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タイトル:公表特許公報(A)_放射性標識化合物の放射線分解を低減させるためのデバイス及び方法
出願番号:2014518991
年次:2014
IPC分類:G21G 4/08,C07B 59/00,C07H 5/02,G01T 1/161


特許情報キャッシュ

レンシュ,クリスティアン ボーラー,マルコ ボールド,クリストフ ホーヴァス−クライン,ルーベン・ジュリアン サンペール,ヴィクター ユリン,ヨハン JP 2014529724 公表特許公報(A) 20141113 2014518991 20120628 放射性標識化合物の放射線分解を低減させるためのデバイス及び方法 ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ 390041542 荒川 聡志 100137545 小倉 博 100105588 黒川 俊久 100129779 田中 拓人 100113974 レンシュ,クリスティアン ボーラー,マルコ ボールド,クリストフ ホーヴァス−クライン,ルーベン・ジュリアン サンペール,ヴィクター ユリン,ヨハン US 13/173,912 20110630 G21G 4/08 20060101AFI20141017BHJP C07B 59/00 20060101ALI20141017BHJP C07H 5/02 20060101ALI20141017BHJP G01T 1/161 20060101ALN20141017BHJP JPG21G4/08C07B59/00C07H5/02G01T1/161 Z AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA US2012044527 20120628 WO2013003530 20130103 33 20140217 4C057 4C188 4H006 4C057BB02 4C057CC02 4C188EE01 4C188HH07 4H006AA02 4H006AA04 4H006AD17 4H006BD82 4H006BD83 4H006CN40 本発明は一般に、放射性医薬品の製造及び精製時における放射線分解を低減させるためのデバイス及び方法に関する。 陽電子放出断層撮影法(PET)は、単光子放出コンピューター断層撮影法(SPECT)と共に、医学診断及び薬物発見において拡大しつつある分子イメージング分野で使用される強力な医用イメージング技術である。 陽電子放出断層撮影法(PET)用の放射性医薬品を合成するためのマイクロ流体工学及び関連技術の応用は、科学界においてますます注目を集めている。反応時間の短縮、極めて効率的な反応、低い試薬消費量、システムフットプリントの減少、及びシステム自動化の増加のような利益は、極めて興味深いものであり、実証もされている。特に、一方の反応体の濃度が他方の反応体に比べて高いことが有益であり得る放射性標識反応のため、並びにコスト集約的な前駆体を使用する研究試験のためには、さらなるダウンスケーリングが待ち望まれている。 放射性医薬品製造のための合成反応体積のダウンスケーリングは、単位体積当たりの放射能の増加を伴う。所定の合成体積に放射能を濃縮する通常のプロセスは、結局は放射線分解によって制限される。放射線分解、さらに詳しくは自己放射線分解は、高い放射能濃度における経時的な分子の分解である。本明細書中では、放射線分解、放射線分解効果及び自己放射線分解は五感的に使用されることがある。 放射線分解効果は、同位体崩壊事象及び陽電子(β+)放出によって開始されるイオン化及び解離カスケードから生じる。これらは、使用する同位体及び周囲の媒質に応じて数ミリメートルの範囲内で起こる。放出される陽電子のイオン化経路に沿った分子の直接的な分解及びイオン化は、続いて、興味ある放射性医薬化合物を妨害する遊離反応性化学種の生成を引き起こすことがある。このプロセスは有用な放射性医薬分子の量を減少させ、生成物溶液中における不純物の濃度を増加させる。放射線分解は、18F、11C及び68Gaのような普通に使用されるPET放射性同位体の全てに応じて起こる。しかし、自己放射線分解現象は各タイプの同位体に関するそれぞれの陽電子エネルギーに応じて変化する。 様々な国の薬局方は、患者への注射時に放射性医薬生成物が達成しさなければならない最小純度を規定している。例えば、18F−フルオロ−デオキシ−グルコース([18F]FDG)は、通例は純度95%以上の最小規格を有し、それによって薬剤の貯蔵寿命が定義されている。かかる化合物は時には製造場所から顧客に移送しなければならないので、貯蔵寿命時間を増加させるためにいくつかの技法が採用されてきた。 放射線分解と取り組むためには、バルク溶液中におけるフリーラジカルとトレーサー分子との相互作用確率を制限するための若干の技法が使用されてきた。かかる技法には、生成物の希釈、添加剤(例えば、エタノール)の使用によるフリーラジカルのスカベンジング[Wortmann et al 2001 Nuklearmedizin;40:A106(TV9][Kiselev,M.Y.,Tadino,V.,inventors,2006.Eastern Isotopes,Inc.,Assignee.Stabilization of Radiopharmaceuticals Labeled with 18−F.United States Patent US 7018614]、又は溶液の凍結によるフリーラジカルの拡散の低減[Wahl et al.“Inhibition of Autoradiolysis of Radiolabeled Monoclonal Antibodies by Cryopreservation”;Journal of Nuclear Medicine Vol.31 No.1 84−89]がある。しかし、これらの技法は、製造中に統合され、したがって合成の複雑度の総合レベルを高める追加のプロセス段階を表している。さらに、通常のスカベンジング及び安定化方法は、既存及び将来の放射性医薬化合物、合成及び精製中に使用される化学方法並びに流体体積及び放射能濃度に関して全ての状況下で適用できるとは限らない。さらに詳しくは、精製に関しては、放射性化学種の高い局所密度が生じ、それらの領域における自己放射線分解速度の増大をもたらすことがある。 したがって、製造、精製及び貯蔵中に添加剤を使用することなく、放射性医薬化合物の放射線分解効果を低減させるアプローチが望ましい。かかるアプローチは、陽電子放出で誘起されるイオン化及び分解効果の部分幾何学的低減による放射性医薬化合物の自己放射線分解の低減を含み得る。このように、放射性医薬化合物の製造、精製又は貯蔵のための流体閉込め構造であって、幾何学的構成が使用する放射性同位体のβ+/β−エネルギー散逸範囲より小さい特徴的寸法を有する流体閉込め構造を設計することは、合成効率、放射化学純度並びに放射性医薬化合物の貯蔵寿命及び効力を高める手段を提供し得る。 国際公開第2008/140616号パンフレット 一態様では、本発明は放射性同位体含有混合物を濾過するためのデバイス及び方法に関する。かかるデバイスは2以上の閉込め幾何学構造を含み、閉込め幾何学構造は前記閉込め幾何学構造への流体の移動を可能にする開口、放射性同位体を収容した場合に放射性同位体のβ(+)又はβ(−)範囲より小さい横断面寸法、及び互いに隣接する幾何学構造を直近の隣接幾何学構造から隔離することで、放射性同位体を収容した場合に幾何学構造間で測定可能な運動論的陽電子エネルギー移動が起こらないように構成された隣接する閉込め幾何学構造を含んでいる。 別の態様では、本発明は放射性同位体含有混合物を濾過、濃縮及び/又は精製する方法に関する。