法について記載する。Pan−IR700の特定の例について記載されるが、他の腫瘍には他の抗体−IR−700分子を用いうることが十分に理解される。 本明細書に記載される通り、モノクローナル抗体ベースの高度に特異的な光療法(光免疫療法;PIT)は、mAbと結合体化した近赤外(NIR)フタロシアニン色素であるIRDye700DX(IR700)を使用する。NIR光への曝露は、in vitroにおける即時の標的選択的な壊死性細胞死をもたらす。in vivoにおける即時の細胞死を検出することは、腫瘍のサイズが縮小し始めるのに少なくとも3日間を要するためにいっそう困難である。この実施例では、PIT前およびPIT後における、NIRによって媒介されるmAb−IR700PITの即時の細胞傷害効果をモニタリングするために、蛍光寿命(FLT)を評価した。抗EGFRパニツムマブ−IR700を、EGFRを発現するA431腫瘍細胞を標的化するのに用いた。様々な線量のNIR光でのPITを、in vitroの細胞ペレットで、およびin vivoのマウス皮下に異種移植された腫瘍で実施した。FLTの測定値は、PIT前、ならびにPITの0、6、24、および48時間後に得た。in vitroにおいて、より高い線量のNIR光でのPITは、A431細胞で、大幅なFLT短縮を速やかにもたらした。in vivoにおけるPITは、30J/cm2の閾値線量もしくはそれより高い線量のNIRの後、処置された腫瘍では、即時のFLTの短縮を誘導した。これに対し、より低いレベルのNIR光(10J/cm2もしくはそれより低い)は、FLTの短縮を誘導しなかった。これらの観察結果に基づき、標的化された腫瘍において形態的変化を認めることができる前であっても、FLTイメージングを用いて、mAb−IR700に誘導されるPITの早期で大規模な細胞傷害効果をモニタリングすることができる。材料および方法 試薬。ヒトEGFRまたはHER1に対して指向する完全ヒト化IgG2モノクローナル抗体(MAb)であるパニツムマブは、AMGEN Inc.から購入した。水溶性、ケイ素−フタロシアニン誘導体であるIRDye 700DX NHSエステル(IR700;C74H96N12Na4027S6Si3;分子量:1954.22)は、LI−COR Bioscienceから購入した。用いられる他の全ての化学物質は、試薬グレードであった。 IR700と結合体化したパニツムマブの合成。パニツムマブ(1mg、6.8ナノモル)を、0.1モル/L(mollL)のNa2HPO4(pH8.6)中、室温で1時間にわたり、IR700(66.8jig、34.2ナノモル、DMSO中5ミリモル/L)と共にインキュベートした。次いで、混合物を、Sephadex G50カラム(PD−10;GE Healthcare)で精製した。タンパク質濃度は、595nmにおける光の吸収を測定する(8453 Value System;Agilent Technologies)ことによる、Coomassie Plusタンパク質アッセイキット(Pierce Biotechnology)で決定した。IR700の濃度を、分光法による吸収により測定して、各パニツムマブ分子に結合体化したフルオロフォア分子の平均数を確認した。1:4.5の反応条件について、抗体1つ当たりのIR700の数は、約4であった。0.4%のSDSを試料へと添加することにより、フルオロフォアを互いから引き離して、脱消光を有効に引き起こした。特定のコンジュゲーションについての消光効率(QE)は、SDSを伴わない場合の蛍光強度で除した、SDSを伴う場合の蛍光強度として定義する。パニツムマブ−IR700コンジュゲート(Pan−IR700)は、pH7.2のときに、約4.0のQEを実証した。Pan−IR700は、冷蔵庫内4℃で、原液として保存した。 蛍光寿命の測定。FLT実験は、eXplore OptixTm−MX2システム(ART Advanced Research Technologies,Inc.)により実施した(Hutchinsonら、Biophys J、68巻:1574〜82頁、1995年;Maら、Appl Opt、46巻:1650〜7頁、2007年)。固定パルスレーザーダイオードを、670nmの波長で励起源として用いた。スポットサイズを1.5mmとする対象の領域(ROI)における測定値は、画像平面において選択した。レーザー出力は、フォトン検出器を飽和させない最高出力として自動選択した。寿命解析は、ART OptiView(ART Advanced Research Technologies,Inc.)を用いることにより実施した。寿命値および寿命マッピングを計算して、Fit TPSFツールにより、蛍光時間点拡がり関数(fluorescence temporal point−spread function)(TPSF)を、単一指数関数モデルとして当てはめた。 光免疫療法のin vitroモデルおよびin vivoモデル。波長680〜700nmの赤色光の発光ダイオード(LED)(Tech−LED、Marubeni America Co.)によりPITを実施した(Mitsunagaら、Bioconjug Chem.、23巻:604〜9頁、2012年)。出力密度は、光出力計(PM 100、Thorlabs)で測定した。 Pan−IR700のFLTの決定。Pan−IR700の試料を、PBSで希釈することにより、2.5、5、20、40pg/mLの濃度で調製した。各試料の蛍光強度および蛍光寿命は、Optix MX2システムを、室温、1.7mlの遠心分離管内で用いて決定した。Pan−IR700を用いるPITの効果を調査するためには、濃度50pg/mLの各試料のFLTを、0、2、4、8、15、30J/cm2のPIT線量で試料に照射した後に測定した。 細胞系。HER1陽性細胞系であるA431を、パニツムマブコンジュゲートによるHER1標的化研究に用いた。