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タイトル:公開特許公報(A)_カーボネート化合物含有ポリカーボネートジオール
出願番号:2014261141
年次:2015
IPC分類:C07C 69/96,C08G 18/32,C09D 175/04,C09D 5/00,C07D 323/00


特許情報キャッシュ

上野 英三郎 JP 2015143216 公開特許公報(A) 20150806 2014261141 20141224 カーボネート化合物含有ポリカーボネートジオール 旭化成ケミカルズ株式会社 303046314 稲葉 良幸 100079108 大貫 敏史 100109346 内藤 和彦 100134120 上野 英三郎 JP 2013272987 20131227 C07C 69/96 20060101AFI20150710BHJP C08G 18/32 20060101ALI20150710BHJP C09D 175/04 20060101ALI20150710BHJP C09D 5/00 20060101ALI20150710BHJP C07D 323/00 20060101ALN20150710BHJP JPC07C69/96 ZC08G18/32C09D175/04C09D5/00 ZC07D323/00 17 OL 36 4C022 4H006 4J034 4J038 4C022NA06 4H006AA03 4H006AB99 4H006BN10 4J034BA06 4J034CA04 4J034CB03 4J034CC07 4J034CC30 4J034CD05 4J034DP03 4J034HA01 4J034HA06 4J034HA07 4J034HC03 4J034HC12 4J034HC13 4J034HC17 4J034HC22 4J034HC46 4J034HC52 4J034HC61 4J034HC63 4J034HC64 4J034HC67 4J034HC71 4J034HC73 4J034RA07 4J038DG121 4J038GA11 4J038MA08 本発明は、ポリカーボネートジオールに関する。 ポリカーボネートジオールは、例えば、ポリウレタンや熱可塑性エラストマーなどのソフトセグメントとして、耐加水分解性、耐光性、耐酸化劣化性、耐熱性などに優れた素材として知られている。しかしながら、ポリカーボネートジオールは、塗料の構成材料として用いた場合、ポリカーボネートジオール結合間の相互作用が強いため、塗膜表面の平滑性が損なわれる場合がある。 一方、環状カーボネート構造を有する種々の添加剤が開示されている。例えば、機械特性及び/又は耐溶剤性を著しく悪化させることなく、エポキシ樹脂の粘性を減少させる環状カーボネート構造を有する添加剤が開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、電解液等の溶媒、高分子材料前駆体、添加剤として有用な新規環状カーボネートが開示されている(例えば、特許文献2参照)。また、5−メチル−1,3−ジオキサン−2−オンを含有するポリカーボネートジオールが開示されている(例えば、特許文献3参照)。特表2013−528685号公報特開2011−84512号公報国際公開第2006−088152号 しかしながら、特許文献1及び2に記載の環状カーボネートは、塗料の構成材料として用いた場合、少量の添加では塗膜の平滑性を向上させることができず、大量に添加するとブリードアウトする場合があり、改善の余地がある。また、特許文献3に記載のポリカーボネートジオールは、塗料の構成材料として用いた場合、機械的強度や耐油性などの低下はないが、塗膜の平滑性には改善の余地がある。 このように、これまでの技術では、機械的強度や耐薬品性を低下させることなく、平滑な塗膜を得ることができるポリカーボネートジオールは開発されていない。 そこで、本発明は、例えば、塗料の構成材料として用いる場合、耐薬品性を損なうことなく、平滑な塗膜を得ることができるポリカーボネートジオール組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、例えば、ポリウレタンの原料として用いる場合、機械的強度を損なうことなく耐油性に優れたポリウレタンを得ることができるポリカーボネートジオール組成物を提供することを目的とする。 本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定構造のカーボネート化合物を含有するポリカーボネートジオール組成物を用いることで目的を達成できることを見出し、本発明をなすに至った。 すなわち、本発明の構成は以下のとおりである。[1] 下記式(A)で表される繰り返し単位と末端ヒドロキシル基とを含むポリカーボネートジオール、及び(式(A)中、Rは、炭素数2〜15の二価の脂肪族又は脂環族炭化水素を表す。) 下記式(B)で表されるカーボネート化合物を0.05〜5重量%含む、ポリカーボネートジオール組成物。 (式(B)中、l及びmは、2〜15の整数を表し、l≠mである。)[2] 上記式(B)で表されるカーボネート化合物が、下記式(C)で表されるカーボネート化合物である、上記[1]に記載のポリカーボネートジオール組成物。 (式(C)中、l及びmは、4〜6の整数を表し、l≠mである。)[3] 前記ポリカーボネートジオールにおける末端OH基割合が95.0〜99.9%である、上記[1]又は[2]に記載のポリカーボネートジオール組成物。[4] ICPにより測定した際の、チタン、イッテルビウム、スズ及びジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素の含有量が0.0001〜0.02重量%である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載のポリカーボネートジオール組成物。[5] ICPにより測定した際の、チタン、イッテルビウム、スズ及びジルコニウムの総含有量が0.0001〜0.02重量%である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載のポリカーボネートジオール組成物。[6] ICPにより測定した際のリン元素の含有量が0.0001〜0.02重量%である、上記[1]〜[5]のいずれかに記載のポリカーボネートジオール組成物。[7] 下記式(H)で表されるカーボネート化合物を0.03〜5重量%含む、上記[1]〜[6]のいずれかに記載のポリカーボネートジオール組成物。 (式(H)中、i及びkは、2〜15の整数を表し、i≠kである。)[8] テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン及びオキセパンからなる群より選ばれる少なくとも1種の環状エーテル化合物の含有量が0.01〜50ppmである、上記[1]〜[7]のいずれかに記載のポリカーボネートジオール組成物。[9] テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン及びオキセパンの総含有量が0.01〜50ppmである、上記[1]〜[8]のいずれかに記載のポリカーボネートジオール組成物。[10] 下記式(I)で表されるカーボネート化合物を0.01〜3重量%含む、上記[1]〜[9]のいずれかに記載のポリカーボネートジオール組成物。 (式(I)中、rは、2〜15の整数を表す。)[11] 水分量が1〜500ppmである、上記[1]〜[10]のいずれかに記載のポリカーボネートジオール組成物。[12] 色数が5〜100である、上記[1]〜[11]のいずれかに記載のポリカーボネートジオール組成物。[13] 上記[1]〜[12]のいずれかに記載のポリカーボネートジオール組成物と有機ポリイソシアネートとを含む、コーティング組成物。[14] 上記[1]〜[12]のいずれかに記載のポリカーボネートジオール組成物と有機ポリイソシアネートとを反応させて得られるウレタンプレポリマーを含み、該ウレタンプレポリマーが末端イソシアネート基を持つ、コーティング組成物。[15] 上記[1]〜[12]のいずれかに記載のポリカーボネートジオール組成物、有機ポリイソシアネート及び鎖伸長剤を反応させて得られるポリウレタン樹脂を含む、コーティング組成物。[16] 水、上記[1]〜[12]のいずれかに記載のポリカーボネートジオール組成物、有機ポリイソシアネート及び鎖伸長剤を反応させて得られるポリウレタンを含む、水系コーティング組成物。[17] 上記[1]〜[12]のいずれかに記載のポリカーボネートジオール組成物と有機ポリイソシアネートとを用いて得られる、熱可塑性ポリウレタン。 本発明のポリカーボネートジオール組成物は、塗料の構成材料として用いる場合、耐薬品性を損なうことなく、平滑な塗膜を得ることができる。また、本発明のポリカーボネートジオール組成物は、ポリウレタンの原料として用いる場合、機械的強度を損なうことなく耐油性に優れたポリウレタンを得ることが可能である。これらの特性を有することから、本発明のポリカーボネートジオール組成物は、塗料の構成材料として、さらにはポリウレタンの原料として好適に用いることができる。 以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と略記する。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。 <ポリカーボネートジオール組成物> 本実施形態のポリカーボネートジオール組成物は、 下記式(A)で表される繰り返し単位と末端ヒドロキシル基とを含むポリカーボネートジオール、及び(式(A)中、Rは、炭素数2〜15の二価の脂肪族又は脂環族炭化水素を表す。) 下記式(B)で表されるカーボネート化合物を0.05〜5重量%含む。 (式(B)中、l及びmは、2〜15の整数を表し、l≠mである。) 本実施形態に用いるポリカーボネートジオールは、上記式(A)で表される繰り返し単位と末端ヒドロキシル基とを有する。 式(A)中、Rは、炭素数2〜15の二価の脂肪族又は脂環族炭化水素を表し、全繰り返しの単位において1種又は2種以上を選択することができる。式(A)中、Rが側鎖を持たない二価の脂肪族炭化水素の場合、ポリウレタンの耐薬品性や機械的強度が高くなるので好ましい。さらに、式(A)中、Rが、下記式(D)から選ばれる1種又は2種以上の二価の脂肪族炭化水素である場合、耐薬品性と機械的強度とのバランスがよく、成型性が良好なポリウレタンが得られるので好ましい。 (式(D)中、nは、4〜6の整数を表す。) Rが、式(D)においてn=5の場合の二価の脂肪族炭化水素及びn=6の場合の二価の脂肪族炭化水素の2種である場合、−5℃の低温でもポリカーボネートジオール組成物が液状となるため、より好ましい。 なお、ポリカーボネートジオールにおいて、式(A)で表される繰り返し単位の割合は、耐熱性や耐加水分解性の観点から好ましくは95モル%以上100モル%以下、より好ましくは97モル%以上100モル%以下、さらに好ましくは99モル%以上100モル%以下である。 本実施形態のポリカーボネートジオール組成物は、常温で液状であることが好ましい。本実施形態のポリカーボネートジオール組成物は、塗料の構成成分として用いる場合、透明な塗料に用いても白濁することが少ないため、用途が制限されることが少ない。なお、本実施形態において、液状とは、80℃に加熱したポリカーボネートジオール組成物を透明なサンプル瓶に入れ、室温まで冷えた状態を目視で観察し透明で、サンプル瓶を傾けた時に僅かでも流動性がある状態をいう。 本実施形態のポリカーボネートジオール組成物は、上記式(B)で表されるカーボネート化合物、つまり、2つのカーボネート結合を有する環状化合物を含む。