タイトル: | 特許公報(B1)_ジャワショウガエキス及びその製造方法 |
出願番号: | 2014517278 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | A61K 36/18,A61K 36/00,A61K 31/09,A61P 25/00,A61K 9/66,A61K 47/44,A61P 9/10,A61P 25/28,A61P 25/16,A61P 25/14,A23L 1/30,C07C 43/215 |
加藤 榮信 福山 愛保 堂上 美和 細田 真也 トヒール ウィナルノ JP 5725527 特許公報(B1) 20150410 2014517278 20130828 ジャワショウガエキス及びその製造方法 株式会社ホソダSHC 391012040 飯田 昭夫 100076473 江間 路子 100112900 上田 千織 100136995 安藤 敏之 100163164 加藤 榮信 福山 愛保 堂上 美和 細田 真也 トヒール ウィナルノ 20150527 A61K 36/18 20060101AFI20150507BHJP A61K 36/00 20060101ALI20150507BHJP A61K 31/09 20060101ALI20150507BHJP A61P 25/00 20060101ALI20150507BHJP A61K 9/66 20060101ALI20150507BHJP A61K 47/44 20060101ALI20150507BHJP A61P 9/10 20060101ALI20150507BHJP A61P 25/28 20060101ALI20150507BHJP A61P 25/16 20060101ALI20150507BHJP A61P 25/14 20060101ALI20150507BHJP A23L 1/30 20060101ALI20150507BHJP C07C 43/215 20060101ALI20150507BHJP JPA61K35/78 CA61K35/78 YA61K35/78 XA61K31/09A61P25/00A61K9/66A61K47/44A61P9/10A61P25/28A61P25/16A61P25/14A23L1/30 BC07C43/215 A61K 36/00−36/9068 A23L 1/30 A61K 9/66 A61K 31/09 A61K 47/44 A61K 9/66 A61K 31/09 A61K 47/44 A61P 9/10 A61P 25/00 A61P 25/14 A61P 25/16 A61P 25/28 C07C 43/215 CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII) 特開2010−090053(JP,A) 特開平08−143454(JP,A) Nakamura,Seikou et al,Structures of new phenylbutanoids andnitric oxide production inhibitors from the rhizomes of Zingibercassumunar,Chemical & Pharmaceutical Bulletin,2009年,57(11),pp.1267-1272 Tuntiwachwuttikul,Pittaya et al, Syntheses of some constituents of Zingiber cassumunar,Australian Journal of Chemistry,1980年,33(4),pp.913-916 Mori,Iwao et al,Isolation and structure of alflabene from Alpinia flabellata Ridl,Tetrahedron Letters,1978年,(26),pp.2297-2298 Matsui,Nobuaki et al,Phenylbutenoid dimers isolated from Zingiber purpureum exert neurotrophic effects on cultured neurons and enhance hippocampal neurogenesis in olfactory bulbectomized mice,Neuroscience Letters,2012年,513(1),pp.72-77 8 JP2013073043 20130828 17 20140507 鶴見 秀紀 本発明は、ジャワショウガに有効成分として含まれる神経栄養因子様作用を有するフェニルブテノイド二量体の含有率を高めたジャワショウガエキス及びその製造方法に関する。 