該細胞系を、5%のCO2中、37℃の、10%ウシ胎仔血清(Life Technologies)、0.03%L−グルタミン、100単位/mLペニシリン、および100pg/mLストレプトマイシンを含有するRPMI 1640(Life Technologies)で成長させた。 細胞ペレットのFLT研究 A431。細胞を、75mm2の細胞培養用フラスコへと播種し、コンフルエントとなるまでインキュベートした。次いで、Pan−IR700コンジュゲートを、培地(1pg/mL)へと添加し、細胞を、37℃で24時間にわたりインキュベートした。インキュベーションが完了したら、細胞をフラスコから取り出し、遠心分離して、ペレットを得た。結果として得られる細胞ペレットを、PBSで3回にわたり洗浄し、1.7mLの遠心分離管に入れた。次いで、各試料の蛍光強度および蛍光寿命を得た。細胞によるPan−IR700コンジュゲートの内部移行の効果を調査するために、A431細胞を75mm2のフラスコへと播種し、Pan−IR700と共に、1、2、4、6、15、および24時間にわたりインキュベートした。フラスコから取り出して、A431細胞ペレットを得た後、A431ペレットのFLT測定値を得た。A431細胞ペレットを、Pan−R700と共に一晩にわたりインキュベートした後、細胞ペレットを、0、2、4、8、15、30J/cm2の線量で照射した。この後、これらのペレットを、PBSで静かに1回洗浄し、蛍光強度画像および蛍光寿命画像を収集した。抗原特異的なIR700の局在化を検出し、PIT前およびPIT後におけるA431細胞の形態的変化を確認するために、以下のフィルター:590〜650nmの励起フィルター、665〜740nmの帯域発光フィルターを装備したOlympus BX61顕微鏡(Olympus America)を用いて蛍光顕微鏡検査を実施した。また、透過光微分干渉コントラスト画像(DIC)も収集した。A431細胞を、底部がカバーガラスの培養ウェルに播種し、24時間にわたりインキュベートした。Pan−IR700を培地に添加して(10pg/mL)、細胞を、6または24時間にわたりインキュベートした。完了したら、細胞をPBSで1回洗浄し、PIT前およびPIT後に、蛍光顕微鏡検査を実施した。 マウスモデル。A431細胞(HER1+、HER2−;1×106個)を、雌性ヌードマウス(National Cancer Institute Animal Production Facility)の背部の両側に皮下注射した。細胞を注射した6〜9日後に実験を実施した。 PIT後におけるin vivoFLTイメージング研究。腫瘍担持マウスを、PITの以下の照射線量:10、30、および50J/cm2について、1群当たりのマウス5匹からなる3群に分けた。対照としては、PITを伴わない5匹のマウスを準備した。100μgのPan−IR700を、PITの24時間前に、尾静脈を介して全てのマウスへと静脈内注射した。背部の右側におけるA431腫瘍をPITで処置する一方、対側性の対照腫瘍は、アルミニウムホイルで光の曝露から遮蔽した。PIT後におけるFLT画像は、以下の時点:0、6、24、および48時間に得た。0時間における収集は、PIT直後に実施した。FLT画像における各ROIの最大のスポット値を、背部の両側の腫瘍について計算した。 組織学的解析。一連の組織学的変化を、様々なNIR光線量でのPIT後、速やかに(5分以内に)評価するために、顕微鏡検査を実施した(BX51、Olympus America)。A431腫瘍は、0、10、30、および50J/cm2のNIR光への曝露後速やかに、10%ホルマリン中に採取した。一連の10μmの薄切片を、スライドガラスに固定してH−E染色した。 統計学的解析。統計学的解析は、統計学プログラム(GraphPad Prism;GraphPadソフトウェア)を用いて実行した。マン−ホイットニーのU検定を用いて、処置した腫瘍と処置していない腫瘍の蛍光寿命との間で寿命値を比較した。スチューデントのt検定を用いて、処置した腫瘍の寿命を、非処置対照と比較した。P<0.05を、統計学的な有意差を示すと考えた。結果 FLTは溶液中のPan−IR700濃度に依存しない。様々な濃度のPan−IR700のFLTが、3.56±0.081ナノ秒;3.62(2.5pg/mL)、3.58(5pg/mL)、3.44(20pg/mL)、3.60ナノ秒(40pg/mL)とほぼ同じであったのに対し、蛍光強度は、濃度と比例して低下した(図10Aおよび10B)。 NIR光への曝露だけではPan−IR700のFLTに影響しない。Pan−IR700(50pg/mL)はそれ自体照射され、FLTが測定された。蛍光強度および蛍光寿命のいずれも、0、2、4、8、15、30J/cm2の線量でのLEDの照射によって変化しなかった。FLTは、約3.44±0.058ナノ秒であった。 Pan−IR700の内部移行はIR700のFLTを延長させた。A431細胞のFLTは、Pan−IR700とのインキュベーションの持続時間と共に増大した。インキュベーションの1、2、4、6、15、および24時間におけるA431細胞ペレットのFLTは、それぞれ、2.98、3.05、3.13、3.15、3.36、および3.41ナノ秒であった。15時間にわたるインキュベーションの後、IR700のFLTはそのピークに達し、さらなる延長を示さなかった(図10D)。 NIR光の大量の曝露はIR700を含有するA431細胞のFLTを短縮した。より大きなNIR光線量でのPITは、NIR光への曝露前24時間にわたり、Pan−IR700と共にインキュベートされたA431細胞ペレットにおけるFLTの大幅な短縮を誘導した(図10C)。0、8、15、および30J/cm2の線量でのPITは、A431ペレットのFLTを、それぞれ、3.28、3.09、2.94、および2.85ナノ秒まで短縮した。 PITは、A431細胞における典型的な壊死性細胞死のほかリソソームの破裂も誘導した。顕微鏡検査下では、Pan−IR700が、インキュベーションの24時間後における細胞膜に、およびエンドリソソーム内に認められた。