生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_コラーゲンペプチド複合体
出願番号:2014253968
年次:2015
IPC分類:C07K 14/78,A61P 17/16,A61P 19/10,A61P 29/02,C07D 311/62,A61K 38/17,A23L 1/305,A23L 1/30


特許情報キャッシュ

鈴木 朝日 黒川 美保子 重村 泰毅 JP 2015134753 公開特許公報(A) 20150727 2014253968 20141216 コラーゲンペプチド複合体 キューサイ株式会社 595082696 岩橋 祐司 100092901 加藤 愼二 100188260 鈴木 朝日 黒川 美保子 重村 泰毅 JP 2013260232 20131217 C07K 14/78 20060101AFI20150701BHJP A61P 17/16 20060101ALI20150701BHJP A61P 19/10 20060101ALI20150701BHJP A61P 29/02 20060101ALI20150701BHJP C07D 311/62 20060101ALI20150701BHJP A61K 38/17 20060101ALI20150701BHJP A23L 1/305 20060101ALI20150701BHJP A23L 1/30 20060101ALI20150701BHJP JPC07K14/78A61P17/16A61P19/10A61P29/02C07D311/62A61K37/12A23L1/305A23L1/30 B 4 2 OL 22 4B018 4C062 4C084 4H045 4B018LB01 4B018LB02 4B018LB04 4B018LB05 4B018LB06 4B018LB07 4B018LB08 4B018MD08 4B018MD20 4B018MD69 4B018MD73 4B018MD74 4B018ME02 4B018MF10 4C062FF56 4C084AA01 4C084AA02 4C084AA03 4C084AA07 4C084BA01 4C084BA08 4C084BA19 4C084BA23 4C084BA32 4C084BA43 4C084CA21 4C084CA25 4C084DA40 4C084MA05 4C084MA35 4C084MA52 4C084NA11 4C084ZA082 4C084ZA892 4C084ZA972 4H045AA10 4H045AA30 4H045BA50 4H045CA40 4H045CA52 4H045EA01 4H045FA70 4H045HA03 本発明は、コラーゲンペプチドとカテキン類の複合体、さらに詳しくは、ペプチド型コラーゲンの血中移行性が高い、経口摂取用コラーゲンペプチド・カテキン類複合体に関する。 コラーゲンは、真皮、靭帯、腱、骨、軟骨等を構成するタンパク質の1種で、多細胞生物の細胞外基質(細胞外マトリックス)の主成分である。ヒトには複数のコラーゲン遺伝子があり、30種類以上のコラーゲンタンパク質が同定されている。そのうち、生体内に最も多量に存在するのはI型コラーゲンで、約1,000個のアミノ酸からなるポリペプチド鎖が3本(2本のα1鎖と1本のα2鎖、らせん状に会合してコラーゲン線維と呼ばれる線維状構造を形成している。当該コラーゲン線維の分子量は約30万(=約10万×3本)で、水に難溶である(非特許文献1)。 コラーゲンのアミノ酸組成及び配列には顕著な特徴があり、グリシン(Gly)が約30%、プロリン(Pro)とヒドロキシプロリン(Hyp)が合わせて約21%、アラニンが約11%を占め、“Gly−X−Y(X、Yはそれぞれ任意のアミノ酸)”が約330回繰り返している。前記ヒドロキシプロリン(以降、Hypと略記することがある)はコラーゲンに特徴的なアミノ酸で、コラーゲン及びコラーゲン加水分解物(すなわち、コラーゲンペプチド)を同定・定量する際の指標として古くから用いられている(非特許文献1)。 食物として摂取されたタンパク質は、通常、胃でペプシンによってポリペプチドにまで分化され、その後十二指腸でトリプシン、キモトリプシン、エラスターゼ、カルボキシペプチダーゼ等、さらに、小腸でアミノペプチダーゼ、ジペプチダーゼ等の作用によって遊離アミノ酸にまで分解された後、小腸上皮細胞膜上に存在するアミノ酸トランスポーターを通って吸収されて血中に移行する。また、トリペプチド及びジペプチドの状態でも、当該上皮細胞膜上に存在するペプチドトランスポーターを通って血中移行し得ることが知られている。 前述したようにコラーゲン線維は水に難溶で消化されにくいため、食品市場では、コラーゲン線維を熱変性によって部分加水分解したゼラチンや、酵素処理によってさらに低分子化したコラーゲンペプチドが広く流通している。特に、コラーゲンペプチドについては、経口摂取による関節痛の緩和、骨密度の増加、紫外線照射による肌ダメージ(角質水分量の低下、表皮の過形成、真皮コラーゲンの減少等)の軽減等の効用が報告されており(非特許文献1)、健康食品としての期待が高まっている。 ヒトがコラーゲンペプチドを経口摂取すると、ほとんどはアミノ酸として吸収されるが、摂取後1−2時間後にHyp含有トリペプチド及び/又はジペプチド(以降、ペプチド型Hypと呼ぶ場合がある)が血中に検出されることから、一部はトリ/ジペプチドの状態で吸収されることがわかっている(非特許文献2)。そして、最近の研究により、これらのペプチド型Hypが、種々の細胞に対して有益な生理活性を発揮することが明らかにされつつある。 