生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_エステルプロドラッグの吸収を改善するための方法及び改善された医薬組成物
出願番号:2014516155
年次:2014
IPC分類:A61K 47/14,A61K 45/00,A61K 31/4178,A61K 31/4365,A61K 31/7068


特許情報キャッシュ

チェン ハイヤン JP 2014517046 公表特許公報(A) 20140717 2014516155 20110624 エステルプロドラッグの吸収を改善するための方法及び改善された医薬組成物 アセンダ ファーマ インコーポレイテッド 513323667 清水 初志 100102978 春名 雅夫 100102118 山口 裕孝 100160923 刑部 俊 100119507 井上 隆一 100142929 佐藤 利光 100148699 新見 浩一 100128048 小林 智彦 100129506 渡邉 伸一 100130845 大関 雅人 100114340 五十嵐 義弘 100114889 川本 和弥 100121072 チェン ハイヤン A61K 47/14 20060101AFI20140620BHJP A61K 45/00 20060101ALI20140620BHJP A61K 31/4178 20060101ALI20140620BHJP A61K 31/4365 20060101ALI20140620BHJP A61K 31/7068 20060101ALI20140620BHJP JPA61K47/14A61K45/00A61K31/4178A61K31/4365A61K31/7068 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW CN2011076256 20110624 WO2012174731 20121227 25 20140214 4C076 4C084 4C086 4C076AA11 4C076AA17 4C076AA22 4C076AA36 4C076AA53 4C076BB01 4C076CC42 4C076DD46 4C076DD47 4C076EE23 4C076FF63 4C084AA17 4C084MA05 4C084MA17 4C084MA22 4C084MA23 4C084MA35 4C084MA37 4C084MA52 4C084NA03 4C084NA15 4C086AA10 4C086BC62 4C086CB29 4C086EA17 4C086GA02 4C086GA07 4C086MA02 4C086MA03 4C086MA05 4C086MA17 4C086MA22 4C086MA23 4C086MA35 4C086MA37 4C086MA52 4C086NA03 4C086NA151.発明の分野 本開示は、エステルプロドラッグの吸収を改善するための方法及び改善された組成物;ならびにエステルプロドラッグを含むエステルの、カルボキシルエステラーゼ媒介性加水分解を妨げるための方法に関する。より具体的には、本開示は、エステルプロドラッグのカルボキシルエステラーゼ媒介性加水分解を妨げるアジュバントの使用によってエステルプロドラッグの吸収を改善するための方法及び改善された組成物に関する。2.関連技術の説明 ほぼ全ての薬物はシトクロムP450(CYP)アイソザイムによって代謝される。薬物によっては、標的部位に到達する前、又は中心循環系で治療効果をもたらす特定のレベルに達する前に、胃腸管、肝臓、及び/又は中心循環系においてエステラーゼ酵素によって迅速に分解される。薬物の吸収薬物動態を評価するには通常、二種類の薬物動態パラメーター、即ち、血漿中濃度時間曲線下面積(AUC)と最大血漿中濃度(Cmax)が使用される。しかしながら、中心循環系における薬物の吸収動態及びアベイラビリティ(即ち、バイオアベイラビリティ)の改善の程度を評価するには、主に薬物のAUCが使用される。治療的に活性であるのに吸収が悪い一部の薬物は、これらの薬物のエステルプロドラッグを合成し、胃腸管からより吸収しやすくすることにより、薬物の吸収動態及び経口バイオアベイラビリティを改善することができる。エステルプロドラッグは、エステル部分を有するプロドラッグであり、吸収されるとエステラーゼによって加水分解され、活性薬物を生じる。このため、通常、プロドラッグ及び/又は活性薬物のAUC及びCmaxの値を使用して、エステルプロドラッグの吸収動態及び経口バイオアベイラビリティを評価する。 エステラーゼは、酸及びアルコールへのエステルの加水分解を触媒する加水分解酵素である。肝臓、胃腸管、腎臓、大腸、肺、胎盤、骨格筋、子宮、心臓、及び血液などを含む、様々なヒト組織及び臓器において、エステラーゼ活性が見出される。したがって、一部のエステルプロドラッグは吸収され得る前に胃腸管で早期に加水分解されるか、又は腸で吸収された後に肝臓で早期に加水分解され、経口バイオアベイラビリティが低下するため、最も望ましい投与回数及び投与量よりも多い投与回数及び投与量が必要となる。特に、腸内エステラーゼの多くは小腸の吸収部位に存在しているため、プロドラッグが腸壁を通過する効率性の増加が相殺される。この問題を克服し、かつエステルプロドラッグの吸収動態を改善して、その経口バイオアベイラビリティを向上させるために、方法及び組成物が必要とされ、多くのアプローチが試されてきた。 例えば、エステルプロドラッグのエステラーゼ媒介性加水分解を阻害するために、有機リン化合物(例えば、リン酸p-ニトロフェニル)、カルバマート(例えば、ネオスチスグミン)、p-ヒドロキシメルクリベンゾアート、ニトロフェノール及びスルホンアミドの誘導体、トリフルオロメチルケトン、ベンジル、イサチン(又は1H-インドール-2,3-ジオン)、及びアリール尿素を含むエステラーゼ阻害剤が利用又は合成されている。しかし、有機リン化合物、カルバマート、及びp-ヒドロキシメルクリベンゾアートは毒性の高い毒物とみなされている。 別のアプローチとして、エステラーゼの基質を含有する製剤を利用して、エステルプロドラッグのエステラーゼ媒介性加水分解を妨げる。その基質の例には、果実抽出物及びレシチンなどのリン脂質が含まれる。多数の他の物質のなかでも、果実抽出物はいくつかの香気エステルを含む。果実抽出物の存在で吸収の促進が観察されるということは、これらのエステル及び/又は他の化合物による薬物代謝の阻害によって少なくとも部分的に説明することができると仮定される。しかし、果実抽出物にはエステル以外にも広範な他の化合物が含まれており、吸収を促進する効果を制御することは困難であるため、医薬製剤に果実抽出物を組み込むのは実現可能ではない。そこで、Gelderらは、フマル酸テノホビルジソプロキシル(テノホビルDF、抗ウイルステノホビルのエステラーゼに感受性のあるプロドラッグ)の腸内安定性及び吸収に対する、個別のエステル及びエステル混合物の効果について研究した。しかしながら、Gelderらの研究により、プロドラッグからモノエステルへの酵素変換を阻害する程度は、エステルごとに異なることが示された。具体的には、テノホビルDF代謝に対する、別個のエステルの効果は、ほとんど効果がないものから、ほぼ完全に阻害するものにまで及ぶ(J. van Gelder et al., Drug Metabolism and Disposition, 2002, 30:924-930(非特許文献1)を参照)。 上記に鑑み、生存対象において安全に使用されるだけでなく、インビボでのエステルプロドラッグの酵素変換を妨げることもできる適切なエステルが当技術分野に依然として必要とされている。