タイトル: | 公開特許公報(A)_乳がんにおける活性化型Notch変化 |
出願番号: | 2014252639 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | A61K 45/00,C12Q 1/68,A61P 43/00,A61P 35/00,A61P 15/00,A61K 31/4164,C07D 233/88 |
キース アンソニー チング ピーター エー. オルソン カイ ワング JP 2015120689 公開特許公報(A) 20150702 2014252639 20141215 乳がんにおける活性化型Notch変化 ファイザー・インク 593141953 四本 能尚 100133927 宮澤 純子 100137040 佐藤 眞紀 100147186 龍田 美幸 100174447 キース アンソニー チング ピーター エー. オルソン カイ ワング US 61/919,431 20131220 US 62/078,875 20141112 A61K 45/00 20060101AFI20150605BHJP C12Q 1/68 20060101ALI20150605BHJP A61P 43/00 20060101ALI20150605BHJP A61P 35/00 20060101ALI20150605BHJP A61P 15/00 20060101ALI20150605BHJP A61K 31/4164 20060101ALI20150605BHJP C07D 233/88 20060101ALI20150605BHJP JPA61K45/00C12Q1/68 AA61P43/00 111A61P35/00A61P15/00A61K31/4164C07D233/88 20 1 OL 93 4B063 4C084 4C086 4B063QA19 4B063QQ02 4B063QQ42 4B063QR62 4B063QS25 4B063QS32 4C084AA17 4C084MA13 4C084MA16 4C084MA17 4C084MA22 4C084MA23 4C084MA24 4C084MA28 4C084MA31 4C084MA35 4C084MA37 4C084MA41 4C084MA43 4C084MA52 4C084MA55 4C084MA56 4C084MA59 4C084MA60 4C084MA63 4C084MA66 4C084NA05 4C084NA06 4C084NA14 4C084ZA812 4C084ZB262 4C084ZC202 4C086AA01 4C086AA02 4C086AA03 4C086BC38 4C086GA16 4C086MA01 4C086MA04 4C086NA05 4C086NA06 4C086NA14 4C086ZA81 4C086ZB26 4C086ZC20 本発明は、Notchシグナル伝達経路阻害薬、詳細にはγ−セクレターゼ阻害薬(GSI)による治療が有益である、活性化型Notch PESTドメイン変化を有する患者を特定し、治療する方法に関する。 Notchシグナル伝達経路は、様々な細胞運命決定を担っている、高度に保存された発生経路である。Anderssonら、Development(2011)、138(17):3593〜3612。Notchは、その細胞外ドメイン(ECD)内のS1部位で切断されて、ヘテロ二量体化(HD)ドメイン内で非共有結合性の相互作用によって結び付けられた、2部に分かれた受容体を形成する。Notchシグナル伝達は、リガンドがECDに結合した後、負の調節領域(NRR)の立体構造が変化し、これによりADAM/腫瘍壊死因子α変換酵素(TACE)メタロプロテアーゼによるS2部位での切断が可能になることで活性化される。次いで、γ−セクレターゼ複合体が、膜貫通ドメイン内のS3切断を仲介し、Notch細胞内ドメイン(NICD)を解放し、Notch細胞内ドメインは、核に位置を変え、Notch標的遺伝子の転写を調節する。NICD調節の重要な機序が、タンパク質代謝回転である。NICDは、即座に、そのC末端に位置するPEST[プロリン(P)、グルタミン酸(E)、セリン(S)、およびトレオニン(T)に富む]ドメインによる分解の標的となる。 4種の哺乳動物Notch受容体Notch1〜4が存在し、5種の膜結合型Notch経路リガンド:3種のデルタ様リガンド(DLL1、DLL3、DLL4)および2種のSerrate/Jaggedファミリーリガンド(Jagged−1、Jagged−2)に結合する。Notch活性化は、腫瘍形成において役割を果たすことが示唆されている。 ヒト乳がんでは、異常なNotchシグナル伝達が、疾患の進行を促進すると報告されており、全生存期間が短いことと関連付けられる。Dicksonら、Mod Pathol(2007)、20(6):685〜93;Reedijkら、Cancer Res(2005)、65(18):8530〜8537。Notch経路の過剰活性化は、トリプルネガティブ(すなわち、ER−、PR−、HER2−)乳がん(TNBC)または基底様乳がんサブタイプならびに他の乳がんサブタイプにおいて報告されている。Guoら、Biochim Biophys Acta(2011)1815(2):197〜213;Xuら、Cancer Cell(2012)21(5):626〜641;Izrailitら、Proc Natl Acad Sci USA(2013)、110(5):1714−9;Mazzoneら、Proc Natl Acad Sci USA(2010)107(11):5012〜5017;Yamaguchiら、Cancer Res(2008)、68(6):1881〜8;Cohenら、Brest Cancer Res Treat(2010)123(1):113〜124;Qiuら、Cancer Lett(2013)328(2):261〜270;Turnerら、Oncogene(2010)29(14):2013〜2023;Kondratyev Mら(2012);Hao Lら(2010)Oncogene 29(2):201〜213;Magnani Lら(2013)Proc Natl Acad Sci USA 110(16):E1490〜1499;Osipo Cら(2008)Oncogene 27(37):5019〜5032。GSIの前臨床研究および臨床研究が、乳がんにおいて報告されている。Zhangら、Clin Cancer Res(2012)18(18):5008〜5019;IzrailitおよびReedijk、Cancer Lett(2012)、317(2):115〜126;Kondratyevら、Oncogene(2012)31(1):93〜103;Schottら、Clin Cancer Res(2013)19(6):1512〜1524;Zhangら、Stem Cells Trans Med(2013)2(3):233〜242。 がんにおいてNotchが活性化される機序は、突然変異および複合的な遺伝子再配列を含めて、掲載が増えつつある。T細胞急性リンパ球性白血病(T−ALL)では、ECDの大部分が削除される転座、ならびにNotch1が関与するHDドメイン突然変異によって、ECD/NRRの正常な機能が混乱し、リガンド非依存的なNotch活性化が有効に導かれると報告されている。Ellisenら、Cell(1991)66(4):649〜661;Wengら、Science(2004)306(5694):269〜271。Notch1におけるPESTドメイン突然変異を不活化することは、T−ALL、慢性リンパ球性白血病(CLL)、脾臓周辺帯リンパ腫(SMZL)、およびマントル細胞リンパ腫において報告されている。Wengら(2004);Kridelら、Blood (2012)119(9):1963〜1971;Puenteら、Nature(2011)475(7354):101〜105;Rossiら、J Exp Med (2012)209(9):1537〜1551。Notch2 PESTドメイン突然変異は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、SMZL、およびHajdu−Cheney症候群において報告されている。Leeら、Cancer science(2009)100(5):920〜926;Lohrら、Proc Natl Acad Sci USA(2012)109(10):3879〜3884;Rossiら(2012);Kielら、J Exp Med(2012)209(9):1553〜1565;Isidorら、Nat Genet(2011)43(4):306〜308;Simpsonら、Nat Genet(2011)43(4):303〜305。 Notch1のPESTドメインにおける突然変異は、非小細胞肺癌においても報告されている。Westhoffら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(2009)106、22293〜22298。一乳がんサンプルにおけるPESTドメイン突然変異は報告されているが特徴付けられておらず、この突然変異の機能との関連性は不明である。Jiaoら(2012)Genes,chromosomes&cancer 51(5):480〜489。 より最近では、Notch1およびNotch2融合タンパク質が関与する染色体再編が乳がんにおいて確認され、TNBCサブタイプにおいて高度に富化されていた。Robinsonら、Nat Med(2011)17(12):1646〜1651;Stoeckら、Cancer Discovery(2014)4(10):1154〜67。こうした再編のほとんどが、Notch受容体遺伝子活性を増大させており、こうした融合を有する細胞系は、in vitroおよびin vivo両方で、既知のGSIであるN−[N−(3,5−ジフルオロフェナセチル)−L−アラニル]−S−フェニルグリシンt−ブチルエステル(DAPT)による治療に感受性があった。こうしたNotch活性化ゲノム再編に共通する特色は、T−ALLにおける転座およびHDドメイン突然変異を暗示する、リガンド非依存的な活性化を導く、ECDの大部分の削除であった。米国特許第7,342,118号米国特許第7,795,447号米国特許第7,951,958号米国特許第6,106,864号WO00/35298Anderssonら、Development(2011)、138(17):3593〜3612Dicksonら、Mod Pathol(2007)、20(6):685〜93Reedijkら、Cancer Res(2005)、65(18):8530〜8537Guoら、Biochim Biophys Acta(2011)1815(2):197〜213Xuら、Cancer Cell(2012)21(5):626〜641Izrailitら、Proc Natl Acad Sci USA(2013)、110(5):1714−9Mazzoneら、Proc Natl Acad Sci USA(2010)107(11):5012〜5017Yamaguchiら、Cancer Res(2008)、68(6):1881〜8Cohenら、Brest Cancer Res Treat(2010)123(1):113〜124Qiuら、Cancer Lett(2013)328(2):261〜270Turnerら、Oncogene(2010)29(14):2013〜2023Kondratyevら、Oncogene(2012)31(1):93〜103Hao Lら(2010)Oncogene 29(2):201〜213Magnani Lら(2013)Proc Natl Acad Sci USA 110(16):E1490〜1499Osipo Cら(2008)Oncogene 27(37):5019〜5032Zhangら、Clin Cancer Res(2012)18(18):5008〜5019IzrailitおよびReedijk、Cancer Lett(2012)、317(2):115〜126Schottら、Clin Cancer Res(2013)19(6):1512〜1524Zhangら、Stem Cells Trans Med(2013)2(3):233〜242Ellisenら、Cell(1991)66(4):649〜661Wengら、Science(2004)306(5694):269〜271Kridelら、Blood (2012)119(9):1963〜1971Puenteら、Nature(2011)475(7354):101〜105Rossiら、J Exp Med (2012)209(9):1537〜1551Leeら、Cancer science(2009)100(5):920〜926Lohrら、Proc Natl Acad Sci USA(2012)109(10):3879〜3884Kielら、J Exp Med(2012)209(9):1553〜1565Isidorら、Nat Genet(2011)43(4):306〜308Simpsonら、Nat Genet(2011)43(4):303〜305Westhoffら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(2009)106、22293〜22298Jiaoら(2012)Genes,chromosomes&cancer 51(5):480〜489Robinsonら、Nat Med(2011)17(12):1646〜1651Stoeckら、Cancer Discovery(2014)4(10):1154〜67Wattersら、Cancer Res(2009)69(23):8949〜8957De KloeおよびDe Strooper(2014)、Small Molecules That Inhibit Notch Signaling、出典:BellenおよびYamamoto(共編)、Notch Signaling:Methods and Protocols、Methods in Mol.Biol.、第1187巻(311〜322頁)、ニューヨーク州ニューヨーク:Springer−Science+Business MediaHollingerおよびHudson、2005、Nature Biotechnology 23(9):1126〜1136「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、第19版(Mack Publishing Company、1995)LiangおよびChen(2001)によるExpert Opinion in Therapeutic Patents、11(6)、981〜986H.LiebermanおよびL.Lachmanによる「Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets、第1巻」、Marcel Dekker、ニューヨーク州ニューヨーク、1980(ISBN 0−8247−6918−X)Vermaら、Pharmaceutical Technology On−line、25(2)、1〜14(2001)FinninおよびMorganによるJ Pharm Sci、88(10)、955〜958(1999年10月)Cancer Genome Atlas N.、Nature(2012)490(7418):61〜70Malecki MJら、Mol.Cell Bio.(2006)26(12)4642:51Weng APら、Science(2004)306(5694):269〜71Arnold Aら、J clin Oncol(2005)23(18):4215〜24Efstratiadis Aら、Cell Cycle(2007)6(4):418〜29O’Neil Jら、J Exp Med(2007)204(8):1813〜24Palomero Tら、Nat Med(2007)13(10):1203〜10Zhang CCら、Clin Cancer Res (2012)18(18):5008〜19Zhang CCら、Stem Cels Trans Med(2013)2(3)A.F.A.Smit、R.Hubley、およびP.Green RepeatMasker 乳がんにおいてNotch経路が活性化される証拠は相当にあるが、Notch調節解除の機序をより深く理解することは、Notchシグナル伝達経路阻害薬に反応を示す可能性が最も高い患者を特定する助けとなり、また、in vitroおよびin vivoで報告されている、GSIに対する不均一な反応を理解することとなりうる。Wattersら、Cancer Res(2009)69(23):8949〜8957。どの患者がGSIおよび他のNotchシグナル伝達経路阻害薬による治療に反応を示すかを判定するため、およびそのような判定を、単独または他の治療薬との組合せのいずれにせよそうした薬剤を使用する有効な治療レジメンに組み込むための有効な手段を特定することが、依然として求められている。 本発明は、一部において、Notch受容体切断を阻害する薬剤、たとえばGSI、およびNotchリガンド−受容体相互作用を妨げる薬剤、たとえば、抗Notchモノクローナル抗体(mAb)またはその抗体−薬物コンジュゲート(ADC)を含めた、Notchシグナル伝達経路阻害薬による治療が有益である患者を特定し、治療する方法を提供する。頻出する実施形態では、Notchシグナル伝達経路阻害薬は、本明細書でさらに述べるとおりの低分子GSIである。 治療に反応性であると予想される患者は、Notchシグナル伝達経路の活性化をもたらすNotchのPESTドメインの活性化型変化(まとめて、「Notch PESTドメイン変化」)の存在を特徴とし、これを根拠に特定される。本明細書で提供する方法は、Notchシグナル伝達経路阻害薬による治療に反応を示す可能性が高い、TNBCを含めた乳がんの患者を特定し、治療する際に特に有用である。 一態様において、本発明は、Notchシグナル伝達経路阻害薬で治療する患者を選択する方法であって、(a)患者からの生体サンプルにおいてNotch PESTドメイン変化を検出するステップと、(b)PESTドメイン変化が検出された場合、患者をNotchシグナル伝達経路阻害薬で治療するように選択するステップとを含む方法を提供する。 別の態様において、本発明は、患者がNotchシグナル伝達経路阻害薬による治療に反応を示す可能性が高いかどうかを判定する方法であって、(a)患者からの生体サンプルにおいてNotch PESTドメイン変化を検出するステップと、(b)Notch PESTドメイン変化が検出された場合、患者を陽性反応者群に割り振るステップとを含む方法を提供する。 これらの態様の一部の実施形態では、方法は、治療有効量のNotchシグナル伝達経路阻害薬を患者に投与するステップをさらに含む。 これらの態様の他の実施形態では、方法は、ある量のNotchシグナル伝達経路阻害薬を患者に投与するステップと、ある量の少なくとも1種の追加の治療薬を患者に投与するステップとをさらに含み、前記Notchシグナル伝達経路阻害薬および前記少なくとも1種の追加の治療薬の量が全体としてがんを治療するために有効である。 別の態様において、本発明は、Notchシグナル伝達経路阻害薬による治療に対する、患者における腫瘍の感度を判定する方法であって、患者からの生体サンプルにおいてNotch PESTドメイン変化を検出するステップを含み、PESTドメイン変化の存在が、GSIなどのNotchシグナル伝達経路阻害薬による治療に対する腫瘍の感度と関連付けられる、方法を提供する。 この態様の一実施形態では、患者の生体サンプルにおいてNotch PESTドメイン変化が検出された場合、方法は、患者に治療有効量のNotchシグナル伝達経路阻害薬を投与するステップをさらに含む。 この態様の別の実施形態では、患者のサンプルにおいてNotch PESTドメイン変化が検出された場合、方法は、患者にある量のNotchシグナル伝達経路阻害薬を投与するステップと、患者にある量の少なくとも1種の追加の治療薬を投与するステップとをさらに含み、前記Notchシグナル伝達経路阻害薬および前記少なくとも1種の追加の治療薬の量が全体として、患者の腫瘍を治療するために有効である。 一態様において、本発明は、Notchシグナル伝達経路阻害薬で治療する患者を選択する方法であって、(a)患者からの生体サンプルにおいてNotch PESTドメイン変化を検出するステップと、(b)PESTドメイン変化が検出された場合、患者をNotchシグナル伝達経路阻害薬で治療するように選択するステップと、(c)患者に治療有効量のNotchシグナル伝達経路阻害薬を投与するステップとを含む方法を提供する。 別の態様において、本発明は、Notchシグナル伝達経路阻害薬で治療する患者を選択する方法であって、(a)患者からの生体サンプルにおいてNotch PESTドメイン変化を検出するステップと、(b)PESTドメイン変化が検出された場合、患者をNotchシグナル伝達経路阻害薬で治療するように選択するステップと、(c)患者にある量のNotchシグナル伝達経路阻害薬を投与するステップと、(d)患者にある量の少なくとも1種の追加の治療薬を投与するステップとを含み、前記Notchシグナル伝達経路阻害薬および前記少なくとも1種の追加の治療薬の量が全体としてがんを治療するために有効である、方法を提供する。 別の態様において、本発明は、患者がNotchシグナル伝達経路阻害薬による治療に反応を示す可能性が高いかどうかを判定する方法であって、(a)患者からの生体サンプルにおいてNotch PESTドメイン変化を検出するステップと、(b)Notch PESTドメイン変化が検出された場合、患者を陽性反応者群に割り振るステップと、(c)患者に治療有効量のNotchシグナル伝達経路阻害薬を投与するステップとを含む方法を提供する。 別の態様において、本発明は、患者がNotchシグナル伝達経路阻害薬による治療に反応を示す可能性が高いかどうかを判定する方法であって、(a)患者からの生体サンプルにおいてNotch PESTドメイン変化を検出するステップと、(b)Notch PESTドメイン変化が検出された場合、患者を陽性反応者群に割り振るステップと、(c)患者にある量のNotchシグナル伝達経路阻害薬を投与するステップと、(d)患者にある量の少なくとも1種の追加の治療薬を投与するステップとを含み、前記Notchシグナル伝達経路阻害薬および前記少なくとも1種の追加の治療薬の量が全体としてがんを治療するために有効である、方法を提供する。 さらに別の態様において、本発明は、Notchシグナル伝達経路阻害薬による治療に対する、患者における腫瘍の感度を判定する方法であって、(a)患者からの生体サンプルにおいてNotch PESTドメイン変化を検出するステップと、(b)治療有効量のNotchシグナル伝達経路阻害薬を患者に投与するステップとを含み、PESTドメイン変化の存在が、GSIなどのNotchシグナル伝達経路阻害薬による治療に対する腫瘍の感度と関連付けられる、方法を提供する。 さらなる態様において、本発明は、Notchシグナル伝達経路阻害薬による治療に対する、患者における腫瘍の感度を判定する方法であって、(a)患者からの生体サンプルにおいてNotch PESTドメイン変化を検出するステップと、(b)ある量のNotchシグナル伝達経路阻害薬を患者に投与するステップと、(c)ある量の少なくとも1種の追加の治療薬を患者に投与するステップとを含み、前記Notchシグナル伝達経路阻害薬および前記少なくとも1種の追加の治療薬が全体として、患者の腫瘍を治療するために有効であり、PESTドメイン変化の存在が、GSIなどのNotchシグナル伝達経路阻害薬による治療に対する腫瘍の感度と関連付けられる、方法を提供する。 