生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_アルツハイマー病等を含む神経疾患の1,25D3−MARRSが関与する治療薬及び治療法
出願番号:2014514252
年次:2015
IPC分類:A61K 31/58,A61K 31/593,A61P 25/28,A61P 25/16,A61P 25/00,A61P 43/00


特許情報キャッシュ

東田 千尋 JP 5789339 特許公報(B2) 20150807 2014514252 20130724 アルツハイマー病等を含む神経疾患の1,25D3−MARRSが関与する治療薬及び治療法 レジリオ株式会社 514073400 岩谷 龍 100077012 東田 千尋 JP 2013008136 20130121 20151007 A61K 31/58 20060101AFI20150917BHJP A61K 31/593 20060101ALI20150917BHJP A61P 25/28 20060101ALI20150917BHJP A61P 25/16 20060101ALI20150917BHJP A61P 25/00 20060101ALI20150917BHJP A61P 43/00 20060101ALI20150917BHJP JPA61K31/58A61K31/593A61P25/28A61P25/16A61P25/00A61P43/00 105 A61K 31/00−31/80 JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII) CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) 特表2002−507572(JP,A) 特開昭63−104926(JP,A) 国際公開第99/48507(WO,A2) 特開2014−76972(JP,A) 特開2008−1673(JP,A) 特開2007−274985(JP,A) 特表2005−513058(JP,A) 特開平11−158074(JP,A) Neuroscience 2012 Abstract Viewer(Annual Meeting of the Society for Neuroscience),October 13-17, 2012 American Journal of Alzheimer's Disease & Other Dementias,2012, 27(8),p.563 Current Medicinal Chemistry,2007, 14,1087-1093 Bulletin of the Japanese Society for Neurochemistry,Vol.49(No.2,3),2010,p.576, Abstract number P1-m20 Journal of Pharmacological Sciences,Vol.112, No.Suppl.1 (2010),page76P, Abstract number ACS2D-2-3 Neuroscience,165 (2010),427-435 Journal of Neuroendocrinology,24 (2011),93-101 13 JP2013070064 20130724 WO2014112145 20140724 45 20140324 特許法第30条第2項適用 SCIENTIFIC REPORTS、Volume 2、Number 535、p1−11、平成24年7月26日 ▲高▼岡 裕美 本発明は、ジヒドロキシビタミンD3(本明細書中ではDHVD3と略すことがある)受容体の一つである1,25D3-MARRSの刺激活性を有する化合物に関する。より具体的には、1,25D3-MARRSの刺激活性を利用した、神経軸索の機能不全が関与する疾患(例えば、アルツハイマー病等)の治療薬又は治療方法に関する。なお、本明細書中、アルツハイマー病をADと省略することもある。 また、本発明は、1,25D3-MARRSの刺激活性を有する化合物、又は薬学的に許容されるその塩の治療有効量を含む神経疾患の予防及び/又は治療のための医薬組成物、飲食品、及びその製造方法に関する。さらに、本発明は、当該化合物、又は薬学的に許容されるその塩を用いた、ヒトを含む哺乳動物における神経疾患の予防又は治療方法にも関する。 アルツハイマー病(AD)は、進行性の認知機能低下及び通常の加齢とは一致しない機能障害の状態として定義され、その診断は、米国精神医学会が発表しているDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders,第4版(DSM-IV)に記載されている。 現在、ADの治療は、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤に代表される症状改善剤による対症療法に限られており、病気の進行を抑制、治療する根本療法剤は開発されていない。ADの根本療法剤の創出には、病態の発症原因メカニズムの解明や発症原因を制御する新しい方法の開発が必要である。ADの原因メカニズムとしては、コリン作動性仮説、Aβ仮説、及びタウ仮説等が提唱されており、ADの原因メカニズムを特定するために、膨大な数の研究がなされている。 学習と記憶におけるアセチルコリンの役割が議論される中、大脳基底部におけるコリン作動性ニューロンの変性、ならびにそれに関連した大脳皮質及びその他の領域におけるコリン作動性神経伝達の欠損が、AD患者に見られる認知機能の低下に大きく寄与しているとする「アルツハイマー病のコリン仮説」が議論されてきた(非特許文献1)。この作用メカニズムに基づき、脳のシナプスにおけるアセチルコリンの分解を抑制するアセチルコリンエステラーゼ阻害剤がADの治療薬として市販されている。例えばドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン等のアセチルコリンエステラーゼ阻害剤が例として挙げられる。 また、アミロイド前駆体タンパク(以下、APPという。)の代謝産物であるAβタンパクは、神経細胞の変性及び脱落、さらには認知障害の発現に大きく関わると考えられている(非特許文献2、3)。Aβタンパクの形成には、ベータセクレターゼ及びガンマセクレターゼが関与し、タンパク質分解の部位の違いにより、アミノ酸38個からなるAβ(1−38)、C末が2アミノ酸増えたAβ(1−40)及びC末が4アミノ酸増えたAβ(1−42)等が生じる。これらのAβは、凝集性が高く(非特許文献4)、老人斑の主要構成成分となっている(非特許文献4、5、6、7)。すなわち、これらの凝集体は最終的にはADの病理学的特徴である不溶性の沈着物及び高濃度の神経突起斑プラークに変化する(非特許文献8)。さらに、家族性ADで見られるAPP及びプレセニリン遺伝子の変異は、これらのAβタンパクを増加させることが知られている(非特許文献9、10、11)。したがって、Aβの産生を低下させる化合物は、ADの進行抑制剤又は予防薬として期待されている。このことから、例えば、Aβ産生低下を目的として、Aβ抗体やセクレターゼ阻害剤等の薬物の創出が試みられている。この仮説に基づくAD治療薬の候補品のいくつかは現在臨床試験中であり、AD患者に対するある程度の有効性が報告されている(非特許文献12、非特許文献13)。 以上述べたように、現在、AD患者に臨床で使用されている薬剤では、ADの発症もしくは進行を予防もしくは遅らすことはできても、認知機能の改善には至らない。すなわち、現在のADの治療は、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤に代表される症状改善剤による対症療法に限られており、病気自体を改善する根本療法剤は開発されていない。ADの根本療法剤の創出には、神経機能不全の要因を制御する方法の開発が必要である。さらにはその新しいメカニズムに適合する化合物の提供が真に求められている。Francis,Pら,J Neurol Neurosurg Psychiatry 66; pp137-147, 1999.Klein,WLら,Proceeding of the National Academy of Science USA,Sep,2;100(18),pp.10417-10422, 2003.Nitsch,RMら, Neuron, May 22, 38, pp.547-554, 2003.Jarrett,JTら, Biochemistry, 32(18), pp.4693-4697, 1993.Glenner,GGら, Biochemical and Biophysical Research Communications, May 16, 120(3), pp.885-890, 1984.Masters,CLら, Proceeding of the National Academy of Science USA, Jun, 82(12), pp.4245-4249, 1985.Gong,Yら, PNAS 100; pp.10417-10422, 2003.Hardy,Jら, Science 297; pp.353-356, 2002.Gouras,GKら, American Journal of Pathology, Jan, 156(1), p.15-20, 2000.Scheuner,Dら, Nature Medicine, 1996, Aug, 2(8), pp.864-870.Forman,MSら, Journal of Biological Chemistry, Dec, 19, 272(51), pp.32247-32253, 1997.Mount,Cら, Nature Medicine 12; pp-780-784, 2006.Siemers,ERら, Clinical Neuropharmacology, 30; pp.317-325, 2007.Cho,Sら, Experimental Neurology, 203; pp.274-278, 2007. そこで、本発明は、ADの根本治療につながる全く新しいメカニズムを提供し、それに基づき、そのメカニズムに適合した化合物を提供すること、ならびにその治療方法を提供することを課題とする。 さらに、本発明は、ADに限らず、神経軸索が機能不全となっていることが要因である神経疾患の根本治療につながる化合物を提供すること、ならびにその治療方法を提供することも課題とする。 上記の事情に鑑み、本発明者らは、機能不全になっている脳内の神経軸索に対して、形態的、機能的な改善を与えることができれば、記憶能力は回復すると考え、そのような活性を有する薬物の探索研究を行った。そして、そのような薬物の作用機序を探ることで、ADの病態解析からでは予想できなかった「治療に関与する分子」を新たに見出すことができるという考えの下、鋭意研究を進めてきた。 その結果、ハーブ等いくつかの種の植物に含有されるジオスゲニンという化合物が、ADの治療に有用であるという驚くべき新知見を得て、さらに検討を進め、AD治療におけるジオスゲニンの効果は、ジヒドロキシビタミンD3の受容体の一つである1,25D3-MARRSを刺激して活性化することに起因しているという、有用かつ予想外の新知見を得た。 本発明者らは、さらに試験研究を行い、ジオスゲニンを含む1,25D3-MARRSの刺激活性を有する物質が、ADだけではなく、脊髄損傷、認知症、パーキンソン病、脳挫傷等の神経疾患にも有効であることを見出し、さらに検討を重ね、本発明を完成させるに至った。 すなわち、本発明は、以下に関する。 [1] 神経疾患の予防及び/又は治療のための、1,25D3-MARRSの刺激活性を有する化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩(ただし、前記疾患がアルツハイマー病又は脊髄損傷であり、且つ前記化合物がデノソミンである場合を除く。)。 [2] 前記1,25D3-MARRSの刺激活性を有する化合物が、ジオスゲニン及び/又はジオスゲニン誘導体である、前記[1]に記載の化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩。 [3] 1,25D3-MARRSの刺激活性を有する化合物が、ジオスゲニン及び/又はジオシンである、前記[1]に記載の化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩。 [4] 前記神経疾患が、アルツハイマー病、認知症、パーキンソン病、脊髄損傷又は脳挫傷である、前記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩。 [5] 神経疾患を予防及び/又は治療するための薬剤の製造における、前記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩の使用。 [6] 前記神経疾患が、アルツハイマー病、認知症、パーキンソン病、脊髄損傷又は脳挫傷である、前記[5]に記載の使用。 [7] 神経疾患の予防及び/又は治療における使用のための前記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩。 [8] 前記神経疾患が、アルツハイマー病、認知症、パーキンソン病、脊髄損傷又は脳挫傷である、前記[7]に記載の化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩。 [9] 前記[1]〜[3]のいずれかひとつに記載の化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩の治療有効量を含む、神経疾患治療のための医薬組成物。 [10] 前記神経疾患が、アルツハイマー病、認知症、パーキンソン病、脊髄損傷又は脳挫傷である、前記[9]に記載の医薬組成物。 [11] 疾患の治療もしくは予防に有用であることが知られているひとつ以上の化合物、又は薬学的に許容されるその塩の治療有効量をさらに含む、前記[9]又は[10]に記載の医薬組成物。 [12] 疾患の治療もしくは予防に有用であることが知られているひとつ以上の化合物、又は薬学的に許容されるその塩が、神経疾患の治療もしくは予防に有用であることが知られているひとつ以上の化合物、又は薬学的に許容されるその塩である、前記[11]に記載の医薬組成物。 [13] 前記[9]〜[12]のいずれかひとつに記載の医薬組成物であって、少なくとも1つの担体を混合することを特徴とする、医薬組成物の調製方法。 [14] 前記[1]〜[3]のいずれかひとつに記載の化合物、又は薬学的に許容されるその塩を、ヒトを含む動物に投与することを特徴とする、神経疾患の予防及び/又は治療方法。 [15] 前記[1]〜[3]のいずれかひとつに記載の化合物、又は薬学的に許容されるその塩と、神経疾患の治療もしくは予防に有用であることが知られているひとつ以上の化合物、又は薬学的に許容されるその塩とを併用することを特徴とする、前記[14]に記載の方法。 [16] 前記神経疾患が、アルツハイマー病、認知症、パーキンソン病、脊髄損傷又は脳挫傷である、前記[14]又は[15]に記載の方法。 [17] 前記[1]〜[3]のいずれかひとつに記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩を含む、神経疾患の予防及び/又は治療に使用されるキット。 [18] 前記[1]〜[3]のいずれかひとつに記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩、及び容器を含む、請求項17に記載のキット。 [19] ジオスゲニン、ジオスゲニン誘導体、デノソミン、ジヒドロキシビタミンD3及びこれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される1種以上を投与することを特徴とする1,25D3-MARRSを活性化させる方法。 [20] ジオスゲニン、ジオスゲニン誘導体、ジヒドロキシビタミンD3及びこれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される1種以上を投与することを特徴とするアルツハイマー病を予防又は治療する方法。 [21] ジオスゲニン、その誘導体、その薬理学的に許容される塩、又はエステルを人などの哺乳動物に投与することを特徴とする、アミロイド斑、タウ沈殿、タウ析出物、PHF-タウ、又は神経原線維変化を減少させる方法。 [22] ジオスゲニン、その誘導体、その薬理学的に許容される塩、又はエステルを人などの哺乳動物に投与することを特徴とする、Aβ(1-42)に誘導された軸索の委縮を抑える方法。 [23] ジオスゲニン、その誘導体、その薬理学的に許容される塩、又はエステルを人などの哺乳動物に投与することを特徴とする、1,25D3-MARRSを刺激してシグナル伝達経路を活性化する方法。 [24] 前記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩を含有する健康食品、機能性食品、又は特定保健用食品。 本発明によれば、ADの根本治療につながる全く新しいメカニズムを提供し、それに基づき、そのメカニズムに適合した化合物及び医薬組成物を提供すること、ならびにその治療方法を提供することができる。 さらに、本発明によれば、ADに限らず、神経軸索が機能不全となっていることが要因である神経疾患の根本治療につながる化合物及び医薬組成物を提供すること、ならびにその治療方法を提供することもできる。図1は、物体認識記憶障害と5XFADマウス(アルツハイマー病モデル)におけるADの病態に対するジオスゲニンの効果を示す。