タイトル: | 公開特許公報(A)_血液凝固反応における血液凝固時間延長剤 |
出願番号: | 2014133471 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | G01N 33/86,C12Q 1/56 |
森川 千鶴 中村 レミ 山本 光章 JP 2014197019 公開特許公報(A) 20141016 2014133471 20140630 血液凝固反応における血液凝固時間延長剤 積水メディカル株式会社 390037327 特許業務法人アルガ特許事務所 110000084 高野 登志雄 100077562 中嶋 俊夫 100096736 村田 正樹 100117156 山本 博人 100111028 森川 千鶴 中村 レミ 山本 光章 G01N 33/86 20060101AFI20140919BHJP C12Q 1/56 20060101ALI20140919BHJP JPG01N33/86C12Q1/56 3 2013041782 20090925 OL 12 2G045 4B063 2G045AA10 2G045CA25 2G045DA40 4B063QA01 4B063QA19 4B063QQ03 4B063QR90 4B063QS40 本発明は、フィブリノゲン測定試薬に代表される血液凝固能測定試薬、すなわち血液凝固時間延長剤を用いた血液凝固能測定用検体希釈液に関する。 血液凝固の機序は、一般的に2つの系に大別される。1つは、血液凝固第XII因子の異物との接触活性化に始まり、多段の反応を経て最終的にトロンビンを生成する内因系、もう1つは、血液凝固第VII因子と組織トロンボプラスチンによる血液凝固第X因子の活性化に始まり、同じくトロンビンを生成する外因系である(図1)。いずれの系も最終的には、生成したトロンビンの働きでフィブリノゲンがフィブリンに転化することにより凝固が起こる。こうした血液凝固機序について、異常の有無、又は異常の原因を明らかにするため、血液凝固活性化剤を用いたいくつかの血液凝固能検査が有り、臨床検査の現場で広く用いられている。 血液凝固活性化剤及びそれを使用した血液凝固能検査には次のようなものがある。1)トロンビンを使用した血液凝固能検査 フィブリノゲン測定、ATIII測定、トロンビン時間測定2)組織トロンボプラスチンを使用した血液凝固能検査 プロトロンビン時間測定、プロトロンビン時間を用いたII、V、VII、X因子の活性測定、複合因子測定(トロンボテスト・ヘパプラスチンテスト等)3)リン脂質を使用した血液凝固能検査 部分トロンボプラスチン時間測定、活性化部分トロンボプラスチン時間測定、活性化部分トロンボプラスチン時間測定を用いたVIII、IX、XI、XII因子、プレカリクレイン、高分子キニノゲンの活性測定、蛇毒時間測定、蛇毒時間測定を用いたX因子の定量、希釈蛇毒時間測定を用いたループスアンチコアグラント(LA)測定、プロテインC活性測定、トロンボプラスチン生成試験 上記1)〜3)のいずれの検査においても、患者検体に血液凝固活性化剤等を含む試薬を混合することによる凝固の惹起から最終的にフィブリノゲンがフィブリンに転化し析出するまでの時間を測定する。 血液凝固能検査における凝固の検出方法は、力学的検出法と光学的検出法に大別できる。力学的検出法とは反応液中に投入した磁性物等を、磁力等によりモニターし、凝固によって粘性が高くなり磁性物の動きが鈍くなるのを検出する方法である。光学的検出法とは凝固によって反応液が白く濁るのを透過光あるいは散乱光の変化量として検出する方法であり、比較的簡便であることから最も広範に利用されている。これらは、現在では一般的に自動化装置により検出されている。散乱光検出法で得られる散乱光の強度変化曲線の一例を図2に示す。図中、A点は血液凝固活性化剤を含む試薬を混合することにより凝固が惹起された点を示し、その後多段の反応を経てフィブリン析出が開始することにより、B点以降、散乱光強度の変化が現れる。次々にフィブリノゲンが消費され、反応液中でほぼ枯渇すると散乱光強度の変化は無くなり、C点のごとく曲線は平坦になり、凝固は終了する。このような散乱光の強度変化曲線を元に、公知の算出パラメータにより凝固時間が算出される(特許文献1)。