タイトル: | 公開特許公報(A)_魚類寄生虫駆除剤及び魚類寄生虫駆除方法 |
出願番号: | 2014204378 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | A23K 1/16,A01N 43/80,A01N 43/54,A01P 15/00,A61K 31/505,A61K 31/635,A61K 45/00,A61P 33/00,A61P 43/00,A01K 61/00,A23K 1/18 |
河野 文美 平澤 徳高 JP 2015042178 公開特許公報(A) 20150305 2014204378 20141003 魚類寄生虫駆除剤及び魚類寄生虫駆除方法 日本水産株式会社 000004189 小野 新次郎 100140109 小林 泰 100075270 竹内 茂雄 100101373 山本 修 100118902 寺地 拓己 100122644 河野 文美 平澤 徳高 JP 2007279789 20071029 A23K 1/16 20060101AFI20150206BHJP A01N 43/80 20060101ALI20150206BHJP A01N 43/54 20060101ALI20150206BHJP A01P 15/00 20060101ALI20150206BHJP A61K 31/505 20060101ALI20150206BHJP A61K 31/635 20060101ALI20150206BHJP A61K 45/00 20060101ALI20150206BHJP A61P 33/00 20060101ALI20150206BHJP A61P 43/00 20060101ALI20150206BHJP A01K 61/00 20060101ALI20150206BHJP A23K 1/18 20060101ALI20150206BHJP JPA23K1/16 303BA01N43/80 101A01N43/54 AA01N43/54 DA01P15/00A61K31/505A61K31/635A61K45/00A61P33/00 171A61P43/00 111A01K61/00 BA23K1/18 102AA23K1/16 302N 13 1 2009539094 20081029 OL 29 本発明は、魚類寄生虫の駆除剤及び駆除方法に関する。詳細には、葉酸合成阻害剤及び/又は葉酸活性化阻害剤を有効成分とする魚類寄生虫の駆除剤である。特に、養殖魚への寄生が問題となっている魚類寄生虫の駆除剤および駆除方法に関する。 海面養殖において寄生虫症は安定した生産の妨げとなるために、非常に大きな問題である。原生動物亜界繊毛虫門に属する海水白点虫Cryptocaryon irritansは海水魚へ寄生し白点病を引き起こす。その結果として寄生魚は衰弱し死に至る。近年、養殖魚に対する海水白点虫の寄生は日本の養殖業において深刻な問題となっている。海水白点虫はヒラメParalichthys olivaceus、カンパチSeriola dumerili、ブリSeriola quinqueradiata、マダイPagrus major、トラフグTakifugu rubripesに寄生することがこれまで報告されている。白点虫には海水白点虫と淡水白点虫Ichthyophthitius multifiliisがいる。海水白点虫の生活史と淡水魚の白点病を引き起こす淡水白点虫の生活史とは類似しており、魚体内に寄生し宿主を死に至らしめるトロホント(成虫)、魚体から離脱し海水中に出てきたプロトモント、プロトモントが沈降して水底などに付着して活動を停止したトモント(シスト、耐性卵ともいう)、トモントから再び放出され、寄生する宿主となる魚を探しながら水中を浮遊するセロント(仔虫)のようなステージを繰り返す。トロホントは魚の表皮及び鰓の上皮組織に寄生し、宿主の組織から栄養摂取し目に見えるほどの大きさまでに成長する。 セロントは比較的薬物に弱く比較的容易に殺すことができ、寿命も短い。ホロント(寄生した仔虫)は魚の体表の真皮近くの表皮層にまで入り込み成虫(トロホント)となるので、これらを魚の体表の外側から薬物で駆除するのは困難である。シストも外殻に覆われており、薬物で駆除するのは困難である。したがって、白点虫の駆除のためには定期的に薬浴を繰り返し、体表の真皮層に入り込んでいないセロントやトロホントを駆除して白点虫の数を減らしていき、最終的には増殖サイクルを断ち切る。このような時間をかけて駆除する方法が採用されているが、魚の斃死被害をくいとめられない場合がある。 経口投与剤としては、マダイの白点病に対して塩化リゾチームが水産用医薬品として認可されている。また、ラクトフェリンも水産用添加剤として市販されている(特許文献1)。ラクトフェリンを40mg/kg魚体重/日の割合で経口投与すると、28日の実験期間中、感染はみられなかったのに対し、無添加飼料を与えた魚では大半が死亡したとする報告がある。塩化リゾチームやラクトフェリンの作用機序は宿主魚の非特異的生体防御能を高めるものと考えられており、その効果には限界がある(非特許文献1)。経口投与で直接寄生虫を駆除できる寄生虫薬が待望されている。 サルファ剤はスルファニルアミド基を有する抗菌剤として知られており、細菌の葉酸合成を阻害するメカニズムが知られている。また、サルファ剤と同様に葉酸に関連するメカニズムで抗菌作用を示す薬剤として、葉酸代謝拮抗剤として知られるトリメトプリム、オルメトプリムなどがある。メトトレキセート、アミノプテリンは葉酸の誘導体であり、それぞれ、抗がん剤、殺鼠剤として使用されている。 スルファジメトキシン、スルファモノメトキシン、スルファモノメトキシンとオルメトプリムの配合剤は抗菌・抗生物質というカテゴリーで水産用医薬品として認可されている。サルファ剤はもともと抗菌剤であるが、ヒトにおいてはマラリアに、また、動物用医薬品として、動物や鶏のコクシジウム病などに有効であることが知られている(特許文献2)。特開平9−301807号特公昭51−16346号小川和夫 (2004) :原虫症.魚介類の感染症・寄生虫病 (若林久嗣・室賀清邦 編),恒星社厚生閣,pp.285−320。Dickerson, H. W., Dawe, D. L. (1995) Ichthyophthirius multifiliis and Cryptocaryon irritans (Phylum Ciliophora). In: Woo, P. T. K. (Ed), Fish Diseases and Disorders. Protozoan and Metazoan Infection, vol.1, CAB International, UK, pp.181-227. 本発明は、魚類の寄生虫の駆除剤、特に白点虫の駆除剤を提供することを課題とする。 発明者らは、魚類の寄生虫駆除剤として有効な物質を得るために、広範な範囲の化合物について検討を重ねた。動物用の寄生虫薬として知られているものも数多く検討したが、寄生虫は寄生虫自体も多くの種類に分かれ、宿主もいろいろであるため、動物の抗寄生虫症薬は動物の寄生虫症に有効であっても魚類の寄生虫症に有効であるとは限らず、白点虫に有効なものはなかなか見つからなかった。その中で、葉酸代謝に関するメカニズムを有するものが、白点虫に有効であることを見出し、本発明を完成させた。 本発明は、以下の(1)〜(10)の寄生虫駆除剤を提供する。(1)葉酸合成阻害剤及び/又は葉酸活性化阻害剤を有効成分として含有する魚類の寄生虫駆除剤。(2)葉酸合成阻害剤及び葉酸活性化阻害剤の合剤である(1)の寄生虫駆除剤。(3)葉酸合成阻害剤がサルファ剤である(1)または(2)の寄生虫駆除剤。(4)サルファ剤が、スルファメトキサゾール、スルファモノメトキシン、スルファジメトキシン、スルファメラジン、スルフィソキサゾール、スルフィソミジン、スルファメチゾール、スルフィソゾール、及び、これらの薬学的に許容しうる塩のいずれかである(3)の寄生虫駆除剤。(5)葉酸活性化阻害剤が、ジヒドロ葉酸還元酵素阻害剤である(1)ないし(4)いずれかの魚類の寄生虫駆除剤。(6)葉酸活性阻害剤が、ピリメタミン、トリメトプリム、オルメトプリム、メトトレキサート、デノプテリン、プテロプテリン、アミノプテリン、エダトレキサート、ピリトレキシム、及び、これらの薬学的に許容しうる塩のいずれかである(1)ないし(4)いずれかの寄生虫駆除剤。(7)寄生虫が魚類原生動物亜界に属する寄生虫である(1)ないし(6)いずれかの魚類の寄生虫駆除剤。(8)寄生虫が魚類原生動物亜界繊毛虫門に属する寄生虫である(7)の魚類の寄生虫駆除剤。(9)寄生虫が白点虫である(8)の魚類の寄生虫駆除剤。(10)魚類がスズキ目、カレイ目、ニシン目、フグ目、コイ目、ウナギ目、ナマズ目の魚類である(1)ないし(9)いずれかの魚類の寄生虫駆除剤。 また、本発明は、以下の(11)〜(21)の魚類の寄生虫駆除方法を提供する。(11)魚類に葉酸合成阻害剤及び/又は葉酸活性化阻害剤を投与することを特徴とする魚類の寄生虫駆除方法。(12)葉酸合成阻害剤及び葉酸活性化阻害剤の合剤として投与することを特徴とする(11)の魚類の寄生虫駆除方法。