本実施形態のポリカーボネートジオール組成物は、該構造のカーボネート化合物を所定量含むことで、目的とする塗膜を得ることができる。本実施形態の組成物において、式(B)で表されるカーボネート化合物が上記ポリカーボネートジオールと共に所定量存在すると、該カーボネート化合物の各カーボネート結合は、上記ポリカーボネートジオール分子内の2つのカーボネート結合又は異なる上記ポリカーボネートジオール分子のカーボネート結合と相互作用を有する。その結果、分子内又は分子間のカーボネート結合距離が広がり、ポリカーボネートジオール分子内又は分子間の相互作用が低くなる。その結果、本実施形態のポリカーボネートジオール組成物を用いて、例えば噴霧塗装により塗膜を得る場合、噴霧された塗液の液滴が凝集しにくくなるとともに基材へ付着しやすくなり、塗膜の平滑性が向上する。さらに、上記カーボネート化合物は、直接ポリカーボネートジオールのカーボネート結合と作用するため,少量で効果が表れるとともに、ブリードアウトすることも少ない。また、本実施形態に用いるカーボネート化合物は異なる鎖長のメチレン鎖を有するため、結晶性が低く、常温で液状である。よって、上記カーボネート化合物は、塗料の構成材料に用いた場合、塗膜の透明性を損なうこともない。また、上記カーボネート化合物は、分子内に2つのカーボネート結合を有するため、分解すると1分子あたり2分子の二酸化炭素を生成する。このようなカーボネート化合物は、塗膜やポリウレタンに難燃性を付与できる可能性も有する。また、本実施形態に用いるカーボネート化合物は、異なる鎖長のメチレン鎖を有するため、環構造に歪を有しており、塗膜やポリウレタンが分解する前に二酸化炭素を発生させることが期待できる。 本実施形態に用いるカーボネート化合物は、カーボネート結合間のメチレン鎖が2以上であれば安定であり、カーボネート結合間のメチレン鎖が15以下であれば上記の効果を得ることができる。上記カーボネート化合物としては、特に限定されないが、例えば、1,3,6,8−テトラオキサシクロウンデカン−2,7−ジオン、1,3,7,9−テトラオキサシクロトリデカン−2,8−ジオン、1,3,8,10−テトラオキサシクロペンタデカン−2,9−ジオン、1,3,9,11−テトラオキサシクロヘプタデカン−2,10−ジオン、1,3,10,12−テトラオキサシクロノナデカン−2,11−ジオン、1,3,11,13−テトラオキサシクロヘンイコサン−2,12−ジオン、1,3,12,14−テトラオキサシクロトリコサン−2,13−ジオン、1,3,13,15−テトラオキサシクロペンタコサン−2,14−ジオン、1,3,14,16−テトラオキサシクロヘプタコサン−2,15−ジオン、1,3,15,17−テトラオキサシクロノナコサン−2,16−ジオン、1,3,16,18−テトラオキサシクロヘントリアコンタン−2,16−ジオン、1,3,17,19−テトラオキサシクロトリトリアコンタン−2,18−ジオン、1,3,18,20−テトラオキサシクロペンタトリアコンタン−2,19−ジオンなど上記式(B)におけるlとmとの差が1であるカーボネート化合物;1,3,6,8−テトラオキサシクロドデカン−2,7−ジオン、1,3,7,9−テトラオキサシクロテトラデカン−2,8−ジオン、1,3,8,10−テトラオキサシクロヘキサデカン−2,9−ジオン、1,3,9,11−テトラオキサシクロオクタデカン−2,10−ジオン、1,3,10,12−テトラオキサシクロイコサン−2,11−ジオン、1,3,11,13−テトラオキサシクロドコサン−2,12−ジオン、1,3,12,14−テトラオキサシクロテトラコサン−2,13−ジオン、1,3,13,15−テトラオキサシクロヘキサコサン−2,14−ジオン、1,3,14,16−テトラオキサシクロオクタコサン−2,15−ジオン、1,3,15,17−テトラオキサシクロトリアコンタン−2,16−ジオン、1,3,16,18−テトラオキサシクロドトリアコンタン−2,17−ジオン、1,3,17,19−テトラオキサシクロテトラトリアコンタン−2,18−ジオンなど上記式(B)におけるlとmとの差が2であるカーボネート化合物;1,3,6,8−テトラオキサシクロトリデカン−2,7−ジオン、1,3,7,9−テトラオキサシクロペンタデカン−2,8−ジオン、1,3,8,10−テトラオキサシクロヘプタデカン−2,9−ジオン、1,3,9,11−テトラオキサシクロノナデカン−2,10−ジオン、1,3,10,12−テトラオキサシクロヘンイコサン−2,11−ジオン、1,3,11,13−テトラオキサシクロトリコサン−2,12−ジオン、1,3,12,14−テトラオキサシクロペンタコサン−2,13−ジオン、1,3,13,15−テトラオキサシクロヘプタコサン−2,14−ジオン、1,3,14,16−テトラオキサシクロノナコサン−2,15−ジオン、1,3,15,17−テトラオキサシクロヘントリアコンタン−2,16−ジオン、1,3,16,18−テトラオキサシクロトリトリアコンタン−2,17−ジオンなど上記式(B)におけるlとmとの差が3であるカーボネート化合物が挙げられる。上記式(B)におけるlとmとの差が1である場合、環構造の歪が小さくカーボネート化合物の安定性が高いので好ましい。 また、本実施形態に用いるカーボネート化合物は、下記式(C)で表されるカーボネート化合物である場合、すなわち、カーボネート結合間のメチレンの数が4〜6であると、カーボネート結合間の距離及びカーボネート化合物におけるカーボネート結合の比率が好ましくなる。 (式(C)中、l及びmは、4〜6の整数を表し、l≠mである。) さらに、式(B)で表されるカーボネート化合物が下記式(E)又は(F)で表されるカーボネート化合物である場合、カーボネート化合物の安定性が高く、カーボネート結合間の距離及びカーボネート化合物におけるカーボネート結合の比率がより好ましくなる。 本実施形態のポリカーボネートジオール組成物に含まれるカーボネート化合物の含有量は、0.05〜5重量%である。該カーボネート化合物の含有量が0.05重量%以上であれば平滑な塗膜が得られ、該カーボネート化合物の含有量が5重量%以下であれば耐薬品性を有する透明な塗膜が得られる。該カーボネート化合物の含有量が0.07〜4重量%であればより好ましく、0.08〜2重量%であればさらに好ましい。本実施形態のポリカーボネートジオール組成物は、カーボネート化合物の含有量が、一般的な可塑剤の添加量と比較して少量であるため、機械特性や耐薬品性などが低下することがない。本実施形態に用いるカーボネート化合物は、ポリカーボネートジオールの製造においても生成するが、上記所定量となるようポリカーボネートジオールに添加することが好ましい。 本実施形態のポリカーボネートジオール組成物は、下記式(I)で表されるカーボネート化合物、すなわち、同じ長さのメチレン鎖を有し2つのカーボネート結合を有する環状化合物を含むこともできる。下記式(I)で表されるカーボネート化合物がポリカーボネートジオールと共に所定量存在すると、本実施形態のポリカーボネートジオール組成物を用いて得られるポリウレタンは、流動開始温度が高くなり、ブロッキングが起こりにくくなるとともに、樹脂表面の平滑性が高くなる。また、下記式(I)で表されるカーボネート化合物がポリカーボネートジオールと共に所定量存在すると、本実施形態のポリカーボネートジオール組成物を塗料の構成材料として用いた場合、平滑で強靭な塗膜を得ることができる。下記式(I)におけるrが4〜6である場合、すなわち、カーボネート結合間のメチレンの数が4〜6であると、上記の効果が顕著となるので好ましい。 (式(I)中、rは、2〜15の整数を表す。) 本実施形態のポリカーボネートジオール組成物に含まれる式(I)で表されるカーボネート化合物の含有量は、0.01〜3重量%であることが好ましい。本実施形態のポリカーボネートジオール組成物は、該カーボネート化合物の含有量が0.01重量%以上であれば、本実施形態のポリカーボネートジオール組成物を用いて得られるポリウレタンの流動開始温度が高くなり、ブロッキングが起こりにくくなるとともに、樹脂表面の平滑性が高くなり、該カーボネート化合物の含有量が3重量%以下であれば耐薬品性を有する透明な塗膜が得られる。該カーボネート化合物の含有量が0.01〜0.5重量%であればより好ましく、0.01〜0.05重量%であればさらに好ましい。 なお、本実施形態において、各カーボネート化合物の含有量は後述の実施例に記載する方法で求めることができる。 本実施形態のポリカーボネートジオール組成物は、下記式(J)で表されるカーボネート多量体、すなわち、3〜10のカーボネート結合を有する環状化合物を含むことができる。(式(J)中、lは、2〜15の整数を表し、pは、3〜10の整数を表す。) カーボネート多量体が、下記式(H)で表されるカーボネート化合物、すなわち、3つのカーボネート結合を有し、2つの異なる長さのメチレン鎖を有する環状化合物である場合、該環状化合物を含む本実施形態のポリカーボネートジオール組成物は、得られるポリウレタンの強度を低下させることなく成型性を向上することができるとともに、より平滑な塗膜になるので好ましい。さらに、カーボネート多量体が、下記式(H)で表されるカーボネート化合物であり、i及びkが4〜6の整数で表される場合、その効果はさらに大きい。 (式(H)中、i及びkは、2〜15の整数を表し、i≠kである。) 本実施形態のポリカーボネートジオール組成物に含まれるカーボネート多量体の含有量は、0.03〜5重量%であることが好ましい。 本実施形態のポリカーボネートジオール組成物は、該カーボネート多量体の含有量が0.03重量%以上であれば、得られるポリウレタンの成型性がより良好となり、該カーボネート多量体の含有量が5重量%以下であれば、良好な付着性を有する強靭で平滑な塗膜を得ることができる。該カーボネート多量体の含有量は、0.03〜3重量%であれば好ましく、0.03〜0.5重量%であればより好ましく、0.03〜0.2重量%であればさらに好ましく、0.03〜0.1重量であればよりさらに好ましい。 なお、本実施形態において、各カーボネート多量体の含有量の定量は、後述の実施例に記載するカーボネート化合物の定量方法により行うことができる。 本実施形態のポリカーボネートジオール組成物は、下記式(K)で表される環状エーテル化合物を含むこともできる。 (式(K)中、qは3〜15の整数を表す。) 該環状エーテル化合物が、テトラヒドロフラン(式(K)でqが4の場合)、テトラヒドロピラン(式(K)でqが5の場合)、オキセパン(式(K)でqが6の場合)である場合、該環状エーテル化合物を含むポリカーボネートジオール組成物は、溶剤との相溶性が良くなり、式(B)で表されるカーボネート化合物による効果との相乗効果でより平滑な塗膜となるので好ましい。 本実施形態のポリカーボネートジオール組成物において、環状エーテル化合物の含有量は、0.01〜50ppmであることが好ましい。該環状エーテル化合物の含有量が0.01〜5ppmの場合、該環状エーテル化合物がカーボネート化合物から揮発することもないのでより好ましく、0.01〜0.5ppmの場合、さらに好ましい。 本実施形態のポリカーボネートジオール組成物において、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン及びオキセパンからなる群より選ばれる少なくとも1種の環状エーテル化合物の含有量が、0.01〜50ppmであることが好ましく、0.01〜5ppmであることがより好ましく、0.01〜0.5ppmであることがさらに好ましい。また、本実施形態のポリカーボネートジオール組成物において、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン及びオキセパンの総含有量が、0.01〜50ppmであることが好ましく、0.01〜5ppmであることがより好ましく、0.01〜0.5ppmであることがさらに好ましい。 