タイトル: | 公表特許公報(A)_免疫関連疾患およびがんの治療のためのポリペプチドおよびポリヌクレオチドならびにそれらの使用 |
出願番号: | 2014504444 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | C12N 15/09,C07K 14/705,C07K 19/00,C12N 7/06,C12N 1/15,C12N 1/19,C12N 1/21,C12N 5/10,C12P 21/02,C07K 16/00,C07K 14/82,A61P 35/00,A61K 38/00,A61K 39/395,A61K 48/00,A61K 31/713,A61P 31/00,A61P 43/00,A61K 35/12,A61K 45/00,A61K 31/337,A61K 33/24,A61K 31/475,A61K 31/7068,A61K 31/4188,A61K 31/4745,A61K 31/513,A61K 31/282,A61K 38/21,A61K 38/27,A61P 15/00,A61P 17/00,A61P 13/10,A61P 11/00,A61P 1/18,A61P 1/04,A61P 13/08,A61P 35/02,A61P 19/00,A61P 5/00,A61P 21/00,A61P 25/00,A61P 13/12,A61P 1/16,A61P 27/02,A61P 1/02,A61P 11/02,A61P 9/00,A61P 35/04,A61P 37/06,A61P 37/02,A61P 29/00,A61P 3/10,A61P 17/06,G01N 33/53,C12P 21/08 |
トポリク,アミル ノヴィク,アミト シュメシ,ロネン JP 2014517685 公表特許公報(A) 20140724 2014504444 20120416 免疫関連疾患およびがんの治療のためのポリペプチドおよびポリヌクレオチドならびにそれらの使用 コンピュゲン エルティーディー. 506257984 岩谷 龍 100077012 トポリク,アミル ノヴィク,アミト シュメシ,ロネン US 61/475,682 20110415 US 61/532,575 20110909 US 61/581,194 20111229 C12N 15/09 20060101AFI20140627BHJP C07K 14/705 20060101ALI20140627BHJP C07K 19/00 20060101ALI20140627BHJP C12N 7/06 20060101ALI20140627BHJP C12N 1/15 20060101ALI20140627BHJP C12N 1/19 20060101ALI20140627BHJP C12N 1/21 20060101ALI20140627BHJP C12N 5/10 20060101ALI20140627BHJP C12P 21/02 20060101ALI20140627BHJP C07K 16/00 20060101ALI20140627BHJP C07K 14/82 20060101ALI20140627BHJP A61P 35/00 20060101ALI20140627BHJP A61K 38/00 20060101ALI20140627BHJP A61K 39/395 20060101ALI20140627BHJP A61K 48/00 20060101ALI20140627BHJP A61K 31/713 20060101ALI20140627BHJP A61P 31/00 20060101ALI20140627BHJP A61P 43/00 20060101ALI20140627BHJP A61K 35/12 20060101ALI20140627BHJP A61K 45/00 20060101ALI20140627BHJP A61K 31/337 20060101ALI20140627BHJP A61K 33/24 20060101ALI20140627BHJP A61K 31/475 20060101ALI20140627BHJP A61K 31/7068 20060101ALI20140627BHJP A61K 31/4188 20060101ALI20140627BHJP A61K 31/4745 20060101ALI20140627BHJP A61K 31/513 20060101ALI20140627BHJP A61K 31/282 20060101ALI20140627BHJP A61K 38/21 20060101ALI20140627BHJP A61K 38/27 20060101ALI20140627BHJP A61P 15/00 20060101ALI20140627BHJP A61P 17/00 20060101ALI20140627BHJP A61P 13/10 20060101ALI20140627BHJP A61P 11/00 20060101ALI20140627BHJP A61P 1/18 20060101ALI20140627BHJP A61P 1/04 20060101ALI20140627BHJP A61P 13/08 20060101ALI20140627BHJP A61P 35/02 20060101ALI20140627BHJP A61P 19/00 20060101ALI20140627BHJP A61P 5/00 20060101ALI20140627BHJP A61P 21/00 20060101ALI20140627BHJP A61P 25/00 20060101ALI20140627BHJP A61P 13/12 20060101ALI20140627BHJP A61P 1/16 20060101ALI20140627BHJP A61P 27/02 20060101ALI20140627BHJP A61P 1/02 20060101ALI20140627BHJP A61P 11/02 20060101ALI20140627BHJP A61P 9/00 20060101ALI20140627BHJP A61P 35/04 20060101ALI20140627BHJP A61P 37/06 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AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN IB2012051868 20120416 WO2012140627 20121018 292 20131211 4B024 4B064 4B065 4C084 4C085 4C086 4C087 4C206 4H045 4B024AA01 4B024BA41 4B024BA61 4B024BA63 4B024CA01 4B024CA07 4B024CA09 4B024CA11 4B024CA20 4B024DA01 4B024DA02 4B024DA05 4B024DA11 4B024EA02 4B024EA04 4B024GA11 4B024HA01 4B024HA08 4B024HA11 4B064AG20 4B064AG26 4B064AG27 4B064CA02 4B064CA05 4B064CA10 4B064CA11 4B064CA19 4B064CC24 4B064DA01 4B065AA01X 4B065AA57X 4B065AA87X 4B065AA90X 4B065AA90Y 4B065AB01 4B065AC14 4B065BA01 4B065CA24 4B065CA25 4B065CA44 4C084AA02 4C084AA13 4C084AA19 4C084BA01 4C084BA08 4C084BA20 4C084BA21 4C084BA22 4C084BA23 4C084DA12 4C084DA21 4C084DB22 4C084DC50 4C084MA02 4C084NA05 4C084NA14 4C084ZB072 4C084ZB082 4C084ZB112 4C084ZB261 4C084ZB262 4C084ZB321 4C084ZC202 4C084ZC411 4C084ZC412 4C085AA13 4C085AA14 4C085AA16 4C085AA21 4C085AA38 4C085BB33 4C085BB34 4C085BB35 4C085BB36 4C085BB37 4C085BB41 4C085BB43 4C085CC23 4C085DD62 4C085EE01 4C085EE05 4C085EE06 4C085FF24 4C086AA01 4C086AA02 4C086BA02 4C086BC43 4C086CB05 4C086CB21 4C086CB22 4C086EA16 4C086EA17 4C086HA12 4C086HA28 4C086MA02 4C086MA05 4C086NA14 4C086ZB08 4C086ZB26 4C086ZB32 4C086ZC41 4C087AA01 4C087BB65 4C087CA12 4C087NA14 4C087ZB08 4C087ZB26 4C087ZB32 4C087ZC41 4C206AA01 4C206JB16 4C206MA02 4C206MA04 4C206NA05 4C206ZB26 4H045AA11 4H045AA20 4H045AA30 4H045BA10 4H045BA41 4H045CA01 4H045CA40 4H045DA50 4H045DA75 4H045DA76 4H045EA20 4H045FA74 本発明は、免疫療法;がん、感染性障害および/または免疫関連障害の治療;ならびに医薬品開発のための標的として適切なLY6G6Fタンパク質、VSIG10タンパク質、TMEM25タンパク質およびLSRタンパク質、これらの可溶性分子および結合体、ならびにこれらに対する抗体に関する。 ナイーブT細胞が活性化されて産生能を獲得するためには、抗原提示細胞(APC)からの2つの独立したシグナルを受け取らなければならない。第1のシグナル(シグナル1)は抗原特異的であり、T細胞抗原レセプターがAPC上に提示された適切な抗原−MHC複合体に遭遇すると発生する。免疫応答の運命は、APCに発現されたリガンドと噛み合ったT細胞共刺激分子によって伝達される第2の抗原非依存性シグナル(シグナル2)によって決定される。この第2のシグナルは刺激性(正の共刺激)または抑制性(負の共刺激または共抑制)であり得る。共刺激シグナルがない場合または共抑制シグナルがある場合、T細胞の活性化は損なわれ中断される。これによって、(T細胞アナジーとして知られている)抗原特異的不応答が誘導され、あるいはT細胞アポトーシス死が引き起こされる。 通常、共刺激分子対は、APC上に発現されたリガンドとT細胞上に発現されたその対応レセプター(cognate receptor)とからなる。共刺激分子であるリガンド/レセプター対のプロトタイプはB7/CD28およびCD40/CD40Lである。B7ファミリーは、免疫応答に刺激性または抑制性シグナルをもたらす、構造的に関連した細胞表面タンパク質リガンド群からなる。B7ファミリーのメンバーは、構造的に関連し、少なくとも1つの可変または定常免疫グロブリンドメインを含む細胞外ドメインを有する。 正および負の共刺激シグナルはともに、細胞性免疫応答の制御において重要な役割を果たしており、これらのシグナルを媒介する分子は免疫調節において有効な標的であることが証明されている。この知見に基づいて、共刺激分子を標的とした治療アプローチがいくつか開発されており、このような治療アプローチは、がん患者の免疫応答を作動させることまたは免疫応答の停止を阻止することによるがんの予防および治療、ならびに自己免疫疾患、炎症性疾患、同種移植拒絶を有する対象において、制御されていない免疫応答を停止することまたは負の共刺激(または共抑制)を介して「オフ・シグナル」を誘導することによる、これらの病態の予防および治療に有用であることが示されている。 B7リガンドによって伝達されるシグナルを操作することにより、自己免疫疾患、炎症性疾患および移植拒絶反応を治療できる可能性がある。治療戦略は、共刺激対のレセプターまたはリガンドに対するモノクローナル抗体を使用して、あるいは、適切なリガンドを結合またはブロックしうる共刺激レセプターを含む可溶性融合タンパク質を使用して共刺激をブロックすることを含む。別のアプローチは、抑制性リガンドの可溶性融合タンパク質を使用して共抑制を誘導することである。これらのアプローチは、少なくとも部分的に、(自己免疫疾患または移植において発症の原因となる)自己反応性T細胞またはアロ反応性T細胞を最終的に除去することに依るが、これはおそらく、(細胞生存遺伝子を誘導する)共刺激なしにはT細胞はアポトーシスの誘導を極めて受けやすくなるからである。したがって、病原体に対して防御する免疫系の能力を損なうことなく、共刺激シグナルを調節することができる新規の薬剤は、上記の病態の治療および予防には非常に有利である。 共刺激経路は腫瘍の増殖に重要な役割を果たす。興味深いことに、腫瘍は、B7−CD28およびTNFファミリーにおける共刺激因子を抑制してT細胞の活性化を阻害し、かつT細胞の抗腫瘍応答を抑制する制御性T細胞を誘引することにより、免疫破壊を回避することが示されている(Wang (2006) Immune Suppression by Tumor Specific CD4+ Regulatory T cells in Cancer. Semin. Cancer. Biol. 16:73-79;Greenwald, et al. (2005) The B7 Family Revisited. Ann. Rev. Immunol. 23:515-48;Watts (2005) TNF/TNFR Family Members in Co-stimulation of T Cell Responses Ann. Rev. Immunol. 23:23-68;Sadum, et al. (2007) Immune Signatures of Murine and Human Cancers Reveal Unique Mechanisms of Tumor Escape and New Targets for Cancer Immunotherapy. Clin. Cane. Res. 13(13): 4016-4025)。このような、腫瘍により発現される共刺激分子はがんバイオマーカーとして注目を集めており、腫瘍関連抗原(TAA)として使用することもできる。さらに、共刺激経路は、T細胞依存性免疫応答の開始時および転移腫瘍内のエフェクター機能において、T細胞依存性免疫応答を弱める免疫チェックポイントであると同定されている。改変がんワクチンの改良に伴い、このような免疫チェックポイントが、ワクチンを用いて治療目的で抗腫瘍応答を誘導する際の主な障壁となっていることが明らかとなっている。この点において、共刺激分子は、能動的がん免疫療法(ワクチン接種)および(抗体を介した)受動的がん免疫療法のためのアジュバントとして使用することができ、免疫寛容を抑制し、かつ免疫系を刺激するための戦略を提供することができる。 さらに、このような薬剤は、腫瘍特異的T細胞集団を発展させて腫瘍細胞を攻撃し破壊するように仕向ける養子免疫療法などの他の種類のがん免疫療法に有用であり得る。このような抗腫瘍応答を増強することができる薬剤は、治療剤として有効である可能性が高く、腫瘍免疫療法の障害を乗り越える取り組みにおいて有益であり得る。最近、共刺激経路のいくつかを調節する新規の薬剤が、がん免疫療法として実際に臨床導入された。 急性および慢性感染症に関する様々な研究から得られたデータによって、負の共刺激レセプターが感染症の制御においても重要な役割を果たしていることが裏付けられている。急性ウイルス感染の後に発生するメモリーCD8T細胞は、非常に高機能であり、感染防御免疫の重要な構成要素である。共刺激経路の調節も、メモリーT細胞による応答を防御能に制限することによる抗ウイルス免疫の最適化に効果的であることが証明されている(Teijaro et al., J Immunol. 2009: 182; 5430-5438)。これはインフルエンザ感染モデルにおいて実証されている。すなわち、CTLA4−Igで阻害したCD28共刺激は、インフルエンザ感染ナイーブマウスにおける一次免疫応答を抑制したが、インフルエンザに対するメモリーCD4T細胞媒介性二次応答においては顕著な治療効果が示され、臨床転帰が改善しインフルエンザチャレンジに対する生存率が上昇した。 慢性感染症は、様々な程度のウイルス特異的T細胞応答の機能障害を特徴とすることが多く、この機能障害が、持続感染している病原体を宿主が排除できない主な理由となっている。機能性エフェクターT細胞は、当初は感染の初期段階において産生されるが、外来抗原に持続的に暴露された結果、感染が慢性化するのに伴い徐々にその機能を失い、T細胞の疲弊が起こる。疲弊したT細胞は、CTLA−4、PD−1およびLAG3などの複数の共抑制性レセプターを高発現する(Crawford et al., Curr Opin Immunol. 2009;21:179-186; Kaufmann et al., J Immunol 2009;182:5891-5897, Sharpe et al., Nat Immunol 2007;8:239-245)。疲弊したT細胞によるPD−1の過剰発現は、HIV、HCVおよびHBVを含む慢性ウイルス感染の罹患患者において臨床的に観察されている(Crawford et al., Curr Opin Immunol 2009;21:179-186; Kaufmann et al., J Immunol 2009;182:5891-5897, Sharpe et al., Nat Immunol 2007;8:239-245)。他のウイルス、細菌および寄生虫を含むさらなる病原体におけるこの経路に関する調査がいくつか行われている(Hofmeyer et al., J Biomed Biotechnol. Vol 2011, Art. ID 451694, Bhadra et al., Proc Natl Acad Sci. 2011;108(22):9196-201)。たとえば、標準的な盲腸結紮穿孔法によって誘導された敗血症モデルにおいて、PD−1経路が細菌感染の制御に関連していることが示された。ノックアウトマウスにおいては、PD−1を欠損させたことにより敗血症の誘導による死を免れた(Huang et al., PNAS 2009: 106; 6303-6308)。 T細胞の疲弊は、PD−1やCTLA−4などの共抑制経路をブロックすることにより回復させることができ(Rivas et al., J Immunol. 2009 ;183:4284-91; Golden-Mason et al., J Virol. 2009;83:9122-30; Hofmeyer et al., J Biomed Biotechnol. Vol 2011, Art. ID 451694)、これによって抗ウイルス免疫機能の回復させることができる。ウイルス感染を治療する目的の共抑制のブロックは、PD−1/PD−L1経路をブロックすることによりその治療適用の可能性が広く研究され、アカゲザルの急性および慢性サル免疫不全ウイルス(SIV)感染症(Valu et al., Nature 2009; 458:206-210)、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)などの慢性ウイルス感染症のマウスモデル(Barber et al., Nature. 2006;439:682-7)、およびSJL/Jマウスのタイラーマウス脳脊髄炎ウイルス(TMEV)モデル(Duncan and Miller PLoS One. 2011;6:e18548)を含む感染症動物モデルのいくつかにおいて効果的であることが示された。これらのモデルにおいて、PD−1/PD−L1の遮断は、抗ウイルス応答を改善し、持続感染ウイルスの排除を促進させた。さらに、PD−1/PD−L1のブロックによって体液性免疫が増強したことが血漿中特異的抗ウイルス抗体の産生の増加により示され、この体液性免疫の増強とともに細胞性応答を改善させると、血漿中ウイルス量が減少し、生存率が上昇した。 PD−1やCTLA−4などの負のシグナル経路のブロックは、宿主の免疫系を回復することができ、さらなる刺激に対して応答することを可能にする。抑制性シグナルのブロックと治療用ワクチン接種との組み合わせは相乗的に機能性CD8T細胞応答を増強し、慢性感染症を有する個体におけるウイルス制御を向上させ得、ヒト免疫不全ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスなどの慢性ウイルス感染症の治療に有望な戦略を提供することができる(Ha et al, Immunol Rev. 2008 Jun; 223:317-33)。最近の研究結果では、PD−1経路をブロックすると、HCV感染症を有する対象へのHBVワクチン接種においてT細胞応答が向上したことが示されており、この経路をブロックすることによって慢性ウイルス感染経過中の免疫化の成功率を向上できる可能性が提示されている(Moorman et al, Vaccine. 2011 Apr 12;29(17):3169-76)。現在、PD−1およびCTLA−4に対する抗体は、予防ワクチンや治療ワクチンと組み合わせるのに有望な候補物質として、慢性C型肝炎を対象に臨床試験が行われている(Diepolder and Obst, Expert Rev Vaccines. 2010 Mar;9(3):243-7)。さらに、PD−1のブロックは、エピトープ特異的T細胞を増加させて予防ワクチン接種の有効性を高める(Finnefrock et al., J Immunol 2009;182;980-987)。 ウイルス感染モデルを使用した最近の研究では、慢性感染症の治療を目的とした共抑制経路のブロックに加え、ウイルスに対するメモリー応答において正の共刺激シグナルが重要であることが強調されている。CD28、4−1BB、OX40などの共刺激分子は、ウイルス特異的メモリーCD8+T細胞の生存、発生、維持、および質とも関連があるとされている。共刺激シグナルの伝達によって、ウイルス特異的メモリーCD8+T細胞の発生および機能の増強が補助される。ワクチン中のウイルス抗原に共刺激分子をアジュバントとして組み合わせて使用すると、効果的な抗原特異的メモリーCD8+T細胞応答の発生を促進し得るため、ワクチンを改善できる可能性がある(Duttagupta et al, Crit Rev Immunol. 2009;29(6):469-86)。 さらに、最近の研究では、ワクチンにより惹起されたマウスの抗原特異的T細胞応答において、可溶性PD−1(sPD−1)がPD−1とPD−L1の結合をブロックする効果が評価された。sPD−1とDNAワクチンまたはアデノウイルスベースワクチンとの同時投与により抗原特異的CD8(+)T細胞応答が増加したことから、sPD−1はワクチンの種類に関係なくアジュバント効果を発揮することが示された(Song et al, J Immunother. 2011 Apr;34(3):297-306)。この研究のこれらの結果およびさらなる結果は、負の共刺激タンパク質の可溶性細胞外ドメイン(ECD)をアジュバントとして使用する免疫化戦略を、ワクチン接種によって惹起された抗原特異的T細胞免疫を増強するために使用できる可能性を示唆している。 B細胞は、全身性エリテマトーデス(SLE)やシェーグレン病などの数多くの自己免疫疾患の発症および持続において、病原性自己抗体の産生を介して重要な役割を有していると長い間考えられてきた。しかしながら、関節リウマチ(RA)や1型糖尿病(T1D)などの従来主としてT細胞により媒介されると考えられていた臓器特異的自己免疫疾患の病因においても、B細胞が他の多くの重要な機能を果たしていることは明らかである(Wong et al 2010, Curr Opin Immunol. 22:723-731)。 T細胞によるB細胞の補助は適応免疫応答における中心的プロセスである。濾胞ヘルパーT(Tfh)細胞は、B細胞の補助に特化したCD4+T細胞サブセットである。(Crotty, Annu. Rev. Immunol. 29: 621-663, 2011において再検討されている)。Tfh細胞は、CXCL13依存的にTfh細胞をリンパ節内のB細胞濾胞に移動させる、B細胞ホーミングケモカインレセプター(CXCR5)を発現する。Tfh細胞は、最初にT細胞領域とB細胞濾胞の境界において対応するB細胞(cognate B cell)と相互作用し、次いで、胚中心B細胞への分化および濾胞内における胚中心形成を誘導する(Crotty, Annu. Rev. Immunol. 29: 621-663, 2011において再検討されている)。B細胞の補助にTfh細胞が必要であることおよびT細胞依存性抗体応答は、この細胞が様々な種類の感染性因子に対する感染防御免疫や合理的なワクチン設計に非常に重要であることを示している。驚くべきことではないが、Tfh細胞の調節異常および異常蓄積も、シェーグレン病や自己免疫性関節炎などの自己免疫疾患と関連があるとされている(Yu and Vinuesa, 2010, Cell. Mol. Immunol. 7: 198-203)。 Tfh細胞は選択的に多くの表面タンパク質を発現し、これらの表面タンパク質はTfh細胞の選択的局在(CXCR5など)およびB細胞を補助するためのB細胞との直接的な物理的相互作用に関連する。後者に関連する表面タンパク質群には、誘導性共刺激レセプターであるICOS、ならびに負の共刺激因子(抑制性レセプター)であるPD−1およびBTLA(Crotty, Annu. Rev. Immunol. 29: 621-663, 2011)を含む、Tfh細胞において高発現されている共刺激タンパク質ファミリーのいくつかのメンバーが含まれている。したがって、Tfh細胞のサブセットも共刺激経路および共抑制経路の調節によって制御されている可能性があり、B細胞の機能に対する効果に寄与している。 様々な共刺激タンパク質に対するアゴニストおよび/またはアンタゴニストを使用した共刺激の調節は、自己免疫疾患、移植片拒絶、アレルギーおよびがんを治療するための戦略として広く研究されている。この分野においては、RA治療用として承認されたCTLA4−Ig(アバタセプト(Abatacept)、Orencia(登録商標))、腎臓の急性移植拒絶反応の予防のためのCTLA4−Ig変異体(ベラタセプト(Belatacept)、Nulojix(登録商標))、メラノーマ治療用として最近承認された抗CTLA4抗体(イピリムマブ(Ipilimumab)、Yervoy(登録商標))が臨床的に先駆けて開発されている。現在、進行性/転移性腎明細胞癌(RCC)の治療用として開発中の抗PD−1抗体(MDX−1106)や、同種腎移植移植の治療のための抗CD40L抗体(BG9588、Antova(登録商標))などの他の共刺激調節因子も臨床開発が進行中である。さらに、このような薬剤はウイルス感染症のための薬剤としても臨床開発が進められており、たとえば、C型肝炎の治療用として試験中の抗PD−1抗体MDX−1106や、C型肝炎ウイルス患者の肝細胞癌において臨床試験中の抗CTLA−4抗体CP−675,206(トレメリムマブ(tremelimumab))などが挙げられ、癌腫およびウイルスの複製に対する効果を試験することを目的に研究が行われている。 実施形態の少なくともいくつかによれば、本発明は、新規の治療用組成物および診断用組成物であって、LY6G6Fタンパク質、VSIG10タンパク質、TMEM25タンパク質、LSRタンパク質の細胞外ドメイン、可溶性形態、もしくは分泌形態;その変異体、オーソログ、および/もしくはフラグメント;これらのいずれかを含む結合体;ならびに/またはこれらのいずれかをコードする核酸配列を含む治療用および診断用組成物を提供する。 公知の(野性型)LY6G6Fタンパク質(lymphocyte antigen 6 complex locus protein G6f、genbank受託番号:NP_001003693、配列番号1)の全アミノ酸配列を図1Aに示す。公知の(野性型)VSIG10タンパク質(V-set and immunoglobulin domain-containing protein 10、genbank受託番号:NP_061959、配列番号3)の全アミノ酸配列、およびVSIG10の新規変異体(配列番号5)のアミノ酸配列を図1Bおよび図1Cにそれぞれ示す。VSIG10の新規変異体(配列番号5)および公知の(野性型)VSIG10タンパク質(配列番号3)のアミノ酸配列アライメントを図2Aに示す。公知の(野性型)TMEM25タンパク質(Transmembrane protein 25、Swiss−Prot受託番号:Q86YD3、配列番号7)の全アミノ酸配列を図1Dに示す。公知の(野性型)LSRタンパク質(lipolysis-stimulated lipoprotein receptor isoform 2、genbank受託番号:NP_991403)の全アミノ酸配列を配列番号62に示す。LSR変異体のアミノ酸配列、配列番号11、13、15、16、17および18を、図1E、1F、1G、1H、1Iおよび1Jにそれぞれ示す。LSR変異体(配列番号11、13、15、16、17および18)および従来公知のLSR配列(配列番号62〜67)のアミノ酸配列アライメントを図2B、2C、2D、2E、2F、および2Gにそれぞれ示す。 実施形態の少なくともいくつかによれば、配列番号11、13、15〜18、67および143からなる群から選択される配列の可溶性細胞外ドメインの少なくとも98個のアミノ酸、配列番号1および58からなる群から選択される配列の可溶性細胞外ドメインの少なくとも62個のアミノ酸、配列番号3および5からなる群から選択される配列の可溶性細胞外ドメインの少なくとも36個のアミノ酸、もしくは配列番号7の可溶性細胞外ドメインの少なくとも46個のアミノ酸を含む単離されたポリペプチド;配列番号5に示されるアミノ酸配列から実質的になる単離されたポリペプチド;これらと少なくとも95%の配列同一性を有する変異体;またはこれらの変異体、オーソログ、もしくはフラグメントが提供される。 上記の単離されたポリペプチドは、配列番号11、13、15〜18、67および143からなる群から選択される配列の98個〜180個のアミノ酸;配列番号1および58からなる群から選択される配列の62個〜228個のアミノ酸;配列番号3および5からなる群から選択される配列の36個〜393個のアミノ酸;または配列番号7の46個〜216個のアミノ酸のみを含んでいてもよい。 さらに、上記の単離されたポリペプチドは、配列番号11、13、15〜18、67および143からなる群から選択される配列の98個〜118個、135個〜155個、もしくは160個〜180個のアミノ酸のみを含むポリペプチド;配列番号1および58からなる群から選択される配列の62個〜82個、95個〜115個、もしくは208個〜228個のアミノ酸のみを含むポリペプチド;配列番号3および5からなる群から選択される配列の36個〜70個、80個〜100個、170個〜200個、265個〜290個、もしくは365個〜393個のアミノ酸のみを含むポリペプチド;または配列番号7の46個〜66個、84個〜104個、もしくは196個〜216個のアミノ酸のみを含むポリペプチドからなる群から選択されてもよい。 さらに、上記の単離されたポリペプチドは、配列番号1および58からなる群から選択される配列の約72個、106個、もしくは218個のアミノ酸;配列番号11、13、15〜18、67および143からなる群から選択される配列の約108個、145個、もしくは170個のアミノ酸;配列番号7の約56個、94個、もしくは206個のアミノ酸;または配列番号3および5の約46個、49個、58個、60個、87個、89個、93個、94個、178個、182個、185個、187個、273個、279個、282個、374個もしくは383個のアミノ酸のみを含んでいてもよい。 さらに、上記の単離されたポリペプチドは、配列番号12、2、4〜6、8、14、47〜50、10、15〜18、22、39、59〜61、および81〜102のいずれかに示されたアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列から実質的になっていてもよい。上記の単離されたポリペプチドは、配列番号12、2、4〜6、8、14、47〜50、10、15〜18、22、39、59〜61、および81〜102のいずれかに示されたアミノ酸配列から実質的になっていてもよく、この態様が好ましい。 上記の単離されたポリペプチドは、LSR、TMEM25、VSIG10、LY6G6F、またはそのフラグメントもしくは変異体と、それぞれの機能性対応物との相互作用をブロックまたは阻害してもよい。 上記の単離されたポリペプチドは、LSR、TMEM25、VSIG10、LY6G6F、またはそのフラグメントもしくは変異体と、それぞれの機能性対応物との相互作用においてLSR、TMEM25、VSIG10、LY6G6F、またはそのフラグメントもしくは変異体と置き換わってもよく、またはLSR、TMEM25、VSIG10、LY6G6F、またはそのフラグメントもしくは変異体と、それぞれの機能性対応物との相互作用を増強してもよい。 上記の単離されたオーソログは、配列番号9および19〜21から選択されるマウスポリペプチドであってもよい。 実施形態の少なくともいくつかによれば、本発明は、VSIG10タンパク質の不連続部分(フラグメント)を含む以下の単離されたポリペプチドを提供する。 A.単離されたキメラポリペプチドであって、公知のVSIG10タンパク質(配列番号3)の1位〜120位のアミノ酸およびVSIG10変異体(配列番号5)の1位〜120位のアミノ酸に相当する配列、MAAGGSAPEPRVLVCLGALLAGWVAVGLEAVVIGEVHENVTLHCGNISGLRGQVTWYRNNSEPVFLLSSNSSLRPAEPRFSLVDATSLHIESLSLGDEGIYTCQEILNVTQWFQVWLQVAと少なくとも95%の相同性を有する第1のアミノ酸配列と、Nを含む第2の架橋アミノ酸配列と、公知のVSIG10タンパク質(配列番号3)の223位〜540位のアミノ酸およびVSIG10変異体(配列番号5)の122位〜439位のアミノ酸に相当する配列、PPPSAPQCWAQMASGSFMLQLTCRWDGGYPDPDFLWIEEPGGVIVGKSKLGVEMLSESQLSDGKKFKCVTSHIVGPESGASCMVQIRGPSLLSEPMKTCFTGGNVTLTCQVSGAYPPAKILWLRNLTQPEVIIQPSSRHLITQDGQNSTLTIHNCSQDLDEGYYICRADSPVGVREMEIWLSVKEPLNIGGIVGTIVSLLLLGLAIISGLLLHYSPVFCWKVGNTSRGQNMDDVMVLVDSEEEEEEEEEEEEDAAVGEQEGAREREELPKEIPKQDHIHRVTALVNGNIEQMGNGFQDLQDDSSEEQSDIVQEEDRPVと少なくとも95%の相同性を有する第3のアミノ酸配列とを含み、第1のアミノ酸配列、第2の架橋アミノ酸配列および第3アミノ酸配列が、この順に連続して配置されているキメラポリペプチド。 B.VSIG10変異体(配列番号5)のエッジ部(edge portion)の単離ポリペプチドであって、長さ「n」を有するポリペプチドを含み(nは、少なくとも約10アミノ酸長であり、少なくとも約20アミノ酸長であってもよく、好ましくは少なくとも約30アミノ酸長、より好ましくは少なくとも約40アミノ酸長、最も好ましくは少なくとも約50アミノ酸長である)、該ポリペプチドにおいて少なくとも3個のアミノ酸が、ANPを含み、かつ120−x〜120の範囲の任意のアミノ酸番号から122+((n−3)−x)(式中、xは0〜n−3で変動する)で示される任意のアミノ酸番号までの配列で表される構造(番号付けはVSIG10変異体(配列番号5)に準ずる)を有する単離されたポリペプチド。 実施形態の少なくともいくつかによれば、本発明はさらに、VSIG10タンパク質の不連続部分に相当するアミノ酸残基配列(VSIG10変異体(配列番号5)の新たな接合部およびエッジ部に相当)を含む単離されたポリペプチドを提供する。VSIG10変異体(配列番号5)の新たな接合部に特有の配列を、図2Aのタンパク質配列アラインメントに示す。 実施形態の少なくともいくつかによれば、本発明は、LSRタンパク質の不連続部分(フラグメント)を含む以下の単離されたポリペプチドを提供する。 A.単離されたキメラポリペプチドであって、公知のLSRタンパク質(配列番号62)の49位〜258位のアミノ酸およびLSR変異体アイソフォームf(配列番号18)の1位〜210位のアミノ酸に相当する配列、MALLAGGLSRGLGSHPAAAGRDAVVFVWLLLSTWCTAPARAIQVTVSNPYHVVILFQPVTLPCTYQMTSTPTQPIVIWKYKSFCRDRIADAFSPASVDNQLNAQLAAGNPGYNPYVECQDSVRTVRVVATKQGNAVTLGDYYQGRRITITGNADLTFDQTAWGDSGVYYCSVVSAQDLQGNNEAYAELIVLGRTSGVAELLPGFQAGPIEと少なくとも95%の相同性を有する第1のアミノ酸配列と、Vを含む第2の架橋アミノ酸配列と、公知のLSRタンパク質(配列番号62)の309位〜649位のアミノ酸およびLSR変異体アイソフォームf(配列番号18)の212位〜552位のアミノ酸に相当する配列、YAAGKAATSGVPSIYAPSTYAHLSPAKTPPPPAMIPMGPAYNGYPGGYPGDVDRSSSAGGQGSYVPLLRDTDSSVASEVRSGYRIQASQQDDSMRVLYYMEKELANFDPSRPGPPSGRVERAMSEVTSLHEDDWRSRPSRGPALTPIRDEEWGGHSPRSPRGWDQEPAREQAGGGWRARRPRARSVDALDDLTPPSTAESGSRSPTSNGGRSRAYMPPRSRSRDDLYDQDDSRDFPRSRDPHYDDFRSRERPPADPRSHHHRTRDPRDNGSRSGDLPYDGRLLEEAVRKKGSEERRRPHKEEEEEAYYPPAPPPYSETDSQASRERRLKKNLALSRESLVVと少なくとも95%の相同性を有する第3のアミノ酸配列とを含み、第1のアミノ酸配列、第2の架橋アミノ酸配列および第3アミノ酸配列が、この順に連続して配置されているキメラポリペプチド。 B.LSR変異体(配列番号18)のエッジ部の単離ポリペプチドであって、長さ「n」を有するポリペプチドを含み(nは、少なくとも約10アミノ酸長であり、少なくとも約20アミノ酸長であってもよく、好ましくは少なくとも約30アミノ酸長、より好ましくは少なくとも約40アミノ酸長、最も好ましくは少なくとも約50アミノ酸長である)、該ポリペプチドにおいて少なくとも3個のアミノ酸が、EVYを含み、かつ、210−x〜210の範囲の任意のアミノ酸番号から始まり、212+((n−3)−x)(式中、xは0〜n−3で変動する)で示される任意のアミノ酸で終わる配列(番号付けは配列番号18に準ずる)で表される構造を有する単離されたポリペプチド。 C.単離されたキメラポリペプチドであって、公知のLSRタンパク質(配列番号66)の49位〜239位のアミノ酸およびLSR変異体アイソフォームf(配列番号18)の1位〜191位のアミノ酸に相当する配列、MALLAGGLSRGLGSHPAAAGRDAVVFVWLLLSTWCTAPARAIQVTVSNPYHVVILFQPVTLPCTYQMTSTPTQPIVIWKYKSFCRDRIADAFSPASVDNQLNAQLAAGNPGYNPYVECQDSVRTVRVVATKQGNAVTLGDYYQGRRITITGNADLTFDQTAWGDSGVYYCSVVSAQDLQGNNEAYAELIVLと少なくとも95%の相同性を有する第1のアミノ酸配列と、LSR変異体アイソフォームf(配列番号18)の192位〜218位のアミノ酸に相当する配列であるGRTSGVAELLPGFQAGPIEを有するポリペプチドと少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%の相同性を有する第2のアミノ酸配列と、公知のLSRタンパク質(配列番号66)の240位〜581位のアミノ酸およびLSR変異体アイソフォームf(配列番号18)の211位〜552位のアミノ酸に相当する配列、VYAAGKAATSGVPSIYAPSTYAHLSPAKTPPPPAMIPMGPAYNGYPGGYPGDVDRSSSAGGQGSYVPLLRDTDSSVASEVRSGYRIQASQQDDSMRVLYYMEKELANFDPSRPGPPSGRVERAMSEVTSLHEDDWRSRPSRGPALTPIRDEEWGGHSPRSPRGWDQEPAREQAGGGWRARRPRARSVDALDDLTPPSTAESGSRSPTSNGGRSRAYMPPRSRSRDDLYDQDDSRDFPRSRDPHYDDFRSRERPPADPRSHHHRTRDPRDNGSRSGDLPYDGRLLEEAVRKKGSEERRRPHKEEEEEAYYPPAPPPYSETDSQASRERRLKKNLALSRESLVVと少なくとも95%の相同性を有する第3のアミノ酸配列とを含み、第1のアミノ酸配列、第2の架橋アミノ酸配列および第3アミノ酸配列が、この順に連続して配置されているキメラポリペプチド。 D.LSR変異体アイソフォームf(配列番号18)のエッジ部の単離ポリペプチドであって、LSR変異体アイソフォームf(配列番号18)のGRTSGVAELLPGFQAGPIEで示される配列と少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約85%、より好ましくは少なくとも約90%、最も好ましくは少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む単離ポリペプチド。 実施形態の少なくともいくつかによれば、本発明はさらに、LSRの不連続部分に相当するアミノ酸残基配列(LSR変異体であるLSRアイソフォームf(配列番号18)の新たな接合部およびエッジ部に相当)を含む単離されたポリペプチドを提供する。LSRアイソフォームf(配列番号18)の新たな接合部に特有の配列を、図2Gのタンパク質配列アラインメントに示す。 実施形態の少なくともいくつかによれば、本発明はさらに、LY6G6Fタンパク質、VSIG10タンパク質、TMEM25タンパク質、および/またはLSRタンパク質の不連続部分に相当するアミノ酸残基配列を含むポリペプチドを提供し、これらの不連続部分としては、種々の細胞外ドメイン部分、すなわち、LY6G6F(配列番号1)の17位〜234位の残基に相当する細胞外ドメイン部分(配列番号2に示されるアミノ酸配列に相当);VSIG10(配列番号3)の31位〜413位の残基に相当する細胞外ドメイン部分(配列番号4に示されるアミノ酸配列に相当);VSIG10(配列番号5)の31位〜312位の残基に相当する細胞外ドメイン部分(配列番号6に示されるアミノ酸配列に相当);TMEM25(配列番号7)の27位〜232位の残基に相当する細胞外ドメイン部分(配列番号8に示されるアミノ酸配列に相当);LSR(配列番号11および/または配列番号143)の42位〜211位の残基に相当する細胞外ドメイン部分(配列番号12に示されるアミノ酸配列に相当);LSR(配列番号13)の42位〜192位の残基に相当する細胞外ドメイン部分(配列番号14に示されるアミノ酸配列に相当);LSR(配列番号15)の42位〜533位の残基に相当する細胞外ドメイン部分(配列番号47に示されるアミノ酸配列に相当);LSR(配列番号16)の42位〜532位の残基に相当する細胞外ドメイン部分(配列番号48に示されるアミノ酸配列に相当);LSR(配列番号17)の42位〜493位の残基に相当する細胞外ドメイン部分(配列番号49に示されるアミノ酸配列に相当);LSR(配列番号18)42位〜552位の残基に相当する細胞外ドメイン部分(配列番号50に示されるアミノ酸配列に相当);ならびに/または、これらと少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の配列相同性を有するこれらのフラグメントおよび/もしくは変異体が挙げられる。さらなる実施形態によれば、本明細書に記載されているように、LY6G6F ECDフラグメントは、配列番号81、96、およびこれらの変異体のいずれかから選択される。さらなる実施形態によれば、本明細書に記載されているように、VSIG10 ECDフラグメントは、配列番号82〜93、97〜100、およびこれらの変異体のいずれかから選択される。さらなる実施形態によれば、本明細書に記載されているように、LSR ECDフラグメントは、配列番号95、102、およびこれらの変異体のいずれかから選択される。さらなる実施形態によれば、本明細書に記載されているように、TMEM25 ECDフラグメントは、配列番号94、101、およびこれらの変異体のいずれかから選択される。さらなる実施形態によれば、LY6G6Fタンパク質、VSIG10タンパク質、TMEM25タンパク質および/またはLSRタンパク質の不連続部分は、シグナル(リーダー)ペプチド(SP)配列(図1)を含んでも含んでいなくてもよい。本発明の実施形態の少なくともいくつかによれば、LY6G6Fタンパク質、VSIG10タンパク質、TMEM25タンパク質および/またはLSRタンパク質のSP配列を含むECD部分の一例が提供される。LY6G6Fタンパク質(配列番号1)のSP配列を含むECD部分として、配列番号59に示されるアミノ酸配列が挙げられる。VSIG10タンパク質(配列番号3)のSP配列を含むECD部分として、配列番号60に示されるアミノ酸配列が挙げられる。VSIG10タンパク質(配列番号5)のSP配列を含むECD部分として、配列番号61に示されるアミノ酸配列が挙げられる。TMEM25タンパク質(配列番号7)のSP配列を含むECD部分として、配列番号39に示されるアミノ酸配列が挙げられる。LSRタンパク質(配列番号11)のSP配列を含むECD部分として、配列番号10に示されるアミノ酸配列が挙げられる。LSRタンパク質(配列番号14)のSP配列を含むECD部分として、配列番号22に示されるアミノ酸配列が挙げられる。 さらなる実施形態によれば、本発明は、配列番号18に示される可溶性LSRタンパク質に相当するアミノ酸残基配列を含むポリペプチドを提供し、該可溶性LSRタンパク質としては、可溶性LSRタンパク質の種々の部分、これらと少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の配列相同性を有するこれらの変異体が挙げられる。さらなる実施形態によれば、本発明は、配列番号15および16のいずれかに示される可溶性LSRタンパク質に相当するアミノ酸残基配列を含むポリペプチドを提供し、該可溶性LSRタンパク質としては、可溶性LSRタンパク質の種々の部分、これらと少なくとも95%、96%、97%、98%もしくは99%の配列相同性を有するこれらの変異体が挙げられる。さらなる実施形態によれば、本発明は、配列番号15〜18のいずれかに示される可溶性LSRタンパク質に相当するアミノ酸残基配列を含むポリペプチドを提供する。さらなる実施形態によれば、配列番号15および18のいずれかに示される可溶性LSRタンパク質は、シグナル(リーダー)ペプチド配列(図1G、図1G、図1Iおよび図1J)を含んでも含んでいなくてもよい。 さらなる実施形態によれば、本発明は、TMEM25タンパク質、LY6G6Fタンパク質、VSIG10タンパク質、LSR変異体1タンパク質および/またはLSR変異体2タンパク質のオーソログ(特にマウスオーソログ(配列番号28、29、30、31および/または32))の細胞外ドメインに相当するアミノ酸残基配列を含むポリペプチドを提供し、該オーソログしては、配列番号9、19〜21に示されるアミノ酸配列に相当するマウスオーソログ細胞外ドメイン、または、これらと少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の配列相同性を有するこれらの細胞外ドメインの一部および/もしくは変異体が挙げられるが、これらに限定されない。 さらなる実施形態によれば、本発明は、VSIG10(配列番号5)およびLSR(配列番号11、13、15、16および18)の新規の変異体のいずれかに相当するアミノ酸配列を含むポリペプチドを提供する。 実施形態の少なくともいくつかによれば、本発明は、異種配列に連結された上記のポリペプチドのいずれかを含む融合タンパク質を提供する。異種配列は、免疫グロブリン分子の少なくとも一部分を含んでいてもよい。免疫グロブリン分子の一部分は、免疫グロブリン重鎖定常領域のFcフラグメントであってもよく、この態様が好ましい。免疫グロブリン重鎖定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgE、IgAおよびIgDからなる群から選択される免疫グロブリンアイソタイプに由来していてもよく、この態様が好ましい。融合タンパク質は、配列番号71〜80、172〜181のいずれか、または配列番号23〜26のいずれかに示されるアミノ酸配列を有していてもよく、この態様が最も好ましい。また、融合タンパク質は、インビトロおよびインビボにおいて免疫細胞応答を調節してもよい。 実施形態の少なくともいくつかによれば、本発明は、上述したTMEM25、VSIG10、および/もしくはLSRの新規の変異体のいずれか、ならびに/または上述したLY6G6F、VSIG10、TMEM25、および/もしくはLSRの細胞外ドメインポリペプチド、もしくはこれらのフラグメント、ホモログもしくはオーソログのいずれかをコードする単離された核酸配列を提供する。 実施形態の少なくともいくつかによれば、配列番号33〜37、40〜46、132、155、182〜198、これらと少なくとも95%の配列同一性を有する変異体、およびこれらの変性変異体(degenerative variant)からなる群から選択される単離された核酸配列が提供される。 実施形態の少なくともいくつかによれば、本発明は、配列番号2、4、5、6、8〜16、18〜22、39、47〜50、59〜61、143に示されるアミノ酸配列、これらと少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有するこれらのフラグメントもしくは変異体、またはこれらの変性変異体のいずれかを含むポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。 実施形態の少なくともいくつかによれば、本発明は、配列番号33〜37、40〜46、132、145、155、182〜188のいずれかに示される核酸、これらと相同性を有する配列、またはこれらの変性変異体を含む単離されたポリヌクレオチドを提供する。別の実施形態によれば、この単離されたポリヌクレオチドは、配列番号33〜37、40〜46、145のいずれかに示される核酸配列と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の相同性を有する。 実施形態の少なくともいくつかによれば、本明細書に記載の単離された核酸配列を少なくとも1つ含む発現ベクターまたはウイルスが提供される。実施形態の少なくともいくつかによれば、本明細書に記載の単離された核酸配列を少なくとも1つ含む発現ベクターまたはウイルスを含む組換え細胞であって、このDNAセグメントにコードされたポリペプチドを構成的または誘導的に発現する組換え細胞が提供される。実施形態の少なくともいくつかによれば、LSR、TMEM25、VSIG10、LY6G6Fの可溶性細胞外ドメインポリペプチド、またはこれらのフラグメントもしくは融合タンパク質の製造方法であって、本明細書に記載の組換え細胞が上記のDNAセグメントまたは核酸にコードされているポリペプチドの発現が可能な条件下で、該組換え細胞を培養すること、および該ポリペプチドを回収することを含む方法が提供される。 本発明の実施形態の少なくともいくつかによれば、LY6G6Fタンパク質、VSIG10タンパク質、TMEM25タンパク質、LSRタンパク質のいずれか1つの細胞外ドメイン、可溶形態もしくは分泌形態の単離されたアミノ酸配列、その変異体、オーソログもしくはフラグメント、またはこれらのいずれかを含む結合体を含む医薬組成物が提供される。 実施形態の少なくともいくつかによれば、本発明は、可溶性免疫グロブリンドメインまたはフラグメントなどの非LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRタンパク質または核酸配列に直接または間接的に付加されてもよい、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/もしくはLSRタンパク質の可溶性ドメインおよび/もしくは細胞外ドメインの単離もしくは精製されたアミノ酸配列またはこれをコードする核酸配列を提供する。 実施形態の少なくともいくつかによれば、本発明は、プラスミドおよび組換えウイルスベクターなどのベクターと、LY6G6F、VSIG10、TMEM25、および/もしくはLSRタンパク質の分泌形態、可溶形態および/もしくはECD、これらのフラグメント、変異体もしくはオーソログ、またはこれらのいずれかを含むポリペプチド結合体を発現する宿主細胞とを提供する。 実施形態の少なくともいくつかによれば、本発明は、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/もしくはLSR、これらの分泌形態、可溶形態、ECDおよび/もしくはフラグメント、これらの変異体もしくはオーソログ、またはこれらのいずれかを含むポリペプチド結合体のいずれか1つを発現する宿主細胞と、プラスミドおよび組換えウイルスベクターなどの上記のベクターとの使用であって、上記のLY6G6F、VSIG10、TMEM25および/もしくはLSRタンパク質のいずれか1つを製造することを特徴とする使用を提供する。 実施形態の少なくともいくつかによれば、本発明は、上記のいずれかを含む医薬組成物または診断組成物を提供する。 実施形態の少なくともいくつかによれば、本発明は、LY6G6F細胞外ドメイン、VSIG10細胞外ドメイン、TMEM25細胞外ドメインおよび/もしくはLSR細胞外ドメイン、これらの可溶性形態、分泌形態、フラグメント、オーソログもしくは変異体、結合体、これらのいずれかをコードする核酸配列、ならびにこれらのいずれかを含む医薬組成物の少なくとも1つを治療剤として含む化合物のいずれか1つの使用であって、本明細書に記載のがん、本明細書に記載の感染性障害および/もしくは免疫関連障害(本明細書に記載の自己免疫疾患、移植拒絶反応および移植片対宿主病を含むが、これらに限定されない)を治療または予防すること;ならびに/またはLY6G6Fポリペプチド、VSIG10ポリペプチド、TMEM25ポリペプチドおよび/もしくはLSRポリペプチドのいずれか1つもしくは本明細書に記載の免疫関連疾患によって媒介される免疫共刺激をブロックまたは促進すること;ならびに/または免疫療法(免疫共刺激の促進もしくは抑制)を行うことを特徴とする使用を提供する。実施形態の少なくともいくつかによれば、上記の自己免疫疾患はあらゆる自己免疫疾患を包含し、任意の型および亜型の、多発性硬化症、関節リウマチ、1型糖尿病、乾癬、全身性エリテマトーデス、炎症性腸疾患、ぶどう膜炎およびシェーグレン症候群のいずれかを包含していてもよく(ただしこれらに限定されない)、これらを包含することが好ましい。 実施形態の少なくともいくつかによれば、本発明は、LY6G6F細胞外ドメイン、VSIG10細胞外ドメイン、TMEM25細胞外ドメインおよび/もしくはLSR細胞外ドメイン、これらの可溶性形態、分泌形態、フラグメント、オーソログもしくは変異体、結合体、これらのいずれかをコードする核酸配列、ならびにこれらのいずれかを含む医薬組成物の少なくとも1つを含む化合物のいずれか1つの使用であって、抗がんワクチンもしくは抗がんワクチンのアジュバントとして投与すること、ならびに/または養子免疫療法を行うこと、ならびに/または本明細書に記載のがん免疫療法を行うことを特徴とする使用を提供する。 実施形態の少なくともいくつかによれば、本発明は、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/もしくはLSRタンパク質または核酸配列のいずれかの使用であって、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/もしくはLSRタンパク質のいずれか1つに特異的に結合する薬剤、ならびに/またはLY6G6F、VSIG10、TMEM25および/もしくはLSRタンパク質と他の成分との結合を増強または抑制する薬剤を作製するための標的とすることを特徴とする使用を提供する。 実施形態の少なくともいくつかによれば、本発明は、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRに関連する生物学的活性の少なくとも1つを調節する(増強または抑制する)薬剤を提供する。このような薬剤として、抗体、小分子、ペプチド、リボザイム、アプタマー、アンチセンス分子、siRNAなどが挙げられる。これらの分子は、LY6G6Fタンパク質、VSIG10タンパク質、TMEM25タンパク質および/もしくはLSRタンパク質、LY6G6F DNA、VSIG10 DNA、TMEM25 DNAおよび/もしくはLSR DNA、ならびにこれらの一部分もしくは変異体のいずれか1つに直接結合してもよく;これらのいずれか1つによって誘導される活性を調節してもよく;たとえば、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/もしくはLSRのいずれか1つと、そのカウンターレセプターまたは内因性リガンドとの結合を調節することによって、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/もしくはLSRに関連する活性を間接的に調節してもよく、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/もしくはLSR、これらの一部分、ならびにこれらの変異体のいずれか1つと分子との結合を間接的に調節してもよい。 実施形態の少なくともいくつかによれば、本発明は、本明細書に記載のLY6G6Fタンパク質、VSIG10タンパク質、TMEM25タンパク質および/もしくはLSRタンパク質、およびこれらと少なくとも95%の相同性を有するポリペプチドのいずれか1つに特異的に結合する、新規のモノクローナルまたはポリクローナル抗体、抗原結合フラグメント、これらのいずれかを含む結合体、および/または代替足場を提供する。このような抗体は、配列番号1〜8、10〜18、22、39、47〜50、59〜61、9、および19〜21からなる群から選択されるタンパク質ならびに/または配列番号5および18に特有のエッジのいずれか1つに対応するアミノ酸配列に結合してもよい。特に、これらの抗体、抗原結合フラグメント、これらのいずれかを含む結合体、および/または代替足場は、特に、本明細書に記載の感染性障害;本明細書に記載の自己免疫疾患、本明細書に記載の免疫関連疾患、移植拒絶反応および移植片対宿主病を含む(ただしこれらに限定されない)免疫関連障害;ならびに/または本明細書に記載のがんおよび悪性腫瘍の治療ならびに/または診断のための治療剤ならびに/または(インビトロ診断法およびインビボ診断法の両方における)診断剤として使用するのに適している。 少なくとも実施形態のいくつかによれば、抗原結合部位が立体構造エピトープまたは直線状エピトープを含み、かつ、約3〜7個の連続したアミノ酸または不連続アミノ酸を含む抗体が提供される。該抗体は、完全ヒト抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、または霊長類化抗体であってよい。 さらに、上記抗体は、Fabフラグメント,Fab’フラグメント、F(ab’)2フラグメント、F(ab’)フラグメント、F(ab)フラグメント、Fvフラグメント、scFvフラグメントおよび最小認識単位からなる群から選択されてもよい。 さらに、上記の抗体は、薬剤、放射性核種、発蛍光団、酵素、毒素、治療剤、および化学療法剤から選択される成分と結合させてもよく、この検出可能なマーカーは、放射性同位元素、金属キレート剤、酵素、蛍光化合物、生物発光化合物、または化学発光化合物であってもよい。 さらに、上記の抗体は、LSRポリペプチド、TMEM25ポリペプチド、VSIG10ポリペプチド、LY6G6Fポリペプチド、ならびにこれらのフラグメントおよび変異体のいずれか1つと、それぞれの対応物との相互作用をブロックまたは阻害してもよい。 さらに、上記の抗体は、LSRポリペプチド、TMEM25ポリペプチド、VSIG10ポリペプチド、LY6G6Fポリペプチド、またはこれらのフラグメントもしくは変異体と、その対応物との相互作用においてLSRポリペプチド、TMEM25ポリペプチド、VSIG10ポリペプチド、LY6G6Fポリペプチド、またはこれらのフラグメントもしくは変異体と置き換わってもよく、またはLSRポリペプチド、TMEM25ポリペプチド、VSIG10ポリペプチド、LY6G6Fポリペプチド、またはこれらのフラグメントもしくは変異体と、その対応物との相互作用を増強してもよい。 さらに、上記の抗体は、LSRタンパク質、TMEM25タンパク質、VSIG10タンパク質、およびLY6G6Fタンパク質のいずれか1つを発現するがん細胞のアポトーシスまたは溶解を誘導してもよい。 さらに、上記のアポトーシスまたは溶解は、抗体のCDC活性またはADCC活性に関連していてもよく、CDC(補体依存性細胞傷害作用)活性またはADCC(抗体依存性細胞傷害作用)活性を使用して、免疫細胞をターゲティングしてもよい。 実施形態の少なくともいくつかによれば、本発明は、LY6G6F(配列番号1)の17位〜234位の残基(配列番号2に示す)および/または配列番号81および96のいずれかに示されるアミノ酸配列に相当する細胞外ドメインの種々の部分を含むLY6G6Fタンパク質の不連続部分に対する、抗体および抗原結合フラグメント、これらのいずれかを含む結合体、ならびに/または代替足場を提供する。さらなる実施形態によれば、本発明は、配列番号20に相当する細胞外ドメインの種々の部分を含むマウスLY6G6Fタンパク質(配列番号29)の不連続部分に対する、抗体および抗原結合フラグメント、これらのいずれかを含む結合体、ならびに/または代替足場を提供する。 実施形態の少なくともいくつかによれば、本発明は、VSIG10(配列番号3)の31位〜413位のアミノ酸残基(配列番号4に示す)、VSIG10(配列番号5)の31位〜312位のアミノ酸残基(配列番号6に示す)、および/または配列番号82〜93および97〜100のいずれか1つに示されるアミノ酸配列に相当する細胞外ドメインの種々の部分を含むVSIG10タンパク質の不連続部分に対する、抗体および抗原結合フラグメント、これらのいずれかを含む結合体、ならびに/または代替足場を提供する。さらなる実施形態によれば、本発明は、配列番号19に相当する細胞外ドメインの種々の部分を含むマウスVSIG10タンパク質(配列番号30)の不連続部分に対する、抗体および抗原結合フラグメント、これらのいずれかを含む結合体、ならびに/または代替足場を提供する。実施形態の少なくともいくつかによれば、本発明は、本明細書に記載のVSIG10変異体(配列番号5)のエッジ部を含む、VSIG10タンパク質の不連続部分に対する、抗体および抗原結合フラグメント、これらのいずれかを含む結合体、ならびに/または代替足場を提供する。 実施形態の少なくともいくつかによれば、本発明は、TMEM25(配列番号7)の27位〜232位のアミノ酸残基(配列番号8に示す)および/または配列番号94および101のいずれかに示されるアミノ酸配列に相当する細胞外ドメインの種々の部分を含むTMEM25タンパク質の不連続部分に対する、抗体および抗原結合フラグメント、これらのいずれかを含む結合体、ならびに/または代替足場を提供する。さらなる実施形態によれば、本発明は、配列番号9に示される細胞外ドメインの種々の部分を含むマウスTMEM25タンパク質(配列番号28)の不連続部分に対する、抗体および抗原結合フラグメント、これらのいずれかを含む結合体、ならびに/または代替足場を提供する。 実施形態の少なくともいくつかによれば、本発明は、LSR(配列番号11)の42位〜211位のアミノ酸残基(配列番号12に示す)、LSR(配列番号13)の42位〜192位のアミノ酸残基(配列番号14に示す)、LSR(配列番号15)の42位〜533位のアミノ酸残基(配列番号47に示す)、LSR(配列番号16)の42位〜532位のアミノ酸残基(配列番号48に示す)、LSR(配列番号17)の42位〜493位のアミノ酸残基(配列番号49に示す)、LSR(配列番号18)の42位〜552位のアミノ酸残基(配列番号50に示す)、および/または配列番号95および102のいずれかに示されるアミノ酸配列に相当する細胞外ドメインの種々の部分を含むLSRタンパク質の不連続部分に対する、抗体および抗原結合フラグメント、これらのいずれかを含む結合体、ならびに/または代替足場を提供する。さらなる実施形態によれば、本発明は、配列番号21に相当する細胞外ドメインの種々の部分を含むマウスLY6G6Fタンパク質(配列番号31〜32)の不連続部分に対する、抗体および抗原結合フラグメント、これらのいずれかを含む結合体、ならびに/または代替足場を提供する。 実施形態の少なくともいくつかによれば、本発明は、本明細書に記載のLSR異性体アイソフォームf(配列番号18)に特有のエッジ部を含む、LSRタンパク質の不連続部分に対する、抗体および抗原結合フラグメント、これらのいずれかを含む結合体、ならびに/または代替足場を提供する。 実施形態の少なくともいくつかによれば、本発明は、配列番号15〜18および47〜50のいずれか1つに示される可溶性LSRタンパク質の種々の部分を含む可溶性LSRタンパク質の不連続部分に対する、抗体および抗原結合フラグメント、これらのいずれかを含む結合体、ならびに/または代替足場を提供する。 実施形態の少なくともいくつかによれば、本発明は、特異的抗体と類似した特異性および親和性を有する足場タンパク質に関する。実施形態の少なくともいくつかによれば、本発明は、1つ以上のエピトープ結合ドメインに連結される足場タンパク質を含む抗原結合構築物に関する。このような改変足場タンパク質は、通常、ループ領域またはそれ以外の許容される表面部位に注目して、突然変異を含むランダムライブラリーを設計し、次いで、ファージディスプレイまたはその関連技術を使用して任意の標的に対して変異体を選択することによって得られる。実施形態の少なくともいくつかによれば、本発明は、anticalin、DARPin、アルマジロリピートタンパク質、プロテインA、リポカリン、フィブロネクチンドメイン、アンキリンコンセンサスリピートドメイン、チオレドキシン、化学的に抑制されたペプチドなどを包含する(ただしこれらに限定されない)代替足場に関する。実施形態の少なくともいくつかによれば、本発明は、治療剤として、本明細書に記載のがん、本明細書に記載の免疫関連疾患、本明細書に記載の自己免疫疾患、および感染症の治療、ならびにインビボ診断に使用される代替足場に関する。 本発明の実施形態の少なくともいくつかによれば、本明細書に記載の単離されたポリペプチド、本明細書に記載の融合タンパク質、本明細書に記載のヌクレオチド配列、本明細書に記載の発現ベクター、本明細書に記載の宿主細胞、または本明細書に記載の抗体と、薬学的に許容される希釈剤もしくは担体とを含む医薬組成物が提供される。 実施形態の少なくともいくつかによれば、本明細書に記載の単離されたポリペプチド、本明細書に記載の融合タンパク質、本明細書に記載のヌクレオチド配列、本明細書に記載の発現ベクター、本明細書に記載の宿主細胞、本明細書に記載の抗体、および本明細書に記載の医薬組成物のいずれか1つの使用であって、対象への投与によりT細胞の活性化が阻害または抑制されることを特徴とする使用が提供される。 実施形態の少なくともいくつかによれば、本明細書に記載の単離されたポリペプチド、本明細書に記載の融合タンパク質、本明細書に記載のヌクレオチド配列、本明細書に記載の発現ベクター、本明細書に記載の宿主細胞、本明細書に記載の抗体、および本明細書に記載の医薬組成物のいずれか1つの、がんの治療のための使用が提供される。 実施形態の少なくともいくつかによれば、本明細書に記載の単離されたポリペプチド、本明細書に記載の融合タンパク質、本明細書に記載のヌクレオチド配列、本明細書に記載の発現ベクター、本明細書に記載の宿主細胞、本明細書に記載の抗体、または本明細書に記載の医薬組成物の、感染性障害の治療のための使用が提供される。 実施形態の少なくともいくつかによれば、対象において、a.サイトカインのアップレギュレート;b.T細胞の増殖の誘導;c.抗原特異的T細胞免疫の促進;d.CD4+T細胞および/またはCD8+T細胞の活性化の促進の1以上を行う方法であって、本明細書に記載の単離されたポリペプチド、本明細書に記載の融合タンパク質、本明細書に記載のヌクレオチド配列、本明細書に記載の発現ベクター、本明細書に記載の宿主細胞、本明細書に記載の抗体、および本明細書に記載の医薬組成物のいずれかを対象に投与することを含む方法が提供される。 実施形態の少なくともいくつかによれば、免疫系に関連した病態を治療または予防する方法であって、免疫系に関連した病態の治療または予防を必要とする対象に、本明細書に記載の単離されたポリペプチド、本明細書に記載の融合タンパク質、本明細書に記載のヌクレオチド配列、本明細書に記載の発現ベクター、本明細書に記載の宿主細胞、本明細書に記載の抗体、および医薬組成物のいずれかを有効量で投与することを含む方法が提供される。 上記の免疫系に関連した病態は、免疫関連病態;自己免疫疾患;移植拒絶反応;移植片対宿主病;上記のLSRポリペプチド、TMEM25ポリペプチド、VSIG10ポリペプチドおよびLY6G6Fポリペプチドのいずれか1つによって媒介される免疫共刺激をブロックまたは促進するための状態;免疫関連疾患;ならびに/または(免疫共刺激を促進または抑制する)免疫療法のための状態を含んでもよい。 上記の治療は、免疫関連病態の治療に有用な別の成分と組み合わせてもよい。 上記の成分は、コルチコステロイド類、シクロスポリン、シクロホスファミド、プレドニゾン、アザチオプリン、メトトレキサート、ラパマイシン、タクロリムスなどの免疫抑制剤;TNF−α遮断剤もしくはTNF−αアンタゴニスト、または任意の炎症性サイトカインを標的とする他の生物学的薬剤などの生物学的薬剤;非ステロイド性抗炎症剤/Cox−2阻害剤;ヒドロキシクロロキン;スルファサラゾピリン;金塩;エタネルセプト;インフリキシマブ;ミコフェノール酸モフェチル;バシリキシマブ;アタシセプト;リツキシマブ;シトキサン;インターフェロンβ−1a;インターフェロンβ−1b;酢酸グラチラマー;塩酸ミトキサントロン;アナキンラ;他のバイオロジクス;静脈内免疫グロブリン(IVIG);IFN−β−1a(REBIF(登録商標)およびAVONEX(登録商標))、IFN−β−1b(BETASERON(登録商標))などのインターフェロン;酢酸グラチラマー(COPAXONE(登録商標));ポリペプチド;ナタリズマブ(TYSABRI(登録商標));ミトキサントロン(NOVANTRONE(登録商標));細胞毒性剤;カルシニューリン阻害剤(たとえばシクロスポリンA、FK506);免疫抑制マクロライド(たとえばラパマイシンまたはその誘導体(たとえば40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン));リンパ球ホーミング剤(たとえばFTY720またはそのアナログ);コルチコステロイド類;シクロホスファミド;アザチオプリン;メトトレキサート;レフルノミドまたはそのアナログ;ミゾリビン;ミコフェノール酸;ミコフェノール酸モフェチル;15−デオキシスペルグアリンまたはそのアナログ;免疫抑制モノクローナル抗体(たとえば、MHC、CD2、CD3、CD4、CD11a/CD18、CD7、CD25、CD27、B7、CD40、CD45、CD58、CD137、ICOS、CD150(SLAM)、OX40、4−1BBまたはこれらのリガンドなどの白血球レセプターに対するモノクローナル抗体);他の免疫調節化合物(たとえばCTLA4−Ig(アバタセプト、ORENCIA)、CD28−Ig、B7−H4−Ig、他の共刺激剤);接着分子阻害剤(たとえばモノクローナル抗体(mAb));LFA−1アンタゴニスト、セレクチンアンタゴニスト、VLA−4アンタゴニストなどの低分子阻害剤;ならびに他の免疫調節剤からなる群から選択されてもよい。 上記の免疫に関連する病態は、自己免疫疾患、移植拒絶反応または移植片対宿主病から選択されてもよい。 上記の自己免疫疾患は、再発寛解型多発性硬化症、一次進行型多発性硬化症および二次進行型多発性硬化症を含む多発性硬化症;乾癬;関節リウマチ;乾癬性関節炎;全身性エリテマトーデス(SLE);潰瘍性大腸炎;クローン病;良性リンパ球性血管炎;血小板減少性紫斑病;突発性血小板減少症;特発性自己免疫性溶血性貧血;赤芽球ろう;シェーグレン症候群;リウマチ性疾患;結合組織疾患;炎症性リウマチ;変形性リウマチ;非関節性リウマチ;若年性関節リウマチ;尿酸塩関節炎;筋肉リウマチ;慢性多発性関節炎;クリオグロブリン血管炎;ANCA関連血管炎;抗リン脂質症候群;重症筋無力症;自己免疫性溶血性貧血;ギラン・バレー症候群;慢性免疫性多発ニューロパチー;自己免疫性甲状腺炎;インスリン依存性糖尿病;1型糖尿病;アジソン病;膜性糸球体腎症;グッドパスチャー病;自己免疫性胃炎;自己免疫性萎縮性胃炎;悪性貧血;天疱瘡;尋常性天疱瘡;肝硬変;原発性胆汁性肝硬変;皮膚筋炎;多発性筋炎;線維筋炎;筋硬症;セリアック病;免疫グロブリンA腎症;ヘノッホ・シェーンライン紫斑病;エバンス症候群;アトピー性皮膚炎;乾癬;関節症性乾癬;グレーブス病;グレーブス眼症;強皮症;全身性強皮症;進行性全身性強皮症;喘息;アレルギー;原発性胆汁性肝硬変;橋本甲状腺炎;原発性粘液水腫;交感性眼炎;自己免疫性ぶどう膜炎;肝炎;慢性活動性肝炎;膠原病;強直性脊椎炎;肩関節周囲炎;結節性汎動脈炎;軟骨石灰化症;ヴェーゲナー肉芽腫症;顕微鏡的多発血管炎;慢性じんま疹;水疱性皮膚疾患;類天疱瘡;アトピー性湿疹;デビック病;小児自己免疫性溶血性貧血;難治性または慢性自己免疫性血球減少症;後天性血友病Aにおける抗第VIII因子自己抗体の産生の予防;寒冷凝集素病;視神経脊髄炎;全身硬直症候群;歯肉炎;歯周炎;膵炎;心筋炎;血管炎;胃炎;痛風;痛風性関節炎;乾癬、アトピー性皮膚炎、湿疹、酒さ、蕁麻疹およびざ瘡からなる群から選択される炎症性皮膚疾患;正補体血症性蕁麻疹様血管炎;心膜炎;筋炎;抗合成酵素症候群;強膜炎;マクロファージ活性化症候群;ベーチェット症候群;PAPA症候群;Blau症候群;痛風;成人および若年性スティル病;クリオピリン関連周期性症候群;マックル−ウェルズ症候群;家族性寒冷自己炎症性症候群;新生児期発症多臓器性炎症性疾患;家族性地中海熱;慢性乳児期発症神経皮膚関節症候群;全身型若年性特発性関節炎;高IgD症候群;シュニッツラー症候群;自己免疫性網膜症;加齢黄斑変性症;アテローム性動脈硬化症;慢性前立腺炎;ならびにTNF受容体関連周期性症候群(TRAPS)からなる群から選択されてもよい。 上記の自己免疫疾患は、任意の型および亜型の、多発性硬化症、関節リウマチ、1型糖尿病、乾癬、全身性エリテマトーデス、炎症性腸疾患、ぶどう膜炎およびシェーグレン症候群からなる群から選択されてもよい。 実施形態の少なくともいくつかによれば、感染症を治療または予防する方法であって、感染症の治療または予防を必要とする対象に、本明細書に記載の単離されたポリペプチド、本明細書に記載の融合タンパク質、本明細書に記載のヌクレオチド配列、本明細書に記載の発現ベクター、本明細書に記載の宿主細胞、本明細書に記載の抗体、および医薬組成物のいずれかを有効量で投与することを含む方法が提供される。 上記の感染症は、細菌感染、ウイルス感染、真菌感染および/または他の寄生虫感染によって引き起こされる疾患から選択されてもよい。 上記の感染症は、B型肝炎、C型肝炎、伝染性単核症、EBV、サイトメガロウイルス、AIDS、HIV−1、HIV−2、結核、マラリアおよび住血吸虫症から選択されてもよい。 実施形態の少なくともいくつかによれば、がんを治療または予防する方法であって、がんの治療または予防を必要とする対象に、本明細書に記載の単離されたポリペプチド、本明細書に記載の融合タンパク質、本明細書に記載のヌクレオチド配列、本明細書に記載の発現ベクター、本明細書に記載の宿主細胞、本明細書に記載の抗体、および医薬組成物のいずれか1つを有効量で投与すること含む方法が提供される。 上記の治療は、がんを治療するのに有用な別の成分または治療法と組み合わせてもよい。 上記の治療法は、放射線療法;抗体療法;化学療法;光線力学療法;養子T細胞療法;Treg除去;手術;または慣用の薬剤との併用療法であってもよい。 上記の成分は、免疫抑制剤;細胞傷害剤;腫瘍ワクチン;抗体(たとえば、ベバシズマブ、アービタックス);ペプチド;ペプチボディ;小分子;細胞傷害剤および細胞増殖抑制剤(たとえば、パクリタキセル、シスプラチン、ビノレルビン、ドセタキセル、ゲムシタビン、テモゾロミド、イリノテカン、5FU、カルボプラチン)などの化学療法剤;インターフェロンおよびインターロイキンなどの免疫調節剤;免疫刺激抗体;成長ホルモン;他のサイトカイン;葉酸;ビタミン;無機質;アロマターゼ阻害剤;RNAi;ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤;およびプロテアソーム阻害剤からなる群から選択されてもよい。 上記のがんは、乳がん、子宮頸がん、卵巣がん、子宮内膜がん、メラノーマ、膀胱がん、肺がん、膵臓がん、結腸がん、前立腺がん、白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、多発性骨髄腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、骨髄性白血病、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病、甲状腺がん、濾胞性甲状腺がん、骨髄異形成症候群(MDS)、線維肉腫、横紋筋肉腫、メラノーマ、ぶどう膜メラノーマ、奇形癌、神経芽腫、神経膠腫、神経膠芽腫、皮膚の良性腫瘍、角化棘細胞腫、腎臓がん、未分化大細胞リンパ腫、食道扁平上皮細胞癌、肝細胞癌、濾胞性樹状細胞癌、腸がん、筋層浸潤がん、精巣腫瘍、表皮癌、脾臓がん、膀胱がん、頭頸部がん、胃がん、肝臓がん、骨がん、脳がん、網膜がん、胆道がん、小腸がん、唾液腺がん、子宮がん、精巣がん、結合組織がん、前立腺肥大症、脊髄形成異常、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、鼻咽腔がん、神経内分泌がん、骨髄異形成症候群、中皮腫、血管肉腫、カポジ肉腫、カルチノイド、食道胃がん、ファローピウス管がん、腹膜がん、漿液性乳頭状ミュラー管がん、悪性腹水、消化管間質腫瘍(GIST)、リー・フラウメニ症候群およびフォンヒッペル・リンダウ症候群(VHL)、からなる群から選択される、非転移性、浸潤性、または転移性のがんであってもよい。 上記のがんは、メラノーマ、肝臓がん、腎臓がん、脳がん、乳がん、結腸がん、肺がん、卵巣がん、膵臓がん、前立腺がん、胃がん、多発性骨髄腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、急性および慢性リンパ芽球性白血病、ならびに急性および慢性骨髄白血病のいずれかであってもよい。 実施形態の少なくともいくつかによれば、抗原に対する患者の二次免疫応答を増強する方法であって、本明細書に記載の単離されたポリペプチド、本明細書に記載の融合タンパク質、本明細書に記載のヌクレオチド配列、本明細書に記載の発現ベクター、本明細書に記載の宿主細胞、本明細書に記載の抗体、および医薬組成物のいずれかを有効量で投与することを含む方法が提供される。 上記の抗原が、がん抗原、ウイルス抗原または細菌抗原であってもよく、上記の患者が、抗がんワクチンまたはウイルスワクチンによる治療を受けたことのある患者であってもよい。 患者に免疫療法を行う方法であって、患者または患者から単離した白血球に、本明細書に記載の単離されたポリペプチド、本明細書に記載の融合タンパク質、本明細書に記載のヌクレオチド配列、本明細書に記載の発現ベクター、本明細書に記載の宿主細胞、本明細書に記載の抗体、および医薬組成物のいずれかを有効量で投与して、寛容原性制御性細胞の分化を誘導することを含む、インビボまたはエクスビボにおける寛容誘導;エクスビボにおける上記細胞の濃縮および増殖;ならびに上記患者への寛容原性制御性細胞の自己輸血を含む方法が提供される。 本明細書に記載の単離されたポリペプチドのいずれか、本明細書に記載の融合タンパク質、本明細書に記載のヌクレオチド配列、本明細書に記載の発現ベクター、本明細書に記載の宿主細胞、本明細書に記載の抗体、および医薬組成物の少なくとも1つをがんワクチンアジュバントとして使用する方法であって、免疫応答を誘導できる量の標的とする腫瘍関連抗原調製物と、がんワクチンアジュバントとを免疫化に適した処方で患者に投与することを含み、該がんワクチンアジュバント存在下における該腫瘍関連抗原に対する免疫応答が、該がんワクチンアジュバント非存在下におけるものよりも強力であることを特徴とする方法が提供される。 実施形態の少なくともいくつかによれば、感染症の治療を目的として、本明細書に記載の単離されたポリペプチド、本明細書に記載の融合タンパク質、本明細書に記載のヌクレオチド配列、本明細書に記載の発現ベクター、本明細書に記載の宿主細胞、本明細書に記載の抗体、および医薬組成物のいずれかの投与と、抗原を用いた治療用ワクチン接種とを組み合わせる方法が提供される。 実施形態の少なくともいくつかによれば、免疫応答の増強を目的として、本明細書に記載の単離されたポリペプチド、本明細書に記載の融合タンパク質、本明細書に記載のヌクレオチド配列、本明細書に記載の発現ベクター、本明細書に記載の宿主細胞、本明細書に記載の抗体、および医薬組成物のいずれかと、アジュバントと、ワクチン中の抗原とを組み合わせる方法が提供される。 上記の抗原は、ウイルス抗原、細菌抗原、真菌抗原、寄生虫抗原および/または別の病原体の抗原であってもよい。 実施形態の少なくともいくつかによれば、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/もしくはLSRタンパク質のいずれか1つに対する、抗体および抗原結合フラグメント、これらのいずれかを含む結合体、および/もしくは代替足場;ならびに/またはLY6G6F、VSIG10、TMEM25および/もしくはLSRの分泌形態、可溶形態もしくはECD、および/もしくこれらの変異体、オーソログもしくは結合体を含む本発明の実施形態の少なくともいくつかによる上記の治療剤のいずれか1つを使用して、養子免疫療法を行うことができる。免疫寛容または免疫学的寛容は、免疫系が抗原を攻撃しない仕組みである。免疫寛容は、体内において自己抗原への免疫応答が開始されない「自然免疫寛容」すなわち「自己免疫寛容」であるか、免疫系を操作することにより外来抗原に対する寛容を生じさせる「誘導性免疫寛容」である。免疫寛容は、中枢性寛容、末梢性寛容および獲得寛容の3つの形態で起こる。単一の理論に拘束されることを望むものではないが、免疫寛容においては、ナチュラルキラー(NK)細胞、NKT細胞、樹状細胞(DC)およびB細胞に加えて、自己反応性細胞を直接的に抑制する制御性免疫細胞(Tregを含む)、ならびに免疫調節能を有する他のいくつかの免疫細胞サブセット(CD8+T細胞および他のタイプのCD4+T細胞(Tr1、Th3を含む)が関与している。 寛容は、共刺激をブロックすること、または共抑制性B7とそのカウンターレセプターとを結合させることによって誘導することができる。寛容の移入には、インビボ(すなわち細胞単離前)またはエクスビボにおいて寛容が誘導された細胞の単離、エクスビボにおけるこれらの細胞の濃縮および増殖、次いで、増殖させた細胞の患者への自己輸血が必要とされる。この方法を利用して、本明細書に記載の自己免疫疾患、本明細書に記載の免疫関連疾患、移植および移植片拒絶を治療することができる。 したがって、実施形態の少なくともいくつかによれば、本発明は、寛容の誘導方法であって、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRタンパク質のいずれか1つに特異的な、単離された可溶性LY6G6F、VSIG10、TMEM25、もしくはLSRポリペプチド、LY6G6F、VSIG10、TMEM25、もしくはLSRの細胞外ドメインを含むポリペプチド、これらのフラグメント、これらの異種配列との融合体、ポリクローナル抗体もしくはモノクローナル抗体、抗原結合フラグメント、これらのいずれかを含む結合体、ならびに代替足場のいずれか1つを有効量で患者または患者から単離された白血球にインビボまたはエクスビボにおいて投与することにより処置を行い、寛容原性制御性細胞の分化を誘導すること、エクスビボにおいて該細胞の濃縮および増殖を行うこと、ならびに上記患者へ寛容原性制御性細胞を自己輸血することを含む方法を提供する。 実施形態の少なくともいくつかによれば、本発明は、生体試料中または個体中に存在するLY6G6Fタンパク質、VSIG10タンパク質、TMEM25タンパク質および/またはLSRタンパク質をインビトロまたはインビボにおいて検出するためのアッセイであって、LY6G6Fポリペプチド、VSIG10ポリペプチド、TMEM25ポリペプチドおよび/またはLSRポリペプチドに対する特異性を有する抗体、抗原結合フラグメント、これらのいずれかを含む結合体、および/または代替足場を試料と接触させること、ならびに試料中および/または個体中におけるLY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRタンパク質への結合を検出することを含むアッセイを提供する。 実施形態の少なくともいくつかによれば、試料中の配列番号1〜8、11〜18、47〜50、58、および143のいずれかで示されるポリペプチドのいずれか1つ、または該ポリペプチドと少なくとも95%の同一性を有するその変異体を検出するためのアッセイが提供される。 実施形態の少なくともいくつかによれば、対象の疾患を診断する方法であって、対象または対象から得られた試料において、配列番号1〜8、11〜18、47〜50、58、および143のいずれかに示されるポリペプチドのいずれか1つ、または該ポリペプチドと少なくとも95%の同一性を有するその変異体、またはこれらのフラグメントを検出することを含む方法が提供される。 上記のポリペプチドの検出はインビボまたはインビトロで行ってもよい。 上記の検出はイムノアッセイによって行ってもよい。 上記の検出は本明細書に記載の抗体またはフラグメントを使用して行ってもよい。 実施形態の少なくともいくつかによれば、本発明は、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRの発現を検出することを含む、がん、本明細書に記載の感染性障害および/または免疫関連障害から選択される疾患の検出方法、該疾患の診断方法、該疾患の進行、治療の効果、または該疾患の再発をモニタリングする方法、該疾患の治療法を選択する方法、該疾患による影響を受けた細胞を検出する方法を提供する。 一実施形態によれば、ポリペプチドの存在を検出することによって、疾患の存在、その重症度および/または進行を示すことができる。別の実施形態によれば、健常者から得られた試料中または健常者における発現量および/またはポリペプチドレベルと比較したときの、発現量および/またはポリペプチドレベルの変化は、疾患の存在、その重症度および/または進行を示す指標となる。さらなる実施形態によれば、疾患の初期段階における対象から得られた試料中または対象における発現量および/またはポリペプチドレベルと比較したときの、発現量および/またはポリペプチドレベルの変化は疾患の進行を示す指標となる。さらなる実施形態によれば、ポリペプチドの存在ならびに/またはポリペプチドの発現量および/もしくはレベルの相対的変化の検出は、治療の選択および/または疾患の治療のモニタリングに有用である。LY6G6Fタンパク質(図1A(配列番号1))、VSIG10タンパク質(図1B(配列番号3)および図1C(配列番号5))、TMEM25タンパク質(図1D(配列番号7))、LSRタンパク質(図1E(配列番号11)、図1F(配列番号13)、図1G(配列番号15)、図1H(配列番号16)、図1I(配列番号17)、および図1J(配列番号18))、これらのフラグメントおよびECD、ならびにこれらをコードする核酸配列を示す。シグナルペプチド(SP)に相当するアミノ酸残基を太字のイタリック体で示す。IgVドメインおよび/またはIgCドメインを囲み枠内に示す。膜貫通ドメイン(TM)に相当するアミノ酸残基を下線を引いた太字で示す。アイソフォームのいくつかにおいて選択的にスキップされたエクソンに相当するアミノ酸残基(図1Bおよび図1E)を下線を引いたイタリック体で示す。選択的エクソンスキッピングVSIG10変異体(エクソン3をスキップさせることにより作製)および選択的エクソンスキッピングLSR変異体(エクソン3、4および5をスキップさせることにより作製したアイソフォームe)に相当する核酸配列を、図1Cおよび1Iに太字で示す。膜貫通ドメイン(TM)に相当する核酸配列を図1Cにおいて下線を引いた太字で示す。シグナルペプチド(SP)に相当する核酸配列を、図1C、1E、1G、1H、1Iおよび1Jにおいて太字のイタリック体で示す。TGA終止コドンを図1Cおよび1Iにおいて強調して示す。以下のアミノ酸配列比較を示す。VSIG10変異体(配列番号5)と公知のVSIG10タンパク質(配列番号3、genbank受託番号:NP_061959.2)の比較(図2A);LSRアイソフォームa(配列番号11)と公知のLSRタンパク質(配列番号62、genbank受託番号:NP_991403)の比較(図2B−1);LSRアイソフォームa(配列番号11)と公知のLSRタンパク質(配列番号68、genbank受託番号:XP_002829104)の比較(図2B−2);LSRアイソフォームb(配列番号13)と公知のLSRタンパク質(配列番号63、genbank受託番号:NP_057009)の比較(図2C−1);LSRアイソフォームb(配列番号13)と公知のLSRタンパク質(配列番号65、genbank受託番号:BAC11614)の比較(図2C−2);LSRアイソフォームc(配列番号15)と公知のLSRタンパク質(配列番号66、genbank受託番号:NP_991404)の比較(図2D−1);LSRアイソフォームc(配列番号15)と公知のLSRタンパク質(配列番号69、genbank受託番号:XP_002829105.1)の比較(図2D−2);LSRアイソフォームd(配列番号16)と公知のLSRタンパク質(配列番号66、genbank受託番号:NP_991404)の比較(図2E−1);LSRアイソフォームd(配列番号16)と公知のLSRタンパク質(配列番号69、genbank受託番号:XP_002829105.1)の比較(図2E−2);LSRアイソフォームe(配列番号17)と公知のLSRタンパク質(配列番号67、genbank受託番号:BAG59226.1)の比較(図2F);LSRアイソフォームf(配列番号18)と公知のLSRタンパク質(配列番号62、genbank受託番号:NP_991403)の比較(図2G−1);LSRアイソフォームf(配列番号18)と公知のLSRタンパク質(配列番号66、genbank受託番号:NP_991404)の比較(図2G−2)。VSIG10変異体(配列番号5)に特有のエッジ部(特有の接合部)の配列およびLSR変異体(配列番号18)を下線を引いた太字で示す(図2Aおよび図2G)。MED探索エンジンを使用したすべての組織および病態のバーチャルパネルにおける、VSIG10タンパク質をコードするVSIG10転写産物の発現を示す散布図であり、免疫系細胞(主として白血球)ならびに様々ながん病態(ALLからのCD10+白血球およびAMLからのBM−CD34+細胞など)からなるいくつかのグループにおけるVSIG10転写産物の差次的発現を示している。MED探索エンジンを使用したすべての組織および病態のバーチャルパネルにおける、LSRタンパク質をコードするLSR転写産物の発現を示す散布図である。免疫系細胞(主として骨髄細胞)ならびに様々な組織のがん病態(乳がん、肺がん、卵巣がん、膵臓がん、前立腺がんおよび皮膚がんなど)からなるいくつかのグループにおけるLSR転写産物の差次的発現を示している。ヒトLY6G6F(配列番号1)とマウスLY6G6F(ref|NP_001156664.1、配列番号29)のアミノ酸配列比較を示す。ヒトVSIG10(配列番号3)とマウスVSIG10(sp|D3YX43.2、配列番号30)のアミノ酸配列比較を示す。ヒトLSR(配列番号11)とマウスLSR(ref|NP_059101.1、配列番号31)またはマウスLSR(ref|NP_001157656.1、配列番号32)のアミノ酸配列比較を示す。ヒトTMEM25(配列番号7)とマウスTMEM25(ref: lcl|4109、配列番号28)のアミノ酸配列比較を示す。EGFPに融合させたLY6G6F転写産物のクローニングに使用したプライマーの要約を記載した表である。表11において、太字は遺伝子特異的配列を示し、イタリック体はクローニングに使用した制限部位を示し、下線部はコザック配列を示す。EGFPに融合させた完全長LY6G6FのDNA配列を示す。LY6G6Fの完全長配列に相応する遺伝子特異的配列を太字で示し、EGFP配列を太字にしていない下線を引いたイタリック体で示す。結果として得られた、EGFPに融合させた完全長LY6G6Fのアミノ酸配列を示す。LY6G6Fの完全長配列に相応する遺伝子特異的配列を太字で示し、EGFP配列を太字にしていない下線を引いたイタリック体で示す。HEK293T細胞において一時的に発現されたG6F_EGFP融合タンパク質の細胞局在を示す。画像は共焦点顕微鏡(40倍)を使用して得た。マウスIgG2a Fcに融合させたマウスECDを示す。図10A〜Dは、マウスLY6G6F ECD−mIgG2aFc融合タンパク質(本明細書においてLY6G6F−Igとも呼ぶ(図10A))、マウスVSIG10 ECD−mIgG2aFc融合タンパク質(図10B)、マウスTMEM25 ECD−mIgG2aFc融合タンパク質(本明細書においてTMEM25−Igとも呼ぶ(図10C))マウスLSR ECD−mIgG2aFc融合タンパク質(本明細書においてLSR−Igとも呼ぶ(図10D))(配列番号23、24、25、または26)を示す。シグナルペプチド(SP)に相当するアミノ酸残基をイタリック体で示す。ECD配列に相当するアミノ酸残基を下線で示す。マウスIgG2aFcに相当するアミノ酸残基を太字で示す(配列番号27)。220位(完全長ヒトIgG1に従った番号付け、配列番号70の5位)のCysがSerで置換されたヒトIgG1 Fc(配列番号156)に融合させたヒトECDのアミノ酸配列を示す。それぞれの図は、ヒトLY6G6F(図11A)、ヒトVSIG10(図11B)、エクソン3スキッピングヒトVSIG10変異体(図11C)、ヒトTMEM25(図11D)、ヒトLSRアイソフォームa(図11E)、ヒトLSRアイソフォームb(図11F)、ヒトLSRアイソフォームc(図11G)、ヒトLSRアイソフォームd(図11H)、ヒトLSRアイソフォームe(図11I)、ヒトLSRアイソフォームf(ヒトIgG1 Fcに融合させたECD)(図11J)(配列番号71〜80)を示す。シグナルペプチド(SP)に相当するアミノ酸残基は太字のイタリック体で示した。ヒトECD配列に相当するアミノ酸残基には下線が引いてある。220位のCysがSerで置換されたヒトIgG1 Fc(配列番号156)に相当するアミノ酸残基には印を付けていない。