このようなエステルは、ヒトエステラーゼの適切な基質であり、それゆえ、エステルプロドラッグの吸収動態を改善するようにインビボでエステルプロドラッグの薬理学的なアジュバントとして作用することができる。よって、エステルプロドラッグの吸収を増加させて、その経口バイオアベイラビリティを向上させる、改善された方法及び医薬組成物は、当技術分野で大きな進歩となると考えられる。 J. van Gelder et al., Drug Metabolism and Disposition, 2002, 30:924-930概要 以下、読者に基本的な理解をもたらすために、本開示の簡単な概要を提示する。この概要は、本開示の広範な概説ではなく、本発明の主要/重要な要素を特定したり、又は本発明の範囲を示したりするものではない。この唯一の目的は、本明細書に開示されるいくつかの概念を、後に提示するさらに詳細な説明への導入として簡略化した形で提示することである。 本発明は、トリアセチン、クエン酸トリエチル、又はその両方の組み合わせを、カルボキシルエステラーゼ1(CE1)媒介性及び/又はカルボキシルエステラーゼ2(CE2)媒介性の加水分解に感受性のあるエステルプロドラッグと同時投与すると、上記エステルプロドラッグの加水分解が著しく妨げられるという予想外の発見に基づくものである。驚くべきことに、トリアセチン及びクエン酸トリエチルを含む周知の薬学的賦形剤を、単独で又は組み合わせて適用すると、レシチンと比べて、オルメサルタンメドキソミル及びクロピドグレルなどのエステルプロドラッグのCE媒介性加水分解をさらに遅延させることが発見されている。この発見に鑑み、トリアセチン、クエン酸トリエチル、又はその両方の組み合わせを使用して、エステルプロドラッグの吸収動態を改善し、その経口バイオアベイラビリティを向上させることができる。上記エステルプロドラッグは、抗血栓剤、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体α(PPARα)アゴニスト、HMG-CoA還元酵素阻害剤(又はスタチン)、アンジオテンシンII(AII)アンタゴニスト、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、抗凝固剤、抗生物質、逆転写酵素阻害剤、有糸分裂阻害剤、トポイソメラーゼ1阻害剤、DNA合成阻害剤、ノイラミニダーゼ阻害剤、免疫抑制剤、化学療法剤、γ-アミノ酪酸(GABA)アナログ、及びGABAB受容体アゴニストを含む、いかなる治療剤クラスに属していてもよい。 本開示は、一局面において、対象におけるエステルプロドラッグの吸収を改善するための方法に向けられている。本開示の態様によれば、本方法は、有効量のエステルプロドラッグ又はその薬学的に許容される塩と、トリアセチン、クエン酸トリエチル、及びその両方の組み合わせからなる群より選択されるアジュバントとを対象に同時投与するステップを含み、該アジュバントは、エステルプロドラッグの吸収動態を改善して、そのバイオアベイラビリティを向上させる(即ち、エステルプロドラッグ及び/又は活性薬物のAUC値を増加させる)のに十分な量で投与される。 本開示は、別の局面において、対象におけるエステルプロドラッグの吸収を改善するための改善された医薬組成物に向けられている。上記改善された医薬組成物は、有効量のエステルプロドラッグ又はその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される賦形剤とを含み、本開示の態様による該改善は、トリアセチン、クエン酸トリエチル、及びその両方の組み合わせからなる群より選択されるアジュバントを含み、該アジュバントは、インビボでのエステルプロドラッグのカルボキシラーゼ媒介性加水分解を妨げることができる。本開示の任意の態様によれば、改善された医薬組成物は、第二のエステルプロドラッグならびに/又は他の薬学的に許容される担体、アジュバント、及びそのビヒクルなどの追加の成分を要望通りにさらに含んでもよい。 また、下記のような状態を治療するための上記医薬組成物の使用は本開示の範囲内である:(1)心血管疾患(エステルプロドラッグは、オルメサルタンメドキソミル、カンデサルタンシレキセチル、ラミプリル、デラプリル、トランドラプリル、テモカプリル、シラザプリル、キナプリル、イミダプリル、アスピリン、クロピドグレル又はプラスグレルである)、(2)高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、又はその両疾患(エステルプロドラッグは、ロバスタチン、シンバスタチン、クロフィブラート又はフェノフィブラートである)、(3)発熱及び関節リウマチ(エステルプロドラッグは、アスピリンである)、(4)HIV感染症及びB型肝炎感染症を含む感染症(エステルプロドラッグは、セフポドキシムプロキセチル、セフジトレンピボキシル、テノホビルジソプロキシル、又はアデホビルジピボキシルである)、(5)がん(エステルプロドラッグは、パクリタキセル、ドセタキセル、イソタキセル、イリノテカン又はカペシタビンである)、(6)A型インフルエンザウイルス感染症及びB型インフルエンザウイルス感染症(エステルプロドラッグは、オセルタミビル又はA-322278である)、(7)痙性及び胃食道逆流性疾患(GERD)(エステルプロドラッグは、アルバクロフェンプラカルビル(arbaclofen placarbil)である)、及び(8)むずむず脚症候群による不眠及び帯状疱疹後神経痛に関連する痛み(エステルプロドラッグは、ガバペンチンエナカルビルである)。また、上記状態を治療するための医薬の製造も本開示の範囲内である。 さらに、下記のような状態のリスクを低減するための上記医薬組成物の使用は本開示の範囲内である:心血管疾患(エステルプロドラッグは、オルメサルタンメドキソミル、カンデサルタンシレキセチル、ラミプリル、デラプリル、トランドラプリル、テモカプリル、シラザプリル、キナプリル、イミダプリル、ロバスタチン、シンバスタチン、クロフィブラート又はフェノフィブラートである)、A型インフルエンザウイルス感染症及びB型インフルエンザウイルス感染症(エステルプロドラッグは、オセルタミビル又はA-322278である)、臓器拒絶反応(エステルプロドラッグは、ミコフェノール酸モフェチルである)、血栓(エステルプロドラッグは、ダビガトランエテキシラートである)、及びアテローム血栓性イベント(エステルプロドラッグは、アスピリン、クロピドグレル又はプラスグレルである)。また、上記リスクを低減するための医薬の製造も本開示の範囲内である。 本発明に関する多くの態様の詳細は、以下の詳細な説明及び添付の特許請求の範囲に記載されている。以下の詳細な説明及び添付の特許請求の範囲を参照すれば、本発明の他の特徴、目的、及び利点がよりよく理解される。説明 以下に提供する詳細な説明は、本発明の実施例を説明するものとして意図されており、本発明の実施例を構成又は利用し得る唯一の形態を表すものとは意図されない。この説明は、実施例の機能と、実施例を構成する及び動作させるための一連のステップとを記載している。しかし、同一又は均等の機能及び一連のステップは、異なる実施例により達成される場合もある。 便宜上、本明細書、実施例、及び添付の特許請求の範囲で用いられる特定の用語をここに記載する。特に定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野における通常の知識を有するものによって一般に理解されるものと同じ意味を有する。 本明細書において用いられる単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈で明確に指定されない限り、複数形の言及を含む。 本明細書において用いられる「約」という用語は、一般的に、所与の値又は範囲の10%以内、5%以内、1%以内、又は0.5%以内を意味する。