(13)葉酸合成阻害剤がサルファ剤である(11)又は(12)の魚類の寄生虫駆除方法。(14)サルファ剤が、スルファメトキサゾール、スルファモノメトキシン、スルファジメトキシン、スルファメラジン、スルフィソキサゾール、スルフィソミジン、スルファメチゾール、スルフィソゾール、及び、これらの薬学的に許容しうる塩のいずれかである(13)の魚類の寄生虫駆除方法。(15)葉酸活性化阻害剤が、ジヒドロ葉酸還元酵素阻害剤である(11)ないし(14)いずれかの魚類の寄生虫駆除方法。(16)葉酸活性化阻害剤が、ピリメタミン、トリメトプリム、オルメトプリム、メトトレキサート、デノプテリン、プテロプテリン、アミノプテリン、エダトレキサート、ピリトレキシム、及び、これらの薬学的に許容しうる塩のいずれかである(11)ないし(14)いずれかの魚類の寄生虫駆除方法。(17)寄生虫が魚類原生動物亜界に属する寄生虫である(11)ないし(16)いずれかの魚類の寄生虫駆除剤。(18)寄生虫が魚類原生動物亜界繊毛虫門に属する寄生虫である(17)の魚類の寄生虫駆除方法。(19)寄生虫が白点虫である(18)の魚類の寄生虫駆除方法。(20)魚類がスズキ目、カレイ目、ニシン目、フグ目、コイ目、ウナギ目、ナマズ目の魚類である(11)ないし(19)いずれかの魚類の寄生虫駆除方法。(21)魚体重あたり、葉酸合成阻害剤及び/又は葉酸活性化阻害剤を1〜1000mg/kg経口投与することを特徴とする(11)ないし(20)いずれかの魚類の寄生虫駆除方法。 本発明の魚類寄生虫駆除剤により、魚類の寄生虫特に繊毛虫に属する寄生虫を駆除することができる。特に、養殖業界で問題となっている白点虫に有効である。本発明の白点虫駆除剤は経口投与、特に飼料に混合して給餌する方法で投与することができ、魚体に寄生している寄生虫に対しても成長阻害効果や殺虫効果を発揮する。図1は実施例1の結果を対照区の寄生数を1とした時の各区の寄生数で示した図である。図2は実施例2における、暴露3日後の各区マダイの鰓に寄生している白点虫の写真である。細長いのは鰓で、それに付着している黒い丸形〜楕円形に見えているのが白点虫である。図中、(a)は薬剤無添加飼料を給餌する対照区、(b)はスルファジメトキシン216mg/kg魚体重/日とトリメトプリム24mg/kg魚体重/日を3日間経口投与する区、(c)はスルファメトキサゾール429mg/kg魚体重/日とトリメトプリム86mg/kg魚体重/日を3日間経口投与する区をそれぞれ意味する。図3は実施例2の結果を暴露3日後の寄生虫長の比較で示した図である。図3において、*はP<0.01を意味する。図4は実施例3と4の各区寄生虫の成長率を示した図である。対象区を100としたときの白点虫の大きさを比較した。各区とも測定した白点虫数を60個体とした。図4において、一番左側の棒グラフ(control:対象区)は無投薬の場合の結果を表し、左から2番目〜8番目の棒グラフは各々の葉酸合成阻害剤(SDMX, SMXZ, SMMX, SMDN, SID, SMZ, および SIZ)を300mg/kg魚体重/日を3日間投与した場合の結果を表し、左から9番目〜12番目の棒グラフは各々の葉酸活性化阻害剤(MTX, PRY, TMP, および PMD)を60mg/kg魚体重/日を3日間投与した場合の結果を表し、一番右側の棒グラフ(SDMX+TMP)は葉酸合成阻害剤であるSDMXを216mg/kg魚体重/日と葉酸活性化阻害剤であるTMPを24mg/kg魚体重/日とを3日間投与した場合の結果を表す。全ての区で対象区と比較して有意差があった(P≦0.01)。図5は実施例5の試験概要を示した図である。図6において、(a)は実施例5の暴露3日目の対照区2の寄生数を示した図であり、(b)は実施例5の暴露5日目の各区の寄生数の比較を示した図である。図7は実施例5の各区の(a)シスト数と(b)シストサイズの比較を示した図である。(a)は暴露5日後、9日後の各区のシスト数を表す。(a)において、白い棒グラフ(□)は暴露5日後の結果を、黒い棒グラフ(■)は暴露9日後の結果をそれぞれ表す。(b)は暴露5日後の各区のシスト長を表す。(a)及び(b)において、*はP<0.01を意味する。図8は実施例5の各区の斃死数の比較を示した図である。図9において、(a)は実施例6の無投薬区の暴露3日後の対照区2の寄生数を示した図であり、(b)は実施例6の暴露5日後の各区のシスト長を示した図である。(a)及び(b)において、*はP<0.01を意味する。図10は実施例6の各区の斃死数の比較を示した図である。図11は実施例7の暴露3日後の対照区2の寄生数を示した図である。図12において、(a)は実施例7の各区の暴露5日後の平均寄生数を示した図であり、(b)は実施例7の各区の暴露5日後の平均寄生虫長を示した図である。(b)において、*はP<0.05を意味する。図13は実施例7の暴露後の各区の寄生数の推移を示した図である。図14は実施例7の各区の斃死数の比較を示した図である。図15において、(a)は実施例8の暴露3日後の各区トラフグの白点虫寄生数(平均寄生数)の比較を示した図であり、(b)は実施例8の暴露3日後の各区トラフグに寄生していた白点虫の寄生虫長(平均寄生虫長)の比較を示した図である。(b)において、*はP<0.01を意味する。図16において、(a)は実施例9の暴露3日後の各区ヒラメの白点虫寄生数(平均寄生数)の比較を示した図であり、(b)は実施例9の暴露3日後の各区ヒラメに寄生していた白点虫の寄生虫長(平均寄生虫長)の比較を示した図である。(a)において、*はP<0.05を意味し、**はP<0.01を意味する。(b)において、*はP<0.01を意味する。図17において、(a)は実施例10の暴露3日後の各区カンパチの白点虫寄生数(平均寄生数)の比較を示した図であり、(b)は実施例10の暴露3日後の各区カンパチに寄生していた白点虫の寄生虫長(平均寄生虫長)の比較を示した図である。(a)において、*はP<0.05を意味し、(b)において、*はP<0.01を意味する。図18において、(a)は実施例11の暴露3日後の各区マハタの白点虫寄生数(平均寄生数)の比較を示した図であり、(b)は実施例11の暴露3日後の各区マハタに寄生していた白点虫の寄生虫長(平均寄生虫長)の比較を示した図である。(a)において、*はP<0.05を意味する。(b)において、*はP<0.05を意味し、**はP<0.01を意味する。図19は実施例12の暴露3日目と7日目の各区寄生数の比較を示した図である。図20は実施例12の暴露9日目の供試魚(黒出目金)の淡水白点虫寄生状況を撮影した図である。(a)は対象区の感染9日目の状況を表す。供試魚の体表に無数の白点虫が見られる。(b)はAMMX+OMPの配合剤を投与した区の感染9日目の状況を表す。対象区と比較して白点虫はほとんど見られない。 本発明において魚類とは、海産魚、淡水魚のいずれの魚種を含む。実用上は寄生虫を駆除する必要が生じる養殖魚や観賞魚として取り扱われている魚種である。中でも特に産業上重要なのは、養殖魚であり、例えば、フグ目フグ科のトラフグ、スズキ目ハタ科のハタ、スズキ目シクリッド科のティラピア、ナマズ目ナマズ科あるいはコイ目ナマズ科のナマズなど、白点虫などの魚類寄生虫の寄生が知られている魚種、あるいは魚類寄生虫の寄生の可能性がある魚種において本発明の薬剤を予防的あるいは治療的に用いることができる。 本発明の対象となる魚種には、淡水および海水の中で生存している全ての年齢の養殖魚、水族館や商業の鑑賞魚が含まれる。特に白点虫等の寄生が知られている魚種としては、養殖魚では、スズキ目、カレイ目、ニシン目、フグ目、コイ目、ウナギ目、ナマズ目、ミズミギス目の魚類などであり、ブリ類、ハタ類、タイ類、ヒラメ類、サケ類、フグ類、コイ類、ウナギ類、ナマズ類の魚である。具体的には、カンパチ、ヒレナガカンパチ、ブリ(ハマチ)、ヒラマサ、マアジ、シマアジ、マサバ、スズキ、マダイ、イシダイ、イシガキダイ、ティラピア、スギ、キジハタ、クエ、マハタ、チャイロマルハタ、ヤイトハタ、サラサハタ、スジアラ、タマカイ、カサゴ、クロマグロ、ミナミマグロ、メバチマグロ、キハダマグロ、ビンナガマグロ、ヒラメ、マツカワ、ホシガレイ、ターボット、オヒョウ、ニジマス、大西洋サケ、ギンザケ、ベニザケ、アユ、トラフグ、カワハギ、キイロハギ、コイ、日本ウナギ、ヨーロッパウナギ、アメリカナマズ、サバヒー(Milkfish)などが例示される。 本発明において寄生虫とは、原虫である。魚類に寄生する原虫類は、鞭毛虫、繊毛虫、アピコンプレックス、微胞子虫の動物門に分類される。本発明は、この中で特に白点虫の属する繊毛虫に有効である。具体的には、繊毛虫に属する、白点虫(Ichthyophthirius multifiliis、Cryptocaryon irritans)、トリコジナ(Trichodina sp.)、キロドネラ(Chilodonella sp.)、キネトフラグミノフォーラ類のBrooklynella hostilis、スクーチカ(Uronema marinum、Philasterides dicentrarchi、Miamiensis avidus、Uronema nigricans、Uronema sp.)