LSR_seg24−36_200−309/310_アンプリコン(配列番号140)に従って、またはこれを使用して検出可能なLSR転写産物の卵巣がん試料における過剰発現量を正常試料に対して相対的に示したヒストグラムである。LSR_seg24−36_200−309/310_アンプリコン(配列番号140)に従って、またはこれを使用して検出可能なLSR転写産物の乳がん試料における過剰発現量を正常試料に対して相対的に示したヒストグラムである。LSR_seg24−36_200−309/310_アンプリコン(配列番号140)に従って、またはこれを使用して検出可能なLSR転写産物の肺がん試料における過剰発現量を正常試料に対して相対的に示したヒストグラムである。LSR_seg24−36_200−309/310_アンプリコン(配列番号140)に従って、またはこれを使用して検出可能なLSR転写産物の正常組織試料における過剰発現量を卵巣試料に対して相対的に示したヒストグラムである。LSR_seg24−36_200−309/310_アンプリコン(配列番号140)に従って、またはこれを使用して検出可能なLSR転写産物の腎臓がん試料における過剰発現量を正常試料に対して相対的に示したヒストグラムである。LSR_seg24−36_200−309/310_アンプリコン(配列番号140)に従って、またはこれを使用して検出可能なLSR転写産物の肝臓がん試料における過剰発現量を正常試料に対して相対的に示したヒストグラムである。抗Flag抗体(シグマ、カタログ番号:A8592)(図18A)および抗LSR抗体(Abnova、カタログ番号:H00051599−B01P(図18B);アブカム、カタログ番号:ab59646(図18C);およびシグマ、カタログ番号:HPA007270(図18D))を使用して検出された、安定にトランスフェクトされた組換えHEK293T細胞におけるLSR_P5a_Flag_mタンパク質(配列番号144)の発現のウェスタンブロット解析を示す。 レーン1:HEK293T_pIRESpuro3; レーン2:HEK293T_pIRESpuro3_LSR_P5a_FlagLSR_P5a_Flag_mの細胞内局在を示す。抗Flag(シグマ、カタログ番号:A9594)(図19A)および抗LSR抗体(アブカム、カタログ番号:ab59646(図19B)、Abnova、カタログ番号:H00051599−B01P(図19C)およびシグマ、カタログ番号HPA007270(図19D))で検出されたように、LSR_P5a_Flag_m(配列番号144)は主として細胞質に局在しているが、細胞表面上にも検出することができる。様々な細胞株におけるLSRの内因性発現を示す。LSRに相当する72kDaのバンドは、抗LSR抗体によって、(1)Caov3、(2)ES2、(3)OV−90、(4)OVCAR3、(5)SK−OV3、(6)TOV112D、(7)CaCo2、(8)HeLa、(9)Hep G2、(10)MCF−7、(11)SkBR3および(12)293T_LSR_P5a_Flagの抽出液中に検出された(図20A)。抗GAPDH(アブカム、カタログ番号:ab9484)はローディングコントロールとして使用した(図20B)。seg21−27−TMEM25_seg_21−27_200−344/346_アンプリコン(配列番号123)に従って、またはこれを使用して検出可能なTMEM25転写産物の正常組織および乳がん組織における発現量を示したヒストグラムである。seg21−27−TMEM25_seg_21−27_200−344/346_アンプリコン(配列番号123)に従って、またはこれを使用して検出可能なTMEM25転写産物の種々の正常組織における発現量を示したヒストグラムである。(A)ウサギ抗TMEM25抗体とTMEM25_P5タンパク質(配列番号7)との間、およびウサギ抗TMEM25抗体とTMEM25_P5_Flag(配列番号129)との間に特異的相互作用が存在するが、ウサギ抗TMEM25抗体とHEK_293T_pRp3には特異的相互作用が存在しないこと、ならびに(B)TMEM25_P5_Flagタンパク質(配列番号129)と抗Flag抗体との間に特異的相互作用が存在することを示すウェスタンブロットの結果である。 レーン1:HEK293T_pIRESpuro3;レーン2:HEK293T_pIRESpuro3_TMEM25−P5;レーン3:HEK293T_pIRESpuro3_TMEM25−P5−Flag抗TMEM25抗体を使用することにより示された、TMEM25_P5(配列番号132)(図24A)およびTMEM25_P5_Flag(配列番号129)(図24B)の細胞表面局在を示す。図24Cは、抗flag抗体(シグマ、カタログ番号:A9594)を使用することにより示された、TMEM25_P5_Flag(配列番号129)の局在を示す。ネガティブコントロールとして使用されたマウス血清(1:2250)(図25B)と比較して、抗TMEM25抗体(1:2250)(図25A)が、TMEM25_P5_Flagタンパク質を発現している組換えHEK293T細胞中の完全長TMEM25タンパク質により多く結合していることを示しており、これによって、TMEM25タンパク質が細胞膜に局在していることが分かる。様々な細胞株((1)HEK293T_pIRESpuro3、(2)HEK293T_pIRESpuro3_TMEM25−P5−Flag、(3)KARPAS、(4)G−361、(5)RPMI8226、(6)DAUDI、および(7)Jurkat)における内因性TMEM25タンパク質の発現を示すウェスタンブロットの結果を示す。スクランブルsiRNA(Dharmacon、D−001810−10−05)をトランスフェクトさせた、TMEM25_P5_FLAGを安定して発現するHEK293T細胞(レーン1)との比較を抗TMEM25抗体(シグマ、カタログ番号:HPA012163)を使用して行ったところ、TMEM25_P5 siRNA(L−018183−00−0005、Dharmacon)をトランスフェクトさせた、TMEM25_P5_Flag(配列番号129)を安定して発現するHEK293T細胞(レーン2)においてTMEM25_P5_Flagタンパク質(配列番号129)の特異的ノックダウンが見られたことを示す。pH9のネガティブコントロール細胞株(空ベクターをトランスフェクトしたHEK293T細胞(第2列、パネルB、DおよびF))との比較を抗原賦活法により行うと、ポジティブコントロール細胞株(LSR_P5a_Flag_mをトランスフェクトしたHEK293T細胞(第1列、パネルA、CおよびE))の切片中の抗LSR(カタログ番号:ab59646、アブカム)は、3μg/ml、1μg/mlおよび0.3μg/mlのそれぞれの抗体濃度において特異的免疫反応性を示す。pH9のネガティブコントロール細胞株(空ベクターをトランスフェクトしたHEK293T細胞(第2列、パネルB、DおよびF))との比較を抗原賦活法により行うと、ポジティブコントロール細胞株(TMEM25_P5_FlagをトランスフェクトしたHEK293T細胞(第1列、パネルA、CおよびE))の切片中の抗TMEM25(カタログ番号:HPA012163、シグマ)は、3μg/ml、1μg/mlおよび0.3μg/mlのそれぞれの抗体濃度において特異的免疫反応性を示す。活性化させたマウスT細胞に対する、可溶性LY6G6F−Ig(配列番号23)、TMEM25−Ig(配列番号25)およびLSR−Ig(配列番号26)のインビトロにおける抑制効果を示す。DO11.10マウスの脾臓から単離したT細胞の活性化は、放射線を照射したBalb/cマウス由来脾細胞をAPCとして使用し、この細胞の存在下において、20μg/ml(図30 A〜C、E)または2μg/ml(図DおよびF)のOVA323−339を使用することにより誘導した。これらの実験においては、CTLA4−IgまたはB7−H4−Igをポジティブコントロールとして使用し、マウスIgG2aをIgコントロールとして使用した。抗CD3および抗CD28でコーティングしたビーズで誘導させたT細胞増殖に対する、ビーズ結合LSR−Ig(配列番号26)のインビトロにおける抑制効果を示す。IFNγの分泌低下(A)および活性化マーカーであるCD69の発現減少(B)によって示された、CD4T細胞の活性化に対するLY6G6F、VSIG10、TMEM25およびLSR融合タンパク質(配列番号23〜26)の効果を示す。それぞれの棒は培養をduplicateで行った平均値であり、エラーバーは標準偏差を示す(Student’s t検定、*p<0.05、**p<0.01、コントロールmIgG2aとの比較)。ヒトLY6G6F、TMEM25またはLSR(配列番号1、7または11)をコードするcDNAを発現する刺激細胞(膜結合型抗ヒトCD3抗体フラグメントを発現するよう改変されたマウス胸腺腫細胞株Bw5147)によって示された、バルクヒトT細胞(図33A)、CD4+ヒトT細胞(図33B)、CD8+ヒトT細胞(図33C)またはナイーブCD4CD45RA+ヒトT細胞(図33D)の増殖(CPM)に対する効果を示す。結果は、6つの実験(図337A)または3つの実験(図33B、CおよびD)の平均値±SEMで示す。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001および#p<0.0001(Student’s T検定)は、空ベクターと比較して有意差があったことを示す。SJLマウスにPLP139−151を投与することにより誘導されたR−EAEモデルにおける、LSR−Ig(配列番号26)またはTMEM25−Ig(配列番号25)による治療の治療効果を示す。LSR−Ig(配列番号26)またはTMEM25−Ig(配列番号25)は、疾患の寛解が見られたとき(18日目)から100μg/マウスを週3回、2週にわたって腹腔内投与する治療方法によって投与した。臨床症状に対するLSR−IgおよびTMEM25−Igの治療効果は、平均臨床スコアが低下したことによって実証されている(図34A)。さらに、R−EAEを誘導してから35日目にLSR−IgまたはTMEM25−Igにより治療を行ったところ、誘導エピトープ(PLP139−151)または応答が拡大されたエピトープ(PLP178−191)に対するDTH応答が抑制された(図34B)。この調査では、LSR−IgまたはTMEM25−Igの効果は、試験タンパク質と同様の投薬計画により投与されたmIgG2a IgネガティブコントロールおよびCTLA4−Igポジティブコントロールとの比較を行うことによって調査した。SJLマウスのR−EAEモデルにおけるTMEM25−Ig(配列番号25)の用量依存的効果およびその作用機序を示す。この調査では、疾患の寛解が見られたとき(19日目)から100μg/マウス、30μg/マウス、または10μg/マウスを週3回、2週間にわたって腹腔内投与することにより治療を行い、同様のスケジュールにおいて投与した100μg/マウスのIgG2aコントロールと比較した。それぞれの図には、疾患の経過に対するTMEM25−Igの治療効果(図35A);R−EAEの誘導後45日目および76日目における、応答が拡大されたエピトープであるPLP178−191およびMBP84−104に対するDTH応答(図35B);疾患の誘導後45日目および75日目に単離された脾細胞のエクスビボにおけるリコール応答(図35C);ならびに疾患の誘導後45日目に単離されたLN細胞において示された、細胞増殖およびサイトカイン分泌(IFN−γ、IL−17、IL−10およびIL−4)に対するTMEM25−Igの治療効果(図35D)が示されている。図35Eには、100μg/投与のTMEM25−Igで治療した後の、脾臓、リンパ節、およびCNSにおける細胞数、ならびにCNS中に存在する様々な細胞系の細胞数に対するTMEM25−Igの効果を示す。SJLマウスにPLP139−151を投与することにより誘導されたR−EAEモデルにおける、VSIG10−Ig(配列番号24)による治療の治療効果を示す。VSIG10−Ig(配列番号24)は、疾患の寛解が見られたとき(19日目)から100μg/マウスを週3回、2週にわたって腹腔内投与する治療方法によって投与した。臨床症状に対するVSIG10−Igの治療効果は、平均臨床スコアが低下したことによって実証されている(図36A)。さらに、VSIG10−Igを用いた治療によって、R−EAEの誘導後45日目および76日目における、応答が拡大されたエピトープ(PLP178−191およびMBP MBP84−104)に対するDTH応答(図36B)が抑制された。さらに、VSIG10−Igの効果は、疾患の誘導後45日目および75日目に単離された脾細胞のエクスビボにおけるリコール応答(図36C);ならびに疾患の誘導後45日目に単離されたLN細胞において示された、細胞増殖およびサイトカイン分泌(IFN−γ、IL−17、IL−10およびIL−4)に対するVSIG10−Igの治療効果(図36D)において示された。図36Eには、100μg/投与のVSIG10−Igで治療した後の、脾臓、リンパ節、およびCNSにおける細胞数、ならびにこれらの組織それぞれに存在する様々な細胞系の細胞数に対するVSIG10−Igの効果を示す。この調査では、VSIG10−Igの効果は、VSIG10−Igと同様の用量および投薬計画で投与されたmIgG2a Igコントロールとの比較を行うことによって調査した。関節リウマチのコラーゲン誘導関節炎(CIA)モデルにおいて、10日間にわたって週3回、マウス1匹あたり100μgを腹腔内投与したLSR−Ig(配列番号26)の治療効果を示す。臨床スコア(A)、肢部の腫脹(B)、および組織学的障害(C)が測定される。CTLA4−Ig(100μg/マウス)およびTNFR−Ig(エタネルセプト)をポジティブコントロールとして使用し、mIgG2a Igコントロール(100μg/マウス)をネガティブコントロールとして使用した。関節リウマチのコラーゲン誘導関節炎(CIA)モデルにおいて、2週間にわたって週3回、25mg/kgを腹腔内投与したLY6G6F−Ig(配列番号23)の治療効果を、臨床スコアに基づいた測定とともに示す。 図12〜17、21および22については、すべて結果を示すことができるように、スペースの都合のみでそれぞれの図を「A」、「B」などに分割している。 本発明は、実施形態の少なくともいくつかにおいて、LY6G6Fと称されるタンパク質、VSIG10と称されるタンパク質、TMEM25と称されるタンパク質、および/もしくはLSRと称されるタンパク質、ならびに、それぞれに対応する核酸配列、該タンパク質の一部分、該タンパク質の変異体、該タンパク質を含む融合タンパク質、および該タンパク質を含む結合体;ならびに/または、これらを含むポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、抗原結合フラグメント、および/もしくは結合体;ならびに/または、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/もしくはLSR、ならびにこれらの一部分および/もしくは変異体に結合する代替足場;ならびに、治療薬および/または診断用薬としてのこれらの使用、および本明細書に記載の様々な使用のいずれかに関する。 ジェネンテック社に譲渡された米国特許出願第2009117566号、第20090017473号およびこのファミリーに属する他の特許文献には、234位〜254位および354位〜374位の残基位置に膜貫通ドメインを有する、382アミノ酸残基のLY6G6Fタンパク質配列(DNA234441、tumor−associated antigenic target(TAT) TAT201、本明細書中の配列番号92)が開示されている。米国特許出願第2009117566号、第20090017473号、この特許ファミリーの他の出願には、結腸がんおよび直腸がんにおいてTAT201が過剰発現されていることが開示されている。PCT出願国際公開第2003083074号および国際公開第2004046342号には、結腸がん細胞において過剰発現されている数多くの遺伝子の1つとして、382アミノ酸残基のLY6G6Fタンパク質配列が開示されている。これらの特許出願はさらに、結腸がんを検出し治療するためのLY6G6Fの使用方法に関するとされている。しかしながら、これらの特許出願は、当業者が、結腸直腸がん以外のがん、感染性障害および/または免疫関連障害の治療および/または診断に、LY6G6Fに特異的な抗体および/またはLY6G6F ECDを使用しようとする動機付けを教示、示唆、または提供するものではない。これらの特許出願にはLY6G6F ECDは記載されておらず、また、これらの特許出願は、当業者が、がん、感染性障害および/または免疫関連障害の治療にLY6G6F ECDを使用しようとするいかなる動機付けを教示、示唆、または提供するものでもない。 TMEM25は、異常な発現または活性を呈することによってこれに関連する障害を引き起こし、自体がこれらの障害の診断、予防、および治療するのに有用である数多くの(何百、何千という)タンパク質の1つとして、PCT出願国際公開第9958642号、PCT出願国際公開第2003087300号、米国特許出願第2007041963号、および米国特許出願第2005202526号に開示されている。しかしながら、これらの出願は、当業者が、がん、感染性障害および/または免疫関連障害の治療および/または診断に、TMEM25に特異的な抗体および/またはTMEM25 ECDを使用しようとする動機づけを教示、示唆、または提供するものではない。TMEM25は、米国特許出願第2004010134号において、疾患または障害(たとえば、がん、貧血、関節炎、喘息、炎症性腸疾患、アルツハイマー病など)を診断、治療、予防、または改善するのに有用な何百ものアルブミン融合タンパク質の1つとしても開示されている。しかしながら、これらの出願は、当業者が、がん、感染性障害および/または免疫関連障害の治療および/または診断に、TMEM25に特異的な抗体および/またはTMEM25 ECDを使用しようとする動機づけを教示、示唆、または提供するものではない。また、TMEM25は、乳がんの診断用として好ましい予後・予測バイオマーカーとして、Doolan P, et al., Tumour Biol. 2009, 30(4):200-9に記載されている。しかしながら、これらの文献は、当業者が、がん、感染性障害および/または免疫関連障害の治療に、TMEM25に特異的な抗体および/またはTMEM25 ECDを使用しようとする動機づけを教示、示唆、または提供するものではない。 様々な実施形態において述べられる本発明をより容易に理解することができるように、まず特定の用語を定義する。さらなる定義は、発明の詳細な説明の全体にわたって記載する。 本明細書において、「単離された」は、目的化合物が存在する自然界の環境とは異なる環境から得られる目的化合物(たとえばポリヌクレオチドまたはポリペプチド)を指し、たとえば、ペプチドを自然界に存在しない濃度に濃縮することなどによって自然環境から分離された目的化合物が挙げられる。「単離された」は、目的化合物を得るために実質的に濃縮された試料内に含まれる化合物、および/または目的化合物が部分的もしくは実質的に精製された試料内に含まれる化合物を含む。 「免疫細胞」は、造血器由来の任意の細胞を指し、T細胞、B細胞、単球、樹状細胞、およびマクロファージが挙げられるが、これらに限定されない。 本明細書において、「ポリペプチド」は、修飾(たとえばリン酸化またはグリコシル化)の有無にかかわらず、任意の長さを有するアミノ酸鎖を指す。 本明細書において、「共刺激ポリペプチド」または「共刺激分子」とは、T細胞上の細胞表面分子との相互作用により、T細胞応答を調節するポリペプチドである。 本明細書において、「共刺激シグナル伝達」とは、抗原特異的T細胞応答において、抗原提示細胞上の共刺激ポリペプチドとT細胞上のレセプターとの相互作用の結果として生じるシグナル伝達活性である。単一の仮説に限定されることを望むものではないが、抗原特異的T細胞応答は、1)MHCに関連した抗原ペプチドとT細胞レセプター(TCR)との結合(シグナル1)と、2)種々の共刺激レセプター/リガンド対における接触によって伝達される抗原非依存性の第2シグナル(シグナル2)との2種のシグナルによって媒介されると考えられている。単一の仮説に限定されることを望むものではないが、この「第2のシグナル」は、T細胞応答のタイプ(活性化または抑制)ならびにこの応答の強度および持続期間を決定するのに重要であり、B7ファミリータンパク質などの共刺激分子からの正シグナルと負シグナルの両方の調節を受ける。 本明細書において、「B7」ポリペプチドは、T細胞を共刺激するB7ファミリータンパク質のメンバーを意味し、このメンバーとして、B7−1、B7−2、B7−DC、B7−H5、B7−H1、B7−H2、B7−H3、B7−H4、B7−H6、B7−S3、ならびにこれらの生物学的に活性なフラグメントおよび/または変異体が挙げられるが、これらに限定されない。代表的な生物学的に活性なフラグメントとして、T細胞を共刺激する細胞外ドメインまたは細胞外ドメインのフラグメントが挙げられる。 本明細書において、「変異体」ポリペプチドは、野生型ポリペプチドの対応するアミノ酸配列と比較して、少なくとも1つのアミノ酸配列改変を含む。 本明細書において、「保存的」アミノ酸置換とは、置換されたアミノ酸が類似した構造特性または化学的特性を有する置換である。本明細書において、「宿主細胞」は、組換えベクターの導入が可能な原核細胞および真核細胞を指す。 本明細書において、「エッジ部(edge portion)」または「新たな接合部(new junction)」は、野性型または公知のタンパク質においては接合されていなかった、本発明のスプライス変異体内の2つの部分の連結を指す。エッジは、変異体の上記「公知のタンパク質」部分とテールとの接合により生じてもよく、かつ/または、たとえば、野性型配列の内部部分が既に存在しない場合、公知のタンパク質においては隣接していなかった2つの配列部分がスプライス変異体において隣接するように生じてもよい。「架橋」は上述したエッジ部であってもよいが、変異体のヘッドと「公知のタンパク質」部分との接合、変異体のテールと「公知のタンパク質」部分と接合、または変異体の「公知のタンパク質」部分とインサートとの接合をさらに包含しうる。 実施形態のいくつかでは、変異体の「公知のタンパク質」部分と、テール、ヘッド、または独特のインサートとの間の架橋は、少なくとも約10個のアミノ酸を含み、実施形態のいくつかにおいては少なくとも20個のアミノ酸を含み、実施形態のいくつかにおいては少なくとも30個のアミノ酸を含み、実施形態のいくつかにおいては少なくとも40個のアミノ酸を含み、これらのアミノ酸において、少なくとも1個のアミノ酸がテール/ヘッド/インサートに由来し、少なくとも1個のアミノ酸が変異体の「公知のタンパク質」部分に由来する。実施形態のいくつかにおいて、架橋は、約10〜約40の範囲の任意の数(たとえば、10、11、12、13〜37、38、39、40アミノ酸長またはその間の任意の数)のアミノ酸を含みうる。 配列の長さを超えるいずれの方向にも架橋を伸長できないことには注目すべきであり、架橋に関する各説明においては、配列自体の長さを超えて架橋を伸長できないと理解されることが想定される。 さらに、特定の状況下におけるスライディングウィンドウに関して架橋を以下に説明する。たとえば、特定の架橋は以下ような構成を特徴とする。(変異体内に公知のタンパク質部分が存在しない場合の)2つのエッジ間の架橋は、CONTIG−NAME_P1(タンパク質の名称)の架橋部であって、長さ「n」を有するポリペプチドを含み(nは、少なくとも約10アミノ酸長であり、または少なくとも約20アミノ酸長、少なくとも約30アミノ酸長、少なくとも約40アミノ酸長、もしくは少なくとも約50アミノ酸長であってもよい)、該ポリペプチドにおいて少なくとも2個のアミノ酸がXX(架橋の中心に位置し、それぞれがエッジの各末端に由来する2個のアミノ酸)を含み、該架橋部の構造が、(たとえば)49−x〜49の範囲の任意のアミノ酸番号から始まり任意のアミノ酸番号(たとえば)50+((n−2)−x)(式中、xは0〜n−2で変動する)で終わる配列(番号付けはCONTIG−NAME_P1の配列に準ずる)で表されることを特徴とする架橋部であると説明することができる。この例においても、nが10〜50アミノ酸長である架橋が包含されると理解されるべきである。さらに、架橋ポリペプチドは配列の長さを超えて伸長することはできず、したがって、(一例としての)49−xは1以上であり、(一例としての)50+((n−2)−x)は配列の全長よりも短いと理解されるべきである。 本明細書において、「がん」は、制御されていない異常細胞分裂によって悪性増殖または腫瘍が引き起こされることを特徴とする任意の(浸潤性または転移性)新生物疾患を包含すると理解されるべきである。本発明の実施形態の少なくともいくつかによる化合物で治療してもよいがんとしては、充実性腫瘍、肉腫および悪性血液疾患が挙げられるがこれらに限定されず、このような充実性腫瘍、肉腫および悪性血液疾患としては、乳がん(たとえば乳癌)、子宮頸がん、卵巣がん(卵巣癌)、子宮内膜がん、メラノーマ、膀胱がん(膀胱癌)、肺がん(たとえば腺癌および非小細胞肺がん)、膵臓がん(たとえば膵外分泌腺癌などの膵癌)、結腸がん(たとえば結腸腺癌および結腸腺腫などの結腸直腸癌)、進行疾患を含む前立腺がん、リンパ系造血器腫瘍(たとえば白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、多発性骨髄腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫)、骨髄性白血病(たとえば急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病)、甲状腺がん、濾胞性甲状腺がん、骨髄異形成症候群(MDS)、間葉組織由来腫瘍(たとえば線維肉腫および横紋筋肉腫)、メラノーマ、ぶどう膜メラノーマ、奇形癌、神経芽腫、神経膠腫、神経膠芽腫、皮膚の良性腫瘍(たとえば角化棘細胞腫)、腎臓がん、未分化大細胞リンパ腫、食道扁平上皮細胞癌、肝細胞癌、濾胞性樹状細胞癌、腸がん、筋層浸潤がん、精巣腫瘍、表皮癌、脾臓がん、膀胱がん、頭頸部がん、胃がん、肝臓がん、骨がん、脳がん、網膜がん、胆道がん、小腸がん、唾液腺がん、子宮がん、精巣がん、結合組織がん、前立腺肥大症、脊髄形成異常、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、鼻咽腔がん、神経内分泌がん、骨髄異形成症候群、中皮腫、血管肉腫、カポジ肉腫、カルチノイド、食道胃がん、ファローピウス管がん、腹膜がん、漿液性乳頭状ミュラー管がん、悪性腹水、消化管間質腫瘍(GIST)、ならびにリー・フラウメニ症候群およびフォンヒッペル・リンダウ症候群(VHL)などの遺伝性癌症候群が挙げられるが、これらに限定されず、このような充実性腫瘍、肉腫および悪性血液疾患は、非転移性、浸潤性、または転移性であってもよい。 本発明の好ましい実施形態の少なくともいくつかによれば、上記がんは、メラノーマ、肝臓がん、腎臓がん、脳がん、乳がん、結腸がん、肺がん、卵巣がん、膵臓がん、前立腺がん、胃がん、多発性骨髄腫、ならびに造血器がん((ホジキンおよび非ホジキン)リンパ腫、急性および慢性リンパ芽球性白血病、ならびに急性および慢性骨髄白血病を含むが、これらに限定されない)からなる群から選択される、非転移性、浸潤性、または転移性のがんであってもよい。 本明細書において「自己免疫疾患」は、あらゆる自己免疫疾患および慢性炎症病態を包含すると理解されるべきである。本発明の実施形態の少なくともいくつかによれば、自己免疫疾患は、再発寛解型多発性硬化症、一次進行型多発性硬化症および二次進行型多発性硬化症を含む多発性硬化症;乾癬;関節リウマチ;乾癬性関節炎、全身性エリテマトーデス(SLE);潰瘍性大腸炎;クローン病;良性リンパ球性血管炎、血小板減少性紫斑病、突発性血小板減少症、特発性自己免疫性溶血性貧血、赤芽球ろう、シェーグレン症候群、リウマチ性疾患、結合組織疾患、炎症性リウマチ、変形性リウマチ、非関節性リウマチ、若年性関節リウマチ、尿酸塩関節炎、筋肉リウマチ、慢性多発性関節炎、クリオグロブリン血管炎、ANCA関連血管炎、抗リン脂質症候群、重症筋無力症、自己免疫性溶血性貧血、ギラン・バレー症候群、慢性免疫性多発ニューロパチー、自己免疫性甲状腺炎、インスリン依存性糖尿病、1型糖尿病、アジソン病、膜性糸球体腎症、グッドパスチャー病、自己免疫性胃炎、自己免疫性萎縮性胃炎、悪性貧血、天疱瘡、尋常性天疱瘡、肝硬変、原発性胆汁性肝硬変、皮膚筋炎、多発性筋炎、線維筋炎、筋硬症、セリアック病、免疫グロブリンA腎症、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、エバンス症候群、アトピー性皮膚炎、乾癬、関節症性乾癬、グレーブス病、グレーブス眼症、強皮症、全身性強皮症、進行性全身性強皮症、喘息、アレルギー、原発性胆汁性肝硬変、橋本甲状腺炎、原発性粘液水腫、交感性眼炎、自己免疫性ぶどう膜炎、肝炎、慢性活動性肝炎、膠原病、強直性脊椎炎、肩関節周囲炎、結節性汎動脈炎、軟骨石灰化症、ヴェーゲナー肉芽腫症、顕微鏡的多発血管炎、慢性じんま疹、水疱性皮膚疾患、類天疱瘡、アトピー性湿疹、デビック病、小児自己免疫性溶血性貧血、難治性または慢性自己免疫性血球減少症、後天性血友病Aにおける抗第VIII因子自己抗体の産生の予防、寒冷凝集素病、視神経脊髄炎、全身硬直症候群、歯肉炎、歯周炎、膵炎、心筋炎、血管炎、胃炎、痛風、痛風性関節炎;乾癬、アトピー性皮膚炎、湿疹、酒さ、蕁麻疹、およびざ瘡からなる群から選択される炎症性皮膚疾患;正補体血症性蕁麻疹様血管炎、心膜炎、筋炎、抗合成酵素症候群、強膜炎、マクロファージ活性化症候群、ベーチェット症候群、PAPA症候群、Blau症候群、痛風、成人および若年性スティル病、クリオピリン関連周期性症候群、マックル−ウェルズ症候群、家族性寒冷自己炎症性症候群、新生児期発症多臓器性炎症性疾患、家族性地中海熱、慢性乳児期発症神経皮膚関節症候群、全身型若年性特発性関節炎、高IgD症候群、シュニッツラー症候群、自己免疫性網膜症、加齢黄斑変性症、アテローム性動脈硬化症、慢性前立腺炎、ならびにTNF受容体関連周期性症候群(TRAPS)を含む(ただしこれらに限定されない)群から選択される任意の疾患、障害または病態をも包含すると理解されるべきである。 自己免疫疾患は、任意の型および亜型の、多発性硬化症、関節リウマチ、1型糖尿病、乾癬、全身性エリテマトーデス、炎症性腸疾患、ぶどう膜炎またはシェーグレン症候群を含んでもよく、これらを含むことが好ましい。 本明細書において「多発性硬化症」は、多発性硬化症、良性多発性硬化症、再発寛解型多発性硬化症、二次進行型多発性硬化症、一次進行型多発性硬化症、進行再発型多発性硬化症、慢性進行型多発性硬化症、移行型/進行型多発性硬化症、急速悪化型多発性硬化症、臨床的に確実な多発性硬化症、マールブルクの変異体としても知られている悪性多発性硬化症、および急性多発性硬化症の1以上を包む。「多発性硬化症に関連する病態」は、たとえば、視神経脊髄炎としても知られているデビック病;急性散在性脳脊髄膜炎、急性脱髄性視神経炎、脱髄性横断性脊髄炎、ミラー・フィッシャー症候群、脳脊髄神経根障害、急性脱髄性多発ニューロパチー、腫脹性多発性硬化症、およびバロー同心円硬化症を包含してもよい。 本明細書において「関節リウマチ」は、関節リウマチ、痛風、偽痛風、若年性特発性関節炎、若年性関節リウマチ、スティル病、強直性脊椎炎、およびリウマチ性血管炎の1以上を含む。関節リウマチに関連する病態は、たとえば、変形性関節症、サルコイドーシス、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、乾癬性関節炎、反応性関節炎、脊椎関節症、敗血症性関節炎、ヘモクロマトーシス、肝炎、血管炎、ヴェーゲナー肉芽腫症、ライム病、家族性地中海熱、回帰熱を伴う高免疫グロブリン血症D、TNF受容体関連周期性症候群、および炎症性腸疾患に関連した腸炎性関節炎を包含してもよい。 本明細書において「ぶどう膜炎」は、ぶどう膜炎、前部ぶどう膜炎(または虹彩毛様体炎)、中間部ぶどう膜炎(扁平部炎)、後部ぶどう膜炎(または脈絡網膜炎)、および汎ぶどう膜炎の1以上を含む。 本明細書において「炎症性腸疾患」は、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎(UC)、コラーゲン蓄積大腸炎、リンパ球性大腸炎、虚血性大腸炎、空置大腸炎、ベーチェット病、分類不能大腸炎の1以上を含む。 本明細書において「乾癬」は、乾癬;尋常性乾癬および乾癬性紅皮症(紅皮性乾癬)を含む非膿疱性乾癬;ならびに汎発性膿疱性乾癬(von Zumbuschの膿疱性乾癬)、掌蹠膿疱症(持続性掌蹠膿疱症、バーバー型膿疱性乾癬、四肢の膿疱性乾癬)、環状膿疱性乾癬、稽留性肢端皮膚炎、疱疹状膿痂疹を含む膿疱性乾癬の1以上を含む。乾癬に関連する病態は、たとえば、薬物性乾癬、間擦疹型乾癬、おむつ部乾癬、脂漏様乾癬、滴状乾癬、爪乾癬、および乾癬性関節炎を包含してもよい。 本明細書において「1型糖尿病」は、1型糖尿病、インスリン依存性糖尿病、特発性糖尿病、若年性1型糖尿病、若年発症成人型糖尿病、成人潜在性自己免疫性糖尿病、および妊娠糖尿病の1以上を含む。1型糖尿病に関連する病態は、多発ニューロパチー、単ニューロパチー、末梢性ニューロパチーおよび自律神経ニューロパチーを含むニューロパチー;ならびに眼合併症(緑内障、白内障、網膜症)を包含する。 本明細書において「シェーグレン症候群」は、シェーグレン症候群、原発性シェーグレン症候群、および続発性シェーグレン症候群;ならびに、シェーグレン症候群に関連する病態(関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症などの結合組織疾患を含む)の1以上を含む。他の合併症は、肺炎、肺線維症、間質性腎炎、腎臓のフィルター周囲の組織の炎症、糸球体腎炎、尿細管性アシドーシス、手根管症候群、末梢性ニューロパチー、脳神経ニューロパチー、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、肝硬変、食道、胃、膵臓および肝臓の炎症(肝炎を含む)、多発性筋炎、レイノー現象、血管炎、自己免疫性甲状腺疾患、ならびにリンパ腫を包含する。 本明細書において「全身性エリテマトーデス」は、全身性エリテマトーデス、円板状ループス、ループス関節炎、ループス肺臓炎、およびループス腎炎の1以上を含む。全身性エリテマトーデスに関連する病態は、骨関節結核;抗リン脂質抗体症候群;心膜炎、心筋炎、心内膜炎などの心臓の様々な部位の炎症;肺炎および胸膜炎;胸膜炎;胸水;慢性びまん性間質性肺疾患;肺高血圧症;肺塞栓症;肺出血;縮小肺症候群;ループス頭痛;ギラン・バレー症候群;無菌性髄膜炎;脱髄症候群;単ニューロパチー;多発性単神経炎;重症筋無力症;ミエロパチー;脳神経ニューロパチー;多発ニューロパチー;ならびに血管炎を包含する。 本明細書において「免疫関連疾患(または免疫に関連する障害もしくは病態)」は、移植片移植に対する拒絶反応に関連した自己免疫疾患、炎症性障害および免疫障害(たとえば、臓器移植、同種異系幹細胞移植、自家幹細胞移植、および骨髄移植の急性および慢性拒絶反応、ならびに移植片対宿主病など)を含む(ただしこれらに限定されない)群から選択される任意の疾患、障害または病態をも包含すると理解されるべきである。 本明細書において、「炎症性障害」および/または「炎症」という用語は区別なく使用され、病原体、損傷細胞、刺激原などの有害な刺激に対する免疫応答の調節異常を特徴とする炎症性異常を包含する。炎症性障害は非常に様々なヒト疾患の原因となる。炎症過程を病因とする非免疫性疾患としては、がん、アテローム性動脈硬化症および虚血性心疾患が挙げられる。炎症に関連した障害としては、慢性前立腺炎、糸球体腎炎、過敏症、骨盤炎症性疾患、再灌流障害、サルコイドーシス、血管炎、間質性膀胱炎、正補体血症性蕁麻疹様血管炎、心膜炎、筋炎、抗合成酵素症候群、強膜炎、マクロファージ活性化症候群、ベーチェット症候群、PAPA症候群、Blau症候群、痛風、成人および若年性スティル病、クリオピリン関連周期性症候群、マックル−ウェルズ症候群、家族性寒冷自己炎症性症候群、新生児期発症多臓器性炎症性疾患、家族性地中海熱、慢性乳児期発症神経皮膚関節症候群、全身型若年性特発性関節炎、高IgD症候群、シュニッツラー症候群、TNF受容体関連周期性症候群(TRAPSP)、歯肉炎、歯周炎、肝炎、肝硬変、膵炎、心筋炎、血管炎、胃炎、痛風、および痛風性関節炎、ならびに乾癬、アトピー性皮膚炎、湿疹、酒さ、蕁麻疹およびざ瘡からなる群から選択される炎症性皮膚疾患が挙げられる。 本明細書において「感染性障害および/または感染性疾患」ならびに/または「感染症」という用語は区別なく使用され、個々の宿主生物における病原性生物学的因子の存在および/または増殖によって引き起こされるあらゆる障害、疾患および/または病態を包含する。本明細書において「感染症」は、臨床的に明らかな病態(すなわち特徴的な医学的徴候および/もしくは疾患の症状)が示される、かつ/またはその経過の大部分もしくは全経過において無症候である、上記の障害、疾患および/または病態を含む。本明細書において「感染症」は、さらに、T細胞の増殖低下およびサイトカインの産生低下により示される機能低下を特徴とするT細胞表現型の疲弊を引き起こす外来抗原が持続的に存在することによって引き起こされる障害、疾患および/または病態を包含する。本明細書において「感染性障害および/もしくは感染性疾患」ならびに/または「感染症」は、さらに、細菌感染、ウイルス感染、真菌感染および/または寄生虫感染によって引き起こされる、以下に記載の感染性障害、感染性疾患および/または感染病態のいずれも含む。 本明細書において「ウイルス感染」は、ウイルスによって引き起こされるあらゆる感染症を包含し、該ウイルスとしては、レトロウイルス科(たとえば、HTLV−III、LAV、HTLV−III/LAV、またはHIV−IIIとも呼ばれる、HIV−1、HIV−2、後天性免疫不全(AIDS)ウイルスなどのヒト免疫不全ウイルス、およびHIV−LPなどの他の単離物);ピコルナウイルス科(たとえば、ポリオウイルス、A型肝炎ウイルス、エンテロウイルス、ヒトコクサッキーウイルス、ライノウイルス、エコーウイルス);カリシウイルス科(たとえば、胃腸炎を引き起こす株);トガウイルス科(たとえば、ウマ脳炎ウイルス、風疹ウイルス);フラビウイルス科(たとえば、デング熱ウイルス、脳炎ウイルス、黄熱病ウイルス);コロナウイルス科(たとえば、コロナウイルス);ラブドウイルス科(たとえば、水疱性口内炎ウイルス、狂犬病ウイルス);フィロウイルス科(たとえば、エボラウイルス);パラミクソウイルス科(たとえば、パラインフルエンザウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、麻疹ウイルス、呼吸器合胞体ウイルス);オルソミクソウイルス科(たとえば、インフルエンザウイルス);ブニヤウイルス科(たとえば、ハンタンウイルス、ブニヤウイルス、フレボウイルス、およびナイロウイルス);アレナウイルス科(出血熱ウイルス);レオウイルス科(たとえば、レオウイルス、オルビウイルス、およびロタウイルス);ビルナウイルス科;ヘパドナウイルス科(B型肝炎ウイルス);パルボウイルス科(パルボウイルス);パポバウイルス科(パピローマウイルス、ポリオーマウイルス);アデノウイルス科(ほとんどのアデノウイルス);ヘルペスウイルス科(単純疱疹ウイルス(HSV)1型および2型、水痘・帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、ヘルペスウイルス);ポックスウイルス科(痘瘡ウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス);およびイリドウイルス科(たとえばアフリカ豚コレラウイルス);ならびに未分類ウイルス(たとえば、海綿状脳症の病原体、デルタ型肝炎の病原体(B型肝炎ウイルスの不完全サテライトであると考えられている)、非A非B型肝炎の病原体(分類1:経口伝播;分類2:非経口伝播(すなわちC型肝炎))、ノーウォークウイルスおよびその関連ウイルス、およびアストロウイルス)、重症急性呼吸器症候群ウイルス、および呼吸器合胞体ウイルス(RSV)を挙げることができるが、これらに限定されない。 本明細書において「真菌感染」は、真菌によって引き起こされるあらゆる感染症を包含し、該真菌として、クリプトコックス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、ヒストプラスマ・カプスラーツム(Histoplasma capsulatum)、コクシジオイデス・イミチス(Coccidioides immitis)、ブラストミセス・デルマチチジス(Blastomyces dermatitidis)、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)、およびカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)を挙げることができるが、これらに限定されない。 本明細書において「寄生虫感染」は、寄生虫によって引き起こされるあらゆる感染症を包含し、該寄生虫として、アメーバ類、鞭毛虫類、熱帯熱マラリア原虫、トキソプラズマ、繊毛虫類、コクシジウム類、微胞子虫類、胞子虫類などの原虫;蠕虫類、線虫類(回虫類)、条虫類(サナダムシ類)、吸虫類;節足動物;およびプリオンとして知られている異常タンパク質を挙げることができるが、これらに限定されない。 細菌によって引き起こされる感染性障害および/または感染性疾患には、敗血症;敗血症性ショック;副鼻腔炎;皮膚感染;肺炎;気管支炎;髄膜炎;細菌性腟症;尿路感染症(UCI);細菌性胃腸炎;膿痂疹および丹毒;丹毒;蜂巣炎;炭疽病;百日咳;ライム病;ブルセラ症;腸炎;急性腸炎;破傷風;ジフテリア;偽膜性大腸炎;ガス壊疽;急性食中毒;嫌気性蜂巣炎;院内感染;下痢;小児髄膜炎;旅行者下痢;出血性大腸炎;溶血性尿毒症候群;野兎病;消化性潰瘍;胃十二指腸潰瘍;レジオネラ症;ポンティアック熱;レプトスピラ症;リステリア症;らい病(ハンセン病);結核;淋病;新生児眼炎;敗血症性関節炎;髄膜炎を含む髄膜炎菌性疾患;ウォーターハウス・フリーデリクセン症候群;緑膿菌感染症;ロッキー山紅斑熱;腸チフス性サルモネラ症;胃腸炎および小腸結腸炎を伴うサルモネラ症;細菌性赤痢;コアグラーゼ陽性ブドウ球菌感染症、すなわち、びまん性皮膚感染(膿痂疹)を含む限局性皮膚感染、深部限局性感染、急性細菌性心内膜炎、敗血症、壊死性肺炎;毒素性ショック症候群およびブドウ球菌食中毒などの中毒症;膀胱炎;子宮内膜炎;中耳炎;連鎖球菌性咽頭炎;猩紅熱;リウマチ熱;産褥熱;壊死性筋膜炎;コレラ;ペスト(腺ペストおよび肺ペストを含む);ならびに、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophilia)、マイコバクテリウム属(たとえば、結核菌(M. tuberculosis)、M.アビウム(M. avium)、M.イントラセルラー(M. Intracellulare)、M.カンサシ(M. kansasii)、M.ゴルドネ(M. gordonae))、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、リステリア・モノサイトジェネス(Listeria monocytogenes)、化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)(A群レンサ球菌)、B群溶血性レンサ球菌(Streptococcus agalactiae)(B群レンサ球菌)、ストレプトコッカス(viridans群)、ストレプトコッカス・フェカリス(Streptococcus faecalis)、ストレプトコッカス・ボビス(Streptococcus bovis)、ストレプトコッカス(嫌気性ストレプトコッカス属)、肺炎連鎖球菌、病原性のカンピロバクター属、エンテロコッカス属、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、炭疽菌(Bacillus antracis)、ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae)、コリネバクテリウム属、豚丹毒菌(Erysipelothrix rhusiopathiae)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringers)、破傷風菌(Clostridium tetani)、エンテロバクター・アエロゲネス(Enterobacter erogenes)、肺炎桿菌(Klebsiella pneuomiae)、パスツレラ・ムルトシダ(Pasturella multicoda)、バクテロイデス属、フソバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)、ストレプトバチルス・モニリフォルミス(Streptobacillus moniliformis)、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)、フランベジアトレポネーマ(Treponema pertenue)、レプトスピラ属、およびアクチノミセス・イスラエリイ(Actinomyces israelli)から選択される細菌によって引き起こされるあらゆる感染症(ただし、これらに限定されない)の1以上が含まれていてもよい。 ウイルスによって引き起こされる感染性障害および/または疾患は、後天性免疫不全(AIDS)、西ナイル脳炎、コロナウイルス感染症、ライノウイルス感染症、インフルエンザ、デング熱、出血熱;耳科感染症;重症急性呼吸器症候群(SARS)、急性熱性咽頭炎、咽頭結膜熱、流行性角結膜炎、幼児胃腸炎、伝染性単核症、バーキットリンパ腫、急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、肝細胞癌、一次HSV−1感染症(小児の歯肉口内炎、成人の扁桃炎および咽頭炎、角結膜炎)、潜在性HSV−1感染症(口唇ヘルペス、ヘルペス)、無菌性髄膜炎、サイトメガロウイルス感染症、巨細胞性封入体症、カポジ肉腫、キャッスルマン病、原発性滲出液リンパ腫、インフルエンザ、麻疹、脳炎、後感染性脳脊髄炎、耳下腺炎、過形成上皮病変(尋常性、扁平、足底、および肛門性器疣贅、喉頭乳頭腫、ならびに疣贅状表皮発育異常症)、クループ、肺炎、細気管支炎、ポリオ、狂犬病、細気管支炎、肺炎、風疹、先天性風疹、出血熱、水痘、デング熱、エボラ感染症、エコーウイルス感染症、EBV感染症、伝染性紅斑、フィロウイルス、フラビウイルス、手足口病、帯状疱疹ウイルス(帯状疱疹)、ヒトパピローマウイルス関連上皮病変、ラッサ熱、リンパ球性脈絡髄膜炎、パラインフルエンザウイルス感染症、パラミクソウイルス、パルボウイルスB19感染症、ピコルナウイルス、ポックスウイルス感染症、ロタウイルス性下痢、風疹、麻疹、水痘、痘瘡からなる群より選択されるが、これらに限定されない。 真菌によって引き起こされる感染性障害および/または疾患としては、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、アスペルギルス腫、アスペルギルス症、バシジオボルス症、ブラストミセス症、カンジダ症、慢性肺アスペルギルス症、ツボカビ症、コクシジオイデス症、コニディオボルス症、堅黒穂病(オオムギ)、クリプトコックス症、皮膚糸状菌症、皮膚糸状菌疹、皮膚糸状菌症、毛内菌症、昆虫病原糸状菌症、流行性リンパ管炎、流行性潰瘍症候群、食道カンジダ症、毛外菌症、真菌血症、ヒストプラスマ症、ロボ真菌症、Massospora cicadina菌症、真菌症、イチゴのじゃのめ病、鼓膜真菌症、パラコクシジオイデス症、病原性真菌症、ペニシリウム症、Thousand cankers disease、白癬、Zeaspora症、接合菌症を挙げることができるが、これらに限定されない。寄生虫によって引き起こされる感染性障害および/または疾患は、アカントアメーバ症、アメーバ症、回虫症、十二指腸虫症、アニキサス症、バベシア症、バランチジウム症、アライグマ回虫症、ブラストシスティス症、カンディル症、シャーガス病、肝吸虫症、コクリオミイヤ症、コクシジウム症、中国肝吸虫症、クリプトスポリジウム症、二核アメーバ症、裂頭条虫症、腎虫感染症、メジナ虫症、エキノコックス症、象皮病、蟯虫症、肝蛭症、肥大吸虫症、フィラリア症、ジアルジア症、顎口虫症、膜様条虫症、ハルザン症候群、イソスポラ症、片山熱、リーシュマニア症、リンパ管フィラリア症、マラリア、横川吸虫症、蠅蛆病、回旋糸状虫症、シラミ寄生症、原発性アメーバ性髄膜脳炎、寄生性肺炎、肺吸虫症、疥癬、住血吸虫症、睡眠病、糞線虫症、孤虫症、リノスポリジウム症、河川盲目症、条虫症(嚢虫症の原因)、トキソカラ症、トキソプラズマ症、旋毛虫症、トリコモナス症、鞭虫症、トリパノソーマ症、条虫症からなる群より選択されるが、これらに限定されない。 感染症として好ましいものは、たとえば、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、伝染性単核症ウイルス、EBV、サイトメガロウイルス、AIDS、HIV−1、HIV−2、結核菌、マラリアおよび住血吸虫のいずれかによって引き起こされる疾患である。 本明細書において、「ワクチン」は、特定の疾患に対する免疫を向上させる生物学的製剤を指し、該ワクチンは、免疫応答を惹起させる、弱毒化または死滅化された病原体、病原体の毒素、病原体の単一の表面タンパク質などの抗原を含む。通常、ワクチンは、免疫系を刺激するために免疫増強剤としてアジュバントを含む。本明細書において、「治療ワクチン」および/または「治療用ワクチン接種」は、感染症またはがんなどの進行中の疾患を治療するために使用されるワクチンを指す。 本明細書において、「アジュバント」は、それ自体はいかなる特異的抗原性も有さないが、免疫系を刺激しワクチンに対する応答を増強させる薬剤を指す。 本明細書において「LY6G6F」および/または「LY6G6Fタンパク質」は、配列番号1に示されるタンパク質、その変異体、オーソログ、および/もしくはフラグメント、ならびに/またはこれらをコードする核酸配列のいずれかを指し、これらは、本明細書に記載のがん、感染性障害、および/もしくは免疫関連障害において異なる発現量で発現され、かつ/またはがん、感染性障害、および/もしくは免疫関連障害に病因において一定の役割を果たしている。 好ましい実施形態によれば、LY6G6Fフラグメントは、配列番号2、59、81、および96のいずれかで示されるLY6G6F細胞外ドメインのアミノ酸配列、および/またはこれらの変異体を含む。好ましい実施形態によれば、LY6G6Fオーソログは、配列番号20および29のいずれかを含む。好ましい実施形態によれば、LY6G6Fタンパク質をコードする核酸配列は配列番号33、57または182を含む。 本明細書において「VSIG10」および/または「VSIG10タンパク質」は、配列番号3および5のいずれかに示されたタンパク質、その変異体、オーソログ、および/もしくはフラグメント、ならびに/またはこれらをコードする核酸配列のいずれかを指し、これらは、本明細書に記載のがん、感染性障害、および/もしくは免疫関連障害において異なる発現量で発現され、かつ/またはがん、感染性障害、および/もしくは免疫関連障害に病因において一定の役割を果たしている。 好ましい実施形態によれば、VSIG10フラグメントは、配列番号4、6、60、61、82〜93、および97〜100のいずれかで示されるVSIG10細胞外ドメインのアミノ酸配列、その変異体、および/または図2Aに示したVSIG10変異体(配列番号5)に特有のエッジ部を含むアミノ酸配列を含む。好ましい実施形態によれば、VSIG10オーソログは、配列番号19および30のいずれかを含む。好ましい実施形態によれば、VSIG10タンパク質をコードする核酸配列は配列番号34、35、36、183、および184のいずれかを含む。 本明細書において「TMEM25」および/または「TMEM25タンパク質」は、配列番号7および39のいずれかに示されたタンパク質、その変異体、オーソログ、および/もしくはフラグメント、ならびに/またはこれらをコードする核酸配列のいずれかを指し、これらは、本明細書に記載のがん、感染性障害、および/もしくは免疫関連障害において異なる発現量で発現され、かつ/またはがん、感染性障害、および/もしくは免疫関連障害に病因において一定の役割を果たしている。 好ましい実施形態によれば、TMEM25フラグメントは、配列番号8、39、94、および101のいずれかで示されるTMEM25細胞外ドメインのアミノ酸配列、および/またはその変異体を含む。好ましい実施形態によれば、TMEM25オーソログは、配列番号9および/または28のいずれかに示された配列を有するタンパク質を含む。好ましい実施形態によれば、TMEM25タンパク質をコードする核酸配列は配列番号37および185のいずれかを含む。 本明細書において「LSR」および/または「LSRタンパク質」は、配列番号11、13、15〜18、および143のいずれかに示されたタンパク質、その変異体、オーソログ、および/もしくはフラグメント、ならびに/またはこれらをコードする核酸配列のいずれかを指し、これらは、本明細書に記載のがん、感染性障害、および/もしくは免疫関連障害において異なる発現量で発現され、かつ/またはがん、感染性障害、および/もしくは免疫関連障害に病因において一定の役割を果たしている。 好ましい実施形態によれば、LSRフラグメントは、配列番号10、12、14、22、47〜50、95、および102のいずれかで示されるLSR細胞外ドメインのアミノ酸配列、その変異体、および/または図2Gに示したLSR変異体(配列番号18)に特有のエッジ部を含むアミノ酸配列を含む。LSRオーソログの一例は、配列番号21、31、および32のいずれかで示される。好ましい実施形態によれば、LSRタンパク質をコードする核酸配列は配列番号40〜46、132、155、188、186、187、145、および154のいずれかを含む。 単一の仮説に限定されることを望むものではないが、本発明の実施形態の少なくともいくつかによるLY6G6Fタンパク質、VSIG10タンパク質、TMEM25タンパク質、および/またはLSRタンパク質はそれぞれ免疫共刺激タンパク質であることが予測されたものであり、免疫共刺激タンパク質の一例として、たとえばがん細胞に対して惹起されたT細胞応答などを含むB7免疫共刺激に関与し、自己免疫作用の誘発などの免疫反応に対する効果を惹起するB7タンパク質ファミリーのメンバーなどが挙げられる。 本明細書において、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRの「可溶性細胞外ドメイン(ECD)」、「細胞外ドメイン」または「可溶性LY6G6Fタンパク質/分子、可溶性VSIG10タンパク質/分子、可溶性TMEM25タンパク質/分子、および/または可溶性LSRタンパク質/分子」は、細胞表面に結合されていない(すなわち循環型)LY6G6F分子、VSIG10分子、TMEM25分子および/もしくはLSR分子、またはこれらの任意の部分を意味し、このようなものとして、LY6G6F、VSIG10、TMEM25、および/またはLSRの細胞外ドメインが免疫グロブリン(Ig)部分と融合されて可溶性の融合分子となった、LY6G6F−Ig融合タンパク質、VSIG10−Ig融合タンパク質、TMEM25−Ig融合タンパク質、および/もしくはLSR−Ig融合タンパク質、ならびに/またはこれらのフラグメントおよび誘導体;パピローマウイルスE7遺伝子産物、メラノーマ関連抗原p97、HIV envタンパク質などの生物学的に活性または化学的に活性なタンパク質の一部分と融合または連結された、LY6G6F、VSIG10、TMEM25、および/またはLSRの細胞外ドメインを有するタンパク質またはこれらのフラグメントおよび誘導体;ならびにLY6G6F−Ig、VSIG10−Ig、TMEM25−Ig、および/またはLSR−Igなどのハイブリッド(キメラ)融合タンパク質またはこれらのフラグメントおよび誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。このような融合タンパク質についての詳細な説明は後述する。 「可溶性LY6G6Fタンパク質/分子、可溶性VSIG10タンパク質/分子、可溶性TMEM25タンパク質/分子、および/または可溶性LSRタンパク質/分子」は、膜貫通ドメインが除去されて可溶性タンパク質となった、LY6G6F分子、VSIG10分子、TMEM25分子、および/もしくはLSR分子、またはこれらのフラグメントおよび誘導体;ならびに可溶性LY6G6F突然変異体分子、可溶性VSIG10突然変異体分子、可溶性TMEM25突然変異体分子、および/もしくは可溶性LSR突然変異体分子、またはこれらのフラグメント、一部分もしくは誘導体をも包含する。本発明の実施形態の少なくともいくつかによる方法において使用される、可溶性LY6G6F分子、可溶性VSIG10分子、可溶性TMEM25分子、および/または可溶性LSR分子は、シグナル(リーダー)ペプチド配列を含んでいても含んでいなくてもよい。LY6G6Fポリペプチドのフラグメント LY6G6Fの「可溶性細胞外ドメイン(ECD)」、「細胞外ドメイン」または「可溶性」形態は、LY6G6Fの「可溶性細胞外ドメイン(ECD)」、「細胞外ドメイン」または「可溶性LY6G6Fタンパク質/分子」に相当するタンパク質をコードする核酸配列をも指す。LY6G6F ECDは、下記および/または表Aに示したポリペプチド配列のいずれか;該ポリペプチド配列と少なくとも80%の配列同一性、より好ましくは少なくとも90%の配列同一性、さらにより好ましくは少なくとも95%、96%、97%、98%もしくは99%の配列同一性を有する上記配列のフラグメントもしくは変異体;これらの結合体;および/またはこれらをコードするポリヌクレオチドであってもよい。 配列番号2:17位〜234位のアミノ酸残基(シグナルペプチドを含まず、膜貫通ドメインまで)(図1A):ADNMQAIYVALGEAVELPCPSPPTLHGDEHLSWFCSPAAGSFTTLVAQVQVGRPAPDPGKPGRESRLRLLGNYSLWLEGSKEEDAGRYWCAVLGQHHNYQNWRVYDVLVLKGSQLSARAADGSPCNVLLCSVVPSRRMDSVTWQEGKGPVRGRVQSFWGSEAALLLVCPGEGLSEPRSRRPRIIRCLMTHNKGVSFSLAASIDASPALCAPSTGWDMP、ならびに上記アミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性、より好ましくは少なくとも90%の配列同一性、さらに好ましくは少なくとも95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有する上記アミノ酸配列のフラグメントおよび変異体。配列番号59は、シグナルペプチドを含むLY6G6F ECDの一例を示す。 上記フラグメントは、少なくとも約62、63、64、65個など〜228個の配列番号1に示したLY6G6Fタンパク質細胞外ドメインのアミノ酸から構成されていてもよく、62〜228の範囲の任意の整数で表されるアミノ酸長であってよい。上記フラグメントは、少なくとも約62個〜82個のLY6G6Fタンパク質細胞外ドメインアミノ酸で構成されていることが好ましく、62〜82の範囲の任意の整数で表されるアミノ酸長であってよい。さらに、上記フラグメントは、少なくとも約95個〜115個のLY6G6Fタンパク質細胞外ドメインアミノ酸で構成されていることが好ましく、95〜115の範囲の任意の整数で表されるアミノ酸長であってよい。さらに、上記フラグメントは、少なくとも約208個〜228個のLY6G6Fタンパク質細胞外ドメインアミノ酸で構成されていることが好ましく、208〜228の範囲の任意の整数で表されるアミノ酸長であってよい。上記フラグメントは、約72個、106個、または218個のアミノ酸で構成されていることがより好ましい。本発明の実施形態の少なくともいくつかによるLY6G6Fフラグメントタンパク質は、シグナルペプチド配列を含んでいても含んでいなくてもよく、また、LY6G6F膜貫通ドメインの1、2、3、4、または5個の連続するアミノ酸を含んでいても含んでいなくてもよい。 具体的には、LY6G6Fの細胞外ドメインのフラグメントは、LY6G6F細胞外ドメイン内のIgVドメインの任意の部分に相当する配列またはLY6G6F細胞外ドメイン内のIgVドメインを含む任意の配列を含んでいてもよく、LY6G6F(配列番号1)の14位〜27位の任意の残基位置から112位〜132位の任意の残基位置までに相当する配列を有している。 LY6G6Fタンパク質は、細胞外ドメイン内に免疫グロブリンドメインであるIgVドメイン(Vドメイン)を含み(図1Aの囲み枠内に示す)、これは抗体の可変ドメインと関連している。IgVドメインはB7ファミリーの他のメンバーと類似していることから、受容体の結合を担っている可能性がある。細胞外ドメイン内のこのIgドメインは、折りたたまれたタンパク質において通常みられるように、構造機能にとって重要であると考えられるジスルフィド結合をドメイン内のシステイン残基間に1つ含む。配列番号1において、これらのシステイン残基は35位と106位に位置する。 一実施形態では、LY6G6Fの可溶性フラグメントが提供される。この可溶性フラグメントは、後述の融合タンパク質についてのセクションにさらに詳細に記載する第1の融合パートナーであってもよい。上記フラグメントとして、単独または複数個の本来のレセプターに結合する能力を保持し、かつ/またはT細胞の活性化を抑制する能力を保持するフラグメントが有用である。完全長LY6G6FのフラグメントであるLY6G6Fポリペプチドが本来のレセプターと結合する能力および/またはT細胞の活性化を抑制する能力は、通常、完全長LY6G6Fの少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、100%であり、さらには100%を超える。可溶性LY6G6Fポリペプチドフラグメントは、産生細胞から遊離、分泌、または抽出されてもよいLY6G6Fポリペプチドのフラグメントを指す。別の実施形態では、LY6G6Fポリペプチドの可溶性フラグメントは、たとえば、単独または複数個の本来のレセプターに結合する能力を保持し、かつ/またはT細胞の活性化を抑制する能力を保持するフラグメントなどの、LY6G6Fの生物学的活性を保持するLY6G6F細胞外ドメインのフラグメントを包含する。細胞外ドメインは、膜貫通ドメインの1、2、3、4、または5個の連続するアミノ酸および/またはシグナル配列の1、2、3、4、または5個の連続するアミノ酸を含むことができる。あるいは、細胞外ドメインは、C末端、N末端またはその両方に由来する1、2、3、4または5個以上のアミノ酸を有していてもよい。 実施形態のいくつかにおいて、LY6G6F細胞外ドメインポリペプチドは、配列番号81に示されるIgVドメインのアミノ酸配列、そのフラグメントもしくは変異体、または配列番号1に示される完全長タンパク質のIgVドメイン内の35位と106位に位置する保存されたシステイン残基の間の領域(配列番号96に示される配列:CPSPPTLHGDEHLSWFCSPAAGSFTTLVAQVQVGRPAPDPGKPGRESRLRLLGNYSLWLEGSKEEDAGRYWCに相当)を含む。別の実施形態では、LY6G6F細胞外ドメインポリペプチドは、配列番号81および96のいずれかに示されるIgVドメインアミノ酸配列から実質的になる。 通常、LY6G6Fポリペプチドフラグメントは、シグナル配列をコードする配列を含む核酸から発現される。通常、シグナル配列が未熟なポリペプチドから切断されて、シグナル配列を欠く成熟ポリペプチドが生じる。標準的な分子生物学技術を使用してLY6G6Fのシグナル配列を別のポリペプチドのシグナル配列に置換することにより、ポリペプチドの発現レベル、分泌、溶解性または他の特性を変化させることができる。LY6G6Fシグナルペプチド配列の置換に使用されるシグナルペプチド配列は、当技術分野で公知のものであってよい。 LY6G6F ECDは、LY6G6F ECDポリペプチドをコードする核酸配列のいずれかを指してもよく、配列番号2に示されるLY6G6F ECDポリペプチドをコードする配列番号33に示される核酸配列、またはそのフラグメントもしくは変性変異体を指してもよい。 LY6G6F ECDは、オルソロガスなECDポリペプチドを指してもよい。LY6G6F ECDは、配列番号20に示されるマウスLY6G6F ECDポリペプチド、および/または配列番号23に示されるマウスLY6G6F ECD−IgG2a−Fc融合ポリペプチドを指してもよい。VSIG10ポリペプチドのフラグメント VSIG10の「可溶性細胞外ドメイン(ECD)」、「細胞外ドメイン」または「可溶性」形態は、VSIG10の「可溶性細胞外ドメイン(ECD)」、「細胞外ドメイン」または「可溶性VSIG10タンパク質/分子」に相当するタンパク質をコードする核酸配列をも指す。VSIG10 ECDは、下記および/または表Bに示したポリペプチド配列のいずれか;該ポリペプチド配列と少なくとも80%の配列同一性、より好ましくは少なくとも90%の配列同一性、さらにより好ましくは少なくとも95%、96%、97%、98%もしくは99%の配列同一性を有する上記配列のフラグメントもしくは変異体;これらの結合体;および/またはこれらをコードするポリヌクレオチドであってもよい。 配列番号4:31位〜413位のアミノ酸残基(シグナルペプチドを含まず、膜貫通ドメインまで)(図1B):VVIGEVHENVTLHCGNISGLRGQVTWYRNNSEPVFLLSSNSSLRPAEPRFSLVDATSLHIESLSLGDEGIYTCQEILNVTQWFQVWLQVASGPYQIEVHIVATGTLPNGTLYAARGSQVDFSCNSSSRPPPVVEWWFQALNSSSESFGHNLTVNFFSLLLISPNLQGNYTCLALNQLSKRHRKVTTELLVYYPPPSAPQCWAQMASGSFMLQLTCRWDGGYPDPDFLWIEEPGGVIVGKSKLGVEMLSESQLSDGKKFKCVTSHIVGPESGASCMVQIRGPSLLSEPMKTCFTGGNVTLTCQVSGAYPPAKILWLRNLTQPEVIIQPSSRHLITQDGQNSTLTIHNCSQDLDEGYYICRADSPVGVREMEIWLSVKEPLNIGG;配列番号6:31位〜312位のアミノ酸残基(エクソン3スキッピング変異体、シグナルペプチドを含まず、膜貫通ドメインまで)(図1C):VVIGEVHENVTLHCGNISGLRGQVTWYRNNSEPVFLLSSNSSLRPAEPRFSLVDATSLHIESLSLGDEGIYTCQEILNVTQWFQVWLQVANPPPSAPQCWAQMASGSFMLQLTCRWDGGYPDPDFLWIEEPGGVIVGKSKLGVEMLSESQLSDGKKFKCVTSHIVGPESGASCMVQIRGPSLLSEPMKTCFTGGNVTLTCQVSGAYPPAKILWLRNLTQPEVIIQPSSRHLITQDGQNSTLTIHNCSQDLDEGYYICRADSPVGVREMEIWLSVKEPLNIGG;および上記アミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性、より好ましくは少なくとも90%の配列同一性、さらに好ましくは少なくとも95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有する上記アミノ酸配列の変異体。配列番号60〜61は、シグナルペプチドを含むVSIG10 ECDの一例を示す。 上記フラグメントは、少なくとも約36、37、38、39、40、41、42、43個など〜393個の配列番号3に示したVSIG10タンパク質細胞外ドメインのアミノ酸から構成されていてもよく、36〜393の範囲の任意の整数で表されるアミノ酸長であってよい。上記フラグメントは、少なくとも約36個〜70個のVSIG10タンパク質細胞外ドメインアミノ酸で構成されていることが好ましく、36〜70の範囲の任意の整数で表されるアミノ酸長であってよい。さらに、上記フラグメントは、少なくとも約80個〜100個のVSIG10タンパク質細胞外ドメインアミノ酸で構成されていることが好ましく、80〜100の範囲の任意の整数で表されるアミノ酸長であってよい。さらに、上記フラグメントは、少なくとも約170個〜200個のVSIG10タンパク質細胞外ドメインアミノ酸で構成されていることが好ましく、170〜200の範囲の任意の整数で表されるアミノ酸長であってよい。さらに、上記フラグメントは、少なくとも約265個〜290個のVSIG10タンパク質細胞外ドメインアミノ酸で構成されていることが好ましく、265〜290の範囲の任意の整数で表されるアミノ酸長であってよい。さらに、上記フラグメントは、少なくとも約365個〜393個のVSIG10タンパク質細胞外ドメインアミノ酸で構成されていることが好ましく、365〜393の範囲の任意の整数で表されるアミノ酸長であってよい。上記フラグメントは、約46、49、58、60、87、89、93、94、178、182、185、187、273、279、282、374、または383個のアミノ酸で構成されていることがより好ましい。本発明の実施形態の少なくともいくつかによるVSIG10フラグメントタンパク質は、シグナルペプチド配列を含んでいても含んでいなくてもよく、また、VSIG10膜貫通ドメインの1、2、3、4、または5個の連続するアミノ酸を含んでいても含んでいなくてもよい。 具体的には、VSIG10の細胞外ドメインのフラグメントは、VSIG10細胞外ドメイン内の1以上のIgC2ドメインの任意の部分に相当する配列またはVSIG10細胞外ドメイン内のIgVドメインを1以上含む任意の配列を含んでいてもよく、VSIG10(配列番号3)の28位〜41位の任意の残基位置から109位〜122位の任意の残基位置までに相当する配列、120位〜133位の任意の残基位置から205位〜222位の任意の残基位置までに相当する配列、216位〜233位の任意の残基位置から299位〜310位の任意の残基位置までに相当する配列、310位〜321位の任意の残基位置から394位〜414位の任意の残基位置までに相当する配列、28位〜41位の任意の残基位置から205位〜222位の任意の残基位置までに相当する配列、28位〜41位の任意の残基位置から299位〜310位の任意の残基位置までに相当する配列、28位〜41位の任意の残基位置から394位〜414位の任意の残基位置までに相当する配列、120位〜133位の任意の残基位置から299位〜310位の任意の残基位置までに相当する配列、120位〜133位の任意の残基位置から394位〜414位の任意の残基位置までに相当する配列、もしくは216位〜233位の任意の残基位置から394位〜414位の任意の残基位置までに相当する配列を有しているか、または、エクソン3スキッピングVSIG10変異体 T95617 P6(配列番号5)の28位〜41位の任意の残基位置から198〜209位の任意の残基位置までに相当する配列、もしくは28位〜41位の任意の残基位置から293位〜313位の任意の残基位置までに相当する配列を有している。 VSIG10タンパク質は、細胞外ドメイン内に免疫グロブリンドメインであるIgC2ドメイン(Ig様C2ドメインまたはIgC2セットドメインともいう)を複数含み、これらは抗体の定常ドメインと関連している。これらのドメインを図1B(配列番号3)および図1C(配列番号5)に示す。細胞外ドメイン内のこれらのIgドメインは、折りたたまれたタンパク質において通常みられるように、構造機能にとって重要であると考えられるジスルフィド結合をドメイン内のシステイン残基間に1つ含む。配列番号3において、これらのシステイン残基は、44位と103位、153位と201位、245位と290位、および331位と388位に位置する。配列番号5においては、これらのシステイン残基は、44位と103位、144位と189位、および230位と287位に位置する。 一実施形態では、VSIG10の可溶性フラグメントが提供される。この可溶性フラグメントは、後述の融合タンパク質についてのセクションに記載する第1の融合パートナーであってもよい。上記フラグメントとして、単独または複数個の本来のレセプターに結合する能力を保持し、かつ/またはT細胞の活性化を抑制する能力を保持するフラグメントが有用である。完全長VSIG10のフラグメントであるVSIG10ポリペプチドが本来のレセプターと結合する能力および/またはT細胞の活性化を抑制する能力は、通常、完全長VSIG10の少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、100%であり、さらには100%を超える。可溶性VSIG10ポリペプチドフラグメントは、産生細胞から遊離、分泌、または抽出されてもよいVSIG10ポリペプチドのフラグメントを指す。別の実施形態では、VSIG10ポリペプチドの可溶性フラグメントは、たとえば、単独または複数個の本来のレセプターに結合する能力を保持し、かつ/またはT細胞の活性化を抑制する能力を保持するフラグメントなどの、VSIG10の生物学的活性を保持するVSIG10細胞外ドメインのフラグメントを包含する。細胞外ドメインは、膜貫通ドメインの1、2、3、4、または5個の連続するアミノ酸および/またはシグナル配列の1、2、3、4、または5個の連続するアミノ酸を含むことができる。あるいは、細胞外ドメインは、C末端、N末端またはその両方に由来する1、2、3、4または5個以上のアミノ酸を有していてもよい。 実施形態のいくつかにおいて、VSIG10細胞外ドメインポリペプチドは、配列番号82、83、84および85のいずれかに示される少なくとも1つのIgC2ドメインのアミノ酸配列、そのフラグメントもしくは変異体、配列番号3に示される完全長タンパク質のIgC2ドメイン内の44位と103位に位置する保存されたシステイン残基の間の領域(配列番号97に示される配列:CGNISGLRGQVTWYRNNSEPVFLLSSNSSLRPAEPRFSLVDATSLHIESLSLGDEGIYTCに相当)、配列番号3に示される完全長タンパク質のIgC2ドメイン内の153位と201位に位置する保存されたシステイン残基の間の領域(配列番号98に示される配列:CNSSSRPPPVVEWWFQALNSSSESFGHNLTVNFFSLLLISPNLQGNYTCに相当)、配列番号3に示される完全長タンパク質のIgC2ドメイン内の245位と209位に位置する保存されたシステイン残基の間の領域(配列番号99に示される配列:CRWDGGYPDPDFLWIEEPGGVIVGKSKLGVEMLSESQLSDGKKFKCに相当)、または配列番号3に示される完全長タンパク質のIgC2ドメイン内の331位と388位に位置する保存されたシステイン残基の間の領域(配列番号100に示される配列:CQVSGAYPPAKILWLRNLTQPEVIIQPSSRHLITQDGQNSTLTIHNCSQDLDEGYYICに相当)を含む。さらなる実施形態のいくつかでは、VSIG10細胞外ドメインポリペプチドは、配列番号82〜93および97〜100の少なくとも1つで示されるアミノ酸配列から実質的になる。 通常、VSIG10ポリペプチドフラグメントは、シグナル配列をコードする配列を含む核酸から発現される。通常、シグナル配列が未熟なポリペプチドから切断されて、シグナル配列を欠く成熟ポリペプチドが生じる。標準的な分子生物学技術を使用してVSIG10のシグナル配列を別のポリペプチドのシグナル配列に置換することにより、ポリペプチドの発現レベル、分泌、溶解性または他の特性を変化させることができる。VSIG10シグナルペプチド配列の置換に使用されるシグナルペプチド配列は、当技術分野で公知のものであってよい。 VSIG10 ECDは、VSIG10 ECDポリペプチドをコードする核酸配列のいずれかをも指してもよく、配列番号4および6に示されるVSIG10 ECDポリペプチドをそれぞれコードする配列番号34および36に示される核酸配列、またはこれらのフラグメントもしくは変性変異体(degenerative variant)を指してもよい。 VSIG10 ECDは、オルソロガスなECDポリペプチドを指してもよい。VSIG10 ECDは、配列番号19に示されるマウスVSIG10 ECDポリペプチド、および/または配列番号24に示されるマウスVSIG10 ECD−IgG2a−Fc融合ポリペプチドを指してもよい。TMEM25ポリペプチドのフラグメント TMEM25の「可溶性細胞外ドメイン(ECD)」、「細胞外ドメイン」または「可溶性」形態は、TMEM25の「可溶性細胞外ドメイン(ECD)」、「細胞外ドメイン」または「可溶性TMEM25タンパク質/分子」に相当するタンパク質をコードする核酸配列をも指す。TMEM25 ECDは、下記および/または表Cに示したポリペプチド配列のいずれか;該ポリペプチド配列と少なくとも80%の配列同一性、より好ましくは少なくとも90%の配列同一性、さらにより好ましくは少なくとも95%、96%、97%、98%もしくは99%の配列同一性を有する上記配列のフラグメントもしくは変異体;これらの結合体;および/またはこれらをコードするポリヌクレオチドであってもよい。 配列番号8:27位〜232位のアミノ酸残基(シグナルペプチドを含まず、膜貫通ドメインまで)(図1D):ELEPQIDGQTWAERALRENERHAFTCRVAGGPGTPRLAWYLDGQLQEASTSRLLSVGGEAFSGGTSTFTVTAHRAQHELNCSLQDPRSGRSANASVILNVQFKPEIAQVGAKYQEAQGPGLLVVLFALVRANPPANVTWIDQDGPVTVNTSDFLVLDAQNYPWLTNHTVQLQLRSLAHNLSVVATNDVGVTSASLPAPGLLATRVE、および上記アミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性、より好ましくは少なくとも90%の配列同一性、さらに好ましくは少なくとも95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有する上記アミノ酸配列の変異体。配列番号39は、シグナルペプチドを含むTMEM25 ECDの一例を示す。 上記フラグメントは、少なくとも約46、47、48、49、50、51、52個など〜216個の配列番号7に示したTMEM25タンパク質細胞外ドメインのアミノ酸から構成されていてもよく、46〜216の範囲の任意の整数で表されるアミノ酸長であってよい。上記フラグメントは、少なくとも約46個〜66個のTMEM25タンパク質細胞外ドメインアミノ酸で構成されていることが好ましく、46〜66の範囲の任意の整数で表されるアミノ酸長であってよい。さらに、上記フラグメントは、少なくとも約84個〜104個のTMEM25タンパク質細胞外ドメインアミノ酸で構成されていることが好ましく、84〜104の範囲の任意の整数で表されるアミノ酸長であってよい。さらに、上記フラグメントは、少なくとも約196個〜216個のTMEM25タンパク質細胞外ドメインアミノ酸で構成されていることが好ましく、196〜216の範囲の任意の整数で表されるアミノ酸長であってよい。上記フラグメントは、約56個、94個、または206個のアミノ酸で構成されていることがより好ましい。本発明の実施形態の少なくともいくつかによるTMEM25フラグメントタンパク質は、シグナルペプチド配列を含んでいても含んでいなくてもよく、また、TMEM25膜貫通ドメインの1、2、3、4、または5個の連続するアミノ酸を含んでいても含んでいなくてもよい。 具体的には、TMEM25の細胞外ドメインのフラグメントは、TMEM25細胞外ドメイン内のIgC2ドメインの任意の部分に相当する配列またはTMEM25細胞外ドメイン内のIgC2ドメインを含む任意の配列を含んでいてもよく、TMEM25(配列番号7)の27位〜40位の任意の残基位置から113位〜133位の任意の残基位置までに相当する配列を有している。 TMEM25タンパク質は、細胞外ドメイン内に免疫グロブリンドメインであるIgC2ドメイン(Ig様C2ドメインまたはIgC2セットドメインともいう)を含み、これは抗体の定常ドメインと関連している。このドメインを図1Dの囲み枠内に示す。細胞外ドメイン内のこのIgドメインは、折りたたまれたタンパク質において通常みられるように、構造機能にとって重要であると考えられるジスルフィド結合をドメイン内のシステイン残基間に1つ含む。配列番号7において、これらのシステイン残基は52位と107位に位置する。 一実施形態では、TMEM25の可溶性フラグメントが提供される。この可溶性フラグメントは、たとえば後述の融合タンパク質についてのセクションなどにさらに詳細に記載する第1の融合パートナーであってもよい。上記フラグメントとして、単独または複数個の本来のレセプターに結合する能力を保持し、かつ/またはT細胞の活性化を抑制する能力を保持するフラグメントが有用である。完全長TMEM25のフラグメントであるTMEM25ポリペプチドが本来のレセプターと結合する能力および/またはT細胞の活性化を抑制する能力は、通常、完全長TMEM25の少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、100%であり、さらには100%を超える。可溶性TMEM25ポリペプチドフラグメントは、産生細胞から遊離、分泌、または抽出されてもよいTMEM25ポリペプチドのフラグメントを指す。別の実施形態では、TMEM25ポリペプチドの可溶性フラグメントは、たとえば、単独または複数個の本来のレセプターに結合する能力を保持し、かつ/またはT細胞の活性化を抑制する能力を保持するフラグメントなどの、TMEM25の生物学的活性を保持するTMEM25細胞外ドメインのフラグメントを包含する。細胞外ドメインは、膜貫通ドメインの1、2、3、4、または5個の連続するアミノ酸および/またはシグナル配列の1、2、3、4、または5個の連続するアミノ酸を含むことができる。あるいは、細胞外ドメインは、C末端、N末端またはその両方に由来する1、2、3、4または5個以上のアミノ酸を有していてもよい。 実施形態のいくつかにおいて、TMEM25細胞外ドメインポリペプチドは、配列番号94に示されるIgC2ドメインのアミノ酸配列、そのフラグメントもしくは変異体、または配列番号7に示される完全長タンパク質のIgC2ドメイン内の52位と107位に位置する保存されたシステイン残基の間の領域(配列番号101に示される配列:CRVAGGPGTPRLAWYLDGQLQEASTSRLLSVGGEAFSGGTSTFTVTAHRAQHELNCに相当)を含む。別の実施形態では、TMEM25細胞外ドメインポリペプチドは、配列番号94および101のいずれかに示されるIgC2ドメインアミノ酸配列から実質的になる。 通常、TMEM25ポリペプチドフラグメントは、シグナル配列をコードする配列を含む核酸から発現される。通常、シグナル配列が未熟なポリペプチドから切断されて、シグナル配列を欠く成熟ポリペプチドが生じる。標準的な分子生物学技術を使用してTMEM25のシグナル配列を別のポリペプチドのシグナル配列に置換することにより、ポリペプチドの発現レベル、分泌、溶解性または他の特性を変化させることができる。TMEM25シグナルペプチド配列の置換に使用されるシグナルペプチド配列は、当技術分野で公知のものであってよい。 TMEM25 ECDは、TMEM25 ECDポリペプチドをコードする核酸配列のいずれかをも指してもよく、配列番号8に示されるTMEM25 ECDポリペプチドをコードする配列番号37に示される核酸配列、またはそのフラグメントもしくは変性変異体(degenerative variant)を指してもよい。 TMEM25 ECDは、オルソロガスなECDポリペプチドを指してもよい。TMEM25 ECDは、配列番号9に示されるマウスTMEM25 ECDポリペプチド、および/または配列番号25に示されるマウスTMEM25 ECD−IgG2a−Fc融合ポリペプチドを指してもよい。LSRポリペプチドのフラグメント LSRの「可溶性細胞外ドメイン(ECD)」、「細胞外ドメイン」または「可溶性」形態は、LSRの「可溶性細胞外ドメイン(ECD)」、「細胞外ドメイン」または「可溶性LSRタンパク質/分子」に相当するタンパク質をコードする核酸配列をも指す。LSR ECDは、下記および/または表Dに示したポリペプチド配列のいずれか;該ポリペプチド配列と少なくとも80%の配列同一性、より好ましくは少なくとも90%の配列同一性、さらにより好ましくは少なくとも95、96、97、98もしくは99%の配列同一性を有する上記配列のフラグメントもしくは変異体;これらの結合体;および/またはこれらをコードするポリヌクレオチドであってもよい。 配列番号12:LSRアイソフォームA ECD(シグナルペプチドを含まず、膜貫通ドメインまで)の42位〜211位のアミノ酸残基(図1E):IQVTVSNPYHVVILFQPVTLPCTYQMTSTPTQPIVIWKYKSFCRDRIADAFSPASVDNQLNAQLAAGNPGYNPYVECQDSVRTVRVVATKQGNAVTLGDYYQGRRITITGNADLTFDQTAWGDSGVYYCSVVSAQDLQGNNEAYAELIVLGRTSGVAELLPGFQAGPIED;配列番号14:LSRアイソフォームB ECD(シグナルペプチドを含まず、膜貫通ドメインまで)の42位〜192位のアミノ酸残基(図1F):IQVTVSNPYHVVILFQPVTLPCTYQMTSTPTQPIVIWKYKSFCRDRIADAFSPASVDNQLNAQLAAGNPGYNPYVECQDSVRTVRVVATKQGNAVTLGDYYQGRRITITGNADLTFDQTAWGDSGVYYCSVVSAQDLQGNNEAYAELIVLD;配列番号47:LSRアイソフォームC分泌変異体の42位〜533位のアミノ酸残基(図1G):IQVTVSNPYHVVILFQPVTLPCTYQMTSTPTQPIVIWKYKSFCRDRIADAFSPASVDNQLNAQLAAGNPGYNPYVECQDSVRTVRVVATKQGNAVTLGDYYQGRRITITGNADLTFDQTAWGDSGVYYCSVVSAQDLQGNNEAYAELIVLVYAAGKAATSGVPSIYAPSTYAHLSPAKTPPPPAMIPMGPAYNGYPGGYPGDVDRSSSAGGQGSYVPLLRDTDSSVASEVRSGYRIQASQQDDSMRVLYYMEKELANFDPSRPGPPSGRVERAMSEVTSLHEDDWRSRPSRGPALTPIRDEEWGGHSPRSPRGWDQEPAREQAGGGWRARRPRARSVDALDDLTPPSTAESGSRSPTSNGGRSRAYMPPRSRSRDDLYDQDDSRDFPRSRDPHYDDFRSRERPPADPRSHHHRTRDPRDNGSRSGDLPYDGRLLEEAVRKKGSEERRRPHKEEEEEAYYPPAPPPYSETDSQASRERRLKKNLALSRESLVV;配列番号48:LSRアイソフォームD分泌変異体の42位〜532位のアミノ酸残基(図1H):IQVTVSNPYHVVILFQPVTLPCTYQMTSTPTQPIVIWKYKSFCRDRIADAFSPASVDNQLNAQLAAGNPGYNPYVECQDSVRTVRVVATKQGNAVTLGDYYQGRRITITGNADLTFDQTAWGDSGVYYCSVVSAQDLQGNNEAYAELIVLVYAAGKAATSGVPSIYAPSTYAHLSPAKTPPPPAMIPMGPAYNGYPGGYPGDVDRSSSAGGQGSYVPLLRDTDSSVASVRSGYRIQASQQDDSMRVLYYMEKELANFDPSRPGPPSGRVERAMSEVTSLHEDDWRSRPSRGPALTPIRDEEWGGHSPRSPRGWDQEPAREQAGGGWRARRPRARSVDALDDLTPPSTAESGSRSPTSNGGRSRAYMPPRSRSRDDLYDQDDSRDFPRSRDPHYDDFRSRERPPADPRSHHHRTRDPRDNGSRSGDLPYDGRLLEEAVRKKGSEERRRPHKEEEEEAYYPPAPPPYSETDSQASRERRLKKNLALSRESLVV;配列番号49:LSRアイソフォームE分泌変異体の42位〜493位のアミノ酸残基(図1I):IQVTVSNPYHVVILFQPVTLPCTYQMTSTPTQPIVIWKYKSFCRDRIADAFSPASVDNQLNAQLAAGNPGYNPYVECQDSVRTVRVVATKQGNAVTLGDYYQGRRITITGMYAAGKAATSGVPSIYAPSTYAHLSPAKTPPPPAMIPMGPAYNGYPGGYPGDVDRSSSAGGQGSYVPLLRDTDSSVASEVRSGYRIQASQQDDSMRVLYYMEKELANFDPSRPGPPSGRVERAMSEVTSLHEDDWRSRPSRGPALTPIRDEEWGGHSPRSPRGWDQEPAREQAGGGWRARRPRARSVDALDDLTPPSTAESGSRSPTSNGGRSRAYMPPRSRSRDDLYDQDDSRDFPRSRDPHYDDFRSRERPPADPRSHHHRTRDPRDNGSRSGDLPYDGRLLEEAVRKKGSEERRRPHKEEEEEAYYPPAPPPYSETDSQASRERRLKKNLALSRESLVV;配列番号50:LSRアイソフォームF分泌変異体の42位〜552位のアミノ酸残基(図1J):IQVTVSNPYHVVILFQPVTLPCTYQMTSTPTQPIVIWKYKSFCRDRIADAFSPASVDNQLNAQLAAGNPGYNPYVECQDSVRTVRVVATKQGNAVTLGDYYQGRRITITGNADLTFDQTAWGDSGVYYCSVVSAQDLQGNNEAYAELIVLGRTSGVAELLPGFQAGPIEVYAAGKAATSGVPSIYAPSTYAHLSPAKTPPPPAMIPMGPAYNGYPGGYPGDVDRSSSAGGQGSYVPLLRDTDSSVASEVRSGYRIQASQQDDSMRVLYYMEKELANFDPSRPGPPSGRVERAMSEVTSLHEDDWRSRPSRGPALTPIRDEEWGGHSPRSPRGWDQEPAREQAGGGWRARRPRARSVDALDDLTPPSTAESGSRSPTSNGGRSRAYMPPRSRSRDDLYDQDDSRDFPRSRDPHYDDFRSRERPPADPRSHHHRTRDPRDNGSRSGDLPYDGRLLEEAVRKKGSEERRRPHKEEEEEAYYPPAPPPYSETDSQASRERRLKKNLALSRESLVV;および上記アミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性、より好ましくは少なくとも90%の配列同一性、さらに好ましくは少なくとも95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有する上記アミノ酸配列の変異体。配列番号10および22は、シグナルペプチドを含むLSR ECDの一例を示す。 上記フラグメントは、少なくとも約100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110個など〜198個の配列番号11および/または143に示したLSRタンパク質細胞外ドメインのアミノ酸から構成されていてもよく、100〜198の範囲の任意の整数で表されるアミノ酸長であってよい。本発明の実施形態の少なくともいくつかによるLSRフラグメントタンパク質は、シグナルペプチド配列を含んでいても含んでいなくてもよく、また、LSR膜貫通ドメインの1、2、3、4、または5個の連続するアミノ酸を含んでいても含んでいなくてもよい。 上記フラグメントは、少なくとも約98、99、100、101、102個など〜180個の配列番号11に示したLSRタンパク質細胞外ドメインのアミノ酸から構成されていてもよく、98〜180の範囲の任意の整数で表されるアミノ酸長であってよい。上記フラグメントは、少なくとも約98個〜118個のLSRタンパク質細胞外ドメインアミノ酸で構成されていることが好ましく、98〜118の範囲の任意の整数で表されるアミノ酸長であってよい。さらに、上記フラグメントは、少なくとも約135個〜155個のLSRタンパク質細胞外ドメインアミノ酸で構成されていることが好ましく、135〜155の範囲の任意の整数で表されるアミノ酸長であってよい。さらに、上記フラグメントは、少なくとも約160個〜180個のLSRタンパク質細胞外ドメインアミノ酸で構成されていることが好ましく、160〜180の範囲の任意の整数で表されるアミノ酸長であってよい。上記フラグメントは、約108個、145個、または170個のアミノ酸で構成されていることがより好ましい。本発明の実施形態の少なくともいくつかによるLSRフラグメントタンパク質は、シグナルペプチド配列を含んでいても含んでいなくてもよく、また、LSR膜貫通ドメインの1、2、3、4、または5個の連続するアミノ酸を含んでいても含んでいなくてもよい。 LSRタンパク質は、細胞外ドメイン内に免疫グロブリンドメインであるIgVドメイン(Vドメイン)を含み、これは抗体の可変ドメインと関連している。Igドメインを、図1E、1F、1G、1Hおよび1Jの配列番号11、13、15、16および18において囲み枠内に示す。細胞外ドメイン内のこのIgドメインは、折りたたまれたタンパク質において通常みられるように、構造機能にとって重要であると考えられるジスルフィド結合をドメイン内のシステイン残基間に1つ含む。配列番号11において、これらのシステイン残基は63位と170位に位置する。 一実施形態では、LSRの可溶性フラグメントが提供される。この可溶性フラグメントは、たとえば後述の融合タンパク質についてのセクションなどに記載する第1の融合パートナーであってもよい。上記フラグメントとして、単独または複数個の本来のレセプターに結合する能力を保持し、かつ/またはT細胞の活性化を抑制する能力を保持するフラグメントが有用である。完全長LSRのフラグメントであるLSRポリペプチドが本来のレセプターと結合する能力および/またはT細胞の活性化を抑制する能力は、通常、完全長LSRの少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、100%であり、さらには100%を超える。可溶性LSRポリペプチドフラグメントは、産生細胞から遊離、分泌、または抽出されてもよいLSRポリペプチドのフラグメントを指す。別の実施形態では、LSRポリペプチドの可溶性フラグメントは、たとえば、単独または複数個の本来のレセプターに結合する能力を保持し、かつ/またはT細胞の活性化を抑制する能力を保持するフラグメントなどの、LSRの生物学的活性を保持するLSR細胞外ドメインのフラグメントを包含する。細胞外ドメインは、膜貫通ドメインの1、2、3、4、または5個の連続するアミノ酸および/またはシグナル配列の1、2、3、4、または5個の連続するアミノ酸を含むことができる。あるいは、細胞外ドメインは、C末端、N末端またはその両方に由来する1、2、3、4または5個以上のアミノ酸を有していてもよい。 実施形態のいくつかにおいて、LSR細胞外ドメインポリペプチドは、配列番号95に示されるIgVドメインのアミノ酸配列、そのフラグメントもしくは変異体、または配列番号11に示される完全長タンパク質のIgVドメイン内の63位と170位に位置する保存されたシステイン残基の間の領域(配列番号102に示される配列:CTYQMTSTPTQPIVIWKYKSFCRDRIADAFSPASVDNQLNAQLAAGNPGYNPYVECQDSVRTVRVVATKQGNAVTLGDYYQGRRITITGNADLTFDQTAWGDSGVYYCに相当)を含む。実施形態のいくつかでは、LSR細胞外ドメインポリペプチドは、配列番号95および102のいずれかに示されるIgVドメインアミノ酸配列から実質的になる。 通常、LSRポリペプチドフラグメントは、シグナル配列をコードする配列を含む核酸から発現される。通常、シグナル配列が未熟なポリペプチドから切断されて、シグナル配列を欠く成熟ポリペプチドが生じる。標準的な分子生物学技術を使用してLSRのシグナル配列を別のポリペプチドのシグナル配列に置換することにより、ポリペプチドの発現レベル、分泌、溶解性または他の特性を変化させることができる。