あるいは、「約」という用語は、当業者の考慮による、平均値の許容可能な標準誤差内であることを意味する。 本明細書において用いられる「プロドラッグ」という用語は、生体に投与した場合に、自然発生的な化学反応の結果として、又は酵素触媒もしくは代謝反応によって、「薬物」物質を生じるいかなる化合物も指す。「エステルプロドラッグ」は、薬物のプロドラッグの性質を付与するエステル基を含有する化合物である。例えば、カルボキシル基を含有する化合物のエステルプロドラッグは、対応するカルボン酸へとインビボで加水分解により変換可能であり得る。 「経口バイオアベイラビリティ」及び「バイオアベイラビリティ」という用語は、全身循環に到達する、経口投与された薬物の量又は割合を指すために互換的に用いられる。 本明細書において用いられる「薬学的に許容される」成分は、妥当な利益/リスク比の下で過度の副作用(例えば、毒性、刺激、及びアレルギー反応)なく、ヒト及び/又は動物での使用に適したものである。 本明細書において用いられる「有効量」又は「十分量」という用語は、所望の治療応答を得るのに十分である成分の量を指す。具体的な有効量又は十分量は、治療される特定の状態、患者の身体的状態(例えば、患者の体重、年齢、又は性別)、治療を受ける哺乳動物又は動物の種類、治療の期間、併用療法(もしあれば)の性質、及び使用される特定の製剤、及び化合物又はその誘導体の構造といった因子によって変化する。有効量は、例えば、エステルプロドラッグの総質量(例えば、グラム、ミリグラム、又はマイクログラム)として、又はエステルプロドラッグの質量と体重との比(例えば、ミリグラム/キログラム(mg/kg))として表すことができる。 本明細書において用いられる「賦形剤」という用語は、エステルプロドラッグ及び/又はアジュバントのためのビヒクル/担体を形成するいかなる不活性物質(例えば、粉末又は液体)も意味する。賦形剤は、一般的に安全で、非毒性であり、広義には、医薬組成物を調製するのに有用な、製薬産業で公知の任意の物質、例えば、充填剤、希釈剤、凝着剤、結合剤、潤滑剤、流動促進剤、安定剤、着色剤、湿潤剤、崩壊剤等も含み得る。 本明細書において用いられる「アジュバント」という用語は、単独で与えられた場合には直接の治療効果は少ない又はないが、医薬組成物に添加された場合に、エステルプロドラッグの吸収動態を向上させて、そのバイオアベイラビリティを向上させる物質として定義される。 本開示において使用される「Cmax」という用語は、活性化合物又は薬物(例えば、クロピドグレル又はカペシタビン)の最大血漿中濃度を指し、「Tmax」という用語は、前記活性化合物又は薬物の最大血漿中濃度まで到達するための時間を意味する。「AUC0-t」という用語は、時間0から測定可能な薬物濃度の最終測定時点までの曲線下面積を指す。 本明細書において用いられる「治療すること」という用語は、特定の疾患、障害、及び/又は状態の1つ又は複数の症状又は特徴の、部分的又は完全な、緩和、回復、軽減、発現の遅延、進行の阻害、重症度の低減、及び/又は発生率の低減を目的に、医学的状態、該状態の症状、該状態に続発する疾患もしくは障害、又は該状態になりやすい傾向を有する対象に、トリアセチン、クエン酸トリエチル、又はその両方の薬学的アジュバントと、少なくとも1種のエステルプロドラッグとを適用又は投与することを指す。治療は、疾患、障害、及び/もしくは状態の徴候を示さない対象、ならびに/又は疾患、障害、及び/もしくは状態の初期の徴候のみを示す対象に、該疾患、該障害、及び/もしくは該状態に関連する病態発症のリスクを低下させる目的で施すことができる。 対象においてエステルプロドラッグの吸収動態を改善して、そのバイオアベイラビリティを向上させるための方法及び医薬組成物に関して、本発明の実施を詳細に後述する。本明細書に後述する薬物動態研究の結果は、本発明の医薬組成物、特に、エステルプロドラッグとトリアセチン及び/又はクエン酸トリエチルからなるアジュバントとを含有する組成物は、インビボでのエステルプロドラッグのカルボキシラーゼ媒介性加水分解を妨げることができ、それによって、対象においてエステルプロドラッグの吸収動態が改善され、そのバイオアベイラビリティが向上することを示している。 エステラーゼは、広範な基質特異性を有する複数の形態で存在する加水分解酵素の一群である。カルボキシルエステラーゼ(CE)は、ヒト、サル、イヌ、ウサギ、及びラットの肝臓及び小腸で最も豊富なエステラーゼである。これは、下記のような種々のエステルプロドラッグの生体内変換において重要な役割を果たしている:抗血栓剤(例えば、アスピリン、クロピドグレル及びプラスグレル)、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体α(PPARα)アゴニスト(例えば、フェノフィブラート及びクロフィブラート)、HMG-CoA還元酵素阻害剤(又はスタチン、例えば、ロバスタチン及びシンバスタチン)、アンジオテンシンII(AII)アンタゴニスト(例えば、オルメサルタンメドキソミル及びカンデサルタンシレキセチル)、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤(例えば、ラミプリル、デラプリル、トランドラプリル、テモカプリル、シラザプリル、キナプリル及びイミダプリル)、抗凝固剤(例えば、ダビガトランエテキシラート)、抗生物質(例えば、セフポドキシムプロキセチル及びセフジトレンピボキシル)、逆転写酵素阻害剤(例えば、テノホビルジソプロキシル及びアデホビルジピボキシル)、有糸分裂阻害剤(例えば、パクリタキセル、ドセタキセル及びイソタキセル)、DNA合成阻害剤(例えば、カペシタビン)、トポイソメラーゼ1阻害剤(例えば、イリノテカン)、ノイラミニダーゼ阻害剤(例えば、オセルタミビル及びA-322278)、免疫抑制剤(例えば、ミコフェノール酸モフェチル)、γ-アミノ酪酸(GABA)アナログ(例えば、ガバペンチンエナカルビル)、及びGABAB受容体アゴニスト(例えば、アルバクロフェンプラカルビル)。 ヒト及び実験動物では、CEアイソザイムの大部分は、カルボキシルエステラーゼ1(CE1)ファミリー及びカルボキシルエステラーゼ2(CE2)ファミリーに属する。これらすべての種では、肝臓にCE1及びCE2の両方のアイソザイムが含まれている。ヒトの肝臓では、CE1のレベルはCE2のレベルを上回る。ヒト及びラットの小腸には、CE2アイソザイムのみが含まれており、ウサギ及びサルでは、CE1及びCE2の両方のアイソザイムが存在している。したがって、経口投与されたプロドラッグの生物学的変換率は、ヒトの肝臓及び小腸でのCE1及びCE2の発現レベルによって影響を受ける。ヒトCE1及びCE2は、基質認識に重なる部分があるが、エステルベースの基質に対する特異性についての明確な証拠が観察されている。エステルの加水分解からはアルコール及びアシル部分の二つの生成物が生じる。一般に、ヒトCE1は、大きなアシル部分を有する基質を選ぶのに対し、ヒトCE2は、大きなアルコール基を有する基質を選ぶ。例えば、オセルタミビル、クロピドグレル、ロバスタチン、テモカプリル、トランドラプリル、シラザプリル、キナプリル、デラプリル、及びイミダプリルなどの大きなアシル部分を有するプロドラッグは、主に又は専らヒトCE1によって加水分解され、一方で、アスピリン、プラスグレル、アルバクロフェンプラカルビル、及びガバペンチンエナカルビルなどの大きなアルコール基を有するプロドラッグは、主にヒトCE2によって加水分解される。この基質特異性に基づいて、フェノフィブラート、クロフィブラート、ラミプリル、A-322278、及びシンバスタチンは、ヒトCE1にとって好ましい基質であり、一方、オルメサルタンメドキソミル、カンデサルタンシレキセチル、テノホビルジソプロキシル、ミコフェノール酸モフェチル、アデホビルジピボキシル、セフポドキシムプロキセチル、セフジトレンピボキシル、及びイソタキセルは、ヒトCE2にとって好ましい基質であることが予想され得る。