タイトル: | 公表特許公報(A)_MCAMアンタゴニスト及び治療の方法 |
出願番号: | 2014514452 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | C07K 16/18,A61K 45/00,A61P 29/00,A61P 25/00,A61K 39/395,C12N 15/09 |
フラナガン, ケネス ジョンストン, ジェニファー イェドノック, セオドア ベイカー, ジャンヌ JP 2014518898 公表特許公報(A) 20140807 2014514452 20120606 MCAMアンタゴニスト及び治療の方法 ネオトープ バイオサイエンシーズ リミテッド 513250798 NEOTOPE BIOSCIENCES LIMITED SK特許業務法人 110001139 奥野 彰彦 100130328 伊藤 寛之 100130672 フラナガン, ケネス ジョンストン, ジェニファー イェドノック, セオドア ベイカー, ジャンヌ US 61/527,481 20110825 US 61/493,780 20110606 C07K 16/18 20060101AFI20140711BHJP A61K 45/00 20060101ALI20140711BHJP A61P 29/00 20060101ALI20140711BHJP A61P 25/00 20060101ALI20140711BHJP A61K 39/395 20060101ALI20140711BHJP C12N 15/09 20060101ALN20140711BHJP JPC07K16/18A61K45/00A61P29/00A61P25/00A61K39/395 NC12N15/00 A AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA US2012000274 20120606 WO2012170071 20121213 71 20140127 4B024 4C084 4C085 4H045 4B024AA01 4B024BA53 4B024CA04 4B024CA09 4B024DA02 4B024HA12 4C084AA17 4C084NA14 4C084ZA01 4C084ZB11 4C085AA14 4C085EE01 4H045AA11 4H045DA76 4H045EA20 4H045FA74関連出願 この出願は、2011年6月6日に出願の米国仮出願番号第61/493,780号及び2011年8月25日に出願の第61/527,481号(それらの全てはその内容を参照することにより本願明細書に組み込まれる)の利益を主張する。配列表 配列番号:1-28を含む配列表は、添付され、その全ては参照により本願明細書に組み込まれる。上記配列表は、ASCIIフォーマットにおいて2012年6月1日に作成され、ELN001WO.txtという名前であり、サイズは60,916バイトである。発明の分野 本発明は、MCAMとそのリガンド(ラミニンα4鎖)との相互作用を阻害することができるメラノーマ細胞接着分子(MCAM)アンタゴニスト(抗体を含む)に関する。これらのMCAMアンタゴニスト(アンタゴニスト抗体を含む)は、中央神経系(CNS)へのMCAM発現細胞の浸潤を阻害することによって(例えば、CNSへのTH17細胞の溢出を阻害することによって)、神経炎症状態(例えば多発性硬化症(MS)及びパーキンソン病)を含む、CNSの自己免疫疾患を治療するのに有効である。背景 TH17細胞(Tヘルパー17細胞)と称される、CD4+ T細胞の新規のサブセットは、多くの自己免疫疾患、特にT細胞のCNS浸潤を伴うそれらの神経炎症状態(例えば、多発性硬化症及び動物モデルでの実験的自己免疫脳脊髄炎(EAE))の病因に関係していた。Cua et al., Nature 421: 744-748 (2003)を参照; Ivonov et al., Cell 126: 1121-1133 (2006)も参照。TH17細胞の高い病原性に対する関心の多くは、IL-17及びIL-22を含む多くの選択的サイトカインを分泌するそれらの能力に向いている。しかしながら、これらのTH17サイトカイン自体の役割は、IL-17条件付きノックアウトがEAE進行にあまり影響を及ぼさないため異議が唱えられている。Haak et al., J. Clin. Invest. 119: 61-69 (2009)を参照; Kreymborg et al., J. Immunol. 179: 8098-8104 (2007)を参照。IL-17は内皮細胞透過性であるためEAEのかかる重要な性質に影響を及ぼすが、TH17細胞は任意のサイトカインを1つ生産すること以外にも役割があると考えられている。TH17細胞の病原機能に関する分子決定基は、まだ明らかになっていない。 TH17細胞の病原性は、それらのケモカイン受容体発現によって証明されたように、それらの独特の移動パターンによって部分的に説明することができる。Kim, Inflamm. Allergy Drug Targets 8: 221-228 (2009)を参照。IL-17産生細胞がCD4+ T細胞のCCR6+集団内で多く存在することは立証されており、これが脈管系全体にわたる独特な移動パターンを与えているのであろう。Acosta-Rodriguez et al., Nat. Immunol. 8:639-646 (2007)を参照。事実、T細胞上のCCR6発現は、CNSへのT細胞移動及びEAEの進行に必要とされる。Reboldi et al.、Nat. Immunol. 10: 514-523 (2009)。仮説では、T細胞は2つの波であらわれ、1つはCCR6発現TH17細胞の小集団の蓄積とリクルートであり、もう1つの大きな波は、T細胞が多様なケモカイン受容体レパートリーを有することである。この浸潤の解剖学的部位は、CCR6の公知のリガンドであるCCL20の構成的発現により脈絡叢であることが示唆されている。Ransohoff et al.、Nat. Rev. Immunol. 3: 569-581 (2003)を参照。これは、TH17細胞の本当の病原性機能が、組織におけるそれらの特定のリクルート及び浸潤にあることを暗示している。 従って、CNSへのTH17細胞の浸潤に関与し、それらの病原性に関与する分子を同定する技術的な必要性がまだある。これらの分子は、神経炎症状態(例えば多発性硬化症(MS)及びパーキンソン病)の治療薬剤を設計するための標的となる可能性がある。発明の開示 本発明は、MCAMアンタゴニスト(例えば、抗MCAM又は抗ラミニンα4鎖抗体)に関するものであり、MCAMとそのリガンドであるラミニンα4鎖(例えば、ラミニン411のα4鎖)との相互作用を阻害するものである。これによって、中央神経系へのTH17細胞の溢出が阻害される。 TH17細胞は、様々な自己免疫疾患の病因(pathogensis)、特にCNSへのT細胞の浸潤を伴うそれらの神経炎症状態を表すことに重要な役割を果たす。(1)MCAMは、TH17細胞上に選択的に多く存在することと、(2)MCAMは、内皮基底膜に存在するラミニンα4鎖(例えばラミニン411のα4鎖)と相互作用すること、を新しく発見した。ラミニンα4鎖を含む分子(例えば、ラミニン411分子)に対するMCAMの結合を阻害することができるMCAMアンタゴニスト(例えば、モノクローナル抗体)は、CNSへのTH17細胞の移動を阻害することができるため、神経炎症状態を示す疾患を治療する治療薬剤として用いることができる。MCAMアンタゴニスト(例えばMCAMモノクローナル抗体又はその抗原結合断片)は、自己免疫疾患(例えば、多発性硬化症、炎症性大腸疾患、乾癬及び慢性関節リウマチ)の治療に有効であってもよい。 本願明細書において提供されるMCAMアンタゴニストは、限定するものではないが、MCAMモノクローナル抗体又はその抗原結合断片であって、(i)配列番号:11(配列番号:22)の位置19〜位置129のアミノ酸配列を含む又は有するMCAM断片、(ii)配列番号:11(配列番号:23)の位置139〜位置242のアミノ酸配列を含む又は有するMCAMの断片、(iii)配列番号:22及び配列番号:23として示されるアミノ酸配列を含む又は有するMCAMの断片に結合するものである。モノクローナル抗体は、MCAMとラミニンα4鎖(例えば、ラミニン411のα4鎖)との間の結合を阻害し、及び/又は中央神経系(CNS)へのTH17細胞の溢出を阻害する。また、モノクローナル抗体かその抗原結合断片を含む医薬組成物が提供される。好ましい実施形態において、ラミニンα4鎖は、ラミニン411のα4鎖である。 モノクローナルMCAM抗体は、キメラ抗体、ヒト化抗体又はヒト抗体であってもよい。本発明は、モノクローナル抗体(例えば、MCAMに特異的に結合するマウス抗体)を提供する。本発明の抗体は、MCAMの生物活性を調節する(例えば、遮断するか、阻害するか、低減するか、拮抗するか、中和するか、そうでなければ干渉する)ことができる。例示的なモノクローナルMCAM抗体又はその抗原結合断片は、CDR1、CDR2及びCDR3(それぞれ、配列番号:3、4及び5)を有する軽鎖配列を含むことができる。モノクローナルMCAM抗体又はその抗原結合断片は、配列番号:2のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含むことができる。モノクローナルMCAM抗体又は抗原結合断片の軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、CDR1、CDR2及びCDR3領域の中で最大で1つのアミノ酸が配列番号:2のアミノ酸配列と異なっていてもよい。モノクローナルMCAM抗体又は抗原結合断片の軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、フレームワーク領域の中で複数のアミノ酸(例えば、最大で5つのアミノ酸)が配列番号:2のアミノ酸配列と異なっていてもよい。 他の例示的なモノクローナルMCAM抗体又はその抗原結合断片は、CDR1、CDR2及びCDR3(それぞれ、配列番号:8、9及び10)を有する又は含む重鎖配列を含むことができる。モノクローナルMCAM抗体又はその抗原結合断片は、配列番号:7のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含むことができる。 モノクローナルMCAM抗体又は抗原結合断片の重鎖可変領域のアミノ酸配列は、CDR1、CDR2及びCDR3領域の中で最大で1つのアミノ酸が配列番号:7のアミノ酸配列と異なっていてもよい。モノクローナルMCAM抗体又は抗原結合断片の重鎖可変領域のアミノ酸配列は、フレームワーク領域の中で複数のアミノ酸(例えば、最大で5つのアミノ酸)が配列番号:7のアミノ酸配列と異なっていてもよい。 例示的なモノクローナルMCAM抗体又はその抗原結合断片は、(1)CDR1、CDR2及びCDR3(それぞれ、配列番号:3、4及び5)を有する軽鎖配列と、(2)CDR1、CDR2及びCDR3(それぞれ、配列番号:8、9及び10)を有する重鎖配列と、を更に含んでもより。 中央神経系へのTH17細胞の溢出を阻害する方法も提供される。この方法には、その方法を必要とする対象にMCAM抗体又はその抗原結合断片を効果的な量で投与して中央神経系への溢出を阻害させるーステップを含めてもよい。一実施形態として、対象は、神経炎症状態を患っている。神経炎症状態には、例えば、多発性硬化症及びパーキンソン病が含まれる。 一つの態様において、本発明は、中央神経系(CNS)へのMCAM発現細胞の浸潤によって特徴づけられるCNS炎症性疾患の治療方法に関するものであり、上記方法にはその方法を必要とする哺乳類対象にラミニンα4鎖へのMCAMの結合を阻害するMCAMアンタゴニストを効果的な量で投与するステップが含まれる。全ての態様において、MCAMアンタゴニストは、好ましくは抗MCAM又は抗ラミニンα4鎖抗体(抗体断片を含む)である。CNS炎症性疾患は、好ましくは神経炎症状態(例えば多発性硬化症(MS)又はパーキンソン病(PD))である。好ましい実施形態において、ラミニンα4鎖は、ラミニン411のα4鎖である。 添付の図面は、本願明細書に組み込まれており、各種実施形態の非制限的な図示を提供する。図1は、IL-17産生ヒトCD4+細胞におけるMCAMの存在を表す。図1Aは、MCAMが循環及び活性化TH17細胞における上方制御遺伝子であることを示しているマイクロアレイ分析を表す。図1は、IL-17産生ヒトCD4+細胞におけるMCAMの存在を表す。図1Bは、MCAMがメモリーT細胞(CD45RO+ T細胞)の小集団においてほぼ排他的に存在することを示している細胞選別の結果を表す。図1は、IL-17産生ヒトCD4+細胞におけるMCAMの存在を表す。図1Cは、MCAMがIL-17産生ヒトCD4+ T細胞において多く存在することを示している細胞選別の結果を表す。は、MCAM発現T細胞の表面マーカーを表す。図2Aは、MCAM発現T細胞がエフェクターメモリーT細胞(CCR6+とCCR7-)として示されている。図2Bは、MCAM発現T細胞のインテグリン発現パターンを表す。MCAM発現T細胞の多くは、インテグリンα4ポジティブであるが、主にインテグリンβ7ネガティブ及びβ1ポジティブである。図3は、CD4+/CD45RO+メモリーT細胞に対する様々なサイトカインの効果を表す。図3Aは、MCAMポジティブのT細胞のIL-17生産に対する様々なサイトカインの効果を表す。図3は、CD4+/CD45RO+メモリーT細胞に対する様々なサイトカインの効果を表す。図3Bは、様々なサイトカインによる刺激後のMCAM発現細胞のパーセンテージを表す。図3Cは、様々なサイトカインによる刺激後のMCAMポジティブ及びMCAMネガティブ細胞におけるIL-17のレベルを表す。図3Dは、様々なサイトカインによる刺激後のMCAMポジティブ及びMCAMネガティブ細胞におけるIL-22のレベルを表す。図3Eは、様々なサイトカインによる刺激後のMCAMポジティブ及びMCAMネガティブ細胞におけるCCL20のレベルを表す。図3Fは、様々なサイトカインによる刺激後のMCAMポジティブ及びMCAMネガティブ細胞におけるFOXP3の細胞内レベルを表す。図4は、MCAMリガンドとしてのラミニン411の同定を表す。図4Aは、健常なマウスの脈絡叢におけるMCAMリガンドとラミニンの共局在を表す。図4Bは、健常なマウスの脈絡叢においてMCAMが染色(4',6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI)を用いた対比染色)されていないことを表す。図4Cは、健常なマウス脳内の血管内皮細胞におけるMCAMの存在(DAPIを用いた対比染色)を表す。図4Dは、MCAM-Fcタンパク質を用いた健常なマウス脊髄切片の染色によるMCAMリガンドの発現パターンを表す。図4Eは、健常なマウス脊髄におけるMCAMリガンドとラミニンの共局在を表す。図4Fは、MCAMリガンドの細胞間マトリックス(ECM)局在を表す。CD31染色を用いて、脈管系内の内皮細胞層に対して外側でMCAMが染色されたことを示している。図4Gは、EAE病変内でのMCAMリガンドの局在を表す。MCAM-Fcは、実質基底膜(parenchymal basement membrane)内ではなく、内皮細胞基底膜内のラミニンと共局在することが示されている。図4Hは、MCAMリガンドとラミニン411(又は、ラミニンアルファ-4鎖)との共局在を表す。は、ヒト及びマウスMCAMに対するMCAM抗体の特異的結合を表す。は、MCAM抗体による、組織に対するMCAM-Fcの結合の阻害を表す。は、モノクローナル抗体による、ヒトMCAMとそのリガンドラミニン411との間の相互作用の阻害を表す。図6Aは、クローン17モノクローナル抗体の軽鎖可変領域のCDRを表す。図6Aは、軽鎖可変領域をエンコードしている塩基配列(配列番号:1)及び軽鎖可変領域のアミノ酸配列(配列番号:2)を、表示順に開示している。3つの超可変領域は、CDRL1(配列番号:3)、CDRL2(配列番号:4)及びCDRL3(配列番号:5)としても明示されている。図6A-1は、図6Aの続きである。図6Bは、クローン17モノクローナル抗体の重鎖可変領域のCDRを表す。図6Bは、重鎖可変領域をエンコードしている塩基配列(配列番号:6)及び重鎖可変領域のアミノ酸配列(配列番号:7)を、表示順に開示している。3つの超可変領域は、CDRH1(配列番号:8)、CDRH2(配列番号:9)及びCDRH3(配列番号:10)としても明示されている。図6B-1は、図6Bの続きである。図7Aは、ナイーブマウス由来のT細胞におけるMCAMの欠損を表す。図7Bは、様々なサイトカインが存在する場合の脾細胞中のMCAM発現レベルを表す。脾細胞は、PLP免疫化SJLマウスから取得し、インビトロでPLPによって再刺激した。図8は、EAEの治療モデルにおける疾患進行に対するMCAM遮断の効果を表す。EAE症状が現れた後、PLP免疫化マウスは、(1)抗MCAM抗体(クローン15)を10mg/kg(体重)、(2)アイソタイプコントロール(Bioxcell)を10mg/kg(体重)、及び(3)以後は毎日PBS、にて腹膜内的に処置した。疾患進行は、2-3日毎に調べた。データは、15匹のマウスの平均値±sem(平均値の標準誤差)を表す。図8は、EAEの治療モデルにおける疾患進行に対するMCAM遮断の効果を表す。EAE症状が現れた後、PLP免疫化マウスは、(1)抗MCAM抗体(クローン15)を10mg/kg(体重)、(2)アイソタイプコントロール(Bioxcell)を10mg/kg(体重)、及び(3)以後は毎日PBS、にて腹膜内的に処置した。体重は、2-3日毎に調べた。データは、15匹のマウスの平均値±sem(平均値の標準誤差)を表す。図9Aは、クローン15モノクローナル抗体の軽鎖可変領域のCDRを表す。図9Aは、軽鎖可変領域をエンコードしている塩基配列(配列番号:12)及び軽鎖可変領域のアミノ酸配列(配列番号:13)を、表示順に開示する。3つの超可変領域は、CDRL1(配列番号:14)、CDRL2(配列番号:15)及びCDRL3(配列番号:16)としても明示されている。図9A-1は、図9Aの続きである。は、クローン15モノクローナル抗体の重鎖可変領域のCDRを表す。図9Bは、重鎖可変領域をエンコードしている塩基配列(配列番号:17)及び重鎖可変領域のアミノ酸配列(配列番号:18)を、表示順に開示する。3つの超可変領域は、CDRH1(配列番号:19)、CDRH2(配列番号:20)及びCDRH3(配列番号:21)としても明示されている。図9B-1は、図9Bの続きである。は、MCAM抗体に関するドメイン結合試験の結果を表す。は、MCAM抗体に関するドメイン結合試験の結果を表す。図11A-Bは、アミノ酸配列(配列番号:11-アクセッション番号CAA48332)(A)と、ヒトMCAMに関する構造(B)を表す。図11Aにおいて、ヒトMCAMの5つの免疫グロブリンドメインに対応するアミノ酸残基位置は、以下の通りである。1:アミノ酸残基19-129;2:アミノ酸残基139-242;3:アミノ酸残基244-321;4:アミノ酸残基335-424;及び、5:アミノ酸残基430-510(配列番号:22-26)。これらは、図11Bにおいても概略的に表されている。図12は、ヒトラミニン411の2つのα4-鎖アイソフォームに関するアミノ酸配列を示す。図12AはGenBankアクセッション番号NP001098676(配列番号:27)に対応するアミノ酸配列を示す。図12は、ヒトラミニン411の2つのα4-鎖アイソフォームに関するアミノ酸配列を示す。図12BはGenBankアクセッション番号NP001098677(配列番号:28)に対応するアミノ酸配列を示す。詳細な説明1.定義及び略称1.1.定義 本明細書で用いられる「個体」又は「対象」は、ヒト、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヤギ、ブタ、ブタ、ヒツジ、サル、モルモット、ラット及びマウスを含む哺乳類動物(例えば、家畜動物)のいずれかであってもよい。一実施形態として、個体又は対象は、ヒトであってもよい。 「MCAM」(メラノーマ細胞接着分子(別名CD146及びMUC18))は、細胞接着、及び、維管束組織における細胞間結合での内皮単層の凝集に関与する免疫グロブリンスーパーファミリーに属する細胞表面糖タンパク質を指す。これは、メラノーマ及び前立腺癌を含む多くの癌の腫瘍発達も促進する。これは、同型/同種様式で相互作用し、他のリガンドに結合することもできることが知られている。ヒトMCAMは、配列番号:11(図11A)のアミノ酸配列を有する。これは、配列番号:22-26として示される5つの免疫グロブリンドメイン(1:アミノ酸残基19-129;2:アミノ酸残基139-242;3:アミノ酸残基244-321;4:アミノ酸残基335-424;及び、5:アミノ酸残基430-510)を含む。これは、図11Bにおいても概略的に表されている。 「ラミニンα4鎖」は、ラミニン分子に見られるポリペプチド鎖の1つを指す。これは、(基底膜の)基底層に発現しており、大部分の細胞及び臓器に関するタンパク質ネットワークの基礎である。ラミニンは、原形質膜分子を介して細胞膜に結合し、細胞付着に関与することが知られている。ラミニンα4鎖は、典型的には、ラミニンβ-鎖及びラミニンγ-鎖との複合体を形成する。