NIR光への曝露後には、細胞膜およびリソソームに、すみやかな損傷が誘導された。細胞膜では、PITにより誘導される壊死性細胞死に特徴的な多巣性のブレブ形成が認められた(図11)。 有効なPITはin vivoにおけるIR700のFLTの即時の短縮を誘導した。100pgのPan−IR700の投与の1日後のin vivoにおけるA431腫瘍の平均FLTは、3.27±0.46ナノ秒(n=40)であった。実験腫瘍に対する30および50J/cm2のNIR光線量によるPITの直後に、FLTの有意な短縮が誘導された(右背部、30J/cm2;同じマウスにおける処置していない腫瘍の61.5%±5.05%まで;P<0.01、50J/cm2;同じマウスにおける処置していない腫瘍の69.0%+110.92%まで;P<0.05)。 PIT処置した腫瘍の内部および周囲では、30および50J/cm2のNIR光線量でのPITの6時間後に、IR700 FLTの一過性の延長が見出されたが、PITの>24時間後では、IR700 FLTの短縮が続いた。10J/cm2でのPITは、FLTのこの一過性の延長を示さなかった。また、処置していない対照腫瘍におけるIR700 FLTも、後の時点でわずかに短縮した(図12A)。 同じマウスにおける、30および50J/cm2のNIR光で曝露した腫瘍のIR700 FLTと、曝露しなかった腫瘍のIR700 FLTとの間の比較は、PITの0、24、および48時間後に有意差を示した(P<0.05;図12Bおよび12C)。PITの6時間後におけるIR700 FLTの差違は、曝露した腫瘍の周囲における拡散時間の増大(the diffuse temporal increase)に起因して、統計学的に有意ではなかった。10J/cm2のNIR光で曝露した腫瘍のIR700 FLTと、曝露しなかった腫瘍のIR700 FLTとは、いかなる時点においても有意差を示さなかった(図12D)。 50および30J/cm2PITで処置した腫瘍におけるFLTは、非処置対照(0J/cm2)と比較して有意に(p<0.01)短縮した。FLTは、50および30J/cm2でのPITにより、それぞれ、69.1±10.9%および61.5±5.1%へと速やかに短縮した。10J/cm2だけで照射したA431腫瘍は、PITの直後に有意なFLTの短縮を示さなかった。FLTは、PITの48時間後に、処置していない対照と比較して、7.7%だけ短縮した(図13A)。興味深いことに、PIT処置マウスにおける非照射腫瘍のFLTは、処置していないマウスにおけるFLTよりわずかに短縮したが、これらの変化は、有意でなかったものの、FLTは、処置した腫瘍に対するNIR光の線量が大きくなると短縮した(図13B)。これらの変化は、軟組織を介して、「処置した」側から「処置していない」側へ拡散する少量の光により引き起こされ得、したがって、これにより、線量依存性の効果を説明し得る。組織学的解析。 処置した腫瘍についての顕微鏡検査は、PIT後における、健常であるか、または損傷しているが潜在的に生存可能な腫瘍細胞のクラスターを伴う様々な程度の壊死および微小出血を明らかにした。壊死性損傷はびまん性でかつ激しく、30または50J/cm2のNIR光を施したときに、生存する腫瘍細胞の量が減少した。これに対し、10J/cm2のNIR光を施したときに、壊死性細胞損傷が見出されたのは限られた領域だけであり、生存可能ながん細胞の比較的大きな領域が組織の大部分を占めた(図13C)。考察 蛍光顕微鏡検査による研究は、Pan−IR700が、37℃でA431細胞内のリソソームへと徐々に内部移行されることを示した(図11)。Pan−IR700が内部移行されるにつれて(図10D)、IR700 FLTは、インキュベーション時間の関数として延長した。IR700は、最終的にリソソームに蓄積した。閾値強度のNIR光への曝露後、Pan−IR700は、細胞質内および細胞外腔におけるIR700の蓄積を結果としてもたらす、即時の細胞外膜(outer cell membrane)損傷およびリソソーム損傷を誘導した。この損傷は、IR700 FLTの有意な減少と関連した。これは、Pan−IR700コンジュゲートの細胞への内部移行それ自体が、このコンジュゲートがエンドリソソームに蓄積するにつれ、IR700 FLTを延長することを意味する。しかし、リソソームの膜を含めた膜構造を損傷することにより、PITは、細胞死を誘導し、FLTが長いIR700が細胞質内に放出されるとすぐ、FLTは顕著に短縮する。したがって、FLTの短縮は、PITにより誘導される急性膜損傷の指標として役立つ。 有効な治療的光線量のNIRでのPITによる処置は、in vitroのがん細胞でIR700 FLTの短縮をもたらすが、in vivoの腫瘍でもIR700 FLTの短縮をもたらす。FLTの短縮は、in vitroにおけるNIR光曝露の線量に依存した(図10C)。最適未満線量(10J/cm2)のNIR光でのPITは、in vivoにおいてIR700 FLTの有意な短縮を示さなかった。これらの差違は、PIT効果を受けたがん細胞集団に帰すことができる。図7は、50J/cm2もしくはそれより大きいNIR光曝露を伴うPITであれば、A431腫瘍を根絶し得ることを実証している。30J/cm2でのPITは、腫瘍を完全に根絶するのには十分でなかったが、腫瘍の縮小および成長の遅延を引き起こしたことから、全ての細胞が死滅したわけではないが、大半の細胞は重度に、かつ、不可逆的に損傷していることが示された(Mitsunagaら、Bioconjug. Chem.、23巻:604〜9頁、2012年)。 in vivoにおける処置した腫瘍のFLTの短縮は、単回の有効線量のNIR光の30分以内に観察され、腫瘍のサイズおよび形状が変化する数日前に生物学的効果を示した。病変のサイズは、細胞死の主要な指標と考えられるが、細胞死は、処置が有効であったかどうかを決定するのに十分なほど速くは生じない。