図2は、アミロイド斑に関連する軸索及びプレシナプスの変性に関するジオスゲニンの効果を示す。図3は、ジオスゲニンの直接の標的タンパク質としての1,25D3-MARRSを示す。図4は、1,25D3-MARRSへのジオスゲニンのドッキングシミュレーションを示す。図5は、ジオスゲニン誘発性軸索伸長に及ぼす1,25D3-MARRSノックダウンの効果を示す。図6は、ジオスゲニン誘発性軸索の成長に及ぼすプロテインキナーゼ阻害剤の効果を示す。図7は、ジオスゲニン誘発性軸索再生に及ぼす1,25D3-MARRS中和抗体の効果を示す。図8は、正常マウスにおける、ジオスゲニンによる記憶力亢進効果を示す。図9は、正常マウスにおける物体認知記憶の能力が、ジオスゲニン腹腔内投与によって向上した結果を示す。図10は、正常マウスの1,25D3-MARRSを中和抗体により機能を阻害した状態にして、ジオスゲニンを投与した試験において、ジオスゲニン投与による物体認知記憶能力の向上が見られなくなったことを示す。図11は、デノソミンもまた、1,25D3-MARRSの外因性刺激物質であることを示す。図12は、正常マウスにおけるジオシンの経口投与による物体認知記憶能力の亢進効果を示す。図13は、5XFADマウスにおけるジオシンの経口投与による物体認知記憶能力の亢進効果を示す。図14は、脊髄損傷(SCI)マウスにおける、ジオスゲニンの後肢運動機能の亢進効果を示す。 以下、本発明について詳しく説明する。 本発明のひとつの態様は、神経疾患の予防及び/又は治療のための1,25D3-MARRSの刺激活性を有する化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩に関する。 前記1,25D3-MARRS(1,25D3-膜結合型迅速応答ステロイド結合タンパク質、1,25D3-membrane-associated, rapid response steroid-binding protein)は、Pdia3(protein disulfide isomerase family A, member 3)、ERp57(endoplasmic reticulum stress protein 57), GRP58(Glucose-regulated protein 58)等とも呼ばれ、ジヒドロキシビタミンD3の受容体の一つである。なお、ジヒドロキシビタミンD3を、以降、DHVD3ともいう。 本発明において、前記神経疾患とは、神経軸索の機能不全が関与していれば特に限定されないが、好ましくは、その治療において1,25D3-MARRSが関与する神経疾患、より好ましくは、1,25D3-MARRSを刺激活性化させることにより何らかの有用な作用が観察され得る神経疾患を包含する。 前記神経疾患は、外傷性神経疾患であっても、神経変性疾患であってもよく、特に限定されないが、例えば、脊髄損傷、脳挫傷、アルツハイマー病、パーキンソン病、認知症等が挙げられる。なお、本発明において、前記認知症は、アルツハイマー病を含まず、好ましくは、脳血管性型認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、ピック病等を包含する。 本発明の技術思想の源は、1,25D3-MARRSを刺激し活性化させることで、脳内神経軸索等の神経軸索が伸長すること、そして、神経軸索の伸長によってアルツハイマー病等の神経疾患を予防及び/又は治療できることを見出した点にある。 本願の1,25D3-MARRSの刺激活性を有する化合物は、その薬学上許容される塩、光学異性体及びそれらの異性体の混合物、溶媒和物、結晶多型等を包含するものである。1,25D3-MARRSの刺激活性を有する化合物は、特に限定されないが、例えば、ジオスゲニン、ジオシン、DHVD3、デノソミン等が挙げられる。これらの中でも、特にジオスゲニン及び/又はジオシンが、入手し易さ等の観点から好ましい。 本発明において、「薬学的に許容される塩」とは、1,25D3-MARRSの刺激活性を有する化合物と薬学的に許容される塩を形成するものであれば特に限定されない。具体的には、例えばハロゲン化水素酸塩(例えばフッ化水素酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩等)、無機酸塩(例えば硫酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、リン酸塩、炭酸塩、重炭酸塩等)、有機カルボン酸塩(例えば酢酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩等)、有機スルホン酸塩(例えばメタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩等)、アミノ酸塩(例えばアスパラギン酸塩、グルタミン酸塩等)、四級アミン塩、アルカリ金属塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(例えばマグネシウム塩、カルシウム塩等)等が挙げられる。 1,25D3-MARRSの刺激活性を有する化合物は、市販されているものを用いてもよく、又は、公知方法、自体公知方法又はそれらに準ずる方法に従って製造したものを用いてもよい。 1,25D3-MARRSの刺激活性を有する化合物は、例えば、1,25D3-MARRSに化合物が結合したときの発光や蛍光を検出することでスクリーニングできる。具体的には、以下の方法によりスクリーニングを行ってよい:(1,25D3-MARRS結合の発光(ルミネッセンス)検出) 初代培養大脳皮質ニューロン(SD、E17)を0.5x105細胞/ウェルの密度で96ウェルのホワイトプレート上に播種する。3日後、細胞を、DHVD3単独(コントロール)で、又はDHVD3と確認したい化合物と組み合わせて(化合物X)、37℃で10分間処理する。細胞を4%パラホルムアルデヒドで固定し、DHVD3のうち細胞表面に結合したものだけを検出するため、トリトン-X-フリー(Triton-X-Free)PBS中、DHVD3に対するモノクローナル抗体(1:2000、Acris抗体、ヘルフォルト(Herford)、ドイツ)を用いて4℃で20時間インキュベートする。西洋ワサビペルオキシダーゼ標識ヤギ抗マウスIgG(1:2000)を二次抗体として使用し、抗原抗体複合体の化学発光を、マルチプレートリーダーを用いて検出する。コントロールの発光強度の値から、化合物Xの値を差し引き、確認化合物の1,25D3-MARRS結合の発光強度とする。(1,25D3-MARRS結合の蛍光(フルオレセンス)検出) 初代培養大脳皮質ニューロン(SD、E17)を0.5〜0.8x105細胞/ウェルの密度で96ウェルのブラックプレート上に播種する。3日後、細胞を、ビオチン標識DHVD3単独(コントロール)で、又はビオチン標識DHVD3と確認したい化合物とを組み合わせて(化合物X)、37℃で10分間処理する。洗浄した細胞に、AlexaFluor488標識ストレプトアヴィジンを処置し1時間室温に置き、洗浄後、ビオチン‐ストレプトアヴィジン複合体の蛍光をマルチプレートリーダーで検出する。コントロールの蛍光強度の値から、化合物Xの値を差し引き、確認化合物の1,25D3-MARRS結合の蛍光強度とする。 前記ジオスゲニンは、ステロイドサポゲニンであり、サンヤク(Dioscorea rhizome)、及びトリゴネラ属(Trigonella spp.)、アマドコロ属(Polygonatum spp.)、シオデ属(Smilax spp.)のようなハーブ薬等いくつかの種の植物の構成成分である。ジオスゲニンは、抗がん(Yan,L.Lら, Exp Oncol, 31, pp.27-32, 2009.)、抗食物アレルギー(Huang,C.H.ら, Planta Med, 75, pp.1300-1305, 2009.)、ガラクトース投与による酸化ストレス誘発性の記憶障害の抑制効果(Chiu,C.S.ら, Am J Chin Med, 39, pp.551-563, 2011.)及び抗糖尿病性神経障害(Kang,T.H.ら, Biol Pharm Bull, 34, pp.1493-1498, 2011.)等が報告されている。さらには、肌の美白効果(特表2010−535758号明細書)、シワとり等皮膚改善(特表2009−501209号明細書、特開2007−016013号明細書)、発毛効果(特開2006−273754号明細書)等の効果が知られている。 例えば、ジオスゲニンは、後述のように市販のものが利用でき、また天然物からの抽出物を用いてもよい。 本明細書で、ジオスゲニン誘導体とは、ジオスゲニンの等価物であり、1,25D3-MARRSの刺激活性を示す化合物をいう。ジオスゲニン誘導体は、市販されているものを用いてもよく、又は、公知方法、自体公知方法又はそれらに準ずる方法に従って製造したものを用いてもよく、天然物からの抽出物を用いてもよい。例えば、ジオスゲニン誘導体は、ジオスゲニンに置換基を導入したり、置換基を変換したりする化学修飾によって達成できる等価物であってもよく、天然物から抽出したジオスゲニン配糖体であってもよい。 前記ジオシンは、ヤムイモ等に含まれるサポニンであり、ジオスゲニン配糖体である。1,25D3-MARRSの刺激活性を示すジオスゲニン誘導体化合物として好適に用いることができる。 前記デノソミンは、下記式(I)で表される新規合成化合物であり、脊髄損傷を改善することが報告されている(Teshigawara,Kら, Br J Pharmacol. 2013 Feb;1 68(4), pp.903-919.)。また、Matsuya, Yら, Org Lett. 2009 Sep 3;11(17): pp.3970-3973には、デノソミンが新しい抗アルツハイマー病薬候補となることが報告されている。しかしながら、デノソミンのシグナリングメカニズムについては、一切、知られていなかった。 前記DHVD3は、カルシトリオールとも呼ばれる、ホルモン活性を有する形のビタミンDであり、下記式(II)で表される。 本発明の上記の態様において、前記神経疾患が脊髄損傷又はアルツハイマー病であり、且つ前記1,25D3-MARRSの刺激活性を有する化合物がデノソミンである場合を除いてもよい。 本発明の別のひとつの態様は、1,25D3-MARRSの刺激活性を有する化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩の治療有効量を含む、神経疾患を治療するための医薬組成物に関する。 神経疾患、ならびに、1,25D3-MARRSの刺激活性を有する化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩は、上記と同様であってよい。 本発明の医薬組成物は、限定されるものではないが、慣用される方法により製剤化することが可能である。 前記医薬組成物の好ましい剤形としては、例えば錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、ドライシロップ剤、被覆錠剤、口腔内崩壊錠、チュアブル錠、カプセル剤、ソフトカプセル剤、シロップ剤、経口液剤、トローチ剤、ゼリー剤、吸入剤、坐剤、注射剤、軟膏剤、点眼剤、眼軟膏剤、点鼻剤、点耳剤、パップ剤、ローション剤、外用液剤、スプレー剤、外用エアゾール剤、クリーム剤、ゲル剤、テープ剤、バッカル錠、舌下錠、膣坐剤、膣錠、直腸ソフトカプセル剤等が挙げられる。製剤化には、通常用いられる例えば賦形剤、結合剤、崩壊剤、コーティング剤、滑沢剤、着色剤、矯味矯臭剤や、必要により安定化剤、乳化剤、吸収促進剤、界面活性剤、pH調製剤、防腐剤、抗酸化剤等を使用することができ、一般に医薬品製剤の原料として用いられる成分を配合して常法により製剤化可能である。本発明は、少なくともひとつの担体を混合させることを特徴とする医薬組成物の調製法も含有する。 製剤化に用いられる成分(担体)としては、特に限定されないが、例えば大豆油、牛脂、合成グリセライド等の動植物油;例えば流動パラフィン、スクワラン、固形パラフィン等の炭化水素;例えばミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル等のエステル油;例えばセトステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール;シリコン樹脂;シリコーンオイル;ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー等の界面活性剤;例えばヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース等の水溶性高分子;例えばエタノール、イソプロパノール等の低級アルコール;例えばグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ソルビトール等の多価アルコール;グルコース、ショ糖等の糖;例えば無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸アルミニウム等の無機粉体、精製水等が挙げられる。賦形剤としては、例えば乳糖、コーンスターチ、白糖、ブドウ糖、マンニトール、ソルビット、結晶セルロース、二酸化ケイ素等が、結合剤としては、例えばポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、エチルセルロース、アラビアゴム、トラガント、ゼラチン、シェラック、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、トウモロコシデンプン等が、崩壊剤としては、例えばトウモロコシデンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン、結晶セルロース、沈降炭酸カルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クエン酸カルシウム、デキストリン、ペクチン、カルボキシメチルセルロースカルシウム等が、滑沢剤としては、例えばステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、軽質無水ケイ酸、ショ糖脂肪酸エステル等が、着色剤としては医薬品に添加することが許可されているものが、矯味矯臭剤としては、ココア末、メントール、芳香散、ハッカ油、竜脳、桂皮末等が用いられる。 例えば経口製剤は、有効成分である化合物又はその塩もしくはエステルあるいはこれらの水和物と賦形剤、さらに必要に応じて例えば結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味矯臭剤等を加えた後、常法により例えば散剤、細粒剤、顆粒剤、錠剤、被覆錠剤、カプセル剤等とする。錠剤、顆粒剤の場合には、例えば糖衣、その他必要により適宜コーティングすることはもちろん差支えない。シロップ剤や注射用製剤等の場合は、例えばpH調製剤、溶解剤、等張化剤等と、必要に応じて溶解補助剤、安定化剤等を加えて、常法により製剤化する。また、外用剤の場合は、特に製法が限定されず、常法により製造することができる。使用する基剤原料としては、医薬品、医薬部外品、化粧品等に通常使用される各種原料を用いることが可能で、例えば動植物油、鉱物油、エステル油、ワックス類、高級アルコール類、脂肪酸類、シリコン油、界面活性剤、リン脂質類、アルコール類、多価アルコール類、水溶性高分子類、アクリル系粘着剤粘土鉱物類、精製水等の原料が挙げられ、必要に応じ、pH調製剤、抗酸化剤、キレート剤、防腐防黴剤、着色料、香料等を添加することができる。さらに、必要に応じて分化誘導作用を有する成分、例えば血流促進剤、殺菌剤、消炎剤、細胞賦活剤、ビタミン類、アミノ酸、保湿剤、角質溶解剤等の成分を配合することもできる。 本発明の前記医薬組成物の投与形態は、特に限定されず、経口投与であっても、非経口投与であってもよい。非経口投与としては、例えば、直腸投与、経鼻投与、経肺投与、注射投与(例えば、静脈内投与、脊椎腔内投与、硬膜外腔内投与、筋肉内投与、皮下投与、腹腔内投与、動脈内投与、関節内投与、心臓内投与、嚢内投与、皮内投与、病巣内投与、眼内投与、胸腔内投与、くも膜下投与、子宮内投与、脳室内投与)等が挙げられる。 本発明の特に好ましいひとつの態様において、1,25D3-MARRSの刺激活性を有する化合物がジオスゲニンである場合の投与形態は脊椎腔内投与又は静脈内投与、ジオシンである場合の投与形態は経口投与である。 本発明の前記医薬組成物に含まれる1,25D3-MARRSの刺激活性を有する化合物、又は薬学的に許容されるその塩の含有量は特に限定されないが、神経疾患に伴う症状を治療、改善、又は回復させるのに十分な用量とすることが好ましい。 本発明にかかる医薬組成物の投与量は、例えば症状の程度、年齢、性別、体重、投与形態、塩の種類、疾患の具体的な種類等に応じて異なるが、通常、成人の場合は1日あたり経口投与で、1,25D3-MARRSの刺激活性を有する化合物又はその薬理学的に許容される塩を約2mg〜約10g、好ましくは約5mg〜約5g、さらに好ましくは約10mg〜約1gを、注射投与で約2mg〜約10g、好ましくは約5mg〜約5g、さらに好ましくは約10mg〜約1gを、それぞれ1回又は数回に分けて投与する。 本発明のひとつの態様において、前記医薬組成物は、疾患の治療もしくは予防に有用であることが知られているひとつ以上の化合物、又はその薬学的に許容されている塩を併用してよい。前記疾患は、特に限定されないが、好ましくは神経疾患であり、より好ましくはADである。 