なお、本実施形態において、環状エーテル化合物の含有量は、後述の実施例に記載する方法で求めることができる。 本実施形態に用いるポリカーボネートジオールは、柔軟性を付与する目的で、その分子内に下記式(G)の繰り返し単位で表される構造を含むこともできる。(式(G)中、R’はアルキレン基を表し、全繰り返しの単位において、該アルキレン基は2種以上あっても構わない。また、xは2以上の整数を表す。) ポリカーボネートジオールの分子内に上記式(G)の繰り返し単位を導入する方法は、特に限定されないが、例えば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシエチレンプロピレングリコール、ポリオキシエチレンテトラメチレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコールなどのエーテル系ポリオールを原料ジオールに添加してもよく、重合途中でエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを付加させてもよい。 本実施形態に用いるポリカーボネートジオールにおいて、分子中の式(G)の繰り返し単位の含有量は、本発明に影響しない範囲であれば特に限定されるものではないが、その量が増えると得られるポリウレタンの耐熱性や耐薬品性が低下することがある。そのため、ポリカーボネートジオールに式(G)で表される繰り返し単位を導入する場合には、式(A)で表されるカーボネートの繰り返し単位に対し式(G)で表される(エーテル由来の構造を有する)繰り返し単位が0.05〜5モル%であることが好ましく、0.05〜3モル%であることがより好ましい。 本実施形態に用いるポリカーボネートジオールの数平均分子量は、300〜5000であることが好ましい。ポリカーボネートジオールの数平均分子量が300以上であれば、塗膜の柔軟性が得られる。ポリカーボネートジオールの数平均分子量が5000以下であれば、塗料の構成材料として用いる場合、塗料固形分濃度などが制限されることもなく、また得られるポリウレタンの成型加工性も低下することがないので好ましい。ポリカーボネートジオールの数平均分子量は、450〜3000であることがさらに好ましい。 なお、本実施形態において、ポリカーボネートジオールの数平均分子量は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。 本実施形態に用いるポリカーボネートジオールは、末端OH基割合が95.0〜99.9%であることが好ましい。該末端OH基割合が99.9%以下であれば、微細な高分子量ゲルなどを生成し塗膜表面の平滑性が低下することがなく、該末端OH基割合が95.0%以上であれば塗膜の硬化が進み、塗膜表面にぬめり感が残ることもないので好ましい。該末端OH基割合は、97.0〜99.9%がより好ましく、98.0〜99.9%がさらに好ましい。 なお、本実施形態において、末端OH基割合は、以下のように定義される。70g〜100gのポリカーボネートジオールを、0.4kPa以下の圧力下、160℃〜200℃の温度に加熱、攪拌して、該ポリカーボネートジオールの約1〜2重量%に相当する留分、即ち約1g(0.7〜2g)の初期留分を得る。得られた留分を、約100g(95〜105g)のエタノールに溶解させて溶液として回収する。回収した溶液をガスクロマトグラフィー分析(以下「GC分析」とも称す。)して、得られるクロマトグラフのピーク面積の値から、下記式(1)により計算した末端OH基割合を言う。なお、GC分析は、カラムとしてDB−WAX(米国J&W社製)30m、膜厚0.25μmを付けたガスクロマトグラフィー6890(米国ヒューレット・パッカード製)を用い、検出器に水素炎イオン化検出器(FID)を用いて行う。カラムの昇温プロファイルは、60℃から10℃/minで250℃まで昇温した後、その温度で15分間保持するプロファイルとする。GC分析における各ピークの同定は、下記GC−MS装置を用いて行った。GC装置は、カラムとしてDB−WAX(米国J&W社製)を付けた6890(米国ヒューレット・パッカード製)を用いる。GC装置において、初期温度40℃から昇温速度10℃/minで220℃まで昇温して測定する。MS装置は、Auto−massSUN(日本JEOL製)を用いる。MS装置において、イオン化電圧:70eV、スキャン範囲m/z=10〜500、フォトマルゲイン450Vで測定を行う。 末端OH基割合(%)=B÷A×100 (1) A:ジオールを含むアルコール類(エタノールを除く)のピーク面積の総和 B:ジオールのピーク面積の総和 末端OH基割合は、ポリカーボネートジオールの全末端基に占めるOH基の割合に対応する。即ち、上記に示すように、ポリカーボネートジオールを0.4kPa以下の圧力下、160℃〜200℃の温度に加熱すると、ポリカーボネートジオールの末端部分がアルコール類として留出する(下記式(a)を参照)。留出するアルコール類としては、特に限定されないが、例えば、原料に用いたジオール、シクロヘキサンジオールや1,5−ヘキサンジオールなどの原料に含まれる不純物、メタノールなどの原料のカーボネート化合物に由来するモノアルコール、重合中の副反応で生成する不飽和炭化水素を有するモノアルコールが挙げられる。(式(a)中、Xは−R2−OHまたは−R2であり、R1及びR2は炭化水素を表す。) この留分中の全アルコール類におけるジオールの比率が末端OH基割合である。 本実施形態のポリカーボネートジオール組成物において、水分量は、1〜500ppmであることが好ましい。本実施形態のポリカーボネートジオール組成物は、水分量が500ppm以下であれば、水とイソシアネートとの反応により白濁することもなく、平滑な塗膜が得られるので好ましい。また、本実施形態のポリカーボネートジオール組成物は、水分量が1ppm以上であれば、ポリカーボネートジオール中に容易にカーボネート化合物を分散させることが出来るので好ましい。該水分量が、5〜250ppmであれば、その効果はさらに顕著になり、10〜150ppmであれば、さらに好ましい。 なお、本実施形態において、ポリカーボネートジオール組成物の水分量は、後述の実施例に記載する方法で求めることができる。 本実施形態のポリカーボネートジオール組成物の色数は、5〜100が好ましい。本実施形態のポリカーボネートジオール組成物は、色数が100以下であれば、塗膜に着色が見られないので好ましい。また、本実施形態のポリカーボネートジオール組成物は、色数が5以上であれば、ポリカーボネートジオールの生産条件が制約を受けることがなく好ましい。該色数が、5〜50であれば、その効果はさらに顕著になり、5〜30であれば、さらに好ましい。 色数が前記範囲内のポリカーボネートジオール組成物を得る方法としては、特に限定されないが、例えば、200℃以下の、好ましくは170℃以下の温度で重合する方法が挙げられる。 なお、本実施形態において、ポリカーボネートジオール組成物の色数は、後述の実施例に記載するポリカーボネートジオール組成物の色数の決定により求めることができる。 本実施形態に用いるポリカーボネートジオールの製造方法は、特に限定されない。本実施形態に用いるポリカーボネートジオールは、例えば、Schnell著、ポリマー・レビューズ第9巻、p9〜20(1994年)に記載される種々の方法で製造することができる。 本実施形態に用いるポリカーボネートジオールは、特に限定されないが、例えば、ジオールとカーボネートとを原料として製造される。 本実施形態に用いるジオールは、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−ドデカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,15−ペンタデカンジオールなどの側鎖を持たないジオール;2−メチル−1,8−オクタンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールなどの側鎖を持ったジオール;1,4−シクロヘキサンジメタノール、2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパンなどの環状ジオールが挙げられる。当該ジオールは1種類又は2種類以上をポリカーボネートジオールの原料として用いてもよい。側鎖を持たないジオールから1種類又は2種類以上のジオールをポリカーボネートジオールの原料として用いて用いた場合、塗膜の耐薬品性や機械的強度が高くなるので好ましい。1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール及び1,6−ヘキサンジオールからなる群より選ばれる2種類のジオールをポリカーボネートジオールの原料として用いた場合、より好ましい。1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールをジオール原料として用いた場合、さらに好ましい。 本実施形態に用いるポリカーボネートジオールの製造において、2種類以上のジオールを原料として用いる場合、それら原料の比は特に限定されない。得られるポリカーボネートジオールが常温で液状となるように使用する原料の比を設定することが好ましい。2種のジオールを原料として用いる場合、モル比で20/80〜80/20の間で仕込み量を設定することが好ましい。この範囲であれば、得られるポリカーボネートジオールが液状となる。30/70〜70/30とすればさらに好ましく、40/60〜60/40とすれば、0℃以下でも液状となるのでより好ましい。 さらに、本実施形態に用いるポリカーボネートジオールの性能を損なわない範囲で、1分子に3以上のヒドロキシル基を持つ化合物、例えば、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトールなどをポリカーボネートジオールの原料として用いることもできる。この1分子中に3以上のヒドロキシル基を持つ化合物をポリカーボネートジオールの原料としてあまり多く用いると、ポリカーボネートの重合反応中に架橋してゲル化が起きてしまう。したがって、1分子中に3以上のヒドロキシル基を持つ化合物をポリカーボネートジオールの原料として用いる場合であっても、当該化合物は、ポリカーボネートジオールの原料として用いるジオールの合計モル数に対し、0.1〜5モル%にするのが好ましい。この割合は0.1〜1モル%であることが、より好ましい。 本実施形態に用いるポリカーボネートジオールの製造において、原料のカーボネートは、特に限定されないが、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネートなどのジアルキルカーボネート;ジフェニルカーボネートなどのジアリールカーボネート;エチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、1,2−プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、1,3−ブチレンカーボネート、1,2−ペンチレンカーボネートなどのアルキレンカーボネートなどが挙げられる。これらの内から1種又は2種以上のカーボネートをポリカーボネートジオールの原料として用いることができる。入手のしやすさや重合反応の条件設定のしやすさの観点より、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、ジブチルカーボネート、エチレンカーボネートを用いることが好ましい。 本実施形態に用いるポリカーボネートジオールの製造では、触媒を添加することが好ましい。