ラミニンα4鎖は、限定するものではないが、ラミニン411(ラミニン8又はα4β1γ1);ラミニン421(ラミニン9又はα4β2γ1)及びラミニン423(ラミニン14又はα4β2γ3)を含む多数のラミニン分子で見られる。ヒトラミニンα4-鎖には、2つの主要アイソフォーム(図12A-Bに示すGenBankアクセッション番号NP001098676及びNP001098677(アミノ酸配列の配列番号:27-28))が存在する。ラミニン411とは、3つのポリペプチドサブユニット又は鎖(α4-鎖、β1-鎖及びγ1-鎖)からできている三量体ポリペプチド複合体をいう。 「アンタゴニスト」という用語は、最も広い意味で用いられ、これにはMCAMポリペプチドの質的な生物活性を部分的又は充分に遮断、阻害又は中和する任意の分子が含まれる。本発明の目的では、生物活性とは、好ましくは、(i)MCAMのリガンドラミニンα4鎖(例えば、ラミニン411のα4鎖)に特異的に結合する、及び/又は(ii)MCAM発現細胞(例えば、TH17細胞)が対象の組織へ浸潤又は移動することを容易にする、MCAMの能力を阻害する能力である。例えば、MCAMのアンタゴニストは、例えば、そのリガンドであるラミニンα4鎖(例えば、ラミニン411のα4鎖)に対するMCAMの特異的結合を阻害又は遮断するそれらの能力に基づいて同定することができる。MCAMアンタゴニストには、具体的には、キメラ、ヒト化及びヒト抗体及びそれらの機能的な断片を含む抗体(例えば、アンタゴニスト又は中和抗体)、低分子、リボザイム、アプタマー、ペプチド及びポリペプチドアンタゴニスト又はアンタゴニスト抗体をエンコードする核酸が含まれるが、これらに限定されない。 MCAMアンタゴニスト抗体という用語は、MCAMの活性を阻害又は中和する抗体を指す。かかる抗体は、具体的には、CNSへのMCAM発現細胞の浸潤に関わるポリペプチド標的(例えば、MCAM又はラミニンα4鎖(例えば、ラミニン411のα4鎖))に結合する。 「遮断」抗体、「中和」抗体又は「アンタゴニスト」抗体は、それが結合する抗原の生物活性を阻害又は低減させるものである。かかる抗体は、抗原の生物活性を実質的又は完全に阻害することができる。 本願明細書において使用する用語「特異的結合」又は「特異的に結合」は、特異的結合対の1つのメンバーが、その特異的結合パートナー以外の分子と任意の統計的に有意な結合性を示さないであろうことを意味する。結合パートナーは、非特異的結合パートナーよりもその特異的結合対のパートナーに対して少なくとも1000倍の結合親和性(見かけの会合定数として測定)を示すことができる。例えば、107モル/L又はそれより高い、典型的に108モル/L又はそれより高い結合親和性でMCAMと結合する抗体は、MCAMに特異的に結合すると考えられる。 MCAMに対する「生物活性」及び「生物学的に活性」という用語は、そのリガンド(ラミニンα4鎖(例えば、ラミニン411のα4鎖))に特異的に結合する及び/又はCNSへのMCAM発現細胞(例えば、TH17細胞)の浸潤を促進するその能力を指す。 用語「MCAM発現細胞」は、MCAMを発現する免疫系細胞を指す。例えば、MCAM発現は、メモリーTリンパ球(例えば、TH17細胞)において多く存在する。 本明細書で使用される用語「結合分子」とは、標的に特異的に結合する分子をいう。この用語には、具体的には、抗体及び抗体断片(例えば、本願明細書において記載されているCDRを1又は複数個含むもの)及びペプチド及び非ペプチド低分子が含まれるが、これらに限定されない。 「抗体」(Ab)及び「免疫グロブリン」(Ig)は、ある共通の構造的特徴を有する糖タンパク質である。抗体が特定の抗原に結合特異性を示す一方、免疫グロブリンは抗原特異性を欠いている抗体及び他の抗体様分子を含む。後者の種類のポリペプチドは、例えば、リンパ系では低水準で生産することができ、ミエローマでは高水準で生産することができる。 本願明細書において用いられる用語「抗体」は、所望の生物活性を示す限り、完全なモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2つの完全な抗体から形成される多重特異性抗体(例えば二重特異性抗体)及び抗体断片を含むことができる。抗体の「抗原結合断片」という用語は、抗原に特異的に結合する完全長免疫グロブリン分子の一部分を指す。従って、抗体の抗原結合断片には、抗原結合性重鎖、軽鎖、重鎖-軽鎖ダイマー、Fab断片、F(ab')2断片、Fv断片、単鎖Fv(scFv)、二重特異性抗体、線形抗体及び1又は複数の抗体断片から形成される多重特異性抗体が含まれる。 「モノクローナル抗体」という本明細書で用いられる用語は、実質的に均一な抗体集団由来の抗体、即ち、実質的に同じ集団であり、同じエピトープに結合する単一の抗体を指すが、モノクローナル抗体の製造中に生じ得る可能性がある変異体(このような変異体は、一般的には、僅かながら存在する)は除外される。かかるモノクローナル抗体は、典型的には、標的に結合する可変領域を有する抗体を含み、上記抗体は、複数の抗体からの抗体選択を含む工程によって得られたものである。例えば、選択工程は、複数のクローン(例えばハイブリドーマクローン、バクテリオファージクローン又は組換えDNAクローンのプール)から一意のクローンを選択することであってもよい。選択された抗体は、例えば、標的への親和性を向上させる、抗体をヒト化する、細胞培養においてその生産性を向上させる、インビボでその免疫原性を低下させる、多重特異性抗体を作成する等のために更に改変させることができる。そして、改変可変領域配列を含む抗体は、本発明のモノクローナル抗体であることも理解すべきである。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体製剤は、それらが他の免疫グロブリンによって典型的に汚されていないという点で有利である。改変「モノクローナル」は、実質的に均一な抗体集団から取得された抗体の特徴を示し、任意の特定方法による抗体製造を必要とするとは解釈されない。例えば、本発明により用いられるモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法を含む様々な技術(例えば、Kohler et al., Nature, 256:495 (1975); Harlow et al., Antibodies: A Laboratory Manual, (Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2nd ed. 1988); Hammerling et al., in the following: Monoclonal Antibodies and T-CeIl Hybridomas 563-681, (Elsevier, N. Y., 1981), recombinant DNA methods (例えば、以下を参照、米国特許番号4,816,567), phage display technologies (例えば、以下を参照、Clackson et al., Nature, 352:624-628 (1991); Marks et al., J. MoI. Biol., 222:581-597 (1991); Sidhu et al., J. MoI. Biol. 338(2):299-310 (2004); Lee et al., J.Mol.Biol.340(5):1073-1093 (2004); Fellouse, Proc. Nat. Acad. Sci. USA 101(34):12467-12472 (2004); and Lee et al. J. Immunol. Methods 284(1-2):119-132 (2004) and technologies for producing human or human-like antibodies from animals that have parts or all of the human immunoglobulin loci or genes encoding human immunoglobulin sequences (例えば、以下を参照、WO98/24893, WO/9634096, WO/9633735,及びWO/91 10741, Jakobovits et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:2551 (1993); Jakobovits et al., Nature,362:255-258 (1993); Bruggemann et al., Year in Immune, 7:33 (1993); 米国特許番号5,545,806, 5,569,825, 5,591,669 (全てGenPharm); 5,545,807; WO 97/17852, 米国特許番号5,545,807; 5,545,806; 5,569,825; 5,625,126; 5,633,425; 及び5,661,016, 及び Marks et al., Bio/Technology, 10: 779-783 (1992); Lonberg et al., Nature, 368: 856-859 (1994); Morrison, Nature, 368: 812-813 (1994); Fishwild et al., Nature Biotechnology, 14: 845-851 (1996); Neuberger, Nature Biotechnology, 14: 826 (1996); and Lonberg and Huszar, Intern. Rev. Immunol., 13: 65-93 (1995)によって作成することができる。 本願明細書におけるモノクローナル抗体には、具体的には、重鎖及び/又は軽鎖の一部分が特定の種由来の抗体又は特定の抗体クラス又はサブクラスに属する抗体における対応配列と同一又は相同性がある一方で、その鎖の残りの部分が別の種由来の抗体又は別の抗体クラス又はサブクラスに属する抗体における対応配列と同一又は相同性がある「キメラ」抗体と、その抗体の断片が含まれる(ただし、所望の生物活性を示す場合に限る)(米国特許番号4,816,567; 及びMorrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81:6851-6855 (1984))。本願明細書において関心のあるキメラ抗体は、非ヒト霊長類(例えば旧世界サル、エイプ等)由来の可変ドメイン抗原結合配列及びヒト定常領域配列を含む「霊長類化」抗体と、「ヒト化」抗体を含む。 非ヒト(例えば、齧歯類)抗体の「ヒト化」形態は、非ヒト免疫グロブリン由来の配列を最小限含むキメラ抗体である。ヒト化抗体は、大部分は、レシピエントの超可変領域由来の残基を、非ヒト種(例えば、所望の特異性、親和性及び能力を有するマウス、ラット、ラビット又は非ヒト霊長類)の超可変領域由来の残基(ドナー抗体)で置換したヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。ある場合には、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基で置換される。更に、ヒト化抗体は、レシピエント抗体又はドナー抗体に見られない残基を含むことができる。これらの改変は、抗体性能を更に改良するために実行される。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ及び典型的に2つの可変ドメインを実質的に全て含み、超可変ループの全て又は実質的に全ては非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、FRの全て又は実質的に全てはヒト免疫グロブリン配列のものである。ヒト化抗体は、任意に、免疫グロブリン、典型的にヒト免疫グロブリンの定常領域(Fc)の少なくとも一部分も含むだろう。詳しくは、Jones et al., Nature 321:522-525 (1986); Riechmann et al., Nature 332:323-329 (1988); and Presta, Curr. Op. Struct. Biol. 2:593-596 (1992)を参照。 本願明細書における「完全な抗体」は、2つの抗原結合領域とFc領域を含むものである。好ましくは、完全な抗体は、機能的なFc領域を有する。 参照抗体(又は、任意の他の結合分子)と「同じエピトープに結合する抗体(又は、任意の他の結合分子)」は、競合アッセイにおいてその抗原に対する参照抗体(又は、任意の他の結合分子)の結合を、50%又はそれより高い割合で遮断する抗体(又は、任意の他の結合分子)を指し、逆にいえば、参照抗体(又は、任意の他の結合分子)は、競合アッセイにおいてその抗原に対する抗体の結合を、50%又はそれより高い割合で遮断する。 「親和性成熟(affinity matured)」抗体は、その1又は複数の超可変領域における1又は複数の改変が抗原に対する抗体親和性を、1又は複数のその改変を有しない親抗体と比較して、向上させたものである。好ましい親和性成熟抗体は、標的抗原に対してナノモル又はピコモルの親和性があればよいだろう。親和性成熟抗体は、従来技術において知られている手法によって生産される。Marks et al. Bio/Technology 10:779-783 (1992)には、VH及びVLドメインシャッフリング(domain shuffling)による親和性成熟が記載されている。CDR及び/又はフレームワーク残基のランダムな変異生成は、Barbas et al. Proc Nat. Acad. Sci, USA 91:3809-3813 (1994); Schier et al. Gene 169:147-155 (1995); Yelton et al. J. Immunol. 155: 1994-2004 (1995); Jackson et al., J. Immunol. 154(7):3310-9 (1995); 及びHawkins et al, J. Mol. Biol. 226:889-896 (1992)に記載されている。 任意の脊椎動物種由来の抗体の「軽鎖」は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、κ及びλと呼ばれる2つの明確に異なったタイプの1つに分類される。それらの重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に依存して、完全な抗体は、種々の「クラス」に分類される。完全な抗体には、5つの主要なクラス、IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMが存在し、これらのいくつかは「サブクラス」(アイソタイプ)(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA及びIgA2)へ更に分けることができる。種々の抗体クラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれ、α、δ、ε、γ及びμと呼ばれている。種々の免疫グロブリンクラスのサブユニット構造及び3次元構造は周知である。 「可変」という用語は、可変ドメインのある部分が、抗体間での配列が広く異なっており、各特定の抗体におけるその特定の抗原に対する結合性及び特異性に関与している事実を指す。しかしながら、可変性は、抗体の可変ドメイン全体にわたって均一に分配されていない。それらは、軽鎖及び重鎖可変ドメインの相補性決定領域(CDR)又は超可変領域(HVR)と呼ばれている3つのセグメントに集中している。可変ドメインのより高度に保存された部分は、フレームワーク(FR)と呼ばれている。ネイティブの重鎖及び軽鎖可変ドメインは、各々、4つFR領域を有し、主にβ-シート構造を採用して、3つのCDRに接続し、β-シート構造と接続するループ(場合によってはβ-シート構造の一部を形成するループ)を形成する。各鎖のCDRは、共に、FR領域の直ぐそばに保持されており、他の鎖からのCDRと共に抗体の抗原結合部位の形成に寄与している。定常ドメインは抗体と抗原との結合には直接関与していないが、種々のエフェクター機能(抗体依存性細胞毒性に関する抗体の関与)を持っている。 「Fv」は、完全な抗原認識及び結合部位を含む最小限の抗体断片である。二本鎖Fv種において、この領域は、厳しい非共有結合性の会合による、一つの重鎖-及び一つの軽鎖可変ドメインのダイマーからなる。単鎖Fv種において、1つの重鎖及び1つの軽鎖可変ドメインは、柔軟なペプチドリンカーによって共有結合的に結合させることができる。その結果、この軽鎖及び重鎖は、二本鎖Fv種のものに類似した「ダイマー」構造に関連づけることができる。この構成において、各可変ドメインにおける3つのCDRが相互作用し、VH-VLダイマーの表面に抗原結合部位を規定する。6つのCDRは、連携して、抗原結合特異性を抗体に与える。しかしながら、完全な結合部位より親和性は低いが、単一可変ドメイン(又は、抗原に特異的な3つのCDRだけを含む半Fv)でさえ抗原を認識して結合する能力を有する。 超可変領域又は「HVR」とは、抗原結合の原因となる、抗体のアミノ酸残基を意味する。超可変領域は、一般的に、「相補性決定領域」又は「CDR」(Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md. (1991))由来のアミノ酸残基及び/又は超可変ループ(Chothia and Lesk, J. Mol. Biol. 196: 901-917 (1987))由来のそれらの残基を含む。 「相補性決定領域」又は「CDR」という用語は、本願明細書において使われる場合は、特異的なリガンドと接触して、その特異性を決定する免疫学的受容体の一部を指す。免疫学的受容体のCDRは、受容体タンパク質の中で最も可変的な部分であり、これが、それらの多様性を受容体に与えている。免疫学的受容体のCDRは、受容体の可変ドメインの遠位端にある6つのループ上にあり、このうち3つのループは、受容体の2つの可変ドメインの各々を由来としている。 「エピトープ」という用語は、タンパク質抗原に対して(モノクローナル又はポリクローナル)抗体が結合する部位を指す。典型的に、エピトープは、免疫グロブリンVH-VL対によって従来通り結合する構造のユニットを指す。エピトープは、抗体における最小限の結合部位を規定するものであるため、抗体における特異性の標的を表す。エピトープは、線形又は立体構造であってもよく、3つのアミノ酸ほどの小ささであってもよい。 「低分子」は、本願明細書において、分子量が約600ダルトン未満、好ましくは約1000ダルトン未満と規定される。一般的に、低分子は、非ペプチド有機低分子である。 用語「親和性」、「結合親和性」及び「Kd」は、抗MCAM抗体とMCAMのような各MCAM結合分子−標的複合体に関する平衡解離定数(濃度を単位として表示)を指す。結合親和性は、オフレート定数(off-rate constant)(一般的に、逆時間(例えば、秒-1)を単位として表す)とオンレート定数(on-rate constant)(一般的に、単位時間当りの濃度(例えば、モル/秒)を単位として表す)との比に直接関連する。結合親和性は、例えば、ELISAアッセイ、動力学的排除アッセイ又は表面プラズモン共鳴によって測定可能である。ある種のエピトープは、細胞表面に反復して生じる(多価性)ことができ、反復性エピトープに対する抗体の結合性に関する解離定数(koff)は、同じ抗体と一価型の対応リガンドとの反応と比べて、解離定数が非常に低下する可能性があることに注意されたい。解離定数の低下は、ある抗体-リガンド結合が解離すると、他の結合が二価(又は、多価)抗体を多価リガンドに保持させて、解離した結合は再び結合を形成することができるために生じる。二価(又は、多価)Abと多価リガンドとの間の反応に関する解離定数は、固有の親和性と対比して機能的親和性と称されている。これは、個々のサイトを代表する典型的な抗体に関する会合定数である。 本明細書で用いられる用語「解離」、「解離速度」及び「koff」は、結合分子/標的(例えば抗体/抗原複合体)からの結合分子(例えば抗体)の解離に関するオフレート定数を指すことを意図している。 本明細書で用いられる用語「会合」、「会合速度」及び「kon」は、複合体を形成する標的との結合分子(例えば抗原との抗体)の会合に関するオンレート定数を指すことを意図している。 本明細書で用いられる用語「有効濃度」及び「EC50」は、充分な量の標的分子と相互作用させて試験細胞の約50%に効果を発揮することが可能な結合分子(例:抗体)の濃度を指すことを意図している。 本願明細書で使用する「治療」、「処置」及び「処理」(及び文法的バリエーション(例:「治療する」「処置する」若しくは「処理する」又は「治療的」「処置的」「処理的」))は、治療を受ける個体の自然経過を変化させようとする臨床的処置を指し、予防/防止のために又は臨床的病理の処置中に実施してもよい。上記用語は、処置的治療及び予防又は防止手段を指し、この目的は、望ましくない生理的変化又は疾患を防ぐか遅くする(少なくする)ことである。本発明の目的に関して、有益又は所望の臨床結果には、症状の緩和、疾患レベルの低下、安定した(即ち、悪化していない)疾患状態、疾患進行の遅延又は減速、疾患状態の改善又は緩和及び検出可能-不可能に関わらない(部分的又は全体的)寛解が含まれるが、これらに限定されるものではない。