本発明のひとつの態様において、前記神経疾患がADである場合、1,25D3-MARRSの刺激活性を有する化合物、又は薬学的に許容されるその塩は、ADやその症状の治療もしくは予防に有用であることが知られているひとつ以上の化合物と併用してもよい。 前記ADやその症状の治療もしくは予防に有用であることが知られている化合物としては、アミロイドベータ(Aβ)に起因する疾患、例えばAD、老年性痴呆、ダウン症又はアミロイドーシス症等の治療のために、以下のメカニズムを有する化合物が挙げられる。 具体的には例えば、コリンエステラーゼインヒビター(例えば、donepezil,huperzineA,tacrine,rivastigmine,galantamine);AMPAレセプターアンタゴニスト(例えば、3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン等の1,2−ジヒドロピリジン化合物);NMDAレセプターアンタゴニスト(例えば、memantine);アセチルコリン放出ステュムラント(例えば、pramiracetam;aniracetam);カルシウムチャンネルアゴニスト(例えば、nefiracetam);フリーラジカルスカヴェンジャー(例えば、EGb 761);血小板活性因子アンタゴニスト(例えば、EGb 761);血小板凝集アンタゴニスト(例えば、EGb 761,triflusal);インシュリンセンシタイザー(例えば、rosiglitazone);パーオキシソーム増殖因子−活性化レセプターアゴニスト(例えば、rosiglitazone);パーオキシソーム増殖因子−活性化レセプターガンマアゴニスト(例えば、rosiglitazone);モノアミンオキシダーゼBインヒビター(例えば、rasagiline,selegiline,procaine);カルニチンアセチルトランスフェラーゼステュムラント(例えば、levacecarnine);NSAIDs(例えば、triflusal,celecoxib等のcyclooxygenase−2 inhibitors);神経成長因子アゴニスト(例えば、xaliproden,FPF 1070);ベータ−アミロイドインヒビター(例えば、tarenflurbil,tramiprosate,leuprorelin−D);イムノモデレーター(例えば、tarenflurbil,immune globulin,icosapentethyl ester);NF−カッパBインヒビター(例えば、tarenflurbil);スロトロピン放出ホルモン(例えば、taltirelin);ドーパミンD2レセプターアンタゴニスト(例えば、risperidone);セロトニン2レセプターアンタゴニスト(例えば、risperidone);ムスカリニックM1レセプターアゴニスト(例えば、cevimeline);アルファ1アドレノセプターアゴニスト(例えば、modafinil);セロトニン3レセプターアンタゴニスト(例えば、alosetron);ドーパミンD2レセプターアゴニスト(例えば、aripiprazole);ドーパミンD2レセプターアンタゴニスト(例えば、aripiprazole);セロトニン1Aレセプターアゴニスト(例えば、aripiprazole);セロトニン2Aレセプターアンタゴニスト(例えば、aripiprazole);グルコルチコイドアンタゴニスト(例えば、mifepristone);プロゲステロンアンタゴニスト(例えば、mifepristone);HMG−CoAレダクターゼインヒビター(例えば、atorvastatin,simvastatin);アデノシン取り込みインヒビター(例えば、propentofylline);ホスホジエステラーゼインヒビター(例えば、propentofylline);アセチルコリンレセプターアゴニスト(例えば、choline alfoscerate);膜透過エンハンサー(例えば、choline alfoscerate);カンナビノイド1レセプターアンタゴニスト(例えば、rimonabant);カンナビノイドレセプターアゴニスト(例えば、dronabinol);血管形成インヒビター(例えば、paclitaxel);免疫抑制剤(例えば、paclitaxel);ツブリンアンタゴニスト(例えば、paclitaxel);トロンボキサンAシンターゼインヒビター(例えば、triflusal);アンチオキシダント(例えば、idebenone);アルファアドレナレセプターアンタゴニスト(例えば、nicergoline);エストロゲンアンタゴニスト(例えば、conjugated estrogens,trilostane);3−ベータハイドロキシステロイドデヒドロゲナーゼインヒビター(例えば、trilostane);シグナル伝達経路インヒビター(例えば、trilostane);メラトニンレセプターアゴニスト(例えば、ramelteon);免疫ステュムラント(例えば、immune globulin,icosapentethyl ester,procaine);HIVエントリーインヒビター(例えば、procaine);ナトリウムチャンネルアンタゴニスト(例えば、procaine);微細管インヒビター(例えば、CPH 82);グリシンNMDAアゴニスト(例えば、cycloserine);アデノシンA1レセプターアンタゴニスト(例えば、KW 3902);ATPアーゼステュムラント(例えば、triacetyluridine);ミトコドリア機能エンハンサー(例えば、triacetyluridine);成長ホルモン放出因子アゴニスト(例えば、tesamorelin);ブチルコリンエスタラーゼインヒビター(例えば、bisnorcymserine);アルファアドレナリン作動性レセプターアンタゴニスト(例えば、nicergoline);NOシンターゼタイプIIインヒビター(例えば、arundic acid);キレート化剤(例えば、PBT 2);アミロイド原線維生成インヒビター(例えば、TTP488,PF 4494700);セレトニン4レセプターアゴニスト(例えば、PRX 03140);セレトニン6レセプターアンタゴニスト(例えば、SB 742457);ベンゾジアゼピンレセプターインバースアゴニスト(例えばradequinil);Caチャンネルアンタゴニスト(例えば、safinamide);ニコチンレセプターアゴニスト(例えば、ispronicline);又はBACEインヒビター(例えば、CTS 21166)等のメカニズムを有する化合物が挙げられる。 さらに具体的化合物としては、例えば、donepezil,huperzine A,tacrine,rivastigmine,galantamine,pramiracetam,aniracetam,nefiracetam,EGb761,rosiglitazone,rasagiline,levacecarnine,celecoxib,3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン,talampanel,becampanel,memantine,xaliproden,tarenflurbil,tramiprosate,leuprorelin−D,taltirelin,risperidone,cevimeline,modafinil,alosetron,aripiprazole,mifepristone,atorvastatin,propentofylline,choline alfoscerate,FPF 1070(CAS No. 143637−01−8),rimonabant,dronabinol,docosahexaenoic acid,paclitaxel,triflusal,idebenone,nicergoline,conjugated estrogens,trilostane,simvastatin,selegiline,ramelteon,immune globulin,icosapentethyl ester,procaine,CPH 82,cycloserine,KW 3902(CAS No. 136199−02−5),triacetyluridine,estrogen dementia therapeutics(e.g.,MIGENIX,Vancouver,Canada),tesamorelin,bisnorcymserine,nicergoline,arundic acid,PBT 2,TTP488,PF 4494700,PRX 03140,SB 742457,radequinil,safinamide,ispronicline,CTS 21166,Bapineuzumab,NP 031112,(2S,3aS,7aS)−1{[(R,R)−2−フェニルシクロプロピル]カルボニル}−2−[(チアゾリジン−3−イル)カルボニル]オクタヒドロ−1H−インドール,citalopram,venlafaxine,levprorelin,prasterone,peptide T(CAS No. 53−43−0),besipiridine,lexipafant,stacofylline,SGS 742(CAS No. 123690−78−8),T 588(CAS No. 142935−03−3),nerispiridine,dexanabinol,sabcomeline,GTS 21(CAS No. 156223−05−1),CX516(CAS No. 154235−83−3),ABT 089(CAS No. 161417−03−4),anapsos,tesofensine,SIB 1553A(すなわち、4−[[2−(1−メチル−イル−2−ピリロリジニル)エチル]チア]フェノール),ladostigil,radequinil,GPI 1485,ispronicline,arundic acid,MEM 1003(すなわち、3−イソプロピル 5−(2−メトキシル)4−(2−クロロ−3−シアノフェニル)−2,6−ジメチルピリジン−3,5−ジカルボキシラーゼ),V 3381(すなわち、2−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−3−イルアミノ)アセトアミド塩酸塩),farampator,paliroden,prasterone−paladin,urocortin,DP b99(すなわち、2,2’−(エチレンジオキシ)ビス(2,1−フェニレン)ビス[N−[2−[2−(オクチルオキシ)エトキシ]−2−オキソエチル]イミノ]ビス(酢酸)),capserod,DU 125530,bapineuzumab,AL 108(すなわち、L−Asparaginyl−L−alanyl−L−prolyl−L−valyl−L−seryl−L−isoleucyl−L−prolyl−L−glutamine),DAS 431,DEBIO 9902,DAR 100,mitoquinone,IPL 455903(すなわち、5(S)−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシフェニル]−3(S)−(3−メチルベンジル)ピペリジン−2−オン),E2CDS,PYM 50028,PBT 2,lecozotan,SB 742457,CX 717,AVE 1625(すなわち、1−(ビス(4−クロロフェニル)メチル)−3−((3,5−ジフルオロフェニル)(メチルスルフォニル)メチレン)アゼチジン),LY 450139(すなわち、N2−[2(s)−ヒドロキシ−3−メチルブチリル]−N1−[3−メチル−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピン−1(S)−イル]−L−アラニンアミド),EM 1421(すなわち、4,4’−[(2R,3S)−2,3−ジメチルブタン−1,4−ジイル]ビス(1,2−ジメトキシベンゼン),SRN 001,TTP 488,PRX 03140,dimebolin,glycine−proline−glutamate,C105,AL 208,MEM 3454,AC 1202,L 830982,LY 451395(すなわち、(R)−N−[2−[4’−(メチルスルホンアミドメチル)ビフェニル−4−イル]プロピル]プロパン−2−スルフォンアミド),MK 0249,LY 2062430,diethylnorspermine,neboglamine,S 18986,SA 4503(CAS No. 165377−44−6),GRI 1,S 17092(すなわち、(2S,3aS,7aS)−1{[(R,R)−2−フェニルシクロプロピル]カルボニル}−2−[(チアゾリジン−3−イル)カルボニル]オクタヒドロ−1H−インドール),SL 251188,EUK 189,R 1450,6,6−ジメチル−3−(2−ヒドロキシエチル)チオ−1−(チアゾール−2−イル)−6,7−ジヒドロ−2−ベンゾチオフェン−4(5H)−オン,CERE 110,dexefaroxan,CAD 106,HF 0220,HF 0420,EHT 0202,VP 025,MEM 1414,BGC 201259(すなわち、N,N−Dimethylcarbamic acid,4−[1(S)−(メチルアミノ)−3−(4−ニトロフェノキシ)プロピル]フェニルエステル),EN 100,ABT 834,ABT 239(すなわち、4−[2−[2−[(2R)−2−メチルピロリジニル]エチル]−ベンゾフラン−5−イル]ベンゾニトリル),SGS 518,R 1500,C 9138,SSR 180711,alfatradiol,R 1577,T 817MA(すなわち、1−[3−[2−(1−ベンゾチエン−5−イル)エトキシ]プロピル]アゼチジン−3−オールマレイン酸塩),CNP 1061(すなわち、4−メチル−5−(2−ニトロオキシエチル)チアゾール),KTX 0101(すなわち、ベータヒドロキシ酪酸ナトリウム),GSK 189254(すなわち、6−[3−シクロブチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[d]アゼピン−7−イルオキシ]−N−メチルニコチンアミド),AZD 1080,ACC 001,PRX 07034,midazolam,R−phenserine,AZD 103(CAS No. 488−59−5),SN 522,NGX 267(CAS No. 503431−81−0),N−PEP−12,RN 1219,FGLL,AVE 8112,EVT 101,NP 031112,MK 0752,MK 0952,LX 6171,PAZ 417,AV 965,PF 3084014,SYN 114,GSI 953,SAM 315,SAM 531,D−serine,leteprinim potassium,BR 16A(CAS No. 149175−77−9),RPR 107393(CAS No. 190841−57−7),NXD 2858,REN 1654,CDD 0102,NC 1900(CAS No. 132925−74−7),ciclosporin,NCX 2216(すなわち、(E)−4−(ニトロオキシ)ブチル3−[4−[2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパノイルオキシ]−3−メトキシフェニル]アクリレート),NXD 3109,NXD 1191,ZSET 845(すなわち、3,3−ジフェニルイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−(3H)−オン),ET 002,NT 13,RO 638695(すなわち、[1,6−(1,6−ジオキソヘキシル)]ジピロリジン−(2R)−カルボン酸),bisnorcymserine,BA 1016,XD 4241,EUK 207(すなわち、(SP−5−13)−(acetato−κO)[13,16,19,22−テトラオキサ−3,6−ジアザトリシクロ[21.3.18,12]オクタコサ−1(27),2,6,8,10,12(28),23,25−オクタエン−27,28−ジオラト(2−)−κN3,κN6,κO27,κO28]マグネシウム塩),LG 617 inhibitors,ZSET 1446,PAN 811,F 14413(すなわち、2−[5−フルオロ−2(S)−メトキシ−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−2−イル]−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール),FP 7832(すなわち、N−[2−(5−メトキシ−1−ニトロソ−1H−インドール−3−イル)エチル]アセトアミド),ARA 014418(すなわち、N−(4−メトキシベンジル)−N’−(5−ニトロ−1,3−チアゾール−2−イル)ウレア),AZD 3102,KP 544(すなわち、2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(4−トランス−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ピリミジン),DP 155,5−クロロ−N−[3−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−1H−インドール−5−イル]ナフタレン−2−スルフォンアミド,TAK 