該触媒としては、特に限定されないが、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどのアルカリ土類金属のアルコラート、水素化物、オキシト゛、アミド、炭酸塩、水酸化物、窒素含有ホウ酸塩、さらに有機酸の塩基性アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩が挙げられる。また、前記触媒として、特に限定されないが、例えば、アルミニウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、インジウム、スズ、アンチモン、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、タリウム、鉛、ビスマス、イッテルビウム、の金属、塩、アルコキシド、有機化合物が挙げられる。それらから1つ又は複数の触媒を選択し使用することができる。ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カリウム、チタン、ジルコニウム、スズ、鉛、イッテルビウムの金属、塩、アルコキシド、有機化合物から1つ又は複数の触媒を用いた場合、ポリカーボネートジオールの重合が良好に行われ、得られるポリカーボネートジオールを用いたウレタン反応に対する影響も少ないので好ましい。前記触媒として、チタン、イッテルビウム、スズ、ジルコニウムを用いた場合、さらに好ましい。 本実施形態のポリカーボネートジオール組成物は、上記触媒を、ICPを用い測定した金属元素の量として、0.0001〜0.02重量%含んでいてもよい。該触媒の含有量が前記範囲であれば、ポリカーボネートジオールの重合が良好に行われ、得られたポリカーボネートジオール組成物を用いたウレタン反応に対する影響も少ない。該触媒の含有量は、0.0005〜0.01重量%の場合より好ましい。 本実施形態のポリカーボネートジオール組成物は、ICPにより測定した際の、チタン、イッテルビウム、スズ及びジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素の含有量が、0.0001〜0.02重量%であることが好ましく、0.0005〜0.01重量%であることがより好ましい。また、本実施形態のポリカーボネートジオール組成物は、ICPにより測定した際の、チタン、イッテルビウム、スズ及びジルコニウムの総含有量が、0.0001〜0.02重量%であることが好ましく、0.0005〜0.01重量%であることがより好ましい。 なお、本実施形態において、ポリカーボネートジオール組成物中の金属元素の含有量は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。 本実施形態に用いるポリカーボネートジオールは、例えば、ポリウレタンの原料として用いる場合、ポリカーボネートジオールの製造で用いた触媒を、リン化合物で処理することが好ましい。リン化合物としては、特に限定されないが、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、ジ−2−エチルヘキシルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェートなどのリン酸トリエステル;メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、プロピルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ラウリルアシッドホスフェート、ステアリルアシッドホスフェート、2−エチルへキシルアシッドホスフェート、イソデシルアシッドホスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、テトラコシルアシッドホスフェート、エチレングリコールアシッドホスフェート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートアシッドホスフェート、ジブチルホスフェート、モノブチルホスフェート、モノイソデシルホスフェート、ビス(2−エチルヘキシル)ホスフェートなどの酸性リン酸エステル;トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリクレジルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリオレイルホスファイト、ジフェニルモノ(2−エチルヘキシル)ホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト、ジフェニル(モノデシル)ホスファイト、トリラウリルホスファイト、ジエチルハイドロゲンホスファイト、ビス(2−エチルヘキシル)ハイドロゲンホスファイト、ジラウリルハイドロゲンホスファイト、ジオレイルハイドロゲンホスファイト、ジフェニルハイドロゲンホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト、ビス(デシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリステアリルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトなどの亜リン酸エステル類;さらに、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸などが挙げられる。 本実施形態に用いるポリカーボネートジオール組成物に含まれるリン化合物の量は、ICPを用い測定した際のリン元素の含有量として、0.0001〜0.02重量%であることが好ましい。本実施形態のポリカーボネートジオール組成物は、リン化合物の量が前記範囲であれば、例えば、ポリウレタンの原料として用いた場合、該ポリウレタンの製造反応において、ポリカーボネートジオール製造で用いた触媒の影響を殆どなくすることが可能であり、また、リン化合物がポリウレタンの製造反応や反応生成物の物性に影響することも少ない。さらに、ポリカーボネートジオールにエステル交換反応触媒が存在する場合、ポリカーボネートジオール組成物中に存在するカーボネート化合物の分解を抑制することができる。本実施形態のポリカーボネートジオール組成物において、ICPにより測定した際のリン元素の含有量は、0.0005〜0.01重量%であることがさらに好ましい。 本実施形態に用いるポリカーボネートジオールの製造方法の具体例を以下に示す。本実施形態に用いるポリカーボネートジオールの製造は、特に限定されないが、例えば、2段階に分けて行うことができる。ジオールとカーボネートとをモル比(ジオール:カーボネート)で、例えば、20:1〜1:10の割合で、好ましくは10:1〜1:2の割合で混和し、常圧又は減圧下、100〜250℃で1段目の反応を行う。カーボネートとしてジメチルカーボネートを用いる場合、生成するメタノールをジメチルカーボネートとの混合物として除去して低分子量ポリカーボネートジオールを得ることができる。カーボネートとしてジエチルカーボネートを用いる場合、生成するエタノールをジエチルカーボネートとの混合物として除去して低分子量ポリカーボネートジオールを得ることができる。また、カーボネートとしてエチレンカーボネートを用いる場合、生成するエチレングリコールをエチレンカーボネートとの混合物として除去して低分子量ポリカーボネートジオールを得ることができる。次いで、2段目の反応は、前記1段目の反応生成物を、減圧下、160〜250℃で加熱して、未反応のジオールとカーボネートを除去するとともに、低分子量ポリカーボネートジオールを縮合させて、所定の分子量のポリカーボネートジオールを得る反応である。1段目の反応を、100〜150℃の温度で開始し、5時間以上反応開始温度で反応した後、1時間当たり15℃以下の速度で昇温を行うとともに、2段目の反応を、120〜170℃の温度で、15kPa以下の圧力下で行うことにより、反応で生成するカーボネート化合物の量は低く抑えることが可能であり、得られたポリカーボネートジオールに所定量のカーボネート化合物を添加することで、ポリカーボネートジオールに含まれるカーボネート化合物に量を制御できるのでより好ましい。また、本実施形態に用いるポリカーボネートジオールの末端OH基割合は、原料中の不純物、温度や時間などの製造条件、さらに、原料であるカーボネートとしてジアルキルカーボネート及び/又はジアリールカーボネートを用いる場合は、原料中のジオールとカーボネートとの仕込み比などの条件より、1つの方法を選択して、または適宜組み合わせることにより調整できる。原料であるカーボネートとして、ジアルキルカーボネート及び/又はジアリールカーボネートを用いた場合、目的とするポリカーボネートジオールの分子量に対応させて、原料であるジオールとカーボネートとを化学量論量又はそれに近い割合で仕込んで反応させると、ポリカーボネートジオールの末端にカーボネートに由来するアルキル基やアリール基が残存することが多い。そこで、カーボネートに対するジオールの量を、例えば、化学量論量の1.01〜1.10倍とすることで、ポリカーボネートジオールは、末端アルキル基や末端アリール基が減り、末端ヒドロキシル基を多くすることができる。さらに、副反応により、ポリカーボネートジオールの末端がビニル基になったり、例えばカーボネートとしてジメチルカーボネートを用いた場合、メチルエステルやメチルエーテルになったりする。一般的に、副反応は、反応温度が高いほど、反応時間が長いほど起きやすくなる。 <用途> 本実施形態のポリカーボネートジオール組成物は、塗料や接着剤の構成材料として、またポリウレタンや熱可塑性エラストマーの原料として、さらにはポリエステルやポリイミドの改質剤などの用途に用いることができる。特に、本実施形態のポリカーボネートジオール組成物は、塗料の構成材料として用いる場合、表面が平滑であり、強度、耐薬品性などの性能のバランスが良い塗膜が得られる。また、本実施形態のポリカーボネートジオール組成物は、ポリウレタンや熱可塑性エラストマーの原料として用いる場合、表面が平滑であり強靱で耐薬品性に優れるポリウレタンや熱可塑性エラストマーを得ることができる。 本実施形態の熱可塑性ポリウレタンは、上述のポリカーボネートジオール組成物と有機ポリイソシアネートとを用いて得ることができる。 また、本実施形態のコーティング組成物は、上述のポリカーボネートジオール組成物と有機ポリイソシアネートとを含む。 さらに、本実施形態のコーティング組成物は、上述のポリカーボネートジオール組成物と有機ポリイソシアネートとを反応させて得られるウレタンプレポリマーを含み、該ウレタンプレポリマーがイソシアネート末端基を持つことが好ましい。 またさらに、本実施形態のコーティング組成物は、上述のポリカーボネートジオール組成物、有機ポリイソシアネート及び鎖伸長剤を反応させて得られるポリウレタン樹脂を含むことがより好ましく、上述のポリカーボネートジオール組成物、有機ポリイソシアネート及び鎖伸長剤を反応させて得られるポリウレタンを含む、水系コーティング組成物であることがさらに好ましい。 使用される有機ポリイソシアネートとしては、特に限定されないが、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、及びその混合物(TDI)、粗製TDI、ジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート(MDI)、粗製MDI、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート(NDI)、3,3'−ジメチル−4,4'−ビフェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、フェニレンジイソシアネート等の公知の芳香族ジイソシアネート、4,4'−メチレンビスシクロヘキシルジイソシアネート(水添MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、シクロヘキサンジイソシアネート(水添XDI)等の公知の脂肪族ジイソシアネート、及びこれらのイソシアネート類のイソシアヌレート化変性品、カルボジイミド化変性品、ビウレット化変性品等が挙げられる。