「治療」、「処置」及び「処理」は、治療を受けない場合に予想される生存期間と比較して、生存期間を延ばすことを意味することもできる。治療を必要とする対象には、既に状態又は疾患を罹患している対象だけでなく、状態若しくは疾患を罹患する傾向にある対象又は状態若しくは疾患を予防する対象も含まれる。 「長期」投与は、短期的とは対照的に持続的に薬剤を投与して、所望の効果を長期間維持するようにすることを指す。 「間欠」投与は、途切れること無く連続的に行わない治療というよりはむしろ事実上の周期的な治療である。 「効果的な量」は、所望の予防又は治療結果を達成するために、必要な期間及び用法での効果的な量を指す。効果的な量は、研究者、獣医師、医師又は他の臨床医が探求している、組織、系、動物、個体又はヒトにおける生物学的又は医薬的反応を引き出す活性化合物又は医薬品の量を指す。これには、(A)疾患を予防すること;例えば、炎症性疾患(例えば神経炎症疾患、状態又は障害)を、この疾患、状態又は障害を罹患する可能性があるが未だ疾患の病状又は症状を感じていないか現れていない個体において予防することと、(B)疾患を阻害すること;例えば、炎症性疾患(例えば神経炎症疾患、状態又は障害)を、この疾患、状態又は障害の病状又は症状を感じているか現れている個体において阻害する(即ち、病状及び/又は症状の更なる進行を抑制する)ことと、(C)疾患を改善させること;例えば、炎症性疾患(例えば神経炎症疾患、状態又は障害)を、この疾患、状態又は障害の病状又は症状を感じているか現れている個体において改善させる(即ち、病状及び/又は症状を好転させる)こと、の1又は複数が含まれる。 別途規定されない限り、本願明細書において用いられる全ての技術的及び科学的な用語は、当業者によって一般的に理解されているものと同じ意味である。場合によっては、一般的に理解された意味を有する用語が、明確化及び/又は即時参照のために本願明細書において規定されている。本願明細書にかかる定義を含めていることは、必ずしも、従来技術において一般的に理解されていることと実質的な相違を表すものとして解釈すべきものではない。本願明細書に記載又は参照される技術及び手法は、一般的に周知であり、従来の手順(例えばSambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd. edition (1989) Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N. Yに記載の広く利用されている分子的クローニング手順)を用いて当業者によって一般的に採用されている。必要に応じて、市販のキット及び試薬の使用を伴う手法は、特に明記しない限り、製造業者が規定するプロトコール及び/又はパラメーターに従って一般的には実施させる。従って、本願の方法、キット及び使用を記載する前に、本発明は、例として記載されている特定の手順、プロトコール、細胞株、動物種又は属、構築物及び試薬に限られず、当然変更してもよいことを理解すべきである。本願明細書において用いられる用語は、特定の実施形態だけに関するものであり、本発明の範囲を制限することを目的とするものではなく、添付の特許請求の範囲だけが本発明の範囲を制限することも理解されている。 文脈で別途明確な指示がない限り、本願明細書において使われる通り単数形「a」「及び」及び「the」は、複数の照会先を含む点に注意すべきである。従って、例えば、「抗体」に対する参照には、複数のかかる抗体が含まれ、「用量」に対する参照には、1又は複数回の用量及び当業者にとって周知のその等価物等に対する参照が含まれる。この明細書と特許請求の範囲全体にわたって、用語「含む」又はそのバリエーション(例えば「有する」又は「含み」)は、明記された整数又は整数群を含むことを意味するが、他の任意の整数又は整数群を除外しないことが理解されるだろう。1.2. 略称Ab 抗体CDR 相補性決定領域CFA 完全フロイントアジュバントCFSE カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステルCNS 中央神経系DAPI 4',6-ジアミジノ-2-フェニルインドールDN ドーパミン含有ニューロンEAE 実験的自己免疫脳脊髄炎ECM 細胞間マトリックスFACS 蛍光活性化細胞選別FR フレームワーク領域IFA 不完全フロイントアジュバントIg 免疫グロブリンMCAM メラノーマ細胞接着分子MOG ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)MS 多発性硬化症PD パーキンソン病PMA ホルボールミリステートアセテート2. MCAM MCAM(メラノーマ細胞接着分子)は、メラノーマ抗原として当初は同定された細胞表面糖タンパク質である。この発現は、腫瘍発達と転移能の進行に関連している。MCAMは、113kDAの細胞表面膜内在性糖タンパク質である。これは、シグナルペプチド、5つの免疫グロブリン様ドメイン(1、2、3、4及び5;又は、V-V-C2-C2-C2)、膜貫通領域及び短い細胞質尾部からなる。Lehmann et al., Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 86: 9891-9895 (1989)及び図11Bを参照。MCAMは、免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーであり、BEN(Pourquie et al., Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 89: 5261-5265 (1992))、神経細胞付着分子(N-CAM)(Owens et al., Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 84: 294-298 (1987))、ミエリン関連糖タンパク質(MAG)(Lai et al., Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 84: 4337-4341 (1987))、結腸直腸癌欠失タンパク質(deleted in colorectal cancer protein)(DCC)(Hedrick et al., Genes Devel. 8: 1174-1183 (1994))及びギセリン(gicerin)(Taira et al., Neuron 12: 861-872 (1994))を含むIgスーパーファミリーの多くの細胞接着分子と有意な配列相同性を有する。MCAMの発現は、比較的限られた範囲の正常人体組織と、様々な悪性新生物に検出された。正常成体組織において、MCAMは、内皮細胞(平滑筋細胞)(Shih et al., Lab. Invest. 75: 377-388 (1996); Sers et al., Cancer Res. 54: 5689-5694 (1994))、活性Tリンパ球の亜集団(Pickl et al., J. Immunol. 158: 2107-2115 (1997))及び中間型トロホブラスト(Shih et al., supra)に発現する。MCAMは、平滑筋腫瘍(平滑筋腫及び平滑筋肉腫)、脈管起源の腫瘍(血管肉腫及びカポシ肉腫)、胎盤部トロホブラスト腫瘍、絨毛膜癌及びメラノーマを含む様々な悪性新生物にも発現する(Shih et al., Clinical Cancer Res. 2: 569-575 (1996); Holzmann et al., Int. J. Cancer 39: 466-471 (1987))。MUC18の発現は、ヒトメラノーマ細胞の転移能と直接的な相関関係がある(Bar-Eli, Cancer Metastasis, 18: 377-385 (1999))。 多くの研究によって、腫瘍発達及びメラノーマ転移の標識としてMCAMが同定された。MCAMの発現は、正常メラニン細胞及び良性母斑では存在しないが、多くの原発性黒色腫及び大部分の転移性病変において顕著である(Lehmann et al., supra; Shih et al., supra)。MCAM発現は、腫瘍垂直厚と転移形成にかなり相関している。そして、80%を超える転移性病変ではMCAMを発現している(Lehmann et al., supra; Xie et al., Cancer Res. 57: 2295-2303 (1997); and Shih et al., supra)。MCAMの調節因子は、メラノーマ治療のために作成された。米国特許第7,067,131号を参照。近年では、MCAM調節によって、炎症性サイトカイン分泌T細胞又はそれらの前駆体を同定して選択し、様々な炎症状態を治療することが提案されている。例えば、米国公開特許出願番号第2011/0014183号を参照。3. 神経炎症状態、多発性硬化症及びパーキンソン病 神経炎症状態は、神経系(一実施形態では中央神経系(CNS))の炎症に関連する状態を指し、細胞/組織損傷に関係する。これは、例えば、グリアの高活性化、炎症誘発性サイトカイン/ケモカイン(例えば、TNFα、INFγ、IL-1β)レベルの上昇、血液脳関門透過性の向上、及び/又は、CNSへの免疫細胞(例えば、白血球)のリクルート/浸潤の増加によって典型的に特徴づけられる。例えば、慢性神経炎症(例えば免疫系細胞の慢性活性化関連炎症(即ち、自己免疫関連神経炎症))を挙げることができる。かかる慢性神経炎症は、例えば、多発性硬化症(MS)において観察することができる。加えて、パーキンソン病(PD)は、神経炎症を示す神経組織の疾患(例えば、活性ミクログリア及び浸潤T細胞)である。 多発性硬化症は、進行性の神経学的自己免疫疾患として、慢性病理学的炎症から生じる(Yednock et al., Nature 356: 63-66 (1992); Baron et al., J. Exp. Med. 177: 57-68 (1993))。MSは、米国において約250,000〜350,000人に影響を及ぼしている。多発性硬化症は、特定の自己免疫反応の結果であると考えられ、ある種の白血球が神経繊維を覆う絶縁鞘であるミエリンを攻撃しその破壊を開始する。MSの兆候は、劇的であったり、患者が治療を求めない程度に非常に軽度であったりする。最も共通する症状には、1又は複数の四肢の虚弱、視神経炎による視覚かすみ、知覚障害、二重視及び運動失調症が含まれる。疾患の過程は、3つの一般的なカテゴリー:(1)再発性MS、(2)慢性進行性MS、(3)不活性MS、に階層化することができる。 再発性MSは、神経性機能不全の再発性発作によって一般的に特徴づけられる。MS発作は、一般的に数日から数週間にわたって進行して、その後、完全回復、部分的回復又は回復不能となる可能性がある。発作からの回復は、一般的には、症状のピークかより数週間から数カ月以内であるが、回復までに2年以上続くことは殆ど無い。 慢性進行性MSは、安定又は寛解の段階になく、徐々に進行して悪化することになる。このタイプは、再発性MSの前病歴を有する患者に発病するが、20%の患者で再発しない可能性がある。急性再発は、進行性MSの過程に発生する場合もある。 第3のタイプは、不活性MSである。不活性MSは、様々な程度で固定された神経性欠損によって特徴づけられる。不活性MSに罹患する大部分の患者は、再発性MSの前病歴を有する。MSの過程は、患者の年齢にも依存する。例えば、良好な予後因子には、早期発症(幼年期を除外)、再発性過程及び兆候の5年後にほとんど後遺障がないものが含まれる。対照的に、予後不良は、遅い発病年齢(即ち、40歳以上)及び進行性過程と関係がある。これらの変化は相互に依存している。理由は、慢性進行性MSは、MSを再発する年齢が高齢で開始される傾向にあるためである。慢性進行性MS由来の障害は、通常、個々の患者における進行性対麻痺又は四肢麻痺に起因する。 パーキンソン病(PD)は、運動異常(例えば、休止時振戦、運動緩慢及び硬直)の一次臨床像を示す進行性神経組織の疾患である。PDは、黒質緻密部におけるドーパミン含有ニューロン(DN)細胞の減少によって特徴づけられる(Forno, J. Neurophthol. Exp. Neurol. 55: 259-272 (1996))。PDの特質の1つは、活性化ミクログリア及びT細胞の浸潤によって特徴づけられる神経炎症である。研究によって、PD(例えばミトコンドリアの機能不全、酸化ストレス及びタンパク質分解機構の障害)に関する様々なメカニズムが示されてきたが、PDの原因はわからないままである(Dauer et al., Neuron 39: 889-909 (2003))。最近の所見では、生来免疫と適応免疫の両方がPDの病因において重要な役割を果たす可能性があることを示している(Stone et al., Antioxid. Redox. Signal. 11: 2151-2166 (2009))。特に、活性化ミクログリアとTリンパ球の両方が神経変性に著しく関与していることが、PDの動物モデルで示された。Brochard et al., J. Clin. Invest. 119: 182-192 (2009)を参照。CD4ポジティブT細胞(例えば、炎症誘発性T17細胞)が、PDのミクログリアを活性化することによって細胞毒性を媒介し、及び/又は、黒質DNに毒性効果を直接作用すると仮定されている(Appel, J. Clin. Invest. 119: 13-15 (2009))。4. 自己免疫疾患 本願明細書において自己免疫疾患は、個体の自己組織から生じそれに対する疾患又は障害又は共分離(co-segregate)若しくはその徴候又はそれから生じる状態である。自己免疫疾患又は障害の例には、以下のものが含まれるが、これらに限定されるものではない。関節炎(慢性関節リウマチ(例えば急性関節炎) 、慢性関節リウマチ、痛風、又は、痛風関節炎、急性痛風関節炎、急性免疫学的関節炎、慢性炎症性関節炎、変性性関節炎、コラーゲンII型誘導関節炎、感染性関節炎、ライム関節炎、リウマチ様関節炎、乾癬性関節炎、スチル病、脊椎骨関節炎、及び、若年発症慢性関節リウマチ(骨関節炎) 慢性進行性(progrediente)関節炎、変形性関節炎、原発性(primaria)慢性多発性関節炎、反応性関節炎、及び、強直性脊椎炎)、炎症性高増殖性皮膚病、乾癬(例えば慢性尋常性乾癬、滴状乾癬、膿疱性乾癬及び爪乾癬)、 アトピー性疾患(例えば花粉症及びジョブ症候群)を含むアトピー、 接触皮膚炎、慢性接触皮膚炎、剥脱性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎、アレルギー性接触性皮膚炎、疱疹状皮膚炎、貨幣状皮膚炎、脂漏性皮膚炎、非特異性皮膚炎、原発性刺激性接触皮膚炎及び過敏性皮膚炎を含む皮膚炎、xリンクハイパーIgM症候群、アレルギー性眼内炎症性疾患、蕁麻疹(例えば、慢性自己免疫性蕁麻疹を含む慢性アレルギー性蕁麻疹及び慢性特発性蕁麻疹)、筋炎、多発性筋炎/皮膚筋炎、若年性皮膚筋炎、中毒性表皮壊死症、強皮症(全身性強皮症を含む)、硬化症(例えば全身性硬化症)、多発性硬化症(MS) (例えば脊髄-視覚MS、原発性進行性MS(PPMS)及び再発寛解型MS(RRMS))、 進行性全身性硬化症、アテローム性動脈硬化、動脈硬化、多発性硬化症(sclerosis disseminata)、失調性硬化症、視神経脊髄炎(NMO)、炎症性大腸疾患(IBD)(例えば、クローン病、自己免疫性介在性胃腸疾患、大腸炎(例えば潰瘍性大腸炎) 、潰瘍性大腸炎、顕微鏡的大腸炎、コラーゲン蓄積大腸炎、ポリープ性(polyposa)大腸炎、壊死性腸炎及び全層性大腸炎及び自己免疫性炎症性大腸疾患)、腸炎症、壊疽性膿皮症、結節性紅斑、原発性硬化性胆管炎、呼吸窮迫症候群(成人又は急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、髄膜炎、全ブドウ膜又は部分的ブドウ膜炎症を含む)、 虹彩炎、脈絡膜炎、自己免疫性血液疾患、リウマチ様脊椎炎、リウマチ性滑膜炎、遺伝性血管浮腫、髄膜炎のような脳神経損傷、妊娠性疱疹、天疱瘡様疱瘡、陰嚢掻痒、自己免疫性早発閉経、自己免疫性状態による突然の難聴、IgE媒介疾患(例えばアナフィラキシー性及びアレルギー性及びアトピー性鼻炎)、脳炎(例えばラスマッセンの脳炎及び辺縁及び/又は脳幹脳炎)、ブドウ膜炎(例えば前部ブドウ膜炎、急性前部ブドウ膜炎、肉芽腫性ブドウ膜炎、非肉芽腫性ブドウ膜炎、水晶体抗原性ブドウ膜炎、後部ブドウ膜炎又は自己免疫性ブドウ膜炎)、ネフローゼ症候群を有する及びそれを有さない糸球体腎炎(GN) (例えば慢性又は急性糸球体腎炎(例えば原発性GN 、免疫介在性GN、膜質GN(膜性腎症)、特発性膜性GN又は特発性膜性腎症、I型及びII型を含む膜又は膜質増殖GN(MPGN)及び急速進行性GN))、増殖性腎炎、自己免疫性多腺性内分泌機能不全、形質細胞限局性亀頭炎を含む亀頭炎、亀頭包皮炎、遠心性環状紅斑、色素異常性固定性紅斑、多形性紅斑、環状肉芽腫、光沢苔癬、硬化性萎縮性苔癬、限局性神経皮膚炎、棘状苔癬、扁平苔癬、層状魚鱗癬、表皮剥離性角質増殖、前癌性角化症、壊疽性膿皮症、アレルギー状態及び反応(アレルギー性反応)、アレルギー性又はアトピー性湿疹、乾皮性湿疹、発汗異常性湿疹、及び、汗疱状湿疹(vesicular palmoplantar eczema)を含む湿疹、喘息(例えば気管支喘息(asthma bronchiale)、気管支喘息(bronchial asthma)及び自己免疫性喘息)、T細胞の浸潤及び慢性炎症反応を伴う状態、外来抗原(例えば妊娠中の胎児のABO血液型)に対する免疫反応、慢性炎症性肺疾患、自己免疫性心筋炎、白血球接着不全症、狼瘡(ループス)(ループス腎炎、ループス脳炎、小児ループス、非腎臓ループス、腎外性ループス、円板状ループス及び円板状エリテマトーデス、ループス脱毛症、全身性エリテマトーデス(SLE) (例えば皮膚SLE又は亜急性皮膚SLE ) 、新生児ループス症候群(NLE)及び播種性紅斑性狼瘡を含む)、小児インスリン依存型糖尿病(IDDM)、成人発症型糖尿病(II型糖尿病)、自己免疫性糖尿病、特発性尿崩症、糖尿病性網膜症、糖尿病ネフロパシー、糖尿病性大動脈障害を含む若年発症(I型)糖尿病、サイトカイン及びTリンパ球によって媒介される急性及び遅発性過敏症関連免疫反応、結核、サルコイドーシス、リンパ腫様肉芽腫症、ヴェーゲナー肉芽腫症、無顆粒球症を含む肉芽腫症、脈管炎(脈管炎、大血管脈管炎(リウマチ性多発性筋痛及び巨細胞(高安)動脈炎を含む)、中血管脈管炎(川崎病及び結節性多発動脈炎/結節性動脈周囲炎を含む)、顕微鏡的多発性動脈炎、免疫性脈管炎(immunovasculitis)、CNS脈管炎、皮膚血管炎、過敏性血管炎、壊死性血管炎(例えば全身性壊死性血管炎)及びANCA関連脈管炎(例えばチャーグストラウス脈管炎又は症候群(CSS))及びANCA関連小血管脈管炎を含む)、側頭動脈炎、無形成性貧血、自己免疫性無形成性貧血、クームス陽性の貧血、ダイヤモンドブラックファン貧血、溶血性貧血又は免疫性溶血性貧血(自己免疫性溶血性貧血(AIHA)を含む)、悪性貧血(悪性熱貧血)、アジソン病、真正赤血球性貧血又は形成不全(PRCA)、第VIII因子欠乏、血友病A、自己免疫性好中球減少症、汎血球減少症、白血球減少症、白血球漏出を伴う疾患、CNS炎症性疾患、多臓器損傷症候群(例えば敗血症、外傷又は出血に起因するもの)、 抗原抗体複合体媒介疾患、抗糸球体基底膜疾患、抗燐酸脂質抗体症候群、アレルギー性神経炎、ベーチェット病/症候群、カースルマン症候群、グッドパスチャー症候群、レイノー症候群、シェーグレン症候群、スティーベンズ-ジョンソン症候群、類天疱瘡(例えば水疱性類天疱瘡及び皮膚性類天疱瘡(skin pemphigoid))、 天疱瘡(尋常天疱瘡、落葉状天疱瘡、天疱瘡性粘膜類天疱瘡及び紅斑性天疱瘡を含む)、自己免疫性多腺性内分泌障害、ライター病又は症候群、熱障害、子癇前症、免疫複合体障害(例えば免疫複合体腎炎)、抗体媒介腎炎、多発性神経炎、慢性神経障害(例えばIgM多発性神経炎又はIgM媒介神経障害)、血小板減少症(例えば、心筋梗塞患者に発病するもの)(血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、輸血後紫斑病(PTP)、ヘパリン起因性血小板減少症及び自己免疫性又は免疫介在性血小板減少症(例えば特発性血小板減少性紫斑病(ITP)(慢性又は急性ITPを含む)を含む)、 強膜炎(例えば特発性角膜強膜炎、上強膜炎) 自己免疫性精巣炎及び卵巣炎を含む精巣及び卵巣の自己免疫疾患、原発性甲状腺機能低下症、副甲状腺機能低下症、自己免疫性内分泌疾患(甲状腺炎(例えば自己免疫性甲状腺炎、橋本病、慢性甲状腺炎(橋本甲状腺炎)又は亜急性甲状腺炎)を含む)、自己免疫性甲状腺疾患、特発性甲状腺機能低下症、グレーブス病、多腺性症候群(例えば自己免疫性多腺性症候群(又は、多腺性内分泌病症候群))、神経性腫瘍随伴症候群(例えばランバート-イートン筋無力症症候群又はイートン-ランバート症候群)を含む腫瘍随伴症候群、スティッフマン症候群又はスティッフパーソン症候群、脳脊髄炎(例えばアレルギーの脳脊髄炎又はアレルギー性脳脊髄炎及び実験アレルギー性脳脊髄炎(EAE))、 重症筋無力症(例えば胸腺腫関連重症筋無力症)、 