などが例示される。特に、海水白点虫、淡水白点虫に有効である。 発明者らは、葉酸合成阻害剤、葉酸活性化阻害剤など葉酸の機能を阻害するメカニズムを有する薬剤が魚類の寄生虫駆除作用を有することを見出した。それら薬剤は寄生虫を駆除するだけでなく、寄生虫の成長も阻害するものであった。これは白点虫が自ら葉酸を合成し、その生存、成長に葉酸を必須成分とする原虫であることを示している。葉酸合成阻害剤と葉酸活性化阻害剤の合剤を投与したところ、さらに明らかな成長阻害及び駆虫効果が認められた。ごく少数の本虫がシストになったが、その大きさは対照区と比べ、有意に小さいものであった。これらシストを12日間観察した結果、孵化の遅延やシストの発生異常が観察され、正常に成長しない状態にあった。したがって、葉酸の合成やその利用を妨げる作用を有する薬剤は魚類の寄生虫の駆除に有効である。 本発明における葉酸合成阻害剤とは、抗菌剤として知られている薬物群である。細菌はグアノシンを原料として数段階の反応を経て2−アミノ−4−ヒドロキシ−6−ヒドロキシメチルジヒドロプテリジンピロリン酸を生合成し、これにパラアミノ安息香酸(PABA)が付加してジヒドロプテリン酸(DHP)になる。この反応を触媒する酵素がDHPシンテターゼであるが、サルファ剤に代表される葉酸合成阻害剤はPABAの代謝拮抗剤として働き、DHPの合成を阻害する。その結果、細菌は葉酸を生合成できなくなる。テトラヒドロ葉酸(THF)はプリンやチミンなどの核酸塩基あるいはメチオニン、セリン、グリシンなどのアミノ酸の生合成に必須な補酵素であるため、その合成が阻害されると細菌の増殖は抑制される。一方、ヒトをはじめとする高等動物ではDHP合成経路はなく、外部から取り入れた葉酸を還元してTHFを合成するので、サルファ剤の作用を受けない。抗結核薬であるパラアミノサリチル酸や抗癩薬であるジアミノジフェニルスルホンも同様な機序で抗菌活性を示す。サルファ剤はスルファニルアミドを基本骨格としアミド基が各種の複素間によって置換された化合物群の総称である。サルファ剤としては数千種類におよぶ化合物が合成されているが、本発明に用いるサルファ剤としてはヒトや動物で効果や安全性が確認されたもの、特に魚類用抗菌剤として使用されているサルファ剤を用いるのが好ましい。そのようなサルファ剤としては、スルファメトキサゾール、スルファモノメトキシン、スルファジメトキシン、スルファメラジン、スルフィソキサゾール、スルフィソミジン、スルファメチゾール、スルフィソゾールが例示され、更にその他のサルファ剤としては、スルファジミジン(スルファメサジン)、スルファキノキサリン、スルファジアジン(スルファダイアジン)、スルファグアニシン、スルファセタミド、スルファメトキシピリダジン、スルファエトキシピリダジン、スルファクロルピラジン、スルファクロルピリダジン、サルファサラジン、スルファトロキサゾール、スルファチアゾール、スルファベンズアミド、スルファドキシン、スルファニトラン、スルファニルアミド、スルファピリジン、スルファブロモメタジン、スルファモイルダブソン、プララトレキセート(次世代葉酸拮抗剤)などが例示される。 本発明における、葉酸活性化阻害剤とは、葉酸合成阻害剤以外の葉酸の代謝に関与する、葉酸活性化阻害剤、葉酸拮抗剤、葉酸アナログなどと称される薬物である。葉酸活性化阻害剤の主なものとしては、ジヒドロ葉酸還元酵素阻害剤が知られている。ジヒドロ葉酸を活性型のテトラヒドロ葉酸に還元する酵素の阻害剤である。これらは葉酸合成阻害剤と組み合わせた合剤としても利用され、抗菌剤として相乗効果を示すことが知られている。また、葉酸拮抗剤、あるいは葉酸アナログなどとも呼ばれる葉酸と類似の構造を有し、やはり酵素阻害などにより、葉酸の活性化を阻害する薬物も知られている。これら葉酸活性化阻害剤としては、ピリメタミン、トリメトプリム、オルメトプリム、メトトレキサート、デノプテリン、プテロプテリン、アミノプテリン、エダトレキサート、ピリトレキシム、ジアベリジン、ペンタミジン、ペメトレキセド、トリメトレキセートなどが知られている。 本発明の寄生虫駆除剤は経口投与で効果を発現することができる。また、薬剤を溶解した液に魚を漬ける薬浴による投与や注射による投与も可能である。 本発明の寄生虫駆除剤の投与量については、経口投与の場合、1日当り魚体重1kgに対して有効成分である葉酸合成阻害剤、葉酸活性化阻害剤もしくは前記葉酸合成阻害剤と葉酸活性化阻害剤の合剤を1〜2000mg/kg、好ましくは1〜1000mg/kgの範囲で投与する。また、1回の投与期間は1〜15日間が適当である。閉鎖系である水槽であれば、完全に寄生虫をなくしてしまうことも可能であるが、外海と接触している生簀ではその環境によって、寄生虫の生存・残存状態がさまざまであるから、魚の健康状態、寄生虫の寄生状態を把握しながら、休薬期間と上記の投与を繰り返すのが好ましい。例えば、スルファモノメトキシンとオルメトプリムの合剤、あるいは、スルファジメトキシンとピリメタミンの合剤の場合、1日当り魚体重1kgに対して25〜500mgを3〜15日経口投与することにより、十分な効果が得られる。寄生虫のライフサイクルを考慮して、この投与を繰り返すのが好ましい。 また、飼育水に駆除剤を溶解し、これに魚体を浸漬し、直接接触させることもでき、その場合、有効成分の濃度が0.5〜500ppmとなるように溶解させた飼育水に、対象魚を10分間〜15日間入れて接触させる。注射の場合は、1回に0.1〜200mg/kg、好ましくは0.5〜100mg/kgを投与する。なお、この場合の投与期間は1〜15日間が適当である。 本発明の寄生虫駆除剤は、有効成分である前記化合物を単独で用いる他、必要に応じて他の物質、例えば担体、安定剤、溶媒、賦形剤、希釈剤などの補助的成分と組み合わせて用いることができる。葉酸合成阻害剤、葉酸活性化阻害剤は広くヒト、動物に用いられており、魚類にも抗菌剤として使用されている化合物であり、各種の製剤が知られている。本発明の目的に用いる場合もそれらに使用されている製剤を使用することができる。 また、形態も粉末、顆粒、錠剤、カプセルなど、通常これらの化合物に使用されている形態のいずれでもよい。化合物の味や臭いに敏感な魚の場合は、コーティングなどの方法により、飼料の嗜好性の低下を防止し、化合物が漏出しにくくすることができる。 魚類の場合、経口投与の薬剤は飼料に添加して用いるのが通常である。本発明の寄生虫駆除剤を飼料に添加する場合、それぞれの魚種用に必要とする栄養成分や物性が考慮された飼料を用いるのが好ましい。通常、魚粉、糟糠類、でんぷん、ミネラル、ビタミン、魚油などを混合してペレット状にしたもの、もしくは、イワシなどの冷凍魚と魚粉にビタミンなどを添加した粉末飼料(マッシュ)とを混合してペレット状にしたものなどが使用されている。魚の種類、サイズによって、1日の摂餌量はほぼ決まっているので、上記の用法用量となるよう換算した量の本寄生虫駆除剤を飼料に添加する。本寄生虫駆除は1日量を1回で投与しても、数回に分けて投与してもかまわない。 以下に本発明の実施例を記載するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。 本実施例で用いた薬剤は以下の製品である。・スルファモノメトキシン+オルメトプリム配合剤(Sulfamonomethoxine, Ormetoprim) 商品名「水産用エクテシン」、製造販売元 明治製菓株式会社、製造元 第一ファインケミカル株式会社・スルファモノメトキシン(Sulfamonomethoxine) 商品名「水産用ダイメトンソーダ」、製造販売元 明治製菓株式会社、製造元 第一ファインケミカル株式会社・スルフィソゾールナトリウム(Sulfisozole Na) 商品名「イスランソーダ」、販売元 シェリング・プラウ アニマルヘルス株式会社、製造販売元 セラケム株式会社・スルファメトキサゾール(Sulfamethoxazole)、スルファジメトキシン(Sulfadimethoxine)、スルフィソミジン標準品(Sulfisomidine)、ピリメタミン(Pyrimethamine)、トリメトプリム(Trimethoprim)、メトトレキサート(Methotrexate)、和光純薬株式会社製、試薬・オルメトプリム標準品(Ormetoprim)、関東化学株式会社製 試薬・イセチオン酸ペンタミジン塩(Pentamidine Isetionate Salt)、スルファメラジン(Sulfamerazine)、スルファメチゾール(Sulfamethizole)、シグマ アルドリッチ ジャパン株式会社製 試薬 実施例においてペレットに薬剤を添加と記載されている場合、薬剤を低糖化還元水飴(エスイー30、日研化成株式会社製)を含む水溶液に溶かし、ペレットの表面に展着させて用いた。<マダイの白点虫寄生に対する葉酸合成阻害剤および葉酸活性化阻害剤の経口投与による駆虫効果−1> 試験方法:平均魚体重約20gのマダイ70尾を200リットル水槽で約7日間飼育し、25℃の水温に馴致した。その間の給餌は市販飼料(日本水産株式会社製、2.5mm径の初期試料EP(エクスパンデット)ペレット)を与え、給餌率を魚体重の2%とした。注水は2.4リットル/分とした。