必要な場合に光を再適用することができるPITの特定の場合には、細胞死のより速やかな読取りが必要とされる。サイズの変化は、細胞傷害効果をモニタリングするのに十分なほど迅速には生じない。これはとりわけ、1回のセッティングで処置を完了することが好ましい外科的手順または内視鏡手順に当てはまる(Mitsunagaら、Bioconjug. Chem.、23巻:604〜9頁、2012年)。FLTは、腫瘍の状態の即時の読取りであるため、処置後速やかにがん細胞に対するPITの治療効果を評価することが可能であり、手順の間に追加線量のNIR光曝露が必要であるか否かを判断する一助となる(Kosakaら、Int J Cancer、129巻:1671〜7頁、2011年; Longmireら、Cancer Sci、100巻:1099〜104頁、2009年)。 興味深いことに、FLTは、初期の短縮の後、PITの約6時間後に一時的に延長する。PITの24時間後までに、FLTは、再度減少した(図12)。IR700が内部移行するにつれてIR700 FLTの延長が観察されたので、PITにより引き起こされる細胞膜の破壊の後、IR700は、細胞外腔へと漏出し、この細胞外腔に、細胞壊死と関連するサイトカインの放出に応答して移動したマクロファージにより内部移行されることが提案される。これは、PITの6時間後の組織学的所見であって、炎症性浸潤物が、生存腫瘍により元は占有されていた空間に侵入しているマクロファージからなることを示す所見により支持される(Mitsunagaら、Nat Med、17巻:1685〜91頁、2011年)。したがって、この一過性のIR700 FLTの延長は、有効な細胞損傷の徴候であり得、この後、断片化されたDNAおよび脂質二重層により誘導される、ケモカインの放出またはtoll様受容体系によりおそらくは媒介される、組織修復が開始される(Emeagiら、Cancer Res、72巻:1342〜52頁、2012年; Shiratsuchiら、J Immunol 172巻:2039〜47頁、2004年; Zhuら、Cell、24巻:615〜29頁、2006年)。 蛍光タンパク質(FP)は、in vivoにおける腫瘍成長をモニタリングするための潜在的な代替物である(Kimuraら、J Cell Biochem、110巻:1439〜46頁、2010年; Tsaiら、Anticancer Res、30巻:3291〜4頁、2010年; Yamamotoら、Cancer Res、64巻:4251〜6頁、2004年; HoffmanおよびYang、Nat Protoc、1巻:1429〜38頁、2006年)。FPを用いる蛍光のイメージングは、光療法の効果の縦断的モニタリングにより良好に適する(Jiangら、Cell Cycle、5巻:1198〜201頁、2006年; HoffmanおよびYang、Nat Protoc、1巻:775〜82頁、2006年)。短期的に、FPは、細胞の生存率に関わらずそれらのシグナルを保持し、壊死性細胞においてもなお、マクロファージにより取り込まれうる。したがって、FLTは、それが蛍光シグナルの後処理(post−processing)を必要とし、比較的高価な装置を用いるにせよ、FPより急性の変化を検出するのにより良好に適する(HoffmanおよびYang、Nat Protoc、1巻:928〜35頁、2006年; Hoffman、Nat Rev Cancer、5巻:796〜806頁、2005年)。FPによる蛍光のイメージングは、PITの治療効果の縦断的モニタリングに用いられている(Mitsunagaら、Bioconjug Chem、23巻:604〜9頁、2012年)。しかし、PITに誘導される急性の細胞死が、FLTなどの光学的方法でのみ検出し得るのに対し、より長期にわたる変化はFPでも測定することができる。FLTが臨床的にトランスレーション可能であるのに対し、細胞のトランスフェクションを必要とするFPは、臨床的に用いられる可能性が低い。 このデータは、Pan−IR700のFLTが、溶液中のPan−IR700の濃度または光への曝露に依存しない頑健な測定値であることを実証する。例えば、in vitroにおけるPan−IR700溶液は、様々な濃度で、または様々な線量によるNIR光曝露の後、そのFLTを変化させなかった。したがって、周囲の化学的な微小環境だけが、IR700 FLTに影響を及ぼすようである。IR700は通常、蛍光性であり、腫瘍負荷を反映するが、リソソーム内における異化および光退色の後、蛍光が減少し得、したがって、組織の生存率に関して曖昧さをもたらす。しかし、これらの光化学物質および生化学物質の変化は、FLTに影響を及ぼさない。したがって、FLTの短縮は、IR700蛍光強度より良好なバイオマーカーである。 結論的に述べると、外科的手順または内視鏡手順の間、MAb−IR700コンジュゲートを使用するPITの細胞傷害効果をニアリアルタイムで評価するためにFLTを用いることができる。FLTは、エンドリソソーム(endolysomal)への内部移行の間に延長するが、細胞損傷の後、急速に短縮する。FLTはまた、遊走するマクロファージによる内部移行に起因して、PIT後の約6時間という短期間にわたり延長する。その後、FLTは安定して減少する。したがって、FLTのイメージングは、したがって、形態的変化が明らかとなる前に、PITの効果の評価を可能とする。 (実施例15)光免疫療法と化学療法との組合せ この実施例では、PITを、化学療法など、がんを処置するための他の療法と組み合わせるのに用いられる方法について記載する。PITの間に生じる透過性の増強により、ナノサイズの作用物質の送達が増強されることが実証される。材料および方法 細胞。HER1を発現するA431細胞を、PITに用いた。細胞は、95%の空気および5%の二酸化炭素の雰囲気下、37℃の加湿インキュベーター内の組織培養フラスコの中の10%FBSおよび1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したRPMI1640で成長させた。 