070,huperzine,N−[2−(3,5−ジメチルアダマント−1−イル)エチル]アセタミド塩酸塩,6−[4−[(ジメチルアミノ)メチル]−5−エチル−2−メトキシフェニル]ピリジン−2−アミン,4,6−ジフェニル−3−(4−(ピリミジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)ピリダジン,N−[(1S,2R)−3−(3,5−ジフルオロフェニル)−1−ヒドロキシ−1−[(5S,6R)−5−メチル−6−(ネオペンチルオキシ)モルホォリン−3−イル]プロパン−2−イル]アセトアミド塩酸塩,N−[(1R,2S)−3−(3,5−ジフルオロフェニル)−1−ヒドロキシ−1−[(2R,4R)−4−フェノキシピロリジン−2−イル]プロパン−2−イル]−3−[(R)−2−(メトキシメチル)ピロリジン−1−カルボニル]−5−メチルベンズアミド,R 1589,midafotel,phenserine,coluracetam,physostigmine,cipralisant,nitroflurbiprofen,PPI 1019(すなわち、(3α,5β,7α,12α)−trihydroxycholan−24−oyl−L−leucyl−L−valyl−L−phenylalanyl−L−phenylalanyl−L−alanine),dapsone,MDL 100453(CAS No. 129938−34−7),NS 377,midaxifylline,propofol phosphate,metrifonate,ceronapril,tenilsetam,sufoxazine,seglitide,ebiratide,nebracetam,milacemide,iododoxorubicin,SM 10888(CAS No. 129297−21−8),U 80816(CAS No. 138554−11−7),YM 954(CAS No. 132041−85−1),SUT 8701(CAS No. 123577−73−1),apovincamine,FR 121196(CAS No. 133920−65−7),LY 274614(CAS No. 136109−04−1),CL 275838(CAS No. 115931−65−2),igmesine,K 7259(CAS No. 133667−88−6),vinconate,itasetron,CL 287663(CAS No. 125109−98−0),WAY 100289(CAS No. 136013−69−9),SR 46559A(CAS No. 137733−33−6),GYKI 46903(CAS No. 142999−59−5),L 670548(CAS No. 121564−89−4),Y 29794(CAS No. 129184−48−1),AF 125(CAS No. 7631−86−9),KFM 19(CAS No. 133058−72−7),ST 796(すなわち、(S)−3−[3−(トリフルオロメチル)ベンゾイル)アミノ]ヘキサハイロドアゼピン−2−オン),RU 33965(CAS No. 122321−05−5),SDZ 210086(すなわち、(−)−1’,2(S)−ジメチルスピロ[1,3−ジオキサン−4,4’−ピペリジン]),L 689660(CAS No. 144860−79−7),L 689560(CAS No. 139051−78−8),ST 618(すなわち、1−(6,7−ジメトキシ−1,2,3,4−teテトラヒドロ−2−ナフチル)−4−ヒドロキシピロリジン−2−オン),U 74500A(CAS No. 110101−65−0),GEA 857(CAS No. 120493−42−7),BIBN 99(CAS No. 145301−48−0),DX 9366,ONO 1603(CAS No. 114668−76−7),MDL 102234(CAS No. 137766−81−5),P 9939(CAS No. 157971−37−4),PD 140532(CAS No. 157971−39−6),azetirelin,MR 16728(CAS No. 147614−21−9),dabelotine,MDL 102503(すなわち、8−[1(R)−メチル−2−フェニルエチル]−1,3−ジプロピル−7H−キサンチン),PD 141606(すなわち、(±)−(Z)−3−(3−フェニル−2−プロピニルオキシイミノ)−1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン),SNK 882(CAS No. 152221−12−0),L 696986(CAS No. 141553−45−9),tazomeline,LY 235959(CAS No. 137433−06−8),2−(2−チオキソピロリジン−1−イル)アセトアミド,AK 30 NGF,ABT 418(CAS No. 147402−53−7),itameline,HUP 13,sibopirdine,KST 5452(CAS No. 157998−88−4),TJ 54,U 92798(すなわち、7−[4−[Bis(4−フルオロフェニル)メチル]パーヒドロ−1,4−ジアゼピン−1−イルメチル]−4−イソプロピル−2−メトキシ−2,4,6−シクロヘプタトリエン−1−オン),U 92032(CAS No. 142223−92−5),3−(スルファモイルオキシ)エストラ−1,3,5(10)−トリエン−17−オン,P 11012(CAS No. 164723−36−8),A 82695(CAS No. 147388−86−1),FR 76659(CAS No. 116904−25−7),apaxifylline,CX 417,7 MEOTA(CAS No. 5778−80−3),BU 4514N(CAS No. 151013−39−7),pregnenolone,mexidol,ST 857(CAS No. 154755−63−2),RU 49041(CAS No. 123828−80−8),RU 35929(CAS No. 111711−47−8),P 878184,P 128(CAS No. 157716−52−4),eurystatin A,eurystatin B,LK 12,NBI 108,NBI 107,NBI 117,L 705106,bacoside A + B,clausenamide,SM 21(CAS No. 155156−22−2),alaptide,RS 17017(すなわち、1−(4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシフェニル)−5−(1−ピペリジニル)−1−ペンタノン塩酸塩),AF 150(S)(すなわち、(S)−[1−メチル−ピペリジン−4−スピロ−(2’−メチルチアゾリン)]),RO 153505(CAS No. 78771−13−8),PV 113(すなわち、1,2,3,4−テトラヒドロピロール−[1,2−a]−ピラジン),arisugacin,A 98284(すなわち、2(R)−(3−メチルキサゾール−5−イル)キヌクリジン),AP 5(CAS No. 136941−85−0),BD 1054,SDZ NDD 094(すなわち、ビス−(2−(2−メチルイミダゾール−1−イル]メチル)−ピリジン−トリス(ハイドロゲン−フマレート),AZ 36041(CAS No. 173324−76−0),quilostigmine,A 84543(すなわち、3−[1−メチルピロリジン−2−(S)−イルメトキシ]ピリジンフマレート),BTG 4247(すなわち、(2−[2−クロロエトキシ[4−(ジメチルアミノ)フェニル]ホスホォリル]−アセトヒドラジン),CGP 50068(CAS No. 158647−49−5),cerebrocrast,desferri−nordanoxamine,isolichenan,MHP 133(すなわち、3−(N,N−ジメトキシカルバモイルオキシ)−1−メチル−2−(4−フェニル−セミカルバゾメチル)ピリジウムクロライド),FR 152558(CAS No. 151098−08−7),GVS 111(CAS No. 157115−85−0),P 11149(CAS No. 164724−79−2),PDC 008004,KST 2818(CAS No. 158623−26−8),KST 5410(CAS No. 158623−27−9),RU 52583(CAS No. 123829−33−4),PD 151832(CAS No. 149929−39−5),UCL 1199(すなわち、4−[2−[(5−ニトロピリジン−2−イルスルファニル)エチル]−1H−イミダゾール),isovanihuperzine A,SIB 1765F(CAS No. 179120−52−6),JWS USC 751X(すなわち、3−[[[2−[[(5−ジメチルアミノエチル)−2−フラニル]メチル]チオ]エチル]アミノ]−4−ニトロピリダジン),GR 175737(すなわち、3−(4−クロロベンジル)−5−[2−(1H−イミダゾール−4−イル)エチル]−1,2,4−オキサジアゾール),KS 505A(CAS No. 131774−53−3),ZTTA 1(すなわち、N−ベンジルオキシカルボニル−チオプロピル−チオプロピナール−ジメチルアセタール),AGN 190837(CAS No. 136527−40−7),P 10358(188240−59−7),WAY 131256(CAS No. 174001−71−9),DBO 83(すなわち、3−(6−クロロピラジン−3−イル)−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン 二塩酸塩一水和物),FUB 181(CAS No. 152029−80−6),RJR 2557,WSU 2088,LVV−haemorphin−7,M 40(すなわち、galanin[1−12]−Pro3−(Ala−Leu)2−Ala−NH2),SIB 1757,SKF 74652(すなわち、[5−クロロ−2−(4−メトキシフェニル)−3−ベンゾフラニル][4−[3−(ジメチルアミノ)−プロポキシ]フェニル]メタンノン),CGP 71982,SCH 57790(すなわち、4−シクロヘキシル−アルファ−[4−[[4−メトキシフェニル]スルフィニル]フェニル]−1−ピペラジンアセトニトリル),Putrescine−D−YiAbeta11,DU 14(すなわち、p−O−(スルファモイル)−N−テトラデカノイルチラミン),CLZ 4,SL 340026,PPRT 424,ciproxifan,UR 1827(すなわち、2−(1−ベンジルピペリジン−4−イル)−1−[4−(5−メチルピリミジン−4−イルアミノ)フェニル]−1−エタノン),caproctamine,TGS 20(すなわち、L−pyroglutamil−D−alanine amide),PG 9(すなわち、アルファ−トロパニル 2−[(4−ブロモ)フェニル]プロピオネート),TEI 3356(すなわち、(16S)−15−デオキシ−16−ヒドロキシ−16−メチル−9−(O)−メタノ−DELTA6(9アルファ)−プロスタグランジンI1),LY 392098(すなわち、Thiophene,3−[(2−メチルエチル−2)スルホニルアミノプロピル−2]フェニル−4−イル−),PG 1000,DM 232,NEPP 11(すなわち、12−イソ−15−デオキシ−18−(4−メチル)フェニル−13,14−ジヒドロ−デルタ7−プロスタグランジンA1メチルエステル),VA 100(すなわち、(2,3−ジヒドロ−2−[[(4−フルオロベンゾイル)アミノ]エチル]−1−メチル−5−フェニル−1H−1,4−ベンゾジアゼピン),VA 101(すなわち、(2,3−ジヒドロ−2−[[(2−チエニルカルボニル)アミノ]エチル]−1−メチル−5−フェニル−1H−1,4−ベンゾジアゼピン),NC 111585(すなわち、(3S)−1,3−Bis−[3−[(3−アザビシクロ[2.2.2]オクタニル)−1,2,5−チアジアゾール−4−イルオキシ]−1−プロピン−1−イル]ベンゼン,2L−(+)−tartate),IN 201,imoproxifan,kanokodiol,picroside I,picroside II,DM 235(すなわち、1−(4−ベンゾイルピペラジン−1−イル)プロパン−1−オン),モノクローナル抗体 10D5,JLK2,JLK 6,JLK 7,DAPT(すなわち、N−[N−(3,5−ジフルオロフェンアセチル)−L−アラニル]−S−フェニルグリシン t−ブチルエステル),huperine X,SGS 111(すなわち、(S)−エチル 2−[1−(2−フェニルアセチル)ピロリジン−2−カルボキサミド]アセテート),NP 7557,C 9136,C 7617,R 1485,rofecoxib,velnacrine,montirelin,lazabemide,ORG 2766(CAS No. 50913−82−1),sabeluzole,adafenoxate,CAS No. 9061−61−4,ipidacrine,bemesetron,idazoxan,linopirdine,selfotel,suritozole,milameline,xanomeline,TJ 960,fasoracetam,eptastigmine,ensaculin,zanapezil,posatirelin,zacopride,RS 86(CAS No. 3576−73−6),ORG 5667(CAS No. 37552−33−3),RX 77368(CAS No. 76820−40−1),BMS 181168(CAS No. 123259−91−6),BY 1949(CAS No. 90158−59−1),AWD 5239(CAS No. 109002−93−9),YM 796(171252−79−2),aloracetam,CI 933(CAS No. 91829−95−7),ST 793(CAS No. 99306−37−3),cebaracetam,zifrosilone,talsaclidine,alvameline,JTP 2942(148152−77−6),OPC 14117(CAS No. 103233−65−4),elziverine,AP 521(すなわち、N−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロ[1]ベンゾチエノ[2,3−c]ピリジン−3(R)−カルボキサミド塩酸塩),S 8510(CAS No. 151466−23−8),JTP 4819(CAS No. 162203−65−8),icopezil,SC 110,FK 960(CAS No. 133920−70−4),DMP 543(CAS No. 160588−45−4),ganstigmine,CI 1017(すなわち、(R)−(−)−(Z)−1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−3−オン,O−(3−(3’−メトキシフェニル)−2−プロピオニル)−オキシムマレイン酸),T 82(すなわち、2−[2−(1−ベンジルピペリジン−4−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−9−メトキシ−1H−ピロロ[3,4−b]キノリン−1−オン 1/2フマル酸塩),NGD 971,vaccine of Aspartyl−alanyl−glutamyl−phenylalanyl−arginyl−histidyl−aspartyl−seryl−glycyltyrosyl−glutamyl−valyl−histidyl−histidyl−glutaminyl−lysyl−leucyl−valyl−phenylalanyl−phenylalanyl−alanyl−glutamyl−aspartyl−valyl−glycyl−seryl−asparaginyl−lysyl−glycyl−alanyl−isoleucyl−isoleucyl−glycylleucyl−methionyl−valyl−glycyl−glycyl−valyl−valyl−isoleucyl−alanine,PBT 1(CAS No. 130−26−7),TCH 346,FK 962(すなわち、N−(1−アセチルピペリジン−4−イル)−4−フルオロベンズアミド),voxergolide,KW 6055(CAS No. 63233−46−5),thiopilocarpine,ZK 93426(CAS No. 89592−45−0),SDZ NVI 085(CAS No. 104195−17−7),CI 1002(CAS No. 149028−28−4),Z 321(CAS No. 130849−58−0),mirisetron,CHF 2060(すなわち、N−ヘプチルカルバミン酸 2,4a,9−トリメチル−2,3,4,4a,9,9a−ヘキサヒドロ−1,2−オキサジノ[6,5−b]インドール−6−イル エステル−L−酒石酸塩),gedocarnil,terbequinil,HOE 065(CAS No. 123060−44−6),SL 650102,GR 253035,ALE 26015,SB 271046(すなわち、5−クロロ−N−(4−メトキシ−3−ピペラジン−1−イル−フェニル)−3−メチル−2−ベンゾチオフェンスルホンアミド),iAbeta5,SCH 211803(すなわち、3−クロロフェニル[4−[1−[1−(2−アミノ−3−メチルベンゾイル)−4−ピペリジニル]−4−ピペリジニルメチル]フェニル]スルホン),EVT 301,alpha−Linolenic acid/linoleic acid,Kamikihi−To,siagoside,FG 7142(CAS No. 78538−74−6),RU 