寄生虫感染は、200リットル水槽を止水とし、白点虫孵化仔虫約20万個体を投入し、1時間寄生虫に魚を暴露させることで行った。暴露後、各10尾を100リットル水槽7基に収容した。飼育期間中の注水は1.2リットル/分とした。薬剤を含む試験飼料は3日間連続給餌とし、その給餌時期は、仔虫暴露後100リットル水槽に収容してから2時間後、暴露1日、2日後とした。試験飼料の給餌率は魚体重の2%とした。暴露させてから3日後に全ての魚をサンプリングし、左側の鰓に寄生している白点虫を数えた。また、同時に寄生虫の大きさを観察した。 試験区:ピリメタミン8mg/kg魚体重/日で3日間経口投与する区、トリメトプリム50mg/kg魚体重/日で3日間経口投与する区、スルファモノメトキシン300mg/kg魚体重/日で3日間経口投与する区、スルファメラジンナトリウム50mg/kg魚体重/日で3日間経口投与する区、スルファジメトキシン216mg/kg魚体重/日とトリメトプリム24mg/kg魚体重/日を3日間経口投与する区、スルファメトキサゾール429mg/kg魚体重/日とトリメトプリム86mg/kg魚体重/日を3日間経口投与する区、薬剤無添加飼料を給餌する対照区の計7区を設定した。各薬剤の所定量をモイスト飼料(魚粉、魚油、活性グルテン、グアガム、ビタミンミックス、ミネラルミックス、フィードオイル、大豆レシチンを、それぞれ80、3、2、4、3、6、2重量%の比率で混合し、本粉体に粉体重量の30%重量の水を加えよく混合してペレット状にしたもの)に添加して試験飼料とした。 効果の判定:寄生数の比較、寄生虫形態を観察することで行った。 寄生虫形態を観察した結果、全薬剤投与区でマダイの鰓に寄生している本虫の大きさは対照区と比べ小さいことが判明した。本虫長は対照区で約350μm、全薬剤投与区で100から250μmであった。本結果は葉酸合成阻害剤ならびに葉酸活性化阻害剤が共通して本虫の成長を阻害することを示している。従って、本虫は自ら葉酸を合成する寄生虫であり、それを阻害することで成長を抑制できることが明らかとなった。寄生数の結果を図1に示した。ピリメタミン投与区、トリメトプリム投与区、スルファジメトキシンとトリメトプリム投与区およびスルファメトキサゾールとトリメトプリム投与区において寄生数が多い傾向を示した。本結果は本虫の成長が極端に阻害されたため、本虫がシストになるための宿主からの離脱が遅れたためと考えられる。海水温25℃程度での白点虫の生活環は、まず約4日でシストから30μmほどの仔虫が孵化し、それが宿主の鰓や体表に寄生して約3日間宿主から栄養を取り350μm程に成長する。成長した本虫は宿主から離脱しシストになる。<マダイの白点虫寄生に対する葉酸合成阻害剤および葉酸活性化阻害剤の経口投与による駆虫効果−2> 試験方法:平均魚体重約39gのマダイ24尾を200リットル水槽で約7日間飼育し、25℃の水温に馴致した。その間の給餌は市販飼料(日本水産株式会社製、2.5mm径の初期試料EP(エクスパンデット)ペレット)を与え、給餌率を魚体重の2%とした。注水は2.4リットル/分とした。寄生虫感染は、200リットル水槽を止水とし、白点虫孵化仔虫約17万個体を投入し、1時間寄生虫に魚を暴露させることで行った。暴露後、各8尾を100リットル水槽3基に収容した。飼育期間中の注水は1.2リットル/分とした。薬剤を含む試験飼料は3日間連続給餌とし、その時期は、仔虫暴露後100リットル水槽に収容してから2時間後、暴露1日、2日後とした。試験飼料の給餌率は魚体重の2%とした。暴露させてから3日後に全ての魚をサンプリングし、鰓に寄生している白点虫長を測定した。 試験区:スルファジメトキシン216mg/kg魚体重/日とトリメトプリム24mg/kg魚体重/日を3日間経口投与する区、スルファメトキサゾール429mg/kg魚体重/日とトリメトプリム86mg/kg魚体重/日を3日間経口投与する区、薬剤無添加飼料を給餌する対照区の計3区を設定した。各薬剤の所定量をモイスト飼料に添加して試験飼料とした。 効果の判定:鰓に寄生している本虫の寄生虫長を比較することで行った。 結果を図2と図3に示した。スルファジメトキシンとトリメトプリム投与区およびスルファメトキサゾールとトリメトプリム投与区の寄生虫長は対照区の本虫長と比べ優位に小さく(P<0.01)、その成長が阻害されていた。従って、実施例1の結果が再現された。また、薬剤投与区の本虫の動きは対照区と比べ鈍く明らかに薬剤の影響を受けていた。<マダイの白点虫寄生に対する葉酸合成阻害剤および葉酸活性化阻害剤の経口投与による駆虫効果−3> 試験方法:平均魚体重約91gのマダイ56尾を500リットル水槽で約12日間飼育し、25℃の水温に馴致した。その間の給餌は市販飼料(日本水産株式会社製、2.5mm径の初期試料EP(エクスパンデット)ペレット)を与え、給餌率を魚体重の2%とした。注水は2.4リットル/分とした。寄生虫感染は、500リットル水槽を止水とし、白点虫孵化仔虫約50万個体を投入し、1時間寄生虫に魚を暴露させることで行った。暴露後、各7尾を100リットル水槽8基に収容した。飼育期間中の注水は1.4リットル/分とした。薬剤を含む試験飼料は3日間連続給餌とし、その給餌時期は、仔虫暴露後100リットル水槽に収容してから2時間後、暴露1日、2日後とした。試験飼料の給餌率は魚体重の2%とした。暴露させてから3日後に全ての魚をサンプリングし、鰓に寄生している白点虫長を測定した。 試験区:スルファメトキサゾール(SMXZ)300mg/kg魚体重/日、スルファジメトキシン(SDMX)300mg/kg魚体重/日、スルファモノメトキシン(SMMX)300mg/kg魚体重/日、スルファメラジン(SMDN)300mg/kg魚体重/日、スルフィソミジン(SID)300mg/kg魚体重/日、スルファメチゾール(SMZ)300mg/kg魚体重/日、スルフィソゾール(SIZ)300mg/kg魚体重/日をそれぞれ3日間経口投与する区、薬剤無添加飼料を給餌する対照区の計8区を設定した。各薬剤の所定量をモイスト飼料に添加して試験飼料とした。 効果の判定:鰓に寄生している本虫の寄生虫長を比較することで行った。 また、本結果は実施例4と合わせて後述した。<マダイの白点虫寄生に対する葉酸合成阻害剤および葉酸活性化阻害剤の経口投与による駆虫効果−4> 試験方法:平均魚体重約113.5gのマダイ42尾を500リットル水槽で約12日間飼育し、25℃の水温に馴致した。その間の給餌は市販飼料(日本水産株式会社製、2.5mm径の初期試料EP(エクスパンデット)ペレット)を与え、給餌率を魚体重の2%とした。注水は2.4リットル/分とした。寄生虫感染は、500リットル水槽を止水とし、白点虫孵化仔虫約50万個体を投入し、1時間寄生虫に魚を暴露させることで行った。暴露後、各7尾を100リットル水槽6基に収容した。飼育期間中の注水は1.4リットル/分とした。薬剤を含む試験飼料は3日間連続給餌とし、その給餌時期は、仔虫暴露後100リットル水槽に収容してから2時間後、暴露1日、2日後とした。試験飼料の給餌率は魚体重の2%とした。暴露させてから3日後に全ての魚をサンプリングし、鰓に寄生している白点虫長を測定した。 試験区:トリメトプリム(TMP)60mg/kg魚体重/日、メトトレキサート(MTX)60mg/kg魚体重/日、ピリメタミン(PRY)60mg/kg魚体重/日、イセチオン酸ペンタミジン塩(PMD)60mg/kg魚体重/日をそれぞれ3日間経口投与する区、スルファジメトキシン216mg/kg魚体重/日とトリメトプリム24mg/kg魚体重/日を混合して3日間経口投与する区、薬剤無添加飼料を給餌する対照区の計6区を設定した。各薬剤の所定量をモイスト飼料に添加して試験飼料とした。 効果の判定:鰓に寄生している本虫の寄生虫長を比較することで行った。 実施例3と4の結果を図4に示した。薬剤を投与した全ての区の寄生虫長は対照区の本虫長と比べ有意に小さく(P<0.01)、その成長が阻害されていた。さらに、全ての薬剤投与区において、本虫の動きは対照区と比べ鈍いことが観察された。これは、本虫が薬剤の影響を受けて生命を維持するための機能が低下していることを示している。先の実施例1の結果ならびに本実施例3、4の結果は、葉酸合成阻害剤ならびに葉酸活性化阻害剤が共通して本虫の成長を阻害する、白点虫の生命活動に悪影響を及ぼすことを示している。従って、本虫は自ら葉酸を合成する寄生虫であり、それを阻害することでその成長や寄生活動を抑制できることが明らかとなった。また、葉酸合成阻害剤または葉酸活性化阻害剤をそれぞれ単独で投与した区よりも、葉酸合成阻害剤(スルファジメトキシン)と葉酸活性化阻害剤(トリメトプリム)の配合剤を投与した区の方が本虫の成長をより阻害していた。従って、本虫の駆除には葉酸合成阻害剤や葉酸活性化阻害剤単独での投与よりも葉酸合成阻害剤と葉酸活性化阻害剤の配合剤を投与する方が高い駆虫効果が得られることが考えられた。<マダイの白点虫寄生に対する葉酸合成阻害剤および葉酸活性化阻害剤の経口投与による駆虫効果−5> 試験方法:平均魚体重約32gのマダイ62尾を200リットル水槽で約7日間飼育し、25℃の水温に馴致した。