さらに、ヒトにおけるCE1及びCE2の発現レベルの他に、エステルプロドラッグの生物学的変換は、ヒトCE1及びCE2の基質特異性によっても影響を受けると結論付けることができる。したがって、本開示の1つの目的は、エステルプロドラッグのCE1媒介性加水分解だけでなくCE2媒介性加水分解も遅延させることができる化合物又は組成物を提供して、これらのプロドラッグの吸収動態を改善し、その経口バイオアベイラビリティを向上させることにある。 トリアセチンは米国食品医薬品局(FDA、米国)により一般的に安全と認められる(generally recognized as safe、GRAS)人間の食品用の添加物として肯定されている。また、製薬産業では、保湿剤、可塑剤、及び溶媒などの賦形剤としても使用されている。同様に、クエン酸トリエチルは、食品添加物として、及び薬学的コーティングにおいて一般に使用される。クエン酸トリエチルは、E型プロスタグランジン化合物を安定化させる、及びトリグリセリドのリパーゼ加水分解を防止するためにも使用されている。トリアセチン及びクエン酸トリエチルは両方とも、ヒトを含む動物に使用するのに安全であり、いかなる毒性も生じずにヒトにおいては最大10mg/kg体重が使用され得る。本開示では、トリアセチン及びクエン酸トリエチルを、エステルプロドラッグのCE媒介性加水分解を妨げるその有効性について評価し、レシチンと比較した。 本開示の態様によれば、改善された医薬組成物は、有効量のエステルプロドラッグ又はその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される賦形剤とを含み;かつ該改善は、トリアセチン、クエン酸トリエチル、及びその両方の組み合わせからなる群より選択されるアジュバントを含み;該アジュバントは、インビボでのエステルプロドラッグのカルボキシラーゼ媒介性加水分解を妨げるのに十分な量で存在する。 本開示の任意の態様において、改善された医薬組成物は、第二のエステルプロドラッグならびに/又は他の薬学的に許容される担体、アジュバント、及びそのビヒクルなどの追加の成分を要望通りにさらに含んでもよい。 本開示の態様によれば、エステルプロドラッグの吸収を改善するための方法は、本明細書に開示された改善された医薬組成物を対象に投与することを含む。具体的には、この方法は、有効量のエステルプロドラッグ又はその薬学的に許容される塩と、インビボでのエステルプロドラッグのカルボキシラーゼ媒介性加水分解を妨げるのに十分な量の、トリアセチン、クエン酸トリエチル、及びその両方の組み合わせからなる群より選択されるアジュバントとを対象に同時投与するステップを含み、それによって、エステルプロドラッグの吸収動態が改善され、そのバイオアベイラビリティが向上する。 下記にまとめた試験結果は、トリアセチン、クエン酸トリエチル、及びこれら両方の薬学的アジュバントの組み合わせが、1種又は2種のエステルプロドラッグとともに使用された場合に、該プロドラッグのCE媒介性加水分解を妨げることを証明している。このように、本発明により特定されるアジュバントとエステルプロドラッグとを同時投与することにより、結果として、エステルプロドラッグの吸収動態が改善(即ち、エステルプロドラッグのAUC値及び/又はエステルプロドラッグの活性薬物のAUC値が増加)して、その経口バイオアベイラビリティが向上する。 本開示の様々な態様によれば、適切なエステルプロドラッグには、本発明の方法及び/又は改善された組成物によってそのようなエステルプロドラッグの吸収動態が改善されて、そのバイオアベイラビリティが増加する限り、上記に例示したエステルプロドラッグ及びいかなる他の公知の又は将来のエステルプロドラッグが含まれる。 本開示を実施するために使用されるエステルプロドラッグは、市販されているもの、又は当技術分野で周知の方法により容易に調製することができるもののいずれかである。これらのプロドラッグは、ラセミ混合物、単一の鏡像異性体、個々のジアステレオマー、ジアステレオマー混合物、及びシス又はトランス異性体の形態として生じ得る。さらに、それらの薬学的に許容される塩も本開示の範囲内である。このような塩は、治療剤が持つ正に荷電したイオン基(例えば、アンモニウム)と、負に荷電した対イオン(例えば、酢酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、フマル酸塩、塩化物、臭化物、乳酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩、リン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、又は酒石酸塩)とによって形成することができる。同様に、治療剤が持つ負に荷電したイオン基(例えば、カルボキシラート)と、正に荷電した対イオン(例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、又はマグネシウム)とで塩を形成することができる。薬学的に許容される酸付加塩を形成するために使用され得る酸の網羅的でない例には、硫酸、塩酸、及びリン酸等の無機酸、ならびにシュウ酸、マレイン酸、及びコハク酸等の有機酸が含まれる。例えば、クロピドグレルとは、その対応する重硫酸塩も指す。 本開示の具体化において、エステルプロドラッグ及び薬学的に許容されるアジュバントを経口投与することができる。経口投与のための組成物は、カプセル、錠剤、乳剤及び水性懸濁液、分散液、及び溶液を含む経口的に許容されるいかなる剤形であってもよい。錠剤の場合、通常使用される担体には、ラクトース及びコーンスターチが含まれるが、これらに限定されない。ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤も、一般に添加される。錠剤はさらに、腸溶性コーティングを用いて調製され得る。カプセル形態での経口投与については、有用な希釈剤には、ラクトース及び乾燥コーンスターチが含まれる。水性懸濁液又は乳剤が経口投与される場合、活性成分を、乳化剤又は懸濁化剤と組み合わせた油相中に懸濁又は溶解することができる。必要に応じて、特定の甘味料、香味料、又は着色料を添加することができる。 所定の剤形又は製剤中の最適な量は、本出願の実施例に記載した実験によって概算又は決定することができる。これらの実施例に示すように、経口投与溶液中のトリアセチン、クエン酸トリエチル、又はその両方の組み合わせの量は、約10〜90重量%の範囲である。したがって、経口的に許容される剤形中のトリアセチン、クエン酸トリエチル、又はその両方の組み合わせの量は、通常、例えば、約1重量%から約99.9重量%までの範囲、好ましくは約10重量%から約90重量%までの範囲にわたる。実施例でも、プロドラッグ薬物の量とアジュバント(トリアセチン及び/又はクエン酸トリエチル)の量の比が約1:3〜1:27の範囲内であることを示している。したがって、経口剤形中のプロドラッグ薬物の量とアジュバント(トリアセチン及び/又はクエン酸トリエチル)の量の比は、一般に、例えば、約1:1から約1:50までの範囲、好ましくは約1:2から約1:40までの範囲にわたる。 任意の態様において、2種のエステルプロドラッグを組み合わせて投与する場合、この2種のエステルプロドラッグを、単一の組成物として又は別々の組成物として製剤化することができる。 上記エステルプロドラッグのいくつか(即ち、オルメサルタンメドキソミル及びカンデサルタンシレキセチル)は、AIIアンタゴニストであり、いくつか(即ち、ラミプリル、デラプリル、トランドラプリル、テモカプリル、シラザプリル、キナプリル及びイミダプリル)は、ACE阻害剤である。