前述の態様それぞれの一部の実施形態では、その生体サンプル中にNotch PESTドメイン変化を有すると判定された患者を、Notchシグナル伝達経路阻害薬による治療に適する患者として特定する。他の実施形態では、その生体サンプル中にNotch PESTドメイン変化を有すると判定された患者を、Notchシグナル伝達経路阻害薬による治療に反応を示す可能性が高い患者として特定し、したがって、陽性反応者群に割り振る。他の実施形態では、その生体サンプル中にNotch PESTドメイン変化を有すると判定された患者を、Notchシグナル伝達経路阻害薬による治療に対してその腫瘍が感受性である患者として特定する。 前述の態様それぞれの頻出する実施形態では、患者は、がん、特に乳がんに罹患している。一部の実施形態では、患者は、TNBCまたは基底様乳がんに罹患している。一部のそうした実施形態では、患者は、TNBCに罹患している。 別の態様において、本発明は、Notchシグナル伝達経路阻害薬による治療に対するがん患者の感受性を予測する方法であって、(a)患者から得た生体サンプルにおいてNotch PESTドメイン変化についてアッセイするステップと、(b)Notch PESTドメイン変化を、非がん性または正常対照サンプルと比較するステップとを含み、生体サンプル中のNotch PESTドメイン変化の存在によって、患者がNotchシグナル伝達経路阻害薬による治療に感受性であることが示される、方法を提供する。 別の態様において、本発明は、がんを治療する方法であって、(a)そのような治療を必要とする患者からの生体サンプルにおいてNotch PESTドメイン変化を検出するステップと、(b)Notch PESTドメイン変化が検出された場合、患者をNotchシグナル伝達経路阻害薬で治療するように選択するステップと、(c)患者に治療有効量のNotchシグナル伝達経路阻害薬を投与するステップとを含む方法を提供する。 別の態様において、本発明は、がんを治療する方法であって、(a)そのような治療を必要とする患者からの生体サンプルにおいてNotch PESTドメイン変化を検出するステップと、(b)Notch PESTドメイン変化が検出された場合、患者をNotchシグナル伝達経路阻害薬で治療するように選択するステップと、(c)患者にある量のNotchシグナル伝達経路阻害薬を投与するステップと、(d)患者にある量の少なくとも1種の追加の治療薬を投与するステップとを含み、前記Notchシグナル伝達経路阻害薬および前記少なくとも1種の追加の治療薬の量が全体としてがんを治療するために有効である、方法を提供する。 さらなる態様において、本発明は、乳がんを治療する方法であって、(a)そのような治療を必要とする患者からの生体サンプルにおいてNotch PESTドメイン変化を検出するステップと、(b)Notch PESTドメイン変化が検出された場合、患者をNotchシグナル伝達経路阻害薬で治療するように選択するステップと、(c)患者にある量のNotchシグナル伝達経路阻害薬を投与するステップと、(d)患者にある量の少なくとも1種の追加の治療薬を投与するステップとを含み、前記Notchシグナル伝達経路阻害薬および前記少なくとも1種の追加の治療薬の量が全体として乳がんを治療するために有効である、方法を提供する。 別の態様において、本発明は、患者においてがんを治療し、回復させ、その進行を阻止し、またはその侵襲性を抑制する方法であって、患者に治療有効量のNotchシグナル伝達経路阻害薬を投与するステップを含み、患者が、Notch PESTドメイン変化を有することが確認されている、方法を提供する。 別の態様において、本発明は、患者においてがんを治療し、回復させ、その進行を阻止し、またはその侵襲性を抑制する方法であって、患者に、治療有効量のPF−03084014または薬学的に許容できるその塩を投与するステップを含み、がんは、Notch PESTドメイン変化を有すると特徴付けられている、方法を提供する。 別の態様において、本発明は、患者においてがんを治療し、回復させ、その進行を阻止し、またはその侵襲性を抑制する方法であって、患者にある量のNotchシグナル伝達経路阻害薬を投与するステップと、患者にある量の少なくとも1種の追加の治療薬を投与するステップとを含み、前記Notchシグナル伝達経路阻害薬および前記少なくとも1種の追加の治療薬の量が全体としてがんを治療するために有効であり、患者が、Notch PESTドメイン変化を有することが確認されている、方法を提供する。 別の態様において、本発明は、患者においてがんを治療し、回復させ、その進行を阻止し、またはその侵襲性を抑制する方法であって、患者にある量のNotchシグナル伝達経路阻害薬を投与するステップと、患者にある量の少なくとも1種の追加の治療薬を投与するステップとを含み、前記Notchシグナル伝達経路阻害薬および前記少なくとも1種の追加の治療薬の量が全体としてがんを治療するために有効であり、がんが、Notch PESTドメイン変化を有すると特徴付けられている、方法を提供する。 別の態様において、本発明は、Notch PESTドメイン変化を有すると特徴付けられるがんを治療する方法において使用するための、Notchシグナル伝達経路阻害薬を提供する。この態様の一部の実施形態では、Notchシグナル伝達経路阻害薬は、少なくとも1種の追加の治療薬との投与に適合している。 別の態様において、本発明は、Notch PESTドメイン変化を有すると特徴付けられるがんを治療する方法におけるNotchシグナル伝達経路阻害薬の使用を提供する。この態様の一部の実施形態では、使用は、少なくとも1種の追加の治療薬と組み合わせての使用をさらに含む。 さらなる態様において、本発明は、Notch PESTドメイン変化を有すると特徴付けられているがんを治療する医薬を製造するための、Notchシグナル伝達経路阻害薬の使用を提供する。この態様の一部の実施形態では、Notchシグナル伝達経路阻害薬は、少なくとも1種の追加の治療薬との投与に適合している。 別の態様において、本発明は、患者においてがんを治療し、回復させ、その進行を阻止し、またはその侵襲性を抑制する方法であって、患者に、治療有効量のPF−03084014または薬学的に許容できるその塩を投与するステップを含み、患者が、Notch PESTドメイン変化を有することが確認されている、方法を提供する。 別の態様において、本発明は、患者においてがんを治療し、回復させ、その進行を阻止し、またはその侵襲性を抑制する方法であって、患者に、治療有効量のPF−03084014または薬学的に許容できるその塩を投与するステップを含み、がんが、Notch PESTドメイン変化を有すると特徴付けられている、方法を提供する。 別の態様において、本発明は、患者においてがんを治療し、回復させ、その進行を阻止し、またはその侵襲性を抑制する方法であって、患者に、ある量のPF−03084014または薬学的に許容できるその塩を投与するステップと、患者にある量の少なくとも1種の追加の治療薬を投与するステップとを含み、前記Notchシグナル伝達経路阻害薬および前記少なくとも1種の追加の治療薬の量が全体としてがんを治療するために有効であり、患者が、Notch PESTドメイン変化を有することが確認されている、方法を提供する。 別の態様では、本発明は、Notch PESTドメイン変化を有すると特徴付けられるがんを治療する方法において使用するための、PF−03084014または薬学的に許容できるその塩を提供する。この態様の一部の実施形態では、Notchシグナル伝達経路阻害薬は、少なくとも1種の追加の治療薬との投与に適合している。 別の態様において、本発明は、Notch PESTドメイン変化を有すると特徴付けられるがんを治療する方法における、PF−03084014または薬学的に許容できるその塩の使用を提供する。この態様の一部の実施形態では、使用は、少なくとも1種の追加の治療薬と組み合わせての使用をさらに含む。 さらなる態様において、本発明は、Notch PESTドメイン変化を有すると特徴付けられているがんを治療する医薬を製造するための、PF−03084014または薬学的に許容できるその塩の使用を提供する。この態様の一部の実施形態では、Notchシグナル伝達経路阻害薬は、少なくとも1種の追加の治療薬との投与に適合している。 前述の態様それぞれの頻出する実施形態では、がんは、乳がんである。一部の実施形態では、がんは、TNBCまたは基底様乳がんである。一部のそうした実施形態では、がんは、TNBCである。 前述の態様それぞれの一部の実施形態では、患者は、GSIなどのNotchシグナル伝達経路阻害薬で治療するために評価または選択される患者の集団の中にいる。他のそうした実施形態では、患者は、GSIなどのNotchシグナル伝達経路阻害薬に対する反応性について評価または試験される患者の集団の中にいる。 さらなる態様において、本発明は、Notchシグナル伝達経路阻害薬に対するがん細胞の感受性を判定する方法であって、(a)がん細胞におけるNotch PESTドメイン変化についてアッセイするステップと、(b)Notch PESTドメイン変化を、非がん性または正常対照細胞と比較するステップとを含み、Notch PESTドメイン変化の存在によって、がん細胞が、Notchシグナル伝達経路阻害薬に対して感受性であることが示される、方法を提供する。 別の態様において、本発明は、がん患者をNotchシグナル伝達経路阻害薬で治療する方法であって、(a)患者から得たがん細胞におけるNotch PESTドメイン変化についてアッセイするステップと、(b)Notch PESTドメイン変化を、非がん性または正常対照細胞と比較するステップであり、Notch PESTドメイン変化の存在によって、がん細胞がNotchシグナル伝達経路阻害薬に対して感受性であることが示される、ステップと、(c)治療有効量のNotchシグナル伝達経路阻害薬を投与するステップとを含む方法を提供する。 本明細書に記載の態様それぞれの詳細な実施形態では、Notchシグナル伝達経路阻害薬は、GSIである。好ましい実施形態では、GSIは、構造:を有する、PF−03084014と呼ぶ化合物、N−2−[(2S)−6,8−ジフルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イル]−N−(1−{2−[(2,2−ジメチルプロピル)アミノ]−1,1−ジメチルエチル}−1H−イミダゾール−4−イル)−L−ノルバリンアミドまたは薬学的に許容できるその塩である。 化合物PF−03084014は、その内容が全体として参照により本明細書に援用される、米国特許第7,342,118号、第7,795,447号、および第7,951,958号で開示されている。PF−03084014は、時に、N−2−[(2S)−(6,8−ジフルオロ−1,2,3,4−テトラ−ヒドロナフタレン−2−イルアミノ)−ペンタン酸{1−[2−(2,2−ジメチル−プロピルアミノ)−1,1−ジメチル−エチル]−1H−イミダゾール−4−イル}−アミドまたは(S)−2−(((S)−6,8−ジフルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イル)アミノ)−N−(1−(2−メチル−1−(ネオペンチルアミノ)プロパン−2−イル)−1H−イミダゾール−4−イル)ペンタンアミドと呼ぶ場合もある。 他の実施形態では、Notchシグナル伝達経路阻害薬は、抗Notchモノクローナル抗体(mAb)、その抗原結合性フラグメント、またはその抗体−薬物コンジュゲート(ADC)である。詳細な実施形態では、Notchシグナル伝達経路阻害薬は、抗Notch1 mAb、抗Notch2 mAb、および抗Notch3 mAb、その抗原結合性断片、またはそのADCからなる群から選択される。 本明細書で提供する方法では、生体サンプルにおけるNotch PESTドメイン変化の検出によって、患者が、GSIなどのNotchシグナル伝達経路阻害薬による治療に対して反応を示す可能性が高いことが示される。一部の実施形態では、生体サンプルにおいてNotch PESTドメイン変化を検出するステップは、Notchシグナル伝達経路阻害薬のいずれの投与よりも前に行う。 前述のそれぞれの一部の実施形態では、Notch PESTドメイン変化は、Notch PESTドメインの点突然変異、転座、部分的重複、挿入、欠失(部分的または完全)、またはトランケーションを含む。一部の実施形態では、Notch PESTドメイン変化は、Notch1 PESTドメイン変化、Notch2 PESTドメイン変化、およびNotch3 PESTドメイン変化からなる群から選択される。一部のそうした実施形態では、Notch PESTドメイン変化は、Notch1 PESTドメイン変化である。他の実施形態では、Notch PESTドメイン変化は、Notch2 PESTドメイン変化である。他の実施形態では、Notch PESTドメイン変化は、Notch3 PESTドメイン変化である。 本明細書で提供する方法の詳細な実施形態では、生体サンプルにおけるNotch PESTドメイン変化の存在は、限定はせず、次世代シークエンシング(NGS)、ディープシークエンシング、全ゲノムシークエンシング、全エクソームシークエンシング、RNA−seq、またはSangerシークエンシングを始めとする、シークエンシング主体の方法によって検出する。好ましい実施形態では、Notch PESTドメイン変化は、次世代シークエンシング(NGS)、ディープシークエンシング、全ゲノムシークエンシング、全エクソームシークエンシング、またはRNA−seqによって検出する。 これらおよび他の実施形態については、本明細書で提供する詳細な説明によってさらに説明する。経路活性化を示し、トリプルネガティブサブタイプにおいて富化されている、HDもしくはPESTドメイン中またはその付近に密集する、TCGA侵襲性乳がんデータセットにおけるNotch受容体突然変異および限局的増幅を示す図である。(a)NOTCH1における単純突然変異および複合変化を示すロリポップグラフ、(b)NOTCH2における単純突然変異および複合変化を示すロリポップグラフ、(c)NOTCH3における単純突然変異および複合変化を示すロリポップグラフ。変化のない50種のTN腫瘍と比較した、Notch変化のある21種のTN腫瘍におけるNotch経路遺伝子の発現ヒートマップを示す図である。Notch変化のある腫瘍がTNBCに集中しており、Notch変化のあるTNBC腫瘍が、他の乳がんよりNotch経路活性の増大を示す可能性が高いことを示すグラフである。TCGA乳がんサンプル(a)TCGA−A2−A0T0、(b)TCGA−A8−A08X、および(c)TCGA−A8−A0J6におけるPESTドメイン変化について、RNA−seqリードの野生型配列または変異体配列に対するリアライメントを示すグラフである。腫瘍サンプル(上部パネル)および対応正常サンプル(下部パネル)からの全エクソームシークエンシング(WXS)データを、各患者(a)TCGA−A2−A0T0、(b)TCGA−A8−A08X、および(c)TCGA−A8−A0J6について示すグラフである。NOTCH1、NOTCH2、またはNOTCH3変化のある腫瘍におけるホットスポット突然変異/変化が、多くの場合、HES4および/またはHEY2発現の増大を示すことを示す図であり、各ドットは、TCGAデータセットの乳房腫瘍を表し、灰色の点線は、各遺伝子の発現レベル中央値の2倍を示す。前臨床GSI感受性モデルにおけるNOTCH2異常の特定を示す図である。(a)再配列したNOTCH2遺伝子構造のゲノム概略図(NOTCH2のエクソン34内の区切り点を矢印で示す)、(b)cDNAを鋳型として使用した接合部PCR産物のSangerシークエンシングトレース像。AA1077乳がんPDXモデルにおけるNOTCH1遺伝子異常の特定を示す図である。(a)再配列したNOTCH1遺伝子構造のゲノム概略図(点線の囲みは、イントロン30からエクソン34の中央にまたがる縦列重複領域を示す)、(b)cDNAを鋳型として使用した接合部PCR産物のSangerシークエンシングトレース像。HBCx−14乳がんPDXモデルにおけるNOTCH1遺伝子異常の特定を示す図である。(a)イントロン1からエクソン27の冒頭部分にまたがる欠失、エクソン34における10bpの欠失(青色の実線)、およびエクソン34における染色体間転座を示す、再配列したNOTCH1遺伝子構造のゲノム概略図(区切り点は、10bp欠失の下流にあり、染色体4上の何らかの遺伝子間配列に連結していた)、(b)ECD欠失をまたぐゲノムDNA PCR産物のSangerシークエンシングトレース(イントロン1またはエクソン27に位置していない4つのヌクレオチド(AGAT)が、接合部に挿入されていた(橙色))、(c)エクソン34における10bpの欠失をまたぐゲノムDNAを鋳型として使用した、およそ200bpのPCR産物のSangerシークエンシングトレース。PF−03084014に対して感受性がある乳がん患者由来の異種移植片(PDX)モデルおよびHCC1599細胞系モデルにおけるNotch受容体の野生型およびゲノム変化を示す図である。(a)Notch2野生型、(b)NOTCH2 PESTドメインを崩壊させる融合(fs)(G2320fsのロリポップ印)ならびに座位の増幅を有するMAXF1162モデル、(c)Notch1野生型、(d)NOTCH1 PESTドメインを崩壊させるNOTCH1の部分的縦列重複を有するAA1077モデル、(e)NOTCH1におけるECD欠失およびPESTドメインフレームシフト欠失を有するHBCx−14モデル、(f)NOTCH1におけるECD欠失を有するHCC1599細胞系。PF−03084014に対して感受性のあるNotch変化モデルにおける平均腫瘍体積(+SEM)を示すグラフである。(a)MAXF1162モデルは、65%の腫瘍退縮を示し、(b)AA1077モデルは、88%の腫瘍成長抑制を示し、(c)HBCx−14モデルは、60%の腫瘍成長抑制を示し、(d)HCC1599モデルは、50%の腫瘍退縮を示した。NOTCH1突然変異によって、全長およびNICD1タンパク質ならびにNICD1半減期が変化することを示す図である。(a)PF−03084014を用いまたは用いずに処理したNotch変化モデルにおけるNICD1ウエスタンブロット(「*」は、野生型NICD1より低分子量のNICD1種を示す)、(b)TNBC PDXモデルの可溶化液のパネルと並べた、NOTCH1 PEST切断型HBCx−14モデル(レーン6)でのNICD1ウエスタンブロット、(c)NOTCH1膜貫通種および全長種を認識する抗体を使用してのNOTCH1ウエスタンブロット(下方のパネルは、より軽い露出でのものある)。140mg/kg BIDのPF−03084014で2日間および12日間処置した後、PEST突然変異NICD1の減衰が、野生型バンドと比べて少なかったことを示す図である。(b)12日間媒体を基準とした平均バンド強度(+/−SEM)として示し、GAPDHに対して正規化したデータ。Notch突然変異体乳がんモデルが、多くの場合Notch経路発現の増大を示すことを示す図である。(a)内部in vivoパネル、および(b)外部PDXパネル全域にわたり、HES4、HEY2の2種の遺伝子サインスコアを使用して、左から右へ順に並べたモデル。高度に発現されたNotch標的遺伝子HES4、HEY1、HEY2、およびHEYLが、PF−03084014で2日間(HCC1599、MAXF1162、およびAA1077)または12日間(HBCx−14)処置したNotch突然変異体モデルにおいて下方調節されたことを示すグラフである。(a)HCC1599モデルについてのNanostringデータ、(b)MAXF1162モデルについてのNanostringデータ、(c)AA1077モデルについてのNanostringデータ、(d)HBCx−14モデルについてはqRT−PCRデータを使用した。*により、両側スチューデントt検定によるp値<0.05を示した。 本発明は、本発明の好ましい実施形態についての以下の詳細な説明および本明細書に含まれる実施例を参照することで、よりたやすく理解することができる。本明細書で使用する術語は、詳細な実施形態について記載する目的のものに過ぎず、限定することを意図しないと理解されたい。さらに、本明細書で詳細に定義しない限り、本明細書で使用する術語には、関連分野で公知のとおりのその伝統的な意味が与えられることを理解されたい。 本明細書で使用するとき、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、別段指摘しない限り、複数の言及を包含する。たとえば、「1つの(a)」置換基は、1つまたは複数の置換基を包含する。 本発明は、GSIなどのNotchシグナル伝達経路阻害薬による治療が有益である、Notch PESTドメイン変化を有する患者を特定し、治療する方法を提供する。 本発明は、Notch PESTドメイン変化を有する、ある特定の乳がん細胞系および細胞モデル、詳細にはTNBC細胞系および細胞モデルが、in vitroまたはin vivoで、GSIであるPF−03084014による治療に対して、増大された感受性を示したという発見に基づく。理論に縛られることを望まないが、Notch PESTドメイン変化によって、NICD代謝回転の調節が混乱するために、NICDタンパク質の半減期が延長され、Notchシグナル伝達が長引くと考えられている。 本明細書で提供する方法は、GSIなどのNotchシグナル伝達経路阻害薬による治療に反応を示す可能性が高い、乳がん、詳細にはTNBCに罹患している患者を特定し、治療する際に有用である。 用語「Notch」または「Notch受容体」とは、4種の哺乳動物Notch受容体であるNotch1〜4のうちの1つ、特に、ヒトNotch1〜3受容体のうちの1つを指す。ヒトNotch1、Notch2、およびNotch3のドメイン構造は、それぞれ、図1(a)〜(c)に示され、上皮成長因子様領域(EGF)、Lin Notch反復(LNR)、ヘテロ二量体化ドメイン(HD)、膜貫通ドメイン(TM)、アンキリンドメイン(ANK)、およびPESTドメインを示す。 用語「Notch PESTドメイン」とは、NotchのC末端PEST[プロリン(P)、グルタミン酸(E)、セリン(S)、およびトレオニン(T)に富む]分解ドメインを指す。 本明細書で使用するとき、「Notch PESTドメイン変化」とは、Notch1〜4のいずれかを含めたNotchのPESTドメインの点突然変異、転座、部分的重複、挿入、欠失(部分的もしくは完全)、またはトランケーションを指す。たとえば、Notch1のPESTドメインの変化は、「Notch1 PESTドメイン変化」などとなる。こうした変化の結果、Notchシグナル伝達経路が活性化される。 以下のNotch1 PESTドメイン変化が、NOTCHシグナル伝達機能獲得をもたらすと予想される。