小脳変性症、神経ミオトニー、オプソクローヌス、又は、オプソクローヌスミオクローヌス症候群(OMS)、そして、感覚性ニューロパシー、多巣性運動ニューロパシー、シーハン症候群、自己免疫性肝炎、慢性肝炎、ルポイド肝炎、巨細胞性肝炎、慢性活動性肝炎又は自己免疫性慢性活動性肝炎、リンパ性間質肺炎(LIP)、閉塞性細気管支炎(非移植)対NSIP、 ギランバレー症候群、ベルガー病(IgA腎症)、特発性IgA腎症、線状IgA皮膚症、急性熱性好中球性皮膚症、角層下膿疱症、一過性棘融解性皮膚症、硬変(例えば原発性胆汁性肝硬変及び肺硬変) 自己免疫性腸疾患症候群、セリアック病、セリアックスプルー(グルテン性腸症)、難治性スプルー、特発性スプルー、クリオグロブリン血症、筋萎縮性側索硬化症(ALS;ルーゲーリック病)、冠状動脈疾患、自己免疫性耳疾患(例えば自己免疫性内耳疾患(AIED))、自己免疫性難聴、多発性軟骨炎(例えば難治性又は再発又は再発性多発性軟骨炎)、肺胞たんぱく症、コーガン症候群/非梅毒性角膜実質炎、ベル麻痺、スウィート病/症候群、自己免疫性酒さ、帯状疱疹関連痛、アミロイドーシス、非癌性リンパ球増多症、原発性リンパ球増多症(モノクローナルB細胞リンパ球増多症(例えば、良性単クローン性免疫グロブリン症及び意義不明の単クローン性高ガンマグロブリン血症(MGUS))を含む)、末梢神経障害、腫瘍随伴症候群、チャネル病(例えばてんかん、片頭痛、不整脈、筋疾患、聴覚障害、失明、周期性四肢麻痺及びCNSのチャネル病)、自閉症、炎症性ミオパシー、巣状又は分節状又は巣状分節状糸球体硬化症(FSGS)、内分泌眼病、ブドウ膜網膜炎、脈絡網膜炎、自己免疫性血液病、線維筋痛、多発性内分泌機能不全、シュミット症候群、副腎炎、胃萎縮症、初老期痴呆、脱髄疾患(例えば自己免疫性脱髄疾患及び慢性炎症性脱髄・髄鞘除去性多発性神経障害)、ドレスラー症候群、円形脱毛、全脱毛、CREST症候群(石灰沈着症、レイノー現象、食道運動障害、強指症及び毛細血管拡張)、雌雄自己免疫性不妊性(例えば、抗精子抗体に起因するもの)、混合性結合組織病、シャーガス病、リウマチ熱、反復流産、農夫肺、多形紅斑、心臓切開後症候群、クッシング症候群、愛鳥家肺、アレルギー性肉芽腫性脈管炎、良性リンパ球性血管炎、アルポート症候群、肺胞炎(例えばアレルギー性肺胞炎及び線維化性肺胞炎)、間質性肺疾患、輸血反応、ハンセン病、マラリア、寄生虫疾患、例えば、リーシュマニア症、キパノソミアシス(kypanosomiasis)、住血吸虫症、蛔虫症、アスペルギルス症、サムター症候群、キャプラン症候群、デング熱、心内膜炎、心内膜心筋線維症、びまん性間質性肺線維症、びまん性間質性肺線維症、肺線維症、特発性肺繊維症、嚢胞性線維症、眼内炎、持久性隆起性紅斑、胎児赤芽球症、好酸球性筋膜炎、シャルマン症候群、フェルティ症候群、フィラリア症、毛様体炎(例えば慢性毛様体炎、ヘテロ慢性毛様体炎、虹彩毛様体炎(急性又は慢性)又はフックス毛様体炎)、ヘノッホ-シェーンライン紫斑病、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染、SCID、後天性免疫不全症候群(AIDS)、エコーウィルス感染、敗血症、内毒血症、膵臓炎、甲状腺炎(thyroxicosis)、パルボウィルス感染、風疹ウイルス感染、予防接種後症候群、先天性風疹感染、EBウィルス感染、耳下腺炎、エヴァン症候群、自己免疫性腺機能不全、シドナム舞踏病、連鎖球菌感染後腎炎、閉塞性血栓性血管炎(thromboangitis ubiterans)、甲状腺中毒症、脊髄癆、脈絡膜炎、巨細胞多発筋痛、慢性過敏性肺炎、乾性角結膜炎、流行性角結膜炎、特発性腎炎症候群、微小変化型腎症、良性家族性及び虚血-再灌流損傷、移植臓器再灌流、網膜自己免疫症、関節炎、気管支炎、慢性閉塞性気道/肺疾患、ケイ肺症、アフタ、アフタ性口内炎、動脈硬化性障害、アスペルミオジェネース(aspermiogenese)、自己免疫性溶血、ベック病、クリオグロブリン血症、デュピュイトラン拘縮、水晶体過敏性眼内炎、アレルギー性腸炎、癩性結節性紅斑、特発顔面神経麻痺、慢性疲労症候群、リウマチ性熱病、ハンマンリッチ病、感覚神経性難聴、発作性ヘモグロビン尿症、性腺機能低下症、回腸炎領域、白血球減少、伝染性単核球症、横移動脊髄炎、原発性特発性粘液水腫、ネフローゼ、交感性眼炎(ophthalmia symphatica)、精巣炎肉芽腫性、膵臓炎、急性多発性神経根炎、壊疽性膿皮症、ケルバン甲状腺炎、後天性脾臓萎縮、非悪性胸腺腫、白斑、トキシックショック症候群、食中毒、T細胞浸潤を伴う状態、白血球接着不全症、サイトカイン及びTリンパ球によって媒介される急性及び遅発性過敏症関連免疫反応、白血球漏出を伴う疾患、多臓器損傷症候群、抗原抗体複合体媒介疾患、抗糸球体基底膜疾患、アレルギー性神経炎、自己免疫性多腺性内分泌障害、卵巣炎、原発性粘液水腫、自己免疫性萎縮性胃炎、交感性眼炎、リウマチ病、混合性結合組織病、ネフローゼ症候群、膵島炎、ポリ内分泌機能不全、自己免疫性多腺性症候群I型、成人発症型特発性副甲状腺機能低下症(AOIH)、心筋症(例えば拡張型心筋症) 、後天性表皮水疱症(EBA)、ヘモクロマトーシス、心筋炎、ネフローゼ症候群、原発性硬化性胆管炎、化膿性又は非化膿性副鼻腔炎、急性又は慢性副鼻腔炎、篩骨、前頭骨、上顎又は蝶形骨洞炎、好酸球性関連障害、例えば、好酸球増加症、肺好酸球増多症、好酸球増加筋痛症候群、レフラー症候群、慢性好酸球性肺炎、熱帯性肺好酸球増多症、気管支肺炎アスペルギルス症、アスペルギローム又は好酸球を含む肉芽腫)、 アナフィラキシー、血清陰性椎骨関節炎、ポリ内分泌自己免疫疾患、硬化性胆管炎、強膜、強膜上板、慢性皮膚粘膜カンジダ症、ブラットン症候群、一過性乳児低ガンマグロブリン血症、ウィスコット-アルドリッチ症候群、血管拡張性失調症症候群、脈管拡張、膠原病関連自己免疫不全、リウマチ、神経疾患、リンパ節炎、血圧反応の低下、脈管機能不全、組織損傷、心臓血管虚血、痛覚過敏、腎乏血、脳虚血、そして、血管新生を伴う疾患、アレルギー性過敏性障害、糸球体腎、再灌流損傷、虚血性再灌流障害、心筋又は他の組織の再灌流損傷、リンパ腫の気管気管支炎、炎症性皮膚症、 急性炎症性成分による皮膚症、多発性臓器故障、水疱性疾患、腎皮質壊死、急性化膿性髄膜炎又は他の中央神経系炎症性疾患、眼及び眼窩炎症性疾患、顆粒球輸血関連症候群、サイトカイン誘導毒性、ナルコレプシー、急性重症炎症、慢性難治性炎症、腎盂炎、動脈内膜過形成、消化性潰瘍、心弁膜炎及び子宮内膜症。5. MCAMアンタゴニスト 本発明は、MCAMのアンタゴニストを提供するものである。かかるアンタゴニストには、直接MCAMに作用するもの(例えば、抗MCAM抗体)と、間接的にMCAM活性に影響を及ぼすもの(例えば、抗ラミニンα4鎖抗体)が含まれる。かかるアンタゴニストは、例えば、中央神経系(CNS)へのMCAM発現細胞の浸潤によって特徴づけられるCNS炎症性疾患を治療するのに有効である。一実施形態において、MCAMアンタゴニストを含む組成物は、哺乳類対象の炎症を軽減させるのに有効である。別の実施形態において、かかる組成物は、MCAM発現細胞のCNS浸潤を部分的に又は充分に阻害するのに有効である。MCAMアンタゴニストの例として、1又は複数のドメイン(例えば、ネイティブ配列MCAMポリペプチドの免疫グロブリンドメイン又はネイティブ配列ラミニンα4鎖ポリペプチド(例えば、ラミニン411のα4鎖)のドメイン)に対するアンタゴニスト又は中和抗体又は抗体断片、低分子、リボザイム、アプタマー、ペプチド及びポリペプチドアンタゴニスト又はアンタゴニスト抗体をエンコードする核酸が挙げられるが、これらに限定されるものではない。アンタゴニストに対する参照には、単一のアンタゴニストが含まれる。一実施形態として、MCAMアンタゴニストは、キメラ、ヒト化及びヒト抗体並びにそれらの機能的な断片を含む抗体であるが、これらに限定されるものではない。 好ましい実施形態において、ラミニンα4鎖は、ラミニン411のα4鎖である。別の好ましい実施形態において、MCAMアンタゴニストは、配列番号:22及び/又は配列番号:23のアミノ酸配列を含むMCAMドメインとラミニンα4鎖との相互作用を遮断する。5.1 MCAMアンタゴニストを同定するスクリーニングアッセイ 本発明は、MCAMアンタゴニストを同定するスクリーニングアッセイを含む。これは、中央神経系(CNS)へのMCAM発現細胞の浸潤によって特徴づけられる炎症性状態の治療に有用なものを見つけ出すアッセイである。 一つの態様では、本発明は、MCAM発現細胞によるCNS浸潤の阻害剤を同定する方法に関するものであり、以下のステップを含む。(a)ラミニンα4鎖(例えば、ラミニン411のα4鎖)を発現している細胞の集団と、MCAMとを、候補分子の存在又は非存在下でインキュベートするステップと、(b)細胞に対するMCAMの結合レベルをモニターするステップと、(c)MCAM結合のレベルが上記候補分子が非存在の場合よりも存在している場合の方が低い場合、前記候補分子をMCAM発現細胞によるCNS浸潤の阻害剤として同定するステップ。一実施形態として、候補分子は、低分子、ペプチド、ポリペプチド、及び抗体からなる群より選択される。当業者であれば、他のタイプの候補分子であっても適合することを理解している。別の一実施形態において、MCAMの結合レベルは、蛍光顕微鏡、FACS及びELISAを含む公知技術によってモニターされるが、これらに限定されるものではない。1つの別の実施形態において、ラミニンα4鎖発現細胞は、内皮細胞である。好ましい実施形態において、ラミニンα4鎖は、ラミニン411のα4鎖である。 アンタゴニスト候補薬のスクリーニングアッセイは、MCAM(サブユニット又は他の断片単独を含む)又はMCAMリガンド(例えばラミニンα4鎖(例えば、ラミニン411のα4鎖))と結合する又は複合体を形成するか、そうでなければMCAMと他の細胞タンパク質との相互作用を妨げることによってMCAMとそのリガンド(例えば、ラミニンα4鎖)との相互作用を妨げる化合物を同定するように設計してもよい。本願明細書において提供されるスクリーニングアッセイには、化学物質ライブラリーのハイスループットスクリーニングに適するアッセイが含まれ、これらを低分子候補薬の同定に特に適することができる。概して、結合アッセイ及び活性アッセイが提供される。 アッセイは、従来技術においてよく特徴づけられる様々なフォーマット(タンパク質-タンパク質結合アッセイ、生化学スクリーニングアッセイ、免疫学的アッセイ及び細胞ベースアッセイを含む。ただし、これらには限定されない)において実行可能である。 アンタゴニスト及びアゴニストに関する全てのアッセイは、候補薬と、MCAMポリペプチド又はMCAMリガンドポリペプチド(例えば、ラミニンα4鎖)又はかかるポリペプチド(具体的には、MCAM及びラミニンα4鎖を含む)の断片とを、これら2つの成分が相互作用できる条件及び充分な時間接触させる必要がある点で共通する。 例えば、ヒトMCAMは646のアミノ酸ポリペプチドであり、その配列はアクセッション番AAA20922.1(CAA48332)(配列番号:11;図11A)でGenBankデータベースから利用可能である。ヒトラミニンα4-鎖に関するアミノ酸配列は、アクセッション番号NP001098676及びNP001098677(配列番号:27-28;図12A-B)でGenBankデータベースから利用可能である。かかるポリペプチドに対する抗体又は低分子結合体を作ることは、充分に当業者の技術範囲内である。 結合アッセイでは、相互作用によって結合し、形成された複合体は、反応混合物において単離又は検出可能である。特定の実施形態では、MCAM若しくはMCAMリガンドポリペプチド又は候補薬は、固相(例えば、共有又は非共有結合によってマイクロタイタープレート上)に固定される。非共有結合は、固相表面をMCAM又はMCAMリガンドポリペプチドの溶液で被覆して乾燥させることで、一般的には成し遂げられる。あるいは、固定されるMCAM又はMCAMリガンドポリペプチドに特異的な固定化抗体(例えば、モノクローナル抗体)を用いて、それを固相表面に固定することができる。アッセイは、非固定化成分(検出可能標識による標識が可能)を固定化成分(例えば、固定成分を含む被覆表面)に加えることによって実行される。反応が完了した後、例えば、洗浄によって未反応成分を除去して、固相表面に結合した複合体を検出する。当初の非固定化成分が検出可能標識を有する場合は、表面に固定された標識が検出されると、複合体が生じたことが示される。当初の非固定化成分がラベルを有さない場合は、例えば、固定した複合体に対して特異的に結合する標識抗体を用いて複合体を検出することができる。 候補化合物が、あるポリペプチドとは相互作用するが、MCAM又はMCAMリガンドポリペプチドとは結合しない場合、それぞれのポリペプチドとのその相互作用は、タンパク質-タンパク相互作用を検出する公知の方法によってアッセイ可能である。かかるアッセイには、クロスリンク、免疫共沈降及びグラジエント又はクロマトカラムによる共精製等の従来の手法が含まれる。加えて、タンパク質-タンパク相互作用は、Fields and co-workers (Fields and Song, Nature (London), 340:245-246 (1989); Chien et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88:9578-9582 (1991))に記載の酵母ベース遺伝系を、Chevray and Nathans, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89: 5789-5793 (1991)に開示の通りに用いてモニターすることができる。 MCAMと他の細胞外成分(特にMCAMリガンドポリペプチド)との相互作用を妨げる化合物は、以下の通りに試験することができる。通常、反応混合物は、MCAMとMCAMリガンド等の細胞外成分(例えば、ラミニンα4鎖(例:ラミニン411のα4鎖))とが、2つの調製品の相互作用が可能になる充分な時間及び条件で接触するように調製される。MCAMとそのリガンドとの相互作用を阻害する候補化合物の能力を試験するために、上記反応は、試験化合物の非存在及び存在化で実施する。加えて、プラセボを、ポジティブコントロールの役割として、第3の反応混合物に加えてもよい。MCAMがそのリガンド(例えば、ラミニンα4鎖)へ特異的に結合することを示すため、MCAM/MCAMリガンドの相互作用を阻害する試験化合物の能力は、例えば、試験化合物の非存在及び存在下でMCAMとそのリガンド間での結合レベルを測定することによって試験することができる。MCAMの、そのリガンドに対する結合レベルが候補化合物の存在下よりもそれの非存在下の方が低い場合、この候補化合物は本発明の定義によるMCAMアンタゴニストである。 別のスクリーニング手順では、試験化合物の存在及び非存在下での、ラミニンα4鎖(例えば、ラミニン411のα4鎖)発現細胞の集団(これらは、MCAMとインキュベート可能)の使用と、細胞集団に対するMCAMの結合を(例えば蛍光顕微鏡検査法(実施例5にて実例)によって)モニターすることを伴う。他のモニタリング方法は、当業者によって理解されているものであり、それには蛍光活性化細胞選別(FACS)及び酵素結合抗体免疫吸着アッセイ(ELISA)が含まれる。試験化合物の存在下で細胞集団に対するMCAMの結合がその非存在下では低い場合、この試験化合物はMCAMアンタゴニストである。 MCAMの、そのリガンド(例えば、ラミニンα4鎖)に対する結合を阻害するこれらの能力に基づいて同定されるMCAMアンタゴニストは、CNSへのMCAM発現細胞の浸潤によって特徴づけられる神経性炎症状態の治療用候補薬である。 本願明細書において具体的に述べられるスクリーニングアッセイは例示目的であることを強調しておく。他の様々なアッセイは、スクリーニングされるアンタゴニスト候補(例えばポリペプチド、ペプチド、非ペプチド有機低分子、アプタマー、リボザイム、核酸等)のタイプに応じて選択することができる。これらは、当業者にとっては公知であり、同様に本発明の目的に適している。5.2 抗体 一つの態様では、MCAMアンタゴニストは、抗MCAM抗体又は抗ラミニンα4鎖((例えば、ラミニン411のα4鎖)抗体又はその抗原結合性断片である。ある実施形態において、抗MCAM抗体は、MCAMとそのリガンドであるラミニンα4鎖との相互作用を充分に又は部分的に遮断する遮断抗体である。別の実施形態において、抗ラミニンα4鎖抗体は、MCAMとラミニンα4鎖との相互作用を充分に又は部分的に遮断する遮断抗体である。ある種の実施形態において、抗MCAM抗体は、MCAMのリガンド(ラミニンα4鎖)と相互作用するMCAM細胞外ドメインに結合する。好ましい実施形態において、ラミニンα4鎖は、ラミニン411のα4鎖である。 一実施形態において、抗MCAM抗体は、配列番号:11の位置19〜位置129のアミノ酸配列(配列番号:22)を含む又は有するMCAM断片に特異的又は選択的に結合する。別の一実施形態において、抗MCAM抗体は、配列番号:11の位置139〜位置242のアミノ酸配列(配列番号:23)を含む又は有するMCAM断片に特異的又は選択的に結合する。1つの他の実施形態において、抗MCAM抗体は、配列番号:22及び23のアミノ酸配列を含むMCAM断片に特異的又は選択的に結合する。 好ましい実施形態において、アンタゴニスト抗体は、配列番号:22及び/又は配列番号:23のアミノ酸配列を含むMCAMドメインとラミニンα4鎖との相互作用を遮断する。 1つの他の実施形態において、抗MCAM抗体又は抗体断片は、以下の超可変領域(HVR)を含む:a)配列番号:3として示されるHVR-L1;b)配列番号:4として示されるHVR-L2;c)配列番号:5として示されるHVR-L3;d)配列番号:8として示されるHVR-H1;e)配列番号:9として示されるHVR-H2; 及び、f)配列番号:10として示されるHVR-H3。 別の一実施形態において、抗MCAM抗体又は抗体断片は、以下を含む:配列番号:2として示される軽鎖可変ドメイン及び/又は配列番号:7として示される重鎖可変ドメイン。他の実施形態において、抗MCAM抗体又は抗体断片は、以下の超可変領域(HVR)を含む:a)配列番号:14として示されるHVR-L1;b)配列番号:15として示されるHVR-L2;c)配列番号:16として示されるHVR-L3;d)配列番号:19として示されるHVR-H1;e)配列番号:20として示されるHVR-H2; 及び、f)配列番号:21として示されるHVR-H3。 1つの他の実施形態において、抗MCAM抗体又は抗体断片は、以下を含む:配列番号:13として示される軽鎖可変ドメイン及び/又は配列番号:18として示される重鎖可変ドメイン。 別の態様において、本発明は、本願明細書に記載の抗MCAM抗体と実質的に同じエピトープに結合するMCAMアンタゴニストを提供する。一実施形態において、MCAMアンタゴニストは、以下のHVRを含む抗MCAM抗体と実質的に同じエピトープに結合する:a)配列番号:3として示されるHVR-L1;b)配列番号:4として示されるHVR-L2;c)配列番号:5として示されるHVR-L3;d)配列番号:8として示されるHVR-H1;e)配列番号:9として示されるHVR-H2; 及び、f)配列番号:10として示されるHVR-H3。 別の実施形態において、MCAMアンタゴニストは、配列番号:2として示される軽鎖可変ドメイン及び/又は配列番号:7として示される重鎖可変ドメインを含む抗MCAM抗体と実質的に同じエピトープに結合する。 1つの他の実施形態において、MCAMアンタゴニストは、以下のHVRを含む抗MCAM抗体と実質的に同じエピトープに結合する:a)配列番号:14として示されるHVR-L1;b)配列番号:15として示されるHVR-L2;c)配列番号:16として示されるHVR-L3;d)配列番号:19として示されるHVR-H1;e)配列番号:20として示されるHVR-H2; 及び、f)配列番号:21として示されるHVR-H3。 別の実施形態において、MCAMアンタゴニストは、配列番号:13として示される軽鎖可変ドメイン及び/又は配列番号:18として示される重鎖可変ドメインを含む抗MCAM抗体と実質的に同じエピトープに結合する。 本願明細書の発明には、MCAMアンタゴニスト抗体の製造及び使用が含まれる。抗体を生成する方法例は、本願明細書において更に詳細に記載されている。MCAM抗体には、ポリクローナル、モノクローナル、多重特異的、ヒト、ヒト化、霊長類化又はキメラ抗体、単鎖抗体(例えば、scFv)、Fab断片、F(ab')断片、Fab発現ライブラリーによって生産される断片、抗イディオタイプ(抗ID)抗体(例えば、本実施形態の抗体に対する抗Id抗体を含む)及び上記いずれかに関するエピトープ結合断片が含まれるが、これらに限定されるものではない。ヒト抗原結合性抗体断片には、Fab、Fab'及びF(ab')2、Fd、単鎖Fv(scFv)、単鎖抗体、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、及びVL又はVHドメインを含む断片が含まれるが、これらに限定されるものではない。単鎖抗体を含む抗原結合性抗体断片には、ヒンジ領域、CH1、CH2及びCH3ドメインを単独か又はそれら全て若しくはそれらの一部と組み合わせた可変領域を含めてもよい。ヒンジ領域、CH1、CH2及びCH3ドメインを有する可変領域の任意の組合せを含むことができる抗原結合断片も含まれる。上記抗体は、トリ及び哺乳動物を含む任意の動物起源由来であってもよい。