その間の給餌は市販飼料(日本水産株式会社製、2.5mm径の初期試料EP(エクスパンデット)ペレット)を与え、給餌率を魚体重の2%とした。注水は2.4リットル/分とした。寄生虫感染は、200リットル水槽を止水とし、白点虫孵化仔虫約20万個体を投入し、1時間寄生虫に魚を暴露させることで行った。暴露後、各15尾を100リットル水槽4基に収容した。予め、これら100リットル水槽には、各区のシスト形成状況を観察するためにスライドグラス6枚を投入した。また、暴露して3日後の本虫の感染状況を調べるために、残りの2尾を100リットル水槽1基に収容した。飼育期間中の注水は1.2リットル/分とした。試験概要を図5に示した。薬剤を含む試験飼料は暴露後から5日間連続給餌する区と15日間連続投与する区を設定し、試験飼料の給餌率は魚体重の2%とした。暴露させてから3日後に本虫の感染状況を調べる区の魚2尾をサンプリングし、左鰓に寄生している白点虫を数えた。暴露させてから5日後に各区3尾をサンプリングし、左鰓に寄生している白点虫を数えた。同時にシスト形成状況を知るために、投入しておいたスライドグラスを回収し、付着しているシストを数えた。これらシストが孵化するかを調べるために、海水を含む300mlビーカーにシストが付着しているスライドグラスを入れ、12日間観察した。継続してシストの形成状況を知るために、各区にスライドグラス6枚を再度投入した。暴露してから23日後まで継続して飼育した。飼育期間中の全ての斃死魚の左鰓に寄生している白点虫を数えた。また、いずれかの区で大量斃死が認められた場合、他の全区から各3尾をサンプリングし、左鰓に寄生している白点虫を数えた。また同時に、投入しておいたスライドグラスを回収しシストを数えた。継続して飼育する区にはシストの形成状況を知るためにスライドグラス6枚を再度投入した。 試験区:図5に示す各薬剤の所定量をモイスト飼料に添加して試験飼料とした。また、薬剤投与区において、薬剤投与期間終了後は対照区と同じ薬剤無添加飼料を給餌した。 効果の判定:寄生数、シスト形成数、シスト長、シストの孵化有無、斃死尾数を比較することで行った。 暴露3日後の感染確認区(対照区2)の左鰓の寄生数は約300個体であった(図6a)。この結果は、本試験で白点虫の感染が目的どおり成立していることを示している。図6bに暴露5日後の各区の本虫寄生数を示した。対照区の寄生数はほぼ0であった。図7aに暴露5日後と暴露9日後のシスト形成数の結果を示した。対照区のシスト形成数は他の区と比べ明らかに多く、本虫はシストになるために宿主鰓から離脱しシストになったと考えられた。試験区1の本虫寄生数は対照区同様に少ない結果となった。しかし、シスト形成数は対照区と比べ明らかに少ない結果となった(P<0.01)。このことは、試験区1の本虫はシストになる前に死滅したと考えられた。従って、スルファジメトキシン・トリメトプリム投与は明らかに駆虫効果を有することが明らかとなった。一方、試験区2、3の寄生数は明らかに多く、本虫の成長が阻害されたために宿主からの離脱が遅れたものと推測された。対照区1以外の区でも少数であるが(P<0.01)シスト形成が認められた。薬剤投与区のシスト長は対照区と比べ明らかに小さく影響を受けていた(図7b)。また、これらシストの孵化率を12日間観察することで調べたところ、対照区が100%、試験1が95.8%、試験2が35%、試験3が45.2%であった。孵化までの日数は、対照区1が3日、試験区1が8日から10日、試験区2、3が10日から12日であった。従って、これら薬剤が本虫シスト形成後もシストの正常な発生を阻害していることが明らかとなった。 対照区において暴露9日後に供試魚全てが斃死した(図8)。左鰓の本虫寄生数を調べたところ、1000個体以上の白点虫が寄生していた。これはシストから孵化した仔虫が再感染したものと考えられた。暴露9日後の試験区1、2および3から各3尾をサンプリングし、左鰓の寄生数を調べたところ全ての個体で本虫の寄生が認められなかった。これはシスト数が少なく且つシストの正常な発生が阻害され、新たな仔虫が孵化していないためと考えられた。図7bに暴露9日後のシスト形成数の結果を示した。試験区2、3においてシスト数はほぼ0であった。試験区2、3においては暴露5日後に鰓に多くの本虫寄生が観察されたが暴露9日後に鰓の本虫寄生は認められなかった、暴露9日後にシスト形成数はほぼ0であった、などから寄生していた本虫は5日から9日の間に死滅したと考えられた。従って、スルファメトキサゾール・トリメトプリム投与は駆虫効果を有することが判明した。 その後、試験区1から3を継続して試験開始から30日間飼育した。飼育期間中、試験区1で3尾、試験区2で1尾、試験区3で1尾の斃死が発生した。斃死魚の鰓を観察したところ、白点虫は観察されなかった。全ての斃死魚は両目を失っており、斃死原因は共食いであると判断された。飼育終了時に全ての魚をサンプリングし鰓を観察したが、全区(試験区1から3)において白点虫の寄生は認められなかった。同時にスライドグラスを回収しシスト有無を調べたが、シストは観察されなかった。従って、試験区1から3の生残魚は白点虫感染から完全に治癒したものと考えられた。 以上の結果から、葉酸合成阻害剤、葉酸活性阻害剤は、本虫の成長を阻害するだけでなく、本虫に対する駆虫効果、そしてシスト形成後も持続的に作用しシストの正常な発生を阻害する効果を有することが明らかになった。<マダイの白点虫寄生に対する葉酸合成阻害剤および葉酸活性化阻害剤からなる配合剤の経口投与による駆虫効果> 試験方法:平均魚体重約62gのマダイ103尾を500リットル水槽で約13日間飼育し、25℃の水温に馴致した。その間の給餌は市販飼料(日本水産株式会社製、2.5mm径の初期試料EP(エクスパンデット)ペレット)を与え、給餌率を魚体重の2%とした。注水は2.4リットル/分とした。寄生虫感染は、500リットル水槽を止水とし、白点虫孵化仔虫約60万個体を投入し、1時間寄生虫に魚を暴露させることで行った。暴露後、各20尾を100リットル水槽5基に収容した。また、暴露して3日後の本虫の感染状況を調べるために、残りの3尾を100リットル水槽1基に収容した。飼育期間中の注水は1.2リットル/分とした。薬剤を含む試験飼料は5日間連続給餌とし、その給餌時期は、仔虫暴露後100リットル水槽に収容してから2時間後、暴露1日、2日、3日、4日後とした。試験飼料の給餌率は魚体重の2%とした。暴露させてから3日後に本虫の感染状況を調べる区の魚3尾をサンプリングし、左鰓に寄生している白点虫を数えた。暴露させてから5日後に各区の供試魚4尾をサンプリングし、左鰓に寄生している白点虫を数えた。また、同時に寄生虫の大きさを観察した。 暴露してから27日後まで継続して飼育した。飼育期間中の全ての斃死魚の左鰓に寄生している白点虫を数えた。また、いずれかの区で本虫が原因と考えられる大量斃死が起きた場合、他の全区から各3尾をサンプリングし、左鰓に寄生している白点虫を数えた。 試験区:スルファメトキサゾール125mg/kg魚体重/日とトリメトプリム25mg/kg魚体重/日を混合し5日間経口投与する区、スルファモノメトキシン112.5mg/kg魚体重/日とオルメトプリム37.5mg/kg魚体重/日を混合し5日間経口投与する区、スルファジメトキシン135mg/kg魚体重/日とトリメトプリム15mg/kg魚体重/日を混合し5日間経口投与する区、スルファジメトキシン136.4mg/kg魚体重/日とピリメタミン13.6mg/kg魚体重/日を混合し5日間経口投与する区、薬剤無添加飼料を給餌する無投薬区の計5区を設定した。配合剤投与区の薬剤投与量は、配合剤として150mg/kg魚体重/日となるよう設定している。各薬剤の所定量をモイスト飼料に添加して試験飼料とした。 効果の判定:寄生数、寄生虫形態、シスト形態、斃死尾数を比較することで行った。 暴露3日後の感染確認区(無投薬区)のマダイ3尾の左鰓の平均寄生数は1尾あたり155個体であった(図9a)。この結果は、本試験で白点虫の感染が目的どおり成立していることを示している。また、鰓に寄生していた本虫60個体の平均寄生虫長は約204μmであった。暴露3日後に無投薬区のマダイ1尾が斃死した。左鰓の本虫寄生数は180個体であり、斃死するほどの寄生数ではなかった。斃死魚は左目を失っており、斃死原因は共食いであると判断された。 暴露5日後の各区の本虫寄生数は、無投薬区が0個体、試験区1が3個体、試験区2が1個体、試験区3が0個体、試験区4が2個体であった。このことから全ての区において、本虫がシストになるために宿主鰓から離脱したことが考えられた。 暴露5日目後の宿主から離脱した各区30個体のシスト長の比較結果を図9bに示した。無投薬区の平均シスト径は約320μmであった。試験区1の平均シスト径は約215μm、試験区2の平均シスト長は約206μm、試験区3の平均シスト長は約226μm、試験区4の平均シスト長は約213μmであった。全ての薬剤投与区でシスト長は対照区と比べ有意に小さく、本虫はシストになれたものの薬剤の影響を受け成長が阻害されていた。 暴露7日後に無投薬区、試験区2および試験区4でマダイ各1尾が斃死した。左鰓の本虫寄生数は無投薬区の斃死魚が8個体、試験区2および試験区4の斃死魚は0個体であった。