ここで、散乱光の光学的変化量(強度変化量)の極大値をΔHとすると、ΔHが大きい方が、凝固検出が鋭敏となり、より正確な検出が可能となることは自明である。それ故、使用される血液凝固能測定試薬は光学的変化量が大きく表示されるような特性を持つものが望ましい。しかし、A点からC点までの変化があまりに短時間に起こる場合、精度良く凝固時間を測定することができない。そこで通常、凝固時間を延長させる物質を添加して、凝固時間が所望の長さになるよう調節する。血液凝固時間延長剤として、特許文献2では塩化ナトリウムを始めとするアルカリ金属又はアルカリ土類金属のハロゲン化物塩が、特許文献3ではプロピオン酸ナトリウムが例示されている。しかし、このような従来の血液凝固時間延長剤は、同時に添加量依存的にΔHを減少させる負の効果が大きいことが問題となっていた。つまり、血液凝固活性化剤を含有する試薬を添加後の光学的変化量が十分に得られないため、測定精度が低下する恐れがあることが問題となっていた。血液凝固能検査においては、秒で表される凝固時間を、一種類の校正用基準血漿を検体希釈液により段階希釈して作製された試料の測定値をプロットして作成された多点検量線をもとに、正常活性に対する割合(活性%)に変換することが一般的であるため、特に前記問題により検量線作成用試料の測定精度が低下し、正確性が得られないことは、検体測定値全体の正確性を低下させる要因となるため、大きな問題となっていた。 これら従来法の問題点を解決する目的で、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、高分子多糖などの高分子物質を添加する方法が提案されている(特許文献4)。特開平8−15263号公報特許2994557号公報特許3330685号公報特許3074611号公報 しかしながら、試薬に高分子物質を添加する方法は、試薬自体の粘性を高めてしまい、ピペットや試薬プローブによる分取精度が低下するという問題、未凝固と凝固時の濁度差が十分に得られず、十分な光学的変化量が得られないという問題があった。 従って本発明の課題は、血液凝固反応における光学的変化量を減少させない血液凝固時間延長剤を含有する検体希釈液を提供することにある。このことによって、血液凝固能検査の正確性向上に寄与することができる。 そこで本発明者は、種々の化合物を用いて光学的変化量を減少させない血液凝固時間延長剤を探索してきたところ、ベンザミジン又はその誘導体が、血液凝固時間の延長作用を有し、凝固時の光学的変化量を減少させにくく、これを血液凝固能測定用検体希釈液の添加剤として用いれば、血液凝固能が正確かつ高感度で測定できることを見出し、本発明を完成した。 すなわち、本発明は、ベンザミジン又はその誘導体を有効成分とする血液凝固反応における血液凝固時間延長剤を含有することを特徴とする血液凝固能測定用検体希釈液を提供するものである。 さらに、本発明は、上記の血液凝固時間延長剤と、従来の血液凝固時間延長剤、すなわちアルカリ金属又はアルカリ土類金属のハロゲン化物塩及びプロピオン酸塩から選ばれる血液凝固反応における血液凝固時間延長剤とを併用することを特徴とする血液凝固反応における光学的変化量の調整方法を提供するものである。 本発明の血液凝固時間延長剤を含有する検体希釈液を用いれば、光学的変化量が減少しにくいため、フィブリノゲン測定、PT、APTT等の血液凝固能が、正確に測定できる。臨床検査における血液凝固の機序を模式的に示す。血液凝固能測定の際、散乱光検出法で得られる散乱光強度変化曲線の一例を示す。 本発明の血液凝固時間延長剤は、ベンザミジン又はその誘導体を有効成分とするものである。尚、本明細書では、「ベンザミジン又はその誘導体」とは、ベンザミジン、及びベンザミジンを母核とする化合物の総称として用いる。ベンザミジン又はその誘導体としては、ベンザミジン、p−アミノベンザミジン、m−アミノベンザミジン、それらの塩などが挙げられる。また、その塩としては、酸付加塩が挙げられ、当該酸付加塩としては、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、スルファミン酸塩等が挙げられる。ベンザミジン又はその誘導体のうち、ベンザミジン又はその塩を用いることが好ましく、ベンザミジン塩酸塩が特に好ましい。 