例えば、血中ペプチド型Hypの代表であるPro−Hypジペプチドは、培養下のマウス皮膚片に投与すると、該皮膚片内の線維芽細胞の遊走能及び増殖能を促進することや(非特許文献2)、ヒト初代繊維芽細胞に対し、ヒアルロン酸合成酵素2の発現を亢進して細胞増殖を促進すること(非特許文献3)が報告されている。また、Pro−Hypは、マウス軟骨前駆細胞株に作用して石灰化を阻害し得ることや(非特許文献4)、マウス骨芽細胞様細胞株に作用して骨芽細胞への分化を誘導し得ること(非特許文献5)も報告されている。 これらの研究結果から、コラーゲン又はコラーゲンペプチドの経口摂取によって得られる効用の多くは、主に血中移行したペプチド型Hypに依るものと考えられている。 しかしながら、ペプチド型Hypを経口摂取しても通常アミノ酸にまで完全に分解されるため、ペプチド型Hypのまま吸収されることはほとんどない。よって、ペプチド型Hypとして吸収するにはコラーゲンペプチドとして経口摂取する必要があるが、ごく一部しかペプチド型Hypとして吸収されないため、当該効用を十分に得るには大量のコラーゲンペプチドを飲食しなくてはならないという問題があった。 この問題に対し、特許文献1では、主にパパインを用いて分子量500以上2000以下にまで消化したコラーゲンペプチドを経口摂取することにより、血中移行するペプチド型Hyp量が有意に増加することを報告している。当該コラーゲンペプチドは、N末から2番目のアミノ酸においてハイドロキシプロリンの占める割合が2−20モル%、3番目のアミノ酸においてグリシンの占める割合が20−50モル%で、且つ、分子量が500−2000であるために、消化管内での各種消化酵素への暴露時間が適切となり、ジペプチド/トリペプチドの状態のものが増えて前記効果が達成される旨が説明されている。 しかしながら、当該コラーゲンペプチドの調整は容易ではないうえに、飲食物の消化にかかる時間は種々の要因(摂取物の脂質含量、個人差、体調等)によって変動するという問題があった。 このような事情から、経口摂取したコラーゲンペプチドのうち、血中移行するペプチド型Hypを簡便に増やすことができる新たな方法が切望されていた。WO2010/125910号特開2008−148587特許第4653052号小山洋一、皮革科学、第56巻、第71−79頁、2010年Iwai K., et al, J. Agric. Food Chem., 53:6531-6536, 2005Shigemura Y., et al, J. Agric. Food Chem., 57:444-449, 2009Ohara H., et al, J. Dermatol., 37:330-338, 2010Nakatani S., et al, Osteoarthritis Cartilage, 17:1620-1627, 2009Kimura Y., et al, Biochem. Biophys. Res. Commun., in press, 2014 本発明は前記従来技術が抱える問題を鑑みてなされたものであり、ペプチド型Hypの血中移行性が高い、コラーゲン含有経口摂取用組成物を提供することを目的とする。 前記目的を達成するために本発明者が鋭意検討を行った結果、コラーゲンペプチドを紅茶に混合して摂取すると、水や他飲料に混合して摂取した場合よりも、血中移行するペプチド型Hyp量が大幅に増加することを見出した。そして、紅茶に含まれるテアフラビン類及び/又はエピカテキンがコラーゲンペプチドと複合体を形成し、該複合体の状態ではコラーゲンペプチドが消化酵素によって完全加水分解されにくくなることを見出し、本発明を完成させるに至った。 さらに、前記水溶性コラーゲンペプチド1質量部に対し、前記テアフラビン類を0.0005−0.009質量部、及び/又は前記エピカテキンを0.0001−0.03質量部混合した場合に、前記消化耐性を有する複合体が効率良く形成されることを見出した。 すなわち、本発明は以下を包含する。[1] 水溶性コラーゲンペプチドと、テアフラビン類及び/又はエピカテキンが複合化して形成される、水不溶性複合体。[2] 前記水溶性コラーゲンペプチド1質量部に対し、前記テアフラビン類を0.0005−0.09質量部、及び/又は前記エピカテキンを0.0001−0.03質量部混合することで形成される、前記[1]に記載の水不溶性複合体[3] 前記水溶性コラーゲンペプチド1質量部に対し、前記テアフラビン類を0.0008−0.01質量部、及び/又は前記エピカテキンを0.0002−0.005質量部混合することで形成される、前記[2]に記載の水不溶性複合体。[4] 前記[1]−[3]のいずれかに記載の水不溶性複合体が配合された飲食品。 なお、コラーゲンペプチドとカテキン類を含む飲料はこれまでも報告されているが、その多くは濁りや沈殿を呈さず、水不溶性の複合体は含まないと考えられる。濁りや沈殿は美観や食感を損なうものとして、多くの飲料において敬遠されるからである(例として、特許文献2、3)。 本発明により、経口摂取後にペプチド型Hypの血中移行性に優れるコラーゲンペプチド・カテキン類複合体、ならびに該複合体を含有する飲食品が提供される。コラーゲンペプチドを各種飲料に混合して経口摂取した場合の、血中ペプチド型Hyp濃度の経時変化を表すグラフである。各ドットは5人の被験者から得られた値の平均値を表す。コラーゲンペプチドを各種飲料に混合して摂取した場合の、血中ペプチド型HypのAUCを表す。コラーゲンペプチドを各種飲料に混合して摂取した場合の、血中遊離型HypのAUCを表す。コラーゲンペプチドを各種飲料に混合して摂取した場合の、血中総HypのAUCを表す。100%紅茶抽出液と種々の濃度のコラーゲンペプチド水溶液を、1:1の質量比で混合した混合液の濁度を表すグラフである。