典型的に、上記抗体は、ヒト又は他の霊長類、ネズミ(例えば、マウス及びラット)、ロバ、ヒツジ、サル、ラビット、ヤギ、モルモット、ブタ、ラクダ、ウマ又はニワトリ(又は、他のトリ)由来である。本願明細書で用いられる「ヒト」抗体には、ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有する抗体が含まれ、そして、ヒト免疫グロブリンライブラリーから単離された抗体又は1若しくは複数のヒト免疫グロブリンに関するトランスジェニック動物(内因性免疫グロブリンを発現しない動物)から単離された抗体も含まれる(例えば、米国特許第5,939,598号に記載されている)。 別の実施形態において、MCAM抗体は、モノクローナル抗体であってもよい。更に別の実施形態において、上記抗体は、例えば、ペグ化によって化学修飾されてもよい。加えて、他の抗体は、従来技術において利用可能な技術を用いて同定することができる。例えば、MCAMに対して特異的に結合できる抗体は、バクテリオファージディスプレイ技術を用いて生産することができる。MCAMに選択的に結合する抗体断片は、その後、単離することができる。例えば、バクテリオファージディスプレイを介してかかる抗体を生産する方法例は、例えば、米国特許第6,225,447号に開示されている。 モノクローナル抗体は、従来型のハイブリドーマ法を用いて生産することもできる。これらの方法は、多くの特異的抗原に対するモノクローナル抗体を高レベルで分泌するハイブリッド細胞株を生産するために広く採用されており、MCAMに対して特異的に結合できるモノクローナル抗体を生産するために用いることもできる。例えば、マウス(例えば、Balb/cマウス)は、腹腔内注射によって抗原性MCAMエピトープにより免疫化することができる。免疫反応ができる充分な時間を過ぎた後、マウスを殺して、脾臓細胞を取得し、公知技術を用いて骨髄腫細胞と融合させる。得られた融合細胞(ハイブリドーマ)は、次に選択培地において生育させ、限界希釈法条件を用いてかかる培地中で生存細胞を生育させた。クローニング及び再クローニングの後、ハイブリドーマは、MCAMに選択的に結合する(例えば、IgG又はIgMクラス又はIgG1サブクラスの中の)抗体を分泌させるために単離することができる。ヒトに対して使用するための特定の薬剤を生産するために、次に、単離されたモノクローナルを用いてキメラ及びヒト化抗体を生産することができる。 MCAMアンタゴニスト抗体は、哺乳類種から誘導される抗原を使用して選択される。好ましくは、上記抗原は、ヒトMCAM又はラミニンα4鎖(例えば、ラミニン411のα4鎖)である。しかしながら、ネズミMCAM又はラミニンα4鎖のような他の種由来のポリペプチドを、標的抗原として用いることもできる。様々な哺乳類種由来の抗原は、天然源から単離することができる。他の実施形態において、上記抗原は、リコンビナント的に生産されるか、従来技術として知られている他の合成方法を使用してなされる。選択される抗体は、通常、抗原に対する結合親和性が十分に高い。例えば、上記抗体は、ヒトMCAM又はラミニンα4鎖(例えば、ラミニン411のα4鎖)と、約5nM以下、好ましくは約2nM以下及びより好ましくは約500pM以下のKd値で結合することができる。抗体親和性は、例えば、表面プラズモン共鳴を基礎とするアッセイ(例えば実施例にて説明するBIAcoreアッセイ)、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、そして、競合アッセイ(例えばRIA's)によって決定することができる。 上記抗体は、例えば、その治療効果を評価するために、他の生物活性アッセイを受けてもよい。かかるアッセイは、従来技術として公知であり、抗体の標的抗原とその使用目的による。例として、実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)(下記の実施例7に記載)と、MCAMアンタゴニストを同定するためのインビトロ及びインビボアッセイ(本願明細書に記載)が挙げられている。 関心のある抗原上の特定のエピトープに結合する抗体をスクリーニングするために、例えばAntibodies, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Ed Harlow and David Lane (1988)に記載されているルーチンクロスブロッキングアッセイを実施してもよい。あるいは、関心のあるエピトープに抗体が結合するかどうかを決定するために、例えば、Champe et al. (1995) J. Biol. Chem. 270:1388-1394に記載のエピトープマッピングを実施してもよい。 好ましい実施形態において、アンタゴニスト抗体は、独特のバクテリオファージディスプレイ手法を使用して選択される。上記手法は、単一のフレームワークテンプレートに基づく合成抗体バクテリオファージライブラリーの作成、可変ドメイン中の充分な多様性の設計、多様化された可変ドメインを有するポリペプチドの提示、標的抗原に対して高い親和性を有する候補抗体の選択及び選択された抗体の単離を伴う。バクテリオファージディスプレイ法の詳細は、例えば、2003年12月11日に公開のWO03/102157に見つけることができる。バクテリオファージライブラリーから生成した抗体は、親抗体よりも物理的、化学的及び/又は生物学的特性を向上させるために更に改変させることも可能である。使用するアッセイが生物活性アッセイである場合、抗体の変異体は、選択アッセイにおける生物活性が、そのアッセイにおける親抗体の生物活性よりも、少なくとも約10倍良好であり、好ましくは少なくとも約20倍良好であり、より好ましくは少なくとも約50倍良好であり、時には少なくとも約100倍又は200倍良好であることが好ましい。例えば、抗MCAM抗体の変異体は、抗MCAM親抗体(例えばクローン15又は17抗体)の結合親和性よりも、少なくとも約10倍強く、好ましくは少なくとも20倍強く、より好ましくは少なくとも約50倍強い、時には少なくとも約100倍又は200倍強いMCAMに対する結合親和性を好ましくは有する。 キメラ及びヒト化抗体は、非ヒト抗体から生産することができ、それらの生産元となる抗体と同一又は類似の結合親和性を有することができる。キメラ抗体を生産する技術例として、例えば、適切な生物活性のヒト抗体分子由来の遺伝子と適切な抗原特異性のマウス抗体分子由来の遺伝子を接合させることが挙げられる。Morrison et al., 1984 Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 81: 6851; Neuberger et al., 1984 Nature 312: 604;、及び、Takeda et al., 1985 Nature 314: 452を参照。例えば、マウスモノクローナル抗体の可変(V)領域をエンコードする核酸は、ヒト定常(C)領域(例えば、IgG1又はIgG4)をエンコードする核酸に結合させてもよい。従って、得られる抗体は、非ヒト抗体由来の抗原結合ドメインとヒト又は霊長類抗体由来のC又はエフェクタードメインとを一般的に有する種間雑種である。 ヒト化抗体は、主にヒト抗体(即ち、アクセプター抗体)由来の可変領域を有する抗体であるが、相補性決定領域は実質的に非ヒト抗体(ドナー抗体)由来である。Queen et al., Proc. Nat'l. Acad. Sci SA 86: 10029-10033 (1989); WO 90/07861、米国特許第7,435,802号、第6,054,297号; 第5,693,761号; 第5,585,089号; 第5,530,101号;、及び第5,224,539号を参照。これらの抗体の1又は複数の定常領域も、一般的にはヒト抗体由来である。ヒト可変ドメインは、所望の非ヒト可変領域結合ドメインと高い相同性を示す配列を有するヒト抗体から典型的には選択される。重鎖及び軽鎖可変残基は、同じ抗体又は種々のヒト抗体由来とすることができる。加えて、上記配列は、いくつかのヒト抗体に関するコンセンサス配列として選択することができる(例えばWO 92/22653に記載)。 「霊長類化TM抗体」は、霊長類の可変配列又は抗原結合部分とヒト定常ドメイン配列を含む組換え抗体である。例えば、Newman, Bio/Technology, 1992, 10: 1455-60を参照。抗体の霊長類化は、霊長類(例えば、サル)可変ドメインとヒト定常配列を含む抗体を作成する。米国特許第6,113,898号を参照。この技術は、抗体には抗原性があるため、ヒトへの投与時に拒絶されないように抗体を改良することである。この技術は、ヒト抗原又は受容体でのカニクイザルの免疫化に依る。この技術は、ヒト細胞表面抗原を目的とする高親和性モノクローナル抗体をつくるために発展した。 別の態様において、ヒト可変領域中の特定のアミノ酸を、予想される高次構造及び抗原結合特性に基づいて、置換のために選択することができる。これは、コンピューターモデリング、可変領域中のある種の位置におけるアミノ酸の挙動及び結合特性の予測と、置換効果の観察等の技術を用いて決定することができる。例えば、アミノ酸が非ヒト可変領域とヒト可変領域との間で異なる場合、ヒト可変領域は非ヒト可変領域のアミノ酸組成を反映するように変化させることができる。特定の実施形態において、長期間の投与計画において使用する抗体は、米国特許第5,840,299号にて開示しているようなヒト化抗体であってもよい。別の実施形態において、ヒト抗体遺伝子を含むトランスジェニックマウスは、抗原性MCAM構築物によって免疫化することができ、ハイブリドーマ技術は、MCAMに選択的に結合するヒト抗体を作成するために用いることができる。 キメラ、ヒト及び/又はヒト化抗体は、組換え発現(例えばヒトハイブリドーマでの発現(Cole et al., Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, p. 77 (1985))、骨髄腫細胞での発現、又は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞での発現)を用いて生産することができる。あるいは、抗体コード配列は、トランスジェニック動物のゲノムへの導入と、その後のトランスジェニック動物のミルク中への発現のために、導入遺伝子へ組み込むことができる。米国特許第6,197,946号を参照。適切な導入遺伝子例として、乳腺特異的遺伝子(例えば、カゼイン又はラクトグロブリン)由来のプロモーター及び/又はエンハンサーを有する導入遺伝子が挙げられるが、これらに限定されるものではない。5.3 抗体の変異体 本願明細書に記載のMCAMアンタゴニスト抗体に加えて、かかる抗体の変異体を作成することができると考えられる。抗MCAMアンタゴニスト抗体の変異体は、エンコードしているDNAに適切なヌクレオチドの変更を導入することによって、及び/又は所望の抗体を合成することによって作成することができる。当業者であれば、アミノ酸変化が抗MCAM抗体の翻訳後プロセスを変化させる(例えば糖修飾サイトの数又は位置を変える)ことができることを理解しているだろう。 本願明細書に記載のMCAMアンタゴニスト抗体の変異は、例えば、保存的及び非保存的変異の技術及びガイドライン(例:米国特許第5,364,934号に記載)のいずれかを使用してなすことができる。変異は、ネイティブ配列抗体と比較してアミノ酸配列が変化する、抗体をエンコードしている1又は複数のコドンの置換、削除又は挿入でもあってもよい。任意に、変異は、MCAMアンタゴニスト抗体の1又は複数のドメインにおいて、少なくとも一つのアミノ酸を任意の他のアミノ酸に置換することによる。所望の活性に悪影響を与えずにどのアミノ酸残基に挿入、置換又は削除を行なうかを決定するためのガイダンスは、MCAMアンタゴニスト抗体の配列を同種の公知のタンパク質分子のものと比較することと、高い相同性領域においてなされるアミノ酸配列の変更の数を最小化することによって見つけることができる。アミノ酸置換は、1つのアミノ酸を類似の構造的及び/又は化学的特性を有する他のアミノ酸(例えばロイシンをセリンで交換、即ち、保存的アミノ酸置換)に置き換える結果であってもよい。挿入又は削除は、任意に、約1〜5個のアミノ酸の範囲内であってもよい。許容される変異は、配列へのアミノ酸の挿入、削除又は置換を系統的に作成し、全長又は成熟したネイティブ配列によって示される活性に関して、得られた変異体を試験することによって決定することができる。 MCAMアンタゴニスト抗体断片は、本願明細書において提供される。かかる断片は、例えば、完全長ネイティブ抗体と比較して、N末端又はC末端で切られていたり、内部残基を欠いていたりすることができる。ある種の断片では、MCAMアンタゴニスト抗体の所望の生物活性にとって重要ではないアミノ酸残基を欠いている。 MCAMアンタゴニスト抗体断片は、多くの従来型の技術のいずれかによって作成することができる。所望のペプチド断片は、化学的に合成することができる。代わりの手法では、酵素消化によって抗体又はポリペプチド断片を作成すること、例えば、特定のアミノ酸残基によって規定されるサイトでタンパク質を切断することが知られている酵素でタンパク質を処理することによって、又は、適切な制限酵素でDNAを消化すること、及び所望の断片を単離すること、を伴う。更に別の適切な技術では、ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)によって、所望の抗体又はポリペプチド断片をエンコードしているDNA断片を単離して増幅することを伴う。DNA断片の所望の末端を規定するオリゴヌクレオチドは、PCRにおける5'及び3'プライマーとして使用される。好ましくは、抗MCAMアンタゴニスト抗体断片は、少なくとも一つの生物学的及び/又は免疫学的活性を本願明細書に開示のネイティブMCAMアンタゴニスト抗体と共有する。 特定の態様において、関心のある保存的置換は、下記表1の、好ましい置換の見出しの下に示されている。かかる置換によって生物活性に変化が生じる場合は、次に、より実質的な変更を、アミノ酸クラスに関して以下で更に述べるように導入して、製品をスクリーニングする。 MCAMアンタゴニスト抗体の機能又は免疫学的同一性における実質的な修飾は、(a)置換領域におけるポリペプチドバックボーンの構造(例えば、シート又はヘリカル構造)、(b)標的サイトにおける分子の電荷又は疎水性、又は、(c)側鎖のバルク、を維持する効果が著しく異なる置換を選択することによって達成される。天然残基は、共通側鎖特性に基づくグループに分けられる:(1)疎水性:ノルロイシン、met、ala、val、leu、ile;(2)中性の親水性:cys、ser、thr;(3)酸性:asp、glu;(4)塩基性:asn、gln、his、lys、arg;(5)鎖の立体構造に影響を及ぼす残基:gly、pro; 及び、(6)芳香族化合物:trp、tyr、phe。 非保存的置換は、これらのクラスの内の1つのメンバーを他のクラスと交換することを伴うだろう。かかる置換残基は、保存的置換サイトか、より好ましくは残りの(非保存的)サイトに導入することもできる。 変異は、従来技術として知られている方法(例えばオリゴヌクレオチド媒介(部位特異的)変異生成、アラニンスキャン及びPCR変異生成)を使用してもたらすことができる。部位特異的変異生成[Carter et al., Nucl. Acids Res., 13:4331 (1986); Zoller et al., Nucl. Acids Res., 10:6487 (1987)]、カセット変異生成[Wells et al., Gene, 34:315 (1985)]、制限選択変異生成[Wells et al., Philos. Trans. R. Soc. London SerA, 317:415 (1986)]又は他の公知技術は、MCAMアンタゴニスト抗体の変異DNAを生産するためにクローンDNAに対して実施してもよい。 走査アミノ酸分析は、隣接する配列に沿って1又は複数のアミノ酸を同定するために使用することもできる。この中で、好適な走査アミノ酸は、比較的小さい、中性アミノ酸である。かかるアミノ酸には、アラニン、グリシン、セリン及びシステインが含まれる。アラニンは、典型的に、このグループの中で好ましい走査アミノ酸である。理由は、ベータ-炭素の次に側鎖がなく、変異体の主鎖立体構造を変化させそうにないためである[Cunningham and Wells, Science, 244:1081-1085 (1989)]。アラニンは、最も一般的なアミノ酸でもあるため、典型的には好ましい。更に、アラニンは、埋没位置及び露出位置の両方でしばし発見される[Creighton, The Proteins, (W.H. Freeman & Co., N.Y.); Chothia, J. Mol. Biol., 150:1 (1976)]。アラニン置換では適切なレベルの変異が生じない場合は、アイソテリック(isoteric)アミノ酸を用いることができる。 MCAMアンタゴニスト抗体の適切な高次構造の維持に関与しない任意のシステイン残基は、一般的にはセリンで置換して、分子の酸化安定性を向上させ、異常な架橋を防いでもよい。逆にいえば、システイン結合は、その安定性を向上させるため(特に、抗体が抗体断片(例えばFv断片)である場合)に、MCAMアンタゴニスト抗体に加えてもよい。 特に好ましいタイプの置換変異には、親抗体(例えば、ヒト化又はヒト抗体)の1又は複数の超可変領域残基を置換することが含まれる。一般に、更なる発展のために選択される取得変異体は、それらの作成元となる親抗体と比較して、生物学的性質が向上するだろう。かかる置換変異体を生成するための便利な方法には、バクテリオファージディスプレイを用いる親和性成熟が含まれる。簡潔に言えば、いくつかの超可変領域サイト(例えば、6-7のサイト)を変異させて、各サイトにおいて可能性がある全てのアミンに置換する。従って、生じた抗体の変異体は、各線状ファージ粒子中にパックされているM13の遺伝子III産物に対する融合体として線状ファージ粒子から、一価の様式で、提示される。次に、バクテリオファージに提示された変異体を、本願明細書において開示されるように、それらの生物活性(例えば、結合親和性)に関してスクリーニングする。修飾のための候補超可変領域サイトを同定するために、アラニン走査変異生成は、抗原結合に著しく関与する超可変領域残基を同定するために実施することができる。あるいは、又は、加えて、抗原抗体複合体の結晶構造を分析し、抗体とヒトMCAM又はラミニン411ポリペプチドとの間の接触点を同定することは有益であってもよい。かかる接触残基及び隣接残基は、本願明細書において詳しく述べられている技術に従う、置換の候補である。一旦かかる変異体を作成すると、変異体のパネル(panel)に本願明細書に記載のスクリーニングを行い、1又は複数の関連アッセイにおいて優れた特性を有する抗体を更なる発展のために選択してもよい。 好ましい親和性成熟抗体は、成熟抗体から作成された開始抗体(一般的に、ネズミ、ヒト化又はヒト)よりも、5倍、より好ましくは10倍、更により好ましくは20又は30倍大きい親和性を有する。 MCAMアンタゴニスト抗体のアミノ酸配列変異体をエンコードしている核酸分子は、従来技術として知られている様々な方法によって作成される。これらの方法には、天然源からの単離(自然界に存在するアミノ酸配列変異体の場合)又はオリゴヌクレオチド媒介(又は、部位特異的)変異生成、PCR変異生成及びMCAMアンタゴニスト抗体の作成済み変異体又は非変異体のカセット変異生成による調製が含まれるが、これらに限定されるものではない。 本願明細書に記載の抗体と同じエピトープに結合する抗体も本発明に含まれる。例えば、本発明の抗体は、ヒトMCAM(アクセッション番号AAA20922.1/CAA48332)上の1又は複数のアミノ酸残基を含むエピトープに特異的に結合する。ある実施形態において、本発明の抗体は、MCAMに特異的に結合する。この抗体は、ヒトMCAM(例えば、アクセッション番号AAA20922.1/CAA48332)上のエピトープに結合する。 当業者であれば、あるモノクローナル抗体(例えば、完全ヒトモノクローナル抗体)が本発明のモノクローナル抗体(例えば、クローン15及び17)と同じ特異性を有するかどうかを、前者がMCAMに対する後者の結合を妨げるかどうかを確認することによって、過度の実験なしに決定することが可能であるとを認識するだろう。試験されるモノクローナル抗体が、本発明のモノクローナル抗体と競合し、本発明のモノクローナル抗体による結合性の低下が示される場合は、2つのモノクローナル抗体は、同じエピトープか密接に関連するエピトープに結合する。 モノクローナル抗体が本発明のモノクローナル抗体の特異性を有するかどうか決定するための別の方法は、本発明のモノクローナル抗体とMCAM(例えば、実施例において例示しているMCAM-Fc分子)とを事前にインキュベートさせて、試験されるモノクローナル抗体を加え、試験されるモノクローナル抗体がMCAMに結合するその能力を阻害されるか否かを決定することである。試験されるモノクローナル抗体が阻害される場合、その抗体は、おそらく、本発明のモノクローナル抗体と同じエピトープ特異性か機能的に等価なエピトープ特異性を有する。 抗体断片を用いる場合は、標的タンパク質の結合ドメインに特異的に結合する最も小さい抑制性断片が好ましい。例えば、抗体の可変領域配列に基づいて、標的タンパク質配列を結合する能力を保持するペプチド分子を設計することができる。