生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_唾液分泌促進剤
出願番号:2014175880
年次:2015
IPC分類:A61K 36/28,A61Q 11/00,A61K 8/97,A61K 8/73,A61P 1/02,A61K 36/00,A61K 47/36,A61K 9/08,A61K 9/16,A61K 31/715,A23L 1/30


特許情報キャッシュ

佐藤 寛之 中尾 理美 松倉 琢磨 JP 2015063520 公開特許公報(A) 20150409 2014175880 20140829 唾液分泌促進剤 三栄源エフ・エフ・アイ株式会社 000175283 佐藤 寛之 中尾 理美 松倉 琢磨 JP 2013179228 20130830 A61K 36/28 20060101AFI20150313BHJP A61Q 11/00 20060101ALI20150313BHJP A61K 8/97 20060101ALI20150313BHJP A61K 8/73 20060101ALI20150313BHJP A61P 1/02 20060101ALI20150313BHJP A61K 36/00 20060101ALI20150313BHJP A61K 47/36 20060101ALI20150313BHJP A61K 9/08 20060101ALI20150313BHJP A61K 9/16 20060101ALI20150313BHJP A61K 31/715 20060101ALI20150313BHJP A23L 1/30 20060101ALI20150313BHJP JPA61K35/78 TA61Q11/00A61K8/97A61K8/73A61P1/02A61K35/78 YA61K47/36A61K9/08A61K9/16A61K31/715A23L1/30 B 6 OL 13 4B018 4C076 4C083 4C086 4C088 4B018LB02 4B018LB08 4B018LB10 4B018MD33 4B018MD48 4B018ME14 4B018MF01 4C076AA11 4C076AA31 4C076BB01 4C076CC10 4C076EE30G 4C076FF17 4C083AA111 4C083AA112 4C083AD242 4C083AD351 4C083AD352 4C083CC41 4C083DD16 4C083DD21 4C083DD23 4C083DD27 4C083EE31 4C086AA01 4C086AA02 4C086EA20 4C086MA02 4C086MA05 4C086MA06 4C086MA57 4C086NA05 4C086ZA67 4C086ZC75 4C088AB26 4C088AC01 4C088CA06 4C088MA04 4C088MA16 4C088MA52 4C088NA14 4C088ZA67 本発明は、オランダセンニチ抽出物が有する唾液分泌促進効果を増強する方法に関する。本発明はまた、飲食品に添加することにより、唾液分泌促進効果を付与することができる唾液分泌促進剤、及び当該唾液分泌促進剤を含有する飲食品にも関する。 唾液は、口腔機能維持及び口腔内の環境維持等に重要な役割を果たしている。口腔機能としては、会話や発声を円滑にする機能や食物摂取機能を挙げることができ、特に食物摂取機能において、唾液は食塊形成やアミラーゼの分泌による消化活動、味物質の可溶化やカーボネート・デヒドロゲナーゼの分泌による味覚の維持作用に深く関わっている。また、口腔内の環境維持機能において、唾液は歯や口腔内の自浄作用、歯の再石灰化作用、抗菌作用、免疫作用、抗炎症作用、及び成長因子等による組織修復促進作用に深く関わっている。 しかしながら、情緒やストレス障害、神経症、臓器障害、脳炎、腫瘍、脳血管障害、高血圧、バセドウ氏病、及び糖尿病等の各種疾患、薬剤の副作用、放射線治療、並びに加齢等を原因として唾液の分泌量が低下することが知られている。特に高齢者には、加齢による唾液腺機能の低下に加え、複数の慢性疾患やそれらの治療薬により、唾液の分泌量が減少して口腔内の乾燥を訴える者が多い。 