コラーゲンペプチドを、終濃度が20mg/mlとなるように、種々の濃度の紅茶抽出液に混合した混合液の濁度を表すグラフである。コラーゲンペプチドと紅茶飲料を混合して生じる沈殿の成分を、逆相クロマトグラフィーで解析した結果である。A:コラーゲンペプチドと混合する前の紅茶成分、B:コラーゲンペプチドと共沈しなかった紅茶成分、C:コラーゲンペプチドと共沈した成分の解析結果(HPLCチャート)を示す。コラーゲンペプチドとテアフラビン類又はエピカテキンとの複合体に対し、人工消化を行い、生じた遊離型Hyp量を測定した結果を表す。コラーゲンペプチドの乾燥粉末と紅茶抽出液の乾燥粉末を各々人工口胃液に溶解し、その後両溶解液を混合した混合液の濁度を表す。 以下、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、本書では、“水溶性”とは“25℃の水に溶解して沈殿を生じない”ことを指す。よって、“水不溶性”とは、“25℃の水に溶解せずに沈殿を生じる”ことを指す。また、本書では、ハイフンを用いて数値範囲を表す場合、該ハイフンの前後の数値を含むものとする。例えば、“平均分子量3000−5000”という記載は、“平均分子量3000以上5000以下”の意である。<コラーゲンペプチド> 本発明に用いることができるコラーゲンペプチドは、コラーゲン又はゼラチンを加水分解して水溶性となったペプチドの集合物である。当該コラーゲンは、牛、豚等の哺乳動物、鶏等の鳥類、又は鮫等の魚類由来のいずれでもよく、特に限定されない。また、前記加水分解は、酸処理による加水分解、プロテアーゼによる加水分解のいずれであってもよいが、酸処理による場合には部分加水分解であることが好ましい。この目的に好適に用いることができるプロテアーゼとしては、エンドペプチダーゼが好ましく、例として、ペプシン、トリプシン、キモトリプシン、カテプシン、コラゲナーゼ等が挙げられる。 本発明には、前記加水分解処理によって平均分子量が7000以下となったコラーゲンペプチドを好適に用いることができ、好適には1000−6500、さらに好適には2100−6000、最も好適には3000−5000となったコラーゲンペプチドである。なお、前記平均分子量は数平均分子量であることが好ましく、さらに好ましくはゲルクロマトグラフィー(GPC)法によって測定された数平均分子量である。<テアフラビン類及びエピカテキン> テアフラビン類及びエピカテキンは、いずれもカテキン類と呼ばれる茶ポリフェノールである。エピカテキン(CAS番号:490-46-0、分子量290.3、ECと略記される)が生茶葉(特に、Cemellia sinensisの葉)に元来含まれるカテキン類であるのに対し、テアフラビン類は、紅茶用茶葉を製造する工程(すなわち、発酵工程)等で茶カテキン類が酸化重合して生じるカテキン類である。 紅茶に含まれる代表的なテアフラビン類としては、テアフラビン(CAS番号:4670-05-7、分子量:564.5、TF1と略記される)、テアフラビン−3−O−ガレート(CAS番号:30462-34-1、分子量:716.6、TF2Aと略記される)、テアフラビン−3’−O−ガレート(CAS番号:28543-07-9、分子量:716.6)、テアフラビン−3、3’−O−ジガレート(CAS番号:30462-35-2、分子量:868.7、TF3と略記される)が挙げられる。本発明にはこれらのテアフラビン類のいずれをも用いることができる。 なお、生茶葉に元来含まれるカテキン類(エピガロカテキンガレート、エピカテキンガレート、エピガロカテキン、エピカテキン、ガロカテキンガレート、カテキンガレート、ガロカテキン、カテキン)は、通常茶カテキンと呼ばれている。<コラーゲンペプチドとテアフラビン類及び/又はエピカテキンとの複合体> 本発明では、ペプチド型Hypの血中移行性の高い“コラーゲン含有経口摂取用組成物”として、前記水溶性コラーゲンペプチドに、前記テアフラビン類及び/又はエピカテキンが結合して水不溶性となった複合体を提供する。なお、本書における複合体とは、2種類以上の物質が非共有結合を介して結合することで形成される会合体を指し、当該複合体を形成する反応を複合化と呼んでいる。 本発明に係るコラーゲンペプチドとテアフラビン類及び/又はエピカテキンとの複合体は、前記水溶性コラーゲンペプチドを、テアフラビン類及び/又はエピカテキンを含む水性溶媒に添加して混合することで、簡便に製造することができる。当該水性溶媒は、pH3.0−8.5、好ましくは、pH4.0−8.0、さらに好ましくは、pH5.0−7.5、最も好ましくは、pH6.0−7.0の水性溶媒であることが好ましい。pHが3.0よりも低いと、コラーゲンペプチドとテアフラビン類及び/又はエピカテキンとの複合体の形成率が低下する場合があり、また、pHが8.5を超えると、テアフラビン類及びエピカテキンが変性する場合があるからである。前記コラーゲンペプチドとテアフラビン類及び/又はエピカテキンとの混合は、室温程度(具体的には、10−30℃、好ましくは15−25℃、最も好ましくは20℃付近)で行うことができる。なお、当該水性溶媒は、他のカテキン類を含んでいてもよく、また、コラーゲンペプチドとテアフラビン類及び/又はエピカテキンとの複合体形成を阻害しない範囲内で種々の成分を含むことができる。 本発明に係るコラーゲンペプチド・テアフラビン類複合体は、前記水性溶媒中で、水溶性コラーゲンペプチド1質量部に対し、テアフラビン類が約0.0005−0.09質量部、好ましくは約0.0008−0.01質量部、より好ましくは約0.001−0.007質量部となるように混合することで、効率良く製造することができる。