LSRシグナルペプチド配列の置換に使用されるシグナルペプチド配列は、当技術分野で公知のものであってよい。 LSR ECDは、LSR ECDポリペプチドをコードする核酸配列のいずれかをも指してもよく、配列番号12、14、47、48、49、および50のいずれかに示されるLSR ECDポリペプチドをそれぞれコードする配列番号40、41、132、44、155、および188に示される核酸配列、またはこれらのフラグメントもしくは変性変異体(degenerative variant)を指してもよい。 LSR ECDは、オルソロガスなECDポリペプチドを指してもよい。LSR ECDは、配列番号21に示されるマウスLSR ECDポリペプチド、および/または配列番号26に示されるマウスLSR ECD−IgG2a−Fc融合ポリペプチドを指してもよい。LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRポリペプチドの変異体 本発明は、LY6G6Fポリペプチド、VSIG10ポリペプチド、TMEM25ポリペプチド、および/またはLSRポリペプチドの有用な変異体を包含し、このような変異体には、本明細書において後述されるアッセイのいずれかで示されるように、生物学的活性を増強させるもの、またはこれらのタンパク質の半減期の延長または安定性の増加をもたらすものが包含される。可溶性LY6G6Fタンパク質、可溶性VSIG10タンパク質、可溶性TMEM25タンパク質および/もしくは可溶性LSRタンパク質、これらのフラグメント、またはLY6G6Fタンパク質、VSIG10タンパク質、TMEM25タンパク質および/もしくはLSRタンパク質の活性を有する融合物は、生物学的活性が増強されるように改変することができる。さらなる実施形態では、LY6G6Fタンパク質、VSIG10タンパク質、TMEM25タンパク質および/もしくはLSRタンパク質またはこれらの融合タンパク質は、少なくとも1つのアミノ酸の置換、欠失または挿入による修飾を行うことにより、これらの分子と免疫細胞(たとえばT細胞)との結合が増強され、抑制性シグナルがT細胞へと伝達される。他の変異体は、他の免疫細胞と比較して1つのタイプのT細胞に選択的に結合するように改変されたLY6G6Fタンパク質、VSIG10タンパク質、TMEM25タンパク質および/またはLSRタンパク質であってもよい。たとえば、LY6G6Fポリペプチド、VSIG10ポリペプチド、TMEM25ポリペプチドおよび/またはLSRポリペプチドは、Treg細胞、Th0細胞、Th1細胞、Th17細胞、Th2細胞またはTh22細胞と結合するように改変することができる。選択的結合とは、別のタイプの細胞と比較して、1つのタイプの細胞に対する結合性が少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはそれ以上に高いことを指す。さらなる他の変異体として、LY6G6Fタンパク質、VSIG10タンパク質、TMEM25タンパク質および/またはLSRタンパク質を改変して、免疫細胞との結合性を野性型のLY6G6Fタンパク質、VSIG10タンパク質、TMEM25タンパク質および/またはLSRタンパク質よりも弱くすることもできる。このような変異体は、より強力な結合特性を有している変異体と組み合わせて使用して、免疫応答を調節し、適度な効果をもたらすことができる。 さらに必要に応じて、LY6G6Fタンパク質、VSIG10タンパク質、TMEM25タンパク質および/またはLSRタンパク質の変異体は、野性型よりも長い半減期を有するように改変することができる。通常、これらの変異体は酵素による分解に耐えられるように修飾が施される。このような修飾の典型的な例としては、酵素による分解に耐えられるように修飾されたアミノ酸残基およびペプチド結合が挙げられる。このような修飾を達成する様々な修飾方法が当技術分野において知られている。 LY6G6Fタンパク質(配列番号1)はさらに、表Eに示される以下の非サイレントSNP(一塩基多型)を有し(アミノ酸配列におけるこれらの位置および別のアミノ酸を表に示す)、LY6G6Fタンパク質(配列番号1)配列にSNPが存在することは、本発明のこのタンパク質に別の配列が存在することを裏付けている。配列番号58は、このような別の配列の一例であり、別のアミノ酸を有し、以下のSNPの一部分が使用されている。 LSRタンパク質(配列番号11)はさらに、表Fに示される以下の非サイレントSNP(一塩基多型)を有し(アミノ酸配列におけるこれらの位置および別のアミノ酸を表に示す)、LSRタンパク質(配列番号11)配列にSNPが存在することは、本発明のこのタンパク質に別の配列が存在することを裏付けている。配列番号143は、このような別の配列の一例であり、別のアミノ酸を有し、以下のSNPの一部分が使用されている。 VSIG10タンパク質(配列番号3)はさらに、表Gに示される以下の非サイレントSNP(一塩基多型)を有し(アミノ酸配列におけるこれらの位置および別のアミノ酸を表に示す)、VSIG10タンパク質(配列番号3)配列にSNPが存在することは、本発明のこのタンパク質に別の配列が存在することを裏付けている。 TMEM25タンパク質(配列番号7)はさらに、表Hに示される以下の非サイレントSNP(一塩基多型)を有し(アミノ酸配列におけるこれらの位置および別のアミノ酸を表に示す)、TMEM25タンパク質(配列番号1)配列にSNPが存在することは、本発明のこのタンパク質に別の配列が存在することを裏付けている。 本発明の様々な態様を以下のサブセクションにおいてさらに詳細に説明する。核酸 本明細書において、「核酸フラグメント」、「オリゴヌクレオチド」または「ポリヌクレオチド」という用語は区別なく使用され、核酸残基のポリマーを指す。本発明のポリヌクレオチド配列は、RNA配列の形態で単離および提供される一本鎖または二本鎖核酸配列、相補的なポリヌクレオチド配列(cDNA)、ゲノムポリヌクレオチド配列、および/または複合ポリヌクレオチド配列(たとえば上記ポリヌクレオチドの組み合わせ)を指す。 したがって、本発明は、上述した核酸配列;これらのフラグメント;これらとハイブリダイズ可能な配列;これらと相同性を有する配列[たとえば、本明細書に記載の核酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、96%、97%、98%または99%以上の同一性を有する配列];コドン使用頻度が異なるが類似したポリペプチドをコードする配列;ランダムにもしくは標的を定めた方法で、自然発生的もしくは人為的に誘導された1つ以上のヌクレオチドの欠失、挿入または置換などの変異によって改変された配列を包含する。本発明はさらに、本発明のポリヌクレオチドに特有の配列領域を含む、相同な核酸配列(すなわち、本発明のポリヌクレオチド配列の一部分を構成する配列)を包含する。 したがって、本発明はさらに、本発明のポリヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドを包含する。本発明はさらにこれらのポリペプチドのホモログを包含し、このようなホモログは、後述するアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、96%、97%、98%または99%以上の相同性を有していてもよく、このような相同性は、National Center of Biotechnology Information(NCBI)のBlastPソフトウェアを初期パラメータで使用して決定することができる。上述したように、本発明の生体分子配列は、組織マーカーまたは疾患マーカーとして、および疾患を治療または予防するための薬剤候補または薬剤標的として効果的に利用することができる。 本明細書により提供される配列のいずれかに関連した本発明の方法を実施するために設計された(上述したように設計された)オリゴヌクレオチドは、酵素的合成または固相合成などの当技術分野で知られている任意のオリゴヌクレオチド合成法によって作成することができる。本発明のこの態様にしたがって使用されるオリゴヌクレオチドは、約10〜約200塩基の範囲から選択される長さを有するものであり、好ましくは約15〜約150塩基、より好ましくは約20〜約100塩基、最も好ましくは約20〜約50塩基の長さを有するものである。 本発明のオリゴヌクレオチドは、3’−5’ホスホジエステル結合より結合されたプリン塩基およびピリミジン塩基からなるヘテロ環式ヌクレオシドを含んでいてもよい。 以下に概説するように、骨格、ヌクレオシド間結合または塩基のいずれかにおいて修飾されているオリゴヌクレオチドが好ましい。このような修飾によって、オリゴヌクレオチドの吸収が促進され、かつ細胞内環境に対する抵抗性が高められることが多い。 本発明のこの態様によれば、有用かつ好ましいオリゴヌクレオチドとして、具体的には、修飾骨格または非天然のヌクレオシド間結合を含むオリゴヌクレオチドが挙げられる。修飾主鎖を有するオリゴヌクレオチドとして、骨格中にリン原子を保持するものが挙げられ、このような骨格は米国特許第4,469,863号;第4,476,301号;第5,023,243号;第5,177,196号;第5,188,897号;第5,264,423号;第5,276,019号;第5,278,302号;第5,286,717号;第5,321,131号;第5,399,676号;第5,405,939号;第5,453,496号;第5,455,233号;第5,466,677号;第5,476,925号;第5,519,126号;第5,536,821号;第5,541,306号;第5,550,111号;第5,563,253号;第5,571,799号;第5,587,361号;および第5,625,050号に開示されている。 好ましい修飾オリゴヌクレオチド骨格としては、たとえば、ホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、3’−アルキレンホスホナートおよびキラルホスホナートを含むメチルホスホナートおよび他のアルキルホスホナート、ホスフィナート、3’−アミノホスホロアミダートおよびアミノアルキルホスホロアミダートを含むホスホロアミダート、チオノホスホロアミダート、チオノアルキルホスホナート、チオノアルキルホスホトリエステル、通常3’−5’結合を有するボラノホスファート、これらの2’−5’結合アナログ、ヌクレオシド単位の隣接した対が3’−5’と5’−3’または2’−5’と5’−2’とで結合している逆の極性を有するものが挙げられる。各種の塩、混合塩および遊離酸形態も使用することができる。 あるいは、リン原子を含まない修飾オリゴヌクレオチド骨格は、短鎖アルキルヌクレオシドまたは短鎖シクロアルキルヌクレオシド間の結合、異種ヘテロ原子を有するアルキルまたはシクロアルキルヌクレオシド間の結合、または短鎖ヘテロ原子ヌクレオシドまたは短鎖ヘテロ環式ヌクレオシド間の1以上の結合によって形成された骨格を有する。上記の骨格として、さらに、(その一部分がヌクレオシドの糖部分から形成された)モノホリノ結合を有する骨格;シロキサン骨格;スルフィド骨格、スルホキシド骨格、およびスルホンの骨格;ホルムアセチル骨格およびチオホルムアセチル骨格;メチレンホルムアセチル骨格およびメチレンチオホルムアセチル骨格;アルケンを含む骨格;スルファマート骨格;メチレンイミノ骨格およびメチレンヒドラジノ骨格;スルホナート骨格およびスルホンアミド骨格;アミド骨格;ならびに、構成要素であるN、O、SおよびCH2が混在している他の骨格が挙げられ、このような骨格は、米国特許第5,034,506号;第5,166,315号;第5,185,444号;第5,214,134号;第5,216,141号;第5,235,033号;第5,264,562号;第5,264,564号;第5,405,938号;第5,434,257号;第5,466,677号;第5,470,967号;第5,489,677号;第5,541,307号;第5,561,225号;第5,596,086号;第5,602,240号;第5,610,289号;第5,602,240号;第5,608,046号;第5,610,289号;第5,618,704号;第5,623,070号;第5,663,312号;第5,633,360号;第5,677,437号;および第5,677,439号に開示されている。 本発明に従って使用することができる他のオリゴヌクレオチドは、糖およびヌクレオシド間結合の両方が修飾されたもの、すなわち、ヌクレオチド単位の骨格が新たな基で置換されたものである。塩基単位は、適切なポリヌクレオチド標的との相補性のために保持されている。このようなオリゴヌクレオチドミメティックの一例として、ペプチド核酸(PNA)が挙げられる。PNAオリゴヌクレオチドとは、糖骨格がアミド含有骨格と置換されたオリゴヌクレオチドを指し、具体的には、アミノエチルグリシン骨格が挙げられる。塩基は保持され、骨格のアミド部分のアザ窒素原子に直接的または間接的に結合されている。PNA化合物の調製を教示する米国特許文献として、米国特許第5,539,082号;第5,714,331号;および第5,719,262号が挙げられるが、これらに限定されず、これらは参照により本明細書に組み込まれる。本発明において使用することができる他の骨格修飾は、米国特許第6,303,374号に開示されている。 本発明のオリゴヌクレオチドはさらに塩基の修飾または置換を含んでいてもよい。本明細書において「非修飾」または「天然の」塩基は、プリン塩基であるアデニン(A)およびグアニン(G)、ならびにピリミジン塩基であるチミン(T)、シトシン(C)およびウラシル(U)を含む。修飾塩基としては、他の合成塩基および天然塩基、たとえば、5−メチルシトシン(5−me−C);5−ヒドロキシメチルシトシン;キサンチン;ヒポキサンチン;2−アミノアデニン;6−メチルアデニンおよびアデニンの他のアルキル誘導体とグアニン;2−プロピルアデニンおよびアデニンの他のアルキル誘導体とグアニン;2−チオウラシル;2−チオチミンと2−チオシトシン;5−ハロウラシルとシトシン;5−プロピニルウラシルとシトシン;6−アゾウラシル;シトシンとチミン;5−ウラシル(シュードウラシル);4−チオウラシル;8−ハロアデニン、8−アミノアデニン、8−チオールアデニン、8−チオアルキルアデニン、8−ヒドロキシルアデニンおよび他の8位置換アデニンとグアニン;5−ハロウラシル、特に5−ブロモウラシル、5−トリフルオロメチルウラシルおよび他の5位置換ウラシルとシトシン;7−メチルグアニンと7−メチルアデニン;8−アザグアニンと8−アザアデニン;7−デアザグアニンと7−デアザアデニン;ならびに3−デアザグアニンと3−デアザアデニンが挙げられるが、これらに限定されない。このような塩基としては、さらに、米国特許第3,687,808号に開示されているもの、The Concise Encyclopedia Of Polymer Science and Engineering, pages 858-859, Kroschwitz, J. I., ed. John Wiley & Sons, 1990に開示されているもの、Englisch et al., Angewandte Chemie, International Edition, 1991, 30, 613に開示されているもの、およびSanghvi, Y. S., Chapter 15, Antisense Research and Applications, pages 289-302, Crooke, S. T. and Lebleu, B., ed., CRC Press, 1993に開示されているものが挙げられる。このような塩基は、本発明の実施形態の少なくともいくつかによるオリゴマー化合物の結合親和性を高めるのに特に有用である。さらに、このような塩基として、5位置換ピリミジン、6−アザピリミジン、およびN2位置換プリン、N6置換プリンおよびO6位置換プリンが挙げられ、このようなものとして、2−アミノプロピルアデニン、5−プロピニルウラシル、および5−プロピニルシトシンが挙げられる。5−メチルシトシンによる置換は、核酸二本鎖の安定性を0.6〜1.2℃高めることが示されており、[Sanghvi YS et al. (1993) Antisense Research and Applications, CRC Press, Boca Raton 276-278]現在、この塩基による置換が好ましいとされ、特に、2’−O−メトキシエチルによる糖修飾と組み合わせると、安定性をさらに増強することができる。 本発明の実施形態の少なくともいくつかによるオリゴヌクレオチドの別の修飾においては、オリゴヌクレオチドを1つ以上の成分または結合体に化学的に結合させることによって、オリゴヌクレオチドの活性、細胞内分布または細胞による吸収を増強する。このような成分として、米国特許第6,303,374号に開示されているように、コレステロール成分、コール酸、チオエテール(たとえばヘキシル−S−トリチルチオール)、チオコレステロール、脂肪族鎖(たとえばドデカンジオール残基またはウンデシル残基)、リン脂質(たとえばジ−ヘキサデシル−rac−グリセロールまたはトリエチルアンモニウム 1,2−ジ−O−ヘキサデシル−rac−グリセロ−3−H−ホスホナート)、ポリアミン、ポリエチレングリコール鎖、アダマンタン酢酸、パルミチル成分、オクタデシルアミン、およびヘキシルアミノ−カルボニル−オキシコレステロール成分などの脂質成分が挙げられるが、これらに限定されない。 オリゴヌクレオチド分子のすべての位置を均一に修飾する必要はなく、また、単一の化合物またはオリゴヌクレオチド内の単一のヌクレオシドにおいて上記の修飾の2つ以上を組み合わせてもよい。ペプチド 本明細書において、「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」という用語は区別なく使用され、アミノ酸残基のポリマーを指す。この用語は、天然のアミノ酸ポリマーだけでなく、1個以上のアミノ酸残基が、天然のアミノ酸の対応アミノ酸残基のアナログまたはミメティックであるアミノ酸ポリマーにも使用される。ポリペプチドは修飾することができ、たとえば糖鎖残基を付加して糖タンパク質を形成させることができる。「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」は、非糖タンパク質だけでなく、糖タンパク質をも包含する。 ポリペプチド産物は、標準的な固相法の使用などにより生化学的に合成することができる。このような方法として、排除固相合成、部分的固相合成法、フラグメント縮合、古典的な溶液合成が挙げられる。これらの方法は、ペプチドが比較的短い(すなわち10kDa)場合、および/または組換え技術によってペプチドを製造できず(すなわち核酸配列によってコードされていない)他の化学技術が必要とされる場合に使用することが好ましい。 固相ポリペプチド合成法は当技術分野においてよく知られており、John Morrow Stewart and Janis Dillaha Young, Solid Phase Peptide Syntheses (2nd Ed., Pierce Chemical Company, 1984)に詳細に記載されている。 合成されたポリペプチドは分取高速液体クロマトグラフィーにより精製することができ[Creighton T. (1983) Proteins, structures and molecular principles. WH Freeman and Co. N.Y.]、合成されたポリペプチドの組成はアミノ酸配列決定法により確認することができる。 大量のポリペプチドが必要とされる場合、Bitter et al., (1987) Methods in Enzymol. 153:516-544, Studier et al. (1990) Methods in Enzymol. 185:60-89, Brisson et al. (1984) Nature 310:511-514, Takamatsu et al. (1987) EMBO J. 6:307-311, Coruzzi et al. (1984) EMBO J. 3:1671-1680 および Brogli et al., (1984) Science 224:838-843, Gurley et al. (1986) Mol. Cell. Biol. 6:559-565に記載されているような組換え技術を使用して作成することができる。 本発明の教示に従って同定されたペプチドが、ペプチドミメティックだけでなく、分解産物、合成ペプチドまたは組換ペプチドであってもよいこと、ならびに、通常、該同定されたペプチドが、たとえば体内中のペプチドをより安定化させるような修飾、またはより多くのペプチドが細胞に移行可能となるような修飾を有していてもよい、ペプチドのアナログである合成ペプチド、ペプトイドおよびセミペプトイドであってもよいことは十分に理解されるであろう。このような修飾として、N末端修飾、C末端修飾、およびペプチド結合修飾が挙げられるが、これらに限定されず、このようなものとして、CH2−NH、CH2−S、CH2−S=O、O=C−NH、CH2−O、CH2−CH2、S=C−NH、CH=CHまたはCF=CH、骨格修飾および残基修飾が挙げられるが、これらに限定されない。ペプチドミメティック化合物を調製する方法は当技術分野においてよく知られており、たとえば、Quantitative Drug Design, C.A. Ramsden Gd., Chapter 17.2, F. Choplin Pergamon Press (1992)(その全体が本明細書に記載されているかのように参照により本明細書に組み込まれる)において詳細に記載されている。これに関する詳細は以下でさらに説明する。 ペプチド内のペプチド結合(−CO−NH−)は、たとえば、N−メチル化結合(−N(CH3)−CO−)、エステル結合(−C(R)H−C−O−O−C(R)−N−)、ケトメチレン結合(−CO−CH2−)、α−アザ結合(−NH−N(R)−CO−)(式中、Rは任意のアルキル(たとえばメチル)を表す)、カルバ結合(−CH2−NH−)、ヒドロキシエチレン結合(−CH(OH)−CH2−)、チオアミド結合(−CS−NH−)、オレフィン二重結合(−CH=CH−)、レトロアミド結合(−NH−CO−)、またはペプチド誘導体(−N(R)−CH2−CO−)(式中、Rは自然界の炭素原子上に存在する「通常の」側鎖を表す)で置換されていてもよい。 これらの修飾は、ペプチド鎖に沿った結合のいずれに施されてもよく、同時に数箇所(2〜3箇所)に施されてもよい。 天然の芳香族アミノ酸(Trp、TyrおよびPhe)は、フェニルグリシン、TIC、ナフチルアラニン(Nol)、Pheの環メチル化誘導体、Pheのハロゲン化誘導体、またはo−メチル−Tyrなどの合成非天然酸で置換されていてもよい。 上記のものに加えて、本発明のペプチドはさらに、1以上の修飾アミノ酸または1以上の非アミノ酸モノマー(たとえば脂肪酸、複合糖質など)を包含してもよい。 本明細書および請求項において、「アミノ酸」は、20種の天然アミノ酸;インビボにおいて翻訳後に修飾されることの多いアミノ酸(たとえば、ヒドロキシプロリン、ホスホセリンおよびホスホトレオニンが挙げられる);ならびに他の異常アミノ酸(2−アミノアジピン酸、ヒドロキシリシン、イソデスモシン、ノルバリン、ノルロイシンおよびオルニチンが挙げられるが、これらに限定されない)を包含すると理解される。さらに、「アミノ酸」はD−アミノ酸およびL−アミノ酸の両方を包含する。 本発明のペプチドは治療に利用されることが好ましいため、可溶形態であることが必要であり、したがって、本発明のペプチドは、1以上の非天然または天然の極性アミノ酸を含むことが好ましく、このようなアミノ酸として、ヒドロキシル含有側鎖を有することからペプチド溶解性を増加させることができるセリンおよびトレオニンが挙げられるが、これらに限定されない。発現系 本発明のポリヌクレオチドの細胞発現を可能にするため、本発明による核酸構築物を使用してもよく、この核酸構築物は、上記の核酸配列のうちの1つをコードするコード領域を少なくとも1つ含み、さらにシス作用調節エレメントを少なくとも1つ包む。本明細書において「シス作用調節エレメント」は、ポリヌクレオチド配列、好ましくはプロモーターを指し、これは、トランス作用調節因子と結合して、トランス作用調節因子の下流に位置するコード配列の転写を調節する。 適切なプロモーター配列はいずれも本発明の核酸構築物に使用することができる。 本発明の核酸構築物に利用されるプロモーターは、形質転換された特定の細胞集団において活性を有することが好ましい。細胞種特異的および/または組織特異的プロモーターとしては、肝臓特異的アルブミン[Pinkert et al., (1987) Genes Dev. 1:268-277]、リンパ組織特異的プロモーター[Calame et al., (1988) Adv. Immunol. 43:235-275]、具体的にはT細胞レセプターのプロモーター[Winoto et al., (1989) EMBO J. 8:729-733]、および免疫グロブリン[Banerji et al. (1983) Cell 33 729-740]などのプロモーター;ニューロフィラメントプロモーター[Byrne et al. (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:5473-5477]、膵臓特異的プロモーター[Edlunch et al. (1985) Science 230:912-916]などのニューロン特異的プロモーター;およびミルクホエイプロモーター(米国特許第4,873,316号および欧州特許出願公開第264,166号)などの乳腺特異的プロモーターが挙げられる。本発明の核酸構築物はエンハンサーをさらに含んでもよく、このエンハンサーはプロモーター配列に隣接していてもプロモーター配列から離れていてもよく、プロモーター配列からの転写をアップレギュレートする機能を発揮することができる。 本発明の核酸構築物は、適切な選択可能マーカーおよび/または複製開始点をさらに含むことが好ましい。使用される核酸構築物は、大腸菌中での増殖が可能であり(構築物が適切な選択可能マーカーおよび複製開始点を含む)、かつ、細胞中での増殖または選択した遺伝子および組織への組み込みが可能なシャトルベクターであることが好ましい。本発明による構築物は、たとえば、プラスミド、バクミド、ファージミド、コスミド、ファージ、ウイルス、または人工染色体であってもよい。 適切な構築物としては、pcDNA3、pcDNA3.1(+/−)、pGL3、PzeoSV2(+/−)、pDisplay、pEF/myc/cyto、およびpCMV/myc/cytoが挙げられるが、これらに限定されず、これらはそれぞれインビトロジェン社(www.invitrogen.com)から入手可能である。レトロウイルスベクターおよびパッケージングシステムとしては、クロンテック社(カリフォルニア州、サンディエゴ)より市販されているものが挙げられ、これにはRetro−Xベクター(pLNCXおよびpLXSN)が含まれており、複数のクローニングサイトへのクローニングが可能であり、導入遺伝子がCMVプロモーターから転写される。また、導入遺伝子が5’LTRプロモーターから転写されるpBabeなどのMo−MuLV由来ベクターも挙げられる。 現在好ましいインビボ核酸移入技術としては、アデノウイルス、レンチウイルス、単純ヘルペスウイルス1型またはアデノ関連ウイルス(AAV)および脂質ベースのシステムなどのウイルス構築物または非ウイルス構築物を用いたトランスフェクションが挙げられる。遺伝子の脂質媒介移入に有用な脂質は、たとえば、DOTMA、DOPEおよびDC−Chol[Tonkinson et al., Cancer Investigation, 14(1): 54-65 (1996)]である。遺伝子治療に使用するのに最も好ましい構築物はウイルスであり、アデノウイルス、AAV、レンチウイルスまたはレトロウイルスが最も好ましい。レトロウイルス構築物などのウイルス構築物は、転写プロモーター/エンハンサーもしくは座位決定エレメント、または選択的スプライシング、核RNA輸出、メッセンジャーの翻訳後修飾などの他の手段によって遺伝子発現を制御する他の成分を少なくとも1つ含む。このようなベクター構築物は、パッケージングシグナル、長い末端反復配列(LTR)もしくはこの一部分、ならびに使用するウイルスに適したプラス鎖およびマイナス鎖プライマー結合部位を(これらがウイルス構築物中に既に含まれていない場合)さらに含む。さらに、このような構築物は、通常、これらが導入されている宿主細胞からペプチドを分泌させるためのシグナル配列を含む。この目的のためのシグナル配列は、哺乳動物のシグナル配列または本発明のポリペプチドのシグナル配列であることが好ましい。必要に応じて、構築物は、ポリアデニル化をもたらすシグナル、1つ以上の制限部位、および翻訳終止配列を含んでいてもよい。一例として、このような構築物は、通常、5’LTR、tRNA結合部位、パッケージングシグナル、第2鎖DNA合成の起点、および3’LTRもしくはその一部分を含むであろう。使用可能な他のベクターは、陽イオン性脂質、ポリリシンおよびデンドリマーなどの非ウイルス性のものである。組換え発現ベクターおよび宿主細胞 本発明の別の態様は、本発明の実施形態の少なくともいくつかによるタンパク質をコードする核酸を含むベクター、好ましくは発現ベクター、またはその誘導体、フラグメント、アナログもしくはホモログに関する。本明細書において「ベクター」は、自体に連結された別の核酸を輸送することができる核酸分子を指す。ベクターの種類は、プラスミドおよびウイルスベクターである。特定のベクターは自体が導入された宿主細胞において自律複製できる(たとえば、細菌由来の複製能を有する細菌性ベクター、および哺乳動物由来のエピソームベクター)。他のベクター(たとえば哺乳動物由来の非エピソームベクター)は、宿主細胞に導入されると宿主細胞のゲノムに組み込まれるため、宿主ゲノムとともに複製される。さらに、特定のベクターは、自体が機能可能に連結された遺伝子の発現を制御することができる。このようなベクターは本明細書において「発現ベクター」と呼ばれる。本発明は、このような形態の発現ベクター(たとえば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ関連ウイルスなどのプラスミド、ウイルスベクターなど)を包含することを意図されたものであり、このようなベクターも同等の機能を有する。 本発明の実施形態の少なくともいくつかによる組換え発現ベクターは、宿主細胞における発現に適した形態の、本発明の実施形態の少なくともいくつかによる核酸を含む。このことは、該組換え発現ベクターが、発現に使用される宿主細胞に基づいて選択された調節配列を1つ以上含み、この調節配列が、発現される核酸配列に機能可能に連結されていることを意味する。組換え発現ベクター内において「自体の機能が発揮できるように連結された」は、(たとえば、インビトロ転写/翻訳システム、またはベクターが導入された宿主細胞において)ヌクレオチド配列が発現可能となるように、目的のヌクレオチド配列が調節配列に連結されていることを意味すると意図される。 「調節配列」は、プロモーター、エンハンサーおよび他の発現調節エレメント(たとえばポリアデニル化シグナル)を包含すると意図される。このような調節配列は、たとえば、Goeddel, Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, Calif. (1990)に記載されている。調節配列には、数多くの種類の宿主細胞においてヌクレオチド配列の構成的活性化を制御するもの、および特定の宿主細胞のみにおいてヌクレオチド配列の発現を制御するもの(たとえば組織特異的調節配列)が包含される。発現ベクターの設計が、形質転換される宿主細胞の選択、所望のタンパク質発現レベルなどの因子によって左右されうることは当業者によって十分に理解されるであろう。本発明の実施形態の少なくともいくつかによる発現ベクターを、宿主細胞に導入することによって、本明細書に記載の核酸にコードされているタンパク質またはペプチド(融合タンパク質またはペプチドを包含する)を作製することができる。 本発明の実施形態の少なくともいくつかによる組換え発現ベクターは、原核細胞または真核細胞においてタンパク質異性体が産生されるように設計することができる。たとえば、本発明の実施形態の少なくともいくつかによるタンパク質は、大腸菌などの細菌細胞、(バキュロウイルス発現ベクターを使用して)昆虫細胞、酵母菌細胞または哺乳動物細胞において発現させることができる。適切な宿主細胞は、Goeddel, Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, Calif. (1990)においてさらに詳細に説明されている。あるいは、組換え発現ベクターは、たとえばT7プロモーター調節配列およびT7ポリメラーゼを使用するなどして、インビトロにおいて転写および翻訳することもできる。 原核細胞におけるタンパク質の発現は、融合タンパク質または非融合タンパク質のいずれかの発現を制御する構成的プロモーターまたは誘導的プロモーターを含むベクターを用いて大腸菌において実施されることが最も多い。融合ベクターは、自体にコードされたタンパク質(組換えタンパク質のアミノ末端またはC末端)に数多くのアミノ酸を付加する。このような融合ベクターは、通常、以下の3つの目的で使用される。(i)組換えタンパク質の発現を増加させる。(ii)組換えタンパク質の溶解性を増加させる。(iii)アフィニティー精製におけるリガンドとして作用することにより組換えタンパク質の精製を補助する。融合発現ベクターにおいては、タンパク質の分解を生じる切断部位が融合部分と組換えタンパク質との接合部に導入されることによって、融合部分からの組換えタンパク質の分離およびそれに続く融合タンパク質の精製が可能となることが多い。このような酵素およびそれらに対応する認識配列としては、Factor Xa、トロンビン、PreScission、TEVおよびエンテロキナーゼが挙げられる。典型的な融合発現ベクターとしては、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、マルトースE結合タンパク質、またはプロテインAを標的組換えタンパク質に融合させる、pGEX(ファルマシア・バイオテク社;Smith and Johnson, 1988. Gene 67: 31-40)、pMAL(ニュー・イングランド・バイオラボ(マサチューセッツ州ベヴァリー))、およびpRIT5(ファルマシア社(ニュージャージー州ピスカタウェイ))が挙げられる。 別の実施形態では、本発明のタンパク質をコードする発現ベクターは酵母発現ベクターである。酵母であるサッカロミセス・セレビシエにおいて発現させるためのベクターとしては、pYepSec1(Baldari, et al., 1987. EMBO J. 6: 229-234)、pMFa(Kurjan and Herskowitz, 1982. Cell 30: 933-943)、pJRY88(Schultz et al., 1987. Gene 54: 113-123)、pYES2(インビトロジェン社(カリフォルニア州サンディエゴ))、およびpicZ(インビトロジェン社(カリフォルニア州サンディエゴ))が挙げられる。 あるいは、本発明のポリペプチドは、バキュロウイルス発現ベクターを用い昆虫細胞において産生させることができる。培養昆虫細胞(たとえばSF9細胞)におけるタンパク質の発現に利用できるバキュロウイルスベクターとしては、pAcシリーズ(Smith, et al., 1983. Mol. Cell. Biol. 3: 2156-2165)およびpVLシリーズ(Lucklow and Summers, 1989. Virology 170: 31-39)が挙げられる。 さらに別の実施形態では、本発明の核酸は哺乳動物発現ベクターを用い哺乳動物細胞において発現される。哺乳動物発現ベクターとしては、pCDM8(Seed, 1987. Nature 329: 840)、pMT2PC(Kaufman, et al., 1987. EMBO J. 6: 187-195)、pIRESpuro(クロンテック)、pUB6(インビトロジェン)、pCEP4(インビトロジェン)pREP4(インビトロジェン)、およびpcDNA3(インビトロジェン)が挙げられる。哺乳動物細胞において使用される場合、発現ベクターの制御機能はウイルスの調節エレメントにより提供されることが多い。たとえば、一般的に使用されるプロモーターは、ポリオーマウイルス、アデノウイルス2型、サイトメガロウイルス、ラウス肉腫ウイルス、またはシミアンウイルス40に由来する。原核細胞および真核細胞の両方に適した他の発現系については、たとえば、Sambrook, et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual. 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989の16章および17章を参照されたい。 別の実施形態では、組換えの哺乳動物発現ベクターは、選択的に特定の細胞種において核酸の発現を制御することができる(たとえば、組織特異的調節エレメントを使用して核酸を発現する)。組織特異的調節エレメントは当技術分野において知られている。適切な組織特異的プロモーターとしては、アルブミンプロモーター(肝臓特異的; Pinkert, et al., 1987. Genes Dev. 1: 268-277);リンパ組織特異的プロモーター(Calame and Eaton, 1988. Adv. Immunol. 43: 235-275)、具体的にはT細胞レセプターのプロモーター(Winoto and Baltimore, 1989. EMBO J. 8: 729-733);免疫グロブリン(Banerji, et al., 1983. Cell 33: 729 740; Queen and Baltimore, 1983. Cell 33: 741-748);ニューロン特異的プロモーター(たとえばニューロフィラメントプロモーター; Byrne and Ruddle, 1989. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86: 5473-5477);膵臓特異的プロモーター(Edlund, et al., 1985. Science 230: 912-916);および乳腺特異的プロモーター(たとえばミルクホエイプロモーター;米国特許第4,873,316号および欧州特許出願公開第264,166号)が挙げられるが、これらに限定されない。発達段階に応じて調節されるプロモーターには、たとえば、マウスhoxプロモーター(Kessel and Gruss, 1990. Science 249: 374-379)およびα−フェトプロテインプロモーター(Campes and Tilghman, 1989. Genes Dev. 3: 537-546)も包含される。 実施形態の少なくともいくつかによれば、本発明はさらに、アンチセンス方向にクローニングされた本発明の実施形態の少なくともいくつかによるDNA分子を含む組換え発現ベクターを提供する。すなわち、このDNA分子は調節配列に機能可能に連結されており、本発明の実施形態の少なくともいくつかによるタンパク質をコードするmRNAに対してアンチセンスであるRNA分子が(該DNA分子の転写により)発現可能となる。アンチセンス方向にクローニングされた核酸に機能可能に連結された調節配列として、様々な細胞種において該アンチセンスRNA分子の連続発現を制御するもの(たとえば、ウイルスのプロモーターおよび/またはエンハンサー)を選択することができ、または、アンチセンスRNAの構成的な組織特異的または細胞種特異的発現を制御する調節配列を選択することができる。アンチセンス発現ベクターは、高効率調節領域の制御下でアンチセンス核酸を作製する組換えプラスミド、ファージミドまたは弱毒化ウイルスの形態とすることができ、その活性は該ベクターが導入される細胞種によって決定することができる。アンチセンス遺伝子を使用した遺伝子発現調節に関する論考については、たとえば、Weintraub, et al.,“Antisense RNA as a molecular tool for genetic analysis,” Reviews Trends in Genetics, Vol. 1(1) 1986を参照されたい。 実施形態の少なくともいくつかによれば、本発明は、本発明の実施形態の少なくともいくつかによる組換え発現ベクターが導入された宿主細胞に関する。本明細書において、「宿主細胞」および「組換え宿主細胞」という用語は区別なく使用される。この用語は、特定の対象細胞だけでなく、このような細胞の子孫または将来的に生じる子孫をも指すと理解される。変異または外界の影響のいずれかにより特定の変化が後の世代に起こる可能性があり、実際にこのような子孫は親細胞と同一ではないが、本明細書におけるこれらの用語の範囲内に含まれる。 宿主細胞は原核細胞または真核細胞であればどのようなものでもよい。たとえば、本発明の実施形態の少なくともいくつかによるタンパク質は、大腸菌などの細菌細胞、昆虫細胞、酵母細胞、植物細胞、または哺乳動物細胞(チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)、COS細胞、293細胞など)において産生させることができる。他の適切な宿主細胞は当業者に知られている。 ベクターDNAは、慣用の形質転換技術またはトランスフェクション技術によって原核細胞または真核細胞に導入することができる。本明細書において「形質転換」および「トランスフェクション」は、外来性核酸(たとえばDNA)を宿主細胞に導入するための、当技術分野で公知の様々な技術技術を指すと意図され、このような技術として、リン酸カルシウムまたは塩化カルシウム共沈殿、DEAE−デキストラン媒介トランスフェクション、リポフェクション、およびエレクトロポレーションが挙げられる。宿主細胞を形質転換またはトランスフェクトするのに適した方法は、Sambrookら(Molecular Cloning: A Laboratory Manual. 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989)および他の実験マニュアルに記載されている。 哺乳動物細胞の安定したトランスフェクションについては、使用する発現ベクターおよびトランスフェクション技術によっては、細胞のごく一部のみしか外来性DNAをゲノムに組み込まない可能性があることが知られている。外来性DNAが組み込まれた細胞を同定および選択するため、通常、選択可能なマーカー(たとえば抗生物質耐性)をコードする遺伝子を目的遺伝子とともに宿主細胞に導入する。様々な選択マーカーとして、G418、ハイグロマイシン、ピューロマイシン、ブラストサイジンおよびメトトレキサートなどの薬剤に対する耐性を付与するものが挙げられる。選択可能なマーカーをコードする核酸は、本発明の実施形態の少なくともいくつかによるタンパク質をコードするベクターに乗せて宿主細胞に導入することができ、または、別のベクターに乗せて導入することもできる。導入された核酸により安定にトランスフェクトされた細胞は、薬剤選択によって同定することができる(たとえば、選択可能なマーカー遺伝子が組み込まれた細胞は生存し、組み込まれなかった細胞は死滅するであろう)。 培養物中の原核宿主細胞または真核宿主細胞のなどの、本発明の実施形態の少なくともいくつかによる宿主細胞は、本発明の実施形態の少なくともいくつかによるタンパク質を産生させる(すなわち発現させる)ために使用することができる。したがって、本発明はさらに、本発明の実施形態の少なくともいくつかによる宿主細胞を使用して、本発明の実施形態の少なくともいくつかによるタンパク質を作製する方法を提供する。一実施形態では、この方法は、適切な培地中において(本発明の実施形態の少なくともいくつかによるタンパク質をコードする組換え発現ベクターが導入された)本発明の宿主細胞を培養し、本発明の実施形態の少なくともいくつかによるタンパク質を産生させることを含む。別の実施形態では、この方法はさらに、本発明の実施形態の少なくともいくつかによるタンパク質を培地または宿主細胞から単離することを含む。 タンパク質を効率的に作製するためには、本発明の実施形態の少なくともいくつかによるタンパク質をコードするヌクレオチド配列を、所望の宿主における発現のために最適化された発現制御配列の制御下に置くことが好ましい。たとえば、発現制御配列は、最適化された転写調節配列および/または翻訳調節配列(改変されたコザック配列など)を含んでいてもよい。 本発明の実施形態の少なくともいくつかによれば、本発明の実施形態の少なくともいくつかによるLY6G6Fタンパク質、VSIG10タンパク質、TMEM25タンパク質および/またはLSRタンパク質は、天然のポリペプチドとして単離されてもよく、天然物、合成物、半合成物、組換え物などの任意のペプチド源から単離されてもよいことに注目すべきである。したがって、LY6G6Fタンパク質、VSIG10タンパク質、TMEM25タンパク質および/またはLSRタンパク質は任意の生物種、特に哺乳動物から天然のタンパク質として単離されてもよく、哺乳動物としては、ウシ、ヒツジ、ブタ、マウス、ウマ、好ましくはヒトが挙げられる。あるいは、LY6G6Fタンパク質、VSIG10タンパク質、TMEM25タンパク質および/またはLSRタンパク質は、原核宿主細胞または真核宿主細胞において発現された組換えポリペプチドとして単離されてもよく、化学的に合成されたポリペプチドとして単離されてもよい。 当業者であれば、標準的な単離方法を使用して、単離されたLY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRタンパク質を容易に得ることができる。単離方法の特徴および単離の程度は、単離源および単離される分子の用途に左右されるであろう。トランスジェニック動物および植物 実施形態の少なくともいくつかによれば、本発明はさらに、本発明の実施形態の少なくともいくつかによるポリペプチドを作製するために使用してもよい、本発明の実施形態の少なくともいくつかによる核酸分子を1つ以上含むトランスジェニック非ヒト動物およびトランスジェニック植物を提供する。本発明のポリペプチドは、ヤギ、ウシ、ウマ、ブタ、ラット、マウス、ウサギ、ハムスターまたは他の哺乳動物に由来する組織中、またはこれらの動物から得られる乳汁、血液または尿などの体液中に作製され、これらから回収することができる。たとえば、米国特許第5,827,690号、第5,756,687号、第5,750,172号、および第5,741,957号を参照されたい。 非ヒトトランスジェニック動物およびトランスジェニック植物は、標準的なトランスジェニック技術によって動物または植物に本発明の実施形態の少なくともいくつかによる核酸分子を1つ以上導入することにより作製される。トランスジェニック動物を作製するのために使用されるトランスジェニック細胞は、胚性幹細胞、体細胞または受精卵細胞であってよい。非ヒトトランスジェニック生物は、キメラヘテロ接合体、非キメラヘテロ接合体、または非キメラホモ接合体であってもよい。たとえば、Hogan et al. Manipulating the Mouse Embryo: A Laboratory Manual 2ed. Cold Spring Harbor Press (1999); Jackson et al., Mouse Genetics and Transgenics: A Practical Approach, Oxford University Press (2000);およびPinkert, Transgenic Animal Technology: A Laboratory Handbook, Academic Press (1999)を参照されたい。遺伝子治療 本発明の実施形態の少なくともいくつかによれば、可溶性LY6G6Fタンパク質、可溶性VSIG10タンパク質、可溶性TMEM25および/または可溶性LSRタンパク質をコードする核酸配列は、感染性障害、免疫関連障害および/またはがんを治療するための遺伝子治療において使用することができる。 本明細書において「遺伝子治療」は、核酸配列を細胞内に移入させ、次いでこの核酸によってコードされる任意の遺伝子産物を細胞において発現させる遺伝子操作によって疾患を治療する方法である。たとえば、当業者によく知られているように、核酸の移入は、エクスビボまたはインビトロにおいて、様々な方法を使用して目的の核酸を含む発現ベクターを細胞に挿入することにより行われてもよく、これに用いられる方法として、たとえば、ジエチルアミノエチルデキストラン、リン酸カルシウム沈殿、ポリエチレングリコール(PEG)、エレクトロポレーション、直接注射、リポフェクション、およびウイルス感染(Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual (Cold Spring Harbor Laboratory Press 1989); Kriegler M. Gene Transfer and Expression: A Laboratory Manual (W. H. Freeman and Co, New York, N.Y., 1993)およびWu, Methods in Enzymology (Academic Press, New York, 1993))が挙げられる。あるいは、インビボにおいて、たとえば、対象への核酸を直接投与する方法、および核酸を挿入したウイルスベクターを用いて対象に感染させる方法などの様々な方法および様々なベクターを使用することにより目的の核酸配列を細胞に移入してもよい。インビボにおける移入に使用される他の方法としては、リポソーム中に核酸を封入してリポソームを直接移入させる方法、赤血球凝集センダイウイルスと組み合わせたリポソームを対象に投与する方法が挙げられる。トランスフェクトされた細胞または感染細胞は、核酸によってコードされるタンパク質産物を発現することにより、疾患または疾患の症状を改善する。抗体および免疫システム応答 本明細書において「免疫」応答は、レシピエント患者の体内における、ペプチドに対する有益な(抗体によって媒介される)体液性応答および/または(抗原特異的T細胞またはこれらの分泌物によって媒介される)細胞性応答の発現を指す。このような応答は、免疫原の投与によって誘導された能動的応答、または抗体もしくは感作T細胞の投与によって誘導された受動的応答であってもよい。単一の仮説に限定されることを望むものではないが、細胞性免疫応答は、クラスIまたはクラスII MHC分子と関連したポリペプチドエピトープの提示によって惹起され、抗原特異的CD4+Tヘルパー細胞および/またはCD8+細胞傷害性T細胞を活性化する。この応答は、さらに、単球、マクロファージ、NK細胞、好塩基球、樹状細胞、星状細胞、小膠細胞、および好酸球の活性化、好中球の動員、または先天性免疫の他の構成要素の活性化を伴ってもよい。細胞媒介性免疫応答の存在は、増殖アッセイ(CD4+T細胞)またはCTL(細胞傷害性リンパ球)アッセイによって決定することができる。体液性応答および細胞性応答が相対的にどの程度、免疫原に対する防御効果または治療効果に寄与しているのかは、免疫した同系の動物から抗体およびT細胞を別々に単離し、防御効果または治療効果を第2の対象において測定することにより識別することができる。 「免疫原」は、(必要に応じてアジュバントとともに)哺乳動物に投与されることによって、自体に対する免疫応答を誘導することができる。 「シグナル伝達経路」は、細胞のある部分から細胞の別の部分へのシグナル伝達において役割を果たす種々のシグナル伝達分子間の生化学的関係を指す。 本明細書において「細胞表面レセプター」は、たとえば、シグナルを受け取り、受け取ったシグナルを細胞の形質膜を横切って伝達することができる分子およびそのような分子の複合体を包含する。 本明細書において「抗体」は、ポリクローナル抗体の全体、モノクローナル抗体の全体、これらの任意の抗原結合フラグメント(すなわち「抗原結合部分」)もしくは一本鎖を包含する。また、「抗体」は、少なくとも2本の重鎖(H)と2本の軽鎖(L)とを含み、重鎖と軽鎖とがジスルフィド結合によって相互接続された糖タンパク質、またはその抗原結合部分を指す。それぞれの重鎖は、重鎖可変領域(本明細書においてVHと略す)と重鎖定常領域とで構成されている。重鎖定常領域は、CH1、CH2およびCH3の3つのドメインで構成されている。それぞれの軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書においてVLと略す)と軽鎖定常領域とで構成されている。軽鎖定常領域は、CLと呼ばれる1つのドメインで構成されている。VH領域およびVL領域は、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性領域と、フレームワーク領域(FR)と呼ばれるより保存性の高い領域とにさらに細分することができ、相補性決定領域(CDR)はフレームワーク領域(FR)とともに散在している。VHおよびVLはそれぞれ、3つのCDRおよび4つのFRから構成されており、これらはアミノ末端からカルボキシ末端方向に、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順で配置されている。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。抗体の定常領域は、免疫系の様々な細胞(たとえばエフェクター細胞)および古典的補体系の第一成分(Clq)を含む宿主の組織または因子と免疫グロブリンとの結合を媒介しうる。 本明細書において抗体の「抗原結合部分」(または単に「抗体部分」)は、特異的に抗原(たとえば、LY6G6F分子、VSIG10分子、TMEM25分子および/またはLSR分子、またはそれらのフラグメント)に結合する能力を保持する、抗体の1つ以上のフラグメントを指す。完全長抗体のフラグメントは、抗体の抗原結合機能を発揮することが示されている。抗体の「抗原結合部分」に包含される結合フラグメントとしては、(i)Fabフラグメント(軽鎖可変領域、重鎖可変領域、軽鎖定常領域(CL)、およびCH1ドメインからなる1価のフラグメント);(ii)F(ab’)2フラグメント(ヒンジ領域のジスルフィド架橋によって連結されている2つのFabフラグメントを含む二価のフラグメント);(iii)VHドメインおよびCH1のドメインからなるFdフラグメント;(iv)抗体の単腕のVLドメインおよびVHドメインからなるFvフラグメント;(v)VHドメインからなるdAbフラグメント(Ward et al., (1989) Nature 341:544-546);および(vi)単離された相補性決定領域(CDR)が挙げられる。さらに、上記Fvフラグメントの2種のドメイン(VLおよびVH)は別の遺伝子によってコードされているが、組み換え法を用い、これらのドメインを単一のタンパク質鎖とすることが可能な合成リンカーでこれらのドメインを連結することができ、これによって、1組のVL領域およびVH領域から1価の分子が形成される(一本鎖Fv(scFv)として知られている;たとえば、Bird et al. (1988) Science 242:423-426; およびHuston et al. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883を参照されたい)。このような一本鎖抗体も、抗体の「抗原結合部分」に包含されると意図される。これらの抗体フラグメントは、当業者に公知の慣用の技術を使用して得られ、手を加えていない抗体と同様の方法でスクリーニングされ有用に用いられる。 本明細書において「単離された抗体」は、様々な抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を指すと意図される(たとえば、LY6G6F、VSIG10、TMEM25またはLSR以外の抗原と特異的に結合する抗体を実質的に含まない、LY6G6Fタンパク質、VSIG10タンパク質、TMEM25タンパク質もしくはLSRタンパク質および/またはこれらのフラグメントと特異的に結合する単離された抗体)。しかしながら、LY6G6Fタンパク質、VSIG10タンパク質、TMEM25タンパク質またはLSRタンパク質と特異的に結合する単離された抗体は、他の生物種由来のLY6G6F分子、VSIG10分子、TMEM25分子またはLSR分子などの他の抗原に対して交差反応性を有していてもよい。さらに、単離された抗体は、他の細胞物質および/または化学物質を実質的に含まないものであってもよい。 本明細書において「モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体組成物」は、単一の分子組成物の抗体分子の調製物を指す。モノクローナル抗体組成物は、特定のエピトープに対して単一の結合特異性および親和性を示す。 本明細書において「ヒト抗体」は、フレームワーク領域およびCDR領域の両方がヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する可変領域を有する抗体を包含すると意図される。さらに、この抗体が定常領域を含んでいる場合、この定常領域もヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する。本発明の実施形態の少なくともいくつかによるヒト抗体は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(たとえば、インビトロにおけるランダム突然変異もしくは部位特異的突然変異、またはインビボにおける体細胞突然変異により導入された変異)を含んでいてもよい。しかしながら、本明細書において「ヒト抗体」は、マウスなどの別の哺乳動物種の生殖細胞系に由来するCDR配列がヒトのフレームワーク配列に移植された抗体を含むとは意図されない。 「ヒトモノクローナル抗体」は、フレームワーク領域およびCDR領域の両方がヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する可変領域を有し、かつ単一の結合特異性を示す抗体を指す。一実施形態では、ヒトモノクローナル抗体はハイブリドーマから作製されるが、ハイブリドーマには、ヒト重鎖導入遺伝子および軽鎖導入遺伝子を含むゲノムを有する非ヒトトランスジェニック動物(たとえばトランスジェニックマウス)から得られたB細胞を不死化細胞に融合したものが包含される。 本明細書において「組換えヒト抗体」は、組換え技術によって作製、発現、創出、単離されたあらゆるヒト抗体を包含し、該組換えヒト抗体としては、(a)ヒト免疫グロブリン遺伝子が導入されたトランスジェニック動物(たとえばマウス)もしくはこの遺伝子を含む染色体が導入されたトランスクロモソミック動物(たとえばマウス)から単離された抗体、またはこの抗体を用いて作製されたハイブリドーマ(さらに詳しくは後述する);(b)ヒト抗体を発現するように形質転換された宿主細胞(たとえばトランスフェクトーマ)から単離された抗体;(c)組換えコンビナトリアルヒト抗体ライブラリーから単離された抗体、および(d)ヒト免疫グロブリン遺伝子配列をスプライシングして別のDNA配列を作製することを伴う他の方法によって、作製、発現、構築、または単離された抗体が挙げられる。このような組換えヒト抗体は、フレームワーク領域およびCDR領域がヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する可変領域を有する。しかしながら、特定の実施形態では、このような組換えヒト抗体は、インビトロ突然変異誘発(または、ヒトIgが配列に対してトランスジェニック動物を使用する場合はインビボ体細胞突然変異誘発)に供することができることから、組換え抗体のVH領域およびVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖細胞系のVH配列およびVL配列に由来しかつこれらのVH配列およびVL配列に関連しているものの、天然のインビボヒト抗体生殖細胞系レパートリー内には存在しない配列である可能性がある。 本明細書において「アイソタイプ」は、重鎖定常域遺伝子によってコードされる抗体クラス(たとえばIgMまたはIgG1)を指す。 本明細書において、「抗原を認識する抗体」および「抗原に特異的な抗体」という用語は、「抗原に特異的に結合する抗体」という用語と区別なく使用される。 本明細書において「ヒトLY6G6Fタンパク質、ヒトVSIG10タンパク質、ヒトTMEM25タンパク質またはヒトLSRタンパク質に特異的に結合する」抗体は、たとえば5×10−8M、3×10−8M、1×10−9M、またはこれ以下のKDで、LY6G6Fタンパク質、VSIG10タンパク質、TMEM25タンパク質またはLSRタンパク質に結合する抗体を指すと意図される。 本明細書において「K−assoc」または「Ka」は、特定の抗体−抗原相互作用の結合速度定数を指すと意図され、本明細書において「Kdiss」または「Kd」は、特定の抗体−抗原相互作用の解離速度定数を指すと意図される。本明細書において「KD」は、解離定数を指すと意図され、Kaに対するKdの比率(すなわちKd/Ka)で得られ、モル濃度(M)で表される。抗体のKD値は、当技術分野において十分に確立された方法を使用して決定することができる。抗体のKD値を決定するため方法としては、表面プラズモン共鳴を使用した方法が好ましく、Biacore(登録商標)システムなどのバイオセンサシステムを使用した方法が好ましい。 本明細書において、IgG抗体に対する「高親和性」は、標的抗原に対するKDが10−8M以下、より好ましくは10−9M以下、さらに好ましくは10−10M以下である抗体を指す。しかしながら、「高親和性」結合は他の抗体アイソタイプよって異なりうる。たとえば、IgMアイソタイプに対する「高親和性」結合は、KDが10−7M以下、より好ましくは10−8M以下である抗体を指す。 本明細書において「対象」または「患者」は、あらゆるヒトまたは非ヒト動物を包含する。「非ヒト動物」は、あらゆる脊椎動物(たとえば、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ニワトリ、両生類、爬虫類などの哺乳動物および非哺乳動物)を包含する。 抗LY6G6F抗体、抗VSIG10抗体、抗TMEM25抗体および抗LSR抗体特定の生殖細胞系配列を有する抗体、相同抗体、保存的修飾を有する抗体、改変された抗体、および修飾された抗体を含む、本発明の実施形態の少なくともいくつかによる抗体は、特定の機能的特徴または特性を特徴とする。たとえば、これらの抗体は、ヒトLY6G6F、VSIG10、TMEM25またはLSRに特異的に結合する。本発明の実施形態の少なくともいくつかによる抗体は、たとえば、KDが10−8M以下、10−9M以下、さらには10−10M以下であるような高い親和性でそれぞれの抗体に対応するLY6G6F、VSIG10、TMEM25、またはLSRに結合することが好ましい。本発明の実施形態の少なくともいくつかによる抗LY6G6F抗体、抗VSIG10抗体、抗TMEM25抗体および抗LSR抗体は、以下の特徴の1以上を示すことが好ましい。(i)対応するヒトLY6G6F、VSIG10、TMEM25もしくはLSRに5×10−8M以下のKDで結合する、(ii)抗腫瘍免疫および自己免疫に関与するT細胞応答などの、B7免疫共刺激ならびにそれに関連する活性および機能を調節(増強または抑制)する、ならびに/または(iii)たとえば、メラノーマ、肝臓がん、腎臓がん、脳がん、乳がん、結腸がん、肺がん、卵巣がん、膵臓がん、前立腺がん、胃がん、多発性骨髄腫、造血器がん((ホジキンおよび非ホジキン)リンパ腫、急性および慢性リンパ芽球性白血病、ならびに急性および慢性骨髄白血病を含むが、これらに限定されない)を含むがん細胞によって発現されたLY6G6F抗原、VSIG10抗原、TMEM25抗原またはLSR抗原に結合するが、正常細胞には実質的には結合しない。さらに、これらの抗体およびその結合体は、このようながん細胞の選択的破壊の惹起、ならびに自己免疫およびがんに関与する免疫応答の調節に効果的であることが好ましい。 これらの抗体は、それぞれに対応するヒトLY6G6F抗原、ヒトVSIG10抗原、ヒトTMEM25抗原またはヒトLSR抗原に、3×10−8M以下のKD、1×10−9M以下のKD、0.1×10−9M以下のKD、0.05×10−9M以下のKD、または1×10−9〜1×10−11MのKDで結合することがより好ましい。 LY6G6F、VSIG10、TMEM25またはLSRに対する抗体の結合能力を評価するための標準的なアッセイは当技術分野において知られており、たとえば、ELISA、ウェスタンブロットおよびRIAが挙げられる。適切なアッセイは実施例に詳細に記載されている。抗体の結合動態(たとえば結合親和性)も、当技術分野において公知の標準的なアッセイ(Biacore分析など)で評価することができる。 本発明の実施形態の少なくともいくつかによれば、LY6G6F、VSIG10、TMEM25またはLSRに結合可能な抗体から抗LY6G6F配列、抗VSIG10配列、抗TMEM25配列および抗LSR抗体配列を作製した後に、VH配列とVL配列とを「調和よく組み合わせ」て、別の抗LY6G6F結合分子、抗VSIG10結合分子、抗TMEM25結合分子および抗LSR結合分子を作製することができる。「調和よく組み合わせ」られた抗体のLY6G6F、VSIG10、TMEM25またはLSRに対する結合は、上述した結合アッセイ(たとえばELISA)を使用して試験することができる。VH鎖とVL鎖とを調和よく組み合わせる場合、特定のVH/VL対のVH配列を構造的に類似したVH配列と置き換えることが好ましい。同様に、特定のVH/VL対のVL配列を構造的に類似したVL配列と置き換えることが好ましい。たとえば、特に、相同抗体のVH配列およびVL配列は、調和よく組み合わせることが容易である。特定の生殖細胞系配列を有する抗体 特定の実施形態において、本発明の抗体は、特定の生殖細胞系重鎖免疫グロブリン遺伝子の重鎖可変領域および/または特定の生殖細胞系軽鎖免疫グロブリン遺伝子の軽鎖可変領域を含む。 本明細書において、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン遺伝子を使用した系から抗体の可変領域を得る場合、ヒト抗体は、特定の生殖細胞系配列の「産物」または「由来物」である重鎖可変領域または軽鎖可変領域を含む。このような系は、ヒト免疫グロブリン遺伝子を保有するトランスジェニックマウスを目的抗原を用いて免疫化すること、または、ファージ上に提示させたヒト免疫グロブリン遺伝子ライブラリーを目的抗原を用いてスクリーニングすることを含む。ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列の「産物」または「由来物」であるヒト抗体は、ヒト抗体のアミノ酸配列をヒト生殖細胞系免疫グロブリンのアミノ酸配列と比較し、次いで、該ヒト抗体の配列に最も類似した配列を有する(すなわち同一性(%)が最も高い)ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列を選択することによって同定される。 特定のヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列の「産物」または「由来物」であるヒト抗体は、たとえば自然界において発生する体細胞突然変異または意図的に導入された部位特異的突然変異などによって、生殖細胞系配列とは異なるアミノ酸を含んでいてもよい。しかしながら、選択されたヒト抗体は、通常、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列と少なくとも90%一致するアミノ酸配列を有し、かつ、他の生物種の生殖細胞系免疫グロブリンアミノ酸配列(たとえばマウスの生殖細胞系配列)と比較したときにヒトの抗体であると同定されるアミノ酸残基を含んでいる。特定の場合においては、ヒト抗体のアミノ酸配列は、生殖細胞系免疫グロブリン遺伝子によりコードされるアミノ酸配列と少なくとも95%、96%、97%、98%もしくは99%、または少なくとも96%、97%、98%もしくは99%一致していてもよい。通常、特定のヒト生殖細胞系配列に由来するヒト抗体は、このヒト生殖細胞系の免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列とのアミノ酸の差異が10個以下であろう。特定の場合においては、ヒト抗体は、生殖細胞系免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列とのアミノ酸の差異が5個以下、または4個以下、3個以下、2個以下、もしくは1個以下であってもよい。相同抗体 さらに別の実施形態において、本発明の抗体は、好ましい抗LY6G6F抗体、抗VSIG10抗体、抗TMEM25抗体または抗LSR抗体のそれぞれから単離された抗LY6G6Fアミノ酸配列、抗VSIG10アミノ酸配列、抗TMEM25アミノ酸配列または抗LSRアミノ酸配列と相同なアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、親抗体である抗LY6G6F抗体、抗VSIG10抗体、抗TMEM25抗体または抗LSR抗体の所望の機能特性を保持している。 本明細書において、2つのアミノ酸配列間の相同性(homology)(%)は、2つの配列間の同一性(identity)(%)に等しい。2つの配列間の同一性(%)は、これらの配列においてアミノ酸が一致しているの位置の数の関数であり(すなわち、相同性(%)=同一の位置の数/位置の総数×100)、2つの配列のアライメントを最適化するのために導入する必要のあるギャップの数および各ギャップの長さが考慮に入れられている。配列の比較および2つの配列間の同一性(%)の決定は、以下の例示(ただしこれらに限定されない)に記載されているような数学的アルゴリズムを使用して達成することができる。 2つのアミノ酸配列間の同一性(%)は、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれたE.MeyersおよびW.Miller(Comput. Appl. Biosci., 4:11-17 (1988))によるアルゴリズムを利用し、PAM120残基質量表を使用し、ギャップ長ペナルティ=12、ギャップペナルティ=4として決定することができる。さらに、2つのアミノ酸配列間の同一性(%)は、GCGソフトウェアパッケージ(市販)のGAPプログラムに組み込まれたNeedlemanおよびWunsch(J. Mol. Biol. 48:444-453 (1970))によるアルゴリズムを利用し、Blossum62マトリックスまたはPAM250マトリックスのいずれかを使用し、ギャップ加重=16、14、12、10、8、6、または4、ギャップ長加重=1、2、3、4、5、または6として決定することができる。 別法としてまたは上記に加えて、本発明のタンパク質配列は、たとえば関連配列を同定する目的などのために、公開データベースを検索するための「クエリー配列」として使用することもできる。このような検索は、Altschul, et al. (1990) J Mol. Biol. 215:403-10によるXBLASTプログラム(バージョン2.0)を使用して行うことができる。XBLASTプログラム(スコア=50、ワード長=3)によりBLASTタンパク質検索を行い、本発明の実施形態の少なくともいくつかによる抗体分子と相同なアミノ酸配列を得ることができる。比較目的でギャップが挿入されたアライメントを得るためには、Altschul et al., (1997) Nucleic Acids Res. 25(17):3389-3402に記載のGapped BLASTを利用することができる。BLASTプログラムおよびGapped BLASTプログラムを利用する場合、それぞれのプログラムの初期パラメータ(たとえばXBLASTおよびNBLAST)を使用することができる。保存的修飾を有する抗体 特定の実施形態において、本発明の抗体は、CDR1配列、CDR2配列およびCDR3配列を含む重鎖可変領域と、CDR1配列、CDR2配列およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域とを含み;これらのCDR配列の1以上が、本明細書に記載の方法を使用して単離および作製された好ましい抗LY6G6F抗体、抗VSIG10抗体、抗TMEM25抗体もしくは抗LSR抗体またはこれらが保存的修飾されたものに基づいた特定のアミノ酸配列を含み;さらに本発明の当該抗体は、本発明の実施形態の少なくともいくつかによる抗LY6G6F抗体、抗VSIG10抗体、抗TMEM25抗体または抗LSR抗体の所望の機能特性を保持している。 種々の実施形態において、抗LY6G6F抗体、抗VSIG10抗体、抗TMEM25抗体または抗LSR抗体は、たとえば、ヒト抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体であってもよい。 本明細書において「保存的配列修飾」は、上記のアミノ酸配列を含む抗体の結合特性に顕著な影響または変化を及ぼさないアミノ酸修飾を指すと意図される。このような保存的修飾は、アミノ酸の置換、付加および欠失を包含する。修飾は、部位特異的突然変異誘発およびPCR突然変異誘発などの当技術分野において公知の標準的な技術によって、本発明の実施形態の少なくともいくつかによる抗体に導入することができる。保存的アミノ酸置換とは、アミノ酸残基を、類似した側鎖を有するアミノ酸残基で置換することである。類似した側鎖を有するアミノ酸残基ファミリーは当技術分野において定義されている。これらのファミリーとして、塩基性側鎖を有するアミノ酸(たとえば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(たとえば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖を有するアミノ酸(たとえば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖を有するアミノ酸(たとえば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、β−分枝側鎖を有するアミノ酸(たとえば、トレオニン、バリン、イソロイシン)、および芳香族側鎖を有するアミノ酸(たとえば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)が挙げられる。したがって、本発明の実施形態の少なくともいくつかによる抗体のCDR領域内の1個以上のアミノ酸残基は、同一の側鎖ファミリーに属する他のアミノ酸残基と置換することができ、改変された抗体は、本明細書に記載の機能アッセイを使用して、機能(すなわち(c)〜(j)に記載の機能)の保持について試験することができる。本発明の実施形態の少なくともいくつかによる抗LY6G6F、抗VSIG10、抗TMEM25または抗LSRと同一のエピトープに結合する抗体 別の実施形態において、本発明は、B7共刺激およびこれに関連する機能の調節などの所望の機能特性を有する、ヒトLY6G6F、VSIG10、TMEM25またはLSR上の好ましいエピトープに結合する抗体を提供する。所望のエピトープ特異性を有する他の抗体を選択してもよく、このような抗体は、所望の抗体と、LY6G6F抗原、VSIG10抗原、TMEM25抗原またはLSR抗原との結合に対して交差競合する能力を有するであろう。改変および修飾された抗体 さらに、本発明の実施形態の少なくともいくつかによる抗体は、抗LY6G6F抗体、抗VSIG10抗体、抗TMEM25抗体または抗LSR抗体に由来するVH配列および/またはVL配列を1つ以上有する抗体を、修飾抗体を構築するための出発物質として使用することにより作製することができ、得られる修飾抗体は、出発抗体に由来する特性が改変されたものであってもよい。抗体は、片方または両方の可変領域(すなわちVHおよび/またはVL)内の、たとえば1つ以上のCDR領域および/または1つ以上のフレームワーク領域内などの、1個以上の残基を修飾することによって改変することができる。上記に加えてまたは別法として、たとえば抗体のエフェクター機能の改変などを目的として、定常領域内の残基を修飾することにより抗体を改変することができる。 実施可能な可変領域の改変の1つとして、CDRの移植が挙げられる。抗体は、6つの重鎖および軽鎖相補性決定領域(CDR)に位置するアミノ酸残基を主に介して標的抗原と相互作用する。このことから、CDR内のアミノ酸配列は、CDR外の配列よりも抗体ごとに大きく異なる。CDR配列は抗体−抗原相互作用の大部分を担っているため、異なる特性を有する別の抗体のフレームワーク配列に移植した特定の天然抗体のCDR配列を含む発現ベクターを構築することにより、この天然抗体が有する特性を模倣する組換え抗体を発現させることが可能である(たとえば、Riechmann, L. et al. (1998) Nature 332:323-327; Jones, P. et al. (1986) Nature 321:522-525; Queen, C. et al. (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 86:10029-10033;Winterに付与された米国特許第5,225,539号;ならびにQueenらに付与された米国特許第5,530,101号;第5,585,089号;第5,693,762号;および第6,180,370号を参照されたい)。 適切なフレームワーク配列は、生殖細胞系抗体の遺伝子配列を含む、公共DNAデータベースまたは公表されている文献から得ることができる。たとえば、ヒト重鎖および軽鎖可変領域遺伝子の生殖細胞系DNA配列は、(インターネットから入手可能な)「VBase」ヒト生殖細胞系配列データベースから得ることができ、さらに、Kabat, E. A., et al. (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242; Tomlinson, I. M., et al. (1992) “The Repertoire of Human Germline VH Sequences Reveals about Fifty Groups of VH Segments with Different Hypervariable Loops” J. Mol. Biol. 227:776-798; および Cox, J. P. L. et al. (1994) “A Directory of Human Germ-line VH Segments Reveals a Strong Bias in their Usage” Eur. J Immunol. 24:827-836(これらの内容は参照により本明細書に明示的に組み込まれる)にも記載されている。 可変領域を修飾するための別の方法として、VHおよび/またはVLのCDR1領域、CDR2領域および/またはCDR3領域内のアミノ酸残基を変異させることにより、目的の抗体の1以上の結合特性(たとえば親和性)を向上させる方法が挙げられる。部位特異的突然変異誘発またはPCR突然変異誘発を実施することにより変異を導入することができ、また、抗体結合または目的とする別の機能特性に対する効果は、適切なインビトロまたはインビボアッセイで評価することができる。(上述したような)保存的修飾を導入することが好ましい。変異はアミノ酸置換、付加または欠失であってもよいが、置換が好ましい。さらに、通常、CDR領域内の1個、2個、3個、4個または5個以下の残基が改変される。 本発明の実施形態の少なくともいくつかによる遺伝子操作された抗体は、たとえば抗体の特性の向上などを目的として、VHおよび/またはVL内のフレームワーク残基に修飾がなされたものを含む。通常、このようなフレームワーク修飾は抗体の免疫原性を低下させる目的で行われる。たとえば、このような方法の1つとして、1個以上のフレームワーク残基を対応する生殖細胞系配列へと「復帰突然変異させる」方法が挙げられる。より具体的には、体細胞突然変異を経た抗体は、この抗体が由来する生殖細胞系配列とは異なるフレームワーク残基を含んでいてもよい。このような残基は、抗体のフレームワーク配列と、この抗体が由来する生殖細胞系配列とを比較することにより同定することができる。 フレームワーク領域内またはCDR領域内になされる修飾に加えてまたはこの別法として、本発明の実施形態の少なくともいくつかによる抗体は、Fc領域内に修飾が加えられるように改変してもよく、このような修飾は、典型的には、血清中半減期、補体結合、Fcレセプター結合、および/または抗原依存性細胞傷害性などの抗体の1つ以上の機能特性を改変するために行われる。さらに、本発明の実施形態の少なくともいくつかによる抗体は、化学的に修飾してもよく(たとえば、1つ以上の化学成分を抗体に結合させることができる)、または、糖鎖を改変するために修飾してもよく、これらの場合においても抗体の1つ以上の機能特性を改変するために修飾が行われる。このような実施形態については以下で詳細に説明する。Fc領域の残基はKabatによるEUインデックスに従い番号を付ける。 一実施形態では、CH1のヒンジ領域を修飾して、ヒンジ領域のシステイン残基数がたとえば増加または減少するように改変する。この方法は、Bodmerらによる米国特許第5,677,425号にさらに詳細に説明されている。CH1のヒンジ領域のシステイン残基数の改変は、たとえば軽鎖と重鎖の組立てを容易にしたり、抗体の安定性を増加また減少させたりするために行われる。 別の実施形態では、抗体のFcヒンジ領域を変異させて、抗体の生物学的半減期を減少させる。より具体的には、抗体のブドウ球菌プロテインA(SpA)に対する結合が、ネイティブのFcヒンジドメイン−SpA結合よりも低下するように、FcヒンジフラグメントのCH2−CH3ドメイン界面領域に1つ以上のアミノ酸変異を導入する。この方法は、Wardらによる米国特許第6,165,745号にさらに詳細に説明されている。 別の実施形態では、抗体を修飾してその生物学的半減期を増加させる。様々な方法を採用することができる。たとえば、Wardによる米国特許第6,277,375号に記載されているように、T252L、T254S、T256Fの変異を1つ以上導入することができる。あるいは、Prestaらによる米国特許第5,869,046号および第6,121,022号に記載されているように、生物学的半減期を増加させる目的で、IgGのFc領域CH2ドメインの2つのループから得られたサルベージレセプター結合エピトープが、CH1領域またはCL領域内に含まれるように抗体を改変することができる。 さらに別の実施形態では、Fc領域の少なくとも1個のアミノ酸残基を別のアミノ酸残基で置換して改変することにより、抗体のエフェクター機能を改変する。たとえば、234位、235位、236位、237位、297位、318位、320位および322位から選択される1個以上のアミノ酸残基を、別のアミノ酸残基と置換することにより、親抗体の抗原結合能力が保持されたまま、抗体のエフェクターリガンドに対する親和性を改変することができる。親和性が改変されたエフェクターリガンドは、たとえばFcレセプターまたは補体のC1成分になりえる。この方法は、Winterらによる米国特許第5,624,821号および第5,648,260号にさらに詳細に説明されている。 別の実施形態では、329位、331位および322位から選択される1個以上のアミノ酸残基を別のアミノ酸残基と置換することにより、抗体のC1q結合性を改変させ、かつ/または抗体の補体依存性細胞傷害作用(CDC)を低下または欠失させることができる。この方法は、Idusogieらによる米国特許第6,194,551号にさらに詳細に説明されている。 別の実施形態では、231位および239位のアミノ酸残基の1個以上を改変させることによって、抗体が補体を結合する能力を改変する。この方法は、BodmerらによるPCT国際公開第94/29351号にさらに詳細に説明されている。 さらに別の実施形態では、238位、239位、248位、249位、252位、254位、255位、256位、258位、265位、267位、268位、269位、270位、272位、276位、278位、280位、283位、285位、286位、289位、290位、292位、293位、294位、295位、296位、298位、301位、303位、305位、307位、309位、312位、315位、320位、322位、324位、326位、327位、329位、330位、331位、333位、334位、335位、337位、338位、340位、360位、373位、376位、378位、382位、388位、389位、398位、414位、416位、419位、430位、434位、435位、437位、438位または439位のアミノ酸を1個以上を修飾することによってFc領域を修飾し、抗体が抗体依存性細胞傷害(ADCC)を媒介する能力を増強させ、かつ/または抗体のFcγレセプターに対する親和性を増加させる。この方法は、PrestaによるPCT国際公開第00/42072号にさらに詳細に説明されている。さらに、ヒトIgG1上のFcγRI結合部位、FcγRII結合部位、FcγRIII結合部位およびFcRn結合部位はマッピングされており、また、結合性を向上させた変異体が文献に記載されている(Shields, R. L. et al. (2001) J. Biol. Chem. 276:6591-6604を参照されたい)。256位、290位、298位、333位、334位および339位における特異的突然変異はFcγRIIIに対する結合性を向上させることが示されている。さらに、T256A/S298A、S298A/E333A、S298A/K224AおよびS298A/E333A/K334Aの組み合わせの突然変異体においてFcγRIIIに対する結合性が向上することが示されている。さらに、M252Y/S254T/T256EまたはM428L/N434Sなどの変異は、FcRnに対する結合を向上させ、かつ抗体の循環半減期を延長させる(Chan CA and Carter PJ (2010) Nature Rev Immunol 10:301-316を参照されたい)。 さらに別の実施形態では、抗体の糖鎖修飾を改変する。たとえば、脱グリコシル化された抗体(すなわち、糖鎖を持たない抗体)を作製することができる。糖鎖修飾を改変することによって、たとえば、抗原に対する抗体の親和性を増加させることができる。このような糖鎖修飾は、たとえば、抗体配列内の1以上のグリコシル化部位を改変することによって達成することができる。たとえば、1個以上のアミノ酸を置換することによって、可変領域のフレームワーク内から1以上のグリコシル化部位を取り除き、その部位の糖鎖を除去することができる。このような脱グリコシル化によって、抗原に対する抗体の親和性を増加させてもよい。このような方法は、Coらによる米国特許第5,714,350号および第6,350,861号にさらに詳細に説明されている。 上記に加えてまたは別法として、たとえば、フコシル残基の数を減少させた低フコシル化抗体またはバイセクティングGlcNac構造を増加させた抗体などの、改変された糖鎖修飾を有する抗体を作製することができる。このような改変グリコシル化パターンによって、抗体のADCC能が増強されることが実証されている。このような糖鎖修飾は、たとえば、改変されたグリコシル化機構を有する宿主細胞において抗体を発現させることによって達成することができる。改変されたグリコシル化機構を有する細胞は当技術分野において知られており、本発明の実施形態の少なくともいくつかによる組換え抗体を発現させて、改変された糖鎖修飾を有する抗体を作製するための宿主細胞として使用することができる。たとえば、Ms704細胞株、Ms705細胞株、およびMs709細胞株はフコシルトランスフェラーゼ(α(1,6)フコシルトランスフェラーゼ(FUT8))遺伝子を欠くことから、Ms704細胞株、Ms705細胞株、およびMs709細胞株において発現される抗体は、その糖鎖にフコースを持たない。Ms704、Ms705、およびMs709 FUT8−/−細胞株は、2種の置換ベクターを使用して、CHO/DG44細胞のFUT8遺伝子を標的破壊することによって作製される(Yamaneらによる米国特許公開第20040110704号およびYamane-Ohnuki et al. (2004) Biotechnol Bioeng 87:614-22を参照されたい)。別の例として、Hanaiらによる欧州特許第1,176,195号には、フコシルトランスフェラーゼをコードするFUT8遺伝子が機能破壊された細胞株が記載されており、α−1,6結合に関連する酵素が減少または除去されたことによって、このような細胞株において発現される抗体はフコシル残基の数が減少している。Hanaiらの文献には、さらに、抗体のFc部分に結合するN‐アセチルグルコサミンにフコースを付加するための酵素活性が低い細胞株、およびこのような酵素活性を有さない細胞株(たとえばラット骨髄腫細胞株YB2/0)(ATCC CRL 1662)が記載されている。PrestaによるPCT国際公開第03/035835号には、CHO細胞変異株(Lec13細胞)が記載されているが、この細胞株は、Asn(297)に結合した糖鎖にフコースを付加する能力が低減されており、その結果、この宿主細胞において発現される抗体のフコシル残基の数も低減されている(Shields, R. L. et al. (2002) J. Biol. Chem. 277:26733-26740も参照されたい)。UmanaらによるPCT国際公開第99/54342号には、糖タンパク質修飾を行うグリコシルトランスフェラーゼ(たとえば、β(1,4)−N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnTIII))を発現するように改変された細胞株が記載されており、この改変された細胞株において発現される抗体は、バイセクティングGlcNac構造が増加しており、その結果として抗体のADCC活性が増強されている(Umana et al. (1999) Nat. Biotech. 17:176-180も参照されたい)。あるいは、フコシダーゼを使用して抗体のフコース残基を切断してもよい。たとえば、α−L−フコシダーゼというフコシダーゼは、抗体からフコシル残基を取り除く(Tarentino, A. L. et al. (1975) Biochem. 14:5516-23)。 本明細書において、本発明により考えられる別の抗体修飾はPEG化である。たとえば抗体の生物学的(たとえば血清中)半減期を増加させる目的などで、抗体をPEG化することができる。抗体をPEG化するためには、通常、1つ以上のPEG基が抗体または抗体フラグメントに結合するようなる条件下において、抗体またはそのフラグメントを、PEGの反応性エステルまたはアルデヒド誘導体などのポリエチレングリコール(PEG)と反応させる。PEG化は、反応性PEG分子(または類似した反応性の水溶性ポリマー)とのアシル化反応またはアルキル化反応を介して行うことが好ましい。本明細書において「ポリエチレングリコール」は、他のタンパク質を誘導体化するために使用されるあらゆる形態のPEGを包含すると意図され、たとえば、モノ(C1〜C10)アルコキシポリエチレングリコール、アリールオキシポリエチレングリコール、およびポリエチレングリコールマレイミドが挙げられる。特定の実施形態では、PEG化抗体は脱グリコシル化された抗体である。タンパク質をPEG化する方法は当技術分野において公知であり、本発明の実施形態の少なくともいくつかによる抗体に使用することができる。たとえば、Nishimuraらによる欧州特許第0 154 316号およびIshikawaらによる欧州特許第0 401 384号を参照されたい。抗体の改変方法 上述したように、本明細書に開示されている、VH配列およびVK配列を有する抗LY6G6F抗体、抗VSIG10抗体、抗TMEM25抗体または抗LSR抗体は、VH配列および/またはVL配列もしくはこれらに結合した定常領域を修飾することによって、新たな抗LY6G6F抗体、抗VSIG10抗体、抗TMEM25抗体または抗LSR抗体を作製するために使用することができる。このように、本発明の実施形態の少なくともいくつかによる別の態様中においては、本発明の実施形態の少なくともいくつかによる抗LY6G6F抗体、抗VSIG10抗体、抗TMEM25抗体または抗LSR抗体の構造上の特徴を利用して、ヒトLY6G6F、VSIG10、TMEM25またはLSRに対する結合性などの本発明の実施形態の少なくともいくつかによる抗体の少なくとも1つの機能特性を保持する、構造的に関連した抗LY6G6F抗体、抗VSIG10抗体、抗TMEM25抗体または抗LSR抗体を作製する。たとえば、上述したように、本発明の実施形態の少なくともいくつかによれば、単一のLY6G6F抗体、VSIG10抗体、TMEM25抗体またはLSR抗体のCDR領域またはその変異体の1以上を、組換え技術によって公知のフレームワーク領域および/または他のCDRと組み合わせることによって、組換え技術によって作製されたさらなる抗LY6G6F抗体、抗VSIG10抗体、抗TMEM25抗体または抗LSR抗体を得ることができる。他のタイプの修飾としては上述のセクションに記載したものが挙げられる。これらの組換え方法のための出発物質は、本明細書に記載のVH配列および/またはVK配列の1以上、またはこれらのCDR領域の1以上である。改変された抗体を作製するためには、本明細書に記載のVH配列および/またはVK配列の1以上もしくはこれらのCDR領域の1以上を有する抗体を実際に作製する(すなわち、タンパク質として発現させる)ことは必要とされない。このような抗体を実際に作製するよりも、これらの配列に含まれている情報を出発物質として使用して、元の配列に由来する「第二世代」配列を作製し、次いで「第二世代」配列をタンパク質として産生および発現させる。 標準的な分子生物学的技術を使用して、改変した抗体配列を作製し、発現させることができる。 改変された抗体配列によってコードされる抗体は、本明細書に記載の配列を使用した方法により作製された抗LY6G6F抗体、抗VSIG10抗体、抗TMEM25抗体または抗LSR抗体の機能特性のうちの1つ、いくつか、またはすべてを保持するものであることが好ましく、該機能特性としては、LY6G6F抗原、VSIG10抗原、TMEM25抗原またはLSR抗原に特定のKD値以下で結合すること;B7共刺激を調節すること;および/またはLY6G6F抗原、VSIG10抗原、TMEM25抗原および/またはLSR抗原を発現する、メラノーマ、肝臓がん、腎臓がん、脳がん、乳がん、結腸がん、肺がん、卵巣がん、膵臓がん、前立腺がん、胃がん、多発性骨髄腫、ならびに造血器がん((ホジキンおよび非ホジキン)リンパ腫、急性および慢性リンパ芽球性白血病、ならびに急性および慢性骨髄白血病を含むが、これらに限定されない)などの所望の標的細胞に選択的に結合することが挙げられる。 改変された抗体の機能特性は、当技術分野において入手可能なかつ/または本明細書に記載の標準的なアッセイを使用して評価することができる。 本発明の実施形態の少なくともいくつかによる抗体を改変する方法の特定の実施形態においては、抗LY6G6F抗体、抗VSIG10抗体、抗TMEM25抗体または抗LSR抗体をコードする配列の全体または一部に沿ってランダムまたは選択的に変異を導入し、その結果生じる修飾された抗LY6G6F抗体、抗VSIG10抗体、抗TMEM25抗体または抗LSR抗体を結合活性および/または他の所望の機能特性についてスクリーニングすることができる。 突然変異の方法は当技術分野において知られている。たとえば、ShortによるPCT国際公開第02/092780号には、飽和突然変異誘発、合成ライゲーションアセンブリ、またはこれらの組み合わせを使用して抗体変異体を作製し、スクリーニングする方法が記載されている。別法として、LazarらによるPCT国際公開第03/074679号には、コンピュータによるスクリーニング方法を使用して抗体の生理化学的な特性を最適化する方法が記載されている。抗体をコードする核酸分子 本発明の別の態様は、本発明の実施形態の少なくともいくつかによる抗体をコードする核酸分子に関する。