唾液の分泌量の低下は、口腔内に乾燥をもたらし、その結果、咀嚼や嚥下困難及び消化機能の低下を招く。また、口腔内不快感や口臭発生の原因ともなる。更に症状が進行すると、歯周疾患や、口内炎等の口腔感染症等の原因になる。従って、何らかの手段によって、患者の唾液の分泌量を増加させることが求められる。 唾液の分泌量を増加させる手段としては、酸味を用いて、味覚的に刺激を与える方法や、嗅覚的に刺激を与える方法が提案されている(例えば、特許文献1及び2等参照)。また、唾液分泌促進作用を有する植物抽出物を使用する方法(例えば、特許文献3〜6等参照)、並びにムスカリン受容体を標的にした薬物(特許文献7)やPAR−2を標的とした薬物(特許文献8)を用いる方法等も提案されている。特開平7−101856号公報特開2003−40752号公報特開平11−71253号公報特開平10−182392号公報特開2002−265375号公報特開2005−162633号公報特開平8−12575号公報特開2001−64203号公報特表2012−521192号公報国際公開WO2011/007807号公報 しかしながら、上記文献に開示された唾液分泌量を増加させる手段は、いずれも効果の強さや持続性について充分とはいい難く、その他にも以下のような問題を抱えていた。 特許文献1に開示された酸による刺激は、嗜好性の面から使用が限定される場合があり、また、刺激が強いため、頻繁に適用した場合には歯牙の溶解や口腔粘膜に対する刺激等、口腔組織への影響が危惧されていた。 特許文献2に開示された嗅覚的に刺激を与える方法は、嗅覚刺激の消失とともに効果が消失してしまうという問題があった。 特許文献3〜6に開示された植物抽出物を使用する方法は、特有の刺激や呈味、香味を有しているものが多く、利用できる食品組成物、口腔用組成物が限られていた。また、有機酸を併用することが必須又は推奨されている場合もあり、使用について制約があることがあった。 特許文献7及び8に開示された薬物を用いる方法は、副作用が懸念されていた。 上記従来技術に鑑み、本発明では、効果が改善された唾液分泌促進剤を提供することを目的とする。具体的には、違和感のある刺激、呈味及び香味、並びに副作用を有さず、かつ充分な効果を有する唾液分泌促進剤を提供することを目的とする。 本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ね、唾液分泌促進剤としてオランダセンニチ抽出物に着目した。オランダセンニチ抽出物は辛味成分であるスピラントールを有するため、刺激感覚剤として知られ(特許文献9)、単独で、又は既存の冷感剤若しくは温感剤等と組み合わせることにより、飲食品、香粧品、医薬品等の香味添加剤として、更に具体的には、冷感や温感、或いはアルコール感、炭酸感、唾液分泌効果等を付与・増強する有効成分として有用である(特許文献10)。しかしながら、オランダセンニチ抽出物の唾液分泌促進効果は未だ満足できるものではなかった。そこで本発明者らは、更に鋭意検討を行なった結果、キサンタンガム等の増粘多糖類を添加することで、オランダセンニチ抽出物の唾液分泌促進効果を有意に増強できること、これにより、嗜好性に大きな影響を与えることなく充分な唾液分泌促進効果を有する、唾液分泌促進剤を提供できることを見出して本発明に至った。 具体的には、本願発明は以下の態様を有するものである。項1.増粘多糖類を添加することを特徴とする、オランダセンニチ抽出物の唾液分泌促進効果を増強する方法。項2.増粘多糖類がキサンタンガム、ローカストビーンガム及びグァーガムからなる群から選択される1種以上である、項1に記載の唾液分泌促進効果の増強方法。項3.オランダセンニチ抽出物1質量部に対して、増粘多糖類を100〜15000質量部添加することを特徴とする項1又は2に記載の唾液分泌促進効果の増強方法。項4.オランダセンニチ抽出物及び増粘多糖類を含有し、オランダセンニチ抽出物1質量部に対する増粘多糖類の含量が100〜15000質量部であることを特徴とする唾液分泌促進剤。項5.増粘多糖類がキサンタンガム、ローカストビーンガム及びグァーガムからなる群から選択される1種以上である、項4に記載の唾液分泌促進剤。項6.