全ての斃死魚は両目を失っており、斃死原因は共食いであると判断された。 無投薬区において暴露9日後に供試魚が斃死し始めた(図10)。暴露9日後に死亡した供試魚の左鰓の本虫寄生数を調べたところ、1000個体以上の白点虫が寄生していた。これはシストから孵化した仔虫が再感染したものと考えられた。暴露9日後の試験区1、2、3および4から各3尾をサンプリングし、左鰓の寄生数を調べたところ、全ての個体で本虫の寄生数は0であった。無投薬区の供試魚は暴露10日後に全滅した。その後、試験区1から4を継続して試験開始から27日間飼育した。 暴露13日後に試験区1と試験区3でマダイ各1尾が斃死した。左鰓の本虫寄生数は試験区1の斃死魚が6個体、試験区3の斃死魚が23個体であった。斃死魚は両目を失っており、斃死原因は共食いであると判断された。 暴露15日後に試験区1から4の供試魚を各3尾サンプリングし、左鰓の本虫寄生数を調べたところ、試験区1が平均5個体、試験区2が平均1個体、試験区3が平均6.3個体、試験区4が3.7個体であった。 暴露21日後に試験区1のマダイ1尾が斃死した。左鰓の本虫寄生数は54個体であった。斃死魚は両目を失っており、斃死原因は共食いであると判断された。同日、試験区3のマダイ4尾が斃死した。4尾のうち、両目を失っているものが2尾、左目を失っているものが1尾、白点虫症の症状である目の白濁と体表の発赤が観察されたものが1尾であった。斃死魚の左鰓の本虫寄生数は平均788個体であった。白点虫感染の症状が観察された1尾は白点虫症により斃死したものと推察された。 暴露22日後に試験区1、試験区2、試験区4から各3尾、試験区3から1尾をサンプリングし、左鰓の本虫寄生数を調べたところ、試験区1は平均9.3個体、試験区2は平均9個体、試験区3は294個体、試験区4は平均2.7個体であった。その後、暴露24日後に試験区3が3尾斃死し、翌25日後に試験区1、試験区3、試験区4が全滅した。いずれも左鰓には1000個体以上の本虫寄生が確認された。暴露27日後に試験区2の生残魚6尾を全てサンプリングし、試験を終了した。取り上げた供試魚の左鰓には平均1000個体以上の本虫が寄生していた。 これらの結果から、試験した全ての配合剤は抗白点虫作用を有することが明らかとなった。その中でも試験区2のスルファモノメトキシンとオルメトプリム配合区の効果が最も高いことが考えられた。このことは使用した薬剤の組み合わせと、葉酸合成阻害剤と葉酸活性化阻害剤の配合量の違いによるものと推測された。本試験における葉酸合成阻害剤と葉酸活性化阻害剤の配合比は試験区1が5対1、試験区2が3対1、試験区3が9対1、試験区4が10対1であった。従って、葉酸活性化阻害剤の配合割合が多い方が、より本虫に対する効果が高くなるものと推察された。<葉酸合成阻害剤と葉酸活性化阻害剤からなる配合剤の異なる投与量におけるマダイの白点虫寄生に対する駆虫効果> 試験方法:平均魚体重38gのマダイ104尾を500リットル水槽で19日間飼育し、24.9℃の水温に馴致した。その間は市販飼料(日本水産株式会社製、2.5mm径の初期試料EP(エクスパンデット)ペレット)を与え、給餌率を魚体重の2.5%とした。寄生虫感染は、500リットル水槽を止水とし、白点虫孵化仔虫約60万個体を投入し、1時間寄生虫に供試魚を暴露させることで行なった。暴露後、各20尾を100リットル水槽5基に収容した。また、暴露して3日後の本虫の感染状況を調べるために、残りの4尾を100リットル水槽1基に収容した。注水は1.4リットル/分とした。薬剤を含む試験飼料は5日間連続給餌とし、その給餌時期は、仔虫暴露後100リットル水槽に収容してから2時間後、暴露1日後、暴露2日後、暴露3日後、暴露4日後とした。試験飼料の給餌率は魚体重の2%とした。暴露させてから3日後に本虫の感染状況を調べる区の魚4尾をサンプリングし、左鰓に寄生している白点虫を数えた。暴露させてから5日後に各区5尾をサンプリングし、左鰓に寄生している白点虫を数えた。また、同時に寄生虫の大きさを観察した。 暴露してから29日後まで継続して飼育した。飼育期間中の全ての斃死魚の左鰓に寄生している白点虫を数えた。また、いずれかの区で本虫が原因と考えられる大量斃死が起きた場合、他の全区から各3尾をサンプリングし、左鰓に寄生している白点虫を数えた。 試験区:試験区1(スルファモノメトキシン37.5mg/kg魚体重/日とオルメトプリム12.5mg/kg魚体重/日を混合し5日間経口投与する区(合剤として50mg/kg魚体重/日))、試験区2(スルファモノメトキシン75mg/kg魚体重/日とオルメトプリム25mg/kg魚体重/日を混合し5日間経口投与する区(合剤として100mg/kg魚体重/日))、試験区3(スルファモノメトキシン187.5mg/kg魚体重/日とオルメトプリム62.5mg/kg魚体重/日を混合し5日間経口投与する区(合剤として250mg/kg魚体重/日))、試験区4(スルファモノメトキシン375mg/kg魚体重/日とオルメトプリム125mg/kg魚体重/日を混合し5日間経口投与する区(合剤として500mg/kg魚体重/日))、薬剤無添加飼料を給餌する対照区の計5区を設定した。各薬剤の所定量をモイスト飼料に添加して試験飼料とした。 効果の判定:寄生数、寄生虫形態、シスト形態、斃死尾数を比較することで行った。 暴露3日後の感染確認区(対照区2)のマダイ4尾の左鰓の平均寄生数は1尾あたり420個体であった(図11)。この結果は、本試験で白点虫の感染が目的どおり成立していることを示している。 試験飼料投与時に魚の摂餌状況を観察した。対照区および試験区1から試験区3は試験試料を全て摂餌したが、試験区4(合剤として500mg/kg魚体重/日)のみ摂餌後に吐き出す個体が散見された。このことは、合剤として500mg/kg魚体重/日と投与量が比較的多い場合、飼料への本剤添加はマダイの摂餌に悪影響を及ぼす可能性があることを示唆している。暴露5日後の各区5尾の左鰓に寄生していた白点虫数の平均は、対照区が約0.3個体、試験区1が約40.3個体、試験区2が約157.8個体、試験区3が約140.3個体、試験区4が約184個体であった(図12a)。このときの試験区1から試験区4の寄生虫長を図12bに示した。また、各水槽底に予め敷いてあったスライドガラスに付着したシストの径(シスト長)を各区30個体ずつ比較したところ、対照区が約320μm、試験区1が約215μm、試験区2が206μm、試験区3が226μm、試験区4が213μmであった。これらの結果は、比較的少ない投与量である50mg/kg魚体重/日から比較的多い投与量である500mg/kg魚体重/日いずれにおいても、本虫の成長を阻害する効果、シストになるための宿主からの離脱を阻害する効果などを有することを示している。 図13に暴露後の各区マダイの左鰓に寄生した白点虫数の推移を示した。また、図14に試験期間中の死亡推移を示した。対照区において暴露9日目に供試魚が大量斃死し、翌10日目に全て斃死した。左鰓の本虫寄生数を調べたところ、いずれも1000個体以上の白点虫が寄生していた。これは実施例5と同様にシストから孵化した仔虫が再感染したものと考えられた。暴露9日目の試験区1、2、3および4から各4尾をサンプリングし、左鰓の寄生数を調べたところ全ての個体で本虫の寄生数は0であった。これはシスト数が少ないため、シストの正常な発生が阻害されているため、シストの正常な発生が阻害され仔虫の孵化が遅延されているため、などに起因するものと考えられた。 試験区3で暴露12日目に1尾の斃死が発生した。斃死魚の鰓を観察したところ、白点虫は観察されなかった。斃死魚は両眼を失っており、斃死原因は共食いであると判断された。試験区1において暴露18日目に供試魚が全て斃死した。斃死魚の左鰓の本虫の寄生数を調べたところいずれも1000個体以上の白点虫が寄生していた。試験区2、3および4の供試魚3尾をサンプリングし、左鰓の本虫寄生数を調べたところ試験区2が1尾あたり平均約74個体、試験区3が約4個体、試験区4が約1個体であった。その後、試験区1から4を継続して試験開始から29日間飼育した。 暴露21日目に試験区2の供試魚が1尾斃死し、翌22日目に全て斃死した。死亡した供試魚の左鰓の本虫寄生数は1尾あたり約1000個体であった。 その後、暴露29日目まで継続して飼育した。暴露29日目に生残していた試験区3および試験区4の供試魚を全て取り上げ、左鰓の本虫寄生数を数えたところ試験区3および試験区4ともに一尾あたり平均1000個体以上の白点虫が観察された。対照区が全滅した日から試験区1(合剤50mg/kg魚体重/日)では全滅を8日間、試験区2(合剤100mg/kg魚体重/日)では12日間、試験区3および試験区4では19日間以上遅らせた。これらの結果は、本薬剤の投与量に依存して本虫に対する駆虫効果が高くなることを示している。<葉酸合成阻害剤と葉酸活性化阻害剤からなる配合剤のトラフグの白点虫寄生に対する駆虫効果> 試験方法:平均魚体重約183gのトラフグ15尾を200リットル水槽で約20日間飼育し、25℃の水温に馴致した。その間の給餌は市販飼料(日本水産株式会社製、3mm径のトラフグ用EP(エクスパンデット)ペレット)を与え、給餌率を魚体重の2%とした。