かかるペプチドは、化学的に合成することができる、及び/又は、組換えDNA技術によって生産することができる。Marasco et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 7889-7893 (1993)を参照。6. 使用方法 本発明は、神経炎症状態及び自己免疫疾患のための治療薬として、MCAMアンタゴニストを提供する。所定の疾患又は状態の重症度の予防、治療又は低減のために、本発明の化合物の適切な用量は、上記の通り、治療される疾患又は状態のタイプ、疾患又は状態の重症度及び期間、薬剤が予防目的か治療目的で投与されるのか、以前の治療法、化合物に対する患者の病歴及び反応、及び主治医の裁量次第である。化合物は、一回の治療又は一連の治療を通じて患者に適切に投与される。好ましくは、ヒトでの試験前に、最初にインビトロ、次に有効な動物モデルにおいて、用量反応曲線と本発明の医薬組成物を決定することが望ましい。 一つの態様では、本発明は、T細胞上に発現するMCAMとラミニンα4鎖(例えば、ラミニン411のα4鎖)との相互作用を阻害又は遮断する方法であって、T細胞をMCAMアンタゴニスト(本願明細書に記載)で処理することによってMCAMとラミニンα4鎖との相互作用を阻害するステップを含む方法を提供する。一実施形態において、ラミニンα4鎖は、細胞(例えば、内皮細胞)の表面に発現する。好ましい実施形態において、MCAMアンタゴニストは、抗MCAM抗体である。別の実施形態において、T細胞は、TH17細胞である。1つの他の実施形態において、MCAMアンタゴニストでの処理は、インビボで実施される。更に別の実施形態において、上記処理は、哺乳類対象において実施される。一実施形態において、哺乳類対象は、ヒトである。 別の態様において、本発明は、中央神経系(CNS)へのMCAM発現T細胞の溢出を阻害又は予防する方法であって、T細胞をMCAMアンタゴニスト(本願明細書において記載されているように)で処理することによって、CNSへのMCAM発現T細胞の溢出を阻害又は予防するステップを含む方法を提供する。一実施形態において、MCAMアンタゴニストは、MCAMとラミニンα4鎖(例えば、ラミニン411のα4鎖)との相互作用を遮断する。好ましい実施形態において、MCAMアンタゴニストは、抗MCAM抗体である。1つの他の実施形態において、ラミニンα4鎖は、細胞(例えば、内皮細胞)の表面に発現する。別の実施形態において、T細胞は、TH17細胞である。1つの他の実施形態において、MCAMアンタゴニストでの処理は、インビボで実施される。更に別の実施形態において、処理は、哺乳類対象において実施される。一実施形態において、哺乳類対象は、ヒトである。 1つの他の態様において、本発明は、神経炎症状態又は自己免疫疾患の治療方法を提供する。一実施形態において、上記方法には、それを必要とする哺乳類対象にMCAMアンタゴニストを治療に効果的な量で投与するステップが含まれる。別の態様において、本発明は、神経炎症状態又は自己免疫疾患の進行を遅延又は減速させる方法を提供する。一実施形態において、上記方法には、上記状態又は疾患を有する診断対象に、MCAMアンタゴニストを効果的な量で投与するステップが含まれる。別の態様において、本発明は、神経炎症状態又は自己免疫疾患の徴候を予防する方法を提供する。一実施形態において、上記方法には、上記状態又は疾患の危険にさらされていて対象にMCAMアンタゴニストを効果的な量で投与するステップが含まれ、上記MCAMアンタゴニストは、上記状態又は疾患の徴候の進行に対して効果的である。6.1 神経炎症状態 一つの態様において、MCAMアンタゴニストは、対象における神経炎症状態の進行又は発達、臨床的及び/又は組織学的及び/又は生化学的及び/又は病理学的徴候(症状及び兆候を含む)に対する防止効果又は予防効果を提供する。一実施形態において、神経炎症状態は、CNS炎症及び/又は細胞/組織損傷によって特徴づけられる。一実施形態において、上記徴候には、グリア活性の上昇、炎症誘発性サイトカイン/ケモカインレベル(例えば、TNFα、INFγ、IL-1β)の上昇、血液脳関門透過性の上昇及び/又はCNSへの更なる免疫細胞(例えば、白血球)のリクルート/浸潤が含まれる。別の実施形態において、神経炎症は、免疫系細胞の慢性活性化と関連する進行性又は慢性神経炎症(即ち、自己免疫関連神経炎症)である。慢性神経炎症状態には、再発性多発性硬化症(MS)、慢性進行性MS、不活性MS及びパーキンソン病(PD)が含まれるが、これらに限定されるものではない。別の実施形態において、上記対象は、神経炎症状態の危険にさらされている。一般的に、上記危険にさらされている対象は、本願明細書に記載している神経炎症状態を以前に有していたか、神経炎症状態に関する遺伝子の素因を有するだろう。 神経炎症状態の治療の有効性は、神経炎症状態を評価する際に一般的に用いられる様々な評価によって測定することができる。例えば、CNSヘルスは、視覚障害(例えば、霧視若しくは複視、赤緑色歪み又は失明);四肢の筋脱力;協調運動及びバランス障害;部分的又は完全な麻痺、感覚異常、一過性異常感覚フィーリング(例えば、しびれ、ちくちく痛むこと又は「ピン及びニードル」知覚);痛み;言語障害;震動;めまい;難聴;認知障害(例えば、集中、注意、記憶及び低い判断力に伴う困難性);及び、うつ病を含む(但し、これらに限定されない)MS症状を試験することによって評価することができる。MSテストは、脳脊髄液(CSF)試験(例えば、CNSの炎症を示唆するCSFオリゴクローナルバンド)のための腰椎穿刺(脊椎穿刺);頭部又は脊椎の磁気共鳴画像(MRI)スキャン;そして、神経機能テスト(例えば、誘発電位試験)を含んでもよい。 CNSヘルスは、震動(例えば、手、腕、脚部、顎及び顔面における震え);四肢及び体躯の硬直又は凝り;動作の運動緩慢又は遅鈍;姿勢動揺又はバランス及び共調運動障害;うつ病及び他の感情的な変化;嚥下、咀嚼及び会話困難;尿問題又は便秘;皮膚の問題;睡眠障害;及び脳走査又は他の疾患を除く他の試験を含む(但し、これらに限定されない)PD症状を試験することによって評価することもできる。6.2 自己免疫疾患 自己免疫疾患に関して、「治療」という用語は、自己免疫疾患のための治療的処置及び予防又は防止手段を指し、目的は、標的病理状態又は疾患を予防する又は遅延させる(低減させる)ことである。治療を必要とする対象には、すでに自己免疫疾患を患っている対象だけでなく自己免疫疾患を罹患する傾向にある対象又は自己免疫疾患を予防する対象が含まれる。 1つの態様において、MCAMアンタゴニストは、対象における自己免疫疾患の進行又は発達、臨床的及び/又は組織学的及び/又は生化学的及び/又は病理学的徴候(症状及び兆候を含む)に対する防止効果又は予防効果を提供する。別の実施形態において、上記対象は、自己免疫疾患又は自己免疫疾患再発の危険がある。一般的に、上記危険にさらされている対象は、自己免疫疾患及び/又は1又は複数回の自己免疫疾患再発を患っていたか、自己免疫疾患に関する遺伝子の素因を有するだろう。 一実施形態において、本発明は、本願明細書に記載の疾患、状態又は障害の治療のためのMCAMアンタゴニスト又はその医薬品としてのMCAMアンタゴニストを提供する。別の実施形態において、本発明は、本願明細書に記載の疾患、状態又は障害を治療するための医薬品の製造のためのMCAMアンタゴニストの使用を提供する。1つの他の実施形態において、本発明は、中央神経系(CNS)へのMCAM発現細胞の浸潤によって特徴づけられるCNS炎症性疾患の治療のための医薬品の製造における、本願明細書に記載のMCAMアンタゴニストの使用を提供する。7. 医薬組成物 MCAM又はラミニンα4鎖(例えば、ラミニン411のα4鎖)に特異的に結合するMCAMアンタゴニスト抗体と、先に開示したスクリーニングアッセイによって同定された他のMCAMアンタゴニスト分子は、様々な疾患、特に神経炎症疾患又はCNSへのMCAM発現細胞の浸潤の阻害により利益が得られる疾患の治療のために、医薬組成物の形で投与することができる。 一つの態様では、本発明は、本願明細書において記載されている通り、抗体又はその抗原結合断片を含む医薬組成物に関する。一実施形態において、医薬組成物は、(i)配列番号:22に示すアミノ酸配列を含むMCAMの免疫グロブリンドメインに結合する、単離された抗MCAM抗体又はその抗原結合断片;(ii)配列番号:23に示すアミノ酸配列を含むMCAMの免疫グロブリンドメインに結合する、単離された抗MCAM抗体又はその抗原結合断片;又は、(iii)配列番号:22及び23に示すアミノ酸配列を含むMCAMのドメインに結合する、単離された抗MCAM抗体又はその抗原結合断片、を含む。 別の実施形態において、医薬組成物は、以下の超可変領域(HVR)を含む、単離された抗MCAM抗体又はその抗原結合断片を含む:(i)アミノ酸配列KASKNIDTYLA(配列番号:3)を含むHVR-L1;(ii)アミノ酸配列SGSTL(配列番号:4)を含むHVR-L2;(iii)アミノ酸配列QQHNEYPLT(配列番号:5)を含むHVR-L3;(iv)アミノ酸配列GFTFSNYYMA(配列番号:8)を含むHVR-H1;(v)アミノ酸配列SISFEGNRNHYGDSVK(配列番号:9)を含むHVR-H2;及び、(vi) アミノ酸配列HRGYSTNFYHDVLDAWGQG(配列番号:10)を含むHVR-H3。 1つの他の実施形態において、医薬組成物は、以下の超可変領域(HVR)を含む、単離された抗MCAM抗体又はその抗原結合断片を含む:(i)アミノ酸配列KSSQSLLYSGTQKNYLA(配列番号:14)を含むHVR-L1;(ii)アミノ酸配列WASTRQS(配列番号:15)を含むHVR-L2;(iii)アミノ酸配列QQYYDTLTDT(配列番号:16)を含むHVR-L3;(iv)アミノ酸配列GFKFSNYYMS(配列番号:19)を含むHVR-H1;(v)アミノ酸配列SISDGGGDTFCRDLVKG(配列番号:20)を含むHVR-H2;及び、(vi) アミノ酸配列RGAAMGGVMDAWGQG(配列番号:21)を含むHVR-H3。 別の実施形態において、医薬組成物は、(a)配列番号:2として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン及び配列番号:7として示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン;又は、(b)配列番号:13として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン及び配列番号:18として示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを、有する、単離された抗MCAM抗体又はその抗原結合断片を含む。 更に別の実施形態において、医薬組成物は、本願明細書に記載の抗体と実質的に同じエピトープに結合する、単離された抗MCAM抗体又はその抗原結合断片を含む。1つの他の実施形態において、医薬組成物は、ヒトMCAMと本願明細書に記載の抗体との結合が競合する、単離された抗MCAM抗体又はその抗原結合断片を含む。更なる実施形態において、本発明は、本願明細書において記載されているように、中央神経系(CNS)へのMCAM発現細胞の浸潤によって特徴づけられるCNS炎症性疾患の治療のための医薬品の製造における、抗MCAM抗体又はその抗原結合断片の使用を提供する。 神経炎症状態又は自己免疫疾患の予防又は治療のための本発明の化合物は、静脈内注射によって典型的には投与される。他の方法で用いられる投与には、局所的、腸管外、皮下、腹腔内、肺内、鼻腔内、眼内、眼球内、硝子体内、病巣内、脳脊髄内(intracerobrospinal)、関節内、関節滑液嚢内、髄腔内、経口、局所的、又は、吸入投与が含まれるが、これらに限定されるものではない。非経口注入には、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内又は皮下投与が含まれる。加えて、本願明細書に記載の化合物は、公知方法(例えばボーラスとしての静脈内投与、又は、長い期間にわたる連続注入による静脈内投与)に従って、ヒト対象に投与される。 本発明は、MCAMアンタゴニストに基づく治療のための投与量を提供する。例えば、疾患のタイプ及び重症度に応じて、約1μg/kgから15mg/kg(例えば0.1-20mg/kg)のポリペプチドは、例えば、1又は複数回に分けての投与か連続注入かに関係なく、患者に投与する最初の候補投与量である。典型的な1日の投与量は、前述の要因に応じて、約1μg/kgから100mg/kg又は100mg/kg超の範囲に及んでいてもよい。数日又はそれよりも長い期間にわたる反復投与に関しては、状態に応じて、病徴に対する所望の抑制が発生するまで治療が続けられる。しかしながら、他の投与量計画が有効であってもよい。この治療の進行は、従来技術及びアッセイにより容易にモニターされる。 本願明細書のMCAMアンタゴニスト(MCAMアンタゴニスト抗体を含む)組成物は、良好な医療実務に合わせた様式において調製、投薬、投与される。この文脈において考慮される要因には、治療される特定の疾患、治療を受ける特定の哺乳動物、個々の患者の臨床状態、疾患の原因、薬剤デリバリーのサイト、投与方法、投与計画及び医療実務者にとって公知の他の要素が含まれる。投与されるアンタゴニストの「治療に効果的な量」は、かかる考慮点によって管理されるだろうし、所定の疾患又は状態を防止するか、改善させるか、治療するのに必要な最低限の量である。 ある実施形態では、上記組成物を用いて、対象の疾患又は病状の発症又は再発を防止する。一実施形態において、本発明は、疾患又は病状に影響を受けやすい又はこれらと診断されたヒト患者の生存期間を長くさせるために用いてもよい。生存期間は、最初の薬の投与から死ぬまでの時間として規定される。 治療製剤は、従来技術として知られている標準的な方法を用いて、所望の純度を有する主成分と任意の生理的に許容可能な担体、賦形剤又は安定剤とを混合することによって、調製される(例えば、Alfonso R Gennaro (ed), Remington: The Science and Practice of Pharmacy, formerly Remington's Pharmaceutical Sciences 20th ed., Lippincott, Williams & Wilkins, 2003(その全てが引用により本願明細書に組み込まれる)を参照)。許容可能な担体には、生理食塩水又は緩衝液(例えばリン酸塩、シトラート及び他の有機酸);アスコルビン酸を含む抗酸化剤;低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質(例えば血清アルブミン、ゼラチン又は免疫グロブリン);親水性ポリマー(例えばポリビニルピロリドン、アミノ酸(例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン又はリシン));グルコース、マンノース又はデキストリンを含む単糖、二糖及び他の炭水化合物;キレート剤(例えばEDTA);糖アルコール(例えばマンニトール又はソルビトール);塩-形成性対イオン(例えばナトリウム);及び/又は非イオン性界面活性剤(例えばTWEEN(登録商標)、PLURONICS(登録商標)又はPEG)が含まれる。 任意ではあるが、好ましくは、製剤は、医薬的に許容可能な塩(好ましくは塩化ナトリウム)を、好ましくは約生理的濃度で含有する。 任意に、本発明の製剤には、医薬的に許容可能な保存剤を含有させることができる。ある実施形態において、保存剤の濃度は、0.1から2.0%(典型的にv/v)にわたる。好適な保存剤には、製薬技術において知られているものが含まれる。ベンジルアルコール、フェノール、m−クレゾール、メチルパラベン、及びプロピルパラベンが、好ましい保存剤である。任意に、本発明の製剤には、濃度0.005〜0.02%での医薬的に許容可能な界面活性剤を含ませてもよい。 活性成分は、例えば、コアセルベーション技術又は界面重合法によって作成されるマイクロカプセル(それぞれは、例えば、ヒドロキシエチルセルロース(hydroxymethylcellulose)又はゼラチン-マイクロカプセル及びポリ-(メタクリル酸メチル(methylmethacylate))マイクロカプセル)、コロイドドラッグデリバリーシステム(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、ミクロエマルジョン、ナノ粒子及びナノカプセル)、又は、マクロ乳濁液に封入することもできる。かかる技術は、上記Remington's Pharmaceutical Sciencesに開示されている。 徐放性製剤を作成してもよい。適切な徐放性製剤の例には、抗体を含む固体の疎水性ポリマーの半透性マトリックスが含まれ、上記マトリックスは形のある物(例えば、フィルム又はマイクロカプセル)である。徐放性マトリックスの例には、ポリエステル、ヒドロゲル(例えばポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリル酸)、又は、ポリ(ビニルアルコール))、ポリ乳酸(米国特許第3,773,919号)、L-グルタミン酸及びγエチル-L-グルタミン酸塩のコポリマー、非分解性エチレン-酢酸ビニル、分解可能な乳酸-グリコール酸コポリマー、例えばLUPRON DEPOT(登録商標)(乳酸-グリコール酸コポリマー及び酢酸ロイプロリドで構成される注射可能のマイクロスフェア))及びポリD(-)-3-ヒドロキシ酪酸が含まれる。ポリマー(例えばエチレン-酢酸ビニル及び乳酸-グリコール酸)は100日以上の分子放出を可能にする一方、ある種のヒドロゲルはより短い期間、タンパク質を放出する。カプセル化された抗体が長期間身体に保持されると、それらは37度での湿気暴露の結果として変性又は凝集する可能性があり、その結果として生物活性の低下や免疫原性に考え得る変化が起きる。関係するメカニズムに応じて、合理的な戦略を安定化のために考案してもよい。例えば、凝集メカニズムがチオジスルフィドインターチェンジによる分子間S-S結合形成であると認められた場合、安定化はスルフヒドリル残基を改良することによって、酸性液から凍結乾燥することによって、含水率を制御することによって、適切な添加剤を使用することによって、そして、特定の高分子マトリックス組成物を開発することによって達成することができる。8. 製品及びキット 本発明には、本発明のMCAMアンタゴニスト及び関連材料(例えば取扱説明書)を備えるキットが更に含まれる。取扱説明書には、例えば、MCAMアンタゴニスト及び任意に1又は複数の追加の薬剤の投与に関する指示書を含ませてもよい。本発明は、中央神経系(CNS)へのMCAM発現細胞の浸潤によって特徴づけられるCNS炎症性疾患の治療に関するキットも提供する。上記疾患には、神経炎症状態(例えば多発性硬化症及びパーキンソン病)及び自己免疫疾患が含まれるが、これらに限定されるものではない。本発明のキットには、疾患治療のためのMCAMアンタゴニストの使用及び投与量に関する一組の指示書(一般に書面での指示書)と組み合わせて、少なくとも1つのMCAMアンタゴニスト、好ましくは抗体に関する1又は複数の容器が含まれる。キットに含まれる指示書は、標的疾患(例えば神経炎症状態又は自己免疫疾患)の治療のための投与量、投与計画及び投与経路に関する情報を一般的には含んでいる。MCAMアンタゴニストの容器は、単位投与量、バルクパッケージ(例えば、複数回投与パッケージ)又はサブユニット投与量であってもよい。 一つの態様において、本発明は、本願明細書に記載のMCAMアンタゴニスト及び中央神経系(CNS)へのMCAM発現細胞の浸潤によって特徴づけられるCNS炎症性疾患の治療に用いられる取扱説明書を含むキットを提供する。一実施形態において、本発明は、中央神経系(CNS)へのMCAM発現細胞の浸潤によって特徴づけられるCNS炎症性疾患の治療用キットを提供するものであり、上記キットには、(a)MCAMアンタゴニスト抗体を含む容器と、及び(b)上記抗体を投与して上記CNS炎症性疾患を治療するためのラベル又は指示書が含まれる。好ましくは、CNS炎症性疾患は、神経炎症状態又は自己免疫疾患である。一実施形態において、CNS炎症性疾患は、多発性硬化症又はパーキンソン病である。 治療用途のための製品も提供される、上記製品には、容器と、上記容器上又はそれに伴うラベル又は添付文書が含まれる。適切な容器としては、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ等が挙げられる。容器は、ガラス又はプラスチックのような様々な材料で形成することができる。上記容器は、上記状態を治療するために効果的な組成物を保持し、無菌アクセスポートを有する(例えば、上記容器は、皮下注射ニードルによって貫通可能なストッパーを有するバイアル又は静脈内溶液バッグであってもよい)ことができる。上記組成物中の少なくとも一つの活性薬剤は、本発明のMCAMアンタゴニストである。ラベル又は添付文書は、上記組成物が特定の上記状態を治療するために用いられることを示す。ラベル又は添付文書は、抗体組成物を患者に投与するための指示書を更に含む。本願明細書に記載の組み合わせの治療法を含む製品及びキットも予想される。 