フェニルブテノイド二量体は、脳虚血、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病などの神経性疾患の予防及び/又は治療に有効なNGF様作用(神経栄養因子の一作用)を有する。 ここで、「NGF」とは「Nerve growth factor」の略号で、神経組織の分化・成長活性を示すサイトカイン性のペプチド因子のことである(「岩波生物学辞典第4版」1998年、岩波書店刊)。 高齢化社会の進行に伴って老人性認知症(痴呆)が増加傾向にあり、社会問題となってきている。老人性認知症としてはアルツハイマー病や脳血管性認知症が知られている。 アルツハイマー病はアセチルコリンエステラーゼ阻害薬などによる治療が試みられているものの限定的であり、病因が不明で進行性のために未だ有効な治療法がない。そこで、神経細胞の成長、突起形成・伸展促進や活動維持、神経細胞死保護にはNGFが必要なことから、認知症の予防及び治療のためにNGF産生促進物質又はNGF様作用物質の開発が強く望まれている。 また、このNGFは、特にアルツハイマー病において顕著な脱落を起こすニューロン群として前脳基底野のマイネルト基底核コリン作動性ニューロンに作用するペプチド因子であることから、アルツハイマー病の治療に直接用いる試みがなされている(非特許文献1)。しかしNGFは高分子(ポリペプチド)であるために血液脳関門を通過できないので、脳室内投与となり、問題が多い。 このため、本発明者らは、先に、インドネシア産のショウガ科植物(ジャワショウガ)からの溶剤抽出濃縮物であるフェニルブテノイド二量体(置換シクロヘキセン)が神経栄養因子様作用の一作用であるNGF様作用を示すことを見出し、ジャワショウガを抽出した液の濃縮物であるエキスを含有する健康組成物を提案した(特許文献1)。 なお、日本でよく使用されているショウガ科植物の成分としては、ジンゲロール、クルクミン、クルクメンなどが知られているが(非特許文献2)、下記化学式でそれぞれ示されるフェニルブテノイドの二量体(1)及び単量体(2)は認められていない。 一方、ジャワショウガには上記単量体と二量体との2成分が認められている(非特許文献3)。 ジャワショウガの溶剤抽出エキスにおけるフェニルブテノイド二量体含量はNGF様作用を示さない単量体に比べて極めて低いので、NGF様作用を実効レベルで発揮させるためにはそのエキスの摂取量を多くする必要がある。 また、特許文献2には、フェニルブテノイド二量体が、血小板活性化因子拮抗作用及びチロシナーゼ活性抑制作用を有することが開示されている。さらに、特許文献3には、フェニルブテノイド二量体が、ケモカイン発現阻害作用を有することが開示されている。 しかし、特許文献1〜3および非特許文献3のいずれにも、ジャワショウガエキスにおけるフェニルブテノイド二量体の含量を高めることの試みは、開示は勿論示唆もされていない。特開2010−90053号公報特開2003−313116号公報特開2003−306438号公報生化学辞典第3版(今堀和友、山川民夫監修)、P.711、東京化学同人(1998)食品薬学ハンドブック(北川勲、吉川雅之編)、PP.54、122、講談社(2005)第3回食品薬学シンポジウム講演要旨集(仲井めぐみ等)、65−67、日本薬学会生薬天然物部会(2009) 本発明は、上記にかんがみて、NGF様作用を有するフェニルブテノイド二量体の含有率を高めることにより、摂取・服用量を減らすことができて脳虚血、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病などの神経性疾患の予防及び/又は治療に有用なジャワショウガエキスを提供することを目的とする。 本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、抽出液を加熱することによりフェニルブテノイド単量体がフェニルブテノイド二量体に変換されることを見出し、本発明を完成するに至った。 即ち、本発明は、ジャワショウガエキスに含まれるフェニルブテノイド単量体を加熱変換してNGF様作用を有するフェニルブテノイド二量体の含有率を格段に高めた新規な組成のジャワショウガエキスにある(後掲「表1」の実施例3〜5参照)。 