本発明の血液凝固時間延長剤は、従来の血液凝固時間延長剤で認められた様な血液凝固能測定における反応液の濁度変化を減少させずに血液凝固時間を延長させる作用を有する。このことは、血液凝固の最終産物であるフィブリン網の形成状態が、従来法より強固となることを示している。従って、本発明の血液凝固時間延長剤は、濁度変化を直接検出する光学的検出法、フィブリン網の形成状態を磁性物等でモニターする力学的検出法等に使用でき、光学的検出法に使用するのが好ましい。ここで、光学的検出法には散乱光量検出法と透過光量検出法があるが、散乱光量検出法に使用するのが好ましい。 本発明の血液凝固時間延長剤を適用することができる血液凝固能検査は、患者検体に血液凝固活性化剤等を含む試薬を混合することによる凝固の惹起から最終的にフィブリノゲンがフィブリンに転化し析出するまでの時間を測定するものであればよい。例としては、フィブリノゲン測定、ATIII測定、トロンビン時間測定、プロトロンビン時間測定、プロトロンビン時間を用いたII、V、VII、X因子の活性測定、複合因子測定(トロンボテスト・ヘパプラスチンテスト等)、部分トロンボプラスチン時間測定、活性化部分トロンボプラスチン時間測定、活性化部分トロンボプラスチン時間測定を用いたVIII、IX、XI、XII因子、プレカリクレイン、高分子キニノゲンの活性測定、蛇毒時間測定、蛇毒時間測定を用いたX因子の定量、希釈蛇毒時間測定を用いたループスアンチコアグラント(LA)測定、プロテインC活性測定、トロンボプラスチン生成試験、その他凝固異常検出等が挙げられる。 上記血液凝固能検査の測定は、検体に、血液凝固活性化剤含有試薬(例えば、フィブリノゲン測定においてはトロンビン含有試薬)を添加し、フィブリンが析出するまでの時間を測定するものである。本発明の血液凝固時間延長剤は、測定系に含まれていればよく、血液凝固活性化剤等含有試薬に含有させてもよいし、検体希釈液に含有させてもよいが、検体希釈液に含有させるのが好ましい。すなわち、本発明の血液凝固時間延長剤は、例えばフィブリノゲン測定においては、検体希釈液に含有させるのが好ましい。 上記血液凝固活性化剤含有試薬は、上記血液凝固能検査に使用されるものであればよい。例えば、トロンビン含有試薬、組織トロンボプラスチン含有試薬、リン脂質含有試薬等が挙げられる。また、上記検体希釈液は、上記血液検査能検査に使用されるものであればよい。例えば、MES、Bis−Tris、ADA、PIPES、ACES、MOPSO、BES、MOPS、TES、HEPES、DIPSO、TAPSO、POPSO、HEPPSO、EPPS、Tricine、Bicine、TAPS、CHESなどのグッド緩衝液、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、イミダゾール緩衝液、バルビタール緩衝液、生理食塩水、水等を挙げることができる。 本発明の血液凝固時間延長剤は、血液凝固検査において精度良く測定可能な凝固時間が得られ、かつ十分な光学的変化量が得られるように反応液中に含有させることが好ましい。例えば、フィブリノゲン測定の場合、正常血漿(濃度約300mg/dL)を測定したとき、5〜50秒、好ましくは7〜20秒、さらに好ましくは9〜15秒の凝固時間が得られるように反応液中に含有させることが好ましい。血液凝固時間延長剤としてベンザミジン又はその塩を検体希釈液中に含有させる場合には、0.1〜500mM、好ましくは1〜200mM、さらに好ましくは、5〜100mMとなるように含有させる。 プロトロンビン時間測定の場合、正常血漿(活性約100%)を測定したとき、9〜60秒、好ましくは9〜30秒、さらに好ましくは10〜16秒の凝固時間が得られるように反応液中に含有させることが好ましい。活性化部分トロンボプラスチン時間測定においては正常血漿を測定したとき、15〜80秒、好ましくは15〜60秒、さらに好ましくは20〜50秒の凝固時間が得られるように反応液中に含有させることが好ましい。その他の血液凝固能検査に関しても、測定方法に適した凝固時間が得られるように反応液中に含有させればよい。 また、本発明の血液凝固時間延長剤と併用できるアルカリ金属又はアルカリ土類金属のハロゲン化物塩、プロピオン酸塩としては、血液凝固反応における血液凝固時間を延長できるものであれば、特に限定されない。