なお、前記テアフラビン類の質量は、TF1、TF2A、TF2B、及びTF3から選ばれる1種類以上のテアフラビン類の総量を指す。 また、本発明に係るコラーゲンペプチド・エピカテキン複合体は、前記水性溶媒中で、水溶性コラーゲンペプチド1質量部に対し、エピカテキンが約0.0001−0.03質量部、好ましくは約0.0002−0.005質量部、より好ましくは約0.0005−0.002質量部となるように混合することで、効率良く製造することができる。 テアフラビン類とエピカテキンは、競合することなく、互いの存在下でコラーゲンペプチドに結合して、水不溶性で且つ消化耐性を有する複合体を形成することができる。 本発明に好適に用いることができる前記水性溶媒として、紅茶抽出液が挙げられる。本発明に用いることができる紅茶用茶葉の種類は特に限定されることはなく、また、該抽出液は汎用の方法で製造することができる。 紅茶抽出液を用いてコラーゲンペプチドとテアフラビン類及び/又はエピカテキンとの複合体を製造する場合には、目安として、汎用の方法で製造した紅茶抽出液(テアフラビン類及びエピカテキン含有量の総和が約0.05−0.15mg/ml程度)に対し、コラーゲンペプチドの終濃度が約1−130mg/ml、好ましくは約2.5−100mg/ml、より好ましくは約5−90mg/ml、最も好ましくは約10−80mg/mlとなるように添加・混合するとよい。 前記水性溶媒中で形成させたコラーゲンペプチドとテアフラビン類及び/又はエピカテキンとの複合体は、当該溶液を5,000−10,000×g、好ましくは8,000−10,000×g程度の遠心力で遠心することで、当該複合体を沈殿として容易に回収することができる。その後、汎用の方法を用いて(例として、スプレードライ法、凍結乾燥法等)乾燥粉末化してもよく、乾燥粉末の状態では室温で長期保存可能である。<血中ペプチド型Hyp> 前述したように、ヒトがコラーゲン、ゼラチン、又はコラーゲンペプチドを経口摂取すると、Hyp含有ジペプチド(Pro−Hyp、Leu−Hyp、Hyp−Gly、Ala−Hyp、Glu−Hyp、Ile−Hyp)、及び/又はHyp含有トリペプチド(Pro−Hyp−Gly、Ala−Hyp−Gly、Ser−Hyp−Gly)が血中に検出される(非特許文献2)。本発明における血中ペプチド型Hypとは、これらのHyp含有ジペプチド及びトリペプチドのことであり、特に好ましくはPro−Hyp、Hyp−Gly、最も好ましくはPro−Hypである。なお、本発明におけるHyp(ヒドロキシプロリン)とは、L−プロリンの4位が水酸化された化合物(4−ヒドロキシピロリジン−2−カルボン酸)を指す。 “血中ペプチド型Hyp量(すなわち、血中移行したペプチド型Hyp量)”は、“血中総Hyp量”から“血中遊離型Hyp量”を引いた値として求めることができる。 “血中遊離型Hyp量”とは“血中にアミノ酸単体として存在するHyp量”のことで、“アミノ酸として吸収されたHyp量”と同義である。当業者に周知の方法(例として、非特許文献2記載の方法)を用いて測定することができ、例えば、エタノールで除タンパクした血漿サンプル(エタノール可溶性画分)をサイズ排除クロマトグラフィーで分画して得られるアミノ酸画分に対し、フェニルイソチオシアネート(PITC)処理を行って各アミノ酸をフェニルチオカルバミル誘導体(PTC−Hyp)に変換した後、逆相クロマトグラフィーを行ってPTC−Hyp量を定量化してもよい。 “血中総Hyp量”は、“血中に検出されるHyp及びHyp含有ペプチドの総量”で、“アミノ酸又はペプチドとして吸収されたHyp量”と同義である。当業者に周知の方法(例として、Sato K., et al, J. Agric. Food Chem., 40:806-810, 1992)を用いて測定することができ、例えば、エタノールで除タンパクした血漿サンプルを塩酸で加水分解後、PITC処理・逆相カラムクロマトグラフィーを行い、PTC−Hyp量として定量化してもよい。<コラーゲンペプチドとテアフラビン類及び/又はエピカテキンとの複合体を配合した飲食品> 本発明により、前記コラーゲンペプチドとテアフラビン類及び/又はエピカテキンとの複合体を配合した種々の飲食品が提供される。当該複合体は、経口摂取後のペプチド型Hypの血中移行性に優れるため(等量の非複合化コラーゲンペプチドを経口摂取した場合の約2倍)、該複合体を配合した飲食品を経口摂取することにより、従来よりも少ないコラーゲンペプチド摂取量(約半量)で、関節痛の緩和、骨密度の増加、紫外線照射による肌ダメージ(角質水分量の低下、表皮の過形成、真皮コラーゲンの減少等)の軽減等の効用が得られることが期待される。 本発明に係るコラーゲンペプチドとテアフラビン類及び/又はエピカテキンとの複合体の飲食品における態様には、当該複合体が飲食品そのものである場合と、飲食品を製造する際の原料あるいは中間製品である場合とが含まれる。 本発明に係るコラーゲンペプチドとテアフラビン類及び/又はエピカテキンとの複合体を配合する飲食品の形態は、固形状、半固形状(ゼリー・ゲル状)、液状のいずれであってもよい。当該飲料としては、例えば、茶系飲料、コーヒー飲料、炭酸飲料、果汁飲料、ミネラルウォーター、豆乳飲料、野菜飲料、スポーツ飲料、乳飲料等が例示される。また、当該食品としては、菓子類、乳製品、麺類、水産・畜産加工食品、油脂・油脂加工品等が好適な例として挙げられる。 本発明の飲食品におけるコラーゲンペプチドとテアフラビン類及び/又はエピカテキンとの複合体の配合量は、その生理作用や薬理作用が発揮できる量であればよいが、対象飲食品の一般的な摂取量を考慮すると、通常、成人1日当たりの摂取量が100−10,000mg、好ましくは500−6,000mg、より好ましくは1,000−3,000mg程度であることが望ましい。