核酸は、全細胞または細胞溶解物中に含まれていてもよく、部分的に精製された形態または実質的に純粋な形態であってもよい。核酸は、アルカリ/SDS処理、CsClバンド形成、カラムクロマトグラフィー、アガロースゲル電気泳動、他の当技術分野でよく知られている方法などの標準的な技術によって、他の細胞成分または他の汚染物質(たとえば他の細胞の核酸、タンパク質)から精製された場合に「単離された」または「実質的に純粋である」と言える。F. Ausubel, et al., ed. (1987) Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing and Wiley Interscience, New Yorkを参照されたい。本発明の実施形態の少なくともいくつかによる核酸は、たとえばDNAまたはRNAであってもよく、イントロン配列を含んでいても含んでいなくてもよい。好ましい実施形態では、核酸はcDNA分子である。 本発明の実施形態の少なくともいくつかによる核酸は標準的な分子生物学的技術を使用して得ることができる。ハイブリドーマ(たとえば、さらに詳しくは後述する、ヒト免疫グロブリン遺伝子を保有するトランスジェニックマウスから作製されるハイブリドーマ)により発現された抗体の場合、標準的なPCR増幅またはcDNAクローン技術を使用して該ハイブリドーマにより産生される抗体の軽鎖および重鎖をコードするcDNAを得ることができる。(たとえば、ファージディスプレイ技術を使用した)免疫グロブリン遺伝子ライブラリーから得られた抗体の場合は、該ライブラリーから抗体をコードする核酸を回収することができる。 VHセグメントコードするDNA断片およびVLセグメントをコードするDNA断片が得られたら、これらのDNA断片を標準的な組換えDNA技術によってさらに遺伝子操作し、たとえば、これらの可変領域遺伝子を完全長抗体鎖遺伝子、Fabフラグメント遺伝子またはscFv遺伝子に変換することができる。これらの遺伝子操作では、VLまたはVHをコードするDNA断片は、抗体定常領域やフレキシブルリンカーなどの別のタンパク質をコードする別のDNA断片に機能可能に連結される。 本明細書において「機能可能に連結する」は、上記2種のDNA断片によりコードされたアミノ酸配列がインフレームになるように、上記2種のDNA断片を連結することを意味すると意図される。 VH領域をコードする単離されたDNAは、重鎖定常領域(CH1、CH2およびCH3)をコードする別のDNA分子に該DNAを機能可能に連結することによって、完全長重鎖遺伝子に変換することができる。ヒト重鎖定常域遺伝子の配列は当技術分野において公知であり(たとえば、Kabat, E. A., et al. (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242を参照されたい)、上記の領域を包むDNA断片は標準的なPCR増幅によって得ることができる。重鎖定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgE、IgMまたはIgDの定常領域であってよいが、IgG1またはIgG4の定常領域が最も好ましい。Fabフラグメント重鎖遺伝子については、VHをコードするDNAを、重鎖CH1定常領域のみをコードする別のDNA分子に機能可能に連結することができる。 VL領域をコードする単離されたDNAは、軽鎖定常領域(CL)をコードする別のDNA分子に該DNAを機能可能に連結することによって、完全長軽鎖遺伝子(およびFab軽鎖遺伝子)に変換することができる。ヒト軽鎖定常域遺伝子の配列は当技術分野において公知であり(たとえば、Kabat, E. A., et al. (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242を参照されたい)、上記の領域を包むDNA断片は標準的なPCR増幅によって得ることができる。軽鎖定常領域はκ定常領域またはλ定常領域であってよいが、κ定常領域が最も好ましい。 scFv遺伝子を作製するためには、VHをコードするDNA断片およびVLをコードするDNA断片を、たとえばアミノ酸配列(Gly4−Ser)3などのフレキシブルリンカーをコードする別のフラグメントに機能可能に連結させることによって、VH配列およびVL配列を、VL領域とVH領域とがフレキシブルリンカーによって連結された一本の連続したタンパク質鎖として発現させることができる(たとえば、Bird et al. (1988) Science 242:423-426; Huston et al. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883; McCafferty et al., (1990) Nature 348:552-554を参照されたい)。抗LY6G6Fモノクローナル抗体、抗VSIG10モノクローナル抗体、抗TMEM25モノクローナル抗体または抗LSRモノクローナル抗体の作製 本発明のモノクローナル抗体(mAb)は慣用のモノクローナル抗体方法論(たとえば、Kohler and Milstein (1975) Nature 256:495に記載の標準的な体細胞ハイブリダイゼーション技術など)を包含する様々な技術によって作製することができる。原則として、体細胞ハイブリダイゼーション法が好ましいが、モノクローナル抗体を作製するための他の技術(たとえば、Bリンパ球のウイルス形質転換または発がん性形質転換など)を使用することもできる。 ハイブリドーマを作製するための動物系としては、マウス系が好ましい。マウスにおけるハイブリドーマの作製は十分に確立された手法である。融合に用いるために免疫した脾細胞を単離するための免疫化プロトコルおよび技術は、当技術分野において知られている。融合パートナー(たとえばマウス骨髄腫細胞)および融合手順も公知である。 本発明のキメラ抗体またはヒト化抗体は、上述のように作製されたマウスモノクローナル抗体の配列に基づいて作製することができる。上記の重鎖免疫グロブリンおよび軽鎖免疫グロブリンをコードするDNAは、目的のマウスハイブリドーマから得ることができ、標準的な分子生物学技術を使用して、非マウス(たとえばヒト)免疫グロブリン配列を含有するように改変することができる。たとえば、キメラ抗体を作製するために、当技術分野で公知の方法を使用してマウス可変領域をヒト定常領域に連結することができる(たとえば、Cabillyらに付与された米国特許第4,816,567号を参照されたい)。ヒト化抗体を作製するために、当技術分野で公知の方法を使用してマウスCDR領域をヒトフレームワークに挿入することができる(たとえば、Winterに付与された米国特許第5,225,539号;ならびにQueenらに付与された米国特許第5,530,101号、第5,585,089号、第5,693,762号および第6,180,370号を参照されたい)。 本発明の実施形態の少なくともいくつかによれば、上記の抗体はヒトモノクローナル抗体である。LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRに対する上記のようなヒトモノクローナル抗体は、マウス免疫系ではなくヒト免疫系の一部を保有するトランスジェニックマウスまたはトランスクロモソミックマウスを使用して作製することができる。これらのトランスジェニックマウスおよびトランスクロモソミックマウスは、本明細書においてHuMAbマウス(登録商標)およびKMマウス(登録商標)と呼ばれるマウスを包含し、これらのマウスは本明細書において集合的に「ヒトIgマウス」と呼ばれる。HuMAbマウス(Medarex社)には、再構成されていないヒト重鎖(μ鎖およびγ鎖)およびκ軽鎖免疫グロブリン配列をコードするヒト免疫グロブリン遺伝子ミニ座が、内因性のμ鎖座およびκ鎖座を不活性化する標的変異とともに含まれている(たとえばLonberg, et al. (1994) Nature 368(6474): 856-859を参照されたい)。したがって、このマウスはマウスIgMまたはκ鎖の発現減少を示し、免疫化に応答して、導入されたヒト重鎖遺伝子およびヒト軽鎖導入遺伝子がクラススイッチおよび体細胞突然変異を起こし、高親和性のヒトIgGκモノクローナルを産生する(前掲のLonberg, N. et al. (1994)に記載されており;ならびに、Lonberg, N. (1994) Handbook of Experimental Pharmacology 113:49-101; Lonberg, N. and Huszar, D. (1995) Intern. Rev. Immunol. 13: 65-93, およびHarding, F. and Lonberg, N. (1995) Ann. N.Y. Acad. Sci. 764:536-546において再検討されている)。HuMabマウスの作製および使用、ならびにこのようなマウスが持つゲノム修飾については、Taylor, L. et al. (1992) Nucleic Acids Research 20:6287-6295; Chen, J. et al. (1993) International Immunology 5:647-656; Tuaillon et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:3720-3724; Choi et al. (1993) Nature Genetics 4:117-123; Chen, J. et al. (1993) EMBO J. 12: 821-830; Tuaillon et al. (1994) J. Immunol. 152:2912-2920; Taylor, L. et al. (1994) International Immunology 6:579-591;およびFishwild, D. et al. (1996) Nature Biotechnology 14: 845-851にさらに詳細に記載されており、これらの内容全体が参照により本明細書に具体的に組み込まれる。さらに、LonbergおよびKayに付与された米国特許第5,545,806号;第5,569,825号;第5,625,126号;第5,633,425号;第5,789,650号;第5,877,397号;第5,661,016号;第5,814,318号;第5,874,299号;および第5,770,429号;Suraniらに付与された米国特許第5,545,807号;LonbergおよびKayに付与されたPCT出願国際公開第92/03918号、国際公開第93/12227号、国際公開第94/25585号、国際公開第97/13852号、国際公開第98/24884号、および国際公開第99/45962号;ならびにKormanらに付与されたPCT出願国際公開第01/14424号を参照されたい。 別の実施形態では、本発明の実施形態の少なくともいくつかによるヒト抗体は、導入遺伝子および導入染色体上にヒト免疫グロブリン配列を持つマウス(たとえば、ヒト重鎖導入遺伝子およびヒト軽鎖導入染色体を持つマウスなど)を使用して産生させることができる。本明細書において「KMマウス(登録商標)」と呼ばれるこのようなマウスは、IshidaらによってPCT国際公開第02/43478号に詳しく説明されている。 さらに、当技術分野において、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現する別のトランスジェニック動物系が入手可能であり、本発明の実施形態の少なくともいくつかによる抗LY6G6F抗体、抗VSIG10抗体、抗TMEM25抗体および/または抗LSR抗体を産生させるために使用することができる。たとえば、Xenomouse(アブジェニックス社)と呼ばれる別のトランスジェニック系を使用することができ、このようなマウスは、たとえば、Kucherlapatiらに付与された米国特許第5,939,598号、第6,075,181号、第6,114,598号、第6,150,584号および第6,162,963号に記載されている。 さらに、当技術分野において、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現する別のトランスクロモソミック動物系が入手可能であり、本発明の実施形態の少なくともいくつかによる抗LY6G6F抗体、抗VSIG10抗体、抗TMEM25抗体および/または抗LSR抗体を産生させるために使用することができる。たとえば、「TCマウス」と呼ばれる、ヒト重鎖導入染色体およびヒト軽鎖導入染色体の両方を持つマウスを使用することができ、このようなマウスは、Tomizuka et al. (2000) Proc. Natl. Acad Sci. USA 97:722-727に記載されている。さらに、ヒト重鎖導入染色体および軽鎖導入染色体を持つウシが当技術分野において報告されており(Kuroiwa et al. (2002) Nature Biotechnology 20:889-894)、本発明の実施形態の少なくともいくつかによる抗LY6G6F抗体、抗VSIG10抗体、抗TMEM25抗体および/または抗LSR抗体を産生させるために使用することができる。 本発明の実施形態の少なくともいくつかによるヒトモノクローナル抗体は、ヒト免疫グロブリン遺伝子ライブラリーをスクリーニングするためのファージディスプレイ法を使用して作製することもできる。ヒト抗体を単離するためのこのようなファージディスプレイ法は当技術分野において確立されている。たとえば、Ladnerらに付与された米国特許第5,223,409号、第5,403,484号、および第5,571,698号;Dowerらに付与された米国特許第5,427,908号および第5,580,717号;McCaffertyらに付与された米国特許第5,969,108号および第6,172,197号;ならびに、Griffithsらに付与された米国特許第5,885,793号、第6,521,404号、第6,544,731号、第6,555,313号、第6,582,915号および第6,593,081号を参照されたい。 本発明の実施形態の少なくともいくつかによるヒトモノクローナル抗体は、免疫化によりヒト抗体応答を起こすことができるように再構築されたヒト免疫細胞を有するSCIDマウスを使用して作製することもできる。このようなマウスは、たとえば、Wilsonらに付与された米国特許第5,476,996号および第5,698,767号に記載されている。ヒトIgマウスの免疫化 本発明の実施形態の少なくともいくつかによるヒト抗体を作製するためにヒトIgマウスを使用する場合、このようなマウスは、LY6G6F抗原、VSIG10抗原、TMEM25抗原および/もしくはLSR抗原、ならびに/または組換えLY6G6F、組換えVSIG10、組換えTMEM25および/もしくは組換えLSR、またはLY6G6F融合タンパク質、VSIG10融合タンパク質、TMEM25融合タンパク質および/もしくはLSR融合タンパク質の精製調製物または濃縮調製物で免疫することができ、このような方法は、Lonberg, N. et al. (1994) Nature 368(6474): 856-859; Fishwild, D. et al. (1996) Nature Biotechnology 14: 845-851;ならびにPCT国際公開第98/24884号および国際公開第01/14424号に記載されている。6〜16週齢のマウスに最初の点滴を行うことが好ましい。たとえば、LY6G6F抗原、VSIG10抗原、TMEM25抗原および/またはLSR抗原の精製調製物または組換え調製物(5〜50μg)を使用して、ヒトIgマウスを腹腔内投与により免疫することができる。 他の研究者による様々な抗原を用いた過去の経験より、最初に完全フロイントアジュバントを加えた抗原を腹腔内(IP)投与することにより免疫し、次いで、不完全フロイントアジュバントを加えた抗原を1週おきに腹腔内投与することにより(計6回まで)免疫した場合にトランスジェニックマウスが応答を示すことが示されている。しかしながら、フロイント以外のアジュバントも効果的であることが分かっている。さらに、アジュバント非存在下の全細胞は高免疫原性であることが分かっている。後眼窩出血によって得られる血漿試料を使用して、免疫化プロトコル中に免疫応答をモニタリングすることができる。(後述の)ELISAによって血漿をスクリーニングすることができ、抗LY6G6Fヒト免疫グロブリン、抗VSIG10ヒト免疫グロブリン、抗TMEM25ヒト免疫グロブリンおよび/または抗LSRヒト免疫グロブリンの力価が十分に高いマウスを融合に使用することができる。屠殺および脾臓摘出の3日前にマウスに抗原を静脈内投与することによりブーストを行うことができる。1回の免疫化につき2〜3回の融合が必要であると予想される。通常、抗原それぞれに対して6〜24匹のマウスを免疫する。通常、HCo7株およびHCo12株の両方を使用する。さらに、HCo7由来導入遺伝子とHCo12由来導入遺伝子とを交配して、2種の異なるヒト重鎖導入遺伝子(HCo7/HCo12)を有する単一のマウスを作製することができる。別法としてまたは上記に加えて、KMマウス株を使用することもできる。ヒトモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマの作製 本発明の実施形態の少なくともいくつかによるヒトモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを作製するために、免疫したマウスから脾細胞および/またはリンパ節細胞を単離し、マウス骨髄腫細胞株などの適切な不死化細胞株に融合することができる。この結果生じるハイブリドーマを抗原特異的抗体の産生についてスクリーニングすることができる。たとえば、免疫したマウスから得た脾リンパ球の単一細胞懸濁液を、50%PEGとともに、6分の1の細胞数のP3X63−Ag8.653非分泌性マウス骨髄腫細胞(ATCC、CRL 1580)と融合させる。平底マイクロタイタープレートにおいて約2×105個の細胞を平板培養し、次いで、20%fetal Clone Serum、18%「653」調整培地、5%origen(IGEN)、4mM L−グルタミン、1mMピルビン酸ナトリウム、5mM HEPES、0.055のmM 2−メルカプトエタノール、50単位/mlペニシリン、50mg/mlストレプトマイシン、50mg/mlゲンタマイシンおよび1×HAT(シグマ;HATは融合の24時間後に添加する)を含む選択培地中で2週間インキュベートする。約2週間後に、HATをHTで置き換えた培地中で細胞を培養することができる。次いで、ELISAによって各ウェルのヒトモノクローナルIgM抗体およびIgG抗体のスクリーニングを行うことができる。ハイブリドーマの増殖が広範囲に起これば、通常10〜14日後に培地を観察することができる。抗体を分泌するハイブリドーマを再び平板培養し、再度スクリーニングを行い、ヒトIgGがなお陽性であれば、このモノクローナル抗体を限界希釈法により少なくとも2回サブクローニングすることができる。次いで、安定なサブクローンをインビトロで培養し、特性評価用の組織培養培地において少量の抗体を作製することができる。 ヒトモノクローナル抗体を精製するために、選択したハイブリドーマをモノクローナル抗体精製用の2Lスピナーフラスコ中で増殖させることができる。上清をろ過および濃縮して、プロテインAセファロース(ファルマシア(ニュージャージー州ピスカタウェイ))を用いたアフィニティークロマトグラフィーに供することができる。溶出されたIgGをゲル電気泳動および高速液体クロマトグラフィーで確認し、純度を確保することができる。緩衝液をPBSに交換することができ、また、濃度は吸光係数1.43を用いOD280において測定することができる。モノクローナル抗体は小分けし−80℃で保存することができる。モノクローナル抗体を作製するトランスフェクトーマの作製 本発明の実施形態の少なくともいくつかによる抗体は、当技術分野においてよく知られているように(たとえばMorrison, S. (1985) Science 229:1202)、たとえば組換えDNA技術と遺伝子導入法の組み合わせを使用して、宿主細胞トランスフェクトーマにおいて作製することもできる。 たとえば、抗体またはその抗体フラグメントを発現させるために、完全長の軽鎖および重鎖またはその一部分をコードするDNAは、標準的な分子生物学技術(たとえば目的の抗体を発現するハイブリドーマを使用したPCR増幅またはcDNAクローニング)によって得ることができ、このDNAを発現ベクターに挿入して、該遺伝子を転写調節配列および翻訳調節配列に機能可能に連結させることができる。本明細書において「機能可能に連結する」は、ベクター内の転写調節配列および翻訳調節配列が抗体遺伝子の転写および翻訳を調節するという意図された機能を果たすように、抗体遺伝子をベクターにライゲートすることを意味すると意図される。発現ベクターおよび発現制御配列は、使用される発現宿主細胞と適合するように選択される。抗体軽鎖遺伝子および抗体重鎖遺伝子は、別々のベクターに挿入することができ、より典型的には両方の遺伝子を同一の発現ベクターに挿入する。これらの抗体遺伝子は、標準的な方法(たとえば、抗体遺伝子フラグメント上およびベクター上の相補的制限部位のライゲーション、または制限部位が存在しない場合における平滑末端ライゲーション)によって発現ベクターに挿入される。本明細書に記載の抗体の軽鎖可変領域および重鎖可変領域を使用して、すなわち、これらの軽鎖可変領域および重鎖可変領域を、所望のアイソタイプの重鎖定常領域および軽鎖定常領域がすでにコードされている発現ベクターに挿入して、VHセグメントをベクター内のCHセグメントに機能可能に連結し、VKセグメントをベクター内のCLセグメントに機能可能に連結することによって、あらゆるアイソタイプの完全長抗体遺伝子を作製することができる。上記に加えてまたは別法として、上記の組換え発現ベクターは、宿主細胞からの抗体鎖の分泌を促進するシグナルペプチドをコードすることができる。シグナルペプチドが抗体鎖遺伝子のアミノ末端にインフレームに連結するように、抗体鎖遺伝子をベクターにクローニングすることができる。シグナルペプチドは、免疫グロブリンシグナルペプチドまたは異種シグナルペプチド(すなわち非免疫グロブリンタンパク質に由来するシグナルペプチド)であってもよい。 上記の抗体鎖遺伝子に加えて、本発明の実施形態の少なくともいくつかによる組換え発現ベクターは、宿主細胞において抗体鎖遺伝子の発現を制御する調節配列を保有する。「調節配列」は、抗体鎖遺伝子の転写または翻訳を制御するプロモーター、エンハンサーおよび他の発現調節エレメント(たとえばポリアデニル化シグナル)を包含すると意図される。このような調節配列は、たとえば、Goeddel(Gene Expression Technology. Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, Calif. (1990))に記載されている。調節配列を選択することを含む発現ベクターの設計が、形質転換される宿主細胞の選択、所望のタンパク質発現レベルなどの因子によって左右されうることは当業者によって十分に理解されるであろう。哺乳動物宿主細胞における発現に使用するのに好ましい調節配列としては、哺乳動物細胞においてタンパク質を高発現させるウイルスエレメント、たとえば、サイトメガロウイルス(CMV)、シミアンウイルス40(シミアンウイルス40)、アデノウイルス(たとえばアデノウイルス主要後期プロモーター(AdMLP))およびポリオーマウイルスに由来するプロモーターおよび/またはエンハンサーが挙げられる。あるいは、ユビキチンプロモーターまたはβ−グロビンプロモーターなどの非ウイルス性調節配列を使用してもよい。さらに、由来の異なる様々な配列から構成される調節エレメント、たとえば、SV40早期プロモーター由来の配列とヒトT細胞白血病ウイルス1型の長い末端反復配列由来の配列とを含むSRαプロモーター系(Takebe, Y. et al. (1988) Mol. Cell. Biol. 8:466-472)などが挙げられる。 上記の抗体鎖遺伝子および調節配列に加えて、本発明の実施形態の少なくともいくつかによる組換え発現ベクターは、たとえば、宿主細胞においてベクターの複製を調節する配列(たとえば複製開始点)および選択可能なマーカー遺伝子などのさらなる配列を保有してもよい。選択可能なマーカー遺伝子は、ベクターが導入された宿主細胞の選択を容易にする(たとえば、Axelらに付与された米国特許第4,399,216号、第4,634,665号、第5,179,017号を参照されたい)。たとえば、通常、選択可能なマーカー遺伝子は、G418、ハイグロマイシンまたはメトトレキサートなどの薬剤に対する耐性を、ベクターが導入された宿主細胞に付与する。好ましい選択可能なマーカー遺伝子としては、(メトトレキサート選択/増幅とともにdhfr−宿主細胞において使用される)ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)遺伝子および(G418選択用の)neo遺伝子が挙げられる。 上記の軽鎖および重鎖を発現させるために、上記の軽鎖および重鎖をコードする発現ベクターを標準的な技術を用いて宿主細胞にトランスフェクトする。様々な形を取る「トランスフェクション」という用語は、たとえば、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿法、DEAE−デキストランによるトランスフェクションなどの、原核宿主細胞または真核宿主細胞に外来性DNAを導入するために一般的に使用される様々な技術を包含すると意図される。原核宿主細胞および真核宿主細胞のいずれにおいても本発明の実施形態の少なくともいくつかによる抗体を発現させることは理論上可能ではあるが、真核細胞、最も好ましくは哺乳動物宿主細胞において抗体を発現させることが最も好ましく、これは、このような真核細胞、具体的には哺乳動物細胞は、原核細胞と比較して、適切に折りたたまれかつ免疫学的に活性な抗体を構築し分泌する可能性がより高いからある。抗体遺伝子を原核細胞において発現させても、活性な抗体を高収率で作製することはできないことが報告されている(Boss, M. A. and Wood, C. R. (1985) Immunology Today 6:12-13)。 本発明の実施形態の少なくともいくつかによる組み換え抗体を発現するための好ましい哺乳動物宿主細胞としては、チャイニーズハムスター卵巣(CHO細胞)(Urlaub and Chasin, (1980) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216-4220に記載されているdhfr−CHO細胞が挙げられ、これは、たとえばR. J. Kaufman and P. A. Sharp (1982) Mol. Biol. 159:601-621などに記載されているように、DHFR選択可能マーカーとともに使用される)、NSO骨髄腫細胞、COS細胞、およびSP2細胞が挙げられる。具体的には、NSO骨髄腫細胞を使用する場合、別の好ましい発現系は、国際公開第87/04462号、国際公開第89/01036号および欧州特許第338,841号に開示されたGS遺伝子発現システムである。抗体遺伝子をコードする組換え発現ベクターを哺乳動物宿主細胞に導入する場合、宿主細胞を、宿主細胞において抗体を発現させるのに十分な時間、より好ましくは、宿主細胞が増殖する培養培地中に抗体が分泌されるのに十分な時間培養することにより抗体を作製する。抗体は標準的なタンパク質精製法を使用して培養培地から回収することができる。抗原に対する抗体の結合の特性評価 本発明の実施形態の少なくともいくつかによる抗体は、たとえば標準的なELISAなどによって、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRに対する結合性を試験することができる。簡潔に述べると、PBS中0.25μg/mlの精製したLY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRでマイクロタイタープレートをコーティングし、次いで、PBS中5%ウシ血清アルブミンでブロッキングする。希釈した抗体(たとえば免疫したマウスから得た血漿を希釈したもの)を各ウェルに加え、37℃で1〜2時間インキュベートする。プレートをPBS/Tweenで洗浄し、次いで、アルカリホスファターゼに結合させた第2試薬(たとえば、ヒト抗体に対しては、ヤギ抗ヒトIgG Fc特異的ポリクローナル試薬)とともに37℃で1時間インキュベートする。洗浄後、プレートをpNPP基質(1mg/ml)で発色させ、OD405〜650において分析する。最も高い力価を示したマウスを融合に使用することが好ましい。 上記のELISAアッセイを使用して、LY6G6F免疫原、VSIG10免疫原、TMEM25免疫原および/またはLSR免疫原との反応性が陽性であるハイブリドーマのスクリーニングを行うこともできる。LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRに高いアビディティで結合するハイブリドーマはサブクローニングされ、さらにその特性が評価される。親細胞の反応性(ELISAで評価)を保持する1つのクローンを各ハイブリドーマから選択し、保存細胞として5〜10個のバイアル中で−140℃において保存するとともに、抗体精製に使用する。 抗LY6G6F抗体、抗VSIG10抗体、抗TMEM25抗体および/または抗LSR抗体を精製するために、選択したハイブリドーマをモノクローナル抗体精製用の2Lスピナーフラスコ中で増殖させることができる。上清をろ過および濃縮して、プロテインAセファロース(ファルマシア(ニュージャージー州ピスカタウェイ))を用いたアフィニティークロマトグラフィーに供することができる。溶出されたIgGをゲル電気泳動および高速液体クロマトグラフィーで確認し、純度を確保することができる。緩衝液をPBSに交換することができ、また、濃度は吸光係数1.43を用いOD280において測定することができる。モノクローナル抗体は小分けし−80℃で保存することができる。 選択した抗LY6G6Fモノクローナル抗体、抗VSIG10モノクローナル抗体、抗TMEM25モノクローナル抗体および/または抗LSRモノクローナル抗体が特異的エピトープに結合するかどうか確認するために、市販の試薬(ピアス(イリノイ州ロックフォード))を使用して各抗体をビオチン化することができる。非標識モノクローナル抗体およびビオチン化モノクローナル抗体を使用した比較試験は、上述したような、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRをコーティングしたELISAプレートを使用して行うことができる。ビオチン化モノクローナル抗体(mAb)の結合は、ストレプトアビジンアルカリホスファターゼプローブで検出することができる。 精製した抗体のアイソタイプを確認するために、特定のアイソタイプの抗体に特異的な試薬を使用してアイソタイプELISAを行うことができる。たとえば、ヒトモノクローナル抗体のアイソタイプを確認するために、マイクロタイタープレートのウェルを、1μg/ml抗ヒト免疫グロブリンで4℃において一晩かけてコーティングすることができる。1%BSAでブロッキング後、プレートを、1μg/ml以下の試験モノクローナル抗体または精製したアイソタイプコントロールと環境温度において1〜2時間反応させる。次いで、ウェルを、ヒトIgG1またはヒトIgMに特異的なアルカリホスファターゼを結合したプローブと反応させることができる。上述したようにプレートを発色させて分析する。 さらに、抗LY6G6FヒトIgG、抗VSIG10ヒトIgG、抗TMEM25ヒトIgGおよび/または抗LSRヒトIgGは、ウェスタンブロットを用いて、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSR抗原との反応性についてそれぞれ試験することができる。簡潔に述べると、LY6G6F抗原、VSIG10抗原、TMEM25抗原および/またはLSR抗原を作製し、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動に供することができる。電気泳動後、分離された抗原をニトロセルロース膜に転写し、10%ウシ胎仔血清でブロッキングし、試験モノクローナル抗体をプローブとして用いて検出する。ヒトIgGの結合は、抗ヒトIgGアルカリホスファターゼを使用して検出でき、BCIP/NBT基質錠剤(Sigma Chem社(ミズーリ州セントルイス))で発色させることができる。代替足場 実施形態の少なくともいくつかによれば、本発明は、特異的抗体と類似した特異性および親和性を有する足場タンパク質に関する。実施形態の少なくともいくつかによれば、本発明は、1つ以上のエピトープ結合ドメインに連結される足場タンパク質を含む抗原結合構築物に関する。このような改変足場タンパク質は、通常、ループ領域またはそれ以外の許容される表面部位に注目して、突然変異を含むランダムライブラリーを設計し、次いで、ファージディスプレイまたはその関連技術を使用して任意の標的に対して変異体を選択することによって得られる。実施形態の少なくともいくつかによれば、本発明は、anticalin、DARPin、アルマジロリピートタンパク質、プロテインA、リポカリン、フィブロネクチンドメイン、アンキリンコンセンサスリピートドメイン、チオレドキシン、化学的に抑制されたペプチドなどを包含する(ただしこれらに限定されない)代替足場に関する。実施形態の少なくともいくつかによれば、本発明は、治療剤として、がん、自己免疫疾患および感染症の治療、ならびにインビボにおける診断に使用される代替足場に関する。 実施形態の少なくともいくつかによれば、本発明はさらに、本明細書に記載の抗原結合構築物と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。本明細書において「足場タンパク質」は、免疫グロブリン(Ig)足場、たとえばIgG足場を包含するが(ただしこれらに限定されない)、免疫グロブリン(Ig)足場は、四本鎖抗体または二本鎖抗体であってもよく、抗体のFc領域のみを含んでもよく、抗体の定常領域を1つ以上含んでもよく(定常領域はヒト由来または霊長類由来であってもよい)、ヒトまたは霊長類由来の定常領域の人工キメラであってもよい。このような足場タンパク質は、1つ以上の定常領域に加えて抗原結合部位を含んでもよく、たとえば、足場タンパク質は完全なIgGを含んでもよい。このような足場タンパク質は、他のタンパク質ドメイン、たとえば抗原結合部位を有するタンパク質ドメイン、たとえばエピトープ結合ドメインまたはScFvドメインなどに結合することができるであろう。 「ドメイン」は、他の部分から独立した三次構造を有する、折りたたまれたタンパク質構造である。通常、ドメインは、タンパク質の独立した様々な機能特性を担い、多くの場合、タンパク質の残り部分および/またはドメインの機能を損なうことなく、他のタンパク質に付加されてもよいし、除去されてもよいし、他のタンパク質へと移動されてもよい。「単一の抗体可変ドメイン」は、抗体可変ドメインに特徴的な配列を含む、折りたたまれたポリペプチドドメインである。したがって、単一の抗体可変ドメインには、完全な抗体可変ドメインおよび修飾された可変ドメインが包含され、たとえば、抗体可変ドメインに特徴的ではない配列で1つ以上のループが置換された修飾可変ドメイン、切断された抗体可変ドメイン、N末端伸長もしくはC末端伸長を含む抗体可変ドメイン、または、完全長ドメインの結合活性および特異性を少なくとも保持する可変ドメインの折りたたみフラグメントが包含される。 「免疫グロブリンの単一可変ドメイン」は、V領域やVドメインの違いとは関係なく、抗原またはエピトープに特異的に結合する抗体可変ドメイン(VH、VHH、VL)を指す。免疫グロブリンの単一可変ドメインは、該免疫グロブリンの単一可変ドメインによる抗原結合に必要とされない様々な他の可変領域または可変ドメインを有する構成(たとえばホモ多量体またはヘテロ多量体)であってよい(すなわち、免疫グロブリンの単一可変ドメインは、さらなる可変ドメインとは無関係に抗原に結合する)。「ドメイン抗体」または「dAb」は、本明細書に記載の用語である、抗原に結合することが可能な「免疫グロブリンの単一可変ドメイン」と同義である。免疫グロブリンの単一可変ドメインは、ヒト抗体可変ドメインであってもよく、これに加えて、げっ歯類(たとえば国際公開第00/29004号に開示されている)、テンジクザメおよびラクダ科のVHH dAbsなどの他の生物種由来の単一抗体可変ドメインをも包含する。ラクダ科VHHは、軽鎖を欠いた重鎖抗体を天然に産生する、ラクダ、ラマ、アルパカ、ヒトコブラクダおよびグアナコを含む生物種に由来する免疫グロブリン単一可変ドメインポリペプチドである。このようなVHHドメインは、当技術分野において利用可能な標準的な技術によってヒト化してもよく、本発明によれば、このようなドメインはそれでもなお「ドメイン抗体」であると考えられる。本明細書において「VH」は、ラクダ科VHHドメインを含む。NARVは、テンジクザメを含む軟骨魚類において同定された別のタイプの免疫グロブリン単一可変ドメインである。これらのドメインは、新規抗原レセプター可変領域(Novel Antigen Receptor variable region;一般にV(NAR)またはNARVと略される)として知られている。詳細については、MoI. Immunol. 44, 656-665 (2006)および米国特許第20050043519(A)を参照されたい。 「エピトープ結合ドメイン」は、V領域またはVドメインの違いとは関係なく抗原またはエピトープに特異的に結合するドメインを指す。これは、ドメイン抗体(dAb)(たとえばヒト、ラクダ科、サメ科の免疫グロブリン単一可変ドメイン)であってもよく、または、CTLA−4(Evibody);リポカリン;プロテインAのZドメイン(Affibody、SpA)、Aドメイン(Avimer/Maxibody)などのプロテインA由来分子;GroEIおよびGroESなどの熱ショックタンパク質;トランスフェリン(trans−body);アンキリンリピートタンパク質(DARPin);ペプチドアプタマー;C型レクチン領域(Tetranectin);ヒトγ−クリスタリンおよびヒトユビキチン(affilin);PDZドメイン;ヒトプロテアーゼ阻害剤のサソリ毒kunitz型ドメイン;アルマジロリピートタンパク質;チオレドキシン;およびフィブロネクチン(adnectin)(天然リガンド以外のリガンドに結合するようにタンパク質工学により操作されたもの)からなる群から選択される足場の誘導体であるドメインであってもよい。 抗体のCDRに相当するループは、異種配列で置換することにより様々な結合特性を付与することができる(すなわちEvibody)。詳細については、Journal of Immunological Methods 248 (1-2), 31-45 (2001)を参照されたい。リポカリンは、ステロイド、ビリン、レチノイドおよび脂質などの疎水性低分子を輸送する細胞外タンパクのファミリーである。リポカリンは、円錐形構造の開放端にいくつかのループを有する強固な二次構造を持ち、このループを改変することによって様々な標的抗原に結合させることが可能となる。Anticalinは、サイズが160〜180アミノ酸残基であり、リポカリンに由来する。詳細については、Biochim Biophys Acta 1482: 337-350 (2000)、米国特許第7250297(B1)号および米国特許第20070224633号を参照されたい。affibodyは、黄色ブドウ球菌のプロテインAに由来する足場であり、抗原に結合するように改変することができる。このドメインは、約58個のアミノ酸で構成される3つのらせん構造の束からなる。ライブラリーは表面残基をランダム化することによって作製されている。詳細については、Protein Eng. Des. SeI. 17, 455-462 (2004)および欧州特許第1641818(A1)号を参照されたい。Avimerは、Aドメイン足場ファミリーに由来するマルチドメインタンパク質である。約35個のアミノ酸からなるネイティブドメインは、明確なジスルフィド結合構造をとっている。Aドメインファミリーによって示される自然変異を様々に再構成することにより多様性を持たせることができる。詳細については、Nature Biotechnology 23(12), 1556-1561 (2005)およびExpert Opinion on Investigational Drugs 16(6), 909-917 (June 2007)を参照されたい。トランスフェリンは単量体の血清輸送糖タンパク質である。トランスフェリンは、許容表面ループにペプチド配列を挿入することによって、様々な標的抗原に結合するように改変することができる。改変されたトランスフェリン足場として、Trans−bodyが挙げられる。詳細については、J. Biol. Chem 274, 24066-24073 (1999)を参照されたい。 設計アンキリンリピートタンパク質(DARPin)は、細胞骨格への必須膜タンパク質の結合を媒介するタンパク質ファミリーであるアンキリンに由来する。単一のアンキリンリピートは、2つのαヘリックスとβターンとからなる33残基のモチーフである。DARPinは、各リピートの第1のαヘリックスおよびβターンの残基をランダム化することによって、様々な標的抗原に結合するよう改変することができる。モジュールの数を増加させることによって、結合に寄与する部分を増加させることができる(親和性成熟と呼ばれる方法)。詳細については、J. MoI. Biol. 332, 489-503 (2003), PNAS 100(4), 1700-1705 (2003)、 J. MoI. Biol. 369, 1015-1028 (2007)および米国特許第20040132028(A1)号を参照されたい。 フィブロネクチンは、抗原に結合するよう改変することができる足場である。Adnectinは、15個のヒトフィブロネクチンIII型(FN3)の繰り返し単位の第10ドメインの天然のアミノ酸配列のバックボーンからなる。βサンドイッチの一端の3つのループを改変することによって、Adnectinが目的の治療標的を特異的に認識することが可能となる。詳細については、Protein Eng. Des. SeI. 18, 435-444 (2005)、米国特許第20080139791号、国際公開第2005056764号および米国特許6818418(B1)号を参照されたい。 ペプチドアプタマーは、抑制された可変ペプチドループが活性部位に挿入された定常足場タンパク質(通常チオレドキシン(TrxA))からなるコンビナトリアル認識分子である。詳細については、Expert Opin. Biol. Ther. 5. 783-797 (2005)を参照されたい。 ミクロボディは、3〜4個のシステイン架橋を含む25〜50アミノ酸長の天然のマイクロタンパク質に由来し、マイクロタンパク質としては、KalataBI、コノトキシンおよびknottinsが挙げられる。マイクロタンパク質には、マイクロタンパク質の全体的な折りたたみに影響を及ぼすことなく、25個までのアミノ酸が含有されるように改変することが可能なループが存在する。改変されたknottinドメインの詳細については、国際公開第2008098796号を参照されたい。 他のエピトープ結合ドメインとして、様々な標的抗原結合特性を改変するための足場として使用されてきたタンパク質が挙げられ、このようなものとしてヒトγB−クリスタリンおよびヒトユビキチン(affilin)、ヒトプロテアーゼ阻害剤のkunitz型ドメイン、Ras結合タンパク質であるAF−6のPDZドメイン、サソリ毒(カリブドトキシン)、C型レクチン領域(テトラネクチン)が挙げられ、これらは、Non-Antibody Scaffolds from Handbook of Therapeutic Antibodies (2007, edited by Stefan Dubel)の第7章およびProtein Science 15:14-27 (2006)において再検討されている。本発明のエピトープ結合ドメインは、これらの代替タンパク質ドメインのいずれに由来してもよい。結合体または免疫結合体 本発明は、LY6G6F抗原、VSIG10抗原、TMEM25抗原および/もしくはLSR抗原、または(これらの細胞外ドメイン、一部分、もしくは変異体を包含する)これらの可溶性部分を含む、免疫療法において使用される結合体を包含する。たとえば、本発明は、LY6G6F抗原、VSIG10抗原、TMEM25抗原および/またはLSR抗原のECDが免疫グロブリンまたはそのフラグメントに結合された結合体を包含する。本発明は、LY6G6F抗原、VSIG10抗原、TMEM25抗原および/またはLSR抗原の活性(たとえば免疫共刺激など)を促進または抑制するための上記結合体の使用、および移植片、自己免疫、およびがんに関する本明細書に記載の徴候を治療するための上記結合体の使用を意図したものである。 別の態様において、本発明は、ペイロードとしての(多くの場合細胞毒性を有する)薬剤に連結された抗体(または一本鎖可変フラグメント[scFv]などの抗体フラグメント)からなる、たとえばがんの治療などに使用される抗体−薬物結合体(ADC)を特徴とする。該抗体はADCを標的がん細胞に結合させる。次いで、ADCは細胞によって取り込まれ、薬剤が細胞内に放出される場合が多い。標的化されているため、副作用はより低く、治療域はより広いものとなる。親水性のリンカー(たとえばPEG4Mal)は、MDR(多剤耐性)トランスポーターを介して耐性がん細胞から薬剤が排出されるのを防ぐのに役立つ。切断可能なリンカーに基づいたADCは、治療域があまり有利でないと考えられるが、標的(腫瘍細胞表面抗原)としては、その取り込みが効率的ではないものが切断可能なリンカーにより適していると考えられる。 別の一態様において、本発明は、細胞毒素、薬剤(たとえば免疫抑制剤)、放射性毒素などの治療成分に結合させた抗LY6G6F抗体、抗VSIG10抗体、抗TMEM25抗体および/または抗LSR抗体もしくはこれらのフラグメントを含む免疫結合体を特徴とする。本明細書において、このような結合体を「免疫結合体(immunoconjugate)」と呼ぶ。1以上の細胞毒素を含む免疫結合体を「免疫毒素(immunotoxin)」と呼ぶ。細胞毒素または細胞毒性剤は、細胞に有害な(たとえば破壊するような)あらゆる薬剤を包含する。このような薬剤として、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、エチジウムブロマイド、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1−デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、およびピューロマイシンならびにこれらのアナログまたはホモログが挙げられる。治療剤として、たとえば、代謝拮抗剤(たとえばメトトレキサート、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、シタラビン、5−フルオロウラシルデカルバジン)、アルキル化剤(たとえばメクロレタミン、チオテパ、クロラムブチル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)およびロムスチン(CCNU)、シクロホスファミド、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、ならびにcis−ジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン)、アントラサイクリン(たとえば(以前はダウノマイシンと呼ばれていた)ダウノルビシンおよびドキソルビシン)、抗生物質(たとえばダクチノマイシン(以前のアクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシンおよびアントラマイシン(AMC))、ならびに抗有糸分裂剤(たとえばビンクリスチンおよびビンブラスチン)が挙げられる。 本発明の実施形態の少なくともいくつかによる抗体に共役可能な他の好ましい治療用細胞毒素としては、デュオカルマイシン類、カリケアミシン類、メイタンシン類およびオーリスタチン類、ならびにこれらの誘導体が挙げられる。カリケアミシン抗体結合体の一例としては、市販されているものが挙げられる(Mylotarg(登録商標);Wyeth)。 当技術分野において利用可能なリンカー技術を使用して、本発明の実施形態の少なくともいくつかによる抗体に細胞毒素を共役させることができる。抗体に細胞毒素を結合するために使用されるリンカーの種類としては、ヒドラゾン類、チオエテール類、エステル類、ジスルフィド類、およびペプチド含有リンカーが挙げられるが、これらに限定されない。たとえば、リソソームコンパートメント内の低pH条件下において切断されやすいリンカー、または腫瘍組織において選択的に発現されるプロテアーゼ(たとえばカテプシン(たとえばカテプシンB、C、D))などプロテアーゼにより切断されやすいリンカーを選択することができる。 細胞毒素の種類、リンカーの種類、および抗体に治療剤を結合する方法に関するさらなる論考については、Saito, G. et al. (2003) Adv. Drug Deliv. Rev. 55:199-215; Trail, P. A. et al. (2003) Cancer Immunol. Immunother. 52:328-337; Payne, G. (2003) Cancer Cell 3:207-212; Allen, T. M. (2002) Nat. Rev. Cancer 2:750-763; Pastan, I. and Kreitman, R. J. (2002) Curr. Opin. Investig. Drugs 3:1089-1091;およびSenter, P. D. and Springer, C. J. (2001) Adv. Drug Deliv. Rev. 53:247-264.も参照されたい。 本発明の抗体はさらに、放射性同位体に結合させることにより、細胞毒性を有する放射性医薬品(放射性免疫結合体とも呼ぶ)とすることができる。診断目的または治療目的で使用される抗体に結合できる放射性同位体としては、ヨウ素131、インジウム111、イットリウム90およびルテチウム177が挙げられるが、これらに限定されない。放射性免疫結合体の作製方法は当技術分野において確立されている。市販されている放射性免疫結合体としては、ゼヴァリン(Zevalin)(IDEC Pharmaceuticals)およびベキサール(Bexxar)(Corixa Pharmaceuticals)が挙げられ、本発明の実施形態の少なくともいくつかによる抗体を用い、上記と同様の方法を使用して放射性免疫結合体を作製することができる。 本発明の実施形態の少なくともいくつかによる抗体結合体を使用して任意の生物学的応答を修飾することができ、薬剤成分は古典的な化学治療剤に限定されないと理解される。たとえば、薬剤成分は所望の生物学的活性を有するタンパク質またはポリペプチドであってもよい。このようなタンパク質としては、たとえば、アブリン、リシンA、緑膿菌外毒素、ジフテリア毒素などの酵素的に活性な毒素またはその活性フラグメント;腫瘍壊死因子およびインターフェロンγなどのタンパク質;ならびに、リンホカイン、インターロイキン1(「IL−1」)、インターロイキン2(「IL−2」)、インターロイキン6(「IL−6」)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(「GM−CSF」)、顆粒球コロニー刺激因子(「G−CSF」)、他の増殖因子などの生物学的応答調節物質が挙げられる。 抗体に上記のような治療成分を結合するための技術はよく知られており、たとえば、Arnon et al., “Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer Therapy”, in Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy, Reisfeld et al. (eds.), pp. 243-56 (Alan R. Liss, Inc. 1985); Hellstrom et al., “Antibodies For Drug Delivery”, in Controlled Drug Delivery (2nd Ed.), Robinson et al. (eds.), pp. 623-53 (Marcel Dekker, Inc. 1987); Thorpe, “Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy: A Review”, in Monoclonal Antibodies ’84: Biological And Clinical Applications, Pinchera et al. (eds.), pp. 475-506 (1985); “Analysis, Results, And Future Prospective Of The Therapeutic Use Of Radiolabeled Antibody In Cancer Therapy”, in Monoclonal Antibodies For Cancer Detection And Therapy, Baldwin et al. (eds.), pp. 303-16 (Academic Press 1985),およびThorpe et al., “The Preparation And Cytotoxic Properties Of Antibody-Toxin Conjugates”, Immunol. Rev., 62:119-58 (1982)を参照されたい。二重特異性分子 本発明の実施形態の少なくともいくつかによれば、別の態様において本発明は、抗LY6G6F抗体、抗VSIG10抗体、抗TMEM25抗体および/もしくは抗LSR抗体またはこれらのフラグメントを含む二重特異性分子を特徴とする。本発明の実施形態の少なくともいくつかによる抗体またはその抗原結合部分を誘導体化するか、または別の機能分子(たとえば別のペプチドもしくはタンパク質(たとえば別の抗体またはレセプターに対するリガンド))に連結させることによって、少なくとも2種の異なる結合部位または標的分子と結合する二重特異性分子を作製することができる。実際に、本発明の実施形態の少なくともいくつかによる抗体を誘導体化するか、または2種の他の機能分子に連結させることによって、3種以上の異なる結合部位および/または標的分子と結合する多重特異性分子を作製してもよく、このような多重特異性分子も、本明細書における「二重特異性分子」に包含されると意図される。本発明の実施形態の少なくともいくつかによる二重特異性分子を作製するためには、たとえば、別の抗体、抗体フラグメント、ペプチド、結合ミメティックなどの1以上の他の結合分子に抗体を(たとえば、化学的結合、遺伝子融合、非共有結合性会合などにより)機能的に連結することによって、二重特異性分子を得ることができる。 したがって、本発明は、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRに対する少なくとも1つの第1の結合特異性と、第2の標的エピトープに対する第2の結合特異性とを含む二重特異性分子を包含する。本発明の実施形態の少なくともいくつかによれば、第2の標的エピトープは、Fcレセプター、たとえば、ヒトFcγRI(CD64)またはヒトFcαレセプター(CD89)である。したがって、本発明は、FcγR、FcαRまたはFcεRを発現するエフェクター細胞(たとえば単球、マクロファージまたは多核白血球(PMN))と、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRを発現する標的細胞との両方に結合することができる二重特異性分子を包含する。このような二重特異性分子は、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRを発現している細胞をエフェクター細胞に近接させ、Fcレセプターを介したエフェクター細胞活性、たとえば、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRを発現している細胞に対する食作用、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)、サイトカインの放出、スーパーオキシドアニオンの発生などを誘起させる。 二重特異性分子が多重特異性を有する本発明の実施形態の少なくともいくつかによれば、この分子は、抗Fc結合特異性および抗6f結合特異性に加えて、第3の結合特異性をさらに含むことができる。一実施形態において、第3の結合特異性は、抗増強因子部分(anti−enhancement factor(EF)portion)、たとえば、細胞毒性活性に関与する表面タンパク質と結合することによって標的細胞に対する免疫応答を増強させる分子である。 「抗増強因子部分(anti−enhancement factor portion)」は、任意の分子(たとえば抗原やレセプター)と結合することによって、Fcレセプターまたは標的細胞抗原を結合する決定基の効果を増強させる抗体、機能的抗体フラグメントまたはリガンドであってもよい。「抗増強因子部分」は、Fcレセプターまたは標的細胞抗原と結合することができる。あるいは、抗増強因子部分は、第1の結合特異性および第2の結合特異性によって結合する対象とは異なる対象に結合することができる。たとえば、抗増強因子部分は、(たとえば、CD2、CD3、CD8、CD28、CD4、CD40、ICAM−1、または標的細胞に対する免疫応答を増強させる別の免疫細胞を介して)細胞傷害性T細胞と結合することができる。 本発明の実施形態の少なくともいくつかによれば、二重特異性分子は結合特異性として少なくとも1つの抗体またはその抗体フラグメントを含み、このような抗体またはその抗体フラグメントとして、たとえば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、または一本鎖Fvが挙げられる。また、Ladnerらによる米国特許第4,946,778号(この内容は参照により本明細書に明示的に組み込まれる)に記載されているように、この抗体は、軽鎖または重鎖の二量体またはその任意の最小フラグメント(Fvや一本鎖構造など)であってもよい。 一実施形態では、Fcγレセプターに対する結合特異性はモノクローナル抗体によって付与され、この結合はヒト免疫グロブリンG(IgG)によってブロックされない。本明細書において「IgGレセプター」は、第1染色体に位置する8個のγ鎖遺伝子のいずれかを指す。これらの遺伝子は、合計12種の膜貫通型または可溶性レセプターアイソフォームをコードし、これらのアイソフォームは、3つのFcγレセプタークラス、すなわち、FcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)およびFcγRIII(CD16)に分類される。好ましい一実施形態において、Fcγレセプターはヒト高親和性FcγRIである。ヒトFcγRIは72kDaの分子であり、単量体のIgGに対して高親和性(108〜109M−1)を示す。 特定の好ましい抗Fcγモノクローナル抗体の作製およびその特性評価は、FangerらによってPCT国際公開第88/00052号および米国特許第4,954,617号(これらの教示全体は参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。これらの抗体は、FcレセプターのFcγ結合部位とは異なる部位でFcγRI、FcγRIIまたはFcγRIIIのエピトープに結合するため、これらの結合は、生理的濃度のIgGによって実質的にブロックされない。本発明に有用な抗FcγRI抗体は、具体的には、mAb22、mAb32、mAb44、mAb62およびmAb197である。mAb32を産生するハイブリドーマは、American Type Culture Collection(ATCC受託番号:HB9469)から入手可能である。別の実施形態において、抗Fcγレセプター抗体はモノクローナル抗体22(H22)のヒト化形態である。H22抗体の作製および特性評価については、Graziano, R.F. et al. (1995) J. Immunol. 155 (10): 4996-5002およびPCT国際公開第94/10332号に記載されている。H22抗体産生細胞株はHAO22CLIの名称でAmerican Type Culture Collectionに寄託されており、その受託番号はCRL11177である。 さらに別の好ましい実施形態では、Fcレセプターに対する結合特異性は、たとえばFcαレセプター(FcαRI(CD89))などのヒトIgAレセプターに結合する抗体によって付与され、その結合はヒト免疫グロブリンA(IgA)によってブロックされないことが好ましい。「IgAレセプター」は、第19染色体に位置する1種のα遺伝子(FcαRI)の遺伝子産物を含むと意図される。この遺伝子は55〜110kDaの選択的スプライシング膜貫通型アイソフォームをいくつかコードすることが知られている。 FcαRI(CD89)は、単球/マクロファージ、好酸球および好中球上に構成的に発現されているが、非エフェクター細胞集団には発現されていない。FcαRIは、IgA1およびIgA2の両方に対して中程度の親和性(約5×107M−1)を有しているが、これは、G−CSFやGM−CSFなどのサイトカインへの暴露により増加する(Morton, H. C. et al. (1996) Critical Reviews in Immunology 16:423-440)。FcαRIに特異的な4種のモノクローナル抗体がA3、A59、A62およびA77として同定されており、これらはIgAリガンド結合ドメイン外のFcαRIに結合することが報告されている(Monteiro, R. C. et al. (1992) J. Immunol. 148:1764)。 FcαRIおよびFcγRIは、本発明の実施形態の少なくともいくつかによる二重特異性分子において使用されるトリガーレセプターとして好ましく、この理由として、(1)主として免疫エフェクター細胞(たとえば、単球、PMN、マクロファージ、樹状細胞)上に発現されること;(2)高レベル(たとえば細胞1個あたり5,000〜100,000)に発現されること;(3)細胞毒性活性(たとえば、ADCC、食作用)を媒介するものであること;および(4)これらのレセプターに向けられた抗原(自己抗原を含む)の抗原提示の増強を媒介することが挙げられる。 ヒトモノクローナル抗体が好ましいが、本発明の実施形態の少なくともいくつかによる二重特異性分子において使用することができる別の抗体は、マウスモノクローナル抗体、キメラモノクローナル抗体およびヒト化モノクローナル抗体である。 本発明の二重特異性分子は、当技術分野で公知の方法を使用して、構成要素である結合特異性成分同士を結合させることによって作製することができ、該結合特異性としては、たとえば、抗FcR結合特異性、ならびに抗LY6G6F結合特異性、抗VSIG10結合特異性、抗TMEM25結合特異性および/または抗LSR結合特異性が挙げられる。たとえば、二重特異性分子の結合特異性成分はそれぞれ別個に作製した後に結合させてもよい。結合特異性成分がタンパク質またはペプチドである場合、様々な結合剤または架橋剤を使用して共有結合によりこれらを結合させることができる。架橋剤としては、プロテインA、カルボジイミド、N−スクシンイミジル−S−アセチル−チオアセタート(SATA)、5,5’−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸(DTNB)、o−フェニレンジマレイミド(oPDM)、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオナート(SPDP)、およびスルホスクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシラート(スルホ−SMCC)が挙げられる(たとえば、Karpovsky et al. (1984) J. Exp. Med. 160:1686;および Liu, M A et al. (1985) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:8648を参照されたい)。他の方法として、Paulus (1985) Behring Ins. Mitt. No. 78, 118-132; Brennan et al. (1985) Science 229:81-83, および Glennie et al. (1987) J. Immunol. 139: 2367-2375に記載されているものが挙げられる。結合するための薬剤としてはSATAおよびスルホ−SMCCが好ましく、これらはいずれもピアスケミカル社(イリノイ州ロックフォード)より入手可能である。 結合特異性成分が抗体である場合、2つの重鎖のC末端ヒンジ領域に位置するスルフヒドリル結合を介してこれらを結合させてもよい。特に好ましい実施形態では、これらを結合させる前に、ヒンジ領域を修飾して奇数個、好ましくは1個のスルフヒドリル残基を含有させる。 あるいは、両方の結合特異性成分を同一ベクター内にコードし、同一宿主細胞において発現および構築させることができる。二重特異性分子が、mAb×mAb融合タンパク質、mAb×Fab融合タンパク質、Fab×F(ab’)2融合タンパク質、またはリガンド×Fab融合タンパク質である場合、この方法は特に有用である。本発明の実施形態の少なくともいくつかによる二重特異性分子は、1つの一本鎖抗体と結合決定基とを含む一本鎖分子、または2つの結合決定基を含む一本鎖二重特異性分子であってもよい。二重特異性分子は少なくとも2つの一本鎖分子を含んでいてもよい。二重特異性分子の作製方法は、たとえば、米国特許第5,260,203号;米国特許第5,455,030号;米国特許第4,881,175号;米国特許第5,132,405号;米国特許第5,091,513号;米国特許第5,476,786号;米国特許第5,013,653号;米国特許第5,258,498号;および米国特許第5,482,858号に記載されている。 二重特異性分子の特定の標的への結合は、たとえば、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、放射免疫測定法(RIA)、FACS分析、バイオアッセイ(たとえば増殖抑制)またはウェスタンブロットアッセイによって確認することができる。これらのアッセイはそれぞれ、通常、目的とする特定のタンパク質−抗体複合体の存在を、この目的複合体に特異的な標識試薬(たとえば抗体)を使用して検出する。たとえば、FcR−抗体複合体は、たとえば、このFcR−抗体複合体を認識し特異的に結合する酵素結合抗体または抗体フラグメントを使用して検出することができる。あるいは、この複合体は、様々な他のイムノアッセイの任意のものを使用して検出することができる。たとえば、抗体を放射能で標識し、放射免疫測定法(RIA)において使用することができる(たとえば、Weintraub, B., Principles of Radioimmunoassays, Seventh Training Course on Radioligand Assay Techniques, The Endocrine Society, March, 1986(この文献は参照により本明細書に組み込まれる)を参照を参照されたい)。放射性同位体は、γカウンターもしくはシンチレーションカウンターを使用する方法、またはオートラジオグラフィによって検出することができる。タンパク質修飾融合タンパク質 実施形態の少なくともいくつかによれば、LY6G6F融合ポリペプチド、VSIG10融合ポリペプチド、TMEM25融合ポリペプチドおよび/またはLSR融合ポリペプチドは、LY6G6Fタンパク質、VSIG10タンパク質、TMEM25タンパク質および/またはLSRタンパク質の全体または一部を含む第1の融合パートナーを有し、この第1の融合パートナーは、第2のポリペプチドに直接またはこれら2種のタンパク質を連結するのに有用なリンカーペプチド配列もしくは化学的リンカーを介して融合されている。本明細書に記載されているように、本発明のLY6G6Fポリペプチド、VSIG10ポリペプチド、TMEM25ポリペプチドおよび/またはLSRポリペプチドを、第2のポリペプチドと融合させることによって融合タンパク質を形成させてもよい。第2のポリペプチドを存在させることによって、LY6G6F融合ポリペプチド、VSIG10融合ポリペプチド、TMEM25融合ポリペプチドおよび/またはLSR融合ポリペプチドの溶解性、安定性、親和性、および/または原子価を改変することができる。本明細書において「原子価」は、1分子あたりに含まれる、ある原子が結合可能な結合部位数を指す。一実施形態では、第2のポリペプチドは、別のペプチド源または別のタンパク質に由来するポリペプチドである。 実施形態の少なくともいくつかによれば、LY6G6Fタンパク質、VSIG10タンパク質、TMEM25タンパク質および/またはLSRタンパク質もしくはフラグメントは、本明細書に記載の免疫関連障害、感染性障害および/またはがんに対する治療活性を得るために選択される。 一実施形態では、第2のポリペプチドは、免疫グロブリン重鎖定常領域のドメインを1つ以上含み、ヒンジ部に相当するアミノ酸配列;ヒト免疫グロブリンCγ1鎖、Cγ2鎖、Cγ3鎖もしくはCγ4鎖のCH2領域およびCH3領域、もしくはヒンジ部に相当するアミノ酸配列;またはマウス免疫グロブリンCγ2a鎖のCH2領域およびCH3領域に相当するアミノ酸配列を有していることが好ましい。配列番号70は、ヒト免疫グロブリンCγ1鎖のヒンジ部、CH2領域およびCH3領域の典型的な配列を示す。 実施形態の少なくともいくつかによれば、本発明の融合タンパク質は二量体融合タンパク質である。二量体融合タンパク質の任意の形態では、二量体は、2つの免疫グロブリン重鎖のヒンジ領域においてシステイン残基が共有結合を形成することによって生じ、このシステイン残基は、二量化した通常の免疫グロブリン重鎖においてジスルフィド結合されているシステイン残基と同じである。このようなタンパク質を、LY6G6Fポリペプチド、VSIG10ポリペプチド、TMEM25ポリペプチドおよび/もしくはLSRポリペプチド、またはこれらのフラグメントもしくは融合タンパク質と呼ぶ。 一実施形態では、免疫グロブリン定常ドメインは、特定の種類の細胞への結合を増強させるか、バイオアベイラビリティを増加させるか、またはLY6G6Fポリペプチド、VSIG10ポリペプチド、TMEM25ポリペプチドおよび/もしくはLSRポリペプチド、またはこれらの融合タンパク質もしくはフラグメントの安定性を増加させる1個以上のアミノ酸の挿入、欠失または置換を含んでいてもよい。適切なアミノ酸置換には、上述したように保存的置換および非保存的置換が包含される。 融合タンパク質は、2つ以上の融合タンパク質を二量化または多量体化する機能を有するドメインを含んでいてもよい。ペプチド/ポリペプチドリンカードメインは、別個のドメインであってもよく、あるいは、融合タンパク質の他のドメイン(LY6G6FLSRポリペプチド、VSIG10LSRポリペプチド、TMEM25LSRポリペプチドおよび/もしくはLSRポリペプチドまたは第2のポリペプチド)のうちの1つに含まれていてもよい。同様に、融合タンパク質を二量化または多量体化する機能を有するドメインは、別個のドメインであってもよく、あるいは、融合タンパク質の他のドメイン(LY6G6FLSRポリペプチド、VSIG10LSRポリペプチド、TMEM25LSRポリペプチドおよび/もしくはLSRポリペプチド、第2のポリペプチド、またはペプチド/ポリペプチドリンカードメイン)のうちの1つに含まれていてもよい。一実施形態では、二量化/多量体化ドメインと、ペプチド/ポリペプチドリンカードメインは同じものである。二量化/多量体化ドメインおよびリンカーを説明するためのさらに具体的な例(ただしこれらに限定されない)については後述する。 本発明の実施形態の少なくともいくつかによる、本明細書に開示されている融合タンパク質は、式I:N−R1−R2−R3−C(式中、「N」は融合タンパク質のN末端を表し、「C」は融合タンパク質のC末端を表す)で示される。さらなる実施形態では、「R1」は、LY6G6Fポリペプチド、VSIG10ポリペプチド、TMEM25ポリペプチドおよび/またはLSRポリペプチドであり、「R2」は任意のペプチド/ポリペプチドリンカードメインまたは化学的リンカードメインであり、「R3」は第2のポリペプチドである。あるいは、R3は、LY6G6Fポリペプチド、VSIG10ポリペプチド、TMEM25ポリペプチドおよび/またはLSRポリペプチドであってもよく、R1は、第2のポリペプチドであってもよい。様々なリンカーの非限定的な例についての詳細な説明は後述する。 融合タンパク質は、1個以上のアミノ酸で構成されるリンカーペプチド(たとえばGS)を必要に応じて使用して、1つ以上の「半減期を延長する成分」に融合された、本明細書に記載のLY6G6Fポリペプチドフラグメント、VSIG10ポリペプチドフラグメント、TMEM25ポリペプチドフラグメントおよび/またはLSRポリペプチドフラグメントを含んでいてもよい。「半減期を延長する成分」は、任意の成分であってよく、たとえば、タンパク質に付加した場合に、対象の体内(たとえば対象の血漿中)における該タンパク質のインビボ半減期を延長するポリペプチド、小分子、ポリマーである。たとえば、本発明の実施形態において半減期を延長する成分は、ポリエチレングリコール(PEG)、モノメトキシPEG(mPEG)、または免疫グロブリン(免疫グロブリン)である。本発明の実施形態において、PEGは、5kDa、10kDa、12kDa、20kDa、30kDa、40kDa、50kDa、もしくはそれよりも大きい成分であるか、またはエチレングリコール単位を約12000個含むもの(PEG12000)である。 融合タンパク質は化学的合成法によって作製してもよく、「接合」は合成中または合成後に化学的に行ってもよい。必要に応じて架橋およびこのような他の方法を(必要に応じて上記の遺伝子レベルの融合法とともに)使用してもよく、このような方法は、たとえば、Wallnerらに付与された米国特許第5,547,853号(この文献はその全体が本明細書に記載されているかのように、非限定的な例示のみを目的として参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。 本発明によれば、融合タンパク質は、免疫グロブリンの定常領域を含む免疫グロブリンの一部分と、本発明のタンパク質とを融合させることによって作製してもよい。この免疫グロブリンの一部分は重鎖定常領域を含むことがより好ましく、この重鎖定常領域はヒト重鎖定常領域であってもよく、ヒト重鎖定常領域であることがより好ましい。この重鎖定常領域は、IgG重鎖定常領域であることが最も好ましく、Fc鎖であってもよく、Fc鎖であることが最も好ましく、ヒンジ領域すなわちCH2ドメインおよびCH3ドメインを含むIgGFcフラグメントであることが最も好ましい。Fc鎖は、公知のFc鎖または「野性型」Fc鎖であってもよく、あるいは、変異させたり切断してもよい。たとえば、エフェクター機能の向上、半減期の制御、組織到達性、生物物理学的特性(安定性など)の増強、および作製効率の向上(およびコスト削減)などを目的として、融合タンパク質のFc部分を、アイソタイプもしくはサブクラスに応じて変化させてもよく、キメラもしくはハイブリッドとしてもよく、または修飾してもよい。本明細書において開示された融合タンパク質を構築するのに有用な修飾およびこのような融合タンパク質を製造する方法は、当技術分野において数多く知られている。たとえば、Mueller, et al, MoI. Immun., 34(6):441-452 (1997), Swann, et al., Cur. Opin. Immun., 20:493-499 (2008), およびPresta, Cur. Opin. Immun. 20:460-470 (2008)を参照されたい。実施形態のいくつかでは、Fc領域はネイティブのIgG1Fc領域、IgG2Fc領域またはIgG4Fc領域である。実施形態のいくつかでは、Fc領域は、ハイブリッド、たとえばIgG2Fc定常領域/IgG4Fc定常領域からなるキメラである。 Fc領域への修飾としては、Fcγレセプターおよび補体への結合を防ぐためのIgG4の修飾、1つ以上のFcγレセプターへの結合性を向上させるためのIgG1修飾、エフェクター機能を最小化するためのIgG1の修飾(アミノ酸変化)、(通常、宿主の発現を変化させるまたは297位のAsnを置換することによる)グリカンを改変/除去したIgG1、およびFcRnへのpH依存性結合性が改変されたIgG1が挙げられるが、これらに限定されない。Fc領域はヒンジ領域全体またはヒンジ領域の一部を含んでいてもよい。 別の実施形態では、Fcドメインは、低親和性および抑制性のFcレセプターCD32B(FcγRIIB)への結合を低下させ、かつ、低親和性および活性化性のFcレセプターCD16A(FcγRIIIA)への結合を野生型と同等レベルに保つまたはCD16A(FcγRIIIA)への結合を増強させる、1つ以上のアミノ酸の挿入、欠失、または置換を含んでいてもよい。 別の実施形態は、FcR(Fcレセプター)に対する結合を低下させることによって半減期を増加させたIgG2−IgG4ハイブリッドおよびIgG4突然変異体を含む。代表的なIgG2−IgG4ハイブリッドおよびIgG4突然変異体は、Angal, S. et al., Molecular Immunology, 30(l):105-108 (1993); Mueller, J. et al., Molecular Immunology, 34(6): 441-452 (1997);およびWangらに付与された米国特許第6,982,323号に記載されている。実施形態のいくつかでは、IgG1ドメインおよび/またはIgG2ドメインを除去する。たとえば、Angalらは、241位のセリンをプロリンで置換したIgG1およびIgG2を記載している。 さらなる実施形態では、Fcドメインは、CD16Aへの結合を増強させる、アミノ酸の挿入、欠失、または置換を含む。ヒトIgG1のFcドメインにおいて置換数を多くすると、CD16Aへの結合が増加し、CD32Bへの結合が低下することが当技術分野において知られており、これは、Stavenhagen, et al., Cancer Res. , 57(18):8882-90 (2007)に記載されている。CD32Bへの結合が減少し、かつ/またはCD16Aへの結合が増加したヒトIgG1Fcドメイン変異体として典型的なものは、F243L置換、R929P置換、Y300L置換、V305I置換またはP296L置換を含んでいる。これらのアミノ酸置換は、ヒトIgG1Fcドメインにおいてどのように組み合わせてもよい。 一実施形態では、ヒトIgG1Fcドメイン変異体は、F243L置換、R929P置換およびY300L置換を含んでいる。別の実施形態では、ヒトIgG1Fcドメイン変異体は、F243L置換、R929P置換、Y300L置換、V305I置換およびP296L置換を含んでいる。別の実施形態では、ヒトIgG1Fcドメイン変異体はN297A/Q置換を含んでおり、これらの変異体においてはFcγR結合が除去されている。変異体のタイプを説明するためのさらに具体的な例(ただしこれらに限定されない)は、2006年2月16日に公開された米国特許出願第20060034852号(この文献はその全体が本明細書に記載されているかのように参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。「Fc鎖」は、任意のタイプのFcフラグメントを包含してもよい。 IgGサブクラスにおいて、抗体定常領域を介した活性に重要な特定のアミノ酸残基のいくつかが同定されている。したがって、これらの特定のアミノ酸を付加、置換または除去することによって、免疫グロブリン定常領域を介した特定の活性を付加または除去することができる。さらに、特定の変更は、たとえば脱グリコシル化など、および/または他の所望の変化をFc鎖にもたらしうる。少なくともいくつかの変更によって、望ましくないと考えられるFcの機能、たとえば、より詳しくは後述するような免疫系における望ましくない効果などを必要に応じてブロックしてもよい。 融合タンパク質の活性を調節するために導入されてもよいFcに対する変異としては、具体的には、(以下、Kabat EA et al: Sequences of Proteins of Immunological Interest. US Department of Health and Human Services, NIH, 1991においてKabatにより提供されたFc配列の命名法に従って記載する)220C→S;233〜238ELLGGP→EAEGAP;265D→A(好ましくは434N→Aと組み合わせる);(たとえばN−グリコシル化をブロックするための)297N→A;318〜322EYKCK→AYACA;330〜331AP→SS;またはこれらの組み合わせなどの変更が挙げられるが、これらに限定されない(これらの変異およびその効果については、たとえば、M. Clark, “Chemical Immunol and Antibody Engineering”, pp 1-31の説明を参照されたい)。上記の変化を特徴とするFc鎖の構築物は、ヒンジ領域とCH2ドメインおよびCH3ドメインとの組み合わせを含んでもよく、この態様が好ましい。 上記の変異は、所望の特性を増強するため、あるいは、望ましくない特性をブロックするために行ってもよい。たとえば、抗体の脱グリコシル化は、所望の結合能を保持しつつ、望ましくない作用でありうるT細胞枯渇をブロックするか、またはサイトカイン放出を誘起することが示された(M. Clark, “Chemical Immunol and Antibody Engineering”, pp 1-31を参照されたい)。331位のプロリンをセリンで置換することによって、望ましくない機能であると考えられうる補体活性化能をブロックしてもよい(M. Clark, “Chemical Immunol and Antibody Engineering”, pp 1-31を参照されたい)。さらに、このような変更と組み合わせて330位のアラニンをセリンに変更することによって、補体活性化能をブロックするという所望の効果を増強させてもよい。 235位および237位の残基は抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)に関与することが示されていることから、ADCCが望ましくない機能であると考えられる場合、233位〜238位の残基からなるブロックを記載されているように変更することによってもこの活性をブロックすることができる。 IgG1のFcにおける220位の残基は通常システインであり、この部位において重鎖と軽鎖とが共有結合を形成する。この残基を別のアミノ酸残基(たとえばセリン)に置換することによって、任意のタイプの共有結合の形成を妨げてもよく、(M. Clark, “Chemical Immunol and Antibody Engineering”, pp 1-31を参照されたい)欠失または切断によってこれを行ってもよい。 265位の残基および434の残基における上記の変更は、Fcレセプターへの結合を低下させるまたはブロックするために行ってもよく、これによって、免疫系の機能と関連するFcの望ましくない機能性をブロックしてもよい(“Binding site on Human IgG1 for Fc Receptors”, Shields et al, Vol 276, pp 6591-6604, 2001を参照されたい)。 上記の変更は、任意の変更を説明することのみを目的とし、これらに限定されることを全く意図しない。さらに、上記の記載は、単一の仮説に拘束されることを望むものではなく、説明することのみを目的として提供される。 さらなる実施形態では、融合タンパク質には、免疫グロブリン(Ig)のFc領域に融合させたLY6G6Fの細胞外ドメインまたはそのフラグメントが包含される。組換えIgLY6G6Fポリペプチドまたはそのフラグメントもしくは融合タンパク質は、上述したように、ヒトIgG1またはマウスIgG2aのFc領域に、LY6G6F細胞外ドメインまたはそのフラグメントのコード領域を融合させることによって作製することができる(Chapoval, et al., Methods MoI. Med, 45:247-255 (2000))。 LY6G6F ECDは、ヒト免疫グロブリンFcに融合させたヒトLY6G6F ECDのアミノ酸配列を含む融合タンパク質を指してもよい。この融合タンパク質は、配列番号70および156のいずれかに示されるヒトIgG1 Fcに融合させた、配列番号2に示されるヒトLY6G6F ECDのアミノ酸配列を含んでいてもよい。上記の融合タンパク質のアミノ酸配列は、配列番号71または配列番号172で示されてもよい。 さらなる実施形態では、融合タンパク質には、免疫グロブリン(Ig)のFc領域に融合させたVSIG10の細胞外ドメインまたはそのフラグメントが包含される。組換えIgVSIG10ポリペプチドまたはそのフラグメントもしくは融合タンパク質は、上述したように、ヒトIgG1またはマウスIgG2aのFc領域に、VSIG10細胞外ドメインまたはそのフラグメントのコード領域を融合させることによって作製することができる(Chapoval, et al., Methods MoI. Med, 45:247-255 (2000))。 VSIG10 ECDは、ヒト免疫グロブリンFcに融合させたヒトVSIG10 ECDのアミノ酸配列を含む融合タンパク質を指してもよい。この融合タンパク質は、配列番号70および156のいずれかに示されるヒトIgG1 Fcに融合させた、配列番号4および6のいずれかで示されるアミノ酸配列から選択されるヒトVSIG10 ECDのアミノ酸配列を含んでいてもよい。上記の融合タンパク質のアミノ酸配列は、配列番号72、73、173および174のいずれかで示されてもよい。 さらなる実施形態では、融合タンパク質には、免疫グロブリン(Ig)のFc領域に融合させたTMEM25の細胞外ドメインまたはそのフラグメントが包含される。組換えIgTMEM25ポリペプチドまたはそのフラグメントもしくは融合タンパク質は、上述したように、ヒトIgG1またはマウスIgG2aのFc領域に、TMEM25細胞外ドメインまたはそのフラグメントのコード領域を融合させることによって作製することができる(Chapoval, et al., Methods MoI. Med, 45:247-255 (2000))。 TMEM25 ECDは、ヒト免疫グロブリンFcに融合させたヒトTMEM25 ECDのアミノ酸配列を含む融合タンパク質を指してもよい。この融合タンパク質は、配列番号70および156のいずれかに示されるヒトIgG1 Fcに融合させた、配列番号8に示されるヒトTMEM25 ECDのアミノ酸配列を含んでいてもよい。上記の融合タンパク質のアミノ酸配列は、配列番号74および175のいずれかで示されてもよい。 さらなる実施形態では、融合タンパク質には、免疫グロブリン(Ig)のFc領域に融合させたLSRの細胞外ドメインまたはそのフラグメントが包含される。組換えIgLSRポリペプチドまたはそのフラグメントもしくは融合タンパク質は、上述したように、ヒトIgG1またはマウスIgG2aのFc領域に、LSR細胞外ドメインまたはそのフラグメントのコード領域を融合させることによって作製することができる(Chapoval, et al., Methods MoI. Med, 45:247-255 (2000))。 LSR ECDは、ヒト免疫グロブリンFcに融合させたヒトLSR ECDのアミノ酸配列を含む融合タンパク質を指してもよい。この融合タンパク質は、配列番号70および156のいずれかに示されるヒトIgG1 Fcに融合させた、配列番号12、14、15、16、17、18、47、48、49および50のいずれかで示されるアミノ酸配列から選択されるヒトLSR ECDのアミノ酸配列を含んでいてもよい。上記の融合タンパク質のアミノ酸配列は、配列番号75、76、77、78、79、80、176、177、178、179、180、および181のいずれかで示されてもよい。 上記で例示した融合タンパク質に、本明細書に記載の変異体の任意の組み合わせを組み込むことができる。別の実施形態では、上記で例示した融合タンパク質の末端リシンは欠失される。 開示された融合タンパク質は標準的な分子生物学的技術を使用して単離することができる。たとえば、LY6G6Fリペプチド、VSIG10リペプチド、TMEM25リペプチドおよび/もしくはLSRポリペプチド、またはこれらのフラグメントもしくは融合タンパク質をコードするDNA配列を含む発現ベクターを、リン酸カルシウム沈殿法によって293細胞にトランスフェクトし、血清を含まないDMEM中で培養する。72時間後に上清を回収し、プロテインG SEPHAROSE(登録商標)カラム(ファルマシア(スウェーデン、ウプサラ))、好ましくはプロテインA SEPHAROSEカラムで融合タンパク質を精製する。LY6G6Fポリペプチド、VSIG10ポリペプチド、TMEM25ポリペプチドおよび/もしくはLSRポリペプチド、またはこれらのフラグメントもしくは融合タンパク質をコードするDNA配列は、GPEx(登録商標)レトロベクターにトランスフェクトし、レトロベクターによる形質導入を4サイクル行った後にCHO−S細胞において発現させてもよい。融合タンパク質はプロテインAクロマトグラフィーを使用して上清から精製する。 別の実施形態では、第2のポリペプチドは、LY6G6FR融合タンパク質、VSIG10R融合タンパク質、TMEM25R融合タンパク質および/またはLSR融合タンパク質にさらなる分子を結合することができる結合ドメインを有していてもよい。このような一実施形態では、この結合分子は、特定の臓器または組織に融合タンパク質をターゲティングさせることができる。このようなターゲティングを行うドメインおよび/または分子を説明するためのさらに具体的な例(ただしこれらに限定されない)は後述する。 別のこのような実施形態では、結合分子は、LY6G6F融合タンパク質、VSIG10融合タンパク質、TMEM25融合タンパク質および/またはLSR融合タンパク質の効果を強化または増強することができる別の免疫調節剤である。別の実施形態では、結合分子はポリエチレングリコール(PEG)である。ペプチドリンカードメインまたはポリペプチドリンカードメイン 開示されたLY6G6F融合タンパク質、VSIG10融合タンパク質、TMEM25融合タンパク質および/またはLSR融合タンパク質は、LY6G6Fポリペプチド、VSIG10ポリペプチド、TMEM25ポリペプチドおよび/またはLSRポリペプチドから第2のポリペプチドを隔てるペプチドリンカードメインまたはポリペプチドリンカードメインを含んでいてもよい。一実施形態では、リンカードメインは、免疫グロブリンのヒンジ領域を含んでいる。さらなる実施形態では、ヒンジ領域はヒト免疫グロブリンに由来する。ヒンジ領域が得ることができる適切なヒト免疫グロブリンとしては、IgG、IgDおよびIgAが挙げられる。さらなる実施形態では、ヒンジ領域はヒトIgGに由来する。免疫グロブリンヒンジ領域および他のドメインのアミノ酸配列は当技術分野においてよく知られている。一実施形態では、LY6G6Fポリペプチド、VSIG10ポリペプチド、TMEM25ポリペプチドおよび/またはLSR融合ポリペプチドは、ヒト免疫グロブリンCγ1鎖のヒンジ領域、CH2領域およびCH3領域を含んでいてもよく、このヒト免疫グロブリンCγ1鎖は、220位(完全長ヒトIgG1に従った番号付け、配列番号70の5位)のCysがSerで置換されていてもよく(配列番号156)、配列番号70:EPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKに示されるアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、95%、99%または100%の配列相同性を有する。ヒンジ領域は、配列番号70および156のいずれかの、1位、2位、3位、4位、もしくは5位のアミノ酸もしくはこれらの組み合わせを除去することによって短縮することができる。一実施形態では、配列番号70および156のいずれかの、1位〜5位のアミノ酸を欠失させる。220位のCysがSerで置換されたヒト免疫グロブリンCγ1鎖のヒンジ領域、CH2領域およびCH3領域で構成される典型的なLY6G6F融合ポリペプチド、VSIG10融合ポリペプチド、TMEM25融合ポリペプチドおよび/またはLSR融合ポリペプチドは、配列番号71、72、73、74、75、76、77、78、79、および80に示されている。 別の実施形態では、LY6G6F融合ポリペプチド、VSIG10融合ポリペプチド、TMEM25融合ポリペプチドおよび/またはLSR融合ポリペプチドは、配列番号157:APELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKに示されるアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、95%、99%または100%の配列相同性を有するヒト免疫グロブリンCγ1鎖のCH2領域およびCH3領域を含む。別の実施形態では、LY6G6F融合ポリペプチド、VSIG10融合ポリペプチド、TMEM25融合ポリペプチドおよび/またはLSR融合ポリペプチドは、配列番号158:EPRGPTIKPCPPCKCPAPNLLGGPSVFIFPPKIKDVLMISLSPIVTCVVVDVSEDDPDVQISWFVNNVEVHTAQTQTHREDYNSTLRVVSALPIQHQDWMSGKEFKCKVNNKDLPAPIERTISKPKGSVRAPQVYVLPPPEEEMTKKQVTLTCMVTDFMPEDIYVEWTNNGKTELNYKNTEPVLDSDGSYFMYSKLRVEKKNWVERNSYSCSVVHEGLHNHHTTKSFSRTPGKに示されるアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、95%、99%または100%の配列相同性を有するマウス免疫グロブリンCγ2a鎖のCH2領域およびCH3領域を含む。別の実施形態では、リンカードメインは、上記の免疫グロブリンのヒンジ領域を含んでおり、1以上のさらなる免疫グロブリンドメインをさらに含む。 他の適切なペプチド/ポリペプチドリンカードメインとして、天然または非天然のペプチドまたはポリペプチドが挙げられる。ペプチドリンカー配列は少なくとも2アミノ酸長である。このペプチドドメインまたはポリペプチドドメインは、フレキシブルなペプチドまたはポリペプチドであってもよい。本明細書において「フレキシブルリンカー」は、ペプチド結合によって連結された2個以上のアミノ酸残基を含むペプチドまたはポリペプチドであって、フレキシブルリンカー非存在下において結合させた2個のポリペプチドと比べて、結合した2個のポリペプチドをより自由に回転させるものを指す。回転がより自由になることから、フレキシブルリンカーによって連結された2個以上の抗原結合部位のそれぞれがより効率的に標的抗原に到達することが可能となる。典型的なフレキシブルペプチド/ポリペプチドとして、Gly−Ser(配列番号159)、Gly−Ser−Gly−Ser(配列番号160)、Ala−Ser(配列番号161)、Gly−Gly−Gly−Ser(配列番号162)、Gly4−Ser(配列番号163)、(Gly4−Ser)2(配列番号164)、(Gly4−Ser)3(配列番号165)、および(Gly4−Ser)4(配列番号166)などのアミノ酸配列が挙げられるが、これらに限定されない。さらなるフレキシブルなペプチド/ポリペプチド配列は当技術分野においてよく知られている。