試薬。IRDye 700DX NHSエステル(IR700;C74H96N12Na4O27S6Si3;分子量:1954.22)およびIRDye 800CW NHSエステル(IR800;C50H54N3Na3O17S4;分子量:1166.20)は、LI−COR Bioscienceから得た。ヒト上皮成長因子受容体(EGFR;HER1)に対して指向する完全ヒト化IgG2モノクローナル抗体(mAb)であるパニツムマブは、Amgenから得た。ヒトEGFR2(HER2)に対して指向する組換えヒト化mAbであるトラスツズマブは、Genentechから得た。Qtracker 800非標的化量子ドットは、Invitrogenから得た。用いる他の全ての化学物質は、試薬グレードであった。 IR700およびIR800と結合体化したmAbの合成:色素とmAbとのコンジュゲーションは、上記実施例で報告した手順に従って実施した。0.1モルl−1のNa2HPO4(pH8.6)中、室温で1時間にわたり、各mAb(1mg、6.8ナノモル)を、IR700(60.2μg、30.8ナノモル)またはIR800(35.9μg、30.8ナノモル)と共にインキュベートした。混合物は、Sephadex G50カラム(PD−10;GE Healthcare)で精製した。色素およびタンパク質の濃度を、分光法(8453 Value System;Agilent Technologies)による吸収により測定して、各mAb分子に結合体化したフルオロフォア分子の数を確認した。 光免疫療法の後におけるin vivoナノ薬物送達。6週齢〜8週齢の雌性ホモ接合無胸腺ヌードマウスをCharles River(National Cancer Institute Frederick)から購入した。処置の間、マウスにイソフルランで麻酔をかけた。200万個のA431細胞を、各マウスの右側背部および左側背部に皮下注射した。細胞注射の5日後、100μgのPan−IR700を静脈内投与し、1日後、いずれかの側の腫瘍に、赤色発光ダイオードからの670〜690nmの波長の、および光出力計(PM 100(Thorlabs))で測定される10〜100Jcm−2の出力密度の、NIR光で照射した。PITの1時間後、Pan−IR800(100μg)、Qtracker 800非標的化量子ドット(32.5ピコモル)、またはDaunoXome(30mgkg−1)を静脈内注射し、Pearl Imager(LI−COR Biosciences)およびMaestro Imager(CRi)により、in vivo蛍光画像を得た。MRイメージングのためには、SPIO(Feridex)を、PITの1時間後に静脈内投与し、MR画像を得た。腫瘍を切除し、ex vivoイメージングの後の組織学的研究および蛍光顕微鏡検査研究のために凍結するかまたはパラフィン包埋した。 in vivo蛍光イメージング。200万個のA431細胞または3T3−HER2細胞を右側背部および左側背部に注射した5日後、およびMDA−MB−468細胞を乳房体(mammary pad)に注射した7日後、約75mm3の腫瘍体積を選択した。IR700およびIR800のシグナルは、700および800nmの蛍光チャネルを用いる、蛍光カメラ(Pearl Imager、LI−COR Biosciences)により検出した。Qdot800は、575〜605nmの間(励起)の範囲にわたる帯域フィルター、および800nm(発光)を超えるロングパスNIRフィルターを用いる、Maestro in vivo Imaging System(CRi)により検出した。また、ダウノルビシンの蛍光画像も、503〜555nm(励起)の帯域フィルターおよび580nm(発光)を超えるロングパス緑色フィルターを用いるMaestroにより得た。調整可能な発光フィルターは、曝露を一定とするときのNIRフィルターセットおよび緑色フィルターセットについて、650から950nmまで、および500から800nmまでの10nm増分を自動的に進行させたた。蛍光スペクトル画像は、自己蛍光スペクトルならびにQdot800およびダウノルビシンに由来するスペクトルからなり、したがって、市販のソフトウェア(Maestroソフトウェア;CRi)を用いて、それらのスペクトルパターンに基づき、それらを分離した。マウスは、in vivoイメージングの後速やかに、二酸化炭素で屠殺した。腫瘍を切除し、ex vivoイメージングの後の組織学的研究および蛍光顕微鏡検査研究のために凍結するかまたはパラフィン包埋した。 治療研究。超EPR効果の腫瘍治療に対する有効性を決定するために、PITがDaunoXomeの治療効果を増強しうるかどうかを以下の通りに調査した。100万個のA431細胞をマウスの右背部に皮下注射した。腫瘍体積を決定するために、最大の縦径(長さ)および最大の横径(幅)を、外側ノギスで決定した。ノギス測定に基づく腫瘍体積は、以下の式:腫瘍体積=長さ×幅×0.5により計算した。約40mm3の体積に達した腫瘍を選択した。選択したマウスを、以下の処置:(1)処置なし;(2)DaunoXome(6mgkg−1);(3)PIT(50Jcm−2);(4)PIT(50Jcm−2)、1時間後のDaunoXome(6mgkg−1)、について、1群当たり少なくとも10匹のマウスからなる4つの群へと無作為化した。処置後、マウスを毎日モニタリングし、腫瘍体積を、それが750mm3に達する(このとき、マウスを二酸化炭素ガスで安楽死させた)まで週2回測定した。 蛍光顕微鏡検査。10μm厚の凍結切片またはパラフィン切片を調製し、以下のフィルター:590〜650nmおよび480〜550nmの励起波長フィルター、IR700、Qdot800、およびダウノルビシンのそれぞれについて、発光波長662.5〜747.5nm、765〜855nm、および590nmのロングパスフィルターを装備したOlympus BX81顕微鏡(Olympus America,Inc.