かかる方法は、放射性同位体含有混合物を濾過デバイスに添加する段階、デバイスを通して混合物を流す段階であって、流量を制御することで混合物から放射性同位体化合物を分離及び精製する段階、並びに放射性同位体を含む試料を出口から回収する段階を含んでいる。濾過デバイスは1以上の閉込め幾何学構造を含み、閉込め幾何学構造は前記閉込め幾何学構造を通して流体を流すための入口ポート及び出口ポートを含み、流体閉込め幾何学構造の横断面寸法は放射性同位体を収容した場合に放射性同位体のβ(+)又はβ(−)範囲より小さく、隣接する閉込め幾何学構造は、互いに隣接する幾何学構造を直近の隣接幾何学構造から隔離することで、放射性同位体を収容した場合に幾何学構造間で測定可能な運動論的陽電子エネルギー移動が起こらないように構成されている。 本発明の上記その他の特徴、態様及び利点は、添付の図面を参照しながら以下の詳細な説明を読んだ場合に一層よく理解されよう。図1は、放射性医薬品濾過用のセグメント化カラムを示す図である。図2は、毛細管サイズのスルーホールを有する放射性医薬品濾過用のセグメント化カラムを示す図である。図3は、表面コーティング/樹脂を有する濾過用の巻きフォイルを示す図であって、フォイル及びコーティングの厚さは陽電子相互作用及び続いて起こる自己放射線分解を補償するように設計されている。図4は、500μm×500μmのチャネルサイズ及び250μmのエッジ間隔を有する本発明のマイクロ流体工学的蛇行形貯蔵/反応容器の上面図を示している。図5は、14.9〜23.1GBq/mlの[18F]FDG(非安定化)を遮蔽PEEK毛細管と比較して用いた、500μm×500μmのチャネルサイズ及び250μmの間隔を有するマイクロ流体チップ上の隣接チャネル間の陽電子相互作用に関する実験結果を示している。図6は、水中での陽電子消滅事象に関する累積確率分布T(x)のグラフ表示である。図7は、水中での陽電子に関する堆積エネルギーEabsorb(r)の分率のグラフ表示である。図8は、円筒形幾何学構造に関し、平均路長を半径の関数として表したグラフ表示である。図9は、外部寸法a、b及び厚さcを有する平面反応器の模式例である。図10は、図9に係る平面幾何学構造における平均路長を構造厚さcの関数として表したグラフ表示である。図11は、様々な特徴的寸法(円筒については半径及び平面形状については厚さ)に関し、円筒形構造内部の堆積エネルギー分率を平面構造と比較したグラフ表示である。図12は、使用した実験設備を示す図である。図13は、非安定化[18F]FDGを用いた複数の高放射能(14.9〜23.1GBq/ml)実験で測定された自己放射線分解抑制を毛細管直径に対してグラフでしている。図14は、ID 250μm PEEK毛細管における自己放射線分解抑制を放射能濃度に対して示しているが、収率は実験中に使用した放射能濃度との有意な相関を示さない。 以下の詳細な説明は例示的なものであり、本願の発明及び本発明の用途を限定する意図はない。さらに、先行する本発明の背景又は図面の説明中に示されたいかなる理論によっても限定する意図は存在しない。 陽電子放出断層撮影法(PET)は、単光子放出コンピューター断層撮影法(SPECT)と共に、医学診断及び薬物発見において急速に拡大しつつある分子イメージング分野の基礎を構築している強力な医用イメージング技術である。それ故、PETトレーサーのマイクロ流体工学的合成の分野には増大する量の研究が存在していた。より高い反応収率及び改善されたプロセス制御の見込みに加えて、マイクロ流体工学は、トレーサー合成装置の総合サイズ及び遮蔽を減少させることによってPETのインフラ構造負担を低減させる可能性を有している。 約1000μl程度の典型的な反応体積から約100μl以下のマイクロ反応器に放射化学をスケールダウンすることは、単一の合成バッチによって通常の等価プロセスと同じ量の患者用量を製造する場合、より高い放射能濃度をもたらす。しかし、放射能濃度の増加と共に、自己放射線分解に原因する生成物収率及び純度の低下も存在することが知られている。例えば、約10mmの直径及び10mlの容積を有する通常スケールの反応器では、陽電子のエネルギーの約99%が、放射線分解を引き起こし得るプロセスで反応器内の液体物質中に散逸される。 さらに、マイクロ流体工学に関しては、陽電子相互作用によって創成されるラジカル化学種の相互作用から生じる自己放射線分解は、表面に対するラジカルの永久的又は一時的な捕獲/結合をもたらすラジカル捕捉用の表面修飾によって低減させることができる。マイクロチャネル内では粒子の拡散長さが短いので、興味ある放射性標識分子と相互作用する前にラジカルが毛細管又チューブはマイクロ流体構造の壁に到達する確率は、通常の容器に比べて高い。したがって、幾何学構造及びスケールの変化を制御することは、陽電子と反応器内容物との相互作用の程度並びに陽電子エネルギー散逸によって誘起されるラジカル化学種の相互作用を変化させ、それによって放射線分解プロセスに影響を与えることがある。このように、反応器、精製装置又は貯蔵装置に関する流体閉込め幾何学構造のデザインは、出力放射能を増加させると共に、増加した生成物貯蔵寿命性能でより効率的な製造システムを可能にすることができる。 さらに詳しくは、放射性同位体の精製及び/又は濃縮に際しては、放射性化学種の高い局所密度が生じ、それらの領域における自己放射線分解速度の増大をもたらすことがある。したがって、特定の閉込め幾何学構造を有する精製要素のデザインは、陽電子と精製要素の閉込め構造との相互作用の程度並びに陽電子エネルギー散逸によって誘起されるラジカル化学種の相互作用を変化させることができる。 本発明は一般に、特に限定されないが放射性医薬品を含む放射性同位体の精製及び/又は濃縮のための濾過デバイスに関する。若干の実施形態では、かかるデバイスは流体又は流体案内要素を含んでいて、(流体閉込め幾何学構造といわれることもある)案内要素は要素内に収容し得る放出放射性同位体の最大β+及びβ−相互作用範囲より小さい寸法を有している。本発明はまた、案内要素又は流体閉込め幾何学構造が要素内に収容し得る放出放射性同位体の平均β+及びβ−相互作用範囲より小さい寸法を有すること、さらに望ましくは放出放射性同位体の最大β+及びβ−相互作用範囲の約10〜15%の寸法を有することを想定している。 本明細書中で使用されるβ崩壊とは、ベータ粒子(電子又は陽電子)が放出されるタイプの放射性崩壊として定義できる。ベータ+(β+)放出は陽電子放出をいい、電子放出はベータ−(β−)放出といわれる。濾過デバイスの幾何学構造はチャネル又はチャネル様アセンブリのような閉込め幾何学構造を含み、流体が流通し得る毛細管、トレンチ又はグルーブ様構造をいう。閉込め幾何学構造及びチャネルという用語は互換的に使用される。若干の実施形態では、要素の幾何学構造は自己放射線分解又は放射線分解効果を低減させることができる。放射線分解効果又は自己放射線分解には、陽電子放出で誘起される分子の直接破壊、並びにラジカル化学種の創成及び副生物の生成がある。 チャネルは、その横断面寸法又は深さ並びにチャネルの総合長さを用いて定義できる。横断面及び長さは、用途に基づく内容積を与えるように変化し得る。若干の用途では、チャネルは円筒又は立方体形状であり得る。若干の用途では、容器、フィルター又は精製要素の容積は約0.01〜10000μlであり得る。他の実施形態では、容器の容積は約1〜1000μlであり得る。 若干の実施形態では、濾過デバイスは、特に限定されないが、PET、SPECTなどの診断及び核療法のための核医学で使用されるものを含むβ+及びβ−放出同位体の精製のために使用できる。かかる同位体には、18F、11C、14C、99mTc、123I、125I、131I、68Ga、67Ga、15O、13N、82Rb、62Cu、32P、89Sr、153Sm、186Re、201Tl、111In又はこれらの組合せがある。好ましい同位体には、18F、11C及び68GaのようなPET用のものがある。 