47067(CAS No. 111711−92−3),RU 35963(CAS No. 139886−03−6),FG 7080(CAS No. 100332−18−1),E 2030(CAS No. 142007−70−3),トランフフォーミング成長因子ベータ−1,A 72055(すなわち、2’,1−ジメチルスピロ[ピペリジン−4,5’−オキサゾリジン]−3’−カルボキシアルデヒド),NS 626,dimiracetam,GT 3001,GT 2501,GT 2342,GT 2016(CAS No. 152241−24−2),ORG 20091(CAS No. 141545−50−8),BCE 001(CAS No. 95678−81−2),CGP 35348(CAS No. 123690−79−9),WAY 100635(CAS No. 146714−97−8),E 4804(CAS No. 162559−34−4),LIGA 20(CAS No. 126586−85−4),NG 121(すなわち、2−[4,8−ジメチル−3(E),7(E)−モノアジエニル]−3,5−ジヒドロキシ−2−メチル−3,4,7,9−テトラヒドロ−2H−フルオロ[3,4−h]−1−ベンゾピラン−7−オン),MF 247(すなわち、N−[10−(ジメチルミノ)デシル]カルバミン酸(3aS,8aR)−1,3a,8−トリメチル−1,2,3,3a,8,8a−ヘキサヒドロピロロ[2,3−b]インドール−5−イル エステル),JTP 3399(すなわち、N−ベンジル−2(S)−[2(S)−(フェノキシアセチル)ピロリジン−1−イルカルボニル]ピロリジン−1−カルボキサミド),KF 17329,thioperamide,F 3796(すなわち、1−[2−(1−ベンジルピペリジン−4−イル)エチル]−3−[3,4−(メチレン−ジオキシ)ベンゾイル]チオウレア),GT 4001,GT 4002,FPL 14995(CAS No. 123319−03−9),RU 34332(CAS No. 137157−58−5),SR 96777A(CAS No. 115767−94−7),SIB T1980,NS 649(CAS No. 146828−02−6),PD 142505(CAS No. 149929−08−8),GYKI 52466(CAS No. 102771−26−6),RO 246173(CAS No. 159723−57−6),SCH 50911(CAS No. 160415−07−6),Z 4105(CAS No. 119737−52−9),RS 67333(CAS No. 168986−60−5),NS 1546,ZM 241385(CAS No. 139180−30−6),RO 249975(すなわち、[1S,3S(2’S),5R]−3−(1−ベンジル−5−オキソピロリジン−2−イルメチル)−5−(1H−イミダゾール−5−イルメチル)シクロヘキサン−1−アセタミド),AF 185(すなわち、8−メチル−3−(2−プロピニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]デカン−2,4−ジオン),CEP 427,CX 423,CX 438,CX 480,CDP−ethanolamine,GT 4003,GT 4011,GT 5011,MS 430(CAS No. 122113−44−4),MBF 379(すなわち、[3,3−ビス(ヒドロキシメチル)−8−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾキサジン−5−イル][3’,5’−ジヒドロキシ−4’−(2−イキソ−2−フェニルエトキシ)フェニル]メタノン),NGD 187(CAS No. 163565−48−8),DUP 856,MR 3066,MF 8615(すなわち、5−アミノ−6−クロロ−4−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−1H−チオピラノ−[3,4−b]キノリノン),himbacine,ABS 300,RJR 2403(CAS No. 538−79−4),MF 268(CAS No. 174721−00−7),RO 465934(すなわち、N,N−ジメチルカルバミン酸 3−(2−シクロヘキシル)−2,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−1H−ベンゾ[e]インドール−6−イル エステル),NS 393,RGH 2716(CAS No. 134069−68−4),WIN 678702(12,12−ビス(3−フリル)−6,11−ジヒドロ−6,11−エタノベンゾ[b]キノリジニウムクロライド),RS 66252(すなわち、1−ブチル−2−[(2’−(2H−テトラゾール−5−イル)−ビフェニル−4−イル)メチル]−1H−インドール−3−カルボン酸),AIT 034(CAS No. 138117−48−3),NG 012(CAS No. 131774−53−3),PD 142012(CAS No. 5778−84−7),GT 4054,GT 4077,GT 4035,P 26(CAS No. 152191−74−7),RGH 5279(すなわち、(−)−(13aR,13bS)−13a−エチル−2,3,5,6,13a,13b−ヘキサヒドロ−1H−インドロ[3,2,1−de]ピリド[3,2,1−ij][1,5]ナフチリジン−12−カルボン酸 2−アセトキシエチル エステル),AIT 083,CeNeS,エストラジオール(すなわち、1,3,5(10)−エストラトリエン−3,17ベータ−ジオール),WAY 132983((3R,4R)−3−(3−ヘキサスルファニルピラジン−2−イルオキシ)−1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン 塩酸塩),ABS 205,ABS 401,SX 3507(すなわち、3−(3−プロピル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)キノキサリン−2(1H)−オン),ARR 17779(すなわち、(−)−スピロ[1−アザビシクロ[2.2.2]オクタエン−3,5−オキサゾリジン]−2−オン),XE 991(すなわち、10,10−ビス(4−ピリジルメチル)アンスラセン−10(9H)−オン),phenethylnorcymserine,RO 657199,RJR 1781(すなわち、R(+)−2−(3−ピリジル)−1−アザビシクロ[2.2.2.]オクタン),RJR 1782(すなわち、S(−)−2−(3−ピリジル)−1−アザビシクロ[2.2.2.]オクタン),gilatide,tolserine,TC 2559(すなわち、(E)−N−メチル−4−[3−(5−エトキシピリジン)イル]−3−ブテン−1−アミン),ER 127528(すなわち、1−(3−フルオロベンジル)−4−[(2−フロロ−5,6−ジメトキシ−1−インダノン−2−イル)メチル]ピペリジン 塩酸塩),thiatolserine,targacept,axonyx,cymserine,thiacymserine,monoclonal antibody 266,Apan−CH,DP 103,SPI 339(すなわち、4−[3−(4−オキソ−4,5,6,7−テトラヒドロインドール−1−イル)プロピオニルアミノ]安息香酸 エチル エステル),S 37245(すなわち、4−(1,4−ベンゾジオキサン−5−イル)−1−[3(S)−ヒドロキシ−5−ニトロ−インダン−2−イル]−ピペラジン),LLG 88,AZD 2858,trometamol,AN 240,NG 002(すなわち、5−ヒドロキシ−5−(2−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−4−メトキシフラン−2(5H)−オン),UCB 29427(すなわち、2−シクロプロピル−4−(シクロプロピルアミノ)−6−(モルホリノ)−1,3,5−トリアジン),TRH−SR,RO 401641(CAS No. 122199−02−4),MPV 1743AIII(CAS No. 150586−64−4),IDRA 21(CAS No. 22503−72−6),CEP 431,ACPD(CAS No. 67684−64−4),CT 3577(すなわち、3,7−ジメチル−1−[11−(3,4,5−トリメトキシベンジルアミノ)−11−オキソウンデシル]キサンチン),CT 2583,NXD 9062,Desferri−nordanoxamine,DP b99,PBT 1,T 817MA,Alfatradiol(CAS No.57−91−0),AL 108,SL 650102,RS 67333(CAS No.168986−60−5),RS 17017,SGS 518,SYN 114,SB 271046,RO 657199,PRX 07034,Suritozole(CAS No.110623−33−19),Terbequinil(CAS No.113079−82−6),FG 7142(CAS No.78538−74−6).RU 34332(CAS No.137157−58−5),SX 3507,RO 153505(CAS No.78771−13−8),RU 33965(CAS No.122321−05−5),S 8510(CAS No.151466−23−8),Sabeluzole(CAS No.104383−17−7),Cerebrocrast(CAS No.118790−71−9),NS 626,NS 649(CAS No.146828−02−6),U 92032(CAS No.142223−92−5),MEM 1003,U 92798,RGH 2716(CAS No.134069−68−4),Safinamide(CAS No.133865−89−1),AZD 0328,MEM 63908,ABT 418(CAS No.147402−53−7),ARR 17779,RJR 2403(CAS No.538−79−4),TC 2559,A 82695(CAS No.147388−86−1),A 84543,A 98284,DBO 83,RJR 2557,SIB 1765F(CAS No.179120−52−6),GTS 21(CAS No.156223−05−1),MEM 3454,SIB 1553A,EVP 6124,SSR 180711,ABT 089(CAS No.161417−03−4),ABT 107,ABT 560,TC 5619,TAK 070,N−[(1S,2R)−3−(3,5−ジフルオロフェニル)−1−ヒドロキシ−1−[(5S,6R)−5−メチル−6−(ネオペンチルオキシ)モルホリン−3−イル]プロパン−2−イル]アセトアミド 塩酸塩,6−フルオロ−5−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロピリジン,2−アミノ−6−[2−(3’−メトキシビフェニル−3−イル)エチル]−3,6−ジメチル−5,6−ヒドロキシピリミジン−4(3H)−オン,AZD 1080,ARA 014418,XD 4241,Z 321(CAS No.130849−58−0),ONO 1603(CAS No.114668−76−7),JTP 3399,Eurystatin A(CAS No.137563−63−4),Eurystatin B(CAS No.137563−64−5),P 128(CAS No.157716−52−4),Y 29794(CAS No.129184−48−1),ZTTA 1,JTP 4819(CAS No.162203−65−8),Monoclonal antibody 266,duloxetine,escitalopram oxalate,fluoxetine,fluvoxamine maleate,paroxetine,sertraline,dapoxetine,desvenlafaxine,sibutramine,nefazodone,milnacipran,desipramine,duloxetine,又はbicifadine等が挙げられる。 本発明の組成物は、所望により、有効成分を含有する1つ以上の単位剤形を含有することができるパック又はディスペンサー装置等の容器を備えたキットの形で提供されうる。 本発明はまた、別々の薬剤組成物をキット形に組み合わせることもできる。このキットは2種類又はそれ以上の別々の薬剤組成物を含んでもよい。例えば、本発明の化合物とADの治療もしくは予防に有用であることが知られているひとつ以上の化合物、及び/又は本発明の化合物とAD以外の治療において薬効を示す化合物を含む。このキットは、通常、例えば分割式ボトル又は分割式ホイルパケットのような、別々の組成物を含有するための容器を含むが、別々の組成物を単一の非分割式容器に含めることもできる。キット形は、別々の成分を異なる投与形(例えば、経口的と非経口的)で投与することが好ましい場合、別々の成分を異なる投与間隔で投与する場合、又は処方医師によって組み合わせた個々の成分を滴定する必要がある場合に、特に有用である。 パックは、例えば、金属もしくはプラスチックフォイル、例えばブリスターパックを含むことができる。ブリスターパックはパッケージング業界において周知であり、製薬的単位投与形(錠剤、カプセル等)のパッケージングに広く用いられている。ブリスターパックは一般に、透明なプラスチック材料のホイルによって覆われた比較的硬質材料のシートから成るのが好ましい。パッケージング・プロセス中に、該プラスチックホイル中に凹みが形成される。これらの凹みは、パックされる個々の錠剤又はカプセルのサイズ及び形状に合わせてある。次に、錠剤又はカプセルを凹み中に入れて、凹みが形成された方向とは逆のホイル面において、比較的硬質材料のシートをプラスチックホイルに対してシールする。その結果、錠剤又はカプセルが該プラスチックホイルと該シートとの間の凹み中にシールされる。シートの強度は、凹みの場所においてシートに開口が形成されるように手で圧力を凹みに加えることによって、錠剤又はカプセルをブリスターパックから取り出すことができるような強度が好ましい。錠剤又はカプセルを前記開口によって取り出すことができる。 パック又はディスペンサー装置には、投与のための添付文書、プロダクトインサート等を添付することができる。パック又はディスペンサー等の容器は、医薬の製造、使用又は販売を規制する政府機関、当局の通達に適応させることができる。 本発明のひとつの態様は、1,25D3-MARRSの刺激活性を有する化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩を含有する、飲食品、飼料、食品添加剤、又は飼料添加剤等に関する。 本発明の前記飲食品について説明する。 本発明の前記飲食品は、一般的に飲食品に用いられる食品添加剤、例えば甘味料、着色料、保存料、増粘安定剤、酸化防止剤、発色料、漂白料、防かび剤、ガムベース、苦味料、酵素、光沢剤、酸味料、調味料、乳化剤、強化剤、製造用剤、香料、香辛料抽出物等の一種以上が添加されてもよい。なお、本発明の前記飲食品には、健康食品、機能性食品、特定保健用食品、乳児用食品、幼児用食品、妊産婦用食品、高齢者用食品、病者用食品が含まれる。 本発明の前記飲食品の形態は、特に限定されない。具体的には、例えば、いわゆる栄養補助食品(サプリメント)としての錠剤、顆粒剤、散剤、ドリンク剤等を挙げることができる。これ以外には、例えば茶飲料、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料等の飲料、そば、うどん、中華麺、即席麺等の麺類、飴、キャンディー、ガム、チョコレート、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子、パン等の菓子およびパン類、かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産又は畜産加工食品、加工乳、発酵乳等の乳製品、サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂および油脂加工食品、ソース、たれ等の調味料、カレー、シチュー、丼、お粥、雑炊等のレトルトパウチ食品、アイスクリーム、シャーベット、かき氷等の冷菓などを挙げることができる。 本発明の前記飲食品の摂取量は、特に限定されず、飲食品の形態;飲食品を摂取する対象の年齢、性別、状態等;あるいは本発明の前記担体に担持又は前記担体と混合させる前記機能性物質の種類、その他の条件に応じて設定してよい。 本発明の別のひとつの態様は、神経疾患を予防及び/又は治療するための薬剤の製造における、1,25D3-MARRSの刺激活性を有する化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩の使用に関する。前記神経疾患、1,25D3-MARRSの刺激活性を有する化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩、薬剤の剤形、投与形態、有効成分である1,25D3-MARRSの刺激活性を有する化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩の薬剤中の含有量、薬剤の投与量は、上記と同様であってよい。 本発明の別のひとつの態様は、1,25D3-MARRSの刺激活性を有する化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩、もしくはそのエステル等を哺乳動物に投与することによって、アミロイド斑、タウ沈殿、タウ析出物、PHF-タウ、又は神経原線維変化を減少させる方法に関する。