これらの有機ポリイソシアネートは、単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いても構わない。またこれらの有機ポリイソシアネートは、ブロック剤でイソシアネート基をマスクして用いてもよい。 また、ポリカーボネートジオール組成物と有機ポリイソシアネートとの反応において、所望により共重合成分として鎖伸長剤を用いることができる。鎖伸長剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリウレタン業界における常用の鎖伸長剤、すなわち、水、低分子ポリオール、ポリアミン等が使用できる。鎖伸長剤の例として、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,10−デカンジオール、1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、キシリレングリコール、ビス(p−ヒドロキシ)ジフェニル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン等の低分子ポリオール、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルジアミン、ジアミノジフェニルメタン等のポリアミンが挙げられる。これらの鎖伸長剤は、単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いても構わない。 本実施形態のコーティング組成物(塗料)を製造する方法としては、業界で公知の製造方法が用いられる。例えば、上述のポリカーボネートジオール組成物から得られる塗料主剤と有機ポリイソシアネートからなる硬化剤とを塗工直前に混合する2液型溶剤系コーティング組成物;上述のポリカーボネートジオール組成物と有機ポリイソシアネートとを反応させて得られるイソシアネート末端基を持つウレタンプレポリマーからなる1液型溶剤系コーティング組成物;上述のポリカーボネートジオール組成物、有機ポリイソシアネート及び鎖伸長剤を反応させて得られるポリウレタン樹脂からなる1液型溶剤系コーティング組成物;あるいは1液型水系コーティング組成物を製造することができる。 本実施形態のコーティング組成物(塗料)には、例えば、各種用途に応じて硬化促進剤(触媒)、充填剤、分散剤、難燃剤、染料、有機又は無機顔料、離型剤、流動性調整剤、可塑剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、レベリング剤、着色剤、溶剤等を添加することができる。 本実施形態のコーティング組成物(塗料)の溶剤としては、特に限定されないが、例えば、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジオキサン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルセロソルブ、酢酸エチル、酢酸ブチル、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、水などを挙げることができる。これらの溶剤は、1種類又は複数種を混合して使用することができる。 本実施形態の熱可塑性ポリウレタンを製造する方法としては、特に限定されず、ポリウレタン業界で公知のポリウレタン化反応の技術が用いられる。例えば、上述のポリカーボネートジオール組成物と有機ポリイソシアネートとを大気圧下に常温から200℃で反応させることにより、熱可塑性ポリウレタンを製造することができる。鎖延長剤を用いる場合は、反応の最初から加えておいてもよいし、反応の途中から加えてもよい。本実施形態の熱可塑性ポリウレタンの製造方法については、例えば、米国特許第5,070,173号を参照できる。 ポリウレタン化反応においては、公知の重合触媒や溶媒を用いてもよい。用いられる重合触媒は、特に限定されないが、例えばジブチルスズジラウレートが挙げられる。 本実施形態の熱可塑性ポリウレタンには、熱安定剤(例えば酸化防止剤)や光安定剤などの安定剤を添加することが好ましい。また、可塑剤、無機充填剤、滑剤、着色剤、シリコンオイル、発泡剤、難燃剤等を添加してもよい。 次に、実施例及び比較例によって、本発明を説明する。 以下の実施例は、本発明を例示するために記載するものであって、本発明の範囲を何ら限定するものではない。 以下の実施例及び比較例において示す物性値は、下記の方法で測定した。1.カーボネート化合物の定量 カーボネート化合物の定量を以下のとおり行った。まず、サンプルをアセトニトリルに溶解し1%の溶液とした。該溶液について液体クロマトグラフ質量分析計(LC/MS)を用いて分析した。該分析により得られた面積値を元に、予め作成した検量線を用いてサンプル中の各カーボネート化合物の定量を行った。LC装置は、カラムとしてWaters Symmetory C8(Waters社製)をつけたWaters2690(Waters社製)を用いた。LC装置において、流量を0.5ml/minとし、アセトニトリル:水=30:70からアセトニトリル:水=100:0まで15分かけてグラジエントをかけて測定した。MS装置は、Waters ZMD(Waters社製)を用いた。MS装置において、イオン化:APCl+、フォトマル電圧650Vで測定を行った。2.ポリカーボネートジオールの組成の決定 ポリカーボネートジオールの組成を以下のとおり決定した。まず、100mlのナスフラスコに、サンプルを1g測り取り、エタノール30g、水酸化カリウム4gを入れて、混合物を得た。得られた混合物を100℃のオイルバスで1時間加熱した。前記混合物を室温まで冷却後、指示薬としてフェノールフタレインを前記混合物に1〜2滴添加し、塩酸で中和した。その後、前記混合物を冷蔵庫で3時間冷却し、沈殿した塩を濾過で除去した後、濾液をガスクロマトグラフィー(GC)分析した。なお、GC分析は、カラムとしてDB−WAX(米国J&W社製)30m、膜厚0.25μmを付けたガスクロマトグラフィーGC14B(島津製作所製)を用い、ジエチレングリコールジエチルエステルを内部標準として用い、検出器に水素炎イオン化検出器(FID)を用いて行った。カラムの昇温プロファイルは、60℃で5分保持した後、10℃/minで250℃まで昇温するプロファイルとした。 GC分析により得られたジオールの面積値を元に、ポリカーボネートジオールの組成を決定した。3.ポリカーボネートジオールの数平均分子量の決定 ポリカーボネートジオールの数平均分子量は、無水酢酸及びピリジンを用い、水酸化カリウムのエタノール溶液で滴定する「中和滴定法(JIS K0070−1992)」によって水酸基価(OH価)を決定し、下記式(2)を用いて計算した。 数平均分子量=2/(OH価×10-3/56.1) (2)4.ポリカーボネートジオール組成物の性状の確認 80℃に加熱したポリカーボネートジオール組成物を透明なサンプル瓶に入れ、室温まで冷えた状態を目視で観察した。透明であり、かつサンプル瓶を傾けた時に僅かでも流動性がある場合を液状とし、不透明又はサンプル瓶を傾けても状態が変化しない何れかの場合及び双方の場合を固体として表した。5.末端OH基割合の決定 ポリカーボネートジオールにおける末端OH基割合を以下のとおり決定した。まず、70g〜100gのポリカーボネートジオールを300mlのナスフラスコに秤取った。留分回収用のトラップ球を接続したロータリーエバポレーターを用い、前記ナスフラスコ中のポリカーボネートジオールを、0.4kPa以下の圧力下、約180℃の温度に加熱、攪拌して、トラップ球に該ポリカーボネートジオールの約1〜2重量%に相当する留分、即ち約1g(0.7〜2g)の初期留分を得た。得られた留分を、約100g(95〜105g)のエタノールに溶解させ溶液として回収した。回収した溶液をガスクロマトグラフィー分析(以下「GC分析」とも称す。)して、得られるクロマトグラフのピーク面積の値から、下記式(1)によりポリカーボネートジオールにおける末端OH基割合を計算した。なお、GC分析は、カラムとしてDB−WAX(米国J&W社製)30m、膜厚0.25μmを付けたガスクロマトグラフィー6890(米国ヒューレット・パッカード製)を用い、検出器に水素炎イオン化検出器(FID)を用いて行った。カラムの昇温プロファイルは、60℃から10℃/minで250℃まで昇温した後、その温度で15分間保持するプロファイルとした。GC分析における各ピークの同定は、下記GC−MS装置を用いて行った。GC装置は、カラムとしてDB−WAX(米国J&W社製)を付けた6890(米国ヒューレット・パッカード製)を用いた。GC装置において、初期温度40℃から昇温速度10℃/minで220℃まで昇温した。MS装置は、Auto−massSUN(日本JEOL製)を用いた。MS装置において、イオン化電圧70eV、スキャン範囲m/z=10〜500、フォトマルゲイン450Vで測定を行った。 末端OH基割合(%)=B÷A×100 (1) A:ジオールを含むアルコール類(エタノールを除く)のピーク面積の総和 B:ジオールのピーク面積の総和6.含有元素の誘電結合プラズマ(ICP)による分析 ポリカーボネートジオール組成物中に含有する各元素を以下のとおり分析した。まず、サンプルをテフロン(登録商標)製分解容器に秤取り、高純度硝酸(関東化学製)を加えてマイクロウエーブ分解装置(マイルストーンゼネラル社製、ETHOS TC)を用いて分解した。なお、サンプルは完全に分解され、得られた分解液は無色透明となった。分解液に純水を加えて検液とした。得られた検液について誘電結合プラズマ分析装置(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製、iCAP6300 Duo)を用い、各元素の標準液を元に定量を行った。7.塗膜の平滑性 ポリカーボネートジオール組成物から得られる塗膜について、レーザー顕微鏡(オリンパス製、OLS4100)を用いて表面の凸凹の振幅(μm)を求めた。平滑性は、比較応用例2で得られた塗膜の振幅を1としてその比で表した。8.塗膜の耐酸性 ポリカーボネートジオール組成物から得られた塗膜について、0.1mol/LのH2SO4水溶液に24h室温で浸漬後の塗膜外観を目視で評価した。JIS K5600−8−1に準じて欠陥の程度及び量を等級0〜5で表し、塗膜の耐酸性とした。9.塗膜の耐アルカリ性 ポリカーボネートジオール組成物から得られた塗膜について、0.1mol/LのNaOH水溶液に室温で24h浸漬後の塗膜外観を目視で評価した。JISK5600−8−1に準じて欠陥の程度及び量を等級0〜5で表し、塗膜の耐アルカリ性とした。10.塗膜の耐エタノール性 ポリカーボネートジオール組成物から得られた塗膜について、50%EtOH水溶液に室温で4h浸漬後の塗膜外観を目視で評価した。JISK5600−8−1に準じて欠陥の程度及び量を等級0〜5で表し、塗膜の耐エタノール性とした。11.塗膜の透明性 ポリカーボネートジオール組成物から得られた塗膜を、90℃の蒸留水に1週間浸漬した。その後、塗膜から水分を拭き取り、23℃、50%RHの恒温室で塗膜を3日間養生した。JIS K 7105に準じて、浸漬前後の塗膜の全光線透過率を求め、下記式(3)から塗膜の透明性を求めた。 透明性=F/E×100 (3) E:浸漬前の塗膜の全光線透過率(%) F:浸漬後の塗膜の全光線透過率(%)12.