、Melville、NY)を用いて腫瘍切片における蛍光を検出した。また、透過光微分干渉コントラスト法による画像も収集した。標準的なプロトコールに従い、H&E染色およびプルシアンブルー染色を実施した。 2回目の注射の最適のタイミング。2回目の注射(second shot)の最適のタイミングを決定するために、Pan−IR800(100μg)を、A431担持マウスへと、PIT処置の1、6、および24時間後に静脈内投与し、上記のプロトコールに従い、Pearl Imagerにより、1時間にわたる動的イメージングを実行した。 統計学的解析:別段に示されない限り、データは、3つの実験の最小値に由来する平均値±標準誤差として表される。統計学的解析は、統計学プログラム(GraphPad Prism;GraphPad Software)を用いて実行した。多重比較のために、事後検定を伴う一元分散分析(ANOVA)(事後検定を伴うクルスカル−ワリス検定)を用いた。本明細書では腫瘍体積が750mm3に達しなかった場合に決定される生存の累積確率は、各群において、カプラン−マイヤー生存曲線解析を用いて推定し、結果を、多重性についてのボンフェローニによる補正を伴うログランク検定を用いて比較した。P<0.05を、統計学的な有意差を示すと考えた。 結果PITは腫瘍における灌流を増大させる PIT処置後の腫瘍における灌流の変化を検証するために、A431(HER1陽性)担持マウスにおけるPEG化量子ドット800(非標的化Qdot800)の動的分布を評価した。A431腫瘍は、IR700と結合体化した抗HER1mAb(パニツムマブ)(Pan−IR700)の注射1日後に、NIR光(50Jcm−2)の単回投与で処置した。光照射の1時間後にQdot800を投与し、in vivo動的イメージング研究を実行した。Qdot800の直径は、平均50nmであり、これは、サイズ排除HPLCおよびSDS−PAGEにより決定した。Qdot800の迅速な蓄積が、PITで処置した腫瘍において1時間以内に観察されたのに対し、NIR光への曝露なしの対照腫瘍では有意な取込みが検出されなかった(図14A)。1分〜60分の間におけるシグナル強度(SI)の増大率は、PITで処置した腫瘍では、対照腫瘍における場合の25.7倍高かったが、これは、超EPR指数として、以下の式により計算した:[(SIPIT at 60 min−SIBack at 60 min)−(SIPIT at 1 min−SIBack at 1 min)]/[(SIControl at 60 min−SIBack at 60 min)−(SIControl at 1 min−SIBack at 1 min)](図14B)。PITで処置した腫瘍におけるシグナルが24時間後まで高値で維持されたことから、Qdot800の長期間にわたる保持が示された。 病理学的解析および蛍光顕微鏡検査による研究は、PITが、腫瘍細胞の壊死性損傷を結果としてもたらし、Qdot800が、PITで処置した腫瘍における壊死性領域および間質において広範に分布することを明らかにした(図14C)。CD31染色は、腫瘍における血管の大半が、弱っており、また、周囲の腫瘍細胞も重度に損傷していることを実証した(図14C)。他方、A431細胞は、対照腫瘍でほぼ生存しており、Qdot800の蛍光シグナルは、主血管の近傍に限局性であった(図14C)。 透過性の破断点を決定するために、臨床使用の磁気共鳴画像法(MRI)の造影剤である超常磁性酸化鉄(SPIO)(直径:200nm)を負荷した。SPIOの注射後5分以内に、PITで処置した腫瘍ではシグナル強度が劇的に減少したが、対照腫瘍ではわずかな低減が観察された(図15A)。60分におけるシグナル強度の低減率は、PITで処置した腫瘍では、対照腫瘍における低減率より大きかった。SPIOは、PITで処置された腫瘍における壊死性領域および間質に蓄積し、これは、プルシアンブルー染色で確認した(図15B)。T1造影剤およびT2造影剤としての、ガドリニウム(Gd)で標識したポリアミドアミンデンドリマー(第6世代)(G6−Gd)およびUSPIOのそれぞれによっても類似の結果が得られた。PITで処置された腫瘍では、G6−Gd(直径10nm)が、時間と共に縞状に分布した。対照的に、対照腫瘍では、腫瘍表面の主血管だけが強く描写された(described)。 また、USPIO(直径:30nm)も、プルシアンブルー染色により示唆される通り、PITで処置した腫瘍により、とりわけ、間質および壊死性領域に迅速に取り込まれた。これらの結果は、直径が少なくとも200nmのナノ粒子が、PITにより処置された腫瘍組織への大量で迅速な漏出を示すことを実証し、したがって、この超EPR法は、がん治療へと適用することができる。PITは抗がん薬の送達および効力を増強する A431担持マウスにおけるパニツムマブ(直径10nm)の2回目の注射により、超EPRレジメンについて調べた。パニツムマブは、EGRRを発現する転移性結腸直腸癌を処置するための臨床使用の治療モノクローナル抗体である。パニツムマブの有用性はまた、乳がん、肺がん、頭頸部がんにおいても検証されている。PITが、10〜60分以内に、処置した腫瘍におけるPan−IR800の透過性を促進したのに対し、対照腫瘍におけるシグナル強度の変化は検出されず、Qdot800およびG6−Gdを含めたナノ粒子の場合と一致する(図16A)。抗がん薬(Pan−IR800)の十分な送達を達成するのに必要とされる有効な光線量を決定した。PITで処置した腫瘍におけるIR800のシグナル強度は、時間と共に、光線量依存的な様式で増大し(図16B)、プローブ注射の1分〜60分後の間における、PITで処置した腫瘍におけるPan−IR800の超EPR指数は、対照腫瘍における超EPR指数より有意に高値であった。