若干の実施形態では、濾過デバイスは、前記放射性同位体を含む放射性医薬品の製造及び貯蔵のためのマイクロ流体デバイスを含む他のデバイスと共に使用できる。それ故、濾過デバイスはマイクロ流体反応器又は貯蔵容器と流体連通状態でインラインシステムとして使用できる。他の実施形態では、濾過デバイスは独立に使用できる。この場合、放射性同位体は入口及び出口開口を有するデバイスに添加される。 若干の実施形態では、濾過デバイスは、放射性医薬生成物(例えば、特に限定されないが放射性同位体担持トレーサー)の濾過及び精製のために使用できる。放射性トレーサーの合成及び製造における自己放射線分解は、標的化合物の精製中に存在する。興味ある放射性医薬化合物の精製及び分離並びに濃縮のためには、石英ミクロ繊維フィルター(QMA)、Sep−Paks(登録商標)(Waters Corporation、ミルフォード、米国マサチューセッツ州)固相抽出(SPE)、液体クロマトグラフィー(LC)、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)又は薄層クロマトグラフィー(TLC)のカラム及びチャンバーが使用できる。かかる方法で使用される固体状態樹脂は放射性物質の高い局所濃度を生み出し、前記領域中に顕著な放射線分解をもたらすことがある。これらの樹脂を幾何学的に設計し直すことで、自己放射線分解を低減させることができる。この場合、閉込め幾何学構造又はチャネルは、使用する放射性同位体のβ+/β−範囲より小さい1以上の特徴的寸法を有する。 若干の実施形態では、濾過デバイスは、(使用する放射性同位体のβ+/β−範囲より小さい)寸法を有する固体支持体樹脂を含む、通常のように充填されたフィルターカートリッジ又は分離カラムであり得る。(図1は、)セグメント化チャネル12として構成された流体閉込め幾何学構造を画成する円筒形カラム10(を示している)。セグメント化チャネル12は、カラムの中心固体コア20に向かってよりも外面18に近い位置で幅が広くなるようにくさび形を成している。カラム10はキャリバー又はステンシルを用いた適当な材料の押出しによって形成できるが、当技術分野で常用される他の方法も想定されている。望ましくは、チャネル12内に装填された固体支持体樹脂は、それを貫通して、その中に又はそれを通して導かれるべき放射性同位体のβ(+)又はβ(−)範囲の最大範囲より小さい寸法を有する流体通路を画成している。図2は、それを貫通して延在する一連の細長い通路32を画成する円筒形カラム30を示している。通路32は、それを通して使用される放射性同位体のβ+/β−範囲より小さい1以上の特徴的寸法を含む特徴的内部寸法を有する閉込め幾何学構造を提供する。本発明によれば、チャネル14内にポリマーエマルジョンを注入し、続いて(例えば紫外線で)硬化させてチャネル14内にポリマー樹脂を形成することで樹脂が得られると想定されている。 さらに別の実施形態では、濾過デバイスは、図3に示すように、チャネル寸法が各々の巻きに関する層間のスペーシングに関係するようにして細長い弾性シート52を細長い軸54の回りに巻くことで形成された巻き円筒形カラム50であり得る。かくして、流体閉込め幾何学構造は、中間にスペーシング手段56を延在させながらシート52の対向面間に画成される。若干の他の実施形態では、流体閉込め幾何学構造は、使用する放射性同位体のβ+/β−範囲より小さい特徴的寸法を有する開放内部チャネル、チャンバー、導管又は流体閉込め構造をカラム50に沿って与えるようにシート52に沿って巻かれたスポンジ様又は多孔質基体58であり得る。さらに、放射性医薬化合物又は放射性同位体精製及び/又は濃縮を可能にする機能性表面コーティングを与えるための多孔質基体56も想定されている。さらに別法として本発明は、多孔質基体の代わりに、それを貫通して延在する複数の細長い通路を画成するため、カラム50がカラム50の長さに沿って延在する細長い長手方向スペーサーを含み得ることも想定している。各々の通路はさらに、各通路がそれと共に使用する放射性同位体のβ+/β−範囲より小さい寸法を含むように固体支持体樹脂を含み得る。各々の実施形態では、通路又はチャネルは、カラムを通して互いに流体連通状態にある開口をカラム50の各端に与える。本発明に従えば、流体閉込め幾何学構造は、陽電子相互作用範囲より小さい寸法を有していなければならない。かくして、UV硬化スポンジの場合には、樹脂自体が陽電子相互作用範囲より小さい通路を与え、したがって流体閉込め要素であり得る。別法として、チャネルがビーズで満たされている場合には、チャネルが陽電子相互作用範囲より小さい寸法を含むようにするため、チャネルを陽電子相互作用範囲より小さくし、ビーズをなお一層小さくすべきである。 各々の実施形態では、濾過デバイスは、放射性同位体又は放射性医薬化合物或いはこれらの組合せの精製、相移動、濃縮のために機能性表面コーティング又は固体支持体を含み得る。機能性表面コーティング及び固体状態樹脂は、特に限定されないが、QMA、SEP−Paks、SPEカートリッジ、)、LC、HPLC及びTLCを含む分離/精製システムで一般に使用されるものである。 固体支持体は、本方法で使用すべきいかなる溶媒にも不溶であるが、濾液の選択成分と結合し得る任意適宜の固相支持体であり得る。好適な固体支持体の例には、(例えば、ポリエチレングリコールとブロックグラフト化し得る)ポリスチレン、ポリアクリルアミド又はポリプロピレンのようなポリマー、或いはかかるポリマーでコートされたガラス又はシリコンがある。固体支持体は、ビーズ又はピンのような小さい離散粒子、或いは例えばガラス又はシリコンの粒子上のコーティング、或いは単一又は多重マイクロ流体チャネルのようなカートリッジ又は微細加工デバイスの内面上のコーティングの形態を取り得る。 例えば、[18F]−フッ化物(フッ素−18)は、特に陽電子放出断層撮影法(PET)で使用するための放射性医薬品を求核フッ素化によって製造するために有用である。 フッ素−18は粒子加速器及び原子炉の両方から各種の核反応によって得られ、1.71×109Ci/mmolに近似した比放射能で製造することができる。フッ素−18の半減期は109.7分であって、他の常用される放射性同位体に比べて相対的に長いが、それでも18F標識された放射性医薬品の製造プロセスに時間的制約を加える。 フッ素−18は、[18O]酸素ガス標的を照射することで核反応18O(p,n)18Fによって製造し、水溶液中の[18F]フッ化物イオンとして単離することができる。それはまた、標的をH218Oに暴露して照射することによっても製造できる。水性形態では、[18F]フッ化物イオンは反応性が比較的低いことがあり、したがって反応性の求核[18F]フッ化物イオン試薬を得るためにいくつかの工程が日常的に実施されている。照射後、正に帯電した対イオンが添加される。かかる対イオンは、最も普通にはクリプトフィックス(Kryptofix)222(4,7,13,16,21,24−ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン)のようなクリプタンドで錯体化したカリウム、或いは別法としてセシウム、ルビジウム又はテトラアルキルアンモニウム塩である。これは、通常、(通例は1〜5mLの量の)[18F]フッ化物イオン標的水を陰イオン交換樹脂に通し、対イオンの(通例は0.1〜5mLの量の)微水性有機溶液(例えば、水/アセトニトリル中の炭酸カリウム/クリプトフィックス溶液)で溶出することで達成される。次に、通常はアセトニトリルのような低沸点溶媒の存在下で共沸させることで溶液が乾燥される。 自動化放射合成装置はかかる乾燥段階を含むのが慣例であって、Tracerlab MX(GE Healthcare社)上での[18F]FDG合成の場合にこれは通例9分間継続する。