NOTCH1 PESTドメイン:chr9:139,390,613〜139,391,425(アミノ酸p.A2256〜p.H2526)の間に位置する、いずれかのフレームシフトインデルまたはナンセンス突然変異、NOTCH1 PESTドメイン:一方の再配列位置がchr9:139,390,613〜139,391,425(アミノ酸p.A2256〜p.H2526)の間に位置し、他方の再配列位置が、NOTCH1遺伝子の外側に位置する(chr9:139,388,896〜139,440,238内に位置しない)、いずれかのNOTCH1−X再配列、NOTCH1 PESTドメイン:chr9:139,390,613〜139,390,672(アミノ酸p.H2507〜p.H2526)の間のいずれかのインフレーム挿入、およびNOTCH1 PESTドメイン:chr9:139,390,613〜9:139,390,672(アミノ酸p.H2507〜p.H2526)の間のヌクレオチドが削除される、いずれかのインフレーム欠失。 以下のNotch2 PESTドメイン変化が、Notchシグナル伝達機能獲得をもたらすと予想される。NOTCH2 PESTドメイン:chr1:120,458,052〜120,459,041(アミノ酸p.K2102〜p.H2431)の間のいずれかのフレームシフトインデルまたはナンセンス突然変異、NOTCH2 PESTドメイン:一方の再配列がchr1:120,458,052〜120,459,041(アミノ酸p.K2102〜p.H2431)の間に位置し、他方の再配列位置が、NOTCH2遺伝子の外側にある(chr1:120,454,176〜120,612,317内に位置しない)、いずれかのNOTCH2−X再配列、NOTCH2 PESTドメイン:chr1:120,458,052〜120,458,111(アミノ酸p.H2412〜p.H2431)の間のいずれかのインフレーム挿入、およびNOTCH2 PESTドメイン:chr1:120,458,052〜120,458,111の間のヌクレオチド(p.H2412〜p.H2431の間のアミノ酸)が削除される、いずれかのインフレーム欠失。 以下のNotch3 PESTドメイン変化が、NOTCHシグナル伝達機能獲得をもたらすと予想される。NOTCH3 PESTドメイン:chr19:15,271,491〜15,272,363(アミノ酸p.Q2026〜p.K2316)の間のいずれかのフレームシフトインデルまたはナンセンス突然変異、NOTCH3 PESTドメイン:一方の再配列がchr19:15,271,491〜15,272,363(アミノ酸p.Q2026〜p.K2316)の間に位置し、他方の再配列位置がNOTCH3遺伝子の外側にある(chr19:15,270,444〜15,311,792の間に位置しない)、いずれかのNOTCH3−X再配列、NOTCH3 PESTドメイン:chr19:15,271,491〜15,271,715(アミノ酸p.H2242〜p.K2316)の間のいずれかのインフレーム挿入、およびNOTCH3 PESTドメイン:chr19:15,271,491〜15,271,715の間のヌクレオチド(p.H2242〜p.K2316の間のアミノ酸)が削除される、いずれかのインフレーム欠失。 本明細書で使用する「Notchシグナル伝達経路阻害薬」とは、これが結合する分子の生物活性を阻害または低減する化合物または薬剤を指す。Notchシグナル伝達経路阻害薬としては、たとえば、GSI、Notch調節因子ペプチドおよびタンパク質、ならびに、場合に応じて別の分子と複合化して、抗体−薬物コンジュゲート(ADC)を形成してもよい、Notch1〜4に結合する抗Notch抗体またはその断片が挙げられる。このようなNotchシグナル伝達経路阻害薬は、本明細書では、区別なく、化合物または薬剤と呼ぶ場合もある。 用語「γ−セクレターゼ阻害薬」、「ガンマセクレターゼ阻害薬」、および「GSI」は、本明細書では、γ−セクレターゼの生物活性を阻害または低減する化合物(薬学的に許容できるその塩、溶媒和物、およびプロドラッグを含める)または他の薬剤を指すのに区別なく使用される。例となる低分子GSIには、たとえば、ジペプチドクラスのGSI、スルホンアミドクラスのGSI、遷移状態模倣物クラスのGSI、ベンゾカプロラクタムクラスのGSI、および当技術分野で公知の他のGSIが含まれる。 たとえば、GSIは、PF−03084014、MK−0752(Merck)、MRK−003(Merck)、RO4929097(Roche)、LY450139(セマガセスタット、Eli Lilly)、BMS−906024(Bristol−Myers Squibb)、およびDAPT、またはこれらの薬学的に許容できる塩からなる群から選択されるものでよい。GSIの追加の例として、1−(S)−endo−N−(1,3,3)−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル)−4−フルオロフェニルスルホンアミド、WPE−III−31C、(S)−3−[N’−(3,5−ジフルオロフェニル−α−ヒドロキシアセチル)−L−アラニニル]アミノ−2,3−ジヒドロ−1−メチル−5−フェニル−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−2−オン、および(N)−[(S)−2−ヒドロキシ−3−メチル−ブチリル]−1−(L−アラニニル)−(S)−1−アミノ−3−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−2H−3−ベンゾアゼピン−2−オンが挙げられる。De KloeおよびDe Strooper(2014)、Small Molecules That Inhibit Notch Signaling、出典:BellenおよびYamamoto(共編)、Notch Signaling:Methods and Protocols、Methods in Mol.Biol.、第1187巻(311〜322頁)、ニューヨーク州ニューヨーク:Springer−Science+Business Mediaを参照されたい。好ましい実施形態では、GSIは、PF−03084014または薬学的に許容できるその塩である。 「抗Notch抗体」は、Notch1〜4受容体の1種または複数に結合し、それによってNotchの活性を阻害する、抗体およびその抗原結合性断片の両方を包含する。このような抗Notch抗体は、場合に応じて別の分子と複合化して、抗Notch抗体−薬物コンジュゲート(抗Notch−ADC)を形成してもよい。 「抗体」または「Ab」は、免疫グロブリン分子の可変領域に位置する少なくとも1つの抗原認識部位を介して炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、ポリペプチドなどの標的に特異的に結合することのできる免疫グロブリン分子である。本明細書で使用するとき、用語「抗体」は、無傷のポリクローナルまたはモノクローナル抗体(mAb)だけでなく、所与の抗原(たとえば、Notch1〜4)に特異的に結合する能力を保持する無傷の抗体のそのいずれかの抗原結合性部分(たとえば、「抗原結合性断片」)またはその単鎖、抗体を含む融合タンパク質、および抗原認識部位を含む他のいずれかの改変立体配置の免疫グロブリン分子、たとえば、限定はせず、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fd断片、Fv断片、単ドメイン抗体(dAb)断片、単離された相補性決定領域(CDR)、単鎖(scFv)および単ドメイン抗体(たとえば、サメおよびラクダ科動物抗体)、マキシボディ、ミニボディ、細胞内抗体、二重特異性抗体、三重特異性抗体、四重特異性抗体、v−NAR、およびビス−scFvを包含する(たとえば、HollingerおよびHudson、2005、Nature Biotechnology 23(9):1126〜1136を参照されたい)。抗体は、IgG、IgA、またはIgMなどのいずれのクラス(またはそのサブクラス)の抗体も包含し、抗体は、特定のいずれかのクラスのものである必要はない。 抗体の生理活性に関して本明細書で使用する用語「阻害(抑制)する(inhibit)」または「中和する」とは、限定はしないが生物活性を始めとする、阻害(抑制)しようとする事物の、たとえば進行または重症度について、実質的に拮抗、防止、阻止、抑止、緩慢化、中断、解消、停止、軽減、または逆転をなす、抗体の能力を意味する。 「抗体−薬物コンジュゲート」または「ADC」とは、がん細胞または活性化した免疫細胞に対して、化学療法、細胞傷害、細胞増殖抑制、および/または免疫調節の効果を発揮する治療薬と複合化した、抗体またはその抗原結合性抗体断片を指す。適切な治療薬の例としては、限定はせず、化学療法薬、細胞傷害性薬物、細胞増殖抑制薬、および免疫調節性薬物が挙げられる。「抗Notch抗体薬物コンジュゲート」または「抗Notch ADC」とは、そのような治療薬と複合化された、抗Notch抗体またはその抗原結合性断片、たとえば、抗Notch1または抗Notch3抗体または断片を指す。 Notchシグナル伝達経路阻害薬の追加のクラスとして、たとえば、Notchシグナル伝達を阻害するNotch調節因子ペプチドおよびタンパク質が挙げられる。拮抗薬や作動薬などのNotch調節因子は、Notchシグナル伝達活性を直接または間接的に変化させるものでよい。Notchシグナル伝達の間接的な変調は、核酸のレベル、転写のレベル、翻訳のレベル、タンパク質フォールディングのレベル、または酵素による切断のレベルを含めて、NICD切断および解放過程のどのステップで行うこともできる。適切なNotchシグナル伝達拮抗薬は通常、Notchシグナル伝達を阻止または軽減することができ、Notchシグナル伝達作動薬は通常、Notchシグナル伝達活性を誘発し、または増大させる。 本明細書で使用するとき、用語「患者」または「対象」は、本明細書において区別なく使用する場合があり、哺乳動物対象、好ましくはヒトを指す。頻出する実施形態では、患者は、がん、特に、TNBCまたは基底様乳がんを含めた乳がんに罹患している。対象は、臨床調査試験、疫学研究に参加した個体、または対照として使用される対象を包含する。対象は、Notchシグナル伝達経路阻害薬による治療を以前に受けたことがあってもよく、またはそうした治療を受けていなくてもよい。対象は、ベースライン(すなわち、本明細書の方法においてNotchシグナル伝達経路阻害薬の初回用量を投与する前の時期における設定点、たとえば、治療を開始する前に対象をスクリーニングにかける日)において、1種または複数の追加の治療薬による治療を以前に受けたことがあってもよく、またはそうした治療を受けていなくてもよい。 本明細書で使用する用語「治療する(treatまたはtreating)」とは、別段指摘しない限り、このような用語が適用される障害もしくは状態、またはそのような障害もしくは状態の1つまたは複数の症状を逆転させ、緩和し、その進行を抑制し、または予防することを意味する。本明細書で使用する用語「治療」とは、別段指摘しない限り、直前に定義したとおりの治療するという行為を指す。用語「治療する」は、対象のアジュバントおよびネオアジュバント治療も包含する。 「障害」または「疾患」は、本発明の物質/分子または方法による治療が有益である任意の状態である。この用語は、対象を問題の障害に罹りやすくする病的状態を含めて、慢性および急性の障害または疾患を包含する。本明細書で治療しようとする障害の非限定的な例として、悪性および良性腫瘍、非白血病性およびリンパ性の悪性病変、神経細胞、膠細胞、星状膠細胞、視床下部および他の腺、マクロファージ、上皮、間質、および胞胚腔の障害、ならびに炎症性、免疫性、および他の血管形成障害が挙げられる。 用語「細胞増殖性障害」および「増殖性障害」とは、異常な細胞増殖とある程度関連付けられる障害を指す。一実施形態では、細胞増殖性障害は、がんである。別の実施形態では、細胞増殖性障害は、血管形成である。 本明細書で使用する「腫瘍」とは、悪性であろうと良性であろうと、すべての腫瘍性細胞成長および増殖、ならびにすべての前がん性およびがん性細胞および組織を指す。 用語「がん」および「がん性」とは、任意の悪性および/もしくは侵襲性成長、または異常な細胞成長によって引き起こされる腫瘍を指す。本明細書で使用するとき、「がん」は、それを形成する細胞のタイプについて名付けられた固形腫瘍、血液、骨髄、またはリンパ系のがんを包含する。用語「がん」は、限定はしないが、身体における特定の部位で発生する原発がん、それが生じた場所から他の身体部分へと広がった転移がん、もとの原発がんからの寛解後の再発、および新たなものとは異なるタイプの先行するがんの既往歴を有する患者における新たな原発がんである二次発がんを包含する。 用語「がん」、「がん性」、「細胞増殖性障害」、「増殖性障害」、および「腫瘍」は、本明細書で言及するとき、相互排他的でない。 がんの例としては、限定はしないが、癌腫、肉腫、芽細胞腫、白血病、リンパ腫、および骨髄腫が挙げられる。一部の実施形態では、がんは、基底細胞がん、髄芽細胞腫がん、肝臓がん、横紋筋肉腫、肺がん、骨がん、膵臓がん、皮膚がん、頭頸部がん、皮膚もしくは眼内の黒色腫、子宮がん、卵巣がん、直腸がん、肛門部のがん、胃がん、結腸がん、乳がん、子宮がん、卵管癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、ホジキン病、食道がん、小腸がん、内分泌系のがん、甲状腺がん、副甲状腺がん、副腎がん、軟部組織肉腫、尿道がん、陰茎がん、前立腺がん、慢性もしくは急性白血病、リンパ球性リンパ腫、膀胱がん、腎臓もしくは尿管のがん、腎細胞癌、腎盂癌、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、脊髄軸椎腫瘍(spinal axis tumor)、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、または前述のがんの1種または複数の組合せからなる群から選択される。 詳細な実施形態では、本明細書に記載の方法は、乳がん、前立腺がん、膵臓がん、卵巣がん、結腸がん、結腸直腸がん、および脳腫瘍からなる群から選択されるがんに罹患している患者の特定および/または治療に使用することができる。 他の実施形態では、本明細書に記載の方法は、乳がん、前立腺がん、膵臓がん、結腸がん、卵巣がん、結腸直腸がん、肺がん、および脳腫瘍からなる群から選択されるがんに罹患している患者の特定および/または治療に使用することができる。 一実施形態では、患者は、乳がん、特にTNBCに罹患している。 別の実施形態では、患者は、膵臓がんに罹患している。 別の実施形態では、患者は、結腸がんまたは結腸直腸がんに罹患している。 さらなる実施形態では、患者は、脳腫瘍、特に、神経膠腫、髄芽細胞腫、または上衣腫に罹患している。 別の実施形態では、患者は、リンパ腫または白血病に罹患している。 さらに別の実施形態では、患者は、肺がん、特に非小細胞肺がんに罹患している。 用語「治療有効量」または「有効量」は、本明細書では、治療しようとする障害の症状の1つまたは複数をある程度除去する、投与する化合物の量を指すのに区別なく使用する。2種以上の薬剤を組み合わせて投与する場合では、各薬剤の投与量は、2種以上の薬剤の量が、全体として、治療効果をもたらすのに十分となるように調整することができる。 がん治療に関して、有効量とは、(1)腫瘍の大きさを縮小する、(2)腫瘍転移を抑制する(すなわち、ある程度緩慢化させる、好ましくは停止させる)、(3)腫瘍成長または腫瘍侵襲性をある程度抑制する(すなわち、ある程度緩慢化させる、好ましくは停止させる)、(4)がんと関連する1つまたは複数の徴候または症状をある程度除去する(回復させる、または好ましくは解消する)、(5)がん細胞のアポトーシスを誘発する、および/または(6)血管形成を阻害する効果を有する、薬剤(または複数の薬剤)の量を指す。 Notchシグナル伝達経路阻害薬による治療に対する患者の「反応」もしくは「反応性」、またはNotchシグナル伝達経路阻害薬による治療に対する患者の腫瘍の「感度」とは、GSIなどのNotchシグナル伝達経路阻害薬による治療により、またはその結果として患者に付与される、臨床上または治療上の利益を指し、Notchシグナル伝達経路阻害薬は、単独で、または別の薬剤と組み合わせて投与される場合がある。そのような利益としては、本明細書に記載のNotchシグナル伝達経路阻害薬での治療による、またはその結果としての、患者の細胞反応もしくは生物学的反応、完全な反応、部分的な反応、(進行もしくは再発のない)安定した疾患、またはより遅い再発を伴う反応が挙げられる。患者からの生体サンプルにおけるNotch PESTドメイン変化の検出によって、患者がNotchシグナル伝達経路阻害薬による治療に反応性であると予想されること、または患者の腫瘍がNotchシグナル伝達経路阻害薬による治療に対して感受性であると予想されることが示される。 用語「サンプル」および「生体サンプル」は、体組織、細胞、体液、または他の供給源からのものを含めて、個々の対象または患者から得た任意の生体サンプルを区別なく指すことがある。体組織の例としては、限定はしないが、(たとえば、腫瘍生検からの)腫瘍組織、乳房組織、腎臓組織、結腸組織、脳組織、筋肉組織、滑膜組織、皮膚、骨髄、または毛包が挙げられる。細胞としては、限定はしないが、(たとえば、腫瘍生検からの)腫瘍細胞サンプルもしくは他の組織細胞サンプルまたはそれから培養された細胞、または体液から単離された細胞が挙げられる。体液の例としては、限定はしないが、血液(たとえば、新鮮全血、末梢血単核細胞、凍結全血)、血清、血漿(新鮮もしくは凍結を含める)、リンパ液、腹水(ascitic fluid)、嚢胞液、羊水、胸水、腹水(peritoneal fluid)、心膜液(pericardial fluid)、尿、唾液、喀痰、汗、涙液、大便、鼻汁、気管支吸引液、精液、膣分泌物、母乳、滑液、および髄液が挙げられる。組織生検材料、細胞、および体液を得る方法は、当技術分野で周知である。一部の実施形態では、生体サンプルは、循環腫瘍細胞(CTC)、循環核酸(CNA)、またはがん幹細胞を含む場合もある。 細胞またはタンパク質もしくは核酸を含有するものなどの患者サンプルは、がんなどの増殖性障害を有する疑いがある、もしくは有すると診断され、したがって、治療を必要とする可能性が高い患者から採取する場合もあり、またはいずれの障害を有する疑いもない正常な個体から採取する場合もある。 詳細な実施形態では、生体サンプルは、腫瘍組織サンプルなどの組織サンプルであることが好ましい。一部のそうした実施形態では、生体サンプルは、腫瘍細胞サンプルまたはそれから培養された細胞を含む。頻出する実施形態では、生体サンプルは、たとえば生検によって、固形腫瘍から切除された細胞を含む。別の実施形態では、生体サンプルは、循環腫瘍細胞(CTC)、循環核酸(CNA)、またはがん幹細胞を含む。 Notch PESTドメインの変化によって、Notchが活性化される場合がある。一部の実施形態では、Notchの活性化は、Notchによって発現が調節される少なくとも1種の遺伝子の発現レベルを測定することにより判定する。 一部の実施形態では、Notchの活性化は、NICDタンパク質のレベルの増大によって判定する。他の実施形態では、Notchの活性化は、NICDタンパク質の半減期の延長によって判定する。さらに他の実施形態では、Notchの活性化は、受容体、リガンド、およびNUMBなどの調節因子を含めた下流Notch経路標的遺伝子、HesおよびHey遺伝子ファミリーなどの正規標的遺伝子、ならびに、たとえばMYC、CCND1、BIRC5、CDKN1A、PTEN、およびNOXA1を始めとする、細胞周期およびアポトーシスに影響を及ぼす下流遺伝子の発現の増加または減少によって判定するが、これら遺伝子は、Notch活性化状態を示し、バイオマーカーとして役立てることができる。 用語「発現のレベル」または「発現レベル」は、生体サンプル中のポリヌクレオチドまたはアミノ酸産物またはタンパク質の量を指すのに、区別なく広く使用される。「発現」とは、一般に、遺伝子がコードする情報が、細胞中に存在し、細胞で機能する構造に変換される過程を指す。したがって、遺伝子の「発現」は、ポリヌクレオチドへの転写、タンパク質への翻訳、またはタンパク質の翻訳後修飾さえも指す場合がある。転写されたポリヌクレオチド、翻訳されたタンパク質、または翻訳後修飾されたタンパク質の断片もまた、代替スプライシングにより生成した転写物または分解された転写物が起源であろうと、たとえばタンパク質分解によるタンパク質の翻訳後プロセシングから生じたものであろうと、発現されたとみなされる。「発現遺伝子」は、mRNAとしてポリヌクレオチドに転写され、次いでタンパク質に翻訳されるもの、またRNAに転写されるが、タンパク質には翻訳されないもの(たとえば、転移RNAおよびリボソームRNA)を包含する。 特定の実施形態では、Notchの活性化は、以下の1つまたは複数によって判定する。(1)NICDタンパク質のレベルの増大、(2)NICDタンパク質の半減期の増大、および/または(3)1種または複数の下流Notch経路標的遺伝子の発現の増加または減少(たとえば、HesまたはHey遺伝子ファミリーの発現の増加)。各場合において、増減(increase(or decrease))は、特定の指標に相応しい参考レベルまたは参考値を基準として判定する。 そのような参考レベルまたは参考値としては、たとえば、Notchシグナル伝達経路阻害薬に対する反応性について査定される患者の群または集団からのサンプルにおける、NICDタンパク質の中央レベル、NICDタンパク質半減期中央値、または1種または複数のNotch経路バイオマーカーの中央発現レベル;前の時期(たとえば、治療前または治療後)に患者から予め取得したサンプルにおけるレベル;正常(冒されていない)細胞、好ましくは、(たとえば、治療前または治療後の)患者から取得した生体試験サンプルと同じ組織またはタイプの細胞のサンプルにおけるレベル、または原発腫瘍の設定において、GSIなどのNotchシグナル伝達経路阻害薬による事前の治療を受けており、現時点で再発または転移を経験していてもよい患者からのサンプルにおけるレベルが挙げられる。 一部の実施形態では、本明細書に記載の態様はそれぞれ、がん細胞または患者サンプルにおけるNotch PESTドメイン変化の、非がん性または正常対照サンプルとの比較を含む場合がある。頻出する実施形態では、がん細胞または患者生体サンプルにおけるNotch PESTドメイン変化の存在によって、がん細胞または患者が、GSIなどのNotchシグナル伝達経路阻害薬による治療に感受性であることが示される。 参考または対照サンプルは、正常(冒されていない)細胞、好ましくは、患者から取得した生体試験サンプルと同じ組織またはタイプの細胞のサンプル;がん、好ましくは、患者にあるもの、または患者にある疑いのあるものと同じタイプのがんに冒されている細胞のサンプルでよい。一般に、対照サンプルは、がんの有無と関連する組織タイプの細胞、および/または予後が良好もしくは不良である腫瘍の細胞のサンプルでよい。 参考または対照サンプルは、患者から、別の対象から、または対象の集団から取得する場合がある。対象の集団を使用する場合では、前記集団の細胞のサンプルにおける平均(たとえば、平均値または中央値)と比較を行うことができる。同じ患者からの正常組織の対照を使用することの1つの利点は、それによって個体差(individual variation)が生じなくなることである。対照が別の患者由来(正常組織または患部組織いずれか)である場合では、患者の集団に基づく参考値を使用することが、個体差を縮めるのに好ましいことがある。 一部の実施形態では、Notch PESTドメイン変化を有することが確認される患者は、たとえば、上記の指標の1つ(たとえば、NICDタンパク質、経路遺伝子の半減期または発現)のレベルにおける、参考レベルを上回るまたは下回る変化によって、Notch活性化を示すとも判定される。