本発明によると、加熱処理によりNGF様作用を有するフェニルブテノイド二量体含有率が高くて特有の臭いが低減したジャワショウガエキスとすることにより、エキスの使用量が減少すると共に臭いが低減して製剤の用途が広がり、神経細胞突起伸展作用及び神経細胞死保護による脳虚血、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病などの神経性疾患の予防及び/又は治療に広く貢献できる。 このように、東南アジアでよく食されて安全なジャワショウガを原料とし、フェニルブテノイド二量体の含有率を高めたジャワショウガエキスは、日常生活の中で神経性疾患の予防或いは治療に貢献できる。フェニルブテノイド二量体はラット副腎髄質褐色細胞(PC12細胞)をNGFと同様に分化誘導して突起伸展活性を示すので、毛根細胞に働いて発毛効果をもたらす可能性を秘めており、禿の改善及び抑制に役立つ。フェニルブテノイド単量体のエタノール溶解液のHPLCクロマトグラムである。試験例1においてフェニルブテノイド単量体のエタノール溶解液を120℃×6hで加熱処理して得た結果物のHPLCクロマトグラムである。試験例2においてフェニルブテノイド単量体のエタノール溶解液を太陽光で2時間暴露処理して得た結果物のHPLCクロマトグラムである。実施例3における加熱前のエタノール抽出液のHPLCクロマトグラムである。実施例3で調製したエタノール抽出液を120℃、6時間加熱処理して得た試験例3における結果物のHPLCクロマトグラムである。実施例3におけるエタノール抽出液を太陽光で2時間暴露処理して得た試験例4における結果物のHPLCクロマトグラムである。 以下、本発明の実施の形態について、説明する。 本発明における下記式(1)で表されるフェニルブテノイド二量体とは、シクロヘキセン環の3位の絶対配置がR又はS配置であって4位の絶対配置がR又はS配置であって、3位と4位の立体配置がトランス又はシスである。 本発明で言うジャワショウガはショウガ科ショウガ属に属し、熱帯・亜熱帯地方に生える植物のことである。ジャワショウガの内で、バングレ(別名ベングル、学名Zingiber purpureum Roxb.、インドネシア名Bangle、Bengle)及び/又はポンツクショウガ(学名Zingiber cassumunar Roxb.、インドネシア名Bangle、Bengle)は、東南アジアで広く栽培され、インドネシアではジャムー(民間薬)として食されている。また、スパイスとしても使用されている。 本発明においては全草を利用することができるが、根茎を使用することが、収率の見地から、好ましく、さらには、乾燥或いは未乾燥の何れでも使用することができる。 加熱処理とは、望む温度に調節できる恒温器、温度・圧力調節加熱タンクなどを使用して電気、ガス、スチーム、遠赤外線などによる熱源により、雰囲気温度を55℃以上に設定することを意味する。 抽出液(solute)は、未乾燥・乾燥ジャワショウガを、そのまま又は細分化(size reduction)したものを、抽料(feed)とし、溶剤(solvent)に浸漬し、抽残物(solid raffinete)であるジャワショウガを濾去して得る。 ジャワショウガの細分化は、切断(cut・slice)・破砕(crush)・粉砕(grinding)等の手段で行なう。具体的には、未乾燥又は乾燥ジャワショウガのスライス品、未乾燥ジャワショウガを湿式粉砕機で粉砕して得られるペースト品およびその凍結乾燥品および凍結乾燥粉砕品、または、乾燥ジャワショウガの破砕品・粉砕品、を挙げることができる。 上記溶剤(solvent)としては、フェニルブテノイド単量体およびフェニルブテノイド二量体が溶解(抽出)可能であれば特に限定されない。通常、下記例示のアルコール類、エーテル類、有機酸類、アミン類等の親水性溶剤が使用可能である。なお、下記例示の炭化水素、ハロゲン化炭化水素等の疎水性溶剤を、適宜、混合した混合溶剤も使用可能である。溶剤の蒸発が促進されて乾燥処理が促進させることができる。これらは、1種又は2種以上併用可能であり、適宜水を加えることもできる。 親水性溶剤 アルコール類:メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール。 エーテル類:ジエチルエーテル、セルソルブ、ジオキサン、テトラヒドロフラン。 エステル類:酢酸メチル、酢酸エチル、セルソルブアセテート。 ケトン類:アセトン、メチルエチルケトン。 有機酸類:氷酢酸、プロピオン酸。 アミン類:2−アミノエタノール、ピリジン、モノメタノールアミン。 疎水性溶剤 炭化水素類:ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン。 