他の適切なペプチドリンカードメインとして、Ala−(Glu−Ala−Ala−Ala−Lys)n−Ala(n=1〜5)などのリンカー形成ヘリックスが挙げられる。さらなるヘリックス形成ペプチド/ポリペプチド配列は当技術分野においてよく知られている。このようなリンカーとしては、配列番号167〜171に示したものが挙げられるが、これらに限定されない。二量化、多量体化および標的ドメイン 本明細書において開示された融合タンパク質は、2つ以上の融合タンパク質を二量化または多量体化する機能を有する二量化ドメインまたは多量体化ドメインを含んでいてもよい。融合タンパク質を二量化または多量体化する機能を有するドメインは、別個のドメインであってもよく、あるいは、融合タンパク質の他のドメイン(LY6G6FLSRポリペプチド、VSIG10LSRポリペプチド、TMEM25LSRポリペプチドおよび/もしくはLSRポリペプチド、第2のポリペプチド、またはペプチド/ポリペプチドリンカードメイン)のうちの1つに含まれていてもよい。 二量化または多量体化は、二量化ドメインまたは多量体化ドメインを介して2つ以上の融合タンパク質間で起こりうる。あるいは、融合タンパク質の二量化または多量体化は、化学的架橋によって起こりうる。形成される二量体または多量体は、ホモ二量体/ホモ多量体、またはヘテロ二量体/ヘテロ多量体であってもよい。LY6G6F融合ポリペプチド、VSIG10融合ポリペプチド、TMEM25融合ポリペプチドおよび/またはLSR融合ポリペプチドにおける第2のポリペプチド「パートナー」は、本明細書に記載の1つ以上の他のタンパク質、タンパク質フラグメントまたはペプチドで構成されていてもよく、このような他のタンパク質、タンパク質フラグメントまたはペプチドとして、任意の免疫グロブリン(Ig)タンパク質またはその一部分、好ましくはFc領域;およびパピローマウイルスE7遺伝子産物、メラノーマ関連抗原(p97)、HIV envタンパク質(gp120)などの生物学的または化学的に活性なタンパク質の一部分が挙げられるが、これらに限定されない。「パートナー」は、可溶性の二量体/多量体を作製するために選択してもよく、かつ/または本明細書に記載の1以上の他の生物学的活性を得るために選択してもよい。 「二量化ドメイン」は、少なくとも2個のアミノ酸残基、または(同一もしくは異なったアミノ酸配列を有していてもよい)少なくとも2つのペプチドもしくはポリペプチドが結合することによって形成される。ペプチドまたはポリペプチドは、共有結合または非共有結合を介して互いに相互作用してもよい。二量化ドメインは、融合タンパク質パートナーのシステインと分子間ジスルフィド結合を形成することができるシステインを少なくとも1個含んでいてもよい。融合タンパク質パートナーとの間にジスルフィド結合を形成することができるように、二量化ドメインは1個以上のシステイン残基を含むことができる。一実施形態では、二量化ドメインは、1個、2個もしくは3個、または約10個以下のシステイン残基を含んでいる。さらなる実施形態では、二量化ドメインは免疫グロブリンのヒンジ領域である。 さらなる典型的な二量化ドメインは当技術分野において公知のものであればどのようなものであってもよいが、当技術分野において公知の二量化ドメインとして、コイルドコイル;acid patch;ジンクフィンガー;カルシウムハンド;CH1−CL対;米国特許第5,821,333号に記載の、改変された「こぶ(knob)」および/または「突起(protuberance)」を有する「相互作用部分(interface)」;(たとえばjunおよび/またはfos由来の)ロイシンジッパー(米国特許第5,932,448号);酵母転写活性化因子であるGCN4、SH2(src Homology 2)、SH3(src Homology 3)(Vidal, et al, Biochemistry, 43, 7336-44 ((2004));ホスホチロシン結合(PTB)(Zhou, et al., Nature, 378:584-592 (1995));WW(Sudol, Prog, Biochys. MoL Bio. , 65:113-132 (1996));PDZ(Kim, et al., Nature, 378: 85-88 (1995); Komau, et al, Science, 269.1737-1740 (1995));14−3−3;WD40(Hu Y, et al., J Biol Chem., 273, 33489-33494 (1998));EH;Lim;イソロイシンジッパー;レセプター二量体対(たとえばインターロイキン8レセプター(IL−8R));インテグリンヘテロ二量体(たとえばLFA−IおよびGPIIIb/IIIa)またはその二量化領域;二量体リガンドポリペプチド(たとえば神経成長因子(NGF));ニューロトロフィン−3(NT−3);インターロイキン8(IL−8);血管内皮細胞増殖因子(VEGF);VEGF−C;VEGF−D;PDGFメンバー;脳由来神経栄養因子(BDNF)(Arakawa, et al., J Biol. Chem., 269(45): 27833-27839 (1994)およびRadziejewski, et al., Biochem., 32(48): 1350 (1993));ならびに親和性が改変されたこれらのドメインの変異体が挙げられるが、これらに限定されない。これらのポリペプチド対は酵母を用いたツーハイブリッドスクリーニング法などの当技術分野で公知の方法によって同定することができる。酵母を用いたツーハイブリッドスクリーニング法は、米国特許第5,283,173号および第6,562,576号に記載されている。相互作用する1対のドメイン間の親和性は、Katahira, et at, J. Biol Chem, 277, 9242-9246 (2002)に記載されているような、当技術分野で公知の方法を使用して決定することができる。あるいは、たとえば国際公開第01/00814号に記載されている方法を使用して、ペプチド配列ライブラリーをヘテロ二量体化についてスクリーニングすることができる。タンパク質間相互作用に関する有用な方法は米国特許第6,790,624号にも記載されている。 「多量体化ドメイン」は、共有結合および/または非共有結合結合を介して3つ以上のペプチドまたはポリペプチドに互いを相互作用させるドメインである。適切な多量体化ドメインはとして、コイルドコイルドメインが挙げられるが、これらに限定されない。コイルドコイルは、3残基または4残基の間隔で離れた疎水性残基で主として構成された連続パターンを有するペプチド配列であり、通常、7個のアミノ酸からなる配列(7残基の繰り返し)または11個のアミノ酸からなる配列(11残基の繰り返し)がアセンブルされて(折りたたまれて)、ヘリックスが多重結合された束を形成する。3残基および4残基間隔が不規則に分布した配列を有するコイルドコイルも考えられる。疎水性残基は、具体的には、疎水性アミノ酸のVal、Ile、Leu、Met、Tyr、PheおよびTrpである。「疎水性残基で主として」は、残基の少なくとも50%が、上記の疎水性アミノ酸から選択されなければならないことを意味する。 コイルドコイルドメインはラミニンに由来してもよい。細胞外空間では、ヘテロ三量体のコイルドコイルタンパク質であるラミニンが基底膜の形成において重要な役割を果たしている。ラミニンが機能するには、多機能のオリゴマー構造が必要であることは明白である。コイルドコイルドメインは、3つの鎖が連結されたトロンボスポンジン(TSP−1およびTSP−2)もしくは5つの鎖が連結されたトロンボスポンジン(TSP−3、TSP−4およびTSP−5)に由来してもよく、または、5本鎖のコイルドコイルが並列に並ぶように折りたたまれたCOMP(COMPcc)(Guo, et at., EMBO J, 1998, 17: 5265-5272)(Malashkevich, et al., Science, 274: 761-765 (1996))に由来してもよい。他のタンパク質に由来するコイルドコイルドメインおよびポリペプチド多量体化を媒介する他のドメインのさらなる例(ただしこれらに限定されない)は当技術分野において公知であり、たとえば、血管拡張刺激リンタンパク質(VASP)ドメイン、マトリリン−1(CMP)、ウイルス融合ペプチド、可溶性NSF(N−エチルマレイミド感受性因子)接着タンパク質レセプター(SNARE)複合体、ロイシンリッチリピート、特定のtRNA合成酵素などが開示された融合タンパク質において使用するのに適している。 別の実施形態では、LY6G6Fポリペプチド、VSIG10ポリペプチド、TMEM25ポリペプチドおよび/もしくはLSRポリペプチド、またはこれらの融合タンパク質もしくはフラグメントは、抗体などの第2の多価ポリペプチドと結合させることにより誘導して多量体を形成させることができる。LY6G6Fポリペプチド、VSIG10ポリペプチド、TMEM25ポリペプチドおよび/もしくはLSRポリペプチド、またはこれらの融合タンパク質もしくはフラグメントの多量体化において使用するのに適した抗体としては、IgM抗体、ならびに架橋した多価IgG複合体、多価IgA複合体、多価IgD複合体および多価IgE複合体が挙げられるが、これらに限定されない。 二量化または多量体化は、上述のものを含む二量化ドメインまたは多量体化ドメインを介して2つ以上の融合タンパク質間で起こりうる。あるいは、融合タンパク質の二量化または多量体化は、化学的架橋によって起こりうる。融合タンパク質の二量体はホモ二量体またはヘテロ二量体であってもよい。融合タンパク質の多量体はホモ多量体またはヘテロ多量体にであってもよい。本明細書において開示された融合タンパク質の二量体は、式II:N−R1−R2−R3−CN−R4−R5−R6−C、または、式III:N−R1−R2−R3−CC−R4−R5−R6−Nで示され、式IIによって示される融合タンパク質の二量体はパラレルな配向であると定義され、式IIIによって示される融合タンパク質の二量体はアンチパラレルな配向であると定義される。パラレルな二量体およびアンチパラレルな二量体をそれぞれシス二量体およびトランス二量体と呼ぶ。「N」および「C」はそれぞれ融合タンパク質のN末端およびC末端を表す。融合タンパク質の構成要素である「R1」、「R2」および「R3」は、式Iに関して上記で定義されたとおりである。式IIおよび式IIIにおいて、「R4」はLY6G6Fポリペプチド、VSIG10ポリペプチド、TMEM25ポリペプチドおよび/もしくはLSRポリペプチド、または第2のポリペプチドであり;「R5」は任意のペプチド/ポリペプチドリンカードメインであり;「R6」はLY6G6Fポリペプチド、VSIG10ポリペプチド、TMEM25ポリペプチドおよび/もしくはLSRポリペプチド、または第2のポリペプチドであって、「R4」が第2のポリペプチドであるとき、「R6」は、LY6G6Fポリペプチド、VSIG10ポリペプチド、TMEM25ポリペプチドおよび/もしくはLSRポリペプチドであり、「R6」が第2のポリペプチドであるとき、「R4」はLY6G6Fポリペプチド、VSIG10ポリペプチド、TMEM25ポリペプチドおよび/もしくはLSRポリペプチドである。一実施形態では、「R1」は、LY6G6Fポリペプチド、VSIG10ポリペプチド、TMEM25ポリペプチドおよび/またはLSRポリペプチドであり;「R4」も同様にLY6G6Fポリペプチド、VSIG10ポリペプチド、TMEM25ポリペプチドおよび/またはLSRポリペプチドであり;「R3」および「R6」はいずれも第2のポリペプチドである。 「R1」=「R4」、「R2」=「R5」および「R3」=「R6」のとき、式IIの融合タンパク質二量体はホモ二量体であると定義される。同様に、「R1」=「R6」、「R2」=「R5」および「R3」=「R4」のとき、式IIIの融合タンパク質二量体はホモ二量体であると定義される。何らかの理由によってこれらの条件が満たされない場合、融合タンパク質二量体はヘテロ二量体であると定義される。たとえば、ヘテロ二量体は、これらの条件を満たすドメイン配向(すなわち、式IIで示される二量体において、「R1」および「R4」はいずれもLY6G6Fポリペプチド、VSIG10ポリペプチド、TMEM25ポリペプチドおよび/またはLSRポリペプチドであり;「R2」および「R5」はいずれもペプチド/ポリペプチドリンカードメインであり;「R3」および「R6」はいずれも第2のポリペプチドである)を含んでいてもよいが、これらのドメインに1つ以上の同一の種は含まれない。たとえば、「R3」および「R6」はいずれもLY6G6Fポリペプチド、VSIG10ポリペプチド、TMEM25ポリペプチドおよび/またはLSRポリペプチドでありうるが、一方のポリペプチドが野生型のLY6G6Fアミノ酸配列、VSIG10アミノ酸配列、TMEM25アミノ酸配列および/またはLSRアミノ酸配列を含んでいてもよく、他方のポリペプチドが変異体のLY6G6Fポリペプチド、VSIG10ポリペプチド、TMEM25ポリペプチドおよび/またはLSRポリペプチドであってもよい。典型的なLY6G6Fポリペプチド、VSIG10ポリペプチド、TMEM25ポリペプチドおよび/またはLSRポリペプチドの異性体は、これらのポリペプチドを修飾するによって、標的細胞に対する結合が増加もしくは減少しているか、免疫細胞に対する活性が増加しているか、半減期が延長もしくは短縮しているか、かつ/または安定性が増加または減少しているLY6G6Fポリペプチド、VSIG10ポリペプチド、TMEM25ポリペプチドおよび/またはLSRポリペプチドである。ポリペプチドリンカードメインの一部として免疫グロブリンのCH1領域またはCL領域を含む融合タンパク質の二量体は、一方の融合タンパク質がCH1領域を含み、他方の融合タンパク質がCL領域を含んでいるヘテロ二量体を形成することが好ましい。 融合タンパク質を使用して多量体を形成させることもできる。二量体の場合と同様に、多量体は、多量体に含まれる融合タンパク質のすべてがN末端およびC末端に関する方向において同じ方向に整列したパラレルな多量体であってもよい。多量体は、多量体に含まれる融合タンパク質がN末端およびC末端に関する方向において交互に逆の方向に整列したアンチパラレル多量体であってもよい。(パラレルまたはアンチパラレル)多量体はホモ多量体またはヘテロ多量体であってもよい。融合タンパク質は二量体の形態で作製されてもよく、より好ましくは、後述するように、二量体の2つ(またはそれ以上)のタンパク質、タンパク質の一部分および/またはペプチドに相当するポリヌクレオチド配列を接合することにより融合を遺伝子レベルで行い、接合されたポリヌクレオチド配列に従って接合または融合されたタンパク質を細胞に産生させる。このような融合タンパク質の作製についての説明は、Linsleyらに付与された米国特許第5,851,795号に記載されており、この文献はその全体が非限定的な例示として本明細書に記載されているかのように参照により本明細書に組み込まれる。標的ドメイン LY6G6Fポリペプチド、VSIG10ポリペプチド、TMEM25ポリペプチドおよび/またはLSRポリペプチドならびに融合タンパク質は、体内の特定部位に上記の分子をターゲティングするための標的ドメインを含んでいてもよい。標的ドメインは、炎症部位に上記の分子をターゲティングするものであってもよい。典型的な標的ドメインは、IL−17、IL−4、IL−6、IL−12、IL−21、IL−22、IL−23などの炎症性サイトカイン(ただしこれらに限定されない)または炎症を起こした組織に特異的な抗体またはその抗原結合フラグメントである。多発性硬化症などの神経異常の場合、標的ドメインによって上記の分子をCNSにターゲティングさせてもよく、血管上皮上のVCAM−Iに結合させてもよい。さらなる標的ドメインは、炎症誘発性分子に特異的なペプチドアプタマーであってもよい。別の実施形態では、LY6G6F融合タンパク質、VSIG10融合タンパク質、TMEM25融合タンパク質および/またはLSR融合タンパク質は、免疫細胞(たとえばT細胞)の表面上に提示されるポリペプチドに特異的な結合パートナーを含むことができる。さらに別の実施形態では、標的ドメインは活性化免疫細胞を特異的にターゲティングする。ターゲティングされる免疫細胞としては、Th0、Th1、Th17、Th2、Th22などのT細胞;IL−1β、TNF−α、TGF−β、IFN−γ、IL−17、IL−6、IL−23、IL−22、IL−21、MMPなど(ただしこれらに限定されない)の炎症分子を分泌する他の細胞および別の細胞にこれらの炎症分子を分泌させる他の細胞;ならびにTregを挙げることができる。たとえば、Tregに使用される標的ドメインはCD25に特異的に結合してもよい。上記の変更は、任意の変更を説明することのみを目的とし、これらに限定されることを全く意図しない。さらに、上記の記載は、単一の仮説に拘束されることを望むものではなく、説明することのみを目的として提供される。基の付加 本発明のタンパク質が直線状分子である場合、直線状分子上の化学修飾を受けやすいまたは化学修飾に適した様々な位置に種々の官能基を配置することができる。本発明の実施形態の少なくともいくつかによるタンパク質の直線状形態の末端に官能基を付加することができる。実施形態のいくつかでは、官能基を付加することによって、安定性、(細胞膜および/または組織バリアを通過することによる)移行性、組織局在性、および有効性の向上;クリアランスの減少;毒性の低下;選択性の向上;細胞ポンプによる排出に対する抵抗性の向上など(ただしこれらに限定されない)の1つ以上の特性に関してタンパク質の活性が向上する。便宜上、本発明の実施形態の少なくともいくつかによる組成物に含まれている配列のうちの1つに含まれる遊離N末端を組成物のN末端と称し、この配列の遊離C末端を組成物のC末端と見なすが、これに限定されることを望むものではない。このような配列のC末端もしくはN末端またはこの両方を、アミン官能基またはカルボン酸官能基と連結することができる。 適切な官能基は、Green and Wuts, “Protecting Groups in Organic Synthesis”, John Wiley and Sons, Chapters 5 and 7, 1991(この文献の教示は参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているが、この文献に記載されているものに限定されない。保護基としては、たとえば、有効成分の親水性を低下させかつ親油性を増加させることによって、自体に付加された有効成分の細胞内への輸送を容易にするものが好ましく、このような保護基は「細胞膜を通過させて輸送するための成分」の一例である。 これらの成分は、細胞内部において加水分解または酵素分解のいずれかによりインビボにおいて切断されてもよく、この態様が好ましい(Ditter et al., J. Pharm. Sci. 57:783 (1968); Ditter et al., J. Pharm. Sci. 57:828 (1968); Ditter et al., J. Pharm. Sci. 58:557 (1969); King et al., Biochemistry 26:2294 (1987); Lindberg et al., Drug Metabolism and Disposition 17:311 (1989); Tunek et al., Biochem. Pharm. 37:3867 (1988), Anderson et al., Arch. Biochem. Biophys. 239:538 (1985)およびSinghal et al., FASEB J. 1:220 (1987))。ヒドロキシル保護基としては、エステル、炭酸塩およびカーバメート保護基が挙げられる。N末端保護基について上述したように、アミン保護基としては、アルコキシカルボニル基およびアリールオキシカルボニル基が挙げられる。C末端保護基について上述したように、カルボン酸保護基としては、脂肪族エステル、ベンジルエステル、およびアリールエステルが挙げられる。一実施形態では、本発明の組成物中の1個以上のグルタミン酸残基またはアスパラギン酸残基の側鎖のカルボン酸基は、メチル、エチル、ベンジルまたは置換ベンジルエステルで保護することが好ましく、ベンジルエステルで保護することがより好ましい。 N末端保護基として、具体的には、アシル基(−CO−R1)およびアルコキシカルボニル基またはアリールオキシカルボニル基(−CO−O−R1)(式中、R1は、脂肪族基、置換脂肪族基、ベンジル基、置換ベンジル基、芳香族基、または置換芳香族基である)が挙げられるが、これらに限定されない。アシル基として、具体例には、アセチル、(エチル)−CO−、n−プロピル−CO−、イソプロピル−CO−、n−ブチル−CO−、sec−ブチル−CO−、t−ブチル−CO−、ヘキシル、ラウロイル、パルミトイル、ミリストイル、ステアリル、オレオイルフェニル−CO−、置換フェニル−CO−、ベンジル−CO−、および(置換ベンジル)−CO−が挙げられるが、これらに限定されない。アルコキシカルボニル基およびアリールオキシカルボニル基としては、CH3−O−CO−、(エチル)−O−CO−、n−プロピル−O−CO−、イソプロピル−O−CO−、n−ブチル−O−CO−、sec−ブチル−O−CO−、t−ブチル−O−CO−、フェニル−O−CO−、置換フェニル−O−CO−、ベンジル−O−CO−、(置換ベンジル)−O−CO−、アダマンタン、ナフタレン、ミリストレイル、トルエン、ビフェニル、シンナモイル、ニトロベンゾイル、トルオイル、フロイル、ベンゾイル、シクロヘキサン、ノルボルナン、およびZ−カプロン酸が挙げられる。N−アシル化を容易にするため、上記分子のN末端に1〜4個のグリシン残基が存在していてもよい。 上記化合物のC末端のカルボキシル基は、たとえば、アミド(すなわちC末端のヒドロキシル基が−NH2、−NHR2または−NR2R3で置換されたもの)またはエステル(すなわちC末端のヒドロキシル基が−OR2で置換されたもの)を含む(ただしこれらに限定されない)基で保護することができる。R2およびR3は、それぞれ独立して、脂肪族基、置換脂肪族基、ベンジル基、置換ベンジル基、アリール基、または置換アリール基であってもよい。さらに、R2およびR3は、窒素原子と一緒になって、窒素、酸素または硫黄などの約0〜2個のさらなるヘテロ原子を含むC4〜C8ヘテロ環を形成してもよい。適切なヘテロ環として好適なものとしては、ピペリジノ、ピロリジニル、モノホリノ、チオモルホリノ、およびピペラジニルが挙げられるが、これらに限定されない。C末端保護基としては、−NH2、−NHCH3、−N(CH3)2、−NH(エチル)、−N(エチル)2、−N(メチル)(エチル)、−NH(ベンジル)、−N(C1〜C4アルキル)(ベンジル)、−NH(フェニル)、−N(C1〜C4アルキル)(フェニル)、−OCH3、−O−(エチル)、−O−(n−プロピル)、−O−(n−ブチル)、−O−(イソプロピル)、−O−(sec−ブチル)、−O−(t−ブチル)、−O−ベンジル、および−O−フェニルが挙げられるが、これらに限定されない。ペプチドミメティックな成分による置換 「ペプチドミメティックな有機成分」は、保存的置換基および非保存的置換基として、本発明の組成物中のアミノ酸残基を置換するために用いてもよい。このような成分は「非天然アミノ酸」とも呼ばれ、および、アミノ酸残基またはアミノ酸を置換するために使用してもよく、または、ペプチド内において欠失されたアミノ酸に代わるスペーサー基として機能してもよい。ペプチドミメティックな有機成分は、置換されたアミノ酸に類似した立体化学的特性、電子的特性または立体配置的特性を有していてもよく、この態様が好ましい。また、このようなペプチドミメティックは、極めて重要な位置を占めるアミノ酸を置換するために使用してもよく、このような置換は保存的置換と考えられる。しかしながら、こような類似性は必ずしも必要とされない。本発明の好ましい実施形態によれば、本発明の組成物が少なくとも実質的に本発明に記載のネイティブタンパク質の生理活性を保持するようなペプチドミメティックが1つ以上選択される。 ペプチドミメティックは、酵素または別の分解過程によるペプチド分解を抑制するために使用してもよい。ペプチドミメティックは、有機合成技術によって作製してもよく、この態様が好ましい。適切なペプチドミメティックとしては、個々のLーアミノ酸に対応するDーアミノ酸、テトラゾール(Zabrocki et al., J. Am. Chem. Soc. 110:5875-5880 (1988));アミド結合の同配体(Jones et al., Tetrahedron Lett. 29: 3853-3856 (1988));およびLL−3−アミノ−2−プロペニドン−6−カルボン酸(LL−Acp)(Kemp et al., J. Org. Chem. 50:5834-5838 (1985))が挙げられるが、これらに限定されない。類似のアナログは、Kemp et al., Tetrahedron Lett. 29:5081-5082 (1988), Kemp et al., Tetrahedron Lett. 29:5057-5060 (1988), Kemp et al., Tetrahedron Lett. 29:4935-4938 (1988)およびKemp et al., J. Org. Chem. 54:109-115 (1987)に記載されている。他の適切かつ典型的なペプチドミメティックは、Nagai and Sato, Tetrahedron Lett. 26:647-650 (1985); Di Maio et al., J. Chem. Soc. Perkin Trans., 1687 (1985); Kahn et al., Tetrahedron Lett. 30:2317 (1989); Olson et al., J. Am. Chem. Soc. 112:323-333 (1990); およびGarvey et al., J. Org. Chem. 56:436 (1990)に記載されている。さらなる適切かつ典型的なペプチドミメティックとしては、ヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボキシラート(Miyake et al., J. Takeda Res. Labs 43:53-76 (1989));1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−3−カルボキシラート(Kazmierski et al., J. Am. Chem. Soc. 133:2275-2283 (1991));ヒスチジンイソキノロンカルボン酸(HIC)(Zechel et al., Int. J. Pep. Protein Res. 43 (1991));(2S,3S)−メチル−フェニルアラニン、(2S,3R)−メチル−フェニルアラニン、(2R,3S)−メチル−フェニルアラニン、および(2R,3R)−メチル−フェニルアラニン(Kazmierski and Hruby, Tetrahedron Lett. (1991))が挙げられる。 非天然アミノ酸としては、具体的には、β−アミノ酸(β3およびβ2)、ホモアミノ酸、環状アミノ酸、芳香族アミノ酸、Pro誘導体、Pyr誘導体、3位置換アラニン誘導体、グリシン誘導体、環置換Phe誘導体、環置換Tyr誘導体、直鎖状コアアミノ酸、またはジアミノ酸が挙げられるが、これらに限定されない。これらはたとえばシグマアルドリッチ(米国)などの様々な供給業者から入手可能である。タンパク質の化学修飾 本発明において、本発明の実施形態の少なくともいくつかによるタンパク質の任意の部分を必要に応じて化学修飾してもよく、すなわち、官能基を付加することによって変化させてもよい。たとえば、ネイティブ配列に存在する側鎖アミノ酸残基を必要に応じて修飾してもよく、あるいは後述するように、この側鎖アミノ酸残基に加えてまたはこのアミノ酸残基の代わりに、タンパク質の別の部分を必要に応じて修飾してもよい。化学的合成プロセスの後に、たとえば化学的修飾されたアミノ酸の付加を行う場合、上記分子の合成中にこの修飾を行ってもよい。しかしながら、アミノ酸の化学修飾が分子内に既に存在するような修飾(「インサイチュー」修飾)も可能である。 上記分子の配列領域のいずれかのアミノ酸は、以下に記載する(ペプチドが「化学的に修飾された」と概念的に見なされる)典型的な修飾法のいずれか1つで修飾してもよい。典型的な修飾としては、カルボキシメチル化、アシル化、リン酸化、グリコシル化、および脂肪酸アシル化が挙げられるが、これらに限定されない。エーテル結合を使用して、糖のヒドロキシルと、セリンまたはトレオニンのヒドロキシルとを連結してもよい。アミド結合を使用して、糖のアミノ基と、グルタミン酸塩またはアスパラギン酸塩のカルボキシル基とを連結してもよい(Garg and Jeanloz, Advances in Carbohydrate Chemistry and Biochemistry, Vol. 43, Academic Press (1985);およびKunz, Ang. Chem. Int. Ed. English 26:294-308 (1987))。さらに、アセタール結合およびケタール結合をアミノ酸と糖との間に形成させてもよい。また、たとえば遊離アミノ基(たとえばリシン)をアシル化することによって、脂肪酸のアシル誘導体を形成させてもよい(Toth et al., Peptides: Chemistry, Structure and Biology, Rivier and Marshal, eds., ESCOM Publ., Leiden, 1078-1079 (1990))。 本発明によるタンパク質またはペプチドに言及する場合、本明細書において「化学修飾」は、翻訳後プロセシングもしくは他の翻訳後修飾などの自然現象、または当技術分野においてよく知られている化学修飾技術によって、少なくとも1個のアミノ酸残基が修飾されたタンパク質またはペプチドを指す。種々の公知の修飾として、通常、アセチル化、アシル化、アミド化、ADP−リボシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、脂質または脂質誘導体の共有結合、メチル化、ミリスチル化、PEG化、プレニル化、リン酸化、ユビキチン化、およびあらゆる類似の処理が挙げられるが、これらに限定されない。 他のタイプの修飾として、PCT国際公開第2006/050262号(この文献はその全体が本明細書に記載されているかのように参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているような、たとえばタンパク質などの生体分子へのシクロアルカン部分の付加を挙げることができる。これらの部分は生体分子とともに使用するために設計され、タンパク質に様々な特性を付与するために使用してもよい。 さらに、タンパク質上の任意の位置を修飾してもよい。たとえば、PCT出願国際公開第2006/050247号(この文献はその全体が本明細書に記載されているかのように参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているように、タンパク質上のグリコシル化部分をPEG化してもよい。O−結合型および/またはN−結合型グリコシル化部位に、1つ以上のポリエチレングリコール(PEG)基を付加してもよい。PEG基は分枝状でも直鎖状であってもよい。タンパク質上のグリコシル化部位に、グリコシルリンカーを介して任意のタイプの水溶性ポリマーを付加してもよい。グリコシル化の改変 本発明の実施形態の少なくともいくつかによるタンパク質を修飾して、そのグリコシル化パターンを改変してもよい(すなわち、本来またはネイティブのグリコシル化パターンを改変してもよい)。本明細書において「改変」手段は、1つ以上の糖鎖部分を欠失させること、および/または本来のタンパク質に少なくとも1つのグリコシル化部位を付加することを指す。 通常、タンパク質のグリコシル化にはN−結合型とO−結合型がある。N−結合は、アスパラギン残基の側鎖への糖鎖部分の結合を指す。アスパラギン−X−セリンおよびアスパラギン−X−トレオニンで示されるトリペプチド配列(式中、Xはプロリン以外の任意のアミノ酸である)は、酵素によってアスパラギン側鎖に糖鎖部分を結合させるための認識配列である。したがって、ポリペプチド中にこれらのトリペプチド配列のいずれかが存在していると、これらは潜在的なグリコシル化部位となる。O−結合型グリコシル化は、ヒドロキシアミノ酸(5−ヒドロキシプロリンまたは5−ヒドロキシリシンを使用してもよいが、最も一般的にはセリンまたはトレオニン)への、N−アセチルガラクトサミン、ガラクトースおよびキシロースの糖類うちの1つの結合を指す。 本発明の実施形態の少なくともいくつかによるタンパク質へのグリコシル化部位の付加は、該タンパク質のアミノ酸配列を改変させて、(N−結合型グリコシル化部位としての)上記のトリペプチド配列を1つ以上含有させることによって簡便に達成される。この改変は、元のタンパク質の配列において、(O−結合型グリコシル化部位としての)1個以上のセリンまたはトレオニン残基を付加または置換することにおこなってもよい。タンパク質のアミノ酸配列をDNAレベルにおいて改変し、変更を導入してもよい。 タンパク質の糖鎖部分の数を増加させる別の手段として、タンパク質のアミノ酸残基にグリコシドを化学結合または酵素結合させる方法がある。使用する結合方法に応じて、(a)アルギニンおよびヒスチジン、(b)遊離カルボキシル基、(c)遊離スルフヒドリル基(たとえばシステインの遊離スルフヒドリル基など)、(d)遊離ヒドロキシル基(たとえば、セリン、トレオニンまたはヒドロキシプロリンの遊離ヒドロキシル基など)、(e)芳香族残基(フェニルアラニン、チロシンまたはトリプトファンの芳香族残基など)、(f)グルタミンのアミド基に糖を付加してもよい。これらの方法は、国際公開第87/05330号およびAplin and Wriston, CRC Crit. Rev. Biochem., 22: 259-306 (1981)に記載されている。 本発明の実施形態の少なくともいくつかによるタンパク質上に存在する任意の糖鎖部分の除去は、化学的または酵素的に行ってもよい。化学的脱グリコシルは、タンパク質をトリフルオロメタンスルホン酸または同等の化合物と接触させることを必要とする。この処理によって、構成要素同士を連結する糖(N‐アセチルグルコサミンまたはN−アセチルガラクトサミン)以外の大部分またはすべての糖が切断され、アミノ酸配列を損なうことなく糖鎖部分を除去することができる。 化学的脱グリコシルは、Hakimuddin et al., Arch. Biochem. Biophys., 259: 52 (1987); および Edge et al., Anal. Biochem., 118: 131 (1981)に記載されている。酵素を用いたタンパク質の糖鎖部分の切断は、Thotakura et al., Meth. Enzymol., 138: 350 (1987)に記載されているように、様々なエンドグリコシダーゼおよびエキソグリコシダーゼを使用して行うことができる。使用方法 本明細書において「治療剤」は、本発明の実施形態の少なくともいくつかによるLY6G6F、VSIG10、TMEM25および/もしくはLSRタンパク質およびポリペプチド、またはこれらのオーソログもしくはフラグメント;特に、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/もしくはLSRタンパク質の細胞外ドメインもしくは分泌形態;これらを含む融合タンパク質もしくは多量体タンパク質;LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRの核酸配列もしくはこれらのフラグメント;LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRタンパク質に特異的に結合する薬剤;LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRタンパク質と他の成分との結合を増強または抑制する薬剤;ならびにLY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRと関連する生物学的活性の少なくとも1つを調節する(増強または抑制する)薬剤のいずれかである。上記の薬剤は、LY6G6Fポリペプチド、VSIG10ポリペプチド、TMEM25ポリペプチドおよび/もしくはLSRポリペプチド、およびこれらのエピトープのいずれか1つに特異的に結合する抗原結合部位を含むモノクローナル抗体および/もしくはポリクローナル抗体、その抗原結合フラグメント、これらのいずれかを含む結合体、ならびに/または代替足場を包含する。上記の薬剤としては、小分子、ペプチド、リボザイム、アプタマー、アンチセンス分子、siRNAなどがさらに挙げられる。 LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/もしくはLSRが異常にダウンレギュレートされている場合、かつ/またはLY6G6F、VSIG10、TMEM25および/もしくはLSRの活性が増加している場合、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/もしくはLSRの活性を刺激することが望ましく、これによって有益な効果がもたらされるであろう。同様に、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/もしくはLSRが異常にアップレギュレートされている場合、かつ/またはLY6G6F、VSIG10、TMEM25および/もしくはLSRの活性が減少している場合、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/もしくはLSRの活性を抑制することが望ましく、これによって有益な効果がもたらされるであろう。 本明細書において記載されているように、上記の治療剤は、本明細書に記載の免疫関連障害、本明細書に記載の自己免疫疾患、本明細書に記載の感染性障害および/もしくは本明細書に記載のがんの治療、ならびに/またはLY6G6Fポリペプチド、VSIG10ポリペプチド、TMEM25ポリペプチドおよび/もしくはLSRポリペプチドのいずれか1つによって媒介される免疫共刺激のブロックおよび/もしくは促進に使用することができる。 本発明のさらなる態様によれば、上記の治療剤は、がん細胞もしくは慢性感染症などに対するT細胞活性の病的な抑制の阻止;および/または自己免疫疾患における自己抗原などに対するT細胞活性の病的な促進の阻止に使用することができる。たとえば、上記の分子は、様々な疾患の治療、予防、および診断を目的として、インビトロもしくはエクスビボにおける培養物中の細胞、またはたとえばインビボにおけるヒト対象に投与することができる。好ましい対象としては、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/もしくはLSRタンパク質を発現している細胞によって媒介される疾患を有するヒト患者、ならびにLY6G6F、VSIG10、TMEM25および/もしくはLSR活性を有する細胞が挙げられる。 本発明のさらなる態様によれば、上記治療剤は、たとえばT細胞の増殖およびサイトカインの分泌などによって示されるT細胞の活性化を抑制するために使用することができる。 本発明のさらなる態様によれば、上記の治療剤は、インビボもしくはインビトロにおいて生物学的活性、すなわち、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/もしくはLSRを発現している細胞の増殖抑制および/もしくは破壊;ヒトエフェクター細胞の存在下において、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/もしくはLSRを発現している細胞の食作用もしくはADCCの媒介、またはLY6G6Fリガンド、VSIG10リガンド、TMEM25リガンドおよび/もしくはLSRリガンドの、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/もしくはLSRへの結合のブロックの1以上を誘導するために使用することができる。 したがって、本発明のさらなる態様によれば、本明細書に記載の免疫関連障害、本明細書に記載の自己免疫疾患、本明細書に記載の感染性障害、および/もしくは本明細書に記載のがんを治療する方法、ならびに/または、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/もしくはLSRポリペプチドによって媒介される免疫刺激を対象においてブロックまたは促進する方法が提供され、これらの方法は、上記の治療剤および/もしくは上記の治療剤のいずれかと薬学的に許容される希釈剤もしくは担体とを含む医薬組成物のいずれか1つの有効量を上記の治療またはブロックもしくは促進を必要とする対象に投与することによって行われる。 本発明における対象は、上記の疾患、障害もしくは病態のうちの1つを有すると診断されたか、または少なくとも1つのタイプの、がん、感染性障害および/もしくは免疫関連障害の素因を有する哺乳動物、好ましくはヒトである。 本明細書において「治療」は、上記疾患、障害または病態の有害な影響の予防、発生の遅延、治癒、改善、減弱、緩和、最小化、抑制、または阻止を指す。さらに、「治療」は上記の疾患の管理を含む。「管理」は、疾患の重症度の低下、疾患の出現頻度の減少、疾患の出現期間の短縮、疾患の出現における重症度の低下などを意味する。 本発明によれば、「治療」は、対象において本発明のポリペプチドの少なくとも1つの発現を特異的にアップレギュレートすることにより達成することができる。 本発明による上記疾患の治療を、当技術分野で公知の他の治療法と組み合わせてもよいこと(すなわち併用療法)は十分に理解されるであろう。したがって、本発明の実施形態の少なくともいくつかによれば、本明細書に記載の治療剤および/または該治療剤を含む医薬組成物は、免疫応答を調節するための以下の薬剤の1以上と組み合わせて使用することもできる:可溶性gp39(CD40リガンド(CD40L)、CD154、T−BAM、TRAPとしても知られている)、可溶性CD29、可溶性CD40、可溶性CD80(たとえばATCC 68627)、可溶性CD86、可溶性CD28(たとえば68628)、可溶性CD56、可溶性Thy−1、可溶性CD3、可溶性TCR、可溶性VLA−4、可溶性VCAM−1、可溶性LECAM−1、可溶性ELAM−1、可溶性CD44、gp39と反応する抗体(たとえばATCC HB−10916、ATCC HB−12055およびATCC HB−12056)、CD40と反応する抗体(たとえばATCC HB−9110)、B7と反応する抗体(たとえばATCC HB−253、ATCC CRL−2223、ATCC CRL−2226、ATCC HB−301、ATCC HB−11341など)、CD28と反応する抗体(たとえばATCC HB−11944またはmAb 9.3)、LFA−1と反応する抗体(たとえばATCC HB−9579およびATCC TIB−213)、LFA−2と反応する抗体、IL−2と反応する抗体、IL−12と反応する抗体、IFN−γと反応する抗体、CD2と反応する抗体、CD48と反応する抗体、任意のICAMと反応する抗体(たとえばICAM−1(ATCC CRL−2252)、ICAM−2およびICAM−3)、CTLA4と反応する抗体(たとえばATCC HB−304)、Thy−1と反応する抗体、CD56と反応する抗体、CD3と反応する抗体、CD29と反応する抗体、TCRと反応する抗体、VLA−4と反応する抗体、VCAM−1と反応する抗体、LECAM−1と反応する抗体、ELAM−1と反応する抗体、CD44と反応する抗体;L104EA29YIg、CD80モノクローナル抗体(mAb)、CD86mAb、gp39mAb、CD40mAb、CD28mAb、抗LFA1 mAb;CD52(アレムツズマブ)、CD25(ダクリズマブ)、VLA−4(ナタリズマブ)、CD20(リツキシマブ)、IL2R(ダクリズマブ)およびMS4A1(オクレリズマブ)などの、免疫系のメカニズムを標的とする抗体または他の薬剤;フィンゴリモド(FTY720)などの、リンパ器官からのリンパ球再循環を妨げることが示されている新規経口免疫調節剤、およびmylinax(経口クラドリビン)またはテリフルノミドなどの、リンパ球枯渇をもたらす新規経口免疫調節剤;ならびに、panaclar(フマル酸ジメチルBG−12)またはラキニモド(ABR216062)などの、免疫活性化を妨げる薬剤。他の組み合わせも当業者によって容易に認識かつ理解されるであろう。実施形態のいくつかでは、治療剤を、炎症性薬剤の活性の減弱もしくは相殺、またはそのような薬剤の副作用の制限に使用することができる。 当業者によって容易に理解されるように、上記の組み合わせは、本発明の実施形態の少なくともいくつかによる治療剤および/または該治療剤を含む医薬組成物と、1種の別の免疫抑制剤との組み合わせ;本明細書に記載の治療剤および/または該治療剤を含む医薬組成物と、2種の他の免疫抑制剤との組み合わせ;本明細書に記載の治療剤および/または該治療剤を含む医薬組成物と、3種の他の免疫抑制剤との組み合わせなどを含むことができる。最適な組み合わせおよび用量の決定は、当技術分野においてよく知られている方法を使用して決定および最適化することができる。 本発明による治療剤および1種以上の他の治療剤は、順番に投与することも、同時に投与することもできる。他の治療剤は、たとえば、細胞毒性剤、放射性毒性剤または免疫抑制剤である。医薬組成物は、(免疫複合体として)薬剤に結合することができ、あるいは、薬剤とは別個に投与することもできる。後者の場合(別々に投与する場合)、医薬組成物は、他の薬剤の投与前、投与後、または投与と同時に投与することができ、あるいは、他の公知の治療法(たとえば抗がん療法、たとえば、放射線療法)と併用することができる。このような治療剤としては、特に、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、シスプラチン、硫酸ブレオマイシン、カルムスチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、ヒドロキシ尿素 などの、それぞれの治療剤自体が患者に毒性または準毒性を示すレベルにおいてのみ効果を発揮する抗新生物剤が挙げられる。シスプラチンは、100mg/投与で4週ごとに1回静脈内投与され、アドリアマイシンは、1回量として60〜75mg/mlが21日ごとに1回静脈内投与される。 本発明の実施形態の少なくともいくつかによる、ヒト抗LY6G6F、抗VSIG10、抗TMEM25および/もしくは抗LSR抗体またはこれらの抗原結合フラグメントと化学療法剤とを併用することによって、ヒト腫瘍細胞に対して細胞傷害効果をもたらす異なったメカニズムを介して作動する2種の抗がん剤が提供される。このような併用によって、薬剤に対する耐性の発現、または抗体との反応が起こらなくなる腫瘍細胞の抗原性の変化を原因とする問題を解決することができる。標的特異的エフェクター細胞、たとえば、本発明の実施形態の少なくともいくつかによる組成物(たとえばヒト抗体、多重特異性分子、および二重特異性分子)を結合させたエフェクター細胞も治療剤として使用することができる。標的するためのエフェクター細胞は、マクロファージ、好中球、単球などのヒト白血球であってよい。他の細胞としては、好酸球、ナチュラルキラー細胞、およびIgGレセプターまたはIgAレセプターを有する他の細胞が挙げられる。所望に応じて、エフェクター細胞は治療の対象から得ることができる。標的特異的エフェクター細胞は、生理学的に許容される溶液中の細胞懸濁液として投与することができる。投与される細胞数は約108〜109であってよく、治療目的によって異なるであろう。通常、上記の細胞数は、標的細胞、たとえば、LY6G6Fタンパク質、VSIG10タンパク質、TMEM25タンパク質および/またはLSRタンパク質を発現している腫瘍細胞に上記の細胞を局在化させ、かつ、たとえば食作用などによって細胞破壊を行うのに十分な量であろう。投与経路も異なっていてもよい。 標的特異的エフェクター細胞を用いた治療法は、標的細胞を除去するための他の技術を併用して実施することができる。たとえば、本発明の実施形態の少なくともいくつかによる組成物(たとえばヒト抗体、多重特異性分子、および二重特異性分子)および/またはこれらの組成物を結合させたエフェクター細胞を使用した抗腫瘍療法は、化学療法と併用することができる。さらに、併用免疫療法を使用し、2種の異なる細胞傷害性エフェクター集団によって腫瘍細胞の拒絶を引き起こしてもよい。たとえば、抗FcγRIまたは抗CD3に連結させた、抗LY6G6F抗体、抗VSIG10抗体、抗TMEM25抗体および/または抗LSR抗体と、IgGレセプターまたはIgAレセプターに特異的に結合する薬剤とを併用してもよい。 本発明の実施形態の少なくともいくつかによる二重特異性分子および多重特異性分子を使用して、細胞表面のレセプターを塞ぐことおよび除去することなどによって、エフェクター細胞のFcγRレベルまたはFcγRレベルを調節することもできる。抗Fcレセプターの混合物もこの目的に使用することができる。 本発明は、免疫系疾患を治療するための、他の薬剤と組み合わせた本発明の実施形態の少なくともいくつかによる組成物の使用も包含する。たとえば、自己免疫疾患は、本発明の実施形態の少なくともいくつかによる分子と、コルチコステロイド、シクロスポリン、シクロホスファミド、プレドニゾン、アザチオプリン、メトトレキサート、ラパマイシン、タクロリムスなどの免疫抑制剤;TNF−α遮断剤もしくはTNF−αアンタゴニスト、または任意の炎症性サイトカインを標的とする他の生物学的薬剤などの生物学的薬剤;非ステロイド性抗炎症剤/Cox−2阻害剤;ヒドロキシクロロキン;スルファサラゾピリン;金塩;エタネルセプト;インフリキシマブ;ミコフェノール酸モフェチル;バシリキシマブ;アタシセプト;リツキシマブ;シトキサン;インターフェロンβ−1a;インターフェロンβ−1b;酢酸グラチラマー;塩酸ミトキサントロン;アナキンラ;他のバイオロジクス;および/または静脈内免疫グロブリン(IVIG)(ただしこれらに限定されない)との併用により治療してもよい。上記のような公知の治療剤として、IFN−β−1a(REBIF(登録商標)、AVONEX(登録商標)およびCINNOVEX(登録商標))、ならびにIFN−β−1b(BETASERON(登録商標)、EXTAVIA(登録商標)、BETAFERON(登録商標)、およびZIFERON(登録商標))などのインターフェロン;ポリペプチドである酢酸グラチラマー(COPAXONE(登録商標));ナタリズマブ(TYSABRI(登録商標));ならびに細胞毒性剤であるミトキサントロン(NOVANTRONE(登録商標))が挙げられるが、これらに限定されない。 上記のように、本発明の実施形態の少なくともいくつかによる薬剤を使用した多発性硬化症の治療は、たとえば、多発性硬化症の公知の任意の治療剤または治療方法と組み合わせてもよい。多発性硬化症の公知の治療剤または治療方法としては、IFN−β−1a(REBIF(登録商標)、AVONEX(登録商標)およびCINNOVEX(登録商標))、ならびにIFN−β−1b(BETASERON(登録商標)、EXTAVIA(登録商標)、BETAFERON(登録商標)、およびZIFERON(登録商標))などのインターフェロン;ポリペプチドである酢酸グラチラマー(COPAXONE(登録商標));ナタリズマブ(TYSABRI(登録商標));細胞毒性剤であるミトキサントロン(NOVANTRONE(登録商標));ならびにFampridine(AMPYRA(登録商標))が挙げられるが、これらに限定されない。他の薬剤として、コルチコステロイド;メトトレキサート;シクロホスファミド;アザチオプリン;静脈内免疫グロブリン(IVIG);イノシン;オクレリズマブ(R1594);Mylinax(Caldribine);アレムツズマブ(Campath);ダクリズマブ(Zenapax);Panaclar/フマル酸ジメチル(BG−12);テリフルノミド(HMR1726);フィンゴリモド(FTY720);ラキニモド(ABR216062);造血幹細胞移植;Neurovax;リツキシマブ(リツキサン);BCGワクチン;低用量ナルトレキソン;蠕虫療法;血管形成術;静脈内ステント;およびビタミンD、多価不飽和脂肪、医療用マリファナなどの代替療法が挙げられる。 上記のように、本発明の実施形態の少なくともいくつかによる薬剤を使用した関節リウマチの治療は、たとえば、関節リウマチの公知の任意の治療剤または治療方法と組み合わせてもよい。関節リウマチの公知の治療剤または治療方法としては、グルココルチコイド;サリチル酸塩、シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤、イブプロフェン、ナプロキセン、ジクロフェナク、インドメタシン、エトドラクなどの非ステロイド系抗炎症薬(NSAID);疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)、すなわち、経口DMARD:オーラノフィン(リドーラ)、アザチオプリン(イムラン)、シクロスポリン(ジェネリック薬である、サンディミュン、Gengraf、ネオーラル)、D−ペニシラミン(Cuprimine)、ヒドロキシクロロキン(プラケニル)、注射金剤である金チオリンゴ酸ナトリウム(Myochrysine)および金チオグルコース(Solganal)、レフルノミド(アラバ)、メトトレキサート(リウマトレックス)、ミノサイクリン(ミノシン)、ブドウ球菌プロテインA免疫吸着(Prosorbaカラム)、スルファサラジン(アザルフィジン);生物学DMARD:アダリムマブ(ヒュミラ)、エタネルセプト(エンブレル)、インフリキシマブ(レミケード)、ゴリムマブ(シンポニー)、セルトリズマブペゴール(シムジア)を含むTNF−α遮断剤;他の生物学的DMARD:アナキンラ(Kineret)、リツキシマブ(リツキサン)、トシリズマブ(アクテムラ)など;ならびにアバタセプト(Orencia)およびベラタセプトを含むCD28阻害剤が挙げられるが、これらに限定されない。 上記のように、本発明の実施形態の少なくともいくつかによる薬剤を使用したIBDの治療は、たとえば、IBDの公知の任意の治療剤または治療方法と組み合わせてもよい。IBDの公知の治療剤または治療方法として、プレドニゾン、メサラジン(アサコール、ペンタサ、Lialda、Aspiroを含む)、アザチオプリン(イムラン)、メトトレキサートまたは6−メルカプトプリン、ステロイド、オンダンセトロン、TNF−α遮断剤(インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ、セルトリズマブペゴールを含む)、Orencia(アバタセプト)、ウステキヌマブ(ステラーラ(登録商標))、ブリアキヌマブ(ABT−874)、セルトリズマブペゴール(シムジア(登録商標))、ITF2357(givinostat)、ナタリズマブ(Tysabri)、フィラテグラスト(SB−683699)、レミケード(インフリキシマブ)、ベドリズマブ(MLN0002)などによる、症状を制御するための免疫抑制;GSK1605786すなわちCCX282−B(Traficet−EN)、AJM300、ステラーラ(ウステキヌマブ)、セマピモド(CNI−1493)、tasocitinib(CP−690550)、LMWヘパリンMMX、ブデソニドMMX、シンポニー(ゴリムマブ)、MultiStem(登録商標)、ガーダシルHPVワクチン、およびEpaxal Berna(ビロソームHAワクチン)を含む他の薬剤;腸切除、狭窄形成術、および一時的もしくは永久的な人工肛門形成術もしくは回腸造瘻術などの手術;ナイスタチン(広域スペクトル腸内抗真菌剤)およびイトラコナゾール(スポラノックス)またはフルコナゾール(ジフルカン)などの抗真菌剤;代替医療;プレバイオティクスおよびプロバイオティクス;大麻;ならびに蠕虫療法または豚鞭虫卵が挙げられるが、これらに限定されない。 上記のように、本発明の実施形態の少なくともいくつかによる薬剤を使用した乾癬の治療は、たとえば、乾癬の公知の任意の治療剤または治療方法と組み合わせてもよい。乾癬の公知の治療剤としては、軽度の疾患に通常使用される局所剤、中程度の疾患に使用される光線療法、およびおよび重度の疾患に使用される全身性薬剤が挙げられるが、これらに限定されない。局所剤としては、液体入浴剤、保湿剤、鉱油およびワセリン;ならびにコールタール、ジトラノール(アントラリン)、コルチコステロイド(たとえば、デスオキシメタゾン(Topicort)、ベタメタゾン、フルオシノニド)、ビタミンD3類似化合物(たとえばカルシポトリオール)、またはレチノイドを含む軟膏およびクリームが挙げられるが、これらに限定されない。光線療法としては、日光;ならびに311〜313nmの波長、ソラレンおよび紫外線のA光線療法(PUVA)が挙げられるが、これらに限定されない。全身性薬剤としては、インフリキシマブ(レミケード)、アダリムマブ(ヒュミラ)、ゴリムマブ、セルトリズマブペゴールなどの抗体、および組換えTNF−αデコイレセプター、エタネルセプト(エンブレル)などを含む、インターロイキンアンタゴニストおよびTNF−α遮断剤などのバイオロジクス;エファリズマブ(Xannelim/Raptiva)、アレファセプト(Ameviv))などのT細胞を標的とする薬剤、およびエファリズマブなどの樹状細胞を標的とする薬剤;抗IL−12/IL−23(ウステキヌマブ(ステラーラ(登録商標)))および抗インターロイキン17などの、サイトカインを標的とするモノクローナル抗体(MAb);ブリアキヌマブ(ABT−874);ISA247を含む(ただしこれらに限定されない)小分子;メトトレキサート、シクロスポリンなどの免疫抑制剤;ビタミンAおよびレチノイド(合成ビタミンA);ならびに食事およびライフスタイルの変更、絶食期間、低カロリー食および菜食、ビタミンAおよびビタミンDを豊富に含む魚油(タラ肝油など)を添加した食事、2種のオメガ3脂肪酸すなわちエイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)を豊富に含みかつビタミンEを含む魚油、ichthyotherapy(フィッシュセラピー)、催眠療法、大麻などの代替療法が挙げられるが、これらに限定されない。 上記のように、本発明の実施形態の少なくともいくつかによる薬剤を使用した1型糖尿病の治療は、たとえば、1型糖尿病の公知の任意の治療剤または治療方法と組み合わせてもよい。1型糖尿病の公知の治療剤または治療方法としては、インスリン;インスリンアナログ;膵島移植;PROCHYMAL(登録商標)を含む幹細胞療法;アナキンラ(Kineret(登録商標))を含むIL−1β阻害剤、アバタセプト(Orencia(登録商標))、Diamyd、アレファセプト(Ameviv(登録商標))、Otelixizumab、DiaPep277(Hsp60由来ペプチド)、α1−アンチトリプシン、プレドニゾン、アザチオプリン、シクロスポリンなどの非インスリン療法;E1−INT(上皮成長因子アナログおよびガストリンアナログを含む注射可能な膵島新生療法);ゾコール(登録商標)、Simlup(登録商標)、Simcard(登録商標)、Simvacor(登録商標)、シタグリプチン(ジペプチジルペプチダーゼ−(DPP−4)阻害剤)、抗CD3モノクローナル抗体(たとえばテプリズマブ)を含むスタチン;CTLA4−Ig(アバタセプト);抗IL−1β(カナキヌマブ);抗CD20モノクローナル抗体(たとえばリツキシマブ)が挙げられるが、これらに限定されない。 上記のように、本発明の実施形態の少なくともいくつかによる薬剤を使用したぶどう膜炎の治療は、たとえば、ぶどう膜炎の公知の任意の治療剤または治療方法と組み合わせてもよい。ぶどう膜炎の公知の治療剤または治療方法としては、コルチコステロイド;アトロピン、ホマトロピンなどの局所毛様体筋麻痺剤;PSTTA注射(酢酸トリアムシノロンの後部テノン嚢下注射);メトトレキサートなどの代謝拮抗剤;TNF−α遮断剤(インフリキシマブ、アダリムマブ、エタネルセプト、ゴリムマブ、セルトリズマブペゴールを含む)が挙げられるが、これらに限定されない。 上記のように、本発明の実施形態の少なくともいくつかによる薬剤を使用したシェーグレン症候群の治療は、たとえば、シェーグレン症候群の公知の任意の治療剤または治療方法と組み合わせてもよい。シェーグレン症候群の公知の治療剤または治療方法としては、シクロスポリン、ピロカルピン(サラジェン)およびセビメリン(エボザック)、ヒドロキシクロロキン(プラケニル)、コルチゾン(プレドニゾンなど)、アザチオプリン(イムラン)、シクロホスファミド(シトキサン)、デキサメタゾン、サリドマイド、デヒドロエピアンドロステロン、NGX267、レバミピド、FID 114657、エタネルセプト、ラプティバ、ベリムマブ、マブセラ(リツキシマブ)、アナキンラ、静脈内免疫グロブリン(IVIG)、同種間葉系幹細胞(AlloMSC)、ならびに「Saliwell Crown」による自動神経電気刺激が挙げられるが、これらに限定されない。 上記のように、本発明の実施形態の少なくともいくつかによる薬剤を使用した全身性エリテマトーデスの治療は、たとえば、全身性エリテマトーデスの公知の任意の治療剤または治療方法と組み合わせてもよい。全身性エリテマトーデスの公知の治療剤または治療方法としては、コルチコステロイド;一般的に抗マラリア薬(プラキニルなど)および免疫抑制剤(たとえばメトトレキサートおよびアザチオプリン)である疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD);ヒドロキシクロロキン;細胞傷害剤(たとえばシクロホスファミドおよびミコフェノール酸塩);ヒドロキシクロロキン(HCQ);ベンリスタ(ベリムマブ);非ステロイド系抗炎症剤;プレドニゾン;セルセプト;プログラフ;アタシセプト;Lupuzor;静脈内免疫グロブリン(IVIG);セルセプト(ミコフェノール酸モフェチル);Orencia;CTLA4−IgG4m(RG2077);リツキシマブ;オクレリズマブ;エプラツズマブ;CNTO 136;Sifalimumab(MEDI−545);A−623(以前のAMG 623);AMG 557;Rontalizumab;paquinimod(ABR−215757);LY2127399;CEP−33457;デヒドロエピアンドロステロン;レボチロキシン;abetimus sodium(LJP 394);メマンチン;オピエート;ラパマイシン;腎移植;幹細胞移植が挙げられるが、これらに限定されない。 本発明の実施形態の少なくともいくつかによれば、本明細書に記載の、治療剤および/または該治療剤を含む医薬組成物は、たとえば、同種移植片もしくは異種移植片の急性もしくは慢性の拒絶反応、炎症性疾患、または自己免疫疾患の治療または予防、または寛容の誘導を目的として、単独の有効成分として、または免疫調節を目的とした投薬計画における他の薬剤もしくは他の抗炎症剤とともに投与してもよい。 たとえば、上記の治療剤および/または該治療剤を含む医薬組成物は以下の薬剤と組みあわせて使用してもよい:カルシニューリン阻害剤(たとえばシクロスポリンA、FK506);免疫抑制マクロライド(たとえばラパマイシン)もしくはその誘導体(たとえば40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン);リンパ球ホーミング剤(たとえばFTY720)もしくはそのアナログ;コルチコステロイド;シクロホスファミド;アザチオプリン;メトトレキサート;レフルノミドもしくはそのアナログ;ミゾリビン;ミコフェノール酸;ミコフェノール酸モフェチル;15−デオキシスペルグアリンもしくはそのアナログ;免疫抑制モノクローナル抗体(たとえば、MHC、CD2、CD3、CD4、CD11a/CD18、CD7、CD25、CD27、B7、CD40、CD45、CD58、CD137、ICOS、CD150(SLAM)、OX40、4−1BBもしくはこれらのリガンドなどの白血球レセプターに対するモノクローナル抗体);他の免疫調節化合物(たとえばCTLA4−Ig(アバタセプト、ORENCIAもしくはベラタセプト)、CD28−Ig、B7−H4−Ig、他の共刺激剤);接着分子阻害剤(たとえばモノクローナル抗体(mAb));またはLFA−1アンタゴニスト、セレクチンアンタゴニスト、VLA−4アンタゴニストなどの低分子阻害剤。 言うまでもないことだが、本発明の実施形態の少なくともいくつかによれば、たとえば本明細書に記載の他の免疫抑制療法/免疫調節療法または抗炎症療法と併用して、本明細書に記載の治療剤および/または該治療剤を含む医薬組成物を投与する場合、併用される薬剤の種類(たとえば、ステロイド系の薬剤であるのか、シクロスポリンであるのか)、使用される特定の薬剤、治療条件などによって、併用される免疫抑制剤、免疫調節剤または抗炎症性化合物の用量は変化するであろう。 本発明の薬剤を使用した悪性腫瘍の治療は、当技術分野で公知の他の治療法、たとえば、放射線療法、抗体療法、化学療法、光線力学療法、手術の1以上と組み合わせてもよく、あるいは、免疫抑制剤、細胞傷害剤などの慣用の薬剤を用いた併用療法において、本発明の薬剤を使用した悪性腫瘍の治療を実施してもよい。 さらに、本発明の実施形態の少なくともいくつかによる治療剤または医薬組成物は、他の化合物または免疫療法と組み合わせて投与してもよい。たとえば、この併用療法は、少なくとも1つの他の治療剤もしくは免疫調節剤または免疫刺激療法と組み合わせられた本発明の化合物を含んでいてもよく、組み合わせられる治療剤もしくは免疫調節剤または免疫刺激療法としては、腫瘍ワクチン、養子T細胞療法、Treg除去、抗体(たとえば、ベバシズマブ、アービタックス)、ペプチド、ペプチボディ、小分子、細胞傷害剤および細胞増殖抑制剤(たとえば、パクリタキセル、シスプラチン、ビノレルビン、ドセタキセル、ゲムシタビン、テモゾロミド、イリノテカン、5FU、カルボプラチン)などの化学療法剤、インターフェロンおよびインターロイキンなどの免疫調節剤、免疫刺激抗体、成長ホルモン、他のサイトカイン、葉酸、ビタミン、無機質、アロマターゼ阻害剤、RNAi、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、プロテアソーム阻害剤などが挙げられるが、これらに限定されない。 本発明の実施形態の少なくともいくつかによれば、本明細書に記載の治療剤および/または該治療剤を含む医薬組成物と、感染症の治療に効果的な公知の治療剤との組み合わせの使用が提供される。 本明細書に記載の治療剤および/または該治療剤を含む医薬組成物は、細菌感染の治療に使用される1以上のさらなる治療剤と組み合わせて投与することができ、該治療剤としては、アミノグリコシド、カルバペネム、セファロスポリン、マクロライド、リンコサミド、ニトロフラン、ペニシリン、ポリペプチド、キノロン、スルホンアミド、およびテトラサイクリンを含む抗生物質;クロファジミン、シクロセリン、シクロセリン、リファブチン、リファペンチン、およびストレプトマイシンを含む(ただしこれらに限定されない)抗マイコバクテリウム剤;ならびにクロラムフェニコール、ホスホマイシン、メトロニダゾール、ムピロシン、チニダゾールなどの他の抗菌薬が挙げられるが、これらに限定されない。 本明細書に記載の治療剤および/または該治療剤を含む医薬組成物は、ウイルス感染の治療に使用される1以上のさらなる治療剤と組み合わせて投与することができ、該治療剤としては、オセルタミビル(商品名タミフル)、ザナミビル(商品名リレンザ)、アルビドール(アダマンタン誘導体)(アマンタジン、リマンタジン)、ノイラミニダーゼ阻害剤(オセルタミビル、ラニナミビル、ペラミビル、ザナミビル)などの抗ウイルス薬;グアニン(アシクロビル/バラシクロビル、ガンシクロビル/バルガンシクロビル、ペンシクロビル/ファムシクロビル)およびアデニン(ビダラビン)などのプリンアナログ、ならびにウリジン(イドクスウリジン、トリフルリジン、エドクスジン)、チミン(ブリブジン)、シトシン(シタラビン)などのピリミジンアナログを含むヌクレオチドアナログ逆転写酵素阻害剤;ホスカルネット;エンテカビル、ラミブジン、テルビブジン、クレブジンなどのヌクレオシドアナログ/NARTI;アデフォビル、テノホビルなどのヌクレオチドアナログ/NtRTIs;シドフォビルなどの核酸阻害剤;インターフェロン、インターフェロンα−2b、ペグインターフェロンα−2a;リバビリン/タリバビリン;ジドブジン、ラミブジン、アバカビル、ロピナビル、リトナビル、テノホビル/エムトリシタビン、エファビレンツなど(これらは単独または様々な組み合わせで使用される)の抗レトロウイルス剤;gp41(エンフビルチド);ラルテグラビル;ホスアンプレナビル、ロピナビル、アタザナビルなどのプロテアーゼ阻害剤;メチサゾン;ドコサノール;ホミビルセン;トロマンタジンが挙げられるが、これらに限定されない。 本明細書に記載の治療剤および/または該治療剤を含む医薬組成物は、真菌感染の治療に使用される1以上のさらなる治療剤と組み合わせて投与することができ、該治療剤としては、ポリエン系抗真菌剤、イミダゾール、トリアゾール、チアゾール系抗真菌剤、アリルアミン、エキノキャンディン、他の抗真菌剤などの抗真菌薬が挙げられるが、これらに限定されない。 別法としてまたは上記に加えて、アップレギュレートのための方法は、本発明のポリペプチドの少なくとも1つまたはその活性な部分の量(または必要に応じて発現量)を対象において特異的にアップレギュレートすることにより行ってもよい。 上述したように、また後述の実施例において述べられるように、本発明のこの態様における生体分子配列は、野生型遺伝子産物(公知のタンパク質)の活性または発現の変化が、疾患、障害または病態の発症または進行を引き起こすことが知られている疾患、障害または病態の治療における有益な治療ツールとして使用してもよい。たとえば、膜結合レセプターの過剰発現によって疾患が引き起こされる場合、このレセプターの可溶性変異体を、該レセプターのリガンドへの結合に競合するアンタゴニストとして使用することによって、該レセプターからのシグナル伝達を遮断させてもよい。 実施形態の少なくともいくつかによれば、インビボまたはエクスビボにおいて、免疫細胞(好ましくはT細胞)を治療剤と接触させて、免疫応答を調節することができる。治療剤と接触させるT細胞は、α/β細胞レセプターおよびγ/δT細胞レセプターを含むT細胞レセプターを発現する任意の細胞であってよい。T細胞はさらにCD3を発現するあらゆる細胞を包含し、CD4およびCDSをさらに発現するT細胞サブセットも包含する。T細胞はナイーブ細胞および記憶細胞の両方を包含し、CTLなどのエフェクター細胞も包含する。T細胞はさらに、Th1、Tc1、Th2、Tc2、Th3、Th17、Th22、Treg、およびTr1細胞などの細胞も包含する。T細胞はさらにNKT細胞および類似した独特のT細胞系細胞を包含する。Epitope spreadingの抑制 epitope spreadingは、特異性およびV遺伝子の利用の両方において、B細胞およびT細胞が免疫応答を拡大する能力を指し、特に、特異性は単一の決定基から自己抗原の多数の部位へと拡大される(Monneaux, F. et al., Arthritis & Rheumatism, 46(6): 1430-1438 (2002))。epitope spreadingは全身性自己免疫疾患のみに限られず、ヒトの1型糖尿病および多発性硬化症などのT細胞依存性臓器特異性疾患、ならびに様々なミエリンタンパク質を有するEAE誘導実験動物についても報告がなされている。 epitope spreadingは、同一の高分子複合体内の関連タンパク質に存在するエピトープの後天的な認識だけではなく、同一の自己分子内の新たなエピトープの後天的な認識も関係している。epitope spreadingは遅延型過敏症(DTH)応答を測定することにより評価することができ、この方法は当技術分野において知られている。 一実施形態は、有効量の上記の治療剤を対象に投与することによって、対象におけるepitope spreadingを阻害または抑制する方法を提供する。さらなる実施形態では、上記の治療剤のいずれか1つによって、多発性硬化症を有する個体におけるepitope spreadingが阻害される。上記の治療剤は、炎症経路の複数の箇所を阻害またはブロックすることが好ましい。 さらに別の実施形態では、多発性硬化症を有する対象におけるepitope spreadingを阻害または抑制する方法であって、有効量の上記の治療剤を対象に投与することによって、Th1細胞、Th17細胞、Th22細胞、または炎症分子(IL−1β、TNF−α、TGF−β、IFN−γ、IL−17、IL−6、IL−23、IL−22、IL−21およびMMPを含むが、これらに限定されない)を分泌するもしくは炎症分子を別の細胞に分泌させる他の細胞の、分化、増殖、活性、ならびに/またはサイトカイン産生および/もしくは分泌を阻害または抑制させることを特徴とする方法が提供される。本発明の実施形態の少なくともいくつかによる治療剤の、がんワクチン接種におけるアジュバントとしての使用 腫瘍関連抗原(TAA)に対する免疫化は、がんを治療および予防するための有望な方法であるが、たとえば、腫瘍細胞によって発現された自己抗原に関連する寛容機構などの、いくつかの困難な点および制限を抱えている。B7.1(CD80)およびB7.2(CD86)などの共刺激分子を用いることによって、遺伝子ベースのワクチンおよび細胞ベースのワクチンの有効性が動物モデルにおいて向上されており、これらの共刺激分子はアジュバントとして臨床試験で試験中である。このようなアジュバント活性は、共刺激シグナルを増強すること、または腫瘍細胞によって発現された負の共刺激因子によって伝達される抑制性シグナルをブロックすることによって達成することができる(Neighbors et al., 2008 J Immunother. ;31(7):644-55)。本発明の実施形態の少なくともいくつかによれば、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRタンパク質のいずれか1つに特異的な、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/もしくはLSRの分泌形態、可溶形態、もしくはECD、これらの変異体、オーソログ、および/もしくは結合体、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体および/もしくは抗原結合フラグメント、これらのいずれかを含む結合体、ならびに/または代替足場のいずれか1つは、がんワクチン接種におけるアジュバントとして使用することができる。実施形態の少なくともいくつかによれば、本発明は、TAAに対する免疫化を向上させる方法であって、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRタンパク質のいずれか1つに特異的な、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/もしくはLSRの分泌形態、可溶形態、もしくはECD、これらの変異体、オーソログ、および/もしくは結合体、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体および/もしくは抗原結合フラグメント、これらのいずれかを含む結合体、ならびに/または代替足場のいずれか1つは、を有効量で患者に投与することを含む方法を提供する。養子免疫療法のための、本発明の実施形態の少なくともいくつかによる治療剤の使用 寛容モデルのいくつかにおける重要な特徴の1つは、寛容状態が一旦確立されれば、ドナーに特異的な制御性細胞を養子移入させることによってナイーブレシピエントにおける寛容状態を永続させることができるということである。このような養子移入についての研究においては、T細胞亜集団および非T細胞の能力を利用して寛容の移入を行っている。このような寛容は、共刺激をブロックすること、または共抑制性B7とそのカウンターレセプターとを結合させることによって誘導することができる。動物に対する適用が成功しており、ヒトにおける臨床試験で評価されているこの方法は(Scalapino KJ and Daikh DI. PLoS One. 2009;4(6):e6031; Riley et al., Immunity. 2009; 30(5): 656-665)、自己免疫疾患および移植における治療法の選択肢として有望である。本発明の実施形態の少なくともいくつかによれば、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRタンパク質のいずれか1つに特異的な、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/もしくはLSRの分泌形態、可溶形態、もしくはECD、これらの変異体、オーソログ、および/もしくは結合体、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体および/もしくは抗原結合フラグメント、これらのいずれかを含む結合体、ならびに/または代替足場は、養子免疫療法に使用される。したがって、実施形態の少なくともいくつかによれば、本発明は、インビボまたはエクスビボにおいて寛容を誘導する方法であって、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRタンパク質のいずれか1つに特異的な、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/もしくはLSRの分泌形態、可溶形態、もしくはECD、これらの変異体、オーソログ、および/もしくは結合体、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体および/もしくは抗原結合フラグメント、これらのいずれかを含む結合体、ならびに/または代替足場の有効量を患者または患者から単離した白血球に投与することによって、寛容原性制御性細胞の分化を誘導すること、該細胞をエクスビボにおいて濃縮および増殖させること、ならびに該寛容原性制御性細胞を患者に自己輸血することを含む方法を提供する。 あるいは、患者の免疫応答は、患者から免疫細胞を採取すること、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/もしくはLSRの活性を阻害し、かつ/または、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/もしくはLSRと本来の結合パートナーとの相互作用を阻害する薬剤と、免疫細胞とをインビトロにおいて接触させること、ならびにインビトロにおいて刺激した免疫細胞を患者に再導入することによって増強することができる。別の実施形態においては、免疫応答を調節する方法は、患者から免疫細胞を単離すること、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRの一形態をコードする核酸分子で免疫細胞をトランスフェクトし、本発明の様々な実施形態によるLY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRポリペプチドの全体またはその一部を細胞表面上に発現させること、ならびにトランスフェクトした細胞を患者に再導入することを含む。このトランスフェクト細胞は、患者の免疫応答を調節する能力を有する。免疫増強のための、本発明の実施形態の少なくともいくつかによる治療剤の使用1.がんの治療 本明細書において提供される治療剤は、通常、免疫応答を刺激する治療剤としてインビボおよびエクスビボにおいて有用である。本明細書に開示された治療剤組成物は、通常、免疫系が免疫応答を開始するような任意の疾患もしくは障害を有する対象、またはこのような疾患もしくは障害の素因を有する対象を治療するのに有用である。治療剤が、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSR免疫シグナルを調節する能力を発揮することによって、より強力な免疫応答を起こすことが可能となる。本発明の実施形態の少なくともいくつかによる治療剤は、T細胞などの免疫細胞が関与する免疫応答を刺激または増強するのに有用である。 本発明の実施形態の少なくともいくつかによる治療剤は、対象のT細胞を刺激するのに効果的な量の治療剤を対象に投与することによって、宿主における免疫応答をがんを治療する目的で刺激または増強するのに有用である。2.ワクチン中における治療剤の使用 本発明の実施形態の少なくともいくつかによる治療剤は、単独または他の適切な治療と組み合わせて投与される。一実施形態において、治療剤は、上記のワクチン組成物とともに、または上記のワクチン組成物の一成分として投与することができる。本発明の実施形態の少なくともいくつかによる治療剤は、ワクチンの投与前、投与と同時、または投与後に投与することができる。一実施形態において、治療剤はワクチンの投与と同時に投与される。医薬組成物 本発明の実施形態の少なくともいくつかによれば、別の態様において本発明は、上記の治療剤のいずれか1つまたはそれらの組み合わせを含む組成物(たとえば医薬組成物)を提供する。 したがって、本発明は、治療有効量の本発明の実施形態の少なくともいくつかによる治療剤を含む医薬組成物を特徴とする。 さらに、本発明の実施形態の少なくともいくつかによる医薬組成物は、非転移性、侵襲性、もしくは転移性であってもよいがんの治療、ならびに/または免疫関連障害および/もしくは感染性障害の治療に使用することが好ましい。 「治療」は治療処置および予防手段の両方を指す。治療を必要とする対象としては、既に疾患を有するものおよび疾患の予防がなされるものが挙げられる。したがって、本明細書において治療を受ける哺乳動物は、疾患を有すると診断されたもの、疾患の素因を有するもの、または、疾患に罹患しやすいものであってよい。治療の対象となる「哺乳動物」は、哺乳動物として分類されるあらゆる動物を指し、ヒト、ならび家畜、動物園の飼育動物、スポーツに使用される動物、愛玩動物、たとえば、イヌ、ウマ、ネコ、ウシなどが挙げられる。哺乳動物はヒトであることが好ましい。 「治療有効量」は、哺乳動物の疾患または障害を治療するのに効果的な本発明の薬剤の量を指す。 本発明の治療剤は、対象に単独で提供することができ、あるいは、薬学的に許容される担体と混合することにより医薬組成物の一部として提供することができる。 本発明の実施形態の少なくともいくつかによる医薬組成物は、併用療法において投与することもでき、すなわち、他の薬剤と組み合わせることができる。たとえば、併用療法は、少なくとも1つの他の治療剤または免疫調節剤と組み合わせられた、本発明の実施形態の少なくともいくつかによる抗LY6G6F抗体、抗VSIG10抗体、抗TMEM25抗体および/もしくは抗LSR抗体、またはLY6G6F調節剤、VSIG10調節剤、TMEM25調節剤および/もしくはLSR調節剤、たとえば、LY6G6F抗原、VSIG10抗原、TMEM25抗原および/もしくはLSR抗原の細胞外ドメインを含む可溶性ポリペプチド結合体;ペプチド、リボザイム、アプタマー、siRNAなどの小分子;またはLY6G6F、VSIG10、TMEM25および/もしくはLSRに結合する他の薬剤を包含することができる。 ある組成物が患者に投与された際にレシピエント患者がその組成物を寛容することができる場合、「薬学的に許容される担体」であると言う。本明細書において「薬学的に許容される担体」は、生理学的に許容されるあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤、抗真菌剤、等張化剤、吸収遅延剤などを包含する。担体は、(たとえば注射または点滴による)、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、非経口投与、脊髄投与、表皮投与に適していることが好ましい。このような組成物として、滅菌水、緩衝食塩水(たとえばTris−HCl、酢酸塩、リン酸塩)、pHおよびイオン強度、ならびに必要に応じて加えられる添加剤などが挙げられ、添加剤としては、洗浄剤および可溶化剤(たとえばポリソルベート20、ポリソルベート80)、酸化防止剤(たとえばアスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム)、保存剤(たとえばチメロサール、ベンジルアルコール)、ならびに増量成分(たとえばラクトース、マンニトール)が挙げられる。以下に詳述するように、非水性溶媒またはビヒクルを使用してもよい。 本発明の実施形態の少なくともいくつかによる医薬組成物において使用してもよい適切な水性および非水性の担体としては、水、エタノール、ポリオール(たとえばグリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、これらの適切な混合物、オリーブ油などの植物油、およびオレイン酸エチルなどの注射用有機エステルが挙げられる。適切な流動性は、たとえば、レシチンなどのコーティング剤を使用すること、分散液中の粒子の粒子径を要求される大きさに保つこと、または界面活性剤を使用することによって、一定に保つことができる。投与経路によっては、活性化合物、すなわち、LY6G6Fタンパク質、VSIG10タンパク質、TMEM25タンパク質および/またはLSRタンパク質のいずれか1つに特異的に結合する、LY6G6F抗原、VSIG10抗原、TMEM25抗原および/もしくはLSR抗原の細胞外ドメイン、モノクローナル抗体もしくはポリクローナル抗体、抗原結合フラグメント、これらのいずれかを含む結合体、代替足場、または二重特異性分子を含む可溶性ポリペプチド結合体を何らかの材料でコーティングして、該化合物を失活させうる酸の作用および他の自然条件下から該化合物を保護してもよい。本発明の実施形態の少なくともいくつかによる医薬品化合物は、薬学的に許容される塩を1以上含んでいてもよい。「薬学的に許容される塩」は、親化合物の所望の生物学的活性を保持し、望ましくない毒性効果を与えない塩を指す(たとえば、Berge, S. M., et al. (1977) J. Pharm. Sci. 66: 1-19を参照されたい)。このような塩としては、酸付加塩および塩基付加塩が挙げられる。酸付加塩としては、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸などの無毒な無機酸に由来するもの;および脂肪族モノカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、芳香族酸、脂肪族スルホン酸、芳香族スルホン酸などの無毒な有機酸に由来するものが挙げられる。塩基付加塩としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属に由来するもの;およびN,N’−ジベンジルエチレンジアミン、N−メチルグルカミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、プロカインなどの無毒な有機アミンに由来するものが挙げられる。 本発明の実施形態の少なくともいくつかによる医薬組成物は、薬学的に許容される抗酸化剤を含んでいてもよい。薬学的に許容される酸化防止剤としては、(1)アスコルビン酸、塩酸システイン、硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなどの水溶性抗酸化剤;(2)アスコルビルパルミタート、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α−トコフェロールなどの油溶性抗酸化剤;および(3)クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などの金属キレート剤が挙げられる。 このような組成物は、保存剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤などのアジュバントを含んでいてもよい。微生物の混入を確実に防ぐために、上述の滅菌処理と、様々な抗菌剤および抗真菌剤(たとえばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸など)の添加の両方を行ってもよい。糖類、塩化ナトリウムなどの等張化剤を組成物に添加することとも望ましいと考えられる。さらに、モノステアリン酸アルミニウム、ゼラチンなどの吸収遅延剤を添加することによって、注射用医薬品形態を持続的に吸収させてもよい。 薬学的に許容される担体としては、滅菌水溶液または分散液、および滅菌注射溶液または分散液の即時調製のための滅菌散剤が挙げられる。薬学的活性物質のためのこのような媒体および薬剤の使用は当技術分野において公知である。慣用の媒体または薬剤が活性化合物と適合しない場合を除いて、慣用の媒体または薬剤を本発明の実施形態の少なくともいくつかによる医薬組成物において使用することも考えられる。補助的な活性化合物を医薬組成物に含有させることができる。 治療用組成物は、通常、製造過程および保存中において無菌かつ安定でなければならない。治療用組成物は、溶液、マイクロエマルジョン、もしくはリポソーム、または高濃度の薬剤に適した他の秩序構造に製剤化することができる。担体は溶媒または分散媒であってよく、溶媒または分散媒として、たとえば、水、エタノール、ポリオール(たとえばグリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、およびこれらの適切な混合物が挙げられる。適切な流動性は、たとえば、レシチンなどのコーティングを使用すること、分散液中の粒子の粒子径を要求される大きさに保つこと、または界面活性剤を使用することによって、一定に保つことができる。多くの場合、等張化剤、たとえば、マンニトール、ソルビトールなどの糖類、多価アルコール、または塩化ナトリウムを組成物中に含有させることが好ましいであろう。たとえばモノステアリン酸塩、ゼラチンなどの吸収遅延剤を注射用組成物中に含有させることによって、該注射用組成物を持続的に吸収させることができる。滅菌注射溶液は、適切な溶媒中の必要量の活性化合物と、上記の成分のうちの1つまたは上記の成分の組み合わせとを必要に応じて組み合わせ、次いで、滅菌精密ろ過を行うことによって調製することができる。通常、分散液は、上記の成分のうち必要とされる他の成分と塩基性分散媒とを含む滅菌ビヒクルに活性化合物を分散させることによって調製される。滅菌注射溶液の調製のための滅菌散剤の場合は、前もって滅菌ろ過した溶液を真空乾燥または凍結乾燥することによって、所望のさらなる成分と有効成分とを含む粉末を調製する方法が好ましい。 滅菌注射溶液は、適切な溶媒中の必要量の活性化合物と、上記の成分のうちの1つまたは上記の成分の組み合わせとを必要に応じて組み合わせ、次いで、滅菌精密ろ過を行うことによって調製することができる。通常、分散液は、上記の成分のうち必要とされる他の成分と塩基性分散媒とを含む滅菌ビヒクルに活性化合物を分散させることによって調製される。滅菌注射溶液の調製のための滅菌散剤の場合は、前もって滅菌ろ過した溶液を真空乾燥または凍結乾燥することによって、所望のさらなる成分と有効成分とを含む粉末を調製する方法が好ましい。 担体材料と組み合わせて単一剤形を調製することができる有効成分量は、治療対象および特定の投与方法によって異なるであろう。担体材料と組み合わせて単一剤形を調製することができる有効成分量は、通常、治療効果をもたらす組成物量であろう。この量は、通常、薬学的に許容される担体と組み合わせられる有効成分の量が、100%のうち、約0.01%〜約99%の範囲、好ましくは約0.1%〜約70%の範囲、最も好ましくは約1%〜約30%の範囲であろう。 投与計画は所望の応答(たとえば治療効果)が最適化されるように調整される。たとえば、単一のボーラスとして投与されてもよく、いくつかの用量に分割してある一定期間にわたって投与してもよく、あるいは、治療状況に伴う緊急性に応じて用量を減少または増加させてもよい。投与のしやすさおよび用量の均一性のための単位剤形中の非経口組成物を製剤化することは特に有利である。本明細書において、単位剤形は、治療を受ける対象への単位用量として適した物理的に別々の単位を指し、それぞれの単位は、必要とされる薬学的担体とともに所望の治療効果をもたらすように算出された所定量の活性化合物を含んでいる。本発明の実施形態の少なくともいくつかによる単位剤形の仕様は、(a)活性化合物に特有の特性および達成される特定の治療効果、および(b)個体における感受性を治療するための上記のような活性化合物の調製技術に固有の制限事項によって決定されかつこれらによって直接的に左右される。 抗体を投与する場合、用量は宿主の体重あたり、約0.0001〜100mg/kgの範囲、さらに一般的には0.01〜5mg/kgの範囲である。たとえば、用量は、1〜10mg/kgの範囲において、0.3mg/kg体重、1mg/kg体重、3mg/kg体重、5mg/kg体重または10mg/kg体重であってもよい。典型的な治療計画は、投与を1週に1回、2週ごとに1回、3週ごとに1回、4週ごとごとに1回、月に1回、3ヶ月に1回、または3〜6ヶ月ごとに1回行うことを必然的に伴う。本発明の実施形態の少なくともいくつかによる抗体のための好ましい投与計画は、(i)4週ごとに1回の投与を計6回行い、以降3ヶ月ごとに1回;(ii)3週ごとに1回;および(iii)3mg/kg体重を1回投与した後、1mg/kg体重を3週ごとに1回のいずれか1つの投薬スケジュールを使用して、1mg/kg体重または3mg/kg体重の抗体を静脈内投与することを含む。 本明細書に記載の融合タンパク質の場合、類似した投与計画に従ってもよく、あるいは、適切なタイミングの投薬計画に従って、融合タンパク質を、0.0001〜100mg/kg患者体重/日、好ましくは0.001〜10.0mg/kg/日で投与してもよい。本発明の実施形態の少なくともいくつかによる治療用組成物は、たとえば、1日3回、1日2回、1日1回、週3回、週2回、週1回、2週ごとに1回、または3週、4週、5週、6週、7週もしくは8週ごとに1回投与することができる。さらに、該組成物は、短期間または長期間(たとえば1週、1ヶ月、1年、5年)にわたって投与することができる。 いくつかの方法では、異なる結合特異性を有する2種以上のモノクローナル抗体を同時に投与し、この場合、投与されるそれぞれの抗体の用量は上記の範囲内である。通常、抗体は様々な理由で投与される。1回の投与と次の投与との間隔は、たとえば、1週間、1ヶ月、3ヶ月、または1年であってもよい。患者において測定される標的抗原に対する抗体の血中濃度を指標として、間隔を不規則にしてもよい。いくつかの方法では、血漿中抗体濃度を約1〜1000μg/mlとするため、さらにいくつかの方法では25〜300μg/mlとするために用量を調整する。 あるいは、治療剤を徐放性処方として投与することができ、この場合、投与回数はより少ないものとなる。用量および投与回数は、患者体内における治療剤の半減期によって異なる。通常、ヒト抗体の半減期が最も長く、ヒト化抗体、キメラ抗体および非ヒト抗体が後に続く。融合タンパク質の半減期は大きく異なっていてもよい。用量および投与回数は、処置が予防目的か、治療目的かによって異なっていてもよい。予防的な投与においては、比較的低用量を比較的長い間隔で長期間にわたり投与する。一部の患者においては、一生を通して治療を受け続ける。治療目的投与においては、疾患の進行が低下または停止するまで、好ましくは患者の疾患の症状が部分的または完全に改善されるまで、比較的高用量を比較的短い間隔で投与することが必要とされる場合がある。この後、患者に予防的な投与を行ってもよい。 患者に毒性を与えることなく、特定の患者、組成物、および投与方法において所望の治療効果を達成するのに効果的な有効成分量とするため、本発明の医薬組成物中の有効成分の実際の投与量レベルは様々であってよい。投与量レベルの選択は、様々な薬物動態学的要因に左右され、薬物動態学的要因として、使用する本発明の特定の組成物、またはそのエステル、塩もしくはアミドの活性;投与経路;投与のタイミング;使用する特定の化合物の排泄速度;治療期間;使用される特定の組成物と組み合わせられた他の薬剤、化合物および/または物資;治療を受ける患者の年齢、性別、体重、状態、健康状態および既往症;および、医学分野においてよく知られている同様の要因が挙げられる。 