一部のそうした実施形態では、1つまたは複数の指標のレベルの変化は、上記の中央レベルなどの参考レベルを基準として50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、または5%である(すなわち、参考レベルよりそれだけ高いまたは低い)。 一部の実施形態では、履歴の記録が得られるように、より早期の時点で患者から対照サンプルを取得することが好ましい場合もある。一部のそうした実施形態では、これにより、状態の進行を経時的に査定または監視することが可能になる。患者の状態の重症度を2つの時点で比較することにより、特定の治療レジメンが有利な効果を有するか否かを判定することが可能になり、特定の治療の有効性が査定できるようになる。任意の一レジメンの有効性は、患者間で、または疾患の経過の中で異なる場合もある。 遺伝子発現産物は、タンパク質または転写物(すなわち、遺伝子によって発現されたRNA分子)である場合がある。タンパク質、遺伝子、または転写物のレベルの決定は、当技術分野で公知の方法のいずれかによって行うことができる。 たとえば、タンパク質レベルの査定に適する方法としては、免疫組織化学(たとえば、免疫蛍光法)、ウエスタンブロット法、およびELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)などの固相法が挙げられる。タンパク質レベルの査定は、免疫組織化学技術を使用して、標識化(たとえば、染色または蛍光)を示す細胞の集団を決定することにより、行うことができる。 転写物レベルは、たとえば、ハイブリッド形成を示す細胞の集団の査定を伴ったin situハイブリッド形成法によって決定することができる。別法として、または加えて、たとえば、当技術分野で広く使用されているABI TaqMan(商標)技術に基づき、定量的PCR法を使用してもよい。PCR法には、標的遺伝子の向かい合わせの鎖を適切な間隔(通常は50〜300塩基)で標的化するプライマー対が必要である。プライマーに適する標的化配列は、Genbank配列との照合によって決定することができる。 異なる多くの遺伝子転写物を調べる場合において、好都合な方法は、定量的PCR法に基づき、サンプルを(直接またはcDNAもしくはcRNA生成後に)遺伝子チップアレイおよび/またはマイクロ流体カード(低密度アレイ)とハイブリッド形成させることによるものである。遺伝子チップ技術を使用する場合において、遺伝子は、市販品として入手可能なAffymetrixのチップの中に存在することもあり、それを製造者のプロトコールに従って使用することができる。マイクロ流体カード技術を使用する場合では、遺伝子は、Low Density Arraysとしても公知の、市販品として入手可能なApplied Biosystemのマイクロ流体カードの中に存在することもある。こうしたカードは、製造者のプロトコールに従って使用することができる。 遺伝子コピー数は、たとえば蛍光標識で標識(FISH)される場合もある核酸プローブとのin situハイブリッド形成法(ISH)、またはゲノムDNAのPCRを始めとして、当技術分野で公知の技術を使用して求めることができる。剤形および投薬レジメン 治療薬および化合物は、作用部位へのその送達を可能にするいずれかの方法によって投与することができる。こうした方法には、経口経路、十二指腸内経路、非経口注射(静脈内、皮下、筋肉内、血管内、または注入を含める)、局所、および直腸投与が含まれる。 投薬レジメンは、所望の最適な反応が得られるように調整することができる。たとえば、単一の巨丸剤を投与してもよいし、いくつかの分割された用量を、時間をかけて投与してもよいし、または治療状況の緊急性による必要に応じて、用量を増減してもよい。投与を容易にし、投薬量を均一にするために、非経口組成物を投薬単位形態に製剤することは、特に有利である。本明細書で使用する投薬単位形態とは、治療を受ける哺乳動物対象の単位投薬量として適した物理的に別個の単位を指し、各単位は、必要な医薬担体と共同して所望の治療効果を生じるように計算された所定の量の活性化合物を含有する。本発明における使用に適する投薬単位形態の仕様は、(a)化学療法薬に特有の特性および実現しようとする特定の治療または予防効果、および(b)このような薬剤を調合する技術に固有の制約によって必然的に決まり、これらに直接左右される。 したがって、本明細書で提供する開示に基づき、用量および投薬レジメンが当治療分野で周知の方法に従って調整されることは、当業者に理解されるところとなる。すなわち、最大耐用量は、容易に確立することができ、患者に検出可能な治療利益を提供する有効量を求めることもでき、各薬剤を投与して患者に検出可能な治療利益を提供するための時間的要件を求めることもできる。したがって、本明細書ではある特定の用量および投与レジメンを例示するが、そうした例によって、本発明を実施する際に患者に提供することのできる用量および投与レジメンは一切限定されない。 投薬量の値は、緩和すべき状態のタイプおよび重症度によって様々となる場合があり、単回または複数回の用量を含む場合があることに留意されたい。任意の特定の対象について、詳細な投薬レジメンは、個々の必要および組成物の投与を管理監督する者の専門的な判断に応じて時間と共に調整すべきであること、ならびに本明細書で示す投薬量範囲は、例示的なものにすぎず、請求項に記載の組成物の範囲または実用を限定することを意図するものでないことも、さらに理解されたい。たとえば、用量は、薬動学的または薬力学的パラメータに基づき調整することができ、パラメータには、毒作用および/または臨床検査値などの臨床効果を含めることができる。したがって、本発明は、当業者によって決定される、患者内での用量の漸増を包含する。化学療法薬を投与するための適切な投薬量およびレジメンの決定は、関連技術分野で周知であり、本明細書で開示する教示が提供されれば、当業者によって実現されると理解されることになる。 GSIなどの低分子Notchシグナル伝達経路阻害薬に関して、投与される1種または複数の薬剤の適切な投薬量は、投与する特定の薬剤、治療を受ける対象、障害または状態の重症度、治療する症状のタイプおよび重症度、患者の臨床歴および薬剤に対する反応、投与の速度および方式、投与された薬剤についての患者のクリアランス速度、ならびに主治医の裁量に応じて決まる。 典型的な低分子Notch経路阻害薬について、有効投薬量は、単一または分割用量において、体重1kgあたり1日約0.001〜約100mg、好ましくは約0.01〜約35mg/kg/日の範囲にある。70kgのヒトでは、これが、約0.05〜約7g/日、好ましくは約0.1〜約2.5g/日になることになる。一部の例では、前述の範囲の下限を下回る投薬量レベルで十分過ぎることもあり、他の場合では、日中を通して投与される数回分の少ない用量に最初に分けるという前提で、いかなる有害な副作用も引き起こすことなく、さらに多い用量が用いられる場合もある。 抗Notch抗体またはADCに関して、適切な投薬量は、用いる抗Notch抗体またはADC、障害または状態の重症度、治療する症状のタイプおよび重症度、薬剤を治療目的で投与するのかどうか、以前の治療、患者の臨床歴および薬剤に対する反応、投与の速度および方式、投与した薬剤についての患者のクリアランス速度、ならびに主治医の裁量に応じて決まる。 臨床家は、抗Notch抗体または抗Notch抗体−薬物コンジュゲートを、所望の結果を実現する投薬量に達するまで、またそれ以降も、投与することができる。用量および/または頻度は、治療の過程で変化してもよいが、なお一定にすることもできる。半減期などの経験的な検討事項は、一般に、投薬量を決定する一助となる。たとえば、ヒト化抗体や完全ヒト抗体などのヒト免疫系と適合した抗体を使用すると、抗体の半減期を延長し、抗体がホストの免疫系に攻撃されるのを防ぐことができる。投与の頻度は、治療の過程で決定および調整することができ、必ずしもではないが一般に、症状の治療および/または抑制および/または回復および/または遅延、たとえば、腫瘍成長の抑制または遅延などに基づく。別法として、抗Notch抗体または抗Notch抗体−薬物コンジュゲートの持続継続放出製剤が適切である場合もある。持続放出を実現するための種々の製剤およびデバイスが当技術分野で公知である。 一般に、抗Notch抗体および/または抗Notch抗体−薬物コンジュゲートについて、初回候補投薬量は、約2mg/kgでよい。本発明の目的では、典型的な1日投薬量は、上で言及した要素に応じて、約3μg/kg〜30μg/kg〜300μg/kg〜3mg/kgのいずれかから、30mg/kgまで、100mg/kgまたはそれ以上までの範囲となる可能性がある。たとえば、約1mg/kg、約2.5mg/kg、約5mg/kg、約10mg/kg、および約25mg/kgの投薬量を使用する場合がある。数日間またはより長期にわたる繰り返しの投与については、状態に応じて、症状の所望の抑制が起こるまで、または、たとえば腫瘍成長/がん細胞の進行もしくは転移を抑制し、もしくは遅延させるのに十分な治療レベルに到達するまで、治療を継続する。典型的な投薬レジメンは、約2mg/kgの初回量に続いて、毎週の約1mg/kgの維持量の抗Notch抗体または抗Notch抗体−薬物コンジュゲート、または隔週の約1mg/kgの維持量を投与することを含む。他の典型的な投薬レジメンは、漸増用量の投与を含む(たとえば、1mg/kgの初回量、毎週またはより長期間毎に1回または複数のより多い用量への漸増)。他の投薬レジメンも、従業者が実現を望む薬動学的減衰のパターン次第で、有用となる場合がある。たとえば、一部の実施形態では、週1回〜4回の投薬を企図する。他の実施形態では、毎週、隔週、および3週毎に加えて、月1回または隔月または3か月毎に投薬することを企図する。この療法の進捗は、従来の技術およびアッセイによってモニターすることができる。投薬レジメン(使用する抗Notch抗体または抗Notch抗体−薬物コンジュゲートを含める)は、時間と共に変化してよい。医薬組成物、製剤、および投与経路 本明細書で提供する方法において、GSI、または抗Notch抗体、その断片もしくはADCなどのNotchシグナル伝達経路阻害薬は、単独で、または別の治療薬と組み合わせて、医薬組成物の形で好都合に投与することができる。 「医薬組成物」とは、活性成分としての1種または複数の治療薬と、少なくとも1種の薬学的に許容できる担体または添加剤の混合物を指し、2種以上の薬学的に許容できる担体または添加剤を含む場合もある。医薬組成物の目的は、薬剤の対象への投与を容易にすることである。医薬組成物は、少なくとも1種の追加の抗がん治療薬または対症的薬剤をさらに含んでもよい。 本明細書で使用するとき、「薬学的に許容できる担体」とは、生物にそれほど刺激を与えず、投与された化合物の生物活性および特性を損なわない担体または賦形剤を指す。医薬組成物は、がんなどの増殖性障害を治療する一般に意図される目的を実現する、当技術分野で公知のどんな手段によって投与してもよい。 薬学的に許容される担体は、緩衝剤、界面活性剤、保存剤、可溶化剤、等張化剤、安定剤、担体などの、従来のどんな医薬担体、賦形剤、または添加剤を含んでもよい。担体および/または添加剤の選択は、特定の投与方式、添加剤が溶解性および安定性に与える効果、剤形の性質などの要素によるところが大きい。 適切な医薬担体としては、不活性賦形剤または充填剤、水および種々の有機溶媒(水和物や溶媒和物など)が挙げられる。添加剤は、リン酸塩、クエン酸塩および他の有機酸などの緩衝剤;アスコルビン酸およびメチオニンを含めた酸化防止剤;保存剤(オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル、もしくはベンジルアルコール;メチルもしくはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3−ペンタノールおよびm−クレゾールなど);低分子量(残基がより少ない)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニンまたはリシンなどのアミノ酸;単糖、二糖、およびグルコース、マンノース、またはデキストリンを含めた他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロースまたはソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの、塩を形成する対イオン;金属錯体(たとえば、Zn−タンパク質錯体);および/またはTWEEN(商標)、PLURONICS(商標)またはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤をさらに包含する場合もある。医薬組成物は、所望であれば、着香剤、結合剤、添加剤などの追加成分を含有してもよい。 したがって、経口投与については、クエン酸などの種々の添加剤を含有する錠剤を、デンプン、アルギン酸、ある特定の複合シリケートなどの種々の崩壊剤、およびスクロース、ゼラチンおよびアカシアなどの結合剤と一緒に用いてもよい。添加剤の、限定しない例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、種々の糖および種々のタイプのデンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油、およびポリエチレングリコールが挙げられる。加えて、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、タルクなどの滑沢剤も、打錠する目的で、多くの場合有用である。同様のタイプの固体組成物を、軟および硬充填ゼラチンカプセル中に用いることもできる。したがって、材料の非限定的な例には、ラクトースまたは乳糖、および高分子量ポリエチレングリコールが含まれる。水性懸濁液またはエリキシルが経口投与に所望されるとき、その中の活性化合物は、種々の甘味剤または着香剤、着色物質または色素、および所望であれば、乳化剤または懸濁化剤、ならびに水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、またはこれらの組合せなどの賦形剤と組み合わされていてもよい。 医薬組成物は、たとえば、錠剤、カプセル剤、丸剤、散剤、持続放出製剤、液剤、懸濁剤として経口投与に、滅菌液剤、懸濁剤、もしくは乳剤として非経口注射に、軟膏剤もしくはクリーム剤として局所投与に、または坐剤として直腸投与に適する形態にすることができる。 典型的な非経口投与形態としては、活性化合物が、滅菌水性溶液、たとえば、プロピレングリコールまたはデキストロース水性溶液中の溶液または懸濁液が挙げられる。このような剤形は、所望であれば、適切に緩衝されていてもよい。 医薬組成物は、正確な投薬量の単回投与に適する単位剤形にしてもよい。 本明細書における化合物および薬剤の送達に適する医薬組成物、ならびにその調製方法は、当業者に直ちに明白となろう。そのような組成物およびその調製方法は、たとえば、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、第19版(Mack Publishing Company、1995)において見ることができ、その開示を全体として参照により本明細書に援用する。 化合物は、経口投与することができる。経口投与は、化合物が消化管に入るように嚥下するものでもよいし、または化合物が直接口から血流に入る頬側もしくは舌下投与を用いてもよい。 経口投与に適する製剤としては、固体製剤、たとえば、錠剤;微粒子、液体、もしくは粉末を含有するカプセル剤、口中錠(液体充填型を含める)、咀嚼剤、多重粒子およびナノ粒子、ゲル、固溶体、リポソーム、フィルム(粘膜付着剤を含める)、腔坐剤(ovule)、スプレー、および液体製剤が挙げられる。 液体製剤には、懸濁剤、液剤、シロップ剤、およびエリキシル剤が含まれる。このような製剤は、軟または硬カプセル中に充填剤として使用することもでき、通常は、担体、たとえば、水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセルロース、または適切な油と、1種または複数の乳化剤および/または懸濁化剤を含む。液体製剤は、たとえばサシェ剤から、固体を復元して調製することもできる。 化合物は、その開示が全体として参照により本明細書に援用される、LiangおよびChen(2001)によるExpert Opinion in Therapeutic Patents、11(6)、981〜986に記載のものなどの、急速溶解急速崩壊剤形において使用することもできる。 錠剤剤形については、薬物は、用量に応じて、剤形の1wt%〜80wt%、より一般的には剤形の5wt%〜60wt%を占めてよい。薬物に加えて、錠剤は一般に、崩壊剤を含有する。崩壊剤の例としては、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、微結晶性セルロース、低級アルキル置換されたヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、α化デンプン、およびアルギン酸ナトリウムが挙げられる。一般に、崩壊剤は、剤形の1wt%〜25wt%、好ましくは5wt%〜20wt%を占める。 結合剤は一般に、錠剤製剤に粘着性の性質を付与するのに使用される。適切な結合剤としては、微結晶性セルロース、ゼラチン、糖、ポリエチレングリコール、天然および合成のガム質、ポリビニルピロリドン、α化デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースが挙げられる。錠剤は、ラクトース(一水和物、噴霧乾燥一水和物、無水物など)、マンニトール、キシリトール、デキストロース、スクロース、ソルビトール、微結晶性セルロース、デンプンおよびリン酸水素カルシウム二水和物などの賦形剤も含有してよい。 錠剤は、ラウリル硫酸ナトリウムやポリソルベート80などの界面活性剤、および二酸化ケイ素やタルクなどの流動促進剤も場合に応じて含んでよい。存在するとき、界面活性剤は、通常は錠剤の0.2wt%〜5wt%の量になり、流動促進剤は、通常は錠剤の0.2wt%〜1wt%の量になる。 錠剤は一般に、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、フマル酸ステアリルナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムとラウリル硫酸ナトリウムの混合物などの滑沢剤も含有する。滑沢剤は一般に、錠剤の0.25wt%〜10wt%、好ましくは0.5wt%〜3wt%の量で存在する。 他の従来の成分として、酸化防止剤、着色剤、着香剤、保存剤、および矯味剤が挙げられる。 典型的な錠剤は、約80wt%までの薬物、約10wt%〜約90wt%の結合剤、約0wt%〜約85wt%の賦形剤、約2wt%〜約10wt%の崩壊剤、および約0.25wt%〜約10wt%の滑沢剤を含有する。 錠剤ブレンドを直接またはローラーによって圧縮して、錠剤を生成することができる。別法として、錠剤ブレンドまたはブレンドの一部を、打錠前に、湿式、乾式、もしくは溶融造粒、溶融凝結、または押出処理にかけてもよい。最終製剤は、1つまたは複数の層を含んでもよく、コーティングされていてもされていなくてもよく、またはカプセル化されていてもよい。 錠剤の製剤については、H.LiebermanおよびL.Lachmanによる「Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets、第1巻」、Marcel Dekker、ニューヨーク州ニューヨーク、1980(ISBN 0−8247−6918−X)において詳細に論述されており、この開示を全体として参照により本明細書に援用する。 経口投与用の固体製剤は、即時および/または変更型放出がなされるように製剤することができる。変更型放出製剤には、遅延、持続、パルス、制御、標的化、およびプログラム放出が含まれる。 適切な変更型放出製剤は、米国特許第6,106,864号に記載されている。高エネルギー分散液、浸透圧粒子、およびコーティング粒子などの他の適切な放出技術の詳細は、Vermaら、Pharmaceutical Technology On−line、25(2)、1〜14(2001)において見ることができる。制御放出を実現するためのチューイングガムの使用は、WO00/35298に記載されている。これら参考文献の開示を全体として参照により本明細書に援用する。 化合物は、血流中、筋肉、または内臓に直接投与することもできる。非経口投与に適する手段には、静脈内、動脈内、腹腔内、くも膜下腔内、脳室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内、および皮下が含まれる。非経口投与に適するデバイスには、針(微細針を含める)注射器、無針注射器、および注入技術が含まれる。 非経口製剤は通常、塩、炭水化物、および(好ましくは3〜9のpHにする)緩衝剤などの添加剤を含有する場合もある水溶液であるが、一部の適用例では、非水性滅菌溶液として、または発熱性物質を含まない滅菌水などの適切な媒体と共に使用するための乾燥形態として、より適切に製剤することもできる。 たとえば凍結乾燥による、滅菌条件下での非経口製剤の調製は、当業者に周知の標準製薬技術を使用して容易に実現することができる。 非経口溶液の調製において使用する化合物の溶解性は、溶解性改善剤を混和するなどの適切な製剤技術の使用によって増大させることができる。 非経口投与用の製剤は、即時および/または変更型放出がなされるように製剤することができる。変更型放出製剤には、遅延、持続、パルス、制御、標的化、およびプログラム放出が含まれる。したがって、化合物は、活性化合物の変更型放出をもたらす植込デポー剤として投与するための、固体、半固体、または揺変性液体として製剤することもできる。そのような製剤の例として、薬物コーティングされたステントおよびPGLAマイクロスフェアが挙げられる。 化合物は、皮膚または粘膜に局所的に、すなわち、皮膚上に(dermally)または経皮的に投与することもできる。この目的のための典型的な製剤には、ゲル、ヒドロゲル、ローション、液剤、クリーム、軟膏、散粉剤、包帯剤、フォーム、フィルム、皮膚パッチ、ウェーハ、植込錠、スポンジ、繊維、絆創膏、およびマイクロエマルションが含まれる。リポソームを使用することもできる。典型的な担体としては、アルコール、水、鉱油、流動パラフィン、白色ワセリン、グリセリン、ポリエチレングリコール、およびプロピレングリコールが挙げられる。混和することのできる浸透性改善剤については、たとえば、FinninおよびMorganによるJ Pharm Sci、88(10)、955〜958(1999年10月)を参照されたい。他の局所投与手段としては、電気穿孔法、イオン導入法、音波泳動法、超音波導入法、および微細針または無針(たとえば、Powderject(商標)、Bioject(商標)など)注射による送達が挙げられる。これら参考文献の開示を全体として参照により本明細書に援用する。 局所投与用の製剤は、即時および/または変更型放出がなされるように製剤することができる。変更型放出製剤には、遅延、持続、パルス、制御、標的化、およびプログラム放出が含まれる。 