高線量のNIR光で照射された群における対照腫瘍では、おそらくは散乱したNIR光が照射された側から交差したために、シグナル強度のわずかな増大が観察された(図16A)。病理学的研究は、PITで処置した腫瘍における壊死性細胞死が、高線量のNIR光に曝露されると強化されることを明らかにした。興味深いことに、PITによる灌流の変化は、処置後に時間と共に徐々に弱まり、24時間以内に完全に止まった(図16Cおよび16D)ことから、血管と腫瘍組織との間の障壁の修復(repairmen)または血流の完全な遮断が示された。これらの結果は、2回目の注射の最適のタイミングが、6時間までであることを示した。したがって、様々な数の個々の標的分子を発現する3つの異なる細胞(A431(HER1陽性)、3T3−HER2(HER2陽性)、およびMDA−MB−468(HER1陽性))に対する2つの異なるmAb(パニツムマブおよびトラスツズマブ(trastzumab))により誘導される、PIT後の腫瘍における灌流の変化の類似性に基づき、この超EPRは一般に、他のmAbおよび抗原に対しても適用可能である(図18)。 超EPR効果に基づく効率的ながん治療のための分子非標的化治療剤の可能性を調査するため、ダウノルビシン含有リポソーム(DaunoXome;DX)(直径:50nm)を調べ、治療研究に適用した。DXは、SPIOおよびUSPIOと同様に、1時間にわたりPITで処置した腫瘍に迅速に蓄積し、そこに保持された(図17A、および17B)。PITで処置した腫瘍における60分のシグナル強度の増大率は、対照腫瘍における増大率と比較して大きかった(図17C)。Qdot800と同様に、DXは、PITで処置した腫瘍における生存した腫瘍組織を取り囲みながら広範に分布し、IR700(生存した腫瘍細胞を示す)とDXとの共局在化も部分的に観察されたが、対照腫瘍におけるDXのシグナルは、主血管の近傍に局在化した(図17D)。この現象は、腫瘍の辺縁部およびコアのいずれにおいても実証された。A431腫瘍を、Pan−IR700の注射の1日後に、単一の線量(50Jcm−2)の光で処置した。本方法の効力を、4群のA431担持マウス(各群においてn≧10)で決定した。本発明者らが処置した全ての腫瘍の面積は750mm3未満であった。より大きい腫瘍は副作用(皮下出血、腫瘍の出血、または衰弱状態)と関連するので、本発明者らの施設の動物のケアおよび使用についてのガイドラインに従い、マウスを安楽死させることを必要とした。A431腫瘍の腫瘍体積は、PITとDXとの組合せ療法により、処置されていない対照マウス、DXだけで処置したマウス、およびPITだけで処置したマウスと比較して有意に減少し(図17E)、PITとDXとによる組合せ療法により、マウスにおける生存も他の群より有意に延長した(図17F)。PITにDXを加えた群では、体重の明白な低下が観察されなかった。 別の実験では、3T3/HER2マウスに、Tra−IR700を注射し、24時間後、NIR光(50J/cm2)を右側の腫瘍に照射した。Tra−IR800は、PIT処置の1時間後に投与した。図19Aに示される通り、10分以内に、右側の腫瘍だけが明瞭に示された。したがって、その腫瘍がNIR光に曝露された領域だけにTra−IR800が蓄積した可能性がある。別の実験では、MDA−MB−468担持マウスに、Pan−IR700を注射し、24時間後、NIR光(50J/cm2)を右側の腫瘍に照射した。Pan−IR800は、PIT処置の1時間後に投与した。図19Bに示される通り、10分以内に、右側の腫瘍だけが明瞭に示された。 A431マウスに、Pan−IR700を注射し、24時間後、NIR光(50J/cm2)を右側の腫瘍に照射した。USPIOは、PIT処置の1時間後に投与した。図20Aに示される通り、5分以内に、右側の腫瘍だけが明瞭に示された。図20Bにプルシアンブルー染色およびHE染色を示す。PIT後におけるG6−Gdの動的画像である。A431マウスに、Pan−IR700を注射し、24時間後、NIR光(50J/cm2)を右側の腫瘍に照射した。G6−Gdは、PIT処置の1時間後に投与した。図20Cに示される通り、5分以内に、右側の腫瘍だけが明瞭に示された。 腫瘍の辺縁領域およびコア領域における蛍光顕微鏡検査による研究を実施した(determined)。図21AにおけるIR700シグナルは、生存したA431細胞を示す。ダウノルビシン含有リポソームが、PITで処置した腫瘍組織に広範に分布し、IR700とダウノルビシン含有リポソームとの共局在化が部分的に観察された。とりわけ、コア領域では、DXが、局所的な壊死性領域に取り込まれうる。図21Bは、治療後における体重の変化を示す。明白な差は群間になかった。 結論的に述べると、抗体−IR700PIT療法は、抗体コンジュゲートが細胞膜へと結合する場合に限り有効であり、抗体コンジュゲートが結合しないか、またはNIR光で照射されない場合は、光毒性を示さなかった。加えて、PITは、ナノサイズの作用物質の送達の一助となる超透過性増強および保持効果(super enhanced permeability effects)(超EPR効果)も誘導した。したがって、MAb−IR700とナノサイズの作用物質との組合せを用いるPITを、がんの高度に選択的で有効な処置のためのセラノスティックに用いることができる。 本開示の原則が適用されうる多くの可能な実施形態を考慮して、例示される実施形態は、本開示の例に過ぎず、本発明の範囲に対する限定と考えるべきではないことを認識されたい。そうではなくて、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲により規定される。したがって、本発明者らは、これらの特許請求の範囲の範囲および精神の内に収まる全てを、本発明者らによる発明として主張する。 