AIIアンタゴニスト及びACE阻害剤及びそれらの組み合わせは、一般に、心血管疾患(例えば、高血圧及び心不全)の治療に使用される。このため、本開示において特定されるトリアセチン、クエン酸トリエチル、又はその両方の組み合わせであるアジュバントとともにAIIアンタゴニスト、ACE阻害剤、又はその両治療剤を使用して心血管疾患を治療する方法も本開示の範囲内である。 エステルプロドラッグのいくつか(即ち、アスピリン、クロピドグレル、及びプラスグレル)は、抗血栓剤である。抗血栓剤は、一般に、冠動脈疾患、末梢血管疾患、及び脳血管疾患における血栓を阻害するために使用される。アスピリンは、一般に、発熱を軽減するために、及び関節リウマチを治療するためにも使用される。エステルプロドラッグのいくつか(即ち、ダビガトランエテキシラート)は、抗凝固剤である。抗凝固剤は、一般に、膝又は股関節置換手術後の静脈における血栓の形成を防止するために使用される。このため、トリアセチン、クエン酸トリエチル、もしくはその両方とともに抗血栓剤又は抗凝固剤を使用して血栓を阻害する方法;又はトリアセチン、クエン酸トリエチル、又はその両方の組み合わせとともにアスピリンを使用して発熱を軽減する及び関節リウマチを治療する方法も本開示の範囲内である。 エステルプロドラッグのいくつか(即ち、フェノフィブラート及びクロフィブラート)は、PPARαアゴニストである。いくつかはスタチン(例えば、ロバスタチン及びシンバスタチン)である。スタチンは、一般に、高コレステロール血症を治療するために使用される。PPARαアゴニストは、一般に、単独で、又はスタチンと組み合わせて、高コレステロール血症及び高トリグリセリド血症の治療に使用される。このため、トリアセチン、クエン酸トリエチル、又はその両方の組み合わせとともにPPARαアゴニスト、スタチン、又はその両治療剤を使用して、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、又はその両疾患を治療する方法も本開示の範囲内である。 エステルプロドラッグのいくつか(即ち、セフポドキシムプロキセチル及びセフジトレンピボキシル)は、抗生物質である。抗生物質は、一般に、感染症を治療するために使用される。このため、トリアセチン、クエン酸トリエチル、又はその両方の組み合わせとともに抗生物質を使用して感染症を治療する方法も本開示の範囲内である。 プロドラッグのいくつか(例えば、オセルタミビル及びA-322278)は、ノイラミニダーゼ阻害剤である。ノイラミニダーゼ阻害剤は、一般に、A型インフルエンザウイルス感染症及びB型インフルエンザウイルス感染症を治療するために使用される。このため、トリアセチン、クエン酸トリエチル、又はその両方の組み合わせとともにノイラミニダーゼ阻害剤を使用してA型エンザウイルス感染症及びB型インフルエンザウイルス感染症を治療する方法も本開示の範囲内である。 エステルプロドラッグのいくつか(即ち、テノホビルジソプロキシル、アデホビルジピボキシル、アルバクロフェンプラカルビル、及びガバペンチンエナカルビル)は、それぞれ、逆転写酵素阻害剤、GABAB受容体アゴニスト、及びGABAアナログである。これらは、一般に、HIV感染症、B型肝炎感染症、痙性及び胃食道逆流性疾患、むずむず脚症候群による不眠及び帯状疱疹後神経痛に関連する痛みをそれぞれ治療するために使用される。エステルプロドラッグの1つ(即ち、ミコフェノール酸モフェチル)は、免疫抑制剤であり、臓器移植における拒絶反応を防止するために使用される。このため、トリアセチン、クエン酸トリエチル、又はその両方の組み合わせとともにエステルプロドラッグを使用して上記疾患を治療する方法も本開示の範囲内である。 エステルプロドラッグのいくつか(即ち、パクリタキセル、イソタキセル、ドセタキセル、イリノテカン、及びカペシタビン)は、それぞれ、有糸分裂阻害剤、トポイソメラーゼ1阻害剤、及びDNA合成阻害剤である。これらは、一般に、がんを治療するために使用される。このため、トリアセチン、クエン酸トリエチル、又はその両方の組み合わせとともにエステルプロドラッグを使用してがんを治療する方法も本開示の範囲内である。 本開示の好ましい態様において、プロドラッグはクロピドグレル、オルメサルタンメドキソミル、テノホビルジソプロキシル、アデホビルジピボキシル、ミコフェノール酸モフェチル、パクリタキセル、ドセタキセル、イソタキセル、イリノテカン、カペシタビン、アルバクロフェンプラカルビル、又はガバペンチンエナカルビルである。 以下の実施例は、本発明の特定の局面を明らかにし、当業者が本発明を実施するのを助けるために提供される。これらの実施例は、いかなる形でも本発明の範囲を限定するものとはみなされない。当業者であれば、さらなる説明がなくとも、本明細書の説明に基づいて本発明を最大限に利用することができると考えられる。本明細書に引用された全ての刊行物は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。 エステルプロドラッグのCEによる加水分解を妨げることにおけるトリアセチン又はクエン酸トリエチルなどの薬学的アジュバントの有効性を、インビトロアッセイによって予備的にスクリーニングすることができる。例えば、トリアセチン又はクエン酸トリエチルの混合物を、CEの存在下で、エステルプロドラッグ(例えば、オルメサルタンメドキソミル)とともにインキュベートし、インキュベーション後の混合物中のプロドラッグの濃度を、トリアセチンもクエン酸トリエチルも含有しないブランク対照のものと比較する。以下の実施例1を参照されたい。実施例1において、オルメサルタンメドキソミルのCEによる加水分解を妨げることにおけるトリアセチン、クエン酸トリエチル、及びレシチンのそれぞれの効果も記録した。さらに、クロピドグレルのCE媒介性加水分解を妨げることにおけるトリアセチン及びクエン酸トリエチルの効果も観察した。以下の実施例2を参照されたい。さらに、実施例1及び2に示すように、トリアセチン及びクエン酸トリエチルの組み合わせもまた、オルメサルタンメドキソミル及びクロピドグレルのCE媒介性加水分解を大幅に妨げるのに有効である。エステルプロドラッグの吸収動態を改善することにおけるトリアセチン、クエン酸トリエチル、又はその両アジュバントの組み合わせの有効性を確認するために、インビボアッセイを実施することができる。以下の実施例3〜5を参照されたい。実施例1:様々なエステル賦形剤がインビトロでのオルメサルタンメドキソミルのCE媒介性加水分解に与える影響 トリアセチン、トリステアリン酸グリセリル、クエン酸トリエチル、レシチン、クエン酸トリ-n-ブチル、クエン酸アセチルトリエチル、及びクエン酸アセチルトリ-n-ブチルを含む様々な公知の薬学的エステル賦形剤は、インビトロでのオルメサルタンメドキソミルのCEによる加水分解がこれらのいずれかによって妨げられるか否かを決定するためにそれぞれ試験した。予備的な結果は、トリアセチン及びクエン酸トリエチルが有望な候補であることを示したため、オルメサルタンメドキソミルのCE媒介性加水分解に対するトリアセチン、クエン酸トリエチル、又はその両方の組み合わせの効果を、レシチンのものと比較するために、以下、さらに実験を行った。 