ハロゲン化炭化水素:塩化メチレン、クロロホルム、1、2−ジクロロエタン、ジクロロエチレン、トリクロロエチレン。 エキス(extract)は、抽出液から減圧又は常圧下で溶剤を蒸発させて得られる固状(ペースト状を含む。)の濃縮物のことである。 本発明のジャワショウガエキスは、下記化学式(2)で示される単量体のジエン部が2分子間で結合して二量体を産生するディールス‐アルダー反応に着眼したものである。 上記ディールス‐アルダー反応(Diels-Alder Reaction)を実用的速度で進行させるためには、前記加熱処理又は太陽光暴露により行う。太陽光は自然エネルギーで省エネに寄与する。ここで太陽光暴露とは、温室中の如く、主として熱線(赤外線)を利用するような暴露方式も含む。 加熱による場合は、55〜160℃、さらには、85〜140℃、よりさらには95〜130℃が好ましい。低い温度では反応速度が遅く、高い温度では重合反応を伴いやすくなる。エネルギー・生産効率を考慮して適宜設定する。この重合反応はトコフェロール、ユビキノール、アスコルビン酸、カテキン、ハイドロキノンなどの抗酸化剤の添加によりいくらか抑えることができる。 太陽光による場合は、自然エネルギーが利用でき、かつ、大量生産にも適する。 太陽光の暴露時間は8時間以内が好ましく、それを超えると副反応(さらなる重合反応)が発生しやすい。 実施に際して加熱及び太陽光暴露は常圧下、加圧下又は減圧下のいずれでも可能である。また、加熱及び太陽光暴露の雰囲気は、空気、窒素、希ガス又は二酸化炭素のいずれでもよく、適宜選択する。 高速液体クロマトグラフィー(以下、HPLCと略す)におけるクロマトグラムは、オクタデシルシリカ(ODS)カラムを使用し、移動相に80%メタノールを用いて流速1mL/分、254nmで検出して得られる。クロマトグラム上の単量体(2)のピーク面積に対する二量体のピーク面積の比(D/M比)は、加熱処理及び/又は太陽光暴露処理によりディールス‐アルダー反応を進行させて(すなわち、単量体が減少して二量体が増加する。)従来にない組成、すなわち、D/M比:0.6以上とする。望ましくは、1.0以上、さらに望ましくは5.0以上とする。抽出後に加熱処理及び/又は太陽光暴露する場合は、抽出液のD/M比の4倍以上、望ましくは、20倍以上とする。 フェニルブテノイド二量体の含量を増加させる製造法は次の通りである。原料であるジャワショウガは未乾燥又は乾燥のいずれでもよく、根塊そのまま、スライス及び破砕・粉末状のいずれの形態でも使用できる。 (1)未加熱のジャワショウガを55〜160℃に加熱後、溶剤を加えて浸漬し、ジャワショウガを除去して抽出液を得る。本抽出液から溶剤を留去して濃縮物の形でジャワショウガエキスが得られる。 (2)未加熱のジャワショウガを溶剤に浸漬しながら(1)と同様に加熱後、ジャワショウガを除去して抽出液を得る。本抽出液から溶剤を留去して濃縮物の形でジャワショウガエキスが得られる。 (3)未加熱のジャワショウガを溶剤に浸漬し、ジャワショウガを除去して得られる抽出液を上記(1)と同様に加熱後、溶剤を留去して濃縮物の形でジャワショウガエキスが得られる。 (4)未加熱のジャワショウガを溶剤に浸漬し、ジャワショウガを除去後、抽出液の溶剤を留去して得られる濃縮物を(1)と同様に55〜160℃で加熱してジャワショウガエキスが得られる。 (5)未加熱のスライス(太陽光暴露面積を増大させるため)したジャワショウガを太陽光に暴露した後、溶剤に浸漬し、ジャワショウガを除去して得られる抽出液から溶剤を留去して濃縮物の形でジャワショウガエキスが得られる。 (6)未加熱のジャワショウガを溶剤に浸漬し、ジャワショウガを除去して得られる抽出液を太陽光に暴露してから溶剤を留去して濃縮物の形でジャワショウガエキスが得られる。 このようにして得られるジャワショウガエキスのD/M比が従来の溶剤抽出エキスに比して格段に高い。すなわち、本発明のジャワショウガエキスは、D/M比が、後述の実施例の如く、0.6以上、さらには1.0以上、よりさらには5.0以上を示すものである。このようにフェニルブテノイド二量体含有率の高いジャワショウガエキスは、エキスとしての飲用量を減らすことができるので、神経疾患の予防及び/又は治療のための飲食品、健康食品、予防剤及び治療剤としての用途が広がる。 本発明に係るジャワショウガエキスを含有又は配合する飲食物(飲食品)は、フェニルブテノイド二量体含有率が従来にない高率である。このため、本発明の飲食物は、健康食品、更には特定保健用食品とすることもでき、必要に応じて従来食品に使用されている各種成分と共に配合することにより製造される。 飲食物の形態としては、粉状(顆粒を含む。)