塗膜の付着性 ポリカーボネートジオール組成物から得られる塗膜を用い、JIS K5600−5−6(クロスカット法)に準じ0〜5の6段階の分類で塗膜の付着性を評価した。13.ポリウレタンフィルムの機械的物性 ポリカーボネートジオール組成物から得られたポリウレタンフィルムを10mm×80mmの短冊型に切り取り、23℃、50%RHの恒温室で3日間養生したものを試験体とした。得られた試験体について、テンシロン引張試験器(ORIENTEC製、RTC−1250A)を用い、チャック間距離50mm、引張速度100mm/分で、破断強度(単位:MPa)及び破断伸度(単位:%)を測定した。14.ポリウレタンフィルムの耐油性 ポリカーボネートジオール組成物から得られたポリウレタンフィルムを10mm×80mmの短冊型に切り取って試験体を得た。得られた試験体に、0.1gのオレイン酸を付着させ、20℃で4時間放置し、試験体の外観を目視で評価した。JISK5600−8−1に準じて欠陥の程度及び量を等級0〜5で表し、耐油性とした。15.ポリカーボネートジオール組成物中の水分量の測定 水分測定装置(KF−100型、三菱化学アナリテック製)を用い、JIS K0068に準じ、容量分析法でポリカーボネートジオール組成物中の水分量を測定した。16.ポリカーボネートジオール組成物中の環状エーテル化合物の定量 ポリカーボネートジオール組成物中の環状エーテル化合物の量を、以下のとおり決定した。サンプル2gを精秤し、20mlのバイアルに入れて密栓した。バイアルを100℃で3時間加熱し、気相1mlを100℃に加熱したガスタイトシリンジで採取し、GC/MSで測定した。GC装置は、7890A(Agilent社製)を、カラムは、Equity−1(シグマ・アルドリッチ社製)30m、膜厚0.25μmを使用した。昇温プロファイルは、40℃で7分保持した後、10℃/分で280℃まで昇温し、その温度で5分間保持するという昇温プロファイルとした。MS装置は、Jms−Q1000GC(日本電子株式会社製)を用い、イオン化電圧70eV、スキャン範囲m/z=10〜500、フォトマルゲイン1300Vで測定を行った。定量は、1−ブタノールで検量線を作成して行った。 環状エーテル化合物量(ppm)=G/H×1000 (4) G:環状エーテル化合物の総和(mg) H:サンプル量(g)17.ポリカーボネートジオール組成物の色数の決定 比色管を用い、JIS K 0071−1に準じて、ポリカーボネートジオール組成物の色数を決定した。18.熱可塑性ポリウレタンの流れ特性 熱可塑性ポリウレタンについて、キャピラリーレオメータ(キャピログラフ1D、東洋精機製作所製)を用い、JIS K7199に準じて、昇温速度:3℃/min、ダイ:1mmφ×10mmL、荷重:5.5MPaの条件で測定することにより、温度[℃]−粘度[dPa・s]曲線を得た。流動開始温度[℃]と、流動開始温度における粘度に対する流動開始温度+10℃における粘度の比(下記式(5)参照)とを元に、熱可塑性ポリウレタンの流れ特性を評価した。流動開始温度が高く粘度比が小さいほど、ブロッキングが起こりにくく、さらに成型性に優れると評価した。 粘度比=(流動開始温度+10℃の粘度)/(流動開始温度の粘度) (5)[実施例1] 規則充填物を充填した精留塔と攪拌装置とを備えた2Lのガラス製フラスコにエチレンカーボネートを640g(7.3mol)、1,5−ペンタンジオールを400g(3.9mol)、1,6−ヘキサンジオールを410g(3.5mol)仕込んだ。前記フラスコに触媒としてチタンテトライソプロポキシド0.35gをさらに加え、前記フラスコ内の混合物を常圧で攪拌及び加熱して反応を開始した。反応開始温度を140℃とし、該温度で15時間反応を行った。その後、15時間をかけて反応温度を160℃へ徐々に上げて、生成するエチレングリコールとエチレンカーボネートとの混合物を留去しながら反応を行った。その後、前記フラスコ内の圧力を10kPaまで減圧し、ジオールとエチレンカーボネートとの混合物を留去しながら、164℃でさらに15時間反応を行った。その後、前記フラスコにリン化合物として2−エチルヘキシルアシッドホスフェートを0.39g加え、前記フラスコ内の混合物を120℃で5時間加熱することによりポリカーボネートジオールを得た。得られたポリカーボネートジオール500gに、1,3,9,11−テトラオキサシクロヘプタデカン−2,10−ジオン(式(B)中で、l=5、m=6の場合のカーボネート化合物)を2g加え、100℃で5時間撹拌することにより、ポリカーボネートジオール組成物を得た。得られたポリカーボネートジオール組成物を分析した結果を、表1に示す。このポリカーボネートジオール組成物をPC−1と略す。得られたポリカーボネートジオールは、式(A)で表される繰り返し単位と末端ヒドロキシル基とを有しており、各繰り返し単位のR及び割合は表1に示すとおりであった。[実施例2] 1,3,9,11−テトラオキサシクロヘプタデカン−2,10−ジオン(式(B)中で、l=5、m=6の場合のカーボネート化合物)の添加量を0.5gとした以外は、実施例1と同様の方法でポリカーボネートジオール組成物を得た。得られたポリカーボネートジオール組成物を分析した結果を、表1に示す。このポリカーボネートジオール組成物をPC−2と略す。得られたポリカーボネートジオールは、式(A)で表される繰り返し単位と末端ヒドロキシル基とを有しており、各繰り返し単位のR及び割合は表1に示すとおりであった。[実施例3] 1,3,9,11−テトラオキサシクロヘプタデカン−2,10−ジオン(式(B)中で、l=5、m=6の場合のカーボネート化合物)の添加量を11gとした以外は、実施例1と同様の方法でポリカーボネートジオール組成物を得た。得られたポリカーボネートジオール組成物を分析した結果を、表1に示す。このポリカーボネートジオール組成物をPC−3と略す。得られたポリカーボネートジオールは、式(A)で表される繰り返し単位と末端ヒドロキシル基とを有しており、各繰り返し単位のR及び割合は表1に示すとおりであった。[実施例4] 1,3,9,11−テトラオキサシクロヘプタデカン−2,10−ジオン(式(B)中で、l=5、m=6の場合のカーボネート化合物)の添加量を20.5gとした以外は、実施例1と同様の方法でポリカーボネートジオール組成物を得た。得られたポリカーボネートジオール組成物を分析した結果を、表1に示す。このポリカーボネートジオール組成物をPC−4と略す。得られたポリカーボネートジオールは、式(A)で表される繰り返し単位と末端ヒドロキシル基とを有しており、各繰り返し単位のR及び割合は表1に示すとおりであった。[比較例1] 1,3,9,11−テトラオキサシクロヘプタデカン−2,10−ジオン(式(B)中で、l=5、m=6の場合のカーボネート化合物)の添加量を26gとした以外は、実施例1と同様の方法でポリカーボネートジオール組成物を得た。得られたポリカーボネートジオール組成物を分析した結果を、表1に示す。このポリカーボネートジオール組成物をPC−21と略す。得られたポリカーボネートジオールは、式(A)で表される繰り返し単位と末端ヒドロキシル基とを有しており、各繰り返し単位のR及び割合は表1に示すとおりであった。[実施例5] 規則充填物を充填した精留塔と攪拌装置とを備えた2Lのガラス製フラスコにジメチルカーボネートを550g(6.1mol)、1,5−ペンタンジオールを400g(3.9mol)、1,6−ヘキサンジオールを460g(3.9mol)仕込んだ。前記フラスコに触媒としてチタンテトライソプロポキシド0.50gをさらに加え、前記フラスコ内の混合物を常圧で攪拌及び加熱して反応を開始した。反応開始温度を140℃とし、該温度で20時間反応を行った。その後、15時間をかけて反応温度を160℃へ徐々に上げて、生成するメタノールとジメチルカーボネートとの混合物を留去しながら反応を行った。その後、前記フラスコ内の圧力を11kPaまで減圧し、ジオールとジメチルカーボネートとを留去しながら、165℃でさらに20時間反応を行った。その後、前記フラスコにリン化合物として2−エチルヘキシルアシッドホスフェートを0.55g加え、前記フラスコ内の混合物を120℃で5時間加熱することによりポリカーボネートジオールを得た。得られたポリカーボネートジオール500gに、1,3,9,11−テトラオキサシクロヘプタデカン−2,10−ジオン(式(B)中で、l=5、m=6の場合のカーボネート化合物)を5.5g加え、100℃で5時間撹拌することにより、ポリカーボネートジオール組成物を得た。得られたポリカーボネートジオール組成物を分析した結果を、表1に示す。このポリカーボネートジオール組成物をPC−5と略す。得られたポリカーボネートジオールは、式(A)で表される繰り返し単位と末端ヒドロキシル基とを有しており、各繰り返し単位のR及び割合は表1に示すとおりであった。さらに、PC−5は、水分量が41ppmであり、テトラヒドロピランの含有量が0.9ppm、オキセパンの含有量が0.04ppmであった。また、PC−5の色数は、10であった。[比較例2] 1,3,9,11−テトラオキサシクロヘプタデカン−2,10−ジオン(式(B)中で、l=5、m=6の場合のカーボネート化合物)の添加量を0.1gとした以外は、実施例5と同様の方法でポリカーボネートジオール組成物を得た。得られたポリカーボネートジオール組成物を分析した結果を、表1に示す。このポリカーボネートジオール組成物をPC−22と略す。得られたポリカーボネートジオールは、式(A)で表される繰り返し単位と末端ヒドロキシル基とを有しており、各繰り返し単位のR及び割合は表1に示すとおりであった。[実施例6] 1,3,9,11−テトラオキサシクロヘプタデカン−2,10−ジオン(式(B)中で、l=5、m=6の場合のカーボネート化合物)の添加量を0.25gとした以外は、実施例5と同様の方法でポリカーボネートジオール組成物を得た。得られたポリカーボネートジオール組成物を分析した結果を、表1に示す。このポリカーボネートジオール組成物をPC−6と略す。得られたポリカーボネートジオールは、式(A)で表される繰り返し単位と末端ヒドロキシル基とを有しており、各繰り返し単位のR及び割合は表1に示すとおりであった。[実施例7] 1,3,9,11−テトラオキサシクロヘプタデカン−2,10−ジオン(式(B)中で、l=5、m=6の場合のカーボネート化合物)の添加量を0.3gとした以外は、実施例5と同様の方法でポリカーボネートジオール組成物を得た。得られたポリカーボネートジオール組成物を分析した結果を、表1に示す。このポリカーボネートジオール組成物をPC−7と略す。得られたポリカーボネートジオールは、式(A)で表される繰り返し単位と末端ヒドロキシル基とを有しており、各繰り返し単位のR及び割合は表1に示すとおりであった。[比較例3] カーボネート化合物として1,3,10,12−テトラオキサシクロオクタデカン−2,11−ジオン(式(B)中で、l=6、m=6の場合のカーボネート化合物)を9.5g添加した以外は、実施例5と同様の方法でポリカーボネートジオール組成物を得た。得られたポリカーボネートジオール組成物を分析した結果を、表1に示す。このポリカーボネートジオール組成物をPC−23と略す。得られたポリカーボネートジオールは、式(A)で表される繰り返し単位と末端ヒドロキシル基とを有しており、各繰り返し単位のR及び割合は表1に示すとおりであった。[実施例8] カーボネート化合物として1,3,11,13−テトラオキサシクロヘンイコサン−2,12−ジオン(式(B)中で、l=7、m=8の場合のカーボネート化合物)を0.5g添加した以外は、実施例5と同様の方法でポリカーボネートジオール組成物を得た。得られたポリカーボネートジオール組成物を分析した結果を、表1に示す。このポリカーボネートジオール組成物をPC−8と略す。