化合物は、通常は、(単独、たとえばラクトースとの乾燥ブレンドにした混合物、またはたとえばホスファチジルコリンなどのリン脂質と混合された混合型成分粒子としての)乾燥粉末の形で乾燥粉末吸入器から、または、1,1,1,2−テトラフルオロエタンや1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパンなどの適切な噴射剤を使用し、もしくは使用せずに、加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー(好ましくは、電気水力学を使用して微細な霧を生成するアトマイザー)、もしくはネブライザーからエアロゾルスプレーとして、鼻腔内に、または吸入によって投与することもできる。鼻腔内の使用では、散剤は、生体接着剤、たとえば、キトサンまたはシクロデキストリンを含んでもよい。 加圧用器、ポンプ、スプレー、アトマイザー、またはネブライザーは、たとえば、エタノール、エタノール水溶液、または活性剤を分散させ、可溶化し、もしくはその放出を延長するのに適する別の薬剤と、溶媒としての噴射剤と、トリオレイン酸ソルビタン、オレイン酸、またはオリゴ乳酸などの取捨選択可の界面活性剤とを含む、化合物の溶液または懸濁液を含有する。 乾燥粉末または懸濁液製剤中に使用する前に、薬物製品は、吸入による送達に適する大きさ(通常は5ミクロン未満)に超微粉砕される。これは、スパイラルジェット粉砕、流動床ジェット粉砕、ナノ粒子を生成するための超臨界流体処理、高圧均質化または噴霧乾燥などの、適切などんな微粉砕法によって実現してもよい。 吸入器または注入器において使用するためのカプセル(たとえば、ゼラチンまたはHPMC製のもの)、ブリスター、およびカートリッジは、化合物または薬剤、ラクトースやデンプンなどの適切な粉末基剤、およびl−ロイシン、マンニトールもしくはステアリン酸マグネシウムなどの性能改良剤(performance modifier)からなる粉末ミックスを含有するように製剤することができる。ラクトースは、無水でも、または一水和物の形でもよく、後者が好ましい。他の適切な添加剤として、デキストラン、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、スクロース、およびトレハロースが挙げられる。 電気水力学を使用して微細な霧を生成するアトマイザーにおいて使用するのに適する溶液製剤は、1作動あたり1μg〜20mgの化合物を含有してよく、作動体積は、1μL〜100μLと様々でよい。典型的な製剤は、化合物または薬剤、プロピレングリコール、滅菌水、エタノール、および塩化ナトリウムを含む。プロピレングリコールの代わりに使用することのできる代替溶媒としては、グリセロールおよびポリエチレングリコールが挙げられる。 メントールやレボメントールなどの適切な着香剤、またはサッカリンあるいはサッカリンナトリウムなどの甘味剤を、吸入/鼻腔内投与を意図した製剤に加えてもよい。 吸入/鼻腔内投与用の製剤は、たとえば、DL−乳酸−グリコール酸共重合体(PGLA)を使用して、即時および/または変更型放出がなされるように製剤することができる。変更型放出製剤には、遅延、持続、パルス、制御、標的化、およびプログラム放出が含まれる。 乾燥粉末吸入器およびエアロゾルの場合では、投薬量単位は、計測された量を送達する弁によって決定される。本発明による単位は通常、所望の量の化合物または薬剤を含有する計測された用量または「ひと吹き」が投与されるように準備される。全体としての日用量は、単一用量で、またはより普通には、日中を通して分割用量として投与することができる。 化合物は、たとえば、坐剤、膣坐剤、または浣腸剤の形で、直腸投与または膣内投与することができる。カカオ脂が伝統的な坐剤基剤であるが、種々の代替品を適宜使用してよい。直腸/膣内投与用の製剤は、即時および/または変更型放出がなされるように製剤することができる。変更型放出製剤には、遅延、持続、パルス、制御、標的化、およびプログラム放出が含まれる。 化合物は、通常はpH調整された等張性滅菌食塩水中の微粒子化懸濁液または溶液の滴剤の形で、眼または耳に直接投与することもできる。眼および耳への投与に適する他の製剤としては、軟膏、生分解性(たとえば、被吸収性ゲルスポンジ、コラーゲン)および非生分解性(たとえば、シリコーン)植込錠、ウェーハ、レンズ、およびニオソームやリポソームなどの微粒子系または小胞系が挙げられる。架橋ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸、セルロース系ポリマー、たとえば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、またはヘテロ多糖ポリマー、たとえばゲランガムなどの、ポリマーを、塩化ベンザルコニウムなどの保存剤と一緒に混和してもよい。このような製剤は、イオン導入法によって送達することもできる。眼/耳への投与用の製剤は、即時および/または変更型放出がなされるように製剤することができる。変更型放出製剤には、遅延、持続、パルス、制御、標的化、またはプログラム放出が含まれる。 化合物は、前述の投与方式のいずれかにおいて使用するために、その溶解性、分解速度、矯味性、生物学的利用能、および/または安定性を向上させるべく、シクロデキストリンおよびその適切な誘導体あるいはポリエチレングリコール含有ポリマーなどの可溶性高分子実在物とさらに組み合わせてもよい。 たとえば、薬物−シクロデキストリン錯体は、ほとんどの剤形および投与経路に一般に有用であることがわかっている。包接および非包接どちらの錯体を使用してもよい。薬物との直接の錯体化に代わるものとして、シクロデキストリンを、補助添加剤、すなわち、担体、賦形剤、または可溶化剤として使用してもよい。こうした目的で最もよく使用されるのは、α−、β−、およびγ−シクロデキストリンであり、当技術分野で周知である。キットオブパーツ(Kit of Parts) たとえば、特定の疾患または状態を治療する目的で、活性化合物の組合せを投与することが望ましい場合もあるので、その少なくとも1つが、GSIなどのNotchシグナル伝達経路阻害薬を含有する2種以上の医薬組成物を、組成物の共投与に適するキットの形で好都合に組み合わせてもよいことは、本発明の範囲内である。したがって、キットは、その少なくとも1つがNotchシグナル伝達経路阻害薬(たとえば、PF−03084014などのGSI)または薬学的に許容できるその塩を含有する2種以上の別個の医薬組成物と、前記組成物を別々に保持する、容器、分割型ボトル、またはホイル分包などの手段とを含むことがある。このようなキットの一例は、錠剤、カプセル剤などの包装に使用される、よく知られているブリスターパックである。 本発明のキットは、たとえば経口と非経口の異なる剤形を投与する、別個の組成物を異なる投与間隔で投与する、または別個の組成物を互いに対して漸増するのに特に適する。服薬遵守を支援するために、キットは、通常は投与についての説明書を含み、メモリーエイドを添えて提供する場合もある。 キットは、記載する細胞傷害性コンジュゲートと、特定の細胞型を死滅させるために細胞傷害性コンジュゲートを使用することについての説明書を含む場合もある。説明書は、細胞傷害性コンジュゲートをin vitro、in vivo、またはex vivoで使用することについての指示を含む場合がある。通常、キットは、細胞傷害性コンジュゲートを収容する区画を有する。細胞傷害性コンジュゲートは、凍結乾燥形態、液体形態、またはキットに含められるように修正可能な他の形態にすることができる。キットは、凍結乾燥粉末を復元するための滅菌溶液、患者に投与する前に細胞傷害性コンジュゲートと組み合わせるための追加薬剤、コンジュゲートを患者に投与する助けとなる道具などの、キットの説明書に記載の方法を実施するのに必要な追加要素を収容してもよい。併用療法 本明細書で使用するとき、用語「併用療法」とは、GSIまたは抗Notch mAb、その断片もしくはADCなどのNotchシグナル伝達経路阻害薬の、少なくとも1種の追加の治療薬(たとえば抗がん薬)と合わせた投与を指す。 GSIなどのNotchシグナル伝達経路阻害薬を少なくとも1種の追加の治療薬と組み合わせた投与を含む実施形態では、薬剤は、別々に、順次、同時に、並行して、または時間的に間隔を置いて、投与することができる。組合せ型投与には、(たとえば、組合せ型単位剤形、別個の単位剤形、キットオブパーツ、または混加物としての)別個の製剤または単一医薬製剤を使用する共投与、ならびに、両方(またはすべての)活性薬がその生物活性を同時に発揮する期間が存在することが好ましい、いずれかの順序での連続投与が含まれる。一実施形態では、追加の治療薬は、Notchシグナル伝達経路阻害薬の投与より前に哺乳動物(たとえばヒト)に投与する。別の実施形態では、追加薬は、Notchシグナル伝達経路阻害薬の投与後に哺乳動物に投与する。別の実施形態では、追加薬は、Notchシグナル伝達経路阻害薬の投与と同時に哺乳動物(たとえばヒト)に投与する。 このような実施形態について、Notchシグナル伝達経路阻害薬と追加の治療薬の量が全体として考えて、治療効果を生じるのに十分である。上記共投与薬のいずれかに適する投薬量は、現在使用されている投薬量であり、新たに特定された薬剤と他の化学療法薬または治療の組合せ作用(相乗作用)により少なくなることもある。 一部の実施形態では、組合せの使用によって、付加的、付加的以上、または相乗的な抗がん効果が得られる。「相乗作用」および「相乗的」とは、2種以上の薬剤を一緒に使用したときに得られる効果が、化合物を別々に使用して生じる効果の合計より大きいことを意味する。相乗効果は、活性成分が、(1)組合せ型単位投薬量製剤として同時配合および投与され、または同時に送達されるとき、(2)別個の製剤として交互にまたは並行して送達されるとき、または(3)他のいくつかのレジメンによって、実現することができる。交代療法において送達する場合、相乗効果は、化合物を、たとえば別個の注射器での異なる注射によって順次投与または送達するとき、実現することができる。一般に、交代療法の際、各活性成分の有効投薬量は、順次、すなわち続けて投与されるのに対し、併用療法では、2種以上の活性成分の有効投薬量が一緒に投与される。 一部の実施形態では、他の治療薬は、治療する特定の疾患の標準治療である、または治療する特定の疾患のサルベージレジメンの一端である薬剤となる。一部の実施形態では、少なくとも1種の追加の治療薬は、抗悪性腫瘍薬、化学療法薬、成長阻害性薬物、細胞傷害性薬物、放射線療法で使用される薬剤、抗腫瘍薬、抗血管形成薬、抗アポトーシス薬、抗チューブリン薬、シグナル伝達阻害薬、および増殖抑制薬、またはこれらの組合せからなる群から選択される。一部の実施形態では、少なくとも1種の追加の治療薬は、抗悪性腫瘍薬、化学療法薬、成長阻害性薬物、細胞傷害性薬物、抗腫瘍薬、抗血管形成薬、シグナル伝達阻害薬、および増殖抑制薬、またはこれらの組合せからなる群から選択される。ある特定の実施形態では、追加の治療薬は、タキサン、ヌクレオシド類似体、またはプラチンを含む。乳がん治療にとって特に重要である一部の実施形態では、GSIなどのNotchシグナル伝達経路阻害薬は、ドセタキセル、パクリタキセル、アブラキサン(abraxane)、ゲムシタビン、カペシタビン、シスプラチン、カルボプラチン、トラスツズマブ、タモキシフェン、ビノレルビン、エキセメスタン、レトロゾール、アナストロゾール、およびパルボシクリブ(palbociclib)からなる群から選択される1種または複数の抗がん薬と組み合わせて投与する。 抗がん薬および化学療法レジメンとしては、たとえば、たとえば抗CD52抗体(たとえばアレムツズマブ)、抗HER−2抗体、抗CD20抗体(たとえばリツキシマブ)、および抗CD40抗体(たとえばSGN40)を始めとする抗がん抗体;たとえば、CHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、およびプレドニゾン)、CVP(シクロホスファミド、ビンクリスチン、およびプレドニゾン)、RCVP(リツキシマブ+CVP)、RCHOP(リツキシマブ+CHOP)、RICE(リツキシマブ+イホサミド(ifosamide)、カルボプラチン、エトポシド)、RDHAP(リツキシマブ+デキサメタゾン、シタラビン、シスプラチン)、RESHAP(リツキシマブ+エトポシド、メチルプレドニゾロン、シタラビン、シスプラチン);ゲムシタビン;アスパラギナーゼを用いるまたは用いない、ビンクリスチン、プレドニゾン、およびアントラサイクリンでの併用治療;ダウノルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン、およびアスパラギナーゼでの併用治療;テニポシドとAra−C(シタラビン)での併用治療;メトトレキセートとロイコボリンでの併用治療;ブレオマイシン、ドキソルビシン、エトポシド、メクロレタミン、プレドニゾン、ビンブラスチン、およびビンクリスチンでの併用治療;低分子阻害薬;ならびに、たとえばボルテゾミブを始めとするプロテオソーム阻害薬を含めた、化学療法レジメンが挙げられる。 本発明の一実施形態では、Notch経路阻害薬および本明細書に記載の医薬組成物と併せて使用される追加の治療薬は、抗血管形成薬(たとえば、腫瘍による新たな血管の展開を停止させる薬剤)である。抗血管形成薬の例としては、たとえば、VEGF阻害薬、VEGFR阻害薬、TIE−2阻害薬、PDGFR阻害薬、アンギオポエチン阻害薬、PKCβ阻害薬、COX−2(シクロオキシゲナーゼII)阻害薬、インテグリン(α−v/β−3)、MMP−2(マトリックスメタロプロテイナーゼ2)阻害薬、およびMMP−9(マトリックスメタロプロテイナーゼ9)阻害薬が挙げられる。好ましい抗血管形成薬としては、スニチニブ(Sutent(商標))、ベバシズマブ(Avastin(商標))、アキシチニブ(AG13736)、SU14813(Pfizer)、およびAG13958(Pfizer)が挙げられる。 追加の抗血管形成薬としては、バタラニブ(CGP79787)、ソラフェニブ(Nexavar(商標))、ペガプタニブオクタナトリウム(Macugen(商標))、バンデタニブ(Zactima(商標))、PF−0337210(Pfizer)、SU14843(Pfizer)、AZD2171(AstraZeneca)、ラニビズマブ(Lucentis(商標))、Neovastat(商標)(AE941)、テトラチオモリブデータ(tetrathiomolybdata)(Coprexa(商標))、AMG706(Amgen)、VEGF Trap(AVE0005)、CEP7055(Sanofi−Aventis)、XL880(Exelixis)、テラチニブ(telatinib)(BAY57−9352)、およびCP−868,596(Pfizer)が挙げられる。 他の抗血管形成薬として、エンザスタウリン(LY317615)、ミドスタウリン(CGP41251)、ペリホシン(KRX0401)、テプレノン(Selbex(商標))、およびUCN01(協和発酵)が挙げられる。 本発明の化合物および本明細書に記載の医薬組成物と併せて使用することのできる抗血管形成薬の他の例としては、セレコキシブ(Celebrex(商標))、パレコキシブ(Dynastat(商標))、デラコキシブ(SC59046)、ルミラコキシブ(Preige(商標))、バルデコキシブ(Bextra(商標))、ロフェコキシブ(Vioxx(商標))、イグラチモド(Careram(商標))、IP751(Invedus)、SC−58125(Pharmacia)、およびエトリコキシブ(Arcoxia(商標))が挙げられる。 他の抗血管形成薬として、エキシスリンド(Aptosyn(商標))、サルサラート(Amigesic(商標))、ジフルニサル(Dolobid(商標))、イブプロフェン(Motrin(商標))、ケトプロフェン(Orudis(商標))、ナブメトン(Relafen(商標))、ピロキシカム(Feldene(商標))、ナプロキセン(Aleve(商標)、Naprosyn(商標))、ジクロフェナク(Voltaren(商標))、インドメタシン(Indocin(商標))、スリンダク(Clinoril(商標))、トルメチン(Tolectin(商標))、エトドラク(Lodine(商標))、ケトロラク(Toradol(商標))、およびオキサプロジン(Daypro(商標))が挙げられる。 他の抗血管形成薬として、ABT510(Abbott)、アプラタスタット(apratastat)(TMI005)、AZD8955(AstraZeneca)、インサイクリニド(incyclinide)(Metastat(商標))、およびPCK3145(Procyon)が挙げられる。 他の抗血管形成薬として、アシトレチン(Neotigason(商標))、プリチデプシン(plitidepsin)(aplidine(商標))、シレングチド(cilengtide)(EMD121974)、コンブレタスタチンA4(CA4P)、フェンレチニド(4HPR)、ハロフジノン(Tempostatin(商標))、Panzem(商標)(2−メトキシエストラジオール)、PF−03446962(Pfizer)、レビマスタット(rebimastat)(BMS275291)、カツマキソマブ(Removab(商標))、レナリドミド(Revlimid(商標))、スクアラミン(EVIZON(商標))、サリドマイド(Thalomid(商標))、ウクライン(商標)(NSC631570)、Vitaxin(商標)(MEDI522)、およびゾレドロン酸(Zometa(商標))が挙げられる。 別の実施形態では、抗がん薬は、(たとえば、細胞成長、分化、および生存という基本プロセスを統治する調節性分子が細胞内でコミュニケーションする手段を阻害する)いわゆるシグナル伝達阻害薬である。シグナル伝達阻害薬には、低分子、抗体、およびアンチセンス分子が挙げられる。シグナル伝達阻害薬には、たとえば、キナーゼ阻害薬(たとえば、チロシンキナーゼ阻害薬またはセリン/トレオニンキナーゼ阻害薬)および細胞周期阻害薬が含まれる。より詳細には、シグナル伝達阻害薬として、たとえば、ファルネシルタンパク質転移酵素阻害薬、EGF阻害薬、ErbB−1(EGFR)、ErbB−2、pan erb、IGF1R阻害薬、MEK、c−Kit阻害薬、FLT−3阻害薬、K−Ras阻害薬、PI3キナーゼ阻害薬、JAK阻害薬、STAT阻害薬、Rafキナーゼ阻害薬、Akt阻害薬、mTOR阻害薬、CDK阻害薬、P70S6キナーゼ阻害薬、WNT経路の阻害薬、およびいわゆる多標的キナーゼ阻害薬が挙げられる。 好ましいシグナル伝達阻害薬としては、ゲフィチニブ(Iressa(商標))、セツキシマブ(Erbitux(商標))、エルロチニブ(Tarceva(商標))、トラスツズマブ(Herceptin(商標))、スニチニブ(Sutent(商標))、イマチニブ(Gleevec(商標))、およびPD325901(Pfizer)が挙げられる。 本発明の化合物および本明細書に記載の医薬組成物と併せて使用することのできるシグナル伝達阻害薬の追加の例としては、BMS214662(Bristol−Myers Squibb)、ロナファーニブ(Sarasar(商標))、ペリトレキソール(pelitrexol)(AG2037)、マツズマブ(EMD7200)、ニモツズマブ(TheraCIM h−R3(商標))、パニツムマブ(Vectibix(商標))、バンデタニブ(Zactima(商標))、パゾパニブ(SB786034)、ALT110(Alteris Therapeutics)、BIBW2992(Boehringer Ingelheim)、およびCervene(商標)(TP38)が挙げられる。 シグナル伝達阻害薬の他の例としては、PF−2341066(Pfizer)、PF−299804(Pfizer)、PD−0332991(Pfizer)、カネルチニブ(CI1033)、ペルツズマブ(Omnitarg(商標))、ラパチニブ(Tycerb(商標))、ペリチニブ(EKB569)、ミルテホシン(Miltefosin(商標))、BMS599626(Bristol−Myers Squibb)、Lapuleucel−T(Neuvenge(商標))、NeuVax(商標)(E75がんワクチン)、Osidem(商標)(IDM1)、ムブリチニブ(mubritinib)(TAK−165)、CP−724,714(Pfizer)、パニツムマブ(Vectibix(商標))、ラパチニブ(Tycerb(商標))、PF−299804(Pfizer)、ペリチニブ(EKB569)、およびペルツズマブ(Omnitarg(商標))が挙げられる。シグナル伝達阻害薬の他の例として、ARRY142886(Array Biopharm)、エベロリムス(Certican(商標))、ゾタロリムス(Endeavor(商標))、テムシロリムス(Torisel(商標))、AP23573(ARIAD)、およびVX680(Vertex)が挙げられる。 加えて、他のシグナル伝達阻害薬として、XL647(Exelixis)、ソラフェニブ(Nexavar(商標))、LE−AON(ジョージタウン大学)、およびGI−4000(Globelmmune)が挙げられる。 他のシグナル伝達阻害薬として、ABT751(Abbott)、アルボシジブ(alvocidib)(フラボピリドール)、BMS387032(Bristol Myers)、EM1421(Erimos)、インジスラム(E7070)、セリシクリブ(CYC200)、BIO112(Onc Bio)、BMS387032(Bristol−Myers Squibb)、PD0332991(Pfizer)、およびAG024322(Pfizer)が挙げられる。 本発明は、本発明の化合物を古典的抗悪性腫瘍薬と併せた使用を企図する。古典的抗悪性腫瘍薬としては、限定はしないが、ホルモン薬(hormonal)、抗ホルモン薬、アンドロゲン作動薬、アンドロゲン拮抗薬、および抗エストロゲン治療薬などのホルモン調節薬、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害薬、遺伝子サイレンシング薬または遺伝子活性化薬、リボヌクレアーゼ、プロテオソーム薬(proteosomic)、トポイソメラーゼI阻害薬、カンプトテシン誘導体、トポイソメラーゼII阻害薬、アルキル化薬、代謝拮抗薬、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ1(PARP−1)阻害薬、ミクロチューブリン阻害薬、抗生物質、植物由来の紡錘体阻害薬、白金配位化合物、遺伝子治療薬、アンチセンスオリゴヌクレオチド、血管標的化薬(VTA)、およびスタチンが挙げられる。 本発明の化合物、場合に応じて1種または複数の他の薬剤との併用療法において使用される古典的抗悪性腫瘍薬の例としては、限定はしないが、デキサメタゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、ヒドロコルチゾンなどの糖質コルチコイド、およびメドロキシプロゲステロンなどのプロゲスチン、酢酸メゲストロール(Megace)、ミフェプリストン(RU−486)、選択的エストロゲン受容体調節薬(SERM;タモキシフェン、ラロキシフェン、ラソフォキシフェン、アフィモキシフェン(afimoxifene)、アルゾキシフェン、バゼドキシフェン、フィスペミフェン(fispemifene)、オルメロキシフェン(ormeloxifene)、オスペミフェン、テスミリフェン(tesmilifene)、トレミフェン、トリロスタン、およびCHF4227(Cheisi)など)、選択的エストロゲン受容体ダウンレギュレーター(SERD、フルベストラントなど)、エキセメスタン(Aromasin)、アナストロゾール(Arimidex)、アタメスタン、ファドロゾール、レトロゾール(Femara)、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH;一般に黄体形成ホルモン放出ホルモン[LHRH]とも呼ばれる)作動薬、たとえば、ブセレリン(Suprefact)、ゴセレリン(Zoladex)、リュープロレリン(Lupron)、およびトリプトレリン(Trelstar)、アバレリックス(Plenaxis)、ビカルタミド(Casodex)、シプロテロン、フルタミド(Eulexin)、メゲストロール、ニルタミド(Nilandron)、およびオサテロン、デュタステリド、エプリステリド、フィナステリド、ノコギリヤシ、PHL00801、アバレリックス、ゴセレリン、リュープロレリン、トリプトレリン、ビカルタミド、タモキシフェン、エキセメスタン、アナストロゾール、ファドロゾール、ホルメスタン、レトロゾール、ならびにこれらの組合せが挙げられる。 