例えば、固形状食品の場合には1−90質量%、飲料等の液状食品の場合には0.1−20質量%程度とすることができる。 本発明に係る飲食品には、コラーゲンペプチドとテアフラビン類及び/又はエピカテキンの結合を阻害しない範囲内で、通常飲食品に汎用される成分を適宜配合することができる。 以下に、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、これらの実施例により本発明の範囲が限定されるものではない。まず、最初に、下記試験例1−5で用いた主な手法について説明する。なお、以下の試験例では、試料の遠心操作はすべて室温(約20℃)で行った。[手法1:コラーゲンペプチド水溶液の調整方法] コラーゲンペプチド(豚皮由来コラーゲン加水分解物の乾燥粉末、平均分子量3000−5000、株式会社ニッピ製)を、所定濃度になるように水に溶解したものを用いた。[手法2:紅茶又は緑茶抽出液の調整方法] 市販の紅茶用茶葉(紅茶用茶葉A:リプトン イエローラベル ティーバッグ(ユニリーバ・ジャパン株式会社製)、紅茶用茶葉B:日東紅茶 Day&Day(三井農林株式会社製))、又は緑茶用茶葉(お〜いお茶(株式会社伊藤園製))2.1gを約90℃の湯180mlに添加し、攪拌しながら3分間抽出を行った後、ろ過して上清を得た。本願実施例においてコラーゲンペプチドと混合した”溶媒”、”飲料”、”抽出液”は、すべて当該方法によって得られた”上清”のことである。コラーゲンペプチドと混合する場合には、当該上清を室温(25℃)にまで冷ましてから所定の濃度のコラーゲンペプチド水溶液と混合した。 なお、本書では、“紅茶”、“緑茶”は各々“紅茶飲料”、“緑茶飲料”を意味し、これらの飲料の原料となる茶葉は“紅茶用茶葉”、“緑茶用茶葉”と称して区別している。[手法3:血中ペプチド型Hyp、遊離型Hyp、及び総Hypの測定方法] エタノールで除タンパクした血漿サンプル(エタノール可溶性画分)をサイズ排除クロマトグラフィーで分画し(カラム:Superdex Peptide 10/300GL(GEヘルスケア株式会社製)、ペプチド及びアミノ酸を含む画分を得た。当該画分を塩酸加水分解(減圧下150℃ 1時間)し、PITC処理した後に逆相クロマトグラフィー(カラム:LiChroCART 250-4(Merck株式会社製))を行い、PTC−Hyp量(=血中総Hyp量)を測定した。また、前記ペプチド及びアミノ酸を含む画分に対し、塩酸加水分解を行わずにPITC処理・逆相クロマトグラフィーを行うことで、PTC−Hyp量(=血中遊離型Hyp量)を測定した。前記”血中総Hyp量”から前記”血中遊離型Hyp量”を引いた値を、”血中ペプチド型Hyp量”とした。[手法4:水溶液中の遊離型Hyp、及び総Hypの測定方法] 水溶液に3倍量(v/v)のエタノールを添加し、遠心(10,000×g、15分)を行って上清を得た。該上清に対し、塩酸加水分解(減圧下150℃ 1時間)を行い、PITC処理した後に逆相クロマトグラフィー(カラム:LiChroCART 250-4(Merck株式会社製))を行うことで、PTC−Hyp量(=血中総Hyp量)を測定した。また、前記上清に対し、塩酸加水分解を行わずにPITC処理・逆相クロマトグラフィーを行うことで、PTC−Hyp量(=遊離型Hyp量)を測定した。[試験例1:コラーゲンペプチドを溶解する溶媒の検討] 本発明者は、ヒトがコラーゲンペプチドを経口摂取した場合に吸収されるペプチド型Hyp量を増加させるために、コラーゲンペプチドの摂取方法を入念に検討した。その結果、コラーゲンペプチドを添加する溶媒によって、血中ペプチド型Hyp量が大きく変わることを見出した。 コラーゲンペプチドを、終濃度が25mg/mlとなるように6種類の溶媒(水、牛乳、紅茶、緑茶、コーヒー、又は飲むヨーグルト)に添加して混合し(各200ml、飲むヨーグルトのみ、牛乳とタンパク量を合わせるために220ml)、5人の被験者に経口摂取してもらった。摂取前(0時間)、及び摂取後(0.5、1、2、4、6、8時間後)に前記被験者から血液を採取し、前記手法3に従って血中総Hyp量、遊離型Hyp量、及び血中ペプチド型Hyp量を測定・算出した。当該血中ペプチド型Hyp量を図1に示す。 図1に示されるように、コラーゲンペプチドを水(比較例1)に添加して摂取した場合には、摂取から約1時間後にかけて血中ペプチド型Hyp量が増加し、その後急激に減少することがわかる。これに対し、コラーゲンペプチドを紅茶(実施例1)又はコーヒー(比較例2)に添加した場合には、水に添加して摂取した場合よりも血中ペプチド型Hyp量の増加が早く、且つ、その後の減少が緩やかであった。一方、コラーゲンペプチドを緑茶(比較例3)、牛乳(比較例4)、又は飲むヨーグルト(比較例5)に添加した場合にはこのような効果は見られず、むしろ牛乳に添加した場合には、血中ペプチド型Hypの増加が非常に遅くなる結果となった。 図1のグラフから、血中移行したペプチド型HypのAUC(血中薬物濃度−時間曲線下面積)を算出した結果を図2に示す。同様に、血中遊離型Hyp、血中総HypについてAUCを計算した結果をそれぞれ図3、図4に示す。図2より、コラーゲンペプチドを紅茶に添加・混合して経口摂取すると、水に添加・混合して経口摂取した場合と比べて、血中移行するペプチド型Hyp量が約2倍に増加することが明らかとなった。 血中総HypのAUC値(図4)は、小腸で吸収された“コラーゲンペプチド由来アミノ酸、ジペプチド、及びトリペプチドの総量”を表す値である。