得られたポリカーボネートジオールは、式(A)で表される繰り返し単位と末端ヒドロキシル基とを有しており、各繰り返し単位のR及び割合は表1に示すとおりであった。[実施例9] カーボネート化合物として1,3,6,8−テトラオキサシクロウンデカン−2,7−ジオン(式(B)中で、l=2、m=3の場合のカーボネート化合物)を0.5g添加した以外は、実施例5と同様の方法でポリカーボネートジオール組成物を得た。得られたポリカーボネートジオール組成物を分析した結果を、表1に示す。このポリカーボネートジオール組成物をPC−9と略す。得られたポリカーボネートジオールは、式(A)で表される繰り返し単位と末端ヒドロキシル基とを有しており、各繰り返し単位のR及び割合は表1に示すとおりであった。[比較例4] カーボネート化合物として1,3,19,21−テトラオキサシクロヘプタトリアコンタン−2,20−ジオン(式(B)中で、l=15、m=16の場合のカーボネート化合物)を0.5g添加した以外は、実施例5と同様の方法でポリカーボネートジオール組成物を得た。得られたポリカーボネートジオール組成物を分析した結果を、表1に示す。このポリカーボネートジオール組成物をPC−24と略す。得られたポリカーボネートジオールは、式(A)で表される繰り返し単位と末端ヒドロキシル基とを有しており、各繰り返し単位のR及び割合は表1に示すとおりであった。[実施例10] 規則充填物を充填した精留塔と攪拌装置とを備えた2Lのガラス製フラスコにジエチルカーボネートを820g(7.0mol)、1,5−ペンタンジオールを350g(3.4mol)、1,6−ヘキサンジオールを420g(3.6mol)仕込んだ。前記フラスコに触媒としてチタンテトライソプロポキシド0.30gをさらに加え、前記フラスコ内の混合物を常圧で攪拌及び加熱して反応を開始した。反応開始温度を140℃とし、該温度で20時間反応を行った。その後、15時間をかけて反応温度を160℃へ徐々に上げて、生成するエタノールとジエチルカーボネートとの混合物を留去しながら反応を行った。その後、前記フラスコ内の圧力を13kPaまで減圧し、ジオールとジエチルカーボネートとを留去しながら、160℃でさらに25時間反応を行った。その後、前記フラスコにリン化合物として2−エチルヘキシルアシッドホスフェートを0.33g加え、前記フラスコ内の混合物を120℃で5時間加熱することによりポリカーボネートジオールを得た。得られたポリカーボネートジオール500gに、1,3,9,11−テトラオキサシクロヘプタデカン−2,10−ジオン(式(B)中で、l=5、m=6の場合のカーボネート化合物)を2g加え、100℃で5時間撹拌することにより、ポリカーボネートジオール組成物を得た。得られたポリカーボネートジオール組成物を分析した結果を、表1に示す。このポリカーボネートジオール組成物をPC−10と略す。得られたポリカーボネートジオールは、式(A)で表される繰り返し単位と末端ヒドロキシル基とを有しており、各繰り返し単位のR及び割合は表1に示すとおりであった。[実施例11] ジエチルカーボネートの添加量を860g(7.3mol)とした以外は、実施例10と同様の条件で反応を行ってポリカーボネートジオールを得た。得られたポリカーボネートジオール500gに、1,3,9,11−テトラオキサシクロヘプタデカン−2,10−ジオン(式(B)中で、l=5、m=6の場合のカーボネート化合物)を2g加え、100℃で5時間撹拌することにより、ポリカーボネートジオール組成物を得た。得られたポリカーボネートジオール組成物を分析した結果を、表1に示す。このポリカーボネートジオール組成物をPC−11と略す。得られたポリカーボネートジオールは、式(A)で表される繰り返し単位と末端ヒドロキシル基とを有しており、各繰り返し単位のR及び割合は表1に示すとおりであった。[実施例12] 規則充填物を充填した精留塔と攪拌装置とを備えた2Lのガラス製フラスコにエチレンカーボネートを670g(7.6mol)、1,5−ペンタンジオールを400g(3.9mol)、3−メチル−1,5−ペンタンジオールを450g(3.8mol)仕込んだ。前記フラスコに触媒としてチタンテトライソプロポキシド0.10gをさらに加え、前記フラスコ内の混合物を常圧で攪拌及び加熱して反応を開始した。反応開始温度を140℃とし、該温度で18時間反応を行った。その後、15時間をかけて反応温度を160℃へ徐々に上げて、エチレングリコールとエチレンカーボネートとの混合物を留去しながら反応を行った。その後、前記フラスコ内の圧力を10kPaまで減圧し、ジオールとエチレンカーボネートとの混合物を留去しながら、165℃でさらに15時間反応を行った。その後、前記フラスコにリン化合物として2−エチルヘキシルアシッドホスフェートを0.11g加え、前記フラスコ内の混合物を120℃で5時間加熱することによりポリカーボネートジオールを得た。得られたポリカーボネートジオール500gに、1,3,9,11−テトラオキサシクロヘプタデカン−2,10−ジオン(式(B)中で、l=5、m=6の場合のカーボネート化合物)を2g加え、100℃で5時間撹拌することにより、ポリカーボネートジオール組成物を得た。得られたポリカーボネートジオール組成物を分析した結果を、表1に示す。このポリカーボネートジオール組成物をPC−12と略す。得られたポリカーボネートジオールは、式(A)で表される繰り返し単位と末端ヒドロキシル基とを有しており、各繰り返し単位のR及び割合は表1に示すとおりであった。[実施例13] 規則充填物を充填した精留塔と攪拌装置とを備えた2Lのガラス製フラスコにジメチルカーボネートを450g(5.0mol)、1,9−ノナンジオールを1000g(6.2mol)仕込んだ。前記フラスコに触媒としてチタンテトライソプロポキシド0.90gをさらに加え、前記フラスコ内の混合物を常圧で攪拌及び加熱して反応を開始した。反応開始温度を140℃とし、該温度で15時間反応を行った。その後、13時間をかけて反応温度を160℃へ徐々に上げて、生成するメタノールとジメチルカーボネートとの混合物を留去しながら反応を行った。その後、前記フラスコ内の圧力を13kPaまで減圧し、ジオールとジメチルカーボネートとを留去しながら、162℃でさらに18時間反応を行った。その後、前記フラスコにリン化合物としてリン酸モノ−2−エチルヘキシルを1.0g加え、前記フラスコ内の混合物を120℃で5時間加熱することによりポリカーボネートジオールを得た。得られたポリカーボネートジオール500gに、1,3,8,10−テトラオキサシクロペンタデカン−2,9−ジオン(式(B)中で、l=4、m=5の場合のカーボネート化合物)を5.5g加え、100℃で5時間撹拌することにより、ポリカーボネートジオール組成物を得た。得られたポリカーボネートジオール組成物を分析した結果を、表1に示す。このポリカーボネートジオール組成物をPC−13と略す。得られたポリカーボネートジオールは、式(A)で表される繰り返し単位と末端ヒドロキシル基とを有しており、各繰り返し単位のR及び割合は表1に示すとおりであった。[実施例14] 規則充填物を充填した精留塔と攪拌装置とを備えた2Lのガラス製フラスコにエチレンカーボネートを650g(7.4mol)、1,4−ブタンジオールを410g(4.6mol)、1,5−ペンタンジオールを300g(2.9mol)仕込んだ。前記フラスコに触媒としてチタンテトライソプロポキシド0.6gをさらに加え、前記フラスコ内の混合物を常圧で攪拌及び加熱して反応を開始した。反応開始温度を140℃とし、該温度で15時間反応を行った。その後、15時間をかけて反応温度を160℃へ徐々に上げて、生成するエチレングリコールとエチレンカーボネートとの混合物を留去しながら反応を行った。その後、前記フラスコ内の圧力を10kPaまで減圧し、ジオールとエチレンカーボネートとの混合物を留去しながら、166℃でさらに15時間反応を行った。その後、前記フラスコにリン化合物として2−エチルヘキシルアシッドホスフェートを0.67g加え、前記フラスコ内の混合物を120℃で5時間加熱することによりポリカーボネートジオールを得た。得られたポリカーボネートジオール500gに、1,3,8,10−テトラオキサシクロペンタデカン−2,9−ジオン(式(B)中で、l=4、m=5の場合のカーボネート化合物)1.52g加え、100℃で5時間撹拌することにより、ポリカーボネートジオール組成物を得た。得られたポリカーボネートジオール組成物を分析した結果を、表1に示す。このポリカーボネートジオール組成物をPC−14と略す。得られたポリカーボネートジオールは、式(A)で表される繰り返し単位と末端ヒドロキシル基とを有しており、各繰り返し単位のR及び割合は表1に示すとおりであった。[実施例15] 規則充填物を充填した精留塔と攪拌装置とを備えた2Lのガラス製フラスコにエチレンカーボネートを630g(7.2mol)、1,4−ブタンジオールを140g(1.6mol)、1,6−ヘキサンジオールを670g(6.7mol)仕込んだ。前記フラスコに触媒として2−エチルヘキシルアシッドホスフェート0.3gをさらに加え、前記フラスコ内の混合物を常圧で攪拌及び加熱して反応を開始した。反応開始温度を140℃とし、該温度で15時間反応を行った。その後、13時間をかけて反応温度を160℃へ徐々に上げて、生成するエチレングリコールとエチレンカーボネートとの混合物を留去しながら反応を行った。その後、前記フラスコ内の圧力を10kPaまで減圧し、ジオールとエチレンカーボネートとの混合物を留去しながら、164℃でさらに15時間反応を行った。その後、前記フラスコにリン化合物として2−エチルヘキシルアシッドホスフェートを0.33g加え、前記フラスコ内の混合物を120℃で5時間加熱することによりポリカーボネートジオールを得た。得られたポリカーボネートジオール500gに、1,3,9,11−テトラオキサシクロヘプタデカン−2,10−ジオン(式(B)中で、l=5、m=6の場合のカーボネート化合物)を2.0g加え、100℃で5時間撹拌することにより、ポリカーボネートジオール組成物を得た。得られたポリカーボネートジオール組成物を分析した結果を、表1に示す。このポリカーボネートジオール組成物をPC−15と略す。得られたポリカーボネートジオールは、式(A)で表される繰り返し単位と末端ヒドロキシル基とを有しており、各繰り返し単位のR及び割合は表1に示すとおりであった。[比較例5] 式(B)で表されるカーボネート化合物に代えて5−メチル−1,3−ジオキサン−2−オンを0.5g添加した以外は、実施例5と同様の方法でポリカーボネートジオール組成物を得た。得られたポリカーボネートジオール組成物を分析した結果を、表1に示す。このポリカーボネートジオール組成物をPC−25と略す。得られたポリカーボネートジオールは、式(A)で表される繰り返し単位と末端ヒドロキシル基とを有しており、各繰り返し単位のR及び割合は表1に示すとおりであった。[比較例6] 規則充填物を充填した精留塔と攪拌装置とを備えた2Lのガラス製フラスコにエチレンカーボネートを640g(7.3mol)、1,5−ペンタンジオールを400g(3.9mol)、1,6−ヘキサンジオールを410g(3.5mol)仕込んだ。前記フラスコに触媒としてチタンテトライソプロポキシド0.50gを加え、前記フラスコ内の混合物を常圧で攪拌及び加熱して反応を開始した。反応開始温度を135℃とし、該温度で22時間反応を行った。その後、20時間をかけて反応温度を155℃へ徐々に上げて、生成するエチレングリコールとエチレンカーボネートとの混合物を留去しながら反応を行った。その後、前記フラスコ内の圧力を7kPaまで減圧し、ジオールとエチレンカーボネートとの混合物を留去しながら、158℃でさらに25時間反応を行った。その後、前記フラスコにリン化合物として2−エチルヘキシルアシッドホスフェートを0.55g加え、前記フラスコ内の混合物を120℃で5時間加熱することによりポリカーボネートジオールを得た。