項4又5のいずれかに記載の唾液分泌促進剤を含有する飲食品。 本発明によれば、オランダセンニチ抽出物のもつ唾液分泌促進効果を有意に増強することができる。また、本発明の唾液分泌促進剤は、味覚及び嗅覚に与える影響が少ないため、添加量に大きな制限を受けることなく利用できる。実験例1における唾液分泌促進効果を示したグラフである。実験例2における唾液分泌促進効果を示したグラフである。実験例3における唾液分泌促進効果を示したグラフである。実験例4における唾液分泌促進効果を示したグラフである。 以下、本発明を詳細に説明する。 本発明にあるオランダセンニチは、キク科の一年草であり、別名センニチギク(千日菊)又はハトウガラシ(葉唐辛子)と呼ばれる。辛味成分であるスピラントールを有するため、刺激性があり、スパイスやハーブとして飲食品に利用されている。本発明に用いるオランダセンニチ抽出物は、抽出工程に制限はないが、例えば、オランダセンニチから溶媒により抽出して得られる抽出物、超臨界若しくは亜臨界二酸化炭素により抽出して得られる抽出物、又は水蒸気蒸留により得られるオランダセンニチの精油等を使用することができる。抽出に使用できる溶媒としては、水、アルコール、含水アルコール等を例示できる。アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、アセトン、ヘキサン、酢酸エチル、プロピレングリコール、グリセリン等が例示でき、これらのうち2種類以上を混合してもよい。本具体例に制限されないが、オランダセンニチ抽出物の溶媒抽出方法として、例えば、オランダセンニチ1質量部に対し、溶媒1〜20質量部を加え、必要によっては撹拌を行いながら常温(適宜加温しても良い)で30分〜24時間抽出処理を行い、抽出後、濾過又は遠心分離等により不溶物を除去し、抽出物を得る方法が挙げられる。なお、本発明に係るオランダセンニチはキバナオランダセンニチを含む。 本発明は、前記オランダセンニチ抽出物に増粘多糖類を添加することで、オランダセンニチ抽出物の唾液分泌促進効果を増強できることを特徴とする。本発明で用いる増粘多糖類は、飲食品用途への使用が許可されている素材を幅広く使用できる。例えば、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グァーガム、ネイティブ型ジェランガム、脱アシル型ジェランガム、カラギナン、タマリンドシードガム、マンナン、サイリウムシードガム、マクロホモプシスガム、寒天、ペクチン、アルギン酸、アルギン酸塩、プルラン、カードラン、トラガントガム、ガティガム、アラビアガム、澱粉、タラガム、カラヤガム、ファーセレラン、発酵セルロース、及び大豆多糖類から選ばれる1種又は2種以上を挙げることができる。 特に本発明では、増粘多糖類の中でもキサンタンガム、ローカストビーンガム及びグァーガムからなる群から選択される1種以上を用いることで、オランダセンニチ抽出物の唾液分泌促進効果を顕著に増強することができる。 オランダセンニチ抽出物に対する増粘多糖類の添加量は特に制限されないが、通常、オランダセンニチ抽出物1質量部に対して100〜15000質量部、好ましくは300〜9000質量部、更に好ましくは600〜7000質量部である。オランダセンニチ抽出物に対する増粘多糖類の添加量が、オランダセンニチ抽出物1質量部に対して100質量部より少ないと、オランダセンニチ抽出物由来の辛味成分の味が感じられる場合があり、飲食品に使用すると、飲食品の味が損なわれる場合がある。また、オランダセンニチ抽出物に対する増粘多糖類の添加量が、オランダセンニチ抽出物1質量部に対して15000質量部より多いと、オランダセンニチ抽出物の唾液分泌促進効果を十分に増強することができない場合がある。なお、本発明において、オランダセンニチ抽出物の含量、添加量は固形分換算の含量、添加量をいう。 また、本発明では、唾液分泌促進効果を奏するオランダセンニチ抽出物の有効成分の一つである、スピラントール1質量部に対して、増粘多糖類が150〜25000質量部、好ましくは500〜15000質量部、更に好ましくは1000〜12000質量部となるように併用することが望ましい。スピラントールに1質量部に対して、増粘多糖類が150質量部より少ないと、スピラントールの味が感じられる場合があり、飲食品に使用すると、飲食品の味が損なわれる場合がある。