次いで、(以後の放射合成を実施するのに適した有機溶媒、通常はアセトニトリル、ジメチルスルホキシド又はジメチルホルムアミドのような非プロトン性溶媒に溶解した)標識すべき化合物を[18F]フッ化物イオン及び対イオンの乾燥残留物に添加する。 上述したような濾過デバイスを使用することで、デバイスを通しての濾過により、固体支持体システムを用いて標的水から[18F]フッ化物イオンを迅速に捕捉及び溶出することが可能となる。例示的な材料は、国際公開第2009/083530号(その開示内容は援用によって本明細書の内容の一部をなす)に記載されている。 放射性同位体の精製、相移動及び/又は濃縮は、順次に又は平行毛細管チャネルを通して実行できる。チャネルは、流体の移動を許すために近位端及び遠位端を含んでいる。他の実施形態では、チャネルは単一の開口を含んでいてもよく、この場合には容器内への流体移動及び容器からの流体移動が同じ開口を通して起こる。寸法は、使用する放射性同位体の崩壊中に放出されるβ+/β−エネルギー及びその結果として生じる最大のβ+/β−範囲に依存する。例えば、18Fに関しては、水中で放出される陽電子についての最大範囲は2.3mmである。したがって、精製、反応器又は貯蔵容器に関する実施形態は、18Fと共に使用するためには2.3mmより小さい特徴的サイズを有する流体閉込め幾何学構成を含み得る。 他の実施形態では、流体閉込め幾何学構造は、使用する放射性同位体のβ+/β−範囲より小さい1以上の特徴的寸法を有する薄膜又は表面コーティングであり得る。 若干の実施形態では、濾過デバイスに関する流体閉込め幾何学構造の特徴的寸法は、使用する特定のβ+/β−放射体に基づいて定義することができる。これは、特に限定されないが、いくつかの常用される医用同位体に関して水中における陽電子の最大範囲及び平均範囲を列挙した表1中の値によって示される。本発明は、チャネル(又は閉込め幾何学構造)が最大範囲より小さい寸法を有するべきであると想定している。さらに望ましくは、チャネルは平均範囲より小さい寸法を有するべきである。なお一層望ましくは、チャネルは最大範囲の約10〜15%の寸法を有するべきである。 若干の実施形態では、濾過デバイスは約0.01〜3000μmの範囲内のチャネル幅を有し得ると共に、別の実施形態では、チャネル深さが約1〜2000μmの範囲内にあり得る。チャネル横断面が本質的に円形、長円形又は長方形或いはこれらの組合せであることは言うまでもない。チャネルの長さは任意であって、所要の体積容量又は流量に基づいて選択される。 チャネルは、高い充填密度を与えるように配置することができる。それ故、濾過デバイスの幾何学構造としては、円筒形又は立方体形のような毛細管及び毛細管様アセンブリ、並びに蛇行形、平面長方形、コイン形構造又はこれらの組合せを有する幾何学構造が挙げられる。 次に図4について説明すれば、本発明は蛇行する流体路110の形態を有する閉込め幾何学構造を提供する。流体路110は、その第1の主面116に開く細長いフローチャネル114を画成する平面状のCOC 6017−SO4基体112を有するツーピースデバイスとして形成することができる。次いで、平面状のカバーピース(図示せず)を接合することで、フローチャネル114の大部分又は全部を覆って包囲された流体路110を得ることができる。流体路110は、第1の入口端118と第2の出口端120との間に延在している。流体路110は、交互の屈曲セグメント(123及び125)と流体連通状態にある一連の細長い直線状セグメント(例えば、122及び124)を形成するように成形されている。フローチャネル114は、通例、横断面の寸法の1つがそれを通って流れる放射性同位体のβ(+)又はβ(−)範囲より小さいような正方形又は長方形の横断面を含んでいる。例えば、フローチャネル114は、細長いセグメント122及び124が250μmのエッジ間隔を有する場合、500μm×500μmの横断面寸法を有し得る。別法として、流体路110は、それを通って流れる放射性同位体のβ(+)又はβ(−)範囲より小さい寸法を有する円形横断面の細長い弾性円筒形チューブをその入口端と出口端との間で波形に配置することによって形成してもよい。本発明はさらに、チャネル114が長方形、三角形又は円形の横断面或いはこれらの組合せを有し得ることを想定している。さらに本発明は、チャネル114が、混合又は他の反応が起こり得る領域或いは流体生成物を貯蔵し得る領域を提供するように意図されることも想定している。 空間消費量を小さくするような設計に際しては、隣接チャネルに対する陽電子放出及び相互作用を考慮しなければならない。例えば、18−フッ素崩壊によって放出される陽電子が隣接チャネルに再侵入する確率及びエネルギーが計算され、小さい効果乃至無視できね効果を示すと推定された(表2)。(適切な遮蔽によって再侵入を抑制した)遮蔽毛細管装置及びオンチップ蛇行構造(チャネル:500μm×500μm、250μm間隔、材料:COC 6017−SO4、図4に示す)を用いて結果を実験的に検証したが、図5にグラフ表示されるように、2種の構成間に測定可能な結果の差は存在しなかった。さらに詳しくは、図5に示すように、2つのシステム間に自己放射線分解の有意差は存在しない。したがって結果は、このような構成を有する蛇行形デバイスでは、隣接チャネル間に有意な陽電子相互作用が存在しないことを示唆している。 隣接構造間における陽電子相互作用は4.3〜23.1GBq/mlの放射能濃度を有する18−フッ素に関して有意な影響を示さなかったものの、若干の実施形態では、18Fより高いエネルギーを有するβ+/β−線又は評価した量より高い放射能濃度に関しては隣接する流体閉込め幾何学構造間に遮蔽を設けることが有益であり得る。 それ故、若干の実施形態では、流体閉込め幾何学構造は、幾何学構造全体又は幾何学構造の所定セグメントをその直近の隣接幾何学構造又は隣接セグメントから実質的に隔離することで、流体閉込め幾何学構造又はセグメント間で測定可能な運動論的陽電子エネルギー移動が起こらないように構成される。チャネル間の測定可能な運動論的陽電子エネルギー移動とは、チャネル間隔の減少に伴い、総合的な自己放射線分解抑制が減少する値に向かってシフトすることをいう。 若干の実施形態では、高い陽電子吸収をもたらしかつ陽電子の平均路長を減少させる重質材料を用いた基体材料が使用できる。遮蔽で使用するための材料には、通常、高い密度又は質量或いはその両方を有する固体又は液体材料がある。例えば、特に限定されないが、鉛、タングステン、エポキシ樹脂、及び高いβ+/β−範囲ダンピング又は吸収をもたらす元素を含む材料複合体が挙げられる。 若干の実施形態では、隣接する流体閉込め幾何学構造間の遮蔽は、これらの構造(入口)間に吸収材インサートを用いて達成できる。他の実施形態では、隣接又は中間補償構造(例えば、陽電子の路長減少又は散乱をもたらす水又は他の流体を満たしたチャネル又はキャビティ)のデザインを用いて、隣接構造間で誘起される自己放射線分解を低減させることができる。同じ遮蔽流体は、放射性及び非放射性試薬を担持/輸送する構造の加熱及び冷却のためにも使用できる。 若干の実施形態では、精製デバイスは、マイクロリットル乃至ピコリットル程度の流体体積と共に使用するためのセグメント化フロー型装置で置き換えることができる。かかる実施形態では、それぞれの小滴の外部寸法及びこれらの小滴間の距離が、自己放射線分解低減のための特徴的寸法を定義する。若干の実施形態では、デバイスは固相に基づく表面化学構造によって置き換えられる。固相に基づく表面化学構造には、特に限定されないが、フリット又は機能性表面上の化学構造、浮遊液体フィルム、界面化学構造、及び放射性化合物の薄層を含み得る他のアセンブリがある。かかる実施形態では、薄膜は自己放射線分解低減をもたらすβ+/β−相互作用範囲より小さい特徴的寸法を示す。 若干の実施形態では、濾過デバイスは放射性医薬品の精製又は濃縮のために使用できる。かかる方法は、放射性トレーサーのような放射性同位体含有化合物と薬学的キャリヤーとの混合物を濾過デバイスに添加することを含み得る。