紅茶、コーヒー、牛乳、緑茶を溶媒とした場合の血中総HypのAUC値は、水を溶媒とした場合の該値と有意差がないことから、これらの溶媒にコラーゲンペプチドを添加して摂取した場合に小腸で吸収される“コラーゲンペプチド由来アミノ酸、ジペプチド、及びトリペプチドの総量”に極端な差はないと考えられる。にも関わらず、紅茶を溶媒とした場合には、血中遊離型Hyp量が有意に減少し(図3)、血中ペプチド型Hyp量が有意に増加する結果となった(図2)。よって、これらの結果より、コラーゲンペプチドを紅茶に混合して経口摂取すると、水や他の飲料に混合して摂取した場合よりも、小腸において(アミノ酸にまで加水分解されずに)ジペプチド又はトリペプチドの状態のものの割合が高くなる可能性が示唆された。[試験例2:コラーゲンペプチド添加による溶媒の濁度変化] コラーゲンペプチドを紅茶に混合すると消化されにくくなる理由について、検討することにした。試験例1では、コラーゲンペプチドを水、緑茶、コーヒーに混合しても顕著な濁りは生じないが、紅茶に混合すると顕著に濁ることが観察された(牛乳と飲むヨーグルトについては不明)。そこで、この濁りについて詳しく調べることにした。 前記紅茶用茶葉A、B、又は前記緑茶用茶葉の抽出液と、種々の濃度のコラーゲンペプチド水溶液(0−200mg/ml)を、質量比1:1で混合して600nmの吸光度(すなわち、濁度)を測定した。結果を図5に示す。 興味深いことに、紅茶にコラーゲンペプチドを混合すると、該ペプチド量の増加に伴って濁度が急激に上昇するが、20mg/ml(終濃度)で最大値となり、さらに該ペプチド量を増やすと濁度は減少に転じる結果となった(図5、実施例2、3)。すなわち、当該濁度の上昇は、高分子物質の濃度上昇による非特異的な凝集反応によるものではなく、コラーゲンペプチドと特定の紅茶成分間での比較的特異性のある反応に基づくものである可能性が示唆された。そこで、コラーゲンペプチドの量を20mg/ml(終濃度)に固定して紅茶の終濃度を100%から0%まで変化させたところ、図6に示されるようなシグモイドカーブが得られた(実施例4、5)。なお、終濃度が100%の試験は、100%の紅茶抽出液にコラーゲン乾燥粉末を直接添加して行った。 これらの結果から、コラーゲンペプチドは、紅茶中の特定の成分と反応して水不溶性の複合体を形成し得ることが示唆された。 なお、コラーゲンペプチドを緑茶に混合した場合には、該ペプチドの終濃度が0−100mg/mlの広い範囲において、濁度の実質的な上昇は認められなかった(図5の比較例6、図6の比較例7)。[試験例3:コラーゲンペプチドと複合体を形成する紅茶成分の同定] 次に、コラーゲンペプチドが結合する紅茶成分の同定を試みた。 前記紅茶A(200ml)にコラーゲンペプチド(5g)を添加して混合後、遠心(10,000×g、10分間)を行って上清と沈殿に分離した(実施例6)。前記コラーゲンペプチド添加前の紅茶A(図7A)、前記遠心後の上清(図7B)、及び、前記遠心後の沈殿をSDSで可溶化した溶液(図7C)に対し、逆相クロマトグラフィー(カラム:Cosmosil 5C18-AR-II(ナカライテスク株式会社製)、移動相:0.1%ギ酸含有アセトニトリル、検出:215nm、280nm)を行って各溶液中に含まれる成分を分析した。各溶液の逆相クロマトグラフィーのHPLCチャートを図7A−Cに示す。図7Aは、紅茶に含まれる成分、図7Bは、紅茶成分のうち、コラーゲンペプチドと共沈しなかった成分、図7Cは、紅茶成分のうち、コラーゲンペプチドと共沈した成分を表している。 さらに、前記紅茶A、紅茶B,緑茶(いずれもコラーゲンペプチド非添加)について、代表的なポリフェノールの含有量を解析した結果を表1に示す。 図7A及び表1より、紅茶には、[1]カフェインと、[2]エピカテキン、[3]エキガロカテキンガレート、[4]エピカテキンガレートといった茶カテキン類が多く含まれ、[5]テアフラビン(TF1)、[6]テアフラビン−3−O−ガレート(TF2A)、[7]テアフラビン−3’−O−ガレート(TF2B)、及び[8]テアフラビン−3、3’−O−ジガレート(TF3)といったテアフラビン類はカフェイン及び茶カテキン類よりもかなり少ないことがわかる。そして、図7Bより、前記[1]、[3]、及び[4]は前記沈殿を除去した上清中にほぼ残存するが、[2]エピカテキンとテアフラビン類([5]−[8])は、前記上清から消失することが示された。さらに、図7Cより、前記上清から消失した成分[2]、[5]−[8]は、ほぼ全てコラーゲンと共沈していたことが明らかとなった。 なお、前記[1]、[3]、及び[4]の一部もコラーゲンと共沈し得ることが示されたが(図7C)、これらはいずれも、通常紅茶よりも緑茶に多く含まれる成分である。コラーゲンペプチドを緑茶に混合しても濁度が上昇しないことから(図5、6)、これらの成分(カフェイン、エキガロカテキンガレート、及びエピカテキンガレート)がコラーゲンペプチドに結合しても、水不溶性の複合体は形成されないと考えられる。 以上より、紅茶中に含まれるテアフラビン類(TF1、TF2A、TF2B、及びTF3)及び/又はエピカテキンが、コラーゲンペプチドと結合して水不溶性の複合体を形成することが明らかとなった。 なお、前記図5では、紅茶50質量%水溶液中でコラーゲンペプチドの終濃度が5−65mg/ml、特に好ましくは10−40mg/mlの場合に、水不溶性の複合体が十分量形成されて濁度が顕著に上昇した。