食品、固形食品、クリームやジャム状の半流動食品、ゲル状食品、飲料等のあらゆる飲食物形態とすることができる。これらの内で、粉状食品が取扱い性、携帯性に優れて望ましい。 例えば、粉末、顆粒、錠剤、カプセル、ドリンク剤などの製剤;常用されている任意の基材を配合する粉末清涼飲料、清涼飲料水、ジュース、コーヒー、紅茶、リキュール、牛乳、乳清飲料、乳酸菌飲料、ヨーグルト等の液状物;飴(キャンデー)、キャラメル、チューインガム、チョコレート、グミ、アイスクリーム、プディング、卵製品、羊羹、水羊羹、おかき、餅、団子、煎餅、クレープ、お好み焼き、パン、クッキー、麺類、ハンバーグ、水練製品、てんぷら、発酵食品、ふりかけなどの固形物が挙げられる。 これらの形態の飲食物には、下記のような生薬・健康茶の抽出物(エキスを含む。)などを添加することができる。明日葉、甘茶、アマチャヅル、アロエ、イチョウ葉、ウーロン茶、ウコン、ウラジロガシ、エゾウコギ、オオバコ、カキオドシ、柿、カミツレ、カモミール、カリン、ガルシニア、河原決明、菊花、クチナシ、グネツム、桑、クコ、月桂樹、紅茶、紅豆杉、コンフリー、昆布、桜、サフラン、シイタケ、シソ、ショウガ、しょうが、スギナ、スワンギ、セキショウ、センダングサ、センブリ、ソバ、タマリンド、タラノキ、タンポポ、チコリ、杜仲、ナタマメ、ニワトコ、ネズミモチ、ハトムギ、ハブ、ブドウ、松葉、マテ、麦茶、マンゴスチン、メグスリノキ、メリンジョ、ユーカリ、ヨモギ、羅漢果、緑茶、ルイボス、霊芝、ガランガル、ギムネマ、グァバ葉、ゲンノショウコ、玄米、ゴボウ、ドクダミ、バナバ、ビワの葉、紅花、等。 適宜、エリスリトール、ソルビトール、マルチトール、キシリトールなどの糖アルコール、ブドウ糖、果糖、ショ糖、乳糖、デキストリンなどを混合して調製してもよい。 また、予防剤及び治療剤は、フェニルブテノイド二量体を主として配合し、必要に応じて任意の助剤、賦形剤などを配合して固形剤化、或いは水または有機溶媒などを適宜配合して液剤化した製剤のことである。 本発明のジャワショウガエキスを神経性疾患などの改善あるいは予防のために飲食品として用いるにあたり、飲食品としての風味や色調を考慮すると、ジャワショウガエキスの配合量は乾燥重量換算で0.01〜90%の範囲、好ましくは、0.05〜80%の範囲とする。 本発明のジャワショウガエキスは、製品の種類に応じて、下記例示の甘味料(1)、酸味料(2)、酸化防止剤(3)、品質改良剤(4)、糊料(増粘剤、安定剤、ゲル化剤)(5)、栄養強化剤(6)、調味料(7)を添加することができる。その他カルシウム塩類、乳化剤、着色料、膨張剤、着香料、保存料など、一般的飲食品原料として使用されているものを適宜添加することができる。 (1)ブドウ糖、果糖、ショ糖、マルトース、ソルビトール、ステビオサイド、グリチルリチン、アスパルテーム、ルブソサイド、コーンシロップ、乳糖。 (2)クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸。 (3)L−アスコルビン酸、dl−α−トコフェロール、エリソルビン酸ナトリウム。 (4)グリセリン、プロピレングリコール。 (5)アラビアガム、カラギーナン、カゼイン、ゼラチン、ペクチン、寒天。 (6)ビタミン類、ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウム、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)。 (7)アミノ酸類、イノシン酸類。 本発明のジャワショウガエキスを、神経性疾患などの改善及び予防或いは治療のために経口剤として用いる場合の服用(投与)量は、服用の目的や服用者の状況(性別、年齢、体重、肥満度、総合的健康度合いなど)により異なる。通常、1日の服用量として、ジャワショウガエキスを乾燥重量換算で、1〜200mg/体重kgの範囲で服用することができる。原料のジャワショウガは常食にされているので200mg/体重kgを超える服用も何ら問題はない。また、動物にあっても同様に適用することができる。ジャワショウガは経口剤だけでなく皮膚用剤としても使用可能である。 また、動物飼料とする場合は、前記各種成分を適宜配合して粉状(顆粒を含む。)、ペースト、カプセル、シロップ、固形状、ゲル状、液状(溶液、懸濁液、乳濁液)などの形態とすることができる。 動物飼料とは、家畜用飼料やキャットフード、ドッグフードやウサギ用フードなどのペットフードを含むものである。 以下、本発明を実施例・比較例および試験例・組成物実施例により詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。 