本発明の化合物と組み合わせて使用される古典的抗悪性腫瘍薬の他の例として、限定はしないが、スベロールアニリド(suberolanilide)ヒドロキサム酸(SAHA、Merck Inc./Aton Pharmaceuticals)、デプシペプチド(FR901228またはFK228)、G2M−777、MS−275、酪酸ピバロイルオキシメチル、およびPXD−101;Onconase(ランピルナーゼ)、PS−341(MLN−341)、Velcade(ボルテゾミブ)、9−アミノカンプトテシン、ベロテカン(belotecan)、BN−80915(Roche)、カンプトテシン、ジフロモテカン(diflomotecan)、エドテカリン、エキサテカン(Daiichi)、ギマテカン、10−ヒドロキシカンプトテシン、イリノテカンHCl(Camptosar)、ルルトテカン(lurtotecan)、Orathecin(ルビテカン、Supergen)、SN−38、トポテカン、カンプトテシン、10−ヒドロキシカンプトテシン、9−アミノカンプトテシン、イリノテカン、SN−38、エドテカリン、トポテカン、アクラルビシン、アドリアマイシン、アモナフィド(amonafide)、アムルビシン、アンナマイシン(annamycin)、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エルサミトルシン(elsamitrucin)、エピルビシン、エトポシド、イダルビシン、ガラルビシン(galarubicin)、ヒドロキシカルバミド、ネモルビシン(nemorubicin)、ノバントロン(novantrone)(ミトキサントロン)、ピラルビシン、ピクサントロン、プロカルバジン、レベッカマイシン、ソブゾキサン、タフルポシド(tafluposide)、バルルビシン、Zinecard(デクスラゾキサン)、ナイトロジェンマスタードN−オキシド、シクロホスファミド、AMD−473、アルトレタミン、AP−5280、アパジコン、ブロスタリシン(brostallicin)、ベンダムスチン、ブスルファン、カルボコン、カルムスチン、クロラムブシル、ダカルバジン、エストラムスチン、ホテムスチン、グルホスフアミド(glufosfamide)、イホスファミド、KW−2170、ロムスチン、マホスファミド、メクロレタミン、メルファラン、ミトブロニトール、ミトラクトール、マイトマイシンC、ミトキサトロン(mitoxatrone)、ニムスチン、ラニムスチン、テモゾロミド、チオテパ、および白金配位アルキル化化合物、たとえば、シスプラチン、Paraplatin(カルボプラチン)、エプタプラチン(eptaplatin)、ロバプラチン、ネダプラチン、Eloxatin(オキサリプラチン、Sanofi)、ストレプトゾシン、サトルプラチン(satrplatin)、ならびにこれらの組合せが挙げられる。 本発明は、Notchシグナル伝達経路阻害薬を、ジヒドロ葉酸還元酵素阻害薬(メトトレキセートやNeuTrexin(グルクロン酸トリメトレセート(trimetresate glucuronate))など)、プリン拮抗薬(6−メルカプトプリンリボシド、メルカプトプリン、6−チオグアニン、クラドリビン、クロファラビン(Clolar)、フルダラビン、ネララビン、およびラルチトレキセド)、ピリミジン拮抗薬(5−フルオロウラシル(5−FU)、Alimta(プレメトレキセド二ナトリウム、LY231514、MTA)、カペシタビン(Xeloda(商標))、シトシンアラビノシド、Gemzar(商標)(ゲムシタビン、Eli Lilly)、テガフール(UFT OrzelまたはUforal、テガフール、ギメスタット(gimestat)、およびオトスタット(otostat)からなるTS−1合剤を含める)、ドキシフルリジン、カルモフール、シタラビン(オクホスフ酸(ocfosfate)、リン酸ステアリン酸、持続放出、およびリポソーム形態を含める)、エノシタビン、5−アザシチジン(Vidaza)、デシタビン、およびエチニルシチジンなど)、および他の代謝拮抗薬、たとえば、エフロルニチン、ヒドロキシ尿素、ロイコボリン、ノラトレキセド(nolatrexed)(Thymitaq)、トリアピン(triapine)、トリメトレキセート、N−(5−[N−(3,4−ジヒドロ−2−メチル−4−オキソキナゾリン−6−イルメチル)−N−メチルアミノ]−2−テノイル)−L−グルタミン酸、AG−014699(Pfizer Inc.)、ABT−472(Abbott Laboratories)、INO−1001(Inotek Pharmaceuticals)、KU−0687(KuDOS Pharmaceuticals)、GPI18180(Guilford Pharm Inc)、ならびにこれらの組合せと組み合わせた使用も企図する。 併用療法において使用する古典的抗悪性腫瘍性細胞傷害性薬物の他の例として、限定はしないが、Abraxane(Abraxis BioScience,Inc.)、Batabulin(Amgen)、EPO906(Novartis)、ビンフルニン(Bristol−Myers Squibb Company)、アクチノマイシンD、ブレオマイシン、マイトマイシンC、ネオカルチノスタチン(ジノスタチン)、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン(Navelbine)、ドセタキセル(Taxotere)、Ortataxel、パクリタキセル(DHA/パクリタキセルコンジュゲートであるTaxoprexinを含める)、シスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン(Eloxatin)、サトラプラチン、Camptosar、カペシタビン(Xeloda)、オキサリプラチン(Eloxatin)、Taxotere アリトレチノイン、カンホスファミド(Canfosfamide)(Telcyta(商標))、DMXAA(Antisoma)、イバンドロン酸、L−アスパラギナーゼ、ペグアスパラガーゼ(Oncaspar(商標))、エファプロキシラル(Efaproxyn(商標)−放射線療法))、ベキサロテン(Targretin(商標))、テスミリフェン(Tesmilifene)(DPPE−細胞傷害性薬物の効果を増強する))、Theratope(商標)(Biomira)、トレチノイン(Vesanoid(商標))、チラパザミン(Trizaone(商標))、モテクサフィンガドリニウム(Xcytrin(商標)) Cotara(商標)(mAb)、およびNBI−3001(Protox Therapeutics)、ポリグルタメート−パクリタキセル(Xyotax(商標))、ならびにこれらの組合せが挙げられる。 併用療法において使用する古典的抗悪性腫瘍薬のさらなる例として、限定はしないが、Advexin(ING201)、TNFerade(GeneVec、放射線療法に反応してTNFαを発現させる化合物)、RB94(ベイラー医科大学)、Genasense(オブリメルセン、Genta)、コンブレタスタチンA4P(CA4P)、Oxi−4503、AVE−8062、ZD−6126、TZT−1027、アトルバスタチン(Lipitor、Pfizer Inc.)、プロバスタチン(Provastatin)(Pravachol、Bristol−Myers Squibb)、ロバスタチン(Mevacor、Merck Inc.)、シンバスタチン(Zocor、Merck Inc.)、フルバスタチン(Lescol、Novartis)、セリバスタチン(Baycol、Bayer)、ロスバスタチン(Crestor、AstraZeneca)、ロボスタチン(Lovostatin)、ナイアシン(Advicor、Kos Pharmaceuticals)、Caduet、Lipitor、トルセトラピブ、およびこれらの組合せが挙げられる。 特定の抗がん薬の追加の例として、5−フルオロウラシル(5−FU)またはカペシタビン(Xeloda)、ロイコボリン、およびオキサリプラチン(Eloxatin)の組合せであるFOLFOXなどの、アジュバント化学療法において通常使用される抗がん薬が挙げられる。特定の抗がん薬のさらなる例として、FOLFOXまたはベバシズマブ(Avastin)との組合せのFOLFOX、ならびに5−FUまたはカペシタビン、ロイコボリン、およびイリノテカン(Camptosar)の組合せであるFOLFIRIなどの、転移性疾患の化学療法において通常使用される抗がん薬が挙げられる。さらなる例として、17−DMAG、ABX−EFR、AMG−706、AMT−2003、ANX−510(CoFactor)、アプリジン(プリチデプシン(plitidepsin)、Aplidin)、Aroplatin、アキシチニブ(AG−13736)、AZD−0530、AZD−2171、カルメット−ゲラン杆菌(BCG)、ベバシズマブ(Avastin)、BIO−117、BIO−145、BMS−184476、BMS−275183、BMS−528664、ボルテゾミブ(Velcade)、C−1311(Symadex)、カンツズマブメルタンシン、カペシタビン(Xeloda)、セツキシマブ(Erbitux)、クロファラビン(Clofarex)、CMD−193、コンブレタスタチン、Cotara、CT−2106、CV−247、デシタビン(Dacogen)、E−7070、E−7820、エドテカリン、EMD−273066、エンザスタウリン(LY−317615) エポチロンB(EPO−906)、エルロチニブ(Tarceva)、フラボピリドール(flavopyridol)、GCAN−101、ゲフィチニブ(Iressa)、huA33、huC242−DM4、イマチニブ(Gleevec)、インジスラム、ING−1、イリノテカン(CPT−11、Camptosar) ISIS2503、イクサベピロン、ラパチニブ(Tykerb)、マパツムマブ(HGS−ETR1)、MBT−0206、MEDI−522(Abregrin)、マイトマイシン、MK−0457(VX−680)、MLN−8054、NB−1011、NGR−TNF、NV−1020、オブリメルセン(Genasense、G3139)、OncoVex、ONYX015(CI−1042)、オキサリプラチン(Eloxatin)、パニツムマブ(ABX−EGF、Vectibix)、ペリチニブ(EKB−569)、ペメトレキセド(Alimta)、PD−325901、PF−0337210、PF−2341066、RAD−001(エベロリムス)、RAV−12、リスベラトロール、Rexin−G、S−1(TS−1)、セリシクリブ、SN−38リポソーム、スチボグルコン酸ナトリウム(SSG)、ソラフェニブ(Nexavar)、SU−14813、スニチニブ(Sutent)、テムシロリムス(CCI779)、テトラチオモリブデート、タロミド(thalomide)、TLK−286(Telcyta)、トポテカン(Hycamtin)、トラベクテジン(Yondelis)、バタラニブ(PTK−787)、ボリノスタット(SAHA、Zolinza)、WX−UK1、およびZYC300が挙げられる。 追加の抗がん薬として、アキシチニブ(AG13736)、カペシタビン(Xeloda)、インターフェロンα、インターロイキン2、ベバシズマブ(Avastin)、ゲムシタビン(Gemzar)、サリドマイド、セツキシマブ(Erbitux)、バタラニブ(PTK−787)、スニチニブ(Sutent(商標))、AG−13736、SU−11248、Tarceva、Iressa、ラパチニブ、およびGleevecが挙げられ、活性薬の量は、組合せ抗がん薬の量と合わせて、腎細胞癌の治療において有効である。結果 潜在的な患者選別バイオマーカーを特定するために、Notch受容体が関与する突然変異および変化について、TCGA乳がんデータベースで情報収集した(Cancer Genome Atlas N.、Nature(2012)490(7418):61〜70を参照されたい)。いくつかの突然変異は、標準TCGA情報ルートによって報告され、または各受容体において内部で発見されている。完全遺伝子発現、コピー数、および突然変異データで分析した956の腫瘍サンプルのうち、NOTCH1、NOTCH2、またはNOTCH3における突然変異が42例存在し、そのうち25例は、HDドメインに密集しており、またはPESTドメインの崩壊につながる(表1〜3)。PESTドメイン突然変異の大半は、ナンセンス突然変異またはフレームシフトインデルであり、したがって、正常タンパク質配列がトランケートされることが予測された。他方、HD突然変異は、高度に保存されたアミノ酸残基で起こっていた(Malecki MJら、Mol.Cell Bio.(2006)26(12)4642:51を参照されたい)。同様の突然変異は、T−ALLにおけるNOTCH1に存在し、Notchシグナル伝達を活性化する(Weng APら、Science(2004)306(5694):269〜71を参照されたい)。このコホートにおける突然変異は繰り返されていなかったが、他のいくつかの突然変異は、確認されている、Notchが動力となる他のがん、ならびに経路活性化型のNOTCH2 PESTドメイン突然変異を特徴とする遺伝性障害であるHadju−Cheney症候群(HCS)と同じアミノ酸位でタンパク質を崩壊させた。 より複雑な構造変異体は、標準TCGA情報ルートによって提供されていない。したがって、予めアライメントされたRNA−seqデータをTCGA乳がん研究室から入手し、限局的な転写物新規構築手法に基づく、まとめてTopNotchと呼ぶ、1セットの社内アルゴリズムを適用した。この分析によって、Notch経路を活性化することが予測された5種の腫瘍において6通りの追加の候補変化が特定された。4通りの変化が、NOTCH1、NOTCH2、またはNOTCH3におけるPESTドメインを崩壊させた(表1〜3、図1)。 表1〜3に、TCGA浸潤乳癌コホートにおいて特定された、NOTCH1、NOTCH2およびNOTCH3体性突然変異ならびにHDおよびPESTドメインにおける変化を示す。複合変化については、アミノ酸(AA)変化に続いて括弧内にゲノム変化を示す(詳細は、表4で見ることができる)。Hes4/Hey2上方調節は、どちらかの遺伝子が、コホートの発現中央値の2倍以上発現されるとき、「有り」と定める。Rec expパーセント、受容体発現百分位数;BC、乳がん;T−ALL、T細胞急性リンパ球性白血病;MCL、マントル細胞リンパ腫;SMZL、脾臓周辺帯リンパ腫;DLBCL、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫;HCS、Hajdu−Cheney症候群;fs、フレームシフト;IF、インフレーム;bp del、塩基対欠失;bp ins、塩基対挿入;chr、染色体。 表4におけるTCGA−EW−A1PHについて、TCGAから、2種の変異体体細胞:2438_2439insGのIF挿入およびA2441fsのFS insがこの領域に挙げられていた。この腫瘍について、全エクソームシークエンシングデータが入手可能でなかったため、TCGA細胞から、挿入された実際の配列を確認することは不可能であった。 分子機序に関しては、3種の腫瘍が大きな欠失を内蔵し、1種の腫瘍が転座を内蔵していたが、これらはすべて、全PESTドメインを削除することが予測された。ある1種の腫瘍は、PESTドメインを崩壊させる大きな欠失と、(NICD3をコードする)NOTCH3のエクソン26〜33が、非カノニカルなBRD4転写物(アンサンブル転写物ID:ENST00000360016)のエクソン1の下流と融合した、BRD4遺伝子との融合の両方を有していた。融合物は、全NOTCH3 ECDを欠き、無傷のGS部位を有するインフレームNICD3を生じることが予測された。さらに、NRRおよびHDドメインを削除する、NOTCH1におけるエクソン21〜27の欠失を有する腫瘍が特定された。 この分析から特定されたPESTドメイン区切り点を、対応正常サンプルを含めて、同じ患者からの全エクソームシークエンシング(WXS)データにおいてさらに検証して、その体性状態を確認した(図4および図5)。この分析によって、TCGA乳がんデータセット、すなわち、TCGA−A2−A0T0、TCGA−A8−A08X、およびTCGA−A8−A0J6において特定された3通りのPESTドメイン変化についての証拠が得られた。各場合において、RNA−seqリードのリアライメントを、予測cDNA区切り点に隣接する45bpの野生型配列または(RNA−seqデータから新規構築した)変異体配列のどちらかに対して実施した。区切り点は、すべてコード領域(すなわち、NOTCH1またはNOTCH2のエクソン34)内にあると予測されたので、各患者の腫瘍および対応正常サンプルからのWXSデータも調べた。WXSリードを、予測区切り点に隣接する95bpの野生型配列または変異体配列どちらかに対してリアライメントした。結果は、腫瘍からのRNA−seqとWXSデータの両方において、すべての区切り点が十分に裏付けられたが、対応正常データには存在しなかったことを示した。TCGA−A8−A08XからのWXSデータは、区切り点領域付近のカバー範囲が浅かった。こうした患者の対応正常サンプルからのRNA−seqデータは、TCGAから入手可能でなかった。RNA−seqデータのリード長さが50bpであり、WXSデータについては100bpであるために、45bpおよび95bpの隣接配列を、それぞれRNA−seqデータおよびWXSデータに使用した。 TCGA乳がんデータセットからのNOTCH1、NOTCH2、およびNOTCH3において、TopNotchによって複合変化を特定した。各TCGA腫瘍について、正規転写物ならびに変異体転写物の(参考ヒトゲノムに対する)アライメントを、転写物新規構築手法を使用して特定した。変異体転写物についての構造再配列事象としては、TCGA−BH−A1FC(TNBC)におけるNOTCH1エクソン21〜27の欠失、TCGA−A2−A0T0(TNBC)のNOTCH1エクソン34における168bpの欠失、TCGA−A8−A08X(ER−/HER2+乳がん)におけるNOTCH1エクソン34が関与する染色体間転座、TCGA−AO−A0J6(TNBC)のNOTCH2エクソン34における62bpの欠失、および最後に、BRD4のエクソン1とNOTCH3のエクソン26の融合に加えて、NOTCH3エクソン33における1326bpの欠失を含む、TCGA−AN−A0AR(TNBC)における2つの事象が挙げられる。 TCGA−BH−A1FCにおけるNOTCH1内欠失の証拠は、ExonFusionFinderによって、RNA−seqデータ、および事象が体性であったことを確定する対応正常サンプルの該当するデータを使用して、腫瘍においてNOTCH1転写物におけるエクソン20と28の連結を突き止めることにより得られた。腫瘍サンプルからのRNA−seqリードを、予測cDNA区切り点に隣接する45bpの野生型配列または(RNA−seqデータから新規構築した)変異体配列のどちらかとリアライメントした。結果は、野生型および変異体両方の転写物が、いずれかの方向で十分に裏付けられたことを示した。NOTCH1についてのエクソン毎のコピー数比率は、この患者からの腫瘍および対応正常サンプル両方について入手可能な全エクソームシークエンシング(WXS)データから導いた。WXSカバー範囲が非常に不均一であったため、データはノイズが多かったが、エクソン21〜27の周囲で1つのコピー喪失が生じていたようであり、転写物レベルでの選択的スプライシング事象ではなくゲノム欠失事象が立証された。正確なゲノム区切り点はイントロンにある可能性が高く、したがってRNA−seqデータおよびWXSデータから決定することはできない。得られるタンパク質は、S1およびS2切断部位を欠損しているがS3部位は無傷であることが予想されたため、GSIに対して感受性でありうる。 TCGA−AN−A0ARにおけるBRD4−NOTCH3融合およびPESTドメイン欠失の証拠は、BRD4とNOTCH3のエクソン間のエクソン融合マップによって得られた。正規のスプライシング事象は、近接したエクソンにまたがるRNA−seqリードによって立証され、融合は、BRD4転写物アイソフォームENST00000360016のエクソン1とNOTCH3のエクソン26にまたがるRNA−seqリードによって実証された。NOTCH3のエクソン33において特定された新規の区切り点、または区切り点の位置にある野生型配列のどちらかを立証するRNA−seqリードを、予測cDNA区切り点に隣接する45bpの野生型配列または(RNA−seqデータから新規構築した)変異体配列のどちらかとリアライメントすることによりカウントした。正確な融合区切り点は、イントロンにあると思われ、したがってRNA−seqデータおよびWXSデータから決定することはできない。5’融合は、S1およびS2切断部位の間にある、正規Notch3の残基M1583において翻訳開始コドンを利用して、S3 GS切断部位を無傷にしたままインフレームタンパク質を生成することが予想された。NOTCH3エクソン33における1326bpの欠失は、PESTドメインを残基P2607でトランケートすることが予想される。 Notch受容体の増幅についての体性コピー数変化(SCNA)データも分析し、NOTCH2またはNOTCH3の限局的増幅を伴ういくつかの腫瘍が見出された。限局的増幅は、多くの場合、受容体の過剰発現につながっていた。特に、十分に確立されている他の発がんドライバーにおいて観察される突然変異パターンと同様に、37%のNotch突然変異が、その座位における3を超えるコピー数増加と共に起こっていた(表1〜3)。さらに、コピー数増加と一致した突然変異の1つを除くすべてを含む、67%の突然変異が、Notch受容体の非常に高い発現(第93百分位数以上)を示した。この突然変異および発現パターンは、NOTCH3で最も著しく、7種のうち4種の突然変異腫瘍サンプルがコピー数増加を示し、このうち2種は限局的であり、すべてが、第97または第99百分位数のNOTCH3発現を有する。NOTCH1、NOTCH2、およびNOTCH3とは対照的に、NOTCH4では、説得力のある突然変異または増幅は見出されなかった。要約すれば、TCGAコホートにおいて、NOTCH1〜3のホットスポットドメイン(ECD/HDまたはPEST)における体性突然変異、または受容体発現の増大を相伴うNOTCH2またはNOTCH3の限局的体性増幅を有する(まとめて以下では「Notch変化のある」と呼ぶ)43種の乳がんが特定された。 