表1より、紅茶50質量%水溶液1ml中にはテアフラビン類が約0.032mg−0.033mg(平均:0.032mg)含まれることから、紅茶にコラーゲンペプチドを混合して水不溶性のコラーゲンペプチド・テアフラビン複合体を得るには、テアフラビン類1質量部に対してコラーゲンペプチドを約150−2000質量部、好ましくはテアフラビン類1質量部に対してコラーゲンペプチドを約300−1200質量部の範囲内で混合すると、前記複合体が効率良く形成されることが明らかとなった。当該混合比は、水溶性のコラーゲンペプチド1質量部あたりに換算すると、テアフラビン類が約0.0005−0.0070、好ましくは、0.0008−0.0033質量部である。 同様に、紅茶50質量%水溶液1ml中には、エピカテキンが約0.005mg−0.014mg(平均:0.010mg)含まれることから、紅茶にコラーゲンペプチドを混合して水不溶性のコラーゲンペプチド・エピカテキン複合体を得るには、エピカテキン1質量部に対してコラーゲンペプチドを約500−6500質量部、好ましくはエピカテキン1質量部に対してコラーゲンペプチドを約1000−4000質量部の範囲内で混合すると、前記複合体が効率良く形成されることが示された。当該混合比は、水溶性のコラーゲンペプチド1質量部あたりに換算すると、エピカテキンが約0.0001−0.0020、好ましくは、0.0002−0.0010質量部である。[試験例4:テアフラビン類及びエピカテキンのコラーゲンペプチドとの複合体形成能] 次に、テアフラビン類及びエピカテキンが、各々単独でコラーゲンペプチドと水不溶性の複合体を形成できるかどうか、検討した。 各テアフラビン類及びエピカテキンの1mg/ml水溶液、ならびに、コラーゲンペプチド水溶液(200mg/ml)を調製し、下記の含有量になるように室温で混合した。なお、本願試験例には、以下の試薬を用いた。<テアフラビン類とエピカテキン>TF1:テアフラビン、TF2A:テアフラビン−3−ガレート、TF2B:テアフラビン−3’−ガレート、TF3:テアフラビン−3、3’−ジガレート(いずれも和光純薬工業株式会社製)エピカテキン:(-)-Epicatechin(Sigma-Aldrich社製)<反応液1ml中> ・TF1(約0.113mg)、TF2A(約0.143mg)、TF2B(約0.143mg)、TF3(約0.174mg)、又はエピカテキン(約0.058mg) 0.2μmol ・コラーゲンペプチド 2mg又は10mg ・精製水 残量 混合後、遠心を行って(8,000×g、15分)上清と沈殿に分離した。当該上清に対し、前記手法4に従って総Hyp量を測定した(=“上清中の総Hyp量”)。前記反応に用いたコラーゲンペプチド量(2mg又は10mg)から前記“上清中の総Hyp量”を引いた値を、“複合体中の総Hyp量”として算出した。各々の総Hyp量を割合(%)で表した結果を表2に示す。 表2より、前記テアフラビン類及びエピカテキンのいずれもが、単独で効率良くコラーゲンペプチドと結合して水不溶性の複合体を形成できることが確認された(実施例7−11)。特にTF2B(実施例10)及びTF3(実施例11)はコラーゲンペプチドとの複合体形成能が高く、これらのテアフラビン類の存在下では90%以上のコラーゲンペプチドが水不溶性複合体を形成することが示された。 さらに、上記結果より、前記各カテキン類に対し、ごく微量のコラーゲンペプチドを添加・混合するだけで、当該カテキン類とコラーゲンからなる水不溶性の複合体が形成されることが確認された。上記反応に用いた各カテキン類とコラーゲンペプチドの質量比は、コラーゲンペプチド1mgに対し、TF1が約0.0113mg又は0.0565mg、TF2A/TF2Bが約0.0143mg又は0.0716mg、TF3が約0.0174mg又は0.0870mg、エピカテキンが約0.0058mg又は0.0290mgである。よって、コラーゲンペプチド1質量部に対し、各テアフラビン類を約0.090mgまで、エピカテキンを約0.030mgまで混合しても、水不溶性の複合体が得られることが確認された。 上記試験例4(表2)及び試験例2(図5)の結果より、水溶性コラーゲンペプチド1質量部に対し、テアフラビン類が(テアフラビン類総量として)約0.0005−0.09質量部、好ましくは約0.0008−0.01質量部、より好ましくは約0.001−0.007質量部となるように混合すると、水不溶性のコラーゲンペプチド・テアフラビン複合体が効率良く形成されることが明らかとなった。 同様に、水溶性コラーゲンペプチド1質量部に対し、エピカテキンが約0.0001−0.03質量部、好ましくは約0.0002−0.005質量部、より好ましくは約0.0005−0.002質量部となるように混合すると、水不溶性のコラーゲンペプチド・エピカテキン複合体が効率良く形成されることが示された。[試験例5:コラーゲンペプチドとテアフラビン類及び/又はエピカテキン複合体の消化耐性] 試験例1−4の結果より、コラーゲンペプチドはテアフラビン類及び/又はエピカテキンと複合体を形成することにより、消化されにくくなる可能性が示唆される。そこで、当該複合体の消化耐性について検討した。 試験例4と同じ手法を用いて、テアフラビン類(TF1、TF2A、TF2B、又はTF3)あるいはエピカテキン各1mgと、コラーゲンペプチド2.5mgを混合し、複合体を形成させた。また、コラーゲンペプチドのみを含む溶液を陰性コントロールとした。これらの溶液に、パンクレアチン(パンクレアチン(和光純薬工業株式会社製)、5.2−9.2U)、ロイシンアミノペプチダーゼ(Leucine Aminopeptidase, microsomal from porcine kidney(Sigma-Aldrich社製)、2.8U)、及びカルボキシペプチダーゼ(Carboxypeptidase A from bovine pancreas(Sigma-Aldrich社製)、17.8U)を添加し、1M トリスバッファー(pH8.0)中で37℃で48時間インキュベートすることにより、コラーゲンペプチドの消化を行った(反応系の容量:300μl)。