本発明の実施形態の少なくともいくつかによれば、LY6G6F可溶性タンパク質、VSIG10可溶性タンパク質、TMEM25可溶性タンパク質および/もしくはLSR可溶性タンパク質、LY6G6F細胞外ドメイン、VSIG10細胞外ドメイン、TMEM25細胞外ドメインおよび/もしくはLSR細胞外ドメイン、これらのいずれかを含む融合タンパク質、または抗LY6G6F抗体、抗VSIG10抗体、抗TMEM25抗体および/もしくは抗LSR抗体の「治療有効量」によって、疾患の症状の重症度の低下、疾患の症状が消失している頻度およびその持続期間の増加、寿命の延長、疾患の寛解、または疾患によって引き起こされる障害または身体障害の予防もしくは低下がもたらされることが好ましい。たとえば、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRが陽性である腫瘍、たとえば、メラノーマ、肝臓がん、腎臓がん、脳がん、乳がん、結腸がん、肺がん、卵巣がん、膵臓がん、前立腺がん、胃がん、多発性骨髄腫、ならびに造血器がん((ホジキンおよび非ホジキン)リンパ腫、急性および慢性リンパ芽球性白血病、ならびに急性および慢性骨髄白血病を含むが、これらに限定されない)を治療するためには、「治療有効量」によって、治療を受けていない対象と比較して細胞増殖または腫瘍増殖が、少なくとも約20%、より好ましくは少なくとも約40%、さらにより好ましくは少なくとも約60%、さらにより好ましくは少なくとも約80%抑制されることが好ましい。化合物が腫瘍増殖を抑制する能力は、ヒト腫瘍における有効性を予測可能な動物モデル系で評価することができる。あるいは、組成物のこの特性は、化合物の抑制能を試験することにより評価することができ、抑制能は当業者に公知のアッセイによってインビトロにおいて試験される。治療化合物の治療有効量によって腫瘍サイズを減少させることまたは対象の症状を改善することができる。 当業者は、対象の大きさ、対象の症状の重症度、および特定の組成物または選択された投与経路などの要因に基づいて治療有効量を決定することができるであろう。 本発明の組成物は、当技術分野において公知の様々な方法の1以上を使用し、1以上の投与経路を介して投与することができる。当業者によって十分に理解されるように、投与経路および/または投与方法は所望とする効果によって異なるであろう。本発明の実施形態の少なくともいくつかによる治療剤の好ましい投与経路として、血管内送達(たとえば注射または点滴)、静脈内送達、筋肉内送達、皮内送達、腹腔内送達、皮下送達、脊髄送達、経口送達、腸送達、直腸送達、肺送達(たとえば吸入)、経鼻送達、局所送達(経皮送達、バッカル送達および舌下送達を含む)、膀胱内送達、硝子体内送達、腹腔内送達、経膣送達、脳内送達(たとえば脳室内、脳内、およびCED法(convection enhanced diffusion))、CNS送達(たとえば髄腔内送達、脊髄周囲送達、および脊髄内送達)、非経口投与(皮下投与、筋肉内投与、静脈内投与、および皮内投与を含む)、経粘膜投与(たとえば舌下投与)、移植片を介した投与、たとえば注射または点滴などによる他の非経口投与経路、ならびに、当技術分野において公知の他の送達経路および/または投与形態が挙げられる。本明細書において「非経口投与」は、通常、経腸投与および局所投与以外の、注射による投与方法を意味し、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、クモ膜下、脊髄内、硬膜外、および胸骨下における注射ならびに点滴が包含されるが、これらに限定されない。特定の実施形態においては、本発明の実施形態の少なくともいくつかによるタンパク質、治療剤または医薬組成物は、腹腔内投与または静脈内投与することができる。 あるいは、LY6G6Fタンパク質、VSIG10タンパク質、TMEM25タンパク質および/またはLSRタンパク質の活性を調節できる、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/もしくはLSRの特異的抗体、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/もしくはLSRの他の薬剤または分子、これらの結合体、ならびにこれらの組み合わせは、非経口経路以外の経路で投与することができ、たとえば、鼻腔内投与、経口投与、経膣投与、直腸投与、舌下投与、局所投与などの、局所投与経路、表皮投与経路、粘膜投与経路により投与することができる。 活性化合物は、化合物が急速に放出されることを防ぐ担体を使用して調製することができ、たとえば移植片、経皮パッチ、およびマイクロカプセル化された送達システムを包含する放出制御処方とすることができる。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸などの生物分解性・生体適合性ポリマーを使用することができる。このような処方を調製するための方法は、数多くが特許されており、通常、当業者によく知られている。たとえば、Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems, J. R. Robinson, ed., Marcel Dekker, Inc., New York, 1978を参照されたい。 治療用組成物は当技術分野において公知の医療器具を用いて投与することができる。たとえば、好ましい実施形態では、本発明の実施形態の少なくともいくつかによる治療用組成物は、針を有する皮下注射装置で投与することができ、このような装置は、米国特許第5,399,163号;第5,383,851号;第5,312,335号;第5,064,413号;第4,941,880号;第4,790,824号;または第4,596,556号に開示されている。本発明において有用な公知の移植片およびモジュールとしては、米国特許第4,487,603号(制御された速度で薬剤を供給するための、移植可能なマイクロ輸液ポンプが開示されている);米国特許第4,486,194号(皮膚を介して薬剤を投与するための治療器具が開示されている);米国特許第4,447,233号(正確な輸液速度で薬剤を伝達するための薬剤輸液ポンプが開示されている);米国特許第4,447,224号(流量を変更することが可能な、連続的な薬剤送達のための移植可能な輸液装置が開示されている);米国特許第4,439,196号(マルチチャンバーコンパートメントを有する浸透圧薬物送達システムが開示されている);および米国特許第4,475,196号(浸透圧薬物送達システムが開示されている)が挙げられる。これらの特許文献は参照により本明細書に組み込まれる。他のこのような移植片、送達システムおよびモジュールは数多くが当業者に知られている。 特定の実施形態において、上記の抗体、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/もしくはLSRの可溶性タンパク質、細胞外ドメイン、ならびに/または融合タンパク質は、インビボにおいて確実に適切に分布するように製剤化することができる。たとえば、脳血液関門(BBB)は数多くの高親水性の化合物を排除する。(所望に応じて)本発明の実施形態の少なくともいくつかによる治療化合物をBBBにおいて確実に通過させるためには、たとえば、リポソーム内に内包されるように製剤化することができる。リポソームの製造方法については、たとえば、米国特許第4,522,811号;第5,374,548号;および第5,399,331号を参照されたい。リポソームは、特定の細胞または臓器への選択的な輸送により標的薬物送達を増強する1以上の成分を含んでいてもよい(たとえば、V. V. Ranade (1989) J. Clin. Pharmacol. 29:685を参照されたい)。ターゲティングのための成分としては、典型的には、葉酸塩またはビオチン(たとえば、Lowらに付与された米国特許第5,416,016号を参照されたい);マンノシド(Umezawa et al., (1988) Biochem. Biophys. Res. Commun. 153:1038);抗体(P. G. Bloeman et al. (1995) FEBS Lett. 357:140; M. Owais et al. (1995) Antimicrob. Agents Chemother. 39:180);サーファクタントタンパク質Aレセプター(Briscoe et al. (1995) Am. J Physiol. 1233:134);p120(Schreier et al. (1994) J. Biol. Chem. 269:9090);が挙げられるが、さらに、K. Keinanen; M. L. Laukkanen (1994) FEBS Lett. 346:123; J. J. Killion; I. J. Fidler (1994) Immunomethods 4:273も参照されたい。 本発明の実施形態の少なくともいくつかによれば、抗LY6G6F抗体、抗VSIG10抗体、抗TMEM25抗体および抗LSR抗体は、中和抗体として使用することができる。中和抗体(NAb)は、特定の抗原に結合してこれを中和または阻害することによって、特定の抗原の生物学的作用を阻害することができる抗体であり、たとえば、細胞またはウイルスのレセプターをブロックすることにより宿主細胞へのウイルスの結合を阻害することによって生物学的作用が阻害される。NAbは、薬剤の生物作用に必要とされる重要な表面分子をブロックすること、または標的細胞のレセプターへの薬剤の結合を妨害することにより、薬剤の生物作用を部分的または完全に打ち消すであろう。 さらに別の実施形態では、化合物(たとえば治療剤、標識、細胞毒素、放射性毒素、免疫抑制剤など)を結合させた本発明の免疫結合体を使用して、このような化合物をLY6G6F細胞表面レセプター、VSIG10細胞表面レセプター、TMEM25細胞表面レセプターおよび/またはLSR細胞表面レセプターを有する細胞にターゲティングさせることができる。したがって、本発明はさらに、エクスビボまたはインビボにおいて、(たとえば放射性同位元素、蛍光化合物、酵素または酵素補因子などの検出可能な標識を有する)、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRを発現している細胞の位置を特定する方法を提供する。あるいは、免疫結合体を使用することにより、細胞毒素または放射性毒素をLY6G6F抗原、VSIG10抗原、TMEM25抗原および/またはLSR抗原にターゲティングさせ、LY6G6F細胞表面レセプター、VSIG10細胞表面レセプター、TMEM25細胞表面レセプターおよび/またはLSR細胞表面レセプターを有する細胞を破壊することができる。LY6G6Fポリペプチド、VSIG10ポリペプチド、TMEM25ポリペプチドおよび/またはLSRポリペプチドおよびこれらに対応するポリヌクレオチドの診断用途 実施形態のいくつかによれば、本発明の実施形態の少なくともいくつかによる診断アッセイを実施するために対象(患者)から採取される試料は、体液または分泌液からなる群から選択され、体液または分泌液には、血液;血清;尿;血漿;前立腺液;精液(seminal fluid);精液(semen);皮膚、呼吸器、腸および泌尿生殖路の外分泌液;涙液;脳脊髄液;滑液;喀痰;唾液;乳汁;腹水;胸膜液;嚢胞液;乳管系の分泌液(および/または洗浄液);肺胞洗浄液;生殖器系洗浄液;体の他の部分または体内の他の系の洗浄液;単離された細胞または組織(肺、結腸、卵巣、および/もしくは乳房組織から選択される臓器(ただしこれらに限定されない)から得ることができる細胞または組織)を含む任意の臓器の試料;便;組織試料;ならびにこれらの組み合わせが包含されるが、これらに限定されない。実施形態のいくつかでは、上記の試料は、インビボ細胞培養構成要素の試料を包含する。診断アッセイに供する前に、必要に応じて試料を適切な溶離剤で希釈することができる。 実施形態のいくつかでは、本明細書における「マーカー」は、本明細書に記載の疾患または病態のいずれか1つを有さない対象から採取された類似の試料と比較して、本明細書に記載の疾患または病態のいずれか1つを有する患者(対象)から採取された試料中に差次的に存在する核酸フラグメント、ペプチドまたはポリペプチドを指す。 実施形態のいくつかにおいて、「差次的に存在する」は、本明細書に記載の疾患または病態のいずれか1つを有さない患者から採取された類似の試料と、本明細書に記載の疾患または病態のいずれか1つを有する患者から採取された試料との、試料中に存在するマーカーの量的または質的の差異を指す。たとえば、ハイブリダイゼーションおよび/またはNATに基づいたアッセイなどによって測定したときに、一方の試料中の核酸フラグメントの量が、他方の試料中の核酸フラグメントの量とは顕著に異なる場合、核酸フラグメントは2種の試料間において差次的に存在していてもよい。一方の試料中のポリペプチドの量が、他方の試料中のポリペプチドの量とは顕著に異なる場合、ポリペプチドは2種の試料間において差次的に存在している。マーカーが、一方の試料において検出可能であり、他方の試料において検出できない場合、このようなマーカーは差次的に存在すると考えることができることに注目すべきである。本明細書において記載されているように、比較的少ない発現量のアップレギュレーションをマーカーとして使用してもよい。当業者はマーカーのこのような相対レベルを容易に決定することができ、さらなる教示は、後述の各マーカーについての説明において記載する。 実施形態のいくつかにおいて「診断」は、病的な状態の存在または特性を同定することを意味する。感度および特異性は診断法によって異なる。診断アッセイの「感度」は、試験結果が陽性である疾患個体のパーセンテージ(「真の陽性」のパーセント)である。診断アッセイによって検出されない疾患個体は「偽陰性」である。疾患を有さず、アッセイにおいて試験結果が陰性である対象は「真の陰性」と呼ばれる。診断アッセイの「特異性」は、偽陽性率から1を引いた値であり、「偽陽性」率は、疾患を有さないのに試験結果が陽性である個体の割合として定義される。診断法によっては病態の確定診断をすることができないと考えられるが、その診断法が診断の補助に役立つ陽性の兆候を提供するものであればその診断法で十分である。 本明細書において「診断」は、病態または疾患の兆候および症状、具体的には様々な診断法の結果から、病態または疾患を同定する方法を指し、たとえば、個体から得られた生体試料中(たとえば、以下に定義するように、細胞中、組織中または血清中)の本発明の実施形態の少なくともいくつかによる核酸またはポリペプチドの発現量を検出することを包含する。さらに、本明細書において「診断」は、疾患のスクリーニング、疾患の存在またはその重症度の検出、疾患の予後の判定、疾患の進行または再発のモニタリング;治療効果の評価および/または疾患、障害もしくは病態の再発の評価;ならびに疾患の治療法および/または処置の選択、疾患に対して行われた治療法の最適化、疾患に対する処置のモニタリング、および/または特定の患者または亜集団に対する治療法の適合性の予測、または患者または亜集団における治療薬の適切な用量の決定を包含する。診断法はインビボまたはインビトロで行ってもよい。 実施形態のいくつかにおいて、本明細書に記載のポリヌクレオチドまたはポリペプチドの発現レベルの差異に関して述べられる場合、「定性的」は、当業者によって十分に理解されるように、発現の存在と非存在の比較を指し、実施形態のいくつかでは発現の一時的な制御を指し、実施形態のいくつかでは発現のタイミングを指し、実施形態のいくつかでは発現された分子への任意の翻訳後修飾などを指す。実施形態のいくつかにおいて、本明細書に記載のポリヌクレオチドまたはポリペプチドの発現レベルの差異に関して述べられる場合、「定量的」は、当技術分野で公知の任意の手段によって決定される発現量の量的な絶対差を指し、他の実施形態では統計的に有意であってもよい相対的差異を指し、実施形態のいくつかでは、全体をひとつとしてまたは長期間にわたり観察された場合、発現量の差異における傾向を示す。 実施形態のいくつかにおいて「診断する」は、疾患または症状を分類すること、疾患の重症度を判定すること、疾患の進行をモニタリングすること、疾患がもたらす転帰を予測すること、または回復の見込みを立てることを指す。「検出する」は上記のいずれを包含してもよい。 実施形態のいくつかにおいて、本発明による疾患の診断は、対象から得られた生体試料中の本発明のポリヌクレオチドレベルまたはポリペプチドレベルを決定することによって行うことができ、決定したレベルは、疾患の素因もしくは疾患の存在または非存在と関連付けることができる。「対象から得られた生体試料」は、より詳細に後述するように、対象から物理的に採取されなかった試料をさらに包含してもよいことに注目すべきである。 実施形態のいくつかでは、「レベル」は、RNAおよび/またはタンパク質の発現レベル、または本発明のマーカーのDNAコピー数を指す。 通常、対象から得られた生体試料中のマーカーのレベルは、健常人から得られた類似試料中の同一マーカーのレベルとは異なる(すなわち増加または減少している)(生体試料の例は本明細書に記載されている)。 対象における目的のマーカーのDNA、RNAおよび/またはポリペプチドのレベルを決定することを目的として、数多くの公知の組織回収方法または体液回収方法を使用することにより対象から生体試料を回収することができる。 回収方法としては、細針生検、針生検、コア針生検および外科的生検(たとえば脳生検)、ならびに洗浄が挙げられるが、これらに限定されない。使用した手順に関係なく、生検材料/試料が得られれば、マーカーのレベルを決定することができ、診断を行うことができる。 同一由来の正常組織における同一マーカーのレベルの決定は、正常組織に対立するものにおけるマーカーの発現上昇、増幅および/または発現低下の検出と同時に行うことが好ましい。 実施形態のいくつかでは、マーカーの「試験量」は、特定の疾患または病態の診断と一致する、対象の試料中のマーカーの量を指す。試験量は、絶対量(たとえばμg/ml)でも、相対量(たとえばシグナルの相対強度)でもよい。 実施形態のいくつかでは、マーカーに対する「コントロールの量」は、マーカーの試験量と比較される、任意の量または一定の量範囲であってよい。たとえば、マーカーに対するコントロールの量は、特定の疾患もしくは病態を有する患者または疾患もしくは病態を有さない者におけるマーカーの量であってよい。コントロールの量は、絶対量(たとえばμg/ml)でも、相対量(たとえばシグナルの相対強度)でもよい。 実施形態のいくつかでは、「検出する」は、検出される対象物の存在、非存在またはその量を同定することを指す。 実施形態のいくつかでは、「標識」は、分光学的方法、光化学的方法、生化学的方法、免疫化学方法、または化学的方法によって検出可能な任意の成分または要素を包含する。たとえば、有用な標識として、32P、35S、蛍光色素、電子密度の高い試薬、(たとえばELISAにおいて一般的に使用されるような)酵素、ビオチン−ストレプトアビジン、ジゴキシゲニン、ハプテン、抗血清またはモノクローナル抗体が利用可能なタンパク質、または標的に対して配列相補性を有する核酸分子が挙げられる。これらの標識は、多くの場合、放射性シグナル、発色シグナル、蛍光シグナルなどの、試料中の標識の結合量の定量化に使用することができる測定可能シグナルを発生する。標識は、共有結合、イオン結合、ファンデルワールス結合、および水素結合のいずれかを介して、プライマーまたはプローブに組み込むか、または付加することができ、たとえば、放射性ヌクレオチドまたはストレプトアビジンによって認識されるビオチン化ヌクレオチドに組み込むことができる。標識は、直接的または間接的に検出可能であってよい。間接的な検出は、第1の標識に第2の標識を直接または間接的に結合させることを含んでもよい。たとえば、標識は、結合パートナーのリガンド(たとえば、ストレプトアビジンの結合パートナーであるビオチン)であってよく、相補的配列の結合パートナーであり、相補的配列が特異的にハイブリダイズすることが可能なヌクレオチド配列であってもよい。結合パートナーは、それ自体が直接的に検出可能であってもよく、たとえば、抗体自体を蛍光分子で標識してもよい。結合パートナーは間接的に検出可能であってもよく、たとえば、相補的ヌクレオチド配列を有する核酸は、他の標識核酸分子を用いたハイブリダイゼーションによって検出可能な分枝DNA分子の一部であってもよい(たとえば、P. D. Fahrlander and A. Klausner, Bio/Technology 6:1165 (1988)を参照されたい)。シグナルの定量は、たとえば、シンチレーション計測、デンシトメトリーまたはフローサイトメトリーによって行う。 イムノアッセイにおいて使用してもよくかつイムノアッセイにおいて使用することが好ましい典型的なかつ検出可能な標識としては、磁気ビーズ、蛍光色素、放射性標識、酵素(たとえば、ELISAにおいて一般的に使用される西洋わさびペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼなど)、およびコロイド金、色ガラス、プラスチックビーズなどの熱量測定用標識が挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、試料中のマーカーは、間接的な測定法、たとえば、結合したマーカー特異的抗体を標識した二次抗体を使用して検出する測定法、および/または競合アッセイもしくは阻害アッセイ、たとえば、マーカーが有する特徴的なエピトープに結合するモノクローナル抗体を混合物と一緒にインキュベートするアッセイを使用して検出することができる。 「イムノアッセイ」は、抗原に特異的に結合する抗体を使用するアッセイである。イムノアッセイは、特定の抗体の特異的結合特性を利用して、抗原をの単離、ターゲティング、および/または定量を行うことを特徴とする。 実施形態のいくつかにおいて、タンパク質またはペプチド(または他のエピトープ)をについて述べられる場合、抗体に「特異的に(または選択的に)結合する」、「特異的に(または選択的に)免疫反応性を示す」または「特異的に相互作用または結合する」は、タンパク質および他のバイオロジクスの不均一集団におけるタンパク質の存在の決定因である結合反応を指す。したがって、選択したイムノアッセイ条件下において、特定のタンパク質に対する規定の抗体の結合は、バックグラウンド(非特異的シグナル)の少なくとも2倍であり、該抗体は、試料中に存在する他のタンパク質に実質的に有意な量で結合しない。このような条件下における抗体への特異的結合には、特定のタンパク質に対する特異性について選択された抗体が必要とされてもよい。たとえば、ラット、マウス、ヒトなどの特定の生物種から得た精子塩基性タンパク質に対して作製したポリクローナル抗体を選択して、精子塩基性タンパク質に特異的な免疫反応性を示すが、精子塩基性タンパク質の多型変異体およびアリル以外の他のタンパク質には免疫反応性を示さないポリクローナル抗体のみを得ることができる。この選択は、他の生物種からの精子塩基性タンパク質分子と交差反応する抗体を取り除くことによって行ってもよい。様々なイムノアッセイの構成を使用して、特定のタンパク質に特異的な免疫反応性を示す抗体を選択してもよい。たとえば、固相ELISAイムノアッセイは、タンパク質に特異的な免疫反応性を示す抗体を選択するために日常的に使用されている(特異的な免疫反応性を決定するために使用することができるイムノアッセイの構成および条件についての説明に関しては、たとえば、Harlow & Lane, Antibodies, A Laboratory Manual (1988)を参照されたい)。一般的には、特異的または選択的な反応は、バックグラウンドシグナルまたはノイズの少なくとも2倍、より一般的にはバックグラウンドの10〜100倍である。 別の実施形態では、本発明は、生体試料中の本発明のポリペプチドを検出する方法であって、本発明のポリペプチドを特異的に認識する抗体と生体試料とを接触させること、およびこれらによる相互作用を検出することを含み、該相互作用の存在と、生体試料中のポリペプチドの存在とが相関していることを特徴とする方法を提供する。 本発明の実施形態のいくつかでは、本明細書に記載のポリペプチドは、疾患および/または兆候的な状態を診断するためのマーカーの非限定的な一例である。本発明のマーカーはそれぞれ、単独または組み合わせて、予後、予測、スクリーニング、早期診断、進行度の判定、治療法の選択、ならびに疾患および/または兆候的な状態に対する治療のモニタリングなど様々な用途(ただしこれらに限定されない)に使用することができる。 関連する態様において、検出される疾患には、非充実性腫瘍および充実性腫瘍などのがん、肉腫ならびに悪性血液疾患が包含されるであろう。 別の関連する態様においては、検出される疾患には、自己免疫疾患、臓器移植の拒絶反応および/または移植片対宿主病が包含されるであろう。 上記で詳述したように、本発明のポリペプチド/ポリヌクレオチドはそれぞれ、単独または組み合わせて、予後、予測、スクリーニング、早期診断、進行度の判定、治療法の選択、ならびに疾患および/または兆候的な状態に対する治療のモニタリングなど様々な用途(ただしこれらに限定されない)に使用することができる。 上記の組み合わせは、マーカーの任意のサブコンビネーション、および/または少なくとも1つの他のマーカー(たとえば公知のマーカー)を特徴とする組み合わせを含んでいてもよい。さらに、上記の組み合わせは、本明細書に記載の任意のマーカーと、本明細書に記載の他のマーカー、他の公知のマーカーおよび/または他のマーカーとの定量測定値または半定量測定値の比率を決定するために上述のように使用してもよく、この態様が好ましい。 本発明の実施形態のいくつかにおいて、疾患または病態の診断のための方法、使用、装置、およびアッセイが提供される。複数のマーカーを本発明とともに使用してもよい。複数のマーカーは、本明細書に記載のマーカーおよび/または1つ以上の公知のマーカーを含んでいてもよい。次いで、複数のマーカーを疾患または病態と関連付けることが好ましい。たとえば、このような関連付けは、複数のマーカーの各濃度を測定すること、および各マーカー濃度をそれぞれの閾値レベルと比較することを含んでいてもよい。マーカー濃度が(マーカーおよび/または実施される診断検査に左右される)閾値レベルよりも高いまたは低い場合、マーカー濃度は疾患または病態と相関していてもよい。複数のマーカー濃度が疾患または病態と相関していてもよく、相関していることが好ましい。 あるいは、このような関連付けは、複数のマーカーの各濃度を測定すること、複数のマーカーの各濃度に基づいた単一の指標値を算出すること、および指標値を閾値レベルと比較することを含んでいてもよい。 あるいは、このような関連付けは、少なくとも1個のマーカーの一時的な変化を測定し、この一時的な変化を関連付けに使用することを含んでいてもよい。 あるいは、このような関連付けは、少なくとも「X」個の複数のマーカーの濃度が、所定の範囲外であるか、かつ/または(上記の)閾値よりも高いもしくは低いかどうかを判断することを含んでいてもよい。「X」は、1個のマーカー、複数個のマーカーまたはすべてのマーカーであってよく、別法としてまたは上記に加えて、あらゆるマーカーを「X」に含めるよりも、(範囲および/または閾値に応じて)複数のマーカーのうち1個以上の特異的マーカーを疾患または病態との関連付けに必要としてもよい。 あるいは、このような関連付けは、2個のマーカーのマーカー濃度の比率が範囲外であるか、かつ/または閾値よりも高いもしくは低いかどうか判断することを含んでいてもよい。比率が閾値レベルよりも高いもしくは低いかつ/または範囲外である場合、比率は疾患または病態と相関していてもよい。 これらの相関性の2つ以上の組み合わせを、単一のパネルとともに使用してもよく、かつ/または複数のパネル間の関連付けに使用してもよい。 上記の方法は、正常な対象との比較を行った場合、少なくとも70%の感度および少なくとも85%の特異性で、正常な状態と疾患または病態とを識別してもよい。本明細書において、感度は、存在するすべての陽性試料から検出された陽性(疾患を有する)試料の数に関連し、特異性は、存在するすべての陰性試料から検出された真の陰性(疾患を有さない)試料の数に関連する。上記の方法は、正常な対象との比較を行った場合、少なくとも80%の感度および少なくとも90%の特異性で、正常な状態と疾患または病態とを識別することが好ましい。上記の方法は、正常な対象との比較を行った場合、少なくとも90%の感度および少なくとも90%の特異性で、正常な状態と疾患または病態とを識別することがより好ましい。また、上記の方法は、疾患または病態の症状とよく似た症状を示す対象との比較を行った場合、少なくとも70%の感度および少なくとも85%の特異性で、よく似た症状と疾患または病態とを識別することがより好ましい。 マーカーパネルは、当業者によく知られている数多くの方法で分析してもよい。たとえば、パネルに含まれる各メンバーを、「正常な」値、または特定の転帰を示す値と比較してもよい。特定の診断/予後の判断は、各マーカーとこれらの値との比較に基づいていてもよく、あるいは、マーカーのサブセットが正常範囲外の場合、このサブセットを指標として特定の診断/予後の判断を行ってもよい。当業者は、診断マーカー、差次的な診断マーカー、予後マーカー、発症マーカー、疾患または病態を識別するマーカーなどを単一のアッセイまたは装置において組み合わせてもよいことをも理解するであろう。たとえば、異なる閾値または異なる重み付け係数を異なる複数の目的のためのマーカーに適用することによって、マーカーを複数の目的に共通して使用してもよい。 一実施形態では、パネルは、以下を目的としたマーカーを含む。疾患の診断;疾患が急性期にある場合および/または急性疾患が発症した場合における疾患の診断および指標;疾患が非急性期にある場合および/または非急性疾患が発症した場合における疾患の診断および指標;急性期および非急性期が組み合わさった病態または急性疾患および非急性疾患の同時発症の指標;疾患の診断およびそれに続く有害転帰の予測;疾患の診断およびそれに続く急性期もしくは非急性期病態または急性疾患もしくは非急性疾患の発症の予測;疾患の進行(たとえば、がんの場合、進行は、たとえば転移の発生または再発を含んでいてもよい)。 上記の診断は、1以上の類似または同一の症状を特徴としうる疾患を含む他の疾患と、特定の疾患とを識別するための疾患の鑑別診断を含んでいてもよい。 特定の実施形態では、診断もしくは予後の指標の存在または非存在のみに基づいて、1以上の診断もしくは予後の指標を病態または疾患と関連付ける。別の実施形態では、診断の閾値レベルまたは予後の指標を確立することができ、患者試料中の指標のレベルを閾値レベルと単に比較することができる。診断検査および/または予後検査の感度および特異性は、試験の単なる分析「品質」以上のものによって左右され、すなわち、異常な結果が何によって構成されるのかという定義にも左右される。実際上は、通常、「正常」集団および「疾患」集団において、変数値をその相対頻度に対してプロットすること、および/または治療前、治療中、治療後に対象から得られる結果を比較することによって、受信者動作特性曲線すなわち「ROC」曲線を算出する。 本発明の実施形態の少なくともいくつかによれば、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/もしくはLSRタンパク質、ポリヌクレオチド、またはこれらのフラグメントは、上述のような、疾患および/または兆候的な状態を検出するためのバイオマーカーとして特徴付けられてもよい。 さらに別の実施形態によれば、本発明は、本明細書に記載のLY6G6F、VSIG10、TMEM25および/もしくはLSRに対応する核酸配列によってコードされる任意のアミノ酸配列またはそのフラグメントを包含してもよく、また、包含することが好ましい。このようなアミノ酸配列またはそのフラグメントに関連する任意のオリゴペプチドまたはペプチドも、(上記に加えてまたは別法において)バイオマーカーとして使用してもよい。 さらに別の実施形態では、本発明は、NATに基づいたアッセイを使用して生体試料中の本発明のポリヌクレオチドを検出する方法であって、少なくとも概して最小長を有する単離された核酸分子またはオリゴヌクレオチドフラグメントを生体試料中の核酸物質に対してハイブリダイズすること、および、ハイブリダイゼーション複合体を検出することを含み、該ハイブリダイゼーション複合体の存在と、生体試料中のポリヌクレオチドの存在とが相関していることを特徴とする方法が提供される。上記のような方法またはアッセイの非限定的な例示は後述する。 本発明はさらに、上記のような診断法またはアッセイに基づいたキットに関する。本発明のLY6G6F、VSIG10、TMEM25および/もしくはLSRタンパク質、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/もしくはLSR結合体、または抗体組成物(たとえば、ヒト抗体、二重特異性もしくは多重特異性分子または免疫結合体)と、使用説明書とを含むキットも本発明の範囲内に包含される。上記のキットは、免疫抑制剤、細胞毒性剤、および放射性毒性剤などの1以上のさらなる試薬、または本発明の実施形態の少なくともいくつかによる1以上のさらなるヒト抗体(たとえば、第1のヒト抗体とは異なる抗原エピトープに結合する相補的な活性を有するヒト抗体)をさらに含むことができる。核酸技術(NAT)に基づいたアッセイ 生体試料中の目的の核酸の検出は、たとえばPCR(たとえばPCRの変形、リアルタイムPCR)などの核酸増幅技術を用いた、NATに基づいたアッセイによって行ってもよい。本明細書において「プライマー」は、標的配列にアニーリングすること(標的配列とハイブリダイズすること)ができ、その結果、適切な条件下においてDNA合成の開始点として機能することが可能な二本鎖領域を構築することができるオリゴヌクレオチドを指す。選択されたまたは標的の核酸配列の増幅は、当技術分野において公知のいくつかの適切な方法により行ってもよい。増幅技術としては、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、strand displacement amplification(SDA)、転写に基づく増幅、q3レプリカーゼ系、およびNASBAが挙げられるが、これらに限定されない(Kwoh et al., 1989, Proc. NatI. Acad. Sci. USA 86, 1173-1177; Lizardi et al., 1988, BioTechnology 6:1197-1202; Malek et al., 1994, Methods Mol. Biol., 28:253-260; および上記のSambrook et al., 1989)。核酸技術に基づくアッセイとしては、PCR、リアルタイムPCR、LCR、Self−Sustained Synthetic Reaction、Qβレプリカーゼ、Cycling probe reaction、分枝DNA、RFLP分析、DGGE/TGGE、一本鎖DNA高次構造多型、ジデオキシフィンガープリンティング、マイクロアレイ、蛍光インサイチューハイブリダイゼーションおよび比較ゲノムハイブリダイゼーションからなる群から選択されるものが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書において「増幅対」(または「プライマー対」)は、いくつかのタイプの増幅方法のうちの1つ(好ましくはポリメラーゼ連鎖反応)による選択した核酸配列の増幅において同時に使用することを意図して選択された、本発明の1対のオリゴヌクレオチド(オリゴ)を指す。当技術分野において一般に知られているように、上記のオリゴヌクレオチドは、選択された条件下で相補的配列に結合するように設計されている。特定の一実施形態においては、患者からの核酸試料の増幅は、最も豊富に存在する差次的に発現された核酸の増幅にとって好ましい条件下において実施される。好ましい一実施形態では、最も豊富に存在するmRNAの増幅にとって好ましい条件下において、患者からのmRNA試料に対してRT−PCRを実施する。別の好ましい実施形態では、差次的に発現された複数種の核酸の増幅を同時に実施する。このような方法を、差次的に発現される核酸配列ではなく、差次的に発現されるタンパク質の検出に適合させることが可能であることは当業者によって理解されるであろう。本発明を実施するための核酸(すなわちDNAまたはRNA)は、公知の方法によって得てもよい。 本発明のオリゴヌクレオチドプライマーの長さは、特定のアッセイの構成、特定の必要性、および使用する標的ゲノムに応じた適切な任意の長さであってよい。オリゴヌクレオチドプライマーは、少なくとも12ヌクレオチド長であってよく、好ましくは15〜24個の分子からなり、また、選択した核酸増幅系に特に適するように改変してもよい。当技術分野において一般に知られているように、オリゴヌクレオチドプライマーは、標的配列とのハイブリッドの融点を考慮に入れて設計することができる(Sambrook et al., 1989, Molecular Cloning -A Laboratory Manual, 2nd Edition, CSH Laboratories; およびAusubel et al., 1989, in Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons Inc., N.Y.)。イムノアッセイ 本発明の別の実施形態では、イムノアッセイを使用して、試料中のマーカーを定性的または定量的に検出および分析することができる。この方法は、マーカーに特異的に結合する抗体を提供すること;この抗体を試料と接触させること;および試料中のマーカーに抗体が結合した複合体の存在を検出することを含む。 マーカーに特異的に結合する抗体を作製するために、精製されたタンパク質マーカーを使用することができる。タンパク質マーカーに特異的に結合する抗体は、当技術分野において知られている任意の適切な方法を使用して作製することができる。 抗体が提供された後、数多くの公知の免疫結合アッセイのいずれかを使用してマーカーを検出および/または定量することができる。有用なアッセイとしては、たとえば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)などの酵素免疫アッセイ(EIA)、放射免疫アッセイ(RIA)、ウェスタンブロットアッセイ、およびスロットブロットアッセイが挙げられる。たとえば、米国特許第4,366,241号;第4,376,110号;第4,517,288号;および第4,837,168号を参照されたい。通常、対象から得られた試料は、マーカーに特異的に結合する抗体と接触させることができる。 抗体を試料と接触させる前に、抗体を固相支持体に固定させて、複合体の洗浄およびそれに続く単離を容易なものにすることができる。固相支持体としては、たとえばマイクロタイタープレート、スティック、ビーズ、またはマイクロビーズの形態のガラスまたはプラスチックが挙げられるが、これらに限定されない。抗体を固相支持体に付着させることもできる。 抗体を含む試料をインキュベートした後、混合物を洗浄し、形成された抗体−マーカー複合体を検出することができる。これは、洗浄した混合物を検出試薬とともにインキュベートすることによって行うことができる。あるいは、試料中のマーカーは、間接的な測定法、たとえば、結合したマーカー特異的抗体を標識した二次抗体を使用して検出する測定法、および/または競合アッセイもしくは阻害アッセイ、たとえば、マーカーが有する特徴的なエピトープに結合するモノクローナル抗体を混合物と一緒にインキュベートするアッセイを使用して検出することができる。 アッセイ全体にわたって、試薬の添加ごとにインキュベーションステップおよび/または洗浄ステップが必要とされうる。インキュベーションステップは、約5秒間〜数時間の範囲で変化してもよく、好ましくは約5分間〜約24時間である。しかしながら、インキュベーション時間は、アッセイの構成、マーカー、溶液量、濃度などに左右されるであろう。10℃〜40℃などの一定の温度範囲においてアッセイを行うことができるが、アッセイは通常、環境温度において実施されるであろう。 イムノアッセイは、対象から得た試料中のマーカーの試験量を測定するために使用することができる。最初に、試料中のマーカーの試験量は上記のイムノアッセイ法を使用して検出することができる。マーカーが試料中に存在する場合、上記の適切なインキュベーション条件下において、マーカーに特異的に結合する抗体により抗体−マーカー複合体が形成されるであろう。抗体−マーカー複合体の量は、スタンダードと比較することによって決定してもよい。上述したように、測定単位をコントロールの量および/またはコントロールシグナルと比較することができる限り、マーカーの試験量を絶対単位で測定する必要はない。ラジオイムノアッセイ(RIA): 一形態では、この方法および本明細書において後述される方法は、アガロースビーズなどの沈殿可能な担体上に固相化し、放射性同位体で標識した抗体結合タンパク質(たとえば125Iで標識したプロテインA)と特異的抗体とを使用して所望の基質を沈殿させることを含む。沈殿ペレット中のカウント数は基質の量と比例する。 RIAの別の形態では、標識した基質と、標識していない抗体結合タンパク質とを使用する。未知量の基質を含む試料は、様々な量で添加される。沈殿物中の標識基質に由来するカウントの減少は、添加した試料中の基質の量に比例する。酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA): この方法は、マイクロタイタープレートのウェルなどの表面への、タンパク質基質を含む試料の固定(たとえば固定された細胞またはタンパク質溶液)を含む。酵素と結合させた基質特異的抗体が添加され、基質に結合する。次いで、抗体に結合された酵素を使用した比色反応によって、抗体の存在を検出および定量する。この方法において一般に使用される酵素として、西洋ワサビペルオキシダーゼおよびアルカリホスファターゼが挙げられる。較正が適切であり、かつ反応が線形領域内にある場合、試料中に存在する基質の量は発色した色の量に比例する。通常、定量的精度を向上させるために基質スタンダードを使用する。ウェスタンブロット: この方法は、アクリルアミドゲルを用いて他のタンパク質からの基質を分離し、次いで、膜(たとえばナイロンまたはPVDF)に基質を転写することを含む。次いで、基質に特異的な抗体を用いて基質の存在を検出した後、抗体結合試薬を用いて基質を検出する。抗体結合試薬は、たとえばプロテインAまたは他の抗体であってよい。上述するように、抗体結合試薬は放射性同位体で標識してもよく、酵素を結合させてもよい。検出はオートラジオグラフィ、比色反応または化学発光によって行ってもよい。この方法は、アクリルアミドゲルにおける電気泳動中の泳動距離を示す膜上の相対位置によって、基質の定量と基質の同定の両方を行うことができる。免疫組織化学法: この方法は、固定された細胞中の基質を、基質特異的抗体を用いてインサイチューで検出することを含む。基質特異的抗体は、酵素に結合されていてもよく、発蛍光団に結合されていてもよい。検出は顕微鏡観察および主観評価による。酵素を結合させた抗体を使用する場合、比色反応が必要とされうる。蛍光活性化セルソーティング(FACS): この方法は、基質特異的抗体を用いて細胞中の基質をインサイチューで検出することを含む。基質特異的抗体は発蛍光団に結合される。検出は、細胞が光線を通過する際にそれぞれの細胞から発せられた光の波長を読み取るセルソーティング装置を用いて行う。この方法では2種以上の抗体を同時に使用してもよい。放射性イメージング法 この方法は、陽電子放射断層撮影(PET)およびシングルフォトンエミッションCT(SPECT)含むが、これらに限定されない。これらの技術はいずれも非侵襲性であり、様々な組織事象および/または組織機能を検出および/または測定するために(たとえば癌細胞の検出などに)使用することができる。PETとは異なり、SPECTでは2種の標識を同時に使用してもよい。SPECTは、たとえばコストおよび使用可能な標識の種類に関連して、他にも利点をいくつか有する。たとえば、米国特許第6,696,686号には、乳がんを検出するためのSPECTの使用が記載されており、この文献はその全体が本明細書に記載されているかのように参照により本明細書に組み込まれる。セラノスティクス(Theranostics) セラノスティクス(theranostics)は、疾患の診断、診断試験の結果に従った適切な治療計画の選択、および/または診断試験の結果に従った療法に対する患者の応答のモニタリングのための、診断試験の使用を指す。セラノスティクス試験は、患者に特に有益で、副作用を起こさないと考えられる治療法を患者に対して選択するために使用することができる。さらに、セラノスティクス試験は、個々の患者における治療効果の早期かつ客観的な指標を示すことができるため、治療を最小限の遅れで(必要に応じて)変更することができる。たとえば、DAKO社とジェネンテック社は共同で、乳がんの治療のためのHercepTestおよびハーセプチン(トラスツズマブ)を開発したが、これは初めてのセラノスティクス試験であり、新規の治療薬と同時に承認された。HercepTest(免疫組織化学的試験)に加えて、従来の臨床化学、イムノアッセイ、細胞に基づいた技術および核酸試験を使用した他のセラノスティクス試験も現在開発中である。PPGx社は最近TPMT(チオプリン−S−メチルトランスフェラーゼ)試験を市販したが、この試験によって、6−メルカプトプリン(白血病の治療において用いられる薬剤)に致命的な副作用を示す危険性のある患者の医師による識別が可能となる。さらに、Nova Molecular社は、アルツハイマー病患者のコリン様作用療法に対する応答を予測するための、アポリポ蛋白質E遺伝子のSNP遺伝子型決定法を先駆けて開発しており、現在、新薬の臨床試験においてこの指標を得るために広く利用されている。このように、セラノスティクス分野は、治療に対する患者の応答を予測する診断試験情報と、その特定の患者のための適切な治療の選択との融合である。代理マーカー 代理マーカーは、研究所において検出可能かつ/または患者の身体的徴候または症状に伴って検出可能であり、臨床的意義のあるエンドポイントの代わりとして治験において使用されるマーカーである。代理マーカーは、治療法の効果を予測すると考えられる患者の知覚、身体機能、生存率を具体的に示す直接的な尺度である。代理マーカーは、患者に対する治療効果についての目的のエンドポイント(臨床エンドポイントと呼ばれる)よりも代理マーカーの方が早期に、簡便にまたは頻回に測定可能である場合に主として必要とされる。理想的には、代理マーカーは生物学的に妥当性があり、疾患の進行を予測でき、標準化されたアッセイ(従来の臨床化学、イムノアッセイ、細胞に基づいた技術、核酸試験および画像診断療法を含むが、これらに限定されない)によって測定可能であるべきである。 補体と結合するIgG1、IgG2、IgG3またはIgMの一部分などの補体結合部位を有している、本発明の実施形態の少なくともいくつかによる治療用組成物(たとえば、ヒト抗体、多重特異性分子、二重特異性分子および免疫結合体)は、補体の存在下でも使用することができる。一実施形態において、本発明の実施形態の少なくともいくつかによる結合剤と適切なエフェクター細胞とを用いた、標的細胞を含む細胞集団のエクスビボ治療は、補体または補体を含む血清を添加することによって補助することができる。本発明の実施形態の少なくともいくつかによる結合剤で覆われた標的細胞の食作用は、補体タンパク質を結合させることによって向上させることができる。別の実施形態では、本発明の実施形態の少なくともいくつかよる組成物(たとえば、ヒト抗体、多重特異性分子および二重特異性分子)で覆われた標的細胞を補体によって溶解することもできる。さらに別の実施形態では、本発明の実施形態の少なくともいくつかによる組成物は補体を活性化しない。 本発明の実施形態の少なくともいくつかによる治療用組成物(たとえば、ヒト抗体、多重特異性分子、二重特異性分子および免疫結合体)は補体とともに投与することもできる。したがって、本発明の実施形態の少なくともいくつかによれば、ヒト抗体、多重特異性分子、または二重特異性分子と、血清または補体とを含む組成物が提供される。これらの組成物は、ヒト抗体、多重特異性分子、または二重特異性分子の極めて近傍に補体が存在するという点で有利である。あるいは、本発明の実施形態の少なくともいくつかによるヒト抗体、多重特異性分子、または二重特異性分子と、補体または血清とは、別々に投与することができる。 本発明を以下の実施例によってさらに説明する。以下の情報および実施例は説明を目的としたものであり、本発明をさらに限定するものとして解釈されるべきでない。すべての図およびすべての引用文献の内容、ならびに本出願において引用された特許文献および公開特許出願は、参照することにより明示的に本明細書に組み込まれる。実施例1MED探索エンジンを使用した、本発明の実施形態の少なくともいくつかによるタンパク質の発現パターン MEDは、公開されている遺伝子発現データ、正規化、注釈、様々なクエリーの性能を収集した、著作権付きソフトウェアプラットフォームである。最も広く用いられているアフィメトリックスマイクロアレイによる発現データを、Gene Expression Omnibus(GEO−www.ncbi.nlm.nih.gov/GEO)からダウンロードする。95パーセンタイルを定常値としてデータを乗法的に正規化し(正規化された発現=1200)、ノイズは最小値を30%〜ゼロとすることにより取り除く。実験は、最初に自動的に注釈付けを行った後、次いで手作業でこれを行い、組織および条件を特定し、チップをこの注釈に従ってグループ化し、各チップの遺伝子の全体的な発現パターンと、このグループの遺伝子全体の平均発現パターンとを比較することによって、グループ化を交差検証する。各グループの各プローブセットに、そのグループに含まれるすべてのチップのプローブセットの発現量の中央値である発現値を割り当てる。特定のグループ内のすべてのプローブセットを発現するベクターは、そのグループのバーチャルチップを形成し、また、このようなバーチャルチップのすべてを収集したものがバーチャルパネルである。パネル(またはサブパネル)に対してクエリーを行い、所望の挙動を有するプローブセットを特定することができる(たとえば、組織のサブセットにおける特異的な発現、または疾患組織および健常組織間の差次的発現)。以後の分析のために、これらのプローブセットを、プローブレベルでマッピングを行うことによって、LEADSコンティグおよびRefSeq(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/RefSeq/)にリンクする。 アフィメトリックスプラットフォーム(HG−U95AおよびHG−U133ファミリー(A、B、A2.0およびPLUS2.0))をダウンロードする。3枚のバーチャルのパネル(U95、U133 Plus 2.0、およびU133)を作製する。U95およびU133 Plus 2.0は、対応するアフィメトリックスプラットフォームに基づいており、U133は、共通プローブセット一式(HG−U133A、HG−U133A2.0、およびHG−U133 PLUS 2.0+)を使用している。 MED探索エンジンの結果を散布図に示す。散布図は、任意のパネル(グループを収集したもの)のコンパクト表現である。Y軸は(正規化された)発現であり、X軸はパネル内のグループを説明している。各グループについて、発現量の中央値を太字の記号によって示し、グループ内の様々なチップの発現値を小さいダッシュ記号(−)で示す。各グループは以下のように整理してマークで示した。「他の」グループ(たとえば良性疾患、非がん疾患など)は△印で示した。治療した細胞は□印で示した。正常は○印で示した。対応させたものは×印で示した。がんは◇印で示した。各グループ中のチップの番号も名称の横に記載している。 VSIG10転写産物の発現を評価するためにMED探索エンジンを使用した。VSIG10遺伝子のデータを表すアフィメトリックスプローブセット220137_atの発現データを図3に示す(MED探索エンジンに関連するすべての図において、すべてのプローブの結果を示すことができるように、スペースの都合のみでそれぞれの図を「A」、「B」などに分割している)。図3に示した散布図から明らかなように、上記のプローブセットで検出可能なVSIG10転写産物の発現は、免疫系細胞のいくつかのグループ、主として白血球において観察された。様々ながん疾患、たとえば、ALL(急性リンパ芽球性白血病(Acute Lymphoblastic Leukemia))のCD10+白血球上、およびAML(急性骨髄白血病(Acute Myeloid Leukemia))細胞のBM−CD34+細胞上において差次的発現が観察された。 図3は、MED探索エンジンを使用したすべての組織および病態のバーチャルパネルにおける、VSIG10タンパク質をコードするVSIG10転写産物の発現を示す散布図である。 LSR転写産物の発現を評価するためにMED探索エンジンを使用した。LSR遺伝子のデータを表すアフィメトリックスプローブセット208190_s_atの発現データを図4に示す。図4に示した散布図から明らかなように、上記のプローブセットで検出可能なLSR転写産物の発現は、免疫系細胞のいくつかのグループ、主として骨髄細胞において観察された。LSR転写産物の高度発現は、乳がん、肺がん、卵巣がん、膵臓がん、前立腺がん、皮膚がんなどの様々な組織のがん病態において観察された。 図4は、MED探索エンジンを使用したすべての組織および病態のバーチャルパネルにおける、LSRタンパク質をコードするLSR転写産物の発現を示す散布図である。実施例2LY6G6Fタンパク質、VSIG10タンパク質、TMEM25タンパク質および/またはLSRタンパク質をコードするRNAの発現を分析するための方法 本発明の実施形態の少なくともいくつかによる標的を、種々のがん組織試料および非がん組織試料における発現に関して試験した。卵巣がん試験パネルにおいて使用した試料の説明を以下の表1に記載する。乳がん試験パネルにおいて使用した試料の説明を以下の表2に記載する。肺がん試験パネルにおいて使用した試料の説明を以下の表3に記載する。健常試験パネルにおいて使用した試料の説明を以下の表4に記載する。腎臓がん試験パネルにおいて使用した試料の説明を以下の表5に記載する。肝臓がん試験パネルにおいて使用した試料の説明を以下の表6に記載する。次いで、以下の材料および方法に関するセクションに記載するように試験を実施した。材料と方法RNA調製物 RNAは、ABS(米国デラウェア州ウィルミントン19801、http://www.absbioreagents.com)、BioChain Inst. Inc.(米国カリフォルニア州ヘイワード94545、www.biochain.com)、GOG(Pediatic Cooperative Human Tissue Network, Gynecologic Oncology Group Tissue Bank, Children Hospital of Columbus)(米国オハイオ州コロンブス43205)(卵巣試料)、Ambion(米国テキサス州オースティン78744、http://www.ambion.com)、Analytical Biological Services Inc.(米国デラウェア州ウィルミントン19801、www.absbioreagents.com)、Asternad(米国ミシガン州デトロイト48202−3420、www.asterand.com)、Genomics Collaborative Inc.a Division of Seracare(米国マサチューセッツ州ケンブリッジ02139、www.genomicsinc.com)、The Tel Aviv Sourasky Medical Center Ichilov Hospital(イスラエル国テルアビブ、www.tasmc.org.il/e/)、およびThe Chaim Sheba Medical Center(イスラエル国テルハショメール(Tel−Hashomer)、eng.sheba.co.il)から得た。RNA試料は患者または死亡した患者から得た。トータルRNA試料はすべてDNaseI(Ambion)で処理した。卵巣パネル、腎臓パネルおよび健常パネルに対するRT−PCR 精製したRNA10μgを、Random Hexamerプライマー(アプライドバイオシステムズ、メーカーの説明書に準じて使用)、dNTP 4mM、10×MultiScribe(登録商標)バッファー(アプライドバイオシステムズ)12.5μl、RNasin(プロメガ)6μl(50U/μL)、およびMultiScribe(アプライドバイオシステムズ)6μl(50U/μL)と混合して全量125μlとした。25℃で10分間インキュベートして反応させ、37℃で2時間さらにインキュベートした。次いで、85℃で5秒間加熱し混合物を失活させた。得られたcDNAを、TEバッファー(10mM Tris(pH=8)、1mM EDTA(pH=8))で1:10〜1:40(倍率はパネルの補正に左右される)に希釈した。 リアルタイムRT−PCR分析は以下のように行った。上記で作製したcDNA(5μl)をテンプレートとして使用して、SYBR Green Iアッセイ(PEアプライドバイオシステムズ)によるリアルタイムPCR反応(最終量:20μl)を特異的プライマーおよびUNG酵素(Eurogentech、ABIまたはロシュ)を用いて行った。増幅は、50℃2分、95℃10分の後、95℃15秒を40サイクル、さらに60℃30秒、次いで解離ステップを行うことにより実施した。検出はSDS 7000(PEアプライドバイオシステムズ)を使用して行った。上記反応において蛍光強度が閾値レベルに達したサイクル(Ct=Threshold Cycle、以下に詳細に記載する)を記録し、RT反応における相対的な転写産物量を算出するために使用した。相対量はQ=efficiency−Ctを使用して算出した。PCR反応の効率は、様々な希釈倍率において逆転写(RT)反応を行うことにより作製した標準曲線から算出した。RT反応の本質的な差異を最小限にするため、以下のようにして算出した正規化係数を使用して、得られた相対量を正規化した。 いくつかのハウスキーピング(HSKP)遺伝子の発現を各パネルについて調査した。上述したように算出した各試料中のハウスキーピング遺伝子の相対量(Q)を、すべてのパネル試料におけるこの遺伝子の量の中央値(MED)で除することにより「MEDに対する相対的Q」を求めた。次いで、各試料について、選択したハウスキーピング遺伝子の「MEDに対する相対的Q」の中央値を算出し、各試料の正規化係数としてさらなる計算に使用した。 各RT試料について、種々のハウスキーピング遺伝子の発現量から算出された正規化係数を用いて、特異的アンプリコンの発現量を正規化した。卵巣パネル、腎臓パネル、肺パネル、肝臓パネル、乳房パネルおよび健常パネルに使用したハウスキーピング遺伝子(HSKG)を表7に記載する。 卵巣パネルおよび健常パネルの補正に使用したHSKGは、HPRT1、SDHAおよびG6PDである。腎臓パネルおよび肝臓パネルの補正に使用したHSKP遺伝子は、G6PD、PBGDおよびSDHAである。肺パネルの補正に使用したHSKP遺伝子は、UBC、PBGD、HPRTおよびSDHAである。乳房パネルの補正に使用したHSKP遺伝子は、G6PD、PBGD、RPL19およびSDHAである。 LSR転写産物の発現分析に使用した特異的なプライマーおよびアンプリコンを表8に示す。 TMEM25転写産物の発現分析に使用した特異的なプライマーおよびアンプリコンを表9に示す。 LSR_seg24−36_200−309/310_アンプリコン(配列番号140)の発現データを以下の実施例3〜9に記載する。実施例3配列LSR_SEG24−36_200−309/310に示したアンプリコンによって検出可能なLSR転写産物の正常卵巣組織および卵巣がん組織における発現量 LSR_seg24−36_200−309/310_アンプリコン(配列番号140)、ならびにLSR_seg24F_200−309プライマー(配列番号141)およびLSR_seg36R_200−310プライマー(配列番号142)に従って、またはこれらを使用して検出可能なLSR転写産物の発現をリアルタイムPCRで測定した。検出対象でない試料(試料番号28)のCt値を41とし、これをもとに計算を行った。いくつかのハウスキーピング遺伝子、すなわち、SDHA(配列番号103)(GenBank受託番号:NM_004168;アンプリコン:SDHA_アンプリコン(配列番号106))、HPRT1(配列番号107)(GenBank受託番号:NM_000194;HPRT1_アンプリコン(配列番号110))、およびG6PD(配列番号111)(GenBank受託番号:NM_000402;G6PD_アンプリコン(配列番号1114))の発現量をそれぞれ同様にして並行測定した。「材料および方法」セクションの正規化方法2に記載したように、各RT試料について、これらのハウスキーピング遺伝子の発現量から算出した正規化係数を用いて、上記アンプリコンの発現量を正規化した。次いで、各RT試料の正規化された発現量を、正常試料(上記表1の試料番号41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63および64)の発現量の中央値で除することによって、各試料のアップレギュレーションを正常試料の中央値に対する倍率として得た。 図12は、上記のLSR転写産物の卵巣がん試料における過剰発現量を正常な試料に対して相対的に示したヒストグラムである。 図12から明らかなように、漿液性癌腫、粘液性癌腫および腺癌の試料中における、上記のアンプリコンによって検出可能なLSR転写産物の発現量は、非がん試料よりも顕著に高かった(上記表1の試料番号41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63および64)。特に、漿液性癌腫の27試料のうち21試料、粘液性癌腫の9試料のうち7試料、および類内膜癌の8試料のうち7試料において、少なくとも5倍の過剰発現が見られた。 これらの結果の有意性を確認するために以下のようにして統計分析を行った。 卵巣漿液性癌腫試料と正常組織試料との間の、上記アンプリコンによって検出可能なLSR転写産物の発現レベルの差異は、T検定によって求めたところP値=2.22e−002であった。卵巣粘液性癌腫試料と正常組織試料との間の、上記アンプリコンによって検出可能なLSR転写産物の発現レベルの差異は、T検定によって求めたところP値=6.84e−004であった。卵巣類内膜癌試料と正常組織試料との間の、上記アンプリコンによって検出可能なLSR転写産物の発現レベルの差異は、T検定によって求めたところP値=4.61e−003であった。卵巣腺癌試料と正常組織試料との間の、上記アンプリコンによって検出可能なLSR転写産物の発現レベルの差異は、T検定によって求めたところP値=5.68e−004であった。 5倍過剰発現の閾値についてFisherの正確検定により確認したところ、漿液性癌腫試料と正常試料はP値=2.59e−009で有意差があることが分かった。5倍過剰発現の閾値についてFisherの正確検定により確認したところ、粘液性癌腫試料と正常試料はP値=8.43e−006で有意差があることが分かった。5倍過剰発現の閾値についてFisherの正確検定によって確認したところ、類内膜癌試料と正常試料はP値=2.38e−006で有意差があることが分かった。5倍過剰発現の閾値をFisherの正確検定により確認したところ、腺癌試料と正常試料はP値=7.28e−012で有意差があることが分かった。 上記の値によってこれらの結果が統計的有意差を有することが実証されている。 プライマー対も本発明の範囲内に包含されてもよく、本発明の範囲内に包含されることが好ましい。たとえば、上記の実験では、LSR_seg24F_200−309(配列番号141)とLSR_seg36R_200−310(配列番号142)とからなるプライマー対を使用したが、これらは適切なプライマー対を説明することのみを目的とした例示であり、プライマー対はこれらに限定されない。 本発明は、任意の適切なプライマー対を使用することにより得られた任意のアンプリコンも包含することが好ましい。たとえば、上記の実験では、LSR_seg24−36_200−309/310_アンプリコン(配列番号140)で示されるアンプリコンが得られたが、これは適切なアンプリコンを説明することのみを目的とした例示であり、アンプリコンはこれに限定されない。実施例4配列LSR_SEG24−36_200−309/310に示したアンプリコンによって検出可能なLSR転写産物の正常乳房組織および乳がん組織における発現量 seg24−36FR−LSR_seg24−36_200−309/310_アンプリコン(配列番号140)、ならびにLSR_seg24F_200−309プライマー(配列番号141)およびLSR_seg36R_200−310プライマー(配列番号142)に従って、またはこれらを使用して検出可能なLSR転写産物の発現をリアルタイムPCRで測定した。検出対象でない試料(試料番号81)のCt値を41とし、これをもとに計算を行った。いくつかのハウスキーピング遺伝子、すなわち、G6PD(配列番号111)(GenBank受託番号:NM_000402;G6PD_アンプリコン)、PBGD(配列番号115)(GenBank受託番号:BC019323;PBGD_アンプリコン)、RPL19(配列番号119)(GenBank受託番号:NM_000981;RPL19_アンプリコン)、およびSDHA(配列番号103)(GenBank受託番号:NM_004168;SDHA_アンプリコン)の発現量をそれぞれ同様にして並行測定した。「材料および方法」セクションの正規化方法2に記載したように、各RT試料について、これらのハウスキーピング遺伝子の発現量から算出した正規化係数を用いて、上記アンプリコンの発現量を正規化した。次いで、各RT試料の正規化された発現量を、正常試料(上記表2の試料番号43、45、46、47、48、49、50、51、52、54、56、58、59、60、61、62、63、64、66、67、68および69)の発現量の中央値で除することによって、各試料のアップレギュレーションを正常試料の中央値に対する倍率として得た。 図13は、上記のLSR転写産物の乳がん試料における過剰発現量を正常な試料に対して相対的に示したヒストグラムである。 図13から明らかなように、がん試料中における、上記のアンプリコンによって検出可能なLSR転写産物の発現量は、非がん試料よりも高かった(上記表2の試料番号43、45、46、47、48、49、50、51、52、54、56、58、59、60、61、62、63、64、66、67、68および69)。特に、腺癌の53試料のうち9試料において、少なくとも5倍の過剰発現が見られた。 プライマー対も本発明の範囲内に包含されてもよく、本発明の範囲内に包含されることが好ましい。たとえば、上記の実験では、LSR_seg24F_200−309(配列番号141)とLSR_seg36R_200−310(配列番号142)とからなるプライマー対を使用したが、これらは適切なプライマー対を説明することのみを目的とした例示であり、プライマー対はこれらに限定されない。 本発明は、任意の適切なプライマー対を使用することにより得られた任意のアンプリコンも包含することが好ましい。たとえば、上記の実験では、LSR_seg24−36_200−309/310_アンプリコン(配列番号140)で示されるアンプリコンが得られたが、これは適切なアンプリコンを説明することのみを目的とした例示であり、アンプリコンはこれに限定されない。実施例5配列LSR_SEG24−36_200−309/310に示したアンプリコンによって検出可能なLSR転写産物の正常肺組織および肺がん組織における発現量 seg24−36FR−LSR_seg24−36_200−309/310_アンプリコン(配列番号140)、ならびにLSR_seg24F_200−309プライマー(配列番号141)およびLSR_seg36R_200−310プライマー(配列番号142)に従って、またはこれらを使用して検出可能なLSR転写産物の発現をリアルタイムPCRで測定した。いくつかのハウスキーピング遺伝子、すなわち、HPRT1(配列番号107)(GenBank受託番号:NM_000194;HPRT1_アンプリコン(配列番号110))、PBGD(配列番号115)(GenBank受託番号:BC019323;PBGD_アンプリコン(配列番号118))、SDHA(配列番号103)(GenBank受託番号:NM_004168;SDHA_アンプリコン(配列番号106))、およびユビキチン(配列番号133)(GenBank受託番号:BC000449;ユビキチン_アンプリコン(配列番号136))の発現量をそれぞれ同様にして並行測定した。「材料および方法」セクションの正規化方法2に記載したように、各RT試料について、これらのハウスキーピング遺伝子の発現量から算出した正規化係数を用いて、上記アンプリコンの発現量を正規化した。次いで、各RT試料の正規化された発現量を、正常試料(上記表3の試料番号51、52、53、54、56、57、58、59、60、61、62、63、64、69および70)の発現量の中央値で除することによって、各試料のアップレギュレーションを正常試料の中央値に対する倍率として得た。 図14は、上記のLSR転写産物の肺がん試料における過剰発現量を正常な試料に対して相対的に示したヒストグラムである。 図14から明らかなように、腺癌および非小細胞癌の試料中における、上記のアンプリコンによって検出可能なLSRまたは転写産物の発現量は、非がん試料よりも顕著に高く(上記表3の試料番号51、52、53、54、56、57、58、59、60、61、62、63、64、69および70)、扁平上皮癌試料のいくつかにおいても非がん試料よりも高かった。特に、腺癌の15試料のうち7試料、扁平上皮癌の18試料のうち3試料、および非小細胞癌の40試料のうち10試料において、少なくとも5倍の過剰発現が見られた。 これらの結果の有意性を確認するために以下のようにして統計分析を行った。 肺腺癌試料と正常組織試料との間の、上記アンプリコンによって検出可能なヒトlipolysis-stimulated lipoprotein receptor転写産物の発現レベルの差異は、T検定によって求めたところP値=2.98e−005であった。肺扁平上皮癌試料と正常組織試料との間の、上記アンプリコンによって検出可能なLSR転写産物の発現レベルの差異は、T検定によって求めたところP値=7.42e−003であった。肺大細胞癌試料と正常組織試料との間の、上記アンプリコンによって検出可能なヒトlipolysis-stimulated lipoprotein receptor転写産物の発現レベルの差異は、T検定によって求めたところP値=1.76e−002であった。肺小細胞癌試料と正常組織試料との間の、上記アンプリコンによって検出可能なヒトlipolysis-stimulated lipoprotein receptor転写産物の発現レベルの差異は、T検定によって求めたところP値=4.35e−002であった。肺非小細胞癌試料と正常組織試料との間の、上記アンプリコンによって検出可能なヒトlipolysis-stimulated lipoprotein receptor転写産物の発現レベルの差異は、T検定によって求めたところP値=4.31e−006であった。 5倍過剰発現の閾値についてFisherの正確検定により確認したところ、腺癌試料と正常試料はP値=3.16e−003で有意差があることが分かった。5倍過剰発現の閾値についてFisherの正確検定によって確認したところ、非小細胞癌試料と正常試料はP値=2.90e−002で有意差があることが分かった。 上記の値によってこれらの結果が統計的有意差を有することが実証されている。 プライマー対も本発明の範囲内に包含されてもよく、本発明の範囲内に包含されることが好ましい。たとえば、上記の実験では、LSR_seg24F_200−309(配列番号141)とLSR_seg36R_200−310(配列番号142)とからなるプライマー対を使用したが、これらは適切なプライマー対を説明することのみを目的とした例示であり、プライマー対はこれらに限定されない。 本発明は、任意の適切なプライマー対を使用することにより得られた任意のアンプリコンも包含することが好ましい。たとえば、上記の実験では、LSR_seg24−36_200−309/310_アンプリコン(配列番号140)で示されるアンプリコンが得られたが、これは適切なアンプリコンを説明することのみを目的とした例示であり、アンプリコンはこれに限定されない。実施例6配列LSR_SEG24−36_200−309/310に示したアンプリコンによって検出可能なLSR転写産物の種々の正常組織における発現量 seg24−36FR−LSR_seg24−36_200−309/310_アンプリコン(配列番号140)、ならびにLSR_seg24F_200−309プライマー(配列番号141)およびLSR_seg36R_200−310プライマー(配列番号142)に従って、またはこれらを使用して検出可能なLSR転写産物の発現をリアルタイムPCRで測定した。いくつかのハウスキーピング遺伝子、すなわち、SDHA(配列番号103)(GenBank受託番号:NM_004168;SDHA_アンプリコン(配列番号106))、HPRT1(配列番号107)(GenBank受託番号:NM_000194;HPRT1_アンプリコン(配列番号110))、およびG6PD(配列番号111)(GenBank受託番号:NM_000402;G6PD_アンプリコン(配列番号114))の発現量をそれぞれ同様にして並行測定した。「材料および方法」セクションの正規化方法2に記載したように、各RT試料について、これらのハウスキーピング遺伝子の発現量から算出した正規化係数を用いて、上記アンプリコンの発現量を正規化した。次いで、各RT試料の正規化された発現量を、卵巣試料(上記表4の試料番号20、21、22および23)の中央値で除することによって、卵巣試料における発現量の中央値に対する各試料の相対的発現量を得た。 図15は、上記のLSR転写産物の正常組織における発現量を卵巣試料に対して相対的に示したヒストグラムである。実施例7配列LSR_SEG24−36_200−309/310に示したアンプリコンによって検出可能なLSR転写産物の正常腎臓組織および腎臓がん組織における発現量 seg24−36FR−LSR_seg24−36_200−309/310_アンプリコン(配列番号140)、ならびにLSR_seg24F_200−309プライマー(配列番号141)およびLSR_seg36R_200−310プライマー(配列番号142)に従って、またはこれらを使用して検出可能なLSR転写産物の発現をリアルタイムPCRで測定した。いくつかのハウスキーピング遺伝子、すなわち、SDHA(配列番号103)(GenBank受託番号:NM_004168;SDHA_アンプリコン(配列番号106))、G6PD(配列番号111)(GenBank受託番号:NM_000402; G6PD_アンプリコン(配列番号114))、およびPBGD(配列番号115)(GenBank受託番号:BC019323;PBGD_アンプリコン(配列番号118))の発現量をそれぞれ同様にして並行測定した。「材料および方法」セクションの正規化方法2に記載したように、各RT試料について、これらのハウスキーピング遺伝子の発現量から算出した正規化係数を用いて、上記アンプリコンの発現量を正規化した。次いで、各RT試料の正規化された発現量を、正常試料(上記表5の試料番号1、2、3、4および19)の中央値で除することによって、各試料のアップレギュレーションを正常試料の中央値に対する倍率として得た。 図16は、上記のヒトlipolysis stimulated lipoprotein receptor転写産物の腎臓がん試料におけるダウンレギュレーションを正常な試料に対して相対的に示したヒストグラムである。 図16から明らかなように、腎臓がん試料中における、上記のアンプリコンによって検出可能なLSR転写産物の発現量は、非がん試料よりも顕著に低かった(上記表5の試料番号1、2、3、4および19)。 これらの結果の有意性を確認するために以下のようにして統計分析を行った。 腎臓がん試料と正常組織試料との間の、上記アンプリコンによって検出可能なLSR転写産物の発現レベルの差異は、T検定によって求めたところP値=1.25e−01であった。 プライマー対も本発明の範囲内に包含されてもよく、本発明の範囲内に包含されることが好ましい。たとえば、上記の実験では、LSR_seg24F_200−309(配列番号141)とLSR_seg36R_200−310(配列番号142)とからなるプライマー対を使用したが、これらは適切なプライマー対を説明することのみを目的とした例示であり、プライマー対はこれらに限定されない。 本発明は、任意の適切なプライマー対を使用することにより得られた任意のアンプリコンも包含することが好ましい。たとえば、上記の実験では、LSR_seg24−36_200−309/310_アンプリコン(配列番号140)で示されるアンプリコンが得られたが、これは適切なアンプリコンを説明することのみを目的とした例示であり、アンプリコンはこれに限定されない。実施例8配列LSR_SEG24−36_200−309/310に示したアンプリコンによって検出可能なLSR転写産物の正常肝臓組織および肝臓がん組織における発現量 seg24−36FR_seg24−36_200−309/310_アンプリコン(配列番号140)、ならびにLSR_seg24F_200−309プライマー(配列番号141)およびLSR_seg36R_200−310プライマー(配列番号142)に従って、またはこれらを使用して検出可能なLSR転写産物の発現をリアルタイムPCRで測定した。いくつかのハウスキーピング遺伝子、すなわち、SDHA(配列番号103)(GenBank受託番号:NM_004168;SDHA_アンプリコン(配列番号106))、G6PD(配列番号111)(GenBank受託番号:NM_000402;G6PD_アンプリコン(配列番号114))、およびPBGD(配列番号115)(GenBank受託番号:BC019323;−PBGD_アンプリコン(配列番号118))の発現量をそれぞれ同様にして並行測定した。「材料および方法」セクションの正規化方法2に記載したように、各RT試料について、これらのハウスキーピング遺伝子の発現量から算出した正規化係数を用いて、上記アンプリコンの発現量を正規化した。次いで、各RT試料の正規化された発現量を、正常試料(上記表6の試料番号41、42、43、44および45)の中央値で除することによって、各試料のアップレギュレーションを正常試料の中央値に対する倍率として得た。 図17は、上記のLSR転写産物の肝臓がん試料における発現量を正常な試料に対して相対的に示したヒストグラムである。 プライマー対も本発明の範囲内に包含されてもよく、本発明の範囲内に包含されることが好ましい。たとえば、上記の実験では、LSR_seg24F_200−309(配列番号141)とLSR_seg36R_200−310(配列番号142)リバースプライマーとからなるプライマー対を使用したが、これらは適切なプライマー対を説明することのみを目的とした例示であり、プライマー対はこれらに限定されない。 本発明は、任意の適切なプライマー対を使用することにより得られた任意のアンプリコンも包含することが好ましい。たとえば、上記の実験では、LSR_seg24−36_200−309/310_アンプリコン(配列番号140)で示されるアンプリコンが得られたが、これは適切なアンプリコンを説明することのみを目的とした例示であり、アンプリコンはこれに限定されない。実施例9FLAGタグに融合させたLSR_T1_P5a ORFのクローニング FLAG(アミノ酸配列:DYKDDDDK、配列番号153)に融合させた、LSR_T1_P5aのオープンリーディングフレーム(ORF)(配列番号154)をPCRによりクローニングして、flagに融合させたLSR_P5aタンパク質(配列番号11)を以下のように作製した。 3ステップPCR反応を、PfuUltra II Fusion HS DNAポリメラーゼ(アジレント、カタログ番号:600670)を使用して以下の条件で実施した。第1ステップにおいては、全反応量25μl中、200_369_LSR_Kozak_NheIプライマー(配列番号147)および200_379_LSR_Revプライマー(配列番号148)それぞれ0.5μlとともに、卵巣パネル(表1)からの非希釈卵巣試料(ID:PZQXH)1μlをPCR反応のテンプレートとして使用した。反応条件は、98℃5分;98℃20秒→55℃30秒→72℃1.5分を35サイクル;次いで72℃5分であった。PCR産物をDDWで1:20に希釈し、そのうちの1μlを各PCR反応のステップ2においてテンプレートとして使用した。 第2ステップにおいては、全反応量25μl中、200_369_LSR_Kozak_NheIプライマー(配列番号147)(10μM)および200_371_LSR_seg36Rプライマー(配列番号149)(10μM)をそれぞれ0.5μl使用して、LSRの5’部分を増幅した。全反応量25μl中、200_370_LSR_seg36Fプライマー(配列番号150)(10μM)および200−373_LSR_Flag_BamHI_Revプライマー(配列番号151)(10μM)をそれぞれ0.5μl使用して、LSRの3’部分を増幅した。両方の反応において、反応条件は、98℃5分;98℃20秒→60℃15秒→72℃1.5分を35サイクル;次いで72℃5分であった。それぞれの反応産物を、1%アガロースゲル上で分離し、Qiaquick(登録商標)Gel Extraction Kit(キアゲン、カタログ番号:28706)を使用してゲルから精製した。5’産物100ngおよび3’産物100ngを、PCR反応の第3ステップにおけるテンプレートとして使用した。PCR反応の第3ステップにおいては、全反応量25μl中、200_369_LSR_Kozak_NheIプライマー(配列番号147)および200−373_LSR_Flag_BamHI_Revプライマー(配列番号151)をそれぞれ0.5μl使用して、完全長LSR−Flag配列を増幅した。反応条件は、98℃5分;98℃20秒→55℃30秒→72℃1.5分を35サイクル;次いで72℃5分であった。使用したプライマーはすべて、遺伝子特異的配列、制限酵素部位、コザック配列およびFLAGタグ配列を含む。ステップ3のPCR産物を1%アガロースゲル上で分離した。予想されるバンドサイズを検証した後、QIAquick(登録商標)Gel Extraction kitを使用してPCR産物を精製した。 精製した完全長PCR産物を、制限酵素NheIおよびBamHI(ニュー・イングランド・バイオラボ(米国マサチューセッツ州ベヴァリー)で消化した。消化した後、DNAを1%アガロースゲル上で分離した。予想されたサイズのバンドをゲルから切り出し抽出した。次いで、消化したDNAを、上述のNheIおよびBamHIで消化したpIRESpuro3ベクターにライゲートし、Antarcticホスファターゼ(ニュー・イングランド・バイオラボ(米国マサチューセッツ州ベヴァリー)カタログ番号:M0289L)を用いて37℃で30分間処理し、上述のQIAquick Gel Extraction kitを使用して、1%アガロースゲルから精製した。ライゲーション反応はT4DNAリガーゼ(プロメガ;カタログ番号:M180A)を用いて行った。実施例10LSR_T1_P5a ORFのクローニング LSR_T1_P5aのオープンリーディングフレーム(ORF)(配列番号154)をPCRによりクローニングして、LSR_P5aタンパク質(配列番号11)を以下のように作製した。 PCR反応を、PfuUltra II Fusion HS DNAポリメラーゼ(アジレント、カタログ番号:600670)を使用して以下の条件で実施した。全反応量25μl中、200_369_LSR_Kozak_NheIプライマー(配列番号147)および200−372_LSR_BamHI_Revプライマー(配列番号152)それぞれ0.5μlとともに、上記のpIRES_puro3_LSR_T1_P5a_Flag構築物50ngをPCR反応のテンプレートとして使用した。反応条件は、98℃5分;98℃20秒→55℃30秒→72℃1.5分を35サイクル;次いで72℃10分であった。使用したプライマーはすべて、遺伝子特異的配列、制限酵素部位およびコザック配列を含む。PCR産物を1%アガロースゲル上で分離した。予想されるバンドサイズを検証した後、上述のQIAquick Gel Extraction kitを使用してPCR産物を精製した。 精製したPCR産物を、制限酵素NheIおよびBamHI(ニュー・イングランド・バイオラボ(米国マサチューセッツ州ベヴァリー)で消化した。消化した後、DNAを1%アガロースゲル上で分離した。予想されたサイズのバンドをゲルから切り出し抽出した。次いで、消化したDNAを、上述のNheIおよびBamHIで消化したpIRESpuro3ベクターにライゲートし、Antarcticホスファターゼ(ニュー・イングランド・バイオラボ(米国マサチューセッツ州ベヴァリー)カタログ番号:M0289L)を用いて37℃で30分間インキュベートし、上述のQIAquick Gel Extraction kitを使用して、1%アガロースゲルから精製した。ライゲーション反応はT4DNAリガーゼ(プロメガ;カタログ番号:M180A)を用いて行った。 上記のタグを付加した構築物およびタグを付加していない構築物の配列検証を行った(Hylabs(イスラエル国レホボト))。これら2つのヌクレオチド間のミスマッチは以下のように同定された。配列番号154の119位の核酸がGからAに変化し、配列番号154の626位の核酸がAからGに変化した結果、タグを付加していない構築物では配列番号145に示した核酸配列が得られ、タグを付加した構築物においては配列番号146に示した核酸配列が得られた。これらの核酸配列から、配列番号301の209位のアミノ酸において、IがMに変化したアミノ酸ミスマッチを有するポリペプチドが作製され、その結果、タグを付加していない構築物については配列番号143に示したアミノ酸配列を有するタンパク質が得られ、タグを付加した構築物については配列番号144に示したアミノ酸配列を有するタンパク質が得られた。 上記の組換えプラスミドを処理に供し、以下の安定なプールを作製した。実施例11LSR_P5a_FLAG_Mタンパク質を発現する組換えHEK−293T細胞の安定なプールの確立 LSR_T1_P5a_Flag_m(配列番号146)およびpIRESpuro3空ベクタープラスミドを、以下のようにしてHEK293T細胞に安定にトランスフェクトさせた。 HEK293T(ATCC、CRL−11268)細胞を、あらかじめ温めておいた2mlの完全培地を含む、組織培養に適した滅菌6ウェルプレートに播種した。この完全培地の組成は、DMEM[ダルベッコの改変イーグル培地(バイオロジカルインダストリーズ(イスラエル国Beit Ha’Emek)、カタログ番号:01−055−1A)]+10%FBS[ウシ胎仔血清(バイオロジカルインダストリーズ(イスラエル国Beit Ha’Emek)、カタログ番号:04−001−1A)]+4mM L−グルタミン(バイオロジカルインダストリーズ(イスラエル国Beit Ha’Emek)、カタログ番号:03−020−1A)であった。1ウェルあたり500,000個の細胞を播種し、94μlのDMEMで希釈したFuGENE6試薬(ロシュ、カタログ番号:11−814−443−001)6μlを使用してDNA構築物2μgをトランスフェクトした。この複合混合物は、室温で15分間インキュベートしてから細胞に滴下した。5%CO2を含み37℃に保持されたインキュベーターに細胞をセットした。トランスフェクションの48時間後、選択培地(5μg/mlピューロマイシン(シグマ、カタログ番号:P8833)を添加した完全培地)15mlを含む75cm2の組織培養フラスコに細胞を移した。細胞をインキュベーターにセットし、クローン形成が観察されるまで培地を3〜4日ごとに交換した。実施例12安定にトランスフェクトされたHEK293T細胞におけるLSR_P5a_FLAG_Mの異所性発現の分析 安定にトランスフェクトされたHEK293T細胞におけるLSR_P5a_Flag_m(配列番号144)の発現を、抗LSR抗体および表9に示す抗flag抗体を使用して細胞溶解物をウェスタンブロット解析することにより測定した。 Cell Dissociation Buffer Enzyme−Free PBS−Based(Gibco;13151−014)を使用して、細胞をプレートから剥離し、ダルベッコのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(バイオロジカルインダストリーズ、02−023−1A)中で洗浄し、1200gで5分間遠心分離した。25×コンプリートEDTAフリープロテアーゼインヒビターカクテル(ロシュ、11 873 580 001)を添加した、50mM Tris−HCl pH7.4、150mM NaCl、1mM EDTA、1%トリトンX−100中に細胞を再懸濁し、20秒間ボルテックスすることによって全細胞抽出を行った。4℃、20000gで20分間遠心分離後、細胞抽出液を回収し、Bradfordバイオ・ラッドプロテインアッセイ(バイオ・ラッド、カタログ番号:500−0006)でタンパク濃度を測定した。同量のタンパク質をSDS−PAGE(インビトロジェン、NuPAGE 4−12% NuPAGE Bis−Tris、カタログ番号:NP0335、NP0322)で分析し、ニトロセルロース膜(BA83、0.2μm、Schleicher & Schuell、カタログ番号:401385)に転写した。この膜を、TTBS(Biolab、カタログ番号:20892323)/10%スキムミルク(Difco、カタログ番号:232100)でブロックし、TTBS/5%BSA(シグマアルドリッチ、A4503)を用いて(表9に)示した濃度に希釈した本明細書(図18)に記載の一次抗体を使用して、4℃で16時間インキュベートした。TTBSで3回洗浄後、TTBSで希釈した本明細書に記載の二次結合抗体を使用して、膜を室温で1時間さらにインキュベートした。化学発光反応は、ECLウェスタンブロット検出試薬(GEヘルスケア、カタログ番号:RPN2209)を用いて行い、膜をスーパーRX富士X−レイフィルム(カタログ番号:4741008389)に露光させた。 図18は、抗Flag抗体(シグマ、カタログ番号:A8592)(図18A)および抗LSR抗体(Abnova、カタログ番号:H00051599−B01P(図18B);アブカム、カタログ番号:ab59646(図18C);およびシグマ、カタログ番号:HPA007270(図18D))を使用して検出された、予想バンドサイズ〜70kDaのLSR_P5a_Flag_mタンパク質(配列番号144)の組換えHEK293T細胞における発現を示す。実施例13HEK293T細胞における異所性LSR_P5a_FLAG_Mの細胞内局在の決定 安定にトランスフェクトされた細胞におけるLSR_P5a_Flag_mタンパク質(配列番号144)の細胞内局在を共焦点顕微鏡法により決定した。 上記のLSR_P5a_Flag_m(配列番号144)を発現した、安定にトランスフェクトされた組換えHEK293T細胞を、ポリ−L−リシン(シグマ;カタログ番号:P4832)であらかじめコーティングしたカバースリップに載せた。24時間後、細胞に免疫染色を施し、共焦点顕微鏡法で分析した。カバースリップをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で洗浄し、次いで、PBS/3.7%パラホルムアルデヒド(PFA)(EMS、カタログ番号:15710)/3%グルコース(シグマ、カタログ番号:G5767)溶液中で15分間固定した。PBS/3mMグリシン(シグマ、カタログ番号:G7126)で5分間処理することによって、PFAをクエンチした。PBS中での5分間の洗浄を2回行った後、PBS/0.1%トリトン−X100を用いて細胞を室温で5分間透過処理し、PBS中で2回洗浄した。次いで、PBS/5%ウシ血清アルブミン(BSA)(シグマ、カタログ番号:A4503)を用いて非特異的領域のブロッキング処理を20分間行った。次いで、PBS/5%BSAで希釈した本明細書に記載の各一次抗体とともに、カバースリップを湿潤箱中で1時間インキュベートし、PBS中での5分間の洗浄を3回行った。次いで、PBS/2.5%BSAで本明細書に示した希釈倍率で希釈した対応する二次抗体とともに、カバースリップを30分間インキュベートした。上記の抗体および使用した希釈倍率を表9に具体的に示す。フェノールレッドを含まないハンクス平衡塩類溶液(HBSS)(バイオロジカルインダストリーズ、カタログ番号:02−016−1)中で前洗浄した後、HBSSで1:200に希釈したWGA−Alexa 488(インビトロジェン、カタログ番号:W11261)とともにカバースリップを10分間インキュベートし、HBSS中で洗浄し、HBSSで1:1000に希釈したビスベンズイミドH 33258(シグマ、カタログ番号:14530)中でインキュベートした。次いで、Gel Mount Aqueous medium(シグマ、カタログ番号:G0918)を用いてカバースリップをスライドに載せ、共焦点顕微鏡法を使用して細胞中の蛍光生成物の存在を観察した。 図19に、LSR_P5a_Flag_mの細胞内局在を示す。抗Flag抗体(シグマ、カタログ番号:A9594)(図19A)および抗LSR抗体(アブカム、カタログ番号:ab59646(図19B)、Abnova、カタログ番号:H00051599−B01P(図19C)およびシグマ、カタログ番号HPA007270(図19D))で検出されたように、LSR_P5a_Flag_m(配列番号144)は主として細胞質に局在しているが、細胞表面上にも検出することができる。実施例14様々な細胞株における内因性LSRタンパク質の発現の分析 様々な細胞株における内因性LSRタンパク質の発現を以下のようにしてウェスタンブロットによって分析した。 SK−OV3(ATCC No.HTB−77)、Caov3(ATCC No.HTB−75)、OVCAR3(ATCC No.HTB−161)、ES−2(ATCC No.CRL−1978)、OV−90(ATCC No.CRL−11732)、TOV112D(ATCC No.CRL−11731)、およびHep G2(ATCC No.HB−8065)の細胞抽出液を上述のように調製した。 HeLa(カタログ番号:sc−2200)、MCF−7(カタログ番号:sc−2206)、CaCo2(カタログ番号:sc−2262)およびSkBR3(カタログ番号:sc−2218)の細胞抽出液はSantaCruz Biotechnologyから購入した。 同量のタンパク質をSDS−PAGEによって分析し、上述のニトロセルロース膜に転写した。この膜を、TTBS(Biolab、カタログ番号:20892323)/10%スキムミルク(Difco、カタログ番号:232100)でブロックし、TTBS/5%BSA(シグマアルドリッチ、A4503)を用いて(表9に)示した濃度に希釈した抗LSR抗体(アブカム、カタログ番号:ab59646)を使用して、4℃で16時間インキュベートした。TTBSで3回洗浄後、TTBSで希釈した本明細書(表9)に記載の二次結合抗体を使用して、膜を室温で1時間さらにインキュベートした。化学発光反応は、ECLウェスタンブロット検出試薬(GEヘルスケア、カタログ番号:RPN2209)を用いて行い、膜をスーパーRX富士X−レイフィルム(カタログ番号:4741008389)に露光させた。 図20は、様々な細胞株におけるLSRの内因性発現を示す。LSRに相当する72kDaのバンドは、抗LSR抗体によって、SK−OV3、Caov3、OVCAR3、OV−90、Hep G2、HeLa、CaCo2およびSkBR3の抽出液中に検出された(図20A)。抗GAPDH(アブカム、カタログ番号:ab9484)をローディングコントロールとして使用した(図20B)。