添付文書は、かかる治療用製品の使用に関する指示、使用方法、投与量、投与方法、禁忌及び/又は警告に関する情報を含む治療用製品の市販パッケージで慣習的に含まれている指示書を指す。 加えて、上記製品は、医薬的に許容可能な緩衝液(例えば、静菌的注射用蒸留水(BWFI)、リン酸塩緩衝食塩水、リンゲル液及びブドウ糖溶液)を含む第二容器を更に含む。それには、商用及びユーザの観点から望ましいその他の材料(他の緩衝液、希釈液、フィルタ、ニードル及びシリンジを含む)を更に含ませることができる。 以下の実施例は、これらに限定するものと解釈するのではなく、開示されている方法を使用するための手段例である。材料及び方法動物及び細胞操作 8-16週齢のSJLマウス(Jackson)を、CFA中で乳化したPLP 139-151ペプチドを用いて免疫化した。この免疫化実験のために、市販キットであるEK-0122(Hooke Laboratories)を使用した。ある実験では、脾臓を11日後に取り出して、単一の細胞懸濁液にて処理した。ある実験では、後述するインビトロ分析のために脾細胞を処理した。EAE実験のために、PLP免疫化の5、9、13、及び17日後に、PBS、アイソタイプコントロール抗体(BioXcell)又は抗MCAMクローン17のいずれかを用いてマウスに注射した。疾患の進行は、毎日モニターし、標準技術による盲検でスコアを付けた。PLP免疫化の35日後にマウスを殺し、脳及び脊髄を用いて免疫細胞の浸潤を分析した。 EAE組織に対するMCAM-Fc結合の分析では、8-16週齢のC57BL6マウスを、CFA中で乳状したミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)35-55で免疫化した。この免疫化実験のために、市販キットであるEK-0111(Hooke laboratories)を用いた。免疫化された動物は、疾患のピーク時に殺した。脳及び脊髄を、OCT(最適切削温度手段)にて凍結させて記録し、後述する蛍光顕微鏡によって分析した。フローサイトメトリー/標識染色及び検出/FACSプロトコール 健常なヒトドナーから軟膜を取得し(Stanford Blood Center, Palo Alto, CA)、RosetteSep(Stem Cell Technologies)を使用してCD4 T細胞をネガティブに濃縮した。指示がある場合は、磁気ビーズ(Miltenyi Biotec)を使用して、CD4+/CD45RO+メモリーT細胞を更にネガティブに精製した。T細胞を、5日間、10%の熱不活化FCS(HyClone Laboratories)、ペニシリン、ストレプトマイシン、L-グルタミン、抗IFNγ(5μg/ml; R&D Systems)、抗IL4(0.5μg/ml、R&D Systems)及び抗CD28(2μg/ml; BD Pharmingen)を含むRPMIを有する抗CD3(5μg/ml、BD Pharmingen)被覆96ウェルU字型底部プレート中で、平板培養(2x105 細胞/ウェル)した。指示がある場合は、TGFβ(特に明記しない限り、2ng/ml)、IL12、IL1β及び/又はIL-23(合計で20ng/ml)を加えた。全てのサイトカインは、R&D Systemsから取得した。細胞内サイトカインの分析は、PMA(50ng/ml)及びイオノマイシン(500ng/ml; いずれもSigma-Aldrich)及びGolgiStop(BD Pharmingen)の存在化で5時間後に行った。固定、透過化処理、抗-IL-17A(Ebioscience)、IL-22(R&D Systems)、CCL20(R&D Systems)及び/又はFOXP3染色キット(Biolegend)を用いたFOXP3による染色に続いて、抗MCAM(Pharmingen)で表面を染色した。ある実験では、抗CCR7、抗CCR6、抗インテグリンアルファ4、抗インテグリンベータ7又は抗インテグリンベータ1(すべてBD Pharmingen)を用いて、表面発現に関して、非操作全血液を染色した。抗体作成/特性評価 MCAM-Fcは、標準的な技術を使用して、ヒトIgGにネズミMCAMの細胞外ドメインを融合させることによって作成し、CHO細胞において生産した。100μgのMCAM-Fcタンパク質(CFA中で1:1の量)を用いて、Lou/Mラットを免疫化した。2週間の間隔で、MCAM-Fcタンパク質(不完全フロイントアジュバント(IFA)中で1:1の量)を用いて、2回ラットをブーストした。標準的なプロトコールを使用して、免疫化されたラットからハイブリドーマを生成し、Clonepixによってクローンを選択した。CHO細胞に完全長マウスMCAM遺伝子をトランスフェクトして、ネオマイシン及び標準的な技術を用いて安定発現している細胞を選択した。標準的な技術により、カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE)を用いて親CHO細胞(MCAMネガティブ)を蛍光的に標識し、MCAMをトランスフェクトした非標識CHO細胞と1:1の比率で混ぜ合わせた。この細胞混合物を用いて30分間ハイブリドーマ上清をインキュベートし、蛍光標識抗ラット二次抗体を用いたフローサイトメトリーによって潜在的なMCAM特異的抗体の結合を検出した。 ラミニンα4発現細胞株WM2664を追加する前に、蛍光標識マウスMCAM-Fcタンパク質(5μg/mL)を用いて、スクリーニングによりMCAM特異的抗体に関してポジティブであったハイブリドーマ由来の上清と30分間、事前にインキュベートし、上記細胞株に対するMCAM-Fcタンパク質の結合の中和をフローサイトメトリーによって決定した。核酸及びタンパク質操作 マイクロアレイ実験では、上記のように、無関係な3人の健常なドナーから、ヒトCD4+ T細胞を単離して、CD161及びCCR6(両方ともBD Pharmingen)を用いて染色し、CD4+/CD161-/CCR6-(非TH17)及びCD4+/CD161+/CCR6+(TH17)細胞に選別した。各ドナー由来の細胞の半分からRNAを直ちに単離し(循環用)、残り半分は、RNA単離前の4日間、外因性サイトカインの非存在下で上記のようにプレート結合抗CD3と可溶性抗CD28を用いて刺激(活性化)した。RNAを増幅し(Nugen)、Human U133 Plus 2.0 Array (Affymetrix)上にハイブリダイズした。全てのマイクロアレイ実験は、Expression Analysis, Inc. (Durham, NC)で実行した。 CDRの判定では、RNAquous-4PCRキット(Ambion)を使用して、ハイブリドーマ細胞から全RNAを単離し、これをcDNA合成に用いた。Marathon cDNA増幅(Clontech)を改良した方法により、得られたdscDNAの5'末端に結合したcDNAアダプタを用いて第一及び第二ストランドcDNAを合成した。逆特異的プライマーを、重鎖と軽鎖の両方に関する特異的抗体アイソタイプ定常領域配列に基づいて設計し、Pfu Ultra DNAポリメラーゼ(Stratagene)を用いた、VL断片とVH断片の両方のPCR増幅においてアダプタプライマーと共に使用した。増幅されたPCR産物をpCR-Blunt-TOPO(Invitrogen)にクローンし、ヌクレオチド配列を決定した。同一のVL及びVH配列(これらはクローン17)は、軽鎖と重鎖の両方に関する5つの個々のクローンのうちの少なくとも3つから同定された。 上清中のIL-17濃度の測定では、市販のキット(R&D Systems)を用いたELISAで実行した。蛍光顕微鏡法/標準的免疫蛍光方法 EAE誘導マウス由来の組織を、OCTにて凍らせて記録し、10μMで切片化した。切片を、冷アセトンにて固定し、直接共役抗-パン-ラミニン(Novus Biologicals)、MCAM-Fc、抗CD31(BD Pharmingen)又は抗ラミニンα4(Novus biological)を用いて染色した。ある実験では、組織へ追加の前に、MCAM-Fcを抗MCAM抗体と共に事前にインキュベートして、MCAMの、組織上にあるそのリガンドに対する結合の中和性を確認した。マウス分極化実験 CFA中のPLPによって11日間免疫化されたマウス由来の脾細胞を単離して、PLP存在(5μg/mL、Hooke Laboratories)下で培養した。指示がある場合は、ヒトTGFβ(5ng/ml)及び/又はマウスIL-23(20ng/mL)及びネズミIL-1β(20ng/mL)を、10%熱不活化FCS(HyClone Laboratories)、ペニシリン、ストレプトマイシン、L-グルタミン、抗IFNγ(5μg/ml; R&D Systems)、抗IL4(0.5μg/ml、R&D Systems)及びβ-ME(50μM)を含むRPMI中に加えた(5日間)。全てのサイトカインは、R&D Systems由来である。抗CD4、抗NK1.1(両方ともBD Pharmingen)及び上記の通りに作成した抗MCAMによって、上記細胞を染色した。実施例1MCAMは、IL-17産生ヒトCD4+ T細胞において上方制御遺伝子である CNSへのTH17細胞浸潤と関係する新規の標的可能分子を同定するために、健常な3人のドナー由来のヒトCD4+ T細胞を、上述の材料及び方法にて説明したように、磁気ネガティブ選択によって濃縮した。上述の材料及び方法にて説明したように、濃縮したヒトCD4+ T細胞を、CD161及びCCR6の表面発現について染色した後、上記細胞をFACSで2つの集団CCR6-/CD161-(循環非TH17細胞と表す)及びCCR6+/CD161+(循環TH17細胞と表す)に選別した。上述の材料及び方法にて説明したように、各集団における細胞の半分からRNAを即座に単離した。残り半分を、プレート結合抗CD3と可溶性抗CD28での培地(外因性サイトカインなし)に置き(4日間)、活性化非TH17細胞と活性化TH17細胞とを、それぞれ取得した。同様に、これらの2つのタイプの活性細胞からRNAを単離した。上述の材料及び方法にて説明したように、マイクロアレイによりRNAを分析し、TH17細胞において特異的に発現している遺伝子を同定した。 図1Aに示すように、RORγt(公知のTH17転写因子)は、循環及び活性化TH17細胞において上方制御された一方で、IL-17(活性化TH17マーカー)は、活性化TH17集団にほとんどが発現していた。これらの結果は、上記分離及び活性化手順が成功だったことを示している。マイクロアレイ分析から、循環及び活性化TH17細胞において上方制御された遺伝子としてMCAMが同定された。分析結果は、RORγtのものと類似していた(図1A)。 MCAM発現T細胞は、多発性硬化症患者から作成したT細胞クローン中で多く発現していることが以前から述べられており、特に炎症の箇所で顕著である。Brucklacher-Waldert et al., Brian 132: 3329-3341 (2009)を参照; Pickl et al., J. Immunol. 158: 2107-2115 (1997)を参照。ここで、MCAMタンパク質は、小集団であるCD4+ T細胞(典型的には健常なドナーの3-5%)の表面に存在することが明らかとなった。MCAMタンパク質は、T細胞のCD45RO+メモリー集団にほぼ存在することも明らかとなった(図1B)。ヒトCD4+ T細胞を上記のように単離して、ホルボールミリステートアセテート(PMA)/イオノマイシンで4時間刺激した。上述の材料及び方法にて説明したように、刺激されたCD4+ T細胞は、細胞内IL-17及び表面MCAMレベルについて分析した。図1Cに示すように、これらの条件下でIL-17産生T細胞の大多数はMCAMネガティブであったが、MCAMタンパク質はIL-17産生細胞に多く存在していた。MCAMネガティブ細胞のわずか2.3%(2.18%/(2.18% + 92.62%))が、IL-17についてポジティブに染色された一方で、MCAM発現細胞の11.9%(0.62%/(0.62% + 4.58%))がIL-17ポジティブであった。これらのデータを考慮すると、MCAMは、IL-17産生ヒトCD4+ T細胞に多く存在する。 更に、CD4+/CD45RO+メモリーT細胞を、MCAMポジティブとMCAMネガティブ細胞の精製された集団に分けて、抗CD3及び抗CD28を用いてインビトロで刺激すると、MCAMポジティブ集団が、IL-17よりも10倍近く生産された(データは示さない)。潜在的にIL-17を産生する細胞の多くがMCAM発現T細胞の小集団由来であることが明らかになった。一人のドナーにおいて、MCAMポジティブ集団だけが検出可能なレベルのIL-17を生産した。従って、潜在的にIL-17を産生する細胞の多くは、MCAM発現T細胞の小集団由来である。実施例2MCAM発現T細胞は、独特のインテグリン発現プロファイルを有するエフェクターメモリーT細胞である ヒトCD4T細胞のCD45RO+メモリー集団は、(1)組織親和性を有するエフェクターメモリー細胞、及び(2)CCR7の発現に基づいてリンパ系組織に戻る中央メモリー細胞に分けることができる。Sallusto et al., Nature 401: 708-712 (1999)を参照。 どの亜集団がMCAM発現T細胞を含むのかを決定するために、T細胞におけるMCAM発現は、上述の材料及び方法にて説明したように、末梢ヒトT細胞を様々なマーカー(CCR6、CCR7、インテグリンサブユニットアルファ4、ベータ1及びベータ7)で染色することによって更に特徴づけた。MCAM発現CD4+ T細胞は主にCCR7ネガティブであったことから、ほとんどがエフェクターメモリーT細胞であること示し、その多くがおそらく組織に戻るだろう(図2A)。TH17濃縮プロトコールから、得られたMCAM発現T細胞は、CCR6+が偏ることが示唆された。図2Aに示すように、MCAM+細胞の約64%(2.8%/(2.8% + 1.6%))がCCR6を発現する一方で、MCAMネガティブ細胞のわずか16.1%(15.4%/(15.4% + 80%))がCCR6を発現する(図2A)。これらのデータから、MCAMポジティブ細胞はCCR6のリガンドであるCCL20が多いエリアにかなり向性(tropic)があることを示している。Liao et al., J. Immunol. 162: 186-194 (1999)を参照。 MCAM発現T細胞のインテグリン発現パターンを更に特徴づけた。MCAM発現T細胞の大多数は、インテグリンα4ポジティブであるが、主にインテグリンβ7がネガティブでありβ1がポジティブである(図2B)。これは、EAE(実験的自己免疫脳脊髄炎)の病因において伴うT細胞と関連する表現型である。Bauer et al., Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 106: 1920-1925 (2009)を参照。実施例3MCAM発現T細胞は、IL1βによって増加し、TH17条件下で多くのIL-17及びIL-22を生産する MCAM発現CD4+ T細胞は、細胞のわずか3-5%であり、T細胞の小集団である。この集団が増大してTH17エフェクター機能を発揮する条件を決めるのは興味深い。このために、ヒトCD4+/CD45RO+ T細胞を、上述の材料及び方法にて説明したように、精製して、多くのサイトカイン条件(TGF、IL-12、IL-1、IL-23及び様々な組合せ)下で抗CD3及び抗CD28を用いてインビトロで刺激し、MCAM発現細胞とIL-17発現細胞の割合をフローサイトメトリーによって測定した(図3A)。MCAM発現は、IL-1β単独刺激によって増大した(IL-1β非存在下で16.4%対IL-1β存在下38.1%、図3B)。更に、TGFβ単独は、ほとんどMCAMポジティブ集団を増大させない一方で、IL-1βと共に相乗効果的に機能した。その結果、両サイトカインの組合せがメモリーT細胞集団の半分以上をポジティブMCAMにした。MCAM発現細胞の集団を増大させたのと同じ条件下において、IL-17産生細胞の集団は、試験した全てのサイトカイン条件下で、MCAM+集団がかなり増大した(図3C)。事実、TGFβ及びIL-1βの存在下では、IL-17産生細胞の80%超(20.2%/(20.2% + 4.4%))は、MCAMポジティブであった。 IL-17に加えて、公知のTH17関連サイトカインIL-22(Liang et al., J. Exp. Med. 203: 2271-2279 (2006))もMCAM発現T細胞において上昇した。IL-22受容体は、非免疫性細胞(例えば上皮細胞)上に広く発現しており、抗菌反応と組織リモデリングに機能にする。Dumoutier et al., J. Immunol. 167: 3545-3549 (2001)を参照;Zenewicz et al., Int. Immunol. 23: 159-163 (2011)を参照。IL-22は血液脳関門機能に関与することが示されているが、EAEの誘導又は進行に必須ではない。Kreymborg et al., J. Immunol. 179: 8098-8104 (2007)を参照;Kebir et al., Nat. Med. 13: 1173-1175 (2007)を参照。IL-17と同様の方法において、IL-22が発現したMCAM+細胞の割合は著しく高かった(図3D)。 TH17細胞は、CCL20を発現することも報告されていた。Hirota et al., J. Exp. Med. 204: 2803-2812 (2007)を参照。IL-17及びIL-22と同様に、CCL20がポジティブだったMCAM発現T細胞の集団が著しく高く存在していたこと(図3E)は、CCR6+ T細胞の移動における正のフィードバックループの可能性を示唆している。 上記のデータは、特に病原性の表現型をもつT細胞集団を示唆する一方、MCAM発現が細胞内FOXP3と両立したことは予想外であった。事実、僅かに割合が高かったMCAM+ T細胞は、FOXP3ポジティブであった(図3F)。TGFβの用量を増加させた場合には、FOXP3+であったMCAM+細胞の割合は増加する一方で、MCAM-集団におけるFOXP3発現細胞の割合は殆ど変わらなかった。これらの結果から、MCAM発現細胞は、TGFβ存在下で免疫調節に作用する潜在的能力を有することが示唆される。実施例4MCAMは、T細胞がCNSへ浸潤する公知部位でECMに結合し、MCAMリガンドはラミニン411である MCAMの機能は、腫瘍モデルにおいて解明されており、MCAM発現が腫瘍細胞に対する接着、浸潤及び最終的な転移表現型を与えることが示されている。Xie et al., Cancer Res. 57: 2295-2303 (1997)を参照。しかしながら、MCAMが結合するリガンドは未同定のままである。上記のデータはTH17細胞においてMCAMが多く存在することを示しているが、MCAMがCNSへのT細胞浸潤に機能的に関与しているかは不明である。従って、(1)MCAMはどこに結合するか、即ち、MCAMリガンドの正体、(2)MCAMが、炎症を起こしていない脳への初期TH17細胞浸潤にきわめて重要であるか否か、及び(3)MCAMリガンドの発現が、CNSへの確立された侵入点において必要とされるか否か、を決定することに大きな関心があった。 健常なマウス組織、特にT細胞浸潤に関係することが知られているそれらの領域におけるMCAM結合を検出するために、MCAM-Fc融合タンパクを(上述の材料及び方法にて説明したように)作成した。脈絡叢は、炎症が起きていない脳へのTH17細胞の侵入ルートとして示唆されているため、健常な脈絡叢組織をMCAM-Fc及び抗ラミニンで染色した。図4A及び4Bに示すように、脈絡叢は、MCAMリガンドを広く発現するが、MCAMに対してネガティブである。これらの結果は、(1)MCAMは、同種MCAM/MCAM相互作用による脈絡叢組織に対する粘着を媒介する可能性が低い;及び(2)健常な組織内の脈管内皮では発現が限られているMCAM(図4C)よりも著しく広範囲にわたって発現する更なるMCAMリガンドが存在する、ことを強く示唆している。MCAM-Fcが、細胞間マトリックス(ECM)タンパク質及び具体的にはラミニンを示唆するパターンで、健常なマウス脊髄に対してほとんど偏在的に結合すること(図4D)は予想外であった。MCAM-Fc及び抗ラミニンは、健常なマウス脊髄に共局在した(図4E)ことは、MCAMのリガンドがラミニン形態であるかもしれないことを示唆している。MCAMリガンドは、CD31共染色の測定(図4F)により、脈管系中の内皮細胞層に対して外側にあったためECMにあることが確認された。 MCAMが健常なマウス組織内でラミニンと共局在した一方、MCAMリガンドの正体は、EAE組織をラミニンとMCAM-Fcの共染色によって更に確認した。リンパ球浸潤の領域において、基底膜が、ラミニンアイソフォーム組成物において、互いに異なる2枚の膜である内皮基底膜と実質基底膜に、有意に区別される状態で分けられることが明らかとなった。Sixt et al., J. Cell Biol. 153: 933-945 (2001)を参照。MCAM-Fcを用いてこれらの領域内のMCAMリガンドを染色すると、MCAM-Fcが内皮基底膜だけを染色する一方で、パンラミニンが内皮基底膜と実質基底膜の両方を染色することが明らかとなった(図4G)。これと同じ発現パターンがラミニン411(ラミニン8(α4β1γ1))で見られた。MCAM-Fcタンパク質とラミニンアルファ4の共局在は、ラミニンアルファ4特異的抗体を用いて観察され(図4H)、ラミニン411はMCAMのリガンドであることが示された。