なお、以下の実施例・比較例・試験例等におけるフェニルブテノイド二量体の同単量体に対する比(以下「D/M比」という。)は、HPLC(高速液体クロマトグラフィー:high performance liquid chromatography)を用いて測定したクロマトグラムから二量体および単量体のピークの面積比により求めた。 そのときの各標品は、下記方法により調製したものを用いた。 「下記実施例4と同様にして調製した抽出液1.5Lを減圧濃縮して褐色ペースト状の濃縮物を36g得た。この濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:400g、溶出液:n−ヘキサン/酢酸エチル)により分離して単量体を粘性のある殆ど無色の油状物として3.38g、二量体(トランス体とシス体の混合物)1.2gを得た。この二量体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより再度分離(シリカゲル:200g、溶出液:塩化メチレン/n−ヘキサン/酢酸エチル)してトランス体0.3g及びシス体0.3gをそれぞれ針状晶として得た。融点はそれぞれ80−81、98−99℃であった。これら単離した単量体(M)、トランス‐及びシス‐二量体をHPLCの標品とした。」(1)実施例群 以下、エキスの各製造例(実施例)について説明する。なお、実施例3で調製した抽出液は、実施例3で一部を使用し、残りを実施例5・試験例3に使用した。 <実施例1> 洗浄したジャワショウガ根塊64gをそのまま110℃で12時間保ち、冷後、スライサーでスライス(肉厚約 0.5mm)して90%エタノール250mLに室温2日浸漬し、濾紙濾過して抽出液を得、濃縮乾固して特有の臭いが低減した褐色の樹脂状ジャワショウガエキス2.1gを得た。 本ジャワショウガエキスのD/M比は6.1であった。 <実施例2> スライサーでスライス(肉厚約 0.5mm)したジャワショウガ50gを125℃で8時間加熱し、冷後、90%エタノール250mLに室温2日浸漬し、濾紙濾過して抽出液を得、濃縮乾固して特有の臭いが低減した褐色の樹脂状ジャワショウガエキス1.7gを得た。 本ジャワショウガエキスのD/M比は11.2であった。 <実施例3> スライサーでスライス(肉厚約 0.5mm)したジャワショウガ2kgを95%エタノール8Lに室温2日間浸漬し、濾布濾過して黄色抽出液を6.2L得た。この抽出液100mLを300mL三角フラスコに入れ、太陽光の下に8時間静置した後、濃縮乾固して特有の臭いが低減した褐色樹脂状のジャワショウガエキス1gを得た。 本ジャワショウガエキスのD/M比は0.65であり、抽出液D/M比0.15の4.3倍となった。 <実施例4> ナイフでスライス(肉厚約 3mm)した後、通風乾燥したジャワショウガ(加熱乾燥していない)500gを70%エタノール2.5Lに3日間浸漬し、濾布濾過して黄色抽出液を2L得た。抽出液200mLを110℃に24時間保ち、放冷後、濃縮乾固して特有の臭いが低減した褐色樹脂状のジャワショウガエキス4.5gを得た。 本ジャワショウガエキスのD/M比は2.10であり、抽出液のD/M比0.25の8.4倍となった。 <実施例5> 実施例3で調製した抽出液のうちの6Lを減圧濃縮(常温)して特有の臭いのある褐色ペースト状の濃縮物を68g得た。該濃縮物のうちの55gを120℃に16時間保って特有の臭いが低減した樹脂状のジャワショウガエキスを得た。 本ジャワショウガエキスのD/M比は11.3であった。実施例3の抽出液D/M比0.15の75倍となった。 <実施例6> ナイフでスライス(肉厚約 1mm)したジャワショウガ1kgを日干し乾燥(太陽光に8時間暴露)して乾燥物274gを得た。この乾燥物を70%エタノール1.4Lに3日間浸漬後、濾布濾過し、濾液を濃縮乾固して特有の臭いが低減した褐色の樹脂状ジャワショウガエキス26gを得た。本ジャワショウガエキスのD/M比は1.02であった。 <実施例7> スライサーでスライス(肉厚約 0.5mm)したジャワショウガ30gをジオキサン130mLに浸漬して105℃で20時間加熱し、冷後、濾紙濾過して得られる抽出液を濃縮乾固して特有の臭いが低減した褐色の樹脂状ジャワショウガエキス1.1gを得た。本ジャワショウガエキスのD/M比は1.47であった。 <実施例8> ナイフでスライス(肉厚約 3mm)した後、100℃で12時間、熱風加熱したジャワショウガ400gを70%エタノール2Lに室温3日間浸漬し、濾布濾過後、濾液を濃縮乾固して特有の臭いが低減した褐色樹脂状のジャワショウガエキス41gを得た。