実施例15配列TMEM25_SEG21−27に示したアンプリコンによって検出可能なTMEM25転写産物の正常乳房組織および乳がん組織における発現量 seg21−27−TMEM25_seg_21−27_200−344/346_アンプリコン(配列番号123)、ならびにTMEM25_seg21F_200−344プライマー(配列番号124)およびTMEM25_seg27R_200−346プライマー(配列番号125)に従って、またはこれらを使用して検出可能なTMEM25転写産物の発現をリアルタイムPCRで測定した。いくつかのハウスキーピング遺伝子、すなわち、G6PD(GenBank受託番号:NM_000402(配列番号111);G6PD_アンプリコン(配列番号114))、RPL19(GenBank受託番号:NM_000981(配列番号119);RPL19_アンプリコン(配列番号122))、PBGD(GenBank受託番号:BC019323(配列番号115);PBGD_アンプリコン(配列番号118))、およびSDHA(GenBank受託番号:NM_004168(配列番号103);SDHA_アンプリコン(配列番号106))の発現量をそれぞれ同様にして並行測定した。「材料および方法」セクションの正規化方法2に記載したように、各RT試料について、これらのハウスキーピング遺伝子の発現量から算出した正規化係数を用いて、上記アンプリコンの発現量を正規化した。次いで、各RT試料の正規化された発現量を、正常試料(上記表1の試料番号43、45、46、47、48、49、50、51、52、54、56、58、59、60、61、62、63、64、66、67、68および69)の発現量の中央値で除することによって、各試料の差次的発現を正常試料の中央値に対する倍率として得た。 実施した2つの実験において、正常試料に対して差次的な発現はがん試料において観察されなかった(図21)。 プライマー対も本発明の範囲内に包含されてもよく、本発明の範囲内に包含されることが好ましい。たとえば、上記の実験では、TMEM25_seg21F_200−344(配列番号124)フォワードプライマーとTMEM25_seg27R_200−346(配列番号125)リバースプライマーとからなるプライマー対を使用したが、これらは適切なプライマー対を説明することのみを目的とした例示であり、プライマー対はこれらに限定されない。 本発明は、任意の適切なプライマー対を使用することにより得られた任意のアンプリコンも包含することが好ましい。たとえば、上記の実験では、TMEM25_seg_21−27_200−344/346_アンプリコン(配列番号123)で示されるアンプリコンが得られたが、これは適切なアンプリコンを説明することのみを目的とした例示であり、アンプリコンはこれに限定されない。実施例16配列TMEM25_SEG21−27に示したアンプリコンによって検出可能なTMEM25転写産物の種々の正常組織における発現量 seg21−27−TMEM25_seg_21−27_200−344/346_アンプリコン(配列番号123)、ならびにTMEM25_seg21F_200−344プライマー(配列番号124)およびTMEM25_seg27R_200−346プライマー(配列番号125)に従って、またはこれらを使用して検出可能なTMEM25転写産物の発現をリアルタイムPCRで測定した。いくつかのハウスキーピング遺伝子、すなわち、SDHA(GenBank受託番号:NM_004168(配列番号103);SDHA_アンプリコン(配列番号106))、G6PD(GenBank受託番号:NM_000402(配列番号111);G6PD_アンプリコン(配列番号114))、およびHPRT1(GenBank受託番号:NM_000194(配列番号107);HPRT1_アンプリコン(配列番号110))の発現量をそれぞれ同様にして並行測定した。「材料および方法」セクションの正規化方法2に記載したように、各RT試料について、これらのハウスキーピング遺伝子の発現量から算出した正規化係数を用いて、上記アンプリコンの発現量を正規化した。次いで、各RT試料の正規化された発現量を、乳房試料(上記表2の試料番号30、31、32および33)の中央値で除することによって、乳房試料における発現量の中央値に対する各試料の相対的発現量を得た(図22)。実施例17TMEM25タンパク質のクローニングFLAGタグに融合させたTMEM25_T0_P5 ORFのクローニング FLAG(配列番号153)に融合させた、TMEM25_T0_P5のオープンリーディングフレーム(ORF)(配列番号130)のクローニングを以下のようにしてRT−PCRにより行った。 非希釈結腸がんプールDNA1μlをPCR反応のテンプレートとして使用した。PCRを、KAPA Hifi DNAポリメラーゼ(KAPABIOSYSTEM、カタログ番号:KK2101)を使用して以下の条件で実施した:上記のcDNA1μl;全反応量50μl中、200−374_TMEM25_NheI_Kozak_seg5Fプライマー(配列番号127)および200−375_TMEM25_Flag_STOP_EcoRI_seg43Rプライマー(配列番号128)をそれぞれ1μl(25μM);95℃5分;98℃20秒→55℃15秒→72℃1分を40サイクル;次いで72℃5分からなる反応プログラム;使用したプライマーは、遺伝子特異的配列、制限酵素部位、コザック配列およびFLAGタグを含む。 PCR産物25μlを1.5%アガロースゲルに載せ、臭化エチジウムで染色し、1×TAE溶液中において100Vで電気泳動し、UV光で可視化した。予想されるバンドサイズの検証後、上記テンプレートのPCR産物1μlを再増幅のためのテンプレートとして使用した。KAPA Hifi DNAポリメラーゼ(KAPABIOSYSTEM、カタログ番号:KK2101)を使用して上記と同一の条件下でPCRを実施した。 PCR産物はQIAquick Gel Extraction kit(キアゲン、カタログ番号:28707)を使用してゲルから精製した。 精製したPCR産物を、制限酵素NheIおよびEcoRI(ニュー・イングランド・バイオラボ(米国マサチューセッツ州ベヴァリー)で消化した。次いで、上記の制限酵素であらかじめ消化したpIRESpuro3(pRp)ベクター(クロンテック、カタログ番号:631619)に、消化したDNAをT4DNAリガーゼ(プロメガ、カタログ番号:M1801)を使用してライゲートした。メーカーの説明書に従って、コンピテントE.Coli細菌DH5α(RBC Bioscience(台湾国台北)、カタログ番号:RH816)を得られたDNAにより形質転換し、次いで、組換えプラスミドを選択するためのLB−アンピシリン寒天平板上に播種し、37℃で一晩インキュベートした。翌日、pIRESpuro3ベクターに特異的なプライマーおよび遺伝子に特異的なプライマー(データは示さず)を使用したPCRにより、陽性のコロニーをスクリーニングした。PCR産物を上述の2%アガロースゲルを使用して分析した。予想されるバンドサイズの検証後、100μg/mlアンピシリンを添加した5mlのTerrific Broth中で、陽性のコロニーを37℃で一晩、振盪しながら増殖させた。Qiaprep(登録商標) Spin Miniprep kit(キアゲン、カタログ番号:27106)を使用して、プラスミドDNAを細菌培養物から単離した。クローニングの正確性は、インサート(Hylabs(イスラエル国レホボト))の配列を決定することにより検証した。エラーのないコロニー(すなわち、ORF内に変異がない)の検証後、組換えプラスミドをさらなる分析に供した。タグを付加していないTMEM25_T0_P5 ORFのクローニング タグを付加していないTMEM25_T0_P5のオープンリーディングフレーム(ORF)(配列番号130)のクローニングを以下のようにしてRT−PCRにより行った。 非希釈結腸がんプールDNA1μlをPCR反応のテンプレートとして使用した。PCRを、KAPA Hifi DNAポリメラーゼ(KAPABIOSYSTEM、カタログ番号:KK2101)を使用して以下の条件で実施した:上記のcDNA1μl;全反応量50μl中、200−374_TMEM25_NheI_Kozak_seg5Fプライマー(配列番号127)および200−377_TMEM25_STOP_EcoRI_seg43Rプライマー(配列番号131)をそれぞれ1μl(25μM);95℃5分;98℃20秒→55℃15秒→72℃1分を40サイクル;次いで72℃5分からなる反応プログラム;使用したプライマーは、遺伝子特異的配列、制限酵素部位、およびコザック配列を含む。 PCR産物25μlを1.5%アガロースゲルに載せ、臭化エチジウムで染色し、1×TAE溶液中において100Vで電気泳動し、UV光で可視化した。予想されるバンドサイズの検証後、上記テンプレートのPCR産物5μlを再増幅のためのテンプレートとして使用した。KAPA Hifi DNAポリメラーゼ(KAPABIOSYSTEM、カタログ番号:KK2101)を使用して上記と同一の条件下でPCRを実施した。 PCR産物はQIAquick Gel Extraction kit(キアゲン、カタログ番号:28707)を使用してゲルから精製した。 精製したPCR産物を、制限酵素NheIおよびEcoRI(ニュー・イングランド・バイオラボ(米国マサチューセッツ州ベヴァリー)で消化した。次いで、上記の制限酵素であらかじめ消化したpIRESpuro3(pRp)ベクター(クロンテック、カタログ番号:631619)に、T4DNAリガーゼ(プロメガ、カタログ番号:M1801)を使用して消化したDNAをライゲートした。メーカーの説明書に従って、コンピテントE.Coli細菌DH5α(RBC Bioscience(台湾国台北)、カタログ番号:RH816)を得られたDNAにより形質転換し、次いで、組換えプラスミドを選択するためのLB−アンピシリン寒天平板上に播種し、37℃で一晩インキュベートした。翌日、pIRESpuro3ベクターに特異的なプライマーおよび遺伝子に特異的なプライマー(データは示さず)を使用したPCRにより、陽性のコロニーをスクリーニングした。PCR産物を上述の2%アガロースゲルを使用して分析した。予想されるバンドサイズの検証後、100μg/mlアンピシリンを添加した5mlのTerrific Broth中で、陽性のコロニーを37℃で一晩、振盪しながら増殖させた。Qiaprep Spin Miniprep kit(キアゲン、カタログ番号:27106)を使用して、プラスミドDNAを細菌培養物から単離した。クローニングの正確性は、インサート(Hylabs(イスラエル国レホボト))の配列を決定することにより検証した。エラーのないコロニー(すなわち、ORF内に変異がない)の検証後、組換えプラスミドをさらなる分析に供した。実施例18TMEM25_P5およびTMEM25_P5_FLAGタンパク質を発現する安定なプールの作製 TMEM25_T0_P5(配列番号130)pIRESpuro3構築物およびTMEM25_T0_P5_FLAG(配列番号126)pIRESpuro3構築物、またはpIRESpuro3空ベクターを、以下のようにしてHEK293T細胞に安定にトランスフェクトさせた。 HEK293T(ATCC、CRL−11268)細胞を、あらかじめ温めておいた完全培地2mlを使用して、組織培養に適した滅菌6ウェルプレートに播種した。この完全培地の組成は、DMEM[ダルベッコの改変イーグル培地(バイオロジカルインダストリーズ(イスラエル国Beit Ha’Emek)、カタログ番号:01−055−1A)]+10%FBS[ウシ胎仔血清(バイオロジカルインダストリーズ(イスラエル国Beit Ha’Emek)、カタログ番号:04−001−1A)]+4mM L−グルタミン(バイオロジカルインダストリーズ(イスラエル国Beit Ha’Emek)、カタログ番号:03−020−1A)であった。1ウェルあたり350,000個の細胞を播種し、94μlのDMEMで希釈したFuGENE6試薬(ロシュ、カタログ番号:11−814−443−001)6μlを使用してDNA構築物2μgをトランスフェクトした。この複合混合物は、室温で15分間インキュベートしてから細胞に滴下し、回転撹拌した。5%CO2を含み37℃に保持されたインキュベーターに細胞をセットした。トランスフェクションの48時間後、選択培地(5μg/mlピューロマイシン(シグマ、カタログ番号:P8833)を添加した完全培地)15mlを含む75cm2の組織培養フラスコにトランスフェクトした細胞を移した。細胞をインキュベーターにセットし、クローン形成が観察されるまで培地を3〜4日ごとに交換した。 十分量の細胞を選択した後、3〜500万個の細胞を採取した。プロテアーゼ阻害剤(ロシュ、カタログ番号:11873580001)を添加したRIPAバッファー(50mM Tris−HCl pH8、150mM NaCl、1%NP−40、0.5%デオキシコール酸ナトリウム、0.1%SDS)300μl中において4℃で20分間かけて細胞を溶解した。14,000×rpm、4℃で10分間遠心分離した後、透明な上清を清潔な試験管に移し、溶解物30μgを1,4−ジチオトレイトール(DTT;還元剤)と混合して最終濃度を100mMとし、ウェスタンブロット法に使用した。 次いで、試料を100℃で10分間インキュベートし、14,000×rpmで1分間遠心分離した。メーカーの説明書に従い、4〜12%NuPAGE(登録商標)Bis−Trisゲル(インビトロジェン、カタログ番号:NP0321)の1レーンあたり試料30μlを載せ、XCell SureLock(登録商標)Mini−Cell(インビトロジェン、カタログ番号:E10001)を使用して、1×MES SDSランニングバッファー(インビトロジェン、カタログ番号:NP0060)中でゲルを泳動させて、SDS−PAGE(Laemmli, U.K., Nature 1970; 227; 680-685)を実施した。メーカーの説明書に従い、XCell(登録商標)IIブロッティング装置(インビトロジェン、カタログ番号:E19051)を使用して、分離したタンパク質をニトロセルロース膜(Schleicher&Schuell、カタログ番号:401385)に転写した。 ブロットしたタンパク質を含む膜を以下のように処理して抗体を検出した。 0.05%Tween−20(PBST)を添加したリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で希釈した5%スキムミルク中において室温で1時間インキュベーションすることによって、上記の膜の非特異的領域をブロックした(これ以降のインキュベーションはすべて室温、1時間の条件で行った)。次いで、ブロッキング溶液を、5%ウシ血清アルブミン(BSA)(シグマ、カタログ番号:A4503)(PBSで希釈)で1:500に希釈したウサギ抗TMEM25一次抗体(カタログ番号:HPA012163、シグマ)に交換した。1時間インキュベーションを行った後、5分間の洗浄を3回行い、二次抗体(ブロッキング溶液で1:20,000に希釈した、ペルオキシダーゼ結合Affipureヤギ抗ウサギIgG(Jackson、カタログ番号:111−035−003)に結合させたヤギ抗ウサギ)を添加した。ブロッキング溶液で1:1000に希釈したマウス抗Flag M2ペルオキシダーゼ(シグマ、カタログ番号:A8592)を用いて、タンパク質も検出した。1時間インキュベーションを行った後、5分間の洗浄を3回行い、ECL基質(PIERCE、カタログ番号:PIR−34080)を1分間適用し、次いで、X線フィルム(富士、カタログ番号:100NIF)に露光させた。結果を図23に示す。 図23Aは、上記のウサギ抗TMEM25によって、TMEM25_P5タンパク質(配列番号7)およびTMEM25_P5_Flag(配列番号129)が予想バンドサイズ〜40.2kDaにおいて特異的に認識されたが、HEK_293T_pRp3は認識されなかったことを示す。 図23Bは、抗Flagによって、TMEM25_P5_Flagタンパク質(配列番号129)が予想バンドサイズ〜40.2kDaにおいて特異的に認識されたことを示す。実施例19HEK293T細胞における異所性TMEM25_P5およびTMEM25_P5_FLAGの細胞内局在の免疫蛍光法による決定 TMEM25_P5(配列番号7)およびTMEM25_P5_FLAG(配列番号129)を上述のように安定にトランスフェクトさせた後、共焦点顕微鏡法を使用してこれらのタンパク質の局在を観察した。 TMEM25_P5(配列番号7)およびTMEM25_P5_FLAG(配列番号129)を発現した、安定にトランスフェクトされた組換えHEK293T細胞を、ポリ−L−リシン(シグマ;カタログ番号:P4832)であらかじめコーティングしたカバースリップに載せた。24時間後、細胞に免疫染色を施し、共焦点顕微鏡法で分析した。 カバースリップをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で洗浄し、次いで、3.7%パラホルムアルデヒド(PFA)(シグマ、カタログ番号:P−6148)/3%グルコース(シグマ、カタログ番号:G5767)(PBSで希釈)溶液で15分間固定した。3mMグリシン(シグマ、カタログ番号:G7126)(PBSで希釈)中で5分間インキュベートすることによって、PFAをクエンチした。PBS中での5分間の洗浄を2回行った後、5%ウシ血清アルブミン(BSA)(シグマ、カタログ番号:A4503)(PBSで希釈)で非特異的領域のブロッキングを20分間行った。 次いで、PBS中5%BSAで1:200に希釈したマウス抗FLAG−Cy3抗体(シグマ、カタログ番号:A9594)とともに、またはPBS中5%BSAで1:50に希釈したウサギ抗TMEM25(カタログ番号:HPA012163、シグマ)とともに、カバースリップを湿潤箱中で1時間インキュベートし、PBS中での5分間の洗浄を3回行った。抗TMEM25抗体に対してのみ二次抗体(PBS中5%BSAで1:200に希釈したロバ抗ウサギcy3(カタログ番号:711−165−152、Jackson))を使用し、湿潤箱中で1時間インキュベートし、PBS中での5分間の洗浄を3回行った。ビスベンズイミドH 33258(HBSS)(シグマ、カタログ番号:14530)で前洗浄した後、HBSSで1:200に希釈したWGA−Alexa 488(インビトロジェン、カタログ番号:W11261)とともにカバースリップを10分間インキュベートし、HBSSで2回洗浄し、HBSSで1:1000に希釈したビスベンズイミドH 33258(シグマ、カタログ番号:14530)中でインキュベートした。次いで、Gel Mount Aqueous medium(シグマ、カタログ番号:G0918)を用いてカバースリップをスライドに載せ、共焦点顕微鏡法を使用して細胞中の蛍光生成物の存在を観察した。 抗TMEM25抗体を使用することにより示された、TMEM25_P5(配列番号132)およびTMEM25_P5_Flag(配列番号129)の細胞内局在を図24Aおよび図24Bにそれぞれ示す。図24Cは、抗FLAG抗体(シグマ、カタログ番号:A9594)を使用することにより示された、TMEM25_P5_Flag(配列番号129)の局在を示す。TMEM25_P5タンパク質は細胞表面に局在する。実施例20FACSによるTMEM25_P5_FLAGの細胞局在の決定 上述のようにTMEM25_P5_Flagタンパク質(配列番号129)を安定にトランスフェクトさせた後、抗TMEM25抗体(Ab1628、Yomics)およびネガティブコントロールとしての正常マウス血清(015−000−120、Jackson)を使用したフローサイトメトリー分析によって、TMEM25_P5_Flagタンパク質の膜局在を観察した。TMEM25_P5_Flagを発現している組換えHEK293T細胞を抗TMEM25抗体(A)または正常マウス血清(B)、次いで、二次抗体(Jackson、715−506−150)に結合させたロバ抗マウスDyLight549で染色し、蛍光シグナルの存在を観察した。 Cell dissociation buffer Enzyme−Free PBS−Based(Gibco;13151−014)を使用して、組換えHEK293T−TMEM25_P5_Flag細胞をプレートから剥離し、FACSバッファー[ダルベッコのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(バイオロジカルインダストリーズ、02−023−1A)/1%ウシアルブミン(シグマ、A7030)]で洗浄し、細胞数をカウントした。1:2250に希釈した抗体溶液100μl中に0.5×106個の細胞を再懸濁し、氷上で1時間インキュベートした。細胞を氷冷FACSバッファーで洗浄し、本明細書に記載の二次抗体とともに氷上で1時間インキュベートした。細胞を氷冷FACSバッファーで洗浄し、FACSバッファー500μl中に再懸濁し、次いで、FACS装置(FACSCalibur、BD)で分析した。Cellquest Pro VER. 5.2を使用してデータを得、分析した。 図25に示した結果は、ネガティブコントロールとして使用したマウス血清(B)と比較して、抗TMEM25抗体(A)が、TMEM25_P5_Flagタンパク質を発現している組換えHEK293T細胞中の完全長TMEM25タンパク質により多く結合していることを示しており、これによって、TMEM25タンパク質が細胞膜に局在していることが分かる。実施例21様々な細胞株における内因性TMEM25タンパク質の発現の分析 様々な細胞株における内因性TMEM25タンパク質の発現を以下のようにしてウェスタンブロットによって分析した。 JURKAT(ATCC No.TIB−152)、Daudi(ATCC No.CCL−213)、RPMI8226(ATCC No.CCL−155)、G−361(ATCC No.CRL−1424)、およびKARPAS(ATCC No.VR−702)の細胞抽出液を上述のように調製した(図26のレーン3〜7:対応するレーン/材料の割り当てについては図中の凡例を参照されたい)。 全細胞溶解物を上述のように調製しウェスタンブロットによって分析した。同量のタンパク質をSDS−PAGEによって分析し、上述のニトロセルロース膜に転写した。 0.05%Tween−20(PBST)を添加したリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で希釈した5%スキムミルクを用いて、室温で1時間インキュベーションすることにより上記の膜をブロックした(これ以降のインキュベーションはすべて室温、1時間の条件で行った)。次いで、ブロッキング溶液を、5%ウシ血清アルブミン(BSA)(シグマ、カタログ番号:A4503)(PBSで希釈)で1:500に希釈したウサギ抗TMEM25一次抗体(カタログ番号:HPA012163、シグマ)に交換した。1時間インキュベーションを行った後、5分間の洗浄を3回行い、二次抗体(ブロッキング溶液で1:20,000に希釈した、ペルオキシダーゼ結合Affipureヤギ抗ウサギIgG(Jackson、カタログ番号:111−035−003)に結合させたヤギ抗ウサギ)を添加した。ブロッキング溶液で1:1000に希釈したマウス抗Flag M2ペルオキシダーゼ(シグマ、カタログ番号:A8592)を用いて、タンパク質も検出した。1時間インキュベーションを行った後、5分間の洗浄を3回行い、ECL基質(PIERCE、カタログ番号:PIR−34080)を1分間適用し、次いで、X線フィルム(富士、カタログ番号:100NIF)に露光させた。 図26は、様々な細胞株におけるTMEM25の内因性発現を示す。TMEM25_P5_Flagを発現しているHEK293T細胞(レーン2)において観察される、TMEM25に相当する40.2kDaのタンパク質は、抗TMEM25抗体によって、RPMI8226(レーン5)、Daudi(レーン6)およびJURKAT(レーン7)の抽出液中に検出された(レーン1はFlagを含まないコントロールを示す)。実施例22安定したHEK293T_TMEM25へのTMEM25 siRNAのトランスフェクション 上記のTMEM25_P5_Flag(配列番号129)を安定して発現するHEK293T細胞にTMEM25_P5−SiRNAをトランスフェクトすることによって、TMEM25_P5_Flagタンパク質(配列番号129)の発現の特異的ノックダウンを観察した。 siRNAは、TMEM25(L−018183−00−0005、Dharmacon、ON TARGET plus SMART pool、ヒトTMEM25(84866)、5nmol)およびネガティブコントロールとしてのスクランブルsiRNA(Dharmacon、D−001810−10−05)をDharmaconから購入した。 トランスフェクションの24時間前に、細胞を50〜70%コンフルエントまで平板培養した。siRNA複合体250pmolを、reduced serum Opti−MEM(カタログ番号:31985、GIBCO)250μlに添加した。これと並行して、Lipofectamine2000試薬(カタログ番号:11668019、インビトロジェン)を混合し、そのうちの5μlをreduced serum Opti−MEM(カタログ番号:31985、GIBCO)250μlに添加した。各試験管の内容物を合わせ、RTで15〜30分間インキュベートすることによって十分量の複合体を形成させ、次いで、この材料を上記の細胞上に拡散させ、48時間インキュベートした。細胞を採取し、細胞溶解物を上述のように調製し、抗TMEM25抗体(カタログ番号:HPA012163、シグマ)、次いでペルオキシダーゼ結合ロバ抗ウサギ二次抗体で検出した。 図27は、スクランブルsiRNA(Dharmacon、D−001810−10−05)をトランスフェクトさせた、TMEM25_P5_FLAGを安定して発現するHEK293T細胞(レーン1)との比較を抗TMEM25抗体(シグマ、カタログ番号:HPA012163)を使用して行ったところ、TMEM25_P5 siRNA(L−018183−00−0005、Dharmacon)をトランスフェクトさせた、TMEM25_P5_Flag(配列番号129)を安定して発現するHEK293T細胞(レーン2)においてTMEM25_P5_Flagタンパク質(配列番号129)の特異的ノックダウンが見られたことを示す。実施例23抗LSRポリクローナル抗体および抗TMEM25ポリクローナル抗体を使用した免疫組織化学(IHC) 抗LSR(アブカム、カタログ番号:ab59646)および抗TMEM25抗体(カタログ番号:HPA012163、シグマ)を表10に詳述する腫瘍組織マイクロアレイ(TMA)パネルに適用して、組織結合プロファイルを評価した。 LSR_P5a_Flag_m(配列番号144)またはTMEM25_P5_Flag(配列番号129)を発現するHEK293細胞を、染色用ポリクローナル抗体のキャリブレーションのためのポジティブコントロールとして使用した。空ベクターをトランスフェクトしたHEK293T細胞およびウサギ血清IgG抗体をネガティブコントロールとして使用した。 抗LSR抗体および抗TMEM25抗体によるLSR_P5a_Flag_m(配列番号144)またはTMEM25_P5_Flag(配列番号129)の免疫組織化学的検出は、ホルマリンで固定しパラフィンで包埋した(FFPE)切片でキャリブレーションを行った。3種の抗体濃度(3μg/ml、1μg/ml、0.3μg/ml)をpH6.1およびpH9.0における2つの抗原賦活法で試験した。 抗原賦活法は以下のように実施した。上記のFFPE切片を脱パラフィンし、pH6.1またはpH9.0のFlex+3−in−1抗原賦活バッファーおよびPT Link自動抗原賦活システムを使用して、自動的に加温および冷却しながら95℃で20分間かけて抗原賦活および親水化を行った。 抗原賦活後、蒸留水中における切片の洗浄を5分間で2回行い、次いで、DAKO Autostainer Plusにセットした。次いで、切片をFlex+Peroxidase Blocking試薬とともに10分間インキュベートし、50mM Tris−HCl、300mM NaCl、0.1%Tween−20、pH7.6(TBST)中で2回リンスし、Protein Block試薬(DAKO、X0909)とともに10分間インキュベートした。 DAKO Envision Flex抗体希釈液(DAKO Cytomation、カタログ番号:K8006)で希釈した一次抗体とともに、切片を30分間インキュベートした。一次抗体とともにインキュベーションした後、次いで切片をFLEXバッファー中で2回リンスし、抗マウス/ウサギFlex+HRPとともに20分間インキュベートし、FLEXバッファー中で2回リンスし、次いでジアミノベンジジン(DAB)基質とともに10分間インキュベートした。蒸留水でスライドをリンスすることにより発色反応を止めた。 発色後、ヘマトキシリンで切片を対比染色し、エタノールの上昇系列(90→99→100%)中で脱水し、キシレンを3回変えて透徹し、DePeXを用いてカバーグラスをかけた。ライカDFC290カメラを備えたオリンパスBX51顕微鏡を使用して、染色した切片を分析した。 図28は、pH9のネガティブコントロール細胞株(パネルB、DおよびF)との比較を上述した抗原賦活法により行ったところ、ポジティブコントロール細胞株(パネルA、CおよびE)の切片中の抗LSR抗体(カタログ番号:ab59646、アブカム)が、3μg/ml、1μg/mlおよび0.3μg/mlのそれぞれの抗体濃度において特異的免疫反応性を示したことを示す。 図29は、pH9のネガティブコントロール細胞株(パネルB、DおよびF)との比較を上述した抗原賦活法により行うと、ポジティブコントロール細胞株(パネルA、CおよびE)の切片中の抗TMEM25(カタログ番号:HPA012163、シグマ)が、3μg/ml、1μg/mlおよび0.3μg/mlのそれぞれの抗体濃度において特異的免疫反応性を示すことを示す。実施例24完全長LY6G6F転写産物におけるコーディングの検証 LY6G6F(配列番号1)をコードする完全長転写産物を以下のように検証した。 1.逆転写反応を以下のように行った。精製したRNA(正常肺)10μgを、Random Hexamerプライマー(インビトロジェン(米国カリフォルニア州カールスバッド)、カタログ番号:48190−011)150ngおよびdNTP 500μMと混合し、全量を156μlとした。混合物を65℃で5分間インキュベートし、次いで氷上で急速冷却した。次いで、5×Superscript II first strandバッファー(インビトロジェン、カタログ番号:18064−014、部品番号:Y00146)50μl、0.1M DTT 24μl、RNasin(プロメガ(米国WSミルウォーキー)、カタログ番号:N2511)400単位を添加し、混合物を25℃で10分間インキュベートし、さらに42℃で2分間インキュベートした。次いで、Superscript II(インビトロジェン、カタログ番号:18064−014)10μl(2000単位)を添加し、42℃で50分間インキュベートして反応させ(最終量:250μl)、次いで、70℃、15分間の条件で反応を失活させた。得られたcDNAをTEバッファー(10mM Tris、1mM EDTA、pH8)で1:20に希釈した。 2.以下の条件で2×GoTaq Ready Mix(プロメガ、カタログ番号:M7122)を使用してPCRを実施した。全反応量25μl中、GoTaq ready mix 12.5μl、上記で得られたcDNA5μl、10μMフォワードプライマー100−690(配列番号51)1μl、10μMリバースプライマー100−691(配列番号52)1μlおよびH2O 5.5μl;95℃5分;94℃30秒→53℃30秒→72℃50秒を35サイクル;次いで72℃10分からなる反応プログラム。プライマーに関する詳細は後掲の表11に示す。 上記のPCR産物を1.2%アガロースゲルに載せ、臭化エチジウムで染色し、1×TAE溶液中において100Vで電気泳動し、UV光で可視化した。QiaQuick Gel Extraction kit(キアゲン、カタログ番号:28707)を使用して、予想されたサイズのバンドをゲルから切り出し抽出した。次いで、上記のプライマーを使用して、精製したDNAの配列決定を行い(テルアビブ大学(イスラエル国))、このDNAがLY6G6F(配列番号1)をコードする完全長転写物であることを検証した。実施例25EGFPに融合させたLY6G6Fをコードする完全長転写産物のクローニング EGFP(高感度緑色蛍光タンパク質)に融合させたLY6G6Fをコードする完全長転写産物のクローニングを以下のように行った。 まずEGFP発現ベクターを構築し、次いで配列番号58に示したアミノ酸配列をコードするLY6G6Fオープンリーディングフレーム(配列番号57)をクローニングした。以下のようにして、EGFPをpIRESpuro3(クロンテック、カタログ番号:631619)にサブクローニングした。EGFP−N1ベクター(クロンテック、カタログ番号:6085−1)をNheIおよびNotIで消化し、EGFP遺伝子を切り出した。次いで、同じ酵素であらかじめ消化したpIRESpuro3(クロンテック、カタログ番号:631619)に、EGFPインサートをライゲートし、EGFP−pIRESpuro3ベクターを得た。 以下の条件においてPlatinum PFX(登録商標)(インビトロジェン(米国カリフォルニア州カールスバッド)、カタログ番号:1178−021)を使用して、PCRを実施した。全反応量50μl中、Platinum PFX 10×バッファー5μl、上記で得られ精製および検証されたDNA2μl、10mM dNTP(各ヌクレオチド:2.5mM)1μl、Platinum PFX酵素1μl、H2O 37μl、ならびに10μMフォワードプライマー100−729(配列番号53)1μlおよび10μMリバースプライマー100−730(配列番号54)1μl(それぞれ10μM);95℃5分;94℃30秒→55℃30秒→68℃60秒を35サイクル;次いで68℃10分からなる反応プログラム。使用したプライマーは、後掲の表11および図6に記載したように、所望のタンパク質座標に対応する遺伝子特異的配列、制限酵素部位、およびコザック配列を含んでいた。表11において、太字は上記の遺伝子特異的配列を示し、イタリック体はクローニングに使用した制限部位を示し、下線部はコザック配列を示す。 上記のPCR産物5μlを1.2%アガロースゲルに載せ、臭化エチジウムで染色し、1×TAE溶液中において100Vで電気泳動し、UV光で可視化した。予想されるバンドサイズの検証後、Qiaquick PCR purification kit(キアゲン(米国カリフォルニア州バレンシア)、カタログ番号:28106)を使用して、残りのPCR産物を処理しDNAを精製した。抽出したPCR産物を、表11に示す制限酵素NheIおよびEcoRI(ニュー・イングランド・バイオラボ(米国マサチューセッツ州ベヴァリー)で消化した。消化した後、DNAを上述のように1.2%アガロースゲルに載せた。QiaQuick Gel Extraction kit(キアゲン、カタログ番号:28707)を使用して、予想されたサイズのバンドをゲルから切り出し抽出した。 消化したDNAを、あらかじめ制限酵素NheIおよびEcoRIで消化したEGFP_pIRESpuro3ベクターに、LigaFast(登録商標) Rapid DNA Ligation System(プロメガ、カタログ番号:M8221)を使用してライゲートした。メーカーの説明書に従って、コンピテントE.Coli細菌DH5α(RBC Bioscience(台湾国台北)、カタログ番号:RH816)を得られたDNAにより形質転換し、次いで、組換えプラスミドを選択するためのLB−アンピシリン寒天平板上に播種し、37℃で一晩インキュベートした。 GoTaq Ready Mix(プロメガ、カタログ番号:M7122)を使用して、陽性クローンのスクリーニングをPCRによって行った。100μg/mlアンピシリンを添加した5mlのTerrific Broth中で、陽性のコロニーを37℃で一晩、振盪しながら増殖させた。Qiaprep Spin Miniprep kit(キアゲン、カタログ番号:27106)を使用して、プラスミドDNAを細菌培養物から単離した。クローニングの正確性は、インサート(Hylabs(テルアビブ大学(イスラエル国))の配列を決定することにより検証した。エラーのないコロニー(すなわち、ORF内に変異がない)の検証後、組換えプラスミドをさらなる分析に供した。 図7に、上記で得られた、EGFPに融合させた完全長LY6G6FのDNA配列(配列番号55)を示す。図7において、LY6G6Fの完全長配列に相応する遺伝子特異的配列を太字で示し、EGFP配列を下線を引いたイタリック体で示す。図8に、上記で得られた、EGFPに融合させた完全長LY6G6Fのアミノ酸配列(配列番号56)を示す。LY6G6Fの完全長配列に相応する遺伝子特異的配列を太字で示し、EGFP配列を下線を引いたイタリック体で示す。実施例26LY6G6Fの細胞内局在の決定 LY6G6F−EGFP融合タンパク質(配列番号56)を使用して、LY6G6Fタンパク質の細胞内局在を決定した。LY6G6Fタンパク質の局在は、一時的にトランスフェクトさせた後に共焦点顕微鏡を使用して観察した(Chen et al., Molecular vision 2002; 8; 372-388)。トランスフェクションの48時間後に、細胞中の蛍光生成物の存在を観察した。 上記のLY6G6F−EGFP pIRESpuro3構築物を以下のようにHEK293T細胞に一時的にトランスフェクトさせた。 あらかじめ加温したDMEM[ダルベッコの改変イーグル培地(バイオロジカルインダストリーズ(イスラエル国Beit Ha’Emek)、カタログ番号:01−055−1A)]+10%FBS(ウシ胎仔血清)+4mM L−グルタミンを2ml使用して、HEK293T(ATCC、CRL−11268)細胞を、6ウェルプレートにセットした滅菌ガラスカバースリップ(直径13mm)(Marienfeld、カタログ番号:01 115 30)上に播種した。1ウェルあたり500,000個の細胞を播種し、94μlのDMEMで希釈したFuGENE6試薬(ロシュ、カタログ番号:11−814−443−001)6μlを使用して上記のDNA構築物2μgをトランスフェクトした。この複合混合物は、室温で15分間インキュベートしてから細胞に滴下し、回転撹拌した。5%CO2を含み37℃に保持されたインキュベーターに細胞をセットした。 一時的なトランスフェクションの48時間後、細胞をさらに処理して共焦点顕微鏡法で分析した。カバースリップをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で3回洗浄し、3.7%パラホルムアルデヒド(PFA)(シグマ、カタログ番号:P−6148)で15分間固定した。PBS中で2回洗浄後、固定したカバースリップを封入液(シグマ、カタログ番号:G0918)を使用してスライドに接着させ、共焦点顕微鏡を使用して細胞中の蛍光生成物の存在を観察した。結果を図9に示す。 図9は、HEK293T細胞において発現されたLY6G6F_EGFP(配列番号56)融合タンパク質が、細胞膜に局在することを示している。画像は共焦点顕微鏡(40倍)を使用して得られた。実施例27LY6G6F、VSIG10、TMEM25およびLSR ECD−マウスIGg2A FC融合タンパク質のクローニングおよび発現 National Center of Biotechnology Information(NCBI)のBlastPソフトウェアを初期パラメータで使用して、ヒトLY6G6F、VSIG10、TMEM25およびLSRタンパク質のマウスオーソログを同定し、このマウスオーソログを動物モデルにおいて使用して、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSR−Ig融合タンパク質の機能に関する概念を実験により実証した。ヒトLY6G6F、VSIG10、TMEM25およびLSRタンパク質に対応するマウスオーソログを、配列番号20、19、9および21にそれぞれ示す。ヒトLY6G6F、VSIG10、LSRおよびTMEM25タンパク質と、それぞれに対応するマウスオーソログとのアミノ酸アライメントおよび比較を図5A、図5B、図5Cおよび図5Dにそれぞれ示す。 マウスTMEM25タンパク質(配列番号9)、LY6G6Fタンパク質(配列番号20)、VSIG10タンパク質(配列番号19)およびLSRタンパク質(配列番号21)のcDNA配列をそれぞれマウスIgG2aFc(配列番号27)のFcドメインに融合させた。すべてのタンパク質について、それぞれに対応する天然のシグナルペプチドをECDにおいて使用した。得られたLY6G6F、VSIG10、TMEM25またはLSR ECD−mIgG2aFc Ig融合タンパク質(配列番号23、24、25、または26)を図10A〜Dにそれぞれ示す。 LY6G6F、VSIG10、TMEM25またはLSR ECD−mIgG2aFc融合タンパク質(配列番号23、24、25または26)を、GPEx(登録商標)レトロベクターにクローニングし、このレトロベクターをキャタレント社の「自家製」CHO−S細胞株に形質導入した。プールした集団を作製し、その生産性を検証した。次いで、プールを増殖させ、プールの相対的生産性および相対的コピー数を決定した。細胞培養上清をキャタレント社のFc ELISAアッセイで分析し、LY6G6F、VSIG10、TMEM25またはLSR ECD−mIgG2aFc融合タンパク質の生産性を確認した。 タンパク質溶液のバイオバーデンおよび内毒素について試験した。ヒトIgG1に融合させたLY6G6F、VSIG10、TMEM25またはLSR ECDのうちのいずれかのヒトECDから構成されるヒト融合タンパク質(図11に示す)も同様の系を使用して発現させた。インビトロにおいて活性化させたマウスおよびヒトT細胞に対するLY6G6F、VSIG10、TMEM25またはLSR ECD−Ig融合タンパク質の効果の評価:実施例28OVAペプチドにより活性化させたDO11.10ナイーブCD4+T細胞に対するLY6G6F、VSIG10、TMEM25またはLSR ECD−IG融合タンパク質の効果 automaxを使用して、抗CD25(Miltenyi、カタログ番号:130−091−072)を含むネガティブソートカクテルでCD4−をソート(Miltenyi、カタログ番号:130−095−248)し、次いで、CD62L+をソート(Miltenyi、カタログ番号:130−049−701)することによって、5匹のDO11.10マウス(Jackson)の脾臓からナイーブCD4+T細胞を単離した。また、1匹のマウスからBalb/c全脾細胞も採取し、3000radの放射線を照射して、DO11.10 CD4+T細胞のための抗原提示細胞(APC)として使用した。96ウェル平底プレート1ウェルあたり5×105個を播種したナイーブCD4+T細胞を、放射線照射したAPCとともに1:1(APC:T細胞)の比率でHL−1培地200μl中において培養し、本明細書に示した濃度のTMEM25−ECD−Ig(配列番号25)、LSR−ECD−Ig(配列番号26)、LY6G6F−ECD−Ig(配列番号23)のいずれかの存在下において、20μg/mlまたは2μg/mlのOVA323−339で活性化した。ポジティブコントロールとして、B7−H4−Ig(R&Dシステムズ)またはCTA4−Ig(mIgG2a Fcに融合させたマウスECD)を使用した。ネガティブコントロールとして、アイソタイプコントロールIg(mIgG2a、BioXCell、カタログ番号:BE0085)を使用した。24時間後にトリチウム化チミジン1μCiを添加して細胞をパルス標識し、72時間後に回収した。 図30に示すように、TMEM25−ECD−Ig、LSR−ECD−IgおよびLY6G6F−ECD−Igは、T細胞の活性化の用量依存的な抑制を誘導する。これは、20μg/ml(図30A〜C、E)または2μg/ml(図30D)のOVA323−339によって誘導したT細胞の増殖が抑制されたことによって実証された。 同様のアッセイを用いて実施した3つの実験において、VSIG10−ECD−Ig融合タンパク質(配列番号24)は活性を示さなかった。実施例29抗CD3/抗CD28コーティングビーズで活性化したナイーブCD4+T細胞に対する、LY6G6F、VSIG10、TMEM25またはLSR ECD−Ig融合タンパク質の効果 上記の実施例に記載したように、automaxでソーティングすることによって、5匹のSJL(Harlan)マウスからナイーブCD4+T細胞を単離した。ビーズは、メーカーのプロトコル(Dynabeads M−450 Epoxy、カタログ番号:140.11、インビトロジェン)に従って、抗CD3(0.5μg/ml;クローン2C11)および抗CD28(2μg/ml;クローン37.51、eBioscience)、ならびに段階的に濃度を増加させた(0.1〜10μg/ml)LSR−ECD−IgまたはmIgG2aアイソタイプコントロール(mIgG2a、BioXCell、カタログ番号:BE0085)でコーティングした。LSR−ECD−Igによるビーズのコーティングに使用した総タンパク質量は、コントロールIgを使用して10μg/mlになるよう調整した。1:2(ビーズ:T細胞)の比率において、ナイーブCD4+T細胞(0.5×106個/ウェル)をコーティングビーズで活性化した。24時間後にトリチウム化チミジン1μCiを用いて細胞をパルス標識し、72時間後に回収した。 LSR−ECD−Ig(配列番号26)は、T細胞の増殖を明らかに抑制し、その効果は用量依存的に発揮された(図31)。 図10および図11に示したTMEM25、LY6G6FおよびVSIG10 ECD−Ig融合タンパク質も、同様のアッセイにおいて試験され、同様の結果が得られる。実施例30活性化マーカーとしてのサイトカインCD69の産生および発現により示された、プレート結合抗CD3により活性化されたマウスCD4+T細胞に対するLY6G6F、VSIG10、TMEM25またはLSR ECD−Ig融合タンパク質の用量依存的効果 メーカーの説明書に従ってCD4+CD62L+T cellアイソレーションキット(Miltenyi、カタログ番号:130−093−227)を使用しネガティブセレクションを行うことによって、BALB/Cマウスの脾細胞およびリンパ節細胞のプールから未感作CD4+CD25−T細胞を単離した。純度は>95%であった。 1μg/ml、5μg/mlおよび10μg/mlのLY6G6F、VSIG10、TMEM25およびLSR ECD−Ig融合タンパク質(配列番号23、24、25および26)の存在下において、96ウェル組織培養プレートに2μg/mlの抗CD3モノクローナル抗体(クローン145−2C11)を4℃で一晩コーティングした。コントロールmIgG2a(BioXCellから入手したクローンC1.18.4;カタログ番号:BE0085)を各ウェルに加えて、各ウェルの総タンパク質濃度が12μg/mlになるよう調整した。各ウェルに1×105個のCD4+CD25−T細胞を播種した。刺激した48時間後に、培養液上清を回収し、マウスIFNγELISAキットを使用して分析し、フローサイトメトリーを使用して、活性化マーカーであるCD69の細胞における発現を分析した。 図32に示した結果において、TCRを刺激後、コントロールであるmIgG2aおよびCTLA4−Igと比較してIFNγの分泌が低下したこと(図32A)およびCD69の発現が減少したこと(図324B)は、LY6G6F、VSIG10、TMEM25およびLSR ECD−Ig融合タンパク質がCD4T細胞の活性化に対する抑制効果を奏することを実証している。実施例31インビトロにおけるCD4+T細胞の分化に対する、LY6G6F、VSIG10、TMEM25またはLSR ECD−Ig融合タンパク質の効果 CD4+T細胞の分化に対するLY6G6F、VSIG10、TMEM25およびLSR−Ig融合タンパク質の抑制能を試験するために、OVA323−339ペプチドに特異性を示すT細胞レセプター(TCR)を有するトランスジェニックマウスであるDO11.10マウスからナイーブCD4+T細胞を単離する。DO11.10 T細胞を使用することによって、同一のCD4+T細胞集団において、ポリクローナル(抗CD3モノクローナル抗体/抗CD28モノクローナル抗体)に特異的な応答とペプチドに特異的な応答の両方を評価することが可能となる。ナイーブCD4+T細胞は、DO11.10マウスから単離された後、抗CD3/抗CD28コーティングビーズの存在下またはOVA323−339ペプチドと放射線照射BALB/c脾細胞との存在下、ならびにLY6G6F、VSIG10、TMEM25もしくはLSR ECD−Ig融合タンパク質、コントロールIg、またはB7−H4 Igの存在下において培養物中で活性化される。Thに刺激が与えられる条件下において、ナイーブCD4+T細胞は以下のように活性化される:Th0細胞−(IL−2)、Th1細胞−(IL−2+IL−12)、Th2細胞−(IL−2+IL−4)、またはTh17細胞−(TGF−β+IL−6+IL−23+抗IL−2)。T細胞の分化およびTh特異的応答に対する効果は、細胞増殖とサブタイプに特異的なサイトカイン(IL−4、IL−5、IL−10、IL−17、IFN−γ)の産生とを測定することによって評価される。実施例32ヒトT細胞の活性化に対する、LY6G6F、VSIG10、TMEM25またはLSR ECD−Ig融合タンパク質の効果の評価 ヒトT細胞応答に対するLY6G6F、VSIG10、TMEM25またはLSR ECD−Ig融合タンパク質の効果は、精製したヒトT細胞を使用した2種の異なるインビトロアッセイによって試験する。一方のアッセイにおいては、抗CD3および抗CD28でコーティングしたビーズを用いてヒトT細胞を活性化し、他方のアッセイにおいては、放射線を照射した自己由来PBMCの存在下、抗CD3抗体および抗CD28抗体を用いて活性化を行う。ヒトT細胞の活性化に対するLY6G6F、VSIG10、TMEM25またはLSR ECD−Ig融合タンパク質の制御活性は、細胞増殖およびサイトカイン放出を測定することによって評価する。調査I−抗CD3および抗CD28でコーティングしたビーズにより活性化したヒトT細胞に対する融合タンパク質の抑制効果 4人の健常人ドナーからナイーブCD4+T細胞を単離し、LY6G6F ECD−Ig融合タンパク質、VSIG10 ECD−Ig融合タンパク質、TMEM25 ECD−Ig融合タンパク質、およびLSR ECD−Ig融合タンパク質のいずれか1つまたはコントロールであるmIgG2aの存在下において、抗CD3モノクローナル抗体/抗CD28モノクローナル抗体コーティングビーズを用いてこのナイーブCD4+T細胞を活性化する。2種の培養系、すなわち、24時間後にトリチウム化チミジンを用いてパルス標識を行い、72時間後に回収を行う培養系と、96時間後に別のプレートから回収を行う培養系とを構築して並行して実施し、LiquiChipを用いてサイトカイン産生を測定する。調査II−放射線を照射した自己由来PBMCにより活性化したヒトT細胞に対する融合タンパク質の抑制効果 健常人ドナー由来の新鮮血からフィコール勾配により全PBMCを単離する。10×106個の全PBMCをEx−Vivo20培地中に再懸濁し、3000radの放射線を照射する。この細胞を使用して、試験タンパク質のいずれか、ならびに抗CD3および抗CD28を提示させ、単離したT細胞をインビトロにおいて活性化させる。残りのPBMCは、Miltenyi社のCD4+T cellアイソレーションキットIIを用いたT細胞の単離に使用する。 活性化を行うために、放射線を照射した5×105個の自己由来PBMCの存在下において、5×105個の単離したT細胞を培養する。抗CD3(0.5μg/ml)および抗CD28(2μg/ml)と、LY6G6F ECD−Ig融合タンパク質、VSIG10 ECD−Ig融合タンパク質、TMEM25 ECD−Ig融合タンパク質およびLSR ECD−Ig融合タンパク質のいずれかまたはコントロールIg(mIgG2a)とを可溶形態で添加する。24時間後にトリチウム化チミジン1μCiを用いて培養物をパルス標識し、72時間後に増殖を測定する。実施例33APC様細胞において異所性発現させたLY6G6F、TMEM25およびLSRタンパク質のヒトT細胞応答に対する効果 ヒトT細胞応答に対するLY6G6F、TMEM25およびLSRの効果は、「T細胞刺激」細胞であるマウス胸腺腫細胞株Bw5147においてLY6G6F、TMEM25およびLSRを異所性発現させることにより評価した。マウス胸腺腫細胞株Bw5147は、ヒトT細胞上においてTCR複合体を誘導することが可能な膜結合型抗ヒトCD3抗体フラグメントを、推定上の共刺激リガンドまたは共抑制リガンドの共発現の存在下または非存在下において発現するよう改変された細胞株である。 LY6G6F(配列番号1)、TMEM25(配列番号7)またはLSR(配列番号11)をコードするコドン最適化cDNAを遺伝子合成し、レトロウイルスベクターpCJK2のSfi−I部位に方向性をもたせてクローニングした。モノシストロン性発現構築物を作製した。この構築物をアガロースゲル電気泳動によって検証し、高レベルの細胞膜結合抗CD3抗体を提示するBw5147細胞(Bw−3/2)(Leitner et al., 2010)において発現させた。ネガティブコントロールとして、「空」ベクター(pCJK2)を形質導入したBw5147細胞を使用した。さらに、コントロールとして、共刺激分子(ICOSLおよびCD70)を発現するBw−3/2細胞、および共抑制分子(B7−H3およびB7−H1/PD−L1)を発現するBw−3/2細胞も使用した。上記の刺激細胞上に発現されるマウス一本鎖抗体と反応するDyLight−649抗マウスIgG(H+L)抗体を使用したFACSによって、刺激を与える抗体である膜結合型抗CD3抗体の均質な高レベル発現を確認した。また、それぞれの刺激細胞における発現モノシストロン性構築物の存在および高レベルの転写をqPCRで確認した。 健常ボランティアドナー由来のバフィーコートまたはヘパリン処理血液からT細胞を精製し、Ficoll−Paque(GEヘルスケア)を使用して標準的な密度遠心分離を行うことによって単核画分を得た。各細胞に対応するビオチン化モノクローナル抗体と常磁性ストレプトアビジンビーズと組み合わせたMACSを用いて、CD11b、CD14、CD16、CD19、CD33およびMHCクラスII提示細胞を除去することによって未感作バルクヒトT細胞を得た(Leitner et al., 2009)。精製されたCD8T細胞およびCD4T細胞は、ビオチン化CD4モノクローナル抗体およびビオチン化CD8モノクローナル抗体を上記のプールに添加することによって得た。ナイーブCD4T細胞は、ナイーブCD4+T cellアイソレーションキットII(Miltenyi Biotec)を使用して単離した。それぞれの細胞を単離した後、細胞の純度をFACSによって分析し、十分な純度(>90%)を有する試料を実験に使用した。 上記の刺激細胞を回収し、カウントし、放射線を照射し(3000rad×2回)、96ウェル平底プレートに播種した(20000個/ウェル)。液体窒素で保存していたMACS精製T細胞を解凍し、カウントし、1ウェルあたり100,000個を添加し、全量を200μl/ウェルとした。1条件につき3つずつウェルを用意した(triplicate)。共培養を48時間行った後、3H−チミジン(最終濃度:0.025mCi;パーキンエルマー/New England Nuclear Corporation(マサチューセッツ州ウェルスレイ))をウェルに添加した。さらに18時間培養した後、プレートの内容物をフィルタープレートで回収し、Pfistershammerら(2004)の記載に従って3H−チミジンの取り込みを測定した。加えて、MACSで精製されたT細胞サブセット(CD8T細胞、CD4T細胞、およびナイーブCD45RA+CD4T細胞)を使用して一連の実験を実施した。また、細胞を顕微鏡で評価するため、およびT細胞非存在下における上記の刺激細胞の3H−チミジンの基礎取り込み量を決定するために、すべての実験において上記の刺激細胞のみを添加したウェルをさらなるコントロールとして使用した。放射線照射後すぐに崩壊した刺激細胞から得られた結果は分析から除外した。 図33に示す結果はいくつかの実験の平均値であり、バルクヒトT細胞(図33A)、CD4+T細胞(図33B)、CD8+T細胞(図33C)またはナイーブCD4 CD45RA+T細胞(図33D)の増殖に対する、LY6G6F、TMEM25またはLSRを発現する刺激細胞の効果を示している。コントロールである共刺激分子(ICOSLおよびCD70)の発現は、すべての亜型細胞において一貫した結果を示しており、増殖を顕著に刺激した。種々のT細胞サブタイプの増殖を軽度に抑制した、コントロールである共抑制分子(B7−H3およびB7−H1/PD−L1)の発現と同様に、LY6G6F、TMEM25およびLSRの発現もT細胞の増殖を軽度に抑制し、その抑制効果はCD8+T細胞において最も顕著であった。実施例34免疫細胞に対する結合プロファイルを決定することによる、LY6G6Fタンパク質、VSIG10タンパク質、TMEM25タンパク質および/またはLSRタンパク質の標的細胞の特性評価 DO11.10マウス(すべてのCD4+T細胞がOVA323−339ペプチドに特異的なT細胞レセプターを発現しているトランスジェニックマウス)から得た脾細胞をOVA323−339ペプチドの存在下で活性化し、初期活性化後、t=0時間、6時間、12時間、24時間および48時間において細胞を回収し、どのタイプの細胞がLY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRを結合するレセプターを発現しているかを経時的に調査する。次いで、細胞を、CD3、CD4、CD8、B220、CD19、CD11bおよびCD11cに対して共染色する。実施例35B細胞のクラススイッチ能および抗体分泌能に対する、LY6G6F、VSIG10、TMEM25またはLSR ECD−Ig融合タンパク質の効果の評価 プライミングしていないC57BL/6マウスから休止B細胞を単離し、抗CD40の存在下かつ(i)外因性サイトカイン非存在下または(ii)IL−4の存在下または(iii)IFN−γの存在下において、インビトロで活性化させる。培養開始時に、コントロールIg(mIgG2a)、抗CD86モノクローナル抗体(Igの産生を増加させるためのポジティブコントロール)、または本明細書の実施例5に記載のLY6G6F ECD融合タンパク質、VSIG10 ECD融合タンパク質、TMEM25 ECD融合タンパク質およびLSR ECD融合タンパク質のいずれか1つを細胞培養に加え、5日間培養を行う。LY6G6F ECD融合タンパク質、VSIG10 ECD融合タンパク質、TMEM25 ECD融合タンパク質およびLSR ECD融合タンパク質は、それぞれ3つの濃度で試験する。培養終了後、上清中にIgM、IgG1およびIgG2aが存在するかどうかをELISAを使用して試験する。抗体を特定のアイソタイプから別のアイソタイプへとクラススイッチさせるB細胞の能力に変化が見られた場合、クラススイッチを起こしたB細胞の数をELISPOTにより測定する。抗体産生細胞の数に変化が見られた場合、IgG1およびIgG2aの成熟転写産物のレベルと比較したときの、γ1−sterile transcriptおよびγ2a−sterile transcriptのレベルに変化があるかどうかを確認する。自己免疫疾患の治療における、LY6G6F、VSIG10、TMEM25またはLSR ECD−Ig融合タンパク質の治療効果の評価実施例36多発性硬化症マウスR−EAEモデルにおけるLY6G6F、VSIG10、TMEM25またはLSR ECD−Ig融合タンパク質の有効性 自己免疫疾患の治療における、TMEM25−ECD−Ig融合タンパク質、LSR−ECD−Ig融合タンパク質およびVSIG10−ECD−Ig融合タンパク質(配列番号25、26および24)の治療効果を、多発性硬化症マウスモデル(再発寛解型実験的自己免疫性脳脊髄炎(R−EAE))を用いて試験した。 6週齢の雌性SJLマウスをHarlanから購入し、実験開始前の1週間、CCMの施設において飼育した。マウスをランダムに10匹の群に分け、0日目にPLP139−151/CFA50μgを用いてプライミングした。TMEM25−ECD−Ig(配列番号25)、LSR−ECD−Ig(配列番号26)、mIgG2aアイソタイプコントロール、またはポジティブコントロールとしてのCTLA4−Ig(マウスIgG2a Fcに融合させたマウスECD)の注射剤を100μg/投与でマウスに計6回腹腔内投与した。治療は疾患の寛解が見られたときから開始し、1週あたり3回の投与を2週間にわたって行った。マウスにおける疾患の症状を追跡調査した。35日目(疾患の再発のピーク)において、各群の5匹のマウスの一方の耳にPLP139−151 10μgを注射し、他方の耳にPLP178−191 10μgを注射することによって、疾患誘導エピトープ(PLP139−151)に対するDTH(遅延型過敏)応答、および再発関連ミエリンエピトープ(PLP178−191)に対するDTH(遅延型過敏)応答を分析した。チャレンジの24時間後に耳の腫脹レベルを分析した。 この実施例は、図34Aに示すように、100μg/投与でTMEM25−ECD−Ig(配列番号25)またはLSR−ECD−Ig(配列番号26)を週3回投与する治療方法によって治療を行うと、R−EAE誘導マウスにおける疾患重症度が顕著に減少することを示している。抑制のレベルはCTLA4−Igによるものと類似していた。 さらに、TMEM25−ECD−Ig(配列番号25)またはLSR−ECD−Ig(配列番号26)によりR−EAEマウスを治療すると、35日目において、疾患誘導エピトープ(PLP139−151)に対するDTH応答、および再発関連エピトープ(PLP178−191)に対するDTH応答が劇的に抑制された(図34B)。 TMEM25−ECD−Ig(配列番号25)の有効性の用量依存性およびPLP誘導R−EAEモデルにおけるその作用機序を試験するために、上記のように疾患を誘導し、疾患の寛解が見られたときから、100μg/投与、30μg/投与または10μg/投与でTMEM25−ECD−Igを週3回、2週間にわたって投与することによりマウスを治療した。高用量(100μg/投与)での効果とは顕著に異なる、低用量の試験量(10μg/投与)で観察された穏やかな効果において示されるように、TMEM25−ECD−Igは用量依存的に疾患重症度レベルを低下させた(図35A)。加えて、TMEM25−ECD−Igは、45日目および76日目において、応答が拡大されたエピトープであるPLP178−191およびMBP84−104に対するDTH応答を抑制した(図35B)。さらに、TMEM25−ECD−Igは、45日目および76日目の脾細胞ならびに45日目の頸部リンパ節細胞において、PLP139−151、PLP178−191およびMBP84−104に対するリコール応答を抑制した(図35Cおよび図35D)。これは、主として、増殖の抑制ならびにIFN−γおよびIL−17の放出の低下により示された。さらに、TMEM25−ECD−Igは、30μg/投与のTMEM25−ECD−Igによる治療後、マウスの頸部リンパ節細胞からのIL−4およびIL−10の放出を抑制する。これらの条件下、脾細胞からのIL−4およびIL−10の放出については一貫した効果は見られなかった。 R−EAEモデルにおけるTMEM25−ECD−Ig(配列番号25)の有益な効果は、CNSへの免疫細胞の浸潤の有意な減少をももたらした(図35E)。CNSにおいて試験した細胞系はいずれも有意な変化を示さなかったが、CD4+T細胞および樹状細胞(Dc)(CD11C+)の減少ならびにB細胞(CD19+)集団の増加において明確な傾向が見られた。しかしながら、これらに統計的有意差は見られなかった(図35E)。 VSIG10−ECD−Ig(配列番号24)も、PLPにより誘導した上記のR−EAEモデルにおいて試験した。治療は寛解が見られた日から開始し、100μg/投与を3回/週、2週間にわたり投与した。疾患スコアの低下によって示されるように、VSIG10−ECD−Igは疾患重症度を有意に低下させた(図36A)。このモデルにおけるVSIG10−ECD−Igの有益な効果は、45日目および76日目において、PLP178−191からMBP84−104へのDTH応答の拡大が抑制されたことによっても示された(図36B)。さらに、VSIG10−ECD−Ig(配列番号24)は、45日目に採取された脾細胞および排出(頚部)リンパ節細胞における、誘導エピトープPLP139−151または応答拡大エピトープPLP178−191およびMBP84−104による活性化に応答したリコール応答を抑制した(図36Cおよび図36D)。これは、増殖の抑制ならびにIFN−γ、IL−17、IL−4およびIL−10の分泌低下により示された。 興味深いことに、76日目において、VSIG10−ECD−Ig(配列番号24)は、MBP84−104により誘導された脾細胞増殖のみを抑制し、早期のミエリンエピトープにより誘導された脾細胞増殖を抑制しなかった(図36C)。R−EAEモデルにおけるVSIG10−ECD−Igによる治療は、CNSへの免疫細胞の浸潤を有意に減少させたことが明らかであったが、リンパ節における細胞数の増加は有意なものではなかった(図36E)。CNSにおいて減少した主要な細胞サブタイプはCD4+T細胞であったが、CNSにおいてCD19+B細胞およびCD11c+Dcに明確な減少傾向が見られた。すべての免疫細胞サブタイプはリンパ節において有意に増加したが、このことは、VSIG10−ECD−Igが、リンパ節からCNSへの免疫細胞の移動を抑制している可能性を示唆している。 LY6G6F−ECD−Ig融合タンパク質は多発性硬化症の類似モデルにおいて調査する。実施例37関節リウマチマウスCIAモデルにおけるLY6G6F、VSIG10、TMEM25またはLSR ECD−Ig融合タンパク質の有効性調査I: LSR−ECD−Ig(配列番号26)は、関節リウマチモデルであるコラーゲン誘導関節炎(CIA)のマウスモデルにおいて試験した。雄性DBA/1マウスを8〜10匹の群に分けて収容し、食餌および水を自由に摂取させ、12時間の明/暗サイクルで21℃±2℃において飼育した。関節炎は、完全フロイントアジュバント中に乳化させたタイプIIコラーゲンで免疫処置することによって誘導した。マウスの関節炎の徴候を毎日モニタリングした。関節炎(1日目)の徴候を確認後、LSR−ECD−Ig(配列番号26)、mIgG2aアイソタイプコントロール、またはポジティブコントロールとしてのCTLA4−Ig(マウスIgG2a Fcに融合させたマウスECD)(それぞれ100μg/投与)による処置を開始し、10日間にわたって週3回投与した。後肢足底の腫脹ならびに四肢すべての関節病変の数およびその程度を(マイクロキャリパーを使用して)測定した。これによって、統計評価に使用することが可能な2種類の測定値、すなわち臨床スコアおよび足底の厚さを得た。 処置期間の終わりにマウスから採血を行い屠殺した。組織学的分析を行うため、マウスの死後に肢部を採取し、緩衝ホルマリン(10%v/v)中で固定し、次いで緩衝ホルマリン(5.5%w/v)中EDTAで脱灰した。次いで、組織をパラフィンに包埋し、薄切し、ヘマトキシリンおよびエオシンで染色する。採点法は以下のとおりである。0=正常;1=滑膜炎が見られるが、軟骨の減少および骨侵食は見られないか、個々の病巣に限定されている;2=滑膜炎および有意な侵食が見られるが、関節構造は正常であり損傷がない;3=滑膜炎、広範囲な侵食、関節構造の破壊が見られる。 LSR−ECD−Igを10日間にわたって週3回、100μg/投与で投与することによりCIA発症マウスを処置すると、臨床スコア(図37A)、肢部の腫脹(図37B)、および組織学的障害(図37C)が強力に低下することがこの実施例において示された。LSR−ECD−Ig(配列番号26)の有効性はCTLA4−Igによるものと類似していた。 TMEM25−ECD−Ig、VSIG10−ECD−IgおよびLY6G6F−ECD−Igの有効性をこのCIAモデルで評価する。 完全フロイントアジュバント中に乳化したタイプIIコラーゲンによるブーストを21日目に行った、TMEM25−ECD−Ig(配列番号25)またはLSR−ECD−Ig(配列番号26)による処置は、より重度なCIAモデルにおいて有効性を示さなかった。この重度CIAにおいては、同様の投薬計画および用量で投与されたエンブレル、ポジティブコントロールは非常に弱い有効性を示した。アジュバントを使用せずにタイプIIコラーゲンによるブーストを21日目に行ったTMEM25−ECD−Igによる処置も、CIAモデルにおいて治療効果を示さなかった。調査II: 改変CIAモデルを使用して、このCIAモデルにおけるLY6G6F ECD−Ig融合タンパク質の有効性を以下のように評価した。雌性DBA/1マウス(9〜11週齢、Taconic Farms)を7日間かけて順応させた。0日目に、ニワトリコラーゲン/CFA、具体的には、マウス1匹あたり0.05mLのEK−0210乳液(Hooke Laboratories,Inc.)を用いてマウスを免疫し、20日目に、ニワトリコラーゲン/IFA、具体的には、マウス1匹あたり0.05mLのEK−0211乳液(Hooke Laboratories,Inc.)によるブースター注射を行った。マウスの採点評価を毎日行い、関節炎を発症した日に以下の処置群のいずれか1つに割り振った。群1:LY6G6F−ECD−Ig(配列番号23)を2週間にわたって1日おきに30mg/kgの用量で10mL/kgを腹腔内投与群2:ビヒクル(PBS)を2週間にわたって1日おきに10mL/kg投与(ネガティブコントロール) それぞれの群に割り振った後、臨床的徴候および関節の強直について以下の採点法に従いマウスを1日おきに採点評価した。 関節炎の発症後にLY6G6F−ECD−Igを2週間にわたって1日おきに30mg/kg投与することによりCIA発症マウスを処置すると、疾患スコア(図38)の低下に示されるように関節炎が緩和されることがこの実施例において示された。 VSIG10−ECD−Ig(配列番号24)およびTMEM25−ECD−Ig(配列番号25)の有効性は相似モデルにおいて評価する。調査III:CIA移植モデルにおける寛容誘導に対する、LY6G6F、VSIG10、TMEM25およびLSR ECD−Ig融合タンパク質の効果 免疫調節におけるLY6G6F、VSIG10、TMEM25およびLSR ECD−Ig融合タンパク質の効果をさらに理解するために、これらのタンパク質が関節炎移植モデルにおいて寛容を誘導する能力を分析する。 簡潔に述べれば、LY6G6F、VSIG10、TMEM25およびLSR ECD−Ig融合タンパク質(配列番号23、24、25および26)またはコントロールIg2aを用いて10日間にわたり処置した関節炎DBA/1マウスに由来する脾臓細胞およびリンパ節(LN)細胞を採取し、T細胞欠損C.B−17SCID被移植マウスに腹腔内注射する。次いで、関節炎の移植を成功させるために必要なタイプIIコラーゲン100μgを(CFAを用いずに)マウスに注射する。次いで、SCIDマウスにおいて関節炎をモニタリングする。組織学的試験を行い、抗コラーゲン抗体レベル測定することにより、LY6G6F、VSIG10、TMEM25およびLSR ECD−Ig融合タンパク質による処置が長期的に疾患を予防できることを判断できる。実施例38TMEVウイルス感染モデルにおける、LY6G6F、VSIG10、TMEM25またはLSR ECD−Ig融合タンパク質の効果の評価 タイラーマウス脳脊髄炎ウイルス(TMEV)は、このウイルスの感染を受けやすいマウス株(SJL/J、H−2KS)において、原発性進行型MSに類似した誘導性脱髄疾患(TMEV−IDD)を引き起こす、天然に存在するマウス特有の病原体である(Munz et al., Nat Rev Immunol 2009;9:246-58)。TMEV感染症は、CNSにおける持続性ウイルス感染を生涯にわたってもたらし、炎症を起こしたCNSの内因性のミエリンエピトープに対するCD4T細胞応答のデノボ活性化を介して、慢性T細胞媒介性自己免疫性脱髄疾患の発症を引き起こす(すなわちepitope spreading)(Miller et al., Nat Med 1997;3:1133-6; Katz-Levy et al., J Clin Invest 1999;104:599-610)。 SJLマウスは、感染後21日以内にウイルスの大部分を排除するが、小膠細胞、星状細胞およびニューロンにおける潜在的ウイルス感染は持続する。疾患は感染後約25〜30日目に症状を示す。 ウイルス感染症の急性期および慢性期に対する、LY6G6F、VSIG10、TMEM25またはLSR Ig融合タンパク質(配列番号23、24、25および26)の治療効果は、TMEV−IDDモデルにおいてウイルス排除および疾患重症度を評価することによって調査する。方法: 雌性SJL/Jマウス(5〜6週)の右大脳半球に、3×107プラーク形成単位(PFU)のTMEV BeAn株8386を含む無血清培地30μlを頭蓋内接種することによって、マウスをTMEVに感染させる。感染の2日後から、コントロールIg、LY6G6F ECD−Ig融合タンパク質、VSIG1 ECD−Ig融合タンパク質、TMEM25 ECD−Ig融合タンパク質またはLSR ECD−Ig融合タンパク質を、それぞれ100μg/投与で3回/週、2週間にわたって投与することによりマウスを治療する。 マウスの臨床スコアを追跡調査する。感染後7日目および14日目において(すなわち、治療を3回行った後および治療を6回行った後)、各治療群の5匹のマウスから脳および脊髄を採取し、プラークアッセイに使用する。プラークアッセイの終了後にCNS組織のPFU/mgの比率を算出するため、組織の重量を計測しておく。TMEVプラークアッセイ: 感染後7日目および14日目において、LY6G6F ECD−Ig融合タンパク質、VSIG10 ECD−Ig融合タンパク質、TMEM25 ECD−Ig融合タンパク質もしくはLSR ECD−Ig融合タンパク質(配列番号23、24、25および26)、またはコントロールIg(マウスIgG2a)で処置したマウスの脳および脊髄を、麻酔をかけたマウスから灌流せずに採取する。脳および脊髄の重量を計測しホモジナイズする。CNSホモジネートをDMEMで段階的に希釈して、組織培養処理プレート中のコンフルエントなBHK−21細胞に加え、周期的な緩やかに揺らしながら室温で1時間インキュベートする。 培地/寒天溶液を1:1(容積:容積)を混合して細胞に加え、室温で凝固させる。次いで、プレートを34℃で5日間培養する。培養の終了後、BHK単層を固定するため、ホルマリン1mlを添加し室温で1時間インキュベートする。ホルマリンを廃液容器に廃棄し、寒天をプレートから取り外す。クリスタルバイオレットで5分間染色することによりプラークを可視化し、プレートをdiH2Oで穏やかにすすぐ。各プレートのプラーク数にホモジネートの希釈倍率を掛け、次いで、各プレートに加えたホモジネートの量で割ることにより、ホモジネート中PFU/mlを決定する。PFU/mlを組織の重量で割って、組織中PFU/mgを算出する。実施例39マウスインフルエンザモデルのウイルス感染における一次および二次免疫応答に対する、LY6G6F、VSIG10、TMEM25またはLSR ECD−Ig融合タンパク質の効果の評価 ウイルス感染による一次免疫応答および二次免疫応答に対する、LY6G6F、VSIG10、TMEM25またはLSR ECD−Ig融合タンパク質(配列番号23、24、25および26)の効果を試験するため、Teijaro et al., J Immunol. 2009: 182; 5430-5438および以下に記載の方法で作製された、BALB/c ナイーブマウス(一次免疫応答用)および「HAメモリーマウス」ならびに「ポリクローナルインフルエンザメモリーマウス」(メモリーCD4T細胞によって媒介される二次応答の評価用)を使用する。 「HAメモリーマウス」を得るために、まず、HA特異的メモリーCD4T細胞を作製する。HA−TCRマウス[インフルエンザ赤血球凝集素(HA)ペプチド(110−119)に特異的なトランスジェニックT細胞レセプター(TCR)を発現するBALB/c−HAマウス]の脾臓からナイーブCD4T細胞を精製し、5.0μg/ml HAペプチドおよびマイトマイシンCで処理しかつT細胞を除去したBALB/c脾細胞をAPCとして使用して37℃で3日間培養することにより、インビトロにおいてプライミングする。得られた活性化HA特異的エフェクター細胞を、コンジェニック系BALB/c(Thy1.1)宿主(5×106細胞/マウス)に移入して、HA特異的メモリーCD4T細胞の安定した集団としての「HAメモリーマウス」を得る。 「ポリクローナルメモリーマウス」得るためには、PR8インフルエンザの亜致死量をBALB/cマウスに鼻腔内感染させ、感染の2〜4ヶ月後にCD4T細胞を単離し、ELISPOTを使用してインフルエンザに特異的なメモリーCD4T細胞の頻度を決定することにより、ポリクローナルなインフルエンザ特異的メモリーCD4T細胞をまず作製する。あらかじめプライミングしたマウスから得られたCD4T細胞をBALB/c宿主に移入し、内因性T細胞の完全な亜集団を備えた「ポリクローナルインフルエンザメモリー」マウスを作製する。 ナイーブBALB/cマウスまたはBALB/c−HAメモリーマウスおよびBALB/c「ポリクローナルインフルエンザメモリーマウス」に、亜致死量または致死量のPR8インフルエンザウイルスを鼻腔内投与により感染させることによって、インフルエンザウイルスに対する一次応答および二次応答を試験する。 インフルエンザチャレンジの前後において、LY6G6F、VSIG10、TMEM25もしくはLSR ECD−Ig融合タンパク質、またはmIgG2aコントロールでマウスを処置する。体重減少および死亡率のモニタリングを毎日行う。チャレンジの6日後、気管支肺胞洗浄(BAL)を採取して洗浄液中のウイルス含有量を分析し、MDCK細胞における50%組織培養感染量(TCID50)を決定することによって上清中のウイルス含有量を試験する。さらに、肺組織の組織病理学的調査を実施する。 T細胞増殖に対する、LY6G6F ECD−Ig融合タンパク質、VSIG10 ECD−Ig融合タンパク質、TMEM25 ECD−Ig融合タンパク質およびLSR ECD−Ig融合タンパク質の効果を試験するために、感染後3日目、4日目および5日目において、BALB/cまたはBALB/c−HAメモリーマウスまたは、BALB/c「ポリクローナルインフルエンザメモリーマウス」を上記と同様にして感染させ、BrdU(1mg/投与)を投与する。6日目に、脾臓および肺を採取し、BrdUの取り込みを評価する。また、インビトロにおいて、LY6G6F、VSIG10、TMEM25もしくはLSR ECD−Ig融合タンパク質またはIgG2aの存在下、HAペプチドで18時間刺激したHA特異的メモリーCD4T細胞を用いて、インフルエンザチャレンジの際の肺のメモリーCD4T細胞によるサイトカイン産生についても調査する。実施例40マウスインフルエンザモデルのウイルス感染における一次および二次CD8T細胞応答に対する、LY6G6F、VSIG10、TMEM25 またはLSR ECD−Ig融合タンパク質の効果の評価 インフルエンザウイルスよる一次CD8T細胞応答に対する、LY6G6F ECD−Ig融合タンパク質、VSIG10 ECD−Ig融合タンパク質、TMEM25 ECD−Ig融合タンパク質およびLSR ECD−Ig融合タンパク質(配列番号23、24、25および26)の効果を、鼻腔内投与または腹腔内投与によりインフルエンザA型HKx31に感染させたC57BL/6マウスを使用し、文献(Hendriks et al., J Immunol 2005;175;1665-1676; Bertram et al., J Immunol. 2004;172:981-8)に記載の方法に従って調査する。LY6G6F、VSIG10、TMEM25もしくはLSR ECD−Ig融合タンパク質またはmIgG2aコントロールはプライミング中に投与する。マウスの体重減少および死亡率のモニタリングを毎日行う。ウイルス特異的CD8+T細胞を追跡調査するため、主要なCD8T細胞エピトープを搭載させたMHC H−2Db四量体、すなわちNP366−374ペプチドを使用する。肺、排出リンパ節および脾臓におけるウイルス特異的H−2Db/NP366−374+CD8+T細胞は、感染後約8日目〜10日目でピークに達し、その後わずか1.5%まで減少することが予想される(Hendriks et al J Immunol 2005;175;1665-1676; Bertram et al., J Immunol. 2002 ;168:3777-85; Bertram et a., J Immunol. 2004;172:981-8)。したがって、感染後8日目および21日目にマウスを屠殺し、肺、排出リンパ節および脾臓におけるウイルス特異的CD8T細胞の数を評価する。ウイルス排除を評価する。上記の記載(Bertram et al., J Immunol. 2004;172:981-8)および以下の詳述に従った細胞内IFN−γ染色およびCTL活性などにより、脾細胞懸濁液を用いてCD8T細胞応答を評価する。 FITC結合抗マウスCD62LおよびPE結合抗マウスCD8で細胞を表面染色して、CD8+活性化T細胞を測定する(または抗マウスCD4を使用してCD4+細胞を測定する)。これらの抗体に加えて、マウスクラスI MHC分子H−2Db、β2−ミクログロブリンおよびインフルエンザNPペプチド(NP366−374)からなるアロフィコシアニン標識四量体を使用して、インフルエンザ特異的CD8T細胞を測定する。細胞内IFN−γの染色を行うため、1μM NP366−374ペプチドおよびGolgiStop(BD PharMingen(カリフォルニア州サンディエゴ))を用いて、培養培地中において37℃で6時間にわたり細胞懸濁液を再び刺激する。次いで、細胞を採取し、PBS/2%FCS/アジ化物中に再懸濁し、上記のPE−抗−CD8およびFITC−抗−CD62Lで染色表面する。表面染色後、Cytofix/Cytoperm solution(BD PharMingen)で細胞を固定し、次いで1×perm/wash solution(BD PharMingen)で希釈したアロフィコシアニン結合抗マウスIFN−γで染色する。試料をフローサイトメトリーで分析する。 細胞毒性アッセイ(CTL応答)を行うため、インフルエンザに感染したマウスから得られた脾細胞を37℃で2時間インキュベートして付着細胞を除去する。Bertram et al 2002 and Bertram et al 2004の記載に従い、3倍ずつ段階希釈したエフェクター細胞を使用して、50μM NP366−374ペプチドで6時間かけてパルス標識した51Cr標識EL4細胞に対する、該エフェクター細胞の抗インフルエンザNP366−374特異的CTL活性について分析する。 感染の3週間後、中和抗体が二次CTL応答を制限しないように、血清学的に異なるインフルエンザA型/PR8/34(PR8)(インフルエンザA型HKx31とNP遺伝子を共有しているが、赤血球凝集素およびノイラミニダーゼが異なっている)を用いて何匹かのマウスを再チャレンジさせる。HendriksらおよびBertramら(Hendriks et al., J Immunol 2005;175;1665-1676; Bertram et al., J Immunol. 2004;172:981-8)の記載および上記の詳述に従って、ウイルス再チャレンジ後5日目および7日目にマウスを屠殺し、肺、排出リンパ節および脾臓におけるウイルス特異的CD8T細胞の数を評価する。上述のように、細胞内IFN−γ染色およびCTL活性を含む、二次CD8T細胞応答を、ウイルス再チャレンジ後5日目および7日目においてマウスの脾細胞懸濁液を用いて評価する。 二次応答におけるメモリーCD8+T細胞の増殖および蓄積に対するLY6G6F ECD−Ig融合タンパク質、VSIG10 ECD−Ig融合タンパク質、TMEM25 ECD−Ig融合タンパク質およびLSR ECD−Ig融合タンパク質の効果を決定するために、上述の方法(Hendriks et al., J Immunol 2005;175;1665-1676; Bertram et al., J Immunol. 2004;172:981-8)に従って、養子移入実験を実施する。インフルエンザA型HKx31でマウスを免疫する。21日後に、マウスT細胞免疫細胞濃縮カラム(Cedarlane Laboratories(カナダ国オンタリオ州ホーンズビー))を用いて脾臓からT細胞を精製し、CFSEで標識する(あるいは、Thy1.1コンジェニック系マウスをレシピエントとして使用する)。同数の四量体陽性のT細胞をレシピエントマウスの尾静脈に注射する。上述のようにマウスをインフルエンザウイルスに再チャレンジさせ、7日後に、上述のように脾細胞中のドナーウイルス特異的CD8T細胞について評価する。実施例41疲弊T細胞におけるタンパク質の発現、ならびにLY6G6F、VSIG10、TMEM25またはLSR ECD−Ig融合タンパク質の疲弊T細胞表現型への結合および疲弊T細胞表現型に対する改善効果の評価 メモリーCD8T細胞の分化は、急性ウイルス感染後と慢性ウイルス感染後とで異なった経路に沿って進む(Klenerman and HillNat Immunol 6, 873-879, 2005)。急性ウイルス感染後に産生されるメモリーCD8T細胞は機能性が高く、防御免疫の重要な構成要素である。これとは対照的に、慢性感染症は、様々な程度のウイルス特異的T細胞応答の機能障害を特徴とすることが多く、この機能障害が、持続感染している病原体を宿主が排除できない主な理由となっている。機能性エフェクターT細胞は、当初は感染の初期段階において産生されるが、感染が慢性化するのに伴い徐々にその機能を失い、T細胞の機能障害を特徴とする疲弊表現型が発生する。調査I.感染ウイルスの排除、ならびに急性および慢性ウイルス感染におけるT細胞機能に対する、LY6G6F ECD−Ig融合タンパク質、VSIG10 ECD−Ig融合タンパク質、TMEM25 ECD−Ig融合タンパク質およびLSR ECD−Ig融合タンパク質の効果 急性および慢性ウイルス感染におけるLY6G6F ECD−Ig融合タンパク質、VSIG10 ECD−Ig融合タンパク質、TMEM25 ECD−Ig融合タンパク質およびLSR ECD−Ig融合タンパク質(配列番号23、24、25および26)の効果は、Wherry et al J. Virol. 77: 4911-4927, 2003およびBarber et al Nature, 2006によって記載された方法論ならびに以下に詳述する方法論に従い、LCMV(リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス)感染症を有するマウスモデルにおいて評価する。 成体マウスにおいて急性または慢性の感染症を引き起こすことができる2種のLCMV株、すなわち1週間以内に排除されるArmstrong株と、数ヶ月間にわたりうる持続感染を確立するクローン13株とを使用する。これらの2種の株は、公知のT細胞エピトープをすべて保存しつつ、2個のアミノ酸においてのみ相違することから、急性または慢性のウイルス感染後に同じCD8T細胞応答を追跡することが可能である。Armstrong株による急性感染症の後に極めて強力なメモリーCD8T細胞が産生されるのとは対照的に、持続的なクローン13株による感染ではLCMV特異的CD8T細胞は疲弊してしまう(Wherry et al J. Virol. 77: 4911-4927, 2003; Barber et al., Nature. 2006;439:682-7)。 2×105PFUのLCMV Armstrong株を腹腔内投与することによってマウスを感染させて急性感染症を発症させ、または2×106PFUのCl−13を静脈内投与することにより慢性感染症を発症させる。LY6G6F、VSIG10、TMEM25もしくはLSR ECD−Ig融合タンパク質、またはmIgG2aコントロールと、特異的抗LY6G6F、抗VSIG10、抗TMEM25もしくは抗LSR抗体またはアイソタイプコントロールとを腹腔内投与することによってマウスを処置する。 DbNP396−404およびDbGP33−41などの、急性感染症と慢性感染症とで異なっているウイルス特異的MHC四量体エピトープを使用して、マウス脾臓中のウイルス特異的CD8T細胞の数をモニタリングする。Wherry et al J. Virol. 77: 4911-4927, 2003に記載されているように、かつ実施例40の記載と同様に、細胞内サイトカインレベルおよびCTL活性などのCD8T細胞機能アッセイを実施する。さらなるアッセイとして、ウイルス特異的エピトープによる刺激後の脾細胞による産生;ならびに血清中、脾臓、肝臓、肺および腎臓におけるウイルスの力価の評価が挙げられる(Wherry et al J. Virol. 77: 4911-4927, 2003; Barber et al., Nature. 2006;439:682-7)。調査II.T細胞の疲弊におけるLY6G6F、VSIG10、TMEM25およびLSRまたはそれらの対応レセプターによる制御を調査するための、疲弊T細胞におけるLY6G6F、VSIG10、TMEM25およびLSRの発現、ならびに疲弊T細胞へのLY6G6F、VSIG10、TMEM25およびLSR ECD−Ig融合タンパク質の結合の評価 Cl−13株で誘導した慢性LCMV感染症を有するマウスからT細胞を単離する。ポジティブコントロールとしての蛍光標識抗PD−1抗体(PD−1は疲弊T細胞により高発現される)と、ビオチン化LY6G6F、VSIG10、TMEM25およびLSR ECD−Ig融合タンパク質、またはビオチン化抗LY6G6F、抗VSIG10、抗TMEM25および抗LSR融合タンパク質抗体と、それぞれのアイソタイプコントロールとを用いて細胞を共染色する。蛍光標識したストレプトアビジンを使用したFACS分析によって結合を検出する。実施例42濾胞ヘルパーT(Tfh)細胞におけるLY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRタンパク質の発現、ならびにTfh細胞へのIg融合タンパク質の結合の評価 濾胞ヘルパーT(Tfh)細胞は、B細胞の補助に特化したCD4+T細胞サブセットである(Crotty, Annu. Rev. Immunol. 29: 621-663, 2011において再検討されている)。Tfh細胞は、リンパ節内のB細胞濾胞に移行し、T細胞領域とB細胞濾胞の境界において対応するB細胞(cognate B cell)と相互作用し、次いで、胚中心B細胞への分化および濾胞内における胚中心形成を誘導する(Crotty, Annu. Rev. Immunol. 29: 621-663, 2011において再検討されている)。B細胞の補助にTfh細胞が必要であることおよびT細胞依存性抗体応答は、この細胞が様々な種類の感染性因子に対する感染防御免疫や合理的なワクチン設計に非常に重要であることを示している。 Tfh細胞は、急性リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)感染症に対するCD4+T細胞応答のピークにおいて、CXCR5hiSLAMloBTLAhiPD1hiBcl6+ウイルス特異的CD4+T細胞として容易に識別可能である(Choi et al 2011, Immunity 34: 932-946)。2×105PFUのLCMV Armstrong株を腹腔内投与することにより誘導した急性LCMV感染症を有するマウスからT細胞を単離する。Tfh細胞に高発現されるTfhマーカー(CXCR5、PD1、BTLA、Bcl6)に対する蛍光標識抗体と、ビオチン化LY6G6F、VSIG10、TMEM25、およびLSR ECD−Ig融合タンパク質、またはLY6G6F、VSIG10、TMEM25およびLSRに特異的なビオチン化抗体と、それぞれのアイソタイプコントロールとを用いて細胞を共染色する。蛍光標識したストレプトアビジンを使用したFACS分析によってFc融合タンパク質または抗体の結合を検出する。実施例43濾胞ヘルパーT(Tfh)細胞の産生および活性に対するLY6G6F、VSIG10、TMEM25またはLSR−Ig融合タンパク質の効果の評価 Tfhの分化およびインビボB細胞免疫の発生に対するLY6G6F、VSIG10、TMEM25およびLSR ECD−Ig融合タンパク質の効果を調べるために、LCMV(リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス)のArmstrong株による急性ウイルス感染症の全経過において、LY6G6F、VSIG10、TMEM25およびLSR ECD−Ig融合タンパク質と、アイソタイプコントロールとを用いてC57BL/6を処置する。Tfhの分化およびBcl6タンパク質発現は、Eto et al 2011 (PLoS One 6: e17739)に記載されているようなFACS分析によって評価する。LCMV感染症の8日後に脾細胞を分析し、FACS分析によってTfhの産生(CD44hiCXCR5hiSLAMlo)およびBcl6の発現を評価する。さらに、Eto et al 2011 (PLoS One 6: e17739)に記載されているように、抗原特異的B細胞応答に対する、LY6G6F、VSIG10、TMEM25およびLSR ECD−Ig融合タンパク質(配列番号23、24、25および26)の効果を、LCMV感染症の8日後の血清中の抗LCMV IgGの力価の測定、およびCD19+脾細胞にゲーティングした感染8日後における、形質細胞(CD138+IgD−)の産生のFACS分析による定量などで評価する。実施例44NODマウス、CD28−KO NODおよびB7−2−KO NODにおける1型糖尿病の調節に対するLY6G6F、VSIG10、TMEM25およびLSR ECD−Ig融合タンパク質の効果 LY6G6F、VSIG10、TMEM25およびLSR ECD−Ig融合タンパク質の効果を、1型糖尿病マウスモデルとして広く使用されている自然発症非肥満性糖尿病(NOD)マウスにおいて調査する。NODマウスでは、特発性膵島炎(特徴的病変)がいくつかの特徴的な段階を経て発症し、膵島周囲炎(peri−insulitis)から始まり、浸潤性および破壊性の膵島炎ならびに顕性糖尿病で終わる。膵島周囲炎は3〜4週齢において最初に観察され、浸潤性膵島炎は8〜10週齢において観察され、破壊性膵島炎は臨床的糖尿病を発症する直前に見られ、最も早い場合は10〜12週齢において観察される。20週齢の雌性NODマウスの70〜80%は糖尿病を発症する(Ansari et al 2003 J. Exp. Med. 198: 63-69)。 2種のKOマウス:加速された糖尿病を発症するCD−28−KO NODマウスおよびB7−1/B7−2ダブルKO NODマウス(Lenschow et al 1996 Immunity 5: 285-293; Salomon et al 2000 Immunity 12: 431-440)を使用する。調査I: 糖尿病の経過の早期および後期、発症前または発症後に、LY6G6F、VSIG10、TMEM25またはLSR ECD−Ig融合タンパク質(配列番号23、24、25および26)を用いてNODマウスを処置することによって、この疾患の発病機序に対するこれらの化合物の効果を調査し、かつ、このような治療が疾患の発症を低下させ、発病機序を改善することを実証する。膵島炎に対する効果を調査するためには、血糖レベルを3回/週、25週まで測定する(Ansari et al 2003 J. Exp. Med. 198: 63-69)。 疾患修飾のメカニズムおよび作用機序を、種々のタイプの免疫細胞を実験的に評価することによって調査する。膵臓、膵臓のリンパ節(LN)および脾臓を採取し、Treg、ThサブタイプおよびCD8T細胞、ならびに樹状細胞(DC)およびB細胞を得る。IFN−γ、IL−17、IL−4、IL−10およびTGFbに注目して、膵臓、膵臓のリンパ節(LN)および脾臓から単離した細胞のサイトカイン分泌に対する効果を分析する。