当該反応系は、十二指腸及び小腸でのタンパク質の消化を模倣した人工消化系である。なお、通常、飲食物が約1−6時間で十二指腸及び小腸を通過することを考慮すると、当該人工消化系はかなり厳しい条件下での消化反応といえる。 前記インキュベーション後、前記反応液を遠心して(10,000×g、15分)前記複合体を沈殿として除去し、上清を回収した。当該上清に含まれる遊離型Hyp量を、前記手法4に従って測定した。結果を表3に示す。 表3より、コラーゲンペプチドをテアフラビン類又はエピカテキンと複合体形成させてから人工消化すると、コラーゲンペプチド単独で人工消化した場合と比べて、上清に回収される遊離型Hyp量(すなわち、アミノ酸にまで加水分解されたコラーゲンペプチド量)が約44.3−70.9%にまで減少することが明らかとなった。前述したように、前記人工消化反応は非常に厳しい消化反応であることから、コラーゲンペプチドとテアフラビン類又はエピカテキンとの複合体は、(特に、十二指腸及び小腸での)消化に対して強い耐性を有していることが示された。 よって、コラーゲンペプチドは、テアフラビン類及び/又はエピカテキンと水不溶性の複合体を形成することにより、十二指腸及び膵液中の消化酵素で消化されにくくなり、アミノ酸にまで完全に分解されるものが減少することが示された。 さらに、本発明者は、コラーゲンペプチドとテアフラビン類は人工胃液中では複合体を効率良く形成できないため、予め複合体を形成させてから経口摂取する必要があることを確認している。 紅茶A抽出液の凍結乾燥粉末(フリーズドライパウダー)とコラーゲンペプチドの乾燥粉末を、それぞれ人工胃液(0.2%NaCl水溶液、pH1.2)に溶解した溶液を調整した。それぞれを、紅茶抽出液に換算した終濃度が50質量%、コラーゲンペプチドの終濃度が0−100mg/mlとなるように混合し、該混合液の濁度(600nmの吸光度)を測定した。すなわち、本願試験例2の解析(図5)において、溶媒を”水”から”人工胃液”に変えて行った試験である。結果を図8に示すが、図5と異なり、濁度の上昇が非常に少なく(最高値を比較しても図5の5分の1程度)、人工胃液中ではコラーゲンペプチドと紅茶成分は効率良く複合体を形成できないことが示された。 以上、試験例1−5の結果より、水溶性コラーゲンペプチドは、テアフラビン類及び/又はエピカテキンと水不溶性の複合体を形成し、該複合体を経口摂取すると、血中移行するペプチド型Hyp量が顕著に増加することが示された。 以下に、本発明に係るコラーゲンペプチドとテアフラビン類及び/又はエピカテキンの複合体を配合した飲食品の実施例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下の配合量はいずれも質量%を表す。 以下に、本発明に係るコラーゲンペプチドとテアフラビン類及び/又はエピカテキンの複合体を配合した飲食品の実施例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下の配合量はいずれも質量%を表す。[実施例17:野菜ジュース]<処方> 成分 配合量(1)コラーゲンペプチド 0.4 (IXOS HDL−50F、平均分子量5000、新田ゼラチン株式会社製)(2)紅茶抽出液 10.0(3)野菜搾り汁 70.0(4)リンゴ5倍濃縮果汁 5.0(5)レモン3倍濃縮果汁 2.0(6)アスコルビン酸ナトリウム 0.05(7)精製水 残余 合計 100.0<製法> 成分(1)を10mlの(7)に溶解した後、(2)と混合した。当該混合液に、(7)の残量と(3)−(6)を混合して野菜ジュースを得た。[実施例18:錠剤]<処方> 成分 配合量(1)コラーゲンペプチド・テアフラビン複合体 実施例6で得た沈殿の乾燥粉末 10.0(2)乳糖 75.0(5)アスコルビン酸ナトリウム 10.0(6)乾燥コーンスターチ 3.0(7)タルク 1.8(8)ステアリン酸ナトリウム 0.2 合計 100.0<製法> 成分(1)−(8)を均一に混合した混合物を単発式打錠機を用いて打錠し、直径5mm、質量15mgの錠剤を得た。 本発明に係るコラーゲンペプチドとテアフラビン類及び/又はエピカテキンの複合体は、製造が容易なうえに、安定に長期保存できるため、飲食品の原料としての価値が非常に高いものである。当該複合体を配合することで、コラーゲンの薬理効果を担う“ペプチド型Hyp”の吸収性に優れる飲食品を、簡便に製造することができる。 水溶性コラーゲンペプチドと、テアフラビン類及び/又はエピカテキンが複合化して形成される、水不溶性複合体。 前記水溶性コラーゲンペプチド1質量部に対し、前記テアフラビン類を0.0005−0.09質量部、及び/又は前記エピカテキンを0.0001−0.03質量部混合することで形成される、請求項1に記載の水不溶性複合体。 前記水溶性コラーゲンペプチド1質量部に対し、前記テアフラビン類を0.0008−0.01質量部、及び/又は前記エピカテキンを0.0002−0.005質量部混合することで形成される、請求項2に記載の水不溶性複合体。 請求項1−3のいずれかに記載の水不溶性複合体が配合された飲食品。 【課題】 ペプチド型Hypの血中移行性が高い、コラーゲン含有経口摂取用組成物を提供することを目的とする。【解決手段】 水溶性コラーゲンペプチドと、テアフラビン類及び/又はエピカテキンが複合化して形成される、水不溶性複合体。【選択図】 図2


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