本ジャワショウガエキスのD/M比は6.64であった。 <実施例9> ナイフでスライスしたジャワショウガ10gを100%メタノール50mLに室温3日間浸漬し、濾紙濾過して黄色抽出液を46mL得た。この抽出液5mLを窒素雰囲気下60℃に24時間保温し冷後、濃縮乾固して特有の臭いが低減した褐色樹脂状のジャワショウガエキス25mgを得た。本ジャワショウガエキスのD/M比は0.62であった。その抽出液のD/M比0.27の2.3倍となった。 <比較例1> スライサーでスライス(肉厚約 0.5mm)したジャワショウガ50gを90%エタノール250mLに室温2日浸漬し、濾紙濾過して抽出液を得、濃縮乾固して特有の臭いがある褐色の樹脂状ジャワショウガエキス1.7gを得た。本エキスのD/M比は0.14であった。 上記実施例群・比較例の製造条件・測定結果をまとめたものを表1として下記する。これから、加熱条件は、温度の高い方が二量体収率が高いことが伺える(実施例1に対する実施例2)。また、太陽光暴露対象は、抽出液より原料の方が二量体収率が高いことが伺える(実施例3に対する実施例6)。(2)試験例群 以下、単量体の二量体への変換反応における加熱温度・太陽光の影響について調べた試験例について説明する。 <試験例1(単量体の熱反応)> 前記クロマトグラフィーの標品調製で単離した単量体10mgを70%エタノール1mLに溶解した液を調製して試験管4本に入れ、それぞれを90、100、110、120℃に6時間加熱した。前記条件で高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による定量を行ってD/M比の濃度比を算出したところ、それぞれ0.14、0.16、0.19、0.24であった。この結果から加熱(反応)温度が高くなるにしたがって単量体が二量体に変換され、D/M比が高くなることが確認できた。 なお、図1は、フェニルブテノイド単量体(加熱前)のエタノール溶解液の、図2は当該エタノール溶解液を120℃×6hで加熱処理して得た結果物の、HPLCクロマトグラムである。 <試験例2(単量体の太陽光反応)> 試験例1と同様にして単離した単量体10mgを70%エタノール2mLに溶解した液を調製して試験管に入れ、太陽光に2時間暴露して試験例1と同様に定量を行ってD/M比の濃度比を算出したところ、0.10であった。この結果は太陽光により単量体が二量体に変換されたことを示している。なお、図3は当該処理して得た結果物のHPLCクロマトグラムである。 <試験例3(抽出液の熱反応)> 前記実施例3の抽出液1mLを試験管7本に入れ、それぞれを80℃、90℃、100℃、110℃、120℃、130℃、140℃に6時間加熱し、試験例1と同様に定量を行ってD/M比の濃度比を算出したところ、それぞれ0.21、0.24、0.26、0.29、0.34、0.41、0.53であった。 この結果は試験例1と同様に加熱(反応)温度が高くなるとともに加熱前の抽出液に比べて二量体濃度が増加するのに対し単量体の減少を示し、その比はそれぞれ実施例3の抽出液のそれ0.15の1.4、1.6、1.7、1.9、2.3、2.7、3.5倍であった。この試験結果から、160℃近くまでは、本発明のディールス−アルダー反応において、重合反応が抑制され、相対的に二量体の収率が向上することが伺える。なお、図4は、前記実施例3の抽出液(加熱前)の、図5は当該エタノール溶解液を120℃×6hで加熱処理して得た結果物の、HPLCクロマトグラムである。 <試験例4(抽出液の光反応)> 前記実施例3で調製した抽出液1mLを、太陽光に2時間晒して試験例1と同様に定量を行ってD/M比の濃度比を算出したところ、0.19であった。その比は実施例3の抽出液のそれ0.15の1.3倍であった。 この結果は太陽光に晒す前に比べて試験例2と同様に二量体濃度の増加を示し、わずかな時間の太陽光暴露で単量体が二量体化するディールス−アルダー反応が促進されることが確認できた。なお、図6は当該処理して得た結果物の、それぞれHPLCクロマトグラムである。(3)組成物実施例 以下に、本発明のエキスを使用して製品化する際の原料とするのが容易となる、粉末剤である組成物実施例について説明する。 <組成物実施例1(粉末剤の製造)> 前記実施例5で調製したジャワショウガエキス20gをエタノール30mLに溶かした液にコーンスターチ(炭水化物)60gを加えて混合後、乾燥して粉末78.9gを得た。(4)製品実施例群 以下、各種製品実施例(応用例)について説明する。 <製品実施例1(チョコレート)> 組成物実施例1の粉末剤1部、チョコレート220部、ショ糖75、カカオバター100部及び全脂粉乳100部を配合してチョコレートを製造した。配合されたジャワショウガエキスがチョコレートの風味や色に影響を与えることはなく、美味しいものであった。 <製品実施例2(クッキー)> 組成物実施例1の粉末剤1部、薄力粉2.3部、全卵1.6部、マーガリン1.9部、上白糖2.5部、ベーキングパウダー0.02及び水0.73部を配合してクッキーを製造した。本クッキーは風味がよく、味は良好であった。 <製品実施例3(固形ドッグフード)> 組成物実施例1の粉末剤1部、ミートミール2.4部、チキンエキス0.35部、植物油脂0.3部、炭水化物1.2部、炭酸カルシウム0.03部、食塩0.01部、複合ビタミン剤0.05部及び水0.6部を配合してドッグフードを製造した。 <製品実施例4(錠剤)> 組成物実施例1の粉末剤10g、乳糖20g及びステアリン酸マグネシウム0.1gを混合し、本混合物を単発式打錠機で打錠し、直径8mm、重量200mgの錠剤を製造した。 <製品実施例5(シームレスカプセル)> 実施例5のジャワショウガエキス20gにコーン油2mLを加えて加熱混合して流動性を持たせた後、EPA(エイコサペンタエン酸)・DHA(ドコサヘキサン酸)含有油脂10gを混合した粘性のある液を充填してシームレスカプセルを製造した。 本発明によると、NGF以上のNGF様作用(神経細胞突起伸展作用)を発揮するフェニルブテノイド二量体の含有率を高めたジャワショウガエキスが得られる。このため、本発明のジャワショウガエキスは、神経細胞の成長、突起形成や活動が賦活されて脳虚血、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病などの神経性疾患の予防及び治療に有用である。また、ジャワショウガは東南アジアでよく食されているものであり、上記のような神経疾患の予防及び治療剤として、日常生活の中で通常の食事形態をとりながら、安心して摂取又は服用することができる。 また、本発明のフェニルブテノイド二量体の含有率を高めたジャワショウガエキス組成物をペットや家畜などの動物の飼料として使用することより、近年ペットの高齢化により増加傾向にあるペット神経症に対しても、飼育者の負担を余り増大させずに対処可能となる。 ジャワショウガを出発原料とし、ジャワショウガ抽出液から得られる濃縮物(固状物を含む。以下同じ。)を目的物とするジャワショウガエキスであって、 前記ジャワショウガ抽出液の溶剤(抽剤)が炭素数1〜4のアルコール類又はジオキサンである親水性溶剤かならなる又は該親水性溶剤を主体とする溶剤とされ、また、 前記出発原料から前記目的物を製造するいずれかの過程において加熱処理又は太陽光暴露処理を受けたものであるとともに、 高速液体クロマトグラム(HPLC)上のピーク面積比において、下記式(1)で表されるフェニルブテノイド二量体の下記式(2)で表される単量体に対するピーク面積比(以下、D/M比)が0.6以上であることを特徴とするジャワショウガエキス。 前記D/M比が1.0以上であることを特徴とする請求項1記載のジャワショウガエキス。 前記D/M比が5.0以上であることを特徴とする請求項1記載のジャワショウガエキス。 前記加熱処理の対象がジャワショウガ(原料)若しくはその粉砕物、又はジャワショウガ抽出液の濃縮物であることを特徴とする請求項3記載のジャワショウガエキス。 請求項1〜4のいずれか一記載のジャワショウガエキスと炭水化物とからなる粉状ジャワショウガエキス組成物。 請求項5記載の粉状ジャワショウガエキス組成物を含有するジャワショウガエキス飲食物。 請求項1記載のジャワショウガエキスを製造するに際して、前記加熱処理の設定温度を55〜160℃とすることを特徴とするジャワショウガエキスの製造方法。 請求項1のジャワショウガエキスを製造するに際して、前記加熱処理の対象物をジャワショウガ(原料)又はそのジャワショウガ抽出液の濃縮物とすることを特徴とするジャワショウガエキスの製造方法。 ジャワショウガを出発原料とし、抽出液から得られる濃縮物(固状物を含む。)を目的物とするジャワショウガエキス。出発原料から目的物を製造するいずれかの過程において加熱処理又は太陽光暴露処理を受けている。高速液体クロマトグラム(HPLC)上のピーク面積比において、下記式(1)で表されるフェニルブテノイド二量体の下記式(2)で表される単量体に対するピーク面積比(D/M比)が0.6以上である。NGF様作用を有するフェニルブテノイド二量体の含有率を高めることにより、ジャワショウガエキスの摂取・服用量を減らすことができる。 【化1】 【化2】