このような塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩が例示される。好ましくは、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、プロピオン酸ナトリウムなどが挙げられる。その使用濃度は、所望の血液凝固時間、及び血液凝固反応における光学的変化量を考慮して適宜設定可能である。 血液凝固能検査に用いる検体希釈液及び血液凝固活性化剤含有試薬を含む血液凝固能測定試薬には、本発明の血液凝固時間延長剤以外に、公知の高分子多糖類、及び合成高分子類を含有することができる。 高分子多糖類の具体例としては、デキストラン40、デキストラン70、デキストラン200,000、デキストラン500,000等のデキストラン、フィコール等を例示することができる。また、これら高分子多糖類は1種もしくは2種以上を組み合わせて用いることができる。これら高分子多糖類の添加量は、検体希釈液中の濃度が0.01〜10重量/容量%であることが好適で、より好ましくは0.1〜5W/V%である。 合成高分子類の具体例としては、ポリビニルアルコール500、ポリビニルアルコール1500、ポリビニルアルコール2000等のポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール1500、ポリエチレングリコール2000、ポリエチレングリコール4000、ポリエチレングリコール6000、ポリエチレングリコール8000、ポリエチレングリコール20000等のポリエチレングリコール及びポリビニルピロリドン等を挙げることができる。これら合成高分子類は1種もしくは2種以上を組み合わせて用いることができる。これら合成高分子類の添加量は、特に限定されないが、検体希釈液中の濃度が0.001〜20W/V%であることが好適で、より好ましくは0.01〜10W/V%である。 前記血液凝固能測定試薬には、本発明の血液凝固時間延長剤以外にも緩衝剤、カルシウムイオン、抗凝固薬のアンタゴニスト等を含有することもできる。 緩衝剤の具体例としては、pH4〜9の範囲に緩衝能をもつ緩衝剤を適宜選択して用いる。例えば、MES、Bis−Tris、ADA、PIPES、ACES、MOPSO、BES、MOPS、TES、HEPES、DIPSO、TAPSO、POPSO、HEPPSO、EPPS、Tricine、Bicine、TAPS、CHESなどのグッド緩衝剤、クエン酸、リン酸、酢酸、イミダゾール、バルビタール、GTA等から1種もしくは2種以上を組み合わせて選択し用いることができる。これら緩衝剤の添加量は、緩衝能を有する量であれば特に限定されないが、前記血液凝固能測定試薬血液凝固能測定試薬中の濃度が1〜1000mMであることが好適で、より好ましくは10〜500mMである。 カルシウムイオンとしては、塩化カルシウム、乳酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、グルクロン酸カルシウム、酒石酸カルシウム等の水溶性のカルシウム化合物が用いられる。これらカルシウム化合物は1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。カルシウム化合物の使用量は、凝固反応を補助できる量であれば良く、特に限定されないが、前記血液凝固能測定試薬中の濃度が5mM〜100mMであることが好適で、より好ましくは10mM〜50mMである。 抗凝固剤のアンタゴニストとしては、プロタミン、ポリブレン(Polybrene)(ヘキサジメトリンブロマイド)等が用いられる。これら抗凝固剤のアンタゴニストは1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。抗凝固剤のアンタゴニストの使用量は、検体血漿に含まれる抗凝固剤、例えばヘパリン等を十分に中和できる量であれば良く、特に限定されないが、前記血液凝固能測定試薬中の濃度が10-5〜10-2W/V%であることが好適で、より好ましくは5×10-4〜5×10-3W/V%である。 また、前記血液凝固能測定試薬は液状品、凍結品又は乾燥品であってもよく、さらに乾燥品は精製水又は緩衝液を添加することにより溶解される。 