試験溶液(a)〜(f)をそれぞれ以下のように調製した:(a) 10% DMSO(ジメチルスルホキシド)/90% PEG400(w/w)に10μMのオルメサルタンメドキソミルを溶解(安定性対照);(b) 10% DMSO/90% PEG400(w/w)に10μMのオルメサルタンメドキソミルを溶解(ブランク対照);(c) 10% DMSO/12%トリアセチン/78% PEG400(w/w/w)に10μMのオルメサルタンメドキソミルを溶解;(d) 10% DMSO/12%クエン酸トリエチル/78% PEG400(w/w/w)に10μMのオルメサルタンメドキソミルを溶解;(e) 10% DMSO/12%レシチン/78% PEG400(w/w/w)に10μMのオルメサルタンメドキソミルを溶解;及び(f) 10% DMSO/6%トリアセチン/6%クエン酸トリエチル/78% PEG400(w/w/w/w)に10μMのオルメサルタンメドキソミルを溶解。 ブタの肝臓に由来するCE(17ユニット/mg、Sigma-Aldrichから入手可能)を模擬腸液(SIF、pH=6.8)に溶解し、CE溶液(17ユニット/ml)を得た。SIFは、0.6805gのKH2PO4及び0.0896gのNaOHを脱イオン水100ml中に溶解して調製した。 オルメサルタンメドキソミル溶液(即ち、溶液(a)〜(f))各70μlをSIF 70μlと混合し、それにより、混合物(a)〜(f)を作製した。混合物(a)〜(f)のそれぞれを96ウェルプレートの1ウェルに移し、混合物(b)〜(f)を含有する各ウェルにCE溶液各60μlを添加して反応を開始させた。さらに、CEを含まないSIF 60μlを混合物(a)に添加した。このCEを含まないインキュベーション混合物は、インキュベーション混合物中でのオルメサルタンメドキソミルの化学的安定性を決定するための安定性対照として使用した。混合物を、温度制御された加熱ブロック上で常に振盪しながら、空気中37℃で20分間インキュベートした。 20分間のインキュベーションの最後に、氷冷アセトニトリル100μlを各ウェルに添加して反応を停止させた。各混合物をボルテックスにより撹拌し、室温で20分間15,000×gで遠心分離した。上清をHPLC/UV分析で試験し、各混合物中のオルメサルタンメドキソミルの濃度を測定した。得られたデータに基づいて、これらの混合物中に残存するオルメサルタンメドキソミルのパーセンテージ(%)を計算した。表1は、この実施例の結果をまとめたものである。 表1に示すように、トリアセチン、クエン酸トリエチル、又はその両方の組み合わせは、CE2の好ましい基質であることが予測されるオルメサルタンメドキソミルのCE媒介性加水分解を、レシチンよりも良好に遅延させる。 (表1)様々なエステル賦形剤がオルメサルタンメドキソミルのCE媒介性加水分解に与える影響実施例2:トリアセチン、クエン酸トリエチル、又はその両方がインビトロでのクロピドグレルのCE媒介性加水分解に与える影響 CE1の好ましい基質であるクロピドグレルのCE媒介性加水分解を妨げる、トリアセチン及びクエン酸トリエチルの能力を、実施例1に記載したインビトロ試験法に従って実証する。結果を表2にまとめた。結果は、クエン酸トリエチル、トリアセチン、及びレシチンがクロピドグレルのCE媒介性加水分解を遅延させることを示している。驚くべきことに、クエン酸トリエチルならびにクエン酸トリエチル及びトリアセチンの組み合わせは、トリアセチン及びレシチンと比べて、クロピドグレルのCE媒介性加水分解を妨げるのにより効果的である。 (表2)トリアセチン、クエン酸トリエチル、又はその両方がクロピドグレルのCE媒介性加水分解に与える影響実施例3:オルメサルタンメドキソミルの吸収動態の改善 投与の一日前に、雄性ラット(Sprague-Dawley、300〜400g)の頸静脈カニューレの移植手術を行い、かつ投与前に一晩(約18〜20時間)絶食させた。実験の間、水は自由に摂取させた。DMSO/PEG400(10/90、v/v)又はDMSO/PEG400/トリアセチン(10/80/10、v/v)をビヒクルとして、オルメサルタンメドキソミル(5mg/ml)の投与溶液を調製した。各グループ3匹ずつの雄性ラットに対して、単回経口投与量のオルメサルタンメドキソミル及びオルメサルタンメドキソミル/トリアセチンをそれぞれ別々に胃管栄養法により投与した。DMSO/PEG400(10/90、v/v)中のオルメサルタンメドキソミル(5mg/kg)又はDMSO/PEG400/トリアセチン(10/80/10、v/v)中のオルメサルタンメドキソミル(5mg/kg)を各ラットに与えた。 投与してから0、0.25、0.5、1、2、4、6、8、及び24時間経過した時点で、頸静脈カニューレを介して各ラットから血液サンプル(0.15ml/ラット)を採取した。血液から遠心分離により血漿を分離し、分析するまで-20℃で凍結した。LC-MS/MSによって、血漿サンプル中のオルメサルタン(活性薬物)及びオルメサルタンメドキソミルの濃度を決定し、得られたデータに基づいて、血漿中濃度-時間曲線をプロットした。曲線から、Cmax及び最大濃度時間(Tmax)の値を測定し、時間t=0から時間t=24までのAUC値(AUC0-24hr)を台形公式を用いて計算した(Altamn, Practical Statistics for Medical Research, CRC Press, 1991, pp. 432-433及びKhan and Reddy, Pharmaceutical and Clinical Calculations, CRC Press, 2000, pp. 235-236を参照)。予想通り、オルメサルタンメドキソミル又はオルメサルタンメドキソミル/トリアセチンをラットに経口投与した後、吸収されると、オルメサルタンメドキソミルはオルメサルタンへと完全に加水分解された。表3は、オルメサルタンのAUC0-24hr、Cmax及びTmaxの平均値(n=3)を示す。この結果は、トリアセチンが、オルメサルタンのAUC0-24hr及びCmaxをそれぞれ64%及び108%増加させ、したがってオルメサルタンメドキソミルの吸収動態を改善することを示している。 (表3)オルメサルタンメドキソミルの吸収動態の改善実施例4:重硫酸クロピドグレル(clopidogrel bisulfate)の吸収動態の改善 クロピドグレルは、主に肝臓のシトクロムP450 2C19(CYP2C19)によって活性薬物へと代謝されるプロドラッグである。クロピドグレルはエステルプロドラッグであるため、主に肝臓に存在するカルボキシルエステラーゼによっても迅速に加水分解され、不活性のカルボン酸代謝物(クロピドグレル酸)を生じる。したがって、エステルの加水分解及びCYP2C19による肝代謝は、クロピドグレルの効率性を決定する2つの競合する経路である。実施例3に上述したオルメサルタンメドキソミルの研究と同様の研究をラット(n=3)で行い、クロピドグレルの経口バイオアベイラビリティを向上させることにおけるクエン酸トリエチルの効果を確認した。DMSO/PEG400(10/90、w/w)中の重硫酸クロピドグレル(30mg/kg)又はDMSO/PEG400/クエン酸トリエチル(10.1/77.5/12.4、w/w/w)中の重硫酸クロピドグレル(30mg/kg)を各ラットに与えた。連続した血漿サンプルを各ラットから得、血漿サンプル中のクロピドグレル、その活性薬物、及びクロピドグレル酸の濃度をLC-MS/MSによって決定した。この研究では、クロピドグレルの活性薬物の濃度は低すぎて(<1ng/ml)測定不能であることが見出された。 表4は、クロピドグレル及びクロピドグレル酸のAUC0-24hr、Cmax及びTmaxの平均値(n=3)を示す。表4から明らかであるように、クエン酸トリエチルは、クロピドグレルのAUC0-24hr及びCmaxの値をそれぞれ171%及び156%増加させる。したがって、クエン酸トリエチルは、エステラーゼによる加水分解を遅延させ、ラットにおける重硫酸クロピドグレルの吸収動態を改善すると結論付けられる。 (表4)クロピドグレル及びクロピドグレル酸のAUC0-24hr、Cmax及びTmaxの平均値(n=3) 上述した研究と同様のラット研究において、DMSO/PEG400(10/90、w/w)中の重硫酸クロピドグレル(3mg/kg)又はDMSO/PEG400/クエン酸トリエチル/トリアセチン(10/78/6/6、w/w/w/w)中の重硫酸クロピドグレル(3mg/kg)を各ラットに与えた。連続した血漿サンプルを各ラットから得、血漿サンプル中のクロピドグレル及びクロピドグレル酸の濃度をLC-MS/MSによって決定した。 表5は、クロピドグレル及びクロピドグレル酸のAUC0-24hr、Cmax及びTmaxの平均値(n=3)を示す。表5に示すように、クエン酸トリエチル及びトリアセチンの組み合わせは、クロピドグレルのAUC0-24hr及びCmaxの平均値をそれぞれ650%及び638%増加させる。このように、クエン酸トリエチル及びトリアセチンの組み合わせは、ラットにおける重硫酸クロピドグレルの吸収動態を効果的に改善する。 (表5)クロピドグレル及びクロピドグレル酸のAUC0-24hr、Cmax及びTmaxの平均値(n=3)実施例5:カペシタビンの吸収動態の改善 カペシタビンは、主に胃腸管のCE2及び肝臓のCE1によって加水分解されるエステルプロドラッグであり、がん患者にカペシタビンを経口投与すると、腫瘍内で2つの酵素によってその活性薬物(5-フルオロウラシル)へと変換される。上述したクロピドグレルの研究と同様の研究をラット(n=3)で行い、カペシタビンの吸収動態を改善して、そのバイオアベイラビリティを向上させることにおけるクエン酸トリエチルの効果を確認した。DMSO中のカペシタビン(5mg/kg)又はDMSO/クエン酸トリエチル(45mg/kg)中のカペシタビン(5mg/kg)を各ラットに与えた。連続した血漿サンプルを各ラットから得、血漿サンプル中のカペシタビンの濃度をLC-MS/MSによって決定した。 表6は、カペシタビンのAUC0-24hr、Cmax及びTmaxの平均値(n=3)を示す。表6に示すように、クエン酸トリエチルは、カペシタビンのAUC0-24hr及びCmaxの値をそれぞれ2050%及び964%増加させる。このように、クエン酸トリエチルは、エステラーゼによる加水分解を効果的に遅延させ、ラットにおけるカペシタビンの吸収動態を改善する。 (表6)カペシタビンの吸収動態の改善 上述した研究と同様のラット研究において、DMSO中のカペシタビン(5mg/kg)又はDMSO/クエン酸トリエチル(22.5mg/kg)/トリアセチン(22.5mg/kg)中のカペシタビン(5mg/kg)を各ラットに与えた。連続した血漿サンプルを各ラットから得、血漿サンプル中のカペシタビンの濃度をLC-MS/MSによって決定した。 (表7)クエン酸トリエチル及びトリアセチンの組み合わせによるカペシタビンの吸収動態の改善 表7は、カペシタビンのAUC0-24hr、Cmax及びTmaxの平均値(n=3)を示す。表7に示すように、クエン酸トリエチル及びトリアセチンの混合物は、カペシタビンのAUC0〜24hrの平均値を160%増加させる。このように、クエン酸トリエチル及びトリアセチンの組み合わせは、ラットにおけるカペシタビンの吸収動態を効果的に改善する。 本明細書に開示された全ての特徴は、任意の組み合わせで組み合わせることができる。本明細書に開示された各特徴は、同一、同等、又は類似の目的を果たす代替の特徴と置き換えることができる。このため、明示的に記載されていない限り、開示された各特徴は、同等又は類似の一般的な一連の特徴の一例にすぎない。 本発明の広範な範囲を記載する数値範囲及びパラメーターは近似値であるにもかかわらず、具体的な例に記載された数値は、可能な限り正確に報告されている。しかしながら、いかなる数値も、それぞれの試験測定において見出される標準偏差から必然的に生じる一定の誤差を元来含むものである。 態様の上記説明は、例示のみを目的として挙げられており、当業者は、上記態様に様々な変更を施すことができることが理解される。上記明細書、実施例、及びデータは、本発明の例示的な態様の使用及び構成の完全な説明を提供するものである。本発明の様々な態様を、ある程度の特殊性又は1つもしくは複数の個々の態様への言及とともに上述してきたが、当業者は、本開示の精神又は範囲から逸脱することなく、開示された態様に対する多数の代替物を作製することができる。 有効量のエステルプロドラッグ又はその薬学的に許容される塩と、 対象におけるエステルプロドラッグのカルボキシラーゼ媒介性加水分解を妨げるのに有効な量のアジュバントとを対象に同時投与するステップを含む、対象におけるエステルプロドラッグの吸収を改善するための方法であって、 前記アジュバントが、トリアセチン、クエン酸トリエチル、及びその両方の組み合わせからなる群より選択される、前記方法。 前記エステルプロドラッグが、アンジオテンシンII(AII)アンタゴニスト、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、抗血栓剤、抗凝固剤、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体α(PPARα)アゴニスト、3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル補酵素A(HMG-CoA)還元酵素阻害剤、抗生物質、逆転写酵素阻害剤、有糸分裂阻害剤、DNA合成阻害剤、トポイソメラーゼ1(TOP1)阻害剤、ノイラミニダーゼ阻害剤、免疫抑制剤、γ-アミノ酪酸(GABA)アナログ、又はGABAB受容体アゴニストである、請求項1に記載の方法。 前記AIIアンタゴニストが、オルメサルタンメドキソミル又はカンデサルタンシレキセチルである、請求項2に記載の方法。 前記ACE阻害剤が、ラミプリル、デラプリル、トランドラプリル、テモカプリル、シラザプリル、キナプリル、又はイミダプリルである、請求項2に記載の方法。 前記抗血栓剤が、クロピドグレル、プラスグレル、又はアスピリンである、請求項2に記載の方法。 前記抗凝固剤がダビガトランエテキシラートである、請求項2に記載の方法。 前記PPARαが、フェノフィブラート又はクロフィブラートである、請求項2に記載の方法。 前記HMG-CoA還元酵素阻害剤が、シンバスタチン又はロバスタチンである、請求項2に記載の方法。 前記抗生物質が、セフポドキシムプロキセチル又はセフジトレンピボキシルである、請求項2に記載の方法。 前記有糸分裂阻害剤が、パクリタキセル、ドセタキセル、又はイソタキセルである、請求項2に記載の方法。 前記TOP1阻害剤がイリノテカンである、請求項2に記載の方法。 前記DNA合成阻害剤がカペシタビンである、請求項2に記載の方法。 前記ノイラミニダーゼ阻害剤がオセルタミビル又はA-322278である、請求項2に記載の方法。 前記エステルプロドラッグが、クロピドグレル、オルメサルタンメドキソミル、テノホビルジソプロキシル、アデホビルジピボキシル、ミコフェノール酸モフェチル、パクリタキセル、ドセタキセル、イソタキセル、イリノテカン、カペシタビン、アルバクロフェンプラカルビル(arbaclofen placarbil)、又はガバペンチンエナカルビルである、請求項2に記載の方法。 有効量のエステルプロドラッグ又はその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される賦形剤とを含む、改善された医薬組成物において、該改善が、 トリアセチン、クエン酸トリエチル、及びその両方の組み合わせからなる群より選択され、インビボでのエステルプロドラッグのカルボキシラーゼ媒介性加水分解を妨げるのに有効な量で存在する、アジュバントを含む、前記改善された医薬組成物。 前記エステルプロドラッグが、クロピドグレル、オルメサルタンメドキソミル、又はカペシタビンである、請求項15に記載の改善された医薬組成物。 