本態様において、前記1,25D3-MARRSの刺激活性を有する化合物は、ジオスゲニン、ジオシン、及びデノソミンからなる群から選択される1種以上であることが好ましい。また、本態様において、投与対象となる哺乳動物は、特に限定されないが、例えば、ヒト、サル、マントヒヒ、チンパンジー、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウシ等が挙げられる。薬剤の剤形、投与形態、有効成分である1,25D3-MARRSの刺激活性を有する化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩の薬剤中の含有量、薬剤の投与量は、上記と同様であってよい。 また、本発明のさらに別のひとつの態様は、1,25D3-MARRSの刺激活性を有する化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩、もしくはそのエステル等を哺乳動物に投与することによって、アミロイドβ(Aβ)(1-42)に誘導された軸索の萎縮を抑える方法に関する。本態様において、前記1,25D3-MARRSの刺激活性を有する化合物は、ジオスゲニン、ジオシン、及びデノソミンからなる群から選択される1種以上であることが好ましい。また、本態様において、投与対象となる哺乳動物は、特に限定されないが、例えば、ヒト、サル、マントヒヒ、チンパンジー、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウシ等が挙げられる。薬剤の剤形、投与形態、有効成分である1,25D3-MARRSの刺激活性を有する化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩の薬剤中の含有量、薬剤の投与量は、上記と同様であってよい。 さらに、本発明のひとつの態様は、1,25D3-MARRSの刺激活性を有する化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩、もしくはそのエステル等を哺乳動物に投与することによって、1,25D3-MARRSを刺激し、シグナル伝達経路を活性化させる方法に関する。また、別のひとつの態様は、1,25D3-MARRSの刺激活性を有する化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩、もしくはそのエステル等を哺乳動物に投与することによって、正常な記憶力を亢進、向上させる方法に関する。なお、「正常な記憶力」とは、「アミロイド斑、タウ沈殿、タウ析出物、PHF-タウ、又は神経原線維変化を有している、もしくは、Aβ(1-42)に誘導された軸索の萎縮を有している等の疾患が、存在しない状態の対象における記憶力」を包含する。1,25D3-MARRSの刺激活性を有する化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩、薬剤の剤形、投与形態、有効成分である1,25D3-MARRSの刺激活性を有する化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩の薬剤中の含有量、薬剤の投与量、投与対象等は、上記と同様であってよい。 本発明のひとつの別の態様は、ジオスゲニン、ジオスゲニン誘導体、デノソミン、ジヒドロキシビタミンD3及びこれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される1種以上を投与することを特徴とする、1,25D3-MARRSを活性化させる方法に関する。投与形態、投与量、投与対象等は、上記した1,25D3-MARRSの刺激活性を有する化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩の投与と同様であってよい。 以下に、比較例、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、これらは本発明を限定するものではない。当業者は、以下の参考例及び実施例のみならず本願明細書にかかる特許請求の範囲に様々な変更を加えて本発明を最大限に実施することができ、かかる変更は本願明細書にかかる特許請求の範囲に含まれるものである。また、本発明は、本発明者らによる論文Tohda,C.ら、Scientific Reports, 2, 535, 2012に掲載されたものを基にしており、当該論文の内容はすべて本発明に取り込まれる。 本発明に使用する材料、試薬、動物は、市販品、又は本技術分野で公知の方法を用いて調製することができる。 ジオスゲニンは、市販品(例えば、和光純薬株式会社製、東京化成株式会社製、又は、シグマアルドリッチ社製等)を利用できる。また天然物(例えば、ヤマノイモ属(yam))から単離することができる。ジオスゲニン誘導体も同様に、市販品や天然物から得られる抽出物を用いることができる。また天然物から得られたサポニンの化学的変換によって製造することができるか、又は公知の方法で化学合成的に製造することができる。統計 一元配置分散分析(one-way ANOVA)、事後ダネット(Dunnett)検定、及び対応t−検定は、シグマスタット3.5 (SigmaStat 3.5)(シスタット(SYSTAT)社、シカゴ、イリノイ州、米国)及びグラフパッド5(Graphpad Prism 5) (グラフパッドソフトウエア(Graphpad Software)社, ラホヤ(La Jolla)、カリフォルニア州、米国)を用いて行った。* P<0.05、** P<0.001は統計学的に有意とし、平均値はSEとともに示す。なお、実際に面積を測定した数は、各カラム内に数値で示されている(図1C、図1D、図2B、図2C、及び図5A等)。試薬等の調製 メマンチン塩酸塩(東京化成工業株式会社、東京、日本)及び1α,25-ジヒドロキシビタミンD3(DHVD3)、(ケイマンケミカルズ(Cayman Chemicals)、アナーバー、ミシガン州、米国)はジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解した。Aβ(1-42)(シグマ-アルドリッチ(Sigma-Aldrich)社、セントルイス、ミズーリ州、米国)は滅菌蒸留水に溶解し、37℃で4日間インキュベートした。ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)阻害剤であるLY294002(ケイマンケミカルズ(Cayman Chemicals))、MEK1阻害剤であるPD98059(LCラボラトリーズ(LC laboratories))及びプロテインキナーゼC阻害剤であるGoe6970(LCラボラトリーズ(LC laboratories)、ウォバーン(Woburn)、マサチューセッツ州、米国)はDMSOに溶解した。プロテインキナーゼ阻害剤であるPKI(14-22)アミド(ミリストイル化)(エンツォ(Enzo)、ファーミングデール(Farmingdale)、ニューヨーク州、米国)は蒸留水に溶解した。<<実施例1、比較例1、2及び参考例1>> アルツハイマー病モデルマウスにおけるジオスゲニンの効果を確認した。供試動物 トランスジェニックマウス(5XFAD)はADの動物モデルと考えられており、ジャクソン研究所(バーハーバー(Bar Harbor)、メイン州、米国)から入手した。5XFADマウスは、ニューロン特異的マウスThy-1プロモータの転写制御下、スウェーデン(Swedish)(K670NとM671L)、フロリダ(Florida)(I716V)及びロンドン(London)(V717I)に変異を持つヒトAPP695 cDNA、及びヒト PS1 cDNA(M146LとL286Vの変異)を過剰発現している(Oakley,H.ら,J Neurosci,26,10129-10140,2006.)。それらはB6/SJL F1ブリーダーとヘミ接合トランスジェニックマウスを交配することによって維持された。 5XFADでジオスゲニンの効果を調べるため、本発明では、ヘミ5XFADマウス(雌、6から8ヶ月齢)及び非トランスジェニック同腹の野生型マウス(雌、6から8ヶ月齢)を使用した。これらのマウスはヘミ接合5XFADマウスとB6/SJL F1マウスを交配することにより得られたものである。すべてのマウスは、餌と水を自由に摂取できる状態で、22±2℃、50±5%の湿度、午前7時から始まる12時間の明暗サイクルで制御された環境で飼育した。<実施例1> ジオスゲニンを最終濃度の10倍となるようにジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、ストック溶液とした。試験直前に最終濃度になるように生理食塩水で希釈し、このジオスゲニン溶液を、5XFADマウスに1日1回(10μmol/kg=4.14mg/kg)で20日間腹腔内投与した。投与の最終日(20日目)に、ポリ塩化ビニル(縦横33cm×328cm、高さ26.5cm)製のオープンフィールドボックスにマウスを個別に入れて10分間馴化させた。<比較例1> ジオスゲニン溶液を、10%DMSO含有生理食塩水(溶媒溶液)とした以外は、実施例1と同様にした。<比較例2> ジオスゲニン溶液を、メマンチン塩酸塩を最終濃度の10倍となるようにDMSOに溶解しストック溶液とし試験直前に最終濃度となるように生理食塩水で希釈したメマンチン塩酸塩溶液(200μmol/kg/日=43.15mg/kg/日)とした以外は、実施例1と同様にした。<参考例1> ジオスゲニン溶液を10%DMSO含有生理食塩水(溶媒溶液)とし、5XFADマウスを非トランスジェニック同腹の野生型マウスとした以外は、実施例1と同様にした。(試験例1:新奇物体認識試験) 実施例1、比較例1、2及び参考例1それぞれのマウスについて、オープンフィールドボックスで10分間馴化させた時のマウスの移動経路をデジタルカメラシステムを用いて追跡した。10分間に動いた距離をEthoVision3.0(ノルダス(Noldus)社、ワゲニンゲン(Wageningen)、オランダ)で移動活動として分析した。翌日、発明者らの文献(Joyashiki,E.ら, Int J Neurosci, 121, pp.181-190, 2011.、及びTohda,C.ら, Int J Neurosci, 121, pp.641-648, 2011.)の記載にしたがって、新奇物体認識試験を行った。試験は照明をおとした部屋にて行った。トレーニング段階とテスト段階の間の適切な時間間隔は、別のマウスのグループで予めテストして決め、30分間とした。新奇物体認識試験とは、動物が新しいものに興味を示す習性を利用した試験で、トレーニング段階では2つの同じ物体を見せて覚えさせておき、テストの段階では、トレーニングで見せた物体ともう一つは別の新たな物体を2種類装置内に置き、新たな物体に興味を示して探索行動する(つまり予め見せた物体を覚えている)時間の増加を指標とするものである。本発明では、総探索時間に対する新たな物体への探索時間の割合(%)を探索指向指数(Preference index)として算出した。この指標では、野生型マウス(参考例1)では、一度見せた物体を覚えており、新奇物体に興味を示すので50%を超える数値を示すが、ADのモデル動物である5XFADマウスは、一度見せた物体を覚えていないので50%の数字にとどまる。しかし、5XFADマウスの記憶障害が改善すれば、50%を有意に超える数値となる。 試験例1の結果を図1Aに示した。 トレーニング段階におけるオープンフィールド移動試験では、溶媒投与野生型マウス(参考例1:Wild/Veh)、溶媒投与5XFADマウス(比較例1:5XFAD/Veh)、ジオスゲニン投与5XFADマウス(実施例1:5XFAD/Dios)、及びメマンチン投与5XFADマウス(比較例2:5XFAD/Mema)の4つの群の移動速度と距離に有意差は検出されなかった。一方、テスト段階では、ジオスゲニン投与5XFADマウス(実施例1:5XFAD/Dios)は、新奇物体に対して、50%を有意に超える探索行動を示した(図1A)。すなわち、ジオスゲニンをADのモデル動物である5XFADマウスに投与すると、当該マウスは、新奇物体に対して野生型マウスに匹敵する程度の興味を回復し、探索指向指数(%)が改善していた。これとは対照的に、溶媒投与5XFADマウス(比較例1:5XFAD/Veh)は、新奇物体に対する探索指向指数は50%と有意差がなかった。また、メマンチン投与5XFADマウス(比較例2:5XFAD/Mema)でも、溶媒投与5XFADマウス(比較例1:5XFAD/Veh)と同様、探索指向指数は50%と有意差がなかった。このことから、ジオスゲニンを5XFADマウスに投与すると、当該マウスの物体に対する認識障害が改善することが分かる。(試験例2:免疫組織化学) 新奇物体認識試験の一日後、各マウスを麻酔し、冷却した生理食塩水で経心臓灌流した。脳を慎重に頭蓋骨から外し、直ちに10から30%スクロース-PBSに浸し、-80℃で保存した。脳をクライオスタット(CM3050S、ライカ(Leica)社、ハイデルベルク、ドイツ)を用いて頭頂領域(ブレグマ(bregma)1.4-2mm)のセクション内で100μm毎に、20 μmの連続した冠状切片に切り出した。スライスは4%パラホルムアルデヒドで固定し、Aβ(1-40/42)(1:300)に対するポリクローナル抗体(ケミコン(Chemicon)、テメキュラ(Temecula)、カリフォルニア州、米国)、pNF-H(1:500)に対するモノクローナル抗体(コバンス(Covance)、エメリーヴィル(Emeryville)、カリフォルニア州、米国)、シナプトフィジン(1:500)に対するモノクローナル抗体(シグマ-アルドリッチ(Sigma-Aldrich))、及びPHF-タウに対するモノクローナル抗体(サーモサイエンティフィック(Thermo Scientific)、ロックフォード(Rockford)、イリノイ州、米国)を用い、4℃で20時間染色した。二次抗体として、Alexa Fluor 488標識ヤギ抗マウスIgG抗体(1:300)とAlexa Fluor 568標識ヤギ抗ウサギ抗体(1:300)(モレキュラープローブス(Molecular Probes)社、ユージーン(Eugene)、オレゴン州、米国)を用いた。軸索、プレシナプス、PHF-タウ及びAβ(1-40/42)の蛍光画像は、蛍光顕微鏡(AX-80)を使用して、pNF-Hシナプトフィジン及びPHF-タウの場合は324μm × 430μm、またAβ(1-40/42)の場合は1620μm × 2150μmで撮影した。前頭葉の3つの連続した脳切片と海馬の5つの連続した脳切片を定量のためマウスから切り出した。細胞外アミロイド斑は大きさ(50μmより大きい幅)で決定し、その面積は、画像解析ソフトウェアImageJを用いて測定した。pNF-H陽性の異常な球状軸索の面積は、すべてのアミロイド斑に対して、蛍光画像(324μm × 430μm)でImageJを用いて測定した。すべてのアミロイド斑におけるシナプトフィジン陽性プレシナプスボタンの面積は、蛍光画像(324μm × 430μm)でImageJを用いて測定した。すべてのアミロイド斑及び外部アミロイド斑におけるPHF-タウの面積は蛍光画像(324μm × 430μm)でImageJを用いて測定した。 試験例2の結果のうち、大脳皮質と海馬における単位面積当たりのアミロイド斑及びPHF-タウの総面積を図1Bから図1Dに示した。 図1Bの写真は、大脳皮質におけるAβ(1-40/42)陽性斑、及びPHF-タウの代表画像である。ジオスゲニン投与5XFADマウス(実施例1:5XFAD/Dios)の方が溶媒投与5XFADマウス(比較例1:5XFAD/Veh)よりアミロイド斑を減少させていることは明白である。図1Cは、大脳皮質及び海馬において、1μm2当たりのアミロイド斑の総面積を定量した結果である。ジオスゲニン投与5XFADマウス(実施例1:5XFAD/Dios)は、溶媒投与5XFADマウス(比較例1:5XFAD/Veh)に比べ、大脳皮質、海馬ともに有意にその面積を減少させていた。一方、メマンチン投与5XFADマウス(比較例2:5XFAD/Mema)は、海馬では有意にその面積を減少させたが、大脳皮質ではその面積を有意に減少させてはいなかった。図1Dは100μm2当たりのPHF-タウの総面積を大脳皮質及び海馬で定量した結果であるが、ジオスゲニン投与5XFADマウス(実施例1:5XFAD/Dios)は、溶媒投与5XFADマウス(比較例1:5XFAD/Veh)に比べ、大脳皮質、海馬ともに有意にその面積を減少させている。メマンチン投与5XFADマウス(比較例2:5XFAD/Mema)は、大脳皮質では溶媒投与5XFADマウス(比較例1:5XFAD/Veh)と有意な差はなく、海馬では逆に有意にその面積を増加させる結果となった。 試験例2の結果のうち、アミロイド斑に関連する軸索異常、及びプレシナプス異常について、図2A〜図2Cに示した。 図2Aの写真は、Aβ(1-40/42)とpNF-H、又はAβ(1-40/42)とシナプトフィジンに対する抗体で二重標識を行ったもので、溶媒投与野生型マウス(参考例1:Wild/Veh)、溶媒投与5XFADマウス(比較例1:5XFAD/Veh)、ジオスゲニン投与5XFADマウス(実施例1:5XFAD/Dios)及びメマンチン投与5XFAD(比較例2:5XFAD/Mema)マウスの大脳皮質の代表的な画像である。