寄生虫感染は、200リットル水槽を止水とし、白点虫孵化仔虫約20万個体を投入し、1時間寄生虫に魚を暴露させることで行った。暴露後、各5尾を100リットル水槽3基に収容した。注水は1.4リットル/分とした。薬剤を含む試験飼料は3日間連続給餌とし、その給餌時期は、仔虫暴露後100リットル水槽に収容してから2時間後、暴露1日、2日後とした。試験飼料の給餌率は魚体重の2%とした。暴露させてから3日後に全ての魚をサンプリングし、左鰓に寄生している白点虫数を調べた。また、同時に寄生虫の大きさを観察し測定した。 試験区:スルファモノメトキシン112.5mg/kg魚体重/日とオルメトプリム37.5mg/kg魚体重/日を配合して3日間経口投与する区(SMMX+OMP区)、スルファジメトキシン136.4mg/kg魚体重/日とピリメタミン13.6mg/kg魚体重/日を配合して3日間経口投与する区(SDMX+PRY区)、薬剤無添加飼料を給餌する対照区(Control区)の計3区を設定した。各薬剤の所定量を市販EP飼料に添加して試験飼料とした。なお、餌に薬剤を均一に添加させるため、餌の量の5%量の水と5%量のデンプンを薬剤に加え混ぜ合わせたものを餌に添加した。 効果の判定:寄生数の比較、寄生虫形態を観察することで行った。 寄生数を比較した結果、無投薬である対照区と比較して、いずれの薬剤投与区においても寄生数が多い傾向を示した(図15a)。平均寄生数は片鰓あたり対照区が約405個体、スルファモノメトキシンとオルメトプリム配合投与区が約544個体、スルファジメトキシンとピリメタミン配合投与区が約558個体であり、両薬剤は本虫がシストになるための宿主からの離脱を阻止していた。 また、寄生虫形態を観察した結果、全薬剤投与区でトラフグの鰓に寄生している本虫の大きさは対照区と比べ有意に小さいことが判明した(図15b)。本虫長は対照区で約252μm、スルファモノメトキシンとオルメトプリム配合投与区で約164μm、スルファジメトキシンとピリメタミン配合投与区で約197μmであり、いずれの薬剤投与区においても本虫の成長が阻害されていた。 本結果から、葉酸合成阻害剤と葉酸活性化阻害剤の配合剤は、トラフグの白点虫症に対しても、マダイの白点虫症同様に抗白点虫作用を発揮することが明らかとなった。<葉酸合成阻害剤と葉酸活性化阻害剤からなる配合剤のヒラメの白点虫寄生に対する駆虫効果> 試験方法:平均魚体重約47gのヒラメ21尾を200リットル水槽で約8日間飼育し、25℃の水温に馴致した。その間の給餌は市販飼料(日本水産株式会社製、2.5mm径の初期試料EP(エクスパンデット)ペレット)を与え、給餌率を魚体重の2%とした。注水は2.2リットル/分とした。寄生虫感染は、200リットル水槽を止水とし、白点虫孵化仔虫約20万個体を投入し、1時間寄生虫に魚を暴露させることで行った。暴露後、各7尾を100リットル水槽3基に収容した。薬剤を含む試験飼料は3日間連続給餌とし、その給餌時期は、仔虫暴露後100リットル水槽に収容してから2時間後、暴露1日、2日後とした。試験飼料の給餌率は魚体重の2%とした。暴露させてから3日後に全ての魚をサンプリングし、左鰓に寄生している白点虫を数えた。また、同時に寄生虫の大きさを観察した。 試験区:スルファモノメトキシン112.5mg/kg魚体重/日とオルメトプリム37.5mg/kg魚体重/日を配合して3日間経口投与する区(SMMX+OMP区)、スルファジメトキシン136.4mg/kg魚体重/日とピリメタミン13.6mg/kg魚体重/日を配合して3日間経口投与する区(SDMX+PRY区)、薬剤無添加飼料を給餌する対照区(Control区)の計3区を設定した。各薬剤の所定量を市販EP飼料に添加して試験飼料とした。なお、餌に薬剤を均一に添加させるため、餌の量の5%量の水と5%量のデンプンを薬剤に加え混ぜ合わせたものを餌に添加した。 効果の判定:寄生数の比較、寄生虫形態を観察することで行った。 寄生数を比較した結果、対照区と比較して、いずれの薬剤投与区においても寄生数が多い傾向を示した(図16a)。両薬剤は本虫がシストになるための宿主からの離脱を阻止していた。 また、寄生虫形態を観察した結果、全薬剤投与区でヒラメの鰓に寄生している本虫の大きさは対照区と比べ有意に小さいことが判明した(図16b)。 本結果から、葉酸合成阻害剤と葉酸活性化阻害剤の配合剤は、ヒラメの白点虫症に対しても、マダイの白点虫症同様に抗白点虫作用を発揮することが明らかとなった。<葉酸合成阻害剤と葉酸活性化阻害剤からなる配合剤のカンパチの白点虫寄生に対する駆虫効果> 試験方法:平均魚体重約26gのカンパチ24尾を200リットル水槽で約7日間飼育し、25℃の水温に馴致した。その間の給餌は市販飼料(日本水産株式会社製、2.5mm径の初期試料EP(エクスパンデット)ペレット)を与え、給餌率を魚体重の2%とした。寄生虫感染は、200リットル水槽を止水とし、白点虫孵化仔虫約20万個体を投入し、1時間寄生虫に魚を暴露させることで行った。暴露後、各8尾を100リットル水槽3基に収容した。注水は1.4リットル/分とした。薬剤を含む試験飼料は3日間連続給餌とし、その給餌時期は、仔虫暴露後100リットル水槽に収容してから2時間後、暴露1日、2日後とした。試験飼料の給餌率は魚体重の2%とした。暴露させてから3日後に全ての魚をサンプリングし、左鰓に寄生している白点虫を数えた。また、同時に寄生虫の大きさを観察した。 試験区:スルファモノメトキシン112.5mg/kg魚体重/日とオルメトプリム37.5mg/kg魚体重/日を配合して3日間経口投与する区(SMMX+OMP区)、スルファジメトキシン136.4mg/kg魚体重/日とピリメタミン13.6mg/kg魚体重/日を配合して3日間経口投与する区(SDMX+PRY区)、薬剤無添加飼料を給餌する対照区(Control区)の計3区を設定した。各薬剤の所定量を市販飼料(日本水産株式会社製、2.5mm径の初期試料EP(エクスパンデット)ペレット)に添加して試験飼料とした。なお、餌に薬剤を均一に添加させるため、餌の量の5%量の水と5%量のデンプンを薬剤に加え混ぜ合わせたものを餌に添加した。 効果の判定:寄生数の比較、寄生虫形態を観察することで行った。 寄生数を比較した結果、対照区と比較して、いずれの薬剤投与区においても寄生数が多い傾向を示した(図17a)。両薬剤は本虫がシストになるための宿主からの離脱を阻止していた。 また、寄生虫形態を観察した結果、全薬剤投与区でカンパチの鰓に寄生している本虫の大きさは対照区と比べ有意に小さいことが判明した(図17b)。 本結果から、葉酸合成阻害剤と葉酸活性化阻害剤の配合剤は、カンパチの白点虫症に対しても、マダイの白点虫症同様に抗白点虫作用を発揮することが明らかとなった。<葉酸合成阻害剤と葉酸活性化阻害剤からなる配合剤のマハタの白点虫寄生に対する駆虫効果> 試験方法:25℃の水温に馴致した平均魚体重約14gのマハタ21尾を100リットル水槽で約1日間飼育し、試験に使用した。その間の給餌は市販飼料(日本水産株式会社製、2mm径の初期試料EP(エクスパンデット)ペレット)を与え、給餌率を魚体重の3%とした。寄生虫感染は、100リットル水槽を止水とし、白点虫孵化仔虫約10万個体を投入し、1時間寄生虫に魚を暴露させることで行った。暴露後、各7尾を100リットル水槽3基に収容した。注水は1.4リットル/分とした。薬剤を含む試験飼料は3日間連続給餌とし、その給餌時期は、仔虫暴露後100リットル水槽に収容してから2時間後、暴露1日、2日後とした。試験飼料の給餌率は魚体重の2%とした。暴露させてから3日後に全ての魚をサンプリングし、左側の鰓に寄生している白点虫を数えた。また、同時に寄生虫の大きさを観察した。 試験区:スルファモノメトキシン112.5mg/kg魚体重/日とオルメトプリム37.5mg/kg魚体重/日を配合して3日間経口投与する区(SMMX+OMP区)、スルファジメトキシン136.4mg/kg魚体重/日とピリメタミン13.6mg/kg魚体重/日を配合して3日間経口投与する区(SDMX+PRY区)、薬剤無添加飼料を給餌する対照区(Control区)の計3区を設定した。各薬剤の所定量を市販EP飼料に添加して試験飼料とした。なお、餌に薬剤を均一に添加させるため、餌の量の5%量の水と5%量のデンプンを薬剤に加え混ぜ合わせたものを餌に添加した。 効果の判定:寄生数の比較、寄生虫形態を観察することで行った。 寄生数を比較した結果、対照区と比較して、いずれの薬剤投与区においても寄生数が多い傾向を示した(図18a)。両薬剤は本虫がシストになるための宿主からの離脱を阻止していた。 また、寄生虫形態を観察した結果、全薬剤投与区でマハタの鰓に寄生している本虫の大きさは対照区と比べ有意に小さいことが判明した(図18b)。 本結果から、葉酸合成阻害剤と葉酸活性化阻害剤の配合剤は、マハタの白点虫症に対しても、マダイの白点虫症同様に抗白点虫作用を発揮することが明らかとなった。 以上の結果から、葉酸合成阻害剤ならびに葉酸活性化阻害剤は共通して本虫の成長を阻害し、さらにシストの発生をも阻害することが判明した。従って、本虫は自ら葉酸を合成する寄生虫であり、それを阻害することでその成長や寄生活動を抑制できることが明らかとなった。