混合物は添加され、濾過デバイスのチャネル中に流され、そして回収される。濾過デバイスは、チャネルの容積を調節することで濾過システム中での適切な滞留時間又は通過時間が得られるように設計される。放射性同位体含有化合物は、18F、11C、14C、99mTc、123I、125I、131I、68Ga、67Ga、15O、13N、82Rb、62Cu、32P、89Sr、153Sm、186Re、201Tl、111In又はこれらの組合せのような放射性同位体を含む化合物であり得る。好ましい同位体には、18F、11C及び68GaのようなPET用のものがある。 薬学的キャリヤーとは、適用部位、周囲組織又は調製組織切片への薬剤物質の送達を可能にすることで、薬剤が標的への特異的結合のために有効な滞留時間を有するようにするか、又は簡便なやり方で遊離を可能にする組成物をいう。かかるキャリヤーは、希釈剤、溶媒、又は製造される放射性医薬品の効果を高めるための薬剤を含み得る。それ故、かかるキャリヤーはまた、pH調整、塩形成、イオン化可能な化合物の生成、共溶媒の使用、錯体形成、界面活性剤及びミセル、エマルジョン及びマイクロエマルジョンを考慮に入れることができる。薬学的キャリヤーとしては、特に限定されないが、水を含む可溶化剤、洗浄剤、緩衝液、安定剤及び防腐剤が挙げられる。 本発明は、それぞれのチャネルアセンブリの適切なデザインにより、増加した放射能及び高い試薬濃度レベルで合成を行うことを可能にする。高い放射能レベルでの放射性トレーサー合成の問題点として、比較的低い収率が報告されていた[Santiago J.et al:Reactor scale effects on F−18 Radiolabeling;18th ISRS,Edmonton,Canada,July 12−17 2009,Poster]。記載されたような幾何学構造を用いる適切なシステムデザインでは、自己放射線分解の減少によって収率を向上させることができる。若干の実施形態では、かかる向上は、合成(例えば、特に限定されないが、放射性標識、加水分解、精製(例えば、SEP PAK又はQMAカートリッジ)、再製剤化及び濃縮)中に得ることができる。 若干の実施形態では、本デバイスは、例えば放射性トレーサー製造を含む放射性同位体含有化合物製造における自己放射線分解、及び特に標的化合物の精製中に存在し得る自己放射線分解を低減させるために使用できる。通常、クリーニング、精製及び分離のためには、QMA、SEP−Paks、SPEカートリッジ並びにLC、HPLC及びTLC方法が使用されている。かかる方法で使用される固体状態樹脂は放射性物質の高い局所濃度を生み出し、高い放射線分解をもたらす。デバイスの幾何学的デザインを特定化することで、自己放射線分解を低減させることができる。これは、使用する放射性同位体のβ+/β−範囲より小さい)寸法を有する幾何学的閉込め構造を使用する、通常のように充填されたカートリッジ及びカラムに関しても適用される。 若干の実施形態では、放射性同位体含有物質(例えば、特に限定されないが、放射性医薬品)の精製、相移動及び濃縮のためには、濾過デバイスはオンチップ又はオフチップ或いは機能性表面コーティング又は樹脂を含むバルク材料内部の構造及び毛細管であり得る。 ラジカルの相互作用によって引き起こされる自己放射線分解はまた、表面に対するラジカルの永久的又は一時的な捕獲/結合をもたらすラジカル捕捉用の表面修飾によっても低減させることができる。マイクロチャネル内では粒子の拡散長さが短いので、興味ある放射性標識分子と相互作用する前にラジカルが毛細管チューブ又はマイクロ流体構造の壁に到達する確率は、通常の容器に比べて高い。 若干の実施形態では、本デバイスはさらに、放射性同位体を回収及び移送するためのデバイスを含み得る。例えば、本デバイスは、その最終用途に先立って放射性同位体を移送又は貯蔵するために使用できる別の要素と流体連通状態にあるように設計できる。若干の実施形態では、本デバイスは、高いガス又は流体圧力を用いてロード及びアンロードされるアセンブリの一部であり得る。 モデリング研究 18Fは、97%の場合にβ+及びνe放出により崩壊して18Oになり、3%の場合に電子捕獲によって崩壊する(Cherry S,Sorenson J,Phelps M,Physics in Nuclear Medicine,Saunders(2003))。β+崩壊事象中には、陽子が中性子、陽電子及びニュートリノに崩壊し、結合エネルギーと質量に変換されるエネルギーとの差は陽電子の運動エネルギーとニュートリノと(より少なくは)光子との間で分配される。ニュートリノは周囲の物質と極めて弱くしか干渉せず、自己放射線分解プロセスにおけるその効果を無視することは理にかなっている。全く同様に、統計的に起こりにくい18F電子捕獲の崩壊プロセスを無視することも筋が通っている。それとは対照的に、高エネルギーの陽電子は、その運動エネルギーを散逸する過程で直接にイオン化事象の連鎖を引き起こし得るので問題となる。 インタクトな[18F]FDG分子は、陽電子によって直接にイオン化されるか、又は2つの粒子間で電荷移動を引き起こすラジカルによってヒットされると、18F原子を失うことがある。水中における[18F]FDGの放射能濃度が<20GBq/mlである場合、インタクトな[18F]FDG分子が直接に陽電子イオン化される確率は、水分子に対する放射性化合物のモル濃度に基づいて<1%と推定される。このような理由から、自己放射線分解に関する支配的な機構はラジカル化学種とインタクトな[18F]FDG分子との相互作用である。Buriova et al.は、自己放射線分解後のHPLC−MS及びTLC分析によれば、OH及びO2が18Fの遊離を最も引き起こしやすい2種の化学種であることを報告している(Buriova E.et al.,Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry,Vol 264 No 3(2005)595−602)。かかる反応が十分な運動エネルギーをもって起これば、電子交換及びそれに続く例えば18F結合の切断を引き起こす。したがって、自己放射線分解は放射性トレーサー溶液の放射化学純度(RCP)に基づいて特徴づけることができ、これは薄層クロマトグラフィー(TLC)又は放射線検出器と連結した高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)(ラジオHPLC)を用いて遊離18Fをインタクトな[18F]FDG分子に対して測定することで決定される。 18F崩壊のエネルギースペクトルを調べたところ、陽電子の運動エネルギーはEmax=0.633MeV及び平均エネルギーEmean≒1/3Emax=0.211MeVであると決定された。陽電子の放出後、その運動エネルギーはイオン化、非弾性励起及びポジトロニウム生成によって散逸される。ポジトロニウムは、消滅後に続いてそれぞれEγ=511keVのエネルギーを有する2つのγ光子の放出をもたらす。この放射線の90%が堆積される水中での距離は約24cmであり、これはデバイスデザインに関して論議される幾何学構造(<2cm)より遙かに大きい。したがって、イオン化に対する511keVのγ線の寄与は、自己放射線分解モデルでは無視できる。さらに、18F崩壊スペクトルの運動エネルギーを有する陽電子については、放射プロセスに原因するエネルギー損失は無視できる(Cherry S,Sorenson J,Phelps M,Physics in Nuclear Medicine,Saunders(2003))。 相対論的な考察を含め、陽電子放出後の運動量保存のため18O娘核に移動するエネルギーは、陽電子と18O原子との質量比が約105であるので、約31eVの最大値を有している。