得られたポリカーボネートジオール500gに、1,3,9,11−テトラオキサシクロヘプタデカン−2,10−ジオン(式(B)中で、l=5、m=6の場合のカーボネート化合物)を0.1g加え、100℃で5時間撹拌することにより、ポリカーボネートジオール組成物を得た。得られたポリカーボネートジオール組成物を分析した結果を、表1に示す。このポリカーボネートジオール組成物をPC−26と略す。[実施例16] 1,3,9,11−テトラオキサシクロヘプタデカン−2,10−ジオン(式(B)中で、l=5、m=6の場合のカーボネート化合物)の量を1.5gとした以外は、比較例6と同様の方法でポリカーボネートジオール組成物を得た。得られたポリカーボネートジオール組成物を分析した結果を、表1に示す。このポリカーボネートジオール組成物をPC−16と略す。得られたポリカーボネートジオールは、式(A)で表される繰り返し単位と末端ヒドロキシル基とを有しており、各繰り返し単位のR及び割合は表1に示すとおりであった。[比較例7] 1,3,9,11−テトラオキサシクロヘプタデカン−2,10−ジオン(式(B)中で、l=5、m=6の場合のカーボネート化合物)に合わせて、1,3,9,11,17,19−ヘキサオキサシクロペンタコサン−2,10,18−トリオン(式(H)中で、i=5、k=6の場合のカーボネート化合物)を13g、1,3,9,11,18,20−ヘキサオキサシクロヘキサコサン−2,10,19−トリオン(式(H)中で、i=6、k=5の場合のカーボネート化合物)を13.5g加えた以外は、比較例6と同様の方法でポリカーボネートジオール組成物を得た。得られたポリカーボネートジオール組成物を分析した結果を、表1に示す。このポリカーボネートジオール組成物をPC−27と略す。[実施例17] 1,3,9,11−テトラオキサシクロヘプタデカン−2,10−ジオン(式(B)中で、l=5、m=6の場合のカーボネート化合物)5.5gに合わせて、1,3,10,12−テトラオキサシクロオクタデカン−2,11−ジオン(式(I)中で、r=6の場合のカーボネート化合物)を0.4g加えた以外は、実施例5と同様の方法でポリカーボネートジオール組成物を得た。得られたポリカーボネートジオール組成物を分析した結果を、表1に示す。このポリカーボネートジオール組成物をPC−17と略す。得られたポリカーボネートジオールは、式(A)で表される繰り返し単位と末端ヒドロキシル基とを有しており、各繰り返し単位のR及び割合は表1に示すとおりであった。[応用例1] ポリカーボネートジオール組成物PC−1を40g、レベリング剤としてBYK−331(BYKケミカル製)を0.75g、シンナー(キシレン/酢酸ブチル=70/30(重量比))に2重量%となるように溶解したジブチルスズジラウレート溶液を1.25g、並びにシンナーを40g混ぜて撹拌し、塗料主剤を得た。得られた塗料主剤に、硬化剤として有機ポリイソシアネート(デュラネートTPA−100、旭化成ケミカルズ製、イソシアネート(NCO)含量:23.1%)を7.5g加えて、塗布液を調製した。該塗布液を、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂板上に噴霧塗布し、室温で2時間シンナーを飛ばした後、80℃で2時間加熱硬化させて塗膜を得た。該塗膜を用いて物性の評価を行った。該評価結果を表2に示した。[応用例2〜17] ポリカーボネートジオール組成物として、PC−2〜17を用いた以外は、応用例1と同様にして塗膜を得た。該塗膜を用いて物性の評価を行った。該評価結果を表2に示した。[比較応用例1〜7] ポリカーボネートジオール組成物として、PC−21〜27を用いた以外は、応用例1と同様にして塗膜を得た。該塗膜を用いて物性の評価を行った。該評価結果を表2に示した。[応用例18] 攪拌装置、温度計及び冷却管の付いた反応器に、実施例1で得たPC−1を200g、ヘキサメチレンジイソシアネート34g、触媒としてジブチルスズジラウレート0.02gを仕込み、70℃で5時間反応させて末端イソシアネート(NCO)基を持つウレタンプレポリマーを得た。前記ウレタンプレポリマーに溶剤としてジメチルホルムアミド600gを加えて溶液を得た。その後、得られた溶液に、鎖延長剤としてイソホロンジアミン17gを加えて35℃で1時間撹拌することにより、ポリウレタン樹脂溶液を得た。得られたポリウレタン樹脂溶液をガラス板上に流延し、室温で30分間放置して溶剤をとばした後、100℃の乾燥機に2時間入れて乾燥させてポリウレタンフィルムを得た。該ポリウレタンフィルムを用いて物性の評価を行った。該評価結果を表3に示した。[応用例19〜34] ポリカーボネートジオール組成物として、PC−2〜17を用いた以外は、応用例16と同様にしてポリウレタンフィルムを得た。該ポリウレタンフィルムを用いて物性の評価を行った。該評価結果を表3に示した。[比較応用例8〜14] ポリカーボネートジオール組成物として、PC−21〜27を用いた以外は、応用例16と同様にしてポリウレタンフィルムを得た。該ポリウレタンフィルムを用いて物性の評価を行った。該評価結果を表3に示した。[応用例35] 実施例5で得たPC−5を800g、及びヘキサメチレンジイソシアネート255gを、攪拌装置、温度計及び冷却管の付いた反応器に仕込み、100℃で4時間反応させて末端イソシアネート(NCO)基を持つウレタンプレポリマーを得た。該プレポリマーに鎖延長剤として1,4−ブタンジオール107g、触媒としてジブチルスズジラウリレート0.05gを加えてニーダー内蔵のラボ用万能押出機(日本国(株)笠松化工研究所製のLABO用万能押出機KR−35型)を用い140℃で60分反応を行って熱可塑性ポリウレタンを得た。その後、得られた熱可塑性ポリウレタンを押出し機にてペレットとした。得られた熱可塑性ポリウレタンについて、流れ特性を評価したところ、流動開始温度は168℃であり、粘度比は0.046であった。[応用例36] ポリカーボネートジオール組成物として、PC−5の代わりにPC−17を用いた以外は、応用例35と同様にして熱可塑性ポリウレタンを得た。得られた熱可塑性ポリウレタンについて、流れ特性を評価したところ、流動開始温度は172℃であり、粘度比は0.033であった。 本発明のポリカーボネートジオール組成物は、塗料の構成材料として用いる場合、耐薬品性を損なうことなく、平滑な塗膜を得ることができる。また、本発明のポリカーボネートジオール組成物は、ポリウレタンの原料として用いる場合、機械的強度を損なうことなく耐油性に優れたポリウレタンを得ることが可能である。これらの特性を有することから、本発明のポリカーボネートジオール組成物は、塗料の構成材料として、さらにはポリウレタンの原料として好適に用いることができる。 下記式(A)で表される繰り返し単位と末端ヒドロキシル基とを含むポリカーボネートジオール、及び(式(A)中、Rは、炭素数2〜15の二価の脂肪族又は脂環族炭化水素を表す。) 下記式(B)で表されるカーボネート化合物を0.05〜5重量%含む、ポリカーボネートジオール組成物。 (式(B)中、l及びmは、2〜15の整数を表し、l≠mである。) 上記式(B)で表されるカーボネート化合物が、下記式(C)で表されるカーボネート化合物である、請求項1に記載のポリカーボネートジオール組成物。 (式(C)中、l及びmは、4〜6の整数を表し、l≠mである。) 前記ポリカーボネートジオールにおける末端OH基割合が95.0〜99.9%である、請求項1又は2に記載のポリカーボネートジオール組成物。 ICPにより測定した際の、チタン、イッテルビウム、スズ及びジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素の含有量が0.0001〜0.02重量%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリカーボネートジオール組成物。 ICPにより測定した際の、チタン、イッテルビウム、スズ及びジルコニウムの総含有量が0.0001〜0.02重量%である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリカーボネートジオール組成物。 ICPにより測定した際のリン元素の含有量が0.0001〜0.02重量%である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリカーボネートジオール組成物。 下記式(H)で表されるカーボネート化合物を0.03〜5重量%含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリカーボネートジオール組成物。 (式(H)中、i及びkは、2〜15の整数を表し、i≠kである。) テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン及びオキセパンからなる群より選ばれる少なくとも1種の環状エーテル化合物の含有量が0.01〜50ppmである、請求項1〜7のいずれか一項に記載のポリカーボネートジオール組成物。 テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン及びオキセパンの総含有量が0.01〜50ppmである、請求項1〜8のいずれか一項に記載のポリカーボネートジオール組成物。 下記式(I)で表されるカーボネート化合物を0.01〜3重量%含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載のポリカーボネートジオール組成物。 (式(I)中、rは、2〜15の整数を表す。) 水分量が1〜500ppmである、請求項1〜10のいずれか一項に記載のポリカーボネートジオール組成物。 色数が5〜100である、請求項1〜11のいずれか一項に記載のポリカーボネートジオール組成物。 請求項1〜12のいずれか一項に記載のポリカーボネートジオール組成物と有機ポリイソシアネートとを含む、コーティング組成物。 請求項1〜12のいずれか一項に記載のポリカーボネートジオール組成物と有機ポリイソシアネートとを反応させて得られるウレタンプレポリマーを含み、該ウレタンプレポリマーが末端イソシアネート基を持つ、コーティング組成物。 請求項1〜12のいずれか一項に記載のポリカーボネートジオール組成物、有機ポリイソシアネート及び鎖伸長剤を反応させて得られるポリウレタン樹脂を含む、コーティング組成物。 水、請求項1〜12のいずれか一項に記載のポリカーボネートジオール組成物、有機ポリイソシアネート及び鎖伸長剤を反応させて得られるポリウレタンを含む、水系コーティング組成物。 請求項1〜12のいずれか一項に記載のポリカーボネートジオール組成物と有機ポリイソシアネートとを用いて得られる、熱可塑性ポリウレタン。 【課題】本発明は、塗料や接着剤の材料として、又は、熱可塑性エラストマーの原料として適したポリカーボネートジオール組成物を提供することを目的とする。本発明は、塗料の構成材料として用いる場合、耐薬品性を損なうことなく、平滑な塗膜を得ることができるポリカーボネートジオール組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、ポリウレタンの原料として用いる場合、機械的強度を損なうことなく耐油性に優れたポリウレタンを得ることが可能であるポリカーボネートジオール組成物を提供することを目的とする。【解決手段】本発明のポリカーボネートジオール組成物は、特定の式で表される繰り返し単位と末端ヒドロキシル基とを含むポリカーボネートジオール、及び特定の式で表されるカーボネート化合物を0.05〜5重量%含む。【選択図】なし


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