分析によって、Notch受容体における広域スペクトルの潜在的に活性化型の遺伝子変化が乳がんにおいて存在し、ほとんどの場合、PESTドメインが関与することが示された。こうした潜在的に活性化型のNotch変化が乳がんサブタイプと関連付けられるかどうかを判定するために、Notch、ESR1、PGR、およびERBB2状態についてTCGAデータを分析した。分析した956種の腫瘍サンプルのうち、130(または13.6%)がTNBCであると判定された。著しいことに、Notch変化のある43種のBCのうち21種はTNBCである(3.6倍の集中度(enrichment)、Fisherの正確検定によりp=6.89E−6、表1〜3および図3)。TNBCにおけるこの激しい集中度と、まだ対処されていない高い医学的必要性から、本発明者らは、後続の分析をこのサブタイプに集中させることにした。 Notch変化の結果としてNotch経路活性が増大するかどうかを判定するために、Notch変化のあるTN腫瘍において、Notch経路遺伝子発現をNotch野生型TN腫瘍と比較した(図2)。図2に、変化のない種の50種のTN腫瘍と比較した、Notch変化のある21種のTN腫瘍におけるNotch経路遺伝子の発現ヒートマップを示す。スケール化していない(un−scaled)発現をヒートマップの右側に示しており、円は、発現中央値を表し、線は、発現の範囲を表す。点線は、バックグラウンド発現レベルを表す。全体として、NOTCH3、HES1、HEY2、MYC、CCND1、HES4、NRARP、およびNOTCH1を含めたNotch経路および標的遺伝子のサブセットは、Notch変化のある腫瘍において有意な過剰発現を示し(誤発見率<0.05)、すべての遺伝子を照会したとき、Notch変化のあるTNBC中で最も上方調節された上位4%の遺伝子の中にあった。Notch変化のある乳房腫瘍におけるNotch経路標的遺伝子MYCおよびCCND1の激しい上方調節から、Notch活性化が発がん性表現型をもたらしうる機序、ならびにこうした古典的な乳がん遺伝子がこの乳房腫瘍サブセットにおいてどのように上方調節されるのかの見通しを得ることができる(Arnold Aら、J clin Oncol(2005)23(18):4215〜24;Efstratiadis Aら、Cell Cycle(2007)6(4):418〜29を参照されたい)。加えて、NOTCH1突然変異T−ALLにおいてGSIに対する抵抗性を付与することが示されている(O’Neil Jら、J Exp Med(2007)204(8):1813〜24;Palomero Tら、Nat Med(2007)13(10):1203〜10を参照されたい)、PTENまたはFBXW7の突然変異は、このデータセットでは、Notch変化と同時に起こらない。 正規Notch標的遺伝子HES4およびHEY2は、Notch変化のあるTN腫瘍と野生型TN腫瘍とで示差的に発現されたので、これら標的遺伝子の一方または両方の過剰発現をNotch経路活性化の指標として使用した(図6)。問題のNotch変化を有する21種のTNBCのうち、17種がNotch経路活性化の証拠を示した。しかし、TNBC以外では、Notch変化のある22種の腫瘍のうち8種しか経路活性化の証拠を示さなかった(図3)。このことは、Notch変化が、TNBCサブタイプにおいて関数の関係にある可能性がより高く、推定13%のTNBCが、この新たに特定されたNotch変化のある発がん性ドライバークラスに含まれることを示唆している。 Notch受容体PESTドメイン突然変異を有するin vivoモデルがGSIのPF−03084014に対して感受性であるかどうかを判定するために、RNA−seqおよび全ゲノムシークエンシングを使用して、患者由来の異種移植片(PDX)モデルを配列決定した。NOTCH1またはNOTCH2のPESTドメインのトランケーションをもたらした別個のゲノム再配列をもった、3種のPDXモデルが特定された(図7〜10)。MAXF1162モデルは、NOTCH2 PESTドメインをアミノ酸2320で崩壊させた、NOTCH2の最後のエクソンがNBPF8からのイントロン配列と融合した転座を内蔵していた。TCGAデータにおけるいくつかのNotch受容体突然変異と同様に、このモデルも、NOTCH2座位の限局的増幅を内蔵していた(図7)。AA1077モデルは、NOTCH1の最後のエクソンの一部が、エクソン30と31の間でNOTCH1からのイントロン配列と融合した転写物を内蔵し、PESTドメインをアミノ酸2249で崩壊させた。このモデルのWGSデータを使用して、本発明者らは、これが、NOTCH1のイントロン30とエクソン34の間での縦列重複によるものであったことを確認した(図8)。最後に、HBCx−14 PDXモデルは、(アミノ酸2462から始まるコード配列を崩壊させる)PESTドメインにおけるヘテロ接合性10塩基対(フレームシフト)欠失、およびホモ接合性ECD欠失を内蔵していた(図9)。ECDが欠失していたが、GS部位は、突然変異タンパク質中に依然として存在した。3種のモデルはすべて、GSIに感受性があることが以前から公知である(Zhang CCら、Clin Cancer Res (2012)18(18):5008〜19;Zhang CCら、Stem Cels Trans Med(2013)2(3)を参照されたい)NOTCH1 ECD欠失HCC1599細胞系異種移植片モデルと同様であったMAXF1162モデルにおける50%を上回る腫瘍退縮を始めとして、PF−03084014に対して高度な感受性を有していた(図11)。MAXF1162モデルは、HER2増幅モデルとして特徴付けられ、他のモデルはトリプルネガティブ(TN)であった。 Notch突然変異モデルにおけるこうした反応をNotch野生型モデルと比較するために、PF−03084014に対する感受性について以前に試験されている、12種の異種移植片モデルのパネルを遡及的に分析した(Zhang CCら、Clin Cancer Res(2012)18(18):5008〜19を参照されたい)。いくつもの乳がんサブタイプにかかる、5種のPDXモデル(HBCx−9(TN)、HBCx−5(HER2+)、HBCx−17(TN)、HBCx−12B(TN)、およびAA0869(TN))ならびに7種の細胞系異種移植片モデル(HCC1937(TN)、HCC1806(TN)、SK−BR−3(ER消失)、MDA−MB−436(TN)、MCF−7(ER+)、BT−474(HER2+)、およびMDA−MB−231(TN))からのRNA−seqまたは全ゲノムシークエンシングデータを分析した。これらのモデルにおいて活性化型のNotchホットスポットドメイン変化は見出されず、反応は、12種のうち7種のモデルにおける50%未満の腫瘍成長阻害から、AA0869モデルにおけるわずかな腫瘍退縮の範囲に及んだ。 比較すると、Notch突然変異モデルはすべて、4種のうち2種のモデルにおける50%の腫瘍退縮を含めて、60%以上の腫瘍成長阻害を示した(図11)。MAXF1162モデルは、65%の腫瘍退縮を示し、AA1077モデルは、88%の腫瘍成長阻害を示し、HBCx−14モデルは、60%の腫瘍成長阻害を示し、HCC1599モデルは、50%の腫瘍退縮を示した。すべてのモデルが、スチューデントt検定によって統計学的に有意であった(p値<0.05)。 まとめると、これらのデータは、PF−03084014の活性は、Notch野生型BCモデルでは不均質であるが、Notch突然変異は、GSIによる治療に反応を示す可能性が最も高い患者を集約する(enrich)のに有用なバイオマーカーとして役立ちうることを実証している。要約すると、位置、予測される機能的結果、分子機序のスペクトル、および多数の事象の同時発生に関してTCGA突然変異を代表する、PDXモデルにおける突然変異が特定された。したがって、これらのデータによって、TCGA分析からの所見が確認および拡大され、重要なことに、Notch変化を有する関連する前臨床モデルが、GSIのPF−03084014に対して感受性であることが実証される。 次に、受容体の活性型であるNICD1に関するNOTCH1突然変異の機能的結果を調査した。ECDドメインが除去された突然変異によって、受容体がリガンド依存的に活性化されることが予想された。NOTCH1突然変異は、全長およびNICD1タンパク質ならびにNICD1半減期を変化させることが示された。 図12は、NOTCH1突然変異が、全長およびNICD1タンパク質ならびにNICD1半減期を変化させることを示している。図12(a)には、PF−03084014を用いまたは用いずに処理したNotch変化モデルにおけるNICD1ウエスタンブロットを示し、「*」は、野生型NICD1より低分子量のNICD1種を示す。HPB−ALLは、PESTドメイン突然変異のためにより低分子量であるNICD1種を生じることが公知であるT−ALLモデルである。新たに発見されたNotch1突然変異体モデルにおける野生型および突然変異体NICD1バンドをより良好に可視化するために、HPB−ALLおよびHCC1599モデルについては15ugの可溶化液を装入し、AA1077モデルについては50ugを装入し、HBCx−14モデルについては30ugを装入した。図12(b)には、NOTCH1 PEST切断型HBCx−14モデル(レーン6)でのNICD1ウエスタンブロットを、同じコレクションからのTNBC PDXモデルの可溶化液のパネルと並べて示す。HCC1599細胞系異種移植片モデル+/−PF−03084014 100mg/kg 1日2回2日間を対照として含めた。HCC1599可溶化液の25ugを除くすべての可溶化液について、50ugの可溶化液を装入した。矢印は、HBCx−14モデルにおけるより低分子量のNICD1種を指し示す。図12(c)には、NOTCH1膜貫通種および全長種を認識する抗体を使用してのNOTCH1ウエスタンブロットを示す。下方のパネルは、より軽い露出でのものである。矢印は、HBCx−14モデルにおけるより低分子量の種、およびHBCx−14モデルまたはHCC1599モデルにおける検出可能な全長タンパク質の不在を示す。同じ日に、別のゲルにおいて図12(b)と同量の可溶化液を装入しており、したがって、このゲルについては追加の装入対照を含めなかった。 他方、AA1077およびHBCx−14モデルにおけるPESTドメインをトランケートする突然変異は、予想通り、より低分子量のNICD1種を生じた。対照的に、NOTCH1野生型モデルは、NICD1のより強い発現も示さなければ、より低分子量の種も存在しなかった。 HBCx−14 PDXモデルにおけるPESTドメイン突然変異の結果をさらに調査した。このモデルでは、PF−03084014での2日間の処置によって、野生型NICD1バンドが劇的に減衰した。対照的に、突然変異NICD1バンドは、わずかに減衰しただけのようであった。これは、PEST突然変異体NICD1がより長い半減期を有するという予測と一致する。この影響を定量化するために、140mg/kgのPF−03084014で1日2回2日間または12日間処置した3匹の動物からのHBCx−14モデルにおいて、野生型および突然変異NICD1バンドの平均強度を測定した(図13(a)〜(b))。短期間の処置により、野生型バンドは未処置レベルの約50%に減衰したが、突然変異バンドは有意に減衰しなかった。12日間処置したマウスでは、野生型NICD1が未処置野生型レベルの3%未満に減衰したのに対し、突然変異体NICD1は未処置突然変異体レベルの約15%で存在した。これらのデータは、乳がんモデルにおけるPESTドメインをトランケートする突然変異によって、NICD1のタンパク質半減期が延長しうることを実証している。 Notch受容体における活性化型変化は、HesおよびHeyファミリー転写因子を始めとする、経路の直接の転写ターゲットを上方調節することが予想された。実際に、4種のうち3種のNotch突然変異体モデルにおいて、Notch変化なしの異種移植片モデルに比べて、HES4、HEY2、HEY1、および/またはHEYLの激しい過剰発現が認められた。MAXF1162およびHBCx−14モデルは、両方とも同じNotch受容体に多数の遺伝子事象を内蔵しており、両方の場合において、突然変異受容体それ自体が、スクリーニングした異種移植片のパネルの中で最高のmRNA発現を示した(図14)。モデルは、in vivoパネル(図14(a))および外部PDXパネル(図14(b))の全体にわたり、HES4、HEY2の2種の遺伝子サインスコアを使用して左から右へ順に並べている。in vivoモデルパネルにはNanostringデジタル遺伝子発現データを使用し、PDXモデルパネルにはAffymetrixマイクロアレイ遺伝子発現データを使用した。 PF−03084014での処置によって、基線では激しい過剰発現を示したモデルにおいて、ほぼすべての標的遺伝子の発現が低減され、Notch変化が、これらのモデルにおいてNotch経路の動力となること、およびPF−03084014によって、この活性化過剰の転写プログラムを有効に抑制できることが実証された(図15)。高度に発現されたNotch標的遺伝子は、Notch突然変異体モデルにおけるPF−03084014処置によって下方調節された。ほとんどすべての場合において、基線で異常値発現を示した遺伝子が、PF−03084014処置によって下方調節された。相対発現量を、1に設定した媒体に対して正規化した。1群あたり2〜3種の腫瘍を分析しており、データを平均およびSEMとして図15(a)〜(d)に示した。NICD1タンパク質を十分に崩壊させるのに12日間の処置が必要となったHBCx−14モデルを除き、すべてのモデルをPF−03084014で2日間処置した。HCC1599、MAXF1162、およびAA1077モデルについてはNanostringデータを使用し、HBCx−14モデルについてはqRT−PCRデータを使用した。*により、両側スチューデントt検定によるp値<0.05を示した。総合して、前臨床in vivoモデルにおけるこれらの機能研究により、Notch受容体におけるPESTドメイン突然変異が、Notch経路を活性化し、GSIであるPF−03084014に対する感受性を付与し、TNBCにおけるNotch阻害薬の個別化医療戦略の強力な理論的根拠となることが実証される。方法細胞系および抗体 細胞系は、アメリカ培養細胞系統保存機関(ヴァージニア州マナッサス)から入手した。HCC1599およびHPB−ALL細胞は、RPMI−1640培地で成長させ、10%のFBS、50IU/mlのペニシリン/0.05mg/mlのストレプトマイシンを補充した。残りの細胞系は、供給業者が推奨する培地において、HEPES緩衝液、ピルビン酸ナトリウム、非必須アミノ酸、Pen−Strep、ITS、およびグルタミンを含む補充を行って成長させた。 使用した一次抗体には、抗NICD1(CST#4147)、抗Notch1(CST#3608)、および抗GAPDH(CST#2118)抗体(Cell Signaling Technology、マサチューセッツ州ダンヴァーズ)が含まれた。in vivo研究 社内in vivo研究はすべて、実験動物の世話と使用に関する指針(Guide for Care and Use of Laboratory Animals)に従って行っており、Pfizer Global Research and Development Institutional Animal Care and Use委員会によって承認されている。HBCx PDXモデルについて、XenTech(フランス国エヴリー)のCERFE設備で動物を使用する許可は、フランス国農林水産省The Direction des Services Veterinaires(協約番号B−91−228−107)によって取得した。動物の世話および収容は、欧州条約n°STE123に従った。実験はすべて、実験動物の保護に関するフランス国の法令、およびフランス国農林水産省によってTruong−An Tran博士に発行された、脊椎動物での実験に関する現在有効な免許(2010年12月21日付け第A91−541号、効力:5年)に従って実施した。腫瘍を有する胸腺欠損ヌードマウスに、12日間実施、4日間休止のスケジュールで2サイクルにわたって140mg/kgで1日2回投薬した。MAXF1162モデルは、Oncotestで進め、実験はすべて、地方自治体に承認され、該当するすべての国際、国家、および地方の法律および指針に従って行った。腫瘍を有するヌードマウスに、10日間実施、4日間休止のスケジュールで3サイクルにわたって140mg/kgで1日2回投薬した。AA1077患者由来およびHCC1599細胞系異種移植片モデルは、Pfizerにて、SCID−Bgマウスにおいて進めた。マウスに、110mg/kgで1日2回9日間(AA1077)、または120mg/kgで1日2回12日間(HCC1599)投薬した。有効性を評価するために、腫瘍サイズが触知可能なマウスを異なる群に無作為に割り振り、腫瘍サイズの平均値を群間で調和させた。媒体群とPF−03084014処置群の差は、スチューデントt検定によって統計学的に有意であった。腫瘍退縮パーセントは、次の式100*(1−(処置最終体積/処置初回体積))を使用して算出し、腫瘍成長抑制パーセントは、次の式100*(1−(処置最終体積−処置初回体積)/(媒体最終体積−媒体初回体積))を使用して算出した。薬力学研究については、腫瘍を有するマウスに、100〜140mg/kgのPF−03084014を、終末の採取前に2日間1日2回与えた。一部の薬力学群には、2日目に1用量を与えた。最後の用量から4〜6時間後に腫瘍を回収し、瞬間冷凍し、分析前に、液体窒素で冷却したモーターで微粉砕した。DNA/RNA分析 ゲノムDNAおよび全RNAは、細胞ペレットまたは凍結腫瘍組織から、Qiagen DNeasy Blood and Tissue Kit(カタログ番号69504)およびQiagen RNeasy Mini Kit(カタログ74104)を用い、製造者のプロトコールに従って調製した。次いで、接合部PCRを行って、ゲノムDNAの区切り点を検証した。特定の各サンプル用のプライマー配列は、補充材料にリストされている。全RNAを直接の定量的RT−PCR(以下を参照されたい)にかけ、または仔ウシ腸ホスファターゼ(CIP)およびタバコ酸性ピロホスファターゼ(TAP)で処理し、次いで逆転写して、HCC1599におけるNOTCH1の5’末端メッセンジャーRNA配列を増幅した。CIPおよびTAPは、Life TechnologiesのFirstChoice(登録商標)RLM−RACE Kit(カタログ番号AM1700)に含まれていた。PDXモデルのトランスクリプトームシークエンシング(RNA−seq) 100bpの対応末端リードを用い、PDXモデルでRNA−seqを実施した。生RNA−seqリードを、Xenomeを使用してフィルターにかけて、夾雑のあるマウス細胞から潜在的なリードを取り出した。次いで、TopHat2を使用して、非マウスリードをヒト参考ゲノムとアライメントした。HBCx14、AA1077、およびMAXF1162について、それぞれ2億2620万、2億5390万、および2億9830万のマッピングされたリードが生成された。TCGAデータの取得 TCGA浸潤乳癌コホートからのTier−2突然変異、体性コピー数、およびmRNA発現データ(RNA Seq V2 RSEM)は、TCGAデータポータルおよびMemorial Sloan−Kettering Cancer CenterのcBioポータル(35)から入手した。Affymetrix SNP6.0アレイ生データも、TCGAデータポータルからダウンロードした。予めアライメントされた(BAMフォーマットの)RNA−seqデータは、The Cancer Genomics Hub(36)、dbGaP受入番号PHS000178、バージョンphs000178.v8.p7からダウンロードした。完全な突然変異、コピー数、および遺伝子発現データを有する、合計956の腫瘍を分析した。遺伝子発現分析 外部PDXパネルの遺伝子発現プロファイルは、Affymetrix U133Plus2アレイを使用して生成した。CELファイルは、供給業者(Xentech)により提供された。生強度データは、GC Robust Multi−array Average(GCRMA)バックグラウンド調整、分位正規化、および中央値分散分析要約(median−polish summarization)によって加工して、プローブレベルデータをRで生成した。正規化したプローブレベルデータは、GSEA CollapseDataset関数を使用して、遺伝子レベルにさらに要約した。 TCGA乳がんコホートにおけるNotch経路遺伝子の示差的発現分析を、TCGA第3段データにおいて提供されているRSEM結果から、RNA−seqに基づくTranscript per Million測定規準で実施した。このコホートに含まれる100種のTNBC腫瘍のうち、NOTCH1、NOTCH2、またはNOTCH3のHDまたはPESTドメインに単純突然変異または複合変化を有する患者、およびNOTCH2またはNOTCH3の限局的増幅(推測コピー数>4)を有する患者を含む12種を、Notch変化として選択した。Notch変化のない群には、すべてのNotch受容体に突然変異も変化も増幅もない(推測コピー数<2.5)41種のTNBC腫瘍を含めた。非ホットスポット領域に突然変異または変化を有するTNBC腫瘍、および緩やかまたは広範なコピー数増加を伴う腫瘍は、2つの群に差異を生じさせるシグナルを不鮮明にしかねない「グレーゾーン」となるため、本発明者らは、これらをこの分析に含めなかったことに留意されたい。示差的発現は、2サンプルt検定を使用して算出した。多重仮説検定は、Benjamini−Hochberg法を使用するFalse Discovery Rateによって制御した。Nanostring分析 Nanostring技術を使用して、製造者が推奨するプロトコールに従ってnCounterアッセイを使用しながらRNA転写物レベルを測定した。簡潔に述べると、Nanostring Technologiesが転写物に特異的な捕捉および検出プローブを設計および製造し、100ngの全RNAをnCounterプローブセットと65℃で16時間ハイブリッド形成させた。サンプルは、自動化されたnCounter Sample Prep Station(NanoString Technologies,Inc.、ワシントン州シアトル)を使用して加工処理した。引き続いて、固定し、アライメントしたレポーター複合体を含有するカートリッジを、1155視野に設定したnCounter Digital Analyzer(NanoString Technologies,Inc.)で画像処理し、カウントした。レポーターカウントを、NanoStringのnSolver解析ソフトウェアバージョン1を使用して、解析および正規化した。定量的RT−PCR miRNeasy Mini kit(Qiagen)を使用して全RNAを単離した。1反応あたり2ugのRNAを使用して、High Capacity cDNA Reverse Transcription Kit(Life Technology、カリフォルニア州)を使用しながらcDNAを生成した。ABI PRISM 7900HT Sequence Detection SystemをTaqman Universal PCR Master Mix(Life Technology、カリフォルニア州)と共に使用することにより、Q−PCRを3通りに実施した。