Lapp及びAndrewsは、水に関する平均イオン化エネルギーを68eVと報告し、最低イオン化エネルギーを11.8eVと報告した(Lapp,Andrews,Nuclear Radiation Physics,Prentice Hall,1972,p.154)。これは、最大31eVの娘核に対する陽電子放出の反跳効果が、230000eV程度の平均エネルギーを有する陽電子の直接効果と比較した場合、自己放射線分解に対して無視できる効果を有することを意味している。 陽電子が衝突してイオン化を行うたびに陽電子から失われる全エネルギーの分率H(r)は、娘核からの距離rの全てについてほぼ一定であると仮定する。さらに、生成されるイオンの数はイオン化エネルギーとして失われるエネルギーに比例すると共に、遊離される18F原子の数は陽電子によって生成される溶液中のラジカルの数と直線的に相関すると仮定する。ここでは、イオン化エネルギーは原子のイオン化中に陽電子から失われるエネルギーとして定義される。一般に、電子の結合エネルギーに打ち勝つために全ての陽電子エネルギーが失われるわけではなく、それは光子放出のような二次プロセスで又は放出電子に伝達される運動エネルギーとして失われることもある。 小さい幾何学構造における自己放射線分解効果の推定のために開発されたモデルは、エネルギー保存の考察に基づいており、最悪の場合のシナリオを表している。これは、(2.)で行った仮定により、測定される自己放射線分解がモデルによって予測される値を超えるはずがないことを意味している。全ての計算は、18F崩壊及び対応する陽電子エネルギーレベルに関するものである。 生成されるイオンの数Nionsが堆積されるイオン化エネルギーに比例する場合、Nionsは次のように計算できる。式中、H(r)は一定の距離rに関してイオン化により失われるエネルギーの分率であり、Eabsorb(r)は距離rまでに堆積される全エネルギーである。システム内での全堆積エネルギーの分率を推定するためには、Palmer及びBrownellの結果を使用した(Palmer and Brownell,1992 IEEE Trans.Med.Imaging 11,373−8)。Palmer et al.は、陽電子消滅事象の3D分布がガウス関数によって補間できることを報告した。 ガウスフィッティングによって得られるパラメーターr0及びσは、様々な同位体に関して報告されている。P(r)が確率密度であるためには、正規化関数Φが導入され、次のように定義される。 Champion et al.によれば、18F崩壊に関し、崩壊事象周囲媒質としての水についてr0=0.04mm及びσ=0.789mmであることが示された(Champion C,Le Loirec C,Phys.Med.Biol.52(2007),6605−6625)。これらのフィットパラメーターを用いて、次のように定義される累積陽電子消滅確率曲線を図6に示す。この曲線は、18Fスペクトルからの陽電子が一定の距離xまでに消滅する確率を与える。 図6は、約80%の陽電子が厚さ1mmの水層を通過した後に消滅することを示唆している。この結果は、Champion et al.(76%)及びAlessio et al.(79%)によって報告されたモンテカルロシミュレーション値とよく一致している(Champion C,Le Loirec C,Phys.Med.Biol.52(2007),6605−6625及びAlessio A.,MacDonald L.,Nuclear Symposium Conference Record,2008))。 陽電子及び電子に関する範囲−エネルギー関係は広く研究されており、Katz及びPenfoldからの結果はエネルギーと範囲との間に経験的関係が存在することを証明している(Katz L,Penfold A.S,Rev.Mod.Phys.24,28(1952))。 エネルギーE0(ここで、0.01MeV≦E0≦2.5MeV)を有する単一エネルギーβ粒子ビームがアルミニウム中を透過する場合、次の経験的関係が仮定されてきた。 経験的なエネルギー−範囲関係(5)は、(4)の累積消滅確率分布T(x)を、娘核から距離rまでに堆積された全エネルギーEabsorb(r)の分率を示す関数に変換できる。さらに一般的な形態では、以下の通りである。 式(7)の厳密な誘導には後方散乱を考慮すべきであるが、Kobetich及びKatzの研究はこの場合に後方散乱が無視できることを正当化している(Kobetich R.,Katz L.,Physical Review,Vol 170 No 2,1968)。 (7)に基づく水中での陽電子に関する正規化散逸エネルギー曲線を図7に示す。水が媒質として選択されるのは、注射可能な放射性医薬品が通常は水溶液だからである。 図7から、陽電子の運動エネルギーの約85%が周囲の水の最初の1mm中に堆積され、最初の100μm中に堆積されるのは13%にすぎないことがわかる。自己放射線分解現象が溶液中のイオンの数に直線的に比例し、また生成されるイオンの数がイオン化エネルギーEabsorb(r)としてシステム中に堆積されるエネルギーの量に比例するという仮定(2.参照)に従えば、結果は、幾何学構造をλpath=250μmに合わせることで自己放射線分解効果を約30%に低減させ得ることを示唆している。これは、平均路長が陽電子の範囲にほぼ等しい、即ちλpath≒R(18Fに関してはR=2.3mm)である通常の幾何学構造に比べると70%の低減を意味する。 円筒形システム及び平面状システムへの適用 以前に開発されたモデルを用いた分析に適する一般の円筒形システムは、長さL及び半径r(ここで、L≫r)を有する円筒によって記述される。このような近似によれば、最終効果が無視できる。モデルの適用可能性に関するさらなる拘束条件は、円筒が遮蔽又はその他の方法で、円筒を出る陽電子が別の位置で再侵入できないように構成されることである。 平均路長は、三次元の幾何学構造内において複数の出発陽電子及び方向を考慮しながら、所定形状の幾何学的境界(例えば、円筒形構造又は平面構造)の内部で陽電子が走行する平均距離として定義できる。平均路長は幾何学形状の内部で散逸されるエネルギーと相関している。したがって平均路長は、陽電子エネルギー散逸の自己放射線分解モデル(図4)と研究される実際の幾何学形状とのリンクを表す。 18F崩壊中に放出される陽電子に関する円筒の半径の関数として平均路長並びにそれぞれのエネルギー分布及び範囲を計算するため、0〜2.3mmの範囲内の各円筒半径に関して100000個の陽電子を用いてモンテカルロシミュレーションを実行した。シミュレーションの結果を図8に示す。 次に図9について説明すれば、本発明はまた、2枚の薄いシート(図示せず)の間に形成された反応器210を提供する。反応器210は、混合又は他の反応が起こり得る領域或いは流体生成物を貯蔵し得る領域を提供するように意図されている。シートは、それに接合されかつ入口218と出口220との間に延在する反応チャンバー216を画成するスペーサー212及び214によって分離されている。かくして、反応チャンバー216、入口218及び出口220は、中間にスペーサー212及び214を延在させた2枚のシートによって包囲されている。その結果、入口218及び出口220は流体ネットワーク(図示せず)と流体連通状態に配置することができる。参照のため、図9に示すように、aは反応器210の長さであり、bは幅であり、cは下部シートと上部シートとの距離である。その結果、a≫c、b≫cであり、cは望ましくは反応チャンバー216中に流される放射性同位体の最大β(+)又はβ(−)範囲より小さい。反応器210に関する平均路長もまた、モンテカルロシミュレーションを用いて調べた。シート間の各距離について、100000個の陽電子を用いてシミュレーションを行い、結果を図8に示す。かかる長方形の例に代えて、円形の実施形態もエネルギー堆積及びそれによって生じる自己放射線分解に関して同様な結果を示すと予想される。 