化合物の効果を試験した後、種々のタイプの免疫細胞(Treg、ThサブタイプおよびCD8T細胞、ならびに樹状細胞(DC)およびB細胞を含む)、サイトカイン(IFN−γ、IL−17、IL−4、IL−10およびTGFb)、ならびに組織学的分析を評価することによって、疾患修飾のメカニズムを調査する。膵臓の組織学的分析を実施して、膵島炎の発症およびリンパ球の浸潤を比較する。調査II:養子移入モデルにおける1型糖尿病の調節に対するLY6G6F−Ig融合タンパク質の効果 Ig融合タンパク質の作用機序をさらに調査するために、糖尿病養子移入モデルを使用する。糖尿病または糖尿病前症のNODドナーから得たT細胞をNOD SCIDレシピエントマウスに移入する。これらのマウスを糖尿病の発症についてモニタリングする。尿中糖および血糖を測定し、膵臓の組織学的評価を行い、上記の実施例に記載したようにT細胞応答をモニタリングする。調査III: さらに、活性化したCD4+CD62L+CD25−BDC2.5T細胞(膵島特異的ペプチド1040−p31を認識するTCRを有するトランスジェニックを1040−p31とともにインキュベートすることによって活性化したもの)をNODレシピエントに移入することによって、糖尿病を誘導する。LY6G6F、VSIG10、TMEM25もしくはLSR ECD−Ig融合タンパク質、mIgG2aコントロール、またはポジティブコントロールでマウスを処置する。処置は移入の1日後に開始する。移入後10〜28日間にわたりマウスの糖レベルを追跡調査する(Bour-Jordan et al., J Clin Invest. 2004;114(7):979-87)。 処置後7日間、膵細胞、脾細胞、膵臓のリンパ節(LN)の細胞、および末梢リンパ節細胞を抽出し、種々の免疫細胞集団について試験する。さらに、p31ペプチドに応答したエクスビボ増殖およびサイトカイン分泌を試験することにより、リコール応答を測定する。 上記の調査において、LY6G6F ECD−Ig融合タンパク質、VSIG10 ECD−Ig融合タンパク質、TMEM25 ECD−Ig融合タンパク質、およびLSR ECD−Ig融合タンパク質は、疾患の発症を防ぐか、疾患の重症度を低下させる。実施例45ループスマウスモデルにおける、LY6G6F、VSIG10、TMEM25またはLSR ECD−Ig融合タンパク質の効果調査I: ループスを発症する傾向のあるマウスモデル(NZB×NZW)(F1(B/W))を使用する。シクロホスファミド(CTX)は、腎臓のループス患者におけるびまん性増殖性糸球体腎炎に最初に使用される薬剤であり、CTXとCTLA4−Igとの併用治療は、それぞれの薬剤を単独で使用した場合よりも、進行性腎炎を有するNZB/NZW Flループスマウスの腎臓病の改善および生存率の延長においてより効果的であることがDaikhおよびWofsyにより報告されている(Daikh and Wofsy, J Immunol, 166(5):2913-6 (2001))。この概念を実証するための調査では、LY6G6F、VSIG10、TMEM25またはLSR ECD−Ig融合タンパク質およびCTXによる処置を、これらのタンパク質を単独で使用して、またはCTXと組み合わせて試験を行う。 タンパク質による処置の3日前に血液試料を採取し、処置中1週間おきおよび処置後に、ELISAによって血漿中抗dsDNA自己抗体を分析する。糸球体腎炎は腎臓の組織学的分析により評価する。タンパク尿は、尿試験紙を使用して新鮮尿試料を試験することにより測定する。 LY6G6F、VSIG10、TMEM25およびLSR ECD−Ig融合タンパク質(配列番号23、24、25および26)は、少なくともループス腎炎の改善に有益な効果を有する。調査II: NZM2410由来のSLEマウスモデルであるB6.Sle1.Sle2.Sle3マウスモデルを使用する。NZM2410は、高い浸透度を有する早発型ループス様疾患を発症するNZBおよびNZWから作製された組換え近交系である(Blenman et al 2006 Lab. Invest. 86: 1136-1148)。上述するようにこのモデルにおいてタンパク尿および自己抗体を評価することによって、LY6G6F、VSIG10、TMEM25およびLSR ECD−Ig融合タンパク質の効果を調査する。調査III: 誘導ループスモデルを使用する。このモデルは、正常マウス株(B6.C−H2(bm12)/KhEg(bm12)など)由来のIa不適合脾細胞を別の株(C57BL/6など)に移入することによって誘導された慢性移植片対宿主(cGVH)病に基づいており、抗二本鎖DNA(抗dsDNA)自己抗体の産生および免疫複合体型増殖性糸球体腎炎を含む、全身性エリテマトーデス(SLE)に類似した自己免疫症候群を引き起こす(Appleby et al Clin. Exp. Immunol. 1989 78: 449-453; Eisenberg and Choudhury 2004 Methods Mol. Med. 102:273-284)。このモデルにおけるループスは、bm12マウス由来の脾細胞をC57BL/6レシピエントに注射することによって誘導される。上述するようにこのモデルにおいてタンパク尿および自己抗体を評価することによって、LY6G6F、VSIG10、TMEM25およびLSR ECD−Ig融合タンパク質の効果を調査する。T細胞応答およびB細胞応答も評価する。調査IV: MRL/lprループスを発症する傾向のあるマウスモデルを使用する。上述するようにこのモデルにおいてタンパク尿および自己抗体を評価することによって、LY6G6F、VSIG10、TMEM25およびLSR ECD−Ig融合タンパク質の効果を調査する。実施例46腸の炎症の制御における、LY6G6F、VSIG10、TMEM25またはLSR ECD−Ig融合タンパク質の効果 マウス大腸炎を養子移入したマウスモデルを使用する。BALB/cマウス由来のCD45RBhigh−CD4+ナイーブT細胞を同系SCIDマウスに移入すると、T細胞再構築の6〜10週間後にヒトのクローン病に類似したIBD様症候群を発症する。 SCIDマウスは、同系CD45RBhigh−CD4+T細胞の単独移入、または同系CD45RBlow−CD4+もしくはCD25+CD4+細胞とともに共移入を行う腹腔内注射によって再構築する(各細胞集団につき4×105個/マウス)(Liu et al., J Immunol. 2001; 167(3): 1830-8)。正常マウスの脾臓由来の同系CD45RBhighCD4+T細胞を用いて再構築した大腸炎性SCIDマウスに、LY6G6F、VSIG10、TMEM25もしくはLSR ECD−Ig融合タンパク質またはIgアイソタイプコントロールの腹腔内注射を行う処置をT細胞移入時から開始し、週に2回、8週目まで実施する。すべてのマウスに対して、体重、軟便または下痢、および直腸脱のモニタリングを毎週行う。すべてのマウスは、T細胞の移入から8週間後、または元の体重から20%の体重減少を示した後に屠殺する。結腸組織を採取して組織学的検査および細胞学的検査を行う。LY6G6F、VSIG10、TMEM25およびLSR ECD−Ig融合タンパク質は、少なくとも炎症性腸疾患の改善に有益な効果を有する。実施例47乾癬モデルにおける、LY6G6F、VSIG10、TMEM25またはLSR ECD−Ig融合タンパク質の効果調査I:乾癬SCID異種移植片モデルの確立 ヒト乾癬プラークをSCIDマウスに移植する。乾癬のための全身療法または光線療法を6ヶ月間一切受けておらず、皮膚軟化剤以外の局所調製剤による治療を6週間受けていない、皮膚全体の5〜10%に全身性の乾癬プラークを有する患者から薄片生検(2.5×2.5cm)を採取する。大腿または腕の活性なプラークからも生検を得る。生検により得られたそれぞれの薄片を約1cm2のサイズに4等分する。それぞれの薄片を別個のマウスに移入する。 全身麻酔下において、7〜8週齢のCB17 SCIDマウスの背部の毛を剃り、下層の背部筋肉を覆う筋膜上の血管叢を無傷のまま残して全層皮膚試料を除去し、約1cm2の移植床を作製する。次いで、薄片生検によって得られた中間層ヒト皮膚を移植床に同所性に移入する。Nexaband(動物用液体絆創膏)(Veterinary Products Laboratories(アリゾナ州フェニックス))を使用して、ヒト皮膚をマウス皮膚に接着し、抗生物質軟膏(バシトラシン)を塗布する。LY6G6F、VSIG10、TMEM25もしくはLSR ECD−Ig融合タンパク質、アイソタイプコントロール、またはCTLA4−Ig(ポジティブコントロール)を週3回、4週間にわたって腹腔内投与することによりマウスを処置する。 調査期間の0日目(処置前)および28日目(処置後)にパンチ生検(2mm)を得る。生検を急速凍結して、組織病理学検査および免疫組織化学的検査のための凍結切片を作製する。治療効果は、以下の処置前および処置後のデータを比較することによって決定する。(i)表皮の厚さに対する効果を決定するための乳頭間突起の長さ、および(ii)炎症性浸潤細胞に対する効果を決定するための浸潤した単核リンパ球レベル(Raychaudhuri et al. 2008, J Invest Dermatol.;128(8):1969-76; Boehncke et al., 1999 Arch Dermatol Res 291:104-6)。 LY6G6F、VSIG10、TMEM25およびLSR ECD−Ig融合タンパク質(配列番号23、24、25および26)は、少なくとも乾癬の改善に有益な効果を有する。調査II:SCIDマウスにCD45RBhiCD4+T細胞を養子移入した乾癬および大腸炎モデルにおける、LY6G6F、VSIG10、TMEM25およびLSRの効果 0.3×106個のCD4+CD45RBhi細胞を免疫不全マウスに静脈内(i.v.)注射する。細胞を養子移入した翌日に、10μgのブドウ球菌腸毒素Bをマウスに腹腔内(i.p.)注射する(Davenport et al., Int Immunopharmacol. 2002 Apr;2(5):653-72)。LY6G6F、VSIG10、TMEM25もしくはLSR ECD−Ig融合タンパク質(配列番号23、24、25および26)、アイソタイプコントロール、またはCTLA4−Ig(ポジティブコントロール)でレシピエントマウスを処置する。マウスの体重減少および皮膚病変の存在を、週1回、8週間にわたって評価する。 得られる結果は上記のものと類似している。実施例48移植拒絶反応の調節における、LY6G6F、VSIG10、TMEM25またはLSR ECD−Ig融合タンパク質の効果調査I:同種異系膵島を移植した糖尿病マウスモデルにおける、LY6G6F、VSIG10、TMEM25およびLSRの効果 移植拒絶反応に対する、LY6G6F、VSIG10、TMEM25およびLSR ECD−Ig融合タンパク質(配列番号23、24、25および26)の効果を試験するために、同種異系膵島移植モデルを使用する。C57BL/6マウスをストレプトゾトシンで処置することによって糖尿病を誘導する。7日後に、BALB/cドナーマウスから単離した膵島をマウスの腎臓被膜下に移植する。LY6G6F、VSIG10、TMEM25もしくはLSR ECD−Ig融合タンパク質、またはネガティブコントロールとしてのmIgG2aでレシピエントマウスを処置する。ECDIで固定したドナー脾細胞に対する寛容を、膵島移植片の拒絶の調節に成功した際のポジティブコントロールとして使用する。移植片受容/拒絶の基準として、レシピエントマウスの血糖レベルをモニタリングする(Luo et al., PNAS, September 23, 2008_vol. 105_no. 38_ 14527-14532)。調査II:皮膚移植片拒絶Hyaモデルにおける、LY6G6F、VSIG10、TMEM25およびLSRの効果 ヒトおよび特定の実験用マウス株においては、雌性の免疫系は、組織適合性Y染色体コード抗原(histocompatibility−Y chromosome encoded antigen)(Hya)を認識することによって雄性の組織を非自己と認識し、これを破壊する。雄性組織の破壊はヘルパーTに依存的に細胞傷害性リンパ球によって行われると考えられる。 移植に対する、LY6G6F、VSIG10、TMEM25およびLSR ECD−Ig融合タンパク質(配列番号23、24、25および26)の効果を試験するために、雄性C57BL/6ドナー由来の尾部皮膚移植片を雌性C57BL/6マウスに移植したHyaモデル系を使用する。 この調査では、週齢が同じである雄性C57BL/6マウス由来の尾部の分層皮膚を雌性C57BL/6マウスに同所性に移植する。LY6G6F、VSIG10、TMEM25もしくはLSR ECD−Ig融合タンパク質、またはアイソタイプコントロールmIgG2aでマウスを処置する。免疫優性HyaコードCD4エピトープ(Dby)を付加した雌性脾臓白血球(Dby−SP)を、移植片拒絶の調節に成功した際のポジティブコントロールとして使用する(Martin et al., J Immunol. 2010 September 15; 185(6): 3326-3336)。皮膚移植片の浮腫、色素の退色および脱毛の採点評価を毎日行う。完全に脱毛し、色素の退色が80%を上回ったときに、拒絶されたと定義する。さらに、様々な時間点において脾臓および排出リンパ節から単離した細胞を用いて、CD4特異的なエピトープ(Dby)、CD8エピトープ(UtyおよびSmcy)、または関連性がないペプチド(OVA 323−339)に応答したT細胞のリコール応答を調査する。この調査では、増殖およびサイトカイン分泌のポジティブコントロールとして、抗CD3による刺激を使用する。調査III: 移植片拒絶に対する、LY6G6F、VSIG10、TMEM25およびLSR ECD−Ig融合タンパク質の効果を、上記のHyaモデル系を使用した同系骨髄細胞移植マウスモデルにおいて調査する。CD45.1マーカーを発現する雄性造血細胞を、CD45.2コンジェニックマーカーを発現する雌性宿主マウスに移植する。LY6G6F、VSIG10、TMEM25もしくはLSR ECD−Ig融合タンパク質、またはアイソタイプコントロールmIgG2aで雌性宿主を処置する。雌性宿主を経時的に追跡調査し、CD45.1+細胞の存在をモニタリングする。実施例49本発明の実施形態の少なくともいくつかによるLY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRタンパク質の、がん免疫監視機構における調節物質としての役割の確立1)インビボにおける概念実証a)マウスがん同系モデル:(i)LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRタンパク質のいずれか1つ、またはコントロールとしての無関係なタンパク質を過剰発現している腫瘍細胞を遺伝学的に一致したマウスに移植する。次いで、腫瘍体積(およびマウスを屠殺した後の腫瘍重量)、ならびに腫瘍の排出リンパ節または脾臓から得た免疫細胞のエクスビボ分析を評価し、腫瘍の拒絶が遅延することを実証する(すなわち、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRを過剰発現する腫瘍は、無関係なコントロールタンパク質を過剰発現する腫瘍よりも早く成長する)。腫瘍の排出リンパ節から得た免疫細胞をエクスビボ分析することによって、制御性T細胞の頻度の増加、および刺激に対するエフェクターT細胞の応答性の低下が明らかになると予想される(J. Exp. Med. 2011 Vol. 208 No. 3 577-592)。(ii)LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRタンパク質のいずれか1つのマウスオーソログの細胞外ドメインと抗体Fcフラグメントとの融合体(マウスECD−Fc)(配列番号23、24、25および26)を使用したインビボ同系モデルは、以下のように試験する。J immunol 2010; 185;2747-2753に記載されているように、腫瘍の確立後、マウスECD−FCをC57BL/6マウスに3〜4日間隔で静脈内注射する。次いで、腫瘍体積(およびマウスを屠殺した後の腫瘍重量)、ならびに腫瘍の排出リンパ節または脾臓から得た免疫細胞のエクスビボ分析を評価する。マウスLY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSR ECD−FCを用いた静脈内注射による処置の結果、腫瘍の拒絶が遅延する(すなわち、マウスLY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSR ECD−FCで処置したマウスの腫瘍は、無関係なコントロールタンパク質で処置したマウスの腫瘍よりも早く成長する)。腫瘍の排出リンパ節から得た免疫細胞をエクスビボ分析することによって、制御性T細胞の頻度の増加、および刺激に対するエフェクターT細胞の応答性の低下が明らかになる。(iii)同系腫瘍の確立、ならびにLY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRタンパク質(1、3、5、7、11、143、13、15〜17、18、28、29〜32)のいずれか1つに対する中和抗体による治療 腫瘍細胞を遺伝学的に同一のマウスに移植する。腫瘍の確立後、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRタンパク質のいずれか1つに対する中和抗体を様々な用量でマウスに静脈内注射する。LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRタンパク質のいずれか1つに特異的な中和抗体を静脈内注射することによる処置の結果、腫瘍の拒絶が増強する(すなわち、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRタンパク質のいずれか1つに対する中和抗体で処置したマウスの腫瘍は、無関係な抗体で処置したマウスの腫瘍よりも成長が遅くなる)。腫瘍の排出リンパ節から得た免疫細胞をエクスビボ分析することによって、制御性T細胞の頻度の減少、および刺激に対するエフェクターT細胞の応答性の上昇が明らかになる。b)ヒトがん異種移植片モデル:(i)免疫不全にされたNOD Cg−Prkdcscid Il2rgtm1Wjl/SzJマウス(Jackson lab)(「NSG」マウス)モデルにおける腫瘍免疫応答の再構築 ヒト腫瘍は、腫瘍抗原であらかじめ刺激したAPCおよび/またはT細胞を使用し、NSGモデルにおいて確立する(がん標的細胞であらかじめ活性化したCD8T細胞を担がんNSGマウスに移入する)(移植/注射された細胞はすべてがん患者に由来する))。このモデルは以下の4群からなる:1.LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRタンパク質のいずれか1つを過剰発現するAPC、2.LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRタンパク質(siRNAまたはShRNA)のいずれか1つがサイレンシングされたAPC、3.LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRタンパク質のいずれか1つを過剰発現するがん細胞、4.LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRタンパク質(siRNAまたはShRNA)のいずれか1つがサイレンシングされたがん細胞。 ポジティブコントロール(たとえばB7−H1、PD−L1)、ネガティブコントロール(たとえばベクター、細胞単独)が含まれる。次いで、腫瘍体積または腫瘍転移およびマウスの生存率を調査する(J. Exp. Med.; 2006; Vol. 203; p.871-881)。APCまたは腫瘍細胞における、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRタンパク質のいずれか1つの過剰発現は、腫瘍の拒絶を遅延させる(すなわち、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRのいずれかを過剰発現するAPCまたは腫瘍細胞で処置したマウスの腫瘍は、無関係なコントロールタンパク質で処置したマウスの腫瘍よりも早く成長する)。APCまたは腫瘍細胞における、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRのいずれかの(siRNAまたはShRNAの)サイレンシングは、腫瘍の拒絶を増強させる。(ii)上記のNSGがん異種移植片の確立(APCおよび/またはがん細胞の遺伝子操作は行わない)ならびにLY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRタンパク質のいずれか1つに対する中和抗体による処置 LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRのいずれかに対する中和抗体を使用してNSG異種移植片モデルを処置することによって、腫瘍の拒絶を増強させる。2)ナチュラルキラー(NK)細胞の活性のインビトロにおける検証a)結合アッセイ:(i)ヒトLY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSR ECD−FCタンパク質を用いた、活性化された初代培養NK細胞に対する結合アッセイは、J Immunol 2005;174;6692-6701の記載に従い実施する。LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRのカウンターレセプターがNK細胞上に発現されていれば、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSR ECD−Fcの結合が観察される。(ii)LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRタンパク質のいずれか1つに対する特異的抗体を用いた、活性化された初代培養NK細胞に対する結合アッセイは、PNAS, 2009, vol. 109; 17858-17863の記載に従い実施する。LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRのいずれか1つがNK細胞上に発現されていれば、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSR特異的抗体の結合が観察される。(iii)ヒトLY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSR ECD−FCタンパク質を用いた、NKによる殺傷の標的細胞になりうる様々なヒトがん細胞株に対する結合アッセイは、J Immunol 2006;176;6762-6769の記載に従い実施する。LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRのいずれか1つのカウンターレセプターが標的がん細胞上に発現されていれば、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSR ECD−Fcの結合が観察される。b)機能性killing assay:(i)killing assayは過剰発現システム(LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRタンパク質のいずれか1つを過剰発現しているNK細胞または標的がん細胞)を使用して行う。PNAS, 2009, vol. 109; 17858-17863に記載されているように、NK細胞(effector;e)と、放射性(S35)標識された標的がん細胞(target;t)とを様々なe:t比で共インキュベートする。次いで、NKの殺傷活性による標的細胞の溶解を、放射線放射を測定することによって評価する。標的がん細胞および/またはNK細胞株における、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRタンパク質のいずれか1つの過剰発現は、NK媒介性殺傷活性をダウンレギュレートする。(ii)PLoS ONE; 2010; Vol. 5; p. 1-10の記載に従い、ヒトLY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSR ECD−FCタンパク質の存在下において、killing assayを実施する。LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRのいずれかのECD−Fcを用いた処置は、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRとこれらのカウンターレセプターとの相互作用を妨害することによって、これらの相互作用による阻害活性を減少させ、これによって殺傷活性が増強される。(iii)PNAS, 2009, vol. 109; 17858-17863の記載に従い、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRタンパク質のいずれか1つに対する中和抗体の存在下において、killing assayを実施する。LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRのいずれかに対する中和抗体を用いた処置によって、NK殺傷活性が増強される。(iv)「リダイレクトされたkilling assay」は以下のように行う。PNAS, 2009, vol. 109; 17858-17863に記載されているように、Fcレセプターを高密度に発現する標的がん細胞を、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRタンパク質のいずれか1つに対する活性化抗体でコーティングし、(使用されたLY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRタンパク質を発現している)NK細胞と接触させる。LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRのいずれか1つと活性化抗体との架橋によって、NK媒介性殺傷活性が低減される。3)発現分析a)ヒト腫瘍生検から単離した細胞における、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRタンパク質の発現i)LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRタンパク質のいずれか1つに対する特異的抗体を使用した、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRタンパク質のいずれか1つの発現の検証は、腫瘍から得られた別々の細胞集団において実施する。J. Exp. Med. ; 2006; Vol. 203; p.871-881およびCancer res. 2007; 67; 8900-8905に記載されているように、様々な細胞集団(たとえば、腫瘍細胞、内皮、腫瘍関連マクロファージ(TAM)および樹状細胞(DC)、B細胞、ならびに種々のT細胞(CD4、CD8およびTreg))を腫瘍生検から新たに単離し、腫瘍細胞、腫瘍間質、および免疫浸潤物におけるLY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRのいずれかの発現を実証する。ii)結合アッセイは、腫瘍から得られた別々の細胞集団において、ヒトLY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSR ECD−FCタンパク質を用いて実施する。腫瘍生検から種々の細胞集団を単離し(たとえば、J. Exp. Med. ; 2006; Vol. 203; p.871-881およびCancer res. 2007; 67; 8900-8905に記載されているように腫瘍から新たに単離した、腫瘍細胞、内皮、腫瘍関連マクロファージ(TAM)および樹状細胞(DC)、B細胞、ならびに種々のT細胞(CD4、CD8およびTreg))、腫瘍細胞、腫瘍間質および免疫細胞における、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRのいずれかのカウンターレセプターの発現を示す。b)担がんマウスの排出リンパ節および脾臓から単離された細胞における、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRタンパク質の発現(i)Clinical Cancer Research 1996 Vol. 2, 811-820に記載されているように、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRタンパク質に対する特異的抗体を使用した、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRタンパク質の発現の検証は、上皮がん細胞および腫瘍排出リンパ節から得られた免疫細胞と、担がんC57マウスの脾臓とを比較することにより実施される。B16(メラノーマ)、ID8(卵巣がん)およびMC38(結腸がん)の3つの異なるタイプのがんを試験して、腫瘍細胞、腫瘍排出リンパ節、および免疫細胞における、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRのいずれかの発現を示す。ii)上皮がんから単離された細胞および腫瘍排出リンパ節から得られた免疫細胞と、担がんC57マウスの脾臓とを比較することによる、マウスLY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSR ECD−FCタンパク質を使用した結合アッセイを上記のように実施し、腫瘍細胞、免疫細胞および腫瘍排出リンパ節における、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRのいずれかのカウンターレセプターの発現を示す。c)M2極性化マクロファージにおける、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRタンパク質の発現(i)LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRタンパク質に対する特異的抗体を使用した、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRタンパク質の発現の検証は、Nat. Immunol. 2010; Vol. 11; p. 889-896の記載に従い、末梢血から単離された初代単球をマクロファージへと分化させ、次いで「M2誘導化刺激」(たとえば、IL−4、IL−10、グルココルチコイド、TGF−β)に接触させたマクロファージにおいて実施し、M2分化マクロファージにおける、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRのいずれかの発現を示す。ii)末梢血から単離された初代単球をマクロファージへと分化させ、次いで「M2誘導化刺激」(たとえば、IL−4、IL−10、グルココルチコイド、TGF−β)に接触させたマクロファージにおける、ヒトLY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSR ECD−FCタンパク質を使用した結合アッセイを上記のように実施し、M2分化マクロファージにおける、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRのいずれかのカウンターレセプターの発現を示す。実施例50完全長ヒト抗LY6G6F抗体、抗VSIG10抗体、抗TMEM25抗体および/または抗LSR抗体の開発LY6G6F抗原、VSIG10抗原、TMEM25抗原および/またはLSR抗原に対するヒトモノクローナル抗体の作製 マウスIgG2 Fcポリペプチドに連結された、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRの細胞外ドメインから構成される融合タンパク質を、標準的な組換え法によって作製し、抗原として免疫化に使用する。トランスジェニックHuMabマウス: ヒト抗体遺伝子を発現する、トランスジェニックHuMabマウスのHCo7株マウスを使用して、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRに対する完全長ヒトモノクローナル抗体を作製する。このマウス株は、Chen et al. (1993) EMBO J. 12:811-820に記載された方法によって内因性マウスκ軽鎖遺伝子がホモ欠損しており、PCT国際公開第01/09187号の実施例1に記載された方法によって内因性マウス重鎖遺伝子がホモ欠損している。さらに、このマウス株は、Fishwild et al. (1996) Nature Biotechnology 14:845-851に記載された方法によってヒトκ軽鎖遺伝子(KCo5)が導入されており、米国特許第5,545,806号;第5,625,825号;および第5,545,807号に記載された方法によってヒト重鎖導入遺伝子(HCo7)が導入されている。HuMab免疫化: LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRに対する完全長のヒトモノクローナル抗体を作製するために、組換えLY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSR融合タンパク質をコードする遺伝子を含む発現ベクターでトランスフェクトした哺乳動物細胞由来の、精製された組換えLY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSR融合タンパク質を用いて、HCo7 HuMabマウス株のマウスを免疫することができる。HuMabマウスを用いた一般的な免疫化スキームは、Lonberg, N. et al (1994) Nature 368(6474): 856-859; Fishwild, D. et al. (1996) Nature Biotechnology 14: 845-851およびPCT国際公開第98/24884号に記載されている。6〜16週齢のマウスに最初の抗原の点滴を行う。組換えLY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSR抗原の精製調製物(5〜50μg;LY6G6F融合タンパク質、VSIG10融合タンパク質、TMEM25融合タンパク質および/またはLSR融合タンパク質を発現するトランスフェクトされた哺乳動物細胞から精製されたもの)を使用して、HuMabマウスを腹腔内投与により免疫する。 完全フロイントアジュバントまたはRibiアジュバントを加えた抗原を腹腔内投与することにより、トランスジェニックマウスを2回免疫し、次いで、不完全フロイントアジュバントまたはRibiアジュバントを加えた抗原を3〜21日間にわたり腹腔内投与する(計11回まで免疫する)。免疫応答は後眼窩出血によってモニタリングする。(後述の)ELISAによって血漿をスクリーニングし、抗LY6G6Fヒト免疫グロブリン、抗VSIG10ヒト免疫グロブリン、抗TMEM25ヒト免疫グロブリンおよび/または抗LSRヒト免疫グロブリンの力価が十分に高いマウスを融合に使用する。屠殺および脾臓摘出の3日前にマウスに抗原を静脈内投与することによりブーストを行う。抗LY6G6F抗体、抗VSIG10抗体、抗TMEM25抗体および/または抗LSR抗体を産生するHuMabマウスの選択: 免疫したマウスから、LY6G6F血清、VSIG10血清、TMEM25血清および/またはLSR血清を結合する抗体を産生するHuMabマウスを選択するために、最初にFishwild,D.ら(1996)により記載されたELISA変法を用いて、免疫したマウスを試験する。簡潔に述べると、PBS中1〜2μg/mlの精製した組換えLY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSR融合タンパク質を1ウェルあたり50μl加えて4℃で一晩インキュベートすることによりマイクロタイタープレートをコーティングし、次いで、PBS中5%BSAを1ウェルあたり200μl加えることによりブロッキングする。LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRで免疫したマウスから得た血漿を希釈したものを各ウェルに加え、環境温度において1〜2時間インキュベートする。プレートをPBS/ツウィーンで洗浄し、次いで、アルカリホスファターゼに結合させたヤギ抗ヒトκ軽鎖ポリクローナル抗体とともに室温で1時間インキュベートする。洗浄後、プレートをpNPP基質で発色させ、OD415〜650において分光光度計で分析する。抗LY6G6F抗体、抗VSIG10抗体、抗TMEM25抗体および/または抗LSR抗体の力価が最も高いマウスを融合に使用する。後述するように融合を行い、また、ハイブリドーマ上清の抗LY6G6F活性、抗VSIG10活性、抗TMEM25活性、および/または抗LSR活性をELISAにより試験する。LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRに対するヒトモノクローナル抗体を作製するハイブリドーマの作製: 標準的なプロトコルに基づいて、HuMabマウスから単離したマウス脾細胞をPEGとともにマウス骨髄腫細胞株に融合させる。次いで、この結果生じるハイブリドーマを抗原特異的抗体の産生についてスクリーニングする。免疫したマウスから得た脾リンパ球の単一細胞懸濁液を、50%PEG(シグマ)とともに、4分の1の細胞数のP3X63 Ag8.6.53(ATCC CRL 1580)非分泌性マウス骨髄腫細胞と融合させる。平底マイクロタイタープレートにおいて細胞を約1×105個/ウェルで平板培養し、次いで、RPMI中origen(IGEN)、L−グルタミン、ピルビン酸ナトリウム、HEPES、ペニシリン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、1×HAT、およびβ−メルカプトエタノールを添加した10%ウシ胎仔血清含有選択培地中で約2週間インキュベートする。1〜2週間後に、HATをHTで置き換えた培地中で細胞を培養する。次いで、ELISA(上述の)を用いて、各ウェルのヒト抗LY6G6F、抗VSIG10、抗TMEM25および/または抗LSRモノクローナルIgG抗体のスクリーニングをする。ハイブリドーマの増殖が広範囲に起これば、通常10〜14日後に培地を観察する。抗体を分泌するハイブリドーマを再び平板培養し、再度スクリーニングを行い、ヒトIgGがなお陽性であれば、抗LY6G6F、抗VSIG10、抗TMEM25および/または抗LSRモノクローナル抗体を限界希釈法により少なくとも2回サブクローニングする。次いで、安定なサブクローンをインビトロで培養し、特性評価用の組織培養培地において少量の抗体を作製する。 ハイブリドーマのクローンをさらなる分析のために選択する。所望の抗LY6G6Fヒトモノクローナル抗体、抗VSIG10ヒトモノクローナル抗体、抗TMEM25ヒトモノクローナル抗体および/または抗LSRヒトモノクローナル抗体の構造特性の評価 得られた抗LY6G6Fモノクローナル抗体、抗VSIG10モノクローナル抗体、抗TMEM25モノクローナル抗体および/または抗LSRモノクローナル抗体の重鎖可変領域をコードするcDNA配列およびこれらの抗体の軽鎖可変領域をコードするcDNA配列は、上記で得られたハイブリドーマから標準的なPCR技術を使用して得られ、標準的なDNA塩基配列決定技術を使用して配列が決定される。 重鎖可変領域のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列と、軽鎖可変領域のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列とが同定される。これらの配列は、公知のヒト生殖細胞系免疫グロブリン軽鎖配列および重鎖配列と比較してもよく、得られた抗LY6G6F配列、抗VSIG10配列、抗TMEM25配列および/または抗LSR配列の軽鎖のCDRとこれらの配列の重鎖のCDRが同定される。抗LY6G6F、抗VSIG10、抗TMEM25および/または抗LSRヒトモノクローナル抗体の結合特異性および結合動態の特性評価 抗LY6G6F、抗VSIG10、抗TMEM25および/または抗LSR抗体の結合親和性、結合動態、結合特異性および交差競合性をBiacore分析によって試験する。さらに、結合特異性はフローサイトメトリーによって試験する。結合親和性および結合動態 本発明に従って作製された抗LY6G6F、抗VSIG10、抗TMEM25および/または抗LSR抗体の親和性および結合動態を、Biacore分析(Biacore AB(スウェーデン国ウプサラ))によって特性評価する。Biacoreより提供されているキットおよび標準的なアミンカップリング法を使用して、精製された組換えヒトLY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSR融合タンパク質を、第一級アミンを介してCM5チップ(カルボキシメチルデキストランをコーティングしたチップ)に共有結合で連結する。(BIAcore ABによって提供されている)HBS EPバッファー中の267nMの抗体を50μl/分の流速で流すことによって結合を測定する。抗原結合抗体の結合動態は3分間追跡し、解離動態は7分間追跡する。BlAevaluationソフトウェア(Biacore AB)を使用して、結合曲線および解離曲線を1:1ラングミュア結合モデルに適合させる。結合定数の評価におけるアビディティの影響を最小限にするため、結合相および解離相に相当する最初セグメントのデータのみをモデルへの適合に使用する。得られた抗LY6G6F、抗VSIG10、抗TMEM25および/または抗LSR抗体のエピトープマッピング Biacoreを使用して、抗LY6G6F、抗VSIG10、抗TMEM25および/または抗LSRヒトモノクローナル抗体(HuMAb)のエピトープのグループ分けを決定する。得られた抗LY6G6F、抗VSIG10、抗TMEM25および/または抗LSR抗体を使用して、LY6G6F抗原、VSIG10抗原、TMEM25抗原および/またはLSR抗原におけるこれらの抗体のエピトープをマッピングする。これらの異なる抗体をそれぞれ、同じチップ上の異なる3つの表面に8000RUまでコーティングする。各モノクローナル抗体の希釈を10μg/mLから開始して作製し、Fc融合LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSR(50nM)とともに1時間インキュベートする。インキュベートした複合体を、3つの表面すべて(およびブランク面)に流速20μL/分で1.5分間にわたり同時にインジェクトする。1.5分間の終了時における各表面からのシグナルから適切なブランクを差し引いた後、複合体中のモノクローナル抗体の濃度に対してプロットする。データの分析後、エピトープマッピングの結果に基づいて、抗LY6G6F抗体、抗VSIG10抗体、抗TMEM25抗体および/または抗LSR抗体を、種々のエピトープ群に分類する。これらの機能特性も比較する。 LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRタンパク質を細胞表面に発現するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株を作製し、フローサイトメトリーによりLY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRヒトモノクローナル抗体(HuMAb)の特異性を決定するために使用する。LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/もしくはLSR抗原またはこれらの変異体の膜貫通形態をコードする完全長cDNAを含む発現プラスミドでCHO細胞をトランスフェクトする。N末端にエピトープタグを含むトランスフェクトされたこのタンパク質を、エピトープ特異的抗体による検出に使用する。トランスフェクトした細胞を、10μg/mlの濃度のLY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSR抗体のそれぞれとインキュベートすることによって、抗LY6G6F、抗VSIG10、抗TMEM25および/または抗LSRモノクローナル抗体の結合を評価する。細胞を洗浄し、FITC標識抗ヒトIgG抗体で結合を検出する。標識抗マウスIgGによって検出されるマウス抗エピトープタグ抗体をポジティブコントロールとして使用する。非特異的ヒト抗体および非特異的マウス抗体をネガティブコントロールとして使用する。得られたデータを使用して、LY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSR標的抗原に対するヒトモノクローナル抗体(HuMAb)の特異性を評価する。 上記の抗体、ならびにLY6G6F、VSIG10、TMEM25および/またはLSRに特異的な他の抗体は、抗LY6G6F、抗VSIG10、抗TMEM25および/または抗LSRに関連する上記の治療法において使用してもよく、このような治療法としては、たとえば、LY6G6F抗原、VSIG10抗原、TMEM25抗原および/またはLSR抗原が差次的に発現されて、かつ/または、LY6G6F抗原、VSIG10抗原、TMEM25抗原および/またはLSR抗原の関与を伴うB7免疫共刺激が調節(増強または抑制)されるがんの治療、ならびに、たとえば、上記の抗体が所望の標的がん細胞に対するT細胞活性の負の刺激を妨げたり、T細胞活性の正の刺激を妨げたりすることによって、所望の抗自己免疫作用が誘導される、がんおよび自己免疫疾患の治療が挙げられる。 LY6G6F抗原、VSIG10抗原、TMEM25抗原および/またはLSR抗原に関連した疾患または病態のための治療剤および診断法として使用される、所望の抗LY6G6F抗体、抗VSIG10抗体、抗TMEM25抗体および/または抗LSR抗体の製造および選択に関連して、本発明について説明し、様々な実施形態を提供した。本明細書において示された明示的な組み合わせおよびサブコンビネーションの範囲を超えて、本明細書において様々な実施形態を任意の適切な方法で組み合わせてもよい。以下の請求項によって本発明をさらに説明する。 配列番号11、13、15〜18、67および143からなる群から選択される配列の98個、108個、118個、135個、145個、155個、160個、170個または180個のアミノ酸から実質的になる単離されたポリペプチド。 配列番号12、14、47〜50、10、22および102のいずれかに示されるアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列から実質的になる単離されたポリペプチド。 配列番号12、14、47〜50、10、22および102のいずれかに示されるアミノ酸配列から実質的になることを特徴とする請求項2に記載のポリペプチド。 LSRとその機能性対応物との相互作用をブロックまたは阻害することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリペプチド。 LSRとその機能性対応物との相互作用においてLSRと置き換わること、またはLSRとその機能性対応物との相互作用を増強することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリペプチド。 異種配列に連結された請求項1〜5のいずれかに記載のポリペプチドを含む融合タンパク質。 前記の異種配列が免疫グロブリン分子の少なくとも一部分を含むことを特徴とする請求項6に記載の融合タンパク質。 前記の免疫グロブリン分子の一部分が、免疫グロブリン重鎖定常領域のFcフラグメントであることを特徴とする請求項7に記載の融合タンパク質。 前記の免疫グロブリン重鎖定常領域が、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgE、IgAおよびIgDからなる群から選択される免疫グロブリンアイソタイプに由来することを特徴とする請求項8に記載の融合タンパク質。 配列番号75〜80および176〜181のいずれかに示されるアミノ酸配列を有する請求項9に記載の融合タンパク質。 インビトロおよびインビボにおいて免疫細胞応答を調節することを特徴とする請求項10に記載の融合タンパク質。 請求項1〜11のいずれかに記載のポリペプチドをコードする核酸配列。 配列番号40〜46、132、44、155、186〜188、および193〜198からなる群から選択される核酸配列、これと少なくとも95%の配列同一性を有する変異体、またはこれらの変性変異体であることを特徴とする請求項12に記載の核酸配列。 請求項12または13に記載の核酸配列を少なくとも1つ含む発現ベクターまたはウイルス。 組換え細胞であって、請求項14に記載の核酸配列を含む発現ベクターまたはウイルスを含み、該DNAセグメントにコードされたポリペプチドを構成的または誘導的に発現する組換え細胞。 LSRの可溶性細胞外ドメインポリペプチド、またはそのフラグメントもしくは融合タンパク質の製造方法であって、前記のDNAセグメントまたは核酸にコードされたポリペプチドの発現が可能な条件下で、請求項15に記載の組換え細胞を培養すること、および該ポリペプチドを回収することを含む方法。 請求項1〜5のいずれかに記載の単離されたポリペプチド、請求項6〜11のいずれかに記載の融合タンパク質、請求項12または13に記載のヌクレオチド配列、請求項14に記載の発現ベクター、または請求項15に記載の宿主細胞と、薬学的に許容される希釈剤または担体とを含む医薬組成物。 請求項1〜5のいずれかに記載のポリペプチドのいずれか1つと特異的に結合する抗原結合部位を含むモノクローナル抗体もしくはポリクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントの、がんの治療薬の製造のための使用。 LSRを発現するがん細胞のアポトーシスまたは溶解を誘導するための請求項18に記載の使用。 請求項1〜5のいずれかに記載のポリペプチドのいずれか1つと特異的に結合する抗原結合部位を含むモノクローナル抗体もしくはポリクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントの、感染症の治療薬の製造のための使用。 請求項1〜5のいずれかに記載のポリペプチドのいずれか1つと特異的に結合する抗原結合部位を含むモノクローナル抗体もしくはポリクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントの、T細胞活性化の阻害または抑制に関連した疾患の治療薬の製造のための使用。 前記の抗原結合部位が、立体構造エピトープまたは直線状エピトープを含み、かつ、約3〜7個の連続したアミノ酸または不連続アミノ酸を含むことを特徴とする、請求項18〜21のいずれかに記載の抗体または抗原結合フラグメントの使用。 前記抗体が、完全ヒト抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、または霊長類化抗体であることを特徴とする、請求項18〜22のいずれかに記載の抗体またはフラグメントの使用。 前記抗体が、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)2フラグメント、F(ab’)フラグメント、F(ab)フラグメント、Fvフラグメント、scFvフラグメントおよび最小認識単位からなる群から選択されることを特徴とする、請求項18〜23のいずれかに記載の抗体またはフラグメントの使用。 前記抗体が、薬剤、放射性核種、発蛍光団、酵素、毒素、治療剤、および化学療法剤から選択される成分と結合されており、この検出可能なマーカーが、放射性同位元素、金属キレート剤、酵素、蛍光化合物、生物発光化合物、または化学発光化合物であることを特徴とする、請求項18〜24のいずれかに記載の抗体またはフラグメントの使用。 前記アポトーシスまたは溶解が、前記抗体のCDC活性またはADCC活性に関与していることを特徴とする、請求項25に記載の抗体または抗原結合フラグメントの使用。 請求項1〜5のいずれかに記載の単離されたポリペプチド、請求項6〜11のいずれかに記載の融合タンパク質、請求項12または13に記載のヌクレオチド配列、請求項14に記載の発現ベクター、請求項15に記載の宿主細胞、および請求項17に記載の医薬組成物のいずれか1つの、がんの治療のための使用。 請求項1〜5のいずれかに記載の単離されたポリペプチド、請求項6〜11のいずれかに記載の融合タンパク質、請求項12または13に記載のヌクレオチド配列、請求項14に記載の発現ベクター、請求項15に記載の宿主細胞、および請求項17に記載の医薬組成物のいずれか1つの使用であって、対象への投与によりT細胞の活性化が阻害または抑制されることを特徴とする使用。 対象において、a.サイトカインのアップレギュレート;b.T細胞の増殖の誘導;c.抗原特異的T細胞免疫の促進;d.CD4+T細胞および/またはCD8+T細胞の活性化の促進の1以上を行う方法であって、請求項1〜5のいずれかに記載の単離されたポリペプチド、請求項6〜11のいずれかに記載の融合タンパク質、請求項12または13に記載のヌクレオチド配列、請求項14に記載の発現ベクター、請求項15に記載の宿主細胞、請求項17に記載の医薬組成物、および請求項1〜5のいずれかに記載のポリペプチドのいずれかに特異的に結合する抗原結合部位を含むモノクローナル抗体もしくはポリクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントのいずれか1つを対象に投与することを含む方法。 がんを治療または予防する方法であって、がんの治療または予防を必要とする対象に、請求項1〜5のいずれかに記載の単離されたポリペプチド、請求項6〜11のいずれかに記載の融合タンパク質、請求項12または13に記載のヌクレオチド配列、請求項14に記載の発現ベクター、請求項15に記載の宿主細胞、請求項17に記載の医薬組成物、および請求項1〜5のいずれかに記載のポリペプチドのいずれかに特異的に結合する抗原結合部位を含むモノクローナル抗体もしくはポリクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントのいずれか1つを有効量で投与することを含む方法。 前記の治療が、がんを治療するのに有用な別の成分または治療法と組み合わせられることを特徴とする、請求項30に記載の方法。 前記治療法が、放射線療法;抗体療法;化学療法;光線力学療法;養子T細胞療法;Treg除去;手術;または慣用の薬剤との併用療法であることを特徴とする、請求項31に記載の方法。 前記成分が、免疫抑制剤;細胞傷害剤;腫瘍ワクチン;抗体(たとえば、ベバシズマブ、アービタックス);ペプチド;ペプチボディ;小分子;細胞傷害剤および細胞増殖抑制剤(たとえば、パクリタキセル、シスプラチン、ビノレルビン、ドセタキセル、ゲムシタビン、テモゾロミド、イリノテカン、5FU、カルボプラチン)などの化学療法剤;インターフェロンおよびインターロイキンなどの免疫調節剤;免疫刺激抗体;成長ホルモン;他のサイトカイン;葉酸;ビタミン;無機質;アロマターゼ阻害剤;RNAi;ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤;およびプロテアソーム阻害剤からなる群から選択されることを特徴とする請求項32に記載の方法。 前記がんが、乳がん、子宮頸がん、卵巣がん、子宮内膜がん、メラノーマ、膀胱がん、肺がん、膵臓がん、結腸がん、前立腺がん、白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、多発性骨髄腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、骨髄性白血病、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病、甲状腺がん、濾胞性甲状腺がん、骨髄異形成症候群(MDS)、線維肉腫、横紋筋肉腫、メラノーマ、ぶどう膜メラノーマ、奇形癌、神経芽腫、神経膠腫、神経膠芽腫、皮膚の良性腫瘍、角化棘細胞腫、腎臓がん、未分化大細胞リンパ腫、食道扁平上皮細胞癌、肝細胞癌、濾胞性樹状細胞癌、腸がん、筋層浸潤がん、精巣腫瘍、表皮癌、脾臓がん、膀胱がん、頭頸部がん、胃がん、肝臓がん、骨がん、脳がん、網膜がん、胆道がん、小腸がん、唾液腺がん、子宮がん、精巣がん、結合組織がん、前立腺肥大症、脊髄形成異常、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、鼻咽腔がん、神経内分泌がん、骨髄異形成症候群、中皮腫、血管肉腫、カポジ肉腫、カルチノイド、食道胃がん、ファローピウス管がん、腹膜がん、漿液性乳頭状ミュラー管がん、悪性腹水、消化管間質腫瘍(GIST)、リー・フラウメニ症候群、およびフォンヒッペル・リンダウ症候群(VHL)からなる群から選択される、非転移性、浸潤性、または転移性のがんであることを特徴とする請求項30〜33のいずれかに記載の方法。 前記がんが、メラノーマ、肝臓がん、腎臓がん、脳がん、乳がん、結腸がん、肺がん、卵巣がん、膵臓がん、前立腺がん、胃がん、多発性骨髄腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、急性および慢性リンパ芽球性白血病、ならびに急性および慢性骨髄白血病のいずれかであることを特徴とする請求項34に記載の方法。 抗原に対する患者の二次免疫応答を増強する方法であって、請求項1〜5のいずれかに記載の単離されたポリペプチド、請求項6〜11のいずれかに記載の融合タンパク質、請求項12または13に記載のヌクレオチド配列、請求項14に記載の発現ベクター、求項15に記載の宿主細胞、または請求項17に記載の医薬組成物、および請求項1〜5のいずれかに記載のポリペプチドのいずれかに特異的に結合する抗原結合部位を含むモノクローナル抗体もしくはポリクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントのいずれか1つを有効量で投与することを含む方法。 前記抗原ががん抗原であり、前記患者が抗がんワクチンによる治療を受けたことのある患者であること、または、前記抗原がウイルス抗原であり、前記患者が抗ウイルスワクチンによる治療を受けたことのある患者であることを特徴とする、請求項36に記載の方法。 請求項1〜5のいずれかに記載の単離されたポリペプチド、請求項6〜11のいずれかに記載の融合タンパク質、請求項12または13に記載のヌクレオチド配列、請求項14に記載の発現ベクター、請求項15に記載の宿主細胞、請求項17に記載の医薬組成物、および請求項1〜5のいずれかに記載のポリペプチドのいずれかに特異的に結合する抗原結合部位を含むモノクローナル抗体もしくはポリクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントの少なくとも1つをがんワクチンアジュバントとして使用する方法であって、免疫応答を誘導できる量の標的とする腫瘍関連抗原調製物と、がんワクチンアジュバントとを免疫化に適した処方で患者に投与することを含み、該がんワクチンアジュバント存在下における該腫瘍関連抗原に対する免疫応答が、該がんワクチンアジュバント非存在下におけるものよりも強力であることを特徴とする方法。 免疫系に関連した病態を治療または予防する方法であって、免疫系に関連した病態の治療または予防を必要とする対象に、請求項1〜5のいずれかに記載の単離されたポリペプチドのいずれか1つ、請求項6〜11のいずれかに記載の融合タンパク質、請求項12または13に記載のヌクレオチド配列、請求項14に記載の発現ベクター、請求項15に記載の宿主細胞、請求項17に記載の医薬組成物、および請求項1〜5のいずれかに記載のポリペプチドのいずれかに特異的に結合する抗原結合部位を含むモノクローナル抗体もしくはポリクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントのいずれかを有効量で投与することを含む方法。 前記の免疫系に関連した病態が、免疫関連病態、自己免疫疾患、移植拒絶反応、移植片対宿主病、LSRポリペプチドによって媒介される免疫共刺激をブロックまたは促進するための状態、免疫関連疾患、および/または(免疫共刺激を促進または抑制する)免疫療法のための状態を含むことを特徴とする、請求項39に記載の方法。 前記の治療が、免疫関連病態の治療に有用な別の成分と組み合わされることを特徴とする請求項40または41に記載の方法。 前記成分が、コルチコステロイド類、シクロスポリン、シクロホスファミド、プレドニゾン、アザチオプリン、メトトレキサート、ラパマイシン、タクロリムスなどの免疫抑制剤;TNF−α遮断剤もしくはTNF−αアンタゴニスト、または任意の炎症性サイトカインを標的とする他の生物学的薬剤などの生物学的薬剤;非ステロイド性抗炎症剤/Cox−2阻害剤;ヒドロキシクロロキン;スルファサラゾピリン;金塩;エタネルセプト;インフリキシマブ;ミコフェノール酸モフェチル;バシリキシマブ;アタシセプト;リツキシマブ;シトキサン;インターフェロンβ−1a;インターフェロンβ−1b;酢酸グラチラマー;塩酸ミトキサントロン;アナキンラ;他のバイオロジクス;静脈内免疫グロブリン(IVIG);IFN−β−1a(REBIF(登録商標)およびAVONEX(登録商標))、IFN−β−1b(BETASERON(登録商標))などのインターフェロン;酢酸グラチラマー(COPAXONE(登録商標));ポリペプチド;ナタリズマブ(TYSABRI(登録商標));ミトキサントロン(NOVANTRONE(登録商標));細胞毒性剤;カルシニューリン阻害剤(たとえばシクロスポリンAまたはFK506);免疫抑制マクロライド(たとえばラパマイシンまたはその誘導体(たとえば40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン));リンパ球ホーミング剤(たとえばFTY720またはそのアナログ);コルチコステロイド類;シクロホスファミド;アザチオプリン;メトトレキサート;レフルノミドまたはそのアナログ;ミゾリビン;ミコフェノール酸;ミコフェノール酸モフェチル;15−デオキシスペルグアリンまたはそのアナログ;免疫抑制モノクローナル抗体(たとえば、MHC、CD2、CD3、CD4、CD11a/CD18、CD7、CD25、CD27、B7、CD40、CD45、CD58、CD137、ICOS、CD150(SLAM)、OX40、4−1BBまたはこれらのリガンドなどの白血球レセプターに対するモノクローナル抗体);他の免疫調節化合物(たとえばCTLA4−Ig(アバタセプト、ORENCIA(登録商標))、CD28−Ig、B7−H4−Ig、他の共刺激剤);接着分子阻害剤(たとえばモノクローナル抗体(mAb));LFA−1アンタゴニスト、セレクチンアンタゴニスト、VLA−4アンタゴニストなどの低分子阻害剤;ならびに他の免疫調節剤からなる群から選択されることを特徴とする請求項41に記載の方法。 前記の免疫関連病態が、自己免疫疾患、移植拒絶反応、および移植片対宿主病から選択されることを特徴とする請求項39〜42のいずれかに記載の方法。 前記の自己免疫疾患が、再発寛解型多発性硬化症、一次進行型多発性硬化症および二次進行型多発性硬化症を含む多発性硬化症;乾癬;関節リウマチ;乾癬性関節炎;全身性エリテマトーデス(SLE);潰瘍性大腸炎;クローン病;良性リンパ球性血管炎;血小板減少性紫斑病;突発性血小板減少症;特発性自己免疫性溶血性貧血;赤芽球ろう;シェーグレン症候群;リウマチ性疾患;結合組織疾患;炎症性リウマチ;変形性リウマチ;非関節性リウマチ;若年性関節リウマチ;尿酸塩関節炎;筋肉リウマチ;慢性多発性関節炎;クリオグロブリン血管炎;ANCA関連血管炎;抗リン脂質症候群;重症筋無力症;自己免疫性溶血性貧血;ギラン・バレー症候群;慢性免疫性多発ニューロパチー;自己免疫性甲状腺炎;インスリン依存性糖尿病;1型糖尿病;アジソン病;膜性糸球体腎症;グッドパスチャー病;自己免疫性胃炎;自己免疫性萎縮性胃炎;悪性貧血;天疱瘡;尋常性天疱瘡;肝硬変;原発性胆汁性肝硬変;皮膚筋炎;多発性筋炎;線維筋炎;筋硬症;セリアック病;免疫グロブリンA腎症;ヘノッホ・シェーンライン紫斑病;エバンス症候群;アトピー性皮膚炎;乾癬;関節症性乾癬;グレーブス病;グレーブス眼症;強皮症;全身性強皮症;進行性全身性強皮症;喘息;アレルギー;原発性胆汁性肝硬変;橋本甲状腺炎;原発性粘液水腫;交感性眼炎;自己免疫性ぶどう膜炎;肝炎;慢性活動性肝炎;膠原病;強直性脊椎炎;肩関節周囲炎;結節性汎動脈炎;軟骨石灰化症;ヴェーゲナー肉芽腫症;顕微鏡的多発血管炎;慢性じんま疹;水疱性皮膚疾患;類天疱瘡;アトピー性湿疹;デビック病;小児自己免疫性溶血性貧血;難治性または慢性自己免疫性血球減少症;後天性血友病Aにおける抗第VIII因子自己抗体の産生の予防;寒冷凝集素病;視神経脊髄炎;全身硬直症候群;歯肉炎;歯周炎;膵炎;心筋炎;血管炎;胃炎;痛風;痛風性関節炎;乾癬、アトピー性皮膚炎、湿疹、酒さ、蕁麻疹およびざ瘡からなる群から選択される炎症性皮膚疾患;正補体血症性蕁麻疹様血管炎;心膜炎;筋炎;抗合成酵素症候群;強膜炎;マクロファージ活性化症候群;ベーチェット症候群;PAPA症候群;Blau症候群;痛風;成人および若年性スティル病;クリオピリン関連周期性症候群;マックル−ウェルズ症候群;家族性寒冷自己炎症性症候群;新生児期発症多臓器性炎症性疾患;家族性地中海熱;慢性乳児期発症神経皮膚関節症候群;全身型若年性特発性関節炎;高IgD症候群;シュニッツラー症候群;自己免疫性網膜症;加齢黄斑変性症;アテローム性動脈硬化症;慢性前立腺炎;ならびにTNF受容体関連周期性症候群(TRAPS)からなる群から選択されることを特徴とする請求項43に記載の方法。 前記の自己免疫疾患が、任意の型および亜型の、多発性硬化症、関節リウマチ、1型糖尿病、乾癬、全身性エリテマトーデス、炎症性腸疾患、ぶどう膜炎およびシェーグレン症候群からなる群から選択されることを特徴とする請求項44に記載の方法。 感染症を治療または予防する方法であって、感染症の治療または予防を必要とする対象に、請求項1〜5のいずれかに記載の単離されたポリペプチドのいずれか1つ、請求項6〜11のいずれかに記載の融合タンパク質、請求項12または13に記載のヌクレオチド配列、請求項14に記載の発現ベクター、請求項15に記載の宿主細胞、請求項17に記載の医薬組成物、および請求項1〜5のいずれかに記載のポリペプチドのいずれかに特異的に結合する抗原結合部位を含むモノクローナル抗体もしくはポリクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントのいずれかを有効量で投与することを含む方法。 前記の感染症が、細菌感染、ウイルス感染、真菌感染および/または他の寄生虫感染によって引き起こされる疾患から選択されることを特徴とする、請求項46に記載の方法。 前記の感染症が、B型肝炎、C型肝炎、伝染性単核症、EBV、サイトメガロウイルス、AIDS、HIV−1、HIV−2、結核、マラリアおよび住血吸虫症から選択されることを特徴とする、請求項47に記載の方法。 試料中の請求項1〜5のいずれかに記載のポリペプチドのいずれか1つまたは該ポリペプチドと少なくとも95%の同一性を有するその変異体を検出するためのアッセイ。 対象の疾患を診断する方法であって、対象から得られた試料または対象において、請求項1〜5のいずれかに記載のポリペプチドのいずれか、または該ポリペプチドと少なくとも95%の同一性を有するその変異体、またはこれらのフラグメントを検出することを含む方法。 前記ポリペプチドの検出がインビボまたはインビトロで行われることを特徴とする、請求項50に記載の方法。 前記の検出がイムノアッセイによって行われることを特徴とする請求項50に記載の方法。 前記の検出が、請求項1〜5のいずれかに記載のポリペプチドのいずれかに特異的に結合する抗原結合部位を含むモノクローナル抗体もしくはポリクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントを使用して行われることを特徴とする、請求項50に記載の方法。 配列番号1および58からなる群から選択される配列の可溶性細胞外ドメインの少なくとも62個のアミノ酸、配列番号3および5からなる群から選択される配列の可溶性細胞外ドメインの少なくとも36個のアミノ酸、もしくは配列番号7の可溶性細胞外ドメインの少なくとも46個のアミノ酸を含む単離されたポリペプチド;または、配列番号5に示されるアミノ酸配列、該アミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有する変異体、これらの変異体、これらのオーソログ、またはこれらのフラグメントから実質的になる単離されたポリペプチド。 配列番号1および58からなる群から選択される配列の62個〜228個のアミノ酸;配列番号3および5からなる群から選択される配列の36個〜393個のアミノ酸;または配列番号7の46個〜216個のアミノ酸のみを含むことを特徴とする請求項54に記載の単離されたポリペプチド。 配列番号1および58からなる群から選択される配列の62個〜82個、95個〜115個、もしくは208個〜228個のアミノ酸のみを含むポリペプチド;配列番号3および5からなる群から選択される配列の36個〜70個、80個〜100個、170個〜200個、265個〜290個、もしくは365個〜393個のアミノ酸のみを含むポリペプチド;または配列番号7の46個〜66個、84個〜104個、もしくは196個〜216個のアミノ酸のみを含むポリペプチドからなる群から選択されることを特徴とする、請求項55に記載の単離されたポリペプチド。 配列番号1および58からなる群から選択される配列の約72個、106個、もしくは218個のアミノ酸;配列番号7の約56個、94個、もしくは206個のアミノ酸;または配列番号3および5の約46個、49個、58個、60個、87個、89個、93個、94個、178個、182個、185個、187個、273個、279個、282個、374個もしくは383個のアミノ酸のみを含むことを特徴とする、請求項56に記載の単離されたポリペプチド。 配列番号2、4〜6、8、39、59〜61、および81〜101のいずれかに示されるアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列から実質的になる請求項57に記載のポリペプチド。 配列番号2、4〜6、8、39、59〜61、および81〜101のいずれかに示されるアミノ酸配列から実質的になる請求項58に記載のポリペプチド。 TMEM25、VSIG10、LY6G6F、またはそのフラグメントもしくは変異体と、それぞれの機能性対応物との相互作用をブロックまたは阻害することを特徴とする請求項54〜59のいずれかに記載のポリペプチド。 TMEM25、VSIG10、LY6G6F、またはそのフラグメントもしくは変異体と、それぞれの機能性対応物との相互作用においてTMEM25、VSIG10、LY6G6F、またはそのフラグメントもしくは変異体と置き換わること、またはTMEM25、VSIG10、LY6G6F、またはそのフラグメントもしくは変異体と、それぞれの機能性対応物との相互作用を増強することを特徴とする請求項54〜59のいずれかに記載のポリペプチド。 前記のオーソログが、配列番号9および19〜20から選択されるマウスポリペプチドであることを特徴とする請求項54〜59のいずれかに記載のポリペプチド。 異種配列に連結された請求項54〜59のいずれかに記載のポリペプチドを含む融合タンパク質。 前記の異種配列が免疫グロブリン分子の少なくとも一部分を含むことを特徴とする請求項63に記載の融合タンパク質。 前記の免疫グロブリン分子の一部分が、免疫グロブリン重鎖定常領域のFcフラグメントであることを特徴とする請求項64に記載の融合タンパク質。 前記の免疫グロブリン重鎖定常領域が、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgE、IgAおよびIgDからなる群から選択される免疫グロブリンアイソタイプに由来することを特徴とする請求項65に記載の融合タンパク質。 配列番号71〜74および172〜175のいずれかに示されるアミノ酸配列を有する請求項66に記載の融合タンパク質。 配列番号23〜26のいずれかに示されるアミノ酸配列を有する請求項66に記載の融合タンパク質。 インビトロおよびインビボにおいて免疫細胞応答を調節することを特徴とする請求項67に記載の融合タンパク質。 請求項54〜69のいずれかに記載のポリペプチドをコードする核酸配列。 配列番号33〜37、182〜185、および189〜192、これらの配列と少なくとも95%の配列同一性を有するこれらの変異体、ならびにこれらの変性変異体からなる群から選択される、請求項70に記載の核酸配列。 請求項70または71に記載の核酸配列を少なくとも1つ含む発現ベクターまたはウイルス。 組換え細胞であって、請求項72に記載の核酸配列を含む発現ベクターまたはウイルスを含み、該DNAセグメントにコードされたポリペプチドを構成的または誘導的に発現する組換え細胞。 TMEM25、VSIG10、もしくはLY6G6Fの可溶性細胞外ドメインポリペプチド、またはそのフラグメントもしくは融合タンパク質の製造方法であって、前記のDNAセグメントまたは核酸にコードされたポリペプチドの発現が可能な条件下で、請求項73に記載の組換え細胞を培養すること、および該ポリペプチドを回収することを含む方法。 請求項54〜59のいずれかに記載のポリペプチド、これらのフラグメント、これらと少なくとも95%の同一性を有する変異体、およびこれらのエピトープのいずれか1つと特異的に結合する抗原結合部位を含むモノクローナル抗体もしくはポリクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。 前記の抗原結合部位が立体構造エピトープまたは直線状エピトープを含み、かつ、約3〜7個の連続したアミノ酸または不連続アミノ酸を含むことを特徴とする、請求項75に記載の抗体または抗原結合フラグメント。 前記抗体が、完全ヒト抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、または霊長類化抗体であることを特徴とする、請求項75または76に記載の抗体またはフラグメント。前記抗体が、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)2フラグメント、F(ab’)フラグメント、F(ab)フラグメント、Fvフラグメント、scFvフラグメントおよび最小認識単位からなる群から選択されることを特徴とする、請求項75または76に記載の抗体または抗原結合フラグメント。 前記抗体が、薬剤、放射性核種、発蛍光団、酵素、毒素、治療剤、および化学療法剤から選択される成分と結合されており、この検出可能なマーカーが、放射性同位元素、金属キレート剤、酵素、蛍光化合物、生物発光化合物、または化学発光化合物であることを特徴とする、請求項75〜78のいずれかに記載の抗体または抗原結合フラグメント。 前記抗体が、TMEM25ポリペプチド、VSIG10ポリペプチド、LY6G6Fポリペプチド、ならびにこれらのフラグメントおよび変異体のいずれか1つと、それぞれの対応物との相互作用をブロックまたは阻害することを特徴とする、請求項75〜78のいずれかに記載の抗体または抗原結合フラグメント。 前記抗体が、TMEM25ポリペプチド、VSIG10ポリペプチド、LY6G6Fポリペプチド、またはこれらのフラグメントもしくは変異体と、それぞれの対応物との相互作用においてTMEM25ポリペプチド、VSIG10ポリペプチド、LY6G6Fポリペプチド、またはこれらのフラグメントもしくは変異体と置き換わること、またはTMEM25ポリペプチド、VSIG10ポリペプチド、LY6G6Fポリペプチド、またはこれらのフラグメントもしくは変異体と、それぞれの対応物との相互作用を増強することを特徴とする、請求項75〜78のいずれかに記載の抗体または抗原結合フラグメント。 前記抗体が、TMEM25タンパク質、VSIG10タンパク質、およびLY6G6Fタンパク質のいずれか1つを発現するがん細胞のアポトーシスまたは溶解を誘導することを特徴とする、請求項75〜78のいずれかに記載の抗体または抗原結合フラグメント。 前記アポトーシスまたは溶解が、前記抗体のCDC活性またはADCC活性に関与していることを特徴とする、請求項82に記載の抗体または抗原結合フラグメント。 請求項54〜59のいずれかに記載の単離されたポリペプチド、請求項63〜69のいずれかに記載の融合タンパク質、請求項70または71に記載のヌクレオチド配列、請求項72に記載の発現ベクター、請求項73に記載の宿主細胞、または請求項75〜83のいずれかに記載の抗体と、薬学的に許容される希釈剤または担体とを含む医薬組成物。 請求項54〜59のいずれかに記載の単離されたポリペプチド、請求項63〜69のいずれかに記載の融合タンパク質、請求項70または71に記載のヌクレオチド配列、請求項72に記載の発現ベクター、請求項73に記載の宿主細胞、請求項75〜83のいずれかに記載の抗体、および請求項84に記載の医薬組成物のいずれか1つの使用であって、対象への投与によりT細胞の活性化が阻害または抑制されることを特徴とする使用。 請求項54〜59のいずれかに記載の単離されたポリペプチド、請求項63〜69のいずれかに記載の融合タンパク質、請求項70または71に記載のヌクレオチド配列、請求項72に記載の発現ベクター、請求項73に記載の宿主細胞、請求項75〜83のいずれかに記載の抗体、および請求項84に記載の医薬組成物のいずれか1つの、がんの治療のための使用。 請求項54〜59のいずれかに記載の単離されたポリペプチド、請求項63〜69のいずれかに記載の融合タンパク質、請求項70または71に記載のヌクレオチド配列、請求項72に記載の発現ベクター、請求項73に記載の宿主細胞、請求項75〜83のいずれかに記載の抗体、および請求項84に記載の医薬組成物のいずれか1つの、感染性障害の治療のための使用。 対象において、a.サイトカインのアップレギュレート;b.T細胞の増殖の誘導;c.抗原特異的T細胞免疫の促進;d.CD4+T細胞および/またはCD8+T細胞の活性化の促進の1以上を行う方法であって、請求項54〜59のいずれかに記載の単離されたポリペプチド、請求項63〜69のいずれかに記載の融合タンパク質、請求項70または71に記載のヌクレオチド配列、請求項72に記載の発現ベクター、請求項73に記載の宿主細胞、請求項75〜83のいずれかに記載の抗体、および請求項84に記載の医薬組成物のいずれか1つを対象に投与することを含む方法。 免疫系に関連した病態を治療または予防する方法であって、免疫系に関連した病態の治療または予防を必要とする対象に、請求項54〜59のいずれかに記載の単離されたポリペプチドのいずれか1つ、請求項63〜69いずれかに記載の融合タンパク質、請求項70または71に記載のヌクレオチド配列、請求項72に記載の発現ベクター、請求項73に記載の宿主細胞、請求項75〜83のいずれかに記載の抗体、および請求項84に記載の医薬組成物のいずれかを有効量で投与することを含む方法。 前記の免疫系に関連した病態が、免疫関連病態;自己免疫疾患;移植拒絶反応;移植片対宿主病;前記のTMEM25ポリペプチド、VSIG10ポリペプチドおよびLY6G6Fポリペプチドのいずれか1つによって媒介される免疫共刺激をブロックまたは促進するための状態;免疫関連疾患;ならびに/または(免疫共刺激を促進または抑制する)免疫療法のための状態を含むことを特徴とする、請求項89に記載の方法。 前記の治療が、免疫関連病態の治療に有用な別の成分と組み合わされることを特徴とする請求項89または90に記載の方法。 前記成分が、コルチコステロイド類、シクロスポリン、シクロホスファミド、プレドニゾン、アザチオプリン、メトトレキサート、ラパマイシン、タクロリムスなどの免疫抑制剤;TNF−α遮断剤もしくはTNF−αアンタゴニスト、または任意の炎症性サイトカインを標的とする他の生物学的薬剤などの生物学的薬剤;非ステロイド性抗炎症剤/Cox−2阻害剤;ヒドロキシクロロキン;スルファサラゾピリン;金塩;エタネルセプト;インフリキシマブ;ミコフェノール酸モフェチル;バシリキシマブ;アタシセプト;リツキシマブ;シトキサン;インターフェロンβ−1a;インターフェロンβ−1b;酢酸グラチラマー;塩酸ミトキサントロン;アナキンラ;他のバイオロジクス;静脈内免疫グロブリン(IVIG);IFN−β−1a(REBIF(登録商標)およびAVONEX(登録商標))、IFN−β−1b(BETASERON(登録商標))などのインターフェロン;酢酸グラチラマー(COPAXONE(登録商標));ポリペプチド;ナタリズマブ(TYSABRI(登録商標));ミトキサントロン(NOVANTRONE(登録商標));細胞毒性剤;カルシニューリン阻害剤(たとえばシクロスポリンAまたはFK506);免疫抑制マクロライド(たとえばラパマイシンまたはその誘導体(たとえば40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン));リンパ球ホーミング剤(たとえばFTY720またはそのアナログ);コルチコステロイド類;シクロホスファミド;アザチオプリン;メトトレキサート;レフルノミドまたはそのアナログ;ミゾリビン;ミコフェノール酸;ミコフェノール酸モフェチル;15−デオキシスペルグアリンまたはそのアナログ;免疫抑制モノクローナル抗体(たとえば、MHC、CD2、CD3、CD4、CD11a/CD18、CD7、CD25、CD27、B7、CD40、CD45、CD58、CD137、ICOS、CD150(SLAM)、OX40、4−1BBまたはこれらのリガンドなどの白血球レセプターに対するモノクローナル抗体);他の免疫調節化合物(たとえばCTLA4−Ig(アバタセプト、ORENCIA(登録商標))、CD28−Ig、B7−H4−Ig、他の共刺激剤);接着分子阻害剤(たとえばモノクローナル抗体(mAb));LFA−1アンタゴニスト、セレクチンアンタゴニスト、VLA−4アンタゴニストなどの低分子阻害剤;ならびに他の免疫調節剤からなる群から選択されることを特徴とする請求項91に記載の方法。 前記の免疫関連病態が、自己免疫疾患、移植拒絶反応、および移植片対宿主病から選択されることを特徴とする請求項90〜92のいずれかに記載の方法。 前記の自己免疫疾患が、再発寛解型多発性硬化症、一次進行型多発性硬化症および二次進行型多発性硬化症を含む多発性硬化症;乾癬;関節リウマチ;乾癬性関節炎;全身性エリテマトーデス(SLE);潰瘍性大腸炎;クローン病;良性リンパ球性血管炎;血小板減少性紫斑病;突発性血小板減少症;特発性自己免疫性溶血性貧血;赤芽球ろう;シェーグレン症候群;リウマチ性疾患;結合組織疾患;炎症性リウマチ;変形性リウマチ;非関節性リウマチ;若年性関節リウマチ;尿酸塩関節炎;筋肉リウマチ;慢性多発性関節炎;クリオグロブリン血管炎;ANCA関連血管炎;抗リン脂質症候群;重症筋無力症;自己免疫性溶血性貧血;ギラン・バレー症候群;慢性免疫性多発ニューロパチー;自己免疫性甲状腺炎;インスリン依存性糖尿病;1型糖尿病;アジソン病;膜性糸球体腎症;グッドパスチャー病;自己免疫性胃炎;自己免疫性萎縮性胃炎;悪性貧血;天疱瘡;尋常性天疱瘡;肝硬変;原発性胆汁性肝硬変;皮膚筋炎;多発性筋炎;線維筋炎;筋硬症;セリアック病;免疫グロブリンA腎症;ヘノッホ・シェーンライン紫斑病;エバンス症候群;アトピー性皮膚炎;乾癬;関節症性乾癬;グレーブス病;グレーブス眼症;強皮症;全身性強皮症;進行性全身性強皮症;喘息;アレルギー;原発性胆汁性肝硬変;橋本甲状腺炎;原発性粘液水腫;交感性眼炎;自己免疫性ぶどう膜炎;肝炎;慢性活動性肝炎;膠原病;強直性脊椎炎;肩関節周囲炎;結節性汎動脈炎;軟骨石灰化症;ヴェーゲナー肉芽腫症;顕微鏡的多発血管炎;慢性じんま疹;水疱性皮膚疾患;類天疱瘡;アトピー性湿疹;デビック病;小児自己免疫性溶血性貧血;難治性または慢性自己免疫性血球減少症;後天性血友病Aにおける抗第VIII因子自己抗体の産生の予防;寒冷凝集素病;視神経脊髄炎;全身硬直症候群;歯肉炎;歯周炎;膵炎;心筋炎;血管炎;胃炎;痛風;痛風性関節炎;乾癬、アトピー性皮膚炎、湿疹、酒さ、蕁麻疹およびざ瘡からなる群から選択される炎症性皮膚疾患;正補体血症性蕁麻疹様血管炎;心膜炎;筋炎;抗合成酵素症候群;強膜炎;マクロファージ活性化症候群;ベーチェット症候群;PAPA症候群;Blau症候群;痛風;成人および若年性スティル病;クリオピリン関連周期性症候群;マックル−ウェルズ症候群;家族性寒冷自己炎症性症候群;新生児期発症多臓器性炎症性疾患;家族性地中海熱;慢性乳児期発症神経皮膚関節症候群;全身型若年性特発性関節炎;高IgD症候群;シュニッツラー症候群;自己免疫性網膜症;加齢黄斑変性症;アテローム性動脈硬化症;慢性前立腺炎;ならびにTNF受容体関連周期性症候群(TRAPS)からなる群から選択されることを特徴とする請求項93に記載の方法。 前記の自己免疫疾患が、任意の型および亜型の、多発性硬化症、関節リウマチ、1型糖尿病、乾癬、全身性エリテマトーデス、炎症性腸疾患、ぶどう膜炎およびシェーグレン症候群からなる群から選択されることを特徴とする請求項94に記載の方法。 感染症を治療または予防する方法であって、感染症の治療または予防を必要とする対象に、請求項54〜59のいずれかに記載の単離されたポリペプチド、請求項63〜69のいずれかに記載の融合タンパク質、請求項70または71に記載のヌクレオチド配列、請求項72に記載の発現ベクター、請求項73に記載の宿主細胞、請求項75〜83のいずれかに記載の抗体、および請求項84に記載の医薬組成物のいずれか1つを有効量で投与することを含む方法。 前記の感染症が、細菌感染、ウイルス感染、真菌感染および/または他の寄生虫感染によって引き起こされる疾患から選択されることを特徴とする、請求項96に記載の方法。 前記の感染症が、B型肝炎、C型肝炎、伝染性単核症、EBV、サイトメガロウイルス、AIDS、HIV−1、HIV−2、結核、マラリアおよび住血吸虫症から選択されることを特徴とする、請求項97に記載の方法。 がんを治療または予防する方法であって、がんの治療または予防を必要とする対象に、請求項54〜59のいずれかに記載の単離されたポリペプチドのいずれか;請求項63〜69のいずれかに記載の融合タンパク質;請求項70または71に記載のヌクレオチド配列;請求項72に記載の発現ベクター;請求項73に記載の宿主細胞;請求項75〜83のいずれかに記載の抗体;および請求項84に記載の医薬組成物のいずれか1つを有効量で投与することを含む方法。 前記の治療が、がんを治療するのに有用な別の成分または治療法と組み合わされることを特徴とする、請求項99に記載の方法。 前記の治療法が、放射線療法;抗体療法;化学療法;光線力学療法;養子T細胞療法;Treg除去;手術;または慣用の薬剤との併用療法であることを特徴とする、請求項100に記載の方法。 前記成分が、免疫抑制剤;細胞傷害剤;腫瘍ワクチン;抗体(たとえば、ベバシズマブ、アービタックス);ペプチド;ペプチボディ;小分子;細胞傷害剤および細胞増殖抑制剤(たとえば、パクリタキセル、シスプラチン、ビノレルビン、ドセタキセル、ゲムシタビン、テモゾロミド、イリノテカン、5FU、カルボプラチン)などの化学療法剤;インターフェロンおよびインターロイキンなどの免疫調節剤;免疫刺激抗体;成長ホルモン;他のサイトカイン;葉酸;ビタミン;無機質;アロマターゼ阻害剤;RNAi;ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤;およびプロテアソーム阻害剤からなる群から選択されることを特徴とする請求項101に記載の方法。 前記がんが、乳がん、子宮頸がん、卵巣がん、子宮内膜がん、メラノーマ、膀胱がん、肺がん、膵臓がん、結腸がん、前立腺がん、白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、多発性骨髄腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、骨髄性白血病、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病、甲状腺がん、濾胞性甲状腺がん、骨髄異形成症候群(MDS)、線維肉腫、横紋筋肉腫、メラノーマ、ぶどう膜メラノーマ、奇形癌、神経芽腫、神経膠腫、神経膠芽腫、皮膚の良性腫瘍、角化棘細胞腫、腎臓がん、未分化大細胞リンパ腫、食道扁平上皮細胞癌、肝細胞癌、濾胞性樹状細胞癌、腸がん、筋層浸潤がん、精巣腫瘍、表皮癌、脾臓がん、膀胱がん、頭頸部がん、胃がん、肝臓がん、骨がん、脳がん、網膜がん、胆道がん、小腸がん、唾液腺がん、子宮がん、精巣がん、結合組織がん、前立腺肥大症、脊髄形成異常、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、鼻咽腔がん、神経内分泌がん、骨髄異形成症候群、中皮腫、血管肉腫、カポジ肉腫、カルチノイド、食道胃がん、ファローピウス管がん、腹膜がん、漿液性乳頭状ミュラー管がん、悪性腹水、消化管間質腫瘍(GIST)、リー・フラウメニ症候群、およびフォンヒッペル・リンダウ症候群(VHL)からなる群から選択される、非転移性、浸潤性、または転移性のがんであることを特徴とする請求項99〜102のいずれかに記載の方法。 前記がんが、メラノーマ、肝臓がん、腎臓がん、脳がん、乳がん、結腸がん、肺がん、卵巣がん、膵臓がん、前立腺がん、胃がん、多発性骨髄腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、急性および慢性リンパ芽球性白血病、ならびに急性および慢性骨髄白血病のいずれかであることを特徴とする請求項103に記載の方法。 抗原に対する患者の二次免疫応答を増強する方法であって、請求項54〜59のいずれかに記載の単離されたポリペプチド、請求項63〜69のいずれかに記載の融合タンパク質、請求項70または71に記載のヌクレオチド配列、請求項72に記載の発現ベクター、請求項73に記載の宿主細胞、請求項75〜83のいずれかに記載の抗体、および請求項84に記載の医薬組成物のいずれか1つを有効量で投与することを含む方法。 前記の抗原が、がん抗原、ウイルス抗原または細菌抗原であり、前記患者が、抗がんワクチンまたはウイルスワクチンによる治療を受けたことのある患者であることを特徴とする、請求項105に記載の方法。 患者に免疫療法を行う方法であって、a.患者または患者から単離した白血球に、請求項54〜59のいずれかに記載の単離されたポリペプチド、請求項63〜69のいずれかに記載の融合タンパク質、請求項70もしくは71に記載のヌクレオチド配列、請求項72に記載の発現ベクター、請求項73に記載の宿主細胞、請求項75〜83のいずれかに記載の抗体、または請求項84に記載の医薬組成物を有効量で投与し、寛容原性制御性細胞の分化を誘導することを含む、インビボまたはエクスビボにおける寛容誘導;b.エクスビボにおける前記細胞の濃縮および増殖;ならびにc.前記患者への寛容原性制御性細胞の自己輸血を含む方法。 請求項54〜59のいずれかに記載の単離されたポリペプチド、請求項63〜69のいずれかに記載の融合タンパク質、請求項70または71に記載のヌクレオチド配列、請求項72に記載の発現ベクター、請求項73に記載の宿主細胞、請求項75〜83のいずれかに記載の抗体、および請求項84に記載の医薬組成物の少なくとも1つをがんワクチンアジュバントとして使用する方法であって、免疫応答を誘導できる量の標的とする腫瘍関連抗原調製物と、がんワクチンアジュバントとを免疫化に適した処方で患者に投与することを含み、該がんワクチンアジュバント存在下における該腫瘍関連抗原に対する免疫応答が、該がんワクチンアジュバント非存在下におけるものよりも強力であることを特徴とする方法。 感染症の治療を目的として、請求項54〜59のいずれかに記載の単離されたポリペプチド、請求項63〜69のいずれかに記載の融合タンパク質、請求項70または71に記載のヌクレオチド配列、請求項72に記載の発現ベクター、請求項73に記載の宿主細胞、請求項75〜83のいずれかに記載の抗体、および請求項84に記載の医薬組成物のいずれか1つの投与と、抗原を用いた治療用ワクチン接種とを組み合わせる方法。 免疫応答を増強させる目的で、請求項54〜59のいずれかに記載の単離されたポリペプチド、請求項63〜69のいずれかに記載の融合タンパク質、請求項70または71に記載のヌクレオチド配列、請求項72に記載の発現ベクター、請求項73に記載の宿主細胞、請求項75〜83のいずれかに記載の抗体、および請求項84に記載の医薬組成物のいずれかの1つと、アジュバントと、ワクチン中の抗原とを組み合わせる方法。 前記の抗原が、ウイルス抗原、細菌抗原、真菌抗原、寄生虫抗原および/または別の病原体の抗原であることを特徴とする、請求項109または110に記載の方法。 試料中の配列番号:1〜8、および58のいずれかで示されるポリペプチドのいずれか1つまたは該ポリペプチドと少なくとも95%の同一性を有するその変異体を検出するためのアッセイ。 対象の疾患を診断する方法であって、対象から得られた試料または対象において、配列番号1〜8、および58のいずれかに示されるポリペプチドのいずれか、または該ポリペプチドと少なくとも95%の同一性を有するその変異体、またはこれらのフラグメントを検出することを含む方法。 前記ポリペプチドの検出がインビボまたはインビトロで行われることを特徴とする、請求項113に記載の方法。 前記の検出がイムノアッセイによって行われることを特徴とする請求項113に記載の方法。 前記の検出が請求項75〜83のいずれかに記載の抗体またはフラグメントを使用して行われることを特徴とする請求項113に記載の方法。 LY6G6F、VSIG10、またはTMEM25媒介性シグナル伝達を調節することができる生物活性剤を、少なくとも1種の免疫細胞活性を調節するのに効果的な量で使用して、免疫細胞活性を調節する方法。 前記の薬剤が、免疫細胞活性を阻害または減弱することを特徴とする、請求項117に記載の方法。 前記の薬剤が、免疫細胞活性を誘導または増強することを特徴とする、請求項117に記載の方法。 LY6G6Fタンパク質、VSIG10タンパク質またはTMEM25タンパク質の活性を調節することによりがんを治療または予防することを特徴とする請求項117に記載の方法。 前記の投与される薬剤が、がん細胞に対するT細胞活性を増強する抗体またはフラグメントであることを特徴とする請求項117に記載の方法。 前記の薬剤が、請求項54〜59のいずれかに記載の単離されたポリペプチド、請求項63〜69のいずれかに記載の融合タンパク質、請求項70もしくは71に記載のヌクレオチド配列、請求項72に記載の発現ベクター、請求項73に記載の宿主細胞、請求項75〜83のいずれかに記載の抗体、または請求項84に記載の医薬組成物のいずれか1つを含むことを特徴とする、請求項117〜121のいずれかに記載の方法。 本発明は、免疫療法;がん、感染性障害および/または免疫関連障害の治療;ならびに医薬品開発のための標的として適切なLY6G6Fタンパク質、VSIG10タンパク質、TMEM25タンパク質およびLSRタンパク質に関する。本発明はさらに、可溶性LY6G6F分子、可溶性VSIG10分子、可溶性TMEM25分子および可溶性LSR分子、LY6G6F細胞外ドメイン、VSIG10細胞外ドメイン、TMEM25細胞外ドメインおよびLSR細胞外ドメイン、ならびにこれらのいずれかを含む結合体に関し、これらは免疫療法、ならびに、がん、感染性障害および/または免疫関連障害の治療のための薬剤として適切である。本発明はさらに、LY6G6F分子、VSIG10分子、TMEM25分子またはLSR分子に特異的な、抗体、抗原結合フラグメント、およびこれらのいずれかを含む結合体、ならびに/または代替足場に関し、これらは免疫療法、ならびに、がん、感染性障害、および/または免疫関連障害の治療のための薬剤として適切である。 配列表