細胞を死滅させる方法であって、 細胞表面タンパク質を含む細胞を、治療有効量の1または複数の抗体−IR700分子と接触させるステップであって、該抗体が該細胞表面タンパク質に特異的に結合するステップと; 該細胞に、660〜740nmの波長で、かつ少なくとも1Jcm−2の線量で照射するステップと; 該細胞に照射した約0〜8時間後に、該細胞を1または複数の治療剤と接触させ、これにより、該細胞を死滅させるステップとを含む方法。 細胞致死をリアルタイムで検出する方法であって、 細胞表面タンパク質を含む細胞を、治療有効量の1または複数の抗体−IR700分子と接触させるステップであって、該抗体が該細胞表面タンパク質に特異的に結合するステップと; 該細胞に、660〜740nmの波長で、かつ少なくとも30Jcm−2の線量で照射するステップと; 該細胞に照射した約0〜48時間後に、蛍光寿命イメージングで該細胞を検出し、これにより、該細胞致死をリアルタイムで検出するステップとを含む方法。 前記細胞に照射した約0〜48時間後に、蛍光寿命イメージングで該細胞を検出するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。 前記細胞が、腫瘍細胞である、請求項1から3のいずれかに記載の方法。 前記腫瘍細胞が、がん細胞である、請求項3に記載の方法。 前記がん細胞が、乳房、肝臓、結腸、卵巣、前立腺、膵臓、脳、子宮頸部、骨、皮膚、または肺のがん細胞である、請求項5に記載の方法。 前記がん細胞が、血液のがん細胞である、請求項5に記載の方法。 前記細胞表面タンパク質が、腫瘍特異的タンパク質である、請求項1から7のいずれかに記載の方法。 前記腫瘍特異的タンパク質が、HER1、HER2、CD20、CD25、CD33、CD52、CD44、CD133、Louis Y、メソテリン、CEA、または前立腺特異的膜抗原(PSMA)を含む、請求項8に記載の方法。 前記抗体−IR700分子が、パニツムマブ−IR700分子、トラスツズマブ−IR700分子、バシリキシマブ(Basilitumab)−IR700分子、ゼナパックス−IR700分子、Simitect−IR700分子、またはJ591−IR700分子を含む、請求項1から9のいずれかに記載の方法。 前記細胞に、680nmの波長で照射する、請求項1から10のいずれかに記載の方法。 前記1または複数の抗体−IR700分子が、少なくとも2つの異なる抗体−IR700分子を含み、第1の抗体−IR700分子が、第1の抗原に対して特異的であり、第2の抗体−IR700分子が、該第1の抗原の異なるエピトープに対して特異的であるか、または第2の抗原に対して特異的である、請求項1から11のいずれかに記載の方法。 前記細胞が被験体に存在し、該細胞を前記1または複数の抗体−IR700分子および前記1または複数の治療剤と接触させるステップが、治療有効量の、該1または複数の抗体−IR700分子および該1または複数の治療剤を、該被験体へと投与するステップを含む、請求項1から12のいずれかに記載の方法。 前記細胞が被験体に存在し、該細胞に照射するステップが、 該被験体に照射するステップ;および/または 該被験体における腫瘍に照射するステップを含む、請求項1から13のいずれかに記載の方法。 前記細胞が被験体の血液に存在し、該細胞に照射するステップが、該被験体により装着されたデバイスを用いることにより該血液に照射するステップを含み、該デバイスが近赤外(NIR)発光ダイオード(LED)を含む、請求項1から14のいずれかに記載の方法。 前記細胞が被験体に存在する、請求項1から15のいずれかに記載の方法であって、 前記抗体−IR700分子に特異的に結合できる細胞表面タンパク質を発現する腫瘍を有する被験体を選択するステップをさらに含む、方法。 前記腫瘍の体積またはサイズを、処置の非存在と比べて少なくとも25%減少させる、請求項1から16のいずれかに記載の方法。 前記被験体の生存期間を、前記抗体−IR700分子の投与および照射の非存在と比べて延長する、請求項13から17のいずれかに記載の方法。 前記細胞を、前記治療有効量未満の量の1または複数の抗体−IR700分子と接触させるステップと; 該細胞に、660〜740nmの波長で、かつ少なくとも0.001Jcm−2の線量で照射し、これにより、該細胞の検出を可能とするステップとをさらに含む、請求項1または3から18のいずれかに記載の方法。 パニツムマブ−IR700分子、トラスツズマブ−IR700分子、またはJ591−IR700分子を含む組成物。 衣料品、装身具、または被覆品と; 該衣料品、装身具、または被覆品へと組み込まれたNIR LEDとを含む、装着用デバイス。 前記衣料品、装身具、または被覆品へと組み込まれた電源および/または冷却源をさらに含む、請求項21に記載の装着用デバイス。 被験体の血液中の腫瘍細胞を死滅させる方法であって、 該被験体に治療有効量の1または複数の抗体−IR700分子を投与するステップであって、該抗体が該腫瘍細胞の細胞表面タンパク質に特異的に結合するステップと; 該腫瘍細胞に、660〜740nmの波長の、少なくとも20Jcm−2の線量のNIR LEDで照射し、これにより、該細胞を死滅させるステップであって、該NIR LEDが、該被験体により装着された請求項21または22のいずれかに記載の装着用デバイスに存在するステップとを含む方法。 本開示は、細胞を死滅させる組成物および方法に関する。特定の例では、方法が、細胞表面タンパク質を有する細胞を、治療有効量の抗体−IR700分子と接触させるステップであって、該抗体が、腫瘍細胞の表面の腫瘍特異的抗原などの、細胞表面タンパク質に特異的に結合するステップを含む。その後、細胞に、660〜740nmの波長の、少なくとも1Jcm−2の線量などで照射する。また、細胞を、例えば、細胞に照射した約0〜8時間後に、1または複数の治療剤(抗がん剤など)と接触させ、これにより、細胞を死滅させる。また、蛍光寿命イメージングを用いて、細胞致死をリアルタイムでイメージングする方法も提供される。また、衣料品、装身具、または被覆品;および開示される方法と共に用いられうる品目へと組み込まれたNIR LEDを含む装着用デバイスも提供される。