円筒形形状(図8)及び平面形状(図10)に関して決定された陽電子の平均路長を用いれば、これらの幾何学形状内の流体中に堆積される陽電子の運動エネルギーの分率を(7)に従って計算できる。特徴的寸法は、円筒に関しては半径rであり、平面状の幾何学構造に関しては厚さcである。結果を図8に示す。Eabsorb=100%である最大の特徴的寸法は、いずれの形状に関してもr=c=2.7mmに設定した。 結果は、特徴的寸法を十分に小さく選択すれば、いずれの幾何学的構成も自己放射線分解低減のために使用できることを示している。Nions∝Eabsorbという仮定によれば、図11の結果は、半径r=250μmを有する円筒形毛細管が、2.7mmの内部半径を有するバルクバイアルキャビティを含むバルク反応器構成(例えば、3mm以上のバイアルキャビティ直径を有する標準の実験用バイアル内にバルクで保持された場合)において見出される値の36%を超えない比較レベルの自己放射線分解を生じることを示唆している。さらに、円筒形システムは平面形状よりも高い自己放射線分解低減の可能性を与えると結論できる。それとは対照的に、平面構造は増加した充填密度及びより小さい絶対表面積を与えるが、これら両者はシステムデザインに際して潜在的に重要なパラメーターである。 かかるモデルでは、崩壊する原子までの距離に関係なく、陽電子はイオン化によってその瞬間運動エネルギーの一定分率を失うことが仮定されている。最初の検討では、この近似は大胆であると思われる。なぜなら、水中での陽電子に関する全イオン化断面積は運動エネルギーの複雑な関数だからである。かかる主張は、イオン化断面積ばかりでなく非弾性励起及び陽電子生成の散逸プロセスに関連する断面積も考慮に入れることでて正当化できる。Champion et al.の結果を用いれば、>1keVの陽電子エネルギーに関し、イオン化断面積分率は約80%でほぼ一定であると示すことができる(Champion C,Le Loirec C,Phys.Med.Biol.52(2007),6605−6625)。 実験の部 材料及び方法: 理論モデルによって予測された自己放射線分解傾向を実験的に評価するため、非安定化[18F]FDGを合成し、生成物を各種の幾何学構造内に分配した。合成のためには、GE TRACERlab MX合成装置(GE Healthcare社、リエージュ、ベルギー)を、TRACERlab MXFDGカセット(Cat.No:PS150ME、GE社)、[18F]FDG試薬キット(Prod.No.:K−105TM、ABX社、ラーデベルク、ドイツ)及びマンノーストリフレートプラス(Prod.No.:107.0025、ABX社)と共にを使用した。GE PETtraceサイクロトロン(GE Healthcare社、ウプサラ、スウェーデン)を用いて、それぞれ1.6mlのH218Oを含む2つの銀ターゲット(デュアルビームモード)を各ターゲットについて35μAで最大90分間照射することで、最大約200GBqの18F放射能を生成した。標準の[18F]FDG合成プロトコル及びカセットを修正することで、プロセス中へのエタノールの導入を回避した(カセット中のエタノールバイアルを空のフラスコで置き換えた)。合成に先立ち、2つのC18カートリッジをカセットから取り外し、手作業によって10mlのエタノール及び20mlの水でコンディショニングし、空気で乾燥し、次いでカセット中に再装着した。全部で10回の合成を実施し、それぞれ4〜23GBq/mlの放射能濃度を有する4mlの[18F]FDGを製造した。合成前、合成中又は合成後に、アスコルビン酸、エタノール又は他の安定剤は添加しなかった。合成出力については、GC−MS(6890N Network GC−System with MS 5975B、Agilent Technologies社、ドイツ)によって残留エタノールを調べた。 次いで、図12に示すような自動化実験設備を用いて合成生成物を分配した。GE TRACERLab MX(GE Healthcare社から販売、リエージュ、ベルギー)から供給される4mL(4〜23GBq/ml)の非安定化[18F]FDGを受け入れるためにバルク回収バイアル310を設けた。次いで、(図示しない導管を通して)バイアル310から内容物を導き、10ポート分配弁を有するPC制御シリンジポンプ312を介して各種の受入れ容器に導いた。最初に300μlの[18F]FDGを出発基準品として受け入れるため、15%エタノール水溶液を含む第1の受入れバイアル330を設けた。また、それぞれ第1、第2及び第3の長さのPEEK毛細管チューブ340、350及び360を設けた。毛細管チューブ340、350及び360は、1/16”の外径を有すると共に、それぞれ250μm、500μm及び750μmの内径(即ち、閉込め幾何学構造)を有していた。毛細管の長さは、200μlの一定の内容積を保つように変化させた。毛細管は、4mmのらせんピッチを有するらせん状を成して直径15mmの鋼製コアの回りに巻かれた。らせん状に巻かれた毛細管は、3mmのアルミニウムによって遮蔽された。遮蔽されたらせん形状により、毛細管を出る陽電子が隣接する毛細管セグメントに再侵入する機会はないことが保証された。バルクバイアル310から各毛細管340、350及び360に200μlの[18F]FDGを注入した。さらに、毛細管チューブ340、350及び360に分配する時点で[18F]FDGの試料を受け入れるために2mlガラスバイアル370を設けた。最後に、最初に300μlの[18F]FDGを停止基準品として受け入れるため、15%エタノール水溶液を含む第2の受入れバイアル380を設けた。 自己放射線分解抑制は、バルク反応器内に貯蔵した300μlの試料と比較した自己放射線分解の低減として定義された。バルク反応器の結果は、毛細管充填ルーチンの一部である2mlガラスバイアル370内での非安定化[18F]FDGの貯蔵から得られた。バルク反応器において観察される結果は、バルク濾過デバイスに比べ、マイクロ流体濾過デバイス内での滞留時間と相関する可能性がある。 毛細管充填ルーチンはまた、15%エタノール溶液を含むバイアル310及び380中に300μlの[18F]FDGを供給する最初の段階及び最後の段階を含んでいた。これら2つの試料は、14時間後の最終自己放射線分解結果に対する毛細管充填時間(約20〜30分)の影響を評価するために採取された。なぜなら、自己放射線分解速度は合成直後に最大となるからである[Fawdry,R.M.,2007,Radiolysis of 2−[18F]fluoro−2−deoxy−o−glucose(FDG)and the role of reductant stabilisers.App.Radiat.Isot.65(11),1192−1201;Scott et al.,2009,J.Appl.Radiat.Isot.67(1),88−94を参照されたい]。 14時間後、H2Oを用いて毛細管チューブ340、350及び360の内容物を別々のバイアル中に排出し、続いて各毛細管出力溶液及び全てのバルクバイアル標準品における遊離18F/[18F]FDG比を決定した。放射化学純度(RCP)としても知られる遊離18F/[18F]FDG比を定量化するためには、TLC(Polygram SIL G/UV 254、Macherey−Nagel社)及びオートラジオグラフ(Phosphor−Imager Cyclone Plus、PerkinElmer社、ドイツ)を使用した。 結果: 全ての実験に関する自己放射線分解抑制を図13にまとめて示す。それは、全ての試行に関し、300μlガラスバイアル基準試料のそれぞれのRCP(最悪の場合、14時間後の自己放射線分解抑制0%)から合成後の初期RCP(最良の場合、最少の自己放射線分解)まで計算した。