画像から、ジオスゲニン投与5XFADマウス(実施例1:5XFAD/Dios)の方が溶媒投与5XFADマウス(比較例1:5XFAD/Veh)、及びメマンチン投与5XFADマウス(比較例2:5XFAD/Mema)よりアミロイド斑を減少させていることがわかる。 図2Bは、大脳皮質及び海馬において、アミロイド斑100μm2当たりの変性した軸索の面積を定量した結果である。縦軸は肥大した軸索面積を表すが、球状等異常な軸索の構造は、初期-末期のAD患者で報告されている(Dickson,T.C.ら, Neuroscience, 105, pp.99-107, 2001.)。ジオスゲニン投与5XFADマウス(実施例1:5XFAD/Dios)は、溶媒投与5XFADマウス(比較例1:5XFAD/Veh)に比べ、大脳皮質、海馬ともに有意にその面積を減少させていた。一方、メマンチン投与5XFADマウス(比較例2:5XFAD/Mema)は、大脳皮質では有意にその面積を減少させておらず、海馬では逆に有意にその面積を増加させる結果となった。 図2Cは、大脳皮質及び海馬において、アミロイド斑100 μm2当たりの異常なプレシナプシスの面積(縦軸は腫脹したプレシナプシス面積を表す)を定量した結果であるが、ジオスゲニン投与5XFADマウス(実施例1:5XFAD/Dios)は、溶媒投与5XFADマウス(比較例1:5XFAD/Veh)に比べ、大脳皮質で有意にその面積を減少させていた。これらの結果は、ジオスゲニン投与が大脳皮質及び海馬において、異常な軸索の面積、プレシナプシスの面積を減少させる効果のあることを明確に示すものである。<<実施例2〜7、比較例3〜10>> ジオスゲニンによる神経軸索伸長の効果を確認した。siRNAトランスフェクション siRNAは、nucleofection(ロンザ(Lonza)社、バーゼル、スイス)の使用説明書にしたがって、ラット大脳皮質ニューロン(SD E18)に導入した。すなわち、ラット大脳皮質ニューロン(5.25x106細胞)は、400 nMのsiPdia3(Pdia3のステルスsiRNAの3配列の混合物、インビトロジェン(Invitrogen)社)又は400 nMコントロールsiRNA(ステルス(Stealth)RNAiのネガティブコントロールLow GC Duplex#3、インビトロジェン(Invitrogen)社)と混合し、Amaxa Nucleofector(ロンザ(Lonza)社)で電気穿孔した。トランスフェクションして2日間後、細胞を固定し、ニューロンマーカーとしてMAP2a・2bに対するモノクローナル抗体(1:500、ネオマーケット(NeoMarker)社、フリーモント(Fremont)、カリフォルニア州、米国)及び、Ab099クローン、すなわち1,25D3-MARRS(1:500、Nemere博士から提供)に対する特異的な抗体で二重免疫染色を行った。ラットポリクローナル抗nVDR抗体(1:200、ミリポア(Millipore)社、ビレリカ(Billerica)、マサチューセッツ州、米国)は、ビタミンD3(nVDR)の核内受容体の検出のために使用された。siRNAの適切な濃度及びノックダウンに適した期間(トランスフェクション後2日間)は、従来技術にしたがって決定した。<実施例2> トランスフェクションを施していない細胞(ラット大脳皮質ニューロン(SD E18))をジオスゲニン(1μM)で4日間処理した。<実施例3> ジオスゲニン処理をDHVD3(1μM)処理とする以外は、実施例2と同様にした。<比較例3> ジオスゲニン処理を溶媒溶液(0.1% DMSO)処理とする以外は、実施例2と同様にした。<比較例4> 細胞を、siRNAトランスフェクションしたラット大脳皮質ニューロン(SD E18)とする以外は、比較例3と同様にした。<比較例5> 細胞を、siRNAトランスフェクションしたラット大脳皮質ニューロン(SD E18)とする以外は、実施例2と同様にした。<比較例6> 細胞を、siRNAトランスフェクションしたラット大脳皮質ニューロン(SD E18)とする以外は、実施例3と同様にした。(試験例3:軸索密度の測定) 実施例2、3、及び比較例3〜6で得た細胞を4%パラホルムアルデヒドで固定し、軸索のマーカーとしてpNF-H(1:500)に対するモノクローナル抗体、及び神経細胞のマーカーとしてMAP2(1:500)に対するポリクローナル抗体を用いて4℃で20時間免疫染色した。Alexa Fluor488標識ヤギ抗マウスIgG(1:300)とAlexa Fluor568標識ヤギ抗ウサギIgG(1:300)は、二次抗体として使用した。蛍光画像は蛍光顕微鏡システム(BX61/DP70、オリンパス)を用いて324 μmx430 μmで撮影した。12から14枚の画像を撮影した。pNF-H陽性軸索の長さは、細胞体を測定することなく、自動的にトレースし、神経突起の長さを測定する画像解析Neurocyte(クラボウ(Kurabo)社)を用いて測定した。軸索の長さの合計は、MAP2陽性神経の数で割った。 結果を図5に示した。 図5は、ジオスゲニン誘発性軸索伸長に及ぼす1,25D3-MARRSノックダウンの効果を示す。図5Aは、1,25D3-MARRSの siRNA(400 nM)、又はコントロールsiRNA(400 nM)をトランスフェクトした神経細胞における1,25D3-MARRSとnVDRの発現レベルを定量した結果である。1,25D3-MARRSをノックダウンすると1,25D3-MARRSの発現レベルは有意に低下していることがわかる。 図5Bは、MAP2陽性ニューロンあたりのpNF-H陽性軸索の密度を、ジオスゲニン(1μM:実施例2及び比較例5)、DHVD3(1μM:実施例3及び比較例6)、又は溶媒溶液(Veh,0.1%DMSO:比較例3及び比較例4)の処理群ごとに定量した結果である。コントロール群では、ジオスゲニン(実施例2)及びDHVD3(実施例3)で処理すると、溶媒溶液処理群(比較例3)に比べ、軸索の密度が有意に増加したが、1,25D3-MARRSノックダウン群(比較例4〜6)では、いずれも溶媒溶液処理群と変化がなかった。したがって、ジオスゲニンは、DHVD3と同じ受容体刺激に関与していることがわかる。<実施例4> ラット大脳皮質ニューロン(SD E18)を1日培養した後、ジオスゲニン(1μM)で処理し、同時に、PI3K阻害剤であるLY294002(10μM)、MEK1阻害剤であるPD98059(1及び10μM)、プロテインキナーゼC阻害剤であるGoe6970(10及び100nM)又はプロテインキナーゼ阻害剤であるPKI(14−22)アミド(ミリストイル化)(0.1及び1μM)を細胞に加えた。<実施例5> ジオスゲニン(1μM)をDHVD3(1μM)とする以外は、実施例4と同様にした。(試験例4:ジオスゲニン誘発性軸索の成長に及ぼすプロテインキナーゼ阻害剤の効果の測定) 実施例4及び5の処理4日後、細胞を固定し、pNF-H及びMAP2に対して二重免疫染色を行った。MAP2陽性ニューロンあたりのpNF-H陽性軸索の密度をそれぞれの処理ごとに定量した。軸索密度の測定は、上記試験例3と同様に行った。 結果を図6に示した。 図6Aから、用いたプロテインキナーゼ阻害剤はすべて、ジオスゲニン誘発性軸索の成長を有意に阻害していることがわかる。また、図6Bから、用いたプロテインキナーゼ阻害剤はすべて、DHVD3誘発性軸索の成長をも有意に阻害していることがわかる。この事実は、ジオスゲニンがDHVD3と同じ受容体刺激に関与していることを支持するものである。<実施例6> Aβ(1-42)は、予め37℃で4日間インキュベートし凝集させた。その後、細胞(ラット大脳皮質ニューロン(SD E18))をAβ(1-42)で3日間処理した。3日間の処理後、細胞にコントロール抗体(正常ウサギIgG、1:5000)を加え、10分間インキュベーションした後、細胞をジオスゲニン(0.1μM)で5日間処理した。<実施例7> ジオスゲニン処理を、ジオスゲニン(1μM)での処理とする以外は、実施例6と同様にした。<比較例7> ジオスゲニン処理を、溶媒溶液(0.1% DMSO)での処理とする以外は、実施例6と同様にした。<比較例8> コントロール抗体をポリクローナル抗ウサギ1,25D3-MARRS(Ab099クローン、1:500)とする以外は、比較例7と同様にした。<比較例9> コントロール抗体をポリクローナル抗ウサギ1,25D3-MARRS(Ab099クローン、1:500)とする以外は、実施例6と同様にした。<比較例10> コントロール抗体をポリクローナル抗ウサギ1,25D3-MARRS(Ab099クローン、1:500)とする以外は、実施例7と同様にした。<参考例2> 抗体処理及び薬物処理のいずれも施していないラット大脳皮質ニューロン(SD E18)を試験に供した。(試験例5:軸索密度の測定) 実施例6、7、比較例7〜10で得た細胞及び参考例2の細胞を4%パラホルムアルデヒドで固定し、軸索のマーカーとしてpNF-H(1:500)に対するモノクローナル抗体、及び神経細胞のマーカーとしてMAP2(1:500)に対するポリクローナル抗体を用いて4℃で20時間免疫染色した。Alexa Fluor488標識ヤギ抗マウスIgG(1:300)とAlexa Fluor568標識ヤギ抗ウサギIgG(1:300)は、二次抗体として使用した。蛍光画像は蛍光顕微鏡システム(BX61/DP70、オリンパス)を用いて324 μmx430 μmで撮影した。7から9枚の画像を撮影した。pNF-H陽性軸索の長さは、細胞体を測定することなく、自動的にトレースし、神経突起の長さを測定する画像解析Neurocyte(クラボウ(Kurabo)社)を用いて測定した。軸索の長さの合計は、MAP2陽性神経の数で割った。 結果を図7に示した。 図7A及びBから、中和抗体により1,25D3-MARRSの機能を阻害した細胞では、ジオスゲニン誘発性軸索の成長が有意に抑制されていることが分かる。このことから、ジオスゲニン誘発性軸索の成長には、1,25D3-MARRSが関与していることが分かる。(参考試験1:ジオスゲニンの標的タンパク質の同定)初代培養 胎児は、妊娠17日目のSprague-Dawleyラット(日本SLC、静岡県、日本)から摘出した。大脳皮質を切り取り、硬膜を除去した。組織を刻み、5 mg / mlのポリ-D-リジンでコーティングした8穴のチャンバースライド(ファルコン(Falcon)社、フランクリンレイクス(Franklin Lakes)、ニュージャージー州、米国)上、12%B-27サプリメント(インビトロジェン(Invitrogen)社)、0.6%D-グルコース、及び2mM L-グルタミンを含んだNeurobasal培地(インビトロジェン(Invitrogen)社、グランドアイランド(Grand Island)、ニューヨーク、米国)を用い、加湿インキュベーターで37℃、10%CO2下で増殖培養した。播種細胞密度は4.35x104 cells/cm2だった。1,25D3-MARRS結合の発光(ルミネッセンス)検出 初代培養大脳皮質ニューロン(SD、E17)は0.5x105細胞/ウェルの密度で96ウェルのホワイトプレート上に採取した。3日後、細胞を、DHVD3単独で、又はDHVD3とジオスゲニンとを組み合わせて、37℃で10分間処理した。細胞を4%パラホルムアルデヒドで固定し、DHVD3のうち細胞表面に結合したものだけを検出するため、トリトン-X-フリー(Triton-X-Free)PBS中、DHVD3に対するモノクローナル抗体(1:2000、Acris抗体、ヘルフォルト(Herford)、ドイツ)を用いて4℃で20時間インキュベートした。西洋ワサビペルオキシダーゼ標識ヤギ抗マウスIgG(1:2000)を二次抗体として使用した。抗原抗体複合体の化学発光は、GENiosマルチプレートリーダー(テカン(Tecan)社、メネドルフ(Mannedorf)、チューリッヒ、スイス)を用いて検出した。 マウス大脳皮質ニューロン初代培養(ddY系、E14)は、薬物処理することなく24時間保持した。細胞は、プロテアーゼ及びホスファターゼ阻害剤を加えたM-PER(サーモサイエンティフィック(Thermo Scientific)社)に溶解した。15分間遠心分離(20,000×g)後、ライセート(溶解物、lysate)のタンパク質濃度はQuick Start(バイオ-ラドラボラトリーズ(Bio-Rad Laboratories)社、ヘラクレス(Hercules)、カリフォルニア州、米国)を用いて決定した。細胞ライセート(各5.6 μg)を10mMのジオスゲニン溶媒溶液2μLに添加し、4℃で30分間インキュベートした。混合物を反応緩衝液[50mMトリス・塩酸(pH8.0)、50mMのNaCl、10mMの塩化カルシウム]中、10分間、室温で、7.5μgのテルモリジンを用いタンパク分解した。0.5MのEDTA(pH8.0)を各試料に1:10の比で添加しタンパク分解を停止した。次いで、サンプルをよく混合し、氷上に置いた。反応サンプルは、5から20%リアルゲルプレート(real gel plate)(バイオクラフト(Bio Craft)社、東京、日本)を用いて電気泳動した。分離されたタンパクは、ネガティブゲル染色MSキット(和光(Wako)社)を用いて染色した。溶媒処理ライセートのバンドより濃かったジオスゲニン処理ライセート中のバンドを切り出し、質量分析用の試料を調製した。ヨードアセタミドによるアルキル化及びトリプシンによるゲル内消化の後、上清をOrbitrap LTQ XL (サーモフィシャー(ThermoFisher)社)を用い、ナノ-LC/MS/MS分析した。得られたMS/MSデータはマスコット(Mascot)(www.matrixscience.com)を使用して検索した。 図3は、以下に詳述するように、ジオスゲニンの直接の標的タンパク質が、1,25D3-MARRSであることを明らかにしたものである。図3Aは、銀染色SDS-PAGEゲル上で、溶媒処理ライセート(コントロールレーン)より濃いジオスゲニン処理ライセート(ジオスゲニンレーン)のバンドを切り出し、質量分析に供した。LC/MS/MS分析で、当該バンドは、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼA3(Pdai3)、すなわち、1,25D3-MARRSであることが明らかとなった。図3Bは、ラット大脳皮質ニューロンの初代培養において1,25D3-MARRS(Ab099クローン)とMAP2に対する抗体で二重標識を行ったものである。図3Cは、初代培養大脳皮質ニューロンにおけるDHVD3の細胞表面結合は用量依存性を示し、化学発光強度が増加した。図3Dは、DHVD3の細胞表面結合のジオスゲニンとの置換を表す。すなわち、DHVD3(0.1 μM)に対してジオスゲニン0.1μM及び10 μMを細胞に添加し、10分間インキュベートしたところ、免疫細胞化学的発光強度は著しく減少した。これは、DHVD3の細胞表面への結合に対するジオスゲニンとの置換を意味している。(参考試験2:ドッキングシミュレーション) タンパク質-リガンド複合体の立体構造を予測するためにAutodock4.0(AutoDock4及びAutoDockTools4、モレキュラーグラフィクスラボラトリー(Molecular Graphics Laboratory)社、スクリプス研究所分子生物学科(Department of Molecular Biology The Scripps Research Institute))を使用した。リガンド構造(ジオスゲニン及びDHVD3)の構築、及び、2Dと3D 配座の最小化には、MOPAC2009を使用した。ドッキングの研究では、タンパク質の結晶構造(PDB ID:RLARではNP_036630.1、ヒトARではNP_001619.1)は、タンパク質配列のアラインメントから決定した[ブルックヘブンタンパク質構造データバンク(Brookhaven Protein Data Bank)(PDB ID:1,25D3-MARRSに対しては3f8u chain A; nVDRに対しては1ie9 chain A)]。予測されるタンパク質リガンド複合体は、リガンド受容体複合体の結合自由エネルギーを評価する経験的なスコアリング機能にしたがって最適化し、ランク付けした。 図4は、1,25D3-MARRSへのジオスゲニンのドッキングシミュレーションを示す。1,25D3-MARRSとジオスゲニンの予測結合複合体の部位を図4Aに示す。図4Bで、1,25D3-MARRSのαドメイン及びβドメインの間の溝の領域がジオスゲニンに接触していることがわかる。 表1に示すように、ジオスゲニン及びDHVD3の1,25D3-MARRSに対するドッキングスコアは、それぞれ-8.4及び-7.9であり、nVDRに対するジオスゲニンとDHVD3のドッキングスコアは、それぞれ-8.2と-12.6であった。これらの結果は、1,25D3-MARRSに対するジオスゲニンの結合能は、わずかにDHVD3の結合能よりも高く、また、nVDRに対するDHVD3の結合能は、ジオスゲニンの結合能よりもはるかに高いことを示している。 以上、5XFADマウスにジオスゲニンを投与すると、物体を認識する記憶能力の顕著な改善が観察された。ジオスゲニン投与は大脳皮質と海馬のアミロイド斑及び神経原線維変化を顕著に減少させた。アミロイド斑と密接に関連した領域だけに観察されていた変性した軸索、変形したプレシナプス神経終末は、ジオスゲニン投与によって顕著に減少した。また、上記試験により、1,25D3-MARRSをジオスゲニンの標的タンパク質として同定した。1,25D3-MARRSの遺伝子発現を抑制(ノックダウン)すると、大脳皮質の神経細胞でジオスゲニンに誘導される軸索伸長が完全に阻害された。1,25D3-MARRSに対する中和抗体による処理は、Aβ(1-42)に誘導された軸索の萎縮を抑えて軸索を再生させるジオスゲニンの効果を減少させた。