実施例5抗MCAM抗体は、ラミニン411に対するMCAMの結合を遮断する マウスMCAMに対するモノクローナル抗体は、上述の材料及び方法にて説明したように作成した。モノクローナル抗体とMCAMとの間の特異的結合は、マウス又はヒトMCAMを用いてトランスフェクトされた細胞に結合するモノクローナル抗体の能力を評価することによって確認した。このために、トランスフェクトされていない細胞をカルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE)で標識し、非標識MCAMトランスフェクト細胞と混ぜ合わせた。トランスフェクトされていない細胞(青)は、従って、分化することができた。図5Aに示すように、クローン15及び17がマウスMCAMに対して特異的結合を示す(上部、オレンジ)一方で、クローン17だけはヒトMCAM(下部、オレンジ)に結合することを示した。 次に、モノクローナル抗体を用いて、MCAMの、そのリガンドに対する結合を遮断するそれらの能力を試験した。マウス又はヒトMCAM-Fcタンパク質(5μg/mL)は、30分間PBS中で、アイソタイプコントロール抗体、クローン15又はクローン17(10μg/mL)を用いて事前にインキュベートした。混合物を、健常な脊髄組織切片に加え、次に、上述の材料及び方法にて説明したように蛍光顕微鏡法によって特徴づけを行った。 図5Bに示すように、クローン15及び17は組織に対するネズミMCAM-Fcタンパク質の結合を遮断することができる一方で、クローン17だけが組織に対するヒトMCAM-Fcタンパク質の結合を遮断することができる。クローン17のCDRを配列決定し、図6A(軽鎖)及び6B(重鎖)に示している。MCAMの個々のFcドメインに対するクローン17用いた未変性ウェスタンブロット解析から、クローン17はMCAMのアミノ酸残基19〜129を含むドメインに特異的に結合することが確認された。この結合は、ForteBio分析によって確認された。 更に、MCAMモノクローナル抗体は、MCAMとそのリガンド(ラミニン411)間の相互作用を阻害することを示した。マウスMCAM遺伝子によってトランスフェクトされた親CHO細胞(CHOK1)又はCHO細胞は、37度45分間、Cho培養液(DMEM)、組換えラミニン411(10μg/ml)又は組換えラミニン511(即ち、ラミニン10(α5β1γ1))(10μg/ml)を用いて事前にインキュベートした。細胞を洗浄し、MCAMに対するラミニン411(ラミニン511でない)の特異的結合性をフローサイトメトリーによりパンラミニン抗体を用いて検出した(図5C、右上のパネル)。ラミニンインキュベーション前の、抗MCAM抗体(クローン15又はクローン17(各々の20μg/ml))を用いたマウスMCAMトランスフェクトCHO細胞の事前インキュベーションは、ラミニン411に対するMCAMの結合を阻害した(図5C、下段パネル)。 上に示したデータは、クローン17が、ヒトMCAMの、そのリガンドに対する特異的結合を遮断することができ、脈管系に対するTH17細胞のMCAM媒介接着を阻害すること及び中央神経系へのTH17細胞の移動を遮断することによって、多発性硬化症の治療に有効かもしれないことを示唆している。実施例6MCAMは、循環マウスT細胞に発現しないが、TH17の分極後に誘導される 上記の抗体を用いて、上述の材料及び方法にて説明したように、末梢マウス血液を染色してマウスにおけるMCAM発現T細胞を検出した。前述したように、マウスT細胞はMCAM発現を欠く一方で、NK細胞の集団において発現が見られた(図7A)。ヒトのメモリーT細胞におけるMCAMの発現だけで、事前のT細胞の活性化を限定したきれいな環境で生きているマウスは、MCAM発現T細胞の集団を作り出すために分極しなけらばならないだろうことが示唆される。ヒトのMCAMとTH17細胞とのつながりを考慮して、マウスにおけるMCAM発現T細胞の集団を誘導することが可能か否かを決定するための実験を実施した。ミエリンプロテオリピドタンパク質(PLP)特異的T細胞は、上述の材料及び方法にて説明したように、完全フロイントアジュバント(CFA)存在下で、PLPを用いて野生型マウスを免疫化することによって作成した。脾細胞を、明示したサイトカイン存在下で、5μg/mLのPLP用いてインビトロで再刺激し、MCAM発現の5日後に分析した(図7B)。外因性サイトカインの非存在下での再刺激は、CD4+細胞上におけるMCAM発現を(アイソタイプコントロールと比較して)統計的に有意に誘導しなかった。IL-23の存在下で、MCAM発現CD4+ T細胞の集団は検出可能であった。TGFβ単独がMCAM発現T細胞の集団の大型化を誘導しなかった一方、TGFβ及びIL-23の組合せは相乗効果によりCD4+ T細胞でMCAMを発現させた。これら両サイトカインは、マウスTH17細胞の分極化とエフェクター機能に重要な役割を担っている。特に、MCAMは、EAEの病原性T細胞だけを含むと述べられている高CD4T細胞の集団で発現していた。Li et al., J. Neuroimmunol. 192: 57-67 (2007)を参照。従って、ヒトとは異なり、マウスは、循環CD4+MCAM+ T細胞の集団を有していないが、TGFβ及びIL-23を用いたTH17条件下での分極化ではかかる集団を充分生じさせる。マウスは、病原性T細胞によるCNSへの浸潤に関するMCAMの役割を研究する現実的なモデルとしての地位を維持している。実施例7抗MCAM抗体によるMCAM遮断は、EAE疾患の進行を阻害する EAEは、ヒトの多発性硬化症(MS)の症状と類似の症状を作り出すように作成された実験動物での疾患である。EAEは、他の動物の中央神経系由来の種々のタンパク質(例えば、ミエリン塩基性タンパク及び全脊髄又は脳組織の抽出物)、又は、ミエリンに特異的に反応するT細胞を動物に注射することによって一般的には発生させる。EAEは、再発性又は進行性型のMSの経過を観察するために一般的に用いられる。EAEは、MSの治療薬剤の開発とMSの特異的疾患過程の研究の両方に適した動物のモデルとして供給されてきた。Gold et al., Brain 129: 1953-1971 (2006)を参照;Steinman et al., Ann. Neurol. 60: 12-21 (2006)を参照。 疾患の進行に対するMCAM遮断の効果を、EAEの治療モデルにおいて更に検討した。TH17の分極は、インビボで発生した(実施例6を参照)。マウスは、上述の材料及び方法にて説明したように、PLP 139-151ペプチドによって免疫化した。免疫化されたマウスをランダム化して、臨床スコアと兆候の日に基づいたグループに分けた。疾患の兆候後の2日目(EAE症状は、免疫化の12〜14日後に現れた)に、抗MCAM抗体(クローン15)又はアイソタイプコントロール(Bioxcell)を10mg/kg体重でマウスの腹膜内に処置し(グループ当たりN = 15)、その後毎日行った。マウスを毎日モニターして盲検下でスコア付けをし(図8A)、2-3日毎に体重を測定した(図8B)。MCAM遮断が疾患の進行性急性期の重症度又は期間に影響を及ぼすように見えない一方で、抗MCAM抗体(クローン15)で処置されたマウスにおいては、再発を遅延させ、著しい重症度を示さなかった。これらの結果は、MCAMは、現在進行している炎症過程中における免疫細胞の浸潤に必須ではない可能性があるが、抗原を経験済みの先駆(pioneer)T細胞のその後のリクルートに関与して新な炎症サイトを引き起こす可能性があるという考えに一致している。実施例8ネズミ抗MCAM抗体に対するドメイン結合試験 以下のプロトコール:ForteBio Domain Mapping Protocolを用いた。ForteBio抗ヒトIgG Fcバイオセンサーを用いて、完全長マウスMCAMhFcタンパク質を含む様々なマウスMCAMhFcドメインをバイオセンサー表面に固定した。これらのドメイン又は完全長タンパク質に対する結合を検出するためのクローン15又は17MCAM特異的抗体で、これらのセンサーを浸漬した。これらのサンプルを黒い96ウェルプレートに載せた後、Octet Redを以下の通りにプログラムした:ベースライン#1のために60秒;様々なドメインを載せるために180秒;ベースライン#2のために60秒;ドメインに対する抗体の会合のために180秒;そして、ドメインからの抗体の解離のために240秒。 使用した試薬及び供給品:1. 最終濃度が5ug/mlのマウスMCAMhFc2. 5ug/mのラット抗体クローン15又は173. 反応速度実験用ForteBio抗ヒトIgG Fc Capture(AHC)バイオセンサー(cat# 18-5060)4. Greiner Bio-oneのブロック96ウェルプレート(cat# 655209)5. ForteBio Octet Red機器6. 新しい組織培養培地(20%のFCSを有するDMEM)を、希釈用緩衝液として使用した。 図10Aは、クローン15が、Fcドメイン1単独でなく、MCAM Fcドメイン1及び2と特異的に結合することを証明している。図10Bは、クローン17がMCAM Fcドメイン1及び2、又はFcドメイン1単独と特異的に結合することを証明している。図10A-Bでは、クローン15及び17を、以下のタンパク質サンプル(すべて、ヒトIgG Fcタグを有する)に対して試験した:ネズミMCAM;ヒトFc完全長タンパク質;ネズミMCAMドメイン1(Ig1);ネズミMCAMドメイン2(Ig2);及び、ネズミMCAMドメイン1及び2(Ig1-2A)。実施例9MCAMドメインは、ラミニンA4(α4)鎖と結合する ヒトMCAM IgG1-2Aに対するヒトラミニン-α4の結合親和性は、BiacoreT200機器の表面プラズモン共鳴で測定した。アミンカップリングを用いて、ヒトFc特異的F(ab')2 IgG(Jackson Laboratories)をCM5チップに固定した。CM5チップデキストラン表面の4つのフローセルは、新鮮に調製した50mMのNHS: EDC(1:1)を7分間、流速5μl/minで注入することによって活性化した。70μlのIgG溶液(pH4.5)を注入し、最高3000RUの密度になるように3分間導入した。そして、残りの反応部位を不活性化させるために、1Mのエタノールアミンを7分間注入することによってカップリングを終えた。12mg/mlのBSA及び12mg/mlのカルボキシメチルデキストランナトリウム塩を含む脱ガス及びフィルタ処理済みHBS-P緩衝液中の組換えヒトFcタグ付きMCAM IgG1-2Aは、捕獲レベル1560 RUで、抗Fc IgGによって捕獲された。組換えヒトFcタグ付きMCAM IgG1-2Aは、抗Fc IgGを有する表面上を流速5μl/minで20分間の注入前に、4度で5分間、14000rpmで遠心分離した。フローセル1は、コントロール表面としての役割のために、IgG無しのまま残した。フローセルの1つを、ネガティブコントロールの役割をする組換えヒトIgG1 Fc(R&D systems)を捕えるために用いた。組換えヒトラミニン-α4(R&D systems)又は組換えヒトラミニン411(Biolamina)又は組換えヒトラミニン511(Biolamina)(ネガティブコントロール)は、濃度が5-175nMにわたるように、12mg/mlのBSA及び12mg/mlのカルボキシメチルデキストランナトリウム塩を含む脱ガス及びフィルタ処理済みHBS-P緩衝液にて希釈し、流速10μl/minで、MCAM IgG1-2A表面及びコントロール表面上に注入(1分の会合、3分の解離)した。緩衝液注入は、ネガティブコントロールとしての役割を果たした。データ評価:緩衝液注入及びコントロール表面からのデータは、人為結果を取り除くための減算処理に用いた。データは、Biaevaluationソフトウェア又はScrubberを用いて、1:1の相互作用モデルに全般的に当てはめた。 ラミニン4A鎖は、MCAM Fcドメイン1及び2に特異的に結合するが、Fcドメイン1単独では結合しないことがわかった(データは示さない)。ネガティブコントロールは、いずれのドメインに対してもラミニン511の結合を示さず、hIgG1-Fcに対するラミニン411の結合を示さなかった。組換えヒトラミニン-α4(R&D systems)は、60nMの親和性でヒトFcタグ付きMCAM IgG1-2A(示されないデータ)に結合するが、組換えヒトIgG1 Fc(R&D systems)には結合しない(データは示さない)。組換えヒトラミニン411(Biolamina)は、定常状態の反応速度での測定によると66nMの親和性でヒトFcタグ付きMCAM IgG1-2Aに結合する(データは示さない)が、組換えヒトIgG1 Fc(R&D systems)には結合しない(データは示さない)。ネガティブコントロール、組換えヒトラミニン511(Biolamina)は、ヒトFcタグ付きMCAM IgG1-2Aに結合しない(データは示さない)。 上で引用する全ての文献及び特許文献は、それら全てが参照によって本願明細書に組み込まれる。 中央神経系(CNS)へのMCAM発現細胞の浸潤によって特徴づけられるCNS炎症性疾患の治療方法であって、その方法を必要とする哺乳類対象にラミニンα4鎖へのMCAMの結合を阻害するMCAMアンタゴニストを効果的な量で投与するステップを含む、方法。 前記哺乳類対象は、ヒトである、請求項1に記載の方法。 前記ヒトは、MCAM発現細胞によるCNS浸潤が確認されている、請求項2に記載の方法。 MCAM発現細胞は、TH17細胞である、請求項2に記載の方法。 ラミニンα4鎖は、内皮細胞の表面に発現する、請求項4に記載の方法。 ラミニンα4鎖に対するMCAM結合の阻害は、CNSへのMCAM発現細胞の溢出を防止する、請求項5に記載の方法。 前記MCAMアンタゴニストは、MCAM又はラミニンα4鎖に結合する、請求項2に記載の方法。前記MCAMアンタゴニストは、配列番号:22として示されるアミノ酸配列を含むMCAMの免疫グロブリンドメインに結合する、請求項7に記載の方法。 前記MCAMアンタゴニストは、配列番号:23として示されるアミノ酸配列を含むMCAMの免疫グロブリンドメインに結合する、請求項7に記載の方法。 前記MCAMアンタゴニストは、配列番号:22及び23として示されるアミノ酸配列を含むMCAMのドメインに結合する、請求項7に記載の方法。 前記MCAMアンタゴニストは、ラミニンα4鎖への結合について、MCAMと競合する、請求項2に記載の方法。 前記MCAMアンタゴニストは、ラミニンα4鎖への結合について、配列番号:22として示されるアミノ酸配列を含むMCAMの免疫グロブリンドメインと競合する、請求項11に記載の方法。 前記MCAMアンタゴニストは、ラミニンα4鎖への結合について、配列番号:23として示されるアミノ酸配列を含むMCAMの免疫グロブリンドメインと競合する、請求項11に記載の方法。 前記MCAMアンタゴニストは、ラミニンα4鎖への結合について、配列番号:22及び23として示されるアミノ酸配列を含むMCAMのドメインと競合する、請求項11に記載の方法。 前記MCAMアンタゴニストは、抗MCAM抗体である、請求項7から14のいずれかに記載の方法。 前記MCAMアンタゴニストは、抗ラミニンα4鎖抗体である、請求項11から14のいずれかに記載の方法。 前記抗体は、抗体断片である、請求項15に記載の方法。 前記抗体は、抗体断片である、請求項16に記載の方法。 前記抗体断片は、FvFab、Fab'及びF(ab')2からなる群より選択される、請求項17又は18に記載の方法。 前記抗体は、全長抗体である、請求項15に記載の方法。 前記抗体は、全長抗体である、請求項16に記載の方法。 前記抗体は、キメラ抗体、ヒト化抗体又はヒト抗体から選択される、請求項20又は21に記載の方法。 前記抗MCAM抗体は、以下の超可変領域(HVR):(i)アミノ酸配列KASKNIDTYLA(配列番号:3)を含むHVR-L1;(ii)アミノ酸配列SGSTL(配列番号:4)を含むHVR-L2;(iii)アミノ酸配列QQHNEYPLT(配列番号:5)を含むHVR-L3;(iv)アミノ酸配列GFTFSNYYMA(配列番号:8)を含むHVR-H1;(v)アミノ酸配列SISFEGNRNHYGDSVK(配列番号:9)を含むHVR-H2;及び、(vi)アミノ酸配列HRGYSTNFYHDVLDAWGQG(配列番号:10)を含むHVR-H3を、含む、請求項15に記載の方法。 前記MCAMアンタゴニストは、以下の超可変領域(HVR):(i)アミノ酸配列KASKNIDTYLA(配列番号:3)を含むHVR-L1;(ii)アミノ酸配列SGSTL(配列番号:4)を含むHVR-L2;(iii)アミノ酸配列QQHNEYPLT(配列番号:5)を含むHVR-L3;(iv)アミノ酸配列GFTFSNYYMA(配列番号:8)を含むHVR-H1;(v)アミノ酸配列SISFEGNRNHYGDSVK(配列番号:9)を含むHVR-H2;及び、(vi)アミノ酸配列HRGYSTNFYHDVLDAWGQG(配列番号:10)を含むHVR-H3を、含む、抗MCAM抗体と実質的に同じエピトープに結合する、請求項7から14のいずれかに記載の方法。 前記抗MCAM抗体は、親和性熟成抗体である、請求項23に記載の方法。 前記哺乳類対象は、神経炎症状態を患っている、請求項2に記載の方法。 前記神経炎症状態は、多発性硬化症である、請求項26に記載の方法。 前記神経炎症状態は、パーキンソン病である、請求項26に記載の方法。 中央神経系(CNS)へのMCAM発現細胞の浸潤によって特徴づけられるCNS炎症性疾患の治療用医薬品の製造における、請求項1から28のいずれかに記載のMCAMアンタゴニストの使用。 配列番号:22として示されるアミノ酸配列を含むMCAMの免疫グロブリンドメインに結合する、単離された抗MCAM抗体又はその抗原結合断片。 配列番号:23として示されるアミノ酸配列を含むMCAMの免疫グロブリンドメインに結合する、単離された抗MCAM抗体又はその抗原結合断片。 配列番号:22及び23として示されるアミノ酸配列を含むMCAMのドメインに結合する、単離された抗MCAM抗体又はその抗原結合断片。 単離された抗MCAM抗体又はその抗原結合断片であって、a)以下の超可変領域(HVR): (i)アミノ酸配列KASKNIDTYLA(配列番号:3)を含むHVR-L1; (ii)アミノ酸配列SGSTL(配列番号:4)を含むHVR-L2; (iii)アミノ酸配列QQHNEYPLT(配列番号:5)を含むHVR-L3; (iv)アミノ酸配列GFTFSNYYMA(配列番号:8)を含むHVR-H1; (v)アミノ酸配列SISFEGNRNHYGDSVK(配列番号:9)を含むHVR-H2;及び、 (vi)アミノ酸配列HRGYSTNFYHDVLDAWGQG(配列番号:10)を、含む、HVR-H3;又は、b)以下の超可変領域(HVR): (i)アミノ酸配列KSSQSLLYSGTQKNYLA(配列番号:14)を含むHVR-L1; (ii)アミノ酸配列WASTRQS(配列番号:15)を含むHVR-L2; (iii)アミノ酸配列QQYYDTLTDT(配列番号:16)を含むHVR-L3; (iv)アミノ酸配列GFKFSNYYMS(配列番号:19)を含むHVR-H1; (v)アミノ酸配列SISDGGGDTFCRDLVKG(配列番号:20)を含むHVR-H2;及び、 (vi)アミノ酸配列RGAAMGGVMDAWGQG(配列番号:21)を含むHVR-H3を、含む、単離された抗MCAM抗体又はその抗原結合断片。 単離された抗MCAM抗体又はその抗原結合断片であって、 (a)配列番号:2として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン及び配列番号:7として示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン;又は、(b)配列番号:13として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン及び配列番号:18として示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む、単離された抗MCAM抗体又はその抗原結合断片。 請求項30から34のいずれかに記載の抗体と実質的に同じエピトープに結合する、単離された抗MCAM抗体又はその抗原結合断片。 ヒトMCAMへの結合について、請求項30から34のいずれかに記載の抗体と競合する、単離された抗MCAM抗体又はその抗原結合断片。 請求項30から34のいずれかに記載の抗体又はその抗原結合断片を含む医薬組成物。 中央神経系(CNS)へのMCAM発現細胞の浸潤によって特徴づけられるCNS炎症性疾患の治療用医薬品の製造における、請求項30から34のいずれかに記載の抗MCAM抗体又はその抗原結合断片の使用。 本願明細書にはMCAMアンタゴニストが記載されている。MCAMアンタゴニストには、MCAMとそのリガンドであるラミニンα4鎖(例えば、ラミニン411のα4鎖)との相互作用を阻害することができるMCAMアンタゴニスト抗体が含まれる。これらのMCAMアンタゴニスト(例えば、抗MCAM抗体)は、中央神経系(CNS)へのMCAM発現細胞の浸潤(例えば、CNSへのTH17細胞の溢出)を阻害することによって、神経炎症状態(例えば、多発性硬化症及びパーキンソン病)を治療するのに有効であってもよい。【選択図】図1A 配列表