図13は、ID 250μmの毛細管が>90%の自己放射線分解抑制を与えるの一方、毛細管直径の増加は抑制率の低下を生じ、これはモデルによって予測された傾向と概して一致することを示している。 エタノール含有量は、全ての実験について<2mg/lエタノール(測定器の検出限界)まで測定した。毛細管充填の前後に採取された、300μlのエタノール安定化試料間における自己放射線分解の差は<1%と測定され、これは充填時間が最終結果に影響を与えないことを示唆している。 図14は、ID 250μm毛細管(n=9)の内部における自己放射線分解抑制についての実験結果を、各々の試行に関するそれぞれの放射能濃度に対して示している。図14に示す結果が選択した放射能濃度に関して同等であることを示唆する有意な傾向は存在していない。 放射能濃度は別にして、図14の結果は、毛細管内面に対する遊離18Fの永久的固定化によって影響を受けた可能性がある。本発明のチューブ形状及び材料をこのような観点すら検討するため、各回の実験後に毛細管を400μlの水でフラッシュし、すすぎ液をTLCによって分析した。水は、毛細管チューブから残留放射能をクリーニングするために非常に有効であることが証明されている。結果は、元の毛細管内容物と同様な18F/[18F]FDG比(変動±3%)を与え、毛細管が18Fトラップとして作用するという形跡は示さなかった。しかし、18Fに対する一時的な表面固定化効果並びにフリーラジカルの永久的又は一時的な固定化が効果を有し、モデル(毛細管直径との直線的な相関)と実験結果(毛細管直径との非直線的な相関)との間における不一致を引き起こす可能性がある。円筒の理論的な結果に従えば、適切な寸法を有する平面デバイスは同等な結果を示すであろう。 以上、本明細書中には本発明の若干の特徴のみを例示し説明してきたが、当業者には数多くの修正及び変更が想起されるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は本発明の真の技術思想に含まれるこのような修正及び変更の全てを包含するものであることを理解すべきである。10 円筒形カラム12 セグメント化チャネル18 外面20 中心固体コア30 円筒形カラム32 通路50 巻き円筒形カラム52 弾性シート54 軸56 スペーシング手段58 基体110 流体路112 基体114 フローチャネル116 第1の主面118 第1の入口端120 第2の出口端122 直線状セグメント123 屈曲セグメント124 直線状セグメント125 屈曲セグメント210 反応器212 スペーサー214 スペーサー218 入口220 出口 2以上の閉込め幾何学構造を含むデバイスであって、前記閉込め幾何学構造は放射性同位体を収容した場合に放射性同位体のβ(+)又はβ(−)範囲より小さい横断面寸法を有し、隣接する閉込め幾何学構造は、互いに隣接する閉込め幾何学構造を直近の隣接閉込め幾何学構造から隔離することで、放射性同位体を収容した場合に閉込め幾何学構造間で測定可能な運動論的陽電子エネルギー移動が起こらないように構成されており、前記閉込め幾何学構造は閉込め幾何学構造への流体の移動を可能にする入口を含み、前記閉込め幾何学構造は閉込め幾何学構造からの流体の移動を可能にする出口を含む、デバイス。 β(+)又はβ(−)範囲が約0.01〜3000μmである、請求項1記載のデバイス。 β(+)又はβ(−)範囲が約1〜2000μmである、請求項1記載のデバイス。 閉込め幾何学構造が長方形、三角形又は円形横断面或いはこれらの組合せを含む、請求項1記載のデバイス。 閉込め幾何学構造が巻き層構造間のスペーシングを含む、請求項1記載のデバイス。 閉込め幾何学構造又は閉込め幾何学構造間の領域の1以上が高陽電子吸収材料からなる、請求項1記載のデバイス。 高陽電子吸収材料が鉛、タングステン、エポキシ樹脂又はこれらの組合せである、請求項6記載のデバイス。 さらに、閉込め幾何学構造内に配置された固体支持体を含む、請求項1記載のデバイス。 固体支持体が、放射性同位体含有混合物の1種以上の成分と結合し得るポリマー、ガラス、シリコーン又はこれらの組合せを含む、請求項8記載のデバイス。 閉込め幾何学構造がさらに、放射性同位体含有物質の精製、相移動及び濃縮のための機能性表面コーティングを含む、請求項1記載のデバイス。 さらに、隣接する閉込め幾何学構造間に配置された遮蔽構造体を含む、請求項1記載のデバイス。 遮蔽構造体が陽電子吸収材インサート、陽電子吸収流体又はこれらの組合せを含む、請求項11記載のデバイス。 当該デバイスが、石英ミクロ繊維フィルター(QMA)、固相抽出カートリッジ(SPE)、液体クロマトグラフィーカラム(LC)、高圧液体クロマトグラフィーカラム(HPLC)、薄層クロマトグラフィーチャンバー(TLC)又はこれらの組合せである、請求項1記載のデバイス。 当該デバイスがさらに、最終用途のための放射性同位体をロード及びアンロードするように構成されている、請求項1記載のデバイス。 放射性同位体が18F、11C、14C、99mTc、123I、125I、131I、68Ga、67Ga、15O、13N、82Rb、62Cu、32P、89Sr、153Sm、186Re、201Tl、111In又はこれらの組合せを含む、請求項1記載のデバイス。 放射性同位体が18F、11C、68Ga又はこれらの組合せを含む、請求項15記載のデバイス。 下記の段階を含んでなる方法。放射性同位体含有混合物をデバイスに添加する段階であって、前記デバイスは2以上の閉込め幾何学構造を含み、前記閉込め幾何学構造は放射性同位体を収容した場合に放射性同位体のβ(+)又はβ(−)範囲より小さい横断面寸法を有し、隣接する閉込め幾何学構造は、互いに隣接する閉込め幾何学構造を直近の隣接閉込め幾何学構造から隔離することで、放射性同位体を収容した場合に閉込め幾何学構造間で測定可能な運動論的陽電子エネルギー移動が起こらないように構成されており、前記閉込め幾何学構造は閉込め幾何学構造への流体の移動を可能にする入口を含み、前記閉込め幾何学構造は閉込め幾何学構造からの流体の移動を可能にする出口を含み、前記閉込め幾何学構造は閉込め幾何学構造内に配置された固体支持体又は表面コーティングを含む、段階、デバイスを通して混合物を流す段階であって、流量を制御することで混合物から放射性同位体化合物を分離、精製又は濃縮する段階、並びに放射性同位体を含む溶出液をデバイスの出口ポートから回収する段階段階。 放射性同位体が18F、11C、14C、99mTc、123I、125I、131I、68Ga、67Ga、15O、13N、82Rb、62Cu、32P、89Sr、153Sm、186Re、201Tl、111In又はこれらの組合せを含む、請求項17記載の方法。 デバイスが、石英ミクロ繊維フィルター(QMA)、固相抽出カートリッジ(SPE)、液体クロマトグラフィーカラム(LC)、高圧液体クロマトグラフィーカラム(HPLC)、薄層クロマトグラフィーチャンバー(TLC)又はこれらの組合せである、請求項17記載の方法。 固体支持体が、放射性同位体含有混合物の1種以上の成分と結合し得るポリマー、ガラス、シリコーン又はこれらの組合せを含む、請求項17記載の方法。 デバイスがさらに、隣接する閉込め幾何学構造間に配置された遮蔽構造体を含む、請求項16記載の方法。 濾過、濃縮及び精製中における放射性医薬品の放射線分解を低減させるためのデバイス及び方法が開示される。かかるデバイスは、放射性同位体を収容した場合に使用する放射性同位体のβ(+)又はβ(−)範囲より小さい横断面寸法を有する2以上の閉込め幾何学構造を含み、かかる閉込め幾何学構造は、隣接する幾何学構造を直近の隣接幾何学構造から隔離することで、放射性同位体を収容した場合に閉込め幾何学構造間で測定可能な運動論的陽電子エネルギー移動が起こらないように構成されている。放射性同位体含有混合物の濾過方法も開示される。【選択図】図1


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