また、葉酸合成阻害剤または葉酸活性化阻害剤をそれぞれ単独で宿主魚に投与することにより明らかな抗白点虫作用を得られるが、葉酸合成阻害剤と葉酸活性化阻害剤の配合剤を投与する方が高い駆虫効果が得られることも判明した。葉酸合成阻害剤と葉酸活性化阻害剤の配合剤は、試験した全ての魚種、すなわちスズキ目魚類であるマダイ・カンパチ・マハタ、フグ目魚類であるトラフグ、カレイ目魚類であるヒラメにおいて抗白点虫作用を発揮した。従って、葉酸合成阻害剤、葉酸活性化阻害剤ならびにその配合剤は、さまざまな魚種で発生する海産白点虫症に対して抗白点虫作用を発揮することが考えられた。 <葉酸合成阻害剤と葉酸活性化阻害剤からなる配合剤の淡水白点虫寄生に対する駆虫効果> 試験方法:21℃の水温に馴致した平均魚体重約3.6gの黒出目金18尾を25L水槽1基で3日間飼育した後、淡水白点虫に感染しているレッドグラミーと2日間混養し淡水白点虫に感染させ、新たにセットした25L水槽2基に黒出目金のみをそれぞれ8尾収容し試験に使用した。残った2尾の黒出目金は感染成立を確認するため、寄生数を調べた。その時の1尾あたりの体表寄生数は平均66個体であった。 感染初日より、対照区は市販飼料(日本水産株式会社製、2mm径の初期試料EP(エクスパンデット)ペレット)に水を添加したもの、試験区は薬剤を含む試験飼料を毎日与えた。給餌量は総魚体重の0.7%とした。 試験区は、スルファモノメトキシン112.5mg/kg魚体重/日とオルメトプリム37.5mg/kg魚体重/日(合剤として150mg/kg魚体重/日)を配合し、毎日投与した。 効果の判定は試験開始3日目と7日目に各区全試験魚の体表に寄生している本虫の数を目視でカウントした。また、試験期間中に死亡魚が出た場合は、体表に寄生している本虫の数をカウントした。 3日目の本虫寄生数は対照区が平均2.9個体、試験区が平均0.9個体であり、7日目の本虫寄生数は対照区が平均50.8個体、試験区が平均0.1個体であった(図19)。 試験開始9日目の対照区と試験区の供試魚を図20に示した。この時点で対照区の供試魚には無数の淡水白点虫の寄生が目視で観察された。一方、試験区の供試魚には寄生が僅かに認められただけであった。 試験開始11日目に対照区の供試魚が全滅した。斃死魚の体表、鰭を調べたところ2000個体以上の本虫が観察され、本虫は明らかに増殖していた。同日に試験区の供試魚全てを取り上げ体表、鰭を調べたが、本虫の寄生は認められなかった。これらの結果から、葉酸合成阻害剤と葉酸活性化阻害剤の配合剤は、淡水白点虫に対して駆虫効果を有することが判明した。従って、淡水白点虫も海産白点虫同様に自ら葉酸を合成する寄生虫であり、それを阻害することでその成長や寄生活動を抑制できることが明らかとなった。 海産白点虫の場合、葉酸合成阻害剤と葉酸活性化阻害剤の配合剤は、試験した全ての魚種、で抗白点虫作用を発揮した。従って、葉酸合成阻害剤、葉酸活性化阻害剤ならびにその配合剤は、さまざまな魚種で発生する淡水白点虫症に対して抗白点虫作用を発揮することが考えられた。 本発明の寄生虫駆除剤は経口投与により魚類寄生虫の駆除効果を発現し、これまで効果的な薬剤がなかった白点虫などの寄生虫に対しても効果を発揮する。養殖魚、観賞用魚などの寄生虫症の予防・治療に使用することができる。 葉酸合成阻害剤又は葉酸活性化阻害剤を有効成分として含有する魚類の寄生虫駆除剤。 葉酸合成阻害剤を含有し、葉酸合成阻害剤がサルファ剤である請求項1の魚類の寄生虫駆除剤。 サルファ剤が、スルファメトキサゾール、スルファモノメトキシン、スルファジメトキシン、スルファメラジン、スルフィソキサゾール、スルフィソミジン、スルファメチゾール、スルフィソゾール、及び、これらの薬学的に許容しうる塩のいずれかである請求項2の魚類の寄生虫駆除剤。 葉酸活性化阻害剤を含有し、葉酸活性化阻害剤が、ジヒドロ葉酸還元酵素阻害剤である請求項1ないし3いずれかの魚類の寄生虫駆除剤。 葉酸活性化阻害剤を含有し、葉酸活性化阻害剤が、ピリメタミン、トリメトプリム、オルメトプリム、メトトレキサート、デノプテリン、プテロプテリン、アミノプテリン、エダトレキサート、ピリトレキシム、及び、これらの薬学的に許容しうる塩のいずれかである請求項1ないし3いずれかの魚類の寄生虫駆除剤。 寄生虫が魚類原生動物亜界繊毛虫門に属する寄生虫である請求項1ないし5いずれかの魚類の寄生虫駆除剤。 寄生虫が白点虫である請求項6の魚類の寄生虫駆除剤。 魚類がスズキ目、カレイ目、ニシン目、フグ目、コイ目、ウナギ目、ナマズ目の魚類である請求項1ないし7いずれかの魚類の寄生虫駆除剤。 魚類に葉酸合成阻害剤又は葉酸活性化阻害剤を投与することを特徴とする魚類の寄生虫駆除方法。 葉酸合成阻害剤を投与し、葉酸合成阻害剤がサルファ剤である請求項9の魚類の寄生虫駆除方法。 サルファ剤が、スルファメトキサゾール、スルファモノメトキシン、スルファジメトキシン、スルファメラジン、スルフィソキサゾール、スルフィソミジン、スルファメチゾール、スルフィソゾール、及び、これらの薬学的に許容しうる塩のいずれかである請求項10の魚類の寄生虫駆除方法。 葉酸活性化阻害剤を投与し、葉酸活性化阻害剤が、ジヒドロ葉酸還元酵素阻害剤である請求項9ないし11いずれかの魚類の寄生虫駆除方法。 葉酸活性化阻害剤を投与し、葉酸活性化阻害剤が、ピリメタミン、トリメトプリム、オルメトプリム、メトトレキサート、デノプテリン、プテロプテリン、アミノプテリン、エダトレキサート、ピリトレキシム、及び、これらの薬学的に許容しうる塩のいずれかである請求項9ないし11いずれかの魚類の寄生虫駆除方法。 寄生虫が魚類原生動物亜界繊毛虫門に属する寄生虫である請求項9ないし13いずれかの魚類の寄生虫駆除方法。 寄生虫が白点虫である請求項14の魚類の寄生虫駆除方法。 魚類がスズキ目、カレイ目、ニシン目、フグ目、コイ目、ウナギ目、ナマズ目の魚類である請求項9ないし15いずれかの魚類の寄生虫駆除方法。 魚体重あたり、葉酸合成阻害剤又は葉酸活性化阻害剤を1〜1000mg/kg経口投与することを特徴とする請求項9ないし16いずれかの魚類の寄生虫駆除方法。 【課題】魚類の寄生虫を駆除する手段、特に繊毛虫に属する寄生虫に有効な駆除方法を提供する。【解決手段】葉酸合成阻害剤又は葉酸活性化阻害剤を有効成分として含有する魚類の寄生虫駆除剤であり、葉酸合成阻害剤が、スルファメトキサゾール、スルファモノメトキシン、スルファジメトキシン、スルファメラジン、スルフィソキサゾール、スルフィソミジン、スルファメチゾール、スルフィソゾール等のサルファ剤、葉酸活性化阻害剤が、ピリメタミン、トリメトプリム、オルメトプリム、メトトレキサート、デノプテリン、プテロプテリン、アミノプテリン、エダトレキサート、ピリトレキシム等からなる。【選択図】図120141107A16333全文3 葉酸合成阻害剤又は葉酸活性化阻害剤を有効成分として含有する経口投与による魚類の白点虫駆除剤。 葉酸合成阻害剤を含有し、葉酸合成阻害剤がサルファ剤である請求項1の魚類の白点虫駆除剤。 サルファ剤が、スルファメトキサゾール、スルファモノメトキシン、スルファジメトキシン、スルファメラジン、スルフィソキサゾール、スルフィソミジン、スルファメチゾール、スルフィソゾール、及び、これらの薬学的に許容しうる塩のいずれかである請求項2の魚類の白点虫駆除剤。 葉酸活性化阻害剤を含有し、葉酸活性化阻害剤がジヒドロ葉酸還元酵素阻害剤である請求項1ないし3いずれかの魚類の白点虫駆除剤。 葉酸活性化阻害剤が、ピリメタミン、トリメトプリム、オルメトプリム、メトトレキサート、デノプテリン、プテロプテリン、アミノプテリン、エダトレキサート、ピリトレキシム、及び、これらの薬学的に許容しうる塩のいずれかである請求項1ないし3いずれかの魚類の白点虫駆除剤。 魚類がスズキ目、カレイ目、ニシン目、フグ目、コイ目、ウナギ目、ナマズ目の魚類である請求項1ないし5いずれかの魚類の白点虫駆除剤。 魚類に葉酸合成阻害剤又は葉酸活性化阻害剤を経口投与することを特徴とする魚類の白点虫駆除方法。 葉酸合成阻害剤を投与し、葉酸合成阻害剤がサルファ剤である請求項7の魚類の白点虫駆除方法。 サルファ剤が、スルファメトキサゾール、スルファモノメトキシン、スルファジメトキシン、スルファメラジン、スルフィソキサゾール、スルフィソミジン、スルファメチゾール、スルフィソゾール、及び、これらの薬学的に許容しうる塩のいずれかである請求項8の魚類の白点虫駆除方法。 葉酸活性化阻害剤を投与し、葉酸活性化阻害剤がジヒドロ葉酸還元酵素阻害剤である請求項7ないし9いずれかの魚類の白点虫駆除方法。 葉酸活性化阻害剤が、ピリメタミン、トリメトプリム、オルメトプリム、メトトレキサート、デノプテリン、プテロプテリン、アミノプテリン、エダトレキサート、ピリトレキシム、及び、これらの薬学的に許容しうる塩のいずれかである請求項7ないし9いずれかの魚類の白点虫駆除方法。 魚類がスズキ目、カレイ目、ニシン目、フグ目、コイ目、ウナギ目、ナマズ目の魚類である請求項7ないし11いずれかの魚類の白点虫駆除方法。 魚体重あたり、葉酸合成阻害剤又は葉酸活性化阻害剤を1〜1000mg/kg経口投与することを特徴とする請求項7ないし12いずれかの魚類の白点虫駆除方法。