また、スピラントール1質量部に対して、増粘多糖類が25000質量部より多いと、オランダセンニチ抽出物の唾液分泌促進効果を十分に増強することができない場合がある。 本発明はまた、オランダセンニチ抽出物及び増粘多糖類を含有し、オランダセンニチ抽出物1質量部に対する増粘多糖類の含量が100〜15000質量部であることを特徴とする唾液分泌促進剤に関する。 唾液分泌促進剤におけるオランダセンニチ抽出物の含量は特に制限されないが、飲食品におけるオランダセンニチ抽出物の含量が通常、0.00001〜0.05質量%、好ましくは0.00005〜0.025質量%、更に好ましくは0.00005〜0.015質量%となるように、唾液分泌促進剤にオランダセンニチ抽出物を含有させることが望ましい。更には、飲食品におけるスピラントール含量が0.000005〜0.03質量%、好ましくは0.00003〜0.015質量%、更に好ましくは0.00003〜0.01質量%となるように、唾液分泌促進剤にオランダセンニチ抽出物を含有させることが望ましい。 オランダセンニチ抽出物1質量部に対する増粘多糖類の添加量は上記添加量に従って決定できる。 本発明において「唾液分泌促進剤」とは、口腔内で使用されることで、唾液分泌量を増加させる効能を有するものをいう。本発明の唾液分泌促進剤は、味覚及び嗅覚に与える影響が少ないため、特に飲食品に好適に使用できる。 例えば、本発明の唾液分泌促進剤は、各種飲食品に添加することで、飲食品を喫食する際の唾液分泌を促進することができる。本発明の対象となる飲食品は、特に制限されないが、例えば、飲料類、米飯食品、麺類、スープ類、濃厚流動食、経腸栄養剤、惣菜類、ゼリー状食品類、菓子類等があげられる。 各種飲食品に対する本発明の唾液分泌促進剤の添加量は、目的や用途に応じて適宜調整できるが、飲食品に含まれるオランダセンニチ抽出物の含量が通常、0.00001〜0.05質量%、好ましくは0.00005〜0.025質量%、更に好ましくは0.00005〜0.015質量%となるように添加することが望ましい。更には、飲食品に含まれるスピラントール含量が0.000005〜0.03質量%、好ましくは0.00003〜0.015質量%、更に好ましくは0.00003〜0.01質量%となるように添加することが望ましい。 本発明の唾液分泌促進剤は、オランダセンニチ抽出物と、増粘多糖類を含有していれば、形態は問わない。例えば、固体状、ペースト状、又は液体状等が挙げられるが、好ましくは、固体状である。本発明において「固体状」とは、粉末状、顆粒状、錠剤状等の固体状態で存在する形態をいい、好ましくは顆粒状である。 本発明の唾液分泌促進剤は常法に従って調製可能である。例えば、粉末状の唾液分泌促進剤は、オランダセンニチ抽出物及び増粘多糖類と、賦形剤(例えば、デキストリン、乳糖等)を粉体混合することで調製できる。顆粒状の唾液分泌促進剤は、上記粉体混合物を造粒することで調製できる。顆粒状の唾液分泌促進剤は、粉末状の増粘多糖類に、オランダセンニチ抽出物をバインダー液として噴霧することによっても調製可能である。錠剤状の唾液分泌促進剤は、前記粉末状または顆粒状唾液分泌促進剤を打錠機によって錠剤化することで調製可能である。 本発明の唾液分泌促進剤は、本発明の効果を妨げない範囲で各種素材を添加することができる。例えば、ビタミン類、甘味料、有機酸、着色料、香料、栄養素、抗酸化剤、保存料、植物抽出物(例えば、茶抽出物、コーヒー抽出物、ココア抽出物等)、果汁(例えば、オレンジ、グレープ、アップル、ピーチ、パイナップル、トマト、イチゴ等)等が挙げられる。 以下に、本発明を実施例にて説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。実験例1:オランダセンニチ抽出物を含有する唾液分泌促進剤の評価試験 オランダセンニチ1質量部に対し、85容量%含水エタノール5質量部を加え、常温で15時間抽出処理を行い、抽出後、濾過することで、オランダセンニチ抽出物(液体品、スピラントール含量60質量%)を得た。 唾液分泌促進剤の含量が次の表1に掲げる量となるように、水に唾液分泌促進剤を添加し、唾液分泌促進効果を評価した。