カルボキシルエステラーゼと、 エステルの加水分解を妨げるのに有効な量のトリアセチン、クエン酸トリエチル、又はその両方とを接触させるステップを含む、エステルのカルボキシルエステラーゼ媒介性加水分解を妨げるための方法。 本発明は、対象におけるエステルプロドラッグの吸収を改善するための方法及び改善された組成物に関する。本方法は、有効量のエステルプロドラッグ又はその薬学的に許容される塩と、インビボでのエステルプロドラッグのカルボキシルエステラーゼ媒介性加水分解を妨げるのに十分な量のアジュバントとを対象に同時投与するステップを含み、ここで該アジュバントはトリアセチン、クエン酸トリエチル、及びその両方の組み合わせからなる群より選択される。本発明はまた、エステルプロドラッグを含むエステルのカルボキシルエステラーゼ媒介性加水分解を妨げるための方法にも関する。20140307A16333全文3 エステルプロドラッグまたはその薬学的に許容される塩と、トリアセチン、クエン酸トリエチル、およびその両方の組み合わせからなる群より選択されるアジュバントと、薬学的に許容される賦形剤とを含む、対象におけるエステルプロドラッグの吸収を改善するための医薬組成物であって、 該アジュバントは、エステルプロドラッグのカルボキシルエステラーゼ1媒介性及び/又はカルボキシルエステラーゼ2媒介性の加水分解を阻害することができ、それにより対象におけるエステルプロドラッグの吸収を改善する、医薬組成物。 前記エステルプロドラッグが、抗凝固剤、DNA合成阻害剤、トポイソメラーゼ1(TOP1)阻害剤、アンジオテンシンII(AII)アンタゴニスト、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、抗血栓剤、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体α(PPARα)アゴニスト、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−補酵素A(HMG−CoA)還元酵素阻害剤、抗生物質、逆転写酵素阻害剤、有糸分裂阻害剤、ノイラミニダーゼ阻害剤、免疫抑制剤、γ−アミノ酪酸(GABA)アナログ、またはGABAB受容体アゴニストである、請求項1に記載の医薬組成物。 前記抗血栓剤が、クロピドグレル、プラスグレル、またはアスピリンである、請求項2に記載の医薬組成物。 前記抗凝固剤がダビガトランエテキシラートである、請求項2に記載の医薬組成物。 前記TOP1阻害剤がイリノテカンである、請求項2に記載の医薬組成物。 前記DNA合成阻害剤がカペシタビンである、請求項2に記載の医薬組成物。 前記ノイラミニダーゼ阻害剤がオセルタミビルまたはA−322278である、請求項2に記載の医薬組成物。 前記エステルプロドラッグがクロピドグレル、オルメサルタンメドキソミル、テノホビルジソプロキシル、アデホビルジピボキシル、ミコフェノール酸モフェチル、イリノテカン、カペシタビン、アルバクロフェン・プラカルビル、ダビガトランエテキシレート、またはガバペンチンエナカルビルである、請求項2に記載の医薬組成物。 前記エステルプロドラッグが、クロピドグレル、ダビガトランエテキシレート、ガバペンチンエナカルビル、またはカペシタビンである、請求項2に記載の医薬組成物。A1633000143[本発明1001] 有効量のエステルプロドラッグ又はその薬学的に許容される塩と、 対象におけるエステルプロドラッグのカルボキシラーゼ媒介性加水分解を妨げるのに有効な量のアジュバントとを対象に同時投与するステップを含む、対象におけるエステルプロドラッグの吸収を改善するための方法であって、 前記アジュバントが、トリアセチン、クエン酸トリエチル、及びその両方の組み合わせからなる群より選択される、前記方法。[本発明1002] 前記エステルプロドラッグが、アンジオテンシンII(AII)アンタゴニスト、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、抗血栓剤、抗凝固剤、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体α(PPARα)アゴニスト、3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル補酵素A(HMG-CoA)還元酵素阻害剤、抗生物質、逆転写酵素阻害剤、有糸分裂阻害剤、DNA合成阻害剤、トポイソメラーゼ1(TOP1)阻害剤、ノイラミニダーゼ阻害剤、免疫抑制剤、γ-アミノ酪酸(GABA)アナログ、又はGABAB受容体アゴニストである、本発明1001の方法。[本発明1003] 前記AIIアンタゴニストが、オルメサルタンメドキソミル又はカンデサルタンシレキセチルである、本発明1002の方法。[本発明1004] 前記ACE阻害剤が、ラミプリル、デラプリル、トランドラプリル、テモカプリル、シラザプリル、キナプリル、又はイミダプリルである、本発明1002の方法。[本発明1005] 前記抗血栓剤が、クロピドグレル、プラスグレル、又はアスピリンである、本発明1002の方法。[本発明1006] 前記抗凝固剤がダビガトランエテキシラートである、本発明1002の方法。[本発明1007] 前記PPARαが、フェノフィブラート又はクロフィブラートである、本発明1002の方法。[本発明1008] 前記HMG-CoA還元酵素阻害剤が、シンバスタチン又はロバスタチンである、本発明1002の方法。[本発明1009] 前記抗生物質が、セフポドキシムプロキセチル又はセフジトレンピボキシルである、本発明1002の方法。[本発明1010] 前記有糸分裂阻害剤が、パクリタキセル、ドセタキセル、又はイソタキセルである、本発明1002の方法。[本発明1011] 前記TOP1阻害剤がイリノテカンである、本発明1002の方法。[本発明1012] 前記DNA合成阻害剤がカペシタビンである、本発明1002の方法。[本発明1013] 前記ノイラミニダーゼ阻害剤がオセルタミビル又はA-322278である、本発明1002の方法。[本発明1014] 前記エステルプロドラッグが、クロピドグレル、オルメサルタンメドキソミル、テノホビルジソプロキシル、アデホビルジピボキシル、ミコフェノール酸モフェチル、パクリタキセル、ドセタキセル、イソタキセル、イリノテカン、カペシタビン、アルバクロフェンプラカルビル(arbaclofen placarbil)、又はガバペンチンエナカルビルである、本発明1002の方法。[本発明1015] 有効量のエステルプロドラッグ又はその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される賦形剤とを含む、改善された医薬組成物において、該改善が、 トリアセチン、クエン酸トリエチル、及びその両方の組み合わせからなる群より選択され、インビボでのエステルプロドラッグのカルボキシラーゼ媒介性加水分解を妨げるのに有効な量で存在する、アジュバントを含む、前記改善された医薬組成物。[本発明1016] 前記エステルプロドラッグが、クロピドグレル、オルメサルタンメドキソミル、又はカペシタビンである、本発明1015の改善された医薬組成物。[本発明1017] カルボキシルエステラーゼと、 エステルの加水分解を妨げるのに有効な量のトリアセチン、クエン酸トリエチル、又はその両方とを接触させるステップを含む、エステルのカルボキシルエステラーゼ媒介性加水分解を妨げるための方法。 本発明に関する多くの態様の詳細は、以下の詳細な説明及び添付の特許請求の範囲に記載されている。以下の詳細な説明及び添付の特許請求の範囲を参照すれば、本発明の他の特徴、目的、及び利点がよりよく理解される。


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