Hes4、Hey1、Hey2、およびHeyL用のプライマー/プローブは、Life Technologyから購入した。発現レベルは、ヒポキサンチン−グアニンホスホリボシル転移酵素(HPRT)に対して正規化した。グリセルアルデヒド−3リン酸脱水素酵素(GAPDH)およびペプチジルプロリル異性化酵素E(PPIE)を使用して正規化したデータから、同様の結果が得られた。全ゲノムシークエンシング PDXモデルからgDNAを精製するために、腫瘍は、少量のAccumax(Innovative Cell Technologies、AM105)中で安全かみそりの刃を使用して、小片に切り刻んだ。次いで、20倍の体積のAccumaxを加え、振盪させながら室温で30分間インキュベートした。次いで、懸濁液を40ミクロンの細胞ストレーナーに通し、ストレーナーを培養液で3回洗浄した。マウス細胞および壊死組織片を減少させるために、細胞をビオチン標識抗マウスMHCクラスI抗体と共にインキュベートし、次いで抗ビオチンMicroBeads(Miltenyi、130−090−485)と共にインキュベートした。次いで、再懸濁した細胞を磁気ビーズ分離にかけ、DNeasy kit(Qiagen)を使用してDNAを精製した。100bpの対応末端リードを用い、AA1077 PDXモデルに対して全ゲノムシークエンシングを行った。純度フィルターにかけたリードを、Elandv2(CASAVAソフトウェアバンドル、Illumina、カリフォルニア州)を使用してヒト参考ゲノム(hg19)に対してマッピングした。PCRおよび光学重複を除去した後、19億7千万のリード(87.19%)を一意的にアライメントした。乳がんサブタイプ分類 乳がん分子サブタイプは、TCGA meta−dataにおいて示されているIHCまたはインサイツハイブリッド形成法のどちらかによって、ESR1、PGR、およびERBB2受容体状態に基づいて定めた。108種の腫瘍が3種すべての受容体について明瞭な陰性状態を有し、したがってトリプルネガティブとして分類された。受容体状態が見えないとき、本発明者らは、遺伝子発現データを二峰性フィルタリング法(1)を使用しながら利用して、その状態を推測することを試みた。各受容体について、二成分ガウス混合モデルを、コホート全体にわたって、その発現値に当てはめた。受容体は、その腫瘍における発現レベルが、高い方の成分の平均値を上回る場合、陽性とみなし、発現レベルが、低い方の成分の平均値を下回る場合、陰性とみなした。この手順により、追加の22種の腫瘍がトリプルネガティブとして分類された。本発明者らは、転写物発現レベルが、3種すべての受容体について、このTCGAコホートにおいてRPPAにより測定されたタンパク質発現レベルと強い相関関係にあることを確認した。乳がん固有のサブタイプ分類は、PAM50サインを使用して行った。増幅の限局性を決定するためのコピー数データの可視化 Rにおいてaroma.affymetrix packageを使用して、SNP6.0アレイを加工した。腫瘍サンプルにおける正規化されたプローブ強度を、International HapMap Projectからの128人の女性の平均の基線プロファイルを基準として計算した。次いで、aroma packageからのChromosomeExplorer関数を使用して、すべてのSNP座位におけるlog2コピー数比率を各染色体に沿ってプロットして、コピー数変化細胞の限局性を視覚によって検証した。複合ゲノム変化の検出 予めアライメントしたRNA−seqデータから複合ゲノム変化を特定するために、本発明者らは、以下の3つの構成要素:ExonFusionFinder、HybridFinder、およびExonBreakFinderからなる、まとめてTopNotchと呼ぶ、一連のアルゴリズムを開発した。 ExonFusionFinderは、近接していない2つのエクソンを同じ遺伝子内または異なる遺伝子間で連結する融合または選択的スプライシング事象を検索するように設計されている。このアルゴリズムは、アライメントしたRNA−seqリード(たとえば、BAMファイル)および問題のエクソンの座標を入力として取得し、考えられるあらゆるエクソン対について、両方のエクソンと少なくとも部分的に一致する断片を特定する。こうした断片は、各末端が異なるエクソンに対してアライメントされているリード対または2つのエクソンにわたってアラインする単一リードの2つの末端に由来する場合がある。野生型転写物については、隣り合うエクソン対(エクソンサイズ、cDNA断片長、およびリード長に応じて、2番目または3番目の隣までの場合がある)が、最も多くの裏付けを得る。遺伝子内欠失または選択的スプライシングの結果として生じうる、転写物中の非カノニカルなエクソン−エクソン接合部も、決定することができるはずである。このような非カノニカルなエクソン−エクソン連結事象を立証するために、本発明者らは、裏付けとなる少なくとも5つの断片が存在しなければならないこと、および連結した2つのエクソン間の距離が750bpより長くなければならないことを求める。 TopNotchセットの第二および第三の構成要素は、両方とも限局的な転写物新規構築に基づく。問題の各遺伝子(たとえば、この研究ではNOTCH1、NOTCH2、またはNOTCH3)について、本発明者らはまず、少なくとも1つの相方対が、候補遺伝子の転写開始部位と転写物末端部位の間のゲノム領域に対して部分的にアライメントされている、すべてのRNA−seqリードを抽出した。次いで、このようなリードを三つ組アルゴリズムに供給して、腫瘍サンプル中の候補新規転写物へと組み立てた。本発明者らはさらに、(三つ組パッケージに含まれる)RSEM法を使用して、各新規転写物の存在量を推定し、合計転写物発現の5%より少ない発現を占める転写物アイソフォームを除外した。 TopNotchセットのHybridFinderモジュールは、(部分的な)候補遺伝子と候補遺伝子以外のゲノム中にある他の任意の領域の両方を包含するハイブリッド転写物を探すことを目指す。これは、参考ヒトゲノム中の各新規転写物を配列同一性が少なくとも99%で少なくとも50bpの長さであるヒットについてBLAT検索することにより行う。本発明者らは、少なくとも1つのヒットが、候補遺伝子それ自体の範囲内になければならないこと、および(参考ゲノム中の多くの不定または不規則なコンティグに対してアラインする偽性転写物を消去するために)適格であるすべてのヒットからの染色体の合計数が5未満でなければならないことをさらに要求する。これらの判断基準を満たす新規転写物について、本発明者らは、候補遺伝子それ自体またはそのファミリー構成員および近親相同体(この研究では、すべてのNotchファミリー受容体およびNOTCH2NLがこれらに含まれる)と一致するすべてのヒットを除外する。残りのヒットを有する任意の新規転写物(これらは、ゲノム中の他の領域に特異的にアラインするヒットとなる)を、新規構築の質、新規転写物の参考ゲノムに対するアライメント(実際の区切り点を決定するため)、および予測区切り点の裏付けとなるリードについて、野生型および突然変異体の両方の転写物において、もとのRNA−seqリード(長さ50bp)を予測区切り点に隣接する90bpの配列とリアライメントすることにより、さらに精査する。 ExonBreakFinderは、既知の「ホットスポット」に収まる新規構築された転写物中の任意の区切り点を検索するように専用に設計されている。この作業において、本発明者らは、NICDタンパク質分解を担う、各々のNotch受容体のPESTドメインをコードする、NOTCH1〜3の最後のエクソンに注目した。この目的のために、本発明者らは、調査中のNotch遺伝子の最後のエクソンの配列を、長さが少なくとも2000bpであるすべての新規転写物に対して、BLASTを使用してアライメントした。Notch遺伝子は、逆DNA鎖上に発現されるので、最後のNotchエクソンの3’位をカバーするだけの任意のアライメントが、後続の分析の候補になった。次いで、本発明者らは、各候補転写物を、BLATを使用して参考ヒトゲノムに対してアライメントし、1)照会転写物(すなわち、新規Notch転写物)上の非一致区域との配列同一性が少なくとも99%である別個のヒットを生じたもの、および2)最後のNotchエクソン内の区切り点が新規転写物の末端でないものだけを確保した。両方の判断基準をクリアする候補新規転写物を、新規構築の質、新規転写物の参考ゲノムに対するアライメント(実際の区切り点を決定するため)、および予測区切り点の裏付けとなるリードについて、野生型および突然変異体両方の転写物において、もとのRNA−seqリード(長さ50bp)を、予測区切り点に隣接する90bpの配列とリアライメントすることにより、さらに精査した。 全ゲノムシークエンシングデータでの構造変異体(SV)分析は、CRESTをデフォルトパラメータで使用して実施した。CRESTによる候補SV細胞は、次の判断基準のいずれかを満たす場合、排除した。1)区切り点のいずれかが、Database of Genomic Variants(7)に記載のとおりの既知の生殖系列事象と同時に生じた場合、2)区切り点のいずれかが、参考ゲノム内の既知の集合ギャップ領域から1kb以内に位置していた場合、3)両方の区切り点が、repeat masker(A.F.A.Smit、R.Hubley、およびP.Green RepeatMasker)(8)に記載のとおりの反復領域内に収まった場合、および4)単一事象の両方の区切り点を取り囲む配列が、50bpの最小長さおよび区切り点領域から3bp未満の距離で、85%を超える配列相同性を示す場合。残りの組の候補変異体には、2011年10月現在のRefSeq遺伝子データセットを使用して、遺伝子情報の注釈を付けた。TCGAにおけるNotch突然変異および複合変化の検証 NOTCH1、NOTCH2、およびNOTCH3のホットスポットドメイン(HDまたはPEST)にある、TCGA tier−3データからのすべての単純突然変異細胞(点突然変異およびインデル)について、リードアライメントを再検査することにより、基礎をなすデータが利用可能になっていたかどうか確認した。本発明者らは、TCGA研究からのもとの組織サンプルを入手することができないため、TopNotchによって検出された4種の複合変化を、次の3つの手段によって検証した。 最初に、本発明者らは、Notch遺伝子座位と部分的に一致する任意の断片からのすべてのRNA−seqリードを、予測区切り点を取り囲む野生型および突然変異体両方の配列(RNA−seqリード長が50bpであるので、区切り点の各側について45bp)とリアライメントし、野生型または突然変異体どちらかの配列の裏付けとなるリードの数をカウントした。これにより、RNA−seqデータにおけるすべての区切り点の存在が確認され、突然変異体対立遺伝子優勢度も推定された。アライメントは、BLASTを使用して行った。リード長に等しく、ミスマッチが2つ未満であったアライメントだけをカウントした。リードが野生型および突然変異体両方の配列とアライメントした場合では、より高いスコア(BLAST出力のビットスコア)を有するアライメントを採用した。 次に、コード領域(すなわち、NOTCH1またはNOTCH2のエクソン34内に区切り点を有する3つのPESTドメイン変異体)に位置する区切り点について、本発明者らは、予測区切り点の存在を裏付ける証拠があるか、全エクソームシークエンシング(WXS)データを調べた。RNA−seqデータを使用する上記分析と同様に、本発明者らは、Notch遺伝子座位と部分的に一致する任意の断片からのすべてのWXSリードを、予測区切り点を取り囲む野生型および突然変異体両方の配列とアライメントさせた。唯一のわずかな違いは、WXSリード長が100bpであるので、この場合では95bpの隣接する配列を使用したことであった。この分析により、独自の技術を使用して、すべての区切り点が確認された。 最後に、TopNotchによって検出されたNotch変異体が真に体性であったことを確認するために、本発明者らは、対応正常患者サンプルからのRNA−seqデータまたはWXSデータも調べた。ゲノム区切り点がイントロンにあると思われる、TCGA−BH−A1FCにおけるエクソン21〜27欠失について、本発明者らは、その対応正常サンプルからのRNA−seqデータにおいてもTopNotchを運用し、正常サンプル中に野生型NOTCH1転写物だけが存在したことを確認した。他の3種のPESTドメイン変異体については、対応正常サンプルからのRNA−seqデータが入手可能でなかった。しかし、こうした3つの場合における区切り点は、すべてコード領域にあるので、本発明者らは、区切り点の存在を裏付ける証拠があるか、上記と同じ方法を使用して、対応正常サンプルからのWXSデータを調べた。3つすべての場合において、本発明者らは、対応正常データには、区切り点の裏付けとなるいかなるWXSリードも見出さなかった。接合部PCRおよびqRT−PCR 段階的な接合部PCRプロトコールは、以下のとおりである。1. 94℃ 3分2. 94℃ 30秒3. 58℃ 30秒4. 72℃ 1分5. ステップ2〜4をさらに34サイクル繰り返す6. 72℃ 6分gDNAおよびcDNA用のPCRプライマーMAXF1162/gDNA/cDNA5’TGTTTGGTATGGTCCTGGCTCC (配列番号1)3’GGCGGAGCTTGCAGTGAATTG (配列番号2)HBCx14/ex34欠失/gDNA5’TTCCTGAGTGGAGAGCCGAG (配列番号3)3’TGTCCACAGGCGAGGAGTAG (配列番号4)HBCx14/ECD/gDNA5’TGCTTTGCGGAGTTGAAGTTTGG (配列番号5)3’ACTTTCCCGTGGCTGGACTC (配列番号6)HBCx14/ECD/cDNA5’CTGCTCTGCCTGGCGCT (配列番号7)3’CGGAACTTCTTGGTCTCCAGGTC (配列番号8)HBCx14/Ex34融合/gDNA/cDNA5’TTCCTGAGTGGAGAGCCGAG (配列番号9)3’ACATGGCCCACTTTGAGAATCAC (配列番号10)3’GCAGTATCCTTCTACAAGTGGCTC (配列番号11)HCC 1599/RACE PCR3’CGGAACTTCTTGGTCTCCAGGTC (配列番号12)AA1077/gDNA5’CCGAACCAATACAACCCTCTGC (配列番号13)3’GAGTAATTTACAGGGACAGAGTGG (配列番号14)Applied Biosystems Taqman遺伝子発現アッセイのカタログ番号:JAG1/Hs01070032_m1、JAG2/Hs00171432_m1、DLL1/Hs00194509_m1、DLL3/Hs01085096_m1、DLL4/Hs00184092_m1、NOTCH1/Hs01062014_m1、NOTCH2/Hs01050702_m1、NOTCH3/Hs01128541_m1、NOTCH4/Hs00965889_m1、HES1/Hs00172878_m1、HES4/Hs00368353_g1、HEY2/Hs00232622_m1、HEYL/Hs00232718_m1 配列情報は、表5および添付の配列表において提供する。ヒトNOTCH1、NOTCH2、およびNOTCH3配列は、2014年11月12日にUCSDゲノムブラウザ(2006年3月(NCBI36/hg18)アセンブリ)から取得した。 NOTCH1のゲノム全体の座位は、chr9:138,508,717〜138,560,059に位置する。Notch1 cDNA(配列番号15)は、NCBI参考配列:NM_017617のDNA配列を含む。これは、開始コドンから終止コドンまでのエクソンだけを含むことに留意されたい。Notch1タンパク質配列(配列番号16)は、NCBI参考配列:NP_060087.3を有する2555アミノ酸を含む。Notch1 PESTドメインは、表5において太字で表示する。 NOTCH2のゲノム座位は、chr1:120,255,699〜120,413,840に位置する。Notch2 cDNA(配列番号17)は、NCBI参考配列:NM_024408のDNA配列を含む。これは、開始コドンから終止コドンまでのエクソンだけを含むことに留意されたい。Notch2タンパク質配列(配列番号18)は、NCBI参考配列:NP_077719.2を有する2471アミノ酸を含む。Notch2 PESTドメインは、表5において太字で表示する。 NOTCH3のゲノム全体の座位は、chr19:15,131,444〜15,172,792に位置する。Notch3 cDNA(配列番号19)は、NCBI参考配列:NM_000435のDNA配列を含む。これは、開始コドンから終止コドンまでのエクソンだけを含むことに留意されたい。Notch3タンパク質配列(配列番号20)は、NCBI参考配列:NP_000426.2を有する2321アミノ酸を含む。Notch3 PESTドメインは、表5において太字で表示する。 本明細書で引用したすべての刊行物および特許出願は、個々の各刊行物または特許出願が参照により援用されることを明確かつ個別に示したかのように、参照により本明細書に援用される。前述の発明について、実例および実施例を通してある程度詳細に述べてきたが、当業者には、本発明の教示に照らして、添付の請求項の真意または範囲から逸脱することなく、ある一定の変更および改変がこれに対してなされてもよいことが直ちに明白となろう。 Notchシグナル伝達経路阻害薬で治療するための、がんに罹患している患者を選択する方法であって、(a)患者からの生体サンプルにおいてNotch PESTドメイン変化を検出するステップと、(b)PESTドメイン変化が検出された場合、患者をNotchシグナル伝達経路阻害薬で治療するように選択するステップとを含む方法。 Notchシグナル伝達経路阻害薬による治療に対するがん患者の感受性を予測する方法であって、(a)患者から得た生体サンプルにおいてNotch PESTドメイン変化についてアッセイするステップと、(b)Notch PESTドメイン変化を、非がん性または正常対照サンプルと比較するステップとを含み、生体サンプル中のNotch PESTドメイン変化の存在によって、患者がNotchシグナル伝達経路阻害薬による治療に感受性であることが示される、方法。 がんを治療する方法であって、(a)そのような治療を必要とする患者からの生体サンプルにおいてNotch PESTドメイン変化を検出するステップと、(b)Notch PESTドメイン変化が検出された場合、患者をNotchシグナル伝達経路阻害薬で治療するように選択するステップと、(c)患者に治療有効量のNotchシグナル伝達経路阻害薬を投与するステップとを含む方法。 患者におけるがんを治療する方法であって、患者に治療有効量のNotchシグナル伝達経路阻害薬を投与するステップを含み、患者が、Notch PESTドメイン変化を有することが確認されている、方法。 がんが乳がんである、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。 がんがトリプルネガティブ乳がん(TNBC)である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。 Notchシグナル伝達経路阻害薬がγ−セクレターゼ阻害薬(GSI)である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。 GSIが、N−2−[(2S)−6,8−ジフルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イル]−N−(1−{2−[(2,2−ジメチルプロピル)アミノ]−1,1−ジメチルエチル}−1H−イミダゾール−4−イル)−L−ノルバリンアミド(PF−03084014)または薬学的に許容できるその塩である、請求項7に記載の方法。 Notch PESTドメイン変化が、Notch1 PESTドメイン、Notch2 PESTドメイン、またはNotch3 PESTドメインの点突然変異、転座、部分的重複、挿入、欠失、またはトランケーションを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。 ある量の少なくとも1種の追加の治療薬を患者に投与するステップをさらに含み、前記Notchシグナル伝達経路阻害薬および前記少なくとも1種の追加の治療薬の量が全体としてがんを治療するために有効である、請求項3から9のいずれか一項に記載の方法。 Notch PESTドメイン変化を有すると特徴付けられるがんを治療する方法における、Notchシグナル伝達経路阻害薬の使用。 がんが乳がんである、請求項11に記載の使用。 がんがトリプルネガティブ乳がん(TNBC)である、請求項11に記載の使用。 Notchシグナル伝達経路阻害薬がGSIである、請求項11、12、または13に記載の使用。 GSIが、N−2−[(2S)−6,8−ジフルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イル]−N−(1−{2−[(2,2−ジメチルプロピル)アミノ]−1,1−ジメチルエチル}−1H−イミダゾール−4−イル)−L−ノルバリンアミド(PF−03084014)または薬学的に許容できるその塩である、請求項14に記載の使用。 Notch PESTドメイン変化が、Notch1 PESTドメイン、Notch2 PESTドメイン、またはNotch3 PESTドメインの点突然変異、転座、部分的重複、挿入、欠失、またはトランケーションを含む、請求項11から15のいずれか一項に記載の使用。 Notch PESTドメイン変化を有すると特徴付けられるがんを治療する方法において使用するための、N−2−[(2S)−6,8−ジフルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イル]−N−(1−{2−[(2,2−ジメチルプロピル)アミノ]−1,1−ジメチルエチル}−1H−イミダゾール−4−イル)−L−ノルバリンアミド(PF−03084014)である化合物または薬学的に許容できるその塩。 がんが乳がんである、請求項17に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩。 がんがトリプルネガティブ乳がん(TNBC)である、請求項17に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩。 Notch PESTドメイン変化が、Notch1 PESTドメイン、Notch2 PESTドメイン、またはNotch3 PESTドメインの点突然変異、転座、部分的重複、挿入、欠失、またはトランケーションを含む、請求項17、18、もしくは19に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩。 【課題】どの患者がGSIおよび他のNotchシグナル伝達経路阻害薬による治療に反応を示すかを判定するため、およびそのような判定を、単独または他の治療薬との組合せのいずれにせよそうした薬剤を使用する有効な治療レジメンに組み込むための有効な手段を特定すること。【解決手段】本発明は、γ−セクレターゼ阻害薬のPF−03084014または薬学的に許容できるその塩などのNotchシグナル伝達経路阻害薬による治療が有益である、Notch1、Notch2、またはNotch3のPESTドメインにおける活性化型変化を有するがん患者を特定し、治療する方法を提供する。【選択図】図1配列表