これは、ジオスゲニンが1,25D3-MARRSを刺激してシグナル伝達経路を活性化することを初めて実証したものである。ここではジオスゲニンを実施例に挙げたが、1,25D3-MARRSの刺激活性を有する化合物(DHVD3、デノソミン)も同様にADに対して有効である。したがって、この新しいメカニズム、経路は抗AD療法につながる全く新しい技術思想を提供するものである。しかも、ジオスゲニン等の上記した化合物が1,25D3-MARRSの刺激活性を有し、アルツハイマー病に優れた予防治療効果を有することを初めて生物試験によって実証したものである。<<実施例8〜12、比較例11〜15>> 正常マウスにおけるジオスゲニンの記憶力亢進効果を確認した。供試動物 ddYマウス及びC57BL/6マウスを、日本SLC(浜松、日本)から得た。全てのマウスは、餌と水を自由に摂取させ、(22±2℃、50±5%の湿度、午前7時から始まる12時間の明暗サイクルで)制御された環境で飼育した。<実施例8> ジオスゲニン(和光純薬工業製、大阪、日本)を最終濃度の10倍濃度となるようにエタノールに溶解し、ストック溶液を5%グルコース水溶液で最終濃度まで希釈した。ジオスゲニン溶液を、1日1回(10μmol/kg/日)で5又は6日間、正常マウス(ddYマウス、雄、6週齢)の腹腔内に投与した。最後の投与から1時間後、マウスを個別に、ポリ塩化ビニル(33cm×28cm、高さ26.5cm)製のオープンフィールドボックスに10分間馴化させ、試験に供した。<比較例11> ジオスゲニン溶液を5%グルコース含有10%エタノール溶液(溶媒溶液)とした以外は、実施例8と同様にした。(試験例6:新奇物体認識試験) 実施例8及び比較例11のマウスに対して、物体認知記憶力を評価するために、新奇物体認識試験を実施した。試験は、薄暗い照明(100lux)の部屋で行った。なお、試験は、トレーニング段階とテスト段階の間の時間間隔を48時間とした以外は、発明者らの文献(Joyashiki,E.ら, Int J Neurosci, 121, pp.181-190, 2011.、及びTohda,C.ら, Int J Neurosci, 121, pp.641-648, 2011.)の記載にしたがって実施した。なお、移動の指標としてデジタルカメラシステムを用いてマウスの経路を追跡した。10分間に動いた距離を、EthoVision3.0(ノルダス(Noldus)社、ワゲニンゲン(Wageningen)、オランダ)を用いて移動活動活性として分析した。 結果を図8Aに示した。 ジオスゲニン投与マウス(実施例8)は新奇物体に対して頻繁な探索行動を示し、その行動指数は偶然に選択される値50%を有意に超えた。コントロールのマウス(比較例11)における新奇物体に対する探索行動は、50%と差がなかった。(試験例7:位置認識試験) 7日間の腹腔内投与を行い最終投与の1時間後、実施例2及び比較例3のマウスに対して、空間記憶力を評価するために、位置認識試験を実施した。試験は、薄暗い照明(100lux)の部屋で行った。なお、試験は、トレーニング段階とテスト段階の間の時間間隔を48時間とした以外は、発明者らの文献(Tohda,C.ら, Br J Pharmacol. 157, pp.1427-1440, 2009.)の記載にしたがって実施した。なお、移動の指標としてデジタルカメラシステムを用いてマウスの経路を追跡した。10分間に動いた距離を、EthoVision3.0(ノルダス(Noldus)社、ワゲニンゲン(Wageningen)、オランダ)を用いて移動活動活性として分析した。 結果を図8Bに示した。 トレーニング段階において慣れさせておいた物体を、テスト段階で新しい位置に移動させたとき、ジオスゲニンを投与されたマウス(実施例8)は、偶然に選択される行動(50%)と比較して有意に高い頻度で探索行動を行った。しかしながら、コントロールのマウス(比較例11)では、新しい位置に移動させた物体に対して特異な探索行動を示さなかった。(試験例8:自発運動量の測定) 自発運動量は、オープンフィールドで10分間の間に移動した距離によって評価した。 結果を図8Cに示した。実施例8及び比較例11の間に有意差は観察されなかった。この結果は、ジオスゲニンの投与による副作用的な兆候がないことを示す。<実施例9> 正常マウス(C57BL/6、雄、8週齢)に、腹腔内投与によりジオスゲニン溶液を投与した(100μmol/kg/日で14日間)。14回目の投与の翌日に、試験に供した。<比較例12> ジオスゲニン溶液を5%グルコース含有10%エタノール溶液(溶媒溶液)とした以外は、実施例9と同様にした。(試験例9:新奇物体認識試験) 実施例9及び比較例12のマウスに対して、新奇物体認識試験を実施した。試験は、上記と同様の条件で実施した。 結果を図9に示した。ジオスゲニンの投与により、物体認知記憶力が有意に向上した。<実施例10> 正常マウス(ddYマウス、雄、6週齢)に、30μmol/kg/日で4日間、ジオシンを経口投与した。ジオシン(クロマデックス、Irvine, CA, USA)を最終濃度の10倍濃度となるようにエタノールに溶解し、ストック溶液を5%グルコース水溶液で最終濃度まで希釈した。最後の投与から1時間後、試験に供した。<比較例13> ジオシンを投与しない以外は、実施例10と同様にした。(試験例10:新奇物体認識試験) 実施例10及び比較例13のマウスに対して、新奇物体認識試験を実施した。試験は、上記試験例6と同じ条件で実施した。 結果を図12Aに示した。ジオシン(30μmol/kg/day)を投与されたマウス(実施例10)では、新奇物体に対して頻繁な探索行動を示し、その行動指数は、偶然に選択される行動の値(50%)を優位に超える結果であった(図12A)。コントロールマウス(比較例13)の新奇物体に対する探索行動は、偶然に選択される行動(50%)と差異がなかった。 投与群間で、体重の推移は有意差がなかった(図12B)。(試験例11:1,25D3−MARRS中和抗体の持続的投与)<比較例14> 正常マウス(ddYマウス、雄、6週齢)の1,25D3−MARRS機能を中和するため、1,25D3−MARRSに特異的なポリクローナル抗体、すなわちAb099クローンを脳室内投与により連続的に、正常マウスに投与した。ACSF(人工脳脊髄液)によって希釈したAb099を、マイクロ浸透圧ポンプ(1007Dモデル、アルゼット(Alzet)社、Cupertino(クパチーノ)、CA(カリフォルニア)、アメリカ)及びbrain infusion kit 3(アルゼット社)に充填した。Ab099の希釈比率は、脳脊髄液(CSF)中で中和抗体として作用できる濃度に達するように、CSF体積と流入速度によって決定した。定位固定装置を使用して、マウス麻酔後に脳内注入用カニューラ(brain infusion kit)を右心室に挿入(前方/後方:ブレグマから後方―0.22mm、中央/側面:+1.0mm、背部/腹部:表面より下―2.5mm)した。Loctite 454(アルゼット社)を使用して全カニューラ挿入部位を覆った。ポンプは、マウスの背中の皮下に埋め込んだ。切開した皮膚は縫い合わせた。 抗体の持続的投与開始後、ジオスゲニンの腹腔内投与を開始した。5日間のジオスゲニン投与後、物体認知記憶力のトレーニング段階を開始した。翌日、ジオスゲニンの最後の投与を行った。テスト段階は、トレーニング段階開始から48時間後に行った。<比較例15> Ab099クローンの脳室内投与をACSF(人工脳脊髄液)の脳室内投与とし、ジオスゲニンの腹腔内投与を溶媒溶液の腹腔内投与とする以外は、比較例14と同様にした。<実施例11> Ab099クローンの脳室内投与をACSF(人工脳脊髄液)の脳室内投与とする以外は、比較例14と同様にした。 結果を図10に示した。 比較例15のグループのマウスは、テスト段階では物体認知記憶力の亢進を示さなかった。対照的に、ACSF及びジオスゲニンを投与されたマウス(実施例11)では、探索指向指数が有意に増加し、ジオスゲニンによる記憶力の亢進を示した。1,25D3−MARRS中和抗体を注入したマウス(比較例14)では、ジオスゲニンによる記憶力の亢進は完全に相殺された。これらのデータは、ジオスゲニンが1,25D3−MARRSを活性化させることにより、正常な記憶力を亢進させることを示している。(参考試験例3:デノソミンも、1,25D3−MARRSの外因性刺激物質であることの確認) デノソミンもまた、ジオスゲニンのような軸索伸長活性を有する。そのため、デノソミンの効果もまた、1,25D3−MARRSによって仲介されるかどうかを調査した。1,25D3−MARRSを、siRNAトランスフェクションを用いてノックダウンした。1,25D3−MARRS(400nM)のsiRNAトランスフェクションから2日後、1,25D3−MARRSレベルは皮質ニューロンにおいて顕著に低下した(図5A)。一方、皮質ニューロンにおけるnVDRの発現は、1,23D3−MARRS(400nM)のsiRNAトランスフェクションによって変化しなかった、これはノックダウンがDHVD3のゲノム伝達に影響を与えないことを示唆している(図5A)。従って、siRNAトランスフェクションから2日後、デノソミン(1μM)又は溶媒溶液を細胞へ投与した。さらに4日間のインキュベーションの後、神経細胞あたりの軸索の長さを測定するために、pNF−H及びMAP2に対して細胞を二重免疫染色した。皮質ニューロンにおいて、コントロールsiRNAのトランスフェクションの後、軸索密度はデノソミン投与によって有意に増加した(図11)。しかしながら、デノソミン誘発性軸索伸長は、1,25D3−MARRS siRNAトランスフェクション後の神経細胞においてほぼ完全に阻害された(図11)。このデータは、1,25D3−MARRSがデノソミン誘発性軸索伸長に不可欠であることを示している。<<実施例12、比較例16、参考例3>> アルツハイマー病モデル(5XFADマウス)における、物体認知記憶力亢進に寄与するジオシン(ジオスゲニン配糖体)の効果を確認した。<実施例12> ジオシン(30μmol/kg/日)を、5XFADマウス(雄、20週齢)に経口投与によって6日間投与した。最後の投与から1時間後、トレーニング段階を開始した。<比較例16> ジオシンの投与を溶媒溶液の投与とする以外は、実施例12と同様にした。<参考例3> 5XFADマウスを同腹の野生型マウスとする以外は、比較例16と同様にした。(試験例12:新奇物体認識試験) 実施例12及び比較例16のマウスに対して、物体認知記憶力を評価するために、新奇物体認識試験を実施した。トレーニング段階とテスト段階の間の適正な時間間隔を1時間とする以外は、上記試験例6と同じ条件で試験を実施した。 結果を図13に示した。 新奇物体認識試験において、溶媒溶液処理された野生型マウス(参考例3)、及びジオシン処理(30μmol/kg/日)された5XFADマウス(実施例12)は、頻繁に新奇物体を探索し、その行動指数は、偶然に選択される行動の値(50%)よりも顕著に高い値を示した(図13A)。溶媒溶液処理された5XFADマウス(比較例16)における新奇物体探索行動は、偶然に選択される行動(50%)と差異がなかった。 体重はいずれのグループも顕著な変化は無かった(図13B)。<<実施例13及び比較例17>> ジオスゲニンの、脊髄損傷マウスにおける後肢機能へ及ぼす影響について確認するため、脊髄損傷モデル試験を実施した。脊髄損傷(SCI)マウス 7週齢の雌のddYマウス(SLC)を脊髄損傷モデル試験に用いた。マウスは、餌と水を自由に摂取できる状態で、一定の環境条件(22±2℃、50±5%湿度、および午前7時から開始される12時間の明暗サイクル)下で維持した。挫傷は、マウスの露出させた第一腰椎(L1)へ、定位固定装置(ナリシゲ社製)を用いて高さ3cmから3.0gの重りを一度落下させることにより、発生させた。外科的処置の1時間後、供試マウスを無作為に、溶媒溶液処理グループとジオスゲニン処理グループとに分け、薬物の投与を開始した。<実施例13> ジオスゲニン(10μmol/kg)を、一日に一度の頻度で7日間、SCIマウスに腹腔内投与した。<比較例17> ジオスゲニンを溶媒溶液とする以外は、実施例13と同様にした。(試験例13:TMSによる後肢運動機能の評価) 実施例13及び比較例17の最後の投与から1時間後、行動評価のため、マウスを個別にオープンフィールド(23.5cm×16.5cm×12.5cm)に移動させ、5分間観察した。脊髄損傷のモデル試験における後肢の運動機能を評価する基準として一般的に用いられるバッソマウススケール(Basso Mouse Scale、BMS)(図14A)と、試験の精度を高めるために本発明者らがBMSに改変を加えた0−18ポイントのトヤママウススケール(0?18-point Toyama Mouse Scale、TMS)(図14B)を用いて、オープンフィールドにおける移動行動を評価した。 新しいスコアであるトヤママウススケール(TMS)は、試験の精度を向上させるために、本発明者らがBMSスコアに改変を加えたスコアであり、このTMSをSCIマウスにおける後肢機能の評価に用いた。TMS表を表2に示した。表中、括弧内の数字が点数であり、項目毎に点数を判定し、加算して評価する。 実施例13及び比較例17はいずれも、供試マウスの個体数は3であり、後肢は計6本(n=6)で評価を行った。結果を図14に示した。 ジオスゲニン処理したマウス(実施例13、図14の黒丸で表された群)は、コントロールの溶媒溶液処理したマウス(比較例17、図14の白丸で表された群)と比較して、後肢運動機能が向上した。 本発明によれば、アルツハイマー病、認知症、パーキンソン病、脊髄損傷又は脳挫傷等の神経疾患を根本的に予防及び/又は治療することができる化合物及び医薬組成物を提供すること、ならびにその治療方法を提供することができる。 ジオスゲニン、ジオシン、及びジヒドロキシビタミンD3から選ばれる1以上の1,25D3-MARRSの刺激活性を有する化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩を含む、神経疾患の予防及び/又は治療のための剤[ただし、(i)前記1,25D3-MARRSの刺激活性を有する化合物がジオスゲニンであるとき、前記神経疾患が、アルツハイマー病を含まない認知症、パーキンソン病、脊髄損傷、及び脳挫傷から選択され、(ii)前記1,25D3-MARRSの刺激活性を有する化合物がジヒドロキシビタミンD3であるとき、前記神経疾患が、ピック病、パーキンソン病、脊髄損傷、及び脳挫傷から選択される]。 経口投与剤である請求項1に記載の剤。 前記1,25D3-MARRSの刺激活性を有する化合物がジオシンであり、前記神経疾患が、アルツハイマー病、認知症、パーキンソン病、脊髄損傷又は脳挫傷である、請求項1又は2に記載の剤。 ジオスゲニン、ジオシン、及びジヒドロキシビタミンD3から選ばれる1以上の1,25D3-MARRSの刺激活性を有する化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩の治療有効量を含む、神経疾患治療のための医薬組成物[ただし、(i)前記1,25D3-MARRSの刺激活性を有する化合物がジオスゲニンであるとき、前記神経疾患が、アルツハイマー病を含まない認知症、パーキンソン病、脊髄損傷、及び脳挫傷から選択され、(ii)前記1,25D3-MARRSの刺激活性を有する化合物がジヒドロキシビタミンD3であるとき、前記神経疾患が、ピック病、パーキンソン病、脊髄損傷、及び脳挫傷から選択される]。 経口用である請求項4記載の組成物。 前記1,25D3-MARRSの刺激活性を有する化合物がジオシンであり、前記神経疾患が、アルツハイマー病、認知症、パーキンソン病、脊髄損傷又は脳挫傷である、請求項4又は5に記載の医薬組成物。 疾患の治療もしくは予防に有用であることが知られているひとつ以上の化合物、又は薬学的に許容されるその塩の治療有効量をさらに含む、請求項4〜6のいずれかに記載の医薬組成物。 疾患の治療もしくは予防に有用であることが知られているひとつ以上の化合物、又は薬学的に許容されるその塩が、神経疾患の治療もしくは予防に有用であることが知られているひとつ以上の化合物、又は薬学的に許容されるその塩である、請求項7に記載の医薬組成物。 請求項4〜請求項8のいずれかひとつに記載の医薬組成物であって、少なくとも1つの担体を混合することを特徴とする、医薬組成物の調製方法。 1,25D3-MARRSの刺激活性を有する化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩を含む、神経軸索の伸長剤であって、前記1,25D3-MARRSの刺激活性を有する化合物がジオシンである神経軸索の伸長剤。 ジオスゲニン、ジオシン、及びジヒドロキシビタミンD3から選ばれる1以上の1,25D3-MARRSの刺激活性を有する化合物及び/又はその薬学的に許容される塩を含む、神経疾患の予防及び/又は治療に使用されるキット[ただし、(i)前記1,25D3-MARRSの刺激活性を有する化合物がジオスゲニンであるとき、前記神経疾患が、アルツハイマー病を含まない認知症、パーキンソン病、脊髄損傷、及び脳挫傷から選択され、(ii)前記1,25D3-MARRSの刺激活性を有する化合物がジヒドロキシビタミンD3であるとき、前記神経疾患が、ピック病、パーキンソン病、脊髄損傷、及び脳挫傷から選択される]。 経口用である請求項11記載のキット。 容器を含む、請求項11又は12に記載のキット。


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る