また前記血液凝固能測定試薬には適当な防腐剤を添加してもよい。防腐剤としては、シプロフロキサシン、プロピオン酸、安息香酸ナトリウム、アジ化ナトリウム、プロクリン300等の中から1種もしくは2種以上を組み合わせて選択し用いることができる。また、必要に応じて塩化ナトリウム等の塩や、アミノ酸、糖等の一般的な安定化剤等を含ませてもよい。 上記に記載の濃度は、溶液品中の濃度を記載しているが、乾燥品等は使用時に水又は緩衝液等で溶解したときの濃度を記載している。 本発明の血液凝固反応における血液凝固時間延長剤を含む検体希釈液を用いて血液凝固能を測定するには、常法に従えばよい。フィブリノゲン測定を例にとれば、標準液を検体希釈液で5倍、10倍、20倍に希釈する(希釈倍率は適宜調整することが可能である)。次に各希釈標準液2容を37℃で3分間加温し、予め37℃に加温したトロンビン試薬1容を加え、凝固時間を測定する。次に各々の希釈標準液の測定値をグラフにプロットする。血漿検体を検体希釈液で10倍希釈し(希釈倍率は適宜調整することが可能である)、希釈検体を同様に測定し、得られた凝固時間をもとに、グラフから濃度を求めることができる。 以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。実施例1(凝固時間延長作用の確認) トロンビン時間法で血漿検体中のフィブリノゲン濃度を測定する場合、一般的にトロンビンを血漿に添加して凝固時間を測定し、フィブリノゲン濃度既知の標準液による検量線から濃度を求める。手順としては、検体血漿10μLに対して90μLの検体希釈液を添加・混合した後、血液凝固活性化剤含有試薬として50μLのトロンビン含有試薬を添加し、凝固時間を測定する。 本実施例では、血漿検体として市販正常血漿(コアグトロールN、Sysmex社製)を、トロンビン含有試薬としてコアグピアFbgトロンビン試薬(積水メディカル社製)を、また凝固時間測定装置として全自動血液凝固時間分析装置 コアグレックス800(Sysmex社製)を使用した。本機器は、散乱光検出法を採用しており、凝固時間とともに、散乱光強度の経時変化データをも取得することが出来る。 検体希釈液として、HEPES緩衝液(pH7.5)を用いた場合、市販正常血漿は数秒で凝固した(4.6秒)。血液凝固時間延長剤として、従来法であるアルカリ金属のハロゲン化物塩(臭化ナトリウム、臭化カリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、及び塩化ナトリウム)、又はベンザミジン塩酸塩をHEPES緩衝液に添加し、血液凝固時間及び該血液凝固反応における光学的変化量(散乱光強度変化量)を測定した。その結果、表1に示した如くベンザミジン塩酸塩では、従来法と同等の凝固時間延長作用を有し、かつ光学的変化量の減少が著しく小さいことが分かる。実施例2(血液凝固反応における光学的変化量の調整) 本発明の血液凝固時間延長剤であるベンザミジン塩酸塩と、従来の血液凝固時間延長剤である塩化ナトリウムの添加濃度を調節した検体希釈液(HEPES緩衝液pH7.5)を用いて、実施例1と同様に正常市販血漿を測定した。その結果、表2に示した如く、同程度の凝固時間が得られる散乱光の光学的変化量(散乱光強度変化量)の極大値(ΔH)を適宜所望の大きさに調整できることが判る。 ベンザミジン又はその誘導体を有効成分とする血液凝固反応における血液凝固時間延長剤を含有することを特徴とする血液凝固能測定用検体希釈液。 フィブリノゲン測定用検体希釈液である請求項1記載の血液凝固能測定用検体希釈液。 ベンザミジン又はその誘導体を有効成分とする血液凝固反応における血液凝固時間延長剤と、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のハロゲン化物塩及びプロピオン酸塩から選ばれる血液凝固反応における血液凝固時間延長剤とを併用することを特徴とする血液凝固反応における光学的変化量の調整方法。 【課題】血液凝固時間を十分に延長し、かつ光学的変化量を低下させず、血液凝固能検査を正確かつ高感度に行うことができる試薬を提供する。【解決手段】ベンザミジン又はその誘導体を有効成分とする血液凝固反応における血液凝固時間延長剤を含有する血液凝固能測定用検体希釈液。【選択図】なし