配合については、オランダセンニチ抽出物1質量部に対して、2000質量部のグァーガムを添加した。また、グァーガムは、ずり速度100(S−1)での粘度が0.06〜0.07Pa・sとなるように添加量を調整した。唾液分泌促進剤の評価方法 表1で得られた飲食品(水溶液)15gを口に含み5秒間保持した後、一回で嚥下し、更に5秒間経過後、舌の下に脱脂綿を入れて2分間保持した。2分後、脱脂綿を回収し、舌の下に入れる前後の重量変化を測定することで、各々の唾液分泌促進剤(実施例1−1、比較例1−1及び比較例1−2)を添加した場合の唾液分泌量を測定した。結果を表2及び図1に示す。唾液分泌量の個人差を排除するため、表2には、ブランク(水)を用いて測定した唾液分泌量を1として標準化した数値を示す。具体的には、水15gを用いて、上記測定方法と同様に唾液分泌量を測定した。唾液分泌促進剤(実施例1−1)を用いた場合の唾液分泌量を、水15gを用いた場合の唾液分泌量で除した値が標準化した数値である。 オランダセンニチ抽出物及びグァーガムを併用した実施例1−1の唾液分泌促進剤を用いた場合は、いずれの被験者においてもブランク(水)に比べて唾液分泌量が有意に多く、唾液分泌促進効果が認められた。また、実施例1−1の唾液分泌促進剤は、水本来の風味を損ねることなく、良好な風味を保持したまま唾液分泌促進効果を付与することができた。 オランダセンニチ抽出物のみを含有する比較例1−1の唾液分泌促進剤を用いた場合は、概ね唾液分泌量の増加が認められたが、被験者によっては唾液分泌促進効果がない場合も見られた。また、唾液分泌促進剤として、増粘多糖類とオランダセンニチ抽出物を併用した系(実施例1−1)に比べると、唾液分泌促進効果は低かった。 グァーガムのみを含有する比較例1−2の唾液分泌促進剤を用いた場合は、多くの被験者で唾液分泌量がブランク(水)と同等または同等以下であり、唾液分泌促進効果は認められなかった。以上より、増粘多糖類(グァーガム)自体は単独で唾液分泌促進効果を奏さないにも関わらず、オランダセンニチ抽出物と増粘多糖類(グァーガム)を併用することで、オランダセンニチ抽出物が有する唾液分泌促進効果を有意に増強することが判明した。実験例2:オランダセンニチ抽出物を含有する唾液分泌促進剤の評価試験 表3に従って増粘多糖類の種類及び添加量を変更する以外は、実験例1と同様にして、唾液分泌促進剤を調製し、唾液分泌促進効果を評価した。 具体的には、唾液分泌促進剤の含量が、次の表3に掲げる量となるように、水に唾液分泌促進剤を添加し、唾液分泌促進効果を評価した。配合については、オランダセンニチ抽出物(液体品、スピラントール含量60質量%)1質量部に対して2000質量部のキサンタンガムを添加(実施例2−1)、オランダセンニチ抽出物1質量部に対して1500質量部のローカストビーンガムを添加(実施例2−2)した。また、増粘多糖類(キサンタンガム、ローカストビーンガム)は、ずり速度100(S−1)での粘度が、実施例1−1と同様、0.06〜0.07Pa・sとなるように添加量を調整した。 得られた飲食品(水溶液)について、実験例1と同様にして唾液分泌促進効果を評価した。結果を表4及び図2に示す。 オランダセンニチ抽出物及びキサンタンガムを併用した実施例2−1の唾液分泌促進剤を用いた場合、並びにオランダセンニチ抽出物及びローカストビーンガムを併用した実施例2−2の唾液分泌促進剤を用いた場合は、いずれの被験者においてもブランク(水)に比べて唾液分泌量が有意に多く、唾液分泌促進効果が認められた。また、実施例2−1及び実施例2−2の唾液分泌促進剤は、水本来の風味を損ねることなく、良好な風味を保持したまま唾液分泌促進効果を付与することができた。 オランダセンニチ抽出物のみを含有する比較例2−1の唾液分泌促進剤を用いた場合は、概ね唾液分泌量の増加が認められたが、被験者によっては唾液分泌促進効果がない場合も見られた。また、唾液分泌促進剤として、増粘多糖類とオランダセンニチ抽出物を併用した系(実施例2−1、実施例2−2)に比べると、唾液分泌促進効果は低かった。実験例3:オランダセンニチ抽出物を含有する唾液分泌促進剤の評価試験 表5に従って増粘多糖類(キサンタンガム)の添加量を変更する以外は、実験例1と同様にして、唾液分泌促進剤を調製し、唾液分泌促進効果を評価した。 具体的には、唾液分泌促進剤の含量が、次の表5に掲げる量となるように、水に唾液分泌促進剤を添加し、唾液分泌促進効果を評価した。配合については、オランダセンニチ抽出物(液体品、スピラントール含量60質量%)1質量部に対して、キサンタンガムを200質量(実施例3−1)、400質量部(実施例3−2)、800質量部(実施例3−3)、6000質量部(実施例3−4)、8000質量部(実施例3−5)、10000質量部(実施例3−6)添加した。 得られた飲食品(水溶液)について、実験例1と同様にして唾液分泌促進効果を評価した。結果を表6及び図3に示す。 実施例3−1〜3−6の唾液分泌促進剤は、いずれも、水本来の風味を損ねることなく、良好な風味を保持したまま唾液分泌促進効果を付与することができた。特に、オランダセンニチ抽出物1質量部に対して、キサンタンガムを800質量部及び6000質量部含む、実施例3−3及び3−4において、顕著な唾液分泌促進効果が得られた。実験例4:比較評価試験 唾液分泌促進効果を有する成分として、オランダセンニチ抽出物に代えてメントールを使用し、表7に示す処方で、比較例4−1〜4−4の飲食品(水溶液)を調製した。 得られた飲食品(水溶液)について、実験例1と同様にして唾液分泌促進効果を評価した。結果を表8及び図4に示す。 メントールと増粘多糖類(キサンタンガム)を併用した比較例4−2〜4−4の飲食品における唾液分泌促進効果は、多くの被験者で、メントールを単独使用した比較例4−1と同等又は同等以下となった。 以上より、本発明で示す増粘多糖類の添加による唾液分泌促進効果の増強は、メントールでは認められず、オランダセンニチ抽出物に対する特有のものであることが判明した。実験例5:オランダセンニチ抽出物を含有する唾液分泌促進剤の評価試験 流動層造粒により顆粒化した唾液分泌促進剤の唾液分泌促進効果の評価を行った。 具体的には、次の表9に示すとおり、キサンタンガムとデキストリンを粉体混合し、当該混合物に対して、オランダセンニチ抽出物を含有するバインダー溶液を噴霧して、顆粒状の唾液分泌促進剤を調製した。なお、オランダセンニチ抽出物は実験例1と同じものを使用した。得られた顆粒状の唾液分泌促進剤(実施例5−1及び比較例5−1)2gを水98gに添加し、実験例1及び2と同様の方法で唾液分泌促進効果を評価した。 オランダセンニチ抽出物及びキサンタンガムを併用した顆粒状の唾液分泌促進剤(実施例5−1)は、いずれの被験者においてもブランク(水)に比べて唾液分泌量が有意に多く、唾液分泌促進効果が認められた。また、唾液分泌促進剤として増粘多糖類を添加せず調製した比較例5−1は、概ね唾液分泌量の増加が認められたが、実施例5−1に比べると、唾液分泌促進効果は低かった。更に、実施例5−1の唾液分泌促進剤は、水本来の風味を損ねることなく、良好な風味を保持したまま唾液分泌促進効果を付与することができた。増粘多糖類を添加することを特徴とする、オランダセンニチ抽出物の唾液分泌促進効果を増強する方法。増粘多糖類がキサンタンガム、ローカストビーンガム及びグァーガムからなる群から選択される1種以上である、請求項1に記載の唾液分泌促進効果の増強方法。オランダセンニチ抽出物1質量部に対して、増粘多糖類を100〜15000質量部添加することを特徴とする、請求項1又は2に記載の唾液分泌促進効果の増強方法。オランダセンニチ抽出物及び増粘多糖類を含有し、オランダセンニチ抽出物1質量部に対する増粘多糖類の含量が100〜15000質量部であることを特徴とする唾液分泌促進剤。増粘多糖類がキサンタンガム、ローカストビーンガム及びグァーガムからなる群から選択される1種以上である、請求項4に記載の唾液分泌促進剤。請求項4又は5のいずれかに記載の唾液分泌促進剤を含有する飲食品。 【課題】唾液分泌促進剤を提供する。具体的には、違和感のある刺激、呈味、及び香味、並びに副作用を有さず、かつ充分な効果の強さをもつ唾液分泌促進剤を提供する。【解決手段】オランダセンニチ抽出物及び増粘多糖類を併用する。【選択図】なし


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